女「降られちゃいました」
の続きです。
まぁ覚えてる人が居るかはわかんないですけどね!
女「向日葵は美しいと思います」
庭先に植えた向日葵を見て、彼女は言いました。
今年は、例年より涼しい気もします。
『そうですか。 僕にはピンときません』
でも、咲いているのだから世話はしますけど。
僕としては、紫陽花の方が好きです。
女「前向きな感じがして、好感が持てます」
日も少しずつ短くなってきて、この時間にもなると風も冷たいです。
『どんなところが?』
女「太陽を見上げてる所が、ですね」
確かに、「向日葵」と言う名の通りです。
女「他の夏が終わる中、全ての夏が終わるまで咲き続けているのも好感が持てます」
未練たらしい気がしなくもないですけどね。
女「今、少し嫌なことを考えてますね?」
女性というのは鋭いものですね。
『滅相もない』
彼女が隣から離れます。
ふんわりと彼女の甘い匂いが鼻孔をくすぐりました。
女「夏が無事に終わるのを見守ってるんですよ。 この子たちは」
サンダルでも歩けるように手入れをした裏庭を彼女は歩きます。
雨の似合う人ですが、夕暮れに染まるのも似合います。
ヒグラシの声も相まって、やっぱり彼女は儚げです。
女「とっても強いのに、こんなにも儚い」
確かに。
生命力の象徴みたいに力強く鮮やかな向日葵ですが。
秋口の今、枯れかけたソレは嫌でも死を連想させられてしまいます。
女「まるで人みたい。 えぇ、ここの奥にある大切な」
そういって彼女は、形の良い乳房が潰れる程、強く胸に手を当てて笑いました。
なんだか、泣きだしてしまいそうな気がしました。
女「どうしました? まるで泣きそうな顔をしています」
いけない、いけない。
女性のこんな表情をみたらこちらも悲しくなってしまいます。
顔じゃなくて、艶やかに形を崩している乳房に目をやれば、こんな顔をしなくて済んだのですが。
聖人君子にはなれない成年男子ですけど。
それでもそこまで盛りがついて居る訳でもないですし。
まぁ、少しは見ちゃいますけど。
本当に少しです。
はい、神様に誓って。
少しですよ?
女「向日葵は、来年も咲きますかね?」
世話が大変なんで咲かなくても良いんですが。
『貴女が観たいなら咲きますよ、きっと』
仕方なく世話をします。
なんて言葉を添えたいですが。
女「案外心が狭いんですね」
見破られてしまいましたか。
少しだけ不満げに、節目がちに僕を見る彼女。
視線に困り取りあえず、向日葵を眺めます。
向日葵は、そんな僕を知ってか知らずか、オレンジ色の夕日に染められて風に揺れていて。
こんな雰囲気になってしまった原因の向日葵につい悪態をつきたくなります。
こんなに世話してあげたのに。
全く。
咲いても良いですが、さかないでくださいよ。
そんなに強い関係じゃ、無いんですからね。
おしまい。
誰か覚えてる人居たらうれしーなー!
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