・「アイドルマスター シンデレラガールズ」のSSです
・明確にアニメ世界線と定めているわけではない為、一部その他のコンテンツの要素が入り混じることがあります
----事務所----
ガチャ
智絵里「……お疲れさまですっ」
杏「うん、お疲れなら帰ろうか」
かな子「ちょっ、早すぎるよ杏ちゃん!」
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杏「えー? もう今日は充分働いたじゃん……」
智絵里「働いたっていうか、レッスンだったんだけど……」
杏「労働の為のレッスンは最早労働だよ、智絵里ちゃん」
智絵里「う、うーん……分かるような、分からないような……?」
かな子「あはは……。でも、今日はなかなか新鮮だったね。ニュージェネレーションズのみんなとの合同レッスン!」
杏「まあ、多少ね」
杏「……人数が増える分、こっそりサボってもばれないかなと期待してたんだけどなぁ、杏は」
智絵里「一緒にやれて楽しかったけど……未央ちゃん達、やっぱり歌もダンスも、凄くって」
智絵里「それに比べると、やっぱりわたし、まだまだだなぁって……」シュン
かな子「そうかなぁ? 智絵里ちゃん、すごく頑張ってたと思うけど」
杏「いつも言ってるじゃん、智絵里ちゃんはもうちょい自信持っていいんだって」
智絵里「うぅ……そ、そうかな……?」
杏「そうそう。ニュージェネ三人衆にも負けてないよ」
かな子「ほら、試しに凛ちゃんっぽく振る舞うのはどう? キリッと、背筋を伸ばす感じで!」
杏「うぉ、なんてキラーパス」
智絵里「ええぇ……そんな、急に言われても……」
杏「……まぁ、芸能界に身を置く者として、無茶振り耐性は付けておくに越したことはないよね」
かな子「智絵里ちゃん、クールにだよ、クール」
智絵里「え、えっと……くーる、くーる……」
智絵里「……の、残していきましょう……わたしたちの、足跡っ!」キリッ
かな子「……」
杏「……」
智絵里「あ、あの……せめて、何か反応を……」オロオロ
杏「うーん……まだ蒼さが足りないかなぁ」
かな子「どっちかっていうと……ピンク色?」
智絵里「あう……やっぱり」
智絵里「……そもそも、自信を持てるかと、クールに振る舞えるかは、少し違うんじゃ……?」
杏「……そこに気付くとは。やるね、智絵里ちゃん」
かな子「……言われてみれば、確かにそうだね」
杏「なんでやねん!」ビシ
かな子「あぅ」
杏「くっ、振った側の方が天然だったか……!」
かな子「ごめんね、智絵里ちゃん。変なこと言って」
智絵里「い、いえっ! そんな、謝ってもらうほどのことでは……」
杏「かな子ちゃーん、ツッコミでなけなしの体力を奪われてしまった杏には何か無いのー?」ゴロゴロ
かな子「え? えーと、それじゃあ……昨日作ってきた洋梨のタルト、みんなで食べよう?」
杏「さすがかな子ちゃん。分かってるぅ」
智絵里「あ、それなら……卯月ちゃんが後で事務所に寄るって言ってたから、四人で食べませんか?」
かな子「いいねっ! そうしようか!」
杏「むー……杏は今すぐにでも糖分を補給したいのに……」
杏「仕方ない、それまで飴でも舐めるか」ガサゴソ
かな子「ふふっ♪ タルトの上手な作り方、この間愛梨ちゃんに教えてもらったんだ!」
智絵里「へぇ……! 愛梨ちゃんも、ケーキ作りすっごく上手だったもんね」
杏「……あのさ。杏、思ったんだけど」
かな子「どうかしたの?」
杏「『好きこそ物の上手なれ』って諺、あるじゃん?」
智絵里「あります、ね」
杏「実際、かな子ちゃんや愛梨ちゃんはこうして、お菓子が好きだから作るのも上手でさ」
かな子「えへへ……改めて言われると、ちょっと照れちゃうかも」
杏「だからさ、杏もこうやって飴を食べ続けていたら」
杏「いつかそのうち、何も無い空間から飴を生成する能力に目覚めたりしないかなって」
智絵里「そ、それはさすがに無茶だよ……」
かな子「私だって、材料も何も無しにお菓子作りなんて、そんな超能力みたいなこと出来ないよ~!」
杏「超能力か……どこかの自称サイキックアイドルが飛んできそうだな」
智絵里「いくら杏ちゃんが頭が良くていろいろ器用でも、さすがに『上手なれ』のレベルを飛び越し過ぎだと思うよ?」
杏「……でもさ。実際、欲しくない? 超能力」
かな子「うーん、どうだろう……? 考えたことも無かったよ」
智絵里「ケーキを食べてるときにスプーンが曲がっちゃったら、食べにくくて困るよね」
かな子「そうだねー」
杏「……いや、そういうのじゃなくって」
杏「ほら、テレポーテーションとかさ。あんなチカラがあったら、予定があってもギリギリまで家で寝てられるじゃん!」
智絵里「そっか、なるほど」
杏「あとは、クレヤボヤンスっていうの? 視界に映らないものまで見渡せる、みたいなやつ」
かな子「とっても遠くのものまで見えちゃうってこと?」
智絵里「千里眼……みたいな感じかな?」
杏「あー、そうそうそれ」
杏「千里眼が使えれば、きらりやプロデューサーが杏を仕事に連れて行こうとするのを、事前に察知して逃げられるからね!」
かな子「……とりあえず、杏ちゃんのぐうたら癖が更に悪化しそうなのは分かったよ」
杏「別にいいじゃん。超能力だろうがなんだろうが、便利なものは有益に使うべきだよ」
智絵里「有益……なのかな? なんだか前向きなようで後ろ向きな気がするけど……」
杏「えー? 気のせいじゃない?」グデー
かな子「智絵里ちゃんは、もしも超能力が使えたらどうする?」
智絵里「えっ!? ……どうしよう? 頭の中で念じて、四つ葉のクローバーを探しだす、とか……?」
智絵里「でも、超能力で見つけたクローバーだと、あまり効き目が無さそう……」
杏「あ、いいこと思いついたよ」
かな子「なになに?」
杏「ステージで緊張しちゃった時にさ、超能力で観客を全部カエルさんに変身させちゃうの。どうよ?」
智絵里「そ、そんなことしませんよっ!」
智絵里「もう、カエルさんのおまじないには頼らないって……き、決めたんですから」
かな子「……人の姿を変えちゃうって、もう超能力っていうより、魔法だよね……」
杏「マジカルちえりん、か……。アリだな」
かな子「アリかも」
智絵里「ええっ!?」
かな子「そういえば智絵里ちゃん。前にラジオの収録で、お客さんをカエルさんだと思い込むようにしてたことがある……っていう話、したじゃない?」
智絵里「う、うん……緊張を和らげる方法の話になったから……」
かな子「あのラジオが終わってから、私たちのステージの時に……」
かな子「カエルのかぶりものをしてるファンの人を、ちょくちょく見掛けるようになったよね」
杏「あー……いるいる、確かに」
智絵里「うぅ……や、やっぱり、見間違いじゃなかったんですね……」
杏「訓練され過ぎでしょ、私達のファン」
かな子「あはは……あれも応援のひとつ、なのかな? 智絵里ちゃんが緊張しないようにって」
智絵里「う、嬉しいのは嬉しいんですけど……ちょっぴり、複雑かな……?」
杏「あの人達、そのうち私達の歌に合わせて輪唱しだしたりして……カエルだけに」
智絵里「あっ、でも! この間の握手会のとき、杏ちゃんと同じ『働いたら負け』のシャツを着たファンの人、来てましたよね?」
杏「あははは! そうそう、杏思わず、両手で手ぇ握っちゃったよ。同士だー、って」
かな子「杏ちゃん、あの時は営業スマイルじゃなくて、本心からの笑顔だったよね」
杏「しかもさ、その人が言うんだよ」
杏「『いやぁ、有給取って来た甲斐がありました!』って」
杏「ちゃんと働いてるんじゃん」
智絵里「ふふっ……!」
かな子「それもそれで、杏ちゃんと一緒だね」
杏「……そうか、杏もあの瞬間まさに働いてたわけだしね」
杏「……人生、ままならないものだなぁ……」トオイメ
智絵里「た、達観してますね……」
かな子「お菓子作りだって、少し分量や焼き加減が変わっただけで、思い描いていたのと違う出来になっちゃったりするしね」
杏「……あ、そうだよお菓子! 杏、早くかな子ちゃんのタルト食べたいんだけど」
智絵里「卯月ちゃん、まだ来ないね……」
杏「ちょっとかな子ちゃん。かな子ちゃんのスイーツサイキックで、卯月ちゃんを召喚してよ」ユサユサ
かな子「え、えぇ!? 杏ちゃんも、結構な無茶振りだよ!?」
智絵里「スイーツサイキックって、初めて聞きました……。超能力って、そんな種類もあるんですねっ」
かな子「ほらぁ、智絵里ちゃんがちょっと真に受けちゃってるよ~!」
杏「いいからいいから。物は試しって言うし。ね?」
かな子「もう、しょうがないんだから……」
かな子「……えぇと、こんな感じ、かな? む、むむむーん……」
ガチャ
卯月「お疲れ様です!」
三人「……!」
卯月「……あの……どうか、しましたか?」
かな子「ど、どうしよう……私、目覚めちゃったかも……?」
卯月「えっと……あ、仮眠していたんですかね?」
杏「そうじゃない」
おわり
お付き合いありがとうございました。
前作
キャンディアイランドの一向に毒にも薬にもならないおしゃべり
も、よろしければどうぞ。
おつ
普通に卯月がこの輪に入ってるとこも見たい
かわいい(かわいい)
乙
かな子の超能力はグラブルとのコラボで本当に実装されましたね…
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