律子「メガネの日」 (58)


P「あー。残業終わらないぞこれ……んあー!」ノビーッ

律子「口を動かす間も、手を動かせば少しは早く終わると思いますけど」カチャカチャ

P「ごもっとも……なー、律子?」

律子「はーい?」カチャカチャ

P「今日って何月何日だっけ?」

律子「私、ボケるのとか苦手って知ってますよね?」カチャカチャ

律子「それとも働き過ぎて脳がオーバーヒートしてるんですか?」カチャカチャ

律子「社畜アピール乙です」ッターン


P「その、1に対して10くらい返すの止めてよぉ……」

律子「それで、日付が何か重要なコトなんですか?」

P「あ、うん。今日が、何の日か知ってるか?」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1380553341


律子「初の五千円札が発行された日ですね」

P「えっ!?そうなの?」

律子「はい。1957年に。ちなみに表の人物画は聖徳太子の肖像が使用されました」

P「し、知らなかった……しかも即答とは……」

律子「一般常識ですよ?」

P「いや、俺……そのとき生まれて無いし」

律子「私だって生まれてないですよっ!!」バンッ

P「す、すまん……。しかし、五千円札の話じゃない」


律子「…………ガウガメラの戦いですか?」


P「えっ」

律子「えっ?」

P「……が、ガメラ?」


律子「ガ・ウ・ガ・メ・ラ!」


律子「アレクサンドロス三世率いるマケドニア軍がペルシア軍を打ち破った場所です」

律子「はぁ……そんなコトも知らないんですか?」

P「いやいや、さも一般常識みたいに言われても!?」


律子「ちなみに、このときペルシア軍の兵士は少なく見積もっても、ざっと十五万人!!」

律子「それに対し、マケドニア軍はたった五万にも満たない兵数で……」


律子「ペルシア軍を打ち破ったとされています!」グッ


P「いや、知らねぇよ!!!!なにそのガッツポーズ!?」

律子「圧倒的な戦力差にも関わらず……」

律子「マケドニア軍は大胆にして繊細な作戦を決行し!!」

律子「そして、その作戦が功を奏して勝利を呼び込んだんです!!!!」


律子「ま・さ・に!! 頭脳の勝利!!!!」ググッ

http://imefix.info/20130929/221037/rare.jpeg



P「だからガッツポーズやめなさい。ちなみに、いつの話?」

律子「紀元前331年の10月1日です」

P「………………」

律子「そしてさらに、このあと……」

P「いや、もうマケドニア軍の話は良いよ!!」

律子「なに言ってるんですか!このあと侵攻を続けるマケドニア軍が……」

P「その話が聞きたかったんじゃ無いのっ!!」

P「もう歴史ロマンは、お腹イッパイだから!!」


律子「そう……ですか…………」

律子「そうですよね……」シュン

律子「そんな、紀元前の歴史なんか……誰も興味無いですよね……」ズーン

P(椅子の上で三角座りしてる……)

P(きっと、この話になる度、拒まれて来たんだろうな)

P(力の限り、いじけてる……)

律子「別に……私だって……歴史に興味があるわけじゃ……ただ……」ブツブツ

P( 可哀想だし聞いてあげようかな……?)


P(…………いやいや違う!!)ブルブルッ

P(それは当初の目的を果たしてからだ!!)


P「律子! 十月一日は何の日だ? 律子なら必ず知っているはずだ!!」

律子「えっ……国際音楽の日?」

P「違う!! だけどその路線だ!!」

律子「法の日?」

P「もっと庶民的なやつは無いか!?」


律子「…………しょうゆの日?」


P「そんなのあるの!?」

律子「えぇ、割と最近に制定されましたね」

P「始まったな日本……っ! だが、違う!!」


律子「都民の日、日本酒の日、コーヒーの日……」

P「違う、違う、違うっ! もっと身近なもので!!」

律子「日本茶の日!!」

P「それは雪歩だ!(?)」


P「もっと律子っぽいやつだ! 律子と言えば!?」


律子「私と……言えば…………?」



律子「メガネ、の日…………?」


P「それだよチミィ!!!!」ビシッ


律子「!!!!!!?」


P「ついにやったな、律子…………」

P「律子なら、必ず正解に辿りついてくれるって信じてたぞっ!!」ガシッ


律子「プロ……デューサー、私っ…………」ウルッ

P「おめでとう、律子……!」

律子「はいっ!!!! ありがとうございますっ!!」

P「それにしても、よくそんなにすらすらと色んな記念日やらが出てきたもんだな」

律子「昔からなぜか、覚えるコトが好きだったもので……」


P「律子は勉強家だな。そういうとこ、素直に尊敬するよ」

律子「べっ、別に褒めたって何も出ませんからねっ!?////」

P「はっはっはっ」


律子「もうっ……あっ!」


P「……どうした?」

律子「い、いえっ、何でもありません……////」


P「…………?」

律子「そっ、それより!メガネの日がどうかしたんですか?」


P「いや……律子のメガネを、さ……?」


律子「…………メガネを?」



P「律子のメガネを油で揚げさせてくれ」



律子「 は ? 」


P「律子のメガネを油でキツネ色に揚げさせてくれ!」

律子「なに、馬鹿なことを……残業のしすぎで頭がおかしくなったんですか?」

P「律子のメガネをエビフライみたいに、こんがり揚げさせてくれ!」

律子「ちょっと、落ち着いて……」

P「小麦粉をまぶして溶き卵を付けてパン粉で包んで高温の油で揚げさせてくれ!!」

律子「ちゃんとした手順を踏んでますけど、そもそもの素材がおかしいでしょっ!?」

P「律子のメガネを揚げさせてくれ!!!!」

律子「イヤですよ!!!!」


P「案ずる無かれ!」

律子「?」


P「ちゃんとレンズは外すから!!」

律子「なに『安心しろ、急所は外しておいた……』みたいな言い方してるんですか!」

律子「そんな優しさ、いりません!!」

P「え? レンズ付けたまま揚げてイイってコト?」

律子「ダメに決まってるでしょう!?」

律子「そもそも、どうしてメガネを揚げたいだなんて……」

律子「そんな凶悪なコトを思い付くんですか!!!!」


P「おいおい、凶悪だなんて、人の願望を犯罪みたいに」

律子「いやいや、メガネユーザーからしたらギルティですよ!!!!」


P「えー。そんなに?」

律子「えぇ。プロデューサーもメガネをかければ分かりますよ!」

P「いや、俺……Pヘッドだから引っ掛けるところが無くてさ……」

律子「そう言えばそうでしたね」


P「だから、コンタクトなんだ」

律子「え? どこに、はめてるんですか?」

P「ここ」

律子「ホントだ……!!」


律子(────と、言うかそこが目なんだ。知らなかった)


P「律子?」

律子「あ、すいません。それで……なんでメガネを揚げたいんですか?」


P「いや、律子ってうちのメンバーの中で唯一のメガネキャラだろ?」

律子「人をキャラ付けでメガネをかけてるみたいに言わないでください!!」バンッ

P「す、すまん。もちろんメガネを外した律子も可愛いんだけどさ」

律子「────っ! なに言ってるんですかもうっ!!////」バシッバシッ

P「ははは」

律子「別にそんなこと言われてもメガネは揚げさせませんよ!?」バシッバシッバシッバシッ


P「ははは、こやつめ……ちょ……痛っ」

律子「私はそんな簡単に騙されたりしませんから!!」バシッバシッバシッバシッバシッバシッバシッバシッ

P「ちょ、そんなに片一方の腕ばっかり叩かれるとシオマネキみたいになるから!」

律子「みんなにもそんな風に言ってるの知ってるんですからねっ!?////」

バシッバシッバシッバシッバシッバシッバシッバシッバシッバシッバシッバシッバシッバシッバシッバシッ


P「ちょ、ちょっ……痛っ……律子そろそろマジやめて!!」ガシッ


律子「きゃっ! ちょっと、いきなり腕を掴まないで下さ────っ!?」

律子「どっ、どうしたんですかプロデューサーっ!?」

律子「なんで……なんで腕が……」


律子「 シ オ マ ネ キ み た い に ! ! ! ! 」


P「あー……うん…………。ちょっと、ね……」


P「せ、生理現象だから大丈夫……。すぐ治るから」


三分後。


律子(……ホントだ。すぐに治った……怖っ)


律子「……なんか、話が脱線しまくりですね。どこまで話しましたっけ?」

P「あぁ、律子と言えばメガネ。メガネと言えば律子だろ?」

律子「いや、そこまでメガネシェアは独占してないですけどね?」

P「いやまぁ、うちに限っての話な?」

律子「はあ」

P「そして……」


P「律子と言えばエビフライ…でしょ?」


律子「いや、そんな『私たちはずっと…でしょ?』みたいに言われても納得しませんよ!?」

律子「だいたい、それは……」


律子「アイドルをしてた時の話…でしょ?」


P「おや? お気に召しましたか? そのフレーズ」


律子「────っ!! べっ、別に、お気に召してません!!////」カーッ

P「またまた~」

律子「しつこいですってば! そっ、それで?」

P「んあー。それで……」


P「律子のメガネを揚げると、それはもう『律子』になるんじゃないかって」

律子「なるわけ無いでしょっ!!」バンッ

P「油で揚げたメガネは『律子』と呼んで良いんじゃないかって」

律子「私の要素を集めただけのものを、私と呼ぶのだけはやめて下さい!」

P「春香なんか、たったひとつの個性が本体のように扱われてる時があるじゃないか」

律子「それ、春香の前で言わないで下さいよ? 気にしてるんですから」

P「いや、でもTVで春香が着けてるリボンが次の日、急に売れたりするから」

P「リボンを作ってる会社からCMのオファーが来たりするんだぞ?」

P「存外、個性を馬鹿にしたり出来ない」


律子「いや、装着するだけの物を個性扱いされても……」

P「春香もファンからいっぱいリボン貰って喜んでるし」

律子「それはまあ」


P「だから、律子もさ」


P「メガネを揚げさせてくれないか?」


律子「結局そこに行き着くんですね……」

P「ダメか?」

律子「当たり前でしょ! 良いですか?」


律子「メガネは『かけるもの』であって揚げるものじゃないんですよ?」


P「そう、だよな……」シュン


律子「そっ、そんな悲しそうな顔されても困ります!」

律子(Pヘッドだから判断しかねるけど……)

律子(ガッカリしてる、気がする……うぅ……)


律子「はぁ…………。分かりました」

P「えっ?」

律子「揚げても良いですよ?」


P「ホントに……?」

律子「えぇ。どうせ、もうすぐ新調しようと思ってたし、良い機会です」


P「律子ぉ…………!!!!」パァアアアア


P「じゃ、じゃあ早速! 給湯室に!」グイグイ

律子「きゃっ!? ちょっ、仕事がまだっ……もうっ!」


~給湯室。


P「はい、と言うわけで準備完了です!」

律子(毎回思うけど、仕事は速いのよね。この人)


P「律P! 765分クッキング!」


~タララララタッタッタ♪

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律子「わっ、なんですか今の音楽!?」

P「雰囲気作りだ。気にするな!」


~今日の献立~

律子のメガネフライ


P「はい! と言うわけで……」


P「今日は『メガネの日』に因んで律子のメガネフライを作りたいと思います!」


律子「わぁー……」パチパチ

P「まずはメガネを……」

律子「はい」


P「メガネを……」チラッ

律子「…………?」


律子「あっ! そっか。はい、どうぞ」スッ

つ メガネ

P「これは外したてで新鮮なメガネですね~!」

律子「そりゃ、そーでしょ。いや、新鮮って言葉が正しい用法かどうかは解りませんが」


P「では、まずコレをこーして、セイっ!!」パキッ

P「このように、あらかじめレンズを外しておいて下さいね」

P「レンズを外す時は、相手の眼球を親指で潰すようにレンズを正面から押します」


律子「……さりげなく、怖い表現を織り交ぜないでください」


P「更にその際、フレームを曲げるようにしてあげると女性の方でも簡単に外せます」

律子「れっ、レンズを外すのは自己責任でお願いします!」

P「765プロは一切の責任を負いません!!」キリッ

※作者も一切の責任を負いません。


律子「それで、下ごしらえは終わりですか?」

P「はい! そして、これに小麦粉をまぶします」

P「今回は、鮮度の高いメガネを使っているので小麦粉のノリがいいですね」

律子(それって、皮脂や汗が付いてるからってこと……?)


P「そして、これを溶き卵の中にトプンっ!」

P「さらに、パン粉でコーティングしていきます!」

P「このとき、パン粉を多目につけてあげると完成品の見栄えが良くなりますよ」

P「最後に、これを180度の油で揚げて……」


P「………」


律子「……どうしたんですか? 早く揚げちゃいましょうよ?」

P「……いや、なんかさ。可哀想になってきて」

律子「はあ?この土壇場で何を……」


P「これって、言わば律子の分身だろ?」

律子「いや、そこまでのモノじゃ……」

P「寝食を共にし……」

律子「寝るときは外しますよ?」

P「ふたりで、かん難辛苦を乗り越え……」

律子「それはまあ」

P「死線をかいくぐった戦友みたいな……」

律子「確かに、徹夜の残業もありましたね」

P「律子にとって無くてはならない……そんな存在だろ?」


律子「…………」

律子「そう……ですね…………」ポロッ

律子「あれ…………?」ポロポロッ


P「律子……おまえ────」


律子「グスっ……んもうっ! プロデューサーのせいですよ?」

P「やっぱり、揚げるのは中止に────」

律子「いえ、どうぞ。ひと思いにやっちゃてください!」

P「律子……。後悔、しないか?」


律子「後悔しないって言ったら嘘になるかもしれません」


律子「だけど」


律子「いつか、サヨナラしなくちゃいけないものなんですよね」


律子「だから、それなら最後は……」


律子「プロデューサー殿の手で揚げてあげてください!!!!」


P「……分かった」


P「律子の気持ち確かに受け取ったぞっ!」


P「さらば律子っ!!!!」


じゅわぁあああああああ……


律子(これで……)

律子(これで良かったのよ……)

律子(プロデューサーに調理されるなら……)


律子(あの子も本望よね……きっと─────!)


律子(油に入れる瞬間、なぜメガネを私の名前で呼んだのかは謎だけど)

※専門家の指導を仰ぎ、取り組んでおります。素人の調理は、お控え下さい。


P「あははは、すっげぇ!! 見て見て律子!」グイグイ

律子「ちょっと……なんですか?」


P「くっ付いたイカリングみたい!」


律子「ふふっ。メガネが無いから私には見えませんよ」

律子(まったく。子供みたいにはしゃいじゃって)

律子(でも、この人のそういうトコ……)


P「よし。もう良い頃合だろう……よっ」サッ


律子「どんな感じですか?」

P「ばっちり! 良い揚がり具合だ!!」


メガネフライ(シュワシュワ……


律子「おめでとうございます!目的達成しましたね!」


P「…………」


律子「プロ……デューサー?」

P「あ、あのさ……律子」

律子「はい?」

P「この出来立てのメガネフライ……」


P「かけてみてくれないか?」


律子「………………は?」

P「律子がこのメガネをかけた姿を見たい!!」

律子「なんですか、そのバラエティの罰ゲームみたいなの!?」


P「メガネをかけて」

律子「私の持ち歌みたいに言わないで下さい!!」

P「だいたい、さっき律子も言ってたじゃないか」


P「メガネは『かけるもの』であって揚げるものじゃないんですよ?って!!」


律子「ぐっ……確かに言いましたけど、それは────」

P「じゃあ、かけて?」

律子「その……火傷の可能性とか考慮してないですよね?」

P「大丈夫だよ、コメディだから」

律子「なんですかコメディって?」

P「まぁ、もし火傷したら出来る限りの責任は取るつもりだ」


律子「────っ!?」

律子「分かりました! 絶対火傷してみせます!」

P「なんで!? 火傷したいの?」

律子「あ、早くしないと冷めちゃって火傷出来なくなりますよね?」

P「俺の話し聞いて!?」


律子「じゃあ……ぱぱっと、いきますね?」ゴクリ

P「え、ああ……頼む……っ」ゴクリッ


律子「おかえり! 私のメガネっ!!」


P「!!!!!!」

律子「あっ────」


律子「────つうぅ!!い゛っあ゛っちゃっ!!あ゛ぁあ゛あ゛あ゛ああっちゃ!!」

律子「コレ……っ!! ダメっ!!」ゴロゴロ


メガネフライ(カランカラン……


P「だ……大丈夫か…………?」

律子「大丈夫なわけないでしょ!!冷や汗と油で顔面ギトギトですよっ!!」

P「コレ、タオル……」スッ

律子「あ、ありがとうございます」フキフキ

P(律子の顔、油でワクワクテカカしてる)


律子「これで、満足ですか……?」

P「あ、あぁ……」

律子「ふう。そもそも、なんでこんなコトに……」ブツブツ

P「そっ、それなんだけど……り、り、り、律子っ……さんっ!!」

律子「はっ、はい!? なんですか、突然かしこまっちゃって」

P「これ……受け取ってくれませんかっ!?」パカッ

律子「メガネが無いんで、よく見えないんですけど……って─────!?」


律子(こ、こ、このシチュエーションって、もしかしてっ!?)

律子(ぷっ、プロポーズ───────っ!?)


P「そんなに高いものじゃないけど、受け取ってくれ!」

律子(えっ、どうしよう─────)


P「新しいメガネ」


律子「 メ ガ ネ か い っ ! ! 」スッパーン


律子「いや、勘違いした私も悪いし、この話の流れなら当然の結果ですけど!!」

律子「あんな風に言われたら……誰だって……っ!////」


P「…………?」


律子(期待……しちゃうじゃないですか。もうっ!)


P「これ、律子にかけて良いか……?」

律子「え……あ、はい! じゃあ、おっ、お願いします……」ドキドキ

律子「でも、これレンズの度とか大丈夫なんですか?」

P「いつか一緒に行った律子御用達のメガネ屋で作って貰ったから大丈夫だと思う」


律子「本当だ。ぴったりで……ん? レンズに、値札か何か付いて─────?」



律子「────これっ、指輪……っ!?」


P「結婚しよう!」


律子「!!!!!!」

律子「こ、こんなの貰えませんっ!!」


P「そっ、そうだよな……」

P「じゃあ、メガネだけでも─────」


律子「あっ、そういう意味じゃ無いんです!!」

P「えっ?」


律子「今日は何の日か知ってますか?」

P「メガネの、日…………?」

律子「それ以外にもまだあるんです」


P「……しょうゆの日?」

律子「違います!」


P「あとはえ~っと……」

律子「さっき私が挙げていった記念日以外にも、まだあるんです」


律子「ヒントは、プロデューサーが身に着けてるもの」

P「俺が身に着けてるもの? コンタクト?」

律子「違います」

P「スーツ、靴、時計?」

律子「ぶっぶー! 全部違います」


P「わかった! Pヘッド!?」


律子「違いますっ! というかソレ、取り外せるんですか!?」

P「ん、まぁ」


律子「知らなかった……いや、プロデューサーの顔なんかどうでもいいんです!」

P「どうでもいいっ!?」ガーン


律子「ご、誤解です! じゃなくて、まだ分からないんですか? その胸の────」ビシッ


P「胸……おっぱい?」

律子「違いますってば!!」


律子「ネ・ク・タ・イ! 今日はネクタイの日なんです!」

P「ネクタイの日? そんなのもあるのか」

律子「だからこれ……私からのプレゼント、どうぞっ!」ガサッ

P「ネクタイか……ありがとう律子。大事にするよ」ウルッ


P「だからさっき『何も出ないですよ』って言ったあとに『あっ』て……」

律子「そ、そういうのは気付いても黙っててあげるのが優しさだと思うんですけど?」

P「ははは。すまんすまん」


律子「あっ……もしかして」

律子「プロデューサーも、これがしたくてメガネを揚げさせろって言ったんですか?」

P「うん、まぁ」

P「普通にメガネをプレゼントしても律子は受け取ってくれないかなって」

P「あと、そう言うのは気付いても黙ってて欲しいかなーって」


P「で、まぁ、ついでにプロポーズしてしまえ、と……」


律子「ついでに……?」ピクッ

P「あっ、いや今のはモノの例えだ! 何かきっかけが欲しかったんだよ」

律子「だいたい、ずるいですよ。ふたつも用意してるなんて」


律子「指輪だけなら迷わず受け取ったのに……」

P「え?」


律子「だから……はいっ! 私からのプロポーズのお返しです!」グイッ

P「ちょっ、律子!? なんで目を閉じて顔を突き出すの!?」アセッ


律子「もうっ。ちゃんと……女の子の気持ちキャッチしてくださいよ!////」


P「それって……つまり……良いの?」

律子「今、私からアナタにあげられるものは私の唇くらいしか無いので……/////」


律子「しっ、仕方なくですっ!もうっ!//////」



P「律子……」


律子「……………………ん」


その日、初めて彼の素顔を見た。
男は顔じゃない。なんて思ってたけど。

わりと……いや、かなり好みの顔つきで安心した─────。

りっちゃんのメガネってメタルなん?セルなら揚げるときに溶けそうだが
でも外し方見てるとセルなのか?まぁセルならもっと簡単にレンズ外せるけど


一年後。


P「─────いや~、それにしても、まさか今日とはな……」

律子「ふふっ♪ ほんと、そうですね」

P「頑張ったな、律子」


律子「そりゃ、アナタとの子供ですもの。頑張りますよ♪」

P「結婚式……延期になっちゃたな。すまん」


律子「別に、気にしませんよ」

律子「なんならパパっと、もう二人くらい作っちゃいます?」

律子「それで、落ち着いてから結婚式って手もありますね!」キラッ


P「おっ、おい!仕事の都合もあるから……」

律子「あはは。大丈夫ですよ?」

律子「だって、私─────」



律子「─────二束のわらじには慣れてますから♪」



あの日、あげたネクタイは大切にしてくれてるみたい。

あの日、揚げたメガネはふたりの思い出としてメガネケースの中に仕舞ってある。


私もたくさんのモノをお返しに貰った。

新しいメガネ、新しい生活。

赤ちゃん。

そして、いっぱいいっぱいの、アナタの愛。


─────私のメガネ好き? 嫌い?


少なくとも、私はメガネがもっと好きになった。

今、私が幸せなのは。

『メガネの日』があった、おかげなのだから。



           おしまい────。



http://imefix.info/20130929/91039/rare.jpeg

以上で投下終了です。

ここまで、見て頂いた方、ありがとうございました。
共犯者の絵師様も、ありがとうございました。


りっちゃんはかわいいなぁ

乙乙
りっちゃんはメガミだなあ

律子の可愛さが十二分に発揮されてたなぁ

最初ギャグ路線かと思ったけどなんと…
筆者も絵師さんも乙です、律子分補給できました

律子のメガネはオーバルのメタルフレームだった気もする

こういうりっちゃんを待ってた
乙です

二人とも乙だぞ!

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