青葉「この数週間で、私は気づいてしまったのです……ひふみ先輩のローテーションがヘビィ過ぎることに」
はじめ「ローションが蛇? なにそれどういう意味なの?青葉ちゃん」
ゆん「せやのうて、服の着回しがヘビロテやってことやろ? 短い間に同じ服を何度も着てまうっちゅうことやんか」
はじめ「ああ、なんだファッションの話だったのかー、どうりで分かりづらいと思ったよ」
青葉「いえ、すみません……分かりづらくて」
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ゆん「それで、ヘビー過ぎるってどういうことなんや? 青葉ちゃん」
青葉「はい、実はひふみ先輩は1日目はブラウスにミニスカとニーソックス…」
はじめ「……ふむ」
青葉「2日目はVネックのカットソーにカーディガンと下はガウチョパンツで…」
はじめ「ほうほう」
青葉「3日目はオフショルダーのニットに、フレアスカート……この三通りの組合せを延々繰り返してるんですよ」
はじめ「へー、そうなんだ」
ゆん「……はじめ、今の説明で分かったんか?」
はじめ「とりあえずTシャツじゃないってことは分かったよ!」
ゆん「ああ、せやろなぁ…」
ゆん「けど流石に三着だけを着回しとるんは……少しヘビーやなぁ」
青葉「ですよね、つまり同じ服を洗濯したそばから着てることになりますし……」
ゆん「ひふみ先輩の女子力が、由々しき事態ということに……!」
はじめ「へぇ、やっぱりみんな色々考えてんだなぁ……ファッションとか」
青葉「そんな他人事みたいに」
ゆん「いうてはじめも、毎日同じような服しか着とらへんもんな」
青葉「確かに、組み合わせ自体は同じですよね……短パンに、パーカーかキャミソール」
はじめ「い、いやいや!これでも私なりに気を使ってるつもりだし……それに私は自転車通勤だから」
青葉「そっか、はじめさんは動きやすい服装限定になっちゃうんですね」
はじめ「私からしたら、ゆんの方こそ毎回同じ服装にしか見えないような……なんかフリフリばっかで」
ゆん「なっ!? そんな訳ないやん!ウチはファッションについては人一倍気を使うてんのにそれを……!」
青葉「そういえば、ゆんさんってまだ長袖なんですね、もうすっかり夏日なのに……暑くないんですか?」
ゆん「うぐっ! それは、その……込み入った事情があってやな……」
はじめ「タンスの衣替えが面倒くさいとか?」
ゆん「そんなんちゃうわ!」
コウ「何なに?なんの話で盛り上がってんの?」ヒョコッ
はじめ「あっ、八神さん!いや大した話じゃないですけど、ゆんのヤツが衣替えするのが面倒くさいみたいで」
ゆん「そんな話してないって!してませんからね、衣替えくらいちゃんとしますから!」
コウ「お、おぉ……?」
青葉「その、実はひふみ先輩のローテーションがヘビィだっていう話をしてまして」
コウ「ひふみんが?……」
りん「あら、おかしいわね……スケジュール管理はちゃんとしていたつもりだったんだけど、どこかで配分に偏りがあったのかしら」
青葉「あ、そっちじゃなくて服装の着回し的な方です、すみません」
りん「着回しの……ああ、そういうことね」
コウ「ふぅん……けどまぁ仕方ないんじゃない? こう忙しいと服装に気を配ってもいられないっていうか」
ゆん「確かに忙しいは忙しいですけど、女子としては如何なものかと」
りん「そうねぇ…」
コウ「私もまぁ服とか買うんだけどさ、いざ朝になって着ようとしたらタグが付きっぱなしだったりして……あーもういいや面倒くさーい!ってなっちゃって」
はじめ「分かります、それに正直着古してたほうが着心地がいいっていうか何というか」
青葉「いやいやいや、前もって片付けておきましょうよそれくらい!」
りん「!……あ、そういえばコウちゃん……この前、私があげた洋服だけど」
コウ(ギクッ!……)
りん「あれからずっと、コウちゃんが着てるところを見たことがないような……まさか」
コウ「いや、あはは……はは」
りん「…………コウちゃん?」ゴゴゴ
コウ「ち、違うんだって、別におろすのが面倒とかそういうんじゃなくて……ちょっと私の趣味には合わないかなーって」
りん「そんなことないわよ私が選んだんだから、いいから一度着てみてくれたっていいじゃない!」
コウ「イヤだ!あんなの着るくらいならパンツ丸出しでいたほうがまだマシだー!」シュバッ
りん「あっ! こら待ちなさいってば、コウちゃん!」
はじめ「相変わらずだなぁ、あの2人も」
ゆん「いったいどんな服渡されたんやろ、八神さん……パンツ丸出しより恥ずかしい服って」
青葉「そんな服、存在しないと思いますけど……普通は」
青葉「まぁとにかく、八神さんの件はまったく参考にならないとして……」
…
ウィーン
ひふみ(……遅くなっちゃった……みんなもう、先に揃ってるのかな)
ゆん「ひふみ先輩についてはもう、直接本人に事情を聞いたほうがええ気がするな」
青葉「そうですね」
ひふみ(?……私の話、してる……みんなで、何を)
青葉「昨日の服装から推測するに……ひふみ先輩、今日はブラウスとミニスカとニーソックスで来るはずですけど」
ひふみ「!」
はじめ「もし、ひふみ先輩が青葉ちゃんの言う通りの服装を着てきたら…」
ゆん「ヘビーなローテーションの着回しをしとるゆう疑いが強うなるいうことに」
ひふみ(!?ど、どどど……どうして青葉ちゃん達が、私の、服装の話なんか……というか)
滝本ひふみ
Eブラウス
Eミニスカート
Eニーソックス
ひふみ(青葉ちゃんが言った通りの、服……着てきちゃってるし……これでみんなの前に、出たら)
青葉『あー、やっぱりまた同じ服着てる……ひふみ先輩ってば単純~♪』プークスクス
ひふみ(い、イジワルなことを言われちゃうかもしれない……青葉ちゃんに)
はじめ「それにしても、ひふみ先輩今日は遅いなぁ、もうすぐ始業時刻なのに」
青葉「そうですね…」
ひふみ(こう、なったら……遅刻してもいいからどうにかして服を……着替えなくちゃ、えっと……えっと)
うみこ「おや、どうかしましたか?滝本さん……そんなところで」
ひふみ「ひゃひっ!?」
青葉「……ん?」
うみこ「もうすぐ始業時刻ですが、トイレですか? それとも何か忘れ物でも……」
ひふみ「い、いえ……あの、その……し、しーっ」
うみこ「………はい?」
青葉「あっ! ひふみ先輩、もう来てたんですか」
ひふみ「あ、あぁ……ぁ」
ゆん「!……あっ、ホンマや! ひふみ先輩、青葉ちゃんの言うた通りの服着とる」
はじめ「そうなの? ふむ……確かに、言われてみれば見覚えるような」
ひふみ「……ぁ、ぁ」
うみこ「貴方達、いったい何の話をして……」
ひふみ「……~~っ!」ダッ
はじめ「あっ、逃げた」
青葉「うぇえっ?!ああ、ち、ちょっと待って、なんで逃げるんですか!ひふみ先輩!」タッ
ゆん「あ、青葉ちゃーん!」
うみこ「…………何なのですか、これはいったい」
青葉「ぜぇ……ぜぇ……」
ひふみ「はぁ……はぁ……」
青葉「……はぁ、もう何で逃げるんですか、ひふみ先輩」
ひふみ「だ、だって……恥ずかしくて……私が同じ服ばっかり、着てること……みんなが噂してた、から」
青葉「それは、だって……」
ひふみ「………っ」
青葉「……事情を話してください、恥ずかしいって思うならどうして……そんなことに」
ひふみ「……じ、実は私……服が、その……買えなくて」
青葉「服が、買えない?……それってお金がないとかそういうことで、ですか?はじめさんみたいに」
ひふみ「そうじゃ……なくて」
…
ひふみ『……よ、よし……今日こそは』
ウィーン
服屋店員『いらっしゃいませー、お客様どういった洋服をお探してすか?』グイッ
ひふみ『えっ、ぁ……あの、その……えと』
服屋店員『今年の夏は水玉模様が流行りですので、こちらなんてどうでしょうか?お客様スタイルいいですしお似合いだと思うのですが』グイグイッ
ひふみ『あの、あの…………あぅ』
服屋店員『このアイテムでしたら、それとこれを合わせてみるのも良いかと、よろしければ試着室にご案内しても……』グイーッ
ひふみ『ぁ………ま、ま』
服屋店員『……ま?』
ひふみ『~~っ!……ま、また来ます!』ピューン
服屋店員『あっ!ちょっとお客様ー!?』
…
ひふみ「店員さんが、グイグイくるから……新しい服が、なかなか……買えなくて」
青葉「……あー」
ひふみ「……本当は、いろいろ着てみたいけど……その」
青葉「なるほど、事情は分かりました……それなら」
ひふみ「?」
青葉「今度のお休みの日、ひふみ先輩の欲しい服を買いに行きましょう!私も一緒についていきますから」
ひふみ「……え?」
青葉「それなら、ひふみ先輩も安心してお買い物できると思うので……どう、ですか?」
ひふみ「……青葉ちゃん」
ひふみ「………ありがとう……青葉ちゃん、私……青葉ちゃんと一緒にいきたい」
青葉「はい、それじゃあ今度の休みの日に……約束です!」
ひふみ「……うんっ」
終わり
…
りん「着なさい!」
コウ「ヤダ!」
りん「いいから着てよ!」
コウ「絶対にイヤだ!」
りん「どうして……コウちゃん、もしかして私のこと嫌いになったの?」
コウ「そ、そういうわけじゃ……ないけど」
りん「じゃあ……好き?」
コウ「……ま、まぁ……それなりに、というか」
りん「だったら着てくれたっていいじゃない!」グイグイ
コウ「それとこれとは話が別なの!」
りん「いいから!」
コウ「イヤだぁ!」
ループ
…
~後日
ひふみ「っ、うぅ……」キョロキョロ
青葉「そんなに緊張しなくても、大丈夫ですよひふみ先輩」
ひふみ「で、でも……」
服屋店員「いらっしゃいませお客様!本日はどういった物をお探しでしょうか?」グイッ
ひふみ「!……あ、青葉ちゃん」
青葉「とりあえずゆっくり見てみたいので、試着したいときにはこちらから声かけますから」
ひふみ「?!」
服屋店員「分かりました、それではごゆっくり」ススス
ひふみ「!」
青葉「さて、じゃあお店の中を見て回りましょうか、ひふみ先輩」
ひふみ「……すごい、青葉ちゃん……まるでモンスターを退ける、騎士様みたい……」
青葉「ただ一言断っただけですよ!?そんな大げさな」
ひふみ「……そう、かな」
青葉「そうですよ、まぁでも……ひふみ先輩の助けになったのなら何よりです」
ひふみ「!……うん」
ひふみ「青葉、ちゃん……このジーンズなんて、どうかな?」
青葉「え、これ……ですか?」
青葉(どうしよう、あまり言っちゃダメだろうけど……正直ダサい)
青葉「これは、その……あまりイイとはいえないような、むしろ悪いような」
ひふみ「ん?……まあ、でもマックミランだから、ね……」ドヤッ
青葉「は?」
ひふみ「あと、このポロシャツも……買う」
青葉「はぁ……って、このポロシャツ一万円もしますよ!? いいんですか?」
ひふみ「ん?……まぁ、手頃だね」
青葉「お、大人だ……」
完
いらいだす
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