七夜「幻想郷?」 (96)
このssは>>2「幻想郷?」というssをやり直させて頂く為に作りました
安価ssですが、当初の安価で決定されていた異変の流れ
妖々夢
永夜抄
緋天則
をやらせて頂いてから、異変の安価をとらせて頂きます
時系列はバラバラなのであしからず
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1389579667
期待
何も残らない。
もとから存在しないモノ、得るものもなければ失うモノなどありえない……
そう思っていたんだが、まいったねどうも。
このまま消え去るのはいただけない。死を恐れるとは思わなかった。
ああ、なんてこった―――
死んだら誰も殺せない。あっちにいるのは亡者ばかりだ。
なんの楽しみもないんだが……まあ、これが相応の罰ってヤツか。
いいぜ、このまま無残にちぎれて消えるさ。
ここが何処かはわからない
現(うつつ)
夢幻(ゆめまぼろし)
それすら曖昧だ
ーーーーだが、一つだけ言える事はある
いや、やれる事がある
七夜「.....さて、誰を殺そうか」
「ん?何故かはわかりませんが、生者がここに来てしまったようですね。」
「またスキマ妖怪の仕業ですかね」
「........仕方ない、様子をみに行きますか」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【三途の川】
七夜「........ふむ」
七夜「(花畑に大きな川....普通に考えれば三途の川だとは思うのだが、如何せん身体があることの理由がわからん)」
七夜「そして、この線は.......」
七夜「.......紅赤朱との戦いで目覚めたとでも言うのかね」
七夜「(まあいい。死してなお肉体があるのならば、解体(ばら)すことも可能ということ)」
七夜「(格好は死ぬ寸前のものに、持ち物は七ツ夜一つだけ......十分だ)」
七夜「.......さて、出て来いよ。」
「おや、気付いていましたか」
七夜「ああ。なんせ、こうも身体が反応しちまっているからな」
「反応?」
七夜「まあ、そんな事はどうでもいいだろう。自己紹介といこうぜ。俺は七夜志貴だ」
「ご丁寧にどうも。私は四季映姫・ヤマザナドゥです」
七夜「じゃあ始めようか。そんななりして内に秘めている力は相当のようだ。簡単に死んでくれるなよ?
もっとも、ここで死という概念があるかはわからんがな!」
「なんだ、ここが死後の世界だって理解しているのかい」
七夜「っ!」
映姫「そのようですね。では、何故来たのですかね。どう思います?小町」
小町「私にはわかりませんよ。スキマ妖怪においてかれたのではないのですか?」
映姫「まあ、本人に聞いてみるのが一番でしょう」
七夜「........はっ、三途の川で鎌とは、死神とでも言うのかい?」
小町「おや。よくわかったね。私は小野塚小町。ここで死神をやらせて貰っているよ」
七夜「........」
小町「なんだい。あまりの凄さに言葉も出ないってかい?」
七夜「....ああ。その通りだ」
小町「冗談のつもりだったんだけどね」
七夜「いや、そりゃあ凄い事さ。なんたって本物の死神と殺し合えるんだ。それだけで死んだかいがあった」
映姫「死んだ?あなたは何を言っているのですか?」
七夜「ここは三途の川だろう?ここに来たって事は、つまりそういう事だろう?」
映姫「残念ながら、貴方は死んでいませんよ?」
七夜「........そうか」
小町「驚かないんだね」
七夜「元より生きてるか死んでるかわからない存在だからな。今更生死にこだわらないさ」
映姫「.......」
七夜「それより、さっさと始めるとしようぜ。そろそろ抑えるのも限界だ」
映姫「(........この男、殺し合いに何も躊躇していない.....いや。それしか望んでいないようですね)」
七夜「.......」
小町「....どうします?映姫様」
映姫「.....すみません七夜。私達は貴方を殺める事が出来ません。故に貴方の望む殺し合いは受ける事ができないのです」
七夜「.......」
映姫「ですが......」
七夜「っ!」
映姫「貴方を懲らしめる程度は出来ますよ?」
七夜「.....ははは、あんたと俺ではレベルが違いすぎるな」
映姫「それがわかっていながら、構えを解きませんか....」
七夜「......いや、辞めておこう。」
小町「なんだい。結局やらないのかい」
映姫「賢明な判断ですよ。七夜」
七夜「しかしまあ、何故オレが生きているかはわからんが、俺はどうすればいいんだ?」
小町「あたしが、現界に送ってやるよ。」
映姫「ええ。任せましたよ小町」
七夜「最後にいいかい?」
映姫「なんでしょう」
七夜「あんたは何者なんだ?」
映姫「閻魔大王ですよ」
七夜「....閻魔様ってのは想像よりも随分と可愛らしいんだな」
映姫「なっ!」
七夜「これは、悪い事をしたら、こってりしぼられそうだなっと」
小町「じゃあ、送るよ」
七夜「ああ。頼むよ」
小町「じゃあね」
七夜「死んだらまた会おう」シュン
小町「行きましたね」
映姫「ええ。では、業務に戻りましょうか」
小町「映姫様映姫様」
映姫「なんですか?小町」
小町「顔真っ赤ですよ」
映姫「なっ!///」カァァ
小町「確かに七夜は顔は良かったですからねぇ。とうとう映姫様にも春がきましたかね」
映姫「だ、黙りなさい!小町!」
小町「映姫様、自分に素直になって下さいよ?」
映姫「こ、これは油断してたからであって、決して私が彼に惚れたという訳では」
小町「まあまあ、よく考えるのが一番ですよ」
映姫「よく、考える.....」
小町「そうそう。どうせいつか会えるだろうしね」
映姫「......そうですね。彼とはまだ縁がありそうですね」
ー博麗神社ー
七夜「(っと、ここが現界か)」
七夜「ん?ポケットに何か入っているな」
七夜「小銭が10枚、あと手紙か」ペラッ
【少しでも金があった方が便利だろう?それやるよ 小野塚小町】
七夜「.....死神から金を貰うとは、皮肉だねぇ」
七夜「......さてっと、何をするか....」
七夜「しかし、この小銭は現代の日本の物ではないな。過去の小銭がこんなもんだったと記憶しているが.....」
七夜「(これから推測するに、3つの可能性があるな。1つはここが過去の世界だと言うこと、2つ目は冥界での硬貨が昔のものであること、そして最後に、ここが別世界だと言うこと......)」
七夜「(どれもこれも人智を超えた物だが、如何せん吸血鬼や死神、閻魔大王まで存在するんだ。何があってもおかしくはない......)」
七夜「しかし、偉く寂れた神社だな......」
七夜「(神社なのに神がいないとはおかしな事だが.....折角だ。賽銭箱に少しばかりいれておくか)」
直下安価
賽銭箱に何枚いれるか
10枚までで
七夜「まあ、これだけに自然があるんだ。食べ物には困らないだろう....だから金に執着する必要もないしな......半分いれておこうか」チャリン
【ドサッ】
七夜「うん?」
「し、信じれないんだぜ。この神社にお賽銭を入れる人間がいるなんて....」
七夜「....えーっと、何かようか?」
「お、お前何者だ!この神社に来る人間は滅多にいないんだぞ!まして賽銭を入れるなんて.....」
七夜「まあ、いいじゃないか。例え神様がいない社でも、何が起こるかわからない。目の前に賽銭箱があれば入れたくなるのが人間としての性さ」
「ま、まあ。気持ちはわかるけど......って、神がいない?」
七夜「まあ、そんな事はさておき....俺は七夜志貴。君の名前は?」
「私は霧雨魔理沙。普通の魔法使いだぜ!」
七夜「魔理沙か。いい名前だ。それに魔法使いとは恐れ入った」
魔理沙「それほどでもないぜ」
七夜「で、ここには人間が滅多にこないって話だけど、魔理沙は何をしに来たんだ?」
魔理沙「私はここの巫女に鍋を食わしてやろうと思ってきたんだぜ」
七夜「巫女.....神主はいないのか?」
魔理沙「ん?七夜。お前博麗の巫女を知らないのか?」
七夜「生憎と初耳だな」
魔理沙「成る程なぁ。七夜、お前って外来人なのか?」
七夜「外来人?」
魔理沙「ああ、そっから話さないと行けないのか.....霊夢を待たせるのも悪いし、詳しくは中で話すぜ」
七夜「.....巫女の許可なく入っていいのか?」
魔理沙「そんなの気にしたら負けだぜ。さ、行こうぜ」
七夜「あ、ああ。」
魔理沙「霊夢、邪魔するぜ」
霊夢「ん?何かようかしら?魔理沙」
魔理沙「何故かまだ暖かくならないからな。鍋食おうぜ」
霊夢「それはいいわね。で、後ろにいる彼は?あんたの旦那?」
魔理沙「ち、ちげえよ!///こいつは外来人の志貴だ!」
霊夢「あら、そうなの?」
七夜「その外来人とやらがよくわからんが。俺は七夜志貴だ。よろしく頼む」
魔理沙「そこらへんの説明を七夜にしてやってくれないか?鍋の用意は私がしておくから」
霊夢「わかったわよ。じゃあ、行きましょうか」
七夜「ああ」
ー居間ー
霊夢「じゃあ、まずは自己紹介からするわ。私は博麗霊夢。この博麗神社の巫女をしているわ」
七夜「その博麗神社の巫女ってのは有名なのか?」
霊夢「そうね。異変を解決するのと、この世界を覆っている博麗大結界の監視をしているから、いい意味でも悪い意味でも名前は知られているわね」
七夜「なるほど」
霊夢「で、この世界は幻想郷というのだけれど。この世界には忘れ去られた者たちが行き着くのよ。」
七夜「.......」
霊夢「まあ、この幻想郷を創ったっていうスキマ妖怪が時々誰かを連れてきたりするのだけれどね。」
七夜「この世界についてはわかった。つまり、外来人は新たにここに辿り着いた.....もしくは連れてこられた者って事だな。」
霊夢「ええそうよ。まあ、忘れ去られた者たちって言うのは主に人外が多いのよね。妖怪とか.....あ、実際に見ないと信じれないわよね」
七夜「いや。そういう類いの連中は見たことあるから信じるさ。」
霊夢「.....外の世界にも人外っているものなのね。」
七夜「ああ」
魔理沙「おーい、鍋が出来たから持って行ってくれ!」
七夜「手伝わせて頂きますよ。レディ」
魔理沙「れでぃ?まあいいや。頼むぜ志貴」
霊夢「私はお茶持ってくるわ」
魔理沙「ああ。頼んだぜ」
七夜「鍋は運び終えたぞ」
魔理沙「箸持って行ってくれ」
七夜「了解」
霊夢「魔理沙、お茶は冷たい方がいい?温かい方がいい?」
魔理沙「今から沸かすのもなんだ。冷たいのでいいぞ」
霊夢「わかったわ」
魔理沙「それじゃあ、食うとするか」
霊夢「どんな鍋にしたの?」
魔理沙「ふっふっふ、見て驚くんだな!」カパッ
霊夢「........なにこれ」
魔理沙「いやぁ、紫が前に持ってきたもん入れたら真っ赤になっちまってな。」
七夜「.....キムチ鍋か」
魔理沙「知っているのか?志貴」
七夜「ああ。キムチとは少し辛さがある食材のことだ。鍋に入れる事も多々ある」
魔理沙「なんだ。私の使い方であっていたのか」
霊夢「.....赤くてとても食べれたものじゃないのだけれど」
七夜「まあ、騙されたと思って食べてみろ。意外に美味しいものだぞ?」
魔理沙「じゃあ、いただきます」パク
霊夢「まあ、空腹でいるよりはいいでしょ」パク
魔理沙「普通に美味いじゃないか」
霊夢「ええ。辛すぎなわけでもないし。強いて言うなら、きのことは合っているとは言えないわね」
七夜「しかし、幻想郷にはキムチがないのか」モグモグ
魔理沙「ああ、こんなもん見たこともないぜ!」モグモグ
七夜「じゃあ、アンパンはあるか?」モグモグ
霊夢「あんぱん?なにそれ」モグモグ
七夜「.......ないのか....」
魔理沙「なんか偉く落ち込んでいるな。」モグモグ
七夜「気にするな」
七夜「ん?」
魔理沙「お?」
霊夢「あ」
七夜「.....雪だな」
魔理沙「寒いと思ったら降ってきたなぁ」
霊夢「鍋で良かったわぁ」
魔理沙「........おかしいな」
七夜「何がだ?」
魔理沙「だって、今は皐月だぜ?雨ならともかく、雪なんかありえないぞ」
七夜「皐月....5月か。確かにおかしいな」
霊夢「......やっぱり異変なのかしらね」
七夜「なら、解決に動くのか?」
魔理沙「まあ、ほっておいたらずっとこのままっていうのもありえるしな」
霊夢「問題は、何処の誰がこんな自体を引き起こしているかよ」
七夜「.....それなら、そこで見ている奴に聞いて見たらどうだ?」
「なんだ、バレていたのか」ヒュン
魔理沙「ん?藍じゃねえか。どうしたんだ?」
藍「なに、幻想郷に来た外来人の監視にな。しかし、スキマ内にいたのに見つかるとは思わなかったぞ」
七夜「おかしな境界ができていたからな。すぐにわかった」
藍「なるほど。まだ修行が足りないということか」
霊夢「で、紫は?」
藍「紫様は冬眠中です」
魔理沙「ちょっとまてよ。なら志貴はどうやって幻想郷に来たんだ?」
藍「それがわからないんだ。だから私が監視していたんだよ」
七夜「なんだ。俺を呼んだのはそのスキマ妖怪というわけでは無かったんだな」
藍「そういうことだ」
七夜「じゃあ、今回の標的はわからずじまいか」
霊夢「どういうこと?」
七夜「なに、俺は俺を呼ぶ者を殺す為の存在でね。」
魔理沙「殺すって、随分物騒だな」
霊夢「.....七夜、一つ言っておくわ。この幻想郷にいるならば、無益な殺生はしないでちょうだい」
七夜「もしもした場合は?」
霊夢「私があなたを退治しなくちゃいけなくなるのよ。それはしたくはないのよ」
七夜「.....やれやれ、随分と難儀な事を言ってくれるね」
魔理沙「.....志貴」
七夜「まあ、その願いは聞くさ。あんたには敵いそうにもないし。なにより一食の礼があるしな」
霊夢「そう。それを聞いて安心したわ」
藍「話は終わったかい?」
霊夢「ええ。で、貴方はこの異変について何か知っているの?」
藍「ああ。この異変は白玉楼の主が起こしているようだ」
魔理沙「白玉楼?」
藍「ああ、冥界にある城だ。もっとも、空を飛べるならば簡単に行けるがな」
霊夢「ということは、空にあるのね」
藍「ああ、そういうことだ」
七夜「なら、今回は俺の出番は無さそうだ」
魔理沙「七夜は空を飛べないのか?」
七夜「ただの殺人鬼が空を飛べるはずもあるまい」
霊夢「まあ、貴方はなにか別の行き方を見つけたら来て頂戴」
七夜「了解した」
魔理沙「じゃあ、行ってくるぜ」
霊夢「先に行ってるわね」
七夜「気をつけて行くんだな」
七夜「さて、どうやって白玉楼とやらに行こうかね」
藍「私が送ってやりたいが、まだスキマを上手く使えないのでな。すまない」
七夜「.......ああ、一つ言っていなかったな」
藍「なんだ?」
七夜「さっきあんたの居場所がわかった時、あんたは修行不足だと言ったな。」
藍「あ、ああ。」
七夜「どうやら違うみたいだぜ?出てこいよ」
「よくわかったわね」
藍「紫様!」
紫「私のスキマがわかるなら、藍のスキマもわからないわよね」
七夜「そういうことだ」
藍「.......」
七夜「で、一つ頼みがあるんだけどいいか?」
紫「なにかしら?」
七夜「白玉楼まで送ってほしい」
紫「.....無理ね。」
藍「何故です?紫様」
紫「今白玉楼は死靈が漂っているのよ?そんなところでスキマ開けて入ってこられちゃったら嫌じゃない」
七夜「それじゃあ、白玉楼に歩いて行ける場所なら何処でもいい」
紫「それなら大丈夫ね」
七夜「なら早く送ってくれないかい?」
藍「なんでそんなに焦っているんだ?七夜」
七夜「あんたらのいる場所で長居してしまったら、早々に約束を違える事になりそうだからね」
紫「.......なるほどね。わかったわ」
七夜「恩にきる」ヒュン
藍「紫様、私は七夜が言っていた意味がよくわからなかったのですけど」
紫「.......まあ、仮説止まりでいいなら説明するわよ?」
藍「.....お願いします」
紫「彼、恐らくは何かしらの殺害衝動でも持っていると思うの」
藍「殺人....衝動ですか?」
紫「ええ。約束が霊夢との約束ならば間違いないわね」
藍「それならば不殺の約束なんかしたら、彼自身縛られる事になるんじゃないですか?」
紫「まあそうだけど。あなた気付かなかった?」
藍「何がです?」
紫「彼、私と貴方に気付いた時に一瞬殺気を出したの」
藍「......まったく気付きませんでした」
紫「すぐ押さえ込んだようだけど、霊夢と魔理沙とあった時は出さなかったわ」
藍「見てたのですか!?」
紫「こっそりとね。その時はバレてなかったわね」
藍「......しかし、霊夢達と私達の違いですか......」
紫「.....人間か人外かの違いね」
藍「人外に対して殺害衝動を持つ?」
紫「そう。この幻想郷で生きていくには、苦しい衝動ね」
藍「そうですね」
紫「あと一つわかった事があるのは....」
藍「........」
紫「七夜志貴、彼がある一族の末裔....いえ。生き残りだということかしら」
藍「ある、一族?」
紫「ええ。ほんの少し前まで活動していた暗殺集団なんだけどね」
藍「.....暗殺集団?」
紫「ええ。人外専門の暗殺一族七夜。むこうの世界の妖怪たちには有名だったのよ」
藍「その一族の生き残り?」
紫「ええ。力を持つものは虐げられる。その一族の力を恐れた者に滅ぼされたのよ」
藍「.......なんて愚かな」
紫「藍、あなた今一瞬殺気を出したわよ」
藍「.....すみません」
紫「まあ、いいわ」
藍「.....しかし人外専門の暗殺者ですか。人間の身でそれを行うのは容易くはないでしょうに」
紫「それでも出来ていたようだしね。実際、私もどんな暗殺をするのかは知らないし」
藍「では、七夜はどうします?この幻想郷でいつ惨殺を行っても可笑しくはないですよ」
紫「.....ひとまずは監視....もしも無闇に何かを殺そうとすれば....」
藍「.....」
紫「.....彼には死んで貰うわ」
ー冥界ー
七夜「っと」シュン
七夜「ついたようだな。」
七夜「それにしても、随分と死に易い場所だな。三途の川はむしろ死ににくかったろうに」
七夜「...霊夢達はまだ来ていないようだなっと」カッカッカ!
飛び退く、それまで立っていた場所には数本のナイフが刺さっていた
七夜「これはこれは、随分と物騒なご挨拶で」
「避けられるとは思わなかったわ」
一人の女が姿を現す
メイド服に身を包み、銀髪を三つ編みにした女
年齢は一緒くらいか
身体が反応しないってことは人間......
みなりはメイドだが、身のこなしは同業者のそれだ
殺すには....
七夜「いかんいかん。つい思考がそっちよりになっちまう」
「いきなりどうしたっていうのよ」
七夜「いや。その甘美な四肢を見て少し興奮してしまっただけだ」
「なっ!!///」
七夜「しかしまあ、約束を破るにはまだ早いだろう。少し難しいが要は線と点から外して斬ればいいって事だ」
「....いきなり変な事を言って!」
七夜「とりあえずは自己紹介といこうか。俺は七夜志貴、人間だ」
「変態に名乗る名なんて無いわよ!」
心外だな
七夜「まあいい。名乗りたくないのならそれでもいいさ。さあ、始めようか。メイドさん」
「すぐに殺してあげるわ。変態」
七夜「出来れば名前で呼んで欲しいが......」
「絶対に呼ばないわね」
七夜「やれやれ。」
「死になさい」
その一言で現れるナイフ
七夜「っ!!!」キン
なんだ?動作が見えなかった?
投げた後の体制と投げる前の体制すら見えなかった
普通に考えて、初動、軌道、投げ終わり
それら全てが見えないというのはありえない
ーーなら、なにかしらの異能を使ったのか?
ここは幻想郷、異常なことがおきてもなんら不思議はない
ならば、存在しうる可能性の全てを考えるべきだ
ーー仮に瞬間移動の類いとしよう
持っているものをきまった場所に展開できるか
ーーそれはおかしい
物が動くにはその力がかかっているからだ
予備動作や初動、身体の動作がまったく見えなかったのはおかしいといえる
これを正当化させるには瞬間移動させる物の動きすら操れると考えるしかないな
ーーしかし、その仮定はもう一つ穴がある
瞬間移動ならば、何故身体内部に直接転送できないのか....
生物内に送る事ができないとすれば説明はつく
しかし、その場合の生物は空気中の微生物は含まないとされる
大きさか、認識かはわからないが、瞬間移動の類の力ならば、相当に厄介だ
ーー次は目視出来ないほどの動きでナイフを投擲したとしよう
これはありえない。
目視出来たナイフはなんとかではあるが弾く事が出来る速さだった
目視出来た速度になったとしても、もっと速い筈だ
ーーならば.......
七夜「やめだやめだ。こう考えるのはどうもわりにあわん」キィン
「さっきから喋らないと思ったら、何か考えていたとはね」キィン
七夜「ああ。君との戯れに色々と思うところがあってね」キィン
「減らず口を!」キィン
しかし、このままでは恐らく負けてしまうだろう
七夜の体術とは元来殺す事に長けている
それを不殺で使うのだ。必然的に手加減していしまう
対する相手は殺す気でかかって来ている
七夜「やれやれ。難儀な約束をしたもんだ」ガッ
しかし、一度した約束だ。簡単に破ってしまっては暗殺者としてはいけない
ーーだが、どうするべきか
っとそういえば、今は俺は魔眼と淨眼の2つを持っているのだな
魔眼、直死の魔眼とはあいつの淨眼が変化したものだ
だが、俺の場合は変化したのとは少し違うようだ
おそらくはあいつの模範でもしているのだろう
元来淨眼というものは見えないものを視る眼だ
そこから派生して様々な物を視れるようだが....
ーー親父は心が視えるんだったな
親父は心
あいつは死
ーーこの2つの共通点はなんだ?
いや、どうしたらその極地が視れるようになる?
七夜「ん?極地?」
何故その事に至った?
何故それが正しいと思った?
ーーああ、わかった
この眼が視るものは極地だ
その担い手にとっての極地....
ーー極地が心
親父の考えは理解が出来る
何事もそれを思わなければ発生しない
ーー極地が死
あいつの考えも理解が出来る
死とは全ての終わり。避けられない現象
ーーなら俺の極地は?
ーー本質だ
心とは、その本質を兼ねて動く
死とは、物事の終わりの本質である
ーー俺の極地とは、本質
そうとわかれば容易い
俺が視るべき見えないものはわかった
後は、それを視るだけ
ーー浄眼を開く
眼が蒼く染まり
より一層世界に死が拡がる
ーーああ、随分とツギハギだらけだな
地面は無いに等しいし、空は今にも落ちてきそうだ
ーーだが、他にも視えるものがあった
相手を渦巻く物
何かはわからないが、相手がそれをどう見ているのかはわかる。
俺自身がそれを観ることが出来る
七夜「あんた。時間を止められるんだな」
蓋を開ければ単純な事だった
【時間停止】
動作がない。ナイフがいきなり現れる
それらすべてをこの現象で片付けられる
「....まさか、気づくとは思わなかったわ」
しかし、この能力。単純でいて強力
中学生が一度は考えつく最強の能力候補だな
ーーだが、相手は不運だった
俺が俺の眼に目覚めなければどうしようもなかった
七夜「さあ、はじめようぜ」
「まあ、タネがわかったところで、どうする事も出来ないでしょうけどね」
相手の本質が拡がる
それが時を止める物だとはわかっている
七夜「無意」ガガガガガ
無数のナイフが飛来したが、それをすべて叩き落とす
予備動作がわかるようになったのだ
あとは防ぐだけ
ナイフが飛来してこようと、ナイフで襲い掛かってこようと迎撃するだけ
「くっ!」
また拡がった
七夜「隙だらけだ」ヒュン
「がっ!」
【閃鞘・八穿】
時を止めて接近してきた相手の死角をつき、その肩をナイフで斬る
警戒していれば簡単に出来る
「あんた、何者よ!」
先程俺が斬った肩を抑え、そう激昂する
七夜「暗殺者」
簡潔にそう答えてやった
それだけで相手は理解するだろう
自分と同じ人種だと
「.....まったく、変態かと思ったら同類だったとはね」
つまり、こいつも変態というわけか....
「あんた、今私が変態だと思ったでしょ」
七夜「むっ!心が読めるのか!」
「顔にでてるわよ!馬鹿!」
なんだ、違ったか
まあ、相手が俺の心を見ていないのは俺の眼でわかっていることだ
「まあ、いいわ。今回は見逃してあげる」
七夜「ん?随分と暗殺者らしからぬことを言うんだな」
「"元"暗殺者よ。今はご覧のとおりのメイドだけど」
七夜「なるほど。納得....とまではいかないが理由はわかった」
『カンジル、ケハイヲ』
「で、あなたはここで何をしていたの?」
七夜「なに、この幻想郷から春を奪った奴がいるらしくてね。そいつをちょいと懲らしめに行くのさ」
「なんだ、目的は一緒だったわけね」
七夜「つまり?」
「寒いのはあまり好きじゃないのよ。まあ、貴方が解決してくれるっていうのなら任せるわよ」
七夜「了解した。最後に名前くらい教えてくれないかい?」
「咲夜、十六夜咲夜よ」
『マザリモノノケハイダ』
咲夜「........後一人くらい、相手していってからでも遅くはないか」
七夜「.......」
咲夜「出てきなさいよ」
「気づかれていたのですね」
『コロセ』
咲夜「貴方、気配を隠すのが下手なんじゃないの?」
『コロセ』
「生憎と、私は庭師ですからね。」
『コロセ!!』
咲夜「刀を携えた庭師って......って七夜!?」
「っ!」
七夜「......抑えるってのは随分とつかれるようだな」
咲夜「いきなり殺気をだすから驚いちゃったじゃない」
七夜「.....すまないな。ちょっと気を緩めただけでこれだ。俺は随分と君を解体したいらしい」
「私、貴方の恨みを買った覚えはありませんよ」
七夜「なに。簡単な話だ。君のような者と対峙すると高揚するようになっているんだ」
「.........」
咲夜「........」
七夜「構えろ。俺は君を殺すつもりはない...........だけど」
七夜「何かの拍子で殺してしまうかもしれないぞ」
「いいでしょう。そっちがその気ならこちらも本気で行かせてもらいます」
咲夜「まったく。援護は任せて頂戴」
七夜「....ああ」
「白玉楼の庭師兼剣士指南役。魂魄妖夢参ります」
妖夢「妖怪が鍛えたこの楼観剣に、斬れぬものなど、少ししか無い!」
その言葉と共に距離を詰めてくる少女
見た目に似つかぬ動きだがー
七夜「まだまだ」
動きが直線的で回避が容易に出来る
妖夢「くっ!」
少女は剣を振るう
剣から妖力....いや、霊力の塊が放たれる
なるほど....殺傷能力はそれほど無いこの塊だが.....意識を刈り取るには充分過ぎる威力を秘めているな
これを喰らえば一溜まりもない
ーーならば、躱すまで
幸いにも塊の軌道も直線的だ
この程度ならまだ余裕を持って回避は出来る
妖夢「まだまだぁ!」
さらに塊を飛ばす.....
それはもはや弾幕と言っていいほどの物量である
ーーそれでも、回避は容易だ
規則正しい動きをする塊の間を縫うように回避する
そのまま、少女との距離を徐々に詰めていく
妖夢「くっ!」
さらに弾幕を厚くするが、無駄だ
少女と自分との間は距離にして10m程度
ーー射程範囲内だ
七夜「遅すぎるんだよ!」ズバッ
妖夢「っ!!!」
【閃鞘・八穿】
相手の上空に移動して後、奇襲をかけるこの技
移動時の動きを捉えることは容易ではない
妖夢「まだだ!!」ヒュッ
切り裂かれてもそれを気にもとめずに攻撃に転ずる
肉を切らして骨を断つとはよく言ったものだ
敵ながらその姿勢には賞賛を贈るが....
ーー本質が拡がる
先程まで対峙していたメイドの本質が世界を侵食する
ーーならば、この後に拡がる光景は
妖夢「っ!!」
少女を囲むようにナイフが展開されている
こちらには当たらないように配置されているようだが......
ーー利用しない手はない
七夜「斬!」ズバッ
妖夢「ぐっ!」
斜め後ろに配置されていたナイフを足場に加速する
【閃鞘・七夜】
本来は地を這うように相手をすれ違いざまに切り裂くこの技を空中で使用する
ナイフに怯んだ少女に躱せる筈もなく、その斬撃は容赦なく少女を切り裂き、無数のナイフに襲い掛かられる
しかし、少女は一瞬で一方向のナイフを叩き落とすと、こちらと距離をとった
ーーしかし、そこには奴がいる
咲夜「.......チェックメイトです」
妖夢「.......参りました」
咲夜「ではお休みなさい」ガッ
妖夢「ガッ!」
メイドの容赦の無い一撃(ナイフの柄で強打)は少女の後頭部に命中しその意識を刈り取った
妖夢「まだだ!!」ヒュッ
切り裂かれてもそれを気にもとめずに攻撃に転ずる
肉を切らして骨を断つとはよく言ったものだ
敵ながらその姿勢には賞賛を贈るが....
ーー本質が拡がる
先程まで対峙していたメイドの本質が世界を侵食する
ーーならば、この後に拡がる光景は
妖夢「っ!!」
少女を囲むようにナイフが展開されている
こちらには当たらないように配置されているようだが......
ーー利用しない手はない
七夜「斬!」ズバッ
妖夢「ぐっ!」
斜め後ろに配置されていたナイフを足場に加速する
【閃鞘・七夜】
本来は地を這うように相手をすれ違いざまに切り裂くこの技を空中で使用する
ナイフに怯んだ少女に躱せる筈もなく、その斬撃は容赦なく少女を切り裂き、無数のナイフに襲い掛かられる
しかし、少女は一瞬で一方向のナイフを叩き落とすと、こちらと距離をとった
ーーしかし、そこには奴がいる
咲夜「.......チェックメイトです」
妖夢「.......参りました」
咲夜「ではお休みなさい」ガッ
妖夢「ガッ!」
メイドの容赦の無い一撃(ナイフの柄で強打)は少女の後頭部に命中しその意識を刈り取った
七夜「......なあ」
咲夜「......なによ」
七夜「いや。ちょっとやり過ぎじゃないかな?って思うんだが...」
咲夜「気のせいよ」
七夜「.......そうか」
咲夜「それにしても、やっぱり出鱈目よね。貴方」
七夜「そうか?」
咲夜「ええ。私がナイフを展開させたと同時にそれを足場にして加速....普通の人間が出来る物ではないわね」
七夜「あぁ......俺は暗殺者だから.....」
咲夜「......まあいいわ。じゃあ春の件は任せるわよ」
七夜「ああ」
七夜「行ったか.....」
七夜「それにしても大きな階段だな。この上に異変の元凶はいるわけだな」
七夜「ーーーーーーさて」
桜に囲まれた道
月の明かりに照らされて輝く花弁
その中の一際目立つ桜の前にそれはいた
『........』
自身を襲う衝動
今にも目の前のそれを殺せとのたうち回る物を感じる
ああ、身を委ねてしまえればどれだけ簡単なことか....
ーーだが抗う
ただ衝動に任せて殺すのは癪だ
殺しは自分の意思でやるからこそその意義を持つ
ーーだからこそ。俺は
七夜「あんたがこの異変の原因か?」
「.......そうよ」
七夜「随分と幻想郷から春を奪ったようだが.....」
「もう少しで満開になるのよ」
七夜「今でも十分に綺麗だと思うがな」
「満開じゃないと意味がないのよ」
七夜「......なるほど....」
「満開になれば、きっと」
七夜「目覚めない」
「.......」
七夜「何故なら。それは死んでいるからだ」
「.....それでも、復活するかもしれないじゃない」
七夜「しない。封印が解けたかといってその依代が治る筈もないだろう」
「........」
七夜「まあ、もしそれが復活するとして、それは直ぐに死ぬさ」
「......何故?」
七夜「もう、魂がないから」
「.....わかってるわよ。それでも」
七夜「......往生際の悪い奴だな。あんたは」
「....悪かったわね」
七夜「で、亡霊の姫君は何をご所望かな」
「........真実」
七夜「申し訳ありませんお客様。当店では黄泉への片道切符しか取り扱ってません故」
「....私を殺すことは不可能よ」
七夜「当方、その不可能を可能にする術をもっていますので」
「......いいわ。見せて頂戴。私は西行寺幽々子。この白玉楼の主よ」
七夜「こちらは七夜志貴。では今直ぐにでも貴方の死を視させて頂きます」
死が見えない
それは相手が言うとおり、既に死んでいるものと同義だろう
だが、既に死んでいる者を殺せない通りなどありはしない
死が見えないのは、俺がそれを理解していないだけ
ーー集中
一層深く死が浮き出る
世界の継ぎ接ぎは自己を主張する
だが、今俺が視るのはあの者の死
それだけでいい
ーーしかし、いくら集中しようと、視えない
どうすれば視える?
..........俺は今何をしようとしていた?
相手の死をどうにか視る?
なんて間抜けな事をしているんだ。この阿呆は
この眼は己の力ではない
それをあたかも自身の力とし、頼るとは
なんて、未熟
俺が視るのは死であるが、それは魔眼を用い視るものではない
俺の眼が視るものは本質
死を視るのは心だ
ならば、本質を視るまで
相手が視ているものを観させてもらう....
ーー瞬間、相手の死が視えた
世界に死が訪れる
地面は崩壊し、空は引き裂かれる
そんな錯覚を覚えてしまうほどの死
ーーああ、なんと脆く壊れやすいものだろうか
死には例外は無く、あの亡霊の姫君にも継接ぎが視える
七夜「....くはっ」
笑みを浮かべる
死を視るつもりでは無かった
本質を観るつもりだった
だが、結局俺が観たのは死だった
そこから相手の本質が死であることを伺える
幽々子「どうかしたのかしら?」
不敵に微笑みその瞳でこちらをみるそれは、あまりにも脆い
七夜「なに、随分と簡単に先程の口約束を果たせそうでね」
その一言に笑みが消える
俺に殺すという手段が見つかった事を危惧しているのだろう
幽々子「.......」
相手の本質が揺れ動く
それは死そのものであり、触れただけで死に至らしめる物だろう
弾幕が展開される
薄紫色の弾
それら一つ一つに単純な力が込められている
被弾すれば容易に意識を刈り取れられるのは必至
七夜「無為」
だが、避けるまでもない
弾、一つ一つに視えるもの
死の点をついて弾幕を消し去る
PCの不調で更新出来ていませんでしたが、改善されたので更新していきます
暫くお待ち下さい
相手は俺が弾幕を消す姿を見て驚くことは無く、観察しているようにも見える
やれやれ、ここまで姿を晒すとは、暗殺者失格だな。早々に消すか
ぐっと足に力を入れて疾走する
周りの景色と比べると、遥かに薄いが確かに視えるその死
それをついて、その終わった命を終わらせる為に....
七夜「その命、俺が貰い受ける」
展開、射出の仮定を経て眼前に迫る弾幕を一振りで消す。
物体の死を理解している為か頭が痛む。ズキズキと続く波を感じながら疾走する
頭が痛む事が相手を殺さない理由にならない。
殺せないから相手を殺さないというわけじゃない
ただ、俺が殺したいから殺す
ーーいま、その命に一本のナイフが
七夜「ガハッ」
ーー届かなかった
俺を貫くのは一本の棒
突如現れたそれが自身の腹に突き刺さった
口の中で鉄の味がする
視界を埋めていた死が薄くなっていく
幽々子「......紫、あなたどういうつもり?」
紫「.......」ヒュン
そうか、突如現れたのはスキマ妖怪の仕業だったのか....
まったく....奇襲に気づかないなんて
七夜「....ヘタだね....どうも」ドサッ
紫「別に、ただあなたが殺されそうだったのを助けただけよ」
幽々子「殺されるって...私は既に死んでいるのだけれど」
紫「....本当にそう思っているのかしら?」
幽々子「......」
紫「あなたも感じたはず、この男から....あなたの力に似た物を」
幽々子「.....わかっているわ」
紫「....そう」
幽々子「やっぱり....この子には、死が視えるのね」
紫「恐らくは....ね」
幽々子「人間の身でありながら死を視れるなんて、死に近いた事があるのでしょうけど....」
紫「....で、まだ春を集めるつもり?これ以上するのなら、私が相手になるわよ?」
幽々子「.....もういいわ。結果なんてその子に言われる前からわかってたもの。」
紫「まったく、あなた....って、ようやく来たようね」
霊夢「到着っと、さあ観念なさい」
魔理沙「幻想郷の春を返して貰うぜ!」
幽々子「....紫、この娘達は?」
紫「現博麗の巫女とその仲間。異変解決に来たのよ」
幽々子「そうだったのね」
霊夢「なんでこんな所に紫が...って七夜!?」
魔理沙「おい!大丈夫か!志貴!!」ユサユサ
七夜「」
紫「....自分でやっておいてなんだけど、早く治療しないと死にそうね。」
幽々子「...貴方ならもっと簡単に止める方法があったと思うのだけれど」
紫「うっ...仕方ないじゃない。来てみたらいきなりあんな場面だったのよ?」
霊夢「七夜!いったい誰にやられたの!あの女!?答えなさい!!」
魔理沙「しっかりしろ!志貴!」ユッサユッサ
七夜「」
幽々子「あなた達、早くこの子を白玉楼に連れて行きなさい。治療するわ」
霊夢「あなたがしたんじゃないの?」
幽々子「その子を刺したのは紫よ」
霊夢「....そう」
魔理沙「しーきー」ユッサユッサ
霊夢「魔理沙.....」
魔理沙「なんだ?霊夢」
霊夢「貴方は七夜を連れていきなさい」
魔理沙「あ、ああ....で、霊夢はどうするんだ?」
霊夢「....私はちょっとやることが出来たのよ」
魔理沙「そ、そうか....がんばれよ」
ー白玉楼ー
魔理沙「で、志貴は大丈夫なのか?」ムソウフウイン!
幽々子「ええ、傷は塞がっていないから安静にしなきゃいけないけどね」タスケテ!ラン!
妖夢「でも、結構血を流していますから、起きたらしっかり食事をとらせないといけませんね」ジゴウジトクデス
魔理沙「それより、本当に幻想郷に春を戻してくれるんだよな?」マチナサイ!ユカリ!
幽々子「もうしないわよ。意味は無いって言われたし」イヤヨ!
魔理沙「そうか。なら宴会だな」ムソウテンセイ シュン!
幽々子「あら、それは楽しそうね。是非やりましょ」ピチューン
妖夢「会場は何処で行いますか?」ユカリサマー!?
魔理沙「ここか博麗神社でいいだろ」チェンオチツケ ユカリサマハコノクライデハシナナイヨ
幽々子「まあ、この子を動かすのはまだやめたほうがいいからここでしましょ」ホントデスカ?ランシャマ
妖夢「では、準備を始めますね」
魔理沙「じゃあ、私は人数を集めてくるぜ!」
七夜「.....ん」
七夜「ここは...」
藍「起きたようだね」
七夜「......」
藍「衝動を抑えるのは大変かもしれないが、我慢してくれ」
七夜「...知っていたのか」
藍「紫様の予想...ではあったが、その反応から見るに正解のようだ」
七夜「で、あんたらは俺をどうするつもりだ?」
藍「さて...この幻想郷には人外は沢山いる」
七夜「......」
藍「その中で衝動を抑えて生きていくのは大変だと思うが.....紫様に頼めば消すことは可能だ」
七夜「.....断る」
藍「.....何故だ?」
七夜「俺が俺であるためだよ。この眼も、この衝動も、声も身体も体術も....総てが揃って七夜志貴という者が存在出来るのさ」
藍「......そうか」
七夜「で、一つ聞きたいが、いいか?」
藍「なんだい?」
七夜「何故魔理沙がここで寝ているんだ?」
魔理沙「.....すぅ」
藍「いや、異変解決の祝杯で酔いつぶれてな...そのまま本人がお前を掴んで寝てしまったんだよ」
七夜「よく見れば他の連中も庭で寝てるな。しかも、どう見ても成人してない奴も酒飲んでいたようだし」
藍「幻想郷では別に未成年が飲酒しても問題は無いさ」
七夜「なるほど.....っと、やれやれ、幻想郷は覗き見が好きな奴が多いのかね」
藍「ん?どういう意味だ?」
幽々子「別に、覗いてたわけじゃないわ」
藍「....西行寺幽々子か」
七夜「で、亡霊の姫君は私めに何のごようですか?」
幽々子「少し話がしたくて」
七夜「.......この眼のことか?」
幽々子「ええ。私の能力と近い能力を持った眼のことよ」
七夜「....へぇ、もうわかっているじゃないか」
藍「......」
七夜「確かに俺の眼は死が視える」
幽々子「それがどういう意味かわかっている?」
七夜「死を理解してしまうって事だな」
幽々子「そうよ。そして、死を理解するのは本来人間は耐えられないのよ。どうにかしないと、貴方死ぬわよ」
七夜「別にどうでもいいさ」
藍「どうでもって!」
七夜「元来、七夜志貴という存在は生死を問われれば死となる存在だ」
藍「…..どういうことだ?」
七夜「簡単に言うと、本来死んでいる筈の….存在しない筈の者が七夜志貴という人間だ。それが、何の因果かわからんが、生者としてこの幻想郷に辿り着いたってことだ」
幽々子「なるほどねぇ、道理で普通よりも死に近いのね。」
七夜「そんな俺が今更死のうが生きようが関係はないね。寧ろ、死んだほうが不殺という制約から開放されそうで俺としても都合がよさそうだ」
藍「…..だからと言って、安々と死なせないよ」
七夜「…..不思議だな、あんた。普通、こんな危なっかしい奴を殺す理由はあれど、生かしておく理由なんてないぞ」
藍「そう自分を卑下するな。数々の死を見た私とて、知り合いが死ぬのは慣れないのさ」
幽々子「そうよぉ。折角生きているのだから精一杯生きなさい。それが生者の権利でもあり義務でもあるのよ」
七夜「まったく、亡霊に言われると説得力が違うねぇ。」
七夜「わかったよ。折角だ、今風の若者らしく、余生を謳歌させてもらおう」
紫「それはいい考えね。で、その眼はどうしたいの?」
藍「紫様!?」
七夜「….いきなり現れるな。」
紫「あら、ごめんなさい。抑えるのはやはり大変なようね。私ならどうかできるけど?」
七夜「さっき藍にも言ったことだが、遠慮させてもらう。この衝動を含めて俺なんでね」
紫「…そう。じゃあ私からは何もいうことはないわね」
七夜「…..だが、一つ頼みがあると言ったらどうする?」
紫「条件によるわね」
七夜「…偶にでいい、外の世界の『あんぱん』という物を持ってきてくれないか?あんたは幻想郷で唯一外の世界に出入り出来るんだろ?」
藍「….は?」
幽々子「あんぱん….おいしいのかしらぁ」
紫「……嫌よ。何で私がそんな事をしなきゃなんないのよ」
七夜「….そうか(´・ω・`)」
藍「七夜、らしくもない顔をするな。」
紫「……仕方ないわねぇ。条件があるわよ?」
七夜「なんでも言ってくれ(`・ω・´)」
紫「いつもとは言わないけど、私の頼みを聞いて頂戴。」
七夜「了解した。」
幽々子「あははー、七夜って面白いのねぇ」
藍「…….」
七夜「なんだ?藍」
藍「…….いや、なんでもない」
【三途の川】
小町「やれやれ、やっと戻ったかい。」
小町「まさか今日で2回も会うとは思わなかったねぇ、しかも素であんな口説き文句を言われるとこっちも身が持たないさね」
小町「残念ながら映姫様は会うことは出来なかったけど」
小町「さて、あいつも帰ったし昼寝の続きでも….」
映姫「コホン」
小町「げっ、映姫様、何時からそこに?」
映姫「貴方が七夜に起こされた時ですよ」
小町「…….つまり、ずっと見ていたと?」
映姫「はい、小町があのように狼狽した所を見たのは初めてでしたよ」
小町「うぅぅ、忘れてくださいよぉ映姫様ぁ」
映姫「どうしましょうか」
小町「というか、映姫様は恥ずかしくて出てこなかったんじゃないんですか?」
映姫「そそそそそんなわけないでしょ!!」
小町「…….」
映姫「まったく!おかしなことを言わないで下さい!」
小町「…….」
映姫「もう知りません!ちゃんと仕事しておくように!」
小町「は、はい。わかりました」
【白玉楼】
霊夢「……」
妖夢「……」
幽々子「もっとちょぉだい」zzZ
七夜「……」zzZ
魔理沙「だぜぇ」zzZ
藍「……」zzZ
妖夢「ちぇぇすとぉ!!」ズバッ
霊夢「ちょ!」
七夜「っ!殺気!」ガギン
妖夢「…...ちっ」
七夜「殺気を持たずに近付いたのは評価出来るが、直前で全開にしてしまっては暗殺は出来ないぞ」
霊夢「いや、論点がずれているでしょ。なんで皆がここで寝ているかは後で聞くとして。妖夢、あなた辻斬のような真似はやめておきなさい」
妖夢「……わかりました」
霊夢「なるほどね、明け方まで話し込んでいたってわけだ」
七夜「魔翌理沙はずっと寝ていたがな」
妖夢「おかしなことをしていなかったのは良かったものの、夫婦でもない男女がど、同衾など.....破廉恥です」
霊夢「で、七夜に言っておく事があるわ」
七夜「なんだ?」
霊夢「あんたは暫く博麗神社に住みなさい。」
七夜「別に構わないけど....理由を聞いてもいいか?」
霊夢「紫から色々と聞いて、皆で話し合った結果、私と魔翌理沙で監視するって事に決まったのよ」
七夜「なるほど....いつ何かを[ピーーー]かわからない人物を野放しには出来ないって訳だ.....いい判断だと思う」
霊夢「....そういうつもりじゃ...」
七夜「だが、甘いな」
霊夢「え?」
七夜「不確定要素は消しておくに限るだろう?こんな危なっかしい人物なんて、処分した方が賢明だと思うね」
妖夢「貴方、自分の命をなんだと....」
幽々子「無駄よ、妖夢」ムクリ
妖夢「.....幽々子様」
幽々子「七夜は自分の生死なんか興味がないのよ。ただ[ピーーー]ための存在として自身を認識しているわけね」
妖夢「......」
七夜「ま、そういうわけさ。いずれ死ぬんだから、今死んでも大差はない....ってな」
霊夢「.....黙りなさい」
七夜「.......」
霊夢「貴方には生きて貰うわ。七夜の意思なんか関係ない。私が決めたのよ」
七夜「....やれやれ、強引だな。霊夢は」
霊夢「それに、貴方は私の友人なのよ?それを殺しちゃ後味最悪じゃない」
七夜「殺人鬼を捕まえて友人と呼ぶなんて神に仕える者として、あるまじきではないのか?」
霊夢「いいのよ。別に」
七夜「.....」
霊夢「.....」
七夜「わかった。霊夢に従うよ」
霊夢「なるほどね、明け方まで話し込んでいたってわけだ」
七夜「魔理沙はずっと寝ていたがな」
妖夢「おかしなことをしていなかったのは良かったものの、夫婦でもない男女がど、同衾など.....破廉恥です」
霊夢「で、七夜に言っておく事があるわ」
七夜「なんだ?」
霊夢「あんたは暫く博麗神社に住みなさい。」
七夜「別に構わないけど....理由を聞いてもいいか?」
霊夢「紫から色々と聞いて、皆で話し合った結果、私と魔理沙で監視するって事に決まったのよ」
七夜「なるほど....いつ何かを殺すかわからない人物を野放しには出来ないって訳だ.....いい判断だと思う」
霊夢「....そういうつもりじゃ...」
七夜「だが、甘いな」
霊夢「え?」
七夜「不確定要素は消しておくに限るだろう?こんな危なっかしい人物なんて、処分した方が賢明だと思うね」
妖夢「貴方、自分の命をなんだと....」
幽々子「無駄よ、妖夢」ムクリ
妖夢「.....幽々子様」
幽々子「七夜は自分の生死なんか興味がないのよ。ただ殺すための存在として自身を認識しているわけね」
妖夢「......」
七夜「ま、そういうわけさ。いずれ死ぬんだから、今死んでも大差はない....ってな」
霊夢「.....黙りなさい」
七夜「.......」
霊夢「貴方には生きて貰うわ。七夜の意思なんか関係ない。私が決めたのよ」
七夜「....やれやれ、強引だな。霊夢は」
霊夢「それに、貴方は私の友人なのよ?それを殺しちゃ後味最悪じゃない」
七夜「殺人鬼を捕まえて友人と呼ぶなんて神に仕える者として、あるまじき言動じゃないのか?」
霊夢「いいのよ。別に」
七夜「.....」
霊夢「.....」
七夜「わかった。霊夢に従うよ」
藍「ん…騒がしいな」
霊夢「起きたのね、藍」
藍「ああ、霊夢か…そういえば白玉楼に泊まったんだったな…そこで……」
藍「……」
藍「!!?」
霊夢「…藍?」
藍「な、ななななんでもないぞ!!」
霊夢「……」
紫「永年生きている割には藍は初なのよねぇ」
幽々子「そうなのね、あと、何か食べるものない?」
紫「ないわよ」
幽々子「妖夢、朝ごはん食べたい」
妖夢「わかりました」
魔理沙「くぅ、もう朝か?」
七夜「お目覚めかい?お姫様」
魔理沙「志貴!?なんでここに!?」
七夜「何を言っているのか、俺の布団に入ってきたのは魔理沙の方だろう?」
魔理沙「…そういえば…」
七夜「寝ぼけるのは可愛らしくて結構だが、寝癖くらいは直してくるのがいいと思うぞ」
魔理沙「ばっ!!」//
紫「あっちはの空気は桃色ねぇ」
幽々子「お腹すいた」
紫「あなたは相変わらずね」
魔理沙「で、結局のところお前の眼は大丈夫なのか?」
七夜「どういう意味だ?」
魔理沙「どういうって、死が視えてるんだろ?」
霊夢「確かに、それで正気を保ってるってのが異常よね。まあ、視えたことがないから案外平気なのかもしれないけど」
七夜「まあ、別に死が視えてもどうということはない」
幽々子「生きた人間なら、普通発狂してるわね」
霊夢「結局七夜は異常なのね」
七夜「いやいや、案外正常かもしれないぞ?俺もよく知る奴でこの眼を持っている奴もいたからな」
魔理沙「…そんな普通にいるものなのか?」
幽々子「そんな人がいっぱいいたら閻魔様が発狂してるわね」
藍「永年生きていたが死が視えるという人間に会うのは初めてだからな。個体数は少ないと思うぞ」
七夜「まあ、そうかもしれないな。発現条件が特殊だと思うし」
魔理沙「発現条件?」
七夜「俺達の一族に近い眼を持っていて尚且つ死んだことがあるやつくらいだろう。」
霊夢「…ちょっと待って七夜。貴方一度死んだことがあるの?」
七夜「死ぬも何も、本来は生きているのも可笑しい存在だからね。」
藍「つまりどういうことだ?」
七夜「元々存在しないはずの存在なんだよ。俺は」
紫「……」
魔理沙「ますますわからないぞ」
七夜「ま、別に大した問題じゃあない。要は俺がこの眼を使って何をするかが聞きたいのだろう?」
霊夢「そうね。それだけは知っておかなきゃいけないし」
七夜「俺はこの眼を使って無闇に殺人をするつもりはないぞ」
霊夢「ならいいのよ」
藍「一ついいか?」
七夜「なんだ?」
藍「殺害衝動があるのは本当か?」
魔理沙「殺害衝動?」
七夜「……」
霊夢「…話してくれるわよね?」
七夜「……確かに、俺の一族は殺害衝動がある。無論、俺にもな」
藍「対象は、人外というやつか?」
七夜「そこまでわかられるとは思わなかったな。下手だね、どうも」
魔理沙「つまり、今も藍を殺したいと感じているのか?」
七夜「今はまだ大丈夫さ。まあ、戦いの中で人外と接すれば、殺してしまうかもしれないけどね」
霊夢「……」
魔理沙「じゃあ、七夜に異変解決を手伝ってもらわないほうがいいかもしれないな」
霊夢「そのほうがよさそうね」
七夜「……」
魔理沙「じゃあ、そろそろ帰りますか」
霊夢「行くわよ、七夜」
七夜「…ああ」
幽々子「もう帰っちゃうの?」
魔理沙「おう、また宴会する時は呼んでくれよな」
幽々子「そっちもお願いね」
妖夢「七夜さん」
七夜「なんだ?」
妖夢「たまにでいいのですが、稽古をつけてもらってもいいですか?」
七夜「…俺から教わることもないと思うが」
妖夢「貴方は私がこれまで相手をした人とが違う戦い方をしています。ですから」
七夜「ああ、つまりなんだ…経験を詰む為の相手になれというわけだな」
妖夢「はい」
七夜「折角可憐な女性から誘われたんだ。断るなんて男としてあるまじき行為だ」
妖夢「な、何言ってるんですか!」
七夜「さてね。じゃあ、そろそろ行くみたいだから稽古は好きな時で構わないぞ。俺も暇だからね」
妖夢「……わかりました」
ー博麗神社ー
魔理沙「ふう、やっと付いたぜ」
七夜「すまないな、乗せてもらって」
魔理沙「気にしなくていいって。寧ろよくあそこまでいけたもんだ」
七夜「いや、走っていけるとこまでスキマ妖怪に送って貰ったからな」
魔理沙「…紫はいったい何がしたかったんだろうな」
七夜「この異変解決と同時進行で俺の正体を暴こうとしたとかじゃないかな」
魔理沙「志貴は志貴だろ?」
七夜「……そうだな」
魔理沙「じゃ、私は一回家に荷物を取ってくるから、志貴は霊夢に色々と教えてもらっとけよ」
七夜「了解」
霊夢「じゃあ、七夜は庭の掃除と買い出し担当ね」
七夜「了解した。」
霊夢「何か聞きたい事はある?」
七夜「ああ、幻想郷の文化レベルを知りたいから、少しばかり聞いてもいいか?」
霊夢「ええ、いいわよ」
七夜「まず水を使う時は?」
霊夢「裏にある井戸から汲むのよ」
七夜「ふむ、なら電気というものは存在するか?」
霊夢「電気…ないわね」
七夜「灯りは?」
霊夢「提灯よ」
七夜「火を使うには?」
霊夢「薪を燃やして使えばいいわよ」
七夜「……なるほど」
霊夢「他に聞きたいことは?」
七夜「この神社の収入源は?」
霊夢「異変解決したら入ってくるわよ」
七夜「……じゃあ最後に、食料はある方がいいか?」
霊夢「当たり前でしょ。まあ、ありすぎても傷んじゃうからそうなると困るけど」
七夜「…了解した」
このSSまとめへのコメント
続き、 お願いします。
23232760