未だ果ての見える街 (204)
このSSは 少女「損をしてはいけない街」 という過去のSSと世界観を共有しています。
見ていなくても話は問題なく読むことができますが、読んでいると、おっ、となるような所も散りばめていくつもりなのでよければこちらも読んで頂けると幸いです。
あと今回から酉つけることにしました。相変わらず書き溜め無しなので更新は遅いですが長い目で見守っていただければと思います。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1365247454
博士「さて、今日も資材集めといくか」
博士「相変わらずだなここは……」ケホッケホッ
博士「これで機械なんかが捨てられてるとありがたいんだが」ドサッ
博士「ん?」
??「……」
博士「……ふむ、人が放りこまれるのは珍しい、しかも」ピトッ
博士「生きているなら尚更だ」
博士「む」
博士「ああ、成程。そういうことか」
博士「面白い。君は実に運がいいな」
博士「んー!」グッ
博士「しょっと……」ドサッ
博士「さてと、持ち帰るとしよう。資材より面白い物を拾った」
――――
??「……」ムクッ
博士「おや、目が覚めたか?」
??「あなたは?」
博士「私は博士、君の命の恩人というやつだよ」
??「……手当してくれたんですか」
博士「まあ、そうだね」
??「それにここは?確か必死に逃げようとして見つかって……そこから記憶がないんですが」
博士「大方この街のダストシュートに放り込まれたんだろうな。生きたまま見つかるのは稀だ。君は運がいい」
??「そうだ……そんなことより帰らないと……」
博士「無駄だ。この街からは出られない」
??「え?」
博士「ここはそんな街だ、出る事は叶わない。普通なら入ることすらできないんだけどね」
博士「私達が侮蔑を込めて呼ぶこの街の名前は」
博士「未だ果ての見える街」
??「未だ果ての見えるとは?」
博士「そう、この街は半球状のドームで覆われている。出口はない」
??「出口が、ない」
博士「この街では外に出たいという意思をできるだけ表に出さない方がいい。最悪処刑されるからね」
博士「というわけで頼る人のいない君に提案だ。私の研究所で働くつもりはないか?」
??「研究所?此処の事ですか?」
博士「そう、私は家事がまるっきり出来なくてね。普段は友人にまかせっきりなんだよ。最近彼女に頼るのもどうかと思い始めたわけで」
博士「どうだい?これでもお金は十分あるから学校に通わせてあげるくらいは出来るし」
博士「それに、それ」
??「これは」
博士「私が作ってあげたんだ。それのお礼と考えてくれても構わないよ?」
??「……分かりました。その話受けましょう」
博士「よし、では今日から君は助手君だ。この街ではそう名乗るといい。私の事は博士と呼んでくれたまえ」
助手「はい、博士」
短いですが今日のところはこれくらいで、前に比べて忙しくなるので中々進まないと思いますがよろしければ今回もお付き合いください
――――
助手「只今戻りました」
博士「ああ、おかえり」
助手「また変な物作ってるんですか?」
博士「変な物じゃない。偉大な発明だよ」
助手「そんな物が一体何の役に立つんです」
博士「私の役に立つのさ」
助手「で、今回は?」
博士「この半円の装置に光を当てると」ピカー
博士「周りに均等に拡散させることが出来る」
助手「……まあ暗闇なら便利かもしれませんが」
博士「しかもラジコン操作が可能だ」ウィーン
助手「まるで意味が分かりません」
博士「……ところで前々から言おうと思っていたんだが」
助手「はい?」
博士「別に学校が終わってからそのまま帰ってくる必要はないんだぞ?」
助手「他にすることも無いですし」
博士「友達と遊んだりとかしないのか」
助手「友達?いませんよ、言いよって来る女性ならいますが」フッ
博士「私に喧嘩を売っているのか君は」
博士「まあいい。とりあえず飲み物を用意してくれ」
助手「水でいいですか」
博士「……最近どんどん私の扱いが雑になっていくな」
助手「まさか、ちゃんと敬意を払ってますよ」
博士「敬意を払っていると言える部分はその敬語くらいだろうと思うんだが、とにかく巫女が来るんだ、何か用意しておいてくれ」
助手「ああ、巫女さんですか。なら用意しますよ」
ギィィ
博士「やあ巫女。よく来たな」
巫女「相変わらずごちゃごちゃした部屋じゃな此処は」
助手「片付けても次の日にはこうなってますから、巫女さんは緑茶でしたよね」コト
巫女「おお、すまんな助手」
助手「博士にはコーヒーです」コト
博士「……おい、ブラックじゃないか」
博士「私はカフェオレじゃないと飲まんぞ!」
助手「牛乳が無いんですからそれで我慢してください」
巫女「相変わらず味覚は子供なんじゃな博士は」
博士「黙れババァ巫女」
巫女「わしだって好きでこんな口調になったんじゃないわ!」
助手「ああ、巫女さん。緑茶には合わないかもしれませんがよかったら牛乳プリンでもどうです?」
巫女「ん、貰えるならいただこう」
博士「おい待て、牛乳は無いんじゃなかったのか」
助手「いや牛乳プリンを作ったら無くなっちゃったんですよ」
博士「……」
巫女「うむ、美味いな」モグモグ
博士「覚えてろよ助手」ズズズ
博士「苦い……」
巫女「ああそうじゃ、主任に数刻前会ったが今日は来れると言っておったぞ」
博士「ああ、今はもう主任だっけ。休み取れたのか」
助手「随分久しぶりですね。紅茶準備しないと」
巫女「あやつの昇進ぶりも中々のもんじゃな。わしらと同い年なのに」
博士「そうだな。あいつはああいう所には向いている。まともなコミュニケーションが取れるかはともかくとしてだ」
巫女「博士も主任と同じくらいの技術を持っておるだろうに」
博士「私は興味の無い事以外はどうでもいい。それに主任と私は得意とする分野が逆だしな」
助手「博士が工学系で主任さんが生物系でしたっけ」
博士「ああ、生き物の事なんてさっぱりわからんよ」
巫女「それでも並の研究者くらいの知識は持っておるじゃろ?」
博士「私は天才だからな」
巫女「それに助手のそれは生物系だと思うんじゃが」
博士「ああ、まあ多感な年ごろだったしな。色々触りたい時期だったんだよ」
助手「そんな適当な理由だったんですか……まあ不便ないですしいいですけど」
博士「当たり前だ。私は自分の発明品に手は抜かない」
巫女「実用性があるかどうかは微妙なところじゃけどな」
???「……ん」
巫女「おお主任。数刻ぶりじゃな」
博士「久しぶりだな。随分頑張ってるみたいじゃないか」
助手「お久しぶりです。紅茶どうぞ」
主任「ありがと」コクコク
助手「やっぱり街主直属の研究機関は忙しいんですか?」
主任「……まあ、それなりに」
主任「博士なら直ぐに僕と同じくらいに来れると思うけど」
博士「知らん、あのジジイの言うことを聞くくらいならその辺でくたばった方がマシだ」
巫女「相変わらずじゃな……まあ博士にとっては仕方ないことかの」
博士「そろそろ歳だろうにとっととくたばればいい。そうすれば外との交流も出来るようになるかもしれんからな」
助手「次の街主が毒されてなければいいですけど」
何故か何日かページ開けなかったんですがこれってNIPが落ちてたのでしょうか。
どちらにせよ進みは遅いですがぼちぼち書いていきます。前に比べると速度が1/10以下なので申し訳ないです。
主任「……ん、もう行かないと」
巫女「なんじゃ、もう行くのか?わしだって神社の仕事をサボってここに来とるんじゃからゆっくりしていけばよかろうに」
主任「駄目……今日も結構無理を言ってきたから」
博士「そうか、次は休みにでも来い。私は基本的にいつでも此処に居るからな」
主任「……うん、じゃあね」
助手「そういえば今まで気にしたこと無かったんですけど3人はどうやって知り合ったんです?幼なじみとかではないですよね」
博士「ん?ああそういえば話したことはなかったな」
巫女「そうじゃな。昔話がてら話してやろう」
博士「あれは私が大学2年になったばかりの頃だったか」
巫女「因みにわしは1年じゃな」
博士「当時研究系の学科を取ったのはいいが授業のレベルが低すぎてな。教師の教えられる範囲を超えてしまったために自分の研究室を与えられて教授のレベル以上の研究をしようとしていたのだよ」
巫女「尊大でもなんでもなく事実じゃからな。聞くだけでは普通はそう思わんが」
助手「まあ博士ですからね」
博士「当時はまだこの研究所も買っていないから研究スペースなぞ無かったし丁度良かったと思ったな。資材だけは調達できるが研究スペースだけはどうにもならん」
助手「ホント便利ですねその力」
博士「それで研究室を使い始めて数日したころだったかな」
――
――――
博士「ふむ、今日は資材も十分集まったし早速研究を進めて……ん?」
主任「……」ジー
博士(ここの生徒か?私の研究室の前で何をしているのだ)
博士「そこは私の研究室だ。どきたまえ」
主任「……?」
博士「やめろ!そのどうしたの?迷子?みたいな子供を見るような眼は見飽きたぞ!」
主任「……ここは大学、まだ早い」
博士「私はれっきとしたここの学生だし19歳だ!」ゴソゴソビシッ
主任「……驚いた、同い年?」
これって少年と少女出てくるの?
>>33 直接的には出てきません。間接的にそれっぽい人物が浮かび上がる事はあります
博士「ところで、そこで一体何をしていたのだ」
主任「僕も入る」
博士「……は?」
主任「研究室に」
博士「いや待てどういうことだ?」
主任「……他に部屋が空いていない」
博士「だから?」
主任「共同で使えと言われた」
博士「何だと……」
主任「半分は僕の」
博士「ちっ、仕方ない。不本意だが!半分使うがいい。あと慣れ合う気はないからな!」
――――
博士「と、まあこんな経緯で同じ研究室を二分することになってな」
助手「やっぱり当時の主任さんにも子供に見えたんですね」
博士「ぐっ……」
巫女「最初はそういう反応するのが普通じゃろうよ。わしもじゃったからな」
博士「巫女が出てくるのは研究室を二分して使うようになって暫くしてだったな」
――
博士「……」カチッ
バキッ
ポイッ
ガシャァ
主任「……」キュルキュル
ポイッ
カーン
博士「……おい」
主任「何」
博士「お前の方のガラクタがこっちの領域を侵食している」
主任「昨日はそっちが侵食してたんだから多目に見て」
博士「ちっ、仕方あるまい」
博士「……」カチッカチッ
ポイッ
ガンッ
ガラガラガラガラ!
博士「……まあいいか」
主任「……」コツッコツッ
ポイッ
ガッ
バラバラバラ
ズサァー
主任「……後で」
巫女「見て見ぬふりをするでない阿呆どもがー!!」バァン!
博士・主任「!?」ビクッ
博士「だ、誰だ!ここは関係者以外立ち入り禁止だぞ!」
巫女「喧しい!毎日毎日廊下にゴミをほっぽりだしおって!」
主任「研究をする以上仕方な」
巫女「仕方ないじゃなかろうが!」ビシッ
主任「あうっ」ヒリヒリ
巫女「毎日此処を通るたびにゴミが増えていくのを先生方は見過ごせんらしくてな」
博士「それがどうした」
巫女「わしが今日からこの研究室の補佐として入る事になった」
博士「いらん、帰れ」
主任「必要ない」
巫女「……せいっ!」ゴッゴッ
博士「っ~!?」ジンジン
主任「ううう……痛い……」ズキズキ
性別を教えてくれお
>>43 助手以外は全員女性です
巫女「研究者他の柄であれ」
博士「!」
巫女「昔、この世界の科学を発展させた研究者がそう言ったそうじゃ、わしはこの言葉が好きでな。今は諦めた夢じゃがこの言葉を聞いて研究者を目指したこともある。その研究者が他の迷惑になってどうするというのじゃ!」
主任「……僕は僕、昔の研究者は関係ない」
博士「いいだろう」
主任「え?」
博士「私は許可してやる。せいぜい役に立つんだな」
主任「……ふぅ、仕方ない。まあお試しで許可なら」
巫女「なんでそんなに偉そうなのじゃお主らは……」
――――
博士「こんな感じだったな」
巫女「今思い返すといまいちあの時博士がいいって言った理由がよくわからん」
博士「まあ色々あったんだよ」
助手「その言葉聞いた事がありますね」
博士「ほう」
助手「と言っても昔の事なのでうろ覚えですけど」
巫女「この街だけでは無かったんじゃな」
博士「……」
助手「どうしました?」
博士「ん、いやなんでもない。話の続きをしよう」
助手「続きがあるんですか?」
巫女「あー、あれか」
博士「私達が3人でいるようになったのはあの出来事があったからだからな」
巫女「それまでは仕方なく一緒にいるだけみたいな雰囲気じゃったしのー」
博士「あれは3人で研究室を使うようになって数日だったか」
――――
博士「おい!あれほど此処に置いてあった機材は動かすなと言っただろうが!」
主任「邪魔だった。それにこっちの領域を侵食していた」
博士「あの研究にどれほど……!」
主任「もういい?僕も研究がある」
博士「貴様!」プルプル
巫女「お、おい!落ち付け博士!」
主任「僕に構ってる暇があるならその研究を進めたら、口動かしてないで」
巫女「主任!お主も言い方があるじゃろうが!博士も冷静になれ!」
博士「私に……」グッ
博士「指図をするなー!」ピシッ
サラサラサラ
主任・巫女「!?」
前作を見てくださっている方が多くて恐縮です(前作とか過去作と言ってもごく最近ですが)
実はこのシリーズこのスピードで言うのもどうかとは思うのですが現時点で最低でも5部編成になっています。
個人的にはもう少しスピードが出せるかと思ったのですが思ったより忙しくて・・・
ただこちらは損をしては~より短い予定ですが、たまーに進んでるなーという感じで気長に見ていただけると幸いです。
主任「椅子が……」
巫女「砂のようになっておる……」
博士(使うつもりではなかったが感情が昂って発動してしまったのか)
博士(……これでいい、これでこの二人も私に意見しなくなるだろ。今まで通りだ、何も変わらない)
博士「もう私に関わるな」
ガシッ
博士「!?」
巫女「異能!始めて見たのじゃ!」キラキラ
博士「な、な……」
ガシッ
主任「なにこれ……!どういう原理?調べさせて……!」キラキラ
博士「え?は?お前ら……これを怖いと思わんのか?」
巫女「む?まあわしは異能の存在があると思っておったからな。むしろ見る事が出来て感動というか」
主任「興味はあっても恐怖心はない」
博士「……」ポケー
巫女「なんとなく分かるぞ。今までその力や頭脳があるせいで周りから避けられてたとかそんなんじゃろ」
博士「まあ……そうだが……」
主任「他人なんて」
博士「……」
――
ヒュッ
ガッ
幼博士「痛っ……」
子供a「キモいんだよお前!」
子供b「自分だけ頭いいからってさ!」
子供c「なんか言えよ!」
博士「やめて……お願い……」
ガッ
博士「っ!」カッ
サラサラ
子供a「ひっ!?」
子供b「な、なんだこいつ!化け物か!」
子供c「お、おい……逃げたほうがいいんじゃないか?」
子供a「砂にされるぞ!」
子供b「逃げろ!」
子供c「化け物だ!化け物がいるぞ!」
博士「化け……物……?」
――
幼って入れ忘れました・・・
博士(あれ以来、私の周りは誰も居なくなった)
博士(どうして……今まで寂しいと思ったことがなかったのだ?)
博士「……」ジワ
巫女「お、おい!何故泣く!」
主任「えっ?えっ?」ワタワタ
博士「べ、別に泣いてなど!」グシグシ
巫女「そうしておると見た目通り子供みたいじゃな」ワシワシ
博士「な、撫でるな!」
主任「飴、いる?」
博士「いらん!」
――――
巫女「博士の泣き顔は貴重じゃからな」
博士「喧しい、思い出すな」
助手「確かに見てみたいですね。博士の泣き顔」
博士「……あれ以来泣いた事がないからこれからも泣き顔を見せる事はないと思うぞ」
巫女「笑い泣きさせてやろうか」ワキワキ
博士「変態かお前は!」
助手「……」ジー
博士「ど、どうした?そんなに見つめて」
助手「いや……こう、大人の女性が子供を襲おうとしてるように見えてちょっと犯罪っぽいです」
博士「私は子供じゃない!」
巫女「一応年齢的にはわしの方が1つ後輩なんじゃがなぁ」
助手「そうはとても」
巫女「博士に至っては中学生でも普通に通じるしの」
博士「貴様ら……」
助手「身長は主任さんが一番高いですよね」
巫女「胸はわしが一番あるがな!」
博士「それでも並位だろうが」
巫女「主任は身長の割には小さめだがそれでも博士よりは……」
助手「博士のはかろうじて女性と分かる程度ですからね……」
博士「五月蠅いぞ貴様ら!胸は研究に関係ないだろうが!」
助手(博士達のような友人ができる日は来るのでしょうか)
助手(この街に来る前は友人もいた気はしますけどあまり思い出せません)パカッ
男学生a「クソっ相変わらず胸糞悪ィ顔してやがるぜあの野郎」ヒソヒソ
男学生b「あっ、また手紙が入ってるぞ!畜生許せねぇ……」ヒソヒソ
男学生c「今日は校内靴に画鋲を仕込んでやったからな、あいつの苦痛に歪む顔が楽しみだ」ヒソヒソ
男学生a「マジかお前ワルだなぁ」ニヤニヤ
男学生b「靴を履くぞ」
男学生c「……あれ?」
男学生b「おい、特に反応がないぞ」
男学生c「おかしいな……確かに入れたぞオレ」
男学生a「毎度毎度うまいこと回避しやがってアイツ」
リーンゴーン
助手「次の授業は……基本数学ですか」
助手(……今期の分はもう出てますし自主休講ですかね)
女学生a「ねえねえ助手君、次基本数学だよね?一緒に行こうよぉ」
女学生b「あーずるーい私もー」
助手「すいません、次は少々用事があるので」
女学生a「そうなのぉ?じゃあまた今度ね」
女学生b「またねー」
助手(……残念ながら博士以外の女性にそういった感情を抱く事は未来永劫ありませんよ)
助手「今日もタワーテラスで本でも読みますかね」
助手(大学のタワーテラスはあまり人が来ません。場所が本校舎から遠いのもありますがエレベーターがない割に無駄に階段を登らされるのが恐らく原因だと思います)カンカン
助手(そんなわけで自主休講するときはここに良く来ます)カンカン
助手「……人?」
??「……」
助手(いや、人がいるのはまあおかしくはないですけど)
??「……これは驚いた。始めましてだね」
助手「驚いたのはこっちですよ。なんでまた」
助手「テラスの手すりに座って街を眺めてるんです?」
??「街を見渡せるのは此処か王宮しかないからね」
クルリ
??「よっと」ストッ
白髪「僕は白髪。君は?」
助手「助手と言います」
白髪「よかったらお話しようよ。こんな誰も来ない所で会ったのも何かの縁だ」
助手「此処には結構来てるのですが……」
白髪「この時間は今まで来なかったんじゃないかな。僕はこの時間しか此処に来られないからね」
助手「確かに……この時間は数学で此処には来れませんでしたからね」
白髪「こんなところで会ったからってのもあるけど僕は凄く興味が湧いたんだ。君という存在にね」
助手(見たことがあります)
助手(博士と同じ……何かを失った人の姿)
助手「此方もです。貴方に興味が湧きました」
白髪「……おや、もうこんな時間か。それじゃあ僕はこれで」
助手「何か用事が?」
白髪「病院に行かなくちゃいけないんだ。体があまり丈夫じゃなくてね」
白髪「今日は楽しかったよ。これからは此処に来る回数も増やそうと思うからまた話そう。じゃあね」ヒラヒラ
助手「ええ、また」
助手「只今戻りました」
博士「ああ、おかえり。帰ってきてすぐで悪いんだがおつかいを頼めるかね」
助手「大丈夫ですよ」
博士「すまんな。ここに書いてあるパーツを買ってきてほしい、ジャンク屋に行けば見つかる筈だからよろしく頼む」
助手「はい、夕食の材料も帰りに買ってきますけど何か食べたいものはありますか?」
博士「肉じゃが」
助手「了解です。では行ってきますね」
博士「もう少し……」
博士「大学に入り研究を続け、漸く此処まで辿りついた」
博士「生まれてから一度も変わらない、この果ての見える街はもうたくさんだ」
博士「私がこの小さな世界を壊す、未だ見ぬ『空』を見る為に」
博士「……外に出られるようになれば助手とも一緒にはいられなくなるか」
博士「……やだな」ボソッ
博士「……はっ!?何言ってるんだ私は!?」
博士「と、とにかく必要な装置の確認をしよう」
博士「まずついこの前完成した光線半球拡散装置ラジコン仕様、電機思考電力変換装置4台」
博士「大学の頃完成させた超多反射波通話子機4台、親機1台。蒸発時引力発生液剤1t」
博士「それに助手の買ってくる材料を合わせ最後の装置を完成させる」
ブツ切れで全然進んでなくてすいません・・・
ここで多分半分くらいです
博士「……まあそう慌てることでもないか、少しは研究を忘れてゆっくりするのもいいかもしれん」
博士「電波式携帯通話機を作ったのも今みたいに研究に追われている時だったな」
コツコツ
博士「む、足音がするな。助手が帰って来たか?」
助手「只今戻りました。それでですね……」
??「おおー、ここが街で最大の発明をした人の内の一人の研究所なのですね!」
博士「……助手、一応聞かなくてもなんとなく分かるがそいつは誰だ」
姫「はっ!これは申し遅れました!わたくしこの街の姫でございます!」
博士「その格好を見れば誰でも分かる。なんでこいつを連れてきた」
助手「帰りの途中でですね……」
――――
助手「頼まれた部品も夕食の食材も買いましたし後は帰るだけですが少し遅くなってしまいました」
助手「あまり待たせたくはありませんし……少し裏道を行きますか」
??「……!……か!?」
助手「話し声?」
不良a「お姫様だぁ?格好だけでそんな事言われてもなぁ」
不良b「そうそう大体ホントに姫なんているのかもわかんねぇのに」
不良c「王宮の連中全然出てこねぇし、嘘言ってんじゃねぇの?」
姫「ぶ、無礼者!わたくしは正真正銘この街の王の娘です!」
助手「……」クルッ
姫「あっ!お待ちくださいそこのお方!助けてください!」
助手「面倒事は嫌いなんです、他の方が助けてくれることを期待してください」
不良a「ちっ、この事をチクられても面倒だ。逃がさねぇぞ!」
助手「……はぁ、仕方ありませんね」タッ
不良b「……は?」
助手「ふっ」スタッ
ガシッ
姫「へ?」
助手「暴れないでくださいね。暴れたら落としますよ」グッ
タンッ
姫「ひゃああああああああああ……」
不良c「跳びやがった……」
不良a「常人の脚力じゃねぇぞ……」
ストッ
助手「ここまでくれば問題ないでしょう」
姫「本当にありがとうございました!なんとお礼を言えばいいか!」
助手「巻き込んでおいて良く言いますね。こんな所でお姫様が何をしてるのかは知りませんが面倒事に巻き込まれたくはありません。ここからはお一人で行動してください」
姫「そ、そんなぁ!見捨てないでください!」
助手「大方王宮を抜け出してきたとかでしょう?一緒に居るところを見られたら困るのは此方です」
姫「へ、へぇ~!そんな事言っていいんですか?」
助手「……まだ何か」
姫「わたくし、貴方の顔と名前を存じ上げません」
助手「まあ、そうでしょうね。初対面ですから」
姫「普通はそんなことはない筈なのです。覚えてますもの」
助手「?」
姫「わたくしはこの街の住民の顔と名前を全て覚えていますが、貴方の姿も名前も見たことがありません。つまり貴方は外の世界から来た方、違いますか?」
助手「なっ……」
助手「街の住民全員……?相当の人数がいるはずですよ」
姫「姫ですから」
助手「……はあ」
姫「ほらほら!いいんですか!お父様達に言いつけちゃってもいいんですよ!」
助手(確かに他の街から来た人間というのは間違いないですから、それをバラされるのは非常に困りますね。何より博士に迷惑をかけたくありませんし)
助手「……どうすればいいのですか」
姫「話がわかりますね!とりあえず匿ってください!」
助手「研究所まで来てください。博士にも聞かないと」
助手(王族だって知れば良い顔はしないとは思いますが)
姫「研究所?」
――――
助手「ということがありまして」
博士「……ふーん」ムッスー
助手「あの」
姫「ところでこの女の子はどなたですか?」
助手「……博士ですが」
姫「えぇっ!?こんなちっちゃな女の子がですか!?」
博士「誰がちっちゃな女の子だ!私はこれでも25だぞ!」プンスカ
姫「わ、わたくしよりとしうえ……」
助手「というか住民全員の顔を覚えているのではなかったのですか?」
姫「そ、そうですけど顔と名前だけですから!」
助手(つまり他の事は知らないんですね)
姫「博士というからにはお髭の生えた渋いおじさまだと……」
PCを借りられました。近いうちに再開したいと思います
姫「ところで……あの……」
博士「なんだ」イライラ
姫「先ほどから何故そんなに機嫌が悪いのでしょうか……」
博士「私はな、貴様ら王族が大嫌いなのだよ」
姫「!?」
助手「は、博士!」
姫「・・・・・・」プルプル
助手「まずいですよ!王族に対する侮辱は最悪死罪ですよ!それは博士が一番よく分かっているでしょう!?」
博士「知らん、そうなったら反逆でもなんでもしてやる」
助手「落ち着いてください!」
姫「っわたくし!感動いたしました!」キラキラ
助手・博士「・・・・・・は?」
しまったPC変わったから3点リーダが変換できてないですね。次からは気をつけます
姫「この街の住民は罰を恐れて誰も王族に対する不満を上げようとしません……これは非常に嘆かわしいことです。ましてや王族の勝手で街をまるごとシェルターに閉じ込めているわけでございますから」
博士「……にわかには信じられんな。本当に王族か?」
姫「王族以外がこんな服着てたら普通捕まるでしょう?」
助手「そうですね。王族のような格好をしていても捕まるくらいですから」
姫「服は自由であるべきです。こんなところまで規制するのは馬鹿げています」
姫「おかしいと思ったんです。わたくしはあの王宮から一度も出ることができず、ただひたすらに街の住民は幸せに暮らしている。この街が世界の全てだと教わり生きてきました」
博士「はっ、笑わせる。誰が閉じられた世界に無理やり居座らされて幸せなものか」
姫「その通りです……ある日、王宮直属の研究所の方と話す機会がありました。その人が教えてくれたのです、この街の真実を」
姫「この街の真実を知り数日……わたくしは思ったのです。自らの目と耳で街を見ようと」
助手「それで王宮を抜け出したということですね」
姫「こっそりと裏道などを使いつつ街を見て回っていたのですが運悪くからまれてしまいまして……」
助手「あそこで近道などしなければ……くっ」
姫「あ、あのー?そんなに腫れものみたいに扱われると悲しくなってくるのですが……」
博士「……確かに貴様はあのクソジジイ共よりはまともな判断ができるみたいだ。そこは認めてやる、が」
博士「私にとってはそう割り切れることでもない」スタスタ
姫「行ってしまわれました……何故あの方はわたくしに冷たいのでしょうか……」
助手「……無理もありませんよ。博士は子供の頃、当時の国王である貴女の祖父に両親を処刑で殺されていますから」
姫「そんなことって……!」
助手「今でこそ処刑だなんてことはそう起こることではなくなりましたが十数年前はよくあったそうです」
姫「……」
助手「博士の両親は元々王宮直属の研究所に勤めていたそうですがこの閉鎖された世界の中では手に入るものも手に入らない。故に研究は中々進まなかったのだとか、そこで所員を代表して当時の主任だった博士のお父様とその助手だったお母様が国王にシェルターを取り除くよう直談判に」
姫「そしてお爺様は博士さんのご両親を処刑したということですか……」
助手「分かりましたか?博士がどうして王族を毛嫌いするのか」
姫「確かにそれでは王族を恨んで当然です。王族を代表して謝罪せねばなりません……」
助手「……貴女がそこまで他の王族と違う考え方を持っているのは何故ですか?」
姫「……それが」
助手「?」
姫「わたくしにもよくわからないというか……気づいたら王族のあり方に疑問を持っていたんです」
助手「自分でもよくわからないと言うことですか」
姫「はい。疑問を持った私はたまたま王宮に来ていた研究所の方に話を聞き、というのが先ほどの話の裏側なのです」
良く見ると>>105 の文章がよくわからんことになってますね。修正します
>>105 訂正
姫「……それが」
助手「?」
姫「わたくしにもいつこの疑問が浮かんだのかがわからないのです」
助手「気付いたらいつのまにか疑問に思っていたということですか?」
姫「はい。そこでたまたま王宮に来ていた研究所の方に話を聞いて、というのが先ほどの話の裏側なのです」
助手「……まあそれについてはおいおいでいいでしょう。夕食の準備があるので失礼します」
姫「あの……わたくしはどこにいればいいのでしょうか?」
助手「そうですね。博士に聞いてきますからもう少しここで待っていていただけると」
姫「わかりました」
助手「ああ、分かってると思いますがこの辺りの物に触れないほうがいいですよ。危ないものもたくさんありますので」
姫「わ、わかりました」
助手「博士」
博士「ん、ああ。どうした?」
助手「お姫様がどこにいればいいのか、だそうです」
博士「……本当は匿うつもりなんて全くなかったのだが」
助手「ええ」
博士「あれは後々使えそうだ。二階の一部屋を使えと言っておけ」
助手「いいんですか?」
博士「思うところが無いとは言わないが、あいつがこの街を理解しようとしている事には何も言わんよ。利用価値もあるしな」
助手「はあ」
博士「……前々から言おうと思っていたんだが」
助手「はい」
博士「お前友達いないのか?」
助手「一応いないつもりです。強いて挙げるなら主任さんや巫女さんでしょうか」
博士「……私も大学では友達がいなかった方だが、それでも誰もいないってのは寂しくないのか?」
助手「前も言いましたが、言い寄ってくる女性ならいます。ただそれを見て快く思えない同姓が多いのも当たり前です。そういうことだと思います」
博士「ん……」
助手「いや、でも、一人だけ」
博士「うん?」
助手「仲良くなれそうな人は……いるかもしれません」
博士「そうか、ならいい」
助手「どうしたんです?藪から棒に」
博士「助手は救世主孤独故の悪鬼、という言葉を聞いたことがあるか?」
助手「いえ」
博士「救世主ないし英雄の素質がある者を孤独にしてはならない。孤独な救世主は悪の道に染まっていく。簡単に言うとこんなところか」
助手「救世主なんて柄でもないですし、それに博士達がいます」
博士「難しいところだが、私たちと助手は違うんだ。同等でない」
博士「要約すると自分と同じ同等の関係でいられる相手、それが私の中での友だな。そういう相手を探せ、ということだよ。その友人になれそうな相手でもいいし、なんならあの姫でもいい」
助手「……なぜそのようなことを突然」
博士「……私たちのこの日常は永劫に続くわけではないからさ」
博士「だからその前に同等な関係を築ける練習をしておけということさ。友人じゃなくても恋人でもいいぞ」
助手「はあ」
博士「なんなら私と付き合ってみるか」ドヤァ
助手「はっ、そのナリで一体何を言ってるんですかね」
博士「おい、君より私は5つ上なのを忘れていないだろうな」
博士「まあいい、とりあえず夕食を頼む。ついでに夕食の準備が終わったらあいつの部屋の掃除でも手伝ってやれ」
助手「分かりました。では出来次第また呼びに来ます」ツカツカ
博士「ああ」
博士「ちょっとは意識してもいいだろ助手の阿呆め……」
助手「聞いて来ましたよ。2階の一部屋を使ってもいいそうです、掃除は自分でしてもらうことになると思いますが」
姫「分かりました。お部屋を借りさせてもらうのですから、それくらいはやらせていただきます」
助手「……本当にお姫様とは思えないですね。失礼かもしれませんがもっと傲慢な方かと」
姫「わたくしも数年前はもっと自分勝手な性格だった気がするのですが……」
助手「……?それはそれとして夕食の準備をするのでそれが出来次第お手伝いしますからそれまではお一人でお願いします」
姫「はい。あれ?顔が赤いようですが大丈夫ですか?」
助手「い、いえ。大丈夫です。なんでもありません」
カン カン カン カン
白髪「……やあ、来てくれたんだね」
助手「今度は天板の上とは……実は危険な所が好きだったりするのですか?」
白髪「いや、高い所が好きなだけなのさ」クルッ ストッ
助手「落ちるのが怖くはないのですか?」
白髪「うーん、それに関しても絶対に落ちることがないと分かっているからかな」
助手「?」
白髪「今日は時間があるからね。良かったらお話しようよ。本は読む方かい?」
助手「そうですね。それなりには読む方だと思います」
白髪「それはよかった。この本は見たことがあるかな」
助手「これは……世界の果てについて書かれている」
白髪「良く知っているね。じゃあこっちはどう?」スッ
助手「……?これは見たことがありませんね。『果て無き世界』?」
白髪「無名の研究者が書いたらしい本でね。図書館の倉庫に埋もれてたんだ」
助手「世界に果ては無く、永劫に世界は続いている……?今の通説と真逆の事が書かれていますね」
白髪「通説か、やはり君は外の世界の人間だね?」
助手「!」
白髪「ああ、誰かに言うつもりはないから大丈夫だよ。それに外のことが知りたいのさ、君の事もね」
助手「……そうですね、面白くもない話ですがそれでもいいなら」
白髪「うん、構わないよ」
助手「……外の世界と言っても生まれた街も閉じた世界でしたが」
助手「両親に妹の4人で家族と幸せに暮らしていたのです。父も母も裕福にも関わらず謙虚な人で街の人とも仲が良くて、妹はとても賢い女の子で」
白髪「妹さんがいたんだね」
助手「ええ、妹は数字に強く、よく泣いてよく笑う表情の豊かな聡い子でした。ただ、そのような生活も突然終わりを迎える事に」
助手「父が仲間に裏切られ、家族はバラバラに。この街に来た経緯は……よく覚えていません」
助手「外と関わりの少ない街で育ちましたから詳しくはありませんが、知っているのは他にも多くの街が存在すること、通説としては世界には果てがあること、大きくはこの二つです」
白髪「成程、この街は外に関する情報が出回らないからそういう話はありがたいよ。ドームに覆われる前の書物しかないからね」
助手「昔は果てがあるという説が通説ではなかったと?」
白髪「多くはあったみたいだけどあくまで有力な説の一つだったみたいだ。多かったのは世界には果てがある説、実は世界は丸い説とかだね」
白髪「うん、ありがとう。とても有意義な話が聞けたよ」
助手「いえ、ところで」
白髪「うん」
助手「よければ白髪さんの話も聞かせていただけませんか?」
白髪「あーそうだね。君にばかり喋らせてしまったし僕の事も話そうか」
白髪「と言っても僕はこの街の生まれだから話せるのは自分の事くらいなんだけど」
白髪「僕は小さい頃から本が好きだったんだ。こんな街だから新しい娯楽も増えにくいし」
白髪「それはもう毎日のように学校の図書館に入り浸って過ごしていたね。そのせいか友達はいなかったけど」
白髪「まあ特に面白い話もなく今に至るね。ただ他の人と違うのは」スタスタ
白髪「こういうところかな」スツ
助手「本……ですか?」
白髪「ここに手のひらに置かれた本があるね。手を逆さまにするとどうなるかな」
助手「落ちるでしょうね」
白髪「正解は、こう」クルッ
助手「……それは手品ですか?」
白髪「まあ手品というか超能力みたいなものだよ。簡単に例えると留めておく力だ、こういう風にコップに入った水を零れないようにしたりね」クルリ
助手「……まさか博士と同じ」
白髪「! 今博士と言った?」
助手「はい。やはり貴方も」
白髪「……本当に僕と同じかは分からないけれど多分同じような力だとは思うね」
白髪「まあその博士とは知り合いでもなんでもない僕が一方的に知っているだけだけど」
助手「まあ確かに博士が自分と同じような力を持っている相手に興味を示さないはずがありませんからね」
白髪「その話し方だと彼女とは随分近しい仲なのかな」
助手「今現在まで匿ってくれているのが博士ですから」
白髪「……なるほど」
白髪「ふふ……いいね。今日は楽しい時を過ごせた」
助手「はい、同じく有意義な話が出来ました」
白髪「さて、それじゃ僕は行くよ。また明日会えるかな?」
助手「ええ、大丈夫です」
白髪「じゃあ途中まで一緒に帰ろうか」
助手「戻りました」
博士「おいこら!その歯車じゃない!最後は尖った歯車を入れないと振れないって教えただろうが!」バシバシ
姫「ひーすいませんー!」
助手「……」
博士「ん、おお助手おかえり。今日は遅かったな」
助手「ああいえ、少し話をしていもので。ところで何を?」
博士「ん、ああ。何もしないで匿ってもらうのも悪いので何かお手伝いをさせてくださいとこいつがしつこいから機械の組み立てを教えていたところだ」
姫「は、はい……思ったよりもハードですが……」
助手「まあそうですよね。専門家以外では難しい事も多いでしょう」
姫「助手さんも博士さんも凄いです。これだけの事を覚えるのですら難しいのに」
助手「え?出来ませんよ」
姫「はい?」
博士「こいつは何も知らんぞ。機械の組み立てなんてもってのほかだ」
姫「え?でも助手さんなんですよね?」
助手「するのは書類とパーツの整理やお茶の用意くらいで専門的な事は何も」
博士「まあこいつ理系的な事はからきしだからな」
助手「文系が専門ですから、理系は妹が得意でしたね」
姫「妹さんがいらっしゃるのですね、おいくつなのです?」
助手「3年前12歳でしたから今は15のはずです」
姫「ああそういえば外から来られたんでしたね……ちょっと待って下さい」
姫「3年前に理系……?理系教科の概念が加わるのは確か高校からですよね?」
助手「そうですね」
博士「あーそういえば普通はそうだな」
姫「その理系が得意というのは中等数学や理科の事ですか?」
助手「いえ、もう当時には今大学でやってるような内容を理解してたみたいですが」
申し訳ないのですが今日から少し家を空ける事になりました。月末まで恐らくPCを使えないので投稿が滞ると思います。
戻り次第再開しますが8月中には終わらせるつもりなのでお待ちいただければと思います
姫「……世界は広いのですね」
博士「私ほどではないが中々賢い子らしいな」
助手「ただやはり同じように文系が壊滅的でして……文学だとか歴史だとかはさっぱり」
姫「ご兄弟で対照的なのですね。ということは助手さんは文系が得意と」
博士「そうだな。こと文字にかけては右に出る者はそうそういないだろう」
助手(それから数日の日数が経過し、白髪さんともそれなりに仲良くなり、姫さんと博士も打ち解けてきたように思います)
助手(巫女さんも事情を把握して姫さんと打ち解けてくれました。しかしこの日、日常が終わりを告げたのです。巫女さんがAIの話をしていた時でした)
巫女「とにかくAIは凄い物でな。数百年前にある研究者が開発したものでこの世界の発展に大きく貢献したのじゃ」
姫「しかしこの街にAIなんてあったでしょうか?AIが管理するような機械は王宮にはありませんでしたよ?」
博士「街の中には少なくとも存在していないな。関わっているのはダストシュートの管理だ」
姫「ダストシュート?」
巫女「街のドームの外端にはいくつも穴が空いておってな。外の人達はそこからごみを捨てるのじゃよ」
博士「そのゴミを解析してカテゴリ別に分ける。そしてそのゴミを再利用するというわけだ」
姫「なるほど!この街は供給手段が存在しないからこそというわけですね」
巫女「ただこの街のAIは古いからの、たまにミスも起こる」
巫女「この街と違って助手が住んでいた街はAIの最先端技術が使われていたのだとか」
助手「そうですね。他の街がどうかは分かりませんが人の意思をくみ取って犯罪を防いだりということはありました」
姫「凄いですね!わたくしにとっては未知の世界です!」
巫女「それでも恐らく完璧ではないのじゃろうがな。突発的なケンカや事故は防ぐことができないと思うぞ」
助手「そうですね……人の意思がくみ取れない状態、夢遊状態だったり意識が混濁していたり酔っていたりすると上手く反応しないことが多かったみたいです。後々に遅れて反応する場合としない場合があったらしいですけどこれも理由が?」
うおおおお……8月中に終わらせるつもりだったのに全然終わってない……できれば来週中には終わらせたいです
巫女「ふむ、そうじゃな。実際にどうなのかは知らんからあくまで仮定じゃが加害と被害の意識による裁定なのじゃなかろうか」
博士「自分が傷つけたとしても相手が被害を受けたと感じていなければということか」
巫女「うむ、もう少し複雑な条件があるとは思うがな」
姫「この街ではそういうことを知る機会がありませんから貴重なお話が聞けました」
巫女「まあAIについて研究してた奴なんてわし以外におらんじゃろ」
姫「そうなのですか?」
巫女「この街のAIの研究者はとうの昔に絶えておる。そもそもAIの事を知っている者自体何人いるかわからんくらいじゃからな」
巫女「結局わしも限界を感じて途中で断念してしまったが、外に出ることがあれば研究を再開したいところじゃな」
博士「出たいか?外に」
巫女「ん?」
博士「そろそろ頃合いかな」
巫女「どういうことじゃ?」
博士「できれば主任もこの場にいてくれると良かったけど……まあいい」
博士「助手と巫女は勿論だが、姫」
姫「はっ、はい?」
博士「お前にも協力してもらう」
姫「は、はあ……」
博士「今こそ話そう、私の今までの研究の意味、そして目的を」
博士「そろそろ頃合いかな」
巫女「どういうことじゃ?」
博士「できれば主任もこの場にいてくれると良かったけど……まあいい」
博士「助手と巫女は勿論だが、姫」
姫「はっ、はい?」
博士「お前にも協力してもらう」
姫「は、はあ……」
博士「今こそ話そう、私の今までの研究の意味、そして目的を」
ああ連投してしまった申し訳ない
博士「私はずっと、子供の頃から考えていたのさ。何故私たちはこの閉じられた世界の中に閉じ込められる必要があるのか」
博士「親を殺され荒み性格のせいか周りに馴染めず、そんな私を満たせたのは研究だけだった」
博士「様々な文献を読み漁ったよ。知識として色んな事を知っていく時にだけ幸せを感じてな」
博士「そんなある日見つけたのは一冊の本。なんてことないただの子供向けの絵本だよ」
博士「ふとその絵本を開いてみた。そこにはこの街の中では見ることのできない空の事が描かれていた」
姫「空……とは?」
巫女「わしも聞いたことがないな」
博士「外の世界はこんな閉じた世界じゃなく、どこまで続いているかわからない果ても見えないような処なんだそうだ」
博士「その世界の上の方、世界の天井のことを空、と言うらしい。昼には澄んだように青く、夕方には燃えるように赤く染まり、夜には漆黒の中に瞬く光の粒」
博士「それを見て思ったよ。私は空が見たい、と」
博士「幸いにも私には親譲りの天才的な頭脳があった。この街の壁をどうにかして除去できないか、考えたのさ」
博士「そしてそのヒントは案外近くに転がっていたんだ」
助手「ヒント……ですか?」
博士「ああ、街の四方には何のためにあるのかよくわからない塔があるのは知っているか?」
巫女「確かにそうじゃな。灯台のような白い塔が4つ」
博士「壁をどうにかする方法を考えていた時だった。ある話が伝わってきた」
博士「あの白い塔はどうやら私の両親が建てたものだ、というものだよ」
巫女「ふむ」
博士「結論から言うとあれは超高密度の熱光線、分かりやすく言うとレーザービーム的な何かを発射する為の施設だ」
姫「なっ……危険なのでは……」
博士「いや、完成する前に両親ともども処刑されてしまったからな。電力が通っていない、そのままでは銅線一本焼き切ることすらできんよ」
姫「すいません……」シュン
博士「もう過ぎた事だ。気にしなくていいさ」
助手・巫女「!」
助手(あの博士が……)
巫女(ここまでとは、いや、それも当然か。わしから見ていても姫様は純粋すぎて危なっかしいくらいじゃからな。落ち度は彼女にないと自分で悟ってしまったのじゃろう)
テスト
PCの周辺機器変えたら書き込めなくなってあせりました。
申し訳ない、今日で終わりまでもっていきたいと思います。
博士「何のためにあの塔を建設したかは分からんが……まあ私と同じようにこの街を開けたかったのかもしれないし、そうじゃないかもしれない。だがそんなことはどうでもいい」
博士「これを使わない手はない、そしてその為の私の発明だったのだからな」
巫女「何?」
博士「主任もお前も私が何のためにあの発明をしていたのか、よく分からないと思っていただろう」
巫女「そうじゃが……」
博士「あの塔を建てたのが両親かもしれないと知った時、最初にした事はあの塔の手掛かりを得る事だった」
博士「私が15の時に漸く見つけた手掛かり、それが街の地下」
姫「!! 何故貴女がそれを……」
巫女「待て、街の地下じゃと……?」
姫「この街の地下には通路が張り巡らされているのです。城から以外の出入り口は封鎖されていますし緘口令もあって今では存在を知っている人すら稀ですが……」
博士「……そもそもおかしいとは思わなかったか?この街の資源は一体どこから来ている?外に出て資源を調達する手段はない、食物、水はどうにかなっても金属、鉱物はどうにもならん」
博士「この街は建設される時点からそういうことも考えて建設されたのだろう、偶然見つけた地下を探索して見つけたのはゴミだった」
巫女「ゴミ?」
博士「ああ、脳内で地図を作り、3年近く探索した結果街の外周にあたる位置に27のゴミ集積場を見つけた」
姫「そんなものが何故地下に?」
助手「そういう、ことでしたか」
巫女「なんじゃ?どういうことじゃ?」
博士「助手は外の世界から来た。ではどこから?」
博士「捨てられたゴミと一緒に、だ」
姫「そんな……」
博士「私の研究資材も全てそのゴミ集積場から力を使い集めた物だ。その過程で見つけたのが助手」
博士「最初は気まぐれだったよ、集積場に生きたまま辿り着くのも珍しかったし外の人間に興味があった。だから私が助けた」
博士「そしてその判断は間違いではなかった。助手がいた街はこの街と近いらしい、しかしそれでもそれなりの距離があるらしい」
博士「つまり、外の人間がそうホイホイ物を捨てられる場所ではない筈」
博士「そもそも助手を拾ったのも本来なら機械や鉄屑のような物が捨てられる場所だった、分別するAIの誤作動か?」
博士「それは違う。答えは簡単だ」
とりあえず朝の分はこれくらいで、夜にまた来ます
終わらせにかかりますと言うと何かしら予定が入ってしまう事が分かったのでもう何も言いません……
書けるところまで書いてみます
博士「この街はゴミの再利用による資源の補填などしていない」
姫「えっ?」
博士「AIも指令を取り消され途方に暮れている、と例えられるだろう」
巫女「指令を取り消されているじゃと?」
博士「ああ、この街も外周で見れば相当な長さがある。そのAIが常にフル稼働していれば電力の消費も半端ではないからな」
巫女「AIを行動不能にすることはできない故の指令の取り消しというわけじゃな」
博士「うむ、しかももう随分前から行われていない。私が研究材料を調達しに行き始めてから一度もゴミが減った様子がないし分別も行われていない」
博士「資源的な意味では限界に近付いている筈だが、頑なに再利用をしない理由は分からん」
博士「しかし、それこそがあの塔を動かす突破点になる」
姫「AIがフル稼働していない事が、ですか?」
巫女「……! そうか!あれか!」
博士「心当たりがあるだろう、なんせアレは私と巫女が共同で製作したものだからな」ゴトッ
姫「この機械は?」
博士「電機思考電力変換装置、と名付けた私と巫女の発明品だ」
巫女「簡単に言うとAIを利用することで電力を生み出すことが出来る、といったものじゃな」
巫女「しかしこれは莫大と言えるほどの電気量を生み出すことはできんぞ?」
博士「私とてあれから何も弄ってない訳ではない、あれから改良に改良を施し当時の性能の400%近い性能にすることに成功している」
博士「それに今この街のAIは途方に暮れている状態、フル稼働されていないということはAIの演算に余裕があるということだ」
博士「現状使っている思考処理を全てこの機械に通し、電力を生成すれば99.14%の確率であの塔は起動する」
姫「限りなく100%には近いですが……絶対ではないのですね」
博士「研究者が絶対を使ってはならない、使っていいのは救世主と神だけだ」
博士「さて、これで電力の確保はできる。次に塔のレーザーの照準をシェルターの中心、かつある高度の位置に設定してもらう」
博士「大体の位置は王宮の頂点だと思ってくれればいい。その位置に私がこれを配置する」ウィーン
助手「光線半球拡散装置ラジコン仕様……でしたか」
博士「うむ、これで4つの塔から発射された光線を半球状に拡散させシェルターを消散」
博士「尚、レーザーの熱量で消散させきれないと判断した箇所にはこの蒸発するときに物体を吸着する液材を使い固める予定だ」
博士「重量もそれほどない、外にいる人間にも被害はないだろう」
博士「そしてその間、地下の中心にある管理部屋で一人オペレーターをやってもらう。指示にはこの」コトッコトッコトッコトッ
博士「超多反射波通話機を使用する」
姫「超多反射波通話機?電波式携帯通話機とは違うのですか?」
博士「これはシェルター内で波を超数反射させることで通話を可能にした発明品だ」
巫女「懐かしいのう、これは3人での合作じゃったな」
博士「これには親機が必要でかつ携帯する大きさにしようとするとバッテリーが1時間しか持たないという欠点があって最終的にボツになった」
博士「ただ、電波式に比べて極めて安定している。不測の事態に備えるならばこちらがいいと思ったので今回使うのはこちらだ」
博士「こいつをまた3人で改良して王宮に売り込んだのが電波式携帯通話機だったりするがそれはまあ割愛しよう」
博士「つまり、流れを簡単に説明すると一人がオペレーターとして地下の管理部屋から指示を出す。レーザーのタイミングは出来るだけ合わせる必要があるからな」
博士「オペレーターを通して4人が塔の配置に着いたら各々この電機思考電力変換装置を起動してもらう」
博士「電力が行きわたり発射が出来るようになったら王宮の頂点に対空させてあるラジコンの下半分に照準を合わせて」
博士「オペレーターの指示による同時発射でシェルターを焼く」
博士「担当としては姫がオペレーター、私、助手、巫女、主任が塔に向かう係を担当するのが最良だと思われる」
姫「まあわたくしは憲兵相手には顔が割れていますでしょうからね……」シュン
巫女「主任とは最近連絡が取れないがどうするのじゃ?」
博士「うむ……それが気がかりだな。研究所の方に連絡してみるか……?」スイマセーン
助手「郵便でしょうか?はい!今出ます!」タッタッタッ
博士「郵便……?私に郵便とは珍しい事もあるものだな」
巫女「周りとの関係が希薄じゃからな」トットッ
助手「手紙みたいですね、差出人は……主任さんみたいですが」
博士「主任から手紙だと?クソッ、嫌な予感しかせんな……」ビリビリ
博士「……最悪だ」
巫女「なんじゃ?どうした?」
姫「まさか……」
博士「主任が、憲兵に捕まった」
巫女「本当に最悪じゃな……何をやらかしたあいつは」
姫「いえ……恐らく、私を逃がしたのがまずかったのでしょう」
博士「……やはりか」
巫女「姫様を逃がしたのが主任じゃった、ということか」
博士「そうではないかと思っていたからな、問題はない。作戦に少しの手間をかけるだけだ」
姫「す、すいません……隠すつもりはなかったのですが言い出せなくて……」
巫女「謝るでない、主任が判断した事だ」
博士「しかしまずいな、人出が足りん。当初は姫がいる事も計算していなかったから最悪通話機を使用せずオペレーターとして誰かを置かないのも前提だったとはいえ」
助手「……博士」
博士「ん?」
助手「そのもう一人、アテがあるのですが」
博士「信用できるか?」
助手「俺の友人です」
博士「……ふふ、なら大丈夫だ。そいつがOKだと言ったら連れてこい」
助手「分かりました。今から行ってまいります」タッタッ
博士「……ん?」
巫女「どうした?」
博士「いや、なんでもない」
とりあえず頑張って書いてみましたがここまでのようです。続きはまた後日に、うぐぐ
カンッカンッ
白髪「……そろそろ来る頃じゃないかなと思っていたよ」
助手「こうなる事も予想していたと?」
白髪「君が『博士』の『助手』であるなら間違いなく来るだろうと思っただけさ。タイムリミットも近いことだしね」
助手「タイムリミット?」
白髪「まあ彼女の事だ。これ以上先延ばしにすることはないだろうしそれは気にしなくていいと思うけどね」
助手「?」
白髪「それより博士の所に案内してくれるかな、僕も手伝うよ。此処に来たのはそういうことだろ?」
助手「はい、しかしいいのですか?」
白髪「んー、危ないとかそういう意味なら心配しなくても大丈夫だよ。それに友達が困ってたら助けるものさ」
少しだけ更新して出かけてきます。夜は帰れないと思うので明日以降になるかと
助手「……先ほどは何の気なしに手伝いを頼んでしまいましたが」コツコツ
白髪「うん」
助手「博士がやろうとしている事は反逆です、全員捕まったらタダでは済まないでしょう」
白髪「それでも、だよ」
白髪「僕はもう見ているだけ、現状を変えないということから逃げるべきじゃないんだと思ったんだ。それに今回は今までとは違う」
白髪「助手君と出会う事もできたしね」
助手「……そうですか」ポリポリ
白髪「心配しなくていいさ、憲兵なんて相手じゃない」
助手「実際そうかもしれませんね……着きました」
白髪「ここがそうだったのか、なるほど」
助手「では、博士の所に案内します」
白髪「ここが……」
助手「ええ、博士の研究所です」
白髪「なるほど、ここからなら確かにああいった事も可能か……」ボソッ
助手「どうかしましたか?」
白髪「ん、いやなんでも」
助手「博士」
博士「ああ、戻ってきたか」
姫「その方が……?」
白髪「っ!?」
助手「はい、最後の一人ですが……どうしたのですか?」
白髪「あ、ああ、なんでもないよ」
白髪「始めまして、助手君の友人の白髪です」
博士「ああ、よく来てくれたな。博士だ」
巫女「わしは巫女。博士の友人じゃよ」
姫「わたくし、この街の姫でございます。さる事情でこちらに厄介になっている身です」
姫「……うーん?」
巫女「どうしたのじゃ?」
姫「いえ、白髪さん、わたくしとどこかでお会いしたことは?」
白髪「……まさか、僕はただの学生さ」
姫「むむ、そうですか……」
博士「さて、早速説明と行きたいところだが主任をどうにか連れてくる算段をせねばなるまい」
巫女「はたしてどこに捕まっているのか……」
白髪「ああ、それなら簡単さ」
巫女「む?」
白髪「暴行だとか殺人だとか、そういう系統の犯罪を起こせば外周近くにある刑務所に送られるけど今回は違う。王宮の人間に手を出した以上は反逆罪に問われるだろうからね」
白髪「今回は王宮の人間に手を出した場合だから、王宮の地下にある独房に入れられているんじゃないかな」
博士「ふむ、ならば目指すは王宮の地下か。ならば話は早い」
博士「今から少し主任を迎えに行こうと思う、白髪と言ったな。ついてこい」スタスタ
白髪「え?あ、うん」
巫女「……迎えに行くとは今からか?」
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