三年前
サンタ幼女「クリスマスなんてぶっ潰してやるよぉ!!!」
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サンタ幼女「我はメシア、明日この世界を粛清する」トナカイ「...」
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一昨年
トナカイ「メリークリスマ...」サンタ幼女「うるせー!!!!!」
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去年
サンタ幼女「今年もクリスマスをぶっ潰すぞォ!!!!トナカイぃ!!!!」鹿「...」
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前回のあらすじ
主役交代
あらすじおわり
トナカイ「毎度のことながら、今年もあっという間に過ぎましたねぇ」
サンタ少女「えぇ、本当に。あと一週間でクリスマス…早いものです」
トナカイ「全くですよ、私も今年でこの職についてから三年目ですからね。いい加減そろそろ慣れてきましたよ」
サンタ少女「クスッ…頼もしいです。今年もよろしくお願いしますね」
トナカイ「はいっ!こちらこそ!」
トナカイ(今年もこの季節がやって来た。クリスマス、私達トナカイとサンタさんにとって、一年で一番忙しくなる日)
トナカイ(…どうしても、クリスマスが近付いてくると、あの人のことを思い出してしまう)
トナカイ(サンタさん、私の初めてのパートナーで…クリスマスを毎年潰そうと画策していた幼女)
トナカイ(三年前は気候操作や時間停止の能力を使い、サンタ協会を潰そうとするも聖女さんに敗れ失敗)
トナカイ(二年前はサンタ狩りと手を組み、リベンジをしようと仕掛けますが、聖女さんに全てを見抜かれていて失敗)
トナカイ(そして去年は二分の一の確率でクリスマスを中止させるところまで行きましたけど…最後は運に見放され、敢え無く敗北)
トナカイ(そして、罰ゲームで幽霊屋敷に行くことに。一見、何事もなく終わったように見えましたが…)
トナカイ(……あの日以来、サンタさんの消息は分からなくなりました)
トナカイ(これは呪いなのか、それとも人知れずにサンタを引退したのか…ただ、一つ…確信出来るのは絶対に死んではいないということですね)
トナカイ(人一倍にクリスマスを憎んでるサンタさんが、憎悪だの呪怨だのに負けるわけがないです。むしろそれを取り込んでてもおかしくないくらい)
トナカイ(…きっと、サンタはもう辞めて、どこかで幼女らしく生きているはずです。もう二度と会うことはないでしょう)
トナカイ(…そうですよね?サンタさん……)
サンタ少女「さて、協会からリストも届いたことですしプレゼント作りを始めましょうか」スッ
トナカイ「あれ?今年は去年より少ないような気が」
サンタ少女「少子化の影響で、年々子供は減ってますからね。最近はインターネットの普及でサンタを信じてない子供も多いですし」
トナカイ「そうですか…何だか悲しい話ですね」
サンタ少女「…それでも私は、プレゼントを待っている子供達に笑顔を届けたいと思っています」
トナカイ「サ、サンタさん…」ウルウル
サンタ少女「ちょっと暗くなってしまいましたね!早くプレゼントを作らないと!」
サンタ少女「えーっと…最初は五歳のゆうくんからですね。>>8が欲しい?」
Nintendo Switch
サンタ少女「Nintendo Switch…?あぁ、テレビで見たことがあります。ゲーム機でしたよね?」
トナカイ「そうですね、今一番子供達が欲しがってるアレです」
サンタ少女「う、うーん…こ、困りましたね。プレゼントの予算は一人五千円までと規定で決められているので…結構いい値段しますよねこれって」
トナカイ「ソフトならともかく、ゲーム機ですからね…五千円だとだいぶ厳しいです」
トナカイ「そもそも、今でも品薄ってくらいに人気があるやつですから…サンタさんでも手に入れられるかどうか」
トナカイ「噂だと、これを求めて一国が滅びたって話もありますし」
サンタ少女「…」
トナカイ「ここはwii辺りで我慢してもらしかないですね。あれなら手頃な値段でも買えますし、きっと五歳の子供なら違いなんて分かりませんよ」
サンタ少女「さすがにwiiは…け、結構強引なところありますよね。トナカイさんって」
トナカイ「えっ、そうですか?」
トナカイ(…あの幼女サンタさんの性格のクセが移っちゃったのかな)
サンタ少女「でも諦めてもらうというのも…この子はきっと、今でもこのゲーム機を待ち望んでるはずです。楽しみで夜も眠れないくらいに」
サンタ少女「クリスマスの朝に、希望と願いを胸に込めて目が覚め、いざプレゼントを開けてみたら…違う物だったというのは…あまりにも酷なものです」
『はぁ?プレゼントが違う?』
『あのさぁ…いつでも自分の希望通りに物事が進むと思ってんのぉ?人生舐めんじゃねぇよぉこのクソガキがああああああああああ!!!!!!!』
トナカイ(…あの人なら絶対こう言ってますね)
サンタ少女「…よし!決めました!この子のプレゼントの代金は私のポケットマネーから出します」
トナカイ「!?」
トナカイ「えっ…サンタさん?何もそこまでしなくても…」
サンタ少女「この子の笑顔の為なら安い買い物です。私たちサンタは子供の笑顔の為に働いているんですから」
サンタ少女「…あっ、サンタ協会にはこのことは秘密にしてくださいね?バレたらちょっと問題になってしまうので」シーッ
トナカイ(自分の身を削っても子供の願いを叶えるって…天使かこの人)
サンタ少女「ということで、この子には希望通りにNintendo Switchをっと…」カキカキ
トナカイ(い、いや…これが多分普通のサンタさんなんでしょうね。どう見ても割に合わない影の仕事ですし)
トナカイ(子供が好きで、思いやりがあって…最初にサンタを始めた人もこんな気持ちから始めたんでしょう)
トナカイ(…あの人が特別に変だっただけです。いい加減に忘れないと)
サンタ少女「次は...ゆうなちゃん7歳からですね」
サンタ少女「>>13が欲しいそうです」
弟か妹
サンタ少女「弟か妹…?」ピクッ
サンタ少女「こ、これは…どうしましょうか」カァーッ
トナカイ「…」
『弟か妹ぉ?簡単じゃん、両親に頼んでヤッてもらえばいいじゃん』
『ってことでこいつにはエロ本をプレゼントだ、参考資料用に渡しとけぇ』
サンタ少女「こ、困りましたね…さすがにこれは…サンタが介入出来る問題でもないですし」
サンタ少女「どうしたらいいと思いますか?トナカイさん」
トナカイ「…エロ本」ボソッ
サンタ少女「えっ」
サンタ少女「い、今なんて…?」
トナカイ「あっ…いや、い、今のはその…」
トナカイ「…ね、猫本って言ったんですよ!ほら、子供の代わりにペットを買うって話あるじゃないですか!」
トナカイ「でも本物の動物だと家庭の事情によっては買えないかもしれないですし!!!!なら猫の本をあげたら少しは気持ちが紛れるんじゃないかなって!!!!」
サンタ少女「そうだったんですか…ビックリしました。てっきりトナカイさんがエ――――///」カァーッ
サンタ少女「こ、こほん…ど、動物というのはいいアイデアですね。でも本よりはやっぱり本物の方がいいと思います」
トナカイ(あ、危ない…うっかり心の中のサンタさんの声が漏れてしまった)
トナカイ(気を付けないと私の株が下がりかねない…いてもいなくても主張が強いですね、あの人は)
サンタ少女「と、なると…どこの家庭でも飼えて、小さい子でも世話が出来る動物…」
サンタ少女「…ハムスター辺りはどうでしょうか」
トナカイ「いいアイデアですね!ハムスターならペットショップで安く売ってますし、ゲージ代もそこまでかからないです」
サンタ少女「ではゆうなちゃんにはハムスターをプレゼントということで」カキカキ
サンタ少女「いいペースですね。これなら今日中に終わりそうです」
サンタ少女「次はともきくん4歳から、>>17が欲しい?」
売り切れ続出で中々買えないゲーム機
トナカイ「…被りましたね」
サンタ少女「は、はい…」
トナカイ「大体本体が定価で三万円だとして、それが2つでプレゼント代の一万円を引くと…」
トナカイ「…五万円の出費ですね」
サンタ少女「…」
トナカイ「…サンタさん、私も少し出しましょうか?」
サンタ少女「…だ、大丈夫です!この子達の笑顔に比べたら、五万円ぐらい安いもんです!」
サンタ少女「こう見えてもサンタは結構お給料貰えてますからね!あと十個は余裕ですよ!」
トナカイ「い、いやでも…私の前任のサンタさんが言ってましたけど、下っ端のサンタはフリーターとそんなに変わらないって言ってましたよ」
トナカイ「サンタさんってまだ地区を任されて二年目ですし、無理しない方が…」
サンタ少女「ぜ、全然無理なんてしてないですよ。これでも副業もしてますから、他の人と比べたらそこそこお金はある方ですし」
サンタ少女「さぁ!次のプレゼントに行きましょう!まとめて3つぐらい読み上げますね」
サンタ少女「ゆいちゃん>>20たかしくん>>21けんとくん>>22だそうです」
ソシャゲで欲しいキャラ
世界平和
Mrサタン
ハムスターゲージとは一体…
サンタ少女「ソシャゲで欲しいキャラ…?」
『んなもん私が欲しいわ!舐めとんのかクソガキが、てめぇにはカード100円分で十分だ』
サンタ少女「世界平和…?」
『は?サンタのプレゼントにそんな抽象的なもん頼むって頭大丈夫かこいつ、除草剤で頭の中のお花畑掃除しとけ』
サンタ少女「Mrサタン…??」
『こいつは何を考えてMrサタンなんて書いたんだろうね。何を求めてるのか私の脳味噌ではさっぱり理解出来ないや』
トナカイ「…」ガンガン
サンタ少女「だ、大丈夫ですか?トナカイさん、何か頭を壁に打ち付けてますけど」
トナカイ「え、えぇ…すみません。ちょっと目眩が」
サンタ少女「まず最初の、ソシャゲの欲しいキャラって書いてますけど…ソシャゲってなんでしょうか」
トナカイ「それはスマホで出来るゲームのことですね。ほら、CMとかでよく流れてるやつです」
サンタ少女「あー…何となく分かりました」
サンタ少女「ではその欲しいキャラというのは…」
トナカイ「この手のゲームは大体課金ガチャシステムになってます。一回300円から500円のガチャを引いて、数%の確率で当たる欲しいお目当てのキャラって意味じゃないですか?」
サンタ少女「…一回、回すだけでもそんなにするんですか?それに数%って…下手をしたら何万円もお金を出さないとキャラが当たらないってことなんじゃ」
トナカイ「そこがソシャゲの恐ろしいところです。いつの間にか何万円…何十万円も吹き飛ぶ可能性がある、まさに底無し沼というやつですね」
トナカイ「一応、救済措置としてある程度回すと確定でそのキャラが手に入るというシステムがあるところもありますが…そこまで行く時点でもう既に取り返しが付かない金額に行ってるパターンが大半です」
サンタ少女「お、恐ろしいですね…ど、どうしましょうか。このプレゼントは…」
トナカイ「私個人の意見としては、五千円分のゲーム内で使えてガチャが引けるカードでいいと思います」
トナカイ「もしかしたら運良く数回で引ける可能性もありますからね。ガチャというのは金額で表現するのは不確定過ぎるので、このくらいがちょうどいいかと」
トナカイ「そもそも…ソシャゲ自体が青少年の育成的にアレな部分がありますから…」
サンタ少女「…分かりました。ではそれで行きましょうか」カキカキ
サンタ少女「次は世界平和ですか」
サンタ少女「うっ...」ウルウル
トナカイ「サンタさん!?どうしたんですか急に泣いて!」
サンタ少女「い、いえ…こんなに小さい子が自分のプレゼントよりも世界の平和を願ってくれたのかと思うと…涙が」ポロッ
トナカイ(それで泣けるサンタさんも大概いい人ですよ)
『あーこいつの狙い分かったわ。多分アレだ。サンタに媚び売って海老で鯛を釣る気だ』
『いい子アピールして規定の金額以上のプレゼント貰おうとしてるんだろ。腹黒っ!性格悪っ!』
トナカイ(あなたは黙っててください!)
サンタ少女「このプレゼントはどうしましょうか…具体的なプレゼントじゃないですし…難しいです」
トナカイ「うーん…確かに悩みますね」
サンタ少女「平和の象徴…というと、鳩でしょうか?」
トナカイ「鳩…クリスマスですし、チキンの丸焼きとか?」
サンタ少女「丸焼きはちょっと…」
サンタ少女「…あっ、そうだ。なら私が手作りの鳩の銅像を作りましょうか」
トナカイ「銅像…ですか?」
サンタ少女「はい、メッセージカードも添えて」
サンタ少女「世界平和の実現には私個人の力では叶いませんが、きっとこの子がその気持ちを忘れないで、人を思いやる心をずっと持ち続けてくれたら…いつかその志の輪が広がって、真の世界平和が訪れるはずです」
サンタ少女「少しでもその気持ちを忘れない為に記念になる物を残そうかと思ったんですが…どうですか?」
トナカイ「いいと思いますよ!私は好きです!」
サンタ少女「良かった…ならこの子には鳩の銅像をプレゼントしますね」カキカキ
トナカイ(…世界平和か)
トナカイ(多分、サンタさんが思い浮かべてる世界平和は…世界中の人が争いを止めて、愛に溢れている世界なんだろうな)
トナカイ(…でもそれを気に入らない人も世の中にはいる。だから争いはなくならないだと思う)チラッ
トナカイ(あの人が望む世界平和はどんなものなんだろうか…カップルが死滅している世界とか…?)
サンタ少女「このMrサタンというのは…」
トナカイ「Mrサタンのフィギュアでいいんじゃないですか?」
.......................................................
.........................................
サンタ少女「ふぅ、だいぶ終わりましたね。残りはあと一人です」
トナカイ「結構疲れましたね、かなり無茶振りなお願いも多かったですし」
サンタ少女「その無茶振りに答えるのがサンタの仕事ですからね!頑張らないと!」
サンタ少女「さて、最後は…ん?名前が書いてないですね。それに住所も」
トナカイ「何も書いてないんですか?」
サンタ少女「いえ、一言だけ…>>32と書いてあります」
家に帰りたい
お前を見ているぞ
『 お前を見ているぞ
』
サンタ少女「!?」クルッ
トナカイ「!?」クルッ
サンタ少女「…」
トナカイ「…」
サンタ少女「…な、なんでしょうかこれ。このリストは協会から届いているのに…」
トナカイ「わ、分かりません…向こうの印刷ミスか何かでしょうか」
サンタ少女「…不気味なので、これは協会に送り返しておきましょうか」
トナカイ「そ、そうですね…それがいいと思います」
サンタ少女「な、何だかちょっと怖くなってきましたね。気を取り直して、プレゼントの材料を買いに行きましょうか」
トナカイ「そ、そうしましょう!あんなの忘れるべきです!」
サンタ少女「…何だか懐かしいですね。トナカイさんと出会ってからもう一年も経ったんですね。去年も一緒に買い物に行ったことを思い出します」
トナカイ「去年…あぁ、そうでしたねぇ…」
サンタ少女「あの時は私が帰り道で転んで頭を打って、そのままクリスマスまでずっと気を失ってたんですよね…不甲斐なくて申し訳ないです」
トナカイ「…いや、本当にこっちこそ申し訳ないです。マジで」
サンタ少女「今回はあんなことがないように、気を付けますね!サンタがお荷物になれませんから!」
トナカイ「…今年は大丈夫だと思いますよ。あの人もいないですし」
サンタ少女「あの人?」
トナカイ「いえ、こっちの話です」
シャンシャンシャン シャンシャンシャン
サンタ少女「もうすっかり街もクリスマスムードですね。私、この雰囲気が一年で一番好きです」
サンタ少女「…今年も、みんなが平和にクリスマスが過ごせますように」
トナカイ「…」
今日はここまで
ってことで今年はサンタ幼女不在のまま進みます
サンタ幼女がの生死は…どうなるんでしょうね
乙
乙
そろそろ来る頃だと思っていたよ
☆☆☆☆ 12月18日 ☆☆☆☆
サンタ少女「…」カキカキ
サンタ少女「…んー?」
サンタ少女「…」
トナカイ「サンタさん?」
サンタ少女「…」カキカキ
トナカイ「サンタさーん??」
サンタ少女「えっ?」クルッ
サンタ少女「あっ…す、すみません!もしかして無視してたみたいになってましたか?ごめんなさい」
トナカイ「いえ、サンタさんがそんなことをする性格じゃないことなんて知ってますし、何を真剣に書いてたんですか?」
サンタ少女「あぁ、これですか?子供達が書いてくれたサンタへの手紙ですよ」
トナカイ「あー…あれって本当にサンタさんが返事書いていたんですね。初めて見ました」
サンタ少女「そうなんですか?サンタには基本全員に配られるものなので、トナカイさんの前任のサンタさんのところにもあったと思いますよ」
トナカイ(…あのサンタさんのことだ。絶対にサボって書いてないな)
トナカイ「へ、へぇ~…どんな内容なんですか?」
サンタ少女「大体は質問系ですね。今書いているのは>>41?と聞かれてます」
サンタ死すべし、慈悲はない。
『サンタ死すべし、慈悲はない。』
トナカイ「…」
サンタ少女「…」
サンタ少女「ま、まあ中にはこんなイタズラも混じっています。これは宛先も書いていないので処分して大丈夫ですね」クシャ
トナカイ「何だかこんな感じのイタズラ多いですね…サンタさんのところにはよくあるんですか?」
サンタ少女「本当に時々ですよ。よくあるって程まではないです」
サンタ少女「…悲しいことですが、クリスマスを憎んでいる人達も多少はいますからね。そういう輩のイタズラの被害を受けているサンタさんも多いそうです」
トナカイ「…」
トナカイ(…あの人の場合はどう考えても加害者の立場だったけど、こんな嫌がらせは見たことなかったな)
トナカイ(…もしそんな手紙が来たら発信者を特定して、爆弾をプレゼントしに行きそうだけど)
サンタ少女「気を取り直して、次の手紙を見ましょうか」ペラッ
トナカイ「でも今時、手作業で全部の返事を書いているなんて凄いですよね。テンプレ的な回答で終わらせてるところもあるのに」
サンタ少女「せっかく書いてくれた手紙ですからね。こちらも気持ちを込めて返事を書いてあげるのが礼儀ですよ」
サンタ少女「えーっと、どれどれ…」
『>>44』
愛はどこで手に入りますか?
『愛はどこで手に入りますか?』
サンタ少女「…」
トナカイ「な、なんだかずいぶん哲学的な質問ですね」
サンタ少女「難しい質問ですね…どう答えるのがベストでしょうか」
トナカイ「愛、ですもんねぇ…この手のことは私もサンタさんも疎いですし」
『愛ぃ?それって性欲のことでしょ』
『性欲がどこから来るかって話なら簡単じゃん。答えはチン―――』
トナカイ「…いや、さすがにここまでど直球な下ネタは言わないか」
サンタ少女「…?どうしました?」
トナカイ「いえ何も」
サンタ少女「愛が手に入るところ…ですか。私個人の見解としては…」
『ラブホ!』
サンタ少女「―――やはり、自分の家ですかね」
トナカイ「家…ですか?」
サンタ少女「はい、家には家族がいますし、思い出もある」
サンタ少女「幼少期の頃を振り返ってみると…私はとても母や父に愛されていた記憶があります」
サンタ少女「これはどこの家庭でも変わらないと思います。愛し、愛され、想いが積み重なった場所こそが…自分の生まれ育った家ですから」
サンタ少女「少し、この子が求める回答とは少し違うと思いますが…これでいいんですかね」
トナカイ「答えがない質問とも言えますし…サンタさんの感じたことでいいと思いますよ」
サンタ少女「ではこれで」カキカキ
トナカイ「…サンタさんの家族ってどんな人だったんですか?」
サンタ少女「私の家族ですか?普通の家庭ですよ。どこにでもいる…主婦とサラリーマンです」
サンタ少女「だから、私がサンタの仕事をやっていることも秘密です。これでも表向きは一応、学生ですからね」
トナカイ「えっ!?サンタさんって学生とサンタ両方やってるんですか!?」
トナカイ「で、でも昨日は副業もあやってるって…」
サンタ少女「あぁ、それはアルバイトのことです。この近くの飲食店で接客をやっています」
トナカイ「だ、だいぶハードな生活ですね。3つのサイクルをこなしてるなんて」
サンタ少女「確かに、少しキツいですが…やり甲斐はありますよ。学業も、アルバイトも、サンタの仕事も」
サンタ少女「一度きりの人生ですからね。色々なことを経験しないと損ですから」ニコッ
トナカイ(凄いなぁ…サンタの仕事って割りとハードなのに、学生とバイトもしてるなんて)
トナカイ(確か、サンタになるのって試験が必要なんでしたよね。かなり過酷って聞いたけど)
トナカイ(それも合格したなんて…しかも性格も出来てるって超人か)
トナカイ(…そういえば、あの人は最年少でサンタになったエリートだって言ってたな。両親もサンタだったとか)
トナカイ(あれで中身さえマシならどれだけいいか…爪の垢を煎じて飲んで欲しいぐらいです)
サンタ少女「さて、次の手紙ですね」ペラッ
『>>50』
安価下
サンタさんって知らない人の家に入ってプレゼントを配るけどそれって不法侵入になるじゃないの?
訂正
サンタさんって知らない人の家に入ってプレゼントを配るけどそれって不法侵入じゃないの?
『サンタさんって知らない人の家に入ってプレゼントを配るけどそれって不法侵入じゃないの?』
サンタ少女「...」
トナカイ「...」
トナカイ「な、何だか今日は回答に困る質問が多いですね」
サンタ少女「え、えぇ…まったくです」
トナカイ「…正直、ここら辺ってどうなんですか?法律的にアウトかセーフか...」
サンタ少女「…アウトですね。不法侵入が適用されます」
トナカイ「や、やっぱり...」
サンタ少女「そもそも、サンタ協会という組織自体が国からは非公認的な扱いなので…どうしてもそのことを突っ込まれると何も言えないです…」
トナカイ「サンタを追跡している組織とかありますもんね…」
サンタ少女「で、でも!私達はただ純粋に、子供達の笑顔が見たいだけなんです!!決して後ろめたいことがあるわけじゃない!」
サンタ少女「ただ、それを行うには法律という檻が邪魔で…サンタが家に入るの行為はその檻をちょっとだけ開ける必要があるので、見逃してもらえるとありがたいんです…」
サンタ少女「正直私も…見ず知らずのご家庭に勝手にお邪魔するのは、ちょっと心が痛みます」
トナカイ「…色々思うところがあるんですね」
トナカイ(…あの人はそこら辺割り切っていたというか、全然気にしてなかったな)
トナカイ(…つくづくめちゃくちゃな人だな。どこの世界に音が漏れないようにガムテープを張って、窓ガラスをトンカチで割るサンタがいるんだ。泥棒か)
『やってることは真逆だろうがぁ。それぐらい許せや』
サンタ少女「ということで…返事はこれでいいですね。見逃してください、ごめんなさい…っと」
サンタ少女「次で手紙も最後ですね。どれどれ…」
『>>55』
サンタさんに会いたいです!
サンタ少女「これは...」
トナカイ「えらくストレートなのが来ましたね…どうしましょうかこれ」
サンタ少女「…行きますか」
トナカイ「えっ、本気ですか?」
サンタ少女「えぇ、住所はこの手紙に書いてますし、向こうが会いたがっているなら…それを拒むわけにはいきません」
トナカイ「で、でも…サンタ規約的に問題があるんじゃないですか?」
サンタ少女「規約違反より子供のお願いが最優先ですよ!『分かりました。家に伺わせてもらいます』っと」カキカキ
トナカイ(大丈夫かなぁ…)
今日はここまで
乙
☆☆☆☆ 12月19日 ☆☆☆☆
シャンシャンシャン♪シャンシャンシャン♪
トナカイ「本当に大丈夫なんですか?サンタさんがお忍びで一般の方と会っても」
トナカイ「サンタの正体ってトップシークレットだと思うんですけど…」
サンタ少女「大丈夫です。ほんのちょっぴりだけですから。それに変装道具も持ってきてますし」
サンタ少女「ほら、ホッケーマスク。これで顔はバレません」スチャッ
トナカイ「…」
サンタ少女「さて、手紙の差出人の住所は…>>61ですか」
廃病院
病院の一人部屋
サンタ少女「病院…部屋番号も書いてありますね」
トナカイ「ということは…入院中の子供でしょうか」
サンタ少女「その可能性が高いですね」
トナカイ(…何だか重い話になりそうですね。もし不治の病にかかっている子からの手紙だったら…)
サンタ少女「あ、トナカイさん!あそこの病院みたいです。ソリを駐車場に止めてください」
トナカイ「お、大きな病院ですね。設備がしっかりしてそうです」
サンタ少女「そのようですね。さっそく面会に行きましょうか」スタスタ
サンタ少女「すみません、面会をお願いしたいんですが」
看護婦「はい、部屋番号をどうぞ」
サンタ少女「444号室です」
看護婦「」ピクッ
看護婦「…本当にその患者さんとの面会を希望ですか?番号が間違っているとか...」
サンタ少女「え?…はい、確かに444号室ですか」
看護婦「…分かりました。少々お待ちください」スッ
サンタ少女「…」スタスタ
トナカイ「どうでしたか?面会出来そうですか?」
サンタ少女「それが…部屋番号が合っているかどうか確認されて、少し待ってほしいと言われました」
トナカイ「えっ…?」
サンタ少女「普通だと…言われないですよね。こんなことって」
トナカイ「は、はい…聞いたことがないです」
サンタ少女「何か問題があったりするんでしょうか…心配です」
トナカイ「あんまり面会する人が来ないから、本人に確認してるとか…?それにしてもおかしな話ですが」
看護婦「すみません、お待たせ致しました」
看護婦「…どうぞ、444号室は8階になります」
☆☆☆ 8階 ☆☆☆☆
サンタ少女「…この病室ですね」
トナカイ「はい...」
トナカイ(入口の案内を通った時に、看護婦さんがヒソヒソ話している声が聞こえた…この部屋には一体、誰が入院しているんだろ)
サンタ少女「…」フーッ
サンタ少女「…ノックしますね」
コンコン
>>66『…どうぞ』
サンタ幼女に似た女の子
ガラッ
幼女「...」
トナカイ「!?」ビクッ
トナカイ(サンッ―――じゃない?よく似ているけど、髪の色も、目の色も違う。別人だ….)
サンタ少女「…どうかしましたか?」
トナカイ「い、いえ…何でもないです」
サンタ少女「こんにちは。あなたが私に手紙を書いてくれた子ですか?」
幼女「うん、おねえさんは本物のサンタさん?」
サンタ少女「はい、まだ新人ですが、サンタさんをやらせてもらっています」
幼女「うわぁ…来てくれてありがとう!わたし、すっごくうれしい!!」
幼女「ってことは…後ろはシカじゃなくて、トナカイさん?」
トナカイ「あっ、はい。私がトナカイです」ペコリ
トナカイ(…外見はあのサンタさんに似てるけど、全然別人だ…普通の幼女みたいです)
幼女「…...」
幼女「サンタさん、わたし、一度トナカイさん話しをしてみたかったんだ...ちょっと恥ずかしいから、ふたりっきりにしてくれないかな?」
トナカイ「えっ?私とですか?」
サンタ少女「分かりました。では私は席を外しますね」スッ
サンタ少女「…後は任せました。トナカイさんのトークで楽しませてあげてください」ボソッ
トナカイ「そ、そんな突然言われても」
バタンッ
トナカイ「…」
幼女「...」
トナカイ(き、気まずい…なんでこんなことになったんだろ)
トナカイ(あの子はサンタさんに会いたくて手紙を出したんですよね?ならなんで私と二人っきりに...)
トナカイ(…普通の幼女ならまだしも、あのサンタさんに似てるもんなぁ…話しにくい...)
幼女「ねぇ」
トナカイ「」ビクッ
トナカイ「は、はい!何でしょうか?」
幼女「本当はね、わたし、あなたにあいたかったんだ。トナカイさん」
トナカイ「――――え?」
幼女「もうね、全部だめなんだよ。まにあわない、だからあなたに伝えておきたかったんだ」
幼女「救えるのはあなたしかいない。もう時間がない」
トナカイ「えっ…な、何の話ですか?それって」
幼女「あなたにも聞こえるはず、トビラをたたく音が。もうじきひらく」
幼女「本当はかえられる運命だったんだ。ぶんきするはずだったけど…固定化されちゃった」
トナカイ「…ちょ、ちょっと。意味が分からないんですけど」
幼女「―――じごくだよ。じごく、じごく、じごく」
幼女「じごくじごくじごくじごくじごくじごくじごくじごくじごくじごくじごくじごくじごく
じごくじごくじごくじごくじごくじごくじごくじごくじごくじごくじごくじごくじごくじごく
じごくじごくじごくじごくじごくじごくじごくじごくじごくじごくじごくじごくじごくじごく
じごくじごくじごくじごくじごくじごくじごくじごくじごくじごくじごくじごくじごくじごく
じごくじごくじごくじごくじごくじごくじごくじごくじごくじごくじごくじごくじごくじごく
じごくじごくじごくじごくじごくじごくじごくじごくじごくじごくじごくじごくじごくじごく
じごくじごくじごくじごくじごくじごくじごくじごくじごくじごくじごくじごくじごくじごく
じごくじごくじごくじごくじごくじごくじごくじごくじごくじごくじごくじごくじごくじごく」
トナカイ「ひっ...」
幼女「あ、あぁ…ああああああああああああああああああああっっっっっ!!!!!!!!」
幼女「イやあああああああああああああああアアアアアアアアアアアア!!!!!!!こないでえええええええええええええええええええ!!!!!!」
トナカイ「サ、サンタさん!き、来てください!」ダッ
幼女「いやああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
…‥…………‥……………………………………………
‥…………………………………………
サンタ少女「…」
トナカイ「…」
サンタ少女「…あの子は、重度の精神病の患者だったみたいです。原因は分かりませんが、情緒不安定で…急に取り乱すのが珍しくないくらいに」
トナカイ「…」
サンタ少女「…最近はその症状がさらに酷くなったみたいで…精神病院に移る話もあるそうです」
トナカイ「…そう、ですか」
サンタ少女「…トナカイさん、あの子と話してる時に、何か言われたりしましたか?」
トナカイ「…」
トナカイ「…いえ、ちょっとした会話をしていたら、急に叫んで…あんなことに」
サンタ少女「…そうですか」
トナカイ「…サンタさん」
サンタ少女「なんですか?」
トナカイ「…ごめんなさい。何でもないです」
サンタ少女「…そうですか」
サンタ少女「……戻り、ますか」
トナカイ「…はい」
今日はここまで
クリスマスが近付いてきました
いきなり重い話に……
やはりクリスマスは邪悪なイベント
ハヌカを開催せよ
☆☆☆☆ 12月20日 ☆☆☆☆
『本当はね、わたし、あなたにあいたかったんだ。トナカイさん』
『もうね、全部だめなんだよ。まにあわない、だからあなたに伝えておきたかったんだ』
『救えるのはあなたしかいない。もう時間がない』
『あなたにも聞こえるはず、トビラをたたく音が。もうじきひらく』
『―――じごくだよ』
トナカイ「…!」パチッ
トナカイ「…ゆ、夢?」キョロキョロ
トナカイ「…クリスマス前の最後の休みだっていうのに、最悪の目覚めですね」
トナカイ(…昨日会った、あのサンタさん似た幼女のことが…どうしても忘れられない)
トナカイ(重度の精神病と病院は判断していたみたいですが…最初に会った時には普通に受け答えが出来ていた)
トナカイ(…そもそも、あの一言、私に会いたかったという言葉が気になる)
トナカイ(手紙にはサンタさんに会いたいと書いてあった。でも本命は私…ということは、あの子は最初から私に会うために手紙を出した?)
トナカイ(サンタさんに似た幼女が…私に接触してきた…偶然か、それとも…)
トナカイ(気になるのはそれだけじゃない。あの子が言っていたいくつかのワード)
トナカイ(もう全部ダメ、間に合わない、救えるのはあなたしかいない…時間がない)
トナカイ(…ただの妄言ではないと仮定すると、あと少しで何かが起きるということを伝えたかったんでしょうか)
トナカイ(…それを救えるのが私だけだと)
トナカイ「…」
トナカイ「…何を真剣に考えているんでしょうか…私は。今はそれよりも、目の前のクリスマス本番のことが大事だっていうのに」
トナカイ「二度寝しますか…もう明日でクリスマス三日前ですし、身体を休ませておかないと」ゴロン
トナカイ「…」
ドンドン!!!!!!!ドンドンドンドン!!!!!!!!!!!
トナカイ「!?」ビクッ
トナカイ「な、なんですか!?今の音!!!!」
ドンドンドンドン!!!!!!!!ドンドンドンドン!!!!!!!!!
トナカイ「なっ…こ、この音は…どこから?」スッ
トナカイ(と、遠くから聞こえるようで、間近にも聞こえる…あれ?これってもしかして…)
トナカイ「…私の、頭の中?」
ドンッッッッッッッ!!!!!!!!!!
トナカイ「ひぃっ…」
トナカイ(ま、間違いない!わ、私の頭の中で鳴ってる…)
トナカイ(まるで脳を直接揺さぶられてるみたいな…あ、頭が痛い…!!)グッ
シーーーーーーン
トナカイ「…や、止んだ?」
トナカイ「い、今のは一体…あんな頭痛、初めて体験しました…」
トナカイ「な、何だったんでしょうか、あれ。まるで何かを叩くような」
『あなたにも聞こえるはず、トビラをたたく音が』
トナカイ「…まさか」
短い上に安価もないですが今日はここまで
乙
☆☆☆☆ 12月21日 ☆☆☆☆
シャンシャンシャン♪シャンシャンシャン♪
トナカイ「今日はどこに行くんですか?サンタさん」
サンタ少女「協会からボランティアの仕事を頼まれたので、そこに向かいます」
トナカイ「ボランティア?どんな活動をするんですか?」
サンタ少女「よく駅前にサンタの格好をした人がいるじゃないですか。あんな感じで、それとなく街に紛れ込んでお手伝いをしたりするんですよ」
サンタ少女「あとは…孤児院に行って、子供達に読み聞かせをしたりもしましたね」
トナカイ「へぇ~…ああいうのって本物のサンタさんがやっていたんですね」
サンタ少女「今日はまず、>>87の仕事ですね」
募金
サンタ少女「はい、トナカイさん。これを首にかけてください」スッ
トナカイ「え、これって…箱?」
サンタ少女「はい、これを持って駅前で募金活動をします」
トナカイ「あー学生の人がよくやってるあれですか」
サンタ少女「この寄付金は親がいない、恵まれない子供達の支援になりますからね!頑張りましょう!」
サンタ少女「ということで人が多い駅前まで来ました」
サンタ少女「トナカイさんはそこで立ってるだけで大丈夫です。トナカイがいるだけでかなり目立つと思うので」
トナカイ(…何か私、トナカイだってこと忘れて今まで普通に人間みたいに馴染んでたな)
サンタ少女「募金お願いしまーす!」
トナカイ「…」
ザワザワ ザワザワ
トナカイ(本っ当に、今更ですけど…街中にトナカイがいるとさすがに目立ちますよね。通行人の殆どが二度見してきます)
トナカイ(写真もいっぱい撮られてるし…これワンショット100円位取った方がいいんじゃないでしょうか)
サンタ少女「募金お願いしまーす!」
パシャパシャ
トナカイ(…あれ、私よりも…サンタさんにカメラが向けられているような)チラッ
サンタ少女「」チラッ
トナカイ(…そういうことか。今日のサンタさんはスカートを履いている)
トナカイ(サンタさん可愛いからなぁ…そりゃ美少女がミニスカサンタコスなんて着てたら撮られるか)
サンタ少女「募金お願いしまーす!」
チャリン
サンタ少女「あっ!ありがとうございます!」ニコッ
トナカイ(…さすがサンタさん、順調に稼いでるな。あの笑顔見たさなら小銭も惜しくない人も多いです)
>>91「すみません、ちょっといいですか?」
警察
警察「…」
トナカイ(け、警察!?)
サンタ少女「はい、何でしょうか?」
警察「お宅らはここで何を?」
サンタ少女「募金活動です!恵まれない子供達に寄付するために!」
警察「へぇ、そいつは立派なことだねぇ」
警察「じゃあ許可証見せてくれる?道路使用許可証」
サンタ少女「えっ…」
トナカイ(えっ?)
サンタ少女「きょ、許可証ですか?それは…え、えーっと…」
トナカイ(えっ?サンタさん持ってないんですか!?)
サンタ少女「そ、それってあれですよね。あの…紙の…その」
サンタ少女(ど、どうしましょう…協会からはそんなことは一つも知らされてない…伝達ミスでしょうか)
警察「そう、もちろん持ってるよね?」
警察「あ、出せないなら署まで来てもらうことになるからね。まあ持ってるとは思うけど」
サンタ少女「」ビクッ
トナカイ(こ、このままだとサンタさんが逮捕されてしまう…私がどうにかしないと!)
トナカイ「…サンタさん、ここは>>94して逃げましょう」ボソッ
サンタ少女「…っ!?」
はったりをかまして
トナカイ「私がはったりをかましますので、サンタさんは逃げてください」
サンタ少女「え、えぇっ!?そ、そんなことが出来るんですか?」
トナカイ「はい、任せてください」
警察「君達、何をコソコソと…」
トナカイ(大丈夫、やることは簡単。あの人ならどうやって切り抜けるか、それを想像して真似をするだけでいい)
トナカイ(…二年も一緒に付き合っていたんですからね。やることは大体分かります…ピンチを乗り切る方法も)
トナカイ「スッー…」
トナカイ「ワレポリ公がゴラアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!調子乗っとんちゃうぞゴラアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!」
警察「!?」
サンタ少女「!?」
トナカイ「国家権力を振り回しやがってよぉ!!!!弱い者イジメして楽しいか?アアン!」
トナカイ「テメエらの給料は誰が払ってると思ってるんだよぉ!!!!小娘イジメてる暇あったらそこら辺の罰ゲームみたいな髪型でピアスしてるDQNしょっぴけや!!大体あいつら犯罪してそうだろ!!!!!」
トナカイ「それか議員とかな!!!!あいつら不倫しかしてないくせに高給取りじゃねえか!!!!!全然日本良くなってねえよ!クリスマス中止法案くらい出せや!!!」
サンタ少女「え、あの、トナカイさん…?」
警察「おい、それ以上の暴言は公務執行妨害に…」
トナカイ「黙れやぁ!!!!!死ねェ!国家の犬め!!!!トナカイに勝てると思うなよぉ!!!!」ダッ
ブスッ
警察「うっ…」バタッ
トナカイ「…よし!今です!サンタさん!逃げましょう!」
サンタ少女「ちょっ!?ト、トナカイさん!?今、刺しませんでした!?角で刺しませんでしたか!?」
トナカイ「サンタさん!そんなことを言ってる暇はないです!早く逃げないと応援が来ます!」
サンタ少女「えっ…そ、それってトナカイさんが角で刺したせいじゃないんですか?」
トナカイ「サンタさん!!!!うだうだ言ってる暇はないんです!捕まったらクリスマスにプレゼントを配ることは出来なくなるんですよ!」
トナカイ「それでもいいんですか!?クリスマスにサンタさんを待ってる子供達は大勢いるのに!」
警察「ぐぁぁ……」ゴロゴロ
サンタ「で、でも…えっ…」オロオロ
警察官は犠牲になったのだ…
トナカイ「サンタさん!!!!!早く!!!!!」ダッ
サンタ少女「う、あぁ…あ…」オロオロ
サンタ少女「う、うわあああああああああああああああ!!!!!!」ダッ
トナカイ「ふぅ、危ないところでしたね。捕まるところでした」
サンタ少女「…」
トナカイ「まさかサンタ協会が許可証の発行を忘れていたなんて…信じられないですよね。クレーム入れときますよ」
サンタ少女「…」
トナカイ「どうしました?サンタさん、顔色が悪いですけど」
サンタ少女「…い、いえ。何も」
サンタ少女「トナカイさんって…結構強引なところあるんですね。ちょっと、いやかなりビックリしました」
トナカイ「え?そうですか?」
トナカイ「でも警察相手にハッタリをかますのは怖かったですよ。相手は拳銃持ってますし」
サンタ少女「…かましたのはハッタリじゃなくて、タックルの間違いじゃ」ボソッ
トナカイ(自分でも驚くくらい、あのサンタさんの言動をコピー出来ましたね。まさかあれほどの完成度になるとは)
トナカイ(…今考えてみると、私とあの人はちょっと似ていたのかもしれません。性格は全然合いませんでしたけど)
サンタ少女「え、えっと…次は>>101のボランティアですね」
幼稚園訪問
☆☆☆☆ 幼稚園 ☆☆☆☆
サンタ少女「ここです」
トナカイ「幼稚園…ですか?」
サンタ少女「はい。ここで園児達と交流を深めて、より一層クリスマスを楽しんでもらおうかと」
トナカイ「サンタってこんなに身近に本物がいるものなんですねぇ…」
先生「はーい!みんなー!今日はなんと、あの!サンタさんがこの幼稚園に来てくれたよー!」
「「「「YEEEEEEEEEEEEAH!!!!!!!!!!」」」」
先生「では登場してもらいましょう!サンタさんとトナカイさんです!」
サンタ少女「こんにちは~」
トナカイ「ど、どうも」
「うわああああああああ!!!!!本物のサンタさんだああああああああああああ!!!!!」
「っべえええええええええええええええ!!!!!やべええええええええええええええ!!!!!!!!」
トナカイ(テ、テンション高いなぁ…これが若さですか)
先生「じゃあ今日はサンタさんと一緒にいっぱい遊びましょうね!」
「うわああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」ゾロゾロ
トナカイ「うぇっ!?お、溺れる!人の波に溺れる!!」ザワザワ
サンタ少女「み、みなさん落ち着いて。順場です、順番に遊びましょう」
園児「おねーさん!>>104して遊ぼ!」
トナカイさんごっこ
園児「トナカイさんごっこやろう!ねぇ!ねぇ!」
サンタ少女「えっ…な、なんですか?トナカイさんごっこって」
園児「えーとね!サンタさんの役が、トナカイさんの役の人の上に乗って、ムチで叩くの!それで誰のトナカイが一番早いか競争するの!」
サンタ少女「!?」
トナカイ「!?」
園児「じゃあサンタさんはトナカイさんの役ね!私がサンタ役になるから!四つん這いになってね!」
サンタ少女「ちょ、ちょっと待ってください!トナカイはそんな乱暴に扱うものではなく…」
園児「は・や・く」ギロッ
サンタ少女「わ、わかりました」スッ
園児「オラァ!行け!もっと早く!」ビシビシ
サンタ少女「お、お尻を叩くのはやめませんか?痛いんですけど…」
園児「遅いからいけないんでしょ!!早くうううううううう!!!!!」バシッ
サンタ少女「ひぃっ…」ビリッ
サンタ少女(う、うぅ…まさか園児達がこんなに好奇心旺盛だったなんて…トナカイさんはの方は大丈夫でしょうか)チラッ
「ねーもうこれ動かなくなったー」
「動いてよぉ、ねぇ、本場のトナカイの力見せてよぉ」
「ちょっとぉ…みんなさすがに集まりすぎだよぉ。20人だとぎゅうぎゅう詰めになるから誰か降りてよぉ」
トナカイ「」ペシャンコ
サンタ少女「ト、トナカイさあああああああああああん!」
トナカイ「」
トナカイ「」
トナカイ「…はっ!?」ピクッ
トナカイ「う、うぅ…ここはどこ?私は確か…幼稚園に来て、園児達が一斉に私の上に乗り始めて…頭を打って…」
ワーワー ワーワー
トナカイ「…どうやら、動かなくなった私を放っておいて向こうで遊んでるみたいですね。しばらく死んだふりして休みますか」
トナカイ「本当にあそこまで元気で羨ましい…若さはパワーですね。まったく」
>>108「ねぇ、もう起きてるんでしょ?トナカイさん」
トナカイ「」ビクッ
病室にいた少女に瓜二つの女の子
幼女『ねぇ?トナカイさん……』
トナカイ「――――――――ッッ!?」
トナカイ「なっ…なぜあなたがここに…!?」
幼女『あぁ…私ね、死んじゃったんだ。とりこまれちゃったみたい。ほら、すけてるでしょ?足はあるけど』
トナカイ「はいっ!?」
トナカイ「そ、それって…ゆ、幽霊ってことですか……!?」
幼女『そういうことになるね。でもおそかれ早かれ、みんなしんじゃうもん。わたしはみんなよりちょっと早くしんだだけ』
トナカイ「ど、どういうことなんですか!?みんな死ぬってッ!!」
トナカイ「それに…あの足音って何なんですか!?頭の中で鳴り響いて…!」
幼女『トナカイさんも聞いたんだ、あれ。そうだよね、あれを聞いてるとおかしくなりそうになるよね』
幼女『分かるよ、そのきもち……わたしはここ半年間の間、ずっとあれを聞いていたんだもん。おかげでびょういんに入ることになったし』
トナカイ「そ、それって…やっぱりあなたは精神病ではないんですか?』
幼女『せいしんびょう?ごめんね、よく分からないや』
幼女『そうだ、忘れるところだった。なんでわたしがトナカイさんのところに来たのか』
幼女『―――気をつけて。わたしをころしたモノは……もうすぐそこまで来てる』
幼女『もしかしたら、トビラが開くまでにおそってくるかもしれない。だから、しなないでね。あなたが最後のキボウだから』
トナカイ「き?希望って…一昨日も救えるのは私しかいないとか言ってましたけど、それもどういう意味なんですかっ!?」
トナカイ「この世界に…何が起ころうとしているんですか!!」
幼女『………』
幼女『…ごめんね。わたしも、くわしくは知らないんだ。わたしは感じることしかできないから』
幼女『ただ…よくないことってだけはわかる。あいつらも、わたしみたいに感じられる人間がこわいみたい。だから黒いのをとばしてころしてるんだ』
幼女『―――もう時間みたい。ここにはいられない。呼ばれてる』
トナカイ「よ、呼ばれてるって…誰に?」
幼女『……それは話せないよ。ゆるされてないから』
幼女『最後にひとつ…ぜったいに諦めないで。必ず、あなたをたすけてくれる人がくるから』
幼女『あの人なら―――なんとかしてくれるはず。わたしもあったことはないけど、みんながそう言ってる』
幼女『―――じゃあね』
トナカイ「ま、待ってください!あなたはどうして…あのサンタさんと似ているんですか!?関係があるんですか!?あの人と!」
幼女『……わたしは、わたしだよ?その人のことはしらないけど、それはトナカイさんの"いんが"ってやつじゃないかな』スゥ
トナカイ「………っ!」
トナカイ「き、消えた……」
トナカイ「な、何がどうなってるんですか…一体…」
………………………………………………………
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
サンタ少女「きょ、今日は疲れましたね…小さい子供の遊び相手をするのがあんなに大変だとは…」
トナカイ「…」
サンタ少女「…トナカイさん?」
トナカイ「えっ、あ、そ、そうですね。疲れました」
サンタ少女「でも、楽しかったです。クリスマスまであと三日ですからね!あの子達が喜んでくれるようなクリスマスにしないと!」
トナカイ「…そう、ですね。私達が頑張らないと」
『おそかれ早かれ、みんなしんじゃうもん。わたしはみんなよりちょっと早くしんだだけ』
トナカイ「…」
トナカイ(…その日、病院に問い合わせてみたところ、あの病室にいた幼女は昨日に突然、原因不明の心臓発作で亡くなっていたことが分かった)
トナカイ(亡くなる直前に、何かに酷く怯えてるような声を出していたのを、何人かの看護婦が聞いていたらしい)
今日はここまで
これなんのSSだっけ
乙ー
今年も来てたのか乙
☆☆☆☆ 12月22日 ☆☆☆☆
トナカイ「えっ?サンタ協会本部に呼び出し?」
サンタ少女「…はい」
トナカイ「呼び出しって、何か心当たりはないんですよね?」
サンタ少女「…はい」
サンタ少女(本当は一つだけあるんですがけどね…昨日のトナカイさんの暴走行為が)
トナカイ「ま、まあ大丈夫ですよ!大したことないですって!」
トナカイ「いざとなったら、私も庇ってますから!大船に乗った気でいてください!」
サンタ少女(…トナカイさんは自分の心配をした方がいいと思います)
☆☆☆☆ サンタ協会本部 ☆☆☆☆
トナカイ「いつ来てもここは圧倒されますね…あそこの壁に体当たりした頃が懐かしいです」
サンタ少女「えっ?」
トナカイ「それで、どこに来るように言われてるんですか?」
サンタ少女「…会長室です」
トナカイ「会長、となると…あの人ですか」
聖女「お待ちしておりました」ニコッ
サンタ少女「か、会長…」
トナカイ「あ、聖女さん。お久しぶりです」
聖女「はい、ご無沙汰してます。トナカイさん」
聖女「何でも、最近トナカイレースで優勝したそうじゃないですか。ご活躍は私の耳にも入っていますよ」
トナカイ「いやいや、あれは運が良かっただけですよ。私なんてまだまだです」
ハハハハ フフフフ
サンタ少女(えっ…?トナカイさんって会長とこんなに親しかったんですか?)
聖女「さて、本題に入りましょうか」
聖女「今日、あなた方を呼んだ理由は…ズバリ>>121です」
サンタ幼女行方不明
聖女「…サンタ幼女のことについてです」
トナカイ「…!」
サンタ少女「?」
聖女「現在、彼女の行方は私の力を持ってしても見つかりません」
聖女「あの子のことですし、死亡しているという可能性はないと断言できますが…気になるものが各地のサンタに送られているのです」スッ
『サンタ死すべし、慈悲はない』
トナカイ「こ、これって…」
サンタ少女「あ、これって手紙の中に紛れてた…」
聖女「…このような、サンタに恨み辛みの言葉を書いた文書が世界中のサンタのところに送られているのです」
聖女「サンタの所在というのは協会の中でも厳重に扱われています。外部の者が簡単に入手出来るとは思えません」
聖女「…それに、この手紙には僅かにですが呪詛が込められています」
トナカイ「じゅ、呪詛?」
サンタ少女「それって、呪いってことですか?」
聖女「そうですね。まあ本当にごく僅かですので、身体に影響はないと思われますが」
聖女「ただ…見たことがない種類なんですよね、これ。呪詛というものは大体古くから伝わっているものを使用しているので、パターンは決まっているんです」
トナカイ「…つまり、何者かがサンタさん達を呪っていると?」
聖女「えぇ、そして私には…そのような行為をする者に一人、心当たりがあります」
トナカイ「…」
サンタ少女「…?」
聖女「まあこれ以上は何も分かってないんですよね。手紙も第三者を通して配っているようなので、追跡も出来ないですし」
聖女「トナカイさんはどう思いますか?この件について」
トナカイ「…」
トナカイ「…あの人は、こんな回りくどいことはしないと思います」
トナカイ「配るなら手紙なんてちゃちな物じゃなくて、手っ取り早く爆弾にすると思いますし、こんな陰湿な手は使いません」
聖女「…私も同意見です。これは彼女の手口じゃない」
聖女「こちらも調査は続けているので、いずれ何か手掛かりが見つかると思われますが…用心はしておいてください」
聖女「サンタを怨んでいる人物がいるというのは明白ですからね。突然襲ってくる可能性もありますから」
聖女「今日はその警告を伝える為にお呼びしました。時間を取らせてしまって申し訳ありません」
トナカイ「…」
サンタ少女(ほっ、良かったです。てっきりあのことで怒られるかと思いました)
聖女「あ、そうそう。一つ言い忘れていました」
聖女「警察に手を出すのはやめくださいね?国家権力相手だと揉み消すのが面倒なので」クスッ
サンタ少女「」
しっかりバレてた
スタスタ スタスタ
サンタ少女「しかし驚きましたね。サンタに怨みを持っている人がいるなんて」
サンタ少女「呪いの手紙を世界中のサンタに送っているなんて…余程の執念を感じます
トナカイ「…」
トナカイ「サンタさん、すみません。先に正面エントランスで待っていてもらえますか?」
サンタ少女「え?どうかしたんですか?」
トナカイ「どうやらあの部屋で忘れ物をしてきたみたいなので、ちょっと取ってきます」ダッ
聖女「…」
聖女(確かに、この手口はあの子のものとは思えない…でも)
聖女(…この件と何らかの繋がりがあるのは間違いないです。行方が分からなくなった年にこんな手紙が届くなんて)
聖女(…悪い予感がしますね)
コンコン
聖女「はい、どうぞ」
ガチャ
トナカイ「…」
聖女「あ、トナカイさん。どうしたんですか?忘れ物でも?」
トナカイ「…聖女さん、お話したいことがあります」
…………………………………………………………
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
聖女「…」
トナカイ「…これが、ここ一週間で私に起きたことです」
トナカイ「さっきの聖女さんの話を聞いたら、無関係とは思えなくて…」
聖女「…なるほど」
聖女「気になるキーワードがいくつも。いえ、発言の全てが引っ掛かります」
トナカイ「私も…あまりに非現実的過ぎて、正直どういう状況か理解出来ていないんです」
トナカイ「聖女さんの意見を聞かせてください。私よりもその手のことは詳しいと思いますので」
聖女「…」
聖女「…その幼女は本当に亡くなっていたんですか?」
トナカイ「はい、それだけは間違いないです。病院に直接問い合わせたので」
トナカイ「それに…幽霊と会った時に直感で理解しました。もう既にこの世のものではないと」
聖女「…」
聖女「ごめんなさい…私にも何が起ころうとしているかは分からないです」
トナカイ「…そうですか」
聖女「ただ一つ、言えるとしたら…その子は何かを感知する能力があったんでしょうね。それも予知に近い強力なものが」
トナカイ「感知…ですか?」
聖女「はい、常人には理解出来ない先が見える力があったんでしょう。そして、その力で見えたモノに殺された」
聖女「…感知は出来ても、それに抵抗する力は持ち合わせていなかったんだと思います」
トナカイ「…」
聖女「気がかりなのが…何度か出ている"トビラ"という単語」
聖女「トナカイさんもそれを叩く音というのを聞いたんですよね?どんな感じでしたか?」
トナカイ「説明するのが難しいんですが…いくつもの手が乱暴に叩いてる、という感じでした」
聖女「…」
聖女「分かりました。こちらもそれらの事象について調べておきます
トナカイ「はい…お願いします」
聖女「…そうだ、これをどうぞ」ガサゴソ
聖女「お守りです。気休め程度ですが、何かの役に立つかと」
トナカイ「おぉ、聖女さんから貰ったお守りなら効力がありそうですね。ありがとうございます」
聖女「…トナカイさん、何かあったらすぐ連絡してください。不測の事態が起きるかもしれないので」
トナカイ「はい!このお守りを持ったら、何だか自信がついてきました!」
トナカイ「では、サンタさんを待たせているので。私はこれで」ペコリ
聖女「えぇ、クリスマスまであともう少し、頑張ってくださいね」フリフリ
バタン
聖女「…」
聖女「…」フッ
聖女「…」チラッ
聖女(もう全部ダメ、間に合わない。遅かれ早かれみんな死ぬ、トビラ…地獄)
聖女(黒いのを飛ばす、呪詛…)
聖女(救えるのはあなたしかいない、希望…因果)
聖女(そして、助けてくれる人が来る…)
聖女「………」
聖女「はぁ」
聖女「事態は…私が想像しているよりも、深刻かもしれませんね」
ちょっと中断
夜にまた再開します
まさかノリでとったサンタ幼女似の女の子がこんなに物語に絡むなんて予想外で嬉しい
☆☆☆☆ 12月23日 ☆☆☆☆
トナカイ「いよいよ明日ですねぇ」
サンタ少女「はい、今日はイヴイヴです」
トナカイ「…このまま何も起こらずに、平穏に過ぎてくれたらいいんですけど」
サンタ少女「そうですね。成功してくれることを祈ります」
トナカイ「で、今日は何をするんですか?」
サンタ少女「はい、今日はクリスマスを前夜に控えてるということで…」
サンタ少女「>>137をします」
プレゼントとお届け先の最終チェック
サンタ少女「プレゼントとお届け先の最終チェックですね。ミスがないか最後に確認します」
サンタ少女「もし記載ミスがあって、違うプレゼントが届けられたら大変ですからね」
トナカイ(真面目だなぁ)
サンタ少女「ということで、リストを全部最初から見直しましょう」ドサッ
サンタ少女「まず最初はゆうきくんですね。この子の希望のプレゼントは…>>139?」
サッカーボール
サンタ少女「プレゼントは…サッカーボールですね」
トナカイ「あ、これは大丈夫そうですね」
サンタ少女「はい、では次…」
サンタ少女「ん?」
トナカイ「どうかしました?」
サンタ少女「あ、いや…その…」
サンタ少女「お、お届け先が…南極になってました」
トナカイ「…」
サンタ少女「な、なんでこんなミスが…南地区と間違えたんですかね。後で書き直しておきます」
サンタ少女「では次、まなちゃんからです。>>141が欲しい??」
ペンギンのぬいぐるみ
サンタ少女「ペンギンのぬいぐるみが欲しい」
トナカイ「…プレゼントは問題なさそうですね。届け先は間違ってないですか?」
サンタ少女「よし、地区も合ってます。大丈夫です」
サンタ少女「…ん?」
トナカイ「こ、今度は何ですか?」
サンタ少女「い、いえ…ぬいぐるみのサイズが…」
サンタ少女「な、7メートル近くになってるんですけど…これ間違ってますよね?」
トナカイ「7メートルは絶対ないです。家に入られないですよ」
サンタ少女「サ、サイズを一桁間違ってますね、これ。修正しときます」ピッ
サンタ少女「次はきいちゃんから…>>143が欲しい???」
サンタさんとのツーショット写真
サンタ少女「サンタさんとのツーショット写真…」
トナカイ「よくよく考えるとそれ、ちょっと不味くないですか?写真はかなりギリギリような」
サンタ少女「ま、まあ寝てる時にこっそり撮れば問題ないですよ。マスクを被って顔は分からないように変装しますし」
サンタ少女「住所は…ブラジル?」
トナカイ「…」
サンタ少女「な、なんでブラジルに…どうやったらこんなミスを」
トナカイ「まあぶっ通しでやってましたからね…疲れが溜まってたのもあると思います」
サンタ少女「う、うぅ…自分が情けないです」
………………………………………………………
…………………………………………
サンタ少女「お、終わりました…これで全部確認終了です…」
トナカイ「結構ミスありましたね…やっぱり見直して正解でしたね」
サンタ少女「で、でもこれで…あとは本番が来るのを待つだけです」
トナカイ「お疲れ様でした…サンタさん」
サンタ少女「…」
サンタ少女「トナカイさん、今からどこかに遊びに行きませんか?」
トナカイ「えっ、今からですか?」
サンタ少女「はい、本当は休んだ方がいいんですけど…どうしても一緒に行きたくて」
トナカイ「私は…全然構わないですよ。どこに行くんですか?」
サンタ少女「>>146です」
じごく
サンタ少女「"じごく"です」
トナカイ「…ッ!?」ピクッ
サンタ少女「ここです、"じごく温泉"。色んなお風呂があるらしいですよ?」
トナカイ「な、なんだ…温泉ですか」
サンタ少女「はい!疲れた体にいいと思いまして」
トナカイ(び、びっくりした…どうもあのことを思い出しますね)
サンタ少女「まずはどのお風呂に入りますか?黒縄地獄、大叫喚地獄、大焦熱地獄、無間地獄などがありますが」
トナカイ「物騒な名前しかないですね」
チャポン
トナカイ「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"ぁ"…」グタッ
サンタ少女「すごい声出してますね…おじさんみたいですよ」
トナカイ「いやぁ…温泉に入ったのなんて久しぶりですから。気持ちよくて声が出ちゃいました」
サンタ少女「私も久しぶりに入りました。たまには大きなお風呂もいいものです」
サンタ少女「…トナカイさん、少し失礼なこと聞いてもいいですか?」
トナカイ「なんですかぁ?」グタァ
サンタ少女「…トナカイさんの前任のサンタさん、サンタ幼女さんって…どんな人だったんですか?」
サンタ少女「昨日…会長とトナカイさんの会話を聞いていたら、何だかワケありな感じだったので」
トナカイ「……」
サンタ少女「…言いにくいなら言わなくても大丈夫ですよ。ごめんなさい、詮索をするような真似をして」
トナカイ「あの人は―――無茶苦茶な人でしたよ」
トナカイ「頑固で、意地っ張りで、強情で、ワガママで、自己中心的で、自信過剰で」
トナカイ「その性格のおかげで、友達が一人もいませんでした」
サンタ少女「……」
トナカイ「だから、クリスマスを潰そうとしてたんです。幸せな人達に嫉妬して…本当、馬鹿みたいですよね」
トナカイ「…多分、あの人は誰よりも孤独が怖かったんだと思います。その憂さ晴らしをしたかったんでしょうね」
サンタ少女「…そうだったんですか」
トナカイ「でも、そこまで悪い人じゃありませんでしたよ?」
トナカイ「私を鹿鍋にしようとしたり、特攻させたり、街の人達に嫌がらせをしたり、サンタ狩りと手を組んだり、人をソリで轢いたり、殺し屋を雇ったり…」
サンタ少女「それって完全に悪い人だと思うんですけど…」
トナカイ「…訂正します。そこそこ悪かったです」
そこそこってレベルじゃない気がする
トナカイ「そこそこ悪かったんですけど…多分、あの人本人も完全にクリスマスを潰す気はなかったんだと思います」
トナカイ「――――今思えば、誰かに構ってほしかったんでしょうね。ただの子供ですよ、まったく」
トナカイ「ここだけの話、私も…サンタさんに付いて行くのは楽しかったんです。いきあたりばったりな行動で、何をしでかすか分からなくて…」
トナカイ「そんなめちゃくちゃなクリスマスとサンタさんが…私はちょっぴり好きでした」
サンタ少女「……」
トナカイ「でもサンタさんも、いい加減に懲りたのか、今年でサンタを辞めたみたいで…もう二度と会えないんです」
トナカイ「…正直、後悔しています。最後まで私はサンタさんの孤独を埋めることが出来なかったんですから」
そこまでやらかしても好きだって言えるこのトナカイの器がデカいな
トナカイ「だから…もし、また会えたら―――友達になってあげようかと思ってます。部下と上司の関係ではなく、対等な存在に」
トナカイ「…なんて、何様だって話ですよね。ハハハ」
サンタ少女「……」
サンタ少女「とても…面白い人だったんですね。そのサンタさんは」
トナカイ「いや全然面白くないですよ。付き合ったら分かりますけど、あの人のテンションに追いつくには並のトナカイじゃ無理です」
トナカイ「私も何度、この角で刺してやろうかと思ったか…いや実際に刺したんですけどね」
サンタ少女「…フフッ、気付いていないんですか?」
サンタ少女「そのサンタさんのことを話している時のトナカイさん、とても楽しそうに話していますよ」クスッ
トナカイ「えっ…そ、そうですか?」
サンタ少女「はい、正直嫉妬しちゃいます」
サンタ少女「…私も、そのサンタさんと会いたくなってきました。もし再会出来たら、私にも紹介してもらえませんか?」
トナカイ「いいですけど…止めといた方がいいですよ。いくらサンタさんでもアレ相手だとドロップキックかましたくなると思いますから」
サンタ少女「フフッ…余計に興味が出てきました」
サンタ少女「…そろそろ上がりますか。長風呂し過ぎましたね」チャプッ
トナカイ「えぇ、そうですね。のぼせたら大変ですし…」スッ
―――――――――――――――ドンッ
トナカイ「!?」ピクッ
トナカイ(えっ、い、今…あの音が……)
サンタ少女「トナカイさん?どうしました?」
トナカイ「い、いえ…ちょっと」
ドンドンドンドンドンドンッッッッッッ‼‼‼‼‼‼‼‼
ドンドンドンドンドンドンッッッッッッ‼‼‼‼‼‼‼‼
トナカイ「ッッ…!!」フラッ
トナカイ(な……こ、この前より音が大きい!?)
サンタ少女「トナカイさん!?」バッ
ドンドンドンドンドンドンッッッッッッ‼‼‼‼‼‼‼
ドンドンドンドンドンドンッッッッッッ‼‼‼‼‼‼‼
ドンドンドンドンドンドンッッッッッッ‼‼‼‼‼‼‼
トナカイ(か、数も叩く音も増えている…!?頭が割れそうッ…立っていられない)
トナカイ(ど、どうなって……これがトビラ?)
サンタ少女「トナカイさん!?大丈夫ですか!しっかりしてください!!」
ドンドンドンドンドンドンッッッッッッ‼‼‼‼‼‼‼
ドンドンドンドンドンドンッッッッッッ‼‼‼‼‼‼‼
ドンドンドンドンドンドンッッッッッッ‼‼‼‼‼‼‼
ドンドンドンドンドンドンッッッッッッ‼‼‼‼‼‼‼
パキッ…
トナカイ「!?」
トナカイ「ダ、ダメッッ!!!!!」
トナカイ「はぁっ…はぁっ…うっ」
トナカイ(や、止んだ…?)
サンタ少女「大丈夫ですか!?トナカイさん!私が分かりますか!?」
トナカイ「は、はい…サンタ、さん……」
トナカイ(い、今、確かに聴こえた)
トナカイ(何か壊れる音…間違いない、ヒビが割れるような音がハッキリ聴こえた)
トナカイ(ま、まさか…これって…)
トナカイ(トビラが―――――――開いた?)
今日はここまで
次の更新はほぼ安価なしで書き溜め投下になると思います
今日中に終わります
乙乙ー
うわークリスマスといえばこれがあったなぁ
☆☆☆☆ 12月24日 ☆☆☆☆
トナカイ(…今日はクリスマス。世界中の人々が待ち望んでいる祭典の日)
トナカイ(昨日はサンタさんにのぼせたと言ってごまかすことが出来たけど…やはり、このことを伝えるべきなんだろうか)
トナカイ(…いや、言えない。私だって何が起こるのか分からないし、そもそも、こんな脈絡もない話を聞かされたって混乱するだけ)
トナカイ(…クリスマス当日だっていうのに、変な不安を持たせるのはよくない)
トナカイ「……」
トナカイ(トビラが開いたら…どうなるんでしょうか)
ガチャ
サンタ少女「あっ、トナカイさん!大丈夫でしたか?昨日は…」
トナカイ「はい、本当にただのぼせただけなので、プレゼントを配るのに支障はないです」
サンタ少女「良かった…!てっきりトナカイさんに負担をかけ過ぎて、無理をさせてしまったのかと」
サンタ少女「では、今から本部に向かいましょうか」
トナカイ「え?本部にですか?」
サンタ少女「はい、今日の夜に向けて、世界中のサンタが集まって集会をするんです」
サンタ少女「毎年やっているんですけど…もしかして知りませんでした?」
トナカイ「えぇ、初耳でした」
サンタ少女「ちょっとしたパーティーのようなものですからね。料理も出ますし、楽しいですよ」
☆☆☆☆ サンタ協会本部 ☆☆☆☆
ザワザワ ザワザワ
トナカイ「うわぁ…凄い人ですね」
サンタ少女「各国のサンタが集まってますかっらね。私は自宅にプレゼントを贈るようにしていますが、直接受け取りに来る人もいますし」
トナカイ(あの人がここに集まっていたサンタさんのプレゼントを燃やしたことがありましたが…そういうことですか)
サンタ少女「あ、私は少し先輩のサンタ方に挨拶をしてくるので、トナカイさんは料理を食べていてください」スッ
トナカイ「はーい…っと」
トナカイ(…サンタさんも行ったことだし、ちょうど良かったな。聖女さんに昨日のことを伝えなくちゃ)
コンコン
『どうぞ』
トナカイ「失礼します」
聖女「あっ、トナカイさん。どうしたんですか?」
トナカイ「今日はサンタさんの集いがあると聞いたので、その付き添いです。あと...」
トナカイ「…また、あの音を聞きました。しかも今度は...」
聖女「…立ち話もなんですし、座ってください。今、お茶を出します」
トナカイ「…ということがありまして」
聖女「……」
トナカイ「…間違いなく、あれは壊れる音でした。これがもしあの子の言っていたトビラが開くという言葉に関係していたら…」
聖女「近いうちに、何か起こる、ということですね」
トナカイ「……」
聖女「…...」
トナカイ「…どうなるんでしょうか、これから」
聖女「…すみません。まだこちらも何も掴めていない状況です」
トナカイ「聖女さんでも分からないなんて…わ、私…昨日から、すごく嫌な予感がしているんです。言葉で表現するのが難しいんですけど…何かに背後を取られているような、危機感を感じるような…」
トナカイ「今日に…何かあるようなんてことはないですよね。せっかくのクリスマスなのに」
聖女「…そんなことは私がさせませんよ。サンタ会長の名に懸けて、必ず守ります」
ピピッ
聖女「あ、どうやら時間みたいです。トナカイさんも一緒に行きますか?」
トナカイ「時間?どこに行くんですか?」
聖女「毎年、私が挨拶をすることになっているんですよ。これでも会長ですからね、偉そうなところを見せないと」
トナカイ「…じゃあ私も、サンタさんも聞きに来ると思いますし」
ザワザワ ザワザワ
サンタ少女「あ、トナカイさん。どこに行っていたんですか?」
トナカイ「すみません、少しトイレに」
サンタ少女「これから会長さんの挨拶が始まるみたいですよ。人が集まってきました」
ゾロゾロ ゾロゾロ
トナカイ「本当ですね。いつの間にか会場にこんなに多くの人が」
サンタ少女「会長さんは人気高いですからねぇ…サンタの中でもファンクラブがあるくらいですし」
サンタ少女「中には、次の神様候補だって言う人もいるくらいです」
トナカイ「ハハ…あの人が神様はちょっと困りますね」
バッ
サンタ少女「あ、電気が消えました。そろそろ出てくるみたいですね」
聖女「みなさん、ごきげんよう。今日は遥々、本部までお越しいただいて、ありがとうございます」
ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!
サンタ少女「す、すごい歓声ですね」
トナカイ「本当に人気あるんですね」
聖女「皆様のおかげで、このサンタ協会も創立150周年を迎えることが出来ました」
聖女「クリスマスが聖なる日として歴史に残ったのも、サンタさんやトナカイさん達が子供達にプレゼントを配り、幸せを届けてきた結果とも言えるでしょう」
聖女「…しかし、残念ながら、今でもクリスマスを滅ぼさんとする人がいるのも事実です。現に今年は嫌がらせの手紙が届いたサンタさんも多いと思います」
サンタ少女「…」
トナカイ「…」
聖女「それでも、私はこの素晴らしい日を、後世に永遠と語り継ぎたいと思っています。それが3代目会長の私の役目ですから!」
聖女「クリスマスは不滅です!!クリスマス万歳!!!!!!!!」
バンザアアアアアアアアアアアアイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!!!!!
サンタ少女「ば、ばんざーい」
トナカイ「…サンタさん、恥ずかしいなら無理しなくてもいいですよ」
聖女「…さて、長ったらしい挨拶も終わったことですし、本題に入りましょうか」
聖女「そこの黒いフードを被った仮面の人、出てきてください。さっきからこそこそ隠れて様子を伺っていたのは分かってます」
サンタ少女「え?」クルッ
トナカイ「仮面…?」クルッ
スッ
仮面『…』バサッ
サンタ少女「あ、あの人ですかね…?」
トナカイ「え、えぇ…まったく気づきませんでした」
聖女「良ければ、壇上に上がってもらえませんか?」
聖女「あなたが……サンタに呪詛の手紙を送りつけた本人なのでしょう?直接お話しようじゃありませんか」
サンタ少女「!?」
トナカイ「あ、あいつが…!?」
仮面『…』コクッ
仮面『…』スタスタ
サンタ少女「あ、あれが…犯人ですか。ずいぶん小柄な人ですね…私より小さく見える」
トナカイ「は、はい…まるで幼女のような」
トナカイ「――――ま、まさか」
聖女「さて、話し合いの場にそのふざけた仮面は相応しくないですね。取っていただけますか?」
聖女(…どう出ますか?あなたは―――)
仮面『………』
仮面『いいだろう』パカッ
サンタ幼女「…よう、久しぶりだなァ…」
聖女「…やはり、そうでしたか」
トナカイ「!!!!!!!!!」
トナカイ「サ、サンタさん…?」
トナカイ(ど、どうして消えたサンタさんがここに?それにあの手紙を出したのもサンタさんだったなんて...)
トナカイ(な、なら…どこまで関係しているんですか?あなたは…)
聖女「…一年も行方をくらませておいて、今更出勤ですか」
聖女「教えてください。あなたは誰と繋がっているんですか?そして目的はなんですか」
サンタ幼女「…私の目的なら、もう三年前から知ってるだろ」
サンタ幼女「クリスマスを潰しに来たんだよ。だからこうやってゴキブリ共の巣に私自ら出向いてやったんだ」
サンタ少女「ト、トナカイさん…あれが本当に…昨日話していたサンタ幼女さんなんですか?」
トナカイ「は、はい…間違いないです…でも」
トナカイ「何か、何か違うような…以前と比べて…...」
サンタ幼女「…それにしても、私があいつらと組んでいることをもう察知していたのか。いやはや…恐ろしい聖女様だわ」
サンタ幼女「ただ、正体までは掴んでいなかったらしいな…当然か、あいつらはこの世界の住人じゃないからな。お前の目でも視えなかっただろ」
聖女「…...」
聖女「質問に答えてください。あなたの後ろには誰がいるんですか」
サンタ幼女「誰ェ???その質問は難しいわ。だって私も直接会ったことはないし」
サンタ幼女「扉越しで力を貰っただけだ…お前を殺せる程の力をな」
トナカイ(ト、トビラ!?)
聖女「…扉、ですか。それはもう開いているんですか?」
サンタ幼女「ほう…本当にお前は油断ならないな。どこまで筒抜けなんだか」
サンタ幼女「あぁ、もう開いているぞ…こことな」
聖女「!?」ビクッ
聖女「み、みなさん早く避難してください!!!!!!ここから離れ――――」
グッシャアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!!!!!!
スタスタ スタスタ
異形『…』
ザワザワ ザワザワ
サンタ少女「な、なんですかあれ…壁を突き破って何かが…」
トナカイ「…!…!」プルプル
サンタ少女「ど、どうしました?トナカイさん」
トナカイ「サ、サンタさん…すぐにここから離れてください。あ、あれは…」プルプル
トナカイ「わ、私の野生の勘が言っています。全速力で逃げろ、と…は、早く…」
異形『…』
異形『…』チラッ
サンタ男「おい、なんだお前?ここはサンタ協会の本部だぞ。あそこの上にいるやつの仲間か?」
聖女「ダ、ダメです!!!!!!!!!!みなさん!!!!!!早く逃げて!!!!!!!!」
サンタ幼女「馬ァ鹿ァ…一人も逃がすわけねえだろうが」ニヤリ
異形『...』
サンタ男「おい、何とか言ったら」
シュンッ
サンタ男「ど、う……なん、だ?」ボトッ
サンタ男「」バタッ
サンタ少女「ひっ…!?く、首が…」
トナカイ「こ、殺した……人を、殺した…」
「「「「「「「う、うわああああああああああああああああああ!!!!!!!!逃げろおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」バタバタ
「「「「「「「殺されるぞおおおおおおおおおお!!!!!!早くしろおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」
バサッ バサッ
異形『…』
異形『…』
サンタ幼女「アッハハハハハハハハハァ!!!!!!愉快、愉快、あぁ…この時をずっと待っていた…」
聖女「あなたは…!!!」
サンタ幼女「あ、これで終わりだと思うなよ?扉が開いたのはここだけじゃないからな」
サンタ幼女「今頃世界中で…ここと同じような出来事が起きているんだよ。クリスマスはもう終わりだ」
サンタ幼女「―――いや、世界は終わりだァ」ニヤッ
聖女「…!」
聖女(やっとパズルのピースが繋がった…でもこれじゃ…もう世界は......)
聖女(…救い、希望…ッ!?)
聖女「そ、そういうことですか。トナカイさんは…」
ギャアアアアアアアアアア!!!!!!
タスケテエエエエエエエエエエ!!!!!!
トナカイ「サ、サンタさん!!!!!!」
サンタ幼女「…アァ?」クルッ
トナカイ「な、何をしているんですかぁっ!!!!!サンタさん…自分が何をやっているか分かっているんですか!?」
トナカイ「も、もうこんなの…ただのイタズラじゃ済まされない…あなたは人を殺したんですよ!!!!!」
サンタ幼女「…誰かと思ったら鹿か。まだ生きてたのかよお前」
サンタ幼女「人殺しィ?それがなに?これから世界を滅ぼしてやるんだから70億人中の一人なんて軽いもんだろ」
トナカイ「せ、世界を滅ぼすって…ほ、本気で言っているんですか!?」
サンタ幼女「当たり前だろ。私には…あいつらにはその力がある。一週間もあれば人類は死滅する」
サンタ幼女「その時こそ、私が望んだ世界の完成だ…私より幸せな人間が存在しない、理想の世界のな」
トナカイ「そ、そんな…わ、私は…し、信じていたのに……」
トナカイ「お、大馬鹿ですよ!!!!!サンタさんは世界で一番の大馬鹿です!!!!!!」
サンタ幼女「…はぁ、やっぱお前とは合わねえわ。今までご苦労だったな。私に仕えてくれて」
サンタ幼女「でも、もうお前はいらない。死んでいいぞ」シュンッ
トナカイ「!?」ピクッ
トナカイ(あ、まずい…これ、避けないと、死―――)
ピキーーーン!!!!!!
トナカイ「」ギュッ
トナカイ(…あれ?死んでない)
聖女「…」
サンタ幼女「…チッ、邪魔しやがって」
聖女「立てますか?トナカイさん」
トナカイ「せ、聖女さん?は、はい…」
聖女「…以前、協会の下水道を通ったのを覚えていますか?あそこなら安全にここを抜けられるはずです」
聖女「…トナカイさん、必ず生き残ってください。あなたは希望です。もうこの状況を打破するにはあの人しかない」
聖女「決して、諦めないでください。どうかこの言葉を忘れないで」
トナカイ「え…?どういう意味ですか?」
聖女「…ここは私に任せて、あなたは逃げてください」
トナカイ「!?」
トナカイ「で、でも...!」
聖女「早く!!!!!!これはサンタ協会会長の命令です!!!!!」
トナカイ「…!わ、分かりました!」ダッ
サンタ幼女「逃がすかよ」シュゥゥ
聖女「あなたの相手は私です。私に復讐したいのでしょう?」
聖女「私は逃げません。ここであなたと戦います」スッ
サンタ幼女「…分からんな。なんであの鹿を逃がした?」
サンタ幼女「あんな何も役に立たない…ゴミを生かして何になる?その行動に何の意味がある?」
聖女「…去年、あなたとした賭けのことを覚えていますか?あれと同じですよ」
聖女「私はトナカイさんに賭けたんですよ…ただそれだけのことです」
サンタ幼女「意味分かんねえよ。そろそろ死ぬか?」スッ
聖女(…トナカイさん、後は任せました。あなたには酷な仕事を任せてしまいましたが…やり遂げてくれると私は信じています)
聖女(そして…ごめんなさい。サンタ幼女、あなたをあちら側に落としたのは私の落ち度です。まさかやつらが接触してくるなんて)
聖女(…次は失敗しません。必ず)
サンタ幼女「死ねェッッッッ!!!!!!!」ダッ
聖女「…!!!!」グッ
トナカイ「ッッッ!!!!!!」ダダダッ
トナカイ(聖女さんのあんな声…初めて聞きました。わ、私は…逃げないと)
トナカイ(あの人の言ったことなら…一番信用できます。私の考えよりも…)
トナカイ(…あれ?そういえばサンタさんは…)キョロキョロ
トナカイ(最後に一緒にいたのは…人が殺されたのを見て、居ても立っても居られなくなって…!?)
トナカイ「わ、私…サンタさんを…置き去りに」プルプル
サンタ少女「トナカイさん!!!!」ダッ
トナカイ「サ、サンタさん!良かった…無事だったんですね」
サンタ少女「…」
サンタ少女「はい、トナカイさんが壇上に向かった時に、逃げようかと思ったんですか…」
サンタ少女「…トナカイさんを置いて、一人で逃げるなんて出来ませんでした。だからそこに隠れていて」
トナカイ「…!ご、ごめんなさい!一人で行動してしまって…」
トナカイ「サンタさん!私の背中に乗ってください!下水道を通ってここから脱出します!」
サンタ少女「げ、下水道ですか?」
ダダダダダダダダッ!!!!!
トナカイ(…走っている途中に、何人もの死体を見た。会場に入ってきた化け物共に殺されたんだろう…)
トナカイ(…どうして、どうしてこんなことを)
トナカイ「着きました!ここから入れます!」
サンタ少女「はい…うっ!?」ズキッ
トナカイ「だ、大丈夫ですか?」
サンタ少女「…」
サンタ少女「ご、ごめんなさい…あんなものを見てしまって…気分が」
トナカイ「気を付けてください。ここから先は臭いが酷いですから」
ペチャッ…ペチャッ…
トナカイ(…ここに入るのも二年ぶりだな。あの時は―――ッ!?)
トナカイ「そ、そうだ…サンタさん!気を付けてください!ここには…!!」
グルルルルルルル……
キメラサンタ「グアアアアアアアッッッッ!!!!!!」
トナカイ「や、やっぱり…今はこんなのに構ってる暇はないのに」
サンタ少女「ト、トナカイさん。これって」
トナカイ「…一か八か、股の間をすり抜けて逃げます。掴まっていてください」
サンタ少女「…!」ギュッ
キメラサンタ「グルァッッッ!!!!!!」ダッ
トナカイ(き、来た!大丈夫、私なら…っ)
シュンッ
キメラサンタ「ガウッ!!!!!」ガシッ
トナカイ「…え?」クルッ
トナカイ(あ、あれ?私達を無視して…後ろに飛びついた?)
キメラサンタ「グゥゥッッ!!!!!ギャアッ!!!!」ガブガブ
異形『…』グッ
トナカイ「…!?う、後ろにあいつらが…」
サンタ少女「い、いつの間に…まったく気づきませんでした」
キメラサンタ「ガウッ!ガウッ!」クイッ
異形『…』グッ
トナカイ「…行け、と、言っているのですか?」
トナカイ「…ありがとうございます!!!!キメラさんッ!!!!」ダッ
ダダダダダダダダッ!!!!!
トナカイ「はぁっ…はぁっ…」
トナカイ(あ、あんなところにまで現れるなんて…もう逃げ場なんてないんじゃ)
トナカイ(…聖女さんも、キメラさんも、私を逃がすために…)
『救えるのはあなたしかいない』
トナカイ「…っ」
トナカイ(わ、私なんて…サンタさんのソリを引っ張ることしか出来ないトナカイなのに…なんで…)
サンタ少女「トナカイさん!あれ、出口じゃないですか!?」
トナカイ「は、はい!そうです!あそこからマンホールに上がれます!」
サンタ少女「…」
サンタ少女「トナカイさんから先に上がってください。私は後から行きます」
トナカイ「えっ…ど、どうしてですか?」
サンタ少女「…トナカイさんの手足だと、登るのも一苦労のはずです。私はすぐ行けますから、先にどうぞ」
トナカイ「で、でもサンタさんより先なんて…私が後で…」
サンタ少女「トナカイさん」
サンタ少女「これは…友人として、あなたの身を案じた言葉です。私のことを想うなら、この言葉に従ってください。時間がないんです」
トナカイ「わ、分かりました…先に行きますね」
カツン…カツン…
トナカイ「あ、あと…もう少し…」
ガラッ
トナカイ「開いた!外だっ!」ヒョイッ
トナカイ「サンタさん!開きました!さあ早く!」スッ
サンタ少女「…」
トナカイ「…サンタさん?」
サンタ少女「…ごめんなさい。私は行けません」
トナカイ「!?」
トナカイ「なっ…ど、どうしてですか!?馬鹿なこと言ってないで、早く来てください!!!!」
サンタ少女「…トナカイさんには黙っていましたが、実は私…足を怪我しているんです。トナカイさんと合流する前に、あの化け物に襲われて」
サンタ少女「その傷が…今見たら、かなり酷くなっていて。ただの切り傷だったのに」スッ
ニチャァッ…
トナカイ「うっ…そ、そんな…」
サンタ少女「…意識も、少し朦朧としてきました。このままだとトナカイさんのお荷物になって、危険な目に遭わせてしまうかもしれない」
サンタ少女「なら…少しでも、化け物から時間を稼いできます。それが今の私に…出来ることですから」
サンタ少女「ここで、さよならです。トナカイさん今までありがとうございました」
トナカイ「い、いやです…わ、私…サ、サンタさんまで…...」ポロポロ
サンタ少女「…トナカイさん、私が言うのもなんですけど…あなたは決して、諦めないでください。生きることを」
サンタ少女「諦めなければ…希望は必ずあります。その時が来るまで…耐えてください」
サンタ少女「…私の分まで、頑張ってくださいね」ダッ
トナカイ「サ、サンタさん…!?そ、そんな…うそ…」
トナカイ「サンタさん!!サンタさああああああああああああん!!!!!!!!」
……………………………………………………………………
…………………………………………………
…………………………………
☆☆☆☆ 12月31日 ☆☆☆☆
トナカイ「…」
トナカイ「…」
トナカイ「…」
トナカイ(―――あの日から、一週間が過ぎた)
トナカイ(あれから、トビラから現れた化け物は世界を侵略して各国の都市を襲ったらしい)
トナカイ(テレビも…一日が過ぎた辺りで何も映らなくなった。ラジオも三日目には受信出来なくなり、情報は完全に途絶えた)
トナカイ(最後に聞いたニュースは…あの化け物は殺せないらしい。現代兵器では歯が立たず外に出るなという警告だった)
トナカイ(だから私は…ここの家に引き籠っている。元の住人は避難したらしく、無人だった)
トナカイ(…幸い、化け物共はまだ襲ってこない。だがそれも恐らく時間の問題だろう。ここもいずれ―――)
トナカイ(…どうしてこんなことになったんだろう。どこかで変えられたはず…)
トナカイ(…私が、あの人ともっと親しくなっていたら…こんなことを起こさなかったのかもしれない。或いは…この角で刺し殺していたら)
トナカイ(どうして…なぜこんなことに…幸せなクリスマスが来るはずだったのに)
トナカイ(…私を逃がすために、聖女さんは自分を犠牲にした。まだ死んだと決まったわけではないけど…多分、助からなかったと思う)
トナカイ(キメラさんも、下水道で化け物に喰らいついた。恐らく、聖女さんから私を守るように言われていたんだと思う)
トナカイ(そして…サンタさんも――――)
トナカイ(三人の命を対価に、生き残ったのは私だけ…何の役にも立たない、トナカイ一匹…)
トナカイ(…もう、死のうかな。疲れた、どうせここにいてもいつかは死ぬんだし、ならいっそ楽になった方が……)
『ぜったいに諦めないで。必ず、あなたをたすけてくれる人がくるから』
『決して、諦めないでください。どうかこの言葉を忘れないで』
『諦めなければ…希望は必ずあります。その日が来るまで…耐えてください』
トナカイ「…」
トナカイ(どうして……私に何が出来るっていうんですか。みんな同じようなこと言って…私にどうしろと)
トナカイ(助けなんて…来るわけないですよ。もう世界は、終わりなんですから……)
トナカイ「……誰か、私を助けてくださいよぉ」グスッ
コンッ
トナカイ「!?」ビクッ
トナカイ「な、なんですか?外から音が…」
トナカイ「ま、まさか…ここがバレて…」ゾクッ
コンッコンッ
トナカイ「…」
トナカイ「ち、違う。ノックをするような音…私の他にも生存者が?」
トナカイ「……!!」ダッ
トナカイ「はい!今、出ます!!」
ガチャッ
トナカイ「――――――????」
トナカイ「あ、あれ…誰もいない。ど、どうして…?確かに音がしたのに」キョロキョロ
トナカイ「ま、まさか…幻聴?あまりの恐怖で…」
トナカイ「…...」
トナカイ「そ、そうですよね…こんなところに、都合よく生存者が来るわけがないです。はは…ここまでなると末期ですね。今日は寝ますか」スタスタ
トナカイ「きっと、これは長い夢なんです。夢が覚めたら…クリスマス当日で、サンタさんと一緒に配って…」
女「よう、邪魔しているぞ」
トナカイ「そして、プレゼントが配り終わったら、ヘトヘトで…お風呂に入って寝るんです」
トナカイ「?」クルッ
トナカイ「!?!!!!!???!!??!?!?」ビク
女「どうした、そんなに驚いて、まるで幽霊でも見たようだぞ」
トナカイ「えっ…あのっ…えっ」
トナカイ「ど、どこから入ったんですか!?表には誰も…!」
女「どうでもいいだろう。そんなことは、それより…今はもっと大事な問題があるだろ」
女「外を見てみろ。大晦日だというのに、この有様だ…まったく、どこぞの誰だ。扉を開けたやつは」
トナカイ「と、扉って…何か知っているんですか!?」
女「まあ少しはな。だからここに来た。お前を探すのに時間が掛かったがな」
女「…間違いないみたいだな。トナカイ、お前がこの世界の鍵だ」
トナカイ「か、鍵…?よく分からないですけど、私を…世界を!助けに来てくれた人ですよね!?」
女「…そいつは少し違うな」
女「世界を救うのはお前だ、トナカイ。私はその手助けに来た」
トナカイ「え?」
つづく
ってことでクリスマスが終わったことですし一旦終わります
近いうちというか明日にでも次スレを立てると思うのでちょっと待っててください
最終章らしく運命に逆らいます
おつ
なんだか大変なことになっちゃったぞ…
女はひょっとしてあの人…?
乙
盛り上がってきた
乙ー
なんかえらいことになってきた
トナカイ「サンタさん!私と友達になりませんか?」サンタ幼女「…は?」
トナカイ「サンタさん!私と友達になりませんか?」サンタ幼女「…は?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1514288081/)
続きです
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