女「あ、ありのまま今起こったことを話すぜ…」
女「『俺は洗面台の前に立っていたと思ったら 洗面台の前に立っていたのは女の子だった』」
女「な…何を言ってるのか(ry」
女「鏡の中の女の子の動きを見るに、これは俺なんだが…」
女「これが噂に聞く『朝おん(朝起きたら女になっていたの略)か…』
女「大好物ですわwwwwwwwww」
女「うはwwww単に性別が変わっただけじゃねえwwww可愛いwwwww」
女「小さめの身長wwwwセミロングの黒髪wwwwくりっとした目wwww色白で赤らんだ頬wwwww」
女「そしてwwww控え目のおっぱいwwww触り放題ですwwww」
女「…と思ったけど、なぜか触りたい気が全くしねえ」
女「自分の身体だからかな…そう都合良くはいかねえのか…」
女「というか実際なってみると思いやられることが多すぎるよな…」
女「大学もバイトも続けられないな……性別も顔も変わったら俺だってわかんないし」
女「絶対信じてもらえないもんなあ……家族……はいないからいいとして」
ピンポーン
女「? なんだこんな時間に」
ガチャ
友「おいすーwwwww来たったwwwww」
友「……」
女「お、友……」
友「え、ちょ、あの、男くんいらっちゃ…いらっしゃい…ますか…フヒ」
女「相変わらずのキモヲタっぷりですね……」
友「ア、アノ、スイマセン……」
友「チョ……アノ……フヒ…コポォ…」
女「俺が、男なんだけど…」
友「エ……ハハ……イヤ……」
女「お前どんだけ女と話すの苦手なんだよ…重症だな…」
友「フヒ……サーセン……」
女「身長165cm体重80kg勃起時チン長8cm」
友「!!」
女「お前が高校時代柴田さんに振られた時のセリフは『もう息止められないから帰っていい?(筆談)』」
友「!!」
友「……」
書き溜め消費しながら書き続けてるんだすまんの
友「待て……また信じられん」
女「ほう、どんな秘密を責められたい」
友「君が男の彼女ならば、男が俺の弱味を話す可能性はある」
女「うむ、確かに……」
友「男の黒歴史を話してくださいwwwww」
女「!!」
友「それも、絶対に彼女には話さないような特上のやつだ……!!さあ」
女「え、ええー……」
友「信じてほしくば!」
女「あのー……」
友「おう?おう?wwwww」
女「中学生の頃、朝礼で小便を…もらし…ました…///」
友(これは可愛い)
友「これは可愛い」
女「思ったことそのまんま言ったな気持ち悪い」
友「この辛辣さと言い、確かに男だ。認めよう」
女「くそ……」
友「それにしても……」
友「この子かわええwwwwwwww」
女「ぐ……まあ確かに結構可愛いよな」
友「どうしてこうなった!どうしてこうry」
女「うるさい……まあ上がれ」
友「うはwwwww女の子の部屋wwwwクンクンwwwwスーハースーハーwwwwwww」
女「元は男の部屋だし次女扱いしたら殺す」
友「あはい」
女「そこ座れ」
友「はい」
女「カクカクシカジカ」
女「……という訳なんだ」
友「にわかには信じがたいですなあ」
女「おいさっき認めるつったろ」
友「それでこれからどうするんだお?お?」
女「新しく学校に通うのは金銭的に厳しいから、とにかく働くしか……」
友「毎朝俺の味噌汁を作る……っていうのは……?」
女「だから殺すっつってんだろ」
友「あはい」
女「仕事なあ……」
友「今までやってたコンビニのバイトは続けられ……ないわな」
女「『女になっちゃいましたけど男ですー今後ともよろしくお願いしますー』」
友「どう見ても頭イカれてます本当にry」
女「というわけで新しく探さなければならない……ネットで求人を探そう」
友「一気に人生ハードモードですな……しかしこの女前向きである」
女「泣いている暇などないのだ!俺の心にはまだちんこが生えている!」
友「ちんこってもう一回言って」
女「死ね」
友「ビクン!!……それももう一回」
女「もうやだ……」
友「それより女よ」
女「さえずるなよ豚」
友「いや真面目な話なんだけど……お前面接行く服なくね?」
女「!!!」
友「その汚いスウェットの下は汚いトランクスなのだろう……見える……見えるぞ」
女「ちょっとほんとにやめて」
友「普通に拒否しないでセクハラみたくなっちゃうから」
女「いえセクハラです」
友「///」
女「この顔ではどんな言葉も説得力を持たないとはいえ、豚の言うことはもっともだ」
友「ハイ」
女「まあいいやネットで適当に5着ほど……」
友「待った!」
女「きたねえ音出すな気持ち悪い」
友「なんか男だった頃より冷たいね……」
女「やっぱ異性だとすっごいキモい」
友「えごめん……なあ、バイトを探す上でお前の武器って今のところ何もないよな」
女「今の経歴、高校卒業してからずっとコンビニバイトしてました☆ だからな……」
友「そこでだ、ルックスを武器にした仕事をしないか?」
女「またセクハラかよ……」
友「今のはセーフにしてほしい」
女「萌え豚が……チッ」
友「……女の人怖い……!」
女「水商売でもしろってのか?こないだまで男だったのに……」
友「断じて違うぞ!」
友「女よ!トップアイドルを目指さないか!」
女「侵されてんなこいつ……」
友「頭?頭のこと?」
女「あとそれも水商売だからね」
友「誠に不憫ではあるが、お前には真っ当に働く術がないのが現状だ」
女「はっきり言うなあ……確かに身分を証明することも出来ないからな」
友「そんなお前にあるのはその美貌だけだ!」
女「はあ」
友「生きることで精一杯の人生と!夢を追う人生どっちを選ぶんだ!」
女「えー……」
友「常日頃テレビを観ながら、『俺ならもっと良いアイドルを作れるのに』と思っていた」
女「典型的な雑魚市民ですね」
友「だからお前をプロデュースさせてくれ」
女「それと服とどう関係があるんだ」
友「勿論アイドルにふさわしい可愛い服を買うんだ」
女「そんな金ねーっつの」
友「俺の夢に付き合ってもらう以上、金銭的な援助は全てしよう」
女「え、マジ?……お前そんな金あんの?」
友「今まで集めたマニアックなグッズを売れば当面の生活費、そして活動資金になるだろう」
女「お前ヲタ活動にそんな使ってたのか……マジでキモいな」
友「他に趣味ないし友達はお前だけだし……」
女「でもまあ……金が尽きるまでは付き合ってやるよ」
友「本当か!」
女「それが失敗してから働いても今から働いてもそんな変わらないしな。それにお前の言う事もちょっと分かった」
友「そうだろうそうだろう」
女「そして我ながら俺は可愛い、日本中の豚どもを手なずけるのも悪くない」
友「ソノキャラモシンセンデイイヨネ……」
友「じゃ服買ってくるから採寸させて」
女「メジャーを渡せ。それから測ってる間便所で土下座してろ」
友「あいわかった!」
数日後……
友「と言う訳で私服と衣装を持ってきたぞ」
女「おお御苦労……え衣装……?」
友「これだ」
女「これ着るの……スカート短え……」
友「だが見えそうで見えないように計算した。俺が編み出した公式がある」
女「本当はたまに見えるんだろ」
友「ぬ、分かっているな……」
女「元は男だからな。あと今から土下座しながら喋れ」
友「早速最初のライブをやるぞ。秋葉原の○○というライブハウスで二週間後だ」
女「急だな……」
友「お前には明日から秋葉原でビラを配ってもらう。それからこの5曲を覚えるんだ。あと顔痛いんだけど土下座もういい?」
女「曲……お前作ったの?」
友「いや、ネットの友達に頼んだ。あと顔痛いんだけど」
女「へえ……ちょっと聴かせて」
友「おう、パソコンに入ってる。あと顔」
女「おおこれか」
友「多分そうだと思います」
女「ちょっと背中座るな。お、お前椅子としてはなかなかだぞ。再生、っと……」
友「お尻柔らかい……」
女「ウワイスガシャベッター」
友「喋らせてください」
女「ふむ……なるほど良い曲だ」
友「今は作曲が簡単になったからアマチュアでも良い曲書ける人いるんだ」
女「へえー……歌詞はちょっとツンツン系だな。可愛いかもしれん」
友「俺が書いた」
女「チッ」
友「舌打ちも可愛いなあ……」
次の日
友「ここでビラを配るのだ」
女「この衣装で外出るのめっちゃ恥ずかしいんですけど……」
友「恥ずかしがってるのめっちゃ可愛い」
女「くそっ……くそっ……」
友「じゃ頑張って!俺学校行ってくるわ」
女「え、一人で配るの……このフリフリの衣装着て……?」
友「ずっと横にキモヲタいたら変だろ」
女「じゃあちょっと離れたとこで見てるとか……」
友「寂しいの?寂しいの?wwwww」
女「いや……ちょっと危ないかなーなんて……」
友「ちゃんとお願いしてごらん?」
女「ぶっ殺すぞてめえ!」
友「あーそろそろ乗りたかった電車の時間だわ!じゃあな!」
女「ちょ……」
女「寂しいので……そこで見ててください……///」
友「うはwwwwwwwおkwwwwww」
女「覚えてろホントに!」
そしてビラ配り
女「今度ライブします……来てくださーい……」
女「お願いしますー……ライブやりますー……」
女「あ、ありがとうございますー……」
女「お願いしますー……」
女「何故だ……この美貌ならばもう少しさばけると思っていたのだが……過信したか……?」
女「まあもう少しやってみよう」
女「ライブやりますー来てくださーい」
女「来てくださーい……」
オタ「君めっちゃ可愛いねwwwww行くよありがとうwwwww」
女(うおおいかん寒気が……)
女「ありがとうございますー」
オタ「ずっと配ってて疲れない?wwwwお茶行こうよwwwww」
女「え、あの、大丈夫です」
オタ「無理しないでさwwwwほらwwww」
女「いえ、本当に、疲れてないんで……」
友「ふおおおおおおおおおおおおい!!!!」
オタ「!!」
女「!!」
友「俺、こ、この子のマネージャーなんですよ、フヒ、ちゃんと休憩、と、取らせてますんで、」
オタ「あ、はい……すみません」
友「フヒ、フヒヒ……」
オタ(キモすぎて退いてしまった……)
女「うおー……ありがとう。めっちゃキモかったけど」
友「ですよね……」
女「あーすげえ怖かった……女から見ると男ってあんな怖いんだなあ……」
友「そうだな……さっきは一人で置いてこうとして悪かったな」
女「いや気にすんな。でもやっぱお前居て良かったわ」
友「……」
女「えなに?」
友「いや女の子にそんなこと言われたの始めてだからちょっとジーンと……」
女「早く本当の女の子に言って貰えるといいな。あと今から向こう向いて喋って」
友「それより男よ、お前が何故ナンパされたか分かるか」
女「そりゃ可愛いからだろ」
友「違うね」
女「? それなら何だ」
友「お前にはプロ意識が足りん」
女「いやプロじゃないし……」
友「違うねッ!プロになった者がプロ意識を持つのでは無くッ!!プロ意識を持った者がプロになるのだッッ!!」
女「!!……ちょっと説得力あるな」
友「というかこれは真理だ。お前が今度出るライブ、これはワンマンではない」
女「あ、そうなの?よくチラシ見てなかった」
友「お前はそのライブで、他のアイドルのファンを分捕るのだ」
女「なんか嫌な話だな……」
友「確かに嫌な話だが、それぐらいの気持ちを持つ、それがプロ意識ってことだ」
女「ふむ……で、それと今のナンパと何の関係が?あと面倒だからこっち向いていいよ」
友「要はお前が『アイドル』ではなく、『アイドルの格好した女の子』に見えたからナンパされたのだ」
女「はあ……具体的にはどうしたらいいんだ。張り合う相手いないぞここ」
友「元気に大きな動きをし、アイドルスマイルをしながら、可愛く大きな声を出す。これだ」
女「こないだまで男だったのに……」
友「そのぐらい出来ずに何が『日本中の豚を手なずける』だ……豚はそんなに甘くないぞ!」
女「豚うぜえ……」
飯食ってくるわ、多分三十分くらいで戻る
残ってたらまた続けるな
友「まあ少し見ててやるからやってみろ」
女「めっちゃ恥ずかしい」
友「このビラ配りには恥を克服する意味もあるのだ!さあ!」
女「チキショー……」
友「さあさあ」
女「今度ライブやりまーす!来てくださーい!///」
友「照れるな!可愛いけど!」
女「死ね!くそ……ライブやりまーす!来てくださーい!」
友「声はおkだ。あと敬語じゃなくていいぞ。それからもっと大きく動け」
女「ライブやるよー!来てねー!!」クルクル
友「よし、あとはスマイルだな」
女「こ、こうか……?」
友「うわ可愛くねえ」
女「……地味にショックだな」
友「はいこの鏡見ながら作って」
ニュ……ニヤァ……ギュウ……ニチャ……ニコォ……ニコッ
友「うはwwwwwめっちゃおもろいwwwwアイドルじゃなくて芸人にしよかwwwww」
女「うるせえ!これでどうだ!」ニコッ
友「」
女「?」
友「私の御主人たまになってくだたい……」
ズシャッ
友「!? 目が見えないよ!御主人たま!」
女「心配するな目の前に地面があるだけだ」
友「ああなるほど……」
友「しかし俺の目は間違っていなかったようだ、お前は天才かもしれん……」
女「ふふ、そうだろうそうだろう……男の喜ぶツボなら手に取るように分かる……」
友「じゃあその感じで、残り300枚行ってみようか」
女「300枚!? 最初は何枚あったんだ……」
友「320枚だ」
女「oh...」
友「心配するな、さっきの通りやれば行ける。あと頭抜くの手伝って」
女「チッ」
女「ライブやるよーっ!来てねー!」クルクル ニコッ
女(面白いようにさばけるぞ!やはり天才か……)
オタ「うおー可愛いね!良かったら今かr」
女「ありがとう!絶対ライブ来てね!」ニコッ
オタ「あ……うん」
女「ライブやるよ!来てねーっ!」
友(あれの中身が男だと思うと恐ろしい)
女「おらーさばいたぞ!!」
友「本当に300枚さばいたな……おつかれ。明日からも毎日これな」
女「文字通り豚に餌を撒くような感覚だったわwwwwwww」
友「すまない豚仲間たちよ……騙してすまない……」
女「本当はwwwww男なんですけどねwwwww」
友「いや女だよね!そこは騙してないよ!女だよね!」
女「あれ?なんか臭いな……」
友「それはトラウマだからやめて」
友「次は家で歌の練習だ」
女「歌は得意だ任せろ」
友「そういやそうだったな」
女「しかも羞恥心ならとうに捨てている!可愛く歌ってやるからちゃんと耳立てて聴いとけ!」
友「いや人間の耳は立ちませんよw 豚じゃないんですからw」
女「~~♪」
友「無視、か……」
女「~~♪」
女(?)
女「~~♪」
女「あれ……なんか上手く行かないな……」
友「やはりか……」
女「というと?」
友「声変わりしたての男が上手く歌えないのと同じだ」
女「ほう」
友「まだどうすればどういう声が出るのかよく分かってないんだな」
女「なるほど……どうしたらいいんだ」
友「とにかくたくさん歌うしかないだろうな。一日4時間だ」
女「げえ」
友「汚い声を出すんじゃありません!女の子でしょ!」
女「ちげえよ不細工」
友「不細工はちょっとおじさんショックだなあ……」
友「まあそうなるとずっと俺が見てても仕方ないし、毎日録音を持ってくるってことでいいか」
女「はいはい」
そして一週間後……
友「なかなか良くなったな」
女「本当に一日4時間歌ったからな……ざっとこんなもんよ」
友「俺ならその間に20回は抜けちゃうもんなあw」
女「早漏乙」
友「あんまり罵られると……ウッ」
女「お前それやったらもう友達じゃないからね?」
友「マジレスきた」
友「じゃあ今日から振り付けの練習もしよう」
女「うわ何か足りないと思ったらそれか……忘れてたわ」
友「この動画を参考に、明日までに覚えてくれ」
女「よしわかtt……えこの動画では誰が踊ってんの?」
友「私です」
女「お前踊り上手いの?」
友「うむ」
女「へー意外……ペッ」
友「その唾をすかさずキャーッチwwwwwwww」
次の日
友「やつれたなあ」
女「吐きながら覚えたよ……踊り」
友「すまねえな……俺が気持ち悪いばっかりに」
女「気にすんなよ、お前だって好きで気持ち悪い訳じゃないんだから」
友「じゃ今日踊り見に行くな?……久しぶりだなお前んち。ドキドキ」
女「よろしくペッ頼むよ」
友「ああしまった間に合わない……唾が勿体ない!」
女「~~♪」クルクル
友「……!!」
女「~~♪」シュタシュタ
友「!!!」
女「ふう……どう?」
友「いや……お前……」
女「?」
友「トランクスじゃん」
ジャスコー!!
女「ああそういえば稀に見える仕様になってるんだったな」
友「ソウデス」
女「やっぱダメかあ男用の下着じゃ……なんか恥ずかしいんだよな女性用は」
友「シカタナイデスネ」
女「流石にブラは着けてるんだけど……じゃ明日から替えるわ」
友「ソノホウガヨロシイカト」
女「で、踊りはどうだった?」
友「そうだな……踊りはかなり出来てる。ちゃんと俺の真似をしてくれたみたいだな」
女「ああ最初はびっくりしたよ。豚が回りながら汁撒きしちらしてるんだからな」
友「あとは踊りながらだと歌と表情のクオリティが落ちるくらいだブー」
女「ふむ……その辺意識して練習してみるよ」
友「それじゃライブ前日にまたチェックにくるブー」
女「おう」
そしてライブ前日
女「明日ライブやるよっ!来てねーっ!」
女(いよいよ明日かあ……)
女(正直こうしてビラを配ってると、男が向けてくる目線のねちっこさに寒気がすることがある)
女(これがライブとなると……想像するだけできついな)
オタ「? すいませんビラください」
女「わーありがとう!絶対来てねー待ってるよっ!」ニコニコ
女(しかし板に付いてきている自分もいるのである)
友「それじゃ歌と踊りの最終チェックいこうか」
女「おう任せとけ!」
女「~~♪」クルクル
女「~~♪」シュタッ ニコニコ
女「よし!どうだ!」
友「うむ、完璧だ」
女「ふふふ、そうだろう……これで天下を統一してやる……」
友(しかし、なんだか……)
女「?」
友「いや、明日頑張ろうな」
女「おう!」
そしてライブハウス
女「ライブハウスってこんななのかあ」
友「どうだ?」
女「いや俺プロのライブしか観たことないから、正直すげえ狭く感じる」
友「あーそうかもな、演者と客が近い」
女「正直怖いな……」
友「大丈夫、俺がついt」
女「? 蝿か……?うるさいな」
友「困っちゃうねw」
友「ところで男……いや、女よ」
女「なんだその呼び方は気持ち悪い」
友「芸名である。俺が付けた」
女「そういやチラシにも書いてあったな」
友「うむ。……もう今日からお前は、アマチュアとは言えアイドルだ。だから」
女「お、おう」
友「一応人がいる時は女の子らしく話そう。な」
女「マジでか……死ねよ」
友「いやちょっと真面目に言ってるのよ!」
女「お前が女言葉になってどうする」
女「いやでも、お前……友の言ってることは分かったよ。気をつける」
友「そうしなさい」
女「まあなんだかんだビラ配りで慣れてるからね!任せてよ!」
友「おお……可愛い!可愛いぞ!女!」
女「近寄んな」
友「急に冷たくなるのもたまりませんなwwwwwブホwwwww」
女(さて、いよいよ次が出番な訳だが……)
女(凄い熱気だ……思ったより人が多いし、みんなすげえ前に来てる)
女(まあ何のことはない、練習した通りをやるだけだ!大丈夫)
女「お、前の出番が終わったみたい。行こう!」
女「こんばんはー!」
ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ
女(うわ、凄い歓声だな……)
女「えっこんなに来てくれたんだ!嬉しい!今日は女のデビューライブに来てくれてありがとう!」
ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ
女(うわ、もう悪寒がする……くそ)
女「じゃあうたいまーす!」
友(凄い客入りだな、まああいつだけルックスのレベル違うもんな……)
ウオオオオオオオオオオオオオオ
女(残り一曲……)
女(どんどんボルテージが上がって、ステージの前がぎゅうぎゅうだ……)
女(凄い見られてるの分かるな、胸、足、スカートの中……)
女(気持ち悪い……でもあと一曲……!)
ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオ
女「ありがとうございましたー!また来てねっ」
オタ「女ちゃーん!」
オタ「また来るよー!」
オタ「あの子、めっちゃ可愛かったなあ……」
オタ「また観に行こう、あの子……」
女(終わった……。よかった)
女「どんなもんだ!」
友「最高だったよ、よく頑張ったな」
女「!」
友「……?」
女「……」
友「女……?」
女「……すげえ怖かった」
友「……そうか」
女「ライオンの檻に入れられたみたいだった……」ヒック
友「……」
女「早く終われって……思いながらやってた……」ヒック ヒック
友「……」
女「……ごめんな……泣いて、困らせて……。こんな所まで女になっちゃった。嫌だなあ……」
友「……」
友「……ごめん、弱みに付け込んで、こんなこと付き合わせて」
友「アイドルは、辞めにしよう」
女「友……」
友「本当にごめん」
女「いや……アイドルは続ける。続けさせてくれ」
友「! なんで」
女「多分だけど、普通に生活しようとしても、女だってことからは逃げられないんだ」
女「結局男にはああいう風に見られちゃうんだ。その度凹んでなんかいられない」
女「だから、アイドルが出来なきゃ、どっち道女としては生きられないんだ!」
友「男……」
友「そうか、お前の練習見てた時の違和感が分かった」
女「?」
友「これは俺が悪いんだけど……ちょっと、女の子らしく、を意識しすぎたな」
女「だって、アイドルだし……」
友「お前の鬼畜な感じとか、男前な感じとか、確かに元男だからあるものなのかもしれないけど」
友「でもまあ、そういうアイドル、そういう女もアリだろ」
女「そうかな……」
友「きっとその方がキャラが立っててウケるよ。『お前らやらしい目で見たら殺すからな!』くらい言ってやれ」
女「そんなアイドルいるか」
友「お前がなるんだよ」
月日は流れ、某音楽番組……
アナ「次に歌っていただくのは、先日鮮烈なデビューを果たしました女さんです」
T「どうもー」
女「こんばんは!」
T「初出演ということで」
女「気合入れて行きますよお」
T「やる気十分ですねー」
友(男前ですね……)
女「いやー出たぞ!!Tステ!!」
友「おめでとうおめでとう」
女「今日は飲みに行こう、友!俺の奢りじゃ!」
友「いいのかなあアイドルが、マネージャーとはいえ男と2人で……」
女「豚の分際で男とは滑稽である」
友「スミマセン」
女「大丈夫だ、お前が変な気を起しても、法には委ねず、俺の手で」
友「オネガイシマス」
完
投下ペース遅くてすまんかった 思ったより遅筆だったわ
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