女「えっ」
男「よく見ろ、残像だ」シュン
女「は、早…」
男「いきなり抱擁しようとするからだ。俺の潔癖症を忘れたか」
女「いや忘れてないけど…普通こういうのってなすがままになるんじゃ…」
男「ククク…よかったな俺が異端で」
女「男君って厨二病だよね、中3なのに」
男「さあな…俺は俺で過去も、現在(いま)も、未来も俺のままだ」
男「それに名付ける必要性は感じない。俺は俺だ」
女「うんお母さんから聞いたけど昔からこうらしいね」
男「その通りだ」
女「クラスからも孤立してるし…友達いないの?」
男「何を言う…お前という仲間(とも)がいるじゃないか」
男「そういうお前はどうなんだ?クラスの女神(マドンナ)だろう?」
女「あはは…いやそんなことないよ。ただ告白はされるけど女子も男子もなかなか近づいてくれないだけで」
男「高嶺の花だな。異端という意味でも俺たち二人は同朋(なかま)というわけだ」
男「そんな監獄という名の学校もあと残すところ1週間、というわけか」
女「うん…目玉焼きもらった!」バッ
男「残像だ」シュン
女「む…なんでダメなの?1個くらいいいじゃん」
男「お前は何か勘違いをしている。俺が卵焼きごと移動したのはこれが母親の作った失敗作だからだ」
女「見た目は変わんないけど…」
男「重要なのは中身だ。これは見た目には普通の綺麗な卵焼きに見える」
男「だがしかしこの中には何十、何百万もの菌が繁殖しているのだ!とりわけ俗物菌は最も唾棄すべき菌類の一種だ」
女「そんな菌類があるかどうかはいいとしてじゃあ私に食べさせればよかったのに」
男「だが一方で身体に良い栄養素も多く含まれている。その事を俺の中のもう一つの人格と話し合った結果…食べることにしたのだ」
男「そして美味だから喰ったのだ。第2人格との協議の上だからこれでいいのだ」
女「もうなんかどうでもいいや」
女「最近陸上部顔出してる?」
男「回答は否、かもな…最近の定義が解らない」
女「あ、そうだね。…あのグラウンドで男と会ったんだよね。懐かしいなぁ…」
男「ところで女…今まで聞いてなかったがお前は一体どの高校へ行くというのだ?」
女「あれ?言ってなかったっけ?」
男「寡聞にして無知、ということも時にはあるのさ」
女「男君とは別だよ。残念だけど」
男「質問と回答の狭間に巨大な溝が存在するぞ」
女「えっとね…」
不良リーダー金髪「まさかカップルが屋上で昼飯を食べてるとはな…」コソ
不良下っ端スキンヘッド「金さん知らなかったんですかい?」
不良下っ端バンダナ「俺もwww俺もwwwスキンさんぱねぇっすwwwww」
金髪「…」ジー
スキン「金さん、もう行きましょうよ。ここ奴らずっといますし…」
金髪「あぁ…」ピク
金髪「…れた」
スキン「へ?」
金髪「惚れた!!!一目惚れだ!!!!!」ドドーン
スキン「えええっ!?」
バンダナ「ちょwwwwwマジっすかwwwwwww」
スキン「ちょちょちょっと金さん!やめときましょうよ!卒業まであと1週間ですよ!?」
金髪「高校が離れても付き合うことはできる」
スキン「それに第一彼氏目の前にいるでしょう!」
金髪「惚れた女は例え神だろうと仏だろうと彼氏付だろうと奪う、それが俺のモットーだ」
スキン「やめときましょうよ!金さん!」
バンダナ「もっともらしく『もっと現実を見ろ』って話っすかwwwスキンさんwwwww」
スキン「…」
金髪「…」
バンダナ「ごめんなさい…」
金髪「ともかくだ、俺は自分の主張だけは曲げない主義なんだ」
スキン「…かぁーっ!でもそこが金さんのいいところですよね」
バンダナ「流石金さん…!」
金髪「分かってくれたか」
スキン「卒業までですよ?」
バンダナ「策作成は手伝うッスwwwwwwwww」
金髪「お前ちょっと黙ってろ」
バンダナ「はい…」
男「ふむ…では女も別の学校へ行ったとしても陸上は継続させる、と…」
男「まあ俺の刹那的俊足移動は陸上で鍛え上げたものだからな」
女「まあ普通じゃそんな瞬間移動みたいなのできないんだけどね」
男「異端は時として至高だ。ククク…」
女「と、ところでさ、卒業式の翌日空いてない?」
男「何が言いたい?陸上部の送る会の買い出し…か?俺は既に…」
女「い、いいからいいから。午後3時に駅前公園に来て、ね?」
男「?」キーンコーン
女「あ、お昼終わる。行こっか」
【卒業式前日・朝】
女(もう卒業かぁ…)
女(まだ男に会ってから一度も体触れてないよ…)
女(好きな人に一回も触れないまま卒業とか絶対嫌だし)
女(…絶対に、高校入学までには触って見せる!)グッ
金髪「女さん!」
女「え、あっはい!」クルッ
女(あ、金髪君だ。クラス違うけど…チャラい金髪の不良って金髪君だけだよねこの学校)
金髪「好きです!!」
女「えっ?」
金髪「今からでもお付き合いさせてください!!」
女「え、でももう卒業して学校違くなっちゃうし…」
金髪「高校からも付き合いましょう!」
女「じ、じゃあ言うけど…私好きな人が他にい」
バンダナ「睡眠薬ッッッ!ヒィィィヤッハァァァ!!!www」グッ
女「む!ぐ…」ガク
スキン「早いぞバンダナ!」
バンダナ「次回から前向きに検討するッス」
スキン「いやもう襲撃終わってんだけどね!?」
金髪「喋ってないで袋詰めろよ」
バンダナ「ッスwwwッスwww」
バンダナ「にしてもこれ流石に犯罪じゃないすか?www」
バンダナ「誘拐してw処女喪失シーン撮ってww脅してwww関係強要するなんてwwwww」
バンダナ「血も涙もねぇwww俺ら人間じゃねぇwwwww」
金髪「まだ納得してないのか?」
バンダナ「それは違うけどwww」
金髪「それに血も涙もある。処女喪失の血と、悦びの涙がな」
バンダナ「そいつぁ一理あるwwwとwでwもw言wうwのwかwww」
スキン「縛るのに時間かかりましたし、早く立ち去りましょうぜ」
男「今日はほぼリハーサルだけだというのに…」
男「女が、いないだと…?昨日はすこぶる健康だったはずだが…」
男「まさか事故に…?行かねば!」ダッ
担任「男、どうした?そんなに急いで」
男「師か…」ピタッ
男「すまない!今日は冒涜的で邪悪なる更年期障害故、早退だ!」ダッ
担任「あっこら!訳の解らんことを」バッ
男「残像だ」シュン
担任「…またこれか…」
女「うっ…」ムク
金髪「お目覚めのようだな」
女「あ、あなたは…」
金髪「覚えていてくれたんだな。俺は金髪だ」
女「…ここはどこなの…?」キョロ
金髪「町はずれの廃工場だ」
女「あなた一体、何するつもりなの…」
金髪「ただの撮影だ」
女「…」ブルブル
金髪「怖がることはない」
女「誰のせいでこうなったと思ってるの…」
金髪「その点については謝るよ。これから彼女になるんだし、溝は埋めとかなきゃなぁ…」ニィッ
女「!」ビクッ
金髪「よし、まずは服を」
男「ここか」ゼーゼー
4人「!?」
女「お、男…」
スキン「馬鹿な!何故ここがわかった!」
男「女に発信機を付けてたからな」
女「えっ」
男「冗談だ。市内を走りまわって見つけた」
金髪「どれだけ町内が広いと…」
男「ああ、だからずっと刹那的俊足移動を発動し続けていた」
男「おかげで全身バイ菌だらけだ。この雑菌どもめ、女から離れろ」
スキン「お前が、雑菌、だっ!!」ブン
男「残像だ」シュン
スキン「こん…の!」ブン
男「残像だ」シュン
バンダナ「w…ふんっぬ!」ブン
男「残像だ」シュン
金髪「んの野郎!!」ビュッ
男「残像だ」シュン
金髪「こいつ…速い…!」
男「もう終わり、か?」
なんだこれw
金髪「この…」
男「掌底!」ドッ
スキン「ぐっ…」バタ
男「猿臂!」ガッ
バンダナ「」ドタ
金髪「な…一体お前」
男「正拳突き!」ドス
金髪「ぐ…ぁ…」ガク
男「幼少時に空手やってただけだ。」
女「強…」
karateの間違いだろ
男「大丈夫かおん」スッ「あっ…」
男「残像だ」シュン
女「自分で!?」
男「悪かった。大丈夫か女。今カッターを投げて渡す」
女「…そう…」ズーン
男「どうした?」
女「いや別に…そんなに私が汚いのかなって…」
男「何を言っている。俺は一度もお前の事が不潔だとも汚いとも言ってないぞ」
男「むしろ、俺はお前の事は綺麗だと思っている。純粋だ。誇っていい」
女「男…」パサッ
金髪「良かったな女…」
女「!?」
男「!?こいつまだ…」
金髪「俺たちのものになれたぜ」
男「…?」
男「頭がどうかしたのか?俺はもう救出を」
ダァーンンッ!
男「…な…に…!」ボタタッ
金髪「いつからだよ、俺が『この計画の』リーダーだと錯覚してたのは」
担任「本当に馬鹿だよな。先生少し幻滅したよ」
男「先…生…?」
担任「驚いたよ。気になって実行者の3人の元に駆けつけたらこうだよ」
担任「驚きすぎて急所外しちゃったじゃないか。ちゃんと男が乱入するかもしれないなら伝えなきゃだめだぞ」
男「う、そだと言ってくれ…」
担任「嘘?そう思うのか馬鹿者め。車なしで女をこんなところまで運べるか?」
担任「それに先生は理科の先生だぞ?誘拐時に使う薬もお手の物さ…」
女「そんな…」
担任「さて、3人とパーティーしたら私の分もビデオ撮って適当に海に沈めるつもりだったけど」
担任「よかったな女、最期の最期まで男といれるぞ」
担任「さあ、二人の安らかなる冥福を祈って乾杯しよう、な」ポン
女「あ、あ…」ガクガク
男「触るな…!」
担任「あ?」
男「女に、触るなと言っている…!クソ教師…!」
担任「おやおーや?先生に口答えしちゃいけないと教わらなかったかね?」
男「塵ほども教わってもないし、貴様は先生なんかじゃない…!」
担任「そうか、ならこの際」カチッ
担任「教えてやるとしよう」
女「うわあああああ!!!」ドッ
担任「ふん」ブン
女「うっ…」ビタッ
担任「あばよ」グッ
ダァーンンッ!
男「残像だ」シュン
担任「…え」
男「当たりは」グラッ「しない…!」ポタタッ「貴様の鉛玉など…!」
担任「な…う、うわあああああああああああああ!!!!!!!!!!!」
ダァーンンッ!
男「残像だ」シュン
ダァーンンッ!ダァーンンッ!
男「残像だ」シュシュン
ダァーンンッ!ダァーンンッ!ダァーンンッ!ダァーンンッ!
男「 残 像 だ 」シュシュシュシュン
男「弾は終わりだな」
担任「あ、あ…」
男「爆ぜろ…!」
男「正 中 線 5 連 撃 ≪ 追 葬 五 弾 掌 ≫ ! ! ! ! !」ドドドドドッ
担任「~~~!!!!!…」ガクッ
男「安心してくれ先生、みねうちだ…」
男「くっ…女、大丈夫か…」ボタタッ
女「大丈夫だよ…しっかりして、男!」
男「大丈夫だ。大した傷じゃ…ぐっ…」
女「ええと…ああ、でも私触れないんだっけ…?119番しないと!」
男「…俺はお前の事を汚くないといった」
男「いままで触らせなかったのは服が汚いと思ったからなんだ…」
男「ちょっとでも服が触れると汚いと思ってた」
男「だからと言って裸になってもらうのは不味いだろう?だからだよ」
男「だが、今こうしてお前に看取られながら逝くのも悪くない」
女「まだ死なないで!」
男「残像…じゃな…く…辛…いことも、苦しいこ…とも、楽しいこともある。それが人生だ…」
男「そうなのだ。だから…こそ…未来は長く、続くのだ…」
男「…」
女「…男…?」
【病院】
刑事「女と被害者の男君のお母さんですね?」
女「男…」
男母「…」
刑事「あの…」
男父「今は放っておいてください。ずっとああなんです。母と彼女は…」
刑事「でも」
男父「あとで気分が回復したとき、連れてきます。」
刑事「解りました…」ガチャ バタン
男母「嘘よね…こんなの夢よ…ね?」
男母「いきなり死…。…」
女「男…うっ…」ポロポロ
女「帰ってきてよ…帰ってきてよ…」
女「こんなの残像だって言ってよ…」
男「ああ、残像だ。」
男母「残像かよ!」バシィッ!「例によって!」バシィッ!「いつもの家の如く!」バシィッ!「よかったよ~!」バッシィィ!
女「え」
男父「お、男!?いつの間にここに!というかお前生きてたのか…!?」
男「ああ。クソ教師が生き返ってきて殺されるのはまっぴら…だからそれっぽく残像を偽装して隠れてた」
女(残像ってなんだっけ)「ホントに、男なんだよね…?」
男「ああ、ただいま…!」
【延期卒業式翌日】
女「結局あんなことあったけど卒業式出れたね」
男「まさかお流れになるとはな…ああ、これ」ピラ
女「ん」カシッ「卒アルの写真?」
男「現像だ」
女「見ればわかるよねそれ」
男「…で、お前は卒業式の翌日を指定してきた。一体何だ?」
女「ええと…」(男に触るってのは病院で再会したときにちゃっかり抱き合っちゃったしな…)
女「だ、第2ボタン頂戴!」
男「なんだそれなら早く言えばいいのに」プチ
女「今まで、本当に本当に…ありがとう!」
男「ちなみにそれも残像だ」
女「実物じゃねーのかよ!」
男「実物は今手の中にある…さあ奪ってみるがいい!貧乳女!」
女「」ブッチーン スッ ガシッ
女「無くて…悪いか…!!!!!喰らえ蛹アターック!!」ビュン
男「お、お前む…」
女「当ててるんだよ?」ニマ「オラー!」ビュン
男「くっ…」シュン「だが、残像だ…!」
終わり
くぅ~疲w
書き溜めなしって本当にしんどかった…あー疲れた…
おっつー
乙
現像だで吹いた
乙乙
男のキャラが好き
残像とはなんだったのか
残像すごいな
終わりか~面白い作品に出会えてよかったあああ!
作者さんお疲れ
男は殺せんせーより少し遅いだけ
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