銀時「……ヒロインNo.1決定戦?」(933)
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某日、万事屋
TV『みなさんのおかげで……ここまでやってこれて……』
銀時「…………」
新八「銀さん、何見てるんですか?」
銀時「何かアイドルの総選挙……アレだ、最近よく出てる無駄に人数の多い……」
新八「アイドルの選挙……あー、A○B48ですか?何かたまに人気投票みたいなことやってますよね」
銀時「これやり方が汚くね?何なの、CD一枚につき投票権一枚とか」
銀時「もう買い手から搾れるだけ搾り取ろうって魂胆が丸見えだよね」
新八「まあまあ……これも一つの売上を伸ばす作戦なんですよ」
新八「でも凄いですよね、一人で千枚以上のCDを買う人もいるらしいですよ?」
銀時「いや、カード付きスナック然りおまけで客を釣るってのは昔からあるやり方だけどよ……」
銀時「これはさすがに……あ、銀魂もそうすりゃいくね?DVDとBDに投票権みてーな」
新八「いや、もう人気投票とかジャンプでやってるじゃないですか」
銀時「あーそうだ忘れてたわ、ぱっつぁん三回連続ミラクル8位だったな、俺は1位だったけど」
新八「はっ倒しますよアンタ」
ジリリリリ ジリリリリ
新八「っと……はい、万事屋ですけど……姉上?どうしたんですか?」
新八「はっ……え?ちょ、なんで……」
ブツッ ツーツーツー
銀時「何だぱっつぁん、あのゴリラ女が何か言ってきたか?」
新八「いや……銀さんと一緒にすぐ来い、だそうです」
銀時「あぁ?なんで?」
新八「いや、分からないですけど……とにかくすぐ来るように、だそうです」
銀時「いいよめんどくせー、どうせロクなことじゃねーだろ」
新八「絶対に連れてきてって言われたんで……すいません銀さん、ちょっとだけお願いします」
銀時「…………」
第?訓『女って基本めんどくさい』
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新八宅
妙「ヒロインNo.1決定戦をしましょう」
銀時「…………」
新八「…………」
銀時「…………は?」
妙「だから、ヒロインNo.1決定戦をしましょうってことです」
銀時「新八、お前の姉貴はまだ頭ん中がアナログだ、早く地デジにしてやれよ」
新八「いや……うちはちゃんと地デジですよ」
銀時「だっておかしいもの、地デジ化してたらこんなおかしな電波拾わないもの」
妙「本当はこんなことしなくてもいいんですけどね?ヒロインは私って決まってるし」
妙「でも……せっかくだったら投票みたいなちゃんとした方法で決めたいじゃないですか」
銀時「……投票?」
銀時『コイツ絶対さっきの総選挙見てたよ、めんどくせー感情がパイルダーオンしちゃってるよ』
新八『どうすんですか銀さん、姉上は一回言いだしたらなかなか止まりませんよ?』
銀時『落ち着け新八……まだ慌てるような時間じゃねェ、何とかなる』
銀時「総選挙だか決定戦だか知らねーけどよ、そんなモンに参加する奴なんざいねーだろ」
銀時「誰も参加しないならその選挙自体が開催できねェじゃねーか」
妙「……そうかもしれないわね、ヒロインのポジションを私と争って勝てる人なんていないものね」
銀時(……思ったよか簡単に乗ってきたな)
銀時「はい、この話はここで終了っと……じゃあ俺ァもう帰らせて…」
ガラッ!!
あやめ「話は聞かせてもらったわ!そのNo.1ヒロイン決定戦に当然私も……」
銀時「ホワタアァァァァァァァ!!」
あやめ「へぶっ!?」
銀時『新八!めんどくせーことになる前に早く襖を閉めろ!』
新八『は、はいっ!』
ピシャッ!
妙「あら、今……誰か来なかったかしら?」
銀時「え、誰かいた?ぱっつぁん、誰もいなかったよな?」
新八「え、ええ姉上!誰も来てませんよ!」
妙「そう、ならいいんだけど……」
あやめ「よくないわよ」
妙「あら……いたのね」
銀時(しまったァァァ!襖を閉じたら天井から来やがったァァァ!!)
あやめ「ちょっとお妙さん!あなた、この私を差し置いてヒロインを気取るなんておかしくない?」
妙「あら、あなたみたいな変態キャラでもヒロインにはなりたいのね」
妙「でもごめんなさい、先にも言ったけどあなたはヒロインって言うより変態の色物キャラなの」
あやめ「なっ……!」
妙「本人の希望だけじゃどうしようもないわよね、そういうキャラ設定なんだし」
あやめ「…………」イラッ
あやめ「……言ってくれるわね、むしろ私はお妙さんにヒロインの資格があるのか疑問なんだけれど」
お妙「……?」
あやめ「あなた、ヒロインを気取るわりにはロクに銀さんにデレてないわよね?」
あやめ「そのくせやたら銀さんを見下したり殴りつけたり……何なの?それがヒロインのすること?」
あやめ「あなたみたいなキャラを世間では似非ヒロインと呼ぶのよ」
お妙「…………」イラッ
新八「銀さんヤバいです、何かいきなりドロドロした女の争いが始まってるんですけど」
銀時「少なくともヒロイン語る輩が踏み込んでいいレベルの争いじゃねーよコレは」
妙「じゃあいいわ、この際だし主役に決め手もらいましょう」
銀時「は?」
あやめ「そうね、それがいいわ」
銀時「いやよくないからね、一ミリもよくないからね」
妙「ねえ銀さん……当然、ヒロインにふさわしいのは私よね、こんな雌豚より」
銀時(半分脅しにかかってっけど!?何この見えないプレッシャー!)
あやめ「雌ゴリラなんてヒロインには相応しくないわ、銀さんは豚肉派よね?」
銀時(コイツに至っては何の話!?つーかもうどっちもヒロインの器じゃねーよ!)
ガラッ!
神楽「ちょっと待ってヨ姉御!」
銀時「!?」
妙「あら神楽ちゃん、ダメよ、これは子供のあなたが入ってきていい領域じゃないわ」
神楽「ズルいネ!私だって銀魂のヒロインになりたいアル!」
銀時「なに言っちゃってんの神楽ちゃぁん!?これ以上場をひっかき回さないで!?」
妙「でもね……ヒロインにしては年齢が幼すぎるし……」
神楽「でも私、この中じゃ一番活躍してるし人気投票も一番上アル!」
妙「!」
あやめ「言われてみれば……」
銀時「オイ止めろっつってんだろ!これ以上人数増やしてごちゃごちゃした状況にすんな!」
妙「ごめんなさいね神楽ちゃん、あなたもヒロイン候補の一人だったのね……」
妙「分かったわ、神楽ちゃんも私たちと同じ位置に立ってると認めるわね」
神楽「さっすが姉御ネ!話が通じるアル!」
銀時「俺の話は全然通じてないんだけど!?」
あやめ「まあいいわ、銀さんが私を選ぶのは変わらないし」
妙「それで……銀さん、私たちの誰がヒロインなんですか?」
銀時「テメーらの茶番に付き合ってられるかァァァ!!」ダッ
新八「あっ!銀さん!?」
妙「逃がすかァァァ!」
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かぶき町
銀時「はあっ……はあっ……ま、撒いたか……」
銀時(くそ、ああいう女にゃ付き合ってられねェ……)
銀時「しばらくはどっかに隠れとかねーと……ってやべ、躓い……!」
ムニュ
銀時「…………」
銀時(……あれ、コケそうになって伸ばした手の先に伝わるこの感触は?)
月詠「…………っ!」
銀時「何……だと……!」
月詠「何さらしとんじゃあぁっ!!」ドゴガッ!!
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月詠「……そうか、それで逃げて回って疲れていたと…それはすまないことをしたな」
銀時「いや……いいけどね、お前はそういうキャラだって分かってるから」
月詠「しかし……ヒロインか、どうでもいいことで必死になるものじゃな」
銀時「意地張った男ってのはめんどくせー生き物だけどよ、女も大概だな……じゃ、俺ァ行くぜ」
月詠「待ちなんし、どこへ行く気じゃ?なんなら吉原で匿ってやるぞ?」
銀時「心遣いはありがてーが吉原はな……あそこじゃ誰に見られるか分からねェ」
月詠「そうか……なら、くれぐれも見つからぬよう気をつけるんじゃな」
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神楽「銀ちゃんどこ行ったアルか?」
妙「まだこの辺にいるはずよ、手分けして探しましょう」
あやめ「……ちょ、二人とも!あれってツッキーじゃない?」
月詠「ぬしらか……」
妙「本当だわ、お久しぶりね……で…いきなりで悪いんだけど、あの天然パーマを見なかったかしら?」
月詠「ああ……あの焼け野原ならどこへと走っていったな、何でもぬしらから逃げ回っているとかで」
妙「それで……銀さんはどこへ?」
月詠「さあ……すまんが、そこまではわっちも知らんな」
神楽「でもツッキーが銀ちゃんと会ったってことはやっぱりこの辺にいるってことアル」
妙「そうね……見つけるのも時間の問題かしら」
月詠「ぬしらも必死じゃな……ま、わっちには関係ないが」
あやめ「…………あれ、ツッキーまたそういうポジション?」
月詠「?」
あやめ「なまじ人気があるくせにこのヒロイン決定戦には加わらないつもり?」
月詠「いや、わっちはそんなものに興味が……」
あやめ「そういうのってズルいわよね、それじゃ仮に誰が一位になったとしても」
『へー、アイツがヒロインになったんだ……まあ私が参戦してれば一位は確実だったけど』
あやめ「みたいな言い訳が通っちゃうじゃない!」
月詠「何の話をしとるんじゃさっきから!」
妙「そうね……それも何だかズルいわね」
神楽「ツッキーも一緒にヒロイン目指すアル!誰が勝っても文句は無しネ」
月詠「いや……しかしわっちは……」
あやめ「年賀状回とバレンタイン回でそれっぽいことしときながら今更言い訳してんじゃないわよ!」
月詠「あっ……あれは……!」
妙「決まりね、さあ……一緒に行きましょうか」
月詠「…………」
月詠(何でこんなことに……)
銀八「と、まあこんな感じで話は進みますけど今日はこの辺りで終わっときます」
銀八「何がやりたいかってことがちょっとでも分かってもらえりゃそれでいいんで……」
銀八「こっちは時間気にしないでのんびり書けるんで多分グダグダしながら続けます、はい」
銀魂クロス書いた人?
>>27
お久しぶりです
再開します
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銀時「ったく、なんでこんな苦労しなきゃならねーんだ……オヤジ、団子もう一本頼むわ」モグモグ
オヤジ「ヘヘッ、よく分からねーがダンナも色々と大変だね、とりあえずはウチでたらふく食ってってくんな」
銀時「どさくさに紛れて売り上げ伸ばそうとしてねーか?」
「すまない、こちらにも団子を一つ追加してもらえるか?」
オヤジ「ヘイ毎度!」
銀時「ん?」モグモグ
九兵衛「む?」モグモグ
銀時「……お前、なんでここにいんの?」モグモグ
九兵衛「団子屋にいる理由など団子を食べにきた以外にないだろう」モグモグ
銀時「いや……てっきり俺を捕まえにでも来たのかと思ってよ」
九兵衛「なんだ、また君は何かしでかしたのか」
銀時「俺ァなにもしてねーぞ、むしろ馬鹿な女の争いに巻き込まれた被害者だからね」
九兵衛「……どういうことだ?」
銀時「…………」
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九兵衛「ひ、ヒロイン決定戦……!」
銀時「そうそう、どこで決定戦やろうが知ったこっちゃねーが人を巻き込むなってんだ」
九兵衛「それには……お妙ちゃんも参加しているのか?」
銀時「むしろあの馬鹿が言い出したんだよ、テメーからも言ってやれよ、くだらねェことはやめろって」
九兵衛「そんな……もしお妙ちゃんがヒロインになれば……君と将来を共にするのか!」
銀時「…………」
銀時「え……ちょ、え?なに言ってんの九兵衛くん?」
九兵衛「そんなことになれば……お妙ちゃんと僕が一緒にいられなくなる、それは絶対に……」
銀時「ねえ聞いてる?そんなことないって言ってるんだけど?」
九兵衛「ダメだ!お妙ちゃんがヒロインになるくらいなら僕がヒロインになる!」
銀時「なんでだァァァァァ!?」
銀時「オイィィィ!!馬鹿なの?馬鹿なのお前!?その結論はどう考えてもおかしいだろ!?」
九兵衛「ヒロインになって形の上だけでも君と一緒にいれば、お妙ちゃんと君はくっ付かないだろう」
銀時「テメーがヒロインになって主人公とくっ付いたら何にもならねーだろ!」
九兵衛「たとえ重婚という形になってもお妙ちゃんさえいれば僕は構わない!」
銀時「ちょっとなに言っちゃってんのこの子ォォォ!止めて!誰か止めたげて!?」
東城「聞きましたぞ若ァァァァァァ!!」
九兵衛「東城!」
銀時「オイ!テメーはコイツの世話係だろ!ちゃんと面倒を……」
東城「よくぞ御決断してくれました!この東城歩、ヒロインは若しかあり得ないと常々思っていたところ!」
東城「ささ、早く主人公である銀時殿とドッキング接合を……」
銀時「ここには馬鹿しかいないのかコノヤロー!!」ダッ
九兵衛「ま、待て!」
銀時「はあっ……はあっ……も、もうさすがに逃げ切っ……」
「九ちゃんから逃げて来たんですか?お疲れ様でしたね、銀さん」
銀時「お疲れなんてモンじゃねーよ、こちとら今日は走りっぱなしで……」
妙「じゃあもう休んでいいですよ?」
銀時「…………」
あやめ「さっき銀さんが逃げたのは試練!愛の試練なのね!いいわ、どんな試練も乗り越えてあげるわよ!」
神楽「黙れ雌豚コルァ!ヒロインは私アル!ねっ、銀ちゃん!」
月詠「…………」
銀時「…………雌ゴリラと雌豚と神楽はアレとして、なんでテメーまでそこにいる?」
月詠「……面目ない」
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某所
妙「というわけで……さっそくヒロインNo.1決定戦を始めましょう」
ドンドンドン!パフパフパフー!
新八「……結局捕まったんですね、銀さん」
銀時「……仕方ねーだろ、あいつら百華とか動員して俺を探させてやがったんだぞ」
新八「すいません、姉上の思いつきで苦労かけて……僕も出来るだけフォローしますから」
銀時「フォローってかコイツらの茶番を大至急終わらせてくれよ」
新八「それは無理ですよ……ちょっとだけこれに付き合って、適当な所で終わらせる感じで行くしかないです」
銀時「俺ァ嫌な予感しかしねーんだけど」
妙「あ、そうそう……出場者なんだけれど」
1番……志村妙
2番……猿飛あやめ
3番……神楽
4番……月詠
5番……柳生九兵衛
6番……キャサリン
7番……たま
8番……結野クリステル
9番……ゲスト枠
10番……ゲスト枠
銀時「オイ、予定より人数増えてんぞ」
妙「せっかくだから後腐れがないように出来るだけ大勢集めてみたの」
銀時「時間が掛かってしょうがねェだろこんなに人数が多けりゃ!」
銀時「しかも一人明らかにヒロイン枠じゃねーのが混じってっけど!」
キャサリン「ソレ、私ノコト言ッテルンジャネーダロウナ」
銀時「つーか結野アナァァァ!なんであなたこんな所に来ちゃってるのォォォ!?」
結野「お久しぶりですね、分からないんですけど……とりあえず来ちゃいました!」
新八「……あの、無邪気に来てくれたのはホント有り難いんですけど、出来れば帰ったほうが…」
銀時「そう、僕はあなたに何かあったらと思うと……この胸が張り裂けそうになりますから」
新八「銀さんいきなりキャラ変えてアピールするの止めてください」
結野「大丈夫です、何かがあったときのためにちゃんと連れてきてます!」
銀時「は?連れてきてる?」
外道丸「あっしでござんすよ、銀時様」
外道丸「お久しぶりでござんす銀時様、相変わらず巻いてるようで何より……」
銀時「巻いてるようでって何?髪のこと言ってんの?つーか普通はお元気そうで、とかだよね?」
外道丸「クスクス……愉快なところも相変わらずでござんすね」
新八『でも良かったじゃないですか銀さん、外道丸がいてくれれば結野アナは無事で済みますよ!』
銀時『ばっかお前……あの面子だったら何をやらかしてもおかしくねーぞ』
銀時『ゴリラ、豚、クソ化け猫がいる時点でまともじゃないからね、人間以外の生物混ざってるからね』
銀時「あと……何このゲスト枠って?」
妙「ああ、それはまだ到着してないゲストキャラクターですね」
銀時「もういいよそういうの、今いる面子だけでもキャラ立ってんのばっかだし」
妙「まあいいじゃないですか、一応ですよ……あ、ヒロインを決める審判なんですけど……」
銀時「審判?この茶番に審判なんていんのか?」
妙「茶番だなんてヒドいわ銀さん、みんな快く協力してくれてるのに」
銀時「みんな……?」
審判
土方十四郎、沖田総悟、長谷川泰三、桂小太郎、+(志村新八、坂田銀時)
妙「ほら、こんなにたくさんの人が協力してくれたのよ?」
銀時「アイツら椅子に体が固定されてんだけど、あれは協力じゃなくて拘束と言うんじゃないんですか?」
土方「万事屋ァァ!なんで俺がこんなことしなきゃならねェんだ!!」
銀時「知るか!俺ァなにも悪くねーぞ!」
沖田「旦那ァ、とりあえずこの拘束を何とかしてくれませんかね?」
沖田「拘束すんのは好きでもされるのは大嫌いなんでさァ、土方さんと違って」
土方「俺が拘束されるのが好きみてェな言い方はやめろ!!」
桂「フハハハハハ!公僕どもめ!貴様らに捕まり牢に監禁される志士の不自由さを味わうがいい!」
銀時「お前も拘束されてんぞ、不自由さをまさに味わってんぞ!」
銀八「眠くなっちまったんで短いですが今日はこの辺で勘弁してください」
銀八「何か分かりにくいところとかあれば聞いてくれれば答えるんで」
銀八「しかし空知はすげーなマジで、あれはただのゴリラじゃないね、ホント」
乙華麗
まどかのあとは書いてないの?
ゲスト枠というからには実は銀魂内のキャラじゃなくて>>1のこれまでの作品に出てきたキャラが登場するんじゃなかろうか自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
>>50
あれの後はイチローだとかブリーチとかベジータが学園都市にとか適当に…
銀魂じゃないのを暇つぶしに書いてました
>>56
これは銀魂オンリーです、ゲストとか紛らわしい書き方してすみません
少し再開します自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
銀時「テメーら一旦落ち着け」
土方「落ち着けるか!こっちは拘束されてんだ!公務執行妨害でとっ捕まえるぞ!」
銀時「あ、じゃあお前はいいわ、耳貸せ沖田くん」
沖田「へい」
桂「何か考えがあるのか?ちょうどいい、俺も聞いておこう」
銀時「とりあえずここはだな……」
土方「…………」自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
土方「……オイ、なんで三人で作戦会議してんだ、俺にも聞かせろ」
銀時「え?いいよ、だってこっちの話に加わる気はねーんだろ」
銀時「俺たちがパーティ組んでる間にお前は一人でレッツパーリィしてればいいじゃん」
土方「何でパーリィしなきゃならねェんだ!馬鹿言ってねェでさっさと話を……」
沖田「何ですか土方さん、仲間に入りてーんですかィ?だったらはっきりそう言ってくださいよ」
銀時「ツンデレでごめんなさい、僕も話に入りたいですって言ってみろコノヤロー」
沖田「言ってみろ土方、お前なら言えるはずだ土方」
桂「副長ともあろうものがこの有り様とは……真選組の先は長くないな」
土方「テメーら後で絶対斬り殺す……!」自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
銀時「いいか……こうなっちまったらもう逃げんのは無理だ、もうそっちの可能性は捨てよう」
銀時「だったら審査員の俺たちが結託してこの茶番を即行で終わらせるしかねェ」
沖田「そうですね、確かにそのほうが良さそうでさァ……俺は乗りますぜ」
土方「ちっ……早いとこカタつけて終わらせるぞ」
桂「真選組の貴様らと手を組むのは癪だが仕方あるまい……俺にも重大な仕事があるのでな」
土方「ほォ……帰って幕府を転覆させる算段でもつけるつもりか?」
桂「録画しておいたエヴァ破を見なければならない」
銀時「オイ、誰かこの馬鹿を翼を与えてこの大空に飛ばしてくれ、二度と戻って来なくていいから」自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
長谷川「……不可能だ」
桂「ま、まさかあれは……碇ゲンド……!!」
銀時「ヅラ、お前ちょっと黙ってろ」
新八「長谷川さん、不可能ってどういう……」
長谷川「奴らの様子を見てれば分かる……」
妙「さて……ところで、決定戦って何をやればいいのかしら?」
あやめ「……さあ?」
月詠「わ、わっちに聞かれても知らんぞ」
新八「…………」
新八(アイツら何にも考えてねーのかよォォォォ!!)
長谷川「女ってのは基本的に自由気ままに生きてんだ……細かい予定なんざ立ててねェのさ」自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
新八「銀さんどうすんですか!?こっちが手際よく進めようとしても肝心のあっちがあれじゃ……」
銀時「これだ、これだから女ってのは嫌なんだよ」
沖田「もうこうなりゃ何をするかまで全部こっちがやっちまったほうが早そうですぜ」
桂「同感だな、あっ……来週のルパンの予約もしなければ」
銀時「…………」
沖田「……旦那、どうかしたんですか?」
銀時「……テメーら、あのゴリラはいねーのか?」
沖田「近藤さん?……さあ、見てねェですけど……どうかしたんですかィ?」自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
銀時「こんなイベント…あのゴリラなら真っ先に首突っ込んで来そうだろ、何かおかしかねーか?」
土方「……認めたくねェが同意だな」
銀時「何これ、もう嫌な予感しかしねーんだけど?」
新八「あっ、銀さん!遅れてたゲストが来たみたいですよ!」
銀時「はぁ?もうそんなにヒロインポジションになるキャラなんざいねーだろ!一体誰が……」
平子「兄貴ー!」
銀時「お前かよォォォォ!?」自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
銀時「ちょっと待てお前ェェェ!なんでいんの?なんで来ちゃってんの!?つーかお前ヒロインか!?」
平子「やだなぁ、アニキと私は杯を交わした仲じゃないですか~」
銀時「誰が未成年のガキに酒なんざ飲ますか!テメーはオロナミンCでも飲んでろ!」
新八「ていうかなんでホントに来ちゃってるの!?親子で旅をしてるはずじゃ……」
平子「それはあれですよ~……あの……てへっ」
ガシッ
銀時「テメーは何ちょっと可愛く言った感じで誤魔化そうとしてんだ、この触角引っこ抜くぞ」
平子「アニキ~、こういう細かいところには突っ込みを入れないのがお約束ですよ?」自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
沖田「何だ、このガキ旦那の知り合いですか?」
銀時「コイツは知り合いっつーかなんつーか……」
平子「とりあえずアニキ、なんかアイツ生意気そうなんで真っ赤なお花を咲かせちゃっていいですよね?」
新八「ピラ子ちゃん!?何とんでもないこと言っちゃってるのォォォォ!?」
沖田「面白いこと言うじゃねーか、だったらこっちはテメーのビラビラにスゲーもんブチ込んでやろーか」
新八「沖田さんも対抗しないでェェェ!?つーかそれやったらどうやっても映像化出来ませんよ!?」
土方「落ち着け総悟、こんなガキに構ってる時間は……」
平子「アニキ、前髪がAの逆さまになってるニコチン中毒の味覚馬鹿にガキって言われました~」
土方「あるよねー!ちょっと子供と大乱闘する時間くらいあるよねー!じゃあ僕は刀キャラ使おうかなー!」チャキッ
新八「アンタも落ち着けェェェェ!!」自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
月詠「なんじゃ、ぬしらはずいぶんと楽しそうにやっておるな」
銀時「これのどこが楽しそう!?半分修羅場になってっけど!?」
神楽「久しぶりアル!マンビラビラビラビラ子ォォ!」
新八「だからどんだけビラビラ言ってんの!」
長谷川「あ、一流タレントになって大金持ちになるだ!」
桂「何!?くっ……順調なサクセスロードを歩んでいるな……」
銀時「何でテメーらは暇すぎるからって二人で人生ゲームやってんだァァァ!」
桂「おお銀時、お前も混ざるか?俺ももう少しで資産が爆発的に増えそうでな」
銀時「お前らは頭が爆発しろ!!話がまったく進まねーんだよ!!」自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
妙「あっ、最後のゲストが来たみたいですよ」
新八「こ、この状況でさらに人数が!?」
銀時「もうこれ以上誰か増えられたらこっちじゃ捌ききれ……」
お登勢「ちょっと何だいこの騒ぎは……あたしゃ何も聞いてないよ?」
銀時「…………」
新八「…………」自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
お登勢「……なんだいアンタたち、人が来るなりそんな顔するなんて失礼じゃないか」
銀時「……『く』るしい時だから、『そ』んな時だから、早く帰ってくれ『ばばあ』」
お登勢「あたしだって来たくて来たんじゃないんだ、文句は言わないどくれ」
新八「でも銀さん、何やかんやで争いが収まってますけど」
銀時「ババア登場のインパクトが強すぎたんだろ、センターフライをキャッチャーが捕ったくらいの衝撃だよ」
新八「すいません銀さん、例えがよく分からないです」自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
妙「さて、これで全員揃いましたね」
九兵衛「やれやれ長かった、だがこれでようやく始められるな」
あやめ「ヒロインの座は私のものよ!そして銀さんと結ばれるのも……きゃーっ!!」
月詠「……まったく、ぬしはこれからも図太く生きていきそうじゃな」
銀時「よし、みんな準備は出来たか……なら行くぜ」
銀時「俺たちの戦いはこれからだ!!」
---完
妙「銀さん、なに勝手に終わらせてるんですか?」メキメキ
銀時「ですよねー!反省してるで一旦アイアンクローを止めてくださいお妙さん」
妙「じゃあ改めて……ヒロインNo.1決定戦を始めるわ!」自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
銀八「とりあえず今日はここまでで……ようやく導入部分が終わったところですね」
銀八「関係ないけどヒロイン候補に旅館のレイをいれるか死ぬほど悩んでました」
銀八「じゃあまた明日来るんでそん時に……読みにくいのは勘弁してください」自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
銀時「で……結局なにをやるかは決まったのか?」
妙「思ったんです……ヒロインを決める方法を女の私たちが自分で決めちゃったら駄目じゃないですか」
銀時「……つまり、何が言いたいんですかキャバ嬢さん」
妙「そういうのは銀さん達が決めちゃって下さい、誰がヒロインかを決めるのはあなた達なんですから」
銀時「素直に丸投げしますって言えコノヤロー」
妙「こっちで決めるのは面倒なんで男どもに丸投げします」
銀時「ホントに言いやがったよコイツ、『男どもに丸投げ』とか言ってる時点で既にヒロイン失格だよね」自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
桂「待て銀時……ここは俺と長谷川さんがまとめよう」
銀時「ヅラ……お前……!」
桂「ヅラじゃない桂だ、まあ俺に任せておけ」
沖田「いいんですか土方さん、桂のヤローに仕切らせて」
土方「あれでも荒くれ者の攘夷浪士をまとめてる輩だ、場を治める能力はあんだろ…とりあえずは様子見だ」自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
長谷川「じゃあヅラっち、まずはヒロインのなんたるかを具体例を出して説明してくれ」
桂「よく聞け貴様ら、ここにたまたま俺が持っていたエヴァのブルーレイがある!」
新八「いや、なんでそんなモン持ち歩いてんですか!?」
桂「攘夷志士として当然の嗜みだ」
新八「国を憂うとか言ってる連中のくせにどんな嗜み持ってんだァァァ!」
沖田「土方さん、あの馬鹿に任せてホントにいいんですかィ?」
土方「…………」自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
桂「知ってのようにこの作品には超有名なヒロインが複数いる、彼女たちを例に話をしよう」
銀時「なんでわざわざ?え、いらないよねその作業」
桂「えー……まずは彼女だ」
『ごめんなさい、こんな時…どんな顔をすればいいのか分からないの』
桂「綾波レイ、儚げでありつつ女性としての美しさを併せ持つ素晴らしいキャラクターだ」
桂「彼女のようなキャラクターはある意味では革新的であり新時代を切り開いたと言ってもいいだろう」
銀時「なんなのコイツ、なんで急にエヴァ語り出しちゃってるの?」自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
桂「えー、次は……」
『あんた馬鹿ぁ?』
桂「まあアスカも説明不要だな、今で言うツンデレだがその完成度は非常に高い」
銀時「オイ、もういいっつってんだろ」
桂「そして最後にもう一人忘れてはならないのが……」
銀時(もう一人……新劇場のメガネか?それとも……)
桂「カヲルく……」
銀時「何でだァァァァ!」バキッ!!
桂「ぶべらっ!?」自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
九兵衛「……すまない、結局なにが言いたいのか僕には分からないんだが」
長谷川「ま、まあ要するに……あの二人に共通するものは女キャラとしての魅力」
長谷川「顔、スタイル、性格……その他多くの要素が満たされてこそ真のヒロインってわけだ」
妙「なるほど……それは確かにそうですね」
長谷川「というわけで……ヒロイン候補には今からヒロインの役を演じてもらう」
月詠「ヒロインの役……?」自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
妙「どういうことですか?」
桂「ヒロインは基本、主人公の側にいて支えてくのが仕事……」
桂「言うなればヒロイン力を試す、ということだ」
九兵衛「そのヒロイン力……というのはどうやって図る?」
桂「いいか、今から主人公が危機的状況に陥る」
銀時「え?」
桂「その主人公に対して取った行動を俺たちが採点して決める」
銀時「いや、なに言っちゃってんの?危機的状況ってなに?」
桂「そうだな……例えば主人公が瀕死の重傷を負ったというシチュエーションで……」
銀時「俺に半殺しになれって言ってんのか!?」自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
『もし、主人公が死にかけた状態でヒロインの家にやって来たら?』
---志村妙の場合
ドンドンッ
妙「こんな夜遅くにどなたですか?」
銀時「はっ……はっ……!」
妙「ぎ、銀さん!一体どうしたんですか!?」
銀時「ワリーな……少しやらかしちまったらしい……」
妙「とりあえず止血を……!」
---
審査員席
土方「……まあ、普通にヒロインやってんじゃねーのか?」
沖田「けどあんまオリジナリティってモンを感じませんね、この程度のキャラなんざ腐るほどいますぜ」
桂「まあ、もうしばらく様子を見よう」自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
銀時(あの馬鹿ども聞こえてんだよ!余計なこと言ってコイツが何かしたらどうすんだ!)
妙「ダメだわ、呼吸も弱くなって来てる……私がやるしかないわ!」
銀時「!?」
新八(姉上、まさか人工呼吸を!?)
妙「さあ銀さん、新鮮なポカリよ!」
銀時「むごががが!?」
新八「」
新八(ちょっと何やってんですか姉上ェェェ!?なんで死にかけの人間にポカリ飲ませてんのォォォォ!)自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
土方「……何やってんだあの女は」
沖田「俺に聞かねーでくだせェ、とりあえず旦那が演技でなくマジで死にそうですけど」
新八「…………」
新八(終わった……姉上、ヒロインはもう終わりましたよ)
---その時、桂に電流走る!
桂「いや待て……ポカリは知っての通り水分補給には最適だ……塩分濃度も計算されている」
新八「え?」
桂「さらにあれは輸血代わりに使用することも……完璧だ、この状況における最善手!」
桂「まさか……ここまで読み切ってポカリを選択したというのか!?」
長谷川「さすがお妙ちゃん……修羅場をくぐり抜けてるだけのことはあるな」
新八(いや、絶対桂さんの考えすぎだと思うんですけど)自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
---
妙「私だったらこんな感じかしら、主人公のために救命措置を取って……みたいな?」
銀時「…………」
新八「姉上、救命措置された主人公死にかけてるんですけど」
妙「嫌ね銀さん、いつまでも演技しなくていいんですよ?」
銀時「…………」
へんじがない ただのしかばねのようだ
妙「じゃあ採点、お願いしていいかしら?」
新八「今明らかに表示された言葉スルーしましたよね、しかばねにしたの姉上ですからね」自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
桂「採点は一人10点満点だ……俺としては今のお妙殿の対応は9点と言ったところだな」
妙「あら、一点の減点はどこなんですか?」
新八(いや、どこっていうかむしろ減点される部分しかありませんでしたよね)
桂「すまないが俺はアクエリ派でな」
新八「そこじゃないだろォォォォ!!」
長谷川「俺もお妙ちゃんは9点でいいかな、減点としては対応がちょっと完璧すぎたってとこで」
妙「ああ、主人公の怪我に完璧に対処するなんて確かにヒロインらしくはなかったかもしれませんね」
新八「…………」自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
その他の採点
沖田……5点、理由……なんか面白かったんで、まあこれぐらい点数やりゃいいでしょ
土方……6点、理由……天パーを地獄へ送ったことは評価する
新八……5点、理由……姉上補正です、あんまり点が低いとあとが怖いんで
銀時……へんじがない ただのしかばねのようだ(無回答)
桂「無回答の銀時は……まあ7点というでいいだろう」
沖田(旦那に意識がありゃ確実に0点……いや、マイナス出すかもしれねーな)
桂「というわけで……お妙殿のヒロイン力は41点だ!」
妙「41点……まあまあかしら」
新八「…………」
外道丸「大丈夫でござんすか銀時様?」ツンツン
銀時「…………」
新八(正直あっちのほうがまだヒロイン力高いと思うけど)自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
すいません、眠くて今がどんな展開になってるか分からなくなっちまいました
今日のとこは終わらせてください自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
あやめ「40点くらいで満足するなんて……これだから似非ヒロインはダメね」
あやめ「次は私の番よ……あなたと私の格の差を思い知らせてあげるわ!」
妙「あら、弱い犬はよく吠えるって言うけど豚も吠えるんですね」
あやめ「何とでも言ってるがいいわ、さあ銀さん!次は私たちの愛を確かめる番よ!」
銀時「もう……なんでもいいから早く終わらせて……」
新八「…………」
沖田「土方さん、旦那がマジで死にかけてますぜ」
土方「いい気味だ、俺たちは関係ねェ」自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
---猿飛あやめの場合
ドンドンッ
あやめ「この扉の叩く音は銀さんだわ!」
ガラッ
銀時「はぁ……はぁ……!」
あやめ「ど、どうしたの銀さん!?ひどい傷じゃない!」
銀時「でけー声出すな……うっぷ……ぽ、ポカリが……」
あやめ「大丈夫よ銀さん!けがの手当てだったら慣れてるから!」
---
審査員席
桂「ふむ、扉の音だけで主人公を判別するか……これはポイントが高いな」
長谷川「何か俺にはこのシーンが傷の手当てじゃなくて、飲みすぎた酔っ払いを介抱してるように見えるんだけど」
新八「間違ってないですよ長谷川さん、むしろそうとしか見えませんから」自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
あやめ「そうだわ!こういう時は人工呼吸よ!人工呼吸しかないわ!人工呼吸すべきよ!」
あやめ「そして唇が触れた瞬間に夜のバトルに……キャー!銀さんんん!」
あやめ「そういうわけで銀さん!今から私と……」
あやめ「…………あら、銀さんは?」
桂「む、銀時がいないだと……?」
新八「いや…………」
『おぼろろろろろろろろろろ……』
新八「さっちゃんさんがキャーキャー言ってる間にもうトイレでバトルしてますけど」自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
---
桂「というわけで、今から採点に入る」
土方「今ので何を採点しろってんだ」
長谷川「採点っつっても、さっちゃんが騒いで銀さんがトイレで吐いてただけだからなあ」
あやめ「ちょっと待ちなさい!あれは銀さんの体調がよくなかったからじゃない!もう一回やらせなさいよ!」
妙「あら、一人だけ二回やろうだなんて……ヒロイン候補のくせにズルいこと考えるんですね」
あやめ「なっ……何ですって……」自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
新八(でも……元々は姉上が銀さんにあんなにたくさん飲ませなければ…………)
新八(……あれ?飲ませなければ……?)
妙「でも仕方ないですよね、猿飛さんの時に銀さんが『偶然』体調を悪くなってたんですからね」
あやめ「!」
新八「…………」
新八(つ、潰しだァァァ!大量のポカリで銀さんの体調を悪くして後の候補者のアピールタイム潰す気だァァァ!)
新八(つーか姉上、ポカリで評価を獲得するだけじゃなくて妨害するところまで計画してたんですか!?)自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
桂……7点、理由……報われないヒロインというのも、まあアリではなかろうか
長谷川……6点、理由……顔とスタイルは素晴らしいと思う
新八……7点、理由……頑張ってるのは伝わりました、あと何かすいませんの気持ちも込めて
沖田……5点、理由……特にないんでパス
土方……5点、理由……上に同じ
銀時……5点、理由……吐いたら少しすっきりしたから
桂「合計は……35点だな」
妙「あらあら、40点届きませんでしたね」
あやめ「は、計ったわねお妙さん……!」
妙「言いがかりはやめてくださいね?」自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
九兵衛「さて……次は僕だな」
東城「若ァァァ!この私めに出来ることがあれば何なりとお申し付けをォォォ!」
九兵衛「今すぐ僕の視界から消えてくれ」
銀時「……オイ、まだやんのか?」
新八「……あと八人ですよ銀さん」
銀時「やってらんねーよいい加減、なにされるか分かったモンじゃねーし……ぱっつぁん変わってくれよ」
新八「いや……僕じゃ代役は無理ですよ」自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
---柳生九兵衛の場合
ドンドンッ!
九兵衛「遅かったじゃないか、今日はカレーを作って……」
銀時「……はぁ」
九兵衛「ど、どうしたんだ!血が出ているじゃないか!」
---
沖田「旦那の息切れの演技、ありゃもう溜め息になってますぜ」
土方「……少しだけ野郎に同情したくなった」自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
九兵衛「ど、どうしたんだこの傷は……君ともあろう者が不覚を取ったのか!?」
銀時「あぁ……やらかしちまったらしい」
九兵衛「そんな……お妙ちゃんに怪我はないのか!?」
銀時「……ああ、アイツは大丈夫じゃねーか?」
九兵衛「お妙ちゃんは無事か……良かった……」
九兵衛「お妙ちゃんに何かあったら僕は……僕は……!」
銀時「俺の心配をしろォォォォ!!」自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
---
九兵衛「どうだろう、僕の愛情が少しでも伝わっただろうか?」
新八「とてつもなく歪んだ愛情はよく伝わりました」
銀時「主人公ほっぽってたからね、後半はブリーチのチャドレベルの空気にされてたからね」
長谷川「いや……でも、さっきのは『お妙ちゃん』の部分を主人公にしたらかなりいいんじゃないか?」
沖田「冒頭で一応傷の心配はしてましたしねィ」
土方「馬鹿げた行動が少なかっただけでもまだまともだな」
桂「…………」自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
長谷川……8点、理由……言葉を投げかける対象を間違えなければ満点だと思う
新八……8点、理由……今までの中では一番ヒロインっぽいセリフだったと思います
沖田……7点、理由……まあ何となくこの辺の点数出しゃ文句ねーでしょう
土方……7点、理由……アホな行動が少なかったから
銀時……7点、理由……めんどくせーことはなかった
新八「37点……姉上の41点を越えるには4点以上、桂さんが出せば」
桂……1点、理由……一人だけ堅物キャラですか、クソ真面目ですか、やっぱり九兵衛時がいれば俺はいりませんか
つーか九兵衛殿より俺のほうが早く出てた
新八「いや桂さん、いつまでライバル意識してんですか!?」自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
すいません、もうちょい進めたかったんですが頭痛がするんで今日は早めに寝かせてください自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
>>62
その三作見てないkwsk自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
>>124
イチローは9の恋恋高校を舞台に大会で試合、ベジータは一方通行と真っ向勝負
ブリーチは織姫が一護に無視されるって感じのやつだったかと
ちょっと再開します自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
九兵衛「38点……僕ではやはりお妙ちゃんの魅力には及ばないか」
妙「そんなことないわよ九ちゃん、とってもヒロインらしかったわ」
銀時「主人公無視だったけどね、主人公に目もくれないヒロインって斬新すぎるジャンルだよね」
九兵衛「……どうやら君は勘違いしているようだが、僕は君が嫌いなわけじゃないんだ」
銀時「あん?」
九兵衛「お妙ちゃんが可愛すぎる、それが全ての原因なんだ」
銀時「その思考に走るお前の頭が全ての原因だろ」自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
東城「若!私は納得がいきませんぞ!点数が低すぎるでしょうこれは!!」
東城「若は可愛いしカレー作っちゃうし可愛いしエテ公にすら愛情を注ぐし可愛いし可愛いし可愛いんですよ!?」
新八「東城さん、後半は可愛いしか言ってませんけど」
九兵衛「止めろ東城、お妙ちゃんに負けるのならば納得がいく」
東城「しかし若……」
九兵衛「東城、僕はもういいと言っている」
東城「ではせめてこのゴスロリメイド服の着用を……」
九兵衛「しない、あと僕の半径10メートル以内に近づくな」
東城「お言葉ですが若、卍解した私の若への愛は13キロ先まで届きますぞ!」
新八「いや東城さん、さっきから言ってんですか」自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
神楽「フッフッフッ……とうとう私の時代が来たアル、真のヒロインの力見せてやるネ!」
沖田「お前みてーな野郎でもヒロインを語れるたァ世も末だぜ」
神楽「あんだコルァ!!お前、私のヒロイン力見くびるなよ!泣いて謝らせてやるネ!」
沖田「いいのかオイ、俺のさじ加減でお前なんざ簡単にヒロインの座から引きずりおろせるぜ?」
神楽「フン、それぐらいのハンデがあったほうが燃えるアル!ねっ、銀ちゃん!」
銀時「なんでお前とコンビ組んだみてーになってんの?」自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
---神楽の場合
ドンドンッ
神楽「どちら様アルかー?」
ガラッ
銀時「…………」
神楽「ぎ、銀ちゃん!血だらけになってどうしたアル!?」
銀時「……何か斬って斬られて血が出たみたいな」
新八「…………」
新八(あれもう完全に投げやりになってるよね、陸上で金メダル取れるよね)自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
神楽「銀ちゃんが死んじゃったら私……泣くアルよ?」
銀時「……いや、死なねーけど」
神楽「いっつも銀ちゃんは一人で無茶して怪我して……私がどれだけ心配してるかわかってないネ!」
銀時「…………」
新八(ま、まさかあの神楽ちゃんが正統派ヒロインを……!)
神楽「まあそれはシリアスパートの話で、今はギャグパートだから関係ないけどネ」
新八「その一言いらないだろォォォォ!?なんでいきなり身も蓋もないこと言ってんの!?」自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
---
神楽「完璧だったアル!」
桂「うむ……確かにあれは完璧だった、さすがはリーダーと言うべきか」
新八「最後の部分は触れないんですか、桂さん」
長谷川「いや、そこを差し引いてもかなり良かったんじゃないかと俺は思うね、あんなこと俺も言われてーよ」
銀時「アンタは奥さんに言ってもらえばいいだろ」
長谷川「銀さん、傷あと掘り返すの止めてくんない?」自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
桂……10点、理由……リーダーだから
長谷川……9点、理由……最後以外はかなりまともだった
新八……5点、理由……やっぱり最後のアレはマズいと思う
土方……6点、理由……オイ、いつまで続くんだこれ
銀時……6点、理由……俺に聞くんじゃねーよ、こっちも早く帰りてェんだ
新八「ここまでで36点……沖田さんが何点いれるか……つか最後の二人、理由の枠で何やってんですか」自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
沖田……4点、理由……チャイナだから
新八「4点ってことは……一位の姉上にはギリギリ届かない!」
神楽「オイ、ドS馬鹿ァァァ!どういうつもりアルかァァァ!」
沖田「残念だったなーチャイナ、あと一点で一位になれたってのに」
新八(あの人絶対わざとだ、わざとギリギリで神楽ちゃんを負けさせたよ)
神楽「悔しくないモン!私を評価してくれてる人もいっぱいいるアル!」
沖田「じゃあそいつらと一緒に傷の舐めあいでもしてな、一点差で負けたヒロイン候補」
神楽「銀ちゃーん!ドS馬鹿が虐めるアルぅぅぅ!!」
銀時「泣くな、あとで酢昆布買ってやっから」自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
月詠「……次はわっちか」
銀時「もういいよ……テメーだってめんどくせーって思ってんだろ?」
月詠「否定はしないが……場の流れと言うやつじゃ、すぐに終わらせる」
月詠「それに……辞退したら辞退したで面倒なことになるのでな」
銀時「……?」自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
---月詠の場合
ドンドンッ
月詠「銀時か、待ちなんし……すぐに戸を開ける」
ガラッ
銀時「……よう」
月詠「な、何じゃこの傷は……ぬしともあろう者が誰かに斬られたか!?」
銀時「ああ……ちょっとやらかした」
月詠「体力も減っているようじゃな……!」
銀時(コイツ、面倒って言ったわりには真面目にやんのな)
月詠「銀時、横になれ!活力を取り戻させる!」
銀時「…………?」
月詠「とりあえずは……脱がせて尺をしてくわえれば良いんじゃな?」
銀時「俺に何を取り戻させる気だテメーはァァァァァ!!」自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
銀時「オイィィィィ!取り戻させるって何を!?取り戻すどころか大切な何かを失うわ!!」
月詠「じゃが男を元気にするにはこの方法が一番だと……」
銀時「確かに元気になるけどそれは違うだろォォォォ!男の意味が違ってるからね!?」
月詠「そうか…ぬしは挟んで擦るほうが好きなクチか、それとも最初から本腰を入れ……」
銀時「お前は何を言ってるんださっきからァァァ!そっちの知識は疎いんじゃねーのか!?」
月詠「いや……いざというときのために少しは知っておけと日輪に言われてな」
銀時「今はいざってときじゃねーよ!!」自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
---
月詠「……まあこんな感じじゃな」
長谷川「いい、本当にやれば最高だったけどあのやり取りだけども全然イケる」ダラダラ
新八「とりあえず鼻血は止めたほうがいいですよ」
桂「ああいう少し天然なヒロインというのも魅かれるものがあるな」
土方「安易な下ネタはどうなんだ?あんまりいいとは思えねェぞ」
沖田「土方さん、俺もアンタが副長だなんてあんまりいいとは思えねーよ」
土方「いい加減斬るぞお前」自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
すいません、短いですが今日はここで終わっときます
明日明後日でそれなりには進むと思うので……自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
遅れました、再開させてください
桂「では採点に移ろう……みな、点数を示してくれ」
長谷川「俺は10点、ロインに求められる隠し要素…エロスを完璧に表現していたからね」
新八「いや、何ですかその要素」
長谷川「ほとばしる熱いパトスで少年を神話にする、大人への一歩を踏み出させるきっかけ……それがエロス」
銀時「さっきの実際にやってたら大人への一歩どころじゃねーよ、屋上までノンストップのエレベーターだよ」
桂「俺は……9点としておこう」
長谷川「あれ、ヅラっちはああいうのはあんまり好きじゃねーの?」
桂「いや……月詠殿は堅物クソ真面目キャラという点で俺と被っているからな」
新八「被ってないです、一ミリも被ってないです」
その他の採点
新八……8点、理由……月詠さんらしいアプローチだとは思った
銀時……6点、理由……めんどくせーから基本6点でいくわ
沖田……6点、理由……細かいのをいちいち採点すんのはたりーから旦那と同じ感じで
新八「これで39点……土方さんが3点以上出せば姉上を超えますね」
妙「…………」
土方「じゃあ俺は7て……」
妙「あ、土方さん……ちょっとこの紙、見てくれませんか?」
土方「ん?紙……?」
『た す け……』
土方「…………」
土方(こ、この字はまさか……!)
妙「ああ、それ……家に不法侵入したゴリラが書いたものですから」
土方(近藤さんんんん!!)
土方(何やってんだあのゴリラ上司!なんだこの状況!?監禁されてんのか!?)
沖田「あれ土方さん、まだ点数は出さねーんですか?」
土方「あ、ああ……」
土方(オイィィィィ!!どんだけ分かりやすい脅しいれて来てんだあの女ァ!)
土方「俺は……あの、2点くらいで」
妙「土方さん」
土方「1点で」
長谷川「1点!?オイオイそりゃないぜ、さすがに低すぎだろう」
沖田「俺はまだ最初のポカリよか好感が持てましたぜ、さすが土方さん、ゲテモノ好きですね」
土方「黙れお前!今のタイミングでそんなこと言うんじゃねェェェェ!!」
沖田「で、その点数の理由はなんなんですかィ?」
土方「それは……あの、少年誌的に下ネタはマズいんじゃねーかっていうアレで……」
桂「表現規制に怖じ気づくか……アグネスと戦う度胸もないとはとんだ鬼の副長だな」
銀時「お前、みんなの大好きなTO LOVEるは週間連載の頃からそいつと戦い続けてたんだぞ」
土方「テメーらが何を言おうが俺はこれ以上点数は上げられねーんだよ!」
妙「残念でしたね月詠さん、一票差だったのに」
月詠「いや、別にわっちは気にして……」
妙「人気投票でも私が上に行っちゃったものね、私が10位で月詠さんは11位だったかしら」
妙「そっちの人気投票じゃ私が125票リードしてたわね……でも気にしないで、ツッキーも頑張ったわ」
月詠「なんでぬしはそこまで細かく覚えとるんじゃ……」
キャサリン「小娘ハ引ッ込ンデナ、ココカラハ大人ノ女ノ時間ガ始マルンダヨ!」
長谷川……0点、理由……論外
キャサリン「テメッ!マダ何モシテネーヨ!!」
その他審査員……0点、理由……同上
キャサリン「テメーラ絶対ブッ飛バス!!」
新八「まったく……もうグダグダですよ銀さん」
新八「……あれ、銀さん?」
土方「どこ行きやがったあの野郎」
沖田「旦那ならさっき便所に行くって言ってましたぜ」
長谷川「え?俺さっき行ったけど銀さんなんか見なかったけどな」
土方「……に、逃げやがったなあの野郎ォォォ!」
---
裏路地
銀時「やってられるかってんだ……ろくなヒロインがいやしねェ」
銀時「あ、結野アナまで回ってから逃げりゃ良かったか……?」
「いまさら悔やんでも仕方ねェだろう、それがお前さんの選択だったんだ」
銀時「!」
銀時は反射的に木刀へと手を伸ばす、そこには何の思考も挟まない、まさに反射だった。
「ほォ……この俺の殺気を感じるや即座に武器を手に取るか」
銀時「テメェ……!」
阿伏兎「久しぶりだな、お前さんと会うのは吉原で少しやり合ったとき以来か?」
銀時「テメェ……なんで地球に…かぶき町にいやがる……!」
阿伏兎「俺だって来たくて来たわけじゃねェ、文句はウチの上司に言ってくれ」
銀時「上司……?」
阿伏兎「さて、ここで一つ問題と行こう……黙って俺についてくるか、もしくは」
銀時「……もしくは?」
阿伏兎「無理やりにでも連行されるか……」
銀時「…………」
銀時「……どうもここにいんのはテメー一人じゃなさそうだな」
阿伏兎「ふむ……そいつは俺の出した問題とは違うが大正解だ」
阿伏兎「姿を見せちゃいねーが……二十を超える夜兎がここを囲んでるぜ」
銀時「はっ、場を固めといて選択肢なんざ出すんじゃねーよ」
阿伏兎「クク……この状況で怖じ気付かずに物を言えるのは褒めてやるぜ」
銀時「…………」
阿伏兎「俺としちゃここで殺り合ってもいいんだが……お前さんはいいのか?」
阿伏兎「狭い裏路地のここは滅多に人は来やしねェが…少し行けば往来する人間の多い表通りよ」
阿伏兎「そんな中で斬り合いしたらどうなるかね……」
銀時「…………」
阿伏兎「分かったらついて来な……」
---
某建物
銀時「ずいぶんとご立派な座敷部屋じゃねーか、今から宴会でもしようってか?」
阿伏兎「お前さんは一応客人だからな……ま、このぐらいの待遇はな」
銀時「……で、俺を呼んだテメーの上司ってのは?」
阿伏兎「ああ、そいつは……」
神威「俺のことだよ」
銀時「!」
銀時「テメーは……!」
神威「覚えててくれたんだ、こいつは嬉しいね……あの時の傷はもう治ったかい?」
銀時「余計なお世話だ……何しに来やかった」
神威「あらら、せっかちだね……まあいいや、細かいことを話すのは苦手だし」
神威「じゃあ結論から言うよ、このかぶき町が次の俺たちの標的になった」
銀時「なっ……!」
神威「お礼しに来たのさ、君たち侍に……元第四師団団地のこともあるしね」
銀時「第四師団……?」
神威「君たちが壊滅させたメガドライブのことさ」
銀時「いやメガドライブはもう既に壊滅してんだろ」
神威「あーあ、その言い方は阿伏兎が怒るね」
阿伏兎「俺は任天堂派って言ったろうがクソ提督」
銀時「提督……?」
神威「色々あって出世しちゃってね、今は俺が提督なんだ」
銀時「…………」
神威「まあそういうわけだから、君たちも準備しておいてね?」
銀時「なんで俺にわざわざテメーらが攻めてくることを教えた?」
神威「何の抵抗もされずに敵を倒してもつまらないだろう?」
神威「侍……俺達とは違う形の力を有する修羅……君たちとの戦いを俺の血は求めてる」
神威「戦場において全力の君たちと戦い…豪なる者の血で戦場が満ち溢れたとき」
---俺の魂は潤う
銀時「……何だオイ、ようはテメーら…喧嘩がしてェだけか」
神威「そうさ、喧嘩だよ……命を懸けたね」
銀時「付き合ってられねーな、喧嘩馬鹿に巻き込まれるこっちの身にもなれってんだ」
神威「君たちに選択権はないよ、間もなく君の町は戦場になる……これはもう決まってるんだ」
銀時「……一つ言っとくぜ」
神威「?」
銀時「テメーはさっきから楽しむだの潤うだの、ずいぶんと楽しそうに話してやがるが…」
銀時「かぶき町を敵に回してただですむと思うんじゃねーぞコノヤロー」
神威「フフ……やっぱり侍は面白いね、これは君を呼んで正解だった」
銀時「!」
殺気。
銀時はとっさに木刀へ手を伸ばす、その様子を見て神威はクスクスと笑っていた。
神威「お兄さん、少し俺の相手してよ……もちろん本気でね」
銀時「…………」
ここから逃げ出すのは簡単ではない、目の前の戦闘狂も逃げることを許すはずがない。
やるしかなかった。
神威「ああ、もしあまりにも不甲斐ないようだったらこの場で殺しちゃうからね」
銀時「テメーに消されるほど俺の魂の陽は安かねーよ……!」
それは……最強の夜兎と最強の白い夜叉の決闘の始まり
銀時「ウオオオオォォォ!!」
神威にしてみれば力試しの小競り合いのつもりなのだろう、だが銀時にとっては話が違う。
仮にここで敵の提督を仕留めることが出来ればかぶき町への侵攻も止まる可能性が高い。
手など抜くはずがなかった。全力で振るった一撃だった。
神威「……いいね、本気で俺を殺りにきてる」
その一撃も夜兎の持つ戦闘用の傘で防がれる、完全に見切られていた。
銀時「ちっ!」
連続して二撃、三撃と斬り結ぶ……が、打ち合う度に敵との力の差が露呈する。
銀時(コイツ……ガキのくせしてどんなクソ力してやがる……!!)
神威「俺からも打たせてもらうよ」
銀時「!」
神威の一撃をとっさに木刀で受け止める、完璧に受けきったはずだった。
銀時「がっ……!」
銀時は己の立つ地に亀裂が走るほどの、とてつもない衝撃に襲われていた。
神威「へえ……この一撃を耐えるんだ、さすがは鳳仙を倒しただけのことはあるね」
銀時「なめんじゃねェクソガキ、まだ一太刀止めただけだろうが……!」
神威「そうだね、けど……俺の一撃に耐えられる奴もそうはいない、自信を持っていいよ」
銀時「余計なほめ言葉をありがとよ」
---
どれだけの時が流れたのだろう、それは正確には分からない。
ただ一つ明らかなのは
銀時「はぁ……はぁ……!」
致命傷こそないものの確実に銀時が追い込まれているということだった。
神威「うん、悪くないね……前よりも腕も上がっているみたいだし」
神威「真剣を使っていればもう少しマシになるだろうからね」
銀時「…………」
違う、真剣を使ってもコイツと真正面からぶつかっては勝ち目は薄い。
それはここまで何百合と打ち合ってきた銀時がもっともよくわかっていることだった。
神威「じゃあお兄さん、今日はもう帰っていいよ」
銀時「っ!?」
一瞬の隙をつかれて懐に入られると同時、凄まじい蹴りが胴体に炸裂した。
銀時「ぐあっ!」
吹き飛ばされた銀時は建物の窓を突き破り外へと放り出された。
神威「フフ……坂田銀時、侍の中でも一際光を放つ屈強な修羅か……」
神威「予想以上に楽しかったな……高杉の言っていた通りだったね」
今日はこんな感じで終わっときます
もうちょっとテンポ上げていけるよう努力するんで……
>>145
イチロー「ここが恋恋高校か……」
織姫「黒崎くんが最近無視するの」
ベジータ「貴様がこの学園都市で最強の人間らしいな」
正確には覚えてないけどこんな感じだったかと
あまり進まないですが再開します
---
銀時「はあっ……はあっ……」
銀時(ちっ……肋骨が何本かいっちまったか……!)
銀時は体を引きずるようにかぶき町へと向かっていた。
春雨の襲来という恐れていた事態が発生してしまった……この事実は何としても知らせなければならない。
銀時「…………!」
あと数歩でかぶき町に着く、そこまで来た所で銀時は自分の後をつける天人たちの存在に気づく。
考えるまでもなく春雨の一味だった。
春雨A「傷だらけで辛そうだな、だったら俺たちがここで楽にしてやろうか」
銀時「……はっ、過分な心遣いにゃ感謝するがそいつァ御免だな」
春雨A「あいにく戦闘狂の提督と違って俺たちは現実主義でな、わざわざ敵を増やそうとなんざ思わねぇ」
春雨A「俺たちの情報を知るテメエを生かしておくわけにはいかねぇな」
銀時「…………」
夜兎らしき天人は見当たらない…だが己を囲むは宇宙に名を轟かせる最強の宇宙海賊の戦闘員。
夜兎と並ぶ戦争集団の辰羅族と思しき天人の姿も見える。
加えて神威との戦いで疲弊しきった身体……勝ちの目などあるはずがなかった。
春雨A「お前を殺したら今度はかぶき町にいるお前のお仲間を血祭り……」
刹那…鈍い音が響き渡る、それは近くにいた春雨の戦闘員を銀時が殴り飛ばした音だった。
同時にその春雨が所持していた真剣を奪い取り、構えを取る。
春雨A「き、貴様……」
銀時「動くな」
春雨A「!」
銀時「それ以上……一歩たりともこの町へ近付くんじゃねェ……」
春雨A「…………!?」
数では圧倒的有利を誇る天人たち……その誰一人として足を踏み出すことが出来ない。
一歩でも足を踏み出した瞬間に斬られて倒れ伏す……そう感じたからだ。
銀時「春雨よ……テメーらが攻めようとしてるかぶき町は馬鹿の蔓延る治安の悪いとんでもねェ場所だ」
春雨A「…………?」
銀時「くだらねェ馬鹿やって酒飲んで本気で笑える奴らしかいねェ……ホントろくでもねー町でな」
銀時「その町を……俺の国を……テメーらみてーな腐った雨で濡らすわけにはいかねーんだよ」
侍は刀を握った、勝算など考えていない。
銀時「来るなら来やがれ……かぶき町へ通じるこの道は通行止めだ」
銀時「たった今からこの先は……地獄への一本道に変わったぜ」
春雨A「ぜ、全員で奴を攻め立てろ!死に損ないだ!!」
銀時「ウオアアアアァァァァァ!!」
春雨A「な、何だアイツは……!」
己の何十倍もの戦力を相手に銀時は大立ち回りを繰り広げていた。
片手に真剣、片手に木刀の二刀流……雲のように変化する型で敵を薙ぎ倒していく。
春雨A(なぜアイツは死なねぇ……なぜアイツはあれだけ動ける!?)
一人で数十の敵を圧倒してはいた、だがすべての攻撃を受けきれるわけではない。
足や腕、胴体に少しずつ傷を負っていき……銀時はすでに大量の血を流していた。
銀時「オオオオオオオォ!!」
それでも銀髪の侍は止まらなかった、いくら斬られようが僅かの怯みも見せることはない。
血の雨を身体に浴び、尚も敵を斬り伏せるその姿はまさしく---白夜叉
すいません、ちょっとだけ間を空けます
---
春雨A「…………」
銀時「あっ……がっ……はぁ……はぁ……!」
最後の敵を討ち取った今、戦場に立っているのは銀時ただ一人だった。
勝ち目のないはずの戦いですら彼は覆した、不屈の魂によって。
銀時「ちっ……もう、ろくに足が動かねェ……!」
その時、全員斬り伏せたはずの敵のうちの一人が動いたことに銀時は気付くことができなかった。
死んだふりをしていたその天人は隠し持った刀で銀時の死角から
春雨A「し、死に損ないが……さっさとくたばれェェェ!」
銀時「っ!」
深々と腹に刀を突き立てた。
ピリリリリッピリリリリッ
土方「電話……山崎?」ピッ
土方「何だ山崎、今こっちは面倒なことになって……」
山崎『緊急です!町外れで浪人と侍が斬り合いをしてるとの通報が!』
土方「何っ!?」
山崎『通報者曰わく、天人は数え切れないほどの数で……浪人は銀髪で木刀を持っていたと!』
土方「!」
山崎『副長!この浪人って……!』
土方「山崎、詳しい場所を報告しろ!」
山崎『は、はい!』
新八「土方さん、何か……」
土方「馬鹿が天人と斬り合いしてるらしい……」
新八「き、斬り合いって……!」
ドンッドンッ
新八「こ、こんな時に一体誰が……」
ガラッ
銀時「はっ……はっ……!」
妙「えっ……?」
沖田「だ、ダン……!」
新八「ぎ、銀さん!?」
神楽「ぎ、銀……ちゃん……?」
銀時「よう……テメーら、全員いるか……?」
新八「ど、どうしたんでしかこの傷!血だらけじゃないですか!!」
銀時「まずは……聞け、宙海賊の春雨が…もうすぐこの町に来る……」
月詠「は、春雨じゃと……!」
銀時「確かだ……まず間違いねェ、連中は必ず来る……」
土方「町外れで大量の天人と斬り合いしてた浪人ってのは……やっぱテメーか……!」
新八「その天人ってのは……春雨の一味ですね!」
九兵衛「まさか……君は敵を町へ入れないために一人で……!」
銀時「…………」
銀時「やっちまったな……もう少し俺もしぶといと思ったんだけどよ……」
大量の吐血---銀時は倒れ込みそうになる己の体を木刀を杖代わりに必死で支えていた。
その場の誰もが緊急事態であることを察する。
新八「ぎ、銀さんしっかりしてください!」
土方「総悟!車手配しろ!!大至急だ!!」
沖田「分かってまさァ!!」
妙「誰か止血出来るもの!何でもいいから早く持ってきて!!」
あやめ「すぐに持ってくるわ!」
結野「外道丸手伝って!私たちの術で少しでも治療を!」
外道丸了解でござんす!」
月詠「しっかりしろ銀時!気をしっかり持て!!」
神楽「銀ちゃん!」
銀時「…………」
銀時は目の前の光景を黙って見ていた、必死になって動いている仲間の姿を。
銀時「……ワリーな、テメーらにゃ…今まで世話かけちまった」
新八「な……なに言ってるんですか銀さん……」
銀時「…………」
侍は笑っていた。
全身から血を流し、傷だらけになりながらも、彼は確かに笑っていた。
銀時「ありがとよ……テメーらの面ァ見れて……俺……は……」
次の瞬間、侍は紐の切れた人形のようにその場へ倒れ込んだ。
新八「ぎ……銀さ……!」
妙「な、何やってるんですか銀さん……そういう大袈裟な演技はもういいって言いましたよね?」
妙「また馬鹿な冗談なんでしょう……ヒロイン決定戦のアレなんでしょう?ねえ、銀さん……」
銀時「…………」
妙「何とか言ってくださいよ銀さん!!下ネタでも何でもいい……だから!!」
桂「しっかりしろ銀時!俺だ、桂だ!まだ俺たちは日本の夜明けを見てないではないか!」
新八「ぎ…銀さん……銀さんんんんん!!」
今日はここまでですいません
テンポ悪くて申し訳ないです
少しだけしか進まないですけど再開します
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病院
近藤「はあっ……はあっ!」
近藤は息を切らしながらも病室の中を全力で駆け抜けていた。
目当ての部屋に辿り着くと同時、勢いよくドアを開ける。
そこにあったのは
銀時「…………」
ベッドで横になり、人工呼吸器でかろうじて命を保っている銀時の姿だった。
近藤「よ、万事屋………!」
土方「……遅かったじゃねーか、近藤さんよ」
横たわる銀時の周りを見慣れた男たちが取り囲んでいる。
攘夷浪士である桂もいたが今はそれどころではない。
近藤「お妙さんたちは……」
沖田「女たちにゃここから出て行ってもらってまさァ、数が多くても仕方ねーんで」
新八「銀さんは……銀さんは大丈夫なんですよね!?助かるんですよね!?」
主治医「……大量の出血に内臓の損傷、身体自体に凄まじいダメージを負っている状態で…」
主治医「正直生きているのが不思議なほどの……」
沖田「そんなことはどうでもいいんでィ……旦那は助かるのかどうかって聞いてんだ」
主治医「……はっきり言って…相応の覚悟はしておくべきかと」
新八「!?」
ドアが勢いよく開かれると別室で待機していた女性陣がなだれ込むように入ってきた。
外で今の話を聞いていたらしい。
あやめ「ぎ、銀さんが助からないってどういうことよ!!」
平子「アニキが死ぬだなんて適当なこと言うヤブ医者は……」
月詠「止めろ!何をする気じゃ!」
お登勢「……本当なのかい、この馬鹿が峠をさまよってるってのは」
主治医「正直……もう奇跡を祈るしか」
お登勢「……そうかい」
それは医師による通告、助かる見込みが限りなく低いとはっきり告げられた。
流れる重い空気---それを打ち破ったのは
神楽「みんな騒ぎすぎネ、銀ちゃんならこのくらい大したことないアル」
神楽は笑いながら、いつもの調子でそういった。
妙「か、神楽……ちゃん?」
神楽「私は分かってるアル、すぐに銀ちゃんは目を覚ますって」
神楽「眠そうな顔であくびしながら……『あー、よく寝たわ』とか言って起きてくるに違いないネ」
神楽「だって、だって銀ちゃんだから……銀ちゃんは……!」
いつもの笑顔を崩さないよう努めるも所々に嗚咽が漏れる。
神楽は笑いながら頬を涙で濡らしていた。
九兵衛「そうだな…僕たちは彼を見くびっているのかもしれない」
あやめ「そうよ!銀さんがこのくらいでどうにかなるわけないじゃない!」
月詠「ああ、夜王の呪縛を解き放ち……暗闇しかなかった吉原に太陽を灯した男じゃ」
月詠「誰もが諦め、抗うことをしなかったわっちらを変えた…本当に『強い』男じゃ」
たま「銀時様は私に魂という概念を教え……私のために命を懸けて戦ってくれました」
たま「機械の私に命を賭けてくれた……本当に『勇気ある』方です」
平子「アニキは鎖に縛られたオヤジを解放して、私まで救ってくれた男です!」
平子「大切なものを全部壊そうとした私なんかも助ける……『優しい』男です!」
結野「不思議なお侍さんですよね……他人同然だった私を助けようとしてくれて…」
結野「今まで解決出来なかった結野と尻野の関係まで取り持ってくれたんです」
妙「……本当に銀さんは『馬鹿』ですよね、得にもならないことに首を突っ込んで」
妙「それで自分がどんな痛い目にあっても諦めないでやり抜く……本当に『馬鹿』な人ですよ」
キャサリン「…………」
お登勢「……守ってやろうじゃないかい、今度は私らで」
お登勢「強く勇気ある、優しいあの馬鹿侍を……護るために戦い続けてたあの天然パーマを」
お登勢「アイツの愛したこのかぶき町を何が何でも守り抜く…そいつが今の私らに出来る全てさ」
近藤「……春雨の連中が攻めてくるのはいつだ?」
土方「今から十日後……すでに提督は江戸に潜伏してるらしい」
近藤「十日……それは確かか?」
土方「野郎が敵の大将から聞いた情報だ、どこまで本当かはわからねェ…」
桂「いや……本気で奇襲を仕掛けるつもりならば銀時に接触を図る必要などない」
桂「俺たちを攪乱するために偽りの情報を流している可能性も低いだろう、そんな手の込んだ真似はするまい」
沖田「舐められてんですよ俺たちは……敵にわざわざ攻めてくる日を教えるなんざ正気じゃねェ」
土方「上等じゃねーか……だったらこっちは売られた喧嘩を買うだけだ」
新八「僕たちなら大丈夫です…今の僕たちならどんな敵とだって戦えます!!」
神楽「春雨がどれだけ来ようと関係ないネ!全部ぶっ潰せばいいだけアル!」
新八「戦いが終わったら……目を覚ました銀さんに言ってやりましょうよ」
新八「『昼寝が長すぎるぞこの天パー!どんだけ寝てたんだ!』って」
妙「あはは、それ良いわね!そうしましょうか!」
九兵衛「ああ……そのために」
お登勢「この中の誰一人として……死ぬんじゃないよ」
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某所
高杉「……馬鹿は戦線離脱か、クク…奴もずいぶんと鈍ったな」
神威「あの侍は俺が目を付けていたのに……ホント、嫌になるね」
神威「まったく…一部の馬鹿が余計なことをした……ま、仕掛けた奴らは全員返り討ちにあったみたいけどさ」
神威「奇襲しようなんて考える連中も何人か艦内に残ってたけど…俺が皆殺しにしておいた」
高杉「フン、同じ春雨のお仲間にずいぶんと手荒いことだな」
神威「俺の歩む修羅が戦いの道……それを邪魔するような連中は必要ない」
神威「君だってそれは同意なんじゃないのかな?」
高杉「フ……俺の前に決まった道なんざありはしねェ、あるのはただの暗闇よ」
寝ます、ほとんど進まなくてすいません
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数日後、かぶき町……某所
住人A「聞いたか、お登勢さんのところで厄介になってる侍さんの話」
住人B「万事屋の旦那だろ、天人と斬り合いして重体だとか聞いたが……」
住人A「ああ、何でもかぶき町に攻め入ろうとした連中を一人で食い止めてたとか」
住人B「四天王の抗争があったと思いきや今度は天人かい……なんてこった」
住人A「今回ばっかりはかぶき町から逃げたほうが良いかもしれねェな」
住人B「ああ……荷物まとめといたほうが良さそうだ」
某所
住人C「万事屋の旦那の話聞いたか?重傷でもう助からねェらしい」
住人D「んな馬鹿な!あの人は馬鹿ばっかりやってたが腕っぷしはとんでもないぞ!?」
住人D「それにあの人はバイクで事故っても爆発しても金玉潰れても死なねェって話だ!」
住人C「それがあの宇宙海賊の春雨とやり合ったらしい…しかも相手は大人数ときた」
住人D「春雨って…あの悪名高い春雨かい!?何でまたそんな連中がかぶき町に……」
住人C「さあな…何にしても旦那にゃ何とか助かってほしいモンだが…」
住人D「ああ、まったく……」
住人Y「エフッエフッ……ずいぶんとオモシロイことが起こりそうだな」
住人C「……ところでアンタ、誰?」
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病院
銀時「…………」
鉄子「……町の噂なんて信じたくなかった」
西郷「私はこの眼で見ても信じられないくらいさ……まさかパー子がこんなことになってるなんてね」
辰巳「なあ……起きてくれよ銀さん、こんなところで寝てるなんてらしくねェよ……!」
新八「……大丈夫ですよ、銀さんならすぐに起きてきますから」
西郷「……で、アンタらは戦うつもりかい」
新八「……銀さんの守りたかったものを守るだけです」
西郷「敵は強大だよ、前の華陀なんて目じゃないくらいにね……それでも戦うのかい?」
新八「銀さんは家族で……僕は『侍』ですから」
西郷「…………」
西郷「…………」
西郷「……アンタ、パー子に似てきたね」
新八「それ、褒めてるんですか?」
西郷「さあね……とりあえずはっきりしてんのは、私にもやらなきゃいけないことが出来たってことさ」
新八「!」
西郷「ここで戦わないのはオカマに非ず……アンタらだけに戦わせやしないよ」
鉄子「……春雨が相手なら逃げるわけにはいかない、私にも出来ることはあるんだ」
辰巳「かぶき町の底力、奴らに見せてやろうぜ」
新八「…………!」
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真選組、集会所
近藤「……以上だ」
局長である近藤から伝えられた事実に隊士たちは驚きを隠せなかった。
宇宙に名を轟かせる春雨が江戸に潜伏、数日後には攻撃を仕掛けてくる……
信じられない……いや、信じたくはない話だった。
山崎「局長、俺たちは何を……」
近藤「……江戸を守るのが俺たちの役目だ、当然奴らを迎え撃つことになるだろう」
山崎「あの宇宙海賊春雨を、俺たちだけで……ですか?」
近藤「そうだ」
山崎「…………」
真選組は決して弱者の集まりではない、全員が鍛錬を積んだ侍である。
が…春雨とは組織としての規模が違いすぎる、兵力で言えば数倍以上の差があるだろう。
それを食い止めろということ……それはすなわち文字通り、命を賭けることと同義だった。
土方「命が惜しい奴は刀を置け、戦場じゃ邪魔になるだけだ」
「…………」
家族がいる者……恋人がいる者……自分の命が惜しい者……彼らの迷いがその場の空気を支配する。
誰か一人でも刀を置けばそれに追随する形で自分も刀を置こう、そんな考えを持つ隊士は少なくない。
戦うの意志のある者も含め、誰しもが春雨との戦いに怯えていた。
近藤「ハハハハハハ!」
局長の発した突然の笑い声、それ隊士たちの注目を一瞬で集めた。
近藤「何だお前たち!気を使って刀を置くことが出来んのか?」
近藤は理解していた、隊士たちの抱く恐怖、戦いたくはないという思いを。
近藤「恥じることはない、こんな戦いに恐れを抱かぬほうが人としてどうかしている!」
近藤「刀を置きたい者は堂々と置け、それを非難する者は俺が許さん!」
動揺する隊士たちに向かって近藤は続ける。
近藤「はっきり言おう、偉そうに話してはいるが俺もお前たちと同じ、何ひとつ変わらない」
近藤「春雨なんぞと戦うのは怖いし死ぬことも怖い……出来ることなら逃げだしたいとも思う」
近藤「だが俺が一番怖いのは…………」
近藤「てめーで守れるはずのものを守れねェことさ」
近藤「俺たちには刀(コイツ)しかねェのさ、刀で己の誇りを守り…この町の人々を護る」
近藤「刀を振ることでしかてめーを表現出来ねェ、信念を馬鹿の集まり…」
近藤「それが俺たち、真選組だ」
沖田「…………」
近藤「今まで共に戦ってきた俺は知っている、お前たちがどれだけ強い人間なのかを」
近藤「もう一度だけ言う、決して恥じることはない……刀を置きたい者は堂々と置け」
もはや誰一人として刀を置こうとする者はいない。
辺りに満ちていた恐怖などはとうに消えさっていた。
近藤「……刀を置く者はいないか」
沖田「近藤さんもタチがワリーや、あんな話されて刀置けるわけねーでしょう」
土方「……かなわねェな、近藤さんには」
山崎「でも……局長、俺たちの意志は決まってますよ」
沖田「俺たちゃ近藤さんの人柄に惚れて集まった芋侍だ、アンタが戦うなら俺たちも続きますぜ」
土方「テメーら、覚悟は出来てるな……?」
隊士「オオッ!」
近藤「……ありがとうよお前たち、俺は幸せモンだな」
土方「……近藤さ」
近藤「よし!地球侵略を狙う宇宙からの使徒を倒すため!エヴァンゴリオン初号機、発進…ふばあっ!?」
土方「何で最後が締まらねェんだこのゴリラ上司はァァァ!!」ゲシッゲシッ!!
近藤「ちょ、痛っ!痛いから!?春雨と戦う前に瀕死になっちまうぞ!?」
沖田「瀕死になれ土方ー、目の前が真っ暗になれ土方ー!」
土方「お前は何を言ってんださっきから!!」
三年Z組ー銀八先生!
銀八「はい、全然進みませんでしたが今日はこの辺りで勘弁してください」
銀八「明日はもうちょい進むと思うんで…多分、おそらくは」
銀八「じゃあ最近はまた暑さがぶり返して来てるけど、扇風機のかけすぎには注意するようにー」
ちょこっと!銀八先生!
銀八「はい、まず最初に謝っときます、遅れててホント申し訳ないです」
銀八「ちょっと色々と事情があって忙しかったわけで……」
銀八「いや違うからね、決して今週のジャンプのめだかちゃんの行動に衝撃を受けてたとかじゃないからね?」
銀八「善吉くん可哀想だろこれ……長い付き合いなら気持ちを汲めやコノヤローとか思ってたわけじゃないからね?」
銀八「……まあ冗談はおいといて、明日明後日くらいには続きを書けそうです、はい」
銀八「とりあえずこれは必ず完結させるんで、ほっぽりだしたりしないってことは言っときます」
銀八「じゃあまた近いうちに来るんでそん時はよろしく頼みます」
本当に遅れました、再開します
---
夜
松平「オメェ……今の話、冗談じゃねェんだな?」
近藤「春雨が地球に来てるのは事実だ、目撃者も大勢いる……とっつぁん、俺たちで迎え撃つしかねェ」
松平「……近藤、色眼鏡を掛けねぇで考えろ…真選組の戦力で奴らとドンパチ出来ると思うか?」
近藤「…………」
松平「嫁さんとの戦いなら男がしばき倒されて頭下げりゃケリが着く、だが命懸けた戦争となりゃ話は別だ」
松平「コイツは脅しでも何でもねェ……死ぬぞ、間違いなくな」
近藤「とっつぁん、俺たちは戦うしかねェ……どこへ逃げようと安全な場所なんざありはしねーよ」
松平「てめーの部下共々、わざわざ死にに行くってのか……」
近藤「俺たち真選組に死ぬつもりの奴なんて一人もいやしねェ……勝つつもりだ」
松平「…………」
松平「……ダメだ、迎撃することは許さねえ」
近藤「とっつぁん!」
松平「迎撃なんてまどろっこしいするな……やるんならこっちから奇襲仕掛けろ」
近藤「!」
松平「いいか、一人たりとも死なせるんじゃねえぞ……町民も、隊士も…てめー自身もだ」
近藤「…………」
近藤「……真選組局長、近藤勲…その長官命令、必ずや…!」
松平「ただし……兵力は真選組のみでいけ、外部勢力から兵を募るようなことはするな」
松平「大っぴらにそんなことをすりゃ町民にも余計な不安感を与えちまう」
近藤「……分かった、俺たちだけで何とか…」
松平「まあもっとも……『呼んでもいねェのに勝手に兵が集まってくる』なら話は別だがな」
近藤「と、とっつぁん…そりゃどういう意味……」
ふと、松平が視線を逸らした。
近藤もそれにつられて自分の上司の視線を追う。
その先には
桂(エヅラ子)「…………」
襖から覗き見をしている家政婦の姿があった。
近藤「…………」
松平「オイそこの家政婦、なーに盗み聞きしてやがんだ」
桂(エヅラ子)「申し訳ございません、お掃除に入る機会を窺っておりまして……」
松平「家政婦はここにいちゃいけねェよ、さっさと帰んな」
近藤「いやとっつぁん!あれどう見ても桂だろ!?」
桂「桂じゃありません、エヅラ子です」
松平「そう、あれはただの家政婦だ……なあ、エヅラ子」
桂「エヅラ子じゃない、桂だ」
松平「…………」
桂「あ、間違ったエヅラ子です」
松平「まあいい……『ただの家政婦一人』に話を聞かれたくらいなら問題ねェだろう」
松平「エヅラ子、間違ってオメェのお仲間に今の話を聞かせたりするんじゃねーぞ」
桂(エヅラ子)「かしこまりました、奇襲の話を仲間に知らせ、結集して真選組に助太刀したりは決して致しません」
近藤「…………!」
松平「分かってんならいい……早く行け」
---
近藤「とっつぁん……」
松平「てめーは許せねェか、野郎と手ェ組むなんざ……」
近藤「……いや、今は江戸の危機だ…四の五の言ってる場合じゃねェ」
松平「そういうこった、それに……桂の野郎は攘夷浪士と言えど今は危険思想を持ってねェ」
松平「いや……アイツが危険じゃねぇってことはお前が一番分かってるか」
近藤「…………」
松平「何にしても決戦の時は近ェ……殺るか殺られるかの戦争だ」
松平「腹だけはきっちりくくっとけ……」
近藤「とっつぁん……アンタもな」
松平「ああ、俺は今からキャバ嬢たちに身辺整理の電話を……」
近藤「あれ?いいのこれ?殴っちゃっていいのこれ?」
数日後、かぶき町では既に春雨襲来の噂がまことしやかに流れていた。
たかが噂と話を信じない者は今までと変わらずに生活を送り
春雨襲来を信じた者は命だけは助かろうとひたすらに逃げる準備を始め
逃げる場所などないと絶望した者はただ時が過ぎるのを待ち
そして---
新八「……必ず勝とう、神楽ちゃん」
神楽「当然ネ、万事屋のいるかぶき町に喧嘩売ったことを連中に後悔させてやるアル」
『護る』ために戦うと心に誓った者は己の魂という刃を堅く握りしめる。
---
病院
銀時「…………」
昏睡状態にある銀時は未だに眼を覚ましてはいなかった。
その銀時の周りを黒い制服の三人が囲み、言葉を紡いでいた。
近藤「伝説の攘夷志士……白夜叉か」
土方「桂の野郎や高杉とも繋がりがあったことからくせーとは思ってたがな……」
近藤「…………」
土方「……近藤さん?」
近藤「いや…攘夷志士として鬼神の如き活躍を見せた男が今は万事屋として生きている……」
近藤「あの攘夷戦争の後……万事屋は一体何を思っていたのか気になってな……」
土方「…………」
土方「攘夷志士だろうが万事屋だろうが……コイツは根っこの部分は何も変わっちゃいねーよ」
土方「コイツは……ただてめーの護りてェと思うモンのために刀を振るってた」
土方「攘夷ん時は国のために……今はこの町にある野郎にとっての大切なモンのためにな」
近藤「……その大切なモンに、『俺たち』も含まれてると思うか?」
土方「さあな……」
近藤「総悟、お前はどう思う?」
沖田「……近藤さん、俺ァ旦那が浪士だの白夜叉だのってのは興味がねーんですよ」
近藤「?」
沖田「俺にとっての旦那は一緒に馬鹿やって派手に騒いで気軽に貸し借り作れる……」
沖田「なげー人生でもそうそう出会えるモンじゃねェ……何にも代え難い悪友でさァ」
沖田「そんな旦那だから俺ァ今まで一緒に馬鹿やってこれたんですよ」
近藤「…………」
沖田「旦那の過去がどうだろうと知ったことじゃねェ……」
沖田「旦那は旦那のままでいいんでィ」
復帰早々かなり短いですが今日はこの辺ですいません
こっからはなるべく毎日来てテンポ上げてくんで勘弁してください
あれ?9月中に終わらせるとか言っといてもう10月じゃね?
遅れてばっかで本当にすいません、再開させてください
桂「病室に誰かがいると思えば……貴様たちか」
土方「お前……」
桂「よせ…俺は友の見舞いに来ただけだ、争う気はない……春雨と戦うまでに傷を負うわけにはいかんのでな」
近藤「……桂」
桂「何も言うな、俺たちは勝手に集まり勝手に春雨と戦う…ただそれだけのこと」
桂「それならば真選組と攘夷志士が結託したことにはならん…そのほうが貴様たちにも好都合だろう」
土方「…………」
近藤「……行くぞ、トシ、総悟」
土方「ああ……」
二人を引き連れ病室から去る直前、ふと近藤は立ち止まる。
そして桂に背を向けたまま
近藤「……ありがとうよ桂、死ぬんじゃねェぞ」
桂「!」
桂の位置から近藤がその時どんな顔をしているかを伺い知ることは出来ない。
だが彼には容易に想像が着いていた、口元で笑みを浮かべる近藤の表情が。
桂「……ああ、お互いにな」
そう言うと桂も同じく笑みを浮かべる。
その笑い方は、どことなく先の近藤の笑みと似ていた。
---
桂「…………」
真選組が去ったあと、桂は眠りから覚めない銀時に語りかけていた。
桂「……銀時、もうじき俺たちは春雨と真正面からぶつかり合う」
桂「聞くところによると…春雨は鬼兵隊と繋がりがあるらしい」
桂「おそらく……高杉とも戦うことになるだろう」
それは---同じ師を仰ぎ、同じ志を抱き、同じ戦場を駆け抜けたかつての仲間。
桂「……もう一度、奴と辰馬…そしてお前と共に同じ道を歩んでみたかったが…叶わぬ夢だったらしい」
桂「高杉は道を外れすぎた……だが、俺にとっては無二の友であることに変わりはない」
桂「道を踏み外した奴を止めるのは友である俺の役目だ……銀時」
桂「春雨に……高杉に……お前の護りたかったこの国を壊させはしない」
桂「この桂小太郎の命に賭けて護り通す……必ずだ!」
それは親友に対する男の約束、戦場で命を預け合ったことのある仲間への誓い。
この瞬間、桂はその誓いを魂に刻み込んだ。
そして---決戦の時が訪れる。
その日、かぶき町に災害時における避難訓練という名目の緊急の避難命令が下される。
万が一、かぶき町への侵攻を許した際に備えてのことだった。
近藤「…………」
土方「近藤さん、隊士はアンタの声を待ってるぜ」
それは決戦直前、真選組全隊士が一堂に会する最後の機会だった。
この隊士からはたして何人生き残れるか……全滅も十分に考えられる。
その場はこの上ない緊迫感に溢れていた。
近藤「お前たち……トイレは済ませたか?」
………………
山崎「……局長、今なんて言いました?」
近藤「トイレは済ませたか、と聞いた」
山崎「……いや、あの局長?俺たち、今かなり緊張した空気だったんですけど?」
近藤「馬鹿を言うな、トイレは超重要事項だろう、遠足のバスと違って戦場じゃ誰も待ってくれないからね」
『ヤバいヤバい…マジで腹痛い、次の駅で降り……あ?なんかちょっと治っ…あ、やっぱ痛い……』
近藤「みてーな状態で敵と戦えるはずがないだろう!」
山崎「いやそれ完全に局長の個人的な体験ですよね、電車で腹痛と決闘してただけですよね」
近藤「まあ冗談はこのくらいにして……局長として、最後にお前たちに言っておきたいことがある」
局長に出来る最後の仕事、それは檄を飛ばし隊士たちの士気をわずかでも上昇させること。
近藤は隊士全員を見渡すと息を大きく吸い込み
近藤「戦場は敵で満ちている、戦力の差なんざ言うまでもねェだろう!」
近藤「だがここは俺たちの誇り高き国だ、何も恐れることはない!!」
近藤「死ぬ気で戦えなどと馬鹿なことは言わん、何が何でも死なぬ覚悟を持って戦え!!」
隊士「オオッ!!!」
近藤「行くぞ!!」
---
同時刻、病院
銀時「…………」
新八「じゃあ銀さん、ちょっと行ってきますね」
神楽「すぐに帰ってくるアル!私たちがいないからって泣くなヨ!」
妙「……行きましょう、新ちゃん、神楽ちゃん…もうみんな準備は出来てるわ」
新八「…………分かりました」
神楽「どうしたネ新八、今更怖くなったアルか?」
新八「……考えてみれば、いつも銀さんがそばにいて僕を助けてくれてたから…」
新八「後ろ姿を見てた僕が今度は銀さんのために戦うと思うと…ちょっと色々とね……」
神楽「……何バカなこと言ってるアルかこのダメガネは」
新八「?」
神楽「銀ちゃんならいつでもいるアル、私たちとずっと一緒に!」
新八「……そうだね」
僕たちの『魂』は、いつだって銀さんと共にある!
銀八「すんません、かなり短いですが今日はここまでで勘弁してください」
銀八「参ったなオイ、もう少しサクサク進められねーのかコノヤロー」
銀八「この連休で多分もうちっとは進むと思うんでよろしく頼みます、はい」
銀八「じゃあ涼しくなって来たから体調管理には気をつけるようにー」
すいません、ほとんど進みませんが再開させてください
---
ターミナル
高杉「…………」
真選組らが動き始めていた頃、高杉は江戸のターミナルの屋上に佇み煙を区揺らせていた。
そんな高杉の背後に近付く一つの影、それは
神威「後ろ、取られてるよ」
神威の傘が高杉の頭に触れる、この距離では攻撃を回避することも防ぐこともままならない。
気まぐれに神威が何か仕掛けられれば、高杉とてどうなるかは分からないだろう。
そんな状況にあるにも関わらず、高杉は余裕の姿勢を崩さずに口元で笑い
高杉「これはこれは提督殿……元気なようで何よりじゃねーか」
神威「フフ、君のほうはずいぶんと元気がないようだけれど?」
高杉「…………」
神威「もしかして、今更になってこの国に未練が出たのかな?」
高杉「クク……今更ちゃぶ台をひっくり返すような真似はしねェよ」
神威「ま、君が感傷に浸ってようと俺には関係ないけどね……せいぜい死なないように頑張ってよ」
高杉「…………」
高杉「フン……あの人を奪った世界で生きるってことは俺にとっては死んでるのと変わらねーよ」
高杉「だから俺ァこの世界をぶっ壊す…あの人を奪った腐った世界を……」
神威「ふーん……やっぱり、侍の考えることは分からないね」
次の瞬間、遠方で爆撃音が響き渡る。それはターミナル屋上からも確認出来るほどのものだった。
神威「何かあったみたいだね?」
高杉「奴さんが仕掛けてきたんだろうよ、ここ最近は妙な動きを見せてやがったからな」
高杉「俺たちを迎え撃つよりか奴らから奇襲を仕掛けたほうが勝算があると踏んだんだろうよ」
神威「だったら俺たちが潜伏していた場所は既に戦場になってるってわけだ……」
神威「フフ、宇宙海賊春雨に恐れず向かってくるなんてね」
高杉「だが……奴らの奇襲なんざ何の意味も持たねェよ」
---
某所
春雨兵A「で、伝令だ!地球人どもが攻めて来やがったぞ!」
春雨にとっては予期せぬ真選組の奇襲。敵は混乱に混乱を重ね、まるで統率が取れていなかった。
近藤「この機を逃すな!一気に叩き潰せ!!」
近藤「一番隊、二番隊は右から!三番隊、四番隊は左から行け!奴らを逃がすな!」
対する真選組は入念に練られた計画通りに流れるような攻撃を仕掛けている。
戦況は明らかに真選組に傾いていた。
土方「…………」
沖田「土方さん、コイツァ……」
土方「ああ、『上手く行き過ぎて』やがる」
奇襲による混乱を加味しても敵は宇宙にその名を轟かす最強の宇宙海賊、春雨。
当然、兵の規模で言えば真選組を遥かに圧倒する。
にもかかわらず---戦況は真選組が圧倒的有利に立っている。
その事実に二人はそこはかとない違和感を感じていた。
土方(話に聞く夜兎族はどこにいやがる……春雨と組んだ高杉率いる鬼兵隊も見かけねェ)
土方(まさか……いや、考えるな…今すべきことは)
土方「とにかく今はここを制圧するぞ、今更退くわけにもいかねェ!」
沖田「分かってまさァ!」
山崎「局長!副長!緊急伝令です!」
近藤「緊急だと?」
山崎「江戸のターミナルに多数の武装した天人が現れ、ターミナルを制圧したとの情報が!」
近藤「何っ!?」
山崎「天人だけでなく攘夷浪士の姿も確認されてます、間違いなく春雨と高杉です!」
沖田「……やられやしたね、コイツは」
土方「野郎どもの主力はターミナルに行ってやがったとはな…ここには雑魚しかいねェってわけだ」
近藤「何てこった……これではここを制圧したところで何も……!」
山崎「局長!もう一つの情報が!」
近藤「もう一つ……?」
山崎「選挙されたターミナルに武器を持った多くの市民たちが向かっていると!」
近藤「!」
山崎「あの桂と思しき人物が指揮を取っています!おそらくは……」
土方「攘夷浪士……いや、それだけじゃねェだろうな」
沖田「眼鏡とチャイナ、柳生家……旦那と繋がりのあった連中も動いてますぜ、間違いなく」
近藤「桂……春雨の本丸と戦う気か」
沖田「野郎においしいところを持ってかれるのも面白くねェ、俺たちもターミナルへ……」
土方「いや……そうもいかねェらしい」
沖田「?」
土方「見ろよ、新しい客だ」
佐々木「お久しぶりですね、バラガキさん」
信女「…………」
すいません、今日はここまでで…明日また来ます
本編前の小ネタ?
---失われた絆
銀時「テメーら……何も覚えちゃいねーのか!?」
美琴「アンタみたいな天パーなんて知らないわよ、金時先生の真似でもしてるつもり?」
佐天「こ、この人……何だか怖い……!」
初春「金時先生と私たちの思い出を馬鹿にしないでください!」
金時「そういうことだ……おかしいのは全部、アンタ一人だってわけだ」
銀時「テメェ……!」
美琴「金時先生に手出しはさせない!」
銀時「っ!」
---失われぬ銀色の絆
銀時「まさかお前……俺のことが……!」
一方通行「テメェみたいな馬鹿を忘れるわけがねェだろォが……銀時よ」
銀時「!」
一方通行「光はまだ消えちゃいねェンだ……やれンだろ、オマエなら」
一方通行「俺もアイツらも、手の届くすべてを掬い取りやがったオマエならなァ」
銀時「……ああ、アイツらの目ェ醒まさせるようなパーチーと行こうじゃねーか」
---交錯する想い
黒子「やはり……あなたは……!」
銀時「久しぶりじゃねーか、黒子よ……」
---さらなる決戦
一方通行「はッ……やってくれンじゃねェか」
上条「いいぜ……もしもテメーが本当に先生の全てを超えてるとでも思ってるなら…」
銀時「金色で何もかも塗りつぶしちまうことが出来ると思ってんなら……」
銀時・上条・一方通行「まずはその幻想をぶち殺す!」
金時「…………!」
…………
銀時「え、何これ?こんなのやんの?俺ァ何も聞いてねーぞ」
新八「いや、僕に聞かないでくださいよ」
沖田「こんなやりもしねェ嘘予告なんざ興味ありませんぜ、さっさと本編行きやしょうや」
神楽「10日も間空けるとかホント予想外過ぎたアルな」
銀時「はぁ……んじゃボチボチ本編を再開すっか」
遅れてすいません、再開します
近藤「見廻り組……!」
佐々木「おや、覚えていましたか……影の薄い我々のことなどとうに忘れていると思ってましたよ」
土方「今はテメーらのことなんざどうでもいい、そこをどきやがれ」
佐々木「その命令には従いかねますね、真選組副長殿……」
土方「何……?」
佐々木「我々の仕事はあなた達を止めることです」
土方「…………」
佐々木「ここは地球に住む善良な天人たちが暮らす施設です、そこを強襲するなど許される行為ではありません」
近藤「ここは宇宙海賊春雨が潜伏していた場所だぞ!見廻り組にも報告が届いているはず……」
土方「人が良すぎるぜ近藤さんよ、上っ面は白いが内は腹黒いお坊ちゃんの話を信じるなんざ…」
話を一度区切り、土方はおもむろにタバコに火をつけた。
息を吸い、煙を吐く……それは目の前にいる敵を燻しているかのようだった。
土方「テメーら、高杉とはハナから連んでやがったんだろ?……なあ、見廻り組局長殿」
佐々木「…………」
佐々木「その言い方は少々語弊がありますね、彼らとは利害が一致してるので共に行動しているだけです」
近藤「何……?」
沖田「近藤さん、考えてる暇はなさそうですぜ……奴らも退く気はねーでしょう」
信女「…………」
沖田「よう…生きてやがったか、なまくら女……まさかまたテメーの面を拝むとは思わなかったぜ」
沖田「俺の作ってやった鞘はお気に召さなかったか?」
信女「私はあんな鞘に収まるような刀じゃない、それに……あなたは斬ると決めた私の標的」
信女「あなたが生きている限り私は必ず現れる、あなたを殺すために」
沖田「…………」
沖田「……やってられねーや、こんなめんどくせー女に付きまとわれちまうたァ…」
沖田「ストーカー女がどうとか言ってた旦那も気持ちだったんですかねィ」
近藤「全くだな、ストーカーなどこの世から絶滅させねばならん最低のクソ虫だ」
沖田「そのセリフ…丸ごと全部ブーメランになってますぜ、クソむ…近藤さん」
近藤「あれ総悟、お前クソ虫って言いかけた?ねえ、俺をクソ虫って言おうとしたよね?」
信女「最後の別れがすんだのなら……斬る」
沖田「!」
信女が動くと同時、沖田は即座に刀を構えて一太刀を受け止める。
既に戦闘は始まっていた。
沖田「この女は俺が引き受けまさァ!クソ虫はあのクソ眼鏡を!」
近藤「ほら!今クソ虫って言ったよね!絶対クソ虫って言ったよね!?」
土方「チッ……とっととターミナルに向かわなきゃならねーってのに!」
二人の援護に入るべく土方は刀を構えた。
佐々木が相当な手練れであることは土方が一番よく知っていたことであり…
沖田と交戦している信女という女剣士もやはり一筋縄では行かないだろう。
援護に入ろうとする土方の行動は当然のことだった。
沖田「土方さん、アンタの仕事はここにはありませんぜ」
土方「……?」
援護に入ろうとした土方を引き止めたのは他ならない沖田自身だった。
沖田「とっととターミナルへ行っちまってください、俺たちもすぐ行きまさァ」
土方「お前……!」
沖田「桂の野郎においしい部分を全部持ってかれちまうのは気分がワリーんですよ……だから」
沖田「ここは俺たちに任せて……とっとと行きやがれい、土方ァァァァァァ!!」
土方「っ!」
短いですが今日はここまでで……すいません
書きためはあるんで次は日を空けずに来れると思います
あと、>>314の二つ目の沖田の台詞は
「ストーカー女がどうとか言ってた旦那もこんな気持ちだったんですかねィ」
の間違いでした
テスト
ようやく書き込めた…
すいません、何か最近全然書き込み画面に繋がらずに困ってました
遅れました、再開させてください
---
ターミナル付近
桂「……ここが敵に気づかれぬ限界の位置か」
桂は春雨と戦うにあたって、味方の部隊をいくつかに分散していた。
新八、神楽を含む桂の部隊は敵の本丸を叩く重要な役目を担っている。
逆を言えば、それは常に死と隣り合わせにある部隊ということ……
桂「この場にいる全員に言っておくが……引き返すのならば今しかない」
新八「何言ってるんですか桂さん、今さら逃げるつもりなんて……」
桂「では新八くん……仮に君の姉上が戦場で斬られ倒れたとして、君は彼女を見捨てることが出来るか?」
新八「!」
---
ターミナル付近
桂「……ここが敵に気づかれぬ限界の位置か」
桂は春雨と戦うにあたって、味方の部隊をいくつかに分散していた。
新八、神楽を含む桂の部隊は敵の本丸を叩く重要な役目を担っている。
逆を言えば、それは常に死と隣り合わせにある部隊ということ……
桂「この場にいる全員に言っておくが……引き返すのならば今しかない」
新八「何言ってるんですか桂さん、今さら逃げるつもりなんて……」
桂「では新八くん……仮に君の姉上が戦場で斬られ倒れたとして、君は彼女を見捨てることが出来るか?」
新八「!」
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ターミナル付近
桂「……ここが敵に気づかれぬ限界の位置か」
桂は春雨と戦うにあたって、味方の部隊をいくつかに分散していた。
新八、神楽を含む桂の部隊は敵の本丸を叩く重要な役目を担っている。
逆を言えば、それは常に死と隣り合わせにある部隊ということ……
桂「この場にいる全員に言っておくが……引き返すのならば今しかない」
新八「何言ってるんですか桂さん、今さら逃げるつもりなんて……」
桂「では新八くん……仮に君の姉上が戦場で斬られ倒れたとして、君は彼女を見捨てることが出来るか?」
新八「!」
新八「み、見捨てるって…そんな……!」
桂「戦場は常に命のやり取りが行われる極限状態だ……一瞬の隙は死へ繋がる」
桂「新八くんが姉上を助けようとするその行為で君自身が命を落とすことになりかねない」
桂「戦場では倒れた仲間は見捨てねばならない、たとえそれが身内であってもだ……」
桂「その覚悟がない者は今すぐこの場から去ったほうがいい」
新八「…………」
戦場で自らが体験した一部の真実の告白、それは桂なりに最後の選択肢を新八たちに与える目的があった。
新八、神楽は共にまだ大人ではない……戦いになれば先の長いその命をいつ散らせてもおかしくない。
願わくば新八の覚悟が揺らぎ、ここから先の血なまぐさい戦いに巻き込まれなければ…そう桂は考えた。
だが、新八の返答は
新八「馬鹿言ってんじゃねーよ、ヅラ……あんな奴らに散らせていい命なんざ一つ足りとてありゃしねェ」
新八「俺ァてめー自身が死ぬつもりも、仲間死なせるつもりもありはねーよ」
桂「!」
新八「……銀さんがここにいたなら、きっとこんなことを言ってふてぶてしく笑うんじゃないですか?」
桂「…………」
神楽「忘れたアルか、私たちは万事屋銀ちゃんの一員ネ!」
神楽「馬鹿でお節介で不器用で天パーな銀ちゃんの家族アル!」
桂「…………」
新八「僕たちは……今までずっと銀さんの後ろ姿を見ていたんです」
新八「そんな僕たちが……誰かを見捨てる覚悟なんて持ってるわけないじゃないですか」
桂「……そうだったな」
桂(そうだ……銀時、お前はいつも護るために戦い続けていた……)
桂(他人のために自分の身を斬らせつつも戦い抜いたその意志は…確かに伝わっていたぞ)
新八(ち、近付いてるのがバレましたよ桂さん!?)
桂(いや……まだ大丈夫だ、こちらの姿を確認したわけではない)
春雨兵「どうするか、様子でも見に行くか?」
桂「来るなよ、絶対こっち来るなよ、いいか絶対来るなよ」
春雨兵「まあ念のために……」スタスタ
桂「」
新八『ちょ、こっち来てますよ桂さん!こんな大人数じゃ隠れられませんし!』
桂派攘夷志士『桂さんご指示を、斬り込みますか?』
桂『落ち着け、武士たるもの…常に心を整えておく必要がある』
新八(桂さん……さすが歴戦の攘夷志士だ、僕も見習わないと)
桂『そのためにはまず、頭の中でフェルマーの最終定理を解いてだな……』
新八「落ち着けるかァァァァ!!」
春雨兵「だ、誰だ貴様ら!こんなところで何を!」
新八(し、しまった!ついいつものノリでツッコミを!)
桂(くっ、ここまで来て見つかったか!どうする、一度態勢を立て直しに……)
神楽「ホォチャアアァァァ!!」バキッ!
春雨兵「ぐうっ!?」
桂「!」
神楽「ヅラ、新八!ボーっとしてないで突っ込むアル!」
新八「神楽ちゃん!?」
桂「……確かに、こちらの隠密行動がバレてしまってはもう手遅れだな」
桂は抜刀すると同時、攻撃を仕掛けようとする春雨兵を逆に斬り伏せていた。
桂「俺たちの部隊はこのまま斬り込むぞ!前線の包囲網を抜け、真っ直ぐに本丸の首を狙いに行く!!」
桂「行くぞ!!」
一同「オオ!!」
今ここに、伝説の攘夷志士の一人である桂小太郎の戦いの幕が再び切って落とされる。
かつて共に戦った戦友を止めるため、そして深手を負い目を覚まさぬ親友のために
狂乱の貴公子は再び戦場を駆け抜ける。
すいません、一旦切らせてください…近いうちにまた来ます
今度はパソコンから書き込むかもしれません
ようやくまとまった時間が取れました
来週からはあまり日を空けずに来れそうです
再開させてください
春雨兵「ぐあっ!」
一人、また一人と春雨兵を斬り倒す。それでも先へ進む道は開けなかった。
むしろ、時間が経つごとに敵の増援によってこちらが少しずつ追い込まれていく。
神楽「キリがないアル」
新八「桂さん!このままじゃ……」
桂「分かっている!だが……ここを押し通らねば俺たちに活路はない!」
一度乱戦が始まっている以上、もう既に退くことは出来ない。
桂は狂乱の貴公子の名に恥じない獅子奮迅の活躍を見せている。
新八、神楽、他の攘夷志士も桂に引かれるかのように戦場を戦い抜いていた。
だが、それも春雨兵の圧倒的兵力に押しつぶされる。
桂たちは敵の誇る数の有利を覆すことが出来ずにいた。
「ぐあああっ!?」
桂「!?」
突如、目の前にいた春雨兵たちが大量に吹き飛ばされる。
無論、桂が何かをしたわけではない。あれだけの春雨兵を打ちのめせる武器があるわけでもなかった。
桂「これは……?」
源外「おー、急いで作った割にはなかなか悪くねェ威力じゃねーか」
新八「げ、源外さん!」
月詠「まったく……なにをやっとるんじゃ、ぬしらは」
新八「つ、月詠さん!」
月詠「ぬしらの部隊はわっちらが陽動で敵を引きつけている間に、陣の奥まで潜入する予定だったはず……」
九兵衛「にもかかわらず、何故僕たちが陽動を仕掛ける前にこんな戦闘をしているんだ?」
桂「いや、少々手違いが生じてな……」
妙「手違い?」
桂「ほら、その……何だ、AKBとアイドルマスターを間違えるみたいなアレだ」
妙「いや、だいぶ違うと思いますけど」
桂「どっちも歌って踊るだろう、やたらと多いし」
新八「色んな人を敵に回す発言ですよ、それ」
全蔵「ったく……なんだって俺ァこんな金にならねェことやってんだ?」
あやめ「戦わなきゃ死ぬわよ、ここまで来てるのにグダグダ言わないでくれるかしら」
全蔵「はぁ、正直やってられねーな……」
全蔵「つかお前、俺のボラギノール知らね?ドンキで買った座薬タイプのヤツ落としちまってさ」
あやめ「…………」イラッ
---
全蔵「…………」
あやめ「あなたたちは先に行きなさい……ここは私たちが食い止めるわ」
新八「尻にクナイが五本も刺さってる人がいるんですけど、あの人から流れる血は食い止めなくていいんですか」
あやめ「大丈夫よ、問題ないわ」
新八「問題しかないだろォォォ!!なんで敵と乱戦になる直前で戦力減らしてんですか!?」
あやめ「減らしてないわ、むしろ全蔵が突破口を開くきっかけよ」
新八「いや動けるわけないですよ!肛門に刃物刺さってんですよ!?一番刺しちゃいけないものですよ!」
全蔵「そ、そいつの言うとおりだ……ケツに刃物刺さってる状態で動けるわけ……」ブシュ!!
新八「全蔵さん!?肛門が完全にスプラッシュマウンテンになってますけど!」
あやめ「じゃ、あとは任せたわ」
神楽「おう、任せるネ」
全蔵「え、ちょ……なに?何で俺の足つかんでんの?」
全蔵の足を固く握りしめ、神楽は大きく深呼吸をする。
一瞬の静寂の後
神楽「ふんぬおらあああああぁぁぁぁ!!」ブンッ!!
全蔵「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁ!?」
『全力で』投げ飛ばされた全蔵は
春雨兵「なっ!?」
正面にいた多くの春雨兵たちを蹴散らした。
桂「よし!突破口は開けた!行くぞ!!」
新八「いやいいんですか!?本当にこんな方法で突破できちゃっていいんですか!?」
桂「状況が状況だ、手段を選んでいる場合ではないぞ」
新八「何か納得いかないんですけど」
神楽「ぼさっとしてないで走るアル!新八!」
新八「わ、分かった!」
妙「新ちゃん!」
新八「姉上……!」
妙「……気をつけて」
新八「…………はい!」
桂派攘夷志士「桂さんたちが奥へ行くまで何としても突破口を守り抜け!」
「「「オオッ!!」」」
桂「お前たち……すまぬっ!」
神楽「急ぐアル新八!」
新八「すぐに行くよ!」
妙「新ちゃん……」
新八「大丈夫ですよ姉上、僕は侍で…それに…姉上の弟なんですから!」
妙「!」
新八「……いってきます!」ダッ
今日はここまでですいません
私生活でのゴタゴタも終わったのでこれからはペース上げられそうです
銀時「風邪は喉から、熱から、鼻からで分かれるらしいけど、全部複合されてる風邪はどうすりゃいいんだ?」
銀時「もうアレだよ、デスタムーアとミルドラースとゾーマを一辺に相手しろってモンだよこれ」
遅れてます、明日の夜には必ず来ます
九兵衛「……さて、ここからが本当の戦いだな」
月詠「ここだけでなく、内部にもまだ敵は多くいる……あやつら三人だけでは突破するのは厳しいじゃろうな」
あやめ「私たちも追いかけるわよ、ここにいる連中を踏み越えてね」
春雨兵「馬鹿共が……地球人の女が俺たちを相手に勝てるとでも思ってるのか」
妙「あら……あなた達こそ何も分かってないんですね」
春雨兵「…………?」
妙「この街を、かぶき町を敵に回すことの意味を」
春雨兵「!」
妙の言葉が終わったと同時……両軍の戦いの火蓋が切って落とされる。
それはまごうことなき戦争、命を賭した戦いだった。
---
ターミナル内
桂「よし、敵陣への侵入は成功した……このまま奥へ進み、敵大将の首を狙うぞ」
神楽「…………」
新八「神楽ちゃん、どうかした?」
神楽「……ここで別れるアル、ヅラと新八は先に行くネ」
新八「な、何言ってるの神楽ちゃん!ここでバラバラになるなんて危険過ぎるよ!」
神楽「来るアル……アイツが」
新八「アイツ……?」
「そうそう、一人になるなんて馬鹿な考えは止めるべきだね……でないと」
暗がりから聞こえてきた声、三人が出くわした最悪の待ち人。
神威「怖いお兄さんに連れて行かれちゃうかもしれないよ?」
桂「っ!」
神威「フフ、俺を確認するや即座に刀を手に取るとは……なかなかの判断だね」
新八「あ、アイツは!」
神威「君も吉原で見かけたね、どう?少しは成長したかい?」
桂「…………」
桂(ただの天人ではない……あの傘は……)
桂「貴様……夜兎族か」
神威「御名答、やっぱり地球にも俺たちの名は届いているらしいね」
桂「…………」
歴戦の侍である桂は神威の実力を刀を交える前から見抜いていた。
強い---今までも多くの天人と戦った桂とて、これほどの相手と戦ったことはないだろう。
一瞬でも隙を見せれば即座に命を打ち砕かれる……それほどの相手だった。
神威「頑張ってよお侍さん、こんな俺でも春雨の提督をやってるんだ」
桂「!」
神威「つまりは俺が春雨軍の頭、俺を倒せれば君たちの勝ち……ってことになるのかな?」
新八「提督……か、桂さん!」
桂「落ち着くんだ、奴の言葉が真実である保証などどこにもない……だが」
桂「少なくとも、奴を倒さねば先へ進めないことは確かだ」
無意識に刀を握る手に力が込められる。桂は呼吸を整え、仕掛けるタイミングを図っていた。
神楽「オイ、勝手に話進めてんじゃねーヨ」
新八「…………?」
神楽「さっきも言ったアル、私と別れてお前らは先へ進むアル」
それは、自らの身を挺してでも二人を先に進ませようという堅い覚悟。
桂「リーダー……まさか!」
神楽「コイツは……この馬鹿兄貴は私が相手するアル!」
神威「こいつは驚いた、一人で俺を止めるつもりかい?」
神楽「調子に乗んなコルァ、お前のその腐った根性叩き直すくらい私一人で十分アル」
桂「危険だリーダー、やつの強さは……」
神楽「モタモタしてる暇があるならさっさと行くネ!!」
新八「…………」
新八「……行きますよ、桂さん!」
桂「!」
新八「神楽ちゃんなら大丈夫です、僕たちが信じなきゃ……ダメですよ」
桂「新八くん……」
新八「……先に行くね、神楽ちゃん」
神楽「おう、私もすぐ追い付くネ!」
神威「そう簡単に行かないでよ、つれないな」
神威は走り抜けようとする二人に対し速攻の攻撃を仕掛ける。
しかし
神楽「お前の相手は私アル!!」
その一撃を神楽は己の傘で受け止めていた。
桂「……!」
新八と桂は止まることなく走りつづけ、そして最後まで振り向くことをしなかった。
後にまた神楽と合流することを信じて。
そして---同時刻
---
病院
医師「まさか……これはどういう……」
間違いなくその患者は重態だった。数え切れないほどの大傷に大量の出血。
仮に意識が戻ろうとも動くことなど到底できるはずもない。
彼は病院のベッドの上にいなければならない、いなくなることなど有り得なかった。
医師「ならば……彼は一体どこへ行った!?」
病院のベッドの上、いるはずだった侍……坂田銀時の姿はなくなっていた。
---片割れに置かれてあった木刀と共に。
短いですが今日はここまでで……最近寒いので風邪にはご注意を
少しだけ進めます
---
ターミナル前
九兵衛「はっ!」
春雨兵「地球人の割には出来るな……だが」
九兵衛「!」
守りに徹していた春雨兵が一転して攻撃に転ずる、狂いなく急所を狙った一撃をかろうじて九兵衛は防いだ。
九兵衛「くっ………」
形勢は明らかだった、春雨軍がかぶき町勢を圧している。
数で負けているだけではなく、敵は最強の宇宙海賊春雨の精鋭であることも大きかった。
妙「強いわね……」
月詠「ああ、このままではわっちらが押しつぶされるぞ」
九兵衛「……使うしかないようだ」
春雨兵「今更なにをしようがお前たちと俺たちじゃ戦力差が違う」
妙「……結野アナ、一発目はお願いしますね」
結野「分かりました」
春雨兵「…………?」
春雨兵(あの自信は何だ?一体何を……!)
結野「血肉の仮面・万象・羽搏き・ヒトの名を冠す者よ、蒼火の壁に双蓮を刻む、大火の淵を遠天にて待つ」
春雨兵「は?」
結野「破道の七十三、『双連蒼火墜』!」
春雨兵「何でだァァァァァ!?」
晴明「オイ撮影班!今のクリステルの鬼道、ちゃんと録画したか!」
「はい!498万画素、光学15倍ズーム、光学式手ブレ補正を備えたカメラでしっかりと!」
晴明「うむ、さすがはキャノン製……よし、一挙手一投足を録画だ!もちろん最高画質でな!」
道満「フン、愚かだな晴明よ…画質がよくとも長時間録れぬようでは何の意味もない!」
道満「我らが使用するソニーの力を思い知るがいい!」
晴明「キャノンの力を見くびるな道満!画質では我らが遥かに上じゃ!」
道満「ソニーとて高画質、それでいて連続録画時間においてはキャノンの上よ!」
外道丸「二人とも何やってるでござんすか」
晴明「外道丸!道満にキャノンの素晴らしさを示してやれ!」
道満「外道丸よ!仕える主が誤った道を行く時に諫めるもまたお前の役目だ!」
道満「晴明にソニーがいかに優れているかを語ってやるがいい!」
外道丸「お二人は等しく馬鹿でござんす」
春雨兵A「な、なんだ……なぜ地球人があんな技を使える!」
九兵衛「本気を出すと言っただろう……『舞え、袖白雪』」
春雨兵A「こ、凍ったァァァ!?」
妙「フフ、みんな乗ってきたわね……」
春雨兵B「き、貴様はあんなおかしな技は使えまい!」
妙「あなたがそう思うんならそうなんでしょうね、試してみたらどうですか?」
春雨兵B「舐めやがって……!」
怒り狂った春雨兵が妙に掴みかかろうとする、体格差で考えれば妙に勝ち目はない。
だが
妙「はっ!」
春雨兵B「ぐあっ!?」
そこあったのは地に伏す春雨兵の姿……彼女の使った技は
春雨兵A「い、今のは……空気投げ!?」
春雨兵「油断したな!」
妙「!」
春雨兵「後ろを取った!もはや逃れられ…………!」バタッ
妙「なっ……いきなり倒れ……?」
土方「……女相手に得物使って後ろから不意打ち仕掛けるなんざ男のやり口じゃねェよ」
妙「土方さん!」
土方「俺は一人でここへは今来たばかりだ、状況を説明しろ!」
妙「えーとですね、今の九ちゃんがブリーチのルキ……」
土方「誰がそんなモンを説明しろっつったァァァ!?こっちは状況を教えろって言ってんだよ!」
妙「冗談ですよ」
土方「斬り合いの最中で冗談言えるテメーもどうかしてやがるな」
妙「嫌ですねパーリ……土方さん、そんな言い方ないじゃないですか」
土方「オイ、今お前パーリィさんって言おうとしたろ」
土方「……なるほど、この包囲網を抜けられたのは桂とガキ二人だけってことか」
妙「私たちも加勢にいきたいんですけど……」
土方「こんだけ混戦してたら先へ進むのも一苦労だな……チッ」
妙「どうするんですか?」
土方「どうもこうもねェ、俺はここで真正面から突っ切る」
妙「ひ、一人でですか!?」
土方「ああ……とりあえずは誰かが斬りこまなきゃならねーんだ」
土方「裏からの不意打ちも何もねェ……俺は真っ直ぐに斬り込むぜ」
妙「……さすがですね、ゾロ」
土方「誰がゾロだ!もうこれ以上世界観をブッ壊すような発言は控えろ!!」
すいません、眠くなっちまいました
続きは土日に来るので勘弁してください
少しだけ再開させてください
妙「でもさすがにコレを正面から進むのは無理じゃないですか?」
土方「話聞いてなかったのか、無理でも行くしかねーんだよ」
妙「……なら、ここはフォーメーションBで行きましょう」ガシッ
土方「何でお前俺の服を掴ん……」
妙「猿飛さん」
あやめ「いつでもいいわよ」
土方「…………?」
妙「真っ直ぐ行って突破できないなら……『翔』べばいいんです」
土方「…………」
土方「ちょっと待てオイ……まさかテメーら……」
あやめ「とりあえず、全蔵よりは気を使って投げてあげるから」
土方「何が気を使うだ!そもそも『投げる』って行為自体が既におかしいだろ!!」
妙「だから多分大丈夫です、土方さんならやれますよ、もしかしたら」
土方「オイィィィィィ!!『多分』と『もしかして』が重なるってもう失敗するみたいなモンだろうが!」
あやめ「……めんどくさいわね、もう投げちゃっていいんじゃない?」
妙「そうね、じゃあ土方さん……新ちゃんたちのこと、よろしくお願いしますね」
土方「ちょ……待っ……」
あやめ「さあ、行くわよ!!」
土方がさらに言葉を挟もうとするも二人は既に動いていた。
数分の狂いもないタイミング、力加減、意志の疎通により放たれた……その技は
妙「デビルレーザーバレット!!」
妙・あやめ「「YAーーーHAーーー!!」」ブンッ!!
土方「うおおおおぉぉぉっ!?」
二人の乙女に全力で投げられた土方は一直線に、混沌とする戦場を軽々と『翔』び越えた。
それはこの上なく美しい、まさに飛翔だった。
土方「く、くそ……あのゴリラ女ども、とんでもねーことしてくれやがって……!」
春雨兵「ひ、一人戦場を抜け……いや、飛び越えたぞ!」
長谷川「おっと待ちな、テメーの相手はアイツらだ!」
月詠「威勢良く敵を呼び止めておきながら何故わっちらに丸投げする!?ぬしも戦わんか!」
長谷川「い、いやぁ……俺はこういう時は基本時間稼ぎだし……」
春雨兵「どけ貴様!」
長谷川「ふおあああっ!?」
マダオは不意に放たれた春雨兵の攻撃を間一髪で回避する。
無職ながらも常にしぶとく生き残ってきた彼の危機回避能力は評価すべきものがある。
だが
長谷川「あー!グラサンが外れ……」
慌てて身をかわした際、彼の象徴……いや、むしろ彼自身と言っても過言ではないサングラスを落としてしまう。
そしてそのサングラスは
春雨兵「そんなにこの汚いサングラスが大切か、フン」パキッ
躊躇なく敵に踏み砕かれた。
長谷川「お、俺のグラサンがァァァァァ!?」
妙「そ、そんな……長谷川さんが死ん……!?」
長谷川「え?」
あやめ「なんてこと……遂に仲間から犠牲者が出るなんて……!」
月詠「あ奴の犠牲を無駄には出来ぬ……わっちらは戦うのみじゃ!」
妙「長谷川さん……ちゃんと破片の一つも残さず集めてお墓を作りますからね……」
長谷川「いや長谷川さんこっちィィィィィ!!俺っていう存在をちゃんと認識してくれない!?」
九兵衛「しかし……サングラスがない君に一体何が残るというのだろうか」
九兵衛「さながら、福神漬けのないカレーと同じようなものだろう?」
長谷川「さらっと何とんでもねーこと言ってんの!?それに福神漬けがなかったらラッキョウがあんだろう!」
九兵衛「ラッキョウ?君はラッキョウに値する何かを持っているのか?福神漬けのグラサンに代わる何かを」
長谷川「そりゃ…まあねーけど……」
九兵衛「……仕方ない、僕が予備で持っているコレを貸そう、少しは足しになるかもしれない」
長谷川「こいつは……」
春雨兵「何をごちゃごちゃとやってやがる、このヘタレ男が!」
長谷川「あぁ?」
春雨兵「……え?」
長谷川「何だテメェ、俺と殺り合うってのか……いいぜ、面白え!!」
春雨兵「…………え?」
長谷川「少しは愉しませてくれよ、頼むぜ宇宙海賊」
春雨兵「あれェェェ!?違うよね!これ絶対さっきの奴と違うよね!?」
九兵衛「すまない、眼帯を着けさせてみたら何故かこんな性格になってしまってな」
長谷川「いくぜオラァ!!」
春雨兵「ぐおわっ!!」
長谷川「…………」
長谷川「チッ……一撃で終まいか、つまんねェ……もっと強い奴はいねぇのか!」
月詠「こっちの混戦地帯には手強い春雨兵が大勢いる!手を貸せ!」
長谷川「はっはぁ!いいぜ、最高だ!愉しい祭りになってきやがったぜ!!なぁ!!」
九兵衛(もしや…僕はとんでもないことをしてしまったのでは……)
土方「…………」
土方「……よく分からねーが、アイツらが場を持たせてる間に俺はとっとと先へ行かねーとな」
明日早いので今日はここまでで……
なかなか思うように来れず申し訳ないです
年末は急に予定が入るから困る……明日には必ず来ます
>>400
銀時「お、オイ!やべーぞぱっつぁん!シンジ君来てたよ!いやむしろシンジさんか!?」
新八「ちょ、テンション上がりすぎですよ!あ、ホントお久しぶりですね」
銀時「続編マジで楽しみにしてます、結野アナの天気予報くらい」
---
ターミナル内
新八「…………」
桂「リーダーのことが心配か?」
新八「……神楽ちゃんだけじゃないです、姉上やさっちゃんさん、九兵衛さんに月詠さんも…」
新八「かぶき町の仲間が……今まさに傷ついているかもしれないと思うと……」
桂「俺と新八くんに出来ることは一つ……敵を統率する大将を討つことだ」
新八「…………」
新八(そうだ……僕たちがやるしかないんだ)
桂「最も……そう簡単に奥へ進めはしないようだがな」
新八「!」
それはターミナル内の開けた所、二人を待ち受けていたのは大量の春雨兵だった。
春雨兵「あわよくば俺たちの頭を倒そうと潜入してきたところを悪いが……お前たちはここでゲームオーバーだ」
桂「…………」
新八「ま、待ち伏せ……それもこれだけ数が……」
桂「数だけでなく……実力的に考えても奴らは春雨の精鋭部隊だろう」
新八「精鋭って……マズいですよ桂さん、僕たち二人だけじゃ!」
桂「…………」
桂(新八くんだけを先に行かせるか……だが俺一人で突破口を開けるか……)
桂「……どちらにしろ、戦うしかなさそうだな」
新八「桂さん……」
桂「すまないな新八くん……これだけの数が相手では君を守りきることは出来ないかもしれん」
新八「…………」
新八「……守られるだけじゃないです」
桂「…………?」
新八「一人の侍として……僕も桂さんを守ります!」
桂「!」
桂(……俺としたことが、彼を子供と思い軽んじていたらしい)
桂(新八くんはもう守られる側の人間じゃない……守るために戦える侍だ)
桂「……背中は任せたぞ」
新八「はい!」
『攘夷志士』桂小太郎、『侍』志村新八は刀を鞘から抜き放ち……
圧倒的数の春雨兵へ斬り込んでいった。
桂「うおおおおおっ!!」
新八「らあああああっ!!」
春雨兵「な、何だ……正気か!?」
春雨兵にすれば信じられない二人の行為、この戦力差を見て勝てないと分かっているはずだ。
仮に自らが逆の立場ならここは迷わず降伏するだろう、そして目の前の二人もそうすると思っていた。
だが、二人は戦うことを選択した。降伏して武士の誇りを捨てるより戦うことを選んだ。
そして……この二人はこの軍勢を相手に本気で勝つつもりなのだ。
春雨兵A「二人だろうと構うな!殺せ!」
桂「くっ……」
序盤は敵が混乱していたおかげで立ち回ることが出来た、だが……
今は既に敵は戦闘態勢に入っている、当然……容易に戦うことなど出来はしない。
新八「ぐっ……つああっ!」
新八は押されつつも必死で戦いを続ける、ここで弱気になっては負けると直感で感じ取ったからだった。
だが、その攻めの姿勢が一瞬の隙を生み出す。
桂「後ろだ新八くん!」
新八「!」
完全に背後を取られていた、気がついた時点では遅過ぎる。
この春雨兵の攻撃を避けることなど不可能だった。
その時、不思議なことが起こった。
春雨兵A「ぐああああっ!?」
新八「…………え?」
突如、新八に攻撃を仕掛けようとした春雨兵が吹き飛ばされる。
桂が何かしたわけではない、ましてや新八に何か出来たはずもない。
誰かが助けてくれたのだ。
新八「ま、まさか……」
今の春雨兵は吹き飛ばされた……殴り飛ばされたのだ。
新八は屈強な春雨兵を殴り飛ばせるような人間はそう知らない。
だが彼の近くには一人いた……木刀を持つその侍が敵を殴り飛ばす場面を新八は何度も見ていた。
間違いない---新八は確信した。そしてその名前を口にする。
新八「ぎ、銀さ……」
屁怒絽「皆さん、お怪我は?」
新八「ってアンタかァァァァァ!!」
ダメだ眠い……すいません、次は土日に来ます
とある一コマ
銀時「ったくよー、クリスマスだとかなんだとかごちゃごちゃ言ってて鬱陶しいったらありゃしねーな」
銀時「いやいいよ?男と女がいちゃついてようが腰振ってようが銀さん気にしないからね」
新八「……銀さん、諦めましょうって…強がっても虚しくなるだけですよ」
銀時「いーや全然、強がってないよ?だって俺んとこにはサンタ来るし」
新八「来ねーよォォォォ!むしろアンタはサンタになって子供を喜ばせてやる側でしょうが!」
銀時「いやだって俺ァちゃんと少年ジャンプ買ってるし?ちゃんと少年の魂は大切に持ってるし?」
銀時「ならもうサンタが来てくれたっていいだろ、少年に夢を与えるのがアイツの仕事だろうよ」
新八「……ちなみに銀さんの欲しいものって何ですか?」
銀時「アレだよ、金とか金とか……金とかよ」
新八「それのどこに少年魂があるんだァァァァ!」
遅れました、再開させてください
新八「ちょっと待ってェェェ!流れ的にここは銀さんが来る場面なんじゃないんですか!?」
新八「いや、確かに屁怒絽さんお隣だけども!僕らの近くにいたけども!」
屁怒絽「ははは、お互い裸で過ごした仲じゃないですか」
新八「ちょっとォォォォ!誤解を招くような言い方しないでくださいよ!」
新八「ていうか屁怒絽さん、ターミナルは敵で囲まれてたのにどうやってここまで来たんですか!?」
屁怒絽「え?あの人たちは敵だったんですか?僕がターミナル内の道順を尋ねたら丁寧に教えてくれたんですが」
新八(それって……敵が屁怒絽さんを味方と間違えただけじゃね?)
新八(つーか屁怒絽さん、周りで斬り合いやってるのになんで呑気に道順とか聞いてんですか)
桂「こ、こやつはまさか……!」
新八「!!」
新八(か、桂さんは屁怒絽のことを知らないんだった!まさか敵と勘違いしたり……)
桂「やはり……間違いない!」ダッ
新八「ち、違いますよ桂さん!その人は敵じゃなくて……」
桂「あの、アクション仮面の方……ですよね?」
屁怒絽「え?」
新八「…………」
桂「あの、サインとか貰っていいですか?『桂くんへ』とか書いてくれたら凄く嬉しいんですけど……」
屁怒絽「は、はぁ……別に構いませんが」
桂「本当にいいんですか!ありがとうございます!僕、ずっとファンだったんです!」
桂「やった!俺はやったぞ新八く……ふぼあっ!」
新八「やったって何だァァァァ!」ゲシッゲシッ!!
桂「ちょ、痛っ!痛いからホントに!落ち着こう新八くん、ほら!周りは敵で囲まれているぞ?」
新八「敵に囲まれている状況でサイン貰ってるアンタに言われたくねーんだよ!」
屁怒絽「あの……僕、何か悪いことを?」
新八「してません!屁怒絽さんは何も悪くありませんから!」
春雨兵B「何を訳の分からない茶番をしてる!死にさらせェェェ!」
桂・新八「!」
春雨兵の一人が刀を抜いて斬りかかってきたその時、屁怒絽伯爵の目がキラリと光った。
春雨兵B「ぐあああああっ!?」
と同時、その春雨兵は遥か後方へと吹き飛ばされていた。
屁怒絽「ダメじゃないですか、刃物を人に向けるなんて……殺生はいけない」
新八「…………」
春雨兵C「や、やりやがったぞアイツ!」
春雨兵D「オイ待て!あの角と風貌……夜兎と並ぶ傭兵三大部族の一つ、茶吉尼だぞ!?」
春雨兵C「わかってる!だが俺たちは宇宙海賊春雨の精鋭だ!茶吉尼と言えど一人程度なら……」
新八「へ、屁怒絽さん……」
屁怒絽「どうしたんです?僕のことは気にせず先へ進んでください」
新八「いや、でも一人であの人数を相手にするのは……」
屁怒絽「心配してくれるんですか?ありがとうこざいます、でも大丈夫ですよ」
屁怒絽「一人じゃありませんから」
新八「え?」
「あ、いたいた!兄さん!」
新八「……兄さん?」
一つの声が辺りに響き渡る、その声に新八は聞き覚えがあった。
屁怒絽二郎「いやーごめんよ兄さん、ターミナルの中で迷っちゃったよ」
三郎「まったく、地球の建物はなかなか分かりにくい構造をしてるからなぁ」
四郎「温泉に難しい風習があったように、地球の人たちは作る建物も自然と複雑にしたがるんだろうね」
五郎「でも、なんとか兄さんと合流出来て良かったよ」
チビ「僕もいるよー!」
父「で?急に呼び出してなんじゃ、何か用でもあったのか?」
新八「…………」
新八(へ、屁怒絽一家が集合したァァァァ!?)
父「おお屁怒絽!そこにいる彼は地球で出来た友達じゃないか!」
新八「ど、どうも……」
桂「何……友達だと?新八くん、一体いつからアクション仮面と……」
新八「マジで桂さんは黙っててください」
屁怒絽「いや、そこにいる彼らが僕の友達を困らせているんですよ」
春雨兵C「え?」
二郎「ええっ!他人をわざわざ困らせるだなんて随分と酷い人たちですね!」
三郎「しかも武器まで持って……怪我したら大変じゃないですか!」
四朗「まったくだ!こんな心優しい人を傷つけようとするなんて!」
五郎「兄さんのお友達を助けるよ!」
新八(エエェェェェェ!?ちょ、待っ……エエェェェェェ!?)
父「コラコラ待たんかバカ息子たち、ワシにいい考えがある」
桂「『私にいい考えがある』……まさかあれはコンボイの……!」
新八「桂さん黙ってください」
父「悲しいが、彼らはいたずらに他者を傷つけてはならないことを知らんようじゃ」
父「ならば、ここはワシらが一つ……それをきちんと教えてやらねばいかん!」
春雨兵C「へ?」
屁怒絽「と言うわけです、皆さんはどうか先へ行ってください」
新八「は、はい!ほら、行きますよ桂さん!」ダッ
桂「待ってくれ!コンボイとせめて握手だけでも……」
新八「何言ってんですかアンタはァァァァ!いい加減にしないとはっ倒しますよ!」
桂「こ、コンボイ殿ォォォォォ!」
---
屁怒絽「さて、彼らが先に行ったところで……ではみなさん……ご一緒に」
『殺生はいけない』
屁怒絽「あ、一つだけ……みなさんに言い忘れていたことがありました」
屁怒絽「メリークリスマス、みなさん」
二郎「メリークリスマス?兄さん、それは一体」
屁怒絽「地球では年の終わり頃にはこういって挨拶をするのが礼儀らしいんだ」
三郎「へぇ、地球はやっぱり面白いなぁ」
春雨兵「…………」
春雨兵C(め、めりー苦しみます)
春雨兵D(戦場のメリークリスマス)
---
新八「もうかなり奥まで来ましたよ桂さん!」
桂「うむ、ここまでくればもうターミナルの屋上へと向かうのみ……だが」
武市「残念ですが…そうは問屋が下ろしませんよ」
また子「桂ァ!ここから先へは行かせないっス!」
桂「……やはり、な」
新八「…………」
新八「行ってください、桂さん」
桂「新八くん……?」
新八「この二人は……僕が止めます!」
桂「無謀だ、一人で二人を止めるなど……」
新八「止めます、何としても……こうしてる間にもかぶき町のみんなが戦ってるんですから」
桂「!」
新八「この二人が出て来たってことは敵の大将はすぐそこです、桂さん!早く行ってください!」
桂「…………そうか」
桂「屋上で待っているぞ、新八くん」ダッ
新八「分かってます、必ず追いつきますから……」
また子「行かせないっスよ!」
走り出した桂に向けて放たれた一発の銃弾、それを
新八「ああああっ!」
新八は刀で弾き飛ばした。
また子「なっ……!」
あり得ない、高速で移動する銃弾に刀を触れさせるなど以前の新八には出来るはずがなかった。
それは毎日に刀を振り続け、万事屋の仲間として数々の実戦を経験した新八の
紛れもない『成長』だった。
新八「天堂無心流恒道館道場が当主……そして万事屋一家、志村新八---参る!!」
子供ではない、『侍』としての決闘が幕を開ける。
そして---ターミナル屋上
桂「…………!」
高杉「……よォ、久方振りじゃねーか…ヅラ」
桂「高杉……!」
すいません、今日はここまでで……近いうちにまた来ます
高杉「クク……どうしたよ、随分と息が上がってるじゃねーか」
桂「ああ……貴様の部下たちに手厚く歓迎されていたのでな」
高杉「フン……」
桂「……高杉、いつまでこんなことを続けるつもりだ」
高杉「…………」
桂「貴様の進む先に未来などない、この世界を壊して何になる……!」
高杉「……なら、俺からテメーに聞いてやらァ」
桂「…………?」
高杉「ヅラ……テメーはなぜこの世界を護ろうとする、なぜ俺の道を阻もうとする?」
桂「俺は信じているからだ……この世界が護るに値するものであると」
高杉「国のために戦った侍を浪士として晒し上げ、俺たちの先生すら奪ったこの世界がか?」
桂「……確かに、この国には目を背けたくなるような汚い部分も少なくはない」
桂「だが、国に悪い部分があれば変えればいい……必要なのは破壊ではなかろう」
高杉「同じことよ、デカい改革には大なり小なりの犠牲は付き物だ」
桂「犠牲……か……」
高杉「テメーも以前は過激派として動いていたじゃねーか、なあ?ヅラよ」
高杉「俺ァあの時のテメーのが幾分かマシに見えてたぜ」
桂「…………」
桂「確かに……以前は俺も国を建て直すには多少の犠牲を伴う革命もやむなしと思っていた、だが……」
『私の旦那、攘夷志士に殺されたの』
桂「…………」
『関係ない人を傷つけて国を救うもクソもないでしょうよ…綺麗な言葉だけ並べて、好き勝手暴れて……』
『奴らの中に本当に国を憂いている連中が何人いるっていうの?目の前の人も救えないのに…』
桂「目の前の人間も救えず国など救えるはずがない……そう気づかされた」
高杉「…………」
桂「この国は貴様が思うほど腐ってはいない……力に訴えなくとも、まだいくらでも変えられる」
桂「ならば……」
高杉「もういい」
桂「…………」
高杉「……どうやら腐ったのは国だけじゃなくテメーもだったらしいな」
桂「なに………?」
高杉「ヅラ……テメーには俺を止めることなんざ出来やしねェ」
高杉「ぬるま湯に浸かったテメーに…師の仇を討とうとすらしねェ腑抜けたテメーにはな」
桂「高杉……!」
高杉「問答は終いとしようじゃねーか……あとは刀で語りな」
桂「…………」
分かっていた、この男が言葉で止まるはずなどないことなど。
だが期待していた、まだ互いに並び、歩む道があるのではないかと。
信じていた、共に戦場を駆け抜けた友と分かり合える日が来ることを。
桂「……それも、すべて俺の幻想に過ぎぬというのか」
桂は刀を抜いた、もはや戦うしかない。
高杉「おっと……その前にヅラ、テメーに顔を合わせたい野郎がいるとよ」
桂「…………?」
俺に会いたいだと……?この状況で……?
数々の疑問が浮かぶ、まるで心当たりがない。
それだけに桂はふらりと現れた『奴』を見て驚愕した。
桂「き、貴様……!」
似蔵「いつ以来だろうね、アンタの匂いを嗅ぐのは」
桂「人斬り似蔵……なぜ貴様が……!」
似蔵「単なる巡り合わせさ……俺はアンタとはずいぶんと縁があるらしいねェ」
違う、似蔵はあの時死んだはずだ。銀時に敗れ、紅桜を破壊され……
高杉「あの馬鹿の爪が甘かったのが幸いしてな……確かに銀時は紅桜を破壊した」
高杉「だが……本体の似蔵が生きていることには気付かなかったんだとよ」
桂「だが……あれだけ体に負担を掛けて戦った人間が助かるはずも……!」
高杉「クク……確かに地球の医療だけじゃ助からなかったろうよ」
桂「…………!」
高杉「春雨の技術力も馬鹿に出来ねェな、ヅラよ」
高杉「似蔵の体に残された紅桜の情報から紅桜そのものを復元しちまうとはよ」
似蔵「それも……より本格的な戦闘用としてね」
似蔵の右腕、そこに人間の手はない。あるのは刀、刀が直接体から生えている。
手がないとは語弊があった、むしろ似蔵にとっては刀が己の手も同然なのだから。
似蔵「じゃあ、始めようかい?楽しい斬り合いを」
桂「!」
一瞬の思考……
数での不利がある以上、受け身になっては間違いなく押し切られる。
この状況で勝ちを見いだすには休まずに攻め続けるしかない。
桂「ウオオオオォォォォ!!」
桂は猛然と二人へ斬り掛かった。
??「おまん、一人で二人に突っ込むたァ頭おかしゅうなったか?」
桂「!」
その声は桂の側からでも高杉の側からでもない、上から聞こえてくる声だった。
見上げれば上空に大型の船が浮いている。
見たところ戦艦ではない、むしろ『商い』の船に近いだろう。
その船から一人の男が飛び出し、桂たちが対峙する屋上へ降り立った。
桂は半ば呆れた顔をして
桂「……ターミナルの屋上へ空からやってくるお前には言われたくない」
坂本「あはははは、まったくじゃ」
銀時、高杉と並ぶもう一人の戦友を迎え入れた。
高杉「オイオイ……コイツァまた随分と懐かしい顔じゃねーか」
坂本「まっこと久しぶりじゃのう……高杉」
高杉「クク……宇宙で商いをやってたテメーが地に降りて来るとはな、どういう風の吹き回しだ?」
坂本「ちいとばかり地球で糸垂らして釣りをしちょった仲間に会いたくなってのう」
坂本「で、来てみれば……何じゃおまんら、ワシを抜きにしてパーティーしよって」
桂「期待させて悪いが、あいにく今はあまり穏やかではないな……」
高杉「そして……銀時の馬鹿は死んだぜ」
坂本「はははは、おまんは相変わらず冗談を言うのがへったくそじゃのォ」
この場の空気に似合わぬ豪快な笑いを披露し、一呼吸置く。
そして
坂本「銀時は生きとるぜよ」
桂「辰馬、まさかお前……銀時と会ったのか?」
坂本「いや、前の蓮蓬軍とのいざこざ以来会っちょらん」
桂「……では、銀時が数日前に深手を負って今も意識が戻らぬことは…」
坂本「ヅラ、商いを舐めたらいかんぜよ…商いっちゅうんは情報が命じゃ」
桂「し、知っていたのか……!」
高杉「クク……銀時が死に体になり、春雨が地球に攻め入ると知り戻ってきたってのか…ご苦労なこった」
桂「…………」
坂本「もう一度言うがの高杉……銀時は生きとる」
別段、辰馬は銀時が生きているとの『確証』を持っているわけではなかった。
銀時の生存をただ単純に『確信』しているのみ…そこには何の根拠もない。
それでも辰馬は笑った、その表情には一辺の畏れも浮かべず……
坂本「あの馬鹿はそれくらいで堕ちる魂じゃないぜよ」
彼は友を信じていた。
---
同時刻、某所
「はぁっ……はぁっ……!」
避難命令によって無人となったかぶき町。
そこをただひたすらに走りつづける一人の男の姿があった。
「…………!」
ふと男は立ち止まる、己の進む道の先にとある影が見えたからだった。
「よう……お出迎えってか?」
定春「ワン!」
ワンじゃねーよ、こちとら怪我してんだよ、元気にお返事されっと悲しくなんだろ……
男は笑いながらそんな愚痴を言って定春に乗った。
銀時「待たせちまったな定春よ……久々に大暴れと行こうじゃねーか」
定春「ワン!」
一人の侍を背に乗せ、一匹の獣は戦場へ向かって走り出した。
今日はここまでですいません、また明日来ます
---
桂、辰馬、高杉、銀時らかつての攘夷志士たちが動きを見せる一方、真選組も絶えずに戦い続けていた。
沖田「ようなまくら刀、もう少し加減して戦わねーか」
信女「私はただ標的を殺すだけ、力の加減など存在しない」
沖田「テメーは建物も地面も構わず斬り回るからやりにくくて仕方ねェんだよ」
沖田の言葉通り、信女の斬撃はもはや特定の対象を狙っているとは思えないものだった。
近くに誰がいようと、仮にそれが信女の味方であっても彼女は構わずに斬り伏せているだろう。
沖田はこの戦いに真選組の仲間が巻き込まれぬよう、自然と隊から距離を取り戦っていた。
沖田「テメーみたいななまくら刀に討たせてやるほど俺の首は安かねーんだよ」
回避に徹していた沖田が一転して攻撃に移る。
一つひとつが正確かつ素早い斬撃だった……が
信女「まだまだ」
沖田「!」
二本の刀を使う信女は手数に物を言わせ、沖田の攻撃を強引に突破してくる。
沖田が今までに刀を交えた敵の中でも一、二を争うほど厄介な相手だった。
沖田「手数じゃ二本相手にゃさすがに適わねェ……なら」
一瞬の隙を付いた、一撃で仕留めるしか方法はない。
信女「隙を伺っても無駄、私はあなたを仕留めるまでは決して攻撃の手を緩めない、隙も見せない」
沖田「…………」
信女「なにも不思議じゃない、あなたは私と似ている……だから思考も読みやすい、ただそれだけのこと」
沖田「ストーカーのお前と一緒にされちゃたまったモンじゃねーや」
信女「ストーカーじゃない、常日頃から付け入る隙を狙っているだけ」
沖田「それを世間一般ではストーカーって言うんだよ、のび太くん」
信女「……あなたは私と同じ、人殺しの目をしてる」
沖田「…………」
信女「他人を斬ることを躊躇しない、命令ならば誰であろうと斬り伏せることが出来る……」
信女「刀で『斬る』ことにしか存在価値を見いだせない……人殺しの目」
沖田「…………」
終始、沖田は信女の話を黙って聞いていた。何を思うか、表情からは何も伺い知ることが出来ない。
その彼の口から発せられたのは
沖田「一つ聞くぜ、テメーは何を思って俺と斬り合いをしてやがる?」
信女「思考なんてない、私はただ標的を抹殺するだけ」
再び信女の連撃が繰り出される。速く、鋭く、そして正確な斬撃を沖田はひたすらに捌き続けるしかない。
これだけ多くの手数を出しているにも関わらず……全ての攻撃は急所を狙っていた。
沖田「っ」
信女の攻撃を受けきった直後、沖田の体勢が崩れ隙が出来る。
信女(殺った……)
当然……即座に攻撃を仕掛ける、もはや信女の勝ちは動かない。
信女「!」
---はずだった。
沖田「『殺った……』とでも思いやがったかコノヤロー」
罠……信女が気付くと同時、即座に体勢を立て直した沖田の刀が振るわれる。
それは信女の顔をかすめ傷を付けるも致命傷には到らなかった。
信女「…………!」
連続で反撃を食らわぬよう一旦は距離を取る、沖田も無理に追撃をかけることはしなかった。
信女「……次はない」
沖田「…………」
沖田「なまくら刀よ、やっぱり俺とテメーは似ても似つかねーな」
信女「?」
沖田「俺とテメーじゃ戦いの信念も目的も何もかもが違うんでィ」
信女「口では違うと言ってもあなたは分かってるはず、あなたは私と同じ人斬りの……」
沖田「俺が人斬りってのは間違っちゃいねーよ」
信女「…………?」
沖田「俺の目はもう汚れちまってる、剣を握り続けたこの両手も血で染まってらァ……ただな」
沖田「汚れちまってる目だからこそ、汚しちゃならねーモンが見える」
沖田「血塗れのこの手だからこそ、血で濡らしちゃならねーモンも守れるんでィ」
信女「守る……?」
沖田「理解出来ねーか、俺の言葉の意味が……なら教えてやらァ」
沖田「なまくら刀を叩き直してな」
沖田「…………」
信女「…………」
一瞬の静寂の後---二人は同時に間合いを詰めた。
沖田「うらあァァ!」
すれ違いざま、沖田が右手で放ったのは斜めに入る斬撃……
信女はそれを両手の刀で受け流して勢いを殺し、そのまま沖田を斬りつける。
防げるはずはない、攻撃に使った刀を引き戻すより先にこちらの攻撃は届くはずだ。
が……沖田はその一撃を防いでみせた。
信女(な、何故……!?)
答えは攻撃を防いだ沖田の左手を見れば明確だった。
『鞘』---!
信女(しまっ……)
思考が終わる前に両腕へ凄まじい衝撃が伝わってきた。
一瞬金属が割れる音が響く……手元に目を移すと己が持っていた両刀は真っ二つに折られていた。
沖田「刀身のねェその刀を抱いて墓場へ行きやがれィ、なまくら女」
信女「…………」
信女(私が……負けた……?)
壊すために刀を振り続けた私が……負けた?守るために振られる刀に?
信女「…………」
認めたくない、だが認めざるをえない……折られた刀が自らの敗北を物語っている。
沖田『鞘ん中で眠りやがれィ、なまくら』
一度目の敗北ではビルを鞘に見立てて墓標とされたが……まさか二度目は本物の鞘が敗因となるとは……
だが……
信女「これも一つの宿命……」
確かに自分は負けた、が…気のせいかいい知れない心地よさも感じる。
自分を破ったのが己と似ているようで真逆の者だったからか……それは分からない。
だが、信女の顔には確かに『微笑』が浮かべられていた。
そんな信女の肩を掴む者が一人。
沖田「よう、なんで勝手に綺麗に終わりましたみてーなオチ着けようとしてるんでィ」
信女「え?」
沖田「俺の勝負はこっからだ、終わらせようったってそうは行かねェ」
信女「え?え?」
沖田「安心しな、テメーは鎖つけて街中散歩させるレベルじゃ済まさねーよ」
信女「え?え?え?」
沖田「テメーが落ちる墓場の名前は……『ソーゴ・ドS・オキタⅢ世』」
沖田「さーて……楽しいパーティーの始まりだなァ」
沖田総悟、またの名をソーゴ・ドS・オキタⅢ世……この男
---まさに外道
すんません、寝ます
もうちょいサクサク進めたいんですが勘弁してください
とある1コマ
---
銀時「新年!明けましてェェェェ!」
銀時・新八・神楽「おめでとうございます!」
銀時「……はい、じゃーさっさと帰んぞ」
新八「ちょっと銀さん、早すぎますよ!せっかく新年迎えたんですからもっと何かあるんじゃないですか?」
銀時「いーんだよ、終わる終わる詐欺で全然ストーリー進んでねェ俺らが何か言っても仕方ねーだろ」
神楽「去年で終わるどころか年またいでしまったアルからな」
銀時「もはや俺ら何も明けてないからね、これ完結させない限り夜明けなんざ来ないからね」
新八「ちょ……そういうリアルなところで攻めるのやめませんか?」
銀時「はい……まーそんなわけですが、俺らこれからもグダグダやっていくんで」
銀時「新年もよろしく頼むわ」
というわけでおめでとうございます、本編は近いうちに進めますので……
銀時「うーし、んじゃ正月休みも終わったしそろそろ再開するとすっか」
新八「『再開するとすっか』じゃねーよォォォ!!どんだけ間を空けてんだアンタは!!」
新八「もはや正月どころか学生の冬休みもとっくに終わってんだろうがァァァ!!」
銀時「大丈夫だって、俺たちは苦情の嵐と戦ってんだ…ちょっと休むくれーお天道さんも許してくれんだろ」
マジ遅れてて申し訳ないです、明日の夜に必ず来ますので
---
近藤「くっ……!」
佐々木「どうしました局長さん、ずいぶんと必死ですね」
沖田と信女から離れた場所にて近藤と佐々木は戦闘を続けていた。
真選組と見廻り組の局長同士の戦い……だが、近藤の劣勢は誰がどう見ても明らかだった。
近藤(剣に意識を向けりゃ銃でやられる……かといって銃ばかりに気を取られるわけにもいかねェ)
佐々木「しかし……さすがは真選組局長、むさ苦しいだけの御方ではないようだ」
近藤「悪いが佐々木殿、世辞を言ったところで俺から見返りは何も出てこんぞ」
佐々木「いえいえ、私は客観的な評価を述べたに過ぎません」
佐々木「私の攻撃をここまで上手く捌き続けられるのは紛れもなくあなたの腕が立つからです」
近藤「……もっとも、俺からアンタには傷一つ付けられちゃいねーがな」
佐々木「どうです?ここは一つ、取引といきませんか?」
近藤「取引……?」
佐々木「このまま行けばあなたは私には勝てません、ジリ貧状態でも私は少しずつあなたを追い詰められる」
佐々木「大怪我を負う前に降伏して頂ければ私としても楽でして……」
近藤「…………」
佐々木「ああ、当然ですが局長であるあなたの降伏は真選組そのものの降伏と同義です」
佐々木「真選組隊士のみなさんには即座に武装解除していただきますよ」
近藤「…………」
佐々木「悩む必要などないと思いますがね?我々とて武器を捨てた者に斬りかかるような真似はしません」
佐々木「局長ならば隊に無駄な犠牲が出る前に刀を捨て、降伏をすべきでしょう?」
近藤「…………」
近藤「ふ…………」
佐々木「?」
近藤「はははははは!」
佐々木「……何がおかしいのです?」
近藤「なるほどよくわかったぜ、どうにも俺たちは相容れねェわけだ」
佐々木「…………?」
近藤「佐々木殿……アンタにとってコイツは…『刀』は何だ?」
近藤「まあ、おそらくは単なる人斬り包丁としか思ってねーんだろう」
佐々木「…………」
近藤「だから刀を捨てるだなんて簡単に言えちまう……俺たちと折り合いがつくはずもねェ」
佐々木「……では近藤さん、あなたにとっての刀とは?」
近藤「全てだよ」
近藤「俺たち真選組はアンタら見廻り組みてーなインテリ集団じゃねェ、田舎くせェ馬鹿な芋侍の集まりだ」
近藤「そんな俺たちが民を護れるのも、戦えるのも、すべてはコイツのおかげだ」
近藤「『刀』ってのは俺たちの魂そのもの、言わば俺たちの分身よ」
近藤「その刀を捨てるってのは……」
近藤「テメー自身を捨てちまうのと同じなんだよ」
佐々木「……なるほど、バラガキさん然り…確かにあなたたちは馬鹿のようだ」
佐々木「馬鹿に交渉を持ち掛けたのは私の不手際でしたね」
近藤「……最後に一つだけ聞くが」
近藤「局長であるアンタに……部下を庇って死ねるだけの覚悟はあるか?」
佐々木「愚問ですね、上に立つ指揮者が兵の身代わりになるなど有り得ないことでしょう」
近藤「……そうか、よく分かったぜ…見廻り組『局長』殿」
佐々木「長引かせても面倒です、終わりにしましょうか…真選組『局長』さん」
近藤「オオオオオオォォォ!!」
雄叫びをあげながら近藤が斬り込んだ、それは最短距離をまさに一直線に駆け抜ける動き。
攻撃が決まりさえすれば一撃必殺になり得るが、直線的すぎるが故に反撃も受けやすい、まさに諸刃の剣。
近藤がこの一撃に勝負を賭けていることを窺わせる動きだった。
佐々木(……やはりあなたは芋侍だ)
佐々木は近藤の策を予測する
佐々木(以前、あなたの所のバラガキさんは銃の弾を斬って私へ攻撃を通してきた)
佐々木(それと同じことをしようとしている……浅い考えだ)
佐々木は斬りかかる近藤に狙いを定めると素早く銃の引き金を引いた。
佐々木(この銃弾を斬り攻撃を仕掛けてくるのなら……私はそれを迎撃するまでです)
放たれた弾丸に対し近藤がとった行動……それは『避けない』という行動だった。
佐々木「!」
佐々木(な、なぜ当たっ……!?)
地を濡らす近藤の鮮血に動揺したのは他ならない佐々木だった。
土方と同じ手を使ってきていたはずならこの弾に当たるはずがない……
近藤「ウオオオオオオォォォォ!!」
佐々木「くっ!」
予想外の事態ではあるが佐々木はとっさに刀を抜く、このままでは斬られることが明らかだったからだ。
すれ違い様にキィンという金属音が響かせつつ、二人は交錯する。
そしてそのまま走り抜けた後、彼らは動かずに立ち尽くしていた。
佐々木「くっ……」
先に倒れ込んだのは佐々木だった、もはや立つこともままならない状態に思える。
近藤「はぁっ……はぁっ……!」
佐々木「なぜ……弾を避けなかった……!」
佐々木「それだけじゃない……すれ違う際の私の斬撃……あれも完全に防ぐことはしなかった」
近藤「そうでもしなきゃアンタを斬れねェと思ってな……結果、俺ァ間違ってなかったらしい」
近藤は確かに攻撃を避けなかった、だが佐々木の弾や斬撃を急所からずらす一瞬の行為……
数々の死闘をくぐり抜けて培った危機回避能力をとっさに発揮していた。
佐々木「……まさか自分の体をそこまで傷付けてまで私を攻撃してくるとは、やはり…馬鹿の考えは読めませんね」
佐々木「だが……上に立つ人間そんな命を無駄にしかねない博打に出るとは……あなたは局長失格だ……」
近藤「……テメーに一つ言っておく」
佐々木「……?」
近藤「局長ってのは……戦場では常に部下の命を背負わなきゃならねェ」
近藤「俺たち局長の匙加減で奴らの生死は決まっちまうのさ……」
近藤「俺を局長失格と曰うならそうするがいいさ、それでも俺ァ仲間を守れるなら…」
近藤「こんな馬鹿な俺を慕ってついてきてくれたあの大馬鹿野郎どもを守れるのなら」
近藤「てめーの体張ってでも最後まで戦うぜ」
近藤「それが……『局長』だ」
佐々木「…………何にせよ、ここは私の負けの……ようだ」
佐々木が気を失ったと同時、近藤もその場に崩れ落ちた。
近藤「はぁっ……はぁっ……はぁっ……」
まさに捨て身の攻撃、佐々木に確実な攻撃を当てるために自らを傷付けたダメージは決して小さくはなかった。
近藤(あとは任せたぜ……総悟…トシ…桂…そして万事屋)
近藤勲、己自身の魂と誇りを守り抜き見廻り組局長を撃破する。
その姿はまさに真選組『局長』を名乗るにふさわしかった。
今日はここまでで……もう今回みたいに長く間が空くことはないので勘弁してください
三年Z組ー銀八先生!
銀八「じゃー授業始めんぞ、今日は一人暮らしにおいて風邪を引いたときのヤバさだ」
銀八「家族が一緒に住んでる場合、大多数は病人を気遣ったりしてくれますね」
銀八「お粥作ったりジャンプ買ってきてくれたり風邪薬持ってきてくれたりポカリだったり、まあ色々だな」
銀八「だがもし一人暮らしで風邪引いた場合、コイツははっきり言ってヤバいです」
銀八「まず布団から出られねーし?ましてや飯なんか作る気力も食う気力もねーし?」
銀八「その状況を何とかてめー一人で乗り切らなきゃならねェっていう、あれこれどんな拷問?」
銀八「つーわけで、テメーらも体調管理だけはしっかりな」
こんな感じで遅れました、今日の午後から再開します
沖田「近藤さん、なんだってまた道端で寝っ転がってんですか?」
しばらく目を閉じて横になっていた近藤の頭上から聞こえる声
それを耳にした近藤は笑いながら
近藤「その声は総悟か……その調子だと勝ちを拾ったようだな」
沖田「まあ自尊心が強くて少しは手こずりましたがね……それだけ教え込みがいがありましたよ」
近藤「そうか、そいつは良かっ……あれ総悟?今お前何かおかしなこと言わなかった?」
沖田「それよか、疲れてんなら一緒に乗りますかい近藤さん?後部座席なら空いてますぜ」
近藤「後部座席って総悟、今お前何かに乗ってんのか?」
沖田「ついさっき雌猫を手にいれましてねィ、猫になんざ乗るのは初めてでしたけど乗り心地は悪かねーですよ」
近藤「あれ?何か俺ァ今は目を開けちゃならねェ気がするんだけど?見ちゃいけねーモンが見える気がすんだけど」
沖田「おう、近藤さんも乗るぜ、崩れるんじゃねーぞ」
信女「………………」
近藤「乗るって何にィィィィィ!?」
近藤「オイィィィィ!何だこれ!?これ人力車ってかまるっきり人車じゃねーか!」
近藤「つーかお前さっきまでこの娘と斬り合いしてたよね!?どこをどう手順を踏んだらこうなるんだ!?」
沖田「コイツもなかなか抵抗しやしたがね、まあ勝ちやしたよ」
近藤「いや勝ったってそういう意味で!?侍の誇りの欠片すらねェじゃねーかァァァ!」
沖田「この雌猫、結構Sっぽかったんでなかなか調教してる時は楽しかったですぜ」
近藤「やめてェェェ!!ちょ、総悟!もうやめて!それ以上何も言うな!」
近藤「さっきまであれだけ『仲間のために』カッコ良く決めてた俺が情けなくなるから!」
沖田「ああ、すいやせん…ならお詫びにこの雌猫、好きにしていいですぜ?俺が命令すれば何でもやりますから」
近藤「総悟ォォォォォォ!?」
---
ターミナル内某所
土方「……気のせいか?何か近藤さんの叫び声が聞こえたような…」
桂や新八に続きターミナルへ潜入している土方は極力敵の少ないルートを選び奥へと進んでいた。
剣に自信がないわけではなかったが、無闇に敵と乱戦になり傷を負うのも得策ではない。
この戦いにおいてはひどく正しい判断だった。
が……土方の進むルートに立つ敵は
土方「……よりにもよってテメーと出くわすとはな、河上」
河上「こんな裏を潜り込んで来るのはどんな鼠かと思えば……まさか真選組副長とは」
土方「…………」
土方は周りを見渡す、己の眼前にいるのは鬼兵隊・河上万斉のみ
伏兵が潜んでいる気配も感じられなかった。
河上「単身でここまで来たところを見るに、敵との混戦を避け高杉の首を取る算段でござったか?」
土方「そう言うテメーは俺みてーに不意打ちで大将を討とうとする輩を排除する役割ってわけだ……なら」
土方「俺はテメーを叩き斬って先へ進む、ただそれだけだ」
河上「フ……ぬしとの斬り合いを経て新しい曲が作れるやもしれぬでござるな」
土方「いくらでも作ればいい、三途の川越えたところでな」
土方「らあっ!」
キィン
河上「受け止めてなおこの衝撃……なるほど、これはかなり激しいビートでござる」
土方「斬り合いの最中に考え事とはずいぶんと余裕じゃねーか」
河上「言葉でいくら平静を装うとも、感情の高ぶりに呼応して剣は荒くなる……」
河上「これは……まるで怒り、ある意味では憎しみとも取れるビート……」
河上「……フ、伊東でござるか」
土方「!」
河上「あの件で拙者を恨むのはお門違いでござる、拙者たちと伊東の利害が一致し……」
河上の言葉を遮るかの如く、一閃が放たれる。河上はその一撃を辛うじて回避していた。
土方「テメーの口で野郎の……俺たち真選組の仲間の名を口にするんじゃねェ……」
河上「!」
錯覚か……一瞬、河上には土方の背後に鬼が見えたように感じた。
不用意に足を踏み入れた瞬間、即座に喰い殺されるイメージを抱く。
河上「まったく……鬼の副長とはよく言ったものでござるな」
すいません、今日はここまでですが明日も続けて来ます
---
ターミナル前
真選組とは別に戦いを続けるかぶき町勢の戦いも激しさを増していた。
九兵衛「『次の舞!白蓮!』」
月詠「散り散りになるな!連続攻撃による手数で押し切れ!」
が……九兵衛率いる柳生家、月詠率いる百華、その他多くの仲間の連携で徐々に流れは傾きつつある。
そして何より
春雨兵「な、何だコイツは!?」
長谷川「ハハハハハハ!もっと強い奴ァいねぇのか!?」
春雨兵B「つーかアイツ剣が刺さらねーんだけどマジで!」
九兵衛「…………」
眼帯つけてる長谷川さんがヤバかった。
九兵衛「この分ならあと少しで新八君たちの加勢に……」
阿伏兎「行けると思ったのか?」
九兵衛「なっ……ぐあっ!!」
九兵衛の体が宙に舞う、殴られたその体は激しく地面に打ちつけれつつ、ボールの如く吹き飛ばされた。
九兵衛「がっ……はっ……!」
一瞬の出来事に九兵衛は何が起きたのか把握し切れていなかった。
辛うじて分かったのは自分が不意をつかれ殴り飛ばされたこと、そして
阿伏兎「残念ながらオメェさんたちにそんな選択肢はねェな」
自分を吹き飛ばしたのは目の前にいる不気味な男であることだった。
東城「わ、若ァァァ!」
九兵衛「だ、大丈夫だ……攻撃を喰う直前に受け身は取れた…………!」
あやめ「そ、それで受け身を取ったっですって……!?」
咄嗟であったとはいえ受け身を取ったにも関わらず、これだけのダメージを……?
仮に受け身を取ることが出来ていなければ……
九兵衛「間違いなく再起不能……死んでてもおかしくはなかった」
その身を持って体験したあの男の力、並大抵の天人のそれではない。九兵衛は一つの確信を得ていた。
九兵衛「白い肌、戦闘に使用できる傘、そしてあの剛力……」
九兵衛「……間違いない、夜兎族だ」
阿伏兎「しかし情けねェ……宇宙最強の春雨が地球人との乱戦で劣勢になってるとはよ」
阿伏兎「やっぱりあの馬鹿提督が適当な指示出してたのがいけねェのかね」
月詠「貴様……!」
阿伏兎「ん?どっかで見たと思えば、アンタは前にどっかで見たな……ああ、吉原の時だったかい」
阿伏兎「あの時よか幾分かマシになったか?変わってねェようじゃ……死ぬぜ?」
月詠「…………!」ゾクッ
長谷川「何だ?ずいぶんと強そうな奴がいるじゃねーか!」
阿伏兎「オイオイ何なんだお前さん、いきなり斬り掛かってくるとはずいぶんなご挨拶だな」
阿伏兎「だが参ったね、その獣のみてーな戦闘本能……俺は嫌いじゃないぜ!」
長谷川「いいじゃねーか、面白ェ!せいぜい愉しませてくれよ!!」
妙「………………」
妙「え……ちょ、エエエエエェェェェ!?まさかの長谷川さんがあの化け物とマッチアップ!?」
全蔵「これやべーぞ、完全体セルに戦闘力5の銃持ってたオッサンが戦うみてーなモンだぞ」
長谷川「戦いってのはやっぱりこうでなけりゃ面白くねェ!」
阿伏兎「違いない……フンッ!」
十数合の打ち合いの後、阿伏兎は一瞬の隙に鋭い突きを敵の顔面に放った。
今のマダオはその一撃を笑いながら避けてみせる……が
すれすれで攻撃を回避する際、マダオの左目を覆っていた眼帯が千切られ外される。
妙「い、いけない!あれが外れたら長谷川さん、ただのマダオに戻っちゃう!」
九兵衛「い、いや……まだ分からない!確か剣八は眼帯が外れると強くなるという設定があったはずだ……」
あやめ「一体どっちの効果が…………」
長谷川「…………」
長谷川「……あれ、何で俺はこんなとこ…」
妙「回収ゥゥゥゥ!!誰か大至急長谷川さん回収してきてェェェェェ!!」
長谷川「つーか俺、眼帯借りた後から今まで何して……」
阿伏兎「よくあれをかわしたな!なかなかに骨がある!」
長谷川「…………」
阿伏兎「だがコイツは避けられまい!俺も加減せずにやらせてもらう!」
長谷川「エエエェェェェ!?ちょ!待ってェェェェェェ!!何が起こって……」
月詠「ハッ!」
阿伏兎「む……!」
阿伏兎が一撃を放つ直前、月詠がクナイによる攻撃を撃って出る。
人体の急所を正確に狙い撃つクナイ、さすがの夜兎と言えどこれは防がざるを得なかった。
阿伏兎「チッ……楽しい戦いの最中に小賢しい真似を!」
阿伏兎は持っていた傘を軽々と振り回し、自身に襲い来るクナイを撃ち落とす。
月詠「!」
完全に不意を付き、尚かつあれだけの量のクナイを投げても傷一つ付けられぬ夜兎……
その存在に月詠は改めて恐怖を抱く。
阿伏兎「惜しかったなぁ、この俺の不意を付けたとでも思ったかい?」
月詠「……ああ、思った」
阿伏兎「クックック……あの程度でこの俺を……っ!!」
背後から殺気を感じ即座に上体を逸らす、そこには
あやめ「っ…………!」
己が一秒前にいた空間を斬りつける猿飛あやめの姿があった。
阿伏兎「今のはちいとばかりヤバかったな、危うく命もってかれるところだったぜ」
月詠「…………」
月詠(わっちのクナイによる陽動からの背後への奇襲……これすら奴は防ぎきるか)
一方そのころ
全蔵「オイ、大丈夫かオイ!」
長谷川「気がついたら……何かヤバそうな奴が目の前にいて……俺を傘で殴り殺そうと……」
二人の女忍が戦っている中、全蔵によって回収されていた。
阿伏兎「大体お前さんたち、一体なんのために戦ってる?この街を守るためか?」
阿伏兎「悪いがそりゃ無駄な努力だ、このターミナル前にいるレベルの春雨兵に手こずってるようじゃ……」
阿伏兎「ウチの所の大将はお前さんたちが千人集まろうと止められやしねェよ」
月詠「それでもわっちらは誓った……最後まで戦い抜いたあの馬鹿が愛したこの街を必ず守ると!」
阿伏兎「あの馬鹿?……ああ、大将が気に入ってたあの銀髪の侍かい、あれはもう死んだって聞いたが?」
九兵衛「あの男はしぶといのが一つの取り柄のようなものだ……必ず生きて返ってくる」
阿伏兎「……ま、俺にはどうでもいいことだがね」
阿伏兎「だが、地球人ってのはずいぶんと安っぽい人間関係っての有り難がるねぇ」
阿伏兎「……いや、一番おかしいのはやっぱりあの銀髪の侍か?」
月詠「……何じゃと?」
阿伏兎「どうも、お前さんらはあの男に何らかの恩義を感じてるようだが……」
阿伏兎「あの侍はただ馬鹿なだけよ、鳳仙の時の行動を見てりゃ大体は分かる」
阿伏兎「何の得にもならねェことに本気を出すなんざ俺には到底理解しかねるがね……」
阿伏兎「そんな馬鹿を有り難がってるお前さんらを見てるとどうにも笑いが……」
平子「止めろ」
阿伏兎「…………?」
阿伏兎の執拗な挑発、それを決して許すことが出来なかった少女……
銀時によって父と再会するきっかけを作られ、そして万事屋一家が末弟でもある少女……
平子「それ以上、その口がアニキを馬鹿にする言葉を紡ぐのなら……」
平子「そこに真っ赤な花を飾り付ける」
阿伏兎「くっくっ……」
椿平子が自らの刀を夜兎へと向け、宣戦布告する。
ここに、新しい戦いの火蓋が切って落とされた。
今日はここまでで、こんなペースですけど続きは明日に……
てかこれからは極力毎日来ます
銀時「とある科学の……オイ、これなんて読むんだ?」
おいこれ>>1の新作なのか、それともなりすましなのかどっちだ
>>533
銀八「いやいや、こっちが終わってねーのに新しいのに手ェ付けたりは銀さんしないからね」
銀八「アレだよ、こういうのは女との付き合いと同じで終わるときはきっちり終わらせとかねーといけねェよな」
銀八「つーわけでそれは全然知りません、全くの別人さんですね」
と言うわけで、すいませんけどそれについては知りません
阿伏兎「フンッ!」
平子「ぐっ!」キィン
幾度にも満たない攻防にて平子は直感する、力、技術、経験……そのすべてにおいて敵が上であると。
阿伏兎「どうしたお嬢ちゃん、防ぐだけじゃ戦いには勝てねえよ」
平子「くっ……」
あやめ「いい歳したオジサンが子供虐めて楽しんでんじゃないわよ!」
月詠「はっ!」
クナイを持った二人は戦闘の間に割って入ると素早く阿伏兎へ斬り掛かる、三人の計画通りだった。
平子を陽動に使い尚且つ、二人掛かりで手数を増やして攻める……相手は隻腕、この攻めが通らぬはずはない。
阿伏兎「オオォッ!」
月詠・あやめ「!?」
一振り、今のは間違いなく一振りだった。
その一振りで、阿伏兎は高速で動く月詠たちのクナイを正確に破壊していた。
月詠「こ、コイツ……本物の化け物か!?」
阿伏兎「本物の化け物?そいつは違うな」
阿伏兎は持っていた傘を手放し、代わりに猿飛あやめの腕を掴みかかる。
あやめ「しまっ……」
不覚---そう彼女が考えた時には既に自身の体は月詠を巻き込み、投げ飛ばされていた。
月詠「ぐあっ!」
あやめ「うぐっ……」
阿伏兎「俺はただの血を愛でる獣よ」
平子「この……っ!」
阿伏兎「ほう……今のを見ても恐れずに向かってくるか、大した勇気の嬢ちゃんだ……が」
平子の選択した攻撃は突き、直線的でかわされやすくはある一方で防ぐことは難しい一撃。
それを阿伏兎は脇で挟み込むように受け止め、さらにその刀を蹴り上げた。
刀を飛ばされ平子に一瞬の隙が生じた時、その喉には既に腕が伸びていた。
阿伏兎「悲しいねェ、その勇気を奮って選んだ選択肢の先に待っていたのが死だったとはよ」
平子「あっ……ぐっ……!」
九兵衛たちは他の天人との戦いで動けず、月詠たちは体を打ちつけられたダメージで未だに動くことが出来ない。
ましてや援軍など期待できるはずもなかった。
阿伏兎「さて、ここでお前さんにまた選択肢だ……ここで戦いを止めて逃げ出すか…」
阿伏兎「もしくは、ここでこのまま俺に絞め殺されるか……後悔しねーようベストな選択肢を選ぶんだな」
平子「…………ない」
阿伏兎「…………?」
平子「絶対に……逃げない……!」
阿伏兎「…………」
阿伏兎「決まりだな」
平子の言葉を聞き、阿伏兎の腕に力が込められた。
平子「あっ……はっ……!」
阿伏兎「終わりだな、地球人の小娘にしちゃお前さんはよくやったほうだったぜ」
阿伏兎は子供だろうと、戦場で己の前に立つ的に容赦はしない。
それが夜兎としての修羅の血であり、宿命であり、そして誇りであったからだ。
平子の命が尽きるのも時間の問題、まさに風前の灯火だった。
その時
「よう、楽しそうな遊びしてるじゃねぇかい」
阿伏兎「っ!」ゾクッ
凄まじい悪寒が背中に走る、動かなければ命に関わると阿伏兎に思わせるほどの悪寒……
阿伏兎は平子から手を離し、即座にその場から一歩移動する。
その刹那、阿伏兎は確かに見た……一秒前まで己のいた場所の空を斬る刀の姿を。
次郎長「今のでて殺(と)れねェたぁ……やるじゃねーか、天人よ」
平子「お、親父……?」
次郎長「なんでェ、目までおかしくなっちまったか?てめーの親父の顔も分からねえかい」
平子「なんで…なんで親父がここに……」
次郎長「そりゃこっちの台詞だ、俺ァふらふらとほっつき歩いてる娘を連れ戻しにきただけよ」
次郎長「わざわざかぶき町まで戻って来てみりゃ……また騒がしくドンパチやってるじゃねーかい」
次郎長「話を聞きゃ今度はあの春雨を敵に回したらしいな……全くこの街は相変わらず馬鹿しかいねェ」
阿伏兎「ここいたんじゃ俺まで馬鹿になっちまいそうだ……そう思わねーかい、あんちゃんよ」
阿伏兎「……クックックッ」
次郎長「いけねェ……どうもこの街の空気に当てられて俺も馬鹿になっちまったらしい」
阿伏兎「俺としちゃ、アンタほどの腕の奴にゃ戦闘狂の馬鹿にだけはなっててほしくないんだがね」
次郎長「残念ながら、俺がなったのは子煩悩の親馬鹿よ……それに」
次郎長「てめーの娘を痛めつけられて黙ってるほど俺ァ大人じゃねェんだ」
阿伏兎「やれやれ参ったね、コイツァ謝っても許しちゃくれそうにねェな……」
次郎長「ゴチャゴチャ口で語るよか……おめぇさんも刀(こっち)使ったほうが早ェだろう?」
阿伏兎「クク……いいね、アンタみたいな輩だとやりやすい」
次郎長・阿伏兎「続きはテメーの力で語りな」
攘夷古豪の最強の侍、次郎長……最強の戦闘集団、夜兎の阿伏兎を討つべく戦場に降り立つ。
今日はここまでで、明日はもうちょい進みます
乙うさん親衛隊
>>542
最後から2つ目のセリフは次郎長の?
>>546
そうです、毎回すいません……
再開させてください
月詠「何という男じゃ……!」
先に吉原で阿伏兎と戦い、そして今も不覚を取った月詠は次郎長の強さに驚いていた。
自分と猿飛あやめ、そして平子の三人がかりで相手にならなかった敵を一人で相手にしている。
阿伏兎の力をその身で感じたからこそ、月詠はそれがいかに凄まじいことなのかを理解できた。
阿伏兎「おっと!」
次郎長「よく避けやがる……この次郎長の刀を見切った奴ァ、攘夷初っ端にもそうはいなかったぜ」
阿伏兎「なるほど、若い頃はアンタも戦場を己の生き場所としてたクチかい?」
次郎長「昔の話よ、オイラとしちゃもう隠居して暮らしてェんだがね」
阿伏兎「オイオイ……冗談はよしてくれ、アンタは間違いなく戦場(こっち)側の人間よ!」
次郎長「…………」
なるほど……コイツァ骨が折れる……
白夜叉も相当な化物だったが、今撃ち合っている天人は白夜叉とはまるで違う種類の強さを秘めた化物だ。
白夜叉、坂田銀時が己の信念、仁義、魂を『護る』ために刀を振り、戦っていたとするならば
次郎長「テメーには端っから戦いしかねェ……『戦う』ために武器を振り、『殺す』ために戦ってやがらァ」
阿伏兎「クク……何を今更、俺たちは血に従い殺し…血を誇り殺す…居場所に戦場を求めるケモノ……」
阿伏兎「てめーが死ぬまで戦い続ける……それが俺たち、夜兎の宿命よ!」
平子「親父!」
次郎長「来るな!」
そう次郎長が声を上げるのと、阿伏兎の傘が次郎長の脇腹を抉るのはほぼ同時だった。
防ぎきれなかったわけではない、それは一瞬意識が逸れたことによる事故とも言える。
次郎長「っ……!」
阿伏兎「……何てことだい、こりゃあつまらねぇ幕引きになりそうだ」
傘で己の肩を叩きつつの発言、もはや勝負は決まったと見越しての余裕。
阿伏兎「アンタは強かったよ、地球人にしとくのが勿体ねェほどにな」
阿伏兎「だがこれが俺との差だ……戦場を生き場とする俺と戦場から退いたお前さんとの差だ」
阿伏兎「残念ながら、娘っ子の声に惑わされて集中力を欠くようじゃ……戦場では生き残れねーよ」
次郎長「…………」
次郎長「……おめぇさん、子供は?」
阿伏兎「…………?」
次郎長「おめぇさんにゃガキがいるか……家族がいるかって聞いてんだ」
阿伏兎「今の俺にはそんなものありはしねェな……夜兎にとって親や家族なんてモンはただの形でしかねェ」
阿伏兎「血の繋がりがあろうが……己の前に立つなら殺し、敵と見なせば首を取ろうとする……」
次郎長「……そうかい、おめぇさんたち夜兎ってのはずいぶんとちっぽけな世界で生きてやがるな」
阿伏兎「何……?」
次郎長「おめぇさん、さっき……娘の声で動揺してるようじゃ戦場で生きていけねェって言ったか」
次郎長「フン、つくづく引退して良かったぜ……戦場にいちゃ娘の声すら聞けねー耄碌になっちまうんだろう?」
阿伏兎「……コイツは驚きだ、アンタは俺と同じ人種だと思ってたんだがねェ」
阿伏兎「あの娘っ子のことがそんなに大切かい?」
次郎長「くだらねーことを聞くんじゃねェ、てめーの子供が可愛くねェ親なんざいやしねェよ」
阿伏兎「…………」
次郎長「護らなきゃならねェ家族がいる幸せってのをテメーにも教えてやりてーモンだ」
平子「お、親父……!」
阿伏兎「……クックックッ、なるほど…見解の相違ってわけかい」
阿伏兎「家族なんてつまらねェしがらみに捕らわれてちゃ戦うことなんざ出来ねェのか……」
阿伏兎「護らなきゃならねェ家族がいるから戦うことが出来るのか……やれやれ、俺の見立てはまるで外れてたらしい」
阿伏兎「俺とお前さんは似たもの同士どころじゃねェ、対極の存在だったってわけだ」
次郎長「そうでもねェ……おめぇさんに共感出来る部分だってなくはねェんだ」
阿伏兎「ほう?」
次郎長「禅問答でどっちが正しいかなんてことは今さらするつもりはねェだろう」
次郎長「おめぇさんが考えるのは、『強ェほうが正しい』……オイラ好みのシンプルなケリの付け方だよ」
阿伏兎「クク……そうかい、そいつァ何よりだ……じゃ、お互いにケリをつけるとしようかい?」
間合いを取り、お互いに武器に手を伸ばす……どちらが先に仕掛けてもおかしくはない距離。
阿伏兎「俺は俺の抱く戦場の正義を貫くため---」
次郎長「俺は俺の抱く護る戦いの正義を貫くため---」
阿伏兎・次郎長「死んでゆけ」
今日はここまでで……土日で進められるだけ進めます
仕掛ける時を伺う阿伏兎、居合いによる迎撃を計る次郎長……対照的な策を選択した二人の攻防
阿伏兎が前足に体重を乗せれば次郎長は重心を落とし……
次郎長が刀を握る手に力を込めれば阿伏兎は傘を握る手に力を込める。
阿伏兎(クク、参ったねこりゃ……迂闊に攻めれば即座にバラ肉にされちまいそうだ)
次郎長の脇腹に負わせた傷は決して浅くはない、未だに流れる血を見てもそれは明白である。
このまま時が過ぎるのを待てば自然と阿伏兎に有利な状況になっていくが……
阿伏兎「そんな選択脂を選ぶつもりはねーよ」
己に流れる夜兎の血……戦いを求め、強者を求め続ける修羅が血……
夜兎の血を愛でる阿伏兎には、己の血に恥ずべき行為を取ることなど出来はしなかった。
阿伏兎「オオォッ!」
次郎長「!」
もうしばらく時間を稼ぐかと思ったが……どうやらやっこさん、しびれを切らしやがったと見える。
己への距離を一気に詰める阿伏兎を前にしながら、次郎長はそんなことを考えていた。
それは決して集中を切らしているわけではない、次郎長自身の冷静さの現れでもあった。
次郎長(こっちの狙いは野郎も分かってやがるはずだ……何の考えもなしに突っ込んでくるはずもねェ)
次郎長「なら……もう少しばかり小細工を弄させてもらおうかい」
次郎長は地面を繰り上げる、それによって細かい石や砂が阿伏兎の目に向かって飛んでいった。
阿伏兎「目潰し……さすが、嫌なことしてくるね」
目潰しを経験したことがないわけではない、それだけ動きを止められはしないが……
やはり目潰しを意識し動作に僅かな遅れが生じる……それを次郎長は見逃さない。
次郎長「終ェだ……!」
次郎長に残された動作は居合いで刀を抜き、阿伏兎を一撃で斬り伏せるのみ……
阿伏兎「おっと、武器の射程距離にいるのはこっちも同じよ」
阿伏兎も同じく、全力の傘ですべてを吹き飛ばせばそれでこの戦いは終わる。
どちらが勝っても不思議ではない二人の攻撃が今、交錯する
銀時「すいまっせーん、もう続き書けねーんで打ち切りまーす」
新八「完結できませんでしたけど、今まで本当に」
神楽「ありがとうございましたー!」
銀時「じゃあ行くぜテメーら!俺たちの戦いは……」
『これからだァァァ!!』
―――
新八「って終われるかァァァ!!」
神楽「うっせーな新八、せっかくいい感じで締めたのに蒸し返すんじゃねーヨ」
新八「終われるわけねーだろこんなんで!!まだ一つも話まとまってねーよ!!」
神楽「ぶっちゃけ一か月以上も間をあけたから、なんてごめんなさいしたらいいか分からないアル」
銀時「違うんだよ、携帯修理に出して直って返ってきたと思ったらメモ帳のデータぶっ飛んだんだよ」
新八「いや、それ完全に私情じゃないですか?」
銀時「高杉が世界をぶっ壊すとか言う以前に携帯がぶっ壊れてたみてーな?桃太郎が鬼退治行く前にインフルエンザ掛かっちゃったみてーな?」
銀時「まあ要するに……何が言いてェのかってつーとだ」
銀時・新八・神楽「ホントすいませんでしたァァァァ!!」
終わりません、次はPCからですが続きはちゃんと書きます
この作者さんの書いた銀魂クロスって
銀時「涼宮ハルヒの憂鬱?」
銀時「魔法少女まどか☆マギカ」
銀時「とある科学の……ネオアームス(ry」新八「違います」
銀時「とある科学の…やべ、読み方忘れたわ」
銀時「とある魔術の……オイ、これなんて読むんだ?」
銀時「ひぐらしのなく頃に?」
銀時「ひぐらしのなく……ってオイ、これ前も見たんだけど ?」
銀時「ヤクルトなんざいちご牛乳様の足元にも及ばねーよ」
これ以外何ある?
>>568
ヤクルトは違う作者さんです
遅れました、ちょっとだけ再開します
次郎長「…………」
阿伏兎「…………」
――同時。
交錯した次郎長の刀は阿伏兎を斬り裂き、相対する阿伏兎の傘は次郎長を打ち抜いた。
今の一撃における二人のダメージはほぼ互角……であるはずだった。
次郎長「チッ……!」
膝をついたのは次郎長一人。
阿伏兎「……これがお前さんと俺の差よ」
それは交錯の前に受けた傷、平子の声に反応した隙を突かれて負った傷。
既に次郎長は血を流しすぎていた。
次郎長「フン……おめぇさんの言う斬り合いってのは相手に膝をつかせりゃあ勝ちなのかい?」
阿伏兎「それだけの傷を受けて戦う意思が折れねェのは見事だが……この殺し合いの結果はもう見えた」
阿伏兎「動きのとれねぇアンタの頭なり体なりを吹き飛ばせば俺の勝ちよ」
次郎長「…………」
指摘通り、今の次郎長には阿伏兎とまともに打ち合うことなど到底出来はしない。
刀を数回振れればいいほうだろう。
だが、そんな苦し紛れの攻撃が夜兎に通じるはずもない。
敗北は決定的だった。
阿伏兎「終いだな」
そして、次郎長への最後の攻撃が振り下ろされる。
――親父!!
その瞬間、一人の娘の声と共に大きな金属音が響き渡った。
次郎長「!」
阿伏兎「!」
平子「っ……!」
信じがたい光景だった。夜兎の一撃を、最強の先頭集団である夜兎の一撃を、その中でも指折りの実力者である阿伏兎の一撃を
地球人の娘が刀で真正面から受け止めたのだ。
阿伏兎「なっ……!」
平子「親父!!」
平子の呼びかけと同時、次郎長は持てる力のすべてを使い阿伏兎へと剣を放つ。
親子によってもたらされたその一撃は阿伏兎の体を確実に捉えた。
阿伏兎は、己の人生で初めて膝から崩れ落ち地に倒れ伏すこととなる。
阿伏兎「……参ったねコイツは、体に力が入りやしねェ」
次郎長「あれだけ深く斬り付けたってのにまだ生きてやがんのか」
阿伏兎「クックッ……夜兎ってのは常日頃から殺し合いの中に身を置く民族だ、ちょっとやそっとじゃ死ぬような体じゃねーよ」
もっとも、当分は動けそうにねーがな。阿伏兎はそう付け加えた。
阿伏兎「チッ……まさかこの俺が地球人の小娘に攻撃を受けられるとはな」
平子「……親父がいたから受けられた」
阿伏兎「ああ……お前の親父さんが俺に傷を負わせてたからな、その分俺も力を出し切れ……」
平子「違う」
そう。傷を負っているとはいえ、平子に阿伏兎の全力を受けられるはずがない。
致命傷を負うとまでは行かずとも、吹き飛ばされるくらいのことは当然あり得るはずなのだ。
それでも平子が倒されなかった理由、阿伏兎の攻撃を受けきることができた理由。
平子「……護りたい人がそこにいたから」
阿伏兎「……まったく、お前さんたち地球人の精神論はわけが分からねェ」
次郎長「……そこがおめぇさんと俺たちの差よ」
阿伏兎「……何?」
次郎長「おめぇさんは壊す以外の戦い方を知らねェんだろう?」
阿伏兎「……ああ、知らないね」
次郎長「俺も娘も壊す戦いなんざやっちゃいねェ、てめーの大切なモンを護るための戦いだ」
次郎長「……おめぇさんは俺に斬られたんじゃねェ、俺の娘に斬られたのよ」
平子「あなたは私に攻撃を防がれたんじゃない、私の親父に防がれたんです」
それらの行為は、互いのため。
父の斬撃は娘のために。娘の防御は父のために。
そして、家族である相手を護るために。
阿伏兎「…………」
阿伏兎「クックッ……よしてくれ、そんなくだらねぇ戯言は。そんなこと言われちまった日にゃ」
俺も家族ってモンが欲しくなっちまうだろう?
そうして阿伏兎は口元で笑いつつ、そのまま意識を失った。
次郎長「チッ……」
阿伏兎が気を失ったことを確認するや、次郎長は再び地に膝をつく。
平子「親父!?」
次郎長「あぁ……心配するこたァねぇ……」
極限状態であったのは次郎長も同じ。絶え間なく血を流し続けていたツケが一気に襲いかかった。
次郎長(コイツは……少しばかりやべぇか……)
阿伏兎を倒したとは言え、未だターミナルの前は乱戦状態。ここで動けなくなるのは致命的だった。
そして、敵は阿伏兎を倒されて下がった士気を回復すべく、その阿伏兎を討ち取った次郎長と平子を標的と定めている。
敵の攻撃が集中し始めていた。
あやめ、九兵衛、月詠をはじめとした何人かの味方たちが二人を囲むように敵と応戦するも数で押されては分が悪い。
――その場にいた誰一人、この状況を打開する一手が見えなかった。
ぐああああぁあ!?
ふと、大量の天人たちが悲鳴と共に吹き飛ばされる。
地球人、天人、そのどちらもが何が起こったのかが理解できなかった。
「ぎゃーぎゃーぎゃーぎゃー、喧しいんだよ。ここは思春期どもの溜まり場ですか?コノヤロー」
月詠「……!!」
あやめ「い、今の声……!」
九兵衛「まさか……いや、だが……!」
妙「あ……あ……!」
それは、そこにはいないはずの男の声。
常に仲間のために戦い続け、今回も同じく戦い、深い傷を負った侍の声。
天人「な、何だテメーは!」
銀時「なに、ただの女好きの遊び人よ」
とりあえず今日はここまでですいません。
実を言うとメモ帳のデータぶっ飛んでからやけになって全く関係ない化物語とか書いたのは秘密。
……完結してないのに無責任ですいません。もうそんなことしないでこれだけに絞って必ず完結させるんでホントすいません。
>>267
銀時「シンジさんはやっぱり最高でした」
……遅れました、色々と
平子「あ……アニキ!?」
妙「なんで銀さん……動ける体じゃなかったはずなのに!」
銀時「アレだ、どっかの誰かさんがことあるたびにぶっ飛ばしてくれたおかげで体に付いたんじゃねーか?」
妙「え……そんな人がいたんですか、銀さんも苦労してたんですね」
銀時「とりあえず今からお前は過去に何をしてきたかを思い出すために一人で回想編にでも入ってろ」
次郎長「…………」
銀時「……よう、ジジイ。久しぶりじゃねーか」
次郎長「生きてやがったか……俺ァてっきりテメェはもうあの世へ逝っちまったと思ってたぜ」
銀時「そいつァお互い様だなジ、俺ァ耄碌したテメーが閻魔さんの手招きにホイホイ付いてったんじゃねーかと思ってたよ」
次郎長「相も変わらず口の減らねェあんちゃんだ……」
銀時「で、どうしたよジーさん座り込んで。もう足腰が立たねーか?」
次郎長「フン……小僧に心配されるほど俺も落ちちゃいねェよ」
天人「こいつ……報告では確かに死んだことになっていたはずだが……」
銀時「そいつは残念だったな。こんなこともあろうかと、俺ァちゃんと復活の呪文メモっといたんだよ」
月詠「銀時……今は洒落を言っている余裕などないぞ」
銀時「…………?」
月詠「わっちらよりも敵のほうが数が多い、このままでは物量差で押し込まれれば全滅もあり得るぞ」
銀時「……その『数の差』ってのはどのぐらいなんですかね、お嬢さん」
九兵衛「……単純に見積もっても、敵は僕たちの三倍は数がいるはずだ」
銀時「じゃー戦力的にはこっちが二倍だな、楽勝じゃねーか」
九兵衛「な、何を言って……君は話を聞いてたのか?敵は僕たちの三倍……」
銀時「そいつは単なる『数の差』じゃねーか、そんなモン『戦力の差』とは言えねーよ」
九兵衛「…………?」
月詠「…………どういうことじゃ、銀時」
銀時「テメーらなら一人頭、六人はやれんだろ?だったら実質、俺たちが二倍ってことでファイナルアンサーだ」
九兵衛「…………」
月詠「……本気で言っておるのか、それは。敵は宇宙にその名を轟かす春雨じゃぞ?」
銀時「えらくマジだ、勝つ負ける以前に、勝たなきゃならねーんだからな。それに……」
銀時「俺にとっちゃあいつら敵に回すよか、テメーらかぶき町の連中を敵に回すほうがよっぽど恐ろしいわ」
九兵衛「…………」
九兵衛「……フ、参ったなこれは」
月詠「ああ、まさかここまではっきり『勝て』と言われるとはな」
あやめ「いいんじゃない?細かく色々な指示が出てくるよりは……でも、私は戦闘しながら銀さんのパンツを脱がすように」
銀時「お前は常識って名前の着物を脱ぎ散らかしてるけどな。人として一番脱いじゃいけないものをフルスロットルで脱ぎ捨ててるけどな」
妙「とにかく……ここからはみんな、仕切り直しよ!」
平子「アニキが来てから……こっちの雰囲気が……!」
次郎長「悪くねェことだ、ああいう馬鹿がいてくれたほうが士気も上がる」
次郎長「なるほど……小僧め、白夜叉なんて大層な名前で呼ばれるだけのことはあるじゃねえか」
次郎長「戦場ってモンをよくわかってやがる……それだけに余計な邪推をしちまうが」
平子「邪推……?」
次郎長「…………」
次郎長「……戦場を理解してるってことは、すなわちそれだけ多くの場数を踏んできたってことだ」
平子「それって……」
次郎長「…………」
次郎長(小僧、おめぇ……どれだけの地獄を経験してきやがった)
銀時「ウオオオオオッ!!」
天人「あ、あり得るか……こんな……これだけの怪我を負っている地球人が、こんな強さを……!」
木刀を振るうたび、多くの天人がなぎ倒されていくその光景は圧巻だった。
白夜叉と呼ぶにふさわしいその男の活躍に敵は恐れおののき、味方はただ感嘆の息をついていた。
九兵衛「まさか……これほどとは……!」
月詠「腕が確かだとは知っておった、共に戦ったことでその力も理解したつもりじゃった……が……」
あやめ「春雨を相手に、一人でここまで戦うなんて……」
妙「これが……銀さん……!」
次郎長「飛ばしすぎだ小僧……そんなんじゃ最後までもたねえぞ」
銀時「!」
次郎長「腑抜けちまってた奴らの目ェ覚まさせたのはよくやったが……もうここにおめぇさんの仕事はねえ」
銀時「馬鹿言ってんじゃねーよ、まだまだ野郎どもの数は減っちゃいねーだろうが」
次郎長「聞き分けのねえあんちゃんだ、その体力をここで使い減らしちまうのが得策か?」
銀時「…………」
次郎長「鬼兵隊っつったか、そいつらもまだあとには控えてるそうじゃねえか……」
次郎長「そいつらは体がロクに動かなくなった後の片手間で斬り伏せられるような甘っちょろい連中だってのかい?」
銀時「…………」
妙「……行ってください、銀さん」
銀時「!」
九兵衛「ここはもう大丈夫だ、君のおかげで……もう僕たちは戦える」
あやめ「私たちもすぐ追いかける、絶対に……ていうか銀さんが行く先ならどこまででも追いかけるわ。風呂だろうとどこだろうと」
九兵衛「それはストーカーだ」
月詠「……行きなんし、何かを護りたいのはぬしだけではない」
妙「私たちだって、護りたいんですよ。かぶき町を、銀さんを」
銀時「…………」
妙「でも先に行くんですから、私たちが追い付いたらちゃんと迎えてくださいよ?」
妙「生きて、笑って、新ちゃんやみんなと一緒に……必ず」
銀時「ワリーが……俺ァ約束ってやつだけは今の今までちゃんと守れたためしがなくってな」
銀時「ぱっつぁんの給料払う約束も、神楽にバイキング食い放題連れてってやる約束も、定春に高めのぺディグリーチャム食わせるって約束も」
銀時「全部、何か微妙な感じですっぽかしちまってる」
妙「…………」
銀時「ただ、そんな俺でも約束を守れる数少ねェ条件があってな」
妙「何ですか……その条件って?」
銀時「俺ァ……」
銀時「いい女との約束は、何が何でも守り抜くぜ」
妙「!」
銀時「それが一人じゃねえ、三人も四人もいるんじゃ……こいつは破るわけにはいかねーな」
そう言って銀髪の侍は笑みを浮かべると
銀時「約束は必ず守る。だから、テメーらも必ず追いついてこい」
妙「……ええ、約束です」
信頼できる仲間たちにこの場を預け、一人ターミナルの奥へと侵入していった。
ほんっとに遅くなっててすいません。ちょっともう色々と迷走してました。
明日も『必ず』来ますので。
―――
同時刻
土方「ウオオオォォッ!」
河上「……やはり、荒い太刀筋は変わらぬでござるか。怒りを伴う激しいビート、実に刺激を受ける……が」
土方「っ!」
河上「変化のない一辺倒の音楽ほどつまらぬものもないでござるな」
土方「ぐっ……!!」
土方(野郎……今、完全の俺の太刀筋を見切って反撃を……!)
河上「何を驚いている、ぬしの斬撃はもう飽きるほど見た……この程度は造作もないでござる」
土方「……ただ受けるだけじゃなく、観察してやがったってのか。俺の剣を」
河上「観察……見るというよりは、むしろ聴いていたというべきでござるか……ぬしの奏でる音色をな」
土方「上等だ……だったら、俺がぐうの音も出なくなるまで叩き潰してみやがれ」
河上「!」
土方は刀を大きく振り上げ、同時に思考する。確実に自分の動きは相手に読まれている。
積み重ねられた戦闘経験において、過去に自らの剣を分析された経験がないわけではない。
新撰組副長ともなれば当然、浪士たちから狙われることも多かったからだ。
いつもならば、一端退いて体勢を立て直すのが上策であるはず。が、今はそうも言ってはいられない。
この河上を野放しにさせておくのはどう考えても味方に不利であると分かりきっている。
―――だから、行くしかない。
土方「テメーが攻撃を見切って受けるってんなら……その受ける刀ごとまとめてぶち抜くだけだ」
不可能であることは分かっている。河上にしてみればこれだけの大振りを受ける必要などない、体を少し躱してやればいいだけだ。
そして、大振りであればあるほど刀を振るった後に致命的な隙が出来ることも。すべてわかっていた。
それでいて尚且つ、土方がこの選択を取った理由はただ一つ。それは振り上げた刀へと意識をそらすこと。
刀を躱すには当然、自身へと向かってくる刃を見なければならない。それは逆に言えば、刀以外のものが見えなくなることを意味する。
喧嘩は刀だけでするものではない、拳も使う、肩で敵を押し込むこともする、そして……足も使う。
刀に意識が集中した河上を、土方は全力を持って蹴りあげるべく下半身に力を込めた。
河上「フ……隠したつもりであっても、怒りは判断を濁らせるでござるな」
土方「!」
ふと、足に衝撃が走る。それは土方の予想しえないものであり、そして想定しうる限り最悪の状況を示唆していた。
ふいに足へと走った衝撃の正体、それは攻撃を仕掛けようとした足を先に河上が踏みつけていたことによるもの。
土方「しまっ……」
やられた―――
そう考えたとき、既に河上の刃は土方の体を深く斬りつけていた。
土方「…………」
致命の一撃を与えたと確信するに足りる確かな手ごたえ。そして眼前に倒れ伏す男の出血量。
それらは自らの勝ちを雄弁に物語っていた。
河上「……真選組副長、ここに眠る。レクイエムをくれてやるでござる」
土方に背を向け、ギターをかき鳴らそうとした瞬間。
背後で何かが動いた。
河上「!」
ありえるはずがない、あの手ごたえで動けるはずがない。いや、それ以前に生きているはずがない。
あの一撃を受けて生きているなど、それはもはや人間ではない。
それでも、その男は立ち上がっていた。火のついたタバコを口にくわえ
土方「…………」
顔から血を滴らせつつ、河上を睨みつけていた。
河上「なぜ立ち上がる……ぬしは本物の鬼か!」
土方「…………」
土方「……クク、鬼か。確かに鬼なんぞと呼ばれても仕方がねえな」
河上「…………?」
土方「守るために刀を振ることが許された真選組だってのに、俺は何も守れちゃいねェ」
土方「惚れた女にゃてめー勝手に苦労かけさせたまま逝かせちまった……絆を求めた仲間も助けてやれなかった」
土方「俺の刀はただ、敵を倒すためにしか使ってこなかった……なるほど、だったら俺ァ確かに殺すことしか能のねェ鬼だろうよ」
土方「ただ……鬼にしか斬れねェ輩もこの世にゃいる、鬼だからこそあの世へ連れていける輩がこの世にはいる……」
河上「土方……ぬしは何を言って……」
土方「分からねーか……これからテメーは俺と一緒に地獄へ行くんだよ」
河上「……ぬしの精神力には敬意を示さざるを得ないでござるな、が……拙者とてここで斬られるわけにはいかぬ」
河上「三途の川を渡るのは貴様一人……鬼は鬼の居るべき場所へ帰れ!」
猛然と斬りかかってくる河上を土方は迎撃する体制へと入る。
土方「…………」
呼吸を一つ、二つ……極限にまで研ぎ澄まされた集中力によって『その時』を待つ。
そして
土方「!!」
河上「!?」
斬り結んだ瞬間の僅かな隙に、『その時』は訪れる。
土方「ワリーな……三途の川への船は漕いでやれねェ」
土方「川はテメー一人で音楽でも弾きながら渡るんだな」
河上「…………っ」
斬られる直前、彼が思考したこと。それは
目の前の敵は決して鬼ではなかった、こんな美しい太刀筋の鬼などいるはずがない。
―――そんな、真選組副長への賛辞と共に
河上はその場に倒れこんだ。
土方「……チッ」
倒した。が、この状況はもはや相討ちと言っても変わりがない。
動かないのだ、頭から足の先まで何一つ。
土方「伊東よ……あと少しで俺もテメーんとこに行くかもな……」
ただ、その前に
土方「少しだけ……一服させてもらうぜ……いざ逝くとなると、この世も名残惜しくなるもんだな……」
沖田「死ぬ間際までタバコ吸ってるたァ驚いた、どんだけニコチン中毒なんですかィ?」
土方「!」
近藤「大丈夫か、トシ!」
土方「近藤さん……!」
近藤「傷を見せろ!早く手当をせんと間に合わなくなる」
土方「無理だ……ロクな治療薬もねェここじゃ……大したことは出来やしねェよ」
近藤「トシ……お前……!」
土方「……総悟、俺が死んだ後のことはよろしく頼む。次の副長はテメーだ」
沖田「!」
近藤「馬鹿野郎トシ!テメー死ぬ気か!」
土方「近藤さんだって分かんだろ……これ以上出血すりゃもう助からねェってことくらい……」
近藤「…………!」
沖田「…………土方さん、さっきなんて言いやした?」
土方「あ?後のことはよろしく頼む……」
沖田「いやその後でさァ」
土方「?……次の副長はテメーだ……?」
沖田「……その言葉が聞きたかった」
土方「…………?」
沖田「雌猫ォ!」
信女「はい」シュタッ!
土方「……オイ、なんだそいつ。どっから来た?」
沖田「いや、もうきっちりと言質が取れたんで。土方さんにゃもう寝ててもらおうかと思いやしてねィ……オイ、やれお注射天使リリー」
土方「オイィィィィ!!なんだその注射器!てかそれ、注射器ってレベルのデカさじゃ……」
信女「ダイレクト・アタック」グサッ!
ギィィヤアアアアアアアアアアァァァァァァ!!?
土方「…………」
沖田「よし、これでとりあえずは何とかなりやしたね」
近藤「いや、なってないけどね。トシの奴、完全に白目向いて気絶してるけどね」
沖田「増血剤と血止めを打ち込んだんで、あとは包帯でぐるぐる巻きにしときゃなんとかなるでしょ」
沖田「ま……土方さんが死んだら次の副長は俺だって確定したんで、このまま死んでくれてもいいんですがねィ」
近藤「…………」
近藤「…………フ」
沖田「……何ですかい近藤さん、人の顔見て気持ちの悪い笑みを浮かべるの止めてくだせェ」
近藤「いや……素直になれずに思ってもいねェことを言うあたり、お前もまだまだガキだと思ってな」
沖田「…………」
沖田「……副長の座は俺の手で取りてェんですよ、おこぼれみてェな形じゃ欲しかねーんです」
沖田「俺が土方さんに『負けました、すいません総悟さん』って言わせるまで、この人にゃ生きててもらわねーと」
沖田「…………ただ、それだけでさァ」
近藤「……じゃ、そういうことにしとこうじゃねーか」
真選組副長・土方十四郎 対 鬼兵隊二番手・河上万斉
土方十四郎……勝利
今日はここまでで、出来るだけここからは毎日来ます
---
同時刻
神威「うん、色々と騒がしくなってきたね。じゃあそろそろ俺も動こうかな」
神楽「……おう、待つアルこの馬鹿アニキ。まだ決着はついてないネ」
神威「決着……?そんなボロボロの状態でまだ俺に勝てると思ってるのかい?」
神楽「なんだコルァ、妹にぶっ飛ばされるのが怖くてビビってるのかヨ」
神威「やれやれ……弱いやつには興味がないんだ、あんまり出過ぎたことをするのなら」
神威「殺しちゃうぞ」
神楽「!」
神楽「ぐっ……!」
神威「夜兎の血が流れているのならこれくらいの攻撃は避けてもらわなきゃ困るんだよ……本当に僕の妹なのかな」
神楽「っ……こんの……!」
凄まじい蹴りを腕で防ぎ、神楽は傘による反撃に転じる。
神威「……へえ」
妹の戦術に兄はわずかに笑みを浮かべた、それは神楽の選択した戦術に対する賞賛。
神威は肉弾戦が主で夜兎の武器である鉄傘を使用することがあまりない。
その自分が、傘を攻撃の主体として攻撃をされればリーチという大きなディス・アドバンテージを背負った戦いを強いられることとなる。
神楽は本能的にそれを理解し、徹底した鉄傘による攻撃を繰り出していた。
戦場ではこういう小細工を弄することも生き延びる大きなきっかけとなる。
が
神威「遅い」
その程度の小細工ではどうにもならない相手も確かに存在していることも知らなければならない。
神楽「うっ……あああ……!」
渾身の力を込めて振るった傘を神威は完全に見切っていた。
そして反撃。神威は己に向かってきた腕を掴み、そして無慈悲に捻りあげた。
神威「これで分かったろう?今のお前じゃ俺には到底及ばないってことがね」
神楽「くっ……この……」
神威「まだわからないかい?」
神楽「あああああああっ!!」
神威「……最後にもう一度だけ言ってあげようかな、もう諦めてそこに寝てるんだね。弱いやつに用はないんだ」
神楽「……諦めの悪さなら、もう嫌ってくらい鍛えられてるアル」
神威「…………」
神楽「腕を折れても、馬鹿アニキには私の一番大切な物は折れないネ……」
神威「……もういいや、じゃあ」
神威「死んじゃえ」
「うん?なんだ、兄妹喧嘩か?」
神威「!」
「じゃーついでだから、お父さんも一緒にフィーバーしちゃおうかな!」
神威「っと……」
星海坊主「今の一撃を空気を読まずに躱しやがるか、この馬鹿息子は……」
神威「なんだ……来たんだ」
神楽「パ、パピー!」
星海坊主「神楽ちゃん、間に合ってよかった」
神威「……フフ、馬鹿な妹の馬鹿な粘りのおかげで大きい獲物が掛かったってところかな」
星海坊主「…………」
神威「もう余計な言葉は必要ない……やろうか」
神威「俺と神楽がさっきまでやっていたのと同じ……殺し合いをね」
星海坊主「え?神楽ちゃん、さっきまでそんなことやってたの?」
神楽「違うネ、あの馬鹿アニキが訳のわからないこと言ってるだけアル」
神威「…………?」
星海坊主「よう馬鹿息子よ、今から俺たちがするのは殺し合いなんてそんな物騒なモンじゃねェ」
神楽「ていうかお前、さっきまで私ともそんなことしてるつもりだったアルか?」
神威「……どういう意味だい?」
星海坊主「難しく考える必要なんざねーよ……とどのつまり、今から俺たちがすんのは」
星海坊主「ただの親子喧嘩だ」
神楽「その腐った性根、思いっきり叩き直してやるアル」
神威「そいつは面白いね……じゃ、やってもらおうかな」
遅れました、まじすいません
星海坊主「おおおおおおおっ!」
神威「……さすが、夜兎最強と呼ばれたこともある星海坊主。俺も本気にならざるを得ないか」
神楽「あんだコルァ!パピーばっか相手してないで妹にも構ったらどうアルか!!」
挟み撃ち。それは、単純ではあるが複数で一人と戦う場合において非常に有効である戦術の一つではある。
夜兎である二人の同時攻撃、通常ならば回避することはおろか防ぐことさえままならないであろう攻撃。
だが、それはあくまでも『通常』の範疇での話であり
神威「ずいぶんと古典的な攻撃だね……」
二人が相手にしているのは、まぎれもない『異常』であった。
次の瞬間、二人の攻撃が空を切る。
神楽・星海坊主「!?」
躱された―――このスピードをどうやって!?
ありえないであろう事態に衝撃を受け、一瞬の隙が出来た神楽に対し
神威「そんな有り様だから、お前はいつまでたっても『出来損ないの妹』なんだよ」
神楽「!」
やられる……訪れるであろう衝撃とダメージを堪えるべく、彼女は目を瞑りとっさに身構える。
…………
…………?
……おかしい、未だに攻撃が来ない?
状況を確認すべく身を開いた先にあった光景、それは
神威「そして、アンタはそんな有り様だから俺に負けるんだよ」
星海坊主「ぐっ…………!」
自らに代わって攻撃を受け、崩れ落ちかける星海坊主の姿だった。
神楽「ぱ、パピー!」
神威「……とんだ興ざめだよ、今からでもあの侍と殺り合いに行ったほうが面白いかな?」
星海坊主「あ、あの侍だと……?」
神威「今さっき報告が入ってね、どうも……馬鹿みたいに強い侍が一人、このターミナルに侵入したらしくてね」
神威「そう……木刀を腰に下げた白髪の侍が」
神楽「そ、それって……!」
星海坊主「あの憎たらしい天然パーマの馬鹿か……」
神威「フフ……やっぱり面白いね、侍って。あれだけの傷でまだ戦場に足を運ぶんだから」
神威「血を求め、戦いに飢えている俺たち夜兎とよく似てる……」
神楽「…………」
神楽「……一緒にしてんじゃねーヨ」
神威「……?」
神楽「お前みたいに戦いが好きで相手を打ちのめすのが好きなだけの夜兎とサムライを……銀ちゃんを一緒にするなヨ」
星海坊主「…………」
神楽「お前と銀ちゃんじゃ戦う理由も、信念も、魂も、何もかもが違ってるネ!」
神威「…………」
神威「戯言だね……戦いの目的なんて一つしかない、相手を打ち倒して自らが勝者になることしかね」
神楽「だったら私が教えてやるヨ……そんなちっぽけな戦いしか知らない馬鹿兄貴に、銀ちゃんたちから教わった本当の戦いを」
神威「へえ……本当の戦い、か。悪いけど、出来損ないの妹にそんなことが出来るとは到底思えないな」
神楽「…………」
神威「まあ、お前がその体に流れる血に身を任せて戦えば話は別かもしれないけれど」
神楽「!」
神威「阿伏兎から聞いてるよ、鎖が外れた途端に子兎がバケモノに変わったってね」
神楽「…………」
神威「俺も戦ってみたいね、バケモノになった自分の妹と」
神楽「残念だったアルな、バケモノになった私と戦うのはお前じゃないネ」
神威「?」
神楽「自分に流れる血と戦うのは誰でもない、自分自身アル……バケモノの私は私自身で倒す」
神楽「血に乗っ取られた自分には、絶対に『参った』とは言わないネ!」
星海坊主「……フ」
神楽「それに、私はお前みたいに何でもぶっ壊すような戦い方は銀ちゃんからは教わってないネ」
神威「…………」
神楽「来いヨ馬鹿兄貴。血ではなく心で戦う、サムライの戦い方……見せてやるネ!」
神楽「ほわっちゃあああああっ!!」
神威「……!」
……おかしい。自分のほうが打ち込んでいる、相手のほうが血を流している……それは間違いない。
なのに……まるで攻撃が緩まない。
神威「それどころか……激しさを増してるなんてね」
どうやら妹を過小評価していたらしい。ふと、神威はそう思った。
最強を求める自分と同じ血が流れている妹を弱者と決めつけるのは、やはり早計だった。
この戦いは……
神威「面白い……!」
星海坊主「まったく……とんだ馬鹿息子に育ちやがったもんだ……」
常日頃から薄っぺらい笑いを顔に張り付けといて、こんな兄妹での戦いで本当の笑いを見せるんじゃねーよ。
星海坊主「ただ……どういうわけだ、コイツは」
一見すれば二人は殺し合いをしている、相手の急所を的確に狙い、一寸の油断が死を招く……そんな殺し合いを。
にもかかわらず
星海坊主「なんでお父さんにゃあの二人がじゃれ合って遊んでるように見えちまうんだ?」
互いに幾度となく放たれる急所への攻撃も、そのすべてを相手が受け止めるであろうと予想しているかのようだった。
殺し合いをしている……殺し合いを演じている……いや、それも違う。
星海坊主「……俺の子供たちは、ああいう形でしか会話が出来ねえってことかい」
神楽「…………」
この馬鹿兄貴は今まで戦いしかしてこなかったのか、あらゆる星に行ってあらゆる戦闘を経験し、そして誰もが自分より弱かった。
だから戦いを求めていた、己の戦闘欲求を満たしてくれる相手を。
神威「…………」
この出来損ないの妹は地球で色々な経験をしてきたらしい、戦いだけではない様々なことを経験し、そして信頼できる仲間を得た。
だから戦いを求めていなかった、戦闘欲求以上に自らを満たしてくれる存在を知っていたから。
直接言葉を交わしたわけではない、ただ二人はたしかに戦いの中で感じ取ったのだ。
兄の、妹の、二人が歩んできた道の過程を。
すいません、今日はここまでで……
明日から馬鹿みたいに時間が取れるので今月中には必ず完結させます。
神楽「はっ……はっ……」
神威「…………」
神楽「あ、兄貴が馬鹿なのは頭だけじゃなかったアルな……あれだけ動いて平然としてるとかどんな体力馬鹿アルか?」
神威「……馬鹿なのは一体どっちだか分からないね」
神楽「…………?」
神威「どうしてお前はこんな殺し合いを仕掛けてくるような男を未だに『兄』と呼ぶのか……」
神威「俺には理解に苦しむね」
神楽「…………」
神楽「……お前、そんなことも分からないほど馬鹿だったアルか」
神威「?」
星海坊主「ダメダメ神楽ちゃん……もうこの馬鹿息子、一発ぶっ叩いてやらなきゃ分からないから」
神威「…………」
星海坊主「先に言っとくが、お父さんの拳骨はだな……超痛いぞ」
神威「次の一撃で俺を沈めるつもりかい……面白いね、いや本当に愉しい戦いだったよ」
神楽「…………」
星海坊主「…………」
神威「ああ、でも死ぬんならさっきの俺の疑問に答えてから死んでよね?」
その言葉に相対する二人は何の反応も示さなかった。
静寂の中、親子はただひたすらに……最後の一撃に向けて力を蓄える。
そして、数刻後
神威「はあああぁぁっ!!」
息子は親娘に対して真っ直ぐに全力の拳を打ち放った。
自らに向けられたその拳に対して
神楽「なんでお前を兄貴って呼ぶかって……」
親娘は
星海坊主「そんなの……」
同じく全力の拳を持って応えた。
神楽・星海坊主「血の繋がった家族だからに決まってんだろコノヤロー!!」
神威「っ!!」
神威「まさか……この俺に膝をつかせるなんてね……!」
星海坊主「…………」
神威「さすが、天下の星海坊主とその娘か。二人を相手にしちゃ、俺でも分が……」
神楽「……何言ってるアルか」
神威「…………」
神楽「あんだけ真っ直ぐな打ち込みしといて……馬鹿なこと言ってんじゃねーヨ」
星海坊主「…………」
神威「人のことを言えた義理じゃないね……俺に膝をつかせた今の攻撃……」
神威「『相手を殺す一撃』だったなら……膝をつくなんてレベルで済むはずがない」
神楽「…………」
神楽「……それでいいアル」
神威「?」
神楽「私とパピーはお前のことを殺すためにぶん殴ったんじゃないネ……ただ……」
神楽「家族として、お前を『護る』ためにぶん殴ったアル」
神威「…………あれ」
ふと、体から力が抜けて地面へと倒れ込む。
おかしい、いくら夜兎の攻撃とは言え……二人程度なら耐えられないはずが……
神楽「二人じゃないアル……」
神威「…………」
神楽「ここに来るまで色んなモン背負い込んだネ」
神楽「新八、姉御、ヅラにかぶき町の馬鹿連中……それに銀ちゃんの分も……正直もう私の中は満員電車状態アル」
星海坊主「…………」
神楽「けど……自分の背負ってる思いが重いほど力を出すおかしな連中がこの地球にはいるんだヨ」
神楽「『サムライ』って名前のおかしな連中が」
神威「なるほど……それだけたくさんの輩の力が込められてたんじゃ俺も立てやしないね」
星海坊主「…………」
神威「少しだけ分かったよ……どうして戦闘経験の浅い神楽がこれだけの力を発揮出来たのか」
神楽「…………」
神威「俺は今まで一人で戦ってきた……結局は、そこの差だったってわけだね」
神楽「……一人じゃねーヨ馬鹿兄貴」
神威「?」
神楽「お前どんだけ鳥頭アルか、私はお前をぶっ倒すために殴ったんじゃないネ!」
---「家族として、お前を『護る』ためにぶん殴ったアル」
神威「…………」
---そうか……この妹は
---家族の絆を失わないために、兄としての俺を護るために
神威「……本当に、『よく出来た』妹だよ。お前は」
星海坊主「……この馬鹿息子め、てんで素直になりやしねーな」
神威「…………」
星海坊主「ホントはまだ立てるくせに……わざわざ立てねェ振りなんぞしやがって」
神威「妙な勘ぐりは不要だと思うけどね、事実として俺はこうやって地に伏してるんだ」
神威「まあ……今まで戦いしかして来なかった体だ、少しは無理もあったのかな」
星海坊主「…………」
神威「とりあえず……この勝負については俺の負けでいいよ、『お父さん』」
星海坊主「…………」
星海坊主「う……うおおおっ!止めろこの馬鹿息子!!お父さんのことをお父さんと呼ぶなぁぁぁ!!」
神楽「いきなり何をわけわかめなこと言ってるアルかこのハゲ」
星海坊主「何か不気味だもの!神楽ちゃんはお父さん呼びでも全然オッケーってか寧ろお願いしますだけど!」
星海坊主「コイツのお父さん呼びは何か違うからね!もうポイズンのないGTOくらいなんか違うからね!」
神威「そんなこと言わないでほしいなぁ、お父さん」
星海坊主「あれェ!?なにこれ、むしろ悪意と言う名のポイズンに満ち溢れてるこの感じ!?」
神楽「…………」
神楽(ただ……ぶっちゃけもう私も体ガタガタで使い物にならないアル……)
新八……ヅラ……それに銀ちゃん……
あとは任せたネ
神楽・星海坊主……勝利
---
また子「……予想以上にしぶといっスね」
新八「はっ……はっ……」
武市「はっ……はっ……」
また子「てか……」
また子「なんで戦ってない先輩がはぁはぁ言ってるんスかァァァ!」
武市「いやこれがね、凄いんですよ。矢吹大先生の書く妹キャラとこの金髪の子がですね、もう凄いんです」
武市「これ見たらもう戦うしかないですよね、大江戸青少年健全育成条例改正案と」
また子「目の前の敵と戦わないで何と戦ってるんスかこの変態は!!」
武市「私が出て行ったって邪魔になるだけでしょう、元々私は参謀担当なんで」
武市「そこの少年もずいぶんと強くなったようですからね」
新八「…………」
新八(戦えてはいる……けど、このままじゃ……)
成長した自覚はある。
毎日の道場訓練を怠ったことは一度もない。
それに加えて、万事屋で坂田銀時たちと時を共にしてきたことで積み重ねた実戦経験。
既に一人前の侍と呼ばれるに相応しい力量を志村新八は備えていた。
が……今回の相手は飛び道具で二丁拳銃、それも早撃ちの達人。
剣を交える戦いとは間合いも戦術も全てが異なってくる。
それに加えた数の上での不利。現在、敵の一人は戦線に加わっていないが……
油断をして背後を見せれば一刀両断にされることも十分に考えられる。
一瞬の油断さえままならない状況下での戦いを強いられていた。
新八「なんで……」
また子「?」
新八「なんでそれだけの腕を持っててアンタらは高杉なんかつくんですか!」
また子「…………」
新八「国を滅ぼそうとするような奴にどうして……!」
発砲音と同時、弾が新八の顔をかすめるように飛んでいく。
そして
また子「……腕は立つようになってもまだ所詮はガキっスね」
新八「…………!」
また子「自分がやってることが、本当に間違いのない正義だとでも思ってるんスか?」
新八「どういう意味ですか……まさか、高杉がやろうとしてる全てを壊すって事が正義だとでも言うんですか?」
また子「天人の操り人形になって、一部の人間が利権を貪り喰らうこの世界を守る事が正義だとでも言うんスか?」
新八「!」
また子「あたしらからしてみれば、晋助様の大願を阻もうとする白夜叉や桂のほうがよっぽと悪っスよ」
新八「けど……その大願ってのはあまりに極端すぎます!もっと他に色々な方法が……」
また子「方法?どんな?今の幕府政権のやり方について陳情でもすればいいんスか?」
新八「…………」
また子「もう手緩いやり方じゃ手遅れだってことは誰もが分かってるはずっス、けど日和った輩は誰も動こうとしない」
また子「だから晋助様は動いてるんスよ!この腐った世界のすべてを壊すために!」
新八「…………!」
ダメだ、迷うな!自分がやってることが間違いなはずがない!
今は戦いに集中を……
武市「……戦いに集中しようと考えた時点で、それは集中しているとは言えないんですよ」
新八「!」
しまった…………!
ふいに我に帰ったその瞬間には、新八の左肩は一発の弾丸によって貫かれていた。
新八「ぐっ……!!」
また子「……終わりっスね、侍が腕一本しか使えないんじゃもう勝負は見えたっス」
また子「白夜叉や桂が掲げるお前たちの正義とあたしたち鬼兵隊の正義じゃ、こっちのが上だったってことっスね」
新八「…………」
新八(違う……まだ僕は負けてない)
撃たれたのは幸いにも左肩、利き腕の右はまだ自由に刀を振るえる。
足も動く、痛みで思考が鈍りはするがまだ集中力が完全に切れたわけでもない。
新八(なのに……勝てる気がしない……!)
自分の正義、守ろうとしているものが揺らいだ。それはつまり、自らの戦いに迷いが生まれたのと同義……
新八(僕は……僕は一体なんのために……!)
なんのために戦ってるんですか
銀さん
---そして、完全に足の止まった新八に対して無慈悲な弾丸が放たれる。
新八「…………」
新八(撃たれた……けど、妙に飛んでくる弾が遅い……)
そうか、これは……死の直前に人が体感するって言われてる……走馬灯みたいな……あの……なんかアレだと思う。
新八「…………」
新八(戦う理由に迷った僕は……ここで…………)
『俺ァ安い国なんぞのために戦った事は一度たりともねェ』
新八「…………!」
今のは確か……真選組動乱のときに……
『国が滅ぼうが、侍が滅ぼうが、どうでもいいんだよ俺ァ』
銀さんが言っていた……
『昔っから、今も昔も俺の護るもんは何一つ……変わっちゃいねェェ!!』
新八「…………!」
…………そうだ。あの時、確かに銀さんは言ってた。
銀さんが……あの天然パーマが護ろうとしてたのは、あいつらが言う腐った世界なんかじゃない。
戦う理由で迷ったなんて……僕は何を言ってるんだ!
---僕は!
新八「仲間(みんな)を護るために戦う!!」
また子「なっ……!」
有り得ないことが起きた、完全に隙だらけの状態で撃たれた敵が一瞬でその弾を刀で防ぎ
尚且つ一気に距離を詰め、反撃へと打って出てきた。
また子「チッ!」
やられた、不意をつかれたのは自分だった。
このまま何もしなければ討たれる……!
が……とっさに何発かの弾を犠牲にして迫り来る敵への威嚇及び自由に刀を振れないよう行動を制限する。
戦いに慣れたまた子だからこそ出来る最善手によってどうにか最悪の事態は避けられた。
また子「……何なんスか、あのガキは」
今の一瞬で自分を落としに来たその動き、それはまるで
また子「そのまんま、鬼の子じゃないっスか……」
今日はここまでですいません
また明日、必ず来ます
武市「マズいですねこれは……どうやらあの少年、色々と腹をくくったようです」
武市「あれじゃもうさっきのように言葉で惑わし、虚を突くなんてことも出来ないでしょう」
また子「……なんにしても、次の勝負で全てが決まるっス」
武市「……しかし、不可解ですね」
また子「?」
武市「あなたのような猪おん……勇猛な女性とここまで戦い」
また子「テメ、猪女って言おうとしたろ」
武市「……それでいて左肩を撃ち抜かれている、痛みだって相当でしょう」
武市「なのに……何なんでしょうね、あの表情は」
新八(左肩の痛みは引かない……二丁拳銃を相手に動き続けたことで疲労も溜まってる……)
正直な話……しんどい、辛い、苦しい……けど
だからこそ
新八「だからこそ……僕は笑うんだ」
それが、天堂無心マカダミアン流のただ一つの教えだから。
……ふと、声が聞こえた気がする。
---大丈夫じゃ、儂がついとる。儂から一本取ったときのように思い切り行けい!
---新坊
その声に対し
新八「はいィ!!」
少年は自らの出来る最高の笑顔を持って応えた。
新八「おおおおおぉぉぉ!」
また子「!」
来た……距離を詰められる前にまずは数発撃ち込んでおく……!
当然、それで今の新八を倒せるなどとは思ってはいない。
放たれた弾を回避、あるいは防御すればそれだけ攻撃を仕掛けられるタイミングが遅れることになる。
万が一、防ぎきれずに傷を負わせられたのならばそれはそれで都合がいい。
そう思い、また子は両手に持った銃の引き金を引く。
しかし、そこから弾が出ることはなかった。
「…………!」
彼女の弾は既に尽きていたのだ。
また子「弾切れ……先輩!弾取ってください!」
武市「わ、私に女になれと……いいでしょう、それで大江戸青年健全育成条例改正案を倒せるなら本望……」
また子「誰がそんな汚い股の玉取れって言ったっスかァァァ!弾ッスよ!銃の弾ァァァ!!」
武市「ああ、それでしたらとりあえずはこれを!」
また子「さすがッス先輩!」
武市から一発の弾を受け取ると同時にそれを銃に込めた。
まずはこの一発を確実に当てて牽制してから、弾が十分に装填されたマガジンを先輩から受け取る。
また子「撃つのは……今!」
だが
放たれた白い弾は新八に届く前に砕け散った。
また子「は……?」
弾が砕け……え?ちょ、え?
動揺しつつ武市のほうに目をやると足元に何か箱が落ちていた。
その箱には
『4種の成分がはたらいて、痔による痛み、出血、はれ、かゆみにすぐれた効果を発揮します』
…………
また子「これボラギノールじゃないッスかァァァァァァ!!」
武市「あ、乱戦になっていた戦場に落ちてたから拾っておいたんでした、それ」
武市「でしたらこれを!」
また子「!」
弾を受け取ったはいいが既に敵との距離は詰まっていた、もう狙って撃つ余裕はない。
ただ、敵の方へ銃を向けて当たることを祈り引き金を引くのみ。
また子「命に替えても、晋助様の進む道を邪魔はさせないっス!」
彼女の放った弾は
新八「っ!」
新八の腹部へと命中する。
それでも
新八「おおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉっ!!」
また子「!」
少年は立ち止まることなく駆け抜け
また子の腹部に刀を打ち込んだ。
また子「うっ……!」
新八(やった……)
気が緩みかけたその時、再び声が聞こえた。
---まだ終わっとらん!あと一振りじゃ、新坊!!
新八「!」
その声に従い、新八は打ち込んだその勢いを殺すことなく
武市「!」
新八「らあっ!」
全力をもって二撃目を放った。
武市「ぐっ……だからこういうのは、苦手なんだって……」
また子「…………」
武市「…………」
峰打ち、とはいえあれだけの力を込めて打ち込めばもう立つことは出来ないはずだ。
新八「か……」
勝った……確かな実感を身に刻みつつ、新八は倒れ込む。
意識が遠のく最中
---見事な一本……強ぅなったのう、新坊
新八「…………へへ」
新八「僕は……一兄と銀さんの弟だから……!」
少年は、確かにこの世を去った一人の兄と触れ合った。
万事屋
銀時「あぁ……やっぱこの季節は扇風機回しながらスイカ食ってんのが一番だな」
神楽「銀ちゃん、種をいちいち吐き出すのが面倒くさいネ。これ食べちゃだめアルか?」
銀時「食ったらあれだぞ、腹ん中でスイカの芽が出てにゅいーんって伸びてくんぞ」
神楽「それ本当アルか!スイカって実は恐ろしいものだったアルな!」
銀時「そうそう、危険であると知りつつもなんで俺たちはスイカを食うのか……これは人類永遠の謎だと思うね、うん」
新八「この状況が一番の謎だろォォォ!ちょっとなんなんですかこれ!なんであんたら呑気にスイカ食ってんの!?」
新八「つーか今、かぶき町総出の戦争中だよね!?スイカなんか食ってる場合じゃ……」
銀時「いいんだよ今日は、ぱっつぁん……日付見ろって」
新八「8月28日……ですけど……それが何か……あ」
銀時「気付いたか」
神楽「早いもんでもう一周年アルな……時の流れは早いアル」
銀時「一周年ってことはあれだ、俺らにとっちゃ今は正月みてーなもんだろ」
新八「ああ、言われてみれば確かにそうですよね……じゃあ僕もスイカを」
新八「薄ら天パに向かってスパーキィィィング!!」
銀時「へばっ!」
新八「一周年とか正月とか何をお祝いムードになってんですか!ダラダラ引っ張りすぎにも程があるでしょうが!」
銀時「……わーってるよ、じゃあとりあえず宣言すっから……ベタベタすんぞスイカで」
神楽「8月中に完結させるのは変わらないアル、明日明後日辺りでスパート掛けるネ!」
銀時「つーわけで……行くぞテメーらァァァ!」
銀時「ってもう29日じゃねェかァァァァ!!」
---
ターミナル屋上
高杉「クク……まさか、ここでテメーらとやり合うことになるとは思わなかったぜ」
桂「……本当に、そう思っているのか?」
坂本「…………」
桂「感じていたはずだ、いずれ……俺たちは互いに刃を向け合うことになると……」
高杉「…………」
桂「お前は前に言ったな……先生と共に過ごしたあの時から俺たちは誰一人として、同じ方向など向いていなかったと」
桂「……それは俺とて否定は出来ない」
桂「だが、進む道が違えど……それでも俺たちは共に歩むことが出来たはずだ……」
高杉「…………」
桂「何故歩めなかった……俺たちは共に」
高杉「ヅラ……何を勘違いしてやがる」
桂「…………?」
高杉「今の俺とテメーらの違いは……道だの進む方向だの、そんなモンじゃねーんだよ」
高杉「歩みを止めたかどうかの違いだ」
桂「何……?」
似蔵「隙だらけだね」
桂「!」
不意を付かれた……この場にいる敵は高杉だけではなかった、分かっていたはずだ……!
間に合わない……斬られる……!
人斬り似蔵の一刀に桂は動けず、
桂「……っ!」
次の瞬間、桂が耳にしたのは金属音だった。
そして目に見えたのは
坂本「人様が話しちょる時にちょっかい出すのはいかんぜよ」
銃で刀を受ける仲間の姿だった。
坂本「アッハッハッハッ!高杉!おまん、少しばかり部下への指導がたらんようじゃの」
高杉「…………」
桂「辰馬……!」
坂本「いやーしっかし間一髪じゃったのー、なあヅラ」
桂「ヅラじゃない桂だ……だが、礼を言う」
坂本「気ィ抜いたら最後じゃ……先方さんにゃ既に儂らと商談をする気なんぞない」
桂「……どうやら、そのようだな」
もはや、口から出す言の葉など何の意味も持たない。
坂本「儂はあの似蔵とか言うのを相手取る……ヅラ、高杉は……」
桂「ああ……奴は必ず、この俺が止めてみせる」
桂(行くぞ……銀時……!)
…………
どれほどの時間が経ったのか、どれだけの数を打ち合ったのかは分からない。
高杉は
高杉「弱くなったな……ヅラ、攘夷の時とは比べるまでもなく」
桂「何……!」
高杉「刀の腕じゃねェ……テメーの刀に込める魂が軟弱になったって言ってんだ」
桂「魂だと……何を言って……!」
高杉「テメーに俺は斬れねェよ……俺を斬れるだけの力量も、覚悟も、何ひとつとして持ってねェ
桂「…………!」
坂本「おっと……!」
似蔵「よく避けるねぇ……さすがに攘夷時代、あの人と共に最前線で戦っていただけのことはある」
坂本「それも昔の話じゃ……今の儂はただのしがない商人じゃき」
似蔵「……刀」
坂本「?」
似蔵「刀を使おうとしないのは……商人から再び侍へと戻るのが怖いからかね?」
坂本「これはまた……ずいぶんと愉快な問いを投げつけられた」
似蔵「…………?」
坂本「一つ聞くが……侍はなんじゃ?」
似蔵「侍……どういうことかね?」
坂本「刀ぁ振り回しとりゃそれが侍になるのかと聞いとるんじゃ」
坂本「刀を使うだけなら誰でも出来る……おんしのような輩ですら」
似蔵「おかしいね……どうも、それじゃあこの似蔵が侍じゃないと言っているように聞こえる」
坂本「聞こえたままじゃき、わしはおんしのことを侍とは思っちょらん……」
似蔵「…………」
坂本「おんしの刀で、わしを斬ることなぞ到底出来ん」
似蔵「面白い、本当に……面白いねぇ」
高杉「ほォ……辰馬の奴、似蔵を挑発するとはな……」
桂「アイツは未だに本気を出してはいない……似蔵を乗せて一気にケリをつけるつもりだろう」
高杉「クク……ケリを『つける』、か」
桂「……何がおかしい」
高杉「なに……間違いに気付いていない馬鹿を見るのがおかしかっただけだ」
桂「何だと……?」
高杉「このままじゃ奴はケリを『つける』んじゃねェ……『つけられる』ことになるだろうな」
坂本「っ!」
似蔵「どうしたかね、アンタはそんなモンじゃないだろう?」
坂本「…………」
坂本(なんじゃ……この違和感は)
坂本「……その刀、まさか」
似蔵「気が付いたかね、この刀の名は『紅桜』……油断すれば使い手の体すら乗っ取る、怖いねぇ」
坂本「風の噂では聞いとったが……確かその刀は確かすでに……」
似蔵「確かに一度は白夜叉に砕かれた……が、とあるきっかけから再生することに成功してね」
坂本「なるほど……その再生に手を貸したのが、鬼兵隊が手を組んでおった春雨、というわけじゃな」
似蔵「クク……これは鋭い」
坂本(しっかし……あの刀が妖刀紅桜であったとしたら……!)
似蔵「あんたと斬り合いをすることでこの刀もドンドンと学習していく……嬉しい限りだ」
坂本「わしが使っちょるんは銃じゃき、それから一体なにを学ぶと言うんじゃ」
似蔵「ああ……あんたの立ち回りや受けの仕草、実に参考になってるよ……」
坂本「…………」
坂本(長期戦になるだけこちらが不利……なら)
坂本「突撃じゃあぁぁぁ!」
桂「馬鹿か辰馬!真正面から突っ込んで何を……!」
高杉「フン…………」
似蔵「…………」
似蔵(ただ真っ直ぐ来るはずがない、これは何かの策が……)
坂本「どけどけェェェ!わしゃは辰馬じゃ!竜馬じゃき!おんしに福山雅治を斬れるか!?」
似蔵「なさそうだね、これは」
ズバッ
坂本「ぐっ!?……えっ、ちょ……ホントに?福山だよ?ほら、腕のあたりちょっと斬っちゃったよ?」
桂「誰が福山ァァァ!?」
坂本「こりゃ……わしじゃあどうにもならんか……」
似蔵「侍がどうとか言っていたアンタもその程度かい……酷く興ざめだね」
坂本「まあ……わしゃあおんしが侍じゃないと言ったのは間違いと思っちょらん」
似蔵「まだ言うかい……大した肝っ玉だ」
坂本「おんしの刀には何も籠もっておらん……そんな刀の使い方をする者をわしは侍とは呼びとうない」
似蔵「クク……刀を持ってすらいないあんたがそんな言葉を口に出来るのかい?」
坂本「フ……わしゃあ」
似蔵「!」
刹那、似蔵が背後から感じた気配……殺気……彼は一瞬で理解した。
辰馬の突撃は何の考えもなしに行われたわけではない、と。
自分をここに誘き出すだめに仕組んだ罠であったことを。
---
新八「…………っ」
しまった、意識を失っていた。一体どれだけの時間が経ったのだろう。
新八「早く……桂さんのところへ行かないと……!」
その時、新八は気が付いた。自らの傷口に布が巻かれ、血止めの処置がしてあることを。
そしてその布には見覚えがある
新八「これは……!」
それは自らの働き先、あのちゃらんぽらんの上司がいつも着ている着物とよく似ていた。
---
ターミナル屋上
似蔵「貴様……」
似蔵の背後を取った男は全力で踏み込み
「らあっ!!」
似蔵「うぐっ……!」
その片腕を斬りとばした。
坂本「言いかけじゃったな……確かに今のわしゃあ刀を持っちょらん、ただ……」
坂本「仲間(ばか)の持つ刀に魂は置いてきた……!」
銀時「誰が馬鹿だコノヤロー」
桂「ぎ、銀時!貴様……」
銀時「あーあー、とりあえず何も言うな面倒くせーから……体なんざ問題じゃねーよ」
銀時「かぶき町を巻き込んだパーチーなんざそうはねェ、来ないわけにはいかねーだろ」
銀時「なぁ……主催者の高杉くん」
高杉「フン……しぶとく生きてやがったか、銀時」
銀時「なんだオイ、感動の再会に涙でも流してくれんのか?ん?」
高杉「ああ、テメーの馬鹿面を拝んだせいで笑い転げて涙が出るところだ」
桂「……いつ以来だ、俺たち四人が一堂に会したのは」
坂本「…………」
桂「あの激しかった攘夷運動も……俺にはもはや遠い彼方のことのように感じる」
高杉「俺には昨日のことのように感じるぜ……ガキの頃も、テメーらと戦った攘夷も」
高杉「その果てに、打ち首にされた先生を見たことも……全てが頭から離れやしねェ」
高杉「……くだらねェ世界だ、腐りきった……ここまで腐りきった国を変えることなんざ出来やしねェ」
坂本「だから……国を破壊しよるか、高杉」
桂「貴様の怒りももっともだ……だが、それは……」
銀時「止めとけテメーら」
高杉「…………」
銀時「このウスラ馬鹿は口で何を言おうが聞きやしねェ」
銀時「あとは……刀(コイツ)で語るしかねーよ」
高杉「クク、馬鹿にしちゃ上出来じゃねーか……」
銀時「ターミナルの屋上で待ち構えてる時点であれだろうが……ドラクエの魔王気取りか。世界の半分くれんのか?」
高杉「世界なんざいくらでもくれてやらァ……すべてをぶっ壊した後の世界をな」
銀時「…………」
銀時「ヅラ、辰馬……あの改造刀はテメーらに任せた」
坂本「刀……紅桜のことを言っとるんか?あれはさっきおんしが腕を叩き斬ってそこに倒れちょるき……」
銀時「野郎はそれくらいでくたばるようなタマじゃねェ」
似蔵「……さすが、白夜叉だね」
謝罪ってなんだろうね?
―――
銀時「…………」
新八「…………」
新八「……ちょっと銀さん、何黙ってんですか。何か言うことがあるでしょ」
銀時「……え?何?何かあったっけ?」
新八「……八月に終わらせるとか大法螺吹いて挙句の果てに二か月近く間を空けてんですよ」
銀時「……いや、あのアレだから。俺にとってはまだ八月は終わってないから」
銀時「俺の中ではいまだに夏休みだからね、真夏の太陽がギラギラしてるからね」
新八「違うだろォォォォ!!髪だけじゃなくて頭の中まで焼け焦げてんのかアンタはァァァァァ!!」
新八「こういう時は何があろうとまず謝罪でしょうが!出来損ないの政治家でもそれくらいのことしますよ!」
銀時「……一応アレだ、聞いてくんね?」
新八「何ですか、今さら言い訳すんですか」
銀時「なんつーの……事情くらい言っとかねーとまずいだろ」
新八「……簡潔にお願いしますよ」
銀時「じゃあ、こんな感じで」
某日
銀時「…………」
新八「銀さんどうしたんですか、ぐったりしてますけど二日酔いですか?」
銀時「一杯ひっかける金も今はねーよ、近頃なーんか体調が良くなくてな」
銀時「体はだるくて動かねーし?頭はたらかねーし?天パだし?新八だし?」
新八「いや後半二つ関係ないですよね……病院行ったらどうですか?」
銀時「……ババアに金借りて行くしかねーか、ロクに仕事できねーし」
病院
医者「入院だね、これ」
銀時「あの、そういうのいいんで、大袈裟に入院とか言って病院に金落とさせようとしなくていいんで」
医者「…………」
銀時「…………」
銀時「……え、マジで?」
医者「いや別に自宅療養でもいいんだけどね、入院したほうが確実な治療が出来るって話なんだよね」
銀時「マジすか先生、俺の天パも確実に治療してくれますか」
医者「あんたのそれは心の捩れだからむしろ精神科に行ったほうがいいよ」
医者「坂田さんも運が悪いねホント、この病気って普通は子供が掛かりやすいんだけどね」
銀時「アレです、俺は毎週ジャンプ読んでるんで。心はいつまでも少年なんで」
医者「もう一度死んで子供からやり直したらいいんじゃないかな?」
銀時「先生、命を扱う医者が[ピーーー]とか言っていいんですか」
――――
銀時「……みてーな?」
新八「……一か月半も入院してたんですかアンタ」
銀時「いやそれは十日くらいだったんだけどよ……ほら、あんだろ?色々と」
新八「なんでそこをフワッとした感じで誤魔化してんですか」
銀時「……いや、もう何かアレだ。俺もう何も言えねーわ、怖くて。」
銀時「怒ってんだろみんな絶対、ブチ切れてるだろ絶対」
新八「……だとしてもとりあえず、やらなきゃいけないことがあるでしょ」
銀時「……えー、八月に終わらせるとか大法螺吹いて、挙句に遅れた連絡もせず」
銀時・新八「ほんっとすいませんでしたァァァァァァァ!!」
マジすいません、今日の夜中から再開します。今度は嘘じゃないっす。
似蔵「腕を斬り落とすなんて酷いことするねアンタも、以前にアンタんところの坊やが俺にやったのと同じじゃないか」
銀時「腕?妖刀の間違いだろ……落とされてもまた持ち主の腕にくっつくバケモノ刀……」
似蔵「クク……アンタの相手はしばらく後だ」
辰馬「ワシのところへ来るんか!?」
似蔵「まだ、勝負の続きだったからね」
辰馬「い、一端休憩じゃ!一、二の三でワシはこの銃を置く、おまんはその刀を置く。どうじゃこの商談は?」
似蔵「生憎、俺は刀を置くことが出来なくてねぇ……この通り、刀は腕そのものだ」
辰馬「ヅ、ヅラ!銀時!高杉の相手はおんしらに任せた!」
桂「辰馬!」
辰馬「ワシはあれじゃ!コイツを引き連れて逃げるき!」
似蔵「逃げ切れると思ってるのかね、この人斬り似蔵から」
辰馬「おまんこそ!商人の逃げ足の速さ、舐めたらいかんぜよ!」
桂「辰馬……!」
銀時「ヅラ、テメーは辰馬の援護に行ってくれや」
桂「なに?」
銀時「見た感じ、あの紅桜……俺とやったときよりも力が強くなってやがる」
桂「なんだと……?」
銀時「あれだ、亀仙人とジャッキー・チュンくらい違うわ」
桂「いやそれ同じ人物だろ、何も変わってないだろそれ」
銀時「ばっかお前、ジャッキーはアレだから。萬國驚天掌を使ってるからね」
銀時「とにかく、細かいこと言ってんじゃねーよ……ここは俺に任せてさっさと行っとけ」
桂「銀時……」
銀時「国をぶっ壊すなんて法螺吹きを叩きのめすのは祭り好きの馬鹿の仕事だ、お前の出る幕じゃねェ」
桂「…………」
桂「背負うつもりか……貴様は、また一人きりで……!」
銀時「背負う?なんで俺がこんな大馬鹿の面倒見なきゃならねーんだ」
桂「なに…………?」
銀時「背負う荷は二人分だ。ヅラ、テメー一人だけじゃ背負えねーだろ」
桂「…………!」
銀時「行け……そんで、必ず帰って来い。辰馬と二人で」
桂「…………」
桂「分かった……だが、必ず背負わせろ。俺と辰馬の二人でな」
銀時「…………」
銀時「分かった」
銀時・桂「約束だ」
―――
高杉「よォ、ずいぶんと長いご高説だったな」
銀時「その長いご高説を待っててくれるたァずいぶんと殊勝じゃねーか」
高杉「今生の別れだ……未練が残らねェようにしとかねーとな、テメーみたいな輩に祟られても迷惑だ」
銀時「どういう意味だコノヤロー。かけてやろうか、靴はいたら必ず靴擦れが起こる呪いをかけてやろうか」
高杉「……フン、牙は抜け落ちてもその馬鹿さ加減は昔と変わらずだな。銀時」
銀時「定春が来てから牙はもう間に合っててな、牙突はもう腹いっぱいなんだよ」
高杉「…………銀時」
銀時「あん?」
高杉「さっき、テメーは背負う荷が二人分とか抜かしてやがったが……どんな結果になろうが荷は一人分よ」
銀時「…………」
高杉「俺が勝とうが、兆に一つテメーが勝とうが……出る死体は一つだけだ」
銀時「…………」
高杉「せいぜい、死んで背負われることがねーよう神に祈りでも捧げるんだな」
銀時「なら俺の財布に取りついてる貧乏神にでも祈っとくわ、テメーの分までな」
高杉「……変わってねーのは馬鹿さ加減だけじゃねえ、その減らず口もだったか」
銀時「……だったらどうだってんだ?」
高杉「黙らせてやるだけだ、死人に口なしとはよく言ったモンだな……この上なく分かりやすいじゃねーか」
銀時「…………」
高杉「構えな……一瞬で終わっちまうぜ」
銀時「テメーに俺の『約束』は折れやしねーよ」
―――
キィン!
辰馬「あたたたた!ちょ、ちょっと待たんかい!」
似蔵「待てと言われて待つ馬鹿がどこにいるかね?」
辰馬「おまん、刀のない丸腰相手に全力出して恥ずかしいと思わんのか!」
似蔵「思わないねぇ、敵が武器を持ってない好機なら迷わず斬るべきだ」
辰馬「アッハッハッハッハッ、いやー参った!正論過ぎて何も言えんのう」
似蔵「それにアンタ……持ってるじゃないか。片手に銃を……」
辰馬「…………」
辰馬「こんな銃、無暗に撃ったところで威嚇にもならん……撃てるとすれば」
似蔵「…………?」
辰馬の口元がわずかに上がった。と同時、似蔵は背後から一つの気配を感じ取る。
それは研ぎ澄まされた刃のごとき、一撃で命を刈り取る死神を思わせるかのような
桂「――――!!」
狂乱の貴公子による―――明確な殺気。
似蔵「っ!」
体をそらし、振り下ろされる初撃の刃をかろうじて躱す。
が、この攻撃がそれだけで終わるはずもない。次に襲い来るは……
似蔵(斬り上げによる二撃目……)
似蔵はすべてを察知した。そしてその二撃目は到底躱しきることはできないものであることも。
ならば
似蔵「!」
桂が刃を反す一瞬により生まれた時間、わずかではあったが似蔵には十分であった。
斬り上げを受け防ぐことができる位置にまで己の紅桜を置いておくことは。
似蔵(防いだ……)
これで桂の二撃目も防ぎきれる、刹那の間に彼はそこまで思考していた。
そして、思考の最中で彼は聞いた。
辰馬「商人を相手にするときは話は最後まで聞くモンじゃき」
似蔵「!」
もう一人の敵の発した声を。
辰馬「威嚇にもならんこの銃を撃てるとすれば……信頼のおける仲間が援護に来てくれたときくらいじゃと」
己に向かって放たれた一発の銃声を。
似蔵「……参ったねこれは、酷い商売人もいたもんだ」
辰馬「おんしが最後まで説明を聞かんのが原因じゃき」
辰馬「ワシくらいのレベルになると、健康食品のCMで左下に小さく書かれてる(個人の感想です)はもちろん」
辰馬「洗剤CMで除菌ができるアピールでCGの洗浄イメージを見せるとき、必ず少しだけ汚れが残ってるのも見逃さん」
似蔵「っ…………!」
弾丸を受けた場所が腕や足、最悪は腹部であったっとしてもまだ戦えただろう。
だが、目の前の商人の放った弾丸。友を信頼して最後まで撃たなかったその弾丸は正確に似蔵の心臓を捕える。
やられた―――、それが『似蔵』の最後の思考だった。
桂「……間一髪、といったところか」
辰馬「いやー!あっはっは!さっすがヅラじゃき、礼を言うぜよ!」
桂「変わらないな辰馬、その人を馬鹿にしたかのような笑いは」
辰馬「あっはははは、実際に馬鹿にして笑っとるからな」
桂「斬り殺されたいか貴様」
辰馬「まあなんにしてもこれはワシの性分じゃ、こればかりは変えられん」
桂「……だが、それでいいのかもしれないな」
辰馬「…………?」
桂「変わることが悪いとは言わん。だが奴のように……高杉のように変わってしまうのなら……」
桂「…………」
辰馬「……変わっちょらんのうヅラ、相変わらず馬鹿じゃき」
桂「…………?」
辰馬「ヅラ、おんしにとって高杉はなんじゃ?」
桂「俺にとって……?」
辰馬「ワシゃ……アイツを友だと思っちょる、国を潰そうなんぞ馬鹿なことを考えとっても」
辰馬「だからこそ、ワシはアイツを止めなきゃならん。間違った道に友が進むのを黙って見てるわけにはいかん」
桂「…………」
辰馬「誰かが誤ったらそれを正す、それが昔から変わらぬ友の役目じゃき」
桂「……ああ、そうだな」
俺は何を言っていた。
変わってしまったことを嘆くばかりで、何一つとして動くことが出来なかった。
辰馬も、今まさに刃を交えているであろう銀時も、仲間を見捨てようとはしていない。
銀時『全力で、テメーをぶった斬る!』
あの時の奴の言葉、あれは高杉自身を斬るのでなく
高杉の心に打ち勝つ、その意思表示だったのか。
桂「……俺も、変わらねばな」
そう、この二人のように。
辰馬「なーにをカッコつけとるか、ヅラのくせに生意気じゃき」
桂「お前はどこのガキ大将だ」
辰馬「あはははー、まったくじ……」
その時、自らの体に流れる冷たい汗を辰馬は感じた。
それは恐怖にも似た警戒心、己の背後にいる何者かの存在に第六感が警鐘を告げた証。
桂「伏せろ辰馬!」
声を聞くや、辰馬は倒れこむように前転をする。自らの上を何かが通過するのを感じた。
空気を切り裂く感覚、わずかながらに聞こえた金属音。間違いなく太刀だった。
一瞬でも初動が遅れていたら間違いなく体は両断されていただろう。
辰馬「……すまん、ヅラ」
桂「謝っている場合ではないぞ、辰馬」
その、凶悪なまでの一撃を振るったのは
似蔵「…………」
似蔵ではない、『似蔵を支配した何か』だった。
今日はとりあえずここまでですいません
もうマジでいい加減ちゃんと完結させるんで、ホントに
銀時「クリスマスってサンタさんが来るじゃん? で、何やかんやでみんなハッピーな気分になるじゃん?」
銀時「そんなちょっと浮いたような空気だったらしれっと再開しても誰も怒らないよね、うん」
銀時「何が言いたいかって言うと、二か月間も空けてマジですいません」
辰馬「心臓を撃ちぬいたはずじゃ……あれで動くのなら、もはや人ではなくなっちょるな」
桂「己の心を刀に支配された男だ……そしてあれもただの刀ではない」
辰馬「噂には聞いちょったが……妖刀紅桜、まさか持ち主の体まで操るか」
桂「……この刀を使え、辰馬。あれを相手に銃だけでは命はないぞ」
辰馬「…………」
桂「……辰馬?」
辰馬「いや、少しばかり懐かしくなっての……あの頃が」
辰馬「戦争中、おまんが一人で敵に突っ込んだときは頭がおかしくなったかと心配じゃったき」
桂「お前に言われたくない」
辰馬「あはははー、全くじゃ!」
桂「……それに、今回はあの時とは違う」
辰馬「ああ、今は一人じゃなか……」
桂「……行くぞ!」
辰馬「突撃じゃあぁぁ!」
狂乱の貴公子と呼ばれ、最前線で戦い続けた桂小太郎。
免許皆伝の腕を誇り、戦場でも常に味方の士気を上げる存在であった坂本辰馬。
その二人を持ってしても
辰馬「くっ……ワシゃあ化物でも相手にしとるんか!? これで商談なんぞ出来るかい!」
桂「下がるな辰馬!一気に押し込まれるぞ!」
以前より強化され、さらに暴走した紅桜は一筋縄ではいかなかった。
桂「ちっ……!」
桂は懐から何かを取り出し、それを地に向かって投げつける。炸裂したと同時、あたり一帯に粉塵が舞い上がった。
煙幕だ。
似蔵「っ!」
紅桜に支配されている状態でほとんど意識のない相手にこんな手が通じるか、一抹の不安はあった。
が、やはり視界を奪うことは有効だったらしく、似蔵の動きが一瞬止まる。
男はその機を逃さない。
辰馬「ハアアアアッ!」
勝負を決するために踏み込んだ一歩、風を共に敵を両断せんとする一撃を
似蔵「…………」
似蔵の体を操る紅桜は受け流していた。そして
反撃。
辰馬「しまっ……」
それは、単なる真っ直ぐな突き。単純ゆえ、最速の攻撃。
攻撃に意識を向けていた辰馬には、防ぐことは愚か躱すことさえ不可能である、直突き。
体が貫かれるのは当然のことだった。
辰馬「ぐっ……」
鮮血が辺りを赤く染める、誰もが勝負は決したと確信するであろう場景。
だが
辰馬「商談……成立じゃき……」
男は、自らの体を貫く刀を両手で握りしめ
辰馬「おまんの化物じみた動きを止められるなら……儂の体を一突き程度、安いやすい……」
そして
桂「オオオオオオオッ!」
友を信じた男は刃を振るう。
似蔵「…………!」
紅桜が今までに収集したデータには入っていなかった、その戦い方に
互いに命を預け合う勇気を持った二人の攘夷志士の戦いにより
決闘に、幕が下ろされる。
残されたのは、粉々に打ち砕かれた妖刀の残骸と
その刀の呪縛から解放され倒れ伏す、似蔵の体のみだった。
桂「無事か、辰馬!」
辰馬「あたた……も、もう少し左に刺さっちょったら本当に仏さんになるところじゃ」
桂「……急所は逸れたか、だが動くなよ。体を貫かれていることに変わりはない」
桂「だが……あの一瞬でよく急所を外したな、商人ばかりして腕が鈍っているかと思ったが」
辰馬「いや、儂は何もしちょらん……あの突きはどうしようもなかったきに」
桂「なに……?」
辰馬が躱しも防ぎもしなかったのに、紅桜が急所を外した……?
人体を斬り、敵を両断し、すべてを破壊しつくすことに特化したあの紅桜が?
不審な顔をする桂に、辰馬は一つの答えを胸元から取り出した。
それは、紅桜の突きによって半分が斬り裂かれている古びた名簿。
桂「これは……お前……!」
載っている名前には見覚えがあった、かつて共に攘夷戦争を走り抜けた
そして志半ばにして命を落とした仲間たちの名。
辰馬「何で儂ぁ……今日に限ってこんなものを持っとったんじゃ」
桂「…………」
辰馬「……守ってくれたのかもしれん、逝った連中が……儂らのことを」
すいません、今日はここまでで……年末にかけてちょくちょく再開します。
銀時「まあ年も変わったし、改めてヒロインナンバーワン決定戦でもやるか」
桂「改めてスペシャルゲストを何名か呼んできたぞ」
アスカ「式波・アスカ・ラングレーよ」
レイ「…綾波レイ」
新八「あれ?ヱヴァンゲリヲン新劇場版Qでは綾波レイはアヤナミレイ(仮称)のはずでは」
銀時「そんなことはどうでもいい。で、こいつらを呼んだお前の狙いは何だ」
桂「ヒロインのベンチマークとして呼んだ」
アスカ「だいたい何でこのあたしたちがこんな場に呼ばれなきゃいけないわけ」
レイ「早く帰って碇君とぽかぽかしたい」
月詠「ぬしら、わがままもほどほどにせい」
アスカ「あんたバカぁ? わがままも何もあたしらは銀魂キャラじゃないでしょうが」
新八「彼女たちを呼ぶこと自体が失敗なんじゃないですか」
桂「そういうものか、新八君」
新八「少年ジャンプとヤングエースではファン層があまり重ならないじゃないですか。いくら銀魂がエヴァをパロってる箇所があるとはいえ、元ネタを知らない人もいるだろうし」
銀時「確かにぱっつあんの言う通りだな。じゃあ、アイツらには帰ってもらうか」
アスカ「言われなくても帰ってやるわよ」
レイ「そうね」
桂、坂本が似蔵を討ち取ったのと時を同じくして、もう一つの激しい戦いが繰り広げられていた。
銀時「ぐっ……!」
それは戦いと呼ぶべきではないのかもしれない。
高杉「…………」
休むことなく放たれ続ける暴力的な攻撃を、必死に受け止めているその様は
とても『戦い』と言い表すことができるものではなかった。
高杉「銀時……テメェ、本当に弱くなったな」
銀時「テメーこそ、腹に穴が空いてる怪我人相手にずいぶんと手こずってるじゃねーか」
高杉「フン……その減らず口だけは変わっちゃいねェらしい」
銀時「変わらねーのはテメーも一緒だろうが」
高杉「…………」
銀時「ガキの頃から何も成長してねぇ、どんだけ腕が上がろうが体がでかくなろうが中二病こじらせようが」
銀時「テメーは結局、あの時のまま……ガキだって言ってんだよ」
高杉「フン……なら、テメェは何だ銀時」
銀時「?」
高杉「過去から目ェ逸らして、この腐った世界を享受してのうのうと生きるのがテメーの言う大人か?」
銀時「…………」
高杉「俺ァ……実際にそういう生き方をしてやがるテメーが何よりも許せねェんだよ」
高杉「刀握って天人とやり合ってた昔のテメーのほうが幾分かマシだったぜ」
銀時「忘れちゃいねーよ」
高杉「なに?」
銀時「俺ァ忘れちゃいねーよ……先生のことも、学んだことも、失ったことも」
銀時「なにも、忘れちゃいねーよ」
高杉「…………」
銀時「何のために俺がこんなめんどくせーところまで体引きずってきたと思ってやがる」
高杉「…………?」
桂「分からないか、高杉」
辰馬「友を護るためじゃろう、銀時」
銀時「テメーら……」
高杉「ほォ……似蔵を退けやがったか」
桂「高杉……もう貴様に勝ちの目はない」
辰馬「おんしの連れ込んだ夜兎はもう戦える状態にはない、鬼兵隊も同じじゃき」
桂「戦えるのはもはや貴様一人だけだ……お前だけで覆せるほど、この世界は甘くはないぞ」
高杉「…………」
銀時「テメーら、下がってろ」
桂「何をするつもりだ銀時、これ以上の戦いに意味は……」
銀時「意味なんざ知ったこっちゃねーよ……俺ァただ、この寝ぼけた馬鹿を一発ぶん殴ってやるだけだ」
高杉「…………」
銀時「テメーのことだ、一人になろうがなんだろうが戦いは止めねーだろ」
銀時「世界だのなんだの大法螺吹く前に、目の前の馬鹿を潰してみな」
高杉「……クク、すべてを壊そうとする馬鹿に守ろうとする馬鹿か」
銀時「何をすることが正しいのか、そんなモンを今さら言い合うつもりはねーよ」
高杉「元々テメェは話し合う頭なんざ持ち合わせちゃいねェだろう」
銀時「俺とテメー、どっちが上手く法螺を吹くことができるか……」
高杉「白黒はっきりつけようじゃねーか」
辰馬「止めんのかヅラ、こんな勝負にはもう意味は……」
桂「ヅラじゃない桂だ、そういうお前こそなぜ何もしようとしない?」
辰馬「…………」
桂「……邪魔をしてやるな、ああでもしなければ話をすることも出来ない不器用な馬鹿たちの会話を」
辰馬「それを呑気に眺めちょる儂らはなんじゃろうな」
桂「……フッ、俺たちも奴らと何ら変わらんさ」
銀時「…………」
最後の時に備え、銀時は全ての神経を刀へと集中させていた。
鞘なき居合と表現すべき、数々の相対者を両断してきた特有の構え。彼らには見慣れた光景だった。
高杉「…………」
間合いを取る二人はもう口を開くことはなかった。
一瞬も集中を切らさないためか、あるいはこれ以上の言葉は必要のないものであると理解したからか。
決闘と呼ぶにふさわしい、張りつめた空気が辺りを覆っていた。
だが、彼らの浮かべていた表情は
とても穏やかな、友への親愛に満ちているかのごとき
微笑みだった。
銀時「ウオオオオオオオオッ!」
高杉「!」
雄叫びと共に銀時は地面を蹴りだす。十分あったはずの間合いは、すでに刀の射程圏へと変化していた。
高杉(……あの時と変わらねェ速さだな、銀時)
素人ならば風が通り抜けたと錯覚を起こしかねない、見事なまでの加速。
だが、それは高杉にとっては見慣れた速さでもある。
高杉(一撃を受け止めてからの反撃……それでシメーだ……)
加速し直線的に向かってくる相手にはそれが最も効果的であるのは経験から理解していた。
数ある天人の中にはより速い動きをする者もいた、剣術の力量だけを比較すれば引けを取らない自信もある。
相手が坂田銀時であろうと、それは変わらない……
銀時「――――!」
高杉(いや……違う)
侮っていた、目の前の男を天人や並みの剣客と比較するのは間違っている。
戦場において最強と呼ばれ、白い悪魔……白夜叉とまで呼ばれた男を相手に
一歩でも退けば、確実に命を刈り取られる。
高杉「!!」
直前で高杉は選択を変えた、敵の初撃を防ぐのではない。
こちらの初撃を相手に与える……!
高杉「オオオオオッ!」
振り上げた刀を真っ直ぐに振り下ろす、動きだけで見ればこの上なく単純である。
単純であるが故……最も速い。
――殺った、銀時の刃の位置を見て彼は確信した。
銀時の刃が自らの体に触れる前に、自らの振り下ろした刀を防ぐ前に、間違いなくこちらの攻撃が届く。
やはり退かないという選択肢は正しかった、銀時も初撃は受け止めてくると予測していたはずだった。
だからこそ、刃が抜き切れていない。
防ぐことも、躱すことも不可能だった。
だが、高杉の腕へと返ってきたのは
肉を切った感覚でも、刃で攻撃を受けられた衝撃でもない
高杉「!?」
まるで、予想だにしない感触であった。
柄。
それは刀を握る個所であるというのが意味合いとしては正しいし、実際の使用法もそうであろう。
そこを攻撃として使用するなどあまり考えられることではない。
よほどの実力差がある場合において、峰打ちの要領で敵へ攻撃することはあり得るだろう。
だが、同じ程度の力量を持った相手に対して峰を攻防に使用することなど常識では考えられない。
高杉「…………」
抜き切れていない、下を向いている刀身を振り上げて間に合わないのならば柄を使って防ぎやがる、か。
……そういや、テメェの強さは馬鹿みてーな身体能力だけじゃなかったな。
流れる雲のごとき我流の太刀筋……そんなことを高杉は頭に思い描いていた。
高杉(俺の見立てが間違ってたらしいな……銀時よ、結局のところテメェは変わっちゃいなかった)
ガキの頃からそうだった……何もかもが違っていたはずの俺たちだったが、それでも戦場では最後まで共にいた。
どれだけ自分が間合いを取ろうが、距離を置こうが
この男は、それを一瞬で飛び越えて自らの隣へ並び立つ。
互いに数えきれないほどの悪態をつこうが、どれだけそりが合わなかろうが、見えている景色が違っていようが
所詮は小さな問題にすぎなかったのかもしれない。
高杉(……その甘さも、何もかもな)
彼には見えたのだ。
自らの体に刀が触れる直前に、刃を峰へと反したその動きが。
――勝負は、決した。
銀時「はっ……はっ……」
桂「銀時……お前……!」
辰馬「そのボロボロの体でよう動いたの、おんしはまったく体力馬鹿じゃき」
銀時「天然馬鹿のテメーに言われたかねーよ」
高杉「…………」
高杉「銀時、テメェ……何で斬らなかった」
銀時「血が出てなきゃ斬られたことにならねェとでも思ってんのかテメーは」
高杉「…………」
桂「言っただろう高杉、銀時がここに来た理由を」
高杉「そいつはもう聞き飽きた……俺を討って、テメェの仲間共を護れてよかったな」
辰馬「まーだそんなことを言っちょるんか」
高杉「なに?」
桂「銀時は仲間を護るためにここへと来た、それはお前の言う通りだ……だが高杉」
桂「お前も、俺たちの仲間だろう」
辰馬「おんしがどれだけ否定しようが、儂らはそう思っちょる」
新八「銀さん!」
神楽「銀ちゃん!」
銀時「……ようテメーら、元気そうで何よりだ」
新八「銀さん……やったんですか」
銀時「さあな、元凶のアイツはまだ生きてるしな」
新八「けど……勝ったんですよね」
銀時「……何泣きそうなツラしてんだお前、ようやくめでたしめでたしになるところだろうが」
新八「だって……結局は銀さんじゃないですか」
銀時「あん?」
神楽「私たちが護るって言ってたネ、かぶき町も住人も……怪我してた銀ちゃんのことも」
神楽「それなのに結局は、銀ちゃんが……」
銀時「ガキのくせに担げもしねー荷物を背負ってんじゃねーよ」
銀時「そんなことしてる暇があるんなら笑っとけ笑っとけ」
銀時「テメーら万事屋だろうが、そんなツラで客の相手なんざできねーだろ」
新八「……はい」
神楽「普段はマダオのくせに、こういうときだけカッコつけるから立ち悪いアルな」
銀時「見栄を切ってるときにそういうこと言うの止めてくんね?」
高杉「……残念だが、まだ終わりには一足ばかり早いらしいな」
高杉「いや……本当に終わりが来ちまったのかもしれねェ」
桂「何……?」
高杉「上を見てみな……もう、すぐそこまで来てやがる」
辰馬「あの戦艦……まさか……!」
銀時「…………」
高杉「天導衆共ののお出ましだ」
すいません明日また来ます、マジで明日には終わらせます
断固たる決意って何だったんだろうね、花道しか口にしちゃいけない言葉だねあれは
銀時「……テメーが仕組んだことか」
高杉「確かに俺ァ一部の春雨と手は組んじゃいるがな、奴らとはかかわりを持っちゃいねェ」
辰馬「……奴さん、美味しい所を全部持っていきよるつもりじゃな」
桂「地球を手中におさめ、加えて目障りな存在であった高杉一派をもまとめて始末をするつもりか」
新八「ど、どうするんですか銀さん」
銀時「……これでようやく甘いモンでも食えるかと思ってたところで混ぜっ返されたんだ、やることは一つだろ」
新八「…………!」
銀時「残っちまった食べかす、爪楊枝でほじくり出してくる」
高杉「馬鹿は馬鹿でも救いようのねェ馬鹿だな銀時よ……今のテメェじゃ奴らと勝負にすらならねェ」
桂「腹に穴が開いているのだぞ、それにお前にはもう戦える体力など残ってはいないはずだ……ここは俺が……」
銀時「人間、ケツにだって穴が空いてるんだ。今さら一つや二つ増えたところで変わりゃしねーよ」
桂「だが銀時……!」
辰馬「無駄じゃきヅラ、銀時はこう言い出しよったらもう意地でも動かん」
桂「…………」
辰馬「ここまで来れば戦うだけじゃ……あの時のように」
銀時「そういうわけだ……新八、神楽、お前らは早くここから離れろ」
新八「嫌ですよ! 僕だって侍なんです、ここまで来て逃げるなんて……」
銀時「…………」
神楽「私たちだって万事屋の仲間アル! 銀ちゃんが戦おうとしてて私たちだけ……」
銀時「……じゃあ依頼だ」
新八「え?」
銀時「万事屋のテメーらに依頼するって言ってんだ」
新八「依頼……?」
銀時「……下にいるかぶき町の連中を、アイツらを護ってやってくれ」
新八「……ずるいですよ銀さん、ワンピースのウソップ海賊団じゃないですか」
銀時「…………」
新八「言い方はどうであれ……結局はみんなと一緒に逃げろってことじゃないですか」
桂「新八くん……」
新八「……けど、いいです。分かりました」
新八「僕たちは万事屋です、依頼されればどんなことでも引き受ける……それが『万事屋銀ちゃん』ですから」
神楽「…………」
新八「ただし……」
神楽「私たちからも、銀ちゃんに依頼があるネ」
銀時「…………?」
新八「僕たちの依頼は――――」
――――
桂「さて……奴らがどう動いてくるか、だな」
銀時「どうなんだ高杉」
高杉「馴れ馴れしく聞いてくるんじゃねーよ、俺ァお前らと共闘するつもりなんざ……」
銀時「いつまで『孤高の俺かっこいい』やってるんだテメーは、奴ら叩き潰してーのは一緒だろうが」
高杉「……元老は姑息な連中だ、いきなり地上に降りてくることはねェだろうよ」
高杉「少なくとも、自分の首の狙ってるような輩が生きている間は船から降りてこねェ」
辰馬「なら……ワシらを黙らせる連中を先に送り込んでから、じゃな」
桂「……来るぞ」
ターミナルのはるか上に浮かぶ元老の乗った戦艦からはエンジンの音が響くのみ。
驚くほど静かだった船。そこから一集団が姿を現し、ターミナルへと降り立った。
朧「……見知った顔が並んでいるな」
高杉「……フン、いきなりテメェからか」
辰馬「な、なんちゅうことじゃ……アイツは……誰じゃったか、ヅラ」
桂「お前、少し黙っていろ」
朧「久しいな……まだ生きていたか、白夜叉よ」
銀時「しぶとさにゃ俺も自信があるけどよ、テメーも大概じゃねーか?」
桂「四人だけで出てくるとは……待ち構える俺たちに数を合わせたつもりか?」
朧「この人数で十分と判断したのだ……お前たちとこの町の人間どもを黄泉へ送るにはな」
辰馬「あっはっはっ、やーれやれ。ずいぶんと腕に自信があるようじゃな!」
高杉「……銀時。テメェ、少しばかり前にコイツとやり合ったらしいな」
銀時「……下手すりゃ死ぬってレベルじゃねーな」
桂「…………」
銀時「コイツら相手にしたら、下手しなくても死ぬぞ」
桂「一人一殺だ……誰か一人でも奴らに負ければ」
辰馬「とたんに二対一じゃな……さすがにそれじゃ勝ち目がなか」
高杉「フン……」
銀時「……行くぜテメーら」
「背中は、預けた」
――――
月詠「て、天導衆じゃと……!」
九兵衛「そんな……まさか、奴らが直接地球へ乗り込んでくるなんて……!」
新八「信じられないかもしれませんけど本当です! 一刻も早くここから離れてください!」
あやめ「ぎ、銀さんは! 銀さんはどうなったの!?」
新八「無事です……でも、きっと今頃……」
月詠「……戦っているんじゃな、わっちらのために」
妙「……逃げちゃダメよ、みんな」
神楽「あ、姉御……?」
妙「このままこっちが負ければ結局地球はお終いです……どこへ逃げたって一緒」
妙「だったらせめてここから、ターミナルの下からでも……上で戦っている銀さんたちと共にいなきゃ……」
新八「で、ですけど姉上……銀さんはみんなに逃げてほしいって……」
妙「死ぬ気で戦ってる主人公を置いたまま何もしないで逃げるなんて、ヒロインのすることじゃないわ!」
あやめ「ちょっとお妙さん、何一人でヒロイン気取っちゃってるのよ」
妙「猿飛さん、あなたはもう逃げていいのよ。だってあなたはヒロイン候補じゃない……あっ、ごめんなさい」
あやめ「ヒロインは私に決まってるでしょ! いい加減にしないとぶっ飛ばすわよ!」
妙「やってみろやコルァ」
新八「世界の危機になにやってんだアンタらはァァァァァ!」
九兵衛「フ……そういえば、始まりはそんなことをしていたな」
月詠「まったく……騒がしい連中じゃ」
九兵衛「君はいいのか、ヒロインなんてやりたくはないと言っていたと思ったが?」
月詠「……自分たちのために戦ってくれている男に声を掛け続けることができるのなら」
月詠「ヒロインになるのも悪くはない……そう思ってきたところじゃ」
――――
銀時「…………」
朧「……終わったか、想定していたより早く終わったな」
桂「どうした銀時! お前が最初に根を上げてどうする!」
銀時「……っ!」
朧「まだ生きていたか……だが、もはや立ち上がることもままならないはずだ」
銀時「くっ……!」
朧「白夜叉、お前の体が動かないのは当然……気力や精神論の話ではない」
朧「傷に傷を重ね、拾うまでもが極限にまで蓄積された状態……よく今まで無茶を出来ていたものだ」
銀時「無茶なんざしちゃいねーよ……今までに何度面倒事に首突っ込んできたと思ってんだコノヤロー」
銀時「その潜り抜けてきた修羅場が何よりも問題なのだ」
――――
銀時「…………」
朧「……終わったか、想定していたより早く終わったな」
桂「どうした銀時! お前が最初に根を上げてどうする!」
銀時「……っ!」
朧「まだ生きていたか……だが、もはや立ち上がることもままならないはずだ」
銀時「くっ……!」
朧「白夜叉、お前の体が動かないのは当然……気力や精神論の話ではない」
朧「傷に傷を重ね、拾うまでもが極限にまで蓄積された状態……よく今まで無茶を出来ていたものだ」
銀時「無茶なんざしちゃいねーよ……今までに何度面倒事に首突っ込んできたと思ってんだコノヤロー」
朧「その潜り抜けてきた修羅場が何よりも問題なのだ」
銀時「…………?」
朧「白夜叉……どうやらお前は攘夷戦争が終わった後、腕が鈍っていたものの戦いは続けていたようだな」
朧「確かにその程度の傷、これまでに幾度も経験してきたことだろう」
銀時「…………」
朧「分からないか、その度重なる酷使によってお前の体が悲鳴を上げていることに」
銀時「!」
朧「……妙な仕事をしていたらしいな、どんな依頼でも引き受ける……万事屋と言ったか」
銀時「……人の生活観察して楽しいかコノヤロー。ストーカーはあの雌豚だけで十分だ」
朧「もうお前に守れるものなど何もない……仲間も街も、国もすべて我らが破壊しつくす」
朧「先に逝かせておいてやる……冥土で師に挨拶でもしておくがいい」
朧「お前が死ぬのは……苦しむ仲間を助けたいと長きに渡ってくだらぬことをし続け、傷を負った結果だ」
銀時「…………」
朧「……最後に言うことはあるか」
銀時「ああ……テメー、鼻毛出てんぞ」
朧「…………」
次の瞬間、命を奪い去る一撃が銀時の体に加えられる。
それは、誰もが一目でわかるほど
即死に値する一撃だった。
…………
知らない天井だ。
じゃねーよ、どこだここ。来た覚えねーんだけどこんなところ。
待て待て、うん。一回落ち着こうか、うん。俺ァさっきまでなにやってた?
アレだろ、ターミナルで高杉の馬鹿とやり合って……最後の最後でめんどくせー連中が出てきてだ……
……ああ、思い出したわ。
で、これはアレか。
銀時「……くたばったらしいね、俺も」
天国だか地獄だか知らねーが……まあ、そういうことなんだろうな。
「君らしくないですね、ここで投げ出すつもりですか?」
…………
懐かしい声が聞こえた気がした。
銀時にとって、遠く、懐かしく、深く、そして誰よりも温かみを感じさせる声。
振り返った先にあった光景、それは
銀時「せ……」
幼き自分に教えを与えてくれた、昔と変わらぬ姿をした
銀時「先生!」
師の姿だった。
松陽「久しいですね、ずいぶんと大きくなったものです」
銀時「先生と会ってるってことは、俺は……」
松陽「君は死んではいませんよ。とはいっても、非常に危険な状態ではありますが」
銀時「…………」
松陽「どうしました? 君の仲間たちはまだ刀を取って戦っている……もう、君は諦めるのですか?」
銀時「体がもう動かねーんだ……先生」
銀時「……俺ァ、先生みてーにはなれなかった」
松陽「?」
銀時「あんだけ仲間失って、もう誰も傷つけさせたくねぇと思っても」
銀時「結局は、その俺が一番にくたばりかけてる……」
松陽「……なるほど、私のようにはなれなかった……ですか」
松陽「それで、いいじゃありませんか」
銀時「…………?」
松陽「君は私ではありません、どうして私と同じである必要があるんですか?」
松陽「君は君らしく、君のやり方で、君自身の手で……大切なものを護ればいいんです」
銀時「せ、先生……」
松陽「銀時、あなたに私が初めて会ったときに何を言ったかまだ覚えていますか?」
銀時「…………」
松陽「大丈夫、君なら戦えます……私とは違う君ならば……」
松陽「君との約束を違え、先に逝った私とは違う君ならば……きっと彼らを救えます」
松陽「護っておやりなさい、仲間も、町も……そして、約束も」
銀時「……ワリーな、先生」
松陽「?」
銀時「土産を持って先生の所へ行くのはまださきになりそうだ」
松陽「……その時が来るまで、またしばしの別れです」
銀時「……ここから俺ァ、誰一人として取りこぼさねェ……剣の届く範囲の全員を護りぬく」
銀時「『約束』だ」
松陽「ええ……『約束』ですよ」
銀時「じゃ……何十年後かに死んだときにはまたよろしくな、先生」
――――
松陽「強くなった……剣の技ではない、その心が……」
私は、あなたたちの師であれたことを誇りに思う。
さあ
白銀に輝く、魂と云う名の刃を手に
行きなさい、そして
生きなさい
――――
朧「…………!」
不可思議なことが起こった。
自分は間違いなく全力でこの人間に攻撃をした、手ごたえはあった、骨を打ち砕く感覚もはっきりと捉えた。
ただでさえ体を引きずっているような状態であった男、それも貧弱な人間の男だ。
どう考えても、死んでいないはずがない。
なのに
朧「なぜお前は立ち上がっている!」
銀時「…………」
――――
新八「銀さん……!」
妙「大丈夫……信じましょう。あの人ってちゃらんぽらんでもやるときはやるって新ちゃんが一番よく知ってるでしょ?」
神楽「頑張ってよ銀ちゃん! 負けたら承知しないアル!」
九兵衛「しかし……こちらも手痛い被害を受けたな、数えきれない負傷者を出した」
月詠「……この状態ではもう戦うこともままならぬな」
天人「そうか……お前たちはもう、まともに戦うこともできないか」
あやめ「増援……こ、こいつら……まだこんなに……!」
月詠「マズイ、離れろ!」
天人「天下の春雨にここまで大暴れしてくれたんだ……相応の代償は払ってもらわないとなぁ」
九兵衛(くっ……疲弊した僕たちだけではこの人数は……!)
「そこまでだ」
天人「何だお前は……囲め! コイツを囲むんだ!」
「天人よ……余の顔を見忘れたか」
天人「…………!」
天人「まさかお前は……確か侍の国の……!」
将軍「…………」
新八「…………」
新八(将軍かよォォォォォ!!)
将軍「天人よ……奇襲により我らが国へと攻め込み、余の民を傷つけるとは言語道断……」
将軍「死人を出していない今ならばまだ猶予を与えよう……大人しく宇宙へと帰るのだ」
天人「帰るのはお前だ徳川茂茂……ただし、還るのは宇宙ではなく土だがな」
将軍「何……?」
天人「将軍だろうと今となっては関係がない、こいつもまとめて斬り捨てろ!」
将軍「余の命は天下の命……そして国を支える民たちのためにある命……」
将軍「天人のような悪党に、世の命を渡すわけにはいかぬのだ」
天人「構うな! 斬れ! 斬れぇ!!」
将軍「…………」チャキッ
暴れん坊将軍テーマ『デーンデーンデーン! デデデデデデ! デーンデーンデーン!』
すいません、今日の夜にまた来ます
BGM『暴れん坊将軍、殺陣のテーマ』
天人「ラアアッ!!」
将軍「!」
民のため、国のため、将軍は刀を振るった。
太刀筋は凄まじい迫力で襲いかかる敵を圧倒し、さらには優雅さをも感じさせる……
そして
将軍「…………」
天人「っ……!」
立ち回りの最中で放たれる将軍の睨みに、天人たちはただ圧倒されるのみ。
まさしく、一騎当千と呼ぶにふさわしい強さだった。
…………
天人「…………」
将軍「成敗」
新八「…………」
将軍「皆の者、無事であったか?」
新八「え……ちょ、エェェェェェ!? ちょっと待ってくださいよコレェェェェ!?」
将軍「む、何か問題があったか?」
新八「あっちもこっちも問題だらけでしょうが! あれだけいた天人が全員斬り捨てられてるんですよ!?」
将軍「心配はするな、峰で撃ってる……死んではいないだろう」
新八「いやそういう問題じゃなくてですね! 何なんですか将軍! アンタそんなに強かったんですか!?」
将軍「あまり刀を握りたくはないのだが……民を護るためならば致し方あるまい」
将軍「アッチのほうは足軽であろうと、剣の腕は将軍だ」
新八「ちょっとォォォ! 何でアンタ、上様のくせに公共の場でアッチは足軽とか言っちゃってるんですか!?」
将軍「それより……皆はすでに理解しているだろうが、事態は一刻の猶予も許されない」
将軍「このままでは国そのものが天人に乗っ取られる危険性もある……」
妙「ターミナルの屋上で銀さんたち……私たちの仲間が戦っているんです!」
将軍「仲間が……?」
信女「それはきっと天照院奈落……元老たちが邪魔な人間を先に排除させるために送り込んだ精鋭部隊……」
沖田「なんかそういうことらしいですぜ」
新八「沖田さん! 無事だったんで…………」
沖田「俺ァこの通り無事だ……おう、もっと早く歩かねーかい」
信女「はい……申し訳ありません」
新八「色々と無事じゃないですけどね、敵だったはずの女の子を馬代わりにしてる時点で色々と壊れてますけどね」
沖田「斬りあいしてる最中にホップステップジャンプの三段階を挟むとな、自然とこうなっちまうんだよ」
近藤「う、上様! ご、ご無事で何よりです!」
将軍「心配をかけたな、だが余は大丈夫だ……傷を負っている者たちの手当てをしてやってくれ」
近藤「承知しました! 聞いたかお前ら! 負傷者の手当ては俺たちの仕事だ!」
真選組『はっ!』
土方「話は戻るが……つまるところ、奴らを束ねる元老一派ってのははまだあの船の中にいるってことだな」
妙「ど、どうにか出来ないんですか!? 空を飛んでる船を攻撃できる武器とか、真選組は持ってないんですか!?」
土方「悪いがそんな都合のいいモンは持ち合わせちゃいねェ……総悟、お前はどうだ」
沖田「さすがに桂にぶっ放してるバズーカじゃあ厳しいでしょう……撃ち落とす云々の前に届きもしないでさァ」
新八「だったらどうすれば……!」
将軍「…………」
将軍「使いたくはなかったが、ここまで来ればやむを得ない」
新八「え……?」
将軍「私に、考えがある」
新八「将軍んんんん! 何か最後の最後まで頼りになりすぎんですけど将軍んんんんん!!」
土方「……失礼ながら上様、そのお考えとは」
沖田「あーあ汚ねーや土方さん、いっつも『将軍のお守りかよ』とか言っといてこういうときだけ『上様』たァ」
土方「斬り殺すぞテメー!!」
近藤「そ、それで……そのお考えとは?」
将軍「うむ……では、私についてきてくれるか?」
――――
某所
新八「ここは……?」
将軍「この江戸にはいくつかの隠された施設がある……ここはその一つだ」
近藤「トシ……お前、この場所知ってたか」
土方「トップのアンタが知らねーのに俺が知ってるはずがねーだろ」
将軍「ここにはとある武器が収められている……江戸の開国を機に使用を禁じられたものだ」
新八「えっ……ま、まさかあの戦艦を撃ち落とせるようなすごい武器があるんですか!?」
将軍「うむ……我らの国も一度これを受け、大打撃を負うこととなった」
新八「そ、そんなものが……!」
将軍「ああ、名を……」
将軍「『ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲』と言う」
新八「ちょっと待てェェェェェ!!」
新八「えっ! ちょ……えっ!? ネオアームストロングって……あの卑猥な大砲って本当にあったんですか?」
近藤「新八君は確か雪まつりで作っていなかったか?」
新八「いや、だってあれはそういうシリアスな感じじゃなかったじゃないですか!?」
新八「思わないもの普通は! あんな悪ふざけにしか見えない大砲、存在するなんて思わないもの!」
土方「ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲……この世からもう消えたはずの兵器じゃねェのか?」
沖田「そういう武器ってのは往々にして残ってるモンでさァ」
新八「エェェェェェ!? やっぱり僕だけ知らない感じなんですか!?」
将軍「江戸城の天守閣を吹き飛ばし、江戸を開国させるきっかけとなった最終兵器だ」
新八「本当に僕たちの国ってこんなしょうもない形をした大砲に大打撃を食らったんですか!?」
土方「しかし……なるほど、これなら奴らの戦艦をも吹き飛ばせるかもしれねェ」
将軍「うむ……砲台を両脇にある球体にエネルギーを限界まで蓄えさせ、一気に放出する。おそらくは行けるだろう」
近藤「分かります、毎日シコシコやるよりかは何日か溜めて一気にスプラッシュさせたほうが気持ち良いですからな」
新八「近藤さん、割と本気で言いますけど一度でいいから死んでください」
沖田「で……コイツのエネルギーってのはどれぐらいで溜まるんですかい?」
将軍「……そのエネルギーの問題も、この武器を封じた要因の一つでもあるのだ」
新八「どういうことですか?」
将軍「ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲のエネルギーは通常のそれではない」
将軍「一言で言い表すのなら……生命力、と言うのが正しいか」
沖田「何ですかいそりゃ、ドラゴンボールの元気玉か何かですかい?」
将軍「限りなくそれと近いだろう、おそらくあの漫画はこの兵器の設定を参考にしたのだろうな」
新八「何いきなり天下のドラゴンボールに訳の分からないパクリ疑惑を擦り付けてんのォォォ!?」
将軍「威力も計り知れないが……それに伴うだけのデメリットも大きい」
将軍「力を抜かれすぎてしまった人間は……死に至ってもおかしくはない」
土方「…………」
将軍「……この兵器を何とか改良し、代用のエネルギーで使用することは不可能だろうか?」
新八「源外さんならもしかして……いや、そんなことをしてる時間はもう……!」
妙「エネルギーだったらありますよ」
新八「あ、姉上! どうしてここに!?」
月詠「…………」
九兵衛「…………」
あやめ「…………」
妙「私たちが……かぶき町のみんなが、ここにいるじゃないですか」
神楽「新八ィ! 何お前一人だけでこんな面白そうなモンいじってるアルか!」
鉄子「私たちにも、力を貸せるんだろう?」
辰巳「かぶき町の底力ってのを見せてやらないとな!」
新八「神楽ちゃん……それに鉄子さんたちも……!」
クリステル「私も、頑張っちゃいますよー!」
清明「皆の者聞いたか! クリステルの頑張っている姿、早くカメラで録画だ!」
道満「甘いな清明! こちらのキャメラのほうが高画質だ!」
新八「何やってんですかアンタたちは」
近藤「……こんな時にまで出張ってくるのかいお巡りさん、わざわざあの世から来るとは驚いた」
佐々木「エリートですからね……それに、あなたも私を殺すつもりでは斬らなかったでしょう」
土方「…………」
妙「他にもたくさん……数えきれないくらいたくさんの人が……ここにいるんです」
将軍「……良いのか、私には皆の無事を保証することができない」
将軍「余の勧めた兵器によって民を危険にさらすことになっては……」
月詠「覚悟は出来ておる……ここにいる全員が」
あやめ「あのふざけた船を撃ち落とせるんでしょ、だったらいくらだってやってやるわよ」
九兵衛「僕たちで役立てることがあるのなら……屋上で戦っている侍たちと共に戦うことができるのなら……」
『これくらいのこと、いくらでもやってやろう』
将軍「…………」
将軍「……余は、皆の将軍であれたことを誇りに思う」
――――
朧「何故だ白夜叉……貴様の体はとうに限界を超えているはずだ! どんな小細工をした!」
銀時「地獄行きの電車にゃ乗ったんだけどよ……乗車券買ってねーから追い返された」
朧「どこまでも戯言を……!」
銀時「戯言、結構じゃねーか……男が口にすることの七割は戯言だって昔の偉いなんとかっておっさんが言ってる気がする」
銀時「……ついでだ、もう一個だけ言っといてやらァ」
朧「何……?」
銀時「さっきテメーが言ったろうが……なんだ、俺が今までくだらねーことやってたから命を落とすだのなんだのと……」
銀時「てめーで言うことじゃねーが……一つだけ言っといてやらァ」
朧「…………?」
銀時「俺にとっちゃ、俺がやってきたことはくだらなくなんかねーよ」
銀時「かぶき町で大勢の馬鹿と馬鹿騒ぎしたことも」
銀時「鬼隠しとかいう事件を止めたことも……話を聞かねェわがまま女の団でドタバタしてたのも……」
銀時「超能力者だの魔術師だのとやり合ったのも……魔法少女だかと無限残機を潰してたのも……」
銀時「その全部が、俺にとっちゃ大切な繋がりだ」
朧「何を……言っている……?」
銀時「……俺ァ一度テメーらに負けてすべてを失った、師も仲間も国も」
銀時「残ったのは、刀振る以外に何もできねえようなこの体だけだ……」
銀時「そんな馬鹿な俺にもう一度繋がったこの腐れ縁の糸……てめーで切っちまうわけにはいかねーんだよ」
朧「……それで、その腐れ縁の糸とやらを護るのに必死なお前に何が出来る?」
銀時「大したことは出来やしねェ、が……これでも万事屋の看板を背負ってんだ、ちょっとした依頼くらいこなさねーとな」
朧「依頼?」
・・・
新八『……これが僕たちからの依頼です、銀さん』
神楽『絶対成功させろよコルァ』
・・・
銀時「テメーをしめて万事屋(ウチ)に帰る、たったそれだけの簡単な依頼だ」
桂「銀時……生きていたか……!」
辰馬「あの馬鹿がそう簡単に死ぬるはずがなか」
高杉「…………」
桂「奴が俺たちの背中を護っているんだ……ならば、奴の背中を護る俺たちもここでやられるわけにはいかんな」
高杉「…………」
高杉「……フン」
桂「なんだ……高杉」
高杉「存外……難しいモンだな、護るってのは」
桂「…………」
高杉「ぶっ壊すだけなら一瞬だ……なのに、同じ戦いでこうも違ってくるとは思わなかったぜ」
辰馬「だからこそじゃ」
桂「だからこそ……俺たちはこうして戦える、そうだろう?」
高杉「……馬鹿には敵わねェな」
銀時「ウオオオオオッッ!!」
朧「…………!」
朧(馬鹿な……何故ここで速さが増す? 一撃が重くなる?)
銀時「へっ、テメー程度じゃ俺をあの世へ連れてくことは出来ねーよ!」
朧「!」
銀時「死にぞこないを体を思いっきりぶん殴っても殺しきれねーような奴じゃ、話にもならねーな」
朧「これが……地獄への片道切符だ! 白夜叉ァ!!」
先に全力で叩いたのは胴体……それすら生きてこの世に舞い戻る鬼ならば
頭を打ち砕くのみ。
肉を、骨を、ひとつ残らずすべてを吹き飛ばすであろう一撃を……!
銀時「……ワリ、地獄行きの切符だけどよ。何か買い間違えちまったみてーでな、俺ァもう持ってんだよ」
朧「!」
刹那、彼は思考した。
……なぜだ、なぜ自分は頭を狙って拳を放った?
驚異的な体力を気力で持たせてはいるものの、目の前の人間は明らかに限界だ。
わざわざ頭を狙わずとも、この一撃が入りさえすれば勝負は決するはずだった。
なのに、なぜ!
朧「…………!」
『死にぞこないの「体」を思いっきりぶん殴っても殺しきれねーような奴じゃ、話にもならねーな』
あの時か! 直前に白夜叉の言葉を耳にしていなければ……体を殴っても殺せぬと思いこまなければ……!
『戯言、結構じゃねーか……男が口にすることの七割は戯言だって昔の偉いなんとかっておっさんが言ってる気がする』
あの戯言さえ……
あの戯言さえ聞いていなければ!!
銀時「テメーの名前が入った指定席だ……大事に持って行きやがれェェェ!」
――――
たま「皆さま……準備はよろしいですか?」
妙「ええ……いつでも」
たま「すみません……からくりの私ではエネルギーを供給することが出来ず……!」
新八「いいんですよ……そんなたまさんだから、発射スイッチを押すことができるんですから」
将軍「……民に命令などしたくはないが、将軍の名を持って一つ勅を出そう」
新八「?」
将軍「誰一人として取りこぼすことなく……全員、生きて明日を迎えよ!」
近藤「将軍……!」
土方「……ま、上の命令にゃ逆らえねーからな」
沖田「死んでくれー土方ー、命令違反して汚名を背負った挙句に死んでくれ土方ー」
土方「生きて明日テメーを叩き斬ってやらァ!」
たま「行きます!」
全員がエネルギー供給装置に手を触れた状態。
たまによって発射スイッチが押された瞬間、両脇のエネルギータンクが満ちていく。
新八「お、思ったより大分キツイですねこれ……あぐっ……!!」
神楽「へたれるなヨ新八ィ! これぐらい……どうってことないアル……!!」
長谷川「無理無理ィ! もう無理ィ! 死んじゃうってこれぇェェェ!」
神楽「マダオお前いい加減にしろやコルァ! 最後くらい地球の役に立って散るアル!」
長谷川「散るって何!? 俺の命が!? 遠まわしに死ねって言ってるよね!?」
長谷川「……ダメだ、ツッコんだらマジで死にそうになってきた」
将軍「皆、気を確かに持て……この一撃は……我ら、サムライの国が一撃ぞ!」
新八「銀さんたちだって戦ってるんだ……と……と……」
その時、全員の一丸の思いが言葉となる。
『届けェェェェェェェェェェ!!!』
上と下……二つで行われていた二つの戦い。
銀時「ウオォォォォォォォォォォ!」
朧「…………!」
攘夷志士四名が奈落一派を撃破したのとほぼ同時
『届けェェェェェェェェェェ!』
思いを乗せて放たれた『ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲』は
元老院の乗る船を、跡形もなく吹き飛ばした。
――――戦いは、終わった。
…………
銀時「…………で、何だったんだあのビーム。天人の乗ってる馬鹿でかい戦艦、一発で吹き飛ばしたぞ」
桂「ウルトラマンに決まっているだろう、あれは間違いなくスペシウム光線だ」
銀時「三分以内にここから飛び降りろ、お前が正しけりゃきっと光の巨人が助けれくれるから」
高杉「……辰馬、あれは」
辰馬「以前、宇宙で見たことがある……『ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲』じゃな」
桂「な、何……だと……?」
銀時「じゃねーよ! あるわけねーだろあんな悪ふざけで作った大砲!」
桂「銀時、貴様ァ! なぜ俺を蹴った!? 攻撃をするならむしろ辰馬だろう!」
新八「良かった……みんな、生きていてくれて……!」
銀時「!」
銀時の目に映ったのは見知った顔、かぶき町の住人達。
だが奇妙だったのは、その誰もが疲労困憊していることだった。
銀時「……テメーら、何だってそんな……!」
新八「……ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲です」
銀時「…………」
銀時(え? いやいやいや、え? ネオアームスト……あ、あの悪ふざけで作った大砲マジであったのかァァァァ!?)
新八「……終わったんですよね、今度こそ」
神楽「銀ちゃん……!」
銀時「…………」
銀時「終わってなんかいねーよ」
銀時「明日っからまた万事屋の仕事、始めなきゃならねーだろ」
桂「何を終わらせようとしているんだ銀時、これではさっきの俺は蹴られ損ではないか!」
銀時「お前のよく分かってなかったろうが、辰馬のこと蹴らせようとしてただろ」
桂「それ以前にだ……貴様、よくも似蔵などという怪物を俺たちに押し付けてくれたな」
辰馬「あーそれについては全くじゃ金時、儂とヅラのどっちかが死んでてもおかしゅうなかったぞ」
銀時「俺一人でも何とかなったんだ……しぶといテメーら二人掛かりでそう簡単にくたばるわけねーだろうが」
辰馬「いや金時、あの強さは洒落にならん。スポーツマンNO.1決定戦の室伏広治じゃき」
新八「何の話してるんですか辰馬さん」
桂「うむ……俺たちはせいぜい池谷直樹と照英だ、一人ではとてもじゃないが太刀打ちできなかったな」
銀時「どっちも優勝経験者じゃねーか、それならケインを入れろコノヤロー」
銀時「好記録を出した時に雄たけびを上げるケインとか子供時代のヒーローだったからね、みんなの憧れだったからね」
桂「池谷とケインの一騎打ちは心が躍ったな、あれこそ正月の風物詩だな」
銀時「池谷もヒール役でいい味出してたわ、あのキャラ立ては漫画家も見習わなきゃいけねーよ」
辰馬「その二人に対抗しちょったのが照英じゃき、『小指が僕を救ってくれました』は名言じゃの」
銀時「そういや、ケインがいなくなったらヒール役だった池谷を応援しだすっていう謎の現象が起こっ……」
新八「大決戦のあとで何言ってんだアンタらはァァァ! スポーツマンの話はもういいんだよ!」
妙「そうですよ銀さん……まだ終わらせるわけにはいかないじゃないですか」
銀時「あん?」
妙「それで……結局、この漫画のヒロインは誰なんですか?」
銀時「…………」
あやめ「私ってことで決まったでしょ! 何を今さら蒸し返してるのお妙さん!」
妙「ごめんなさい、正直猿飛さんは眼中にないの」
月詠「まだ続けておったのか……まったく……」
九兵衛「どうかな、君もさっきは『ヒロインになるのも悪くはない』と口にしていたじゃないか」
月詠「あ、あれはその場の流れでじゃな……その、あの……」
神楽「ヒロインは私でしょ! ね、銀ちゃん!」
平子「どうなんですか、兄貴ー!」
銀時「…………」
銀時「分かった、じゃー俺が決めてやる」
妙「え?」
銀時「まったく……逃げなきゃいつ死んでもおかしくなかったってのにテメーら女どもは揃いも揃って残りやがって……」
銀時「天人どもとかち合って平然としてるなんざ、野郎でもそうはいるもんじゃねーよ」
銀時「ここには肝っ玉の据わった……そんで、澄んだ魂持ってる女しかいねェ……」
妙「それって…………」
銀時「…………」
銀時「テメーら全員、銀魂の付いた……月と桜の映える、綺麗なヒロインだ」
完
妙「『完』って何ですか、銀さん」
銀時「えっ、ちょ……あれ? すげー綺麗にまとめなかった? いつでもED行ける感じの流れじゃなかった?」
妙「そんなフワッとした感じの答え、誰も求めてないんですよ。何ですか、ハーレムルートにでも行くつもりですか」
銀時「つーかなんでお前そんな元気なの? 生命力だか何だかを使って大砲撃ったんじゃなかった?」
妙「……そうですね、銀さんが決められないのなら……もう一回『最初から』やり直さないといけないですよね?」
沖田「土方さん……コイツァ……この流れって……」
土方「ああ……」
妙「ヒロインNO.1決定戦を……ねェ?」
桂「逃げるぞ銀時!! 新八君!!」ダッ!
新八「えっ!?」ダッ!
土方「冗談じゃねえ! また拘束されてくだらねェ審査員なんぞやってたまるかァァァァァ!!」ダッ!
妙「逃がすなァァァァ!」
九兵衛「お妙ちゃんの頼みなら!」
銀時「銀魂体操第一ィィィィィ! 息を大きく吸い込んで大声出す運動ォォォォォ! 行くぞテメーらァァァ!!」
『なんでだァァァァァァァ!?』
第?訓『女って基本めんどくさい』 (蜜柑)
・・・
銀時「スカウター?」
源外「違う、コイツぁ『スキャウター』だ。早く装着しろ」
銀時「どっちでも同じだろうが。どう見てもこれアレだろ、サイヤ人が持ってるアレだろ」
源外「馬鹿言っちゃいけねえ、コイツは今のおめぇにとっちゃ喉から手が出るほど欲しいモンだろうよ」
銀時「なんで戦闘力計らなきゃならねーんだよ、そんなモン計るなら女のスリーサイズ計るわ」
源外「当たらずとも遠からずだな」
銀時「あん?」
源外「銀時……愛ってのはなんだ?」
銀時「いきなり何言ってんだこのジジイ、んなことは丸坊主にしたアイドルにでも聞いとけよ」
源外「愛ってのはあれよ、あのーあれだ。あれがあれすることだろ」
銀時「あれしか言ってねーよ、フワッとした言い方ってレベルじゃねーぞそれ」
源外「まあつまりだ、愛ってのは一言じゃ言い表せねェ面倒なモンってことよ」
源外「この『スキャウター』はその愛を数値化してくれる絡繰りだ」
銀時「いや意味わかんねーけど」
源外「スキャウターの『キャ』は『キャッキャウフフ』のキャだ、そのレベルを計れるってことよ」
銀時「説明聞いても意味分からねェんだけど?」
銀時「とにかくアレだ、俺ァ今めんどくせー女どもに追っかけられてんだから……」
「追いかけられてるんだから?」
銀時「いや、だからほとぼりが冷めるまでここで大人しく……」
源外「銀時、オメー誰と話してんだ?」
銀時「は?」
妙「…………」
銀時「…………」
銀時「光る雲を突き抜けFLY AWAYYYYYY!!」
妙「逃がしませんよ」ガシッ
銀時「いや、あの、マジで勘弁してくんね? 腹に穴空いてんだけど? かぶき町のために相当頑張って戦ってたんだけど?」
妙「すごいですね、じゃあ今度は私たちヒロイン候補のプライドを守るために戦ってくださいね」
銀時「すいません、ボロボロの主人公引きずってくのをヒロインって言うんですか」
妙「最近は主人公に物怖じせずに行動できるヒロインが増えてるんですよ?」
銀時「程度を考えろォォォォ! 綾波レイがゲンドウをマダオって呼ぶレベルだよこれは!」
源外「ははは、もう諦めろ銀の字! もう腹くくったほうが楽だぞ」
妙「あら、あなたも来るんですよ?」
源外「……あん?」
妙「とっても面白そうな絡繰りをお持ちなようで」
・・・
妙「それで源外さん、これはどうやって使うんですか?」
源外「そいつァ簡単だ、装着して愛を計りたい相手をセンターに入れてスイッチを押すだけよ」
あやめ「性能は? 性能はどうなの?」
源外「馬鹿なこと聞くんじゃねえや、俺を誰だと思ってる?」
銀時「指名手配犯」
源外「オメー人の古傷を抉って楽しいか?」
妙「実験してみることとか、出来ますか?」
銀時「ねえ、なんでコイツらこんな必死なの? 自信ないの? 余裕ないの?」
源外「おう、だったらそうだな……誰か適当に……」
銀時「適当っつってもそんな都合よく……」
妙「ちょうど、ここに拘束されている三匹の野郎共がいます」
新八・土方・沖田「…………」
銀時「…………」
銀時「万事屋の新八くん……あのゴリラ女たちを何とかしてほしいんだけど」
新八「……無理です、まず動けないんですよ」
銀時「どんな依頼でもこなすのが万事屋なんじゃないんですか、それ以前にあれは君の姉上なんじゃないんですか」
新八「……なんて謝ればいいか分からないんですけどとりあえずすいません」
土方「さっさとこれを解け万事屋ァ! なんで無関係の俺まで巻き込まれんだ!」
銀時「女どもに聞けェェェェ! 俺ァなにも悪くねーぞ!」
沖田「じゃあ旦那、土方さんはこのままでいいんで俺だけでも助けちゃくれませんかね」
銀時「つーかなんでテメーら捕まった? 真選組の屯所まで行けばあいつらも追ってこれねーだろ」
沖田「土方さんの馬鹿が捕まる直前に俺を道連れにしやがりましてね、ホント屑でさァ」
土方「ふざけるな! テメーが先に俺を犠牲にして逃げようとしたんだろうが!!」
沖田「この言いぐさですよ旦那、土方さんが馬鹿だってよーく分かるでしょ?」
銀時「テメーらが同じレベルの馬鹿だってことはよく分かった」
妙「じゃあ銀さん、さっそくあの三人の数値を計ってください」
銀時「何で野郎の好感度なんざ計らなきゃならねーんだ、気色ワリー。俺ァ絶対やらねーぞ」
妙「そんなこと言わないで、ちゃちゃっとやるだけですから」
銀時「ふざけんな、だったら最初からヒロイン候補とやらの数値計ったほうが手っ取り早いだろうが」
妙「やってください」
銀時「いや、だからやら」
妙「やれ」
銀時「はい」
尺が余ったからなんか適当にやってるだけです、長くはなりません、おまけ以下の何かみたいな
食い終わったスナック菓子の袋に残ってるカスみたいなヤツです
けど、あれが一番上手いってコロコロコミックの『星のカービィ』で言ってた
銀魂以外で何か書いたりしてないの?
銀時「何だっけかジーさん……目標をセンターに入れてスイッチだっけ?」
源外「おう、それだけで相手の好感度が図れるんだ。どうだ、すげえ絡繰りだろう?」
銀時「ああすげーすげー、さすが江戸一番の絡繰り師の源外さんだわ。こんなもんより女を静かにする絡繰りでも作りやがれコノヤロー」
源外「馬鹿言っちゃいけねえ、女を静かにさせるにゃ耳元でいかした口説き文句を囁くのが一番よ」
銀時「じゃああの馬鹿どもを黙らせてくんね? その、何だっけ? すかした口説き文句を使って」
源外「俺はうるせえ女は好みじゃねえ」
妙「どうしたんですか銀さん、ごちゃごちゃやってないで早く進めてください」
銀時「……じゃあアレだ、とりあえず計るぞ新八」
新八「……今さらですけどマジなんですか、これ」
銀時「俺だってやりたかねーよ、何だって野郎の好感度なんざ計らなきゃならねーんだ」
銀時「つーか何だコレ、どうやってつけんだよ」ガチャガチャ
源外「オイオイ手荒に扱うんじゃねえや、ソイツぁデリケートな絡繰りなんだ」
銀時「……ぱっつぁん、準備はいいか」
新八「……もう、どうでもいいです」
銀時「…………」
銀時「はい、チー……」
クルッ
妙「ちょ、何でこっち向いて……」
銀時「ズ」ピピピッ!
妙「あああああっ!? 今計りました!? 計りましたよね今!!」
銀時「いやーワリーワリー、ちょっと足がもつれてステップしたらターンしちまったわ」
妙「謀りやがったなこのクソ天パー!!」
新八『ちょ、銀さん!? 何考えてるんですか!?』
銀時『このまま行ってもグダグダになるのは目に見えてんだろ、こういうイベントはスパッと終わらせんのが一番なんだよ』
土方『テメーにしちゃ良い判断だな、あの女どもの行き当たりばったりにはうんざりしてたところだ』
沖田『けど旦那、姐御の好感度数値? でしたっけ、ソイツの数字によっちゃまた面倒なことになるんじゃねーですか?』
銀時『どうせアレだ、ヒロインなんざには到底なれねー微妙な好感度とやらの数値が出て……』
ピピピッ
『530000』
銀時「…………」
妙「…………」
銀時「……え、何これ。フリーザ様の戦闘力か何かか?」
源外「ご、530000……コイツァまたすげぇ数字が出たもんだ」
あやめ「何!? あの数字、どれぐらい凄いのよ! ガッツ石松のバナナに対する好感度より高いの!? 低いの!?」
源外「一般的な恋人同士の愛情度が1000、板東英二のゆで卵に対する愛情度が大体10000だ」
新八「いや、それってゆで卵と結婚するレベルだよね!? 最近テレビ出てないのってそういう事情もあったんですか!?」
沖田「ははあ、なるほど。隠してたのは所得だけじゃなく、ゆで卵との不倫関係だったってわけですかい」
土方「なんでテメーはそう一言多いんだ! そういう危ない発言は控えろ!」
新八「……あれ、ていうか待ってください。一般的な恋人の数値が『1000』だとしたら姉上の『530000』って……」
源外「単純計算で53倍だな」
九兵衛「うがあああああああっ!!」
銀時「うおおおおおおっ!?」
九兵衛「殺す……こいつは殺さなきゃ駄目だ!!」
銀時「何でだァァァァァ!?」
あやめ「お妙さん……あなた普段はあれだけ乱暴してるくせに心の奥底ではそんなにまで……!」
妙「んなわけないでしょ! 何で私がこんなうだつの上がらない天パー侍のことを……」
あやめ「そういうのはもういいって言ってるでしょ! 出てるのよちゃんと数字が! フリーザ様の戦闘力が!」
妙「…………」
妙(う、嘘よ……そんなのあるわけないじゃない……でも、実際に数字には……!)
妙「…………」
妙(何、この胸のドキドキは……もしかして私、本当に……!)
銀時「落ち着けって! アレだ! 恋人の好感度なんざアレだから! もうほんと、欲望に満ち溢れた下衆なレベルだから!」
九兵衛「何……?」
銀時「今度はあのバッグを貢がせてやろうだの、恋人がいることがステータスだの、そういうレベルだからね!」
銀時「そんな低レベルな好感度の『53倍』くらいで暴れてんじゃねーよ! せめて『100倍』以上の数値が出てからだな……」
源外「あ、いけねえ間違えたな。『530000』は『1000』の『530倍』だったか」
九兵衛「うがあああああああっ!!」
銀時「何でだァァァァァァァッ!?」
銀時「オイイイィィィィィ! 止めて! 誰かコイツ止めて!!」
妙「九ちゃん! ちょっと待って!」
九兵衛「しかしお妙ちゃん! こんな結果、僕は受け止めることが出来ない!」
妙「もう一度だけ……計り直しておきたい、一度目は何かの間違いだったかもしれないから」
妙「いいでしょう……銀さん、もう一度だけ……気持ちを確かめてほしいの」
銀時「…………」
銀時(あれ、何このフワッフワした空気? 何か背景がお花畑になってんだけど? 何これラブコメ?)
銀時「……じゃ、じゃあアレだ……一応やってみるか」
妙「はい……」
銀時「えーっと……目標をセンターに入れてスイッチ……と」ピピピッ
あやめ「もう言い逃れは出来ないわよお妙さん、今度の数字があなたの銀さんに対する気持ちの全てよ」
新八「……ぎ、銀さん。いくつでしたか?」
銀時「ちょっと待て、もうちょいで……」
ピピピッ
『1250000』
銀時「…………」
新八「…………」
銀時「……あー、これあれか。懐かしいねこの数字、うん。最初にこの数字を見たときは絶望したよね」
銀時「『1250000』って言ったらあれしかないよね、うん。シャーマンキング読んでたら誰でもピンと来るよねこれは」
新八「銀さん、現実逃避しないでください」
銀時「いやおかしいだろォォォォォ!? なんで十分もしない間に0が一個増えてるんだオイ!」
新八「銀さん、0の数は変わってません」
銀時「そういう意味じゃねーよ、桁が一個増えてることがおかしいって言って……はっ」
九兵衛「滅壊死解傷潰毒砕斬叩殺裂ザキザキザキザキザラキザラキ……」ダッ
銀時「うおおおおおおおっっ!?」ダッ
月詠「……そうか、そんなにまで銀時のことを好いていたのか」
あやめ「ツッキーだってアレでしょ、どうせ軽く1000000は超えてくるんでしょ」
月詠「誰がじゃ! 妙な推測で物を言うな!」
あやめ「だってツッキーあれだもんね、お妙さんみたいに隠してなかったもんね。露骨に照れたりしてたからねツッキー」
月詠「っ…………」
あやめ「一人だけおいしいポジションにいないで、正直にヒロインになりたいって言いなさいよ!」
月詠「な……何を言っとるんじゃあぁぁぁ!!」ダッ
あやめ「やるっていうの!? 上等じゃない! くノ一キャラで被ってたけどここでどっちが上かはっきりさせてあげるわ!」ダッ
妙「銀さん…………」
新八「…………」
新八「あっちでは主人公を抹殺しようとしてて……こっちじゃヒロイン候補同士で潰しあってて……一人は完全にポーッとしてるし」
土方「めちゃくちゃもいいところだな……コイツら、色気も何もあったもんじゃねェ」
沖田「こんなハーレム、真っ平御免だ。旦那も苦労が尽きねーでしょうね」
九兵衛「ザラキ―マザラキーマザラキーマ……」ダッ
銀時「いい加減にしろテメー! その死の呪文、マジで効きそうでこえーんだよ!」ダッ
近藤「アバダケダブラアバダケダブラアバダケダブラ……」ダッ
土方「何でアンタも追いかけっこに加わってんだァァァァァ!?」
源外「…………」
新八「源外さん? さっきからずっと黙ってますけど、どうかしたんですか」
源外「……とんでもないモンが落ちてるのを見つけちまってな」
新八「?」
源外「……このネジだ」
新八「ネジがどうかしたんですか?」
源外「このネジは『スキャウザー』の部品の一つに使われてる特別なネジでな……」
源外「言ったと思うが『スキャウザー』はデリケートな絡繰りだ、少しでも不具合がありゃすぐに故障する」
新八「…………」
新八「……………………」
新八「…………じゃあ、さっきの姉上の出した数字って」
源外「新の字……世の中には知らなくてもいい真実もあるってこった」
源外「ただ……一個だけ知っておいたほうがいいこともある」
新八「……何ですか?」
源外「…………」
『女って基本めんどくさい』 終
グダグダ長いこと続けてすいません、とりあえずこんな感じで終わっときます
また何か機会があったら暇つぶしに付き合ってください
>>911
すいません。正直言って、先の展開に詰まった時とか色々やってました
両さんと纏を結婚させたり、斉木楠雄を学園都市に行かせたり、イチローとかはっぱ隊に魔法少女を救わせたり
キョンと結婚したハルヒが大人しくなったり
こっち完結してない時にそんなことやっててすいませんでした
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