*金欠の調査兵団が舞台公演でお金を稼ごうとする話です。
*演目は何故か「ヴァルキリープロファイル」です。ハンジの独断で決めました!
*リヴァイ兵長は女役です。女装ダメな方はご注意!
*キャスティングは自分の独断と偏見で決めました!
*異論は聞くけど、作中ではキャストの変更はしません! ごめんね!
とある日常のある日、ハンジは青ざめていた。
ハンジ「やばい…! お金が圧倒的に足りないよ! エルヴィン!!」
調査兵団の会計を手伝っていたハンジが帳簿と睨めっこしながら、エルヴィンに言った。
エルヴィン「ああ……寄付金だけでは、次の遠征費に到底足りない。何か、策を打たないと。ライブ公演でも行うか……」
ハンジ「でも、歌のうまい子なんて調査兵団にいたかしら…?」
エルヴィン「それはリヴァイのサイン会兼握手会を行うか、だな。そこで寄付金を……」
リヴァイ「何、訳わからんことを言っている」
その時、部屋に入ってきたリヴァイが抗議した。
エルヴィン「おや? 聞いていたのかい? リヴァイ」
リヴァイ「サイン会兼握手会のあたりからだな。絶対、嫌だからな。握手会は特に。きたねえだろうが」
ハンジ「手袋してからすればいいんじゃない?」
リヴァイ「それでも、その手袋が汚れるだろうが」
リヴァイの潔癖症は筋金入りのようである。
ハンジ「でも、お金が足りないのは本当なんだ。このままじゃ、次の碧外調査は延期せざる負えなくなるよ」
リヴァイ「……………何か、出し物でもして金を稼げばいいだろ。俺が曲芸でもやってやろうか?」
ハンジ「え? いいの? 火の輪とか、くぐってくれるの?!」
リヴァイ「………サーカスの猛獣じゃねえんだから。そういうのじゃなく、空中ブランコとか、そういうのなら、と意味だ」
ハンジ「うーん、でも万が一の事があったら、困るよ。怪我したら大損害になる。もっと安全で楽しい出し物を……」
しょっぱなから、誤字脱字多かったので、二回目投下
とある日常のある日、ハンジは青ざめていた。
ハンジ「やばい…! お金が圧倒的に足りないよ! エルヴィン!!」
調査兵団の会計を手伝っていたハンジが帳簿と睨めっこしながら、エルヴィンに言った。
エルヴィン「ああ……寄付金だけでは、次の遠征費に到底足りない。何か、策を打たないと。ライブ公演でも行うか……」
ハンジ「でも、歌のうまい子なんて調査兵団にいたかしら…?」
エルヴィン「それかリヴァイのサイン会兼握手会を行うか、だな。そこで寄付金を……」
リヴァイ「何、訳わからんことを言っている」
その時、部屋に入ってきたリヴァイが抗議した。
エルヴィン「おや? 聞いていたのかい? リヴァイ」
リヴァイ「サイン会兼握手会のあたりからだな。絶対、嫌だからな。握手会は特に。きたねえだろうが」
ハンジ「手袋してからすればいいんじゃない?」
リヴァイ「それでも、その手袋が汚れるだろうが」
リヴァイの潔癖症は筋金入りのようである。
ハンジ「でも、お金が足りないのは本当なんだ。このままじゃ、次の壁外調査は延期せざる負えなくなるよ」
リヴァイ「……………何か、出し物でもして金を稼げばいいだろ。俺が曲芸でもやってやろうか?」
ハンジ「え? いいの? 火の輪とか、くぐってくれるの?!」
リヴァイ「………サーカスの猛獣じゃねえんだから。そういうのじゃなく、空中ブランコとか、そういうのなら、という意味だ」
ハンジ「うーん、でも万が一の事があったら、困るよ。怪我したら大損害になる。もっと安全で楽しい出し物を……」
その時、ハンジは閃いた。
ハンジ「そうだ……中央で演劇をしよう!」
リヴァイ「……はあ? 演技なんて出来ねえぞ、俺は」
ハンジ「大丈夫だって! 練習すれば! 丁度今、中央では演劇が流行ってるらしいし、舞台公演をしよう!」
リヴァイ「……演目は?」
ハンジ「それは私が責任もって決めるから大丈夫! 舞台監督はエルヴィンに任せて、私は裏方と役者両方やるから。ね? いいでしょ、エルヴィン!」
エルヴィン「私はそれで構わないよ。ハンジに任せよう」
ハンジ「じゃ、ちょっと待っててね! 役者が足りない場合は、訓練兵からいい素材の子を引っ張ってくるから! 特別休暇を報酬にすれば、やってくれるっしょ!」
エルヴィン「其の辺はキース教官とも打ち合わせをしないといけないな」
エルヴィンとキース団長は以前、同じ調査兵団で働いていた繋がりがあるので、その話は自分が通しておこうと言った。
ハンジ「んじゃ、早速演目決めてくるね!!」
と、言って、ハンジは慌ただしく部屋を出て行ったのだった。
リヴァイ「ヴァルキリープロファイル?」
数日後、台本を渡されたリヴァイは聞いたことのない作品名に首を傾げた。
リヴァイ「知らんな……どんな話なんだ?」
ハンジ「ええっと、ね。異世界の話なんだけど、そっちの世界にも「三人の女神」と呼ばれる存在がいて、神の世界と人間の世界、そして地獄の世界の三つに分かれている。その中で織り成す、群像劇だね」
リヴァイ「三人の女神か……まあ、女神つながりで興味は持ってもらえそうだな」
ハンジ「そう! 私もそう思って、これを選んだんだ。ただ、このお話は結末が2パターンあって、分岐点で全く結末が違うから、公演は二種類やろうと思ってる。その方が面白いしね!」
エルヴィン「舞台の場所はもう、私が押さえてきたよ。これでキャストを決めたら、早速練習に入れるな。キャスティングも決めてきたんだろう?」
ハンジ「うん! 私の独断と偏見だけど、こんな感じにしてみたよ!」
『ヴァルキリープロファイル キャスティング』
レナス(プラチナ)→ミカサ・アッカーマン
ルシオ→エレン・イェーガー
レザード→ハンジ・ゾエ
アリューゼ→ライナー・ブラウン
ジェラード→クリスタ・レンズ
ベリナス→イアン(*駐屯兵団からの特別出演)
ラウリィ→アルミン・アルレルト
ロウファ→ナナバ
カシェル→マルコ・ボット
ジェイクリーナス→ミケ
バドラック→ハンネス(*駐屯兵団からの特別出演)
洵→ジャン・キルシュタイン
夢瑠→ハンナ
那々美→ミーナ・カロナイナ
詩帆→サシャ・ブラウス
蘇芳→ライナー(兼役)
グレイ→ベルトルト・フーバー
ジェイル→ぺトラ
ロレンタ→ユミル
ガノッサ→ピクシス(*特別出演)
リセリア→クリスタ(兼役)
メルティーナ→アニ・レオンハート
神界メンバー
オーディーン→エルヴィン・スミス
フレイ→リヴァイ
ロキ→コニー・スプリンガー
フレイア→サシャ(兼役)
アーリィ→ユミル(兼役)
シルメリア→クリスタ(兼役)
その他
ブラムス→ライナー(兼役)
リヴァイ「俺はこのフレイとかいう男をやればいいんだな?」
ハンジ「え? フレイは女だよ? リヴァイには女装してもらうよ?」
チーン………
リヴァイ「ちょっと待て。フレイって普通、男の名前じゃねえのか…?」
ハンジ「あーそんなこと言い出したら、エレン・イェーガー君も女の名前だっていう事になるよ? まあエレンは男女両方使う名前だけどね」
リヴァイ「………設定を変えろ。性別くらい変えたって別にいいだろ。それとも何か? 性別変えると、話の矛盾でも出てくるのか?」
ハンジ「いや……そういう訳じゃないんだけど……フレイは所謂「お局様」ポジションだから、ねえ?」
エルヴィン「ああ、リヴァイにはぴったりだな」
リヴァイ「……………お前らなあ」
ハンジ「とにかく、あんまり原作を弄らない方がファンは喜ぶと思うんだよ。リヴァイは背丈も小さいし、女装してもそんなに違和感ないと思うよ?」
リヴァイ「これだけ目つき悪いのに、か? (ギロリ)」
ハンジ「フレイもそういう、キャラだからね。別に問題ないよ。きつい美人さんって感じだから」
リヴァイ「……………」
リヴァイはその後のページの、衣装のイラストに面食らった。
リヴァイ「………おい」
ハンジ「何?」
リヴァイ「この、衣装……ふざけてんのか?」
ハンジ「そういう衣装なんだから仕方ないでしょ」
フレイの格好は、ほとんどレオタードに近い超絶ミニスカートだった。
緑色を基調とした、体の線に沿った衣装だったのだ。
リヴァイ「せめてタイツをはかせろ……こんなふざけた格好をしなきゃならんのなら、俺は降りる」
ハンジ「えーそんなあ! リヴァイの超絶ミニスカート、見たかったのにぃ!」
エルヴィン「リヴァイ、これは仕事だよ? 君は職務放棄するのかい?」
リヴァイ「ぐっ……」
エルヴィン「それにリヴァイの生足を見たいというお客さんがいるかもしれないだろう?」
リヴァイ「そいつはただの変態だ。気色悪い……」
エルヴィン「だとしても、だ。リヴァイ。私も脚本を読んだんだが、フレイの役はリヴァイが一番適任だと思う。最強のお局様と言うあだ名がついているらしいし、多少の事は目を瞑ってくれないか?」
多少の事ではない気がしたが、リヴァイは渋々頷いた。
リヴァイ「この借りは大きいぞ、エルヴィン」
そんなわけで、ヴァルキリープロファイルの公演に向けて、練習が始まったのであった。
キース教官から呼び出された訓練兵達は突然の話に驚いていたが、公演が終わったら、3日程、特別休暇を頂ける事になったので、全員一斉に喜んだ。
ミカサ「……あの、もしかしてですけど、この台本を見る限り……主役は、私ですか?」
キース「そうだ。一番重要な役どころになる。頼んだぞ、アッカーマン」
ミカサ「は、はい……(どうしよう……私、演技なんてやった事ない)」
ミカサが台本をもって落ち込んでいると、エレンはミカサの背中を叩いた。
エレン「やったなミカサ! お前、主役に抜擢されたんだぞ! 良かったな!」
ミカサ「……しかし人前で演技するなんて、初めての経験で、どうすればいいのか……」
その時、キース教官がミカサのモチベーションを上げる為にある事を言った。
キース「ちなみにAパート公演のラストでは、ルシオとのキスシーンがあるからな。二人共、頑張るように」
エレン「へ………?」
ミカサ「(がばっ)本当だ。Aパートのラスト、ルシオとレナスがキスをしてる!」
台本を確認して俄然やる気が出たミカサだった。
ミカサ(よっしゃああああああ!!!)
ジャン(な、なんだってー!!!! Σ(゚д゚lll))
横目でその会話を聞いていたジャンは吐血していた。
ミカサ「エレン、早速、キスの練習を、しよう! (*´∀`*)」
エレン「するかあああああ! そこだけ練習してどうする!! つか、マジか! くそ、誰かと役、変えて貰えねえかな」
ジャン「はい! はいはいはい! 俺、エレンと役を交代してもいいぞ!!」
ジャンがうざいくらいに挙手をしている。
しかしキース教官はそれを許さなかった。
キース「それはダメだ。それはキャスティングをしたハンジに対して失礼だ。勝手に役を変えることは却下する。練習で代役をするのは構わんが、本番では不測の事態が起きない限り、代役は使わない。そのつもりで全員、体調管理には充分注意するように」
全員「「「はっ…! (敬礼)」」」
そしてキース教官が去っていくと、残されたキャストメンバーはいろいろ感想を言い合った。
クリスタ「私……三つも役がある。いいのかな……でしゃばり過ぎないかな?」
ライナー「いや! クリスタならそれくらいやっても問題ないぞ! (はあはあ…いろんなクリスタが見れる! (*´∀`*))」
ユミル「(ライナーが興奮してる。気色悪い)おい、ライナーさんよ、あんたも結構、兼役多いぞ。アリューゼと、蘇芳と、ブラムスだろ? 大丈夫なのか?」
ライナー「まあ、ガタイのいい役は俺くらいにしか出来ないからな。そこは任せろ」
ベルトルト(僕は顔が出ない役らしい……まあいいか)
ユミル「私も兼役あるんだよな……ロレンタと、アーリィか。メインはロレンタっぽいが、まあ……クリスタに比べれば楽かな」
クリスタ「私はジェラードと、リセリアと、シルメリアね。でも、シルメリアはセリフないみたい。水晶の中に閉じ込められるだけって書いてある」
アニ(はー面倒臭い。でも、特別休暇はありがたいし、適当にやるか)
コニー「なあなあ、俺だけなんか、悪者っぽい格好するみてえなんだけど、やっぱ悪者なんか? 俺?」
ジャン「それは台本読んで自分で確認しろよ。面倒くせえ……」
コニー「(パラパラ)あーもう、活字面倒臭い! 誰か、代わりに朗読してくれよ!!」
マルコ「しょうがないなあ……一度、読み合わせしてみるかい? コニーのところだけ」
サシャ「いいですよーやりましょうか!」
そんなわけで、コニーの出てくる場面だけ、適当に読み合わせてみる事にした一同だった。
それを聞き終えるとコニーはすっかり落ち込んだ。
コニー「やっぱり俺、悪者じゃねえか……ずりいよ。皆は、普通の役なのに、ラスボスじゃねえか……」
アルミン「しょうがないよ。ロキは子供っぽくて無邪気な外見ってあるから、雰囲気で言えばコニーが一番近いんだよ」
コニー「それを言ったら、アルミンだってロキっぽくねえ? アルミンがやっても良かったんじゃねえか?」
アルミン「うーん……僕はこの中で言ったら、やっぱりラウリィが一番、自分に雰囲気が近いと思うな」
アルミンはこのひ弱な雰囲気のラウリィに少し自分を重ねてみてしまった。
アルミン「エレンは、レナスの恋人役だったよね。大丈夫? 照れないでやれそう?」
エレン「……………あんまり自信はねえな。最後、キスシーンあるって聞いたし、ちょっとだけ憂鬱なんだが」
ジャン「贅沢言うんじゃねえよ!! ミカサとキス出来るだけでも有難いと思えよ!! (ギリギリ)」
エレン「はあ……俺、このルシオとか言う奴に似てるのかな? どうなんだ?」
エレンもパラパラとシナリオに目を通した。
ヴァルキリープロファイルの概要をだいたいまとめると、こんな感じである。
(*ヴァルキリープロファイルのAパートエンドのネタバレになります。注意!!)
ユーミルの首が予言した、神々の黄昏『ラグナロク』の到来。
アース親族の主神、オーディーンは、神界戦争の最終決戦に備えるべく『運命の三女神』のうち、最も神格の高い戦乙女『レナス』を召喚する。
主神の命令を受け、レナスは人間界ミッドガルドへ降り立つ。
その目的は、優秀なエインフェリアの魂を集め、彼らを育成して神界へ転送する為。
人間として眠りについていた前世の記憶を失っているレナスは、戦乙女としてオーディーンの命令に応え、粛々と任務をこなしていた。
ただ、死の波動を感じ取って、魂を選定し、成長させたエインフェリアを神界へ転送する。その繰り返し。
だが、運命の再会は、知らずのうちに訪れる………。
盗賊に身を落とした青年ルシオを、エインフェリアとして選定したレナス。
ルシオは以前、自分のせいで命を落とした思い人「プラチナ」の面影をレナスに重ねる。
彼は神界に転送される直前、鈴蘭の草原へレナスを連れて行き、レナスへの思いを告げた。
そんな彼のいじらしさに胸を打たれたのか、レナスはそっとルシオに口付ける。
しかし彼女は戦乙女。彼の思いを受け入れることはなく、ルシオは独り神界へ旅立った。
神界でフレイアと出会ったルシオは、戦乙女たちの転生システムを知らされる。
「運命の三女神」は、戦乙女になる前は、人として生を過ごす。
レナスの前世はプラチナだったのではないか?
確信にも似た疑念を浮かべるルシオに、ロキが近づき、囁く。
そしてルシオは、ロキから水鏡の存在を知らされた。
最後の思いを託し、ルシオは水鏡を使って、プラチナが身につけていたイヤリングの片方をレナスのもとへ転送する。
「もう片方は別の場所に隠したから、受け取ってくれたなら、多分………」
裏切り者の汚名を着せられ、水鏡の間でロキによって討たれるルシオ。
全てはドラゴンオーブを手にする為の、ロキによる陰謀だった。
フレイの命令に従い、ルシオによって転送されたとされるドラゴンオーブを探しに向かうレナス。
しかし鈴蘭の草原にあったのはプラチナの墓標と、ルシオによって転送されたイヤリングだった。
ここで記憶の封印は破れ、レナスはかつてプラチナであった頃の記憶を取り戻す。
しかしこの時の為に施されていたセキュリティが発動し、三姉妹の長女アーリィがレナスの肉体を乗っ取ってしまった。
霧散するレナスの魂を救ったのは、アリューゼ、メルティーナ、そしてレザード。
彼らは人造人間(ホムンクルス)にレナスの魂を込めたのち、肉体を奪還すべく、アーリィを追う。
肉体と記憶を取り戻し、神界へと向かうレナス。
しかし既にスルト、そしてオーディーンまでもが、ロキによって倒されていた。
取り乱すフレイの言葉に耳を貸さず、レナスは自分の意思でロキと対峙する。
ロキは、静かに怒るレナスを嘲るように、奪ったドラゴンオーブの力を解放し、アスガルドとミッドガルドを壊滅させてしまった。
だがここでロキにとって、最大の誤算が発生する。
死んだ全ての人々の魂は、レナスの魂へと取り込まれていった。
ホムンクルスと融合し、彼女が手に入れた成長の力。
これによって、彼女は失われた世界を全て再生できる程の力を持つ、創造神となったのだ。
コニー「なあなあ、やっぱりこれって、ロキ役はアルミンの方が向いてねえか?」
途中まであらすじを読んでいたその時、コニーがまた口を出した。
コニー「俺、ここまですげえこと、やれねえよ。アルミンだったら出来そうだけど」
アルミン(コニー、君は僕のことをそういう目で見てたのかい?)
ちょっとだけ半眼でコニーを見るアルミンだった。
マルコ「いやいや、やれるとかやれないとか、そういう話じゃなくて、キャストは外見の雰囲気で決まった部分が大きいんじゃないかな。アルミンなら、確かにロキのように策謀を練ることは出来ると思うけど、これはあくまで演劇だからね」
アルミン(マルコ……君まで…)
ちょっとだけ落ち込むアルミンだった。
コニー「あと、弓矢の実演だったら、絶対俺の方がアルミンよりうまく出来る自信あるぜ? ラウリィには似てねえかもしれんが、逆の方がいいって! きっと!」
アルミン「ううーん……そう言われると、僕としてもなんと言えばいいのか」
エレン「その辺はハンジさんに相談してみればいいんじゃねえか? 許可貰ってなら、交代してもいいと思うぜ」
アルミン「そうだね……ちょっと話し合ってみたほうがいいかもしれないね。ところで、エレンの方は大丈夫そうなのかい?」
エレン「……というか、キスシーンってラストだけじゃなかったんかよ(ズーン)」
Aパートに計2回もキスシーンがあるとは思わず、落ち込むエレンだった。
それとは対照的にミカサはテンションが上がっている。
ミカサ「エレンと、二回も、キス出来る! (´∀`)」
そしてミカサの反応に、地の底に沈み込むジャンであった。ズーン……。
エレン「はあ……まあ、ルシオに似てなくても、やるしかねえか。文句言ってる場合じゃねえしな」
アルミン「そうだね。公演までそんなに時間もないし、空いた時間で皆で頑張るしかないよ」
ライナー「お? 俺はアリューゼだから、ジェラードとの絡みが多いな……(やった!)」
クリスタ「本当だ。デートみたいなシーンがあるね。ライナー、よろしくね!」
ライナー(キュン……結婚したい)
アニ(はあ………私は幸い、Aパートのみの出演だからそんなに出番はないけど……なんか、ちょっとだけ嫌な予感がするのはなんでだろ?)
それはメルティーナ最大のツンデレシーンのせいである(笑)。
メルティーナは普段はツンツンして偉そうだが、実はレナスを密かに慕っているという部分がある、ツンデレキャラなのだ。
ベルトルト「あれ? これを見てみると『スルト』っていう神様の役だけキャスティングされてなくないかな?」
アルミン「あ、本当だ。これはハンジさんのミスだね。確認してみないと……」
と、丁度その時、タイミングよくハンジがリヴァイとエルヴィンを連れて訓練兵の宿舎にやってきた。
ハンジ「やーやー皆! お待たせしたね! 早速、練習始めるよ!」
アルミン「あ、その前にハンジさん……」
ハンジ「ん? キャストミス? あー! 本当だ! スルトの存在すっかり忘れてた!」
エルヴィン「誰か兼役をやってもらうしかないね」
ハンジ「うーん、だとすると、出来れば主役級の役で出てない子……あ、ベルトルト、君ならどうだい?」
ベルトルト「え……?」
ハンジ「君なら、Bパートのラスボス役にうってつけだよ! お願いしてもいい?」
ベルトルト「は、はあ……(なんか、忘れ去られてた役を押し付けられてる気もするけど)」
ベルトルトは「まあ仕方ないか」と諦めた。
ハンジ「他にミスってるとこないかな? 私、結構おっちょこちょいだから、間違いも多いんだよね」
リヴァイ「自分で言ってりゃ世話ねえな」
ハンジ「だから、皆にフォローしてもらうんじゃないか! 他に何かない?」
アルミン「あの、ミスではないんですが、キャストについて少しだけ」
ハンジ「なんだい?」
コニー「俺とアルミンの役を逆にしたほうが絶対いいと思うんすよ」
ハンジ「ん? どうしてだい?」
コニー「俺、こんなに頭いい役をやるのは無理っす! 頭のいい役だったら、アルミンの方が向いてると思うんで…」
ハンジ「なるほど……顔だけだと、似合うと思ったんだけどね。中身の問題か。じゃあちょっと、入れ替えて読み合わせしてみようか」
というわけで、アルミンとコニーの役を入れ替えて読み合せを行ったところ……。
ハンジ「おお……」
リヴァイ「悪くない」
エルヴィン「確かに、その通りだったな」
三人はその提案を受け入れることにした。
ハンジ「言われてみればその通りだったね! よし、じゃあ、コニーとアルミンは入れ替えよう! アルミンはラウリィより、ロキ役の方が向いてるね!」
アルミン(それって喜んでいいのかな……)
ちょっとだけ複雑な心境になるアルミンだった。
ハンジ「コニーのラウリィはまだちょっとだけ違和感あるけど、弓を引くシーンはアルミンよりうまかったし、ちょっとずつ調整していけば問題ないね。よし、変更しよ!」
台本に早速、変更情報を書き加えるハンジだった。
話の都合でコニーとアルミンの役を入れ替えました。
変更しないって最初、>>1で言ってたけど、すみません。やっぱ変えます…。
というか、これ、元ネタのゲームの内容わかんないと、
読んでもわけわかめかも分からんね。
出来るだけ初見の方にも読めるように頑張るけど、
あんまやり過ぎると、ただのネタバレになってしまうので、
其の辺は調整します。すみません……。
まあ、出来れば一度、
ヴァルキリープロファイルというゲームをやってみて下さい。(宣伝)
ハンジ「他に何かないかな? 気になった点は」
クリスタ「あの……だいたいのあらすじを読んだんですけど「エイミ」って子のキャストが見当たりませんが」
ハンジ「え……ああああ! 本当だ! どうしよう!! またキャスト抜けだ!!」
リヴァイ「おいクソメガネ……一回メガネ、ちゃんと修理しろ。ミスが多すぎるぞ」
ハンジ「ごめんなさい……どうしよう。エイミ役、考えなきゃ…」
クリスタ「あの…私でよければ、もう一役やりましょうか?」
ハンジ「いいの? でも、エイミは腕をつながれて拘束されて拷問を受けるシーン、あるよ?」
ライナー(な、なんだってー!!!)
アルミン(それはけしからん!! けしからんすぎる! ダメだ! 止めなきゃ!)
アルミン「あの! クリスタは既に充分、役を頂いてます。これ以上増やしたら負担が大きくなりすぎです!」
クリスタ「でも、誰かがやらないと……」
ハンジ「いや、アルミンの言う通りだね。分かった。エイミ役は私が考えておくから、別の子に交渉してくる」
エルヴィン「イメージ的には、駐屯兵団のリコあたりなんか似合いそうじゃないか?」
ハンジ「確かに。知的で勝気なイメージだもんね。ちょっと彼女に交渉してくるよ!! (ダッシュ)」
ハンジが場を抜けたので残りはエルヴィンが引き継ぐことになった。
エルヴィン「ではこちらはやれるだけ練習を始めようか。まずはレナス役のミカサ・アッカーマン。頑張って」
ミカサ「は、はい…!」
こうして彼らの、演劇練習は始まったのだった。
ハンジ「………だからちがーう!!」
ハンジさんのダメ出しがまた、入った。
ハンジ「一回目のキスシーンはいいけど、ラストシーンのキスはもっとこう…濃厚な、ディープキスに近い感じで、お互いに、食らいつく感じ!! 感動の再会のシーンなんだから、手抜いちゃダメ!!」
エレン「そ、そんなこと言われても……」
もうリテイク5回以上食らっている。
エレンはミカサとのキスシーンがうまくいかず、何度も何度もミカサとキスをする羽目になっていた。
ハンジ「ミカサはいいんだよ!! 突進してるから!! エレン、君はそんなに動かなくてもいいけど、ミカサが抱きついたら、こう……迎え入れるように!! 包容力で、包み込んで、ぶちゅうううう!! だから! 今の君だと、ただミカサに押し倒されているようなキスにしか見えないの! ちゃんとしっかりして!!」
エルヴィン「まあまあハンジ、そう興奮したらダメだよ。彼らはまだ若い。キスの練習をすれば、そのうちうまくなるさ」
リヴァイ「おい、エレン。おまえはミカサとキスの練習100回してから戻ってこい。その間に別のシーン練習するぞ」
エレン「ええええええΣ(゚д゚lll)」
エレンは落ち込んだ。キスの練習100回って……。
二人は舞台から履けて、舞台裏の方の端っこに座った。
ミカサ「エレン、大丈夫? 疲れてない?」
エレン「正直言えば疲労は溜まってきてる。精神的に……俺、そんなにキス、下手か? (ズーン)」
ミカサ「そんな事ない! エレンのキス…すごくいい(*´∀`*)」
ミカサはずっと内心、役得だなあと思ってニマニマしている。
エレン「でも、ハンジさんは俺のキスの方がダメだって言ってる。なんでダメなんだろ……」
エレンは他のシーンの練習を横目で見ながら呟いた。
ミカサ「うーん……エレン、もしかして私とキスするの、嫌……?」
エレン「いや、別に嫌じゃねえけど……正直、照れくさいわ」
ミカサ「多分、だったら、その照れが、伝わってるせいなのでは? 最初のキスシーンは、お互いに照れながらキスをするので、違和感はないのだけども、ラストは、違う。もう、お互いの感情が爆発して、キスをする……ので、照れているわけではないと思う」
エレン「やっぱそうなのか。難しいなあ……」
でも、照れないでやれ、と言われても限界がある。
どう頑張っても、照れてしまうエレンなのだ。
エレン「ミカサはどうなんだ? 照れくさくないのか?」
ミカサ「ちょっとだけ。でも、レナスの気持ちになりきれば、問題ない」
エレン「ん? おまえ、もう役を掴めたのか?」
ミカサ「少しだけ。レナスは、ルシオと過ごしたプラチナの記憶が戻ってから、ルシオへの愛を思い出した。だから、その気持ちはすごく理解出来る……ので」
エレン「なるほどな。理解……か」
エレンの役であるルシオの気持ちを理解する。
恐らく、それが一番大事なのだろう。
エレン「俺はルシオほど、イケメンじゃねえけど……まあ、レナスを好きになる気持ちは分からんでもないな」
ミカサ「だったら、エレンも出来る。きっと、ルシオの気持ちになれる。そうすれば、ラストのキスシーンも出来る」
エレン「………分かった。もう少しだけ、ラストシーンを練習しようぜ」
その二人のやり取りを、ジャンは血の涙を流しながら、覗き見ていたのだった。
そして数日後。
リヴァイの寸法に合わせて衣装が出来上がったので初のお披露目となった。
リヴァイ「………」
ぴったりくっつく衣装が気持ち悪い。体の線が丸分かりである。
一応、女装なので尻周りや胸にはパットを入れているが、それでもやっぱり、なんというか。
リヴァイ「どう考えても気色悪いだろ」
と、リヴァイ自身は思っていたが、案外周りは………
ハンジ「思ったより違和感ないね! グッド!」
エルヴィン「ああ。問題ないな」
リヴァイ「問題有りだろ。そう思うのはお前らだけだろ。なあ、ぺトラ。そう思わないか?」
ぺトラ「へっ……兵長の、格好ですか?! いえ、私は……その……大丈夫だと思いますが」
リヴァイ「正直に言っていいんだぞ? 気色悪いって。こいつらに現実を直視させねえと、公演自体が破綻しかねん」
ペトラは迷ったが、そう言われては黙るわけにはいかないので、正直にいうことにした。
ぺトラ「では正直に申し上げます。その……すごく似てます」
リヴァイ「はあ?」
ぺトラ「その、フレイという役の雰囲気に、似てるんです。その威圧的な視線とか、姿勢とか、表情が…その…はまり役だと思います」
リヴァイ「…………」
何だか複雑な心境になるリヴァイだった。
ハンジ「あ、あとね、もうひとつ、リヴァイをフレイに押した理由があるんだ。フレイの登場シーンは全て宙吊りワイヤーアクションになるから、立体機動に最も慣れてる人間がやる方が迫力出ると思ったんだよ」
リヴァイ「なんだと? ずっと宙に浮いてるのか?」
ハンジ「そうそう。あと、必殺技もある。『エーテルストライク』っていう、破壊技があるから、そのアクションシーンも必要になる。女性だとその迫力を出せないから、リヴァイがやる方が適任だと思ったんだ」
リヴァイ「……アクションが多いのか。だったら仕方ねえか」
アクションはどうしても男性の方が迫力が出る。
そういう意味で採用が決まったのなら、諦めるしかないと思ったリヴァイだった。
リヴァイ「他の奴らの衣装は完成したのか?」
ハンジ「あ、うん。元々、この演目は他の劇団もよくやるものだから、甲冑や衣装は揃ってたんだ。サイズが合わない人の分だけ、新たに発注したから、リヴァイとクリスタの分の衣装だけだね。新規の衣装は」
リヴァイ「………そうか」
微妙に傷つくリヴァイだった。
ハンジ「あ、皆、衣装合わせ終わったみたいだよ。ちょっと見てみようか」
そして出てきたメンバーに、圧倒されるハンジだった。
特にミカサのレナスの完成度の高さに打ち震える。
ハンジ「いいよおお!!! レナス、いいよおおお!! 可愛いいいいい!! (*´∀`*)」
素でレザードの演技になっているハンジに、ミカサは微妙に引いた。
ミカサ「ど、どうも……」
エレン「ミカサ、その甲冑、重くないか?」
ミカサ「大丈夫。ちょっと重いけど、アクションが出来ないほどではない」
そう言って、剣を構えてみせるミカサだった。
ミカサの着ている甲冑は、上半身をほとんど保護している蒼穹の鎧に頭を保護する羽つきの甲。
そして長いスカートに入った、スリットが非常にセクシーだった。
ついつい、エレンもジャンも、ミカサのスリットに注目してしまう。
ハンジ「じゃ、更衣室空いたから、私も衣装チェンジしてくるね!」
ハンジもレザードの衣装に着替えるべく、移動した。
エルヴィン「私もそうするかな」
エルヴィンも、ハンジについていく。
エレン「……兵長」
リヴァイ「何も言うな。ツッコミたいのは分かるが」
エレン「いえ、意外と女装、似合ってますね」
リヴァイ「そうか? いや、俺は気色悪いだけだと思ってるんだが……」
ミカサ「チビだから、似合ってる」
リヴァイ「…………」
リヴァイはまた微妙に凹むのだった。
クリスタがジェラードの格好で出てきた。
ライナーもアリューゼの格好で出てきた。
クリスタ「お姫様の役なんて、本当に私でいいのかしら」
ライナー「(うおおおおお!! なんて可憐で素敵なクリスタ!!)クリスタ、にあってるぞ!!」
クリスタ「そ、そう…? (〃ω〃)」
クリスタはフリルやリボンが沢山ついた、王族の格好になっている。
ライナーは傭兵の格好だ。肉体美をここぞとばかりに披露する。
エレンはミカサのレナスのような甲冑ではないが、軽い素材の鎧を着ている。
内側には鎖帷子を来ているので少しだけ蒸し暑い。
アルミン「これ、着るのがすごく面倒だったよ……脱ぐ時も大変そうだ」
次はアルミンが出てきた。全身が複雑なデザインで出来たその衣装に、悪戦苦闘していたようだ。
エレン「アルミン! すごい! 似合ってんな!!」
アルミン「そうかな? ロキの役って、ラスボスだから、本当に僕に出来るかなあ」
エレン「大丈夫だって! ロキの絡みはルシオとのシーンが一番多いから、一緒に練習しようぜ!」
アルミン「でも僕、ルシオを殺す役だよ? 何だか複雑だよ…」
エレン「しょうがねえよ。そういう役だし」
その時、エイミの格好をしたリコが出てきた。
リコは今回、特別に出演を了承してくれたのだ。
リコ「こんな感じでいいのか?」
その瞬間、エレンとアルミン、リヴァイ、ライナーの男性陣は太ももにカッと注目した。
太もも以外の部分は殆ど緑色の甲冑で覆われているせいで、太ももがよけいにセクシーに見える。
リヴァイ「ほう……悪くない」
エレン「いいっすね…(ごくり)」
ライナー「ああ…甲冑に萌えた」
アルミン「いや、僕は、クリスタの方が好きだけど……」
ライナー「あ、アルミンの裏切り者!! エイミの衣装にときめいただろう!! 今!!」
アルミン「ぼ、僕には何のことだか……(ドキドキ)」
ミカサとクリスタは内心「男って奴は…」と思いながら半眼になっていた。
サシャ「完了しましたー!」
その時、サシャが詩帆の格好で出てきた。
エレン「おおおお! ∑(°д°)」
肩を出した可愛らしい衣装にエレンも釘付けだ。
太ももがチラチラ見える、斬新なデザインだ。
エレン「可愛い! サシャ、お前、意外とやるな!!」
サシャ「そうですか? でも目を閉じて演技するって、難しいですよね。盲目の少女役なんて、初めてです!」
コニー「俺も着替え完了したぜ!」
狩猟民族のスタイルでコニーが出てきた。金髪のかつらつきで。
エレン「誰だ?!」
コニー「はあ? オレだよ。コニーだよ」
アルミン「ごめん、僕も一瞬、分かんなかった」
サシャ「ぶふー! コニーって髪が生えると誰か分かりませんね!」
コニー「失礼なやつらだな!! 俺、別にハゲてるわけじゃねえんだけど?!」
その時、今度はジャンが現れた。
ジャン「なんか動きづれえ衣装だな……(スリ足)」
黒髪になったジャンを見て、一同は大爆笑する。
ジャン「なっ……笑うなよ!!! そんなにおかしくねえだろ!!」
コニー「いや、可笑しい!! 普段と違いすぎて…!」
ジャン「それはお前の方がひでえだろうが!! 誰か一瞬、分からんかったぞ!!」
アルミン「いや、コニーは、似合ってないわけじゃないから」
エレン「ああ。金髪自体は似合ってるからな。ただ、コニーかどうか分からんだけで。でも……」
サシャ「ジャンは、ジャンだと分かった上での、違和感が、ぶふー!」
ミカサ「ふふ……私と同じ黒髪なのにね」
ジャン「……………」
フルボッコされて傷つくジャンだったが、ミカサが笑ってくれたのが唯一の救いだった。
ライナー「まあいいじゃないか。ジャンと洵。一字違いの役だろう? こんな偶然、そうそうないぞ? もはや運命みたいなものだな」
ジャン「そんな理由で決まったんだとしたら、俺は傷つくぞ」
涙目になってしまうジャンだった。
他の着替え完了したメンバーも一斉に揃い、圧巻の図が完成する。
残るは言いだしっぺのハンジだけだった。
リヴァイ「遅い…何苦戦してんだ? 着替えるだけだろ?」
リヴァイはハンジの着替えの様子を見に行った。すると……
リヴァイ「え? サイズがギリギリ? そんなもん、どうにかしろ。あ、横じゃなくて、縦が? てめえ嫌味か!」
そして最後にハンジが出てきて拍手喝采。
まるで本物のレザードと間違えそうなくらい、似合っていた。
ハンジ「いやー男役なのに、衣装がきついとは思わなかったわ。でもこれで一応、完成だね。皆、どう? 衣装に変なところない?」
ロレンタの格好をしたユミルが言った。
ユミル「特には。不満を言うとすれば、動きづらいってことくらいかな」
クリスタ「そうね。普段、こんな豪華な衣装を着て生活するわけじゃないから、私とユミルはこの衣装での演技練習、多めにした方がいいと思う」
サシャ「それを言ったら私もです! 周り見ないでこんな格好で演技するなら、ちょっと今のままじゃ自信ありません!」
ミーナ「私も、この衣装でちゃんと動けるかどうか自信ないかも」
ハンナ「確かに。意外と服の捌き方に苦戦しそう」
女性陣の方が男性よりも衣装に不安を抱えているようだった。
ハンジ「OK! 今日は今の衣装で練習出来るところを中心にやろうか! あ、リヴァイとミカサは空中に吊るすリハーサルもやるから、後でよろしくね!」
リヴァイ「分かった」
ミカサ「了解しました」
ハンジ「今日から音響とか照明、あと立ち位置もばみっていくからね! 裏方さん、頑張ろうね!」
オルオとグンタとエルドの三人は裏方に回っていたので了解した。
ハンジ「エルヴィン、何か変なところあったらどんどん言ってね! ここからの演出はエルヴィンに任せるよ!」
エルヴィン「ああ、分かってるよ」
ハンジはすっかり助監督のような立場で動き回る。
多分、今回の公演で一番大変なのは、ハンジだろう。
エルヴィン「じゃあ、まずはレナスが神界に戻るシーンからいくよ」
そんな感じで、順調に稽古は進んでいったのだった。
>>26
訂正
ついつい、エレンは、ミカサのスリットに注目してしまう。
ジャンまだ出てきてないのに出しちゃったwwwすんませんwww
『ヴァルキリープロファイル キャスティング(訂正版)』
レナス(プラチナ)→ミカサ・アッカーマン
ルシオ→エレン・イェーガー
レザード→ハンジ・ゾエ
アリューゼ→ライナー・ブラウン
ジェラード→クリスタ・レンズ
ベリナス→イアン(*駐屯兵団からの特別出演)
ラウリィ→コニー・スプリンガー
ロウファ→ナナバ
カシェル→マルコ・ボット
ジェイクリーナス→ミケ
バドラック→ハンネス(*駐屯兵団からの特別出演)
洵→ジャン・キルシュタイン
夢瑠→ハンナ
那々美→ミーナ・カロナイナ
詩帆→サシャ・ブラウス
蘇芳→ライナー(兼役)
グレイ→ベルトルト・フーバー
ジェイル→ぺトラ
ロレンタ→ユミル
ガノッサ→ピクシス(*特別出演)
エイミ→リコ(*駐屯兵団からの特別出演)
リセリア→クリスタ(兼役)
メルティーナ→アニ・レオンハート
神界メンバー
オーディーン→エルヴィン・スミス
フレイ→リヴァイ
ロキ→アルミン・アルレルト
フレイア→サシャ(兼役)
アーリィ→ユミル(兼役)
シルメリア→クリスタ(兼役)
スルト→ベルトルト(兼役)
その他
ブラムス→ライナー(兼役)
ハンジ「これでいい? もう間違ってるとこない? (ドキドキ)」
ハンジはドキドキしながら稽古の合間にリヴァイに新しいキャスト表を見せていた。
リヴァイ「ああ、もう大丈夫なんじゃねえの? 知らんけど」
ハンジ「そんな! フォローしてよ!!」
リヴァイ「もし、何かミスってたとしても「めんごめんご」で済ませりゃいい」
ハンジ「そんな事言わないでよー…一応、この公演、5000人に前売りチケット捌いちゃってるから、ポカやったら、損害出るよ?」
リヴァイ「ほう…結構売れたな。前売り。どうやって捌いたんだ」
ハンジ「ん? 美少女が出るって事と、お色気とアクション満載だって謳ったら、結構食いついたよ。主に男性の客が」
リヴァイ「詐欺してねえか? ギリギリ」
ハンジ「何言ってるの。人聞きの悪い。お色気要素満載だからね! この劇は! ミカサはロングスカートでスリット入った衣装で空中をくるくるするし、エイミは手をつながれて拷問受けるし、リヴァイだってきわどい衣装で頑張るでしょ?」
リヴァイ「俺が全てを台無しにしている気がするんだが…」
リヴァイはとても残念な気持ちでいっぱいになった。
ハンジ「大丈夫だって!! リヴァイが思ってるほど、リヴァイの女装は気持ち悪くないよ? というか、リヴァイは顔立ちが細いから、化粧でいくらでも誤魔化せる。舞台にあがったら、別人だと思って頑張ってよ」
リヴァイ「はあ……フレイ役が男だと知った奴らに「金返せ!」と言われても俺は責任もたんからな」
ハンジ「金返せなんて、言わせないよ! それくらい面白い舞台にする自信はあるんだから!」
ハンジはメガネをキラーン☆☆と輝かせた。
ハンジ「それよりセリフはもう全部、覚えてくれた? AパートとBパートではフレイのシナリオも大分変わるから、間違えないように気をつけてね」
リヴァイ「Aパートの方の、オーディーンに抱きついて涙するっていうシーンは、変更出来ねえのか?」
ハンジ「無理だよ! 物語の根幹に関わる場面だからね! エルヴィン相手に泣きつくの、嫌なの?」
リヴァイ「そもそも、涙を流すという経験を、久しくしていない。目薬使っていくしかねえか」
ハンジ「それは……そっか、あんた、同僚が死んでも泣かなかったもんね」
ハンジは数多くの戦友達の散り際に何度も泣いていたが、リヴァイが涙する場面を今まで一度も見たことがなかった。
ハンジ「………最悪、泣けなくてもいいよ。リヴァイなら、表情だけでも伝わるからさ」
リヴァイ「そうか?」
ハンジ「うん。あんた、泣いてないからといって、悲しんでないわけじゃないもんね」
リヴァイ「……善処はしてやるさ」
そう言って、まるで誤魔化すようにハンジの元を離れるリヴァイだった。
そんなわけで舞台の稽古も終盤に差し掛かってきた。
特別出演のイアン、ハンネス、ピクシス、リコの四名は全ての稽古に参加をする事は出来なかったが、それでも何とか調整を入れて全体練習を何度か行える程度には仕上がってきた。
エレンのキスのぎこちなさも、以前に比べれば大分改善されてきた。
習うより、慣れろである。
ハンジ「いいよおお!! エレン、大分、ラストのキスシーンに貫禄が出てきた!! その余裕な感じ、忘れないでね!! ルシオはレナスの全てを受け入れる感じで、キスをする! その感覚を忘れないで!!」
エレン「はい! (はあはあ…やった! 課題はクリア出来た!!)」
エルヴィン「問題は大分改善出来てきたな。皆、やはり訓練で鍛えられているだけある。アクションシーンも様になってきたよ」
戦闘シーン、所謂舞台上の「殺陣」のシーンも多く入るし、レナス、フレイ、アーリィ、ロキあたりは空中戦もあるので、ワイヤーアクションは必須だった。
ただ、立体機動で空中に慣れている彼らにとっては、それは苦痛でも何でもない。むしろ日常だった。
エルヴィン「問題があるとすれば、裏方の数が少ない事だね。今のままだと、場面転換や、照明の遅れが少し目立つ。人員を増やした方がいいかもしれないな」
ハンジ「そうだね。裏方を訓練兵の中から増員して貰えるようにキース教官に頼んでみようか」
実際、やってみると、裏方の仕事は予想以上に大変だった。
今回、ハンジは裏方の必要性を少し甘く見ていたせいで、ミスを多発させていた。要反省だ。
エルヴィン「勿論、調査兵団の方からも増員しよう。大道具、衣装、化粧、照明、音響合わせて、全部で裏方は50人体制に変更しよう」
役者よりも数が多くなるが、恐らく各10人ずつ配置してやっと丁度いいくらいだろうと判断したエルヴィンだった。
エルヴィンも舞台監督は初めての経験だったので、試行錯誤で行っている。
エルヴィン「なかなか楽しいものだな。こうやって一つの事に全員で打ち込むというのも」
ハンジ「だね~あとは本番でヘマやらないことを祈るしかないね」
そんな風に言い合って笑い合う、ハンジとエルヴィンだった。
そして月日はあっと言う間に流れ、公演当日が訪れた。
初日はBパート、次の日にAパートの2回公演の予定だ。
つまり、二日間で計10000人の動員を予定している。
エレン「うわああ……いよいよ今日が本番かあ」
公演5時間前。エレン達は最終リハーサルを行う為に、午前中から会場入りしていた。
開演予定時刻は、午後1時。公演は3時間以上ある、長編演劇になる予定だ。
今は普段の私服姿だが、本番は着替えて演技を行うのだ。
裏方の人間は忙しく走り回って、最終チェックを行っている。
それの邪魔をしないように、エレンは台本を持ったまま、ギリギリまでセリフのチェックを行っていた。
何度も何度も台本を読むうちに、この独特な世界観に引き込まれていく自分がいる。
エレン(もし、この世界にもヴァルキリーがいたら、今まで死んでいった調査兵団の兵士達も、神界で戦うエインフェリアとして選定されるのだろうか)
その候補として、リヴァイ兵長は真っ先に選ばれてしまうのではなかろうかと、思ってしまうエレンだった。
エレン(リヴァイ兵長。あなただけはエインフェリアにならないで欲しい……絶対)
例え戦力として望まれても、リヴァイ兵長にだけは、神界に行かせたくないと強く思ったエレンだった。
エレン(あと、ミカサも……だな。あいつも連れ去って欲しくねえ)
いや、アルミンもだ。他にも、いっぱい。
神界に連れて行かれたくない奴らは、いっぱいいる。
エレン(武人の誉れとか何とか、そういうのはどうでもいい。栄誉ある死なんてくそくらえだ)
成すべきことを成すまでは、死ねない。
だからこの物語で死んでいくエインフェリア達の無念を、エレンはひしひしと感じてしまった。
ヴァルキリープロファイルは、死んだ人間の魂を回収していく、レナスという女神の物語だ。
回収された戦士は神界でも戦い続ける。
死しても尚、戦いの運命からは逃れられない。
その中で起きる様々な人間の、悲しい情景に胸をうたれる。
名作と言われるだけあり、この物語は一部の人間の間では今でも人気がある。
だからこそ、今回ハンジはこの物語で舞台公演をしようと思ったのだ。
ハンジ「さーて、今日はいよいよ本番だよ! 皆、体調は大丈夫? 長丁場になるからね! 気合入れていくよ!!」
エルヴィン「最終リハーサルの前に、円陣を組もうか。役者は全員集まれ!!」
役者「「「はい!!」」」
かなりの数が集まった。舞台上で皆、片手を出して円陣を作る。
エルヴィン「気合は、リヴァイに入れてもらおうか。頼むぞ」
リヴァイ「ちっ……おい、お前ら。セリフは全部、頭に入れてるな? 多少間違えても構わんが、流れだけは切るなよ。あと、怪我もするな。客を後悔させるような真似だけは、絶対するなよ。………気合入れていくぞ!!!!」
役者全員「「「「おーーーー!!!!」」」」
リヴァイの活が入り、役者は一つにまとまった。
今から最終リハーサルに入る。バタバタと、定位置についたのだった。
続きはまだか!!
>>42
読んでる人がいた!
いないと思ってたので、ちょっと休憩してた。すんません!
最終リハーサルでは当然、通し稽古が行われた。
Bパートの方とAパートではシナリオが途中で変わるので、その点を注意しながら演技の調整を進めていく。
一番その特徴が出るのが、レナスだ。
途中から別人のように変わるので、演技の分け方が重要になる。
幕が上がり、本格的なオープニングが始まった。
ミカサ「……早くしなきゃ。お母様にまた叱られる」
水汲みをする少女が一生懸命に働いている。
重い水を長い道のりを通って、家に帰ると、出会い頭に人にぶつかる。
ミカサ「きゃ! ご、ごめんなさい。服は大丈夫ですか?」
頬を叩かれる、ミカサ。
アニ「なにやってんの! 客に水かけたら承知しないよ!!」
レナスの母親の名前はライア。兼役でライアはアニが演じている。
ミカサ「ごめんなさい」
ミカサ「今の人たちは……誰?」
アニ「お前には関係ないよ。それよりささと桶を片付けておいで!!」
性格きつい役やらせたら、一品だなと思った。
ライナーはベルトルトは舞台袖からアニの演技に見入っている。
ミカサはすっかりしょんぼりする。
しかし今のシーンで、アニはちょっとだけ噛んでしまった。
それが恥ずかしくて、ちょっと演技が硬くなってしまったアニの様子を見逃さない。
普段ならここで注意が入るが、今日は通し稽古なので止めない。
エルヴィンは舞台袖から見てチェックだけ入れて、そのまま先を見守った。
場面は先の方に進み、プラチナからレナスへ変化する。
衣装変更の時間は5分もない。
この衣装変更の時間にタイトルや、音楽を流して、世界観を説明する。
幻想的な音楽が暫く続く。そして、ようやくレナスの登場だ。
サシャ「ヴァルハラへようこそ」
ミカサ「まるで客をもてなすような態度なのね」
サシャ「ずっとまっていたの。フレイお姉さんから、レナスお姉様が戻って来るって聞いてたから」
ミカサ「久しぶりね。元気だった?」
サシャ「うん!」
サシャ「あ。中でオーディーン様がお待ちだったんだ」
ミカサ「ええ。それじゃまた後でね」
フレイの登場シーンだ。
ミカサは膝をついて頭を垂れる。
ミカサ「招致に応じました。任務の内容はいかがなものでしょうか」
リヴァイ「立ち上がりなさい。レナス。多くの下の者同様に頭を垂れる必要など、あなたにはないのですから」
空中で浮いている様がとても似合っていた。
が………
リヴァイの丁寧語にどうしても慣れなくて、ハンジは舞台袖で笑いを堪えていた。
ミカサ「はい」
フレイが地面に降りて、レナスに抱きつく。
リヴァイ「久しいわね。会いたかったわ」
ミカサ「私もよ」
ここは何回やっても身内的には爆笑シーンである。
エレンも舞台袖で必死に笑いを堪えている。
そしてオーディーン様の登場シーンだ。
エルヴィン「レナス・ヴァルキュリアよ。運命を司る三女神のうち、最も神格の高いそなたを呼び覚ましたのには、もちろん訳がある」
王座に座って物憂げに語り始めるエルヴィンは、かなりはまり役だった。
ミカサ「はい」
エルヴィン「ユーミルの首が我に告げたのだ。世界の終末『ラグナロク』が近いこと」
ミカサ「ラグナロク………」
エルヴィン「ヴァン神族も不穏な動きを見せている」
エルヴィン「我らアース神族と、奴らとの戦いは避けられぬところだ」
エルヴィン「我々には戦力が必要だ。そなたには下界ミッドガルドに赴き、戦力に相応しい人間の魂を探してきてもらいたい」
ミカサ「そのような大任を私に…光栄です」
エルヴィン「首尾よく成果が得られることを期待している。それでは、フレイよ」
リヴァイ「はい」
ここで、フレイの合図と共に、ミカサの衣装が普通の物から甲冑スタイルへ変化した。
その幻想的な衣装替えは、暗転という技を駆使しての超絶早着替えがタネだ。
ミカサは何度もこのシーンを練習した。もはや手品の練習に近かった。
リヴァイ「私も一緒に行ってあげるわ。すぐに戻らなければいけないけれど」
リヴァイ「目覚めたばかりのあなたを一人で行かせてしまうのは心許ないから」
そうフレイが告げると、場面転換が入った。
広大な山々を背景にして、フレイとレナスが下界を見下ろしている。
ミカサ「これが、人々の住む世界……」
リヴァイ「そう。下界ミッドガルド。肉体という檻に閉ざされた魂が彷徨う世界」
リヴァイ「懐かしい?」
ミカサ「特別な感慨なんてないわ。見ず知らずの土地だもの」
リヴァイ「……そうよね」
暫くの間、下界を見渡すフレイ。
リヴァイ「それじゃあ、行きましょう」
ミカサ「どこへ?」
リヴァイ「あなたが今まで何をやって来たのか、それをこれから教えてあげるのよ」
一度暗転が入り、ここからフレイとレナスのワイヤーアクションが入った。
リヴァイ「何か聞こえない?」
ミカサ「なんのこと?」
リヴァイ「あなたには、あなただけの力があるの」
リヴァイ「瞳を閉じて、精神を集中し、心を空間に広げていけば、きっと分かるわ」
ここからが、レナスの最大の見所だった。
ミカサはワイヤーアクションでその場でくるくるを自転する。
不思議な音楽に合わせて魂の声を聞き取る
『くるしい……助けて……』
ミカサ「……あ…………」
リヴァイ「聞こえたのね」
ミカサ「これは……?!」
リヴァイ「それがあなたの力なのよ」
リヴァイ「死を間近にした人間の悲しみや、怒り、願い。あらゆる魂の律動を感じ取る力」
リヴァイ「あなたは死者の人格や人生そのものを共有することが出来る存在なの」
ミカサ「こうやって死を迎えた者を探し、勇者にふさわしい魂を選べというのね?」
リヴァイ「そうよ。だから……」
ミカサ「だから?」
リヴァイ「行きましょう。もっと近づいて心をシンクロさせれば、彼らの心をはっきりと理解することができるわ」
そしてまた、暗転&場面転換。
その間に、スクリーンにレナスの独白が映る。
……人の心?
心が自分のものに?
そして次のシーンへ進むのであった。
ハンジ(今のところ順調ね。ワイヤーアクションも問題ない。音楽も、場面転換もうまくいってる)
ハンジはレザード役なのでAパートの後半にならないと出番がない。
そういう意味では前半はハンジが一番、客観的に劇を見ていられる立場にあった。
アリューゼの弟役であるロイはベルトルトが、ジェラードのお目付け役のロンベルトにはハンネスが、国王役にはイアンが兼役で入っている。
こうやって見ると、メインキャスト以外にもモブキャラの数も相当ある劇なのだ。
今はライナーがアリューゼ役で出ている。
クリスタもジェラード役で出ている。今、丁度、二人の食事のシーンだった。
コミカルなそのシーンに舞台袖でも笑いを堪える空気が伝わる。
ここはライナーとクリスタが何度も練習した場面だ。
場面は進んで、バドラックの登場シーンだ。
黒頭巾を被った悪者が出てきた。
顔はあまりでない役だが、そのエージェントの兼役は、リコが入っていた。
バドラックと商談を成立させて、物語は進む。
アリューゼパートの佳境に入った。
>>43
おうよ!どっちも知ってるから楽しく見させてもらってるぜ!!
同じく見てます。
……コニーのロキは見てみたかったかも
>>50
まじか! 良かったwwwヴァルキリー知ってる人がいたwwwww
>>51
あらら……すんません。
外見はアルミン→ラウリィ コニー→ロキなんですけど、
コニーの性格考えると、ロキ演じるの無理そうだと思ってしまって。
ロキは頭脳派キャラだから……と思ってつい、変更しました。
コスプレだけなら、コニーの方に軍配が上がりそうですけどね。
アリューゼパートの佳境はなんと言っても、ジェラードがグールパウダーを飲まされて暗殺される場面だ。
ロンベルトの罠にはまり、命を落とすジェラードと、それに対峙するアリューゼ。
人ではないものと戦う、初の戦闘シーン。
この場面で、レナス、アリューゼの初の見せ場が待っていた。
戦闘時の独特の音楽が流れる。
アップテンポな、爽快感のある音楽と共に、
レナスは天高く舞い上がる。
ミカサ「神器……ニーベルン・ヴァレスティ!!!!」
振り子の要領でワイヤーアクションが炸裂する!
作り物の敵を倒すフリをして、ミカサが剣を貫いた。
ライナー「ファイナリティ・ブラストおおお!!!」
アリューゼも同じく必殺技を駆使する。
二人の大活躍で、敵は倒せたものの、ロンベルトの罠に落ちたジェラードを救うことは出来ない。
そのせいでアリューゼもまた、自分の人生を選ぶ事になる。
ここまでが、第一幕だった。
ここで、一分間の休憩が入る。
この劇は長いので、こまめな休憩が必要だ。演技する側も、観客側も。
なのでキリのいいところで一度、幕を下ろし、また再開する方法を取っている。
エレン「ライナー! お疲れ! すげえ格好良かったぜ!」
ライナー「ああ! ありがとうな!」
水分補給だけして、次は第二幕へ続く。
次のメインは、ラウリィとベリナスの二人の物語だった。
クレルモンフェランに訪れるレナス。
大陸東部のほぼ全域を領土に収める大国。
民衆の徹底した意識操作が行われており、
自らが行う戦い捧神戦争と称して独善的に侵略行為を繰り広げている国である。
祭司(エルヴィン)「戦乙女よ! どうか我らの勇敢なる友の、新たな旅路に光を灯したまえ!」
祭司(エルヴィン)「その御霊、決して朽ちることなく!」
葬式の場面だ。白い鳩が一斉に飛んでいく。
そして暗転&場面転換。
一人の少年がかけてくる。
少女が、彼を待っている。
コニー「ごめん、ミリア。ま、待った?」
サシャ「いいの。私、ここが好きだから」
ミリア、空を見上げる。
サシャ「それよりほら、木の葉が揺れる音を聞いてみて」
サシャ「森全体で鳴っている。まるでさざ波の音みたいでしょ?」
ラウリィも一度、空を見上げる。
コニー「気にしたこともなかったなあ。まあ、”樹海”って言葉もあるしな」
サシャ「うん。だから、ラウリィにここに来て欲しかったの」
コニー「どうして?」
サシャ「海に、行くんだよね? 兵士として、戦争に」
コニー「知ってたのか………」
サシャ「うん。だから、お母様があなたのことは忘れろって…」
コニー「そう言われても仕方ないよな」
サシャ「そんなこと言わないで! 待ってるから……」
サシャ「ここに来れば、あなたの居場所を感じられるもの」
小首を振って、
サシャ「ううん。居場所だけじゃないわ」
サシャ「ラウリィの事だって、感じられるから。まるで一緒にいるみたいに……」
コニー「ミリア……」
二人が抱き合って悲しげな表情になる。
コニー「僕は死なない。だから待っていて」
サシャ「…………うん」
コニー「戻ってきたら、結婚しよう」
そして暗転。
スクリーンに文字が浮かび上がる。
梔子(くちなし)を朽ち無しと掛け
死後も魂が生き続けることを願い
花を捧げる風習がある
舞台袖で今のシーンを羨ましそうに見ているアルミンとライナーだった。
実はこのミリアという少女の役を、サシャがやるか、クリスタでやるかでもめた経緯がある。
コニーは「サシャとの方がやりやすい」と答えたため、サシャがやる事になったのだが、アルミンはこんな事なら交代するんじゃなかったなと、ちょっとだけ思ってしまった。
交代しなければ、クリスタとこのシーンをやれたのに、と今更思う。
ライナーに至っては、単純に「結婚しよう」と言えるコニーに嫉妬している。
そして場面転換。
ミリアはひとり、部屋に座って落ち込んでいる。
音声のみの説明が入る。
『ひどい話よね』
『負けるはずのない戦だったって話じゃないか』
そして同じ森の中の場面転換。
サシャ「ラウリィ。今日ね。お母様がお見合いの話を持ってきたの」
サシャ「勿論、断ったわ。身分とか、家柄とか、そんな事ばかり延々と私に言って聞かせるの」
サシャ「馬鹿みたいに……」
大きな風が吹いている。
ミリアの長い髪が揺れる。
サシャ「嫌!」
サシャ「こんな音、聞きたくない!!」
風の音が何度も続く。
サシャ「やめて!! 誰かとめてよおお!!」
風の音は止まない。
サシャ「空っぽの柩…」
サシャ「あなたが死んだなんて信じられない……」
暗転。
舞台には、レナスとラウリィだけが降り立つ。
二人にそれぞれ、淡い暗めの光が当たる。
ミカサ「本当にそれでいいのか?」
コニー「言葉が見つからないんだ。僕には何も言えないよ」
レナス、少し考えて答える。
ミカサ「我々が人間に対して何も出来ないと思っているのなら、それは間違いだ」
コニー「え?」
ミカサ「人の死は、残された者にとって、その絆が強ければ強いほど、残された者が弱ければ弱いほど、痛いほどに心を縛り付けるもの」
ミカサ「わからないのか?」
ミカサ「彼女の想いが、時が止まっているのが」
ミカサ「お前が、彼女を殺しているのも同然だということが」
コニー「だからと言って!」
ミカサ「飾る必要などない」
ミカサ「自分が出来ることをやればいいのだ」
もう一度、森の中のシーンに戻る。
ラウリィは宙吊りの状態で現れた。
空の上に浮いている。
ミリアは立ち上がり、ラウリィに向かって近づく。
サシャ「ラウリィ!」
コニー「ごめん。僕はずっと、見守っているから…」
お互いに抱き合い、そしてラウリィは再び、天へ還っていった……。
暗転。
レナスの声だけが暗闇の中で響く。
ミカサ「全く……私は恋を司る天使ではないのに」
次はベリナスの物語へ続く。
ベリナスの物語が始まる前に、アルミンはコニーに舞台袖で声をかけた。
アルミン「お疲れ!! コニー! 上出来だったよ!!」
コニー「おうよ! 俺、やっぱ天才だろ?」
アルミン「コニー、これだけ演技出来るんだから、ロキでも十分いけたんじゃないの?」
コニー「いや、それはねえって。俺、あんま頭良くねえし、これくらいの短いシナリオでも結構、いっぱいいっぱい。ロキの方が、なんか重要な役だったし、アルミンの方が貫禄出るって!」
アルミン「そうかなあ……プレッシャーだなあ……」
ハンジ「こら、感想は後々! 今は劇に集中して頂戴!」
アルミン「あ、はい…すみません…」
次はレナスがラッセンという街に降り立つ。
ジェラベルン領に属する衛星都市。
商業の中心で、特に奴隷売買が盛ん。
ヴィルノアの侵攻に備えて、防衛舞台が徐々に集結しつつあった。
イアンがベリナスとして舞台に立っている。
イアン「阿沙加、そんなに行きたくないのか」
リコ「…………人の売り買い、好きじゃないです」
阿沙加の役は特別にリコが兼役していた。
イアン「仕方がない事だ。私の妻も、マリアも、もういないんだ」
イアン「おまえ一人で屋敷を切り盛りするのは無理だろう?」
リコ「ベリナス様に買われる人、幸せ。それはいいの」
リコ「でも他の子はみんなかわいそう。私、見たくない」
イアン「阿沙加に来てもらわないと困るんだ」
イアン「異国の言葉は私にはわからないし、働けそうな子を選んでもらわないと………」
リコ「それが嫌なんです! 私の一言が、人の一生を左右するなんて……」
ベリナスは、視線を逸らして言った。
イアン「花なら、いいのか?」
リコ「………あ」
イアン「召使を選ぶのは、花を摘むのとどう違うんだ」
ベリナスはいい人ではあるが、この国の体制に疑問を抱いているという訳ではないようだ。
リコ「………」
ベリナスは阿沙加の頭に花をつけてやる。
イアン「こうなることが、この花の運命だったんだ」
リコ「ウンメイ?」
イアン「そう。神によって定められた………」
暗転。
照明の暗いステージで回想シーンを表現する。
ユミル「も、申し訳ありません。あまりにかわいそうだったもんで」
マリア役の兼役はユミルがやっていた。老婆の役だった。
ユミル「しばらく給金はいりません。ですから、勘弁してください」
ジャン「父さん、もういいだろ? この子は俺とマリアでなんとかするからさ」
若き日のベリナスをジャンが兼役していた。
長髪のカツラをつけているジャンに、同期は吹き出しそうになっているが必死に笑いを堪えていた。
シリアスな場面だ。笑うわけにはいかない。
イアン「まあいい。マリア、責任持ってお前が教育しろ」
当然、ベリナスの父親はそのままイアンが兼役する。
髪型が全く違うが、そこはカツラマジックでどうにか誤魔化す。
父親、退場。
ジャン「しっかし、マリアも無茶するよ」
ユミル「すいません、坊ちゃん」
ジャン「いや、いいよ。それよりこの子の名前はなんて言うんだい?」
ユミル「阿沙加です」
ジャン「アサカ? 倭人の子か」
この世界には「東洋」という概念がある。
黒髪の美しいその一族の子の末裔の一人として、ベリナスも認識した。
ユミル「はい」
若い日のベリナスは花を阿沙加に差し出した。
リコ「あ……」
ジャン「やっと顔を見せてくれたね」
ジャン「怖い人はもういないから、泣かないで………」
回想シーンが終わる。
キザなその名場面が終わると、ジャンはライナー達にヒューヒューと小さくからかわれた。
ジャン「うるせ!!! 静かにしろよ!!」
照れ隠しをしながら履けるジャンに周りはニヤニヤしていた。
奴隷市場に場面転換。
リコ「今日は、いません」
プロローグの時に、プラチナを値踏みにきた男と同じ人物がそこにはいた。
世界は、繋がっていたのだった。
イアン「………」
暗転再び。
イアン『こうなることがこの花の運命だったんだ』
録音した声がもう一度、響く。
イアン『運命? 妻やマリアが死んだのも、運命と言うのか』
イアン『父や多くの仲間が戦死したのも運命と言えるのか?』
イアン『自分が今ここにいるのも運命の賜物なのか?!』
イアン『阿沙加と出会ったのも……………!!』
再び、奴隷市場のシーンに戻る。
リコ「ベリナス様?」
イアン「………何でもない。もうここにいても仕方がない」
リコ「はい」
場面はベリナスの寝室に変わる。
怨霊のような禍々しい光が部屋の中に突如、現れる。
イアン「死霊?!」
ベッドから跳ね起きて死霊から逃げるベリナス。
そこに現れたのは、レナス・ヴァルキリー!!
空中から突如現れたレナスは、死霊と対峙する。
ミカサ「フッ!! (剣で死霊を切り払う)」
消えていく死霊を見つめながらベリナスは問い詰めた。
イアン「おまえは何者だ? まさか」
ミカサ「……この屋敷は不死者に呪われている。娘が危ない」
イアン「阿沙加が?!」
ベリナスは急いで阿沙加のもとへ向かう。
場から履ける。
そして暗転……。
リヴァイ「全てはヴェリザ様の袂(たもと)へ。そう、贄も契約者も全て。これで契約は完了した」
エルダーヴァンパイアという悪役を兼役しているリヴァイ。
リヴァイとしては、フレイの役よりこういう端役でもいいから悪者役で十分だった。
というか、悪役は割とやってて楽しいと思っている。
エレン(うわー……リヴァイ兵長ノリノリだなあ)
ハンジ(だねー……)
半眼でついつい見つめてしまうエレンとハンジだった。
イアン「阿沙加、阿沙加!」
ベリナスが阿沙加の部屋にたどり着いたときは既に遅かった。
阿沙加の命は……。
そして遅れてレナスが登場!
イアン「お願いだ! 彼女を助けてくれ!」
ミカサ「もはや手遅れだ。何者も、運命に逆らうことなどできはしない」
イアン「……運命だと?」
イアン「そんなもので、全て割り切れるものか!」
イアン「愛しているんだ…………………」
ミカサ「方法が全く無いわけではない………」
レナスは顔色は変えずにその方法を伝えた。
イアン「なんでもする!! 教えてくれ!!」
ミカサ「換魂の法。つまり、おまえが身代わりになれば……」
ミカサ「だが、そのためにはおまえが死ななければならない」
イアン「立場に縛られて、私は、何も言えなかった」
レナスは一度、舞い上がり、その白い羽を羽ばたかせた。
そしてベリナスは、阿沙加と重なるように死ぬ。
阿沙加は蘇った。
しかし彼女はベリナスを見るなり、その言葉を呟いた。
リコ「一緒に、生きましょう」
そして、暗転。
レナスはベリナスの寝室に訪れる。
ミカサ「夫人の洋服タンス……これか」
ミカサ「馬鹿なことを」
【ヴェリザの方陣】
血液を触媒として行われる簡単だが恐ろしく強力な灰燼(かいじん・かいしん*灰と燃え殻の事)の下法。
魔神ヴェリザがつかさどるのは、情欲、情炎、そして、嫉妬。
そしてレナスの回想シーン。
スクリーンのみの回想になるが、そこに映ったのは、不死者の姿をした何者か。
それを処分する、レナス。
ベリナスの屋敷を訪れた際に処分した、その不死者の正体を、レナスは突き止めたのだ。
つまり、恐らくは……犯人は。
ミカサ「……………」
レナスはそれ以上は何も言わず、空へ帰っていった。
ハンジ(いやーイアン、なかなかの色男っぷりだねー)
ベリナスは渋い男の役なのだが、見事演じきったイアンに心の中で拍手を送る。
阿沙加役のリコもなかなかいい感じだった。
次は、那々美の物語に入る。
ミーナのスタンバイが終わった。
海藍(ファイラン)。
大陸の南西端に位置する島国。
他国との交流が無く、隔離された状況で独自の文化を築き出すに至る。
動植物、魔物などの生態系も特殊。
重厚な音楽と共に、少女にライトが当たる。
部屋は少し薄暗く、そこで佇む一人の髪の長い少女がいた。
養父(エルヴィン)「那々美。体はもう大丈夫なのか?」
ミーナ「はい、お父様。ご心配をおかけ致しまして、申し訳ありませんでした」
少し微妙に顔が引きつった状態で応える那々美。
養父(エルヴィン)「そうか、良かった。だがもう少し休んでいた方が」
ミーナ「いいえ、それはなりません」
ミーナ「私には一刻も早く昂后(こうごう)神社の御力を継承するという使命がありますゆえ」
養父(エルヴィン)「…………」
ミーナ「それでは、今度こそ必ず。お父様、どうかご心配なさらないでください」
服を整えて舞台を履ける那々美。
その様子を心配そうに見守る養父。
暗転。
神社の前で祈りを捧げる那々美。
那々美の声がモノローグとして響く。
那々美『美那代ちゃん。私をお守り下さい。本来ならばあなたが継ぐはずだった力。身寄りのない私をここまで育てて下さったあなたのお父様、お母様の為にも。私が必ず受け継いで見せます』
再び暗転。
養母(ハンジ)「那々美はもう行ってしまったのですか?」
養父(エルヴィン)「うむ………」
養母(ハンジ)「なぜ行かせたのですか?!」
養母(ハンジ)「継承の儀が始まってからあの子の身に立て続けに起こった厄を忘れたわけではないでしょうに」
養母(ハンジ)「やはり無理なんです。正当な血のつながりの無い者が、力を継承するなど………」
養父(エルヴィン)「血か……」
養父(エルヴィン)「そんなつながりなど無くても、実の娘のように思っていたものを……」
養母(ハンジ)「ええ。事実を思い出さずにはいられない。残酷すぎます……」
暗転。
ミーナ『継承の儀が、私と両親が赤の他人だと改めて証明することになるのはわかっていた』
ミーナ『血筋はそれほど大切なものなの?』
ミーナ『大切なものを無くした人は、どうすればいいの?』
ミーナ『………私は負けない』
ミーナ『力を受け継いで、もっと大切なものがあることを証明してみせる』
神社の奥に祠が見えた。
洞穴の奥に設置されたそこに一人、進んでいく那々美。
祠からは淡い光が漏れていて、何かがあるのが気配で分かる。
ミーナ「あれが護神刀“龍仙”?」
龍仙から光が放たれて、そして次の場面に変わると、那々美は地上に戻っていた。
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