注意!
*文才なしです!
*このSSは分かる人にしか分からないネタで溢れています!(仮面ライダー成分多め)
*東方キャラは出ますが、キャラ崩壊どころかキャラ設定も崩壊の誰得
*ノリと勢いと気まぐれ更新です。生存報告はしますが投下量が少なかったり、次回投下が2ヶ月以上超えるかも?
*
以上のことで不安を感じた方、途中で「こんな>>1が書くSSなんか見るか!俺は別のSSを見る!」という方は戻るボタンをクリックして下さい
ちなみに、投下中のレスはある程度はかまいません。でも荒らしはご勘弁
よろしいでしょうか?では、ゆっくりしていってね!
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1387730355
広いようで狭く、狭いようで広い。”外の世界”にはじき出せれたものが集う場所、幻想郷
魔法の森に住む『普通の魔法使い』霧雨魔理沙はカーテンの隙間からこぼれる朝日によって起床した
魔理沙「ふぁっ……ふぁあ~~~あぁ…………ねむ……」
魔理沙「全く、徹夜した人間に太陽光線なんて浴びせないでくれよなぁ~」
シャッ
とカーテンを開いて雲ひとつない青空を未だ眠気によって閉ざされそうな目で睨みつける
魔理沙「……まぁいいか。早起きは肌の健康にも良いだろうし……朝飯作るか……」
徹夜の時点で肌によくないが、自分の言ったことにいちいち突っ込む魔理沙ではなかった
魔理沙「あ~れ~れ~……っと、食パンどこいった~?」ガサゴソ
机はおろか床にさえさまざまな道具がちらばった部屋で目的のものを探すのはまるで宝探しのようだった
魔理沙「お!あったあった~……ん?」
床に落ちていた食パンの袋を拾った瞬間、急に部屋が暗くなる。外は雲ひとつなかったはずなのに、まるで曇天のように太陽の光を遮ったようだった
気になって窓の外を見て魔理沙は驚愕した
魔理沙「なんだありゃあ!!」
空が、真っ赤に染まっていた
魔理沙「!……まさか、”あいつら”の仕業か!」
何かを察した魔理沙は服を着替え、ベルトと魔道具の入った鞄を手に取り、少しのお金をポケットねじ込み、外へ出て箒にまたがって
博麗神社へ向かって飛んだ
<<博霊神社>>
幻想郷には外の世界から隔絶する結界がある。その結界を守護、修復するのがこの神社の巫女、博麗霊夢の仕事である
そして、もうひとつ……
魔理沙「霊夢ーー!異変だーーー!またあいつらが動いてるのかもしれないぜ!」
到着した魔理沙は地面に降り立ち霊夢を探す。しかし、呼びかけても返事どころかこの場にいる気配すらなかった
魔理沙「霊夢ーー!いないのかーー!おーーい!」
まさかどこかへ出かけてすれ違いになったかと、焦った魔理沙は気が付かなかった
霊夢「―――――」スゥ
魔理沙「おーーい!」
今、自分の背後に
”目を閉じて、半透明になった博麗霊夢が地面から現れた”ことを
霊夢「―――!」カッ!!
ッパ
と、霊夢が目を開いた瞬間、それまで幽霊のように透けて見えていた霊夢の体が肉体を持った体に戻る
そしてすばやく手を伸ばし
霊夢「魔~理沙っ☆」
バサァッ
魔理沙のスカートをめくった
魔理沙「―――へ?」
急に、背後から聞きなれた声が聞こえた。そして、振り向こうとした瞬間、膝の裏から太ももの裏をなぞるような風を感じた
不意の出来事で魔理沙は何が起きたかわからなかった。しかし、振り向こうとした体はそのまま動き、上半身と首が後ろを振り向こうとする
そうして関節が許す限り動いたことによって、魔理沙の視界の左端に探していた人物の姿を映した
霊夢「おぉ……純白……一輪の花柄付き……いただきました!」ムフゥ~
手を合わせ、満足げに頷いている霊夢の姿を
そして魔理沙はようやく気づいた、
魔理沙「! いっ」カァッ///
パンツを見られた事を
魔理沙「いやああああああああああああああああああああああああああああああああ!」ブン!
霊夢「オォウフっ!?」ドゴォ!
悲鳴とともに一瞬で振り向き放った拳は霊夢の鳩尾に決まった
魔理沙「お、おおおま!おまおまおまおおおおおおお前なぁあ!!」
霊夢「ック、くふは!……ナイス……パンチ。魔理沙、貴方なら……世界、狙えるわよ」プルプル
魔理沙「やかましい!!またか!!またなのか!!!いい加減にしろよ!!人のパンツ見てそんなに楽しいのか!!」
怒鳴る魔理沙の前にうずくまって震えているのが『楽園の素敵な巫女』博麗霊夢。先ほど説明したとおり、この神社の巫女である
霊夢「そ、そりゃ楽しいけど、それ以前に……一日一回は魔理沙のパンツ見ないとやる気スイッチ入らないもん……」プルプル
魔理沙「あのなぁ!」
そこで、ここに来た目的を思い出した魔理沙は一先ずパンツを見られたことを忘れた。それよりも、今は一大事なのだ
魔理沙「そうだ、こんなことしてる場合じゃないぜ霊夢!」
霊夢「? な、何よ」
魔理沙「空を見てみろよ!真っ赤だ!これは明らかに異変……”財団S”の仕業に違いないぜ!私と”巫女戦士”の出番だぜ!」
説明しよう!
博麗霊夢は改造巫女である!彼女を改造した組織『財団S』は幻想郷、そして世界征服を企む悪の秘密結社である!
改造巫女である博麗霊夢は幻想郷の自由と平和のために、巫女戦士として霧雨魔理沙と共に財団Sと戦かっているのである!!
魔理沙「ぐずぐずしている場合じゃない。こうしてる間にも財団Sの作戦は進んでるかもしれないぜ!急ごう、霊夢!」
霊夢「嫌よ」
スパッ
と心底面倒くさそうにそういった
魔理沙「え~~~~……って、なんでだぜ!?どうみてもこの規模は幻想郷中に広がってるぜ!早くとめないと!」
霊夢「お日様の光が遮られてるだけじゃない。毒みたいな何かが降ってきてる訳でもないし、困ることなんて洗濯物が乾きにくいくらいじゃない」
魔理沙「だーかーらー!相手は財団Sかもしれないんだぜ!?何も起こらないように見えて実はとんでもないことが」
霊夢「心配性なのよ貴方は。ちょっとした異常気象くらいで大げさよ。大体、貴方が来る前に人里からだって実害があったなんて報告も無かったし」
魔理沙「ぐぬぬ……」
??「そうでもないわよ~」
そう言って神社の中から博麗霊夢の同居人『妖怪の賢者』八雲紫が現れる
魔理沙「紫……」
紫「少し前に人里からこの赤い空に関して依頼が来たわ」
霊夢「……うへぇ」
はぁ、と心底嫌そうに霊夢はため息をこぼした
<<居間>>
紫「雇い主はいつもの人里から、この異変の調査と解決を依頼されたわ。今朝、湖の辺りから赤い霧みたいなものが出てきて
たらしいんだけど、そこからわずか3時間後、つまり今から数分前に急速に幻想郷中を覆うくらい広がったの」
紫「目撃証言によれば、空を飛んでいた鳥が赤い霧に覆われた瞬間、空から落ちてきたらしいわ。このことから人里は
この赤い霧は生き物にとって有害なものだと判断、調査と迅速な解決を依頼したわ」
紫「で、私がサクッと調べた所、湖の近くに赤い大きな洋館が建ってたの。そこには館の主と思しき吸血鬼や、他にもいろんな者が住んでいたわ。
恐らくこの吸血鬼が異変の首謀者ね。目的は不明だけど、少なくとも幻想郷にとって良くない事を起こそうとしてるのは考え過ぎと
は言いがたいし、魔理沙の言うとおり財団Sが関わってる可能性も高いわね」
紫「依頼主は報酬は弾むと言っているわ。貴方にとっても、悪い話じゃないと思うけど?」
魔理沙「ほらみろ。やっぱりこの赤い奴、ただの異常気象じゃなったぜ」
霊夢「はぁ~~~~……どうしてこう面倒ごとが起きるのかしらね~。平和に暮らそうとか思わないのかしら……」
魔理沙「何言ってんだ。その平和を守るのが私たちの役目だぜ!」
霊夢「私は別にそんなこと思ってないけどね~。っていうか、そんなにこの霧が気になるなら貴方一人で行けばいいじゃない。別に
私個人に指名して依頼が来てるわけじゃないんでしょ?」ゴロン
魔理沙「霊夢……」
紫「……霊夢ちゃん」スッ
その場に寝転んで完全に異変解決を拒否する姿勢に入った霊夢に紫がそばに近づく
霊夢「何よ?」
紫「これ、今月のお小遣い兼生活費」
霊夢「あぁ、ありが」
紫「えいっ」
ポイッ
と、霊夢の前で彼女が作り出したスキマの中に霊夢のお小遣い兼生活費の入った茶封筒を投げ入れた
霊夢「ちょっ!」
そして、――――――――
博麗神社の賽銭箱の上に紫が作り出したスキマの出口であった。そこから茶封筒が落ち、賽銭箱の中に入る
ガシャン!
賽銭箱は茶封筒が入って数秒後、投入口を閉じてしまう
霊夢「あ……あーーーーーーー!!」
説明しよう!
改造巫女、博麗霊夢は博麗神社の賽銭箱にお賽銭を入れられると、巫女戦士としての力を使うことが出来るようになるのだ!
ただし!その力はお賽銭の金額によって左右され、かつ、一度賽銭箱が閉じてしまえば投入されたお賽銭分の力を使わない限り
お賽銭を回収することも、続けてお賽銭を入れることも出来なくなってしまうのだ!
ちなみに、この賽銭箱は本気を出した霊夢にも壊せない!
霊夢「私のお小遣い兼生活費がーーーーーーーー!!」
居間を飛び出し賽銭箱に飛び掛るが時既に遅し、とっくに投入口は閉じられていた
霊夢「……ゅ……紫いいいいいいいいいいいいい!!」
紫「さ、霊夢ちゃん。異変解決がんばってね☆」
涙を流しながら怒りの目を紫に向けるが、本人は一切気にすることなくウィンクを返すだけだった
紫「魔理沙。霊夢ちゃんを連れて行ってくれる?」
魔理沙「あ、あぁ……」
霊夢「ううぅ……い、いやよ!絶対に嫌!こんなの理不尽よ!ひどすぎよ!こんなモチベーションじゃ異変解決なんか出来ない!」
もはや意地か我侭か、その場に座り込んで動こうとしなかった
魔理沙「あのなぁ、子供じゃないんだから」
紫「あ、そうそうすっかり忘れてたわ。さっき言った赤い洋館の住人たちの写真が、探したら見つかったから渡しておくわね。とは言っても
これが全員とは限らないけど」
魔理沙「え?あぁ、サンキュー」
受け取った写真を見ると、少々汚れていたり、距離が遠かったりしたものがあったが大体の特徴は掴めた
魔理沙「どれどれ~……この門の前に立ってるのは人間か?妖怪か?」
紫「ん?どれ?」
魔理沙「ほら、このチャイナドレスきてる奴」
霊夢「チャイナドレス?」ピクッ
紫「そうね、たしか妖怪だったわね」
魔理沙「ふ~ん……じゃあこの見るからに室内系で寝巻きみたいな服着てる女は?」
霊夢「ネマキ?」ピクッ
紫「あぁ、確か……情報は少ないけど、魔法使いってことはわかってるわ」
魔理沙「なるほど……ん?こいつ顔が写ってないな。まぁメイド服着てるしこいつは吸血鬼じゃないだろ」
霊夢「メイド?」ピクッ
魔理沙「ってことは……この蝙蝠の翼みたいなのが生えてる奴が吸血鬼か?なんか他の奴らと比べてちょっと小さいな」
霊夢「チイサイ?」ピクッ
紫「そうね、でも異変の首謀者なら、ましてや吸血鬼なら油断は禁物よ。近くに住む野良妖怪によれば『永遠に紅い幼き月』って呼ばれてるらしいわ」
霊夢「オサナイ?」ピクッ
霊夢「…………ねぇ!ちょっとその写真見せて!」
魔理沙「あ、ちょ!霊夢!?」
写真をひったっくって霊夢はまじまじと見つめる
霊夢「…………」ブツブツブツ
魔理沙「?」
霊夢「キョニュウオネエサンケイチャイナドレスダウナーケイネマキマジョナゾノギンパツメイドソシテキノツヨソウナロリッコキュウケツキ…………」ブツブツブツ
魔理沙「れ、霊夢?」
声が小さくて魔理沙には霊夢が何を言っているのかは聞き取れなかった。そして、急に黙ったかと思うと、さっと顔を向けて
霊夢「何してるの魔理沙、行くわよ!異変解決に!」
魔理沙「え、えぇ!?」
いきなり目を輝かせてやる気満々になった霊夢に魔理沙は困惑しながらも後を追い、霊夢は魔理沙の前を早足で進む
魔理沙「ど、どうしたんだよ急に……」
霊夢「どーしたもこーしたもないわよ!幻想郷の空をこ~んなもので覆ってくれちゃって、いい迷惑じゃない!」
霊夢「ふっ、ふふ、ふふふふ……さぁ~てどうしてくれようかしらねぇ~。ただでは済まさないわよぉ~」ジュルリ
魔理沙「霊夢……そうか、なんかよくわかんないけど、敵の顔を見て燃えてきたってことか!」
霊夢「えぇ萌えてきたわよ!萌えまくりよ!いやむしろこれからもっと萌えさせてもらうんだから!」
魔理沙は知らない
魔理沙「よ~し。やってやろうぜ!幻想郷の自由と平和は、私たちがいる限り守るってな!」
霊夢「えぇ教えましょう!そして聞き出してやるわよ!(パンツについて)」
魔理沙「あぁ、もちろんだぜ!(異変の真相を)」
待ち受ける、さまざまな敵の力を
避けることの出来ない、出会いを
そして、この異変の終わりにある出来事を
霊夢「あっ!魔理沙」
魔理沙「なんだ?」
霊夢「ついでに今日つけてるブラもみせて!」
魔理沙「せいっ!!」ヒュッ!
霊夢「ウゥフッ!!」ズンッ!
ここまで。こんどこそ完結目指してがんばります
乙
今は様子見
乙ー
カオスになる予感!
期待してる
今日も更新。せっかくの祝日だしね
あとコテハンつけます
変態霊夢さんか
時は少しさかのぼり
<<霧の湖の畔に立つ赤く巨大な館>>
『報告を聞こうか』
???「はい、首領。紅霧作戦は第一段階を終え、第二段階への移行を始めています」
幻想郷の空が赤く染まったちょうどその頃、暗い部屋に一人の少女がいた
その少女こそ、この異変の首謀者、そして財団Sの幹部レミリア・スカーレットである。彼女は今財団Sの首領と会話していた
といってもこの場にいるのはレミリア一人。彼女の前には巨大な翼に目がある鷹のエンブレムが壁にあるだけだが、そこから
首領の声が聞こえている
財団S首領、その姿は誰も知らないのだ。幹部であるレミリアでさえ、こうして通信による会話以外で首領と接したことはない
『そうか、だが気を抜くな。この作戦の規模から考えればあの博麗霊夢と霧雨魔理沙が動き出すのは間違いないからな』
レミリア「あの改造巫女と魔法使いですか……。聞けば、幾度と無く我等の作戦の邪魔をしてきたとか……ですがご安心ください首領
仮に私の前に現れたとしても、そやつらの命は今日限りとなるでしょう」
『ほう、何か策があるようだなレミリア……良かろう。後のことは全て任せる。必ず作戦を成功させるのだ。これにて通信を終わる』
レミリア「ははッ!必ずや、首領のご期待に答えて見せましょう」
パチン
通信が切れたことを確認して、レミリアが振り返り指を鳴らすと、それまで暗かった部屋に明かりが灯る
いたるところに紅に染められた広い部屋だった。部屋の奥には玉座がありレミリアはその背後から現れる
レミリア「咲夜」
玉座に座ったレミリアがそう呼ぶと、レミリアの手に一枚の紙が現れる
≪はい≫
手に持った紙にはそう書かれていた
レミリア「どうやら邪魔者がやってくるようだ。今はまだ時間が欲しい。時間稼ぎのために至急”ギルド”の連中を雇え」
言い終わるほぼ同時、レミリアの手にはまた別の紙があった
≪承知しました。しかし、今すぐとなると相応しい実力者を雇えるかどうか……≫
レミリア「心配するな。今依頼すれば間違いなく”奴”が出てくるぞ」
≪……奴?≫
レミリア「あぁ……奴だよ――――――――」
ギルド
構成員のほとんどは妖精であり、この幻想郷において最も巨大な規模を誇る集団である
妖精は自然がある限り消滅することは無く、死という概念が存在しないが、その力は決して強いと呼べるものではなく。人間にすら勝てない
妖精もいる。時には”暇つぶし”や”八つ当たり”などという理不尽な理由で力の強い妖怪に襲われることもある
だからこそ、妖精たちは群れてギルドを創った
基本的には自由気ままに生きる妖精でも、力を借りたいと願う者には報酬しだいで力を貸す”仕事”をすることで妖精という
存在を軽視されないようにするためだ
当初は妖精のためだけに作られた組織であったが、次第に力の弱い妖怪なども集まって、幻想郷の最大勢力となったのである
大妖精「チルノちゃんチルノちゃん!仕事だよ仕事!!」
ギルドの地下秘密基地
大妖精は笑顔で部屋の扉を開けた
「………………」
灯り以外には机しかない殺風景な部屋には一人の妖精がいた
椅子に座って机に足を乗せ、顔に新聞を広げて被さって眠っていたが、大妖精の声で目が覚める
この妖精こそ大妖精が呼んでいた、チルノである
チルノ「……仕事?」
新聞を軽く持ち上げ、目線だけを大妖精に向ける。影から覗くその目は鋭く、とても冷たい目をしていた
大妖精「うん!さっき来たばかりなんだけどね、レミリア・スカーレットっていう吸血鬼から来たんだよ!!」
チルノ「へぇ……」
吸血鬼、という言葉に微かに眉を動かすが、その声は凍りついたように冷たく、まるで感情を感じさせなかった
新聞をぞんざいに折りたたんで机に放り、大妖精が持っていた依頼文書を受け取り、目を通す
大妖精「どうかな?私はチルノちゃん好みのやりがいのある仕事だと思うんだけど」
チルノ「……博麗の巫女、博麗霊夢と魔法使い、霧雨魔理沙の撃破……随分急だね」
大妖精「うん。こんな仕事だし他の皆は手も空いてないから、チルノちゃんが受けないならこの依頼は無かった事になるんだけど」
チルノ「…………いいよ。やってあげる。報酬もかなりの悪くないしね」
大妖精「ほんとに!」
チルノ「こんなおいしい仕事、みすみす逃す訳無いでしょ」
椅子から立ち、机の引き出しを開けてリボンを取り出し髪を結んでドアを開けて部屋から出て行く
チルノに続いて大妖精も付いていきながらチルノの背中を見て、大妖精は少しづつ笑顔になる
大妖精(……良かった。チルノちゃん、なんだか最近イライラしてたみたいだし、きっとこれで機嫌直ったよね)
最近、通路ですれ違うたびに大妖精はチルノから、明らかに不機嫌な雰囲気を感じ取っていたのだ
舞い込んで来る仕事にも手を付けず、もっぱらさっきまでのように寝て暇を潰す様な生活を送っていたのを何度も見ていた
何かしてあげたいと考えても理由がわからず、結局、普段どおりに仕事を探して過ごすしかなかった
チルノ「あぁ……そうだ。大妖精」
大妖精「え?」
突然、通路の途中で止まったチルノに大妖精は首を傾げる
振り返ったチルノは
ガッ
大妖精の胸倉を掴んだ
大妖精「え?きゃあ!」
どん!
チルノはそのまま大妖精を力ずくで壁に当て、胸倉を掴んだ腕を強く押し付ける
大妖精「うぁ……チ、チルノ……ちゃん?」
チルノ「せっかくだからさぁ、今言うよ」
首と胸を圧迫され苦しむ大妖精の目をチルノの冷たい目が突き刺す
チルノ「いつも私の代わりに仕事貰ってきてくれるのは感謝してるんだけどさ、ここ最近のアレは何?」
大妖精「っ……?」
チルノ「『盗られたおもちゃを取り返して欲しい』とか『家事の手伝い』とか……その辺の子供にでも出来るような仕事は何?って聞いてるの」
チルノ「案の定報酬も小遣い程度しかないし、なんであんなヘボい依頼を持ってきたの?私はそういう仕事はしないって言ったよね?」ギリッ
腕の力がより強くなる。小柄で細い腕に見合わないほどの力が大妖精をさらに圧迫する
大妖精「エホッ!ゲホッ!だ、だって……私達のっ……妖精の力を利用しようなんて人里の人達くらいしかいないしっ!
そ、それにっ!少しでも早くお金を貯めないと!チルノちゃんの体が!」
チルノ「っ!!」
その言葉にチルノの目が一瞬揺らいだ。だが、次の瞬間チルノはもう片方の手を大妖精の手を掴む
チルノ「私の体のことなんてどうでもいいでしょ!!」
大妖精「ひっ!!……ぅぁ……」
チルノの手が触れた瞬間、大妖精は体温を奪われた。まるで零度近い冷たい水が体中に駆け巡ったかのような、肌より内側にあるものは
全て氷に変わったかのように錯覚するほどに
大妖精「はっっ!!ハァッ!」ガクガク
チルノ「……いつも今回みたいな大きな仕事取って来いなんて言わないけど、今度ヘボい仕事なんか持って来たら……こんな程度じゃ済まないからね」
どさっ
激しく震える大妖精を手放して、チルノは再び歩き出す
大妖精「ま、待って!チルノ……ちゃ……」
だが、大妖精が震えながら伸ばした手で服を掴まれ足を止める
大妖精「あ、あのっ……ごめんね!私っ、私が余計なこと……したから……ほんとに、ごめんなさい」
寒さに震え話すこともままならなくとも、大妖精は顔を上げて申し訳なさそうに、だけど、自分は何ともないと言うかのように笑った
まるで、チルノは自分の身を案じていると思っているかのように
チルノ「…………」
大妖精「……あ」
震えのとまらぬ大妖精を一瞥しただけで、チルノはその手を無理やり振りほどく
既に、チルノの中には大妖精のことなど考えてはいない。ただ、依頼された仕事のことを考えていた
チルノ(…………そうだ、あいつも連れて行くか)
大妖精「…………」
だが、大妖精はそれでも
大妖精「大丈夫、だからね……チルノちゃん……」
―――――
―――
時間は戻り、霊夢と魔理沙は
霊夢「うえ~っえ”っほ!……魔理沙、首はやめよう。首を箒の柄で突くのはやめよう。ほんとに死ぬかと思ったからさ」
魔理沙「知ってるか、馬鹿は死ななきゃ治らないらしいぜ?っていうかいっぺん死ねば良いんだよ」
赤く染まる空の下、霊夢と魔理沙は霧の湖へと向かうために森の中を歩いていた
本来なら飛んでいけば早いのだが、赤い霧に一体どのような影響を受けるか分からないため徒歩で行くことにしたのである
魔理沙「ま、それは置いておいて。ほんとに良かったよ」
霊夢「え?」
魔理沙「いや、最初はあんなに行きたくない、めんどくさいって感じだったのにやる気出してくれてさ。やっぱり
お前は幻想郷の味方なんだな~って思ったよ」
霊夢「!?……べ、べつにそんなんじゃないし!はははっ!なぁ~にを馬鹿なこと言ってんのよ!」ダラダラ
霊夢(やっべ~そういえば異変がどうこうって話してたっけ……どうしよう、なんか罪悪感が……)
まさか自分の欲望のために動いてるとは言えない。こうなった以上霊夢も異変を解決する気は一応あるが、魔理沙の純粋な信頼は
ザクザクと霊夢の良心を突き刺した
魔理沙「……ん?なんだありゃ?」
ふと、魔理沙は足を止め森の奥をじっと見る
霊夢「何?」
魔理沙「いや、今なんかそこに小さな女の子がいた気がしてさ……こんなところに住んでる妖怪なんてしらないし、人間だとしても
今の状況じゃあおかしいなって思ってさ」
霊夢「! どこ!」
女の子
その単語に思わず霊夢は魔理沙より一歩前に出る
魔理沙「いや、そこの一番奥の木と木の間にチラッと見えたんだよ」
霊夢「分かったわ。魔理沙はそこで待ってて!もしかしたら敵が送り込んできた刺客かもしれないわ!」
魔理沙「な、何言ってんだ!だったら私もいくぜ!」
霊夢「いいえ、ここにいて。もしかしたら罠かもしれないし、何かあったときのために待機しておいて!
すぐに戻るわ!……いや、まぁ、そこそこ時間がかかるかもしれないけど!そのときは先に行ってて!すぐに追いつくから!」
早口にそう言って霊夢はつかつかと先に進む
霊夢「フヘ、フヘヘヘヘッヘヘ……そうよ、幻想郷がこんな大変なときに外を出歩いてるなんて怪しいじゃない。体の隅々まで
調べてやるわ……主にスカートの中とかね!」ジュル
明らかに犯罪者としか思えない顔をしながら、霊夢は草を掻き分け辺りを見回す。太陽が当たらないこともあってか、森は薄暗かったが
改造巫女である霊夢にとっては闇夜であってもなんら問題は無い。魔理沙が女の子を見かけたといった辺りまで、難なくついた
霊夢「さぁ~て、怪しい女の子はどこかしら~っと……」
視力、聴力を駆使して辺りを探してみるが影も形もなかった。まるで始めからそこにいなかったかのように
霊夢「……どういうことよ?」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
魔理沙「……霊夢の奴大丈夫かな」
言われるがまま待機している魔理沙は森の奥へと先に進んだ霊夢の背を遠くから見守っていた
魔理沙(まぁ、見かけたって言ってもほんとにチラッとだけだったし、もしかしたら見間違いかも知れないんだけど……)
「ねぇ」
魔理沙「ッ!?」
突然、魔理沙の背後から聞きなれない声が聞こえた。いつの間にか背後を取られていたことに失態を感じながらも魔理沙はすぐさま振り向いた
「貴方は、食べても良い人類?」
その瞬間、魔理沙の視界は闇に染まった
魔理沙「おおっ!?」
何も見えない。全てが黒一色に染められている。一瞬にして光が一切存在しない景色に変わるという異常事態に魔理沙は驚愕しながらも
体はすぐに身構えていた。幾度と無く霊夢と異変を解決してきた魔理沙は、その経験から不意打ちに対する反応も体に染み付いていたのだ
魔理沙(なるほど、狙いは私か!)
???「ねぇ~、食べてもいいの?ダメなの~?」
魔理沙「ダメに決まってるだろ~。私を食べたら腹壊すぞ~」
???「お腹壊すのか~。でも、今はお腹が空いてるし~……う~ん、迷うのだ~~~」
暢気な声で問いかける何者かを警戒しながら魔理沙は鞄の中へ手を入れる
霊夢『魔理沙!一体どうしたのよ!何なのこの真っ黒な結界みたいなの!?』
暗闇の中、どこからか霊夢の声が聞こえた。どうやら暗闇に包まれているのは魔理沙一人のようで、離れていた霊夢には
自分が黒い何かに包まれているように見えたのだろう
魔理沙「霊夢か!悪い、どうやら私が狙われてたみたいだ。お前は先に行け!ここは私だけで十分だ!」
魔理沙は、少なくとも今自分を襲っているのは異変の首謀者に関係する者ではないと考えていた
相手の視界を奪って不意を付いておきながら、攻撃を仕掛けて来るどころか標的と会話をするというのはおかしい
つまり、これは奇襲、強襲、暗殺の類ではなく、通りがかった人間を襲ってきたただの野良妖怪、ならば”一人でも十分”なのだ
霊夢『……本当に大丈夫なの?』
魔理沙「あぁ、信じろ」
霊夢『そう……それじゃあ、任せたわよ!』
ざざっ ざざざざ!
足音が離れていく
どうやら言葉通りこの場は任せてくれるようだ
魔理沙(聞かず心配せず、あっさり任せてくれるってのが、お前の良い所だよな)
魔理沙「さて……」
???「食べる~……食べない~……食べる~……よーし決めた!やっぱり食べるのだー!」
魔理沙「サクッと終わらせるか!」スチャッ
霊夢「……さて」
魔理沙の言ったとおり霊夢は先に目的地へと向かった
とにかく走った。走って走って走って走った
改造巫女である霊夢の走力は人間のスピードを遥かに超える。周りの木々はあっという間に現れては流れるように視界から消えて
霊夢自身がさながら一陣の風にでもなったかのように森の中を駆け抜ける
<<霧の湖>>
ザザァアアアアアア
森の中を出ると霊夢は一度止まって周りを見渡す
異変により空が赤く染まり不気味な世界を作り上げている中、湖には真っ白な霧に包み込まれている
見上げると霧によって空が白みがかり、赤い空を幽かにさせていた
霊夢「……相変わらず濃い霧ね。ほんとにここに館なんてあるのかしら……前に来たときは無かったと思うけど」
???「あんたが生まれる前には既にあったと思うよ。多分、見つけられないのはいつも霧が館を隠してるからじゃない?」
霊夢「へぇ~。まぁ、確かにこの辺は普段来ないし探そうとも思わなかったから当然か」
霊夢「……ん?」
いきなり聞こえた声のほうに振り向くと青い服で、背中に氷の羽を生やしている少女が立っていた
霊夢「誰?」
チルノ「氷の妖精……チルノ」
霊夢(覚えている限りこんな子知らない……なのに話しかけてきたということは……)
霊夢「さては私のファン?」
チルノ「違う」
パキパキパキパキ
チルノが手をかざすと、手の上に一塊の氷が出来上がる。無骨な形だが、人の頭を軽く貫けるような鋭利な部分がいくつもある
チルノ「初対面のあんたに言うのもなんだけど、私はあんたを倒しに来た」
ピクリと霊夢の眉が揺れる。大抵の場合、自分に挑む者は異変の首謀者と関わりがあるものか、自分を知らない間抜けな野良妖怪くらいだからだ
しかしどうやらこの妖精は自分のことを知っているようで、かつ”目的”を持って自分に挑んできている。ということは……
霊夢「へぇ……さては貴方ギルド所属の妖精?……雇い主は?」
チルノ「仮にもやってるのは商売だ、そんなこと教えられない、ねっ!」ヒュッ!
氷塊を顔面に目掛けて繰り出す。鋭利な氷塊の切っ先は一瞬で霊夢の鼻先まで届き
ドッパアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!
次の瞬間、湖の水面が大きく爆ぜた
霊夢「三つ、貴方に言っておく事があるわ」
霊夢「一つ、私は貴方のような(見た目が)年下のか弱い女の子を傷つけて心が痛まない訳じゃないけど、敵だというなら容赦はしない」
先手を取られ、後手に回った霊夢はチルノの一手を防御はしなかった
霊夢「二つ、妖精の貴方が私を倒すと言ったユーモアと度胸は認めるわ」
むしろ逆、チルノの伸びきった腕を片手で掴み取り―――――――――――思いっきりぶん投げたのだ
霊夢「三つ、妖精に倒せるだなんて思われるほど、私は安い残機なんか持ってないわ」ど~ん
霊夢(……決まった)フッ
改造巫女の腕力は人間を超える。子供くらいの重さは今の霊夢にとってはボールにも等しい
加えて、霊夢には力の流れをはっきりと把握し、効率よく振り抜く”感”を持ち合わせている
相手に先制を許しても攻撃を許さず、後手であるはずのこちらの攻撃を打ち込む
様々な異変を解決してきた経験と、その身に宿る改造巫女の力、そして博麗霊夢の天性の才能
これが、博麗霊夢の武器だ
霊夢(雇い主は大方異変の首謀者ってところよね。……目的は足止め、それか暗殺。もしかしたら魔理沙の方も
ギルドに所属してる奴かもしれないけど……)
霊夢「たいした事無いわね。こんな奴が差し向けられる辺り雇い主のショボさが見えるわ」フフン
所詮は妖精。まだ見ぬ首謀者に対し余裕の態度を見せる
ここまで。
このSSまとめへのコメント
チョーイイネ!
いやはや東方で仮面ライダー!かっこいいです!
サイコー!