忍者「侵入に成功した」(74)
忍者「さて...」
忍者「むっ...」
幼女「おねーちゃんだぁれ?」
忍者「子供か...騒がれるとまずい、殺すか?」チャキ
幼女「わー、綺麗、その尖ってるものなぁに?触らせてー」
忍者「こらやめなさい!触っちゃ危ないでしょう!!」
幼女「ご、ごめんなさい」
忍者「(殺すのにこんな注意をしてどうするんだ私は!)」
忍者「悪いが、恨むなら自分の運命を恨め」チャキ
幼女「ねぇ、絵本読んでよ」
忍者「絵本だと...?」
幼女「今日パパいないから、読んでくれる人いないの」
忍者「何、お前の父は不在か?」
幼女「うん、急なお仕事だって」
忍者「困った...目標が不在とは元も子もない...」
幼女「ねー絵本読んでよー」
忍者「むぅ...」
忍者「殺...」
幼女「?」
忍者「む、無理だ、子供を殺すなど...」
幼女「どうしたの?」
忍者「お前、私が来たことは話すなよ?いいな、絶対だ」
幼女「んー、絵本読んでくれたらいいよ」
忍者「...本当だな?約束だぞ、私を困らせないでくれよ」
幼女「わたし、口かたいんだよー、さわってみー」イー
忍者「二言がないならいい、どれだ書物を貸せ」
幼女「これー!」
忍者「ネズミの話だと?」
幼女「うん!!」
忍者「むむ、やはり異国の書物は読みにくい、何故紙一枚にまとめないのだろうか...」パラ
幼女「はやくよんでー」
忍者「むかしむかしあるところに仲のいいネズミ兄弟がいました」
忍者「ある日、兄のほうがいいました『メシ作ってくれよ』」
忍者「異国のネズミはしゃべるのか!?」
幼女「いこくいこくって、おねーちゃん外国の人?」
忍者「あぁ、少し仕事があってこっちに来たんだ」
幼女「どんなお仕事?」
忍者「えーっと...」
幼女「うん?」
忍者「先生をしている」
幼女「せんせー!?おねーちゃんせんせーしてるの!?」
忍者「あ、あぁ、剣術などを教えたり...色々だな」
幼女「ねーねー!じゃあ剣術してみて!!」
忍者「絵本を読むんじゃなかったのか?」
幼女「剣術がみたくなったの!はやくしてー!」
忍者「まったく、子供というのは気まぐれだな」クスッ
忍者「こう構えて...」チャキ
忍者「ふん!!」シュバシュバ
幼女「すごい!!」
忍者「いやそれほどでもないが...」
幼女「わたしにもさわらせて!!」
忍者「ダメだ、子供が持つと危ない」
幼女「えー、さわらせてさわらせて!!」
忍者「ダメだ!」
幼女「ひぐっ...」
忍者「うっ」
幼女「おねーちゃんのいじわるぅ...かしてくれたっていいじゃん」グスッ
忍者「な、泣くな、今度木刀を持ってきてやるから、それでなら」
幼女「ほんと?」
忍者「はっ!つい勝手な口約束を」
幼女「やくそくだからね!!」
ガチャ
タダイマー
忍者「む、帰ってきたのか!?」
幼女「あ、パパだ!」
忍者「悪いが私は身を引く」
幼女「え、どうして?パパに用事があったんじゃ...」
忍者「そ、それは大丈夫だ、もう済んだ」
幼女「またきてくれる?」
忍者「えー...」
幼女「き、きてくれないの?」
忍者「それは...」
幼女「うっ...」グスッ
忍者「来る!だから泣かないでくれ!」
幼女「ほんと?まってるからね!また遊んでね!」
忍者「し、失礼する!」
次の日の朝
忍者「結局ターゲットが来たのに尻尾を撒いて逃げてしまった...」
メイド「あらあら、大丈夫忍者さん、コーヒーでも飲む?」
忍者「ああ、その珈琲とやらは味がいい、くれ」
メイド「まいどー、それで仕事に悩みがあるの?」コポポポポ
忍者「実は目標を逃してしまって...」
メイド「忍者さんが?」
忍者「あぁ...態々腕を見込まれ派遣されたのに面目がつかん」
メイド「そういう日もあるよー、失敗なんて気にしない気にしない」
忍者「...」ズズ
メイド「もしかして、子供がいたから殺せなかったとか?」
忍者「ブーーーーッ!!」
メイド「あはは!そんなわかりやすい反応する人ってほんとにいるんだ!!」
忍者「ち、違う!その子供が可愛くて手を出せなかったなどではない!」
忍者「ただ...」
メイド「ただ?」
忍者「なんでもない、この話はなかったことにしてくれ」
メイド「あらつれない」
忍者「武器の手入れをしてくる」
メイド「困ったらまた話に来てね?忍者さん色々溜め込んじゃうタイプだから心配なの」
忍者「心配無用、余計な感情を抑える訓練は受けているのだ」
忍者「では」スッ
メイド「ふふふ、それは実っていないようねぇ」
洋館
忍者「邪魔をする」
メガネ「おお君か、座りたまえ」
忍者「ではかけさせてもらう」
メガネ「粗茶だが」
忍者「いただこう」ズズ
忍者「まずっ!!」
メガネ「粗茶と言ったが?」
忍者「粗茶と言われて本当に粗茶を出されたのは初めてだ...」
メガネ「生憎、気を許した相手にしかまともな茶は出さないんでね」
忍者「...そうか」
メガネ「それで、仕事はどうだ」
忍者「目標が不在だった、すまない」
メガネ「不在?それで逃したというのか」
忍者「もう一度機会をくれ、そうすれば必ず...」
メガネ「」バキッ
忍者「ぐっ...」
メガネ「一日引き延ばしやがってこの無能が!!」
忍者「頼む!もう一度だけ機会をくれ!」
メガネ「本当だな?次はないぞ?」
忍者「わかっている...」
メガネ「一刻も早くあの男を殺すのだ、あの男がいなくなれば私の地位が...」ブツブツ
メガネ「」ブツブツブツブツ...
忍者「...失礼する」
忍者「(今日こそは必ず...)」
夜
忍者「」ササッ
カラン
忍者「あ、木刀を落としてしまった」
忍者「...何故私はこんなのを持ってきているんだ」
忍者「これは気の迷いの表れだ...捨てなければ」
幼女「あー、おねーちゃん!!!」
忍者「」ビクッ
忍者「」バタッ
幼女「あれ、おねーちゃん?」
忍者「」
幼女「」ツンツン
忍者「」
幼女「こちょこちょこちょこちょ」
忍者「」ブルブル
幼女「うーん」
幼女「どれ、ねっとうでもかけてみよー」
忍者「うわぁ!それだけはやめてくれ!!」
幼女「いきかえった!」
忍者「...お前はなぜこの時間まで起きている?」
幼女「お昼寝しちゃったから!げんきありあまってるの!!」
忍者「困るなぁ」
幼女「あれ、それなぁに?」
忍者「これは...その」
幼女「ぼくとーだ!!かしてかして!!」
忍者「いいだろう」
忍者「(本当はそのために持ってきてしまったものだしな...)」
幼女「おもい!!」
忍者「子供には少し重かったか」
幼女「ふんす!どう?騎士様みたいでしょー?」ヨタヨタ
忍者「様になっているぞ」
幼女「ほんと!?つよそう?」
忍者「あぁ、敵には回したくないなぁ」
忍者「(本音ではあるが)」
幼女「ねーねー!悪いやくやってー!!」
忍者「悪い役とは...?」
幼女「せかいを絶望のふちへと落とし込んだワルモノ!!あくぎゃくひどう!!」
忍者「それは相当悪いな...」
幼女「私はゆうしゃだ、やいやい!こんなことはもうやめろまおう!」
忍者「もう始まってしまっているのか」
忍者「ふ、ふははははぁー、こんな楽しい事はやめられるかー、どがーん」
幼女「わたしがきさまの嫁をねとったからってひがむのではないぞー!!おまえはいったいなんさいだー!」
忍者「それは勇者に非があるのでは...というか寝取ったという言葉なんてどこで」
幼女「せいぎのけんをうけよ!!」
忍者「腑に落ちんがいいだろう!さぁ来い!!」
幼女「」ヨタヨタ
幼女「おっとっとっと」
忍者「おいおい、大丈夫か」
幼女「ふふふ、敵になさけをかけるとはあまい!!」ベシッ
忍者「あいだっ!!」
幼女「ふはは!つうこんのいちげきだったようだな!!」
忍者「怒ったぞぉ、貴様、私の秘技をくらうがいい」
幼女「む、剣をぬくきか!?」
忍者「貴様ごときに剣などいらぬわ!」
幼女「みくびられたものだな!こい!」
忍者「こちょこちょこちょこちょ!!」
幼女「あははははは!!ひきょーだz..あははははは!!!」
忍者「さぁ参ったといえ!!こちょこちょ!!」
幼女「あはははは!誰がそんな..あはははは!!」
父「幼女、こんな遅くに騒いじゃ...」
幼女「あ、パパ」
忍者「あっ」
父「あ、あなたは...」
幼女「あのね!おねーちゃんにあそんでもらってたの!!」
父「...そうなんですか?」
忍者「あ、あぁ...」
父「どういう経緯でこのような?」
忍者「それは...」
幼女「おねーちゃんは昨日できたおともだち!」
幼女「わたしが遊ぶってやくそくしたの!!」
忍者「お前...」
幼女「わたし、嘘ついてないもん」ニッ
忍者「むう...敵わんな」
父「そうでしたか...」
父「よかったらお茶でもいかがですか?」
忍者「え...」
父「少しお話しをしたいと思いまして」
忍者「(疑われてるのか...?だとしたら一刻も早く息の根を止めねば...)」
ギュッ
幼女「パパのいれる茶はうまい!よかったらのんでって!!」
忍者「...ハァ」
コポポポポ
カチャ
父「粗茶ですが」
忍者「ありがたく頂戴する」ズズ
忍者「うまいな」
幼女「こっちのクッキーもおいしいよ!!」
父「こら、子供はもう寝なさい」
幼女「ぶぅーぶぅー!おねーちゃんだってこどもじゃん!!」
父「まぁ確かに若いですね...失礼ですが歳は?」
忍者「十四だ」
幼女「7さいちがい!!」
父「外見からして外国の方でしょうか?」
忍者「そうだが...」
父「職業は?なんでしょうか」
忍者「!えっと...」
幼女「せんせいだよ!!」
父「先生?その歳でですか?」
忍者「ま、まぁ」
忍者「一応...今はだれも教えてはいないが」
忍者「(他の忍の訓練を少し見ただけだがな...)」
父「それはよかったです」
忍者「?」
父「実は頼みがありまして...」
忍者「その子の面倒を見ろ、と?」
父「はい...実は私仕事の都合で少し遠い所に行かなければなりません」
幼女「...」
父「一度そういうことがあったんですが妻がいたので問題はなかったのですが」
父「一昨年、妻が他界してしまいまして...」
忍者「それは気の毒だな...」
父「だからこの子を保育所に預けるか家政婦に見てもらうかで悩んでたんですが」
父「嫌だといいまして...」
父「どうもこの子は貴方に懐いているらしい、よろしければ...」
忍者「そんなことを言われても困る...」
父「何か不都合でもあるのでしょうか...」
忍者「...」
幼女「おねーちゃんがいい」ギュッ
忍者「くっ」
父「お金は払います!だから...」
忍者「...」
忍者「いつここを出るんだ?」
父「明後日です」
忍者「少し考える時間をくれないか?」
父「はい...いいですが」
父「できれば明日の夕方までには答えがほしいです」
忍者「わかった、約束しよう」
幼女「おねーちゃん...」
次の朝
メガネ「何、任務を途中放棄したい?」
忍者「すまん」
メガネ「...ほう、やはり何か貴様には気の迷いがあるようだな」
忍者「いや、決してそのようなことは...」
メガネ「入ってくれ」
ガタガタ
メガネ「むっ」
ガチャリ
メガネ「そろそろドアにも慣れてくれないか」
爺「外の方は戸ではなくて非常にやりにくいのぉ」
忍者「爺!?どうしてここに!」
メガネ「私が呼んだのだ」
爺「久しぶりじゃのぅ孫よ、元気にしとったかえ?」
忍者「ええ、なんとか」
爺「つい孫の顔が見たくなってのぅ、飛んできたわい」
爺「それで、任務を放棄するとは本当かえ?」
忍者「はい...申し訳ありません」
爺「ふむ、せっかくこっちに使いを送ったのに家が恥をかいてしまうのぉ」
爺「おい」
メガネ「取り押さえろ」
ササッ
忍者「何をする!?」
爺「お前のことだ、大方目標に情でも移ったんじゃろ」
忍者「...そんなことは」
爺「お前は昔から優しい子じゃった」
爺「だが家にはそんな奴はいらん、必ず一族の名を汚す」
忍者「爺...私を消すつもりでしょうか?」
爺「消す?大事な孫をか?」
爺「少し灸をすえるだけじゃ、安心せい」
爺「お前は殺すべき奴だけを殺せばいいのじゃ」
爺「情などくれてやるな、そんなものはクソの価値ほどにもならん」
忍者「次は今まで通りちゃんとやります!だから」
爺「この手の者はまた同じことを繰り返す、普通は追放が当たり前だが」
爺「お前は腕がある、磨けばまだ使えるのじゃよ」
忍者「一体何をするつもりですか」
爺「何、じっとしておれ、すぐ終わる」
忍者「」フラフラ
ピンポーン
幼女「はーい」
幼女「あ、おねーちゃん!!」
忍者「あぁ、お前か...」
幼女「パパ、おねーちゃん来たよ!!」
父「いらっしゃい」
忍者「少し時間はあるか」
父「はい?」
父「それで、昨日の話は考えてくれましたか?」
忍者「面倒を見よう」
父「本当ですか!?」
忍者「本当だ」
父「ありがとうございます、あなたならきっと娘も喜びます!」
忍者「気にするな、だがお願いがあるのだ」
父「そのお願いとは?」
父「今日精一杯一緒に遊んであげてほしい?」
忍者「そうだ、次にいつ会えなくなるかわからんのだろう?」
父「それはそうですが」
忍者「だったら尚のことだ、お願いする」
父「でも私は明日の用意が...」
忍者「ダメだ!!遊んでやってくれ!頼む!!」
父「頭を下げなくたって...」
幼女「パパ、おねーちゃん!!」ドタドタ
父「幼女...」
忍者「...」
幼女「?」
幼女「見て!ぼくとー!!」
父「これは?」
忍者「私があげたものだ」
幼女「このまっどさいえんてぃすと!!せいばいしてくれるわ」ワハハハ
父「...」
父「むっ、己奴の手先だなー?」
幼女「この剣できさまをみじん切りだ!!」
父「やれるものならやってみろ!私には作り上げた数々の薬品があるのだー!!」
忍者「では、私はこれで失礼...」
幼女「あ!きさま、まっどさいえんてぃすとの不倫あいてじゃないか!!」
忍者「なっ」
幼女「二人まとめてやつざきだ!!」
父「ようし我が愛人よ!共に闘おうぞ!!」
忍者「何!?」カァァァ
幼女「のろけるなきしょくがわるい!!てやっ!」シュバッ
忍者「うわっ、あぶなっ!!」
幼女「このー!」ブンブン
忍者「...」クスッ
忍者「怒ったぞー、覚悟しろ!」
父「二対一だ、さぁどうするー?」
幼女「くくく、じょうとうだ!!かかってこい!!」
二時間後
父「はぁはぁ...もう勘弁してくれ、疲れた」
幼女「まいったか!?」
父「はいはい、降参しまーす」
幼女「あきらめるのか!?おまえはひとりのおんなもまもれないのか!?」
父「もうパパどうしたらいいのかわかんないよ...」
幼女「この遊びあきちゃった、次買い物いこ!!」
父「ははは、こりゃまいったな」
幼女「きょうはおねーちゃんにプレゼントかってあげるの!!」
忍者「わたしに?」
幼女「うん!ぼくとーもらったお礼!」
父「よし、パパ奮発しちゃうか!」
忍者「いいのか...?」
父「ええ、かまいませんよ、頼みを受けてくれたお礼がしたいですし」
忍者「...そうか」
街路道
幼女「パパ!りょうて持ってぶらーんってするやつやろ!!」
パパ「あぁ、あれか」
忍者「なんだそれは」
パパ「片方の手を両側の人がとって持ち上げるんです」
パパ「妻が生前のときはよくやっていました」
幼女「パパはみぎて!おねーちゃんはひだり!!」
忍者「こうか?」
幼女「あはははは!!」ブラーン
幼女「もっかいもっかい!」
忍者「ほら」
幼女「あははは!」ブラーン
幼女「これやるのひさしぶり!!」
父「そうだな」
父「なんかすいません、こんなことに付き合わせてしまって」
忍者「いや気にしていない、楽しんでいるぞ」
忍者「むっ」
幼女「どうしたの?あの服ほしいの?」
忍者「いや!あんなひらひらしたもの私には似合わない!」
幼女「あはは!そうかもねー!!」
忍者「(´・ω・`)」
父「こらこら」
幼女「うそうそ、おねーちゃんべっぴんやからにあうでぇ」ヘッヘッヘ
忍者「いやそんなことはないんだが...」カァァァ
父「一度試着してみてはどうでしょう」
忍者「えっ、いいのか?」
父「そういうつもりで出かけたんです、どうぞきてみてください」
幼女「わたしがきょかする!」
忍者「では言葉に甘えて...」
シャッ
忍者「どうだ...?」フリフリ
父「似合ってるじゃないですか」
幼女「おー、かわいい!!」
忍者「そそそ、そうか」
幼女「こりゃーちちうえもほっとかんじゃろ?」
父「ははは、再婚を考えてもいいかもしれないな」
忍者「戯れはやめてくれ////」
忍者「結局買ってもらってしまった」
忍者「しかし歩きにくいなこれは...スカートが長くてどうも走るのには...」
幼女「次公園で鬼ごっこしよー!!」
忍者「鬼だなお前は」
父「ははは、ん?」
メガネ「おやおや、楽しそうで」
幼女「あ、メガネ!」
メガネ「大きくなったね、幼女ちゃん」
父「今日は何か出掛けの用事で?」
メガネ「いえ、ただの散歩ですよ」
メガネ「いやー会えるとは思ってませんでしたから光栄です」
父「私もですよ、仕事の方でまた会う機会があればよろしくお願いします」
メガネ「ええ、あればいいですね」
メガネ「では、また」
忍者「......」
幼女「どうしたの?」
忍者「いや、なんでもない...気にするな」
父「さっきのは仕事の同僚だった人で、一緒に飲みに行ったりもしてたんです」
父「ですが部署が変わってしまったのでこうして会えたのが嬉しいですよ」
忍者「そ、そうか」
幼女「公園行こ!!」
忍者「ああ、行こう」
夕方
幼女「あははは!!」
父「はぁー、もう疲れました...運動不足ですよほんと」
忍者「ははは」
父「忍者さん、でしたか、引き受けてくれて本当にありがとうございます」
忍者「もうよしてくれ」
父「あの子、他の人とは喋ろうとしないんです」
父「人見知りというよりかは...他人を興味がなさそうな目で見まして」
父「だから忍者さんの何かに引きつけられたからこそ懐いたんじゃないかと」
忍者「そうなのか、恰好が珍しかったからか?」
父「忍者さん、裏表がなさそうで信用できそうですしわからなくもないです」
父「少し可愛いところもありますしね」クスクス
忍者「か、からかわないでくれ」
父「今後娘のことよろしくお願いします、家は自由に使ってください」
父「お金も月に一度送りますので」
忍者「あぁ了解した...ぐっ」
父「どうかしましたか?」
忍者「いや...なんでもないんだ、なんでも」
忍者「少し遊んで息が上がっただけだ、問題ない」ハァハァ
父「そ、そうですか」
幼女「パパー!おねーちゃん!こっちきてー!!」
父「あぁ、行くぞー!!」
忍者「...」
夜
幼女「」スゥースゥー
忍者「寝たか...」
父「今日は疲れたんでしょう、すごく走り回ってましたからね」
忍者「そうだな」
父「お茶でも飲みますか?」
忍者「あぁ、できるだけ落ち着くものを頼む」
父「待ってください、今お湯を沸かしますね」
忍者「なぁ、質問がある」
父「なんですか?」
忍者「私は子を持ったことがないので聞きたいんだが」
忍者「もし人生の最後に娘に残したい言葉ってのはどういうものなんだ?」
父「ははは、難しいですね、考えたこともありませんでしたよ」
父「そうですねぇ」
父「日々を反省しながら生きろといってあげたいです」
父「私自身失敗も何度かあって、嫌な思いをばかりしてきました」
父「悪いところを直そうとせず、ただひたすらに何もいいことがない、ついていないと思ってました」
父「人は幸福を求めて生きる生物ですから、悪い事続きだと終いには死に幸福を求めてしまうんです」
父「もう人生が嫌になって、伯父に相談すると『甘えるな、お前が悪い、反省して成長しろ』と言ってくれたんです」
父「その言葉を守って日々を見つめなおして努力してようやく地位にも子宝にも恵まれました」
父「娘にも不満などがこの先出てくるでしょうが、そこをなんとか乗り越えてほしいように思います」
父「長くなってしまいましたね、すいません」
忍者「いいや、同僚もつらさから逃げて自ら命を絶つ奴はいた、立派だと思うぞ」
父「お恥ずかしい、こんな偉そうなことを」
忍者「自分の娘なんだ、背中を押さないと」
父「ははは、たしかにそれもそうですね」
忍者「それにしてもよかった」
忍者「お前の娘への最後の言葉が聞けて」
次の日
ドンドンドン
メガネ「入っていいぞ」
忍者「ハァーッ...ハァーッ」
メガネ「どうしたんだ、そんなに息を切らして」
忍者「早く薬をくれ!早く!!」
メガネ「持ってきたんだろうな?引き換えとなるものを...」
ポタ...ポタ...
メガネ「よくやった!!さぁ、受け取れ」
忍者「ハァーッ...ハァーッ...」プス
忍者「はぁ...はぁ...ふぅ」
メガネ「また仕事があれば呼ぶ、帰っていいぞ」
忍者「ふざけるな貴様!!」ドン
メガネ「私を殺すか?その薬は私以外は製造法を知らないぞ?」
忍者「くっ...」
メガネ「どうだった、理性が飛ぶ感覚は?」
忍者「最低だ、貴様は...」
メガネ「なんとでもいうがいいさ、どうせ貴様はその薬から逃れられない」
忍者「うぅ...ひぐっ」グスグス
メガネ「ははは、泣くとはやはりまだ子供だな」
忍者「この恨みいつか...」
忍者「貴様は絶対に殺す」
メガネ「あぁ、やれるものならな」
ピンポーン
幼女「はーい...」ガチャ
忍者「幼女」
幼女「あ、おねーちゃん!パパは?」
忍者「もうここを発った、その見送りもしてきた」
幼女「そうなのー?声くらいかけてくれてもいいのにー」
忍者「幼女、日々反省して生きろとお前に言っていたぞ」
幼女「はんせい?」
忍者「どうして失敗したかなど事を見つめなおして直そうとすることだ」
幼女「んー、わかった!!」
忍者「それと...」
幼女「ん?」
忍者「いや、なんでもない、これからもよろしく頼む」
幼女「さーいえっさー!」
忍者「朝食を作る、食べてくれるか?」
幼女「うん!」
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