にこ「タンポポのように」【ラブライブ】 (101)
「ママー、みてみて! タンポポのはながさいてるー!」
「あら本当ね」
「きれー」
「うふふっ、まるでにこちゃんみたいね」
「にこみたい?」
「そうよ。花が開いてニッコリ顔を見せてるとこがそっくりね」
「わぁー!」
「だからにこちゃんも、このタンポポの花みたいに笑顔の似合う娘でいてね」
「うん!」
「にこ、ニッコリえがおがにあう、げんきなこでいる!」
…………………………
……………………
………………
…………
……
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「……」
カタカタ
「……」
アイドル総合掲示板
「……」
クリック
「……」
私達、新米アイドルでぇーす!
「……ふぅ」
カタカタ、カタカタ
アイドル舐めんじゃないわよ!
「ふっ」
書き込む↖
「ふふっ」
ガチャッ
「!」
希「いるんやったら電気くらい付けな」
にこ「の、希!?」
希「目、悪くするよ」
にこ「お、驚かせるんじゃないわよ!」
希「鍵掛かってなかったからなぁ」
にこ「せめてノックくらいはしなさいよ!」
希「したよ」
にこ「嘘!」
希「嘘や」
にこ「ぐっ」
希「で、にこっちは何やってるん?」
にこ「調査よ」
希「調査?」
にこ「最近の目まぐるしいアイドル界に、どういったアイドル達がいるか調査してたのよ」
希「電気も付けずに」
にこ「そこはどうでもいい」
希「ええんかい」
にこ「それで希は何の用よ」
希「あぁ、生徒会からのお知らせを持って来たんよ」
にこ「お知らせ?」
希「来週の月曜日の放課後にやるクラブ紹介のお知らせ」
にこ「アイドル研究部、出れるのね」
希「出れるからにこっちに知らせに来たんやけど」
にこ「部員一人だけなんだけど」
希「ちゃんと部として認められてる証拠やな」
にこ「何スピーチすればいいのよ」
希「そこは自分で考えてなぁ」
にこ「頭が痛いわね……」
希「ほな、用は済んだからウチはこれで」
にこ「へいへい」
スタスタ
希「あっ、せやにこっち」
にこ「まだなんか用があるの?」
希「部室でパソコンを使用するのはいいけど、あんま他のアイドルへの誹謗中傷はやめときや」
にこ「!」
希「一応、学校の備品やねんからな」
にこ「わ、分かったわよ」
希「分かったらええわ」
にこ(希は侮れないわね)
希「ほなね~」
にこ「……」
にこ(ったく)
にこ「……」
アイドル舐めんじゃないわよ!
にこ「ふう」
アイドル舐めんじゃな|
アイドル|
にこ(バカバカしいわね)
にこ「……はぁー」
自分で立ち上げ――
自分で壊した――
それがこの学校にあるアイドル研究部の現状である。
在籍たった一名――
やることは一人でアイドルグッズ眺めたりライブDVDの観賞。
あと、パソコンで他のアイドルへの悪口とかを書き込んだり、
正直、部活としての体をなしているとは思えない。
だけど、いつまでもこうしているワケにもいかない、この現状を変えれるのは私だけ!
そう、私だけ……
◆
にこ「アイドル研究部でーす」
「……」
にこ「私と一緒にアイドルやりませんかー?」
「……」
にこ「にっこにっこにー♪」
「くすくす」
「何あれ?」
「恥ずかしくないのかしら?」
にこ(恥ずかしいに決まってんでしょーが!)
にこ「そこのあなた! 私とアイドルやらない?」
生徒H「えっ、アイドル?」
生徒U「なんなのですかいきなり」
にこ「だから、このにことアイドルやるやるために、アイドル研究部に入らないかってこと」
生徒K「ど、どうする?」
生徒H「アイドルかぁ~」
生徒U「丁重にお断りします」
にこ「なぬっ!?」
生徒U「アイドルには興味ありませんので」
にこ「ぬぬぬっ」
生徒U「そもそも、あんなヒラヒラな衣装着て踊るなんて、破廉恥極まりないことです」
にこ(こいつは何考えてんだか)
にこ「じゃあ、あとの二人は?」
生徒H「私もいいかな」
生徒K「私もパス」
にこ「そう、じゃあもう良いわよ。あっち行きなさい」
生徒U「いきなり呼び止めといて常識の欠片もない人ですねぇ」
生徒K「まあまあ」
生徒H「それで部活はどうするの?」
生徒U「私は弓道部に入ります」
にこ(後で入れてって言ってきても入れてあげないわよ!)
にこ「アイドルやりませんかー!」
「……」
にこ「アイドル!」
「……」
にこ「今なら入会特典として、にこのサイン要りグッズが付いてくるわよ」
「……」
にこ「この期にさぁ!」
「……」
にこ「なんで誰も反応しないのよ!」
「まあまあ、そう怒らないの」
にこ「あら、絵里じゃない」
絵里「どう? 上手くいってる?」
にこ「いってる用に見える?」
絵里「見えないわね」
にこ「何しに来たのよ」
絵里「生徒会として強引な勧誘とかがないかチェックしてるのよ」
にこ「冷やかしに来たワケじゃなさそうね」
絵里「いやいや、そんなことしないわよ」
にこ「なんで誰も私に見向きもしないのよ?」
絵里「アイドルに興味ない、とか?」
にこ「この前の部活紹介でのスピーチは手応え抜群だったわよ」
絵里「とりあえず拍手くらいはね」
にこ「おかしいわね」
絵里「流石にあの『にっこにっこにー』にはクスクス笑い声がしてたけど」
にこ「ギャグじゃないわよ!」
絵里「分かってるわよ」
にこ「あんた、アイドル研究部に入らない?」
絵里「生徒会があるから無理よ」
にこ「兼任しなさいよ」
絵里「そこまで器用に立ち回れないわ」
にこ「くそっ」
絵里「まぁでも、新入生が入ってくれたら、私がいなくてもやってけるでしょ?」
にこ「入るように見える」
絵里「待てば海路の日和ありっていうでしょ」
にこ「どういう意味だっけ?」
絵里「えっと、今はノーチャンスでも耐えて待っていたらチャンスは訪れるって意味だったかしら」
にこ「賢いわね」
絵里「賢い可愛いエリーチカだかね」
にこ(何それ)
絵里「それとにこ」
にこ「何よ」
絵里「ゴールデンウィーク明けに部活のPV撮るから」
にこ「またやるの?」
絵里「毎年やるのよ」
にこ「一人しかいないわよ」
絵里「活動してる以上はやる決まりよ」
にこ「分かったわよ。ちゃんと可愛く撮りなさいよ」
絵里「はいはい。それじゃ、頑張ってね」
にこ「へいへい」
にこ(PV撮影かぁ……それまでになんとか部員を増やさなきゃね)
◆
●REC
「えっ、もう撮ってる!?」
「……」
「こほん」
にっこにっこにー♪
アイドル研究部部長の矢澤にこでーす♪
今日はPV撮影の為に張り切っちゃうわよ♪
今、私は自分の可愛さを引き立てるためにぃ、花壇に来ています。
この花壇に咲く花みたいにぃ、アイドルとしてのにこも綺麗に咲き誇りたいなぁ♪
だけど、部員はにこ一人なの……
くすん、寂しい
でもでも、にこはアイドルになる為なら負けないから、一人でも頑張って見せる♪
そんなにこを応援して、もしこのPVを観てアイドルに興味持ったならぁ、
にこと一緒にアイドルやろ♪
ふふっ
以上、アイドル研究部部長の矢澤にこでした。
にっこり♪
■STOP
にこ「どうよこんな感じで」
希「……」
絵里「……」
にこ「黙ってないで何か言いなさいよ」
希「なんて言うか……」
絵里「い、痛いわね……」
にこ「あぁ!?」
絵里「ごめんごめん!」
にこ「いやいいわよ。自分でも痛いって分かってるし」
希「分かってるんや……」
にこ「こんなPV撮ったからって新入部員が来るかどうか」
絵里「そうネガティブにならないの」
にこ「なってないけど、現実誰も入って来なかったし」
希「時期が悪いのかも知れんし」
にこ「それなら年がら年中、悪い時期ばっかりが続くわね」
希「にこっち……」
にこ「まっ、やるべきことはやったから、もういいわよね?」
絵里「えぇ、協力に感謝するわ」
希「ありがとうな」
にこ「さてと、片付け……」
絵里「にこ」
にこ「あん?」
絵里「新入部員。入ると良いわね」
希「応援してるよ」
にこ「……ありがと」
新入生が入学して一ヶ月、ほとんどが部活の所属先を決めてるのに、アイドル研究部には人っ子一人も来ない。
もしかして、アイドル研究部って認知されてないのかしら?
部活紹介のスピーチは上手くいったけど、チラシ配りに至っては不発――
やっぱり、最初からダメだったのかしらね……
って、弱気になるんじゃないわよ!
にこ(やることないし、片付けて帰りますか)
にこ「はぁー」
クシャ
にこ「ん?」
にこ(なんか踏んだ……)
ソローリ
にこ「あっ」
煉瓦が積まれて作られている花壇の枠の外、
あんまり目立たないような位置に、一輪のタンポポが元気よく咲き誇っていた。
所々、踏まれた形跡はあるものの、なんということもなく咲いていた。
まぁ、花壇の花を踏み荒らした騒ぎにはなるだろうけど、
地面に咲いている花が踏み荒らされたところで誰も騒ぎはしないわね。
タンポポかぁ――
「まるでにこちゃんみたいね」
小さい頃、タンポポを発見した私にママがそんなことを言っていたような……記憶が曖昧でその前後はよく分からないけど、なんかそう言ってたのは覚えいてる……
あまり深い意味はないのかもだけど、
今の自分に例えたら、そうなのかもしれない。
花壇で咲いている綺麗な花より、花壇の外で目立たずひっそり生えてる雑草がお似合いね――
てな、感じでね。
あっ――
なんかそんなこと考えてたら、目が潤んできた。
やばい、やばい!
ネガティブになってる。
……
よしっ!
私も花壇で咲き誇れるように、新入部員が来るまで諦めないわよ!
◆
そして月日は流れ、気が付けば一学期が終わり二学期に突入――
その間、新入部員は誰も来ずに放課後は一人、相変わらず部室に入り浸ったまんまの日々――
絵里から待てば海路の日和ありとは言われたけど、
待てども待てども待ち人来たらずじゃないのさ。
あぁ、そういや二学期になって新しい生徒会長が決まったんだった。
あの絵里が生徒会長、希が副会長になっていた。
にこ「ったく」
にこ(呼び出しってなんなのよ)
にこ「ふぅ」
コンコン
絵里「はい」
にこ「アイドル研究部部長、矢澤にこが来たわよ」
絵里「どうぞ」
ガラガラ
にこ「失礼します」
絵里「呼び出して悪かったわね」
にこ「いいわよ。どうせ暇だし」
希「まぁ、一人やもんね」
にこ「んで、わざわざ呼び出すなんて、なんか重大なことなの?」
絵里「この前提出してもらった部の活動報告についてだけど」
にこ「あぁ、あれ。なんか問題でもあるの?」
絵里「内容を拝見したけど、ほとんど遊んでばかりの内容ね」
にこ「一人しかいないんだからしょーがないにしても、遊んでばっかりとは心外ね」
絵里「〇〇のライブDVDを観賞した。◎◎のグッズを揃えた」
希「●●のアイドルをバカにするような書き込みをした」
にこ「そんなこと書いてないわよ!」
希「冗談や」
にこ「ったく」
にこ(いや、書き込みしたことあるけど……)
にこ「アイドルを研究してる部活なんだから、別に変じゃないでしょ」
絵里「変じゃないけど、もっとこうちゃんとした活動実績とかないの?」
にこ「あるワケないじゃない。アイドルの大会とかないんだし、実績作りとか無理に決まってるじゃない」
絵里「はぁー」
にこ「そんなに私が提出した報告書に不満があるの?」
絵里「私と希は別に不満があるってワケじゃないけど」
にこ「なんなのよ」
希「んー、この活動内容やと下手したらアイドル研究部への来年度の部費が出ないかも知れんのよ」
にこ「はぁ?」
絵里「ほら、去年の部長会議覚えてるでしょ」
にこ「会議?」
にこ(はてな)
希「去年アイドル研究部の部費決めるとき、他の部と揉めたやん」
にこ「んっ……あぁ、思い出した。確かに色々と揉めたわね」
絵里「部員一人しかいない部にアイドル研究部が希望する額の部費を出すのはどうなのかって」
にこ「まぁ、確かに」
絵里「活動報告の方は部活が出来て初年度だし、講堂でライブをやったりしたからで実績は作れたけど」
希「今年度、現在に至ってはなんもやってないやん」
にこ「何もってことはないけど……」
希「他の部からしたら、アイドル研究部はなんの活動してるかよく分からん部なんよ」
絵里「この活動報告書を読めば、誰だって遊んでるようにしか思えないわよ」
にこ「体育系の部活はまだしも、文化系の部活はどうすんのよ」
希「そっちは文化祭で活動発表の展示したりしてたから、まぁそれが実績としては認められてる」
絵里「ちなみにアイドル研究部は文化祭で何やったの?」
にこ「えっと……」
にこ(あれ、何やったっけ?)
にこ「うん、と……ちょっと最近、物忘れが酷くなったかしら?」
絵里「そりゃ何もやってないんだもの」
希「思い出せるワケないわな」
にこ「ど、どうしよ……」
希「どうって言われてもなぁ」
絵里「難しいわね」
にこ「生徒会長でしょ? なんか良い案ないの?」
絵里「生徒会長だからって、にこの肩を持つことは出来ないわよ」
にこ「なんでよ」
希「ウチらにこっちと仲良いから、にこっちを贔屓にするんちゃうかなって、他の部の人達から思われてるんよ」
絵里「だから、これに関しては何もフォローは出来ないわ」
にこ「くっ」
希「ちなみに部長会議は来月やからね」
絵里「それまでに何とか頑張りなさい」
希「活動報告書は会議までに出してくれたらええから」
にこ「わ、分かったわよ」
にこ(マジ、どうしよう……)
にこ「失礼しました」
ガラガラ
にこ「に、にごぉ……」
にこ(なんとか実績作らなきゃ!)
それから一ヶ月の間、色々と思案した結果……
特に何も思い付かなかったにこー!
いやマジで……
もうこうなりゃヤケクソ、捨て身の覚悟で部長会議に出席したわ。
どうなったかって?
周りから色々ボロカスに言われて、精神が参ってしまったわよ……
だけど、ちゃんと来年度の部費はゲットしたわ!
想定していた額の半額以下だけど……
まぁ、ないよりはマシでしょう。
◆
冬休みのある日――
家に居てのんびりしてたら「散歩に行こ」って妹達に誘われた。
外は寒いけど、可愛い妹達の頼みだから仕方ない。
というワケで近所をぶらぶら散歩することにした。
ここあ「へっくしゅん!」
タラーリ
ここあ「んあー」
にこ「あぁ、もうほら鼻かんで」
ここあ「ずびー」
にこ「大丈夫?」
ここあ「うん」
こころ「ここあ。しっかりしなきゃダメ」
虎太郎「しっかりー」
ここあ「わかった」
にこ「寒いし、そろそろ帰るわよ」
ここあ「もう帰るの?」
にこ「風邪引くと厄介だからよ」
虎太郎「えー」
ここあ「もーすこし、ねっ」
こころ「二人とも、わがまま言っちゃダメ!」
ここあ「はーい」
虎太郎「ういー」
にこ「じゃあ帰ったらアイドルのライブDVD鑑賞会でもやるわよ」
こころ「おねえさまのですか!?」
にこ「あっ、いやぁ……」
ここあ「おねえちゃんのじゃないの?」
にこ「あー、その……お姉ちゃんのはまだよ」
虎太郎「ざんねーん」
にこ「まぁ、今は色々と練習してるから、いつかは観せれるとは思うわよ」
ここあ「わー」
こころ「たのしみです!」
虎太郎「うーん」
にこ「それまで、良い子にしてなさい」
三人「はーい!」
にこ「よーしよしよし」
にこ(何言ってんだか私は……)
こころ「今日はなんのDVDをみるんですか?」
にこ「□□にする?」
ここあ「■■は?」
にこ「じゃ、それにしよっか」
ここあ「うん」
にこ「鑑賞会やるんだから、おやつ買って帰ろっか」
虎太郎「やったー」
にこ「何食べたい?」
ここあ「んと、シュークリーム!」
こころ「チョコレート!」
虎太郎「わがしー」
にこ(みんな食べるのバラバラね……)
にこ「よーっし、お姉ちゃんが奢ってあげるわ」
こころ「だいじょーぶですか?」
にこ「あんた達の為なんだから大丈夫に決まってるでしょーが!」
にこ(ホントはヤバいけど……)
ここあ「ありがと、おねーちゃん」
こころ「ありがとうございます」
虎太郎「あーあと」
にこ「わっはっはっはっはっ」
にこ(年末に短期でバイトでもしよっ)
にこ「んじゃ、行くわよ!」
三人「おー!」
にこ「♪~」
ここあ「♪~」
こころ「♪~」
虎太郎「あー」
にこ「どうしたの虎太郎?」
虎太郎「あれ?」
にこ「電信柱がどうかしたの?」
虎太郎「そのしたー」
にこ「?」
ここあ「草……かな?」
こころ「花でしょうか?」
にこ「あぁ、これタンポポよ」
虎太郎「たんぽぽ?」
こころ「きいろい花のやつですよね」
にこ「そうよ」
ここあ「でも、なんかシナシナだよ」
にこ「冬だから冬眠でもしてるんじゃない?」
虎太郎「おきろー」
ツンツン
にこ「こらこら、そういうのは手が汚れるから触っちゃダメ」
虎太郎「はーい」
ここあ「こんなとこで咲くなんて、めずらしいね」
にこ「タンポポってそこら辺に生えてるものよ」
こころ「そうなのですか?」
にこ「えっ、うん。割りとアスファルトの割れ目とかに、ひっそり生えてるもんよ」
虎太郎「ふーん」
にこ「今はこうやってしなれてるけど、春になったら黄色の花を咲かすのよ」
こころ「おねえさま、ものしりですね」
ここあ「タンポポ博士だ!」
虎太郎「すごーい」
にこ「ふふーん!」
にこ(タンポポのこととか良く分かんないけど……まっ、いっか)
にこ「さっ、早くおやつ買いに行くわよ」
こころ「そうでした!」
ここあ「いっぱい買うぞー」
虎太郎「おおー!」
にこ(財布が空になりませんように!)
◆
時の流れは早いと言うか残酷と言うか、気が付けば桜が満開、そして私は三年へと進級――
別に留年の危機とかはなかったけど……
さて、春ということもなると当然やって来るであろう新入生!
なんか今年は1クラスと偉く少ないわね。
まっ、いいわ。
新入生が入ったということは部活動の勧誘が行われる。
別に今さら新入部員とかいらないんだろうとは思うけど、とりあえずやるだけはやってみよっかな――
にこ「アイドル研究部でーす」
「……」
にこ「私と一緒にアイドルやりませんかー?」
「……」
にこ「にっこにっこにー♪」
「寒いですね……」
「痛そう」
「見てらんないわね」
にこ(やかましい!)
にこ「そこのあなた! 私とアイドルやらない!?」
生徒M「はぁ? そんなのやるワケないでしょ」
にこ「アイドルに興味あるわよね!?」
生徒M「ないわよ」
にこ「それじゃあもういいから、あっち行きなさい!」
生徒M「何よ呼び止めといて、失礼しちゃうわね」
にこ「誰か一緒に」
生徒HA「あ、あのー」
にこ「何!? アイドル興味あんの!?」
生徒HA「あっ、少しは……」
にこ(気の弱そうな奴だけど、とりあえず入部させよ)
にこ「だったら、一緒にアイドルやるわよ!」
生徒HA「うぇぇっ、アイドルぅ!?」
にこ「なーに驚いてんのよ」
生徒HA「アイドルについての研究はしたいのですが、本物のアイドルとかは……」
にこ「はぁ!? にことアイドル出来ないって言うの!?」
生徒HA「そ、そうは言って」
にこ「はいもう入部確定!」
生徒HA「だ、誰か助けてぇ!!」
生徒R「ちょっと何やってるのかな!?」
生徒HA「Rちゃん!」
にこ「何よあんた」
生徒R「かよちんの親友だよ!」
にこ「かよちん?」
生徒R「この娘のこと!」
にこ「そうなの、変わった名前ね」
生徒R「とにかく、なんで強引な勧誘とかしてるの?」
にこ「アイドル研究部に入る為よ」
生徒R「嫌がってるにゃ」
にこ「アイドルに興味あるのに嫌がってるの?」
生徒HA「え、えっと……」
生徒R「かよちんは嫌がってるよ!」
にこ「嫌がってるの?」
生徒HA「は、はい……まぁ……」
にこ「そう。悪かったわね」
生徒HA「いえいえ」
にこ「それで、アイドル研究部には入部すんの?」
生徒HA「まだ、分かんないです……」
にこ「じゃあ、このチラシあげるから決心がついたらいつでも来なさい」
生徒HA「あ、ありがとうございます!」
にこ「で、そっちの親友は?」
生徒R「陸上部に入るから無理」
にこ(アイドルより走り回るのが好きそうに見えるわ)
にこ「無駄かもしんないけど、はいチラシ」
生徒R「陸上部に入るって言わなかったかな?」
にこ「もし何かで気が変わったら」
生徒R「ないと思うけど、貰っといてやるにゃ」
にこ(生意気そうね)
にこ「もういいわ。時間取らせて悪かったわね」
生徒HA「いえっ」
生徒R「先輩も勧誘頑張ってね」
にこ「はいはい」
にこ(眼鏡の方は手応えあったけど、猫の方は興味なさげって感じよね)
にこ「さてと」
にこ(ちょっと休憩しますか)
休憩に打ってつけの場所――
何処なのかしら?
まぁ、適当に中庭あたりでいいかな。
あそこ、そんなに人とかいないし――
そう思って中庭へ行くと、
先客が居た――
にこ「絵里」
絵里「あら、にこ」
にこ「何やってんのよ」
絵里「ちょっと風に当たりたい気分なの」
にこ「そう」
絵里「それで、にこは部活勧誘のチラシ配り?」
にこ「まあね」
絵里「手応えはどう? 今年はいけそう?」
にこ「分かんないわね」
絵里「新入部員。入って来るといいわね」
にこ「そうなったらいいけど、まぁ部員が入らなければ、それはそれでいいと思うわ」
絵里「えっ?」
にこ「どのみちゼロなら私の代で終わるだろうし、勿体ない気持ちもあるけど」
絵里「せっかく作ったのに」
にこ「最初は作れるとも思ってなかったわ」
絵里「新規の部活を作るのって簡単じゃないしね」
にこ「自分で作って、自分で壊して、あとは自分で後片付けってとこかしらね」
絵里「新入部員は諦めてないんでしょ?」
にこ「希望は捨ててないけど、まぁ入ってくれたらいいなくらいには思ってる」
にこ「でも、入ってくれたら入ってくれたでそれは複雑よ」
絵里「どうして?」
にこ「だって、来年度の新入生の募集を停止するって掲示板の紙に書いてあったし、あれってまぁ所謂……廃校ってやつでしょ?」
絵里「……」
にこ「そんな状態で入部しても、逆に後輩が寂しい想いをするんじゃないかってね」
絵里「そこまで考えてるなんて、流石にこね」
にこ「あったり前でしょ」
にこ(実際、そこまで考えてなかった)
絵里「にこは廃校についてどう思ってるの?」
にこ「どうって……まぁ、時代の波とかじゃないの? ほら、UTXがあるでしょ」
絵里「やっぱりあそこには敵わないか」
にこ「最新の学校だしね。目移りするでしょ」
絵里「うん」
にこ「あれに勝つのって、ほぼ不可能に近いレベルよ」
絵里「今からでもここがUTXに負けないような感じにするには」
にこ「無理でしょうね。廃校が決まってる学校に投資するような人間はいないでしょうし」
絵里「そうよね……」
にこ「それよりも三年生である私達からしたら、来年で卒業するんだし別に気にする必要性もないかなって」
絵里「気にするべきよ!?」
にこ「な、何よいきなり」
絵里「母校が無くなるのよ!」
にこ「無くなるのは分かるけど、ずっとここにいるワケないでしょ? 留年するとかならまだしも」
絵里「私はそれが我慢ならないの!」
にこ「は、はぁ?」
絵里「……ごめんなさい。なんか、急に怒鳴ったりして」
にこ「てゆーか、なんで廃校なんて気にしてるのよ」
絵里「私の祖母が」
にこ「ん?」
絵里「ここ、音ノ木坂の卒業生なのよ」
にこ(OGってやつか)
絵里「私の大好きなお婆様の母校……このまま無くさせたくないのよ」
にこ「つまり、お婆様を悲しませたくないのね」
絵里「そうかもね」
にこ「だけど、廃校を阻止する方法ってあるの?」
絵里「理事長に掛け合うわ」
にこ「掛け合ったところで『上の決定だから無理』って言われるのがオチね」
絵里「じゃあ、無駄ってこと?」
にこ「やるだけやってみたらとは思うけど、あの理事長って雇われだと思うから無理なんじゃない?」
絵里「でも、やるだけやってみるわ」
にこ「そう」
絵里「ありがとね」
にこ「私は何もしてないわよ」
絵里「なんか元気出た」
にこ「そりゃ良かったわね」
絵里「じゃ、ちょっと理事長に会ってくるわ」
にこ「い、今から?」
絵里「善は急げよ!」
タッタッタッタッ
にこ「はぁー」
にこ(まっ、頑張りなさいよ)
◆
アイドル研究部部長、それがこの私の肩書きである!
そんなに立派なものではないけど……
今、私はある問題に直面していた。
そう、この音ノ木坂に一組のアイドルグループが誕生したからである。
と言ってもグループ名もない出来立てホヤホヤのひよっこなんだけどね。
なんでも新設されたアイドルの大会であるラブライブに出て廃校を阻止するだとか。
アイドルやるような人間がいるのだから、素直に喜ぶべきなんだろうけど――
正直なところ納得出来ない自分がいた。
希「なぁ、にこっち?」
にこ「あん?」
希「なんかえらい怖いなぁ」
にこ「そう?」
希「えりちと一緒やね」
にこ「何がよ?」
希「二人ともイライラしてばっかってこと」
にこ「別にイライラなんて」
希「えりちも同じこと言ってたわ」
にこ「そんで、絵里の方はどうなのよ。廃校阻止」
希「んー、理事長に直談判してるけど、色々突っぱねられてるなぁ」
にこ「苦労してるのね」
希「それでにこっちは?」
にこ「はい?」
希「気になってるんやろ? 二年生三人組のアイドル」
にこ「べ、別に気になってなんかないわよ!」
希「この前のライブ、観てたんやん」
にこ「し、知らないわよ。あんな無観客ライブ」
希「無観客だなんて、よー知ってるね」
にこ「ぐっ」
希「座席のとこに隠れながら観てたし」
にこ「悪かったわね」
希「悪くはないよ」
にこ「それで、その三人組がなんなのよ」
希「いやー、廃校阻止の為に頑張ってるなぁって」
にこ「どこがよ」
希「今日も神田明神で練習してたわ」
にこ「あんた、あいつらのストーカー?」
希「ウチ、神田明神でバイトしてるから」
にこ「そう。んで、何が言いたいのよ」
希「にこっち、あの三人と一緒にアイドルやらんの?」
にこ「はぁ!?」
希「いやぁ、にこっちアイドルの仲間探してたんと」
にこ「ふざけないで! あんな廃校阻止の為って不純な動機でアイドルやってる奴等と仲間になれるワケないでしょ!?」
希「別にアイドルやるのに不純も純粋もないと思うよ」
にこ「にこはアイドルが好きなの! それは誰にも負けないから!」
希「だから、別にそれはええやん。最初の一歩さえ踏み出したら、後はなんとかなるやろうしや」
にこ「それは私のプライドが許さないわ」
希「プライドだけ高いと、いつかチャンスを見失うよ」
にこ「あんた喧嘩売ってんの!?」
希「そやないけど、頑張って練習してるあの三人と文句垂れてるにこっち見てたら」
にこ「そんなに垂れてないし!」
希「まぁ、色々と行動してる三人のが応援しがいがあるわな」
にこ「あんた、あいつらの味方なの!?」
希「単に頑張ってるから応援しとるだけよ」
にこ「あんた生徒会の人間でしょ? 肩持っていいワケ?」
希「あの娘らは部活やないし自発的にやってるだけやし」
にこ「私のことは応援すらしなかった癖に!」
希「陰ながらはしとったよ。まぁ、ただ遊んでるだけのにこっち見てたら……」
にこ「遊んでばっかじゃない!」
希「相変わらず部室に引きこもってばっかやん」
にこ「それは色々と」
希「その色々してる間に、あの娘らのグループに一年生三人が加わったで」
にこ「マジ!?」
希「赤い髪のお嬢様の西木野真姫ちゃん」
にこ(チラシ配りで呼び止めたあいつか)
希「それと口癖が『にゃ』の星空凛ちゃん」
にこ(あの生意気な猫!)
希「その凛ちゃんの友達の小泉花陽ちゃん」
にこ(アイドルに興味あったのに入部しなかった眼鏡!)
希「にこっちが遊んでる間に状況も変わって来てるんよ」
にこ「なんで……」
にこ(こいつ、まさか)
希「まぁ、にこっちが協力せんのやったら、それはそれで良いと思うわ」
にこ「じゃあ、あんたも協力するのやめなさいよ」
希「ん?」
にこ「コソコソと裏でなんかやってるんでしょ」
希「やってへんよ」
にこ「なんかあいつらに有利になるようなことやってんでしょ?」
希「有利って……ウチの助言で廃校阻止できるならとっくにやってるわ」
にこ(そりゃそうよね)
にこ「ごめん……」
希「どないしたんよ」
にこ「なんか分かんないけど、胸のあたりが痛い」
にこ(あと、目からも)
希「病院行く?」
にこ「病気じゃない……多分」
希「そっか……」
にこ「もう帰る……なんか、このまま居たら」
希「うん」
にこ「じゃっ」
希「気ぃつけてな」
◆
にこ母「買い物に付き合わせて悪いわね」
にこ「別にいいわよ」
にこ母「それにしても、こうやってにこと買い物なんて久しぶりね」
にこ「いつ以来だっけ?」
にこ母「覚えてないわ」
にこ「普段、ママは忙しいしね」
にこ母「こころ達の面倒みてくれたり、あなたも忙しいでしょ」
にこ「そうでもない」
にこ母「学校の方も色々あるでしょ」
にこ「うん」
にこ母「部活の方はどう?」
にこ「ぼちぼち」
にこ母「問題なくやれてる?」
にこ「うん」
にこ(一人だけどね)
にこ母「まっ、頑張ってるならいいわ」
にこ「なんでそんなこと訊くの?」
にこ母「あんまりにこのこと構えてないなぁって」
にこ「高校三年生だし」
にこ母「年齢は関係ないわよ」
にこ「ふふっ」
にこ母「あっ、ほら見て」
にこ「?」
にこ母「あそこにタンポポの花が咲いてるわね」
にこ「えっ、あぁホントね」
にこ母「ねぇ、にこ」
にこ「何?」
にこ母「あなたが小さい頃にタンポポはにこみたいねーって言ったの覚えてる?」
にこ「なんとなくだけど」
にこ母「タンポポの開いた花を見てると、にっこり笑顔のにこみたいねー」
にこ「そんなんだっけ?」
にこ母「そうよ。あの時もにっこり笑顔見せてくれたわよ」
にこ「そうだったかなぁ」
にこ母「まっ、昔のことだから覚えてなくても当然だけど、あなた最近笑ってる」
にこ「えっ?」
にこ母「こころ達からね、最近はあんまり笑ったりしてなくて何か悩んでるみたいって言ってきたのよ」
にこ「べ、別にそんなことは」
にこ母「だったらいいんだけど」
にこ(妹達に心配されるなんて……)
にこ母「にこって意地っ張りとか強がりなところがあるから」
にこ「はい?」
にこ母「そんなところがタンポポに似てるわね」
にこ「?」
にこ母「タンポポって踏まれても雨風に晒されても、じっと耐えてるじゃない?」
にこ「うん」
にこ母「そういうところ、にこそっくりよ」
にこ「そうかなぁ?」
にこ母「弱音も吐かず、それでも一生懸命頑張るにこ」
にこ「うん」
にこ母「どんな困難があっても前を向くにこ」
にこ「うん……」
にこ母「それでいて、いつも笑顔で元気なにこ」
にこ「うん……うん……」
にこ(あれ、なんか目の前が滲んで)
にこ母「本当、ここまで大きく育ってくれたわね」
ナデナデ
にこ母「ありがと」
にこ「……ぐすっ」
にこ母「でも、人間誰だって弱音くらい吐きたい時もあるわよね」
にこ「……ぐすっ、ひくっ」
にこ母「そういう時はいつでも」
にこ「……ママ」
にこ母「どうしたの?」
ギュッ!
にこ母「!?」
にこ「ママー!!」
にこ母「えっ、あっ、ちょ!?」
にこ「うわぁぁぁぁぁん!!!」
ここ最近、私は本当に笑っていなかったんだろうと、なんとなく自覚はしていた。
物事が上手くいかない歯痒さがあったり、
自分が出来なかったことを成功させている者への嫉妬、
それを邪魔して潰してやろうという意地悪さ、
なんか自分でも正直、何やってるか分かんなくなって、モヤモヤしたモノが渦巻いている感じはあった。
それを溜めに溜め込んでたんだろうなぁ……
だから、ママの言葉を聞いて全部それを吐き出したくなった。
限界だったのよ――
にこ母「呆れた……」
にこ「にこ……」
にこ母「母として情けない」
にこ「にこぉ……」
にこ母「涙が出そうだわ」
にこ「にごぉ……」
にこ母「それで、その娘達には謝ったの?」
にこ「まだ」
にこ母「なら、ちゃんと謝りなさい」
にこ「えぇー、それじゃあにこのプライドが」
にこ母「おだまりなさい!」
にこ「はい……」
にこ母「ねぇ、にこはその娘達を見てどう思ったの?」
にこ「アイドルとしてはまだまだね」
にこ母「そうじゃないでしょ」
にこ「えっと、楽しく練習してるなぁって」
にこ母「それで、にこはどうしたいの?」
にこ「とりあえずアイドル辞め……」
にこ母「本音は?」
にこ「なんていうか、廃校阻止とかに興味はないけど……なんか上手く言えない」
にこ母「あと、アイドルの部活が二つあるから、統合するなりなんなり言われたんでしょ?」
にこ「うん」
にこ母「じゃあ話は早いじゃないの」
にこ「ん?」
にこ母「と言うより、にこ自身もどうしたいか、本当はもう答えは出てるんでしょ」
にこ「私、自身の……」
にこ母「それはね」
にこ「それは……」
◆
海未「ワンツー、ワンツー、穂乃果! 遅れてますよ」
穂乃果「う、うん」
海未「ことり、ステップが違います」
ことり「ご、ごめん」
海未「花陽。もうへばったのですか?」
花陽「ま、まだです」
海未「凛! 先走らない!!」
凛「分かったにゃ!」
海未「真姫……」
真姫「何か言いなさいよ!!」
海未「それでは休憩にしましょう」
にこ「疲れたぁ……」
希「あかんわ……」
絵里「へばりすぎでしょ」
にこ「いやいや、バレエやってた人間と比べられても……」
希「ぜーはーぜーはー」
絵里「あなた達は……」
にこ「ふーふー……ふふっ」
絵里「笑った?」
にこ「なんていうか、楽しいわね」
希「ウチはもうアカンけどな……」
絵里「にこ、最近笑顔が増えたんじゃない?」
にこ「そう?」
希「よく笑うようにはなったなぁ」
にこ「それを言うなら、絵里の方がそうでしょうよ」
絵里「私?」
にこ「来年度の新入生の受け入れが決まった途端にじゃない」
絵里「まぁ、とりあえずの目標は達成出来たから」
希「イライラーチカはどっか行ったんやね」
絵里「何よそれ!?」
にこ「あははははは」
海未「では、休憩を終わります」
希「また地獄のような……」
海未「本当の地獄はこれからですよ」
希「えぇ……」
絵里「こうでもしないと、ラブライブ優勝なんて夢のまた夢よ」
真姫「優勝とか出来るの?」
穂乃果「出来るよ!」
花陽「新しい大会だから、どの学校にもチャンスはあるけど」
ことり「強そうなところとか出てくるよね?」
凛「UTXは確実に来るだろうしね」
わいわい、がやがや
にこ(優勝か)
廃校阻止という目標は達成された――
じゃあこれでアイドルは終わり?
なワケもなく、次の目標はラブライブ優勝へと切り替わった。
勝算なんてないかもだけど、高みを目指すのは悪くないと思う。
だって――
ママが言ってたもの――
…………………………
……………………
………………
…………
……
にこ母「そういえばタンポポって花が咲いた後、どうなるか知ってるわよね?」
にこ「綿毛になって空高く飛んで、どこかに自生してまた花を咲かせて」
にこ母「そう。だからにこも、空高く飛ぶ綿毛のように高い所を目指して頑張りなさい」
にこ「高い所って?」
にこ母「それはみんなで考えたらいいんじゃない」
にこ「みんなで……」
……
…………
………………
……………………
…………………………
にこ「よーっし、穂乃果のいう通り優勝目指すわよ!」
穂乃果「さっすがにこちゃん!」
にこ「無理かどうかなんて、やってみなきゃ分かんないでしょーが」
穂乃果「そうだよそうだよ!」
希「まっ、とりあえずやってみよか」
絵里「ダメでも良い思い出になるしね」
海未「そうですね」
ことり「頑張ろっか」
真姫「しょーがないわね」
花陽「ぜ、絶対に頑張る!」
凛「いっくにゃー!」
だから私は……私達は目指す。
タンポポの綿毛が――
空高く舞うように――
風に乗って――
どんどん高い所や――
どんどん遠い所へ――
そしてその先にある……
目標へ向かって!
にこ「μ's!」
全員「ファイトー!!!」
おしまい
タンポンのようにに空見してしまった
もうだめだ
頭おかしい事を上げてまで書き込む時点で既に手遅れ
なんか久しぶりな気分になった
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