幼馴染み「やっほー数分ぶりー」(114)

男「そうだな、数分ぶりだな」

幼馴染み「うん、漫画借りるね」

男「そんでこのやりとり、ほぼ毎日やってるんだが」

幼馴染み「だねー。昨日どこまで読んだっけな……」

男「人の話聞けよこのやろう」

幼馴染み「あったあった。いいところで終わってたんだよねー」ボフン

男「おい、ベッドまで占領するな」

幼馴染み「いいじゃん、男はソファーのほうが好きだし」ゴロン

男「親しき仲にも礼儀ありだろ」

幼馴染み「その後ろに『ただし、幼馴染みが相手の場合を除く』ってついてるよ」

男「ついてねーよ、勝手に例外加えんな」

幼馴染み「でも考えてみなよ、私がこうして男の部屋に来ることで『俺は女の子を部屋に連れ込んだことがある』って男は言えるようになるんだよ? こういう場合でないとそんな機会一生訪れない男には悪い話じゃないでしょ?」

男「どこからつっこめばわからんから、とりあえずうるせえとだけ言っておく」

幼馴染み「ツンツンしちゃって、本当はこんなかわいい女の子と毎日を過ごせることが嬉しくたまんないくせに」パタパタ

男「かわいいってとこはひとまず置いといてだな、自分を女だと思うならその足のパタパタをやめろ、スカートなんだから」

幼馴染み「えー、だって寝転んで本とか読んでるとついやっちゃわない? 足パタパタって」

男「ズボンとかならいいんだけどな、お前制服のままでスカートなんだから恥じらいを持てって……」

幼馴染み「恥じらいも何も、ここには私と男しかいないし……男の位置からじゃスカートの中なんて見えないし」

男「まあたしかに見えんけどさ……」

幼馴染み「それともあれかな? 私と幼友以外の女の子とはほとんど話もしない男くんはこれだけでドキドキしちゃったり?」ニヤニヤ パタパタ

男 イラッ

幼馴染み「安心してよー、私だってちゃんと気をつけてるからさ、そんなサービスはしてあげないって」ニヤニヤ

男「……じゃあ言わせてもらうけどな、お前」

幼馴染み「なにー? 漫画読みながらでいいなら聞いてあげるー」

男「……お前、家着いたらすぐ俺ん家来るだろ?」

幼馴染み「ん? うん」パタパタ

男「自分の部屋に入って鞄置いたらすぐ窓から来るだろ? 俺らのベランダがほぼ密着してるのをいいことに」

幼馴染み「そうだねー」パタパタ

男「で、今日もだけど、いつも部屋着に着替えもせず制服のまま来るだろ」

幼馴染み「うん。ていうかまわりくどいよ。何が言いたいの?」

男「ベランダ跨ぐ時にパンツ丸見えだからな。毎日」

幼馴染み「///!?!?」

幼馴染み「えっ!? あっ、えっ///!?」

男「なに慌ててんだよ今更」

幼馴染み「う、嘘だぁ! からかわれてイラッと来たからってセクハラはダメだよ!」

男「ピンク花柄」

幼馴染み「!! あ、あっち向け!」

男「はいはい」クル

幼馴染み「……」ソー ピラ

幼馴染み(あ、あってる……///)

男「おい、もう振り向いていいか?」

幼馴染み「こ、の……変態っ!」ボフッ!

男「いてっ、枕で殴るな! 破けたらどうする!」

幼馴染み「変態っ! 変態っ!」ボフッ!ボフッ!

幼馴染み「男のエッチ! 性欲魔人! バーカ!」ガララ

男「いてえ……くそ、あいつ途中から蹴りも混ぜてきやがって……」

男「あ、漫画が何冊か持ってかれてる……いつの間に……」

男母「男ー! ご飯ー!」

男「はーい」ガチャ トントン

男母「あれ? 幼馴染みちゃんは?」

男「あーっと……今日は帰った」

男母「珍しいねえ、いつもうちで食べてくのに……」

男「…………」

男母「あの子1人でしょ? 夕飯どうするのかしら……」

男「コンビニなりスーパーなりでなんか買って食うんじゃないの?」

男母「……あんた、食べ終わったらこれ、届けてあげなさいよ」

男「え? なんでわざわざ……」

男母「どうせケンカでもしたんでしょ? 『バーカ!』とか聞こえてきてたし」

男「あいつ、大声で叫ぶからなぁ」

男母「まあそれだけならよくあるけど、今日は『変態っ!』とも聞こえてきてたわね」

男「げっ……それも聞こえてたのかよ」

男母「あんたね、思春期なのはわかるけど、幼馴染みちゃんに変なことしないでよ?」

男「してねえよ……いや、ちょっと言ったりしたけど、あいつがからかうから……」

男母「あんた達は幼稚園入る前からの付き合いだけどね、幼馴染みちゃんだって年頃なんだから、警戒してあんたの部屋になんて来なくなっちゃうわよ」

男母「どうしてあの子がわざわざあんたの部屋で漫画読んだりゲームしたりするのか、あんただってわかってるんでしょ?」

男「……うん」

男母「じゃあ行ってらっしゃい。ちゃんと仲直りしてくること。食事中に説教して悪かったわね」

男「わかったよ。ごちそうさま」

ピンポーン

ピンポーンピンポーン

男「……出ないな」

男「鍵もかかってるし」

男(仕方ない、あいつの真似してベランダから入りますか)

男(ドアじゃなくて窓だけど、一応ノックして)コンコン

男(やっぱり反応ないな……ひょっとしてもう弁当買いに出かけちゃったか?)

男(お、カーテン閉まってるのに鍵開いてるのか? やっぱり無防備だろあいつ……)ガララ

男(さすがに不法侵入は気が引けるけど、夕飯置いていけばそれだけで理解するだろうし)

幼馴染み「ふんふーん……え?」

男「え?」

幼馴染み「……」

男「……」

幼馴染み「き、きゃあああああああああ!!!」

男「な、なんでこの季節にバスタオルだけなんだよおまえ!?」

幼馴染み「うるさい! いいからでてけえー!」

男「そもそもチャイム鳴らしたしノックも……」

幼馴染み「でてけっつってんだろバカぁ!」ブン!

男「ぎゃ!?」

男「いてえ……」

男(ていうか思いっきり逆効果じゃん……運悪すぎるだろ俺……というかあいつもだけど)

コンコン

男「ん?」

ガララ

幼馴染み「…………」

男「あ……」

幼馴染み「…………」

男「えっと、さっきはその……」

幼馴染み「……これ、おばさんに返しておいて。ごちそうさまでした」カチャ

男「あ、ああ。うん」

幼馴染み「………」

男「…………」

男「さ、さっきなんで出なかったんだ? 俺、チャイム鳴らしたんだが……

幼馴染み「……お風呂入ってたの。その後すぐあがったけど」

男「……ノックしたのは?」

幼馴染み「髪乾かしてたから……聞こえなかったの」

男「……なんでバスタオル一枚だけ」

幼馴染み ギロリ

男「うっ……」

幼馴染み「……今日はちょっと考え事してて長風呂になったから暑かったの」

男「そ、そうか……」

幼馴染み「…………」

男「その、ごめん。飯前のも含めて、悪かった」

幼馴染み「…………あのさ」

男「え?どうした?」

幼馴染み「その……私のでも、見たいって思うの?」

男「へっ?」

幼馴染み「だから、その……身体、とか……///」

男「え? はっ?」

幼馴染み「ふ、普段から『子どものままだ』とか、そう言ってる私のでも見たいかって訊いてんの///!」

男「そ、それ、は……!」

男(どうする!? 見たいっつっても見たくないっつっても怒られる気がするが! どうする俺!?)

幼馴染み「み、見たいっていうのならね……私……」

男「!?」

幼馴染み「さっきはビックリしてあんな態度とったけどね……男になら……ってずっと思ってて……」

男「いや、ちょ、待て! 落ち着け!」

幼馴染み「だから、恥ずかしいけど……」プチ

男「お前今日なんか変だって! 一旦落ち着け!」

幼馴染み「見たいなら、見ても……いいよ」プチプチ

男(やべえ、自分の意志で眼球が動かせねえ、目が離せねえ!)

男(あと一個パジャマのボタンが外れたら……)

幼馴染み「………プッ」

男(あ、水色……って)

男「……おい」

幼馴染み「くっ……くくくっ……!」プルプル

男「それ水着だろ。去年着てた……」

幼馴染み「あっはははははは! だ、騙されたぁ!」

男「…………」

幼馴染み「か、顔真っ赤にして焦ってた! あははははははは!」

男「………………」

幼馴染み「はあはあ、あははっ……! 動画とって起きたかった……!」

男 ガクゥー!

幼馴染み「ふうー笑った笑った。苦しかった」

男「…………」

幼馴染み「おーおー、見事なorzになっちゃって」クスクス

男「…………」ユラリ

幼馴染み「女の子の怨みを思いしったか! ……って、え?」

男「……思春期男子に対して一番やってはいけないことをやったな」

幼馴染み「ちょ、ちょっとなに? 顔怖いよ……」

男「お前の言う通り女の怨みは思いしった……次はお前が男の怨みを思いしる番だ」

男(当然本気ではないけど、ちょっとビビらせてやれ)

幼馴染み「う、うええっ!?」

男(まあ、ちょっと肩強く掴んでネタばらしすればおあいこだろ)ジリジリ

幼馴染み「きゃ、きゃ……!」

男「あ」

男(ヤバい! 叫ばれたら母ちゃんがとんできて冗談のつもりが未遂扱いになる!)

男「待て! 叫ぶな冗談だから!」ダッ!

幼馴染み「やっ、ちょっと!」

男「うわ!」

ドサッ!

男「あ……」

幼馴染み「あう……///」

男(叫ぶのは阻止した。したけど……)

幼馴染み「あうう……///」

男(どう見ても俺がベッドに押し倒したようにしか見えない状況ですこれ)

幼馴染み「な、なんだよう……///」

男「いや、その……」

男(とても一言では説明できません)

幼馴染み「ちょっとからかっただけだろぉ……なんなんだよぉ……///」

男「いや、ちょっとではなかったと思うけど……」

幼馴染み「わかったよぉ……私が悪かったからぁ……いい加減どけよぉ///」グイグイ

男「あっ、すまん……」スッ

幼馴染み「っ!」バッ!

男「その、悪い。さっきのも本気じゃなくてさ……」

幼馴染み「ううー……! うううううー……///!」ガルルルル

男(ヤバい、相当お怒りだ……)

男(でも、さっき退かす時は蹴ったり殴ったりはしなかったな……いつもならそうしてくるのに)

幼馴染み「……何黙ってんだよぉ……!」グルルルル

男「あ、悪い……ごめん」

男(とりあえず謝らなきゃ……ていうか、それが本来の目的だったろ俺!)

男「ほんとごめん……今日はなんか、変なことばっかりして……」

幼馴染み「…………」

男「もう子どもじゃないんだから……男にそんなことされたら嫌だよな。ごめん」

幼馴染み「…………ふう」

幼馴染み「いいよ、もう。……許す」

男「……ん」

幼馴染み「許すっていうか……私も、ちょっと調子に乗りすぎたし。お互い様、だよね」

幼馴染み「だから、私もごめん……」

男「ん、俺ももう一回謝る。ごめん」

幼馴染み「……今日はもう帰るね。明日まで漫画貸して」

男「ああ、うん……」

幼馴染み「じゃあ、おやすみ」

男「おやすみ……」

幼馴染み「……今日はもう帰るね。明日まで漫画貸して」

男「ああ、うん……」

幼馴染み「じゃあ、おやすみ」

男「おやすみ……」

あ、すまん同じのだしちゃった

男「…………」

男(やべえ、最初よりずっと状況悪化させちゃっただろ……)

男(でもあいつ、かわいかったな……)

男(顔赤くして、目ウルウルさせて……)

男(あいつも女なんだもんな……子どものままなのは俺のほうか)

男「…………」

男(あいつ、明日も来るよな……?)



男「はあ……あんまり眠れんかった」

男母「男ー! 起きなさーい」

男「いま起きたー」

男母「幼馴染みちゃん来てるから、早く一緒にご飯食べて!」

男「え? あいつ俺より早く起きてんのか? 珍しい……」

男母「ほら、はやく食べて」

男「ああ。……おはよ」

幼馴染み「……おっす」

男「……珍しく早いな今日は」

幼馴染み「あんまり眠れなかったから……」ボソ

男「え?」

幼馴染み「な、なんでもない!」

男母「ほら、はやく食べて」

男「ああ。……おはよ」

幼馴染み「……おっす」

男「……珍しく早いな今日は」

幼馴染み「あんまり眠れなかったから……」ボソ

男「え?」

幼馴染み「な、なんでもない!」

学校 昼休み

男「なあ、次数学だけど、宿題ちゃんとやってきたか?」

幼馴染み「やってきてるけど、なんで?」

男「ほら、あの先生日にちと同じ出席番号の生徒当てるからさ、おまえ当てられるぞ」

幼馴染み「あ、そっか……ちょっと男の宿題貸して? 答え合わせしたいから」

男「おう」

幼友「男くん、ちょっといい?」

男「え? なんだよ急に」

幼友「ちょっと相談があってさ……」

幼馴染み「いいよ、行ってきなよ。宿題机の中に返しておくからさ」

男「ああ、じゃあ頼む」

幼友「ごめんねー」

男「で、なんだ相談って」

幼友「あーごめんね、それ嘘なんだ」

男「え?」

幼友「本当にあるのは相談じゃなくて訊きたいことなんだー。昨日幼馴染みと何かあった?」

男「!」

幼友「あーその顔がもう答えだねー。あったんだー」

男「な、なんでわかったんだよ?」

幼友「わたしの目は誤魔化せないよー。朝からちょーっと二人して様子変だったし。昼休みまでにだいたいもとに戻るのはさすが腐れ縁ってとこだけど」

男「すごいなおい……」

幼友「まあ言いたくないなら無理には訊かないけどさ、ケンカって感じでもないし」

男「えーっとだな……」

幼友「ひょっとして、お互いを男女だと強く認識するようなことがあったとか?」

男「ぎくり」

幼友「声に出てるよー、あと表情にも。そんなんだと将来悪女に騙されるよー?」

幼友「まああれだねー。この年頃の男女がずっと二人でいたら、そりゃちょっとしたことでそうなるって」

男「年頃って、幼友も同い年だろ」

幼友「そこは本題じゃないでしょ。まああれだー、幼馴染みってさり気なく人気あるしね」

男「え? そうなのか?」

幼友「うん。男くんは小さい頃から一緒にいるから子どもっぽいとか言うけど、他の男子から見ればあれは無邪気であどけなく映るらしいのですよ」

男「まあその2つは似てるけど……」

幼友「わたしも修学旅行のお風呂で見たけどさー、すごくきれいな身体なんだよあの子。胸とかは普通サイズだけど、身体細くてさ。スポーツとかやってるわけじゃないのにホント羨ましい」

男「待て、その話はそこらへんでやめろ」

幼友「あ、ごめんごめん。大丈夫だよ、男くん以外にはこんなこと言わないから」

男「いや、俺限定ならいいわけじゃなくてだな」

幼友「まあともかくさー、『好き』って思ったのなら、変に自分に嘘つかない事ね。『あいつはただの幼馴染みなんだー!』とかそういうのはなし。『好き』は『好き』と認めること」

男「…………」

幼友「まあわたしがするのはただのアドバイスだから。参考程度に留めておいてよ」

男「……わかったよ」

放課後 男家の前

男「じゃ」

幼馴染み「じゃあね」

男「……あのさ」

幼馴染み「うん?」

男「……この後来るよな? 部屋」

幼馴染み「……うん、行くよ」ニコ

男「……ん、待ってる」

男「ただいまー」

男母「おかえりー」

男「幼馴染み、来るってさ」

男母「そう、夕飯も作ってあげなきゃね」

男「うん、お願い」

ガチャ

幼馴染み「よっすー。勝手に入ってたー、勝手に漫画借りたー」

男「……まったくおまえは」

幼馴染み「なんだよ」

男(こいつのお父さんは10年前に亡くなった)

男(それからは幼母さんが働いて……忙しくてほとんど家に帰れなくなった)

男(漫画もゲームも大好きだったのに、こいつはそれ以来何も欲しがらなくなった)

男(服も最低限、昨日入ったこいつの部屋も殺風景だったし、土日は絶対バイトを入れてる)

幼馴染み「なんだよってばー」

男「……なんでもない。漫画くらいいくらでも読め」

幼馴染み「お?」

男「そういえば冷蔵庫にシュークリームあった。いるか?」

幼馴染み「おおっ! なになに今日優しいじゃん!」

男「優しいのは生まれつきだ」

幼馴染み「ええー、だって前勝手に食べたらほっぺ引っ張ってきたじゃん」

男「今回はそんなことしないから安心しろ。ほれ」

幼馴染み「へへーサンキュー」

幼馴染み「わーうまそー」ガサガサ

男「今更女らしさもなにもないけど、せめて美味しそうって言えよ」

幼馴染み「こまかいなーもー」ガサガサ

幼馴染み「んー……」

男「どうした? 食わないのか?」

幼馴染み「ほい」チギリ

男「ん?」

幼馴染み「やっぱり半分こ。これ男のぶん」

男「ん? 遠慮しなくていいんだぞ?」

幼馴染み「いいんだよ、半分こしたくなったの」

男「……じゃあもらうな」

幼馴染み「いただきまーす」

男「…………」モグモグ

幼馴染み「んー、美味しい!」モグモグ

男(こうして見てると……やっぱかわいいな、こいつ)

幼馴染み「最近甘いもの食べてなかったからなー」モグモグ

男(今までずっと、女としてなんか見て来なかったもんな……)

幼馴染み「…………」モグ

男(ヤバい、意識しだしたらもう……1日しかたってないのにこんな……)

幼馴染み「あ、あのさ」

男「えっ!? な、なんだ」

幼馴染み「その……なんでそんなに見るのかなーと思って、さ……///」ドキドキ

幼馴染み「んー、美味しい!」モグモグ

男(こうして見てると……やっぱかわいいな、こいつ)

幼馴染み「最近甘いもの食べてなかったからなー」モグモグ

男(今までずっと、女としてなんか見て来なかったもんな……)

幼馴染み「…………」モグ

男(ヤバい、意識しだしたらもう……1日しかたってないのにこんな……)

幼馴染み「あ、あのさ」

男「えっ!? な、なんだ」

幼馴染み「その……なんでそんなに見るのかなーと思って、さ……///」ドキドキ

幼馴染み「んー、美味しい!」モグモグ

男(こうして見てると……やっぱかわいいな、こいつ)

幼馴染み「最近甘いもの食べてなかったからなー」モグモグ

男(今までずっと、女としてなんか見て来なかったもんな……)

幼馴染み「…………」モグ

男(ヤバい、意識しだしたらもう……1日しかたってないのにこんな……)

幼馴染み「あ、あのさ」

男「えっ!? な、なんだ」

幼馴染み「その……なんでそんなに見るのかなーと思って、さ……///」ドキドキ

悪い、なぜか同じのばっか出しちゃった……

男「い、いやほら、お前って女の子なんだなーと思ってさ」

幼馴染み「なっ! 今までなんだと思ってたんだよっ!」バシッ!

男「いって!」

幼馴染み「昨日はあ、あんなことまでしておいて……///!」

男「ま、待て待て! 悪かった! 悪かったってば!」

幼馴染み「だいたい、そっちだってそうじゃん……」

男「な、なにが?」

幼馴染み「なんか力強くなっちゃってさ……昨日も私のこと、簡単に押し倒しちゃうし……」

男「いや、あれは簡単とかじゃなく足がもつれて倒れただけで……」

幼馴染み「……だけど、覆い被さられた時、全然抵抗できる気がしなかったの……」

男「…………」

男「俺達さ、ちょっと男と女だってこと意識しなさすぎだったのかな。今まで」

幼馴染み「うん……」

男「…………」

幼馴染み「…………」

男母「男ー! 夕飯ー」

男「! わかったー!」

男母「幼馴染みちゃんもいるんでしょー!? 食べて行きなさーい」

幼馴染み「は、はーい!」

男「……いくか」

幼馴染み「う、う」

>>67

男「……いくか」

幼馴染み「う、うん」

です

幼馴染み「ごちそうさまでした」

男「ごちそうさま」

男母「はーい」

幼馴染み「じゃあ私、宿題あるし部屋に戻るから」

男「わかった。窓ちゃんと閉めてってくれよ?」

幼馴染み「うん。おばさん、それじゃまた。いつもありがとうございます」

男母「気にしないでいいのよー、幼馴染みちゃんがコンビニ弁当ばっかりだったら、私が幼母さんに顔向けできないし」

男の部屋

ガチャ
男「はあ、いい湯だった」

男(幼馴染みはまだ宿題中かな? 俺は……まあ明日から休みだしまだいいか)

ガララ

男「ん?」

幼馴染み「こんばんはー」

男「なんだよ、終わったのか宿題」

幼馴染み「んー終わったんだけど、ちょっと問題がね……」

男「言っておくが俺はまだやってないぞ。答え合わせはできん」

幼馴染み「そうじゃなくてさ……ストーブの灯油きれちゃって」

男「足せばいいだろ」

幼馴染み「そんなことわかってるよー。足そうとしたらね、玄関が暗いのもあって、つまずいちゃってさ」

男「……まさかお前」

幼馴染み「うん……全部こぼれちゃった」

幼馴染み「こぼしちゃったのは掃除したんだけどさ……このままじゃ暖房器具がない状態で……」

男「言われてみればなんか灯油くさいぞお前……」

幼馴染み「し、仕方ないじゃん! どうやっても臭いついちゃうんだもん!」

男「どうすんだよ……まだ全然寒いし、うちは電気ストーブばっかだから灯油ないぞ」

幼馴染み「だから、その……今日泊めてほしいな、って」

男「は!?」

男「お前さっき話したこと忘れたのかよ……」

幼馴染み「ご、ごめんなさい……」シュン

男(なんだよ……やけに素直に謝るな……)

男「……はあ、わかったよ」

幼馴染み「いいの……?」

男「明日からまたバイトあるんだろ? なら風邪ひいたりしたら大変だし」

幼馴染み「うん、ありがとう……」

男「ただ、母ちゃんには内緒な」

幼馴染み「いいけどなんで?」

男「さっき俺達が話したようなこと、母ちゃんにも注意されたんだよ。男女なんだからきちんとすべきところはしなさいって」

幼馴染み「そうだったんだ……」

男「だからまずバレないように風呂でも入ってこい。まだなんだろ?」

幼馴染み「あ、わかっちゃった?」

男「当たり前だろ、まだパジャマ着てないし。てかその鞄に入ってんだろ」

幼馴染み「実は最初からお願いしようかなーと思ってて」

男「電源は切ったけどまだお湯あったかいだろうから早く入ってこい」

幼馴染み「じゃあそうするね、ありがとー」

幼馴染み「あがったよー」

男「おう。バレなかったか?」

幼馴染み「大丈夫だと思う。おばさん寝てるみたいだったし」

男「よし。じゃあお前ソファーで寝ろ。毛布は持ってきといてやったから」

幼馴染み「えー!?」

男「えー!?じゃねえ。しおらしくなったり図々しくなったりするな」

幼馴染み「明日きつーいバイトがある身としては、ベッドでぐっすり寝たいんだけど……」

男「却下。そのくらい我慢しろ」

幼馴染み「ぶー」

幼馴染み「あ、ケータイ部屋に忘れたみたい。とってくる」

男「おう」

ガララ

男「……ったくこんなことになるとは」

男「ていうかあいつ、鞄置きっぱなしだし。ついでに部屋持って帰ればいいんじゃ……」

男「ベランダ往復させんのも可哀想だし、持っていってやるか」

男「って鞄も開きっぱなしだし……ん?」

男(おい……この白い水玉模様の布は)

幼馴染み「ぎゃー!!」

男「!!」

幼馴染み「さわるなーっ///!!!」ポカポカポカ

男「いてっ! いててっ!」

幼馴染み「返せよばかっ///!」バッ!

男「おまえっ、そういうのは鞄の一番底に仕舞えよ!」

幼馴染み「なに!? 開き直る気!? わざわざ手にとって見てたくせに!」ガルルル

男「うっ、それは……」

幼馴染み「ガルルル……」

男「……わかった。悪かったよ」

幼馴染み「…………」

男「でもわざとじゃないんだ。それはわかってくれ」

幼馴染み「…………」

幼馴染み「今度同じようなことしたら、信じないからね……」

男「うん……」

幼馴染み「あと、ベッドで寝かせて」

男「わ、わかったよ。抜け目ないな……」

幼馴染み「どうだった? おばさん」

男「ぐっすり寝てた。あれだけ騒いだのにな」

幼馴染み「おばさんも忙しい人だからねえ。バレるバレない以前に、騒いだりしたらいけなかったね……」

男「じゃあ、俺達も大人しく寝るか」

幼馴染み「うん」

男「電気消すぞ」

幼馴染み「うん、おやすみ」

男「ああ」


一時間後

男(眠れねー……)

男(まあそりゃ意識しますよ。あんなことやこんなことがあったんじゃ意識するって……)

男(あいつは……もう寝たのかな?)

幼馴染み「……男、起きてる?」

男「! 起きてる」

幼馴染み「男も、眠れないの?」

男「ああ、なんかな……」

幼馴染み「そう……」

男「…………」

幼馴染み「…………」

幼馴染み「あ、あのさ……」

男「な、なんだ?」

幼馴染み「もう一度訊くけど……やっぱり私相手でも、その……変な事とか、考えたりするの?」

男「は!?」

幼馴染み「ごめん、もうからかったりしないから……真剣に答えてほしいの」

男「……そりゃまあ、考えたりもするよ」

幼馴染み「! そ、そうなんだ」

男「もう言っちまうけど、お前かわいいし……性格だってちょっと図々しいけど悪くないし」

幼馴染み「か、かわ……///」

男「あと、お前が幼母さんの為に頑張ってたり我慢してたりするの、ずっと見てきて……強いなって思ってるし」

幼馴染み「あう……ごめん、もうその辺で……///」

幼馴染み「そう……じゃあちゃんと私のこと、女の子として見てるんだ」

男「ああ。まあ数日前からだけど」

幼馴染み「じゃあさ、た、例えばだよ?」

男「ん?」

幼馴染み「例えば、私が男に告白したとして……」

幼馴染み「………」

男「こ、告白したとして?」

幼馴染み「ううん、ごめん。今私、卑怯な言い方しようとした」

男「え?」

幼馴染み「例えばとかじゃなくて、ちゃんと言う……から」

男「……いや、待ってくれ」

幼馴染み「え……?」

男「俺も、卑怯な事しようとした。お前に言わせて、自分だけ楽しようとしてた」

男「だから、俺から言う」



男「俺、お前のことが好きだ」

幼馴染み「う、うん……!」

男「ちょっと前まで女扱いもしてなかったのに、こんなこと言っていいのかわからないけど……」

幼馴染み「ううん、そんなことない。そんなことないよ……!」

幼馴染み「ありがとう、嬉しい……私も、男のこと大好き」

男「じゃあ、付き合ってくれるか? 俺と」

幼馴染み「うん。当然だよ……!」

男「ありがとう」

幼馴染み「うん。私のほうこそ、ありがとう……好きになってくれて」

幼馴染み「あの……それでさ」

男「うん?」

幼馴染み「やっぱりソファーだと寝づらくない……?」

男「まあな……でもなんで急に?」

幼馴染み「えっと、ちゃんと言葉に出してくれたから……その……」

男「?」

幼馴染み「こっちのベッド、入ってきていいよ……?」

幼馴染み「た、ただそのっ! まだ付き合って数分なんだから、そういうことじゃなくて、一緒に寝るだけでっ!」

男「わ、わかってるよ。そんなにがっつかないって」

幼馴染み「わ、わかってるならいいの。ほ、ほら来てよ」

男(『入ってきていいよ』から『来てよ』に変わっとる……まあ行くけど)

幼馴染み「ほ、ほら早く……///」

男「せ、急かすなよ。これだけでも緊張するんだから」

幼馴染み「う………///」

幼馴染み(近い近い近い近い近い///!)

男「な、なあ」

幼馴染み「はいっ!?」

男「……抱きしめてもいいか?」

幼馴染み「う、うん……いいよ」

幼馴染み(ううううううーーー///!!!!)ギュウウウ

男(そんなに強く抱きしめられるとこっちは痛いんだが……)

男(よし、頭撫でてやれ)ナデナデ

幼馴染み「っ! ちょ、ちょっ///!」

男(やべえマジかわいい。逆に緊張が吹っ飛ぶくらいかわいい)ナデナデ

男「なあ、顔見たい。上向いてくれ」

幼馴染み「っ! だ、ダメ! 今顔見たら殺すっ///!」ギリギリギリ

男「いてっ! つねるなよ、わかった無理矢理向かせたりしないから」

幼馴染み「こ、これ私のほうが眠れないじゃん……///!」

男「それはまずいな、バイトあるのに。もう意地悪しないから寝ろ」ナデナデ

幼馴染み「……寝るまで撫でててくれる?」

男「ああ」

幼馴染み「……じゃあお願い。おやすみ」

男「おやすみ」

数日後

幼馴染み「やっほー数分ぶりー」ガララ

男「おう、はやく窓閉めろ。寒いぞ」

幼馴染み「言われなくてもそうするってばー。漫画借りるね」

男「おう」

テレビ ソウデスネー

男(このアイドルって意外と胸あるんだな……水着になって初めてわかる)

幼馴染み「…………」ジトー

男「はっ!?」

幼馴染み「なに見とれてんだよっ。やらしいっ!」

男「別に見とれてなんかいてえ! リモコンを投げるな!」

幼馴染み「ふーんだ。まあしょうがないよねーせっかく恋人同士になったのに未だに何もして来ないヘタレだもんねー。アイドルの水着姿なんて眼福だろうねー」

男「なっ、誰がヘタレだ誰が!」

幼馴染み「だーって結局何も変わんないじゃん。幼友は何故か知っててニコニコニヤニヤしてたけど、他の人達は気づいてないくらいじゃない?」

男「うっ、反論できない……」

幼馴染み「でしょ? だったらやっぱりヘタレじゃん。ヘタレ、このヘタレ」

男 イラッ

男「おまえな」ガシッ

幼馴染み「ひゃっ……な、なに?」

男「それ以上言うと、行動で反論するぞ」

幼馴染み「な、何するの?」

男「……キスする」

幼馴染み「じゃ、じゃあ……これ以上言う……///」

男「くっ!?」

男(そういう不意打ち禁止だろっ!)

幼馴染み「じゃ、じゃあ言うよ? 言うからねっ!?」

男「……まて、目瞑って言え」

幼馴染み「う、うん……!」ギュッ

幼馴染み「こ、このヘタr……んんっ///」

男「ん……」

男(うわーあったけー。やわらけ)なんだこれ

幼馴染み「んっ///」

男「……ふう」

幼馴染み「……恋人ごっこはしたことあったけど、キスは初めてだね……」

男「ごっこじゃないだろ、これは」

幼馴染み「だね……そうだったら怒るし」

男「……好きだぞ、幼馴染み」

幼馴染み「うん、私も……大好き」




終わり

終わりです。途中でミスりまくってすまんかった

読んでくれた人ありがとう

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