※あらすじ
モバマス
志希と泰葉がそれぞれのプロデューサーについて二人で喋る話。
短め
・一ノ瀬志希
http://i.imgur.com/J3LAKDP.jpg
・岡崎泰葉
http://i.imgur.com/8ztlFVV.jpg
※以下のスレの続編です。
一ノ瀬志希「キミに惚れ薬を試してみたい」
一ノ瀬志希「キミに惚れ薬を試してみたい」 - SSまとめ速報
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志希「プロデューサーと、つきあうんじゃなかったかなぁ?」文香「……」
志希「プロデューサーと、つきあうんじゃなかったかなぁ?」文香「……」 - SSまとめ速報
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志希「プロデューサーのキモチ、分からなくなっちゃった」マキノ「……」
志希「プロデューサーのキモチ、分からなくなっちゃった」マキノ「……」 - SSまとめ速報
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期待
『プロデューサーさんのおかげで、私のこれからがきらきらしてるみたいです』
『これからも、もっと楽しいアイドルを続けたいです…!』
『アイドルとしての幸せはプロデューサーさんが教えてくれました。
だから星の海でも、もう私の光は消えたりしません。これからも……』
『だから……』
『プロデューサーさんとの幸せな毎日が……これからも、ずっと続けばいいな、なんて』
『ホント、そーだったら、いいのにねぇ……』
――――――
――――
――
「ねぇ、泰葉ちゃん」
「どうしたんですか志希さん。難しげな顔して」
「実はね……あたし、アイドル辞めちゃったら、どうしようかなーって思ってて」
「えっ」
「……あの、志希さん」
「んー♪」
「何かお悩みなら、私に話してみませんか」
「あたしのお悩み、聞いてくれるの?」
「私は、志希さんより年下ですけど、芸能活動なら長くやってますので。何か力になれれば……」
「ふふーん、いわゆるセンパイってやつだね♪
あたしはガッコ飛び級しちゃって、学年も何もぶっ飛ばしちゃったから、こーゆー感覚新鮮だよっ!」
「どうして、志希さんはアイドル辞めた後のことを考えてるんですか。
確かに将来的には、アイドルを引退する日が来るでしょうけど」
「あたしの場合、その日がもう見えちゃってるんだわ」
「その割には、志希さんは芸能界にどっぷり浸かってませんか。ほら、この間なんて」
「ああ、見られちゃってたか。アレはね――」
――
――――
――――――
『もープロデューサーったら!
まーた、あたしに黙ってスタドリ飲んで、お仕事増やそうとしたね?』
マキノちゃんのアドバイスを参考にしたあたしは、
プロデューサーのコトについて、些細な事でも調べ上げるようにした。
するとこのヒトは、あたしの予想以上にムチャをしていることが分かってしまった。
『仕事熱心はアイドルとして嬉しいけどね……プロデューサーはクスリに頼り過ぎー。
薬理学的にフォローできる気力・体力なんて知れたもんよ』
プロデューサーの担当アイドルは増える一方。
プロデューサーの辣腕のおかげで、アイドル一人アタマの仕事も増えてきてる。
プロデューサーの負担も、動く金額も、指数関数的に上がっちゃってる。
そんな状況でも、プロデューサーは体力が切れると、クスリでムリヤリ回復させて仕事を回し続ける。
ワーカホリックどころのハナシじゃないよ。
『あたしだって、前は実験が楽しすぎて眠る暇も惜しくて、
眠らなくても疲れないクスリ作ろうとしたもんよ。確かに、そこそこ効果はあった。
でも、ホメオスタシスの限界を超えたら、もーダメね。廃人モノよ』
でも、ちひろさんとか事務所の人達は、立場上“働き過ぎはイカンよ”と強くは言えないから、
誰もプロデューサーに歯止めをかけられないんだ。
この分じゃ、そう遠くない内にプロデューサーが倒れてしまうよ。
『だから、あたしの言う通り休みなさいって言ったじゃない。
誤魔化そうなんて考えないことよ?
プロデューサーの匂いで、体調なんて一発で分かるから』
最近は、プロデューサーを押し切って部屋の合鍵を貰ったので、
家まで着いて行って、荒れ気味だった衣食住の面倒まで見ちゃってる。
仕事場を離れた自宅でまで、担当アイドルと顔を突き合わせるのも、どうかなーとは思うけど。
誰かさんが“あんたも少し前はメイワクかける側だったろ”って視線ぶん投げてくるけど。
他にここまで面倒見られるヒトがいないんだから、しょうがないよねー。
――――――
――――
――
「……という感じで、サラッとプロデューサーさんの健康管理してますよね、志希さん」
「うん。最初はスタドリの服用頻度から、最近は生活全般までお任せあれ♪ ってカンジ。
ま、お料理にタバスコかけすぎて泣かれたなんて失敗もあったけどねー」
「そういう女の人のこと、世間では通い妻って言いませんか」
「いやーん♪ 妻なんて照れちゃうなー!」
「でもねー、ソコまであたしがプロデューサーのお世話しちゃう理由って、
プロデューサーが心配ってのも勿論あるけど……」
「……けれど?」
「なんかね。忙しすぎてプロデューサーが構ってくれない寂しさを、
必要以上に世話を焼くことで、埋め合わせてるだけなんじゃないかなー、なんて思うんだよ」
「だってさー泰葉ちゃん。プロデューサーも、いいオトナなんだから。
自己管理ぐらいキチッとするべきもんだよね。それもプロデューサーの仕事のうちだよ。
そうしてくれて、初めてあたしたちは、安心して仕事ができるんだから」
「アイドルからしても、プロデューサーの体調が優れないのは、イヤですね」
「そーでしょう?」
「でも、あたしは色々手を出してる内に、プロデューサーの衣食住まで把握するトコまで行っちゃったよ。
“あたしのプロデューサーは口で言っても聞かないから”とか、言い訳して」
「言い訳、ですか」
「そーだよ。プロデューサーが仕事にかまけて寂しいもんだから、
それを埋め合わせるために、必要以上にプロデューサーの生活に入り込んでるの、あたしは」
「……そういうもの、でしょうか」
「だいたいさ。プロデューサーと付き合っちゃってるあたしが言うのも可笑しな話だけど、
カレシとして付き合う相手の職業としては、プロデューサーってサイアクに近いよね」
「いっ、いきなり何を言い出してるんですか志希さんっ」
「だってさぁ……仕事は不規則、しかもとんでもなく忙しいから、あんまり構ってくれない。
他の女の子――しかもかわいいコとか、美人を――追っかけまわすのが仕事だし」
「…………」
「どんなにカッコよくても、優しくても、いいニオイがしても、これじゃあねぇ」
「……ナニ、岡崎センパイも思い当たるフシがあるんでしょーか?」
「私のことは、今はいいんですっ……!」
「ふふーん♪」
「……志希さんは」
「んー?」
「自分のプロデューサーさんが担当している他の子とか、気になったりしますか」
「……最初は、すごく気になっちゃってたし、今でも少しあるけど、そこは例えば――」
――
――――
――――――
『プロデューサー、どうしたの? 浮かない顔してるけど』
様子を見ようと、あたしがプロデューサーのデスクがある部屋に行くと、
プロデューサーは浮かない顔で受話器を置いたところだった。
『……ははぁ、愛海ちゃんったら、久しぶりにやらかしちゃったかぁ……
最近あのコ大人しかったから、油断してたねー?』
どうやら、愛海ちゃんの抑圧されていたリビドーがほとばしって、
それが某大物アイドルのお山に向かってしまったらしい。
『まったく、あんなコをアイドル事務所に入れたヒトの顔が見てみたいよね♪』
プロデューサーはガックリとうなだれた。
もう電話の時点で、向こうさんからコッテリやられちゃったみたい。
『もープロデューサー、そこは……
“愛海をこの世界に引き入れたのはお前だろ!”ぐらいツッコんでよー』
あたしが前に愛海ちゃんの悪癖を“抑え込む”とか、
調子のいいコト言っといて、このザマですよ。
あーあ、文香ちゃんに“躾がなってないんじゃないですか?”とかチクチクされるなぁ。
『愛海ちゃんも、お山への執念がちょーっとヘンタイなだけだし、
基本いいコだから、惜しいなぁ……よし!』
あたしは、悩めるプロデューサーの手を取った。
『あたしも、プロデューサーと愛海ちゃんと一緒に、アタマ下げに行くよ!』
――――――
――――
――
「……あの、志希さん」
「なんでしょーか? 岡崎センパイっ」
「それで、しれっとプロデューサーさんたちに着いて行ったんですか」
「うん♪ 元はと言えば、愛海ちゃんにイケないコト教えちゃったの、あたしだし!
愛海ちゃん純粋だから感激してたよー。残念ながら手のわきわきは止まってなかったけど」
「つまり、プロデューサーさんが他のアイドルにかかずらっている時にも、
何かと理由をつけてついて回って“あたしのモノ♪”アピールしてるわけですね」
「えー、あたしはただ、プロデューサーの負担を少しでも減らしてあげようと……」
「…………」
「そのぐらいの打算あったほうが、むしろカワイイでしょう♪」
「うわぁ、開き直ってきましたね」
「でも、志希さんはそこまで芸能界へ深入りしているのに、アイドル辞めちゃったら……
とか、考えてるんですか? どうも話が咬み合わないんですが」
「それは……プロデューサーとあたしが、こうやってココでシゴトして、
こーゆーカンケイでいられるの、向こう数年がせいぜいだろうから、ね」
「それは、少し悲観的では?」
「おやおやー? 偉大なる岡崎センパイらしくない見方ですねー」
「何が言いたいんですか」
「だってさ。あたしや泰葉ちゃんの担当プロデューサーみたいに、
アイドルのそばに立って、最前線で営業かけてるプロデューサーなんて、
20代ばっかりで、30がらみで大ベテラン扱いでしょ」
「そういえば、ここのプロデューサーさんって、みんなそのぐらいの……」
「30過ぎたら、スタドリやエナドリでカラダを騙せなくなるってコトよ。
そしたら、別の職種に転向するか、最前線からフェードアウトするか。
それで、あたしもオシマイ。あたし、今のプロデューサー以外とアイドルやるつもりないから」
「あたしが、プロデューサーの世話焼いたり、シゴト手伝ったりしてるのは、
その潮時が少しでも遅くなればいい、って姑息な対症療法なんだ」
「……志希さんは、アイドルとしての自分に、もう見切りをつけてしまっているのですか?」
「こんなやり方、続くわけないんだよー。なのに、あたしのプロデューサーったら。
よっぽどプロデュースに夢中なんだね。向こう見ずなぐらい今に全力投球」
「プロデューサーさんの仕事が過酷、というのは頷けますが。それは私達のためでもあるんですよ。
アイドルは上るも落ちるもあっという間ですから、それを他人事みたいに言うのは」
「……だったら尚更、あたしが考えないと。引退したあとのコト」
「それで、“アイドル辞めちゃったら、どうしようかなー”って考えるんですか」
「うん。ラッキーなコトに、この事務所ってつかさちゃんとか、晶葉ちゃんとか、
オモシロいヒトいるから、手を組んで商売しようか? なんて話してる。
力を合わせれば、今よりもとんでもないモノを作れるだろうしね♪」
「……志希さん。やっぱりそれ、どうかと思いますよ」
「私達アイドルのために身を削ってくださるプロデューサーさんに対して、
自分はサッサと見切りをつけて、次のやりたいこと考えてるとか、失礼ではありませんか」
「ホントに言ってくれるねぇ、泰葉ちゃん」
「志希さんは、自分のプロデューサーさんに面と向かって言えますか?
“キミがプロデューサーとして燃え尽きたら、あたしが養ってあげるよ”なんて」
「言えるよ! 身も蓋も取っ払えば、そーゆーコトだもん。
まぁ“小娘が生意気言ってんじゃないよ”って一蹴されるだろうけど」
「あたしをアイドルとして輝かせてくれるプロデューサーもスキだけどね……
あたしはプロデューサーから、アイドルってゆー新しくオモシロイ世界を教えてもらったんだから、
あたしもお返しに、プロデューサーに何か一つ、そーゆー世界を教えてあげたい!」
「逆にさ、泰葉ちゃんはプロデューサーに言えるのかな?
“私は全身全霊でお仕事しますから、どうかいつまでも貴方にプロデュースしてもらいたいです”って」
「そのぐらい、言えます……というより、言ったことありますよ。
私のプロデューサーさんは、私にこの世界の喜びと楽しみを教えてくれました。
それは、プロデューサーさんの熱意の為せる業です。だから、私もそれに応えたい」
「泰葉ちゃん。一つ、思ったんだけどさ」
「……何でしょうか」
「あたしたちの言ってること、うわべは逆に聞こえるけど」
「逆に、聞こえるけれど?」
「……どっちもプロポーズみたいだね♪」
「なっ……!」
「いやー岡崎センパイの赤面、ごっそさんだよー!
この一瞬だけで向こう三日は生きていけるね♪
泰葉ちゃんのプロデューサーが頑張れちゃう理由、実感できたわー」
「顔見られたのは仕方ないですけど、いっ、言いふらすのは止めてくださいよっ!
志希さんはマキノさんの前科があるんですからね!?」
「前科って、ひどーい♪」
「まぁ、それはそれとして……ごめんね、あたしの言い方は良くなかったわ。
一生懸命アイドルやってるのに、目の前でアイドルを腰掛け扱いしちゃ、カチンとくるよね」
「それなら、私も……自分がアイドルしかない、って思ってるから、
科学の分野でも生きていける志希さんが羨ましくて、つい言葉にトゲが……」
「ま、おあいこってことでさ……で、改めて。言える? 今、あたしと言い合ったセリフを」
「それは……実は、そこまでハッキリとした言葉を、プロデューサーさんに言ったことは……」
「言っちゃいなよー。あたしは、泰葉ちゃんもっと自信持ったらいいと思う」
「だってアイドルは、ヒトのココロを引きつけるエキスパートでしょう。
その素質がある、って太鼓判を捺してくれたのは、ほかならぬプロデューサー」
「それなら、泰葉ちゃんがプロデューサーのココロを射止められる、と信じてもいいんじゃないかな♪」
(おしまい)
キリがいいので、今度こそ終わります。
お付き合いいただきどうも。
乙
志希への愛が溢れてるね、いつもながら
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