荒木比奈「仕事してる筈のプロデューサーがイベント会場にいる」 (25)

※ご注意です※
キャラ崩壊気味です



---お盆前、事務所にて



春菜「ただいま戻りました!」

比奈「ただいま戻ったッス」

モバP(以下P)「おお、春菜、比奈、お帰り。暑かっただろ?」

比奈「はい…レッスン終わりにシャワーを浴びたんスけど、ここに来るまででまた汗をかいちゃったッス…」

春菜「眼鏡に汗がついたのがもう気になって気になって」

P「はは、そりゃ災難だったな。ほれ、タオル。ここはクーラー効いてるから、ゆっくりしていきな」

比奈「お言葉に甘えるッス!」

春菜「タオル……? メガネ拭きなら常備してますよ?」

P「汗を拭けっつってんだよ」

春菜「ふふ、冗談です。今日この後は特に用事も無いですから、思う存分涼んでいきましょうか」

P(冗談に聞こえなかった…)

比奈(冗談だと思わなかったッス…)

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P「涼むのは全然良いけど、あまり遅くならないうちに帰れよ。今日からちひろさん、夏休みだから」

春菜「そういえば、ちひろさん居ませんね」

P「うちの事務所は休みの日にちは自由に決めれるんだよ。ちひろさんはなぜかお盆前に休みを集中させてるみたいだったな」

比奈「へー、旅行にでも行くんスかね」

P「まったく羨ましい限りだよ。今頃どっかでイケメンと旅行でも行ってやがるんだあの黄緑は」

春菜「ちひろさん、彼氏いらっしゃるんですか!?」

比奈「そんな話、聞いたことないッスけど…」

P「いーや、いるに違いない。ちひろさんモテモテだからな」

P「昨日帰る時もなんかやけに急いでたし、上野発の夜行列車にでも乗って北に旅行に行ってるんだ、きっと」

春菜「また渋い歌を…」

比奈「…プロデューサー、そのときのちひろさん、なんか普段と変わった事なかったッスか?」

P「え? 特には…ああ、でも、最近やたらしゅがはと一緒に居るのを見るな。休憩室で裁縫セット広げてる事もあるし、手芸でも教わってるのかな」

比奈(この時期に裁縫…お盆前に休みを集中…ちひろさんの趣味はコスプレ……なるほど……)

P「? どうかしたか?」

比奈「いや、何でもないッス」

比奈「そういえば、プロデューサーはお盆休みどっか行くんスか?」

P「…こんだけの人数をプロデュースしてて、俺に休みがあると思うか?」

春菜「えっ、まさかお休み、取られないんですか!?」

P「たりめーよ。お前らのプロデュースしてたら休みなんか取れるかってんだ」

比奈「取れなかったんスか…?」

P「ああ、俺が休みを取る、イコール、皆が活躍できる瞬間が減っちまうってことだからな」

P「休んでても、皆の顔が浮かんできちまう…。そうしたら、おちおち休んでなんて居られねえ」

P「フッ」スチャッ(グラサン装着)



P「プロデューサーってのは、そういう"イキモノ"なんだよ…」

比奈(何かハードボイルド風にカッコつけてる…)

春菜「わ、私達のために…! くぅっ! 感動の涙を拭くために眼鏡を外さざるを得ません…!」

比奈(グラサン効果で一人釣れてるッス…)

P「ちなみに、お盆に俺に何か用だった?」

比奈「ああいえ、いつもの夏の祭典があるんで、プロデューサーも暇なら来ないかな~と思っただけで」



P「…………」



比奈(え、何スかこの間)



P「…ああ、前に連れてって貰ったイベントだよな?」

P「一緒に行ってやりたいところだが、ごめんな。今度なにか埋め合わせするから」

比奈「い、いやいや! 繰り返しになるッスけど、お仕事ならしょーがないッス! 全然、気にしないでください!」

P「…ごめんな」

比奈「こ、こちらこそ、気にさせて申し訳ないッス…」

春菜「私も興味あるにはあるんですが、お盆休みには静岡の実家に帰省する予定なので…お付き合いできずごめんなさい、比奈ちゃん」

比奈「春菜ちゃんも気にしないでほしいッス。というか、未成年に見せちゃいけないモノも多々あるので、そのへんはむしろ良かったかもしれないッス…」

春菜「未成年に見せちゃいけないものって、まさか丸メガネとスクエアメガネの禁断の恋の物語とか…!?」

比奈「あー、どうスかね、メガネ男子モノはあるとは思うッスけど」

春菜「え? メガネ同士の恋ですけど?」

比奈「それは流石に無いと思うッス」

P「あんまり身バレしないようにな」

比奈「そのあたりは色々手を打ってるんで、大丈夫ッス」

P「変装してても、声とかでバレることもあるからな、窮屈な思いをさせて申し訳ないけど、頼むぞ」

比奈「大丈夫ッス。晶葉ちゃん謹製の蝶ネクタイ型ボイスチェンジャーで二日酔いのウサミンみたいな声が出せるんで、声でバレる心配も無用ッス」スチャッ

春菜「どう見てもコ◯ンくんですが大丈夫ですかね?」

P「どうして17歳の二日酔い声を知ってるのか、俺には皆目検討もつかない」



P「まあ、バレないように手を打ってるなら良いんだが、それでも気をつけてな。暑くなるみたいだから」

比奈「はい、ありがとうございまス」



比奈(まあでも、なんかふざけた調子だったけど)

比奈(アタシらがあんまり気負わないようにしてくれただけで、休み返上でお仕事取ってきてくれてるんですよね)

比奈(本当に感謝しなきゃッスねー…)

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---8月某日、某展示場



参加者A「新刊セット一部ください」

変装した比奈「ありがとうございます。こちらになります」

参加者A「ありがとうございます」

参加者B「新刊セット二部ください」

比奈「はい、ありがとうございます! こちら二部です」

参加者C「スケブ受け付けてますか?」

比奈「あーすみません、スケブはもう受付いっぱいで…」

参加者C「そうですか…では新刊一部お願いします」

比奈「はい、ありがとうございます」



比奈「ふーっ、一息ついた。暑いッス…!」

変装した由里子「おつかれセンセ。これ差し入れだじぇ」

比奈「おー、来てたんスね。差し入れありがたいッス!」

由里子「台風逸れてほーんとよかったじぇ。売れ行きは順調?」

比奈「はい。会場分はだいたい頒布できたッス」

由里子「そりゃすごいじぇ! 委託するの?」

比奈「もう委託申請してて、後は回収所に持っていくだけッス」

比奈「で、委託分を持っていく間、少しスペースを空けなきゃいけないんだけど…」

由里子「留守番なら任せて! 価格表ある?」

比奈「ああ、このスマホのアプリに全部あって…」

由里子「ふんふん、新刊単品がこれで、セットがこれね。だいたいわかったじぇ!」

比奈「じゃ、申し訳ないッスけど、ちょっと留守番頼みますね」

由里子「行ってらっしゃいだじぇ!」



比奈(いやー、助かったッス)

比奈(両隣のサークルさんを疑う訳じゃないけど、知り合いがお金を見ててくれるのはほんとに安心できるッス)

比奈(さて、さっさと回収所に在庫を持っていこう)

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---書店、委託回収所



書店スタッフ「こちらのダンボールでよろしいですかー」

比奈「はい、お願いします」

書店スタッフ「はい、ではお預かりしますー。エナドリどうぞ」

比奈「あ、ありがとうございます」

比奈(何でか分からんスけど、エナドリ貰ったッス…)



比奈(さーて、やるべきことはやったッス。スペースに戻ろ…)ドンッ

??「おっと!」

比奈「あうっ!」

??「すみません! 大丈夫ですか?」

比奈「ああいや、こちらこそすみません、よそ見してました」

??「お怪我がなければよか……ん? その深酒した後のウサミンみたいな声は…」

比奈「えっ? というか、あなた…」



比奈「プロデューサーッスか……?」

変装したP「ひ、比奈……?」

比奈「やっぱり、プロデューサーッスよね!? どうしてここに…?」

P「…………ゲフン」

P「人違いじゃないでしょうか? では私はこれで」(裏声)

比奈「ちょちょちょ! 待つッス!」ガシッ

P「ちょっと、人違いですから、離してください」

比奈「プロデューサー、お盆はアタシ達の為に休み返上して仕事行くとか言ってましたよね。何でこんなとこ居るんスか」

P「プロデューサー…? どなたのことでしょう? 私には皆目検討も付きません」

比奈「しらばっくれても無駄ッス。さっき『比奈…?』って言いましたよね」

P「それは、あなたがアイドルの荒木比奈さんに似ていたからですよ。でもよく見たら違ったようです。失礼しました」

比奈「完璧に変装してるのに、アタシだって気付くのプロデューサーぐらいッス!」

P「えーと…声、声が荒木比奈さんに似てて…」

比奈「誰がどう聞いても喉が焼けたウサミン声の筈ッス! 往生際が悪いッスよ!」



P「……はぁ」



P「こんだけ人数居て、たまたまぶつかった相手が担当アイドルってどういう確率だよ……」

比奈「いや、こっちのセリフッス…」

比奈「つーか、最初の質問に戻るッス!」

P「ギクッ」

比奈「プロデューサー、『俺にはお前たちが~』とか、『一緒には行けないや~』とか、ペラペラペラペラ都合の良いテキトーなことを言ってましたけど」

P「都合の良いテキトーなことって、まぁ事実だからしょうがないけど」

比奈「来てるじゃないッスか普通に! アタシの感動返せッス!」

P「返すもくそも、比奈は春菜みたいに感動してくれてなかったじゃないか」

比奈「そりゃあの三文芝居は、何やってんだろこのオッサン、と思いながら見てましたよ」

P「オッサン言うな! まだアラサーじゃい!」

比奈「でも、『アタシ達の為にお盆休み返上は申し訳ないなー、なんかお礼しなきゃなー』って思ってたんスよ!?」

比奈「アタシの感謝の気持ち返して欲しいッス!」

P「悪かったよ…ただ、仕事してる事にするのが一番、隠密行動するにはちょうど良かったんだよ…」

比奈「そう、そこにも言いたいことがあるッス!」

比奈「なんで来るの隠すんスか! しかもそのリストバンドの色! サークル参加でスよね!」

P「流石に同じ色してたらバレるか…」

比奈「ここに居るってことは、書店委託もしてるんじゃないでスか?」

P「さあ、どうだろうね」

比奈「…プロデューサー、ひょっとしてアタシが誘う前から、結構何度も参加してるんじゃないスか…?」

P「…バレないようにしてたんだけどな…」

比奈「で、教えてくださいよ」

P「はい?」

比奈「何出してるか! 教えてほしいッス!」

P「教えない」

比奈「教えてください」

P「断る」

比奈「なんでッスか!」

P「恥ずかしいからだ!」

比奈「アタシのはアイドル活動の傍ら創作を続けるにあたって把握しときたい、って全部把握してる癖に!」

P「それは必要だったからそうしただけですぅー! 俺の個人的な好奇心で教えてもらった訳じゃないですぅー!」

比奈「大人げないッスよプロデューサー! 白状するッス! いずれバレるッスよ!」

P「やなこった! 俺の姿を見られてしまったことは想定外だったが、サークルスペースさえバレなきゃ再び身を隠すことができる!」

P「お前に俺を追うことはできん! さらばだ比奈ァ!」サッ

比奈「あっ! 待つッス! ……って、もう人混みに紛れて見えなくなっちゃった……」

---少し後、閉会直前



比奈(…結局、あの後プロデューサーは見失ってしまった)

比奈(全く、水臭い話ッス。創作してるならアタシにも教えてくれても良かったのに)

比奈(まあ…身内に知られるのは恥ずかしいって気持ちは分からなくもないッスけど…)



比奈「さて、撤収準備も済んだし、ゴミを捨てて帰るッスかね…」

比奈「ゴミ収集エリアは…あっちッスね」



比奈(………ん?)

比奈(あれは…)



P「ゴミお願いしまーす」

収集員「燃えるごみこちらでーす」



比奈(居たッス……!!)

比奈(二度も出くわすなんて、オタクはオタクと引かれ合うんスねぇ…)

比奈(向こうはまだこちらに気付いてない)

比奈(このまま着いていけば…プロデューサーさんのサークルスペースが分かるッス…!)コソコソ



P「よし、忘れ物無いな、帰るか…」スタスタ



比奈(…………)

比奈(やめときまスか…)

比奈(知られたくなものを知ろうとするのは、褒められた事じゃないッスよね)

比奈(帰ろう…)

---------

------

---

---後日、事務所



ガチャッ

比奈「プロデューサー、おはようございまス」

P「おー、比奈、おはよう」

春菜「おはようございます、比奈ちゃん」

比奈「春菜ちゃんもおはようッス。どうでした? 静岡の実家は」

春菜「いやー静岡も暑かったですよ! 夏用メガネがなければ耐えられなかったかもしれません!」

比奈「夏用メガネ…とは…?」

P「ちょっとおしゃれな響きだな。夏用メガネ」

春菜「メガネなのですからおしゃれに決まってるでしょう!」

比奈+P「アッハイ」



春菜「ところでプロデューサーさんは、やっぱりお休み無しで頑張られていたのですか…?」

P「え、そりゃもち…」

比奈「…………」ジー

P「…ゲフン! あんまり根詰めてもしょうがないからな。ちゃんとリフレッシュ休暇を取らせて貰ったよ」

春菜「それは何よりです! この暑さで無理しては体力が持ちませんよ!」

P「あ、ああ、そうだな…」

春菜「さあ、静岡のお土産でお茶菓子と眼鏡がありますから、一息付きましょう! プロデューサーさん!」

P「あ、ああ…、じゃあ、休憩にしようか」

春菜「はい! では、冷たい麦茶を淹れてきますね!」



ガチャッ バタン

比奈「……よう白々しい事言いますね」

P「て、訂正したからセーフだよ」

比奈「ところでプロデューサー、冬は出るんスか」

P「ぶっちゃけ分からんな…仕事が忙しいのは本当だし、準備の時間が取れるかどうか…」

比奈「じゃ、じゃあなんでスけど」

比奈「もし、自分では出ないけど、冬のベント、当日お休みが取れたらなんですけど」

比奈「うちのサークル、手伝ってもらえないでスか」

P「比奈のサークルを?」

比奈「は、はい。その、離席時に誰か居てくれるとありがたいし、プロデューサーさんがいれば、変なのも寄ってこないでしょうし…」

比奈「サークルチケットも無駄にならないし、ど、どうッスかね…」

比奈「何なら、終わった後に、その、ご飯とか、ご馳走しまスよ」

P「いや、飯は奢ってもらわなくてもいいけど、良いのか?」

比奈「勿論です。プロデューサーさんさえ良ければ」

P「そうだな…考えておくよ」



比奈(よし…これで冬は人手が確保できるかもッス…)

比奈(というか、冬って年末だし、そのまま二人で年越し…なんて可能性も…! えへへ)

比奈(これは、冬は気合入れないといけないッス……!)

由里子「その後」



由里子「冬のイベントに当選した比奈センセは、スケジュールを調整しまくって原稿を進めたじぇ」

由里子「しかし、比奈センセは人気になりすぎたじぇ」

由里子「知名度アップに伴い、仕事量も増加。調整に調整を続けるも無念にも新刊を落としてしまい」

由里子「冬はプロデューサーと二人で、新刊の無いサークルスペースで寒さに凍える一日を過ごしたらしいじぇ」



由里子「めでたし、めでたし」



比奈「何もめでたくないっス」






おわり

以上になります。



ここまで読んで頂きありがとうございました。
今年の夏コミで起きた、オタ活を隠してる直属の上司にバッタリ遭遇するという惨劇を元に書きました
それはそれとしてC102お疲れ様でした。



お目汚し失礼致しました。
後ほどHTML依頼します。

おつおつー

コミケ期間は全部早朝から仕事だよ!!(乙。上司が何をやっていたか気になりますね)

Pさんは担当達のナマモノR-18本でサークル参加してたよ

丸メガネとスクエアメガネの禁断の恋の物語を出してたに違いない。私は詳しいんです

草。惨劇を元にここまで面白いの書けるの尊敬するわ
人間知られたくないことの一つや二つあるよね

終わってるスレ上げるなガイジ
これだからモバカスは……

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