男「今夜、星を見に行こう!」幼馴染「断る!」(41)

男「えー。何でだよー」

男「今の時期、すげー綺麗に星が見える場所が…」

幼「知ってるわよ」

幼「毎年ウチの家族とと男の家族、みんなで行ってる場所でしょ?」

男「…うん」

幼「今年はまだ行ってないもんね」

男「だから行こうぜ、2人で!」

幼「断る!」

男「何でだよー」

幼「…」

男「家族とは後日また一緒に行けばいいだろー」

男「あの荘厳な星々は、無くなったりはしないのだから!」

幼「しないのだから!じゃないわよ、まったく…」

男「何で断るんだよー。行こうぜ星を見にー」

幼「断る!」

男「頑なだなー。せっかくの連休なんだからいいじゃんかー」

幼「ズバリ、理由は2つある!」

幼「長い付き合いだから、わかってるわよ、男」

男「え?な、何が?」

幼「今、何の影響を受けているか…よ」

男「な、何の事かしら?」

幼「キモい」

男「幼馴染に向かって、キモいとは何事か!」

幼「何かの影響を受けやすい性格だって、わかってるわよ」

男「え?俺、何かの影響受けやすい?」

幼「えっ?」

男「えっ?」

幼「自分で気付いて無かったの?」

男「気付いて無かったなぁ」

幼「マジで?」

男「俺のどこが影響受けやすいって言うんだよ」

幼「あら、説明して良いの?」

男「是非説明してくれ」

幼「ミニ四駆のアニメが流行った時は…」

幼「頭にゴーグル乗っけてたよね?」

男「そ、そんな事してたっけ?」

男「昔の事だから、覚えてないなぁ」

幼「ふーん?」

幼「ロッキーをdvdで見て」

幼「急に腹筋した事は覚えてる?」

男「…」

幼「次の日から一週間、背筋が伸ばせなくなったわよね」

幼「そりゃそうよね。素人がいきなり、1日で500回も腹筋すれば」

幼「筋肉痛にもなるわよね」

男「…あれはやりすぎた。反省してる」

幼「ジャッキーの映画をdvdで見て」

幼「中国拳法の入門書を買ってきて」

幼「特訓とかやってたのは覚えてる?」

男「それは覚えてる」

幼「もうやってないの?」

男「…やってない」

幼「今ならやれるんじゃない?酔拳」

幼「…もう、右手に包帯は巻かなくてもいいの?」

男「別に怪我もしてないし、包帯なんて巻かないよ」

幼「怪我じゃなくて、何か封印的な意味で、ね?」

男「な、何だよ、封印って。ははは、キミはおかしな事を言うね?」

幼「あ、そうでした、封印じゃなくて、隠してただけだもんね」

男「な、何を?」

幼「右手に油性マジックで書いた、変な呪文を」

男「な、何故それを?」

幼「クラスの皆が、わかってたわよ」

幼「右腕が疼くんだよね?」

男「そ、そんな事実はございませんでした」

男「それ、友の奴じゃないの?」

幼「そうだったかしらね」

男「…ニヤニヤするなよ、幼」

幼「中学の頃、学生帽を改造して、後ろ髪が見える様にして」

幼「変なワッペンとかつけてたりしたわよね」

男「…」

幼「学ランの襟に鎖つけて登校して」

幼「生徒指導に捕まって、こってり絞られたわよね」

幼「高校受験を前に、内申下げられそうになって」

幼「やれやれだぜ…」

幼「なんて、言ってスカしてたけど」

幼「ちょっと泣いてたわよね?」

男「…決して!泣いてなんてねーぜっ!」

幼「…部屋の片隅でホコリをかぶっている、ギターは」

幼「あ、違うわね」

幼「ギー太はもう弾かないんですか?」

男「ひ、弾いてるよ!」

幼「勢いでドラムセット買っちゃう友君も大概だけど」

幼「バンドメンバーは集まったの?」

男「ちゃんと集まったよ!」

幼「へぇ。で、練習とかしてるの?」

男「し、してますん!」

幼「してないのね」

男「…実は音楽の方向性の違いにより、解散した」

幼「方向性の違い…ねぇ?」

男「やりたい曲の方向性が違ってたんだからしょうがないだろ!」

幼「そんな事、今、私に言われても…ねぇ?」

幼「…と言う訳でね、男」

男「…なに?」

幼「アンタはアニメや漫画の影響を受けやすいのよ」

男「俺の黒歴史をここまで引っ張り出されたんだ」

男「…認めるしかない、な」

幼「さて、ここからが本題よ」

男「前置きだけで、俺の心はズタズタだがな」

幼「アナタ、最近アマゾンで買い物したわよね?」

男「!」

幼「アニメのブルーレイボックスを買ったわよね?」

男「…何故バレた…」

幼「火曜に男の家のゴミ出し手伝った時」

幼「アマゾンのダンボールと、伝票が見えちゃった」

男「プライバシーの侵害だ!」

男「断固抗議する!」

幼「却下する!」

幼「それに、最近原作も買い始めたわよね」

幼「本棚にちょっとずつ本が増えていってるもんね」

男「…抗議する!」

幼「却下する!」

男「俺の意見は通らないのか…」

幼「『君の知らない物語』良い曲よね?」

男「!」

幼「あの、主人公がヒロインと満天の星空を見上げる所、いいシーンよね?」

男「…幼も見たのか」

幼「見たわよ、全話」

幼「言葉遊びが楽しいアニメだったわ」

男「だよな!面白いよな?」

男「実はあの星空を眺めながらの告白シーンって」

男「テレビ放映時の最終回だったんだぜ?」

幼「最終回っぽかったものね」

男「原作も面白いんだよ!文章でしか伝わらない事が…」

幼「ストップ!」

男「何だよ、あの作品の良さを一緒に語ろうぜ?」

幼「友君相手に力説してるのを、聞いてたから、別にいい」

男「…」

幼「どうせアナタの事だから…」

幼「あの公園にビニールシートを敷いて」

幼「2人で寝転んで、夜空を見上げて」

幼「あれがデネブ、アルタイル、ベガ!」

幼「って言いながらドヤ顔するんでしょう」

男「そ、そんな事…」

幼「絶対しないって言える?」

幼「言えるなら、行く事も考えてみなくはないけど」

男「…」

幼「そう言う、物語をトレースしたがるの、男の悪いクセだよ」

男「だって何か、カッコイイじゃんか?」

幼「全然」

男「…全然かぁ」

幼「まぁ、そんな訳で、お断りよ」

幼「例年通り、家族みんなで行きましょう」

男「…」

幼「そんなにしょんぼりしないでよ」

幼「…それにね、男」

男「なに?」

幼「私は…その…告白されるなら…」

男「…」

幼「アニメや漫画やドラマのセリフなんかじゃなく…」

幼「自分自身の言葉で、想いを伝えて欲しいなって思うの」

男「!」

幼「わ、わかった?だから今夜星を見には行きません!」

男「…わかった」

男「で、2つあるって言ったよな」

幼「何が?」

男「俺と星を見に行きたくない理由」

幼「あぁ。2つあるって言ったわね」

男「あと1つは何だよ?」

幼「…乗りたくないのよ」

男「え?」

幼「免許取り立ての男が運転する車に」

幼「私は乗りたくないのよ!」

男「え?何で?」

幼「ヘタだからよ!」

男「え?俺、運転ヘタか?」

幼「ヘタね。超ヘタ」

男「ヘタじゃないだろう!」

幼「うーん…ヘタっていうか、乱暴!」

男「そんな馬鹿な?」

男「ゲーセンでは峠の王者は俺だったんだぜ?」

男「拓海のハチロクをぶっちぎってたんだぜ?」

幼「だから!影響受けすぎなのよ!」

幼「二次元と三次元をごっちゃにするの、いい加減に直しなさい!」

幼「公道であんな運転されたら、身がもたないわよ!」

幼「道路交通法はちゃんと守って、安全運転で!」


幼「アナタもう、来月で、二十一歳になるんだから!」



おわり

これで終わりです
読んでくれる人がいたら嬉しいです

次スレは
幼馴染「画期的な幼馴染」男「は?」
ってタイトルでスレ立てたいと思います

では。

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom