青年「かわいい子拾った」少女「………」(39)

少女「お、お兄さん」

青年「あ。どうしたの?お腹空いた?」

少女「……違う。こんな夜遅くに、電気……」

青年「んーと、ただ仕事してただけだから。大丈夫、大丈夫」

少女「………」

青年「ほら、一緒に寝てあげるから。……ね?」

少女「………うん」

少女「お兄さん」

青年「どうしたの?あ、もしかして絵本読んでほしい?」

少女「……違う」

青年「えっ。じゃあ何かな?」

少女「……お兄さんは私の事よく知っているのに、私はお兄さんの事、何も知らないから……」

青年「うん」

少女「……わ、私はお兄さんの事、知りたい。です」

青年「……そっか。ふふふ、うん。まぁ、さ。でもそれは明日!いいよね?」

少女「何で?」

青年「えーっと……うん。まぁ……あはは」

少女「?」

青年「ほ、ほら!明日早く起きないと遅刻するよ!寝なきゃ!」

少女「……?私は遅刻をして、困るような所には、通ってない……」

青年「うー……あ!明日の昼御飯、少女の好きなハンバーグ作ってあげる!」

少女「……!分かった……おやすみなさい……」

青年「おやすみなさい。……一人でも寝れる?」

少女「……うん」

青年「ん。じゃあまた明日」

少女「………」

少女(食べ物に釣られてしまった)

少女(でも、お兄さん。言いたくなさそうだった……)

少女「……おやすみなさい」

翌朝

ガチャッ

青年「おはよう、昨日はよく眠れたかい?」

少女「……うん。…お腹空いた」

青年「用意は出来てるよー。さ、リビングにレツゴー!」

少女「?…ゴー」

青年「ふふふ、美味しいかい?」

少女「……ぅん」モグモグ

青年「ゆっくり食べていいんだよー」

少女「……?んぐ。……お兄さん、電話鳴ってる…」

青年「あ、ほんとだね。少女ちゃんは食べてていいよ。ちょっと出てくる」

少女「………」

青年「……もしもし」

声「あら、青年君じゃーん!よかったわぁ、ちゃんと生きてたのねぇ!」

青年「死んでないよ。所で、何の用かな」

声「青年君ったら!怖いんだからー。うふふふ!で、用なんだけど」

声「また作っちゃったのよ、あの人。その子もまた逃げだしちゃってねぇ」

声「前の女の子の失敗を見つめ直し、新しくなんちゃらかんちゃらーとか言ってたけど成功しても逃げ出しちゃあ……ねぇ?」

青年「用件早く言ってよ」

声「あぁそうそう、女の子はどうでもいいんだけど……もしもそっちに男の子が来たら、こっちに送ってねーん。特徴は赤っぽい白髪!じゃねー!」ブチッ

青年「………」ピンポーン

青年「………」・・・ピンポンピンポーン

青年「少女ちゃ」ピンポンピンポンピンポン

青年「はいはいはいはい出ます出ます!」

ガチャ

青年「どちら様ですかー?」

少年「………」

青年「?……あ」

青年(フラグ回収早すぎ……赤っぽい白髪ってどう考えても……)

少年「………」スッ

青年「ん?……手紙、と石?」

『そのいしをぼくにたべさしてください』

青年「はぁ、これ食えるの?」

少年「………」

青年「まぁ…これ食わせばいいんだよね?口開けてー……ひょい!」

少年「……!」

少年「あ、あー、あいうえお」

青年「うわっ!?きゅ、急に喋らないでよ……ビックリした……」

少年「す、すいません。あの、ありがとうございます、僕にあれを食べさしてくれて……」ペコリ

青年「あ、あぁ、うん。別にいいよ」

少年「そうですか?あ、えっと。話変わるんですけど、僕を匿ってくれませんか?」

青年「えっ」

少年「あ、駄目だったらいいんですけど……」

青年「あー、えーっとね?ほら……き」

少女「……あ、いた……。お兄さん、おかわり下さい……」

青年「あ、おかわり?分かった、ちょっと待っ」

少年「…少女?少女さんなんですか?」

少女「……?お、お兄さん、この人……」

少年「……すみません。人違いでした」

青年(……ほっ)

少年「所で……食事中なんですか?」

青年「う、うん。そうだけど……あ、少女ちゃん、おかわりは後で持ってくるから、戻っておいて」

少女「……うん」タタタッ

青年「で、食事中だからなんだって?」

少年「僕、昨日から何も食べてないんです。……言いたいこと、察して頂けたと思いますので聞きますが、いいですか?」

青年「……」

青年(マジかよ……)

青年「……あ。い、いいよ!うん」

少年「い、いいんですか?本当に……」

青年「あ、うん」

青年(しっかりしてそうだから家事この子に手伝わそうと思ってる何て……)

青年「言えないっ!」

少年「……居候の身になるので料理以外の家事はやらして頂きますね」

青年「え、本当?」

青年(心でも読まれてるのか……?気味悪い)



青年「という訳で、しばらくの間少年君がお世話になるよ。皆仲良くしてねー」

少女「………」コクリ

少年「僕を含めて二人しかいないんですけど……」

青年「う、細かい事気にしちゃだめ!ほら、ご飯あげるから!座ってー」

少年「あ、いただきます」

青年「少女ちゃん、待たせてごめんねー。はい、おかわり」

少女「…ありがとう、ございます」

青年「うわっ、ホコリだらけ……」

青年「さて、……どう掃除しようか……」

青年(まぁ……埃払っていらない物捨てるくらいでいいよな)

青年「ケホケホッ……ま、窓開けよう……」




青年「ふ、ふはー、疲れた……」

青年(後はいらないのを捨てるだけか……)

青年「という事で、まずはタンスの中かな?オーップン!」

青年「……え?何これ」




少女「………」ムシャムシャ

少年「……よく食べますね」

少女「……?」

少年「一つ、確認したい事があるんですが」

少女「……うん?」

少年「貴方が意識を取り戻してた時に、最初に見たものは何ですか?」

少女「……え、あ。…赤くて、白い人、だった……かもしれない」

少年「………」

少女「か、確認したい事って……それだけ…?」

少年「はい。…あの、トイレの場所は」

少女「この部屋を出て右……だと思う」

少年「ありがとうございます、では」

少女「………」ムシャムシャ

もう来ないのかな?
最初から見てるよー

>>16すみません。ちょっと最近忙しかったり欝気味になってたりしてたので……。




青年「……ここ、か? そぉい!」

悪魔「うげぁ!? げほっ、げほっ! くっ、何するのさ!」

青年「気が付いたらそこにお前がいたからさ。気づかないふりして掃除進めてたんだけど……」

悪魔「そ、それマジ? というか、そのペンダント返せ! 俺の宝物なんだ!」

青年「あぁ、やっぱり。お前ってあるだよな、僕の捨てた物ばっかり宝物にするよな」

悪魔「別にどうでもいいじゃん。というか、いつも通りしゃべってよ、気持ち悪い」

青年「ちっ。返すからさっさと帰れ。前みたいに暇じゃないんだ」

悪魔「ふぅん?……ふふふ、ゴメンゴメンゴ。確かに、お前にはあの二人を養う仕事があるもんなー」

青年「さっさと! 帰れ!!」

悪魔「わー、わー! お前そんな事すると折角片付けた部屋が」

青年「早く帰れ! もういい、強制送還だ」

悪魔「ちょおま、まさかゴミと一緒におく_____」


青年「……さて、片付いた片付いた」

しえん!





少女「………」モグモグ

少年「15杯ですか。これだけの食料は一体……」

ガチャ

青年「あ、もう食べ終わったの?」

少年「僕ならとっくに食べ終わりましたが」

少女「げふ。……ごちそうさまでした」

少年「食べ終わったみたいです」

青年「あ、そうなの? 偉いね、ちゃんとおかわりの場所覚えたんだねー」

少女「………」コクリ

少年「お皿片付けときますね」

青年「お、ありがたいけど、それは少女ちゃんに任せるよ」

少女「……!?」

青年「お皿は台に置いとくだけでいいからね。割らないようにねー」

少女「…わ、分かった……」

青年「じゃ、少年君、僕についてきてねー。君の部屋に案内するよー」

少年「は、はい」



少年「や、やっぱり僕がやった方が……」

青年「大丈夫大丈夫! 少女ちゃんはそんなドジじゃ」

ガッシャーン

少年「……何て、言いました?」

青年「…しょ、少女ちゃああああん!!」

少年「あ、ちょっと、青年さ……行ってしまいました……」

少年「……ど、どこらへんでしょうか、ここ……ちょっと広すぎでは……」

少年「……?」

少年(少女さんは最近ここに来たと考えると……青年さんはこんな広い家に一人で住んでいた?)

少年「今の時代では当たり前の事なんでしょうか……」



青年「少女ちゃん! 大丈夫? 怪我してない?」

少女「……お兄さん、ごめんなさい……」

青年「大丈夫だよ! ほら、割れてないのだっていくつか……ない……」

少女「……ごめん、なさい……」

青年「えっと……ほら、泣かない泣かない」

少女「……うぅ……えぐ……」コクリ

青年「ふふふ、頷くにはまず泣くのをやめないとね」

少女「……んぐ」

青年「うん、おっけーおっけー。……僕の方からもごめんね。こればかりは流石に少年君にさせた方がよかったよ」

少女「……怒って、る?」

青年「いいや? 怒ってないよ?」


少年(やっと戻ってこれたと思ったらこれですかそうですか……)

青年「落ち着いた?」

少女「………」コクリ

青年「そっか。新しいお皿、買わないとなぁ……どうしよっか」

少女「……う」

青年「いや、だから怒ってないって。ただ、お皿買うときは少女ちゃんと少年君についてきてもらおうかなって」

少女「……ほんとに?」

青年「うん。どう?」

少女「……いいと、思う……!」

青年「ふふふ、そっ…か……あ」

少女「……ど、どうしたの?」

青年「……少年君の事、忘れてた……」

少女「……迷子?」

青年「多分……」


少年「……あー。えっと、いるんですが」ヒョコ

青年「あ、少年君! よかったよかった、ちゃんとたどり着けたんだね!」

少年「はい。それにしても無駄に広い家ですね、迷いました」

青年「お風呂も広いよ、大浴場! でも泳がないでね」

少女「……え」

少年「そんな年ではないので泳ぎませんよ」

青年「え? …う、うん。そうだよねー。ところで少女ちゃん。さっきの反応は……」

少女「……ま、まだ泳いでないもん…」

青年「泳いでないならいいんだよ? うん」

青年(しかし俺は泳ごうとしてた事を決して見逃してはいない……!)

少年「で、僕の部屋はどこですか?」

青年「あー、ごめんごめん。こっちだよーついてきてねー」

少年「分かりました」


少女「あ……わ、私もこっそり……」



少年「あの、一つ聞いてもいいですか?」

青年「答えられる範囲内なら答えるよ」

少年「こんな大きな屋敷に、少女さんがくるまで一人で住んでたんですか?」

青年「うん、そうだよ。あ、でも生まれた頃からではないね」

少年「それはそうでしょう。生まれた頃から一人で住んでるなんて、母親どこだって……」

青年「あ、違う違う。生まれた頃からこの家に住んでた訳じゃないって話!」

少年「あ、そっちですか。あれ? じゃあ引っ越してここに来たんですか?」

青年「うーん……何か違う気もするけど……うん、まぁそんな感じかな?」

少年「へぇ……あ、それじゃあ少女さんとの出会いはどんな感じでしたか?」

青年「え? えっとね……」

5日前の夕方

青年『そういや、あんな大きい家に一人で住む事になるのか……はぁ…』

青年『まぁ、仕方ないよな……あれ?』

青年『あの子……倒れてる!? だ、大丈夫!?』

少女『………』

青年『ど、どうしよ……ご近所でこんな子見たことないよ……』

少女『………・・・・』

青年『え?……何て?』

少女『……おなか、すい…た……』



青年「という感じで家に連れてきてご飯食べさせてどこから来たか聞いても分からないって言ってたから……」

少年「世話する事にしたんですね」

青年「そうそう。で、その後にあい……あ」

少年「どうかしましたか?」

青年「いや、何でもない。ほら、もうすぐつくよー」

青年「オープン!」

少年「おお、地味に広いですね」

青年「でしょ! 元々は二人部屋だからさ」

少年「あ、だからダブルベッド……ダ、ダブルベッド?」

青年「ここ元々お母さんとお父さんの部屋だから、一緒に寝てたんじゃないかな」

少年「へ、へぇ……」



少女「……大きい部屋……」

少女「……う、羨ましい、私も広い部屋に……」

ガタッ

『~~~…………』

少女「……?何だろう、この音…」



『♪~~~~~』

少女「こ、この部屋から……?」




『♪~~~~』

少女「………」

少女(何でだろう……聞いたこと、あるのかな?)

少女「……し、失礼します…」

『♪~~~.』

少女「……く、暗い…明かり……」

『    』

少女「……?」

  『うーんと……よしOK! あーあー。……オレの名前は?』

  『………あれ、答えないね。じゃあ簡単なの……こんにちは』

少女『こんにちは』

少女「……私? ……何処?」

今更だけど、スレ建てた時のIDとは違うIDになってる……どういうこっちゃ。

そりゃ日付が変わればIDも変わるからな
そのための酉だし

>>31へえ……そうだったんですか。IDってずっと変わらないものだと思ってました。教えてくださってありがとうございます。



  『よしよし答えた! ……お兄様って、言ってくれるかな?』

少女『……お兄様』

  『……! よっしゃあ! やる気出てきた! 待ってろよ、未来の妹!』

『    』


少女「………」

少女「……ど、どう反応すれば…いいの?」




少年「ところで、ここの家の地図はないんでしょうか?」

青年「あー、ここ広いからねー……作った方がいいのかな? どう?」

少年「え、僕に聞きますか? では……僕の意見は地図は作った方が」

青年「おー、ありがとう! そんじゃ作ってくる!」

少年「えっ、あの……また行ってしまいました…」

少年(これデジャヴってやつですかね)

少年「……待ってる方がいいですね、下手に動いて迷子になるよりはマシですし…」

少年(悪魔についてだとか、青年さんの家族についてだとか、色々聞きたい事があったんですけど…)

少年「仕方ありませんね……こればっかりは僕が失敗してしまいました。次に期待ですよ」



青年「これでよし、と」

青年(一階二階、三階……四階は無かったし大丈夫だよな)

青年「後はコピーしてまとめればー」

ドズササササ……

青年「……三階からかな? でも三階は閉鎖したはずなんだけど……」





青年「うーん……ここには誰もいないなあ」

少女「……こ、ここも……」

少年「……! せ、青年さん!」

青年「少年くん? 誰かいたー?」

少年「えっと……あそこです」


女「もう! これだからガキは……もっと年上の立場のあたしを敬いなさい!」

男「わけわかんねえよ、つーか年上? 老人の間違いだろ、ははは」


少女「……なんだか……」

少年「少女さん、それ以上は駄目です、あの人達みたいな大人なんていっぱいいますよ」

青年「う、うーん、少年くん、それ僕の事も含まれてる?」

少年「自覚あったんですね」

青年「えー……」

少女「……け、喧嘩……終わりそうにないけど……」

青年「そうだねー、止めるべきかな?」

少年「さあ? 僕に聞かれても。なんなら僕が止めに行きましょうか?」

青年「え、いいの? じゃあ任せるよ」

女「ちょっと!? ふざけないで! このプリンはあーたーしーのーなーの!」

男「おいおい、年上()なんだろ? ここは可愛い後輩に食料をゆずるべきじゃないのか?」

女「年下と思った事はあっても後輩だと思った事は一度もないわ! いっただっきまーす!」パクッ

男「ああああああ!!」

少年「あ、あのー……」

男「うへあ!?」

女「……んぐ。あら? どうしたのボクくん、迷子? ごめんねー、お姉ちゃん達も迷子なのよー。主にこいつのせいで!」

男「俺じゃねえよ。止めろって言われてたのに突っ込んでくお前が悪い。俺はその後を追いかけただけだっつーの」

女「でもあたしが行き着いた場所にあんたいたじゃない。あたしが先ならあんたが私の行き着く先にいるのはおかしいんじゃないかしら?」

男「お前が寄り道してたからだろ」

女「何故バレた」

少年「………」

まだ?

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