女「中学3年間学校が違っただけの幼馴染に彼女ができていた」 (18)

あいつと初めて会ったのは、いつの話だっただろう。たまたま、家が隣だった。たまたま、同い年だった。そんな理由だけで一緒に遊んでた。腐れ縁っていうのかな。もう一緒にいるのが当たり前すぎて、離れていることに違和感を覚えるほどだった。きっと、大人になっても一緒にいて、そのうち結婚とかして、子供ができて、孫ができて、そんな将来なんだろうなってそう思ってた。

女【ねえ、男。あんた、将来何になりたいとか考えてる?】

男【んー、わかんないや。お父さんみたいにもなりたいし、お母さんみたいにもなりたい。女は?】

女【んー、あたしはやっぱ・・・お嫁さんかな】

男【えー、女って料理とかできなさそう。掃除も、洗濯も、あんまりしなさそう】

女【大人になったらちゃんとやるって】

男【ほんとに~?】

女【ほんとほんと】

嘘。ほんとはもう、ちょっとずつやり始めてる。お母さんに教えてもらって、服を畳んだり、お料理したり、お掃除したり。でも、恥ずかしいから内緒。いつか、当たり前のようにできるところを見せて、「おお!」って言わせてやるんだから。

女(私の幼馴染は5人いる。男女比1:5、つまり男が一人で女が五人)

女(男。お互いにとってファースト幼馴染。家が隣で部屋が向かい同士。出会った年齢はなんと私が0歳1ヶ月のとき。向こうは0歳4ヶ月だったけど)

女(当たり前のようにお互いの家を行き来して遊んでいたし、お泊りなんかもざらだった)

女(セカンド幼馴染の花屋娘、サード幼馴染のお嬢様姉妹、あとなんか男に憑りついた幽霊のアリス。この6人で私たちは幼馴染)

女(花屋娘とお嬢様は1つ上。嬢妹は1つ下。そしてアリスは享年12歳。この6人でいつも遊んでいた)

女(転機となったのは小学校4年生の頃。学校の野外活動で登山をした時に、私が山道を滑り落ちてしまい、咄嗟に手をつかんでくれた男と一緒に落ちて、遭難した時のこと)

女(私たちはとりあえずその場から動かないようにしていたんだけど、運が悪いことに野性の熊と出会ってしまった)

女(男は、私を守るために立ち向かった。でも人間が、ましてや子供が熊に勝てるわけがない。激しく抵抗されたのが嫌だったのか熊は去ってくれたけれども、その代償に男は左腕を失った)

女(・・・・・・本当に、生きていただけでも奇跡だと思う。男は意識不明の重体で、目を覚ましたころには年を越していた)

女(片腕がないまま普通の学校でやっていけるわけもない。男は同じ町の私立の学園に転校した。お嬢様姉妹がそこの学園長の姪なので工面してもらったらしい)

女(福祉環境もばっちりだしそれ自体はいいことだった。だけど私は家計的な問題でその学校に行けなかった)

女(そして中学生になって、幼いころからやっていた空手で全国を制覇した。スポーツ推薦枠を勝ち取るために。本当は小学校のころにやりたかったのだが、実力不足でできなかった)

女(そしてこの春から高校1年生!ついに男と同じ学校に通える!そう思うと気持ちが抑えきれなくなり、告白をしたのだが)

男「・・・・・・ごめん。僕、もう彼女いるんだ」

女「・・・・・・はっ?」

男「これ、写真」

女「・・・・・・なにこれ。誰これ。私知らないんだけど」

女(写真で見た彼女さんはめちゃくちゃ美人だった。少なくとも見た目に関しては非の打ちどころがないぐらいに。しいて言うなら胸が小さいぐらいか。でも男巨乳派じゃないし)

男「だから、ごめん。女とは付き合えない」

女「・・・・・・うん。なら、仕方ないわね」

女(私の15年以上かけた初恋は、実らずに)

女「終わらせてたまるかっっっ!!!!!!!」

嬢妹「モノローグが長い」

お嬢様「女ちゃん、落ち着いてね。はい、お茶」

女「ありがと」

花屋娘「それでえっと、私たちなんで集められたの?」

アリス「みんなで集まるのならお兄ちゃんをハブにしてる理由がわかんないんだけど。まあお兄ちゃん出掛けてるけど」

お嬢様「男様の代わり、というわけではありませんが・・・・・・」

悪魔「あー、うん。私、場違いじゃね?男の義妹ちゃんを呼んだ方がいいんじゃない?」

女「場違いじゃない。大丈夫、安心して。これから全員に質問をするから呼んだのよ。悪魔も含めて」

悪魔(確かこの5人って男の幼馴染だったよね?肩身がものすごく狭いんだけど。私一人だけ違う学校に進学したし)

女「はいじゃあ質問です。この中で男に彼女がいたことを知ってた人ー」

5人「・・・・・・」ノ

女「そうよねー、知ってるわよねー。アリスは置いといてそれ以外全員同じ学校だもんねー。そしてアリスは憑りついてるから知らないわけないよねー、うんうん」

女「何で教えてくれなかったの!?!?!?あたし昨日告った時にそれ初めて聞いたんだけど!?昨日の夜わんわん泣いたんだけど!?おいこら目ぇ逸らすな!」

花屋娘「えっと、その、ね?別に伝え忘れてたとかそう言うわけじゃないんだよ?ただお姉ちゃん、女ちゃんはもう知ってるものかと思ってて・・・・・・」

お嬢様「お、男様から直接話を聞いてるものかなと」

女「ダウト。私が知ったら真っ先にあんたらに確認とるのはわかってるでしょ」

花屋娘「それは、そのぅ、そうだけど・・・・・・」

嬢妹「だって教えたら絶対発狂して詰め寄られるじゃん」メンドクサイ

お嬢様「こらっ!言い方があるでしょ!」

女「あんたのそういう物おじしないというか誤魔化さず率直に言ってくれるのは割と好きだわー。それはそれとして言い方考えろ」

アリス「喋んない方が面白いかなって」

女「こんのクソ幽霊が!」

悪魔「お前も!玉砕!しろ!って思ってた」

女「鬼!悪魔!」

悪魔「悪魔ですがなにか?」

女「えっと、確認ね。男が今の彼女と付き合い始めたのはいつ?」

花屋娘「2年の1学期が終わる直前ぐらいかな」

女「ねえ悪魔。あたしたちって2年の夏休みに初めて会ったわよね。そのときお互いに同士だってがっちり握手したよね。男の親友で唯一の同級生の部活仲間なんだから知ってたのよね?」

悪魔「いや、その時は私的にはあーこの子も男に彼女がいるのに恋しちゃってる勢かーって思いながら同士の握手をしたから」

女「あー、なるほど、うん。その時点で認識の相違があったわけね」

悪魔「まあ2回目に会ったぐらいでもしかして彼女いること知らないんじゃね?って気付いたけど」

女「なんでその時言ってくれなかったのよ!!!!」

悪魔「1年半ぐらい仲良くしてた想い人から彼女ができましたって告げられた時の苦しみを分かち合ったほうがよかった?」

女「・・・・・・ごめん。同情するわ」

悪魔「まあ私も卒業の時に告って玉砕したし。もっとみんな玉砕しろって思ってたけど」

女「あんたやっぱり悪魔だわ」

悪魔「名前通りですが」

女「あたしね、正直あんたたちの誰かが男と付き合ってるとかそういうのなら納得しようと思ってたのよ。付き合いも長いしね」

アリス「幽霊で戸籍上妹の私と付き合えとかあまりにもお兄ちゃんが可愛そうだと思わないの?」

女「あんたは特殊過ぎるから例外。てか自分を卑下するな。いつもの美少女自慢はどうしたのよ」

アリス「いくら美少女でも死人が生きてる人と恋愛関係になるのって相手側に申し訳ないなって思ってる」

女「ちなみに恋愛的に好き?」

アリス「好きだよ?プロポーズされたら二つ返事で断るレベルに」

女「あんたはもうちょっと自分の幸せってのを考えて良いと思うんだけど」

お嬢様「アリスの気持ちもわかるわ。本当に好きだからこそ本当に幸せになってほしい。だから自分は選択肢にいれないの」

女「そういうお嬢様はどうなのよ。あんた男に心酔してるじゃない。様付けなんかしちゃってさ」

お嬢様「男様には私のすべてを捧げることを誓ってるし、どのように扱われても構わないと思ってるわ。そして私自身が男様の行いを妨害するなどもってのほか」

女「で、恋愛的に好きなの?」

お嬢様「・・・・・・女ちゃんのそういう建前とか全部無視して突っ込んでくるのはすごいと思います。ええ、好きですよ、もちろん。なんならこの状態になる以前から」

女「嬢妹ー」

嬢妹「普通に好きだし彼女の座は羨ましいと思ってるけど」

女「よね!そうよね!やっと共感できる相手がいてくれて嬉しいわ!」

嬢妹「だって、彼女になったらいろいろともらい放題じゃない」

女「いろいろって?」

嬢妹「男の出汁がしみ込んだもの色々」

女「・・・・・・お嬢様。あんた妹の教育」

お嬢様「聞かないで。私には止めることができなかったの。止められなかったの。察して」

女(お嬢様も苦労してそう・・・・・・)

女「で、花屋娘は?」

花屋娘「私?うーん、男くんとそういう関係になるのはやぶさかではないかな」

女「なるほど、普通に好きね」

花屋娘「そういう風にまとめられるのはちょっと」

女「でも好きなんでしょ?」

花屋娘「・・・・・・まあ、そうだけど」

女「で、なんで今の彼女がを普通に認めてるの?」

お嬢様「さっきも言ったように、私に男様の行いを邪魔するような権利はないし、男様が好きな相手と結ばれるのであれば応援するまでよ」

花屋娘「彼女ちゃんは私たちの友達だし、男くんも幸せになってるんだしむしろお姉ちゃんは喜んでるよ」

女「はぁ、年上組は悟りすぎでしょ」

嬢妹「ほんとにね。その点私はちゃんと抗議したし彼女にも直接文句を言いに行ったし今でもなんならデートを後ろから尾けてるしデート無くても尾けてるし」

女「あんたそれストーカーっていうのよ」

嬢妹「姉さんも男のスマホにGPSアプリインストールしてるしカバンと部屋に盗聴器入れてるし普通かと思ってた」

女「おいこらストーカー姉妹」

お嬢様「私は男様から許可をもらっていますよ?男様に何かあればいつなんどきでも駆けつけなければなりませんので」

女「開き直るな」

悪魔「ある日突然彼女できたよーって報告されて妨害もなにもなかったんですが?あまりの衝撃にどんな顔したらいいかもわからずとりあえずおめでとうしか言えなかったんですが?」

女「うん、ごめん、ごめん。私が悪かったから」

花屋娘「でもまあ、女ちゃんも今回結果として知れたわけだし、今日はいっぱい吐き出そ?ね?」

お嬢様「思いの丈をぶつけてもらっていいわ。私たちが全部受け止めるから」

女「ざーんねーん、吐き出すも何も私はまだ諦めてませーん。男にぞっこんラブでーす」

悪魔「いつでも奪う準備はしてまーす。今も虎視眈々と狙ってまーす」

嬢妹「めんどくさいから帰っていい?」

お嬢様「今日の夕飯は好きなもの作ってあげるからここにいて」

嬢妹「えー・・・・・・」

アリス「はぁ、仕方ないなー。そんなめんどくさい女のためにアリスちゃんがとっておきの情報を教えてあげよう」

女「え、なに?どんなの?相手の女の弱み?」

アリス「お兄ちゃんと彼女さんは今日から3日間の卒業旅行に行ってるよ。たぶんしっぽりやってくるだろうね!」

女「はぁ!?ふざけんな!え、てかなに?あいつに性欲とかあるの?どの女の裸を見ても欲情しないあいつが?」

アリス「だって女ってお兄ちゃんにとって身内枠だし・・・・・・」

悪魔「ちょっと待って。それってどういうこと?」

アリス「だって今でもお風呂一緒に入るよね。お兄ちゃん一人で入れないから」

女「腕が無くなったのは私の責任だし。私ができる分の介助はしないとね」

悪魔「は?え?は?」

悪魔「・・・・・・質問でーす。幼馴染組ってもしかして今でも男と一緒にお風呂入ってる?」

女「うん」

アリス「私は戸籍上妹だし」

お嬢様「介助はさせていただいております」

花屋娘「ウチに泊まりに来たら入るかな」

嬢妹「入らせてもらえない」

悪魔「嬢妹ちゃん、こっち側に」

嬢妹「一回お風呂のお湯全部飲みほそうとしたからだけど」

悪魔「ごめんこっちにこないで」

アリス「嬢妹、嘘はダメだよー」

悪魔「あ、流石にお湯を飲み干すのはしてないんだね?」

アリス「飲みほしたうえで全身を舐めようとしたからって言わなきゃ」

悪魔「・・・・・・あー、うん。そういう意味ね、うん」

悪魔「追加で質問したいんだけどそのお風呂に入る時に水着とかは」

女「なんで風呂に入るのに水着を着るのよ」

悪魔「あー、うん。そうだね。あれ、これって私がおかしいのかな?てか男はこれ浮気にならないの?」

アリス「なんなら一緒に入って洗ってるし」

悪魔「あーあーあー、なるほどー。つまりあれか。私がおかしいんだ、うん。つまり私も全裸で凸れと」

花屋娘「えっちなのはいけないと思います!」

悪魔「どの口が言うか!」

お嬢様「一応言っておきますと、我々はそう言った目で男様を見ながら介助することはできませんので。うちの妹を除いて」

女「それねー。いや、どうしてもあの傷口を見るとまず罪悪感が出てきてさ。あとは傷が痛まないようにとかで頭がいっぱいになるし」

花屋娘「弟みたいなものだし」

アリス「戸籍上兄だし」

嬢妹「普通に興奮するけど?」

悪魔「嬢妹ちゃんってすごく正直に生きてるよね。尊敬するわ」

嬢妹「てかさ、こんなとこでうだうだ言ってないで彼女に直接言えばいいじゃない」

女「え?」

嬢妹「私も悪魔先輩も彼女先輩に直接文句言ってるし」

女「え、マジで?そんなことしたの?」

悪魔「いや、私の場合なんていうか、その彼女先輩に呼び出されて宣戦布告を受けたというか、奪えるものなら奪ってみろって言われたっていうか」

女「へー・・・・・・花屋娘。電話貸して」

花屋娘「あ、うん。かければいいの?」

女「うん。今から私も宣戦布告する。15年来の初恋をこんなとこで終わらせてたまるもんですか。あたしはこの先の人生も死ぬまで、死んでも男と一緒に過ごすって決めてるんだから」

お嬢様「・・・・・・じゃあ私たちは一旦席を外すわね。表に出てるから終わったら呼びに来てちょうだいな」

女「うん、ありがと。・・・・・・よし!かける!」

『おかけになった電話番号は電波の届かないところにあるか電源が入っていないためお繋ぎできません』

女「・・・・・・」

アリス「あ、お兄ちゃんも彼女さんもやることやるときは両方ケータイの電源切ってるよ」

女「・・・・・・」

花屋娘「えっと、あー、うん。い、一緒にお買い物いきましょう!ね?」

お嬢様「そうよ!時間がたてばまたつながると思うから、ね?」

女「年上組のフォローが胸に刺さる・・・・・・」

嬢妹「それはそれとして買い物は行きたい。夏物の服を買っときたいし」

悪魔「えっと、それって私もついていっていい感じ?」

花屋娘「もちろん。女ちゃん、そういうことだから、ね?」

女「・・・・・・うん」

―後日―

女「それで、男ったらそのときすごいことをしちゃって」

彼女「えっと・・・・・・なるほどね。それは確かにすごいわ」

女「ですよね!」

彼女「でも中等部時代にこんなこともしてたのよ」

女「え、なになに、なんですか?」

男「・・・・・・」

男(僕の彼女と幼馴染が仲良くなって僕抜きでめちゃくちゃ盛り上がっていた)

男「・・・・・・なんか疎外感」

アリス「これはあれだね。所謂NTR」

男「違う、そうじゃない」

アリス「まあ女同士だしね。仲良くなるのも早いよ」

男「そんなもんかなぁ」

アリス(あの二人はお兄ちゃんに一夫多妻を受け入れさせるために結託したから仲良いんだけど・・・・・・まあ言わないほうが面白いか)

1ヶ月ぐらいSS書いてなかったのでむしゃくしゃして書いた。反省はしている。
多分この世界まともな人間がほぼいない。基本的に良識はあるけど常識がない人たちばっかり。
アリスが一人だけ個人名なのは見た目の想像がしやすい個人名だからという理由が。詳しくは過去スレで。
この話はここで終わりだけど、またSS書きたくなったら続きを書くかも。
別スレのメリーさんとかもそうだけどさっぱりしてる感じで愛の重いキャラが好きです。
普段は何気ない感じでも有事にはさらっと命を張れる感じの子が好きです。男側も同様。ケムリクサのわかばみたいな。
何で毎回あとがきで性癖暴露してるんだろ。悪魔の尻尾弄りたい。

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