【艦これ】提督「墓場島鎮守府?」如月「その2よ!」 (72)


前スレはこちら

提督「墓場島鎮守府?」
提督「墓場島鎮守府?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1476202236/)

時系列的にはここがこのスレ。

【艦これ】提督「鎮守府が罠だらけ?」【×影牢】
【艦これ】提督「鎮守府が罠だらけ?」【×影牢】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1467129172/)
【艦これ】提督「鎮守府が罠だらけ?」ニコ「その2だよ」【×影牢】
【艦これ】提督「鎮守府が罠だらけ?」ニコ「その2だよ」【×影牢】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1515056068/)

上記スレッドの番外編です。

・舞台になっている鎮守府、通称『墓場島鎮守府』の過去の話になります。
 提督の着任から、各艦娘がこの島へ着任するに至った経緯を書いていきます。

・艦娘の殆どが不幸な目に遭っておりますので、そういう話が嫌な方は閉じてください。

・影牢のキャラは出てきません。



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1529758293


舞台の「墓場島」について
 作中の表記は「××国××島」、通称「墓場島」。太平洋上にあるとある無人島、パラオ泊地が一番近いと思われる。
 島の北側には海底火山があり、潮流が強く流れが特殊なため、普通の船舶は近寄れない。
 そのためか深海棲艦も寄り付かず、轟沈した艦娘の亡骸がよく島の北東に流れ着いている。
 島の北部は火山活動によってできた岩場。西側は手つかずの林に包まれ、小さいながら切り立った崖がある。
 島の南から北東にかけては、なだらかな丘陵と砂浜が続いており、島の東側に鎮守府が建てられている。



艦娘以外の主要な登場人物

・提督
 階級は准尉。一般人には見ることすら出来ない妖精と話が出来たせいで
 親からも変人扱いされたため、人間嫌いをこじらせる。結構な不幸体質持ち。

・中佐(前スレ初登場時は少佐)
 戦争は金儲けの道具と考え、中将の威光を傘に暗躍。後に大佐にまで昇進する。
 妖精と会話できる提督の存在に危機感を覚え、離島の鎮守府に封じ込めた。

・中将
 中佐の父親。有能だったらしいが息子が絡むと駄目になるらしい。
 足を悪くしており、本営の自室でデスクワークが日常。



登場艦娘一覧


如月:試作の新兵器の実験台にされていたところを脱走し大破、島に漂着
不知火:もと少佐の部下。解体前提で如月捜索に駆り出されるが、提督の計らいで中将麾下に
朧、吹雪:捨て艦で轟沈後、島に流れ着く(二人とも別の鎮守府出身)
由良、電:大破進軍で轟沈し、島に流れ着く(同じ鎮守府出身)
神通:慕っていた司令官を謀殺され、その復讐の途中で左遷させられる
大淀:日々の解体任務に疑問を覚えて仕事が手につかなくなり異動してきた
敷波:由良と電の捜索を命じられそのままMIA
明石:提督に帳簿の不正を強いられ、そのまま首犯扱いで雷撃処分
朝潮、霞:提督の不正の内部告発を計画するも逆に犯人扱いされ雷撃処分
暁:信頼していた提督の変貌に錯乱して敵陣特攻し記憶喪失に
初春:捨て艦で轟沈後、暁に助けられ島に漂着
潮、長門:変態の上官に迫られ耐え切れなくなり家出、長門はその護衛
比叡:料理上手なのに認めてもらえずご飯を投げ捨てられて鬱に
古鷹:お人よし過ぎて自分の練度が上がらず観艦式において行かれる
朝雲:観艦式に向かう途中で艦隊を離脱して古鷹を追いかけてきた
利根:司令官の猟奇趣味に巻き込まれ死にかける
ル級:オリョールで毎日毎日潜水艦に小突かれる日々に嫌気がさし脱走
伊8:オリョールに行ったら逃げたル級の代わりの軽巡に轟沈させられる
大和:妖精が提督に内緒で大張り切りで大型建造したら作られた
初雪:艦娘管理ツール使いの提督に昼夜問わずこき使われ失神後漂着

注:ル級は島の北の離れ小島近辺に住んでいます。この鎮守府所属ではありません。


自分の覚え書きもかねてのテンプレ投下完了。

それでは、本編の続きです。


 * 鎮守府 艦娘寮 廊下 *

提督「……」

伊8「……」キョロキョロ

初雪「……」サッサッ(←『来てもOK』のハンドサイン)

提督「……」タタタッ

伊8「……」コソコソッ

初雪「ねえ、なんでこんなにコソコソするの」

提督「なんか、どいつもこいつも俺を探してたっぽいからな」

提督「捕まったら絶対ろくでもねえ目に遭って吹雪に謝るタイミングを逃しちまう」

提督「俺が今しなきゃいけねえのは、吹雪に頭を下げることだ。それ以外のことは後回しだ、後回し」

初雪「……そう」

提督「誰かに見つかる前に初雪を見つけられたのは幸運だ。助かったぜ」

初雪「ん……別にいいけど」サッサッ

提督「……」タタタッ


初雪「ここ。この部屋」ユビサシ

提督「……」

 コンコン

提督「……吹雪」

 シーン…

伊8「いないのかな……」

初雪「ううん、さっきまで部屋にいたし」

提督「ドアは開いてるな……吹雪。入るぞ?」

 シーン…

提督「……入るぞ」チャッ

(提督たちに背を向けて、部屋のベッドに横になっている吹雪)

提督「……」

吹雪「……」チラッ

提督「吹雪」

吹雪「……何をしに来たんですか」ジロリ

提督「謝りに来た。お前の話を聞こうとしなかった、その非礼を詫びたい」ペコリ


吹雪「……わかりません」ムクッ

吹雪「私には、司令官の考えが理解できません……!」

吹雪「あんなことを言えば、司令官は私たちがどう思うかわかってたんじゃないんですか!?」

吹雪「どうして、司令官は私たちを捨てて、ここを出て行こうとするんですか!」

提督「吹雪、それは違うぞ。俺が捨てたかったのはお前たちじゃない。俺自身だ」ヒザマズキ

吹雪初雪伊8「「!?」」

提督「俺はな。お前みたいに未来のことなんか、最初から考えてなかったんだよ」

吹雪「え……?」

提督「俺は、俺の身の回りの身勝手な人間に、ほとほと愛想が尽きてた」

提督「中佐みたいなくそ野郎の言われるがまま社会から追い出された時も、俺は奴を憎んだし……」

提督「大勢の艦娘が砂浜に流れ着いていたのを見た時や、島に如月が流れ着いてその境遇を知った時なんかは、俺はただただ悔しかった」

提督「艦娘が命を懸けて守ろうとしたのが、あのくそみたいな連中だと思うと……」

提督「俺がそいつらと同じ、人間だってことを思うと、腹立たしいやら嘆かわしいやら、気が狂いそうだった」

吹雪「……」


提督「俺はそいつらとは違うと思いたかった。そういう事実が恥ずかしくて、逃げたくてたまらなかった」

提督「だから、如月と不知火を助ける時も、最初は捨て身で刺し違えてもいいと思ってた」

提督「平気で誰かを陥れたりするような連中と、俺は違うってことを証明して、そのまま綺麗に終わらせたかったんだ」

吹雪「……それって、死にたかったってことですか」

提督「ああそうだ。殺されたかった、と言うべきか」

提督「身勝手な人間に振り回され、利用されるだけだったお前たちを助けたかったのは確かだ」

提督「俺がまさしくそうだったからな。だからこそ、俺の自己満足のためにお前たちを助けているような気がしてならなかった」

提督「これじゃあ俺が忌み嫌った連中と一緒だろ? 尚更、お前たちと一緒にいられねえ……そう、思わねえか」

吹雪「……如月ちゃんたちにあんなことを言ったのも、そういう考えがあったからですか」

提督「それもあるし、それよりも俺が自分の遺伝子を残したくないって思いもある。俺の親もくそムカつく存在だったからな……」

吹雪「……」

提督「以上が俺の本音だ。間違っても、俺はお前たちのことが嫌いなわけじゃない」

吹雪「……」

提督「とにかく、俺の言い草が吹雪を傷付けていたことに変わりはない。吹雪の望む通りの……」

吹雪「やっぱりバカですよ。司令官は大バカです」

提督「……!」


吹雪「この期に及んでなお自分を悪く言うんだから、本当に救いようがないです」スクッ

 ペシッ

吹雪「誰かを助けて、良かったと思うのが自己満足だったら、私たちはどうなるんですか」

吹雪「司令官と一緒に、海の平穏を取り戻すために戦ってる私たちの行いは、愚かだって言うんですか」

 ポコッ

吹雪「そんなの誰だって同じじゃないですか。誰だって幸せになりたいんです」ポコッ

提督「……」ポコッ

吹雪「私だって、自分の頑張りを認めて欲しいし、褒めてもらいたいし、可愛がってもらいたい!」

吹雪「みんなと一緒に、喜んで、笑いあいたいんです!」ポコポコ

吹雪「確かに、海に平和を取り戻すのが、私たちの本懐です。でも、そこはゴールじゃないんです!!」

吹雪「私は、平和になったあとの幸せな未来も、みんなと一緒に見たいんです!」

提督「……」

吹雪「誰かのために戦って、報われないことなんかたくさんあります。でも、そんなの、悲しいです。嫌じゃないですか!」グスッ

吹雪「誰かを幸せにしたいって思ってる人が、幸せになれない世界なんて、おかしいです!」

提督「……」


吹雪「勝手に、どこかへ行くだなんて言わないでください……!」

吹雪「艦娘のために……私たちのために手を尽くしてくれておいて、お礼も言う前に消えようだなんてしないでくださいよ!」

吹雪「もしそんなことをしたら、私、深海棲艦になって、司令官を捕まえに行きますからね!」ガシッ

提督「……そりゃあ、困ったな」

吹雪「そうですよ。悪い子になって、司令官をたくさん困らせちゃうんですから!」

吹雪「それが嫌だったら、もう二度とそういうことを言わないでください……! 約束です!!」

提督「そういう約束、守らないのが俺だってわかってんだろ」

吹雪「わかってます! わかってても、私は司令官に言いたいんです!!」

提督「……」ウツムキ

吹雪「……司令官?」

提督「参ったな。お前の顔がまともに見られねえ」

提督「まっすぐすぎて、俺には眩しすぎる」

吹雪「んなっ!?」カオマッカ


吹雪「こ、こ、こんな時にいったい何を言い出すんですか司令官!!」ポカポカポカポカ

提督「いや、しょうがねえよ。俺みたいなひねた人間と比べたら素直すぎてなあ。恥ずかしくて直視できねえや」

吹雪「しーーれーーーえーーーかーーーーん!?」ポカポカポカポカ

提督「悪かった。悪かったよ吹雪。心配してくれて、ありがとうな」ダキヨセ

吹雪「ううううう……」プルプルプル

初雪「……」

伊8「……一応、解決したの?」

初雪「……したみたい」

由良「そう。それなら良かったわ」

初雪&伊8「!?」クルッ

長門「話は全部、聞かせてもらったぞ!」

 ズラッ!

吹雪「ゆ、由良さんに長門さん!?」ギョッ

提督「お前ら……!」

古鷹「提督、そこまでご自身を責めていたなんて……!」

初春「馬鹿者じゃと思っておったが、よもやここまでとはのう……」ハァ


吹雪「え、ええええ!? な、なんでみんなここに!?」

提督「……おい待て長門。全部聞かせてもらったって、どういう意味だ」

由良「明石謹製の小型マイクを吹雪の部屋のドアに取り付けておいたのよ!」

長門「そしてそのレシーバーは私の手元と執務室に置いてある!」ドヤッ

吹雪「ちょっとおおおおお!?」

提督「盗聴かよ……最低だな」ドンビキ

朧「最低って、なにがですか」ズイ

提督「!?」アタマツカマレ

 ゴチン!!

吹雪「頭突き!?」

提督「~~~っ!!?」クラクラ

朧「っつ……て、提督の石頭……っ!」

提督「……ってえな、くそ……! なにしやがる、おぼ」

朧「提督。朧、言いましたよね? そういう冗談、キライだって」ジロッ

提督「冗談? 俺は」

朧「言いましたよね?」ズイッ

提督「俺はじょ」

朧「言いましたよね!?」ズズイッ

提督「……」


由良「はいはい、いつまで女の子の部屋に入ってるつもりなの?」ホッペグニッ

提督「んぎっ!?」グイーッ

由良「失礼なことをしてるんだから、早く部屋から出て。反省してください?」グイー

提督「……!」ギリギリギリ

吹雪「あ、し、しれいか……」

由良「後は任せて。失礼するわね!」ヒラヒラ

 バタン

吹雪「うう、あの会話、全部聞かれちゃったんだ……恥ずかしい」カオマッカ

伊8「……」

初雪「……ご愁傷様」

吹雪「引きこもりたい……」ベッドニモソモソ

伊8「吹雪ちゃん!?」

初雪「私みたいになってる……」


 * 一方 部屋の外 *

提督「……」ヒリヒリ

古鷹「もう! 提督はおひとりで背負い込みすぎなんです!」プンスカ

初春「何が滑稽かと言えばこの男、つい先日N中佐に『艦娘に腹の中を正直にぶちまけろ』とのたまったんじゃぞ?」

初春「わらわは最早呆れすぎて物も言えぬ。ほれ、潮も何か言うてやると良いぞ」

潮「え!?」

朧「うん。なにか、ガツンと言ってやってよ」

潮「えええ!? え、ええっと……こ、こ、この、クソ提督……っ!」

提督「……潮が言うと地味にショックだな」

神通(本当にそう思ってるんでしょうか)

提督「クソとか汚え言葉使うのは俺だけでたくさんなんだが」チラッ

神通(!?)

比叡「いやもう本当に勘弁してくださいよ、こういうの!」

電「暁ちゃんが本気で怒ってて怖いのです!!」

暁「……怒ってないわよ?」ゴゴゴゴゴゴ

電「怒気の炎がだだ漏れなのです!!」

比叡「こんな暁ちゃん初めてなんですよ!? やめてください本当に!」ブルブル

利根(この鎮守府のパワーバランスはいろいろとおかしいのう)


敷波「とにかく司令官さあ、私たちも司令官の本音を聞いて、思うところがいろいろあるんだよね」スッ

朝雲「そういうわけだから」スッ

 バゴゴッ

提督「いってえ!?」

敷波「痛くないようにお尻を蹴ったんじゃん。このくらい我慢してよ! ふん!」

朝雲「古鷹さんも大概だと思うけど、司令官も負けず劣らず自虐的よね。ほんとにもう!」

提督「だからって二人がかりで蹴るかよ……!」

長門「じゃあ、一人ならいいんだな?」

提督「!」

長門「フンッ!」ヒダリストレート

 バキッ!

提督「っ!」ドシャッ

長門「手加減はしたぞ。私はこれで手討ちにしよう」

提督「く……あ、ああ、そうかい、ありがとよ」


暁「……みんな、終わり?」

長門「あ、ああ。そうだな?」

暁「そう。なら、最後に暁ね」

長門「え」

比叡「あ」

暁「司令官。動かないでね」ハイライトオフ

提督「!!」

 ブンッ!!(暁の艤装にかかっていた錨を提督めがけて振り下ろし)

全員「「!?」」

 ビタッ!(提督の額の寸前で寸止め)

提督「……」

暁「暁も、これで手討ちにしてあげる」ハイライトオン

全員「「……」」

提督「……そうか」

暁「いーい、司令官? あんまりみんなに酷いことを言っちゃ駄目よ?」

提督「……ああ。善処する」


電(暁ちゃんがすっごい怖かったのです……!)ガタガタ

由良(この中で一番怖いんじゃないかしら……)アオザメ

利根(駆逐艦の迫力とは思えんな……)ヒキッ

長門(フフ、怖いな……)ナミダメ

暁「あ、そうだ。ねえねえ比叡さん、確か執務室に人を待たせてたんじゃ?」

比叡「そ、そうです! 司令、急いで執務室まで来てください!」グイッ

提督「つぅ……なにがあったんだ?」

長門「新しい戦艦の仲間だそうだ」

提督「戦艦?」




提督「……で、お前ら全員ついてくんのかよ」

長門「心配だからな。いろんな意味で」

由良「明石と、朝潮ちゃんと霞ちゃん以外はみんな集まるんじゃない?」

提督「その3人、なにかあったのか?」

電「霞ちゃんは、司令官を蹴り落としたことを気に病んでいるのです」

暁「明石さんたちが付き添って、見ててあげてるのよ」

提督「ああ……そういうことなら後で顔を見に行くか」

今回はここまで。

こちらも2スレ目になりました。
どうぞよろしくお願いいたします。


本編である程度説明あり:
  雲龍、龍驤、隼鷹、榛名、霧島、陸奥、伊勢、日向、扶桑、山城
  摩耶、那智、筑摩、最上、三隈、青葉、那珂、五十鈴、五月雨
説明らしい説明なし:
  金剛、武蔵、加古、鳥海、山雲、黒潮、白露、島風
実は前スレに登場してる:
  川内、若葉、千歳、足柄

登場していない艦娘はこんな感じですかねえ。

では続きです。


 * 執務室 *

優雅に紅茶を飲む金剛「……」

如月「……」

大和「……」

金剛「Uh-huh, 今日の紅茶は美味しく淹れられマシタ。お二人もいかがデスカー?」

大和「いえ、結構です……」

如月「如月も、遠慮させていただくわ……」

金剛「Oh, それは残念デス」

大淀「……」

不知火「……」

大淀「提督、早く来てくださらないでしょうか……」ソワソワ

不知火「マイクからの会話から察するに、もうすぐこちらに来そうな気配ではありますが」

大淀「待ってると長いですよね……」


不知火「……来ますね」

大淀「えっ」

如月「!」カッ

大和「!」カッ

 扉<コンコン

提督「入るぞ」チャッ

如月「司令官!」ガタッ

大和「提督!」ガタッ

大淀(本当に来ちゃった……みなさんなんでわかるんですか)

提督「あー……ここにいるってことは、お前らも聞いてたんだな? あの小っ恥ずかしい会話」

如月「聞いてたわ。どうしてそこまで思い悩んでることを話してくれなかったんですか!?」

大和「そうです! 大事なお話ではありませんか!」

提督「ああ……悪いな。話をしようがしまいが付き合い方が変わるわけじゃあねえし、意味ねえと思ってたんでな」


大和「悩みを共有することで得られる解決策だってあります! おひとりで決めつけないでください!」

如月「そうよ! 私たちは司令官の力になりたいんだから!」

提督「ああ、わかったよ。悪かった」

如月「本当にそう思ってます!?」ミギウデガシッ

提督「いやもう勘弁してくれよ。俺の私情で余計な心配させたかねえ」

大和「やっぱりわかってませんね!? 私たちは心配したいんです! すぐにお怪我の手当てを!」ヒダリウデガシッ

長門(相変わらず押しが強いなこの二人は)

提督「お前ら落ち着け。客の前だろうが」

比叡「そうですよ! いつまでお姉様を放っておく気ですか!」

提督「姉だと? 比叡の?」

金剛「Yes, I am !」ザッ

提督「!」


金剛「私は英国で生まれた帰国子女の金剛デース! I'm glad to see you !」

金剛「本日付でこちらの鎮守府に配属されマシタ! よろしくお願いしマース!」

提督「お、おう。よろしく……」

金剛「ところでテートク? 失礼ですが私も吹雪やみなさんとの会話、聞かせてもらいマシタ」

金剛「テートクのお考えは納得できないところもありマスし、みなさんのテートクに対する不満もわかりマスが……」

金剛「それでもこの仕打ちはあんまりデス! 右目の周りは蒼くなってるし、おでことほっぺも赤く腫れてマス!」

提督「まあ、自業自得だ」

金剛「Hm... All right, I understood. テートク? あなたには Love が足りていまセン」

提督「らぶ……?」

金剛「Yes. テートクには、自分の気持ちをちゃんと人に伝えようとする優しい heart が必要デス……!」スッ

提督「!?」カオヒキヨセラレ



 ズギュゥゥゥウゥン


不知火「」

大淀「!?」

比叡「!?」

如月「」

大和「」

提督「!?!?!?」




全員 ( ゚д゚)




全員 ( ゚д゚ )





金剛「Huh...」スッ

如月「」アゼン

大和「」ボーゼン

提督「んなっ……な……っ!?」セキメン

比叡「ちょっ、お、お、おね……っ!?」パニック

金剛「今の Kiss は挨拶デス。でも、ドキドキしたデショウ?」

提督「お、おま……」

金剛「Hm... その反応、テートクは女性との Communication が不足しているようデスネー」

金剛「私、決めマシタ! 私が、これからテートクに Love のなんたるかを lecture してあげマース!」

金剛「だからテートクゥ!? 私から目を逸らしちゃあ No!! なんだからネ!」

全員「「「」」」

提督「……おい比叡」

比叡「は、はひっ!?」

提督「金剛の説教、お前が俺の代わりに受けててくれ。俺は逃げる」スルリ

比叡「ええええ!?」

金剛「テートク!? Why did you run away !? Come back ! And stay here !!」

提督「俺は英語はわからん!!」ダッシュ!

比叡「司令、足はっや!?」

金剛「テーーートクーーーゥ!? Please come baaaaack !!」


長門「……」ポカーーン

朝雲「な、長門さん?」

長門「……はっ!? す、すまん、なんというか、驚きすぎて……」

古鷹「……そ、そうですね……」カオマッカ

由良「な、なんていうか、すごい人が来ちゃったわね、ね」ポ

初春「うむ……」ポ

敷波「すっごい自然にキスして……う、うわああ」セキメン

暁「あ、挨拶って言ってたけど……」セキメン

電「オトナの人の所作だったのです……」セキメン

如月「」マッシロ

大和「」マッシロ

朧「如月がまた白くなってる!」

潮「ふ、二人ともしっかりしてください!」

 ワーワーキャーキャー

神通「……」フイッ

利根「!」


 * その後 工廠 *

提督「ったく、なんなんだよいったい……くそ」

明石「……あ、噂をすればなんとやら」

朝潮「お疲れ様です、司令官!」ビシッ

提督「噂ってなんだよ」

明石「いいえ? 吹雪ちゃんを泣かせるなんて悪い人ね~って」

提督「言ってろ。ったく、悪趣味なもん作りやがって」

朝潮「それより司令官、そのお怪我の手当てを!」

提督「そいつは後でいい。それより霞だ、あいつ大丈夫なのか?」

朝潮「いえ、それが」チラッ

部屋の隅で体育座りしている霞「……」ズーン

朝潮「もうずっとこんな状態でして……」

提督「霞も真面目が過ぎんだよ。いつも俺にきつくあたるのも、そこから来てんだろうし……」

提督「その分、手前がミスすると必要以上に引きずるんだよなあ。俺みたいに適当に、ちゃらんぽらんにしてりゃいいのによ」

明石「うっわあ、今言っても説得力皆無ですね!」

提督「うるせえ」


朝潮「霞! 司令官が来てくださいましたよ!」

霞「……!」ビクッ

提督「……重症だな、こりゃ」

明石「ちゃーんと責任取ってくださいよ?」

提督「言われなくてもわかってるよ、んなことは」

明石(あ、これわかってないわ)

提督「なんだその顔は。まあいいや、おい、霞」

霞「……し、しれ……!」

提督「幽霊じゃねえんだから怯えんな。ちゃんと足ついてんだろ? 怒ってもいねえから安心しろ」ナデ

霞「しれ、かん……っ!!」ダキツキ

霞「良かっ……良かった……ああああ! ごめんにゃしゃい! ごめんなさいぃぃ……!!」ウワーン

提督「……ったく、自分に厳しすぎるのも考え物だよなあ。朝潮もそうだから心配になるぜ」ナデナデ

朝潮「そ、そうでしょうか!?」

提督「まあ、お前の場合は、何かあったらすぐ俺や明石に相談持ちかけるだろうから、霞ほど心配はないと思いたいがな」

明石「そうですね~、抱え込まれると心配よね」

提督「そういうこった。なんかあったらすぐ言えよ?」


朝潮「そ、それでは僭越ながら! 司令官の顔のお怪我の治療をさせていただきたいのですが!」

霞「顔……?」ミアゲ

霞「あ、あ……あんた、その顔いったいどうしたのよ!?」

提督「おお、戻った」

明石「良かったあ」

朝潮「これで安心ですね!」

霞「安心じゃないわよ!! なんなのよその怪我!!」ガーッ

提督「俺が不甲斐ないからって、お前が俺を蹴ったのと一緒だよ。朧に頭突き貰って、由良に頬をつねられて、長門にも一発貰って……」

霞「ちょっと何それ!? やりすぎじゃないの!?」

提督「別に構やしねえよ。明石にだってこの前一発貰ったしな」

朝潮「霞こそ、司令官を足蹴にしたではありませんか!」

霞「そ、それはそうだけど……」

提督「霞の場合は、怪我させる目的で蹴ったんじゃなくて、海に突き落として頭を冷やせしゃきっとしろー、ってやりたかったんだろ」

明石「あー、そういう……」

提督「俺が泳げねえこと知らなきゃあ、霞がやりそうなこった」


朝潮「とにかく、霞は司令官にちゃんと謝りなさい」

霞「そ、そのつもりよ……その、ごめんなさい」

提督「いや、俺に原因があったんだから気にするな。俺のほうこそ悪かったな」

霞「そ、それはもういいわよ……それより、その怪我!」

朝潮「ええ、早く治療しましょう! さあ、こちらへ!」グイッ

提督「痛って!」ビクッ

朝潮「!? も、申し訳ありません司令官!!」

霞「な、何!? どこが痛いの!?」

提督「尻だよ、しり。朝雲と敷波に思い切り蹴られたからな……くっそ、湿布でも貼っとくか」

朝潮「明石さん! 湿布は確かこちらにありましたよね!」ガサゴソ

明石「あるけど、人間用じゃなくて艦娘用よ? 提督が使ってるのは先週なくなったばかりだから、注文待ちなの」

霞「それでもなにもしないよりはましでしょ。ほら、あんたは早くお尻を出しなさい」

提督「……は!?」

霞「なにボケッとしてるのよ。脱がないと湿布が貼れないでしょ? 貼ってあげるからお尻を」

提督「そうじゃねえよ! なんでお前がやるんだよ!? 自分でできるぞそれくらい!?」


霞「はぁ!? 貼りづらいだろうから私がしてあげるって言ってるの! そのくらいさせなさいよ!」

提督「そうじゃなくて、恥ずかしいっつってんだろが! 朝潮、霞を何とかしろ!」

朝潮「朝潮は、司令官の湿布貼りをお手伝いすることをこれっぽっちも恥ずかしいとは思いません!」

提督「そういう意味じゃねえええ!」

朝潮「僭越ながら不肖朝潮、司令官の怪我の治療のお手伝いを希望させていただきます!」ビシッ

霞「ああもうじれったいわね! 早く脱ぎなさいよ!」ガシッ

提督「ちょっ、やめろ! ベルト外すんじゃねえ!!」

朝潮「司令官、遠慮なさらずに朝潮型にお任せください!」ガシッ

提督「明石! 二人を止めろ!!」

明石「えー、どうしよっかな~」

 扉<バーン!

吹雪「明石さん!!」

明石「吹雪ちゃん!?」


吹雪「明石さん、どうしてあんな隠しマイクを私の部屋のドアなんかに取り付けたんですか!」

明石「あー、あれはねえ……」チラッ

吹雪「そのせいで私はあんな恥ずか……?」チラッ


霞「とっとと脱ぎなさい!」グイグイ

提督「放せ! ずり落とすんじゃねえええ!」

朝潮「霞! 私が協力して下着を脱がせます!」

提督「やめろっつってんだろーーーがーーーー!」


吹雪「な、なにやってんのおおおおおお!?」キャーーー!?

明石(そう言いながら指と指の間からガッツリ見てるあたり、吹雪ちゃんもむっつりの気があるわね~)ニヤニヤ

初雪「……明石さんが悪い顔してる」タラリ

伊8「なにこのカオス」

 * 一方その頃 丘の上 *

神通「……」

利根「のう、神通よ。なにかあったのか」

神通「利根さん……」

利根「なにやら思い詰めた顔をしていた。吾輩で良ければ力になるぞ」

神通「……」

利根「この鎮守府の者たちにはいつも世話になっている。吾輩のことも迎え入れてくれたし……」

神通「……私は……」

利根「!」

神通「私には……好きな人がいました」

利根「……」

神通「その人は、もうこの世にはいません……」

利根「……!」

神通「わかっては、いるんです。この感情は、ただの嫉妬だってことを」

神通「私の事情は、本当なら、この鎮守府にいるみんなには、関係ないってことを」ポタッ

神通「……でも、どうしても、羨ましいと……思ってしまうんです」ポタッ


神通「私も、あのとき……あの人と、一緒に過ごしていた時に……」

神通「もっと、あの人に、この気持ちを、伝えていたら……!」ポロポロ…

利根「……」

神通「もっと、あの人に、好きですと、言うことができていたのなら……!」

神通「……こんなに、後悔……することも、なかったと、思うと……私……」

利根「……」

神通「誰かを好きになることを、やめてだなんて、私には、言えません……」

神通「でも、私は……う、うう……」

利根「そうか……気付いてやれず、すまんな、神通」

利根「誰かに気持ちをぶつけることもできず、つらかったろうに。吾輩で良ければ胸を貸そう」ギュ

神通「……うううっ……う、ああああ……!」グスッ

利根(いや、違うな。気付く気付かぬではなく、吾輩はそもそも本気で誰かを好きになるという経験自体しておらぬ)

利根(そんな吾輩がそのようなことを言うのは、間違っておるのだろうな……)

利根(すまん、神通……吾輩は、お前のそばにいてやることしか出来ぬ)


 * それからしばらくして 食堂 *

初春「む、遅かったのう? また包帯巻きの姿に戻ったか」

提督「まーな。おとなしくしてとっとと治すさ」

如月「司令官!? どこに行ってらしたんですか!?」

大和「お待ちしてたんですよ!?」

提督「蹴られた尻が痛くて座れねえから、湿布貼ってきたんだよ」

暁「利根さん、できたわよー」

利根「おお、かたじけない!」

提督「……? 利根、どうしたんだ? なんでおにぎりなんか持ってくんだ」

利根「うむ、少々やることがあってのう。外で夕餉を取りたくて、おにぎりを作ってもらったんじゃ」

提督「やること?」

利根「余計な詮索は無用! 神通も一緒である、危ないことはせんから安心せよ!」ニコッ

提督「あ、ああ、別に構わねえが……」

利根「うむ! ではの!」


提督「……おにぎりか。それなら立ったまま食べられそうだし、俺も作ってもらおうかねえ……」

如月大和「「任せてください!」」キラーン

提督「……いいけど、米粒潰すなよ」

初春「力いっぱい握って歯が立たぬほどの硬さになったら面白いがの?」ニヤリ

提督「そういう意味で言ったんだがな。あいつら、加減を忘れるときがあるし。ところで金剛はどこに行った」

初春「ああ、あやつなら厨房に……」

比叡「こ、金剛お姉様!? 油を入れるんですか!?」

金剛「Yes ! ここで追い Olive oil を足すのが cooking の新常識ネー!」

比叡「それは酢の物です金剛お姉様ーー!」ヒエエエエ!!

初春「……」

提督「……比叡に任せっか」

初春「なんじゃ、わらわも握り飯をこさえて外で食べたくなってきたのう……」トオイメ


提督「……おにぎりか。それなら立ったまま食べられそうだし、俺も作ってもらおうかねえ……」

如月大和「「任せてください!」」キラーン

提督「……いいけど、米粒潰すなよ」

初春「力いっぱい握って歯が立たぬほどの硬さになったら面白いがの?」ニヤリ

提督「そういう意味で言ったんだがな。あいつら、加減を忘れるときがあるし。ところで金剛はどこに行った」

初春「ああ、あやつなら厨房に……」

比叡「こ、金剛お姉様!? 油を入れるんですか!?」

金剛「Yes ! ここで追い Olive oil を足すのが cooking の新常識ネー!」

比叡「それは酢の物です金剛お姉様ーー!」ヒエエエエ!!

初春「……」

提督「……比叡に任せっか」

初春「なんじゃ、わらわも握り飯をこさえて外で食べたくなってきたのう……」トオイメ


大淀「あの、提督すみません」

提督「どうした?」

大淀「実は、本日付で着任する艦娘が、金剛さんのほかにももう一人いたんです」

大淀「手違いというか、問題があって連れてこられなかったと言う話がありまして……」

提督「問題?」

大淀「はい。手ひどく暴れたと」

提督「……反抗的なのか」

大淀「話を聞く限りはそのようです。それでなんですが、この鎮守府の建物の一番奥にある牢屋、使ったことありますか?」

提督「使えってか? 何したんだそいつは」

大淀「……それが……」

 * * *

 * *

 *

今回はここまで。
新たに金剛着任ですが、彼女が来た理由は後ほど。


>39 と >40 が二重書き込みになってしまったので、
一方は無視してください。

次からシリアス色が濃くなります、ご容赦ください。

それでは続きです。


 * 翌朝 鎮守府埠頭 *

神通「……あの、利根さん。昨晩はありがとうございました」

利根「おお、神通! もう大丈夫か?」

神通「はい、おかげさまで」

利根「うむ、それならば何よりじゃ。むしろ吾輩のほうこそ無知ゆえの浅慮であった。申し訳ない」ペコリ

神通「そ、そんなことは! 私こそ、私のために夕餉まで持ってきていただいて……」

利根「否、神通を泣かせたのは吾輩だぞ。当然のことをしたまで、礼を言われても困る」

神通「利根さん……」

利根「おぬしのように気遣いできる者ほど、自分の中に悩みを閉じ込める傾向があることは、あの男を見ててよくわかった」

利根「気軽に胸中を打ち明けられる姉妹がおらんのも、また不幸である」

利根「そこでじゃ。乗りかかった船というわけではないが、また何かあったら吾輩を頼って欲しい」

神通「……!」

利根「まあ、おぬしほど艦娘としての人生経験もなければ、倫理観……というのか? 吾輩のそれも怪しいのかもしれんが……」

利根「おぬしの抱えているものが、誰彼かまわず話せるようなものではないことくらいは理解しておる」

利根「一人で思いを溜め込まず発散する相手がいても良かろう。あれじゃ、『王様の耳はカバの耳』というやつじゃな」

神通「利根さん、カバじゃないです。ロバです、ロバ」クスッ

利根「む、むうう……と、とにかく、おぬしにも言いたいことはたくさんあろう!」


利根「そういうわけじゃから、今後は遠慮せず吾輩を訪ねよ。これでも吾輩は『お姉さん』なのだからな!」

神通「……ありがとう、ございます」ニコ…

利根「うむ!」ニッ

利根「しかし……練度に限って言えば神通が図抜けておる。みなが訓練についてこられない旨の愚痴ばかりは如何ともし難いな」

神通「はい。ただ、特訓するにしても、やはり資材不足が深刻ですので」

利根「ゆえに無理も禁物と。ふーむ、都合よく資材が流れてはこないものか……ん?」

神通「どうしました?」

利根「あれを見よ。あの船、こちらに向かってきてはおらんか?」

神通「はい。海軍の船のようですね」

利根「……今日は定期便が来る予定はなかったな?」

神通「……はい」

利根「……」

神通「……!」

提督「よう」

神通「おはようございます、提督」


利根「おお、提督か、丁度良い。あれが見えるか? こちらに海軍の船が近づいてきておるようなのだ」

神通「提督は、あの船について心当たりはありませんか」

提督「あー……ありゃあ、昨日金剛と一緒に来る予定だった奴が乗せられてんだな」

利根「……」

神通「……」

提督「憲兵の制止を振り切って、この島への定期便から脱走を企てたんだとよ」

提督「10人がかりで取り押さえて、やっとこさ捕まえてきたらしいぜ。こりゃあ骨が折れる」

神通「……」

利根「……そやつは何をしたんじゃ」

提督「仲間を撃って沈めたんだと。真偽のほどはわかったもんじゃねえが」

神通&利根「!」

提督「そういう奴なんで、できれば神通の手を借りたかったんだが、頼めるか?」

神通「……わかりました」

利根「吾輩も付き合おう。手伝えることがあればの話だが」

提督「ああ、助かる。悪いな」


 * 十数分後 *

 ギャーギャー

憲兵A「きりきり歩け! こっちにこい!」

憲兵B「くっ……この、抵抗するな!!」

 バキッ

 ドサッ

利根「お、おい! やりすぎではないのか!」

憲兵C「やりすぎなものか! こいつは俺たちに砲撃したんだぞ!」

利根「そ、そうは言ってもだな! 提督よ、おぬしも何とか言わぬか!」

提督「無理だな。仲間殺しが事実であろうとなかろうと、今、俺がこいつを庇う義理も理由もねえ」

利根「そ、そうかもしれんが……!」

提督「だから話を聞かせてもらう。こいつの口枷、外してもらおうか」

憲兵?「それはできん。牢屋が先だ」ヌッ

提督「!」


憲兵?→隊長「申し遅れた、私は憲兵隊隊長。貴様が提督か」ケイレイ

提督「提督准尉。この島の鎮守府の責任者だ」ケイレイ

隊長「辞令が出ている。この艦娘の身柄は、本日より××島鎮守府へ配属となった」

隊長「この艦娘の口を塞いだのは自衛のため。野良犬のように我々に噛み付いてくるためだ。ご理解願いたい」

神通「噛み付く……彼女が?」

利根「馬鹿な!?」

隊長「事実だ。安全のため、檻に入れて運ぶことも考えたほどだ」

提督「……何者なんだ、こいつは」

隊長「白露型駆逐艦、五月雨。P少将鎮守府の最古参、P少将の初期艦だ」

神通&利根「……!」

提督「……利根。お前は明石を呼んでこい。神通は俺たちと一緒に牢へ行く」

殴打され気絶している五月雨「……」


 * 鎮守府内 牢屋 *

大淀「提督、こちらへ」

提督「……綺麗にしてくれたんだな。ありがとよ」

大淀「はい」

提督「使う必要はねえと思ってたんだが、わかんねえもんだな」

隊長「ここか。よし、こちらに運べ」

憲兵たち「はっ!」

 (気を失った五月雨が、憲兵たちによって牢屋の中に運び込まれる)

隊長「提督、貴様にこれを渡しておく」

提督「これは?」

隊長「手錠の鍵だ。それ以外の拘束は取り外す。口枷も外そう」

隊長「その最後の手錠は、貴様の判断によって外してもらいたい」

提督「責任を取れってことか」

隊長「いかにも」


 牢屋の扉<ガシャン

憲兵A「拘束、解除しました!」ビシッ

憲兵B「扉の施錠、問題ありません!」ビシッ

隊長「よし。駆逐艦五月雨の移送完了を確認。我々の任務は提督准尉への説明を以て完了とする、各員帰投準備」

憲兵たち「はっ!」

神通「……提督、五月雨さんは……」

明石「提督!」

利根「提督、連れてきたぞ!」

提督「おう、ご苦労さん」

明石「! 五月雨ちゃん……! ちょっと、憲兵だからってここまでしていいと思ってるの!?」

大淀「あ、明石!」

隊長「ここまでせざるを得なかった。その怪我は彼女自身に起因する」

明石「あんた……!」

提督「よせ明石。それより、五月雨をうちに連れてきた経緯を聞きたい。それも任務のうちだろ?」

隊長「いかにも」


 * *

隊長「2週間前、P少将の艦隊が**諸島の海域を突破した。これは海軍でもまだ数名しか達成されていない快挙だ」

隊長「しかしその帰路に、未確認の深海棲艦と遭遇。P少将の艦隊は壊滅した」

大淀「壊滅……!」

隊長「海軍はこの個体と、過去数回出現していた謎の個体を照合。これを戦艦レ級と認定した」

隊長「そのレ級の個体情報を持ち帰ったのが、そこにいる五月雨だ」

明石「そ、それじゃ、彼女が咎められる理由はないじゃないですか!」

隊長「……P少将から報告を受けた。『五月雨は、レ級から逃げるために随伴艦を砲撃し逃亡した』と」

艦娘たち「「!!」」

提督「なるほど。誤射かどうかは別として、味方に被害を与えて逃げた、と」

隊長「P少将は五月雨を艦隊から解任し、鎮守府から追放。この島の噂を聞いていたP少将は、この鎮守府への異動を命じた」

隊長「以上が、私がP少将から受けた報告である」

利根「……」

明石「……」

 「……そ、です」

提督「!」


五月雨「そんなの、うそです!!」ヨロッ

隊長「私もP少将とは決して短くはない付き合いだ。だが、この報告を受けた時の鬼の形相は見たことがない」

五月雨「私はそんなこと、してません! 私はみんなを撃ってなんかいません!!」ガシャン

五月雨「お願いです! ここから出して! 私は、みんなの敵を討ちにいかなきゃいけないんです!!」ガシャガシャッ

五月雨「こんなところに閉じ込められてる場合じゃないんです!」ガンガンッ

隊長「辞令は発令された。異議申し立てがあるならば、提督准尉を通じて申告せよ」

五月雨「そんなの……そんなのってないです!」ポロッ

五月雨「どうして!? どうして誰も信じてくれないんですか……!」ポロポロポロ

五月雨「おかしいと思わないんですか!? 隊長さん!!」ガン! ガンッ!

五月雨「どうして……!」ヘタッ

隊長「……」

提督「……」

隊長「提督准尉。煙草が吸いたい」

提督「あ?」

隊長「喫煙所まで案内を願いたい」

提督「ねえよそんなもん。外に行け」

隊長「そうか。ではご一緒願おう」

提督「……あ?」

隊長「私は付き合えと言っている」ジロリ

提督「……面倒くせえ……」

短いですが今回はここまで。

白露型には猛犬がたくさんいますので、その片鱗を見せたのかと。

では続きです。


 * 丘の上に通じる非常口 *

 シュボッ

隊長「……」フー…

提督「……で? ただ煙草吸いに来たわけじゃねえんだろ」

隊長「そうだ。提督准尉、まずはこれに目を通してもらいたい」スッ

提督「……これは?」ガサッ

隊長「轟沈したP少将の艦隊の詳細。こちらは戦艦レ級に関する資料と、その交戦記録だ」

提督「……」ペラッ

隊長「……」ハイザラトリダシ

提督「へえ……すげえな。うちの艦隊とは大違いだ。こいつらが沈んだってか」

隊長「……」

提督「なるほど。ふざけた性能してやがんな、このレ級ってのは」ペラッ

隊長「貴様の艦隊で相手取ることはできるか」

提督「無理だな。逃げる一択だ」

隊長「……よし。目を通したならば、今度はこれを読んでもらいたい」ゴソ

提督「ん?」

隊長「P少将から君宛の手紙だ」スッ


提督「……おい、封が開いてんぞ」

隊長「私が先に目を通させてもらった。これも仕事なのでな」

提督「ち……」ガサガサ ペラリ

提督「……」

隊長「……」スパ…

提督「……」

隊長「……」フー…

提督「……おい」

隊長「……」

提督「あんたがこれを読んだのは、いつだ?」

提督「少なくとも、さっき五月雨の前で話をした時より前だよな?」

隊長「この島への航路上で読ませてもらった」

提督「あんたのさっきの報告と書いてる内容が全然違うんだが、どういうことだ?」

提督「五月雨は仲間を撃っちゃいない。それどころか、その仲間は五月雨を庇って沈んだと書いてある」

提督「レ級の情報を鎮守府に持ち帰らせるため、中破してはいるものの、それでも最も速力のある五月雨を戻らせたと」

隊長「私は、P少将からの報告をそのまま話しただけだ。そこに脚色や私意はない」


提督「……P少将の建前をそのまま話したってか?」

隊長「いかにも」

提督「五月雨を預かれっつうんなら最初からそう言えって話だろが。くそ回りくどい真似しやがって」

隊長「……」

提督「それで手前は航空機に爆弾積んで特攻するってか。こんなもん成功すんのかよ」

隊長「……失敗したよ」ハイザラシマイ

提督「! そこまで知ってたのか……!?」

隊長「4日前、P少将は、その航空機に乗り込もうとしたところを特別警察隊に射殺された」

提督「しゃ……!?」

隊長「軍上層部はクーデターを警戒していた。地位ある人間が、航空機と爆薬を秘密裏に集めていたとなれば、不信を買うのも道理」

隊長「それに、ある鎮守府で、艦娘を洗脳して人間を襲わせる計画もあったと聞く。それ以来、軍はこういう動きに過敏になっている」

隊長「P少将の特攻が、海軍に向けてのものだと判断したのだろう。特警の行為は、正当な粛清と見なされた」

提督「……ちっ!」

隊長「それから、P少将の死は、五月雨にはまだ知らせていない」

提督「……」

隊長「五月雨は、鎮守府に戻った後、頻りに出撃したいと言い出していた。おそらくは仲間の敵を取りたいのだろう」

隊長「P少将と私は、短い付き合いではない。彼は私の家族……妻と娘の顔もよく知っている」


隊長「彼も結婚こそしていなかったが、五月雨をはじめとした艦娘たちに向ける眼差しは、実の娘を見る目と同じ優しいものだった」

隊長「その彼が、最も信頼していた第一艦隊の、五月雨を除く5人を一度に失ったのだ」

隊長「そこへ更に五月雨が突撃したがっている。勝てる見込みもないのにだ」

隊長「P少将はそれを何度となく制止したが、五月雨はそれに納得せず抗議し続けた」

隊長「聞き分けのない五月雨に、彼はこれ以上なく激昂したと聞く」

提督「……おとなしくお留守番しとけ、ってことか」

隊長「この手紙を彼から受け取ったとき、彼の呟きが聞こえた。これ以上、娘を先に死なせるわけにはいかんのだ、と」

隊長「そしてその内容を読んで、すべてが腑に落ちた。彼は自分から遠ざけるため、五月雨をここへ閉じ込めるつもりだったのだ」

提督「……」

隊長「私は、彼の特攻を見過ごすつもりはなかった」

隊長「しかし、それをこんな形で……彼を殺す形で阻止することも、私は望んでいなかった」

隊長「提督准尉。機を見て、五月雨に彼の遺志を伝えて欲しい。少将もまた、五月雨と同じ思いを抱いていたことを」

提督「……だから、奴の嘘の報告をそのまま伝えたのか」

隊長「いかにも。それが、彼の……父親の願いだろう」

提督「……」

隊長「少将も、いくら父娘だからと言って、そんなところまで似て欲しいとは思ってもいなかったろうにな……」

提督「……」


 * 牢屋前 *

明石「五月雨ちゃん、大丈夫?」

五月雨「ぐすっ……は、はい。少しは、落ち着きました」

明石「鉄格子越しで悪いけど、とりあえず応急処置はできたわ。しばらく安静にしてて」

五月雨「ありがとうございます……」

提督「……落ち着いたみたいだな」

大淀「提督! 憲兵のみなさんはどうなさったんですか」

提督「帰った」

明石「帰った!?」

五月雨「そんな!!」

提督「まあ、それでだ。五月雨、お前、これからどうしたい」

五月雨「!」

提督「俺は自殺の手伝い以外なら、できる限りのことを……」

五月雨「准尉さん! 私を艦隊に加えてください!! 私、すぐにレ級を討伐しに行きます!!」バッ

五月雨「私は、あのレ級に沈められたみんなの敵を取りたいんです! お願いします!!」ガバッ

提督「……」


明石「提督、手伝ってもらえませんか? このままじゃ、彼女が可哀想です」

明石「P少将がどんな方なのかはわかりませんが、無実の罪を着せられて、ずっと檻の中というのはあまりにも……!」

提督「……」

神通「……」

利根「……」

提督「そうか」ハァ…

大淀「!」

明石「そ、それじゃあ!」

提督「俺の答えはこれだ」ポイッ

 チャリンッ

明石「これは! 手錠の鍵です……ね……!?」

 手錠の鍵<グニャァ

明石「……」

五月雨「……え」

神通「……」


利根「……これは貴様がやったのか」

提督「ああ」

明石「どういうことですか!」

提督「どうもこうもねえよ。付き合ってられっか」

五月雨「!?」

提督「さっき、憲兵の隊長にP少将の艦隊とレ級の資料を見せて貰った」

提督「P少将の艦隊の練度はかなり高い。いくら疲弊していたとはいえ、そう易々と全滅するような連中じゃねえ」

提督「その中でも五月雨は、残念だが一番練度が低い。仮に単騎でぶつかったとして、勝てる見込みはあんのかよ」

五月雨「それは!」

提督「根拠もねえのに根性論で『勝ちます』なんて言うんじゃねえぞ」

五月雨「っ!」

提督「『一矢報いたい』ってのもなしだ。最低でも沈めろ。沈めなきゃ仇討ちとは言わねえぞ」

五月雨「で、でも!」

提督「言ったよなぁ? 俺は自殺の手伝いはしねえ、って」

提督「うちの艦隊に入ってレ級退治だ? お前はこの鎮守府の何を知ってる!」

提督「この鎮守府の戦力ってものを、理解して喋ってるか!? わかりもしねえのに手前勝手な夢見てんじゃねえぞ、くそが!」ガンッ


五月雨「……そ、そんな言い方って!」

提督「関係ねえよ。大淀、仕事に戻るぞ、時間の無駄だ」

大淀「え!? は、はい!」

五月雨「ま、待ってください!」

提督「俺は結論を出した。この結論は何があっても覆す気はねえ」

提督「お前より練度が高い艦娘なんか、この鎮守府には指折り数えて片手で済む程度しかいねえんだ」

提督「どうしてもってんなら、うちの鎮守府の連中集めて説得しな。倒せそうな人数を集められたんなら、全員まとめて見捨ててやる……!」

五月雨「そんな! 准尉さん!!」

明石「……」ギリッ

神通「明石さん」

明石「わかってる。わかってます」

神通「提督の仰ることはごもっともです。五月雨さんの練度からして、並の練度では彼女の本懐は達せられないでしょう」

明石「それでも、何もしないわけには、いかないでしょ……!」

利根「ならば悪いが、吾輩は力になれぬな。皆と比較すれば、目に見えて力が劣っているのは自覚しておる」

明石「利根さんは……仕方ないですよ」


利根「大和もそうであろう。資材不足で演習もままならぬ。実力不足が随伴しては、足を引っ張ってしまうからの」

神通「……はい」コク

五月雨「や、大和さんがいるんですか!?」

利根「うむ。少々、性格に多少問題があるがの……」

五月雨「そ、そうなんですか?」

明石「ほかに練度が高い人たちとなると……」




 * 廊下 *

提督「ったく……身の程知らずが」

大淀「提督、今更ですが、もう少し言い方を考えてはどうかと」

提督「あそこまで強情な奴をへこますには、ああいう言い方しかねえだろ。本当に今更だ」

提督「それより、長門と不知火を呼んでくれるか」

大淀「は、はい」

提督「お前もこれに目を通しておけ。五月雨を襲ったレ級ってのがどんなやつか、知らねえことには話にならねえ」

提督「はっきり言ってタチが悪ぃぞ。五月雨がこれを見てもやり返したいとか言うんなら、こっちも考える必要がある」

今回はここまで。


しばらくはこんな感じのシリアス展開になります。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2018年07月06日 (金) 00:19:47   ID: T9H9YDlo

続き楽しみにしてます

2 :  SS好きの774さん   2018年07月12日 (木) 17:43:16   ID: 5fgsbSrE

続きだーーー

3 :  SS好きの774さん   2018年07月15日 (日) 02:18:37   ID: _9VHlG5W

イェーイ

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