女神「私は!負けない!」 (17)

男「それで、ハトの群れに持ってたおにぎりを奪われたと」

女神「し、信仰が足りないのが悪いのです!信仰さえもっとあればわたくしの力ももっと強いというのに!」

男「その信仰を得る手段は?」

女神「もっとこう、威厳をですね、世間の人々に示してですね」

男「なるほど、ハトに敗北する姿は威厳があるからみんなに広めろと」

女神「そういうことではありませんっ!」

男「じゃあどうする?」

女神「ええっとですね、説法とか!」

男「見た目女子小学生がそんなことしてたら補導されるよ?あと説法って仏教用語」

女神「はぁ・・・・・・信仰が欲しい・・・・・・」

影「・・・・・・」

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女神「科学の台頭により世の中の全ての現象が科学によって説明されることになりました」

女神「それによって我々神の威光は減衰し、もはやその存在が忘れ去られつつあります」

女神「もちろん、科学が悪いこととは言いませんよ。人間たちが自らの手で自身の文明を進化させた結果なのですから」

女神「ですが、やはり自身の力が弱くなっていくというのは悲しいし、虚しいことなのです」

男「でも君って自然現象云々関係なしに『正義』っていう心の部分を司る神じゃん。科学関係なくない?」

女神「うっ」

男「人から正義の心が失われてるとかそういうのでもないんだろ?単純に知名度がないだけじゃないの?」

女神「なんでそんなこと言うんですか!そういうのロジハラって言うんですよ!」

男「女神にロジハラで怒られるとは」

女神「全くもう、仕方ないから冷凍庫のアイスで手打ちにしてあげますよ。バニラのカップのやつ」

男「この前遊びに来た六女が全部食べたよ」

女神「えっ!?わ、わたくしの分は!?」

男「そもそもない」

影「・・・・・・」

男「てか、働いてるんだからアイスぐらい自分で買えばいいじゃんか」

女神「働いているとはいっても所詮バイトですし、金額はたかが知れていますよ」

男「メイド喫茶ってそんなに収入低いの?」

女神「わたくしの場合入ってる日数がそもそも少ないので月5万ぐらいですね」

男「僕より少ないね」

女神「コネでバイトして甘やかされてるあなたと比較しないでください」

男「コネは否定しないし甘やかされてるのも否定しないけど仕事自体はちゃんとやってるから」

女神「週一勤務で年棒100万とかおかしいと思うんです。他のバイトの子に申し訳ないと思わないんですか?」

男「バイトは僕を含めて二人、うち一人は中高大学の先輩でかわいがってもらってて会うたびに何か買ってくれる素敵な先輩です」

影「・・・・・・」

女神「うち一人ってあなたを含めて二人ならその人しかいないじゃないですか!」

男「まあ先輩も月給で結構もらってるみたいだし大きな声では言えないけどプラスでお小遣いを手渡しでもらってるみたいだし」

女神「はぁ、職業格差を嫌というほど見せつけられますね。わたくしもそこで働きたい・・・・・」

男「絶対やらかすからお断りだよ」

女神「わたくしへの評価が低すぎやしませんか?」

影「・・・・・・」

アリス「オーナーは昔から仲のいいお姉さん、店長はその妹、社員は大叔母と先輩の姉。この環境に入っていく度胸が女神にあるの?」

男「とつぜん現れるね」

女神「・・・・・・ちょっと待ってください」

アリス「なに?」

女神「すごくメタなことを言いますけど、これSSですよ?なんであなただけ個人名で出てるんですか?おかしいでしょう!」

男「僕も『男』だし女神は『女神』だし前回出た天使とか悪魔とか女とかもそのまんまだし」

アリス「ちっちっち、甘いよ、お兄ちゃん。サッカリンより甘い!」

男「僕が砂糖の350倍以上甘いと?」

影「・・・・・・」

アリス「男っていう名前でわかるのは性別が男ってことだけ、天使とか悪魔は種族だけ。ここまでオッケー?」

男「うん」

アリス「その点このアリスっていう名前はありふれすぎてて性別が女であり、少なくとも外国人、おそらく英語圏の人間であり、多分美少女ってのが想像できる!きっとみんなのイメージは金髪碧眼美少女!」

男「まあアリスって言われてまず思い浮かぶのは不思議の国のアリスだし」

アリス「つまりアリスちゃんはそんじょそこらのやつよりも情報量に満ち溢れてるってわけ。SSなんだから名前も効率化しないとねー」

女神「なんか納得させられそうな気がするんですけど、何か反論はないんですか!」

男「言いだしたのは女神なのにそれを僕に振る?えっと、まあそのアリスって名前が効率的ってのはわかったけど、一番大切な情報が伝わって無くないか?」

アリス「それは口頭説明でオッケー。私ことアリスは男に憑りついている守護霊です。生前は魔女でした。享年12歳です。これでどう?」

男「名前のとこ守護霊にしない?」

アリス「しない。守護霊にしたらアリスちゃんの美少女っぷりが名前から伝わらないでしょ!」

男「自信満々に美少女って言うよね。実際に美少女だけど」

女神「ムカつきますけど全体的に整ってるんですよね。自信過剰じゃないのがムカつきます」

アリス「私が美少女なことなんて太陽が東から西へ移動するのと同じくらい当然なことでしょ?常識を疑えって言うの?」

女神「ほらこういうとこ!」

影「・・・・・・」

アリス「で、なんだっけ?女神が先の時代の敗北者って話だったっけ?」

女神「わたくし地震は起こせないのですが」

男「信仰が欲しいんだって」

アリス「え?じゃあYouTuberでもすれば?女神も女神なだけあって見た目はいいし適当に配信すればそれなりの信者は獲得できるでしょ」

女神「女神がそんな俗っぽいことをしていいものですか!」

男「ホム娘に謝れ。YouTuber目指してる末っ子天使もいるんだから土下座しろ」

女神「彼女らは彼女らで努力しているのは評価しますし、実際にホム娘の配信はわたくしとしましても素晴らしいものだとは思います。ですが、それを自分でやるとなると話は別です」

アリス「どのあたりが?」

女神「だってYouTuberって叩かれたりするじゃないですか!下手なこと出来ないじゃないですか!ただでさえわたくしは日常生活でも散々やらかしているというのに!」

アリス「自覚あったんだ」

女神「むしろなかったらそうとうヤバイやつじゃないですか?」

アリス「ないと思ってたからヤバい奴扱いされてるもんだと」

女神「・・・・・・わーん!男ー!あの悪霊がひどいこと言いますー!」

影「・・・・・・」

男「相変わらずレスバも弱いな」

男「むしろ女神が勝てる相手って何なの?」

女神「女神としての力を解放すれば負けませんが」

アリス「信仰が足りなくてそれができないんでしょー」

女神「わたくし自身の生命力を使えば何とか・・・・・・しかしそれは最終手段です」

男「常日頃から生命力削るわけにはいかないしね。アリスに結界貼ってもらえば?」

女神「自前の悪に反応する結界なら貼っています。だから例えばカツアゲとか変質者には負けないのです」

アリス「つまり無邪気な子供とか動物の類には一切勝てないと」

女神「しかも面倒なことに他人の結界は排除してしまうのですよね、わたくしの結界が反応してしまって」

アリス「つまり物理面はどうしようもないと」

女神「ええ、本当に・・・・・・自分で言ってて悲しくなってきました」

影「・・・・・・」

アリス「女神ってほら、なにやっても弱いじゃん。アナログデジタル問わずゲームでもボコされるし」

女神「アナログデジタル問わずゲームで弱いのは少なからず憑りつき先が最低レベルの弱さを誇っているからですが」

男「これでも特訓はしてるんだけどなぁ」

アリス「あのね、1+1が理解できない人間がいくら筆算を特訓しても計算ができるようにはならないでしょ?」

女神「日本語の文構造がわからないのに英単語だけ覚えて英文を和訳しても中身がぐちゃぐちゃになりますよね?」

男「ロジハラだ!」

女神「仕返しです!」

影「・・・・・・」

彼女「ただいま」

男「おかえり」

女神「来ましたね女狐、今日こそその息の根を完膚なきまでに止めて見せましょう!覚悟!」

彼女「はっ!」グキッ

女神「ぐぇっ」

男「ゲェーッ!あれは、マッスルスパークの前半技、『天』!!!」

アリス「SSじゃ何も伝わらないんだけど」

彼女「マッスルスパーク!」ズドン

女神「がはっ!」

アリス「おおー、見事なまでに返り討ち。これで314戦314敗だね、女神」

女神「な、なぜカウントしているん、ですか・・・・・・がく」

彼女「男くん、冷蔵庫補充しておくわね」

男「ありがとう。代金は適当に財布から抜いといて」

彼女「わかったわ」

アリス「なにごともなかったかのように進行するね」

男「いつものことだし」

彼女「女神さんは頑丈だから大丈夫でしょう」

影「・・・・・・」

アリス「さっきの攻防で女神の結界が発動しなかった理由について」

女神「マッスルスパークは敵意ではなく慈悲の心をもって放つ技です。よって、結界も悪判定しなかったのでしょう」

男「女神から襲ってるから正当防衛ってことだと思う」

彼女「アリス、お箸とか持っていってもらっていい?」

アリス「あいさ!今日の晩御飯何?」

彼女「和食ね。ほうれん草のおひたし、鯖の塩焼き、白菜と豚肉の煮物、わかめの味噌汁」

男「見事なまでの和食。毎日食べても飽きないラインナップだ。さすが僕の嫁」

彼女「もう、嫁はまだ早いでしょ。せめて男くんが卒業してからだって」

女神「うう、惚気ばかり・・・・・うらめしや、うらめしや・・・・・・」

アリス「はいはい表も飯屋。ごはんよそうけどどれだけ食べる?」

男「とりあえずは茶碗一杯」

女神「わたくしは少なめで」

彼女「私は普通。男くんと同じぐらいで」

アリス「あいよーっと。いれたよーっと。影は大盛ねー」フワフワ

男「ポルターガイストで運ぶの便利だね」

アリス「幽霊の嗜みだからねー」

男「ポルターガイストは趣味特技の部類なのか」

影「・・・・・・」

女神「しかしですね、私が彼女に何度も敗北を喫しているのは紛れもなく信仰不足が原因です」

男「信仰さえあれば彼女に勝てると」

女神「ええ、もちろん」

アリス「でも彼女ってサブミッションを中心に極めてる系のバリバリのファイターだけど大丈夫?」

女神「も、もちろん!」

彼女「信仰はどうやったら集められるの?」

女神「やはりわたくしのことを畏れ敬う者が多ければ多いほど信仰が集まりますね」

彼女「そう。じゃあ少なくとも男くんと私とで二人分はあるのね。人間以外もカウントされるの?」

女神「一応作られた信仰でなければ森羅万象天地万物有象無象一切合切あらゆる存在から集めることはできますが・・・・・・ってちょっと待ってください。あなたも?」

彼女「ええ」

アリス「え、どこに畏れ敬う要素があるの?アリスちゃんかれこれ10年こいつと一緒にお兄ちゃんに憑りついてるけどこれにそんな要素皆無だよ?」

女神「こらそこの幽霊」

アリス「ダメダメな女神略して駄女神には正当な評価だと思うけど」

女神「・・・・・・うわーん!男ー!」

男「またか」

影「・・・・・・」

彼女「例え信仰が失われ、力が衰えている状態でも男くんやその家族、周囲の人間を気にかけ、いざという時には守ってくれる心遣い」

彼女「神でありながらも人を見下すことなく、むしろ人の進化や文化を尊いものとして受け入れている寛容さ」

彼女「そして、自身も人の一部としてこの社会に交わり労働をこなし教えを乞い努力を欠かさない人間性」

彼女「これだけリスペクトできる要素があるのだから、敬意を払わないわけがないわ」

女神「ふ、ふーん。なるほど。まあ?いいんじゃないですか?わたくしもあなたのことを多少は認めてあげなくもないですよ」

アリス(チョロイ)

男(こうやって丸め込まれるから口でも勝てないんだよな)

影「・・・・・・」

―翌日―

女神「男、暇です」

男「今講義受けてる最中だから静かにしてて」

女「アリスあたりと一緒に部室で遊んでたら?」

女神「あそこに行ったらめんどくさいやつらに絡まれるから嫌です」

悪魔「あ、暇ならちょっとお昼ごはん買いに行ってもらっていい?ほら、持ち帰りのカレー」

女神「神をパシリにつかうなどと、正気ですか!」

悪魔「いや、期間限定のメニューがあってさ、今日までなんだけど私3限あるから食べに行く余裕ないのよ。あとで好きな私物にサイン書くから」

女神「しかたありませんね。男とわたくしと悪魔と影で4人分でいいですか?」

アリス「私も食べるー」

女「あたしも」

女神「オーケー、わかりました。任せてください。男、自転車借りますね」

男「あいよ」

影「・・・・・・」

悪魔「さーて、終わった終わった!あとは女神ちゃんを待つだけだ!」

男「距離的にはもうそろそろ戻ってきてもおかしくないんだけど・・・・・・っと、噂をすれば電話だ」prrrrrr

男「もしもし?」

女神『男ぉ・・・・・・申し訳ありません・・・・・・ひぐ、ぐすっ・・・・・・』

男「え、どうしたの?なにがあったの?」

女神『自転車を借りてカレーを買いに行ったんですが・・・・・・・その・・・・・・・ひぐっ』

男「もしかして、ダメになった?」

女神『はい・・・・・・地面に転がっていたペットボトルを踏んでしまい、バランスを崩して・・・・・・落として、少なくとも1人分・・・・・・』

男「わかった、大丈夫だからとりあえず戻ってきて。あとはなんとかするから」

女神『本当に、本当に申し訳ありません・・・・・・失礼します・・・・・・・ひっぐ』ピッ

悪魔「あー、えっと?」

男「・・・・・・・本日の敗北記録、ペットボトルっと」

アリス「ついに無生物に負けたか」

悪魔「ま、まあ戻ってきてからなんとかしよ?学食もあるからお昼は食べれるし」

女「はあぁ・・・・・・女神ちゃん相変わらずね・・・・・・ちゃんと戻ってきたらヨシヨシしてあげなくちゃ」

男「女神の尊厳とかその他諸々のためにやめてあげて」

影「・・・・・・」

女神「意気込んで買いに行ったあげくこの体たらく、本当に申し訳ありません・・・・・・」

悪魔「大丈夫だって、ほら、ダメになったの一番上のやつだけだし」

男「5人分を6人で分けて、あとは学食で軽く食べればいいよ」

女神「このような失態をおかしておいてサインなどもらえません・・・・・・またの機会におねがいします」

悪魔「あ、そこ結構気にしてくれてたんだ。うん、サイン会来てくれればいつでもするから。明後日デパートでやるから来てね」

女「事情話してお皿借りてきたわ。これにとりわけましょ」

アリス「適当に軽食も買ってきたよ。お兄ちゃん、お釣り」

男「ん、2人ともありがとう」

女神「失敗をした上に全員にフォローされて・・・・・わたくしはダメダメの駄女神です・・・・・」

女「んなこと元々知ってるから今更でしょ」

女神「そうじゃないんです!信仰がぁ!」

女「大丈夫大丈夫、女神はかわいいってだけであたしから信仰もらえてるから大丈夫よー」ギュー

女神「ぐえっ、く、くるし、男、たすけ」

悪魔「こらー、木すらへし折る腕力でベアハッグすんなー」

女「ベアハッグじゃないわよ!」

男「ほら、女神。食べよう、な?」

女神「はい、いただきます・・・・・・」

影「・・・・・・」

女神「まあ終わったことは終わったことで仕方ないので切り替えます!今日もごはんはおいしかったです!」

悪魔「うんうん、それが一番だ!」

女「で、明後日のサイン会っていつも通り抽選?」

悪魔「人多かったらね。まあゲリラでやるしそんなに集まらないでしょ」

男「サイン会をゲリラでって改めて狂ってるよね」

悪魔「告知してたらなんだかんだ日本全国からファンが集まって大変なことになるし。地元に貢献するにはこっちの方がやりやすいのよ」

アリス「まあこうやって身内には情報流してるけどね」

悪魔「0人は嫌だからちゃんと来てね」

女神「もちろん!」

影「・・・・・・」

―当日―

ガヤガヤ

女神「・・・・・・抽選、外れました」

女「まあ、ドンマイ」

アリス「まあ不正してない証拠とも言えるし、前向きに考えよう」

男「この中で外れたのは女神だけか」

彼女「・・・・・・番号、交換しましょうか?」

女神「・・・・・・おねがいします」

影「・・・・・・」

天使「下僕って魅力的ですよね」
天使「下僕って魅力的ですよね」 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1588522556/)
↑と同じ世界、時間軸。ロボ娘とかホム娘もいる。
正義の女神ってことで正体がわかる人にはわかるかも。
この女神様もアリスちゃんも日本国籍を持ってます。女神の方は大型1種免許まで持ってます。このやらかし具合でどうやって取ったんだろ。
悪魔はアイマスのアイドルランクでいうとDからCの間ぐらいの知名度。歌手だけど。
彼女といい女といいこの世界の女子は戦闘力が高い。女神様も本気を出せば強いはず。本気を出せれば。
男君がなろう主人公並みに周りに女性侍らせてるけどこの状態を受け入れる彼女が一番寛容だと思う。
また気が向いたら似たようなの書きます。

合言葉は
アリスアリアリ(合言葉)

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