「巣立ち」 (110)

モバマスssです
アニメ準拠はほとんどありません
草は生えてませんが気分を害された方がいらっしゃったら申し訳ありません
武内P「シンデレラ…プロジェクト…」
http://ex14.vip2ch.com/i/responce.html?bbs=news4ssnip&dat=1453378881

美城「シンデレラガールズ、プロジェクト」
http://ex14.vip2ch.com/i/responce.html?bbs=news4ssnip&dat=1453649632

右京「346プロダクション?」
https://ex14.vip2ch.com/i/responce.html?bbs=news4ssnip&dat=1457957833

↑を見ていただけたら何となく世界観が分かるんじゃないかなと思います



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1469710925

『カチッ…カチッ…』

はじめは、普通の女の子でした。

『カチッ…カチッ…』

ある日その女の子は、魔法使いさんと出会いました。

『カチッ…カチッ…』

魔法使いさんは、女の子に魔法をかけ、生まれ変わらせました。

『カチッ…カチッ…』

女の子はその魔法で、様々な人達を笑顔にしました。

『カチッ…カチッ…』

でもいつか女の子は思い始めました。

『カチッ…カチッ…』

この楽しい時間は、いつまで続くのか、と。

『カチッ…カチッ…』

しかし女の子の周りには、どんどん仲間が増えていきました。

『カチッ…カチッ…』

だからいつしか女の子は、その事を心配しなくなりました。

『カチッ……カチッ……』

そんなある時、女の子は後ろを振り返りました。

『カチッ………カチッ………』

魔法使いさんに、お礼を言おうと思ったからです。

『…カチッ…』

だけど。

『…』

そこには。

卯月「……プロデューサー…さん…?」

魔法使いさんの姿は、ありませんでした。


卯月「プロデューサーさんっ!!」ガバッ

卯月母「キャッ!!」

卯月「…あれ?…ママ?」

卯月母「ど…どうしたの?」

卯月「…ゆ、夢かぁ…」

卯月母「夢って…プロデューサーさんと何があったのよ…」

卯月「え?…えっと…何だっけ…?」

卯月母「まあ…夢なんてそうそう覚えてるもんじゃないから…でも何かはあったんじゃないかしら?」

卯月「?」

卯月母「…顔、ぐしゃぐしゃよ」

卯月「えっ?……うひゃっ!?」

卯月母「何やってるのよ…」

卯月「か、顔!顔洗ってくる!!」バタン

卯月母「お仕事遅れちゃダメよー!」

卯月母「…」フゥー

卯月母「…内容は置いといて、正夢にならなきゃ良いんだけど…」


…。

美城「…」ペラ

『POWER OF SMILE』

武内P「…」

美城「…」ペラ

『誰もが皆、シンデレラに』

美城「…」ペラ

『定員・・・未定』

美城「…」ペラ

『参加アイドル・・・』

『デビュー・・・未定』

武内P「…」

美城「…」パタン

武内P「…どう、でしょうか…」

美城「…ふむ」

武内P「…階段を上がるアイドル達は…まだきっとたくさん、いるはずです」

美城「…そこで、これか…」

武内P「…はい」

美城「…彼女達はどうする?」

武内P「…彼女達は…二期生の方々とも上手くやっていらっしゃるようですが…」

美城「そうではない。一期生達は、もう君の手を離れるということか?」

武内P「…い、いえ…そんな事は…」

美城「…これは、そういう事ではないのかな?」

武内P「…」

美城「…君にとって…彼女達はもう面倒を見る必要は無いと。君自身がそう判断したという事だ」

武内P「…」

美城「…ふむ…」

武内P「…彼女達はもう、自分自身の力で階段を上っていくでしょう」

美城「…ほう…その理由は?」

武内P「…」

美城「理由は何だと聞いている。答えなさい」

武内P「…既に彼女達は、自分自身の道を見つけ出しています」

美城「…ふむ…」

武内P「…」

美城「…成る程、よく分かった」

武内P「…」

美城「…ならば、やってみたまえ。もう一度、城を作ることが出来るというならば」

武内P「…ありがとう、ございます…」

美城「ただし、だ。失敗は許さん。…それは頭に置いておきなさい」

武内P「…はい」


…。

美城「…」

美城「…」チラ

美城「…」

美城「…さて…」

美城「彼の選択が吉と出るか凶と出るか…」

美城「…見届けさせてもらうとしよう」

美城「…」

美城「…巣立ち…」

美城「…か」

…。

『シンデレラガールズプロジェクト 第二期生企画』

二日後

「ハイワン・ツー!ワン・ツー!」パンパン

「…!…!」

「動きが遅くなってきたわよ!集中して!」パンパン

「は、ハイ!」

「はいワン・ツー!ワン・ツー!」パンパン

「…!」

『コンコン』

「…あら…?」

「?」ピタッ

ちひろ「失礼します」ガチャ

「…?あら?新しい子を募集だなんてしてたかしら…」

ちひろ「えっ?」

「あ!もしかして無料体験レッスンを希望の子かしら?」

ちひろ「えっ!?ち、違いますよ!」

「あら?」

「申し訳ありません…346プロダクションの事務員さんだなんて…てっきり…ねぇ?」

「あはは…」

ちひろ「あ、あはは…そ、それは置いといて…ン゛…」

「…」

「…」

ちひろ「…本日は、そちらにいらっしゃる相葉夕美さんを是非ともシンデレラガールズプロジェクト、二期生としてお迎えしたいと考えておりまして…」

「・・・」

夕美「・・・」

ちひろ「…どうでしょう?」

夕美「・・・」

「・・・」






夕美「…やったぁぁぁぁぁぁああああああああ!!」

「夕美ちゃあああああああああん!!!」

ちひろ「…あはは…」

夕美「…♪」

夕美「…やったぁ…!ついに、私もアイドルになれるんだぁ…!」

夕美「お母さんとお父さんに電話して…友達にも電話して…」

夕美「…!すっごく楽しみだなぁ…」

夕美「…」チラ

夕美「…あ…」

『FLOWER SHOP SHIBUYA』

夕美「…そうだ!報告しないと…!」

夕美「こんばんはー!」

凛「いらっしゃいませ…あ、夕美さん」

夕美「凛ちゃん!私、やったよぉ!」ガシッ

凛「え…ほ、本当!?」

夕美「うん!それがね…!私も、シンデレラガールズプロジェクトの一員になったの!」

凛「え…あ、そういえば…二期生募集してたっけ…」

夕美「だから…これからよろしくお願いします!凛先輩♪」

凛「あ、そ、そんなからかわないでよ…でも、良かった。おめでとう、夕美さん」

夕美「うんっ!…と、いうわけで…自分にご褒美!…えーと…赤の…アルストロメリア!これ3本くーださいっ♪」

凛「540円になります」

夕美「はい!…じゃあこれからよろしくね!凛ちゃん!」ブンブン

凛「うん。よろしくね」ヒラヒラ

夕美「またねー!」

凛「…」

凛「…」

『自分にご褒美なんです♪』

凛「…あ…」

凛「…そんなことも、あったかな…」

莉嘉「んー…」

莉嘉「…」チラ

『城ヶ崎美嘉もオススメ!簡単付けまつ毛!』

莉嘉「…よい…しょ…」

莉嘉「…んー!」プルプル

莉嘉「…届かな…い…!」プルプル

「…」ヒョイ

莉嘉「…あっ」


「どうぞ」

莉嘉「あ…お、お姉…さん!ありがとー!」

「…えっと、城ヶ崎、莉嘉さんですよね?」

莉嘉「え?う、うん!」

「…だったら、さんはいりませんよ?」

莉嘉「え?」

「…私も、貴方と同学年ですから」

莉嘉「…え?」

悠貴「乙倉悠貴って言います!私もアイドル目指してて…」

莉嘉「えー!?ほ、ホント!?なれるよ!絶対なれる!!」

悠貴「ほ、ホントですか?」

莉嘉「うん!だって…モデルさんみたいだよ!」

悠貴「え、えへへ…身長が高いのは、ちょっぴり自慢で…」

莉嘉「…でーもっ!こっちは!…アタシの方が大っきいけどねー…」

悠貴「うっ…」


莉嘉「へー…ジュニアモデルもやってたんだー!」

悠貴「もう辞めちゃったんですけどね…」

莉嘉「えー?どーして?」

悠貴「…んー…やっぱり、女の子の夢じゃないですか!アイドルって!」

莉嘉「へー…悠貴ちゃんアイドルになりたいんだー!」

悠貴「はいっ!それで…実はですね…」ガサ

莉嘉「?」

悠貴「…私も、ついにアイドルになれたんです!」ガサ

莉嘉「ほ、ホント!?」

悠貴「はい!莉嘉ちゃんと同じ、シンデレラガールズプロジェクトです!」バッ

莉嘉「えー!?…そ、それって…二期生のやつ?」

悠貴「はい!私、合格したんですよ!」

莉嘉「わー!!凄い凄ーい!!アタシ達と同じだ!!……っていうことはー…」

悠貴「はいっ!莉嘉先輩ですね♪」

莉嘉「フフフー…アタシもついに先輩と呼ばれるようになったかー…」

悠貴「うふふ。莉嘉ちゃんみたいな可愛いアイドル目指して、頑張ります!」

莉嘉「うん!よろしくね!悠貴ちゃん!」

悠貴「はいっ!」

卯月「…」テクテク

卯月「…」チラ

卯月「…!」

卯月「…」ブンブン

卯月「…最近、あんまり笑顔になれてないのかなぁ…」

卯月「…んっ!」ニコ

卯月「…どうでしょうか…プロデューサーさん…」

卯月「…」

「どうかされたんですか?」

卯月「ひえっ!?」

「きゃっ…」


「す、すいません!…そんな驚かれるだなんて思わなくて…」

卯月「あ、こ、こちらこそすいません!ついボーッとしてて…」

「い、いえ…あの、えっと…もしかしたら、シンデレラガールズプロジェクトの…島村卯月さんですか?」

卯月「え!?は、ははい!」

「…!わぁ…こんな事があるなんて…」

卯月「え、えっと…」

「…あ、あ!さ、サインも欲しいんですけど…実は…」

卯月「…?」

「…えと…」ゴソゴソ

卯月「…?」

「こ、これです」スッ

卯月「?……これって……あ、も、もしかして…二期生の…」

「はい!だからちょっと早いんですけど…自己紹介をしたくて…」

卯月「え、えっと……藤原……えっと…」

肇「藤原肇と申します。何も知らない田舎者ですが…よろしくお願いします!」ペコ

卯月「あ…は、はい!こ、こちらこそよろしくお願いします!」ペコ

肇「あ、そ、そんな、よ、よろしくお願いします!」

卯月「い、いえ!どうも!」

肇「ど、どうもぉ!!」

卯月「…」

肇「…」

卯月「…え、えへへ…」

肇「…ふふ…」

肇「島村さん、養成所からのデビューだったんですね…」

卯月「はい!初めは嘘なんじゃないかって思ってて…」

肇「そんな…島村さんは立派なアイドルじゃないですか」

卯月「え、えへへ…ありがとうございます…」

肇「やっぱり、養成所からのデビューだとスタート地点も皆さんと違ってたりするんですか?」

卯月「い、いえ!全然そんなことなくて…私なんて、寧ろ…みんなの方がどんどん大きくなってって…」

肇「…」

卯月「…でも、私は私で良いんだって。そう教えてもらったんです。プロデューサーさんに」

肇「…」

卯月「…今では、養成所時代の人達ともまた連絡しあったり、ちょっぴり余裕が出てきた…なんて…てへへ」

肇「…凄いです。何だか、今から自分もアイドルっていうのに…夢物語みたいに聞こえちゃって…」

卯月「…私も、そうでしたから」

肇「…で、でも、養成所時代の人達も、今は…」

卯月「…」

肇「…」

卯月「…残ったのは、私だけでした」

肇「…」

卯月「…みんな、私に夢を託して、行ってしまいました」

肇「…アイドルって、楽しいだけじゃ、ないんですね…」

卯月「…え…あ、す、すいません!こんな、変な空気にしちゃって…」

肇「い、いえ!一層引き締まった感じです!改めて頑張ろうと思いましたから!」

卯月「…あ、あはは…」

肇「あはは…」

…。

武内P「…」

『シンデレラガールズプロジェクト 室長 美城専務取締役(仮)』

武内P「…」ガチャ

武内P「…」バタン

武内P「…」

武内P「…?」

『5月の掃除当番 やったらチェックすること』

『アスタリスク・凸レーション・・・壁、床【○】』

『C・I・・・机、椅子【○】』

『蘭子ちゃん、ラブライカ・・・小物【 】』

『ニュージェネレーションズ・・・プロデューサーの机【 】』

武内P「…」

【7月25日 10時24分】

武内P「…」

『ガチャ」

武内P「!」






未央「…」

武内P「…」


未央「あ…ぷ、プロデューサー…」

武内P「…おはよう、ございます」

未央「う、うん!おはよっ!…あ、今はもうプロデューサーじゃなくて…課長だったっけ…?」

武内P「…プロデューサーで、構いません」

未央「あ、そ、そうだよね!そっちの方が慣れてるし…」

武内P「…」

未央「…あれ?」

武内P「…」

未央「…あ、あれ?プロデューサー…プロデューサーって、呼んでいいって…それ…」

武内P「…」

未央「…そういう…こと…?」

武内P「…本田さん」

未央「ひゃいっ!?」

武内P「…少し、お話があります」

未央「…え、え?…な、何…?」

未央「…これ…」ペラ

武内P「…」

未央「シンデレラプロジェクト…二期生…」

武内P「ええ。前から本田さん方にも伝えていたものですが…」

未央「…じゃ、じゃあ…私達、ついに先輩になるって事だね!?」

武内P「…え、ええ…」

未央「…そっかぁ…ならばこの未央ちゃん!後輩の見本になるようアイドル業、これからも精進してまりいます!」

武内P「…頑張って下さい」

未央「えー?何言ってんのプロデューサー!」

武内P「…」

未央「プロデューサーだって、これからは私達以外も見なきゃいけないんだよー…?そんな他人事みたいな言い方しちゃってー…」

武内P「…」

未央「…あ!でも私達は今はほとんどミスも無いし…手なんてかからなくなっちゃったかも!」

武内P「…ええ」

未央「だからプロデューサーも無理せずに……」

武内P「…」

未央「…ん?」

武内P「…」

未央「…え?」

武内P「…」

未央「…ねえ、プロデューサー」

武内P「はい」

未央「…ま、待ってよ…え?」

武内P「貴方達は、もう自分の力で階段を上がり続けています」

未央「…」

武内P「…」

未央「…プロデューサーは…それで良いんだ?」

武内P「…これからは…」

未央「…」

武内P「…これからは、皆さん方が後輩達を導いていく」

未央「…」

武内P「私は、その後押しを出来れば良いと思っています」

未央「…そう…だよね…」

武内P「…お互い、頑張りましょう」

未央「うん…。分かったよ…別に、二度と会わない訳じゃないもんね」

武内P「ええ。もし分からないことや、困ったことがあれば、その時は私も一緒に考えます」

未央「…うん」

武内P「…また、改めて説明させて頂きます。それでは…」ペコ

未央「…」

武内P「…」ツカツカ

未央「…」ガシッ

武内P「!」

未央「…プロデューサー…」ギュッ

武内P「…?」

未央「…ちゃ、ちゃんと…」

武内P「…」

未央「…見ててくれるんだよね…?」

武内P「え、ええ…」

未央「本当だよね?」

武内P「ええ。私はこの仕事が好きですから」

未央「…シンデレラガールズプロジェクトは、これからも大きくなるんだろうけどさ…」

武内P「…」

未央「…私達もいるってこと、忘れないでね…?」

武内P「…ええ」

未央「…」スッ

武内P「…」ペコ

未央「…」

武内P「…」ガチャ

未央「…」

未央「…」

武内P『私は、必ず戻ってきます』

未央「…」

未央「…そっか…」

未央「…プロデューサーが見てたのは、もう私達だけじゃ…ないんだね…」

未央「…」グスッ

『ピッ…ピッ…ピッ…ピーン…』

楓「いや参りましたね」

瑞樹「こっちよ」

楓「え?」

瑞樹「毎回毎回同じ始まり方で…」

楓「いや参りましたね…」

瑞樹「こっちよ滅入ってんのは」

楓「我が祖国日本…」

瑞樹「え?」

楓「我が祖国日本…」

瑞樹「え?何?日本全体?」

楓「我が祖国日本…」

瑞樹「長渕さんじゃないのよ」

楓「www」

瑞樹「貴方のこのラジオでのキャラが分からないって言いたいのよ。こっちは」

楓「…まあ普通に思いますけどね」

瑞樹「え?」

楓「クラゲになりましたよね」

瑞樹「いやだから長渕さんでしょって言ってるのよ。普通じゃ言わないわよそんなの」

楓「そんな事より聞きました?」

瑞樹「貴方私の30秒返しなさいよ」

楓「まあここだけの話にして欲しいんですけどね」

瑞樹「本番中にオフレコにしろっておかしいでしょ」

楓「いやだから、リスナーにはラジオを切ってもらいまして…」

瑞樹「ダメです」

楓「でも本当これ、オフレコ系なんで…」

瑞樹「何よオフレコ系って。聞いたことないわよ」

楓「ついこの間、舌を噛み切ったんですけどね」

瑞樹「だから長渕さんでしょって言ってるのよ。話変わってないじゃないのよ」

楓「…実はですね」

瑞樹「あ、結局言うのね。本題も」

楓「…シンデレラガールズプロジェクト、第二期生を募集しますと、いうですね」

瑞樹「あら。普通に良いニュースじゃない」

楓「ええまあ、そうなんですけどね」

瑞樹「ん…」

楓「このオーディション、未定なんですよね」

瑞樹「私の2分間返しなさいよ」

楓「wwwwwww」

『はいCM入りましたー』

瑞樹「…」

楓「…」

瑞樹「…シンデレラガールズプロジェクト、ね…」

楓「はい。二期生ですよ」

瑞樹「…どうかしら」

楓「?」

瑞樹「…良い?シンデレラプロジェクトの一期生の子達…どう思う?」

楓「…どう、とは?」

瑞樹「考えてみなさいよ。貴方のライバルが何人もいるのよ」

楓「ン゛ン゛」

瑞樹「…割と本気よ」

楓「…」

瑞樹「…今回も、一悶着あるんじゃないかしらねぇ…」

楓「…」

瑞樹「全く…人騒がせなんだから…」

楓「…」


杏「…」

きらり「杏ちゃあん?もう寝ないとダメだにぃ?明日もお仕事だよぉ?」

杏「…ん…」

きらり「きらりもぉ、もう瞼がギュンギューンって!重たくなっちゃったよ?」

杏「…ん。そろそろ寝るから…」

きらり「うゆ…」

杏「…ん?」

楓『シンデレラガールズプロジェクト、第二期生を募集しますと、いうですね』

杏「…」

きらり「…」

杏「…」プチ

きらり「…え?」

杏「…」

きらり「…Pチャン…」

杏「…へー…」

きらり「…」

杏「…杏達は、もう良いって事なんだ…」

きらり「…」

杏「…嘘つき…」

きらり「…杏ちゃん…」

杏「…」

きらり「…杏ちゃん。Pチャンはきっと、すっごーいおっきなおっきな夢を、持ってるんだにぃ」

杏「…」ギュ

きらり「だからぁ、きらり達は、Pチャンを……」

杏「…」ギュウウ

きらり「…応援してあげなきゃ…いけない…からぁ…」

杏「…うぇぇ…」グス


…。

夕美「…」

悠貴「…」

肇「…」

悠貴「…えっと…」

夕美「…」

肇「…」

悠貴「…もしかして、二期生…の…?」

夕美「あ、う、うん!えっと、貴方も?」

悠貴「は、はい!」

肇「わ、私もです…何だか、凄い所ですね…生で見ると」

悠貴「何ていうか…お城みたい…」

夕美「…私ね、ここ…何度も来てるんだ」

悠貴「そ、そうなんですか?」

夕美「うん。絶対ここでアイドルとしてやってくんだって…」

肇「夢…叶いましたね」

夕美「うん。だから…今、凄く幸せなんだ!」

悠貴「…私もです」

肇「ふふっ…」

夕美「えっと…あ、私、相葉夕美!18歳です!」

肇「藤原肇。16歳です」

悠貴「乙倉悠貴です!13歳です♪」

肇「えっ」

夕美「えっ」

悠貴「えっ」

夕美「そっか…ジュニアモデルかぁ…」

悠貴「はい!色んな経験をさせてもらえました!」

肇「元芸能人…経験豊富そうですね」

悠貴「そ、そんなことないですよ!だって私…」

肇「?」

夕美「?」

悠貴「…ほ、ほら!モデルって言っても、服を着たりしただけですし…アイドルってなると全然違いますし!」

夕美「でも凄いよー!芸能人の人と会った事とかあるんでしょ?」

悠貴「え、ええと…ちょっとだけですけど…」

肇「夕美さんも、渋谷さんのお店の常連だったなんて…」

夕美「えへへ…実はね?私…色んなところに応募しててさ…」

悠貴「へ…へー…」

夕美「ほら!「下手な鉄砲数撃ちゃ当たる」ってやつだよ!」

肇「…そうでしょうか?」

夕美「?」

肇「私、ちょっと前に島村卯月さんとお会いして…」

悠貴「え!そ、そうなんですか!?」

肇「はい。そこで、アイドル…芸能人の厳しさというものを痛感しました」

夕美「き、厳しさ…」

肇「アイドルになりたい方が大勢いて、でもなれない人がほとんどの中、選んでもらえたんです」

悠貴「…」

夕美「…」

肇「…何か、意味があるのかなって…そう思えて」

悠貴「もしかしたら、運命かもしれませんね!私達が出会った事って!」

夕美「運命…」

悠貴「はい!運命です!」

肇「ふふっ。私も、そう思いま」ドンッ

悠貴「……!!!?」

夕美「!!?」

肇「………?」

夕美「!……!?」

悠貴「!?…!!」フルフル

肇「…」

武内P「…」

肇「」

武内P「申し遅れました。貴方達の、プロデューサーです」

夕美「ご、ごめんなさい…叫んじゃって…」

悠貴「申し訳ありません…」

武内P「い、いえ…実は、先程のような事には慣れておりまして…」

夕美「えっ!?」

武内P「あ…そ、そういうことではありません。ただ、いかんせん私の風貌は…誤解を与えやすいらしく…」

悠貴「そ、そんなことないですよ!」

武内P「…あ、ありがとう、ございます…」

肇「す、すいません…起こしていただいて…」

武内P「い、いえ…ン゛…それよりも」

夕美「?」

武内P「…貴方達に再度聞きたいことがあります」

夕美「は、はいっ!」

悠貴「何でしょうか…?」

武内P「…アイドルに、なりたいですか?」

肇「…」

夕美「…」

悠貴「…」

武内P「その意思は、固まっていますか?」

夕美「…はいっ!」

悠貴「アイドルになりたいです!」

肇「はい。是非とも」

武内P「…」コク

…。

武内P「…それでは、この書類で提出します。個人情報については個人情報取り扱いのページを見て下さい」

夕美「は、はい…」

武内P「…それではこれからアイドルとして活動して頂くのですが…何か質問はありますか?」

肇「えっと…じゃあ…」スッ

武内P「何でしょうか?」

肇「私が、このオーディションに受かった理由って、なんでしょうか?」

武内P「…」

肇「…」

夕美「…」

悠貴「…」

武内P「…笑顔です」

肇「笑顔…」

武内P「ええ」

肇「…笑顔?」

悠貴「え、えっと!じゃあ、私が選ばれた理由はなんですか?」

武内P「…笑顔です」

悠貴「え?」

肇「…」

夕美「…あの、私は…?」

武内P「…」

夕美「…」

武内P「笑顔です」

夕美「…えええ…?」

夕美「…」にぱっ

悠貴「…」ニコッ

肇「…」ニコ

3人「…」

夕美「…笑顔…かあ」

肇「履歴書の写真、笑ってました?」

悠貴「…ちょこっとだけ…」

夕美「私も…」

肇「私、真顔だったんですけど…」

夕美「えっ?」

肇「…笑顔…笑顔…」

悠貴「…どういうことなんでしょうか?」

夕美「…さあ…?」

藍子「そっか…プロデューサーさんが…」

未央「うん。…何だか、知らない間に距離が遠くなったっていうか…」

藍子「…」

未央「…今まではさ、別の場所に居ても凄く身近に居て、いつでも相談に乗ってくれて…でも」

藍子「…」

未央「…いきなり、別の世界に行っちゃったみたいに…離れていって」

藍子「…それだけ、頼りにされてるんじゃないかな?」

未央「…」

藍子「プロデューサーさんは…未央ちゃん達は大丈夫って確信したから、次のステップに移ったんじゃないかな?」

未央「…嬉しいよ。その思いは」

藍子「…なら」

未央「でも、そうじゃないんだよ」

藍子「…」

未央「…もっと、単純」

藍子「…」

未央「…寂しい…なって」

藍子「…」

未央「…もう、私達だけのプロデューサーじゃないって、思うとさ。…何か、寂しくなっちゃって…」

藍子「…未央ちゃん…」

奈緒「よっ」

凛「あ、おはよ。ちょっと遅かったね」

奈緒「十分間に合ってるだろ…凛が早いんだよ」

加蓮「え?私もいるけど」

奈緒「えっ!?アタシが一番最後!?」

加蓮「あーあ。奈緒もそんな子になっちゃったかー」

奈緒「何だよそれ…」

凛「…」

奈緒「…で?何でまた凛はそんなブスーっとしてるんだよ」

加蓮「あー…これ?」

凛「…別に…」

加蓮「んー…ま、話すと、ね。長いんだけど…」

奈緒「?」

凛「…」

奈緒「ほー…あのシンデレラプロジェクトのプロデューサーがねぇ…」

加蓮「うん。まぁ…私達は普段が普段だし…」

奈緒「まあ…なあ…でも前よりはマシになったよな」

加蓮「うん。結構現場にやってくるようになったしね」

奈緒「まー、何も言わずに帰るけどな」

凛「…」

加蓮「たまにはねぇ?ご飯でも誘ったりとかさ」

奈緒「いやー…ちょっとそれは…」

加蓮「そう?私は良いと思…あっ」

奈緒「あ…」

凛「…」

加蓮「…こっちのプロデューサーの事だったよね…」

奈緒「…そ、そうだったな…」

凛「…私さ、プロデューサーにスカウトされた時、何度も断っててさ…」

加蓮「…」

凛「…熱意に負けたっていうか、それでアイドルになって、それで…」

奈緒「…」

凛「…何だか、なあって…」

加蓮「…でもさ、結局いつまでも着いてくるって、無理だと思うよ」

凛「…」

奈緒「凛のとこのプロデューサー、専務からの評価、かなり高いしな。これからもどんどん上がってくるだろうし」

加蓮「シンデレラプロジェクトだって一期生で終わらせたくないって思いもあるんじゃないかな」

奈緒「うん。これからも大きくしてくなら尚更だよな」

凛「…」

加蓮「だからさ、納得しなきゃいけない部分は…あると思う」

奈緒「ただ、担当から外れるっていっても…」

凛「…」

奈緒「…んー…」

凛「…」

奈緒「…ま、今生の別れって訳じゃなし…」

加蓮「ねー」

凛「…」

奈緒「…」フゥー

加蓮「凛…」

卯月「…」

美穂「卯月ちゃん。どうかした?」

卯月「え!?い、いえ!」

美穂「でも…凄く疲れてそう…何かあったのかなって…」

卯月「つ、疲れてる…ですか?」

美穂「うん。どうしたのかなって…ディレクターさんも心配してたし…」

卯月「え、えっと…」

美穂「…もしかして、シンデレラプロジェクトのプロデューサーさんのこと?」

卯月「…え…」

美穂「ほら、卯月ちゃん達一期生からは外れて、二期生にシフトしていくって…」

卯月「…」

美穂「…え?」

卯月「…え、えっと…」

美穂「…もしかして、聞いてなかった?」

卯月「…え?」

美穂「で、でも…今はその話題が結構、有名で…」

卯月「…」

美穂「…凛ちゃん達から聞いてなかった?」

卯月「…そ、それが…私達、前に会ったの…」

美穂「…」

卯月「…2ヶ月も前で…」

美穂「…」

卯月「…」

美穂「…も、もしかしたらみんな、仕事が大変なのかも…」

卯月「…そ、そうですよね!」

美穂「ほら、今は346のアイドル達って、色んな人とユニット組んでるし…」

卯月「わ、私も美穂ちゃんと組んでますしね…」

美穂「…う、うん。だから…」

卯月「…」

美穂「…」

卯月「…あれ?」

美穂「…」

卯月「…シンデレラプロジェクトって、全員集まったの、いつでしたっけ…?」

美穂「…」

卯月「…電話したの、いつでしたっけ…?」

美穂「…」


卯月「…」

卯月「…」

『着信履歴』

卯月「…」

『本田未央 3/16』

『渋谷凛 4/7』

卯月「…!」

卯月「…」

『発信履歴』

『本田未央 3/19』

『渋谷凛 4/10』

卯月「…」

卯月「…私…」

卯月「…嘘…」

卯月「…気にしなく…なってた…?」

杏「杏とー…」

きらり「きらりのぉ!」

杏きらり「あんきランキングー!」

D「…」

AD「…」

きらり「今日のランキングはぁ、今流行りのゲーム!だにぃ」

杏「おー…」

D「…ちょっと待った!」

杏「…」

D「あー…双葉さん、何か今日一層元気無いけど…大丈夫?」

杏「…ちょっと、喉の調子が悪い…です」

D「あ…そ、そっか…悪くなっちゃったかぁ…」

杏「…すいませんでした…」

AD「あ、しょ、しょうがないっすよ!調子が悪くなるのは…ね?」

D「そ、そうそう!しょうがないしょうがない!」

杏「…」

D「んー…で、諸星さん…もかな?」

きらり「?」

D「…ん…なぁ?」

AD「…ちょーっと…メイクさん塗りが足りなかったかなぁ…」

きらり「うゆ?」

D「諸星さんはね…元気っていうか、無理してるんじゃないかって…」

AD「何というか…クマがー…ね?」

きらり「…ごめんなさぃ」

D「…ちょ、ちょっと休憩!休憩しよう!な!」

AD「は、はい!10分休憩入りまーす!」

杏「…」テクテク

きらり「…」テクテク

D「…」

AD「…」

D「…ありゃー…ちょーっと…マズそうだな…」

AD「…やっぱあれですかね?武内さんが二期生に専念するっていう…」

D「…まあCPに戻った途端だもんなぁ…」

AD「…いやでも、この調子じゃ…」

D「…あんきランキングは、この番組の、名物コーナーだからなぁ…切るわけにもなぁ」

AD「…でも、あんなヤル気の無さだと…」

D「あー…しょうがない!コーナーを増やして、あの二人の出番はしばらく減らすか」

AD「…まあ、しばらく、すれば…元に戻りますよね」

D「…だと良いなぁ」

…。

美城「…」

ちひろ「…」

美城「…」

ちひろ「す、すいません…クレーム処理だなんて…」

美城「…それは構わない。部下の失敗は上司の失敗だ。この責任は私にもある」

ちひろ「…」

美城「クレーム処理…クレームの項目に丸が書かれてないだけマシだろう」

ちひろ「…今週に入って、もう3件です」

美城「島村卯月、双葉杏、諸星きらりか」

ちひろ「…どれも、仕事への姿勢がよろしくないようです」

美城「ふむ…」

ちひろ「…どうしましょう?」

美城「…」

ちひろ「…」

美城「…少し、置いておきなさい」

ちひろ「…えっ?」


美城「まだこれは正式なクレームではなく、CPの室長に送られるだけの意見書だ。…最も、今の室長はあくまで、私だが」

ちひろ「…」

美城「つまり、私と君以外は見ていない」

ちひろ「…」

美城「…だから、少し時間を置く。期限は…この用紙が正規の使われ方をしたならば、だ」

ちひろ「…その場合は?」

美城「切って捨てる。代役ならば他に立てれば良い」

ちひろ「そ、そんな…」

美城「…それに、この問題は私では恐らく解決出来ない。ましてや君にも」

ちひろ「…」

美城「…彼にも、な」

ちひろ「…時間が解決してくれる…と?」

美城「…いや、もう少し早い方法もある」

ちひろ「…」

美城「…」フゥー

ちひろ「…」

美城「…歴史は、繰り返す…か」

ちひろ「…?」

瞳子「…」

店員「いらっしゃいませー。カウンター席へどうぞー…」

武内P「…」

瞳子「…」

武内P「…」

瞳子「…隣、良い?」

武内P「…ええ」

瞳子「…」ガタ

武内P「…」

瞳子「…久しぶり。プロデューサー」

武内P「…ええ」

瞳子「…何から、話そうかな…」

武内P「…私も、たくさん考えておりました」

瞳子「…そうだなぁ。じゃあ、お互いの近況報告でもする?」

武内P「…ええ」

瞳子「…んーと…ね…私は…」

武内P「…高垣さん方とは、どうですか?」

瞳子「…まだもうちょっと、先…かな…」

武内P「…そう、ですか…」

瞳子「…緊張してるでしょ」

武内P「…い、いえ…」

瞳子「目、泳いでるよ。…本当、そういうところは、変わらないね」

武内P「…」


瞳子「…小耳に挟んだ程度だけどさ、辞めちゃうんだって?シンデレラプロジェクトのプロデューサー」

武内P「厳密に言うのであれば、一期生の方々にはマネージャーをつけてもらい、私は二期生のプロデューサーになるということです」

瞳子「…そっか」

武内P「…もう、彼女達は自らの力で上がっていけるでしょう」

瞳子「…自分が出る幕はもう終わったってこと?」

武内P「…」

瞳子「…」

武内P「…ええ」

瞳子「…」

武内P「…」

瞳子「…本当にそうなの?」

武内P「…」


瞳子「そんな円満な感じには見えないけど。今のプロデューサーを見てたら」

武内P「…」

瞳子「…あの時と、同じ顔だよ」

武内P「…」

瞳子「…同じ過ちは繰り返さない。そう考えてるんじゃないの?」

武内P「…」

瞳子「…私の時みたいにさ」

武内P「…自惚れているわけではありません」

瞳子「うん。でも分かるよ。ちょっとしか見てないけど…」

武内P「…」

瞳子「…何人かはクロだって、すぐに分かったから」

武内P「…」

瞳子「勿論、色んな子をアイドルとして輝かせたいのも本心だろうけど…」

武内P「…」

瞳子「…それだけじゃないよね?」

武内P「…」

武内P「…先月、正式にではありませんが、シンデレラプロジェクトへの復帰が決まりました」

瞳子「…うん」

武内P「そこで、アイドルの方々が今どうしているのか、どのようになっているのかを見たく、現場へお邪魔させて頂く事がありました」

瞳子「…うん」

武内P「…高垣さん達は、いつも通り、順調そうでした」

瞳子「…「は」…?」

武内P「…シンデレラガールズプロジェクトの方々は、様々なプロジェクトのアイドル達と交流を深め、複数のユニットを組むようになりました」

瞳子「仕事の幅も、広がるからね」

武内P「ええ。そうだと、思います」

瞳子「…それで?それの何が…」

武内P「…掃除が、されていませんでした」

瞳子「…え?」

武内P「恐らく数ヶ月前までは室内チェック表を作るほどやって下さっていたようですが、最後にやっていたのは2ヶ月前、それも半分の方だけです」

瞳子「…忙しかったり?」

武内P「…それも、あると思います」

瞳子「…」

武内P「…ですが、私は…思っていて欲しいのです」

瞳子「…」

武内P「シンデレラガールズプロジェクトは、彼女達の第二の家だと」

瞳子「…」

武内P「帰る場所が、そこにあると。そう、思っていて欲しいのです。心の、奥底に」

瞳子「…」

瞳子「…バラバラになってる…ってこと?」

武内P「…ええ」

瞳子「…なら、尚更、貴方が行かなくちゃ…」

武内P「それでは、意味がありません」

瞳子「…」

武内P「私が行けば元に戻る。その程度ならば最早絆とは呼べません」

瞳子「…」

武内P「厳しいかもしれません。ですが私は、彼女達はシンデレラガールズプロジェクトのアイドルであるということを、再確認して頂きたいのです」

瞳子「…」

武内P「…」

瞳子「…だから、一旦離れて、気づかせたい…ってこと…」

武内P「…ええ」

瞳子「…ちょ、ちょっと待って。…ならもし、あの子達が気づかなかったら…」

武内P「…もし、そうだとしたら…」

瞳子「…」

武内P「…彼女達は、新しい居場所を見つけたということでしょう」

瞳子「…」

武内P「…私は、これで…」ペコ

瞳子「え、え!?あ、お、お金は良いよ!自分で…」

武内P「…」スタスタ

瞳子「…」

瞳子「…」

瞳子「…せっかく会えたのに、タイミング悪いなぁ…私…」

夕美「…えーと…ここ、だよね?」

肇「はい…室長の名前が違いますけど…」

悠貴「…は、入って大丈夫でしょうか…?プロデューサーさんも案内してくれなかったし…」

夕美「…で、でもほら!やっぱり先輩に挨拶しとかなきゃさ…ね?」

肇「は、はい…はい?」

悠貴「で、でも…凄く静かだし…いないんじゃ…」

肇「引っ張りだこですからね…開いてます?」

夕美「…」スッ

悠貴「あ、の、ノックしないと…!」

夕美「あ!そ、そうだった!…ちょっと上がっちゃってたかなぁ…てへ」

肇「…じゃ、じゃあ…」

夕美「…」コンコン

『はーい!』

夕美「あ、い、いた…!」

『どうぞー!』

肇「…この声…」

悠貴「…し、失礼します…」ガチャ

卯月「ど、どうも!シンデレラガールズプロジェクトの…二期生の方々ですよね!」

夕美「あ、ははいっ!相葉夕美です!」

悠貴「乙倉悠貴です!」

卯月「…あ!肇さんも!」

肇「はい。改めて…藤原肇です。よろしくお願いします」

卯月「はいっ!」

夕美「え、えっと…今って…」

卯月「今は…私一人だけですね!」

悠貴「じ、事務所のお掃除ですか?」

卯月「はいっ!やっぱり綺麗にしないとダメですから♪」

肇「あ…わ、私も手伝います」

卯月「え、あ!そ、そんな…大丈夫ですよ!」

悠貴「で、でも…先輩がやってるのに…」

夕美「…」

卯月「い、いえ!大丈夫ですから!」

肇「…島村さん」

卯月「は、はい?」

肇「…手伝いますから…」

卯月「で、でも…」

夕美「…目、凄いクマが出来てますよ…」

卯月「…」

肇「…」

悠貴「…」

夕美「…」

悠貴「え!?ね、寝てないんですか!?」

卯月「えへへ…昨日細かいところまでやってたら長引いてしまいまして…結局朝また来てやっちゃおうって…」

肇「…昨日からだけじゃないですよね?」

卯月「…」

肇「…」

卯月「…3日前からです…」

夕美「…クマも出来ますよ…」

悠貴「ど、どうしてそんな…」

卯月「み、皆さんが帰ってきた時に綺麗じゃなかったら落ち着かないかなって…」

肇「…3日前から、誰が帰ってきたんですか?」

卯月「…」

肇「…少ししか交流がない私でも、分かりますよ」

夕美「…」

悠貴「…」

肇「…私、趣味柄…と言えばいいのか、細かいとこが目に入るんです。よく」

卯月「…」

肇「…掃除表、これ…ほとんど更新されてないですよね?」

夕美「…」

悠貴「…」

卯月「…その…」

夕美「…シンデレラガールズプロジェクトのみんなと…」

悠貴「…交流をしなくなった…」

卯月「しなくなったっていうか…仕事上、会う頻度が少なくなったっていうか…」

夕美「や、やっぱり忙しい…から…?」

卯月「…はい」

肇「…」

卯月「…初めは、みんなで四苦八苦しながら仕事を探して、色んな事をして…」

悠貴「…」

卯月「…でも、最近になって…段々会わなくなっていって…それで…」

夕美「…」

卯月「気がついたら…」

肇「…」

夕美「…えっと…」

悠貴「…」

夕美「…わ、私達には、まだ全然分からなくて…何を言えば良いのか…」

悠貴「…その…」

夕美「?」

悠貴「…もしも、意見を言わせて頂けるなら…」

夕美「え?」

卯月「え…あ、はい!」

悠貴「…えっと…」

肇「…」

悠貴「…それの、何がいけないんですか?」

卯月「!?」

夕美「!?」

悠貴「その…中学を卒業したら、高校に行くんですよね?」

夕美「…あ、うん…」

悠貴「新しい友達が出来ますよね?」

卯月「…」

悠貴「…大学に行っても、それは同じじゃないですか。その中で…」

肇「…」

悠貴「その中で、一生付き合っていこうっていう友達は、いたんですか?」

卯月「!」

夕美「!」

悠貴「…いないと思います。少なくとも私には…」

肇「…」

悠貴「…高校に行って友達を作り直して、大学に行って友達を作り直して…」

夕美「…」

悠貴「そういう感じでは、ないんですか?」

卯月「…」

肇「…」

夕美「…」

悠貴「それに、いつまでも続く関係って思えないんです」

卯月「え…」

悠貴「…芸能人って、そんな仲良しごっこじゃやっていけないと思うんです」

肇「…」

夕美「…そ、そういえば…ジュニアモデル時代もあったんだよね…?」

悠貴「…その中で、仲の良い子を言えって言われたら…いないと思います」

肇「…」

悠貴「…」ギュッ

肇「…」

卯月「…あ、あの…」

肇「ちょっと、良いですか?」

卯月「え…」

肇「私は芸能人の経験もありませんし、都会で暮らした経験もありません。全くの田舎者です」

夕美「…」

肇「…でも、田舎者だからこそ言えることもあります」

悠貴「…」

肇「…狭い世界も、たまには悪くないですよ」

悠貴「…」

肇「…」

夕美「え、えと…ちょ!ちょっとタンマ!タンマ!!今は島村さん!島村さんの話!!」

肇「あ…す、すいません!つい…」

悠貴「わ、私の方こそごめんなさい!」

卯月「い、いえ…」

智絵里「…」

かな子「…」

智絵里「…プロデューサーさん…」

かな子「…」

智絵里「…ずっと、このままだと思ってたのに…」

かな子「…」

…。

美波「…私が、もう少しちゃんとみんなを見ていれば…」

アーニャ「…」

美波「…こんな、ことには…」

蘭子「…」

アーニャ「そんなこと、ありません。美波、とても、頑張って、います」

美波「…でも、今はみんな…ほとんど連絡も取らなくなって…」

蘭子「…」

美波「…私自身も、仕事のことばかり気にするようになってた…」

アーニャ「…」

美波「…私…ダメだなぁ…」

蘭子「…」

…。

莉嘉「…」

みりあ「…杏ちゃんも、きらりちゃんも、休んだままだね…」

莉嘉「…お姉ちゃん、心配してた…」

みりあ「…」

卯月「…」

『芸能人って、そんな仲良しごっこじゃやっていけないと思うんです』

『狭い世界も、たまには悪くないですよ』

卯月「…」

卯月「…違う」

卯月「…そうじゃ、ない…」

卯月「…もっと、単純で…」

卯月「…もっと、複雑…」

卯月「…」

卯月「…みんな…」

卯月「…」

卯月「…プロデューサー…さん…」

卯月「…明日は、会えるかな…」

卯月「…」






友紀「こんにち…わっ!!」

卯月「うっひゃあ!!」


友紀「あっはは!驚いた?」

卯月「あ…ゆ、友紀さん…」

紗枝「何してはるんどすか。後輩驚かすなんて…」

幸子「本当、年長者とは思えませんね」

卯月「あ…紗枝ちゃん…幸子ちゃん…」

友紀「ごめんごめーん!いやー…てわもあんな下向いて歩いてたら危ないよー?」

卯月「あ…は、はい…」

紗枝「今流行りのポケモンGOいうゲームちゃいます?」

幸子「ダメですねぇ。歩きスマホは事故の元ですよ!」

卯月「い、いえ…す、すいません…ちょっと考え事してて…」

友紀「…ってうわっ!卯月ちゃん凄いクマだよ!?ちゃんと寝てるの!?」

卯月「…」

幸子「…考え事…はー…アレですか。今話題の…」

紗枝「幸子はんはパチモンGOやってましたもんなぁ」

幸子「いやポケモンGOの話じゃないですよ!」

紗枝「あの何とも言えない…あ!ゲテモンGOどすえ」

幸子「ああもう!離れて下さい!っていうか忘れて下さい!」

友紀「…で?卯月ちゃんは…多分あれでしょ?武内さんの…」

卯月「…」

幸子「…」

卯月「…」コク

幸子「…はぁ。みんなとの距離が遠くなった…」

卯月「…」コク

幸子「…んー…」

卯月「…」

幸子「…何ですかねぇ。会いに行こうと思えば会いに行けるのに、何が不満なんですか?」

卯月「…」

友紀「まあ…ねー…」

紗枝「…」

卯月「…え…と…」

幸子「…」

紗枝「…卯月はん」

卯月「はいっ!?」

紗枝「そない構えんと…ちょっとウチの話、聞いとくれます?」

卯月「…?」

紗枝「そやなぁ…んー…」

幸子「…」

紗枝「…ウチな。卯月はんの気持ち、ぜー…んぶ、代弁出来ますえ」

卯月「え…」

友紀「…」

紗枝「…せやなぁ…卯月はんの頭の中は、こういうことちゃいます?」

卯月「…」

紗枝「…私のものなのに…」

卯月「!!」

友紀「…」

幸子「…」

紗枝「シンデレラプロジェクトも、武内はんも、全部、自分のもの。それがポッと出の者らに持ってかれるんが…気に食わんとちゃいます?」

卯月「…」

紗枝「言葉や態度でええ感じに見せても、その腹ん中は…ドス黒いもんが溜まっとるんとちゃいます?」

卯月「…!」

幸子「…紗枝さん」

紗枝「ホンマの卯月はんは、独占欲のお強い方やと思いますけどなぁ」

幸子「紗枝さん」

卯月「…ち、違います…」

紗枝「いいや。合うとりますわ」

卯月「…」

紗枝「シンデレラ?…ちゃいますなぁ…」

幸子「紗枝さん」

友紀「…紗枝ちゃん…」

紗枝「卯月はん…貴方は…」

卯月「…」

紗枝「シンデレラを籠に閉じ込める、姉さんどすわ」

幸子「紗枝さんっ!!!」

卯月「…ッ!!」ダッ


友紀「…あー…行っちゃった…」

幸子「行っちゃったじゃないですよ!煽ってどうするんですか!!」

紗枝「煽る?…何がですの?」

幸子「いや…あんな言い方…!」

紗枝「本心どすわ。あの方にとって、シンデレラガールズプロジェクト言うんは、ただの鳥籠」

友紀「…」

紗枝「すれ違ってきたんは、鳥が脱走しただけどすわ。躾のなってない鳥が」

幸子「…ッ!貴方は!!」ガッ

紗枝「…幸子はんもそう思うとるんやろ?」

幸子「…ッ」

紗枝「ちょこっと離れた程度ですれ違うもんが、絆?…聞いとるだけで虫唾が走るっちゅうもんどすわ。そない友達ごっこ」

友紀「…」

紗枝「…あの方も、同じ事言うと思いますえ」

幸子「…!」

紗枝「…例え消えたとしても、この心の中にある。…ウチは忘れまへん。幸子はんの言葉」

幸子「…」

友紀「…ならさ」

紗枝「?」

友紀「…あの人の教えに則ってるならさ、ただ煽るだけじゃダメだって事…知ってるよね?」

紗枝「…」フゥー

幸子「…」

友紀「…余計なお世話かもしれないけどさ」

幸子「…でも」

紗枝「…それが」

友紀「…アタシの、悪い、癖…」

幸子「…ふふっ」

紗枝「うふふ…」

友紀「…よーっし!KBYD!シンデレラガールズプロジェクト救出作戦!プレイボール!!」

紗枝「嫌やわぁ。あの人一人で何か言うとりますえ」

幸子「ホントですね…」

友紀「ン゛ェ!?」

続きはまたここに書きます
>>1の右京「346プロダクション?」
https://ex14.vip2ch.com/i/responce.html?bbs=news4ssnip&dat=1457957833

右京「346プロダクション?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1457957833/)
です

申し訳ありません・・・

もしかして君はあの時の…
出直して来たのか

このタイトルじゃモバSSだってわかんねえよww
続き期待

スレタイにつけた方が見つけやすい

武内P「…」

『あんきらコンビ、休業か!?』

『島村卯月、体調不良で舞台挨拶欠席』

武内P「…」

武内P「…!」

武内P「…」フルフル

ちひろ「…」

武内P「…」

ちひろ「…プロデューサーさん…」

武内P「…」

ちひろ「…もう、良いじゃないですか」

武内P「…」

ちひろ「…このままじゃ、本当にバラバラに…いえ、なるどころじゃ済ませんよ?」

武内P「…」

ちひろ「プロデューサーさんが見たいのは、こんな結末じゃないはずでしょう?」

武内P「…私が戻って、終わる…」

ちひろ「はい。それだけで…」

武内P「…彼女達を繋ぎとめていたのは、私ですか?」

ちひろ「…」

武内P「…私一人の力で、どうとでもなるものだったのですか?」

ちひろ「…でも、彼女達は…プロデューサーさんの事が…」

武内P「…」

ちひろ「…」

武内P「…私は、その結末を知っています」

ちひろ「…」

智絵里「ふぅ…」

かな子「杏ちゃん、大丈夫かな…?」

智絵里「返事…来ないね」

かな子「…うん…」

『♪』

智絵里「!」

かな子「あ…杏ちゃん?」

智絵里「え…と…」

『幸子ちゃん』

かな子「えっ!?」

智絵里「え、え?も、もしもしっ」ピッ

幸子『ン゛ン゛!もしもし?』

智絵里「さ、幸子ちゃん…どうしたの?」

幸子『どうしたもこうしたもないですよ!何なんですか最近のあなた方は!たるみ過ぎですよ!』

智絵里「え…」

幸子『どうせ今日の仕事は終わりでしょう?』

智絵里「う、うん…」

幸子『だったら、今日は寮に泊まって頂きますよ!』

智絵里「え!?」

かな子「…ど、どうしたの?」

智絵里「え、ええと…」

幸子『隣にいる方もですよ!!』

智絵里「……かな子ちゃん、今日は暇?」

かな子「…?」

…。

智絵里「…」

かな子「…」

幸子「…」

紗枝「…」

友紀「…」

智絵里「あ、あの…」

かな子「私達…」

2人「…どうして正座を…?」

幸子「先ずは足元からということです!」

紗枝「シンデレラプロジェクトの話せそうなお知り合いがキャンディアイランドのお三方しかおらんかったんどすわぁ」

幸子「余計な事言わないっ!!」

智絵里「…その…」

幸子「えぇえぇ聞いてますとも!知ってますよ!」

かな子「…」

幸子「今!あなた方は迷いに迷っています!プロジェクト内の知り合いとも中々会えず、その上寡黙で優しいプロデューサーさんは離れていく…」

智絵里「…」

幸子「ン確かに!お気持ちは?分かりますけど?」

幸子「けれど、それと仕事に身が入らないのとは別ではないか!と言いたいんですよ!」

幸子「オマケに休む者もいるらしいですよねぇ?」

幸子「そんなの、ボクに言わせれば…」

幸子「甘い!!甘過ぎですよ!!」

友紀「何か飲みたいものある?」

智絵里「ええと…お茶で」

紗枝「カフェオレありますえ。無糖の」

かな子「…砂糖多めで…」

幸子「セイッ!!!」

紗枝「何ですの?」

幸子「何ですのじゃないですよ!今ボクは至極真っ当な事をですね…」

紗枝「客人に茶も出さんとお説教なんてはた迷惑な先輩もおったもんどすなぁ」

幸子「うぐぐ…事態は一刻を争うんですよ!!」

紗枝「そない難しい問題でもないんとちゃいます?」

幸子「え?」

紗枝「…ちょい。お二方…お座り下さいな」

智絵里「は…はい」スッ

かな子「はい…」スッ

紗枝「正座は結構…。まず、大前提として…お二方はシンデレラプロジェクトの方達と疎遠になった…そんなわけやないんどすな?」

智絵里「え…ち、違います!」

かな子「みんな、仕事が忙しくて…」

紗枝「そやなぁ。忙しいからなぁ…」

かな子「…」

紗枝「ほんで?」

智絵里「え…」

紗枝「仕事が忙しくて、メールも電話もせんくて…で、不安になるんどすか?」

かな子「…」

智絵里「…」

紗枝「…その程度で不安になるんやったら、所詮その程度っちゅう事やと思いますけどなぁ」

智絵里「!」

友紀「…友情ってのは、一々確認し合うもんじゃないしね」

紗枝「そう。大事なんは…何ですの?幸子はん」

幸子「!…フフーン!よくぞ聞いてくれましたね!」

紗枝「心っちゅうもんどすわ」

幸子「ああああああああああああ!!!!」

智絵里「こ…」

かな子「心…」

紗枝「お二方含めるシンデレラプロジェクト。…今あなた方は、互いに疑心暗鬼になっとるんちゃいます?」

かな子「…」

紗枝「ほんまに友達と思ってもらえとるんか…ほんまにシンデレラプロジェクトの一員っちゅうもんが腹ん中にあるんか…それが気になって気になって仕方ない…」

智絵里「…」

紗枝「そないなもの、ウチに言わせたら、臆病。意気地なしどすわ」

かな子「…」

紗枝「そないなこと一々気にしとるくらいやったら、もー…ドンっと聞いたらええんどす」

智絵里「で、でも…」

かな子「もし…その…」

紗枝「でも…もし…」

智絵里「…」

紗枝「ホンマの友情っちゅうもんを、理解してない証拠どすなぁ」

かな子「…」

友紀「……ちょっとだけさ、昔話させてよ」

智絵里「え…?」

友紀「良いじゃん。今日は泊まっていくんでしょ?」

紗枝「友紀はん泊まってくんどすか?」

友紀「ん?」

紗枝「もう寝るところソファーしか…」

友紀「え!?寝かせてよ!!お布団で!!」

幸子「やですよ。なんでこの暑い中固まって寝なきゃいけないんですか」

友紀「寝かせてよォ!!」

紗枝「冗談どすえ」

智絵里「・・・」

かな子「・・・」

友紀「…ン゛ン゛!!…で、ね?…えーと…アタシ達の…昔話、なんだけどさ…」

友紀「アタシ達って、別にオーディション受けたわけでも、アイドルになる気があったわけでもないんだ」

かな子「…」

友紀「…それでさ、そのー…まあ、元プロデューサー…ね?…今は何処で何してるか分からないけど…」

智絵里「え…」

友紀「その人にスカウトされてさ。これがねー…口が上手くて、それでとにかく頭が良くて…」

紗枝「渋くて立ち振る舞いも男らしゅうて、頼れる大和男児で…腕っ節も強うて…」

友紀「…まあ、おじさんだったけどね…かなりの」

紗枝「そこがええと思いムググ…」

幸子「はいはい後で聞きますから」

紗枝「…」ペロペロ

幸子「いや何してんですかもう!!」

友紀「…その人が、ね?まあ上手いことアタシ達をくっつけてさ…半年の間に」

かな子「は、半年…」

友紀「そだよ。アタシが半年、紗枝ちゃんが3ヶ月の、幸子ちゃんが2ヶ月くらい」

智絵里「え…」

友紀「でもね、誰にも負けないくらい密度は濃かったよ」

幸子「…」フキフキ

友紀「足りない部分はみんなで補って、協力しながらやってたんだ」

智絵里「…で、でも…元プロデューサーって…」

友紀「うん。行方不明になっちゃった」

かな子「え!?」

智絵里「!!?」

友紀「正確に言えば、連絡が取れなくなったってところかなー…電話もメールも通じなかったし…」

かな子「そ、それって…」

友紀「でも、あの人なら大丈夫かなってさ!」

智絵里「…でも…」

紗枝「…お二方には、理解出来へんかもしれまへんなぁ」

智絵里「…」

幸子「…信頼、してるからですよ」

かな子「…」

幸子「信頼してるから、安心していられるんです。何処にいても、どれだけ離れていても」

紗枝「それだけ、ウチらは太っとい糸で繋がっとるっちゅうことどすわ」

2人「…」

友紀「誰にも切れないよ。アタシ達の絆は」

紗枝「口に出されると何や気持ち悪いなぁ」

友紀「あれおっかしいぃぃなぁぁぁ?」

幸子「…で、どうです?」

智絵里「…」

かな子「…」

幸子「誰にも切れないかもしれませんが、切ろうと思えば切れるでしょう」

友紀「…」

幸子「…それをするのは、自分ですけどね」

紗枝「…」

幸子「今、あなた方は自分で自分達の絆を切ろうとしていますよ」

かな子「…」

紗枝「…自分をダメにするのは、自分しかない…」

友紀「…どうすれば良いか。そんなの直ぐに分かる…よね?」

幸子「これで分からなかったら今度こそただの大馬鹿者ですよ」

かな子「…」

智絵里「…」

紗枝「…さ!」パン

幸子「?」

紗枝「後はまあ、お任せしますわ。さ、みんなでお風呂に入りまひょ」

智絵里「…紗枝ちゃん…」

紗枝「ここからは自分で答えを見つけんと、シンデレラプロジェクトはんの為になりまへん」

幸子「…」

かな子「…」ガタッ

智絵里「…」ガタッ

友紀「ん?」

2人「…お邪魔しました!」ペコッ

幸子「・・・」

友紀「・・・」

紗枝「・・・」

2人「…!」ガチャッバタン

幸子「…」

友紀「…さて…」

紗枝「…どうします?」

幸子「…とりあえず、お風呂入りましょうよ…」

美波「…」

美波「…」ゴロン

美波「…」

『♪』

美波「?」

『かな子ちゃん』
『明日の夜、集合!』
『場所は、私達が、シンデレラになった所!』

美波「…?」

美波「…シンデレラになった…場所?」

『アーニャちゃん』
『みんなで、明日の夜集合するそうです』

美波「…」

『美波』
『どこに?』

『アーニャちゃん』
『私は、分かります』
『考えて下さい』

美波「…」

美波「…」

美波「…!」

…。

凛「…シンデレラになった…」

…。

未央「場所…?」

…。

莉嘉「…」
みりあ「…」

…。

みく「…」
李衣菜「…」

…。

杏「…」

…。

きらり「…ん…」

…。

蘭子「…」

…。

卯月「…」

夕美「ワン・ツー…ワン・ツー…」キュッキュッ

悠貴「…」キュッキュッ

肇「…」

夕美「…肇ちゃん、どうしたの?」

肇「…あ、いえ…あの後、結局私達…島村さんに何も言えなくて…」

悠貴「…」

肇「…大丈夫なんでしょうか…」

夕美「…んー…」

悠貴「…」

肇「…何だか、折角入ったのに…」

悠貴「…」

夕美「…やりづらいね…」

悠貴「…続けましょう。私達には…」

肇「…」

悠貴「私達は、私達で頑張らないと…」

肇「…」

悠貴「…」キュッキュッ

夕美「…」

夕美「…ね、ねえ…」

悠貴「はい?」

夕美「その…な、何か、気分転換しない?」

悠貴「…?」

肇「気分転換…ですか?」

夕美「うん!ちょっと…だけ…」

悠貴「でも…」

夕美「お願いっ!」

肇「ちなみに…何をですか?」

夕美「ほ、ほら!ここって広いし…どの部屋がどいうのかって知りたいし!」

悠貴「でも…プロデューサーさんは自主レッスンをって…」

夕美「だって…映像観ながらじゃ味気ないっていうか…」

悠貴「うーん…」

肇「私は、良いと思いますよ」

悠貴「…」

肇「私、陶芸が趣味なんですけど…良い物が思い浮かばない時は、思い切って別の事をしたりするんです」

悠貴「…」

肇「そういう意味での気分転換なら、良いと思いますよ」

悠貴「…ちょっとだけなら…」

夕美「よーっし!決まりー!」

武内P「…」

夕美「イッ」

武内P「気分転換、ですか…」

夕美「は、はい…ちょっとだけー…」

悠貴「…」

肇「…」

武内P「…」

悠貴「や、やっぱり謝りましょう…新人のうちにこんなこと…」ヒソヒソ

肇「…」

武内P「…良いかも、しれません」

悠貴「!?」

武内P「…ですが、程々に」

夕美「は、はいっ!」

武内P「…それでは」ガチャ

悠貴「…」

肇「…」

夕美「…ほ、ほら!許可が…」

悠貴「あ、あれって…怒ってたんじゃ…」

肇「…どうでしょう。誤解されやすいって言ってましたし…」

夕美「…う…うぇー!分かんないよー!あの人ー!」ブンブン

武内P「…」

武内P「…」

美城「…」

武内P「…おはよう、ございます…」

美城「うむ」

武内P「…」

美城「二期生達の様子はどうかな?」

武内P「…雰囲気には、慣れていただけたかと」

美城「ふむ…雰囲気…か」

武内P「…」

美城「…少し、付き合いたまえ」

武内P「?」

美城「そう時間は取らない。いくつか聞きたい事があるだけだ」

武内P「は、はい」

…。

友紀「…ありゃー…先越されたよ…」

幸子「…」

紗枝「何や…向こうも向こうで重苦しい雰囲気どすなぁ…」

幸子「すいません紗枝さん重いんですけど」

紗枝「あら…ウチの幸子はんへの思いが現実に…」

幸子「随分荒くれた思いですねそれ肘痛ぁい!!」

美城「…さて…」

武内P「…」

美城「…今回の君の決断だが…」

武内P「…」

美城「このまま行けば、恐らく一期生は元には戻らないだろう」

武内P「…」

美城「それでも君は意地を通すか?」

武内P「…私は…」

美城「解れた糸は、そう易々と纏まるものではない」

武内P「…私は、信じています」

美城「私には、そうは見えない」

武内P「!」

美城「今の君は、彼女らを信じていない」

武内P「…」

美城「そんな中途半端な思いでよく二期生を募ったものだ」

武内P「…」

美城「…今のまま行けば、確実に一期生も二期生も使い物にならなくなるだろう」

武内P「…」

美城「君が二期生を募った理由は二つ…」

武内P「…」

美城「一つは真っ当な理由だろうが、もう一つはどうだろうか」

武内P「…」

美城「…一体君は、何を怖がっている?」

武内P「…」


美城「私とて人の子だ。あの中に君の事をただのプロデューサーとして見ていないアイドルがいるのは百も承知だ」

武内P「…」

美城「…あの時を繰り返すのではないか。そう思っているのか」

武内P「…」

美城「…臆病になったものだ。以前の君なら私に噛み付いてきたものだが…」

武内P「…」

美城「今の君は、作った砂の城を壊されまいと覆い被さる子供にしか見えないな」

武内P「…」

美城「…最も、私はそれを言うべき立場ではないが…」

…。

友紀「…」

紗枝「…言うとる事は、的を得とりますなぁ」

幸子「…しかしややこしい事態ですねぇ」

夕美「…」

肇「…」

悠貴「…」

幸子「…で、誰ですか貴方達」

夕美「…あ、お気になさらず…」

幸子「気になりますよ。鼻息荒いんですよ」

友紀「もしかして、二期生の子達?」

肇「はい。よろしくお願いします」

紗枝「はいな」

幸子「はいなじゃないですよ全く…」

武内P「…専務」

美城「…」

武内P「…私は、どうすれば良いのでしょうか…」

美城「…」

武内P「私は、また同じ事を繰り返してしまいました」

美城「…」

武内P「そして、逃げてしまいました。様々な理由を付けて」

美城「…」

武内P「二期生を育てることに集中しようとし、彼女達を…」

美城「思い出は、美しいままに…か」

武内P「…」

美城「…私は、人間には限界は無いと思っている」

武内P「!?」

友紀「!?」

紗枝「!?」

幸子「!?」

美城「…その顔は何かな?」

武内P「い、いえ…」

美城「…人間には限界は無い」

武内P「…」

美城「…そうだな…もし、限界があるならば…」

武内P「…」

美城「それは、諦めた瞬間だろうな」
『それは、諦めた瞬間でしょう』

武内P「…」

友紀「…」

紗枝「…」

幸子「…」

美城「君は、諦めたのかな?」

武内P「…」

美城「自らの城を、守るだけの臆病者に成り下がったか?」

武内P「…」

美城「…」

武内P「…」ペコッ

美城「…」

武内P「…」ダッ

美城「…」フゥー

…。

友紀「…ね、ねえ…」

紗枝「…何処かで、聞いた台詞どすなぁ」

幸子「…ほほう…」

夕美「…」

悠貴「…諦めた、瞬間…」

肇「…」

悠貴「…私…」

肇「…」

悠貴「…あの、私、実は…」

幸子「…」

悠貴「…ジュニアモデル時代…その…辞めた理由は…」

肇「…」

悠貴「そ…その…」ギュッ

夕美「言わなくて良いよ」

悠貴「え…」

肇「…過去の事は過去の事。大事なのは、今ですから」

悠貴「…」

幸子「ほう。中々良いことを言いますね。褒めてあげますよ」

紗枝「よーしよし」

幸子「いやボク褒めてどうするんですか!」

悠貴「…」

夕美「そうだよ。悠貴ちゃんは気張り過ぎなんだって」

肇「もっと、自分を出しても良いんじゃないですか?」

悠貴「…」

肇「…狭い世界も、悪くないですよ」

悠貴「…はい…」

友紀「…何か良く分かんないけど、そうだね。今!今が重要なんだよ!」

美城「今君達がレッスンを抜け出してきたことは重要ではないのかな?」

友紀「」

夕美「」

卯月「…」

卯月母「…」

卯月「…」

卯月母「…ねえ。そろそろ何があったのかくらい話してくれない?」

卯月「…」

卯月母「…卯月…」

『ピンポーン』

卯月母「?…はーい?」

卯月「…」

卯月「…」

卯月母『あら!まあよくいらしてくれました…さ、どうぞ中へ…はいはい…』

卯月「…?」

卯月母『はい…それが寝込んじゃってて…あ、もうどうぞどうぞ!』

卯月「…え…?」

『…』

卯月「…ママ…?」

武内P『島村さん。失礼します』コンコン

卯月「えっ!?」

…。

卯月「…また、こんな形で…」

武内P「申し訳ありません…」

卯月「い、いえ!悪いのは私で…」

武内P「いえ。今回は全て私の責任です」

卯月「い、いえ…」

武内P「…私は、逃げていたのだと思います」

卯月「…」

武内P「バラバラになっていくシンデレラプロジェクトから…」

卯月「…」

武内P「…しかし、もう私は逃げません。諦めません」

卯月「…」

武内P「向き合います。シンデレラプロジェクトと、貴方達に…」

卯月「…」

武内P「答えは、必ず出します」

卯月「…」

武内P「だから、待っていて下さい」

卯月「…」

武内P「…」

卯月「…はい」

…。

武内P「…場所…ですか?」

卯月「はい…」

武内P「…」

卯月「…考えたんですけど…何処なのか、分からなくて」

武内P「…」

卯月「…」

武内P「…考えましょう。時間はあります」

卯月「…みんなは、分かってるんでしょうか…」

武内P「…分かっている方も、いるのでしょう」

卯月「…」

武内P「…ですが、そうでない方もいるのでしょう」

卯月「…」

武内P「迎えに、いきましょう。皆で考えるんです」

卯月「…」

武内P「二人でダメならば、三人で、三人でダメならば四人で…」

卯月「…迎えに行くって…だ、誰を…?」

武内P「…行きましょう」

卯月「…」


凛「…」

『場所は、私達が、シンデレラになった所!』

凛「…」

奈緒「なー…それ、行かないのか?」

加蓮「…」

奈緒「分からないからってさ、そんなふてくされても…」

凛「ふてくされてない」

加蓮「ふてくされてんじゃん」

凛「…」

加蓮「自分一人だけ分からないから、腹が立ってるんでしょ」

凛「…」

加蓮「どうなの?」

凛「…私、少しずつ忘れていってたのかも」

奈緒「…」

凛「…大事な事」

加蓮「…」

凛「いつの間にか、優先順位が変わってた」

奈緒「…」

凛「…そんな私に、行く権利なんか無いよ」

加蓮「…」

奈緒「…」

「そんなことない!!」

凛「…!」

加蓮「あ…」

奈緒「…あ」

卯月「…そんなこと…ないよ…!」

凛「…卯月…」

卯月「私も、いつの間にか…シンデレラプロジェクトのこと…ううん…」

凛「…」

卯月「私、本当は…嫉妬してた」

凛「…」

卯月「二期生の人達や、奈緒ちゃんや加蓮ちゃん達に…」

奈緒「え…」

加蓮「わ、私達に…?」

卯月「…私、本当は凄く醜いのかもしれない」

凛「卯月…」

卯月「…でも、違います。今は、違います!」

凛「…あ…」

武内P「…」コク

凛「…プロデューサー…」

奈緒「…あー…ン゛ン゛!!」

加蓮「行ってきなよ。凛」

凛「加蓮…」

奈緒「凛の根城だろ?…まさか、こっちだなんて言わないよな?」

凛「奈緒…」

卯月「…」

凛「…」

武内P「…」

凛「…うん」

…。

藍子「…」

未央「…!」

卯月「…」

凛「…」

…。

きらり「…」

武内P「…」

杏「…」

…。

…。

杏「…それで?」

凛「?」

杏「いや、何処に行けってのさ。これじゃただのドライブだよ」

未央「ワゴンでドライブかー…」

杏「いや、ドライブじゃないんでしょ?」

卯月「で、でもみんなで予想し合えば…」

杏「へー…で、しらみつぶしに探すの?」

きらり「…」

杏「…いやそれ、普通にかっこ悪いじゃん。スパッと一発で当てなきゃ色々ヤバイよー…」

卯月「…シンデレラガールズプロジェクトの思いが一つになってたら、絶対大丈夫ですよ!」

杏「どうすんのさ。みんなてんでバラバラだったら」

きらり「そんなことないにぃ!」

杏「お通夜状態になるよ。もうみんな会話無いよこれ」

凛「…プロデューサーは、何処だと思う?」

武内P「…」

卯月「…」

武内P「…私は、皆さんにお任せします」

杏「うへぇ。難題だなぁ」

きらり「…んー…」

未央「…」

凛「…?あれ…?」

未央「?」

凛「…後ろ、何か…」

未央「え?……えっ?」

武内P「…!」

…。

瑞樹「…」ブゥゥゥゥウウウウウン

友紀「おーい!」

幸子「皆さーん!」

紗枝「…」

武内P「!!?」

未央「ちょ…ちょ!!何してるんですか!?」

友紀「今から何処に行くのか考えてるんでしょー!?」

未央「い、いやそうですけど!!」

幸子「だったら!答えは簡単じゃないですか!!」

瑞樹「身を乗り出さない!!」

杏「…」

友紀「みんなが!!初めてシンデレラになれた場所だよ!!」

凛「…」

幸子「シンデレラガールズプロジェクトが!!全員揃って!一丸となった場所って事ですよ!!」

凛「…!」

きらり「!」

友紀「もう分かるよね!!武内さんも!!」

武内P「…」コク

幸子「じゃあ…さっさと行って下さい!!もう夜になってるんですから!!」

卯月「は、はいっ!!」

…。

瑞樹「…」

友紀「いやー…瑞樹さんありがとうございましたー…」

紗枝「助かりましたわぁ…先輩のメンツっちゅうもんを保てましたなぁ。幸子はん」

幸子「ふ、フフーン!たまにはこういうのも悪くないですよね!」

瑞樹「…」

友紀「…今度は、大丈夫だよね?」

紗枝「大丈夫かと…うふふ」

瑞樹「…ねえ、貴方達」

友紀「はい?…あっ…」

幸子「…あっ」

紗枝「…」

瑞樹「…呼び出した挙句、役割がこれ?」

紗枝「あ…いや…」

瑞樹「…ねぇ」

友紀「はいぃっ!?」

瑞樹「ドライブ…しましょ?」ニタァ

友紀「」

紗枝「」

幸子「」

武内P「…」

未央「…で、でももうすぐ9時だよ?これちょっと遅くない?」

武内P「彼女達は、待ち続けるでしょう」

凛「…」

武内P「一度は階段を踏み外しました」

卯月「…」

武内P「しかし、踏み外して正解だったのかも、しれません」

杏「…」

武内P「その階段に、道は無かったのですから」

きらり「…」

未央「…プロデューサー…」

武内P「行きましょう。貴方達が初めてシンデレラとなった、あの場所へ」

卯月「…はい」

武内P「そして、もう一度やり直しましょう。今度は人数も増えました」

凛「…うん」

武内P「私も、今一度自分を見つめ直す良い機会が頂けました」

きらり「…」

杏「…プロデューサー、結局辞めちゃうの…?」

武内P「再確認させて頂きます」

未央「…」

武内P「…貴方達と、二期生の方々と共に」

未央「…!」

…。

美波「…もう、何も無いわね」

蘭子「ミサは終わった。後に残ったものは、この記憶のみ…」

みく「でも、シンデレラになった場所なんてここしか思いつかなかったにゃ」

李衣菜「…サマーフェスの、合同LIVE…」

アーニャ「もう…一年前、ですね」

みりあ「そんな前なんだ…」

莉嘉「早いね…」

かな子「…あっ!」

美波「…あ…」

智絵里「みんな…」

蘭子「…フッ」

智絵里「…みんな、集合だね!」

卯月「みんなー!」

凛「…」

未央「みんなー!!お待たせー!!」

きらり「遅れてごめんねぇー!!」ブンブン

杏「ぐぇあぁぁぁぁ振るなぁあぁあぁあ」

武内P「…」

…。

友紀「」

紗枝「」

幸子「オプッ…ン゛ォェ…」

瑞樹「全く…先輩を足にするなんて良い度胸ね…」

幸子「…でも、笑ってますよ。瑞樹さん…」

瑞樹「そうね。面白いからね。今の貴方」

幸子「酷い笑い方もあったもんですね」

瑞樹「もう一回ドリフトする?そこの駐車場で」

幸子「本当もう勘弁してください」

瑞樹「…でも、楽しいのは他にもあるわね」

幸子「…」

瑞樹「後輩が、後輩を助ける姿を見るのは、誇らしいものよ」

友紀「…」

幸子「…」

紗枝「…」

瑞樹「これからあの子達がどうなるかは分からないけれど」

友紀「…」

瑞樹「…しばらくは、大丈夫よね」

友紀「…そう、ですね」

瑞樹「あら生きてたの?」

友紀「ヤるつもりだったんですか!?」

…。

美波「じゃあ…みんなの思いが一つになったところで…」

未央「…うん!」

美波「…いくよ?…」

「「せーのっ!!」」






美波「シンデレラプロジェクト、ファイトー!」

「「オー!!」」

『カチッ…カチッ…』

はじめは、普通の女の子でした。

『カチッ…カチッ…』

ある日その女の子は、魔法使いさんと出会いました。

『カチッ…カチッ…』

魔法使いさんは、女の子に魔法をかけ、生まれ変わらせました。

『カチッ…カチッ…』

女の子はその魔法で、様々な人達を笑顔にしました。

『カチッ…カチッ…』

しかし、女の子はいつしか、魔法の使い方を忘れてしまいました。

『カチッ…カチッ…』

そして、魔法使いさんも見えなくなってしまいました。

『カチッ…カチッ…』

女の子が、とても大事な事を忘れていたからです。

『カチッ…カチッ…』

それは、仲間です。

『カチッ……カチッ……』

女の子は、その事を一度は忘れてしまいました。

『カチッ………カチッ………』

そして、自分の過去を振り返りました。

『…』

そこには、魔法使いさんだけではなく、仲間が居たことを、思い出しました。

『…カチッ…』

やがて、女の子はまた走り出しました。

『…カチッ………カチッ………』

そして、手を伸ばしました。

『…カチッ……カチッ……』

もう二度と、手放さないように。

『カチッ……カチッ……』

また、会えるように、と。

『カチッ……カチッ…』

やがて、光が見えてきました。

『カチッ…カチッ…』

彼は、待っていてくれたのです。

「…!」

女の子が、来てくれるのを。

「…!」

仲間達と、一緒に。

とても、にこやかな笑顔で。

【2ヶ月後】

美城「…」ペラ

『シンデレラガールズプロジェクト 第二期生企画第一弾ユニット発表!!』
『ユニットメンバー』
『相葉夕美・・・リーダー』
『乙蔵悠貴』
『藤原肇』

美城「…」ペラ

『シンデレラガールズプロジェクト、一期生、さいたまスーパーアリーナLIVE決定!!』

美城「…」

今西「おやおや…」

美城「…部屋に入る時はノックを…」

今西「したのだがね?…君がどうにもその新聞に集中していたようだからねぇ」

美城「…」

今西「…君を見ていると、思い出すよ」

美城「…何をでしょうか?」

今西「今の君に似た、頑固で理屈っぽい人間がいたんだよ」

美城「…」

今西「…そして、柔軟で感情的だった」

美城「…それは、矛盾して…」

今西「ああ。とても面白い人間だったよ。君が見たら、意地でも手に入れたくなるだろう」

美城「…そのような有能な者が…」

今西「…手に入れれたらの話だがね」

美城「…」

今西「だが、少なくとも私は約束を守ることが出来た。彼との」

美城「…」

今西「…私はそろそろ、外の世界から一アイドルファンとなることにするよ」

美城「…」

今西「もう、やり残したことはない」

美城「…そう、ですか」

今西「…うむ」

美城「…良いことばかりでは、ないようですね…」

今西「そうかね?…そう思ってもらえるなら、この会社に尽くした意味があるというものだ」

美城「…」

卯月「…」

卯月「…」

卯月「…」ニマー…

卯月「!」

卯月「…!」プルプル

卯月「…!」カッ

卯月「…」ニマァ

美穂「…な、何してるの?」

卯月「えっ!?…え、あ、いや…」

美穂「いつもだったら、逆の事してるのに…」

卯月「…ちょ、ちょっと笑過ぎかなって思っちゃいまして…」

美穂「そんなことないよ。自然な笑顔が1番だよ」

卯月「…」

美穂「…ね?」

卯月「…」ニパッ

美穂「ふふっ…」

凛「おはよ」

奈緒「お!凛おっはよー」

加蓮「あー…今日は一番遅かったー」

凛「…雪でも降るんじゃないの?」

加蓮「あー!凛がいじめるー!」

奈緒「ひどいなー」

凛「…はいはい」

加蓮「…あれ?それ…」

凛「?」

加蓮「それ…ニュージェネレーションズの…」

凛「…あ、これ?…うん」

奈緒「ほー…」

凛「…何?」

加蓮「今度は私達がいじけちゃおうかなー」

凛「…はいはい。どっちとも大好きだから…」

奈緒「心こもってなッ」

加蓮「…ふふっ」

監督「はいオッケー!!良いね!!順調順調!!」

未央「ありがとうございまーす!」

藍子「ありがとうございます」

茜「ありがとうございます!!」

…。

藍子「良かったね未央ちゃん!みんな褒めてもらえたよ!」

未央「いやー…もうベテランですからなー…」

藍子「…まだ早いんじゃないかなー…」

茜「未央さんは次のお仕事があるんですよね!」

未央「え?…あ、お仕事じゃなくってさ」

藍子「うん。LIVEの練習でしょ?」

未央「そっ!」

茜「翌日は私達も頑張りますからね!」

未央「うん!参加ありがとね!」

茜「はいっ!」

藍子「どういたしまして♪」

杏「杏とー」

きらり「きらりのぉ!」

杏きら「あんきランキングー!!」

きらり「今日はぁ、かわゆいかわゆいペットのランキングだにぃ!」

杏「ほー…」

きらり「どんな子が来てくれるかなぁ?」

杏「…あ、ちょっ…子猫見えてる子猫見えてる!!」

D「…」

AD「…」

D「…うん。いつも…いや、いつもより良い!」

AD「…そう…っすね」

D「…ありゃー…何かあったな…」

AD「…まさか、彼氏とか?」

D「…んー…」

きらり「きゃー☆きゃっわゆーい!!」

杏「あー…逃げてる逃げてる」

きらり「待ってぇ!!」

D「…俺は、あの中間くらいが良いかな」

AD「…そっすね…」

武内P「…」

瑞樹「…」

武内P「…」

瑞樹「二人で話すのは久し振りだけど、こうして飲むのって、初めてよね」

武内P「…ええ」

瑞樹「…今西部長も辞めちゃったから…寂しい?」

武内P「…少し、ありますね」

瑞樹「そうね…貴方の弱音を何でも聞いてくれる方だったからね…」

武内P「…」

瑞樹「…なら、今度は貴方がそうならなくちゃ。その為に新人教育頑張ったんでしょ?」

武内P「…ええ」

瑞樹「…で、そ・れ・と」

武内P「…」

瑞樹「貴方…結局誰にするの?」ズイッ

武内P「…」

瑞樹「よりどりみどりよ?年下から同い年……年上まで」

武内P「…」

瑞樹「あら?だんまりだなんてさせないわよ。答えを出すって卯月ちゃんから聞いたんだから」

武内P「!」

瑞樹「ね?…ほら、ここだけの話で良いから!誰?誰が良いの?」

武内P「だ、誰…と言われましても…」

瑞樹「あら?ハーレムがお好み?」

武内P「い、いえ!」

瑞樹「そんなものが通用するのは漫画かパチンコ雑誌の裏くらいよ。用心しておきなさい」

武内P「…」


瑞樹「…それで?ど・な・た?」

武内P「…」

瑞樹「ほら。私秘密は守るから」

武内P「…」

瑞樹「ね?誰…な…の…」

武内P「…」

瑞樹「…え…え?」

武内P「…」

瑞樹「あ…あの…そんな見つめられると…」

武内P「…」

瑞樹「み、みずき…困っちゃう…」

武内P「…私は、この仕事が好きですから」

瑞樹「えっ?」

武内P「担当アイドルの中で誰が良いのか…選ぶ事など、私には出来ません」

瑞樹「…」

武内P「私が望むのは、貴方達がいつまでも輝かしい存在である事…」

瑞樹「…」

武内P「…今の私に言えることは、それだけです」

瑞樹「…」

武内P「…」

瑞樹「…楓ちゃんの気持ち、分からなくもないわね」

武内P「?」

瑞樹「…何でもないわ」

…。

武内P「…」

武内P「…」

【シンデレラガールズプロジェクト 室長 武内駿輔】

武内P「…」ガチャ

武内P「…」バタン

武内P「…」

【今週の掃除当番】

『アスタリスク・凸レーション・・・壁、床【○】』

『C・I・・・机、椅子【○】』

『蘭子ちゃん、ラブライカ・・・小物【○】』

『ニュージェネレーションズ・・・プロデューサーの机【○】』

武内P「…」

『ガチャ』

武内P「…」

未央「…」

武内P「…」

未央「…」ニパッ

武内P「…」

未央「…せーのっ!!」

武内P「?」

「「「プロデューサー!!!」」」

武内P「!!?」

凛「…おはよ」

卯月「おはようございます!」

前川「おはよー…」

李衣菜「おはようございます」

莉嘉「Pクンおっはよー!」

みりあ「プロデューサー!おはよー!」

きらり「Pチャン!おはようだにぃ☆」

杏「…ウィー…」

かな子「おはようございます!」

智絵里「お、おはようございます…」

蘭子「闇に!」

アーニャ「飲まれよー♪」

美波「…お、おはようございます」

武内P「…」

未央「…プロデューサー!」

武内P「…」

未央「…ただいま!」

武内P「…ええ。おかえりなさい」

『ガチャ』

武内P「?」

未央「?」








夕美「…」

悠貴「…」

肇「…」

夕美「…あ、ご、ごゆっくり…」

未央「あー!待って!待って!!ろくに自己紹介もしてないって!!」

悠貴「…あ、そ、そうでした…」

肇「ふふっ…なんだか、順序が逆になっちゃいましたね…」

前川「そうだよぉ。名前と写真しか見てないんだから…」

悠貴「・・・」

肇「・・・」

夕美「・・・」

み「…あ、猫耳つけるに…」

肇「…あ、大丈夫です…」

前川「え?そう?」

夕美「・・・」

未央「あはは…まあ、ウチいつもこんなんだから…」

美波「ふふっ…何だか賑やかになったわね」

アーニャ「ダー。お部屋も、広く、なりました♪」

李衣菜「…んー…でもさ」

未央「?」

李衣菜「ほら、未央ちゃん達ってニュージェネレーションズでしょ?新世代ってことでしょ?」

凛「うん…そうだけど…」

李衣菜「でも、今の新世代ってこっちの三人だよね?」

夕美「!」

悠貴「!」

肇「!」

卯月「!?」

凛「!?」

未央「!?」

前川「あ、ならあれだよ。レジェンズ」

李衣菜「レジェンズかー…」

未央「いやいやいやいや!!ユニット名の継承とか聞いたことないから!!」

杏「ニュージェネレーションズにしちゃうからー…」

未央「わー!ややこしー!!」

李衣菜「マント着出すんでしょ?」

前川「いやそれホンマもんのレジェンズやん。40m級のやつやん」

未央「ぬわー!!ニュージェネレーションズは私達ー!!」

夕美「…」

悠貴「…」

肇「…」

夕美「…えへへっ」

悠貴「うふふっ」

肇「…ふふっ」

未央「何さー!!あ、し、しぶりん達までー!!」

…。

楓「…」ぶすー…

瑞樹「…」

楓「…」ぶすー…

瑞樹「…」

早苗「…何アレ?」

友紀「何ですかねぇ」

菜々「何なんでしょうねぇ」

早苗「朝来て荷物置いて、新聞読んでる先輩すぐ横で睨み付けて何もないって言うならただの○○○○じゃない」

菜々「いやいやいや…」

友紀「ダメですってそういう言葉」

早苗「だから何なのよアレ」

友紀「知りませんって…そもそも瑞樹さんもおかしいんですよ。新聞読んでないですもん」

菜々「壁見てるじゃないですか。遠い目で」

早苗「うわー…もう良いわ。何があったか分かったから」

友紀「え?もうですか?」

早苗「うん」

菜々「…ちなみに、何ですか?」

早苗「秘密」

菜々「えー…」

友紀「ぶー…」

早苗「…ねえ、友紀ちゃん」

友紀「はい?」

早苗「…紗枝ちゃんの気持ち、分かる時ってない?」

友紀「え?」

楓「フー」

瑞樹「ン゛ェッ!!?」

楓「wwwwwww」

http://youtu.be/fGPEZ4LmKiA

終わります
武内君は絶対選べないっすよね・・・


まあ選べる男じゃないな

乙!!
劇場版これでええやろってくらいの出来だったわ

ラストがいいねww
このままこのシリーズが終わるかと思ったが、続くよね?

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