男「上司の飲みの誘いを断る方法を教えて下さい」女上司「それ私に聞いちゃうんだ?」 (19)

女上司「ちょっとあなた! こっちに来なさい!」

部下A「は、はい……」

女上司「これはどういうこと? 私に相談しないで進めて、こんなにこじれさせちゃって……」



同僚「……お、始まったぞ」

男「……」

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女上司「分からないなら、ちゃんと聞けっていったでしょ!?」

女上司「あなたの独断なんか誰も求めてない! 勝手に動くなんて五年早いわ!」

部下A「申し訳ありません……!」



女上司「あなた、顧客のニーズを全然掴めてないじゃない! なんのためにいつも訪問してるの!」

部下B「ですが、聞いてもなかなか教えてくれなくて……」

女上司「バカ正直に尋ねたって教えてくれるわけないでしょ!? もっと工夫しなさい!」



部下C「この件は、競合他社も手強いですし……」

女上司「なに弱気なこといってるの! あなたには執念が足りないのよ!」

女上司「狙った獲物は逃さないって……執念がね!」

女上司「まぁったく! 指示待ちどころか、どいつもこいつも指示すらこなせてない!」

女上司「私の部下は揃いも揃って無能揃いだわ!」



同僚「こえ~……」

同僚「あの人、美人で有能だけど、あれじゃ絶対結婚はできないよな。旦那は地獄見るぜ」

同僚「って、こんなこといったら、今じゃセクハラで訴えられちまう」

男「……」

――

女上司「ふぅ、今日はこんなところかな」

男「あのー」

女上司「あら男君、なに?」

男「質問があるのですが」

男「上司からの飲みの誘いを断る方法を教えて下さい」

女上司「それ私に聞いちゃうんだ?」

男「はい」

女上司「うーん……そうねえ」

女上司「上司だって人の子、きっぱり断られたらそうそう無理に誘えるもんじゃないわ」

男「なるほど」

女上司「しかも“見たいテレビ番組がある”みたいなしょうもない理由で断られたら」

女上司「こいつは付き合い悪いキャラなんだなって認識されて、もう誘われなくなるんじゃない?」

男「ありがとうございます」

――

男「あのー」

女上司「どうしたの?」

男「上司から家に誘われた時の断り方を教えて下さい」

女上司「またこの手の質問? まぁいいけど……」

女上司「きっぱり断ること、という点では前と同じだけど……」

女上司「“門限があります”とでもいってやったら?」

男「しかし、それだと泊まっていけという話になるのでは?」

女上司「そこで、“ママに怒られちゃうんです”っていってやるのよ」

女上司「そしたら、上司もこいつマザコンかよ……ってドン引きよ」

男「よく分かりました、ありがとうございます」

――

男「聞きたいことがあるんですが」

女上司「話してみなさい」

男「上司からホテルに誘われた時は、どう断ればいいでしょうか?」

女上司「どういう状況なのよ、それ……まぁ、答えてあげるけど」

女上司「ホテルってことは、ようするにその上司はそういうことをしたいのよね?」

男「そうなりますね。肉体関係を築きたいのでしょう」

女上司「だったらこういってやりなさい」

女上司「あなたの体には欲情しないので無理です、って」

女上司「こんだけはっきりいわれたら、さすがにホテル行く気なんて失せるわよ」

男「参考にさせて頂きます」

――

男「あのー」

女上司「なにかしら?」

男「もし上司から求婚されたら、どのように断ればよろしいでしょうか?」

女上司「……」

女上司「上司ってことは、あなたより年上でしょ?」

男「年下のケースもありますが、一般的にはそうなりますね。私の想定も年上です」

女上司「だったら、こういってやることね」

女上司「年上に興味はない、ってね」

男「承知しました。お時間を取らせてすみませんでした」

女上司「……」

――

男「あのー」

女上司「またあなた?」

女上司「今度はなにを聞くつもり?」

男「いえ、今日は質問はしません」

女上司「あらそうなの。だったらなんの用?」

男「今日はなんの用事もないですし、僕はテレビも見ませんし、二人で飲みに行きましょう」

女上司「え……!」

男「その後は、僕の部屋に来て下さい。一人暮らしですし、両親からは完全に自立してます」

女上司「なに、なんなの?」

男「ホテルにも行きましょう。僕はあなたの体にいつも欲情してるんです」

女上司「……っ!」

男「そして、結婚しましょう。僕は年上が大好きなんです」

女上司「!!!」ドッキーン

女上司「はうぅ……!? なぜ、あなた、私もこうも的確に口説けるの……!?」

女上司「ドキドキが止まらないわ……!」

男「僕はあなたの指示を忠実に守ったまでです」

男「あなたをどう口説けばいいのか分からないから、あなたにちゃんと聞きましたし」

男「バカ正直に質問してもあなたが答えてくれるわけないので」

男「“もし僕が誘われたらどう断るべきか”という体で、あなたからあなたの考えを引き出し」

男「“その逆をやる”という戦略を取りました。工夫したわけです」

女上司「うぐぐっ、いつも私が教えてることだわ……」

男「加えて――」

男「僕は、狙った獲物は逃さない」

女上司「……!」ドキドッキーン

男「この執念は、誰にも負けません」

女上司「ううっ……」ドッキンキーン

男「結婚しましょう」

女上司「……はい」

女上司「やられたわね。私としたことが、みごとに落とされたわ」

男「あなたの指示が的確だったからですよ」

女上司「……優秀すぎる部下も困りものね」










~END~

今度は家庭づくり編だな

有能な子供が生まれそう

乙でございます

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