魔王「よくぞきたな勇者よ!盛大に歓迎してやろう」 (27)


勇者「歓迎だと?」グッ

賢者「一体どう歓迎してくれるんですか?」スッ

武闘家「まぁ聞くまでもないだろうけどね」パキ

商人「何でも受け取ったるわ」

魔王「フフフ……勇ましい事だな、どう歓迎するかだと?決まっている、まずはここまでの長旅で溜まった貴様達の疲労と汚れを落としてくれる!」

勇者「何!?……何?」

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魔王「フハハハハ!勘違いするなよ?疲れ果てた貴様等など倒すに値せんだけだ!ましてやそのような汚れた服で城の中をうろうろされたら我が城が汚れるであろう!」

賢者「え?えーと……え?」

魔王「故にまずは熱すぎずかといって温くもないお湯に浸からせて貴様等を歓迎してやろう!」

武闘家「えっと……それってつまり」

魔王「さあ側近よ!勇者達を連れてゆくのだ!」

側近「あっお風呂場こっちです、ちゃんと男湯と女湯で別れてますのでご安心を」

商人「お風呂てゆーてもうとるやん……」

魔王「フハハハハ!」



勇者「……お風呂だ……普通に……魔物が潜んでもいないな……魔王め一体何のつもりだ?」チャポン

魔王「フハハハハ!勇者よ!我が一つ目の歓迎はどうだ?」ガラッ

勇者「魔王!まさか俺を一人にさせてそこを!」ジャバッ

魔王「ふん!」バシャッゴシゴシ

勇者(……身体洗い出した……)

魔王「フッフッフッどうした勇者よ?ちゃんと浸からねば疲れが取れんぞ?」キュポンワシャワシャ

勇者(シャンプーしだした……シャンプーハット付けて)チャポン

魔王「フハハハハ!泡如きが我を苦しめるなど生意気よ!」ジャバァ

勇者(……結構いい湯だな)

魔王「フハハハハ!隣失礼するぞ!ふむ!まさに熱すぎずかといって温くもないお湯よ!フハハハハ!」

勇者(……うるさいな少し……)



魔王「フッフッフッでは先に行くぞ、お前たちは側近に案内されながら、我が城の見物をしつつ来るがよい!我が二つ目の歓迎の場にな!フハハハハ!」スタスタ

勇者「……」

側近「ではお仲間の方が出て来られましたらご案内致します」ペコ

勇者「あっいえ……何なんだこれは……魔王の策略?それにしては……」ムムム

武闘家「あっ勇者ー!」

勇者「ん?皆無事か?」

賢者「はい、勇者様もご無事で」

勇者「うん……何か魔王と一緒に風呂入った」

商人「何でやねん!」

勇者「一体何のつもりだ?魔王め」

側近「それではご案内しますので私に付いて来て下さい」スタスタ

勇者「……とりあえず付いていこう」スタスタ

賢者「そうですね、虎穴に入らずんば虎児
を得ずですね」スタスタ

武闘家「……?こけつ?孤児?」スタスタ

商人「はいはい武闘家はんはあんまり考えんとこな?」スタスタ



魔王「フッフッフッよくぞ来た勇者よ!」

勇者「!魔物が沢山!」

賢者「今度こそ戦うつもりのようですね」

魔王「さぁ準備はいいか?お前たち」

魔物達「「「はーい」」」

武闘家「ふん!分かりやすくて助かるよ」

商人「何でも来いやぁ!」

魔王「やれ!」

魔物達「「「魔王様ー魔王様ー魔王様ー」」」ラララ

勇者「え?」

魔王「さあ側近よ!こっちの準備はまだか?」

側近「そろそろかと、あっ来ましたな」

メイド「お待たせしましたお夕飯です」カチャカチャ

魔王「フハハハハ!さぁ勇者よ!二つ目の歓迎をしてやろう!」

賢者「これは……え?夕飯?」

魔王「フッフッフッここまでの長旅では万全とはいかぬ事も多かろう、よって次は、適度な量の食材を適切な加工を施し貴様等の腹に収めてやろう!魔物達による我への賛歌を一方的に聞かせながらな!」

武闘家「……普通にご飯なの?」

魔王「フハハハハ!どうした?胃に入れぬなら我が貰ってしまうぞ?」パクパク 

商人「って何で先に食い始めてるのん?」

魔王「フハハハハ!今日もよき出来よ!」ムシャムシャ

勇者「……少なくとも毒の類はなさそうだな……食べるか」

賢者「い……いただきます」

武闘家「いただきます」

商人「何がしたいんやろほんまに」



魔王「フハハハハ!どうだ勇者よ!我が歓迎は!」バクバク

勇者「……魔王、一体何のつもりなんだ?こんな事をして何を企んでいる?」ムシャムシャ

賢者「まったくです」パクパク

武闘家「おかわり!」ガツガツ

商人「いや食いすぎやって武闘家はん」モシャモシャ

魔王「フッフッフッ企むだと?そんなものは小物のする事よ、我は魔王!企みなどと言う小細工は不要!」

勇者「じゃあこれは一体」

魔物「魔王様!急ぎご報告したいことが!」

魔王「ええい何事か!今何をしておるか見て分からぬか!」

魔物「もっ申し訳ありません!ですが何分急を要するもので」

魔王「仕方ない、申せ!」

魔物「はっ北の山脈にて竜族が蜂起しこちらに進軍しているとの事!」

魔王「ええい何と無粋な……仕方あるまい我が出る」

魔物「魔王様が自らですか?」

魔王「見れば分かろう、時間を掛ける暇も人手を掛ける余裕もない!我が出ればそれで終わりだ!側近よ!我が得物をここに!」

側近「はっここにございます」

魔王「うむ!では行ってくる!フハハハハ!」

魔物「行ってらっしゃいませ!」

勇者「……なぁ今のって」

商人「パチンコやな」

側近「いえ、それよりも大型で強度の高いスリングショットでございます」

武闘家「ふーん」ムシャムシャ

賢者「スリングショットですか?」

側近「はい、世界広しと言えども、スリングショットを使わせれば魔王様の右に出る者はおらぬと存じます」

勇者「はぁ……でも魔王がスリングショット……イメージが……剣とか斧とか」

商人「まぁ槍とかもあるけども」

武闘家「普通は近接武器だよね?」モシャモシャ

賢者「まあイメージではそうですが、スリングショットをあまり甘く見るのは危険ですよ?魔法で強化して威力を増したり、飛ばす物によっては非常に強力ですから」

勇者「ああそうか、爆弾とか飛ばしてきたら」

賢者「あるいは魔法を込めた玉なんかもあり得ますね」

武闘家「ふーんおかわり!」

商人「いやせやから食いすぎやって!てかいつまで食うとるんや!」



勇者「個室をあてがわれたが……てか泊まらせるつもりなのか……しかしどうしたものか……魔王の考えが分からん……」

魔王「フハハハハ!勇者よ!まだ起きていような!」

勇者「起きてるよ、つかそんなにうるさかったら目が覚めるわ!」

魔王「フハハハハ!さぁ寝ようぞ!」

勇者「待て!何で隣に布団敷いてんだ!つか布団かよ!」

魔王「男同士語らおうぞ!フハハハハ!」

勇者「だからうるさいっての」

魔王「それで勇者よ!貴様の本命は誰だ?」

勇者「子供か!いや学生か!」

魔王「フッフッフッ細かい事はいい!それで?誰なのだ?」

勇者「なっ何のことだよ」

魔王「とぼけるでない!若き女を三人も連れておるのだ!誰かにアレなのだろう?」

勇者「べっ別にそんなの」

魔王「ムム!勇者とはかように軟弱であったか、好きな女の名すら言えぬとは」

勇者「ばっ馬鹿にすんな!言ってやるよそうまで言うなら」

魔王「フハハハハ!それでこそ勇者よ!それで?誰なのだ?」

勇者「ぶ……武闘家だよ」

魔王「フハハハハ!武闘家か!なる程!」

勇者「おっお前はどうなんだ?俺は言ったのにお前は言わないのか?」

魔王「フハハハハ!勇者よ!我は魔王ぞ!」

勇者「なっまさか言わないつもりか?」

魔王「妻が居るに決まっていよう!」

勇者「ぐっ」

魔王「あやつはなかなかの器量よしでな、気もきくし料理も上手い、この城で司書をしておるのだが」

勇者「いや聞いてないからな?」

魔王「フハハハハ!あと二時間は眠れぬと思え勇者よ!」

勇者「寝かせろよ!」

魔王「フハハハハ!フハハハハ!グゴゴゴゴ!」

勇者「ん?」

魔王「グッゴッゴッグゴゴゴゴ!」

勇者「寝てんのかよ!どんだけ寝つきいいんだこいつ……魔王が目の前で無防備に寝てる……絶好のチャンスだが……ここで攻撃しては勇者の名折れ……くぅっ」

魔王「グゴゴゴゴ!グゴゴゴゴ!」

勇者「つかいびきうるせー!夢の中でまで高笑いするなよ!」

魔王「グゴゴゴゴ!グッゴッゴッグゴゴゴゴ!」



魔王「ムゥ!朝か、では勇者よ!今日も歓迎してやるぞ!フハハハハ!」

勇者「勘弁してくれ……結局ロクに眠れなかった……」ガチャ

賢者「あっ勇者様おはようございます」

勇者「おはよう賢者」

商人「勇者はんおはようさん」

勇者「あれ?商人も?」

賢者「念のために三人で同じ部屋に居たんです」

勇者「ああなる程、あれ?武闘家は?」

賢者「それがその……」

商人「ちょぉっと問題があってな?」

勇者「武闘家に何かあったのか!」

魔王「それはならんぞ!まだ歓迎の途中だと言うのに!倒れられては魔王の名折れよ!」

賢者「いえその……体調は問題ありませんが……むしろすこぶる快調かと」

勇者「え?」

商人「そのな?勇者はんとちょっと顔をあわせられへんて」

勇者「えっ?俺と?何で?」

魔王「勇者よ我が留守にしていた間に何かしたのか?」

勇者「してねーよ」

賢者「ええと……勇者様は確かにしてはいませんが……その……昨日の夜に」

商人「魔王の声が……なぁ」

勇者「ん?魔王の声?……ん?待てよ?」

勇者(魔王の声=デカい=周りにも聞こえやすい+三人とも隣の賢者の部屋に居た=……)

勇者「まさか……」

賢者「その……勇者様が武闘家さんを……というのが聞こえてきまして」

勇者「はうあっ」

商人「武闘家はんは全然気付いとらんかったみたいでな?そんで部屋から出られへんて」

勇者「マジでか……」

魔王「フハハハハ!どうやら我のおかげで伝わったようだな勇者よ!フハハハハ!」

勇者「喧しい!今すぐたたっ斬ってやる!」

魔王「フハハハハ!ではまた後でな勇者よ!フハハハハ!」

勇者「待て!この……だぁーどうすりゃいいんだ!」

賢者「まぁ……気付いてなかったのは武闘家さんだけでしたけど」ボソッ

商人「割と分かりやすい感じやったもんな」ボソッ

ここまでで
昨日はここまで書きたかったんですが寝落ちしましたのでとりあえず、ではまた次回に

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