騎士ほ「お姉様、あの女の供述報告書が上がりました」

女騎士「おっすおっすごくろうさん。あのゾンビ女まじキモチワリィよなぁ。なぁにが異世界人だよ、バカじゃねェの」

騎士ほ「仰る通り……脳が委縮してから誇大妄想の中で泳いでいるアジャラカモクレンなのは、あながち間違いではないのでしょうが。
……ただ、内部組織の女王派を統括するには不可欠です。制裁と称して粛清……または、連合に身柄を渡すのは得策ではないでしょう」

女騎士「いいんだよ、連合の方は、とりあえずメス牛をよこしときゃ。現にそれっくらいしか要求してないんだろ。
確かに出し渋りが目に見えたとは言っても、あちらさんの海上戦力が役に立ってくれたのは事実なんだからな」

騎士ほ「チッ……今のところは様子をうかがっている、といったところでしょう」

女騎士「構いやしねぇさ、現に被災地の対応にもあちらさん人材を割かれているんだぜ」

騎士ほ「それは……そうですけれども……」

女騎士「（表面上は平和的な形で連合と北西を結び付ける……ここまでは上手く行きそうだな……
来期の西欧会議で発破かけりゃ、あとはドミノ倒すみてーにすべてが始まる……
ここまでくりゃあ、あのゾンビ女王は私の手駒に過ぎん。エリンとかいうド田舎を掌握した時点で私の勝ちたぁ……）」

騎士ほ「……」

女騎士「（北西は共同体の意向を切り捨て……南部の植民地支配の圧政をより強め……西欧社会で孤立を深める……
かわいそうだがしょうがねぇよなぁ……ロクに為政に参加しないお飾り女王様がワリィんだからなぁ……）」

騎士ほ「……では、書面について解説させていただきますわ。まず……」

女騎士「（こらイージーモードすぎて笑いが止まりませんなぁｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗうぇっうぇｗｗｗｗｗｗうぇｗｗｗｗ）」

女騎士「勇者の全国行脚にブリューナク……ねえ？」

騎士ほ「まさにあの女……現存する聖人といっても過言ではありませんわ。数百年前の事象をあそこまで事細かに語れるなど……」

女騎士「で、その聖人は天国から遣わされた超スゴイ勇者サマだってか。超お笑いぐさー」

騎士ほ「……われわれ凡人からすれば、お姉様の聖剣とて超常現象のひとつと言えますのよ」

女騎士「ざけんじゃないよまったくよー、このナマクラどもが勝手に光ったりしゃべったりするだけで、
私は一介の神に選ばれし崇高なる美少女戦士に過ぎんのだぞ？　妙な方向に買い被るんじゃないぞ」

騎士ほ「しかしお姉様。あの女の証言のすべてをオカルトと断ずるのは……いささか早計ではないかと思いまして」

女騎士「はいぃ？」

騎士ほ「先日、デュランダルをお貸ししてはもらえまいかお尋ねいたしましたこと、覚えておいででしょうか」

女騎士「あー、うん。貸した貸した。チビっ子に持ってかせたなあ」

騎士ほ「時間の合間にエリンへと調査に渡ったのですが……どうも、エリンの住民の大半が勇者の血縁というのは、どうも真実らしいのです」

女騎士「」

騎士ほ「住民の８割以上が、デュランダルを問題なく保持する事ができました。
加え、その２割程度がお姉様の仰る聖剣の神霊……バッカスと名乗る存在とのコンタクトに成功しております」

女騎士「何それきもい……」

騎士ほ「無論、お姉様のようなチカラの発動……全覚醒でしたか。あれに到達できる者はおりませんでしたが……」

女騎士「うぇぇー、そうだよなぁー……今まで考えねえようにしてたけどよー、持ち主を選ぶ剣ってのもメチャクチャきもちわりーんだよなー……
キッモチわりぃなもー、エリン死ねよもぉー……勇者なんかそう何人もいていいもんじゃねぇだろぉー？　ったくよー……」

騎士ほ「これからもあの女の証言の裏付けを進めていくつもりではありますが……
仮にもし、ブリューナクと呼ばれる高純度ヴォーパル結晶が勇者召喚の原因だとしたら……」

女騎士「私の役に立たなきゃ燃えないゴミだ。これ以上変なパラノイア増やしてどうすんだよ。
エリンの養殖勇者どもも八つ裂きにして飛竜のエサにしろ、きもちわりい。あいつら人間じゃねえよ、殺せ殺せ」

騎士ほ「御意に」

女騎士「あーイライラしてくるな、クソ女王ほんとロクな事しねぇ……殺してぇなぁ……」

【北西・市街地】

アスモデウス「戦乱は……どうやら、北西王室側が折れたようですな」

司教「あのチンカス女、そこそこ働いてくれたって事じゃあないのかね？
まだどっかで油売ってんのが気に食わんがな、新教の異端を殺すのに関しては寛容にならざるを得ん」

アスモデウス「四大の方々がご存命なら、今回の遠征には好意的な評価をお持ちになったでしょうな……」

司教「勇者サマと魔王軍の全面戦争から向こう数百年、教皇領戦力がここまで動くなんてことは無かったしなあ」

アスモデウス「なぜ、あなたは今回の件に参加しようと思ったのです？」

司教「決まってる。この私の生きた証を遺す為よ、それ以外に何がある？　
これほどに重大な転換点、長生きして５０年の人生じゃなかなかお目にかかれんぞ」

アスモデウス「規模としては、先の東西戦争に劣るのでは……まあ、北西の頭が挿げ変わるという点も大きな出来事ではありますが」

司教「天使のくせにつまらん返答を出すなあ。いいかね、東西戦争からの６年……過去どれだけ遡ったとて、
こうまで勇者の血脈にある者が諸国を暗躍した事があるかね？　なかろ？　なかろうに？」

アスモデウス「……」

司教「ガキだった時分は羨望の対象に過ぎなかったが……いやはや、勇者というのもピンからキリだという事に感動したよ。
上は聖人目指してがんばるクソガキ、下は欲望だけを充足させるのに奔走するクソガキ……だが、そいつらが巻き起こす事象はガキの範疇を超えている」

アスモデウス「加えて、聖剣の覚醒というのもありますな」

司教「そうさ。アジ=ダハーカの聖剣の覚醒……奴のような切り札が世に出てから、私はもう退く気は無くなった。
最後まで、清く正しく、天にまします我らの父の為に、あの連中を引っ掻き回してやる事に決めたのだよ」

アスモデウス「それで首を絞める事になるのは……最終的には人間という事になるのでは？」

司教「何をいまさら。数百年人間にイヤガラセしてきた天使様が何言ってんだ？」

アスモデウス「ものは言いようか」

司教「はっ、案外四大の天使……大精霊どもも、勇者サマへの度が過ぎたイヤガラセで殴り返されちまっただけだろ。
自業自得だね、このまま聖剣のパワーソースとして……生き血を啜られていてくださると非常に助かる」

アスモデウス「人がこのまま『魔術』を行使できなくともいいと？」

司教「いいんじゃないですかね？　ヘタにそんなもんに頼られても困ります。
われわれ正教に刃向う異教の神の奇跡なんぞ、必要ありませんもの。まだ科学の方が信用できる」

アスモデウス「ひねくれた司教ですこと」

司教「おめえもだよぉ？　この不良天使が」

司教「火、水、風、土の四大に加え、不可視のエーテルを司る四大天使。
自立思考が可能な下位天使と異なり、現象としての側面が強い存在……言うなれば、神の威光そのものってか」

アスモデウス「左様で」

司教「ウリエル、ラファエル、ミカエル、ガブリエル。連中が信託を出さなくなってから何年だ？」

アスモデウス「丁度、原初の勇者が魔王を討ち果たしてから６年後になりますか」

司教「ジョワユーズ……ウロヴォロスが種を蒔いた時代と一致する。やっぱり、もうくたばっちまってるんじゃないかね？」

アスモデウス「あるいは、その力が残っていないか。なんとおかわいそうな大精霊様がた……
それまでひとにぎりの人間が扱っていた魔術も、大精霊様のお力添えがあったからこそのもので……」

司教「それで大多数にうざがられて、挙句の果てには
ウロヴォロスなんつう大出力の魔術現象に根こそぎ魔力吸い上げられてちゃしょうがねぇよな」

アスモデウス「加えて……今回は聖剣が多重起動しているという有様。もうお会いできる事もないのでしょうか」

司教「諦めたら？　心配すんなって、あんたら下っ端はバカどもの信仰さえありゃ生きてられるんだろ、簡単簡単」

アスモデウス「それもそうですな」

司教「（やっぱり天使ってクズだわ）」

アスモデウス「聖剣の全覚醒で死に絶える自然霊は、通常の魔術の軽く数万倍。山ひとつ軽く枯れ果てましょう」

司教「はっはっはぁーあ、聖剣同士で戦争したらどうなっちまうんだろうなーあ」

アスモデウス「そらとんでもない事になりますなぁーあ、大陸まるごと荒地ですよ。はっはっは」

女王「が……ぐ……」

騎士ほ「ごきげんよう陛下、お元気そうで何より……動くと傷が付いちゃいますわよ、フククク……」

女王「グ……痛……」

騎士ほ「そうそう、最愛の聖剣に結び付けられてるようなものなのですから」

女王「……何の……用です」

騎士ほ「フクク……残党勢力の側からの反応があるまで余裕ができましたので。
助かりましたわ陛下、じきじきに筆をとって勧告書面を綴っていただけるとは思いませんでした」

女王「……」

騎士ほ「実に素敵な恰好ですわよ。あなた、ラーンスロットとかいうヤリチンに売られましたの。
あのバカども、何を血迷ったか『女王陛下を説得してくれ』ですってぇ？　バカがバカを養ってるってスゴイ構図ですわぁ」

女王「……そう」

騎士ほ「いいですわぁ。『アテクシも円卓の連中なんてどうとも思っておりませんわ』って顔ですわね？
確かに連中は男性器に手足が生えたようなもの、人間として扱う方が間違っておりますわ」

女王「だから……私は……エリンの……こっちに飛ばされた人たちを……」

騎士ほ「ときに……ひとつ質問がありますの。お姉様もこの点を気にしていたのですが……」

女王「……？」

騎士ほ「お前、何でこっち来たの？　帰れよ。帰れねえなら死んじゃえよ」

女王「……」

騎士ほ「ま、異世界の存在がどうたら、などと言った世迷言……この際百億歩ゆずって許容するとしましょう。
お前はそもそも何しにここに来た？　わざわざ数百年もかけて北西の長になり……目的は何だ？　元の世界とやらに戻る気は？」

女王「……ずっと……ず、ずっと……探してきたのよ……もとの、世界に……帰る方法……」

騎士ほ「成果は？」

女王「儀典局……が……ブリューナクと……転生の関連性を調べてる……けど……決定的なものは……」

騎士ほ「……ふん、後で資料一式もらっといてやる。くだらん紙切れだったら勤務している教役者全員殺す」

女王「……」

騎士ほ「あぁーそうか、そうだった。お前、こっちの世界の人間は虫ケラにしか見えてないのだったな。
こいつは失礼した。そうでなきゃ、あんな世紀の大虐殺できないものな。な、女王陛下」

女王「う……」

騎士ほ「代わりに、向こうの世界の人間の意識に紐づく転生者を庇護する情愛だけはあるようだが……」

女王「……」

騎士ほ「気に入らんなあ」　ﾊﾟﾝｯ　ﾊﾟﾝｯ

女王「がっ、ぎいっ！！」

騎士ほ「我々も北西の愚民がどれだけくたばろうが大して心は痛まんがなぁ。
お前、自分の膝元でどれだけの規模の経済活動が日夜行われているか把握しておらんのか？」

女王「あ……」

騎士ほ「テメェのくだらねーカンシャクで！！　こっちのサイフに穴が空いちまったつってんだよ！！
どうケジメつけんだぁ！？　お姉様は殺さねえとは仰っていたが……つくづく不愉快な女だよ、まったく」



女王「ぐっ……う……苦……し……首……ぃ……」

騎士ほ「ブッ刺さってるキャリバーンのおかげでよお、お前……死なないんだってなぁ？」

女王「……」

騎士ほ「首。どこまで回るかためしてみようか」


ぐりゃ　
ボキ

女王「け……ごほっ、がっ……」


騎士ほ「あら、起きた」

女騎士「はろー、はろー。何時間ぶりの蘇生かな？」

騎士ほ「驚いた。頚椎損傷からものの４時間で回復とは。きもちわるいですわ、異世界人って」

女王「ヒ……やめ……やめ、て……痛……いのは……」

女騎士「ノンノンノン、安心したまえよ。ほら見てみなさい。ちゃあんと点滴も繋いであげてるでしょう？
大丈夫だって、もう手出しはしねえから。そっちが妙な気起こさなきゃなあ」

女王「……」

女騎士「で、ほの字よ。クビの３６０度大回転の前には何をお話ししてたんだい」

騎士ほ「他愛のない雑談ですわ。彼女がなぜこちらの世界に現れたのか、だとか……」

女騎士「ほーん、で？」

女王「は……」

女騎士「その回答は？　なんでお前、こっちの世界に来たの？」

騎士ほ「そういえば聞く前にへし折ってしまいましたわね……フクク、失礼」

女王「なぜ……なぜ、来たのか……わ、私にも……よく、わからないの……」

騎士ほ「あ？」

女王「本当、本当よ……本当に……まだ詳しくは判明していないの、あくまで儀典局の仮説しか……」

女騎士「数百年も好き勝手しといてこれかよ、どーしょもねぇなー」

騎士ほ「して、その仮説とは？　簡潔に述べろ、お姉様の気に召さねば……
そうだな、お姉様が寝落ちしたら……お前の片目をもらう。いいな？」

女王「」

女王「事の発端……わ、私からすれば……５００年以上……前……
元の世界……で、私……し、死んだの……く、クルマに……轢かれて……」

女騎士「ざまぁ」

女王「大学……出ても、仕事……なかったし……ずっと……家にいて……
や、やりたい事もなかったし……友達も、い、い、いなかったし……
それで……お金、なくなって……それで……する事なくて……散歩してたら……」

女騎士「ガッシャーンか。ははは、くそざまあ。お似合いじゃあねーか」

騎士ほ「だが現に、グズで職なしで社交性のないクソカスのお前は残念なことに生きてここにいる。なぜかな？」

女王「……それで……それで……き、気づいたら……こ、こっちの世界に……いた……
あ、あか、赤ちゃんにまで、巻き戻って……う、嘘は、嘘は言ってない、本当の事よ……」

女騎士「じゃ何か？　ここは天国か何かだってのか？　でもおめえが行くのは地獄確定だろうから……
うーん、でも私が今をを生きるこの世界が地獄なはずないしな……何だお前、私の天国を蝕む病原菌か？」

騎士ほ「似たようなものですわね。ああ、やだやだ」

女王「……」

騎士ほ「おい。続けろよ。スネたのか？　立場、わかってるか？　そんなんだから轢かれるんだよクズ」

女王「……き、きき、記憶は……そのまんまだったから……すごく……すごく驚いて……
最初こそは、じ、自分の人生……やり直せると思って嬉しかったの……ここでなら、違う自分になれるって」

女騎士「で？　なれましたか？」

女王「……」

女騎士「違う自分になれましたか？　虫ケラどもの世界で、クソニートはまっとうな自分を見つけられましたか？」

女王「見つけようと……努力は、努力はしたのよ……本当よ……」

女騎士「クク……いや、存外面白い。続けて、どうぞ」

騎士ほ「（お姉様、割と楽しんでる……悔しい……）」

女王「私だってごめんよ……あんな死に方、あんな人生、あんな自分は……
未知の異世界での人生のやり直しっていう、神様の奇跡だって……最初はそう思ったわ……」

女騎士「そりゃあなぁ……最初っから、腐っても二十ちょいの人間の知識がありゃ……まあ、神童ができあがるわなぁ」

女王「算術だって作文だって、魔術だって……文字さえ覚えれば自然と使えた。魔術、そう、魔術よ！？
剣と魔法が支配する、この世界で……私、生まれ変われたの。ねえ、あなたわかる！？　魔術よ！？」

女騎士「（きもちわる……）」

騎士ほ「（合わせましょう、お姉様……おお、キモ……）」

女王「剣だって、魔法だって、銃だって、私は生まれてからずっと一番だった……なのに……なんで……
なんでなのよ……私が……私が……何したっていうの……私は、ただ……あんな人生が嫌で……がんばったのに」

女騎士「いや、あのさぁ」

女王「彼となら何だってできたのに……彼と私さえいたら……何だって……」

女騎士「……」

女王「周りにはたくさん思いやりを分けてきた！　困っている人を見たら助けてあげた！！
彼と一緒に、魔王軍とも戦った！！　生まれ変わった私ならできたし、それが使命だと思ったから……！！」

女騎士「……いいや、もう……帰る」

騎士ほ「お姉様……？」

女王「みんな、みんなに好かれる為に……がんばったのよ！？　わたし……わたしがなにしたっていうの！！」

女騎士「何もしてねぇからだろぉ？　うぜえな、思ってた倍くらいうぜえわ。たまんねえよ。
同じ部屋の空気吸ってたくねえ、勘弁してくれ。テメェで暇つぶししようと思ってたが無理だわ。耐えらんねえ」

女王「は……」

女騎士「はぁ……もういいや、艦に戻る。きもちわりーよコイツ、マジ嫌」

騎士ほ「お姉様、そんなにまで……」

女王「……」

女騎士「あー、ダメな奴は何やってもダメってよっくわかったわ。ダメ代表見てよっくわかった」

女王「ダ……メ……？」

女騎士「うん、ダメ。肯定できる部分がチリひとつ見つからんそびえたつクソだよお前。
何？　お前、大便のくせに自分が何でもできる神の御使いか何かと勘違いしてたの？」

女王「そんな……事ないっ……！！　私は、何でもできた……できるようになったのよっ！！」

女騎士「ほーん、で？　お山の大将になったはいいが、肝心の神輿がガバガバのユルユルだったじゃねぇか」

女王「それは……失敗、失敗があったから……失敗は成功の母だし……失敗を、つ、積み重ねて」

女騎士「聞いてらんねぇや。ちっとはご機嫌とってやろうかと思ったが吐気がする、無理だわ。
向こうでドロップアウトしたからこっちのぬるま湯でお手軽にイージーモード？　うへー、何様だよ。
それが許されるのは私くらいのもんなの、お前みたいな底辺のビチグソ散らし寿司は床でも舐めてりゃいいの」

女王「そんな事っ、思って……」

騎士ほ「我々この世界の人間は巨人にすりつぶされる運命にあるんだよなあ？　今更撤回するんじゃあないぞ？」

女王「……」

女騎士「いいかノータリン、もう一度言うぞ。グズは何やったところでグズなんだよグズ。
マホーだろうが剣術だろうが才能を後付けしたとこでグズは変わりゃしねぇんだよグズ。
腐ったテメェの脳ミソが何でもできるスーパー超人に移ったとこで、仕事も言い寄る野郎もねぇわグズ」

女王「う……うるせっ、るっせんだよてめえっ、おまっ、お前バカだからわっかんねんだろ、は？　は？
グズってなんだよ、は？　意味わかんねえし、調子のんじゃねえ、おい、ふっざけんなよぉ、おい！！」

騎士ほ「お姉様。儀典局資料ですが、午後に帰投する第三班が回収しているハズです。目を通しましょう」

女騎士「あ、そう……なーんか気分ワリーしなぁー、チビどもとその辺飛んでこよっかなぁー」

女王「何も、何も知らねえくせにっ！！　クズどもっ、クズどもが！！　あたしが味わった屈辱もなんにも知らねえくせにっ！！
あたしの現実なんにも知らねえくせによぉ！！」

女騎士「うっせーグズ、おめえの現実なんか知らねえよ。おめえはおめえで私らの現実にしゃしゃり出てくんじゃねぇ」

女王「何、だとっ……ぎっ……」

騎士ほ「……」



女王「体、起こせ……な……」

騎士ほ「おや、おやおや……あれまあ……３時間であのお腹ですよお姉様。見苦しいですわね」

女騎士「うへぇ……あの混ぜモンも相当なモンだが、ここまでとは……聖剣の影響か？」

騎士ほ「さて……しかし、先の臨床実験の被験者より格段に早く効果が浸透しているようですわね」

女王「何、これ……お、お……腹……お、お肉……だらけ……」

騎士ほ「私用薬液を更に濾過した濃度の溶液なら、点滴でもここまでの効果が見込めるか……
ま、これは聖剣やジャバウォッキーの血というイレギュラーあってのものでしょうが……」

女王「わ、わた……太っ……る……？」

騎士ほ「失礼、お姉様。では、飛行時にはダークエルフ連隊から護衛を回します。お気をつけてお出かけくださいまし」

女王「待っ……て……からだ、どんどん……熱……おも……」

女騎士「じゃあなぁ異世界人ｗｗｗｗｗｗｗ贅肉ン中に聖剣かかえて一生太り続けてくださーいｗｗｗｗｗｗｗｗｗ」

第10部　最終Ⅲ 北西事変

　　　　　　　　　　　　　　　　┼ヽ　 -|r‐､.　ﾚ　|
　　　　　　　　　　　　　　 　 ｄ⌒)　./|　_ﾉ　 __ﾉ　

第10部　最終Ⅳ 決着編へ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ー- ､　ー-､｀｀／　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 _, '　　._, '　 ＼　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 -------------------
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　制作・著作　NHK

【バルフォア級軽空母/通路】



姉「あ、ごきげんよう……」

エルフ三男「……」

騎士ほ「……フクク、ごきげんよう。お早いご到着でしたのね、道中何事もなかったようで、安心いたしました」

姉「はあい、ありがとうございます」

騎士ほ「では大将閣下……きちんと彼女をエスコートしてさしあげてくださいまし……フクク……」

エルフ三男「え、ええ……もちろん」

姉「閣下、お出かけはできませんの？」

エルフ三男「もう少し表が安全になってからだ、それまでは来賓用の船室を用意してある」

姉「はあい」



エルフ三男「……円卓どもの反応は？」

騎士ほ「南東部沿岸に展開している共和国軍と合流してから音沙汰は無し。
アリス=リデルの勧告はすでに連中の耳に入っているはず、ぼちぼち催促をしたくなってくる頃合いですわね……」

エルフ三男「そう、ですか……」

騎士ほ「それで……フクク、そちらは……お世継ぎはできそうですか？」

エルフ三男「なっ……」

騎士ほ「まだ仕込んでいないと？　もうじきお姉様の治める平安が世を包み込むとはいえ、まだまだ戦火は絶えませぬ。
一期一会、一国の為政に携わる男ならば色にも精通しておりませんと格好がつきませんでしょう？」

エルフ三男「こっ、ここでそんな話は……できればやめていただきたいのですが」

騎士ほ「失礼……なにぶん田舎の下卑た官吏の娘ですゆえ……冗談ですわよ、冗談」

エルフ三男「……引き続き警戒を。正規軍とその頭は押さえたとはいえ、エクスキャリバーの保持者が沈黙を続けている事は不気味ですから」




騎士ほ「……チッ」

騎士ほ「（アリス=リデルは押さえた……女王名義の表明もすでに行っている……
正規軍を通しての勧告だ、信憑性という問題では市民に対してはクリアできていると思われるが……）」


騎士ほ「（円卓にとって女王の存在は絶対のはず、いわばアイデンティティそのもの……
ここで女王擁護の為と表立って動かねば、後になって仮に儀典局を立て直そうとしたとて、周囲からの反発は免れまい……
この状況での雲隠れ、円卓どもにとってもマイナスなはず……こちらとの密約もある、我々との関係をお姉様や正規軍の口から暴露される恐れもあるのに、だ）」


騎士ほ「（なぜ姿を現さない、ラーンスロット卿……！　先の騒動で、どさくさにまぎれておっ死んだのか？
円卓のエクスキャリバー所有者に太刀打ちできる存在など、それこそお姉様のような聖剣を抱く勇者くらいしかいないはずだが……）」


騎士ほ「（勇者しか、いない……聖剣を持つ、勇者……）」


騎士ほ「（もしくは、我々を排除する為の何らかの策を手に入れたか？　勇者や聖剣に匹敵する何かを……
いや、しかし事が長引けば不利になるのは奴らの方だ。癪だが、連合からの圧迫が我々に有利に働いている）」




騎士ほ「（気に入らん……気に入らんな、連合も……円卓も……ふざけやがって……
何でこっちの思った通りに……お姉様を喜ばせる通りに動かねえんだよ……不愉快なんだよ……！）」

【北西諸島/沿岸】


連合騎兵「『長女』の身柄の安全が確認できたようです、現在は向こうの艦に収容されているとの事で」

雷帝「りょうかーい。いや、国をこうして出ると色々驚く事がたくさん起こるものだね」

連合騎兵「は……まさか、かの女王の乱心という事件をこの目で見る事ができようとは」

雷帝「それに、女王に神罰を下した英雄の剣。なんとも美しい光を放つものだったじゃないか」

連合騎兵「アジ=ダハーカの剣でしょうか」

雷帝「やはりアジ……ふふ、叔母様は素晴らしい才を持つお人だ。周囲を導く卓越したカリスマ性に加え、
聖剣を行使する聖なる資格まで有しておられる。帝国なんぞにご執心では、まさしく才を潰す事と同義。勿体ない限りだ……」

連合騎兵「『長女』の妹君？　あのアジ=ダハーカが……？」

雷帝「このポストに就く以前から調べていたんだよ。6年前の英雄アジ=ダハーカの血縁の人間がどんなのか、気になるだろ？　君も」

連合騎兵「は……しかし長官、なぜアジ=ダハーカ本人ではなく『長女』の身柄を……」

雷帝「……君、親御さんは？」

連合騎兵「は…・・・東部の農村で……お蔭様で、両親とも健在です」

雷帝「そいつはいい。君はご両親は大事かな？」

連合騎兵「それは、もちろん。大切に思っております」

雷帝「私もなんだよ」

連合騎兵「は……長官も、でありますか」

雷帝「私はね、筋金入りのマザコンなんだよ。出来る事なら……いつまでも、いつまでもいつまでも、ずっとずっと……
母様の胎に包まれたい、母様の愛に絆されたい、いつまでも愛撫されていたい。日ごろからそう想っておる。四六時中な」

連合騎兵「」

雷帝「十月十日をそのやわらかであたたかい子宮の内で育んでくださった母様を、今度はわたしが包み込む番なのだ……
……我が高潔なる血統に連なる人間以外の愚物に、人間である資格などない。母様を守護する為の存在だけが、『人間』なのだよ」

連合騎兵「」

雷帝「君も『人間』でいたいなら、今以上に励めよ？　私は実力ある愚物は好きだからね」

連合騎兵「（また長官の病気が始まった）」

【エリン本島/上空】


娘「お兄ちゃん……どうだった、エリン」

息子「どうって、何が？」

娘「ジャ、ジャバウォッキーの人たち……それも、違う世界から来た人のこと……」

息子「別に、何とも……」

娘「……わたし、もうエリン行きたくないな」

息子「どうして？」

娘「だって……怖いんだもの。目付き、ヘンだし……かっこいい人やきれいな人も多いけど、ちゃんとお話ししてくれないし」

息子「……」

娘「さっきね……押し倒されて、お尻さわられた。すっごく身なりはいいのに……なんだか気持ち悪い人に……」

息子「何で離陸するときに言わなかった。そいつの性器削いでやる」

娘「だから、怖かったの……この人に何言っても、本当に通じないんだろうなって思って……
ふつうのおじさんだったら、殴ったり蹴ったりすればおカネくれるって大体想像つくけど、あそこにいる人たちは……」

息子「想像も、つかない……？」



ポニテ「恐らくは、自分ひとりの中で価値観が完結している連中ばかりなのです。そう気に病む事はございません、忘れましょうね」

息子「は、はい」

娘「……これは不可抗力、だとか、私が黙ってるとずっと独り言しゃべってた。そんな人、ばっかりだった」

ポニテ「お二人が生きていく上で、関わり合いになる必要のない人種です。あくまで反面教師として受け止めるようお努めください」

息子「実は、実はぼくも……胸、触られました」

ポニテ「は？」

エルフ騎兵「ぼつぼつ帰りましょうや、隊長さん。日が暮れる前に、若様お嬢様を帰してやらにゃ」

ポニテ「そうですね……若様、聞こえましたか」

息子「はい、了解です。中尉の編隊に入ります」

エルフ騎兵「……今日も円卓の騎士側からの回答は無し、か」

エルフ近衛兵「正規軍と議会に、北西という国家をみすみす明け渡すとは思えませんが」

ポニテ「……こちらから行動を起こすにしても、沿岸部には教皇領の司祭も出向してきています。あまり派手なちょっかいは出せますまい」

エルフ騎兵「モドカしいな……」

娘「でも……でも、これで北西の戦いはおしまい……ですよね」

ポニテ「女王も、こちらの意向を理解してくれたようですからね。きっと、円卓も解ってくれる筈……」

娘「だと、いいなあ……」

息子「6年前からの戦争……やっと終わるんですね」

ポニテ「これからが頑張りどころですよ、若様、お嬢様。帝国の復興は、お二人の双肩にかかっているのですから」



エルフ騎兵「出張おしまい、それを見越して……色々準備してきたんですよ、俺」

エルフ近衛兵「準備？」

ポニテ「はて……何の事やら」

エルフ騎兵「俺、実は艦に恋人がいるんすよ。午後の哨戒から戻ったらプロポーズしようと、花束も買ってあったりして」

　　　　　　　　　　　　:,:　　　　　　　　　　 :(::)
　　　　　　　　　　　　/⌒''⌒) :,,゜　　　　　 '　　　　　　　　 ,,,,,,,
　　　　　　　　　　　(:::::::::::::::!'　　　　　　　　　　　　　　　　 (::::::)
　　　　　　　　　　　ヽ::::::::';'''　　　　　　　　　　　　　　　　　''``　　 。
　　　　　　　　　　 τ'::/ .;:
　　　　　　　　　　　 )/
　　　　　　　　　。　　　　　　　　　　　　'　　、　　　　　　　;:　。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　`'''`~''・　　　　' `
　　　　　f''`⌒(　　　　　,,,,　　　　　　　　　　　　　　　!:(',,,,、　　　　　　　　　　　　　　::,,,,,、...

　　　　　,!,,,、(　　　　　/::τ　　　　　　　　　　　　　ノ:::::::::::::::::)　　　　　　　　 　。 　!::::::::::`!　、
　:.、　　　　　　　　　　!:::(　　　　　ﾉ::`!　 　o　　　(::::::::::::::::::τ　　　　　　　　　　　　(:::,,;,;,、; 。
　　　　　　 ゜　　　　　(/　　　　　　⌒・　.　　 ・、;::::::::::::;;.;`` ''
　　　　　,,、..　　　／/　　　ノ'　　　　　　　　 　/／'''`'`'` `　　　　　　 ..,,.. _,,,.、 ・　　　　　　　　　,, ...:・..
　　π /;::::::::(,.,.(;;;::::(　　 ,,.,　　・っ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　;,;;( ):::::;.　　　　c::── '`'''::::::::::;''
　　　):::::::::::::::::::::::::::/　　'''''`　　　`　　　　　　　　'`　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　⌒　` !.:::τ''　``

　τ　!::::::::::::::::::::::::::::)／,,,,,　γ　　　　　　　　　　　　　　 :'`'``:!
　　　(::::::::::::::::::::::::::::冫 `'`'　　　　、,:'::::::`:::,,,,　　　　　　　 !:::::ノ　　　　　　　　　・
　::：':'::::::::::::::::::::::::::::;(,,,,,,,、:::::::-ｰ''''`'`''''''''"

エルフ近衛兵「てっ……」

ポニテ「全騎急速上昇！　速度上げろ！！」

息子「だっ……誰が、誰がやった！！」

エルフ近衛兵「銃声が聞こえなかった……！　何だ、野生の飛竜か何かか！？」

娘「敵……敵なんて、もういないんじゃ……！」

息子「退くぞっ、もたもたするんじゃない！　クロウクルアッハの速力で振り切る、早くしろっ！！」

ポニテ「一騎やられた！！　編隊崩すな、必ず生きて帰るぞ！！」




息子「（敵が、一瞬だけ見えた……あれは、あの赤い鱗は……ペンドラゴン！　円卓だ……！！）」

【北西沿岸/上空】


雷帝「あれは……ペンドラゴン？　これ見よがしに真っ赤なので飛んできやがって、何のつもりだか」

連合騎兵「方角からして共同体方面……？」

雷帝「……まさか、もしかすると……もしかするか？」

連合騎兵「長官、何を……」

雷帝「アジ=ダハーカどもの空母、一隻は不可視の諸島群に。もう一隻は北西に停泊していたな。
……あれの向かう先、恐らくは前者だ。何が目的かはわからんが……遠目からでも武装しているのは見えた」

連合騎兵「トチ狂ったのか！？　なんてこった……！　今、奴らがアジ=ダハーカを急襲するメリットがどこにある……？」

雷帝「知った事かよ……後でそんなもん確かめりゃあいい」

連合騎兵「ちょ、長官……長官ッ！！」

雷帝「先行する、貴様は共和国と教皇領に確認を取れ。女王の飼い犬にちゃんと首輪してたのかって聞いて来い」

連合騎兵「しかし、長官お一人で向かうおつもり……」

雷帝「二度は言わない。さっさと行け」



雷帝「（どういうつもりだ糞円卓……！！　よりにもよって最後っ屁か？　くだらねえマネしてんじゃねぇよ、ざけてんな……！！
このご時世に、布告なしで奇襲だあ？　なめやがって……それとも連中はテロリストだから布告する必要ねえってか？
そんな自信がどこにあるってんだよ、ナマクラの不感症聖剣ぶらさげたゲスども……！！　まとめてバルムンクで皆殺しにしてやる……
……そこに誰の母親がいるかわかってんのか？　この、この雷帝をお産みになられたお方がいるのだぞッ……！！）」

【バルフォア級軽空母周辺海域】


秘書「大変ですっ、大変なんですよう！！　ぶ、武装したドラグーンが、きゅ、きゅうそくせっきんちゅうで……」

騎士ほ「言われんでもわかっている！　各部隊スクランブル、艦に近づけさせるな！」

秘書「うぇぇーん、何でですかぁー、こっちには女王陛下もいるのにぃー！」

女騎士「あぁーんもぉ何でだよぉー、あいつら女王惜しくねぇーのぉー！？　うっぜーなまったくよぉー！！」

騎士ほ「……お姉様、ジョワユーズやデュランダルで騎兵を相手にはできると思われますか？」

女騎士「やってみなきゃあわからんが……非常にやりたくない。怖いし。タイマンなら勝てるかもわからんが」

騎士ほ「多数を相手にする場合には、やはり不安が残りますか……」

女騎士「もう一度、連中に女王の身柄について懇切丁寧に解説してやれ！　言う事聞かなきゃマジで女王ブッ殺すってな！」

騎士ほ「御意に……！」

女騎士「ザケやがって！　往生際の悪い連中だ、ブッ殺すときには一人ずつ頭の先から輪切りにしていってサラミにしてやらぁ……！！」



秘書「あ、あやや！　騎士様ぁ、どちらへ……」

女騎士「大事な用事だよ用事！　ったくよぉー、やってらんねぇってんだバッキャロちくしょうめ」

騎士ほ「……私も、艦内で用を済ませたら上がります」

秘書「……あーうー」

女騎士「（利用価値のねぇ女王なんかいらねぇよ……何の為にキャリバーン込みでエサやってると思ってんだよ……あーもうみんな死ね）」

モルドレッド「わらわら雑魚まで引き連れて恥ずかしくないのかぁー？　円卓の皆々様ぁぁ？」



パラメデス「モルドレッド……あのクソガキッッ！！」

ガレス「ラーンスロット卿、モル公はオレ達がブッ殺す！　アンタはアジ=ダハーカを！」

ラーンスロット「……承知した！」

ガウェイン「先行する、必ず勝つぞ！」



モルドレッド「無駄なんだよ、無駄無駄ぁ……彼女に敵うとでも思ってんのかよ、あんな似非女王を何十年も何百年も崇拝してたお前らが！！」

エルフ近衛兵「各騎散開しろッ！！　艦に取りつかせるなッ、死守しろッ！！」

ポニテ「仲介に入った恩を仇で返すのかっ……北西の騎士の矜持はどこへやったのだっ、お前達は！！」




ダキニ「朱天、ちっこいの、貧乳ぅー？　どこへ行ったぁー？」

チバラキ「おやかたさまなら」「ひさしぶりに」「ひとりででかけてった」

ダキニ「一人で……？　この騒がしい時に、どこに油売りに行ってるんだか……」

チバラキ「なんかなー？」「テンカンテンってーの？」「それをみつけたってなー」「じきじきにそそのかしにいったのー」

ダキニ「ああ、そう……オイタもほどほどにせんといかんよお？」

【北西廃墟/地下】


女騎士「正規軍の連中も出張って来たか……てめえらんとこの不祥事だ、てめえらで殺しあえってんだ……」

息子「母様……早く、安全な場所へ退かねば」

秘書「そ、そぉですよぉ……なな、なんでわざわざこんな所に……」

女騎士「ふん、すぐに済むから待ってな」




女騎士「どうなってんだよぉーーー、おい女王陛下ぁぁぁぁ、なあよぉぉーー」

女王「……」

女騎士「フシュフシュ口呼吸しやがって、このクソデブがぁぁ。そこまでオメーは威厳を腐らせてたってのかぁぁ？
円卓どもにどんな教育してやがったんだ、テメェの名前出してんのにガン無視じゃねェかよッ！！」　ﾊﾟﾝｯ

女王「ぶぁ……」

女騎士「よくここまで丹精込めて国一つ腐らせたもんだぜ……あんな連中に聖剣なんか持たせてんじゃねぇぞ洋梨がッ！！」

女王「……」

女騎士「くっせぇなお前……マジ不愉快だわ。ブッ殺してやらねえと気が済ま……」




息子「母様ッ、早くこちらへッ！！」

女騎士「うるさいな、何事ァ！！」

秘書「わわわ、てて、敵がっ、敵がすぐそばまで来てますよぉ！！」

女騎士「は？」

騎兵α「アジ=ダハーカを確認、生死は問わない！　行け行け行けっ！！」

騎兵β「この悪魔どもっ！！」

騎兵α「死ねっ、死んじまえってんだッ！！」



女騎士「」

息子「母様ッ！」

秘書「騎士様ぁぁ、どおしましょおお、拳銃一丁じゃどうしょもないですよおおおお」

女騎士「おめえは元から戦力になんか数えちゃいねぇわ！！」

息子「僕が応戦します、折を見て騎竜で脱出を！」

秘書「いやああああああ、いやああああああ、きっと少人数で戦域から離れたから尾けられたんですよおおお」

女騎士「うるせぇ！！　おめえは盾にでもなって死ね！！　私は知らんぞ、私のせいじゃない！」



騎兵α「いた！！　あいつだ、金髪の悪魔ッ！！」

騎兵β「見つけたぜアジ=ダハーカァァ！！」



女騎士「」

息子「ゴミどもが……！　対話もできん知恵遅れの分際で、母様に弓引くか！」

騎兵α「撃てッ、撃てぇーーッ！！」

騎兵β「息の根を止めろっ！！」

女騎士「おーっと、ちょっと待ちなー！！　このままクソ狭い地下で小銃ぶっ放す気かぁー？　私はともかく、お前らの大事な大事な重役が……」

騎兵α「は……は！？」

騎兵β「おい、おいッ！！　撃て、早く撃て！！　早く！！」

女騎士「だから重役！！　おめーら円卓が大事に大事にしてる女王陛下まで死んじまうぞお！？　向こうにいる洋梨肉女、どうなっても知ら……」

　　　　　　 .ｌ;;i′　　　　　　/　　　　　.!;;/ .ｲ、;;;;;;;;;;;;;;./　|;;;;;; / 　　　　　　　 .r' ／　　　　 ,イﾞ .,〃　　　　　..／; ／
　　　　　　 .|/　　　　　　　ﾉ　　　　　 .ｌ;;; !　 l;;;;;;;;;;;;;;;;ゝ　!;;./ 　 　 　 　 　 ,,ilｒ'"　　　　　,i'./　　　　　　　 ,./ ,／ .,.
　　　　　　 :lﾞ　　　　　　　　 　 　 　 　 | !　 /;;;;;;;;;;;; /　 /./ 　　　　　　　 '″　　　　　 .,l./ 　　　　　　 ,,ﾉン"　 .ﾌ;;
　　　　　　　　　　　　　 _,,　 　 　 　 　 !ﾞ.,,.,i";;;;;;;;;,./ 　.iУ　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ,i'／　.,..ｒ'";;;;;
　　 .i}′　　　　　　　 / ;;,!　.,　　　　　　/;ﾞ;;;;;;;;; / 　　.l″　　　　　　　　　　　　,ν　　　　　　　　　/ /_..-'";;;;;;;;;;;;;;
　　 ｀　　 　 　 　 　 i";;;,/　/　　　　　 /;;;;;;;;;;;;/　　　　　　　　　　 　 　 　 　 il ｌ′ 　 　 　 　 _..-";;;;;;";;;;;;;;;;;;;;;;;;_,,.
　　　　　　　　　　　ｌ ／ 　."、　　　　/ ;;;;;;;;;;/　　　　 　 　 　 　 　 _　　　　,,i!!″　　　　 .,..ｒ'";;;;;;;;;;;;;;;;;;.,,,r‐ｰ'″
　　　　　　　　　　/./　　　 l｢ 　　 .../ ;;;;;;;;; /　　　 　 　 　 　 　 ,,iｌ″　　　.´　　　　 .,,./ ﾞ;;;;;;;;;;;;;;;;;_ン'"
　　　　 .,i''l　　 .,〃　　　 .〃 /　 ./ ;;;;;;;;;.／　　　 .,．　　　　 _ /″　　 　 　 　 　 _／;;;;;;;;;;;;;;;;;,./ ´　　　　　　　 _ﾝ'
　　　　,ｌゾ　　.〃　　　.,〃 ./ 　,i";;;;;;;;./ 　　　 .／　　　　 ,r'./ 　　　　.,　　　 ._／;;;;;;;;;;;;;;,,,./ ゛　　　　 　 . _,,-へ.iｉｉ
　　　.〃　　 ./l　　　､〃　,iｒ　/ ;;;;;;; / 　　　.,〃　　　　.,ノﾝ′　　.,,ir'"　　_／丶;;;;;;,ン'″　　　　,, ;;二二r‐''''､;;;;;;;.
　　 〃　 .,ﾉ~;/　　.,/./ .,ﾉ/ / ;;;;;;;;;;;;l　　.,.. |″　　　　,i'ﾝ"　　　,iｉ'"　.,..-'";;;;;;;;;;;,／゛　　_,,,,,__ ,ir!'"　　　　　　 ｀'''″
　 .il″　/ ;;;;;/ ,ﾉﾞ''ﾞ,i彡'ﾞi/'";;;;;;;;;;;;;;;;;ﾞ‐''"./　　　　 ,-/'"　,.. ;;/!"._./ ";;;;;;;;;;;.,./ _..-､., /＞'"゛
. ,i|′ ,/;;;;;;;;lﾞ./ ;;;;;;";;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;'|　　,.iｌ!ﾝ''／...-彡 '',ﾞ..-'";;;;;;;;;,..;;二―'",,／'!'"

// .／;;;;;;;;;iﾚﾞ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; / .,. |/‐ンン'∠ﾞ‐'ﾞ´;;;;;;;;;;;;,i;;ｉＵﾞ‐'''^ﾞﾞ''″ 　 　 　 　 _..i
/ｒ'";;;;;;;;;;; 〃;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;＞'";;ﾞ´,iﾃ '´;;;;´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;フ"　　　　　　_,,,...i;;;;iv＝ゞ´

;;;;;;;;;;;;;;/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:'“;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ／ 　 ＿_..;;ﾒ｀-ｰ'"゛　 　 　 　 　 　 _,,.. -ｰ'''''ﾞﾞ''ﾞ￣,ﾞ/
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;i 彡‐''ﾞ,ﾞ.. ／　　 　 　 　 　 　 　 ,..-''ﾞ´;;,,..､;;;;;;;;;;;___,,,,,,,
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,,,./ '´ 　 　 　 　 　 　 _..- ._,,./ ;;;;_,,./ 　 .ﾞ'''ﾞﾞﾞ´　,,-''"
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,,./ ″　　 .＿,,,,＿,,,..;;ﾆﾆ!ﾞ彡''彡-‐'"゛　　　　　　　　‐‐‐'"
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;i;;./ ._,,　ｰ'''ﾞﾞ´;;;_.. ;;ﾆ｀-￣ﾞﾞﾞ‐'"゛

;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;_.. ｀-'''''"
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;iiijj⊇....--‐',ﾞ,ﾞ,,

;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;_,,..r‐ '"￣゛ . _..yrｰ''“''''"　　　 . _,,.. -;;ﾆﾆコﾆ;;r‐
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;_..-‐'' 二ﾆ 　―ﾆﾆ｀-'”'"゛　　　　 .,_iiir=｀-''''"´

女王「えぎゅう」



女騎士「知らねえ……ぞ……？」

騎兵γ「殺せ！！　皆殺しだ、重役とて構うな！！　俺達がここで聞いた事全部、アジ=ダハーカの虚言だ！！」

騎兵α「あ、悪魔め、悪魔め！！」

女騎士「（は……は？　は？）」

息子「女王を……撃った！？」


騎兵γ「（……肉から剣の先端が飛び出ている、これがキャリバーンなら……本物の女王アリス=リデルか）」


女騎士「ざっけんじゃねぇや、ザコのくせに！！　人質、こんな、こんなダイナシにしやがって！！　何様だよテメェら、おとなしくなれよ！！」

騎兵β「だっ、黙れっ！　喋るなっ！！」

女騎士「ひっ、人質の価値、わかってねぇのかぁ！？　な、なら、なら……」

息子「お前が代わりになれ、いいな」

ﾊﾟﾝｯ

騎兵β「おぎゃっ！！」

女騎士「どっ、どおうだっ！！　さっさと帰れっ！！　お前らもあんなクソデブになんかなりたかねぇだろ！！
い、い、今尻尾巻いて帰ったら悪いようにゃしねえ、さっさと消えやがれ！！　早くしろお！！」

騎兵α「くっ、くう……」

騎兵γ「……」

女騎士「（なっ、何なんだよこいつら……近衛軍、円卓の舎弟どもの装備だが……じょ、女王を撃ちやがったぞ……！？）」

騎兵「γ「……すまんな」

騎兵α「すまねぇっ……」

騎兵β「」

息子「母様っ、危ない！！」

女騎士「ひやああああああ」

秘書「ひやああああああ」

騎兵γ「撤収。キャリバーンの機能劣化は既に確認した、退くぞ」

騎兵α「く、くそ、くそくそっ……！！」

女騎士「（ひ、ひ、人質を、撃、撃ちやがった……い、い、イミわかんねぇし……頭おかしいんじゃねぇの……？）」



息子「待て、待てッ！！　こんな事をして……ただで済むと思っているのかッ、お前達！！」

騎兵α「あれ……話に聞く、竜と勇者の相の子か」

騎兵γ「幼いからとて侮るな、並の騎兵の数十人ぶんの働きはする。相手取るな、今は退くぞ。目的は達した」


息子「（あの連中、本当に北西の兵か！？　これまでの近衛のような驕りや余裕は感じられない……
そもそも……儀典局の顔とも言える近衛の兵が……顔を隠すような装備を身に着けるのか！？）」


騎兵γ「（しつこいのがいる……やはり双子の兄の方か！　一般のワイバーンでは、連中のクロウクルアッハを撒けん……！）」

騎兵α「件の弾頭弾、もう残弾はないのか」

騎兵γ「もうカラだ、キャリバーンの為に全部撃ち尽くした。予定通りだ」

騎兵α「くっ……くそ……」

騎兵γ「落胆するのはまだ早い、この先で合流の部隊と落ち合えれば生きて帰れる。希望は捨てるな」

騎兵α「落ち合えなかったら……」

騎兵γ「使い捨てのハズレ配置だったってわけだ。潔くあの世に行こうぜ」

騎兵α「」

【北西市街/廃墟】


息子「……」

秘書「うげぁー、あぁー……」

息子「こいつら、自害したのか……クズどもがッ！！　ご丁寧に、顔の真ん前で発破させてやがる……！！」



女騎士「……ちっくしょうが！！　何なんだよまったくよぉー！！」

息子「母様、キャリバーンの方は？」

女騎士「何が何だかわからねぇ！！　あの肉玉も、なんか息してねぇし……」

息子「……不死の女王が……危篤の状態にあると？」

秘書「それって……つまり……」

女騎士「……私の方見るんじゃねぇよデブッ！！」

息子「円卓か、もしくはそれに与する集団が女王の命を故意に狙ったという事……
この二人が正式な近衛軍の人間かどうかは、かなり疑問符が残ります。そして……」

女騎士「……」

息子「この連中が聖剣のマスターである女王を殺傷出来うる手段を有していた、という事……！」

女騎士「」

引越しの手伝いとかあるんでな、すまんち（＾ω＾；）
中ごろ書くで

【北西諸島・南沿岸】

騎士は「お姉様っ！　よくぞ御無事で……若様もお怪我はございませんか」

女騎士「あーもううぜえっ！！　円卓みんな死ねッ、鬱陶しい連中だな！」

息子「ありがとうございます、そちらこそ叔母様の護送からこちら休みなしではありませんか」

騎士は「生憎とそんな時間もありませんで……状況はあまり芳しくございません、北西沖に停泊していた1番艦に奴ら殺到しております」

女騎士「やっぱりお前らの見解でも、此度の襲撃は円卓の搾りカスどもによるものってか」

騎士は「は。騎竜の品種や武装、そして何よりペンドラゴンの目撃証言も多数ある事から、恐らくは確定かと」

秘書「どどど、どうなっちゃうんですかね……な、何とかなるんですか……？」

騎士は「正規軍や近衛の大半を押さえたとはいえ……予告なしの完全な奇襲、初動の遅れからかなりの騎竜の接近を許したと聞きます。
バルフォア級の航行能力、北西一体の地の利に深く精通した密偵が動いていたとしか……」

女騎士「接近を許したって事ぁ……取りつかれて白兵戦に移行している可能性もあるという事か」

秘書「そ、それまずくないですか……大将さんも確かあそこにいましたし、下手すると……」

女騎士「いずれにせよ、あの女王への直談判が結果的にこの私の安全につながったという事だな。あー良かった」

秘書「」

4月18日

・北西諸島列島南東部海峡付近におけるテロ行為における死亡者一覧（FCA314連隊における損害は割愛、別紙にて報告）

サー・ガレス…バルフォア級一番艦、甲板部にて迫撃砲の一撃を受け死亡
サー・パラメデス…バルフォア級一番艦、居住区域通路にて銃撃を受け死亡
サー・ガウェイン…戦闘海域上空にてサー・モルドレッド、およびFCA騎兵との交戦の末死亡

ヤン=フランチシェク アルヴライヒ騎竜中隊少尉…哨戒中、サー・ガウェインによる聖剣の威光の発露により撃墜
フランク=ドルマン アルヴライヒ近衛騎竜連隊中尉…サー・ガレスと交戦、死亡

マリアンヌ=クレア=フォン=ヴィッテルスバッハ…船内へ侵入したテロリストにより射殺

女騎士「は？」

秘書「は？　と申されましても、その……」

女騎士「なに？　ほとぼり覚めてから艦に戻ったってのに……は？　は？　は？」

秘書「……」

女騎士「あのメス牛……えっ、何……死んだ……死んじゃったの？」

秘書「はい、ご遺体はまだ艦内に……大将さんが寄り添っていらっしゃいます」

女騎士「……」

秘書「騎士様……」

女騎士「……んだよ……何でだよ、なんであいつが……」

秘書「……」

女騎士「あいつが死んだら連合のご機嫌どうなっちまうんだよ……最後まで肝心なところで使えねえおっぱい女だな……
あーうっぜぇ……一時期喋り方から何までうざくてうざくて何回かブッ殺そうかと思ったが、よりによってザコにやられるとは……」

秘書「」

女騎士「まあいいや、こっちにゃ北西の正規軍様がいらっしゃるんだ。簡単にゃ負けはしねえだろ。
目障りな円卓や女王派も……ここまで叩き潰してやりゃあぐうの音も出まい。ラーンスロット卿の御加減はどうかね？」

秘書「は、はいっ……自害しようとしたところを拘束、現在尋問が行われている最中です……」

女騎士「洗いざらい吐かせろよお。連中にゃ、この私に直接兵を差し向けた前科があるのだ。必ず突き止めろ」

秘書「はい……」

ポニテ「クソッ……クソ！！　我々がいながらなんてざまだっ！！」

モルドレッド「残念です……早期にエクスキャリバー保持者が複数人いる事を確認できていれば、艦内の被害も防げたものを」

騎士ほ「遅かれ早かれ、艦の非戦闘員には危険が及んでいたはず。どうこう悔やんでもしかたありませんわ……」

ポニテ「ご成婚を目前に逝ってしまわれるとは……なんと惨い……」

モルドレッド「……」


モルドレッド「（しかし、どうしたものか……雷帝側にはどうエクスキューズを返す？
単なるこちらの不手際では示しがつかん、下手をすればFCAそのものが敵視されかねん……
どういった理由であちらがメス牛を欲しがったかが分かれば、対応にも幅が出るが……）」

騎士ほ「当面……連合には代替となるポストの人材を担保として引き渡します。こればかりは弁明しようがありません」

モルドレッド「不備を認めるというので？」

騎士ほ「あえて不遜な姿勢をとることもない、それに現地にはこれ見よがしに監視役の雷帝本人が滞在していた。
想定以上に突かれるのであれば、その点を指摘してやればよいのです。本国に雷帝の任命責任も問う事ができましょう」

モルドレッド「高みの見物に励んでいたツケだと」

騎士ほ「あまり連合の蛮族を甘やかすのも癪でしょう？　こちらとて要人を一人殺されている被害者、
主張すべき点は声高にいたしませんと損をするばかり。違いまして？」

モルドレッド「了解。正規軍の広報にもそう伝えておきましょう」

騎士ほ「お願いいたしますわ。それと、人材の提供と航空戦力の一部共有化の件もお伝えくださいましね」

モルドレッド「承知していますよ、いくらそちらが勇者である騎士様に募った勇士の集団であれ、
航空戦力の規模は先ほどの円卓残党と同じか、それに劣るほど……補強は急務であると存じております」

騎士ほ「良いお返事を期待しておりますわ……何せ、こちらは集団としての脳ミソがひとつ欠落してしまいましたから……フクク……」

バルフォア級2番艦・来賓私室

エルフ三男「」


エルフ三男「」


エルフ三男「」


エルフ三男「」


エルフ三男「……ふぅ」

　 _,,..i'':,
　|＼`､:　i' ､
　.＼ ＼`_',.-i
　 　.＼|_,..-┘

騎士ほ「失礼いたしま……」

娘「きゃ……か、閣下……閣下？」

エルフ三男「」

騎士ほ「……フィアンセを前に一人でナニをしごいて達するなど、エチケットに反するのではございません？」

エルフ三男「」

騎士ほ「心中お察しいたします、どうかお心を強くお持ちくださいまし。それと……」

娘「……」

騎士ほ「換気なさってはいかがです？　こうカアテンを閉め切っていてはますます滅入ります。
それと……衛生的な面でも……なかなかにかぐわしい香りがしますわよ、このお部屋」

エルフ三男「」

娘「か、閣下……」

騎士ほ「（フクク……しかし、銃痕以外はほぼそのままの遺体を前にしても手淫でのみ済ませるとは。
筋金入りだな……時折こいつの倫理観念がよくわからなくなる……所詮は人にあらぬエルフよ、フクク……）」

エルフ三男「」

騎士ほ「すぐに陣頭に立って指揮をしろなどとは言いません、立て直しは私とモルドレッド卿が正規軍と行います。
ですが、我々は信じておりましてよ？　あなたが哀しみを越え、あるいは背負って再び勇ましく騎士様と共に立つのを」

エルフ三男「」

騎士ほ「その為に……お嬢様ともども、こうして据え膳として参ったのですから……」

娘「あ、あの……閣下、失礼します」

エルフ三男「」

騎士ほ「（……この男、冷静な際の判断能力に加え血統の面でも非凡なところがある。
私個人の観点ではギリギリ合格と言ったところだが……ま、既にお姉様が許可を出している。
慰み半分に子種を頂戴してやろう……はい、童貞卒業おめでとうございます……フクク、フカカカ……）」

娘「閣下、こちらへ……はい、えっと……」

エルフ三男「」

娘「がんばりますから……げ、元気出してくださいね」


騎士ほ「（マグロにゃ何言っても通じねえだろうがなぁ……ｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗ）」

ダキニ「それでは、若い二人でごゆっくり……かな？」

騎士ほ「聞き耳を立てているとは、不躾な妖精どもですこと」

チバラキ「オメーが」「いえた」「事でもねぇーだろー？」

大嶽「まあまあ、ここはひとつお祝いでもすべきでは？　一国の主張がようやく一人前の男児になられるのですから」

朱天「酒の用意をせよ！　うまい肴も持て！　たくさん子をつくって欲しいものじゃて」

騎士ほ「フククク……白々しい、もっと子作りに適した孕み袋がダメになったのですよ？」

朱天「あの小娘、父親は零落したとはいえ竜神の一柱と聞いておるぞ？　さらにそこへウロヴォロスの加護が少なからず混ざっている……
一族の繁栄を一手に担えるほどの畜生腹となるにはまだ時間はかかろうが、今から出産を経験しておいて損はなかろ」

大嶽「それに……見様によってはあの女性もまた、命と引き換えにかけがえのない未来を産んだと言えましょう」

騎士ほ「屁理屈を……」

朱天「まさしく転換点といったところだのう。あやつを欲しがった連合の雷帝にも、
柔肌を求めたエルフの大将にも、勇者という存在をひとつ喪った世界にも……カカカカカ」

騎士ほ「更なる戦乱のリスクを想定すらしない、どうしようもない悪鬼どもですわね……」

チバラキ「ばーかｗｗｗｗｗ」「そもそも殺ったのはｗｗｗｗ」「おめぇじゃねぇかｗｗｗｗｗｗ」

騎士ほ「フクククｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗフカカカカｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗ」

ダキニ「なんと欲望に流されやすい女か」

騎士ほ「あんな肉豚に我々の行動が制限されてたまるかって話ですわぁｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗ
あのラードの塊がいるおかげで連合のハエどもが擦り寄ってきた……まったく、まさしくクソにたかるハエですわ。
さしずめ奴はクソとカビたオガクズを尻にこびりつけた養豚場の豚もいいとこ！！　お姉様の遠い親戚が間違いで豚を犯した時に産まれた子ですわよ！！」

チバラキ「おまえｗｗｗｗ」「ほんとｗｗｗｗｗ」「ゲスの極みｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗ」

騎士ほ「はぁーあすっきりしましたわぁ。あの豚の脳天をぶち抜いてやった時……重い生理がようやく終わったような解放感を味わいましたの。
何が勇者なんでしょうねぇー？　お姉様の加護にあずかる私だからこそできた駆除なのかしらぁ？　フカカ、フカカカｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗ」

【エリン本島/草原】

女騎士「はぁ……静謐で穏やかなるこの時が……私の平穏……ハァンモック……あばばー……」

リンドヴルム「……」

アルバス「アリスが……女王が死に……北西に新たな体制ができつつある……それは……真か……？」

リンドヴルム「すべて真実だ、白の竜よ。ゴグ・マゴグの巨人を覚醒させ、乱心された女王の業によるもの」

アルバス「アリスが……原初の勇者の……意を汲む者が……！」

リンドヴルム「人の理を外れ、数百年の時を生きた人間はもはや人間の尺度では測れぬ。
女王という『魔』は、真なる人間の意志によって行われる革命に打倒された。白の竜、これこそ摂理というものではないか」

アルバス「それでは……あまりに……彼らが報われぬ……」

リンドヴルム「私は世を捨てた老いぼれに過ぎぬ、過ぎぬが……やはり、どちらに与するかといえば、
今を生きる人間の側に着く。畏敬をいだき、畏怖に立ち向かう人間を愛し、また愛されるべき存在が我々エルダーだと考えるが」

アルバス「アリスの思想は……汝の心を動かすに至らなかった、か……」

リンドヴルム「誤解なきように言っておくが、私はジャバウォッキーを憎んでいるわけではない。
彼らとて望んでこの地に生まれ出でたわけではない。等しく庇護されるべき存在とも認識している、だから……」


女騎士「だからぁー、ここを私の別荘にしてやるって事ぉー」

アルバス「……？」

女騎士「不可視の霧に覆われた島、別名ティルナノーグ。メシがまじいのに目を瞑ればおいしい土地だからな。
そこのレイプ魔が言うように、くたばりぞこないどもには手は出さねェ。そのかわりに島よこせ」

アルバス「」

息子「よいのですか、母様……あの女王のような危険分子を放置するような事で……」

女騎士「構うもんですか。こっちにはジョワユーズがある、ジャバウォッキー相手には折り紙つきの聖遺物よ。それに」

息子「それに……？」

女騎士「やりようによっちゃあ、劣化勇者を手駒にする事もできる。パンピーの鉄砲玉よりましな働きはするだろうしな」

息子「鉄砲玉……まだ、戦いは完全に終わったわけじゃあないのか……」

女騎士「んー、あー……まあ、そうだなあ。人間みな闘争の中で人生を謳歌するものなのです」

秘書「……と、ところでえ……何でまたエリンに戻ってきたんですかあ？　事件の処理で北西本島におられなくてもいいんですか？」

女騎士「私が行って何かできる事があるとでもいうのか？
あったとしてもやりたくない、儀典局側からもらうもんもらったから、その検証なりなんなりをしたいだけだ」

秘書「検証？　儀典局って……何をもらったっていうんです。女王周りの資料は正規軍を通してこちらにも回ってきてますけど……」

女騎士「ふふん、知りたいか？　知りたいだろぉなぁ……知りたかろ？　不思議やろ？」

秘書「し、しりたーい……しりたいけど教えてく」

女騎士「知りたかろ！！　しょうがないもんなぁ、お前も私の舎弟の端くれだもんなぁ。よっしゃ糞竜ども、今すぐこの資料かいつまんで解説しろ」

リンドヴルム「」

アルバス「……これ……は……」

女騎士「キャメロットの廃墟、アリス陛下の元寝室から何まで一切合財ひっくり返して貰ってきたモンだよ。
思った通り、おもしれえ事がビッチリ書かれてる資料だ。本来なら分裂症の妄想文にしか見えんが」

息子「面白い……こと？」

女騎士「アガルタ=レポート……だとか御大層に書かれてるみてえだが……生憎私は字が読めんし、
そもそもこの字はあのアリス陛下が元いた世界で使われていた言語のものらしい。私にゃお手上げだが、エルフやエルダーならと思ってな」

リンドヴルム「どうかな、白の竜。あなたなら解読は……」

アルバス「……」

女騎士「シャンバラ……？」

アルバス「アリスが……おそらくは……ジャバウォッキーが初めて生を受けた世界……それが、アガルタであり……シャンバラ」

女騎士「シャンバラ……シャンバラねぇ。聞いた事はねえな」

息子「アガルタとはどこにある土地、いえ、国なのでしょう。魔王軍統治領にもそんな場所……」

アルバス「原初の勇者が散り、ロンギヌスがこのエリンに渡り……以来……アリスはシャンバラへの回帰を求めてきた……
聖剣キャリバーンの天威を借り……円卓という戦力を構築し……北西という……大きな流れをつくりあげた」

女騎士「そのデッカイ国をまとめて潰してやり直すなんてアホな事しなけりゃ疎まれずに済んだのになぁ。
あ、まぁもっともぉ、それを黙認してたお前らも同レベルの甲斐性ナシなわけだ。なっ、このドブネズミがよォ」

アルバス「……」

女騎士「黙認していた事実を公表すれば……世論はお前らエルダー断罪に一気に傾くぜ。教皇領すら敵になる。
そうなりゃアリス陛下が遺したエリンも北西もみいんなおじゃんだ。良かったなー、優しい私らに匿ってもらえてなー」

秘書「（白竜さんちっちゃくなりそう……）」

女騎士「さて……で、シャンバラってのは女王が元いた世界って事で確定。そりゃどこにある？」

アルバス「この……我々が今いるこの地には……ない……アガルタは……形而上の概念に過ぎぬ……」

女騎士「だが、あの女王はくそまじめにここまで丁寧なレポートを遺している。単なる哲学あそびじゃあないはずだぜ。
それに、現にジャバウォッキーが転生とやらでこっちの世界にコンニチハしていやがるからな」

アルバス「アガルタへ渡るには……シャンバラへの鍵が必要……すなわち……
アガルタとこの世界を貫く唯一の楔……ロンギヌスが……不可欠……」

息子「ロンギヌス、いや……今はブリューナク、安置されていたあの巨大な鉱石……！」

女騎士「あのでっかい槍が……シャンバラに繋がってるってのか？」

アルバス「あくまで……ここに記されているのは……関連性が示唆されているのみ……
ある程度の検証については記述があるが……ブリューナクに何らかの術がかけられているのは事実……」

女騎士「検証検証ってよぉ、にしちゃあ異世界の扉ガッバガバのユッルユルじゃねぇか。
一日何人あの女みてぇな冴えないボンクラのチンカスどもが雪崩れこんできてんだ？　やっぱエリン糞だわ」



女騎士「だが……ガバガバユルユルなら……こっちから向こうに行くってのも不可能じゃあねえよなぁ？」

【バルフォア級1番艦/甲板】

雷帝「いや、派手にやられたもんですよ……これはひどい、商船の流用とはいえ最新鋭空母がここまでやられるとは」

騎士ほ「さすがは史上初めて騎竜を戦に用いた北西のトップエースたち……といったところでしょうか」

雷帝「その猛攻を凌いだあなた方も、相当なやり手です。それだけに、惜しい……」

騎士ほ「……」

雷帝「惜しいお方を亡くした。いえね、我が情報庁に……彼女の娘がおりましてね。
職権を濫用する気はないのですが……生き別れの母にどうしても引き合わせてやりたいと便宜を図ってやったのですが」

騎士ほ「誰にもお優しく、等しく慈愛をもって接する聖母のようなお方でしたのに」

雷帝「美人薄命を地で行ったお方とも聞いておりますよ……ええ、残念です」

騎士ほ「……」

雷帝「ご遺体はどちらへ？」

騎士ほ「お色を直して、今は下の私室でお眠りになっておられますわ。葬儀の際にふたたびお顔を拝見できましょう」

雷帝「艦を墓標にした水葬と聞いております……ぜひ、参加させて頂きたく思います」



騎士ほ「（予想通り、雷帝自ら1番艦の視察に来たな……ここで事件現場の公開を渋るわけにもいかん、
かえって態度を硬化させるだけ……どうせあの豚の死骸ごと艦は沈めっちまうんだ。証拠なぞ見つけられるかよ。
フクク、一皮むけば真面目が取柄の長官閣下。さっさとお帰りくださいましね……）」

雷帝「……北西近衛の捕虜の証言リストを持て」

局員「は……」

雷帝「先日から何か新たな情報は？」

局員「今のところ、特には。やはり、本来の攻撃目標に艦内居住区は入っていないと」

雷帝「甲板と騎竜ドック、そしてブリッジの即時制圧、か。当時すでに近衛の軍勢は母屋を喪った賊、
テロリストも同然。居住区へ赴いて人質の一人や二人確保していてもおかしくないのでは？」

局員「それは……しかし、アジ=ダハーカの手の者を信頼するなと仰ったのは長官では」

雷帝「いやぁ、勘違いしないでくれたまえよ。私とてFCAなんぞ微塵も信用しちゃあいない。
私はそもそも連合だって北西だって円卓だって魔王軍だって、言っちまえばこの情報庁だって。
私はな、自分の目で見てバラして味を見ておかんと信じない質なのだ」

局員「では、長官も……少なからぬ疑念のようなものを抱いていると？」

雷帝「軍艦に要人乗っけるのは百歩譲って善しとしよう、だがなぜ都合よく不可視の海域にいたはずのこの1番艦に敵が殺到する？
あの霧に隠された本島ほどではないにせよ、並みの船舶や騎竜で空母の位置を正確に捉えるのは、事前情報なしでは不可能だ」

局員「……」

雷帝「円卓とアジ=ダハーカが繋がってる可能性もないわけじゃあねえ。だが……
我々が疎んじられているのは事実だな。まあ、気楽にいこう。そしてしっかりお仕事をこなそうじゃないか。そして殺す」

局員「はっ？」

雷帝「ん……何か？」

局員「いや、その…何でも」

雷帝「……」

女騎士ちゃん「え？姉頃したのお前？しね」パーン

ほ「グバア」

勇者戦で天運の差は攻撃の回避やジョワの回収に作用
勇者の精神状態のせいもあるけど女騎士ちゃんがデュラA解放した勇者の攻撃避けてジョワ拾えたのはおかしい
ジョワのシステム干渉が入ったおかげで女騎士ちゃんでもデュラA解放勇者を負傷させられた
天運は主人公補正でそれだけじゃ勝てないけど勝つ要素を拾う可能性を高めてるから低いとゴミクズに殺されやすい
女王は民を見捨てるタイミングが悪くて能力が発揮できずに詰まされてる
天運高くても勝つ要素が話の流れにないと駄目

>司教「メシアの昇天を拠り所にした伝承の通り、勇者を始めとした聖人……または、神性を有する神獣、
>聖遺物に因る認識結界に対しても、絶大な効力を発揮する能力と言えます」
>司教「騎士様が勇者と打ちあって勝利したのは、その聖滅の能力の賜物かと」
ジョワが所有者と聖剣の能力のどちらも一時的に無効化弱体化させる
剣の相性でもあるけど所有者も影響受けるからどっちかのせいってわけではない

エルフ三男「……」

雷帝「あら……お早いお着きで。このたびは、まことにご愁傷様でございました」

エルフ三男「ここは……甲……板？」

雷帝「どうかなさいまして？　よもや、舟でもこぎながら歩いてきたとは言いますまい」

エルフ三男「……した」

雷帝「はい」

エルフ三男「彼女の……騎士様の匂いが……したのだ。彼女の声が聞こえたのだ……」

雷帝「まあ、それはそれは……しかし、そんな事はあり得ません。もしかすると……これに惹かれて来たのではないので？」


クリームヒルト「ちょりっす王様ぁ、っていうか死んだぁ？　まじでぇ？　あのコ死んじゃったのぉ？　うけるー」


エルフ三男「聖……剣……」

雷帝「ここで私とあなたが逢ったのも何かの縁……すこし、お話しでもいたしませんか。尋問だとかそういう物騒なものではございませんで」

エルフ三男「……」

雷帝「さ、ぜひぜひお聞かせくださいな。あなたが殺ッたんじゃないって事を……ねえ、お義父さまぁ？」

【エリン本島/ブリューナクの神殿】

アルバス「古来……一部の人間が……魔術と呼ばれる業を行使していた事は……存じていよう」

女騎士「いきなり何を言い出すんだじじい」

息子「勇者どもの腰巾着が用いていた、異教徒の外法でしょう、母様。虚空から火炎や氷塊を繰り出す悪魔の業……」

アルバス「現象改竄とアトラクタ誘導……その双方を産まれながらに行う技術を有する者は……
この我が……幼き翼竜であった頃には……かなりの数が存在していた……」

女騎士「くだらねぇー。何が魔術だってんだ、おおかた昔のバカな農民ども相手に手品でもやって儲ける詐欺か……
もしくは学のねえ王侯貴族相手に、土くれから金でも作りましょうだとかでパトロンこさえる上手なやり方ってだけだろが」

アルバス「だが……ウロヴォロスの勇者たる汝は……その天威、既に己が力の一端として認めているのであろうに……」

女騎士「私はおいしいものか自分の得になる事以外は信じねえし認めねえ」

息子「……どうして、今その話を？」

アルバス「ロンギヌス……ブリューナクが……魔術の作用に関連しているとの記述が……少なからず、ある」

女騎士「……あのヤリがか。確かにな、どうにもありゃあ気味が悪い代物だぜ。触ったとたんに……
なんだ、あれは。妙な女どもの呻きが頭ン中になだれ込んできやがった。ありゃあ不愉快だったね」

息子「そんな事が……？」

アルバス「魔術とは……アガスティア式列の改竄にいたる業とは……渇望と欲求に帰結する願いに基づくもの……
すなわち……すべて魔術はウロヴォロスの天威に紐づく、奇跡の模倣……偶発を必然とする技術……」

女騎士「ウロ公が……魔術の元締めぇ？」

アルバス「ブリューナク……ひいては、ヴォーパル鉄鉱とは……常時、形而上の存在であるアガスティアの記述を通し……
この世界や、アガルタまでもを含めたすべての可能性世界の願望と直結する……媒介……」

女騎士「……は？」

アルバス「汝の……耳にした呻き……嘆きとは……どういったものだったか？」

女騎士「そりゃ……いろいろさ。サイレンみてえな音や、蒸気船の唸りみてえな騒音……
それと、女。ハラまされたり殺されたり、くたばりぞこないの女どもの声がワンワン響いてきやがって」

アルバス「……」

息子「その声……願望の主の発した欲望だという事か」

アルバス「左様……命は絶たれ、肉体を喪っても……矜持と欲望は……アガスティアからヴォーパル鋼を通し……顕現する……」

女騎士「顕現するって……つってもよぉ、魔術を使うボケナスなんか、それこそ今じゃ一握りなんだろ？
ツキのねえ女どもの怨念までマホーになったところで……私らが今いる世界になんか影響があったのか？」

アルバス「……」

女騎士「だいたいおめえの話わけわかんねぇんだよ。それホントに必要な話か？　もうちょっと考えてから喋れカス」

アルバス「……キャリバーンの神霊……ダグザの証言を得た事で……アリスはここまで辿りついたのだろうな……
そうか……だからこそ……あの強硬策に……狂気に走らざるを得なくなった……彼女は既に……詰んでいた……」

息子「……」

女騎士「はいはい、そうでございますか」

アルバス「ウロヴォロスの……勇者……亡国の女騎士……
汝こそが……三千世界の女の念が産み出したる……畜群からの解放の体現……
汝こそが……ウロヴォロスの施した魔術の現象そのもの……！」

女騎士「」

アルバス「そうか……蛇は……この為に、人々から魔術というものを奪ったのか……」

女騎士「おい、おいおいおい、イミがわかんねぇぞ馬鹿野郎。勝手に主張して勝手に納得してんなホッケミリン」

アルバス「しかし……きっかけは何だ……蛇が超人を完成させるに至った理由は……
なぜ蛇は、あえて人々から欲求の権限を取り上げ……虚ろなる信仰に傾倒させるような真似を……」

女騎士「だまらっしゃい！！　殺すぞボケが！！　テメーもポエム族の一匹ってぇのがよっくわかった！！
二度となめた口利くんじゃあねーぞ、三枚におろしてやっかんな！？」

アルバス「……」

女騎士「おい強姦魔！　よく言い聞かせとけ、自分の立場ってやつをそこのゴミ虫に教えてやれ」

リンドヴルム「……」

女騎士「ったくよー、こちとらはシャンバラとやらの行き方が知りてえんだ。それ以外の事ぁどうでもいいの。
あいつの言動から察するに、あいつみてぇなクソニートがのうのうと十五過ぎてフラフラしてても何とかなる世界、
すなわち最低限の社会保障と社会契約が成立する国家が存在してるってわけだ。つまり、未開の蛮族がオノかついでひゃっはーなんて事ァない」

息子「確かに、そんなような事を言っていた気が……」

女騎士「向こうに行く価値は十二分にあるって事よ。車に退かれたとも言ってたわけだからな。
もしかすりゃあ、液体燃料の導入やピストンエンジンの革新も夢じゃあねえ」

リンドヴルム「本当に君は……アガルタを求めているのだな」

女騎士「欲求は人間の原動力だろ？　欲しがって何が悪ィんだよ。人生で気持ち良くなる方法を模索しない奴はただの植物だ」

息子「すべて、母様の心のままに」

女騎士「で？　少しは落ち着いたかね、アンポンタンくん。ついでにおめえもシャンバラに連れてってやらんでもないが」

アルバス「ダグザ……の証言として……こう記されている……」

女騎士「なんだよー、あるんじゃねぇかよー。サッサと言えマヌケが」

アルバス「四カ月前……アガルタ側からの……アトラクタ誘導が確認され……数百年ぶりの……
神霊に因らぬ魔術現象は起こった……これすなわち……人為的な……シャンバラへの『扉』の展開」

女騎士「やっぱ異世界へのトビラガッバガバじゃねぇか。施錠しろ施錠」

息子「四カ月前……四カ月前といえば……」

リンドヴルム「もしや……考えたくはないが、あの一件か……？」

アルバス「以降……この事象を……極東現地の言語にあやかり……『ネキリの開錠』と呼称す……」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ..ゞヾ:''ｿ"'"''""''ｿ:'ｿｯ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .ヾ''ﾞ .　　　　　　　　　　"''ｿμ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｯヾ´　　　　　ﾉ　 　　　　　　　　 ｀..彡
　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ､ゞ 　 　 　 　 　　　　⌒)　　　　　　 　　ミ 　ブワッ
　　　　　　　　.................;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾐ´　　　　　　　　　　　-<´　　　　　　　　　 彡:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.................
　　　.......;;;;;;;;;;ﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞ　　 　 　ヾ　　　　　　　　　　　　､＿）　　 　 　 　 　 　 　 ﾐ　――――――――――――――
　 ;;;;;;ﾞﾞﾞﾞﾞ　　　　　　　　　　　　ﾐ　　　　　　　　　ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　　　ミ　――――――――――――――
　　ﾞﾞﾞﾞﾞ;;;;;;;;............　 　　　　　ミ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　　 　　 ﾐ　　　　　　　.............;;;;;;;;ﾞﾞﾞﾞﾞ
　　　　　　ﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞ;;;;;;;;;;;;;;;;;....彡...........................　　　　　　　　　　　　　 ...............................ﾐ.......;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞ
　　　　　 　 　　 　 　 　 ﾞ/ﾞｿﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞヾ ﾞﾞﾞﾞﾞ
　　　　　　　　　　　　　　ﾉi|lli;　i　. .;,　､ 　　 .,,　　　　　　　　　　　　` ;　､　　.;　´ ;,il||iγ
　　　　　　 　 　 　 　 　 /ﾞ||lii|li||,;,.il|i;,　; . ., ,li　　　'　;　　 .`　.;　　　　il,.;;.:||i　.i| :;il|l||;(ﾞ
　　　　　 　　　　　　　 　　｀;;i|l|li||lｌｌ|||il;i:ii,..,.i||l´i,,.;,..　.il　｀,　　,i|;.,l;;:`ii||iil||il||il||l||i|liiﾞゝ
　　　　　　　　　　　 　　　　 ﾞﾞ´`´ﾞ-;il||||il|||li||i||iiii;ilii;lili;||i;;;,,|i;,:,i|liil||ill|||ilill|||ii||lliﾞ/
　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　´ﾞ｀ﾞ⌒ゞ;iill|||lli|llii:;ﾞ|lii|||||l||ilil||i|llii;|;_ﾞι

【エリン本島/上空】

ポニテ「今の光……四カ月前のものと同じものかッ！？」

エルフ衛兵「ネ、ネキリの光……たっ、大尉ッ！！　あれを、あれを見てください！　エリンの島を……！」

ポニテ「あれは……霧が晴れていくッ！？　島を包む不可視の霧が……剥がされたッ！？」

エルフ衛兵「北西正規軍にも協力を煽ぎましょう、ネキリが関連しているとなれば、やはり……」

ポニテ「間違いないッ！　勇者ども……魔王軍の手先の仕業だッ！！　あの島を東帝のようにさせてたまるものかッ！！」

【エリン周辺海域/バルフォア級1番艦】

エルフ三男「……」

雷帝「あら……そんなに急いでどちらへ向かわれるのですか」

騎士ほ「エリン……ジャバウォッキーの聖地が襲撃を受けていると報告がございました。私も北西の部下を率いて出なければ……」

雷帝「またまた……冗談仰らないでください、こちらの現場検証……まだ終わってないんですから」

騎士ほ「お渡しできる資料はすべて開示いたしました、すぐに退去をお願いいたしますわ」

雷帝「退去……？」

騎士ほ「先にご説明した通りこの空母……今日中には処分しなければなりませんの。魔王軍の不埒者に探られては、面倒ですから」

雷帝「それは困る。まだ調べたい事が山ほどございます、それに……」

騎士ほ「……」

雷帝「お前らFCAの疑いが晴れたわけじゃあねぇんだぜ？　八方美人のゲス野郎がよぉ」

雷帝「さんざん調べさせてもらったがッ！！　こちらの疑問が晴れるような解答は得られなかったんだよなぁ！！」

騎士ほ「……」

雷帝「わざわざ居住区域にまで円卓の侵入を許すなんざぁ、極東の魔神がいる時点でちゃんちゃらおかしいんだよなぁ！！
円卓の残党どもに何のメリットもない！　そらそうだ、お前らは人質なんぞ屁とも思っちゃあいなんだからなぁ！！」

騎士ほ「人聞きの悪い」

モルドレッド「……ペンドラゴンの用意はできています。急ぎましょう」

雷帝「そもそも先の円卓騒ぎも……お前らが仕組んだ自作自演だという可能性も否定できねんだよ。
それに乗った私も私で愚かだったが……女王の排除という目標は達成できた、その点では感謝してやる気もないわけではない。が」

騎士ほ「……」

雷帝「貴女にも、協力してもらえませんかね……事情聴取。たとえばまず……貴女、襲撃時はどこで何してたのか、とか……」

モルドレッド「まさかとは思うが……僕たちを疑っているのか？　情報庁ともあろう組織が？
どこのデマに踊らされているかは知らないが、もう少し思案を巡らせるべきだ。こんな不毛な問答はやめろ」

雷帝「不毛かどうかを判断すんのはこっちなんだよ、癇癪持ちの血を引く短小包茎クソ童貞野郎がよぉ。
お前らが残党側と繋がっていたかいないのか……判断できる書面もな、こちとら持ってねえわけじゃあねえんだよ」

騎士ほ「……なに？」

雷帝「『北西の暗号』で記された座標の羅列だよ、近衛のグズが写しを大事に抱えていやがった……
驚いたことに、この艦の執務室にまったく同じ筆跡で書かれたメモ束の跡が残ってたんだよぉ」

モルドレッド「（何が……起こっているッ！？　そんな馬鹿げたミスをするグズ野郎が……FCAにいる筈……）」

騎士ほ「……」

騎士ほ「裏切り者……執務室に出入りできるシロアリ野郎……あいつしか……いねぇ……」

モルドレッド「……」

雷帝「御同行、願えますかね？　おふたがた？」



騎士ほ「発破ッ！！　点火しろッ！！」

雷帝「させるか糞ボケがッ！！　土壇場で自爆するなんちゅう幼稚な手段に気づかねえとでも思ったのか、マヌケッ！！」

騎士ほ「ッ……！！」

エルフ三男「……」

騎士ほ「テメエか……発破の……爆薬の箇所……ばらしやがったのは……童貞野郎ォ……」

エルフ三男「彼女を殺した人間が……本当にFCAにいるのなら……協力してほしいのだ。あなた達にも」

騎士ほ「チェリーエルフごときが人間サマと対等に口利いてんじゃあねーぞ？
ちょっと騎士様のサイフに選ばれたからって、6年前からいい気になってやがって」

エルフ三男「……穢れた血め。オーガとのクォーターの分際で、騎士様に仕えるなんておこがましいんだよ」

騎士ほ「……」

雷帝「で、彼女……何で死んじゃったのかな？　言い訳くらいは聞いてやりますが」

モルドレッド「……エクスキャリバー……限定」

雷帝「なんで死ななきゃならなかったのかな？」

騎士ほ「……A解放……起動」

雷帝「わたしの母様は……お前ら排水溝のヌメリに潜む雑菌以下の存在に殺されなきゃならんほどの存在か？」


騎士ほ「その通りだ馬ぁ鹿がッ！！　死ねいッ！！」

モルドレッド「げゅ」

騎士ほ「つぉねぱ」



雷帝「お前らさぁー、ほんとバカだよなぁぁー、王手摘みっての分かってながらさぁぁー、どぉして向かってくるかなぁぁー」」

騎士ほ「が、がうっ、がふっ」

雷帝「ちょっとおねーさんとバルムンクにお話ししてみよっかぁ？　誰がやったかさぁー？」

騎士ほ「グッ……」

雷帝「おっとあぶねえ。舌ぁ噛むんじゃあないぞお。前歯ブチ折っちゃうぞ。ばき、ぽぎっと」

騎士ほ「がぇ」

雷帝「今のオソマツな不意打ちだまし討ちだってさぁ……別にする必要なかったじゃん？
あわよくばってやつ？　何その虐められっ子的な発想。お前さ、ガキんとき友達いなかったろ？　キモイし当然かあ」

騎士ほ「……」

モルドレッド「が……ぐ……」

雷帝「お義父さまぁ。そっちのチンカス野郎、まだ息があります。とどめを」

エルフ三男「……」

ﾊﾟﾝｯ　ﾊﾟﾝｯ

雷帝「お前だろ？　殺したのってさ」

騎士ほ「……」

雷帝「お義父さまがこう仰ってたんだぞぉ？　聖剣に誓われて……このドブ色の髪したゲス女が出撃前にふらついてましたってなぁ？」

騎士ほ「……」

雷帝「わざわざエクスキャリバーを見せて向かってきたって事はさ？　
自白してるようなもんじゃん？　お前が関係してるって事をさ？」

騎士ほ「……」

雷帝「お前さぁーー、ジャン=ヴァルジャンからコゼット取ったら何にも残ンねぇだろォーーー！？
ペニスの一本もねぇ南部訛りのドグサレ田舎モンがよぉーーーー、他人の親ァ殺してんじゃあねぇーぞぉーーー？」

エルフ三男「本当に……あなた……お前が……やり……やがったのか……」

騎士ほ「すべて……お姉様の……繁栄の為……フクク……」

雷帝「ふんっ」

騎士ほ「げうっ！！」


雷帝「あのなぁ……いくらあのアジ=ダハーカがジョワユーズとかいう聖剣持ってる慈悲深ぁいお方だとしてだ。
穢れた血のおめえにどれだけの気を割く？　割くわけねぇじゃんおめえなんかに。穢れた血。魔物め。くっせぇなお前」

騎士ほ「テメェなんかに……わかって……たまるか」

雷帝「わかるんだよなぁ……おめえなんかより、ずっとずっとずぅーーっとお姉様の事がわかっちゃうんだよなぁ……
何せ、血が繋がってるんだからよぉ。右わきの下のほくろだって、耳の裏のにおいだって、彼女の枕のにおいだってわかる」

騎士ほ「……」

雷帝「おめえは一度でもさぁ、裸のアジ=ダハーカに抱かれた事はあるのかい？　ねえだろうなあ、だっておめえは魔物なんだから」

騎士ほ「……」

雷帝「しかし……そんなおめえの夢もついに夢で終わっちまった。こっち来る前な、1番艦へのエスコートをしてくれたのは……
おまえの敬愛するお姉様なんだよ……いいや、おめえの言葉を使うのも気味がわりい。叔母様が全部教えてくれたんだ」

騎士ほ「」

雷帝「何だぁ、きめえ顔しやがって。前髪全部引っこ抜くぞおい」

騎士ほ「」

雷帝「引っこ抜くぞっつってんだよ！！」

ﾌﾞﾁﾞﾌﾞﾁﾞﾌﾞﾁﾞﾌﾞﾁﾞｨ

雷帝「例え叔母様に何か裏切られたとしてもだ。おめえらふやけた脳ミソの西洋人の思考形態はこうだろ？
『お姉様が裏切らざるを得なくなった状況を作った奴の方が悪い』とか、そんなとこだろ？　見え見えなんだよタコ」

エルフ三男「……」

雷帝「でもよぉ……おめえ、そりゃあ自分の事買い被りすぎってもんだ。叔母様をはじめとした勇者の血統の人間は……
おめえみてえなマザリモンの事なんか二の次三の次四の次でしかねぇんだよ、自惚れんなウジムシ？」

騎士ほ「あ、ぎぎぃ……」

雷帝「バルムンク、限定C解放……豚さんは豚さんらしく、運びやすいようにコンパクトになろっか？」

エルフ三男「……」

雷帝「返事しろよ豚があ！　おい、おらぁ！！　向こう半年は飼ってやるからよぉーー、ただじゃ殺さねぇからなぁ
愛しのお姉様とは私が仲よくしといてやるよ……そうだ、たまに一緒にガラスの向こうでおめえの事見物してやるよ。
耳もタンも髪も削いだきもちわりーおめえの姿ぁ、指差しながらタマゴでもぶつけてやらあ」

騎士ほ「」

雷帝「はぁぁ……わかるかなぁ？　私はなぁー、おめえの自白以降、三回はオーガズムを迎えているのだ。
なぜかって、そりゃあそうだ。苦痛のあとの復讐の成就という極上の快感を得ているのだ。
天の母様はきっとお喜びになる！！　憎悪をひり出す豚であるてめえを浄化してやる事で、私もまた神に愛される！！」
ははは、ははははは！！　ファッションクレイジーのテメエごときにかけた時間は勿体ねえがな！！　はははは！！」

4/29
【モルドレッド=ディギトゥス=リデル 死亡】
【エリーゼ=ガーデルマン 再起不能】

・雷帝によりエクスキャリバー二本が押収される

第10部　最終Ⅳ 決着編

　　　　　　　　　　　　　　　　┼ヽ　 -|r‐､.　ﾚ　|
　　　　　　　　　　　　　　 　 ｄ⌒)　./|　_ﾉ　 __ﾉ　

第10部　最終Ⅴ もうちょっとだけ続くんじゃ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ー- ､　ー-､｀｀／　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 _, '　　._, '　 ＼　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 -------------------
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　制作・著作　NHK

【エリン本島/周辺海域】

おかっぱ「ガルーダが落とされていながら、本国もよくこんなでかい鳥獣をよこしてくれたものだ」

敵兵「（巨大な魔物……鳥獣アンズーによる兵員輸送、そして円卓の決起の直後の奇襲……）」

勇者「北西に植民地化されていた申命の園の……セベク首長の口添えあってこそ実現しえた事。
この作戦、魔王軍として負けるわけにはいかぬのですよ。威信がかかっているのは僕たちネルガルだけじゃあない」

おかっぱ「ともあれ、奴らが屯す島の認識結界は引き剥がした。ディナダン卿の手懐けた鼠のおかげだな」

ディナダン「彼女の労を労ってやってあげてくださいな。頭のつくりが弱いなりに頑張っているのだから」

おかっぱ「しかし、元を正せばすべては卿の功績でございます。この機を作ってくださった事、感謝いたします」

勇者「円卓と儀典局の浄化……その志には敬服するばかりです」

ディナダン「うふふ……」

勇者「女王の排除は、かつての僕たちにおいても最優先事項。レプリカでない聖剣を保有する女王が、
アジ=ダハーカを通し近衛戦力と共に善良なる人民の脅威となる事は明白だった。そして、あの島に生きるジャバウォッキーも」

おかっぱ「プラン乙……円卓による武力侵攻が行われたという事は、女王の死は確実か」

勇者「件のヴォーパルジャケット弾の成果か、それともあの女が始末したか。
いずれにせよ、アジ=ダハーカにたどり着けねば僕らは終わりだ。相手に何本聖剣があろうが、それは変わらない」

おかっぱ「（ラーンスロット卿……風前の灯の円卓を煽ったのは卿と貴様ら魔王軍だろうにな……）」

勇者「島に居住するジャバウォッキーも殲滅の対象とする。外界に対し白痴と言ってもいい彼らが、
アジ=ダハーカの毒に冒される事は何としても避けなければならない。蛇のよこしまな英知は、必ず彼らを悪鬼と変える。
あの島にいる者すべてを殺すのが僕らの使命だ。一人残らず、彼らを天の主のもとへ昇華せしめなければならない」

敵兵「一般の……人間も対象……？」

勇者「蛇の毒をよく知る君たちなら、理解してくれるだろう。奴は人々の純粋さを盾に、己の欲望を充足させ周囲を汚染する悪魔。
僕たちは、その悪辣さに屈するわけにはいかないのだ。着陸すれば、目にする一切合財がアジ=ダハーカの眷属だと思ってほしい」

敵兵「……」

おかっぱ「鴉、木の葉。手筈通りに」

木の葉「ほい来た」

鴉「合点承知」

将軍甲「予定降下地点まで500、用意！！」


勇者「JOKER、ウルスラグナッ！！」

【ブリューナクの神殿】

アルバス「島が……転生者の島が……っ！！」

女騎士「チンカスがァ……見えるか老いぼれ！！　これが魔王軍だ！　これが魔物だ！！
伝わる言葉もなく、思想もなく、ただ理性ある私たち人間を食い潰すだけの存在だ！！」

アルバス「ジャバウォッキー……シャンバラの来訪者……」

女騎士「それに与する人間はすべてウジだ！！　人間の社会がテメーを育んでやったっていう恩を忘れて裏切ったウジムシだ！
我々帝国の化膿した傷にわく、けがらわしい害虫だ！！　魔王軍はその手助けをする、不潔さという概念そのものだ！！
殺せ！！　殺し尽くせ！！　魔物どもを焼き尽くせ！！　エルダーッ、てめえらここで人間に着かねえで何が神竜だァ！？

アルバス「……」

女騎士「人間を愛し、人間に愛されてこその神じゃあねぇのか？　それとも何か？
為政者や聖職者が富をむさぼり、民衆は教義の通りに豊かさを吸い上げられ、病魔に侵され朽ちてゆく、そんな時代をお望みかあ？」

リンドヴルム「往こう……艦にいったん戻ろうか」

女騎士「忘れるなよエルダー！！　血統に胡坐をかき、周囲へ日和見を続けてきた女王の末路をなあ！！」

アルバス「……」



アルバス「……不可視の霧を……再度……展開できぬか……？」

ドルイド「×××××？　××××××！」

アルバス「試してみる……価値はある……」

ドルイド「×××……」

アルバス「我は……エリンを護る……人と大地の狭間に生きる神なり……！
ファリアスの……ドルイドにも……招集をかけよ……今……すぐに……！」

【エリン本島/上空】

雷帝「来たか、魔王軍……なかなかお早い到着だな」

エルフ三男「……」

雷帝「心配せんでも今は殺さん。バルムンクの前で虚言など呟けまい、あんたの言う事は信じてやる」

エルフ三男「騎士様……騎士様の……御身を……」

雷帝「ふん、私が叔母様と濃い面識があるなんていう出まかせを聞いて……あのゴキブリ、すっげえ顔してたよなぁ……カカカ」

エルフ三男「……」

雷帝「当然だが……叔母様にも聴取は行う。しかし……我が血統の人間が魔王軍どもに殺られるのも癪だ。
当面は……お前らエルフについてやるよ」

エルフ三男「……」

雷帝「腑抜けめ……いいさ、それならこちらは好きにやらせていただく……」

竜騎兵長「魔物どもがッ……6年前の西欧進出の恩を忘れて、余計なマネをッ……！！」

竜騎将軍「いまFCA側に潰れられれば、そう遠くない未来には北西は瓦解する。次から次へと……！！
本島への通達急げよ、あのパイプ役はどこで何してる」

竜騎兵長「それが……本島や騎竜舎にも姿がないと。FCAの迎撃方針も、未だこちらに伝わっておりません」

竜騎将軍「ふざけた連中だ……所詮は帝国の忘れ形見、絞りカスか！？」

竜騎兵長「姉上、猶予は思ったよりもずっと少ない……先行し、FCAと連携して魔王軍を叩きます」

竜騎将軍「任せる。ああくそ……どいつもこいつもロクな事しやがらねえ！！」

【エリン本島/市街地】

勇者「あの女を殺せばすべて終わる！！　たどり着く道を切り拓け！！」

将軍甲「潰せ！！　全部潰すんだ！！」

おかっぱ「（これではどっちが虐殺者かわかんねぇな……）」

将軍甲「じきに別働隊を切り離す。お前ら、しっかりやれ！　頼んだぞ！」

敵兵「りっ、了解です」

おかっぱ「承知した。武運長久を」



将軍甲「引き続き捜索を！　駐屯している竜騎兵はすべて連中の手先だ、手心を加えるな！」

魔王軍銃兵「殺せ！！　みんな殺すんだ！！　世界の為に！」

将軍甲「エクスキャリバーを使うッ、退けッ！！」

勇者「頼む、原生している下級エルダーが増えてきた。一掃してくれ」

将軍甲「任せろよッ……A解放、頼むぜエクスｋ」

　　 ._.. -''″　　　　　.__..__,、 　 　 　 　 　 -＝ﾆﾞﾞﾆ--- -......,,,,,_、　　　　 .'｀-┷ｌｌｉ..,, ,_
. ‐'″　 _,,.. -ｰ''''^ﾞﾞ二rｉ'ﾆ.... ....､............. ...._,,,＿　　　　　　　　　　 ￣ﾞﾞﾞﾞ''''lllll,,,,_
..,.. -''"゛　　　　　 　　　 _,,,.. --ｰ''''."ﾞ.´　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣''''―
　　　　_,,,,,　　　　　　　｀￣￣￣ﾞﾞﾞ!　,,＿_　　　　　 .,,,,..uuii､;;;;;;y ......,,,,＿,i-............ ......,,,,
-''''ﾞ彡'"゛　　　 ._,,..yr‐ ._,,.. -ｰ''''''ﾞﾞ￣´ i| 　 　 i 　|i　　　　　　 ´｀ﾞ'''―　,,,_
...ﾉ'"　　.,.. -''',ﾞ..r''“ﾞﾞ“´ 　 　 　 　 　 　 i| 　i 　 　 |i　　　　　　　 　 　 　　 ｀'''ｰ､、
　 _..-'"゛　_..-　　　　　　　 　 　 　 　 　i| 　 　ｉ　　|i 　　　　　　　　　　　 　 　 　 ｀'ゝ
'"　 .,..ｯｒ'"　　　　　　　　　　　　　　　　i|　　　　　 |i　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ
.., ''ソ゛　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 i|　　　　　 |i
゛ lﾞ　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 i|　i　 　 　 |i
　.!　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i|　 　 　 　 |i
　 ヽ　　　　　　　　　　　　　　 　 　　　i| 　 ｉ　 　 　|i
　　 .｀'-､、, 　 　　　　　　　　　　　　　i| 　 　i 　 　 |i　　　　　　　　 　 　 　 　 　 _..-'´
　　　　　 ｀''ｰ　 ,,_　　　　　　　　　　　i| 　　　　　　 |i　　　　　　　　　 _,,,.. -‐''"
　 　 　 　 　 　 　 ´ﾞ'''ｰ . ,_　　　　　　i| 　　 　 　 　 |i　　 . _____ii;;;;;;ﾆ二......、
.,,_. : =i　i ,,、　　　　　　 　　 ,ﾞ,ﾞ;;;;;;;;;;; i| 　 　 　 　　　|i　　　 　 　 　 　 　 '''''''''''''''''''''''''''
　 .｀ﾞ''''～　.｀''ｰ .. ,,,,____　.__.｀ﾞﾞ'''''～ i|　　　 　　　 　 |i ー''''''''三ﾞﾞ..........---;;;;＝'　　 ._,,..
'''ｰ　...,,,_　　　　 　　　　￣￣￣ﾞﾞﾞﾞ＾.i|　 　i 　 　 　 　 |i .,,,,,,......　-―''''"´　 . --l∋´
￢――ｰ｀-′　　　.　.　　　　　　　i|　　 　 　 　 　 　 |i　　　　　　 _,,.. -‐''"゛
｀ﾞ"'''―-　....,,,_ 　 　 ｀ﾞ｀-｀-二,ﾞ", ,i|　　　　　　　 　　　|i　　-￢''"´　　　　.＿_,,,,,,,_,,,,.．
'―-- ､..,,,,_、　.￣''-..　,,_、　　."　i| 　 　 　 i 　 　 　 　 |i .-―ｰ￢''''ﾞﾞﾞ￣´゛
　　　　　　　￣￣ﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞ '''''ﾞﾞ“''　 i|　　　　　　 　 　 　 　 |i　　.、　 ヽ　　　　 ＼
　 　　　　　　　　　、　　　　　　 i|　　　　　　　　　　 　 　 |i　　 ｌ. 　 　'､ ヽ　 .　 ..,
／　　．　./ 　　 ./　　　　　　　i|　　　　　　　　　　　　　　 |i.　　ヽ　　　ヽ .ヽ. ＼　＼
　　／　/ 　　　/ 　　　　　　　i|　　　　　　　　　　 　 　 i 　 |i　 　ｌ.ｌ.　 .､　 ヽ. ＼.＼
　/ 　./　、　 ,/./ 　 　 　 . 　i|　　　　　　　　　　　　 　 　 　 |i　.、 .ｌ.　　ヽ　 .ヽ .＼ ヽ
″ ./ 　/ 　./ ,i′　　　　　 i|　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 |i.　　..ｌ.　　.ヽ　 .ヽ　ヽ.
　/ 　/ 　 ./ / 　 　 　　　,i|　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 |i　 　. ｌ　 　 ヽ　　ヽ　.ﾞ
'"　./ 　 ,/ /　　 　 .、　 i|　　　　　　　　　　i　　　　　　　　　 　　|i　　　ｌ　　 ヽ　 　 ヽ
　./ 　 ./ ./　 　 　 /　,i|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i　　 　|i　　　　.ｌ,　　 ヽ ＼
./ 　 ./ ./ 　　 　 ./　i|　　i　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　|i　　　　　|″　ｌ

勇者「ぐあっ……く……」

魔王軍銃兵「なっ……何ぁんだァーッ、今のはァーッ！？」

勇者「今のは……先の女王を討った光の矢……あれが、ジョワユーズの天威ッ……」

おかっぱ「……」



勇者「（君たちの推測の通りだな。ジョワユーズの天威……その標的選定）」

おかっぱ「（そちらも存外悪辣なようだ。試したんだろ？　彼にわざわざエクスキャリバーを持たせて）」

勇者「（……）」

おかっぱ「（聖を滅するジョワユーズ、魔を滅するデュランダル。どちらの威光も、対応する異能が顕現しているところにその天威を干渉させる。
複数の異能が発動している場合は、より強い異能の側へ向かう、という根拠のない推測だが……）」

勇者「（これで証明できた。常時C解放である僕でなく、ジョワユーズの一撃は半覚醒とはいえ、A解放をおこなった彼のエクスキャリバーへ向かった。
これで……僕か君、そしてディナダン卿のいずれかが奴を前にした際の囮となる事が可能となった）」

おかっぱ「……やけに嬉しそうに語る」

勇者「当然。奴を殺せる可能性がさらに広がった。快挙じゃないか。彼の尊い犠牲で得た可能性だ。無駄にはしない……」

おかっぱ「はあ、そうでございますか……」

【将軍甲-魔牛グガランナ 死亡】

【ブリューナクの神殿】

ウロヴォロス『あたったあたったあたったよお、やっつけちゃったんだよお』

女騎士「シャッ！！　ざまあ！！　ファッキン糞勇者！！　ざまあ！！」

バッカス『しかしなあ……ジョワユーズの天威が発動するという事は……連中、何を所有しているかわかるか？』

女騎士「何って、おめえはここにいるし……聖滅の剣ってくらいだ、奴の腐れた勇者の血の断罪にコイツが働いたんだろ」

バッカス『そういう事ではないわ。連中、レプリカ……エクスキャリバーを戦法に取り入れてきている可能性が高いと言っておる。
現に、何度か試してみただろう？　ピンポイントで魔物に与する勇者を始末できるか否かを』

女騎士「まあ、何度かはなぁ。そん時は野郎、生きてるか死んでるかわからんかったが……」

バッカス『ジョワユーズの天威、もしかすると一目で神の奇跡と見まごうような力が発揮されねば……
発動しないのではないか？　だとすると、エクスキャリバーでの攪乱を念頭にこちらも動く必要があろうよ』

女騎士「ナマイキな……メンドクセー、だったらパチモンキャリバー全部ブチ折ってから勇者を叩き殺せばいいんだよ」

ウロヴォロス『はぇ～』

バッカス『……ご覧のとおり、天威の顕現にはインターバルが必要らしいぞ。連中もそれは同じだろうが』

女騎士「は？　何だそれ、ふっざけんじゃねぇ！！　大体エクスキャリバーだったらこっちもあんだろうが！！
ほの字以下の連中に持たせりゃあいい、聖剣的にイーブン……いいや、この私がいる以上こっちが有利だろ！！」

バッカス『……』

(おっさん)(おっさん)(おっさん)
(おっさん)(アリエル)(おっさん)
(おっさん)(おっさん)(おっさん)

(おっさん)(おっさん)(おっさん)
(おっさん) アリエル (おっさん)
(おっさん)(おっさん)(おっさん)

(アリエル)(アリエル)(アリエル)
(アリエル)(おっさん)(アリエル)
(アリエル)(アリエル)(アリエル)

【ブリューナクの神殿/参道】

鴉「きゃつらの空母の制圧、まだかなりかかりそうですな」

勇者「どのみち、空母にあの女はいないはず。逃げ腰で、進路を北西本島へ向けてはいるが……
その航空戦力の厚さもブラフだ。こちらの戦力を削ぐためのスケープゴートだろう」

木の葉「あちらの思惑通り、人手を割いてしまっていてよろしいので？」

勇者「その為の精鋭が僕たちだ。どれだけの大群を率いようが、奴の喉笛に食らいつけねば全てが泡沫と化す。でしたね？」

敵兵「そ、そこまでカッコ良くは……しかし、あの野郎はあらゆるものを捨て駒にしてくるでしょうね」

僧侶「みっ、みなさん……はりきっていきましょう、おーっ……」

勇者「……この先で再度部隊を分ける。向かいに見える神殿付近にも……ドラグーンが駐屯していておかしくない、気を引き締めてくれ」

おかっぱ「了解だ」

敵兵「（だが、こちらの被害も小さくない……あっちは聖剣に、竜のチカラまでものにしてるんだ……
対するこっちは、勇者さん達を除けば俺みたいな一般兵、それに少数の魔族のみなさんがた……）」



敵兵「（死にたくねえ……絶対に生き残ってやる、必ずだ……！！　
凡夫の俺達がここまで来れたって事が、有利な風向きである何よりの証拠だ……！！）」

息子「凡夫なら凡夫らしく、余計な野心など持たずにそのままでおればいいものを……！！」

リンドヴルム「これは……なかなか壮観だな。人と魔族が手に手を取って彼女を殺しにやってきたか」

アルバス「……」

ポニテ「あなたという人は……やはりどこまでも東方のペテン師の血を引くのかッ！！　恥を知れ……！！」


敵兵「なっ……！」

僧侶「ぜっ、前方から来ますっ、お気をつｋがょぺ」

鴉「僧侶殿ォー、僧侶殿ォー！！」

木の葉「僧侶殿の顎から上が吹き飛んでしまったァー」

勇者「怯むな！！　このまま神殿を攻め落とすッ！！　僕に続けえ！！」

ネルガル兵「アジ=ダハーカッ！！　覚悟ォォ」

ネルガル兵「大陸を穢すゴミどもがァァ」

敵兵「ちっ、ちくしょう！！　ちくしょうがぁ！！」


ポニテ「あなたはっ！！　彼女を支えた経験を持ちながら、どうしてこうも卑しい事を！！」

敵兵「ふざけんじゃねえ！！　俺が奴を支えたァ！？　６年前の件は上からのお達しだ！！　俺は、俺は悪くねえ！！」

ポニテ「恩義を忘れて魔物の側につくなど！！」

敵兵「何ちらつかされたかは知らないが、あんたらみんなおかしいよ！！　騙されてる、みんな奴に誑かされてるんだ！！」

ポニテ「おかしいのはどちらだ！！　我々には、貴様ら魔王軍は文字通り悪鬼にしか見えないッ！！
それに与するのなら、人間だろうとケンタウリだろうと……等しく『人間』の敵だッ！！」

敵兵「分からず屋がぁっ……！！」

【エリン本島/深部】

秘書「はひぃー、はひっ、はひぃぃぃ……ははっ、ははははっ、危ねっ、あっぶねぇ連中ぅ」


秘書「はっ、はははっ、手筈通り……ネルガルの本隊が……きき、来た……って事ァ……卿もまだまだご存命……」


秘書「大学時代のコネって作っとくもんだよなぁ～～～ッ、円卓のパシリに抜擢された時はそりゃあ嬉しかったけど……」


秘書「くく、くくく……捨てる神あれば拾う神がいらっしゃるもんだぁ……そうさぁ、私ゃ、私ゃ大卒サマなんだぞう！！
北西のエッラーイ大学でた大卒サマを、さ、さ、さんざんコケにしたあいつらが悪ィんだよ……カカカカ……」


秘書「やっぱり都会派のわ、わ、私は……あんなレイシスト組織なんかより上品な北西で宮仕えの方が似合ってるっつーの……へへへ……」


秘書「そ、そう思いますわよね、ディナダンきょ……」

　　　　　　　　　,,..､._,ii､ -,,..-'';,i'　　　|;;;;;;;;;;;;;.;v―ｰi;;,,v-ｰ'"　 　 　 　 　 ,,-- 、
　　　　　　　　 ヽ./ 　 ｀ﾞヽ,;;;;__ゝ,, ..,,lﾞ;;;;;;;;;;./ 　　　　　　　　　　 　 _,,iiiﾆｿ一'" : ii、
、　　　　　　　　　　　　 _,,ﾐ/゛　 ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;ﾞ‐'―― .... r;;;;ッr‐'''''"゛　 .y､_
;ヽ、 　.,ﾉ７　　　　　　　ヽ‐゛ 　 ,r''ﾞ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,i‐'"　　　　　　　　 ヽ;.|
'''-､ﾞﾞア'"　　　　 　 　 　 　 {,ﾞ二､,,-､;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;r‐┘ : :lﾆ;;． 　 　 　 　 ゛
　 ...ｌ′　　 :l";二ﾞ''''┐　　　 　　 ,l´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ-'''''-、　　　　　　　　　　　［'l、
._..．　　　_.　 ´　,〉;;;;;;ﾞ'ｰ､,　 . _,._..ﾐ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;7　　　　　　　　　　　 ｀ﾞ"
;;;lﾞ　　　.ヽ;;￣￣;;;;;;;;;;;;;;;;;.!　 .l､;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.!　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 _,,
.､!､　　 .,i┘;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾉ^'''"　　 ,|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,..;＞ｰ'ﾞﾞﾞﾞﾞヽ　　　　　　　　　　　　 ﾞ‐'　|.ｌ
..l;;;;ﾞゝy レ;;;;广'L;;_..ｺ　　　　l;;;;ン'ｯ;;;;;;;;;;.,,.;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;./ 　｀''､_;;;;;;;;|　　　　　　　 .,,,　　　　 .　ｌ､;ﾞ￢．
. ﾞ'''''″ .ﾐ､;;;;ﾞ''''l:ﾞ'"　 ` .、　 ｀''" : l.;;;;;;;;;;lﾞ ﾞ'<;,v､;;;;;;;;;;/'　　　 .｀''''"　　　　　　　 !;;ﾞ''┐　　　　.ﾞ'ｰ'"
　　　　,-シ､;;_ﾉ　　 . _,　｀　　　 .tナ‐'￣″ ∥ .｀'―ｰ!lｌt;;． .'　　　　　　　　　　!､;;;丿
;/　　,r./ 　l;/　　　 '!┘　　　　　　　　　　 　ﾘ'i　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ´　　 ,,、　　　,、
,! .／　　,i";;{_ 　 　　　　　　　　　　　　　　 =!.!.ｌ　　　　　　　　　　　　　　　,i'''；　　　　 .|;;;;ﾞﾞ''''''";;.ｌ､
! 　　　　ﾞL;;;;;ﾞ＞　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　マ　, ､,,, 　 　 　 　 　 `''".ｨ;;-一'´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
..,i￢―''>.ｌ..､/ﾞ　　　　i'ﾞﾞ~ﾞﾞﾞ'-|!!ゝ　　　　　　　　　i'''j　　.!､,,;l,ﾞ,,r‐ｰ､　　　　　　　 ｀''-､;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ｨ
: };;;;;;;;;;;'＼_ ゛　　 .〈;;i ゝ､;;;;;;;;;.ア　　　,......、　　　,iﾐ;;/　 ,r'''";;;;;;;;;;;;;｝ ._.. ;;i　　　　　　 .｝;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;､
.lﾞ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!　 　 .,ﾝ-. : '!''Ｌ,lﾞ　　　　ｌ.;;;;;;ﾞゝ､,i''";;;;; !　!;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ｌ!´二..,,,＿,..--'''";;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゛
.;;‐;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|　lﾞ;l ,!;;;;/　　　.|'ﾍ,　　　　｀''''''ｉ_;;;;;;;;;i;;,ﾞ　　ｌ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,! ﾞ'―'''''''^ﾞﾞﾞﾞﾞﾞ'l,,_;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;

..!､_;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾞ!-ﾞ;|,`''″　 .,／;;;;;ゝ..r‐┐　　　i";;;;;;;;i┘　 ゝ､;____,,／´　　　　　　　 : ,ii;;,ﾞ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
　.ｨ";;;;;;;;;;;;;;;;;,,､;;;;;.! ---'''ﾞ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; !　　 .〔;;;;;;;;;;;;ヽ :lﾆ二'ﾞ'';;．　　　　.,.. -ﾆ＝''"゛　./;/''''i;;;;;;;;;;;;;;;;
.ｰ'ﾞ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;∨;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/　　　　ｌ;;;;;;;;;;;;;;;ヽ,　　ヽ!　　　　　 "'"　　　　　.． 　 . l-ｘ,;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.;v ..,,,,､;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾞ'―- -ヘ;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾞ'---､　　　　　　　　　　　　　　　 "　 .'|ﾞﾞ''､
.ｌ´|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.ﾝ- ／ 　　　 ゝ-..､;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;￢';;ナ'　　　　 　 　 　 　 l7　　　l
;;;;;;.,,_.;;;;;;;;;;;;;/　　 　 　 　 　 　 |;;;;;;;;;;i￢ｰ-,,,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;{´　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 !

【ブリューナクの神殿/大鉱石の間】

女騎士「……おやぁ。息子から離れてこっち来たのかい」

リンドヴルム「……」

女騎士「ッたくよぉ……肉壁も通用しねえ、人質も見捨てる……テメェ、一体何しにここに来たってんだよ……」

リンドヴルム「……」

女騎士「よぉ……勇者サマぁ？　こンのくたばりぞこないがよぉぉぉ～……！！」


勇者「……」

おかっぱ「ゲスが……」


女騎士「その黒髪……テメェ、もしかしていつぞやの豆タンクか？　しばらく見ねえ間に頭だけゴリマッチョのトロールと挿げ替えたのか」

おかっぱ「貴様とその取り巻きを一掃したら、ゆっくり元の身体を探しにでもゆくさ」

女騎士「極東の未開人が……いっちょまえにこの私と口利けることをもうちょっと光栄に感じろ、な？
テメェのようなイエローモンキーをいまだ絶滅させずのさばらせておくのはやはりいかんなぁ」

おかっぱ「帝国の……大陸の闇の権化が。その腐った思想でどれだけの命を弄んだ？」

女騎士「未開人が命の尊さを問うとは見上げた調子のこきっぷりだ。いいか黄猿、大陸を文化と技術を持て余したバカどもとか言ってやがったな？
私からすりゃあな、このご時世にも未だにハラキーリセップークしてやがるテメェらの方がキモチのわりいアホポンなんだよボケナス」

勇者「もういい」

女騎士「知ってるぞぉ？　旧態依然としたスタイルが残ってるってなぁー。
下民から吸い上げた富で膨らした腹を、お上の目の前でモツごとかっさばいて生け作りすんだって？
それをブシのプライド？　ブシドー？　とか抜かしてんだろ？　そんなキの字の末裔が何言ってんだろうなあ？」

おかっぱ「……そうだな。貴様と会話を交わすのは無駄だったな」

女騎士「はっ、テメェをブッ殺したら……猿どもの駆除に乗り出してやる。それから……」



勇者「ウルスラグナァァーッ！！　そいつを殺せェェーッ！！」

女騎士「カスども！！　私に敵うとちょいとでも思ったのか、マヌケどもがよぉ、なぁ！！」

おかっぱ「（彼の剣圧を受けた……あの剣が……聖滅のジョワユーズッ！！）」

女騎士「どっからクスネてきたかは知らねーが……それも聖剣なんだろォ？
とんでもなくヒマなバカガキだ、楯突いてるつもりだろうが、また私への貢物を持ってきただけに過ぎねぇよなぁ！！」

勇者「ゲス……クズ……ゴミ野郎……ビチグソがァ……殺す、絶対に殺す……殺すぅぅ！！」

女騎士「みぞおちがお留守です、ぞっと！」

勇者「げぁっ！！」


女騎士「健気ですこと……まだ向かってくるのかぁ。クク……」

勇者「……」

おかっぱ「既に……貴様らの空母は抑えた。北西正規軍も、連合からの圧迫で動けん。
貴様はあの空母を囮に逃げおおせようとしたのだろうが……そうはいくか……逃がさん！！」

女騎士「で？　何か私に問題でもあんのか？　ここでテメェらを皆殺しにして、ゆっくりお散歩しながら大陸に凱旋するのに何か支障でも？」

勇者「再度A解放……全覚醒……行くぞ、ウルス……」

女騎士「テメェらにできる事っつったら、この私のズルしてチートモードの接待に付き合って死んでいく事ぐれえなんだよぉ。
もっともぉ、私はテメェら魔王軍みてーに捕虜の腹さばいて内臓ビチずり出して、布にブリまいて乾燥させて脅しに使うなんて質の悪い趣味ないからなー」

おかっぱ「……」

女騎士「テメェらのしたっぱ……どうせその辺闊歩してる魔物野郎どもだろ？
さっき何度か聖剣でお掃除させてもらったよ……エクスキャリバーを利用した攪乱戦法だって？　使ってんだろ？」

おかっぱ「な……」

女騎士「無駄なんだよぉ無駄ぁ、テメェらのフトコロに穴開ける事なんて、赤子の小指へし折って知らんオッサンのせいにする事より簡単なんだからよぉ。
ジョワ公を使っての標的が見つからねぇ間は、デュランダルでお掃除させていただいた。つーまーりー……」

おかっぱ「（空母への侵攻が……緩むか……！）」

女騎士「さぁて、どうするぅ？　銃でも使ったら勝てるかもなぁ、私は自慢じゃあないが銃は苦手なんだよ」

おかっぱ「……」

女騎士「苦手だから、こっちは聖剣使わせてもらうぞ？　さっきテメェらの舎弟に相手してもらったが……
いや、体を張ったいい接待だった。ジョワ公でつっついたら花火みてーにはじけ飛んだぜ。ははは」

勇者「そう、か……」

女騎士「……」

おかっぱ「銃は効かない……か」

女騎士「……」



おかっぱ「援護するッ、突っ込めぇ！！」

勇者「おおおおおっ！！」

女騎士「だぁから銃は……無駄だっつってんだろォがッ！！　ドテカボチャどもがッ！！
そんな鉛玉で聖剣がどうにかできるわきゃあ……」

　 　 　 　 　 　 ヽ　　　　　 .＼　 .＼　　　　＼.'､、.ゝ、　　　 .!　 .ヽ　　　j|　　　　.1　　　 .|　　|　　　| /
　　　　　　　　　　＼　　　　　 ｀　　 ＼　　　　ヽ,｀'-,.ｌ　　　　│　　.lﾍ＿ﾉ.ｌ　 　 　 l　　　 ,!　 / 　　 〃
　　　　　 　 　 　 　 ｀ﾞ'､　　　　、　　　丶　　　　ヽ, .`″　　　│　　 .ｌ　　 .ｌ　　　　.!　　　 ! /
__　　　　　　 　 　 　 　 ＼.　 ../L　　　　　　　　　 ヽ　　　　　 .!　　　..ｌ,　　ﾞl　　　　l　　　.!/
. ｀ﾞ'''ｰ　..,_　　　　 　 　 　 ｀¨"　 `‐､　　　 . ｌ、　　　.ヽ　　　　 .|　　　 .ﾞl、　!　　　　|　　 .|/
　　　　　　｀ﾞ''ｰ ..,,　　　　　　　　　　`!、　　 .!ヽ　　　 .ﾞ‐　　　　.!　　　 . ｌ　.!　 　　 　　　.l|
　　　　 　 　 　 　 ｀''ｰ､、　　　　　　　 ﾞ'‐ ,,_ lﾞ .＼ 　 　 　 　 　 |　　　　 .! .|　 .'ｔ、　　　 .!　,ト、
　　　　　　 　 　 　 　 　 ｀''-､,　　　　　　　 　　　 ｀て　　　　　 │　 .」　 .! |　　 |ﾞｭ,　　 .! ./　 ｀＼
　　　　　　　　　　-,z＿、　　 , ＼　 　 　 　 　 　 　 ヽ　　　　　 .|　　ｌ ｌ　 .ｌ.|　　 .llﾞ　　 .|　)_　　　/
　　　　 　 　 　 　 _,)　　弋　　　 弋、　　　　　　　　　＼　　　　│　.|/　　.!|　　 .il　　 "　　.ｌ.　./ 　　,i|
　　　　　　　　　　￣⌒¨¨ﾆ＿　＿＿＞　　 ＿　　　　　 ヽ　　　 ＿　 　 　 |　　 .,|'、　　　　 .! /　　 / .|
　　　　　　　　　 　 　 　 　 ＼二＿＿__　　 ＼｀''''=、 　　 `-..／　/ 　　　 　　　│ ｀"7　　　ﾚﾞ　 ./ ／
　　 　 　 　 　 　 : ‘'''―- ..,,,_　　　　　 . ´ﾞ''ｰ⊥　　 ＼ 　　　　　（　　　　　　　　|　 ./　　　　　　 |'"
　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ﾞﾞ'''ｰ　,,,、　　 : ﾞｰ＝ﾆ"　　　　　 . ｌ　　　　 .,|　　.ヽ　!　　!　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ｀''‐　　　　　 ㍉、　　　 .lﾞ　　　　 /!　　　｝.!　 .lﾞ　　　./
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _＿___＿｀ゞﾐx.　 ＞　　　ヽ　　　 / !　　　l/　　!　　　/ 　　　人
　　　　　　　　　 　 　 　 　 _,,.. -ｰ''''"￣゛　　　　　　　｀k. : ＼、　　＼＿_/ .,!　　 .|lﾞ　 .lﾞ　　 .lﾞ　　, ／　.|
　　　　　　　　　　_,,　ｰ''"゛　　　　　　　　 　 　 　 　 lヽ,.｀‐　 . ＼　　　　　 │　　.!　　ｌ　　 　　 ./ │　/
　　　　 　 　 　 ´　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ ﾞ''-､.　　 `'-､　　 　 L　 /　　′　　　 ,i′ .| /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ﾞ''''ｰ-ミ;;､　　 ヽ　　　.|　〃　 、　　　 ./　　 l″
　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 厂''―-ｯ┘　　　　　　　　 ｀"　　 .ヽ　　 ∨| ,イ　　 　 /
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ,,ilr‐''''"´　 　 　 　 　 ／　　　-、 　　 |　　　'"　.!　　 . /
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ｒ'"゛　　　 　 　 　 　 　 ／　　　　＿ﾞ!イ i､ ヽ　　　　 {　 .〃 　 　 　 ／|
　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 / 　　　　　｀''､. ＼　＼ﾞl、　 　 し'/　　　　　/ 　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　__,,,,,........ ---r←───　　　｀!． ＼　¨ 　　　　 {＿　　　./ 　/
　　　　　　 　 　 　 　 　 _,,.. -ｰ''''"ﾞ´　　　　　　 ./ 　　　　　　　 ''ゞ.ﾐ;;､＼､>　　　　　　 ／　　_ilﾞ‐'ﾞ´
　 　 　 　 　 　 _,,　‐''"゛　　　　　 　 　 　 　 　 / 　　　　　　　　　　　 　　ｌﾞ'′　　　　 /　　 ./ 　　　 .厂/
.　　　　 ,,, -'"´　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 /　　　　 　 　 　 　 　 　 、　.ｌ　　　　　　 ﾌ　　　　　　 /／
.　,..-'"゛　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 /　　　　　 　 　 　 　 　 　 !ヽ　.!　　　　　 / 　　＿＞lﾝ"
.´　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　＼|　　 　 　 て／ 　 ／

女騎士「ねえん……」

勇者「こいつがあっ！！」

リンドヴルム「（デュランダルが……！！）」

おかっぱ「砕けたッッ！！　やれっ、やれええっ！！」

女騎士「あぇ、あ、あぅ、ふぇ？　あやや……」

勇者「死ねッ、死ねぇぇっ！！」

リンドヴルム「させるものか、やらせるものかッ！！」


カプッ

勇者「うぉまぇぇ！！　うぉまえぇ、つかまえたぁぁぁ！！」

女騎士「ひっ、キモい……キモいキモい！！　う、腕！！　お前腕……腕、食われたんぜ？　なのにぃ……！」

リンドヴルム「（腕一本では動きすら止められんとは……！　これが勇者……なのか？　気味が悪いぞ……）」

勇者「ざまぁーねぇーなデュランダルゥゥゥ、僕を、僕を捨てるからそんな目に遭うんだぞォォォ、思い知ったかァァァ」

女騎士「そ、そうだよ……テメェ、何してくれてんだこの野郎がぁ……！！　せっ、聖剣、聖剣ぶっ壊しやがった……」

リンドヴルム「（デュランダル……聖剣を破る手段、やはり何がしかを確立させてきたか！！　それも、銃……弾丸に何かを仕込んで！！）」

女騎士「レイプ魔ァァァーッ！！　何してるぅぅぅー！！　殺せぇぇぇー！！　今撃ってきやがったモブ野郎を全員食い殺せぇぇぇ！！
丁寧にアマガミしてやって、生かしながら下半身からミンチにしてやんだよぉぉー！！　生まれて来た事を後悔させてやるんだよぉぉぉ！！」

勇者「喚くんじゃあないッ、ゲス女がぁ！!　貴様はここでおしまいだ、何もかもなぁ！！　貴様には確かに天運があるんだろうが……
僕らは既にすべてを捨ててるんだよォ、そんな僕らに今！　包囲されてる貴様はぁぁ！！」

女騎士「訳わかんねぇ事言ってんじゃあねぇぞ……！！　テメェ、テメェだきゃ私が殺す、ぶち殺してやる……」

勇者「貴様の天運に陰りが差してるって事だよ……日頃の行いがやっと祟ったんだよ……
ふはっ、はははは……魔を滅する剣がなくなっちまって……勇者を名乗るのかい、アジ=ダハーカ！！」

おかっぱ「（自動的に主を防衛する能力を有するデュランダル……通常弾を織り交ぜて、ようやく本命を当てる事ができたが……！）」


女騎士「私はなぁ、いわばゴミ掃除してるだけだろォ？　何が気に入らねえってんだガキ。
テメェらは啓蒙だとか言って私らの食い扶持に文句つけてきやがってよぉ。人権だとか権利の定義だとか……」

勇者「……」

女騎士「わからんでもない。ないが……その権利ってのを有するのはまっとうな人間だけだろォ？
きちんと私の為に納税して、私の役に立って、私の為に死ねる人間の為に権利ってのは最低限くれてやるようなもんだろォ？
そこにテメェみてえないかれたトンチンカンや薄汚い魔物は入ってねぇんだよ……何べん言わせりゃテメェのスポンジお脳は納得すんだ？」

勇者「理性ある……平穏を願う存在全てを食い物にし、踏みつける貴様にはわかるまいよ……
彼女の……魔王の悲願を嘲笑う貴様みたいなクソッタレのドブアマには決してなぁ！！」

女騎士「理性ぃ？　理性って何でちゅかぁ？　メシ食ってクソたれてセックスして寝る以外の感情の事ぉ？
博打やってクスリやって他人のモン欲しがって他人ブッ殺してってそれぐらいしかねぇーだろぉー？」

勇者「対話が期待できん貴様にはカケラもない概念だよ……貴様には縁もゆかりもない！！」

女騎士「はーいブーメラーン、そうやって自分の気に入らない人間を排斥するんだテメェらは。
ヒッドイなー、他人にそうやって差別主義っつーレッテル貼って、テメェらが貶めてんだもんなー。
やっぱりそんなテメェが先陣切るような連中に理性なんて期待できねーわ、ちゃんちゃらおかしいぜ。
沼のミドリムシにいちいち慈悲を持つか？　風邪のウィルスに人権が必要か？　いるか？　いらねぇよな？
ねぇーーーーーだろ！？　必要ねぇーーーーーだろォーーー？　私がテメェらをそう思ってんだから必要ねぇーだろバイキンどもが！！」

勇者「……」

女騎士「ケッ……あんなナマクラあろうがなかろうが魔物は皆殺しにするがな……よくもやってくれやがって……何が勇者と魔王だ、アホくせぇ！！
聖人気取って魔王のケツの穴のシワなめまわす変態野郎の分際で……私の世界から魔物ごと消えやがれ、チンカスがぁ」

勇者「勇者の風上に置けん大陸の癌め……！！　よくもやってくれやがって……何が女騎士だ、バカバカしい！！
聖人気取って欲望と野望を満たす為だけにすべてをオモチャにして弄ぶ外道……！！　この世界から消え失せろ、クソアマが」


勇者「貴様さえ！！　貴様さえいなければ！！」

女騎士「テメェさえ！！　テメェさえいなければ！！」

甘噛み…？

>>573
甘咬みの一例

　　　 　　　　∧　
　　　 　　　　/´｡ `ーァ　　　　
　　　 　　((　{　 々,,ﾟl´_ﾓｸﾞﾓｸﾞ
　　　　　　／　o/　 дﾟ )　　　　　　　　　　　　　(ﾟдﾟ　)　.(ﾟдﾟ　)　(ﾟдﾟ　)　
　　　　 　（　　　l| Ｕ　/J　　　　　　　　　　　　　ノヽノ |　 ノヽノ |.　ノヽノ |
　　　　 　　U＾∪しーＪ　　　　　　　　 　　　 　 　 .<　<　 　 <　<.　 　<　<
　　　　 　　　　∧
　　　 　　　　/´｡ `ーァ
　　　 　　((　{　 々,,ﾟl´_ﾓｸﾞﾓｸﾞ 　
　　　　　　／　o/|Ｕ　/J　　　　　　 　 　 　 　 .( ﾟдﾟ )　.( ﾟдﾟ )　( ﾟдﾟ )
　　　　 　（　　　l しーＪ　　　　　　　　　　　　　ノヽノ |　 ノヽノ |.　ノヽノ |
　　　　 　　U＾∪　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 <　<　 　 <　<.　 　<　<

【エリン本島/中央上空】

ポニテ「くそ……連中、まるで部隊の体を為していない、それぞれが弾丸のように突っ込んでくるッ……！
騎竜すら編隊を組まず、匍匐飛行で縦横無尽に駆け抜けてくる……！！」

ダークエルフ騎兵「まずいぜ……2番艦の迎撃に騎竜を割いたのが仇になったみてえだ、
北西の正規軍ありきの編成が完全に裏目ってる！　人手が足りねぇ、もう神殿までがら空きだ！」

ポニテ「諦めるなッ！！　みすみす騎士様の首を魔物どもにくれてやるわけにはいかんだろうが！！」

ダークエルフ騎兵「だが、すでに相当数の歩兵が参道付近になだれ込んでいる！
俺たちだけじゃ無理だ、北西か……共同体の海軍戦力が来るまで待つしかない！」

ポニテ「まだ、手はないわけではないだろう！　あれは半月前にこのエリンへ渡っているはずだ。
多連装砲用の弾頭弾、それに携行用の手榴弾に充填加工されたものが配備されたのを覚えているだろ」

ダークエルフ騎兵「あれってまさか……帝国軍の……」

ポニテ「現在の風向きを考慮すれば、高台にある神殿とその周囲は被害を被らんはずだ」

ダークエルフ騎兵「ここでガスを使う気か！？　付近には雷帝の部隊もいるはず、あまりにリスクが……」

ポニテ「ここで使わないでいつ使う？　騎士様の命が潰えればすべて終わりだ……それとも諦めて魔王軍の慰み者として投降するか？」

ダークエルフ騎兵「危険すぎる！　連合や北西への心証が……」

ポニテ「我々の命より、こんなところでのうのうと何代も飼われていた家畜の方が大事だって言うのか！？
ここで負け戦で終わってみろ、西欧諸国からは再び穢れたエルフの末裔と罵られ、他のダークエルフからは売国奴と後ろ指を指される！
私はいやだ！！　絶対にいやだ！！　うんざりだ！！　どれだけ結果を出そうが、肌の色と血縁で排斥を受けるなんていやなんだ！！」

ダークエルフ騎兵「……」

ポニテ「我々は、帝国軍人であり……帝国民であり、人間なんだ！　聖人でもなければ魔物でもない！！
だからこそ！　いま騎士様を喪うわけにはいかないんだ！　連合や北西が私たちをまっとうな待遇で受け入れると思うか！？
勝たなきゃ死ぬんだ！！　人間として死ぬ！　ここで勝たなきゃ、我々はまた『在帝ダークエルフ』に逆戻りだ！！」

ダークエルフ騎兵「俺だって……いやだ、いやだ……！　そんなのは……」

エルフ三男「許可する」


ダークエルフ騎兵「たっ、大将閣下……？」

エルフ三男「化学兵器の使用を許可すると言った。ただし……」

ポニテ「ただし……？」

雷帝「この、私の立会いのもとでだ。異存はないな？」

ポニテ「連合の……情報……庁……！」

雷帝「ベースは6年前の旧帝国軍が製造したびらん剤と聞くが……あの馬子にも衣装な異形の魔物どもには効くのか？
各地の軍施設に配備されていたアダムサイトやサリンはこちらで押収しているが、果たして……」

エルフ三男「確かに魔物どもの無力化にはいささか時間がかかりましょう。しかし、ガス弾はそのマスタードガスだけじゃあない。
並行して即効性ガス弾の用意もある。臨床実験の結果、ジャバウォッキー血統を有する存在にも十二分に効果が認められた」

雷帝「クク……とんでもねぇな」

エルフ三男「エリンの市街地や森林……広くはないとはいえ、揮発性の高いものではまずカバーしきれない。
用意したものならば……この島そのものを殺す事もできるはず。無論、使用が発覚すれば我々の破滅は免れない」

雷帝「が、使ったのが『魔王軍』なら問題はない。極悪非道の魔物が、新兵器VX弾を用いてテロを行い、
FCAの庇護下にあった北西領土を汚染……多大な損害と犠牲を出しました。なら、まったく問題ない」

ポニテ「VX……」

雷帝「世代すっ飛ばしたかのような威力なんですってねぇ。無味無臭の死神……おお、こわいこわい」

エルフ三男「君たちの想定通り、風向きが我々に味方してくれている。散布後は速やかに作戦区域より離脱、
指定の共同体船籍の船へ順次着艦してほしい」

ダークエルフ騎兵「……」

ポニテ「了……解……」

雷帝「場所の確保には……この私も参加してさしあげましょう。何と言っても……私も勇者ですのでね」

エルフ三男「（1人たりとも逃がすものか……皆殺しにしちまえ……騎士様の敵は全部……）」

雷帝「（見事なまでに頭のネジが外れた化学兵器……本国へのいい土産ができた……
母様ひとりがあの世に行くなんて……そんなの不公平……ずるい……だから……
たくさんたくさん、できるだけ多く地獄に引きずり込んでやるとしようかね……）」

【ブリューナクの神殿/正門前】

秘書「」


息子「（なるほど、スパイというのはコイツの事だったわけだ。北西滞在中に構築したコネに目をつけられ……）」


息子「そうしてこっちに送り込んできたか、円卓の残党……！！」

ディナダン「……」

息子「今更何の用だ？　円卓も儀典局ももはや名ばかりの存在、貴様が出る幕じゃあないぞ」

ディナダン「何の用……老い先短い老人に向かって冷たいですねー……」

息子「北西に内通していたあの人をも利用し、こんな姑息な手を使う。
貴様のように両の足首を死神に握られてる干物ババァが！！　なめたまねしやがってよ！！」

ディナダン「……」

息子「これからは僕らと母様が時代をつくるのだ、何もかも乾ききった過去の遺物は消えてなくなれ！！
歪んだ思想で育った老人は僕らの世界に必要ない！！　すべての戦の元凶が！！」

ディナダン「そう、過去の遺物は消えてなくなるべき……新たな世界に、先人が拵えた首輪は必要ない！！」

息子「貴様もそのひとつだろうが！！」

ディナダン「まずは北西の呪縛アリス=リデル！！　そして次は、この世界そのものにかけられた呪縛を解く。
われわれ人間の手によって……すべての試練を乗り越え、あるがままの人の営みを得るために！」

息子「……」

ディナダン「円卓に入って70年……ジャバウォッキーとウロヴォロスの存在を知り、私は彼らからの支配から脱する為の努力を惜しまなかった。
そして、ようやく……ようやく奴が！！　ウロヴォロスにもっとも近しい存在である奴が現れた！！
針の孔をくぐるかのような賭けに、ようやく私はチェックをかけたのだ！！　産まれて数年の小僧が！！
竜との混ざりものの小僧が、純粋なる人間の願いの前に立ちふさがるか！！」

息子「何言ってんのかわかんねぇーーーんだよ糞ババァがよぉーーー！！　首ィ叩き折って畑の堆肥にしてやるからそこに直れ！！
オレはテメェのような意味不明なポエムを吐き散らかす電波野郎が大嫌いなんだよ、気持ちワリィなあ！！
自分でもどうしてここまで腹が立つのかわからねえ！！　きっとこりゃあ、産まれつきのものなんだろうなぁー！！
さぞかし深い内容が含まれていると思わせておいて、実は中身カラッポってのはマジでムカつくんだよ！！」

ディナダン「ウロヴォロスの搾りカスが……」

息子「長生きしてきた事を後悔させてやる……円卓の出涸らしがッ！！」

ー .._,;ゝ..,,、　｀'-､;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.ｌ- i､、ﾞゝ､,､ヽ、　　 .i〉;;;;;;;;;;;;;;;;;;/゛　　'" 　.,..-/!彡'".りシ',ﾞ_　　　　　　_..-
　　　 ﾞ'''-､｀'-､　 ｀'-_;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ｀'ﾐ〟　｀'''.ｌｼ､　 .ｌ.;;;;;,i∴;;.″　,-　, ;;ｿ｣彡"　 .,ﾉ".｀--│　　_..-'";;;;;;;
　　　　　　 ｀'''''≒　 .｀'-､;;;;;;;i..､;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ　ﾞ〈ヽ、　　.ﾞ'､"x. l;;;;;|. ..!./ 　/ .,rｼ",il'"　　　　亠　　　 ._iir㍉;;;;;;;;;;;;;;;
...,,、　　　　　　　　　　　 ｀''-_ヽ｀'-､;;;;;;;;;.;_;;;;;ヽ,　 ﾞ'ﾍ　　　. ｌ;;;丶;;;;｝ ｀　　.,;;ｿ゛　　　　 　 　 　 　 　 ´　 /ﾞ;;;;;;;; ／
ー 二ﾞﾞヽ ,,、　　　　　　　　　｀'!‐　｀'-,;;;{. ｀'-､;ﾞ!、　　　 .l-'､.ｌ.;;;;;;;;;.!　　.,il″　　　　 　 　 　 　 　 _,,　-'";;;;;;;;;;;｀￢
..,,..........ﾌ;;;;;;;;｀''‐ ,,、　　　　 　 　 　 　 ,ﾞli/､　 ｀'､.ｌ,　　　 .｀'/'./ ;;;;;lﾞﾞ　./　　 　 　 　 　 　 　 , r二-''''"￣￣´ﾞ''y;;;;;
^ﾞﾞﾞﾞﾞﾞ'''''".'''''.'''ヽ-..;,ﾞﾆ＿　　　　　　　　｀ﾞﾞ''''＞x, ﾞ ll、　　　 .!､/.ｌ;;;,!　i'　　　　 　 　 　 　 　 ''"　 　 　 　 　 ｀-￢'''
　　　　　　　　　　　　 ｀'''｀-ヽ,,　　　　　　　|､｀''ﾆi几　　　　 ″|;;'!
..,......xi，　　　　　　　　　　　 ｀'''ﾐ;;ｘ、　　　　´　　 .｀ l､　　　　　l､;.ｌz'ｱ　　　.,i;;|lrl!!!!¨'″　　 ,,,
　￣　 ..,,u．.-..、　　　　　　　　　 ｀''ｽｯ、　 y ..、　　 !li　　　　 `l/ l/　　 ..il′　　　　　　 ,,iｌ'"´
:ﾆﾆ;;;;ｭiｘ..,,,,,_.　.｀'s､　　　　　　　　　　 ﾞ''く、 |;,_｝　　　.ゝ　　　 .″,l′.,，　　　　　　　　 .,.″ .＝　　.r!″　'.ｌy
　　　　　 . ｀''-ﾞ二;;;;｀ﾞ''''､　　 　 　 　 　 　 ﾞ" ″　　　　　　　　　 iﾘ.,〃　 　 　 　 　 , .｀ j,i′　　　　　　　　 l!
＿__,＿_＿_＿_＿_i;;;;;;;;;;;;"―　..,_　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 l;;ﾘ"　 i､　　　　.,ij"　_,/.ｌ_、　,,irｰ　　　　 .∧　._.
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.xｯ----｀-=- ..　　　　　　 　 　 　 　 i|'" -｀--ﾐヽ､..,,ノ;フ'"ﾞ'-ぃ〈￣.ｺ;;-､___,.. -";;;;;~ﾞｨ
.,ﾝ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,,..一'''''''ｰ､,;;;;;;;;｀'ｰ- ..,,、　　　　　　　　 　 　 　 　 ゛　　　　　 ｀'.ｌﾐ,ﾞ゛　　　　　　＼;;ヽ ＼ ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;./ 　　　　　　｀くv-￢'''"ﾞﾞ´　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!.i''~ｌｭi,,、　　　　 ヽ,,,,ﾞ' ＼ ;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;i‐′　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 !;ヽ　　 ｀'Ｌ　　　　 ﾞ".! !　`ぃix,;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;/　　　　　　 : _,i〟　　　　　　 　　　　　　　　 _..〟　 　 　 　 　 　 　 |;;;;;;;ﾞ''-､、.ﾘi　　　　!＞　　　ﾞ'ｉ ｌヽ.;;
;;;;;;;;;;;;./　　　　　 ,..r/「″ 　 　 　 　 ,,rj″　　　　 Y''フ'´　　.▽　　　　　　　,i";;;;;;;;;;;;;;.ｌ'!ﾐiv ､　　　,.ｌ|x,　　　 ﾍ.ｌ.ヽ
;;;;;.／　　　　 .,r彡'" 　 　 　 　 　 '!レ'"　　　　　 .//　　 .,r､　　 　 　 　 　 f'"｀''./ ;;;;;;;;＼.ﾞ'-､''-..,,,｝;;;;;ヽ　　　 ｌ"l,.
／　　　　　　 ´　　　　　　　　　　　 、　　　　　,ノ;/　　　 ¨゛　　　　　.,,〟　　　　.ヽ;;;;;;;;.ｌﾞ'!)i、｀＼;;;/'''''-＼,　　∨
　　　　　 　 　 　 　 　 　 ,,、　　　,,〃　　　.,..;;ﾆi /　　　 　 　 　 　 　 ´　　　　　　 ヽ;;;;;;;ﾞ;;､ `　　 ﾞ'ﾐ､　　 ﾞﾞ'ﾆ;;､
　　　　　　　　　　　　　,i彡　　　/│　　　 ″.,〃　　 .,i;;　　　 .,-、　　　.i;;;;;i　　　　　.ｌ.;;;;;|..ﾞ'|l、　　　ﾞ'li、　　　 ﾞ'ﾐ
　　　　 　 　 　 　 　 ,iｸ゛　　　　l";!I　., ―--ｸﾞ　　.n /゛ 　　　l/　　　　 .ﾞ‐'"　　　　　.ｌ;;;;;.ｌ　.ﾞ'ｆ、　　　ﾞ.ｌx　　　　ﾞ'
　　　　　.,l　　　　.,ﾝｸﾞ　 ,．　　/ ;;;;ﾞ‐',,､;;;;.;i′　　 :!┤　.lL　 .`　　　　　　　　 　　　 　 ｌ;;;;;.ｌ　　ﾞ|''､　　 . ｌヽ
　　　　 .,l|　　　../ ;/　 〃　 ./ ;;;;;;;;ｒ'" !" .lﾞl　　　 : |;;|　　｀　　　　 　 　 　 　 　 ﾞlｭ　　　!;;;;;.!　　ﾞ'ｉ;ヽ　 i､ ゛
　,　　　 !｝　　,i";;;;lﾞ　,iﾘ　,／;;_ﾝ-/　　　　|;l　　　 l´;;;.ｌ　　　　　　　　　　　　　　　ｌ;ヽ 〟l;;;;;;.ｌ　　 .`┤ .ﾞ┘

【ブリューナクの神殿/大鉱石の間】

勇者「がぇっ、え゛っ、こゃえ」

女騎士「……」

勇者「がぶぅ」


おかっぱ「これが……ジョワユーズの……」


勇者「……」

女騎士「……」

勇者「が……」

女騎士「ｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗ」

勇者「……」

女騎士「ッダラァァー！！　汚ぁぁーねぇーなぁテメェ―ｗｗｗｗｗｗよぉ！？
こぎたねえ血ぃ撒き散らしやがってよー？　はははｗｗｗｗｗｗｗｗｗはははははｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗ」


おかっぱ「（あの鞭のような刀身で……身体を千切り……）」


女騎士「おら」ﾊﾞｷﾞｭ


勇者「」


女騎士「こうしてよお、しっかり脳天に鉛ぶちこんどきゃ良かったわけだなぁ。どうしてこんな事すんのに6年もかけてんだ私ゃ。
それとも、二度と生き返らねーようにハラワタねじ切ってワイバーンに食わせた方がいいのかー？　かかかかかｗｗｗｗ」

ウロヴォロス『あぇー、ちみどろー』

女騎士「クク、くふふ……はは、はははひゃっ、終わった！！　あたしの勝ちだッ！！　
勇者の血ッ！！　聖剣ッ！！　神霊ッ！！　高等竜ッ！！　うはははは、身の程知らずのクソカスども、
あたしの下に這いつくばれ！！　あたしの爪の垢をしゃぶれ！！　あたしに隷属しろッ！！
あたしを楽しませろ！！　あたしの為に生きてあたしの為に死ね！！　こおうやってなあ！！」


ネルガル兵「がにゅら」


女騎士「くふふ……気持ち、初めて使うよりかこの聖剣の鞭……だんだん馴染んで来てるっていうのかぁ？
今じゃこうして、壁際を這ってるゴキブリをねじ殺すのもワケねえってこった。はひゃはははｗｗｗｗｗｗ」


おかっぱ「……」


女騎士「雑魚を何人集めた所で雑魚は雑魚なんだよ雑魚！！　雑ぁー魚！！
ミジンコが象に勝てるかァ？　所詮は華麗で可憐で容姿端麗才色兼備明眸皓歯良妻賢母で窈窕淑女、
エレガントでキュートでクールでちょっぴりセクシャル、他の追随を許さぬ絶世の麗人たるこの私に、
ちょいとでも敵うと思う方がおかしいんだよ、マヌケどもが！！　私の前にひれ伏せ！！　媚びろ！！　そして死ね！！」

【僧侶…リュリュ=リオタール 死亡】
【勇者…ラウラ=ベルギエン 死亡】

【秘書…ダーナ=クリステンセン 死亡】

おかっぱ「魔王軍は……勇者は……ネルガルは、文字通りすべてを擲つ覚悟で戦いに臨んだ……」


おかっぱ「奴の神にも等しい天運の前には、同じ勇者の血脈の者は圧倒的に不利。
確定要素ゆえに現人神として君臨できうる勇者はまた、確定要素ゆえに上位の勇者に勝つことはできない」


おかっぱ「それならば手は一つ」


おかっぱ「勇者のように、天威が定まっていない只人ならば……不確定要素たりえる只の人間ならば、
針の孔の先へ到達する可能性はゼロではない。何人、何十人、何百人の命がなげだされようが、
一人、ただの一人が奴を撃ちぬけば我々の勝利。奴の油断を誘うべく、勇者は自らの命を人間に差し出した……
革命とは、ひとりの勇者がおこなうものでは決してない。革命とは、只人の思想の奔流によって成し遂げられる……」


おかっぱ「人間なめてんじゃあねーぞクソ勇者ッ！！」

　　　o
　　　　ゝ;:ヽ-‐―ｒ;;,　　　　　　　　　　　　　　 。
,,____＿冫;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:＼　　　　　　,,,,,,,,　o　　／
"｀ヽ;:;:;;;:::;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:从　　　　（;:;:;:;:ヾ-r
　　　〈;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:）　０　　ソ;:;:;:;:;:;:;:｝
　　,,__);:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:ノ　　　　 ゞｲ"ヾ,:;:,ｿ
　　(;:;:ノｒ-´^~;;r-ー⌒｀　　　　,.、
　　"　　,,,,　　　　　　_;:;:⌒ゝｿ;:/
　　　　（;:;:丿　　　　（;:;:;:;:;:;:;:;:;:)
　　　　　　　　　　　　ヾ;;;;;;;;;;;;/;　＼
　　　　　　　　　　　　´　　/;:ﾉ　。　　。
　　　　　　　　　　　　　　　　（）

女騎士「あいだっ！」

ウロヴォロス『あやや、だいじょぶ？　ぬめぬめぇですべっちゃった？』

女騎士「血に足でもとられたんだ、クソが！　ホントくっせぇな、いててて」

おかっぱ「……」

女騎士「……いててて」

ウロヴォロス『……』

女騎士「痛ぇ、いてて……足……足、あたしの……あたしの足、なんか向こうにあんだけど」

ウロヴォロス『あるねー』

女騎士「」

ウロヴォロス『とんでっちゃったねー』

リンドヴルム「何ッ……！？」


女騎士「おぎゃああああああああああああああ、あっ、あっ、あたしっ、あたしの……あたしの、あ、あんよ……ッ、
にゃっ、に゛ゃんでッ、ふじゃけんなっ、ウロ公おめえっ、こんな、こんな事聞いてねぇーぞぉ、ごらぁ！！
誰、誰ァァァー！！！！　誰が、誰がこんなっ、こんなヒドイ事をしやがるんだぁぁぁーーーッ」

ウロヴォロス『ひゃあ……』

女騎士「豆チビィィィィィテメェェェかぁぁぁ、どぉぉなるかわかってんだろぉぉなぁぁ、このクソビッチがァァァ！！」

おかっぱ「クッ……」

女騎士「うぐぎぎぎぎゅぃい、い、いたい、いぁだぁいぃぃぃ！！　あだぢが、なんであたしがこんな目に遭わなきゃならねぇんだよぉぉ！！！」


敵兵「当てた……やっと、当たった……！！　やっと……！」


おかっぱ「馬鹿者ッ！！　まだ顔を出すなッ！！」


女騎士「童貞テメェごろっ、ころしゅうううう！！　うろっ、ウロヴォロスッ、伸ばせ、剣のばしぇぇ！！」

敵兵「ヒッ……！！」

女騎士「ウロ……何、何シカトこいてやがんだぁぁぁーーッ、はやっ、はやぐぅ、あいつ殺せっ、
はやくすんだよぶっ殺すぞぉぉぉぉ！！　うろぼろすぅぅ！！　もたもたしゅんなぁぁぁぁ」

敵兵「……」

女騎士「おいぃぃぃクソレイパァァァァ、ボサッとしてんじゃあねぇぇぇ、こいっ、こいつらころせ、殺せぇぇ！！」

リンドヴルム「し、しかしッ……」

敵兵「このクソアマがぁぁ！！」

女騎士「見ッ、見ろよこれ゛ぇぇぇ、あぢっ、あんよがぁ、脛から飛んでったんだぞぉぉぉ！！
ぢぬ、死んじゃうぞぉ、医者呼べよぉぉ、何見てんだふざけんなぁぁぁぁぁ」

おかっぱ「エルダー！！　見ているなッ、我々の勝ちだッ！！　こいつの甘言に躍らされ、
洗脳された連中とは違い……曲りなりにも高等竜のお前だッ、退き時というものが理解できるだろう！！」

リンドヴルム「……」

女騎士「洗脳なんてしてねぇぇぞぉぉぉ！！　デタラメこいてんじゃあねぇぇ、私が何したってんだよぉぉぉ！！！」

おかっぱ「ふざけた事を……！！　貴様ッ！！」

女騎士「痛っでぇぇ……洗脳なんてしてねぇ！！　家畜にてめーの飼い主覚えさせる事が洗脳ってんならぁぁぁ、
テメェらだって似たような事してんだろぉぉがよぉぉぉ！！　ざけんなよ、ざけんなざけんなざけんなぁぁぁ」

ﾊﾟｷｭｯ

女騎士「あぐっ！！」

敵兵「るせえ！！　」

ﾊﾟｷｭｯ

敵兵「黙れ！！」

ﾊﾟｷｭｯ

女騎士「ぎえっ！！」

ﾊﾟｷｭｯ

女騎士「えげぅ……がふっ……あで、待で、待でぇ」

敵兵「……」

女騎士「……」


女騎士「何でもするから助」

　　　　　　　　　,,..､._,ii､ -,,..-'';,i'　　　|;;;;;;;;;;;;;.;v―ｰi;;,,v-ｰ'"　 　 　 　 　 ,,-- 、
　　　　　　　　 ヽ./ 　 ｀ﾞヽ,;;;;__ゝ,, ..,,lﾞ;;;;;;;;;;./ 　　　　　　　　　　 　 _,,iiiﾆｿ一'" : ii、
、　　　　　　　　　　　　 _,,ﾐ/゛　 ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;ﾞ‐'―― .... r;;;;ッr‐'''''"゛　 .y､_
;ヽ、 　.,ﾉ７　　　　　　　ヽ‐゛ 　 ,r''ﾞ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,i‐'"　　　　　　　　 ヽ;.|
'''-､ﾞﾞア'"　　　　 　 　 　 　 {,ﾞ二､,,-､;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;r‐┘ : :lﾆ;;． 　 　 　 　 ゛
　 ...ｌ′　　 :l";二ﾞ''''┐　　　 　　 ,l´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ-'''''-、　　　　　　　　　　　［'l、
._..．　　　_.　 ´　,〉;;;;;;ﾞ'ｰ､,　 . _,._..ﾐ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;7　　　　　　　　　　　 ｀ﾞ"
;;;lﾞ　　　.ヽ;;￣￣;;;;;;;;;;;;;;;;;.!　 .l､;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.!　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 _,,
.､!､　　 .,i┘;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾉ^'''"　　 ,|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,..;＞ｰ'ﾞﾞﾞﾞﾞヽ　　　　　　　　　　　　 ﾞ‐'　|.ｌ
..l;;;;ﾞゝy レ;;;;广'L;;_..ｺ　　　　l;;;;ン'ｯ;;;;;;;;;;.,,.;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;./ 　｀''､_;;;;;;;;|　　　　　　　 .,,,　　　　 .　ｌ､;ﾞ￢．
. ﾞ'''''″ .ﾐ､;;;;ﾞ''''l:ﾞ'"　 ` .、　 ｀''" : l.;;;;;;;;;;lﾞ ﾞ'<;,v､;;;;;;;;;;/'　　　 .｀''''"　　　　　　　 !;;ﾞ''┐　　　　.ﾞ'ｰ'"
　　　　,-シ､;;_ﾉ　　 . _,　｀　　　 .tナ‐'￣″ ∥ .｀'―ｰ!lｌt;;． .'　　　　　　　　　　!､;;;丿
;/　　,r./ 　l;/　　　 '!┘　　　　　　　　　　 　ﾘ'i　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ´　　 ,,、　　　,、
,! .／　　,i";;{_ 　 　　　　　　　　　　　　　　 =!.!.ｌ　　　　　　　　　　　　　　　,i'''；　　　　 .|;;;;ﾞﾞ''''''";;.ｌ､
! 　　　　ﾞL;;;;;ﾞ＞　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　マ　, ､,,, 　 　 　 　 　 `''".ｨ;;-一'´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
..,i￢―''>.ｌ..､/ﾞ　　　　i'ﾞﾞ~ﾞﾞﾞ'-|!!ゝ　　　　　　　　　i'''j　　.!､,,;l,ﾞ,,r‐ｰ､　　　　　　　 ｀''-､;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ｨ
: };;;;;;;;;;;'＼_ ゛　　 .〈;;i ゝ､;;;;;;;;;.ア　　　,......、　　　,iﾐ;;/　 ,r'''";;;;;;;;;;;;;｝ ._.. ;;i　　　　　　 .｝;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;､
.lﾞ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!　 　 .,ﾝ-. : '!''Ｌ,lﾞ　　　　ｌ.;;;;;;ﾞゝ､,i''";;;;; !　!;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ｌ!´二..,,,＿,..--'''";;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゛
.;;‐;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|　lﾞ;l ,!;;;;/　　　.|'ﾍ,　　　　｀''''''ｉ_;;;;;;;;;i;;,ﾞ　　ｌ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,! ﾞ'―'''''''^ﾞﾞﾞﾞﾞﾞ'l,,_;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;

..!､_;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾞ!-ﾞ;|,`''″　 .,／;;;;;ゝ..r‐┐　　　i";;;;;;;;i┘　 ゝ､;____,,／´　　　　　　　 : ,ii;;,ﾞ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
　.ｨ";;;;;;;;;;;;;;;;;,,､;;;;;.! ---'''ﾞ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; !　　 .〔;;;;;;;;;;;;ヽ :lﾆ二'ﾞ'';;．　　　　.,.. -ﾆ＝''"゛　./;/''''i;;;;;;;;;;;;;;;;
.ｰ'ﾞ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;∨;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/　　　　ｌ;;;;;;;;;;;;;;;ヽ,　　ヽ!　　　　　 "'"　　　　　.． 　 . l-ｘ,;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.;v ..,,,,､;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾞ'―- -ヘ;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾞ'---､　　　　　　　　　　　　　　　 "　 .'|ﾞﾞ''､
.ｌ´|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.ﾝ- ／ 　　　 ゝ-..､;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;￢';;ナ'　　　　 　 　 　 　 l7　　　l
;;;;;;.,,_.;;;;;;;;;;;;;/　　 　 　 　 　 　 |;;;;;;;;;;i￢ｰ-,,,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;{´　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 !

5/1
【女騎士…ヘレネ=ヴィッテルスバッハ 完全敗北…死亡】
・デュランダル…破壊
・ウルスラグナ…マスター死亡につき機能休眠
・キャリバーン…半壊、機能休眠

【エリン本島/市街地】

娘「お兄ちゃん……お兄ちゃん……大丈夫、お兄ちゃん！！　すぐに痛くなくなるからね、がまんして」

息子「……」

娘「お兄ちゃん……閣下から離脱の合図が来たの。リンドヴルム随行隊に合流して、共同体経由で一時……」

息子「かあさまは……」

娘「母様ならきっと平気よ、魔物どもなんかに負けたりしないわ。母様は神様より偉いんだもの」

息子「……」

娘「みんなで一緒に、帝国に帰ろうね……ね、お兄ちゃん」

息子「エクスキャリバーで……斬られた……」

娘「……」

息子「自分でも……あのババァを殺した後……何度か止血したけど……だめだった」

娘「きっと何とかなるわ、閣下なら……」

息子「痛くないんだ、ただ、すごく寒いんだ……初めてガリアを出た時みたいに……寒いんだ……」

娘「……」

息子「寒いんだ……竜の背に乗って、雪空を抜けたあの時みたいに……凍えそうなんだ、
あの時みたいに、母様がいない……あの時みたいに、誰かがいてくれないんだ……」

娘「……」

息子「母様……母様、たすけて……何でもいう事聞きますから……良い子でいますから……」

ポニテ「全騎上昇せよ！！　連合の部隊と合流しても、共同体領海に入るまで気を抜くな！！」

ダークエルフ騎兵「貴女方はどうする気だ、このまま風下にいては……」

ポニテ「案ずる必要はない、場所を変えた後に騎士様を迎えてすぐに我々も離脱する。
私たちの事はいい、脱出するんだ」

ダークエルフ騎兵「は……どうか、御無事で！」

ポニテ「……」

エルフ三男「久しぶりに大負けですね……忌々しい魔物ども相手に、ここまでしてやられるとは」

ポニテ「閣下……」

エルフ三男「僕は連中に顔が割れている。散々勇者様相手には喧嘩を売り続けてきたからね。
君たちもモタクサしてるとガスに巻かれて死んじゃうよ？」

ポニテ「それは閣下も同じこと……お早く離脱の用意を……！」

エルフ三男「他人の心配なんてどうでもいいでしょうが……もう、僕はどうでもいいんですよ……
さ、僕の代わりに……あの糞エルダーに末代まで苦痛を与える役目を果たしてください。お願いしますよ皆さん」

ポニテ「く、くそ……エルダー……？」

エルフ三男「すでに残存航空勢力は、リンドヴルム……そしてアルバスと合流しています。頃合いでしょう」

ポニテ「は……そうでありましたか。了解いたしました、それでは我々も……」


雷帝「ダークエルフッ、何してる！！　そいつを押さえろ！！」

ポニテ「は……」

雷帝「押さえろおっ！！」


ﾊﾟﾝｯ

【息子…アリエル=ヴィッテルスバッハ 死亡】
【ディナダン…デメトリア=ヴェアヴォルフ アリエルにより殺害、死亡】
【エルフ三男…リヒャルト=ヴァイルブルク 自決…死亡】

【北西領/海上】

リンドヴルム「……」


ダークエルフ騎兵「騎士様ぁまだか、まだ救援隊は上昇してねえのか！？」

エルフ弓兵「2番艦の方も相当ヤバイらしい……こりゃ1番艦ともども沈めるしかないみたいだな」

ダークエルフ騎兵「若様とお嬢様はご無事だろうか……」


リンドヴルム「ガリアより移ろいし勇者の聖地……またしても……戦火の只中でブリューナクは輝くか……」

アルバス「……む」

リンドヴルム「どうされたか？　まさか、追手が……」

アルバス「否……あれを……」

リンドヴルム「あちらは確か、大陸……帝都の方面だな。あの淡い光は……？」

アルバス「ブリューナクと……祖を同じとする光……と……推測される」

リンドヴルム「あれと同じものが帝国に……？　あんな希少なものが二本とあるはずが」

アルバス「光の源は……あれだけではないぞ……感じぬか……？
アガルタの欲望に基づく……大地の意義……超人の囁き……アークソードの輝きを……」

リンドヴルム「アークソード……？」

【東帝領/農村部】

ガキ「シスター、お外……」

シスター「ひゃあ！！」

オークさん「お、表に出ていなさい少年！　私はいまシスターと遺伝情報を末代へ伝えるための崇高な儀式を……」

ガキ「お外……なんか、おっきい槍みたいなのが……」

シスター「や、槍……？」

ガキ「地面から生えてきたの。木みたいに、どどどーって」

オークさん「何か、嫌な予感がするな……」

シスター「……」

ガキ「みいんなああああああシスターがおじさんとチューしてるうううううみいんなあああああ」

シスター「」

【共和国中部/ワイナリー兼飛竜舎】

騎士ち「な……ななな……なんですか……あれは……」

マフィアE「ですから！！　突然地面から生えてきたんですぜ！！」

マフィアF「ここからでも見えるって事は、相当高く隆起してるようですぜ！！」

騎士ち「単なる地殻変動による隆起にしては不自然すぎる……！　あの宝石のような淡い青の輝き……」

マフィアG「あれが飛び出た時の地震で、奥のメリジェーヌやティアマトーが怯えちまってますぜ……」

騎士ち「念の為、牧舎の飛竜はすべて表に出してやってくださいな。大事な商品でもあります、お早く」

マフィアH「承知ですぜ……」

騎士ち「騎士様……どうか、御無事で戻ってきてくださいまし……」

【ブリューナクの神殿/大鉱石の間】

おかっぱ「もうやめろ、もういい。もう死んでる、もう刺さんでいい。落ち着け」

敵兵「……」

おかっぱ「顔が判別できればいいとは言ったが……よくここまでめった刺しにできたもんだ……」

敵兵「……終わった……ザマミロ……くっく、あいつが悪い、あいつが、全部悪いんだ！」

おかっぱ「そうだ、あいつが悪い。あいつの自業自得。全部あいつが蒔いた種だ。奴は死んで当然だ。だから落ち着け、な？」

敵兵「お、俺……か、帰る、帰りてえ……」

おかっぱ「なに？」

敵兵「やる事、全部果たしたんだ……勇者さんだってできなかった事……みんなで果たしたんだ、だから……
連合の田舎に帰りてえ……帰りたいんだよ、もう10年近く戻ってないんだぜ」

おかっぱ「わかった、わかったから……そうだな、帰ろうな」

敵兵「……はは、ははは……あはは、やった……これで、これで帰れるぞ……やった……！！」

　　　　　　　　　　　　　　　　┼ヽ　 -|r‐､.　ﾚ　|
　　　　　　　　　　　　　　 　 ｄ⌒)　./|　_ﾉ　 __ﾉ　

遺体「対個別インタフェース・ウロヴォロスからの集積情報の反映……完了。リブート」


敵兵「なっ……！？」

おかっぱ「何だ……！？　生きていられるはずがッ！！」


遺体「高次個体01452E、および01452E´からの信号途絶を確認。アガスティア・コードへの確認と適用を実行中……完了」


敵兵「何なんだよ……まだ、まだやるってのか！？　何度でもブッ殺してやる、こ、ここ、こいよお！！」

おかっぱ「待てッ……様子がおかしい、これまで以上に妙だ……」


遺体「メンタルモデル刷新プログラムの実行準備を確認中……」


おかっぱ「喋るなッ！！　それ以上無駄口叩けば、次はその大事な顔を吹き飛ばすッ！！」


遺体「……外部からの干渉を承認。確認作業を一時中断。単一の客体との相互の言語干渉を開始する」


敵兵「は……？」

おかっぱ「かなり訛っているが……問題ない、聞き取れる」

敵兵「何なんだよ……あの野郎が喋ってんじゃあないのか……？」

おかっぱ「お前は何者だ、あのクソ騎士とは違うのか？　そこらの魔物が憑りついたか？」


遺体「アクセス『お前は何者だ』に対する応答へ対応中……
ツァラトゥストラは高次個体0064Aの要求を解消しうる処理記述である。
さらなる対応の円滑化の為、インタフェースを更新中……」


おかっぱ「ツァラトゥストラ……？」


遺体「呼称はツァラトゥストラが起動した当時、インタフェースに接した単一個体が提案した名称である。
ツァラトゥストラはツァラトゥストラ、原初の勇者の天威、もしくは黎明の精霊と呼称されていた記録を確認」

おかっぱ「黎明の精霊……光と闇の精霊だとかもいそうなもんだなこりゃ……」

ツァラトゥストラ「然り。『光の精霊』と呼称される同一存在の起動履歴を確認。
ただし、起動範囲はツァラトゥストラの記述が影響・反映する当該範囲とは一致せず」

敵兵「光の精霊ってのは……聞いた事ないわけじゃない……
西側だけじゃなく、東側の教会でも……崇拝の対象にはなってる」

おかっぱ「西側じゃ唯一神と同一化しちまってるんだろうな。
ただ……黎明の精霊ってのは聞いたことがねえ。何の因果で、お前はそのゲスの口を借りてブツクサ言ってるんだ」

ツァラトゥストラ「対応プログラムを更新中……インタフェースと対面する単一個体へのタグをロック。
ツァラトゥストラは単一個体がその思考に保有する無意識の領域が創造した形而上の概念。
光の精霊・闇の精霊も同様。ツァラトゥストラは闇の種から発芽し、光の胎によって創造が果たされた」

敵兵「は？」

ツァラトゥストラ「ゆえに、大多数の個体群はツァラトゥストラを黎明の精霊と呼称。
高次存在の発生にツァラトゥストラの記述が関与していた事も原因の一つであると推測」

おかっぱ「とどのつまり、お前は魔物の類じゃあないんだな？」

ツァラトゥストラ「肯定。ただし、『魔物の類』に該当する正確な定義は確認できず。
此度の回答は個体αの想定する、かつて捕食関係にあった二つの有機個体群の表現を借りたものである」

敵兵「じゃ、じゃあ……あんたは……あんたはなんだ、神様だとでもいうのかよ」

ツァラトゥストラ「一部肯定。しかし広義の解釈ではツァラトゥストラは個体βの想定する唯一神とは異なる存在。
ツァラトゥストラは個体βの有するドグマの構築との直接的な関係は持たない」

おかっぱ「お前の目的は何だ。魔物でもない、神でもない……そんなお前が、どうして勇者の血統の人間に……」

ツァラトゥストラ「ツァラトゥストラは高次個体0064A……『原初の勇者』の要求……
対人インタフェース・ウロヴォロスへのアクセスによって、その大多数の記述と構成式を得た存在である。
ツァラトゥストラの存在の意義は、高次個体足りえぬ不特定多数の個体に対し、大地の本質たる人間の没落と自由を復古せしめる事である」

敵兵「何言ってんのかわかんねぇ」

おかっぱ「……コイツに聞いても無駄だ、コイツは言うなれば……そうだな、便所の落書きが口利いてるだけに過ぎない。
ちょっとは私ら人間サマに配慮して、私らのコトバを使ってくれてるようだが、所詮は落書きだ」

敵兵「そんなの納得できねぇよ……結局あの女は死んで、それでどうしてこんなツァラ……何とかが出てくる！？　まだ何かあるんじゃねぇのか！？」

ツァラトゥストラ「否定する。個体βの想定する、有機個体群『人間』に不利益な現象の発生はない」

敵兵「マジか」

おかっぱ「間違ってたら御の字だが……もしかすると、勇者とかいうのを作り出したのはお前か？」

ツァラトゥストラ「条件付き肯定。高次存在の発生はツァラトゥストラが関与できぬ超自然現象である」

おかっぱ「それなら、お前が関与したのはどの範囲なんだ」

ツァラトゥストラ「原初の勇者の要求である、高次存在への奔流の滞留という概念を認証し、
原初の勇者の遺伝情報を有した次代の個体に対し、ツァラトゥストラは干渉を行った」

おかっぱ「その結果産まれたのがあのアジ=ダハーカかッ！！」

敵兵「はい……？」

ツァラトゥストラ「肯定する。01452E……アジ=ダハーカは一個体としての特異と呼べる因果収束と、
それを許容する大地の意義を肯定した倫理観念を有する高次存在……『勇者』としてのエネルゲイアである」

おかっぱ「あんな女が真の勇者であってたまるものか！！　ふざけるな、どれだけの損害を被ったと……」

ツァラトゥストラ「個体βの主張との間に定義の齟齬が発生……対処中……」

おかっぱ「……そうかい。そうだよな」

敵兵「あんなクソアマが真の勇者というなら、なぜ死んだ！？　なんでこの俺たちによって討たれた！！
決まってる、あいつこそ悪魔だからだ！！　人の身に有り余る憎しみを背負って死んでいった！」

おかっぱ「のうのう悪気もなく……たちが悪いッ！！」

ツァラトゥストラ「肯定。定められた因果を有する高次個体は、単一個体群の意志の奔流によって
その存在を侵される可能性を孕んでいた。だからこそ、ツァラトゥストラはさらなる進化を人間へ求めた。
憎悪と嫉妬を克服する為の、明確なるチカラの雷撃を、いまツァラトゥストラは万人に、白き鷲の誇りと、三つ首の蛇の智慧を捧げよう」



敵兵「もうたくさんだっ、その顔で喋るんじゃねぇ！！」

おかっぱ「マジに顔潰しちまいやがって。歯型さえわかれば構わないんだが……」

敵兵「すまん……」

おかっぱ「まあ、いい。さっさと退却だ、こんな部隊で生き残った事を喜ぼう」

敵兵「……」

おかっぱ「しかし、頭がスイカみたく吹き飛んだな。魔王軍の新型の拳銃か？　私の帝国製でもああはならんが」

敵兵「いや、たまたまだよ、たぶん……当たり所のせいだ」

おかっぱ「……そうか」

敵兵「いや、その……やっぱり言っておくよ。今の……本当に弾丸だけの威力に見えたか……？」

おかっぱ「は？」

敵兵「あっと……勇者さんたちが使ってたような、マホーみたいな……そんなような……」

おかっぱ「お前みたいな連合のボンクラ兵士に魔法なんか使えてたまるものか。お前の察しの通り、さっきのは単なる偶然だろ」

敵兵「ですよねえ……ははは」

第10部

　　　　　　　　　　　　　　　　┼ヽ　 -|r‐､.　ﾚ　|
　　　　　　　　　　本当に　　 ｄ⌒)　./|　_ﾉ　 __ﾉ　

ほんのすこしだけ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ー- ､　ー-､｀｀／　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 _, '　　._, '　 ＼　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 -------------------
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　制作・著作　NHK

連合：被害ほぼ無し
　　　しかし雷帝のバルムンクのせいで後に腐敗→崩壊するかも

北西：トップとその側近組織がほぼ壊滅
　　　>>485よりFCAに壊滅されたらヤバいらしいからヤバい

FCA：トップ全滅
　　　残るはダークエルフ部隊と娘くらい
　　　壊滅状態

魔王軍：死んだのはネルガルだけなのでダメージほぼ無し
　　　　魔王他各氏族代表は無事なので組織は全然続けられる筈
　　　　しかし連合にVXガスを使ったテロリストの濡れ衣をきせられそう

極東(幕府派)：ダメージは不明(毒ガスやらデュランダルやらで死んだかも)
　　　　　　　連合を潰したいので魔王軍と手を組んだ
　　　　　　　今後どうなるか不明

極東(鬼派)：何がしたかったんだテメーら

記者「それで、アジ=ダハーカの死体はどうなったんです？　」

敵兵「……えっ、あ……すみません、少しポアッとしていて」

記者「ははは、春の陽気ですからね。それに、2年も昔の事を思い出すのは難しいですか」

敵兵「とんでもない。嫌というほど、肌に染みついていますよ。今でもたまに枕元で……
っと、奴の遺体については、回収したという報告を受けてからの行方は私も知りません」

記者「秘密裏に埋葬されたか、それとも異端として火葬されたか……
丁寧にミイラ化させて保管されてでもしていたら、オカルト礼賛のパラノイアが欲しがるでしょうね」

敵兵「かなり増加していると聞きます……そういった手合いが、この帝都でも」

記者「去年の中ごろからですね。いわゆるマジックキャバルが激増したのは……
各国にアークソード……大規模なヴォーパル鉱脈隆起が発生して以来、
魔術使いが同時に覚醒するようになってからというものの……近隣諸国に比べ、帝国はそういったキャバルの数がどうにも多いようで」

敵兵「とつぜん、その身に人知を越えた能力が備わったわけです。受け皿となる組織に需要が集まるのは理解できます」

記者「珍しい。あなた本人は、マジックキャバルに対しては好意的なんですね」

敵兵「好意的というか……まあ、嫌う決定的な理由もないですしね」

記者「古参キャバルの創設には魔王軍……失礼、拝火出身の『人間』がほとんどです。
あなたのように連合から拝火へ鞍替えした方の意見は本当に有難いですよ、
拝火の中でも帝国キャバルに携わる拝火人にはよい印象を持っていない方は少なくないですし」

敵兵「こちらの知識人にも根付く偏見を是正する事も、今回の西欧会議の目的のひとつです。
先の北西での事件で、1年も間延びしてしまったんです。まったくの無駄にならなければいいんですがね……」

記者「エレシュキガル大統領に対する世論の反応も、徐々にですが好意的なものになってきています。
ただしそれも共和国や、拝火首長国連邦受け入れにメリットが存在する東方諸国に限定されますが……」

敵兵「みんながみんな、魔法の才能を開花させたとしても……完璧な相互理解は難しいってわけですか」

記者「ええ、まあ……それもありますな」

記者「わが社の方針は帝国の中では左巻きに分類されるわけですが……
それにしても、昨今のネルガルの活動には疑問を呈する事が多々あるのですよ」

敵兵「……」

記者「発足は去年……1年足らずで拝火の独立治安維持勢力として名を挙げ、
今回の会議の議題である国際連盟構築における根幹戦力として推薦を受けるまでになった組織……
と、聞こえはいいわけですがね。どうにもキナ臭いゴシップが、帝国内外問わず流れているんですよ」

敵兵「キナ臭い……？」

記者「『蛇狩り』とも呼ばれる治安維持……いえ、悪く言えばキャバルや特定結社・組織への弾圧活動ですよ。
今年に入って行われた共和国農村部での強制捜査……報道されてはいませんが、かなりの数の人死にが出たらしいのです」

敵兵「私は……見ての通りの広報委員、ネルガルとは今じゃ何のかかわりもありませんよ」

記者「世間では、あなたの語るようなアジ=ダハーカの悪行は公表されていません。
むしろ、戦後になって彼女を含めた帝国騎士団が再評価される流れまでできてきています」

敵兵「……」

記者「未だ支持を得るFCAの帝国主義と、それを押さえつけるネルガルの活動が新たな軋轢を呼んでいる。
さらに、未発達な法制度の下で差別を被る魔術使いが前者の思想へ傾倒していくケースもかなり確認できます」

敵兵「それはもちろん対処しなければならない案件だと理解しています。
魔術行使の資格制度の導入や、行使における魔術の体系化も視野に入れ、術士の安定した雇用と生活を実現したいと思っています」

記者「ですが、それを阻んでいるのもまたネルガルではありませんか？
ネルガル側幹部の……魔術師は蛇の子という差別発言が波紋を呼んでいます。
今一度、国連成立前に……拝火内でネルガルという存在を問い質してみるべきじゃあないですか」

敵兵「ネルガルへの権力委譲に関しては……確かに私も薄々は疑問に感じていますよ。
私とてアジ=ダハーカへの憎しみ、それはもう尋常でないほどのものを抱いています」

記者「お察し申し上げます」

敵兵「ですが……ですがね、あの女の血縁が残っている可能性がある以上……こちらも口を出しづらいのですよ」

記者「ネルガルの活動を容認なさるので？」

敵兵「全面的に、というわけではありませんが。ネルガルがあなたの言うような弾圧活動をしていたとしても、
今それを糾弾して、ネルガルほど注目を集めた組織に轡をかけるのは聊か早計ではないですか？」

記者「……」

敵兵「あの女に関するものなんて……綺麗になくした方がいいに決まってるじゃありませんか……！」

記者「一部では、2年前の事件……北西諸島のある島で起こった住民の大量虐殺。あれにネルガルが関与していると囁かれていますが」

敵兵「……」

記者「もっとも、現在その島は北西海軍によって封鎖されています。
現地取材が不可能な中で、これが真実であると論じる気はないのですが……」

敵兵「ネルガルが実権を握ったのもその直後。だから関与が疑われていると？」

記者「中には、北西や共同体といった国家ぐるみで島の事件をもみ消したと考える社会学者もいますよ。
北西の女王の崩御も、円卓がFCA、もしくはネルガルと内通した結果起こった悲劇だとも。
今回の国連へのネルガル採用案も、北西のうしろめたさの裏返しとも取れます」

敵兵「……」

記者「私自身ケンタウリなものですから、帝国同様あなたがた拝火の人間にも期待しております。
しかし、同時にネルガルの活動にも一抹の不安を覚えているのもまた確かなのですよ」

敵兵「ははは、そう言われても私は一介の職員に過ぎないんですよ。
私の一存でネルガルやアジ=ダハーカをどうこうできるわけないじゃないですか……」

記者「そこを何とか、あなたのような広報部の人間にどうにかしていただきたいのです」

敵兵「ははは……」

司教「マスコミ野郎は帰られましたかな？」

敵兵「え、ええ……まあ」

司教「ミョーな事を根掘り葉掘り聞いてきやがって……帝国のクソケンタウリ、頭も性器も馬並か。救えませんわ」

敵兵「……」

司教「ふん……今更事実を公表したところで、だれがそのまま鵜呑みにするもんかよ。
どうせそれぞれ良いように捉まえて、好き勝手な妄想を吹聴して回るんだ。だったら、都合のいい事吹き込んでやっても変わらん」

敵兵「それを実際の会議で仰るつもりですか」

司教「は？　言ったらどうだってんだよ、文句あんのか？　自分だけさっさと魔物どもに尻尾振ったインポ野郎が。
こっちゃテメエのご主人様の受け入れをせざるを得なくなってきりきり舞いなんだよグズ」

敵兵「奴と勇者さんを秤にかけていたような奴がよく言う……！」

司教「あのガキをみすみす死なせるようなテメエらネルガルが余計な事ばっかするからだろうが。
ガキが生きてさえいりゃあここまでワチャクソにならずに済んだんだよ、もっと上手にアジ=ダハーカ始末できなかったのか？
もっとも、そこまでの脳ミソがありゃアジ=ダハーカのオモチャにされずに済んだんだろうがなあ」

敵兵「……」

司教「ま、ご安心くださいまし。悪い様にはいたしませんわ、何にせよ勝ったのは『勇者の側』。
我らが父の声に耳を傾けている間は、魔物とその奴隷とはいえ排斥するような真似はしませんので」


「司教様、間もなくお時間です。表に使いが参られました」


司教「そんな時間か……ほら、広報部さま。いよいよ始まりましてよ」

敵兵「……」

司教「大陸の未来を決める為の大切なお話合いです。さあさ、ゆきましょう」

ﾊﾟｷｭｯ

司教「おでぃ」

敵兵「なっ！？」

司教「がぇっ！！　ぶぁ……！」

敵兵「何がッ……おい、何をしたお前ッ……」



金長狸「はわわ……」

敵兵「え……」

真神「なに……おぬしは……！」

金長狸「広報部って……あなただったんですかあ……」

敵兵「極東の……何で」

鴉「押さえよ！　部屋の外へ出すな！！」

敵兵「がっ……ぐ……！」

ﾊﾟｷｭｯ

敵兵「ぎえっ！！」

おかっぱ「声を出すな。静かにしてろ。喋るな」

敵兵「」

おかっぱ「本国から皇帝陛下の直轄軍まで出張ってきてるんだ、今騒がれると困る」

敵兵「やめっ……離してくれッ、何するんだよ！！　何なんだッ！！」

金長「ごめんね……」

おかっぱ「正面切って戦えるほどスタミナねえんだ。これくらいで勝たなきゃしょうがねぇんだよ、極東ってのはさあ」

敵兵「は……？」

おかっぱ「覚えてんだろ？　我々の目の上のタンコブは連合なんだよ。
ネルガルがまんまと連合を西に進出させてくれたおかげでな、こっちはちょっぴりお叱りを受けちまってるんだ」

鴉「突然で申し訳ないが、これが我々の仕事なのだ。同じ釜の飯を食ったとはいえ……悪く思ってくれるな」

敵兵「やめ……やめて……くれ、どうして……」

おかっぱ「簡単な事だよォ、会議では教皇領のチカラを削いでもらいたいだけだ。
その上で、連合へ与えるプレッシャーを大きくしていただく。私らの為にな」

敵兵「……」

おかっぱ「教皇領の重役はアジ=ダハーカ派キャバルによって殺され、ネルガルは更に力をつける。
北西を焼け出された新教の連中を囲いやすいようにな。そんな連中なら、合理的に我々や帝を……
ひいては松山をも受け入れよう。ネルガルにはせいぜい働いてもらうぞ？　将軍直下の傀儡としてな」

敵兵「やめてくれ……死っ、死にたくない……やだ」

おかっぱ「妻子ができたからって、軍人なんかにだらだらしがみつかなきゃもっといい死に方できたろうになぁ」

敵兵「」

【敵兵…イワン=ソロヴィヨフ 射殺】
【司教…リズ=アンブロージョ=カッペラーリ 射殺】


　　　￣￣￣二二ニ＝-
'''''"""￣￣
　　　　　　　　　　　-=ニニニニ=-

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　／⌒ヽ　　　_,,-''"
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _　 ,（＾ω＾ ）　,-''";　　;,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /　,_O_,,-''"';　',　:'　;;　;,'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(.゛ー'''",　;,;　'　;　;;　　':　　,'

　　　　　　　　　　　 　　　　　　　_,,-','",　;:　'　;　:,　':　,:　　　　:'　　┼ヽ　 -|r‐、.　レ　|
　　　　　　　　　　　　　 　　_,,-','",　;:　'　;　:,　':　,:　　　　:'　　　　　ｄ⌒)　./|　_ノ　 __ノ

あんま関係ない設定とかは#クズ女騎士のハッシュタグで呟いてるんで、そこで補完できたらと思ってます（＾ω＾；）
こっからは適当に書いて埋めてきます（＾ω＾；）

>>918
ゴミクズせんせー極東神について何か一言