速水奏「10年越しのキス」 (38)


昼下がりの午後、ふらっと立ち寄ったカフェ。
ふと窓の外を眺めると、少し色付いた街路樹達が、新しい季節の始まりを教えてくれた。

運ばれて来た陶磁器のカップ。表面に描かれたリーフとハートの模様がとても可愛らしい。
キリッとしたエスプレッソと柔らかいミルクフォームのカプチーノは、ほのかに甘い味がした。

まるで初々しい二人のキスのように……。





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奏「とは言っても、キスなんてした事ないんだけど」

ありす「黄昏ながら何を言い出すんですか突然」

奏「そういえば、ありすちゃんは何歳になったのかしら?」

ありす「橘です。今年で22歳になりますけど」

奏「すっかり大人っぽくなったわね」

ありす「ありがとうございます」




奏「私は今年で27歳よ?」

ありす「なんというか、年相応の見た目になりましたね」

奏「それなのにキスをしたことがないのよ」

ありす「あっ、店員さん。この苺のタルトをお願いします」




ありす「……というか、あれだけ挑発的なことを言ってたのにまだなんですか?」

奏「…………」

ありす「バレンタインの時とか『チョコみたいに甘いキスって……知ってる?』とか言ってましたよね? 知らないのは自分だったと」

奏「……ありすちゃん、今日は随分と辛辣ね」

ありす「橘です。流石に20歳を過ぎてからのちゃん付けはやめてください」




ありす「ということは年齢=彼氏いない歴ですか?」

奏「そうね。処女よ」

ありす「そこまで聞いてませんよ! 昼間からなに言ってるんですかあなたは!」

奏「ありすちゃん、声が大きいわ」

ありす「誰の所為ですかっ!!」



奏「そういうありすちゃんは経験あるのかしら?」

ありす「え? いや……ないですけど……」

奏「そうだと思ったわ」

ありす「私のことはいいんです!」

奏「そんなことを言っていると、あっという間よ?」

ありす「無駄に説得力がありますね……じゃなくて奏さんの話でしょう!」

奏「そうだったわね」




ありす「あれだけ恥ずかしいことを言っているなら、いっそのこと襲っちゃえばいいじゃないですか」

奏「とんでもないことを言い出したわね」

ありす「私ももう大人ですから」

奏「その割には顔が真っ赤よ?」

ありす「気のせいです」

奏「ふふっ、生娘じゃあるまいし」

ありす「生娘ですし、その言葉そっくりそのままお返しします」



奏「でも実際どうすればいいのかしら」

ありす「実はなんとなく原因はわかってるんですけどね」

奏「え?」

ありす「私たち何年の付き合いだと思ってるんですか」

奏「ありすちゃん……」

ありす「いいですか? 答えは簡単です。それは──」



─────
───




都内某所



P「奏。お疲れさま」

奏「お疲れさまPさん。今日の私はこの煌めく夜のように輝いていたかしら? 」

P「ああ。綺麗に輝いていたよ」

奏「ふふっ、ありがとう」





P「さて、最近は暖かくなってきたとはいえ、夜は冷えるからな。帰ろうか」

奏「もう。こんなに素敵な夜なのにムードがないのね。少しそこの公園でお話ししましょうよ」

P「ったく。少しだけだぞ?」



公園



P「缶コーヒー買ってきたけど、飲むか?」

奏「ありがとう。いただくわ」

P「ほい。奏はブラックだったな」

奏「う~ん、今日はそっちのミルク入りがいいわ」

P「お、珍しいな」

奏「たまには甘いものが恋しくなるのよ」




奏「ふぅ……温まるわね」

P「やっぱり寒いんじゃないか」

奏「ならPさんが温めてくれる? ……なーんて」

P「ははっ」



奏(ってこういうのが、いつものダメなパターンなのね……)





──



ありす『いいですか? 答えは簡単です。それは──』



ありす『ほんのちょっぴりの勇気です』




奏『勇気?』

ありす『はい。たぶん奏さんはいつも思わせぶりな態度を取っていますが、恥ずかしがって、そこから先に踏み込めていないんだと思います』

奏『そんな……恥ずかしがってなんかいないわよ』

ありす『恋愛映画も観れないのに、何を言ってるんですか』

奏『うっ……』



赤隻

恋よ

バル後のシャカイケメン金髪美男子須賀横鎮守府☜無理対象外ネタ

結果ウンコボーキセイバー

残りの二年生の入れ替え事件で☜夏の思い出(´・ω・`)知らんがな

乞いなし

恋ヶ原☜白糸台一軍最強【100年分】罰ゲームwwwwww男性[ピーーー]よ


ありす『だから、あと少しだけ頑張ってみてください。そうすればいくら鈍感なプロデューサーでもきっと』

奏『そうね……頑張ってみるわ。というか、ありすちゃんも本当に大人になったわね』

ありす『まぁ、文香さんに借りた恋愛小説の受け売りなんですけどね』

奏『ふふっ』

ありす『奏さんは私よりも大人なんですから、しっかりしてください』

奏『はい……精進します』




ありす『では明日はプロデューサー同行で撮影ですよね? 頑張って決めてきてください』

奏『え? 随分いきなりね……』

ありす『だから、そういって10年経ってるじゃないですか』

奏『わ、わかったわ。頑張ります』

ありす『はい。その意気です!』




──




奏(そう。昨日ありすちゃんに言われたように、ほんのちょっぴりの勇気を……)



P「奏? どうしたんだ?」

奏「な、なんでもないわ」

P「そうか?」




奏「…………」

P「…………」



奏「ねぇ、Pさん……」

P「なんだ?」

奏「やっぱり……少し冷えちゃったみたい」

P「それじゃあ、そろそろ帰ろうか」




奏「……待って」

P「ん?」

奏「その……Pさんに温めて貰いたいな……って」

P「またそういってからかって……」

奏「…………」

P「……奏?」




奏「…………」

P「どうした? いつもと様子が……」



奏「…………」

P「奏……」




ギュッ



奏「Pさん……」

P「どうだ? あったかいか?」

奏「ええ……」

P「いつもは顔を真っ赤にしてはぐらかすのに、今日はどうしたんだ?」

奏「ほんのちょっぴり、勇気を出してみただけよ」

P「そうか」






奏「やっぱり私、いつも顔に出てたかしら?」

P「そうだな」

奏「だから手を出さなかったの?」

P「……俺も結構初心なんだよ」








奏「ねぇ? 唇も……少し寂しいわ……なーんて」





唇と唇が触れ合う。

さっきの缶コーヒーかしら?

彼の唇は少しキリッとしていて、

私の唇はミルクの柔らかさが。

それが混ざり合い、まるでカプチーノのようで。



ほのかに甘い味がした。






───




ありす「それで、昨日はどうだったんですか?」

奏「ありすちゃんのお陰でばっちりよ」

ありす「橘です。ですが、おめでとうございます」

奏「ありがとう。ありすちゃん」

ありす「別にいいですよ、それくらい。私もいい加減あなた達の関係には飽き飽きしていましたからね」








奏「そんなことを言っても、本当はありすちゃんが優しいのはわかってるわよ」

ありす「だから橘です」

奏「お礼をしないといけないわね」

ありす「見返りを求めていたわけではないですから」

奏「そう? せっかく苺味の──」

ありす「え?」

奏「苺味のキスを用意したのに♪」

ありす「ちょっと奏さん! やめてください! 私にはまだキスなんて! 奏さん!」






終わり




【1:29】 速水奏「10年越しのキス」
1 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga]:2016/03/06(日) 12:20:05.96 ID:71zAMzST0


昼下がりの午後、ふらっと立ち寄ったカフェ。
ふと窓の外を眺めると、少し色付いた街路樹達が、新しい季節の始まりを教えてくれた。

運ばれて来た陶磁器のカップ。表面に描かれたリーフとハートの模様がとても可愛らしい。
キリッとしたエスプレッソと柔らかいミルクフォームのカプチーノは、ほのかに甘い味がした。

まるで初々しい二人のキスのように……。


まだ間に合う諦めるな17歳京人実家ボイス待ってるよ

🚬禁止実家暮らしと

寝ます

【0:30】 速水奏「10年越しのキス」



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【0:32】 速水奏「10年越しのキス」
1 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga]:2016/03/06(日) 12:20:05.96 ID:71zAMzST0


昼下がりの午後、ふらっと立ち寄ったカフェ。
ふと窓の外を眺めると、少し色付いた街路樹達が、新しい季節の始まりを教えてくれた。

運ばれて来た陶磁器のカップ。表面に描かれたリーフとハートの模様がとても可愛らしい。
キリッとしたエスプレッソと柔らかいミルクフォームのカプチーノは、ほのかに甘い味がした。

まるで初々しい二人のキスのように……。


撲殺死にましたね沖田女説


【0:35】 速水奏「10年越しのキス」

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