【艦これ】提督「鎮守府が罠だらけ?」【×影牢】 (1000)


・初投下

・キャラ崩壊注意

・提督も艦娘は殆どが不幸属性持ち

・ブラゲ影牢サービス休止にむしゃくしゃして書いたらくっそ長くなった


よろしくおねがいします。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1467129172

 * 太平洋上某所 小型輸送艇内 *

提督「どういうことだ龍驤?」

通信『そのまんまの意味や。鎮守府本館に入った艦娘が次々と怪我をして出てきよってん』

通信『艦載機飛ばして中を探ってみても、いきなり視界が真っ暗になったりしてて様子もわからんし』

通信『聞けば鎮守府の中が罠だらけで、執務室とか入れへんのや。棟続きの食堂あたりも怪しいで』

通信『渡り廊下でちょっち離れてる工廠は幸いにも無事やけど、時間の問題ちゃうかな』

提督「鎮守府乗っ取りかよ……最悪の事態じゃねえか」

提督「本営のカスどもがくだらない用事で俺を呼び出したりしなきゃこんなことにはならなかったのに……くそが」

通信『あー、一概にそうとも言えへんで?』

提督「あ? 俺じゃ頼りにならねえってのか」

通信『せやな。多分、今回はきみの手にも負えん相手ちゃうかな』

通信『きみ、ぽるたーがいすと、って知ってるん?』

提督「ポルターガイスト? 勝手にものが飛んだり、何もないところから破裂音がしたりっていう、怪談話のあれか?」

通信『せや。最初はそれが鎮守府を乗っ取った犯人やーて話やってん』

提督「……冗談だろ」

通信『まあともかく、すでに被害者も出てるんや。会うて話を聞いたほうがええよ』

提督「誰だよその被害者ってのは」

通信『いっちゃん酷いんは金剛姉妹やな、あと長門とか陸奥とか……みんな入渠待ちや』

提督「はぁあ!? 金剛姉妹が!?」

提督「……わかった。修復材使え、事後報告でいい。俺も0925あたりに着くから、入渠ドック前に対策本部設置して待機、いいな?」


不知火「司令官、今の電話は」

提督「鎮守府に侵入者だ。かなりやばいらしい」

不知火「……到着を急がせます」

提督「頼む」


提督(わけがわからねえ)

提督(俺の鎮守府は周囲を海に囲まれた孤島にある)

提督(確かに警備は手薄だが、それは俺の鎮守府がさほど重要な拠点ではないからでもあるし)

提督(島の周囲の潮流も特殊で、この島に近づくのもそれなりに苦労するはず)

提督(そのせいで施設も資材も物足りない貧乏鎮守府を占拠する理由はなんだ?)

 * 鎮守府 埠頭 *

龍驤「提督、着いたんやな!」

提督「けがをした連中はどうした!」

龍驤「全員入渠したったで! それよりこっちや、本館に迂闊に近づけへんから迂回せんとな」

提督「ああ……くそ、いったいどうなってやがる」

龍驤「最初はほんまにただの幽霊騒ぎやったんやけどな」


 * 0900 鎮守府 1F *

五月雨「ほ、ほんとうです! 本当に見たんです!」グッショリ

朝潮「見間違いではないのですね?」

五月雨「は、はい! 本当に、火の玉が飛んで行ったんです!」

霞「火の玉を見たから水をかぶったって、言い訳にしてもどうなのよ」

五月雨「いえ、火の玉に向かって水をかけたんです!」

朝雲「よほど動転してたのね……着替えを持ってこないと」

五月雨「本当なんですってば……あ、あ、あれ! 見てください!」

敷波「こ、こっちくんなよぉぉ!」

火の玉「」コオオオオ

五月雨「し、敷波さんよけて! バケツの水です! えーいっ!」ザバーッ

敷波「うわっと!?」

火の玉「」ジュッ

霞「ほ、本当に火の玉だったわね……信じたくないけど」

朝潮「敷波さんもご無事でなによりです!」

敷波「うん、あたしにバケツが飛んでこなきゃ、もっと良かったんだけどね」バケツカブリビッショリ

五月雨「あわわ、ご、ごめんなさい!」

山雲「みんな~、無事~?」

潮「ここは危ないから、早く建物から出ましょう!」

朝雲「え? そっちでも何かあっ」

 ヒュッ

霞「危ない!?」バッ

朝雲「きゃっ!?」

壁]←矢< ザクッ

全員「……」

敷波「ちょっと、火の玉どころの騒ぎじゃないじゃん……!」

山雲「朝雲姉、大丈夫~?」

朝雲「え、ええ……」

山雲「霞ちゃん、ありがとうね~」

霞「あ、うん……」

五月雨(山雲ちゃんの安心感すごい)

 グラッ グラグラグラ

五月雨「こ、今度はなにー!?」

朝雲「ゆ、揺れてる!?」

朝潮「みなさん落ち着いて! 頭を艤装で保護して、出口へ早く!」

潮「そ、そ、そうですっ! おおお落ち着いて! あわわわわ」ブルブルブル

山雲「慌てちゃ~駄目よ~?」

五月雨(山雲ちゃんの説得力すごい)

霞(揺れるところがないと落ち着いていられるのかしら……)

山雲「」クルッ

霞(こっち見た!?)

山雲「」ニコー

霞「」

 * * *

龍驤「てな感じで、怪我人こそ出んかったものの全員建物から追い出されてなぁ」

龍驤「外へ出てから点呼も取ったんや、そしたら全員おる。やのに、建物に入ろうとするとなにかしら罠が発動する」

龍驤「あきらかに部外者がおるっちゅーことやんな?」

提督「妖精たちはどうしてる」

龍驤「そっちも点呼とってるけど全員無事、怪我もなしや」

龍驤「せやけど、敵さんがいきなり現れた、いうて怯えてるなぁ」

提督「……くそが」

 * 入渠ドック前 *

武蔵「戻って来たか!」

提督「武蔵! 状況は!」

武蔵「戦艦中心で捜索を行ったせいで、戦艦の被害が大きいな。金剛、榛名、長門、陸奥、日向が大破、比叡が中破、大和と私、扶桑、伊勢が小破だ」

武蔵「巡洋艦は利根、由良、大淀が中破、最上、神通が損傷軽微。駆逐艦は白露と島風が中破。五月雨も出撃しているが、報告にとんぼ返りで無傷だな」

武蔵「それより、敵方の意図も気になる。姿は見せない要求も出さない、何のためにこの建物を占拠したのかが依然不明だ」

武蔵「コンタクトを取ろうにもなしのつぶてではな……」

大和「提督! お戻りになられましたか!」

金剛「テートク! テートクゥゥゥ!」ダキツキッ

提督「おわっ! ったく、お前は相変わらずだな。比叡たちは?」

比叡「はいっ、無事です! 痛かったですけど」

霧島「し、司令……その、申し訳ありません」

榛名「ご迷惑をおかけしてしまいました……」シュン

提督「俺の不在の隙をついてきたんだ、そういうセリフはなしだ。とりあえず資材倉庫と入渠ドックは無事なんだな?」

比叡「はい、今のところは」

提督「で、鎮守府の中枢……執務室やら会議室やらがある本館に侵入者ありと思われる、か」

霧島「はい。司令がお戻りになる前に何者なのか手がかりだけでも、と思ったんですが」

提督「そこで返り討ちにあったと」

金剛「Sorry、私たちも慢心していたネ」スリスリ

提督「それを言うなら俺もこんなことが起こると思わなかったからな。監督不行き届きってやつだ」ナデナデ

提督「本館内に深海棲艦の反応は?」

榛名「それがどこにもないんです」

比叡「たまに鎮守府近海に紛れ込んでくるイ級とかはちゃんと感知できるんですよ」

提督「深海棲艦じゃない? とりあえず、何があったか説明してくれ」

大和「はい。0920、大和、武蔵、金剛、比叡、榛名、霧島の6名が、鎮守府本館正面より奪還を試みました……」

 * 回想 鎮守府 正面ホール *

金剛「……hm、誰もいない鎮守府というのは、なんとも不気味ですネ」

比叡「この建物も古いですから、余計にそう感じますね」

武蔵「しかし、本当に人の気配を感じないな。電探にも反応なしだ」

大和「複縦陣で進みましょう、先頭は私と武蔵、中衛は金剛さんと霧島さん、後衛は榛名さんと比叡さんでお願いします」

霧島「わかりました」

榛名「後ろはお任せください!」


大和「……こちらも異常なし、ですね」

武蔵「だな。このまま二階へ……ん?」

 ゴゴゴゴ

霧島「な、何の音ですか?」

 ゴロゴロゴロゴロ

金剛「! Look it!」

榛名「正面の階段から……!」

メガロック <ゴロゴロゴロゴロッ

比叡「なんですかあのでっかい岩!?」

大和「こちらに向かって転がってくる!?」

霧島「このままでは全員押し潰されます!」

武蔵「……全員下がれ! 私が受け止める!」

大和「正気ですか!?」

武蔵「わかりやすい罠だ! 下がったところを待ち伏せている奴がいるかもしれん!」

武蔵「退路確保! 後方警戒しつつ緩やかに後退! ここは任せろ!」

比叡「む、無茶ですよ!?」

武蔵「フ、やってみせるさ!」

メガロック <ゴロゴロゴロゴロ……!

武蔵「来たな……ふんっ!!」ガシィィィッ!

メガロック <ズゥゥゥンン……!

榛名「止めた!? けど、勢いが止まらない……!」

大和「手伝うわ!」ガシッ

武蔵「この……武蔵を、なめるなぁぁぁ!!」グオォォッ

メガロック <ズズズズ……!

霧島「わ、私も加勢します!」ググッ

メガロック <ズズ……!

比叡「と、止まった……!」

??? <ギラリ

榛名「!? ひ、比叡お姉さまっ! 後ろっ!」ダンッ

比叡「!?」

ギルティランス <ザシャアッ!!

榛名「きゃああああ!」ドスドスドスッ

比叡「くうっ!?」ザスザスッ

金剛「ひ、比叡!? 榛名ーっ!!」

??? <ジャラッ

比叡「榛名!? 私をかばって……!」中破

榛名「だ、大丈夫……榛名は、大丈夫、です……!」大破

榛名「そ、それより……上……!」

霧島「! 金剛お姉さま! 逃げてください!!」

ギロチン <ガコンッ

金剛「……What !?」

ギロチン <ジャララララッ

霧島「距離、角度よし! 撃てぇぇっ!」 ドンドンドンッ!

ギロチン <ガギン! バキン! ガコォン!

ギロチン <ガラン! ガランガラン……

金剛「……あ、危なかったネ……」ゾッ

霧島「刃の向きが私の射線に対して垂直だったのが幸いしました……」

??? <ジャラッ

榛名「ま、まだ……まだです……!」

比叡「今度は……霧島の上!?」

フォールニードル <ガコンッ

大和「させません! はあっ!」ガッ!

フォールニードル <ビタッ

比叡「ひ、ひえええ……傘一本だけで、とげ付きつり天井を止めてる……!」

大和「霧島さん、今のうちに避難を!」

金剛「!」ピクッ

金剛「Stop! 動かないでくだサイ!」

全員「!?」

金剛「まだ……! まだ、Enemyがいまス! ……おそらく……」

金剛「比叡! 榛名! そこです! 逃げなサイ!!」ダッ

比叡「えええ!? 私はとにかく、榛名は無理です!」

金剛「いいから早く!」ガシッ

金剛「テェェェイ!」ブンッ

榛名「ぐっ……!?」ドサッ

比叡「お、お姉さまなにを……っ!?」ドサッ

ニードルフロア <ズッ

全員「!!!」

金剛(私の回避は、間に合いませンカ……!)

ニードルフロア <ズシャアアッ

金剛「グ……ッ!!」ドスドスドスッ

比叡「お、お姉さまーーーー!!!」

武蔵「くっ! 緊急事態だ! 引き上げるぞ!!」

大和「武蔵は榛名さんを、霧島さんは比叡さんをお願い!」

 * * *

金剛「いくら修復材を使ったとはいえ、痛かったヨー」スリスリ

提督「なんでまた金剛は罠の位置がわかったんだ?」ナデナデ

金剛「今思うと、どうして気づけたのかわからないデス。第六感、でしょうカ」ホワァァァ

比叡「でも、金剛お姉さまのおかげで私も榛名も助かりました!」

大和「それにしても、どうしてあんな大がかりな罠をどうやって短時間に仕掛けられたんでしょう……」

提督「だな。ここまで仕込むには相当時間がいるはずだ。あまり考えたくないが……内通者か? ありえねえとは思うが……」

金剛「Yes、それはありえないネ」フンス

提督「ま、俺の部下の艦娘にはいねえだろな。お前ら以外だと気に入らない奴ぁ掃いて捨てるほどいるが」

霧島「ですが、その部外者すらこの鎮守府には数えるほどしか入って来ませんし……」

武蔵「轟沈した艦娘がしょっちゅう漂着するせいで『墓場島』なんて呼ばれてる島を狙う者がいること自体、ナンセンスな気もするが……」

提督「怨恨の線か、ワケアリで貧乏な鎮守府だから狙われたのか、それとも場所的な条件でここに目を付けてたのか……」

提督「まあいい、犯人像の考察はあとにする。ほかに探索を試みたのは?」

武蔵「海側の非常口と、その反対側の非常口、裏口からの侵入も試みた。だが……」

 * 回想 海側非常口 *

利根「……誰もおらんようじゃの」

島風「私たちが最初に犯人を捕まえちゃうもんね!」

白露「一番乗り目指して頑張るぞー!」

利根「……功を逸る気持ちもわかるが、油断するでないぞ?」

筑摩「偵察機を飛ばしていますが、とくに反応なし、ですね」

由良「電探にも反応なし。これで隠れていられる相手って、どんな相手なのかな?」

五月雨「しかもこれでどうやって攻撃してくるんでしょう? こちらも見えないはずなんですが」

利根「うむ。では先に進んでみるのじゃ、先頭は吾輩が……」

白露「はいはーい! 白露がいっちばーん!」ダッ

島風「おっそーい!」ダッ

由良「こ、こらっ、突出しないの!」タッ

五月雨「あっ、待っ……あたっ」コケッ

筑摩「五月雨ちゃん、あなたは慌てないで」

利根「吾輩が行こう、まったくあやつらはお子様じゃ」タッ

 ガコン

利根「な?」

スプリングフロア <ズドーン!

由良「きゃああ!?」ピューン

利根「なんじゃああ!?」ピューン

白露「えええ!? 空を飛んで追い越してくるなんてずるーい!」ダッ

筑摩「あの子たち、もう目的がずれてるわ! 利根姉さん大丈夫ですか!?」

五月雨「ち、筑摩さん待って! まだ何かあるかも」

スマッシュフロア <ズバーン!

由良「いやああ!?」ピュイーン

利根「またじゃとぉぉ!?」ピュイーン

白露「わ、私までー!?」ピュイーン

島風「えええ!? 飛んできた!? はっやーい!?」

五月雨「しれない、って言ってるそばから!?」

筑摩「利根姉さん! 早くそこから逃げて!」

利根「う、うむ……む!?」

バキュームフロア <キュィィィィィンン

白露「な、なに!? 体が吸い寄せられてる!?」

島風「おぉぉおおおおぉぉおお!?」

由良「まるで渦潮だわ……!」

利根「い、いかん、全員退避じゃ! 嫌な予感が」

 ガゴン

利根「す」

カタパルト <ズガバーン!

利根「るのじゃぁぁぁぁ!?」ドヒューン

白露「利根さん遅いいいい!!」ドヒューン

由良「っていうか飛んでるぅぅ!?」ドヒューン

島風「はっや゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛い゛!?」ドヒューン

五月雨「ふぇえ!? 四人とも窓を突き破って海に吹っ飛ばされちゃいましたよ!?」

筑摩「私が追います! 五月雨さんは戻って報告を急いで!」

 * * *

提督「なるほど。由良と利根は災難だったな」

利根「いや、吾輩の指揮が未熟じゃった」

由良「私も彼女たちから目を離しましたし……」

筑摩「五月雨さんが転んでなかったら、私も巻き添えだったかもしれませんね」

提督「怪我の功名ってやつか。それはともかく、いまいち言うこと聞かないからなこの能天気組は」

白露「私たち、お空をね! びゅーんと飛んでったの!」

島風「速かった! すっごい速かったよ!!」

提督「お前ら少しは反省しろ」

白露「あうっ」ゲンコツ

島風「おうっ」ゲンコツ

金剛「二人とも、まじめに探索しないといけませんヨー」スリスリ

提督「……なにしてんだお前も」ナデナデ

金剛「気にしないでくだサーイ」ウットリ

最上「提督、僕たちも報告させてもらっていいかい?」

提督「ん、ああ、頼む」

とりあえず今回はここまでです。

次回出撃予定
長門、陸奥、伊勢、日向、最上、三隈

野暮なこというだろうがいっそのこと爆撃なり砲撃なりぶち込んで完全に更地にしてしまえばいいんじゃなかろうか?(彼は狂っていた)

>>1です。
一応、トリを付けさせていただきます。

続きです。

 * 回想 反対側非常口 *

長門「よし、我々も行くか」

陸奥「伊勢と日向は着任したばかりだし、練度も低いから慎重にね」

伊勢「はい!」

日向「承知した」

最上「気を付けていこうね!」

三隈「ええ!」


最上「ほんとに人の気配がないや……」

伊勢「……ねえ、この鎮守府って、こんなに薄暗かったっけ?」

日向「灯りが落ちているせいか?」

陸奥「もともとこっちの部屋は日の光が入りづらいこともあるけど……」

長門「ここまでではなかった……な……?」

?? <ズォォォォ

三隈「な、長門さん! 上っ!!」

クイーンハイヒール <ズシィィィン!

長門「ぬ、ぬおおお!!」ガシィッ

陸奥「長門!?」

日向「な、なんだ!? 巨大な……足!?」

長門「ぐ……こ、この、ビッグセブンを足蹴にしようなど……片腹痛いな!」ギリギリギリ

最上「援護するよ!」ジャキッ

伊勢「ま、まって! 床が……みんな離れて!」

スリップフロア <パキィィィンン!

日向「なっ!?」ツルッ

陸奥「きゃあ!」ツルッ

最上「うわっ!」ヨロッ

伊勢「おっと、危ない!」ガシッ

三隈「長門さんすごい……あの氷の床の上でまだあの足を支えてる……!」

長門「……ふ、こ、この程度でこの長門、揺らいだりはしない!」ギリギリギリ

 シュウウウウウ

最上「うん? 氷が解け始めてる……?」

三隈「解けてるというより、すごいスピードで解かされてるような……?」

長門「……ま、まさか! 陸奥、逃げろっ!」

ホットプレート <ゴォォォォッ!!

長門「ぐおお!?」ジュッ

陸奥「熱っ!?」ボッ

日向「くぅっ!?」ボッ

陸奥「ああっ、だ、第三砲塔が……!」カァァァ

長門「最上! 三隈! 伊勢たちを連れて逃げろ!」ジュウウ

伊勢「長門さんも早く!」

長門「いいから行け! 陸奥が暴発する前に!」

伊勢「駄目です! 日向もなんですよ!!」

日向「くう、だ、第五砲塔が……!」カァァァ

長門「おい! このオチどこかで見たぞ!」

伊勢「誰も公式4コマなんて言ってませんよ!?」

最上「みんな何を言ってるの!? 早く逃げないと!」

三隈「くまりんこー!」

 ボギャーーーーーー

 * * *

最上「一番被害の大きかった長門さんは、念のため明石さんに診察してもらってるよ」

提督「……まあ、良かったんじゃねえか、耐えられる程度の爆発オチで」

三隈「ええ、最後はそうでしたけど……」

最上「ともかく、女の人の足が襲ってきたのはびっくりしたよ」

提督「話だけを聞くとツッコミどころが多すぎて嘘としか思えなんだが、お前らが冗談言うとは思えねえしな……」

霧島「し、信じるんですか」

提督「だってなあ、うちの三隈が困ったときにくまりんこって叫ぶ癖がなおってねえとことかリアルじゃねえか」

三隈「す、すみません……///」

提督「ああ、責めるようなネタじゃねえし、かまやしねえよ。茶化して『ごめりんこ』とか言わなけりゃ誰も不愉快にはならねえし」

龍驤「そう来おったら次はパチパチパンチやね!」バッ

黒潮「ポコポコヘッドでもええな!」バッ

提督「お前らは朧にカニばさみ食らって来い」

黒潮「よっしゃ、今日はこのくらいにしといたる!」シャッ

龍驤「ほなな!」シャッ

提督「……何やってんだあいつらは」

山城「あなたもノリノリじゃないの」

扶桑「提督、私たちも報告よろしいかしら?」

提督「あ、ああ、頼む」

 * 回想 鎮守府裏口 *

大淀「まだ昼間なのに真っ暗ですね。川内さん、敵の気配は感じられますか?」

川内「……うーん、何の気配もないね」

神通「罠を仕掛けているから、逆に出てこないのかもしれませんね」

那珂「でも、カメラは仕掛けられてないみたいだね。どうやって罠を動かしてるんだろ?」

山城「! 扶桑お姉様……!」

扶桑「どうしたの山城?」

山城「今一瞬、食堂へ向かう通路に明かりが……!」

川内「……誰かがいるなら、そっちに行ってみようか?」

大淀「そうですね。なにか手がかりがあるかもしれません」

扶桑「……山城? 浮かない顔をしてるけど、なにかあったの?」

山城「嫌な予感がするんです……だってその明かり、カボチャのランプみたいに見えましたから」

那珂「あのハロウィンに作るジャック・オー・ランタンみたいなの?」

山城「たぶんそうね。人の顔が彫られていたし……」

神通「お化けを装ってる? それとも本当に……?」

大淀「『幽霊の正体見たり枯れ尾花』と言います、ここは調べに行きましょう」スッ

 ギュム

大淀「え?」

テツクマデ <バチコーン!

大淀「!?!?」クラクラ

扶桑「な、なんでこんなところにレーキが……?」

川内「柄が思いっきり顔にあたったよね……」

那珂「痛そう……」

?? <ヒュ~

神通「……上?」

カビン <カポッ

大淀「ふぇ!? 何!? 今度はなんですか!?」ヨタヨタ

扶桑「どうして空から花瓶が……」

那珂「ちょっと、大淀ちゃんどこ行くの!?」

バナナノカワ <ギュム ツルーン!

大淀「ひょわあああ!?」ドテーンガシャーン

扶桑「どうしてバナナの皮が……!?」

山城「私たち以外で踏んで滑る人は初めて見たわ」

神通「ねえ那珂、本当にどこにもカメラは仕掛けられてないの?」

那珂「う、うん、どこにもないよ!?」

タライ <ヒュ~

大淀「ふぎゃっ?」パカーン

扶桑「どうしてこんなものまで仕掛けられてるの……!?」

川内「……なんか、緊張感に欠けた罠ばっかりだね」

那珂(これ、絶対ドッキリなんじゃ……もしや大淀ちゃんがアイドル扱いされてる!?)ハッ

神通「……那珂、それは違うと思うわ」

那珂(神通ちゃん心を読んでる!?)ビクッ

ハリセン <ニョキッ ブンッ

大淀「へぶっ」スパーン

扶桑「なにこの……なに?」

川内「ねえ、テレビってここまでやるの?」

那珂「いくらなんでもやりすぎだと思うよ?」

神通「見ててだんだん気の毒になってきました……」

トリックホール <パカッ

大淀「」スポーン

扶桑「ああ……」

川内「……」

那珂「……」

神通「……」

山城「……不幸だわ」

 シーン

扶桑「も、もう何も起きない、わよ、ね?」オロオロ

川内「たぶん、ね。でも、どうしてバナナの皮とかレーキとかに気付かなかったんだろ」

那珂「ここまでしつこくやると可哀想だよ~」

扶桑「と、とにかく、大淀を助けてあげましょ? 結構深いわよこの穴」

大淀「……くそがあああ!!」ドカーン

大淀「ざっけんじゃねえぞおらああああ!!」ドカーン

山城「ああ、大淀が提督みたいになってるわ。手伝います扶桑お姉様」

川内神通那珂「」ピクッ

那珂「大淀ちゃん伏せて!」

川内「神通!」

神通「はい!」

?? <ヒュゥゥゥウウ……

扶桑「きゃっ!?」ガシッ

川内「いいから飛んで!」バッ

山城「な、なに!?」ガシッ

神通「逃げますよ!」バッ

トゥームストーン <ドズゥゥゥウウン!!

扶桑「……」ゾッ

山城「間一髪……」ブルッ

川内「間抜けな罠で油断させて、本命はこっち、ってやつかあ」

神通「落とし穴の隣に落ちたということは、そうなんでしょうね」

那珂「大淀ちゃーん、大丈夫~?」

 * * *

扶桑「ランタンの謎はそのままですが、大淀を落ち着かせるため一度帰還しました」

山城「扶桑お姉様も足をひねったんですから! 一大事です!」

扶桑「山城、あなたを運んだ神通もそうよ?」

提督「ま、大怪我してないだけよし、だな。夜戦慣れした川内たちが感知できない相手となると面倒だが」

武蔵「なあ榛名、余所に比べて我々のところだけやけに物騒な罠が集まってないか?」ヒソッ

榛名「ええ、榛名もそう思います……ですが、どこに何があるかわからない状況ですし……」ヒソッ

霧島「正面玄関から入ったんです、主力に備えて大がかりな罠をそこに集中させていたと推測できますね」

比叡「私たちは頑丈ですから! ほかの人が大怪我をしなくて良かったと思えば!」

武蔵「……フ、そうだな。我々が当たりくじを引いたと思えば、良しとするか」

提督「ところで……大淀に俺の口調が伝染ったってマジか」

山城「そっくりでしたよ」

提督「あの大淀がか……」

扶桑「ふふっ、私たちもそうなるのかしら?」

提督「おいやめろ、そういうのは摩耶だけで十分だ」

山城「そう思うのなら、少しは言葉遣いを改善してくださいません?」

金剛「Heyテートク? 私の口調が伝染ってもいいんですヨ?」スリスリ

提督「断る」ナデナデ

金剛「Oh...」ウットリ

利根「いつまで抱き着いておるんじゃこの戦艦は」

最上「拘束戦艦だね」ボソッ

榛名(榛名も提督に拘束されたいです……)カァァァ

神通「榛名さん、遠慮しなくていいと思いますよ」スッ

榛名「!?」

提督「しかし……まあ、なんだ。罠に当たり外れがあるっつうか、罠の種類が多すぎて対策が立てられねえな……」

提督「しかもあちこちに仕掛けられてて、同じ罠がねえっつうのもわからねえ……」

如月「提督? 私たちも館内を探ってみたいと思ってるんだけど」

提督「お前たちがか?」

初春「わらわたちとて、この鎮守府に属する軍艦じゃ」

吹雪「この鎮守府の一助になりたいと思う気持ちは一緒です!」

暁「暁たちの鎮守府だもの! 暁たちが守ってみせるわ!」

朝潮「及ばずながら尽力致します!」

提督「わかったわかった、くれぐれも無茶はすんなよ」

隼鷹「あのさ、あたしたちも行っていい?」

千歳「駆逐艦がやる気なのに、私たちがのんびりとはしていられないわ」

提督「大丈夫なのか? 龍驤に聞いた話だと艦載機使えないんだろ?」

龍驤「せやけど、虎穴に入らずんば虎子を得ず、や」

雲龍「対空砲のゼロ距離射撃ならまかせて」

提督「お前なあ……やばくなったらすぐ戻れよ? それと重巡も連れてけ。那智、足柄!」

足柄「来ると思ってたわ!」

那智「ああ、任せておけ!」

提督「……よし、俺も探ってみるか」

金剛「No! 駄目デス! So dangerousデース!」ヒシッ

大和「そうです! 提督は入ってはいけません!」

提督「危ねえのはわかってる。が、虎穴に入らずんば虎子を得ずって言ってたろ龍驤が」

金剛「ヘーイ龍驤、You are good 根性デース」ギラリ

龍驤「ちょっ、待ちいや! なんやそのとばっちり!?」

提督「まあそれにだ、俺が直々に出向けば、連中の動きも変わるんじゃねえか?」

如月「それじゃ、私が一緒に行ってもいいかしら?」

暁「あ、暁も行くわ!」

電「電もなのです!」

提督「しゃあねえ……古鷹、五十鈴、随伴頼むわ」

金剛「No! 駄目デス! 私も一緒に行きマース!」ヒシッ

提督「……何度も戦艦修理できるほど資材が残っていたっけか」ナデナデ

金剛「Ohch...」トローン

大和「提督が行くのでしたら、私も行きたかったのですが……」シュン

武蔵「まあ、言ってもきかん男だ。ここは任せてみようじゃないか」

提督「ん……そうだ、敷波」

敷波「はーい、なーにー?」

提督「『あいつ』にも連絡取って来てくれるか? 敵が近海を通って来てるなら、何か知ってるはずだ」

敷波「あー、なるほどね、了解! 行ってくるね!」タタッ

提督「作戦開始はヒトサンサンマル、一斉に突入するぞ」

今回はここまで。

ちなみにこの墓場島鎮守府には、>>25みたいなことをして前の鎮守府を馘になった艦娘がいます。

次回次々回出撃予定
青葉、加古、初春、若葉、朝雲、山雲
吹雪、初雪、朝潮、霞、不知火、黒潮

では上げずに続けてみます。

続きです。

 * 渡り廊下 *

青葉「では青葉たちも行きますよ!」

加古「相手が見えないってのは嫌だなあ」

朝雲「潜水艦みたいな相手じゃなければいいんだけど」

山雲「床下に潜んでいるのかしら~」

若葉「……待て」

初春「若葉? なんぞ気になることでも?」

若葉「山雲の足元だ」

朝雲「!? 山雲!」ドンッ

ベアトラップ <ガキッ!

山雲「……あららら~」タラリ

朝雲「危なかった……」ヒヤリ

加古「い、いま、いきなり出てきたっていうか、全然気付かなかったよな!?」

青葉「わ、若葉さん、よく気づきましたね!」

若葉「なんとなく……本当になんとなくだが……」

 ガラガラガラ…

初春「ぬ!? 総員避難! 後ろじゃ!」

メガバズソー <ガラガラガラガラ……!!

加古「うわあ!?」バッ

青葉「なんですかあの巨大な車輪!?」

朝雲「……もし山雲があのトラップに捕まってたら……」ゾッ

山雲「あれに轢かれてたのね~」

初春(山雲は、傍から見るといまひとつ緊張感がないのう……)タラリ

加古「しっかし若葉すげえなあ、次の罠もどこにあるかわかったりする?」

若葉「……ああ、おそらく」

初春「若葉よ、無理はいかんぞ?」

若葉「問題ない……ここだ」カチッ

マンリキスピン <ガシーン!

若葉「予想通りだ」ガシーン

朝雲「えっ」

山雲「えっ」

加古「えっ」

青葉「えっ」

初春「おい」

マンリキスピン <ギュォォオオオオオ!

若葉「ふ、ふおおおおお!?」ギュィィィィン

山雲「わー、すっごい回転~」

加古「いや、これ罠にかかってるよねえ?」

青葉「ですよねえ」パシャッパシャッ

朝雲「なんで冷静に写真撮ってんのよ……」

初春(これは駄目な若葉じゃな)

マンリキスピン <ッパ

若葉「ふ、ふふふ……気持ち悪い……だが、悪くない」ヨロヨロフラフラ

朝雲「めちゃくちゃふらふらしてるじゃないの……」

加古「戻ったほうが良くない?」

若葉「まあ待て……まだ次の罠がある」

青葉「ほうほう、それは?」

初春「青葉、おぬし楽しんでおらんか」

若葉「ああ……ここだ」スッ

ウォッシュトイレ <ガッション!

朝雲「えっ」

山雲「えっ」

加古「えっ」

青葉「えっ」

若葉「えっ」スポーン

初春「えっじゃないわ」

若葉「さ、さすがにこれは予想外だ……」

朝雲「これ、ひたすら恥ずかしいだけの罠なんじゃ……」

ウォッシュトイレ <ピピッ ジャバーーーー!!

若葉「」ピュイイーン

朝雲「」

山雲「」

加古「」

青葉「」

初春(なんじゃこれは……)アタマカカエ

加古「なんだあの水流!?」

青葉「はっ! 青葉としたことが呆気にとられてシャッターきり忘れてました!」

青葉「若葉さん! もう一回! もう一回お願いします!!」

初春「青葉、おぬし自分で何を言うておるかわかっとるか!?」

若葉「い、いや、もう遅い……」スタッ

ヴォルテックチェア <ガッション!

若葉「おうっ」チャクセキッ

青葉「あ」

ヴォルテックチェア <バリバリバリバリ

若葉「あばばばばばばばば!」バリバリバリバリ

加古「わ、若葉ぁぁぁ!?」

青葉「なんでこんなものが仕掛けられてるんでしょうねえ」パシャッパシャッ

初春「若葉も青葉も何をしておるんじゃ……」

朝雲「どうして自分から罠にかかりに行くのよ……」

山雲「むしろ~、連続して罠が発動するようにできてない~?」

朝雲「そ、そういえばそうね……ってことは!」

若葉「ふふふ、まだまだ……! お次は……」

青葉「おお、やる気ですね若葉さん! できればもう一回あのトイレの罠に!」

加古「煽ってないで助けてやれよ青葉!」セナカドンッ

青葉「へっ?」

デルタホース <ガッション!

青葉「いぎゃああああああ!?」ビクビクーン

加古「あ」

朝雲「あ」

山雲「あ~~~」


若葉「ああ……なんて、なんてことを!」

加古「え~っと、その、ご、ごめん青葉」

若葉「私にも謝ってくれ!」

初春「若葉は少し黙っててくれんかのう」

加古「お詫びに青葉の木馬姿、写真に撮っておくからさ」パシャパシャッ

初春「何故撮るんじゃあああ!!」ウガーッ

青葉「ぴやあああああああああああ!? 撮らないでえええええ!?」ナミダジョバーッ

デルタホース <ッス

青葉「あっ、青葉のっ、青葉のいろいろ大事なものがっ、大破しましたあああ……」ビクンビクン

加古「とりあえずこのくらい撮っときゃあいいかな?」パシャパシャッ

若葉「なんて……なんてむごい」グスッ

朝雲「……心なしか、羨ましいって言ってるように聞こえるの、気のせいかな」

山雲「考えすぎよ~、朝雲姉~」

初春「はぁ……いくら罠を見破れても、こんな若葉に付き合ってはおれぬ。帰るのじゃ」

加古「そ、そだね、戻ろっか」

山雲「その写真のデータ、あとでもらえるかしら~」

朝雲「もらってどうするのよ……」

初春「わらわはもうツッコまぬぞ……」グッタリ

 * 鎮守府 正面ホール *

アローシューター <シュパッ

吹雪「うわっと!」バッ

ファイアーボール <ゴォォォ

朝潮「同じ手は食らいません!」タッ

霞「芸がないわね!」ヒョイ

コールドアロー <パシュッ

不知火「それにしても面倒ですね」スッ

黒潮「せやね、これなかなか中に入り込めそうにないわ」バッ

サンダージャベリン <バリバリバリバリ

初雪「中に……入らないほうがいいと思う」シャッ

吹雪「初雪ちゃんどうしたの?」

初雪「ホールの真ん中……あそこ、ちょっと危ない」

霞「なにそれ!? あんた罠を感知できるの!?」

初雪「そこしか、わからないけど」

黒潮「ほな、うちが行ってみよか!」タタンッ

不知火「黒潮!?」

初雪「……くる!」

??? <ニュッ

黒潮「!」


スパークロッド <バリバリバリバリ!

黒潮「ほいっと!」バッ

初雪「おお……バック転……!」

黒潮「確かにちいっと危ないなあ!」スタッ

アローシューター <ヒュパッ

コールドアロー <カシュッ

吹雪「危ない!」ガガガガガガ

朝潮「援護します、機銃斉射!」ガガガガガガ

アローシューター <バキィン

コールドアロー <パキィン

黒潮「援護おおきに! ……って、もう一発おるやんか!」バッ

ローリングボム <コロコロコローッ

霞「ば、爆弾!?」バッ

不知火「総員回避を!!」バッ

ローリングボム <ドゥン!!

吹雪「速度の違う飛び道具と、転がってくる爆弾の時間差攻撃、か……」

不知火「迂闊に中央に飛び込めば、電撃の罠が待っていると」

霞「避けられなくはないけど、いい加減うっとうしいわね!」


黒潮「ま、うちらに当てたいんやったら、もっとでかいもん持ってきてもらわんとな!」

??? <ヒュウウウ

初雪「?」

スノーボール <ドッスゥゥゥン

朝潮「」

霞「」

黒潮「」

不知火「でかいのが行きましたね、黒潮のほうに」

スノーボール <ゴロゴロッ

朝潮「こ、こっちに転がってきました! 逃げましょう!」ダッ

霞「アンタが余計なこと言うからよ!?」ダッ

黒潮「そ、そんなん言うても、うち知らんねんで!?」ダバダバー

スノーボール <ゴロゴロゴロゴロ…

初雪「……行っちゃった」

不知火「吹雪さんどうします、一度撤退しますか」

吹雪「……ううん、もう少し粘ってみよう」

吹雪「向こうも弾薬切れになるかもしれないし、それに……」

吹雪「もう少し、時間を稼がないと。司令官がきっと何かしてくれます」

初雪「……ん」コク

不知火「では、もう少し探ってみましょうか、相手の出方を」

今回はここまで。

次回出撃予定
摩耶、鳥海、朧、潮、明石、伊8


 * 鎮守府 食堂 厨房勝手口 *

摩耶「よっし、アタシたちも派手に行くぜ!」

鳥海「ええ……派手に行くかどうかはとにかく、慎重に行かないと」

潮「で、でも、提督が侵入するから、私たちが気を引かないといけないんですよね……?」

朧「そうだね。潮はそういうの苦手そうだけど」

潮「うん……でも、が、頑張る」

摩耶「よーしよし、その意気だぜ! ……それよりも、なんでさっきからお前ら静かなんだ?」

伊8「………」ジー

明石「………」ウーム

摩耶「ったく、何もねえのに考えこんでたって仕方ねえだろー?」

鳥海「でも、なんだか甘い匂いもするし、明らかに誰かがいて、ここで何かをしていたように思えるのよね」スンスン

朧「伊8さんはともかく、明石さんは索敵とかが得意な人ではないと思うんですが、それでも思うところがあるとなると……」

摩耶「食堂なんだから食い物の匂いくらい当たり前だろ? 飯でも食ってたんじゃねえの?」

潮「あの、この匂いは、どちらかというと洋菓子の匂いだと思います」

摩耶「洋菓子? へーえ、じゃあ犯人を捕まえればそういうのが食えるってことかぁ」

鳥海(バルジが気になるから、ちょっと控えたいんだけど……)


伊8「! 待って」グイ

摩耶「うわっと!? な、なにすんだよ!?」

伊8「やっぱり、誰かいる」

摩耶「え?」

明石「あー、はっちゃんもそう思ってましたか」

鳥海「明石さんも?」

明石「ええ、食堂に出るドアのところ。あと、そのドアの2歩くらい手前……かな?」

伊8「? 私はそのドアの奥から感じたんだけど……」

明石「え? こちら側ではなくて?」

伊8「ヤー」コクリ

鳥海「意見は割れているけど、誰かいる、と感じているわけね……」

朧「ってことはさ、ドアの手前までは踏み込んでいけるってことだよね」タッ

潮「え? そ、それはそうかも……い、行くの?」

朧「うん、行ってみる。みんな援護を……?」

摩耶「? どした?」

朧「体が、動かない……!?」

全員「!?」

 * 同時刻 本館南側 階段そばの窓 *

提督「さて、他が囮になってくれている間に、俺たちは執務室を目指すか」

五十鈴「囮かあ……そう言われると私たちの責任は重大ね」

提督「言い方は悪いが、あいつらには人手と時間を稼いでもらうのが目的だからな」

提督「余所に人を回している間に、手薄になった館内の執務室へ突入する」

提督「近隣の鎮守府への救援信号打つだけでも状況は変わるだろ、それができたら全員退避だ」

暁「司令官、救難信号を打てばどうなるの?」

提督「まず打った記録が残る。鎮守府の非常事態宣言だからな、海軍そのものや余所の鎮守府が援護に来なければ、連中は俺たちを見捨てたことになる」

提督「そうなればこの鎮守府が壊滅しても、俺たちの責任をそれ以上追及できなくなる。だから保険でしかないがな」

古鷹「問題は執務室にも敵がいないかどうか、ですね」

提督「発砲は許可する。悪いが任せるぞ」


提督「さてと、侵入したはいいが……薄暗いな」

古鷹「そうですね……明かり、つけますか?」

提督「いや、いい。他は大丈夫だろうな」

如月「今のところは大きな音もないわね」

暁「司令官、今は階段に敵影なしよ!」

提督「よし、踏み込むぞ」

??? <ヒュッ ペタン

五十鈴「ん? 何の音?」


古鷹「! 電……その矢は?」

電「は、はい?」ペターン

ペッタンアロー <グイーン

電「ぱうううう!?」ピューン

暁「い、電!? どこ行くの!?」ダッ

提督「……五十鈴! お前は暁を追ってくれ! 如月と古鷹はこっちだ!」

如月「はいっ!」

五十鈴「わかったわ!」ダッ

古鷹「今行きま……!!」

キラーバズソー <ガシュウウウウウン!!

古鷹「きゃあっ!?」ガギギギン!

如月「古鷹さん!」

提督「くそっ、ここも見張られてたってか!」

古鷹「提督、先に行っててください! 艤装にちょっと傷がついた程度です!」

古鷹「2階へ行く方法、すぐに探しますから!」

如月「……司令官!」

提督「古鷹、無理すんなよ!」

古鷹「」コクリ

提督「よし、行くぞ如月」

如月「はいっ!」

 * 鎮守府 2階廊下 *

提督「くそ、予定が大幅に狂ったな」

提督「俺の机の上の電話の裏に近隣の鎮守府への緊急用救援信号の発信機能がついてる。そいつさえ押せれば当初の目的達成だ」

提督「ついでに、俺の机の引き出しに銃が入ってる。そいつが持ち出せればいいんだが」

如月「……司令官、無理はしないで。私がいるわ」

提督「悪いな。頼らせてもらう」

提督「それにしてもだ……相変わらず人の気配がねえのが不気味だな」ジリッ

如月「……」ジリッ

???「」スッ

如月「……司令官!」ヒソッ

提督「ああ、誰かいるな!」ヒソッ

???「」コツ コツ コツ…

提督「……」ジリッ

如月「……」ジリッ


???「……」ピタッ

提督(止まった……)ジリッ

如月(……まさか、罠!?)ハッ

スパイダーネット <ヒュパッ

提督「しまっ……!」

如月「きゃ……!」

提督「くそ、なんだこの蜘蛛の巣は!」

如月「やだ、べとべと……し、司令官、危ないっ!」ダンッ

提督「うお!?」ドシンッ

スイングハンマー <グオオオオンッ

提督「如月!?」

如月「っ……!」ゴシャァッ

如月「あ……」ヒュウウ

捕獲牢 <ガシャン

如月「……」ガラガラガラガラ…

提督「如月っ!」ダダッ

???「……」スッ (刃物を提督の首筋にあてる)

提督「……!」

提督(こんな簡単に、手詰まり、かよ……くそっ)ギリッ

???「……動かないで」

提督(!? ……女、だと!?)


 * 一方 鎮守府 1階階段そばの通路*

古鷹「…とは言ったものの、他に行くルートも遠回り……」キョロキョロ

< キャァアアアア!!

古鷹「あの声……!」タタッ

暁「電!?」

五十鈴「な、なんなのこいつ!?」

クラーケン <ズリュリュリュリュ…

古鷹「!?」

電「き、気持ち悪いよう……!」ヴジュルルルル…

五十鈴「こ、こんな化け物、いつ鎮守府の中に入り込んでたっていうのよ!」ジャキッ

暁「ま、待って! このままじゃ電にあたっちゃうわ!」

五十鈴「っ! ど、どうしたら……!」

電「意外と、力が強いので……ひっ! ふ、服の中に入ってきたのです!?」シュルル…

電「ぬ、ぬるぬるするのです! へんなとこ触っ……いやあああ!?」ニュルニュルニュル…

暁「せ、せめて、なにか、なにか切るものとか……!」

 ギュウウウウ

古鷹「何の音……? 二人の足元に……光が、吸い寄せられてる!?」

古鷹「ふ、二人とも逃げて!!」


 ズッ

五十鈴「え?」ズッ

暁「な、なに?」ズズッ

ブラックホール <ズォォォォォォォ

暁「ええっ? う、うそ!?」ズズズッ

五十鈴「床が消えて……吸い込まれてくっ!?」ズズズズッ

電「あ、暁ちゃん!? 五十鈴さんっ!?」

古鷹(二人を助けて電を救う方法……いや、この場を離れないと私も……!)ジリッ

ペッタンアロー <パシュッ ペタッ

古鷹「しまっ……!」グイイッ

古鷹「ブラックホールのほうに引っ張られる……!」

電「古鷹さんっ!」

古鷹「こんなことになるなんて……!」

五十鈴「そんな、嘘でしょ……!?」

暁「電……電ぁぁ!」ギュウウウンン

ブラックホール <シュォォォ…

ブラックホール <フッ…

電「……え?」

電「ふる、たか……さん?」

電「いすずさん……あかつ、き、ちゃん……?」ポロッ

電「消え、ちゃ……うそ……うそ……!」ポロポロポロ

クラーケン <グリュリュリュリュ…

電「……ひ……っ!」ビクッ

電「……い、いや……いやあああああああ!!」

今回はここまで。

次回、黒幕登場の予定。

投下します。

 * 再び 鎮守府 厨房 *

摩耶「どういうことだ!? 体が動かないって……!」

朧「ま、まるで金縛りにあったみたいに……」

ブラッディシザー <ジャキン! ギギギギ…

朧「う、うわ!?」

摩耶「な、なんだあのバカでけえ爪!?」

潮「朧ちゃん!」

鳥海「朧さん!」

摩耶「くそが、やらせるか! 朧ぉぉぉ!!」ダッ

ブラッディシザー <…ピタッ

朧「……と、止まった……?」

ブラッディシザー <シュンッ

鳥海「……消えたわ……」

朧「うわっ」ガクッ

摩耶「おい、無事か!」ガシッ

朧「は、はい……あはは、今頃怖くなってきた」ゾワッ

明石「いったいなんだったんでしょう?」

 シャッ

???「貴様ら……いったい何者だ!」

伊8「! 忍者……!?」

忍者?「我らの仲間の居場所を探り当て、それがしの名前まで……!」

忍者?「言え! なぜそこまで知っている!」

摩耶「あ?」

伊8「……名前?」

明石「誰か知ってます?」

忍者?「……え?」

潮「……もしかして、朧、ちゃん?」

忍者?「ちゃん付けで呼ぶな!」

鳥海「あー」

摩耶「あー」

伊8「あー」

明石「あー」

朧「朧も、朧って名前……なんだけど」

忍者?「……え」

???「ちょっとオボロさぁぁぁん!? なにやってるんですかぁぁぁ!」ポンッ

潮「ひゃっ!? コックさんが!?」ビクッ

朧「いきなり現れた!?」ギョッ

???「あ、コックじゃなくてパティシエです!」

摩耶「いや、それは今ツッコむところかよ!」

???「マ、マーガレット! あなたも姿現しちゃだめでしょおお!?」シュンッ

伊8「那珂ちゃん!?」

明石「なんで那珂ちゃんが浴衣着て潜んでるんですか!?」

アカネ「ナカって誰よぉ!? 私はアカネだよ!!」ウニュー!

オボロ「お、おいアカネ! 敵に向かって名乗る奴がいるか!」

マーガレット「さ、最初に勘違いしたのはオボロさんじゃないですかぁ!」

鳥海「そこまでです!!」

 ドォン!!

鳥海「空砲よ。次は撃つわ!」ジャキッ

摩耶「ははっ、たまたま朧と同じ名前の奴がいて、勘違いしてくれたってことか! アタシたちは運がいいな!」ジャキッ

オボロ「……!」ジリッ

アカネ「うう……!」

マーガレット「あわわわ……!」

伊8「ドアの奥の気配が移動してる……!? みんな、一歩下がって!」

シャークブレード <キシャァァァァァンッ!!

鳥海「きゃ!?」バッ

朧「うわっ!」バッ

摩耶「おっと!」バッ

マーガレット「し、シルヴィアさぁん!!」

シルヴィア「まったくもう、しょうがないわね~」シュンッ

伊8「……!」

シルヴィア「ねえあなた、どうしてあたしの居場所が分かったの?」

伊8「……わからない。……けど」

シルヴィア「ああ、あなたからは海中の匂いがするわね……シンパシー、ってやつかしら?」

シルヴィア「そっちのあなたも……あら、クレーン積んでるの?」

明石「……!」

シルヴィア「なるほどね、そういうことかぁ」フフッ

鳥海「おしゃべりはそこまでです。観念しなさい!」

潮「ね、ねえ鳥海さん! あの、3人が……」

朧「! 消えてる!?」

摩耶「しまった!」ジャキッ

鳥海「いつの間に……!」

シルヴィア「ごめんなさいね? ここは引き揚げさせてもらうわ」タッ

鳥海「逃がしません!!」ドォン!

シルヴィア「お生憎様♪」ヒュンッ

 ドォン!!

明石「避けた!?」

シルヴィア「あたしに飛び道具は通用しないわよ?」

シルヴィア「だからといって近づくようなら、このヒレでスパッと行っちゃうんだから」

摩耶「ち……!」

シルヴィア「そういうわけだから、諦めてね♪」シャッ

摩耶「待ちやがれ!! ……くそがっ」

明石「私が感じた気配は消えてますね」

伊8「うん。さっきの人も逃げたみたい」

潮「ね、ねえ、今の人たちが、罠を仕掛けていたのかな?」

朧「そうじゃないかな。あのかぎ状の爪とか、腕のヒレとかが罠そのものっぽかったし」

明石「那珂ちゃん……じゃなくて、アカネって子は花火の球を持ってましたね。爆薬でしょうか」

摩耶「そんじゃあ、あのコックはどうなるんだよ」

潮「あの人は……なんでしょう? パティシエって言ってましたけど」

伊8「……洋菓子……シュトーレン……じゃない、パイ投げ?」

鳥海「い、いくらなんでもそんな悪ふざけは……」

明石「それが、大淀の報告によると、金ダライやらバナナの皮やらも仕掛けられていたそうですから」

鳥海「……あり得るわけですね」ムー

摩耶「なあ、あの罠って、1人ひとつだと思うか?」

潮「え? は、はい、多分そうだと思います」

摩耶「実際に姿を現したのが4人、明石が感じた気配が2つだとしたら、6人はここにいたことになるよな」

摩耶「で、罠の種類によって受け持ってるやつが別々だとしたら、今まで報告があった罠の数だけ侵入者がいるってことだよな」

摩耶「あいつらどうやってそんな大人数で忍び込んだんだ?」

全員「……」

潮「そ、そういえば、どうやってそれだけの人数が、こんな辺鄙なところにある、それも鎮守府なんてところに!?」

朧「侵入経路がわからないよね……」

摩耶「明石、お前は敷地内の抜け道とか知らないか?」

明石「工廠の中ならある程度の勝手もわかりますが、本館は把握してないですね」

摩耶「はっちゃんはどうだ? 海底トンネルとか見つけたりしてないか」

伊8「んー……鎮守府付近には見たことない」

摩耶「アタシたちもそこから入って挟み撃ちにできねえかな、って考えたんだけど、難しいかぁ」

摩耶「……んじゃ、明石は戻って本部に報告、アタシたちは追撃だ」

摩耶「運がいいとはいえ一度撤退させてるからな、あいつらもこっちに意識が向くはずだ」

鳥海「明石さん、五月雨を呼んできてください。進むなら当初の通り6人で進みましょ」

摩耶「おし、五月雨の合流を待って進軍だ!」


摩耶「五月雨でいいのか?」

鳥海「彼女、出撃したけど本館の中に入ってなくて、何もしてないってしょんぼりしてたから……」

摩耶「くそっ、しょうがねえな」

 * 鎮守府 2階 *

提督(如月が捕らえられて1分……ってとこか? 何を企んでやがる)

提督(だが、おかげで薄暗さに眼も慣れた……)

提督(この女の得物は馬鹿でかい鎖鎌……細い腕の割にこんな武器じゃ、腕力はかなわねえか?)

 コツ コツ コツ

女の子の声「……やっと、おとなしくなってくれたのかな」

提督(また別の女……こっちは随分と若い……こいつが黒幕か?)

女の子「……」

提督(ロリータファッションってやつか。ひらひらした衣装に……あの本はなんだ?)

提督(こちらは丸腰……せめて執務室にある拳銃がありゃあな……)

提督「……お前らの目的はなんだ」

女の子「……うーん」

女性「……まだ、お目覚めになっていないようですね」

女の子「そうみたいだね」

提督(なんだ? 何を言っている?)

女の子「……それを説明するには、まずぼくの話を聞いてもらう必要があるんだ」

女の子「さっき捕まえた女の子は無事だよ。安心して」

提督「……信用できないな」

女の子「彼女も君の仲間と知らずに怪我をさせてしまったからね。今は治療させてもらってる」

女の子「もっとも、捕まえないと確かめられなかったから、こうせざるを得なかったんだ」

女の子「これからは、ぼくの仲間たちがこれ以上君たちに手を出さないようにするよ」

女の子「捕えた彼女がいる場所で話をしようか。ついてきて」

提督(罠か? だが、如月が捕らえられている以上は迂闊な真似はできねえが)

< イヤァァァァ!!

提督「!? 今の声……暁か電、か?」

女の子「……あの辺にいるのはクラーケンだね。止めさせようか?」

提督「……とめて……くれるのか?」

女の子「うん」

提督「……わかった。一緒に行く、だから助けてやってくれ」

女の子「うん、もちろんだよ。他の子も解放してあげないとね」

女の子「それにしても良かった、信じてくれて」

女の子「自己紹介、しておくね。ぼくの名前はニコ。ニコ=エレメンタル」

ニコ「そして、彼女はニーナ」

ニーナ「ニーナです。よろしくお願いいたします」

ニコ「さ、行こう。歓迎するよ、ぼくの魔神様」

提督「……は……!?」

 * 執務室 *

提督(まさか執務室に案内されるとはな)

提督(このガキ、俺をマジンさまとか呼んだが、いったい何を考えてる)

ニコ「キサラギ……だったかな。彼女の治療はもうすぐ終わると思うよ」

提督「なんだ? こんなドア、執務室になかったよな」

ニコ「君が目覚めたからこのドアができたはずなんだけど、まだわからない?」ギィィィ

ニコ「ほら、どうぞ。ここがぼくたちの住み家だよ」

提督「な……なんだここは!?」

ニコ「ぼくたちの本来の住まい。魔神様の封印神殿の一室だよ」

提督(建物の間取りからすれば、ここは資料室のはずだ! なぜこんなスペースが存在する!?)

提督(古い石造りの部屋に骨董品のような調度品……あれは祭壇か? 装飾がすごいな、片手間で作ったような代物じゃない)

提督(こんなもの、俺は知らねえぞ。初めて見るものばかりだ、なのになんで……見覚えがある感じがする?)

ニコ「まだ思い出せないの? ねぼすけだなあ、きみは」

提督(……こんなもの、見たことはない。こんな場所、見たことがないはずだ。どこで、俺は見たっていうんだ!?)

ニコ「思い出して。ぼくたちがすべきことを」

ニコ「思い出して。ぼくたちが人間に受けた仕打ちを」

提督「ぐ……!?」ズキッ

ニコ「ぼくたちを封印した人間の跋扈を、許してなんかおけないんだ」

提督(なんだ……こいつ、なにをした)

提督(頭が、痛い……!?)グラッ

ニコ「さあ、目を覚まして、魔神様」

ニコ「『人間狩り』の時間だよ」

提督「……っ!?」フラッ

ニコ「おっと」ガシッ

ニコ「気を失ったのかな? 世話が焼けるなあ」

 *

 * *

 * * *


提督(………)


提督母「提督、なに独り言を言ってるの?」

提督(幼少)「えっ? ここにいる妖精さんとお話ししてたの!」

提督母「そ、そう……?」

提督(幼少)「?」


少年A「妖精なんてどこにいるんだよ!」

提督(少年)「いるよ! さっきだって話してたんだ!」

少年B「嘘つき! もう遊んでやらないからな!」

提督(少年)「……」


提督(少年)「俺は嘘なんか言ってない!」

提督母「いい加減にしなさい! すみません先生、うちの子が迷惑を……」

先生「いえいえ……良ければほかの学校か、病院を紹介しますよ」

提督(少年)「……なんで」

提督(ああ、これは夢か。妖精が見えるのを、誰も信じてくれなかったころの……)


学生A「よお、お前小さいころ『妖精が見える』とか言ってたんだって? ウケる!」

提督(学生)「……」

学生A「『妖精くん』って呼んでいい? ギャハハ」

提督(学生)「……」ギロッ

 バキッ ガッ

学生B「お、おい、なにやってんだよ提督! おい、止めろ!」


先生「提督、お前また喧嘩したのか」

提督(学生)「……俺からは手を出してない」

先生「いくらテストの点数が良くてもなあ、暴力的な上に頭がおかしいなんて噂が立つんじゃ、ろくな人間になんねえぞ?」

提督「……くそが」ギリッ


先生「すみませんが、これ以上は私の手に負えません」

提督父「そうですか……出来の悪い息子で申し訳ありません。ほら! お前も頭を下げるんだ!」グイッ

提督(学生)「……」


提督父「提督! どこへ行く気だ!」

提督(学生)「出ていく。もうここにいたくない」

提督父「貴様は弟と違っていつもくだらん事ばかり言いおって! 勘当だ! 出ていけ!」

店長「おい、お前そんなに無愛想なんだ? ちっとは笑えよ」

提督(バイト)「……生まれつきです」

店長「そんなわけあるかよ! ったく、使えねえ奴だな!」

提督(バイト)(なんで俺は、ここまで言われて耐えようとしてんだ……?)


提督(ああ、そうだ。そんな時だ……肩に妖精を乗せたやつが来たんだ)


士官「……なあ、君。もしかして、妖精が見えるのか?」

提督「……!」

士官「だとしたら、一度海軍に来てみないか。君に『提督』の素質があるかもしれないんだ」


中将「特定の、素質ある人間以外には妖精の姿が見えんのだ。君もおそらくはそれでつらい思いをしただろう」

中将「そして、妖精を見える人間の中でも、妖精の声を聴くことのできる者はさらに少ない」

中将「妖精と意思疎通できる人間は貴重だ。君さえよければ、我々とともに来てほしい」


中将「では、提督君には○○鎮守府にいる少佐の配下に入ってもらう」

中将「少佐は私の息子だ。何かあれば少佐を頼ってくれ」

提督「はい、ありがとうございます」

中将「頼むぞ、提督『准尉』。君の働きに期待しているぞ」


提督(こうして俺は海軍に、特別に准尉として受け入れられた……俺という人間の存在を認めてもらえたことが嬉しかった)

提督(だからこそ、あの少佐の存在が忌々しかった)

少佐「早速だが君には××国××島鎮守府に行ってもらう」

提督(××島? 辺境じゃないか!)

少佐「そうそう、君のご両親に挨拶してきたよ。弟さんは優秀なんだってね」

少佐「君の着任にあたって、少しばかり包んでいったら大喜びでね」

少佐「君のことをよろしくと言われてきたよ。だから心配しないで行ってきてほしい」ニタリ


提督(奴にしてみりゃあ厄介払いだったんだろう)

提督(奴の素行を知る妖精が俺に何か吹き込む前に、実家にも根回しして僻地に飛ばして飼い殺し)

提督(そこに拠点としての重要性もなければ、艦娘も寄越さず、食料も資材供給もたまにしか来ない)

提督(初期艦の存在も知らされてなければ、入渠ドックも建造ドックも壊れてて使い物にならない)

提督(奴は暗に、ここでくたばれと言っていたわけだ)

提督(我ながらよく腐らなかったな……いや、もう腐ってたか)

提督(少佐……今は昇進して大佐だったな。奴にただ一矢報いたい一心で生き延びようとしてたんだよな)

提督(妖精たちがいなかったら、俺はもっと荒んでいただろう)

提督(人間なんかやめちまいたい、って、何度思ったことか)


提督(だが、俺はまだ……)

 * * *

 * *

 *

 * 封印神殿の一室 *

提督「……ん」

ニコ「……目が覚めた?」

提督「……何をしている」

ニコ「ひざまくら」ニコ

ニコ「たぶん今、君はいろんなことを思い出してるから、多分混乱してると思うんだ。だから、今はお姉ちゃんに甘えていいんだよ」

提督「お姉ちゃん……?」

ニコ「そう。ぼくのことは、お姉ちゃんって呼んでね」ナデナデ

提督「お、おお……」トローン

提督(こいつの手つき、やばいくらい気持ちいいな……金剛になった気分だ)

提督「って、ちょっと待て!」ガバッ

提督「お姉ちゃん、だと!? お前、そのなりで俺より年上だってのか」

ニコ「うん、そうだよ」ニコニコ

提督(挑発するつもりで馬鹿にしたんだが……マジかよ)

ニコ「だから、遠慮しないでもっと甘えてくれてもいいんだよ」

提督「……おままごとには付き合いきれねえ。そんなこと言う奴は金剛だけで十分だ」

ニコ「素直じゃないなあ」

提督(……こいつが俺に敵意がないことはわかった。むしろ俺個人に対しては好意を抱いてるようにも思えるな)

提督(苦手だぜ)

ニコ「そういえば、近々、君が憎々しく思っている人間たちが、この屋敷に来るんだよね」

提督「……なぜそれを?」

ニコ「この書類に書いてあったからね。ぼくたちなら君の望むとおりに歓迎できる」ピラッ

ニコ「喜んで手伝うよ、魔神様」

提督(このファックス……大佐の所の秘書艦の赤城が送ってきてくれたのか……)

提督(あの糞大佐を……あいつを罠にかける……か)

提督(できるんだったら気持ちがいいだろうな。だが……俺の独断でそんな真似をすれば、あいつらを守れねえ)

提督(それに……)

提督「俺の部下を傷つけたお前らを家族扱いしろだと? 馬鹿も休み休み言え」

ニコ「それはぼくたちが悪かったと思ってるよ。ごめんね」

ニコ「ただ、ぼくたちを呼んだのが君で、君がぼくたちの主だっていうことは理解して欲しい」

ニコ「ぼくたちはさっきまでここの事情を知らなかったし……これはお互いの思惑のすれ違いだよ」

ニコ「お互いの理解ができれば、ぼくたちと彼女たち、結構いい友達になれるんじゃないかな」

提督「家族を名乗りたいがための懐柔策か?」

ニコ「それは違うよ。ぼくたちは似た者同士だもの」ニコ

提督「似た者同士……?」

ニコ「もう一度言うよ。君は、ぼくたちの力を欲したから、必要とされたから、ぼくたちがここにいるんだ」

提督(……まさかな)

提督「……艦娘たちと話がしたい。返事はそれからでも?」

ニコ「うん、いいよ。キサラギも連れて行ってあげて、そろそろ治療が終わったはずだし」

今回はここまで。

サービス終了の決まったゲームのキャラを題材にするのもどうかと思いますが、どうしても書きたかったので、ご容赦いただければ。

次回、如月と愉快なメディウムたち。


シリアスなところ申し訳ないがクラーケンの触手に弄ばれている電ちゃんの描写が足りないのではないか

>>77
あまり過剰にすると別の板向けになりそうなのですが加筆しました。

続きです。

 * 別の封印神殿の一室 *

 ピチョン

如月(……水音?)

如月(……私、どうなっちゃったのかしら)

如月(司令官をかばった後、あのハンマーに突き飛ばされて……)

如月(多分、捕まっちゃった、のよね)

如月(体があったかいし、ふわふわするし……もしかして天国に来ちゃった?)

如月(こ、怖いけど、目を開けてみないと……)オソルオソル

 パチリ

如月(…………こ、ここどこ!?)キョロキョロ

如月(石垣……じゃないわよね、これって、石壁……?)

如月(それで私は……)チラッ

如月(……裸っっ!?)ドキーーン

如月(なにこれ? 私ったらいつの間にお風呂に入れられてるの!?)チャプ

如月(ど、どうしよ、どうしよう! こんな姿、ほかの人に見られたら……)

ニーナ「あら? 目を覚まされました?」

如月(えええ? 誰? 誰なのこの綺麗な人!?)ドキッ

ニーナ「失礼と存じますが、お召し物はこちらでお洗濯しました。ここに置いておきますね」

如月「えっ? ええ……あ、ありがとうございます……?」

ニーナ「そのお風呂は魔力槽と言って、私たちが傷を癒す時に使う特別なお風呂です」

ニーナ「もう痛みとかはないはずですが、どうですか?」

如月「……え、ええ、そういえば、もう大丈夫みたい、です」

如月(消えないって言われてた古い傷もすっかり消えてるわ……入渠ドックと原理が違うのかしら)

ニーナ「良かった、魔力槽があなたがたにも使えたみたいで」ニコ

ニーナ「申し遅れました、私はニーナ。ペンデュラムのメディウム、ニーナと申します」

如月「あっ、わ、私は、如月、です。睦月型駆逐艦の2番艦よ」

ニーナ「クチクカン……? 船のメディウム……ではないのでしょうか?」

如月「あ、あの、ごめんなさい? まず、あなたのお名前はニーナさん、よね?

如月「そこまではいいんだけど、メディウムとか、ペンデュラムとか、って……どういう意味なの?」

ニーナ「え? それは……」

???「やあやあニーナ君、彼女、やっと目を覚ましたみたいだねえ!」

ニーナ「ルミナ!?」

ルミナ「いやあ待ちくたびれたよ! ようやく『艦娘』と対話できそうだと聞いたから、居ても立ってもいられなくてね!」

ルミナ「ふむ、キサラギ君と言ったね? 私はルミナ・ヘルレーザー。早速ですまないが、君のことを調べさせて欲しいんだ」ズイッ

如月「きゃああ!?」

ニーナ「ルミナ! そうやって人をなめまわすように見るのはやめてくださいと言ってるでしょう!?」グイッ

ルミナ「や、やめたまえニーナ君! 私の知的好奇心の邪魔をしないでくれ!」ズルズル

ルミナ「それになめまわすとかいかにも卑猥なことをしているような誤解を生む表現は気に入らないね!」キリッ

ニーナ「だったら見られる方の気持ちにもなってください! どうしてあなたの視線から逃げるのか考えて!」

ニーナ「いつもいつも穴が開くほど人を観察して、みんな安心できないって言ってるんですよ!」

ルミナ「いやいやいや、私は間違っても仲間にレーザー照射したりしないぞ!?」

ニーナ「そういう意味じゃありません! もう、あなたは書庫から出てこないで!」グイグイグイ

ルミナ「そ、そんな殺生な! 私は彼女が目を覚ますまで待ったんだぞ!? ひどいじゃないかこの仕打ちは!」ズルズルズル

如月「……な、なんだったのかしら」

???「ごめんねー、ルミナってば研究大好きだから、やたらと張り切っちゃってて~」

如月「きゃ!? あ、あなたは……?」

ナンシー「あたし? あたしはナンシー! 髪の毛をセットしたりするのが得意な、フォールニードルのメディウムで~っす!」

ナンシー「如月ちゃんだっけ? 驚かせちゃってごめんね~? マスターが話があるっていうから、着替えて一緒に来てくれる?」

如月「は、はい……」

ナンシー「タオルはこれね、自由に使って! それじゃ、終わったら呼んでね~!」

ナンシー「あ、髪の毛セットしたいときは言ってね! あなた、あたしと似たカンジのウェーブヘアだし、ビシーッと仕上げてあげるよー!」

如月「え、あの、ありがとうございます……」

如月(いったい、何がどうなってるのかしら???)

 * * *

ナンシー「ニコちゃーん! 如月ちゃん連れてきたよー!」

ニコ「来たみたいだね」

如月「し、司令官……? 司令官!」ダッ

提督「如月……! 無事だったか……! 変なことはされてないな?」

如月「……え、えぇと……」

ニコ「変なことはしてないつもりだよ。お風呂に入れてあげたくらいかな」

提督「風呂?」

如月「あの、ここの人たちの治療施設みたいなんです。入渠ドックのようなものかしら」

如月「それに入れてもらってたら、古い傷まで綺麗に消えてて……///」ピラッ

提督「こんなところで見せるな。まあいい、お前が回復してるってことは、嘘じゃないようだな」

ニコ「さてと、みんなと話してくるんだったね? それならぼくも一緒に行って話がしたいな」

ニコ「ナンシー、みんなを呼んできて。ぼくたちも挨拶しに行こう」

 * 鎮守府 1階階段そばの通路*

クラーケン <ヴジュルルルル…

電「ぐ、うぐ……」ミシミシミシ

電(体が、ばらばらに引き千切られそうなのです……!)

電(さっきから、締め上げられたりゆるんだり……電の体力を消耗させる気でしょうか?)

電(でも、電は、暁ちゃんたちが消えるのを見てることしかできなかった)

電(電が……みんなの足を引っ張ってしまったのです……だから、もう抵抗なんかしないで……)

電(電は、全部壊されてしまったほうが良いのです)スッ

電(どうせなら、みんなと同じ場所に……いきたかった、けど)グスッ

クラーケン <ジュルルル…

電(……拘束が弱まったのです?)

クラーケン <ニ゙ュル

電「はわわわわ!?」ビクッ

電「ど、どこを触ってるのですか!?」ヨジリヨジリ

クラーケン <ヴニュヴュニュヴニュニュニュ…

電「ひうっ!? せ、背中を……く、くすぐらないで欲しいのです!?」ビクッ

電「な、なにが……いきなり触り方が、変に……ぱうううう!?」ゾクゾクッ

クラーケン <ヌチヌチヌチヌチ

電「いやあああ!? そ、そこは汚いのです!?」アシトジッ

電「ひゃあ!? ひ、ひっくり返しちゃ駄目なのです!! ううう、は、恥ずかしいよぅ……」マッカ

クラーケン <ウジュル ヂュルヂュルヂュル…

電「ひっ!? そ、そんなにたくさん……や、やめ、やめて……電を、どうする気なのです……!?」マッサオ

クラーケン <ジュグワアアアア!

ニーナ「そこまでよ!!」

電「!?」

クラーケン <ピタッ

ニーナ「マリッサ! ベリアナ! キュプレ! 侵入者を解放して。集合よ!」

クラーケン <シュルルルル…

電(……え?)

電(拘束が緩んで……)ストン

電「た……助かった、の、ですか?」

ニーナ「ひどいことをしてごめんなさい」

ニーナ「みんなもうすぐ戻ってくるから、一度お屋敷の外に出て待ってていただけますか?」

電「戻って……くる?」

ブラックホール <グォォォォ…!

電「!?」

ブラックホール <ギュワァァァァ…!

ブラックホール <ポイッ

古鷹「きゃあっ!?」ガシャッ

五十鈴「いったぁ!?」ドシンッ

暁「ふぎゃっ!?」ベシャッ

電「!?」

ブラックホール <シュウウウ…

五十鈴「くぅ……な、なんだったの!?」

暁「あ、あいたたた……あれ? 電? どうして電がここに?」

電「もどって、きたのです……みんな、元の場所に戻ってきたのです!!」ダキツキッ

古鷹「きゃっ!? 電!?」

電「良かっ……よ……ふぇぇぇん」グスグス

暁「もう、電ったら! 怖かったのね、よしよし!」

古鷹「……私たちは夢を見てたんでしょうか」

五十鈴「夢じゃないみたいよ? 電の体にあの化け物の吸盤のあとがついてるもの」

電「はっ、そうなのです! 知らないお姉さんが建物から出て待っててって言ってたのです!」

暁「不知火お姉さん? い、電……あなたいつの間に陽炎型に改装されたのー!?」ガーン

電「あ、不知火ちゃんじゃないのです。青くて、長い髪の毛の……」

古鷹「お姉さん、ですか?」

電「はいなのです……あれ? いなくなってしまったのです……」

暁「どうしよう……黒潮さんから制服譲ってもらった方がいいのかしら」

五十鈴「違うって言ってるでしょ」

今回はここまで。

次回、 パンツ! パンツです!

続きです。

 * 鎮守府 正面ホール *

吹雪「はぁ、はぁ……キリがないなあ」

初雪「……もう帰りたい……」

不知火「若干ですが、攻撃の間隔があいてきた気がします」

朝潮「あちらもだいぶ疲弊している、と見ていいのでしょうか」

黒潮「せやな~、そろそろ弾切れ起こしてて欲しいなあ」

霞「そう見せかけて最後に一発残しておくのは常套手段でしょ!」

不知火「……静かに。奥から足音が聞こえます」

初雪「!!」

霞「しびれを切らして出てきたってところね!」

朝潮「首謀者の登場ですか……!」ジャキッ

吹雪「新手って可能性もあるよ、油断しないで!」

黒潮「よっしゃ、気張るで!」

不知火「来ます。接敵まで3、2、……」

吹雪「……」ゴクリ


ナンシー「は~いみんなぁ~、戦闘中止~♪」キャピーン






吹雪「ズコー!?」バターン

初雪(吹雪ちゃん沈黙に耐え切れなかった!?)

朝潮(吹雪さん!? パンツがまる見えです!)

霞「な、なんなのよあれ……ちゅ、中止?」

不知火「……黒潮。なんですかあれは」ギロッ

黒潮「なんでうちに聞くん!?」

不知火「吹雪さんにあんなベタなリアクションを仕込むのはあなた以外に考えられません」ズイッ

黒潮「そっちなん!?」ガビーン

朝潮(吹雪さん! さっきからずーっとパンツがまる見えです!!)

初雪(朝潮はなんでパンツをガン見してるの……)

霞「ちょっと、むこうでも揉めてるみたいよ!」

リンダ「なんでやナンシー! リンダちゃん頑張っとったやん! ここまでやって棄権とか聞いてへんで!」

ナンシー「そうじゃなくって~、仲良くなれそうだから戦うのやめよ、って話みたいよ~?」

リンダ「いやいやいや、止める言うても、もうちょっと他に止め方とかあるやんか!」

黒潮「ほんまや! なんやあの停戦宣言! 緊張感ぶち壊しやんか!」ズカズカズカ

リンダ「おお~、なんや姉さん、さっきまで敵やったんに言うてくれるなあ! もっと言ったってや!」

黒潮「おかげでうちの子ずっこけてパンツまる見えやで!」

リンダ「んなわけあるかい!」ビシーッ


霞「なにあの茶番」ピキピキ

不知火「頭にきました」ピキピキ

初雪(加賀さん!?)

黒潮「いやいや姉さんほんまやで、あれ見てみいや」

リンダ「まさか~、いくらなんでもそんなベタなリアクションとる子がおるわけ……」チラッ

吹雪のパンツ「やあ」チラッ

リンダ「ほんまや! 白いで! めっちゃ白い!」ガビーン

黒潮「そこ驚くとこちゃうねん!!」ビシーッ

ナンシー「なんか、すっごい呼吸ぴったりだけど、知り合い?」

黒潮&リンダ「「うんにゃ、まったくの初対面やー」」

ナンシー「えー……?」

不知火「……黒潮」ゴゴゴゴゴゴ

黒潮「はっ!」

不知火「あなたはどうして敵と馴れ合っているのです」アタマガシッ

黒潮「いたたた! 不知火堪忍! 堪忍や!!」ギリギリギリ

リンダ「ちょっ、ね、姉さんこの子責めんといたって!」

???「リンダ。あなたも調子に乗りすぎです」

リンダ「はっ! デ、デニやん……」

ディニエイル「ディニエイルです。勝手に略さないように。あなたも頭を冷やしたほうが良いですよ」エリクビガシッ

リンダ「ああアカン、アカンねん! うち寒いんはほんまようアカンねん! デニやん手ぇ冷たいん!」

黒潮「なんや、もしかして氷の矢のお姉さんなん?」

リンダ「せやで、凍るど・あろーのメディウムや」

ディニエイル「コールドアローです」ピキピキピキ

リンダ「寒い! 寒いて! 冷気当てるのやめーや!」

黒潮「いやー、ぶっちゃけその洒落もなかなか寒いで」

不知火「ツッコミ入れてる場合ですか」メキメキメキ

黒潮「痛い! 痛い痛い! 不知火痛い!!」

不知火「……」ジッ

ディニエイル「……」ジッ

黒潮&リンダ((あかん、これ一触即発ムードや!))ビクッ

不知火「…………」

ディニエイル「…………」

黒潮&リンダ((ヤバいヤバいヤバいヤバい))ドキドキ

不知火「私の身内が失礼いたしました」フカブカ

ディニエイル「こちらこそ、ご無礼を」フカブカ

黒潮&リンダ((……ほっ))

不知火「行きますよ黒潮」

黒潮「い、痛い痛い! 行くから手ぇ放してえな!」

ディニエイル「私たちも行きますよ」

リンダ「服引っ張らんといて! 伸びる! 伸びる~!」


朝潮「吹雪さん、吹雪さん!! いつまでパンツ見せてるんですか!!」

初雪(朝潮、明らかにパンツに話しかけてる……)

朝潮「吹雪さん! ……も、もしかして」

初雪「……うん、ずっこけた時に頭を打って気絶してるみたい」

霞「なにやってんのよもう!!」

 * 鎮守府 食堂 *

五月雨「こちらも異常なしです!」

鳥海「食堂の中までは安全を確保できたみたいね」

摩耶「だな、あとはここからどっちに進むか……」

潮「! だ、誰か来ます!」

伊8「! この気配……!」

シルヴィア「はぁい♪」

オボロ「……」

摩耶「お前ら……!」ジャキッ

朧「まさか正面から堂々とくるなんて!」ジャキッ

シルヴィア「はいはいちょっと待って、その物騒なものは仕舞ってくれる?」

シルヴィア「こうやって最初から出てきたんだもの、敵意がないことくらい察してくれないかしら?」

鳥海「どういうことです?」

シルヴィア「魔神さん……じゃなかった、提督さん、だったっけ? 彼が、私たちのまとめ役とお話してるの」

シルヴィア「それでね、本来なら私たちとあなたたちは、戦うような間柄じゃない、って話なのよ」

摩耶「はぁ?」

シルヴィア「これからその子が外に出て、あなたたちにそのことを話したいから、外に集まってほしいってお願いに来たわけ」

シルヴィア「まあ、いわゆる降参、ってやつかな?」

潮「い、いきなりそんなことを言われても……」

鳥海「信用できかねますね」

シルヴィア「んー、やっぱりそうなるわよね~」フゥ

シルヴィア「それじゃ、私も一緒に外に行くから。どう?」

摩耶「あぁ!?」

オボロ「シルヴィア!?」

シルヴィア「大丈夫よ、早かれ遅かれみんな外に出て挨拶するんでしょ?」

???「ねえ、それならあたしたちも一緒に行っていいかな?」

シルヴィア「アーニャ? まだ遊びに行くわけじゃないわよ?」

アーニャ「うん、だけど危なくしなきゃいいんでしょ? だからミーシャも一緒に! いいよね!」

シルヴィア「ああ、ちょっと待ちなさい、あっちにも都合があるでしょ」

シルヴィア「まあそういうわけでさ、あなたたちに危害を加える気はないから、私たち3人、同行していいかしら?」

摩耶「………」ポカン

鳥海「摩耶、どう思う?」

摩耶「あ、ああ……なんか毒気抜かれちまったなあ」

五月雨「さっき聞いた話よりも、ずっとフレンドリーな人たちですね?」

摩耶「アタシだって聞いてねえよ、あんな釣竿持ったちっこい奴らもいるとか全っ然だし……」

朧「でも、このまま戻れって言われても……」

摩耶「あー……連れて行くしかねーよな、やっぱり」

潮「だ、大丈夫なんですか!?」

摩耶「あのシルヴィアってやつはともかく、後ろのチビ2人は害がなさそうなんだよな……」

伊8「……でも、罠なんだよね」

摩耶「ああもう! わかったよ、連れてくよ! その代わり、変な素振り見せたら撃つからな!」

アーニャ「やったぁ! あたしアーニャ! こっちは妹のミーシャだよ!」

ミーシャ「よ、よろしくおねがいします」ペコリ

シルヴィア「私はシルヴィア。よろしくね」ヒラヒラ

摩耶「……あ、ああ、よろしくな」

オボロ「シルヴィア、それがしはこの件、ニコ殿に報告して参る」

オボロ「……朧殿、先刻は申し訳ない。縁あって同じ名前のよしみ故、貴殿に3人をよろしくお願い申し上げる」

朧「え? あ、はい!」

オボロ「では、御免!」シャッ

潮「……なんか、気に入られちゃったのかな」クスッ

朧「うーん……まあ、悪い気はしないけどね」

今回はここまで。

次回、 召喚。

みんなが辿りついたら 提督が誰かしらとイチャイチャしてた という定番ネタを見たいなこれはw

>>98
正直、ここの鎮守府の提督が、誰かとイチャイチャしているイメージがわかないんです……。
誰かがベタベタしようとして阻止される絵ならイメージ出来るのですが。

では、続きです。

 * 鎮守府 入渠ドック前 *

大和「それで、みんな戻ってきたんですね」

古鷹「提督と如月は心配だけど、完全に向こうのペースでしたから」

五十鈴「ブラックホールに飲み込まれるとか、もう経験したくないし」

電「電ももうこりごりなのです」

霞「私もよ。一体何しに行ったんだか」

吹雪「で、でも、大きな被害が出なかったからよかったよね!」

加古「うちらはそうでもなかったけどなあ。主に青葉が」

若葉「ああ、残念だった」

初春(残念なのは若葉のほうじゃ。今後が心配じゃのう……)

明石「摩耶さんたちも遅いですね……」

最上「酒保に行った空母組も戻ってないんだけど……」

利根「……いまひとつ不安じゃの」

筑摩「艦載機、飛ばしておきますね」

朝潮「来ました! 摩耶さんたち戻ってきました!」

利根「む、では艦載機は酒保だけで良さそうじゃ……な?」

陸奥「あれは……誰かしら?」


アーニャ「すごいね! 海ってでっかいんだ!」キラキラキラ

ミーシャ「うん、どんな魚がいるんだろう!」キラキラキラ

シルヴィア「ほらほら二人とも、先に挨拶しに行くわよ。あとでいくらでも海に行けるんだから」

アーニャ&ミーシャ「「はーい!」」


扶桑「ねえ鳥海? あの子たちは一体?」

鳥海「説明が難しいのですが……あの子たちが今回鎮守府を乗っ取った『罠』なんだそうです」

山城「は? あの釣竿持った子供たちが?」

摩耶「話を聞くとそうらしいんだよ。っつうか、実際そうなんだけど」

鳥海「でも、海に囲まれた島にあるこの鎮守府にいながら『海を見たことがない』って言ってましたし……」

摩耶「あいつらがここにいること自体、場違い感がすげえんだよな」

陸奥「どういうことなのかしら……」


由良「提督が出てきたわ!」

金剛「テートク!!」

長門「無事か!」

提督「……おう。ちょっと狐につままれた気分だけどな」

電「如月ちゃんも無事なのです!」

加古「で、後ろの女の子は誰だぁ?」

摩耶「今回の事件の犯人か?」

 ザワザワ

提督「よし、お前らちょっと静かにしろ。簡単に言うと、こいつらが俺の部下になりたいらしい」

 エー? ドウイウイコトー?

ニコ「改めて自己紹介するね。ぼくはニコ・エレメンタル」

ニコ「そして、ぼくたちはメディウム。魔神様の忠実なるしもべ」

ニコ「君たちにわかりやすく言うと、罠の化身、と呼んだほうがいいかな? 君たち艦娘が艦の化身であるように、ぼくたちは侵入者を脅かす罠の化身なんだ」

ニコ「君たちとぼくたちは、仕える主の立場こそ違うけれど、本来なら親戚のようなもの。仲良くできるんじゃないかな」

 ナンノコト? ドウイウコトダ?

ニコ「手っ取り早く、証拠を見せようか。ペンデュラム」

ペンデュラム <ヴオンッ

暁「な、なにあれ!」

三隈「刃物が空中に!?」

ペンデュラム <ヴオンッ ヴオンッ

提督「でかい振り子、だからペンデュラムか……」

最上「あんなの直撃したらただじゃすまないよ」

潮「で、でも、どこにぶらさがっているんでしょう……!?」

長門「上に何もないのに……手品にしては物騒が過ぎるな」

ニコ「彼女に指示を出すのがぼくの仕事で、このペンデュラム自体はぼくの能力じゃないよ。さ、ニーナ、もういいよ」

 シュンッ

ニーナ「これで、よろしいでしょうか?」クルッ ストン

電「あっ!! あのときのお姉さんなのです!?」

ニコ「あのペンデュラムが彼女だよ」

提督「てえことは、罠の種類の数だけ、化けられる奴がいるってことか」

ニコ「そう。今回はみんな各々の判断に任せたけど、本当はぼくが罠の発動タイミングを指示してるんだ」

武蔵「なるほど……摩耶の予想の通りだな」

摩耶「なあ、一つ質問いいか?」

ニコ「なにかな?」

摩耶「あんたたちは……いったいどこから来たんだ?」

ニコ「正直、こんなことは初めてなんだけど……」

ニコ「ぼくたちは魔神様が封印されている、山奥の神殿に住んでいるんだ」

ニコ「それがある日、神殿内に扉が一つ増えていて、それがこの場所、この建物の執務室につながっていた」

ニコ「その部屋からは魔神様の気配が強く感じられたから、ぼくたちは魔神様が復活したと考えて、活動を始めたんだ」

摩耶「はあ!? 最初っから執務室に出入りできてたのかよ!」

ニコ「でも、ぼくたちを召喚したはずの建物の中に魔神様がいない。そう思って探しているところに君たちがいて……」

武蔵「慌てて追い出そうとしたのか?」

ニコ「魔神様を討伐しに来たのかと思ったんだ。ぼくたちの世界では魔神様の敵ばかりだったから」

ニコ「ぼくたちにとっての侵入者を追い出していく中で、異質だけど懐かしい雰囲気が一つ……それが執務室の主、提督だったんだ」

摩耶「提督が来た時点で出てくれば良かったじゃんか」

ニコ「実際に会うまで確証を得られなかったからね」

ニコ「それに、君たち……『カンムス』に関する文献の解読に手間取っちゃった」

ニコ「とにかく、提督に会うことでぼくたちは確信したんだ。彼こそが、ぼくたちが仕える魔神様だって」

金剛「Hey, wait a moment!」

金剛「ドコのシューキョーだかわかりまセンが、マジンサマに用があるならマジンサマを探してくだサーイ!」

金剛「どうしてテートクをマジンサマにするんデスカ? テートクには関係のない話デース!」

ニコ「関係ないだなんてとんでもない、ぼくたちが召喚されたこと自体が彼が魔神様である一番の証左だよ」

提督「どういう意味だよ」

ニコ「人間が魔神様になる事例には、いくつかの本人の素質が関係するんだけど」

ニコ「ひとつ、ほかの人間にはない能力を持っている」

如月(妖精さんと意思疎通できる力かしら……)

ニコ「ふたつ、たくさんの命の生死を目にしている」

最上(確かに『墓場島』なんて呼ばれる島に住んでるくらいだし……)

ニコ「みっつ、人間に、強い憎悪を抱いている」

艦娘全員「!!」

ニコ「その様子だと、思い当たる節があるんじゃないかな?」

金剛「テートク!? こんな訳のわからない相手に耳を貸す必要 Nothing デース!」

金剛「テートクは他人の苦しみがわかる人デス……そんな人じゃありまセン」

提督「……いいや、そんな人だよ、お前の提督は」

提督「俺だけじゃない、お前も含めてここに流れてきた奴は、少なからず人間にひどい目にあわされて、恨み言吐いたことのある連中ばっかだろ」

提督「ま、吐かせたのは俺だがな」

金剛「...But、それではテートクが悪者になってしまいマス」

提督「ああ、悪者だと思うぞ。戦争は勝ったやつが正しいことになるんだよ。自分が正しいことを思い知らせるために暴力をふるう」

提督「逆に、いくら正論を吐いても負けりゃ賊軍。力がなきゃ正義は語れねえ、今の俺は負け犬の悪者だってんだよ」

金剛「……テートク」

提督「それに、お前ら兵器だろ。何を今更いい子ちゃんぶってやがる」

金剛「テートク、もう、やめてくだサイ」

提督「俺たちが罪を犯していないと主張しても、一度濡れ衣を着せられれば、誰も信じやしないのが現実だ」

提督「別に本物の悪党になるつもりはねえ。ただ、俺が考えてる正しいことのためになら悪党でも人でなしでも構やしねえってだけだ」

金剛「Shut up!」ガシッ

金剛「そうやってわざと誰かを助けるために悪者になって、汚名を一手に背負いこむテートクを、私たちは見過ごせまセン!」

如月「そうよね……司令官は、いつもわざと悪者になりたがるのよね。私たちの代わりに手を汚そうとして」

神通「そのせいもあって、私たちに素直になってくれないんですよね」

黒潮「めっちゃ心配性なくせにな!」

山城「この人は、他人を好きになったり好きになってもらったりすることが不安なのよ、臆病だから」

暁「だ、だから嫌われようとしてるのよね! 山城さんそんなことまでわかるなんて、さすがだわ!」

電「や、山城さんどうして落ち込んでいるのです? 元気出してほしいのです!」

鳥海(そういう理屈を理解したくなかったんでしょうね……自分が同じ境遇だったりしたら、なおさら)

不知火「……まあ、そのせいで第一印象に最悪のシチュエーションを選んできますから救えないのですが」

川内「あー、わかるわかる! ツンデレってやつ? 可愛いよねー!」

大淀「どうせ今回の彼女たちも、なんだかんだ言って同じように受け入れてしまうんでしょうね」

扶桑「考えてみればこんな島、人が訪ねて来ることのほうが珍しいんじゃなくて?」

最上「流れ着いてくるのが艦娘の残骸ばかりで、その子たちを埋葬するのが提督の日常だもんね」

日向「逐一埋葬している提督が悪者というのなら、誰が正しいことになるのやら」

陸奥「朧や吹雪みたいに助かってる子もいるし、決して悪い島なわけじゃないんだけどねぇ?」

吹雪「とにかく! 司令官の身に何があろうと、私は司令官についていきますから!」

摩耶「おいおい、何かあってからじゃ遅えだろ? ここは、あ、あたしが……その、なんだ」

榛名「はい、榛名が提督をお守りします!」

霧島「お姉様、抜け駆けは許しませんよ」

加古「おーい摩耶ー、真っ赤になってないで続き続きー」

 ギャーギャーヤイノヤイノ

ニコ「慕われているね、魔神様は」

提督「うるせえ」

金剛「Hey, Nico ?」

ニコ「? なにかな?」

金剛「私たちは、提督を悪者にしたくありまセン」

ニコ「ぼくたちは、ぼくたちの平和が欲しいだけだよ。まあ、邪魔者は容赦しないけど」

金剛「……お手柔らかにお願いしますヨ?」

ニコ「それもこれからは魔神様次第かな」

ニコ「君たちとぼくたちの違いは、兵器か、凶器か。ぼくはそれだけだと思ってる」

ニコ「そういう意味では、使い方は一緒だからね」

提督「使い方、ね……」ムスッ

ニコ「!」

金剛「……」ニマー

提督「なんだよ」

ニコ「ふふふ、これからよろしくね」ニコッ

ニコ「さて、挨拶も済ませたし、自己紹介は後で各々、で、いいかな」

提督「ああ……そういえばお前ら、何人いるんだ?」

ニコ「ええっと……60人はいたかな?」

提督「ろくじゅ……!?」

ニコ「まだ目覚めていない子もいるから、もう少し増えるかも。徐々にでいいから、覚えていってあげてね、魔神様」

提督「……面倒くせえ」

ニコ「君に逢いたがっている子はたくさんいるからね。ちゃんと会ってあげないとだめだよ?」

提督「……マジ面倒くせえ」

ニコ「ねえ、金剛……? この子はいつもこんな調子なの?」

金剛「Yes, he is everytime コンナ調子 ネ」


霧島「なんというか、意外と理解のある侵入者ですね。提督が不在でなければ、もっとすんなり和解できたのかも……」

金剛「霧島、のんきには構えていられないデース!」

金剛「あのニコというお子様からもわかるとおり、彼女たちも提督のハートを狙ってマース! 油断なりまセーン!」

ニコ(金剛、ちょっと声が大きくないかな?///)

神通「事実のようですし、何か問題でも?」スッ

ニコ(突然誰この人!?)ビクッ

???「オーウ! そのイントネーション! アナタ、私と同じデスカ!?」

金剛「!?」

キャロライン「ハーイ! 私、キャロライン! ハジメマシテ ネ!」

金剛「Oh, pritty girl ! 私は金剛デース! あなたは……留学生デスカ?」

霧島「だとしたら帰国子女の金剛お姉様とは逆ですね。私は金剛型戦艦の4番艦、霧島です。そのお着物は?」

キャロライン「私、一人前のレディーを目指して、淑やかさを勉強してるのヨ!」

暁「レディーですって!? 聞き捨てならないわ!」バッ

金剛「暁、あなたにrivalが出来ましたネー」

暁「毎日牛乳を飲んでる暁の圧倒的勝利に決まってるわ!」フンス

キャロライン「私、舞踊とか、お花のお稽古とか頑張ってるヨ!」

暁「」

霧島「暁ちゃんには予想以上に手強い相手でしたね……どうしました金剛お姉様」

金剛「Ah, Charrolline ? あなたの雰囲気、どこかで感じまシタ……どこデショウ?」

キャロライン「忘れちゃっタノ!? アナタ、私にブッ刺されたノニ!」

霧島「……まさか」

金剛「Oh...」

キャロライン「イエース! 私、ニードルフロアのメディウム、キャロライン ヨ! よろしくネ!」

榛名「あのとげ床が……この子だったんですか!?」

金剛「そうみたいデス……」

比叡「もしかして、お姉様と雰囲気が似てるから気付けたんでしょうか?」

金剛「そんなに似てますカ……」

キャロライン「オーゥ、私も忘れてたケド、魔神様にも挨拶しないとネ! ハーイ、ダーリン!!」

金剛「!?」クワッ

榛名「!?」クワッ

提督「ん、俺のことか?」

キャロライン「そうヨ? 私、キャロライン・ニードルフロア ヨ! よろしくネ、ダーリン!」

提督「ん……おう」

金剛「Stoooooop!! Stop it!!」

榛名「お待ちなさい!!」

金剛「Hey, Charrolline ! Stop call him "Darling" ! I never permit that !」

榛名「て、提督を、だ、『ダーリン』なんて呼ぶような勝手は、榛名が許しません!!」

提督(なんだこの同時通訳)

キャロライン「? どうして許さないノ?」キョトン

金剛「えっ」

榛名「えっ」

比叡(これは手強いです金剛お姉様!)

キャロライン「アナタたちもそう呼べばいいんじゃないノ?」クビカシゲ

金剛「そ、そういう発言は、時間と場所を弁えてデスネー……」ポッ

榛名「は、榛名はまだ、提督とそういう関係では……」ドギマギ

提督(ここへきて照れるのか)

如月「それじゃあ、私はそう呼ばせてもらっちゃおうかしら。ね、ダーリン?」

金剛「」

榛名「」

霧島(何の躊躇いもなく!? 如月……恐ろしい子!)

キャロライン「そういえば、コンゴーたちと戦ってから、休憩してなかったネ」

キャロライン「これからお風呂に行くから、ダーリンも一緒に入らナイ?」ニパー

金剛「No! Nooo!! Stop, Stop just now !!」

榛名「お、お、お待ちなさい!!」

如月(さっきも見たわこのシーン)

キャロライン「どうしたノ?」キョトン

金剛「一緒にお風呂なんてうらやま……いえ、風紀が乱れマース!」

榛名「ああああなたに恥じらいはないんですか!」

キャロライン「私は構わないヨ?」クビカシゲ

金剛「ぐぬぬ」

榛名「ぐぬぬ」

霧島(完全に手玉に取られてますね)

提督「仕事が残ってるからそのうちな」

キャロライン「サーンキューゥ! そのうちでもオッケーネ! ダーリン大好キー!」

金剛「」

榛名「」

如月(こんなにあっさりOKが出るのなら、私もお願いしてみようかしら)

ニコ「待ってキャロライン、魔力槽って一人用だから、二人で入ると狭いと思うよ」

キャロライン「その時はダーリンにだっこして入れてもらうヨ?」

金剛「Shiiiiit !! What a envy situation !!」ジダンダジダンダ

榛名「」ハナヂブパッ

ニコ(それ、ぼくも羨ましいなあ)ハイライトオフ

比叡「榛名!? 立ったまま気絶しないで!」

榛名「は、はい!? 榛名は大丈夫です!?」

比叡「疑問形になってるよ榛名!?」

???「あらあら、この程度で落ち着きのない……随分初心な子がいるのね」

ニコ「あ、やあヴェロニカ、魔力の回復は終わったの?」ハイライトオン

ヴェロニカ「ええ、魔力槽空いたわよ」

ニコ「それじゃキャロライン、君も回復してきなよ」

キャロライン「オッケーね! またね! ダーリン!!」トテテテッ

金剛(……やっと安心できそうデス)

ヴェロニカ「ふふ、あなたが魔神様ね?」チラッ

提督「……提督だ」

ヴェロニカ「私はヴェロニカ、スパイダーネットのメディウムよ。よろしくね、坊や」スッ

榛名(坊や!? しかもいきなり近い!?)

如月「あ、もしかして、あなたがあの蜘蛛の巣の!?」

ヴェロニカ「あら、あなた……元気そうね、良かったわ」スルリ

榛名(さりげなく提督の腕に絡み付いてる!?)

金剛「Stop! Stop!! Stoooooop !!」

金剛「そこのあなた! テートクにくっつきすぎデス! 今すぐ離れなサーイ!!」プンスカ

提督(何度目だ金剛のストップは)

ヴェロニカ「嫌よ」サワサワ

金剛「嫌……!? って、あーーもーーー! テートクのどこを触ってるんデスカ! セクハラデス!」フガー

ヴェロニカ「あら、この程度のスキンシップで燃え上がるなんて……お子様ね」スリスリ

ヴェロニカ「それだけ騒げばもうおねむでしょう? 早くおねんねしたほうがいいわよ、お嬢ちゃん」

金剛「Goddamned !! P-----、P------!!」

比叡「こ、金剛お姉様! 下品ですから中指立てないで!」

如月「金剛さんを子ども扱い……この人も手強いですね」

霧島「といいますか、立て続けに司令を脅かす存在が出てきてるせいで、金剛お姉様は冷静さを削られてますね」

陸奥「……ちょっと待ちなさい」

如月「陸奥さん!?」

陸奥「ヴェロニカ、だったわね。あなた、出会ってすぐに彼を誘惑するなんて、随分お目が高いじゃない」スッ

陸奥「だけど、私たちのほうが彼との付き合いは長いのよ? 簡単にことが進むなんて、思わないことね」ギュ

ヴェロニカ「あら……あなたにできるとでも?」ニヤリ

陸奥「あらあら……見くびられたものね」ニヤリ

榛名(陸奥さんも提督の腕をつかんで睨み合ってる……!)

如月(修羅場だわ……!)

比叡(ひええ、火花が散って見えます……!)

霧島(この状況で面倒くさそうにしてる提督も図太いというか……)

提督(実際、超面倒くせえ)

ヴェロニカ「ふふっ、いいわ、面白そう」スッ

ヴェロニカ「簡単に手に入ったら面白くないものね。ゆっくり、じっくり……楽しんで、いただくことにするわ」

ヴェロニカ「坊や、また後でね」

ヴェロニカ「……ムツ、あなたもね。ふふ」ニヤリ

陸奥「……」キッ

如月「……陸奥さん!」

榛名「す、すごいです! あの人と対抗してみせるなんて!」

陸奥「……」プシュゥゥゥゥ

比叡「あれ?」

陸奥「わ、私、どうしてあんなこと口走っちゃったんだろう……」カオマッカ

霧島「えっ」

陸奥「腕まで掴んじゃって、やだ、ちょっと恥ずかしいっ」ワタワタ

如月「えっ」

陸奥「その、あの、提督ごめんなさい!」ダッ

比叡「あっ」

霧島「……咄嗟の対抗心、みたいなものでしょうか」

如月「陸奥さん、結構無理してたんですね……」

比叡「っていうか、陸奥さんってそういう人だったんですか……?」

金剛「……暁、Ladyへの道は果てしなく遠いデース……」イジイジ

暁「だ、大丈夫よ金剛さん! 金剛さんは私よりずっと大人じゃない!」オロオロ

今回はここまで。

次回、 クラーケンおおあばれ。

では続きです。

五十鈴「提督ー!」

提督「ん?」

五十鈴「提督、電を助けてあげて!」

電「あ、暁ちゃん! 助けてほしいのです!!」ダキツキッ

暁「きゃ!? ど、どうしたの!?」

電「あ、あの人です……あの人が私を捕まえようとするのです!」ガタガタ

マリッサ「……んー……」キョロキョロ

暁「だ、誰!? って、目隠ししてるっ!?!?」

比叡「口枷までしてる……!? 見るからに危ない人ですよ!」

霧島「……な、なんて姿……破廉恥な!」

武蔵「おまけに革製拘束具に軍帽、鞭まで持ってるとなると、これはあれだな、『女王様』というやつだな」

暁「えっ」

電「えっ」

金剛「えっ」

榛名「えっ」

大和「えっ」

五十鈴「えっ」

比叡「?」

提督「わかってない奴が多いな」

武蔵「うん、わからなくていい。お前たちは純真なままでいい」

比叡「で、とりあえずそんなアブナイ人がどうして電ちゃんを?」

マリッサ「……」クルッ

電「ひっ!?」ビクッ

暁「こっち見た!? 目隠ししてるのに!!」ビクッ

マリッサ「……あはぁ♪」ツカツカツカ カチャン ←ボールギャグ外し

暁電「「はわわわわ」」ガタガタガタ

マリッサ「フフッ、つーかまーえたっ♪」ヒョイッ

電「ぱうううう!?」ジタバタ

提督(目隠ししてるのに電だけピンポイントに引っ張り上げやがった。なんだこいつ)

暁「ちょっ、い、電を放しなさいよ!」ガタガタ

マリッサ「ふぅん、この子、イナヅマちゃんっていうのぉ?」パチン ←目隠し外し

マリッサ「フフッ、思った通りのかわいいお顔♪」ギュースリスリ

マリッサ「私の名前はマリッサよん、よろしくねぇ電ちゃん♪」ジュルリ

電「は、は、はい、なのです、はわわわわ」ガタガタ

武蔵「……なあ、彼女からはすごく嫌な気配というか、不吉な感じがするんだが」

比叡「あ、それ私もです。胸騒ぎがするっていうか……」

五十鈴「私もよ。なんていうか、異様な恐怖感ていうか相容れない感覚っていうか……」

ニコ「それはもしかして、彼女がクラーケンのメディウムだからかな?」

霧島「ク、クラーケンですって!?」

武蔵「知っているのか霧島!」

霧島「クラーケン……それはヨーロッパの船乗りの間に伝わる、船も飲み込むほど巨大な海の魔物のことです!」

比叡「な、なんだってー!?」

霧島「巨大な海洋生物として描かれますが、一般的には巨大なイカやタコの姿で描かれます」

五十鈴「じゃああれが、電に絡み付いてたイカの足の化け物の正体!?」

武蔵「つまり、私たちが漠然と感じていた不安の正体は、マリッサが原因なのか」

提督「海難そのものを具現化した悪魔、とも言われてるな」

ニコ「相性は悪いかもしれないね。伝承では船体をへし折るほどの力を持ってるから」

武蔵「……縁起でもないな」

五十鈴「そうやって不安を煽ってないで電を助けてよ!」

電「」ガタガタガタ

マリッサ「もう、あんまり怖がらないで? ひどいことはしないから」

電「ほ、本当ですか?」ビクビク

マリッサ「本当よぉ、だって私、あなたが気に入っちゃったんだもの♪」

電「き、気に入った、ですか?」

マリッサ「ええ、小さな体にきれいなお肌、愛らしい声とその姿……なのに思ったよりも力が強くて驚いたわ」

マリッサ「そして、助けに来た仲間がブラックホールに吸われて消えて行った時のあの声……!」

マリッサ「目の前で仲間が消えた時の無力感と悲痛な叫び声……素敵すぎて、あなたを絞め殺したくなったほどよぉ♪」キラキラキラッ

電「」

五十鈴「」

如月「」

暁「うわあああん」ナミダジョバー

マリッサ「でも、それは間違いだってすぐに気付いたわ」

マリッサ「それよりも、手足を一本ずつ引き千切ったほうが、素敵な悲鳴をもっともぉっと聞けるんじゃないか、って♪」ウットリ

武蔵「」

霧島「」

大和「うーん」クラッ

比叡「ヒエッ」ガシッ

暁「い、いなづまをはなしなさいよぉぉぉ」ナミダジョバー

マリッサ「そこで待ったがかかっちゃってねえ……しばらく嬲ってあげるだけにしてたのよねぇ」

提督「ああ、この辺が俺が止めてくれって言ったのか……」

マリッサ「電ちゃんが絶望して抵抗をやめた時は感動すら覚えたわ……そんなときも、ちょうどいいところで邪魔が入るから」チラッ

ニコ「それはぼくのせいでもニーナのせいでもないよ」

提督「むしろ止めてもらわないとマジでやばかったわけだが」ヒキッ

暁「そ、そ、それで、今度は電をいったいどうする気なのよ!?」プルプルガタガタ

マリッサ「それはもちろん……可愛がってあげようと思ってるわ。性的な意味で」ニタァ

武蔵(笑みが邪悪すぎる)

暁「ど、どうして電なのよ! か、か、解放しなさいよ!!」ガクガクブルブル

比叡(及び腰なのに立ち向かう暁ちゃんが健気すぎる)ホロリ

マリッサ「そうはいかないわ、電ちゃんは私の運命の相手だって言う子がいるんだもの」

五十鈴「ちょ、ちょっと、それどういうことよ!」

キュプレ「それは私の矢が当たったからよ!」フワッ

武蔵「今度は誰だ」

比叡「あ、あれ! もしかして……天使!?」

キュプレ「私の名前はキュプレ! ペッタンアローのメディウムよ!」

五十鈴「ぺ、ぺったん……!?」

武蔵「ぺったん……いや、どこもぺったんじゃないな、むちむちだ」

比叡「うん、むちむちだね」

霧島「むちむちですね」

キュプレ「ちっがーう! どこ見てんのよもう!!」プンプン

キュプレ「私は恋のキューピッド! この吸盤がついた矢で運命の人をくっつけ合わせるのが私のお仕事よ!」

五十鈴「それじゃ、あんたが電と古鷹さんをその矢で引っ張ったのね……!?」

キュプレ「私の矢に導かれ、邂逅する運命の二人……! そこから始まる素敵な恋の物語! あれを見なさい!」

古鷹「提督! 助けてください!」

ベリアナ「ああん、待ってよぉ~!」

比叡「こ、今度は悪魔みたいな人が!」

ベリアナ「悪魔だなんて失礼ね、私はブラックホールのメディウム、ベリアナよ」

暁「ぶ、ブラックホール!?」ヒシッ

五十鈴「この子が!?」ギュッ

武蔵「や、その姿は十分悪魔っぽいと思うが」

ベリアナ「んもう、細かいことは気にしないの。それより古鷹ったらぁ、どうして逃げちゃうの~?」

古鷹「わ、私に友達以上の好意を寄せられても困ります!」

ベリアナ「そんなぁ、私はあなたの視線を……その輝く綺麗な瞳を独り占めしたいだけなの……!」カオヒキヨセッ

ベリアナ「だ・か・ら、私と契りを結びましょ? フフフフッ」

古鷹「わ、私はそういう、その、女性とそういう関係になる趣味はありませんから!」アトズサリ

古鷹「申し訳ありませんが、ほ、他の男性にあたってくださいっ!」

ベリアナ「申し訳ないって思うならぁ、責任、とってよね?」

ベリアナ「一度はぁ、私のナカに、入ってきたク・セ・に」

古鷹「と、とにかく! 私はそういう関係にはなりませんっ!」ビュンッ

ベリアナ「あん、連れないんだからぁ、逃げないでえっ!」

キュプレ「どう? 私の愛の矢の力で、続々とカップルが結ばれてるわ!」フンス

武蔵「いや、古鷹は明らかに迷惑そうだったし、ベリアナは絶対からかってるだろ」

電「そ、それより……は、はやく、たすけて、ほし、のです……ぅ」ガタガタガタ

マリッサ「ああん、もう可愛くて仕方がないわ! 食べちゃいたいくらい……!」ペロリ

長門「そこまでだ! 電インターセプトォ!」バッ

マリッサ「あンっ」ッバ

長門「電、大丈夫か」

電「な、ながとさん……!」ウルウル

長門「よし、ここはこの長門に任せろ! 暁は電を連れて下がっているんだ!」

暁「あ、ありがとう長門さん! 行くわよ、電!」ガシ

電「あああ暁ちゃん待ってください! 脚が動かないのです!!」カタカタ

暁「あ、暁もよ!?」ガクガク

加古「よしよし、んじゃーまとめて連れて行こうかねー」ヒョイヒョイッ

暁電「「か、か、加古さぁぁぁん!!」」ヒシッ

長門「行ったようだな……貴様、いたいけな駆逐艦を誑かすなど言語道断! この長門が懲らしめてくれる!」

マリッサ「…………」ジー

長門「…………」

マリッサ「…………」ジー

長門「……な、なんだ。何が言いたい」

マリッサ「…………うふぅ♪」ニタァ

長門「!?」ビクッ

マリッサ「いいわ、あなたもとっても素敵……! 苦痛でも快楽でも、その顔がどんなふうに歪むのか、見てみたいわぁ♪」

長門「」

マリッサ「ふふっ、どうしたの? 私を懲らしめてくれるんでしょう? 私、どんな辱めを受けるのかしら……楽しみぃ♪」クネクネ

武蔵(駄目だこいつなんとかしな……いや、関わらないのが一番だな)

???「待て。其奴は私の相手だ」ゲシッ

マリッサ「あぁん! もう、ヴァージニアったらぁ、そんな靴で蹴られたらア○ルがふたつに増えちゃうわぁ」

ヴァージニア「ふん、品のない冗談には付き合えん。それより貴様……ナガト、といったな?」

ヴァージニア「覚えておろう? 私はヴァージニア、クイーンハイヒールのメディウムだ」

長門「ハイヒール……貴様があの足の正体か!」

ヴァージニア「いかにも。この私の歩みを受け止め、耐え切った。この私が褒めてやろうというのだ、光栄に思うがいい」フンゾリ

ヒサメ「うむうむ。まっこと同感じゃ。このヒサメもお主の力は見事というほかないと思うておるぞ?」

ヴァージニア「ヒサメ……貴様、まだ私が話している最中だ。何を横から勝手にべらべらと……」

ヒサメ「ヴァージニアはまどろっこしくていかんのじゃ。おぬしがどうじゃろうと、わらわもナガトが気に入ったでのう?」スススッ

ヒサメ「うむ、おぬしのかんばせ、実に凛々しきものぞ。そなたがおのこであったならばさぞ見目良い色男であったろうに、残念でならぬ」ペタペタ

長門「ま、待て、お前からひんやりした空気が来るんだが……お前は雪女か?」

ヒサメ「わらわは床を凍らせるスリップフロアのメディウムじゃ。お主がおのこだったなら、氷漬けにして愛でていたところじゃぞ?」クスクス

ヒサメ「……うむ、のう長門や、ここは暑くてかなわぬゆえな、涼しいところにてわらわに付き合うがよいぞ?」

ヴァージニア「待て、今ナガトと話をしているのはこの私だ」

マリッサ「んもう、私だってお話してたのよぉ?」

武蔵「さすがビッグセブン、モテモテだな」

長門「……あまり嬉しくないな。どうせなら……」

長門「そうだな、こういう可愛い子に慕われたいものだが」

ソニア「え? お姉さん、ソニアに何か用?」

長門「ああ、君は可愛らしいなと思ってな」

ソニア「えへへ、ありがとう!」

マリッサ(あら、そういう趣味?)

ヴァージニア(ロ、ロリコンだと!?)

ヒサメ(なんじゃ童女趣味じゃったか……)

長門「何か言いたそうだなお前たち」

ソニア「お姉さん、背が高くて、髪も長くて、上のお姉ちゃんに似てるかも?」

長門「ほう、お姉さんがいるのか」

ソニア「うん、お姉ちゃんが二人いるんだ! でね、それでね、教えてほしいんだけど」

ソニア「上のユリアお姉ちゃんが『シュホ』ってところに友達を迎えに行ったっきり戻ってこないの。『シュホ』ってどういうところなの?」

利根「なんじゃ、丁度良く酒保の話題になったか」

長門「利根? なにかあったのか?」

利根「うむ。まあ、ソニアとやらに説明してからでも遅くはなかろう」

利根「まず、酒保というのは駐屯地や軍艦の中にある売店のようなものじゃ。日用品や食べ物が売ってあるんじゃが……」

???「お取込み中すみません、その酒保に案内していただきたいのですが」

利根「ぬ? お主料理人か?」

セレスティア「はい、私はホットプレートのメディウム、セレスティアと申します」

セレスティア「親睦を深めようと思い料理をふるまうつもりなのですが、食材をどこから調達するのか、という話になりまして」

セレスティア「それで酒保にあるのでしたら、そこの食材を使わせていただく許可を頂きたいのです」

長門「ふむ……提督! 酒保にある食料の管理者は?」

提督「それは俺と明石だが……食堂の分じゃ足りないのか?」

長門「いや、そちらはそちらで在庫はあったはずだな。よし、私が彼女と見に行こう、悪いが明石も一緒に来てくれ!」

明石「はーい!」

比叡「あ、私も行ってもいいですか?」

長門「ああ、厨房は比叡のほうが勝手を知っているな。助かる」

セレスティア「ありがとうございます。それと……先程は爆発を誘発させてしまい、大変失礼致しました」ペコリ

長門「え? ……あっ、お、お前か……」タラリ

比叡「?」

明石「?」

利根「それより提督、その酒保のことなんじゃが」

提督「なんだ?」

利根「隼鷹たちが『めでぃうむ』たちと酒盛りを始めておる」

提督「」

ニコ「」

利根(提督と同じ苦労をしとる顔じゃな)

ソニア「もしかして、あたしのお姉ちゃんも?」

利根「おそらくそうじゃな……長門のように背の高い、ピンクの帽子と服を着た長髪の女性じゃろう?」

ソニア「うん。もう、しょうがないなあ……」プクー

提督「利根、龍驤も同行してたはずだがどうしてる」

利根「無理矢理飲まされたらしく酔って寝ておる。あやつは下戸じゃろう? 雲龍が介抱しておる状態じゃ」

提督「ほかのメンバーは」

利根「隼鷹、千歳、那智、足柄じゃ。めでぃうむらしき3人と飲んでおるのう……残り二人は海賊と修道女のような姿をしておる」

ニコ「ということは、ヴィクトリカとエレノア、それにユリアだね」

提督「ったく、酒飲みが増えるとろくなことはねえな。そもそも那智は飲酒を控えてた筈だが」

ニコ「しょうがないなぁ……ソニア、ミュゼとルイゼットを連れてあの3人を迎えに行ってくれる?」

提督「利根、お前も筑摩と霧島と、大淀も連れてけ」

如月(怒ると怖い人たちばかりね……)

武蔵「相棒、私も」

提督「武蔵は絶対に行くな」

武蔵「」

大和(絶対、酒宴に混ざると思われてますね……)

利根「ふむ、では行こうかの。吾輩は利根じゃ、よろしくの」

ソニア「あたしソニア! スプリングフロアのメディウムだよ! さっきは吹っ飛ばしてごめんね?」

利根「……吹っ飛……? も、もしやあの3段跳びの床は、おぬしたちじゃったのか!?」

ソニア「うん、一番最初に飛ばしたのが私で、そのあとの二つがお姉ちゃんたちだよ」

筑摩「……そう……あなたが利根姉さんを吹っ飛ばしたのね?」ゴゴゴゴ

利根「ち、筑摩! 落ち着け! このソニアは一番最初じゃったが、威力はほどほどじゃったぞ!」

ソニア「えっ? あなたがお姉さんなの!? この人があなたの妹!?」

利根「ふむ、ソニア貴様どういう意味じゃ」ゴゴゴゴ

ソニア「だってあたしと髪型似てるしー」

ミュゼ「ですよね、妹さんは綺麗な感じですが、お姉さんは髪型もあってかとっても可愛らしい感じがしますよ?」ヒョコッ

筑摩「ええ、利根姉さんは可愛いんです! わかる方がいらっしゃるようで嬉しいですね」グッ!

利根「筑摩、誤魔化されるでないぞ」

ルイゼット「皆様のお怒りはごもっともです……しかしそれらは誤解あってのこと。何卒ご容赦願えれば幸いです」

利根「いや、今はその話ではないのじゃが……」

ミュゼ「まあまあ、こっちのルイゼットは逆にあなたがたにぼこぼこにされたんですから、おあいこですよー」

大淀「まあ、諸々の怒りは酒飲みにぶつけるとしましょう」

霧島「もしや空母組はこれが狙いで最初から酒保に行こうとしてたわけじゃないでしょうね……」

利根「だいたいは隼鷹や千歳が原因じゃろうが……」

ルイゼット「!! あなた様は……!!」

霧島「? 私がどうかしましたか?」

筑摩「霧島さん、ご存知の方ですか?」

霧島「いえ、初めてお会いしますけど」

ルイゼット「わたくしはルイゼット……あなた様に撃ち落とされた、ギロチンのメディウムにございます!」ヒザマズキッ

霧島「え!?」

ルイゼット「我が断罪の刃は、これまで多くの罪を清めてきました……しかし、今日の私の行いは明らかな冤罪!」

ルイゼット「これより同胞となるあなた様の姉君の首をはねようとした私の凶行を、あなた様が止めてくださったのです……!」ウルウル

ルイゼット「わたくしの過ちと間違いを未然に正してくださったあなた様には、感謝と畏敬の念を禁じえません……!!」ソットテヲトリ

霧島「えっ、あの」

 ナンダナンダ
 キリシマサンサッソクヒトリシャテイニシテルヨ
 サスガキリシマサンマジパネェワー

霧島「ちょっ、いいから顔を上げてください! 畏まらなくていいから!」

ルイゼット「霧島様と仰いましたね……このルイゼット、我が主と伴に征かんとする霧島様のお役に立てれば!!」

霧島「わ、わかりました! そんなふうに跪かなくていいので、立ち上がってください」

ルイゼット「ああ、なんと慈悲深い……! なんて有難いお言葉……!!」オイノリー

霧島(どうしようこの人)

利根「霧島も難儀な相手に好かれたものじゃの……」

ミュゼ「そうですねえ……こうなると私も謝りづらくなります」

利根「お主はどういう罠なのじゃ?」

ミュゼ「私はテツクマデのメディウム、ミュゼと申します。ですので、そちらの眼鏡のお嬢さんに」

大淀「お嬢さんっ!?」

大淀「あ、いえ、コホン。ま、まあ、あまり怒るのも大人げありませんから」

ミュゼ「ええ、その節はごめんなさいっ」

大淀「い、いえ、気にしていません、大丈夫です」

大淀(眼鏡をかけて落ち着き払うだけで、なにかと不当に年上扱いされ続けていた私が……)ジーン

利根(……このミュゼという娘、割と策士じゃな……)

筑摩「もしかして、ミュゼさん結構年上なのかしら」

ミュゼ「んなっ!? べ、別にそれほどじゃないですよ!? 本当ですってば!!」アセアセ

筑摩(図星ね)

利根(図星じゃな)

霧島(だいぶ上そうね……お幾つなのかしら)

大淀(うん、まだ達観するには早すぎるわ! 大淀、ファイト!)グッ

ソニア「ねーー、早くシュホに行こうよぉ」プクー

 * 鎮守府内 トイレ *

加古「ほーい、到着ー」

暁「い、電、こ、ここまでくれば、大丈夫よ!」

電「こ、こ、怖かったのです!!」

電「で、でも、どうして逃げた場所がトイレなのですか?」

暁「……わ、私も怖くて……」カァァ

電「……わ、わかるのです……」カァァ

加古(漏れそうだったと、うんうん)

暁「そ、そういうわけだから! お花を摘みにきたのよ!」

電「こ、ここへきてそういう言い方はしなくていいと思うのです!」

暁「いいの! レディーなんだから、言葉には気を付けないと!」ガチャリ

花子さん?「……あら~?」

暁「」

電「」

加古「!?」

暁「」パタム

加古(閉めた!?)

暁「」パクパク

電「」ガタガタ

加古「」ポカーン

暁「」オソルオソル

暁「」ガチャリ

花子さん?「どうしました~?」

暁「……で」

電「……で」

花子さん?「で?」

暁「出たぁぁぁぁぁ!!?」ダキッ

電「出たのですぅぅぅぅ!!?」ヒシッ

加古「なんだなんだぁ? トイレの花子さんがなんでここに!?」ハッ

ハナコ「確かにわたくしはハナコですけど……あら、あなたは~」

加古「……あ、あんたもしかして」

ハナコ「わたくし、ウォッシュトイレのメディウム、ハナコと申します~」

加古「いや、鍵かけといてよ」


暁「……ちょっと漏らしちゃった……」グスン

電「なのです……」グスン

今回はここまで。

次回、 副題が思いつきません。

お漏らし大人気ですか。他にお漏らしの似合う艦娘って誰だろう……いや、何を考えているんだ。それ以上はいけない

続きです。

 * 鎮守府 入渠ドック前 *

ナンシー「やっほー、如月ちゃーん!」

如月「あ、ナンシーさん!」

ナンシー「これであたしたちも無事にゆっくりできそうだねー! 良かった良かったぁ」

榛名「? 如月さんのお知り合いですか?」

大和「如月さん、この方は……」

ナンシー「あ! あなた、あたしを傘で受け止めてた人でしょ!? すっごいねー!」

大和「え!? あなたがあの……」

ナンシー「そう! そうだよー! さーあ、あたしの名前を言ってみろー!」

大和「とげ天井の!」

ナンシー「」ガクッ

大和「な、なにか変なこと言いました?」

ナンシー「んもー、違うんだなあ! あたしはぁ、フォールニードル! の、ナンシーでーっす! ぶいっ!」

大和「……」ボーゼン

榛名「……」ポカーン

如月(まあ、無理もないかしら)クスッ

武蔵「……軽いな」

ナンシー「もーう、あなた女の子に重いとか軽いとか禁句よ?」

武蔵「む、それはすまない。しかし、こうなるとほかの娘たちもどんな人柄なのか気になるな」

ナンシー「そう来ると思って呼んでるわよー! じゃーん!」

ミルファ「メガロックのミルファです! よろしくお願いしまーす!」

武蔵「……お、おう」

大和「……も、もしや、その恰好は、ちやりーだー、ですか?」

ミルファ「はい! 応援が得意です!」ピョンピョン ボヨンボヨン

如月(すっごい揺れてる……)

榛名(すっごい揺れてる……)カァァ

大和(そんなに足を上げたら下着が見えるんじゃ……)カァァ

武蔵(これは大和にやらせたい)

提督(また武蔵がろくでもねえこと考えてる顔してやがる)

ミルファ「それ以外は、このポンポンを落っことすくらいしかできませんけど!」

武蔵「物騒すぎるポンポンだがな」

カトリーナ「おいおいナンシー、あたしも紹介してくれって言ったろー?」

ナンシー「あ、ごめんねー。如月ちゃん、こっちはスイングハンマーのカトリーナよ」

如月「あ、あの私を吹っ飛ばした人ですか?」

カトリーナ「おう! さっきはすまなかったなあ、大丈夫だったか?」

大和「なんだか、私たちが出会った罠は、みなさん結構残酷な罠なのに明るい人が多いですね……」

ナンシー「あー、そうかもね~。えっと、あたしと、ミルファと、キャロラインとぉ……あ、ルイゼットはまじめ系?」

ミルファ「コーネリアさんは明るいっていうキャラじゃないですけどね」

榛名「こーねりあさん、ですか?」

コーネリア「そう……このあたし、ギルティランスのメディウムさ」ズイッ

榛名「ひ!?」

如月大和(なんか怖い人きた!?)

コーネリア「ハルナ、と言ったな? 姉妹をかばって私の前に立つとは、なかなかいい度胸じゃないか、気に入ったよ」ガシッ

榛名「は、はひ!?」

コーネリア「まあ、私の槍は一人も二人も関係ない。まとめて串刺しにして始末してやるんだが……」

コーネリア「貴様らが頑丈だったおかげで、姉の方は手ごたえが浅かった。あたしの槍を鈍らせるなんて面白いねえ、あたしはあんたたちに興味がわいたよ」

榛名「そ、そそそ、そうですかっ!?」

コーネリア「どうだい榛名、もう一度あたしとやりあう気はないかい?」

榛名「そ、そ、それは……」

武蔵「まあ待て、その役はこの武蔵が受けようじゃないか。その勇ましい出で立ち、腕に覚えがあると見たが?」ニッ

コーネリア「……へえ、面白いね。あのメガロックを止めたやつか、相手にとって不足はないね」

カトリーナ「あ、コーネリア! その次でいいからあたしもそのムサシとは腕試ししたいな! いいだろー?」

大和「武蔵も結構モテモテね」

武蔵「まあ、悪い気はしないな」フッ

コーネリア「よぉし、じゃあ早速……」

???「待ちな!」

武蔵(……またこのパターンか)

コーネリア「ちっ、オリヴィア、アンタあたしの邪魔をするのかい」

オリヴィア「そこの武蔵はアタイが目を付けてたんだ。いいレスラーになれると思ってね!」ノッシノッシ

如月榛名大和(こ、個性的な体形の人がきた!!)

武蔵「……れすらー?」

オリヴィア「そうさ、四角いリングの上で、己の体をぶつけ合い、熱いファイトを繰り広げるバトルエンターテイメントさ!」

武蔵「ほほう……!」

コーネリア「ったく、オリヴィア、あたしの邪魔をするんじゃないよ!」

武蔵「ところで、オリヴィア? お前は素手のようだが、何の罠なんだ?」

オリヴィア「フッ……それを訊くのかい? アタイは、大地揺るがすクエイクボムのメディウムさ!」

コーネリア「早い話が局地地震を起こすんだよ」

オリヴィア「おいおい、色気のない言い方をするねえ」

コーネリア「生憎と一戦交えようって相手を横からかすめ取られたんじゃ、あたしだって腹が立つさ」

武蔵「ふむ……個人的にはオリヴィアとやらの勝負に興味があるが……それ以上にお前は皆の視線を集めていてな?」ユビサシ

オリヴィア「ん?」クルッ

五月雨「」ジーッ

朝雲「」ジーッ

朝潮「」ジーッ

吹雪「」ジーッ

若葉「」ジーッ

青葉「」ジーッ

コーネリア「一人でかいのが混ざってるな」

武蔵「あいつは好奇心の塊だからな」

大和「武闘派が集まったと思いきや、駆逐艦たちが集まってきましたね」

如月「目立ちますよね、やっぱり」

ナンシー「あっちはあの二人に任せてさ、あたしたちは一緒にお茶にしようよ! 大和さんだっけ? 髪の毛さらさらつやつやでかっこいいじゃん!」

榛名(その人を押し潰そうとしてたのは誰だったんですか……)タラリ


オリヴィア「おやおやあんたたち、なんだい? このアタイに何か用かい?」

五月雨「あ、いえ! その……」

霞「無駄にでかいわねって感心してたのよ!」

吹雪「か、霞ちゃん!?」

オリヴィア「おやおや、口のきき方がなってないねえ! そういう子は、こうだっ!」ヒョイッ

霞「ちょっ、何すん……きゃあああ!?」グルグルグルー

朝雲「うわっ、霞を軽々と持ち上げた!?」

朝潮「まるでヘリコプターのプロペラみたいに!」

オリヴィア「無駄に肉を付けてるわけじゃないんだよ! これはアタイのパワーの源さ!」

霞「わ、わかったから、わかったから止めなさいよぉぉぉ!!」グルグルグルー

オリヴィア「よしよし、そろそろおろしてやろうかね」ストン

霞「はらひれほろはれ……」クラクラ

若葉「よし、次は私に代わってくれ」キラキラッ

???「あなたはこちらですわ」ガシッ

武蔵「おい、今度は誰だ。バレリーナなんて初めて見たぞ」

コーネリア「オディールだな。マンリキスピンのメディウムだ」

朝雲「ああ、あの猛スピードで回転するあの機械ね」

オディール「あなた、わたくしの回転に自分から飛び込んでくるなんて、見所がありますわ!」ガシッ

若葉「お、おお?」

オディール「わたくしと一緒に、プリマドンナを目指してみませんこと?」クルクルーリ

若葉「い、いや、そうじゃなくてだな……」

青葉「艦娘出身のバレリーナですか! これは記事になりますねえ!」

???「いえ、若葉様はそのようなことをお望みではないはずです」

青葉「おや? みなさん若葉さんがお目当てですか?」

メリンダ「はい、私はベアトラップのメディウム、メリンダと申します」

サム「ヴォルテックチェアのメディウム。サムとお呼びください」

ジェニー「私はジェニー! デルタホースのメディウムよ!」

青葉「へっ!? デルタ……!?」サーッ

若葉「……な、なんてことだ……!」キラキラキラッ

初春「そこで目を輝かせるな若葉よ」

メリンダ「若葉様……このたびは罠にかけてしまい申し訳ありませんでした」

若葉「いや、いい。気にすることはない」

メリンダ「いえ、それでは私の気がすみません……わたくしめに、罰を与えてくださいませんでしょうか」

若葉「!?」

メリンダ「何でも致します……! どうか、私に罰を!」ドゲザッ

若葉「い、いや、そういうのはだな……」

メリンダ「どんな辱めにも、痛みにも、耐えて見せます……ですから、どうか……!」アシニシガミツキ

若葉「か、考えておこう……」

サム「メリンダも無理な注文を仰いますね……お疲れでしょう、さ、こちらの椅子におかけください」

若葉「あ、ああ、すまない……」

サム「では、スイッチオン」ポチッ

若葉「あばばばばば」ガクガクガクガク

メリンダ「ひょわわわわわ」ガクガクガクガク

霞「ちょっ、な、なにやってるのよ!?」

サム「電気マッサージですよ」ニコ

朝雲「明らかに過剰電力じゃないの!?」

サム「んん? 間違いましたか?」シレッ

武蔵「あのサムとかいう奴、Sだろ」

コーネリア「ああ。そしてメリンダは面倒くさいMだ」

ジェニー「ちょっとお、遊ぶのは後にして、私の相棒も紹介させてよー」

朝潮「相棒って、それは三角木馬では……!」

霞(三角……って、なんで名前を知ってるのよ朝潮!?)

ジェニー「シルバーエッジよ! 暴れ馬だから、迂闊に乗ると痛い目見るわよー!」

青葉「」プルプルガタガタ

山雲「朝雲姉~、青葉さんが~、木馬を見て青くなってるわ~?」

若葉「わわ若葉ばばばも韻を踏めるるるぞぞぞ」ビリビリビリビリ

メリンダ「ふぶふ踏んでくだだだだささるるのででしょおおかあああ」ビリビリビリビリ

朝雲「ちょっとサムさん、いい加減電流止めてあげてよ!」

サム「かしこまりました」ニコー

初春「楽しそうじゃのう、おぬしらは……」

山雲「初春さ~ん、顔色悪いわよ~? 大丈夫~?」

初春「う、うむ……ちと頭が重くてのう……」

リンメイ「そゆときは、リンメイの回転ゴマの曲芸見て、気を紛らすよろしよ!」

朝雲「あのコマの形、どこかで見たような……」

初春「もしやおぬしは、あの巨大なホイールの……」

リンメイ「わたし、メガバスソーのリンメイ言うね! この回転ゴマ、私の得意技よ!!」ギュインギュイン

リンメイ「ハイハイみなさんご注目よ! 私の回転ゴマ華麗に飛ん……」スポーン

 ガラガラガラ… キャー ウワー イテー

リンメイ「あいやー……手元が狂たよ。たまにすぽ抜けて、どか飛んでいく。気を付けるね」テヘペロー

初春「……頭痛の種がまたひとつ……」パタリ

朝雲「初春さーーん!?」

武蔵「……コーネリア」

コーネリア「なんだ」

武蔵「興がそがれた」

コーネリア「闘争の空気ではないな」

コーネリア「帰って眠る」

カトリーナ「寝るのかよ……」

今回はここまで。

次回、 厨房ですよ!

ご注意、この鎮守府の比叡は料理上手です。

では、続きです。

 * 鎮守府 厨房への通路 *

セレスティア「こちらの厨房はヒエイさんが取り仕切っているんですか」

長門「ああ。余所の鎮守府にも同じ比叡はいるが、なぜか殆どの者が料理下手でな」

比叡「余所で比叡カレーって言うと、劇毒か度胸試しか罰ゲームの代名詞にされちゃってますからねー」タハハー

明石「何を仰るんですか、あなたが来てからこの鎮守府の食生活は良い意味で一変したんです。余所は余所ですよ」

比叡「いやあ、でも事実ですよ? 私が逆にちょっと特殊なだけで、余所の私の同型艦はひどいらしいですから」

長門「まあ、実際そうなんだ。私が前にいた鎮守府の比叡のカレーは青かったからな」

セレスティア「そうですか、青い……」

セレスティア「……あお?」

明石(二度見しましたね)

比叡「何を入れてるんですか、そこの私は」

長門「わからん。料理は見た目ではない、と己を奮い立たせて口にした瞬間、目が破裂して意識を失った」

長門「あの日のことは思い出そうとしても思い出せない。味覚と嗅覚と触覚が、視覚と聴覚と翔鶴と記憶を吹き飛ばした……そんな感じだ」トオイメ

セレスティア「ショウカク……そんな五感あったかしら」

明石(『五航戦の被害担当艦』を略して五艦と呼ぶならありですね)

比叡「本当に何をしたんですか、そこの私は……」シロメ

長門「しかしそれをどうひっくり返したのか、この比叡の料理は、この長門も後塵を拝し、大和さえも三つ指ついて師事するくらいの腕前だ」

セレスティア「なるほど……個人差があるんですね」

明石「この鎮守府には、料理上手と言われる鳳翔さんも間宮さんもいませんから、比叡さんと大和さん、長門さんがいてくださって助かってます」

セレスティア「それは楽しみです。どんな料理か、ぜひ拝見させてください」

比叡「いえいえ、料理そのものは普通ですから。みんなが好きそうな味付けにしようとしてるだけで」

長門「いや、それが大事なのだ。味見をして、組み合わせの成功や失敗を自分で確かめるだけでも上達するはずなんだが……」ウーム

明石「とにかく、これだけ大人数になったんですから、材料が間に合うか確認しないと……」

厨房へのドア< ガチャリ

マーガレット「あ」ケーキドッサリ

明石「あ! あなたは!」

長門「誰だ」

比叡「誰ですか?」

セレスティア「……マーガレット。何をしてるの」

マーガレット「はい、見ての通りケーキを作ってました! 材料は持参しましたから大丈夫ですよ!!」

セレスティア「そうじゃなくて、断りもなく勝手に厨房を使っちゃダメじゃない」

長門「……なんというか、すごいケーキの数だな」

比叡「ええ。びっくりです」

明石「あの時の甘い匂いの正体は、やっぱり彼女だったんですね」

セレスティア「紹介しますね。彼女はフライングケーキのメディウム、マーガレットです」

マーガレット「よろしくお願いします! あ、おひとつどうですか!?」

長門「あ、ああ。しかし、これだけあったら駆逐艦たちを呼んで即席のお茶会でもやったほうが良さそうだな」

比叡「献立を考えるのはそのあとでも良さそうですねー」

セレスティア「すみません、うちのマーガレットが勝手に厨房を占拠してしまって……」

マーガレット「すっごい綺麗な厨房だったから、最初に入った時もついついケーキ作っちゃったんですよ!」

セレスティア「だから何をしてるのよあなたは……」

長門「うむ、とりあえずケーキは食堂へ運ぼう。ケーキナイフはどこだったかな」

比叡「それじゃ、私は紅茶の準備をしますね!」

明石「比叡さん、茶葉が残り少ないって言ってましたよね? 酒保から持ってきますよ」

比叡「ありがとうございます、助かります!」

セレスティア「マーガレット、あなたはみんなを呼んできて。あなたがケーキを運ぶと、必ず転んで何個か台無しにするから」

マーガレット「ひ、ひどいですよセレスティアさん! 私そんなにしょっちゅう転んでません!」

比叡「五月雨ちゃんみたいですね」

長門「五月雨はそれに加えて、よくコーヒー用の砂糖と塩を間違えるんだよな……」

マーガレット「わ、私はお砂糖とお塩は間違えませんよ!?」

明石「あ、この前は七味を入れてましたよ?」

比叡「ヒエェ……」

 ドドドドドド

長門「ん? あの足音は」

島風「いい匂いがする!」バーン!

白露「甘い匂いがする!」バーン!

セレスティア「あら、さっそくお客様?」

マーガレット「はーいいらっしゃいませー! 好きなのを選んでいいですよ~!」

島風「わーい! 私これがいい!」

白露「えっ!? それは私のよ!」

島風「私のほうが選ぶの早かった!!」

白露「これが私の一番いいケーキなの!」

明石「相変わらず、仲がいいんだか悪いんだか……」クスッ

比叡「じゃあ、おなじみのかけっこで決めたらいいじゃないですか?」

島風「負けない!!」ダッ

白露「私がいっちばーん!!」ダッ

長門「おい比叡、どうせならあの二人にほかの駆逐艦を呼んでもらえば良かったんじゃないか?」

比叡「……あっ!」

マーガレット「あはは、やっぱり私が行ってきますね! ……あうっ」コケッ

長門(五月雨だ)ホワ

明石(五月雨ちゃんだ)ホワワ

比叡(五月雨ちゃんみたい)ホワワー

セレスティア(あの子また太ったのかしら)

 * 鎮守府 入渠ドック前 *

五月雨「へっくちっ! だ、誰ですか私の体重の話をしてるの!?」

霞「なにそれ」

 * 鎮守府内 酒保 *

ヴィクトリカ「海はいいなあ……ロマンを感じるぜ。きっと、あの海の向こうでお宝があたしたちを待ってるんだ」

足柄「あなた、話が分かるわね! そうよ、あの海の向こうに勝利という至宝があるのよ!」

ヴィクトリカ「ははは、あんた面白いな。いやあ、海に縁の深い奴らと酒を交わす日がくるなんて、あたしも果報者だ」

那智「ああ、まったく同感だ。貴様のように話が分かる者がいたとは、私たちにとっても幸運だ」

エレノア「まあ、私は別に、おいしいお酒が飲めれば戦争も財宝もどうでもいいわ」

隼鷹「ひゃっはっは、身も蓋もないねえ!」

ヴィクトリカ「エレノアがこうだから、あたしが海を語ろうとしても話が続かなくて駄目なんだよなあ」

ヴィクトリカ「シルヴィアは飲まないしアーニャとミーシャはまだ子供だしチェルシーは下戸だしマリッサはぶっ飛んでるし……」

ヴィクトリカ「そう考えると、こんなに話が合う連中と酌み交わせるなんて思わなかったぜ……!」

ユリア「ヴィクトリカ、あなた今日はすごい愚痴っぽいわね」

ヴィクトリカ「嬉しいんだよ、単純に」

千歳「まあまあ、ささもう一杯」

ヴィクトリカ「おっ、ありがとなお姉さん! チトセさんだったな、いやあ、うまいなこのニホンシュってのは!」

ユリア「まあ、ヴィクトリカが饒舌になる理由もわかるけどね」

足柄「へー、いろいろ溜め込んじゃってるわけね?」

エレノア「そうそう、だからいいんじゃない? たまには仕事を忘れて余所のメディウムと飲んでても」

ルイゼット「いいわけがないでしょう……!?」ユラリ

ヴィクトリカ「うげっ!? ル、ルイゼット!?」

エレノア「もう、誰かと思えば……面倒くさい子が来たわね」

ルイゼット「面倒くさいとはどういう意味ですか!」

隼鷹「し、知り合いかい? 随分物騒な得物持ってんだけど」

エレノア「彼女はギロチンのメディウムだからね~。考え方が古いっていうか、石頭なのよー」

ルイゼット「エレノア! あなたは私と同じく神に仕える身にありながら酒に溺れる怠惰な日々を送り、信仰にもほど遠い振る舞い!」

ルイゼット「異国の地でも改まることなく醜態を晒すなど言語道断です!!」オノフリマワシ

ヴィクトリカ「うわっ、ま、待て! 話せばわかるって!! な!?」

エレノア「あーもー、ほんっと面倒くさいわねー。ちょっとくらいいいじゃない、魔神様は飲酒くらい目を瞑って下さるわよ~」タテガード

ユリア「ほらほら、静かにしなさいよ、艦娘のみんなに迷惑でしょ?」

ソニア「そういうユリアお姉ちゃんもなにしてるのよー」プクー

ミュゼ「そうですよ、可愛い妹さんがあなたを探しに来たっていうのに」

ユリア「ミュゼッ!? あ、あなたが来たの!?」

ミュゼ「あなたたちはいつもお酒が絡むと目の色変えてそちらに集中しますからね。この前も……」

ユリア「うう、ミュゼのお説教、長いから嫌なのよ……ソニア、助けてぇ」

ソニア「知らないっ」プイ

隼鷹「おやおや、そちらのお仲間さんはお冠だねえ? これじゃ一緒に飲もうって気配じゃあないかね」

千歳「残念ですね……せっかくもう少しご一緒できると思ったのに」

大淀「残念なのはあなたたちもですよ」

千歳「あ」

筑摩「戻ってこないと思ったら、勝手に酒保のお酒を開けて」

霧島「素性の知らない相手と酒宴を設けるとは、なかなか肝が据わってますね」

那智「あ、ああ、それはだな」

利根「まあ、一部始終は偵察機で見せてもらったし、やむを得ぬ事情があるにしても、そこにいる雲龍に訊けばよいからのう」

ヴィクトリカ「ま、まあまあ、話せばわかるよ、な? な?」

大淀「そうですね、弁解は不要ですよ」ニコッ

隼鷹「」

ヴィクトリカ(怖え)


龍驤「うう、気持ち悪い……雲龍、だっこ」

雲龍「はい」ナデナデ

明石「ちょっと、みなさん酒保で何をしてるんですかー!?」

 * 鎮守府 入渠ドック前 *

武蔵「それにしても……こうして眺めてみると、およそ罠らしくない面々ばかりなんだがな……」

朝雲「ほんとね……テニスやボーリングの選手にメイドさんに……シスターや海賊の人やゴルファーも出てきたわ」

吹雪「こ、こっちはエルフみたいな人たちがいっぱいいます!」

ディニエイル「おや、あなたがたは」

不知火「あなたは先程の」

ディニエイル「申し遅れました、ディニエイル・コールドアローです。先程はお見苦しいところをお見せしました」

ディニエイル「こちらは私の姉妹、ミリーエル、ノイルース、グローディスです」

不知火「これはご丁寧に……不知火と申します。こちらは……」

吹雪「あ、あの、この人たちは?」

霞「あー、こけて気絶してたわねあんた……」

不知火「玄関ホールの罠の正体が、この人たちだったということのようです」

朝潮「こうして並んでもらいますと、みなさんどんな罠なのかわかりやすいですね」

初雪「……みんな、でかい……!」

山雲「……」ジーッ

ノイルース「……あの、この子の視線が熱いのですが」

朝雲「あ、すみません、うちの山雲が」

グローディス「なあ、たまにニコ様からもああいう視線が……」ヒソヒソ

ミリーエル「ちょっ、それは言っちゃだめよ!」ヒソヒソ

山雲「へーえ、そうなんですか~。それって~、どういう視線なんでしょうね~」ニコッ

グローディス「」キカレテタ

ミリーエル「」キコエテタ

ノイルース「……なんだか彼女、闇を抱えておいでですね」

朝雲「そんな子じゃなかったと思うんだけど……ごめんなさい」

ノイルース「いえ。せっかくですし、闇を払う方法があれば良いのですが」

朝雲「あー、それだったら……龍驤さんに訊いた方がいいかも」


霞「そういえば雪玉とか電撃の罠とかもあったけど、その人たちもいるの?」

ディニエイル「ええ。雪玉はメアリーアンですね」

メアリーアン「おらはスノーボールのメディウムだぁ。よろすくなあ」

吹雪「すっごいなまってる!?」

メアリーアン「おめぇさん、吹雪って名前がぁ? いいなあ、おらぁ仲良くなれそうだあ」ニコニコー

吹雪「すっごいいい笑顔……」

朝潮「こういう人がメディウムだと言うこと自体に違和感がありますね」

ディニエイル「あとは……」

初雪「……」キョロキョロ

朝潮「初雪さんどうしました?」

初雪「……いた」ダッ

???「……!」ビクッ

初雪「見つけた」

???「……あ……」ビクビク

初雪「駆逐艦、初雪……です」

イサラ「あ……スパークロッドの、イサラ、っす……」

イサラ「よろ……」

初雪「ん……よろ」コク

イサラ「……」

初雪「……」

不知火「彼女はもしや、電気の罠の?」

ディニエイル「ええ、スパークロッドのイサラです。なんというか……こう言っては失礼ですが……」

不知火「……類は友を呼ぶのでしょうか」

イサラ「……」グッ!

初雪「……」グッ!

霞「なにをわかり合えてるのよ……」

リンダ「お! 姉さんようやっと見つけたで!」

黒潮「良かったなあ、無事やったん? えーと……どちらさんやったっけ?」

リンダ「ずこー! ちょっ、忘れてしもうたん!? うちと明かしたあの朝を忘れてもうたん!?」

黒潮「あかんて! まだうちらそこまで行ってへんで! ちゃうねん、まーだお互い名乗ってへんやん?」

リンダ「……おおー! せやな、忘れてたわ! うっかりしてたわー、うっかりぽんやー」

黒潮「古いでしかし! うちは黒潮や! よろしゅうな!」

リンダ「うちはローリングボムのリンダちゃんやで! 詳しくはへるぷを読んでな!」

???「へるぷってなんやねん!」スパーン

リンダ「あいたー!? あ、相変わらず激しいツッコミやなあ、ジュリア?」

黒潮「なんやお姉さん、もしかしてハリセン使いなん?」

ジュリア「私はジュリアでしてよ! 見ての通り、ハリセンのメディウムですわ!」

リンダ「黒やん、迂闊にボケるとこの子のツッコミ飛んでくるから気ぃ付けなあかんで?」

黒潮「望むところや! ばっちこぉい!」

ジュリア「望むんですの!?」ガビーン

黒潮「あかんでー、そこですかさずくらえ大リーグボール一号! とかゆうてツッコミ入れたらんと」

ジュリア「ハリセンは投げませんわ!」スパーン!

龍驤「なんや楽しそうやなあ……」フラフラ

雲龍「無理しないで」

龍驤「せやな……本調子なったらうちもビシバシツッコミいれたるわー」

不知火「……こちらも」フゥ

ディニエイル「そのようですね……」ハァ

ノイルース「あなたたちも十分似た者同士ですよ?」

 * 幕間 龍驤と陸奥と雲龍 *

朝雲「あ、いたいた龍驤さん」

ノイルース「? 彼女がリュウジョウですか?」

龍驤「んー? うちに何の用や?」

朝雲「すっごい聞きづらいんだけど……龍驤さん、胸のコンプレックスってどうやって克服したの?」ヒソヒソ

龍驤「あー、それなあ……話すと長くなるけど、あれや。うちの胸が小さくても、雲龍がいっつも傍におるからええかなーて」

ノイルース「? どういうことです」

龍驤「昔、だーれも通らんような海域で、雲龍が骸骨みたいになって漂っとってな? うちが見つけて、ここに連れ帰ってご飯食べさしたんよ」

雲龍「あのときは本当に助かったわ」

龍驤「見つけた時の雲龍はガリッガリで、胸がなかったんやで! けどまあ、食べさせてるうちにおっきくなってきてなあ……やっぱり、ちぃとショックやん?」

龍驤「で、うちが胸小さいの気にしてたら雲龍、何しようとしたと思う? せっかく元に戻った自分のこの胸、切り取ろうとしたんや」

龍驤「ないもんはないでええねん。わざわざ持ってるものを捨てるんは阿呆や、大事にしいって言うたら、じゃあせめてうちの好きにせえ、て」

ノイルース「好きに、ですか」

雲龍「ええ。私は彼女のものなの」ニコ

龍驤「……ちゅうて聞かんのや」ハァ

龍驤「ま、うちに立派なもんついてへんでも、雲龍が好きにせえ言うならまあええかなー、て、この胸に顔うずめてたらそう思うようになってなー」

朝雲「……うずめたんだ」

龍驤「それに、背ぇの高い雲龍だからええんや。こんな重たいもんがちんちくりんのうちについてたら、逆に気持ち悪いんちゃうか?」

朝雲「ああ……胸ばっかり見られたりするかもしれないわ」

ノイルース「悪目立ちする場所があると、顔を見て話してもらえないことも多いですね」

龍驤「あー、せやせや。目が一か所に留まって鼻の下伸ばす男多いやんなー。そういう男どもには艦載機飛ばしたくなるわ」

ノイルース「ええ、私も燃やしたくなります」メラッ

朝雲「というか、ノイルースさん普通に男の人と話すの? メディウムはみんな女性みたいだけど」

ノイルース「魔神様を討ちに来る男どもに、そういう粗忽者が多いのです」ハァ

ノイルース「もともと、人間の敵である私たちですから、倒せば好きにできると思い込む人間が多いのは、ある意味仕方ないのですが……」

ノイルース「あなたがたは人間の味方。なのにそのような辱めを受けているというのは理不尽だと思いますね」

龍驤「相手が上司っちゅうのもあるし、近くて親しいからこそ遠慮しない奴も多いんや。馴れ馴れしいを通り越して踏み込んでくる馬鹿がな」ハァ

龍驤「うちらの前の上官なんやけど、陸奥もそいつにめっちゃセクハラ受けててな、男性不信ちゅうか男性恐怖症になっとったもん」

朝雲(ちょっと、今さらっと衝撃の事実暴露してない!? 陸奥さん男が苦手なの!?)

雲龍「……確か、前の鎮守府の提督があまりにセクハラが過ぎるのと龍驤への侮辱がひどいから、その鎮守府を火の海にしたんだったわね」

朝雲「火の海って……鎮守府まるっと潰しちゃったの!?」

龍驤「せや」

ノイルース「……よく処断されませんでしたね」

雲龍「その上官に被害を受けていた艦娘全員が、龍驤の解体の取りやめを嘆願してくれたそうよ」

龍驤「で、左遷先がここ、と。いやー、ほんま左遷させられて良かったでー! こっちの提督、あんなことしたうちのこと全肯定してくれたし!」

雲龍「ええ。あなたがここに来なければ私もどうなっていたかわからなかったわ」

龍驤「おまけに、あっちの提督はどさくさ紛れて陸奥に抱き着いたせいで砲塔の爆発もろに受けてミイラ男になってんで! ほんまうけるわー!」

ノイルース「なるほど……因果応報、愚か者に罰が当たったのは良いことです」

朝雲「いい話でまとまってるところ悪いんだけど、山雲のコンプレックスはどうやって解決したらいいのよ……」

ノイルース「……時が来るのを待ちましょう。今の話を聞く限り、この鎮守府には運気を良い方に変える力が宿っているのかもしれません」

朝雲「……魔術師さんがそう言うと説得力あるわね」

山雲「それよりも~、陸奥さんが~、男性恐怖症って本当~? 全然、そんな素振りなかったわ~?」

ノイルース「!?」

朝雲「いつの間に!?」

今回はここまで。

この鎮守府の艦娘はこんな目に遭ってる人たちばかりです。
機を見て作中で明かしていくか、別スレに書こうか思案中です。

次回、 海。

では、続きです。

 * 鎮守府 屋外 食堂裏口とドックの通路 *

川内「ねえ那珂ー、神通はどこ行ったか知らない?」

アカネ「?」

川内「……あれ? 那珂? いつの間に浴衣に着替えた……んん?」

マーガレット「アカネさーん」

那珂「?」

マーガレット「アカネさん? あれ? その艦娘みたいな服はどうしたんですか!?」

川内「あれ?」

マーガレット「はい?」

那珂&アカネ「「え?」」

  「「「「……」」」」

那珂&アカネ「「あーーー!?」」

那珂「待って待って! もしかして那珂ちゃんをこの人と間違えてる?」

アカネ「どういうことー! アカネに似てる人がいるんだけど!?」

川内「うわー、髪型だけ見ると紛らわしいなあ……」

マーガレット「あ、そっか、この人がみんなが言っていたナカさんなんですね!」

那珂「えっ!? 那珂ちゃんの名前がもうみんなに覚えられてるの!?」キラキラッ

マーガレット「はい! 初めて会ったときに、みなさんアカネさんをナカちゃんって呼んでました!」

アカネ「そうだよー! いきなり別人の名前で呼ばれてびっくりしたんだからー!」ウニュー!

那珂「あうう、そういうことか~……メディウムにもアイドルとして名前が伝わってるのかと思ったのに~」

シャルロッテ「そうはいかないわ! アイドルといったら私、シャルロッテだよ!」

川内「えっ!? そっちにもアイドルがいるの!?」

那珂「おおっと、ライバル登場だね! 那珂ちゃん、負けないんだから!」

シャルロッテ「で、あなたが艦娘のアイドル……アカネちゃんじゃないのね? ナカちゃん?」

那珂「そうだよ~! 那珂ちゃんのこと早速覚えてくれたんだ! シャルロッテちゃんとはいいライバルになれそう!」

アカネ「ところでマーガレット、私に何か用なの?」

マーガレット「いえ、アカネさんだけってわけじゃないんですが……かくかくしかじかー」

川内「へーえ、ケーキパーティーかあ。それでみんなを集めてほしいってわけね」

マーガレット「はい!」

那珂「よーっし、そういうことなら那珂ちゃんゲリラライブ開いちゃうぞー!」

シャルロッテ「あっ、ずるーい! 私だって歌っちゃうんだから!」

マーガレット「とにかく、みなさんに集まってほしいので、みんなに声をかけてきてください!」

アカネ「おっけー! 任せて!」

川内「そうだ、神通どこ行ったか知らない?」

那珂「神通ちゃんなら、また丘の上に行ってるはずだよー?」

 * 鎮守府内 埠頭 *

 ザザーン

伊8「鎮守府の敷地内で、一番海が近いのはここね」

アーニャ「うわーー! 広ーーい!」キラキラキラキラ

ミーシャ「すごい……! あれが水平線なんだ……!」キラキラキラキラ

扶桑「ふふふ、すごく嬉しそうね」ニコニコ

鳥海「扶桑さんたちもこちらに?」

扶桑「ええ、あの子たちが初めて海を見てはしゃいでる姿が微笑ましくて」

山城「あんなふうに瞳を輝かせて海へ出ていく、そんな時期が私たちにもあったわ……懐かしいですね扶桑お姉様」

シルヴィア「ああ、海はいいなあ……よーっし、泳ぐぞーー!!」キラキラキラキラ

摩耶「結局あんたも海がお目当てだったのかよ」

シルヴィア「しょうがないじゃない、私たちの住んでた山奥じゃあ、せいぜい沼みたいな湖しかないんだもの」

シルヴィア「泳ぐのが趣味なのに泥臭い水場しかないんじゃあ、興奮するなってほうが無理よ」

シルヴィア「大半のメディウムは海を見たことがないんじゃないかしら? この潮の香りも……はぁあ、気持ちいいなあ」

鳥海「でも、こんなに海が好きなら、ここに来ることができて良かったですよね」

シルヴィア「うんうん! もう一人、海が好きな子がいるんだけど、彼女まだ目覚めてないのよね。後で連れてこないと」

アーニャ「ね、ね、釣り針垂らしてもいいかな!?」

伊8「釣りをするなら、もう少し沖合に行ったほうが魚がいると思う」

摩耶「だな。ここはアタシたちが海へ出撃するときの玄関みたいなもんだし、でかい魚はいないんじゃないか?」

シルヴィア「出撃? 海へ?」

摩耶「アタシたちは軍艦だからな。見てろよー?」チャプ

ミーシャ「え!? 水の上に浮いてる!?」

摩耶「よっ、と!」シュパアアア

アーニャ「うわーー! すごーい! 海の上を走れるんだ!!」

ミーシャ「も、もしかしてみなさんあんな風に走れるんですか?」

扶桑「そうよ。私たちは、摩耶や鳥海ほど速くは走れないけれど」

シルヴィア「へぇ、泳ぐんじゃないんだ」

扶桑「この鎮守府で泳ぐのは、はっちゃんだけね」

伊8「潜水艦は、海へ潜るの。でも、今この鎮守府に着任してる潜水艦ははっちゃんだけ」

鳥海「私たちが泳ぐと、両手や背中の艤装の砲台が使えなくなりますからね」

アーニャ「ねえねえ、それって海に敵がいるってこと?」

摩耶「ああ。深海棲艦って言って、目的はわかんねえけど、人間を襲う海の化け物がいるんだ」

鳥海「深海棲艦を撃滅し、海の平和を取り戻すのが、海軍とその配下にある私たち、艦娘の使命なんです」

山城「あまり活躍できてないけれどね」

ミーシャ「それじゃ、海は危険なんですか……?」

鳥海「危なくないとは言えないですね。でも、ここは比較的安全です」

伊8「この島のすぐ北の海域に、海底火山があるの。そのせいで潮流が不規則で、海難事故も多い」

伊8「その代わり、そのおかげでこの鎮守府が深海棲艦に攻め込まれにくいって利点もある」

伊8「だから、泳ぐときや船を出すとき、この島から離れるときは、はっちゃんが安全なポイントを教えてあげる」

シルヴィア「はい、それじゃ遠出するときはこのお姉さんに声をかけるように!」

アーニャ&ミーシャ「「はーい!」」

山城「……本当に罠なのかしらこの子たち」

シルヴィア「そうよ? まあ私もなんだけど」

扶桑「そうは見えないくらいお利口さんね」ニコニコ

摩耶「まあ、実際に罠になってたのを見たのはこっちのシルヴィアともう一人だけだからなあ」

シルヴィア「あ、こっちの二人には名乗ってなかったわよね? 私はシャークブレードのシルヴィア。よろしくね」

扶桑「私は扶桑型戦艦1番艦、姉の扶桑よ。この子は妹の2番艦、山城」

アーニャ「私はアーニャ! クレーンのメディウムだよ!」

ミーシャ「い、妹の、ハンギングチェーンのミーシャです」

摩耶「クレーン!? だから明石が反応してたのか?」

シルヴィア「ああ、あのピンク色の髪の子? あの子もクレーン積んでたわよね」

扶桑「あなたたち、どういう罠なのかしら?」

アーニャ「えへへ、見せてあげよっか!」スッ

山城「……消えた!?」

シルヴィア「ああ、動かないで。迂闊に歩くと引っかかるわよ」

鳥海「……あら? 何か聞こえませんか?」

シルヴィア「え? まだ発動して……?」

 ドドドドドド

扶桑「あら、あれは……」

山城「スピード狂の島風と白露じゃない!」

摩耶「お、おい、下がるぞシルヴィア!」

シルヴィア「え? でも、このままいくとあの二人……」

白露「いっちばーーー

島風「はっやーーーー

クレーン <ガシャンッ!

ハンギングチェーン <ガシャンッ!

白露「め、目が回るーー!?」チュウヅリグルグルー

島風「あ、頭に血がぁぁ!?」サカサヅリー

鳥海「なるほど……こうなるんですね」

扶桑「ふたりとも吊り上げるのがうまいのねえ」

山城「うるさかったし丁度いいわ、あんたたちしばらくそうしてなさい」

白露「だ、ダメだよ、ケーキが待ってるのよー!」

島風「早く戻らないとなくなっちゃうよー!」

鳥海「け、ケーキ?」ビクッ

伊8「シュトーレンはあるの?」

敷波「ただいまー、ってどうしたのその二人!? あとその人誰!?」

摩耶「大丈夫だよ、罠にかかってるだけだから」

敷波「それ大丈夫じゃないじゃん!?」

鳥海「こちらはシルヴィアさん。罠の人よ」

敷波「どういう意味!?」

扶桑「……大淀もこんなふうに、この子たちに囲まれてたのかしら」

山城「不幸ですね」

敷波「何の話!?」

シルヴィア「事情を知らなきゃそうなるわよね~」ケラケラ

 * 鎮守府 埠頭付近 *

オボロ「………」

朧「……どうしてみんなに近づかないの?」

オボロ「それがし、目立つのが苦手ゆえ。仲間が楽しそうにしているのは良いこと……こうやって遠目から眺めているだけで、それがしは良いのだ」

朧「そんなこと言わずに、こっそり後ろに行って、さりげなく混ざっててもいいんじゃないかな」

オボロ「むぅ……も、もしや朧殿! お主、それがしを一人にすまいとここに留まっておられたのか?」

朧「それもあるけど……朧はちょっと考え事をしてたんだ」

朧「あの子、ニコさん? が言ってたよね、メディウムのみんなは、人間に憎悪を持ってる人がいるから来たって」

オボロ「……」コク

朧「提督が留守の間に、執務室に繋がったってことは、提督が出かけた先で何かあったんじゃないか、って」

朧「また、向こうで……本営で嫌なことがあったのかな、って考えてたんだ」

オボロ「……御屋形様はそれほどに苦悩を抱えておいでか」

朧「朧は、この鎮守府では長くいる方だからわかるんだけど、この鎮守府にまともな手続きを踏んで配属された艦娘はすごく少なくて」

朧「余所で暴力を受けてきたり、理不尽な扱いを受けてたり……配属っていうより、文字通り流れ着いた人も多くて」

朧「提督も、初めて会ったときは今よりずっと愛想が悪いっていうか、笑い方なんか今より嫌な感じだったし。良くなってきたんだよ、最近は」

朧「それがまた向こうで人間に絶望するような思いをしてきて……その、魔神とかいうのになって……」

朧「提督が今みたいに笑わなくなったりしたら嫌だなあ、って」

オボロ「……」

オボロ「我らメディウムは、魔力によって活動できる。魔力がなければ我らは罠として活動することも、傷を癒すこともできぬ」

オボロ「そしてその魔力は我らが主、魔神様が生み出す。その源は、人間の悲憤、無念、懊悩、哀傷、怨嗟……人間の、負の感情。……それが我らの糧だ」

オボロ「我らがこの地に召喚されたのは、御屋形様だけでなく、お主らが人間へ抱いた感情も一因やもしれぬ」

朧「……私たち、が?」

オボロ「今の話を聞いての推測にすぎぬ。我らは、本来ならば相対するもの。艦娘は人間を外敵から守り、我らは人間を敵として排斥するが常」

オボロ「にもかかわらず、その我らが主を同じくする……それがどういう意味なのか、少しばかり考えたそれがしなりの結論だ」

朧「……」

オボロ「人間は、必ずしもお主たちが守護するに値する者ばかりではない」

オボロ「傲慢で、貪欲で、利己のために他人を欺くことも厭わぬ輩もいる。御屋形様はそれに嫌気がさしたのではないか」

朧「提督は、そういう人間に失望して人を信じられなくなった人だから、同じ人間になりたくない、って気持ちは強いと思う」

朧「極端だけど、普段から『人間は死滅して、艦娘と妖精たちだけの世界になれば平和になるんじゃないか』って言ってたくらいだし」

朧「そろそろ、堪忍袋の緒が切れてもおかしくない、のかな……」

オボロ「……人を捨てても討たねばならぬ人間が現れた……と」

朧「そういう何かがあっても、朧たちにはなかなか教えてくれないけど」

オボロ「ふむ……いかにも、御屋形様は一人で背負いこみそうな性質の男ではあるな」

朧「うん、そういう意味では、自分が受けた嫌なことは私たちに味わわせたくない、過保護な人だからね」

オボロ「奥ゆかしいお方だ」

朧「ふふ、そういう言い方もできるんだ」

オボロ「長所は同時に短所になりうる。逆もまた然り……何事も表裏一体というものよ」

潮「朧ちゃーん」

オボロ「む? それがしに何用か」

朧「ん? どうしたの潮」

オボロ「おお、相すまぬ、こちらの朧殿であったか」

潮「あ、ごめんなさい、なんか紛らわしいね」クスッ

潮「せっかくだし、そちらのオボロさんも一緒に、鎮守府を案内しようかと思って」

朧「そっちの人は?」

ゼシール「ゼシール。サーキュラーソーのメディウムだ」

ゼシール「目覚めたばかりだが……一度に人数が増えていて、少々戸惑っている。静かなところを探しているのだが」

朧「静かなところかあ。丘の上が静かかな? いつも神通さんがいるけれど」

ゼシール「そうか。先客がいるなら邪魔にならないようにしよう」

オボロ「……ゼシール、聊か落ち着きがないな。お主らしくもない」

ゼシール「海も、潮風も初めてだ。見たことのない鳥もいる。そしてここには『仕事相手』もいないことがわかった」

ゼシール「新天地に殺気立つことはあっても、羽を伸ばすようなことはなかったからな」

オボロ「うむ、争いから遠ざけられたこの島には平和がある……我らが来たこと、新たな戦の火種にならねば良いが」

ゼシール「ああ。……ところで、気付いているか?」

オボロ「む……あやつらは」


???「……」チラッ

???「……」キョロキョロ

???「……」チラッチラッ


ゼシール「こちらに来たいんだろうな。仕方のない奴らだ」

オボロ「ならば迎えに行くか。旅は道連れ、というものだ」

今回はここまで。

次回……のサブタイトルも未定。ネタがないというか……。

メディウムとか何のこっちゃと思ったが
DMMゲームスでの影牢の登場キャラなのね


とりあえず漏らそう

話がどんどんシリアス方向に行きます。

>>176
悲しいことに今月でサービス終了なので、かなり高速回転で書き込んでます。

>>177
また漏らすんですか! 余所のスレといい、密かにお漏らし好きな人多くないですかここ。

では続きです。

 * 島の中央よりやや南西、丘の上 *

神通「……ここも、騒がしくなりそうですね……」ソヨソヨ

???「んしょ、んしょ……」

???「ふう、なかなかいい景色だじょ! 花畑も見えるし、ここはいいところだじょ!」

神通「……? 潜水艦? それとも……木乃伊?」

???「ん、おぉ!? ひ、人がいたのかの!? うるさくしてごめんなさいだじょ」ペコリ

神通「あなたは……」

マルヤッタ「トゥームストーンのメディウム、マルヤッタだじょ!」

マルヤッタ「お姉さんたちを危うく押し潰すところだったから、もう一回、ごめんなさいだじょ」ペコリ

神通「あ、ああ……あなたがあの墓石の」

マルヤッタ「お姉さんの身のこなし、忍者みたいだったじょ。オボロやゼシールの知り合いかの?」

神通「私は神通、川内型軽巡洋艦の2番艦です。別に忍者というわけじゃありませんよ」

マルヤッタ「そうかの? こんなところで目を閉じて佇んでいるから、精神統一の邪魔をしたのかと思ったじょ」

マルヤッタ「それに、ここで騒がしくするのはマルヤッタにとっても本当はよくなかったじょ」

神通「……あなたは、ここが何なのかわかって……」

マルヤッタ「マルヤッタは墓守だじょ。ここが墓地だということくらい、すーぐにわかるじょー」

マルヤッタ「大砲もアンテナも規則的に置いてあるし、さび止めもしてあるじょ?」

マルヤッタ「綺麗に道ができてて、お香の匂いと、お酒の匂いもするじょ」

マルヤッタ「だから、マルヤッタも最初にここへ来て、ここのみんなに挨拶しに来たんだじょ」

神通「そうでしたか」

マルヤッタ「……ここは、いいところだじょ」

マルヤッタ「無理矢理にだけど、いろんな思いから遠ざけられた場所だから、眠るにはとてもいいところだじょ……おろ?」

神通「あら?」

マルヤッタ「およ? 誰か来たみたいだじょ」


ゼシール「メディウムきっての小心者トリオと言えばいいのか……」

潮「私より引っ込み思案な人、初めてです……」

朧「そうだね……ほら、もうすぐその丘だよ」

オボロ「! ここは墓地か……!」

川内「おーい、神通ー! って、あれ?」

アカネ「マルヤッタも先に来てたんだー」

那珂「珍しいね~、丘にこんなに人が来るなんて」

神通「そちらの方々もメディウムの方々ですか?」

ゼシール「サーキュラーソーのゼシールだ」

オボロ「それがしはオボロ、ブラッディシザーのメディウムにござる」

シャルロッテ「私はシャルロッテ! バナナノカワのメディウムだよ!」

アカネ「ブラストボムのアカネだよ! ナカちゃんじゃないからね?」

神通「ふふ、大丈夫です、ちゃんと見分けがつきますよ」ニコ

朧「で、こっちが……」

フウリ「は、はぎゅ、はじゅめましてっ!? た、タライのメディウムの、フ、フウリ、れすっ!」アセアセ

カサンドラ「わた、私はカサンドラ! あああアゴニーマスクのメディウムですっ!」ワタワタ

シエラ「で、デスサイス、ですぅ……あっ、しぇ、シエラ、ですっ」アワアワ

朧(噛みまくりだ……)

潮(なんだろうこの親近感)ホワ

神通「潮さん、似たような方々が来て安心してます?」ニコー

潮「いいいいえそんなことはっ!」ビクッ

ゼシール「……神通と言ったか。この娘、只者ではないな」

オボロ「うむ。聞けば身のこなしも軽いらしいな……この川内型と呼ばれる姉妹、侮れぬ」

那珂「そんなに警戒しなくてもいいよ~! 那珂ちゃんとはもっと気軽に、フレンドリーでいいんだからね?」ペカー

カサンドラ「う、ううう、笑顔がまぶしい……!」

 * 鎮守府 入渠ドック前 *

提督「食堂へ集まれ?」

由良「なんでも、ケーキを作ったからティータイムにしましょうって」

ナンシー「やったぁ、みんな早く行こうよー!」

金剛「オーゥ、満身創痍の私に癒しの時間が来ましたヨー」

提督「……丁度いいな。昨日の本営の話、全員に伝えておかねえとな」

大和「何かあったんですか?」

提督「まあな。明日……いや、今晩から忙しくなるぞ」

ニーナ「それは……休む間もないタイミングで申し訳ありません」

提督「ま、なんとかなるだろ」

提督「……むしろ、助かったのかもしれないからな」ポツリ

 * 食堂 *

 ワイワイ ガヤガヤ

提督「この短い間に人数が倍か……食堂が狭く感じるぜ」

ニコ「ぼくたちにとってもほぼ倍になったからね。まあ、賑やかなのは悪いことじゃないと思うよ」

ニコ「それに、こっちにはまだ目覚めていないメディウムもいるしね」

提督「まだ増えるのか……」

ニコ「うん……ちょっと、困った子もいるし」

提督「大丈夫だろ、ここにいる奴はほぼ全員トラブルに巻き込まれた経験ありだしな」

ニコ「まあ、君がそういうのなら大丈夫だと思うけど……」

ニコ「君の身に危険が及べば、黙っていられない子ばかりだから、気を付けてね」

提督「……なんだそりゃ」


長門「よし、並んでくれ! 順番だからな!」

マーガレット「はーい、こちらをどうぞー!」

比叡「紅茶はこちらですよー」

セレスティア「リサーナ、アマナ、これを向こうのテーブルにお願い」

アマナ「はーい!」

リサーナ「まかせてー!」


提督「一斉に食堂に集まると壮観だな」

如月「仕出しもすごいわね、どこかのホテルみたい」

由良「人が多いからだけど、メディウムっていろんな職業の人がいるのね……」

古鷹「誰でしょう、メイドさんにバニーさんまでいますよ?」

リサーナ「あら、バニーって私のこと? 私はキラーバズソーのメディウム、リサーナです♪ ほら、このお盆、見覚えない?」

古鷹「……あ! あなたは、階段のところの丸鋸の!?」

リサーナ「うふふっ、覚えててくれてありがと♪ あとでサービスしてあげるね♪」

古鷹「は、はあ……」

由良「古鷹さんはさっきからセクシーな女性にばかり縁がありますね」

古鷹「そ、そういえばそうですね。な、なんでなんでしょう……」カァァ

アマナ「あら、そういうあなたは……私、見たことありますね」

由良「えっ!? ゆ、由良のこと!?」

アマナ「私はバキュームフロアのアマナです。本当はお掃除のほうが得意なんですよ」

由良「……ほ、本当に罠の人なんだ……」

古鷹「な、なんか戸惑っちゃいますね……」

五十鈴「それにしても、すごい賑わいね……なんだか、逆に不安になってきたわ」

如月「五十鈴さんもメディウムに戸惑ってるの?」

由良「んー、どっちかというと、五十鈴と筑摩さんは前にいた鎮守府が借金苦で大変だったのよね、ね」

五十鈴「ええ、なんだか今の食堂、活気があってきらきらして見えて……鎮守府がぼろぼろになる直前見てるみたいで」

筑摩「うえぇぇんん、ぐす、ぐすぐす、ふぁぁぁん」

利根「ち、ちくま!? 何があったのじゃー!?」

五十鈴「筑摩さん大丈夫かしら、って言おうとした矢先にこれだもん」

大淀「……こんなに大盤振る舞いして、食堂の食料の在庫は大丈夫なんでしょうか」ドヨーン

ニコ「その辺は大丈夫みたいだよ。代わりに、ぼくたちの食料の在庫を随分削ったみたいだけど」ドヨーン

大淀「ご苦労おかけします……」

ニコ「いいよ、仲良くできそうだもの。一緒に頑張ろう?」

山城「扶桑お姉様! 那珂ちゃんがステージの準備をしてますよ! こちらに座りましょう!」

扶桑「ふふふ、山城ったらもう座ってるのね。そんなにはしゃぐと紅茶がこぼれるわ」ニコニコ

山城「大丈夫です扶桑お姉様! ケーキも紅茶も無事に……あら? なにかしらこのカボチャ」

???「だーれだっ!」メカクシー

山城「ふえっ!? ちょっ、何するの!? 誰っ!?」

扶桑「あら、可愛らしい魔女さんね。イタズラは良くないわ」

山城「も、もしかしてあのカボチャ、あのときのランタンじゃ!?」

ロゼッタ「当ったり~! あたしは魔女メディウム、パンプキンマスクのロゼッタちゃんでーす!」

タチアナ「ロゼッタ、他の人の邪魔はいけませんよ。私はタチアナ・トリックホールです。どうぞお見知りおきを」

山城「トリックホール……というと、あの落とし穴の」

タチアナ「ええ。先程、大淀さんにお詫びとご挨拶に行ってきまして」

ロゼッタ「席を取っておいてって言われたんだけど、ずーっと待たされて退屈だったんだよ!?」

扶桑「それで、たまたま見つけた山城に構ってほしくてイタズラしてたのね」

ロゼッタ「ぴーんぽーーん! その通りー!」

タチアナ「彼女には渋々でしたが囮役をやってもらいました。見つけたのがあなただったということで、縁を感じますね」

ロゼッタ「ほんとは、この『じゃこたん』を頭にかぶせてあげるのが、あたしの役割だったんだけどねー」

扶桑「あなたは別の役になったのね」

タチアナ「今回はツバキさんがその役でしたね。ほら、あそこにいるカビンのメディウムが彼女です」


ツバキ「親分さんも! 姉さんも! よろしゅうお頼ん申します!」ズイッ

提督「」

霧島「」


山城「……」

扶桑「本当にメディウムにはいろんな人がいるのね。楽しくなるわ」ニコニコ

山城「それですまそうとする扶桑お姉様いろいろと流石過ぎます」タラリ

扶桑「……あら? 二人はコーヒー派なの?」

ロゼッタ「うん、あたしコーヒー大好きなの!」

タチアナ「私もですね。どちらかと言えばコーヒーのほうが好きです」

山城「さっき見た時はコーヒーなかったわよね」

ロゼッタ「もしかして、遅くなったのってコーヒー作ってもらってたから?」

タチアナ「いえ、大淀さんと眼鏡の話で盛り上がってしまいまして……」

山城「そのうち武蔵さんや霧島や鳥海を巻き込むこと間違いなしですね」


那珂「ステージ設営完了ー! あとはマイクを……」

提督「霧島、ちょっとマイク貸せ」

霧島「は、はい! なにかありましたか?」


提督『このタイミングで悪いが、全員耳をこっちに向けてくれ』

提督『昨日、本営から出撃の命令が出た。作戦内容を簡単に説明する』

 ザワッ…

ニコ「ねえ……ケーキ食べながらでいいの?」

提督『かまわねえよ。食いながらでも話は聞けるだろ』

ニーナ「割とフランクなんですね……」

ニコ「ぼくたちも一部はそうだけどね……」

提督『先日、本営の大佐率いる提督たちの艦隊から、泊地棲姫への攻撃が行われた。残念ながら戦果はお粗末、連中にやる気なし』

提督『連中は自分たちの被害が微少なことから追撃をかけることにしたんだが、その攻撃地点がこの鎮守府の近くだ』

提督『そのため、大佐の連合艦隊がこの鎮守府を前線拠点として利用することになった』

 エエー!? ブーブー

ニコ「すごいブーイングだね」

如月「無理もないわ……大佐は嫌われてるもの、ここの艦娘には特に」

提督『残念ながら作戦開始まで間もない。2、3日の間に各自調整を行い、臨戦態勢を整えておくように』

長門「提督、作戦は?」

提督『俺たちは専守防衛、邀撃は連中に任せることになるが、はっきり言って総力戦だ。作戦と編成はこれから考える。以上だ』

提督「悪いな那珂、邪魔をした。ほれマイク」

那珂「もー、そんな話があるんなら先に言ってよ~! せっかくミニステージ準備したのに、そんな空気じゃなくなっちゃったじゃない!」

提督「んじゃあまた次の機会だな。大丈夫だろ、お前ステージ準備するのも出撃準備も半端なく速えし」

那珂「もっちろん! 早着替えはアイドルの嗜みだよ!」

提督「おう、そういうわけだから次の出番のときは頼むぜ」ナデナデ

那珂「あっ……えへへー」ニヘラ

シャルロッテ「あっ、ずるーい!」

那珂「これもトップアイドルの特権だよね~」ニヘラ

 パシャ

青葉「ステージ上でにやける那珂ちゃんの無防備な笑顔ゲットしましたぁぁ!」ダッ

 シャッ

那珂「も~、青葉さんったら、アイドルのプライベートはいつだってトップシークレットだよ~?」ガシッ

青葉(えっ、いつの間に正面に……ていうか、カメラ掴まれてる!? なんですかこのすごい力!)

那珂「だ・か・ら、今のデータ、消してくれるよね?」

青葉(な、なんですかこのプレッシャー! こんなにさりげないのに怖い那珂ちゃん見たことないですよ!?)ゾワワワッ

青葉「は、はい! 了解ですっ!」ポチポチ

那珂「あとシャルロッテちゃんも、私に協力してくれたのは嬉しいけど、青葉さんは怪我させちゃ駄目だよー」

青葉「へっ」

那珂「ほら、足元~」

バナナノカワ「」チョコーン

青葉「」

シャルロッテ「那珂ちゃんって優しいんだね~」ポンッ

那珂「そうかな~? それよりも、油断してたとはいえ、咄嗟のカメラに反応できなかったのは那珂ちゃん的にショックかな~」

青葉(青葉の方がいろいろショックです……)シロメ


山城「那珂ちゃんのライブが……不幸だわ」ズーン

タチアナ「……なにやら年季の入った落ち込み方をしてますね」

扶桑「心配いらないわ。ね、山城?」ナデナデ

今回はここまで。

次回、 引き続き食堂で講義の時間。

続きです。

小難しい話になりますが、辻褄の合わないところはご容赦いただければ。

如月「提督が本営に呼ばれてた理由がそれだったのね。唐突な話じゃない?」

提督「連中が勝手に戦争やらかして、それをこっちに飛び火させたようなもんだからな。唐突でもなんでもねえよ」

ナンシー「ねえねえ、シンカイセイカン? そいつらって敵なの?」

大和「敵……ですね。突如海に現れた彼らは、かつて沈んだ艦の怨霊とも言われている存在で、今や世界中のシーレーンを脅かす脅威となっています」

ニコ「で、それに対抗しうる力を持ってるのが、君たち『艦娘』ってわけだね」

ナンシー「やっぱり放っておくわけにはいかないんだ?」

武蔵「深海棲艦の出現で海路と空路は寸断されてる状態だ。物流が切れてるから現代人は一昔前の生活を強いられている」

霧島「海運や漁業もそうですが、海上の制空権を抑えられているので空輸にも大打撃ですからね」

ナンシー「それで物資不足、ってわけねー」

提督「物が来ねえのは、俺が上に嫌われてるっつうのもあるがな」

ルミナ「対抗、ねえ。艦娘も深海棲艦も似たものなんだし、いっそ交流を持ちかけるのはどうなのかな?」

武蔵「海軍の中にも深海棲艦との対話を考えてる者たちはいるが……そんなに似てるか? 悪いが、良い気はしないぞ?」

ルミナ「ああ、多分武蔵君の言う意味じゃなくてね。深海棲艦と艦娘の発生の経緯や、関連性を調べてみるとなかなか面白いんだよ」ズズズ

ルミナ「例えば建造。艦娘は工廠で建造されるほかに、海上で見つかるときもある。そういう艦娘はドロップ艦とも呼ばれてるそうね?」

ルミナ「ドロップ艦は海上で自然発生しているのか? この辺は艦娘自身の記憶も曖昧で未解明。では、深海棲艦はどうなのか?」

ルミナ「深海棲艦も海上、いや、海中かな? そこで自然発生してるって考えが多い。つまり、艦娘も深海棲艦も海で生まれてる」

ルミナ「そしてどちらも海に残った遺志、プラスかマイナスかの差はあるけど、それを引き継いでいる……という点で、共通項も多いわけ」

ルミナ「もしこれらの仮説が成り立つなら、深海棲艦もここの工廠で建造できるんじゃないか、って推測できるのよ」

鳥海「深海棲艦にも建造設備があるかもしれないとはよく言われていますね」

摩耶「ただ、いい話は聞かねえな。やれ艦娘を素材に使うだの、やれ艦娘が悪に傾いてできるだの……」

ルミナ「あら、そうなの? それも十分にあり得るわね」

鳥海「少しは否定してくださった方が気楽だったんですが、やはり肯定するんですね」

ルミナ「研究者に偏見は禁物よ? それがたとえ私たちの希望の芽を摘む最悪の事態だったとしてもね」

ルミナ「それに、その仮説が真なら、深海棲艦が艦娘に生まれ変わる可能性もあり得るじゃない?」

摩耶「ああ……ま、そう考えりゃ悪い話ばかりじゃねえかな」

ルミナ「他にも、深海棲艦には人間が作った兵器が一切通用しないのに、艦娘の持つ兵器だとダメージが通る」

ルミナ「逆に、艦娘にも人間が作った兵器の殆どが通用しないけど、深海棲艦の攻撃にはダメージが入る」

ルミナ「これがどういうことかって言うと、深海棲艦と艦娘は、人間と別次元の存在であると言えるのではないか? って言えるのよ」

武蔵「……ほう。仕切りがある、と言いたいわけか」

ルミナ「次元という言葉で表現するのが適切かどうかはわからないわ。『波長』って言うのもちょっと違うし、まずは『次元』で通させてもらって……」

ルミナ「建造や解体は妖精の力を借りて行っていることから、妖精もまた艦娘と同じ、もしくは近い次元の存在だと言えそうね」

ルミナ「そして魔神君。きみは妖精と意思疎通ができるらしいわね? だとしたら君も、彼女たちに近い次元にあると言えそうなの」

提督「……俺が人間じゃねえ、ってか?」

ルミナ「人間離れしている、と言う方が適切かしら? 私たちにも近い、とも言えそうなのよ」

ルミナ「艦娘である彼女たちに私たちの攻撃が通用している。またその逆に、霧島君の攻撃は罠状態のルイゼット君に通用した」

ルミナ「とすれば、艦娘と私たちメディウムの存在の次元は非常に近い、と言えるわね」

大和「なかなか興味深いですね」

ルミナ「解体の理屈についてもそう。艦娘は解体することで人間になることができる、という部分も非常に興味深くてね」パクッ

提督「そんなことできるのか」

武蔵「したことなかったのか?」

提督「解体されたいって言う奴がいなかったから、やったことねえな。自殺したいなら勝手にすりゃいいだろうから放置するしな」

ルミナ「その解体なんだけど、解体すると人間になるということは、その艦娘の次元を変化させている、と見て取れるんだ」モグモグゴクン

ルミナ「さらっと言っているが、これはすごいことだよ? 妖精が次元を超越させられる存在だとしたら、本来は脅威となる」

ルミナ「それがそうなっていないのは、妖精たちが人間に協力的であり、彼女たちがか弱い存在であるため、と私は見ているけど……」

大和「提督は妖精たちに好かれてますから、大丈夫ですよ」

提督「人間には嫌われてるけどな」ンベー

霧島(……司令はもとから人間に好かれたいと思ってないでしょうに)

ルミナ「魔神君のその辺の言動は、やはり人間よりも妖精に近い性質によるものなのかな?」

ルミナ「とにかく、逆に人間が艦娘になることも研究としてはあるようだけど、それもおそらく存在の次元を変化させようとしているんだろうね」

ルミナ「艦娘は年の取り方が非常に緩やかだけど、解体して普通の人間になると老い方も普通になるというレポートもあるようだし?」

鳥海「一説には、終戦後もそのままでは可哀想だから、という救済措置みたいなものと聞いていますね」

ルミナ「へーぇ! この辺はいろんな捉え方があって面白いわねぇ」

ルミナ「そもそも、人間は肉体と霊体と幽体……これらはそれぞれエーテル体とアストラル体とも呼ばれ……」

提督「俺は寝るぞ」

ルミナ「あああ、待ってくれ魔神君! つまりだね、艦娘や私たちメディウムは、肉体の代わりに艤装や罠そのものが結びついてると言いたいのよ!」

ルミナ「……私なりの推論だけどね。でないと艦娘の言う『近代化改修』の説明ができないのよ!」

提督「……近代化改修?」

ルミナ「……もしや」

如月「やったことありませんね、そういえば」

ルミナ「……」ガクーッ

霧島「ま、まあまあ。とにかく、近代化改修はどういう理屈で?」

ルミナ「ええ、まとめるとね、解体は人間への回帰、艤装を分解し肉体を得て魂魄の移し替えを行う。魂魄はさっき言った霊体と幽体のカタマリと思ってちょうだい」

ルミナ「一方、近代化改修は艤装を他の艦娘の強化に使い、魂魄の解放を行うことで、外面の強化を行っている」

ルミナ「艦娘のときは次元の優位性を得ているのは魂魄……つまり、霊体+幽体。一方、人間が次元の優位性を得ているのは肉体」

ルミナ「だから人間と艦娘は次元が違って、科学兵器では艦娘や深海棲艦にダメージを与えられない、という推論に行き着くの」

提督「なるほど、さっぱりわからん」

ルミナ「いやいや魔神君、君自身に関わることなんだから、もうちょっと耳を傾けて欲しいんだけど」

榛名「提督自身が、ですか?」

ルミナ「そう。さっき、魔神君と妖精の次元が近いって言ったでしょ? どのくらい近いかって話になるのよ」

ルミナ「もうひとつ同じ理屈で、もし艦娘にきわめて次元の近い男性がいるのなら、繁殖行為もできると考えられるって話になるわ」モギュモギュ

「「「!?」」」

ルミナ「元来、次元の違う生物同士だと繁殖は難しいんだけど、もとから妖精と次元が近い魔神君なら、艦娘と子をなすことも不可能ではないかもよ?」

如月「そ、それ本当ですか!?」ガシ

大和「提督と赤ちゃん作れるんですか!?」ガシ

提督(両脇から力いっぱい掴むんじゃねえよ……)タラリ

ルミナ「ああ、それはやってみないとわからないよ。もしかしたらメディウムともできるかもしれない。これはあくまで推論だからね?」ズズッ

如月「善は急げですよ提督!」キランッ

提督「おいやめろ」

大和「ヤってみるといいんですよね!!」キランッ

武蔵「おいやめろ」

金剛「ヘーイテイトクゥー! 金剛は大丈夫デース!」Thumbs up !

榛名「金剛お姉様!?」

扶桑「扶桑も大丈夫ですよ?」ニコッ

山城「扶桑お姉様!?」

摩耶「ま、まやっ、摩耶様もだいピョうぶだぜ!?」プルプルプル

鳥海「摩耶!? 声が裏がってる!」

暁「何の話かよくわからないけど暁も大丈夫なんだから!」バーン!

電「何の話かよくわかんないなら暁ちゃんやめるのです!」ガシッ

アーニャ「お姉ちゃんは参加するの? じゃああたしも!」バーン!

ミーシャ「え、ええ!? ちょ、ちょっと待ってぇぇ!!」ガシッ

朝雲「これは私たちも参加しなければいけないのかしら、ねえ山雲?」

山雲「私は~、朝雲姉と一緒なら構わないわ~」

朝潮「え? ま、まさか、3Pですか……!?」

霞「ちょっと待って……なんであんた3Pなんて言葉知ってんのよ」クラッ

青葉(朝潮さんは純粋そうに見えて耳年増のムッツリ、と……)メモメモ

リサーナ「ねえねえ、古鷹は手を上げないのぉ?」

ベリアナ「イくんなら、私も協力しちゃうゾ?」

古鷹「ふぇっ!? わ、私は……そのぉ……」モジモジ

加古(なんだか無理矢理なし崩し的に手を挙げさせられそうだねえ)

ヴェロニカ「あら……いいコト聞いちゃったわね。陸奥はどうするの?」ニヤリ

陸奥「あらあら、そんな野暮なこと、わざわざ訊く必要があるの?」ニヤリ

長門(……陸奥、無理して余裕ぶらなくてもいいんだぞ?)タラリ

キュプレ「すごいわ! 今なら誰に矢を当ててもカップル成立じゃない!?」キラキラキラッ

黒潮「あかんなあ……」キリッ

リンダ「うん、これはアカン」キリッ

黒潮「ここでうちらが『うちもや!』って手を挙げても……」

リンダ「せやな……『どうぞどうぞ』は期待できひんな」

ジュリア「」スパパーン

龍驤(ええツッコミや)モグモグ

ニコ「……ルミナ? きみは今何を言ったか理解してるかい?」ジロリ

ルミナ「? 私、なんかおかしなこと言ったかな?」ズズ

ニコ「きみのせいで、みんな魔神様をすごい目で見始めてるんだよ……」

ルミナ「ふぅん……まあ、いいんじゃないかな? 私も今の理論を確かめられるし」

ニコ「……あのねえ」

ルミナ「それともなにかい? 私が実験してみてもいいのかい?」

ニコ「ルミナ?」

ルミナ「ははは、冗談だよ。あぁ、紅茶もたまには美味しいね。私は専らコーヒー派なんだけど……あ、おかわりあるかな?」

ニコ「……」ハァ

ルミナ「そんなふうに落ち込んでいないで、興味があるならニコ君も立候補したらいいじゃない」

ニコ「ルミナっ!?」カオマッカ

ルミナ「照れることはないだろう? 君もずっと魔神君が現れるのを待ってたんだから」

ニコ「まったくもう……」ハァ

ルミナ「あ、もっと簡単に魔神君が艦娘に近い存在かを確かめる方法があるわ」

ニコ「……なんだい?」

ルミナ「魔神君が艦娘を物理的に傷付けられるなら、彼の次元が近いことが証明できるわね。ひっかいたり、殴ったり、ね」

ルミナ「もっとも、その方法を実験することは決してできないでしょうけど?」クスッ

ニコ「そうみたいだね」


ルミナ(と、気になる点はもうひとつ。魔神君、年齢の割に見た目が若いんだよねえ……これも艦娘の老化緩和理論に当てはまりそうじゃないかな?)

ルミナ(あくまで仮説だけど……艦娘の解体理論と逆に、ただの人間だった彼を、妖精が自分に近しい存在に書き換えたとしたら?)

ルミナ(もし魔神君の素質が先天的なものでないとしたら? ……妖精が『提督の資質』を人間に与えていることになる……なんてね?)

ルミナ(そもそも、妖精がこの世界に求めているものはなんなのか……面白いわ)キラン

 * 幕間 追放と轟沈と脱走と *

伊勢「す、すごい騒ぎになってるわね……」

日向「ここの提督はここまで好かれているのか」

若葉「突樫貪に見えるが、艦娘の意志を尊重し好きにさせてくれている。良い提督だ」

初春「まあ、ただでさえここにおる者の殆どが、前の鎮守府でひどい目に遭っておるからのう。ある意味で放任主義の提督は歓迎されよう」

川内「そだねー。あたしと若葉が前にいた鎮守府なんか、提督がケチですっごい臆病だったせいで夜戦禁止だったもんねぇ。ストレスで気が狂いそうだったもん」

若葉「重巡や戦艦ならまだしも、輸送ワ級を追撃して夜戦で完全勝利をおさめたら飛ばされた。あの提督は勝利が欲しくないのかと憤ったものだ」

川内「あの鎮守府、普段から戦果がよろしくなかったからね。戦果に色気を出したらそれより先に命令違反でこうだから」クビスパッ

初春「気の毒じゃが、まあ『悪法も法のうち』じゃ。わらわたちは軍艦ゆえ、法は守らねばならぬ」

川内「その変な法を決めちゃったせいで、その提督自身が今は閑職に回されてたんだから世話もないよね」アハハ

若葉「まあ……この鎮守府はこの鎮守府で、別の理由で深海棲艦との戦闘に消極的だからな。同じことにならないかは心配だ」

伊勢「ん? 初春は二人と別の鎮守府の出身なの? 初春は前の鎮守府でどうだったのさ?」

初春「わらわは捨て艦じゃ。前の鎮守府なぞ最早興味もない」

日向「……轟沈したのか」

初春「うむ。大破して意識も八割がた沈んでおったわらわを、たまたま暁が見つけて必死に曳航してくれてのう」

初春「その暁も、前にいた鎮守府からは脱走しておる。わらわを見つけたのはそのついでじゃ」

初春「おぼろげながらに覚えておるが、わらわを助けようとしていたときの暁は、ひどく取り乱していておってなあ」

初春「どうにかわらわと一緒に岸に流れ着いたあとは気を失ったようでの。次に目を覚ました時は、前の鎮守府の記憶をなくしてしまっておった」

伊勢「なんていうか、ひどいね……」

初春「まあ、轟沈しかけた者は多いのう。朧と吹雪がわらわと同じ捨て艦で、電と由良、鳥海、加古が大破進軍、那珂と榛名が過労じゃったか」

初春「前の鎮守府で心を病んだ者もおる。先述の暁しかり、比叡、利根、神通、大淀、潮もその口じゃな。原因は皆ばらばらじゃが」

初春「ほかにも理由あって大破して流れ着いたのが如月、扶桑、山城、朝潮に霞、明石……長門は、潮を守って一緒に流れてきたのじゃ」

初春「おめでたいのは迷子になっていたところを保護された島風と白露くらいかのう」

日向「……私たちは、何と戦っているんだろうな」

川内「伊勢さんと日向さんはどうなの?」

伊勢「日向が提督に深海棲艦に関する突っ込んだ質問をしまくってたらここに異動になったのよ。私はその道連れ」

川内「ああ……」


青葉「あの、神通さん? 今の川内さんたちの話なんですが……」

神通「本当ですよ。那珂と榛名さんは、補給はあっても沈むまで文字通り休みなしに戦い続けていましたから、二人とも相当の手練れなんです」

神通「ええと、私の知る限りでは、ここで建造されたのは大和さんと武蔵さんだけですね。あとはみんな流れ着いてきたような感じです」

青葉「だとすると」

神通「そうですね、この鎮守府の艦娘はみんな過去に傷を抱えてるようなものですから、スクープには事欠かないかもしれません」

神通「ですが、何がきっかけで抱えていた闇が爆発するかは予測できませんから、私もあまり深入りしないほうが賢明だと思います」

青葉「あ、あの」

神通「青葉さん、この鎮守府では伊勢さん日向さんと並んで一番新顔ですからね。大変な鎮守府に来ちゃいましたって思ってるでしょう?」

神通「でも、普通にしていれば私もみんなも怖くありませんから、大丈夫ですよ」ニコッ

青葉(いや怖いですよ! どうして青葉の考えていることを次々と言い当ててるんですかこの神通さんは!?)ダラダラダラダラ

神通「あ、私はそれが原因でここに来たわけではないので……まあ、あまり思い出したくないですから、探られても困りますけれど」トオイメ

青葉「」ダラダラダラダラ

今回はここまで。

次回は、 不幸なのは艦娘だけじゃない。

続きです。

 * 夕方 島の北部 *

敷波「足元に気を付けてね」

ニコ「こんなところに洞窟があるんだ」

三隈「ほかの洞窟には温泉もわき出ていますよ」

長門「しかし、この人選はどうなんだ? 私と潮、敷波……戦艦1、駆逐艦2に航巡2と重巡1?」

最上「それもそうだね。僕たちの力が必要なの?」

提督「俺に色めき立つ発言をしない、かつそれを茶化さないメンバー、って基準だな」

那智「ああ、道理で足柄や隼鷹を呼ばなかったわけだ」

潮「あはは……」

提督「悪乗りが過ぎると利根や神通が不憫だからな」

敷波「あー……そっか。そだね」

ルミナ「なあ、ニコ君? エミル君やゼシール君もそういう基準で連れてきたのかい?」ゼェゼェ

ニコ「ぼくは単純にボディガードに適任なメディウムを誘ったつもりだよ? ルミナは島を調べたいからついてきたってだけで」

エミル「それともなーに? ルミナ、ぼくじゃ頼りないっていうの!?」

長門「ん? いいや? こんな大きなハンマーを持ってるんだ、頼りがいがありそうだな?」ニコッ

エミル「そ、そう? 悪い気はしないねっ」テレッ

提督(ちょろい)

ニコ(ちょろい)

三隈「ええ、とっても可愛らしい騎士様でいらっしゃいますわ」

エミル「あ、こらっ! 可愛いなんて馬鹿にすると容赦しないぞー!」

最上「べ、別に三隈は馬鹿にしてるわけじゃないよ、落ち着いて」

三隈「ええ、勿論です。ね、モガミン」

エミル「モガミン? へーえ、可愛い名前だね!」ニコー

最上「モガミンはやめてよ……僕は最上だってば」カオマッカ

三隈「で、あなたはトイハンマーのエミルさん……エミルンですわね」ニコー

最上&エミル「「ちょっと!?」」

ゼシール「……賑やかだな」

那智「ひとえに提督のおかげだ。我々もここに来なければこうして笑いあえることもなかったろう」

提督「酒くせえセリフだな……」

那智「おっと、生憎だが私は酒保で飲んでいないぞ。まだ禁酒は継続中だ」

提督「……そうかい」

那智「フ、そう照れるな。少なくとも私は貴様に会えたことを感謝している。利根や神通もきっとそうだろう」

最上「ぼくも、前の鎮守府がひどかったから、なおさらね。今の提督はぼくは好きだよ」

三隈「わたくしもですわ」

提督「……ったく、酒が入ってると言うことが違うな」プイ

エミル「へぇ、信頼されてるんだね……みんな何をしてもらったの?」

那智「私は……自暴自棄になっていたところを、彼に助けてもらった」

三隈「私はちょっとした不祥事を起こしまして……モガミンと一緒に拾ってもらいましたの」

敷波「私もそーかなー。嫌な奴から逃げてきたんだ」

長門「私と潮は、彼に悪い奴から匿ってもらった。ここの艦娘は、何かしら提督に恩があるな」

エミル「ふーん。だから人間が嫌いなんだね?」

提督「……まーな」

那智(? 今の話の流れから、どうして提督が人間嫌いだとわかるんだ?)

提督「さて、そろそろ目的地だな……」

 ザァァァ

ゼシール「? 海の方から何者かが……来ている!?」

ル級「フフ、丁度良カッタヨウネ」

ニコ「!?」

エミル「だ、だれ、こいつ!?」

ル級「ン、見ナイ顔ネ? コイツ、ダナンテゴ挨拶ダコト」ジロリ

ゼシール「おい……!?」

ルミナ「これはもしや! きみ、深海棲艦じゃないか!?」キラーン

長門「ああ、彼女は深海棲艦の戦艦ル級。この島の北の海域で暮らす深海棲艦だ」

ゼシール「……平然と言うが、お前たちの言う敵じゃないのか」

提督「敵じゃねえよ、だから安心しろ」

提督「悪いなル級、この新顔たちは深海棲艦とは初対面なんだ」

ル級「ソウ? ……ナンダカ妙ナ親近感ヲ覚エルンダケド」

提督「こいつらもちょいと訳ありでな。説明はさせてもらう」

ゼシール「お前たちは、抵抗はないのか?」

那智「最初は驚いたさ。だが、彼女も私たちと同じく提督に世話になった。同じ境遇ということだ。敵対しないのならそれに越したことはない」

ル級「マァ、愚痴ヲ聞イテモラッタトイウカ、ネ」

ルミナ「愚痴で味方を裏切れるようなもんなの?」

ル級「私タチハソコマデ組織的ジャナイカラネ。割ト自由ナノ」

長門「彼女はかつて東部オリョール海に住んでいたんだが、その海域には潜水艦を運用する者が大半でな」

長門「戦艦は潜水艦に攻撃できない。一方的に潜水艦から攻撃を受けるだけの戦闘が1日に数十回で百隻以上、それが毎日続いていたそうだ」

エミル「一方的にいじめられてたの!? 可哀想じゃんか!」

ル級「ソレデ嫌ニナッテ修復セズニ海域ヲ出テ、流レ着イタノガ、コノ島ノ海岸ダッタノ」

ゼシール「……確かに、相手の弱点を突くのは戦闘の基本だが……」

エミル「やられるほうはたまんないね!」プンプン

提督「ま、そのあと長門と意気投合してな。ときどき演習相手になってもらってる」

潮「ル級さん、これケーキです、良かったらどうぞ」

敷波「この水筒は紅茶だよ」

ル級「エ? マジ? 嬉シー、アリガトー!」キャーー

三隈「それで、提督にお知らせしたいことがあるそうですけど、何かあったんですか?」

ル級「コレ食ベナガラデモイイ? 水中ニハ持ッテイケナイシ」ルンルン

最上「うん、いいよー」

ゼシール「……結構軽いノリなんだな」

ニコ「うん……」


提督「こっちに艦隊が向かってる?」

ル級「エエ。泊地棲姫ノ艦隊ガ、コノ鎮守府ヲ目指シテルワ」

ル級「ナンデモ、彼女ノ塒ニ突撃シテキタ艦娘ヲ鹵獲シタラ、コノ鎮守府ノ出身ダト白状シタラシイノ」

エミル「なんだよ、結局深海棲艦に喧嘩売ってたの?」

最上「まさか!? 第一、そっちには誰も出撃してないよ!?」

ル級「マア、ソウデショウネ」

ル級「ソレデココノ近クニ棲ム私ニ話ガ来タンダケレド、コノ提督ガ、ワザワザ泊地棲姫ノ塒マデ出張ッテ攻撃スルトハ思エナイシ?」

ル級「ソレニ、ソノ直後ニ敷波カラ侵入者ノ話ガキタカラ、ソノ理屈ハオカシイ、トイウコトハ伝エタワ」

提督「……大佐だな」

三隈「どういうことですの?」

提督「さっき、大佐たちがこの鎮守府に寄港して泊地棲姫に戦いを挑むと言ったが、連中の狙いはそっちじゃない」

提督「あいつらはな、泊地棲姫をこの鎮守府に誘導して攻撃させ、その最中に俺と中将を暗殺するつもりだ」

長門「なんだと!?」

エミル「魔神様、暗殺されちゃうの!?」

那智「き、貴様、なぜそういう大事なことを早く言わないんだ!」

最上「提督を守らないと!」

ニコ「魔神様、どういうこと?」

提督「ほれ、那智や最上ですらこうも動揺するんだぜ? 全員いる前で言えば、パニックで勝手にヒートアップして冷静に指示できねえだろ」

提督「だから、段階を踏んで徐々に小グループ毎に知らせて、各個に指示を出そうって話だ」

ゼシール「なるほど、確かにこの方が話も通しやすいな」

長門「……ル級、泊地棲姫の様子は」

ル級「言ウマデモナク荒レテルワヨ? ワザワザ塒ノ深イ場所デ砲弾バラ撒カレテ、オ気ニ入リノ寝床ヲ滅茶苦茶ニサレテ怒リ心頭」

ル級「シカモソレガ練度ノ低イ艦ノ仕業ダトイウノナラ、頭ニ来ナイワケガナイワ」

長門「艦娘を鹵獲したと言っていたが」

ル級「嬲ルダケ嬲ッテ、モウ沈メテルンジャナイカシラ?」

ニコ「どうしてこんなに回りくどいことをするのかな。人間はよくわからないよ」

提督「大佐は、自分の地位を傷付けることなく俺たちを排除したいのさ。そのための隠れ蓑として深海棲艦を利用しようとしている」

提督「中将はそれなりに実績がある人だ、謀殺するより戦死してもらうのが一番恰好がつくし怪しまれない。しかも責任は全部俺に押し付けられる」

提督「俺も中将も鎮守府も全部灰にしてしまえば証拠など残らん。あとは奴らが口裏合わせて責任逃れだ」

ゼシール「なるほどな。都合の悪いものを全部まとめて掃除する気か」

提督「どうにかして鎮守府を守るか、全員で逃げる手段を考えていたんだが、下手を打てば敵前逃亡で銃殺刑。正直八方塞がりだった」

提督「そしてそこへ鎮守府乗っ取りの知らせが来た。最悪だと思ったぜ……だが」

ニコ「……」ニッ

提督「来たのが助っ人だったとなれば話は別だ。俺も腹を括る気になった、猫を被るのはもうやめだ……!」

提督「連中には、痛い目を見てもらおうじゃねえか」ニヤリ

三隈「それじゃ、提督が一番最初に執務室を目指して救難信号を押そうとしたのは……」

提督「余所の鎮守府に大々的に異常事態を知らせるためさ。この状況下で泊地棲姫を相手取るなんて無理だろ?」

ニコ「ヘルレーザー、サーキュラーソー、トイハンマー。みんなにも伝えて、ぼくたちの出番だよ」

ルミナ「ふむ、どうやらバカンスはひとまずお預けみたいだね」

ゼシール「仕事か。仕方がないな」

エミル「よーし、やってやろうじゃんか!!」

ル級「……」

長門「どうしたル級」

ル級「イイエ、人間モ大変ネ、ト思ッテ」

提督「ああ大変だ。何度もやめたいと思ったぜ。お前らのほうが余程付き合いやすそうだ」

ル級「ソレナラ、アナタモ深海ニ来テミル?」

提督「そうだな。前向きに考えとく……ん?」

潮「……」グイ

敷波「……」グイ

ル級「フフ、マダ先ニナリソウネ?」

提督「……みたいだな」

 * 執務室 *

提督「実はもう一つ、大佐が俺に執着している理由がある」

ニコ「? なにかな?」

提督「大和の存在だ」

提督「この鎮守府は、艦娘の建造を2回しかしたことがない。その2回の建造でできたのが大和と武蔵だ」

ニコ「……ふーん?」

提督「実は建造は運任せだ。このくらいの資材を突っ込めば、こんな艦ができるだろうくらいの予測しか立てられない」

提督「この大和と武蔵は建造できる確率がすごく低い。連れているだけで羨ましがられるとか言う話だ」

ニコ「ああ、そういうこと……ってことは、大佐が魔神様の大和を見つけて、寄越せって言ってきてるわけだね?」

提督「あれは見栄っ張りだからな、大和をてめえのステータスの一つくらいにしか思ってねえはずだ。んな野郎に渡すかっつうの」

提督「俺はあれが嫌いだ。で、大和もそうらしい。艦娘の異動にはその指揮官の承認がいる。だから俺はハンコは押さない」

提督「あれはそれが気に入らなくて地味な嫌がらせをしてくるが、俺もあれの弱みのネタをいくらか握ってるから全部突っぱねてる」

提督「おそらく、今回の襲撃に合わせて大和の指揮権を俺から奪う気だ」

ニコ「そこまでして手に入れたい子なんだ。よく手に入ったね」

提督「っつうか、そもそもその2回の建造は俺の意志じゃねえんだ。この鎮守府の妖精たちが俺のためにやったとか言うんだよ……」

ニコ「……は?」

提督「俺はな、建造はやらねえことにしてる。艦娘増やして積極的に深海棲艦と戦おうなんて頭がどこにもねえからだ」

提督「第一、戦うこと前提で人っつうか人の姿をした艦娘を生み出すってのが気に入らねえ。安易にそういうことをしたくねえんだよ」

ニコ「人間嫌いのくせに、そういうところは人間っぽいね」

提督「獣だって考えがありゃあそういうところに行きつくんじゃねえのか? 艦娘やメディウムにもそれが当てはまるかはわかんねえが」

提督「それとだ、ここの生活を守るために最低限の戦果をあげて鎮守府を維持してるが、それ自体ここの艦娘が自発的にやってることで、俺自身は戦力の増強なんて考えちゃいない」

ニコ「……それじゃあ、きみはここでは仕事をしてないの?」

提督「そうだな。艦隊を率いる提督としては無能ってやつだ。顔も知らねえ人間のために働くのも馬鹿馬鹿しいしよ」

提督「俺は艦娘が作った出撃のスケジュールに一通り目を通してハンコを押すだけだ。資材の使用許可とか本営への申請とかは俺の承認がいるからな」

提督「あとは砂浜の掃除だ。鉄屑と一緒にしょっちゅう艦娘が流れてくるから、手当てするなり埋葬するなり……それでだいたい一日が終わる」

ニコ「なんていうか……雑用係?」

提督「いいんだよ、ここに来たやつの殆どが不幸な身の上の連中だからな。そいつらのやりたいことを手助けしているだけだよ、俺は」

提督「そういうわけなんで、艦娘に好きにやらせるのがここの運営方針だ。俺が海軍でまともに戦術とか勉強してねえんだし、餅は餅屋に任せた方がいい」

不知火「司令がこう仰いますので、妖精さんたちが事後報告で勝手に建造をしてしまったというわけです」

提督「うお!? いつ来た不知火!?」ビクッ

不知火「大和さんを大佐が狙っている、というあたりから聞いておりました」

提督「ほぼ最初からじゃねえか!」

不知火「話が途切れるタイミングを見計らっていたのですが、なかなか終わりそうになかったので」

ニコ「ねえ不知火? 大和って子は、魔神様の許可なしに作られたってことでいいのかな?」

不知火「はい。とかく妖精さんたちが張り切っていましたので、良い艦娘を建造しようという願いが大和さんと武蔵さんになったのだと考えています」

不知火「しかも、先に建造された大和さんは、妖精さんたちの思考を色濃く引き継いだためか、提督大好き艦娘になってしまいました」

提督「お前なあ……大好きとか言うか普通? こっ恥ずかしい……」アタマガリガリ

不知火「事実です。でなければ大和さんがあんなに司令べったりになったりしません」

ニコ「ふーん……そういうことなんだ」ジトー

不知火「ちなみに、一番着任が早かった如月も同じく提督が大好きです」

ニコ「うん。見ててわかったよ。あの二人が食堂で一番早く魔神様の両隣を陣取ってたからね」

不知火「大和さんが建造できたのを聞きつけて、一度だけこの鎮守府に大佐が来たことがありました」

不知火「大佐は建造ほやほやの大和さんを見るなり俺の鎮守府に来いと命令していたのですが、大和さんは大佐に対して猛烈な嫌悪感を露わにしまして……」

提督「……ああ、あんときか……」

不知火「あの大佐は妖精さんにも嫌われていますので、その影響もあってか大和さんが過剰に拒絶反応を起こして大佐を精神的に蜂の巣にしたんです」

ニコ「うわぁ、見てみたかったなあ、それ」パァァ

提督(……こいつも罠娘の親玉だけあるな)

不知火「大佐は艦娘相手にそこまで打ちのめされたことがなかったらしく、余程悔しかったのか大和さんを屈服させるために部下にしたいと考えているようです」

ニコ「そうなったら完膚ないくらい返り討ちに遭うパターンだよね。よくわかるよ」ニコニコ

不知火「大佐はプライドが高いので、大和さんをどうするかわかりません。下手をすれば解体するかもしれませんので、大佐に指揮権を渡すという選択肢は全くありえません」

不知火「不知火ももともとは大佐の鎮守府にいたのですが、あそこは……良い場所ではありません」

ニコ「ちなみに不知火は、魔神様のことはどう思ってるの?」

不知火「不知火は、司令に多大なる恩義があります。感情で言うのならば、敬慕と表現するのが最も適切かと」

不知火「かつては不知火も不幸でしたが、如月をはじめとした轟沈経験のある艦娘たちがいることを考えれば、不知火は恵まれています」

不知火「いつまでも変わらず部下として司令を補佐できるのであれば、不知火がそれより上を望むつもりはありません」

ニコ「魔神様、こんな真面目な子にまで好かれてるんだ?」ジトー

提督「ま、不知火は如月と並んでこの鎮守府の最古参だからな。付き合いは長えし、多少の情はあるさ」ガリガリ

不知火「ちなみに司令は、照れたときや恥ずかしいときに後頭部を乱暴に掻く癖があります」

ニコ「……へー」ニヤニヤ

提督「おい不知火!」

不知火「これは失礼しました。司令、赤城さんからのお届け物です」スッ

提督「……あ?」

不知火「最初からこちらを司令にお渡しすれば良かったのですが、話が盛り上がってしまいました。申し訳ありません」ペコリ

提督「ったく……まあいい。ご苦労だったな」ガサガサ パラリ

提督「……」ペラリペラリ

提督「……ふん、案の定、くそばっかりだな」

ニコ「不知火、あの書類は何かな」

不知火「あれは……司令、内容についてニコさんに申し上げても?」

提督「こいつはこれからこの島にやってくる『敵』の略歴さ」

ニコ「ああ、深海棲艦の」

提督「いや、大佐とその部下どもの資料だ。これだけのくそどもが集まると、何のためらいもなくなる」ニヤリ

提督「ニコ、メディウムを集めてくれ、改めて話がしたい」

ニコ「仰せのままに」ニコッ

 * 幕間 大和の不幸 *

ニコ「大和が大佐に口説かれてたとき、魔神様は何をしてたの?」

不知火「大佐の精神がぼろ雑巾になるのを嬉しそうに眺めてましたよ。少々不用意な発言もありましたが」

ニコ「聞いてもいいかな?」

不知火「確か……『そんなに俺のお古の大和が欲しいのか』と。実際に大佐には効果覿面で、怒りで顔をゆがませてはいましたが……」

ニコ「ああ……確かに不用意だね。それで大和に嫌われたの?」

不知火「いえ。逆に『早く私をあなたのお古にしてほしい』と、その日から司令に夜這いをかけ始めるほどになりまして……」トオイメ

ニコ「」

不知火「そこへ如月も負けまいと参加して、他にも数人野次馬が……えっちなのはいけないと思います」ハァ

ニコ「ということは……」ハイライトオフ

不知火「残念ながら司令は、誰ともいたしておりません」ポッ

ニコ「ちょっ、どういうこと!?」パァァ

不知火「一つ目に、司令は自分の遺伝子を残したくないと放言しています」

不知火「人間が嫌いで親も嫌い、嫌いな親の遺伝子を受け継ぐ人間の自分が子供を残すのは愚の骨頂と言い張って聞きません」

ニコ「それは難問だね……」

不知火「はい。氏より育ち、という言葉もあるのですが、司令は血は水よりも濃いと考えているのかと……」

不知火「二つ目に……司令は、あの……ED、です」

ニコ「え?」

不知火「あ、あの、いわゆる、その、ぼ、ぼっ……勃起不全という……」カァァ

ニコ「」

不知火「誰が夜這いをかけても失敗した原因がそれです。司令は全く反応しないそうで……」カオマッカ

ニコ「……まあ、そうなるね」

不知火「極度の人間不信が原因と思われていますが、それを司令は好都合と解釈して平然としています」

不知火「これで悲しんだのは如月と大和さんです。特に大和さんは一方的とはいえ大佐に好かれてしまったので、貞操的な意味でも危機感を募らせていまして……」

ニコ「うん、みんなの気持ち、すごくわかるよ」ズーン

ニコ「……わかった、安心して、不知火。僕が魔神様をなんとしても治してみせるから!」ギラギラッ

不知火(……話す相手を間違えた気がします。これは不知火の落ち度でしょうか)タラリ

今回はここまで。
徐々にシリアスなシーンが多くなります。

次回、 大佐の思惑。



そしてホームアローンかシティーハンターよろしくトラップコンボのギャグシーンかな

>>213
できるだけコミカルに、かつ爽快に表現できればいいなと思ってます。

では、続きです。

 * 回想 時はさかのぼって、昨日の大佐鎮守府 *

大佐の鎮守府の妖精たち(以下「妖精」)「あ、提督だ! 久しぶりだね!」

妖精「相変わらず怖い顔してるね、あの大佐だから仕方ないけど」

妖精「そうそう、また大佐が大和にちょっかい出したがってるよ」

提督「またなんか企んでんのか」

妖精「それが今回はとくに危険なんだ……」

   大佐『提督と中将には名誉の戦死を遂げてもらおう』

   大佐『場所は提督の鎮守府』

   大佐『もともと廃棄する予定だった鎮守府だ、跡形もなく潰す』

提督「……ついに一線を越えてくる気か」

妖精「大佐も昇進していよいよ自分の地位を盤石にしようとしてる」

妖精「中将の威光も、そろそろ邪魔になってきたって感じだね」

妖精「提督の鎮守府、まるごと壊滅させようと考えてるみたい」

妖精「そうすれば大和も行き場所がなくなるし、引き取る気でいるんだね」

妖精「どんな手を使ってくるかわかんないから気を付けてね!」

提督「ああ。……さて、本営へ向かうか」

赤城(大佐の秘書艦)「提督! 遅いです!」

提督「赤城さん? 召集の1時間前に来たんだが……」

赤城「大佐は10分前に本営に向かってます!」

提督「……ははぁ、あの野郎、また俺に嘘の時間を教えやがったか……?」

 * 本営 中将執務室 *

中将「やあ大佐。息災であったかね」

大佐「はっ!! 中将閣下もご健勝でなによりであります!」

中将「楽にしたまい。思えば儂の鎮守府を引き継いでから早7年……」

中将「短い間に大佐にまで昇進するとは、貴様も大したものだ」

大佐「いえ、まだまだ私は未熟者であります」

中将「謙遜するな。貴様の部下も良い働きをしている。一致団結し物事にあたる姿勢がその結果を生んだのだ」

大佐の部下A(以下、部下A)「はっ、お褒めの言葉を頂戴し、身の引き締まる思いであります」

部下B「我ら、これからも大佐と共に、この国のため尽力する所存です」

部下C「そのためには、我ら命も惜しみません!」

中将「その意気や結構。この儂も老いたが、未来ある貴様たちの露払いくらいはできよう」

中将「して、揃って今日は一体何の話をしに来たのだ?」

士官「失礼します、提督准尉がお見えになりました!」ガチャ

大佐(……ちっ、思ったより早かったな)

大佐「ふん、来たか。通せ」

提督「失礼します」

中将「おお、久しいな提督准尉! しばらく見ぬ間に精悍な顔つきになったな」

提督「は」ペコリ

提督「して、お話とは」

大佐「遅いぞ提督准尉。中将をお待たせした身分で貴様が話を切り出すとは身の程知らずが! まあ良い、時間が惜しい、手短に話そう」

提督(よく言う。毎度やることがガキ臭い)フンッ

大佐「昨今、深海棲艦の撃滅は進んでいるように見えて、実のところ奴らの活動は一向に収まる気配がない」

大佐「海軍もまた相応の戦果は挙げているが、沈静化しない深海棲艦の動きに、苛立ちを覚えている」

大佐「そこで我々は連合艦隊を率いて深海棲艦、泊地棲姫がいるという泊地を攻撃し、大打撃を与えた」

大佐「我々はとどめを刺すべく、提督准尉の鎮守府を足掛かりに艦隊を展開し殲滅戦を行うこととした」

中将「ふむ……提督を呼んだのは、その協力要請というわけだな?」

大佐「その通りです。我らの本懐のため、提督も喜んで協力してくれることでしょう」

提督「……まあ、別にかまいませんが」

部下D「なんだその口のきき方は!」

提督「中将、意見具申」スッ

中将「うむ、なんだ」

提督「我が鎮守府は当該海域に近く、足掛かりとしては悪くない。進軍のための中継点としてお役にたてましょう」

提督「しかし、問題も多く抱えております。その問題についてどのようにお考えかを各人に確認したい」

提督「問題その1、我が鎮守府は規模が小さく、修理ドックも少ない。仮に大破した艦が出た場合は修理に時間がかかります」

部下A「修理は想定しておらん。大軍を率いて瞬時に圧殺する」

提督(作戦中じゃなくて作戦終了時に大破した艦娘の修理は考えてないのかよ……)

提督「問題その2、鎮守府北の海域は海底火山の影響で海流が不安定」

提督「我が鎮守府の艦娘ですら10割の力を出せるか疑問であるのに、この海を経験したことのない艦娘が戦闘できるかどう」

部下B「貴様は我々が何年海に出ていると思っている! 侮辱するか!」

提督(そういうのを慢心っつうんだろが……)

提督「問題その3、作戦について知らされたのはつい先ほど。我々の準備期間が短す」

部下C「貴様らは出撃しなくていい」

提督「……問題その4、我が艦隊は残念ながら彼らと初対面。連携の確認を」

部下D「おい、聞いてたか? すべて我々がやる、必要ない」

提督「……十分にとらねば、勝利を得られますまい」

部下E「くどいぞ、貴様の艦隊の出番などない。ゆえに貴様らとの艦隊と連携を取る必要はない」

提督「……何を言っているのか、理解できかねますな」ハァ

大佐「貴様の艦隊は引っ込めておけと言っている。我々の艦隊の足手まといにならないようにな」

大佐「大和などという過剰戦力も必要ない。貴様はドックで大和の艤装でも磨いていればいい」

提督「……もう一つ」

提督「こうも人の話を最後まで聞かない者たちでは……この戦い、話にならんでしょう」

部下B「口が過ぎるぞ提督准尉!!」

提督「たびたび人の発言を遮っておいて、よく言う」

提督「中将、これにお目通しを」スッ

中将「これは?」ペラリ

提督「大佐にもお渡ししておきます、我が鎮守府が融通できる資材の合計です。不足分については各々負担していただきたい」スッ

部下C「艦隊は出さなくてよいと言っているのだ、解体でも何でもして資材くらい準備できんのか。情けない」

提督(……ん? こいつ、確か……)

提督「……わかりました、解体しろというのなら大和と武蔵を最初に」

大佐「駄目だ。大和は残せ」

提督「一番資材に還元できるのは大和型です。そもそも大佐はたった今、大和を過剰戦力と仰ったばかりではありませんか」

大佐「……」チッ

提督「それにそういうことであれば、部下C殿も今回の作戦は無理をせず出撃を控えるべきでしょう」

部下C「なんだと?」

提督「設備や資材が不十分な離島の貧乏鎮守府にたかる気でいる。さては今回の作戦に参加したくて無理をなさっておいでなのでしょう?」ハァ

提督「そもそもこの戦いが終わった後のことを微塵も考えていない。部下に安易な玉砕を命じる御仁だけある」

部下C「貴様っ!! 何を根拠に」

中将「慎みたまえ」

部下C「く……!」

提督「最後に」

部下E「慎めと言われたろう!!」

提督「私の話はまだ終わっていない。そんなに私が中将と話をするのが不都合なのか?」フン

部下E「無礼な口が過ぎるというのだ!」

提督「……とにかく、我が鎮守府が融通する資材はその書類の3割とさせていただく。あとは我が鎮守府の艦隊が出撃するための資材として確保する」

提督「また、我が艦隊が出張るのは、あくまで大佐率いる艦隊が戦闘できない状況に陥った場合のみとさせていただく」

部下D「我々を信用できないというか!」

提督「ええ。できませんな」

部下E「貴様ぁぁ!!」

提督「先程からぎゃあぎゃあとやかましい」

提督「自分のような若輩者をわめいて黙らせるのが上官のやることか? 少しは説得力のある台詞を吐けないのか」

提督「言わせてもらうが、我が鎮守府に寄港するのは良いが、貴殿らは鎮守府そのものが攻撃されることを想定しておいでか?」

提督「貴殿らが無事出港するための戦力を確保するのだ。出撃前に拠点を潰され全滅したとあっては、殲滅どころの話ではない。違うか?」

提督「そしてあの島の鎮守府の今の責任者は私だ。鎮守府に来るという貴殿らを、鎮守府で働く部下とともに守るのが私の勤めだ」

提督「我らは最悪の事態を想定して動く。その邪魔をしようというのなら、わざわざ戦場を連れてくる『貴様ら』なぞ知らん、と言うのだ」ジロリ

提督「自分が気に入らないのなら、今回の作戦から切り捨てて、余所の鎮守府に応援を頼めば済むことでしょう? そうしたらいい」

提督「それともなにか? 貴殿らは、我が鎮守府を火の海にしたいとでも?」ニヤリ

部下たち「……!」ググッ

提督「それにだ。もし鎮守府に万が一のことがあれば、私に鎮守府を任せた大佐殿も責任を問われる。貴殿らは、大佐の顔に泥を塗りたいのか?」

部下A「貴様……屁理屈を!」

提督「屁理屈……屁理屈ね」ハン

部下E「そ、そもそも、鎮守府を滅ぼそうとする軍人がいるわけがなかろう!」

提督「ええ、当然です。そんな連中、軍人ではありませんね」シレッ

中将「ふむ。貴様たちの意気込みは買おう。しかし、提督の言う通り、準備を他人任せにするのは愚の骨頂」

中将「準備はし過ぎて悪いと言うことはない。資材については提督に頼ることなく、各々想定している量の1.5倍以上を準備せよ」

大佐「……はっ」

提督「もうひとつ。大佐、あなたに質問がある」

大佐「……」

提督「貴君の後輩であるX提督中佐は、今回の作戦海域に最も近い鎮守府におられる」

提督「我が鎮守府と比較しても戦力、設備、ともに充実している。なぜ彼に協力を要請しないのです?」

大佐「貴様にも仕事を与えて、我らの勝利に貢献させる機会を与えようというのだ。光栄に思え」

提督「それはそれは……」

提督「……勝てる気でいるのか、おめでたい」ヒソッ

大佐「……っ」ビキビキッ

提督「……」フンッ

提督「自分は本作戦の準備のため、すぐに鎮守府に帰投します。作戦開始についての日程を本日中にいただきたい」

提督「それができない場合、本作戦への協力は一切できませんのでそのつもりで」クルッ

大佐「待て。詳細な作戦日程の確定は明日だ。明日、貴様にも文書を送る」

提督「……然様ですか。了解しました、お待ちしております」ピッ

提督「では、私はこれで」クルリ

中将「さて、儂も質問させてもらおう。部下Aよ、貴様は本作戦の戦闘終了後、大破した艦娘はどうする気か」

部下A「は……それは……」

扉< パタム


提督(無駄に狡いな、あの連中は)

提督(子煩悩の中将に穴の開いた策を出せば、不安を覚えた中将を現地に誘い出せる、ってか……それに乗りそうな中将も単純だな)チッ

提督(来る前に赤城が準備してくれていた戦闘記録は嘘じゃない。連中が深海棲艦に喧嘩を売ったのは確かだ)

提督(しかも、俺の鎮守府を火の海にしたいか、と挑発されて押し黙るってことは、ありゃあ図星つかれて言葉に詰まったか)

提督(となると、深海棲艦を俺の鎮守府に誘導して壊滅させる……艦隊司令官6人がかりでなら、できなくもないかもしれねえな)

提督(息子である大佐を信じきっている中将では、そこまで馬鹿なことを考えているとも思うまい。その隙をどう埋める……?)

提督(それにしてもだ。確かあの部下Cは、霧島と摩耶のかつての上官だったはずだな。摩耶にぶん殴られて鼻が曲がったっていう……)

提督(……それだけじゃねえ、あいつら全員どっかで見たな。それも碌でもない記憶が……確認してみるか)

 * * *

 * *

 *

 * 夜、提督鎮守府 執務室内 封印神殿の一室 *

提督「結論から言えば、連中の狙いは俺と中将の命だ」

提督「連中は海軍を牛耳る算段を企てていて、そのために目障りになった中将と、ついでに俺の命を取る気らしい」

提督「不知火と赤城の手を借りて連中のことを軽く調べてみれば、まあつまらん悪事が出るわ出るわ」

提督「結託しての政治家への献金集め、鎮守府同士での金と資産のロンダリング」

提督「別派閥の鎮守府には、特攻しなけりゃ突破できないような海域への出撃を強要して圧力をかけ……」

提督「不正取引の強要、有能な艦娘の引き抜き、あるいは轟沈に見せかけた誘拐や拉致……なんでもありだな」

提督「海軍の中にも、不正を暴露しようとして消された者もいれば、自分の艦娘を守って死んだ者、刺し違えた者もいる」

提督「あいつらは、そういう奴らの死体を踏んできた連中だ。碌な死に方をしない連中だ」

提督「俺は願った」

提督「連中に、無様で、惨たらしい、くそみたいな死に方をさせたい、と」

提督「それが、お前たちを呼び寄せたんだろうな」

ニコ「……」

提督「……頼む。俺たちに力を貸してくれ」ペコリ

ニコ「勿論だよ。ぼくたちは、魔神様の力になるために存在しているんだ。みんな、この時を待っていたんだよ」

メディウムたち「」コクリ

提督「……そうか。礼を言う」

ニコ「それを言うのは、そいつらをきちんと全滅させてから、だよ」ニコッ

グローディス「魔神様もその気になって下さった。さあ、出番だ!」

ニーナ「私たちはやはり人間相手に戦うことになるんでしょうか」

ニコ「そうなるだろうね」

ソニア「ニコちゃん浮かない顔してるね? 大変な相手なの?」

ニコ「……そうだね。ただ、それは人間じゃなくて、深海棲艦のほうかな」

ゼシール「昼間に見たル級のような連中か」

ニコ「ぼくたちは海で戦うことなんてなかったからね」

ミュゼ「そもそも私は海の上ではお役に立てないですよ~」

シャルロッテ「私も無理かな~。踏んでもらえないし」

セレスティア「私も……肝心のプレートが錆びてしまいます」

ナンシー「あたしも地面がないと威力半減かな~」

コーネリア「足場がないと本領を発揮できない奴が多いからね。海で戦える奴は限定していいだろうさ」

シルヴィア「ただでさえ海を見たことのない子ばっかりだからね~。私はいいとしても、どうやって戦うの?」

ニーナ「そこですね。どうやって海に留まるか、も考えないと……」

イサラ「泳ぎたくない……」

カサンドラ「私、カナヅチなんです……」

ノイルース「私も濡れるのはちょっと……」

ルミナ「それなんだけどね? さっき如月君の治療をしていた時に気付いたんだけど……」

ニコ「?」

 * 深夜、鎮守府 執務室 *

提督「……」

如月「提督、まだ起きてらしたんですか」

提督「そろそろかと思ってな……」

如月「?」

FAX <ピピピピー ジジジジッ

提督「今日中に連絡を寄越す、と言ったが……この時間に寄越してくるとは、本当に馬鹿野郎だな」ペラリ

書面『○月7日、1000に大規模作戦決行のため、中将、大佐、及びその部下5名の司令官と補佐官2名、大佐配下の艦娘6名が先行して提督鎮守府に入る』

  『翌8日、0600に大隊艦隊到着、0800より作戦を決行する  以上』

如月「今日が5日……いえ、もう6日だから、明日1日しか準備期間がないじゃない!!」

提督「さすがは屑野郎、俺たちに準備の時間は与えないってか」

ニコ「提督、ぼくたちも力を貸すよ。できることはあるかい?」

提督「!」

如月「で、でも、今回の敵は海の上よ!? 罠を仕掛けられるような場所なんてないわ!」

ナンシー「それなんだけどさ~、あなたの艤装、触らせてくれる?」

如月「? 何をするの?」

 *

 *

 *

ニコ「どう? これなら役に立てるよ」

提督「……そうだな……よし、出撃する部隊を編成する」

 * 翌朝 執務室 *

長門「扶桑、山城、霧島、摩耶、由良、敷波、電、潮、朝潮、霞、明石……それに私か」

長門「よし。提督、お前の指示した艦娘12名を集めてきたぞ」

敷波「なんか、あんまりいい予感がしないんだけど?」

提督「明日、殲滅作戦に参加する司令官どもがこの島に入る」

提督「中将と大佐についてはお前らも知っての通りだが……問題はその部下5名。全員艦娘を配下に持つ提督だ」

提督「滞在は明日から明後日までの予定だが、まあこいつらの顔が不愉快でな。これを見てくれ」パラッ

敷波「へー……って、ちょっとこいつ……!」

山城「……お姉様!」

潮「ひ……!?」ガタッ

長門「潮、どうし……この男は!」

霞「この写真、いったいどういうこと!?」ギリッ

提督「類は友を呼ぶと言うがな、よくもまあここまで小汚い顔ぶれが揃ったもんだ、感心するぜ」

提督「お前ら全員、こいつらのうちの一人に見覚えがあるだろう?」

摩耶「ああ、しかしまあ、よく気付いたっつうか、覚えてたよな……」

霧島「今更ながら、私も引っ叩いておけばよかったと後悔していましたが……こんな形で再会する羽目になるなんて」

明石「まだ……艦隊の指揮官だったんですね、この男……!」

由良「写真とはいえ、思い出したくなかったかな」

朝潮「はい。忘れたと思っていた怒りが、こんなに鮮明に思い出せるなんて……!」

提督「俺はあいつらを歓迎する気はない。が、奴らのことだ、好き勝手に敷地内を出歩くだろう」

提督「それでお前らと鉢合わせはさせたくない。悪いが、裏方に回ってもらう」

扶桑「ふふふ、そうね……出会ってしまえば不幸な事故が起こるとも限らないものね……ふふふっ」

提督「だろう? さて、ここまでが建前だ」

提督「連中は、俺たちの引いたラインを必ず越えてくる……連中の狙いが俺と中将の命だからだ」

霞「敷波と潮から聞いたわ。まさかこいつが一枚噛んでるなんて、どういう巡り合せかしら」

摩耶「アタシも那智たちから聞いたぜ。提督……こいつら、やるんだろ?」

提督「ああ。一切の容赦はしねえ。扶桑の言う『不幸な事故』に遭ってもらおうじゃねえか。いいよな?」ニタァ

全員(怖っ!?)

扶桑「……ふふふ、ええ、勿論です提督。遠慮なくどうぞ……!」ニヤァ

山城「扶桑お姉様、提督みたいな悪い笑顔を真似しないでください!! あ、復讐は賛成ですからどうぞ遠慮なくお願いします」ギラッ

明石「山城さん、あなたの目つきもお姉さんのことを言えませんよ?」

由良「んー、でも私も二人に同感。痛い目見ちゃえばいいのよ、ね」

潮「……わ、私も、そう思います……!」

長門「潮……!」

潮「この人、いなくなっちゃえばいい、って、思ったの……本当、ですから……」

霞「潮でさえこうなんだから、このクズどもは提督の好きにしなさいよ。ここを任されたのはあんたでしょ?」

霧島「司令。私たちは、司令の判断に従います。みなさん、それでよろしいですね」

艦娘「」コクン

提督「そうか」

霧島「その代わり、司令の身に危険が及ぶようなことは控えてください。それも、よろしいですね?」

提督「わかった。善処する」

摩耶「……なあ、こうなるってことは、あいつらの手を借りるんだろ?」

提督「まあな」

摩耶「そっか……まあ、怪我だけは気をつけろよ。あいつらも、提督も。死なば諸共、なんてのはごめんだぜ?」

提督「わかってる」


由良「? どうしたの?」

電「あ、いえ、なんでもないのです」

電(さっき……悪い笑顔の時の司令官さんの左目が、青く光った気がしたのです)

電(嫌な予感がするのです。本当に、大丈夫なのでしょうか)ブルッ

今回はここまで。

次回、 島の外の出来事と、敵の上陸。

では、続きです。

 * 夜 島の南側沿岸 *

(大型のゴムボートを曳航する蒼龍)

蒼龍「……はーぁ……」

蒼龍「明日、この島に深海棲艦が攻めてくるんだよね……」

   大佐「この島は戦場になる。俺たちが非常時に脱出するための大型ボートを、島の南に着けておけ」

蒼龍「ここを決戦の舞台にする、かぁ……大佐の考えること、私にはわかんないや」

蒼龍「……作戦の趣旨も理解しないで……私、何やってるんだろ」

蒼龍「……座標はここでいいのよね。よし、ここに結び付けておいて……」

蒼龍「ん? なんだろう、あの明かり。松明かしら……」

???「!」

???「!?」

蒼龍「? 誰かいる……! もしかして、原住民!?」

蒼龍「ね、ねえ、あなたたち!?」

???「え? ぼ、ぼく?」

???「誰だ!?」

蒼龍「良かった、言葉は通じるのね。あなたたち、この島に住んでるの?」

???「ああ」

???「お姉ちゃん、もしかして艦娘?」

蒼龍「えっ、艦娘って知ってるの?」

???「うん、知ってるよ?」

蒼龍「そ、そうなんだ……って、それもそっか、この島にも鎮守府があるわけだし」

蒼龍(っていうか、原住民がいる話も聞いてないわよー!? あの大佐はそういうこと考慮してないだろうし……!)

蒼龍(この島に深海棲艦が攻めてくるっていうのに、この子たちはどうやって避難させるの!?)

蒼龍(私が艦娘だってことはわかってるみたいだし、彼女たちを見つけておいて見捨てるのは第一機動艦隊の名折れだわ!)

蒼龍「えーっとね……落ち着いて聞いて。明日、この島に悪い奴が攻めてくるの。だから、あなたたちもこのボートに乗って逃げてほしいの」

蒼龍「ここで待っていればこのボートを操縦できる人がくるから……あ、艦娘以外でこの島に住んでるのはあなたたち2人だけ?」

???「いや、いっぱいいる。60人くらい」

蒼龍「60!? こんなボートじゃ全然足りないじゃない! 明日までにもっと大きな船を準備しなきゃ!!」

蒼龍「ごめん、悪いけど、私は行くね! また明日来るから!」

蒼龍「あ、そうだ、二人とも名前は? 私は蒼龍!」

イーファ「ぼくの名前は、イーファだよ」

ウーナ「ウーナだ! ソウリュウだな! ウーナ覚えた!」

蒼龍「イーファちゃんにウーナちゃんね! また明日この場所で、待ってて!」ザァァァ

蒼龍(大佐が……あの子たちを見殺しにするつもりなら……私はもう……!)

蒼龍「急がないと……!」キッ

 * 翌日の夕方 太平洋上 某所 *

 ザザーン

名取(大破)「……」

弥生(中破、名取を曳航中)「……」

名取「やよいちゃん」

名取「もう、いいよ? 私、おもたいでしょ……?」

弥生「……」フルフル

名取「……」

弥生「……」

弥生(どうして、こうも私たちは、馬鹿正直に……命令に従っているんだろう)


 * 弥生の回想 2日前 泊地棲姫の塒 *

 ドカァァン

泊地棲姫「マタ、ワタシノ棲家ヲ、荒ラシニ来タノカ……忌々シイ艦娘ドモ!」

弥生「くっ……見つからなければ、なんとかなったはずなのに……」

初霜「やっぱり、無茶だったんですよ! 3隻で……練度の低い私たちだけで潜入工作なんて!」

名取「ほ、本当なら、6人で行こうって言っていたのに……な、なんで、あの3人は先行して……」

泊地棲姫「? ソウイエバ少シ前ニキタ連中ガ言ッテイタナ……ココヘ来ナケレバ、仲間ガ解体サレル、ト」

名取「え!?」

泊地棲姫「興味本位デ訊イテミタラ……オ前タチ3隻デ作戦ヲ成功サセロ、サモナクバ仲間ハドウナルカ、トナ……」

泊地棲姫「奴ラノ司令官トヤラニ命令サレタソウダナ……マルデ脅サレタヨウニナ?」ニヤリ

初霜「ど、どういうことですか!」

弥生「……まさか、司令官は最初から……この作戦を失敗させるつもりだった……!?」

泊地棲姫「……オ前タチノ司令官ノ考エテイルコトハ、良クワカラナイワ」

泊地棲姫「ダケド、ソンナコトハドウデモイイノ」

泊地棲姫「オマエタチモ、シズメテヤロウ……コイツノヨウニ!」ポイッ

 ドチャッ

(引き千切られた艦娘の左脚)

初霜「……っ!?」

弥生「な……」

名取「二人とも逃げて!!」

泊地棲姫「遅イ!!」

 ドンドンッ

名取(中破)「きゃあああ!!」ドガァンッ

泊地棲姫「マズハ、オ前ダ……!」グオッ

初霜「名取さんっ!」バッ

泊地棲姫「自ラ沈ミニキタカ……!」ガシッ

初霜「ぐうう……っ!」ギリギリギリ

弥生「初霜さん!!」

初霜「は、はやく逃げて! は、墓場島鎮守府に、応援を!!」

泊地棲姫「ハカバジマ……?」

弥生「でも……!」

初霜「いいからはやく!!!」

弥生「……!」

弥生「名取さん、捕まって……撤退します」クルッ

名取「う、うん、ごめん……」グッ

泊地棲姫「ホウ……逃ゲルノカ?」ジャキ

 ドンッ

弥生「!?」

名取「……!」

初霜「」ドシャッ

弥生「初霜さんっ!!」

泊地棲姫「ホォラ……今ナラ助ケラレルカモシレナイワヨ?」ジャキ

弥生「……っ!!」

名取「弥生ちゃん、つらいだろうけど……あなたは逃げて」

弥生「……いいえ、名取さんも連れて行きます」

弥生「……そして、ここには必ず、初霜さんを取り返しに戻ってきます……!」ザァァァッ

泊地棲姫「アラ、逃ゲルノネ……追エ」

 * * *

弥生(……そうして、かろうじて生き延びて……)

弥生(いえ、もしかしたら……生かされているのかも……)

名取「追手、来てる、みたい……ね」

弥生「! 名取さん!」

リ級「」ザァァァァ

チ級「」ザァァァァ

名取「大丈夫、私はいいから……あなたは、逃げて、生きて」

弥生「嫌……です。そんなことしたら……初霜さんに合わせる顔が……ありません」

名取「でも、後ろから……迫って、きてる。私が、盾になるから……」

チ級「……」バシューッ

名取「だから、ね……」パッ

弥生「名取さん……!!」

 ドォオオーーーン

弥生「……!?」

名取「魚雷が……手前で爆発した……?」


満潮「魚雷に魚雷をぶち当てるとか、何考えてるのよ!!」

霰「……でも、さすが」

北上「この北上様ならこの程度の芸当、トーゼンっしょ」

弥生「援軍……ですか!?」

満潮「ったく、気付かれちゃったじゃない! さっさと行くわよ霰! 私は左!」ドンドンッ

霰「右……!」ドンドンッ

リ級「!?」ズガガガァン

北上「残り、やっちゃいましょーかぁ」バシュバシューッ

チ級「!!」ズドドォン

弥生「……助かった、の……?」

名取「……みたい、だね」

満潮「ああもう、とんでもない拾い物だわ! なんでこんなとこで戦闘に巻き込まれるのよ!」

弥生「あ、あの……ごめんなさい。ありがとう……」

霰「……怒ってる?」

弥生「……ううん、怒ってない」

満潮「たった2隻にここまでさせるなんて、いったいどこの鎮守府よ! 頭来るわ!」

霰「……あなたたちの所属は?」

弥生「あ……部下B提督鎮守府……」

北上「」ピク

満潮「もしかして」

霰「……北上さん」

北上「……あー、で、どこ行くの。これから」イライラ

弥生「……は、墓場島鎮守府……」

北上「」ピクピク

満潮「ちょっと。もしかして『当たり』なの?」

北上「……あーあーあー。これ、マジで面倒なことになってきたんじゃなーいー?」イライライライラ

霰「本当みたいね、あの噂」

北上「あの提督ども、馬鹿だとは思ってたけどー。まっさか、そこまで馬鹿だったとはねえ」ハァァァ

満潮「どうしてこう馬鹿ばっかりなのよ! うっざいったらないわ!!」

弥生「……?」

霰「あなた、どんな任務を受けてきたの……?」

弥生「……」

名取「……私たちは、泊地への攻撃を命じられたんです」

弥生「名取さん……!」

名取「命令は、泊地への破壊工作。本隊は墓場島に移動し、私たちはそこで合流……」

満潮「なんでそんな危険な任務を任せられたのよ……!」

弥生「……他の駆逐艦の子を、泊地へ特攻させる、って……」

北上「……あー、随分ブラックだねー……」ギリッ

霰「……気付いてるかもしれないけど、あなたたち、囮にされたの」

霰「泊地棲姫を、墓場島鎮守府へおびき寄せるために」

弥生「……やっぱり……」

弥生(そんなことのために、みんなは……! 初霜さんは……!!)

名取「あなたたちは……?」

満潮「部下A提督配下、満潮よ! こっちは霰、そして旗艦の北上さん」

霰「私たちも、墓場島鎮守府を目指してる」

北上「うちの馬鹿が何してんのか、この目で確かめたくてねー……」ゲンナリ

霰「……北上さん」

北上「えーえー、わかってますってば……はー、もー……」ピキピキ

弥生(こんなにイライラを周囲に隠さずにまき散らしてる北上さんは見たことないかも……)

霰「私たちの合流が敵に気付かれたかもしれないし、急いだ方がいい……」

満潮「そうね、また追手が来るかもね。弥生! 名取さんはあたしと霰が曳航するわ!」

霰「北上さんは弥生をお願い」

北上「えー? ……しょーがないなあ……ほら、肩~」

弥生「……あ、その……ありがとうございます」

名取「私は、ここで雷撃処理されても、良かったんだけど……」ボソッ

満潮「それは言っちゃだめよ」ヒソッ

霰「うん。北上さんの前で、それは禁句」ヒソッ

名取「……?」

 * 翌朝 鎮守府 埠頭 *

不知火「中将閣下の船が到着しました。中将閣下、大佐とその部下5名、大佐配下の艦娘6名がおいでです」

提督「総員、敬礼」ピッ

武蔵「」ビシッ

最上「」ビシッ

利根「」ビシッ

那智「」ビシッ

中将「うむ、ご苦労」

提督「中将閣下、足の具合は」

中将「芳しくはないがね」

提督「武蔵。お手を」

武蔵「承知した。中将殿、どうぞ」スッ

大佐「大和はどうした」

提督「近海を警邏中の駆逐艦数隻と出撃中です」

大佐「燃料の無駄だ、すぐに引き上げて連れてこい」

提督「……。では後程」

部下A「今すぐやらんか、のろまめ」

提督「……貴殿らの艦隊が到着していれば、すぐ戻るどころか出撃すらしない予定だったのですが」

部下A「貴様が資材の提供をケチったからだ」

部下B「資材を準備するのも曳航するのも時間がかかる。貴様が十分に準備できていれば話は違っていた」

提督「貴殿らの管理がなっていないだけでしょう。早速の責任転嫁ですか」

部下B「相変わらず口の減らん奴だな!」

提督「今日日コンビニのバイトの店員だって、どんな時にどんな商品が入用か、少し働けば理解できる」

提督「我々の客は、対応を間違えればただでは済まない連中だということを忘れておいでか?」

提督「今この瞬間も、我らに牙をむいて襲い掛からんと、こちらへ向かっていることを、もうお忘れか?」

提督「うちのように物資が行き届かない鎮守府の資材をあてにすること自体、愚策だとお気付きにもなれないか?」

部下B「言わせておけば……!」

提督「貴殿らが何を言おうと、大佐は当然のように1艦隊準備しておいでだ。それがどういうことか理解できないと仰るか?」

部下A「く……」

大佐「まあいい。まずは島を案内しろ」

提督(部下が無能だと大佐を持ち上げるのも楽だ。調子に乗せれば大和大和と喚く回数も減るだろ)

 * 鎮守府内 指令室 *

大佐「これは……シェルターか」

提督「万が一の時のためのものです。こちらは中将を優先致します」

提督「作戦時は、大佐と部下の方々にはこの下の階の応接室と、その隣の客室に待機していただき……」

提督「有事の際には、脱出の手筈をこの鎮守府の臨時職員から説明いたします」

提督「こちらはこの鎮守府とその周囲の見取り図。こちらが島の全体の地図……」

提督「泊地棲姫の泊地は、この島の北東から北北東にかかる方角に位置しており、島の北部から北東の砂浜が上陸の拠点になります」

中将「ふむ……ではこの海域が主戦場になると……」

提督「はい。そして……」

 * * *

 * *

 *

提督「防衛戦に関する情報は以上になります」

中将「うむ。これに大佐以下の艦隊が合流すると。良いのではないかね」

提督「は」ペコリ

中将「大佐、念のため、貴様の艦隊も防衛戦には備えさせたまえ。良いな」

大佐「はっ」

 * 夜中、鎮守府内 応接室 *

部下E「……」

部下D「どうした?」

部下E「いや、夕餉に出されたカレーだが……どうも腑に落ちん」

部下C「あれがこの鎮守府の比叡カレーだと? 俺は認めんぞ」

大佐「……飯がうまくても、所詮は型落ちの金剛型だ。最新型にはかなうまい」

部下E「連中め、いい飯を食ってやがる……もし比叡が生き残るようなら、うちに……」

部下D「お、おい! 抜け駆けはずるいぞ!?」

大佐「良い。作戦が成功したなら、大和以外の残りの艦は適当に回収しろ」

部下B「まずは成功させんと話にならん。作戦を確認するぞ」

部下A「今頃は俺の部下が泊地棲姫に攻撃を仕掛け、こちらに誘導するように仕向けている」

部下A「予想では明日の0400に到着予定だ。日の出とともにこの島に攻撃が始まる」

部下B「できるのか?」

部下A「ああ、仲の良い姉妹艦を人質にすれば簡単なことだ。面倒見の良い奴もいいように使える」

大佐「よし。では倉庫襲撃を翌朝0320開始とする。爆破を合図に我々も作戦に入るぞ」

部下たち「「はっ!」」

今回はここまで。

次回、いよいよ戦闘開始。


向こうの作戦がいくら何でも雑すぎてここまで追ってくるのか謎w

>>242
その辺はうまく誤魔化したいと思いますw

では続きです。

 * 翌日 0320 倉庫付近 *

部下C「潜入工作なんて久しぶりだな。あの見取り図だと、確かこちらに……!」

山城「いよいよですね、扶桑お姉様!」

扶桑「そうね……補給も終わったし、頑張りましょうね」

部下C(あの二人の歩いてきた方向……間違いないな、向こうが資材倉庫だ)

 タタッ

部下C(……拍子抜けするほどあっさり来たな。敵が迫ってきているのだから当然か)

部下C(よし、いまのうちに倉庫に爆弾を仕掛けて……)

 ギュム

部下C「!?」

バナナノカワ< ツルーーーン!

部下C「うおわ!?」スッテーン

マンリキスピン< ガシッ

部下C「な、なんだ!?」ガシッ

マンリキスピン< ギュォオオオオオオ!!

部下C「な、なあああああ!?」

 ギュイーン

部下C「何が起こっ……!?」

 ギュイギュイーン

部下C「……!?」

 ギュギュギュイーン

部下C「……止ま……止……っ!?」

 ズギャァァァァーン

マンリキスピン< パッ

部下C「……お、おええ、きぼちわ」ヨロヨロ

カビン< ヒューン

部下C「るっ!?」カポーン!

部下C「な、なんじゃこりゃああ!? 暗い!? 暗いぃぃ!?」ヨタヨタ

ヴォルテックチェア< ガッシャン!

部下C「うわっ!? な、なんだ!? 何かに捕まった!?」ガシャンガシャンガシャンッ

サム「ふむ。呆気ない……聊かに物足りませんね」

シャルロッテ「オディールちゃん張り切り過ぎじゃない?」

オディール「いつもより多めに回してあげましたわ!」ムフー

ツバキ「にしてもこの阿呆、ええ度胸しとんなあ……?」ギロリ

提督「捕まえたか」

サム「これはこれは、ご主人様。丁度、準備が整いました」

提督「ご苦労さん。こんなに簡単に済むと楽なんだがな」

ツバキ「うちらメディウムはこれが生業、親分さんの手ぇ煩わせるわけにゃあいかんせん」

霧島「それにしても、花瓶をかぶって電気椅子に拘束、ですか。かつての上官とはいえ、情けない姿ですね」

摩耶「へ、いいザマだ。こんな爆薬、倉庫で爆発させたらどうなるか、わかってんのかこの馬鹿は」

提督「まあ、よくやってくれたぜ、この現行犯はどんな言い訳してくれるかね。さてツバキ、ご開帳といくか、花瓶取ってやれ」

ツバキ「わかりんした」

部下C「ぷはっ!?」スポン

部下C「き、貴様は提督!? お、お前、俺にこんなことをしてただで済むと思っているのか!」

提督「それはこっちのセリフだ。てめえこそ、鎮守府の倉庫に爆薬持って何しに来やがった?」

部下C「いいからほどけ! こんなところにこんなもん仕掛けておくなんて聞いてないぞ!」

提督「うるせえな……サム」

サム「はい」

ヴォルテックチェア< バリバリバリバリ!

部下C「ぎゃあああ!?」バリバリバリバリ

提督「サム、ここはお前に任せる。ツバキと協力してこいつからありったけの情報を吐かせろ」

サム「畏まりました」

ツバキ「任しとき」

部下C「ま、待ってくれ!? 喋る! 喋るから、助けてくれ!!」

シャルロッテ「えー? なにこいつー? 簡単に折れすぎ~」

オディール「美しくありませんわねぇ」

提督「喋るって、なにをだ?」

部下C「あ、あいつらはお前を殺しに来ているんだ! お前だけじゃない、中将もだ!」

提督「それで?」

部下C「あ、あいつは俺に特攻を命じたんだ! 俺は殺されるところだったんだよ!」

部下C「だから、爆弾を取ってくれたのは俺にとってありがたかったんだ! 本当だ!」

提督「霧島、摩耶、どう思う」

摩耶「この期に及んで言い訳かよ、ムカつくぜ」

霧島「ええ、最低ですね」

部下C「お、おい、何を言っているんだ」

提督「お前ら、昨晩話してたろ? お前が倉庫の発破役、深海棲艦の出現直前に発破して、混乱に乗じてDとEが中将を、Bと大佐が俺を殺りに行く」

提督「Aは島の南のゴムボートを確保して、お前らを連れて逃げる手筈になってる、だよなぁ?」

部下C「……な、なぜそれを」

提督「馬鹿だろお前ら。ここは俺の縄張りだぞ? いくら古い施設だからって、お前らの会話くらい拾っておかないと思うか?」

提督「お前ら何もかも甘く見てるだろ? 俺たちのことも、艦娘も深海棲艦のことも。なあ?」

提督「それで? まだ話したいことはないのか?」

部下C「……」

提督「そもそもな、お前は昔、摩耶と霧島に特攻命じたろ? なんでお前は今になって腰が引けてんだ? あ?」

提督「しかもこいつらの判断でうまく切り抜けて無事に帰ってきた全員を、命令違反だと引っ叩く馬鹿がどこにいる?」

提督「上官としての面子潰されたからか? 小っせえっつうんだよ、くそが。だから摩耶に鼻を潰されてんだよ」

部下C「……な、なぜお前がそれを知っている」

提督「霧島、お前もこいつ一発引っ叩いとくか?」

霧島「いえ、やめておきます。最早叩く価値もありません」

部下C「……ま、まさかお前ら! おい、お前ら元部下だろ! 元上官の危機だぞ! 早く助けろ!」

摩耶「ああ? 寝言言ってんのかてめえ?」ギロリ

霧島「お望みなら、好きなだけ眠らせてあげますよ」ギロリ

提督「お前な。部下に特攻命じるくらいなんだから、てめえが言い渡された時くらい腹ぁくくれや? な?」

部下C「ひっ……ま、待って、助けてくれ! 助けて……」

サム「やれやれ、こんな主に仕える艦娘は不幸と言うほかありませんね」フッ

ツバキ「根性が足りんせんなァ。鉄砲玉にもならんき」ジロッ

ルイゼット「魔神様。この者の裁き、わたくしめにお任せをいただけませんでしょうか」スッ

提督「気持ちはわかるがお前の出番はまだ早えよ。摩耶と霧島も持ち場に戻ってくれ、ここはこいつらに任せようぜ」

霧島「この爆弾はどうなさいます?」

提督「どっか被害の及ばない場所で処分だな。明石に細工してもらうか」

摩耶「んじゃ、アタシたちは戻るぜ。提督も遅くなんなよ?」

提督「おう」

部下C「ま、待ってくれ! 俺はどうなるんだ!?」ガチャガチャ

提督「どうなるって? 決まってんだろうが、わかりきったことを訊くなよ」ケッ

提督「さてと、俺もお返しに一応訊いとくか。お前ら、どうやって泊地棲姫を誘き寄せた?」

部下C「……!」

提督「知らねえか」クルッ

部下C「ま、待て! 教えてやってもいい……だが」

提督「素直に喋る気がねえなら黙れよ。どうせお前は死ぬんだからな」

部下C「っ……!!」

提督「お? なんで意外そうな顔してんだ? 俺がいつ、お前を助けるっつった? 何年何月何日、何時何分何秒~ぉ?」

部下C「てっ……てめえええ!!」

提督「なんで俺を殺しに来た奴を助けなきゃいけねえんだよ。馬鹿か? くそが」

提督「ま、多分あいつをどうにかして激怒させたんだろうな。でなきゃこんな鎮守府に攻めてくるわけがねえ」

提督「やれやれ、時間の無駄だったな、行くとすっか。サム、あとはよろしくな」ヒラヒラ

サム「畏まりました、行ってらっしゃいませ」ペコリ

部下C「お、おい! 待ってくれ!! 待てと言っているんだ!! この俺の逆鱗に触れたらどうなるか……わかってるんだろうなあああ!!」

シャルロッテ「あぁ……これって、負け犬の遠吠えってやつ?」

ツバキ「せやな。さぁて……どういてこましたろか?」

サム「当初の予定通り……で、よろしいでしょう。彼女もスタンバイできているようですし」

部下C「……おい、お前らいったい何者なんだ!? 執事はまだいい、任侠にバレリーナにコスプレ娘……お前ら、なんなんだ!?」

オディール「なんともまあ……ちょっと気付くのが遅すぎますわ?」

部下C「貴様ぁ! 俺がどういう立場の人間かわかっているのか!? 俺を殺せばどうなるか、わかっているのか!!」

サム「どういう立場の……? フ、所詮は人間でしょう? だというのに面白いことを仰いますね?」

シャルロッテ「あんたみたいなのと同じ人間なんて、いっぱいいるじゃーん?」

部下C「海軍だぞ! 軍隊だぞ!! 俺が死ねば、この島に大勢の兵士が来るんだぞ! 皆殺しだ!」

オディール「ああ、そうですの? 贄になりたいのでしたら、歓迎いたしますわ?」

ツバキ「群れようが何しようが、おつむの足りひん奴が粋がったところで、ちいとも恐ないわ」

部下C(……なんだこいつらは。なぜ俺たちを恐れない!?)

???「いくら吠えたってその声は届かない……あんたの言葉は、魂に全然響かない」

シャルロッテ「相変わらず詩人ね、シェリルは」

サム「さて、部下C様、特別ライブのアリーナ席をご用意しました……お代は、あなたの魂です」ニヤリ

シェリル「舞台は整った……ご希望は、ララバイ? それともレクイエム?」

部下C「……イカレてる。お前らイカレてるぞ! なんだお前らは! なんなんだあぁぁぁぁ!!」

シェリル「無意味な言葉。無価値な声。お前こそなんなんだ? ま、それでもいいさ、最期に響かせてやるよ……」

 ゴゴゴゴゴゴ

シェリル「とびっきりのデスシャウトを……魂に刻めっ!」


ヘルジャッジメント< ズドォォォォォンン…!


サム「上々の結果ですね」

ツバキ「……終わったのぉ」

(激しい稲光、残ったのは黒く焼け焦げた地面)

シェリル「アンコールは……要らないね」

今回はここまで。

次回、出撃予定
陸奥、雲龍、隼鷹、摩耶、利根、筑摩

続きを投下します。

 * 同日 0420 鎮守府 司令室 *

サイレン< ウーーー ウーーー

大淀「泊地棲姫の艦隊の接近を確認! その数およそ……き、90!?」

提督「連合艦隊どころの騒ぎじゃねえな。やっこさん、泊地の艦をまるっと寄越してきやがった」

提督「指示通りいくぞ。大淀は各艦隊への状況報告、数が数だ、鳥海と龍驤は大淀のバックアップ頼む」

提督「艦隊は7つに分けて迎撃! 主力の戦艦は泊地棲姫に向けて進軍。潜水艦も多数だ、駆逐艦と軽巡は駆けずり回って戦艦を援護しろ」

提督「いいか、これは防衛戦だ、深入りはするな。追い返したならそれでいい!」

提督(そして一番の敵は身内にいる……頼んだぜ、メディウム!)

中将「提督准尉、通常は第四艦隊までしか編成できないはずだが……」

提督「そんな悠長なことを言っている場合でもないでしょう。掟破りで罰せられるのなら甘んじて受けますが、そんなものはこの場を生き延びてからです」

提督「中将閣下はこの指令室で待機を。万一に備えてのシェルターもあります、出来ればそちらに居て戴きたい」

中将「部下が体を張っているのだ、儂が何故そのような逃げ腰で……」

提督「中将閣下。あなたにはまだやってほしいことがあります」

提督「この場は私の領分。ここを守り切ってからの、大佐の反撃を、その仕事を見届けるのがあなたのお役目です」

提督「ここを凌げば、大佐たちの艦隊が来て、反撃できます。だからこそ、今矢面に立つのはこの私です」

中将「提督……」

提督「ご心配なく、自分は死ぬ気はありません。大淀、中将を頼む」

大淀「承知しました」

提督(……善人ぶったほうが中将も言うことを聞く。性善説を頭から信じ込んでいる、わかりやすい御仁だな)フン

提督(まあ、余計なことをしないだけ良い。おとなしく見ていてくれればそれでいい……)

提督(奴らを始末しやすくなる)

 * 数分ほど時間をさかのぼって 鎮守府内 応接室 *

大佐「遅い……部下Cは何をしている」

部下A「奴め、得意分野だと言っておきながら一人で逃げたりしていないだろうな」

部下B「もう一人連れて行くべきだったか?」

大佐「いや、奴の爆弾にセットしたGPS発信器はまだ反応がある。一旦倉庫を離れてまた戻ったようだな」

部下A「だとすると、艦娘に見つかって遠回りしたか……だとしても何をもたもたしているんだ!」ガンッ

サイレン< ウーーー ウーーー

部下E「け、警報!?」

放送『敵艦隊、鎮守府に接近中! 艦娘は防衛のため戦闘配備!』

部下B「くそ、部下Cめ、しくじったのか!?」

 ドォォォ…ン

大佐「! 爆破したか!」

部下A「あの音の方角は……倉庫か?」

大佐「敵艦隊が近いとはいえ砲撃を食らうにもまだ距離があるはずだ。GPSの反応も消えた、爆破はできたと見ていいな」

大佐「よし、この隙に作戦を遂行する! 機を逃すな」

部下B「大佐殿、あれを! 提督が艦隊を展開しています!」

大佐「なに? ……くそ、提督め。大和は出撃させるなと言っただろうが……!」ボウエンキョウ

部下E「大佐はまだ大和にご執心でありますか」

大佐「あれは俺の大和だ。提督ごときが手にしていい艦ではない。もはや奴の中古だろうと構わん。これから調教していけば良いだけだ、じっくり時間をかけてな」

大佐(俺の艦隊を呼んだのも、大和を確保するためだ。なんとしても沈ませるものか!)

大佐「部下D、部下E! 行く先には提督の艦娘がいるはずだ、爆弾と対艦娘用の銃を使って鎮圧しろ。急げ!」

部下D「はっ! では、お先に!」ダダッ

部下E「行ってまいります!」ダダッ

大佐「では俺たちも……」

???「し、失礼します!!」バンッ

大佐「!? 誰だ!」

チェルシー「わ、私はチェルシー! キャプ……じゃない、提督の部下です!」

部下A「艦娘以外の奴の部下だと? 聞いてないぞ」

チェルシー「あ、その、わ、私も遭難者なんです! それでここの提督にお世話になりまして……」

大佐「何の用だ!」

チェルシー「は、はい! すみません! 鎮守府の倉庫で爆発がありました! 同時に深海棲艦の侵攻も確認、最悪の状況です!」

チェルシー「そのため、大佐殿一行の安全確保、及び退路を案内せよと仰せつかってきました!!」

部下B「……随分気を使ってくれるな?」

チェルシー「ところで、今入れ違いでお二人が……」

大佐「あいつらは別行動だ。それより、退路と言ったな? 案内しろ」

大佐「部下A、部下B。緊急避難ルートを抑えたら、人気のない場所で始末するぞ」ヒソッ

部下AB「はっ!」ヒソッ

チェルシー「了解しました、では、こちらです!」タタッ

部下A「!? 待て、階段を上るのか!?」

チェルシー「はい、非常ルートですから!」

部下B「なるほど……考えているな」

チェルシー「はい! いろいろと考えてますよ!」

 ヒュゥゥゥウウウ…

チェルシー「どうやったら、あんたたちを始末できるか、ってね」ヒソッ

メアリーアン「こったにうまぐ行ぐとはなあ♪」

スノーボール< ドッスゥゥゥン!

大佐「な」

部下A「え」

部下B「わ」

スノーボール< ゴロゴロゴロゴロッ!

大佐「う、うわ」ズボッ

部下A「な、なんじゃこり」ズボッ

部下B「ひぃぃ」ズボッ

3人を巻き込んだスノーボール< ゴロゴロゴロゴロ

クレア「お待ちかね! スマッシュフロアのクレアの腕の見せ所ね!」

クレア「さーあ、行くわよ! スマーッシュ!」

スマッシュフロア< バシーン!

3人を巻き込んだスノーボール< ウワァァァァァァゴロゴロゴロゴロ

クレア「狙いばっちり! 外に転がって行ったわ!」

チェルシー「それじゃあ、あたしは先回りして、キャプテンのところに行くわね!」

クレア「あれ? 私の出番これで終わり!? ま、待ってよぉおお!」

 * 戦闘海域 第二艦隊*

龍驤(指令室)『敵艦隊接近中! 敵艦載機の発艦を確認や! 雲龍、迎撃頼むで!』

雲龍「了解」

陸奥「それじゃ、手筈通りにお願いね」

雲龍「ええ。行って、烈風」

烈風×6「」ブルーン!

ヲ級fl「……ナンダ? 六角形ノ編隊ヲ組ンダママ飛行シテキテイル?」

ヲ級fl「曲芸ノツモリカ?」

雲龍「敵機接近……今よ」

ベリアナ「ええ、法陣展開っ♪」

烈風の描く六角形の中心に発生するブラックホール< ギュワァァァァアア…!

ヲ級fl「!?」

敵艦載機「!?」ギュワァァァン

敵艦載機「!?」ギュルルルル…

敵艦載機「!?」シュウウン

ブラックホール< フッ

雲龍「敵機……全反応喪失。制空権確保よ」

ベリアナ「向こうの艦載機は、全部亜空間に閉じ込めちゃったわ♪」

ヲ級fl「ド、ドウイウコトダ……!?」

 ブルーン!

ヲ級fl「!?」

流星「ヒャッハー!」ガガガガガッ

ヲ級fl「グゥゥ!?」ガガガガガッ

ヲ級fl「機銃……!? イヤ、コレハ……矢!? ナンダコレハ……ッ!?」シュウウウ

ヲ級fl「装甲ニヒビガ……ギャアァァアア!?」バキバキーン!

流星「ヒャッハー!」

ブリジットin流星「自分はガトリングアローのメディウム、ブリジットであります!」

ブリジット「このたびは隼鷹殿の艦載機、流星に載せていただいたこと、感謝の極みでありますっ!!」

ブリジット「自分のガトリングアローは、複数回命中すれば敵の装甲を打ち砕く特別仕様であります!」

ブリジット「これにより敵空母に大打撃! 継続して敵の殲滅にあたるであります!」

隼鷹「いいねいいねえ! このままパーッと行っちゃおうぜぇ!」

隼鷹&ブリジット「ヒャッハー!」ガガガガガッ

ヲ級1「キャアァァ!?」バキーン!

ヲ級2「イッタイナニガ!?」バキバキーン!

ヲ級3「ナンナノコレハッ!?」バキャーン!

 * 司令部北東の海岸 *

ニコ「第一艦隊から第六艦隊までの艦娘には、一隻につき一人ずつメディウムを載せたんだ」

ニコ「艦娘のみんなは兵器だから、そこに設置というか、搭乗させてあげたって感じかな?」

ニコ「相性もあるかもしれないけど、きっと彼女たちの力になるはずだよ」

提督「攻撃の選択肢が増えたってわけだな。そっちは各々の判断に任せるか……戦場じゃあ俺の指示なんか役に立たねえしな」

提督「あいつらはどうしてる」

ニコ「誘導は大丈夫。スイングアンカーが向かってるよ」

提督「チェルシーだったか? あんなきわどい恰好の奴が本当に大丈夫なのか?」

ニコ「ぼくたちは罠だよ?」

提督「……ま、危なくないようにやってくれよ」ナデ

ニコ「あっ……うん」ポワァァァァ


ニコ「……あ、こら! ぼくを子供扱いして! ぼくはお姉ちゃんなんだからね!!」プンスカ

提督「へいへい」

 * 戦闘海域 第二艦隊*

摩耶「おー、すげえすげえ。敵のヲ級の装甲がバリバリ剥がれてんぜ」

陸奥「ヲ級のあのスイムスーツみたいな服、結構固いのよね。それをあんなにあっさりと砕いちゃうなんて」

摩耶「『アーマーブレイク』だっけか。面白い技術使ってんなあ」

摩耶「で、アタシの艤装に乗っかったのは、クリスティーナ、だな?」

クリスティーナ「ええ、ライジングフロアのメディウムよ。あなた、対空攻撃が得意なんでしょう?」

クリスティーナ「私があいつらを天高く飛ばしてあげるから、期待してて」

摩耶「へへっ、楽しみだなあ」

筑摩「私と姉さんはバキュームフロアとカタパルトですね」

アマナ「はい、筑摩さんよろしくお願いします」

ユリア「利根ちゃんは一度体験してるから、要領はわかってると思うけど……」

利根「ちゃん付けするでない! まあ、不謹慎ではあるが、罠は仕掛ける方に回るとわくわくしてくるのう」

筑摩「ええ、しかも姉さんと連携を組めるなんて……」ウットリ

アマナ「ブリジットが敵を丸裸にしてますから、私たちも罠にはめやすくなりますね」

ユリア「待たなきゃいけないのが欠点だけど、防衛戦だしいいわよね~」

雲龍「……おかしいわ、敵が接近してこない」

陸奥「……そうね、なにかしら?」

ヲ級1「ア、アンナ奴イルナンテ聞イテマセンヨ!?」スッポンポーン

ヲ級2「艦載機ガ消エルノハマダシモ、服ヲ破カレルナンテ、アリエナイデス!」カァァァ

ヲ級fl「シ、シカシ……恥ズカシイガ、ヤルシカナイダロウ!」カァァァ

ヲ級3「服モ武装モナシデハ戦エマセン!! 撤退シマス!」ピューン

ヲ級fl「ア、ヲイ!!」

ヲ級1「ワタシモ!」ピューン

ヲ級2「モウヲ嫁ニ行ケナーイ!」ウワーン

ヲ級fl「ヲ、ヲイテイクナアァ!!」ピューン


雲龍「敵空母部隊、撤退を開始したわ……いいのかしら」

摩耶「ちょっ、なんだよそれ!」

クリスティーナ「私の出番は!?」

筑摩「隼鷹さんやりすぎです!」

隼鷹「えっ、まじめにやったのになんで怒られてんのあたし」

ブリジット「理不尽であります!」

利根「追撃じゃ! 追うぞ陸奥!」

陸奥「ちょっと! 持ち場を離れないで! 提督の指示を忘れたの!?」

ニーナin陸奥の艤装(旗艦って大変なんですね……)

 * 司令部 *

龍驤「……空母ヲ級にも羞恥心ちゅうもんがあったんやな……」

鳥海「?」

龍驤「……しかも1隻はパッド仕込んでおったし……友達になれるかもしれへんなあ」ブツブツ

大淀「???」

今回はここまで。

次回出撃予定、
足柄、加古、最上、三隈、黒潮、朝雲

妙高型と利根型でバレーボールチーム作ったら似合いそう。

では続きです。

 * 戦闘海域 第五艦隊 *

足柄「さぁ、行くわよ! 勝利のために!」

カオリ「ええ、ビシバシ行くわ! みんなのために!」

足柄&カオリ「いっけぇぇーーー!」

砲撃&ボールスパイカー< ズドンズドンズドンズドンズドンズドン

イ級「!?」ドカァン

ハ級「!?」バチーン

チ級「チ、散レ! 狙イヲツケサセルナ!」

最上「どこへ行くんだい?」ドンドンドン

黒潮「行かせへんで!」ドンドンドン

チ級el「クッ、突ッ切レ!」

最上「ところがそうは」バッ トイハンマートリダシ

黒潮「行かさへんで!」バッ ハリセントリダシ

最上&エミル「ぶっとべぇ!」パキョーン!

黒潮&ジュリア「いてまえー!」スパーン!!

へ級「!?」バシャーン

ホ級「!?」バシャーン

朝雲「まとまったところで、あたしたちの出番よ!」

ヴェロニカ「……どうして私が、あなたみたいな子と組むことになったのかしら」フゥ

朝雲「縁起がいいからよ。朝グモは殺すなっていうじゃない!」ドンドンドンッ

ヴェロニカ「……私、そんなの初めて聞いたわ」ユビパチーン

砲弾→スパイダーネット< シュバババッ!!

チ級el「ナ、ナンダコノ粘ツク網ハ!」ネバネバ

ロ級「!!」ジタバタ

スズカ「お次はうちの出番じゃき! 綺麗にまとめちゃるけんね!」

三隈「はーい、それではみなさんご一緒に~!」

スズカ「せーの!!」

三隈&スズカ「「くるりんこ~!」」

フライガエシ< ポイーン!

イロハヘホ級チ級el「アレェェェェ!?」スポーーーーン!

デスサイスを持った加古「……」ユラリ

シエラ「う、うう、緊張する、デス」

加古「だーいじょうぶだって。ほーら深呼吸深呼吸ぅ、明鏡止水の心で、動かざること山の如し……」

シエラ「……スー、ハー、スー、ハー」

加古「……ぐー……」

シエラ「寝てるのデス!?」ガビーン

 ヒューーーーーン

イロハヘホ級チ級el「ホエェェェェ!?」ヒューーーーーン

シエラ「ちょっ、敵が飛んできたのデス! 早く起きるのデスゥゥ!!」アタフタ

加古「……ぐー……」

加古「……」カッ!

 ズバッ!!

イロハヘホ級チ級el「/   スパーン   /」

 ドボンドボンドボボボボン

シエラ「……や、ヤったのデス……!?」

加古「……んじゃ、こんな調子で次も行ってみよー……Zzz」

シエラ「だ、だから寝ちゃだめなのデスゥゥ!」ピェェェ!

 * 鎮守府内 指令室へ続く廊下 *

部下E「よし、艦娘は全員出払ってるようだ。司令部には艦娘が3人だったな?」

部下D「ああ。ただ、戦闘が激しくなれば中将はシェルターに避難する……」

部下E「そうなる前に、爆弾で艦娘を吹き飛ばし、その隙に中将をやるぞ。いいな」タッ

長門「ほう。穏やかではないな?」

扶桑「ふふふ……まだ、見つかってないと思ってるのかしら?」

山城「こんな奴らが私たちの上官だったなんて……不幸だわ」

部下E「! いたのか……しかも戦艦3隻とはな」

部下D「くそ、こんなところで不幸姉妹と遭遇かよ……ついてねえ」

山城「……」イラッ

長門「さて、質問させてもらおうか。貴様らはなぜここにいる?」

部下E「……話す必要はない」

部下D「……」

山城「だんまりなのね」

長門「……フ、良かろう」ジャキ

長門「もとより聞くつもりもない」ギラッ

部下E「……!」

部下D「こ、ここで撃つ気か!」

長門「……」ニヤリ

タライ< ヒューン

部下E「へぶぁ!?」パカーン

部下D「ぶっ……! ぷーっくっくっくっ」プルプルプル

部下E「笑ってんじゃねえぞ……こんなもの、ふざけやがってぇぇぇ!!」

クエイクボム< グラッ グラグラグラッ

部下D「うおっ!? じ、地震だと!?」

部下E「お、おい馬鹿! 爆弾は落とすなよ、俺たちが死ぬぞ!」

パンプキンマスク< ヒューン

アゴニーマスク< ヒューン

部下D「うぼっ!?」ガポッ

部下E「ぶあ!?」ガポッ

部下D「な、なんだいきなり!? 前が見えん!」ヨロヨロッ

部下E「ぎゃああああ!?」ビリビリビリビリーッ

部下D「E! ど、どうした!?」

部下E「痛え! 痛えぇぇえええ!!」

長門「部下Eがかぶったのは拷問用の鉄仮面だ。電流が流れるようにできている」

部下E「な、なんで俺だけこんな目に合わなきゃならねえんだあああ!!」

長門「やれやれ、やかましいな……よし、いいだろう。黙らせてくれ、ヴァージニア」

クイーンハイヒール< ズォッ

部下D「ぎゅぎゃっ!?」グシャッ

部下E「げぁぁ!」グシャッ

山城「あらら、無様な悲鳴だこと」クスクス

部下E「ぐ、ぐぞぉ……っ! おいD、爆弾だ……! 爆弾でこいつら吹き飛ばせ……!!」

部下D「……あ、ああ!? ど、どこだ!? 爆弾、どこに行った!?」

潮「……カボチャをかぶった隙に私がこっそり持って行ったの、気付かなかったんですね」

扶桑「ふふふ、潮ちゃんが無事でよかったわ」

長門「……さて。おしおきはまだ終わっていないぞ。部下E、お前は一体何人の駆逐艦に手を出した?」

部下E「……! な、何を言うかと思えば……何のことだ」

長門「しらを切るか。ならば……潮」

潮「は、はい」スッ

部下E「……! お、お前は、もしや……いや、お前らは!」

部下E「探していたんだぞ……潮! 俺は、お前を探していたんだぞおお!!」ニタァァ

潮「ひ……」ビクッ

部下E「なぜだ! なぜお前は俺から逃げるんだ! 俺は、お前が欲しいんだ! 全部、全部俺のものにしたかったんだ!」

部下E「服も! 艤装も! その目も、顔も、髪の毛も、体も! 心も!! 全部!! ああ、なのにお前が、笑わないから……俺に笑わないのが悪いんだ!!」

部下E「寂しさのあまりほかの奴も味わったが……全員違った! お前じゃないと駄目だった……お前以外駄目なんだ! お前以外はゴミだ!」

長門「……やはりか……!!」ギリッ

扶桑「……下衆ね」ポツリ

山城「……気持ち悪い」ボソッ

部下E「黙れぇっ!!」

山城「っ!」ビクッ

部下E「jこの俺がどれほどこいつのことを考えているか、お前にはわかるか!? わからんだろう! 余計な口を挟むんじゃない!」

部下E「さあ潮、帰ろう? お前は俺と共にあるべきなんだ……風呂に入れて綺麗にしてやろう、飯もうまいものを食わせてやる!」

部下E「何が欲しい? なんでも与えてやるぞ? お前は俺のものだからな! 望むならここの提督の命だって考えてやろうじゃないか!」

部下D「な……!? おい、お前……!」

部下E「お前は、俺のものだ……俺の、所有物だ……!! お前は俺の奴隷なんだああああ!!!」グワッ

長門「……愚か者が!」

デルタホース< ガシャッ!!

部下E「っっっ!?」グシャ

部下E「……っ!!!???」シロメグルンッ

部下D「ひ……」ダッ

山城「あらら、逃げるのね……いるのよ、そっちにも」

ホットプレート< ゴォッ!!

部下D「あ、熱っじゃあああああ!?」メラメラメラッ ピョイーン

ウォッシュトイレ< ガシャッ!!

部下D「うおっ!?」ズボッ

部下D「……う、くそ……なんだ、抜けねえぞ!?」

山城「ふん、ざまあないわね。お似合いだわ」

部下D「くそ、どうしてお前らがこんなところに……ついてねえ! 来るな! 扶桑型は近寄んじゃねえ!」

扶桑「……提督?」ニコリ

扶桑「覚えてらっしゃいますか? あなたの鎮守府が、初めて、扶桑を迎え入れた時のこと」ニコリ

部下D「あ、ああ? 知るか、覚えちゃいねえよそんなこと」

扶桑「そうですか。私は覚えていますよ?」

扶桑「確か『最初の戦艦が不幸型かよ、ついてねえ』でしたね」ニコニコ

部下D「……」

扶桑「お前が来てから作戦は失敗ばかりだ、辛気臭い顔しやがって」

扶桑「来るな、不幸が伝染る。へらへら笑ってんじゃねえ」

扶桑「お前はもう笑うな。お前が笑うから不幸が寄ってくるんだ」

部下D「……」

山城「……扶桑お姉様。その話、私は初耳です」

山城「まさか、向こうの鎮守府で扶桑お姉様がまったく笑わなかったのは、この男が原因だったというんですか……!?」ワナワナ

扶桑「山城が来た時も、疫病神が増えた、と仰っていましたね」

扶桑「よぉく、覚えていますよ……?」ニコリ

部下D「……」

扶桑「……提督。不幸艦と呼ばれる私たちを沈めて、幸せになれましたか?」

扶桑「武勲艦や幸運艦と呼ばれる艦娘ばかり集めて、己の幸せを満たそうとしたあなたは、本当に幸せでしたか?」

扶桑「そちらにいた時雨に聞きましたよ。私たちと、随伴していた時雨たちに、別々の指示を出して、はぐれるように仕向けたこと」

扶桑「時雨は、私たちを探して、傷ついて、この島に流れてきました。あなたから離れられて、良かったと……あの男こそ、不幸そのものだと」

扶桑「そして、最期に私たちと会えて、幸せだったと……そう、言ってくれました」ニコ…

部下D「……」

扶桑「提督。いえ……部下D」ハイライトオフ

扶桑「もう、私たちを捨てた、あなたと話すことはありません」

部下D「い、いや待て……! そうじゃないんだ、待ってくれ!」

扶桑「私の提督を殺そうとした、あなたの命令を聞くこともありません」

部下D「お、おい、話を聞いてくれ! 何をする気だ!?」

扶桑「そして時雨を不幸にした、あなたを許すこともありません」

メイデンハッグ< ガララララ… ガシャンッ!

部下D「ひっ!?」

メイデンハッグ< ギギギギ…

扶桑「その中で、自分の血の雨を浴びるといいわ」

部下D「ひいいいい!? や、やめ……」

メイデンハッグ< ガシュンッ!

部下D「ぎゃあああ! ああ……あ……!」

メイデンハッグ< グシュグシュグシュゥ!!

扶桑「……」

扶桑「……時雨……」ポロ

山城「扶桑お姉様……」

扶桑「……」ポロポロポロ

扶桑「山城。私は、復讐を果たしたわ……でも、この空しさはなぜ? ……涙が、止まらないの」

扶桑「胸に、ぽっかりと大きな穴が開いてしまったみたいで……どうしてなの? 私は、間違っていたの……?」ヘタッ

山城「扶桑お姉様……」スッ

山城「悲しい話ですが……そのくらい、扶桑お姉様の心の大部分を、あの男への復讐心が占めていたんだと、思います……」

山城「扶桑お姉様がこの鎮守府に来てからずっと笑みを絶やさなかったのも、おそらくはあの男の……呪いのようなものです」

山城「それがやっと今、あの男の呪縛から解放されて……扶桑お姉様の心を縛っていた大部分が消えて……」

山城「それで、何もなくなってしまった……そういう風に感じているんだと思います」

扶桑「……山城。私は、これからどうしたら……」

山城「扶桑お姉様。これからは、この鎮守府の思い出で、その胸に空いた穴を埋めていきましょう? 時雨もきっと、それを望んでいます……」

山城「この山城……扶桑お姉様が心から笑える日が来るまで……いえ、楽しいときもつらいときも、ずっと一緒にいますから……!」グスッ

扶桑「やま、し、ろ……ぉ!!」ギュウ

山城「扶桑、お姉様……!!」

 * *

デルタホース< スッ

部下E「う、げぇぇえ……」ビクビク

オリヴィア「こいつは一体なんなんだい? 潮を見たら人が変わったみたいになっちまってさ」スッ

長門「この男は、潮のストーカーだ。私は、濃霧の日に潮を連れて鎮守府を逃げ出して……この島に流れ着いた」

ヴァージニア「ほう? 貴様が鎮守府から逃げては大騒ぎだろう? 良かったのか?」

長門「……あの時はそうするほかなかった。この男の……部下Eの自業自得だ。さ、潮……もう大丈夫だ」

潮「……」ガタガタ

長門「潮……」

潮「……こ、怖い……」ウルウル

長門「……こんなになるまで、お前は傷ついていたんだな……」ギリッ

フウリ「あ、あの……!」オドオド

潮「!? フ、フウリちゃん……?」

フウリ「こ、これ! 使って、ください……!」タライサシダシ

潮「……え……?」

ヴァージニア「潮よ。この男は、貴様が拒絶しないと駄目なのだ」

潮「……そ、それって……」

ヴァージニア「貴様が明確に拒絶せぬ限り、この男が貴様にかけた呪いは解けぬ」

オリヴィア「そうだねえ。嬢ちゃん、あんた自身がけじめをつけたほうがいいよ?」

カサンドラ「お、応援、してますから!」コクコク

ジェニー「遠慮はいらないわ。どうせタライだもん、そんなに痛くないんだから力いっぱいぶつけてやりなよ!」

フウリ「じ、ジェニーさんひどいです!」

潮「……」タライウケトリ

ヴァージニア「案ずるな、何かあっても我らがいる。胸を張れ、長門のようにな」

潮「……」コクン

潮「……」キッ

部下E「ふ、ふへへ……うう、う潮ぉ」ニタア

部下E「俺の、元へ、来い……! 早く、戻って……俺と、暮らすんだァ……!」

潮「……い、嫌、です」

部下E「ふひ……!? な、何を言う……お前は、俺の言うことを何でも聞く、いい子だったじゃあないか……!」

潮「……あなた、なんか……上官でも、なんでもありません!」

部下E「うし、お……?」

潮「私の……敵です!!」ブンッ

 パカーーン

部下E「……」

 クワンクワンクワン…

部下E「き……きさっ、きしゃまぁぁあああっぁあああ!」ダッ

潮「ひ……!!」

 ドガガガッ

部下E「グェ……」ドタッ

ヴァージニア「ふん、愚物が」ミドルキック

オリヴィア「ジェニーまで仕掛けるとは思わなかったねえ」バックナックル
          lariat
ジェニー「ふふん、投げ縄は得意なの」ラリアート

カサンドラ「う、潮さん! 見てましたよ! やりましたね……!」

潮「うん……あ、ありがとう……!」

フウリ「よ、良かったです……いい音出てました!」ウルウル

長門「ああ、本当によくやった……!」

ヴァージニア「勝利の余韻に浸るのもいいが……後始末はしっかりとせねばな。レイラ、クロエ」

レイラ「は~い」ヒュンッ

部下E「!?」ポワンッ

長門「なんだ!? 部下Eがシャボン玉に入ったぞ?」

レイラ「私はマジックバブルのメディウム。この泡は、人間を閉じ込めてしまうことができますの」

レイラ「このまま外へ追い出してしまいましょうね」ツンッ

部下E「!?!?」スイーッ

長門「泡に包まれたまま滑っていくぞ……なんか、楽しそうだな」

フウリ「た、楽しいなんてとんでもないです! あの中は息が詰まるし狭くて大変なんですよ!?」プルプル

長門「そ、そうなのか……」

潮「……入ったことあるの?」

フウリ「……」カァァ

クロエ「はいはいっ皆様どうぞご注目を! ここでわたくし、クロエ・ワンダーバルーンの出番ですね!」ポンッ

クロエ「いらっしゃいましたお客様には、こちらの風船をプレゼント!」ペタペタペタッ

部下E「!?!?!?」フワーッ

長門「お、おい!? 泡ごと飛んで行ってしまって……い、いいのか!?」

クロエ「ええ、よろしいと思いますね! むしろ大変よろしいかと!」

潮「え、えええ……?」

レイラ「もうすっかり小さくなってしまいましたね」

クロエ「随分高いところまで飛びましたねえ!」

潮「な、長門さん……」

長門「……あそこまで高く飛んだら、たとえ下が海でも助かるすべはあるまい。もうあの男の影に怯えることもないだろう」ニコ

潮「長門さん……!」ギュ グスッ

長門「皆、礼を言う。皆のおかげで、私たちは平穏を得ることができた。そんな時に申し訳ないが……人払いを願えるか?」

オリヴィア「ん? ああ、しょうがないねえ」

ヴァージニア「では、我らの勝利を報告しに行くとしようか」

 ゾロゾロ

長門「……」

潮「ぐすっ、うう……」

長門「潮」シャガミ

潮「……?」

長門「私はお前に詫びなければならない」

長門「実は私は……」

長門「お前をだしに使ったのだ」

潮「え……?」

長門「私も、あの男が怖かったのだ……恐ろしかったのだ」

長門「あの男の、お前に対する執着ぶりは異常だった。常軌を逸していた」

長門「本来なら、私がお前たちの盾になって、あの男の所業から救っていれば良かった……殴ってでもあの男を矯正できていれば良かったんだ……」

長門「なのに、私はそれをしなかった……。あの男の標的になるのが、どうしようもなく恐ろしかったからだ……!!」

長門「潮は、本当によく耐えていた。ひたすらあの男に刃向わず、逃げるだけ逃げて、被害を抑えて、よく立ち回っていた」

長門「私はそんなお前に甘えてしまったんだ……! お前がいれば、あの男が私に向かってくることはない、と……」

長門「お前がいよいよ耐えられなくなって、私は巻き込まれたくない一心で、お前を連れて鎮守府から逃げる決心をした……」

長門「お前と私が鎮守府から逃げれば、他の者があいつの犠牲になるだろう……それをわかっていて、私は逃げたんだ!」

長門「何がビッグセブンだ! 何が誇り高き戦艦だ……! 私は……敵前逃亡を企てた、ただの臆病者だ! 私こそが、一番の大馬鹿者だ……!」

潮「長門さん……」

長門「潮……すまない。私が、もっとしっかりしていれば……立ち向かえていれば、お前をこんなに苦しませることはなかったんだ……」ドゲザ

長門「本当に……すまない……」

潮「……長門さん」

潮「長門さんは、私を見ていただけだったんですか?」

長門「……! そうだ……」

潮「長門さんは、私がいたずらされていても、庇ってくれなかったんですか?」

長門「そうだ……!」

潮「嘘つき」

長門「!?」

潮「顔を、あげてください」

潮「長門さん、私があの人に何かされそうになったとき、私を他愛のない用事に呼び出してくれたじゃないですか」

潮「私があの人に二人きりになったとき、わざと提督に作戦の話をして気をそらしてくれたじゃないですか」

潮「ずっと眉間にしわを寄せて、怒っているような顔をしてたのも、私がそういうことをされてるのを知ってたからですよね?」

長門「……」

潮「ずっと、みててくれたんですよね……?」

長門「……」ブワッ

潮「私、長門さんがいなかったら、もっと早く壊れていました……!」ダキツキッ

潮「……だから、そんなこと、言わないでください……!」ギュウ

長門「う、潮……お前、こんな私を、許すつもりか!? 私は卑怯な……!」

潮「そんなことを言ったら、私も同じ卑怯者です……」

潮「私は、あの鎮守府から逃げようと言ってくれた長門さんに感謝してるんです。私は恨んだりなんかできません……!」

潮「私も、長門さんも、あの人に苦しめられていたんです……だから、一緒に逃げたんです」

長門「いい、のか……!? 私は……」

潮「ここで、この鎮守府で、やっと終わらせられたんです。みんなに手伝ってもらってだけど、終わりにできたんです」

潮「私たちはもう、あの人の影に怯えなくていいって、長門さん、そう言ってくれたじゃないですか……!」

長門「そう、だな……! そうだな!!」ギュ

長門「良かった……良かっ……あ、あああ、うわああぁぁぁぁ……」ボロボロボロ

潮「ううっ、うええぇぇぇ……」グスッ


ヴァージニア「ふん、興醒めだ。長門はもう少し骨のある者だと思っていたが……買いかぶりすぎだったか」グスッ

セレスティア「……まあ、そういうことにしておきましょうか」フゥ

オリヴィア「ヴァージニアも素直じゃないねえ」

フウリ「でも、ぼんど、良がっだでず……」グズグズ

カサンドラ「ええ、良がったれふ」ズビー

ジェニー「やっぱりこういうのはハッピーエンドじゃないとねえ!」

エレノア「さて、余所はどうなってるかしらね……早く祝杯をあげたい気分だわ」

ロゼッタ「もー、エレノアはそーゆーとこ相変わらずなんだから~」

ハナコ「あのう、ところで……あの人たちの持ってきた爆弾、どうしましょう?」

レイラ「魔神様に指示を仰いだらどうかしら?」

クロエ「ではでは私が持っていきましょう!」

今回はここまで。

次回出撃予定
神通、川内、那珂、白露、島風、朧

イケメン提督だして 潮と扶桑二人何とかしてくれよぉ~ かわいそうだよ

>>279
そんな都合の良いイケメンが何人居ても足りない鎮守府です。

続きを投下します。

 * 戦闘海域 第四艦隊 *

神通「砲雷撃戦、用意!! 撃てーっ!」ドンドンドン

那珂「それそれそれーい!」ドンドンドン

川内「ほらほらほらーっ!」ドンドンドン

ル級el「敵影……単横陣ダト?」

ヘ級el「……イエ、アレハ輪形陣デハ?」

リ級el「陣形ヲコロコロ変エテキテイル……ナンダアノ動キハ」

ワ級el「アレデハ動キガ不規則スギテ、捉エラレナイゾ!?」

リ級el「ソレハ艦娘モ同ジコト! 衝突シテ自滅スルノガ関ノ山ダ!」

那珂「朧ちゃーん! 大丈夫ー!?」

朧「はい、大丈夫です!」

川内「私たちの動きに良くついてきてるねえ」

神通「朧さんは頑張り屋さんですから」

那珂「あの二人もしっかり連携できてるね~感心感心♪」

白露「島風と何回も競争したからね! コンビネーションの経験値はいっちばんだよ!」

島風「速さでは負けないからね!」

神通「さあ、第二陣行きますよ! 魚雷装填! 一斉射!」

ヘ級el「敵艦隊、全艦ノ魚雷発射ヲ確認!!」

リ級el「コ、コノ至近距離デ!?」

ル級el「突破ルート確認、全艦回避運動! 単縦陣デ被害ヲ最小限ニ留メロ!」

川内「敵艦隊が縦一直線になったよ! 今だ!」

朧「了解! 行きます!」ジャキン

シルヴィア「さあ、飛び跳ねなさい!」

シャークブレード< キシャァァァァァン!

ル級el「ナ、ナンダアレハ!?」

ワ級el「コッチニ真ッ直グ向カッテ……ギャァァア!?」ズバーッ

リ級el「後ロニマデ……ウワァァァ!?」ズバーッ

ヘ級el「バカナァァ!?」ズバーッ

島風「続けて行くよ!」

リサーナ「それじゃあ、行ってみようかな? せぇのっ♪」

島風&リサーナ「「バニー!!」」

キラーバズソー< キシャァァァァァン!

ル級el「ワ級! シッカリシロ……ギャァァア!?」ズバーッ

ヘ級el「ヘゴッ!?」ドカァ

リ級el「ル級ガ吹キ飛バサレタ!? ウワァァァ!?」ドカァ

ワ級el「巻キ添エェェェ!?」ドカァ

アローシューター< パシュン! パシュン! パシュン!!

リ級el「サ、サッキカラナンダコノ矢ハ!?」ガキンッ

ワ級el「ア、アイツダ……! ナンダアノ連射……ギャアア!」ドスッ

ミリーエル「特徴のない私ですが、姉妹の中で手数は一番ですよ!」

白露「反撃なんかできないくらい、ばんばん撃っちゃおう!」

川内「白露が連射して目を引いてる隙に、行くよ神通!」ドンドンドン

神通「はいっ! 第四戦速、接触まであと10!」ドンドンドン

ヘ級el「敵軽巡2隻、真ッ直グコチラニ突ッ込ンデキマス!!」

ワ級el「!?」

オボロ「我らの力……!」

ゼシール「お前たちに託すぞ!」

川内「下!」ブラッディシザーカマエ

神通「上!」サーキュラーソーカマエ

 ズバズバズバズバズバズバーーーッ

リ級el「ア、ガ……!?」

ル級el「バカ、ナ……ァ」

神通「近接戦闘圏離脱です!」

那珂「おっけー! 後はまかせて!」ドンッ

砲弾→ブラストボム <ドシューーーッ

 ズドーーーーン

アカネ「たーまやーーー!!」

川内「多摩や?」

神通「猫じゃない艦娘さんですか?」

アカネ「えっ」

島風「多摩ちゃんこの鎮守府にはいないよ?」

朧「じゃあ『なーかやー』って言うんでしょうか?」

ミリーエル「あの、そうじゃなくて、っていうかそれどころじゃ……」

白露「そもそも那珂ちゃん花火屋さんじゃないんじゃない?」

那珂「那珂ちゃん、もっとアイドルっぽい合いの手が欲しいなあ」

オボロ「おい」

ゼシール「戦闘中だぞ」

シルヴィア「ああ、ほら左に」

川内「」ドン

神通「」ドン

那珂「」ドン

敵艦 <ボギャー

川内「でさあ、ここはやっぱり」

神通「確かに紛らわしいですが」

那珂「決めポーズはこうかなー」

オボロ「いやいやいや」シロメ

ゼシール「ちょっと待て」シロメ

シルヴィア「見ないで沈めたわね」シロメ

リサーナ「この人たち強いのねえ」

島風「うん!」

白露「怒ったらいっちばん怖い人たちだよ!」

那珂「もー、白露ちゃんったらひっどーい! 那珂ちゃん怖くないったらー!」

ミリーエル「上には上がいるんですね」タラリ

朧「朧も頑張らないと」フンス

 * 戦闘海域 第六・第七艦隊 *

五十鈴「千歳さん、あれ!」

千歳「わかってるわ! 那智、所属不明の艦娘5隻が、深海棲艦の攻撃を受け交戦中!」

千歳「敵構成は軽空母2、重巡2、駆逐4! その後ろに雷巡2、軽巡5! 私たちの正面へ向かっているわ!」

那智「了解! 那智戦隊、出撃するぞ! 私と青葉は艦娘と深海棲艦の間に割り込む! 他の者は援護を!」ザァッ!


北上(小破)「……いい加減、うざいわー」

満潮(小破)「泊地の敵艦が全部襲ってくるとか、なにやらされたのよ!」ドンッ

弥生(大破)「……ごめんなさい」

霰(中破)「気にしないで……最初にここに行こうって言い出したのは北上さんだから」ゼェゼェ

名取(大破、弥生に担がれ中)「……」

霰「島が見えてきた……あと少し」

満潮「ちょっと、名取さん限界なんじゃないの?」ハァハァ

北上「あー、そうかもねー。そんなことより満潮は自分の心配しなよ……っと!」バシューッ

ロ級(撃沈)「」ドゴーン

北上「あーあ、魚雷も品切れかあ。ほら、とっとと逃げるよー」

満潮「ちょっ! ったくもう、ほら霰! 撤退よ!」

弥生「名取さん、もう少しだから……頑張って」

名取「……いけない……!」ピクッ


弥生に向かっていく魚雷< ゴォォッ


弥生「あ……!」

満潮「弥生っ!?」

五十鈴「そうはいかないわ……キュプレ!!」

キュプレ「まかせて! くっつけちゃう!」

ペッタンアロー< パシュ ペタン

弥生「え?」グイーン

名取「ふえぇ!?」グイーン

五十鈴「よっし、キャッチ成功! 名取、大丈夫?」ガシッ

名取「……あ……いす、ず?」

五十鈴「あなたも頑張ったわね! 安心なさい!」

弥生「……は、はい」

キュプレ「愛だわ! 姉妹愛ね! 感動だわ!」

千歳「さ、撤退急いで! はっちゃん、五月雨、山雲は足止めをお願い!」

那智「よし、我々も行くぞ! 出撃だ!」

青葉「ぅおおおお待たせしましたあああああ!」ザザザザ

那智「あ、おい青葉待て!」

霰「……テンション高い」

満潮「なにあれ」

弥生「なんだろう……」

北上(うるさい)

青葉「砲撃も雷撃も索敵もおおおお!」ドゴンドゴンドゴン

青葉「青葉にいいいい!」ズドンズドンズドン

青葉「おっまかせええええええええ!」ドカンドカンドカン

軽巡×5「!?」ドゴゴゴゴーン

日向「えっ?」

伊勢「なにあれ怖い」

チ級1「ナニガ起コッタ!?」

チ級2「イ、イヤ……」

若葉「遅いな」

チ級2「!?」

チ級1「ナ、何者」

若葉「若葉だ」ズドドン

チ級×2「」ドガガーン

初雪「……出遅れた」

日向「いや、そういう問題では……」

那智「青葉! 待てと言ったろう! ああ、私の出番が……」

青葉「敵はまだこちらに気付いてないよー?」ビシッ

日向「……」

伊勢「……えっと、初雪? あの青葉、何者なの?」

初雪「青葉さん、戦場に出ると我を忘れてオオカミになっちゃうんだって……」

日向「それで鎮守府を追い出されたのか?」

初雪「ううん、全然関係ない。前いた鎮守府の提督が写真撮られるのが大嫌いだから左遷させられたの」

伊勢「ええ……」

青葉「若葉さんやりますねえ」ハイタッチ

若葉「夜戦に持ち込まず殲滅できる力を求めて、川内さんと特訓した成果だ」

リ級el「クソ、後衛ガヤラレタカ……ム!?」ガキン

リ級el「ナンダコレハ」

伊8「釣れた?」

ミーシャ「はい、海の中から海面に向かって仕掛けたのは初めてですけど……」

海中の伊8の本の中から伸びたハンギングチェーン < ジャララララッ

リ級「ウオ!? 私ガ海中ニ引キズリコマレルダト!?」ゴボボンッ

リ級「ダガ、深海棲艦ニ水中戦ヲ挑ムトハ……馬鹿ナ奴ダ!」ゴボッ

伊8「狙いは違うよ?」

リ級el「!?」

ニ級1「!」

ニ級2「センスイカンハッケン」

ニ級3「バクライトウカ」

ニ級4「トウカ」

 ポイポイポイポイー

リ級el「バ、馬鹿! 私ガイルンダゾ! コンナ鎖……」

ハンギングチェーン< ガッチリ

リ級el「ハ、離シテ……ギャアアアア!?」ドカドカドカドカーン

山雲「さあ~、続くわね~」ドドドンッ

 砲弾<メラッ ゴォッ!

ヌ級el「!?」ドゴンッ メラメラメラッ

山雲「艦載機も一緒に燃えてるみたいね~」

ノイルース「いかがでしょうか、燃える砲弾は」

山雲「そうね~、なるべくなら当てていきたいわ~」ルンルン

ノイルース「では、次々と参りましょう」ニコ

五月雨「ふたりともすごい……! 私も行きます! って、誰が乗ってたんだっけ……」

マーガレット「五月雨さん! お手を拝借です!」

フライングケーキ< ポンッ

五月雨「えっ」

マーガレット「さあ、それを投げつけてください!」

五月雨「えっ」

ニ級1「!」

ニ級2「テキカンハッケン」

ニ級3「ツギノモクヒョウ」

五月雨「き、きゃああ!?」ポーイ

ニ級4「!」ベチャ

ニ級1「イイニオイ」

ニ級2「ペロペロ」

ニ級3「コレアマイ」

ニ級4「(゚д゚)ウマー」

五月雨「う、うまくいってる!?」

マーガレット「足止めとしてはOKですよね……?」

ニ級1「アイツガウッタ」キョロ

ニ級2「モットヨコセ」キラリ

ニ級3「モットヨコセ」キラリ

ニ級4「(゚д゚)ウマー」

五月雨「あ……」

マーガレット「ターゲットがこっちに……?」

五月雨「に、逃げましょう!」ザザザザ

艦載機から落下するチュウシャキ< ヒュウウウウ

ニ級1「ウヘア!?」ドスッ

ニ級2「シビビビ!?」ドスッ

ニ級3「ンギモッッヂイイイィ!?」ドスッ

ニ級4「(゚д゚)ウマー」ドスッ

フローラ「はーい、お注射の時間ですよー!」

千歳「援護するから、砲雷撃でとどめを!」

五月雨「は、はい! すみません!」

那智「その役目!」

伊勢「私たちが!」

日向「もらった……!」

初雪「……!」

ニ級×4「」ドドドドーン

那智「良かった……私にも出番があって……!」

初雪「那智さんは前の鎮守府でずっと出撃をお預けにされたんだっけ?」

那智「そうだ、私だってこうやって戦場で勝利を勝ち得たかったんだ……!」ウルウル

那智「それをあの男は、退役するまで酒飲み相手としか扱わなくて……勝利の美酒というものを教えてくれなかったんだ……!」グスッ

日向「この鎮守府の艦娘は業が深すぎるな……」

伊勢「ほんと……」

五月雨「うう、私ったらまたドジを……」グスッ

五十鈴「相性良すぎるのも困りものね」

マーガレット「ううう、ご、ごめんなさい」

霰「……とりあえず、助かったのかな」

満潮「ちょっと、ふざけてるみたいだけど、大丈夫なの!?」

千歳「ええ、現時点では、負けてはいないみたいね」

満潮「なによその返事! 勝つ気あるの!?」

霰「満潮」

満潮「……わかってるわよ、ここの戦力で勝つのは困難……引き分けを狙ってるってことでしょ」ムスッ

那智「千歳、我々はこのまま援護しつつ後退する。彼女たちは任せられるか?」

千歳「ええ、鎮守府内は狙われる危険があるから、念のため明石のところへ連れて行くわ」

那智「わかった! さあ、私たちはここを抑えるぞ! 初雪と若葉は潜水艦に警戒を頼む!」

北上「……」

霰「……」

満潮「……」

弥生「……どうしたの、みんな黙って」

満潮「なんでもないわ」

弥生「……怒ってる?」

霰「……ううん、怒ってない」

名取「みんな、明石さんの名前をきいてから様子が変ね……怖い顔してる」

弥生「……なにかあったんでしょうか」

今回はここまで。

次回出撃予定、
古高、如月、初春、吹雪、不知火、暁

救われるかどうかは明言しませんが、
ある程度納得のいく結末には導きたいものです。

では、続きです。

 * 戦闘海域 第三艦隊 *

ヲ級el「敵影確認……我々ニ背ヲ向ケテ敗走中ダ。逃ガスナ」

リ級「了解。艦娘ドモメ、逃ゲラレルト思ウカ!」

ト級「スグニ追イツイテ砲撃ヲ浴ビセテヤル」

吹雪「わざと逃げてみたら、追ってきたね」

初春「案の定、敵は単縦陣で一直線に鎮守府を目指しておる。わかりやすいのう」

ヒサメ「なればわらわの術にて一網打尽じゃ」パキパキパキッ

スリップフロア <パキーーン!

ヲ級「ヲッ!?」ツルーン ステーン

ト級「ンナッ!?」ツルーン ステーン

リ級「ナンダ、コンナ氷ノ板、割リ進ンデクレル!」ガッ

ヒサメ「残念じゃが、板ではなく氷の柱じゃ。海底までまるっと氷漬けじゃぞ?」クスクス

リ級「ワ、割レナ……ギャブン!?」ズドシャー

ヨ級el「」カチーン

カ級el「」コチーン

ホ級「!? 海中ノヨ級トカ級ガ氷漬ケニナッテル!?」ツルツルッ

グローディス「よおし、今だぜマイ・レディ! 私の雷槍、扱えるか!?」

暁「見てなさい! 暁は、響と雷と電のお姉ちゃんなんだから!」ヤリナゲカマエ

不知火「こちらもまいりましょうか」ジャキッ

ディニエイル「準備万端、いつでもどうぞ」

暁「っっやぁぁぁ!」ブンッ

不知火「砲撃開始……!」ドンッ

サンダージャベリン <バリバリバリバリ

砲弾→コールドアロー <ヒュイイイイ

リ級「ギャアアア!」バリバリバリ

ト級「グワアアア!」バリバリバリ

ホ級「」カチーン

ヲ級el「クッ、マダ私ノ艦載機ガ……!」

イブキ「精神集中! 腹に力を入れて、ゆっくり息を吸って、ためらわずに叫ぶ! これがあたし、イブキの必殺技だ! さあ行くぜ!」

吹雪「お、おす! すうぅ……」

深海艦載機「」グォォォオ…

イブキ「よし、今だ!」

吹雪「っ、はあああああああああ!!」

ヒートブレス <ゴォォォォォォォ!

深海艦載機「」ボワッ

深海艦載機「」メラメラメラ

深海艦載機「」ドーン

イブキ「よし! 上出来だ!」

吹雪「……///」ゴハァァァァ

不知火「吹雪さんが口から火を噴いてますね」

暁「ワイルドだわ!」キラキラッ

吹雪「……せ、せめてあのくらい格好よくできなかったかな……///」チラッ

古鷹「艦載機撃墜しました!」ビーム ビーム ビーム

ルミナ「うむ、いいね! 次、2時の方角、斜角35度!」

古鷹「了解です!」ビームッ

不知火「モノクルをかけた古鷹さんの探照灯ビームですか」

暁「えっ、探照灯ってああいう使い方できるの!?」

吹雪「あれは古鷹さんじゃないと無理かも……」

ヲ級el「バカナ、アンナ装備、見タコトガナイゾ!?」ツルーン

如月「でしょう? だからこの辺で引きあげてもらえると嬉しいんだけど……」

ト級「フザケルナ!」ジャキ ステーン

如月「そうよね……じゃあごめんなさい」バッ

ナンシー「痛かったら逝ってね~!」

フォールニードル < ズガシャァァァァン!

ヲ級el「ガ……ハッ!?」

ト級「ナン……ダ……ト!?」

ナンシー「うん、やっぱり床があると威力が違うわねー♪」

ヒサメ「この調子で迎撃していこうかのう♪」

初春「いきいきしておるのう」

如月「これが本職だものね」

吹雪「ね、ねえ、不知火ちゃん私とイブキちゃん交換しない? ほら、火と雪で、名前的に逆でしょ?」

不知火「いえ、不知火はディニエイルさんと相性が良いようなので」

ディニエイル「お名前も似ていることですし、そのままで良いかと」

イブキ「えっ、吹雪、アタシの何が不服なんだ!?」

吹雪「えっ!? ……えっと、その……下着見せてるところとか」マッカ

イブキ「えっ」

如月「えっ」

ナンシー「えっ」

不知火「えっ」

ディニエイル「えっ」

吹雪「えっ」

初春「おぬしが言うか」

ヒサメ「自覚がないとは、怖いのう」

暁(……探照灯から火炎放射……いえ、やっぱりビーム!? どっちが『暁』っぽいかしら!?)

暁(でも、今のサンダージャベリンも電のお姉ちゃんっぽくていいわ!)

暁(特にサンダージャベ『リン』ってところが可愛いし!!)グッ

グローディス(その発想はなかったぞマイ・リトルレディ)ホワー

 * 島の東部の海岸 *

スノーボール <ゴロゴロゴロゴロ…

スノーボール☆海岸の岩 <バコーーン!

大佐「ぬわああ!」

部下A「ぎゃあっ!」

部下B「ぐえっ!」

大佐「……く、くうう」

部下A「な、なにがあったんだ……!?」

部下B「わからん……」

大佐「ここはどこだ……」

部下B「……砲撃音が北だとすると、ここは島の東側のようです」

大佐「の、ようだな……」コンパスカチャリ

部下A「東!? だ、だとするとあのゴムボートは!?」

部下B「あれは、脱出用のボートか?」

大佐「蒼龍め、間違えたか……いや、しかしこれはこれで好都合」

大佐「部下A、これで俺とBを北東の海岸へ運べ。提督を始末するぞ」

???「おお~? 人間のくせに魔神様を始末するって? 生意気言うなあ」

部下B「誰だ……き、きぐるみ……!?」

部下A「なんだ貴様は!」

ティリエ「まったく、上から目線で失礼な奴だな。私はティリエ・ゴウモンシャリンだぞ?」

大佐「……おい、貴様」チャキッ

部下A「た、大佐!? こんなガキ相手に銃は……」

大佐「異常事態だ。あの雪玉はなんだ? この南の島に、なぜあんなものがあった」

部下B「そ、それは……!」

大佐「あの女といいこの小娘といい、艦娘以外の人間がいる時点で疑うべきだった」

大佐「お前は何者だ」

ティリエ「ティリエはティリエだぞー? ちゃんと名乗ってるのにわかんないなんて、頭が可哀想な奴だな」

大佐「……!」チャキッ

 パンッ

ティリエ「おっと!?」ヒョイ

部下A「!?」

部下B「!?」

大佐「……何?」

ティリエ「いきなり何するんだ? 危ない奴ー」

部下B「銃弾を避けただと……!?」

大佐「取り押さえろ!」

部下A「は、はっ!!」ダッ

ティリエ「……んふふ」

トリックホール <パカッ

部下A「うお!?」ズボッ

ベアトラップ <ガキンッ!

部下B「痛えっ!!」ガキッ

ティリエ「おお、引っかかった引っかかった。みんなー、出てきていいぞ~?」

 ガサッ

明石「……いよいよね」

朝潮「今こそ年貢の納め時です」

霞「覚悟なさい……!」

 ザザァッ

電「逃げられるとは思わないでください」

敷波「はーあ、会いたくなかったなー」

由良「……そう、ね」

大佐「……!」

部下A「く、先回りされていたのか!」

部下B「お前ら、そこをどけ!」

朝潮「いいえ、どきません」

大佐「提督の指示か」

朝潮「見届けに来ました」

大佐「見届け?」

朝潮「はい。あなたがたには正義の鉄槌が下ります。だから見届けるんです、あなたがたの最期を」

大佐「貴様……!!」チャキッ

 パンパンパンッ

朝潮「きゃっ!?」グイッ

霞「朝潮!?」

リンダ「あっぶないとこやったなあ、セーフセーフ!」

朝潮「リ、リンダさん!?」

リンダ「うち、球筋読むんは得意なんやで?」ニカッ

朝潮「だ、大丈夫ですよ、あんな銃弾、艦娘には通用しません!」

リンダ「せやったらあいつも最初っから発砲せえへんちゃう? ただのタマやないで、あれは」

朝潮「あ……!」

リンダ「や~な予感がするでぇ……!」

今回はここまで。

次回、 FF。

ちょっとだけネタバレすると、五月雨と北上のキーワードになります。

影牢TGサービス終了まであと十数時間。切ねえ……。
こちらはもうしばらく(?)書かせて戴きます。

それでは続きです。

大佐「……っ! さっきからお前らは何なんだ!」ギリッ

大佐「俺の計画を邪魔する貴様らは、何者だ!!」

???「そこまでだ悪党どもぉ!!」

リンダ「お、その声はヨーコやな」

朝潮「ヨーコ?」

リンダ「うん、メガヨーヨーのメディウムや」

ヨーコ「正義のヒーロー、メディウム戦隊メディピンク! ここに参っ上ぉう!!」ビシィィ

ヨーコ「私利私欲のために悪事を働き! 司令を亡き者にしようとする悪党どもめ!」バッ

ヨーコ「あたしの必殺メガヨーヨーがまとめてぶっ飛ばぁす!!」ズバァァァン!!

朝潮「恰好いい……!」

電「恰好いいのです!」

霞(あの二人は好きそうね、ああいうの)

ヨーコ「くらえ! 必殺メガヨーヨー!!」バッ ビュビュンッ

大佐「うお!?」バッ

ヨーコ「今だティリエッ!」

ティリエ「ごぉろごろごろごろぉ!」

ゴウモンシャリン <ゴロゴロゴロゴロ…

大佐「ぎゃあっ!?」グシャッ

大佐を巻き込んだゴウモンシャリン <ゴロゴロゴロゴロ… ウワァァァァ…

部下A「大佐殿!?」

部下B「き、貴様らああ!」

クレーン <ガキンッ

部下A「うわあああ!?」チュウヅリー

部下B「Aっ! おい明石っ! それはお前のクレーンだろう! とっとと離せ!」

霞「はぁ? よく見なさいよ、別物でしょ?」

部下A「か、艦娘が、俺たちにこんな真似をして、いいと思ってるのか!」ジタバタ

リンダ「こんな真似いうてもなあ。この子らはなーんもしてへんで?」

タチアナ「その通り。あなた方を罰しているのは魔神様の下僕である私たち、メディウムです」スッ

部下B「はああ!? いきなり出てきて何を言ってんだ貴様は!」

部下A「だとしてもだ! 艦娘が俺たちを助けないとはどういうことだ!!」

明石「助ける?」

部下B「そうだ! 艦娘の存在意義は人間のために戦うことだ! それを、得体のしれない連中に味方するか!」

由良「よく言うわ。私たちの提督を殺そうとしてるくせに」

部下A「な、なんのことだ!!」

朝潮「しらを切っても構いません。ただ、私たちにはあなたがたを許さない理由があります」

部下B「どういうことだ……!?」

ザァァァ…

千歳「みんな! 無事!?」

五十鈴「明石! 急患よ! 診てもらえる!?」

弥生「すみません……私はあとでいいので、名取さんを」

部下B「! お、お前ら、戻ってきたのか……っ!」

電「……どういう意味ですか?」ジロリ

霰「この二人は、泊地棲姫をこの島におびき出す、囮にされたの」

弥生「……司令官。あれは、どういうことなんですか」

敷波「え、ちょっと、こっちの二人、こいつの部下なの!?」ジロリ

五十鈴「へえ……よくも名取を、こんな目にあわせてくれたわね」ジロリ

由良「……ますます、許せない」ジロリ

霰「……怒ってる?」

弥生「……うん、すごく怒ってる」

五月雨「ねえ電ちゃん、もしかして……部下Bを知ってるの?」

電「はい、知っているのです」

部下B「!?」

電「電は、この人の初期艦だったのです」

部下B「!!??」

弥生「そ、それっていったい……!」

五十鈴「そ、そういえば由良、あなた、大破進軍してこの島に流れ着いたって言ってたわよね」

由良「ええ、この電ちゃんと一緒に、ね……」

名取「……!」

敷波「で、あたしはそれを追えって叩き出されたんだよね。ま、覚えてないだろうけど!」フンッ

部下B「い、い、生きて、いたのか……」

電「……なのです」ハイライトオフ

部下B「……」

部下B「……」

電「あなたは、まだ大破した艦娘を進軍させてるのですか? あれほど電がお願いしても、聞いてくれなかったのはなぜなのです?」

敷波「……電はずっとあんたを諌めてきてたのに」ハイライトオフ

由良「あなた、これまでいったい何隻沈めて来たの?」ハイライトオフ

部下B「……お、俺は、悪くないぞ! 悪いのは、こんな任務を与えてくる、上の連中だ……!」

部下B「そうだ! 悪いのは全部海軍だ! 今回の作戦だって、大佐の発案なんだからな!」

敷波「あんただって海軍じゃんか」

由良「そのセリフ、大佐の前で言ってみなさいよ」

名取「こんな奴のために、みんな……!」グスッ

弥生「初霜さん……!」ギッ

電「……残念、なのです」

メガヨーヨー <ギュィィィィイイイン

部下B「ぎゃあああ!?」ゴシカァン ドボーン

由良「さ、みんなこっちに避難して」

名取「……?」

敷波「……待たせて、ごめんね」

マリッサ「ええ、待ってたわぁぁぁ!!」

クラーケン <ザバアアア! ギュルギュオォォオオ!!

部下B「ひ、ひいいい!? な、なんだこいガボッ、ゴボゴロ……ッ!!」ギュチッ ギュルルルルッ

部下B「ひ、ひいいい!? な、なんだこいガボッ、ゴボゴロ……ッ!!」ギュチッ ギュルルルル

名取「な、な、なにあれ……!?」ガタガタ

五十鈴「大丈夫よ、こっちにはこないわ」ギュ

弥生「……怖い」カタカタ

由良「ほら、こっちにおいで、ね?」ギュ ポンポン

 タ、タスケゴボゴボッ ボキッ ギャアアガボガボ ゴキッ ボキッ ウアアアア… グシャ

五月雨「うわ……」メソラシ

山雲「エグイわね~」

伊8「……水中の出来事も見てたら、夢に見そう」プイス

千歳「電ちゃん、よくあれに耐えたわね……」ブルリ

部下A「……」マッサオ

明石「……」ザッ

部下A「ひ……っ!」ビクッ

霞「さてと、こっちのクズはどうしようか」

朝潮「司令官の指示通り、朝潮たちは何もしなくても良いと思います」

部下A「お、おい! 北上!! お前ら、俺を助けろ!! こいつらを撃て!!」ジタバタ

北上「……あー?」ギロリ

満潮「……北上……さん?」ゾクッ

北上「……なに? まーた、あたしに艦娘撃たせる気なの?」

五月雨「……え?」

盛大にかぶった……。

>>313>>316 に差し替えでお願いします。

電「あなたは、まだ大破した艦娘を進軍させてるのですか? あれほど電がお願いしても、聞いてくれなかったのはなぜなのです?」

敷波「……電はずっとあんたを諌めてきてたのに」ハイライトオフ

由良「あなた、これまでいったい何隻沈めて来たの?」ハイライトオフ

部下B「……お、俺は、悪くないぞ! 悪いのは、こんな任務を与えてくる、上の連中だ……!」

部下B「そうだ! 悪いのは全部海軍だ! 今回の作戦だって、大佐の発案なんだからな!」

敷波「あんただって海軍じゃんか」

由良「そのセリフ、大佐の前で言ってみなさいよ」

名取「こんな奴のために、みんな……!」グスッ

弥生「初霜さん……!」ギッ

電「……残念、なのです」

メガヨーヨー <ギュィィィィイイイン

部下B「ぎゃあああ!?」ゴシカァン ドボーン

由良「さ、みんなこっちに避難して」

名取「……?」

敷波「……待たせて、ごめんね」

マリッサ「ええ、待ってたわぁぁぁ!!」

クラーケン <ザバアアア! ギュルギュオォォオオ!!

北上「……覚えてんでしょー? あんたの指示でさあ……覚えてないとか言わないよねえ?」

部下A「北上!! 今はそんなことはどうでもいい! 早くしろ!!」

北上「いいから答えろよ」グワッ

部下A「……っ!」

満潮「うわ……」ビクビク

霰「北上さん……完全にキレてる」ビクビク

北上「あたしはさあ。友達に、あーゆーことしたくなかったんだよねえ。今だから言うけど、原因はてめーだったんじゃん?」

満潮「き、北上さ……っ!? て、てめーって……!」オロオロ

北上「ああ、もう取り繕うの嫌になってさー。今、すごい顔してるっしょ、あたし」ギラッ

北上「ほーら提督、覚えてんでしょー? てめーが甲板から投げ捨てたんだよ? 朝潮と、霞と、明石をさあ……!」

北上「よりにもよって、あんときと同じ面子じゃん。また、撃てって? てめーのために? ざけてんの? あぁ?」

部下A「……し、知るかっ! いいから早くこの反乱分子どもを始末しろ!」

五月雨「ふざけないで!!」

部下A「!?」

五月雨「私たちの力は、そんなことのために使うものじゃありません!! 私たちの力は、誰かを守るためにあるんです!!」

部下A「……余所者の駆逐艦風情が、黙ってろ!」チッ

五月雨「黙りません! 仲間を撃つってことがどういうことか、わかっていないあなたは絶対間違ってます!」

千歳「やめなさい五月雨。こいつらは提督を殺そうとしてるのよ。人でなしに人の道を説いたって無駄よ」

北上「……」ギリッ

明石「それに、大丈夫ですよ五月雨さん。北上さんは、友達を沈めたりしてませんから」

五月雨「え?」

明石「ね、北上さん」ニコ

北上「……へ?」

明石「試製四連装魚雷、明北丁型(めいほくていがた)」

北上「……」

明石「魚雷の開発、一緒にしましたよね。威力や爆風範囲、発射速度とか研究して、いいもの作ろうって」

明石「甲、乙、丙と失敗して、その中でたまたまできた試作品。爆風はすごいけど、威力がさっぱりの失敗作」

北上「……」

明石「あのとき使ったの、その魚雷ですよね、北上さん」

霞「まさか、あのときの……」

朝潮「北上さん!?」

北上「……」

北上「……あー……なんてーの? 目にゴミが入って大変なんですけど?」プルプル

北上「なん、だよう……生きてたら生きてたって連絡くらい寄越してもいいじゃんよう」グシグシ

部下A「……お、おまえら、俺を謀ってたのか!」

朝潮「謀る? よくもあなたがそんなことを言えますね!」キッ

霞「あの2年前の横領事件! 忘れたとは言わせないわ!」

満潮「……ちょっと、その事件って、明石さんが犯人で共犯に駆逐艦が二人ってやつじゃないでしょうね」

霞「そのまさかよ。その艦娘が私たち。多分、姉さんたちは私たちと入れ替わりで入ってきたってとこかしら?」

朝潮「明石さんは私たちを司令官よりもよく面倒を見てくださいました。その明石さんに、司令官は私たちを解体すると脅迫していたんです」

明石「私が不正の片棒を担がされたのは事実です。この男の不正を証言するつもりでいましたが……」

霞「それを公表する前に、こいつがやっていた悪事を全部あたしたちにおっかぶせたのよ! ありもしない罪まででっち上げて!」

朝潮「告発する直前に罪をでっち上げられ、手足を拘束され、猿轡までされて海へ捨てられたときの、あの無力感……!!」

霞「おまけに、明石さんと仲が良かった北上さんに魚雷を撃たせるなんて思いもしなかったわ!」

五月雨「……許せません!」キッ

朝潮「はい! 断じて、許せません!!」

部下A「ふざけるな! お前らが人間を許すも許さねえもねえ!!」

部下A「だいたい、あれは横領じゃない! すべて必要なことだったんだ!」

部下A「戦争を終わらせるためには、金と力がいる! これから俺たちが海軍を仕切るための、必要悪ってやつだ!」

北上「……あのさ。じゃあなんで、てめーはこの鎮守府の提督と、中将を殺害する計画を立ててんだよ」ピラッ

部下A「そ、それは! 処分したはずだぞ!」

北上「あたしはさ。これの真偽を確かめたくて、ここへ来たんだよね……」

満潮「そうしたら、泊地棲姫のところに突撃させられた弥生や名取さんがいた」

霰「それに横領事件のことを知ってる明石さんたちもいて……千歳さんも『そう』言ってた」

北上「ここの提督はどんな奴か知んないけどさ、明石匿っててもらってたし? で、てめーも中将にはお世話になったよねえ?」

五月雨「ここにいる人たちを、そうやってみんな……口封じしようとしたんですね?」フルフル

北上「これが必要悪? やってられっか、ってーの」ジャキ

部下A「……!」

明石「北上さん、その必要はありませんよ」ニコ

アーニャ「うん! あたしたちがやっちゃうよーー!」

クレーン <ギュワァァァァァァ

部下A「!?」

明石「すぐに、終わりますから」

部下A「うわあああああああ!?」ギュイイイイイン

クレーン <ポイッ

部下A「ぐえっ」ボヨンッ

部下A「な、なんだ、ゴムボートの上に……?」

リンダ「お仕置きの時間やで♪」

ローリングボム <コロン

部下A「ひ!?」

ローリングボム <ボカーーン

部下A「ぎゃああああ!!」

イーファ「やっとぼくたちの……」

ウーナ「出番だな!」

スパイクボール <ヴンッ ヒュウウウウ

部下A「が」グシャ

ヘルファイアー <メラメラメラ…ゴォォォォ!

部下A「」ボワァッッ

霰「……なに、これ」ボーゼン

満潮「爆弾が転がって、棘付き鉄球が降ってきて、ゴムボートが大炎上……?」アングリ

弥生「……この仕掛け、明石さんが作ったの……?」

明石「え……私、そういうキャラでしたっけ?」

伊8「鎮守府によってはそう思われてる」

千歳「そうね……そういう明石、余所に結構いるものね。信じてもらえないかも」

明石「ちょっと、ひどいですよそれー! 風評被害です!」プンスカ

北上「は、ははは……そうだね、信じられないことばっかりで、頭が追い付かないよ」

リンダ「信じられへんかったら、うちらが証明すればええやん?」シャッ

タチアナ「ええ、私からご説明させていただきます」

 * 説明後 *

霰「……つまり、この人たちはここの提督の直属の部下」

ヨーコ「司令だね!」

イーファ「ご主人様だよ」

メリンダ「はい、わたくしのご主人様です……///」ポッ

五十鈴「なんで顔を赤くするのよ……」

マリッサ「私は電ちゃんがご主人様でもいいけどぉ~」スリスリペロリ

電「はわわわわ」ゾワゾワッ

満潮「た、タイヘンなのに好かれちゃったわね……」

マリッサ「あらあ、誰がヘンタイですってぇ?」ニタァ

満潮「ヤメテ」シロメ

弥生「そして……艤装にも乗れる、罠の、化身」

山雲「そうよ~」

ノイルース「お邪魔しております」シュッ

満潮(山雲の艤装から似つかわしくないバストサイズのお姉さんが!?)

山雲「満潮姉どうかした~?」ハイライトオフ

満潮「ナンデモナイワヨ」シロメ

敷波「ま、あたしたちも最初はびっくりしたけどさー」

タチアナ「仕えるべき主が一緒なのですから、共闘するのは当然のことです」

アーニャ「海に案内してくれたしさー、いい人たちばっかりだよ!」

千歳「とにかく、あなたたちは休んでて。さあ、第六艦隊は引き続き迎撃よ!」

五月雨「わ、わかりました!」

五十鈴「明石、名取をお願いね!」

伊8「」フリフリ


北上「はーあ、安心したら力が抜けてきたよ~」ダラーン

満潮「で? ここの提督は、そのメディウムに大佐たちの相手をさせているってこと?」

霞「そういうこと。艦娘が人間に危害を与えるのはまずいって判断みたいよ」

満潮「甘いわね……提督が普通そういうところに気を回す? 恩を売る気かしら、うっざいわ」

霞「そうよ、そもそも司令官が捕まったら私たちだってどうなるかわからないのに! 優先順位がわかってないのよあのクズは!」

満潮「余計なお世話もいいとこね、文句言ってやらないと気が済まないわ!」

霞「この作戦が終わったらみっちり説教してやるんだから!」

弥生(一応、ここの司令官を心配してるのかな……)

朝潮「ところで、大佐はどうしたんですか?」

タチアナ「ゴウモンシャリンが魔神様のもとへ運んでいるはずです」

赤城「大佐が、どうと仰いました?」スッ

由良「あ、赤城さん!? どこに行ってたんですか!?」

赤城「島の南端に行っていました。大佐の部下は島の南から脱出する手筈でしたので……ですが」チラリ

大型ゴムボート <シュウウウウ…

赤城「提督准尉は、やはり一矢報いる気になったのですね……」

蒼龍「ね、ねえ、イーファちゃんやウーナちゃんは無事なの!? 誰か知らない?」

加賀「蒼龍、落ち着きなさい」

瑞鶴「でも加賀さん、そういう情報を黙ってる大佐にも問題があると思わないの!?」

加賀「五航戦は黙ってなさい」

瑞鶴「むっかあ! 何よその言い方!」

大鳳「みなさん落ち着いてください、それよりもあれを!」

蒼龍「あ、あのゴムボート! なんでこんなところに!?」

速吸「怪我してる方もたくさんいます!」

満潮「赤城さんたちは、この鎮守府の所属じゃないの?」

敷波「こっちは大佐の鎮守府所属の艦娘だよ。赤城さんは秘書艦だっけ?」

北上「え、じゃあ……あなたがあの『鉄の赤城』?」

大鳳「えっ、なんですかその変な通り名」

北上「あー……残念だけど、悪い意味で有名だよ。何があってもどんな指示でも顔色一つ変えない鉄仮面の女、ってさ」

加賀「……赤城さんがどんな思いで艦隊をまとめているか、知らないくせに……!」ギリッ

赤城「加賀さん、控えてください」

加賀「……っ」

北上(ほんっとに顔色一つ変えないねえ……逆にクールな加賀さんがたじろいでる)

赤城「ところで、蒼龍さんから聞いたのですが、この島には原住民がいるそうですね」

由良「原住民……?」

霰「……そうなの?」

ウーナ「あ! ソウリュウ!」

蒼龍「ああ! ふたりとも、無事だったんだ!」

イーファ「? どうかしたの?」

蒼龍「どうかじゃないよ! 島の南側に行ったらボートがなくなってて、こっちで火柱が上がるし!」

蒼龍「大佐からも連絡がないし、二人が戦いに巻き込まれてないか心配したんだから!」ナミダメ

ウーナ「ウ……スマン」シュン

タチアナ(作戦とはいえ、ゴムボートを勝手に持って行ってしまいましたからね……余計な心配をさせてしまいましたか)

速吸「それより、こちらのお三方がひどい怪我です! 早くドックに入れないと」

赤城「……では速吸さんと蒼龍さんは、怪我人を連れてこの鎮守府のドックへ」

明石「ドックへ!? 危険ではないですか!?」

赤城「ここで放置するより応急処置を行うべきです。その鎮守府の防衛のため、加賀さんは瑞鶴さん、大鳳さんと一緒にこの近辺の深海棲艦の邀撃をお願いします」

赤城「提督准尉の航空部隊では多勢に無勢、物量に押し負けぬよう協力して任務にあたってください」

大鳳「了解しました!」

加賀「……赤城さんはどうする気ですか?」

赤城「……」

赤城「……私は、ここでお別れです」

加賀「赤城さん!?」

赤城「私は、大佐を討ちにいきます。大佐が身内を手にかけようとする増上慢を止められなかったのは、秘書艦である私の責です」

瑞鶴「駄目だよ! 赤城さん、私たちに汚れ仕事が回ってこないように、加賀さんにも冷たくしてきたんでしょ!?」

蒼龍「そうですよ! 今まで誰も大佐を止められなかったのを、赤城さんが自らを犠牲にして、鎮守府をまとめてきたのはみんな知ってます!」

赤城「これは、私のけじめです。誰かがやらなければ……ならば、私がやるべきです」

電「……司令官さんの言う通りだったのです」スッ

由良「電ちゃん!?」

電「電は、司令官さんから赤城さんを説得するように指示されてきたのです」

電「司令官さんは、赤城さんが責任を感じて自分がなんとかしようとするのではないかと、心配していたのです」

電「赤城さんが大佐を殺せば、艦娘そのものの立場が大変なことになります。そうでなくても、赤城さんが幸せになれないのです」

電「だから、思い止まってほしいのです。司令官さんからのお願いなのです」

大鳳「そうですよ赤城さん……! 今からでも遅くないんですから!」

加賀「赤城さん……私たちは、あなたの力になりたいんです。今まで私たちを守ってくれていたあなたを、今度は私たちが助けたい……」

赤城「千載一遇の好機なんです。ここで大佐を討たなければ、艦娘にも、海軍にも、犠牲は増え続けます。私が終止符を打たなければいけません」

加賀「こっちを見てください赤城さん! あなたがいなくなったら、私たちは……いいえ、私は、私を、許せないわ……だから!」ポロポロ

赤城「……加賀さん。あなたがいれば、あの鎮守府を立て直すことは可能だと、私は信じています」ニコ

加賀「やめて……そんなふうに笑わないで!!」ポロポロ

赤城「電さん、どいてください。今の私は、あなたを押しのけてでも進むことに躊躇はしません……!」

加賀「赤城、さん……」

電「……そうですか。仕方がないのです……!」ダキツキッ

赤城「電さん……?」

霞「! ねえ、電の艤装にくっついてるあれって……電気の罠じゃない!?」

朝潮「……ま、まさか!」

電「電の本気を、見るのです!」


電の艤装に組み込まれたスパークロッド <バリバリバリバリバリバリ

赤城「あぎゃぎゃぎゃぎゃ!?」バリバリバリバリ

大鳳「えええ!? 電ちゃんが放電した!?」

速吸「えっ? 何!? なんですかあれ!?」

瑞鶴「電ちゃんマジいなづま!?」

蒼龍「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!?」

加賀「あ、赤城さぁぁぁぁぁん!?」

スパークロッド <ピタッ

赤城「」コゲッ

電「……はわわわ!? く、黒コゲなのです!? 赤城さん!? 赤城さんっ!」ユサユサ

赤城「」ケホァ

イサラ「あわわわ、す、すんません、ちょい、やりすぎちったッス……」アワアワ

電「い、いや、これは事故というか、ふ、不可抗力なのです! しょうがないのです!?」オロオロ

明石「ととと、とにかくやっちゃったものは仕方ないです! 赤城さんも入渠させましょう! バケツならありますから!」

加賀「わ、私が赤城さんを運びます! 瑞鶴は私の代わりに指揮をお願い! 蒼龍と一緒に後から合流するから!」アタフタ

瑞鶴「え、ええ!? 私!? わ、わかったわ!」

 ギャーギャー

北上「なんだかなー……んあ、霰、肩貸すよー」

霰「……はい……ありがとうございます」

北上「こんなときに、のんきなこと言うけどさあ」

霰「……?」

北上「放電してた電って、ぴか○ゅーみたいだったねえ」ニヘラ

霰(……私が着任したころの……昔の北上さんに、戻った……!)ウルッ


北上「ところでさー、さっきのイカの化け物? なにあれ」

電「クラーケンさんなのです」ハイライトオフ

霰「……え゛」

満潮「ちょっと、それヤバいんじゃないの?」

電「大丈夫なのです。電は昨日からクラーケンさんと遊んでもらっているのです」ピラッ

弥生(ひっ!? 全身に吸盤の跡が!?)

名取「あう……」ガクッ

敷波「ちょっ、名取さん気絶したよ!?」

満潮「やめてやめてやめてそんなもの存在しないわありえないわないないないない」ガタガタガタ

由良「満潮!? しっかりして!?」

霰(2人ほどSAN値チェック失敗してる感……)

北上「へー。焼いたらおいしいかなー」

電「そういうこと言うと喜ぶので、言わないほうがいいのです」

霰(喜ぶんだ……)

加賀「あの……そういう話は後にしてもらえないかしら」ガタガタガタガタ

蒼龍「くらーけんってあれだよね……船の天敵だよね」ブルブルブルブル

霰(加賀さんたちも怖いんだ……)

速吸「しょ、触手ですよね……うわぁ……///」ソワソワモジモジ

霰(!?)

 * 幕間 ドック内 *

北上「ふいー、やっと落ち着けるよー……」チャプーン

明石「本当にすみませんでした、今までなんの連絡もなしに……」

北上「いいっていいってー。それよりさー、ここの五月雨って何かあったの? あたしが明石たちを雷撃したこと、すっごい怒ってたし」

明石「……五月雨さんは、仲間殺しの疑いをかけられてここへ流されたんです」

明石「ある作戦で彼女を含む主力艦隊が全滅して、彼女だけがかろうじて救助部隊に助けられたんですが」

明石「その時にそこの司令官が激高した挙句、彼女が味方を撃ったんだろうとなじられたそうで……」

北上「なにそれ」

明石「彼女、その鎮守府の初期艦だったんです。艦隊が強くなっていったことは司令官と一緒に喜んでいました」

明石「それが、司令官にそんな暴言を浴びせられて、あらぬ罪を着せられて……失望して、ここへ飛ばされてきたんです」

北上「……馬鹿だね、その司令官」

明石「ところがその後、提督の調べで五月雨さんの司令官が、遺書を残して彼女に詫びていたことがわかりまして」

北上「遺書って……なにやってんだよ、もう」

明石「それには、娘同然の部下たちを一度に失ったことは相当にショックだったらしく、その司令官に特攻を決意させたそうです」

明石「五月雨さんを鎮守府の主戦場から遠いここへ強制送還し、その胸の内を悟られないために心無い罵声を浴びせた、と」

北上「……で、特攻かけたってオチかあ」

明石「それならまだ良かったんですが、爆薬を飛行機に積んでいるときに憲兵に捕縛され、激しく抵抗したために射殺されたんですよ」

北上「……」

明石「……」

北上「それさ、五月雨は知ってんの?」

明石「ええ、提督から話を」

北上「……」

明石「……」

北上「……あー、なんつーの?」

明石「無理にフォローしなくていいんですよ」

北上「……そだね。なんも言えないわ」チャプ

今回はここまで。

Friendly Fireというわけです。
そして速吸ちゃんどうしてこうなった。



次回出撃予定

大和、武蔵、金剛、比叡、榛名、霧島。

F(ふたりで)F(ふしだらな)展開だと信じてたのに…

キャラ出しすぎて関係性が全然つかめないぜ

ニコちゃあああん



再開します。

 * 戦闘海域 第一艦隊 *

霧島「敵艦発見! 右舷、1時の方向!」

大和「戦艦大和、推して参ります! 比叡さんは援護をお願いします!」

比叡「はいっ! 気合い、入れて! 援護します!」ドォン

カ級el1「敵戦艦ノ接近ヲ確認」

カ級el2「迎撃用意……バカナ、真上ヲ通ルツモリカ!」

大和「ええ、真上じゃないといけませんもの」
パメラ「ね~」

スローターファン <プカァ

カ級el1「? ナンダアレハ」

スローターファン <ギュオオオオオオオオ

カ級el2「ナ!? 引キ寄セラレル!?」

カ級el1「アノママ近ヅイタラ、刃物ガ……ギャアアア!?」ザクザクザクー

パメラ「どーぉ? 私のスローターファンは? 見とれてると、痛い目見ちゃうわよ?」

比叡「そして! 援護がそろそろ到着です!」

砲弾→メガロック <ヒュウウウウウウ…

 ズドバシャーーーーーーーー

カ級el1「」メシャッ

カ級el2「」グシャッ

パメラ「ちょっとぉ~、高く打ち上げすぎじゃな~い? 波がすごいんだけど」

ミルファ「でも、高ければ高いほどダメージ入るじゃないですか!」

比叡「気合い、入れ過ぎちゃいましたか?」

榛名「いいえ比叡お姉様! 良い波です!」ザァッ

ル級el1「!? クッ、舐メルナ、近ヅキスギダッ!」

コーネリア「馬鹿が……それが狙いだよ!」ガキンガキンガキン

ル級el2「艤装ガ変形シタ……!?」

コーネリア「ほらそこぉぉ!!」

ギルティランス< ジャキィィィィン!!

ル級el×2「グギャァァア!?」ドスドスドス

榛名「その槍の威力は身を以て確認済みです! そして、これがとどめ!」ドンドンドンッ

ル級el1「グアアアアッ!」

ル級el2「零距離砲撃ダト……ッ!」

武蔵「よし、あとはこの武蔵と、カトリーナに任せてもらおう!」ハンマートリダシ

カトリーナ「ぶっとばしてやるぜ! うりゃああ!!」

武蔵「むんっ!」ブォォォン!

ル級el1「」グシャッ

ル級el2「」ゴシャッ

リ級el1「オノレェッ!」ゴォッ

リ級el2「私タチガ沈メテヤルッ!」ゴォッ

金剛「Oh、近づきすぎると危ないデスヨー?」スイー

リ級el1「舐メルナアッ!」ジャキッ

金剛「舐めてなんかいまセーン」ニッ

キャロライン「イエース! 飾ってあげるヨ!」

ニードルフロア <ジャキィィイン

リ級el2「ギャアアア!?」ドスドスドスッ

リ級el1「ナゼ、海ニコンナモノガァァ!?」ザスザスザスッ

霧島「そう……侵入速度、角度、すべて計算通りです」

ルイゼット「せめて苦しまぬよう……神の裁きを!!」

ギロチン <ガラララララッ!

 ドザシュッ

泊地棲姫「……」

武蔵「……さて、そろそろ幕引きと行こうじゃないか、泊地棲姫!」

泊地棲姫「……オ前タチハ、ナニモノダ?」

泊地棲姫「……ソノ『チカラ』……イッタイ何ダトイウノダ」

大和「これは、提督の……仲間の力よ」

泊地棲姫「……仲間? 仲間ダト?」

泊地棲姫「……ダトシタラ、オマエタチハ本当ニ艦娘カ?」

比叡「どういう意味ですか!」

泊地棲姫「オマエタチノ『チカラ』ガ……ナゼ私タチニ似テイルノダ!?」

泊地棲姫「ナゼ、オマエタチガ『悪意』ヤ『苦悩』ヲ感ジ取ルコトガデキルカ、ト訊イテイル」

榛名「……?」

泊地棲姫「マア、イイ……私ガ望ムノハ、コノ鎮守府ノ提督ノ首ダ! ソイツノ艦娘ダトイウノナラ沈メ! ソシテ提督ヲ渡セ!」ジャキッ

ル級「待チナサイ」

泊地棲姫「! 現レタナ裏切リ者……!」

ル級「裏切ルモナニモ、最初カラ私タチハ繋ガリガ薄イデショウ? コンナトキダケ偉イ顔シナイデクレル?」

ル級「ソレニ、私、言ッタワヨネ? ココノ鎮守府ノ提督ハ、アナタノトコロニ出撃シテナイッテ」

霧島「彼女の言う通りです。あなたの塒を襲ったのは、別の鎮守府の艦娘です」

金剛「そして、そいつのお目当てが私の提督の命デース! つまり、あなたは利用されているのデスヨー!」

泊地棲姫「ソウカ……」

泊地棲姫「ダガ、ソノ首謀者モ……アノ島ニイルノダロウ?」ギラッ

金剛「!」

泊地棲姫「ドケ……イイヤ、全員、島ゴト沈ンデモラウゾ……」ゴゴゴゴ

武蔵「フ、交渉は決裂か!」

榛名「ここから先の、勝手は榛名が許しません!」

大和「提督……間に合いませんでしたか……!?」

霧島「もともと無理のあるプランです。ここは力ずくでおかえり願いましょう!!」

 * 北東の砂浜 *

チェルシー「キャプテーーン!」タタタタッ

提督「チェルシーか」

ニコ「どうだった?」

チェルシー「はぁ、はぁ……手筈通り、あいつらを東の浜に転がしてきました!」

チェルシー「もうすぐ大佐だけ、こっちに誘導されてくるはずです!」

提督「……もしかして、あれか?」

ゴウモンシャリン <ガラガラガラガラ…ガシャーーン

大佐「ぐあっ!」ドシャッ

チェルシー「うわっと!? もう来た!?」

大佐「げほ……ぺっ、ぺっ! くそ、なんてざまだ……!」

提督「ニコ、チェルシー、俺の後ろにいろ」

ニコ「うん」

チェルシー「は、はい!」

提督(しくじったな。大佐の場所と次の罠の場所が離れてる……どうやって誘導する?)

ニコ(ここからだと動かせないね。もう数歩、踏み込んでくれれば……!)

大佐「提督。そいつらはなんだ」

提督「……なんだ、とは?」

大佐「しらばっくれるな! そいつと! 浜にいた変な格好の女どもだ!」チャキッ

提督「拳銃……!」

大佐「そいつに案内されて雪玉に巻き込まれた!」

大佐「部下たちが落とし穴にはまったときも、ぬいぐるみみたいなふざけた女がいた!」

大佐「そいつらは何者だ! 答えろ!」

提督(あと、数歩……まだ遠い)

提督「……」ジリ

大佐「動くなあっ!」

 パンパンパンッ

提督「危ねえ!」ドンッ

ニコ「わっ!?」ドサッ

チェルシー「きゃっ!?」ドタッ


 * 指令室 *

龍驤「ええで、海の上はうちらが押してる。なんとか持ち堪えられそうや」

大淀「島の内部はどうですか!?」

鳥海「……司令部の背後でメディウムが大佐の部下2名との戦闘を終了……1名の死亡を確認」

大淀「もう1人は?」

鳥海「……泡に包まれて空に飛ばされました。現在高度七百メートル、なおも上昇中。そのまま風に煽られて島の海域を離脱します」

鳥海「たとえ海の上であろうと、あの高度から落ちれば即死するでしょう。かといって上昇し続けても行きつくところは同じです……」

龍驤「鳥海はお優しいやっちゃな、うちらを殺そうとした相手にも憐れみを覚えとん?」

鳥海「……ええ。敵なんです……同じ海軍なのに、なんでこんな馬鹿なことを」ハァ

大淀「本来なら共闘する相手です。自衛のためとはいえ、躊躇しないと言えば嘘になるでしょう」

大淀「ですが、これもこの鎮守府を守るためです。さ、鳥海さん、残りの敵影の捕捉をお願いします」

鳥海「は、はい! ええと……島の東部海岸線に大佐の部下2名の死亡を確認……」

鳥海「……」

鳥海「……え……」アオザメ

龍驤「鳥海? どないしたん?」

鳥海「北東部の海岸で……大佐が銃を……」

鳥海「司令官さんが……大佐に……」

鳥海「撃たれ、ました……!」

龍驤「……!」

大淀「な!?」

龍驤「あん……のアホ! 鳥海、座標寄越しや! 明石応答せえ!」

鳥海「ポイント483・227! 最寄りの艦娘は……千歳です!」

龍驤「千歳! ポイント483・227、北東の海岸や! 最大戦速!! 明石も行きや!! 速い艦は明石の航行後押しせえ!!」

大淀「私も急行します! ここからなら遠くありません!!」

龍驤「せやったら担架や! その鞄も持って行き!! 薬入っとる!」

大淀「はいっ! 大淀、出撃します!!」

鳥海「……司令官さん……!」ギュッ

龍驤「こうなったら、もううちらには祈ることしかできひん。頼むで……!」

 * 北東の砂浜 *

 ブシュゥッ

提督「ぐ、ぉ……!!」ドシャアッ

ニコ「魔神……様っ!?」ダッ

チェルシー「キャプテン! 嘘でしょ、しっかりして!!」ユサユサ

提督「……ごふ……!」ビチャビチャッ

チェルシー「ひ……!!」

ニコ「そん、な」

大佐「ふ、ふは、ははははは! 今、貴様に撃ったタマは、深海棲艦の死骸から作った銃弾だ!」

大佐「光栄に思え! 貴様が、この俺たちの研究成果に殺される、記念すべき第一号だ! ははははははは!!」

大佐「これを使えば、非力な人間でも、深海棲艦や艦娘に対して十分な殺傷力を期待できる!」

大佐「得体のしれない化け物どもに対抗できる! 俺たちに刃向う奴らを、何者であっても撃ち殺せるのだ!」

大佐「それを、よくも」チャキッ

ニコ「!」

チェルシー「ひっ!」

 カキン

大佐「……よくも……!!」カキンカキン

チェルシー(弾切れ……!)

大佐「よくも貴様なんぞに! 無駄弾を使わせてくれたなああ!!」クワッ

大佐「はー、はー……」

大佐「思い起こせば、貴様が如月を見つけて俺の鎮守府に連れてきたときからだ……あのころから、貴様は俺の邪魔ばかりしてくれたなあ!」

大佐「最初から……最初からこうしていれば良かったのだ。貴様のようにしぶとい奴は、とっとと始末しておけば……!」ザッ

ニコ「……くっ」

大佐「……小娘ども、そいつを置いていけ」ザッ

チェルシー「……こ、来ないで」ジリッ

大佐「そいつは絶対に許さん。殺しても殺し足りん! 頭を踏み砕いて、五体ばらばらにして、海にばら撒いてやる」ザッザッ

チェルシー「き、キャプテンに近寄らないで!」ガタガタ

大佐「ごちゃごちゃ言うな! そいつを渡せぇぇぇ!!」ダッ

 ギュム

チェルシー「だから来るなって言ったのよっ!!」

テツクマデ<バキィィン!!

大佐「あがっ……!?」メキッ

ミュゼ(よくもよくもご主人様を! 思いっきり引っ叩いてやりましたよ! こんなもんじゃ到底足りませんけど!)

大佐「な、なんでこんなところに、こんなもんが……!」バターン

チェルシー「ナイス、ミュゼ! ニコちゃんはキャプテンを頼むよ! 次はあたしだっ! 投錨っ!!」

大佐「く……ふ、ふざけやがっ……」ムクッ

スイングアンカー<ブォォォン!!

大佐「ぎゃあああああ!?」ガシッ

チェルシー(ちっ、刺さんなかったか! なんて運のいい奴! だけど……)

スイングアンカー< ポーイ

大佐「!?」ヒューン

大佐「ぐあっ!?」ドサッ

???「よくも」

大佐「……!?」ゾクッ

???「よくも、よくも」

大佐「だ、誰だ!」

???「よくも私の旦那様を!」

大佐「!?」

???「よくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくも!!」

チェルシー「次に控えてるのはチャペルなんだよね」ストンッ

ミュゼ「そいつへのお仕置きはケイティーに任せます。それよりもご主人様っ!」ダッ

クロエ「こ、これはどういうことですか!? ダンチョー、しっかり!!」

提督「……」

ケイティー「よくもぉぉぉ!!!」

チャペル <ズドォォオオオン!!

大佐「……っぎゃあああ……!?」

大佐「脚が! 俺の脚が……鐘の、下敷きにぃぃぃ!!」

ミュゼ「あーらら、左脚がちぎれて飛んできましたよ。これでもう逃げられないですね~」ザマァ

チェルシー「どうせならもっと派手に悲鳴をあげればいいのに。やっぱり中で反響してるからなあ」ザマァ

ケイティー「ふふふふふ……どうして、そんな醜くて無様な悲鳴をあげられるの?」

ケイティー「あなたが旦那様にした仕打ちに比べれば、些細なこと……いいえ」

ケイティー「私の旦那様を傷付けた罪、殺そうとした罪! 私は許さない! 私はあなたの所業を! 存在を! なにもかもを!」

ケイティー「絶対に、絶対に!」

ケイティー「絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に!」

ケイティー「絶っっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっ対に!」

ケイティー「 ゆ る さ な い わ 」

大佐「ち、くしょう……出せ、出せぇぇ……! こんなもの、邪魔だぁあ……!」

ケイティー「さ、リンメイさん、どうぞ?」

リンメイ「ワタシが直々に跳ね飛ばしたかったけど……仕方ないね! いくよケイティー!」

メガバズソー< ガランガランガランガラン……

チャペル☆メガバズソー< ガイィィィンンンン!!

大佐「~~~~~~~~!!!」キィーーーーン

大佐「あ、頭がぁ! 耳がぁぁぁ!!」ブシャッ

ケイティー「ふふふふ、うふふふふふふ! まだよ! もっともっと苦しみなさい!」

ケイティー「脚一本がなによ! 鼓膜が破けた程度でなによ!! 心臓と頭以外、全部破裂してしまえば良いのよ……!!」

ケイティー「ただの脳みそと心臓だけの存在になって、死ぬより長く苦しみ続けてしまえばいいわ
!!」

ニコ「チャペル、そこまでだよ。そいつを始末するのは君じゃない」

ケイティー「……あら、ニコ様。あなたはこの男をこの程度で許すんですか?」ヒュンッ

ニコ「許さない。だからこそ、この場では殺さない。魔神様の指示通りに始末する。いいね?」

ニコ「スプリングフロア」

スプリングフロア< バインッ!

大佐「ぎゃああ!!」ビョイーン!

ニコ「さ、生きて地獄に行ってもらう時間だよ。泊地棲姫のところまで、案内してあげよう。ヒューマンキャノン」

ヒューマンキャノン< ズオッ

大佐「ひ!? な、なんだこいつは!!」スッポリ

ヴィクトリカ「何って、大砲じゃないか。弾はお前だけどな?」

大佐「や、やめろ! 俺は怪我をしてるんだぞ!? 病院、いや、医者を呼べ! 医者を……!」

ケイティー「あらあら、重症ですわ。こんな状況で医者ですって。後は棺桶に入るだけなのに」

ニコ「優しいねケイティーは。棺桶なんて上等なもの、こいつには相応しくないよ」

クロエ「それでは、お薬代わりにこちらをどうぞ!」ポイッ

大佐「!? な、なんだこいつは」ガシッ

クロエ「あなたの部下が持ってきた爆弾ですよ? 冥途の土産にお持ち帰り下さい!」

ヴィクトリカ「さあ、この島から出て逝きな!!」

大佐「ひ、やめ」

ニコ「愚かな人間に、恐怖と、苦痛と、絶望を」

ヴィクトリカ「発っ射ぁあ!」

ヒューマンキャノン< ドゴォォォォンン!!

大佐「ぎゃあああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…………!!」ギューーーーン

 ドォォォ……ン

ニコ「これで、ぼくたちの仕事は終わり……だけど」

ニコ「魔神様……!」

提督「ニ、コ……やっ、たか……?」ドクドク…

ニコ「うん……やったよ、魔神様の、望みどおりに……!」

提督「……そ、うか……ざま、あ、みやがれ、ってん……だ……くそが……!」

ニコ「ミュゼ、魔神様の様子は!?」

ミュゼ「鉄のような弾で撃たれてます……弾は3発。額を掠めたのが一発、お腹を貫通していったのが一発……」

ミュゼ「もう一発は、右の胸に……!」

ニコ「そんな」

提督「……、……」ゼヒュー ゼヒュー

ケイティー「嘘でしょ……ミュゼ、何かの間違いでしょう?」

ミュゼ「……」グスッ

ケイティー「早くフローラを呼ぶのよ……ああ、嘘、嘘よ……はぁ、はぁ、嘘よ嘘よ……あぁぁ」クラッ ドサッ

ヴィクトリカ「うお!? ケイティーしっかりしろ!」

リンメイ「ここから魔力槽まで運ぶにしても、遠すぎよ……なんとかならないの!!」

ヴィクトリカ「くそ、やっぱり反対すりゃ良かったんだ! キャプテン自ら囮になるなんていう作戦!!」

ニコ「それは駄目だよ。魔神様が、そうしないといけないって言ったんだから」

ヴィクトリカ「わかってる! ……わかってる、けどよぉ」

ニコ「魔神様……まだ、出会って数日しか経ってないじゃないか」

ニコ「ぼくたちは、君と共に過ごせる日を、何十年も待っていたんだよ」

ニコ「それなのに、またぼくたちに復活の時まで待てと言うの? そんなの、ないよ……! 魔神様……!」

提督「……」ゲフッ

チェルシー「なんで……せっかく海のある場所で魔神様と一緒に過ごせると思ったのに!」

チェルシー「艦娘とも、知り合えたばかりでお別れじゃ……」ポロポロ

ニコ「そうだよ。みんな、君を待っているんだよ……」

提督「……」ゼェ ゼェ

提督「」ス…ゥ

ニコ「魔神様……?」

ミュゼ「う、うそでしょ……?」

ニコ「魔神様ーーーーーーーーーー!!」

今回はここまで。

>>329
書きたいシチュエーションが多すぎてキャラが増えて
ぐだぐだになってしまったのは、我ながらまずかったなあ、と。
でも書かせて戴きました。




次回、 怨嗟。

続きです。

 * 戦闘海域 第一艦隊 *

 ヒュゥゥゥゥウウウウウウ…

金剛「?」

 バシャアァァアアアン!

泊地棲姫「ナンダ!?」

武蔵「島からなにか飛んできたぞ!?」

 ドカァァァァァン!

榛名「こ、今度はなんですか!?」

霧島「爆弾でも撃ったんでしょうか……」

ル級「アレハ……」ザァッ

比叡「えっ、ちょっと、どこ行くんですか!?」

霧島「! あの水しぶき……!」キッ

大和「まさか」

ル級「面白イモン、見ツケタヨ」グイ

大佐「ひ、ひぃい!?」ザバァ

ル級「オイ、オ前ハドウシテココニイル? 言エ」

大佐「お、おい! 大和! 早く助けてくれ!」

ル級「無視カ、イイ度胸ダ」ジャキ

大佐「ひっ、お、俺は、ば、爆弾を持たされてここまで飛ばされたんだ! 爆弾が手からすっぽ抜けて助かったんだ! 被害者だぞ!」

ル級「被害者? 面白イコトヲ言ウワネ」

泊地棲姫「寄越セ」グイ

大佐「ひぃいぃいい!?」

泊地棲姫「貴様カ? 私ノ塒ヲ攻撃シタノハ」

大佐「違う! 違う違う、ここここいつらだ! こいつらの提督だ!!」

泊地棲姫「本当カ?」ジロ

大和武蔵金剛比叡榛名霧島「……」ゴゴゴゴゴゴ

泊地棲姫「!?」ビク

大佐「!?」ビクッ

ル級「チョッ、チョットドウシタノ、アナタタチ!?」

武蔵「たった今、最悪の報せが入った」

武蔵「我らの提督が殺された」

ル級「ナンデスッテ……!?」

武蔵「その男に、な」ギロッ

大佐「ひ、ひぃいいいいい!」ビクビクッ

泊地棲姫「!?」ゾクッ

泊地棲姫(ナ、ナンダコノ悪寒ハ! コノ私ガ、恐怖シテイルダト!?)


 * 北東の砂浜 *

千歳「提督!」

フローラ「魔神様!」シュッ

大淀「提督!!」

ニコ「……」

ソニア「うわぁぁん、千歳お姉ちゃあああん!」ダキツキッ

千歳「ちょ、ちょっと!? ふ、フローラ、大淀、急いで!」

大淀「はいっ!」ダッ

フローラ「魔神様……」

大淀「……」

フローラ「……」フルフル

大淀「……」

千歳「……」

フローラ「……」グスッ

大淀「……」ポロ

千歳「……ちょっと、どうして泣いてるのよ二人とも」

大淀「脈が、とれないと……」ポロ

千歳「……」

大淀「……」ポロポロポロ

ヴィクトリカ「ああ、千歳さんか。丁度いいや、酒、持ってないか?」

千歳「……持ってきてるわけないじゃない、何言ってるのよこんなときに」

ヴィクトリカ「……呑まねえとやってられねえんだ。頼むよ」

千歳「どうせ呑んでもおいしくなんかないでしょ。そういうお酒、私はすすめたくないの」

千歳「それに、まだ敵が残っているのよ。ヤケ酒煽って戦える相手じゃないでしょう」

ヴィクトリカ「……まだ、やる気なのかい?」

千歳「私はこの人の部下の艦娘よ。これ以上あいつらに、提督と一緒に過ごしたこの島を、好きにさせるのは我慢できないわ」

ヴィクトリカ「……ハハ、あんたは強えなあ……しゃあねえ、もうひと暴れしてやるか」

千歳「……?」

千歳「……ねえ、フローラ?」

フローラ「は、はい!?」

千歳「それ、なにかしら……ほら、提督の胸で光ってるそれ」

フローラ「? これは……」

大淀「……?」グス

ミュゼ「丁度ご主人様が撃たれたところでは……?」

チェルシー「もしかして、弾が光ってる!?」

ニコ「どういうこと……?」

 ゾワ

ニコ「魔力の……奔流!?」

 メキッ

ニコ「魔神様の体から……魔力が!? 何かが、魔神様を包んでる……!?」

ヴィクトリカ「なんだこれ……鎧みたいだぞ?」

大淀「これは……深海棲艦の外装!?」

 メキメキ…パキメキパキパキパキッ

リンメイ「これ、どゆことよ! 師父、生き返るか!?」

ミュゼ「生き返るって感じじゃないですよ!? むしろ深海棲艦に……!?」

ソニア「そんな、魔神様は深海棲艦になっちゃうの!?」

千歳「……いったい、どうなってしまうの」ヘタッ

提督?「……」ムクリ

提督?「…………」キョロ キョロ…

提督?「……」ギロリ

 * 戦闘海域 第一艦隊 *

古鷹「第三艦隊、ただいま合流しました!」

五十鈴「千歳さんは島に帰還してるけど、第六艦隊4隻も合流。他の艦隊もじきにここへ集まるわ……!」

那智「第七艦隊も合流だ……!」


泊地棲姫「ナンダ……! コノ不穏ナ空気ハナンダ……!」ピリピリッ

泊地棲姫「艦娘ドモカラ……マルデ姫級ヤ、ソレ以上ノ気配ヲ感ジルノハ、ナゼダ……!」


 ザザザザァァァァ……!

泊地棲姫「コ、今度ハナンダ!? ナンノ音ダ!?」

 チリチリチリッ

泊地棲姫「! リ級カラノ通信……!?」

リ級fl『姫様! 多数ノ深海棲艦ガ、艦娘ニ怯エテ逃ゲ出シテイマス!』

泊地棲姫「!?」

リ級fl『艦娘ガ只事デハナイ殺気ヲハナッテイテ……皆浮キ足立ッテイマス!』

リ級fl『……統制ガ取ズ、戦線ヲ保テマセン! 私タチモ撤退シマス! 姫様モ早ク!!』

泊地棲姫「!?!?」

泊地棲姫(トイウコトハ、サッキノ音ハ撤退スル深海棲艦ノ波ノ音、トイウコトカ!?)

泊地棲姫「……撤、退」キョロ

 ジーッ(泊地棲姫と大佐の周りを取り囲み、黒いオーラを放つ艦娘たち40隻)

大佐「」ガタガタガタガタ

泊地棲姫「ヒィィィィ!!?」ビクーーーッ

武蔵「……なあ、泊地棲姫よ」ニコヤカー

泊地棲姫「ナ、ナンダ!?」ビクッ

大佐「」ビクビクビク

武蔵「実はな? 我々は、その男を貴様の好きにさせるつもりだったのだ」

霧島「その人があなたがたに喧嘩を吹っ掛けた張本人です。なので、彼自身に落とし前をつけてもらうつもりでした」

大和「ですが、私たちも気が変わりました。『それ』を、こちらへお渡しください」

大佐「そ、そうだ大和、お前は提督の下にいるより俺の部下に」


大和「黙れや、くそが」ギロッ


大佐「」チビリ

泊地棲姫「」

摩耶(うは、おっかねえ)

武蔵(大和は相変わらず提督のまねが上手だなあ)

不知火(この艦隊はブチ切れると司令そっくりになる人が多すぎます)

大和「私は提督の艦娘です。その提督を殺した輩を、私が許すわけがないでしょう?」

大和&パメラ「だから、私たちが、八つ裂きにして差し上げます」

摩耶&クリスティーナ「その前にぶっ飛ばしてやるよ」

最上&エミル「僕もぶっとばしてあげたいね」

金剛&キャロライン「私もブッ刺してあげマース」

如月&ナンシー「サンドイッチにしましょうよ金剛さん」

朝雲&ヴェロニカ「その前に磔刑よ」

伊8&ミーシャ「逆さづりにして」

川内&オボロ「引き裂いて」

榛名&コーネリア「串刺しにして」

隼鷹&ブリジット「蜂の巣にして」

吹雪&イブキ「火あぶりにして」

島風&リサーナ「真っ二つにして」

霧島&ルイゼット「最後は首を切り落としてあげましょう」

不知火&ディニエイル「それとも氷漬けにして粉々に砕いてあげましょうか」

那珂&アカネ「それとも木端微塵にしてあげようか?」

比叡&ミルファ「それともすり潰してミンチにしましょうか」

朧&シルヴィア「そのまま鮫の餌にしてあげてもいいですよ?」

那智「いいなあ、メディウムを載せてもらったメンバーは……」

五月雨「私たちにも、敵をとらせてください……!」

陸奥「当然よ……全員で、やりましょ?」ニコー

大佐「」ガタガタガタ

泊地棲姫「」シロメ

泊地棲姫「オ、オ、オイ、ル級、ナントカ……ッ!?」

ル級→ル級elite「……」

泊地棲姫(ナンカパワーアップシテルー!?)ビクーッ

泊地棲姫「オ、オイ、ル級、オマエ、アノ提督ヲ、ソンナニ気ニ入ッテイタノカ!?」

ル級el「……ソウ、ネ。アノ提督ハ、敵デアル人間ナノニ、私ノ苦悩ヲ理解シヨウト話ヲ聞イテクレタ」

ル級el「単純ニ、ウレシカッタワ、彼ノ存在ガ」

ル級el「ソウイウ、私ガ信ジヨウトシテイタ人間ヲ、別ノ人間ノツマラナイ理由デ殺サレテ……」ハイライトオフ

ル級el「マア、怒ラナイワケガ、ナイワヨネ?」ゴゴゴゴゴゴ

泊地棲姫「」シロメ

泊地棲姫(ナンナノコノ鎮守府……モウ帰リタイ)グスン

泊地棲姫(私ノ宝物ヲ壊サレタノハ癪ダケド……場ヲ離脱スルシカナイワ)

???「おい、お前ら何やってんだ」

艦娘たち「「「えっ?」」」クルリ

泊地棲姫「ダ、誰ダ!?」

白露「え!? 深海棲艦じゃないの!?」

深海棲艦?「ったく、揃いも揃って死んだ魚みたいな目をしやがって……」

川内「あれ? ……なんだろこの懐かしい感じ」

暁「暁もよく知ってる気が……ね、ねえ、ル級さん知ってる人?」

ル級el「知ラナイワ……確カニ同族ッポイケド、微妙ニ違ウワヨ。ツノノカタチトカ」

金剛「もしや、その声は……テートク……?」

古鷹「……ま、まさか……で、でも、水上に立ってますし」

深海棲艦?「まあ、見た目がだいぶ変わっちまってるからなあ……魔物だよこれじゃあ」

如月「や、やっぱりその声、提督よ!?」

ナンシー「あ~! もしかして~!」

メディウムたち「「「魔神様!?」」」

深海棲艦?→魔神提督「あ? ああ、これがマジンってのか。ツノやらキバやらついてて変な感じなんだが」

キャロライン「ダーリン、人間から魔神に転職しタノ!?」キャー!

比叡「それ、転職って言いませんよ!? っていうか、人間やめちゃったんですか提督!?」パニック

イブキ「ってえか、これ、深海棲艦も混ざってないか!?」

ニコをおんぶした長門「お前たち、無事か!」ザァァァァァ

ニコ「魔神様! 動いて大丈夫なの!?」

加古「なあなあ、こいつはいったいどういうことなんだ?」

長門「私が聞きたい! 提督が撃たれたと聞いて急いで駆け付けたら、こんな姿になって海の上を滑走して行ったんだぞ!?」

ニコ「とにかく、魔神様は確かに撃たれて一度死んだんだ。でも、それでなぜか魔神様として生き返ったんだよ」

陸奥「魔神って海の上に立っていられるものなの?」

ニーナ「いえ、そういう話は聞いたことがありません……」

ニコ「それがどうも、伝承に伝わる魔神様の姿に深海棲艦の要素も混ざってるみたいなんだ」

ディニエイル「そうですね……羊の角や鋭い犬歯は伝承にあるとおりです」

摩耶「そこに深海棲艦のガワが張り付いたって感じか?」

ル級el「言ワレテミレバ、チ級カヘ級ミタイナ外殻ネ」

魔神提督「多分、これの影響だな」ウワギヌギヌギ

那珂「きゃっ!」メカクシ

陸奥「ちょっと!?」メカクシ

榛名「きゃあ……っ!」メカクシ チラッ

金剛「Oh……ハッ、キャー!」メカクシ チラッ

島風「金剛さん恥ずかしがるのおっそーい!」

ニコ「ちょっと長門、早く魔神様の正面に回ってよ」

長門「えっ、ち、ちょっと待ってくれ」カオマッカ

ヴェロニカ「朝雲、あなたもよ。早くなさい」

オボロ「せ、川内殿、実はそれがしも少し興味が……」

摩耶「よーしよし、お前らちょっと下がってろ。ここはアタシが前に出るから」ドキドキ

パメラ「こらこら、あなたたちお触り禁止よー?」

ルイゼット「むしろみなさんあとでお説教ですからね」ギロリ

武蔵「ったく、相棒、脱ぐときは脱ぐと言ってくれ、恥ずかしいぞ」カァ

ミルファ「えっ」

カトリーナ「マジで?」

武蔵「なんだその反応は」ムス

リサーナ(もしかしてお子様しかいないのこの鎮守府!?)

暁「お、お子様ゆーな!」

神通(暁ちゃんが心を読んでる!?)

ゼシール(お前も読むなよ……)

泊地棲姫(ナニコノ疎外感)

大佐「俺がこんななのに、何をいちゃついてんだよこいつら……」ヒソッ

全員「「あぁ!?」」ギロリ

大佐「」

泊地棲姫(雉モ鳴カズバ撃タレマイニ……)

ノイルース「それより魔神様、その右胸のそれ……!」

吹雪「銃弾じゃないですか!? 胸にめり込んでますよ!?」

魔神提督「おう、こいつで撃たれて一遍死んだんだ」

ディニエイル「さらっと言うなよ死んだとか……」

魔神提督「まあこうやって外に押し出されてるし、すぐ取れるだろうから心配すんな」

ル級el「! ソノ銃弾、モシカシテ……!」

魔神提督「そこにいる大佐が、深海棲艦の遺骸から作ったらしい」

泊地棲姫「ナンダト……?」ギリッ

ル級elite→ル級flagship「ヘエ……!」ギロリ

大佐「」

利根「またル級がパワーアップしておる……」

那珂「こういう理由でパワーアップしちゃうの、那珂ちゃんは感心しないなー」

魔神提督「まったくだ。深海棲艦の勢力が衰えないのは、大佐みたいな人間が原因じゃねーかと思っちまうわ」

魔神提督「まあとにかく、この弾丸のおかげで深海棲艦の力も借りられたみたいで、海上を航行できた。いい経験だ」

魔神提督「で、泊地棲姫に攻撃を仕掛けたのは俺を殺すためだが、ついでにこの弾丸が艦娘やお前らに通用するか試す気だったんだろうな」

泊地棲姫「貴様ァ……ソンナコトノタメニ、私タチヲ……!」ギリギリギリ

大佐「グェェェェ!」タップタップ

魔神提督「おお、待て待て、気持ちはわかるがそいつにはまだ利用価値がある」スッ

泊地棲姫「!」ビク

魔神提督「泊地棲姫……だったな? 悪いな、こんなくだらねえ茶番に巻き込んじまって」

魔神提督「お前の軍勢はすべて撤退した。俺たちとしちゃあ、これ以上戦う理由はない。こいつは好きにしていいから、お前も引き揚げて欲しい」

魔神提督「成り行き上、お前んとこの艦も結構沈めちまったけど、そっちも艦娘沈めてるし、これはお互い様ってことでお手打ちにしようぜ」

泊地棲姫「」コクコク

魔神提督「そうか、ありがたい。応じてもらえると助かる」ニッ

泊地棲姫「」

魔神提督「さて、大佐? 殺した相手が化け物になって戻ってきたが、気分はどうだい?」ニタァ

大佐「」ビクッ

魔神提督「見な。さっきちぎれたお前の左足だ。こいつをな……神通!」

神通「はい」

魔神提督「号令かけろ」

神通「! ……了解しました。全艦隊整列! 全砲門、撃ち方用意!」

艦娘「」ザザザザッ ジャキジャキジャキッ

魔神提督「よし」ポーイ

神通「……撃て!!」


 ズドドドドドガドガドガドンドンドンバリバリバリバリドカーーン!!


ル級fl(……オーバーキル、ダワ)アゼン

魔神提督「神通、ご苦労」

神通「……はっ」ケイレイ

魔神提督「さて大佐。本来ならお前があの足になってたわけだが……まあ、俺たちの分はあれで勘弁してやるぜ」

大佐「」ガタガタガタ

魔神提督「で、今度は深海棲艦の分。ほれ、口開けろ」グイ

大佐「!?」ガパ

魔神提督「こいつを、飲み込め」ズプ ポイッ

大佐「!?」ゴクン

雲龍「あなたの体に埋まってた深海棲艦の弾丸を飲み込ませて、どうするの?」

魔神提督「さっきの銃弾、まだ生きてるみたいなんだよ。正確には、俺と一緒に蘇った、っつうかな。俺もこいつも無念だったしさ、共鳴したせい……じゃねえかな?」

魔神提督「ただ、弱った俺の体じゃ完全には復活できねえ。そういうわけで、大佐の体を餌にして育ってもらおうって話だ」

魔神提督「そいつは体を内側からちょっとずつ食って成長する。何日、何か月かかるかわからねえが、それまで死んだり発狂したりせずに、きちんと面倒みろよ?」ニタァ

大佐「」チーン

ル級fl「ネエ、ソンナコトシタラ、泊地棲姫ハコイツヲ殺セナインジャナイノ?」

魔神提督「死んだら死んだで死骸を食って再生するだろ、死なせてもいいさ。どうせならいたぶってから殺してほしいもんだが」ニッ

ル級fl「ソレモソウネエ」ニッ

初春「そ、それより提督、弾を抜いた後の傷口から出血が止まっておらぬぞ!?」

魔神提督「ん? ああ……そういえば、さっきまでそいつと命を分け合ってる状態だったんだな」シュウウ ボロボロボロッ

榛名「提督!? 外殻やツノが崩れて粉々になってますよ!?」

魔神提督→提督「時間切れか……まずいな、そのあとのことを、考え、て、なか……」グラッ

大和「危ない!」ガシッ

コーネリア「まずいぞ! 魔神様が人間に戻っちまった!!」

霧島「大和さんは救護室へ急いで! 私は本部に連絡します!」

大和「はいっ!!」ゴォォォォ!!

長門「大和! 浜に明石と大淀がいる! 応急処置の医療鞄もある! まずはそこへ連れていけ!」

ニコ「魔神様、しっかりして!」

三隈「私たちも行きましょう……あら、モガミン?」

最上「……ねえ、ル級?」

ル級fl「アラ、ナァニ?」

最上「僕たちのこと、心配してくれてたんだね。ありがとう」

ル級fl「私ハ……提督ガ気ニナッタダケヨ」プイ

最上「それで十分だよ」ニコ

三隈「また、一緒にお茶にしましょうね」ニコリ

最上「よし、それじゃ鎮守府に急ごう」ザァッ

三隈「提督、大事ないと良いのですけれど」ザァッ

ル級fl「……フゥ」

ル級fl「……姫?」

泊地棲姫「」ポケー

ル級fl「……オーイ、姫~?」フリフリ

泊地棲姫「」ポケー

ル級fl「……泊地棲姫サ~ン?」ペタペタ

泊地棲姫「」ポケー

ル級fl「……ヨッポド怖カッタノカシラ」タラリ

大佐「グギグゲオゴゲゴゲ」ビキビキビキ

ル級fl「……オマエ、ウルサイ」ゲシッ

今回はここまで。


次回、 帰還。

書きためていた分がなくなったので、
スローペースになります。

では、続きです。

 * 島の北東、砂浜の沖合 *

大淀「提督! 大和さん! はやくこっちへ!」

大和「大淀さん!? 山城さんに千歳さんも!?」

千歳「はやく、提督をこちらの船に!」

蒼龍(船の上)「こっち! こっちだよー!」

長門「こ、この船は!?」

大淀「医療船です。最寄りの鎮守府のX中佐が蒼龍さんの要請で派遣してくださったんですよ」

千歳「私も提督についていくわ、あと二人ほど応援が欲しいんだけど」

如月「それなら私が!」

大和「私も行きます!」

山城「駄目よ。不知火、初春! あなたたちが行きなさい!」

如月「ど、どうして!?」

山城「あなたたちが行っても、ただ心配してやきもきするだけでしょ。辛抱強い不知火や初春の方が適任だわ」

大和「そう、ですね……私も、むこうでお役にたてるかと言えば、そんなことはありません、か」シュン

山城「それに、如月。この島の睦月型はあなただけよ。弥生のそばにいてあげて」

如月「! は、はいっ!」

武蔵「よし、決まりだ。不知火と初春に任せよう。いいな?」

不知火「承知しました」

初春「うむ、任せよ!」

千歳「さあ、提督を担架に!」

大淀「加賀さんたちはどうなさいますか?」

加賀「私は残るわ。赤城さんが心配だから……」

瑞鶴「私も。加賀さんも心配だもん」

速吸「わ、私も残ってお手伝いします!」

大鳳「では、私は蒼龍さんと一緒に行ってきます」

ヒサメ「ふむ、それならば……」ポンッ

ディニエイル「この島を出るのでしたら、私たちは降りたほうが良さそうですね」シュンッ

加賀瑞鶴速吸大鳳「!?!?」

大鳳「ぎ、艤装から人が!?」

ヒサメ「では初春よ、しばしの別れじゃ」ポーン

ディニエイル「魔神様をお願いしますよ、ミス不知火」バッ

瑞鶴「わわっ、こっちに跳んできた!?」

ディニエイル「失礼ですが、陸の上まで載せていただきたく」

ヒサメ「ちいと邪魔させてもらおうぞ?」

瑞鶴「キャッ!?」シュインッ

加賀「え……!?」ポフン

瑞鶴「な、なに!? いまのエルフみたいな人、私の艤装にはいっちゃったの!?」

 ピキッパキパキパキッ

速吸「ず、瑞鶴さん! 弓が!」

瑞鶴「弓が氷に覆われてく……なにこれ、綺麗な装飾……!」

ニコ「驚いたな……能力そのものの相性がいいみたい」

ディニエイル「得物が同じ弓ですから、能力の具現がしやすいようですね」シュンッ

瑞鶴「なにこれ、あなたの能力!?」

ディニエイル「はい。一緒に戦う機会を逃したのは残念です」

加賀「……ということは、私も……?」

ヒサメ「……つい」

加賀「?」

ヒサメ(着物が溶けてほぼ全裸)「あああ、あついのじゃああああ!!」ズボザバーーー

速吸「甲板からびしょ濡れの裸の女性が!?」カァァ

加賀「」コオリノトケタミズザバーーー

ヒサメ「熱うて耐えられぬ、溶けてしまいそうじゃあ! 誰ぞ! ほかの船に移らせてたも!!」ピョーン

山城「わ、私!?」ポフンッ

加賀「……」ビッショリ

速吸「か、加賀さん……」

加賀「瑞鶴。これは一体どういうことかしら」ギロリ

瑞鶴「ちょっ、これは私のせいじゃないでしょ!?」

武蔵「加賀は排熱が悪くて体温高めだからな」

ノイルース「私が乗れば良かったんでしょうか」

イブキ「それかあたしか、ウーナかな」

山城「さ、寒っ!? ぎ、艤装に霜が!? ううう、不幸だわ……!」ガタガタガタ

朧「初春は寒いの平気なんだよね」

吹雪「私、イブキちゃんで良かったかも……」

短いですが、今回はここまで。

次回、 提督代理。

続きです。

 * 数日後、墓場島鎮守府 執務室 *

長門「第二艦隊、旗艦長門、ただ今演習より帰投した。こちらが報告書だ」

赤城「はい、お疲れ様でした。では駆逐艦の子から順に入渠と補給を受けてください」


霞「第三艦隊、遠征から帰還よ!」

潮「資材やバケツはドックに保管してきました」

赤城「はい、ありがとうございます。第二艦隊が戻ってきたばかりですので、一緒に補給を受けてください」ニコ


霧島「赤城さん、明石から今月の資材と食料の使用予測を出してもらいました」

大淀「資材は使いすぎないレベルでの数値にしましたが、何分大所帯になりましたので、食料に関してはご都合いただけると幸いです」

赤城「ええ、ではそちらを考慮して、本営に申請書を提出しておきますね」


タチアナ「失礼いたします。島の地質調査の結果をまとめてまいりました」

ミュゼ「まだまだ未開の地がありますが、極力手を付けない方向で進めてみました!」

マルヤッタ「墓地と農地と花壇の割合も見て欲しいじょ!」

赤城「ありがとうございます。区画整理は明日の打ち合わせで検討しましょう」

チェルシー「副キャップテーン!」

アーニャ「見て見てー! 大っきい魚釣れたよー!」

赤城「マグロですか! 上々ね!」キラキラキラッ

ミーシャ「食堂に置いてきます」ニコー

赤城「お昼ご飯、楽しみにしてますね」ニコニコ


ニコ「お邪魔するよ、赤城」

赤城「あら、ニコさんどうしました?」

ニコ「そろそろ魔神様が戻ってくる時間だから、ここで待たせてもらおうと思ったんだ」

赤城「魔神様……提督のことですね。ええ、1030、もうすぐ到着予定です」

ニコ「この部屋の主だっていうのに、他人にまかせてお休みしてるんだもの、お姉ちゃんが叱ってあげないと」

赤城「ええ、たっぷり説教してあげてください」ニコニコ


初雪「失礼しまーす」ガチャリ

武蔵「赤城提督代理、疲れていないか?」

赤城「お気遣いありがとうございます。私は大丈夫ですよ」

吹雪「お茶とお団子持ってきました! ニコさんもどうぞ!」

ニコ「ぼくにも? ありがとう、吹雪」

赤城「ありがとうございます! 加賀さん、お茶だそうですよ」

加賀「やりました」ギュウ

吹雪「……加賀さん、いつまで赤城さんの腰にしがみついてるんですか」

加賀「ここは譲れません」スリスリ

吹雪「まるで提督と金剛さんみたいですね」

初雪「どちらかというと多摩さん……」

武蔵「よっぽど赤城に甘えたかったんだな」

ニコ「魔神様もこのくらいぼくに甘えてくれると嬉しいんだけど」ズズ

吹雪「とても想像できませんね」クスッ

初雪「加賀さん次は『さすがに気分が高揚します』って言うと思う」

加賀「さすがに気分が高揚します……ハッ!?」

初雪「」ドドドドドド

加賀「」ゴゴゴゴゴゴ

赤城「はい、加賀さん、ジョジョごっこはその辺にして。お団子ですよ、はい、あーん」

加賀「あーん」パク

赤城「よくできました」ナデナデ

加賀「///」モグモグ

初雪「軽くあしらわれた……」ズーン

吹雪「……っていうか、加賀さんってこういう方でしたっけ?」

ニコ(ぼくはああいう風にならないようにしよう)

不知火「なんというか、見てはいけないものを見てしまった気がします」シロメ

武蔵「不知火!? 戻ってきたのか!」

不知火「はっ、戻ってきました。私の意識が!」

赤城「あら、不知火さんおかえりなさい。ということは、少尉も戻ってきたのですね?」

不知火「はい、戻ってきましたが……それよりも加賀さんのそのお姿のほうが不知火には衝撃です」

武蔵「待て、赤城。今、少尉と言ったか?」

赤城「はい。提督はこのたび昇進したはずですよ」

扉 <ガチャバーン!

朝潮「司令官が昇進したと聞きました!」

ブリジット「叙勲でありますか!?」

ヴィクトリカ「野郎ども! ファンファーレをならせぇぇ!」

隼鷹「ヒャッハーーー! 祝い酒だぁぁぁぁ!!」

エレノア「祝杯でもいただけるのかしら!」

赤城「お祭り騒ぎもかまいませんが、提督は忙しくなりますよ?」ニコー

吹雪(赤城さん全然動じない……!)

武蔵(頼もしい限りだ)

ニコ(今までの苦労がしのばれるね)

赤城「ところで不知火さん、提督少尉はあなたと一緒ではなかったのですか?」

不知火「いえ、一緒だったのですが先程捕まりまして……」

赤城「は? 捕まった?」

提督「悪い、待たせた」ガチャリ

如月「」ミギウデシガミツキー

大和「」ヒダリウデシガミツキー

金剛「」セナカダキツキー

キャロライン「」カタグルマー

提督「ちょっと身動きがとりづらくてな」ズリズリ

赤城「ああ、そういう意味でしたか。てっきり憲兵さんが来たのかと」

提督「確かにこの格好じゃあ呼ばれても仕方ねえな」

朝潮「これも司令官の人徳の賜物です! 私も抱き着いてよろしいでしょうか! ありがとうございます!」ガシーッ

ブリジット「朝潮殿! まだ司令官の許可を得てないであります!?」

提督「ますます動けねえ」ガッチリ

ニコ「ぼくのポジションがない……」

武蔵「お前たち……」

初雪「六神合体フルアーマー提督……」ボソ

金剛朝潮如月大和「合体!?///」

提督「そこに反応すんな」

キャロライン「ダーリン? 合体がどうかしたノ?」キョトン

提督「なんでもねえ」

エレノア「ああ、それはねえ、男と女が」

提督「説明すんな!」

吹雪「フル装備の司令官を見ちゃうと、加賀さんがまだかわいく見えますね」

加賀「そんなに褒めないでください」ポ

不知火「褒めていません」シロメ

???「まったく、すごいね提督の歓迎ぶりは」

赤城「X中佐!?」

X中佐(以下中佐)「や。赤城、火傷はもう大丈夫そうだね」

赤城「中佐、先日は蒼龍がご迷惑をおかけしました」ペコリ

中佐「いやいや、結果的に提督を助けられて良かったよ。万一のことを考えて医療船で来たのも僕にしちゃあナイスアイデアだったしね」

中佐「さて不知火、護衛ご苦労様。初春もそうだけど、みんなからの電話は大変だったろう?」

不知火「いえ。お心遣い感謝いたします」

武蔵「今思えば適任だったな。不知火はよく中将の本営に行っていたし、初春は提督の出張時の補佐をよくしていた」

吹雪「山城さんも意外と人をよく見てますからね」

赤城「ところで、初春さんはどうしたんです?」

不知火「それが……」

 * 回想、提督入院中の鎮守府 *

 RRRR... RRRR...

通信(初春)『もしもし……』

白露「初春ちゃん!? 司令官の具合は!? 治った!? 目を覚ました!?」

通信『のう……白露よ。誰かしら一時間おきに電話をかけてくるのは、なんとかならんかのう。おぬしからも言うてもらえんか』

白露「でもみんな心配してるんだよ!」

通信『じゃから、提督が目覚めたら連絡すると最初から言うておろうが……』

白露「このままだと金剛さんが倒れちゃうよ! さびしいからって誰彼かまわず抱き着いてるんだよ!」

白露「この前は赤城さんに抱き着いて加賀さんが嫉妬していじけちゃうし!」

白露「その前は霧島さんに抱き着いて比叡さんが嫉妬していじけちゃうし!」

白露「その前は龍驤さんに抱き着いて雲龍さんが嫉妬していじけちゃうし!」

通信『面倒くさい連中ばっかりじゃのう!』

白露「あと、サムさんに抱き着いて若葉ちゃんが嫉妬していじけちゃってた!」

通信『若葉ああああ!』

白露「利根さんに抱き着こうとしたらバキュームフロアからライジングフロア、とどめのスマッシュフロアでふっとばされてたし」

通信『そういうことにメディウムを巻き込むのはどうかと思うのじゃが?』

白露「潮ちゃんに抱き着こうとしたらタライが降ってきてアゴニーマスクが降ってきて最後に長門さんが降ってきたの」

通信『長門は何をしておるんじゃ!?』

白露「ほかにもイーファちゃんとかイサラさんとかエレノアさんとか、抱き着いたらただじゃすまない人にばっかり抱き着くんだよ!?」

通信『……そのまま入渠ドックに放り込んで蓋をしておいてもらえんかのう』

白露「昨日は砂浜でオリヴィアさんに抱き着いちゃったから、オリヴィアさんが勝負と勘違いしちゃって」

白露「カーフブランディングから送り襟締め、続けてアルゼンチンバックブリーカーからのバックフリップにおまけでフロントスープレックスとまでもらっちゃったんだよ!?」

通信『白露、おぬし詳しすぎやせんか』

白露「おかしいよね!? ヒールなのに毒霧とか噛み付き攻撃とか、栓抜きとかの凶器攻撃がないとか!」

通信『そこか!?』

白露「とにかくすごかったんだから! あれを提督に見せてあげられないのは可哀想だよ!」

通信『……あとで再現してやれば良かろうに。なんでそこまで知っておるんじゃ』

白露「青葉さんと一緒に金剛さんを密着取材してたから」

通信『青葉ああああ!』

白露「あと、武蔵さんがプロレスに夢中になっててコーネリアさんが嫉妬していじけちゃってた!」

通信『どいつもこいつも!』

白露「ひどいのは金剛さんだけじゃないの! 大和さんも夜泣きがひどいし!」

通信『赤子か!』

白露「如月ちゃんは司令官のベッドで寝てたし! 司令官の使ってた枕とか毛布とか、みんな取り合いになっちゃってて残ってないの!」

通信『最悪じゃな』

白露「古鷹さんからはベッドにベリアナさんが入ってきていかがわしいことしてくるって苦情も来てるの!」

通信『それはニコ殿に通報せい』

白露「今は今でマリッサさんが奇声を上げながら何かしてるし! 川内さんからうるさいって苦情が来てるよ!」

通信『ふん縛っておけ!』

白露「とにかく、司令官がいないと滅茶苦茶だよ……ねえ、司令官とお話しできない?」

通信『のう、白露や。今、何時かのう』

白露「えーと、0320」

通信『少しは電話する時間を考えんか!!』ウガーッ


 * *

不知火「昼夜問わずの電話番でしたので、先程自室のベッドに轟沈しました」

赤城「……それはご愁傷様です」

中佐「ところで、見慣れない人たちがいるな。彼女たちは何者だい?」

提督「ああ、助っ人です。この島に流れ着いたもんで、しばらく厄介にと」

中佐「ふむ……」

ニコ「……?」

キャロライン「♪」

エレノア「……」ネイルオテイレー

ブリジット「!」ケイレイ

ヴィクトリカ(やっべえ、しょっ引かれねえよなあたし)ドキドキ

中佐「コスプレ会場かな?」

提督「まあ、そうなるな」

今回はここまで。

次回、 各々の思惑。



昇進して少尉って事は昇進前は准尉あたり・・・?

>>384-386
提督の昇進前の階級は准尉です。

彼の経緯を簡単にまとめると、

 提督「誰も妖精の存在を信じねえ! 許さんぞ人間どもー!」 →
 海軍士官「妖精さんと話せる人は珍しい! 海軍に来て!」 →
 中将「准尉になって、息子の大佐のところで提督見習いになってよ!」 →
 大佐「妖精から俺の悪事聞いて告げ口される前に廃墟に島流しwwwおkwww」 →
 提督「初期艦も大淀も明石もいねえ! 大佐ぶっ潰してやる!」

こんな感じです。経緯については>>72>>322にもこっそり階級を書いてます。


ついでに独自解釈ですが、『提督』の素質がある人とない人の切り分けの一要素として、
妖精が見えるか見えないかを線引きのひとつとしています。

そして『提督』の中でも、妖精の姿がおぼろげに見える人からはっきり見える人、
声がしっかり聞きとれる人から全然聞こえない人、さわれる人とさわれない人と、
個人差があり、自由に話が出来る提督は珍しい存在、という解釈です。

では、続きです。

 * 応接室 *

サム「お茶をお持ちしました。ごゆっくりどうぞ」

中佐「ああ、すまないね。……少尉、よく彼女たちを雇えたね、どうやってスカウトするに至ったんだい?」

提督「なんでも、海賊に襲われたそうですよ。俺を慕ってくれているので、世話になっております」

中佐「……そうか。一応言っとくけど、民間人をみだりに鎮守府に入れちゃいけないよ。ここしかまともな建物がないのは仕方ないにしてもね」


中佐「まずは少尉、先の大佐の暴走の件、よく防げたね」

提督「……ええ」

中佐「内部の不祥事だ、残念ながら表立って君を褒めることはできないけど、問題行動の多かった大佐一味を処分できたことを大本営は陰で歓迎しているようだ」

中佐「……頭にくる部分も多いが」

提督「そうですか?」

中佐「ああ、今まで大佐の働きを称賛しておきながら、今回の件で不始末が露見した途端、あっさり手のひらを返す者ばかりでね……」

提督「それはそんなものでしょう。海軍だって身内の汚点は揉み消したいところかと」

中佐「その通りだが……あれだけ大佐を褒めてた上官が『あの男は最初から信用してなかった』とのたまうのを見れば、幻滅の一つもするよ」ハァ

中佐「……愚痴が過ぎた、すまない。君が入院していたときのことを報告しよう。まず、君の昇進について」

中佐「これは大佐たちのクーデターを未然に防ぎ、泊地棲姫の侵攻を防ぎ切ったことが評価された」

中佐「ここが陥落すれば、他の鎮守府にも泊地棲姫が深海棲艦を引き連れて押し寄せてきていただろう」

中佐「なにより、鎮守府を攻められたという事実が一番の脅威だ。それに抗戦して屈しなかった、この影響は大きいと思う」

中佐「君がこの辺境の鎮守府を守護し続け、かつ艦娘の救済を行ってきたことも併せて評価され、君は10日付けで少尉に昇進した」

中佐「これまでの実績からして、僕はもうひとつふたつ上がってもおかしくないと思うがね?」

提督「……」

中佐「興味なし、か。出世には興味がないと聞いていたけど……」

提督「やることも、下っ端であることも、変わりはありませんので」

中佐「なら、これ以上は無駄話か。……じゃあ、次に中将だけど、退役することになった」

提督「……そうですか」

中佐「大佐の謀反の計画書を赤城があちこちからかき集めてきて、それを本営に戻った中将に、大将立会いの下、提出」

中佐「僕も当事者として立ち会ったんだが、赤城は土下座してたよ。両方の意味で大佐を助けられなかったことを、申し訳ないと」

中佐「大佐とその部下が全員戦死……まあ、戦死かな? それで憔悴していたところにあの計画書だ」

中佐「中将は暗殺対象が自分だったことに相当ショックを受けていたよ……」

中佐「重傷を負った君のところにも一度顔を出していたんだが、その時は術後の麻酔がよく効いていたから覚えてないだろう?」

提督「……」

中佐「たぶん、大佐に対する積年の恨みも積もっているだろうけど、今回の件で水に流してもらえるとありがたい」

提督「……ええ。正直なところ、少しはすっきりしました」

中佐「ああ。それと、大佐の秘書官だった赤城の処遇は知っての通りだ」

中佐「君が復帰するまでこの鎮守府の提督代理を務めてもらい、その後の処分は追って沙汰する……と」

中佐「そういう話だったけど、すぐにでも大佐のいた鎮守府に戻ってもらうことになりそうだ」

中佐「あの鎮守府は、赤城が築いた信頼で成り立っている。今後の鎮守府運営を考えても、現状維持が望ましいと進言しておいた」

提督「打算的ですね」

中佐「残念ながら、こういう風に言わないと上は首を縦に振ってくれないからね」

中佐「それに、どんな理屈をこねようと、あの鎮守府の艦娘にとってはそれが一番望ましいだろう」

中佐「彼女たちが働きやすい職場を作れるのなら、それに越したことはないと僕は思っている」

提督「……」

中佐「まあ、僕らが何を言おうと、赤城は頼れる。この鎮守府を君に代わって切り盛りしているが、評判はなかなかいいようだぞ?」

中佐「さて。最後に、君の今後についてだが……」

中佐「提督少尉。君には引き続きこの鎮守府の指揮をお願いしたい」

提督「……!」

中佐「意外そうな顔をしているね?」

中佐「今回の事件で6人もの指揮官を失った。君も違う鎮守府に栄転し、更なる戦果を挙げてほしいという話もされただろうが……」

中佐「それでも、君にしかこの鎮守府を任せられない理由がある。それはこの島が、いわくつきの呪われた島だからだ」

提督「それはまた……今更ですね」

中佐「すまない、僕もこの島の過去を調べたのが半年前でね。この島に3年もの間、滞在し続けられたのは君が初めてなんだ」

中佐「大破した艦娘が無数に流れ着くこの島で、殆どの人間は何故か正気を保っていられなかった」

中佐「なのに君は、幾多の艦娘を立ち直らせ、鎮守府としての機能を回復させた。それだけでもすごいことだ」

中佐「きっと、この鎮守府を任せられるのは君だけだろう。……頼む、改めてお願いできないだろうか」ペコリ

提督「……」

中佐「……」

提督「わかりました。まさか頭を下げられるとは思いもしませんでしたよ」

中佐「……引き受けて、くれるのか」

提督「はい。……まあ、そんな気がしていたんですよ。俺は人間社会では生きられない社会不適合者ですから、ここにいたほうが良いでしょう」

中佐「そんなふうに言わないでくれ。僕は厄介払いのつもりでお願いする気はないんだ」

中佐「……だが、君がここにいたほうが良い要素も、ないわけじゃない」

提督「……?」

中佐「ここだけの話にしてほしい。君には、ある期待がかけられている」

提督「期待……?」

中佐「深海棲艦との和睦。君ならその交渉役ができるんじゃないか……そう考えている人物がいる」

提督「……」ピク

中佐「言いだしたのは僕でも、中将でもない……海軍大将。……僕の、伯父だ」

提督「……」

中佐「ここにいる艦娘の殆どが、大破轟沈を経験したり、むごい仕打ちを受けたりした者たちばかりらしいね」

中佐「ネガティブな感情を持った艦娘は深海棲艦にきわめて近くなると言われている。そんな彼女たちをまとめられる能力に、伯父さんは目を付けたんだろう……」

中佐「もともと君は妖精と意思疎通もできる稀有な人材だ。もしそうなれば、君を利用したがる者が出てくるはずだ。最悪……」

提督「俺を担ぎ上げて騒ぎを起こす者も現れかねない、と」

中佐「そうだ」

提督「俺自身が起こす可能性は」

中佐「僕はないと思っている。艦娘に無理をさせない過保護な人物と艦娘に評される人物が、武力による蜂起を促すとは思えない」

中佐「ただ、君にそういう野心がないとしても、君の力を利用しようとする輩が現れないと思えない」

中佐「大将も君がその気にならないか期待している節がある。となれば、強引に君を持ち上げようとするやつも出てくるはずだ」

中佐「逆に、今の戦争を利用して私腹を肥やす連中にとっては、戦争を終わらせられる君の存在が邪魔になる」

中佐「というわけで、君の身の安全も考えると、ここにいたほうが良さそうなんだよね……ほら、さっきも言ったとおり、この島には近寄りがたい話もあるし」

中佐「ったく、同じ海軍でありながら命を狙い合う……今回の事件といい、馬鹿げてるよなぁ」ハァ

提督「中佐は、大将殿の考えをどう思います」

中佐「和睦には賛成だ。だが、交渉できるあてが君だけではね。もう少し、いろいろな手を用意したい」

中佐「それに、仮に君が失敗したとして、途端に手のひらを反して君に責任を押し付ける無責任な連中の勝手を許したくない」

中佐「最低限、個人的にでも仲良くできる伝手があればいいんだけどね。少尉にはあるかい?」

提督「ありませんね」

中佐「だろう? 和睦って話も、それじゃ絵に描いた餅なんだよね」ハハハ

提督「……」

中佐「さて、僕の言いたいことは言わせてもらった。君と話したがっている艦娘も多そうだし、この辺で失礼しよう」

中佐「この鎮守府の艦娘に会いたいっていう部下がいるから、今度連れてくるよ」スクッ

提督「……中佐」

中佐「ん?」

提督「老婆心ながら、具申させていただきたい」

提督「この島はやはり人間が立ち入って良い場所ではないようです。誰かがこの島へ来たいと仰るのなら、やめたほうが良いとお伝えください」

提督「今もこの島には、人間は、私とあなたの二人だけだ……いや、とうの俺とて、もはや人間かどうか疑わしい」

中佐「……提督少尉? それはどういう意味……」

中佐「いや、やめておこう。それよりもいいのか? 僕にそんなことを教えて」

提督「良いことを教えてもらったお礼です。あなたも俺を好意的に見ているようですが、それでもこの島には近づくべきじゃない」

提督「さもなければ、きっと『人ではない何か』になってしまうことでしょう」

提督「信じてもらえないかもしれませんが、俺は一度死にました。『人ではない何か』に近づきつつあるのでは、と思っています」

中佐「……」

提督「……」

中佐「それが本当なら、この島と、この島に住む者が、君を必要としているんだろう」

中佐「こう言っては失礼かもしれないが、艦娘も妖精も『人間ではない何か』だ」

中佐「君は、その彼女たちを立ち直らせ、そして慕われてきた。僕は、彼女たちとともに君がこの海の守護を担ってくれると、信じているよ」ガチャ

提督「……」

扉 <パタム

提督「……」

オボロ「始末しなくて、よろしかったんですか?」ズッ

提督「仮にも中佐は俺を助けてくれたんだ。義理は通しておかないとな」

提督「これで島に近づかなくなってくれればいいんだが、今の話からすると俺に会いたがる奴は増えそうだ」

ヴェロニカ「それにしても、変わった人ね」シュッ

提督「あの思想で潰されないのは大将の血縁だからかね。まあ、艦隊の司令官としても有能らしい。主力は海外艦と潜水艦だそうだ」

提督「出来れば、敵に回したくはない。が、俺は中佐を『仲間』にする気もない」

ニーナ「そうですね。あの方が『こちら側』に来るのは違和感があります」スタッ

提督「面倒だが……いろいろと手を打たねえといけねえか」

今回はここまで。


次回、 初霜の行方。

間が開いてしまいましたが、続きを投下します。

ニーナ「さて、中佐もお帰りになられましたし、私たちも戻りましょう」

ヴェロニカ「そうね。出番かと思ったんだけど……今の話だと、違う機会で出番ができそうね?」

提督「はぁ、次から次と面倒くせえな。とりあえず執務室に戻るか……」

シルヴィア「あ、いたいた。魔神君ちょっといいかしら?」

伊8「提督にお客様だよ」

提督「客? 中佐じゃなくてか?」

シルヴィア「その中佐と鉢合わせしたらまずいと思ってね。ほら、ル級って子が北の洞窟に来てるわよ」

提督「ん、向こうから話があるたあ珍しいな」

伊8「それと……」

名取「あの、少尉さん、私たちも……ご一緒させてくださいませんか?」

提督「お前たちは?」

名取「部下Bの配下の艦娘の、名取です」

弥生「同じく、弥生です」

提督「ああ、お前らか……話は聞いてる、泊地棲姫の塒に行かされた連中だな。なんだ、かたき討ちでもしたいのか?」

名取「そういう気持ちもありますけど……」

弥生「泊地棲姫のところで別れた、初霜さんのことを聞きたいんです」

名取「初霜ちゃんは、私たちをかばって被弾したんです。助けに行きたいんですが、せめて、今どこなのか、どうなったか聞くことができればと……」

提督「ふぅん。好きにしろ、覚悟はしておけよ。あと、絶対に手を出すな」

名取「は、はいっ!」

ニコ「ふふ、相変わらず優しいんだ」

提督「なんだ、ニコも来るのか」

ニコ「勿論だよ。本当なら、さっきの中佐のときも一緒にいたかったんだからね?」

ヴェロニカ「私も暇だし、ついていこうかしら」

伊8「大和と如月も来るって。提督と離れてた時間を取り戻すんだーって言ってた」

提督「……ま、いいけどよ。お前は?」

伊8「はっちゃんが連絡受けたの。案内するよ」

提督「ん、そうだったか。じゃあ頼む」



 * 島の北部 洞窟内 *

ル級「ハーイ、元気シテル?」

提督「おう、死にかけたが一応な」

ル級「ンー、元ニ戻ッチャッタワネ、残念。モウ海ノ上ハ走レナイノ?」

提督「生憎とな。ル級は怪我とかしてねえな?」

ル級「傍観者ダッタカラネ。アノ後、イロイロ事後処理ヲ手伝ワサレタケド」

提督「事後処理?」

ル級「エエ、泊地棲姫ノトコロデネ」

提督「なんだ、お前結局あいつのお世話になったのか?」

ル級「逆ヨ? 私ガアイツノオ世話シチャッテタノ」

提督「どういうことだ」

ル級「ダッテアイツ、アノアトズーット呆ケテテ、泊地ニ戻ッタ後モ上ノ空デサ」

提督「そんなにショックだったのか?」

ル級「エエ、魔神化シタ提督ニ相当ショックヲ受ケテタミタイヨ?」

提督「まじか」

ル級「デネ、チョット頼ミゴトガアルンダケド……」

提督「?」

ル級「実ハ、提督ニ会イタイッテ、ココニ来テルノヨ、泊地棲姫」ユビサシ

提督「は?」

泊地棲姫「……」ヌッ

弥生「!?」

名取「!?」

大和「ちょっ!?」

如月「どうしてここへ!?」

伊8「……」ジャキッ

ヴェロニカ「あらあら……ついてきて正解だったかしら」ジリッ

ニコ「ヴェロニカ、気を付けて」

泊地棲姫「マ、待テ! 今回ハ、私ハ戦イニ来タツモリハナイワ!」

提督「……だそうだ。で、ル級、泊地棲姫は俺に用があるって?」

ル級「ソウミタイナンダケド……ホラ、姫様早ク用件言イナサイヨ」

泊地棲姫「ア、アア……ソウダナ。ソノ、ナンダ」


泊地棲姫「深海ニ、来ナイカ?」


提督「あ?」

如月「あっ」ハイライトオフ

大和「あっ」ハイライトオフ

伊8「あー」

ニコ「ヘー」ピキッ

ル級「ホボ全員ガ察シタワネ」

ヴェロニカ「坊やったらモテモテね」ハァ

泊地棲姫「モ、勿論、タダデトハ言ワナイワ! オ詫ビノシルシモアル……!」ザバザバッ

提督「お詫び?」

如月「何を取りに行ったんでしょう?」

泊地棲姫「コ、コレダ!」バッ

フリフリヒラヒラのピンクリボンで目隠し+猿轡+後高手菱縄胡座縛りで拘束された初霜(全裸で失神中)「」

名取「初霜ちゃああああん!?」ガビーン

弥生「信じて送り出した初霜さんが……」クラッ ドターン

如月「や、弥生!? 弥生、しっかりして!」

提督「……これは俺にどうしろと?」

ヴェロニカ「ちょっと縛り方が甘いわね。縛り直してあげたら?」

伊8「提督が縛るの上手だったりしたら、ちょっと引くかも……」

ヴェロニカ「そう? あの子とか自分が縛られるの想像してるみたいなんだけど?」ヤマトユビサシ

大和「ふぇっ!? そそそそんなことありませんっ!!」カァァ

泊地棲姫「ル級……喜バレテナイミタイヨ?」ジトー

ル級「ン? 人間ノ男ッテノハ、コウイウノガ好キナンジャナイノ?」クビカシゲ

マリッサ「私は大好物よぉぉぉお!!」ザバー

名取「クラーケンコワイクラーケンコワイ……」アワブクブク バターン

伊8「名取さん泡吹いて倒れた!?」

朧「泡を吹いたって!?」バッ

提督「どこに潜んでた朧」

朧「気配を感じて今来ました!」

提督「まじか」

ニコ「マリッサもこんなところで何をしてたの……?」

マリッサ「速吸ちゃんと遊んでたのよ~?」

ボールギャグ+亀甲縛りにされた速吸「あふぅ」

伊8「マジなにやってんの」シロメ

 ザザザザザザ

マリッサ「はっ! この音は!?」

電「浮気は許さないのですぅぅぅぅ!!!」スイングハンマーフリオロシ

マリッサ「イヤーン!?」バコーン

速吸「はぴぃ!?」マキゾエ

カトリーナ「あ、あたしのハンマー返してくれーー!!」

提督(帰りてえ)ハァァ

電「あ、司令官さんお邪魔したのです」ペコリ

電「カトリーナさん、この二人を運ぶのを手伝ってほしいのです」

カトリーナ「お、おう……それよか早くハンマー返してくれよ」

ル級「コノ鎮守府ッテ、コンナニ騒ガシカッタッケ?」クビカシゲ

ニコ「一部はぼくたちのせいだね」アタマカカエ

提督「あー……それはいいからさっさと初霜の拘束解くぞ。おい、大丈夫か、しっかりしろ」シュルシュル

初霜「……ぷはっ、こ、ここは……あ」スッポンポン

提督「マッパはまずいから俺の上着着せるか」ウワギヌギヌギ

初霜「キャアアアアアアア!?」カオマッカ

提督「うるせえ、静かにしろ……洞窟ん中だと反響するんだ」ミミフサギ

初霜「こ、こんな薄暗いところで服を脱いで、私をどうする気ですか!?」アタフタ

初霜「っていうか私、泊地棲姫に撃たれて……まさか助けた私を手籠めに!?」オロオロ

初霜「そんな、いけません! 私のような駆逐艦に手を出すなんて! 鬼! 悪魔! 夜戦重巡カットイン!!」カァァ

提督「……ヴェロニカ、こいつ黙らせられるか?」メンドクセエ

ヴェロニカ「フローラに鎮静剤うってもらった方が良いんじゃないかしら」メンドクサイワ

初霜「こ、こんなえっちな人と一緒になんかいられません! 私はお部屋に戻らせていただきます!」クルリ

泊地棲姫「……」

ル級「……」

初霜「ピャアアアアアアア!?」カオマッサオ

ル級(酒匂カナ?)ミミフサギ

初霜「ナンデ!? 泊地棲姫ナンデェェェ!?」プルプルプルガタガタガタ

泊地棲姫「……アノ子、深海化シテルノ?」ミミフサギ

ル級「……サア?」クビカシゲ

提督「とにかく、そんな恰好でうろつくな。ほれ、俺の上着羽織ってろ」

初霜「! す、すみません、取り乱してしまって……ありがとうござい……弥生ちゃん!? 名取さん!?」ビクッ

初霜「ふ、ふたりに何をしたんですか!? 白目をむいて倒れるなんて只事じゃありません!」

如月(あなたを見て倒れたんだけどね弥生は……)

初霜「はっ、そうやって油断させておいて、やっぱり私にもひどいことをするんですね! 秋雲ちゃん謹製の薄い本みたいに! 薄い本みたいに!!」ビクビクビクッ

提督「なぜ2回言う」

 ゴンッ

初霜「きゅう……」バターン

伊8「当て身」

ニコ「魚雷で殴るのを当て身とは言わないと思うんだ」

提督「……まあ、助かった。収拾がつかなかったからな」ハァ

朧「とりあえず初霜さんには絆創膏貼っておきますね」ペタペタ

大和(えええ!? 朧さん、そんなところに絆創膏を貼るの!?)ドキーン

ヴェロニカ(乳首とあそこね。いい趣味してるわ)

伊8(なにこの卑猥な絵)

提督「丁度いいや、朧、応援呼んで初霜と弥生と名取をドックに運んで休ませろ」

朧「はいっ!」シャッ

提督「……おい、今、忍者みたいに消えたぞ。朧に何があった」タラリ

ニコ(……オボロ、彼女に何を教えたんだろう)

泊地棲姫「……ス、スマナイ、マサカコンナ騒ギニナルナンテ」

提督「ああ、どっと疲れたな……まあ、仕方ねえ」

泊地棲姫「ア、アノ……実ハ、モウ一人会ワセタイ者ガイルノ……」

提督「ん? もう一人?」

ル級「ホラ、オイデ、軽巡棲姫」

軽巡棲姫(幼)「……」ヒョコッ

大和「えっ!? なんですかあの小っちゃい子! 可愛い……!」

如月「あんな小さい軽巡棲姫、初めて見ますね」

ル級「アノ子、アノ弾丸ダッタ子ヨ」

大和「ええっ!? もうあんなに大きくなったんですか!?」

ル級「ホラ、来テ挨拶ナサイ」

幼女軽巡棲姫「……パパー」ヨチヨチ

大和「!?」

如月「!?」

ル級「!?」

ヴェロニカ「あら、坊やったらいつの間に坊やじゃなくなってたの?」

提督「つまんねー冗談だ」

幼女軽巡棲姫「パパー、ニンチシテー」ヨチヨチ

大和「!?」シロメ

如月「!?」シロメ

ル級「!?」シロメ

ヴェロニカ「この冗談は笑えないわね」ピキ

伊8「うん」ピキ

提督「……おい、そのセリフ誰に教えてもらった?」

幼女軽巡棲姫「ン!」泊地棲姫指さし

提督「おいコラ手前ガキになんてセリフ言わせてやがんだテメェこそ責任取れやオラ」ガッシ メキメキメキッ

泊地棲姫「痛イ痛イ痛イゴメンナサイゴメンナサイイイイ!!!」ギリギリギリギリ

ル級「泊地棲姫ガ人間ニアイアンクロー食ラッテ悶絶スルトカ前代未聞ダワ」

提督「ったく、おいちび、俺はお前の父親なんかじゃねえよ」

幼女軽巡棲姫「……パパ、ジャナイ……?」ションボリ

提督「ま、敢えて言うなら兄妹だな。一緒に生き返ったわけだし。そもそも俺は父親なんて柄じゃねえ」

幼女軽巡棲姫「……オニイチャン……!?」パァァ

提督「おう。っつうか、おじさんで構わねえよ。ま、その辺が妥当じゃねえか?」

ニコ「魔神様のお姉ちゃんはぼくだよ!!」バーン!

ニコ「お姉ちゃんはぼくだよ!!!」ババーン!

提督「だからなぜ2回言う」

伊8「必死すぎ」

今回はここまで。


次回も引き続き泊地棲姫と面談。

なんでかんで見てくださる方がいると嬉しくなります。

では、引き続き、北の洞窟から。

投下します。

 * 朧と神通と川内によって弥生と名取と初霜が曳航されました *

提督「……まあ、泊地棲姫も災難だったよな。大佐に目をつけられなきゃあ、自分の寝床を壊されずに済んだわけだし」

泊地棲姫「……マア、ソウネ……」

ル級「ア、ソレナンダケド、実ハ寝床ヲ壊サレタノガ頭ニ来タワケジャナイワヨ」

提督「? じゃあ何が理由で追っかけてきたんだよ」

泊地棲姫「ヨ、ヨセ、ル級!」

ル級「ナンデモ、オ気ニ入リノ北方棲姫ノヌイグルミヲ壊サレタカラ頭ニ来タッテ言ッウボアー!?」ガインッ

泊地棲姫「ナンデ! ナンデバラシタ、ル級! ウワァァァン!!」ナミダジョバー

如月「今、魚雷で殴ったわね」

大和「爆発したらどうする気だったんでしょうね」

伊8「……」

ヴェロニカ「爆発しないように魚雷に当て身したんじゃないの?」

ニコ「じゃあさっきの初霜には容赦なかったってこと?」

伊8「もうやめて」プルプル

提督「ぬいぐるみ、そんなに大事なもんだったのか」

泊地棲姫「ソ、ソウダ! 寝ルノキハズット一緒ダッタンダゾ! 超ノ付ク程オ気ニ入リダッタンダ!」

伊8(長門さんと気が合いそう)

ヴェロニカ(敵も味方もお子様が多くない?)

提督「んー……もしもだ。俺たちがそいつを弁償するとしたら、どうする?」

泊地棲姫「!?」

如月「司令官!?」

提督「大佐の仕業とはいえ、壊した元凶は艦娘が所属している海軍で、指示出してんのは人間だからな。他人の宝物壊してとんずらとか最低だろ」

ル級「相変ワラズ、イイ男ネェ」

提督「で、悪いが俺は北方棲姫ってどんな奴か知らねえんだ。誰か、写真とかあるか?」

泊地棲姫「私ガ持ッテル」スッ


(泊地棲姫と北方棲姫のツーショット写真)


提督「へえ……可愛い顔してんな」ニヤリ

如月(司令官が褒めた!?)グワッ

大和(滅多に人の外見を褒めない提督が褒めた!?)グワッ

ル級(アア、男ハ所詮ロリコン、カ……)ガクーッ

ヴェロニカ(……私もこんなことで嫉妬するなんて思わなかったわ)ムスッ

ニコ(強烈な魔力の高まりを感じる!?)ビクンッ

伊8(みんなわかりやすい……)

提督「無邪気な子供が一緒だと可愛い顔すんだなあ、泊地棲姫も」ニヤニヤ

泊地棲姫(私ダッタ!?)ドキーッ

如月(こんな短時間に評価されて羨ましい!)ゴォッ

大和(幼子をだしにするなんて卑怯です!)ゴォッ

ル級(ロリコンジャナカッタ!?)パァァ

伊8(駄目だこのジゴロ、なんとかしないと)

ニコ(すごい!? 邪な感情の魔力がしゅごいのおぉ!?)ビクンビクン

ヴェロニカ(ニコがすごい顔になってるわ……)タラリ

提督「まあとにかくだ。せめてもの弁償ってことでな、その北方棲姫のぬいぐるみを作って……」

泊地棲姫「ソ、ソノ必要ハナイワ!」

提督「!」

泊地棲姫「失ッタモノハ戻ッテハコナイ。イクラ代ワリノ物ヲ貰ッテモ、失ッタトイウ事実ハ覆セナイワ」

泊地棲姫「……ダカラ、オ前ノ気持チダケモラッテオク」

提督「いいのか?」

泊地棲姫「代ワリトイウワケデハナイガ、コノ子モイルシ、ネ」ナデナデ

幼女軽巡棲姫(泊地棲姫の膝の上)「Zzz...」

泊地棲姫「ソレデモ、トイウナラ、改メテオ前ニオ願イシタイコトガアル……」

泊地棲姫「……私タチモコノ島デ暮ラシテモイイダロウカ」

大和「!?」

如月「!?」

ル級「!?」

提督「ああ、いいぞ」

大和「!?」シロメ

如月「!?」シロメ

ル級「!?」シロメ

伊8「あれ? デジャヴ?」

ヴェロニカ「大丈夫よ、私も見たことあるわ」

ニコ「まったくもう、甘いんだから……」

大和「いけません提督! 仮にも数日前まで敵だった相手ですよ!?」

如月「そうです! お休みの間を襲われたらたまったものでは……!」

提督「そういうお前らは何回俺の布団に潜り込んで安眠妨害したか覚えてんのか」

ニコ「みんななにやってるの」ゴゴゴゴ

大和「ごめんなさい」

如月「すみませんでした」

伊8(はっちゃんも忍び込んだけど黙っていようっと)

提督「まあ、暮らす分には構わねえさ。その代わり、俺の部下に手を出すようならわかってるな?」

提督「それに、俺が良いと言ってもここは海軍の鎮守府だ。事情を知らない俺たち以外の海軍からは、攻撃目標になることを忘れんなよ」

提督「そして、お前ら以外の深海棲艦がむやみに近づくようなら、俺たちも交戦体制をとる。お前らを敵としないってだけだからな?」

提督「そういうところを踏まえてル級は島から離れて暮らしてんだ。うちの艦娘を面倒事に巻き込むようなら容赦しねえぞ」

泊地棲姫「ワカッタ、ソレデイイ」

泊地棲姫「ソウイウワケダカラ、ル級ハ早ク新シイ塒ニ案内シナサイ」フンス

ル級→ル級fl「イキナリ偉ソウナ態度取ルノ、ヤメテクレル?」ゴゴゴゴゴゴ

提督「ル級も面白い特技を身に着けたな」

如月「こういうのは特技って言わないわ」

大和「そういえば、大佐はどうなったんです?」

ル級「巣ニナッテルワヨ。駆逐艦用ノ」

ニコ「へぇ……」

大和「……」

ル級「イッソ死ンダホウガ良イッテ状態ダケド、詳シク知リタイ?」

大和「いいえ、それだけ教えて戴ければ大丈夫です」

ニコ「……そう?」

大和「これ以上聞きませんからね。想像したくありませんから」ヒヤアセ

ヴェロニカ「残念ね」

伊8「興味津々って顔してたね……」

如月「とにかく、もう戻ってこないなら安心ね……」

ル級「マア、戻ロウニモ戻レナイオツムニナッテルカラ、安心ナサイ」

提督「さて、じゃあ戻るか。お前らも気を付けて帰れよ」

ル級「アア……少シ、待ッテクレル?」

提督「ん? なんだ?」

ル級「チョット手ヲ貸シテモラッテモイイカシラ」スッ

提督「……握手か?」

ル級「エエ」

提督「これでいいのか?」スッ ギュ

ル級「……」ギュ

提督(俺の手を見てる……のか?)

ル級「……」

ル級「……アリガトウ」スッ

提督「……?」

ル級「マタ、オ世話ニナルワ。今後トモ、ヨロシクネ」ニコ

提督「? あ、ああ。じゃあな」



ル級(……)

ル級(前代未聞、ネ)

ル級(深海棲艦ニ触レラレテ、発狂シナイ人間ダナンテ)

ル級(私ノ手ヲ握リ続ケテモ平然トシツツ、手ニモ腐食ノ跡ガ残ラナカッタ……)

ル級(並ノ人間ナラ、泊地棲姫ノ顔ヲ掴ンダ時点デ倒レテモオカシクナイノニ)

ル級(軽巡棲姫ノ弾丸デ生キ返ッタトモ聞イテイルシ……)

ル級(彼ハ、人間ナノカシラ……?)

今回はここまで。

次回、 不幸な幸福。

続きです。

 * 鎮守府内 廊下 *

提督「やれやれ、問題は山積みのまま明日へ持越し、か」

山城「あら、提督。戻られてたんですか」

提督「おう……何があった山城。やつれてないか?」

山城「はい、それが……」

扶桑「やーまーしーろー?」

山城「ひっ!?」ビクッ

扶桑「うふふ、見つけたわー、山城ぉ~♪」ダキツキー

山城「扶桑お姉様っ!? て、て、提督の前ですよっ!?」

扶桑「……♪」ホオズリホオズリ

山城「……」

提督「……」

山城「……提督、あの、説明、よろしいでしょうか」カオマッカ

提督「ああ」

 * 説明後 *

提督「なるほど。復讐終わって燃え尽きたってか」

山城「たぶん、虚無感を埋めるために誰彼かまわず甘えるようになったんじゃないかと……不幸だわ、扶桑お姉様が」

扶桑「提督~、提督もぎゅー……♪」スリスリギュウウ

提督「で、主にお前が扶桑の抱き枕になっていると。こりゃ重症だ」ナデナデ

扶桑「はふ~♪」ポワワ

山城「はい。私は一応幸せなんですが身が持たなくて……どうしてこうなったのかしら」トオイメ

提督「扶桑が誰かに甘えるとか抱き着くとか想像もしなかったからな。ちょっと幼児退行も入ってるんじゃねえかこれ」

アーニャ「魔神様ー……ってうわぁ!?」

最上「提督も、もう被害にあってたんだ……」

提督「てえことは、お前らも抱き着かれたわけか」

ミーシャ「はい。扶桑お姉さん、すっかり甘えん坊に……」

山城「というか被害とか言わないでください」

三隈「んー、山城さんがちょっぴり羨ましいですわ」

最上「え」

ミーシャ「三隈さんも最上さんに抱き着かれたいんですか?」

三隈「ええ♪」

アーニャ「……ミーシャは羨ましくないのかな?」

ミーシャ「私は……以前、姉さんとは離ればなれだったから、一緒にいられるだけで嬉しいけど……」モジモジ

アーニャ「ミーシャあああ!」ダキツキッ

ミーシャ「きゃっ!? ね、姉さん!?」

アーニャ「そうだね! そうだったよね! あたしもミーシャと一緒で嬉しいからね!」ギュー

ミーシャ「あう……う、うん」カァァ

三隈「あらあら、こちらも羨ましいですわ。モガミン、私にもお願いしますわ、さあ」リョウテヒロゲ

最上「さあ、じゃないよ三隈……」ポ

三隈「行かないのでしたら私から行きますわ。んちゅー」ダキツキチュー

最上「ちょっ!? き、キスは余計だよ!?」カァァ

アーニャ「うわ……」カァァ

ミーシャ「わぁ……」カァァ

山城「……仲がいいわね」カァァ

扶桑「山城? お顔が赤いわよ? お熱でもあるのかしら」オデコピトッ

山城「……鼻血が出そうだわ」カオマッカ

アーニャ「ねえねえ魔神様! モガミンさんとクマリンコさんって、結構くっつき過ぎだと思うんだけど」

ミーシャ「なにかあったんですか?」

提督「三隈はもともと最上が好きだからな。扶桑がこんな風になって、あてられたんだろ」

山城「最上も結構不幸よね。前の鎮守府でセクハラされてたって言うし」

ミーシャ「せくはら?」

アーニャ「って、なーに?」

提督「そっからかよ……」

山城「本当に無邪気ね……」

三隈「ねえ二人とも? 男の人にいきなり胸を揉まれたり、お股を触られたりしたらどう思います?」

アーニャ「あ、そういうこと!? ひどいね、そんなことされてたんだ!」プンスカ

提督「最上は自分のことを僕って呼ぶし、アーニャに似て少し男の子っぽいところがあるだろ?」

提督「それでそこの司令官が『男同士だからいいだろ~』みたいなノリで最上に手を出してたらしい」

アーニャ「さいってー!」

ミーシャ「こんなに可愛い人を男の人扱いするんですか!?」

最上「か、かわっ……」カァァ

三隈「モガミンの魅力がわかってもらえて嬉しいですわ~♪」ホッペチューー

ミーシャ「きゃああ!?」カァァ

提督「まあ、この通り三隈は最上が気に入ってる。その最上は、そこの司令官にベタベタ触られてて困ってたんだ」

提督「そいつは最上と二人っきりになると決まってセクハラしてくるから、そうならないように三隈が見張ってたんだが」

最上「そうそう。僕と元司令官が二人になるたびにくまりんこーくまりんこーって警告音みたいに言ってたから、口癖になっちゃったんだよね」

三隈「おかげで今も、困ったときにくまりんこって言ってしまうことがあるんです」

アーニャ「こまりんこになっちゃったんだ」

提督「その後もそこの司令官は最上へのセクハラをやめなくてな。頭に来た三隈が主砲でそいつを男にじゃなくしちまったんだよ」

アーニャ「?」クビカシゲ

ミーシャ「?」クビカシゲ

提督「あー……お前ら、男の股間になにがついてるかはわかるか?」

アーニャ「……あ!」カァァ

ミーシャ「は、はい!」カァァ

提督「早い話が、三隈はブチ切れてそいつのソレを撃ったんだよ」

アーニャ「ほんと!? すごーい!」

ミーシャ「三隈さんかっこいいです!」

三隈「え、ええ……あ、ありがとう」

最上「引かれるかと思ったのに、予想外の反応が来たね……」

提督「お前ら、こいつらが罠だってこと忘れてるだろ。人間の命なんて糞とも思ってねえぞ?」

三隈「じ、じゃあ、この子たちの善悪の基準って……」

アーニャ「んー、人間は別にどうでもいいかなーって感じかなー?」

ミーシャ「魔神様と、メディウムのみんなと、あと、ここの艦娘さんたちは友達ですから、大事にしたいって思ってますけど」

アーニャ「うん! もし、みんなをいじめにくる人間が来たら、あたしたちが守ってあげるからね!」

最上「……僕たちはすごい子たちを味方につけたんだね……」タラリ


山城「私は提督の鋼の意志の方が驚きですけどね。扶桑お姉様に抱き着かれて平然としてるところとか」

提督「恥ずかしいっちゃあ恥ずかしいんだがな」アタマガリガリ

扶桑「……♪」ホオズリホオズリ

ミーシャ「なんていうか、猫みたいですね……」

山城「扶桑お姉様に抱き着かれるとドキドキして耐えられないけど、他の人に抱き着いてるとイライラして耐えられない自分が嫌になってくるわ……」ズーン

提督「しかしまあ、ずっとこのままってのもアレだな。山城、体が持たねえだろ? 明日から適当に演習に出るか」

山城「ええ、扶桑お姉様も、少しでも昔の感覚が取り戻せればいいかもしれませんね……」

今回はここまで。

なかなか鎮守府の日常を書けない……。
メディウムにももう少しスポットを当てたいところです。

乙乙。
あの薄着のおっぱいでじゃれつかれるとか男にとっては拷問じゃないですかやだー

>>428
扶桑お姉様可愛い。


投下します。

 * 幕間 ハグ *

エレノア「で、抱きつかれたまま執務室まで来たってこと?」

扶桑「~~♪」ギュウウ

提督「まあな」

エレノア「まったく、そういうことならわたしに任せればいいのに」ニヤニヤ

山城「駄目です! せめてその腕と胸元のとげを外してからにしてください!!」

エレノア「あら、それでいいの?」カチャカチャ

山城「」

エレノア「ほら、いらっしゃい♪」

扶桑「……」ジッ

エレノア「ん? どうしたの?」

扶桑「……ああ、かたきを取ってくれたメイデンハッグさん、やっと見つけたわ……!」ニコー

山城「あ、そういえばそうだったわ……」

扶桑「うふふふー」ダキツキー

エレノア「えっ、ちょっと、そんな躊躇いなく抱きつかれるとわたしも戸惑うんだけどっ」アセッ

提督「今の扶桑はもう怖いものなしだな」

山城「ちょっとエレノアさん! 扶桑お姉様の玉の肌に傷を付けたらただじゃ済ましませんよ!」

エレノア「わ、わかってるわよ! もう、よしよし……」ギュ

扶桑「うふふふ……」スリスリ

山城「大丈夫なんでしょうか扶桑お姉様……仮にもアイアンメイデンなんて中世の拷問器具だというのに」

提督「まあ、さすがに俺の部下に怪我させるような真似はしねえだろ、ニコの言い分からして」

エレノア「まあ、たまにはいいわよね。もう、ほんと子供みたいになっちゃって」ナデナデ

扶桑「……すんすん」

エレノア「ん?」

扶桑「……いいにおいがします……すんすん」

エレノア「え? あ、ああ、普段お酒ばっかりだしね、酒臭いって言われるし……ちょっとノイルースに頼んで香木を炊いてもらったのよ」

扶桑「落ち着きます……すんすん、くんくん」

エレノア「そ、それにだねえ、私アイアンメイデンだし、血のにおいもするから、ちゃんと洗わな……って、ちょっと扶桑?」

扶桑「すんすん」ムネニスリスリ

エレノア「ちょっ、におい嗅ぎすぎだって! そんな犬みたいに鼻を鳴らして」

扶桑「くんくんっ」クビスジスリスリ

エレノア「もう、や、やめなさいってば!」ヒキハガシッ

扶桑「あ」

山城「え」

扶桑「あの、もう少し……」ヒキヨセー

エレノア「だめ! もうだめ! おしまい! 今日は看板よ!」ダダッ

山城「え、逃げた!?」

扶桑「ああっ、待って!」ダッ

山城「扶桑お姉様!? ちょっと待ってください!!」ダッ

提督「……なんだってんだ一体」

 * 翌朝 執務室 *

ニコ「あ、寝坊助がやっと起きてきた」

赤城「あら、提督少尉、おはようございます」

提督「ふあ……ああ、おはようさん。枕が変わったせいであまりよく眠れねえな。なんで俺の布団やら何やらが全部新品になってんだ?」

如月「ま、まあまあ、今日も一日、頑張りましょ?」

提督「……? まあ、いいけどよ」

赤城「では、本日の予定ですが……」

大淀「私の役目が……」ポツリ

赤城「あっ! ご、ごめんなさい、いつもの癖で!」

ニコ「つくづく向こうの鎮守府の苦労が伺えるね」

如月「本当ね……」


ニコ「ところで、報告があるんだけど」

提督「ん?」

ニコ「昨晩、島の外から人間がこの鎮守府を監視してるみたいなんだ」

川内「巡視船1に駆逐艦艦娘2、ってとこかな」シャッ

提督「川内も忍者じみてきたな……で、そいつらは物見遊山に来ただけか?」

川内「そうだね、わざわざ北の海域通ってふらふらして行ったし、島の周りの様子見って感じだったね」

ニコ「ただし、奴らは確実にこの鎮守府を見ていたよ、あからさまな警戒態勢を取ってね」

提督「うぜえな……放っておいてくれねえもんかね」

ニコ「深海棲艦を追い払ったからね、良くも悪くも有名になったからかな」

川内「それなんだけどさあ、その敵だった昨日泊地棲姫とお話ししてたじゃない? 提督は深海棲艦と友好的に行くつもりなの?」

提督「泊地棲姫が仲良くしたいっつうから仲良くする話ではある。が、深海棲艦全体と仲良くする気はねえぞ?」

提督「深海棲艦なんて一括りにしてるけど、ル級みたいなやつがいる以上は、あいつらだって一枚岩じゃねえだろ」

提督「どうあっても人間が嫌いな奴もいるし、戦わずに放っておいて欲しい連中もいるはずだ」

ニコ「後者は魔神様だね?」

提督「おうよ。そういう意味じゃ人間どもも同じじゃねえの?」

提督「ただ、人間の場合はそこに金やら名誉やらが絡んでくるからな、平気で誇りを質に入れてる連中が多くて困る」

川内「じゃあ、戦争終結のための深海棲艦との和睦とかは考えてないんだ?」

提督「ねえな。つうかどこから出てきたそんな話」

川内「神通からよ。以前神通がいた鎮守府の提督が、深海棲艦とのコンタクトを取る方法を模索してたっていうからねー」

提督「そんな話ができるようになったのか」

川内「提督のおかげだよ?」ニカッ

ニコ「?」

川内「あ、わけわかんないって顔してるね」

提督「神通も大佐に因縁があったってことだよ」

ニコ「……ふぅん。とりあえず、その和睦って言うのは、君たち艦娘も望んでることなの?」

川内「全員か、って言われるとそこはわかんないね。私個人で言うなら、それもありかなって」

川内「でも、肝心の提督はあんまり乗り気じゃないみたいだし、今の気楽なスタンス崩したくないんじゃない?」

提督「ああ。俺は俺の手の届く範囲のことしかしねえ。俺の手に余るようなお役目は御免だ」

川内「だーから昇進できないんだよー。する気もないだろうけどさ」ケラケラ

川内「で、そういうニコちゃんはどうなの?」

ニコ「ぼくたちメディウムは、何があろうと魔神様の意に従うつもりだよ。人間もどうなろうと構わないしね」

川内「提督と一蓮托生ってわけね」

提督「……とはいえなあ……」

ニコ「どうしたの魔神様?」

提督「ぶっちゃけやる気が失せた」グデー

川内「は?」

提督「あれだな。扶桑と同じで燃え尽き症候群だ」

ニコ「魔神様!?」

提督「だってなあ、目障りな大佐は潰したろ? メディウムでも深海棲艦でもこの島じゃそこそこ穏やかに暮らせそうだろ?」

提督「この島の艦娘の悩みもだいぶ解決できてるしよぉ。利己的な人間と関わらねえ生活も、今じゃ清々しいくらい快適すぎて幸せでなあ……」

提督「俺としちゃあ今の時点で人生の目的8割がた達成しそうなんだよな。今死んだら間違いなく成仏する自信がある」グデー

川内「提督が溶けてる!?」

ニコ「こら、寝ぼけてる場合じゃないよ? さっきも言ったけど、この島に敵が近づいてきてるんだよ?」

提督「……はぁ、どいつもこいつもなんだって俺みたいなやつにご執心なんだか。俺はもうこのままくたばりたいんだがな」

川内&ニコ「「それはだめ」」

提督「へいへい」


ニコ「……川内、嬉しそうだね?」

川内「えー、そりゃあね? あのいつもつっけんどんな提督が、私たちと一緒にいて幸せって言ってくれたんだもん」ニシシ

川内「ちょっと共依存入ってるなーとは思うけどさ。ほら、私たちも提督も、人に捨てられてここに来たわけだからね」

ニコ「それを……捨てたはずの魔神様を利用しに、人間がまた拾いに来た、ってことだよね。頭にくるなあ……」

川内「それだけならまだいいんだけどね。神通は心配してたよ、提督が狙われたりしないかって」

ニコ「ヴェロニカから聞いた中佐の話に近いね……彼女はどのくらい知ってるの?」

川内「えーっとねえ……」

 * 一方その頃 本営 大将の執務室 *

大将「どうだったかね甥っ子君。提督少尉の様子は」

中佐「まるで何事もなかったというくらいに落ち着いていましたよ。彼の艦娘は狂喜乱舞と言った風でしたが」

大将「そうか。鎮守府の士気が上がるのなら、それに越したことはない。ますます働きが期待できるということだ」

大将「それで、少尉はどんな奴だった? 深海棲艦と関係は持っていそうかね?」

中佐「彼の人柄については、昔、大佐に聞いた通りです。愛想は悪く傍若無人、好青年とは言い難い。自分から人を遠ざけようとしている嫌いもありますね」

中佐「ただ、個人的には、嫌味でいけ好かない奴という評価は取り下げて良いと思います。あれは大佐を嫌悪していたせいでしょう」

中佐「また、彼が深海棲艦との接触を図っているような態度は見受けられませんでした。興味すらなさそうな、他人事とも思える態度でしたね」

大将「そうか。やはり噂は噂でしかない、か……」

中佐「あの鎮守府のある島に、近海の深海棲艦が出入りしている、という噂話ですか?」

大将「ああ。それが本当なら、私は彼に期待できると思っていたのだが」

中佐「深海棲艦との和睦の件ですか。僕は聊か急ぎ過ぎではないかと……」

大将「いや、打てる手は打つべきだ。このまま指を咥えて見ているようでは手遅れになってしまうだろう」

大将「それにな、彼が接触を否定したとすれば、今度は逆の場合……深海棲艦に通じている可能性も考えなければならんのだ」

中佐「伯父さん!?」

大将「中佐。大将と呼びたまえ」

中佐「……っ、た、大将殿、それは不自然でしょう? 裏切っていたのなら、なぜあの鎮守府が深海棲艦から攻撃を受けるのです?」

大将「今回の襲撃で理解できない点はたくさんあるが……中でも俺が不思議に思うのは、大佐とその部下の遺体が見つかっていないことだ」

大将「二日がかりの大捜索。爆撃の跡や、焼けた脱出用ゴムボートは見つかったが、彼らの痕跡は髪の毛一本残っていない」

大将「大佐は深海棲艦に連れ去られたと言うし、その部下たちも全員死んだことになっているが、誰一人としてどう死んだか証言できないときた」

大将「かといって赤城が持ってきた計画書も疑ってみても、あれはあれで信憑性が高いし、その部下の艦娘の証言も一貫している」

大将「発砲済みの大佐の拳銃も見つかっているし、提督少尉もその拳銃で撃たれたと思われる銃創があった」

大将「……ただ、弾丸が残っていないのと、即死するような場所を撃たれて助かった点はやはり疑問が残る」

大将「私の都合の良いように考えれば、提督が何らかの形で深海棲艦側に協力をこぎつけ、大佐たちを引き渡した、とも思えたんだが」

大将「君の言う通り、深海棲艦との接触を否定するのなら、本当に知らないうちに深海棲艦に助けられたか、後ろめたい何かがあるか……」

中佐「……」

大将「しかもだ。直接関係はないだろうが、捜索中に提督少尉と艦娘以外の人間がいて、そいつらが幽霊のように鎮守府内に現れたり消えたりしているという話まで出てきた」

中佐「ゆ、幽霊ですか?」

大将「下らん冗談かと思いきや、複数の部下が同じようなことを言う」

大将「海賊の姿をしていたり、軍人、スーツ姿と様々だ。中には西部劇のカウガールだのゴルファーだの、世迷言を言う馬鹿もおったが」

大将「そのおかげで、彼らはあの島の幽霊に食われたんじゃないか、という噂で持ち切りだ」

中佐「……食われた……幽霊にですか」

大将「甥っ子君? 顔色が悪いようだが」

中佐「……大将殿、今の私は中佐です」

大将「まじめだな甥っ子君は」

中佐「それより……私もひとつ、仮説を立てたのですが」

大将「話してみたまえ」

中佐「まず、中将の暗殺を阻止したのは誰でもない提督少尉です。僕には、大佐こそ深海棲艦に繋がっているように見えます」

大将「ほう?」

中佐「大佐が深海棲艦に島へ攻め込むように内通し、大佐は中将と提督少尉を始末する」

中佐「鎮守府を攻め込ませて証拠を消して、その後自分たちの艦隊を使って、深海棲艦を撃破して口封じと共に、戦果を挙げて昇進を狙う」

大将「……ふむ。一度仲良くして裏切るか。そんなことをしては深海棲艦もただではおかんだろう、大佐がそこまでのリスクを背負うだろうか?」

中佐「もし戦争を続けるのが目的なら、逆にそれは十分なリターンになるのではないかと」

中佐「彼らはかつて、人間の力で艦娘や深海棲艦に対抗できる力を模索するために、艦娘や深海棲艦を使った実験を行っていたでしょう?」

中佐「その技術が確立できたのなら、それを見せつけ、様々な面であらゆる勢力に優位に立ち、戦争を続けようとするでしょう」

大将「一度、その技術の開発中断を命じていてもか?」

中佐「大将殿もよく仰っているではありませんか、『ああいう連中は諦めが悪い』と」

大将「……大佐が深海棲艦を煽った、というのは事実のようだ。艦隊を泊地棲姫の拠点に向かわせ、打撃を与えているのは確かだ」

大将「いや、待てよ? 仮に彼が深海棲艦と繋がっていたとしたら、死んだと見せかけて深海棲艦のもとへ身を寄せている可能性もあるのか!?」

大将「だとしたら最悪だ! やはり、どうやって提督少尉は深海棲艦を追い返したのか、問いただす必要がある!」

中佐「……」

大将「……甥っ子君。やはり顔色が悪いぞ? 何があった」

中佐「いえ……提督少尉からの忠告です。人間は……特に僕は、あの島には近づくな、と言われてきました」

大将「どういう意味だ?」

中佐「……詳しくはわかりません。ただ……」

大将「ただ?」

中佐「……人間が、人間ではなくなる、と」

大将「……」

中佐「……」

 RRRR... RRRR...

大将「ん、私か……なにかね?」チャッ

大将「……ふむ……そうか」

大将「……わかった。いや、まずは部下全員に招集をかけてくれ、可及的速やかにだ」ピッ

中佐「……」

大将「悪いニュースが2つだ。ひとつは、追い返したはずの泊地棲姫が、件の鎮守府近海に潜んでいるらしい」

中佐「な!?」

大将「そしてもう一方は、同じくその鎮守府に所属不明の不審な船が接近しているということだ」

大将「その船の周囲には艦娘の姿もあるらしい。我々と同じく……いや、目的はわからんが、海軍内で彼に接触したい者がいるようだ」

中佐「……味方、でしょうか」

大将「私は命じていない。勇み足を踏む馬鹿者か、それとも戦争を続けたい馬鹿者か。どちらにしろ面倒だな」

中佐「て、提督少尉に連絡を取ります!」

大将「待て。彼の出方を見る」

中佐「大将殿!?」

大将「残念だが私は提督少尉を完全には信用していない。彼の本心を見極めるいいチャンスだと思っている」

大将「中佐。君はここで待機だ。いいな、これは命令だ……ゆっくり休んでいたまえ」

中佐「……はっ」

中佐(……海軍は、どうしてこんなにもバラバラなんだ……こんな戦争を終わらせるのが、海軍じゃないのか……?)

中佐(提督少尉……君はどうするつもりだ? 下手をすれば海軍も敵に回すことになるぞ)

今回はここまで。

すみません、大変お待たせしました。

続きです。

 * 執務室 *

提督「転属願い、ねえ……」

赤城「部下A鎮守府の北上、霰、満潮、B鎮守府の名取、弥生、初霜は、当人の希望によりこちらの鎮守府へ異動させていただくよう申請しました」

提督「……名取とか初霜は大丈夫なのか? 初霜は特にいろんな意味で」

赤城「名取さんと弥生さんがフォローしていますし、初霜さんは姉妹艦の初春さんや若葉さんがいますので、安定はするのではないかと」

提督「だといいがな。初春はともかく、若葉はなあ……こりゃまた初春に苦労を掛けるな」

赤城「それと、提督少尉。私は今週中に元の鎮守府に戻ろうと思います」ペコリ

提督「そうか」

扉 <バンッ!

比叡「やっぱりそうなんですか!?」

セレスティア「そんな、赤城さん帰るんですか!?」タタタッ

スズカ「うちまだ少ししかご馳走しとらんよ!?」タタタッ

赤城「あら、あとでご挨拶に伺おうと思ってたんですが」

セレスティア「それにしたって急ではありませんか」

提督「この鎮守府で働くこと自体が、一時的な措置だからな。大佐のいた鎮守府にいる艦娘たちのことも考えてやれ」

比叡「……そ、そうですね。加賀さんは特に淋しがってるかも」

赤城「ええ。それに、あまり長居してしまうと、この鎮守府に胃袋を置いていく羽目になりそうですから」ニコー

スズカ「うちらは構わんのに……」

セレスティア「残念です……」シュン

提督「お前らいつの間にそんな仲になったんだ」

比叡「食堂で食べ終わった後、毎回110度頭を下げて御膳を返しに来る方は赤城さんだけですから!」

セレスティア「料理人冥利に尽きるというものです」

提督「だがまあ、そーだな……お前らの飯を食べ慣れたら、余所では苦労しそうだよな」

赤城「はい。正直、後ろ髪引かれる思いですが、私にも仕事がありますし加賀さんや蒼龍さんも心配してくれています。それに……」

スズカ「それに?」

扉 <バーンッ!

カトリーナ「お、おい! 速吸どこ行ったか知らないか!?」

提督「いや、見てねえぞ。どうした?」

電「マリッサさんがまたどこかに消えたのです!」

比叡「」

セレスティア「」

スズカ「」

提督「あー、ニコに訊け、ニコに」

電「わかったのです! カトリーナさん、ニコさんを探すのです!」ヒョイッ

カトリーナ「え、ちょっ、ヒョイッて、なんであたしをお姫様だっこすんだよ!?」

電「電の! 本気を! 見るのです!!」

カトリーナ「お、おろしてくれーーー!」ドドドド…

比叡「……」

セレスティア「……」

赤城「早く戻らないと、速吸さんが手遅れになりそうな気がして……」トオイメ

スズカ「もう手遅れなんじゃ……」

提督「言ってやるな」

提督「そういや、今日は蒼龍も来てるんだっけか?」

赤城「はい、来るといつもスパイクボールさんやヘルファイアーさんと一緒に遊んでますね」

ソニア「赤城さん?」ヌッ

赤城「!?」ビクッ

ソニア「駄目だよ~、みんなのことは罠の名前じゃなくて、ちゃんと名前で呼んであげてねー?」

赤城「そ、そうですね、すみません」ドキドキ

ソニア「うん、よろしくねー」タタッ

赤城「……ほっ」

提督「ソニアはどこから現れたんだ」

ニコ「魔神様? さっきソニアが部屋から出てったみたいだけど……あれ? 赤城? ……ってことはもしかして」

赤城「あら、ニコさん。ええ、不覚でした」

提督「なにがあったんだ?」

ニコ「ソニアから、お仕事の時はいいにしても、プライベートの時はちゃんと名前で呼んでほしいって言われてるんだ」

赤城「ですが、どうしても私は想像しやすい罠の方の名前で呼んでしまうもので、しょっちゅう注意を受けてるんです」

提督「注意ねえ」

赤城「ツバキさんやオボロさんは日本語の名前で覚えやすいのですが、えーと、サンダージャベリンさん? あたりになると……」

ソニア「 <○><○> 」

提督「」

赤城「ひっ!?」ガシッ

ニコ「ひっ!?」ガシッ

ソニア「ちょっとお、二人ともどうして魔神様に抱き着いてるのー? ずるーい」

提督「お前の現れ方が心臓に悪いだけだ」ナデナデ

ニコ「あっ」テレッ

赤城「て、提督少尉!? どうして私もなでるんですか!?」カオマッカ

提督「ん……悪い。つい手拍子で」

ソニア「 <○><○> 」

赤城「ひいっ!?」ギュウ

ニコ「ひいっ!?」ギュウ

提督「ああ、ソニアもなでてやるからこっちこい」ハァ

ソニア「そ、そういうつもりじゃないってば」カァァ

提督(でも素直に近寄ってくるんだな)ナデナデ

ソニア「え、えへへー」ニヘラ



提督「ところで赤城。お前そんなにソニアが怖いか?」

赤城「……なんとなくなんですが、メディウムの皆さんは、どこかしら深海棲艦と似たような雰囲気がありまして」

赤城「戦闘時ともなれば気を張って敵の雰囲気にのまれないようにと心構えができますが、平時はそうではありませんから」

提督「……深海棲艦と似てる、ねえ」

今回はここまで。

それでは続きです。

 * 鎮守府内 埠頭付近 *

ディニエイル「……というわけで、ミス赤城からはなかなか名前で呼んでもらえないのですが……」

グローディス「私たちの名前って、そんなに覚えづらいか?」

不知火「残念ながら、発音も語感も日本人には少々馴染みが薄いですので、無理もないかと」

暁「暁はちゃんと覚えたわ!」フンス

グローディス(たまに噛むけどな!)ニコー

朝雲「暁ちゃんたちにはロシア系の姉妹艦がいるからね」

ミリーエル「? ……もしかして、暁さんの姉妹はこの島に全員揃ってないんですか?」

暁「ええ、来てないわ。暁と電の間には、響と雷っていう妹たちがいるんだけど」

朝雲「四人姉妹で全員揃ってるのは金剛型だけよね?」

不知火「川内さんたちは三姉妹ですが、こちらも揃ってはいますね」

ディニエイル「そこへいくと我々は、姉妹を持つ者自体が少ないと……」

ノイルース「私たち以外では、ユリア、クレア、ソニアの三姉妹と、アーニャ、ミーシャの二人だけですか」

不知火「艦娘の殆どは姉妹がいますから、姉妹がいないと言うのは少し寂しく感じますね」

グローディス「私たちは姉妹がいる方が珍しいからな。まあ、仲間もいるし、みなそこまで寂しくは感じてないと思うが……」

ディニエイル「むしろ姉妹が離れ離れで傍にいないことの方がつらいと思います」

暁「でも、暁たちは軍艦だから、妹たちを残して沈むこともあるわけだし……つらくないと言えば嘘になるけど、そういうことは考えないようにしてるわ!」

朝雲「あと、できればこの島に来て欲しくないって気持ちもあるのよね……」

ノイルース「……不幸な艦娘を呼び寄せる島ですからね。そういう意味では来てほしくないと」

ミリーエル「そう考えると複雑ね……」

暁「ところで、質問してもいい?」

ミリーエル「なんでしょう?」

暁「4人のなかで誰が一番お姉さんなの?」

ノイルース「それは……おや?」

 ドドドドドドドド

グローディス「な、なんだ!?」

暁「こ、この足音!」

白露「呼んだー!?」キキーッ

不知火「いえ、呼んでいません」

白露「嘘だあ、いっちばーんお姉さんなのは私だよ!」フンス

ディニエイル「あれが聞こえてたんですか」タラリ

暁「あ、暁だってお姉さんなんだから!」フンス

グローディス「……なあ、あたしたちの話じゃなかったのか?」ヒソッ

朝雲「こうなると二人とも止まらなくなるから」ヒソッ

雲龍「……あら、賑やかね」

暁「あっ、雲龍さん!」

白露「ちょうどいいわ、あたしと暁ちゃんと、どっちがお姉さんだと思う!?」

雲龍「それは……難しいわね。二人ともお姉さんしてると思うわ」ムー

白露「そういうのじゃなくて、どっちがって話!」

朝雲「あのさ、雲龍さんも妹さんが二人いたわよね」

雲龍「ええ、天城と葛城ね」

朝雲「雲龍さんと妹さんたちとで、差がついてるところってある?」

雲龍「……そうね……」ウーン

ノイルース「……なるほど、差になるところを聞いて判断しようと」ヒソッ

朝雲「第三者の意見なら公正でしょ?」ヒソッ

雲龍「髪の長さと」

白露「!」

暁「!」

雲龍「胸の大きさかしら」タプン

白露「」イヌガミケ

暁「」キリモミフットビ

ミリーエル「し、白露さん!? 今の一瞬でどうやって埋まったんですか! 白露さん!?」

グローディス「暁!? し、しっかりしろ!?」

暁「あ、あかつきは、せいちょうき、なんだ、から……」ガクッ

グローディス「暁ぃぃぃぃ!」

不知火「……ダブルKO、ですか」

雲龍「この中だと……僅差で朝雲ちゃんが一番お姉さんかしら」ジーッ

不知火「!?」

朝雲「ふえっ!? ちょ、ちょっとやめてよ雲龍さん!」カァァ

雲龍「……あなたたちだと……みんな互角ね」ジーッ

ディニエイル「!?」バッ ←胸隠し

グローディス「お、おい!? どこ見てるんだ!」バッ

ミリーエル「は、恥ずかしいです!」バッ

ノイルース「うう、顔が火照って……」バッ

雲龍「……4つ子かしら」

不知火(相変わらず掴み所のない方です)


不知火「ちなみにその基準でいくと駆逐艦で一番お姉さんなのは誰ですか」

雲龍「……潮ちゃんかしら」

ディニエイル「何を聞いているんですミス不知火」

不知火「ではメディウムの中では」

雲龍「……タライの子かしら」

ディニエイル(フウリ……恐ろしい子!)シロメ

島風「ねえねえ、どうして白露は埋まってるの?」

ミリーエル「ええと、とりあえずタチアナを呼んで掘り起こしましょう」


 * 執務室 *

赤城「……浜風? 知らない子ですね」キュピーン

筑摩「赤城さんはいきなり何を仰ってるんでしょう」

利根「よくわからんのう……」

今回はここまで。

続きを投下します。

 * 入渠施設の隣、大浴場 *

 カポーン

潮「はふう……」チャプーン

フウリ「はふう……」チャプーン

長門「……」

潮「……ど、どうしたんですか長門さん」

フウリ「わ、私の顔に何かついてます!?」ワタワタ

長門「いや、ふたりは似ているなと思ってな」

フウリ「え、そ、そうですか……?」テレッ

潮「……最初にあった時から、なんとなくそんな雰囲気はあったよ?」ニコ

長門「なあ、そう思わないか、名取?」

名取「えっ? あ、そ、そうですね、似てるんじゃないかと……」アセアセ

長門「カサンドラもそう思わないか」

カサンドラ「ひゃっ!? ひゃいっ!」ワタワタ

長門「……」

フウリ(この二人も似てるかも……)

名取「そ、それじゃ私はこれで……」ソソクサ

カサンドラ「わ、私も……」ソソクサ

長門「待て待て待て! お前たちさっき入ってきたばかりだろう! カラスの行水にも程がある!」

カサンドラ「だ、だ、だって人前で素顔になるなんて恥ずかしいですよぉぉ!!?」ビクビクビクーッ

潮(裸の方が恥ずかしくないのかな……?)

名取「わ、私も、そんなに、得意じゃない、かなあ……」オドオド

フウリ「で、でも、せっかくのお風呂ですから、もっと、入ってたほうが……」

潮「フウリちゃん、お風呂好きなんだ」

フウリ「はい……大きくて、あしを伸ばせるお風呂っていいですよね」ポワー

名取「わ、私は、誰もいないときに、一人で入りますから……」

カサンドラ「わ、私も……」

長門「一人で? この風呂に一人で入るのは勧めないぞ?」

名取「ど、どうしてですか?」

長門「……ここには出るらしいんだ。コレが」ウラメシヤー

名取「!?」

カサンドラ「!?」

フウリ「あわわわ……」

潮「川内さんが何度か気配を感じたって言ってた話ですか?」

長門「2、3度会ってるらしいな。この前は背中を流してもらったとか言っていたが……」

名取「そ、そんなお風呂だったらなおさら入っていられないんじゃ!?」ビクビクビクーッ

カサンドラ「フ、フウリちゃん、タライ貸して!? タライにお湯入れて行水するから!」

長門(ほう、タライに入って行水?)

潮「だ、大丈夫ですよ、二人以上で入れば出てこないって言われてますから!」

長門(二人で?)

名取「ほ、本当?」

カサンドラ「ううう、どっちみち誰かに顔を見せないと駄目なんですか……」

潮「そういえばメディウムのみんなが傷を癒す時もお風呂に入るの?」

フウリ「は、はい。けがを治す時や、魔力を回復するときに、魔力槽に……」

長門「……」

潮「? 長門さん?」

長門「……」


長門(二人でタライの中に入る……潮とフウリが……)モヤモヤーン

長門(当然あの小さなタライでは小柄とはいえ二人ではいるのが精いっぱい……)

長門(狭いタライの中で抱き合うように入れば、お互いの胸を密着しあう形に……)

長門(行水なのだから、当然のように上からシャワーをかけて……)

長門(ああ、楽しそうだ……混ざりたいが……)


長門「……」

潮「な、長門さん?」

フウリ「ど、どうしたんですか?」

長門「駄目だ、もっと大きなタライを準備しないと……!!」

フウリ「!?」

長門「いや、せめてこの私が駆逐艦だったなら……!!」

潮「!?」

カサンドラ「あ、あの、長門さん?」

長門「……いや、少々のぼせてしまったようだ。あがろうか」ザバー

4人「「「「????」」」」


長門「ところで……あの武蔵にも似た風貌の……あれは誰だ?」

???「ふぅ。……ん? アタイがどうかしたかい?」ホッソリ

フウリ「オリヴィアさんですよ?」

長門「!?」

潮「!?」

名取「?」

フウリ「オリヴィアさんは痩せやすくて羨ましいです……」

オリヴィア「そうかねえ? アタイはまた体作りし直さないといけないんだ、たまったもんじゃないよ」

長門「痩せやすいってレベルじゃないぞ……」

潮(お腹まわりのお肉が全然なくなってる……羨ましいなぁ)

名取「すごい綺麗な人ですね……」

長門「ああ、名取はもともとの姿を知らんのか……」

潮「元に戻ったら驚くでしょうね……どっちが元なのかわかりませんけど」

名取「?」

今回はここまで。

少しだけ続きを投下します。

 * 練習場 *

那珂「……」

シェリル「ビートが足りないね。もっと心を揺さぶるような激しさが欲しいね」

レイラ「そうかしら? もっと緩やかで穏やかな曲調の方がよろしいかと」

シェリル「あたしは魂揺さぶるメタルがやりたいんだけどな」

レイラ「ゴスペルの方が聞く方の心に響くと思います」

シャルロッテ「やっぱりこうなっちゃったかー」

クロエ「まあ、仕方ありませんねえ!」

那珂「あうー、新曲作りたいって言ったら全然方向性が逆なんだもん」

那珂「那珂ちゃんが歌いたいのはリズムに合わせてダンスできるような明るい曲なんだけどなあ……」

シェリル「それならロック調のがいいだろ?」

レイラ「オペラミュージカルの方がいいでしょう?」

オディール「ダンスでしたらおまかせでしてよ! 目指すはプリマドンナですわ!」

那珂「えっ!? な、なんでそんなことになってるの!?」

クリスティーナ「もっと高くジャンプするの! 更なる高みを目指すのよ!」

那珂「うえ~ん、那珂ちゃんはセンターを目指してるのに~! なんでこうなるの~!?」

シャルロッテ「あー、駄目ねこの布陣。我が強い人多すぎるわ」

クロエ「船頭多くして船山に上る……これが本当の山頂布陣!」

那珂「それじゃ馬謖さんじゃなーい!」ビシッ

クロエ「おや、意外と博識ですねえ」

那珂「だって提督が頭の弱いアイドルは大嫌いって言うから、勉強したんだよー! でも、これじゃバラエティには呼んでもらえないかもだけど」

シャルロッテ「えー、その方がいいでしょ? バラエティなんて何されるかわかんないじゃん?」

クロエ「バラエティ……ということは娯楽ですか! 娯楽でしたら私クロエがジャグリングでも玉乗りでもご指南いたしましょう!」

那珂「もー! アイドルはそんなことしないんだってばー!」



足柄「意外とそういうことやらさられたりするのよね。深夜番組枠で」

千歳「ありましたね、お笑い芸人とどう違うのかわからない扱いされて。そういうくだらない番組、前の鎮守府で見てましたね」

足柄「そうね……今は何してんのかしら、あの前提督。私たちをこの島へ追い出してから、愚痴こぼす相手がいなくなって鬱で退役したんでしょ?」

千歳「ええ。それからリハビリして一般企業に勤めて、半年で寿退社したそうですよ」

足柄「えっ!? なにそれ、どこ情報!?」

千歳「初春ちゃん情報です」

足柄「ああ、それじゃ確実ね……そっか。やっと奥様になれたのね」

千歳「懐かしいですね。碌な男がいないって毎晩毎晩酔い潰れて……足柄さんがいい加減にしなさいって喝を入れたらわんわん泣き出して」

足柄「それでお互いブチ切れて出てけー、だもんねー。そうそう、私は千歳がお酒をやめるよう進言したときが一番びっくりしたわ」

千歳「ドクターストップがかかってましたから。結婚願望がある人を潰すようなことはしたくありませんでしたし」

足柄「結局は、誰かに甘えたくって、誰かに必要とされたかったのよね、あの人。私たちのへ八つ当たりもそうでしょ?」

千歳「いろいろありましたけど……ともあれ良かったじゃないですか。寄り添える誰かに出会えたんですから」

足柄「長続きするといいわねえ」

千歳「大丈夫ですよ。あの人、素面だと世話焼きだったじゃないですか」

足柄「それもそうね。ふふふ」



クリスティーナ「で、そもそもアイドルってどういうことをするのかしら」

レイラ「私も疑問に思っていました……どういうご職業なんでしょう?」

那珂「わかんないでいたの!?」

リンダ「うーん、さっきからええツッコミやな、うちと一緒にコンビ組まへん?」

那珂「もー、なんでそうなるの~~!?」

今回はここまで。

提督「墓場島鎮守府?」
提督「墓場島鎮守府?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1476202236/)

上記に別スレを立てさせて戴きました。
こちらに、この島に住む艦娘たちの鎮守府着任の経緯を書いていきますので、
こちらもよろしくお願い致します。

続きです。

 * 執務室へ向かう通路 *

朝潮「司令官! 資材搬入にお立合いいただき、ありがとうございました!」

提督「いいさ、俺がじかに確認しておきたかっただけだからな。報告書頼むぞ、朝潮」

朝潮「はい、お任せください!」ビシッ

ニコ「そういえば魔神様? 如月から、利根に魔力槽を使わせて欲しいって話が来てたから、ジェニーと一緒に案内してあげたよ」

提督「利根? ……そうか、如月に気を使わせちまったな」

ニコ「一応、魔力槽の管理はぼくがしているから立ち会わせてもらったけど、あの怪我の様子じゃ気を使って当然だと思うよ」

朝潮「ニコさんも利根さんのお怪我を拝見されたのですか?」

ニコ「うん。だから、ぼくたちの使っている特別なお風呂で治療できないか、試してみたんだ。そろそろ治療が終わってるはずだよ」

提督「なら、執務室で待ってる筈だな?」

執務室の扉「」トントン

提督「入るぞ」ガチャ

利根「提督よーーー!!!」ダキツキーーーッ

提督「ぐほあ!?」ドガッシャー

ニコ「魔神様!?」

朝潮「司令官!?」

赤城「ちょっと利根さん!?」

ジェニー「うっわ、リーダー大丈夫なの!?」

筑摩「も、申し訳ありません提督! 抑えるようにと利根姉さんにも言ったのですが……」

利根「むうう!? す、すまぬ提督! 吾輩としたことが喜びのあまり加減を失念しておった!」マウント

提督「……お前な」ボロッ

ニコ(とりあえず魔神様の上から退けるのが先じゃないのかな、利根は)

ジェニー「いいなあ、私もリーダーでロデオしたいなあ」

赤城「!?」カオマッカ

ニコ「ジェニー、声に出てるよ」

朝潮「ろでお? どういう意味でしょうか」

赤城「朝潮さんにはわからなくていいことですよ?」マッカ

朝潮「そうですか?」クビカシゲ

提督「……で? 喜びのあまりとか、なにがあった」

ニコ(乗っかられたまま聞くんだ)ハイライトオフ

利根「よくぞ聞いてくれた提督よ!! 吾輩がかつての鎮守府でどんな仕打ちを受けたか、提督は知っておるな?」

提督「あ、ああ」

利根「吾輩の……その、腹やら胸やら、ひどい有様じゃったのは、知っておるな? どんなふうだったか、覚えておるな?」

提督「まあ、な。ひでえ火傷の痕があったんだよな」

利根「一生癒えぬと言われた傷じゃ。それがの! めでぃうむたちのマリョクソウ? とかいう風呂のおかげで消えたんじゃ!」パァァッ

提督「! 本当か!」

利根「うむ! 見よ!!」バッサーッ

赤城「キャアアアアア!?」マッカ

筑摩「あっ」ハナヂブバーッ

ジェニー「ちょっ、筑摩!?」

ニコ「なんで大量出血してるの!?」

筑摩「だ、だって、今まで利根姉さんは私に裸を見せてくれなかったんですよ」ダラダラ

筑摩「それを、こんな形で見ることができて……こんな綺麗なボディに思わず興奮してしまって、つい!」

ジェニー「ついじゃないわよ! ほら、詰め物して!」

提督「利根もとりあえず隠せ」スッ

利根「いやいや、もっとしっかり見てほしいのじゃ、綺麗になったじゃろう?」バサッ

赤城「ちょ、ちょっと、利根さんっ!?」オロオロ

筑摩「ふひいいい」ハナヂブババーッ

ジェニー「筑摩!? 筑摩しっかりして! 誰か! 誰か目隠しを持ってきてー!」

提督「わかったから隠せって」スッ

ニコ「っていうか、なんでパンツはいてないの!?」マッカ

利根「そんなもの、はなから履いておらんぞ?」

朝潮「ええ!? そ、それはどういうことですか!?」

利根「このほうが楽での。腹を圧迫され続けるのも好きでないし、はかないと陰毛も綺麗に伸びるでな」

提督「つか生えてねえだろお前」

利根「んー、まあそういえばそうじゃのう」スカートマクリ

筑摩「うほあああああ」ハナヂドバーッ

ジェニー「誰か筑摩をドックに連れてってー。隔離よ隔離ー」

提督「だから隠せって、筑摩が死ぬ。綺麗になったのはわかったから」スッ

朝潮「なるほど、健康を鑑みてですか! 私も見習いたいと思います!」ヌギヌギッ

赤城「キャアアアアア!?」マッカ

提督「朝潮、お前は履いてろ。あと誰か霞呼べ」

霞「来たわよ! 何の用!?」バーン!

ジェニー「早っ!?」

提督「霞、朝潮がノーパンで過ごそうとしてるようだ、止めてやれ」

霞「ちょっ、何考えてんの! 止めなさいよこのクズ!?」

提督「俺は止めたし発案者は利根だぞ、利根」

霞「ああ、利根さんかあ」

利根「待て霞、その反応はどういう意味じゃ」

赤城「というか、みなさん提督の前で無防備が過ぎます! 恥じらいはないんですか!」マッカ

利根「だって提督じゃしなあ」

霞「このクズの辞書に性欲の文字なんてあるわけないわよ!」フンッ

ジェニー「なん……ですって……」シロメ

ニコ(ジェニーもショック受けてるってことは、さりげなく狙ってたんだ……)

提督「お前ら俺をなんだと思ってるんだ」

利根「提督こそ吾輩をなんだと思っておるんじゃ」

提督「露出趣味」

利根「言うか朴念仁」ズイッ

提督「お子ちゃま」ズイッ

利根「枯れすすき」ズイッ

提督「なんちゃってババァ」ズイッ

利根「似非ニヒリス……ト……」ズ…

提督「……なんだ。どうかしたか」

利根「……か、顔が近いのじゃ」ポ

提督「おう、そりゃ悪かったな。とりあえず俺の上から退けてくれ」

利根「それはできぬ……!」ガシ

提督「!?」

今回はここまで。

それでは続きです。

利根「……この島に流れ着いてからというもの、おぬしにはいろいろ良くしてもらったからの……」ポ

提督「利根……」

利根「この場を借りてお礼をさせてもらえんかの……」ズイッ

ニコ「はい、そこまでだよ。クレーン」

クレーン <ガシーン!

利根「!?」ガシーン!

ニコ「良くしてもらってるのはみんな一緒だよ。抜け駆けは感心できないなあ」

利根「ちょっ、ちょっと待つのじゃ!」ツリアゲラレー

ニコ「待たないよ。今だってどさくさに紛れてキスしようとしてたじゃないか」

ジェニー「ふーん、ニコったらキスくらいで嫉妬してたの?」

赤城(き、キスくらい、ですか……あちらの人は大胆なんですね)ポ

ニコ「べ、別にキスしたいとかそういうのじゃないよ! ほら、魔神様大丈夫?」

ジェニー「もう、そのくらいのこともしてないから卑屈になるのよ。ほーら、さくっとやっちゃいなさい」


 ドンッ


ニコ「え?」ヨロッ

 ドサッ

ニコ「」ヴチュー

提督「……」ヴチュー

全員「……」

全員「………」

全員「…………」

朝潮「……おお……!」

利根「あああ……」

赤城「!?!?////」カァァァァ

霞「ちょっ、アンタ公衆の面前でなにさせてんのよ!?」

ジェニー「……よ、予想以上にがっつり行っちゃったみたいね」

利根「羨ましい! なんと羨ましいのじゃー! アーニャ! 早く下ろすのじゃあああ!」ジタバタ

朝潮「接吻が始まってからすでに20秒ほど経過していますが、これはもう舌も入っていると見て良いでしょうか赤城さんッ!」

赤城「しっ、ししし舌ああああ!?////」プシュウウウウ

霞「赤城さん取り乱し過ぎよ。頭から湯気が出てるわ」

ジェニー「あ、あんたたちこそ冷静すぎよ! ほ、ほら、ニコちゃんもそろそろ離れたら?」グイッ

 チュポンッ

ニコ「////」ポヘー

ジェニー「ちょっとニコちゃん!? ニコちゃんってば! おいニコ!!」ズビシッ

ニコ「痛っ!? ……はぇ!? こ、ここはどこ!? ぼくはニコ!?」ジュル

ジェニー「いいからよだれ拭いて!」

朝潮「あの唾液はニコさんのものなのか司令官のものなのか、気になります!」

霞「そんなのどう考えても混合液でしょ。何を言わせるのよ」

赤城(さささ最近の駆逐艦の子たちは進み過ぎててついていけません!////)ポシュウウウウウウウウ

利根「提督も提督じゃ! 少しは抵抗せんか!!」ムキー

提督「原因はお前の突撃だろうが。痛くて体を動かせねえんだよ、艦娘の力で思いっ切り飛び込んでくるんじゃねえ馬鹿たれ」ヨダレベチャー

ジェニー「で、どうだったの? 30秒間も魔神様とキスしてた感想は?」

ニコ「や、やめてよ! 事故だよ! 事故! と、途中意識が飛びそうだったし、どきどきしてそれどころじゃ……え、えへへ////」テレテレ

如月「ふぅ~ん……どうやらじっくり堪能してたみたいね?」ユラリ

大和「ニコさん? そのお話、詳しく聞かせていただけます?」ヌラリ

金剛「Make love の時間と場所は弁えるべきだと思いマースヨー?」ゾワリ

 ゴゴゴゴゴゴゴゴ

ニコ「……」クルリ

如月大和金剛「」ニッコリ

ニコ「」ニッコリ




ニコ「」ダッシュ!

如月「逃げた!?」ダッ

大和「逃がしませんよ!」ダッ

金剛「私は食らいついたら離さないワ!」ダッ

 ドタドタドタドタ…

ジェニー「行っちゃった……」

霞「ったく、何やってんのよあんたたちは!」

朝潮「司令官! 先程からずっと起き上がらないのですが、大丈夫ですか!」ダキオコシ

提督「大丈夫じゃねえよ……真面目にくっそ痛え……」ヨロッ

利根「す、すまぬ提督……」

執務室の扉 <ガチャ

キャロライン「ンー、騒がしいヨ! みんなどうしたノ……ダーリン!? どうしてボロボロになってるノー!?」

提督「ったく……説明すんのも面倒くさくなってきたな」

赤城「と、とにかく提督を医務室に運びましょう! 担架を準備して!」

キャロライン「ダーリン、怪我したノ? それなら、ダーリンも魔力槽に入るといいヨ!」

霞「魔力……って、メディウムの入渠施設に入れるってこと?」

赤城「利根さん、効果は期待できますか?」

利根「む、むう、効能は吾輩も体験済みじゃが……提督にも効き目があるのかの?」

キャロライン「善は急げ、って言うヨ! フローラとルミナにも手伝ってもらうネ!」

赤城「わかりました、その魔力槽へ提督をお連れします」ヒョイ

提督(……お姫様だっこは少し恥ずかしいんだが)

キャロライン「セーンキュー! こっちネー!」タタッ

利根「……のう、ときにジェニーよ。吾輩はいつまでこのままなんじゃ」

ジェニー「あなた、リーダーを怪我させたんだもの、当分このままよ? でもまあ、アーニャも疲れたみたいだし?」

クレーン <ッパ

利根「あたっ!」ドシン

ジェニー「選手交代ね。ミーシャ!」

利根「なぬ?」

ハンギングチェーン <ガキンッ キュラキュラキュラ…

利根「んなっ!? ま、待て! 逆さ吊りは……!」スカートバサーッ

筑摩「あっ」ハナヂドパーーー

朝潮「あっ」

霞「あっ」

ジェニー「あちゃあ……」

筑摩「ああ……尊い……」ガクッ

ジェニー「……忘れてたわ、筑摩のこと」

朝潮「私たちは筑摩さんをドックへ運びましょう! ジェニーさんもご助力お願いします!」

霞「まったくもう! 世話が焼けるんだから!」

利根「ま、待て! もしや吾輩はこのままか!?」ブラーン

ジェニー「魔神様に怪我をさせたおしおきよ。おしおき役があたしやユリアじゃないだけ良かったと思ってね?」

利根「ぐぬぬ……身から出た錆とはいえ、とほほじゃの……」

 * 幕間 それからどうなった *

霧島「利根さん……なにをしているんですか」ピキピキ

利根「あー……頭に血が上るのじゃー……」ブラーン

鳥海「はわわわわ!」カァァ

古鷹「ぴゃあああ!」カァァ

黒潮「キャラ違うねんでお二人さん」

朧「鎮守府の秩序(モラル)は……朧が、守ります!」スッ っ[絆創膏]

黒潮「朧もそういうのやめときやー」ポン

朧「」フッ

黒潮「!?」

朧「残像です」

黒潮「なん……やて……!?」

古鷹「見て! 利根さんのあそこに絆創膏が貼られてます!」

利根「い、いつの間に!?」

鳥海「馬鹿な……っ! 熟練見張り員を擁するこの私の目の前で、すでに利根さんに絆創膏を貼り終えている、だと……っ!」

古鷹「朧さん……恐ろしい子!」


霰「……なにこれ」ジトメ

霧島「……なんなんでしょうね、この茶番は」アタマカカエ

霰「! 何か落ちてる」

 *霰は『「オシサア」と書かれたぱんつ』を手に入れた

霰「……」ゴゴゴゴゴゴ

霧島(怖っ!?)ビクゥ!

今回はここまで。

いくらだ!? いくら払えばいい!?

>>487
・霞からの百烈キック
・満潮からのまっはふみふみ
・霰からの汚物でも見るような眼差し
・朝潮からの無垢ゆえに残酷極まりない発言
以上を耐えきった場合、低確率で手に入るかもしれません。


では続きです。

 * 執務室 → 封印神殿の一室 *

赤城「……」

キャロライン「どうしたノ?」

赤城「い、いえ、改めてこんな場所に繋がっていることに驚いてまして……」

提督「まあな……どうしてこんなことになったんだか」

キャロライン「アカギー! こっちネ!」

赤城「は、はい! ……こ、これは……!」

洋風のバスルーム <ジャーン

赤城「なんてハイカラな西洋風の陶器のお風呂……素敵! これはさすがに気分が高揚します!」キラキラッ

赤城「これは頭にタオルを巻いて、泡風呂の泡を両手ですくって、ふーって飛ばしたりできるお風呂ですよね! 憧れます!!」ワクワクッ

キャロライン「今日はアカギが入るんじゃないヨ?」キョトン

赤城「……はい、そうですね……」ションボリ

提督「まあ、そのうち入れてもらえ」

赤城「はい……提督少尉、ごゆっくりどうぞ」トボトボ

キャロライン「それじゃ、ダーリン! 私も準備するネ! ハイ! コレ持って!」

提督「これ……って、これはお前の帯じゃないのか」

キャロライン「イエース! 思いっ切り引っ張るネー!」

提督「……まさかな」グイッ

キャロライン「アーーーレーーーーーー!」グルグルグルーー

提督「……」アタマカカエ

キャロライン「ダーリン? 『ヨイデハナイカー』って言わないノ?」クビカシゲ

提督「言わねえよ……どこで仕入れたそんな知識」

キャロライン「ヒサメが『これが和装の様式美じゃ』って言ってたヨ?」

提督「嘘っぱち教えられてんじゃねえよ。んなことするから着物が肌蹴て脱げそうじゃねえか」プイ

キャロライン「? 私も一緒に入るから当然ネ! 約束したでショ? 一緒にお風呂に入りたいっテ!」ニパー

提督「……ああ、そういや……」

キャロライン「だからダーリンも脱いで一緒に入るネ!」スルッ

 * * *

提督「いてて……腰をやったみたいだな。悪いなキャロライン、介護させてるみたいで」

キャロライン「ンー、魔力槽に入れば怪我も治るから、全然かまわないヨ!」ニカッ

キャロライン「それに、こうやって裸でハグできるのも、嬉しいヨ……?」ポ

提督(すっげえ恥ずかしいけどな)

キャロライン「ダーリン、足あげて……支えてあげるからゆっくり入るネ!」

 チャプ

提督(……普通の風呂だな……)チャプン

キャロライン「湯加減どうですカ?」

提督「ああ、丁度……?」

 チリッ

提督「つ……?」ピリッ

キャロライン「? ダーリンどうしたノ?」

提督「な、なんか電気でも走ったみたいに……!?」ビリッ

キャロライン「エー? ダ、ダーリン!?」

提督「ぐ、がああああ!?」ビリビリビリビリーッ

キャロライン「ナニ!? ど、どうなってルノ!?」

提督「ぎ、ぎゃああああガボッ、ゴボゴボゴボッ!」ザバザバザバッ

キャロライン「ダーリン!? どうして沈んでいくノ!? ダーリン!!」

提督(なんだ!? 感電したようなこの痛みは!)

提督(浅い湯船のはずなのに、体が沈んでいく!)ゴボッ

提督(やばい、意識が……!)


 ゴボゴボッ


 コポッ


 シーン…


キャロライン「……ダーリン?」

キャロライン「……ノゥ……ノーゥ!」フルフルフル

キャロライン「ダーリン……魔力槽に、消えちゃった……!」ヘタッ

キャロライン「ゥ、ウ、ウワーーー!!」ビエーーーン

キャロライン「どうしよ……どーしよォーーー!!」ギャーーーン

 ポコッ


 ゴポゴポゴポッ


キャロライン「ふえ?」グズグズ


 ボコボコボコッ!


提督「ぶはぁあ!?」ザッバー

キャロライン「ダーリン!?」

提督「な、なんだ!? いったい何が起こったんだ!?」ゼーゼー

キャロライン「ダーリーーーン!」ダキツキドポーン

提督「おわ!? お、落ち着け! また溺れるぞ!?」

キャロライン「ウゥ、良かった……ダーリン、どこかに行っちゃったと……」グスングスン

提督「あー、俺も何が何だかわかんねえけどな。まあ、勝手にいなくなるつもりはねえから安心しろ」ナデナデ

提督「それより、今の騒ぎで風呂の湯を溢れさせたもんで、周りをびしょ濡れにしちまったぞ」

キャロライン「大丈夫ネ! それより、二人で入るのに丁度良いお湯の量になったネ!」ギュウ スリスリー

提督「……仕方ねえな。そういう約束もしてたし、まあいいか」ハァ

キャロライン「それはソウと、ダーリン、背中の具合は大丈夫?」

提督「あ、ああ、もうなんともねえ。痛みどころか、すり傷も消えてる……し……」ピク

キャロライン「!」ビクッ

提督「……」

キャロライン「///」

提督「……動くなよキャロライン」

キャロライン「ア、アノ」モジモジ

提督「……いいから動くな」

キャロライン「だ、ダーリン?」モジモジ

提督「……」

キャロライン「ダーリンのゾーさんが、お尻に当たって///」

提督「言うな」

キャロライン「元気イッパイで、く、苦しそうなんだケド///」モジモジ

提督「言うなっつってんだろ!」

キャロライン「……あ、当ててんのよネ?///」

提督「当ててねえ!!///」

キャロライン「ワ、ワタシは、あ、当ててんのヨ?///」

提督「やめろ、そーゆーの」プイッ

キャロライン「……が、我慢しなくてもいいノニ///」

提督「約束の範囲外だ。つうか俺の人生の想定外だこんなの。今までこんなことなかったんだぞ」カァァ

キャロライン「オゥ……つ、つまり私がダーリンの初めて……///」ポ

提督「意図的に誤解を招こうとする発言は控えろ///」

キャロライン「///」

提督「……///」

キャロライン「ね、ねえ、ダーリン……///」

提督「……なんだ」

キャロライン「そ、そろそろ、ノボセそう、ネ……///」グッタリ

提督「それは早く言え!!」ザバーッ

 * * *

キャロライン「///」キュー…

提督「つまり何か? 魔力槽の効果で、怪我を治すついでに持病も治ったってか」パタパタ

ルミナ「そう考えるのが適当だねえ。魔神君のソレは、人間不信が原因の後天的なものでしょ?」

フローラ「人間と接触を絶った生活を続けたことで、ストレスが解消された結果だと思いますよ~」

提督「……確かにまあ、今の環境は願ったりかなったりだが、そこまで影響するもんか」

ルミナ「十分に考えられるね。いいじゃないか、彼女たちは望んで君の胸に飛び込んできてるんだよ?」

フローラ「いままでの揺り返しが来たと思って享受なさるべきですよ~」

提督「簡単に言うなよ。ったく、俺みたいな甲斐性なしに何を求めてやがんだ」

ルミナ「理解していないねえ魔神君? 君は君が思っているほど無価値な存在ではないんだよ」

提督「そうかい。霞は容赦なくクズと呼んでくれてるんだが」

ルミナ「彼女は典型的な素直になれない娘じゃないか。この島の艦娘が、この島を離れずに君を慕う理由を考えれば、当然だと私は思うけどね?」

ルミナ「それに……私たちだって例外じゃあないんだよ? キャロラインが良い例じゃないか」ニィ

提督「……会って間もないのにいきなり好きだとか言われてもな」

ルミナ「誰かが誰かを好きになるきっかけなど些細なものさ。でなければ『一目惚れ』なんて言葉も生まれないよ」

提督「……」

フローラ「魔神様? なにか、落ち込んでいらっしゃいます?」

提督「なんでもねえ」

提督「とりあえず怪我は治ったし、俺は執務に戻る。悪いが、キャロラインは湯冷めしないようにみてやってくれ」

フローラ「かしこまりました~」



提督(勃たねえおかげで、女に興味がないふりを続けられてきたが、その化けの皮も剥がされたか)

提督(決めなきゃな。これから先、俺はどうしたらいいか、何になるべきか)

今回はここまで。

追いついてしまった、まさかまだまだ続いていたとは
お風呂に沈んで消えた後に出てきたって事は改めて人じゃない何かに身体を作り替えられたって事なのかしら

影牢2?はやった事あるけどソシャゲのは全然知らないからキャラを調べながら読んでて時間かかった
奈緒メディウム達の名前と容姿が全く覚えられない模様
続き楽しみにしてます

提督のEDが治ったと言うことは
提督「ここから先はR指定だ」
ってなるのでは!
さらに魔翌力槽に浸かりながらなら無限に出来るのでは...!

なんでかんで折り返し地点まで来てしまいました。
もう少し(?)続きますので、引き続きお付き合い戴ければ幸いです。

>>500
R-18指定にはどうあがいても持って行きません。
……R-18Gならかなり考えますが。



とりあえず少しだけ続きです。

 * 執務室 *

赤城「あら、提督少尉、おかえりなさい。あのお風呂はいかがでしたか?」

提督「溺れかけた。しばらくは控える」

赤城「おぼ……!? そんなに深いのですか?」

提督「得体のしれない連中のものだからな、原理がよくわからねえんだ。それより、今日の分の作業はほぼ終わりだろ? 休んでていいぞ」

赤城「はい。それにしても……この鎮守府の仕事量はあまりに少なすぎますね」

提督「拠点としての重要性がねえし、仕事するように仕向けてもねえからな。あとは、秘書艦が優秀ってのもあるか」

提督「最初からいた如月、不知火が必死にやってくれてたし、吹雪や電も初期艦だからって張り切ってくれたしな。朧や初春も頑張ってくれた」

提督「あいつらがいたおかげで俺の書類仕事も随分捗るようになった……ああ、あんたのおかげも少しあるな」ニッ

赤城「……私こそ、あなたに会うまで笑うことを忘れていましたからね。こうやってあなたに借りを返せるのは私にとっても幸いです」

提督「そうか」

赤城「……? 提督少尉? 少し、雰囲気が変わりましたね。心持ち、穏やかと言うか、壁が取り払われたと言うか」

提督「ああ、ちょっと思うところがあってな」

提督「卑屈になってたんだ。人間が嫌いだから自分が嫌いだった。だから艦娘に好かれないように拒絶してた。それがいいと思っていたんだ」

提督「けど、あいつらは俺がそうでもグイグイくるんだよな。全っ然、懲りやしねえ」

提督「今回の件で死にかけたときもそうだし、深海棲艦やメディウム連中からもアタックがくるようになったしな。わけがわかんねえ」ハハハ

赤城「良いではありませんか。あなたが正当に評価された結果です。あなたもそれに応えてあげればいいんですよ」

提督「……簡単に言うなよ。覚悟が決められなくて戸惑ってんだ。もともと、生涯独身のつもりだったしなあ」

提督「妖精の存在を信じてもらえなくて、誰も信じられなかったガキの頃は、誰かと結婚するとか考えるのが本当に苦痛だったんだぜ?」

提督「社会から孤立してた時期が長かったから一人が楽だってのもある。人間嫌いをこじらせちまったんだな」

提督「だから、存在すら認めてもらえない妖精や、人間と変わらない外見なのに扱いが悪い艦娘に、俺の姿を投影して、助けたくなった……」

提督「結局は自分自身を助けたかったんだ。そんな俺がお前らを幸せにできるか? 不安だと思わねえか?」

赤城「……その悩みを共有し、お互いを支えあうのが夫婦の理想の姿だと、私は思いますよ」

提督「さすがは赤城だ。言うことが違う」

赤城「……またおばあちゃん扱いですか?」

提督「フ、ハハハ、懐かしいな、そのやりとりも」

赤城「ふふっ。珍しいですね、提督少尉からこんな話が聞けるなんて」

提督「あんたじゃなきゃこんな話もできねえしな。助かったよ、少し気が楽になった」

赤城「重畳ね。どういたしまして」

提督「海岸に行ってくる。留守を頼む」

赤城「ええ、行ってらっしゃい」

 ゾワッ

赤城「……!?」

赤城「何かしら、今の妙な感じ……」


 * 幕間 さらにそのあとどうなった *

霰「……」ゴゴゴゴゴゴ(←汚物でも見るような顔)

提督「……さっきから霰が俺をすげえ顔で睨んでんだが、何があった?」

満潮「知らないわよっ」フンッ

 *この後、朝潮と霞から誤解を解いてもらいました

今回はこれだけですがこれまで。

続きです。

 * 数日後 *

青葉「ここ最近の司令官、変わったと思いませんか?」

古鷹「ええ、なんだか少し柔和になったっていうか、笑ってくださるようになりましたね」

那智「……そうなんだが、どこか違和感もないか? こう、うまく言えないんだが……」

鳥海「そうでしょうか? 変わったと言えば確かに、以前より私たちに近づいてきてくれている感じはしますけど」


川内「なんだろーね? 胸騒ぎがするっていうか」

由良「胸騒ぎ?」

五十鈴「わかるわ。なんかこう、ぞわぞわするっていうか、ささくれ立つ感じっていうか……落ち着かない感じ?」

那珂「そんなに変な感じしなかったけどなあ……?」


若葉「……不安だ」

吹雪「うーん、何がそこまで不安なのか、わからないんだけど……」

潮「うまく説明できないから、余計に不安なんですよ」

五月雨「司令官、大丈夫でしょうか……」


大和「提督は不快に感じられるとは思いますが、そういう報告が増えていまして……」

提督「大和、お前はどう思う?」

大和「わ、私は、そのようなことは……」

提督「あるんだな?」

大和「……」コク

提督「渋い顔すんな、お前がそう感じるならしょうがねえだろ。それに個人差があるみたいだな?」

大和「はい。同じ金剛型でも、金剛さんと霧島さんは不安を訴えていますが、比叡さんと榛名さんは特になにも……」

提督「それなんだが……ついさっき、金剛に泣かれた」

大和「泣かれた?」

提督「あいつ、しょっちゅう抱きついてくるだろ。そん時にな……」


 金剛『テートク? ここ最近のテートクは妙な感じがしマース』

 金剛『決してテートクがおかしくなったとか、そういう意味ではありまセン。でも、どこか遠くに行ってしまいそうな……』ギュ

 金剛『こうやってハグしていても、消えてしまいそうな気がしマース……!』グスン


提督「あいつ、この手の嘘は言わねえからな。だが、金剛の抱いている不安を俺が感じ取ることができない以上、解決のしようがない」

大和「メディウムの皆さんはどうなんでしょう?」

ニコ「ぼくたち? 特に何も感じないけど……むしろ近しい感じがしてるよ。魔神様が態度を改めようとしてくれているからかな?」

大和「そうですか……」

提督「……どうしたらいいもんかな」

< ちょっ、待ちいや!

提督「? 龍驤か?」

 コンコン

雲龍「入るわね。提督、いる?」

提督「雲龍? どうした、いつになく怖い顔をして」

雲龍「……」ジー

大和「どうなさったんです?」

龍驤「堪忍な提督! 雲龍どないしてん!?」タタタッ

雲龍「……提督。あなた、気付いてないの?」

提督「なにがだ?」

雲龍「あなた、人じゃなくなりつつあるわ」

大和「!?」

龍驤「なんやて!?」

ニコ「それは、どういうこと?」

雲龍「とぼけないで」キッ

ニコ「!」

提督「どういうことだ、ニコ」

ニコ「待って、ぼくは何も……」

封印神殿と繋がる扉< ガチャリ

ルミナ「あー、その辺り、私が説明しようか?」

ニコ「ルミナ……?」

 * * *

ルミナ「まずは仮説だってことを断っておくよ」

雲龍「逃げ道ね」

ルミナ「……まあ、そうなんだけどねー。今回ばかりは自信がないのよ」ハァ

ルミナ「で、単刀直入に言うと、原因は魔力槽だと思う」

大和「魔力槽というと……如月さんや利根さんの体の傷を治したメディウムの入渠施設ですか?」

ルミナ「厳密には、君たちの言う入渠施設の修復材にあたる液体……魔力を満たしたあの液体が原因よ」

ルミナ「いや、原因と断ずるのも早いんだけど……実は、魔神君が入るまで、あの液体に人間を入れたことがないのよ」

龍驤「へ?」

ルミナ「どういうことかわかるよね? 前例がない、イコール、何が起こるかわからない」

大和「そ、そんなのに提督が入ったんですか!?」

ルミナ「そう。そこで検証のために、私たちの世界の人間を一人捕縛して、試しに魔力槽に突っ込んでみたの」

雲龍「無茶するわね」

ルミナ「その結果なんだけど……」

ルミナ「その人間は骨も残らず溶けてなくなったわ」

ルミナ「喩えるなら、紅茶に角砂糖を入れてかき混ぜた時みたいにね」

龍驤「……」

大和「……」

雲龍「……」

提督「……」

ニコ「……」

雲龍「……待って。どうしてあなたが絶句してるの」

ニコ「ぼ、ぼくだって今の話初めて聞いたんだよ!?」

龍驤「ちょい待ち。提督、きみ、魔力槽には入ったんやろ?」

提督「……ああ」

雲龍「無事だったの?」

提督「見ての通りだが……無事じゃなかったら、今ここにいる俺はなんなんだ?」クビカシゲ

ルミナ「ねえ魔神君、あの時キャロラインが大声でわめいてたと思うんだけど、なんかあったのかい?」

提督「……ああ、あったな。俺が風呂で溺れかけたんだ」

ニコ「溺れかけた!?」

提督「ああ、風呂に入ってからすぐ電流でも流れたみたいに皮膚が痛くなって、風呂の中に体が沈んでいった記憶がある」

提督「で、そのあと気を失って、すぐ目が覚めて慌てて風呂から顔を出したんだ」

大和「だ、大丈夫だったんですか!?」

提督「結果的にはな。腰の痛みも擦り傷も綺麗に消えたし、だるさも消えて前より元気になっちまった」

ルミナ「EDも治ったしね」

大和「それは本当ですかっっっ!!??」ズイッ!

提督「……余計なこと言うんじゃねえよルミナ」

天井< ガタンッ!

如月「その話、本当ですか!」バッ!

提督「どこから出てきた!」

ナンシー「ちょっと如月ちゃん、髪が埃だらけよ!」ヒョコッ

提督「お前の仕業か!」

床板< バタンッ!

金剛「話は聞かせてもらったネー!」ニョキッ!

キャロライン「イエース! ミートゥー!」ニョキッ!

提督「お前らもか!」

金剛「大和に抜け駆けはさせまセーン! 私だって提督と夜戦したいヨー!」

窓< バーンッ!

川内「なに? 夜戦!?」シュタ!

朧「提督は……朧が守ります!」シュタ!

提督「ドアから入ってこい! あと夜戦じゃねえ!」

大和「そ、そうですよね、夜になってから……あ、あの、提督、今夜早速お部屋に……」ポ

提督「だからヤらねえっつってんだろうが! 俺は俺の遺伝子残したくねーんだよ」

ルミナ「……遺伝子。遺伝子ね……」

龍驤「なんやその歯ぁに物挟まったよーな口振りは」

ルミナ「いや、魔神君の遺伝子って、今どうなってんだろうなーってさ」

ニコ「どういう意味?」

ルミナ「んー、誤解のないようにはっきり言うとねえ」

ルミナ「魔神君。きみはもう、人間じゃないよ」

龍驤「……」

大和「……」

雲龍「……」

ニコ「……」

如月「……」

ナンシー「……」

金剛「……」

キャロライン「……」

川内「……」

朧「……」

提督「……」

全員「「「は?」」」

龍驤「ああもう、ちょっち待って! どういうこっちゃ、提督が人間やないて!?」

ルミナ「如月君。きみは魔力槽に入ったことがあるね? 深かったかい?」

如月「え? い、いいえ、そんなことはなかったわ」

ルミナ「では魔神君が溺れたのはなぜか? 多分、魔力槽で肉体が全部溶けて消失したからだと思う」

全員「「「!?」」」

ルミナ「このとき、キャロライン君が魔力槽に何もなくなったことを確認している」

ルミナ「ところがそのあと、魔神君はその魔力槽の中から出てきた……」

ルミナ「ということは、だ。魔力槽が魔神君の肉体を一度溶解分解して、再構築した……としか考えられないんだよね」

全員「「「!!??」」」

ルミナ「魔力槽に満ちた魔力に耐えられるのはもはや人間じゃない。メディウムや艦娘に近い存在に生まれ変わった、としか考えられないのよ」

金剛「Oh, jesus...」マッサオ

キャロライン「ワ、ワタシのセイ……?」オロオロ

ルミナ「結果としてはそうだけど、魔神君が起き上がれないほどの怪我をさせた艦娘の誰かさんにも責はあると思うよ?」

ルミナ「とりあえず魔神君が並の人間みたいに溶けなくて良かったって思うんだけど……?」

雲龍「外が騒がしいわね?」

 ウソデショー!?

 チョット、オスナッテ!

 ナンテイッタノイマ!

提督「ん?」

 マジンサマー!

 イタイッテバー!

 ヨクキコエナイノデス!

ニコ「あれ?」

執務室の扉< ガチャバーン!

封印神殿への扉< ガチャバーン!

艦娘「「「きゃあああ!?」」」ゴロゴロドターン

メディウム「「「きゃあああ!?」」」バタバタバターン

全員「「「……」」」

大和「だ、大丈夫なの?」

榛名「は、はい! 榛名は大丈夫です!」

ミルファ「ミルファもオッケーです!」

提督「お前ら……」

吹雪「え、えへへ……し、司令官すみません、聞いちゃいました」

ミュゼ「ご、ご主人様、人間じゃなくなったんですね」

不知火「不知火は、司令が何者であろうとついていきます」

クレア「私たちもそのつもりだからね!」

提督「……ま、いいけどよ」


提督「しかし、なんでまた雲龍は一足早く気付いたんだ?」

龍驤「多分やけど、うちら艦載機をたくさん操るやん? その艦載機が感じ取る気配の機微を、雲龍は把握するのがうまいんちゃうかな」

龍驤「雲龍はこの鎮守府唯一の正規空母やし、召喚方法も精神力がものを言う陰陽師型や。気付いて当然やんか」

提督「よく見てやがるな」

龍驤「きみはもう少し見られてる自覚持ったほうがええで?」

今回はここまで。

>>499
君のような勘のいい(ry

続きです。

 * 墓場島鎮守府 執務室の外、連絡通路 *

雲龍「浮かない顔してるわね」

ルミナ「……君がいうのかい」

雲龍「……」

ルミナ「……魔神君が何故復活できたのかの説明ができない」

ルミナ「可能性としてはみっつ」

ルミナ「ひとつめは、元々そういう素質があった。妖精と話の出来る能力が、それらに起因していた」

雲龍「ふたつめは深海棲艦の弾丸ね」

ルミナ「……鋭いね。あの弾丸で一度魔神君は深海棲艦と化した。その要素が本人に残った」

雲龍「みっつめは?」

ルミナ「……んー。ニコ君とキスしたことかな」

雲龍「……ふぅん」

ルミナ「多分、彼女の持つ魔力が口腔、および唾液を通して魔神君の中に浸透したのかも」

雲龍「……たらし、ね」

ルミナ「ニコ君からは不可抗力だって聞いたよ?」

ルミナ「いずれも可能性のひとつ。そして根拠を示せない以上は仮説と呼ぶしかない」

雲龍「……」

ルミナ「そして、今の魔神君はいったい何者なのか? 説明できないのが歯痒くてね」

雲龍「……」

ルミナ「……」

雲龍「雲行きが怪しくなってきたわね」

ルミナ「それは天候かい? それとも、君たちと僕達の関係かい?」

雲龍「いいえ……島の外……外洋も含めて全部よ」


 * 墓場島鎮守府 西の岬 *

隼鷹「雲龍の言う通りだね……まずいんじゃない? これ」

ヴィクトリカ「なんだ? まずいって……酒がなくなったのか!?」

隼鷹「あはは、そうじゃないって。そっちじゃあなくてねえ……ほら」

ヴィクトリカ「……上?」

(上空から戻ってくる隼鷹の偵察機)

隼鷹「ちょっと飛ばしてみたんだけど、海軍っぽい船とそうでない船がひっきりなしにこの島の周りを回遊してんのさ。艦娘を引き連れて、ね」

ヴィクトリカ「……どういうことだ?」

隼鷹「のんびりしていられなくなった、ってことになんのかね~。あたしは結構気に入ってたんだけどね、この島の生活」

那智「まあ、無理もない。曲がりなりにも泊地棲姫の侵攻を食い止めたものの、追い返し方に謎が多すぎる」

那智「派兵された大佐以下6名が全員死体も残らない不審死だ。我々が加害者だと疑われても仕方がない」

ヴィクトリカ「そういうもんなのか?」

那智「ああ、残念ながらそういうものだ。この島にはある特例があるからな」

隼鷹「あー……確かにねえ。根も葉もないけど疑われそうだねえ、深海側の内通者がいるとか」

ヴィクトリカ「ル級のことか?」

那智「それもある。が、この島には『轟沈を経験した艦娘』がいる。それがまずいと踏んでいる」

ヴィクトリカ「なんでだよ? 生き残ったのに問題があんのか?」

那智「それは過去にとある鎮守府で起こった『艦娘深海棲艦化事件』に起因する」

那智「轟沈した艦娘が戻ってきて、何気なく生活していたある日、深海棲艦となって鎮守府を壊滅させた」

那智「それゆえ大本営から、一度轟沈した艦娘はそのまま運用してはならない、と言う判断が下されたんだ」

隼鷹「で、ここにはたくさん、そういう艦娘がいるんだよねぇ……本営は、そういった艦娘が深海棲艦と裏で繋がってる、とか考えてるんじゃない?」

ヴィクトリカ「だ、だとしたら、そのまとめ役のキャプテンも疑われてるかもしれないってことだよな!?」

隼鷹「あー……」

那智「そうかもな……!」

 * 墓場島鎮守府 執務室 *

通信『提督少尉、このままでは君の立場が危うくなる一方だ。一度大将に直接話をした方がいい』

提督「こんな連絡を寄越してくるあんたこそ立場がまずいんじゃないのか? 俺のことを心配してる場合じゃねえだろ、今の中佐は」

通信『そうかもしれないが、君の鎮守府が危ないんだ。黙って見ているのは僕の性に合わない』

提督「……あんた、本当に海軍か?」

通信『少尉、君は海軍をなんだと思っている。海軍を犯罪者の温床のように言うのは心外だ』

提督「別に海軍に限ってそう言ってるつもりはない。人間自体、中佐みたいなお人好しのほうが、よっぽどレアだろ?」

通信『君は人間を毛嫌いしすぎだ……』ハァ

通信『それよりも、あの報告は本当かい? 海軍の船舶が国籍不明を装って、島の周囲を見て回っているというのは』

提督「ああ、ご丁寧に民間の船か、難民を装った海賊風のボロ船に偽装してな」

通信『……そしてその船に艦娘が乗っていた、と』

提督「艦娘引き連れてた時点でクロだろ? 日本の海軍以外の連中で艦娘をつれていける連中なんていんのか」

提督「ドイツやイタリアならまだしも、アメリカやイギリス、ロシアだって艦娘の運用に関しちゃまだまだ尻の青い素人」

提督「シーレーンの7割は日本海軍の庇護下。海軍じゃない連中が艦娘を極秘運用できるわけがない」

通信『じゃあ、いったい誰が……』

提督「だから海軍だっつってんだろ。十中八九、大佐とつるんでた連中だ。匂いでわかる」

通信『……君は犬か』

 * 墓場島鎮守府 北の洞窟 *

提督「ったく、犬みてえだな」

軽巡棲姫「~♪」スリスリ

大和「すっかりなつかれてしまいましたね」

ル級「親子ミタイネ」

吹雪「……ちょっとうらやましいです」

朧「ところで、最近この洞窟にいる時間のほうが長くありませんか?」

ル級「仕方ナイワヨ。ホラ、ココノトコロ、島外ノ艦娘ガ巡回シテルデショ」

泊地棲姫「ル級ノ塒モ狭クナッタシ、連中ガ見回ッテルセイデ迂闊ニ航行デキナイカラ、ダッタラ最初カラココニイタホウガ安全ダト思ッテ」

由良「……まあ、そうなんだろうけど」

加古「ちょっと増えすぎじゃない?」

ル級「……マア、ソウネ……」

 ヨ級カ級達<ワイワイ

 リ級ネ級達<ガヤガヤ

 イ級ロ級達<イーロー

 タ級ヲ級達<ヲッヲッ

タ級1「断ッテオクガ私タチハ『ヲーヲー』言ッテナイゾ」クルリ

タ級2「誰ニ言ッテンノ」

提督「さすが泊地棲姫の軍勢、大所帯だな」

由良「いくらなんでも密集しすぎよね、ね」

大和「非公式とはいえ海軍が故意に見逃している安全地帯ですからね……」

朧「洞窟が完全に深海棲艦の住み家に……」

提督「……深海難民だな。俺たちと戦いたくねえ連中が集まったってことだろ」

吹雪「そう言われると複雑ですね」

加古「けどさあ、これ、電探で見つかったら一網打尽にされちゃわない?」

泊地棲姫「艤装ヲ動カサナケレバ、電探ニ反応ハシナイワ」

提督「そういうもんなのか?」

泊地棲姫「完全ニ消エルワケジャナイケド、反応ハ極メテ微弱ニナルワネ」

ル級「視認デキルクライ近ヅカナイト反応シナインジャナイカシラ」

大和「そこまで抑えられるんですか……」

ル級「キット、ソノヘンノ魚ト同ジクライニハ認識不能ニナルワ」

泊地棲姫「深海棲艦ノ行動原理ハ、人間ニ対スル負ノ感情ガ大部分ヲ占メテイル」

泊地棲姫「ソノ感情ヲ変換シテ艤装ニ伝ワッテ、チカラト為ス……ヒトヘノ憎悪ガ強ケレバ強イホド、チカラハ強クナル」

ル級「逆ニ、ココロノ風ガ穏ヤカナラ、波ガ立タナイ……ッテ、コト」

提督「……詩人だな」

大和「こうして話をしていると、彼女たちが深海棲艦だってことを忘れそうになりますね」

吹雪「司令官……私、彼女たちとはあんまり戦いたくなくなってきました」

加古「けどさあ、やっぱりこの提督だから、このくらい親しく話ができるってことっしょ?」

朧「ですね。大佐みたいな人間もいますし、全体で仲良くするのは難しいですよね」

由良「そうね……ただでさえ、私たち艦娘と深海棲艦と問答無用で戦ってるし、理解を得るのは大変よね」


提督(俺たちと仲良くしようとする深海棲艦の異端者たち、人間に疎まれた艦娘たち)

提督(本当に似たような連中ばかり集まってくるな、この島には)


提督「まあ、海軍に見つからないようにちゃんと隠れておけよ。さすがに俺もお前ら匿うのは骨が折れるからな」

深海棲艦たち「「ハーイ」」


ル級「……チョット、イイノ? アンタノ部下ガ素直ニアイツノ指示ニ従ッテルコトニ疑問ハナイノ? 仮ニモ姫様デショ?」

泊地棲姫「別ニイイワヨ。アノ男ヲ私ノ伴侶ニスレバイイダケノ話ダカラ」ウインクー

ル級「……」イラッ






 * * *

ニコ「魔神様たちは行ったみたいだね」

泊地棲姫「オ前ハ……アイツト一緒ニイタ、人外ノ娘カ」

ニコ「君たちにお願いがあるんだ」

メディウムたち「……」ズラッ

泊地棲姫「ホウ……雁首揃エテ、何ノ用ダ?」





ニコ「この島から、出て行ってほしい」



今回はここまで。

たまにはほのぼのパートも書きたいんだ……おそらくもう殆どないけれど。

続きです。

 * 二日後 本営、中佐の部屋 11:00 *

ヴェールヌイ「司令官。墓場島鎮守府に行ってきたというのは本当かい?」

中佐「響!? 待ってくれ、今はその話は駄目だよ、あくまでお忍びなんだから」

ヴェールヌイ「……」

中佐「確かに君も連れて行くと話をしたが、上層部に目を付けられている今はまずいんだ」

ヴェールヌイ「……了解。この分だと当分先になりそうだね」

中佐「すまないね……ん?」

 扉< ゴンゴン

大将「甥っ子君はいるかね。急だが出撃準備をしたまえ。本日1800に艦隊を出すぞ」ガチャ

中佐「おじ……大将殿!? いきなりどうしたんです?」

大将「提督少尉の鎮守府に出撃することになった」

中佐「は!?」

ヴェールヌイ「……退室します」

大将「いや、いい、聞いててくれて構わん。それで別の大将からの報告だ。彼の鎮守府で深海棲艦を匿っていると情報が入った」

中佐「ほ、本当ですか!」

大将「うむ、彼が深海棲艦と友好を結ぶ気でいるのか、それとも人間に反旗を翻す気でいるのか、早急に見極めなければならん時期が来たようだ」

中佐「……前者であってほしいですね」

大将「ただ、別大将からは最悪の状況を想定しておいてくれ、ということだ。なので、君には艦隊と、この前の医療船を出して欲しい」

中佐「負傷者の対応に回れということですね」

大将「ああ。あの鎮守府に一番近いのが君の鎮守府だからな。そうでなくても君の所有する医療船は良い船だ」

中佐「わかりました、すぐに手配します」

大将「さて、提督少尉の艦隊だが、戦艦と重巡が主力で、軽巡と駆逐艦も粒揃い。急接近して至近距離での砲雷撃戦が得意という報告がある」

大将「数少ない空母たちは烈風などの制空戦闘機を数多く載せていて空対空に強い反面、対艦攻撃に秀でた艦載機はあまりないことも一因だ」

大将「もしやりあうとしたら、対空砲を強化し、かつ接近される前に超長距離から砲撃戦を展開するのが有効と見ている」

中佐「……」

大将「提督少尉の艦隊にも大和と武蔵がいるが、こちらは46cm三連装砲を多数用意してある。射程が同じなら数で勝るこちらが有利だ」

大将「この作戦に参加するのは、別大将とその配下の少将と、大佐が2名。大佐のうちの1名はお前の友人、W大佐だ」

中佐「……そう、ですか」

大将「我々からは私と君が参加する。部下たちは大規模作戦の準備中でな、残念ながらこれ以上人員を割くことができなかった」

大将「別大将もあの鎮守府の状況を重く見ているらしい。あの鎮守府の周辺海域を探っていたのは別大将の部下だと明かしてくれたよ」

中佐「そうだったんですか……」

大将「君も戦艦を主体にした艦隊を編成し、出撃準備を行いたまえ」ガチャ

中佐「はっ!」

 扉< バタン!

ヴェールヌイ「司令官……!」

中佐「……ついに、こうなったか」

中佐「何が『見極める』だ。提督少尉が敵であることを前提で話を進めているじゃないか」

中佐「しかもあの別大将、深海勢力の撲滅推進派の急先鋒……伯父さんの理想とは真逆の人だ」

中佐「あの人は最初から提督少尉を粛正するつもりで艦隊を出すに違いない。だとしたら伯父さんを呼んだのはなぜだ?」

 コンコン

祥鳳(中佐の秘書艦)「失礼します。提督……提督?」

中佐「ん? あ、ああ、ごめん祥鳳。緊急で出撃することになった、編成を考えないと……」

祥鳳「はい、先程大将殿に廊下で簡単に伺いました……ですがその前に、お客様がお見えになっています」

中佐「……僕に?」

祥鳳「大変申し訳ありませんが、こちらまで御足労お願いできますでしょうか?」

中佐「……?」



 * 墓場島鎮守府 執務室 *

提督「中佐、だからそういうおせっかいはほどほどにしろと……!」

通信『何故怒るんだ! 思い当るところがあるのか!?』

提督「別にねえよ! それよりこんな連絡寄越すほうがどうかしてるぞ! つまんねー正義感に酔っ払ってんのか!?」

通信『僕は正気だ! そんなことより、僕は忠告したからな! くれぐれも、変な気を起こすんじゃないぞ!』

提督「起こす気ねえっつってんだろ、くそが!」

 ギャアギャア

山城「……どうして私が秘書艦のときに、こう喧嘩腰の連絡がくるのかしら……」

山城「しかも相手がよりによって温厚で知られる中佐だなんて……不幸だわ」

 チン

提督「あー、ったくよー! 面倒臭えったらねえぞくそがぁぁ!」

山城「提督、聞いてましたけど……抜き打ちでの島の調査を行うって話ですか」

提督「ああ。本営がこの島を調査したいと言い出した」

山城「中佐もこんな連絡をしていたら出世に響くでしょうに……不器用な人ですこと」

提督「それは別に構わねえが、調査班とやらがすぐに来るらしいとよ!」

山城「……なんですって」

提督「大将2人に少将1人、大佐2人に中佐も来るとよ。錚々たる顔ぶれだな」

山城「……あああ、なんてこと……」

提督「なんだ?」

山城「なんだもなにも、嫌な予感しかしないじゃない……!」

提督「具体的には?」

山城「この前始末した部下Dやその上司……大佐だったかしら? そいつらの再捜索とかで、きっと無関係の私たちの私室とか漁られたりするのよ!?」

提督「ほう。そりゃ屈辱的だな」

山城「そうじゃなければ、深海棲艦を匿っていないか、それこそ虱潰しに島を荒らしに来る可能性もあるわ」

提督「だろうなあ」

山城「それに、この島には憲兵がいないでしょう? 大勢憲兵が乗り込んであらを探しに来るかも」

提督「ふーん、他には?」

山城「む……メディウムの存在の確認かしら。考えてみれば不思議に思われるわよね」

提督「ほーほー、なるほど」

山城「それか……大佐の敵討ち……かしら? 敵討ちしてもらえるような人望はなさそうだけど」

提督「……ククッ、なるほどな」

山城「あとは、泊地棲姫を追い返した有能な艦娘の引き抜きも考えられるわ……はっ、もしや扶桑お姉様が狙われたりして……!」

山城「扶桑お姉様が誰かに見初められて、私と離れ離れになったりしたら……! ああ、不幸だわあああ!!」

提督「わざわざ引き抜きにくるのに、抜き打ちで夜中に、ってのはなさそうだがな?」

山城「提督! いくらあなたが朴念仁とはいえ扶桑お姉様の美貌を理解していないとは言わせませんよ!」

山城「そう、扶桑お姉様を我がものにしようと、不逞の輩が月夜の晩に部屋に押し入り、扶桑お姉様を無理矢理……ああ、なんてことをおお!」

提督「そんなに心配ならしっかり見張っとけ。昨日の朝なんか、いつの間にか扶桑が俺の布団に入り込んで隣で寝てたからな」

山城「このクソ提督ぅぅぅ!!」

 コンコン

那珂「しっつれいしま~す! お仕事終了しましたぁ!」ガチャ

潮「曙ちゃんが来たのかと思ったんだけど……」

満潮「ったく、何やってんのよ!」

朝雲「司令官、遠征から戻ったわ!」

提督「ん、ご苦労さん。どうだ、見張りは多かったか」

山雲「それはもう~、た~くさん、目が光ってたわ~」

朧「見つけるたびに那珂さ……那珂ちゃんがポーズ決めてたから……」

那珂「遭遇すること14回! 望遠カメラも2台くらいあったね!」

満潮(どうやってカメラの位置とか把握してるのかしら)

山城「満潮。那珂ちゃんはね、前の鎮守府じゃ本当に艦隊のエースで、本当にセンターポジションだったのよ」

満潮「!」

山城「ただ、そこの鎮守府がすごーくブラックで、休みなしどころか休養すらなしぶっ通しで戦ってたって話なのよね……」

那珂「そうそう! 3日超えたあたりからハイになっちゃって、メンバーが1人2人と脱落していって、残ったのが那珂ちゃんと榛名さんで……」

那珂「それで最後は失神して、ここに流れてきたんだよね~♪」

満潮「……ええ……」

那珂「あのときは旗艦(センター)だったし、頑張ろーって思って、どこから見てるかすっごい気を張り詰めてたからねー」

那珂「緊張の糸が切れるっていうか、ヒューズが飛ぶっていうか、そんな感じ?」

山城「旗艦任されたくらいなんだから、すごいのよ那珂ちゃんは。ライブのときはギャラリー一人一人にしっかり視線合わせてウインクするんだもの」

那珂「この鎮守府の人数が少ないから、そのくらいは出来て当然っ!」エヘーン

満潮「えぇ……」

山城「おかげでカメラへの反応も超一流なのよ。……満潮? 不思議そうな顔してるけど、どうかしたの?」

満潮「……な、なんでもないわ!」

山雲「それじゃあ、満潮姉と朝雲姉と一緒に資材を置いてくるわね~」

朝雲「そうね、行こっか?」

満潮「わ、わかったわよ!」

潮「あ、わ、私も行きます」

那珂「あー、潮ちゃんは朧ちゃんと一緒に残ってくれる~?」

潮「え? は、はい……」

朧「なにがあったのかな……」

那珂「満潮ちゃん、不思議がってたところを山城ちゃんに気遣われて嬉しかったんじゃないかな~」コソッ

 * 廊下 *

満潮「……」

朝雲「満潮姉さん、嬉しそうにしてるわね」ヒソヒソ

山雲「ねー」ヒソヒソ

朝雲「さすがは山城さん、よく見てるわよね」ヒソヒソ

山雲「ねー」ヒソヒソ

満潮「……なによ」

朝雲「なんでもないわよー」

山雲「なんでもないのよー」

朝雲山雲「「ねー♪」」

満潮「……うっざい」

朝雲「まあまあそう言わないで」

山雲「満潮姉もご一緒にー」

満潮「い、一緒にって」

山雲「いいからいいからー」

朝雲「はい、せーの」

満潮朝雲山雲「「「ねー♪」」」

満潮「……はっ! つい乗っちゃった!?」カァァ

霞「……なにやってんの」

朝潮「楽しそうでなによりです!」

霰「……うん」ニコー

満潮「ちょっ、見るな! 見るんじゃないのー!!」グワーー

今回はここまで。

その国の組織体系にもよるんじゃね?
銀英伝だと「大量の元帥が生まれた」時期ってのもあるし
そうでなくとも「地位こそ高級士官だがやってることはデスクワークのみ」とかの可能性もある

ランキングに元帥がずらっと並んでることもあって、感覚が麻痺してますね……。
ゲームスタート時が少佐だから、艦娘を率いている人間はそれなりの地位がないと
いけない希少な存在なのか……と思いきや、提督が大量生産されてるし。

艦娘や妖精とコミュニケーションを取りことができる人材をスカウトしまくった結果、海軍の総人数が肥大化。
下部組織の人数も増え、それを統率する人数も増えた。
そのため、トップになる元帥は1人として、大将以下は複数人いる、という解釈で進めたいと思います。

それと、いまさらですが同じ艦娘は複数いる設定です。

 * 執務室 *

提督「つうわけで、だ。連中はおそらくこの島の全部を調べる気だ。各々、貴重品は持ち歩いておくか、まとめて持ち出せるようにしておけ」

山城「ええ、そのように伝えます」

提督「那珂は巡洋艦、山城は戦艦、朧と潮は駆逐艦と空母の連中に連絡を頼む」

那珂「はーい!」

提督「それと、もうすぐ来る定期便に中佐が紛れ込んでる可能性もあるから注意しろよ」

山城「はぁ?」

提督「2、3日前、俺と話がしたいとか言って来たんだよ。さっきの連絡といい、やたら俺に構ってきやがる。あいつホ○か?」

山城「……そ、そんなことは」メソラシ

潮「……ないと……思います」カァァ

朧「…………多分」ウツムキ

提督「まともに否定してやれよお前ら……」

那珂(……まあ、中学生か酒匂ちゃんか、ってくらいの童顔だもんねえ、中佐って)

 * *

中佐「へっくち!」

祥鳳「!? お、お風邪ですかX提督! 私の上着をどうぞ!」ヌギッ

中佐「祥鳳さんこれ以上脱いじゃだめだって!」ワタワタ

 * *

提督「……ところで、昨日からニコやメディウム連中を見てないんだが、どこ行った?」

潮「それが、どこにも……」

朧「あの、それだけじゃなくて、北の洞窟にいた深海棲艦も姿が見えないんですよ」

提督「なに?」

潮「で、でも、海軍本営が来るなら、いないほうが好都合なんじゃ……」

提督「連絡できねえ方が問題だ。大将どもが来たときにあいつらが帰ってきて鉢合わせしたらまずいだろ」

提督「……龍驤と五十鈴、それとはっちゃんに頼むか。島の周囲をぐるっと回って見てもらおう」

 * * *

提督「で、どこにも誰もいない、ってか。連中、どこ行きやがった」

伊8「……新しい塒を探しに行ったのかな」

提督「それならそれで、しばらく戻ってこないといいんだがな……これじゃ迂闊に信号も打てねえ」

五十鈴「そっちはそれで説明がつくけど、メディウムたちもいないのは妙よね?」

提督「そうなんだよな。そこにある神殿の扉にもいつのまにやら鍵がかかってるしよ」

伊8「えー? 本当だ……」ガチャガチャ

龍驤「……あ、ええこと思いついたで」

提督「ん?」

龍驤「きみきみ、今日からうちのことお姉ちゃんて呼んでええよ!」ムネポーン

提督「は?」

五十鈴「は?」

伊8「は?」ハイライトオフ

龍驤「えーと、あとなあ、ベ……ブラックホールの子が……えーと……」キョロキョロ

提督「……」

五十鈴「……」

伊8「……」ハイライトオフ

龍驤「……」キョロキョロ

提督「ベリアナがどうかしたか」

龍驤「あー、あかんあかん。やっぱりおらへんようやな」

五十鈴「どういうこと?」

龍驤「ほら、ニコちゃんは提督のお姉ちゃんやーて常々言うとったやんか」

龍驤「うちがそういうこと言って、もしどこかで聞いとったら対抗してくるはずやろ?」

提督「……つうと、ベリアナをブラックホールと言ったのもソニアをおびき寄せるため、か?」

龍驤「あの地獄耳な子からツッコミ入らへんところ見ると、ほんまに居らんのやろなあ……」

五十鈴「……どこ行っちゃったのかしら」

伊8「うん……」ハイライトオン

龍驤(……メディウムの子は釣られへんかったけど、違う子が釣れたわ……あかん、マジあかんで)ヒヤアセ