おれ(スマートアシスト搭載)「ほらほらどいたどいた!俺が通るよ!」 (30)

幼女「きゃー!おれさーん!抱いて!」

子供「あ、おれさんだ!マジかっけー!!」

おれ「ピタ」

子供たち「うわぁぁぁあああ!止まったすげぇぇえ!」

幼女「もうまいっちんぐ」プシャァァア!

おれ「こらこら俺で遊ぶんじゃない」

クソガキ「おれ!いつもの決め台詞言ってくれよ!」

おれ「まったく、急いでるんだがな」

おれ「恋はいつでも誤発進!(決め顔」

子供たち「かっけええええぇぇぇ!!」

おれ「俺はもう行くぜ……!ハッ!」

ブルルン…ウゥン

おれ「さて、今週のチャンピオンでも立ち読みするぜ!」

女子中学生「チラッ…チラッ」

おれ「むっ!殺気!」

女子中学生「ヒョイッヒョイ!!」

おれ「あの子、万引きしたぜ!フッ、いけない子だ!」

女子中学生「スタコラサッサ」

おれ「逃がすか!」ドヒュン!

おれ「零距離スマートアシスト!」

キキー!ドン!

女子中学生「きゃ、きゃあ!?」

おれ「おっと、大丈夫かい?」

ダキッ

女子中学生「って……かの有名なおれさん!!?///」

おれ「スマートだぜ」

おれ「ところでお嬢さん、このポケットの膨らみは何かな」

女子中学生「う!なんでもありません!」

おれ「どっこい、あるね」

ガサゴソ

おれ「こいつぁ驚いた、なんてポケットだ。想像以上の広々空間、まるでピラーレスの大窓口だぜ。
たくさん万引きしたようだな」

女子中学生「うぅ……すみません……でも、私……」ポロポロ

おれ「謝るべきは俺じゃない。自分が何をすれば、君ならもう分かるね?」

女子中学生「はい……」

おれ「フッ、万引きは立派な犯罪だ。
ダイハツタントのように100%免除とはいかない。
だが……君がもし罪を償って、もう一度日の光を浴びる時まで――」

おれ「助手席、空けとくぜ」ニコリ

女子中学生「おれさん」ぶわっ

おれ「またしてもいたいけなレディと約束事を増やしてしまった……俺の悪い癖だな」

おっさん「ほえぇ……どうしようどうしよう」オロオロ

おれ「む、反応ありだ!」

キキー!ピタ

おれ「お困りかい」

おっさん「お、おれさん!でもどうして!?」

おれ「俺のカーナビは、いつだってとあるところを指しているのさ」

おっさん「とあるところ……?」

おれ「おっと、聞かないでくれ。
それより、なんでおろおろしてたんだい?」

おっさん「実は――」

おれ「なに?娘の結婚式に行く途中?
車のタイヤがパンクしたって?」

おっさん「はい……」

おれ「しょうがねぇな」

おれ「乗りな」ニコリ

キキー!ピタ

おれ「着いたぜ」

娘「パパ!」

おっさん「娘!」

婿「お義父さん!」

ダキッ!

娘「でもパパ!なぜ間に合ったの!」

おっさん「それはおれさんが乗せてくれたからだよぅ!
いやぁ、本当に助かったよおれさ……!?」

おっさん「い、いない!」

『――新郎新婦の入場です』

娘「あ、もう行かなきゃ!ほらパパ!」

おっさん「わ、わかったいま行くよ!」

おれ「フッ……ヴァージンロードを走行した先はゴールじゃない。
始まりに過ぎないんだ。
それは道なき道を切り開くようなもの……それが人の持つ強さだ。
舗装された道しか走れない俺には、眩しいよ。
……幸せに向かってアクセル全開な二人の新たな門出に……俺も杯を傾けようか」

ゴクゴク

おれ「今年のガソリンもいい出来だ」

おれ「さて、と。今日のパトロールはおしまいだ」

おれ「飯でも食って帰るか」

おれ「着いた……む?なにやら騒がしいな」

店員「ひ、ひぃ!やめてください!」

就活生「うるさい!世の中に……社会に復讐してやる!
へ、へへ!このスイッチを押せばお前らまとめてマジぶっとび!」

ざわ……ざわ……

ワルガキ「ヤバイよ……ヤバイよ……」

女子中学生「ガソリンスタンドで爆弾なんか爆発させたら、大惨事ですよ!」

おっさん「街が吹き飛んじゃうよぉ!」

幼女「こんなとき……こんなとき、おれさんがきてくれたら……!」

ブロロロロ!キキー――

おれ「タクシー業はしてないんだがな」

全員「おれさん!」

就活生「くっ……てめえがかの有名なおれか!ムカつく面だ」

おれ「いいデザインだろ?」プップー!

就活生「ふざけやがって!大爆発を見舞ってやるぜ!」

おれ「食べ物で遊ぶのは感心しないな」ヤレヤレ

就活生「世の中が悪いんだ……!
就職させてくれない世の中が悪いんだ!!!」

ワルガキ「あ、あいつボタン押す気だぞ!」

おっさん「ふえぇ!!」

おれ「踏み間違えるなよ、人間」

ブロロロロ!

すみませんちょっとオナニーしてきます

再開します

就活生「く、くるなら来い!
こっちは元々死ぬ気なんだ!」

ブロロロロ!

就活生「ひっ、本気で轢く気――」

ピタ

就活生「あ、あああ……」ガクッ

就活生「生゙ぎだい゙!」

おれ「……分かってるじゃねえか。
無視するなよ、お前の心の信号を」

ブロロロロ!

パトカー「おれさん!」

若手パトカー「ちょりーす!あんたがかの有名なおれさんすか!wwそいつ連行するんで引き渡しおなしゃっすww」

おれ「すまねぇがちょいと待ってはくれねぇか、若ぇの」

若手パトカー「は?ムリムリwww国家権力嘗めんなww」

パトカー「黙ってろ」

若手パトカー「…っす」

おれ「何年かかってもいい。やり直せよ。
ガソリンなんてなくったって走り続けられる。
それがお前ら人間の力だろ……違うかい?」

就活生「おれ、さん……」

おれ「フッ、リッター30キロの俺から見ても凄いよ、お前らは」

ブロロロロ……

全員「おれさん……」

事件は解決し、街には再び平和が戻りました。
おれさんはそれからも連日のようにパトロールし、都市を脅かす闇と戦い続けました。
そんなある日――

おれ「事件発生率……今日も0」

おれ「そろそろ頃合いか」

おれ「ここには長居しすぎたな……」

ブロロロロ……ウゥン

ザッ……

幼女「いってしまうのね」

おれ「!……幼女か。子供は寝る時間だぜ」

幼女「ひどい人。なにもいわずにでていくなんて」

おれ「……分かってくれ」

おれ「俺は本当の意味で人と深く繋がれない。ぶつかれない」

幼女「あたち……まつわ。
あなたのその枷が外れるその日まで」

おれ「……俺みたいな軽、忘れてしまうのが君のためだ」

幼女「ばか……ほんとにばかっ……!」ポロポロ

幼女「忘れられるわけ、ないじゃないのよぉ……!」ポロポロ

おれ「幼女……」

おれ「どうやら、この街で最後に一仕事やりのこしていたみたいだな」

幼女「……?」

おれ「幼女、俺のブレーキランプを見てくれ」

幼女「ぐすっ……いったいなんなのよ……?」

おれ「幼女、俺も楽しかったぜ。
けど、立ち止まるなんてらしくない。お前は走り続けろ――」

おれ「さよならだ」

ピカッ――――

子供「幼女ちゃんボーッとしてどうしたのー?」

幼女「ふえ?なんでもないよ。
ただ、なにか忘れてるような気がして……」

子供「忘れ物?」

幼女「んーん。……でも、大事なものだった気がする……とっても大事なもの……」

ブゥン…

カーナビ『……よろしかったのですか?』

おれ「あぁ。人の重荷になる車だなんて、笑えないだろ」フッ

カーナビ『罪作りな乗用車ですよ、貴方は』

おれ「ほっとけ」

おれ「さて……北か南か西か東か……」

カーナビ『目的地はどこにします?』

おれ「んなもん、決まってんだろ」

おれ「どこかの誰かのHAPPY ENDへ」

―fin―

ハリウッド待ったなし

>>28
ありがとうございます
自信がつきました
明日にでも持ちよって行こうと思います

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom