トナカイ「サンタさん!私と友達になりませんか?」サンタ幼女「…は?」 (106)

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トナカイ「もうすぐクリスマスですねぇ」サンタ少女「そうですね」
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トナカイ「か、鍵…?よく分からないですけど、私を…世界を!助けに来てくれた人ですよね!?」



女「…そいつは少し違うな」

女「世界を救うのはお前だ、トナカイ。私はその手助けに来た」



トナカイ「え?」

トナカイ「わ、私に…何をしろって言うんですか。こんなし、じゃなかった。トナカイに」



女「まあそう身構えるな。安心しろ、私は味方だ」

女「…もう時間がないんだがな、仕方ない。素早く理解しろよ」

女「今、この世界は侵略されている。外で暴れている奴等は幽霊とか怪物とか、こちら側から生まれたやつじゃない。外から扉を通って来た」


トナカイ「外から来たって…何者なんですか?あの化け物は」


女「さあな、それは私にも分からん。大昔に一度だけ、今と同じように奴等がこの世界に攻めて来た時があったんだが…」

女「…その時は追い返すので精一杯だった。奴等は死なないんだよ、そして生きている訳でもない」


トナカイ「どういうことですか…それって…」


女「存在しているだけ、と言った方が分かりやすいか?生物とは根本的に構造が違うんだよ、だから閉じ込めるくらいしか対処法がない」

女「私が苦労して扉を閉めてやったのに…大馬鹿野郎がまた扉を開けやがった。それでこの惨状だ」

トナカイ「…サンタさん」


女「あぁ、そのサンタ幼女が開けたんだ。最も…黒幕は他にいるがな」


トナカイ「く、黒幕?サンタさんも操られているだけってことですか!?」


女「別に、操られているというわけではない。扉を開けたのはサンタ幼女の意思だ」

女「助言をしたやつがいるんだよ。扉の存在を教え、誑かした悪魔がな」

女「心当たりはないか?やつが消える直前に、不自然に現れて、行動を共にしていた人物に。そいつが全ての元凶だ」


トナカイ「…ごめんなさい。分からないです」


女「そうか、まあいい。今更犯人探しをしたところで解決する問題でもないしな」

女「事はもう取り返しのつかないところまで進行している。今、人類の人口が何人まで減ったか知っているか?」

トナカイ「え、分からないです…」


女「2億だ。70億から一週間で2億、もう数%しか残っていない」

女「奴等は死という扉から出てきた存在だ。生から誕生した我々が呼吸をするように、死から産まれたモノは殺戮を繰り返す」

女「はっきり言うぞ、日付が変わるまでには人類は死滅する。地球は奴等に支配されるんだよ、もう全てが手遅れだ」


トナカイ「そ、そんな……じゃあもう…ど、どうしようもないじゃないですか…」


女「…だが、一つだけ手がある。絶望的な状況をひっくり返すような手段がな」

女「これを実行すれば、本来は覆すことが出来ない死んだ人間すらも蘇る」


トナカイ「!?」

トナカイ「い、一体なんですか!?それって!」

女「やり直すんだよ。全てを最初から、時間を戻せばいい」

女「そして、それが出来るのがトナカイ…お前だけだ。扉が開く原因になったサンタ幼女と因果を結んでいるのお前だけだからな」


トナカイ「じ、時間を戻す…因果…?」


女「あぁ、正確に言うと世界線を変える。世界はこうやって直線になって進んでいる」カキカキ

女「ここから、様々な選択肢によって世界は枝分かれしているんだ。パラレルワールドというやつだな」


トナカイ「…」


女「だが、今はこのパラレルワールドが存在しない。運命が一本道になっているんだよ、世界が滅ぶしか進む道がなくなっている」

女「だから、戻すんだ。こうなる前に、ここの世界線をぶっ壊して…全てが始まった時間からやり直す」

女「トナカイ、お前はこの世界が滅ぶ原因になったサンタ幼女と強く因果が結んでいるだよ…いや、お前も幼女という存在自体と深く繋がっているのかもな」

トナカイ「話は大体分かりました。でも……」

トナカイ「ど、どうやって時間を戻すんですか?タイムマシンがあるわけでもないですし…」


女「そこが重要なところだ。世界を戻す方法は2つあるんだが、その一つを行えるやつがもう既にくたばっている。強引だが、今までやったことのないもう一つの方法を試すしかない」

女「四つのミッションをして、世界の法則を乱すんだよ。グチャグチャになったところで、私の力で強引に時間を戻す」


トナカイ「ミ、ミッション?」


女「あぁ…一見意味のない行動に見えるが、裏から見ると全て一本の線で結ばれているんだ」

女「この世ではやってはいけないこと、それをお前にやってもらう。幼女と因果が強いお前がやることで、世界が変わるんだよ」


トナカイ「……」

トナカイ「わ、私が…世界を……」

女「どうだ?事態を把握したか?」


トナカイ「は、はい…分かりました」

トナカイ(そ、そうか…あの子はここまで全部見えていたんだ。この人の存在も)

トナカイ(私が頑張れば…全部元に戻る。死んだ人も、聖女さんも、サンタさんも…そしてあの人も)


トナカイ「…分かりました!やります!私に出来ることなら、何でも!」


女「…そうか、いい返事だ。では場所を移すか」


トナカイ「あ、すみません。ひとつ、質問をしてもいいですか?」


女「なんだ?」

トナカイ「あなたは何者なんですか?全てを知っていて、私の前に現れたあなたは…」


女「……」

女「私のことはどうでもいいだろ、どうせこの場限りの仲なんだからな。それより今から心の準備をしておけ、これからかなりきつくなるぞ」


トナカイ「そ、そうですよね。ごめんなさい」


女「では私の手を握れ。飛ぶぞ」


トナカイ「…え?飛ぶ?」


女「ほら、早く」クイッ


トナカイ「こ、こうですか?」ギュッ

シュンッ


トナカイ「!?」

トナカイ(えっ…な、なに?一瞬で別の場所に……ッ!?)


トナカイ「お、おえええええええ!!!!おえええええええええ!!!!」ゲロゲロ


女「あぁ、強引に道を作らずに瞬間移動したからな。慣れてないと気分が悪くなって当然か…先に言うのを忘れていた、すまないな」

トナカイ「しゅ、瞬間移動…?」ハァハァ

女「さて、早速四つのミッションその一だ」

女「あそこに浮浪者のような格好をした男が見えるだろ?数少ない人間の生き残りだ」

トナカイ「え、えぇ…いますね」


女「あいつに>>11しろ」

片方の角をあげる

女「お前の片方の角をあげろ」


トナカイ「!?」

トナカイ「えっ…つ、角をですか?私の?」


女「あぁ、片方だけでいい。それを自分でちぎって、あの男にあげろ」


トナカイ「え、あの、でも…」


女「どうした?何か不都合でもあるのか」


トナカイ「い、いえ…私達サンタさんのソリを引っ張るトナカイって、普通のトナカイと違って角が生え変わらないんです」

トナカイ「だから、この角は言わば称号のようなもので…トナカイにとっては命のようなものなんです」


女「お前、世界と自分の角、どっちが大切なんだよ」

トナカイ「…あの、これって世界が戻ったら元に戻ったりするんですか?角も…」


女「この世界で生きていくなら無理だな。諦めろ」


トナカイ「…」

トナカイ「わ、分かりました…やります」


女「早くしろよ。時間がないんだ」



トナカイ(トナカイの角はより長く、立派な物だと歴戦のトナカイと呼ばれ、尊敬の眼差しが浴びられる)

トナカイ(でも片角や角なしは…人間だとハゲのような扱いを受ける。蔑まれ、差別され、石を投げられることもある。ハゲのように)

トナカイ(…夢だったんだけどな。角を伸ばして、ベストトナカイ賞を取ることが)


トナカイ「…」

トナカイ「あのこれって、自分で角をちぎるんですか?」


女「あぁ、私は手出し出来ない。お前が自分で行動することで意味があるんだ」

女「少し姿勢がつらいと思うがな。地面に角を叩きつけて折ってもいいぞ」


トナカイ「…」スッ


トナカイ(…片角になりたくない。以前、一度だけ角のない同僚のトナカイを見たことがあったけど、酷い扱いを受けていた)

トナカイ(人間世界のハゲも、まるで豚を見るような目で見られていると聞いたことがある。笑われ、馬鹿にされ、イジメられる…なぜならハゲだから)

トナカイ(…でも、今は自分の夢とか将来はどうでもいい。私は自分よりも…)



トナカイ「ああああああああああああああああああっっっっっっっ!!!!!!!!!!」ブンッ

ボキッ!!!!!!!



トナカイ(大切な人がいるからッ!!)



女「おぉ、よくやった!見事に片方の角が折れたぞ」



トナカイ「はぁっ…はぁっ…こ、これでいいですか?」


女「あぁ、後はあの男に渡すだけだ。行ってこい」


トナカイ「分かりました…」スタスタ




男「……」




トナカイ「あの、ちょっといいですか?」

男「…」チラッ

男「あっ…あっ…し、鹿が喋ってる…」プルプル


トナカイ「いえ、鹿じゃなくてトナカイなんですけど…あの、これ」スッ

トナカイ「私の角です。貰ってください」スッ


男「あっ…あっ…」プルプル


トナカイ「…聞いてます?」


男「ひぃっ!?」ビクッ


トナカイ(あ、あれ…もしかして怖がってる?)

トナカイ(今まで何か自然と馴染んでたような気がしたけど…喋るトナカイがいたら、普通はこんな反応なのかな)

男「うわ、あっ…あっ…」プルプル

男「だ、誰かああああああああああ!!!!!助けてくれええええええええええええ!!!!!!!」ダッ


トナカイ「!?」

トナカイ「え…に、逃げちゃいました…」




トナカイ「あの…男の人、どっか行っちゃったんですけど」


女「何戻ってきてるんだよ!お前アホか!」

女「いいか?角を渡すところまでがミッションなんだぞ。これをしないと世界が戻らない」

女「早く追いかけろ!向こうが拒否をしても渡してやれ、最悪気絶させても構わん!」


トナカイ「わ、分かりました!追いかけてきます!」ダッ

男「ひぃっ…ひぃっ…」ダッ



ダダダダダダダダダッ!!!!!!!!



男「…?」クルッ



トナカイ「」ダダダダダダダダダッ



男「う、うわああああああああああああああああ!!!!!!!!」ダッ






トナカイ「追い付いた…あの、これ私の角なんですけど、貰ってくれますか?」

男「た、助けてくれぇ…死にたくなぃ…」ブルブル


トナカイ「貰 っ て く れ ま す か ?」


男「い、いやだぁ…」ブンブン

トナカイ「……分かりました」

トナカイ「先に謝っておきます。ごめんなさい、でも世界の為なんです」


男「…?」



ブスッ



男「うげっ!?」

男「」バタッ



トナカイ「安心してください。峰打ちです、刺さってはいません」

トナカイ「では、私の角を貰ってくださいね。はい…こうやって腕に抱えて」


男「」ギュッ


トナカイ「よし!これでいいはず!」

トナカイ「渡してきましたよー!」


女「あぁ、よくやった。これで四つのミッションの内の一つはクリアだ」

女「では次の場所に向うぞ。手を貸せ」


トナカイ「…これから先のミッションも、今回みたいなことをするんですか?」


女「それについては教えられんな。どうした?怖気づいたのか」


トナカイ「…いえ、そんなことはないです」

トナカイ「行きましょう。世界を救いに」


女「いい顔だ。では行くぞ」





シュンッ

今日はここまで
何かどこかで見たような最終章ですね

シュンッ


トナカイ「うぷっ!?おえええええええええええ!!!!!」ゲロゲロ

女「大丈夫か?」ポンポン

トナカイ「うっ…は、はい。ありがとうございます」


トナカイ「ここは…どこですか?」キョロキョロ


女「もう直に、この近くをある女が通る。今回のミッションはその女が対象だ」

トナカイ「つ、次は女の人ですか。何をするんですか?」

女「お前はその女に>>25しろ」

撫でてもらう

女「その女に撫でてもらえ」


トナカイ「ほっ…な、なんだ。結構普通のミッションですね。また角を折れとか言われたらどうしようかと思いました」

トナカイ「ただ撫でてもらうだけでいいんですか?」


女「あぁ、それだけでいいんだが…ちょっと耳を貸せ」

トナカイ「え?なんですか」スッ


ゴニョゴニョゴニョ


トナカイ「―――!!!!!?????」カァ

トナカイ「なっ…な、な、な…そ、そんなところも撫でてもらうんですか!?」


女「あぁ、そうだ。出来るな?」

トナカイ「い、いや出来るかって…そりゃやるしかないでしょうけど……」

トナカイ「恥ずかしいというか…撫でる人も困るというか…そ、その人の心に傷がついたらどうするんですか…?」


女「お前、心の傷と世界、どっちが大切なんだよ」


トナカイ「で、でも…倫理的に、コンプライアンス的に問題が…」


女「…そうか、なら仕方ないな。今ならまだ引き返せる」

女「じゃあな。ここでお別れだ」スタスタ


トナカイ「!?」

トナカイ「ま、待ってくださいよ!」ガシッ

女「なんだ?出来ないんだろ。ならもう終わりだ」


トナカイ「わ、分かりました!やりますから!」

トナカイ「だから帰らないでください!お願いします!」


女「最初からそうしろよ。そろそろ時間だ。女が現れるぞ」チラッ


トナカイ「う、うぅ…なんでこんなことまで…」









OL「はぁっ…はぁっ…」タッタッタ

OL「はぁ…はぁ…ば、化け物はもう追ってこない?」クルッ

OL「ど、どうしよう…早く隠れられる場所を見つけないと…こ、殺される…」ブルブル


トナカイ「あの」


OL「誰…」クルッ

OL「!?」ビクッ


OL「し、鹿が喋ってる…ゆ、夢?」ブルブル


トナカイ「いえ、鹿じゃなくて…トナカイです。安心してください、危害を加えるつもりはありません」

トナカイ「私の話を話を聞いてもらえませんか?」


OL「え、えぇ…」

トナカイ「…と、言うわけで…今、世界は大変なことになっているんです。今からすることは世界の命運を変えることになる重要な行為なんです」

トナカイ「おわかりいただけましたか?」


OL「ぜ、全然分からないんだけど…」

OL「え、つ、つまり…私が君を撫でるだけでいいの?」


トナカイ「はい、でもただ撫でるわけではなくてですね」

トナカイ「…ちょっと耳を貸してもらえませんか?」

OL「?」スッ



ゴニョゴニョゴニョ



OL「はぁっ!?そ、そんなところを撫でるの!?」

トナカイ「はい、お願いできますか?」

OL「い、いや無理…!絶対無理だから!」

トナカイ「そこを何とか!これをやってもらえるだけで世界が救えるんです!!お願いします!」

OL「む、無理だって…こ、来ないでよ…」

トナカイ「世界の為なんですってばぁ!!!!!」



OL「い、いやああああああああああああああ!!!!!!!!」ダッ




トナカイ「待ってくださいよぉ!」ダッ

OL(な、なにあの鹿!?へ、変態…近寄らない方がいい!)

OL(早く逃げないと!あーもう…今日は厄日だわ!)



ダダダダダダダダダッ‼‼‼‼



OL「…?」クルッ



トナカイ「」ダダダダダダダダダッ



OL「ひ、ひぃっ!?」



トナカイ「捕まえました!お願いします!撫でてください!」

OL「い、いやぁ!離してぇ!!」

トナカイ「あーもう…あなたが悪いんですよ!自分から触ってくれたらこんなことしないで済んだのに…」ガサゴソ

OL「い、いやあああああああああああああ!!!!!誰か助けてえええええええええええええ!!!!!!」

ワチャワチャ ワチャワチャ


女「よし、あの調子なら二つ目もクリアだな。あいつも乗り気になってきたか」

女「あと残りは二つ…何とか間に合いそうだな」チラッ




ズズズズッ……



異形『…』




女「ん?あぁ、あの女を追いかけたきた奴か」

女「まったく…どこにでも現れるな。貴様らは…まるでゴキブリのようだ」



異形『…』



女「残念だが、邪魔をさせるわけにはいかない。そこで大人しくしていろ」グッ

ズシンッ



異形『…』ググッ



女「こんな雑兵相手でも抑えつけるのでやっとか。私もかなり弱体化しているな」

女「急がねば…上で暴れている奴等が降りてくる前に全てを終わらせないと手遅れになる」



トナカイ「撫でてもらいましたよー!」



女「あぁ、よくやった。これで二つ目のミッションクリアだ」


トナカイ「…あれ?そこにいるのって…っ!?」

トナカイ「あ、あの化け物…」ブルブル


女「安心しろ、こちらに手出しは出来ない。すぐに次の場所へ向かうぞ」

トナカイ「は、はい。分かりました」

トナカイ「…すみません、また質問してもいいですか?」


女「なんだ。急いでいると言っているだろうが」


トナカイ「聖女さん、って知っていますか?サンタ協会会長の」


女「あぁ、一応顔見知りだな。そこまで親しい仲ではないが」

女「あいつは人が苦しむ姿を見て快感を覚えるタイプだからな。私が嫌いなやつとよく似ている」


トナカイ「そ、そうですか…いや、その聖女さんが言っていたんです。助けてくれる人が来るから待てって」

トナカイ「それに…予知能力を持っていた幼女も同じことを言っていました。あなたは有名人なんですか?」

女「有名…と言えば有名だな。あまり目立ちたくはないが、私の力は派手だからな」

女「それがどうかしたか?」


トナカイ「…いえ、ただ聞いてみただけです。ごめんなさい」


女「そうか、では行くぞ。掴まれ」

トナカイ「はい」スッ

女「今から行く場所には敵がいる。だから声は出すなよ、静かにするんだ」シーッ

トナカイ「て、敵ですか!?」

女「黙っていれば問題はない。飛ぶぞ」





シュンッ

シュンッ



トナカイ「っ!?」ウプッ

女「…!」シーッ

トナカイ「…!…!」コクコクッ

女「…こっちだ。ついてこい」ボソッ



スタスタ スタスタ



トナカイ(ど、どこだろう…ここって、建物の中だと思うけど)

トナカイ(な、何か薄気味悪いな。空気が悪いっていうか、息苦しいというか)

トナカイ(…敵ってどんなだろ。あの化け物なのかな)

今日はここまで
年内には終わると思います

おつおつー
これ以外に今年書いたのあるの?

>>40
吸血娘「死なないハゲってさ、不老不死ってより不毛不死だよね」屍男「…」
吸血娘「死なないハゲってさ、不老不死ってより不毛不死だよね」屍男「…」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1507896137/)

スレが残ってるのだとこれですね
…こいつまた約束破ってる

女「…」チラッ

女「…この部屋だな」スッ

トナカイ「?」



ガラッ



女「おい、お前ら動くなよ」




会社員「…」

主婦「…」

老婆「…」




トナカイ「!?」

トナカイ(えっ…人間?も、もしかして敵ってこの人達のこと?)

会社員「…なんだテメェはぁ!!!!」ダッ


女「……」グッ



会社員「うぐっ!?」ググッ

会社員「がぁッ…あガッ………ッ!?」ピクッ

会社員「」バタッ



トナカイ「えっ…?」

トナカイ「あ、あの…な、何したんですか?この人達は一体…」


女「こいつらは奴等の味方だ。今から私が殺すからそこで見ていろ」スタスタ


トナカイ(み、味方?殺す?)


会社員「」


トナカイ「ひぃっ!?」ビクッ

主婦「あ、あああああああああっっっっっ!!!!!!!!」ダッ


女「逃がすわけないだろうが」グッ


主婦「!?」ブンッ

主婦「ギャアアアアアアア……アアアアアアアアアアア………!」ググッ

主婦「」バタッ



女「これであと残り一人だ」



老婆「…」

老婆「た、助けてください…無理矢理ここに…」



女「は?そんなの信じる馬鹿がどこにいるんだよ」スッ

トナカイ「ま、待ってください!この人達があの化け物の味方ってどういうことですか!?」バッ

女「あ?どういうことも何も、こいつらはあのサンタ幼女と同じで扉を開いた大馬鹿共の一味だ」

女「元凶がいると言ったろ、そいつの仲間がこいつらなんだよ。もう何十年も前から扉を開こうとしていた…いや、三度開こうとしたと言った方が正しいか」

女「死んで当然のやつらだ。わ…全人類の仇のようなものだからな」


老婆「…」


トナカイ「で、でも!そのおばあちゃんの話を聞いてみてもいいじゃないですか!訳があるみたいですし」

女「…お前、あんなくさい芝居に騙されたのか。よく見てみろ、懐に包丁を忍ばせているぞ」

トナカイ「え?」クルッ



老婆「ウシャアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!」ダッ

トナカイ「!?」ビクッ

女「目を見れば嘘をついているかぐらい分かるだろ。マヌケが」グッ



老婆「ギャアッ!?」ググッ



トナカイ「あっ…あっ…」ブルブル


女「おい、トナカイ。三つ目のミッションだ。そこに落ちている包丁があるだろ」

女「ちょっとお前の手だと握りにくいかもしれんが、それを取れ」


トナカイ「ほ、包丁ですか…?」

トナカイ「んっ、ほいっ…あ、取れました。ど、どうするんですかこれ」ヒョイッ


女「そいつで自分の>>49を斬り落とせ。少々痛いと思うが我慢しろ」


トナカイ「!?」

女「お前の右前足の蹄を自分で切断しろ」グッ

老婆「アグぅッ…ゴゥッ……」ググッ


トナカイ「え、えっ…ひ、蹄って…そ、そんな……」


女「そして、ここからが難しいんだがな、そいつをまた二つに包丁で切って、一つを食え。もう一つは残しておくからまだ食わなくていい」ポイッ

老婆「」バタッ


トナカイ「た、食べるんですか!?自分の蹄をっ!?」


女「あぁ、そうすることで、お前自身が鍵としての力を身に宿すことが出来る」

女「多少の痛みは我慢しろ。これも世界を救う為だ」

トナカイ「ひ、蹄を切って食べるなんて…」ブルブル

トナカイ(う、うぅ…ど、どう考えてもおかしい。常軌を逸している…)

トナカイ(そ、それに…こんな簡単に人を殺すなんて…こ、これじゃあの化け物と同じ…)チラッ



会社員「」

主婦「」

老婆「」



女「おい、どうした。早くしろ」


トナカイ「ひっ…」

トナカイ「む、無理ですっ!ごめんなさい!!」ダッ


女「あ、おい!待て、逃げるな!」

トナカイ「ハァッ…ハァッ…」ダダダッ

トナカイ(に、逃げないと!逃げないと…!)


女「おい、今更それはなしだろ」スタスタ


トナカイ「!?」ビクッ

トナカイ(えっ…う、嘘、なんで前から突然…)


女「あのな、もう逃げられないんだよ。二つ目のお願いの時に言ったろ、今なら引き返せるって」

女「だがお前は進むことを選択した。三つ目のミッションになったら戻ることは許されない。進むしかないんだ」


女「…ほら見ろ。お前が逃げたせいで状況がまた変わった」



ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……



トナカイ「じ、地震っ!?」

女「お前は世界の鍵なんだ。お前がする行動によって、世界がどちらに傾いてもおかしくないんだよ」

女「今の逃げるという行為のおかげで、かなり不味い事態になったぞ…上で暴れている奴等が降りてきた。もう本当に時間がない」


トナカイ「う、上?どういうことですか…?」


女「後ろを見てみろ、この世とあの世の狭間がなくなってきている。死者が歩き出すぞ」


トナカイ「後ろ…」クルッ





会社員「」フラッ

主婦「」ピクッ

老婆「」スッ

トナカイ「!?」ビクッ

トナカイ「なっ…あ、あの人達は今さっき、あなたが殺したはずじゃ……」


女「あぁ、確かに殺した。だが魂がまた肉体に戻って、怪物となりまた動き出したんだよ」

女「これで死という概念は崩壊した。今頃世界中でゾンビ共が動き出しているだろうな。まさに地獄だ」


トナカイ「じ、地獄…私のせいで…」


女「とにかく、こっちの部屋に入れ。鍵は閉めておけよ。あいつらが入ってくるからな」スタスタ


トナカイ(私が…我が身可愛さで逃げたせいで…もっと酷いことに)

トナカイ(ど、どうしよう…約束したのに。私は……)

バタン


女「さて、悪いニュース続きだが…少しミッションの内容が変わってしまった」

女「先程までは蹄一個でよかったが、お前の行動によって、それだと足りなくなった」


トナカイ「足りなくなったって…」


女「もう一つ、お前には自分の部位を切断してもらう」

女「だが半分自己責任のようなものだ。大人しく腹を括れ」


トナカイ「も、もうひとつは一体どこなんですか?」


女「>>56だ」

鼻の表面の皮

女「鼻の表面の皮を自分で抉れ」


トナカイ「…」


女「はぁ、逃げなければこんなことにならずに済んだんだがな。本当に馬鹿なやつだ」

女「いいか、これが最後のチャンスだ。自分の手で、蹄と鼻の表面の皮だ」

女「振り返ることはもう許されない。痛みを恐れるな、お前の覚悟はその程度のものだったか?」

女「お前の守る為に何人死んだと思っている。そいつらの犠牲を無駄にするな」


トナカイ「…」

トナカイ「分かり、ました。やります」

トナカイ「……」スッ

トナカイ「…」フーッ

トナカイ「フーッ…フーッ…」


トナカイ(聖女さん、サンタさん…ごめんなさい)

トナカイ(私は…あと少しで取り返しのつかないことをしてしまうところでした)

トナカイ(皆さんが守ろうとした…クリスマス、世界、人々、希望…全てを私が背負っている)

トナカイ(…もう、間違えない。私は…世界を―――)


トナカイ「あああああああああああああああああああああっっっっっっ!!!!!!!!!!!!」ブンッ




ザシュッ

……………………………………………………
………………………………………


トナカイ「ぐぅッ…あうっ…」ポロポロ

トナカイ「お、終わりました…これで、いいですか…?」


女「…よくやったな。あぁ、これでいい。蹄と鼻の皮、両方クリアだ」

女「傷口を見せてみろ。応急処置をしてやる」スッ


ピカッ


女「これで、痛みが和らいだはずだ。どうだ?」


トナカイ「…!」

トナカイ「あっ、ありがとう…ございます…!」プルプル

女「さて、その切り取った蹄を二つに割れるか?」

トナカイ「は、はい…えいっ」グッ


パキッ


トナカイ「これを…食べるんですよね?」パクッ


女「よし、もう一つは取っておけ。最後に使うからな」

女「さて、これで四つのミッションの内の三つが終わった」

女「ここまでよくやったな。次が最後だ…これで、世界は元に戻る」


トナカイ「…さ、最後のミッションって何をするんですか?」


女「…お前にはある人物を殺してもらう」


トナカイ「殺し、ですか…」

女「行くぞ。もう本当に時間がない、残された時間はあと数分だ」

女「覚悟は…もう聞かなくてもいいな」


トナカイ「…はい。行きましょう」


女「トナカイ、今のお前は世界の因果をその身に宿している状態だ」

女「過去、未来に置いても…そんなものを背負うやつは二度と現れないだろう」

女「…すまないな、苦労をかけた。私の力不足のせいだ」


トナカイ「…」

トナカイ「いいですよ、分かってます…決着をつけるのは私の仕事ですから」

トナカイ「行きましょう。最後の場所へ」


女「あぁ、行こうか」




シュンッ

シュンッ


トナカイ「ここは…」


女「最初に扉が開いた場所―――サンタ協会の本部だ」

女「…あとはもう言わなくても分かるな」


トナカイ「えぇ、大丈夫です」


トナカイ(…自分を傷付けて、次は殺人。鍵である私が自ら扉を閉めないといけない)

トナカイ(…何となく、分かっていた。こうなることは最初から)

トナカイ(私が…全てを終わらせる。この手で。あの人を)


トナカイ(―――――――サンタさんを殺す)

今日はここまで
これで明日には終わると思います
次も安価なしで書き溜めで最後まで突っ切ります

トナカイ「あの、私の力であの人に敵うのでしょうか」

トナカイ「…サンタ協会会長の実力でも、恐らくあの人には勝てなかったと思います。ただのトナカイの私に出来るのか不安で」


女「安心しろ。さっきも言ったが今のお前は世界の因果と繋がっているんだ」

女「お前がそうすると決断すれば、世界はそのように動くはずだ。あいつも…まだ人を捨ててはないからな、その片角で突き刺せ」


トナカイ「分かりました。やってみます」


女「…行くぞ。この門の先にやつがいるはずだ」

スタスタ スタスタ


トナカイ「あの化け物共はここにはもういないんですね。あんなに大量にいたのに」


女「奴等の中にあるのは殺戮衝動だけだ。殺すことだけしか頭にない」

女「もう死体しかないここに留まる理由はないからな。上等な獲物を求めて散らばったんだろ」


トナカイ「…」


女「ここだ。サンタ幼女がこの先にいる」

女「私はこれ以上進むことは出来ない。最後はお前が全てを決断しなければならないからな」

女「出来るか?」


トナカイ「えぇ、もう大丈夫です」

トナカイ「では行ってきますね」クルッ


女「…」

女「…顔付きが変わったな。あれならもう心配はいらないか」

女「さて、と」クルッ




死体『』

死体『』


バサッ バサッ


異形『…』スタッ




女「…ようやく向こう側も事の重大さに気が付いたようだな」

女「残念だったな、お前らが殺戮を楽しんでいる間にこちらは王手をかけさせてもらった。この七日間は久方ぶりに暴れられて気分が良かっただろ、だがもうお楽しみはこれで終わりだ」スッ

女「邪魔はさせん。もう一度、扉の中に帰ってもらうぞ」




異形『…』ダッ

スタスタ スタスタ



トナカイ「…」

トナカイ(もし…まだ神様が生きていたら…どうか、あの人の犯した罪をお許しください)

トナカイ(許されない罪だと思うけど…誰でも一回は間違った答えを出します。大事なのはそれからの道を誤らないことだと思うのです)

トナカイ(…次は私があの人を導きますから。どうか、このトナカイに免じて…あ、でも私今から殺人犯になるんですよね)


トナカイ(…あなたが、寛大な心を持っていることを祈ります。神よ)




ガチャ






サンタ幼女「……」






トナカイ「…サンタさん」




サンタ幼女「…おい、鹿。これはどういうことだ」

サンタ幼女「何が…起きている。何が起ころうとしている…ッ」




トナカイ「…サンタさん、私は…あなたが特別悪いとは思っていません」

トナカイ「力を手に入れたら…あなたのような悪行をする人もいると思います。いえ、むしろそっちの方が多いかもしれません」

トナカイ「誰にでも起こり得たこと…たまたま選ばれただけなんですよ。あなたは」




サンタ幼女「何を言っているんだよォッッッ!!!!!!意味分かんねえんだよッッッ!!!!!!!!!!」

トナカイ「これから、自分が特別だと思うのは辞めてください。確かに、周りにはあなたのような境遇の人はいないかもしれません」

トナカイ「ですが、世界にはあなたより不幸な人が大勢いるんですよ。クリスマスを憎む気持ちも理解できないわけではないです」

トナカイ「でも、それはあなたが努力をしなかったから悪いんです。勇気がなかった、あなたがいつもひとりぼっちなのは…ただこれだけの理由です」

トナカイ「自分から動かないで、友達なんて出来るわけないじゃないですか。人をロボットか何かだと思っているのですか?」




サンタ幼女「な、なんだんだよォッッ!!!!!!この期に及んで…そんなことを言いに来たのかッ…!?」


サンタ幼女「ムカつくッッッ!!!!!ムカつくッッッ!!!!!!ムカツクゥッッッッッ!!!!!!!!!!!!」


サンタ幼女「お前もォ…あの聖女みたいにぶっ殺してヤルゥゥゥゥ!!!!!!!」

トナカイ「…本当に、あなたは愚かな人です」

トナカイ「あまりに愚か過ぎて…同情します。だから私が慈悲を与えてあげましょう」

トナカイ「次の世界では…友達になりましょう。部下と上司ではなく、対等な存在に」

トナカイ「それが…あなたと世界、そして私への救いになるはずですから」





サンタ幼女「ハ?お前、何言って……」





シュンッ





グサッ

サンタ幼女「――――――――え?」





トナカイ「…」





ポタッ…ポタッ…





サンタ幼女「な、なにこ…さ、刺さって……」フラッ





トナカイ「…」スッ





ビチャッ

サンタ幼女「ち、血が…こ、こんなに……」


サンタ幼女「や、やだ…し、死にたくなッ…あ、あともう少しで、もう少しだったのに」


サンタ幼女「な、なんで、いつも…私ばっかり。みんな幸せで、私はひとりぼっち」


サンタ幼女「羨ましかっただけなのに……どうして」







トナカイ「…今年はサンタさんの勝ちでしたよ。私が保証します」

トナカイ「無事にクリスマスは滅びました。ついでに世界も滅んじゃいましたけど」

トナカイ「…これで、満足したでしょう?もういいじゃないですか、終わっても」

サンタ幼女「わ、私はまだ―――――」




サンタ幼女「」










トナカイ「……」

トナカイ「…行きましたか」


トナカイ「これで…終わりました。私も…」

ガチャ


女「無事に四つのミッション、全てを終わらせたようだな。よくやってくれたぞ、トナカイ」ボロボロ

女「これで元に戻る。始まりの日にな」グタッ


トナカイ「!?」

トナカイ「だ、大丈夫ですか!?大怪我してるじゃないですか!!」ダッ


女「大したことはない。表で少し奴等の相手をしていただけだ。まあここまでの痛手は久しぶりに食らったがな」


トナカイ「これで…いいんですよね。間違っていないんですよね」


女「あぁ、今、世界では時間が崩れた。そのうちビデオの逆再生のように、巻き戻るだろう」

女「お前が世界を救ったんだ。トナカイ、人類を代表して礼を言う」

トナカイ「…あの、聞こうかどうか迷っていたんですけど」

トナカイ「サンタさんは…次の世界でも生きているんでしょうか?」


女「…...」

女「すまないな。それは私にも分からない。何と言っても前代未聞だからな。このようなことは」

女「世界が…あいつを不要だと判断したら、そこにはいないかもしれない」


トナカイ「…そうですか」


女「あんなことをしたやつでも、まだ許せるのか?お前は…」

トナカイ「…私は神様じゃないですから、人を許す権利も許さない権利もないですよ。でも」

トナカイ「…ある約束をしました。その約束を果たさないで破るのは…少し、心が痛みます」


女「そうか、まあ私も人のことはとやかく言える立場じゃないがな」

女「どちらかと言えば…私はあの幼女に近い立場だ。今、ここにお前といるのも…罪滅ぼしみたいなものだからな」


トナカイ「そういえば結局、あなたのことは何も分かりませんでしたね…最後に、名前くらいは教えてくれてもいいんじゃないですか?」


女「…どうせ、教えたところで記憶は持ち越せないんだぞ。すぐに忘れるだろ」

女「それに、本来では私とお前は一生交わることはない世界で生きているんだからな。話すのもこれっきりだ」

トナカイ「私は…そうは思いませんよ」

トナカイ「この一週間で、奇跡なんて見飽きたぐらいありました。私が生きている確率に比べたら…あなたとはまたもう一度会ってもおかしくないと思います。いっそのこと三回ぐらい会ってもおかしくないです」


女「フッ…それもそうだな。あぁ…確かに、偶然再会してもおかしくない」

女「その時は…今日の礼をさせてくれ。飯でも何でも奢ってやる」


トナカイ「はい!楽しみにしています!」

トナカイ「…それにしても、いつまで止まったままなんですかね。もう5分は経ったのに」


女「もしかしたら、このままずっと停止した世界になるのかもな。私も力を出して動かそうと試しているが、変化なしだ」


トナカイ「えぇっ!?ここまで来てそれはないですよ!」

女「…なら、願ってみたらどうだ。よく言うだろう、困った時の神頼みと」

女「もしかしたら…世界がこんな風になっても救いを与えなかった無能で貧弱な神がお願いを叶えてくれるかもしれんぞ」





トナカイ「…!」ギュッ


トナカイ(どうか、世界が元に戻りますように。そして願わくば…サンタさんにもう一度チャンスをください)














ピカッ

女「…ん、どうやら始まったらしいぞ」ピクッ


トナカイ「えっ、本当ですか!?」


女「あぁ、あと10秒も経たないうちに…私達の肉体も時間の渦に飲み込まれて消えるだろう」

女「これで本当にさよならだ。さらばだ…世界で一番、勇敢なトナカイよ。私はお前を一生忘れないぞ」


トナカイ「…はい!私もあなたのことは…あれ?でも全部忘れちゃうんでしたっけ」

トナカイ「じゃあ…また会いましょう!いつかまた絶対に!」


女「そうだな。運命が巡り逢う、その時まで…また、な」










プツンッ

(…なんだろう。まるで空に浮かんでいるみたい…あれ?手足が動かせない。本当に肉体がなくなったみたいですね)


(…まさか、今年のクリスマスがこんなことになるなんて、思いもしませんでした。本当にとんでもないクリスマスでしたよ)


(…終わりよければ全てよし、とはなりませんよね。さすがに…みんなが死んだ事実は覆ることはない。ただなかったことになって、誰も覚えていないだけ)


(これで…いいのでしょうか。時間が戻っても、今回のようなことが起きる可能性はまだ残っている…元を辿れば、サンタさんを誑かした存在がいたのが原因なんですから)


(…今度は、今度こそは、私が防いでみせます。二度も同じことを繰り返させたりしません)





(サンタさん、私はあなたを―――――――)






…………………………………………………………………………………
……………………………………………………………
…………………………………………




トナカイ「……」スタスタ

トナカイ「…ふぅ」


トナカイ「う~…き、緊張しますね。今日がトナカイとしての仕事の初出勤です」

トナカイ「い、一体どんな人なんでしょうか。優しい人だったらいいんですけど」


トナカイ「こ、ここがサンタさんの家ですね…よし!」ポチッ





ピンポーン




ガチャ

サンタ幼女「はぁい」



トナカイ「あ、あの!本日からサンタさんの助手をさせていただくトナカイです!どうぞよろしくお願いします!!」ペコリ



サンタ幼女「…」

サンタ幼女「鹿?」



トナカイ「し、鹿じゃないですよ!!トナカイです!!!!」



サンタ幼女「じゃあなんで角が片方しかないの?しかも何か鼻赤いじゃん」



トナカイ「こ、これは生まれつきで…気にしてるんですから言わないでください…」

トナカイ(な、なんだこの人、サンタの格好はしているけど、まだ幼女じゃないですか。なんでこんな人がサンタに…)

ドクンッ



トナカイ(…あれ、なんでしょうか。この気持ち)

トナカイ(どこか、懐かしいような…このサンタさんを知っているような……)

トナカイ(…気のせいですよね。初対面のはずですし)



サンタ幼女「はぁ、まあとりあえず上がれよ。お前、新人のトナカイだろぉ?」



トナカイ「え、はい。そうですけど…よく分かりましたね」



サンタ幼女「雰囲気で分かるよぉ。だってお前、何か使えなさそうな雰囲気出てるしぃ」



トナカイ「そ、そうですか」

サンタ幼女「そんなことより、早く部屋に入って、寒い」



トナカイ「あ、はい。分かりまし―――」

トナカイ「」ピクッ



サンタ幼女「ん?何してんのぉ、そんなところで突っ立って」




トナカイ「―――」ボソッ



サンタ幼女「ん?何か言ったぁ?」



トナカイ「…サンタさん、私と…私と…」



サンタ幼女「あ?なんて?」








トナカイ「サンタさん!私と友達になりませんか?」








サンタ幼女「…は?」







トナカイ「あっ…」

トナカイ(あ、あれ????な、何を言っているんでしょうか…私は)

トナカイ(きゅ、急に言葉が出た…咄嗟に、唐突に口から。一体どうなって)




サンタ幼女「えっ...い、今、なんて?私と友達になりたいって…」



トナカイ「は、はい。そう言った…みたいです」



サンタ幼女「と、友達って…えぇ…そ、そんな急に言われてもぉ…...」オロオロ



トナカイ(…友達になりたいって言われただけでこの反応、まさかこの人、友達が出来たことがないんでしょうか)

サンタ幼女「う、うん…わ、分かった……うん」

サンタ幼女「な、なってやっても……いいぞ、と、友達に……」



トナカイ「そ、そうですか。良かったです」ホッ

トナカイ(あれ…今、私…安心した?たかが友達になっただけなのに)

トナカイ(どうしてしまったんでしょうか…あまりの緊張で精神がおかしくなった?)



サンタ幼女「じゃ、じゃあ…これからよろしくな。鹿…じゃなかった。トナカイ」



トナカイ「…はい!よろしくお願いしますね!サンタさん!」








おわり

トナカイ「あれ?サンタさん、プレゼントの用意してないんですか?もうしててもおかしくない時期だと思うんですけど」

サンタ幼女「あぁ、それねぇ。まあ友達のお前になら喋ってもいいか」

サンタ幼女「私さぁ、プレゼント配る気なんてサラサラないんだよねぇ。むしろその逆のことをしようと思ってる」

トナカイ「」ビクッ

トナカイ「ぎゃ、逆って…何をするつもりなんですか?」




サンタ幼女「そんなの決まってるじゃん。この季節になると毎回騒ぎ出すリア充共…そいつらに天罰を与える。そして最終的には…」












サンタ幼女「クリスマスなんてぶっ潰してやるよぉ!!!」











本当におわり

終わりです
今回は本当にこれで完結なので間違ってもタイトルに超が付いて復活とかしないですはい
何か今年は前の年と比べるとエライ展開になってますが、実は始めから最後はクリスマスは潰すつもりでした。というか後半の展開は完全にコワすぎパクってます。まんまです。ごめんなさい
あと途中で出てきた正体不明の女についてですが…もしこいつだろって心当たりがある方はそれで合っていると思います。ごめんなさい
最後に三年間お付き合い頂き本当にありがとうございました
三年連続クリスマスにSS書いてた自分が言うのも何ですが、皆様方のクリスマスが来年は素晴らしい日になることを心から願っています

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