P「私たちには新地開拓は必要かなーって」 (30)

律子「は?」

P「私たちには新地開拓は必要かなーって!はいたー…」

律子「不愉快ですからやめてもらえません?」

P「うっうー…(落胆)」

思うんだがやよいの「うっうー!」を所かまわず使ってるSSが最近多いのが非常に気になる
あれは確かにやよいの口癖ではあるがめったやたらに使うものではないはずだ
例えるならば通常の人間がうれしさのあまり「ヒャッホウ!」っといってしまうような興奮状態
「うっうー!」はそうしたレベルでようやくやよいの口から飛び出すことを許された神からの啓示であると言えよう
普通の人間は挨拶代わりに「ヒャッホウ!」と言うだろうか? やよいも同じだ
もちろん元気っこなので気持ちの高まりも人一倍なのかもしれないが
ちょっとがっかりしてしまったときに「うっうー…」なんて言っているのを見かけてしまうと非常に残念でならない
落ち込んだときに「ヒャッホウ…」という人間に君が出会ったことがあると言うのなら話は別だがな

律子「新地開拓ってどういうことですか?辞書には載っていないようですけど…」ピラピラ

P「この際、新規開拓と言ってもいいさ」

P「新しいことをアイドルにさせてみようかなーって」

律子「面白そうですね。どういう案があるか聞きましょう」


ピロリロリロ


P「あ、もう終業時間か。もういいや帰るわ」

律子「えっ」

P「この話を始めるとながくなりそうだしぼくかえる」

律子「ちょっと!」

呼び止めたのに、素早く荷物をまとめて足早で事務所を出て行かれてしまった。
彼は本当にアイドルに何か新しいことをさせたいのかしら?
しょうがなく自分だけで話を進めておこうと思い、
今は帰宅して、明日話し合うために自分なりのアイディアをタイピングしているところ。
えっと、この売り出し方をさせたいのはどの子だったかしら。
仕事の疲れがあるし、パソコンのモニターを見続けているせいで目がショボショボする。
頭の中にあることをキーボードに打ち込むだけの作業もままならなくなってきた。
一旦リラックスしようと目と目の間を摘みながら体を後ろに倒したとき、
背中が椅子の背もたれに当たる感触を感じることなく睡魔にスッと引き込まれてしまった。

律子「いけない、眠っていた…今、何時?」


律子(うたた寝だったのになんでベットの上で起きたんだろう…)


…………


律子「あれ…ここどこ…」

律子「とりあえず、携帯でどこかを調べ…あれ?あれ?」


いつも肌身離さず持っている携帯電話がない。
周囲を見渡しても薄暗いし、近くにはベッド以外の物がない。
混乱していると、遠くから何かが聞こえてくる。


??「探し物はなんですくぁ、見つけにくい物ですか♪」


歌声は聞こえてきただけではなく、近づいてきていることが分かった。

??「すぉれより僕と踊りませんかぁ」

??「夢の中へ夢の中へ♪」


誰かが歌で状況を説明してくれたようだ。
多分、夢の中なんだろう。


律子「この声と歌は…なんだ真美だったのね…え?」

亜美「んっふっふ~♪」

律子「亜美なの…」

亜美「ようこそ律ちゃん!…in ワンダーランドー!」

律子「ごめん、やらなきゃいけないことあるから帰して」

「ようこそ」と歓迎したからには何かに巻き込むつもりなんだろう。
だからベッドから降りるのを嫌がっていたけど、結局引きずり下ろされてしまった。
亜美に手を引っ張られながら薄暗い中を歩いていると天井から紐が垂れているのが見える。


律子「暗いのによくどこを歩けばいいとか分かるわね」

亜美「でも、この部屋は暗いと足元とか危ないかんね。
   この紐が電気のスイッチなんだよー」グイッ

すると、たちまち明るくなり、窓がなければベッド以外何も置いていない殺風景な部屋にいることが分かった。
が、亜美が立っている場所の床がパカッと開いて直立不動のまま落ちていった。
もう何がなんだか分からない。
不思議なことだが部屋には電灯がないけど、明るくなったおかげで向こうにはドアが見える。
亜美はあそこから出るつもりだったんだろう。
ふと思いついたことだが、夢の中で寝てみたら起きられるかもしれない。
それを実行しようと思い、踵を返してベッドへ向かおうとしたときだった。


亜美「りーいっちゅわあん…逃がさないよぉ…」


私は亜美に足首を掴まれ、引きずり込まれてしまった。

律子「あなたには新地開拓をしてもらうわ」

伊織「…シンチカイタク?」

律子「ちょっと財布を出してもらえないかしら?」

伊織「な、なんでよ」

律子「亜美ヤッチマイナー」

亜美「イエッサ→!」

伊織「やっ、やめ」

伊織「私の財布に何をするつもりよ!?」ハァハァ

律子「ブラックカードをー…」

ペキャッ

伊織「あー!」

律子「それと中学生がお札をこんなに持っているのは贅沢ね。没収」

律子「残ったお金はこの財布に移しておくわ。こっちの高そうな財布を質屋に行かれたりでもしたら台無し。
    あとこの書類に目を通して、住所が書いてある部屋に行ってちょうだい」

律子「では本日より『いおりん一ヶ月庶民生活』スタート!」

伊織「はああああぁぁぁぁ!?」

それからというもの伊織は庶民生活に奮闘した。
グルメ番組を自粛しながらやよいと一緒にセールで格闘し、不慣れな自炊に挑戦する。
収録の帰りは貴音が確保した余ったロケ弁を強奪する日々が続き…
充実しているようにも見えた庶民生活は残り1週間ッ!
根っからのお嬢様である伊織の精神状態は…

伊織「」チーン

伊織「ただいまー」

伊織「…一人部屋を用意されたから当然誰もいないわよね」

伊織「今日はロケ弁持って帰れたんだったわ…食べなきゃ…」

伊織「」パクパク…

伊織「だけど余り物食べて幸せよ…♪」パクパク

伊織「」パクパク…

伊織「ハッ!今すごく楽しいことを考えていた気がする!」

伊織「なんだったっけなんだっけ!思い出せ!明日への活力になれ!」

伊織「うーん………あ、思い出した!」

伊織(奮発して亜美たちと一緒に期間限定マックを食べに行ったこと…!)

伊織(こんな貧乏くさい思い出をすごく楽しいと思ってしまった自分がイヤー!!)ジダバタ

~最終日~

律子「随分やつれたわね。でも今日が最終日よ、胸を張りなさい」

伊織「言われなくても堂々とタイムアップの瞬間を迎えてやるわ」

3、2、1、イオリンオメデトー!!!

―――――――――――――――――――――――――――
  水 瀬 伊 織  一 ヶ 月 庶 民 生 活 達 成 !!
―――――――――――――――――――――――――――



スタッフ「では『水瀬伊織 100の薬で体張りM@S』開始しまーす!」

律子「さっ、すぐに次の仕事よ。今度は体を張って薬の効能を紹介するの」

伊織「へ?」

律子「ホラホラ、カメラはずっとまわったままだから気を抜かない」

伊織「え?え?なんなの?」

律子「えーと、まずはラシックスね。これを飲んだら高速道路で移動してもらうわ。
    一発目だからスタドリを飲む感じでグイっといっちゃいなさい」

伊織「こんな得体の知れないものを飲むなんていやよ!」バシッ

律子「あ、落ちちゃったじゃない…しょうがないわね。これは後で飲ませることにしてそのときは夜行バスで移動させるわ」

伊織「な、何を言っているの…」

律子「次はミクロゲンパスタ。伊織、オデコ出しなさい」グイッ

伊織「ちょ、やめ、ほんとにやめ」

律子「チッ!暴れられたせいで眉間に塗ってしまったわ」

伊織「うきゃー!よくもワケわかんないものを塗ってくれたわねー!」


~~~~~~~~~~~~~~

律子「うぅ…寝てたのか。そしてはぁ…起きたら朝…それにしても酷い夢ね」

律子「自分でそんな夢を見ておいてなんだけどあんな伊織は見たくなかったわ。
    今日は伊織に優しくしておこうかしら」

~765プロ~

律子「うーん……変な夢を見たせいでよく疲れが取れなかった…」

律子「うなされながら寝ていたようだけど起きたらすぐに出勤しないといけない時間だったし」

律子「はぁ…なんだか辛いわ…」

ガチャ

律子「おはようございます」

響「はいさーい、律子!」

貴音「おはようございます。朝から既に英気がないようで」

律子「だ、大丈夫よ…快眠できなかっただけだから」

響「律子。自分な、ちょっと相談があるんだ。
  テレビでは動物の相手したり、無理難題押し付けられたりすることが多すぎる気がして…」

律子「たしかに売れ始めてからそういう心配はあったわ。でも響、私はね…」

響「ち、違うんだ!楽しかったんだ!本当に本当なんだぞ!
  エベレストを登ることになるとは思わなかったけど滅多にできない経験だし、
  野性のコモドオオトカゲと競争すると聞かされたときは緊張したけど
  最後はコモ香とは仲良くなれたし、それに、それにな…」

律子「はいはい分かっている、はいさい分かっているから」

律子「コモ香が人に懐いたせいで近くの村をうろつくようになり
   村民が怖がっているという苦情が当国から入ったのも分かっているわ」

響「………」

律子「………」

律子「ま…ま、まぁ少しは考えてみるから」

律子「男前なことをやってみたらどうかしら」

響「男前なこと…?」

律子(安直だけど響はダンスが得意だから真のようにしてみようかなーって)

響「わ、分かったさー…ちょっと貴音ぇ、ピザって10回言ってみて」

貴音「私がですか?はて、なぜそのようなことを…」

響「いいからいいから!」

貴音「ぴざぴざぴざぴざぴざぴざ…」

響「じゃあ今、貴音が一番食べたい物は!?」

貴音「らぁめん!」


チワーラーメンオトドケニアガリアシター


響「ほら、貴音が今一番食べたい物がきたぞ」ドヤァ

律子・貴音「面妖な!」

貴音「」ズルズル

律子(いつ見ても美味しそうに食べるわね…)

貴音「」ズルズル

律子(1杯だけでももらいたい…)

律子「注文した響も響だけど10杯は食べすぎよ」

貴音「」ズルズル

律子「貴音のためを思って言っているのに。……太るわね」

貴音「」ピタッ

律子「体型が崩れてしまったアイドルはどうなってしまうんでしょうねぇ…」

響「律子!貴音は太る体質なら既に太っていてもおかしくないだろ!」

貴音「」プルプル

律子「えーと、響や私との体重差は何キロだったっけ…」

響「背が高いなら自然と体重も増えるだろいい加減にしろ!」

律子(ラーメン食べたい)

響「貴音、少しの間じっとしているんだぞ」スクッ

貴音「一体なにを…」

グイッ!

律子「で、出たー!お姫様抱っこ!行動で証明なんてワイルド!」

響「ほ、ほら重く…ない」プルプル

律子「そしてジェントル!」

貴音「ひ、響…あなたという人は…」ホワーン

~5分後~

貴音「まこと夢のように心地が良いです」ウットリ

律子「そろそろ下ろしてもいいんじゃない?
   もう足が家庭科の糸を通すアレみたいになったままプルプルしているんだけど…」

響「重くないから…全然重くないから…ちなみに家庭科のアレはスレイダーって言うんだぞ…」

律子「涙目になってまで教えてくれなくていいから」


ガチャ


真美「おっはろ→!あれれー、ひびきんがお姫様抱っこならぬお姫ちん抱っこしてる!」

真「わー、いいなー憧れちゃうなぁ」


ワタシモシテモラオウカシラ ワ、ワタシモシテモライタイナンテ…ナンデモナイワヨ イイエダピヨー キャーワイルドノキミサイコー

響「はぁー…数日は筋肉痛が取れないかも」ズルズル

律子「お疲れ様。でもあのときの響ってとっても男前だったんだから」ズルズル

響「貴音は今のままがキレイで一番だし、あのときはああするしかないと思ったんだ。
  でも、ラーメンを分けてもらいたいからってああいういじり方はよくないぞ!」

律子「はい、すみませんでした」ズルズル

響「忘れていたけど男前といえばお手本がいるような…あ、いいやあういう風になりたくないし」ズルズル

律子「んー今日はあとアポとミーティングだけねー」ズルズル

伊織「あら、律子がラーメンを食べているのは珍しいわね」

律子「そうかしら?このラーメン伊織のためにとっておいたんだけど一緒に食べないかしら?」



TV<ドコドコデナンタラカンタラ


伊織「まったく!いつ犯罪のニュースを見ても犯人は男ばかりね」ズルズル

律子「あら?でも、応援してくれるのは男の人が多いのよ」ズルズル

ガチャキィー…


??「そうだよ、伊織ちゃん。それに男というものはね…ワガママだったから技術や資本を成長させていったんだよ」ドヤァ

伊織「………食欲が失せたわ。少しの間席を外してくるから」

律子「え?ラーメンを残したままよ!」

??「じゃあ麺が伸びてしまうと勿体無いので僕がいただいちゃいますね」ズルズル

律子「ど、どうぞ」

律子「たしかに男の人が行動を起こすから何かを作り上げるというのは一理あるわね。ところで…」ズルズル

律子「う-ん…どうして雪歩は男装しているの?」ズルズル

雪歩「あれ?律子さんには話していませんでしたか」ズルズル

律子「うん、理由が気になってしょうがないわ」ズルズル

雪歩「では」スッ

律子「は?」

雪歩「握手ですよ、握手。日本男子たるもの握手をすれば心に訴えかけることもできます」

律子「は、はぁ…」ガシッ

雪歩(男の人が苦手なダメダメな私…でも苦手なものの気持ちが分かれば…
   苦手なら男の人になってしまえば苦手じゃなくなるはずです!)

律子(この子…!脳内に!)

律子「それだけの説明なら普通に話した方が早いんじゃないですかねぇ…」

ガチャッ

真「たっだいまー!律子たちがラーメン食べているのを見て
  ラーメン食べたくなったからコンビニで買っちゃったよー」

雪歩「ハッ!師匠!」ドゲザー

真「ヒィッ!?」

律子「な、なるほどね。伊織も煙たがるはずだわ」

真「助けてよぉ…律子ぉ…」

律子「えーっと…雪歩?犬はまだ苦手なの?」

雪歩「男らしくない弱点ですが、犬はまだ克服できていません」

律子「じゃあ今度は犬の気持ちを理解してみない?」

雪歩「!?」


この後何があったか。もはや何も言うまい。

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