VIPで書いてたのですが長くなったので移転してきますた
最初から投稿し直してそのまま続き書きます
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1357742301
ドヒュウゥゥゥ
承太郎「ここは…どこだ?ケープ・カナベラルではないようだが…」
「…!?…!!」
承太郎「悲鳴?やれやれだぜ…」
〜裏路地〜
美綴「ちょっと…!アンタ一体なんなのよ!!か、体が動かない…!?」
ライダー「大人しくしてください、すぐに終わりますから…」ハァハァ
承太郎「オラァッ!!」ズドンッ
ライダー「うぐっ!」ズザァァァ
美綴「え、今度は何!?」
承太郎「状況がつかめねーが、大丈夫か?」
美綴「う、うん、おかげ様で」
ライダー「く、新手のサーヴァント…?」ザッ
承太郎「まずは退却するぜ、ちょいとガマンしな」ヒョイ
美綴「え、ちょっ、お姫様だっことか初めてなんですけど!?」
バンッッ
美綴「えぇぇええ!?と、飛んでるー!?」
承太郎(あの女…手加減したとはいえスタープラチナを叩き込まれても立ち上がりやがった)
承太郎(やっかいなことに巻き込まれたようだぜ…)
ヒュウゥゥゥ、ズダァーン
承太郎「どうやら追って来なかったようだな」
美綴「あ、ありがとう。アンタは?」
承太郎「俺は空条承太郎、ガクセーだ」
承太郎(なぜ学生服を着ているのか疑問だがな…しかもこの体、まるであの旅の頃に戻ったようだぜ)
美綴「あたしは美綴綾子。助けてくれて本当に感謝してる」
美綴(格好は学生でも全然学生には見えないんだけど…)
承太郎「気にするな。一つ聞きたいが、あの女は何者だ?」
美綴「あ、あたしにもわからないよ!いきなり襲われて、身動き取れなくなって…」
承太郎「そうか、災難だったな…質問ばかりで悪いが、ここは日本なのか?どのあたりだ?」
美綴「ここは○×県の冬木市だけど…アンタはどこから来たの?」
承太郎「…気付いたらここにいた」
承太郎(○×県冬木市?聞いたことのない地名だぜ…一体どうなってやがる)
美綴「へ?アンタこれからどうすんの?どこか行くあてはないの?」
承太郎「行くあてはないが…まぁなんとかなるだろう」
美綴「困ったな、さすがのあたしでも家にいきなり男を連れていくわけにもいかないし…」
承太郎(この女も中々気丈だな。さっきまで得体の知れない奴に襲われてたんだが)
美綴「そうだ!この街の外れにずっと昔から空き家の大きい洋館があるんだけど、ひとまずそこに泊まってみたら?」
承太郎「洋館?どの方角だ?」
美綴「確かあっちの…」ピッ
承太郎「(スタープラチナ!カシャ)…あれか」
美綴「え?見えるの?」
承太郎「眼がよくてな。場所はわかった、夜も遅いから念のため家まで送るぜ」
美綴「今日は本当にありがとう。明日、あらためて御礼に行くから」
承太郎「ぐっすり眠って今日のことは忘れるんだな」
美綴「あと、アンタのこと承太郎って呼んでいい?」
承太郎「…構わねーぜ」
美綴「じゃあ、また明日!」
承太郎「やれやれだぜ…」
・
・
・
〜間桐邸〜
スウゥゥゥー
ライダー「マスター、戻りました」
慎二「ライダーか。どうだった?美綴は?ビビって泣いてたかい?」
ライダー「その件ですが、失敗しました」
慎二「…なんだって?」
ライダー「正体不明のサーヴァントに妨害されました」
慎二「そ、そんなバカなことがあるかよ!美綴のやつなんかがマスターになれるはずないだろ!!」
ライダー「しかし、実際に現れたのです。不可視の攻撃を受けて肋骨を折られました。クラスさえもわかりません」
慎二「ちくしょう…!美綴がマスターだと?一体どうなってるんだよ…!」
〜エーデルフェルトの館〜
承太郎「着いたが、本当に誰もいないんだろうな?」ギイィィィ
シィーン
承太郎「とりあえず寝床を探すか…」コツコツコツ…
承太郎「!」
承太郎「先客か?女のようだが…面倒なことになったぜ」
バゼット「…」
承太郎「死んだように眠ってやがる…いや、本当に仮死状態のようだな。腕に傷を負っている」
バゼット「…」
承太郎「放っておくわけにもいかねーし、スタープラチナで蘇生を図ってみるか」ズギュン
バゼット「…」
バゼット「…」ピクッ
バゼット「……ッ!くはっ」ガバッ
承太郎「やれやれ、スタンドでの心臓マッサージなんて上達したくねーんだが…上手くいったようだな」
バゼット「あ、あなたは!?こ、ここは…聖杯戦争は一体どうなったんです?」
承太郎「聖杯戦争?なんのことだ…?わからないな」
バゼット「アヴェンジャーは……全て夢だったとでも…?っつぅ!」
承太郎「安静にしな、腕の傷はまだふさがっていないようだぜ」
バゼット「あなたは何者です?」
承太郎「俺は空条承太郎、ガクセーという奴だ」
承太郎(また自己紹介か…やれやれだぜ)
バゼット「まるで学生には見えませんが…私はバゼット・フラガ・マクレミッツ。魔術協会から派遣された魔術師です」
承太郎「…まだ寝ぼけているようだな」
バゼット「いえ、私は正気です。承太郎、なぜあなたはここに?あなたも聖杯戦争に関与しているのですか?」
承太郎(いきなり呼び捨てとはな…)
承太郎「わからねーが、さっきから言ってる聖杯戦争ってのは一体なんなんだ?」
バゼット「…見た限りあなたも只者ではなさそうですね。わかりました、説明しましょう。聖杯戦争とは…」
承太郎「…つまり、この街を舞台として魔術師とやらが殺し合いをしているというのか?」
バゼット「ええ、私はサーヴァントを奪われて敗退しましたが」ズキン
承太郎「やれやれ、とんでもねえ話だぜ」
バゼット「承太郎、あなたは気付いたらいつの間にかこの街にいたと言いましたね?」
承太郎「ああ」
バゼット「あなたはサーヴァントではないのですか?マスターは?」
承太郎「知らんな。この街に現れた直後に襲われていた女を助けたが、今思えばあの敵はサーヴァントだったのか」
バゼット「敵?サーヴァントと戦ったのですか!?」
承太郎「サーヴァントかどうかはわからんが、紫の長髪で化け物じみた女だったぜ。ぶっ飛ばした隙に女を連れて避難したが」
バゼット「助けた女性は何者だったんです?その後は?」
承太郎「美綴綾子と言ってたが、あれはただの学生だろう。無事家まで送ったぜ」
バゼット「…」
バゼット(その女性が魔術師じゃないとすれば、マスターによる召喚ではなくに自然に現界した?この男、一体…)
バゼット「承太郎、あなたはこれからどうするつもりです?聖杯戦争に参加するのですか?」
承太郎「さぁな。聖杯とやらに興味はないが…無関係の一般人が巻き込まれるなら話は別だ」
バゼット「だとしたら承太郎、あなたは戦わなければならない。すでにこの街の住人は無自覚に被害を受けている」
承太郎「なんだと?」
バゼット「私も調査の途中でしたが、この街では原因不明の疲労・昏睡事件が広まりつつある。恐らくキャスターの仕業だ」
承太郎「魔術師のクラスとかいうサーヴァントか?」
バゼット「ええ。近接戦闘は不得手だが広範囲の魔術を得意とする。住人から魔翌力を奪って力を蓄えているのでしょう」
承太郎「このままだとどうなる?」
バゼット「抵抗力の弱い者は最悪の場合、死に至ります」
承太郎「野郎…」ビキビキ
バゼット「あなたはどうするのですか?承太郎」
承太郎「キャスターの野郎をブチのめす。ついでに聖杯とかいう厄介な物もブッ壊す」
バゼット「…わかりました、私も協力しましょう。私もまだ諦めたわけじゃありませんから」
承太郎「やれやれだぜ…」
〜翌朝〜
承太郎「休息は取れたが腹が空いたな…電気・水道・ガスは通っていても食い物がないとは」
バゼット「仕方ないでしょう、ここには寝に帰るだけだったんですから」
オーイ!ジョウタロウ、イルー?
バゼット「!誰か来たようですね」タッ
承太郎「病み上がりのくせに元気な奴だ」
美綴「あ、承太郎…って誰それ?」
バゼット「あなたこそ誰です?承太郎、あなたは知っていますか?」
美綴「…空条承太郎くん、きみは一晩目を離したスキにもう女を連れこんだのかなぁ?」ビキビキ
承太郎「待て美綴。何か誤解があるようだぜ」
・
・
・
承太郎「…というわけだ」
美綴「なるほど、ここの持ち主さんだったわけか」
承太郎「ああ…」
承太郎(異様に鋭い中段突きが痛かったぜ…)サスリサスリ
バゼット「初めまして、綾子。私はバゼット・フラガ・マクレミッツ。まじゅ…」ムググ
承太郎(こいつイキナリ自己紹介で魔術師とバラそうとしやがった…)
バゼット「承太郎、いきなり何するんですか…!」モゴモゴ
承太郎「静かにしな!一般人に魔術師だなんて言ってどうするつもりだ…!」ヒソヒソ
バゼット「それもそうですね」ヒソヒソ
美綴「??美綴綾子です。初めまして、バゼットさん」
承太郎「ところで美綴、こんな朝早くからどうした?」
美綴「空き家じゃ食べ物もないと思ったからさ、弁当作って持ってきたんだ。空き家じゃなかったみたいだけど」
承太郎「いや、ありがたいぜ。買い置きがなかったからな」
美綴「それはちょうどよかった」
美綴「どう?お弁当」ドキドキ
承太郎「旨いな。その歳でここまでできりゃ大したもんだ」
美綴「ほ、本当?」ズキュゥゥン
バゼット「承太郎、私にも分けてくれませんか」グウゥー
美綴「えっ」
承太郎「ああ。思ったよりも量があるからな」
バゼット「ありがとう」パクパク
美綴「…」ゴゴゴゴゴ
バゼット「ところで承太郎、今日はこの後どうします?」モグモグ
承太郎「まずは昨日のあの場所を調査する」
美綴「え、アイツを探すの?承太郎は当分ここにいんの?」
承太郎「ああ、大家の許可も得たからな」
バゼット「ん?」ガツガツ
美綴「ば、バゼットさんのその腕、大丈夫なんですか?」
バゼット「多少不便ですが問題ないですよ。いずれ知り合いのゴーレム使いに義手を作ってもらいます」
美綴「ゴーレム?」
承太郎「ゴーレムという英国の義手メーカーだ」
承太郎(いちいちヒヤヒヤさせやがる…)
美綴「へ〜。話を戻すけど、本当にアイツを探すの?」
承太郎「ああ、通り魔事件の容疑者だからな」
バゼット「ええ、私もその捜査のためにこの街に来たんですよ。これが名刺です」スッ
美綴「あ、ありがとうございます。きれいな名刺ですね〜。あ、やっぱり外国語なんだ」
承太郎「そろそろ行くぜ。美綴、お前も学校に遅れないようにな」
美綴「アンタも学生のはずなんだけどね…まぁいいか。学校終わったらまた来るからヨロシク!」
バゼット「承太郎、調査に行く前にあなたに確認しておきたいことがある」
承太郎「なんだ?」
バゼット「あなたが何のサーヴァントなのかは不明ですが、その能力を見せてもらいたい」
承太郎「…いいだろう」
承太郎「スタープラチナ!」ズギュゥゥウン
ズドドドォン!メキメキメキ…
バゼット(!!ひとりでに柱が破壊され、中から出てきた鉄骨が空中で曲がっていく…!?)
バゼット(バカな、あの鉄骨も軽く見積もっても1トン以上はある)
承太郎「こいつはスタンドという超能力だ。早い話が守護霊のようなものだな。スタンドはスタンド使いでなければ見えん」
承太郎「俺のスタンドの名前はスタープラチナ。人型のスタンドで超高速・精密な動きをする」
バゼット「…大体わかりました。戦力としては申し分ないようですね。ですが、柱の修理代はいつか払ってもらいますよ」
承太郎「…」ゴゴゴゴゴ
バゼット(不可視の守護精霊を従えるサーヴァント…?そんなクラスは聞いたことがない)
バゼット(承太郎、あなたは一体?)
・
・
・
〜新都〜
承太郎「ここが昨日俺が現れた場所、あそこが美綴の襲われていた裏路地だ」
バゼット「何の変哲もない路地ですね」
承太郎「どうかしたか?」
バゼット「…やはり、召喚の儀式の痕跡も何もない。綾子はあなたのマスターではない、ただの学生のようです」
承太郎「そうか。よくわからんが安心したぜ」
バゼット「それだけに謎が深まるばかりですね。サーヴァントがひとりでに現界するだなんて」
バゼット(そもそも今も魔翌力供給はどうやって?それとも魔翌力を必要としていない…?)
承太郎「わからんな。土地勘がない分、歩き回って日が暮れちまったぜ。帰るとするか」
メール欄にsagaで魔力とか殺すかけるよ
〜エーデルフェルトの館〜
バゼット「綾子はまだ来ていないようですね」
承太郎「学校が終わったらまた来ると言っていたが…」
バゼット「!」キィィィン
承太郎「どうした?」
バゼット「綾子が連れ去られたようです」
承太郎「なんだと!?なぜそんなことがわかる」
バゼット「今朝の名刺は追跡のルーンを刻んだ魔術道具です。念のために渡しておきました」
承太郎(意外と色々考えてるんだな…)
バゼット「説明している暇はありません、急ぎましょう!」
・
・
・
〜新都〜
美綴「間桐!アンタこんなことして許されると思ってんの?立派な誘拐じゃない!」
慎二「いつまでしらばっくれていられるか見ものだよ。さっさとサーヴァントを呼ばないと酷い目にあうのは自分だぜ?」
美綴「だーかーら!あたしはサーヴァントなんて知らないし、マスターとかいうのでもないんだってば!!」
慎二「あっそ、じゃあいいや。もういい加減聞き飽きちゃったしね。ライダー、昨日の命令を果たすがいいさ」
ライダー「…わかりました、マスター」
美綴「ひっ…」
慎二「ガッカリだなぁ、美綴。もう少し楽しませてくれるかと思ったのにさぁ〜。やっぱり僕には敵わないじゃないか」
承太郎「そこまでだぜ、小僧」
>>13
ご指摘ありがとうございます
いちおうSS作者向けのガイド読んだのに忘れてました〜
序盤で気付けてよかったですアリガトン
〜3分前〜
承太郎「まだか?バゼット」
バゼット「あと1kmほどです。場所はあの裏路地とそう離れていませんね」
承太郎「ところでバゼット、傷は大丈夫か?」
バゼット「サーヴァントを相手にするのは無理ですが、魔術師相手ならなんとかなるでしょう」
承太郎「そうか。無理はするなよ」
バゼット「ええ」
バゼット「人通りが減ってきましたね…簡単な結界を張ったようです。一般人には本能的にここから離れたいと思わせている」
承太郎「人目を嫌っているということか」
バゼット「実際、一般人が長時間いれば生気を奪われるでしょうね」
承太郎「気に喰わねぇな」
バゼット「見えました!あのビルの脇です!」
・
・
・
承太郎「そこまでだぜ、小僧」
美綴「承太郎…!」
慎二「やっとお出ましかよ。ん?ライダー、どっちがお前の言ってたサーヴァントだ?」
ライダー「長身の男のほうです」
慎二「なんだ、どっちも男に見えるからよくわからなかったよ」
バゼット「…今なんて言いました?」ピキッ
慎二「まぁいいさ、これでやっと僕のほうが優れていると証明できる。ライダー、あのサーヴァントを殺せ!!」
ライダー「了解しました」ヒュオッ
ギャリィィィン
承太郎「!このスピードとパワー、確かに人間じゃねぇな」ズギュウゥゥン
ライダー「やはり不可解な力を使いますね…あなたは」タンッ
バゼット「承太郎!」
承太郎「バゼット、美綴は任せたぜ!俺はあのライダーとかいうサーヴァントを倒す」ドンッ
バゼット「もうあんなに高い所に…」
慎二「ふん、よく見れば女じゃないか。片腕で何ができると思ってるんだろうね。変な動きを見せればこの女の顔に一生消えない傷が残っちゃうよ?」ギラッ
美綴「くっ…」
バゼット「…一つ聞いておきますが、あなたは魔術師ですか?」
慎二「あぁ?今更なに言ってんの?サーヴァントを従えるのが魔術師じゃなくて何だというんだよ」
バゼット「よかった。なら無駄に気を遣うこともありませんね。大人しく綾子を放すほうが賢明ですよ?」
慎二「…ふざけた女だな。惨めな泣き顔をさらす前に名前くらい聞いといてやるよ」
バゼット「私の名前ですか?それなら、綾子が私の名刺を持っていたはずですが」
慎二「名刺?」
バゼット「綾子、少し我慢してくださいね」キュィィン
ピカッッ
慎二「なにっ!?っぐううっ」ビリリリ
美綴「あいッタタタタぁ!?」ビリリリ
バゼット「シッ」ビュオッ
ボキッ
慎二「ぐあぁっ!?うっ腕があぁあ!!」
バゼット「魔術師なら腕が一本折れたくらいでわめかないで欲しいですね。綾子、無事でしたか?」
美綴「う、うん、おかげ様で。ちょっと痺れたけど」
バゼット「あの名刺に刻んだルーンは雷の属性なんですよ。一人前の魔術師なら簡単に察知できる代物ですが」
美綴「なんだかよくわからないけど、バゼットさんってけっこう怒らせると怖いよね?」
バゼット「無礼な男は嫌いですから」ニヤリ
美綴「そこ同感だわ」
ズドオォォォン
美綴「!?今度は何よ!?」
バゼット「あのビルの屋上です!あの光は…ライダーのサーヴァント…まさか!」
慎二「ハァッハァッ…アハハハッ僕のライダーに敵うはずないんだ…ライダーさえいれば…!」ダダダッカンカンカンカン
バゼット「待ちなさい!綾子、あなたは安全な場所まで逃げてください。私はあの男を追います」
美綴「ここまで巻き込んでおいてそれはないでしょ〜。あたしも付いて行くからね!」
バゼット「…わかりました。ですが、いざとなったら力ずくでも避難させますよ」
美綴「わかってる」
バゼット「では、行きましょう!」
・
・
・
承太郎「すばしっこい女だぜ…」ズダーン
ライダー「都合よく追ってきてくれましたね。ここなら心おきなく私の宝具を使える」
承太郎「宝具?なんのことだ?」
ライダー「あなたにできることは逃げ惑うことだけです。潔く死になさい」
ライダー「騎英の手綱(ベルレフォーン)!!」
ピカッ
バサッバサッ
承太郎「バカな…ペガサスだと!?」
ギュオアァァァッ
承太郎「ぬうっ!」
ズドオォォォン
ライダー「よく回避しましたね。ですが、それを何回続けられますか?」
承太郎「ぐっ…凄まじいスピードと破壊力だ…!かすっただけでスタープラチナのガードを弾き飛ばすとは…」ドジュウウゥゥ
承太郎(しかも騎兵とは、イヤなことを思い出させやがるぜ…)
ライダー「結局あなたが何のクラスのサーヴァントだったのかはわからず仕舞いでしたが…終わりにしましょう」
ギュオアアァァァッ
承太郎「くっ」
バゼット&美綴「「承太郎っ!」」ダッ
承太郎(後ろか?マズイ、あいつらも射線上にいやがる)
承太郎(ヤルしかないようだぜ…)
承太郎「スタープラチナ・ザ・ワールド!!」
ドォーーーーーーz_________ン
ライダー「」シィーン
承太郎「やれやれ、なんとか2秒止めるのが精一杯ってとこか」
承太郎「オラオラオラオラオラァッ!!」ズドドドドドンッ
承太郎「時は動き出す」
ライダー「ぐううあぅぅぅっ!?」ドギャーン
慎二「ライダー!?そ…そんな…そんな…」
ライダー「う…」スウゥゥゥー
承太郎「次はお前の番だ…覚悟しな」
慎二「こ…この偽臣の書をやるよ。だから助けてくれ」
承太郎「やれやれ、てめーは正真正銘のゲス野郎だぜ…てめーのつけは物では払えねーぜッ!」
承太郎「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァーッ!!」ズドドドドドドドドドドド
慎二「ヤッダーバァアァァァァアアアアア」ズドギャーン
−間桐慎二:再起不能(リタイア)−
バゼット「承太郎、今いったい何をしたんです?いつの間にかライダーが倒されていましたが」
承太郎「気のせいってやつだ」
美綴「うっわ間桐の奴、痛そ〜。容赦ないねえ承太郎」
承太郎「当然の報いだぜ」
バゼット「…ん?これは…偽臣の書?やはりこの男、本当のマスターではなかったんですね」パラパラパラ
承太郎「偽臣の書とは?」
バゼット「サーヴァントへの命令権を、本来のマスターから別の者へ一時的に譲渡するための魔術道具です」
バゼット「しかし誰がなぜこんな小悪党にサーヴァントを…」
ウ〜ウ〜ウ〜ピーポーピーポー
承太郎「騒ぎに気付いてケーサツやら消防やら駆けつけてきたようだな。ズラかるぜ」
〜エーデルフェルトの館〜
承太郎「慌ただしい一日だったぜ。っぐっ…」
美綴「あ、ゴメン。もう少しで消毒終わるから」
バゼット「今回はなんとか撃退できましたが、承太郎。あなた、ライダーに止めを刺しませんでしたね?」
承太郎「…」
バゼット「見せたほうが早いですね。私がなぜ偽臣の書を持ち帰ったかわかりませんでしたか?出てきなさい、ライダー」
スウゥゥゥー
ライダー「っく…ハァ…ハァ…」
美綴「うわっまた!?」
バゼット「話をするのも辛そうですね。僅かですが魔力を供給してあげましょう」キイィィィン
ライダー「ハァ…とりあえず礼を言っておきます」
承太郎「大丈夫なのか?」
バゼット「あなたと戦える力などありませんよ。今なら私でも難なく倒せるでしょう」
バゼット「ライダー、あなたに聞きたいことがあります。綾子、あなたには後で事情を説明しますので今はただ聞いていてください」
美綴「…わかった」
ライダー「…」
バゼット「あなたの本当のマスターは誰ですか?」
ライダー「…」
バゼット「言いたくないようなら質問を変えます。そのマスターは慎二とやらに悪事を働かせるためにあなたを譲渡したのですか?」
ライダー「いいえ」
バゼット「では、なぜ譲渡したのです?」
ライダー「…戦いを拒否したからです」
バゼット「なるほど。最後に一つ。あなたがマスターのもとに戻ったら、また人を襲うように命令されるのですか?」
ライダー「そんなことはあり得ない。マスターはそのような命令はしない」
バゼット「だそうです。どうします?承太郎」
承太郎「なぜ俺に聞く?」
バゼット「ライダーと戦って勝ったのは承太郎、あなただ。生殺与奪の権利はあなたにある」
承太郎「いいんじゃねぇか。その偽臣の書とやらから解放してやって」
バゼット「そうですか。あなたがそう言うなら仕方ありませんね」ボウッパチパチパチ…
バゼット「これで令呪は元のマスターに戻ったはずです」
承太郎「一つ忠告しておくぜ」
承太郎「またてめーとマスターが一般人に危害を加えるようなことがあれば、その時はもう容赦はしねえ」
ライダー「マスターに伝えておきましょう。…私からもあなたに聞きたいことがある」
承太郎「言ってみな」
ライダー「なぜ私を殺さなかったのですか?」
承太郎「さあな…そこんとこだが俺にもようわからん」
ライダー「…わかりました。ありがとう、承太郎」スウゥゥゥー
承太郎「フン、帰ったようだな」
バゼット「わからないと返答したのに、わかりましたとは不可解ですね」ニヤニヤ
美綴「ありがとう、承太郎。だってさ〜」ニヤニヤ
承太郎「やかましいぜ。疲れたから俺は寝る。バゼット、美綴を家まで送ってやりな」
バゼット「では綾子、行きましょうか。ここまで巻き込まれた以上、帰り道でこれまでの経緯を説明します」
美綴「わかった。じゃあまたね、承太郎」
承太郎「やれやれだぜ…」
〜エーデルフェルトの館〜
承太郎「さて、次こそキャスターをブチのめすとするか」
バゼット「そのことですが承太郎、キャスターの本拠地は既に把握しています」
承太郎「なに?」
バゼット「柳洞寺です。しかし、あそこの山門はもう一体のサーヴァントが守っている」
承太郎「何のサーヴァントだ?」
バゼット「アサシンのサーヴァント。格好は日本で言うサムライのようでしたね」
承太郎「剣士とは戦ったことがある。問題ねーぜ」
バゼット「ですが、あの寺はもはやキャスターの要塞です。先に調べなければならないことがある」
承太郎「言ってみな」
バゼット「キャスターが街の住人から魔力を奪っている地域、陣地と言いますが、その範囲を知りたい」
承太郎「なぜだ?」
バゼット「それがわかれば、キャスターがどれだけ魔力を蓄えたかおおよその推測ができる」
承太郎「つまり戦力も推測可能ということか」
バゼット「そうです。それに承太郎、あなたは昨日ライダーと戦ったばかりだ。連戦は避けるべきでしょう」
承太郎「らしくない心配するもんじゃあねーぜ」
バゼット「…あなたが私をどう思ってるか一度聞いておくべきのようですね」ジトー
美綴「おはよう承太郎、バゼットさん」ガチャ
バゼット「おはよう、綾子」
承太郎「また来たのか、美綴」
美綴「なによ〜来ちゃいけないっての?ところで今日の予定は?せっかくの休日なんだけどさ」
バゼット「今日は街を散策するつもりです。まずは新都からでしょうか」
美綴「じゃあこの街の代表として、あたしが案内役になるとしよう」
バゼット「そうですか。ぜひお願いします」
承太郎「おいバゼット、大丈夫なのか?」ヒソヒソ
バゼット「昼間に襲撃を受けることはまずないでしょう。万が一の時には頼りにしてますよ、承太郎」ヒソヒソ
美綴「善は急げだ、さぁ出発!」ルンルン
〜新都〜
美綴「アレがヴェルデっていうデパート。そこそこ良いお店も入ってるから、まずはあそこを案内するよ」
バゼット「わかりました」
承太郎「おい」
バゼット「なんです?承太郎」
承太郎「調査はどうした」
バゼット「このデパートも立派な調査対象ですよ。大勢の人が集まるんですから」
承太郎「ぬう…」
美綴「バゼットさん、何か足りない物とかある?」
バゼット「そうですね。スーツ類は何着も持ってきたのですが、下着が少し足りないことに気付きました」
美綴「じゃあちょうど見たいお店があったから、そこにしよう。あたしがバゼットさんに似合うのを選んであげるよ」
承太郎(居心地が悪いったらねーぜ…)
美綴「承太郎も一緒に選ぶ?」ニヤニヤ
承太郎「俺はここに入ってる喫茶店で時間でもつぶすぜ」
美綴「そう?じゃあまた後でね」
承太郎「やれやれだぜ…」
イラッシャイマセー
承太郎「後で連れがくるんでな。4人席で頼む」
店員「かしこまりましたー。こちらにどうぞ」
承太郎「フウ、やっと人心地ついたぜ」
〜30分後〜
ガヤガヤ…
承太郎(いつの間にか店が混んできたな)
店員「すみません、お客さま」
承太郎「ん?」
店員「大変申し訳ありませんが、お連れの方がお見えになられるまで相席をお願いしてもかまいませんか?」
承太郎「構わないが」
店員「ありがとうございます。お客さま、こちらです」
氷室「失礼する」
承太郎「気にするな」
氷室「…」
氷室(見たところ一昔前の不良のような出で立ちだが…読んでいるのは日本地図と世界地図、それと歴史年表か)
氷室(これはまた奇妙な組み合わせだな。面白い休日になりそうだ)ニヤリ
承太郎「…」
氷室「…」ジー
〜さらに30分後〜
美綴「おっ待たせ〜承太郎。…って、げぇっ氷室!なんで!?」
氷室「これはこれは美綴女史。こんな所で会うとは奇遇だな」
承太郎「遅かったな、美綴。知り合いか?」
美綴「ななっ…なんで氷室とお茶飲んでるの?」
氷室「さっきまで混んでいてね。私が後から相席した」
美綴(マ、マズイ…ある意味一番会いたくなかった人物…)
氷室「私からも聞きたいのだが、お二人はどういったご関係なのかな?」キラーン
美綴「そそそそれはなんというか、色々と事情がありまして…」アタフタ
氷室「なるほど。美綴弟が最近姉の帰宅が遅いとボヤいていたが、これが原因か」ニヤリ
美綴(実典…帰ったらボコる)ゴゴゴゴゴ
バゼット「お待たせしました承太郎。ん?どうしたんです?」
氷室「ほう、これは確かに弟には説明できない複雑な関係のようだ」
美綴(誰かこのエセ探偵をなんとかして…)
・
・
・
氷室「なるほど。以前痴漢に襲われていたところを助けてもらったと」
美綴「そういうこと」
美綴(正確には痴女だったけど)
氷室「ところで空条氏。美綴のどこを気に入ったのか教えていただきたいのだが」
美綴「あっアンタ、さっきの説明のどこを聞いてたのよ!?」
承太郎「強いて言うなら、普段は気丈でサッパリしてる反面たまに女らしさを見せるとこか」
美綴「!!??」ボシュウゥゥ
氷室「りんごゲット」
バゼット「りんごですね」
承太郎「りんごだな」
美綴「じょじょじょ承太郎!アンタなに言ってんの!?」
氷室「予想以上にいい関係を築いているようで、学友として嬉しい限りだよ」ニヤリ
バゼット「承太郎、私のことはどう思ってるんですか?」
美綴&氷室「「!?」」
美綴(も、モノスゴイ剛速球…)
氷室(豪腕だな…)
承太郎「そうだな…ズボラでどこかヌケているが、いざという時には頼りになるってとこか」
バゼット「前半部分は納得がいきませんが、終わりが良かったのでよしとしましょう」
美綴(え、もしかしてさっきのって本当にただ私の気に入ったところを言っただけ?あるぇー(・3・)?)ポカーン
氷室(これは一筋縄ではいかないタイプの男だぞ、美綴)ゴクリ
バゼット「ところで承太郎、何を読んでいたんですか?」
承太郎「ん?まぁ、地図と歴史年表だな」
バゼット「ああ、なるほど。あなたがいた世界とどこか違いはありましたか?」
承太郎「いや、地理と歴史はほとんど変わらないな。地名に少々の違いがあるくらいだぜ」
承太郎(異世界…いや、軸が若干ズレた平行世界と言ったところか)
氷室「あなたがいた世界?」
美綴「じょ、承太郎とバゼットさんは日本に来たばかりでさ!あたしがここらを案内してるんだわ」アセアセ
承太郎「氷室鐘さん、と言ったか。聞きたいことがあるんだが、いいか?」
氷室「氷室と呼んでくれればいい。聞きたいこととは?」
承太郎「きみは美綴と同じマンションに住んでいるらしいな。周りで最近、体調を崩している者はいるか?」
氷室「いや、家族は健康そのものだ。近隣の住人も。…ただ、クラスメートや部活には少数いるな」
美綴「あーそれウチの弓道部もだわ。ちょっとカゼが流行ってるみたいで出席率悪いんだよね最近。サボリなら容赦しないんだけど」
バゼット「!その生徒達はどの地域に住んでいるかわかりますか?」
美綴「ん〜どっちかと言うと新都側じゃなくて深山町に多いかな」
氷室「いや、陸上部には新都側にも休んでいる生徒がいるぞ。私達のマンションからは離れてるが」
承太郎「その生徒の家の近くまで案内して欲しい」
氷室「構わないが…どうしてだ?」
バゼット「私はこの原因不明の疲労・昏睡事件を調べているんですよ。承太郎はその助手です」
承太郎「…そういうことだ」
氷室「面白そうだな。協力しよう」ニヤリ
・
・
・
氷室「確かこの近くだな。さすがに住所までは覚えていない」
バゼット「ありがとう。ここで十分です」
承太郎「なにかわかるか?バゼット」
バゼット「……。ええ、大体わかりました。もう夕方なので今日はここまでとしましょう」
美綴「え、もう終わり?」
氷室「何かわかったのか?」
バゼット「二人ともこの近辺にはあまり立ち寄らないほうがいい。風水的にあまりよくないようですね、ここは」
美綴「へぇ〜」
氷室「…そういうものなのかな」
承太郎「今日は世話になった。暗くなる前に送っていくぜ」
〜エーデルフェルトの館〜
承太郎「本当のところはどうだったんだ?あそこは」
バゼット「あの二人の前では話せませんでしたが…事態は深刻ですね」
承太郎「どういうことだ?」
バゼット「結論から言うと、キャスターはこの地の霊脈を使って魔力を集めている。そして、あそこはちょうど霊脈の上だった」
承太郎「幸運にも美綴達の住むマンションは霊脈から外れていた、というわけか」
バゼット「ええ。陣地は柳洞寺を中心とした円形ではなかった。だから、遠く離れた新都でも効果の及ぶ場所とそうでない場所がある」
承太郎「なるほど。深刻というのは?」
バゼット「今はあの程度の魔力収集量で済んでいますが、戦況が進むにつれてさらに増える可能性が高い、ということです」
承太郎「…なんだと?」
バゼット「今は露見を恐れて収集量を抑えていますが、いざとなれば遠慮はしないでしょう。たとえ、住人が死のうとも」
バゼット「…霊脈を押さえたキャスターにはそれができる」
承太郎「事態が変わった。もう悠長に調べているヒマはねえ。今夜行くぜ」
バゼット「しかし…一つ懸念がある」
承太郎「なんだ?」
バゼット「山門のサーヴァントはあなたと同じ近接戦闘タイプ。承太郎なら対処できるでしょう。しかし、キャスターは遠距離タイプ」
承太郎「それがどうした?」
バゼット「キャスターはあなたと距離を取って魔術で攻撃するでしょう。蓄積量を考えると魔力切れを狙うこともできない」
承太郎「バゼット。俺の戦いでは事前に相手の射程距離がわかっている方が珍しかったぜ」
バゼット「!」
承太郎「ヤツが遠距離型とわかっているだけで十分だ。もうキャスターの野郎を見過ごすことはできん」
バゼット「…わかりました。行きましょう」
バゼット(この決断力と精神力…私はここまでの信念を持って戦っていただろうか…)
〜柳洞寺の山門〜
アサシン「先客万来だな。昨日の今日とは」
承太郎「てめーに恨みはねーが、力ずくで通らせてもらうぜ」
アサシン「…ほう?マスターは誰かと思えば、以前に見た顔だな。あの槍兵は倒されたか?」
バゼット「くっ…」ギリリ
アサシン「なんにせよ新たなサーヴァントを得ることができたとは重畳。だが、私にも主からの命があるのでな。易々と通すことはできん」チャキン
承太郎「バゼット、下がっていろ。隙を付いて門を抜けられるような甘い相手じゃあないようだぜ」
バゼット「頼みます、承太郎」ザッ
アサシン「死合う前に名を聞かせてくれまいか」
承太郎「空条承太郎だ」
アサシン「…フッ嬉しいこともあるものだ。今までのサーヴァントは一人たりとも名乗ってはくれなかったのでな」
承太郎「次はそっちが名乗る番だぜ」
アサシン「佐々木小次郎。刀を振ることしか能の無い亡霊よ」ヒュオ
承太郎「ぬうっ!」ギギィン
アサシン(見えない何かに弾かれた。正体を掴むまでは先手を取らせるのは愚策か)ビヒュオオ
承太郎(佐々木小次郎だと?確かに鬼気迫る太刀筋だぜ!)ギギギギギギン…
ギギィィンッ!!
アサシン「セイバーも面妖な剣を振るっていたが、貴殿はさらに奇っ怪な力を使うようだな」ザザッ
承太郎「答える義理はねーぜ」
アサシン「だが見当は付いた。背の丈七尺弱の男、といったところか?」
承太郎「バカな…見えるのか?」
アサシン「見えはせんさ。ただ、今の立合いで測っただけのこと」
承太郎「恐ろしい野郎だ…」
アサシン「こんなものは曲芸にすぎん。ここからは貴殿の力と私の技、どちらが勝るかのみよ」ピュインッ
承太郎(さらにスピードを増した!だがこの速さ…)ギンギギギン
承太郎(アヌビス神で経験したレベルだぜ!)
承太郎「オラァッ!!」ズドンッ
アサシン「ぐっ!」ザザザッ
承太郎「ここまでだぜ。てめーのスピードは見切った」
アサシン「…なるほど、小手先の技は通用せんか。では、この一太刀に全霊を込めるとしよう」スウッ
承太郎(上段の構え…防御を完全に捨てているが、凄みがさっきまでと桁違いだぜ。うかつに手を出せば後の先を取られる)
アサシン「…」
承太郎「…」
アサシン「受けよ。燕返し」ヒュ
承太郎(疾い!が、このスピードなら捉えられ…!?)
承太郎(バカな!!同時に三方向からの斬撃だと!?間に合わんっ…)ザシュウッ
承太郎「スタープラチナ・ザ・ワールド!!」
ドォーーーーーーz_________ン
承太郎「ぐっ、躱すだけで精一杯かっ…!」ザッ
承太郎「時は動き出す」
アサシン「躱されたか…!」ビュオ
承太郎「オラオラオラオラァッ!!」ズドドドン
アサシン「がはっ…」ズドーン
承太郎「ハァ…ハァ…紙一重だったぜ…あとコンマ1秒時を止めるのが遅ければ、首が飛んでいた」ポタポタ
アサシン「…完敗、だな。承太郎、貴殿と戦えたことを誇りに、思う」ゲホゲホゴポッ
承太郎「お前も強かったぜ…佐々木小次郎」
アサシン「いまわの際にその名で呼ばれることを素直に喜べるとは、な。さらばだ、承太郎」スウゥゥゥー
−アサシン:死亡−
バゼット「承太郎、無事ですか!?」タタタッ
承太郎「ああ、なんとかな。傷も辛うじて頚動脈には達していない」
バゼット(まるで応酬を視認できなかった…サーヴァント同士の戦いがここまでとは)
承太郎「グズグズしてるヒマはねぇ、行くぜ」
バゼット「しかし、その傷では…」
承太郎「バゼット、階下を見ろ」
バゼット「な…!あの闇は…階段が途中で無くなっている」
承太郎「向こうも逃がす気はないようだな」
〜柳洞寺境内〜
承太郎「てめーがキャスターか」
キャスター「…役立たずな男。本当に倒されたようね」
バゼット「残るはあなただけです」
キャスター「追い詰めたつもりになっているところ悪いのだけど、逃げられないのはあなた達のほうよ」ブワッ
バゼット「飛行魔術…承太郎、やはりキャスターは距離を取って戦うつもりです」
承太郎「バゼット、お前はマスターを探せ。俺はあの女をブチのめす」
バゼット「わかりました」タタタタ
キャスター「そうはいかないわよ」キュイィィ
承太郎「てめーの相手は俺だぜ」ダンッ
キャスター「くっ!この跳躍力…忌々しい」バッ
承太郎「チッ上手くかわしやがる」スタッ
キャスター「地面を這いずり回っているのがお似合いよ」キュィィンドドドドドン
ズドドドドドドン
承太郎(この威力…ハイエロファントグリーンを遥かに上回ってやがる)ダダダダ
キャスター「アハハハ逃げ回るためにここに来たの?」ドドドドドン
ズガガガガガガン
承太郎(だがこの女、戦略家ではあっても戦術家ではないな)ダダダダ
キャスター「!マズイ、土煙で…奴を見失った」
承太郎「オラァッ!」ビシュン
ヒュンヒュンヒュン
キャスター「げうっ!」バギッ
承太郎「てめーで撒き散らした石畳だぜ」
キャスター「うぐっ」ドサッ
承太郎「てめーをカワイソーとはまったく思わねえ…」ザッザッザッ
キャスター「こ…ここに溜めた魔力をあげるわ。だから見逃してちょうだい」
承太郎「やれやれ、てめーは正真正銘のゲス女だぜ…てめーのつけはてめーで払いなッ!」
承太郎「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァーッ!!」ズドドドドドドドドドドド
キャスター「ヤッダーバァアァァァァアアアアア」ズドギャーン
−キャスター:死亡−
〜柳洞寺内〜
バゼット(人の気配がまるでない。やはりここの住人はキャスターの手によって…)タタタタ
葛木「境内が騒がしいようだが、何が起こっている?」スッ
バゼット「この寺の方ですか?境内は今危険です。ここで不審者を見たことはありませんか?」
葛木「いや、心当たりは無いな。ところで、境内で戦っているのはお前のサーヴァントか?」
バゼット「え?」
ヒュオ
バゼット「ぐぅっ!?」メキッ
葛木「ふむ。殺すつもりで打ったのだがな。咄嗟にいなしたか」
バゼット(しまった、ここに居る時点で敵と見るべきだった…!)
葛木「キャスターめ。好きにさせていたが存外にだらしがない」
バゼット「あなたがキャスターのマスターですね。今すぐキャスターに街の住人から魔力を奪うのをやめさせなさい」
葛木「あれが生きるためには必要なことだと言っている以上、止めることはできんな。それに、それは悪い事なのか?」
バゼット「あなたは…!」
葛木「私も身を守るためには手を下すことも厭わん」シュッ
バゼット「!」ガガガガッ
バゼット(この男の拳…強化魔術か。マズイ、初撃のダメージが思ったよりも重い。肋骨を数本やられた…!)
葛木「中々にいい動きをする。だがこちらも時間をかけていられんのでな」ビュオ
バゼット(それにこの拳の軌道…!左が蛇のように奔ったかと思えば右が最短距離で急所を狙ってくる)ババッ
バゼット(片腕で相手をするには厳しい使い手だ。右腕だけでは捌ききれない…!)ガガガガガッ
葛木「そろそろ防御もままならんだろう。止めだ」ヒュボッ
バゼット「!!」
ギャリィィィン
グサッ
葛木「…」ドサッ
−葛木宗一郎:死亡−
バゼット「……?こ、これは…ライダーの釘剣…?」
ライダー「怪我はありませんか、バゼット」ザッ
バゼット「ライダー!なぜあなたが?」
承太郎「バゼット、無事か?」ダダダダ
バゼット「承太郎!ということは、キャスターを倒したのですね」
承太郎「ああ。だが、これはどういうことだ?てめーはまた人を襲いやがったのか、ライダー」ビキビキ
ライダー「…」
バゼット「いえ、違います承太郎。この男がキャスターのマスターでした。ライダーは私を助けてくれたのです」
承太郎「なんだと?ライダー、理由を説明してもらおうか」
ライダー「あなたからの伝言をマスターに伝えました。するとマスターはあなた達に助力するように、と」
ライダー(正確には監視も含めてですが)
バゼット「しかし、あなたのマスターは身を守れるのですか?」
ライダー「マスターが聖杯戦争に参加していることを知るのは、慎二以外には一人だけです」
ライダー「慎二は病院で喋ることもできない状態ですし、もう一人もマスターが露見することを望んではいない」
バゼット「マスターとして狙われる危険はない、ということですか」
ライダー「今のところは」
承太郎「フン。だが、お前自身が俺達に協力することをどう思っているか、それが重要だ」
ライダー「…マスターは聖杯戦争が続くことで苦しんでいる。私は一刻も早くこの戦いからマスターを解放したい」
バゼット「私達の目的とは合致しますね。戦力としても申し分ない。どうします?承太郎」
承太郎「…勝手にしな、ライダー。だが、お前のマスターも今は安全とはいえ油断は禁物だぜ」
ライダー「わかっています。マスターの身に危険が及べば察知できる用意はしてあります」
バゼット「それでも、定期的にマスターの安否を確認に戻るべきですね」
ライダー「もとよりそのつもりです。いざとなれば、私はあなた達よりもマスターを優先する」
承太郎「話はまとまったな。寺と周辺を調べた後、帰るとするぜ」
ライダー「私はこの死体を埋めてきます」
バゼット「ライダー、今夜はどうします?」
ライダー「あなた達の拠点を知っておきたいのですが」
バゼット「わかりました。後で案内しましょう」
承太郎「やれやれだぜ…」
ここまでがVIPで書いた分です
こっから先が続き
〜翌朝・エーデルフェルトの館〜
承太郎「…そろそろカップ麺にも飽きたぜ」ズルズル
バゼット「そうですか?味は十分だと思いますが」ズズズー
ライダー「館は豪華でも食生活は貧しいのですね」ズズズ
バゼット「文句を言うわりには食べてるじゃないですか」ゾゾゾ
ライダー「食べなくとも困りませんが、食べれば活動源にはなりますので」ズルル
承太郎「食材買ってくるか…」
ガチャ
美綴「おっはよ〜承太郎、バゼットさん…ってまた女が増えてるー!?」ガクガク
氷室「ほう。やり手だな空条氏」ニヤリ
バゼット「おはよう綾子、鐘も」
承太郎「美綴と氷室か。そういえば今日はまだ日曜だったな」
美綴「らららライダーさんがどうしてここに…?」
バゼット「色々と事情があって協力することになったんですよ」
美綴「そ、そうなんだ〜」
ライダー「綾子、あなたには迷惑をかけてすみませんでした」ハァハァ
美綴「未遂だったんでいいですけどハァハァ言いながら近づかないでくださいお願いします」ブルブル
氷室「よくわからないが、見てるだけで面白いな」
承太郎「やれやれだぜ…」
・
・
・
氷室「氷室鐘です。よろしく」
ライダー「よろしく、鐘。私のことはライダーと呼んでください」
氷室「は、はぁ…」
氷室(どちらかと言うと悪の女幹部という格好だが)
バゼット「そういえば、氷室はどうしてここに?」
氷室「お邪魔だったかな?」
バゼット「いえ、構いませんよ」
美綴「出かける時につかまっちゃってさあ」
氷室「昨日のことが気になってね」
氷室(こんな面白そうなメンツに興味を持たないほうがおかしいというものだ)ニヤリ
美綴「それにしても貧しい朝食だねぇ」
承太郎「まったくだぜ」
ライダー「まったくですね」
バゼット「承太郎、さっき食材を買ってくると言っていましたが、料理はできるのですか?」ズズー
承太郎「一応はな。大雑把にだが」
美綴「へぇ、何が作れるの?」
承太郎「カレーにシチュー、あとは肉じゃがってとこか」
美綴「へ、へぇ〜」
氷室「見事に同じ材料だな」
バゼット「私だって肉と卵とポテトを焼くことくらいはできますよ」
承太郎「それは料理じゃあなく加熱と言うんだぜ」
美綴「じゃあ、今日も買い物行くんだ?」
承太郎「昨日も別に買い物が目的じゃあなかったんだがな」
バゼット「でも行くんでしょう?」
承太郎「構わないが。…なぜお前ら必死なんだ?」
ライダー「私はどうしましょうか、承太郎」
バゼット「その格好では出歩けませんよ」
バゼット(そもそも霊体になれば格好など気にする必要がない)
美綴「じゃあついでに服も買いに行く?」
承太郎「バゼットの服を貸せばいいだろう。ちょうど背格好も同じだ」
バゼット&ライダー「「嫌です」」キッパリ
承太郎「そ、そうか」
美綴「今のは承太郎が悪い」
氷室「非道い男だ」
美綴「でも服を買いに行く服がないのも事実だよね」
ライダー「いえ、私はここで待機していますので構わずに」
氷室「…空条氏が服を選んでライダーさんにプレゼントすればいい」キュピーン
バゼット&美綴&ライダー「「!?」」
バゼット(確かに面白そうではあるが)
美綴(ライダーさんだけズルいなあ…)
承太郎「何を言ってやがる」
ライダー「そっ、そうですよ。それに、私のような…なんというか、大柄な女に似合う服など…」
バゼット「ライダー、それは私に対する侮辱ですか」ピキッ
美綴「まぁまぁバゼットさん。承太郎もライダーさんに何か言ってあげなよ」
承太郎「そうだな…欧米の女性ではごく普通の身長だぞ、ライダー」
承太郎(徐倫も同じくらいの身長だったな…)
ライダー「えっ」ズキュゥゥン
美綴(マズイ、なんか変な後押ししちゃったかも?)
氷室(確かに空条氏にとっては皆小さく見えるだろうな)
美綴「じゃ、じゃあ早速行こうか!ライダーさん待っててね〜」
ライダー「ええ。お気をつけて」
〜ヴェルデ〜
美綴「昨日に引き続いてやって参りました」
氷室「他に無いのかと言いたくもなるが」
美綴「でも高級百貨店につれて行くのも承太郎に悪いしね」
承太郎(俺が払うのは確定事項か…やれやれだぜ)
バゼット「ところで承太郎、女性に服を選んであげたことはあるんですか?」
美綴&氷室「「!」」
美綴(相変わらずのド直球…)
氷室(恐ろしい女だ…)
承太郎「………無いぜ」
バゼット「あるんですね」
美綴「あるんだ」
氷室「あるな、これは」
承太郎(なぜわかる…)
バゼット「ではお手並み拝見といきましょうか」
店員「どういったお召し物をお探しでしょうか?」
美綴「どういうのがライダーさんに似合うと思う?承太郎」
承太郎「ぬう…そうだな…脚が長いからパンツルックが似合うんじゃないか?色は暗色系か」
バゼット「思ったよりもまともですね」
氷室「そんな服装だからどうなるかとも思ったが」
美綴「だねぇ。じゃあ上はどんなのがいいかな?」
承太郎「…カッターシャツやタートルネックってとこか。暗色系で統一するのもいいかもしれんが、意外と白も似合うと思うぜ」
美綴「へぇ〜?なんとなく承太郎の好みがわかったかな」
氷室「参考になるな」ニヤリ
美綴(なんか慣れてるのがムカつくけど)
店員「サイズはこちらの方に合わせればよろしいですか?」
承太郎「ああ」
バゼット「え、私ですか?」
店員「スタイルいいですね〜。彼女さんですか?」
承太郎「いや、違うぜ」
バゼット「釈然としませんね」ムカムカ
美綴「あ〜ちょっとわかるかも」
氷室「サイズを合わせた服が別の女宛てというのはちょっとな」
店員「え?そうなんですか?ヒドくないですかそれ?」
バゼット「こうなったら私達にも選んでもらいましょう」
美綴「ナイス」
氷室「名案だ」
承太郎(バ、バカな…この状況…新手のスタンド攻撃か…?)ズーン
〜マウント深山商店街〜
美綴「いや〜良い買い物ができたね」
氷室「思わぬ収穫だったな」
バゼット「今回はこれで良しとしましょう」
承太郎(なけなしのヘソクリが残っていたのが不幸中の幸いか…もう残り少ないが)トボトボ
美綴「そういえば、夕食は何にする?ここなら何でもそろうけど」
バゼット「私は満腹になれば何でもいいですよ」
承太郎「お前らも食っていくのか?美綴、氷室」
美綴「いいじゃん。材料代は折半するからさ」
氷室「家族には美綴と一緒に外食して来たと言えば問題ない」
桜「あ、美綴先輩に氷室先輩。こんにちは」
美綴「お、桜じゃん。今日も買い出し?世話のかかる兄はあの後どう?」
桜「ありがとうございます、美綴先輩。この前もわざわざ電話で心配いただいて。兄さんは病院でおとなしくしています」
氷室「事故で入院したんだったな。日頃の行いが祟ったか」
桜「そうかもしれませんね…そちらの方々は?」
美綴「このデカいのは承太郎。こっちはバゼットさん。ちょっと世話になってね。二人ともこの街に来たばかりだから案内してんの」
桜「そうでしたか。初めまして、間桐桜です」ニコッ
承太郎(間桐…)
バゼット(あの男の妹か)
バゼット「バゼット・フラガ・マクレミッツです。よろしく」
承太郎「空条承太郎だ。よろしく頼むぜ」
桜「はい、こちらこそよろしくお願いします」
美綴「じゃあ桜、また明日学校でね」
氷室「あまり遅くならないようにな」
桜「ええ。さようなら」
桜「…」
〜エーデルフェルトの館〜
承太郎「帰ったぜ」
ライダー「おかえりなさい、承太郎。凄い量の荷物ですね」
承太郎「ああ。これで食生活は改善されるが…ヒドい目にあったぜ」
氷室「では早速プレゼントターイムといこうか、空条氏」ニヤリ
美綴「はやっ!」
バゼット「…」ムカッ
ライダー「ま、まさか本当に買ってきたのですか?」
承太郎「まぁ、否応なくな。着るか着ないかは好きにしろ」ポン
ライダー「…ありがとう、承太郎」ジーン
美綴(むむむ…)
バゼット(ぐぐぐ…)
氷室「せっかくだから着てみたらいかがかな?ライダーさん」
ライダー「しかし私は…バゼット、少し相談があります」
バゼット「ん?ここでは話せないことですか?」
〜別室〜
バゼット「それで、相談とは?」
ライダー「あなたなら薄々感付いていると思いますが、私の眼は魔眼なのです」
バゼット「やはりそうでしたか。それで、一体どんな?」
ライダー「その前に他言はしないと約束して欲しい」
バゼット「…わかりました。あなたとは共闘関係にある。約束しましょう」
ライダー「ありがとう。…私の眼は、石化の魔眼です」
バゼット「…!なるほど、その眼帯を外せないわけだ」
ライダー「ええ、これを外せば無差別に眼に触れた者を石化してしまう。あなたならばある程度の抵抗力はあるでしょうけど」
バゼット「しかし、美綴と氷室にはどうすることもできない」
バゼット(そして、恐らくは承太郎にも)
ライダー「この服を着るにあたって眼帯を外したいのですが、そうすると彼女らに迷惑がかかる」
バゼット「?眼帯を着けたままでも服は着れるでしょう?日常生活に不足していないのですから」
ライダー「それはその、なんというか…眼帯を外した状態の私を、見てもらいたいのです」アセアセ
バゼット(承太郎に、か…)
ライダー「それで、あなたなら何か手段があるかと思いまして」
バゼット「……わかりました。ここで拒否するのはフェアじゃありませんね。皆には一時的に対魔力を上げるルーンを施しましょう」
ライダー「感謝します、バゼット」
バゼット「しかし、制限時間は5分です。最高位の魔眼に対して私ができるのはこれが精一杯だ」
ライダー「承知しました」
美綴「遅いな〜ライダーさん」
バゼット「じきに来ますよ」
美綴「バゼットさんには変なおまじないされるし」
バゼット「ほんの暇つぶしです」
ガチャ
コツ、コツ、コツ…
氷室「来たようだな」
ライダー「…どうでしょうか」
一同「!!!」
美綴「あわわわ…」ガクガク
氷室「なんというか…反則だなこれは…」ポカーン
バゼット(…やはりこの女は敵だ)ゴゴゴゴゴ
ライダー「に、似合いますか?承太郎」ドキドキ
承太郎「ぬう……ああ、似合ってるぜ。そういう眼をしてたんだな」
ライダー「変じゃないですか?」
承太郎「悪くないと思うぜ」
美綴「だー!そこまでそこまで!ライダーさん近づき過ぎ!お触り厳禁!!」
ライダー「え」
バゼット「ライダー、時間切れです。部屋に戻ってください」グイグイ
ライダー「いや、まだ少しあるはずでは…」ズリズリ
バゼット「術に失敗しました。もう保ちません」グイグイ
ライダー「そ、そんな…」ズリリー
ガチャン
氷室「なにかスゴイものを見てしまった気がする」
承太郎「同感だ」
・
・
・
承太郎「フウ、久しぶりにマトモな夕食を食った気がするぜ」
美綴「といってもカレーだけどね。どうだった?」
承太郎「俺が作るより美味いな」
美綴「トーゼンでしょ〜」ルンルン
氷室「私も手伝ったのだが」
承太郎「どこをだ?」
氷室「サラダを盛り付けたのが私だ」フンス
承太郎「…そうか」
バゼット「綾子、鐘、そろそろ遅くなるので帰ったほうがいいでしょう」
承太郎「そうだな。ライダー、お前も美綴達がどこに住んでるか知っておいたほうがいい。送ってやりな」
美綴「え」
ライダー「わかりました。ぜひ」ハァハァ
美綴「ひいい」ブルブル
氷室「今日は世話になった。では、お邪魔する」
〜間桐邸〜
桜「…」
ライダー「サクラ、帰りました」スウゥゥー
桜「ライダー。そちらはどう?」
ライダー「承太郎とバゼットは昨夜、アサシンとキャスターを倒しました。今日は特に進展はありません」
桜「衛宮先輩達との接触は?」
ライダー「まだ無いようです。時間の問題かもしれませんが」
桜「それまでは協力してあげて、ライダー。衛宮先輩と接触したらすぐに知らせて」
ライダー「…承太郎達が衛宮士郎と出会った場合、どうするのですか?」
桜「まずは出方を見るけど…衛宮先輩と敵対するようなら、その時は対応を変えなければならないわ」
ライダー「…わかりました」
桜「ごめんなさい。あなたには苦労ばかりかけてしまって」
ライダー「いえ、サクラのためですから」
桜「ありがとう、ライダー」
ライダー「ではあちらに戻ります。何かあればすぐに知らせてください」スウゥゥー
ライダー「…」
〜エーデルフェルトの館〜
ライダー「戻りました」
バゼット「お疲れ様。思ったよりも時間がかかりましたね」
ライダー「綾子達のマンションもそう近いわけではありませんから」
バゼット「それもそうですね。承太郎、ライダーも戻ったので今後の方針について話し合いたいのですが」
承太郎「ああ」
バゼット「街の人達に危害を加えていたキャスターは、昨日無事倒すことができました。これからはどうします?承太郎」
承太郎「残りのマスターとサーヴァントがどうしているか、どんな奴かを調べる必要がある」
ライダー「…」
バゼット「ライダー、あなたのマスターは今も戦う意志はないのですね?」
ライダー「ええ。今のところその意志が変わる様子はありません」
バゼット「わかりました。では、まずはこれまでの戦いを整理しましょう。私達は7人のサーヴァントのうち、3人を倒した」
バゼット「そのうちの1人、ライダーは今や協力関係にある。残るサーヴァントとマスターは4組」
承太郎「セイバーとアーチャー、ランサー、そしてバーサーカーだったか」
バゼット「セイバーとアーチャー、…そしてランサーの3人は三騎士と呼ばれ、バランスの取れた戦闘能力を持つ」
承太郎「これまでのサーヴァントとの違いはあるのか?」
バゼット「近距離・中距離戦闘で安定した強さを発揮します。アーチャーの本領は遠距離ですが」
バゼット「そして、それぞれがライダーに勝るとも劣らない強力な宝具を持つ」
承太郎「あれと同等以上か…厄介だぜ。バーサーカーはどうなんだ?」
バゼット「名前の通り、英霊を狂戦士にすることで能力を底上げするクラスです。元々強力なサーヴァントをさらに強化できるのは脅威です」
バゼット「反面、理性が失われることで能力の一部が使えなくなることや、マスターの魔力消費量が膨大であることなどデメリットもある」
承太郎「残りの4人のうち、一番手強いのはどいつだ?」
バゼット「恐らくはセイバーかと。全てにおいて高水準で安定した能力と、絶大な攻撃力・防御力を持つ。前回の聖杯戦争でも最後まで残ったそうです」
承太郎「そうか。まずはセイバーとそのマスターを調べるとするか」
ライダー「…」
承太郎「だが、そろそろ聞かせてもらうぞバゼット」
バゼット「なんですか?」
承太郎「お前が最初に組んでいたサーヴァントはランサーだな。ランサーは今どうしている?」
バゼット「…わかりません。私を倒して左腕ごと令呪を奪ったのは言峰綺礼。冬木教会の神父で、この聖杯戦争の監督役です。恐らくはその男の下で活動している」
承太郎「なぜ最初に確認しに行こうと思わなかった?」
バゼット「…私は…いえ、なんでもありません。もし言峰が私を死んだ、もしくは戦力を失ったと判断しているなら、私達が活動する上で好都合です」
バゼット「わざわざ彼らの前に姿を現して、このアドバンテージを捨てる必要はない」
承太郎「フン、理には適っているな」
バゼット「何か言いたいことでも?」
承太郎「いや」
バゼット「…そうですか。では、今後はまずセイバーとそのマスターを調査。続いてアーチャー、バーサーカーを調べるとしましょう」
承太郎「ライダー、お前は他のサーヴァントとマスターについて何か知ってることはないか?」
ライダー「いえ、ありません。私と慎二もすぐにあなたに倒されましたので」
承太郎「そうだったな。やれやれ、地道に行くしかないようだぜ」
バゼット「承太郎、今夜はどこを探索しますか?」
承太郎「これと言ってあてはないが、昼間は新都方面ばかり歩き回ったからな。深山町を調べるとしよう」
バゼット「ライダー、あなたはどうします?」
ライダー「同行します。私も今後のためにできるだけ情報が欲しい」
承太郎「さて、行くとするか」
〜深山町〜
バゼット「やはり、キャスターがいなくなってこのあたりの霊脈も落ち着いたようですね。柳洞寺も静かそのものだった」
承太郎「どうやら今夜は収穫無しだな」
ライダー「…!静かに。巨大な何かが近づいて来ているようです」
承太郎「新手のサーヴァントか。方角は?」
ライダー「承太郎から見て十時の方向です」
承太郎「スタープラチナッ!」バンッッ
承太郎(あれか。…!バカな、何だあの化け物は…サーヴァントとすら思えねえ)カシャ
スタッ
バゼット「承太郎、見えましたか?」
承太郎「ああ。巨人の化け物とそれを従えた少女がこちらに向かってくる。距離は500m」
バゼット「巨人の化け物?可能性としては…バーサーカーか」
承太郎「ここで戦うのはマズイ。ここからなら美綴達が通っている学校が近いな。そこに向かうぜ」
〜穂群原学園〜
イリヤ「よくわたしたちが近づいてるのがわかったね?」
バゼット「何者ですか、あなたは」
イリヤ「はじめまして、バゼット。わたしはイリヤ。イリヤスフィール・フォン・アインツベルン」
バゼット「アインツベルン——」
承太郎「アインツベルン?」
バゼット「この聖杯戦争の成り立ちに関わる三家のうちの一つです。侮れない相手だ」
イリヤ「うっとうしいキャスターの気配が消えたから見にきたんだけど、やったのはあなたたちだったのね。それがあなたのサーヴァント?」
承太郎「人に向かってそれとはいい度胸だな、小娘」
イリヤ「——あなたたちには興味ないからお話だけでおわりにするつもりだったけど、気が変わったわ。殺しちゃえ、バーサーカー」
バーサーカー「■■■■■■ーーー!」ブオォッ
承太郎「ぬうっ!」ズギュウゥゥン
ズドオォォォォン
バゼット&ライダー「承太郎!」
承太郎「下がっていろ!バゼット、ライダー。こいつのパワー、お前らでは相手にできん」ギシッ
イリヤ「へえ〜。今のを受けるんだ。それに得体の知れないその力。キャスターたちを倒したのはまぐれじゃなかったのね」
バーサーカー「■■■■■■■■■■■ーーー!」ギャオォォォッ
承太郎(まさしく化け物だぜ…!スピードも凄まじいが、このパワー!DIOのザ・ワールドと同等かそれ以上だ)ガンガンガンガガン
ライダー「私があのマスターを!」ヒュオ
イリヤ「!」
バーサーカー「■■■■■ーー!」ギュン
ライダー「くっ、マズイ」バッ
ズドオォォン
ライダー「ぐっ…!」ザザアァァー
ライダー(たったの一撃を防御しただけでこのダメージ…)
バゼット「まさか、ライダーの奇襲にも対応して見せるなんて。…桁違いすぎる」
承太郎「よそ見してんじゃあねーぜ!オラオラオラオラオラオラァッ!!」ドドドドドドド
バーサーカー「■■■!」ズドドドドォーン
イリヤ「バーサーカー!」
バゼット「承太郎、やったのですか?」
承太郎「手ごたえはあった。だが…」
バーサーカー「■■■■■■■■■■■ーーー!」ムクリ
承太郎「野郎…頑丈な奴だ」
イリヤ(…いまの攻撃でバーサーカーが2回殺された。しかもこの魔力消費量…バーサーカーも本気でやってるのに)
承太郎「一度じゃ足りないなら、もう一度叩き込むまでだぜ」ダンッ
承太郎「オラオラオラオラオラオラァー!!」ドドドドドド
バーサーカー「■■■■■■ーーー!」ギギギギギギン
承太郎「バカな…!防御もせずに弾きやがった」
バーサーカー「■■■■■ーー!」ギュオォォォッ
ズドオォォン
承太郎「ぐっ…!」ザザザァァーー
承太郎(どういうことだ?一度目は手ごたえあった攻撃が二度目はまったく効かないとは…まさか、耐性か?)
イリヤ「バーサーカー、さがりなさい」
承太郎「なんだと?」
バゼット「どういうことです?」
イリヤ「ジョウタロウ、と言ったわね。わたし、あなたには興味ないの。まずはシロウを殺さないと」
ライダー「!」
承太郎「シロウ?何者だそいつは」
イリヤ「あなたには関係ないわ。今日はここまでにしてあげる。———でも、次は殺すから」ザッ
バゼット「なんとか撃退できましたね」
承太郎「…いや、あのまま続けて不利だったのはこっちだ」
バゼット「なぜです?」
承太郎「俺が最初に奴をブッ飛ばした時、確かにダメージを与えた手ごたえがあった。だが…二度目は全く通じなかった」
ライダー「攻撃を読まれたのでは?」
承太郎「いや、確かにノーガードの所に俺のスタープラチナを叩き込んだはずだ」
バゼット「まさか、一度目の攻撃で耐性を持ったと?」
承太郎「そうとしか思えん。俺も相手の出方を探っていたからな、まだ全身全霊の一撃を叩き込んだわけじゃあねーが…」
承太郎「もし全力を放って倒しきれなかった場合、俺に勝ち目は無い」
バゼット「そんな…」
ライダー「予想外ですね…バーサーカーがあれ程までの怪物だったとは」
承太郎「考える必要があるな。バーサーカー対策ってやつを」
今日はここまで
土曜がヒマで書き溜められたら
日曜あたりに更新できるかも
〜翌朝・エーデルフェルトの館〜
ガチャ
バゼット「あ、承太郎。今日は遅かったですね。もう10時ですよ」
承太郎「もうそんな時間か。…休んだにしてはどうも体が重いぜ」
ライダー「連戦の影響じゃないですか?」ツヤツヤ
承太郎「かもしれねえな。なにか妙な夢を見た気がするんだが…どうも思い出せん」
バゼット「?なんにせよ体には気をつけてくださいね」
ライダー「まったくです」
承太郎「ああ。ともかく腹が減ったな、昨日のカレーの残りはあるか?」
バゼット「無くなりましたよ」
承太郎「なんだと?残りは結構あったはずだろう」
ライダー「そうでしたね」
バゼット「ですが、先ほど無くなりました」
承太郎「お前ら…」ビキビキ
承太郎「とりあえず昨日の戦いを振り返るか」
バゼット「ええ。まずはバーサーカーの戦力を分析しましょう」
ライダー「承太郎、あなたの攻撃は一度は効いたはずでしたね。その時に倒しきれなかったのですか?」
承太郎「確かな手ごたえはあった。だが、奴を倒すには足りなかったようだ」
ライダー「私の宝具でも倒すことはできないのでしょうか」
バゼット「あの幻想種での一撃ですね」
承太郎「あれなら十分にダメージを与えられるはずだ。だがやはり、もし倒せなければ二度目は通じないだろう」
バゼット「あの時に使わないで正解でしたね、ライダー。もし使っていれば私達にはもはや打つ手はなくなっていた」
ライダー「ですが、倒せなければ意味がありません」
承太郎「バゼット、お前にも何か奴への攻撃手段はないか?」
バゼット「…奴の宝具がその『鎧』だとすれば、私にも打つ手はある」
ライダー「それはどんな?」
バゼット「もはや出し惜しみしていても仕方ありませんね。説明します。私の切り札は斬り抉る戦神の剣(フラガラック)という宝具です」
承太郎「効果は?」
バゼット「簡単に言うと相手の切り札、サーヴァントならばその宝具に対して必ず先制できる必殺の一撃です」
ライダー「それなら必ず奴を殺せますね」
バゼット「ええ、一度なら。…承太郎、あなたなら気付いているはずだ」
承太郎「フン」
ライダー「どういうことです?」
承太郎「奴の宝具が受けた攻撃に耐性を得る『鎧』だとすれば、それは相手の攻撃を一度はまともに受けることを前提にしている」
バゼット「致命的な欠陥です。もし死んでしまえば元も子もない。しかしあのマスター、イリヤはバーサーカーに絶対の自信を持って承太郎の攻撃を受けさせた」
ライダー「…まさか」
承太郎「つまり…奴には蘇生能力、もしくは命のストックがあるということだ」
ライダー「バカな…もしそうだとしたら、もはやどうすることもできない」
バゼット「恐らく、鎧と蘇生能力がセットで一つの宝具なのでしょう。まさしく無敵だ」
承太郎「…いや、そうでもないようだぜ」
バゼット「と、言うと?」
ライダー「まさか弱点を見付けたのですか?」
承太郎「弱点と言っていいのかわからないがな。もし、奴の蘇生能力が無尽蔵なら撤退する必要などないはずだ」
バゼット「!確かに。つまり奴の蘇生能力には…」
ライダー「回数制限があるということですね」
承太郎「つまり、奴を倒すにはストックしている命の数だけ殺さなけりゃならねえ。それが何回なのかはわからん」
バゼット「イリヤも承太郎とライダーの能力を警戒していたというわけですか。もしかすると、承太郎の攻撃で命が減ったのかもしれませんね」
ライダー(二人とも恐ろしい程までの戦術眼だ。私と慎二では敵わなかったのも当然ということですか)
承太郎「能力の全貌は見えてきたが、倒す方法が見付かったわけじゃあないぜ」
バゼット「ええ。奴に耐性能力がある以上、倒すには命の数だけ攻撃手段が必要となる。できれば協力者が欲しいところですね」
承太郎「そういえば、あのイリヤとかいうマスターは『まずはシロウを殺す』と言っていたな…」
ライダー「!」
バゼット「そうでしたね。アイツベルンのマスターが一般人を目の敵にするとは思えない。十中八九、他のマスターでしょう」
承太郎「セイバーかアーチャーのマスターということか。先にそいつを探さなければならないようだな」
ライダー「…」
ガチャッバタン
美綴「承太郎!」
承太郎「どうした美綴。今日は部活はなかったのか?」
美綴「そんなことより、大変だったんだから!登校したらグラウンドのあちこちが陥没してるし。それに、担任の先生も行方不明になってる」
バゼット「担任の先生?」
美綴「葛木宗一郎先生ていうんだけど。…聞いておきたかったんだ。承太郎達の戦いと何か関係あるのかって」
ライダー「!」
バゼット(葛木…身分証で判明したキャスターのマスターの名前でしたね)
承太郎「関係あるぜ」
バゼット「承太郎、いいのですか?」
承太郎「ヘタに隠すほうが危険だ。美綴、落ち着いて聞け。お前の担任は聖杯戦争に参加していた」
美綴「…え?」
承太郎「キャスターというサーヴァントのマスターだった。キャスターは街中の人間から魔力を奪い取っていた。原因不明の昏睡事件はそのためだ」
バゼット「キャスターの独断だったのかもしれませんが、あの男が止めようとしなかったのも事実です。あのままでは死者が出る可能性もあった」
美綴「まさか…」
承太郎「俺達はキャスター達と戦い、結果としてキャスターと葛木は死んだ」
ライダー「…」
美綴「そんな…本当に命のやり取りをしてるなんて…!」
承太郎「依然としてこの街は危機的状況にある。美綴、夜中には絶対に外を出歩くな。今は部活も早めに切り上げたほうがいい」
バゼット「できるだけ知人にも注意をうながしてください。聖杯戦争のことは言わずに。言えばパニックになります」
美綴「……わかった。承太郎、一つだけ教えて」
承太郎「なんだ?」
美綴「葛木先生のことは…そうするしかなかったんだよね?」
ライダー「綾子、それは…」
承太郎「ああ。でなければバゼットも死んでいた」
美綴「なら、あたしは承太郎を信じるよ」
ライダー「…承太郎、ありがとう」
承太郎「お前は間違った選択をしたわけじゃあない」
美綴「承太郎、これからはどうすんの?」
承太郎「他のマスターを探す。美綴、お前にも聞きたいことがある。シロウという奴を知らないか?」
バゼット「承太郎、そう都合よく見つかるはずは…」
美綴「シロウ?あ〜もしかしてそれって衛宮のこと?」
ライダー「なっ…」
バゼット「知っているのですか!?」
美綴「衛宮士郎っていう知り合いなら。うちの学校の同じ学年の生徒で、元弓道部員だよ」
承太郎「どんな奴だ?」
美綴「どんな奴って…う〜ん、一言で言えば度の過ぎたお人好しってとこかな。悪い奴じゃないよ」
承太郎「そいつと会って話がしたい。会わせてくれないか」
ライダー「!」
美綴「いいけど…どうして?」
承太郎「その衛宮という奴は今、他のマスターに狙われている。俺達も戦ったが、危険なマスターだ」
美綴「…けっこう深刻みたいだね。わかった、すぐに案内するよ」
〜衛宮邸〜
バゼット「ライダー、あなたはその霊体のままここで待っていてください。あなたの存在まで知られる必要はない」ヒソヒソ
ライダー「いえ、しかし…」ヒソヒソ
承太郎「バゼットの言う通りだぜ。今日はただの話し合いだ。話しに来た相手を問答無用で攻撃するような奴なら、俺も手加減しないがな」ボソボソ
ライダー「…わかりました。何かあればすぐに駆けつけます」
美綴「承太郎、バゼットさん、どうしたの?行くよ〜」
ピンポーン
士郎「はい、どちら様でしょうか」ガララ
美綴「オッス衛宮、今時間ある?」
士郎「美綴か。部活はどうしたんだ?…そちらの人は?」
美綴「ちょっとね。あたしの知り合いなんだけど、アンタに用があるんだってさ」
承太郎「急に押しかけてすまない。この街で起きている不可解な事件について調べていてな。少し話をしたいのだが」
士郎「…わかった。どうぞ中へ」
士郎「どうぞこちらへ」
凛「士郎、どちら様?…って美綴さん?」
美綴「遠坂じゃん。アレレ〜?これはどういうことなのかな?さすがの遠坂さんも焦りを見せ始めたってことかな?」ニヤニヤ
凛「ま、どう判断するかはあなたに任せるわ」
美綴「そう?じゃあ遠慮なく勝手に想像するわ」
セイバー「シロウ、こちらの方々は?」
士郎「遠坂と同じ制服を着てるのが、美綴綾子。俺がいた弓道部の部長だ。こちらの方は…」
バゼット「私はバゼット・フラガ・マクレミッツ。この街の不可解な事件について調べています」
承太郎「空条承太郎だ。バゼットの助手のような事をしている」
セイバー(この男、サーヴァント…なのか?どちらにせよ只者ではないようだ)
凛(あの女性の腕、まさか偶然ってことはないわよね。とすると、サーヴァントを失ったマスターってことか)
美綴「…で、衛宮。あの金髪の子はなに?凄い美人だけど」ヒソヒソ
士郎「親父の海外での旧い知り合いの娘さんだよ。日本に来たばかりだから、うちで面倒を見てる」ヒソヒソ
美綴「ふ〜ん?アンタらしいっちゃアンタらしいけど」
セイバー「?」
承太郎「挨拶は済んだようだな。単刀直入に聞くぜ。衛宮くん、きみは聖杯戦争に参加しているのか?」
士郎「なっ!?」
セイバー「やはりあなたは…!」ガタッ
承太郎「待ちな。今日は話し合いに来たと言ったはずだぜ」
美綴「へっ!?衛宮もなの?」
凛「…ちょっと待って。どういうこと?」
バゼット「綾子は別のサーヴァントに襲われているところを私達が助けました。巻き込まれてしまったため、事情を説明しただけです」
凛「なるほど。でも人質のつもりだとしたら、あなた達に容赦はしないわ」
美綴「遠坂!承太郎達はそんな人じゃないわよ!!」
バゼット「私達もそんなつもりは毛頭ありません」
凛「それが本当だったらいいんだけど」
承太郎「話が逸れたな。で、どうなんだ。きみ達は聖杯戦争に関与しているのか?」
士郎「…アンタ達こそどうなんだよ」
承太郎「ああ。俺達はこの戦いに参加している」
セイバー「シロウ、やはりこの男は!」ザッ
士郎「待ってくれ、セイバー。この人達は話し合いに来たと言ってる。それをいきなり敵と判断するわけにはいかない」
凛「それにはわたしも賛成かな。他のマスターの情報も欲しいし。向こうから話を持ちかけてきたってことは、情報では負けてるってことだからね」
セイバー「…わかりました。しかし、あなた達に忠告しておく。不穏な動きを見せれば、即座に斬って捨てます」
承太郎「いいだろう」
承太郎(なるほど。確かにセイバーのサーヴァントだな)
バゼット(わかりやすいですね)
美綴(案内なんてするんじゃなかった…)ヒヤヒヤ
士郎「アンタ達のほうから話してくれたからな。こっちも正直に話すよ。俺達も聖杯戦争に参加してる」
承太郎「やはりそうか」
士郎「でも、どうやって俺達のことを知ったんだ?」
承太郎「バーサーカーのマスターがきみの名前を口走っていた」
凛「アイツらと会ったの!?」
バゼット「会った、というよりは交戦したというほうが正しいですね。昨夜のことです」
士郎「それで、無事だったのか?」
承太郎「なんとかあの時は撃退できた。二度目はどうなるかわからんがな」
セイバー(バカな…アレを撃退したというのか?本当だとしたらこの男、やはり侮れない)
承太郎「あのマスター、イリヤはきみを殺すほうが先だと言っていた。きみ達は奴らを知っていたのか?」
士郎「ああ、知ってる。…俺達はアンタ達よりも先にイリヤと戦ったんだ。なんとか命拾いできたけど」
バゼット「なるほど。あなた達もあの化け物に狙われていることは重々承知だったのですね」
凛「ええ。わたし達もアイツらには頭を悩ませてる。特に、あのバーサーカーには」
承太郎「奴の宝具について何か見当はついているのか?」
士郎「セイバーが言うには、鎧のような物らしい」
セイバー「シロウ!」
凛「落ち着いて、セイバー。この人達も実際に戦ったなら、ある程度の予想は立てているはず」
セイバー「く…」
バゼット「私達も同じ見解です。奴を倒すには、鎧を突破する攻撃で命を全て殺し尽くすしかない」
凛「…今、なんて言ったの?『命を全て』?」
承太郎「知らなかったのか。奴は一度ダメージを受けた攻撃に耐性を得ることができ、恐らく蘇生能力も持っている」
凛「なんですって!?」
セイバー「そんな途方もない能力が…」
バゼット「あなた達のほうが先に戦うことになりそうですが、何か勝算はあるのですか?」
士郎「…正直言って、わからない」
凛「今の話を聞いた後だとね…」
凛(アーチャーが回復さえすればあるいは—)
バゼット「そうですか。私達にとっても奴は強敵です。奴を倒すために協力するというのはどうでしょう?」
凛「なるほど、それも手の一つね」
士郎「待ってくれ、遠坂。まだ俺達はこの人達のことをまるで知らない。協力するかどうかの前に聞きたいことがある」
凛「もちろん、それは当然よ」
承太郎「聞きたいこととは?」
士郎「アンタ達は何のためにこの聖杯戦争で戦っているんだ?やはり聖杯を手に入れるためなのか?」
承太郎「俺は聖杯を破壊するために戦っている」
凛「な…!」
セイバー「バカな!!正気ですか!?」
承太郎「正気だぜ。自分の願いを叶えるために街を舞台にして殺しあうなんぞ、許されることじゃあねえ。そんな厄介な物はブチ壊す」
セイバー「しかし…あなたもサーヴァントなら何か願いや、成し遂げたかったことがあるはずだ」
士郎(セイバー…)
承太郎「成し遂げたかったことか…確かに、あるにはあるな」
セイバー「ではなぜ、聖杯を破壊するなどと…」
承太郎「あいつなら必ずやり遂げてくれたはずだと…俺は信じているからだ」
セイバー「…!なぜです…?どうしてそこまで…信じられるのですか?」
承太郎「…こいつは俺のジジイの言葉の受け売りだがな。正しき者が示した黄金の精神は、途絶えることなく次へと受け継がれるそうだぜ」
バゼット(それがあなたの揺るがない精神の源、というわけですか)
美綴(承太郎って…あたしが思っている以上にスゴイ人なのかも)ドキドキ
セイバー「…あなたは…自分の戦いが間違っていなかったと、確信を持てるのですか?」
承太郎「ああ」
セイバー「くっ…!」
士郎「…セイバー、もういいだろう」
凛「そうね、話が進まないわ」
バゼット「私達の目的は話しました。今度はあなた達の目的を教えて欲しい」
士郎「俺も、聖杯戦争を終わらせるために戦っている」
凛「わたしは特に願いなんて無いわ。強いて言うなら、負けたくないから戦っているだけ」
バゼット「なら、共闘できるということですね?」
セイバー「…断る」
士郎「セイバー!?」
セイバー「シロウ、私は貴方に誓ったはずだ。貴方を勝ち残らせるため、私は貴方の剣となると」
士郎「確かにそうだけど、それとこれとは別の話だろう?」
セイバー「別ではありません。あの男の目的は聖杯を破壊することだ。それは、私達の戦いそのものを否定する」
士郎「だからと言って無下に断ることもないだろ。バーサーカーが強敵なのは変わらないんだぞ?」
セイバー「万全な状態なら、私の宝具でバーサーカーを倒してみせる。それでも共闘すると言うのならシロウ、私に令呪を使って命令して欲しい」
士郎「そんな事…できるわけないじゃないか」
凛「こうなったらテコでも動かないわね。空条さん、今日はここまでにしてくれる?言っておくけど、わたし達はあなた達と戦う気はないわ」
承太郎「ああ。俺達もそのつもりだ。だが、くれぐれもバーサーカーには気を付けろ」
凛「ご忠告ありがとう。あなた達と話ができて良かったわ」ニコッ
バゼット「承太郎、あれで良かったのですか?」
承太郎「ああ。あいつらが良い奴らだってことはわかった。戦う必要がないこともな」
ライダー「では、彼らとは相互不可侵ということですね」ホッ
承太郎「そういうことだ」
美綴「ホント、一時はどうなるかと思った」
承太郎「心配をかけてすまなかったな、美綴」
美綴「いいよ。話も上手くまとまったみたいだし」
バゼット「ですが、少し心配ですね。バーサーカーを相手にするのは彼らになりそうだ。それに、あのセイバーのサーヴァント…」
承太郎「確かに危ういな」
美綴「どんなところが?」
承太郎「いや、断定することはできないが。結局は自分で解決しなければならないことだ」
美綴「けっこう手厳しいね」
承太郎「そういうもんだぜ」
バゼット「なんにせよ無事に話し合いができてよかった。綾子、今日はありがとう」
承太郎「礼を言うぜ」
ライダー「では綾子、私が家まで送ります」ハァハァ
美綴「え」
承太郎「じゃあな、美綴」
バゼット「さようなら、綾子」
美綴「ちょ、ちょっと待」
ライダー「行きましょう、綾子」ハァハァ
美綴「あれ?なんかあたしの扱いひどくね!?」
ライダーがどんどんレズ狂いとして開花しているな・・・
>>91
美綴への吸血が未遂に終わったんで
ちょっと欲求不満なんですわ
〜衛宮邸〜
セイバー「シロウ、すみませんでした。あんなに感情的になってしまって」
士郎「いいよ。確かに、あの場で協力すると決断するには情報が足りなかったんだ」
凛「ま、そういうことね。それでもバーサーカーの情報も手に入れることはできたし、結果としては上々よ」
セイバー「シロウ、次こそ私はバーサーカーを倒してみせる。剣にかけて、あなたに誓います」
士郎「わかってるさ。でも、セイバーだけで戦うんじゃないからな」
凛「わたしとアーチャーもいるしね。アイツをなんとかしないと困るのはアンタ達だけじゃないのよ」
セイバー「シロウ、凛、ありがとう」
セイバー(あの男…ジョウタロウ、と言ったか。なぜあそこまで激昂してしまったのだろう)
セイバー(彼が聖杯を破壊すると言ったから?いや、私は…)
セイバー(私はあの時、皆を信じて戦っていたのだろうか…)
セイバー「…」
〜間桐邸〜
ライダー「サクラ、報告に来ました」スウゥゥー
桜「ありがとう、ライダー。何か動きはあった?」
ライダー「今日、承太郎達が衛宮士郎と接触しました」
桜「!それで、どうなったの?」
ライダー「承太郎達のほうから話し合いを持ちかけ、衛宮士郎が応じたという形です」
桜「そう、今日のところは話し合いで済んだのね」
ライダー「ええ。話し合いの結果、承太郎達は衛宮士郎達とは争わないことになりました」
桜「良かった。衛宮先輩とは戦わないのね?」
ライダー「不可侵条約を結んだということです」
桜「報告ありがとう。でも、今後も監視は続けて」
ライダー「わかりました。こちらに異変はありませんか?」
桜「ないわ。ライダーったら心配性なんだから」
ライダー「サーヴァントとして当然のことです」
桜「あなたが居てくれてよかったわ」
ライダー「…では、あちらに戻ります」
桜「ライダーも気を付けてね」
ライダー「わかっています」スウゥゥー
ライダー(衛宮士郎は、バーサーカーを倒せるのだろうか。倒せなかったとき、サクラは…)
眠いので今日はここまで
遅くなってスマソ
ちょこちょこFateとhollowをプレイし直しながら書いてると時間がかかるなぁ
次回は水曜日、と言いたいところですがあんま期待せずに
土日と思っててください
では乙
interlude −放課後キルタイム−
〜マウント深山商店街〜
氷室「……暇だ」テクテク
氷室(グラウンドの補修で部活が休みになった途端、暇を持て余すとは…我ながら不甲斐ないな)
氷室(蒔寺も由紀香も用事があると言って先に帰ってしまったし。仕方ない、今日は大人しく帰るとするか)
氷室「…む?」
氷室(あれは空条氏。何やら紙袋を持って歩いているが…買い出しの帰りだろうか?それにしては中途半端な量に見える)
氷室(…跡をつけてみるか)ニヤリ
〜港〜
氷室(どこに行くかと思えば港とはな。そろそろ声をかけてみるとしよう)
氷室「ごきげんよう、空条氏。こんな所で何をしているのかな?」
承太郎「…氷室か。やれやれ、それはこっちのセリフだぜ」
氷室「いやなに、帰り道で空条氏を見かけてね。で、何をしにこんな所へ?」
承太郎「海を眺めにな」
氷室「暇なんだな…」
承太郎「そんなところだ」
氷室「突っ立ったままでいるのもなんだから、とりあえず座らないか?」
承太郎「そうだな」
氷室「…」
承太郎「…」
氷室(…本当に海を眺めに来ただけなんだな)
承太郎「食うか?大判焼きだが」ガサッ
氷室「では遠慮なく。それにしても、江戸前屋の大判焼きを知っているとは意外だ」
承太郎「この前、美綴に教えてもらってな」
氷室「なるほど」パクパク
承太郎「…」モグモグ
氷室「海の向こうに何か見えるのか?」
承太郎「いや、海だけだな」
氷室「…」
承太郎「…」
氷室「海を見ると、何か思い出すことでも?」
承太郎「まぁ、色々とな」
氷室「…」
承太郎「…」
氷室(この男…会話を続けようという気がないのか?)
承太郎「氷室は、この街が好きか?」
氷室「…ん?いきなり変わった質問だな」
承太郎「すまんな」
氷室「もちろん好きだよ。個性的な学友が多いのが難点だが、私の故郷だからね」
承太郎「そうか」
氷室(…こういう優しい顔をする時もあるんだな。知らなかった)
氷室「空条氏は、この街のことを気に入ってくれたのかな?」
承太郎「ああ、いい街だ。…その空条氏というのはやめないか?どうも慣れないぜ」
氷室「ではどう呼べばいい?」
承太郎「美綴のように呼び捨てで構わない」
氷室「それは…その、なんというか、恥ずかしくないか?」
承太郎「そうか?」
氷室「む……では、呼んでみるぞ。…承太郎」
承太郎「ああ」
氷室「…やはり恥ずかしいじゃないか。今度は私を名前で呼んでみてくれ。そうすればわかる」
承太郎「鐘」
氷室「…っ」ボシュウゥゥ
承太郎「どうした?」
氷室「い、いや、なんでもない。とにかく、私のことは今まで通り苗字で呼んで欲しい」
承太郎「そうか」
氷室「もう一つ大判焼きを貰おうか」
承太郎「構わないが、喉に詰まらせるなよ」
氷室「放っといてくれ」ガツガツ
承太郎「よく食うな」
氷室「失礼なことを言う奴だなっ…んっ…んぐぐっ」
承太郎「ほれ、コーヒーだ」
氷室「んっ」ゴクゴクゴク
承太郎「大丈夫か?」
氷室「ああ。…半分は承太郎のせいなのだが」
承太郎「忠告はしたぜ」
氷室「まったく…」
氷室(…ん?これは承太郎の飲みかけか?ということは…)
承太郎「どうかしたか?」
氷室「…いや、なんでもない。コーヒーありがとう」
氷室(まぁ、済んだことを気にしても仕方ない。承太郎も気にしてないようだし)
承太郎「風が冷たくなってきたな。そろそろ帰るとするか」
氷室「そうだな」
承太郎「じゃあな、氷室」
氷室「待ちたまえよ承太郎くん。淑女の帰り道を送らないのは、紳士としてどうなのかな?」
承太郎「…わかったぜ」
氷室「ではよろしく頼む」
氷室(美綴には悪い気もするが、今だけは許してもらうとしよう——)
interlude out...
筆休めのつもりで書いてみましたが
氷室かわいいよ氷室
では乙
〜エーデルフェルトの館〜
ガチャ
承太郎「帰ったぜ」
バゼット「散歩にしては随分と時間がかかりましたね、承太郎」
承太郎「まぁ、色々あってな。土産だ」ドサッ
バゼット「なんです?これは」
承太郎「大判焼きという日本の菓子だ。冷めていても食えるが、暖めたほうが美味い」
バゼット「では、暖めておいてください。私は紅茶を入れますので」
承太郎「ところで、ライダーはどうした?」
バゼット「マスターの様子を見てくると言って出かけましたよ。こちらも帰りが少々遅いですね」
ライダー「承太郎」スウゥゥー
承太郎「ん?ライダーか」
ライダー「不測の事態です。衛宮士郎がバーサーカーのマスターに誘拐されました」
承太郎「なんだと?」
バゼット「誘拐?殺害ではなく?」
ライダー「ええ、誘拐です。今、セイバーと遠坂凛がアイツベルンの居城へと向かっています」
承太郎「やれやれ、油断というやつか」
バゼット「呆れましたね」
ライダー「救出が間に合うかどうかは五分五分といったところです」
承太郎「俺にどうして欲しいんだ?ライダー」
ライダー「彼らを助けてあげて欲しい」
バゼット「なぜ?彼らは敵ではありませんが、協力しているわけでもありません」
承太郎「何か理由があるのか?」
ライダー「…彼が死ねば、私のマスターが悲しむからです」
バゼット「あなたのマスターと衛宮士郎は知り合いなのですか?」
ライダー「ええ」
バゼット「だからといって、こちらが危険を冒す理由にはならないですね。それに、セイバーはバーサーカーを倒す自信がある様子でしたし」
ライダー「…」
承太郎「誰も助けないとは言ってねえぜ、ライダー」
バゼット「確かに、考えようによってはこれは好機かもしれません。彼らが交戦すればバーサーカーも無傷ではいられないでしょう」
ライダー「では、協力してくれるのですか?」
承太郎「案内しな、ライダー。ここからは一刻を争う」
ライダー「ありがとう承太郎、バゼット」
バゼット「別にあなたのためではありませんし、あなたのマスターのためでもありませんよ」
ライダー「そういうことにしておきましょうか」
承太郎「ダベってる暇はねえ。行くぞ」
〜アインツベルンの森〜
バゼット「随分と深い森ですね」タタタタ
承太郎「まるで先が見通せないな」ダダダダ
ライダー「やはり何らかの結界が張ってあるようです。間違いなくイリヤは私達の侵入を気付いているでしょう」ザザザザ
承太郎「構わん。ここで決着を付ける」ダダダダ
カッッッッ
ズドドオォォォン
バゼット「今の凄まじい光と衝撃波は…!」
ライダー「恐らくは誰かが宝具を使ったのでしょう」
承太郎「バーサーカーに対する攻撃だとすれば、セイバーか」
バゼット「決着が付いたということですか?」
承太郎「だといいんだがな。先を急ぐぜ」ヒュバンッ
セイバー「バカ…な…!!約束された勝利の剣(エクスカリバー)をまともに受けて耐え切るなんて…!」
イリヤ「残念だったねセイバー。アーチャーが足止めしてくれたおかげで、せっかくその宝具を使える場所にわたしたちを誘い込めたのにね?」
イリヤ(とはいえ、危なかったわ。一撃でバーサーカーを5回も殺すなんて)
凛「くっ……誤算だわ。セイバーの宝具でも倒しきれないとは思ってなかった」
凛(ゴメン、アーチャー。アンタが命がけで作ってくれたチャンス、活かしきれなかった…)
士郎「セイバー、今は退却だ!」
イリヤ「あら、言ったでしょう?——今夜はだれも逃がさないって」
バーサーカー「■■■■■■ーーー!」ビュオォォォッ
セイバー「っ!」ギギィィン
イリヤ「あれ?もしかしてさっきので魔力を使い切っちゃったの?ぜんぜん力がないみたい」
凛「まさか…」
セイバー「っ…ハァ、ハァ…シロウ!凛!早く逃げてください!!ここは私が食い止めます!」
士郎「何をバカなことを!」
セイバー「こうなったのは私の責任です。せめて貴方達だけでも…!」
イリヤ「ダメよそんなの。そんなこと言うんならアナタから先に殺してあげるわ、セイバー」
バーサーカー「■■■■■■■■■■■ーーー!」ヒュバオォォォッッ
セイバー「くっ…!」ガクッ
ドォーーーーーーz_________ン
承太郎「やれやれ、間一髪で間に合ったようだな」ズダンッ
承太郎「とはいえ、今は避けるので精一杯ってとこか。ちょいと失礼するぜ」ヒョイ
セイバー「」シィーン
承太郎「時は動き出す」
ズドオォォォォン
バーサーカー「!!」
セイバー「!?貴方は…ジョウタロウ?」
承太郎「少しガマンしな」ダンッ
士郎「空条さん!?」
承太郎「とりあえずセイバーを預かってくれ」ズイ
士郎「あ、ああ」
セイバー「ジョウタロウ、貴方はなぜここに?」
承太郎「説明している時間はない」
イリヤ「……信じられない。アナタ、今なにをしたの?」
承太郎「さあな。なんのことだ?」
イリヤ「…アナタを先に殺すべきだったようね。全霊をもって相手するわ。狂いなさい、バーサーカー」ブウゥゥン
バーサーカー「■■■■■■■■ーーー!」ゴオォォォ
セイバー「まさか…これまでは理性を奪っていただけで、狂化されていなかったというのか!?」
凛「それにあの魔力と令呪…とんでもないわ」
承太郎「下がっていろお前ら」
セイバー「しかしジョウタロウ、あなた一人では…うくっ…」
承太郎「無理をするな。かえって足手まといになる」
セイバー「…わかりました。頼みます、ジョウタロウ」
承太郎「任せな」
イリヤ「お話はそこまでにしてね。みんな殺しちゃえ、バーサーカー…!」
バーサーカー「■■■■■■ーーー!」ギュバオォォォッッ
承太郎「ぬうっ!」ガンガンガンガンギンギンギン
承太郎(このパワー…!確かに前回を遥かに上回ってやがる)
イリヤ(これでも倒せないの…?こうなったら令呪をつかうしかない…!)
イリヤ「バーサーカー!『限界を超える一撃であいつを殺して』!!」ギィン
バーサーカー「■■■■■■■■■■■ーーー!!」ギャオオォォォンッッ
承太郎「スタープラチナ・ザ・ワールド!!」
ドォーーーーーーz_________ン
バーサーカー「」シィーン
承太郎「こっちも限界を超えるしかないようだな。やれやれだぜ」
承太郎「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ」ズドドドドドドドドドドドドドドド
承太郎「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァーーーッ!!!」ズドドドドドドドドドドオォーーーーーーン
承太郎「時は動き出す」
ズドドドギャァーーーン
バーサーカー「…」ズズズウゥゥン
イリヤ「そんな…バーサーカー…!?」
承太郎(やった、か…?)
イリヤ「立って…!ねぇ、立ってよバーサーカー!!」
バーサーカー「……」ググググ…ムクリ
承太郎「野郎…立ちやがった」
バーサーカー「それが貴様の力か、ジョウタロウ」
承太郎「…そういうことだ」
バーサーカー「まさか一度耐性を得た私の宝具をまたも打ち破るとはな。感服したぞ」
承太郎「これにも耐えられたら、もう打つ手が無かったぜ」
承太郎(時を止めても宝具が発動していたら、俺の攻撃はなすすべなく弾かれていた)
バーサーカー「いい戦いだった。時の果てでまた相まみえよう、ジョウタロウ」スウゥゥーーー
承太郎「ああ」
−バーサーカー:死亡−
イリヤ「……うそ。バーサーカー、死んじゃったの…?」
セイバー「イリヤスフィール…!」
イリヤ「ぁ———んく、うあ……!」ドサッ
士郎「な——イリヤ!?」
凛「どういうこと?」
承太郎「さあな。戦いの負荷が急にかかったのかもしれん」
ライダー「なんとか間に合ったようですね、承太郎」スタッ
セイバー「なっ…?新手のサーヴァントか…!」
承太郎「待ちな。俺の仲間だ」
バゼット「承太郎!置いていくなんてひどくはありませんか…!?」タタタタ
承太郎「すまなかった。1秒を争うタイミングだったんでな」
バゼット「仕方ありませんね…それはそうと、戦いは終わったのですか?」
凛「ええ。なんとか、ね。助けてくれてありがとう、空条さん」
士郎「本当に助かったよ。ありがとう」
承太郎「礼はライダーに言いな」
凛「ライダーですって?」
承太郎「お前達の危険を俺に知らせたのはライダーだ」
凛「どうしてそんなことを?」
ライダー「…今は言えません」
士郎「なんにせよ助けてもらったんだ。今は感謝するだけでいいだろ?遠坂」
凛「ま、そうね。ありがとう、ライダー」
ライダー「いえ」
承太郎「イリヤはどうするんだ?」
士郎「…連れて帰るよ。このまま放っておくこともできないし」
セイバー「シロウ、本気ですか?イリヤにはまだ令呪が残っているのですよ?」
士郎「だからって置いていけないだろ?今のイリヤを他のマスターが見付けたら、何をするかわからないじゃないか」
凛「そうね。それに、わたしもこの子には聞きたいことが山程あるし」
セイバー「しかし……ぅっ———」ドサッ
士郎「セイバー!?おい、しっかりしろ…!」
承太郎「イリヤに続いてセイバーもか」
士郎「なっ…すごい熱だ。何がどうしたっていうんだ…」
バゼット「恐らく、宝具を使用したため魔力不足におちいったのでしょう。アレほどの出力だ、魔力使用量も桁違いなはず」
凛「マズイわね…なんにせよここでは何の処置もできないわ。まずは帰りましょう」
承太郎「一難去ってまた一難か。やれやれだぜ」
〜衛宮邸〜
凛「とりあえず鎧を脱がせて楽にさせたわ」パタン
士郎「セイバーの様子は?」
凛「良くはないわ。要するに、魔力切れで消えようとしているのに耐えて苦しんでいるわけだから」
士郎「そんな…何か助ける方法はあるんだろ?」
凛「方法は二つよ。マスターがサーヴァントに魔力を提供するか、サーヴァントが自分で魔力を手に入れるか」
士郎「サーヴァントが自分で魔力を手に入れるって…」
承太郎「キャスターがやっていたようなことか?」
士郎「セイバーはそんなことはしない。させることもできない」
凛「でしょうね。なら、貴方が魔力を供給するしかないんだけど、それができないから困っているのよね」
バゼット「なぜ?サーヴァントと契約を結んでいるなら、魔力供給は自ずとされるはずでしょう」
士郎「…原因はわからないが、俺からセイバーへの魔力供給はできていないんだ」
ライダー「なるほど。それでこのような事態に…」
バゼット(わからないと言えば承太郎もですね。他のサーヴァントより遥かに多く戦闘をこなしているというのに、魔力切れを起こす気配もない…)
士郎「他に、俺からセイバーへ魔力を与える方法はないのか?遠坂」
凛「あるにはあるんだけど…彼女の名誉のためにも、今は説明しないでおくわ」
バゼット「…」
ライダー「…」
士郎「?どんな方法なんだ?」
凛「だから、今は話せないんだってば」プイッ
承太郎「助ける方法があるならそれでいい。イリヤも目を覚まさないようだが、大丈夫なのか?」
凛「そっちは問題ないはずよ。もともと、あの身体でバーサーカーを制御するには無理があったはずだし。安静にしてればじきに目を覚ますと思う」
承太郎「そうか、安心したぜ。なら、そろそろ失礼させてもらう」
士郎「空条さん、これからアンタ達はどうするんだ?」
承太郎「そうだな…そろそろ聖杯の在り処を探すつもりだ」
士郎「聖杯を?それなら冬木教会の言峰神父が管理していると言っていたぞ」
バゼット「!」
承太郎「なるほど。情報提供ありがとう、衛宮くん」
士郎「感謝してもし足りないのはこっちだよ。それと、俺のことは呼び捨てにしてくれて構わない。アンタは命の恩人なんだ」
承太郎「そうか。じゃあな、士郎。また会おう」
〜エーデルフェルトの館〜
承太郎「やれやれ、もう昼近いのか。さすがに休みたいぜ」
ライダー「しかし、バーサーカーを倒すことができたのは大きいですね」
バゼット「承太郎、よかったのですか?イリヤを彼らに任せてしまって」
承太郎「問題ないだろう。バーサーカーがいない以上、脅威はないはずだ」
バゼット「しかし、彼女がアイツベルンのホムンクルスだとすれば、普通の魔術師では束になっても敵わない実力を持っているはず」
承太郎「セイバーが回復すれば相手ではないだろう。魔力を与える手段もあると言っていた」
バゼット「…まぁ、その通りですが」
ライダー「…」
承太郎「何か問題があるのか?」
バゼット「いえ、本人の気持ち次第でしょう。私の預かり知るところではありません」
承太郎「そうか」
バゼット「昨日の大判焼きが残っていますね。すっかり冷めてしまっていますが」
ライダー「大判焼きとは?」
バゼット「日本の菓子だそうです。ん?空き缶も入ってますね」
承太郎「ああ、すまん。昨日俺が飲んだやつだ」
ライダー「?それにしては、鐘の匂いもしますね」クンクン
承太郎(こいつ…どういう嗅覚してやがる)
バゼット「承太郎、あなたは昨日どこで道草を食っていたんですか?」ピキッ
承太郎「いや、帰りに氷室と会っただけだ」
ライダー「帰りに会うとコーヒーを回し飲みするような仲、ということですか?」
バゼット「さて、紅茶でも飲みながらゆっくりと聞かせてもらいましょうか」ビキビキ
承太郎「やれやれだぜ…」
To Be Continued...
今日はここまで
本作では承太郎がライダーを真っ先に倒してしまったので、セイバーと士郎はライダーとまったく戦っていません
そのため魔力を温存することができてたんですが、それが油断につながりました
また、士郎も圧倒的に実戦経験が不足しています
なので、やっぱりアーチャーには犠牲になってもらうしかなかったのでした
エクスカリバーで倒しきれなかったのは、バーサーカーの神性が高かったからじゃね?と言い訳しておく
カリバーンの方が対人宝具としては優秀なんですよきっと
では乙
interlude −美綴綾子の憂鬱−
〜穂群原学園〜
キーンコーンカーンコーン
美綴(明後日はバレンタインデー、か…)ハァ
氷室「どうした美綴。溜め息などらしくもないな」
美綴「ん?あ〜ゴメンちょっと考え事してた」
氷室「部活のことで何か悩みでも?」
美綴「いや、そっちは別に問題ないわ。最近物騒だから早めに切り上げてるけどね。陸上部はどう?」
氷室「グラウンドの整備にはもう少し時間がかかりそうだよ」
美綴「室内でも筋トレくらいはできるんじゃない?」
氷室「部長方針というやつだ。蒔寺が『陸上は外でやるものだー』と言って聞かないからな。再開したら1年坊は地獄を見ることになるだろう」
美綴「うっわかわいそー。でも、いきなり部活が休みになったらなったで暇じゃない?」
氷室「まぁ、暇を満喫しているよ。ところで、悩み事は何だったんだ?」
美綴「…氷室はさ、バレンタインデーにチョコをあげたことってある?」
氷室「あるぞ」
美綴「へぇ〜!で、誰に?」
氷室「小さい頃に父にな」
美綴「それならあたしにだってあるわよ…」
氷室「話の流れから察するに、今年の美綴は異性に本命のチョコをあげようとしている、というわけだな?」ニヤリ
美綴「ほ、本命ってわけじゃなくてさ、なんというかその」アタフタ
氷室「本命じゃないということは、義理チョコということになるが」
美綴「い…いや、義理でもなくて、日頃の感謝の気持ちを込めてというか、ね?」シドロモドロ
氷室「はっきりしないな。それでは想いも伝わらないぞ?」
美綴「そ、そもそもまだあげるって決めたわけじゃないし…そっちこそどうなのよ?誰かあげる人いんの?」
氷室「私は承太郎にあげるつもりだ」
美綴「そっかー承太郎かぁ…って、じょ、承太郎!?なんで!?」
氷室「華の女学生として、このイベントをスルーし続けるのどうかと思ってね。承太郎には色々と世話になったしな」
美綴「じゃ、じゃあ義理チョコってこと?」
氷室「それはどうかな?」ニヤリ
美綴「ぐっ……ん?アンタさっき承太郎って言った?」
氷室「そうだな」
美綴「そうって…この前まで承太郎のこと苗字で呼んでたじゃん」
氷室「本人から名前で呼んで欲しいと頼まれてね」
美綴「は!?じょ、承太郎から!?」
氷室「承太郎から」
美綴(あのヤロー…!あたしの知らない所で手当たりしだいコナかけてんじゃないの!?)
氷室「美綴は承太郎にあげないのかな?」
美綴「え、バレンタインチョコのこと?」
氷室「もちろん。私はあげるが、美綴はどうなのかと思ってね」
美綴「ア、アンタがあげるならあたしだってあげるわよ!トーゼンでしょ?」
氷室「ふむ。なら一件落着だな」
美綴「あ…」
氷室「アレコレ悩んで良い答えが出るタイプでもないだろう?美綴は」
美綴「人のこと好き勝手に言ってくれるわね…でも、ありがと」
氷室「まぁ、承太郎が私の魅力に気付いてしまう可能性もあるわけだが」
美綴「アンタねぇ…!」
美綴(でも、行動せずに後悔するよりは行動して後悔したほうがマシか…まっ、なるようになるかな?)
interlude out...
本編の執筆がイマイチ進んでないので、とりあえず筆休めのinterludeだけ
バーサーカー戦には賛否両論あったようですが、あんま気にしてません
こういう意見や解釈もあるんだな〜と思って読んでます。自分でも多少強引な展開なのは自覚してましたし
イリヤって原作では令呪全体を増幅して使ってる感じで、一画を使った強制命令は一度も行使してないんですよね確か
承太郎本人は時止めてボコったから倒せたと解釈してますが、イリヤの命令にも何らかの代償はあったのかもしれません
とまぁ、こんな感じで色々と考察や感想を述べるのは基本的に自由です
読み手が何も書き込めないのもSSスレとしてどうかと思いますし。さすがに完結する前にスレが埋まるのは困りますが…
ただ、他の人の書き込みに対して感情的なレスを返す前に、一拍置いて自分の書き込もうとしてる内容を読み返してみましょう
今後の展開予想などは他の人の迷惑になるかもしれませんので自重してください
あと、本作を読んでみて不快感を覚えた方や単純につまらなかった方は、こんな所でクダを巻いても時間の無駄ァ!なのですぐさま別のSSを探すのをオススメします
もっと面白いSSなんていくらでもありますし、簡単に見つかりますよ
本編の更新は少し遅れそうです。ゆるりとお待ちください
長くなりましたが、乙
〜間桐邸〜
ライダー「サクラ、異常はありませんか?」スウゥゥー
桜「ええ、ライダー。そっちはどう?」
ライダー「事態が急でしたので事後報告になりますが、衛宮士郎がバーサーカーのマスターと交戦しました」
桜「な…!どうしてそんなことに!?」
ライダー「衛宮士郎は一時バーサーカーのマスターに捕らわれましたが、セイバーとアーチャーのマスターが救出に向かい、脱出に成功しました」
桜「それで?衛宮先輩はどうなったの!?」
ライダー「アーチャーは脱出時に犠牲になったようですが、衛宮士郎とセイバー、遠坂凛は無事です」
桜「よかった…衛宮先輩が勝ったのね?」
ライダー「いえ。セイバーはバーサーカーに対して宝具を使用しダメージを与えましたが、倒すには至りませんでした」
桜「え?だったら誰が…」
ライダー「空条承太郎です」
桜「まさか…彼が?」
ライダー「ええ。セイバーは宝具の使用により魔力切れを起こして戦闘不能でしたが、承太郎が駆け付けてバーサーカーを倒しました」
桜「そこまでの力を持っているなんて…」
ライダー「じきにセイバーは回復するでしょう。承太郎は聖杯を探すようです」
桜「状況はつかめたわ。…もう彼を警戒する必要はないようね」
〜間桐邸〜
ライダー「サクラ、異常はありませんか?」スウゥゥー
桜「ええ、ライダー。そっちはどう?」
ライダー「事態が急でしたので事後報告になりますが、衛宮士郎がバーサーカーのマスターと交戦しました」
桜「な…!どうしてそんなことに!?」
ライダー「衛宮士郎は一時バーサーカーのマスターに捕らわれましたが、セイバーとアーチャーのマスターが救出に向かい、脱出に成功しました」
桜「それで?衛宮先輩はどうなったの!?」
ライダー「アーチャーは脱出時に犠牲になったようですが、衛宮士郎とセイバー、遠坂凛は無事です」
桜「よかった…衛宮先輩が勝ったのね?」
ライダー「いえ。セイバーはバーサーカーに対して宝具を使用しダメージを与えましたが、倒すには至りませんでした」
桜「え?だったら誰が…」
ライダー「空条承太郎です」
桜「まさか…彼が?」
ライダー「ええ。セイバーは宝具の使用により魔力切れを起こして戦闘不能でしたが、承太郎が駆け付けてバーサーカーを倒しました」
桜「そこまでの力を持っているなんて…」
ライダー「じきにセイバーは回復するでしょう。承太郎は聖杯を探すようです」
桜「状況はつかめたわ。…もう彼を警戒する必要はないようね」
すみません
なんかミスって同じ内容の二連投になってしまいました
>>280は無視してください
ライダー「サクラ、私はこれからどうすれば?」
桜「…ライダー、あなたはこれまでわたしのために行動してくれたわ。本当にありがとう。でも、もう十分よ」
ライダー「それは…どういうことですか?」
桜「これから、あなたには自分のために行動して欲しいの」
ライダー「私のため…?」
桜「そう、あなたのため。わたしは、あなたに自分の望みを叶えて欲しい。ずっとわたしに協力してくれたあなたに」
ライダー「私の望み…」
桜「わたしは…やっぱり戦うことはできない。でも、あなたにはその力があるわ」
ライダー「…私は承太郎と共に戦うことにします」
桜「わかったわ。がんばってね、ライダー」
ライダー「ええ。ですが、私のマスターがサクラであることは変わりません。あなたのことは第一に守ります」
桜「でも、それじゃ今までと変わらないじゃない?」
ライダー「自分のために戦いますし、あなたも守る。両方やらなくちゃなりませんね」
桜「ライダーったら意外と欲張りなのね」
ライダー「そうですよ?ですからサクラも気を抜かないでください。聖杯戦争はまだ終わっていないのですから」
桜「私も自分のことは自分で守れるようにがんばるわ」
ライダー「お気を付けて、サクラ」スウゥゥー
桜「わたしにできるのはここまでかな…あとはあなた次第よ、ライダー。がんばってね」
〜エーデルフェルトの館〜
ライダー「承太郎は起床しましたか?バゼット」スウゥゥー
バゼット「ライダーですか。承太郎は昼過ぎに起きてきましたよ。『昼夜逆転はどうも合わない』とボヤいてましたが」
ライダー「では、今どこに?」
バゼット「鐘が学校の帰りに訪ねてきたんですよ。先ほど商店街へ二人で買出しに行きました」
ライダー「な…!それであなたはどうしてここに?」
バゼット「どうしてと言われても。私は料理については残念ながら力になれませんから、承太郎に任せただけです」
ライダー「まるで危機感がありませんね」
バゼット「危機感?なんのことです?」
ライダー「いえ、なんでもありません」
ライダー(この唐変木は置いておくとして、まさか鐘とは。思わぬ伏兵ですね…)
〜マウント深山商店街〜
氷室「ところで承太郎、聞きたいことがあるのだが」
承太郎「なんだ?」
氷室「承太郎は大判焼きが好きなのか?」
承太郎「とりわけ好物というわけでもないが、あの店の大判焼きが美味いのは確かだな」
氷室「なるほど。ちなみに、好きな洋菓子などは?」
承太郎「一口に洋菓子と言っても範囲が広すぎるな。例えばどんなのだ?」
氷室「例えばその、チョ、チョコレートとか」
承太郎「チョコレートか。割と好きだぜ。むしろ嫌いな奴のほうが少ないと思うが」
氷室「そうか。それは安心した」ホッ
承太郎「なんだ、腹が減ったのか?」
氷室「承太郎くん、君はデリカシーというものをもう少し学んだほうがいいようだ」ピキッ
承太郎「そう怒るな」
ライダー「承太郎、ここにいましたか」ザッ
承太郎「ライダーか。珍しいな、普段着を着ているのは」
氷室「ライダーさん、こんにちは。良く似合ってますよ」
ライダー「ありがとう、鐘。承太郎、私も荷物を持ちましょう」
承太郎「そうか?じゃあ半分頼むぜ」
ライダー「今日の夕飯は何ですか?」
承太郎「シチューだ」
氷室「もう少しレパートリーを増やしたほうがいいんじゃないか?承太郎」
承太郎「善処したいところだが」
ライダー「野菜も肉類もバランスよく摂れて良いのでは?」
氷室「しかし、カレーとシチューと肉じゃがで延々とローテーションすると思うとどうです?」
ライダー「それは嫌ですね」
承太郎「ハヤシライスも作れるぜ」
氷室「解決になってないな、それは」
承太郎「そこまで言うなら、お前が教えるなり作るなりしてくれ」
ライダー「!」
氷室「む……それは…いや、いいだろう。受けて立つ。今週末、覚悟しておくんだな」
承太郎「なぜ覚悟しなきゃならねえ…?」
ライダー(…決戦は今週末のようですね)
〜翌朝・エーデルフェルトの館〜
承太郎「さて、そろそろ行くか」
ライダー「承太郎、どこへ?」
承太郎「冬木教会だ。聖杯を見付けて破壊する」
バゼット「なっ…何をバカな、まだサーヴァントは残っているじゃないですか?」
承太郎「お前こそ何を言っている?残りサーヴァントうち2人は仲間だ。残るはランサーだけだろう」
バゼット「確かにそうですが、しかし…」
ライダー「…ランサーと戦いたくないのですか?バゼット」
バゼット「ライダー、あなた…!」ガタッ
承太郎「落ち着け、バゼット」
バゼット「…」
承太郎「お前が戦いたくないならそれでも構わねえ。だが、俺は聖杯を破壊しに行く。それをランサーとそのマスターが邪魔するなら、戦うまでだ」
バゼット「……わかりました。私も行きます」
〜冬木教会〜
ランサー「本当に来やがったか。言峰のヤツ、この手の小賢しい読みだけは大したもんだ」ザッ
バゼット「ランサー…」
ランサー「久しぶりだな、バゼット。そんな顔すんなよ。俺は素直に喜んでるんだぜ?オマエが生きてくれてたことにな」
バゼット「なら、私達が戦う必要はないということですね?」
ランサー「それとこれとは別の話だ」
バゼット「なっ…!?何故です?」
ランサー「残念ながら今は言峰に仕えてる身だからな、おいそれと主を裏切ることはできねえのさ」
バゼット「だっ、だからといって私達が戦う意味などないはず…」
ランサー「意味ならある。最初に言ったはずだぜ?俺の望みは、強者と死力を尽くして戦うことだってな」ギン
承太郎「そこまでだ、バゼット」
バゼット「承太郎、しかし…」
承太郎「ランサーは本気だ。説得など無駄だぜ」
ランサー「オマエがバゼットと組んだ新手のサーヴァントか。だが、普通のサーヴァントじゃないな?どうもさっきから令呪の縛りを感じねえ」
ランサー(『全員と戦って一度目の相手からは必ず生還しろ』ってな。つまり、こいつは聖杯から呼ばれたサーヴァントとして数えられてないわけか?)
承太郎「なんのことだ?」
ランサー「なに、こっちの話さ。なんにせよ好都合ってことには変わりねえ」
ライダー「承太郎、私も助太刀します」スウゥゥー
ランサー「なんだ、いたのかよ蛇女。よく負けた相手と仲良くつるんでいられるな。所詮は女ってことか?」
ライダー「貴様…」ギリッ
ランサー「悪いな、アンタには全く興味ねえんだ。後で相手してやるから黙って大人しく見てるんだな」
ライダー「従うつもりなどない」ザッ
承太郎「待て、ライダー。奴は一対一の戦いを望んでいる。二人がかりで相手するのは後味が悪い」
ライダー「…貴方がそう言うのなら」
ランサー「話がわかるじゃねえか。さて、そろそろお喋りも終いにしよう」チャキッ
承太郎「いいだろう」
バゼット「承太郎、待ってください!話せばわかるはずです!!」
ランサー「邪魔するな!!バゼット!!!」
バゼット「!」ビクッ
ランサー「チッ…さっきからゴチャゴチャ言いやがって。それ以上ぬかすなら先にオマエから殺してやろうか」
バゼット「ランサー、なぜ…」
承太郎「下がっていろ、バゼット。奴の望みを尊重できるならな」
バゼット「……頼みます、承太郎」
承太郎「ああ」
ランサー「得物を構えな」
承太郎「得物?そんな物はないぜ」
ランサー「そうか。なら死にな」ヒュオッ
ギイィィィン
ランサー「!!」
承太郎「どうした?少々雑だったぞ」
ランサー「貴様…」
ランサー(セイバーと同じ類の宝具か?いや、ヤツは身動きすらせず俺の槍を防ぎやがった)
ランサー「…いいだろう、相手に取って不足はない。全力をもって相手する」ヒュバッ
承太郎「ぬ———!」ギギギギギギギィン
承太郎(このスピード、アサシンと同レベルか…!しかもこの恐ろしく鋭い刺突…捌きにくいぜ…!)
ランサー(これも捌きやがるか…!)
承太郎「オラァッ!!」ズドドンッ
ランサー「ち———!」ギギギンッ
承太郎(バカな…!スタープラチナの攻撃を見切りやがった)
ランサー(今のは勘で防げたが…もう一度やれる保障はねえ。それにこの威力、バーサーカー並みか)ビリビリ
ライダー「今のところは互角のようですね」
バゼット「…ええ」
ライダー「先に断っておきますが」
バゼット「なんですか?」
ライダー「承太郎が窮地におちいれば、私は不意を打ってでもランサーを殺します。それが承太郎の意に反しようとも」
バゼット「!あなた…」
ライダー「貴方は迷っているようですが、私は承太郎に死んで欲しくありません」
バゼット「…」
ライダー「少し落胆しました。今の貴方に、承太郎と共に戦う資格はない」
バゼット「あなたに、私の何がわかると…!」
ライダー「わかりませんし、わかりたくもないですね。貴方は承太郎に依存し過ぎた。その結果がこの状況を生み出している」
バゼット「くっ…!」
ライダー「なんにせよ、今は黙って見ているしかありません」
バゼット(…私は…どうすれば…)
ランサー「手札を隠して倒せる相手じゃねえようだな」スッ
承太郎(あの低い構え…)
ランサー「その心臓、貰い受ける————!」
承太郎「ぬうっ…!」
ランサー「“刺し穿つ”(ゲイ)——」ザッ
ランサー「“死棘の”(ボル)——」
承太郎「スタープラチナ・ザ・ワールド!」
ドォーーーーーーz_________ン
承太郎「毎回宝具を撃たせてやるほどお人好しじゃないんでな」ズドドドンッ
承太郎「時は動き出す」
ランサー「——っぐ…!テメエ…何をしやがった…!?」ズザザザアァァーー
承太郎「悪いが、アサシン戦の教訓を活かさせてもらったぜ」
承太郎(だが、今の妙な手応え…どうなってやがる)
ランサー「なるほどな。ヤツも厄介な技を持ってやがったか」
ランサー(チッ、念のため施しといた加護のルーンに救われるとはな…我ながら柄じゃねえ)
承太郎「聞きたいことがある。聖杯はどこだ?」
ランサー「そういうことは力ずくで聞くもんだ」
承太郎「なら、お前を倒すまでだ」ザッ
ランサー「ほざいたな——!」タンッ
承太郎(距離を取ったか…マズイぜ、時を止めても奴までは遠すぎる…!)
ランサー「行くぞ。この一撃、手向けとして受け取るがいい———!!」タタタタタ、ヒュバンッ
承太郎「ぬうっ…!」
ランサー「——“突き穿つ死翔の槍(ゲイ・ボルク)”————!!!」ギャウオオオォォンッ
承太郎「スタープラチナ・ザ・ワールド!!」
ドォーーーーーーz_________ン
承太郎(既にこんな至近距離まで…音速を遥かに超えてやがる!躱すしかないか…)
ギャオン
承太郎(!!バ…バカな!躱した方向に槍が軌道修正してきただと…!?時間切れだ、受け止めるしかねえ…!)ガシイィッ
ズギャオオオォォォン
承太郎「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ……!!!」ズギャギャギャギャギャギャギャ
承太郎「オオオオオオオオオラアァーーーーーーーーッ!!!!」ギャドオオォォォン
ランサー「———貴様」スタッ
承太郎「ぐっ……!」ボタボタ
ランサー(左肩を貫かれるだけに留めやがったか…大したヤロウだ)
承太郎「ぬうううっ…!!」ズリュウッ
カランカラン、カラカラカラカラ…
承太郎「来な…槍を拾った瞬間が合図だぜ…」ドグッドグッ
ランサー「……いいだろう」ザッ
承太郎「……」
ランサー「……」ザッザッ
パシッ
ランサー「ハッ————!!!」ヒュオォッ
承太郎「オラァァァッ!!!」ズドドドドンッッ
ランサー「がっ……!」ズドドギャーン
ズザザザァァーー
バゼット「ランサー…!」タタタタッ
ランサー「バゼット…か…」ゴホゴポッ
バゼット「どうしてあなたは…」
ランサー「はっ…何度も言わせるなよ。俺は全力で戦いたかっただけだ…」
承太郎「…」ザッ
ランサー「承太郎、と言ったか。オマエとの戦い、悪くなかったぜ」
承太郎「…フン」
ランサー「餞別として教えてやる。聖杯はここには無い。言峰は『アインツベルンのマスターが持っている』と言っていたが…言峰もここには居ないぜ」
承太郎「そうか」
ランサー「チッ…愛想の悪いヤロウだ」
バゼット「ランサー…こうなるしかなかったんですか…?」
ランサー「さあ、な。だが、俺の望みは叶った。後悔はねえ……生き残れよ、バゼット」スウゥゥゥー
−ランサー:死亡−
承太郎「すまなかったな…バゼット」
バゼット「…っ!」
パシィッ
承太郎「…」
バゼット「どうしてっ!!どうしてあなたが謝るんですか!?悪いのは全て私だ!私が言峰に倒されなければ…ランサーは死なずに済んだ!!!」
ライダー「…」
バゼット「この戦いだって、私の宝具ならランサーと相討ちになることもできた!!その責任があったはずなのに、私はっ……!」
承太郎「バゼット」ギュッ
バゼット「…!」
承太郎「もう何も言うな」
バゼット「…っう…うわあぁぁぁぁぁぁぁっ…!!」
〜翌朝・エーデルフェルトの館〜
バゼット「…ここは…」
バゼット(そうだ…あの後倒れた承太郎を運び込んで、ライダーと二人掛りで治癒魔術を使って…疲労で眠ってしまったのか)
バゼット「承太郎は…!?」ガバッ
承太郎「……」グーグー
ライダー「静かにしてください。ようやく落ち着いたところです」
バゼット「良かった…」
ライダー「覚えてないのですか?なんとか傷は塞いだでしょう」
バゼット「…そうでしたね」
ライダー「昨日は…厳しいことを言ってすみませんでした」
バゼット「いえ…あなたの言ったことは正しい」
承太郎「…む…なんだ、お前らか」
バゼット「承太郎…!」
ライダー「起こしてしまいましたか?」
承太郎「いや、自然と目が覚めただけだ」
バゼット(人前であんなに泣いてしまったのは初めてだ…しかも男性の胸の中で…どんな顔をして承太郎と向かいあえばいいのかわからない)
ライダー「傷は大丈夫ですか?」
承太郎「礼を言うぜ。お前達のおかげで助かった」
ライダー「傷を塞いだだけですので、まだあまり無茶はしないでください」
承太郎「ああ」
バゼット「承太郎…」
承太郎「どうした?」
バゼット「私はあなたに謝らなければならない」
承太郎「なんのことだ?」
バゼット「私は…ランサーとの戦いが待っていることを知りながら、先延ばしにするだけでした。そして結局…あなたをこんな目に遭わせてしまった」
承太郎「…もしお前が自分でランサーと戦おうとしていたら、俺はそれを許さなかっただろう」
バゼット「どうして…?」
承太郎「大切な相棒だからな」
バゼット「…ありがとう。やはりわたしは、一人では戦えません。わたしももっと強くなると誓います。ですから、これからも共に戦ってくれますか…?」
承太郎「当然だ」
バゼット「これからもよろしくお願いします、承太郎」
承太郎「ああ」
ライダー「私も一人では生きていけません。これからもずっと一緒にいてくれますか?承太郎」モジモジ
承太郎「…ん?まぁ、構わないが」
バゼット「ちょ、ちょっとライダー…!承太郎も簡単に承諾しないでください!今のはニュアンスとしておかしいでしょう…!」
ライダー「残念でしたね。すでに言質は取りました。あなただけに良い思いはさせられませんから」
バゼット「やはり…一度あなたとは決着を付けなければならないようだ…」ゴゴゴゴ
ライダー「望むところですよ、泣き虫バゼットさん」ニヤリ
バゼット「あなたねぇ…!」ビキビキ
承太郎「やれやれだぜ…」
To Be Continued...
今回はここまで
仕事が少々忙しくなってきたので
なんとか週一更新できるかどうかというペースになりそうです
まったりとお待ちください
では乙
〜エーデルフェルトの館〜
ジリリリン
承太郎「む…電話か?」
バゼット「私が出ましょう。もしもし?」ガチャ
士郎『衛宮です。こんにちは』
バゼット「誰かと思えば士郎ですか。何か用ですか?」
士郎『伝えておきたいことがあるんだ。空条さんは?』
バゼット「いますよ、少し待ってください。承太郎、士郎から電話です」
承太郎「俺にか?」
バゼット「ええ、あなたに。念のため電話番号を伝えておいて正解でしたね」
承太郎「代わったぞ。セイバーは回復したか?」
士郎『あっああ、まぁその、なんとか…』
承太郎「そうか。よかったな」
士郎『連絡したかったのはそのことじゃないんだ』
承太郎「なんだ?」
士郎『昨夜のことなんだが…新たなサーヴァントが現れた』
承太郎「…どういうことだ?サーヴァントは7人揃っているはずだろう」
士郎『セイバーが言うには、あのサーヴァントは前回の聖杯戦争に参加していたアーチャーらしい。アイツは…今まで潜伏していたとしか考えられない』
承太郎「そんなことが可能なのか?」
士郎『どんな方法を使ったのかは今のところわからない。昨夜、急に俺の屋敷に姿を現した』
承太郎「無事だったのか?」
士郎『ああ。イリヤがまた意識を失ったけど、外傷は無い』
承太郎「そうか。安心したぜ」
士郎『そっちは何もなかったのか?』
承太郎「昨日、冬木教会でランサーを倒した」
士郎『なんだって!?』
承太郎「ランサーのマスターは言峰だったが、奴も聖杯も見付けられなかった」
士郎『なっ…言峰が…!?それは本当なのか?』
承太郎「事実だ。ランサーからの情報だが、言峰は『聖杯はイリヤが持っている』と言っていたらしい。イリヤが狙われるかもしれんから気を付けろ」
士郎『…わかった。イリヤが目を覚ましたら聖杯のことも聞いてみるよ。何かわかったらまた連絡する』
承太郎「ああ、またな」ガチャ
バゼット「何か起こったのですか?」
承太郎「新手のサーヴァントが現れたらしい。しかも、そいつは前回の聖杯戦争に参加していたアーチャーだそうだ」
バゼット「しかし、サーヴァントは7人以上現界できないはず」
承太郎「前回から今までの間、潜伏していたとしか考えられないそうだ」
バゼット「そんなことできるはずは…」
ライダー「いえ、手段を選ばなければあるいは」
承太郎「どういうことだ?」
ライダー「通常、聖杯戦争が終結すれば私達サーヴァントはこの世界から消え去ります」
承太郎「何故だ?」
ライダー「聖杯戦争が終わるとサーヴァント側から契約が破棄されます。無事に聖杯を手に入れたなら願いを叶えたはずですし、失敗したなら現世に用はない」
承太郎「ということは、前回のアーチャーは聖杯戦争が終わったにも関わらずこの世界に残ることを望んだということか」
ライダー「恐らくは。今回の聖杯戦争にも参加している以上、前回は聖杯を手に入れることができなかったのでしょう」
バゼット「ですが、聖杯からのバックアップなしにサーヴァントを維持し続けるのは、マスターにとっても容易ではないはず」
ライダー「要はサーヴァントを維持する魔力があればいいということです。たとえ人から奪おうとも」
承太郎「キャスターと同じような方法か」
バゼット「…マスターとサーヴァントも手段を選ばないタイプのようですね」
ライダー「正体はわかりませんが、こちらが情報面で遅れを取っていることは確かでしょう」
承太郎「コソコソと気に食わねえ奴らだぜ」
〜衛宮邸〜
セイバー「向こうにも何か動きがあったのですか?シロウ」
士郎「…ああ。ランサーを倒したらしい。ランサーのマスターは…言峰だった」
セイバー「…!我々はずっと騙されていたということですか」
凛「なるほど、ね」
士郎「遠坂、驚かないのか?長い付き合いだったんだろう?」
凛「驚いたわよ。驚いたけど、アイツならやりかねないと思っただけ。で、言峰はどうなったの?」
士郎「言峰の居所はつかめなかったそうだ」
凛「まぁ、サーヴァントを失ったのなら放っておいていいでしょ。来たら来たでセイバーに畳んでもらえばいいし」
セイバー「確かに彼一人なら問題ありませんが」
士郎「それと、聖杯の在り処はイリヤが知っているらしい。目を覚ましたら聞いてみよう」
セイバー「本当ですか!?」
士郎「本当かどうか聞いてみないとわからない。言峰が言っていたことだそうだ」
凛「なんにせよ終わりが見えてきたようね。問題はあの正体不明のサーヴァントか…」
セイバー「そうでしょうか」
士郎「何か気になることがあるのか?」
セイバー「ジョウタロウのことです。バーサーカーに続いてランサーまで倒すとは、やはり侮れない」
士郎「まだそんなことを言ってるのか、セイバー。空条さんは敵じゃないだろ?」
凛「でも、敵に回ったら厄介な相手だということも事実よ」
士郎「遠坂まで…」
凛「気付いてないみたいだから教えるけど、アサシンとキャスターはもう居ないわ。きっと彼らに倒されたんだと思う」
セイバー「なっ…!」
士郎「いつの間に?」
凛「呆れた、やっぱり知らなかったのね。原因不明の昏睡から回復したっていうニュースが流れてたでしょ?」
士郎「ごめん。ここ最近はテレビを点けてても内容が頭に入ってこなかった」
凛「気持ちはわかるけどね。バーサーカーのこともあったし」
セイバー「だとすると、ジョウタロウは7人中4人ものサーヴァントを打倒したことになる。彼は一体…」
凛「…アーチャーは、『あの男は聖杯から呼ばれた者ではないかもしれない』と言ってたわ」
士郎「どういうことだよ。聖杯の力がなければサーヴァントなんて召喚できないはずだろ?」
凛「わたしだってわからない。アイツも『中途半端な推測が命取りになることもある』と言ってそれ以上は話そうとしなかったし」
士郎「とにかく、今は昨日のサーヴァントのことを考えたほうがいいと思う」
凛「それもそうね」
セイバー「わかりました」
セイバー(しかし…いつかジョウタロウと戦うことになったら、私達は勝てるのだろうか)
〜エーデルフェルトの館〜
ライダー「承太郎、そろそろ包帯を替えましょう。上着を脱いでください」
承太郎「ああ、頼む」
バゼット「待ちなさい、ライダー。私がやります」
ライダー「不器用な貴方が片手で包帯を替えられるとは思えませんが」
バゼット「む…時間はかかるかもしれませんができるはずです」
ライダー「その時間が無駄だと言ってるんですよ」
バゼット「ぐぬぬ…」
承太郎「とりあえずお前ら落ち着け」
ガチャ
美綴「お邪魔しま〜す……なんで包帯持って睨み合ってんの?」
氷室「修羅場というやつか」
承太郎「…前から疑問に思っていたんだが、この館に呼び鈴は付いてないのか?」
バゼット「そんな気の利いた物はありませんよ。半世紀以上放置されていた建物ですから」
美綴「ゴメンゴメン、一応ノックはしたんだけど聞こえてなかったみたいだからさ」
バゼット「構いませんよ。二人とも、今日はどうしてここに?」
美綴「承太郎の料理のレパートリーに悩まされてるって聞いたからね。また作ってあげようと思って」
美綴(本題は別にあるんだけど…)
氷室「先日約束しただろう?承太郎」
承太郎「そうだったな。冗談かとも思っていたが」
氷室「私はいつも本気だ」
美綴「どこまで本気なんだか…」
ライダー(しまった、すっかり忘れていた…何の対策もしていない)
承太郎「材料まで持ってきたのか。わざわざすまないな」
氷室「なに、こちらとしても貰ってばかりじゃ悪いからね」
承太郎「何のことだ?」
美綴「先週末、服買ってくれたでしょ。そのお礼だよ」
承太郎「そんなこともあったな。どうもここに来てから曜日感覚が狂いっぱなしだぜ」
バゼット(マズイ、このままでは…)
ライダー(貰うばかりで何も返さないダメ女の烙印を押されてしまう…!)
美綴「さて、早速取り掛かるとしますか。キッチン借りるよ」
バゼット&ライダー「私も作ります」
美綴「え」
氷室「ほほう」ニヤリ
承太郎「なんだと?」
美綴「だ、大丈夫なの?バゼットさんもライダーさんも」
バゼット「肉さえあればなんとかなります」
ライダー「料理本さえあればなんとかなります」
承太郎「…嫌な予感しかしねえぜ」
美綴「料理本なら持ってきてるけど…」
氷室「面白くなってきたな」
美綴「いや、アンタの料理も未知数なんだけどね」
氷室「それはできてからのお楽しみだ」
承太郎「やれやれだぜ…」
〜2時間後〜
承太郎(途中までキッチンの方が騒がしかったが、今はすっかり静かになってやがる…逆に不安だぜ)
美綴「お待たせ〜」
承太郎「大丈夫だったか?」
美綴「まぁ、なんとかね」
バゼット「問題ありませんよ」
ライダー「ええ」
承太郎(その妙な自信はどこから来やがる…)
氷室「先陣は私に切らせてもらおう。オニオングラタンスープだ」カチャ
承太郎「意外とまともだな」
氷室「私をなんだと思っている?」
承太郎「いや、悪かった。いただくとするか」ズズ
氷室「どうかな?」ドキドキ
承太郎「美味いな…身体が温まるぜ」
氷室「そうだろう」フンス
ライダー(底が見えない…やはり軽視できませんね)
バゼット(まさかフランス料理とは…)
美綴(油断してたわ…まさか氷室がここまでできるなんて)
ライダー「次は私の番ですね。娼婦風スパゲティーです」カタッ
承太郎「ぬう…」
美綴「一応、本のレシピ通りに作ってたから大丈夫だと思うよ」
ライダー「さぁ、熱いうちに食べてください」
承太郎「ああ」ズルズル
ライダー「どうでしょう?」ドキドキ
承太郎「なかなか辛いがヤミツキになる辛さだ。美味いぜ」
ライダー「本当ですか?」パアァァ
承太郎「ああ、本当だ」
ライダー「これなら毎日作ってあげますよ」
バゼット「む…」
承太郎「いや、毎日は困るが」
ライダー「そうですか…」ズーン
美綴(でも、ぶっつけ本番でレシピ通りに作れるとかスゴイなぁライダーさん)
氷室(キッチリ教科書通りに仕上げてきたな…これからも侮れない相手だ)
バゼット「次は私ですね」
承太郎「ついに来たか…」
バゼット「ついに、とはどういう意味ですか?承太郎」
承太郎「他意はないぜ」
バゼット「まぁいいでしょう。このガーリックステーキを食べれば、減らず口も叩けなくなるはずです」ドン
承太郎「イメージ通りだな」
美綴(匂いとか細かいことは気にしないあたりも)
氷室(豪快な盛り付け方だな…)
ライダー(とりあえずこのダメ女には勝てそうですね)
バゼット「さぁ、食べて精をつけてください」
承太郎「…ああ」バクゥ
バゼット「どうですか?」ドキドキ
承太郎「……予想外だぜ。肉の焼き加減が絶妙だ。文句なしに美味い」
バゼット「肉の焼き方には自信がありますから」
ライダー(ば、バカな…こんなことが起こり得るとは…!)
美綴「確かに、肉を焼いているときの眼つきが普通じゃなかったわ」
氷室「そうだな。さながら某長寿漫画の超一流スナイパーのようだった」
ライダー「高そうなブランデーを惜しげもなく使ってましたしね」ケッ
バゼット「あなた達…」ビキビキ
承太郎「だが、美味いのは事実だ。礼を言うぜ、バゼット」
バゼット「承太郎…」パアァァ
美綴「はいはいそこまで。トリはあたしが務めさせてもらうわ。ぶり大根よ」コトッ
承太郎「ほう」
美綴「承太郎はこういうの好きかな〜と思って」
承太郎「好きだぜ」
美綴「えっ」ドキッ
承太郎「ぶり大根は好物だ」
美綴「あっああ、ぶり大根ね」アセアセ
承太郎「さて、いただこう」パクッ
美綴「ど、どうかな?」ドキドキ
承太郎「美味い…この街に来て初めてまっとうな日本料理を食べた気がするぜ」モグモグ
美綴「良かった…」ホッ
承太郎「まだ残ってるなら御代わりを貰いたいんだが」
美綴「うん、まだあるよ」ルンルン
氷室(さすがは美綴女史。ソツがないな)
バゼット(ここまでの強敵とは…)
ライダー(綾子のエプロン姿、可愛いですね…)ハァハァ
バゼット「食事も終わりましたね。では回答を頂きましょうか、承太郎」
承太郎「回答?なんのことだ?」
氷室「誰の料理が一番美味しかったか、教えて欲しい」ニヤリ
承太郎「なんだと」
ライダー「作った以上は気になりますから」
美綴「今後の参考にもなるし」
承太郎「ぬう…」
バゼット「さあ」
ライダー「教えてください」
美綴「教えてよ、承太郎」
氷室「言ってしまったほうが楽だぞ」
承太郎「…美綴のぶり大根だ」
美綴「えっ」
バゼット「むぅ」
ライダー「くっ…」
氷室「やはりか」
承太郎「他の料理も美味かったがな」
ライダー「日本料理は奥が深いですね…」
氷室「和食が作れない身としては厳しいな」
バゼット「とはいえ、負けは負けです。一日デートの権利は譲りましょう、綾子」
承太郎「待ちな。…デートと言ったか?」
バゼット「ええ、言いましたよ」
氷室「タダでうら若き女性に囲まれながら手料理を振舞うってもらえるわけないだろう、承太郎くん」
ライダー「悔しいですが、約束でしたので仕方ないですね」
承太郎「俺は聞いてねえぜ。そもそも美綴はいいのか?」
美綴「あっ…あたしはいいよ?」
承太郎「…そうか。わかったぜ」
美綴「ヨロシクね、承太郎」ドキドキ
氷室「さて、そろそろ頃合もいいだろう。承太郎、美綴から渡したい物があるそうだ」
美綴「…へ?こ、このタイミングで!?」
承太郎「なんだ?美綴」
美綴「うぅ…」
氷室「渡さないのか?なら私が先に渡してしまうぞ」
美綴「わっ渡すわよっ…!はいコレ、承太郎!」
承太郎「ありがとう。これは…チョコレートか」ガサッ
バゼット「なっ!?ま、まさか今日は…!」
ライダー「?なんでチョコレートを?」
氷室「今日はバレンタインデーですよ、ライダーさん」
ライダー「バレンタインデー…知識としてはありますが、この国ではどんな意味を持つ日なんですか?」
氷室「女性が親しい男性にチョコを贈る日です」
美綴「…」ボシュウゥゥゥ
氷室「では私も。これからもよろしく、承太郎」ポン
承太郎「ありがとな、氷室」
氷室「どこか貰い慣れてる感じがするのが気に食わないが」
バゼット「…」ダダッ
ライダー「…」ヒュオッ
ガチャッバタンッ
美綴「二人とも急いでどこに行ったの?承太郎」
承太郎「…さあな」
氷室「気苦労が絶えないようだな、承太郎」ニヤリ
承太郎「やれやれだぜ…」
〜蝉菜マンション前〜
承太郎「今日はわざわざすまなかったな、二人とも。料理美味かったぜ」
美綴「いいよ、あたし達も世話になってるし」
氷室「さすがに、デートで返してもらえる人は余裕があるな」ニヤニヤ
美綴「アンタねぇ…!」
承太郎「そろそろ帰らないと親御さんが心配するぜ」
氷室「ふむ、そうだな」
美綴「承太郎、で、デートの日にちなんだけど…」
ドォーーーーーーz_________ン
美綴「」
氷室「」
承太郎「……!!これは…!!」バッ
美綴「?どうかしたの?承太郎」
承太郎「…悪いが急用を思い出した。二人とも早く帰りな」ダッ
美綴「え?承太郎待っ…」
氷室「行ってしまったな」キョトン
美綴(あの顔…戦いの時と同じだった。何事もなければいいんだけど…)
To Be Continued...
今回はここまで
遅くなってすみませんでした
いよいよ終盤にさしかかりました
できれば週一更新したいところですが、
じっくり書きたい気持ちもありますのであまり期待せずに
では乙
〜エーデルフェルトの館〜
バタンッ
バゼット「帰りましたか、承太郎。そんなに急いでどうしたんです?」
承太郎「無事か…」
ライダー「何かあったんですか?」
承太郎「いや…何でもねえぜ」
承太郎(気のせいか?いや、そんなはずはねえ…)
バゼット「紅茶でも飲んで一息ついたほうがいいですよ。そして私達のチョコも食べてください」
承太郎「…ああ」
ジリリリン
バゼット「こんな時間に電話ですか。珍しいですね」
承太郎「俺が出る。もしもし」ガチャ
士郎『空条さんか!?』
承太郎「ああ。どうした?」
士郎『イリヤが…攫われた』
承太郎「なんだと?」
〜衛宮邸〜
承太郎「何があった?」
士郎「俺とセイバーが留守にしている時に襲撃されたんだ。それで、遠坂が重傷を負った」
バゼット「無事なのですか?」
士郎「手当ては一通り自分でしたらしい。今は安静にしてるよ」
ライダー「しかし、一体誰がイリヤを?」
士郎「言峰だ」
バゼット「…!」
士郎「それと…もう一人、得体の知れない男がいたらしい」
承太郎「得体の知れない男?前回から潜伏していたというアーチャーのことか?」
セイバー「いえ、違います。奴とは私とシロウが別の場所で戦っていた」
ライダー「では、さらに新たなサーヴァントが現れたというのですか?」
士郎「わからない。遠坂も最初は、言峰一人だけだと思って応戦していたらしい。でも、いつの間にか現れた男に攻撃を受けたそうだ」
バゼット「いつの間にか、というのは?」
士郎「遠坂が言うには、一瞬も目を離していなかったのにコマ落としのように忽然と目の前に現れたらしい…」
承太郎「…どんな奴だった?」
士郎「一瞬のことだったから顔はよく見えなかったようだけど、金髪で黄色の服を着た男だったそうだ」
承太郎「DIO…!」
ライダー「知っているのですか?承太郎」
承太郎「ああ…よく知ってるぜ」
士郎「いったい何者なんだ?」
承太郎「俺が昔、殺した男だ。名前はディオ・ブランドー。100年以上生きた吸血鬼であり、俺と同じスタンド能力を持っている」
バゼット「吸血鬼ですって!?」
士郎「スタンド能力…?」
承太郎「簡単に言うと超能力だ。スタンドを見ることができるのはスタンド使いだけだが、俺のスタンドは人型で名前はスタープラチナという」
セイバー(霊体化したサーヴァントのようなものか…)
セイバー「具体的にどんな能力なのですか?」
承太郎「このステンレスのスプーンを見な」ズキュウゥゥン
セイバー「これは…」
士郎「回転しながら宙に浮いてる…」
承太郎「このスプーン、このまま返せなくなるがいいか?」
士郎「あっ、ああ、構わないけど」
承太郎「ワルイな」メギャン
士郎「ス、スプーンが一瞬でパチンコ球サイズに…」
セイバー「一体どんな力をかければこんなことが…?」
承太郎「俺のスタープラチナは強力なパワーと高速・精密な動きを併せ持つ。DIOも同じタイプのスタンドだ」
バゼット「ですが、忽然と現れるというのはその能力でも説明がつかないのでは?」
承太郎「奴のスタンド…ザ・ワールドは、時を止めることができる」
セイバー「なっ…!?」
士郎「嘘、だろ…!?」
バゼット「あり得ない…!そんな桁外れな能力…魔法の域に到達している」
ライダー「止まった時の中で自分だけ行動することができる、ということですか?」
承太郎「そうだ」
セイバー「それが事実だとすれば…もはや無敵だ。ならばジョウタロウ、貴方はどうやってDIOを倒したのですか?」
承太郎「…俺も時を止めることができる」
セイバー「とても信じられない…」
ライダー(なるほど…あの時、私の騎英の手綱(ベルレフォーン)を破ったのもその能力だったということですか)
士郎「空条さん。すまないが、その能力を見せてくれないか?」
承太郎「いいだろう」
ドォーーーーーーz_________ン
バゼット「」
ライダー「」
セイバー「」
士郎「」
承太郎「やれやれだぜ」スタスタ…
バゼット「…!?承太郎はどこに?」
承太郎「ここだ」ガラッ
士郎「まさか、本当に」
承太郎「時を止めてる間に廊下に出ただけだぜ」
セイバー「…わかりました。信じましょう。DIOを倒せるのはジョウタロウ、貴方だけのようだ」
バゼット「まず、敵の情報を整理します。言峰とDIOは手を組んでいると考えていいでしょうね」
士郎「恐らく、ギルガメッシュもだな」
セイバー「ええ。私達と彼が戦っている間にこの屋敷が襲撃されたということは、あの戦いは足止めのためでもあったということでしょう」
承太郎「ギルガメッシュだと?」
士郎「戦いの中で判明したんだ。あのアーチャーの正体は人類最古の英雄王、ギルガメッシュだった」
承太郎「古代メソポタミアの伝説的な王か」
ライダー「どんな宝具を持っているのですか?」
セイバー「…全てです」
バゼット「全て?」
士郎「宝具の原典を全て持っているんだ。つまり、他の英雄の宝具が元々はアイツの財宝だったと言っていい」
承太郎「とんでもねえ野郎だな」
セイバー「しかも彼の持つ剣、エアは私の宝具をも上回る力を持っています」
ライダー「よくそれで無事に帰れましたね」
士郎「自分でもどうやったのかわからない。ほとんどマグレだったよ」
セイバー「マグレではありません。私とシロウなら、きっとギルガメッシュを倒すことができる」
士郎「セイバー?」
セイバー「シロウ、私は貴方を信じています。だから貴方も、自分のことを信じていい」
士郎「…ありがとう、セイバー」
承太郎「なら、ギルガメッシュのことはお前達に任せたぜ」
セイバー「ええ」
士郎「わかった」
バゼット「問題は言峰とDIOですね。彼らの目的は一体何なのでしょうか」
承太郎「聖杯はイリヤが持っていたのか?士郎」
士郎「それが…わからないんだ。イリヤから話を聞く前に攫われてしまった」
凛「わたしが説明するわ」
セイバー「リン、大丈夫なのですか!?」
凛「なんとか、ね。話が終わったらまた休ませてもらうけど」
承太郎「すまないな」
凛「いいのよ。戦いには参加できなさそうだし、これくらいはね」
バゼット「彼女から何か聞いていたのですか?」
凛「ええ。結論から言うと、イリヤ自身が聖杯だったのよ」
士郎「何だって!?」
バゼット「…そういうことですか」
承太郎「気付いていたのか?」
バゼット「いえ。しかし、アインツベルンならばやりかねないことかと」
士郎「どういうことなんだ?」
凛「一から説明すると長くなるんだけど…要するに、イリヤはサーヴァントの魂を回収するための器として作られたホムンクルスだったってこと」
ライダー「つまり、聖杯は彼らの手に渡ってしまったということですか」
承太郎「……次の新月はいつだ?」
バゼット「?明日ですが…いえ、もう日付が変わっているので正確には次の夜、つまり今夜ですね」
承太郎「野郎…」
ライダー「何かわかったのですか?」
承太郎「DIOの目的がわかった。恐らく奴は新月の夜に聖杯の力を使い、新たなスタンド能力を手に入れるつもりだ」
士郎「なぜ新月の日なんだ?」
凛「バカね。新月と満月の日は重力の影響が最も大きいし、マナも活性化するでしょ。魔術師としての基本よ」
士郎「…面目ない」
セイバー「新たなスタンド能力とは?」
承太郎「正確にはわからねえが、奴が生前に記したノートには『天国へ行く方法』と書かれていた」
バゼット「想像もつきませんね…」
承太郎「なんにせよ、奴が手に入れれば全ての人間に累が及ぶ力だということは間違いないだろう」
ライダー「確かに、時をも止めることができる吸血鬼がなおも求める力だとすれば…只事では済まないでしょうね」
士郎「セイバー、こうなったらもう聖杯の使い道なんかで悩んでる場合じゃないと思う」
セイバー「そうですね。邪悪な者の手に聖杯が渡った以上、阻止するしかない。人々が危険に晒されるなら尚更だ」
承太郎「DIOの相手は俺がする。言峰は…」
バゼット「私が倒します」
承太郎「無理をするな、バゼット」
バゼット「承太郎…私に決着を付けさせてください」
凛「そういうことならこれを使って。バゼットさん」スッ
バゼット「アゾット剣…」
凛「とっておきの宝石ほどじゃないけど、それでも暇な時には魔力を込めるようにしてた。あなたならきっと上手く使えると思う」
バゼット「しかし、こんな記念の物は受け取れません」
凛「もとは綺礼から贈られた物だけど、わたしにとっては大した物じゃないわ」
バゼット「あなたと言峰はどんな関係だったのか、教えてくれますか?」
凛「わたしの後見人で、ついでに言うと兄弟子ってところ。アイツから教わった魔術なんて一つも無かったけどね」
バゼット「私がこれを使って言峰を殺すことになるかもしれません…それでもいいのですか?」
凛「構わないわ。確かに世話になったこともあったけど、それとこれとは話が別。聖杯を悪用されるのは見過ごせない」
バゼット「…強いですね、凛は」
凛「あなたもね、バゼットさん。綺礼のこと、頼んだわよ」
バゼット「いいですか?承太郎」
承太郎「…気を付けろよ、バゼット」
バゼット「ええ」
承太郎「俺達がDIOと言峰の相手をしている間に、イリヤを救出してくれ。頼んだぜ、ライダー」
ライダー「わかりました」
士郎「でも、言峰達はどこにいるんだ?」
凛「イリヤの話だと、柳洞寺の地下にある天然の洞窟に大聖杯があるらしいわ。洞窟の入り口は山の中腹にあるみたい」
バゼット「大聖杯?イリヤとはまた別なのですか?」
凛「イリヤの聖杯は、おおもとの大聖杯を起動するための鍵みたいなものだそうよ」
承太郎「そこで間違いないようだな」
バゼット「色々と準備も必要です。明朝、柳洞寺で集合するということでいいですか?」
士郎「ああ」
セイバー「構いません」
凛「じゃあ、わたしは休ませてもらうわ」
承太郎「忘れるところだったぜ。遠坂、きみの額を少し見せてもらいたいのだが」
凛「額を?どうして?」
承太郎「DIOは、自分の細胞を人間の頭に植え付けて支配下に置くこともできる。今のところ異常は無さそうだが、念のため確認しておきたい」
すみません
ミスって>>378が一行抜けてましたので無視してください
ライダー「承太郎、私はどうすればいいですか?」
承太郎「俺達がDIOと言峰の相手をしている間に、イリヤを救出してくれ。頼んだぜ、ライダー」
ライダー「わかりました」
士郎「でも、言峰達はどこにいるんだ?」
凛「イリヤの話だと、柳洞寺の地下にある天然の洞窟に大聖杯があるらしいわ。洞窟の入り口は山の中腹にあるみたい」
バゼット「大聖杯?イリヤとはまた別なのですか?」
凛「イリヤの聖杯は、おおもとの大聖杯を起動するための鍵みたいなものだそうよ」
承太郎「そこで間違いないようだな」
バゼット「色々と準備も必要です。明朝、柳洞寺で集合するということでいいですか?」
士郎「ああ」
セイバー「構いません」
凛「じゃあ、わたしは休ませてもらうわ」
承太郎「忘れるところだったぜ。遠坂、きみの額を少し見せてもらいたいのだが」
凛「額を?どうして?」
承太郎「DIOは、自分の細胞を人間の頭に植え付けて支配下に置くこともできる。今のところ異常は無さそうだが、念のため確認しておきたい」
凛「そういうことならお願いするわ」
承太郎「ジッとしてな」
凛「あ…」
士郎「…む」
セイバー「…」
バゼット「むう」
ライダー(…頭を撫でてもらっているみたいで羨ましいですね)
承太郎「杞憂だったようだな。何も無かったぜ」
凛「あ、ありがとう」
バゼット「承太郎、私も確認してもらえませんか」
承太郎「いや、お前はまだDIOと会ってないだろう」
ライダー「貴方が留守にしている間に館に侵入されていたかもしれません。私もお願いします」
承太郎「見るからに異常無さそうだが」
バゼット「凛のことは心配しても、私達のことはどうでもいいというのですか?」
ライダー「承太郎は薄情ですね」
承太郎「やれやれだぜ…」
To Be Continued...
今回はここまで
やっぱり凛は解説役になってしまいました…仕方ないよね
では乙
馬鹿が湧いてるスレはここかにゃ〜?
晒し(∩゚∀゚)∩ageちゃうぞッ☆彡
まだまだ行くにゃ〜ん☆彡
終わって欲しいの?
アタシには命令もお願いも通用しないのよ〜ん☆彡
フフッ☆彡
スレは好きだけど住民はキモいから嫌いなのよん☆彡
そ〜れ〜そ〜れ〜お祭りだわ〜ん☆彡
お姫タマって読んでぴょん☆彡
子供は何人欲しいって?そもそまアタシ子供は嫌いよ?
何故かって?アタシに理由を聞くなんて生意気よ〜ん?
でもノリで答えちゃうアタシって最高☆彡
臭いからだにゃ〜ん☆彡
にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん にゃーんにゃん
にゃーん☆彡
そろそろあてくしは寝るのよ〜ん☆彡
お寿司が食べたいわんッ☆彡
でもやっぱりキリよく七時までおきてようかしらんっ☆彡
だってアタシは今日OFF日だもの☆彡
でも少し眠たいのよ〜ん(テヘッ
あははんはんははははんはん〜♪
生理前でちょっと欲求不満なの…///
キャッ☆彡
せっかくだからコテ付けちゃおうかなッ☆彡
アタシの事忘れる可哀想な子なんているはず無いと思うけどん☆彡
コテじゃなかったわ〜ん
トリだったね(キャッ
間違えちゃって恥ずかしいわ〜ん☆彡
アタシのトリ当てたアタシのストーカーさんがいたら何とか我慢してなでなでまでならして上げてもいいわ〜ん☆彡
死ぬほど感謝するといいにゃんっ☆彡
乳首と乳輪のバランスって大事よね〜ん☆彡
え、アタシ?
完璧に決まってるじゃないのエッチ////
ウフフ☆彡
そろそろ寝るわん☆彡
素晴らしい夢を見ることを期待してるわ〜ん♪
アタシみたいなね☆-(ゝω・)v
(∩゚∀゚)∩ageておかなきゃダメよ〜ん☆彡
〜明朝・柳洞寺〜
バゼット「やはり境内には誰もいませんね」
ライダー「裏手にある池に、なんらかの力が集まった『場』があるようですが」
士郎「イリヤからの情報だと、そこは表向きの聖杯を使うための場所らしい」
承太郎「キャスターがここを拠点にしていたのは、そのためでもあったというわけか」
バゼット「では、洞窟の入り口を探しましょう」
士郎「セイバー、大丈夫か?柳洞寺の結界はまだ生きてるみたいだ。山に入るのは辛いんだろ?」
セイバー「多少の消耗は覚悟しなければなりませんが、洞窟内に入れば回復できるはずです。私達がこれから向かうのは、恐らくこの霊脈の中心地だ」
ライダー「…見つけました。どうやらあの岩場が怪しいですね」
バゼット「どういう仕組みかわかりませんが、行き止まりにしか見えない所がすり抜けられるようです」
承太郎「立ち止まっているヒマはねえ。行くぜ」
〜大空洞〜
承太郎「地下にこんな広大な空間があるとはな。しかもこの雰囲気、只事じゃあねえ」
ライダー「これほどまでとは…生々しいほどのマナで満ち溢れていますね」
士郎「ああ…嫌な感じだ。力は戻ったか?セイバー」
セイバー「問題ありません。しかし、私達が求めていた聖杯とは一体…」
バゼット「キャスターが霊脈を使って魔力を集めていたとはいえ、この貯蔵量は異常だ。聖杯戦争の開始からまだ1ヶ月も経っていないというのに」
ギルガメッシュ「わからんのか?これまでの聖杯戦争で使われなかった魔力が、ここに溜まっているということだ」
セイバー「ギルガメッシュ…!」
ギルガメッシュ「待ちわびたぞ、セイバー。だが、雑種共も引き連れてとは無粋なことだな」
セイバー「ギルガメッシュ、貴方達の目的はなんだ。なぜ貴方と言峰がDIOという吸血鬼と手を組んでいる」
ギルガメッシュ「手を組んだわけではないぞ?ヤツが聖杯を使って何を為そうと我(オレ)は知らん。今の我の関心はお前だけなのだからな」
士郎「なんだと?DIOの目的も知らずに聖杯を使わせようとしているのか?」
ギルガメッシュ「生憎と、望む物を手に入れることに聖杯など必要ないのでな。何より、我でもヤツを止めることはできん」
承太郎「DIOはどこにいる」
ギルガメッシュ「貴様が承太郎か。我は貴様には興味がない。DIOに用があるのなら早々に消えろ。ヤツは祭壇で時を待っている」
承太郎「士郎、セイバー。頼んだぜ」
士郎「ああ。そっちも頼んだ」
セイバー「DIOを止めてください」
承太郎「任せな」
承太郎「崖の上に、何か巨大な柱のような物が見えるな。あれが大聖杯か」
バゼット「アレが大聖杯の祭壇…あんな禍々しいものが…」
ライダー「今にも中身が溢れそうですね。確かに時間が無いようだ」
DIO「やはり来たか…承太郎。お前なら辿り着くと思っていたぞ」
承太郎「野郎…DIO…!」
バゼット「あれが…!」
ライダー「DIO…!」
DIO「サーヴァントとやらには思いのほか苦戦したようだな?承太郎。何度も時を止めねばならないほどにな」
承太郎「DIO…何故この世界にいる?誰が貴様を呼んだ?」
DIO「フン、このDIOにはマスターなど居ない。聖杯でないとするなら、この世界そのものではないか?」
バゼット「馬鹿な…召喚したのが世界そのものだと?そのようなこと聖杯戦争で起こるはずがない」
ライダー「…ガイアの抑止力…」
DIO「ほう、その女は知っているようだな。ギルガメッシュも同じようなことを言っていたぞ」
承太郎「どういうことだ?ライダー」
ライダー「全貌を窺い知ることは誰にもできませんが…この星には自己防衛のための意思がある。それがガイアと呼ばれるものです」
バゼット「あの吸血鬼がこの星を守るために呼ばれたというのですか?」
DIO「有象無象の人間どもが欲望のままはびこるこの現状に、危機感を覚えても不思議はなかろう。あまつさえ聖杯などという願望機まで創り上げるのだからな」
承太郎「…てめーの目的は何だ?」
DIO「承太郎、お前ならこのDIOが目指した先を知ったはずだ。私を倒した後にな」
承太郎「…全ての運命を知り、支配する力…か」
DIO「そうだ。このDIOだけが全ての人間の…この世界の運命を知り、変えることができる新たな世界。愚かな人間どもは私の手で正しく導かれる。それこそが天国だ」
バゼット「そんな…そんなことのために聖杯を」
DIO「こうして呼ばれた世界に都合よく聖杯などという物があるのならば、ただ利用するまでよ」
承太郎「させねえぜ…そのために俺がいる」
ライダー(…!ということは、承太郎は…アラヤの…)
バゼット「言峰はどこにいるのです?DIO」
DIO「あの男は祭壇の前でただ聖杯を見守っている。物好きな人間もいるものだな」
バゼット「承太郎、私は言峰を倒しに行きます。あの男を放っておくことはできません」
承太郎「死ぬなよ、バゼット」
バゼット「あなたもね、承太郎」ダッ
DIO「フン、奴を倒そうともこのDIOがいる限り聖杯は止められん」
承太郎「ならてめーを片付けるまでだぜ、DIO」
DIO「かつてポルナレフにも似たことを言ったが…私に支配されることで人間どもは永遠の安心を得られるのだぞ?何の不満があるのだ?」
承太郎「気に食わねえぜ。この街で出会った奴らがてめーに支配されるなんてな」ゴゴゴゴゴ
DIO「ならば仕方ない…ここで死ぬしかないな承太郎ッ!!」ドドドドド
言峰「よく来たなバゼット。正直に言うと予想外だった。聖杯戦争を勝ち抜いて私の前に立つのは、切嗣の息子と思っていたのだが」
バゼット「言峰…今すぐこの聖杯を止めなさい」
言峰「何か勘違いをしているようだな。元より私はこの聖杯を見守っているにすぎん。当然、干渉する気もない」
バゼット「DIOの目的を知った上で、そんなことを言っているのですか!?」
言峰「無論だ。未だ生まれ出でぬモノに罪科は問えぬ。この聖杯から新たに産声を上げる力で世界が変わるというのなら、私はそれを祝福するのみ」
バゼット「…あなたは…こんな事のために私からランサーを奪ったのですか」
言峰「少々予定は狂ったがな。アレには汚れ仕事ばかりさせた。しかし、そのおかげでこうして聖杯を見届けられることには感謝している」
バゼット「…何を言っても無駄なようですね。やはりあなたを許すことはできない」
言峰「五体満足ならまだしも、片腕で私の相手が務まると?私はお前に対して大層な切り札など使わんぞ、伝承保菌者(ゴッズ・ホルダー)よ」
バゼット「でしょうね。ならば、この拳で叩き潰すだけです」ザッ
言峰「余興としては悪くない。楽しませてもらうぞ、バゼット」ビュオッ
・
・
・
DIO「まずは突き(ラッシュ)の速さ比べだ。スタンドパワーが衰えていないか確かめてやるとしよう」
承太郎「上等だ。オラオラオラオラオラオラオラオラァッ!!」ドドドドドド
DIO「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァッ!!」ズドドドドドド
ガンガンガンガンガンガンガンガンッ
DIO「どうした承太郎。僅かに動きが鈍いぞッ!!」ドシュウッ
承太郎「ぬうっ…!」ブシュウッ
DIO「フン、連戦の影響は隠しきれないようだな」
承太郎(マズイぜ…回復していたとはいえ…7割というところか)
ライダー(くっ…やはり承太郎の傷は治りきっていない。しかし、隙を付いて奇襲しようにもDIOのスタンド攻撃が私には見えない…)
DIO「以前の私ならここで時を止めて追撃していたところだ。だが、今やお前も自由に時を止められる以上、無闇に時を止めるのは賢明ではない」
承太郎「…」
DIO「時を止めるタイミングが命運を分けることは明白だからな。お前が私より短い時間しか止められないとしても、油断は禁物だ。そうだろう?承太郎」
承太郎(野郎、考えてやがる…今のヤツが何秒時を止められるかわからない以上、こっちもウカツに時を止められねえ)
DIO「そこでだ承太郎。お前が先に時を止めざるを得ない状況を作ることにした。これでなッ!」ズゥラァッ
承太郎「…!」
DIO「対吸血鬼として使われる黒鍵という武器らしいが、このDIOにとってはただの刃物にすぎん」
ライダー(もう迷っている場合じゃない…加勢しなくては!)ヒュオッ
DIO「だが承太郎、お前の弱点はお前自身ではないということはわかっている」ビシュシュウゥッ
ライダー「!!」
・
・
・
ズガガッッ
バゼット「っぐ…!」ザザッ
言峰「流石は封印指定の執行者といったところか。昔より体術がさらに向上している。戦歴は伊達ではないようだな」
バゼット「…あなたこそ、相変わらずの技のキレですね」
言峰「とうに全盛期は過ぎている。だが、隻腕のお前をあしらうには十分だ」
ズガガオオォォォン
言峰「ギルガメッシュとセイバーの宝具か。あちらは決着が付いたようだな」
バゼット「ギルガメッシュが負けたのなら、じきにセイバーと士郎がここに来るでしょう。どうするつもりです?」
言峰「いかなセイバーとて、連戦は苦しいだろう。魔力供給に難があることは知っている。まして、ギルガメッシュと戦った後ではまともに動けまい」
バゼット「あまり余裕を見せていると足元をすくわれますよ?」
言峰「余裕と見られても仕方ないことかもしれんな。気付かないか?バゼット。聖杯は既に満たされたのだ」
バゼット「なんですって!?」
言峰「ギルガメッシュとセイバーのどちらが斃れたにしろ、これで聖杯には6体のサーヴァントの魂が注がれた。願望機としての聖杯は完成している」
バゼット「させません…!」ダッ
言峰「不用意に近づくのは感心せんな」ズウラアァァァッ
バゼット「なっ!?」ザザァッ
ドジュウウゥゥゥ
バゼット「ぐっ…これは、一体…!?」
言峰「言うなれば、この世の全ての悪性…呪いそのものだ。この聖杯はな、いつからかは知らんが呪いによって中身が汚染されているのだ」
バゼット「この世の、全ての悪…」
バゼット(…何だ…?何か…誰かを忘れている気がしてならないが、どうしても思い出せない…)
言峰「さて、状況は悪化したがどうする?宝具を使えなければ接近する他ないが、私の射程に入れば意思を持ったこの泥がお前を襲うぞ」
バゼット(思い出せないけれども…)
言峰「逃げるのなら止めはしないがな。赦しを請う者を受け入れるのが、聖職者としての慈悲というものだ」
バゼット(この男が聖杯の力を使うのだけは許せない…!!)
バゼット「私は…魔術師ならば、己の力だけで戦い抜くことが正しいことだと思っていました。力が及ばぬなら、自分が強くなればいいのだと」
言峰「その通りだ。力なき者に善悪を断ずる資格はない」
バゼット「確かに魔術師としては正しいのかもしれない。しかし、人としては正しくなかった。今の私には、共に歩んで行きたい人がいる」
言峰「だが今、私と対峙しているのはお前一人だ。お前と共に戦う者はいない」
バゼット「本当にそうでしょうか?」チャキッ
言峰「———なぜ、お前がその剣を持っている」
バゼット「凛から預かった物です。言峰…確かにあなたは強い。しかし、それは今ここにある『正義の心』の前ではちっぽけな力だ」
言峰「戯けたことを。儀礼用の礼装一つで何ができるというのだ」
バゼット「私の斬り抉る戦神の剣(フラガラック)は、相手の切り札に対するカウンターに特化した宝具だ。しかし、伝承元ではそんな制限はない」
言峰「…何の話をしている」
バゼット「代々伝承されてきましたが、神話の原典ほどの性能は引き出せていないということですよ」
言峰「…!」
バゼット「…“läßt”」ギイィィン
言峰「貴様、まさか」
バゼット「ひとたび鞘から放たれれば、意思を持って敵を屠る魔剣———凛から託されたこの力と私の全魔力で、原典を再現してみせる…!!」
バゼット「——“自ら閃き先に断つもの(アンサラー)”———」キュイイィィィン
言峰(バカな…!短剣ほどしかなかったあの宝具が長剣に…!!)
言峰「させん!!」ズオアァァァッ
バゼット「“斬り抉る戦神の剣(フラガラック)”!!!」ギャウオオオォォンッ
・
・
・
承太郎「ぐっ…」ズザザアァァーー
ライダー「承太郎っ…!」
DIO「一手足りなかったな、承太郎。サーヴァントなぞ助けるために時を止めるからだ」
承太郎「て、てめ…え…」ゴプッ
DIO「フン、咄嗟に致命傷を避けたことだけは褒めてやろう」
ライダー「…貴様アアァァッ!!」ビュオッ
DIO「無駄無駄無駄無駄ァッ!」ズドドドドンッ
ライダー「ぐあっ…!」ズドドギャーン
DIO「つまらんな。サーヴァントごとき、このDIOの前では無力なものよ」
承太郎「…DIO…てめえッ…!」ザッ
DIO「まだ立ち上がるか、承太郎。お前は既に『詰み』にはまったのだ。私は同じミスは犯さん」
承太郎「…」ドグッドグッ
DIO「このDIOと同じ力を持ちながら、他人を守るために身を挺するとは。所詮はお前も取るに足らぬ人間なのだ、承太郎」
ライダー「…う…くっ…」
ズガガオオォォォン
DIO「ギルガメッシュ達の戦いが終わったようだな。これで聖杯は満ちたが…杯の中身は多いに越したことはない。残ったサーヴァント共も殺すとしよう」
承太郎「させねーぜ…!」
DIO「つまらん悪あがきを…無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァッ!!」ズドドドドドドド
承太郎「オラオラオラオラオラオラァーッ!!」ドドドドドドドン
DIO「突きが弱弱しいぞッ!!承太郎ッ!WRYYYYYAAAA!!!」ズドギャアァッ
承太郎「ぬううっ…!!」ズシャアアァァー
ライダー「う…承太郎…」
承太郎「ぐっ…ライダー、無事か」
ライダー「…すみませんでした…承太郎。貴方の足を引っ張ってしまった」
承太郎「俺が勝手にやったことだ、気にするな。ライダー、お前は早くここから離れろ」
ライダー「…嫌です」
承太郎「なんだと?」
ライダー「私は貴方と共に戦うと誓いました。貴方を置いて逃げることなどできません」
承太郎「つべこべ言うんじゃねえぜ。お前まで聖杯に取り込まれたら…」
ライダー「まだ私にできることはあります。DIOは私達サーヴァントの力を侮っている」
承太郎「…何か手があるのか?」
ライダー「私の“騎英の手綱(ベルレフォーン)”で…貴方を強化して撃ち出します」
承太郎「ズイブンと荒っぽい策だな」
ライダー「貴方なら、耐えられるはずです」
承太郎「…いいだろう。タイミングは任せたぜ、ライダー」
DIO「私の望む天国に貴様らは必要ない。ここで死ねいッ!承太郎ッ!!」バンッッ
ライダー「今だ!!———“騎英の手綱(ベルレフォーン)”———!!!」
承太郎「オオオオオォォォォォッ!!」ギュオアアアァァァッ
DIO「なにイィィィッ!あの加速ッ!?『世界(ザ・ワールド)』ッ!時よ止まれいッ!!」
ドォーーーーーーz_________ン
承太郎「時を止めようがこのまま殴らせてもらうぜッ!オラアアアァァーーッ!!!」グオオォォォンッ
DIO「チイィィッ!無駄アアアァァーーッ!!!」
・
・
・
ズバオオオォォォン
言峰「…」
バゼット「…」
言峰「……まさかお前に阻まれるとはな…」
バゼット「…あなたは知らなすぎたんですよ。人の持つ意思と、その力を」
言峰「———そうかもしれん、な」ドサッ
バゼット「——本当に…馬鹿な男だ」
・
・
・
バグオオオオォォォン
承太郎「…」
DIO「…」
ビギッ
DIO「なっ…!!」
ベギッバギィッビキバキビシビシ…
DIO「ばッ…馬鹿なッ!こ…このDIOが…このDIOがアアアアアァァァァ〜〜〜〜〜〜ッ!!」
ドグッシャアアアアァァァァ
承太郎「てめーの敗因は…たったひとつだぜ…DIO…たったひとつの単純(シンプル)な答えだ…」
承太郎「『てめーは俺達を怒らせた』」
・
・
・
承太郎「無事か、バゼット」ザッ
バゼット「…ええ。そっちも、DIOを倒すことができたんですね?」
承太郎「ああ、なんとかな。ライダー、イリヤを下ろしてやってくれ」
ライダー「はい」タンッ
承太郎「バゼット、お前の中で決着は付いたか?」
バゼット「…はい。きっとランサーも納得してくれると思います」
承太郎「そうか。成長したな…バゼット」
バゼット「ありがとう、承太郎」
士郎「空条さん!」
セイバー「DIOを倒したのですね」
承太郎「お前らも無事だったか。安心したぜ」
ライダー「意識はありませんが、イリヤも命に別状はないようです」ザッ
ゴゴゴゴゴゴゴ…
バゼット「なっ!?この振動と魔力の奔流は…!?」
セイバー「大聖杯…馬鹿な…!起動に必要なイリヤを失ったはず…!」
ライダー「…そんな…既に、産まれかけている」
士郎「なんだって!?」
承太郎「どういうことだ?ライダー」
ライダー「わかりませんが…DIOが何らかの細工を施していたのかもしれません。自分が倒された場合に備えて」
承太郎「野郎…」
セイバー「私のエクスカリバーで叩き斬ります」
士郎「無茶だ、セイバー!もう一度宝具を撃つ魔力なんてないだろう!」
セイバー「しかし…聖杯を止めるにはもう破壊するしか手立てはありません」
ライダー「なら、私の宝具で…」
セイバー「貴方も余力があるようには見えませんが」
ライダー「くっ…」
承太郎「時間がねえ。俺がやる」
バゼット「なっ…」
ライダー「承太郎、何を…」
承太郎「ライダー、セイバー。お前達はこの世界で生きろ。まだやり残したことがあるはずだぜ」
バゼット「承太郎、何を言ってるんです!?」
承太郎「バゼット、美綴には約束を守れなくて済まなかったと伝えてくれ」
ゴゴゴゴゴゴゴ…
承太郎「じゃあな」
〜epilogue〜
あたしがバゼットさんから聞いた聖杯戦争の話は、ここまでだ。
結局、あたしは承太郎の戦いを見届けることはできなかった。
きっとあの人は、あたしと出会うずっと前から沢山の人達を守ってきたのだろう。
———長いようで短かったあの2週間から、もう半年が経つ。
承太郎が居なくなっても、この街はあまり変わらない。でも、この街の人々には少し変化があった。
バゼットさんはまだこの街に滞在している。魔術協会ってところは辞めてフリーランスになったらしい。最近付けた義手の調子は良いそうでなによりだ。
今でもたまに氷室と一緒にバゼットさんの屋敷に行くけれど、承太郎が壊したという柱はまだ修復されていない。これからも直す気はないのかも。
氷室には、『承太郎は家族の都合で海外に行った』と伝えた。本人は「そうか」と答えただけだったけど、一瞬見せた寂しそうな顔が今でも忘れられない。
ライダーさんとセイバーさんは———元気にこの街で暮らしている。
大聖杯が破壊された瞬間、二人の身体に変化が起こったそうだ。
承太郎が聖杯に何かを願ったとするなら…それはこのことなのかもしれない。
ライダーさんは桜の家に住んでいる。彼女のマスターが桜だったと教えられた時はすごく驚いた。でも、戦いに参加しなかったのは桜らしいな、と思う。
今は眼帯の代わりに眼鏡を付けて過ごしているけど、とても高価だったらしく遠坂に大きな借金をしたらしい。返済のために商店街の骨董屋でバイトをしている。
バゼットさんの家に遊びに行くとライダーさんもいたりするから、今でも二人に付き合いはあるみたい。…たまに喧嘩もしてるようだけど。
セイバーさんは衛宮の家に住んでいる。聖杯戦争後は目的を失ったようで元気がない時期もあったけど、今はこの街での生活を楽しんでいるようだ。
その代わり、エンゲル係数が格段に増えたと衛宮がボヤいていた。イリヤって子もよく遊びに来るそうで、あの屋敷も随分と賑やかになった。
衛宮は相変わらずお人好しだけど、最近は便利屋みたいな仕事はあまり受けなくなった。その分、空いた時間にはセイバーさんに道場でシゴかれているらしい。
弓道部にもたまに顔を出すようになった。憑き物が落ちたように大人しくなった慎二とも、上手くやっているようだ。
遠坂は、あの『賭け』のことは口に出さなくなった。ガラにも無く気を遣っているつもりなんだろうか。
——今でも夢に見て思い出す。承太郎の声や、その背中を。これから先も、ずっとあいつの事を思い出すのだろう。
この街はあの戦いで大きく傷ついた。もうあんな出来事を繰り返さないためにも、あの2週間を忘れずに前に進んでいくことがあたし達の役目だ。
それが、承太郎が遺した『黄金の精神』を受け継ぐということなんだと思う———
・
・
・
——追伸
承太郎が遺したものがもう一つある。
結局一度も脱いだ姿を見ることがなかった、承太郎の帽子だ。
聖杯があった場所に、帽子だけが落ちていたそうだ。
バゼットさんとライダーさんは、あの帽子を使って承太郎を召喚しようとしているらしい。
それにはけっこう大掛かりな準備が必要だそうだけど、あの二人が協力したら本当に成し遂げてしまいそうな気がする。
——もし、承太郎が戻ってきたなら…
その時は、とりあえず思い切りぶん殴ってやろうと思う。
ジョジョの奇妙な聖杯戦争 -完-
>>1です
引越しと仕事のヤマが重なって書く時間と気力がなく、気付けば1ヶ月以上経っていました
遅くなってしまい、本当にすみませんでした。これで完結です
彼女達が承太郎と再会できたかどうかは、皆さんの解釈にお任せします
番外編は…気が向いたら書くかもしれません
あとがきとか要りますかね?
要らなかったらすぐにでもHTML化依頼しますが
>>470までの多数決で決めようと思います
蠕梧嶌縺阪r縺上□縺輔>
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