女「(株)魔王城営業部企画課!」(1000)

さかのぼること四ヶ月前…

【ハローワーク】
女「…99社」

女「まさか99社も落ちるなんて…」

女「ヤバいよ…卒論も終わってないのに」

女「もう…12月だよ…」

「ピンポーン!118の番号札をお持ちのお客様、18番のブースへどうぞ」

女「はっ!あたしだ」

男職員「御用は?」

女「求人情報を教えていただけないでしょうか」

男職員「ふーむ、今あるのはねぇ…」

女「なんでもいいです!週休4日でも年収700万くらいでも」

男職員「うん、めっちゃ選り好んでるね」




男職員「えーとこんなんあるけど」

女「(株)魔王城?」

男職員「結構待遇いいよ。老舗だし」

女「ふむふむ」

男職員「業務内容は…魔王城の運営だってさ」

女「怪しい」

男職員「でも不景気の割には業績も悪くないね」

女「確かに」

男職員「明日、企業説明会あるし行ってみれば」

女「まぁ行くだけならタダですしね」

翌日…

【武蔵小金井駅前ビル】
担当「はい!ようこそおいでくださいました」

女「よろしくお願いします」

担当「はい!よろしくお願いします!」

女「えーと、(株)魔王城の説明会ですよね?」

担当「はい!あなたお一人様ですね」

女(人気ないのかな?)

担当「さて、時間なのではじめます」

女「…」ドキドキ

担当「まず、わが社の説明から始めましょう」

担当「わが社は創業300年を誇る企業です」

女「へぇ」

担当「主な業務は魔王城の運営です」

女「例えば何をやってるんですか?」

担当「そうですね。この時期だと、丁度勇者が魔王城に繋がるダンジョンに突入するので」

女「…?」

担当「事前に決められた罠の設置や、対応するモンスターの配置などを実施します」

女「はい?」

女「モンスターの配置…?」

担当「はい」

女「…ポケモンですか?」

担当「違います」

女「…」

担当「例えを申し上げると、魔王様の魔翌力に感化された獣や、月から注がれるルナティック・ラ・デムラゴスに一定時間以上晒された物質が変異したものなどが挙げられます」

女「( ゚Д゚)」ポカーン

担当「…メモ録んなくて大丈夫?」

女「はっ!すみません、も、もう一回お願いします!」

担当「ははは、まぁ魔物の成り立ちは当社のHPに載ってるから」

女「HP…?その、無くなると死ぬ…」

担当「うん、ヒットポイントじゃないよ。ホームページね」

女「す、すいません」

担当「ははは、君面白いねぇ。ゲームとか好きなんだね」

女「はぁ」(あんたらに合わせたんだよ…)

担当「でもヒットポイントって…ゲーム脳過ぎでしょw」

女「あ、ははは」(ち、チクショー!魔翌力とか言ってるヤツにゲーム脳呼ばわりされたよ!)ビキビキ

ぱーぱーぱぱーぱー←17時に町内に流れるテーマ

担当「おっともうこんな時間か…」

女「残業とかって有るんですか?」

担当「時期によるねぇ。この時期はさっきも言ったようにラスダンの整備があるから」

女「へぇ」

担当「1ヶ月前だったら勇者さんたちがひとつ前の町周辺でレベル上げしてるから楽なんだけどね」

女「じゃあこの時期は大変なんですね」

担当「そうだね…見てみる?」

女「えっ?」

担当「昨日から魔王城一回の宝物庫前にバリアを敷く工事やってるからさ、見に行ってみようか」

女「ええ!?」

担当「じゃあ明日の朝8時に魔王城に現地集合ね」

メ欄にsaga入れた方がいいよ

女「魔王城の場所とか知らないんですけど…」

担当「あぁ…じゃあ最寄り駅に来てくれれば迎えにいくわ」

女「最寄り駅?」

担当「コラコラ、ホームページに載ってるぞ。確認しなかったの?」

女「す、すいません」

担当「えーと、君は地元どこ?」

女「小平です」

担当「ああ、じゃあ国分寺まで出れば中央線でいけるね!吉祥寺に8時ね」

女「ええ!?吉祥寺に魔王城有るんですか!?」

担当「まぁ来てみればわかるよ」

女「はぁ」

担当「とりあえず今日はこんなところかな。パンフあげるからよく読んできてね」

女「ありがとうございました」

担当「はい!おつかれさん!また明日ね」

>>11
忠告サンクス

さらに翌日…

【吉祥寺駅】
ガヤガヤ ガヤガヤ
女「人多いな…」

担当「おーいこっちこっち」

女「あっ、今日はよろしくお願いします」

担当「こちらこそ。では、案内いたします」

女「歩いて行けるんですか?」

担当「はい。サンロードの中ですし」

女「…魔王城ですよね?」

担当「はい」

女(まさかミニチュア模型とか言い出すんじゃないだろうな…)

担当「ここです」

女「…映画館なんですが」

担当「まぁ中へどうぞ」

女「…」

店員「いらっしゃいませー」

担当「「激突!魔王城!」8時半からのヤツ、大人2枚」

店員「!?」

女「?」

【映画館内】(上映中)
女「あのう…」

担当「はい?」

女「映画館と魔王城に何か関係があるんですか?」

担当「まぁ観ていれば分かります」

女(にしてもこの映画面白いな…)

『そうか!魔王城は将棋の盤上に対応してるんだ!』

女(主演のスティーブ・マックイーンもパワフルでいい演技してるし…)

『ティム!飛車が来ているぞ!』

女(古い映画みたいだけど、撮り方とかすっごいこだわってる)

『ティィィィム!バカヤロー!』

女(ラストが気になる…!)

『魔王よ!ティムの仇だ!俺が今までなぜこの歩を成金にしなかった理由を教えてや

バツン!(画面暗転)

女「…へ?」

担当「着きましたよ」

女「ちょっ!?オイィィィ!」

担当「行きますよ?」

女「なんで…なんでレナードは最後まで歩を成金にしなかったの…」フラフラ

担当「しっかりしてください」

女「で、結局なんのために映画観たんですか?」

担当「あれは一種の魔法詠唱になってるんです」

女「はぁ?」

担当「とりあえず出れば分かります」

ガチャ

女「…!?」

担当「ようこそ、魔界へ」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ …

女「あ、あれ?映画館は?」

担当「すみませんねぇ、ここから少し歩くんですよ」

女「いや、吉祥寺は…」

担当「魔王城に直結する映画館は日本に無くて…立川から直結するプランはあるんですが予算がね」

女「吉祥寺…」

担当「よし、行きましょうか」

女「ちょっ!?置いてかないでぇ」フラフラ

担当「あっ、そこ毒の沼地」

女「おわっ!あぶねぇ!」

【草原】
担当「いやぁ、今日は予報通りいい天気ですね」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ …

女(めっちゃ曇っとる)

担当「いつもだったら濃硫酸の雨とかふってんですけどね」ハハハ

女(ハハハじゃねぇよ(;゚д゚))


???「でりゃぁぁ!」


女「ん?」

担当「おっ!丁度いいところですね」


???「ぐわっ」


女「なんですか?」

担当「このあたりでレベル上げしてる勇者ご一行ですね」


勇者「はぁぁぁ!」

僧侶「薬草よ!」

賢者『敬虔なる神民よ…聖なる光の前にただその身を差し出さん…』

武道家「でりゃりゃりゃ!」


女「すげぇ」

担当「いい機会ですから、よく見ておくといいですよ」

【魔王城前ダンジョン】
女「いわゆるここがラスダンですか?」

担当「そうです」

女「険しそうですね…よし!行きましょう!」

担当「あっ!中に入ったらダメですよ」

女「へ?」

カチッ…ジャキン!

女「うっわ!あっぶね!あっぶね!」

担当「もうラスダンの方は整備が終わってるみたいですね」

女「なんで分かるんですか?」

担当「貼り紙がしてあります」

女「…」

『ラスダン稼働中!一般の方は裏におまわりください!』

【ラスダン裏】
担当「いやぁ中も見学したかったんですけどね」

女「あんな危ないところ、もう入りたくないですよ…」

担当「ちゃんと道順通り行けば安全なんですよ?」

女(入った瞬間トラップでしたが)

担当「さて、仕方ないので一般の入場口から行きますか」

女「一般の方は険しくないですよね?」

担当「ええ、エレベーターですし」

女「エレベーター!?」

担当「来ましたよ」

プシュー

女「三菱製かよ…」

【魔王城前】
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ …!ピシャーン!

女「おわっ!迫力あるなぁ」

担当「いやいや、ここまでお疲れ様でした」

女「大きい門ですね」

担当「いいところに目を着けましたね」

女「かなり古いものに見えますが…」

担当「作製されたのはさかのぼること300年前!魔王城落成式の際に先々代の魔王様の養父上であらせられるデザル卿が魔界で最も高価な…」クドクド

女「中に入るにはあれを開けなきゃ入れないですよね?」

担当「あ、いや社員と一般の方は右手奥に受付がありますので」

女「…」

【受付】
担当「どうも、武蔵小金井営業所の者です」

受付「あっどうも、電話の方ですよね」

担当「そうです。一般の人も一名ね」

受付「じゃあここにお名前と住所をお願いします」

担当「はいはい」

女「…」

受付「どうかしましたか?」

女「い、いえ」

担当「じゃあ行きましょうか」


女「ちょっ!受付で猫がしゃべってましたよ!」

担当「そりゃあ彼女は化け猫ですし」

女「Σ(゚д゚lll)」

【城内(中央エントランス)】
「おい角材もってこい!」カンカン

「バカやろ!このネジじゃないっつうの!」トンカントンカン

「発注した資材が来てない!?」

担当「やってますね」

女「かなり大がかりな工事ですね」

担当「勇者の魔王城突入は昔から盛り上がるイベントですからね」

コトン

女「ん?」

???「わりぃな姉ちゃん!取ってくんねえか」

女「はいはい…はいどうぞ!…ひっ!」

???「サンキュー」

担当「どうしたんですか?」

女「あの人(?)首から上が無いんですけど…」

担当「ああ、そうですね」

【宝物庫】
担当「ここが昨日話したバリア敷設場所です」

???「あれ?もっくんじゃん!」

担当「あっれ!?りんちゃんでねぇか!こったら所でなにしてるべ?」

りんちゃん「いんや異動よ異動!」

担当「バリア貼ってんのけ?」

りんちゃん「そうよ!しかし久すぃぶりな」

担当「120年ぶりくらいけ?いやぁ懐けしい」

女「…」

担当「あっ、コイツ俺の同期のりんちゃんね」

女「めっちゃ腐ってるんですけど」

担当「だって彼はリビングデットだし」

女「だからりんちゃん…っておい!」





担当「ちょっと仕事見させてもらうからよ」

りんちゃん「ええよええよ」

女「これがバリアか…」

担当「あっれ?このバリアなんか安っぽくねえか?」

りんちゃん「やっぱわかっちまうか」

担当「去年まで使ってたんはソニーのヤツだべ?」

女「…!?」

りんちゃん「そうよ。でも今年は予算が少ねぇがらよ」

担当「だから中国製のやつ使ってんのか」

りんちゃん「んだ」

女「もうつっこむ気力も無いわ…」

りんちゃん「中国のやつは安いんだけどよ、貼りにくいのなんのって」

担当「だってここ宝物庫だべ?予算削減していいのかよ」

りんちゃん「実はすぐそこの町で「天使の靴」が販売されるようになっちまってよ」

担当「ああ、あのちょっと浮くやつな」

りんちゃん「上の連中が「どうせ素通りされるなら高いのいらね」って」

担当「あーそりゃしゃーないな」

女「どこが安っぽいのかわからん…」スッ

りんちゃん「あ!触ったらあかん」

女「へ?」ピトッ

担当「あっ」

ズバリバリバリ!!

女「ふぎゃぁぁ!」

りんちゃん「あーあ」

…プスプス

りんちゃん「だから触ったらいげねっつったべ」

担当「大丈夫か?」

女「…」ガクッ

担当「あっダメだ。死んでる」

りんちゃん「あちゃぁ」

担当「りんちゃん復活アイテム持ってたっけ?」

りんちゃん「いや、俺リビングデッドだし」

担当「アンデッドに復活アイテムは死を意味するかんなぁ」

りんちゃん「もうアンデッドにしちまえばいいんでね?」

担当「いや、彼女は一般人だから」

りんちゃん「あっ!総務課の悪魔神官さんが復活呪文使えるわ!」

担当「それだ!」

【総務課】
担当「実はかくかくしかじかで…」

悪魔神官「それで私に復活呪文を唱えて欲しいと」

担当「そうなんです」

悪魔神官「出来るかなぁ…学生の時にサークルで覚えた程度なんだよね」

担当「MPは足りてます?」

悪魔神官「それも怪しいね」

担当「お願いしますよ」

悪魔神官「…了解しました!やってみましょう!」

担当「おぉ!」





悪魔神官「………ちなみに女の子?」

担当「はい」

悪魔神官「…うっし!」

悪魔神官「フム…」

担当「どうですか?」

むにゅ…

悪魔神官「F…着やせするタイプだな」

担当「…」

悪魔神官「いっ、いや、ほら復活呪文は心臓に魔力を送るものだから脂肪があると色々加減が難しいからさ」

担当「…」ジトー

悪魔神官「わ、分かったよ!ちゃんとやるよ!」

担当「早くしてください」

悪魔神官「…どりゃぁぁ!蘇れぇぇぇ!」

女「…はっ!」

担当「おお!復活した!」

女「し、死ぬかと思った」

担当「いや、死んだけどね」

女「なんと!?」

かくして、職場訪問は一応の終わりを見せたのであった

【武蔵小金井営業所】
女「ひどい目にあった…」

担当「自業自得」

女「バリアなんて地元には有りませんでしたからねっ」プンスカ

担当「まぁ何事もなく終わって良かった」

女「バリア敷設工事もなんだかんだで参考になりました」

担当「そりゃ良かった」

女「でも、ここで仕事するのは大変そうですね」

担当「ある意味命がけだからね」

女「うーん迷うなぁ」

担当「受けるだけ受けてみる?今度、面接あるし」

女(今はとにかく内定だからなぁ)

担当「エントリーシートあるから書くだけ書いちゃいなよ」

女「…分かりました!是非とも受けさせてください!」

担当「その意気だよ。じゃあまたね。連絡は追ってするから」

女「はい!ありがとうございました!」

後日…

【実家】
彼女のもとに一通のメールが届いた

『面接の日程が決まりましたのでお伝えします。場所は魔王城。日時は平成24年1月19日』

女「また魔王城に行くのか…」

バリアで死んだ思い出が彼女の脳裏に蘇る

女「我輩は女である…内定はまだ無い」

ちなみに卒論はなんとか終わったらしい

女「ちくしょう…一応受けてみるか…」

こうして、彼女は確実に一歩を踏み出したのであった

母親「ごはんよー」

女「すぐ行くー!」

そう…

泥沼へと確実に…



そして、ついに試験日は来た!

集まったのは全国津々浦々から選りすぐられた(無い内定)学生戦士!

女「…」

これらの強敵を撃ち滅ぼし、彼女は内定を手にすることはできるのかッッ!

女「おい」

はい?

女「あたし1人しかいないじゃん」



女「もう時間過ぎてるけど」

あれぇ?

女「これは不戦勝なのでは…」

担当「あれぇ?」

担当「まぁ面接くらいしようよ」

女「はぁ」

担当「ズバリ!当社を受けた理由は?」

女「「はい!御社の経営理念に強い共感を感じたからです!」」

担当「うわぁ今どき参考書にも書いてないような模範回答…。自己PRは?」

女「『はい!私の長所は、石橋を叩いて渡るほど慎重に事に臨むことです!』」

女「『逆に短所は、慎重過ぎるためにチャンスをよく逃してしまうことです』」

担当「ダウト、不用意にバリア触る人間が慎重なわけないよね。次は、学生時代に打ち込んだこと」

女「『はい!学生時代は読書に励み、年間300冊を読破しました!』」

担当「なに読んだの?」

女「えっ…と、村上春樹とか」

担当「村上春樹だけで300冊?」

女「えっ……と、他にも色々、外人作家とか」

担当「作者と著作名も覚えてないなんて読んだ内に入んないから」

女「…」

担当「よし!面接はこんなもんかな!おつかれさん!」

女「…」

担当「どうしたの?」

女「(´;ω;`)」ウゥッ

担当「!?」ギョッ

女「生きていてすみませんでした(´;ω;`)」

担当「ちょっ、今の面接気にしてんの?やだなぁ!大丈夫だよ!」

女「だって、だって何もちゃんと答えられなくて」グスッ

担当「着飾る必要はないんだよ。ありのままの君をみたいんだから」

女「ありのまま…」

担当「例えば自己PRなんて短所だけで良いんだよ。自分の長所を理解したつもりになってるやつが一番危ない」

女「そうなんですか?」

担当「たった22年間で培った長所がいきなり社会で通用するわけないじゃん」

担当「会社も入社当初からバリバリ出来る子を求めてるわけじゃないし、現実問題、そんな人間いないしね」

女「…」グスッ

担当「だからそんなに背伸びしなくて良いんだよ。自己PRもそう。他に好きでやってたことあるだろう?」

女「…麻雀と競馬です」グスッ

担当「…それは言わない方がいいかな」

女「好きな役は七対子。好きな馬はダイワメジャー…」

担当「…渋いな」

あっ間違えた


担当「だからそんなに背伸びしなくて良いんだよ。自己PRもそう。他に好きでやってたことあるだろう?」


自己PR×
学生時代に打ち込んだこと○

担当「じゃあ二次試験として、あるテストをやってもらうよ」

女「あるテスト?」

担当「簡単だからそう気構えなくていいよ」

女「はぁ」

担当「ここに一枚の地図がある」

女「ダンジョンの地図ですか?」

担当「勘がいいね。その通り」

女「これをどうするんですか?」

担当「このマップに好きなように罠と宝箱、そしてボスの配置を設定してほしい」

女「好きなようにですか?」

担当「うん」

女(そうだなぁ…分岐点が少ないからボスはやっぱり最後の3フロアかな)

女(唯一の分岐は2フロア目のY字路…)

女(両方とも3フロア目につながってるけど、そのY字路からは3フロアある2部屋のどちらか片方にしか行けない)

女(セオリー通りに行くなら、片方に強アイテムの宝箱、もう片方にボスかな…)

女(そうすれば迷った人にも何かプラスになるものがあることになるし…)

女(なんか普通だなぁ…)

担当「…」ニヤニヤ



女「…終わりました」

担当「どれどれ」

担当「…くくくっ」

女「どうですか?」

担当「しょっぱなからイベントの落とし穴で3フロアへ強制移動」

担当「そこからノーセーブ、ノー回復でボス3連戦」

担当「ボロボロになった状態からフロア1の出口まで命からがら帰るわけか」

担当「その帰路には、道の端々に宝箱を置いて歩く距離を稼がせる」

担当「エンカウントの可能性を上げるわけだね」

担当「絶命リスクと宝箱とをうまく天秤にかけさせてる」

担当「いい性格してるじゃん」

女「復活呪文を覚える前くらいに挑んでもらいたいダンジョンですね」

担当「なるほど。一人死んでる時では3歩先の宝箱も怖いからね」

女「どうでしょうか?」

担当「このテストに点数はない。…だが、これは大変興味深い。個人的に高得点だ」

女「やった!」

担当「こういうテストでもいい子ちゃんぶるのなら落とそうと思っていたけど…」

女「…」

担当「いい意味で人間性が染み出てる。面接より君のことが分かるよ」

女「…」ゴクリ

担当「君は、クッパ城にマリオも飛び越えられないような穴を掘るべきだとおもうかい?」

女「…いえ」

担当「なぜ?」

女「それじゃあクッパもつまらない」

担当「…学も常識も無いようだが、興を楽しむ素養はあるようだね」

女「どうせバカですよ!」

担当「バカじゃないと越えられない壁もある。…よし!合格だ!」

女「え…?」

担当「詳しい書類は後日送ろう。今日は本当にご苦労様」

女「あ…う(´;ω;`)」

担当「泣くなよ」

後日…

内定証明書と各種書類が彼女の家に届いた

そのときの心境を母はこう語る

母「信じられない。今も信じてない。あの子が内定もらえるわけがない」

女「( ;^ω^)ヒデェ」

単位も無事取得し、卒業式も終えた彼女の運命の日は4月1日

魔王城で行われる入社式である

時は休む間もなく過ぎて行き、運命の日までもう幾分の時間もない

だいたい実家から魔王城に通えるのか!?
通勤手当ては出るのか!?
通勤のたびにあの中途半端に終わる映画を観るのか!?
魔界で一人暮らしすべきなのか!?

彼女はそんなことも気にせず今週も競馬場の人混みに消えていく…


【リクルート編終わり】

【番外編】

『先頭は!以前としてカーリングターン!以前としてカーリングターン!』

女「おっし!そのまま!そのまま!」

『しかし内からカエデシンパシーが襲いかかる !』

女「ちょいちょいちょい来んな来んな!」

『おーそとからランスロット!前に届くか!届くか!?』

女「あー!!!」

『カーリングターンは2着も厳しい!カエデシンパシー!1着でゴールイン』

女『オワタ』

『時計は1:34.25!4F46.5!3F34.2!お持ちの勝馬投票券は確定までお捨てにならないようご注意ください!』

女「ダメだ…」

女「ちくしょう…」

???「お嬢さん。調子はどうだい?」

女「いやぁダメダメですね」

???「3月も終わるからね。芝が荒れてるから中山の内枠でも逃げ馬は勝てんよ」

女「んー、やっぱ外枠から買うべきですかね?」

???「芝のレースだったら押さえといたほうが良いね」

女「おじいちゃんはさっきのレース取ったの?」

???「うん」

女「スゴいなぁ。あたしなんてかすりもしないよ」

???「その日強い馬を買えばいいんじゃよ」

女「それが分かれば苦労しないって」

???「見方が悪いんじゃよ。ちょっとパドックに行ってみようか」

女「はぁ」

【パドック】
女「あれなんてどう?」

???「ありゃやる気がない」

女「あの12番は?」

???「実力的に無理」

女「あれはなかなかよくみえるけど?」

???「誰も乗ってないからな。騎手が乗ればヒドイことになるよ」

女「もう印付くような有力馬いないよ」

???「印が付かなくても強いのはいるよ」

女「え?」

???「あの黒鹿毛」

女「えーと、マエカブマオウ?」

???「そう」

女「なんで?」

???「わしの所有馬だから」

女「なんだそんな理由か……っておじいちゃん馬主だったの!?」

???「そうよ。わしは馬主さん」

女「全然そうは見えないけど…」

???「れ、礼儀の知らん嬢ちゃんじゃな」

女「だってジーパンにジャンパー着てハンチング帽って…それも便所サンダル」

???「人を見た目で判断したらダメじゃよ!」

女「でも普通スーツとか着てこない?」

???「わしはこれでいいの!」

女「ふーん」

???「ふーんだ!」

???「嬢ちゃん…見たところ学生みたいじゃが、そんな性格で社会でやってけんのかい?」

女「はん!これでも内定もらってますから!」

???「世も末じゃな…。危篤な会社があるもんじゃて」

女「ふーんだ!」

???「かー!可愛らしくない!おっぱいデカくても心は全然ダメじゃ!」

女「おじいちゃんに言われたく無いです!」

???「ぐぬぬ…口の減らんやつじゃ!こんなのを雇った社長の顔を見てみたいわい」

女「べー」

???「あっ!そんなことするんだ!もう許さないもんね」

女「あたしも頭きたわ!人のことを巨乳で美人でかわいいけど性格が悪いみたいに言いやがって!」

???(いや、美人でかわいいは言って無いですけど)

女「こうなったら勝負よ!」

女「このレースの勝ち馬を当てるのよ!単勝一点勝負!」

???「ほう、受けてたとう!わしはあの『マエカブマオウ』ね」

女「じゃああたしはあの「コガネイプロミス」で行くわ」

???「後悔させてやるわ!」

女「べー」

???「べー!」

女「ふん!じゃああたしは馬券買ってくるから」スタスタスタスタ




???「行ってしもうたか。…絶対ほえ面かかせたる」

担当「社長ー!」

???「む、貴様どこに行ってたんじゃ?」

担当「社長こそ馬主席から出ないでくださいよ」

???「だってあそこつまんないんだもん」

担当「でもどこかに行くときは言ってくださらないと。…パドックに騎手が来ますよ」

???「おう、じゃあ激励に行くかのう」

騎手「よろしくお願いします」

???「うん、頑張ってね」

調教師「マオウなんですが、やはり気性に難があるようで」

???「またテキトーに走ってんの?」

調教師「はい」

マエカブマオウ「ブヒヒン」

???「…」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ…

マエカブマオウ「!?」ビクッ

???(おい、今日勝たなかったら…お前を殺すからな)

マエカブマオウ「…ヒン」ガタガタ

調教師「…どうかなさったんですか?」

???「テレパシー送ってたんだよ。「頑張れ」ってね」

調教師「…ははは」

担当(多分、冗談じゃないんだろうな)

パーパパ パッパッパッパッパー(東京・中山平地競争ファンファーレ)

『態勢完了!』

カッシャン!

『スタートしました!全馬揃ったスタート、中から勢いをつけて6番マキノミランがハナを奪います』

『さぁ先行争いですが、先頭は6番マキノミラン、1馬身空いて4番サンダルフォン…』

『…中盤やや控えて、真っ黒な馬体マエカブマオウはこの位置』

???「…ふむ」

担当「いい位置取りじゃないですか?」

???「そうだね」

『最後方で15番コガネイプロミス。さぁ、第2コーナーを曲がって…』

女「ばかばかばか…そんな最後方じゃ届かないよ」

『3コーナーに入ります。ややマキノミランの脚色が鈍ってきたか?先頭から最後方までの差が詰まります』

女「ハイペースだよ…前が潰れるから頑張れ」

『さぁ4コーナーを曲がって直線勝負!先頭はパパイヤマンボ!マサチューセッツも続く!』

女「差せ!」

『さらに後方から大外に持ち出したコガネイプロミスがスゴい脚で追い込みをかける!』

女「差しやがれぇぇぇ!!!」

『しかし、内から、この黒い馬体は!』

女「!?」

『内から来たのはマエカブマオウ!』

???「…」グッ

担当「おお!来ましたよ!」

『残り200!マオウが先頭に並びかける!大外からコガネイプロミス!』

担当「ああ!」

『この2頭の叩き合い!残り100!熾烈な争い!』

???「バカヤロオオォ!!早く差しやがれ!!!」

担当「!」ギョッ

『先頭は!頭1つ分コガネイプロミスか!?今1着でゴー』

???「時よ!止まれぇぃぃ」

担当「あ」

ピタッ…

『ールイン!1着は…あれ?マオウ?やや、マオウが態勢有利か?し、しかしこの競走、審議です』

???「…ふう」

担当「…社長?」

???「え?なに?なんもしてないよ?」

担当「…」

???「おっし!さすがワシの馬!審議じゃがまぁ大丈夫じゃろ」

担当「ズルい」

???「今日は負けるわけにはいかなかったからな」

『審議が終わったようです』

『ただいまの競走は、審議の結果、到達順位の通りに確定しました』

女「ほぎゃぁぁ」

???「ほほほ!嬢ちゃん!ワシの勝ちじゃな!」

女「負けた…」

???「これでマエカブマオウもクラシック参戦への道が拓けたわい」

女「じゃあ私はこれで…」

???「まてぃ!」

女「…なんでしょうか」

???「負けたのに何もしないのかい?」

女「…別に罰ゲームとか決めてないし」

???「なんか謝ることがあるんじゃないの?」

女「…人を見た目で判断してすみませんでした」

???「うむ、まぁワシも言い過ぎた!すまんな!」

女「悔しいな…」

???「まぁコガネイプロミスも惜しかったのう」

女「うう、オケラだよ…もう帰る」

???「金貸してあげようか?その代わりこのフランクフルトをおっぱいの間に挟んで食べ」

女「断る。バイバイ、また会えたら会いましょ」




???「…逃げられたか」

担当「社長!探しましたよ!競馬場でテレポートしないでくださいよ!」

???「おお、すまんな」

担当「もう、こんな人混みで時間止めたりテレポートしたりしたら…バレますよ」

???「気をつけるよ」

担当「では社長。…いえ魔王様。このあとは総理と会食がありますので」

魔王「分かった。行こう」


おっと忘れてた
つ【番外編~完】

魔王ってバレバレ過ぎたな

【沈黙の新入社員編】

4月1日…ついにこの日が来た
どれだけ待ち望んだだろう
渇望と緊張、そして不安が表情から滲み出る
そう、彼らは新入社員
新たなフロンティアに旅立たんとする勇敢な戦士である

ガタンゴトン
女「…」

女「…るい」

女「マジでダルい」

女「もうニートでいいよ」

女「あー学生時代に戻りたい」
ガタンゴトン
女「失われたモラトリアム」

女「これから生涯社畜か…」

女「結婚の当てもないし…」

女「はぁぁ」
ガタンゴトン


※一部例外除く

【魔王城】

担当「おっ!迷わずこれたみたいだね」

女「こ、こんな大きいお城だったら遠くからでも分かりますよ」

担当「あっはっは!まぁとにかく改めて、(株)魔王城へようこそ!」

女「お世話になります!」

担当「入社式までまだ時間があるから休憩室で休もうか」

女「はい」

担当「何か飲む?」

女「えっ…?まさかポーションとか出て来ないですよね?」

担当「いや普通にそこの自販機で買ってくるけど」

女「自販機!?」

女「自販機って…」

担当「一階はコカコーラだっけな」

女(誰が補充してるんだろうか( ;^ω^))

担当「じゃあ僕は飲み物買ってくるからゆっくりしててよ」

女「はい」



女「…考えてみればエレベーターといい自販機といい電気で動くんだよね」

女「でも、ここに来るまで電線なんて無かったし…」

女「自家発電なのかなぁ」

担当「お待たせ」ガチャ

女「担当さん」

担当「なんだい?」

女「素朴な疑問なんですが…このお城って、どうやって電気をまかなってるんですか?」

担当「いい質問だね」

女「ずっと曇ってるから太陽光発電ではないでしょうし…」

担当「うんうん」

女「もしかして、今度こそ超魔力的なアイテムで、無限に電気を…」ドキドキ

担当「ああ、単3電池だよ」

女「…あたしのトキメキを返して」

担当「正確に言うと単3電池2本」

女「ミニ四駆じゃ無いんですから…」

担当「この世界では魔力=生命力だからさ。あんまり無駄にできないんだよね」

女「魔界にも省エネの嵐が来てるんですね」

担当「そうなんだよね~。上の連中は簡単に25%削減みたいなこと言うけどさ」

女「割を食うのは現場ですよね」

担当「そうそう」

女「それにしても乾電池でまかなえる電力って…」

担当「ちなみに使ってるのはこれ」

女「えっ、エネループ!?」

担当「そうだよ。これをコンビニのトイレで充電してさ」

女「セコい!!」

担当「まぁ案外保つんだよね」

女「逆にスゴい…」

担当「なんでだろうね?俺も分かんないや」

女「恐るべしパナソニック」

担当「ちなみに君は力仕事とか得意?」

女「いや、あんまり…」

担当「簿記の資格とかは持ってないもんねぇ」

女「はい」

担当「ホニャダスポンダ語はさすがに喋れないもんねぇ」

女「ほ、ホニャ?」

担当「ああ、南部に住んでる首狩り族の言語なんだけどさ。たまに派遣に来てもらうから」

女「喋れませんし、喋れても関わりたくないです!」

担当「そう?結構いい人たちだよ。殺されかけたけど」

女「マジすか…」

女「うーん。受付とかどうでしょうか」

担当「ああ、無理。絶対ムリ!ムリムリムリ」

女「う、受付くらい出来ますよ」

担当「だって君、魔王様を狙う死神とか暗殺者の相手できないでしょ?」

女「え…( ;^ω^)?」

担当「たまに来るんだよね。相手できんの?」

女「無理です。ムリムリムリ」

担当「でしょ」

女「もっと安全な仕事ください」

担当「決めるのは俺じゃないし…。ってか君は仕事を選ぶ立場じゃないからね!」

女「ごめんなさい…」

担当「そうだなぁ…うーん君の力を活かせそうで安全そうなのは」

女「…」ゴクリ

担当「生け贄…」ボソ

女「!?」ギョッ

担当「は専門の資格いるしなぁ」

女(生け贄って資格いるんかい)

担当「まぁ、あのダンジョンマッピングを見る限り、企画関係が向いてるかもね」

女「ほうほう」

女「企画ってどんなことやるんですか?」

担当「いろんなことやるよぉ!それこそイベントから設備開発まで」

女「へぇ…楽しそう」

担当「仕事だけじゃないよ。あそこはユニークな人が多いから」

女「ついていけるかな」

担当「そういう心配は配属されてから考えることだね」

女「はい!」

担当「よし、そろそろ時間だから行こうか」

女「えっ?他の新入社員の人が来てませんけど」

担当「え?君1人だけど?」

女「…え?」

担当「だって君しか受けてないし」

女「な、なんだってー!」

【魔王城多目的ホール…入社式会場】
ガヤガヤガヤガヤ
司会『これより入社式を執り行います』

司会『新入社員入場』

パチパチパチパチパチパチ

女「はわわわわ」

担当「緊張しないでも大丈夫だから」

女「は、はひ」カチコチ

「今年は一人か」ザワザワ
「ガッチガチよ。大丈夫かしら」ザワザワ
「女か…」ガヤガヤ

司会『新入社員は魔王様の前へ』

女「は、はひぃ!」

魔王「まぁまぁそんな緊張なさらずに」

女「あ、ありがとうございます」

魔王「ん?」

女「え?」

魔王・女「あぁぁぁ!」

魔王「あんときのおっぱい嬢ちゃん!?」

女「社長さん!?」

司会『…?』

魔王「まさかうちに入社するのかい!?」

女「そうなの!まさか魔王だったなんてすごい偶然!」

魔王「えー!マジかよ!」

女「ここしか内定くれなかったんだから仕方ないでしょ!」

「なんだあの娘、魔王様と知り合いなのか!?」ザワザワ
「魔王様に無礼ではないのか?」
「魔王様にタメ口きいてるよ」ザワザワ

担当「ちょっ、ちょっと来て」

女「え?なんですか?」

担当「いいから」

【通路】
担当「ちょっ!君、魔王様と知り合いなの!?」

女「はい。競馬場で知り合いました」

担当「あぁ…マエカブマオウの時か」

女「はい」

担当「あの時はやけに抜け出すからおかしいと思ったんだよなぁ」

女「…」

担当「なるほど、目をつけた女がいたか…」ブツブツ

女「あの…何か問題でも?」オドオド

担当「ああ…まぁ気にしなくて良いよ。とにかくあの方は魔界の王なんだよ」

女「はぁ」

担当「失礼の無い態度でね。特にタメ口はダメ!」

女「は、はい!」

【会場】
司会『えー気をとり直しまして、式を進めます。次は新入社員の紹介です』

司会『えー彼女は今年度唯一の新入社員で、完全に人間です』

な,(;゜Д゜)(゜Д゜;(゜Д゜;)ナ、ナンダッテー!!

司会『まぁ確かに珍しい例です。魔王様の母上以来の入社ですからね』


女(魔王様のお母さんって人間だったんだ)

司会『趣味は、競馬、麻雀、マンガ収集、アニメ鑑賞…』

「ええっ?」ザワザワ
「低俗…」ザワザワ
「我々上流階級の人間とは無縁だな」ザワザワ

司会「特技は、ブックオフに24時間いれること」

「ブックオフってなに?」
「古本屋らしいですよ」

担当「あんのバカ…正直過ぎてもダメだろうに」

司会『やや変わった趣味や特技をお持ちのようで…』

司会『続きまして、魔王様からの訓辞です』

魔王「はい、皆の者よ、まず諸君らの今日までの働きに感謝したい」

「おお…」
「勿体なきお言葉…」

魔王「さて、また今年も新たに我が魔王城、そしてこの魔界のために仲間が一人加わった」

魔王「人間の入社は珍しいケースだ。しかし、彼女のように特異な存在が変革をもたらすこともある」

魔王「ならば先輩諸君は偏見を持たずに、彼女の良き手本になってほしい。以上だ」

パチパチパチパチパチパチバチパチ

司会『ありがとうございました』

女(なんかかっこいいな…)

司会『では、恒例の配属部署決定式を行います』

女(えっ?ここで決めんの!?)

司会『新入社員は前へ』

女「は、はい」

司会『はい、じゃあこのサイコロ転がして』

女「…」

司会『何が出るかな!何が出るかな!』

女「…マジかよ」

司会『何が出るかな!』

女(こんな適当でいいのかなぁ…)

司会『何が出るかな!』

女(ええい!ままよ!)

司会『おお!』

女「スリザリンはイヤだスリザリンはイヤだ!」

コロコロ…コロリ

司会『これは…な、なんと!』

女「え!?」

司会『恥ずかしい話!はずばな~』

一同「はずばな~!」

女「な、なんぞ?」

司会『では、恥ずかしい話をどうぞ』

女「ちょ、ちょっと待って」

司会『ゲストさんは恥ずかしがり屋のようですね~』

ドッ!ハハハ

司会『さ、恥ずかしがらずにどうぞ』

女「は、恥ずかしい話ですか?そうですねぇ」

司会『ふむふむ』

女「高校の時の話なんですが、家庭科の時間に調理実習があるじゃないですか」

司会『ありますね~!好きな男の子のために余分のクッキー作っちゃったりね』

女「あはは、その日の私も好きな男の子のためにケーキを作ろうと頑張っていたんです。でも失敗しちゃって…」

司会『やや!まさか砂糖と塩を間違って入れてしまったとか?かわいい失敗なんじゃないですか?』

女「いえいえ!!実は、学校を全焼させてしまって…テヘッ☆」

司会『…』

観衆「…」

女「…」

司会『洒落にならんわ』

女「ですよね…」

司会『と、盛り上がったところで一旦CM!』

【CM中】
女「なんですかあれ!」プンスカ

担当「いやいやノリノリだったじゃない」

女「いやまぁ…。それは置いといて!配属部署になんの関係もないんですけど」

担当「これだから無知は困るね。あれは御気源楊式配属決定法!」

女「ごきげんようしきはいぞくけっていほう!?」

~~~~~~~~~~~~~~~~
御気源楊式配属決定法
古くは後漢の時代より伝わる人事決定法である
ライオンの骨から作ったサイコロを振り、その出目から導き出されたテーマをもとに
相手と会話を交わすことで、その者の気の流れを察し、より良い配属を導き出すのである。
なお、この配属決定法は年を重ねるごとに簡略化され、
日本のお昼のバラエティ番組で楽しまれていることはあまりにも有名である

『民明書房刊「古代の人事」より』
~~~~~~~~~~~~~~~~

担当「というスゴいものなのだ」

女「うさんくさい」

担当「まぁいいから早く準備しな。CMあけるよ」

女「あっと」

【本番】
司会『いやぁ、ゲストの爆弾トークにスタジオも騒然としちゃいましたね』

観衆「ハハハハハハ 」

女(本当にこんなんで配属先が分かるのかな…)

司会『では、次のコーナー!「あなたの行きたい部署はどこ!?」』

観衆「ワアアアア」パチパチパチパチ

女「おお!?」

司会『さあ定番のこのコーナーがやってまいりました』

司会『このコーナーではゲストに行きたい部署を答えてもらいます』

女「…」

司会「さあ!あなたの行きたい部署はどこ!?」

女「…企画課です」

司会『はい!企画課!企画課頂きました!では営業部長さん、どうでしょうか?』

営業部長「いいですよ」

司会『でたー!OK出ました!おめでとうございます!配属部署は営業部企画課に決定いぃい!』

女「…」

司会『…』

女「サイコロ関係ねぇじゃねぇかぁぁああぁあ!!!!」ドグシャァ!パリーン

司会『ああ!セット壊さないでくらさーい!』

女「まぁいいわ…望み通り企画課に行けるわけですからね」ハァハァ

司会『それだけ強ければ隠しダンジョンの中ボスに…』

女「あぁん!?」

司会『よっ!ミス企画課!』

女「よし!」

司会『ということで入社式を終わります!新入社員に拍手~』

パチパチパチパチパチパチパチパチ

【入社式後】
担当「おつかれ~」

女「本当に疲れました」

魔王「やあ」

女「おじいちゃん!」

担当「社長!」

魔王「どうじゃ?うまくやっていけそうか?」

女「まだなんとも言えないわ。とにかく人間がいないんだもん」

担当「敬語!」

女「あっ」

魔王「気にせんでいいよ。社員はみんな家族みたいなもんじゃて」

遅レスでホントすみませんね

ぼちぼち書きます

魔王「企画課ならなんとかやっていけるじゃろう」

女「うん!がんばる!」

魔王「その意気じゃ」

担当「仕事は明日から始まるから、ちゃんと心の準備してきてね」

女「分かりました。…緊張しますね」

担当「心配しなくて大丈夫だよ」

???「その通り!」

女「ん?」

魔王「おお、営業部長」

営業部長「ご無沙汰してます」

担当「この方は、君の上司に当たる方だよ」

女「お、お疲れ様です!」

営業部長「固くならなくていいよ。よろしくお願いします」

女「よ、よろしくおねがいします」ガタガタ

営業部長「ははは、さっきの元気はどこに行ってしまったのかな?」

担当「営業部長」ヒソヒソ

営業部長「はい?」

担当「彼女は営業部長の姿にビビってるんですよ」

営業部長「やや!?ドラゴンは見たことない?」ズイッ

女「ひぃっ」ビクッ

営業部長「リラックスしてね」

女(でででてできるか!)

魔王「彼はね、破壊の限りを尽くしててね。わしとも死闘を繰り広げたんだよ」

営業部長「やだなぁ社長!500年前の話じゃないですか」

魔王「そうだっけ?アハハハ」

女「…」

担当「大丈夫?」

女「ニフラムニフラム」

担当「はい、現実見ようか」パンッ

女「はっ!?ここは!?」

女「…」ビクビク

営業部長「大丈夫だからね」

魔王「人間は食べんから安心せい」

女「…ホントですか?」

魔王「だよなぁ?」

営業部長「ええ、小さい頃に刺身で食中毒になって以来、人間は苦手で」ハハハ

担当「ああ、そんなこと言ったら」

女「…人の…刺身…」バタリ

魔王「おお!?」

営業部長「あ、あれ?大丈夫?」

担当(普通にそうなるよなぁ)

【???】

ごぉおぉおお

女「…?」

担当「起きたね」

女「ここは?」

担当「それは君を運んでる方に聞くといい」

女「へ?」

営業部長「起きたかい?よかったよかった」

女「ひっ!?部長!」

営業部長「色々驚かしてすまんね。お詫びと言っては難だが、出口まで送ろう」

女「空を飛んでるの…?」

ごぉおぉおお

担当「部長は翼竜だからね」

営業部長「さっきの話だが、今は本当に人間を襲わないから安心してね」

女「…ホントですか?」

担当「勇者は死んでも教会に帰るだろ?」

女「そうですよね。…分かりました!信じます」

営業部長「ありがとう。仕事が始まる前にわだかまりが解けて良かったよ」

【自宅】
母親「おかえり~」

女「ただいま」

母親「どうだった?」

女「変なのばっかりだった」

母親「あらあら、でもその変なのがこれからみんな上司になるんですからね」

女「憂鬱だねぇ」

母親「お風呂沸いてるからね」

女「うん」

母親「頑張んなね。お父さんも天国で喜んでるよ」

女「…うん」



【沈黙の新入社員編…完】

ブツブツ細切れですまんね

まとめて書く時間がないんよ

【燃えよ新入社員!怒りのイベント開催!】

入社式が終わり数日が経ったある日…

女「おはようございます」

骨田「やぁおはよう」

企画課の先輩社員である骨田さん(がいこつ兵)だ

女「今日は一段とスリムですね」

骨田「朝方に酸性雨浴びちゃってさ」ハハハ

女「溶けたんですか…」

岩村「おはようございます」

女「おはようございます」

この方も企画課の先輩である岩村さん(ゴーレム)



新入社員に課せられた仕事は主に雑用である

黒江「ねぇ!これコピーおねがい!」

この課で唯一の女社員である黒江さん(ダークエルフ)だ

女「はい!」タタタッ

ドンッ

女「きゃっ」

鎧谷「すまない!大丈夫かい?」

女「い、いえ…大丈夫です///」

この方は企画課の若きエース鎧谷さん(暗黒騎士)だ

鎧谷「そうか、よかった」

骨ばかりで体重もノリも軽い骨田さん(がいこつ兵)
無口だけど優しく力持ちな岩村さん(ゴーレム)
紅一点で化粧の厚い黒江さん(ダークエルフ)
イケメンで将来幹部間違い無しな勝ち組優等生の鎧谷さん(暗黒騎士)

そして、

犬崎「わん!(おはよう、じゃあ朝礼やろうか)」

この企画課の課長である犬崎さん(柴犬)である


女「…あたしキャラ薄っ」






犬崎「わぉん!(おはよう)」

一同「おはようございます」

犬崎「わんわん!(4月も半ばまで来て、そろそろあのイベントを開催します)」

骨田「おっ!?もうそんな時期ですか!?」

岩村「…」

犬崎「わわん(そうです。今年は予算少なめなんですが…)」

黒江「去年はだいぶ派手な演出できたのにねぇ」

鎧谷「予算内で頑張りましょう!なんとかなりますよ」

女「…なんのイベントなんですか?」

犬崎「くぅん(ああ、彼女はまだ知らないんですね)」

黒江「4月の大イベント、「勇者の旅立ち」よ」

女「「勇者の旅立ち」!?」

犬崎「わぉん!(では早速、旅立つ勇者を選定します)」

鎧谷「資料はここにあります」

ドンッ

黒江「相変わらず多いわねぇ」

骨田「勇者ブームも収束しませんね」

岩村「やろうか…」

女「あ、あたしは何をやればいいんでしょうか?」

犬崎「わん!(君も選定作業に参加してください。条件に合う勇者を選ぶだけです)」

女「条件?」

犬崎「わんわん(これです)」

~勇者の条件~
1,すこぶる健康体である
2,愚直である
3,魔王と何らかの因果関係にあることが望ましい
例:兄を魔王に殺された、親が魔王討伐中である、代々勇者の血族である等
4,おおむね顔立ちが整っている。しかし、過度に個性的な者は望ましくない
5,「はい」、「いいえ」のみで会話を成立させることが出来る
6,情緒が安定してる者。イベントで傷心した際に、意味不明な言語を発する者は望ましくない
7,「ひのきの棒」、「たびびとの服」程度の装備が売られている土地の出身者が望ましい

女「…」

犬崎「わん!(こんな感じだよ)」

女「かわいそうなクラウド…」

黒江「ほらほら!選定作業くらい今日中に終わらせないと先が思いやられるわよ」

女「す、すみません!」

骨田「うーん、今年はあまり良いのがいませんねぇ」

鎧谷「たまに良いのがいても魔王城近辺なんだよね」

岩村「これは…」

黒江「どれどれ?」

名前:しげのぶ
出身:ロボルーマ王国
性格:むっつりスケベ
因果関係:親が魔王城でパートしてた
口癖:「~じゃん」

女「…ショボ」

岩村「!」ガーン

女「なんかもっと勇者勇者してる人いないんですか?」

黒江「これなんてどうかしら」

名前:ゆうすけ
出身:プーホ村
性格:むっつりスケベ
因果関係:魔王城近くの温泉へ旅行に来たことがある

鎧谷「いいんじゃないですか」

犬崎「わんわ!(うむ)」

女「どこがだぁぁぁあ!温泉旅行で因果関係が発生するなら「いい旅夢気分」が魔王討伐番組になるわぁぁ!!」

鎧谷「うわっ」ビクッ

女「にゃん?」テヘッ

骨田「…」

女「因果関係をもっと厳選しましょう」

犬崎「わおぉぉん!(これなんていいんじゃないかな)」

鎧谷「おお!」

名前:けんじ
出身:トイライハ城
性格:むっつりスケベ
因果関係:魔王に親の会社を潰された

女「これはなかなか…っていい加減むっつりスケベから離れろやぁぁ!!」

犬崎「きゃぃん!」ビクッ

骨田「ノリツッコミ…ッ!!」

黒江「恐ろしい子…!!」

女「魔界にはむっつりスケベしかいないんですか!?」プンスカ

骨田「男は基本むっつりスケベだからね!」プンスカ

黒江「逆ギレすんなよ」

鎧谷「確認してみたんですけど、むっつりスケベしかいないですね」

女「なんと…」

犬崎「くぅん(男の呪われた宿命だな…)」

女「まともな人間がいない…」

鎧谷「あ、条件搾ったらこんなん出てきましたよ」

黒江「どれどれ…」

なまえ:たくや
出身:タスンブセ洞窟
性格:むっつりスケベ
因果関係:最近まで魔王に封印されてた

女「こいつもむっつりスケベかい」

骨田「まあそれは置いといて、いい感じじゃないかな?」

岩村「うむ…」

鎧谷「封印されてたってのはちょっと気になるけど、因果関係としてはバッチリですね」

黒江「封印された怨みから復讐か…なかなかダークな感じね」

犬崎「わん!(よし!じゃあちょっと視察に行ってみようか)」

【タスンブセ洞窟】
オ オ オ オ オ オ オ オ …

女「不気味なところですね」

犬崎「ぐぅぅ(うーん、禍禍しい思念が渦巻いてる)」

骨田「並のモンスターならまず中毒ってしまいますね」

鎧谷「入口を見てきましたが、高度な封印式が施されてました」

黒江「あれは魔神レベルに対する封印よ」

骨田「本当にこんなところに勇者候補がいるんですかね?」

岩村「…」ビクッ

女「ん?岩村さん、どうしたんですか?」

犬崎「わおぉぉん!(いかん!離れろ!)」

岩村「ぐぉぉぉ!」

ズガァン!

女「きゃぁぁ!?」

鎧谷「な!?」

黒江「なにしてんのよ!岩村ぁ!」

岩村『…せ』

骨田「はわわわわ」

犬崎「わぁん!(いかん!岩村が取り憑かれた!)」

鎧谷「取り憑かれた!?誰に!?」

犬崎「わん!(封印されていた者だろう。岩村はゴーレムだから寄代として適任だったのだ)」

黒江「冗談じゃないわ…」

骨田「で、でも、入口の封印は解けてないんでしょう?」

犬崎「ぐるる(思念が封印を上回った…)」

鎧谷「魔神レベルの封印ですよ!?」

犬崎「わん!(魔神レベルの相手だということだ!)」

女「あわわわ」

岩村『貴様らが魔王の手下なのは分かっている…』

鎧谷「なんだと!?」

犬崎「わぁん!(うろたえるな!大方、選定資料の中に罠があったのだろう)」

岩村『魔王を…魔王連れてこい』

黒江「ぐ…!」

岩村『勇者だけでは足りぬ…』

骨田「!?」

鎧谷「なにを言っているんだ!?」

岩村『勇者だけでは、その女だけでは…』

女「あたし!?」

岩村『勇者と魔王による二重の封印式…』

女「…?」

岩村『それは勇者と魔王が揃わねば…解けぬ』

骨田「この子が勇者なわけないだろう!」

女「そうよ!」

犬崎(いや、しかし…)

鎧谷(そういえば、この子は思念に中毒ってない。人間なら普通発狂するぞ)

黒江「変な言いがかりつけるんじゃないわよ!」

犬崎(今はそんなことを考えてる場合ではないか…!!)

骨田「課長!」

犬崎「わぉぉぉぉん!(私が全力で食い止める!)」

骨田「課長一人で!?」

犬崎「わん!(なめるなよ!先の大戦で最強犬と唄われた力をみせてやろう)」

鎧谷「課長なら大丈夫だ!俺達は退くぞ!」

犬崎「わぁん!(鎧谷、まかせたぞ!)」

鎧谷「了解しました。岩村は…」

犬崎「くぅん…(かわいそうだが…潰す)」

岩村『たとえゴーレムの身体と言えど…貴様を屠ることくらいは…』

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ …!

女「はふぅ」コテン

黒江「気絶してんじゃ無いわよバカタレー!」

岩村『しかし、勇者だけでも…』

グ ォ ッ !

犬崎「がぅ!(マズイ!)」

黒江「起きろ!バカ!」バッ

鎧谷「危ない!黒江さん!」

黒江「!?」

ズ ガ ァ ン !

黒江「あああああ!!」ズザァ

骨田「つ、強い!」

岩村『勇者…!』

犬崎「わん!!(させるかよ!)」キュゥゥゥン

岩村『!?』

犬崎「わぉぉぉん(重咆哮砲!)」

ズ オ ッ!

岩村『ごああ…!』



鎧谷「…やったか!?」

骨田「す、すごい」

犬崎「わんわん!(まだまだ!爆裂魔砕弾!)」

ズ ド ド ド ド ド ド ! !

黒江「うっ」

鎧谷「大丈夫ですか?」

黒江「あれは?」

骨田「課長が久々に本気出してるんです」

黒江「すごいわね…」

犬崎「わぉわん!(続けて、断界!)」

ず ぅ ん ! !

鎧谷「圧倒的だな…」

黒江「さすが「元」十傑集…」

骨田「現役より強いんじゃないですか?」

犬崎「わん!(とどめだ!柴犬葬送!!)」

ド ン !…ゴゴゴゴ

骨田「?」

鎧谷「バカ伏せろ!」

犬崎「くぅん…(堕ちろ…!永劫奈落のその先へ…!)」

バ シ ュ ゥ ゥ ゥ ゥ ゥ ゥ ! ! !

骨田「や、やべぇ」

鎧谷「あれが柴犬葬送…」



ガラガラ…!

骨田「いてて」

黒江「さすがに跡形も残らないわね…」

犬崎「ハッハッ(久しぶりだから疲れちった)」

鎧谷「お疲れ様です。あの子は…?」

犬崎「きゅうん(やっべ!忘れてた)」

黒江「あそこにいるわよ。うまい具合に隙間で気絶してるわ」

女「…」

黒江「おーい」

犬崎「ぐぅ!(む!?)」

ガ ラ ラ ラ !

岩村『まだだ…勇 者 だ け は …!!』

骨田「課長!」

犬崎「わん!(断界弐式ぃ!)」



犬崎「くぅん?(あれ?)」

※MPが足りません

鎧谷「なっ!?」

黒江「起きろバカ巨乳ぅぅ!!」

岩村『これで…半分…』スッ

???(起きるのだ)

女「ふぇ?」パチリ

バ シ ィ ィ ィ!!

黒江「バリアー!?課長!?」

犬崎「くぅん(私じゃない!)」

女(これは…)

???(私が手を貸す…。浄化しろ)

女「…はい」

パ ァ ァ ァ ァ

岩村『おおぉ…。そうか、貴様は…』

鎧谷「岩村さんから邪気が消えていく…」

犬崎(あれは魔族のそれとは違う…)

岩村「…」ズシン

犬崎(勇者の御家芸だ…)

女「ふぅ…」コテン

黒江「だから寝るなー!」



【魔王城】
営業部長「やはり資料に何らかの細工が仕掛けられた形跡がある」

犬崎「くぅん(それもかなり以前からか…)」

営業部長「どうやら勇者が触るとスイッチが入る魔法式らしい」

犬崎「わん(あの洞窟へ導くためか…。しかし何故あの子がスイッチになったのだ?)」

営業部長「分からん…。もしかしたら彼女は…」

犬崎「わん!(それは無いはずだ!「ヤツ」は魔王様が…)」

営業部長「もうよそう。他の資料は検査の結果、全て正常だった」

犬崎「ぐるる(分かった。通常業務に戻る)」

【企画課】
犬崎「わん!(と言うことです)」

鎧谷「資料検索の際にウイルスに感染したねぇ…」

黒江「魔王城のセキュリティを掻い潜って?まさか…」

犬崎「くぅん(まぁ、完璧なセキュリティなんて無いってことですね)」

骨田「でももう大丈夫なんでしょ!?よーし!仕事しましょう」

女「やりましょう!」

黒江(今回の件で、あんたが一番意味分かんないんだけどね…)

ガチャ

岩村「ただいまかえりました…」

骨田「お!岩村さん!」

鎧谷「ボディが鉄になってる!新品ですね!」

女「ゴーレムは便利ですね」

犬崎「わぉん!(よーし!じゃあ「勇者の旅立ち」を改めて企画しますか)」

一同「おー!」

後日…

新たな資料から滞りなく勇者が選定され…

名前:たけし
出身:クーラ灯台
性格:むっつりスケベ
因果関係:某電子掲示板での発言を魔王にコピペ化された

女「もういいよ…スケベで」

本番の打ち合わせが綿密に繰り返された…

たけしの母「今日はよろしくお願いします」

鎧谷「こちらこそお願いします」

骨田「とりあえず、予定としては…」

たけしの母「ふむふむ」

鎧谷「御本人にはくれぐれも内密に…」

そしてついに、企画課主導の下で勇者の旅立ちが催された

黒江「BGMスタート!」

女「は、はい!」ピッ

~♪~♪~♪~♪~♪~

たけし「行ってくるよ」

たけしの母「うん、ついにこの日が来ることはね」

たけし「許せないんだ。俺はルイズへの愛を書き込んだだけなのに、ヤツは…それをコピペに…!」

たけしの母「…帰ってくるんだよ」

たけし「ああ、勝ったら、ニュー速(嫌諸)にスレ立てるから…」

たけしの母「うん、毎日確認する」

犬崎「くぅん」

たけし「なんだ?野良犬かな?何かくわえてる…」

犬崎「わん!」

たけし「これは…!銅の剣と薬草!くれるのか?」

犬崎「わんわん!」

たけし「ははっ!お前は天使の化身かもな」


鎧谷(悪魔だよ…)

たけし「じゃあ!いってきます!」

たけしの母「頑張るんだよぉ!」

黒江「BGMチェンジ!岩村、ライトアップ」

岩村「了解…!」

女「はわわわ」ピッ

~♪あぁー雷鳴轟く栄光の~魔王城ぅぅ


たけし「ん?」

たけしの母「!?」ギクリ


黒江「バカ!社歌流してんじゃないわよ!そこは哀愁のファンファーレ!」

女「すすすすいません!」ピッ

犬崎(なにやってんだか…)

…旅立ち後

骨田「お疲れさまでしたぁ!」

たけしの母「本当にご苦労様でした」

鎧谷「いえいえ」

黒江「いやぁ疲れた疲れた!」

犬崎「くぅん(うむ。しかし、うまくいって良かったですね)」

女「…ヘトヘトです」

骨田「課長名演技でしたね。まさに神の使いでしたよ!」

犬崎「わん!(ちょろいもんですよ!)」

岩村「…じゃあいつも通り」

女「?」

鎧谷「打ち上げにいきますか!」

犬崎「わぉぉん(よし!今日は歓迎会も兼ねます!全部奢りです!)」

一同「おお!やったぁ!」


かくして、彼女は無事に「勇者の旅立ち」を成功させることができたのであった



【燃えよ新入社員!怒りのイベント開催!編…完】

【酒場】
犬崎「わふん(だからね、あたし言ってやったんですよ…「誰の金で生活してるのか」ってね。そしたら女房が…)」ヒック

女「はははは…」

課長は酔うと愚痴っぽくなる


骨田「…」zzz

骨田さんはビール1杯で寝てしまった


岩村「え?ヤバくないそれ?地元ドコよ?今度飲もうぜ!いい店知ってんだYO!」ヒック

キャバ嬢「え、え?えーと」

岩村さんはチャラ男になる


鎧谷「あぁ尿○に分度器を□□□で△△△したら気持ちよさそうじゃない!?ねぇお嬢さん!」ゲフゥ

女「いいから寝ろ」

鎧谷さんは放送禁止レベルの単語を吐き続ける


そして…

黒江「好き」ヒック

女「勘弁してください」

黒江「やら!結婚する!巨乳と結婚する!」ギュゥ

女「いたいいたい」

黒江さんはその本性(?)を露にする


女「ダメだコイツら、早くなんとかしないと…」

よし、しばらく仕事で忙しいから書けんかも
確証は無い

ちなみに

・企画課の序列(上から順にえらい)
犬崎(企画課長)
鎧谷(現場監督)
黒江(書類の作成・管理)
岩村(力仕事、機械整備)
骨田(鎧谷のアシスタント)
女(庶務・雑用)

※鎧谷の入社時期は黒江と岩村より遅いので、二人の後輩にあたる



・大戦時の魔王軍の序列(上から順に偉くて強い)
魔王(魔神は魔王と同等以上)
十傑集(営業部長と企画課長はここ)
側近クラス
近衛兵団長(担当レベル)
近衛兵(鎧谷レベル)
各軍団長(岩村・女レベル)
各隊長(黒江レベル)
一般兵(骨田レベル)
ザコ(たけしレベル)

悪魔神官は軍団長レベル
受付の化け猫嬢は側近レベル

【新入社員の黙示録編】

【企画課オフィス】
それは、ある春の日の電話から始まった…

プルルルル

カチャ

黒江「はい、企画課…。はい、はい、分かりました」

女「?」

黒江「課長」

犬崎「わふん?(なんですか?)」

黒江「昨年度に企画された新装備の試作型が出来上がったので拝見してほしいと」

犬崎「くぅん(出来上がりましたか。なら、出張をお願いしますか)」

黒江「1人でですか?」

犬崎「わん(サポートと勉強も兼ねて、この子も連れて行ってください)」

女「え?あたしですか?」

犬崎「わわん(何事も経験です)」

黒江「じゃあ明日の7時に魔王城をでるわよ」

女「はい。どこに行くんですか?」

黒江「『バカワ高原』にある武器職人の家よ。そこで試作型の性能をレポートして提出」

女「あたし、武器の良し悪しなんて分からないですけど」

黒江「それを見定めるのは私の役目だから、あんたはサポートしてくれればいいから」

女「はぁ」

黒江「とにかく明日は遅刻しないでね。切符はあたしがネットで取っとくから」

女「もしかして、飛空艇とか、空飛ぶ絨毯とかですか!?」

黒江「なに言ってんの。新幹線に決まってるでしょ」

女「JR…」

【翌日:魔王城地下駅】
黒江「おまたせ」

女「おはようございます」

黒江「これ切符ね」

女「すごい荷物ですね」

黒江「まぁ3日間とはいえ、密度の濃い仕事だからね」

女「どれどれ…」

黒江「あ、バカ見るな」

女「…私服と化粧品とゲームしか入ってないんですけど」

黒江「う、うるさいな!」

アナウンス『2番線に到着の電車は、のぞみプーホ地方行きでございます』

黒江「おっと、これに乗るわよ!急いで!」

女「は、はい!」

【新幹線車内】
黒江「…」カチカチ

女(魔界に携帯電話なんてあるんだ…)

黒江「…なによ」

女「い、いえ…なにも」

黒江「二時間くらいで着くから、お昼食べちゃいなさい」

女「あ、時間が無かったので何も買ってないです」

黒江「売店くらい車内にあるわよ」

女「へぇ、ちょっと行ってきます」

黒江「あたしの分のお弁当もお願いね~」

【売店】
店員「いらっしゃいませ~」

女「どれどれ…げっ!?」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ …
『エビルかぶと虫のからあげ弁当』
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ …

女「なん…だと…」

女(いや、あり得ない。だって魔王城にコカコーラとかあったし味覚はみんな同じはずだし)

女(でも営業部長は人間食べてたし…そういうモンスター向けの商品なんだな!きっと)

女(他の商品はまともなはずだよね!そうに決まってる!…隣の商品は…)

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ …
『人もも肉丼』
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ …

女「なん…だと…」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ …
『100%スライムジュース』
『人面魚寿司』
『魔界きゅうりのサンドイッチ』
『魔女漬』
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ …

女(ま、まともなのがない…)

店員「どうかなさいましたか?」

女「い、いえ」

黒江「遅いわよ~」

女「黒江さん!」

黒江「なに悩んでんのよ」

女「実はかくかくしかじかで…」

黒江「あ~なるほどね」

女「人間が食べれるかどうかは別として、見た目がもう…」

黒江「確かにこの中で食べれると言えば…人面魚寿司くらいね 」

女「食べたくないです」

黒江「あら、美味しいのに。私は魔界きゅうりのサンドイッチ買ってくから。先に行ってるわよ」

女「あー、まってくださいよぅ…行っちゃった」

女「困ったなぁ。何か人間でも食べられるものあります?」

店員「人間様のお口に合うものというと…こちらですかね」

女「どれどれ…?」

店員「…」

女「うまい棒(コーンポタージュ味)…」

【客席】
黒江「おかえり」

女「ただいま戻りました」

黒江「ってうわ!」

女「いただきます」

黒江「なんという…」

女「…」サクサクサクサクサクサクサク

黒江「サンドイッチいる?」

女「いらないれふ」グスン

黒江「泣くなよ…」

アナウンス『次の停車駅は、「トイラ地方」です。Next station is…』

女「次の次、ですよね?」

黒江「うん…」カチカチ

女「あー、ずっと地下走ってるから景色を見れないのがなぁ」

黒江「うん…」カチカチ

女「なに見てるんですか?」ヒョイ

黒江「あの売店で人間が食べれそうなもの探してたのよ」

女「黒江さん…あたしのために」

黒江「泣きながらうまい棒食べられたら落ち着かないのよ…ん?」カチカチ

女「どうしたんですか?」

黒江「…な、なんでもないわ」コソコソ

女「?」

黒江(魔女漬に人間族に対する催淫効果ねぇ…)

黒江「ちょっと売店行ってくるわ」

女「はい」

アナウンス『まもなく「バカワ地方」です。Next station is…』

女「ソワソワしてどうしたんですか?」

黒江「うん!?」ソワソワソワソワ

女「さっきから落ち着きが無いですけど」

黒江「おおお落ち着いてるわよ!あー旅館が楽しみだなぁ!」

女「怪しい」

黒江「ほら!着くわよ!荷物持ちなさい!」

女「…?」

黒江「うふふふふふ」

【バカワ地方:ルーク村】
女「へぇ、ここ温泉が出るんだ」

黒江「バカワ地方はトンメラーパ火山があるからね」

女「じゃあ今から行く高原は…」

黒江「勘がいいわね。バカラ高原は溶岩と火山灰で出来た高原なのよ」

女「なるほど」

黒江「だから、武器に必要な鉱石がとれるのよ」

女「だから武器職人さんもここにいるんですね」

黒江「そういうこと、まず旅館に荷物置いてから行くわよ」

女「はい」

【旅館】
黒江「ふぅ、重かった」

女「景色も良いし、なかなかいい旅館ですね」

黒江「でしょ?それにここは(株)魔王城と提携してる旅館だから安いのよ」

女「でも人間が経営してましたよ?」

黒江「そこはナイショの魔王クオリティ」

女「はぁ」

黒江「人間と魔族、魔王と勇者に大きな差は無いってことよ」

女「?」

黒江「よし!一休みしたことだし行くよ!」

女「は、はい!」

【武器職人の家】
女「こんにちは~」

???「あ、こんにちは」

黒江「お久しぶりです」

???「お久しぶりです。すみませんね。納期を延ばしてもらって…」

黒江「いえいえ先生にはお世話になっているので、そのくらいは大丈夫です」

???「そう言ってくださるとありがたい。…その方は?」

黒江「この子は私の助手です」

女「よ、よろしくお願いします」

???「はい、よろしくお願いします。私は武器職人の武田、と申します」

武田「ちなみに一応人間です。あなたも人間とお見受けしますが?」

女「は、はい。人間です。…「一応」とは?」

武田「理由は分からないのですが、なぜか300年程生きておりまして」

女「300年!?」

武田「まぁ、風邪をひいたりケガもしますので、不老不死の類ではないかと」

女「はぁ…凄いですね」

黒江「先生」

武田「おっとそうですね。せっかく遠いところから来てくださったのたから、無駄話をしている場合じゃないですね」

黒江「じゃあやりましょう」

武田「はい。ではこちらへ」

【工房】
女「スゴい武器の数…」

武田「300年も作り続けてると置き場所が無くてね」

黒江「これは全部先生の作品なのよ」

女「へぇ…。これなんてキレイですね」

武田「さ、さわっちゃ駄目ですよ」

女「え?なんでですか?」

黒江「先生は呪い装備の専門家なのよ」

女「Σ(゚Д゚;)」

武田「いやぁお恥ずかしい」

女「もしかして、作り出す武器はみんな呪われてしまう運命とか背負ってるんでしょうか…?」

武田「あ、呪いの方は外注です」

女「へ?」

武田「知り合いの邪教神官さんに頼むんです」

黒江「先生の武器は市販の武器と違って呪いやすいのよ」

女「…呪わない方が売れるんじゃないですか?」

武田「いやいや、最近の大量生産品は高品質ですよ」

黒江「値段の張る高級品より安くてそれなりな物が求めれているのね」

武田「悲しい話ですねぇ」

女「魔界にまで価格破壊の波が…」

武田「ちなみに今回作ったのはこれです」

黒江「デザインは申し分ないです。切れ味は…?」

武田「試してみますか?まだ呪ってないので使えますよ」

黒江「では失礼します。…軽い!ただの鋼じゃないですね?」ヒョイ

武田「ええ、軽いでしょう。バカワ鉱石を使ってるんです」

黒江「バカワ鉱石…!軽いはずですね」

武田「鉱脈が新たに見つかったので、安価でバカワ鉱石が仕入れられるようになりました」

黒江「なら、量産も可能ですね」

武田「まぁ、それを作れるのは私だけですから、何十本も作れないですけどね」ハハハ

黒江「売るわけではないので5本出来れば十分ですよぉ」

女「え?売らないんですか?」

黒江「そうよ。なんだと思ってたの?」

女「いや、魔王軍の正式装備にしたり、武器屋で売ったり…」

黒江「これはダンジョンの宝箱に入れる用よ」

女「ええ!?」

武田「訪れた勇者一行にあげるんですね」

女「な、なんのために?」

黒江「知らないわよ。社長の方針なんだから」

武田「あの社長のことだから何か考えがあるのでしょう」

女(まぁ呪い装備だからなぁ。罠の意味もあるんだろうな)

武田「では、試し斬りしてみましょう」

黒江「はい。えーと、斬るのは…」

武田「多分、岩くらいなら軽く斬れれますよ」

女「スゴいですね」

黒江「どうせなら…鉄なんてどうですか?」

武田「ふむ、それもなかなか面白い」

女「な、なんだと…」

武田「ではこの鉄板を…」

女「…」ドキドキ

武田「あなたが持ってください」

女「なぜそうなる」

武田「大丈夫だから!大丈夫だから!」

女「危ねぇよ!危ねぇよ!」

黒江「大丈夫優しくするから!優しくするから!」

女「優しくなら大丈夫だね…ってコラー!!!」

武田「…」

黒江「…」

女「…」

一同「ヤー」

黒江「さすが人間界の住人…」

武田「ダチョウ倶楽部神拳をマスターしてるとは…」

女「マジメにやれ」

武田「まぁマジメな話、当てるだけで斬れると思いますよ」

黒江「では…」

コツン…サクリ

女「わわっ!鉄がハムみたいに斬れた!」

黒江「素晴らしいですね。宝箱に入れるよりイベントアイテムに向いてるかも」

武田「ありがとうございます。どうぞお好きなようにお使いください」

黒江「とりあえず今日はここまでにしておきます」

武田「分かりました。明日は魔法剣のテストですね。明後日は…」

黒江「呪いの効果について打ち合わせしましょう。いくつか案を持ってきたので」

武田「了解しました。では今日はお疲れさまでした」

黒江「お疲れさまでした」

女「お疲れさまでした」


【旅館】
女「ふぅ…疲れた」

黒江「さぁて、レポート進めておくか」

女「あたしは何をやれば良いでしょうか?」

黒江「そうねぇ、布団でも敷いておいて」

女「はい」

黒江「あ、敷く布団は1つでいいから」

女「…はい?」

黒江「枕は2つね」

女「……なぜ1つ?」

黒江「ほ、ほら!仕事しながらだから机を動かせないし!この地方は夜になると冷え込むから!」

女「…」

黒江「あんたが寒い思いをしないように優しい私が暖たたためてあげようとね!…ね?」

女「…そ、そうだったんですか!そうとも知らずにあたしったら」ウルウル

黒江(バカだコイツ…しかし第1段階はクリアね)

女「敷き終わりました」

黒江「おつかれ」カタカタ

女「他にすることあります?」

黒江「…無いわね。レポートのはしりは私で十分だし、まとめて欲しい資料もないし」

女「ヒマです」

黒江「じゃあ好きなことやってていいわ。迷わない程度にそこらへんウロウロしたり」

女「じゃあ先に温泉入ってきて良いですか?」

黒江「ダメよ」

女「え?でも今…」

黒江「温泉は私も一緒に入るから絶対に、絶対にダメ」

女「はぁ」

黒江「せ、先輩より先にお湯を貰う気?」

女「す、すみませんでした」ショボン

女「…」

黒江「…」カタカタ

女「…」

黒江「その…、浴衣とかに着替えて良いのよ」

女「あ、もう着ていいですか?」

黒江「う、うん」ドキドキ

女「じゃあお邪魔にならないようトイレで着替えてきますね」

黒江「え、あ…」

女「?」

黒江「な、なんでもないお」キョドキョド

女「変な先輩」バタン

黒江「…」

黒江「ち、ちくしょぉぉお!私のチキン野郎ぉぉあ!」

女「着替え終わりました~。かわいい浴衣ですね」

黒江「!?」ガタッ

女「?」

黒江(…か、かわいい)

女「どうしたんですか?」ニャン?

黒江(地味だがいい素材だと思っていたけどここまでとは…)

黒江(キレイなうなじ…普段は降ろしてる黒髪を後ろで束ねたのね)

黒江(髪で隠れてたから分からなかったけど、結構童顔なのね…気にしてるのかしらカワイイノニ)

黒江(なにより目を惹くのは、やっぱりはちきれんばかりのおっぱい…)

黒江(浴衣を身長に合わせると胸のサイズが合わないのね。パンパンになってるわ…)

黒江(かわいい…逸材だわ)

女「…い!先輩!」

黒江「ほぁ!?」ダラダラ

女「ヨダレがハンパないですよ」

黒江「し、しまった!?」

黒江「よっしゃぁぁぁ!終わったぁぁ!!」

女「お疲れさまです」

黒江「風呂温泉脱衣入浴裸体ぃぃぃ!!!」ホワワワワ

女「す、すげぇ!オーラが目に見えるほど濃くなってる!」

黒江「行くわよ!」

女「はい!」

黒江「よっしゃぁぁぁ!」ヌギヌギ

女「先輩!脱衣所で脱いでください」

黒江「ゲ、ゲェー!しまった!」


【露天風呂】
カポーン

女「はふぅ…」

黒江「…」

女「…いいお湯ですね」

黒江「…」

女「先輩?」

黒江「なによ」プイ

女「なんであっち向いてるんですか?」

黒江「け、景色がキレイだからよ」

女「そうですよね…アレがトンメラーパ火山なんですか?」ピトッ

黒江「ひゃぁ///」

女「?」

黒江(く、くそう直視できん)

女「先輩?」ピタァ

黒江「ふ、ふぐぅ…///」

黒江(は、鼻血が出る)


イネス「説明しよう!」

イネス「案外やり手に見える黒江さんも実はオクテでウブなのよ」

イネス「つまりむっつりスケベってことね」


女「先輩の肌ってキレイですね…化粧いらないですよ」

黒江「…ありがと」

黒江「ささささて、そろそろあがりますか」キョドキョド

女「あがる前にもう一回体洗って行きましょうよ」

黒江「な、なんで?」

女「だって少し硫黄臭いじゃないですか」

黒江「…確かに」クンクン

女「ね?だから体洗って行きましょう」

黒江「…そうね」

女「あ、そうだ!」

黒江「?」

女「お互いの体を洗いっこしましょう!」

黒江「!?」ビクン

女「?」

黒江(こ、コイツは天然記念物レベルの逸材だ…)

女「~♪」

黒江「…」

女「はい、先輩の背中終わりです」

黒江「…ありがと」

女「ダークエルフって皆さんこんなに肌がキレイなんですか?」スリスリ

黒江「にゃぁ!///」ピクン

女「それにうらやましい体型ですね…。この腰回りとか程よく筋肉がついてて」サスリ

黒江「ふにゃぁぁ///」トロン

女「いいないいなぁ」サワサワ

黒江「ひんっひんっ」ビクンビクン

女「いいなぁ」

黒江「…」ハァハァ

女「じゃあ次はあたしの背中もお願いします!」

黒江(も、萌殺される…)

黒江「…」

女「お願いしまぁす」
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ …
黒江(ららららら裸体や…)

黒江(白くてスベスベしとる)サワサワ

女「ひゃん///どうしたんですか?」

黒江「な、なんでもない」

黒江(かわいい…。でもこっちからじゃおっぱい見えない)

黒江(ちょっとくらい覗いてもいいよねぇ?)

黒江(い、いいよね?)ソー

黒江(おっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっ)

女「先輩?」クルッ

黒江「ぱい……………………………ひでぶっ」ブシャァ

女「せ、せんぱぁぁい!!って鼻血やべぇぇぇぇ!!」

【客室】



黒江「ふぇ?」パチリ

女「あ、起きた」

黒江「ここは…?」

女「大丈夫ですか?のぼせたみたいですけど…」

黒江「そ、そうだ!おっぱいは!?」

女「なに言ってんですか」

黒江(くそぉ…見損ねたかぁ…)ガバッ

女「あっ、まだ寝てた方がいいですよ」

黒江「うっ」クラリ

ポヨン

女「もう、だから言ったのに。大丈夫ですか?」

黒江(おっぱいまくら…)ギュッ

女「?」

黒江「もう少しこのまま…」

黒江(でもまだ諦めないわよ…)

女「夕飯どうします?」

黒江「そうねぇ…」

黒江(でそうだ!)

女「宿泊プランに夕飯は含まれてないんですよ」

黒江「鍋よ」

女「へ?」

黒江「鍋を食べましょう。さっき出血した分、食べて性をつけないと」

女「精です」

黒江「おっと。まぁとにかく、たまにはパーっと女2人で飲んで食べるわよ」

女「はぁ」

女「メニューは…っと」

黒江(さっきは油断(?)したけど、次は逃がさないわよ)

黒江(なぜなら私には魔女漬があるから!そして今回は鍋!)

黒江(複数の食材が入っていてもバレない!怪しまれない!)

黒江(さらに、私のスキル『鍋奉行』と合わせれば、鍋の運行に関するイニシアチブは私が取れる)

黒江(さらにさらに、この地酒「女火山」(アルコール35%)で酔わせて判断力を失わせれば…)

黒江(怖いものなど…なにもな)

女「あ、このピザ美味しそう。先輩ピザにしましょうよ~」

黒江「鍋だっつってんだろうがぁぁあ!!」ズビシィッ

女「いてぇ!」

決まらないな

さて書くか

女「分かりましたよ…」

黒江「好きなの選びなさい」

女「と言いましてもですね」

黒江「?」

女「鍋の種類が新幹線の売店レベルで食べれる気がしないんですよ」

黒江「み、見せてご覧なさい」

黒江「…」

女「ね、ヒドいでしょ?」

黒江「確かに人間の食べれるものは地獄モツと季節の野菜鍋くらいね…」

女「ピザ…」

黒江「いいえ、地獄モツいきましょう!」

女「えぇぇぇぇえ」

黒江「見た目が交通事故レベルなだけで味はおいしいのよ」

女「いやもう交通事故レベルなんてものじゃないですよ…イメージ画像にモザイクかかってますもん」

黒江「試しよ!試し!」

数十分後…

中居「お待たせいたしました」

黒江「おお、っておわぁ!?」

女「ぎゃぁぁ!!」

中居「す、すみません。もう帰ります」ソソクサ

黒江「うっわ…うっわ…」

女「あ、ダメだ。トイレ行ってきます」

黒江「ま、待ちなさい!食べれるから!」

女「いやもうカオス過ぎてヤバいですよコレ。完璧にラグナロクしてますよ」

黒江「た、確かに絵的に世界創造してもおかしくないダークマターっぷりだけど」

女「え?コレお椀に漏れるんですか?」

黒江「分かんない…自主規制しすぎてオタマがどこにあるかも分かんない」

女「食べ物…ですよね?」

黒江「おそらく」

地獄モツ「…ギギャー!!」

女・黒江「!!!???」

地獄モツ「ハメツヲ…ハメツヲ…」

女「ヤバいですって!完璧に世界崩壊せますよ!」

黒江「ま、魔力がドンドン上がっていく…」

地獄モツ「ナベカラハジマルノダ、シュウエンガ…」

バリンッ!

女「ひぃぃ!?窓ガラスが!」

黒江「十傑集…いや!魔王様と同等以上の魔力…!!?」

地獄モツ「サア、ハジマリノオワリヘ…」

女「あ…あ…」

黒江「ま、魔王様…たすけ」

カララッ

中居「あっとと、失礼しました」

黒江「中居さん!?」

中居「忘れてた忘れてた」

カチッ…ボボボ

地獄モツ「グ、グァァァ!!コノチカラハ、アポカリプスダトォォォ」

中居『去れ、聖霊亡き幎の彼方へ…』

地獄モツ「グォォ!!ワ、ワスレルデハナイゾ!!キサマラトワレハヒョウリイッタイ!!イツカマタ…!!」

中居『煉獄滅裁陣!!』

バ シ ュ ゥ ゥ ゥ …

中居「…すみませんねぇ。コンロの火をつけないと世界崩壊しちゃうんですよ」

黒江「メニューに書いとけよこの野郎ぉぉあ!!」

女「必殺技っぽい演出入れんなぁぁ!!」

中居「すみませんねぇ」

あ、やべぇ
「中居」じゃないね
「仲居」だね

いろんな意味でブラックバラエティーになってしまうとこだった

黒江「たくっ…」

女「でも、火を付けたらモザイク取れましたね」

黒江「あら!なかなか美味しそうじゃない」

女「本当ですね。いい香り…」

黒江「食べましょうか!」

女「はい!」

黒江「モツもいい具合に煮えてるわね」

女「お野菜も美味しそうですよ!」

黒江「よそってよそって!」

女「はい、どうぞ」

黒江・女「では…いただきまぁす」

女「うわぁ…美味しい!」

黒江「モツに味が染みてて…最高ね」

女「あたしはお野菜食べよ」

黒江「そこらへん煮えてるわよ」

女「これ、キノコですか?」

黒江「バカワ茸ね。人間界だとエリンギに近い食感のキノコよ」

女「食べれます?…すごい色してますけど…」

黒江「ええ。人間に効くような毒はないし、栄養価も高いわ」

女「へぇ」

黒江「まぁwikiに書いてあったんだけどね」

女「…」

女「最高ですね!あとお酒があればなぁ」

黒江(キタァ!)

黒江「こんなのがあるわよ」

女「見ない銘柄ですね…。女火山?」

黒江「バカワ特産の地酒よ。ライスから作られてるの」

女「米焼酎ですか!いいですねぇ!」

黒江「ほらほら、グイッと…」

トクトクトクトク

女「あ、ありがとうございます!」

黒江「かんぱーい」

女「かんぱいです~。今日もお疲れさまでした」

黒江「…」コクコク

黒江(き、きっつい!!これはほどほどにしておかないと後が…)

黒江「お、美味しいわね!………!?」

女「…」ゴクゴクゴクゴク

黒江「んな!?」

女「ぷはぁー!おかわり!」

黒江「な、なんという飲みっぷり…」

黒江「…」

女「…」ングッングッ

黒江(すげぇ)

女「おいしー!先輩グラス空いてますよ?」

黒江「へ?あ、え?」

女「えへへ、おつぎしますね」

トクトクトクトク

黒江「あ、ちょっと待っ」

黒江(ロック!?せめて水割りで…)

女「どうぞ、かんぱーい」

チンっ

黒江「か、かんぱい」

女「おいしー!」

黒江(想定外だった、コイツ酒豪だ……)

…数十分後

黒江「わらしはもういいの…飲めにゃいの」ヒック

女「何言ってるんですか?今同じの頼みましたから」

黒江「な、なん…らと…!?」ヒック

中居「お待たせいたしましたぁ!」

女「ありがとうございまぁす!」

トクトクトクトク

黒江(ま、マズい。魔女漬食べさせる前に、私が堕ちる…)

女「はい、どーぞ!」

黒江(マジかよ…でも飲まないと、この子…)チラッ

女「飲まないんですか…?」

黒江(悲しそうな顔すんなよ…かわいいけど)

黒江「飲むやよ!」グビッ

女「先輩カッコいい!」

黒江「らめ…巨乳、もう飲めらいよ…」

女「まだ4本目ですよ?」

黒江(に、1200を4本も空けたっていうの!?)

女「あ、お鍋無くなっちゃった」

黒江「にゃにい!?」

女「ほら」

黒江(ま、魔女漬のカモフラージュが無くなってしまった…)

女「でもお腹いっぱいですね」

黒江(……こうなったら最後の手段にゃ)

黒江「ちょっと」

女「はい?」

黒江「」チュウー

女「んん!?」

黒江(秘技!口移し!)

女「んんんん///」

女「ん…はむん」ピチュ

黒江「ん…」

女「んん!?」ンチュ

黒江「ん……はん」クチュ

女「んー!」ゴクリ

黒江「………ぷはぁ」

女「な、にするですか!?」

黒江「ふにゃあ?」

女「何か口にいれたでしょ!?」

黒江「うふふ」ニコニコ

女「もー!」

黒江「変な感じしない?」

女「…?」

黒江「だいすきだよ♪」

女「…んあ!?」ピクン

黒江「一緒にえっちな気持ちになろぉ」

女「んひゃぁぁ」ヒクンヒクン

女「ふぇぇぇ」ビクッ

黒江「うふふ、効果が落ち着くまで時間がかかるのよね~」スリスリ

女「らめれす!変な感じにらっひゃう!」

黒江「んふ♪効果がある程度落ち着くまで道具の準備しなきゃね~」

女「はにゃんっ!?///」

黒江「ど・れ・に・し・よ・う・か・なぁ」カチッ…ウィィィン

女「…」コテッ

黒江「ん?落ち着いたのかな?」

女「…」
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ …
黒江「…ん?」

女「へへへ」クルッ

黒江「ひえっ!?」

女「にゃははははははははは!?」

※女はこんらんした!

黒江「な、なんで!?」

女「○×△□!?」

黒江「そんな!?wikiにちゃんと書いてあったのに」

女「まやまやまやまや」バタバタ

黒江「確かに…」カチカチ

女「まなぁかなぁ…」バンバン

黒江「…んん!?」

wiki「※アルコールと一緒に摂取した場合、催淫成分が混乱因子に変異する場合がある」

黒江「そそそそんな!?そんなことは注釈じゃなくて本文に書けよ!」

女「にゃぱー」ガバッ

黒江「きゃ!?」

女「…」クンクン

黒江「ちょっとそんなとこ、かいじゃダメ!」

女「…にゅ?」ペロペロ

黒江「うひゃぁ///!?」

女「…たまらさ」ヒョイ…カチッ…ウィィィン

黒江「ば、バカ!それは一番太いやつ…!それにそこは!」

女「…」ニヤリ

黒江「狭くてはいらないか」

女「へなぷ!」ズリュ

黒江「ら!?あぁぁぁぁあん///」



…チュンチュン

【翌朝】

女「…ん?」ムクリ

女「ふぁぁ…よく寝た」

女「うー頭痛い。久々に飲んだなぁ」

女「記憶が途中から無いよ」

女「あれ?先輩は…」

ウィィィン

黒江「ひ、ひぁっひぁっ…」ビクンビクン

女「せ、先輩大丈夫ですかー!!」

黒江「た、たしゅけて…」

女「なんでこんなことに…!?」

黒江(あんたのせいだよ…)

黒江「と、いうことで気を取り直して今日も仕事するわよ」

女「くそう…酔っ払った先輩を襲うなんてヒドいヤツがいるもんですね!」

黒江「まぁ、もう気にしないの」

黒江(酔っ払ったところを襲おうとした私に対する当て付けかしら…?)

女「そうですか…とにかく今日は鍵を占めて寝ましょう」

黒江「そうね…っつ!?」ビクン

女「どうしたんですか!?」

黒江「な、なんでもないわ…」

黒江(まだお尻に昨日の感覚が…、気になって仕方ないよぉ)

【武器職人の家】
女「おはようございます!」

武田「おはようございます」

黒江「では、今日は「魔法剣」のテストをします」

武田「はい」

女「えーと、魔法剣のテストってどうやってやるんですか?」

黒江「五大魔法を刀身に宿らせてから耐久力と威力、相性を測定するのよ」

女「魔法剣なんて誰が使えるんですか?」

黒江「「魔法剣」は私が資格を持ってるわ」

女「へぇ、そんな資格どこで取れるんですか?」

黒江「魔法剣教習所よ。もちろん魔王様に認定されたところの。ほら免許」スッ

女「免許!?って黒江さん若っ!?」

黒江「そりゃ中学生の頃に取ったんだもん」

女「更新とかしなくていいんですか?」

黒江「魔法剣は永久資格だからいいのよ」

武田「黒江さんはスゴいですよ~。魔法剣はかなりの難関資格ですからね」

女「それを中学生で…スゴい」

黒江「ちょっと勉強すれば簡単に取れるわよ」

武田「いやいや、中学生で獲得なんて前代未聞ですよ」

黒江「まぁ、昔は真面目だったんです。…さて、測定しますか」

武田「はい、やりましょう」

黒江「では…まずは火の魔法から」

 ポゥ…

武田「ふむふむ、なかなか相性はいいみたいですね」

黒江「はい。ただ、刀身にかかる負荷が強いです。耐久力には難があります」

武田「一撃必殺、剣と引き換えに大ダメージってところですかね」

黒江「そんなところです。呪い武器が戦闘で壊れるのはあまりオススメ出来ないです」

武田「じゃあ火の魔法は使用不可に設定しておきますか」

黒江「お願いします」

女「あのぉ」

黒江「?」

女「あたしはなにすれば良いでしょうか?」

黒江「とりあえず、先生と私が話してることも報告するからメモしておいて」

女「分かりました」

その後、残る水、雷、土、無の魔法も計測された

その結果、最も相性が良く、耐久力にデメリットを及ぼさない土の魔法剣のみが使用可能に設定された

武田「…設定完了です」

黒江「お疲れさまでした」

武田「結局、対応できる魔法が1つしかありませんでしたね」

黒江「そういうこともあります。こればっかりは運なので…」

武田「うーん。作り手としては悔しいです」

女「それにしても魔法剣ってカッコいいですね!」

黒江「そう?私はあまり実用的じゃないと思うけど」

武田「魔法が使えるならアウトレンジから攻撃すればいいハナシですからね」

黒江「そうそう、それに魔法と剣技を両立させるのは並みの苦労じゃないのよ」

女「へぇ…そうですよね。魔法も剣技も使えなきゃいけないんですよね」

黒江「そういうこと」

女「あー、あたしも魔法とか使えるようになりたいなぁ」

黒江「ん~、あんたズブそうだしなぁ」

女「そんなぁ」

武田「はっはっは、だいたいあなた
、剣を振り回したりできないでしょ」

女「で、できますよ!」

武田「では、この模擬剣でやってご覧なさい」スッ

女「みててくださいよ!…よっ!」ヒョイ

武田「!?」

黒江「持てた!?」

女「ありゃ?案外軽い」ブンッ

黒江「先生、これって練成用のマスコットソード(50キロ)ですよね?」

武田「うーん。ちょっと茶化してみようかと思ったらこっちが驚かされてしまいましたね」

黒江「あんたどんだけ力が強いのよ」

女「昔から力はあるんですよねぇ」

黒江(こりゃヘタな中級魔物より強いわ…)

武田「人間の方でそんなに軽々と振り回すのは2人目ですよ」

女「2人目?」

武田「…おっとと、この話は忘れてください」

女「?」

黒江(…例の話ね)

女「これで魔法が使えれば魔法剣の完成ですね」

黒江「魔力を物に宿らせるのはそんなに簡単じゃないのよ」

女「ちぇ」

黒江「ほら、とりあえず魔法剣の試験は終わったんだから今日は帰るわよ」

女「はい」

武田「ではお疲れさまでした」

【旅館】
女「あー魔法使いたいなぁ」

黒江「まだ言ってるの?」

女「だってせっかく魔界にいるんですよ?」

黒江「こればっかりは才能だからねぇ」

女「何か簡単な魔法を教えてくださいよ」

黒江「そうねぇ、明かりを灯す魔法なら簡単だし実用的かな」

女「どうやるんですか?」

黒江「まず手のひらを上に向けて…」

女「ふむふむ」

黒江「球体の光を想像する」

女「ふむ…」

黒江「そして体から溢れた魔力をその頭の中に浮かんだ球体に流し込むイメージ」

女「ま、待ってください体から溢れた魔力って言われても」

黒江「魔力はだれもが持つ生命と直結したエネルギーよ」

女「生命と直結したエネルギー…?」

黒江「そう、だから使いすぎれば疲れるし、最悪死ぬわ。だから体から溢れて必要無くなった魔力だけを使うの」

女「どうやってそのエネルギーを感じるんですか?」

黒江「感じているはずよ。思った通りに動く。それはいわばあなた自身と同じ…」

女「あたしと…同じ?」

黒江「さぁ想像して、魔力を流し込むなさい」

女「…」キュィィィン

  ポ ゥ …

黒江「あら、なかなか筋がいいじゃない」

女「本当ですか?」

黒江「あ、バカ!気を抜くな!魔力を注ぎ過ぎよ!」

女「え?」

女「はわわ止まんない」アタフタ

黒江「バカたれ!力を抜くのよ!」

女「そ、そう言われましても」

 キュィィィイィン

黒江「あ、ヤバい。変異した」

女「変異!?」

黒江「爆発呪文になった」

女「んな!?それってかなりヤバいんじゃ!?」

黒江「ヤバい。ヤバすぎる」

女「どうにかしてください!」

黒江「どうにかって…とりあえずバリアー張っといてあげるから、んじゃ!」

女「こ、こらぁ!」

キュィィィイィン!…グンッ!

 ズ ォ ッ …!

女「ほぁ!?」

ズ ガ ガ ガ ガ ガ ! ! !

女「ぎゃぁぁぁぁ!!!」

黒江「あのねー!聞こえないと思うけどねー!!」
ズドドドドドド!
黒江「この部屋の無機物に時間を止める魔法かけといたからー!」
ズガガガガガ!
黒江「損害賠償とかは気にしなくていいよー!!!」
ズドーン!
黒江「…」

シーン…

黒江「終わったかな?」

黒江(つうか、今の詠唱が必要な高位爆発呪文じゃなかったっけ?)

黒江「まさかねぇ」


黒江「おーい、大丈夫かい?」

女「…」ピクピク

黒江「お、生きてる生きてる」

女「に、逃げるなんてヒドいですよ…」

黒江「まあまあ、あの時はあんたと部屋の家具に魔法かけるので精一杯だったから」

女「いたい…」

黒江「ほら動かない。今、回復魔法かけてあげるから」

ホワァン…゜。゜。。

女「う、あったかい…」

黒江「全身打撲程度ですんで良かったわね。バリアー無かったら死んでたわ」

女「あんな爆発になるなんて聞いてないです…」

黒江「うーん。普通は灯火魔法から爆発呪文に変異してもあんな威力にはならないんだけどね…」

女「そうなんですか?」

黒江「普通の人は一度であんな威力に変異させられるほど魔力を持ってないもの」

女「じゃあなんで…?」

黒江「この部屋にたまたま魔力が溜まってたか、あるいは…」

女「あるいは?」ムクリ

黒江「…あんたの潜在魔力が異常に高いか。それこそ、魔王様レベル」

女「魔王様レベル!?」

黒江「あそこをみてみなさい」

女「?」

女「…座布団が焦げてる」

黒江「時間を止めていたはずの座布団に爆発のダメージが届いたのよ」

女「どういう意味ですか?」

黒江「爆発の威力が強すぎて、時空の壁を破ったの」

女「それってすごいんですか?」

黒江「すごいわ。急いでたから最低クラスの時間魔法しか出来なかったとはいえ、」

黒江「時空の壁に割り込んでくるなんて並大抵の魔法じゃないわ」

女「はぁ」

黒江「意外な才能があるものね」

女「コントロールできればより嬉しいんですけどね」

黒江「確かに、灯火魔法なんて幼稚園児でもコントロールできるのに」

女「幼稚園児以下…!?」

女「そういえばバリアーは貫かれなかったんですね」

黒江「それは…///」

女「?」

黒江(あたしが、今までに無いくらい愛を込めて本気で魔力込めたから…///)

女「???」

黒江「な、なんでもないわ!あたしは時間魔法より防御魔法の方が得意なの!」

女「はぁ」

黒江(でも、威力を殺しきれて無いんだよなぁ…。悔しい…)

女「とりあえずこの座布団どうします?」

黒江「バレないように処分す」

ドタドタドタドタ…ガラッ

中居「スゴい音がしましたけど、大丈夫ですかー!!?」

黒江「あ」

女「あ」

中居「あ…?」

中居「あー!?座布団焦げてる!?」

黒江「あ、これは、その…」

中居「おいおいおい、なんてことしてくれんだよ!」

黒江「す、すみません」

中居「すみませんじゃないよ!なんだよコレ!青いイナヅマに焼かれたのかよ!?」

黒江「いや、そうじゃなくて」

中居「あー!俺のらいおんハートが傷つくわー!」

黒江「すみませんすみません」

中居「何?その謝り方、shakeすんぞ!」

黒江「すみません…」

中居「だからさぁ!No.1にならなくていい、もっともっと特別なonly.1な謝り方ってのがあんだろ?」

黒江「…」プチン

中居「世界に1つだけの花にすんぞ?」

黒江「うるせぇぇぇぇ!!!」

ズバキィ!!

中居「ほぎゃぁぁぁ」キラッ

女「あ、あれは北斗星成拳!?」

黒江「夜空のムコウに消えろ…!!」

黒江「気を取り直してご飯にしましょうか」

女「ごっはん!ごっはん!」

黒江(今日は負けないわよ…!ひぃひぃ言わせてやるわ)

女「ごっはっん!」

黒江「さすがに昨日みたいなラグナロク鍋はいらないから…」

女「ピザにしましょう!」

黒江(まぁ…ピザなら魔女漬を食材の陰に混ぜればバレないか)

女「ピザ!」

黒江「分かったわ。ピザにしましょう」

女「やったぁ!メニューはどこかなぁ!」

黒江「…」

女「…」

 ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ …

※メニュー
・地獄モツと季節のお野菜ピザ
・地獄ベーコンとキノコのピザ
・地獄サラミとオニオンピザ
・地獄魚とチーズのカリカリピザ
・ミックスピザ

 ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ …

黒江「世界終わらせる気マンマンじゃない」

女「ですね」

黒江「ミックスピザに逃げるわよ」

女「ですね」

店員「ミックスピザお待たせいたしましたぁ!」

黒江「おお、きたきた」

店員「暖かい内にお食べください!では失礼しました!」ガララ

女「今回は普通みたいですね」

黒江「そうね、とりあえずお腹減ったわ」

女「じゃあ箱開けますよ~」

パカッ…

 オ オ オ オ オ …

黒江「って、おわぁぁぁ!!?」

女「ぎゃあぁぁあ!」

地獄ミックス「ギギャー!!」

黒江・女「で、でたぁぁぁ!!」

地獄ミックス『フハハハ!また会ったな!矮小なる者共よ』

黒江「こ、これは昨日とは比べものにならない魔力!!?」

女「人間のあたしでも見えるくらい濃い密度の悪意が…」ガクガク

地獄ミックス『モツ、ベーコン、サラミ…そして大海を支配するもの(魚)』

地獄ミックス『それらの力を混ぜ合わせた魔神の中の魔神、言わば…』

地獄ミックス『混合魔神!地獄ミックス!』

黒江「そ、そんな…」ガクガク

地獄ミックス『ククク、手始めにこの世界から暗黒に染めてやろう…』

女「あわわわわ」

ガララッ!

???「ちょっ、待てよ!」

地獄ミックス『何奴ッ!!』

木村「名乗る程の者でもねぇよ」

女「た、たすけて」

地獄ミックス『小賢しい!人間風情に何ができる!』

木村「ちょっ、舐めんなし」チッ

地獄ミックス『やかましい!喰らうがいい!』

グワッ!

木村「!?」

 ズガァン!!

黒江「あぁ!?」

地獄ミックス『一撃…!ひ弱過ぎる!』

女「ヒドい…こんなのって無いよ…」

地獄ミックス『フハハハ!次は貴様等だ!』

ガラガラッ…!

木村「だから、ちょっと待てよ!!」

地獄ミックス『な、なんだと!!?』

木村「くらえ!『華麗なる一族』!」

 バババババッ!!

地獄ミックス『ぐわぁぁ!こ、この力は…!』

木村「しつこいっつーの!『ロングバケーション』!」

キュィィィイィン!

地獄ミックス『おのれぇぇ!この小娘達がどうなってもいいのか!?』

女「あうぅ」

黒江「ひぃ」

木村「卑怯だぞこのヤロー!」

地獄ミックス『フハハハ!勝てば良いのだ!』

???「ふふふ、その通りだね」

地獄ミックス『何奴!?』

???「この子たちは返して貰うよ」

地獄ミックス『な、いつの間に!?』

木村「お前ら…!」

香取「お待たせ!」

稲垣「全く、タクヤはいつも先走るんだから」

草彅「どうぞ、こちらへ」

女「あ、ありがとうございます」

黒江(なんでこの人だけ裸なんだ?)

地獄ミックス『くっ、雑魚が何匹増えようとも…!』

草彅「…『僕と妻の1778の物語』ッ!」

ズンッ!

香取「『新撰組!』」

 バリーンッ!

稲垣「『ソムリエ』ー!」

   ズガァン!

地獄ミックス『ぐわぁぁぁぁぁ!なんだと!!?こんなハズでは…』

木村「さぁトドメだ!」

草彅「ああ!」

香取「中居は?」

稲垣「歌うパート少ないから大丈夫じゃない?」

中居「ふざけんなー!」ヒョコ

草彅「いたんだ…」

木村「とにかくくらえ!」

地獄ミックス『!?』

SMAP「『 S M A P × S M A P 』ッッ!!!」

地獄ミックス『ぐ、ぐわぁぁ!そ、そうか!この力はぁぁぁぁ!!!』

中居「消え去れ!」

地獄ミックス『じゃ、ジャニ…ぁぁあああぁぁ!!!!』

バ シ ュ ゥ ゥ ゥ …!!

SMAP「終わったぜ…!」



女「す、スゴい」

黒江(なんであの草彅って人は裸なんだろうか…)

木村「これで、世界は守られた…」

草彅「さて、お嬢さん方が待っているよ」

香取「へへっ、これでやっと食べて貰えるね」ニコニコ

稲垣「お願い、中居くん」

中居「まかせろ!『オーダー、地獄ミックスピザな料理~』!!!」

木村「ウィ、マドモアゼル」

香取「ではどうぞ」

コトンッ…

女「うわぁ!美味しそう!」

稲垣「召し上がれ」

女「いただきま」

黒江「ちょっと待て」

女「すん?」

黒江「つまり、お前らはこれを作るために魔神をわざわざ召還したんだな?」

木村「え?いや、その」

中居「それは、ねぇ」

黒江「それ、魔界治安維持法に抵触してるわよ」

草彅「は、はぁ…」

黒江「あんたは…色々余罪がありそうね」

稲垣「すんません」

黒江「怖かったんだからね…」グスン

女「!?」ギョッ

黒江「怖かったんだからぁ!!!」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ …

SMAP「い、いやほんとすんませ」

黒江「てめぇらには刑務所も生ぬるいッ!くらいやがれぇぇ」

ズゴォォォォ!!

SMAP「ぎゃあぁぁあ!」キラッ

女「あ、あれは北斗剛星烈波!!」

黒江「SMAP、堕ちるべし…」ズギャァン



女「いやぁ美味しいですね」

黒江(たしかに味はいいのよねぇ)

女「最後の一切れ…」ジー

黒江「…食べなさい」

女「わぁい」

黒江(くくく、それには魔女漬が隠してあるのよ)

女「あむあむ」

黒江「ふっふっふ食べたわね」

女「?」

黒江「体が熱くなってきたんじゃない?」

女「…いえ、別に」

黒江「…あれ?」

女「あー!もしかしてタバスコたくさんかけたんですか?」

黒江「い、いや違うわ!…あれぇ?」

黒江「おっかしいなぁ」

女「変な先輩…」

黒江「うーむ」

女「…ふぁ、眠い。ごちそうさま。もう歯を磨いちゃいますね」ガラッ

黒江「えっ?…うん」



黒江「抗体でもできたのかしら…?」

黒江「いや、まさか…」

黒江「でもあの子の潜在魔力の高さ、あながち無いとは言えない…」

黒江「うーん。…くそぅ、こうなったら力ずくで」

女「忘れもの~」ガラッ

黒江「おわっ!?」

女「?」

女「ほんじゃおやすみなさい」

黒江「はい、おやすみ」

カチッ

女「…」

黒江「…///」ゴソゴソ

女「…」zzZ

黒江(寝るのはやっ)

女「…」ギュ

黒江(おおっ!?///)

女「…………ん」

黒江(ん?)

女「お父さん……」ホロリ

黒江「…そう言えば、お父さんは亡くなってるんだったわね」

女「…」ギュ

黒江「そんな悲しい顔されたら夜這いする気も起きないわ…」ナデナデ

女「…」

翌朝…

女「ふぁ…」

黒江「さぁ、今日は先生と軽い打ち合わせするだけで終わりだから頑張るわよ」

女「はい」ゴシゴシ

黒江「結局、この出張中はあんたに一度も勝てなかったわね」

女「?」

黒江「こっちの話よ」

女「はぁ」

黒江「さて、呪い案の資料は持った?」

女「はい!持ちました!」

黒江「よし!行くわよ!」


【武器職人の家】

黒江「装備解除不能系の呪いと並行して行動不能系の呪いもお願いします」

武田「…ふむふむ、オーソドックスなタイプですね。了解しました」

黒江「あと、実験的に所持金を減少させる呪いを付加させてみたいのですが」

武田「うーむ、あまり前例がありませんが、やってみましょう」



女(キングボンビーみたいな呪いだなぁ)

女(…呪い、ねぇ)

女(魔王様はなんで呪い装備を宝箱に入れて勇者に渡すんだろ…)

女(勇者を選定して、旅立ちを演出する理由も分からないし)

女(そもそも、(株)魔王城ってどうやって利益を得てるのかしら…)



黒江「おーい」

女「はい?」

黒江「終わったわよ」

女「え?もう?」

武田「いやぁ3日間もお疲れ様でした」



黒江「では、また」

女「失礼しました」

武田「はい、犬崎によろしく言っておいてください」

黒江「了解しました」

女「課長と知り合いなんですか?」

武田「ええ、先の大戦で殺し合った仲ですから」

女「えええ!?」

黒江「誤解を与えるような言い方はおやめなさい。今はもうただの飲み仲間でしょ?」

武田「ははは、でも事実ですよ。事実」

女「あのぅ、話によく出てくる先の大戦ってなんですか?」

武田「へ?知らないはずはないでしょう?」

黒江「先生、この子は人間界出身なので知らないんです」

武田「ははぁ、なるほど」

黒江「先の大戦ってのはね、500年前に人間と魔族の間に勃発した大規模な戦争よ」

女「へぇ」

武田「凄惨な戦いでした…人も魔族も日を追うごとに死に絶え、地面が死体を抱かない日はありませんでした」

黒江「そんな戦いが200年続いたの」

女「…なぜ起こったんですか?」

武田「双方共に個体数が増えすぎたために住み分けができなくなったという説が有力です」

女「説?」

武田「実は、明確な開戦理由は今でも分かってないんです。いつのまにか戦火が広がり、世界中で争っていた」

女「でも、その大戦は300年前には終わったんですよね?」

黒江「そう、完全に疲弊しきった両陣営のトップ、つまり勇者と先代魔王様の相討ちによってね」

女「相討ち…ですか?」

武田「ええ、凄い戦いでしたよ。山は削れ、海は消し飛び、空間は裂けて…」

女「へぇぇ」

黒江「その戦いが終わると、休戦協定が結ばれたわけでもないのに皆自然と戦争を止めたそうよ」

武田「あの当時はとても信じられなかった。勇者は絶対的な存在でしたからな」

女「そういえば、300歳なんですよね?すると、終戦間際に参加したんですか?」

武田「その通りです。私はまだ若く、彼に憧れていました。優しく、強く、逞しく」

女「…素晴らしい人だったんですね」

武田「でもむっつりスケベでした」

女「残念すぎる…」

黒江「課長や部長も十傑集として最前線で戦っていたのよ」

武田「そういえば、営業部長さんも元十傑集でしたね」

女「あのドラゴン部長ってそんなに強いんですか?」

黒江「あんた何言ってんの?十傑集で唯一、今の魔王様と渡り合った方よ」

武田「あれは規格外ですからね…。開戦当時に魔王との死闘の末、和解したらしいですね」

黒江「歴史の教科書では、営業部長がいなかったら引き分けに持ち込めなかったって書いてありますからね」

女「すげぇ」

武田「ちなみに(株)魔王城は終戦後、すぐに設立された会社なんですよ」

女「そういえば、300年前に設立されたんですよね」

武田「そう、設立当時の業務内容は今と変わらず、「魔王城の運営」」

黒江「そして、相も変わらず企画課は変なことをしてるわけ」

武田「社長も何か意図があってやってるんだと思いますよ」



【帰りの新幹線】

プシュー

女「…やっと帰れますね」

黒江「そうね」

アナウンス『発車します』

ウゥゥゥ…

黒江「…」

女「あ、ホームに武田さんがいますよ」

黒江「あら」

女「さよならぁ」

タタンタタン タタンタタン

黒江「…まるであの大戦が嘘のように人と魔族が関わり合ってる」

女「?」

黒江「なのになぜか、(株)魔王城はわざわざ勇者を選定して人に魔族と争わせる」

女「…」

黒江「私は…魔王様が分からない」

女「…」

黒江「…分からないのよ」

女「…大丈夫だと思いますよ」

黒江「…」

女「先輩とあたしもこうして分かり合えてるじゃないですか」

黒江「…そうね。今は、今はそれでいいのかもしれない」

【魔王城】
???「今年度、旅立った勇者は全国で200名、内訳はロボルーマ地方が…」

魔王「詳しいのは資料見るからいいよ。…期待出来そうなのはいるかい?」

???「…いません」

魔王「…そうか、まぁまだ分かんないからね」

???「はい。6月の中期Lv測定、9月時の通過イベントの結果を見ないことには…」

魔王「うんうん。時間はあるからゆっくり探していこう」

???「了解しました。では、失礼しました」

ガチャ

魔王「…」

魔王「どうしても伝説級の勇者が必要なんだよ…」

魔王「でないと…」



【新入社員の黙示録…完】

「女のLvがあがった!」

女(Lv.5)
ちから:211
まもり:12
まりょく:そくていふのう
はやさ:4
しごと:1

スキル
どく耐性

【新入社員の休日】

トゥルルルルルル

黒江「はい。(株)魔王城営業部企画課」

黒江「あぁ…はい。今変わります」

女「?」

黒江「課長…奥さんから電話です」

犬崎「くぅん…?(え…?携帯でかけ直すと伝えてください)」

黒江「はい」

女「会社にラブコールですか?」ヒソヒソ

黒江「黙ってなさい」

犬崎「わん(ちょっと席を外します)」



黒江「…あちゃぁ」

骨田「…あーあ」

女「…どうしたんですか?」

犬崎「くぅん(久しぶりだね。なんだい?)」

???「わん(なんで最近帰ってこないの?)」

犬崎「わぉん(仕事が忙しいんだ…分かるだろ)」

???「きゅぅ(分からないわよ。…だって)」

犬崎「わん?(だって?)」

???「くん…(あなた、何も話してくれないじゃない)」

犬崎「わふん(そんなこと…ないよ)」

???「わん(今度はいつ帰るの?)」

犬崎「わん(分からない。忙しいんだ)」

???「くぅんくぅん(またあのオンナのところに行くのね)」

犬崎「がぅ!(そんなわけないだろ!)」

???「わん!(どうだか!)」

ピッ、ツーツーツー

犬崎「わんわん!(良枝!良枝!)」

犬崎「わふ(クソが…!)」



女「なんか修羅場ってる…」

紛らわしいね
【新入社員の休日編】です
新編です

ちなみにサブタイトルはみんな映画のタイトルをもじってるんだぜ!

犬崎「がふぅ(ふぅ)」

骨田「ふー今日も仕事終わり~」

女「お疲れ様でしたぁ」

黒江「あー早く木曜日こないかなぁ」

岩村「うむ…」

女「なんでですか?」

黒江「そうか!あんたははじめてだったわね」

鎧谷「木曜日は25日、給料日だよ」

女「おお!」

黒江「課長~給与明細は?」

犬崎「わふん(ふぅぅ)」

黒江「ダメだ…」

女「どうしたんですかねぇ」

鎧谷「はい、給与明細は俺が預かってるよ」

女「おおぉ!!…どれどれ」

鎧谷「初給料かぁ…懐かしいなぁ」

黒江「くくく、よろにゃんは当時の彼女に全額差し押さえられたのよね」ニヤニヤ

鎧谷「な、ナゼそれを!?」

黒江「社内の情報ネットワークは日々進化しているのよ」

骨田「OL恐るべし」

女「…あれ?」

黒江「ん、どしたの?」

『振り込み額…12000G』

女「なんだこれ」

黒江「お給料よ?」

女「12000…G?」

黒江「あら、出張手当差し引いても私の頃より多い」

骨田「いいなぁ」

女「え、いや」

鎧谷「親孝行するんだよ~」

岩村「俺は…冷蔵庫買ってあげた」

骨田「僕は新しいスーツ買いましたよ」

女「ちょっと待てい!」

女「Gってなんですか?」

黒江「ゴンスよ」

女「ゴンスってなんでごんす…?」

骨田「12000Gあればブランドものの盾が買えますね」

鎧谷「そうだなぁ…頑張れば三菱重工の12年モデルシールドくらいいけるな」

女「あのぅ」

黒江「なに?」

女「日本で使えますか?」

黒江「使えるわけ無いじゃないの」

女「…マジかよ」

鎧谷「大丈夫だよ。ちゃんと銀行で両替できるから」

女「良かったぁぁぁ」

黒江「確か、日本円と価値は一定だから外貨で儲けたりは無理よ」

女「いいんです!日本円になるだけマシです!」

黒江「あらそう。でも全部両替しちゃダメよ」

女「なんでですか?」

骨田「そりゃ、魔界で買い物ができなくなっちゃうからねぇ」

女「そうかぁ…」

鎧谷「計画的にね」

女「ちなみに12000Gって円にするといくらくらいになるんですか?」

岩村「…120000円くらい」

黒江「まぁ研修期間みたいなもんだし、しょうがないわね」

女「バイトやってた頃の方が貰えてましたけど…。でも嬉しいです!」

黒江「そうだ!あんたまだまともな装備買ってないでしょ?」

鎧谷「そう言えば全部布だねぇ」

女(Lv5)
武器…手
頭…ただのヘアピン
鎧…布のリクルートスーツ
盾…なし
飾…ストッキング

女「マズいですか?」

鎧谷「魔王城のオフィスにいる分には安全だけど…」

骨田「企画課は野外活動と肉体労働が多いですからね」

女「でも鎧とかは…ちょっと」

黒江「大丈夫よ。私が今着てるスーツは魔法糸で編んでるから防御力が高いの」

骨田「普段着てるものと変わらないデザインのものもあるんだよ」

女「へぇ、おいくらですか?」

黒江「えーと、45000Gだっけな」

女「えーと約10倍だから…うぉ!?」

黒江「ボーナスで一括よん」

黒江「よし!じゃあ安くていい装備を見繕ってあげるわ!」

女「本当ですか!?」

鎧谷「あー面白そうですね」

骨田「企画課全員で行きますか!」

岩村「飲みのついでに…」

黒江「決まりね!課長~!飲みに行きましょう」

犬崎「わぉん?(はい?)」

黒江「企画課飲み~」

犬崎「くぅん(すみません…今日は寄るところがあるんです)」

黒江「えー」

鎧谷「残念ですねぇ」

犬崎「わん(また今度ね…ふぅ)」ションボリ

女「…?」

【魔王城売店】
鎧谷「これなんてどうだい?」

女「普通のスーツみたいに見えますけど…。これも魔法糸で編んであるんですか?」

鎧谷「いや、これは耐魔加工が施されてる布で出来てる。少々の魔法攻撃なら受け付けないだろう」

骨田「目立たない盾ならコレがいいよ」

女「腕輪?」

骨田「普段は腕輪の形してるけど、攻撃を完治したら自動でシールドを展開するんだ」

女「デザインもかわいいなぁ」

岩村「女の子なら、頭にこれ付けるといい…」

女「…髪飾り?」

岩村「…」

鎧谷「装備すると常に魔力の壁が周囲を覆うんだ。軽装で、しかもそれなりに強度がある」

女「コレもいいなぁ」




黒江「…ガーターベルト、エッチな水着、魅惑のブルマはないわけ!!?」

店員「すすすすいません!」

女(何やってんだあの人…)

女「全部買っちゃった…」ニヤニヤ

女(Lv5)
武器…手
頭…拒絶のバレッタ
鎧…スーツ(耐魔)
盾…シールドリング
飾…ストッキング

鎧谷「それにしても社員割は使うもんだね。かなり安くなった」

女「まさかあれだけ買って850Gとは」

骨田「武器は買わないの?」

女「武術の心得とかないんで…」

岩村「…俺もない」

鎧谷「力の弱い女性向けな軽い武器もあるよ」

女「どんなのがあるんですか?」

鎧谷「例えばナイフ類とかかな。そこらへんは黒江さんが詳しいけど…あれ?どこいった?」



黒江「あぅぅ…絶対このヒモ水着あいつに似合うよ…」ボタボタ←鼻血

鎧谷「…」

骨田「何やってんすかねあの人」

黒江「え?なに?武器が欲しい?」ボタボタ

岩村「…鼻血すごい」

鎧谷「何かいいのないですか?」

黒江「その子にはひのきのぼうで十分よ」

骨田「マジメに選んであげてくださいよ~」

黒江「…ちょっとあんた、ひのきのぼうを装備してみ」

女「はい?」パシッ

攻撃力:215

鎧谷「んな!?」

骨田「200越え!?」

黒江「もとの「ちから」数値が高いのよ」

鎧谷「まるで初心者に伝説の剣持たせたような攻撃力ですね…」

骨田「バーサーカーとかより強いんじゃないですか?」

岩村「…骨田の約10倍くらい強い」

骨田「ホネ!?」

黒江「確かに骨田より強い」

骨田「…」ガーン

鎧谷「200とか、装備によっては俺も負けるな…」

岩村「俺も…」

黒江「Lvを考えれば、まだまだ発展の余地はあるからね」

鎧谷「Lv41とLv5であまり差がないか…悔しいな」

黒江「よろにゃんは最近仕事ばっかでLv上げサボってたからね~」

鎧谷「ぐぬっ…。しょうがないじゃないですか!それに今は魔法剣の資格を取るために勉強してるから時間が無いんです!」

黒江「えぇ!?私は中学二年生の時に勉強しないで取れたけど?」ニヤニヤ

鎧谷「チクショー!」

女「あたしってそんなにちからが強いのかぁ」

骨田「強いよ!これ借り物だけど、握ってみてよ」

女「握力トレーニングのやつですね?おりゃ!」グニャ…バキンッ

骨田「おわぁ!?壊した!?」

女「えっ?コレって壊して鍛えるものじゃないんですか?使い捨てだと思ってました」

骨田「んなわけあるか!」

黒江(うかつに襲えないわね…)

鎧谷「とりあえず一通り買えたね」

女(Lv5)
武器…ひのきのぼう
頭…拒絶のバレッタ
鎧…スーツ(耐魔)
盾…シールド
飾…ストッキング

骨田「ひのきのぼうが浮くなぁ」

女「でもあんまり強力なのを買っても扱えませんし」

岩村「…銅のつるぎで空間を切り裂きかねないしな」

鎧谷「あくまで護身用だから十分でしょ?」

女「はい。これならカバンに入れて持ってこれます」

骨田「あれ?また黒江さんがいない」



店員「ありがとうございました~」



タタタタタ…

黒江「はぁ…はぁ…」

女「ど、どうしたんですか?」

黒江「アクセサリー買ってないでしょ?」

女「はい…」キョトン

黒江「これ奢ってあげるからつけなさい」

女「なんですか?このヒモ」

黒江「パンツよ」

女「…?」

黒江「履きなさい。いや履け!履けー!履いてください!」

女「おことわりします」

黒江「チクショー!」

鎧谷「もう部署変えてくんないかな…」



…買い物後

女「ありがとうございました」

鎧谷「どういたしまして」

骨田「見た目も変じゃないし、人間界でも目立たないね」

岩村「…その袋は?」

女「2着目が1Gでした」

鎧谷「お得だねぇ」

黒江「よーし!飲みに行くわよ!」

岩村「よっしゃ!キタァァァァ!!!」

骨田「!?」ビクッ

鎧谷「どこ行きます?」

黒江「ふふふ、どうやら新しい直通映画館が出来たらしいの。そこに行くわよ」

女「どこに出るんですか?」

黒江「立川よ」

女「な」

【立川】

女「…にィィイィィイ!?普通にシネマシティだし!」

黒江「いやぁ、やっぱり魔王城直通映画館は楽ね」

鎧谷「総務部長が渋ってたのに、予算降りたんだね~」

骨田「魔王様が直接指示だしたそうですよ」

岩村「鶴の一声…」

黒江「あんたも吉祥寺の映画館からじゃ魔王城まで歩くの大変だったでしょ?」

女「ええまぁ…っておいぃ!普通に人間界で歩いちゃダメでしょ!」

黒江「大丈夫よ。人間に見える魔法かかってるし」

女「なんというご都合主義!」

骨田「さぁ和民ですか?笑笑ですか?」

黒江「今日は魔物御用達の渋いバーに行くわよ!」

鎧谷「いいですねぇ」

女「あたしの地元に魔の手が!?」

【JR立川駅南口WINS前ビル地下】

カランカラン

???「いらっしゃい」

鎧谷「どーも」

???「魔物の方?人間の方?」

黒江「魔物4名、人間1名で」

???「カウンターでいいかしら」

骨田「カウンターしかないですけど」

???「うるせぇ!」ズビシッ

骨田「ホネぇ!?」ズガァン

鎧谷「な、なんだ!?客に暴力振るのか!?」

黒江「ふふふ、違うわ。今のはママの名物スキル『カウンター』よ!」

鎧谷「…」

岩村「…親父ギャグ?」

???「お姉さんよ!」ズビシッ

岩村「うぐっ!?」ズドッ

鎧谷「い、岩村さぁん!?」

女(はた迷惑な名物だなぁ…)

???「まぁ座りなさい。あたくし、姉山ともうします」

黒江「魔女なんですよね?」

姉山「ええ、半端者ですけど」

黒江(まぁ、大したこと無いだろうな)

姉山「なに飲む?」

黒江「えーとせっかくだからオシャレに…」

鎧谷「スーパードライ!」

岩村「エビス!」

骨田「淡麗!」

女「大吟醸!」

黒江「雰囲気丸潰れだコノヤロウ!」

姉山「これメニューね」

鎧谷「か、かくてる?」

骨田「かくてるってなんですか?」ヒソヒソ

女「アレですよ!あのオシャレなアレ」ヒソヒソ

岩村「か、カシスオレンジ!」

鎧谷「カルーアミルク!」

骨田「緑茶サワー!」

女「梅酒!」

黒江(和民かよ…)

姉山「そんな緊張しなくていいのよ。オススメでいく?」

黒江「それでお願いします」

姉山「かしこまり~」

黒江「たくっ…オドオドしやがって」

鎧谷「だって…」

骨田「こういうのはじめてだもん…」

女「だもん…」

岩村「…」

黒江「まったく」

姉山「お待たせ」

カラン…

鎧谷「おお…」

女「キレイなお酒ですね」

姉山「ララノブイリっていう魔界のお酒を使ったカクテルよん」

鎧谷「飲むのもったいないくらいキレイですね」

姉山「このお酒には別の呼び方もあるのよ」

骨田「なんていうんですか?」

姉山「「地獄カクテル」」

黒江「ちょっと待て待て」

女「ま、まさかの地獄シリーズ…」

黒江「混ぜたら魔神がでるんじゃ…」

姉山「それは大丈夫よ。さっき関ジャニが倒してくれたから」

黒江「…ジャニーズ恐るべし」

鎧谷「では、いただきますか」

岩村「…カンパイ」

一同「カンパイ」

チンッ…



女「おいしい」

鎧谷「飲みやすいですね」

黒江「染みるわぁ」

骨田「……」コテン

岩村「あ、骨田が堕ちた」

女「はっや…」

…数十分後

女「…」



鎧谷「だからね、僕は黒江さんの褐色銀髪蒼目貧乳ってカテゴリーは卑怯だと思うんれすよ」ヒック

黒江「あたいは巨乳が好きやの!」ヒック

鎧谷「デカけりゃいいって問題じゃらいんですお!ちっぱいを恥ずかしがってこそ意義があるんれす!」ゲフゥ



岩村「…ママさんってキレイだよね」

姉山「ありがとう」

岩村「今度、ドライブしない?このお酒みたいにキレイな海を見せてあげるよ」

姉山「今度ね、坊や」

岩村「つれないなぁ」




骨田「……」zzZ




女「カオスだ」

姉山「みんな寝ちゃったわね」クスクス

女「もー、明日も仕事なのに」

姉山「…あなた、すごい魔力を持ってるわね」

女「へ?」

姉山「底知れないわ。立川全体が軋んでる」

女「はぁ」

姉山「人間でそんな魔力を持ってる存在にあったのはこれで2度目…」

女「どんな人だったんですか?」

姉山「…先の大戦を集結に導いた人間」

女「それは…」

姉山「勇者よ」

大変なことに気付いた

給与振り込まれる前なのに買い物行っとる

姉山「数年前から西東京一帯で感じていたプレッシャーはあなただったのね」

女「まさか…。あたしはそんなスゴくないです」

姉山「スゴいわよぉ。懐かしいなぁ」

女「どういう関係ですか?」

姉山「もちろん敵よ。何度も殺し合ったわ」

女「穏やかじゃないですね」

姉山「でも殺伐とした仲じゃ無かったのよ。どちらかと言えば好きだったし」

女「戦争さえなければ…」

姉山「そういう簡単な話じゃないわ。好意的でも相容れないものもある」

女「複雑な話なんですね…大人の事情ってやつですか?」

姉山「いや、あたくし、実は男だし」

女「おっし、簡単な話だったわ」

姉山「心は女の子なのよ」

女「そうですか…」

黒江「うにゅ…おっぱい、今何時?」

女「11時ですよ」

姉山「魔物の方々は魔界に住んでるんでしょ?早くしないと映画館閉まるわよ」

黒江「…泊まる」

女「帰りますよ!」

鎧谷「…ぐぅ」

岩村「ふにゃぁ」

女「もー!西武多摩湖線の終電考えてー!」

骨田「ぐぅ」

【店前】

カランカラン

女「どりゃぁぁ!」

姉山「…うわぁ」

女「映画館に押し込めばいいんですよね!?」

姉山「う、うん…。(コイツ、1人で全員持ち上げたよ…)」

女「では、失礼しました」

姉山「またね」




姉山「行っちゃったか…」

「わん(今日はもう終わりか?)」

姉山「あら、珍しいお客様ね」

犬崎「ぐぅ(まだオカマやってんのか)」

姉山「お姉さんよ。犬崎坊ちゃん」

犬崎「わん!(坊ちゃんはやめろ。もう成犬だぞ!)」

姉山「うふふ、あなたを豆柴の時から知ってるあたくしには、いつまで坊ちゃんなのよ」

犬崎「わふん(ちぇ、同じ元十傑集なら認めてくれよな)」

骨田「べっ、別に分かってたし!あんたに言われなくても分かってたし!…アリガト」



黒江「…」

姉山「今日は何かご用?」

犬崎「くぅん(嫁とちょっとな…)」

姉山「…あらあら」

犬崎「わん(いつものアレだよ)」

姉山「大変ね。でも、あなたにも悪いところがあるんじゃないの?」

犬崎「わふん(分かってるよ…。でも、いつもタイミングが合わないんだ)」

姉山「あんまり遅れると奥さんもヒステリックになっちゃうんじゃない?」

犬崎「きゅぅん(もうなってるよ)」

姉山「えっ?」

犬崎「わふぅん(色々あるんだ…。色々とさ)」

姉山「…」




『時は三日前にさかのぼる…』

(雨が降りしきる三日前…)

【犬崎家付近】

「おらぁ!」

「なめやがって!」

???「きゅぅん(だ、誰か…)」

犬崎「わん!!(やめないか!)」

「なんだこら!?」

「やっちまえ!」

犬崎「がぁ!(犬拳!)」ビシッ

「ぎゃぁ」

「に、逃げろ!」

犬崎「わふん(雑魚が…)」

???「…」ポッ

犬崎「わん(大丈夫か?)」

???「きゅん(だ、大丈夫。…っ!)」ズキン

犬崎「わん?(痛めたのか?これを使いなさい)」

???「わん(ハンカチ?そんな…受け取れないです)」

犬崎「くぅん(また今度返してくれればいいよ)」

???「わんわん(あ、ありがとう!あの、お名前は?)」

犬崎「わぉん(名乗る程の者ではない)」スタスタ

???「わ、わん!(あ、あたし、小雪って言います!絶対ハンカチ返しますから!)」

犬崎「わん(はいよ)」

※回想中、犬パートが続くので鳴き声を省きます
出てくるキャラクターはすべて犬です(既存キャラ除く)
犬種は初登場の際に、名前の横に記載します

(翌日)

【魔犬女子大学】
小雪(黒柴)「はぁ…」

弥生(ダックスフンド)「どうしたの?」

小雪「実はかくかくしかじかでさ」

弥生「ははぁん」

小雪「なによ」

弥生「惚れたわね」

小雪「ち、違うもん!とにかくコレを返したいの!」

弥生「あははは、小雪にも春がきたかぁ!」

小雪「もう!弥生ったら!」

弥生「貸してご覧よ」

小雪「はい」

弥生「…名前は書いて無いわね」

小雪「スーツ(上着)着てたから、社会犬だと思うの」

弥生「ふーん…。あ!そうだ」

小雪「どうしたの?」

弥生「経済学部に鼻が効くのがいるや」

【経済学部棟】
奈々子(ポメラニアン)「話は聞いたわ」

小雪「じゃあ!」

奈々子「探してあげる」

弥生「良かったね」

奈々子「でも条件があるわ」

小雪「え?」

弥生「ナナ、話が違うわ」

奈々子「別にそんなに厳しい条件じゃないわ」

小雪「…」ドキドキ

奈々子「学食(ドッグフード)奢ってよ」

弥生「ったく!がめついなぁ」

奈々子「あはははは」

小雪「それくらいだったらいいよ!」

【犬崎家付近】

小雪「ここで助けてもらったの」

奈々子「…」クンクン

小雪「どう?」

奈々子「ここらへんに住んでるわね。ナワバリかしら」

弥生「なんかパッとしない道ね」

小雪「この近くにあの方が住んでる…」ドキドキ

弥生「ダメだコリャ」

奈々子「青春してるねぇ」

小雪「とにかく探そう!」

奈々子「仕方ない。ドッグフード(カツカレー味)分は働くか」

弥生「やれやれ」

(数十分後)

小雪「どこかなどこかな…」

亮(ゴールデンレトリバー)「ん?てめぇは!!」

健二(シベリアンハスキー)「昨日のやつ!」

小雪「きゃ!」

奈々子「なんだよこいつら…」ビクビク

小雪「き、昨日あたしを襲ってきた…」

弥生「で、デカい」

亮「昨日は邪魔が入ったが、今回はそうはいかねぇ」

健二「よくみりゃ、お連れもかわいいじゃん」

奈々子「はわわわわ」

弥生「ヤバいよ…」

小雪(た、助けて…)

亮「おらぁ!こっちこいやぁ!」

小雪「助けて!おじさま!」



「 待 て ぃ ! 」




一同「!!!?」

犬崎「今日は午後勤で泊まりだから遅く出てみれば…懲りんヤツらだ」

奈々子「あ、あの犬が」

弥生「小雪の…」

亮「ひ、ひぁ」

健二「逃げろ!」

犬崎「ふん」

小雪(おじさまだ…おじさま!おじさま!)ドキドキ

犬崎「また君か」

小雪(もうダメ…)キュン

犬崎「この界隈は大型犬が多いから気を付けなさい」

小雪「…きです」

犬崎「?」

小雪「好きです!」ギュッ

犬崎「んな!?」

良枝(パピヨン)「あなた~(はあと)忘れも………あ」

小雪「!?」




その時、……運命の歯車が動き出した

犬崎「よしえ!?こ、これは違うんだ!」

良枝「………バカ!」

犬崎「ま、待て!」

小雪「…」ギュッ

犬崎「ちょっと君!ふざけてる場合じゃ…」

小雪「ふざけてなんかないです!あたしは本気なんです!」

犬崎「な、何を…」

弥生「…なんかヤバそうな雰囲気」

奈々子「私バイトだから」スタスタ

弥生「ちょ待てあたいも…」スタスタ

犬崎「妻に誤解されたじゃないか!」

小雪「それは謝ります!でも、自分の気持ちに嘘は付けないの…」

犬崎「君…」

小雪「小雪って、呼んで」

犬崎「小雪くん、気持ちは嬉しいが受け入れるわけにはいかない」

小雪「…そんな」

犬崎「すまない。1分だけ寝てもらう。『夢犬(ムゲン)』!」

小雪「あ、う…」パタリ

犬崎「あーもう!今日中に書類の整理終わらせたいのに…」タタタタ




小雪「…はっ」

小雪「う、うう」グスン

結果、その日の内に終わらせるべき仕事も終わらず、翌日も犬崎は家に帰れなかったのである

その間、嫁の誤解を解く方法も見つからず、連絡すらままならないままであった

そして家に帰って怒られるのもイヤなので、旧知の姉山の店に飲みに来たのが事の次第なのだ

※回想パート終わり 鳴き声復活

犬崎「くぅん(だいたい、あいつもアレくらいで勘違いすんなよな)」ヒック

姉山「…」

犬崎「くわぁ(仮にも元十傑集の嫁だぜ…まったく)」

姉山「飲みすぎよ」

犬崎「わん(うるせぇな…!十傑集の頃のあんたは頼れる存在だったのによ!)」

姉山「もう…」

犬崎「わふん(あの頃は良かったなぁ、辰川(営業部長)がいて、あんたがいて、金子がいて、楽しかった)」

姉山「…」

犬崎「わぉん(こんなに縛られることもなかった)」

姉山「坊ちゃん」

犬崎「わん(坊ちゃんはやめ)」

ズビシッ!

犬崎「ぐぅ(ぎゃっ)」

犬崎「わぉん!(なにしやが…る)」

姉山「おい、俺は泣き言を言うお前を十傑集だったと認めるつもりは今無いぞ」

犬崎「くぅん…(いや、その)」

姉山「豆柴の頃からキャンキャン吠えるヤツだったが…弱音を吐く奴じゃなかった」

犬崎「わふん(姉山…)」

姉山「今日は店仕舞いだ出て行きな」

犬崎「くぅん(姉山…あの、その)」

姉山「…早くしないと、中央線止まっちまうぜ」

犬崎「わん(…ありがと)」

姉山「「カウンター」しただけだよ。相棒」

犬崎「わぉん(またくるよ。次は嫁連れて…)」

姉山「ああ、またな」

【犬崎家付近(深夜)】

犬崎「…!?」

小雪「…犬崎…さん」

犬崎「小雪くん」

小雪「あの…」

犬崎「すまない、やはり君の気持ちには答えられない」

小雪「いえ…。こちらこそ、周りが見えてませんでした」

犬崎「そうか、じゃあ元気で…」

小雪「はい、犬崎さんも…」

犬崎「うん…」タタタタ




小雪「失恋か…」

小雪「…」

小雪「う、うえぇええん」

弥生「小雪…ガンバレ」

【犬崎家】
犬崎「…ただいま」

良枝「…おかえり」

犬崎「…」

良枝「…」

犬崎・良枝「ゴメンね」

犬崎「…ははは」

良枝「なに笑ってんのよ!ヤキモチ妬いちゃったんだから!」

犬崎「ゴメンよ。それより、コレ」

良枝「わぁ、新しい首輪…」

犬崎「結婚記念日、おめでとう」

良枝「あなた…」

(翌日)

犬崎「わふふん~♪」



女「なんか、昨日から一転して機嫌良いですね」

骨田「まぁ時期だし」

鎧谷「ねぇ」

黒江「大方、奥さんとタイミングが合わなくてイライラしてたんでしょ」

女「さっきからなんの話をしてるんですか?」

岩村「…発情期」

女「んなっ」

黒江「毎年恒例だから。多分明日あたりから一週間くらい休暇取るわよ」

女「」ガビーン




プルルルル

犬崎「わん!(なんだい!マイハニー!)」

犬崎「わぉん(大丈夫…!定時に帰るよ!…今日も寝かさないからな!あっはっはっはっは)」




女「なんともまぁ」




    【新入社員の休日編…完】

つーか、最近女の影が薄くて本編どこ?な気分なんだがww
黒江さんと課長が主役でいいよもう

>>575
一応、今は周りのキャラを掘り下げてるつもりなんだよね
本編大筋はもう決まってる

カイジ「まだレースは残ってるんだっ…!」

カイジ「落ち着け…。買い目を絞って確実な所からいくんだ…」

カイジ「でも、それじゃ儲からないな…」

カイジ「人気馬からチョイ穴にワイド一点…」

カイジ「完璧っ…!頭数が少ないから…!当たる、ワイドなら尚更っ…!」

カイジ「慎重に、500円だけ賭けておこう」

…気付かない

…この男は壊滅的な優柔不断さに気付かない



…レース後


カイジ「1着と4着…!?」

カイジ「はぁぁ」

カイジ「マジかよ…」

「おじいちゃん!また当たったよ!」

「ほぉ、良かったのう。ワシも三連複取れたぞ」

カイジ「…いいなぁ」

カイジ「クソっ…!残り500円でどうすれば良いんだよっ…!」

女「いや~今日はどっちも調子いいね!」

魔王「まったくじゃ!開幕週は相性がいいのう」


カイジ(こうなったらノッてるやつに乗るか…)コソコソ

カイジ(どれどれ…。買い目は…)ソー

女「次は芝のマイルでしょ…うーん」

魔王「前行く馬買えばいいんじゃね?」

女「んー。でも先行しそうな馬が実力的に足りてないし」

魔王「確かに。人気してるのはオペラサンデーか…」

女「休養明けでしょ?鉄砲できんの?」

魔王「無理じゃろ。休養明けで連対したためしが無いもん」

カイジ(結構考えてんな…)

魔王「まぁ順当にマエカブマオウ買っといてやるか…」

女「馬主なんだから買うの当たり前でしょ~」

カイジ(馬主!?)

魔王「だって…あいつが頑張んないから賞金足りなくて、NHKマイル出れなくなっちゃったんだもん」

女「ここで勝てばダービー出れるかもよ?」

魔王「ニーヨン(2400m)の馬じゃ無いって」

女「まぁ血統的にはね」

カイジ(もしかして、コイツら親子…?いや、孫と爺か)

魔王「よし!決めたマオウから3連単1点買い!」

女「ええ!?7番人気だよ?」

魔王「いいの!(魔法使うからね。ここで勝たして夏のスプリント戦線に出そうっと)」



カイジ「なんだ、この自信…。あの爺に乗れば勝てる気がするっ…!」

カイジ「乗れっ…!乗るしか無いんだっ…!」

カイジ「この悪い流れを…!断ち切れ…!」

…レース後

女「あー、マオウ1着だけどヒモがハズレたね。…おじいちゃんどうしたの?」

魔王「…も、持ってくる馬、間違えてもうた」

女「?」

担当(また時間止めたな…)



カイジ「…」

カイジ「なにやってんだ俺は…」

カイジ「よく分からん爺の予想に乗って…。結局、全財産を失った…」

カイジ「ちくしょう…」

【府中駅】
カイジ「クソっクソっ」

カイジ「あの爺めっ…!」

カイジ(違う…)

カイジ(分かってるんだ…)

カイジ(悪いのは俺…)

カイジ(こうしてまた消費者金融に金を借りてる…バカな俺)

「はぁ食べた食べた」

「嬢ちゃん…結構食うね」

「もー、会社の経費で落とさないでくださいよ」

カイジ「ん?」

カイジ「あいつらは…」

カイジ「どこに行くんだ?」

カイジ「…雀荘?」

カイジ「気になる…!勝ってるヤツの打ち方っ…!考え方っ…!」

カイジ「行くしかない!」

【雀荘】
ざわ… ざわ…

魔王「え?今、手が空いてる店員いないの?」

店員「すみません」

女「サンマかぁ」

担当「麻雀とか何年ぶりだろ」

魔王「えー。4人でやりたいなぁ」

カイジ「あの…」

担当「はい?」

カイジ「空いてるなら、入れてもらえませんか?」

魔王「…?」

女「いいですよ」

カイジ「ありがとうございます」

来たっ…!好機っ…!

またとない好機っ…!

ここで流れを奪うんだ…

(東1局(親…魔王))

カイジ(手牌は…いい。平和まで早く持っていける)

カイジ(問題はコイツらっ…!激運を持つコイツらの手牌)

カイジ(油断できな)

魔王「あ、ツモ。天和、大三元。ダブル役満。全員トんだよね」

カイジ「んなぁー!?」

女「絶対積んだでしょ!?」

魔王「全自動卓だからムリでしょ」

担当(時間は止めてないみたいだし、持ち前の強運ですか…)

カイジ「とんでもねぇ…」

魔王「いやトんだでしょ?」

確かに流れを持っていた…

しかし、激流っ…!

奪おうとすれば、飲み込まれかねないっ…!

(半荘二回目、東1局(親…女))

女「ムキー!取り返してやるんだから」

魔王「無理無理」

カイジ(2巡目…さすがに天和みたいなことはもう無いようだ)

魔王「ふむふむ、いい牌だ」

カイジ(やはり気を付けるのはこの爺…!他は眼中にないっ…!)

カイジ(ここは順当にメンタンピン狙いでヤオチューから捨てるべきっ…!)

トン[9萬]…

女「ロン」

カイジ「え?」

女「国士無双」

カイジ「ええ~!?」

女「いやぁ13面待ちとか人生で4度目だよ」

カイジ(な、なんだと!?タンヤオを狙った時点ですでに敗北は決定していたのかっ…!)

担当(この子も変な運持ってるからなぁ)

(10巡目)
カイジの手牌っ…

北北北南南南發發發中中中西

カイジ聴牌っ…!

にもかかわらず…!

カイジ(何でだ…!?なぜ出ない…!)

担当「…」

タンっ[東]

カイジ(違う…!ソレじゃないっ…!もう[西]は1枚切れてる)

女「~♪」

トンっ[二萬]

カイジ(生牌でも無いのに…!なぜ…!)

タンッ[赤五萬]

担当「ロン」

カイジ「なっ!?」

担当「一盃口、ドラドラ、3翻40符5200」

カイジ「ち、ちくしょう!西は、西はどこだ!」

女「あたしが頭で使ってます」

カイジ「そ、そんな…」

魔王「なに?西待ち?どれどれ…」

担当「いい手牌ですね」

カイジ(この女…!爺以上か…!いや、それよりも)

担当「んふふ」ニコニコ

カイジ(コイツ、カンチャンで五萬待ち…?)

カイジ(うまいのか、下手なのか分からん)

担当「んふふふふ」

カイジ(注意した方がいいのか?)

担当(慌ててるね…)

カイジ(クソっ…!)

担当(分かりやすいんだよねぇ…。強打しちゃってさ)

カイジ「配牌はっ…!よし!」

担当(どれどれ、ふむ普通の配牌…)

魔王「あー、腰痛い。筋がピンピンしとる」

担当(サイン!ピンズの5、4!)

タンッ[五筒]

魔王「ポン」

カイジ(チッ、俺の順番が…!)

魔王(くくく、変わらんな。コンビ組んでた時から衰えてない)

担当(フッ、懐かしい。新宿で最強と呼ばれたあの時代…)

カイジ「リーチだ!」

タンッ[七索]

魔王・担当「ロン!」

カイジ「ダブロンっ…!?」

魔王(我ら元新宿最強コンビ)

担当(双頭龍(ダブルヘッドドラゴニアス)!)

【トイレ】

カイジ「こうなったら、泥を啜ってでもっ…!」

ピッピッピッ

カイジ「もしもし、頼みがある」

カイジ「分かってる!借りた金は必ず返す!だから…」

カイジ「倒して欲しい連中がいるんだ!」

カイジ「頼むよ!」

カイジ「…来てくれるのか!?ありがとう!」

カイジ「よし、コレで勝つる!」

【雀卓】

女「長いよ~」

カイジ「ごめんごめん!」

魔王「逃げたのかと思ったわい」

カイジ「いやいや」

カイジ(本当は逃げてぇよ)

カイジ「実は用事が出来ちまってさ。変わりのヤツが来るから」

担当「変わり?」

カイジ「ああ!負け分はそいつから貰っておいてくれや」

カランカラン

店員「いらっしゃい」

???「待たせたな」

カイジ「おお、この人だよ!じゃあ頼んだ!」

カランカラン

店員「ありがとうございましたぁ」

カイジ(へっ、逃げるが勝ちってね)

???「ふふふ、頼られるってのはツラいな」

担当「あんたは…?」

???「ふふっ、俺の名かい?」

???「聞いて驚け!俺の名は…」

女「…」ゴクリ

???「ダンチだ」

魔王「…誰?」

ダンチ「えぇ~。元上野最強コンビの片割れだぜ!?」

担当「いや、知らん」

魔王「上野最強は坊や哲だろ」

ダンチ「そのオヒキだっつーの!」

担当・魔王「知らん」

ダンチ「かぁー!やってらんねぇーぜ!おい!ちゃちゃっと負かしてやるから覚悟しろ!」

(東4局…(親…ダンチ))

ダンチ「くぅー!ツイてるぜ!ダブルリーチだ!」

タンッ[九筒]

女・魔王・担当「ロン」

ダンチ「んな…」

女「純全帯、三色、平和、一盃口、ドラドラ、倍萬16000」

魔王「国士無双、役満32000」

担当「七対子、ドラドラ赤ドラ、満貫8000」

ダンチ「」ポカーン

女・魔王・担当「トんだね、ダンナ」

ダンチ「ひぃぃ!!」

今日勝つ者が明日負ける…

盛者必衰…

しかし、それでも勝ちを求める者がいる…

『博徒』

ある者は、運で勝ち

ある者は、技術で勝ち

またある者は、逃げて勝つ

勝負とは、またこれ不可思議なものなり…

運否天賦…

その行きつく先は天のみぞ知る…


カイジ「あぶねぇっ…!危うく負けるところだったぜ」

ここにも勝者が1人…

【新入社員VSラブやん編】

ラブやん「…」

カズフサ「…」ハァハァ

ラブやん「フサさん?」

カズフサ「ぬ、ぬぉ!?ナニヤツ!?」

ラブやん「まーたエロサイト見てんの?」

カズフサ「ち、違う!コレは人体の神秘をだな!」

ラブやん(二次元だし…)

カズフサ「ええい!シッシッ!邪魔するでないわ!」

ラブやん「フサさん…。あなたいくつ?」

カズフサ「25歳…」プイス

ラブやん「ダウトー!あなたは先月で三十路に突入しました!」

カズフサ「ー!?」

ラブやん「可哀想…。もう人生の半分を無駄に使ったのね」ホロリ

カズフサ「い、言わせておけば!この淫乱天使!キサマがオ○ニーばっかりして仕事してないから…」

ラブやん「オナ○ーなんてせんわ!」ブスッ

カズフサ「目がっ」

ラブやん「仕方ねぇ。少し真面目にやるか」

カズフサ(普段は真面目じゃなかったのか…)

ラブやん「よし!作戦会議よ!」

カズフサ「おお!」

ラブやん「まず問題なのは、フサさんの運命の相手が近場にいないことよ」

カズフサ「ほう、じゃあ萌ちゃんにはアメリカ辺りに引っ越してもらおう」

ラブやん「一休さんみたいなこと言ってんじゃないわよ」

カズフサ「では、どうしろと?」

ラブやん「実は、最近」

途中送信しちまった


ラブやん「まず問題なのは、フサさんの運命の相手が近場にいないことよ」

カズフサ「ほう、じゃあ萌ちゃんにはアメリカ辺りに引っ越してもらおう」

ラブやん「一休さんみたいなこと言ってんじゃないわよ」

カズフサ「では、どうしろと?」

ラブやん「実は、最近フサさんと波長が合う強い電波がひしひしと感じられるのよ」

カズフサ「ほう…どこのロリっ子だい?○○幼稚園?」

ラブやん「いやまぁ、ロリっ子かどうかは分かんないんだけどさ」

カズフサ「くくく、とりあえずそのカワイイ子猫チャンなら俺でもコロッと落とせるワケだな」

ラブやん「確証は無いけどね~」

カズフサ「で、どこにいるんだ!?」フーフー

ラブやん「キモッ!股間を膨らますな!…どうやら人間界じゃないらしいの」

カズフサ「天使界!?天使長か!?」

ラブやん「やかましい」セッ

ブスッ

カズフサ「目がっ!?」

ラブやん「うーむ」ピピピ

カズフサ「どうだ?」

ラブやん「…やっぱり、魔界ね」

カズフサ「ま、魔界!?」

ラブやん「と、すると…」

カズフサ「小悪魔か!?」

ラブやん(コブリンとかドワーフかもしれん…)

カズフサ「おい!ラブやん!行くしかあるまい!」

ラブやん「えぇ~魔界とか超アウェーなんですけど」

カズフサ「うっさい!行くぞ!」

ラブやん「仕方ないなぁ…。ラブホール!」

みょん

カズフサ「待ってろよ!ロリツルペタ小悪魔!」

ラブやん(まぁ、やる気出してるから行ってやるか)

【魔界】

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ …

カズフサ「なんと禍々しい」

ラブやん「気をつけなさいよ。ここからはいつ魔物に襲われてもおかしくないわ」

カズフサ「ふむ」

ラブやん「だから、あんまりウロウロしないでね」

カズフサ「任せろ!…あ!宝箱だ!」タタタタタ

パカッ…

「ミミックがあらわれた!」

カズフサ「ギャー!ラブやん助けてぇぇぇ」

ラブやん「言ってるそばから何やってんだこのビチグソ野郎ぉぉお!」

ミミック「ぐわっ」ガブッ

カズフサ「ギャー!マイサンが!股間がぁぁぁ!」

ラブやん「お、落ち着くのよ!今あたいがこの弓矢であんたの息子もろともモンスターを貫いちゃる!」

カズフサ「や、ヤメロ!おおぉお!チクショー!」ムキムキムキ

ミミック「!?」

ズバキンッ!

ミミック「ギャア!」

カズフサ「チンコの傷み、思い知ったか!」

ラブやん「おお!」

知らない人はブックオフの100円コーナーのアフタヌーンの棚で「ラブやん」を立ち読みしてみてね

アゴなしゲンと並ぶ名作ギャグマンガだからオススメです

ラブやん「フサさん…。強くなって…」ホロリ

カズフサ「ら、ラブやん」

ラブやん「ん?」

カズフサ「チンチンにミミックの歯が…」

ラブやん「!?」ギョッ

カズフサ「取ってぇぇぇ!!」

ラブやん「ぎゃぁぁあ!近寄るんじゃねぇぇ!」

メキョっ

カズフサ「おふぁぁぁぁ」キラッ

ラブやん「はっ!?しまった!飛ばしてしまった…」

ラブやん「…たまに自分のチカラが怖くなるわ」フッ

ラブやん「それにしても助けに行くのめんどいなぁ」

【時の泉】

黒江「んーふふ♪」パシャ

カズフサ「いやぁぁぁ!」

黒江「ん?」

ばしゃぁぁん

黒江「ほぎゃぁぁぁ」

カズフサ「…」プカァ

黒江「…」プカァ

カズフサ「…はっ!?ここは!?」

黒江「…」グッタリ

カズフサ「ほ、ほぁ!?裸のツルペタ娘だと…」

カズフサ「…」キョロキョロ

カズフサ「誰もいないのか…」ニヤリ




フーフー

ハァハァ

黒江「…」

フーフー

黒江「…ん?」パチリ

カズフサ「あ」ビクンビクン

黒江「…誰?っておわぁぁ」ビクッ

カズフサ「し、しまった!」サッ

黒江「か、顔じゃなくて股間をしまってください!!」

カズフサ「おっと失礼」

黒江(へ、変態さんだ…)

カズフサ「ときに、こんなところで何してるのかね?」

黒江「こ、この泉で水浴びするのはエルフの日課だから…」

カズフサ「ふむ、白スベ肌ロリツルペタエルフね」

黒江「はい?」

カズフサ「おっと聞かなかったことにしてくれたまえ」ゲフンゲフン

黒江「…」

カズフサ「ところで、あまりに急なことなんだが」

黒江「はい?」

カズフサ「我が輩とお医者さんごっこをしないかい?」

黒江「結構です」

カズフサ「」ガーン

カズフサ「そ、そんな…」

ラブやん「当たり前だろうが」

カズフサ「ら、ラブやん!?」

黒江「天使さん?」

ラブやん「こんちは。まさか結界を破ってエルフの里まで来るとは…」

カズフサ「ラブやん!」

ラブやん「ん?」

カズフサ「この子持って帰ろう!」

ラブやん「フサさん…。ナチュラルに犯罪宣言しないで…」ウウッ

カズフサ「じゃあ作戦会議だ!」

ラブやん「…まぁ、真っ当な方法でお持ち帰りできるならOKね」

黒江「OKなの!?」

ラブやん「作戦会議~」

カズフサ「おー」パチパチ

ラブやん「「かわいいロリエルフと仲良くなって、お持ち帰ろう」作戦~」

黒江「て、適当過ぎる」

カズフサ「いぇー!」

黒江「ノッてる!?」

ラブやん「よーし!まずはアレよ!アレ!」

カズフサ「アレ!?おちんちんを…」

ラブやん「黙れ!この性犯罪者予備軍!」メキメキ

カズフサ「いたたた!」

ラブやん「仲良くなるヒケツ…。それは!」

カズフサ「それは?」

ラブやん「卓球よ」

黒江「な、なんだろう…おかしいのは私なんだろうか」

カコン カコン

黒江「…」

カズフサ「…」

カコン カコン

ラブやん「…」

黒江(…………地味)

カズフサ「…せっ」

カコン!

黒江「あっ」

ラブやん「あっ」

カズフサ「おっしゃ勝った!さぁ1枚脱ぎなさい!」

ラブやん「お、大人げねぇー!」

黒江「…もう帰っていいですか?」

カズフサ「ま、待ちたまえ!…ん?」



ギャア!ギャア!



ラブやん「ん?なんか森の様子がおかしいわね?」

黒江「け、結界が破れてる!?」

ラブやん「あ」

カズフサ「あ…」

黒江「そ、そんな!邪気が入ってきちゃう!」

カズフサ「お、おいラブやん!俺たちのせいじゃないのか」ヒソヒソ

ラブやん「あ、あたしゃ知らないわよ!あんたがあんなに飛ぶから!」ヒソヒソ

カズフサ「うぬぅ…。この女狐め」ヒソヒソ

黒江「どうしよう…」オロオロ


ガサガサッ!

「ギギャー!」

ラブやん「魔物!?」

黒江「きゃ!?」

カズフサ「危ない!」


ガッ







黒江「…?」

カズフサ「ぬ、ぬぅ」ググッ

ラブやん「フサさん!?」

黒江「お兄さん!?」

「ギギャー!」

カズフサ「やかましい!」ズビシッ

「ギャア!」

「魔物を倒した!」

ラブやん「フサさんカッコイー!!」

カズフサ「ふぅ…。大丈夫か?」

黒江「…う、うん///」

カズフサ「ん?」

黒江「た、助けてくれてありがとう


カズフサ「ハッハッハ」

ラブやん(自業自得だとは言えない…)

カズフサ「っ!」

黒江「ケガしたの!?」

カズフサ「あぁ、大丈夫だ」

黒江「この泉の水に浸かって!」

カズフサ「なんで?」

黒江「この時の泉は、触れたものの時間を少しだけ戻すの。だから傷も治るわ」

カズフサ「ほぅ、では浸からせてもらおう」

ラブやん(水虫も治るのかしら…)



カズフサ「ありがとう。これで元通りだ」

黒江「…///」モジモジ

ラブやん「む!」ピキーン

カズフサ「どした?」

ラブやん「ラブセンサーが反応しとる…」

カズフサ「なんと!?」

ラブやん「この子、かなり危篤な子よ」

カズフサ「どういう意味じゃい」

黒江「あのね、お兄さん。私、お兄さんのお嫁さんだったら…///」モジモジ

カズフサ「おおおおお!」

黒江「…///」

カズフサ「神よあなたを信じよう…。ちなみにいくつ?」

黒江「…えーとね。124歳!」

カズフサ「…」

カズフサ「え?」

黒江「124歳」

カズフサ「…」

ラブやん「…」

黒江「?」

カズフサ「チェンジで」

ラブやん「…ですよね」

黒江「えぇ?」

カズフサ「すみませんでした」

ラブやん「よし、撤収」

黒江「え?え?」

カズフサ「いやーさすがに4倍も年上は付き合えんわ。カルチャーショックとかあるし」

ラブやん「うん、何も言うな。帰ろう」

みょん(ラブホール)

カズフサ・ラブやん「じゃ」



黒江「えー?」

黒江「…も、弄ばれたぁぁぁあ」ボロボロ

…70年後

【魔王城:女子更衣室】
黒江「…と、いうのが私の初恋ね」

女「ヒドい男もいるもんですね」

黒江「そのあと大変だったのよ~。時の泉に人間(水虫)入れだのバレて里を追放されちゃってさ」

女「あー」

黒江「邪気に触れる内にダークエルフになっちゃったわけ。昔は肌も白かったのよ」

女「…にしても良いなぁ」

黒江「何が?さんざんな目にあったのよ」

女「いや、そっちじゃなくて。昔から胸が成長してないじゃないですか」

黒江「…」

女「肩凝らなそう」

黒江「イケナイコト言うのはこの口かな?」グニニニ

女「い、痛いれす!痛いれす!」


【新入社員VSラブやん編…完】

【ロード・オブ・ザ・新入社員編】

…6月、女が入社して2ヶ月が過ぎた

…庶務、雑用も段々と板に付き、ようやく次のステップへ進もうとしている

…どうやら、今月も大きなイベントがあるようだ

女「「勇者通過経路に存在する店舗の品目追加に関する案」?」

鎧谷「うん。近年、勇者通過経路の店舗の売り上げが芳しくなくてね…」

骨田「いろいろと策を講じてるんだけど、なかなか伸びないんだ」

女「いろいろな策?」

黒江「例えば去年だったら、店舗付近のモンスターから獲得できるお金を多くしたりしてみてるわ」

犬崎「わふん(それでも、勇者たちはお金を落としてくれないんですね)」

女「なんでですかねぇ?」

黒江「それが分からないのよ。だから今回は、商品のラインナップを追加してみるわけ」

わふん「わん(今月は、中期Lv測定もあるから忙しいですよ!頑張りましょう)」

犬崎「わおん(通過経路で売り上げが最も良くない店の品揃えを見てみようか)」

黒江「はい。手元の資料の2ページ目を開いて」

女(パワポで資料作ってんのか…)

鎧谷「ふむ、悪くないですよね?」

骨田「この時点で少々値は張るけど、この装備ならだいぶ安心でしょう」


[ロボルーマ城下町店]
鋼のつるぎ…1500G
オークの斧…2000G
アタックランス…3500G

アルミアーマー…1200G
毛皮のローブ…1500G

甲羅の盾…1000G


岩村「地味だな」

黒江「確かにどれも中小装備メーカーの大量生産品ね」

犬崎「わん(そうです。そこで、今回は地域差をより出した装備をラインナップに追加したいと思います)」

女「地域差かぁ」

黒江「地域の特色ねぇ」

骨田「そうだ!剣の柄や鎧のでっぱりにご当地ストラップを付けたらどうでしょうか!?」

黒江「却下」

鎧谷「それはない」

岩村「…普通に考えろ」

骨田「…」チラッ

女「…あたしも有り得ないと思います」

骨田「!?」ガーン

黒江「まったく、何考えてんだか」

女「…ウムウム」

鎧谷「そこは普通ご当地ステッカーですよね」

岩村「…だな」

黒江「常識よね」

犬崎「わん(そうそう)」

女「ですね。…って、オイ!!!」

一同「!?」ビクッ

女「ステッカーってなんですか!ステッカーって!」

鎧谷「ご、ご当地のゆるキャラとかをプリントしたステッカーを鎧とかに同梱して…」

黒江「旅の思い出を演出…勇者買う…売り上げ倍増…」

女「思い出にニーズがあるなら、ステッカーだけ売った方が儲かるわ!」

骨田「…!」ポンッ

女「そこ!「ナルホド」みたいな顔しない!だいたいステッカーのタメだけに鎧とか買わないでしょ!?」

犬崎「わん!(全24種類で、全部集めると豪華プレゼントが貰えるとかにすればいいのでは?)」

女「24種類集めるのにいくらかかると思ってるんですか!」

犬崎「くぅん(たしかに…)」

女「実用性を第一に考えましょう!」

黒江「実用性ねぇ」

女「例えば…、付近で勤務してるモンスターはどなたなんですか?」

骨田「えーと、水妖精、あまふらし、アクアリザードだね」

女「名前から察するに水属性ですね。そして、ロボルーマ城下町店で売られている装備は…」

黒江「水属性耐性が無いわ。むしろ金属だから錆びるわね」

女「そういうデメリットが、買い手の購買意欲を減退させてるんじゃないですか?」

骨田「どうやら他の地域にも同じことが言えそうです」

鎧谷「大量生産品はオールラウンドに使われることを想定してるから、限定された環境に弱いんだね」

犬崎「わんわん(ナルホド。では後日、実験的にロボルーマの土地柄に合った装備に変更してみましょう)」

…後日

ロボルーマ城下町店の品目が一新された

ステンレスのつるぎ…1500G
ドワーフの木槌…2000G
神木の枝(杖)…3000G

ゴアアーマー…2000G
ゴアフード…1000G

プルーフシールド…2000G

女「ちょっとやりすぎな感はありますが」

黒江「まぁ実験だからね」

実験は3日間行われた

その結果、若干ではあるが、売り上げが上方修正されたのであった

女「ちょっとしか改善されませんでしたね…」

犬崎「わぉん!(そんなにすぐ結果は出ないですよ)」

岩村「…偏った装備が多いから、勇者たちも様子見てる。周りの敵と戦えば考えを変えるさ」

前向きな結果であった

以後、他の土地の装備も随時変更されていくこととなる…


プルルルル

犬崎「わん!(はい、犬崎。はい、支援対象の勇者一行がロボルーマに到着?)」

女「?」

犬崎「わぉん(分かりました。じゃあ丁度ロボルーマにいるので、Lv測定もついでにやっちゃいます。ではまた。)」

女「どうしたんですか?」

犬崎「くぅん(どうやら、もう一つ仕事が片付きそうですよ)」

鎧谷「え?中測(中期Lv測定)をここでやるんですか?」

犬崎「わん(はい。幸い、測定資格を持つ黒江さんが現場にいるので)」

黒江「任せなさい」

女「あのぉ…何やるんですか?」

岩村「今から勇者一行をボコって、旅立ってからどれだけ強くなったかを測定する」

女「ま、また生々しいイベントですね」

黒江「うーむ、2ヶ月分の強化期間を考えると…相手は誰にしようかな」チラッ

女「あ、あたしは無理ですよ!」

黒江(あんたじゃ素手で勇者を殺しかねないわよ)

黒江「よろにゃんじゃ強すぎるから…骨田でいってみようか」

骨田「え!?僕ですか?で、できるかな。不安だなぁ」

岩村「俺も骨田じゃ不安だ…」

鎧谷「同じく…」

骨田「…」チラッ 

女「信用できない」

骨田「」ガーン

骨田「ム、ムキー!やってやりますよ!」

黒江「まぁ、頑張れ」

犬崎「わん(あ、来ましたよ)」


たけし(勇者)「アレがロボルーマ城か…」

すぐる(僧侶)「大きいですね」

まさひこ(盗賊)「お宝お宝!」

くみこ(遊び人)「もう、まずは宿屋でしょ」


鎧谷「お、見送った時より体つきが良くなりましたね」

岩村「骨田…大丈夫かな?」



骨田「待てぃ!」

勇者一行「!?」

骨田「カカカっ!勇者どもよ!葬り去ってくれるわ!」

たけし(勇者)「魔王の手先か!」

まさひこ(盗賊)「ぶったおしてやる!」

すぐる(僧侶)「そんな…さっきの戦闘でもうMPが無いよ!逃げようよぉ」オロオロ

くみこ(遊び人)「泣き言言わないの!やるわよ!」



女「職種のバランス悪いなぁ」

黒江「うーむ、装備傾向は…」



骨田「ふはは!くらえ!」

まさひこ(盗賊)「うわ!」

くみこ(遊び人)「あぶない!」

  バキィン!



鎧谷「おお!」

骨田「…ちっ!」

くみこ(遊び人)「大丈夫!?」

まさひこ(盗賊)「…あ、ありがとよ///」

くみこ(遊び人)「ば、バカっ…あんたが死んだら誰があんたの世話するのよ///」

たけし(勇者)「…」

すぐる(僧侶)「…たけちゃんには僕がいるから…ね///?」

たけし(勇者)「!?」



女「人間関係も歪んどるなぁ」

鎧谷「まぁ…2カップル成立してるからある意味バランスはいいな」

岩村(宿屋とか大変なんだろうなぁ…)



骨田「次は外さんぞ!」

たけし(勇者)「来るぞ!」

骨田「くらえ!(この前通信講座で覚えた)あしゅら切りぃぃぃ!」

キュィィィィン!

  ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ …

ビシィィ

     ドグォッ!

たけし(勇者)「すごい気迫だ!」

すぐる(僧侶)「や、ヤバい雰囲気…」

骨田「しねぇ!」

くみこ(遊び人)「!?」

グワァッ!

骨田「やぁ」

ポコッ

たけし(勇者)「…え?」



女「…」

鎧谷「…」



骨田「たぁ」

コツン

まさひこ(盗賊)「…」

骨田「ふははは!あまりの斬撃に動くこともままならぬか!」

すぐる(僧侶)「せいっ」

ゴン

骨田「ぎゃぁ」

骨田「うぬぅ!やりおる!」

たけし(勇者)「おい!コイツ弱いぞ!」

くみこ(遊び人)「やっちまえ!」

骨田「え!?ちょっと待って!」

すぐる(盗賊)「かっさばいて売り飛ばしてやる!」

すぐる(僧侶)「死ねやぁ!」

骨田「ひぇぇ」

ボコスカボコスカ



岩村「あー、ダメだアイツ」

鎧谷「一方的ですねぇ」

女「勇者一行のレベルが高いんですかねぇ?」

黒江「いやいや、アレは骨田が弱すぎるだけだわ」



骨田(Lv12)「ふにゃあ!?たしけてぇぇぇ」

たけし(勇者)「うっさい!」

黒江「あーもう!あんな一方的じゃ測定できないじゃない」

鎧谷「俺が行きますか?」

岩村「…俺も行けるぞ」

黒江「…いや、あんたら男2人は無意識的に反撃しちゃうでしょ?だからあんた行ってきなさい」

女「え?でも…」

黒江「ただし、1つ条件があるわ」

女「?」

黒江「私が合図するまで攻撃しちゃだめ」

女「ええ~!防戦一方じゃケガしちゃいますよ~」

黒江「大丈夫よ。この前装備替えたでしょ!」

女「はぁ…」



骨田「し、死ぬ(※アンデッドなので、すでに死んでます)」


黒江「ほら、行く!」

女「ちぇー」

女「もー、無茶ばっかりなんだからぁ」ガサガサ

たけし(勇者)「な、なんだ!?」

すぐる(僧侶)「人間じゃん!ロボルーマの人かな?」

くみこ(遊び人)「危ないから下がってなさい!」

骨田「…」コテン

女「ほら、骨田さん起きて!あたしが変わるから」

骨田「ふにゃあ…」

まさひこ(盗賊)「な…」

すぐる(僧侶)「ま、魔物の味方をするの!?」

女「あ、すみません。通してください」

たけし(勇者)「あ、申し訳ない」スッ

女「ほら、骨田さんしっかり!」

骨田「ごめん。あ、ちょっといいかな」

すぐる(僧侶)「…」

骨田「ふははは!ここは退こう!助かって良かったな!」

くみこ(遊び人)「うっさい」

ゴンッ

骨田「いたい!」

骨田「うわぁぁん!覚えてろよぉ!」タタタタ

女(…モロ雑魚)

すぐる(僧侶)「さて」

くみこ(遊び人)「あんた何者?」

女「あ、こういう者です」サッ

まさひこ(盗賊)「…ナニコレ?」

女「名刺です」

たけし(勇者)「(株)魔王城営業部企画課…?」

女「はい!(ふふふ!ちゃんとネットで社会人のマナーとか勉強したもんね!)」

たけし(勇者)「バカにしてんの?」

女「はい?」



黒江「(株)魔王城は一部の人間しか知らないっての…」



すぐる(僧侶)「き、きっと邪教徒だよ!変な服着てるし!」

まさひこ(盗賊)「やっちまえ!」

女「んな!?せっかく自己紹介までしたのに!?」



鎧谷「…バカ」

たけし(勇者)「おらぁ!」

女「もー!穏便にボコらしてもらおうと思ったのに!」グッ

黒江『まだ殴っちゃ駄目よ!』←テレパシー

女「えー」サッサッサッ

まさひこ(盗賊)「くそっ!あたらねぇ!」



鎧谷「うわぁ…あの子避けますねぇ」

岩村「…すんでのところで見切って避けてる。動きにロスが無い」

犬崎「わん(達人級ですね。意外な才能があるものです)」



たけし(勇者)「ちくしょう!フォーメーションだ!」

勇者一行「おう!」

女「!?」

すぐる(僧侶)「いくぞ!閃光魔法(フラッシュ)!」

パッ!

女「きゃ!?め、目が」

まさひこ(盗賊)「足払い!」

スパンっ!

女「ほわぁ!?」ズテン

くみこ(遊び人)「亀甲縛り~」ギュ

女「いやぁぁん///」



黒江「…」ブププッ

鎧谷「うわ、鼻血すげぇ!」



たけし(勇者)「トドメだ!動けなければ避けられまい!みんなの力をひとつに!」

勇者一行「「合力魔法!ルセワアラカチ!」」

ドカァァァアン!!



黒江「あ、やべぇ!アイツ防御力低いんだった」

鎧谷「えー、分かっててやったんじゃないんですか?」

岩村「ひでぇ」



たけし(勇者)「…やったか!?」



黒江「ヤバいなぁ…さすがに死んじゃったかな?」

犬崎「わおん(…!?いや、あれをみなさい!)」



ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ … 


すぐる(僧侶)「…な!?バリアー!?」

くみこ(遊び人)「そんな…!それもかなりの魔力密度…!」

女「…」

たけし(勇者)「傷一つついてないだと…」



骨田「この前買った装備品の特殊効果?」

鎧谷「いや、あれじゃあんな規模のバリアーを展開出来ないよ」

犬崎「わぉん(黒江ちゃん。あの子に戦わせた理由はコレですか?)」

黒江「もちろん、コレが主目的じゃないですよ。中測が優先です。でも…」

鎧谷「気になりますよね。魔神の時といい。Lvとは不釣り合いな力、魔力といい…」

犬崎「ぐぅ(時折、垣間見せる勇者の匂い…。もしやあの子は…」

鎧谷「さぁここからですね」

黒江「オートガードは超一流…攻撃は…」



女「…」サッ

たけし(勇者)「さっきの名刺…?」

シュババッ!

すぐる(僧侶)「…?」

パララ…

まさひこ(盗賊)「んおっ!?服が!?」

くみこ(遊び人)「キャー///」

たけし(勇者)「おお!」

くみこ(遊び人)「み、見んなぁ!」

すぐる(僧侶)「キャー///」

たけし(勇者)「…」プイ

すぐる(僧侶)「見ろよコラァ!」




骨田「な、何が起こったんですか?」

黒江「あいつ…名刺で服だけを切り裂いた!」

岩村「名刺に魔力を込めてる…あの短いリーチでよくもまぁ」

犬崎(やはり、あの剣技…。あの時の勇者そのものだ)


女『立ち去れ。力無きものよ』ザッ

たけし(勇者)「ひっ」

女『さらなる力をつけろ!事が起こるその日まで…』

勇者一行「く、くそっ!覚えてろよぉ!」タタタタ

女『…』

女「はふぅ」カクン




鎧谷「…圧倒的」

黒江(何かが憑依してる?でなければあの力は…)

犬崎「くぅん(やはり300年前の…)」

骨田「黒江さん、計れたんですか?」

黒江「一応ね…。装備品の種類、合体魔法等々参考になる点はあったしね」

犬崎「わん(では、レポートにして提出してください。…あの子の件もね)」

黒江「はい」

後日…

測定結果がレポート化されたのであった

黒江「ふむふむ、ヤツらあの辺りでこのLvならかなり頑張ってるわ」

たけし(勇者)…Lv19、生真面目、アニオタ、ロリコン

すぐる(僧侶)…Lv17、ホモロリショタ

まさひこ(盗賊)…Lv18、猪突猛進

くみこ(遊び人)…Lv25、真面目、献身的、家庭的

黒江「骨田が勝てないわけだ!」

岩村「うむ」

鎧谷「確かに」

骨田「…」チラッ

女「納得したわ」ハンッ

骨田「ーっ///」ビクンビクン


骨田…Lv12、ドM

【(株)魔王城社長室】

???「中測のレポートです」

魔王「なかなか順調なLvだね」

???「はい、これなら期待できそうですね」

魔王「まぁLvが高いだけじゃまだ分かんないよ。問題は…」

???「はい、アレは株主の方々も期待して待たれています」

魔王「300年…。それだけの時間をもってしても未だに抽出できないもの」

???「きっとうまく行きます。それと、この勇者一行以外にも面白い話があります」

魔王「レポートの…測定動因の項だろう?」

???「はい」

魔王「人間…それもうちの社員が勇者の力に似たものを持っていると…」

???「はい」

魔王「気になる話だ。調査を頼むよ」

???「了解しました。では失礼しました」



魔王「…」

魔王「勇者だけが持つもの…」

魔王「300年前、わしに恐怖を抱かせたあの力…」

女「くちゅん!」

岩村「…風邪か?」

女「花粉症でしゅ」ズルッ

黒江「魔界スギかしら」

鎧谷「人間だから魔界の植物と合わないんでしょ~」

女「そうなんですかねぇ」

黒江「のど飴いる?」

女「いりましゅ」ズビビビビ

骨田「平和だなぁ」

犬崎(平和か…確かに、300年前は人間とこんな風に関わるとは思わなかった)

犬崎(この平和…。あまりにも不自然な平和。魔族に演出される勇者一行魔王討伐劇が不自然さを助長させる)

犬崎((株)魔王城はいったい何のために存在しているのか…。何のために勇者を担ぎ上げるのか…)

犬崎(…また何か起こりそうな気がする)


【ロード・オブ・ザ・新入社員編…完】

【新入社員の決死圏編】
8月…

9月に実施される通過イベントの前に、魔王城で毎年開催されるあるイベントがある

その名も…



女「『魔王城祭』?」

黒江「そうよ。魔王城を一般開放して、付近の住民や社員の家族、株主を招待するの」

鎧谷「理解を深めてもらうのが目的だね」

岩村「…普段はなんでも屋みたいな企画課が、まともに企画運営するイベントだな」

黒江「開催されるのはお盆の後だから、しばらく忙しいわよ」

女「へぇ」

骨田「お盆前には準備完了したいですね」

鎧谷「去年はお盆休みが半分潰れたからねぇ」

女「げぇ」

黒江「文句言わないの~」ギュゥ

女「いだだだ。やめてくらはい」

犬崎「わぉん(と、いうことでこれは去年のプランです。毎年こんな感じでやってます)」

魔王城祭
・式典
・魔王城一般開放(ダンジョン案内、社歴展示紹介)
・イベント(ヒーローショー、ビンゴ大会、オークション)
・出店、装備特売
・会食(株主のみ)

黒江「うーん」

女「案外普通ですね」

岩村「…マンネリ化してる」

女「てっきり、魔王様とのお試しバトルがあったりするのかと思いました」

骨田「ある訳ないでしょうに」

鎧谷「毎年やるのは課長とのお試しバトルくらいだよ」

犬崎「わん!(よぉし!今年も頑張るぞぉ!)」

女「…え?」

犬崎「わん(今年もこんな感じで行きますか?)」

鎧谷「…一応、100年分の伝統がありますからねぇ」

骨田「それに、このスケジュールってある意味究極型ですよね」

黒江「式典やってカッコつけたあとはお客さん好きに動いてくださいってスタイル、王道ね」

女「どこかに改変点があるかも」

岩村「…変えるとしたら細部くらいか?時間、場所は融通が利かないからな」

鎧谷「何回か中盤ダンジョンでやったり、魔物らしく夜にやったりしたんだけど、あんまりウケが良くなかったですよね?」

黒江「だって相手は人間もいるのよ?深夜の2時に外出したくないだろうし、魔王城以外の施設は予算がないからショボいもん」

女「なるほど…細部変更くらいしかできないんですねぇ」

犬崎「くぅん(では、大筋はこれで決定!細部…まぁイベントの部分です。それを決めましょう)」

鎧谷「とにかく近年やったものはナシですね」

黒江「えーと、ここ最近は…」

・ビンゴ大会
・オークション
・魔王様トークショー
・ドラゴン(営業部長)とのふれ合いイベント
・総合火力演習

女「…総合火力演習?」

黒江「20年前のヤツね。予行のVHSあるわよ」

カチャ

アナウンス『右手上空より参りましたのは、辰川営業部長です』

アナウンス『では、辰川部長による龍火砲をご覧ください。…発射!』

辰川『よっしゃー!ひさしぶりに本気で行くよー!』

ズン!

アナウンス『…3、2、1、…だんちゃーく、今!』

カッ…、ずがあぁぁぁあぁぁあぁ!!!

アナウンス『え、ちょ、大陸が!?た、助けてお母』ブツン…ザー

女「…」

骨田「おー懐かしい。中止になったヤツですよね?」

鎧谷「予行で大陸1つを地図から消しちゃったからね…」

女(お試しでもバトル関係は危険だな…)

黒江「うーむ、どうしたものか…」

女「このヒーローショーってのは最近やってないんですか?」

岩村「ほら、俺達魔物だし」

骨田「ヒーローショーやっても魔物はボコられるだけだし…」

女「…」

犬崎「わん(なにか良い意見はないですか?)」

鎧谷「…うーんうーん」

女(魔物が勝つシナリオねぇ…そうだ!)

女「あのぉ」

犬崎「きゅん(はい?)」

女「ヒーローショーやりましょう!」

鎧谷「だからヒーローショーは…」

女「魔物が勝ってもおかしくないシナリオがあるんですよ!」

黒江「?」

犬崎「わん(…どんなシナリオですか?)」

女「魔物が勝ってもおかしくないシナリオ…それは」

黒江「…」ドキドキ

女「勇者一行と魔王の邂逅です!」

骨田「?」

女「つまり魔王様と初対面時なら勇者一行は完膚無きまでに叩きのめされても問題ないんです」

鎧谷「なるほど。勇者一行が一度魔王に負けるという展開はよくある」

骨田「おかしくはない、ですね」

犬崎「わん(ただ…1つ勘違いがあります)」

女「?」

犬崎「くぅん(魔王は必ずしも勇者に負ける者ではないんです)」

黒江「あんたの言いたいことは分かるけど、魔王が負ける前提なのは人間の考え方よ」

骨田「ヒーローショーはあくまでも勧善懲悪。悪魔が勝っちゃいかんのよ」

犬崎「きゅん(お客様の中には社員の家族もいます。たとえシナリオ上は勝つとしても、負ける未来を孕んでいる時点でNGです)」

女「…ごめんなさい」ショボン

黒江「まぁ魔物には魔物の考え方があるのよ。良い勉強になったと思いなさい!落ち込むな!」ナデナデ

女「…はい」

鎧谷(絶対撫でたいだけだよなぁ)

犬崎「わん(まぁ今年は新入社員もいますし、無難にいきましょう)」

黒江「じゃあ営業部長とのふれ合いイベントで行きますか」

鎧谷「課長のお試しバトルはどうします?」

犬崎「わおん(やりましょう。本気でやらないからお城の中でもできますしね)」

岩村(…魔王城もかなり老朽化してるから怪しいなぁ)

女「…」

黒江「なぁに?まだ落ち込んでるの?」

女「え!?いや、そんなことないです」

黒江「ふぅん」

女(…またドラゴン部長に触れるのかなぁ。怖いけどカッコイいからなぁ。触りたいなぁ)ドキドキ

骨田「あ、ちなみに下っ端の僕と君は魔王城ダンジョンの案内だからね」

女「え!?」

骨田「ちゃんと24年度のマップ覚えてきてね」

女「ええええええ」

…例年通りとなった計画は、滞ることなく承認された

…企画案も通り、施設の工事も着々と進捗した

…結果として、例年より早くお盆休みを迎えることができたのである

【実家】
ミーンミンミンミンミン

女「…」

『打ったー!ライトの頭上を超える大きな当たり!』

チリーン

女「…あっつ」

母親「あんた…年頃の女の子なんだから服装くらい考えなさい」

女「だって…麦茶ヌルい」

母親「タンクトップにパンツ一丁なんて…」

女「今年も日大三高は強いなぁ」

母親「話をすり替えるんじゃないよ」

そして、新入社員は実家でだらけているのであった

『セカンドランナーもホームイン!日大三高この回一挙6点!』

母親「明日はお墓参りに行くわよ」

女「あれ?明日だっけ?」

母親「もう!昨日も言ったじゃない!」

うだるような暑さは日々の意味さえも忘れさせる

明日は墓参り

顔さえも覚えていない父に祈りを捧げる日

女にとってみれば煩わしいものでしかない

母親「忘れないでね。明日の朝早くに出るからね」

女(面倒臭いなぁ)

母親「ほら、シャツとズボンくらい履きなさい」

女「りょうかーい」

翌日…

叩き起こされた女は、寝ぼけ眼で電車に揺られていた

父の墓は電車から見える風景が、ビル群から緑の葉を蓄えた木々にかわってしばらくしたところにある

毎年行っているにも関わらず、女はその景色に物珍しさを覚えるのであった

女「東京にこんなところがあるなんてなぁ」

母親「毎年言ってるわ。それ」

『高尾ー!高尾です。お出口は右側ーです』

母親「降りるわよ」

女「うん」

プシュー

高尾、父が眠るであろう土地…

母は毎年、電車から降りるのを一瞬ためらう

きっと何か思うところがあるのだろう

女が母のような感慨に耽ることはない

しかし、女も電車からの一歩を躊躇する

言い知れぬものを感じるからだ

「予感」

高尾、父が眠るであろう土地…

女はその予感が父と関係しているのだろうと思うほかないのである

【墓地】

母親「やっぱりここからだと東京がよく見えるね…」

女「ここも暑いね」

母親「そりゃ夏だもの」

やや苔が散見される墓に、水が打ちかけられる

母親「さて!キレイキレイにしようか」

女「あれ?この花、それなりに新しいよね?」

母親「…そうね」ゴシゴシ

女「だれかがお供えしたのかなぁ?」ゴシゴシ

母親「…誰かしらねぇ」ゴシゴシ

女「?」

母親「よし!キレイになった!」

女「お供えはいつものでいいの?」

母親「うん。タバコと、お饅頭」

女「…準備完了」

母親「じゃあお祈りしようか」

女「…うん」



???「…」

女「お父さんってどんな人だったの?」

母親「優しかった…。それに強くて、逞しくて」

女「へぇぇ」

母親「でも、むっつりスケベだったわ」

女「どいつもこいつも…」

母親「そしてロリ巨乳好きだったわ」

女「どうしようもねぇ」

母親「結婚したときにね。お部屋の整理してたらエロ本が200冊くらい出てきたの」

女「…うっわ」

母親「ムカついたから全部燃やして、ホモ同人とすり替えておいたの」

女「…それもヒドい」

母親「でもあの人は負けず嫌いだったから、そのホモ同人を使ってオナ」

女「ちょ、もういいやめたまえ」

母親「他にも新婚旅行で、あたしハジメテだったのに毛を…」

女「エロエピソードはもうやめい///!」

母親「なんで?」

女「親のエロ話聞かされる子の身にもなれよ…」

女「まったく…」

母親「それが魔王を…」ボソッ

女「?」

母親「何でもないわ」

女「あたしコンビニいってくるけどなんか飲む?」

母親「ドクペ」

女「母さん…あんた分かってるね。じゃあ行ってくるよ」グッ


タタタタタ


母親「…」

母親「隠れてないで出てきたら?」

???「…姫様」

母親「ひさしぶりね。武田」

武田「お久しゅうございます。相変わらずお元気なようで」

母親「あの花はあなたね?」

武田「はい、4ヶ月前に久々に人間界の者と知り合ったので、人間界に足を運んだついでに、と墓参りを」

母親「知り合ったのはあの子?」

武田「はい。懐かしい臭いがしたのでもしやと思い、調べさせて頂きました」

母親「そう…」

武田「姫様。あの子の職場は…」

母親「知ってるわ。皮肉なモノね」

武田「勇者の子が魔王に仕えるとは…」

母親「ロト紋だけだと思ってたわ」

武田「…」

母親「聴かなかったことにして」

武田「はい」

母親「ロボルーマはまだあるの?」

武田「はい、300年間変わらずに」

母親「兄さんは戦うことはできなかったけど、治世と貿易には長けていたものね」

武田「はい、大戦後は良き世になりました。…姫様が人間界に逃れられてからもう何年ですかな?」

母親「23年。あの子を産んですぐ人間界に転移したから…」

武田「あの頃不完全だった転移技術が生み出した277年の時間差。こうしてあの子に会えるのは奇跡ですね」

母親「武田は老けたわね…。昔はかわいいロリショタだったのに」

武田「なんたって312歳ですからな!」

母親(その割りには老けてないわね…。若返りのヒケツでもあんのかしら)

武田「もう魔界には戻られないのですか?今は目立った争いもなくなり、一部の魔物と人間はてを取り合っています」

母親「そうかしら?」

武田「へ?」

母親「そこに隠れてる魔物もそう考えてるのかしら?」

???「!?」ギクッ

母親「出てきなさい」

???「…なぜ分かった」ヒュン

母親「光学魔法じゃ、姿は消せても気配は消せないもの。武田!」

武田「」ビクッ

母親「あなた…寝返ったわね」

武田「…」

???「仕方ないのです。彼の欲するモノと我々が欲するものが一致した。それだけです」

母親「…欲するもの?」

???「それは秘密です。紹介が遅れました。私、社長秘書及び元十傑集の『金子』と申します」

母親「金子!?」

金子「はい。大戦中に手合わせすることは有りませんでしたが、『夜霞』の名は聞き及んでおられるかと」

母親「なるほど、あなたが…」

金子「『絶対無敵☆ロリ巨乳怪力無双姫みこにゃん』に会えるとは光栄の極みです」

母親「…」

武田「…」

金子「『絶対無敵☆可憐…」

母親「や・め・ろ///!」

武田(やっぱり恥ずかしかったんだ…)

母親「で、今日は何かご用?」

金子「なぁに、散歩ですよ」

武田「…」

母親「隠れて?」

金子「ええ、調べものがてら」

母親「そう」

金子「なるほど、娘さんは勇者のご子息でしたか。なるほどなるほど」

武田「…おい!」

金子「まさかですね。獅子身中の虫…とでも言うべきか」

母親「あんたが何を考えてるのか分からないけど、あの子に手を出したら分かってるわね?」

金子「我が社の社員の素行を調べることはいけないことなのですかな?」

母親「それ以前にあの子は私とあの人の子だよ!」

金子「その通り!その墓の下に埋まっているハズもない勇者の子!その墓には何を隠しているのですかな!」バッ

母親「!?」

武田「や、やめろ!」

金子「衰えた絶対無敵☆ロリ巨乳怪力無双姫みこにゃん、略して『絶姫』では私を止めることなど!」

母親「なめるな!」

ガッ



そのころ女は…

女「やべぇ、冨樫の絵が荒れてきた…。そろそろ休載かな」パラパラ

コンビニで涼んでいた

金子「ぐあっ!」

母親「ぐっ!」

金子「な、なんだと!」

母親「いたた、殴り合いは久しぶりだからなぁ」

武田「…なんと!いや、さすがと言うべきか、姫様は衰えていない!」

金子「『絶姫』…!これほどとは」

武田「大戦中、あの勇者をボコボコにノシて婚約させた女傑…その力はいまだ健在か…!」

母親「この墓には確かにあの人の亡骸は入ってないよ。…でもね、あの人から託された大切なものが入ってるんだよ!」

金子「…なんという気迫!しかし、ここまできて手ぶらで帰るわけには!…!?」

母親「遅いんだよ」

ミシっ…!

金子「ぐえっ…」タパパ

武田「夜霞が血を吐いた!?重い!重い一撃だ…!」

母親「お前はうるさい」ゴン

武田「ぎゃあ」

母親「さぁどうする?」パキポキ

金子(…このままではマズいな)

武田(情報は十分に得た。もう退くべきだ)

金子(しかし、ここで退いたらこの墓に結界を張られるだろう)

母親「どうすると聞いている」ズィ

武田「ひぃ」

金子(会社であの女を調べる方が安全か…。墓の中身はいずれ…)

武田「か、金子!」

金子「帰りますよ」ヒュン

母親「娘をよろしく」

金子「まかせてください。我が社は社員を大切にしますからね」

母親「…変な気を起こしたらただじゃおかないよ」

金子「気をつけます。ではまた…」

母親「もうこなくて良いよ」

武田「…し、失礼しました」

母親「武田!」

武田「はい!」

母親「魔王の味方をするのかい?」

武田「…私はあの大戦の後からずっと求め続けたのです。勇者だけが持つあの力を」

母親「そう」

武田「すみません」タタタタタ

母親「嫌な予感がするわ…」

母親「墓に結界張っとくかな」

女「たらいま~」

母親「遅いよ~」

女「いんやぁすずしかった」

母親「たく!こっちはいろいろ大変だったのに」

女「?」

母親「こっちの話」

女「もう夕暮れだねぇ」

母親「帰ろうか」

女「おかーさん」ギュ

母親「なぁに?甘えて」

女「帰りは美味しいもの食べて帰ろ」ニコニコ

母親「え!?奢り!?」

女「ちょ、え、チガウ!」

母親「いやぁさすが社会人。言うことがチガウ!」

女「こら待て」

母親「あたしは味噌ラーメンにライスにギョウザね」

女「くそぅ…。たかり損ねた」




こうして、女の知らぬところで事件は起こり、そして解決した

お盆休みはもう終わる

仕事に追われる日々が帰ってくるのだ…

【魔王城祭】

女「はい!ルーク地方の魔物のご家族は私がご案内しまーす」

子魔物「わーい」

女「はい、走らなーい」

母魔物「こらたっくん!言うこと聞きなさい!」

子魔物「きゃはは」

女「右手に見えますのは、宝物庫でーす。バリアーが敷設されているので近づかないでくださーい」

爺魔物「ばあさん。なつかしいのう」

婆魔物「そうねぇ。覚えてるかい?あんた、宝物庫でムリヤリあたいを押し倒して…///」 ポッ

爺魔物「ばばばばあさん。こんなところでなにを言うとるんじゃ」

婆魔物「あらやだ。ほほほほ」

女「ははは…」

子魔物「このボタンなーに?」

女「それはトラップだから押しちゃダメよ」

???「…」

子魔物「えー」ポチッ

ガキョン!

女「おわっ!あっぶね!あっぶね!」

母魔物「こらっ!たっくん!すみませんねぇ」

女(先が思いやられる…)

【魔王城ダンジョン】
女「こちらは去年度に新設された落とし穴トラップです」

女魔物「ふかーい」

男魔物「どこまで続いてるんだ?」

女「えーと、地下二階の墓地フロアですね。そこでアルバイトのアンデッド族の方が対応します」

女魔物「アンデッドの方たちはずっと勇者が来るまで待ってるの?」

女「いえシフト制で、2時間ごとに交代しています」

男魔物「時給は?」

女「75Gです」

女魔物「安っ」

女「楽な仕事ですからね。休憩所にはテレビにドリンクバーが付いてますし」

男魔物「ふーん。今度大学のやつに紹介してやろう」

女「アンデッド族のお友達ですか?」

男魔物「いや、生きてるけどアンデッド族に転職するって言ってたから」

女(自殺するんかい)

【魔王城ダンジョン…地下一階】
女「ここは噂に名高い旧玉座の間です」

パシャ!パシャシャ!

男人間「すげー!」

女人間「これがあの魔王が座ってた椅子なのね!」

女「はい、先の大戦で魔族の大将として活躍された先代魔王様の御椅子です」

男魔物「デカいなぁ」

女「先代魔王様はオーガの血が色濃く残っていたので、人型の魔物にしては身体が大きかったそうです」

女魔物「あの…一緒に写真撮っください!」

男人間「あ、いいですよ」

女魔物「やった///」

女「撮りますよ~」

パシャ!

女(魔物と人間が魔王の玉座の前でダブルピース…)

女(シュールだ)

【地下二階…墓地フロア】
女「ではアンデッドの方たちは今日お休みなので、この休憩室で15分間休憩します」

骨田「お疲れさま~」

女「お疲れさまです。そっちも休憩ですか?」

骨田「うん。そっちはどうよ?」

女「大変です。黒江さんの資料が無かったら迷ってますよ」

骨田「えっ?資料なんてあんの?」

女「はい」

骨田「…貰ってないお」グスン

女「…」

子魔物「…」モジモジ

女「どうしたの?」

子魔物「ドリンクバーのジュースのんでいーい?」

女「いいよ」ニコ

子魔物「わぁい」

骨田「…俺も笑顔で慰めてもらいたいなぁ」チラッ

女「…」キッ

骨田「に、睨んでくれた!ふぉおわぉ!」ビビクン!ビクンビクン!

女(ダメだコイツ、早くどうにかしないと…)

骨田「にしても…なつかしいなぁ」

女「?」

骨田「この墓地フロアは僕が学生だったころからあるんだ」

女「へぇ、もしかしてバイトしてたんですか?」

骨田「ご名答。あの頃は時給がもっと安くてさ」

女「今より安いんですか!?」

骨田「まぁ住み込み可で食事も出たからね」

女「じゃあここに住んでたんですね…」

骨田「うん。当時はまだ腐った死体だったんだなぁ」

女「え?はじめからがいこつ兵じゃなかったんですか?」

骨田「違うよぉ!はじめは生きた人間だったし、腐った死体時代にダイエット頑張ったんだよ!」

女「じゃあ腐った肉は…」

骨田「エクササイズで落とした!」

女「…」

骨田「…」

女「今度教えてください」

骨田「やっぱり気にしてたんだね…」

女「き、気にしてなんか無いもん!…やっぱりってなんですか!?」

骨田「い、いやいやなんでもなし」

女「もー!教えてくださいよー!このー」ボカポカ

骨田「あははは!いたいいたい」





???「……ぐぬぬ」

彼女は見ていた…

人陰から、墓碑の陰から、壁の陰から…


???「…」

女・骨田「」キャッキャッウフフ

???「ぐぬぬ」


本来そこに有るべき好感度upイベントが、カルシウム野郎の思い出話により無惨にも潰される様を

彼女は見ていた…


黒江「おのれ…」

黒江「資料だって徹夜して作ったのに…」


ムニュッ

女「きゃっ///」

骨田「ご、ゴメン!///」


黒江「ほぁぁ!?あのカル野郎、どさくさに紛れて私だけのおっぱいを!?」

黒江「許すまじ…」

骨田「ち、違うんだ!事故だよ!」

女「…///」←俯いて赤面してる

骨田「ほほほホントにゴメン」

女「もうっ、良いですよぉ///」

骨田(や、柔らかかった)


黒江「…粛正」ニヤリ

ポチッ

ガコンッ


骨田「ほわぁ!?ああああわぁだあわぁぁアア」

女「落とし穴!?」

骨田「ぁあわあぁぁ…」(フェードアウト)

女「骨田さーん!」


黒江(私が…守ってあげるからねっ☆)キラッ


女「骨田さん…」

女「まぁいいか。そろそろ休憩終わるし、仕事しなきゃ」


その後、女は黒江の資料のおかげで難なくダンジョン案内をこなしたのである

一方…

黒江「ちくしょう…!トイレに行ってる間に見失った」

黒江「もー、時間がないよ!午後からドラゴン部長のお触り会の係員なのにー」キョロキョロ

黒江「あいつに付けた発信機も盗聴器も圏外だし…」

黒江「しくったか…」

???「もし」

黒江「ん?あなたは…」

???「お久しぶりです」

黒江「社長秘書さん?」

金子「金子です」

金子「仕事の調子はどうですか?」

黒江「企画課はぼちぼちやってますよ。…見回りですか?」

金子「ええ、サボってないか見に来ました」

黒江「仕事熱心なことで」

金子「誉め言葉として受け取っておきましょう。…元稀代の才女、黒江さんに少しお時間を頂きたいのですが」

黒江「元?」ピキッ

金子「失礼。稀代の才女、黒江さんに見ていただきたいモノがあります」

黒江「…?」

金子「きっと気に入ると思いますよ」

黒江「…なんですか?」

金子「それは見てからの…お楽しみ」

黒江「…」

【墓地フロア…隠しエレベーター】

ウォンウォン

黒江「…これは人間界の会社のエレベーターじゃないんですね」

金子「…」

黒江「魔界製、それも魔力で動くタイプ。省エネが聞いて呆れるわ」

金子「鋭いですね。必要な箇所には魔力を用いてます」

黒江「にしても、魔王城の地下にこんな隠れたエレベーターがあったなんて…」

金子「…もっと驚くとおもいますよ」ボソッ

黒江「え?」

チンっ…ウイィィン

黒江「な…これは!?」

ゴ ゴ  ゴ ゴ ゴ…

金子「だから、もっと驚くと言ったのです」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ…

黒江「これは…カプセル?水槽?それもスゴい数だわ」

金子「約100平方メートルにギッシリ詰まってます」

黒江「…何かを保存してる?…それとも、研究しているの?」

金子「どちらもYESです。本格的な研究施設はもう一つ地下にあります」

黒江「ここは保管場所ってこと?」

金子「はい」

黒江「これが見せたかったもの?」

金子「いえ、この中身を見せたかったのです」

黒江「…ガラスが曇ってて見えないわ」

金子「待ってください。今、スモークを無くします」ピッ

しゅぅぅぅう…

黒江「…これは!?」

金子「…」

黒江「人間!?」

黒江「これはいったい何?」

金子「見ての通り人間です」

黒江「なんて言うか…まるで生きてるみたい」

???「…」パチリ

黒江「ひっ!?」ボテッ

金子「生きてますよ」

黒江「ななななんでこんなカプセルに人間を!?…まさか、研究対象は人間なの?」

金子「その通り。下のプレートを見ればそれが誰か分かりますよ」

黒江「…タセンブス地方出身、Lv.58?…12期…勇者!?」

金子「そう、勇者です」

黒江「勇者がなぜここに…」

金子「12期ということは288年前の勇者「候補」ですね」

黒江「まさかここにあるカプセル全部に…」

金子「はい。我が社が支援した勇者が生きたまま保存されています」

黒江「こいつは…122期勇者。この顔見覚えがあるわ」

金子「当然でしょう。あなたが企画課に来てからはじめて担当した勇者だ」

黒江「まもる…だったかしら?」

金子「そんな名前にもう意味は無い。大事なのは、彼らが持つ特殊な力だ」

黒江「それはなに?」

金子「それを教えるには条件がある」

黒江「…仲間になれと?」

金子「話が早い」

黒江「社長秘書様がわざわざ呼びつける意味が分かったわ…」

金子「その力…。今はまだ研究段階だが、完成すれば世界を変えられる」

黒江「だいぶ大袈裟な力ね。それをこんなLvが高いだけの人間が持ってるの?」

金子「ええ。正確には、持っている可能性がある」

黒江「なるほど、だからコレだけ「数」を集めたのね」

金子「我々は『牧場』と呼んでいます」

黒江「魔王城で勇者を飼育する牧場…。皮肉ね」

金子「だが、それだけの価値があるのだ」

黒江「で?私にしかできない仕事があるから頼んだんでしょ?」

金子「企画課に人間の女がいるだろう?」

黒江「…!?」

金子「あれを連れて来てほしい。無傷で、彼女の意志で、穏便に」

黒江(なるほど…上役も気づいたようね)

金子「できるか?」

黒江(あの子の持つ力…。やはり勇者と関係がある。だから十傑集でもうかつに手が出せない)

金子「…」

黒江(秘書クラスが動いたということは、もう会社の総意として考えた方がいい)

金子「…?」

黒江(ここは折れて会社の犬になるのが得策)

金子「おい、聞いているのか!」

黒江(でもね…)

金子「?」

金子「分け前はもちろん与えよう!」

金子「勇者が持つ力の一端だ!それがあれば金持ちにもなれる!国の王になることも可能だ!」

黒江「…ふぅん」

金子「さらに、様々な異性にやたらモテる!どうだ!?」

黒江「…ふふ」

金子「…何がおかしい」

黒江「同性にモテないんじゃ意味ないなぁ」

金子「なん…だと…?」

黒江「私はね、一途なの。お気に入りのあの子は渡せないなぁ」

金子「交渉決裂ですか…」

黒江「同性愛をナめるんじゃないわよ!」

金子「ここを見たからには…生きて帰れると思わないことですね」

黒江(…さよなら)

グワァッ

…一方

【中央ホール】
観客「ドヨドヨ」

辰川(ドラゴン部長)「あっ…いやぁ///」

女「…ほぉぉ」

辰川「ふゃん///」

女「この触り心地は…」ナデナデ

辰川「やっ…しょこらめぇ」ビクンビクン

女「ザラザラしてるかと思ったけど…柔らかくてモチモチしてる」サワサワ

辰川「やんっ…やんっ…」ビビクン

女「脇の下とかスゴい…サクサクッとして…キュッてなる」

辰川「ひゃぁぁ!そこらめぇ!ばかになりゅぅぅ」ビビクンビビクン

女「ほぉぉ」

魔王「そ、そろそろやめてあげて」

女「え?」

辰川「ひっひっひ…///」←アヘ顔過呼吸中

女「え?」

魔王「やめてあげて」

女「さて、堪能したから仕事戻ろ」

辰川「もうやだ…娘も息子も来てるのに…」

魔王「安心しろ。誤解なんて100年あれば解ける」

辰川「その間にグレちゃうよ…」

女「最後に一触り!」ナデ

辰川「ふゃぁぁ///」

辰川息子「…」

辰川娘「…」

辰川「まさし!きみこ!?ち、違うんだコレは!」

辰川娘・息子「…」タタタタ!

辰川「まさし!きみこぉぉ!」

魔王(うわぁ…)

女「よし!あとは会場撤収で終わりだ!」

辰川「あぅぅ」

観客「すげぇ…。あの子ドラゴンを触るだけで倒したぞ」

魔王(辰川かわいそうに…。でもゴメン)

魔王(ビデオに撮ったから後でいじめるねっ☆)

会場撤収は予定通り実施された…

女「黒江さんは?」

鎧谷「後半から見えなかったけどサボりかな?ドラゴン部長の受付も結局僕がやったし」

企画課の受け持ちも大方片付いていた

骨田「ほ、ほね…」フラフラ

岩村「…骨田だ」

女(そういえば忘れてた)

犬崎「わん!(今までどこ行ってたんだ!このサボり魔!グズ!カルシウム!)」

骨田「か、隠しダンジョンです」バタリ

岩村「…死んだ」

骨田「もう死んで…ます」

女「…まぁいいか。にしても黒江さん遅いなぁ」

魔王城祭は無事に終わった…

ただ1つ、黒江がいないことを除いて…

翌日…

犬崎「わぉん!(なんだと!急過ぎるだろう!)」

金子「もう既に決定されていたことです」

黒江の異動が企画課に告げられた

どうやら昇進して、地方の事務所で所長になったらしい

大出世だ

女「黒江さんが…」

優しく頼りになる先輩

挨拶も無しに消えてしまった

女は今、渦中にいる

魔族の勇者育成計画、大きな目論みの中にいる

しかし、女はそんなこともつゆ知らず、ただ…ただ悲しい

悲しいのだ

女「黒江さん…」ウルッ

そんな女を後目に、思惑は加速する

【魔王城…会議室】
金子「…まだ始まるまで時間があります。資料に目を通しておいてください」

巨大な怪鳥「…もったいぶるね」

金子「鳥谷さん…落ち着いてください」

犬崎(…)

辰川(落ち着けるわけがない。こうして元十傑集がまた集まるのだからな)

姉川「お待たせぇ」フリフリ

虹色に光る球体「…まだオカマやってるんだ!キモ!」

姉川「あぁ!?サッカーボールにすんぞ?精霊の分際でよぉ!」

虹色に光る球体「色倉って名前がありますぅ!」フワフワ

ケンタウロス?「うるさい。魔王様の前では静かにしろよ」

姉川「あら、牛宮ちゃん」

牛宮「ちゃん付けで呼ぶな。もうじき」

姉川「ケツの穴の小さいお方ね」

金子「さて、全員集まったようですね」

鳥谷「あと2人きてないぜ」

金子「大戦中に死んだじゃないですか」

牛宮「仲間の死すら忘れるとは…悲しい話だ」

鳥谷「あいにく鳥頭なんでね」

姉川「ねぇ、なんで今更あたくしたちを呼んだの?」

金子「それは…」

魔王「私から説明する」

犬崎(元プリンスのお出ましか)

辰川(なにを考えているのやら)

魔王「諸君等に集まって貰ったのは他でもない」

一同「…」

魔王「ある重要なことに付いて意見を交えたい」

一同「…?」

魔王「そのための…会議だ」

金子「それでは、会議を始めます」




   【新入社員の決死圏編…完】

【新入社員より愛を込めて編】

【会議室】
魔王「…」

鳥谷「で?今日はどうして集まったんですか?」

色倉「またビンゴ大会?」

姉川「そういえばあの時当てたPS2、あんたに貸しっぱなしよね?」

色倉「おっし、ビンゴ大会の話やめよう。やめやめ」

姉川「おい」

辰川「…」

金子「本日、元十傑集に集まって貰ったのは(株)魔王城についてです」

犬崎(?)

牛宮「…」

魔王「…先の大戦」

魔王「我々は負けた」

辰川「しかし、あれは…」

魔王「営業部長。あれは負けだよ。先代魔王が死んだ時点でね」

色倉「…」

鳥谷「しかし、勇者を葬り去ることはできました!」

金子「生きている…。いや、新たな形を成して蘇っているとしたら?」

辰川「!?」

犬崎「わん!(何がいいたい!?)」

魔王「本日、君たちを呼んだのは他でもない。この300年間、(株)魔王城が探し求めてきた「勇者」と「その力」についてだ」

金子「こちらをご覧ください」

うぃぃぃん

牛宮「…!?」

姉川「これは…」

金子「…まだスクリーンが出ただけですよ」

姉川「もう!牛ちゃんあわてんぼうっ!」

牛宮「なっ!?べべべつに慌ててなんかねーし!」

魔王「…気を取り直して、VTR!スタートぅ!」

ピッ

「や、らめらよう!」

「ぐへへへ」

「そんなの入らないよぅ」

ぬぷぷ!

「ひゃぁぁ」

辰川「…」

鳥谷「こ、これは…」

魔王「…金子くん?」

金子「す、すみません。間違えました」

犬崎(ショタものか…)

牛宮(金子さんの趣味なんかなぁ…)

魔王「コレが君たちに見せたかったモノだ」ピッ

ブォン

???『…』

鳥谷「…なんだ?何かの研究所のようだが…」

姉川「…」

色倉「水槽がたくさんあるね~。何を飼ってるのやら」

金子「勇者候補ですよ」

犬崎「くぅん?(なんだと?)」

金子「先の大戦から300年間、我々魔王軍は敗戦の原因を追求しました」

牛宮「…」

金子「物量、質、戦術…。そのどれもが上回っていたとの見解が強い」

金子「にもかかわらず」

魔王「負けた」

辰川「他に原因があると?」

魔王「その通り。そこで我々が焦点を当てたのが、勇者の力だ」

金子「先の大戦でたびたび不可解な現象があったことを覚えていますか?」

牛宮「ロボルーマ攻略戦、プーホの戦い、タスンブセにおける魔神召還…とか、か?」

金子「その通り、最たる例を挙げるならその三点。これらの共通点は…」

姉川「どれも圧倒的戦力差でありながら失敗に終わってる」

色倉「それに、全部勇者が関わってるね」

金子「そうなんです。どんなに綿密な計画を立てたとしても、ことごとく勇者により失敗に追いやられているのです」

犬崎「わん(偶然じゃないのか?)」

金子「偶然が三度も続きますか?ありえませんよ」

鳥谷「勇者が強かったとか?」

金子「それも考えました。しかし当時の資料を見る限り、勇者はどの段階においても平均Lvを下回っています」

犬崎「わふん?(Lv以外の要素が関係していると?)」

金子「…我々はそう考えます。そしてそれを突き止めるために」

辰川「勇者を培養液で満たされた水槽の中に沈めて研究しているわけか」

魔王「そうだ。そしてそれが、魔王城が株式会社として存在する理由だ」

犬崎「わん!(ちょっと待ってください。では、我々企画課が支援した勇者たちは…)」

魔王「あの水槽の中で元気に生きておる。…もう人としての意識は無いがな」

犬崎「わぉん!(勇者支援は地域活性化と伝統文化の保存を目的としているのではなかったのですか?)」

魔王「…」

犬崎「わん!(社長!あの戦争を繰り返さないためのガス抜きでは無かったのか!?)」

辰川「犬崎、落ち着け」

魔王「ガス抜き…という点は合っている」

姉川「?」

魔王「研究成果が出ないうちにまた戦争になれば、我々に勝ち目は無かった」

辰川「…勝つとか負けるとか、社長はまた戦争がしたいのか?」

魔王「…戦争はまだ終わっていない。大火は消え失せたがまだくすぶっている」

牛宮「…」

魔王「火種はいつ燃えるか分からない。備えねばならんのだ」

犬崎「わん…!(その備えが勇者を水槽に閉じ込めて研究することなのですか…!)」

魔王「そうだ。…我々魔族は二度と負けるわけにはいかん」

犬崎「くぅん(また戦争をしようというのか…)」

魔王「…」

犬崎「わん(…私には人間に友がいる。この場は退席させてもらう)」タタタ

辰川「待たんか犬崎!」

魔王「よい。300年ものあいだ隠していたワシも悪い」

金子「それにこの会議は十傑集の方々の賛同を得るために開いたものです」

魔王「犬崎が賛同せぬならそれもよい」

鳥谷「…何についての賛同ですか?勇者に対する非人道的な研究について?」

色倉「…それだけじゃないんでしょ?」

金子「さすが十傑集。話が早い。そうです。研究についての理解など今更いらないのです」

魔王「今回、君たちの賛同を得たいのは…」

牛宮「戦争」

魔王「そう。戦争だ」

鳥谷「…戦争か!」ブルッ

色倉「ビビってんの?」

鳥谷「武者震いだよ。デスクワークは飽きてたんだ」

金子(この人に経理部長を任せたのは失敗だったかな…?)

牛宮「だいたい、まともに利益も上がらないような我が社に、今から戦争できる資金なんてあるのか?」

鳥谷「知らん!経理の仕事は全部手下にやらせている!」

色倉「あちゃぁ」

金子(…まぁその鳥頭のおかげで、研究に資金をまわせたのですがね)

魔王「軍資金はある。いや、捻出しよう」

辰川「アテがあるのか?」

魔王「来月、緊急株主総会を行う」

金子「そこで、追加融資を頼みます」

なろうってなんだ!
こんなろう!

【審議中】
    ∧,,∧  ∧,,∧
 ∧ (´・ω・) (・ω・`) ∧∧
( ´・ω) U) ( つと ノ(ω・` )
| U (  ´・) (・`  ) と ノ

 u-u (l    ) (   ノu-u
     `u-u'. `u-u'

今書いてて気付いたんだが

犬崎(柴犬)
姉川(大魔導師)
金子(吸血鬼)
辰川(ドラゴン)
色倉(精霊)
牛宮(ミノタウロス)
鳥谷(コカトリス)
???(鳥谷があと2人来てないと発言)
???

9人しかいねぇ…
数間違えた

牛宮「戦争のための追加融資なんて頼めますかな?」

魔王「安心して欲しい。出資者も勇者の力を求めている。戦争が最終調整だと言えば飛びつくだろう」

辰川(株主は研究のことを知っているのか…)

色倉(僕ら十傑集には秘密にしてたのにね…)

鳥谷「よし、よし!金の問題もない!今度こそ人間どもを根絶やしにしてくれる!」

辰川(株主のほとんどが人間がなんだがなぁ…。鳥谷は昔から変わらん)

姉川「なるほど、あとは戦う連中の理解。魔王軍の長である我々十傑集の同意が欲しいわけね」

金子「その通りです」

姉川「断るわ」

金子「なんですと?」

辰川「私も断る」

金子「なぜ?」

姉川「お店開けなきゃいけないし」

辰川「子持ちに戦争させる気かい?」

金子「そんな些末な理由で…」

魔王「よせ。身勝手を言っているのはこっちだ」

色倉「つーか、全員の同意を得なくてもやるんでしょ?」

魔王「その通り」

辰川「私と営業部は参加しないぞ」

魔王「…いいよ。勇者の力があればなんとかなる。ただ…」

姉川「分かってるわ。邪魔はしない」

金子(いいのですか?あの女を研究対象にすることが大前提でしょう?)

魔王(それはなんとでもなる)

牛宮「私は魔王様の意志に従おう」

鳥谷「俺もだ」

色倉「僕もいいよ。面白そうだし」

金子「過半数いただければ十分です。事後の指示は追って伝えます」

色倉(…魔王の真意も中にいる方が伺えそうだしね)

魔王「では、会議はこれにて閉幕。忙しいところすまなかった」

辰川「…」



金子「犬崎、辰川、姉川の離反…。予想通りでしたね」

魔王「…うむ」

金子「処分は?」

魔王「今は何もしなくていい。妨害するなら…停職、減給、免職」

金子「…」

魔王「嘘だよ。300年の計画は邪魔させない。妨害してきたその時は全員、私の手で…殺す」

金子「それでこそ魔王です」

魔王(魔王か…。社長というぬるま湯に浸かっている方が幸せだったかもな)

金子「では『勇者体質保持者』を回収し、実験を最終段階に移行させます」

魔王「ああ、早急に頼む。私は株主総会の準備を進める」

金子「御意」シュン!




魔王「たっちゃん…」

魔王「頼むから邪魔しないでくれよ…」

【廊下】

金子(クックック)

金子(私が殺す…か。笑ってしまいますね)

金子(この300年。魔王城で最も平和ボケしたあなたがその台詞を吐くとは)

金子(唯一無二の友人である辰川、そしてその部下…。優しすぎるあなたに、殺せるハズがない)

金子(所詮、「魔王」という肩書き上、仕方なく執り行った計画だからな…)

金子(先代魔王の遺言の中にあった勇者の力の解明)

金子(親の仇も、300年で大分風化するものですね)

金子(しかし、私の計画が終わるまでは、「魔王」で頂きますよ)

ギィィ

【研究所】

金子「そう、私の計画が終わるまではね…」

???『…』

【営業部長室】
辰川「…と、いうことだ」

犬崎「わん(今更、人間と決着をつけて何になるというのだ)」

辰川「やつにとって、人間は親父の仇だからな。それに…」

犬崎「…」

辰川「「魔王」だからな。ある意味宿命かもしれん」

犬崎「わふん(宿命…)」

辰川「とりあえず、当面は営業部でやることがない」

犬崎「くぅん(今までの業務が、戦争の準備や隠れ蓑と分かってしまったからな)」

辰川「…そのことは営業部の連中には隠しておきたい」

犬崎「わん(分かった)」

辰川「さて、やること無いなぁ。有給残ってる?」

犬崎「わんわん!(使わせてくれなかったのはお前だろう!)」

辰川「うーん。営業部で社員旅行でも行くかぁ」

犬崎「くぅん(混浴がいい!)」

辰川「…まだ温泉って決まったわけじゃねぇよ」

【企画課オフィス】
犬崎「くぅん(と、いうことでしばらく社の方針転換にともない、営業部は開店休業ということとなりました)」

女「?」

骨田「それってどういうことなんですか?」

鎧谷「仕事がないってことだよ」

岩村「…いるだけで金が貰える?」

女「…マジですか?」

鎧谷「…漫画読み放題?」

骨田「…彼女も出来て宝くじも当たる?」

犬崎「わん!(書類整理したり社内の掃除とかはできるだろう!怠けることばかり考えおって!このカルシウム!ホネ!骨粗鬆症!)」

鎧谷「いい加減にしろ」

岩村「…入社何年目だコラ」

骨田「えー。………」チラッ

女「まぁ元気出して!ね!」

骨田「あ、そういう優しいのは求めてないわ」

女「おい」

犬崎「わん!(それに仕事が無いわけではないのです)」サッ

女「なになに?「社員旅行の企画」?」

犬崎「わんわん(その通り!営業部長の案で、暇なら社員旅行に行って親睦を深めようということです)」

鎧谷「いいですねぇ。なになに…統一有給で営業部全員参加。期間は概ね3泊4日を予定ねぇ」

岩村「…結構長いな」

骨田「温泉なんてどうですか?混浴で!」

岩村「…死ね?」

鎧谷「おまえ炭酸温泉10時間耐久入浴確定な」

女「混浴とかセクハラです。そういう考えに至るだけでもヤバい。魔物性を疑う。社会人としてあるまじき存在」

骨田「ひぐぅ///」ビクンビクンプシャァァ

犬崎「…」

女「課長もなんか言ってやってください」

犬崎「くぅん(いや、うん。なんかごめんね)」

女「ん?」

犬崎「くん(本当にごめん)」

【昼休み:魔王城近所のマクドナルド】

女「私、先に頼んじゃいますね」

岩村「…鎧谷の言う遊園地案は難しくないか?」

骨田「えー?女の子とか楽しめそうですけど」

女「てりやきバーガーのセット。飲み物はジンジャーエール。サイズは両方L」

鎧谷「…そうすね。やはり温泉が無難ですよね」

犬崎「わん(確かにネズニーランドも有りだよ。でも予算の関係もあるし、何より楽しめる人が限られる)」

骨田「みんなが楽しめるってのは難しいですね」

女「それと、アップルパイとベーコンポテトパイとシャカシャカチキンと」

岩村「…スポーツは?」

鎧谷「まだ10月ですよ?スポーツは時期的に中途半端ですよ」

犬崎「わん(登山とかはアリかもしれませんね。さすがに3日間も温泉は飽きるし)」

女「あとフィレオフィッシュ3つと」

一同「ちょっと待て」

女「あい?」

犬崎「わん(そんなに食べれるの?)」

女「はい」

骨田(栄養が乳に行くわけだ…)

【マクドナルド2Fテラス席】

鎧谷「山登りかぁ」

女「運動したあとの温泉とか気持ちよさそう」モグモグ

犬崎「わん(そうですね。果物狩りとかもやったら面白いかも)」

岩村「…梨とか食べたいなぁ」

骨田「岩村さん。鉄巨人なのに梨とか食べれるんですか?」

岩村「…その物質の生物エネルギーを吸収するから大丈夫」

女「じゃあハンバーガー食べます?」モグモグ

岩村「…あ、俺、ベジタリアンだから」

鎧谷(草食系男子だったのか…)

岩村「…鉱石も食べるけど」

骨田(だからいつもおにぎりの具が石ころだったのか…イジメられてるのかと思った)

犬崎「わん?(あれ?この前プリン食べてませんでした?)」

岩村「…甘いモノは別腹」

女「ですよね~」モグモグ

骨田・鎧谷(岩村さんがますます分からない…)

犬崎「わふ(いやぁマクドと言ったらやっぱりチーズバーガーですね)」モグモグ

鎧谷「え?」

骨田「いまなんと?」

犬崎「わん(チーズバーガー…)」

骨田「いやその前です。マクドって」

鎧谷「あー犬崎課長。タスンブセ出身ですもんね」

犬崎「わん!(な、なんですか!いーじゃないですか!マクドで!マクドマクド!)」

骨田「あはは。普通言いませんよー」

鎧谷「基本マナルですよね」

一同「…え?」

鎧谷「え?」

女「…マック」

鎧谷「ええ!?」

犬崎「わん(下ネタとかヒきますわ)」

女「ひどい」

鎧谷「ええー」

岩村(…こいつも案外墓穴掘るな)

鎧谷「さて、本題に移りましょう」

骨田「…マナル」プスー

鎧谷「…ぐぬ。旅行なんですが、やっぱり温泉がベターだと思うんです」

犬崎「わん(そうだね。経費も良心的だし、オプションも付けられる)」

岩村「…登山、買い物、果物狩り、BBQ、こんくらいか」

女「2日目で登山関係、3日目で周辺で買い物、飲み会みたいな感じにすればスムーズにいきそうですね」

犬崎「わん(そうですね。初日と最終日は一応移動日と考えておきましょう)」

鎧谷「ふむふむ、そう考えると条件に合致するのは…」カタカタ

骨田「近場が良いなぁ」

鎧谷「検索出ました…まぁ遠くもないかな。近くもないけど」

女「どこが出たんですか?」

鎧谷「トイライハ地方のタスキラ山だね。標高800m、中腹にブドウ園がある」

骨田「BBQできるところはあるんですか?」

鎧谷「川が流れていて、そこにキャンプができるスペースがある。日帰りのBBQもできるでしょ」

岩村「…トイライハなら温泉は大丈夫そうだな。あそこはそれが「売り」だし」

犬崎「わん(うむうむ。しっかり合致してますね)」

鎧谷「そろそろ昼休みも終わる時間だ。細部は社に戻ってから見てみましょうよ」

犬崎「くぅん(よし、帰ろうか)」

女「あーん。まだチキンナゲット食べ終わってないですよぅ」

骨田(すげえ…。ニワトリ1羽分はあるぜ)

【企画課オフィス】

鎧谷「じゃあ文章にしておきますね」

犬崎「わん(お願いします)」

女「はぁ…」

骨田「どうしたの?」

岩村「…食い足りなかったか?」

女「人を食いしん坊みたいに言わないでください」

岩村「どの口が言うか」

骨田「また黒江さんのこと考えてたんでしょ?」

女「はい…。どうしてるのかなぁって」

犬崎「くぅん(転勤してから何も連絡が無いですからね)」

鎧谷「まぁあの人ならうまくやってるでしょ」

女「そうだといいなぁ…」

骨田「うんうん」

その後、営業部長に旅行計画が提出された

辰川「結局、温泉に落ち着いたのね」

犬崎「わん(ああ)」

辰川「混浴じゃないじゃん。残念」

犬崎「わん(こ、混浴とかセクハラだ!そういう考えに至るだけでもヤバい。魔物性を疑う。社会人としてあるまじき存在!)」

辰川「涙目になりながらなに言ってんの」

計画は滞りなく承諾された

期間:10/5~10/9
場所:トイライハ地方トスキラ山
宿泊先:トスキラ魔物温泉「魔界の里」
参加者:営業部全員
会費:2500G(+α)

犬崎「わん(こんな感じ)」

辰川「了解」

犬崎「わん(ちなみに、企画名は決まっている)」

辰川「?」

犬崎「わんわん!(名付けて、『ドキドキ!秋のムフフな温泉旅行!(ポロリもあるよ)』!)」

辰川「…」

犬崎「…」

辰川「センスを疑う」

犬崎「!?」ガーン



【社長室】

金子「営業部は社員旅行に行くようです」

魔王「辰川なりの気遣いか」

金子「それに、営業部の社員を手の届くところに置いておくつもりも有るのでしょう」

魔王「温泉かぁ」

金子「社長。ある意味チャンスです」

魔王「分かっている。この旅行に乗じてあの子を押さえる」

金子「人選は?」

魔王「営業部にお前の部下を潜り込ませていただろう?使えるか?」

金子「はい」

魔王「分かった。やれ」

金子「御意」シュン




魔王「…」

魔王「温泉か…」

魔王「混浴かなぁ…」

計画通りなら旅行は1ヶ月後…

その間、勇者の力をめぐる思惑はより深みを増していく

先の大戦で、天下を分けたとされる勇者の力

その胎動が試験官の中でこだまする

混浴は…

ない

犬崎「わん!(なんだと!)」

魔王「ありえない…」

骨田「ひくわ」

「混浴とかセクハラです。そういう考えに至るだけでもヤバい。魔物性を疑う。社会人としてあるまじき存在」

余談だが、筆者は混浴でおばあちゃんと一緒に入った夢を見たことがある

朝立ちしていたのは内緒だ




【新入社員より愛を込めて編…完】

【濡れた黒薔薇~ダメだと分かっていてもつい手がのびちゃうの~編】

クチュン…クチュ

黒江「は…ん///」

静かな教室の中で濡れた声がこだまする。
それは静寂の中で一際目立ち、声を出した彼女自身をも驚かせ、手を止めさせた。

黒江(す、少し声が大きかったかな?)

彼女が心配するのも無理は無い。
夕方の下校時間を過ぎたとは言え、校舎から人の気配が絶えないからだ。

黒江(でも…もう少しだけ…)

学校では本来行われるべきでは無い行為。頭で分かっていても、体が言うことをきかない。
というよりも、むしろ…

クチュ…

黒江(んん…ひゃぁ)

頭でも理解している

クチュ…クチュン…クチュンクチュ

黒江(ひゃぁ…やめ、声れちゃう)

この快楽に溺れる上で、『校舎で行うべきではない』などという倫理観、背徳感は…

黒江(ひゃっや、や、やぁ///)

もはや味を引き立てるスパイス以外の意味をなさなくなっていた。

黒江(ら、らめだ。この角っこヤバいよ。ぴったしだ。)

丸みを帯びた机の角に、パンツの上から秘裂を押し付ける。そしてゆっくりと腰を動かす。

黒江(ちょうど…ここ…!?)クリッ

黒江「ひゃ///!」ビクッ

黒江(しまった…声出ちった)ビクッビクッ

まだ幼い彼女は隠核の存在を知らない。しかし、本能的には分かるのだ。
ここが一番快楽を際立たせ、より深みへといざなう装置であることを、彼女なりに理解しているのだ。

黒江(…もう一回だけやろぉ)クニックニッ

黒江「ん…んん…はぁ」

真一文字に占めた口端から吐息が漏れる。我慢することはもう叶わない。

黒江「んっんっんっ…///」

腰の動きは自然と加速する

黒江「んんっ!は…ん///」ヒクンヒクン

コツッ…コツッ…コツッ

黒江「!?」

ササッ

ガラッ

先生「誰かいるのか~」

黒江「……」

先生「おかしいな…」

コツッ…コツッ…コツッ…コツッ…

黒江「ふぅ…びっくりした」

陰部から愛液が股を伝う。
まるで舐められてるようだと黒江は思った。

黒江「ドキドキしたけど…」

邪魔が入ったことで興ざめしたはずだった。しかし、依然として下腹部は熱い。

黒江(見られてるみたいで…気持ち良かったかも)

それが彼女が本心なのか。それは彼女にも分からなかった。
しかし、今は快楽を優先せざるを得なかった。

黒江「はぁ…はぁっ」

何時間が過ぎただろうか。
快楽は時間を忘れさせる。

黒江「うぁ…」ビクッ

彼女も何回果てたか分からなくなっていた。
分かるのは、刻々と体力の限界が迫ってきていることだけだ。

黒江「これで、ラ…スト…!」クリッ

プシャァ

黒江「はぁ…ん…はぁ…」

彼女は腰が抜けてその場に座り込むようにおちてしまった。
気付くと時間は19時を回っており、外もすでに日が落ちて暗かった。

黒江「そんなに熱中してたのか///」

周りも見えなくなるくらいに没頭していたことに気恥ずかしさを覚え、彼女は赤面した。

黒江「…か、帰ろっ///」

夕日さえも届かない教室は暗い。
そんな中、机の端で街灯に照らされてキラキラ光る愛液は、ただただ純粋に綺麗であった。

【企画課オフィス】

女「「月灯りでテラテラ光るバイブに吸い寄せられるように彼女は…」ふ、ふぉぉ…」

骨田「ちょっ、返してよぉ」

女「いやもうちょっと」

骨田「もー、黒江さん来たらどうすんのさ」

黒江「呼んだ?」

骨田「!?」ビクッ

女「くくくく黒江さん!?会議に行ったんじゃ」

黒江「忘れ物よ。…何読んでんの?」パシッ

女「あっ」

骨田「あー!!待って!!」

黒江「黒江「いやぁ///。バイブなのに、奥でコツコツいって気持ちいいのぉ///」」

女「…」

骨田「あー」

黒江「…」スッ

骨田「…すんません」

黒江「会議から帰ったら反省な?」

骨田「…はい」

【会議後:反省室】

黒江「正座しろ」

骨田「はい」

黒江「なんだこれは」

骨田「大学時代の同級生に黒江さんのこと話したら…」

黒江「こういう同人が帰ってきたのか?」

骨田「…はい」

黒江「売ったのか?」

骨田「冬コミでオリジナル作品として売ったそうです」

黒江「売れたのか?」

骨田「それなり…らしいです」

黒江「…」パラパラ

骨田「…すませんっ」

黒江「明日までにお前とドラゴン部長のホモ同人書いてこないと殺すからな?」

骨田「ええ!?」

黒江「それ、ドラゴン部長に提出するから」

骨田「ええ~」

黒江「じゃあな」

ガチャッ



骨田「ええ~」





ある日の平和な企画課でした


【濡れた黒薔薇~ダメだと分かっていてもつい手がのびちゃうの~編…完】

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