男「気のせいだろ」

女「いいや、気のせいなんかじゃないね」

男「…………」ｶﾞｼｶﾞｼ

女「どうしてなんだい？」

男「……別にどうだっていいだろ」

女「どうでもよくないからこうやって聞いてるんじゃないか」

男「……ちっ」

女「相変わらず機嫌が悪くなるとすぐ舌打ちをするんだね」

男「…………」

女「もう一度聞くよ。どうして最近君はボクのことを避けるんだい？」

男「……大した理由なんかねえよ」

女「嘘だ」

男「……間髪いれずに決めつけやがったな」

女「本当のこと言ってよ。君の口から、さ」

男「……好きな女の子が出来たんだよ。それで相手に変な勘違いをしてほしくねえんだ」

女「……へぇ」

男「…………」

女「変な勘違いって、例えばこういうことかな？」ｽﾙｯ

男「おいやめろ」

女「ただ暑いから上着を脱いだだけだよ？」

男「……俺をからかうな」

女「やだなあ、からかうなんて人聞きの悪い。ボクは真剣なのに」

男「言ってろ。だからそういうわけであんまり話しかけないでくれ」

女「ひどい扱いだなぁ。それが幼なじみに対する扱いなのかい？」

男「腐れ縁の間違いだろうが」

女「こぉんな小さい頃から一緒だったのに。昔はボクのそばから離れなかったのにねぇ、それが今や……」

男「それは昔の話だろうが。で、話はもういいか？」

女「まだあるよ」

男「なんだよ」

女「手ひどくふられてしまえ」

男「あっそう！もう俺行くわ」

女「ふふふ、またね」

男「ったく……」

スタスタスタ……

女「………………」

女「昔はもっと素直で可愛かったのになぁ。なんでああなったのやら」

女「今の彼も好きだけどね……それにしても」

女「彼はいけない人だね、ボク以外を好きになったりなんかしたらダメなのに。ふふふ、いつになったらわかってくれるんだろう。その日が楽しみだね」