―城―
勇者「陛下、これより魔王討伐に行って参ります」
国王「うむ、頼んだぞ」
勇者「それではさっそく仲間を三人集め、四人パーティを組むことにいたします」ザッ
国王(四人パーティか……いいなぁ、面白そう)
国王(そうだ、ワシも四人パーティを組んでみよう!)
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国王「これで“国王パーティ”完成だ!」
姫「やったわね、お父様!」
大臣「陛下や姫様とパーティを組めるなど、光栄の極みですよ」
兵士「お三方の身は、小生がお守りいたします!」ビシッ
これをきっかけに、世に空前の“四人パーティブーム”が巻き起こる。
そう、世界中の人間が“四人パーティ”を組むようになったのだ!
騎士団長「我らが騎士団の力を世に知らしめるのだ!」ジャキッ
騎士「ははーっ!」
女騎士「この輝く剣にかけて!」
白騎士「この白い鎧にかけて!」
騎士団パーティ――
傭兵「荒くれもん同士で組むってのも、いいもんだな!」
山賊「まったくだな。生まれ変わったような気分だぜ」
盗賊「なんかこう、ワクワクしてきますねえ」
眼帯「一匹狼である俺様が、まさか仲間ってもんを持つことになるたぁな」
アウトローパーティ――
町長「町の人間も協力し合えば強くなれると証明しよう!」
町民「そのとおりです! ぼくらだって主役になれる!」
商人「戦闘力では劣っても、物量では負けはしません」
宿主人「寝袋は四人分、ちゃーんと用意していますよ!」
町民パーティ――
村長「ド田舎の意地を見せてやるのじゃ!」
村娘「やったりましょう、村長!」
農民「オラたちもつるめば、すんげえ存在になれるべ!」
牛「ンモォ~」
村人パーティ――
エルフ「わたくしたちも手を組む時がきたようですね」
ダークエルフ「ふん……よかろう」
ドワーフ「ガッハッハッハ! やってやるぜ!」
ホビット「この小さな剣でチクチクしてやる!」
亜人パーティ――
このブームは人間界にとどまらず――
―魔王城―
側近「近頃、人間たちの間では“四人パーティ”なるものが流行しているそうです」
魔王「“四人パーティ”か……面白い!」
魔王「ワシらもやってみようではないか!」
側近「ははーっ!」
魔王「ふむ、こうして少人数でグループを作るというのも、なかなかいいものだ」
側近「ええ……子供の頃、友だちと冒険ごっこをしていた日々を思い出します」
大悪魔「魔族同士は徒党は組めど連携はせず、というのが常識であったが……」
暗黒騎士「もはやそんな常識は古いものになりつつあるのだろうな」
魔王パーティ――
炎魔将「我ら魔王様直属の四天王! こうしてあえてパーティを組むのも悪くないな!」
水魔将「ええ、四人で集まることはほとんどありませんからね」
風魔将「フッ、こういうブームでも起きなければ、一生なかっただろうね」
土魔将「……悪くない」
四天王パーティ――
スライム「よぉ~し、頑張ろうね、みんな!」
ゴブリン「おうよ! 下っ端がパーティ組んじゃいけないなんて道理はねえ!」
オーク「ガッハッハ! この棍棒で暴れまくってやる!」
キラービー「刺したるで~、刺しまくったるでぇ~」ブーン…
モンスターパーティ――
ゾンビ「最近できた彼女がさ、潔癖症なんだよね。くさいくさい言ってくんの」
ミイラ「マジ? 大変だなぁ~、消臭剤貸してやろうか?」
スケルトン「俺も彼女に痩せろ痩せろっていわれて困ってんだよ。これ以上どうしろと……」
ヴァンパイア「パーティを組むと、こうして個人的な悩みを打ち明け合うこともできるな」
アンデッドパーティ――
やがて――
―式典会場―
ワイワイ… ガヤガヤ… ワイワイ… ガヤガヤ…
国王「やぁ、魔王殿」
魔王「こんにちは、国王殿」
国王「今や世の中、四人パーティだらけになりましたな」
魔王「本当ですな。こうして四人パーティが一堂に集結するさまは、なかなか壮観です」
国王「四人パーティを組んでからは、心が穏やかになりましたよ」
国王「きっと、もう一つ新しい家族ができたような奇妙な連帯感のおかげでしょうな」
魔王「ええ、四人であれこれやってるうちに、他人と争う気持ちが失せてきました」
国王「いかがでしょう? この式典(パーティ)を機に、和解いたしませんか?」
魔王「そうですな! ワシからもそう提案しようと思っていたところです!」
国王「……パーティだけにね」
魔王「おっ、上手いこといいなさる」
国王&魔王「ワッハッハッハッハ……」
国王&魔王「ところで――」
国王&魔王「勇者君は、まだパーティを組めていないのかな?」ニヤニヤ
勇者「ほっといてくれ!!!」ポツン…
― 終 ―
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