上条春菜「比奈ちゃん比奈ちゃん、メガネ買いに行こうよー!」 (14)


比奈「いや…自分そんなにメガネにバリエーション求めて無いっスから…」

春菜「そんな事言ってぇ…こっちのお目目は正直だよ…?」フフフ

比奈「無理やりアタシの好きそうなワードぶち込まなくていいっス。しかも片方の目嫌がってるじゃないっスか」

春菜「そんなぁ~…せっかく比奈ちゃんに似合いそうなメガネ見つけたのに…」

比奈「どんなメガネでも使えれば関係ないっスよ、どうせ誰に見せる訳でもないんスから」

春菜「そんな事ないもん!私が見るもん!」

比奈「じゃあ今のメガネは気に入らないって事っスか?」

春菜「そんな事ないよ!比奈ちゃんに似合っててかわいいよ!」

比奈「じゃあ要らないっスね…」

春菜「そうだね」

春菜「…あれ?」

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春菜「比奈ちゃん比奈ちゃん!大変!これ見て下さい!」

比奈「コンタクトレンズのポスターっスね、これがどうかしたんスか?」

春菜「どうもこうもないよ!ここ見て!『眼鏡を掛けた自分にさよなら』だってぇ!」

比奈「あのぉ…それが…?」

春菜「こんなの許せるわけ無いじゃないですか!?なんですかこれ!国交の場でお前の国のハンバーガー食わんわぁ…とか言っても良いんですか!?」

比奈「そんなにバイオレンスな事は言ってないじゃないっスか…」

春菜「これは由々しき問題です!コンタクト国によるメガネ国への立派な宣戦布告ですよ!」

比奈「そんな国いつ作られたんスか…それにアタシはどっちの国の人間になるんスか?」

春菜「比奈ちゃんは元々メガネ国出身だから国籍はまだメガネ国にあるよ」

比奈「いや国籍は日本に有る筈っスけど…」

春菜「いわゆる多重国籍ですね」

比奈「アタシ大問題じゃないっスか!?」


春菜「比奈ちゃん比奈ちゃん、今日のご飯は何にするんですか?」

比奈「あぁ…もうお昼っスか、おにぎりでも買って来るっス」

春菜「そんなのダメですよ!健康に良くない!私がもっといいお店を紹介してあげます!」

比奈「いやぁ…そんなに人の居る所には行きたくないッスよ…?」

春菜「大丈夫ですよー!そのお店いつもガラガラですから!」

比奈「それはまた違った意味で行きたくないんスけど…」

春菜「中華料理屋さんなんですけど、立地が悪いのかお客さんが全然来なくて…」

比奈「まぁ…隠れ家的なお店は美味しいっていう説は有るっスね」

春菜「それじゃあ行きましょう!味は保証しますから!」

比奈「は…はぁ…」


春菜「いただきまーす!ほら比奈ちゃんも冷めないうちにどうぞどうぞ」

比奈「いただきます…あっ、確かに美味しいっスね…」

春菜「でしょー!悪いのは立地だけなんですから!」

比奈「ご飯処としては致命的っスけどね…」

春菜「それにこんな所でも人によっては天国なんですよ…ほらっ!」

比奈「あっ、ネコ…店の前が溜まり場になってるんスね…」

春菜「ここからならよく見えるから私の特等席になってるんですよ~!猫ちゃ~ん…えへへへ…」フリフリ

比奈「……」

比奈(衛生的にも問題ありっスよ!…って言いたい!すごく言いたい!)ワナワナ



春菜「比奈ちゃん比奈ちゃん、これ見てくださいよ…」

比奈「今度はなんスか…?」

春菜「これ、多分プロデューサーさんの日記帳だと思うんですけど…」

比奈「勝手に持ってきちゃダメじゃないっスか、元あった場所に戻しくるっス…」

春菜「それが、忘れて行っちゃったみたいで…」

比奈「…ほぉ…それは大変っスねぇ…でもプロデューサーさんの持ち物かどうかはまだ分からないっスよ…?」

春菜「でもここにでっかくⓅって書いてありますよ?」

比奈「いやいや、それは日記帳の名前かもしれないっス。本来の持ち主さんがPさん日記を書いてるかもしれないっスよ?」

比奈「そんなのを本人に見せたら赤っ恥も良い所っスよ!中身を確認してみるっス!」

春菜「でも流石に中身まで見るのは…」

比奈「何を甘い事言ってるんスか!可及的速やかに確認してみるっス!」ペラッ

〇月×日 △曜日

今日も人を一人殺めてしまった…俺はいつまでこんな生活を続けるんだろう。
事務所のアイドルに迷惑をかけてしまうとは分かっていながらもこの衝動を抑える事は出来ない…
もしも彼女達をこの手にかける事になってしまったらと想像するだけでも恐ろしい…
恐ろしいのだが…

とても興味は有る…

ガタッ

春菜・比奈「ヒッ…」ビクッ



P「……」

春菜「あ、あの…プロデューサーさん!私たち何も!」

比奈「そ、そうっスよ!特に異状なく普段通りの生活を…」

P「……」クイッ

春菜「い、いやっ…これは…お、落ちていたので…届けようかと…」

比奈「な、中身は見てないっス!絶対に絶対に見てないっス!!」

P「……」

春菜「ほ、本当ですよ!ねっ!比奈ちゃん!?」

比奈「ほ、ほほほ本当っス!警察には言わないっスから命だけは!」

春菜「比奈ちゃん!?」

P「……」プルプル

比奈「も、もう終わりっス…私の人生ここまでっス…」カタカタ…

春菜「そ、そんなぁ…まだ欲しいメガネが沢山あったのに…」フルフル…


テッテレー


比奈「ドッキリ大成功~!」

P「///」プルプル

春菜「…え?」

比奈「見事に引っかかってくれたっスねぇ、まだ欲しいメガネ買えるっスよ?」

春菜「……え?」

比奈「だからドッキリだったんスよ~!はい、大成功!」

春菜「あぁ…そうなんだ…」フラッ…

P「!?」

比奈「い、息してないっス!!救急車!救急車っスよぉー!!」



春菜「」ムスッ

比奈「いや本当に申し訳なかったっス…」

P「」ペコペコ

春菜「……」プイッ

比奈「あの…どうするっスか…これ…?」

P「」オドオド

春菜「…お腹空いた」

比奈「き、今日は出前にするっス!Pさんお寿司!お寿司を注文するっス!!」

P「!!」コクコク


―食後―


春菜「…甘いもの食べたい」

比奈「パフェも用意してあるっス!」

P「」ササッ


―間食後―


春菜「…メガネ空いた」

比奈「いやそれは流石にムリっス!!」

P「」ササッ

比奈「なんで有るんスか!?」

春菜「…うふふ///」

比奈「そんで機嫌直るんスか!!」




春菜「比奈ちゃん比奈ちゃん、私もうメガネやめようと思う…」

比奈「えっ!?おっ…ど、どうしたんスか!?」

春菜「なんか…目の周りが邪魔って言うか…もういいかなって…」

比奈「そ、そうなんスか…?残念っスね…」

春菜「うん…そうなんだ…な~んちゃっt」

比奈「せっかくアタシもメガネの魅力に気づきだした所なのに…残念っス…」

春菜「えっ!?そうなんですか!?やっと比奈ちゃんもメガネの良さに気付いて…」

比奈「エイプリルフールっすよ。流石にそんな嘘には騙されないっスよ…」

春菜「えぇー!?なんで気付いたんですか!」

比奈「分かりやすすぎるっスよ…もっとリアリティを持たせないと…」

春菜「そうですか…じゃあ次はプロデューサーさんに…」


ガチャ


春菜「プロデューサーさん!比奈ちゃんが青少年健全育成条例法に引っかかったって!」

P「!?」

比奈「引っかかってないっスよ!なんで信じるんっスか!?」

春菜「リアリティーを重視してみました!」

P「」ホッ…

比奈「ぶん殴るっスよ!?」


春菜「比奈ちゃん…」

比奈「どうしたんスか…?やけにテンション低いっスけど…」

春菜「近所のメガネ屋さんが潰れちゃって…」グスッ…

比奈「あぁ…最近はショッピングモールの中に乱立してるから…」

春菜「私…あそこのメガネ屋さん潰れちゃったらどこに行けばいいのか…」フルフル…

比奈「まぁまぁ…気を落とさずに新しい店舗を開拓するっス。そうすればそこの店主さんも本望っスよ」

春菜「でもぉ…」

比奈「何を言ってるんスか!メガネを掛け続ける事がメガネ屋さんへの何よりの感謝を表せるんじゃないっスか…!?」

春菜「ひ、比奈ちゃん…!」

比奈「分かったらすぐに行くッス、自分にとっての新しいメガネ屋さんを求めて…」

春菜「う、うん!私今から行ってくる!ありがとう比奈ちゃん!!」

比奈「夕飯までには帰るっスよぉ~…」ゴロン

比奈(最近ようやく扱いが分かってきた気がするっス)フワァー…



春菜「比奈ちゃんはライブの時どうしてメガネを掛けないんですか?」

比奈「ずいぶん唐突っスね…別にそんなに深い意味は無いっス」

春菜「深い意味が無いならメガネを掛ければ良いのになって思うんですけど」

比奈「まぁ…深い意味は無いっスけど、動き辛さ的なものは有るんすスよ」

春菜「でも動き辛さはこういうゴム製のヘッドバンドの様な物を着ければ解消されるのでは?」ノビー

比奈「…と、とにかく掛けないものは掛けないんス!これはアタシの中での決まり事っスから!」

春菜「そうですか…それなら仕方ないですね…」

比奈「…春菜ちゃんはなんでそんなにメガネに固執するんスか?」

春菜「私の場合は…うーん…まぁ昔から目が悪くてですね、ちょっと俯いて歩きがちな女の子で…」

春菜「メガネを勧められて、でもなんだかちょっと…地味かな?なんて思ったりしてたんですけど…あはは…」

春菜「自分としてはすごく気に入ってたんですよ!本当に世界が拓けたぞ~!って感じが。そんな時、プロデューサーさんから声をかけられて。」

春菜「最初はビックリしましたけど、メガネと一緒で何事も試してみよう!と思ってステージに立ったんです」

春菜「凄かったなぁ…まさか私の事を受け入れてくれるとは思ってなかったので…メガネアイドルって…結構特殊じゃないですか?」

春菜「その時ですね、メガネも一緒にアイドルデビューしたんだ!って思って。大まかな理由はそういう感じです!」

比奈「…私は春菜ちゃんとは真逆っスね」

春菜「というと?」



比奈「まぁなんというか…普段メガネを掛けてて、自分から見ても野暮ったいというか…女の子らしくはないなと思ってたんス」

比奈「それでもスカウトされて、なし崩し的にアイドルになってしまって…受け入れられたのがメガネを外した時の自分だったっス。」

比奈「だから不安では有るんスよ。メガネを掛けたままステージに上がった時に、また昔の自分に戻るんじゃないかって」

比奈「もちろんメガネになんの罪も無いのは分かってるっス!でもいまいち踏ん切りがつかないというか…」

春菜「う~ん…これは何が何でもメガネを掛けてステージに上がらないといけませんね…」

比奈「いやぁ…流石にちょっと…」

春菜「こんなに可愛いのに!」

比奈「いやいやいや!春菜ちゃんみたいに可愛ければそりゃアタシだって…」

春菜「いえいえいえいえ!比奈ちゃんこそ…」

比奈「いやいやいやいや!」

春菜「まぁまぁまぁまぁメガネを…」

比奈「その手には乗らないっスよ!」

春菜「むぅ…なんとか流れでいけませんか…」


ガチャッ

P「」ピラッ

春菜「今度のライブですか…?なになに…?『サイバーグラス』…ほぅ」ニヤッ

比奈「なんてタイミングで持ってくるんスか!!///」

P「!?」ビクッ



春菜「えぇ~…荒木比奈ちゃんのメガネ姿可愛い!もっとステージで見てみたい…ふむふむなるほど…」

春菜「あとは…比奈ちゃんはメガネありでも無しでもやっぱり可愛かった!…まぁメガネの方が1000倍は可愛かったけど…」

比奈「後半勝手に付け足さないで欲しいっス…あと自分のファンレター音読されるのはもの凄く恥ずかしいっスよ!///」

春菜「いいじゃないですか~これからもメガネのままライブすれば…」

比奈「…その時は春菜ちゃんがメガネ外すならアタシも掛けて出ていいっスよ?」

春菜「それはズルいですよー!!」

比奈「公平な条件だとは思うんスけど?」フフーン

春菜「わ…わかりました…わた…私がメガネを外せば…」カタカタカタ…

比奈「全然出来なそうじゃないっスか…」

春菜「うぅ…ま、まぁ!人には人なりのプライドというものがありますしね!今回はそれで譲歩します!」フルフル…

比奈「自分の都合のいい時だけ…」

春菜「ネコちゃんの画像見よ~…わぁ!メガネ越しのネコちゃんは可愛さ倍ですね!」

比奈「今は私もメガネだから変わってないのが丸わかりっスよ…」

春菜「そんな事ないですよ~ネコちゃんかわいいですも~ん」

比奈「それはなによりっスね~…じゃあアタシはそろそろ帰るっス」

春菜「あっもうこんな時間!じゃあ比奈ちゃんまた明日~」

比奈「お疲れ様っス」

ガチャッ バタン

春菜「…私がメガネを外したら。ですか…」

春菜「……」スッ

P「!?」ビクッ!

春菜「プ、プロデューサーさん!?///」

P「……」ススス…

春菜「…今見た事を誰かに話したら…耳を削ぎます…///」ガシッ

P「!!」コクコクコク!!



比奈「お疲れ様っス」ガチャ

P「」コクリ

比奈「今日は午後からっスよね?それまでダラダラしてても?」

P「」コクリ

比奈「いやぁ~助かるっス…昨日はどうも筆が進まなくて徹夜しちゃったんスよぉ…」

比奈「えぇ…仕事に支障が出ない程度にはするつもりっスけど…」

比奈「………」

比奈「静かすぎるっス!!春菜ちゃんはどうしたんスか!?」

P「!?」ビクッ!

比奈「えぇ…えぇ…風邪…?一番ひきそうもない人がなんで…」

P「///」ププッ

比奈「さ、寂しい訳じゃないっス!///ただ単にいつもより静かなのが気になっただけっス!!///」

比奈「まぁでも久しぶりにゆっくり出来る機会と考えたら悪くはないかもしれないっスねぇ~…」

比奈「……ふぅ」

比奈「それで熱っスか?喉っスか?」

P「///」プククク

比奈「そ、そりゃ気にするでしょお!?///人間として自然の反応っスよぉ!!///」



比奈「お疲れっス。じゃあ自分はこれで…」

P「」チョイチョイ

比奈「え?春菜ちゃん家には寄ってかないっスよ?はぁ…お見舞いっスか…」

比奈「別に普通の風邪なら大丈夫だと思うんスけどねぇ…」



比奈「と言いつつも来てしまった…」

P「」スッ

比奈「え?これ置いて帰るんスか…?仕事!?じゃあなんでここまで来たんスか!ちょっとPさーん!?」

比奈「ハメられたっス…まぁ…ここまで来て帰るのはただの時間の浪費なんで顔くらいは見て帰るとしますか…」


ピンポーン


春菜「ハ…ハァーイ…ゴホッ!ゴホッ!」フラフラ

比奈「思ってたのより酷い!?なんで出てきたんスか!ご両親は!?」

春菜「間に合ってます…」

比奈「いやセールスじゃないっス!荒木比奈っスよ!!」

春菜「アァ…ヒナチャン…今日は火星の調査が飛んで前に落ちる日だったから…」

比奈「かなり朦朧としていらっしゃる!?何やってるんスかほら中入って!」グイグイ!

春菜「うわぁぁ…金目の物は無いですよぉぉ…ゴホッ!ゴホッ!」

比奈「だから比奈っスよ!!」



比奈「まったくこんなに酷いなんて…ちゃんと病院には行ったんスか?」

春菜「うん…午前中には…インフルエンザだってぇ…」

比奈「そりゃこんな風になるのも頷けるっス…はい、ゼリー買ってきたっスよ。それと…なんスかこれ…?」

春菜「あぁ…メガネコだぁ…かわいい…ゴホッ…ゴホッ…」

比奈「メガネを掛けた猫…メガネコ…随分ニッチな趣向っスね…」

春菜「メガネコと寝たいけど…風邪移っちゃうかも…」

比奈「ぬいぐるみには移らないっスよ。それよりもアタシの心配をして欲しいっス…」

春菜「比奈ちゃんもありがとう…もう帰って?移っちゃうから…」

比奈「それはそうっスけど…」

春菜「うぅ…ゴホッ…」

比奈「……」

比奈「ご両親が帰ってくるまで待ってるっス…」

春菜「えへへ…比奈ちゃんやさしい…」

比奈「いいから寝てるっス。」

春菜「スゥ…スゥ…」

比奈「なにかタオルみたいなのは無いんスかね…?氷水しかないみたいっスけど…ん?」

春菜「スゥ…」←若干濡れたメガネ装着済み

比奈「ま…まさか…そんな訳は無いっスよ…ハハハ…ハハッ…」フルフル…


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