男「えー。何でだよー」
男「今の時期、すげー綺麗に星が見える場所が…」
幼「知ってるわよ」
幼「毎年ウチの家族とと男の家族、みんなで行ってる場所でしょ?」
男「…うん」
幼「今年はまだ行ってないもんね」
男「だから行こうぜ、2人で!」
幼「断る!」
男「何でだよー」
幼「…」
男「家族とは後日また一緒に行けばいいだろー」
男「あの荘厳な星々は、無くなったりはしないのだから!」
幼「しないのだから!じゃないわよ、まったく…」
男「何で断るんだよー。行こうぜ星を見にー」
幼「断る!」
男「頑なだなー。せっかくの連休なんだからいいじゃんかー」
幼「ズバリ、理由は2つある!」
幼「長い付き合いだから、わかってるわよ、男」
男「え?な、何が?」
幼「今、何の影響を受けているか…よ」
男「な、何の事かしら?」
幼「キモい」
男「幼馴染に向かって、キモいとは何事か!」
幼「何かの影響を受けやすい性格だって、わかってるわよ」
男「え?俺、何かの影響受けやすい?」
幼「えっ?」
男「えっ?」
幼「自分で気付いて無かったの?」
男「気付いて無かったなぁ」
幼「マジで?」
男「俺のどこが影響受けやすいって言うんだよ」
幼「あら、説明して良いの?」
男「是非説明してくれ」
幼「ミニ四駆のアニメが流行った時は…」
幼「頭にゴーグル乗っけてたよね?」
男「そ、そんな事してたっけ?」
男「昔の事だから、覚えてないなぁ」
幼「ふーん?」
幼「ロッキーをdvdで見て」
幼「急に腹筋した事は覚えてる?」
男「…」
幼「次の日から一週間、背筋が伸ばせなくなったわよね」
幼「そりゃそうよね。素人がいきなり、1日で500回も腹筋すれば」
幼「筋肉痛にもなるわよね」
男「…あれはやりすぎた。反省してる」
幼「ジャッキーの映画をdvdで見て」
幼「中国拳法の入門書を買ってきて」
幼「特訓とかやってたのは覚えてる?」
男「それは覚えてる」
幼「もうやってないの?」
男「…やってない」
幼「今ならやれるんじゃない?酔拳」
幼「…もう、右手に包帯は巻かなくてもいいの?」
男「別に怪我もしてないし、包帯なんて巻かないよ」
幼「怪我じゃなくて、何か封印的な意味で、ね?」
男「な、何だよ、封印って。ははは、キミはおかしな事を言うね?」
幼「あ、そうでした、封印じゃなくて、隠してただけだもんね」
男「な、何を?」
幼「右手に油性マジックで書いた、変な呪文を」
男「な、何故それを?」
幼「クラスの皆が、わかってたわよ」
幼「右腕が疼くんだよね?」
男「そ、そんな事実はございませんでした」
男「それ、友の奴じゃないの?」
幼「そうだったかしらね」
男「…ニヤニヤするなよ、幼」
幼「中学の頃、学生帽を改造して、後ろ髪が見える様にして」
幼「変なワッペンとかつけてたりしたわよね」
男「…」
幼「学ランの襟に鎖つけて登校して」
幼「生徒指導に捕まって、こってり絞られたわよね」
幼「高校受験を前に、内申下げられそうになって」
幼「やれやれだぜ…」
幼「なんて、言ってスカしてたけど」
幼「ちょっと泣いてたわよね?」
男「…決して!泣いてなんてねーぜっ!」
幼「…部屋の片隅でホコリをかぶっている、ギターは」
幼「あ、違うわね」
幼「ギー太はもう弾かないんですか?」
男「ひ、弾いてるよ!」
幼「勢いでドラムセット買っちゃう友君も大概だけど」
幼「バンドメンバーは集まったの?」
男「ちゃんと集まったよ!」
幼「へぇ。で、練習とかしてるの?」
男「し、してますん!」
幼「してないのね」
男「…実は音楽の方向性の違いにより、解散した」
幼「方向性の違い…ねぇ?」
男「やりたい曲の方向性が違ってたんだからしょうがないだろ!」
幼「そんな事、今、私に言われても…ねぇ?」
幼「…と言う訳でね、男」
男「…なに?」
幼「アンタはアニメや漫画の影響を受けやすいのよ」
男「俺の黒歴史をここまで引っ張り出されたんだ」
男「…認めるしかない、な」
幼「さて、ここからが本題よ」
男「前置きだけで、俺の心はズタズタだがな」
幼「アナタ、最近アマゾンで買い物したわよね?」
男「!」
幼「アニメのブルーレイボックスを買ったわよね?」
男「…何故バレた…」
幼「火曜に男の家のゴミ出し手伝った時」
幼「アマゾンのダンボールと、伝票が見えちゃった」
男「プライバシーの侵害だ!」
男「断固抗議する!」
幼「却下する!」
幼「それに、最近原作も買い始めたわよね」
幼「本棚にちょっとずつ本が増えていってるもんね」
男「…抗議する!」
幼「却下する!」
男「俺の意見は通らないのか…」
幼「『君の知らない物語』良い曲よね?」
男「!」
幼「あの、主人公がヒロインと満天の星空を見上げる所、いいシーンよね?」
男「…幼も見たのか」
幼「見たわよ、全話」
幼「言葉遊びが楽しいアニメだったわ」
男「だよな!面白いよな?」
男「実はあの星空を眺めながらの告白シーンって」
男「テレビ放映時の最終回だったんだぜ?」
幼「最終回っぽかったものね」
男「原作も面白いんだよ!文章でしか伝わらない事が…」
幼「ストップ!」
男「何だよ、あの作品の良さを一緒に語ろうぜ?」
幼「友君相手に力説してるのを、聞いてたから、別にいい」
男「…」
幼「どうせアナタの事だから…」
幼「あの公園にビニールシートを敷いて」
幼「2人で寝転んで、夜空を見上げて」
幼「あれがデネブ、アルタイル、ベガ!」
幼「って言いながらドヤ顔するんでしょう」
男「そ、そんな事…」
幼「絶対しないって言える?」
幼「言えるなら、行く事も考えてみなくはないけど」
男「…」
幼「そう言う、物語をトレースしたがるの、男の悪いクセだよ」
男「だって何か、カッコイイじゃんか?」
幼「全然」
男「…全然かぁ」
幼「まぁ、そんな訳で、お断りよ」
幼「例年通り、家族みんなで行きましょう」
男「…」
幼「そんなにしょんぼりしないでよ」
幼「…それにね、男」
男「なに?」
幼「私は…その…告白されるなら…」
男「…」
幼「アニメや漫画やドラマのセリフなんかじゃなく…」
幼「自分自身の言葉で、想いを伝えて欲しいなって思うの」
男「!」
幼「わ、わかった?だから今夜星を見には行きません!」
男「…わかった」
男「で、2つあるって言ったよな」
幼「何が?」
男「俺と星を見に行きたくない理由」
幼「あぁ。2つあるって言ったわね」
男「あと1つは何だよ?」
幼「…乗りたくないのよ」
男「え?」
幼「免許取り立ての男が運転する車に」
幼「私は乗りたくないのよ!」
男「え?何で?」
幼「ヘタだからよ!」
男「え?俺、運転ヘタか?」
幼「ヘタね。超ヘタ」
男「ヘタじゃないだろう!」
幼「うーん…ヘタっていうか、乱暴!」
男「そんな馬鹿な?」
男「ゲーセンでは峠の王者は俺だったんだぜ?」
男「拓海のハチロクをぶっちぎってたんだぜ?」
幼「だから!影響受けすぎなのよ!」
幼「二次元と三次元をごっちゃにするの、いい加減に直しなさい!」
幼「公道であんな運転されたら、身がもたないわよ!」
幼「道路交通法はちゃんと守って、安全運転で!」
幼「アナタもう、来月で、二十一歳になるんだから!」
おわり
これで終わりです
読んでくれる人がいたら嬉しいです
次スレは
幼馴染「画期的な幼馴染」男「は?」
ってタイトルでスレ立てたいと思います
では。
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