【FEif】カムイ「私の……最後の願いを聞いてくれますか?」―4― (1000)

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・北の城塞『図書室』―

クーリア「白夜侵攻部隊が移動を開始したようですね」

フリージア兵「はい、無限渓谷を越えに掛る時間は大凡、三日ほどかと」

クーリア「白夜での陣地形成に掛る時間を加味すれば、あまり長い時間事を起こしてはいられないと見るべきでしょう。それで暗夜王都攻略の手筈ですが……」

フリージア兵「はい、地方部族の方は既にクーリア様と共に動く意思を見せています。現在、白夜への物資経由を行う拠点に多くの賛同者が潜り込んでいます」

クーリア「それと、例の攻城装備ですが……」

フリージア兵「現在、王都に比較的距離の近い村々に分解して運び済みです。現在は組み立ての作業に取り掛かっていると報告を受けています」

クーリア「わかりました」

フリージア兵「あとは、カムイ様達が無事に転移魔方陣を完成させているかどうかですが」

クリーア「その点は心配などしていませんよ。カムイ殿はむしろ私たちの合図を待ってくれているはず。そして、私達は彼女を信じると決めている、だからこそこうして同士を集い、時を待っているのですから」

フリージア兵「そうでした、申し訳ない、この場に至って……」

クーリア「気にすることではありません。それでは、引き続き状況の共有に努めるようお願いしますよ」

フリージア兵「はい、わかりました」

 タタタタタッ ガチャ バタン

クーリア「暗夜王都ウィンダム、そしてクラーケンシュタインの攻略。これで白夜侵攻の勢いを崩すことができればよいのですが…」

「……カムイ殿」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1466084140

このスレは、『カムイ「私の……最後の願いを聞いてくれますか?』の続きとなっています。

 最初の1スレ:カムイ「私の……最後の願いを聞いてくれますか?」
 カムイ「私の……最後の願いを聞いてくれますか?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1438528779/)

 所々にエロ番外のある2スレ:【FEif】カムイ「私の……最後の願いを聞いてくれますか?」―2―
 【FEif】カムイ「私の……最後の願いを聞いてくれますか?」―2― - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1443780147/)

 アクアが暗夜兄妹と和解した3スレ:【FEif】カムイ「私の……最後の願いを聞いてくれますか?」―3―
 【FEif】カムイ「私の……最後の願いを聞いてくれますか?」―3― - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1456839703/)

 個人妄想全開の暗夜ルートになっています。
 オリジナルで生きていたキャラクターが死んでしまったり、死んでしまったキャラクターが生き残ったりという状況が起きます。
 ご了承のほどお願いします。

 主人公のタイプは
 体   【02】大きい
 髪型  【05】ロング・セクシーの中間
 髪飾り 【04】ブラックリボン
 髪色  【21】黒
 顔   【04】優しい
 顔の特徴【04】横キズ
 口調  【私~です】

 長所短所には個人趣味の物を入れ込んでいます。 

 長所  心想い【心を好きになる(誰とでも結婚できる)】
 短所  盲目 【目が見えない(ただそれだけ)】

 ※時々、番外編を挟むことがあります。
 番外の場合は『◇◆◇◆◇』を付けています。

○カムイの支援現在状況●

―対の存在―
アクアA
(カムイからの信頼を得て、その心の内を知りたい)

―城塞の人々―
ギュンターB++
(恋愛小説の朗読を頼まれています) 
フェリシアB+
(カムイに従者として頼りにされたい)
ジョーカーC+
(イベントは起きていません)
フローラC+
(すこしは他人に甘えてもいいんじゃないかと言われています)
リリス(消滅)
(主君を守り通した)

―暗夜第一王子マークス―
ラズワルドB
(あなたを守るといわれています)
ピエリB
(弱点を見つけると息巻いています)
マークスC+
(イベントは起きていません)

―暗夜第二王子レオン―
オーディンB+
(二人で何かの名前を考えることになってます)
ゼロB+
(互いに興味を持てるように頑張っています)
レオンB
(カムイに甘えてほしいと言われて、いろいろと考えています)

―暗夜第一王女カミラ―
ルーナA
(目を失ったことに関する話をしています)
カミラA
(白夜の大きい人に関して話が上がっています)
ベルカC+
(イベントは起きてません)

―暗夜第二王女エリーゼ―
エリーゼB++
(昔、初めて出会った時のことについて話しています)
ハロルドB
(ハロルドと一緒にいるのは楽しい)
エルフィC+
(イベントは起きていません)

―白夜第二王女サクラ―
サクラB++
(カムイと二人きりの時間が欲しいと考えています)
ツバキB
(イベントは起きていません)
カザハナC+
(イベントは起きていません)

―カムイに力を貸すもの―
シャーロッテB++
(返り討ちにあっています)
スズカゼB
(おさわりの虜になったようです)
サイラスB
(もっと頼って欲しいと思っています)
ニュクスB
(イベントは起きていません)
モズメC+
(イベントは起きていません)
リンカC+
(イベントは起きていません)
ブノワC+
(イベントは起きていません)
アシュラC+
(イベントは起きていません)
フランネルC+
(イベントは起きていません)

 仲間間支援状況

●異性間支援

・レオン×カザハナ A
・ジョーカー×フローラ A
・レオン×サクラ A

・ベルカ×スズカゼ B
・ラズワルド×ルーナ B
・ラズワルド×エリーゼ B
・ブノワ×フローラ B
・エリーゼ×ハロルド B
・オーディン×ニュクス B
・ベルカ×スズカゼ B
・オーディン×アクア B

・サイラス×エルフィC
・モズメ×ハロルドC
・ギュンター×ニュクスC
・レオン×エルフィC
・アクア×ゼロC
・ルーナ×ハロルド C

・ラズワルド×リリス B消滅
・ゼロ×リリス C消滅

●同性間支援

・リンカ×アクア A
・ピエリ×カミラ A
・フェリシア×ルーナ A
・フローラ×エルフィ A
・レオン×ツバキ A

・ギュンター×サイラス B
・ベルカ×エリーゼ B
・フェリシア×エルフィ B
・シャーロッテ×モズメ B

・エルフィ×モズメ C
・シャーロッテ×カミラ C
・ピエリ×リンカ C
・ピエリ×ルーナ C
・ピエリ×フェリシア C
・ジョーカー×ハロルド C
・アクア×ルーナC

・ピエリ×リリスC→消滅

 今日はスレ立てだけになります。

◆◆◆◆◆◆
―白夜・イズモ公国『大広間』―

カムイ「もう、大丈夫なんですか、カゲロウさん?」

カゲロウ「ああ、改めて礼を言わせてほしい。ありがとう、カムイ様」

カムイ「いいえ。気にしないでください、それよりもありがとうございます、こうして話をする機会を与えてくれて」

サイゾウ「別に構わん。もう、お前達がこちらに来ていることは王都に知れ渡っている頃合いだ」

レオン「恐れることはないってことかな?」

サイゾウ「どう思おうがそちらの勝手だ。だが、このイズモの中で何もせずにいるのなら、何もするつもりはない」

カムイ「もう少しサービスしてくれてもいいんですよ?」

サイゾウ「ふっ、その軽い口調は相変わらずのようだが、敵であるお前達にこれ以上のオン城は不要。ここまでの随伴でフウマの件は終わりを迎えているのだからな」

カゲロウ「カムイ様。命を助けられた立場だが、私も白夜の人間。暗夜の人間であるカムイ様たちを、この先に入れるわけにはいかない」

レオン「……まぁ、たしかにその通りだよ」

サイゾウ「俺たちはお前達がここから動かぬように見張るつもりだ。白夜王国へ向かおうというのなら刺し違えようとも、足止めさせてもらう」

カムイ「穏やかじゃありませんね」

サイゾウ「穏やかな戦いなどあるわけがない。そうだろう?」

カムイ「たしかに、その通りです」

レオン「それにしても意外だね」

サイゾウ「?」

レオン「僕たちはサクラ王女たちを連れてここに来ている。だからまずはサクラ王女の身柄を引き渡すように、交渉してくるかと思っていたんだけど。なぜそうしてこないのかと思ってね」

サイゾウ「……」

レオン(……サクラ王女がすでに暗夜のために戦っていると踏んでいるのか。それとも、何か別の理由があるのか。どちらにせよ、サクラ王女たちを白夜に引き渡すには状況が出来上がってない可能性が高いということか……)

カゲロウ「サクラ王女は無事なのか?」

カムイ「大丈夫ですよ。こちらのレオンさんがここまで身を呈して守ってくれましたから」

レオン「ちょ、姉さんいきなり何を言い出すんだ!」

カムイ「いえ、実際身を呈して守ってくれましたし」

カゲロウ「そうか…。レオン王子、今ここにおられないリョウマ様に代わって礼を言わせてほしい。ありがとう」

レオン「いや、王族として当然のことをしただけだよ。サクラ王女に何かあったら、戦争の終結にもっと多くの血が流れることになるからね」

サイゾウ「だが、ガロンは交渉をするつもりはないと見える。フウマでの話が確かならば、すでに暗夜の大侵攻は始まっている…そうだろう?」

カムイ「ええ、お父様は白夜を滅ぼすつもりです。私達がこちらに来た目的は橋頭保としてこのイズモ公国を占拠して、テンジン砦攻略までに本隊と合流、サクラさん達を使って交渉をすることです」

サイゾウ「……なるほどな、それが暗夜王子がサクラ様を守ってきた理由というわけか?」

レオン「どう捉えてもらっても構わないけどね」

カゲロウ「その計画を聞いた以上、尚更あなたを通すわけにはいかない」

カムイ「先行作戦通りならばそうですけど、私達がここにいるのは違う理由です。それを勘違いされては困ります」

カゲロウ「……違う理由?」

サイゾウ「……フウマでコタロウに聞いていたな。お前たちの側に付かないかと」

カムイ「ええ」

サイゾウ「そして俺の問いに白夜の敵になるつもりもないと言っていたが」

カムイ「そのままの意味ですよ。白夜の敵になるつもりはありません、私たちの敵は決まっています。ですから、お願いがあります」

サイゾウ「願いだと?」

カムイ「はい、お願いです」

カゲロウ「その願いとはなんだ?」

カムイ「はい、イズモから私達が出ることを許してくれませんか?」

サイゾウ「戻るだと?」

カゲロウ「一体どこへ?」

カムイ「……私達は、これから暗夜に戻ります」

サイゾウ「戻って何をするつもりだ」

カムイ「はい、暗夜の首都を落としてきます」

カゲロウ「……」

サイゾウ「……」

カムイ「……」

カゲロウ「……あなたは何を言っている、意味がわからない……」

サイゾウ「…ふざけているのか?」

カムイ「私はまじめです。伊達や酔狂でこんなことを言うつもりはありませんし、現在の暗夜の侵攻を抑えるのが私の目的ですから。そのために私は王都を落とします」

サイゾウ「仮にその話を信じたとして、それが抑止力になり得るという保証はない。そのままの勢いで白夜を攻める者たちもいるはずだ」

レオン「戦争を続けるのに必要なのは投資に見合うかどうか…。そして父上に従っている軍属や貴族は父上じゃなくて自分が得られる富に固執してる奴らが大半だ」

サイゾウ「……」

レオン「今の彼らは侵攻じゃなくて宝探しに興じてる。白夜の大地は彼らにとって落ちてる宝石のようなものだからね。それを彼らは見過ごすつもりはない。暗夜と白夜の土地は違いすぎる。あらゆることが利益になる」

レオン「でも、それは自分たちがそれを行う基盤である領地があってこそのこと、暗夜の王都が落ちたとなれば八割は暗夜王都奪還に躍起になる。そうなれば、知らぬ白夜の土地で戦う暗夜の進行速度は格段に落ちるはずだし、なにより侵攻に賛成的でない者たちの心も揺らぐはずだ」

カゲロウ「レオン王子、すべての民がそれに従っているというわけではないと聞こえるが?」

レオン「それは白夜も変わらないことだよ。それにすべての民が白夜を滅ぼすことを目的に動いていたら、僕たちはイズモを強襲制圧していた。あそこでキミ達を助けることもなかったよ」

カゲロウ「そうか。皮肉なものだが私達は、暗夜の民に救われたということか」

カムイ「今後は時間との勝負になります」

カゲロウ「?」

レオン「現在、暗夜は多くの徴兵のために、従わない村の大規模な焼き払いを行った。恐怖という鎖で今の侵攻軍は出来上がってる。それが白夜に対する攻撃心に変わるのも時間問題だ」

サイゾウ「……」

カムイ「私は暗夜の民に白夜を滅ぼすという心を持ってもらいたくはありませんし、そんな人たちに白夜が滅ぼされていく姿を見たくはありません。私は白夜を滅ぼすために、暗夜に付いたわけではないんです」

サイゾウ「……」

カムイ「……」

カゲロウ「……サイゾウ」

サイゾウ「わかっている。同士討ちしてくれるというのなら、それに越したことはない」

カムイ「サイゾウさん……」

サイゾウ「……お前のその酔狂な発言とその願い、確かに聞き届けた。イズモを越えて王都を目指さぬ限り、お前たちを攻撃したりはしないと約束しよう」

カムイ「ありがとうございます、サイゾウさん」

サイゾウ「……礼などいらん。元々、こちらに選択肢を与えるつもりもなかったのだろう?」

カムイ「サイゾウさんだけじゃありませんよ。私自身にも選べる選択肢はありません。だって、私にも道はたった一つしかないんですから……」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
―イズモ公国・中央広場―

カムイ「……ふぅ」

カムイ(二日くらい前まで、ここでお祭りがお祭りがやっていたとは思えないくらい静かになっていますね)

 テトテト

カムイ(……なんだか、寂しい感じがしますね)

???「どうしたの?」ピトッ

カムイ「ひゃあっ!」

アンナ「あら、もしかして気づいてなかったの。驚かせちゃったみたいね」

カムイ「その声はアンナさんですか?」

アンナ「覚えてもらえて光栄よ。しかも暗夜の王族さんになんて」

カムイ「流石に覚えますよ。いっぱい散財してしまいましたから、ところでお祭りのほうはどうでしたか?」

アンナ「ええ、数十年に一度の入れ替わりのお祭り、暫定で大成功ってところ。あんまり娯楽品は戦争ムードだと売れないものだから、大量在庫って辛いわね。来年には新しいものができるから、流通流行の最先端を揃え続けないといけないから」

カムイ「そうなんですか」

アンナ「ええ。はぁ、私の姉妹はうまく稼げてるのかしら?」

カムイ「姉妹ですか?」

アンナ「ええ、これでもいっぱいいるの。暗夜王国に誰か商売に行った気がするけど、暗夜の大攻勢の噂は聞いてたはずだから、それに見合ったものを持っていったとは思うんだけど……。上の姉なら問題ないけど私より下の妹だったら、ヘマするかもって思っちゃって」


カムイ「そうなんですか。でも離れていてさびしくないんですか?」

アンナ「寂しくないってわけじゃないけど。なんだかんだ、姉妹揃ってお金主義だからね。だから、こんなに稼いだ女の商人がいるとか聞くと、悔しさ七割、闘争心二割り、安心一割って感じで安定するのよ」

カムイ「七割は悔しさなんですか」

アンナ「ふふっ、姉妹揃って稼ぐことしかないからね。心配する時は、ほんと稀ね」

カムイ「……私はそのお役に立てましたか?」

アンナ「ええ、おかげさまで。次の日から、結構な人が来てくれるようになったからくじは大成功。カムイ様は良い客寄せパンダだったわ」

カムイ「お客さんを前にそう言うですか」

アンナ「だって、自覚はあるんでしょ? カモにされたって言う」

カムイ「まあ、ありますよ。これでしばらくは貯金生活ですから」

アンナ「で、他に誰かいないの。気前良くお金使ってくれそうな人は」

カムイ「………」

カムイ(そう言えばルーナさんはセール品とかにすごく弱いんでしたか……)チラッ

アンナ「? どうしたのかしら?」

カムイ(なんでしょうか。会わせてはいけないような気がしてならないというか……)

カムイ「すみません。あまり散財癖のある人は思いつきません」

アンナ「そう、残念……。でも、カムイ様の傍にいればすぐにでも散財してくれるのかしら?」

カムイ「今はないから無理ですよ」

アンナ「それもそうね、無い袖は振れないっていうし、そうだローンでもいいけど?」

カムイ「お断りです」

アンナ「いけずぅ……ん?」

 タタタタタッ

アクア「カムイ、すぐに来て頂戴」

カムイ「どうしたんですか?」

アクア「合図が来たわ。もう準備を終えて、みんな集まっているわ」

カムイ「! わかりました」

アンナ「ふふっ、もう行っちゃうのね。何かわからないけど、頑張ってね」

カムイ「はい、アンナさんも撤収作業のほう頑張ってください」

アンナ「ええ。ああ、それとカムイ様」

カムイ「?」

アンナ「私はできればこんな縁日で稼ぐつもりだから、戦争が終わってほしいって考えてる。だから色々と終わったらこんなお祭りするつもり、その時はまたお金いっぱい落として頂戴ね」

カムイ「いっぱいは難しいかもしれませんね」

アンナ「ふふっ、そう。それじゃ行ってらっしゃい」

カムイ「はい、アンナさんもお元気で」

 タタタタタッ

アンナ「……さてと……それじゃ、次の商売にむけて準備を始めようかしら!」

~~~~~~~~~~~~~~~~~

 タタタタタッ

カムイ「すみません、遅くなりました」

アクア「これでみんな揃ったわね」

 ブォンブォン

マークス「この中に入れば、あの暗夜の地に戻れる。そういうことなのか」

カミラ「空の入れ替わりが終わってちょうど二日くらいかしら。もう、お父様が率いる侵攻部隊もおおよそ半分以上は、無限渓谷を越えたということになるわね」

エリーゼ「……絶対、止めてみせるんだから。サクラ、安心してね!」

サクラ「は、はい。ありがとうございます、エリーゼさん」

カムイ「それじゃ、まずは私達で行きましょう。後続の方、私達が消えてから三十秒後に入る形でお願いします」

アクア「カムイ、手を」

カムイ「はい、マークス兄さんも」

マークス「ああ。カミラ」

カミラ「ええ、エリーゼ」

エリーゼ「うん、サクラも手をつなご!」

サクラ「はい、それじゃ、レオンさんで最後ですね」

レオン「別に手を繋がなくても良いと思うんだけど。まぁ別に構わないけどさ」

カミラ「うふふっ、なんだか不思議ね。こうして手を握りながら入っていくなんて」

アクア「雰囲気は出ると思うわ」

マークス「確かにそうかもしれないな」

カムイ「うふふっ。それでは皆さん、行きましょう」

 カッ カッ カッ

 シュオオオオンッ

「私たちの成すべきことをするために……」

今日はここまでで

 3スレの1000にガチレズという単語があったので、スケベは『ヒノカ×セツナ』で行きたいと思います。
 この話の二人の関係性で話を書くと思います。
 
 今週の土曜日でFEif発売一周年、時間が経つのは早いですね。

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・北の城塞『訓練場』―

クーリア「……」

 ガサガサッ カッ カーッ

 パシパシ

フリージア兵「そっちはどうだ?」

フリージア兵「はい、間もなく……終わりました!」

フリージア兵「よし、上の者聞こえるか―!」

 ナンデスカー!

フリージア兵「文様の最終確認を頼む!」

クーリア「よろしくお願いしますよ」

 マカセテクダサイー!

 ……モンヨウホコロビナシ。カタチニモンダイナシ、トトノッテイマス!

フリージア兵「よし、降りて魔力の供給を手伝え。では、クーリア様」

クーリア「はい、出来次第始めてください」

フリージア兵「はっ」

~~~~~~~~~~~~~~~~~

フリージア兵たち「……」

 シュォォオオオオンッ

クーリア「……」

フリージア兵たち「……」

 シュォオオオンッ

 シュパアアア

フリージア兵たち「おおっ」

クーリア「どうやら起動には成功したようですね。あとはカムイ殿が準備を終えているかどうかですが……」

 ブォン ブォン ブォォォン

フリージア兵「魔方陣の同調を確認!」

クーリア「ふっ、心配することもなかったようですね」

フリージア兵「はい。魔力供給を安定させます。全員、集中しろ!」

『了解!』

 シュオオオオォォン!!!!

クーリア「……」

 シュタッ シュタタタッ

 スタスタスタッ

カムイ「不思議な感覚ですね。自分がまるで砂になったように感じます」

カミラ「七重の塔で賢者様が行ったのにそんな感覚はなかったわね。さすがは賢者様ということかしら?」

レオン「人間を微分子レベルで分解、再構築してるのかもしれないけど、ぶつけ本番でやることじゃ無かったね。最悪、ここに全員が混ざり合った肉塊が現れることになったかもしれないし」

アクア「でも、こうして成功したから問題ないわ。それに転移が失敗した時点で、死んでしまっているだろうから気にすることもないはずよ」

エリーゼ「アクアおねえちゃん、結構怖いこと言うよね」

サクラ「アクア姉様、時々怖い話を私に聞かせてくるんです。そう言う話をする時の顔してます」

アクア「ふふっ、続きが気になって聞いてくるのはサクラだったはずだけど?」

サクラ「あ、アクア姉様の話は怖いけど、続きが気になってしまうんです」

エリーゼ「怖いもの聞きたさってやつだね!」

マークス「しかし、こうして無事に戻ってこれたのだから、それでいいだろう」

カムイ「そうですね。……スンスン、暗夜の匂いがします」

エリーゼ「匂いでわかるの!?」

サクラ「さすがはカムイ姉様ですね」

レオン「そこは褒めるところなのかな?」

 カッ カッ カッ

クーリア「どうにか転移魔法成功したようですね、カムイ殿」スッ

カムイ「クーリアさん、お久しぶりです」ギュッ

クーリア「ええ、お久しぶりです」

カムイ「すみません、ここまでの準備をすべてお任せするような形になってしまった上に、魔法陣の件もすべて任せきりで」

クーリア「いいえ、私はできうる限りあなたの指示に近づけているだけに過ぎませんので」

カムイ「そうしていただけただけでも、クーリアさんにお願いしてよかったと思います」

クーリア「もったいないお言葉です。ところで、スズメたちはこちらに来るのですか?」

カムイ「いいえ、スズメさん達にはイズモ公国で情報収集に務めてもらっています。戻るまでの間に起きたことをできる限り知りたいので。白夜には踏ん張ってもらえるように祈るくらいしか、今できることはありませんから」

クーリア「わかりました。それでは早速作戦会議を始めましょう。来ていただいたばかりですが、あまり時間があるというわけでありません」

カムイ「はい、わかっています。皆さん、後続の方たちのことをお願いします」

フリージア兵たち『お任せください、カムイ様』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
―北の城塞『図書室』―

カミラ「結構様変わりしたわね?」

エリーゼ「すごい、これって王都の全体地図だよね……。あっ、地下の通路も書いてある。すご~い」

クーリア「古い書物などを引っ張り出して色々と調べつくしましたので」

レオン「かなり時間が掛ったんじゃないのか?」

クーリア「ええ。ですが、ちょっかいを出してくる者たちもいませんでした。なにせ、フリージアの民はカムイ殿の計らいで戦争に参加せずにぐうたらしている。そう王都の連中には思われているようですからね」

アクア「参加してる戦いが違うから、間違ってないわね」

クーリア「ええ、色々と準備が楽でした……考えることだけはですけどね。では皆さん、こちらに各自お掛けください」

 ガタッ ガタッ ガタンッ

カムイ「…それでクーリアさん、現在の状況はどうなっているんですか?」

クーリア「はい。現在ガロン王率いる侵攻軍は無限渓谷を越えをほぼ終えつつあります。そして多くの物資補給路を確保のために王都の兵も外へ出ているため、王都の防衛能力は低くなっている状態。この提案はガロン王のものによるそうで、よほど横槍が入らない自信があるようです」

カムイ「そうですか。でも、流石に王都を空にするとは思えませんね」

マークス「クーリア、王都防衛の最高責任者はわかるか?」

クーリア「残念ですが、最高責任者が誰かは定かではありません。ですが、王都防衛を任されている者たちならば、調べは付いています。こちらの二名が指揮する部隊が残っているようです」

 パラッ

レオン「えーっと、竜騎兵部隊のナハトに重装甲騎兵部隊のブリッツか。となると、やっぱり王都への道を守ると考えるべきだね」

クーリア「はい、王都入口は一つしかありませんので」

クーリア「確かにクラーケンシュタインを越えた先にある田園地帯の山からという方法もありますが、あそこは多くの民家が密集しています」

クーリア「また、王都の貧困街や地下街の非戦闘員などはこの地域に誘導する流れになっているので、こちらから攻めるという選択肢はありません。さすがに城と民家ならば、大抵の敵は城へと逃げるはずです」

カムイ「……はい。となると、真正面から正々堂々と戦っていくことになりますね」

エリーゼ「ねぇ、留守の間に来てるのに、正々堂々なのかな?」

アクア「エリーゼ、戦争はそういうものよ。軍隊のいない留守を狙って侵攻したり、一人を多人数でボコボコにするのは基本戦術ね」

レオン「それに真正面からぶつかりに行くのは自殺行為。僕たちの持ってる戦力だと、やっただけで好き放題に蹂躙されかねない」

カムイ「暗夜に攻撃を仕掛けてくる存在がいないと思っている今しかありません。それにこれくらいしなければ、私達は負けますから。真っ向勝負を起こすつもりなら、もっと兵力を整えないといけません」

レオン「力がないならここを使うしかないよ」トントンッ

カミラ「そうね。それで、ここからどうするの? いくらお父様の率いる侵攻部隊が渓谷を越えていたとしても。こっちは王都を落とさないといけない、王都で何かしらことが起きれば、今は補給路の最終構築に出ている兵も戻って来るし、最悪お父様も戻って来るわ」

クーリア「ええ、こちらも色々と作戦は練っています。レオン殿、これをご確認いただけますか?」

レオン「ああ、わかったよ……」

マークス「どうだ、レオン」

レオン「理屈は理解できるけど、あまりいい作戦とは言えないっていうのが僕の判断だよ、補給拠点を襲って王都からできる限り兵を送るように仕向けるなんて。囮の生存率はかなり低い」

クーリア「承知の上です。今回の王都攻撃を承諾してくれた我らと同じ地方部族の方々も自分達が囮ということを理解しております。そして、王都を落とした直後に戦闘が終わるわけではないこともです」

カムイ「……なら、私達はその囮が早めに終わるように王都を、そしてクラーケンシュタインを落とすだけです」

クーリア「そう言っていただけると心強い限りです。それとカムイ殿、今回の指揮を担当する方ですが」

エリーゼ「それはカムイおねえちゃんでしょ?」

クーリア「……そうあれれば良いのですが。そうはいかないのです。カムイ殿は……」

カムイ「はい……。マークス兄さん、お願いしたいことがあるんです」

マークス「なんだ?」

カムイ「今回の戦い、マークス兄さんには先頭に立って戦っていただきたいんです」

マークス「……理由を聞かせてもらおうか」

カムイ「私にはシュヴァリエ公国での戦いで王族として認められたという悪評が付き纏っています。ですからマークス兄さんに私をただの武器として扱ってほしいんです。マークス兄さんに認めてもらうためにここにいるという、そんな体で」

マークス「……カムイ、お前はそれでいいのか?」

カムイ「はい。私の言葉について来てくれるのは、ここに来てくれた仲間達とフリージアの皆さんだけですから」

エリーゼ「でもでも、こんなに協力してくれる人が集まってるんだよ? おねえちゃんが戦うから、みんな集まったのに、おねえちゃんが先頭に立たないほうが――」

クーリア「エリーゼ殿。残念ですが我々以外にカムイ様の事を信頼している者はいません。ここまで集めた同志に向けて、私はカムイ様の名前を一度も出したことはないのですよ」

エリーゼ「えっ……どうして」

クーリア「……もう地方の部族の方々の多くはカムイ殿を見限っていますし、カムイ殿の名前を出すだけでも疑惑を向けられかねない、それが今のカムイ様を見る人々の目です」

エリーゼ「そんな、そんなこと、だってカムイおねえちゃんはあの時、戦いたくないのに戦わされてただけなのに……」

 ポスッ ナデナデ

エリーゼ「カムイおねえちゃん……」

カムイ「いいんですよ。むしろ、私なんかが背負うには重すぎることをマークス兄さんに押しつけてるだけなんですから。でも、そう言ってもらえてとてもうれしいです、ありがとうございます、エリーゼさん」

エリーゼ「……うん」

マークス「カムイ……」

カムイ「これはマークス兄さんにしか頼めないことです。レオンさんでも、カミラ姉さんにもエリーゼさんにもできません。お父様の近くにいた暗夜王国第一王子であるマークス兄さんにしか、お願いできないんです」

マークス「……」

カムイ「お願いします……」

マークス「……」

カムイ「……」

マークス「カムイ、今の私はお前に剣を預けている身、そう言ったはずだ」

カムイ「マークス兄さん……」

マークス「私はお前の剣だ。そしてお前にならこの身を預けられると考えている。ならばお前の言葉に従わない道理はない、この肩書がお前の目指す道の役に立つのなら、使ってもらって構わない」

カムイ「……ありがとうございます。マークス兄さん」

マークス「ふっ。クーリア、同士に私の名前を通し意思を伝えよ。暗夜第一王子マークスは、古き暗夜を見切り新しき暗夜の夜明けを目指して先頭に立ち剣を振るうとな」

クーリア「わかりました、マークス殿」

カムイ「では、引き続き作戦会議を進めましょう」

クーリア「はい、それでは――」

レオン「その前にクーリア。一つ質問があるんだけど、いいかい?」

クーリア「なんでしょうか、レオン殿」

レオン「城壁に沿って備えられているこの凸マークだけど、これは何を表しているんだい?」

クーリア「それは攻城装備ですね」

レオン「攻城装備ね。凸一つにつき五、それが十あるということは五十もあるっていうこと? いったいこの量をどうやって手に入れたんだ?」

クーリア「ええ、元々攻城に関しては我々も手を焼いていまして。どうにか三十は集まっていたのですが、せめてあと最低十は欲しいということで、いろいろとこそこそと動いていたのです」

レオン「一体どこから?」

クーリア「それが、ある商人がガロン王に白夜での戦いに必要になるかもしれないと来たのはいいものの、必要ないと追い返されて大量在庫を抱えているとのことでしたので。特別セール価格ということで十個の値段で二十個売ってくださいました」

エリーゼ「へぇー、そうなんだー。どんな人だったの? やっぱり筋肉モリモリな男の人?」

クーリア「いえ、儲かるならなんだっていいという、赤髪の女性でした。これじゃ大損だと悪態を吐いていましたが」

カムイ「……え?」

アクア「カムイ、どうしたの?」

カムイ「いえ、なんでもありません」

カムイ(さすがにそんなことはありませんよね……偶然でしょう)

カミラ「でも、攻城装備っていうことは半額でもそれなりにしたんじゃないの?」

クーリア「まぁ、さすがに一括払いは不可能なのでローンを組まされてしまいました。しかし、背に腹は代えられませんし、装備不足で準備が進まないという事態は避けたかったので」

カムイ「ふふっ、なおさら負けられない戦いになってしまいましたね」

クーリア「ええ、娘たちがここにいたらどやされていたかもしれませんね。何年ローンなのかとか、フリージアの者も止めなさいとか、徹底的にいじられてしまうかもしれませんので」

カムイ「戦争が終わった後の目標もできてしまったようですね」

クーリア「目標は無いよりあった方がいいですよ。まぁ、あまり楽しいものではありませんが」

カムイ「さて、問題はどう攻めるかということですね。王都の入口はどのようになっているんですか?」

クーリア「はい、王都側と外側にそれぞれ門があり、跳ね橋がそれぞれ下がることで通行が可能になります。片方だけ下がったところで、王都に入ることは叶いません」

レオン「王都への道を確保するためには、王都側の跳ね橋と外側の跳ね橋の両方を下さないといけない」

カムイ「外と内を取らないことには王都内部への侵攻は不可能ということですね」

クーリア「ええ、城門はおそらく重装甲騎兵を主力としたブリッツの部隊。城壁周辺は竜騎兵を主力としたナハトの部隊がそれぞれ守っているでしょう」

レオン「そこでこの攻城装備の出番ってことなんだろうけど、実際この攻城装備はなんなんだい?」

クーリア「魔力を与えることで飛距離を向上させることのできるカタパルトです」

レオン「カタパルトか……。魔法での飛距離と攻撃力の向上は期待できるけど、これで王都の城壁を壊せるとは思えないし、数回やれば相手は隠れることを覚えるはずだ」

クーリア「ええ、それこそが狙いでもありますから」

レオン「?」

クーリア「流石に攻城装備を整えたところで、二層の城壁を破ることはできません。それに外壁と内壁の間は湖ですから、城壁の破壊は現実的ではありませんよ」

レオン「じゃあ、なんでカタパルトが必要なんだ?」

クーリア「城壁攻略に携わるのはシュヴァリエの者たちです。彼らにとってのカタパルトはただの攻城装備ではないようなので」

レオン「どういうことだい?」

クーリア「ええと、つまりですね――」

~~~~~~~~~~~~~~~~~

クーリア「――――というわけです」

レオン「馬鹿げてる……」

カミラ「なんだか乱暴ね」

アクア「ええ、そもそもそれって耐えられるのかしら?」

クーリア「魔法でその部分は大丈夫だと思います。それに元々は反乱の最終攻撃の案で王都を襲撃する際にそうする予定だったそうです。元から用意していたカタパルトはあの時に全てが破壊されたそうですが、こうして五十台準備出来たのは運のいいことです」

カムイ「シュヴァリエの方たちも参戦するんですね」

クーリア「はい。今の暗夜に対する戦いを望む者たちとなると、限られてしまうのが現状です。シュヴァリエの方々は今回の戦いには協力的ですが、カムイ殿が受け取ることになる視線に暗い色が付くことは免れないでしょう」

カムイ「覚悟しておきますよ。それに私はマークス兄さんに認めてもらうために、この戦いに参加している体なんですから。ね、マークス兄さん?」

マークス「たしかにそうだが……」

カムイ「だから、大丈夫です。新しい暗夜に縋るために媚を売る軽い女を演じてみせますから」

アクア「………」

カムイ「それでクーリアさん、現在できるようなことはなんですか?」

クーリア「今すぐに侵攻を開始するというのは無理です。ですが、補給拠点への攻撃を始めることは可能でしょう」

カムイ「では、補給拠点の攻撃指示をお願いします。あと、この戦いに参戦する方々を王都に最も近い村に集めて頂けませんか?」

クーリア「わかりました。攻城装備は先行して配置を済ませることにしますが、よろしいですか?」

カムイ「はい、くれぐれも王都攻略での先走りがないようにお願いします」

クーリア「皆さん聞きましたね。これより暗夜攻撃の最終準備に入ります。補給拠点への伝達、明日の真夜中に同時に事を起こすように指示を出すように、無限渓谷へと向かう者は越えさせてはなりませんが、王都に知らせに行く者は逃がし、王都の兵の救援要請が早く通達されるようにしなさい」

フリージア兵たち「はい」

カムイ「こちらは王都からの兵団出兵を確認後に集結。時を見計らって王都に攻撃を仕掛けます。暗夜に巻きつくこの状況を破壊するために、皆さんの力をお貸しください」

一同『はい、わかりました!』

カムイ「では、行動を開始してください」

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・補給拠点A―

暗夜兵「それはそっちだ。たく、なんでこんなところで補給なんてしなくちゃいけねえんだよ?」

暗夜兵「仕方ねえだろ。補給も重要なんだからよ」

暗夜兵「補給路を守る必要なんてねえよ。今さら白夜がここまで攻めてくることもねえんだ。あーくそ、あの軍属の野郎についてもこんな後方勤務じゃ、戦果も期待できやしねえ」

暗夜兵「それにしても、今日も地方部族の奴ら黙々と働いてやがるな」

暗夜兵「けっ、ここでちゃんとしてればいずれ褒美でももらえるって考えてるんだろうが。甘いよな、地方部族はどんなに頑張ったって地方部族のままだってのによ」

暗夜兵「その点、あのフリージアって部族はうまくやったもんだぜ。あのカムイ王女に引き抜かれたんだからな。今はあの城塞でぬくぬく戦争が終わるのを待ってるんだってよ。いいねぇ、白夜は今や下からは王族の先行部隊、上からはガロン王様率いる本隊が迫ってんだからよ。白夜を潰して富を得た時に、被害も出さずにいられる。すげえ玉の輿だ」

暗夜兵「まったくだぜ」

 コロンコロンコロン

暗夜兵「おい! 何か落ちたぞ!」

部族「……」

暗夜兵「てめえ、今落としただろ。戦場に送る物資を落として置いて、気付かねえとか、なにやって――」

 ドゴンッ

暗夜兵「がっ」ドサッ

暗夜兵「おい、何いきなり倒れて――」

部族兵「……」

暗夜兵「!? な、てめえ、一体何を!?」

 タタタタッ

 ブンッ

 ドガッ バキッ

暗夜兵「ぐえっ…」ドサッ

部族兵「よし、こっちは仕留めた」

部族兵「わかった……そっちはどうだ!」

部族兵「こっちも終わった。よし、それじゃ始めるぞ」チャキッ

部族兵「……王都の方は本当大丈夫なんですかね?」

部族兵「ああ、大丈夫だ。あのマークス王子がクーリアの元に付いたという話だ。地方部族の私達にも手を差し伸べてくれたあの方を信じることになんら迷いはない。ここで私達が囮を引き受け、たとえ死ぬことになったとしても、必ず暗夜に光をもたらしてくれるはずだ」

部族兵「ああ、やはり王族といえどガロン王のやり方は非道極まりないと判断したということだ。まぁ、一人を除いてだろうがな」

部族兵「ああ、あのカムイ王女は状況によっていい顔をしているだけに過ぎなかった。ふん、結局は模範的な暗夜貴族に過ぎないということだろう」

部族兵「まったくだな。よし、準備出来たぞ」

部族兵「よし、全員火を準備しろ。ここまで虐げられてきた日々、その終わりを迎えるために。我々の命は新しい暗夜の礎となるかもしれない、だがそれを恐れることなく戦い続けるのだ」

『おおおおおおーーーーーー!!!!』

 タタタタタタッ

 ボワッ ボワッ

 ボオオオオオオオオッ

 今日はここまでで

 城や都を攻める際にルートを選べたりするのが結構好きだったりします。
 シュヴァリエ式カタパルト運用方法。
 
 この先の展開を安価で決めたいと思います。
 参加していただけると幸いです。

◇◆◇◆◇
・カムイが話しかけるキャラクター

 ギュンター
 フェリシア
 ジョーカー
 フローラ
 ラズワルド
 ピエリ
 マークス
 オーディン
 ゼロ
 レオン
 ベルカ
 エリーゼ
 ハロルド
 エルフィ
 サクラ
 ツバキ
 カザハナ
 シャーロッテ
 スズカゼ
 サイラス
 ニュクス
 モズメ
 リンカ
 ブノワ
 アシュラ
 フランネル

 >>37 >>38
(重なった場合は次の書き込まれたキャラクターになります)

◇◆◇◆◇

・カムイが参加する攻略戦

1.装甲騎兵部隊のブリッツが守る王都正門
2.竜騎兵部隊のナハトが守る王都城壁

 こちらは先に3回あがったものにしたいと思います。

 こんな形でよろしくおねがいいたします。

エリーゼ
城壁

騎士の誓いだ
正門で

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・王都付近の寒村―

フリージア兵「現在、王都から出陣した討伐隊は予想通り反乱の始まった補給拠点に向かって進軍を開始、見たところでは危機感を抱いているように思えないとのことです」

レオン「まぁ、現在の暗夜の状況を見れば危機感を覚えることはないはずだよ。この補給拠点の攻撃もわずかな部族の反乱だと考えている今なら、こちらの攻撃はうまく決まるはずだ」

クーリア「この寒村に王都攻撃の者たちも集結しつつありますし、カタパルトもほぼすべてが初期地点に展開済みですので、うまく決まればすぐにでも正門と城壁を落とすことができるでしょう」

レオン「ああ、このままいけば日暮れには出陣を開始して、夜には攻撃を仕掛けられるだろうね」

クーリア「ええ……。それよりもレオン殿はよろしいのですか?」

レオン「なにがだい?」

クーリア「いえ、他の方と離れてこのように作戦会議をしていただけるのは心強いですが、今は皆と過ごされた方が……」

レオン「問題ないよ。それに、作戦はギリギリまで粘るべきだ。僕は兵士を消耗品のように考える戦い方は好まない、最適な場所に配置して、それで叩くのが僕の戦術だ。犠牲もできる限り抑えないといけない。それにこの戦いに協力的な貴族が仕切っている地方部族はマークス兄さんが戦闘表明を出したからどうにかなるけど、ほかの地方部族はクーリア、君がまとめ上げなくちゃいけないんだ。だから、こうして最後の確認をするんだよ」

クーリア「それもそうでした。申し訳ない、レオン殿」

レオン「でも、この指示を出した人間はかなりの量を補給拠点の奪還のために派兵したように思える。本陣を叩かれる可能性が現状少ないからと言って、ここまで大胆に兵を動かしてる。もしかしたら、あまり頭を使って戦う奴じゃないのかもしれないね」

クーリア「派兵は全体の七割以上といわれています。白夜が攻めてくる可能性はほとんどないわけですから、それよりも補給拠点の奪還に手間取って、白夜侵攻大隊への補給が滞らないようにするほうを選んだのかもしれません」

レオン「僕達が戻ってきてるということも、本当に大規模な反乱が起きることも相手は知らないんだからね。どちらにせよ、補給拠点の囮には頑張ってもうしかない、こっちは長引けば長引くほど結束が離れかねない、寄せ集めなわけだからさ」

クーリア「しかし、ガロン王も結構大それたことをします。まるで暗夜を守るつもりがないようにも思えなくないほどに、王都防衛に割いた兵の数は少ないのですから」

レオン「もしかしたら、本当にそうかもしれない」ボソッ

クーリア「?」

レオン「なんでもない。それよりも最後の詰めをしないといけないから、ちょっと姉さんと兄さんを呼んでくることにするよ」

クーリア「はい、わかりました。私はこちらで待機しておりますので」

レオン「ああ」ガタッ

 バサッ バサァ

~~~~~~~~~~~~~~~~~~
―カムイの天幕―

カムイ「少しだけ慌ただしくなってきたようですね」

サイラス「そうだな」

カムイ「しかし、私たち以上に王都の兵たちは大変だったのかもしれませんね」

サイラス「たしかに補給拠点の八割で反乱が起きたとなれば、王都の兵も出ないといけないはずだ。のんびりしてられると思ってた奴もいるんじゃないかな?」

カムイ「眠っているところを叩き起こされたようなものですね」」

サイラス「俺もただの城内勤務だったら、この反乱の鎮圧に出て行ったかもしれないな」

カムイ「そうですよね。確かサイラスさんは元々は城内勤務だったんですよね」

サイラス「そうだな。でもカムイがこうして表に出てきてくれて正直助かったかもしれない」

カムイ「なんでですか?」

サイラス「おまえがまだこの時まで城塞に縛り付けられていたら、俺は城内でのんびり剣の訓練をしてるだけだっただろうからな。こんな風におまえと戦える日々じゃなかったら、体は鍛えられても精神は怠けることになりかねないし、それに俺はお前の故郷を滅ぼすために剣を振ってたかもしれないって思うと。今こうして共に闘えることは嬉しいことだと思うんだ」

カムイ「サイラスさんは騎士なんですから。それに誓いを重んじるサイラスさんは、命令を守るんじゃないんですか」

サイラス「ははっ、カムイ、俺の持ってる騎士の誓いは、友の誓いって言った方がいいかもしれない」

カムイ「友の誓いですか?」

サイラス「ああ、昔から親に言われてた。この世で一番得るべきものは繋がりで、その初めになる友愛の心は繋がる一歩になるってさ」

カムイ「ふふっ」

サイラス「な、なんだ。何か変なこと言ったか?」

カムイ「いいえ、サイラスさんはやっぱりサイラスさんなんだなって思いまして。私と遊んでくれたのも私の願いを叶えてくれたのも、友愛の精神からなんですね」

サイラス「も、もしかして、カムイは俺が上に言われたからそうしてたって思ってたのか」

カムイ「ええ、だって、目が見えない昔の私なんて、ただの面倒の掛る子供なだけじゃないですか」

サイラス「……たしかに、最初の頃はそうだったかもしれない」

カムイ「それが普通ですよ。目が見えない分、いろいろと迷惑を掛けましたし、転んですぐに泣いたりしてましたから」

サイラス「そうだな、積み木に足をひっかけて倒れたりしただけでも泣いてたからな」

カムイ「ええ、泣くたびにサイラスさんの名前を呼んでた気がします。サイラスぅ~って、ふふっ、あの感触が懐かしいです」

サイラス「感触?」

カムイ「はい、剣をうま振えた時、泣いているとき、サイラスさんは私の頭を撫でてくれたじゃないですか、その感触を思い出してしまったんです」

サイラス「……」

カムイ「ふふっ」

サイラス「なぁ、カムイ」

カムイ「なんですか? サイラ――」

 ナデナデ

カムイ「えっと、サイラスさん?」

サイラス「こ、こんな感じだったかな?」

 ナデナデナデ

カムイ「んっ、とっても、懐かしいです」

サイラス「……カムイがしてほしいっていうなら、まだ続けるよ」

カムイ「じゃあ、少しだけこのままでお願いします。とっても懐かしい、サイラスさんの手は何時までも温かいんですね」

サイラス「温かいのが友情だからな」

カムイ「サイラスさんの温かさは昔から変わりません。あの時からずっと、友情なんですね」

サイラス「…友情か」

カムイ「?」

サイラス「いや、なんでもない。もう少し続けるか?」

カムイ「サイラスさんが続けたいなら、続けてもいいですよ」

サイラス「なっ、カムイ……」

カムイ「ふふっ、冗談です。もう少ししてもらってもいいですか?」

サイラス「ああ、まかせろ」

 ナデナデ ナデナデ

サイラス(カムイの髪、サラサラしている)

カムイ『えへへ、サイラスの手、温かくて、優しいからわたし大好きなんだ……もっと撫で撫でしてぇ。んふふっ、サイラス大好きっ!』

サイラス(……もう少し甘えてくれたりしないかな……そのあの頃みたいに……)

カムイ「サイラスさん?」

サイラス「な、なんでもない。ささっ、俺もそろそろ装備の点検に戻ることにするよ」

カムイ「はい、ふふっ、撫で撫で懐かしくてよかったですよ。サイラスさん」ニコッ

サイラス「そう言ってもらえて光栄だよ、カムイ」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

カムイ「……」

カムイ「どうしましょう。表だって行動しない方がいいということで、天幕待機にしましたが思ったよりも暇ですね……」

カムイ(サイラスさんはもう装備点検に戻ってしまいましたし。私はできうる限り戦闘以外での接触は避けた方がいいでしょう。現に、私がいるということで不安を覚え始めている人がいるそうですし……)

カムイ「はぁ、自分で蒔いた種とはいえ、なんだか寂しいものですね……ん?」

 タタタタタッ

カムイ「足音?」

 バサッ

エリーゼ「カムイおねえちゃん、いるー?」

カムイ「あ、エリーゼさん。ちゃんといますよ、どうしたんですか?」

エリーゼ「えっとね、カムイおねえちゃん、寂しがってないかなって思って」

カムイ「……な、なんでそう思ったんですか?」

エリーゼ「えへへ、カムイおねえちゃんって思ったよりも寂しがり屋なんだってアクアおねえちゃんが言ってたから、その一人で寂しくないのかなって……」

カムイ「アクアさん、そんなことを言ってたんですか」

エリーゼ「うん。その、もしかして迷惑だったかな……」

カムイ「……いいえ。少し寂しくは思っていましたから」

エリーゼ「えへへ、それじゃ、えいっ!」
 
 ボスンッ

カムイ「あっ、ふふっ、いきなり膝上に座っちゃいますか?」

エリーゼ「うん、カムイおねえちゃんの膝の上、温かいから大好き!」

カムイ「ふふっ、前もこんな風に乗られちゃいましたから、外はどんな状況なんですか?」

エリーゼ「えっとね、いっぱい人が集まり始めてて、マークスおにいちゃんの場所にいっぱい挨拶に来てる。でも、やっぱりカムイおねえちゃんのことを聞くと、すごく不満そうな顔になっちゃう」

カムイ「仕方無いですよ。他の皆さんはどうですか?」

エリーゼ「ううん、なにも問題無いよ。でも、なんか嫌だよ、おねえちゃんだけ目の敵にされてるみたいで……。あの場にはあたしたちもいたんだよ?」

カムイ「あの時、私が指揮官でしたから、指揮官がシュヴァリエを攻撃を指示したんですから。間違ってませんよ」

エリーゼ「そんな……」

カムイ「ごめんなさい。せっかく私に会いに来てくれたのに、こんな話ばっかりしてしまって。もっと楽しい話をしたいですね」

エリーゼ「ねぇ、カムイおねえちゃん」

カムイ「はい、どうしました」

エリーゼ「えっとね、久しぶりになんだけど……あ、あのね」

カムイ「?」

エリーゼ「その、あたしの顔を触ってくれないかな……」

カムイ「どうしたんですか、突然」

エリーゼ「カムイおねえちゃんがちゃんと触ってくれたのって一年以上前なんだもん」

カムイ「たしか成長したか確認してってエリーゼさん、せがんできたときですよね?」

エリーゼ「うん」

カムイ「……そのいいんですか。私が顔に触る理由、エリーゼさんは知ってるのに」

エリーゼ「前にも言ったけど、みんな知ってるよ。それにカムイおねえちゃん、この頃、人の顔触ってないみたいだから……」

カムイ「確かに、この頃はアクアさんに止められていましたからね」

エリーゼ「だから、その、カムイおねえちゃんが良ければ、あたしの……顔触ってもいいよ?」

カムイ「……そうですね。それじゃ、お言葉に甘えさせてもらいますね」

エリーゼ「それじゃ、一回降りて――」

カムイ「いいえ、このまま失礼しますね、エリーゼさん」ピトッ

エリーゼ「ひゃっ、んっ、カムイおねえちゃん、後ろからは……、ひゃぅう」

カムイ「ふふっ、動いちゃ駄目ですよ。前から触るのもいいですけど、こうやって後ろから触るのも何だかいいですね。ふふっ、そんなもじもじして、どうしたんですか?」

エリーゼ「んんっ、カムイおねぇしゃっ…。そんな、首筋ぃ、ダメだめだよぉ……」

カムイ「いい声です。エリーゼさんも、こんな声をあげちゃうくらいになっちゃたんですね……。こんなに小さくて可愛いのに。ふーっ」

エリーゼ「んひゃぁあっ。だめ、前から、前から触られるより、すごくはずかしいよぉ、んああぅううっ」

カムイ「そうなんですか、いいこと聞いちゃいました。他の人にも試したいです。それにしてもエリーゼさんの髪、本当に長くていい匂いがしますよ。ふわふわしてて、とってもとっても心地いいです」

エリーゼ「やっ、めじりにゆ、ゆびっ、ひっかけちゃ、だめぇ……」

カムイ「目尻もいいですけど、やっぱりエリーゼさんは首の、この当たりですね」サスサス

エリーゼ「アッ、くぅん」

カムイ「エリーゼさんの喉のまんなか、ここに触れると体がしびれちゃうんですか?」コスコス

エリーゼ「あっ、うううっ、カム、イおねえ、ちゃっ、んんっ。やっ、へ、へんな、へんなこえ、でちゃうぅう。んやっ、あふっ、ひっ、んんあっ」

カムイ「ああ、いいです。いいですよ、エリーゼさんの声、とっても可愛いっ。もっと、もーっと私の耳に聞かせてください」クニクニ

エリーゼ「ふあああっ、のど、くにくにしちゃ、だめ、だめだよおねえちゃんっ」

カムイ「ふふっ、喉がうねってますね。それに、口が開いたままですよ?」

エリーゼ「ら、らってぇ。んっ、あたし」

カムイ「エリーゼさんの顔、今からいっぱい触ってあげちゃいます。喉はずっと触ってあげますから、いっぱいコロコロ顔を変えちゃってくださいね」コスコス シュッシュッ

エリーゼ「ふぁ、おねえちゃ、んにゅ、んんっ」

カムイ「エリーゼさんの口、小さくて可愛い、鼻も小さいですし。本当に可憐で、とっても柔らかい。まるでケーキみたい、どんな味がするんですかね?」サワサワ

エリーゼ「あぅうんっ。は、からだぁ、あつくなっちゃう、カムイおねえちゃんっ」

カムイ「ええ、エリーゼさんの体、とっても熱くなってます。こんなに熱くなるなんて、顔はどうなってるんですか?」

エリーゼ「わからない、わからないよぉ。いや、いやっ、んんぁああっ」

カムイ「可愛い御凸、後ろから触るとなんだか違う感じがします。ふふっ、柔らかい……」

エリーゼ「はぁはぁ、カムイおねえちゃん……」

カムイ「いっぱい堪能させてもらいました。ありがとうございます、エリーゼさん。なんだか、とってもドキドキしました」

エリーゼ「あ、あたしも、すごくドキドキした。その、恥ずかしかったから」

カムイ「ええ、あんなに可愛い声をあげるなんて思いませんでした。ちゃんと成長してるんですね」

エリーゼ「そ、そうなの?」

カムイ「ええ、前より可愛くなってますから」

エリーゼ「ううっ、きれいになってるって言って欲しかった」

カムイ「ふふっ」

カムイ「でも、どうしたんですか。突然、顔を触ってもいいなんて」

エリーゼ「うん、その、前のこと。あたしが嘘付いてたこと…」

カムイ「私はもう気にしてませんよ」

エリーゼ「ううん、あたしが嫌なの。カムイおねえちゃんに嘘を吐いてたあたしの姿を、おねえちゃんに覚えてて欲しくなかったの。だから……」

カムイ「エリーゼさん」

エリーゼ「ご、ごめんなさい」

カムイ「何も謝ることなんてありませんよ。むしろ、私の中のエリーゼさんはどんどん新しい魅力で溢れてますから」

エリーゼ「カムイおねえちゃん……」

カムイ「だから何も気にすることはありませんよ」

エリーゼ「……ありがとう」

カムイ「ふふっ」

エリーゼ「えへへ、おねえちゃんぎゅ―ってしてほしいなっ」

カムイ「わかりました。いいですよ、エリーゼさ――」

 タタタタタッ

 バサッ

レオン「姉さん、ちょっといいかな?」

エリーゼ「………」

レオン「どうしたんだい、エリーゼ?」

カムイ「レオンさん、どうかしました?」

レオン「打ち合わせをしたいから、ちょっと来てもらえないかなって思ったんだけど……」

カムイ「わかりました。エリーゼさん、残念ですけどまた今度してあげますから」

エリーゼ「う、うん」

エリーゼ「うーっ」ジーッ

レオン「なんで、僕をそんなに睨みつけるんだ?」

エリーゼ「なんでもないよ、ふーんだ!」

 タタタタタッ バサッ

レオン「なんなんだ?」

カムイ「はぁ、本当にレオンさんは空気を読んでください、あと二分くらいは遅れてきてくれたら……」

レオン「なんで、こんなに言われなくちゃいけないの?」

カムイ「それよりも、打ち合わせということは……」

レオン「ああ、寒村にほとんどの部隊が集合してる。最後の確認に入ろうと思うから姉さんにも話に参加してもらいたいんだ。マークス兄さんもすでに向かってる」

カムイ「そうですか」

レオン「うん、だから来てもらえるかな?」

カムイ「ええ、断る理由はありませんよ」

レオン「それじゃ、付いて来て」

カムイ「はい」

◆◆◆◆◆◆
―王都近くの寒村・クーリアの天幕―

マークス「なるほど、それが今回の戦いの手順というわけか」

クーリア「はい。ですので、私は主に攻城装備の部隊を預かることになります。まずは正門への攻撃をマークス殿、そしてカムイ殿にお願いしたいのです」

カムイ「はい、わかりました。それでそちらの戦力は足りているのですか?」

クーリア「残念ながら、完全というわけではありません。ですのでカムイ殿の戦力を少しばかり貸していただけるとありがたいのですが」

カムイ「はい、構いません。レオンさん」

レオン「攻城装備と手段を見る限り、竜騎兵と歩兵がいた方がいいのかな?」

クーリア「ええ、カタパルトに空きがありますので、歩兵はカムイ殿の臣下の方が入り次第、入れ替える予定です。あとはシュヴァリエの兵たちが問題なく運んでくれるはずです」

カムイ「運んでくれなくては困ります。王都に入るためには二つの跳ね橋を下さなければいけないんですから」

クーリア「ええ、心得ています。では、この流れでよろしいですか?」

マークス「ああ、構わん」

レオン「僕も問題ないよ」

カムイ「私もそれに従います。クーリアさんの方もよろしくお願いしますね」

クーリア「はい、それでは準備が出来次第、行動を開始するとしましょう」

カムイ「はい」

マークス「カムイ」

カムイ「なんですか、マークス兄さん」

マークス「カムイは私と共に来てくれ、すまないがお前には派手に動いてもらわないといけない」

カムイ「はい、覚悟はしていますから」

マークス「すまない」

カムイ「謝らないでください。それにマークス兄さんに役目を押し付けたのは私なんですから、戦場では頼りにしていますよ」

マークス「ああ、私もお前を頼りにしている。正門を攻める者たちの選抜はカムイに任せる、よろしく頼んだぞ」

カムイ「はい、わかりました」

カムイ(……ついに始まるんですね)

(この戦いが……)

 第十八章 前篇 おわり

○カムイの支援現在状況●

―対の存在―
アクアA
(カムイからの信頼を得て、その心の内を知りたい)

―城塞の人々―
ギュンターB++
(恋愛小説の朗読を頼まれています) 
フェリシアB+
(カムイに従者として頼りにされたい)
ジョーカーC+
(イベントは起きていません)
フローラC+
(すこしは他人に甘えてもいいんじゃないかと言われています)
リリス(消滅)
(主君を守り通した)

―暗夜第一王子マークス―
ラズワルドB
(あなたを守るといわれています)
ピエリB
(弱点を見つけると息巻いています)
マークスC+
(イベントは起きていません)

―暗夜第二王子レオン―
オーディンB+
(二人で何かの名前を考えることになってます)
ゼロB+
(互いに興味を持てるように頑張っています)
レオンB
(カムイに甘えてほしいと言われて、いろいろと考えています)

―暗夜第一王女カミラ―
ルーナA
(目を失ったことに関する話をしています)
カミラA
(白夜の大きい人に関して話が上がっています)
ベルカC+
(イベントは起きてません)

―暗夜第二王女エリーゼ―
エリーゼB++→A
(昔、初めて出会った時のことについて話しています)
ハロルドB
(ハロルドと一緒にいるのは楽しい)
エルフィC+
(イベントは起きていません)

―白夜第二王女サクラ―
サクラB++
(カムイと二人きりの時間が欲しいと考えています)
ツバキB
(イベントは起きていません)
カザハナC+
(イベントは起きていません)

―カムイに力を貸すもの―
シャーロッテB++
(返り討ちにあっています)
スズカゼB
(おさわりの虜になったようです)
サイラスB→B+
(もっと頼って欲しいと思っています)
ニュクスB
(イベントは起きていません)
モズメC+
(イベントは起きていません)
リンカC+
(イベントは起きていません)
ブノワC+
(イベントは起きていません)
アシュラC+
(イベントは起きていません)
フランネルC+
(イベントは起きていません)

今日はここまで

 久々に顔を触れて、カムイはとても満足しているし、顔を触ってるだけだから健全。
 
 この先、戦闘に参加するキャラクターを選んでいこうと思います。
 参加していただけると幸いです。
 まず、ジョブ一覧を張り付けたいと思います。

○仲間ジョブ決定一覧●
―対の存在―
・アクア(歌姫)

―城塞の人々―
・ジョーカー(パラディン)
・ギュンター(グレートナイト)
・フェリシア(ストラテジスト)
・フローラ(ジェネラル)

―暗夜第一王子マークス―
・マークス(パラディン)
・ラズワルド(ボウナイト)
・ピエリ(パラディン)

―暗夜第二王子レオン―
・レオン(ストラテジスト)
・オーディン(ダークナイト)
・ゼロ(ボウナイト)

―暗夜第一王女カミラ―
・カミラ(レヴナントナイト)
・ルーナ(ブレイブヒーロー)
・ベルカ(ドラゴンマスター)

―暗夜第二王女エリーゼ―
・エリーゼ(ストラテジスト)
・ハロルド(ブレイブヒーロー)
・エルフィ(グレートナイト)

―白夜第二王女サクラ―
・サクラ(戦巫女)
・カザハナ(メイド)
・ツバキ(バトラー)

―カムイに力を貸すもの―
・ニュクス(ソーサラー)
・アシュラ(上忍)
・フランネル(マーナガルム)
・サイラス(ボウナイト)
・スズカゼ(絡繰師)
・ブノワ(ジェネラル)
・シャーロッテ(バーサーカー)
・リンカ(聖黒馬武者)
・モズメ(弓聖)

 この先の展開を安価で決めたいと思います。参加していただけると幸いです。
◇◆◇◆◇
 カムイと同行することが決まっているキャラクター
 ・アクア
 ・マークス

◇◆◇◆◇
 騎馬戦力(パラディン・グレートナイト・黒天馬武者)
・ギュンター
・ジョーカー
・ピエリ
・エルフィ
・リンカ

>>60
>>61

◇◆◇◆◇
 遊撃騎馬戦力(ボウナイト・ダークナイト)
・ラズワルド
・ゼロ
・オーディン
・サイラス

>>62

◇◆◇◆◇
 後方支援(ストラテジスト限定)
・フェリシア
・レオン
・エリーゼ

>>63

◇◆◇◆◇
 その他の戦闘(歩兵限定)
・エルフィ
・フローラ
・ルーナ
・ハロルド
・サクラ
・カザハナ
・ツバキ
・ニュクス
・アシュラ
・フランネル
・スズカゼ
・シャーロッテ
・ブノワ
・モズメ

 カムイと共に攻略に携わる二人

>>64
>>65

 カミラと共に城壁攻略戦に向かう歩兵キャラ

>>66

 ベルカと共に城壁攻略戦に向かう歩兵キャラ

>>67

 キャラが重なった場合は次の書き込みが優先される形になります。
 ちょっと、安価数が多いのですが、参加していただけるとありがたいです。

エルフィ
R17.9くらいだよなあ

エルフィ

リンカ

ピエリかラズ
サイラスにはカムイは渡せん

ここは後方支援だよな?
エリーゼ

エリーゼ

>>60>>61で笑う
ルーナ

フローラ

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・王都ウィンダム『王都正門』―

ジェネラル「……ブリッツ隊長」

ブリッツ「ん、なんだぁ?」

ジェネラル「今回の補給拠点への攻撃、どう思われますか?」

ブリッツ「決まってる、陽動さ」

ジェネラル「では、なぜ留守にするような形に……」

ブリッツ「それが上の命令ってことだよ。まぁ、ガロン王様と一緒に多くの兵が御留守の時を狙いたいと考えれば、こうして遠くの補給拠点を襲ってそこに援軍を送らせるっ

てのは、簡単に思いつく作戦だからな。しかし我らは軍人、上が金を鉄だと叫べば、黄金の鉄ですって応答するのが使命ってもんだろ?」

ジェネラル「……はぁ」

ブリッツ「補給拠点の奪還に向かった奴らが出立して一日と半分、この補給拠点への襲撃が陽動なら、そろそろ……」
 タタタタタタッ

アドベンチャラー「ブリッツ隊長ー」

ブリッツ「おう、なんだ?」

アドベンチャラー「目視距離に軍勢を確認しました」

ジェネラル「もう反乱を抑えて戻ってきたっていうのか?」

アドベンチャラー「いやいや、仕事早すぎますから。多分違いますよ」

ジェネラル「じゃあなんだ?」

アドベンチャラー「多分、敵の本隊」

ジェネラル「なんだと!?」

ブリッツ「ほら、言わんこっちゃない。あーあ、補給拠点に向かった奴らは勝ち組だな。間に合えば後ろから手柄がもらえる。間に合わなくても生き残れる。王都防衛組は貧乏くじ筆頭になっちまったな」

ジェネラル「何を言いますか、ブリッツ隊長! この正門は難攻不落、それを三十余年以上維持してきたのです。負けるはずだありません!」

ブリッツ「そりゃそうさ。何せ、一回も攻められたことなんてないんだからよ、あっはっはっは!」

女アドベンチャラー「たしかに一回も攻められたことがないなら、難攻不落ですよね、ブリッツ隊長冴えてます」

ブリッツ「だろぉ?」

ジェネラル「もっと慌ててくださいよ!」

ブリッツ「それもそうだな。よし、そこのお前」

ソシアルナイト「はい」

ブリッツ「城壁防衛のナハトに伝えろ。跳ね橋をあげて、防御に努めるようにってな。外から上にあがるには竜かファルコンが必要になるから、のこのこ飛んできたのを撃ち落とせるように準備しとけって。あと、城にも伝令送っとけ、出来れば援軍も欲しいってさ、なにせこっちは防御だ。相手に守るものなんてのは指揮官くらいなもんだ。今の状態、数の上では負けてんだからよ」

ソシアルナイト「わかりました」ガチャ バタン

ブリッツ「それじゃ、玄関口に行くか。おい、ボウナイトは俺と一緒に来い、ジェネラルは指示が出るまで待機、痺れ切らして突っ込んだ奴は終わった後に城壁磨き一週間だからな。アドベンチャラーは引き続き、敵の監視、先走りするような敵の粗相やろうにはバリスタ当てておとなしくさせてやれ」

女アドベンチャラー「わかりましたー」

ジェネラル「一体、誰が来るんだ?」

ブリッツ「そんなの考えるまでもねえさ。暗夜王国の敵、それ以外のなんでもねえんだからよ」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
―暗夜王国・王都ウィンダム『外堀』

エリーゼ「えっと、これで本当にしゃべれるの?」

ニュクス「ええ、作戦区画内だったら会話できるはずよ。声を含んだ空気を圧縮して、送ってるって言えばいいのかしら? 少しだけ行き来に時間が掛るのが問題だけど」

カムイ「いいえ、それにしても何時の間にこんなものを?」

ニュクス「いつでもいいでしょう? それに連携が取れれば、それだけ優位に立てるのが戦いというものよ」

マークス「ああ。さっそく使わせてもらうぞ、ラズワルド状況はどうだ?」

 ザザザー

ラズワルド『こちら、ラズワルド。……どうやら、補給拠点奪還の命令を出した奴よりは手ごわそうです』

マークス「……」

『もう、防御準備に入り始めてる。正門前に重装兵の軍勢、跳ね橋も上がり始めてます。見たところ竜騎兵の姿は見えませんが、すでに準備を始めているのかもしれません』

マークス「さすがに正門を任されているだけはあるということだな。何か動きがあれば連絡をしろ」

ラズワルド『わかりました』

ルーナ『それにしても、これ便利ね。ずっと、幻影魔法とかは囮作戦とかに使うものかと思ってたけど、こんな使い方もあるなんて……』

ニュクス「情報の伝達だけなら、声だけ送ればいいだけよ」

ルーナ『たしかにそれもそうね。この技術、あたしにも教えなさいよ』

ニュクス「残念だけど、これは私のもの、門外不出だから」

ルーナ『もっとサービスしてもいいじゃない』

ニュクス「……ふふっ、お断りよ」

マークス「無駄話はそこまでにしておけ。何か動きがあり次第、連絡を頼む」

ラズワルド・ルーナ『わかりました』

ニュクス「……はぁ、まったく何でもかんでも欲しがるものじゃないわ」

カムイ「そうかもしれませんね。それでどうしますか、マークス兄さん」

マークス「うむ、思ったよりも敵の展開は早い。奇襲できればと思ったが、これは真っ向勝負の流れになりそうだ」

カミラ「こちらの戦力は城壁と正門を合わせた数よりは上かもしれないけど、拠点を真正面から落とすとなると、少し辛いものがあるわ」

カムイ「かといって、ここで戻る選択肢はありませんよ。戻っているうちに伝令が防衛拠点に向かえば、一日も経たずに帰ってくるでしょうし」

マークス「こちらには情報伝達の速度がある。それを使って落とすしかない」

サクラ「うまく行くんでしょうか?」

ニュクス「私の技術をなめないでほしいわね。これでもかなり時間を掛けて作った代物なのよ?」

サクラ「ご、ごめんなさい」

ニュクス「ちょ、ちょっと、泣きそうな顔しないでよ……」

カミラ「あらあら、サクラ王女に意地悪して、大人気ないわよ」

ニュクス「そんなことしないわ。でも、サクラの言ってることも一理ある。過信するのは良くないのは確かね」

サクラ「ニュクスさん……」

ニュクス「もう、すぐに嬉しそうな顔をするものじゃないわ」

サクラ「えへへ」

ニュクス「はぁ……」

ベルカ「ニュクス、揺ら揺らしないで頂戴」

ニュクス「あ、ごめんなさい」

ベルカ「はぁ、子守に来たんじゃないんだから、しっかりして」

ニュクス「あ、あなたまでそんなことを言うの?」

ベルカ「だって、あなた子供でしょう?」

ニュクス「大人の女性だって言ってるでしょ!?」

マークス「話はそこまでだ」

 ザザッ パカラ パカラ

マークス「クーリア、われわれに敵の意識を引き付ける、その間に攻城装備の準備を済ませ、出来次第連絡を頼む」

クーリア「はい、分かりました。では、城壁組は私に続いてください」

 パカラパカラパカラ
 バサバサバサ

カミラ「それじゃカムイ、おねえちゃん頑張って来るわね」

カムイ「はい、それとサクラさんのことをお願いしますね」

サクラ「大丈夫です。私も武器はは使えますけど、何より多くの人の傷を癒してあげたいんです。だから……」

カムイ「サクラさんらしい理由です。ですが気を付けてくださいね」

サクラ「はい、カムイ姉様!」

ベルカ「少し揺れるから、ちゃんと掴まってて」

ニュクス「ええ、少しは加減して頂戴」

ベルカ「大人の女性だから?」

ニュクス「……ベルカって思ったよりも性格悪い気がするわ」

ベルカ「暗殺しかしてなかったからかもしれないわ」

ニュクス「なら、頷くだけでもいいでしょ。カムイ、城壁は私達がどうにかするわ。こっちには情報の共有っていう武器がある、有効打に繋がるタイミングで指示を頼むわ」

カムイ「ええ、わかっています」

ベルカ「城壁のことは任せて、任務は必ず達成するわ」

カムイ「はい、よろしくお願いしますね」

 バサバサバサッ

エリーゼ「この先の広場から、坂を上った先が正門だよ」

マークス「よし、正門下段広場に入――」

 ザザザザー

ラズワルド『こちらラズワルド、マークス様』

マークス「私だ、どうした?』

ラズワルド『正門建造物入口から広場に向かう影があります。数は四、全員騎兵みたいです』

マークス「編成はどうなっている?」

ラズワルド『グレート・ナイトが一、残りはボウナイトです。偵察かもしれませんが、先制攻撃にも注意してください』

マークス「わかった、行動開始時に合図を送る、それまでは待機せよ。カムイ、下段広場に敵が向かっている」

カムイ「先手を打ちますか?」

マークス「やめておこう。ここは私とカムイだけで行く、他の者たちはそれぞれの所定の位置で待機、すぐにでも戦闘が始められるように待機せよ」

『わかりました』

アクア「私はカムイと一緒に行くわよ」

エリーゼ「ならあたしもいくよ!」

エルフィ「エリーゼ様が行くならわたしもどうこうするわ。それに壁になるにはわたしが適役だもの」

マークス「いいだろう、付いてこい!」

 パカラ パカラ ヒヒーン

ブリッツ「さてと、敵さんの様子はどうかな。敵の規模がわかればこっちの取るべき行動も、ってなんで五人しかいないんだ? 下から俺たちの姿は見えないはずなんだが……」

敵ボウナイト「五人か、一体誰だ? おい、望遠鏡を」

敵ボウナイト「はいよ」

敵ボウナイト「さてと、どれどれ……」

マークス「……」

敵ボウナイト「!? あれはマークス王子。どうしてこんなところに!?」

敵ボウナイト「いや、それだけじゃない、あそこにいるのはエリーゼ王女、それにカムイ王女もいる」

敵ボウナイト「アクア王女までも、これはいったい……」

ブリッツ「……まずは確認でもしておくとするか。お前ら準備しておけ、俺が左手をあげたら赤、右手なら白だ。それとお前は、俺と来い」

ボウナイト「はい!」

ブリッツ「さてと、おらあああっ」グググッ

 ガチャ ギィィイイイイ ガチャン

マークス「!」

敵ボウナイト「……」カチャ

カムイ「……」

エルフィ「みんな、わたしの後ろに」

カムイ「いいえ、エリーゼさんとアクアさんを守ってください。さすがに三人ではエルフィさんの盾に収まらないでしょうから」

マークス「それに、向こうも本気で射るつもりではない」

 ザッ ザッ ザッ 

ブリッツ「ここは暗夜王国の王都ウィンダムに至る正門。白夜侵攻の先行作戦中であるマークス王子がどうしてこのような場所におられる?」

マークス「……」

ブリッツ「失礼した、俺は正門守備隊隊長のブリッツ」

マークス「暗夜王国第一王子マークスだ」

ブリッツ「では、問いかけに応えてもらう、マークス王子も含めた王族の方々がなぜここにおられる。話では侵攻作戦のために白夜に赴いているはずでは?」

マークス「父上の暴走を止めるために戻ってきた。この戦いに正義はない、滅ぼすためだけの戦いを終わらせる。そのために王都ウィンダムを開放させてもらう」

敵ボウナイト「今の言葉って……」

敵ボウナイト「そう云う意味だよな?」

ブリッツ「そうか、ならもうかしこまる必要はないよな。まったく、なんでこんなタイミングで来るんだ、あと少しで隠居生活を送れたかもしれないっていうのにな」

カムイ「暗夜が白夜を滅ぼした世界でですか?」

ブリッツ「結果的にはそうなるだろうな?」

マークス「ブリッツ、こちらも戦うのは本意ではない。降伏するのならば部下の安全は保障しよう。だが、拒むのであれば」カチャ

ブリッツ「……容赦しないってことか」チラッ

敵ボウナイト(ブリッツ隊長、準備OKです)コクリッ

ブリッツ(上々だ)

マークス「さぁ、答えを聞こう」

ブリッツ「ああ、すまんすまん。まさか王族がこの件を仕組んでいたとは思わなかったんでなぁ。だが、これでも留守を任されてる身、上の命令に従うのが軍人ってもんだ。王族のマークス王子にはあまり実感がわかないかもしれないが」サッ

ブリッツ「これでも三十余年は誰も攻めてこない正門を守ってんだ……。一回くらい実績を作らせてくれ、よっ!」ブンッ

マークス(スレンドスピア、動きはいいが……)

 サッ
 キィン

カムイ「……大丈夫ですか、マークス兄さん」

マークス「ああ」

ブリッツ「うーん、先手必勝ってわけにはいかないか……」

 タタタッ ザザッ

カムイ「ここで、決めます」ダッ

敵ボウナイト「おっと、隊長には近づかせねえよ」パシュッ
 
 タンッ

カムイ「!」サッ

 バシュッ ボオオオオオオッ

マークス「あれは……」

アクア「煙ね、赤い。敵の合図のようだけど」

ブリッツ「よし、後続のジェネラルと合流するぞ。お前は少しだけ時間稼ぎしたら戻れよ」タタタタッ

敵ボウナイト「わかりました。そらっ」パシュッ

エルフィ「エリーゼ様!」キィン

エリーゼ「エルフィ!」

エルフィ「大丈夫、あなたはわたしが必ず守るから……。よくもエリーゼ様を狙ってくれたわね?」

敵ボウナイト「敵だから仕方ねえだろ」

エルフィ「はあああっ!」

 サッ

敵ボウナイト「あぶねえあぶねえ」

 パシュッ パスッ
 キィン キィン

カムイ「マークス兄さん」

マークス「全員攻撃開始を開始しろ。ラズワルド、状況はどうなっている」

ラズワルド『こちら、ラズワルド。煙でよく見えないけど、煙の中をジェネラルの大隊が進行しているみたいです。接触までもう時間そんなにないですよ?』

マークス「ふっ、向こうも煙幕でこちらの動きはわかるまい。今のうちに陣を張り、入ってきたジェネラルを迎え撃つ」

ルーナ『って、あたしたちこのまま監視してるだけ!? そんなのつまらないんだけど?』

マークス「ああ、もはや監視をできる状態ではない。すぐに合流しろ」

ラズワルド『わかりました。ほら、ルーナ乗って、移動するよ』

ルーナ『ようやく、動けるのね。ちゃちゃっと済ませるわ。ちゃんと残して置いてよね!』

カムイ「!」

敵ボウナイト「てやああっ」ブンッ

カムイ「はっ」キィン

敵ボウナイト「そらっと」

カムイ「っ、せいっ」ブンッ

 ザシュッ

敵ボウナイト「ぐおっ、いてえじゃねえか……」

カムイ「投降したらどうですか?」

敵ボウナイト「はっ、全く確認できない距離に援軍がいるんだろうが、伝令を走らせてもこっちの援軍のほうが早い。逃げ帰る準備でも――」

カムイ「はたしてそうですか?」

敵ボウナイト「え?」

 ドドドドドドッ

 ウォォォォォ!!!!!

 ウオオオオオオオ!!!!!

敵ボウナイト「」

敵ボウナイト「えっ、なんでこんな早いんだよ!? こんなの聞いてねえし!」

カムイ「こちらは繋がってますので、ね!」ブンッ

 キィン ザザッ

敵ボウナイト「なにが繋がってるってんだよ。ちくしょー」パシュッ

 パシュ パシュ
 ブリッツタイチョー、ソッチニゴウリュウシマス!

敵ボウナイト「隊長、あいつ悲鳴上げてます。それと敵の援軍が……」

ブリッツ「え、なんだこの速さ……すごい伝達力、一日で白夜に行って帰ってこれるくらいの早さなんじゃないかこれ?」

敵ボウナイト「あー、さすがに逃げてきましたね」

敵ボウナイト「まぁ、俺でも逃げるよ。あんな軍勢みてたらホラ吹くのも辛いし」

ブリッツ「俺だって逃げるさ。仕方ねえ、でも煙もいい感じに広がったんだ、これに紛れて合流するぞ」

敵ボウナイト『はい!』

 パカラパカラ

敵ボウナイト「ま、待ってくださいよ、隊長!」

~~~~~~~~~~~~~~~~

 モクモクモク

マークス「ここで待機し、ジェネラルが入ってきたところを叩く」

カムイ「はい」

エリーゼ「でも、なんか全然足音とか聞こえないね?」

アクア「慎重に進んでいるのかもしれないわ。自分たちで仕掛けた行動だとしても、敵に狙われるのは覚悟してるはずだから」

 パカラ パカラ

ラズワルド「お待たせしました。マークス様」

ルーナ「やっと合流できた、ってなんで進まないのよ?」

フローラ「流石にこの煙幕の中を進んでも各個撃破されるだけ、ここで待つのが得策よ」

リンカ「あたしならこの煙幕の中をいけるが……どうする?」

マークス「飛んで行っても、撃ち落とされるだけだろう。まずは様子を伺うしかない」

エリーゼ「あっ、煙が晴れてきたよ!」

 ………

カムイ「気配が何もありませんね」

マークス「何もいない……となると」

ラズワルド「……あー、色つきの煙だから何かと思ったけど、そのためだったんだね」

ルーナ「完全に防御陣営を作り上げたみたい」

マークス「……なるほど。ジェネラルを進めて交戦すると見せかけて、籠城の準備を整えたということか」

アクア「見たところ、外側城壁の守りも出来る限り正門防衛に回ったようね」

カムイ「そうですか……マークス兄さん」

マークス「ああ、あのブリッツという男には悪いが、始めさせてもらうとしよう」

 ゴソゴソッ

マークス「クーリア、正門建造物に敵が集中した。外側城壁上部は手薄になった」

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・王都城壁周囲―

クーリア「わかりました。始めさせていただきます」

フリージア兵「クーリア様」

クーリア「はい、布を外して準備を始めなさい!」

 バサァ バサァア

クーリア「第一隊の目標は外側城壁上の兵士歩行路。第二隊の目標は内側城壁の歩行路です。第一攻撃準備!」

 ガチャ ガチャ ギリギリギリギリ

 ドサッ
 
フリージア「投石、固定完了!」

フリージア兵「魔力補強開始……補強終わりました」ポワアアアッ

フリージア兵「角度固定完了、風の誤差修正完了しました!」

クーリア「では……放て!!!」

 バシュ バシュ バシュ 

 ヒューーーーン

 ドゴンッ ドゴンッ ドゴンッ!!!! ギャアッ

 イッタイドコカラキタ!? 

クーリア「……あと二回ほどでしょうか。準備をおねがいします、シュヴァリエの方々」

シュヴァリエ兵「ああ、任せておけ」

「一気に肉薄して、奴らの度肝を抜いてやるさ……」

今日はここまで
 
 ブリッツはこんな感じです。

 FEif発売一周年おめでとう。
 一周年記念、つまりリリスがプレイアブルになる可能性があるってことですよね……

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・王都ウィンダム『正門砦前』―

部族兵「うおおぉぉおおおっ!!!」

 ドゴンッ バシュッ

ジェネラル部隊長「怯む必要はない、我らが鉄壁の守りを見せつけてやれ!」

ジェネラル群『わかりました』

 バシュッ ザシュ

部族兵「ぎゃあ!」

部族兵「こちらも押し負けるわけにはいかない。全員、進めぇ!!!」

 ワーワー!

女アドベンチャラー「……人数は多いけど、まだ変な動きはしてないかな?」

ボウナイト「すまん、今戻った」

女アドベンチャラー「遅い。一人で装填観測射撃は面倒だった」

ボウナイト「それで、ここから見ててどうだった?」

女アドベンチャラー「完全にこっちの動きを完全にリ貸してるってわけじゃないけど、城壁上部への攻撃タイミングが奇麗に纏まってたね」

ボウナイト「やっぱりか。こっちもすぐに、伝達できればよかったんだけど」ガチャガチャ 

女アドベンチャラー「向こうは最速で情報伝達ができるんじゃないかな?」

ボウナイト「かもな。なら、籠城で長引かせる以外にないって隊長が零してたぞ。とりあえず、できる限り牽制する」ガコンッ

女アドベンチャラー「わかった、装填準備出来た?」

ボウナイト「ああ、間隔はできる限り詰めてみせるさ。あと、落ちそうになったら逃げてもいいって隊長が言ってたぞ」

女アドベンチャラー「……わかった。それじゃ、攻撃するよ」

ボウナイト「はいよ、三点射でいくぞ」ガチャ ガチャ ガチャコン

女アドベンチャラー「攻撃開始」ガチャンッ

 バシュ バシュッ バシュッ!

~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ヒュン バシュッ

部族兵「があっ」ドサッ

 ザシュッ
 
部族兵「あああっ!!!」ドサッ

エルフィ「エリーゼ様! くっ、すごい衝撃ね……」キィン ゴロンゴロン

エリーゼ「エルフィ! えいっ」シャラン

エルフィ「ありがとうエリーゼ。それにしても、こっちの人数が多くてもこれはなかなか抜けないわね」

 ヒュンッ 

エリーゼ「エルフィ、次が来るよ!」

エルフィ「受けるだ――」
 
 サッ

 ガキィン
 
フローラ「すごい、手が痺れるわ」

エルフィ「フローラ」

フローラ「エルフィさん、大丈夫?」

エルフィ「ええ、ふふっ、ありがとう」

フローラ「気にしないでください。それよりも、あの正門砦のバリスタをどうにかしないといけませんね。部族の方々も奮闘していますが、この坂では投入戦力が決定されてしまいます」

カムイ「こちらの兵すべてを使うのは無理そうですね」

アクア「それに、私達が前に出ないことで、不信感を抱いている者もいるかもしれない。このまま負けることはないけど、士気の低下は抑えられそうにないわよ」

ラズワルド「あのバリスタは内部に入り込んでる構造だから上から侵入するしかない。でも、ここから飛んで近づこうにも、バリスタに気づかれて撃ち落とされかねないよ」

ルーナ「かと言って、ここでもたついててもこっちの犠牲が増えるだけね。まだ援軍も来てないみたいだから、どうにかしないと……」

マークス「……」

カムイ「マークス兄さん」

マークス「心配するな、考えがまとまったところだ。リンカ」

リンカ「なんだ、マークス」

マークス「作戦を考えた、頼めるか?」

リンカ「唯一の空戦力はあたししかいないから別に構わないぞ」

マークス「よし、敵を分断し包囲撃破の布陣を作り上げるぞ」

マークス「まずはエリーゼにフローラ、敵の左端の注意を引いてほしい」

エリーゼ「わかったよ、マークスおにいちゃん」

フローラ「はい。お任せください」

マークス「ラズワルドとアクアは、フローラとエリーゼの攻撃に敵が反応したと同時に部族の者たちに指示を出し左の敵を釘付けし固定。反対側も同じように強襲し、敵中央集団に包囲出来そうだと思わせられるような戦列を作り上げてくれ」

ラズワルド「わかりました」

アクア「やってみるわ」

マークス「中央に穴が出来た後、エルフィを先頭に敵陣突破を図りつつ、リンカ、カムイ、ルーナは私に続いて敵の穴を抜け正門砦に肉薄する。敵の中に入り込めば、バリスタも早々飛んでこないはずだ。最後にその通過した穴に割り込んで挟撃し、包囲を完成させる」

マークス「正門砦に肉薄後、リンカはカムイを乗せ城壁上部に向かい、上部の監視を排除、そのまま二人でバリスタを叩き、正門への道を開放しろ」

カムイ「わかりました。マークス兄さん」

マークス「では、正門砦を落とすぞ」

フローラ「エリーゼ様、私の陰から出ないようにお願いいたします」

エリーゼ「う、うん……」

フローラ「やはり、エルフィさんじゃないと不安ですか?」

エリーゼ「そ、そんなことないよ、フローラ」

フローラ「ふふっ、ありがとうございます。私が敵の攻撃を受け切りますから、後方に隠れて敵への攻撃をお願いします」

エリーゼ「わ、わかったよ。でも、あたしにもできるかな?」

フローラ「無理に倒す必要はありませんよ。飽くまで私たちの目的は敵の興味を向けることです二人ならすぐに潰してしまえと、相手の横一列が崩れればそれでいいんです。大丈夫、エリーゼ様には指一本触れさせませんし、そんなことになったらエルフィさんに叱られてしまいます」

エリーゼ「フローラ……」

フローラ「それじゃ行きましょう」ガシャンガシャンガシャン

エリーゼ「うん」パカラパカラ

ジェネラル「右側面より突出してきた敵兵あり! 攻撃開始!」ブンッ

 キィン

フローラ「っ!」

エリーゼ「えーーい!」シュオン ドゴンッ

ジェネラル「ぐっ! あのジェネラルの陰に隠れている奴をねらえ! 奴の魔法がなければすぐに押し潰せるはずだ!」

フローラ「エリーゼ様、陰に!」

エリーゼ「!!」

 ヒュンヒュンヒュン
 キィンガキィン ドゴッ

フローラ「くっ」

エリーゼ「フローラ!」

フローラ「大丈夫、牽制を続けてください。前列じゃなくて、後列のを怒らせるように」

エリーゼ「わ、わかったよ。ええいっ!」ボワッ シュオオンッ ドゴンッ

 イテェ! クソッ、コッチガコウゲキデキナットオモッテ

フローラ「エリーゼ様、更に飛び火させる感じで広げてください」

エリーゼ「う、うん! えいっ、えーいっ!」ボワ ボワワッ 

 ヒュンヒュン 
 キィン ドゴッ ドガッ

フローラ「……さすがにキツイ。でもエリーゼ様をお守りするのが今の私の使命、はぁっ!」ブンッ

 ザシュッ

ジェネラル「ぐっ、があああっ」ドサッ

ジェネラル「貴様! 全員、あの二人を囲むようにしろ! 敵に動きはない、さっさと押しつぶせ!」

 ザッ ザッ ザッ

フローラ(動き始めた。でも、まだ足りない……)

エリーゼ「フローラ、すぐに手当てしないと……」

フローラ「いいえ、そんな時間はありません。まだ敵にちょっかいを出し続けてください」

ジェネラル「これでどうだ!」ヒュンッ

 ガキィン

フローラ「きゃ……、ま、まだです」

エリーゼ「フローラ! やっぱり、ダメだよ。このままじゃ……」

フローラ「いいえ、大丈夫です。エリーゼ様、お優しいのは素晴らしいことですが、今は一気に詰め寄られると作戦すべてが終わってしまいます。あと少し私が耐えればいいだけのことです。ですから、こちらに興味の無さそうにしてる奴らの注意を」

エリーゼ「……わかった。でも、後続が来たらすぐに抜けて治療させてね」

フローラ「はい……、楽しみにしてます」

エリーゼ「それじゃ、当たって!」ボワッ

ジェネラル「がっ、てめえ。よくも当てやがったな!」ガシャ ガシャ

フローラ「エリーゼ様が子供だから、尚更イライラが募ってしまうみたいですね」

エリーゼ「その言い方、ひどいよー」

フローラ「ふふっ、ごめんなさい。でも、これで―――」

アクア「二人へと方角を変え始めた。横から殴り込んで釘付けにできそうよ」

ラズワルド「よし、ここの皆はフローラとエリーゼ様の援護に向かって。可愛い女の子を守るよ!」

部族兵「行くぞぉおおお!」

 ウオオオオッ ダダダダダッ

ラズワルド「よし、反対側も始めるよ。アクア準備はいいかな?」

アクア「ええ、早くカムイを送ってあげたいもの、手早く終わらせるわよ」ヒュンヒュンヒュン チャキッ

ラズワルド「すごく気合入ってるね、アクア」

アクア「もちろんよ」

ラズワルド「……よし、みんな準備はいい?」

部族兵「はい!」

ラズワルド「アーマーキラーを装備してっと。それじゃ、行くよ!」ヒヒーン

 パカラパカラ
 ドドドドドッ

ジェネラル「あちらの援護は!?」

ジェネラル「いや、向こうは向こうで任せておけ、こちらにも敵集団が来るぞ。全員武器を構えろ!」

ラズワルド「躍らせてあげる!」チャキッ

ジェネラル「死に踊るのは貴様だ、これでもくらえ!」ブンッ

アクア「させないわ」トスッ キィン

ジェネラル「ぐっ!」

ラズワルド「アクア、ありがと。それじゃ、これで!!!」 ブンッ

 ガギッ ギギギギギギッ ガゴンッ グサッ

ジェネラル「ぐおぉっ」ドサッ

ラズワルド「はい、おしまい!」

ジェネラル「ちっ、そこの穴を埋めろ!戦列前へ!」

ラズワルド「くっ、そこはとらせない!」

アクア「♪~ ♪~」

ラズワルド「これは、アクアの歌。なんだろう力が湧いてくる、これなら!!!」パカラッ パカラッ タタッ ブンッ

 ギギギギ ブシャァ

ジェネラル「ぐふぁ」ドサッ

部族兵「このまま押し込むぞ!」

 バシュバシュ
 ヒューン

部族兵「正面よりバリスタ接近!」

 ザシュザシュシュ

 ギギャア!!!

ジェネラル「よし、一歩でもいいから詰めろ、敵を進ませるな!」

アクア「させないわ」

ジェネラル「ちっ、この歌姫風情が!!!」ブンッ

 サッ
 
アクア「……ショーの時間よ」タタタッ

 ブンッ ガキィン ブンッ ドゴッ

ジェネラル「がっ、ヘルムが外れ……」

アクア「はぁっ!!!!」シュンッ

 ザシュッ

ジェネラル「ぐえああっ」ドサッ

アクア「……ごめんなさい」

ラズワルド「僕のアーマーキラーは必要ない気がしてきたよ」

アクア「アーマーに有効なら使うべきよ」

ラズワルド「いや、だってアクア、君は……」

アクア「なに?」クルクルクル シュパッ

 ザシュッ

ジェネラル「ぐおおおっ」ドサッ

ラズワルド「ううん、なんでも無いよ」

部族兵「二人が道を開けた。一気に接近、横列を三名後ろに回し、敵を誘え!」

 ウオオオオッ
 ウケキレ、チュウオウノモノタチハ、ソクメンカラカコイコメ!

 ザッ ザッ ザッ

アクア「……中央が移動を始めたわ」

ラズワルド「うん、マークス様、今ですよ!」

女アドベンチャラー「あの隙間……! 次装填して」

ボウナイト「はいよっ!」ガチャ ガチャ ガチャコンッ

 キリキリキリキリッ

女アドベンチャラー「先に打ち込んで牽制しないと、崩される可能性がある」

 バシュ バシュ バシュ!

 ヒューーーン

女アドベンチャラー「これなら……」

ボウナイト「いけそうか?」

 パカラ パカラ

女アドベンチャラー「……あ、だめそう」

マークス「エルフィ、道を作れ!」

エルフィ「はい、てやあああああっ」ガシッ キィン ガキンッ

女アドベンチャラー「……敵の重装騎兵がねじ込んできた……。向こうの位置から見えてないはずなのに。やっぱり、情報伝達がおかしいくらい早いし、どちらにしても、これで包囲が完成するかも……」

ボウナイト「こりゃ、間違いないな。次装填するぞ」

エルフィ「はああああっ!!!!」

 パカラパカラッ
 
 ゲシッ

ジェネラル「げふっ!」ゴロゴロンッ

ジェネラル「行かせ――はうっ」ドゴンッ

ジェネラル「くそ、行かせるか。これでも――」

リンカ「背中を見せてる暇はないぞ!」ザシュ

ジェネラル「がはっ」ドサッ

リンカ「カムイ、振り落とされてないか?」

カムイ「はい、大丈夫です。それにしても、かなり大旦那作戦ですね」

リンカ「ああ、まったくだ。だが、こういう作戦のほうが単純であたしは好きだ」

カムイ「ふふっ、リンカさんらしいです」

ルーナ「話してないでさっさと進みなさいよ。敵が呆けてる時間は短いんだから!」

リンカ「わかっている。はぁ!」

 パカラパカラッ

マークス「残りの兵は私に続き、左右に別れてジェネラルの軍団を包囲しろ。いくら固き守りでも相手は人間だ。囲まれれば成す術はない!」

部族兵「いけぇ! 敵を完全に包囲しろ!」

 ドドドドドドッ

 パカラパカラ
 タタタタタッ

エルフィ「敵の層を抜けたわ……!」

ジェネラル部隊長「でやああっ」ブンッ

エルフィ「っ! はぁっ!」ボコッ

 ザッ ジャキッ

ジェネラル部隊長「ちっ、抜けて来たというのか……!?」

エルフィ「カムイ様、わたしの後ろに」ボソッ

カムイ「わかりました」

ジェネラル部隊長「そこにいるのはカムイ王女。ブリッツ隊長の話は本当だったということか! 暗夜の裏切り者め、ここで死ぬことがガロン王様への唯一の謝罪となりえる。だからここで死ねぇ!!!」ブンッ

 キィン

マークス「…そうはさせん」

ジェネラル部隊長「まさかマークス王子まで、これは何という悪夢か。暗夜王国を混乱させる存在が王族たちであるなど、なんと、なんたることだ!」

カムイ「なんだか、先ほどのブリッツさんより、暗夜王国を思っている雰囲気がありますね」

マークス「たしかにな。だが、何を言われようとも変わりはしない」

ジェネラル部隊長「正門を死守する、交戦準備!」

ジェネラル・グレートナイト『はい!』ジャキッ

ルーナ「はいはい、ささっと倒して抜けるわよ」

マークス「うむ、ルーナ。共にいけるか?」

ルーナ「あたしを誰だと思ってるわけ。そんなの朝飯前よ」

 グゥゥ~

エルフィ「ご飯って聞いたら、お腹すいちゃった」

ルーナ「しっかりしなさいよ」

エルフィ「ええ、エリーゼのことが心配だから、すぐに片付けるわ」

 ごめんなさい、ラズのアクアの呼び方は『アクア様』でした。もうしわけない

カムイ「リンカさん、ただの馬のように振舞って壁に進んでください、そして寸前のところで……」

リンカ「よし、わかった。あたしとカムイは先行する」

カムイ「兄さんと他の皆さんは………という形でおねがいします」

マークス「ああ、わかった。任せたぞ、リンカ、カムイ」

カムイ「ええ、任せてください」チャキッ ガシッ

リンカ「カムイ?」

カムイ「さすがに落ちたくはないので、掴まっても構いませんよね?」

リンカ「ああ、任せておけ」

 バシュン バシュン バシュン
 ヒューーーーン

 ドガンッ ドゴンッ!!!!

マークス「カタパルトの第二攻撃が始まったようだ。こちらも待ってはいられない、この砦をここで落とす!」

エルフィ「バリスタはわたしが引きつけるわ」

 パカラ パカラ

カムイ「?」

アクア「どうにか間にあったわ」

ラズワルド「うん、なんとかね」

カムイ「アクアさん、それにラズワルドさん。エリーゼさんとフローラさんは一緒ではないのですか?」

アクア「ええ、フローラが少し負傷したから、エリーゼが手当てをしてるわ。命に別条はないから、すぐに復帰できるはずよ。それと、エルフィ」

エルフィ「なに?」

アクア「フローラから伝言を頼まれて、その、ちゃんと守り切ったわ、って」

エルフィ「……ふふっ、ありがとう」

アクア「カムイ、マークス。私達はエルフィの援護に回るわ」

ラズワルド「うん、援護するよ」

エルフィ「ええ、よろしくね。それじゃ、行くわ!」

 パカラパカラ

女アドベンチャラー「三人動き始めた、最初に牽制うちで三点射、次に横列一斉射して釘付けにするから、装填器具の変更準備をして」

ボウナイト「あいよ。横列一斉射に切り替えの準備……完了だ」カチャ カチャ カチャ ガチャンッ

女アドベンチャラー「発射」バシュ バシュ バシュ

女アドベンチャラー「交換して」

ボウナイト「よし、ボルト外して、取り替えてっと……よし、完了。装填開始」カチャ カチャ カチャ ガチャン

ボウナイト「装填準備完了だ!」

女アドベンチャラー「…………見つけた」

 ググッ

アクア「まだこちらを狙ってるみたい。ラズワルド、ジグザグに動いて、やり過ごしましょう」

ラズワルド「ああ、さっきと同じなら避けられ――」

エルフィ「いえ、ラズワルド。そこから動かないで」パカラッ

ラズワルド「え!」

 バシュンッ!!!!

エルフィ「はぁっ!!!!」スッ ガシッ

 ザシュン キィン ザシュン!

ラズワルド「一斉射撃!?」

アクア「しかも面攻撃、さっきとは違う方式ね。あのまま行動していたら、当たっていたかもしれないわ」

エルフィ「……よかった」

ラズワルド「横三射、釘付けにするつもりみたいだね。敵にちょっかいを出しながら、バリスタの意識を僕達に向けさせ続けよう。下手に分散すると、マークス様たちの方をを狙い始めるかもしれない」

エルフィ「ええ、わかったわ」

マークス「リンカ、今だ! はぁっ!!!」シュオンッ バシュッ

 キィン!

ジェネラル部隊長「くっ、ぬっ?」

ルーナ「そーれっと!」ブンッ

 ガキィン

ジェネラル部隊長「王子と小娘は私が止める。お前達は孤立した敵前衛を追い掛けて仕留めろ!」

グレートナイト「わかりました。このまま孤立した奴らを城壁に追い込むぞ」

ジェネラル「はい」ガシャンガシャン

ジェネラル部隊長「くくっ、カムイ王女はマークス王子が合流してくれると信じているのかもしれないが、それは果たされんぞ」

マークス「たしかにな」

ジェネラル部隊長「?」

マークス「貴様が倒されるまでは果たされない。そういうことだ」

ジェネラル部隊長「ぐぬぬ、暗夜を導く王族の意味を忘れ、このようなことに加担する王族に意味などない! しねええ」ザッ ググッ ブンッ

 バチィン キィン

ルーナ「ちょっと、あたしもいること忘れないでよね」

ジェネラル部隊長「でやああっ」ググッ バチン

ルーナ「よっと、力有り余ってるわね。でも、あんたよりあたしは強いから、さっさと諦めなさいよ」

ジェネラル部隊長「口だけならなんとでも言える。くらえええっ」クルクルクル バシュ

ルーナ「っ!」

マークス「そうはさせん」カキィン

ジェネラル部隊長「ちっ……、小癪な真似を……」

女アドベンチャラー「あいつ、二対一みたいだね」

ボウナイト「援護するか?」

女アドベンチャラー「いや、それよりも敵のグレートナイトとボウナイトを牽制する。正門に向かってきたのは騎兵みたいだけど、後続がいないなら下の奴らでも各個撃破できるはず。今は合流させないようにするの重要よ」

ボウナイト「わかった、次、装填完了」

女アドベンチャラー「はい」バシュッ 

エルフィ「来るわ、ラズワルド!」

ラズワルド「わかったよ」サッ

 ザシュン ザシュン キィン!

アクア「♪~ ♪~」

ラズワルド「よし、調子でてきた。それっ」パシュッ

 キィン

ジェネラル「そのような攻撃で倒せると思っているのか?」

ラズワルド「さすがに固いね」

アクア「至近距離なら負けるつもりはないけど、バリスタに狙われては流石にそうもいかないわ」

エルフィ「ええ、でも、ここで敵を引き付けるのがわたしたちの役目よ」

アクア「たしか、進みたくても進めない感じだったわね」

ラズワルド「たしかそうです」

アクア「歯がゆいけど、今はそうするしかないわ」

 バシュンッ

ザシュン キィン ザシュンッ

アクア「エルフィ、大丈夫?」

エルフィ「ええ、わたしは大丈夫。でも、盾が先に壊れちゃうかも……」

ジェネラル部隊長「どうだ、どうだ! この槍捌きに手も足も出ないかぁ!!!」

ルーナ「はっ、下手くそね」

ジェネラル部隊長「なにぉ?」

マークス「まったく、この程度ならば剣で受ける必要もない。やはり暗夜王国の武力の質は下がったと言わざるを得ないようだ」

ジェネラル部隊長「なにおおおおおっ!!!?」

マークス「悔しければ、この私の身に一撃だけでも当てて見せよ。はぁっ!!!!」ブンッ
 
 キィン キィン キィン

ルーナ「あたしからもサービスよ」ブンッ

 ガッ キィン カチャ 

マークス「ルーナ、退け」

ルーナ「はいはい」サッ

 ブンッ ドガシャンッ

ジェネラル部隊長「ここは通さん。絶対に、通すわけにはいかない!!!」

マークス「……」

ジェネラル部隊長「ここは三十余年もの間、難攻不落と謳われた王都ウィンダムの正門。それを、それを暗夜王国の王族に崩されるなど、暗夜の歴史にあってはならないこと。暗夜を思うのであれば、今すぐにでも剣をおさめるのは貴様たちのほうではないか!」

マークス「暗夜を思うからこそ、私は剣をおさめるつもりはない!」

ジェネラル部隊長「はっ、マークス王子にはガロン王様の大義が理解できないと見える」

マークス「それで構わない。私は、よもや父上のその大義を理解したとしても従うことはないからだ!!!」ダッ

リンカ「どうだ?」

カムイ「気配を読む限り、三体向かってきてます。もうすぐ壁ですか?」

リンカ「ああ、タイミングはあたしに任せてくれるか?」

カムイ「もちろん」

グレートナイト「これでも食らうがいい!」ブンッ

 ヒューン ドスンッ

 サッ

リンカ「外れだ!」

ジェネラル「右に回り込んで、逃げ道を塞ぎます」ガシャンガシャン

グレートナイト「よし、お前は左を抑えろ!」

グレートナイト「わかりました」パカラパカラッ

リンカ「……」

グレートナイト「よし、もうすぐ壁に達する。全員、スレンドスピア準備!」チャキッ

ジェネラル「用意よし」チャキ

グレートナイト「こちらもよし!」チャキッ

グレートナイト(壁の前で反転するところを狙えば一本は刺さるはず、倒れたところを接近して叩き潰してやる)

リンカ「カムイ、行くぞ!」

カムイ「はい、お願いします」
 
 パカラ パカラ ダッ ダダッ

グレートナイト「今だ、放てぇ!」

ジェネラル「おらぁっ!」

グレートナイト「はぁ!!!」

 ブンッ ブンッ ブンッ

リンカ「飛べ!」ガシッ

バサァ
 ガッ
 ダダダッ

 バサバサバサ

グレートナイト「なっ、ファルコンだと!?」

 ドス ドス カァン

カムイ「リンカさん、このまま砦の真上に!」

リンカ「ああ、まかせろ」

 バサバサバサ バサーッ

カムイ(気配は二つ……、片づけましょう)チャキッ

ランサー「なっ!?」

カムイ「はぁっ!!!!」ブン ザシュッ

ランサー「ぎゃあっ」ドサッ

ランサー「て、敵!? どこから」チャキッ

リンカ「こっちにもいるぞ」クルクルクル ザシュリ

ランサー「が、ぐううっ!!!!」フラフラ

 ゴロゴロゴロゴロッ ドサッ!

ボウナイト「え、なんだ? 上から……」

カムイ「はああっ!!!!!」

ボウナイト「な、カムイ王女!? ちっ!」チャキッ

カムイ「せやあああっ!!!」ブンッ グチャリッ

ボウナイト「がっ……くそっ。俺らが逃げてから来てくれってんだ……よ」ドサッ

女アドベンチャラー「え、こんなの聞いてない」チャキ パシュッ

リンカ「てやああっ!!!」キィン ダッ

女アドベンチャラー「!」

リンカ「喰らえ!!!」ダッ ドゴンッ

女アドベンチャラー「ぐっ、がぁ、まだ、まだぁ!!!!」チャキ パシュ

リンカ「くっ」

 ダッ

カムイ「……」

女アドベンチャラー「そこっ!」パシュッ

 サッ

女アドベンチャラー「も、もう一回なら―」

カムイ「……はああっ!」

 ザシュッ

女アドベンチャラー「あ、……ああっ」

カムイ「はぁ……はぁ」

女アドベンチャラー「ははっ、ついて……ないや……。隊長……」クタリッ

カムイ「……」スー、グチャリ

 ブンッ ビチャ

リンカ「カムイ、制圧出来たみたいだ。あと、これが門を開けるための仕掛けじゃないか?」

カムイ「わかりました。それを使ってみてください」

リンカ「わかった。んんんっ、おらあああっ」ガチャ

 ガラガラガラガラ

 ガ゙ラガラガラ ゴゴゴゴゴッ

ジェネラル部隊長「!? 門が! くそっ!!!!」

マークス「余所見をしている暇はない!」

ジェネラル部隊長「!?」

マークス「はぁああああ!!!!」ブンッ ガキィン ギィィィイイイイイイ

 ドガンッ

ジェネラル部隊長「ぐっ」

ルーナ「てやっ!」クルクルクル ブンッ

ジェネラル部隊長「ちぃ! なぜだ、なぜ祖国に牙を剥く!?」

マークス「祖国であるからこそだ。抵抗を止め、降伏しろ」ダッ チャキッ 

ジェネラル部隊長「降伏などありえん!ありえんぞぉ!!!!」ダッ

マークス「……」

ジェネラル部隊長「うおおおおああああああっ!!!!!」ブンッ

 サッ

「すまない」

 ザシュンッ

ジェネラル部隊長「がっ、ぐぅ、ごあっ……なぜ、こんな戦いを……こんなことをする……」

マークス「暗夜という……国のためだ」ズシャァ

ジェネラル部隊長「はっ、はははっ、ブリッツ隊長……もうしわけあり、あ……り……ませ……」ドサッ

ジェネラル部隊長「」

マークス「……」チャキンッ

 タタタタッ

カムイ「マークス兄さん!」

マークス「カムイ、よくやってくれた。ここにいる敵の残存戦力は正門が落ちない限り戦い続ける。正門を落とし、ここでの戦いを終わらせるぞ」

カムイ「はい」

 タタタタタッ

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

―王都ウィンダム城壁外部―

 カチャ カチャ グググッ

クーリア「準備できました」
 
カミラ「へぇ、こんなことするのね?」

クーリア「ええ、私の魔法でどうにか補助はしましたので、大丈夫なはずです」

サクラ「なんだか、怖いです」

カミラ「さすがにね。私の竜も今回ばかりは少し怯えているわ。でも大丈夫、あなたはできる子だもの、初めてのこともきちんとね?」ナデナデ

 クォオオオンッ

サクラ「えへへ、なんだか気持ち良さそうな鳴き声ですね」

カミラ「ええ、ここを撫でられると落ちつくし、機嫌も良くなるのよ」

サクラ「そうなんですか」

カミラ「今回のことは初めてのことだから、緊張をほぐしてあげないといけないわ。ベルカもそうしてる、ほら」

 ナデナデ

 キュオオンッ

ベルカ「大丈夫、お前は強い子だから」

ニュクス「喉を鳴らしてるけど、あなたにべったりね」

ベルカ「カミラ様に仕え始めてから、ずっと一緒にいた子だから」

ニュクス「ふふっ。でも、ベルカも少し不安みたいね?」

ベルカ「そんなことないわ」

ニュクス「ふふっ、そうやって何度も撫でてるのは、あなたも不安に思ってるから」

ベルカ「……そう」

ニュクス「大丈夫、私もいるから安心しなさい」

ベルカ「私としては、あなたがしっかり掴まっていてくれた方が安心できる」

ニュクス「え?」

ベルカ「あなたがはしゃぐと、揺れて仕方がないから」

ニュクス「……はぁ、心配して損したわ」

ベルカ「ふふっ」

ニュクス「まったく、ふふふっ」

サクラ「すごくリラックスしてますね」

カミラ「ええ。それで、サクラ王女もリラックスできたかしら?」

サクラ「はい、もう大丈夫です。それに、カミラさんはとっても温かくて、すごく安心できます」

カミラ「ふふっ、安心できるなんて、信頼してくれてるみたいな言い方ね」

サクラ「信頼してます。だってカミラさんはとっても素敵な人ですから」

カミラ「……ありがとう、サクラ王女」

サクラ「そんなお礼なんて……」

カミラ「さっ腰に手を回して。準備が終わったみたいだから」

サクラ「はい、……えへへ。やっぱりとっても温かいです」

カミラ「ふふっ」ナデナデ

サクラ「ううっ、カミラさん、くすぐったいですよ」

カミラ「可愛いからついつい撫でたくなっちゃうのよ」

サクラ「は、恥ずかしいです」

カミラ「ふふっ」

クーリア「カミラ殿、全ての準備が整いました」

カミラ「こちらの準備も終わってる。始めてもらって構わないわ」

クーリア「では、始めますよ」

 スッ

ベルカ「……」

ニュクス「……」ギュッ

カミラ「……」

サクラ「……」ギュウゥッ

カミラ「ふふっ、大丈夫」ナデナデ

サクラ「はい」

クーリア「……」

 ブンッ

クーリア「射出開始!」

 バシッ バシッ バシッ!!!!!!

 ヒュオオオオオオッ……

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・城壁上部―

アドベンチャラー「畜生、攻撃が何時来るかもわからねえじゃねえか」

アドベンチャラー「大丈夫だ。もう第一城壁に誰か到達している。カタパルトの攻撃が来るとわかったら合図してくれることになっている」

アドベンチャラー「ナハト隊長の部隊もようやく動き出そうとしてる。さすがに敵の竜騎兵が来る前にどうにかしねえといけないからな」

アドベンチャラー「ああ、牽制するように城壁の外飛びやがって。ただ、カタパルトを打つときだけは降りてるみたいだな」

アドベンチャラー「って、浮かんでる竜がいなくなってるぞ。ってことは――」

 ピーーーーーー

アドベンチャラー「!? 投石が来るぞ! 全員、隠れろ!」

アドベンチャラー「……」

 …………

アドベンチャラー「?」

アドベンチャラー「あれ、こないぞ」

 ……サ……バ……サ

アドベンチャラー「? なんだこの音は――」

シュヴァリエ兵「……」バサバサ バサバサ

アドベンチャラー「!!!! 竜騎兵!!!」チャキッ

シュヴァリエ兵「ふんっ」ザシュ

 ビチャ

 ウワアア、リュウキヘイガ、グアアアアッ

アドベンチャラー「な、なんだ。なんでこんな、今さっきまでいなかったのに、それに来るのが早すぎるだろ!」チャキッ パシュッ

 ザシュッ

 グギャアアアアッ ドサリッ

 バサバサバサバサ
 バサバサバサバサ

アドベンチャラー「ちっ、撤退だ。城壁上部から跳ね橋拠点まで戻れ!」

 バサバサ バサバサ

カミラ「……すごいわね。いきなりこんなに接近できるなんて」

サクラ「は、はい。本当に早いですね」

ベルカ「かなり無茶だったけど、国境では行わなかったのは本当に王都でこの手を使うつもりだったということね」

ニュクス「ええ、カタパルトに竜を乗せて一気に飛ばして送るなんて、無茶にもほどがあるけど、ここまで効果があるなんて……」

カミラ「とにかく私たちも跳ね橋拠点に向かいましょう」

「正門への攻撃も始まっているはずだから……」

 今日はここまで

 ジェネラル殺しの槍さばき歌姫アクア。

 カタパルトは一般的な投射装置なので、シューターの形ではない感じです。
 竜×カタパルトとなると、闇晦ましの城を思い出してしまう。

 弓砲台は範囲と一点射を切り替えられるみたいなのもいいかなと思った。

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・王都ウィンダム『正門建造物』―

ブリッツ「そうか、正門砦は落ちたかぁ……」

ボウナイト「戻ってこないところを見ると三人は死んじまったみたいですから。それで、ブリッツ隊長は降伏なんてしないんですよね?」

ブリッツ「……はぁ、流石に三十年も暗夜王国に仕えて飯喰らってきたからな。俺にも通したい筋っていうものがあるからよ。だから、お前達は乗らなくてもいい船だ。降伏しても問題ねえぞ」

ボウナイト「何言ってんすか。隊長との戦いは楽しいんで、離れるつもりはないですよ」

ボウナイト「それに、まだ負けたって決まったわけでもないですし、何か策があるんでしょ?」

ブリッツ「まぁ、あるにはあるさ。運が良ければ、戦力を五分五分にできるはずさ」

ボウナイト「なら、それで行きましょう。隊長の指示通り動きますんで」

ボウナイト「これでマークス王子を倒して反乱鎮圧すれば、最高の老後が迎えられますよ」

ブリッツ「はははっ、報酬をたんまりもらって静かな場所で暮らすか。といっても、正直形に持っていけるかどうかも微妙な策で戦うことになるがいいのか?」

ボウナイト「作戦なんてそんなもんですよ。敵に一方的にされるのはあれなんで、早く指示をください」

ブリッツ「……」

ブリッツ「よし、まずは王族集団が先頭切って現れることを全員で祈ろうか」ガチャン

ボウナイト「わかりました。……うぬぬぬ、王族よ先頭を切ってやってこい!」

ブリッツ「よし、御祈り終了。それじゃここに入れる入口を正面意外完全に塞げ、これ開けるの無理だって思えるくらいにな」

ボウナイト「わかりました。よーし全員聞いたな、一つ残らず塞いでいくぞ!」

 オオオオオーー!!!!

ブリッツ(……ナハトの方は……。いや、考える必要もないか。こっちはこっち、あっちはあっちで戦うしかねえんだからな。はぁ、最後の仕事がこんなのってのは、お互いに辛いねぇ)

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・王都ウィンダム内部『跳ね橋拠点周辺』―

 バサ バサッ!

カミラ「ここで止まりましょう」

ベルカ「もう、始まってるみたい」

サクラ「ですね。シュヴァリエの兵隊さん達が圧してるように見えますけど……」

ニュクス「勢いだけはこちら側にあるみたいだけど……」

 バサバサバサッ

シュヴァリエ兵「祖国の敵、くらええええっ」ブンッ

ナハト「先端が揺れているぞ。素人が!」キィン ガキィン

シュヴァリエ兵「ぐっ、うおおおっ」

ナハト「落ちていくがいい」シュオオンッ ボウウウッ

 ボワッ!!!!

ドラゴンマスター「ぎゃあああっ」

 グオオオオオッ

 ドサリッ

ナハト「おい、ほかの連中に伝えろ。こいつらは弱い、弱い癖に吠えるだけの敗残兵だ。恐れる必要はない、命を丁寧に奪ってやれ」

敵ドラゴンマスター「わかりました。一度暗夜に立て突いて生き残らせてもらったって言うのに、身の程わきまえねえ馬鹿どもだよ。今度はシュヴァリエっていう国そのものがこの世から消えかねないっていうのによぉ!」ブンッ

 ギャアアッ

ナハト「こんなレベルで反乱を起こしたとすれば、滑稽な国だ。我々は拠点の防御を固めに戻る。ここは任せた」

敵ドラゴンマスター「はい、ナハト隊長! 全員、押し返し改めて自覚させろ! いくら立て突いても、無意味だということをな!」

 オオオオーーーッ!

カミラ「……このままだと駄目ね」

ベルカ「ええ、最初は良かったみたいだけど、向こうの体制が整い始めてる」

ニュクス「圧倒的に技量に差があるみたいね……。悔しいけど、戦力が五分五分でも、どうにもならないわ」

サクラ「は、早く助けにいかないと……」

カミラ「そうしたいところだけど……。このまま行動するのは危険ね」

ニュクス「こちら側の竜騎兵が落とされ始めて、侵攻していた歩兵がパニックになりかけてる。このまま散り散りになったら、各個撃破されるわよ」

カミラ「ええ」

サクラ「どうにか敵の竜騎兵を分断できれば……」

カミラ「なら答えは単純ね。私が分断してくるわ」

サクラ「え、何を言ってるんですか? あの中に一人で行くなんて危険すぎます!」

カミラ「ふふっ、危険は承知の上、それに私が誰かを忘れていない?」

サクラ「え?」

カミラ「私は暗夜の第一王女、お父様に認められた力を持ってる、それも戦況をひっくり返すことのできる力をね」

サクラ「……カミラさん」

カミラ「だから心配しないで、分断じゃなくて、すべて蹴散らしてしまえば――」

サクラ「だ、駄目です!」

カミラ「さ、サクラ王女?」

サクラ「カミラさんにもしものことがあったら、駄目なんです。そんなことになる可能性がある場所に、援護や計画も無しにカミラさん一人だけを送り出すなんて、そんなことできません」

カミラ「サクラ王女……」

ニュクス「サクラの言う通りよ。カミラ、そういう風に自信満々なのはいいことだけど、そんな心境が命取りになりかねないわ」

カミラ「ニュクス、私の力を信用してないの?」

ニュクス「力なら信用してる。でも一人でも包囲されれば袋叩きにされるだけ、あなたの技術も信じているけど何度も行えるものじゃない。なにより、みすみす貴女を失えるほど、私たちの戦力に余裕があるわけじゃないわ」

カミラ「……」

ベルカ「私はカミラ様の命令でここにいる。カミラ様はルーナに正門で戦うように命令を出したけど、私は必要な空戦力としてここに来ただけ、まだカミラ様から命令をもらってないわ」

カミラ「……ここで待機してと言われたら?」

ベルカ「従う。私はカミラ様の臣下だから……」

カミラ「……」

ベルカ「でも、私はカミラ様の戦いに力添えがしたい、そう思ってる」

カミラ「ふふっ、うふふふっ」

ベルカ「?」

カミラ「いえ、ベルカがおねだりするなんて思わなかったわ」

ベルカ「こ、これは////」

ニュクス「愛されてるわね、カミラ」

カミラ「ええ。ふふっ、ベルカは本当に可愛いわ」ナデナデ

ベルカ「カミラ様、今は作戦中///」

カミラ「そう、それじゃ、一段落したら部屋で可愛がってあげる」

ベルカ「っ///」

サクラ「な、何をするつもりなんですか!?」

カミラ「なら、サクラ王女も一緒にどうかしら?」

サクラ「え、遠慮しておきます……」

ニュクス「はいはい、今後の予定は後で決めて頂戴」

カミラ「それもそうね」

ベルカ「……それで、どうするの。カミラ様」

カミラ「少しだけ考えがまとまったわ。全員聞こえる?」

シュヴァリエ兵『カミラ王女。こちらは今、分断され――』

カミラ「あなた達の協力が必要なの。お願いできる?」

シュヴァリエ兵『こ、こちらも今――』

カミラ「お・ね・が・い」

シュヴァリエ兵『………わ、わかりました』

ニュクス「どうして、そんな色のついた声で告げるのよ」

カミラ「男はこういう声に弱いものよ。特に戦って疲弊してるときは、単純になったりするものよ。それに私達だけであれはどうにかできるものじゃない。あと、このまま事を起こそうとしてもサクラ王女が許してくれないもの」

サクラ「……な、なんで私の所為みたいになってるんですか」

カミラ「だって、サクラ王女が先に言いだしたことじゃない、それにその要望に私も答えてあげたいから、ね?」

サクラ「ううっ、カミラさん意地悪です」

カミラ「ふふっ」

シュヴァリエ兵『そ、それでカミラ王女。何をすればいいのでしょうか?』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

敵ドラゴンマスター「けっ、もう足踏みか」

敵レヴナントナイト「結局は勢いだけの集団だ。我らの前には、成す術もあるまい」

敵ドラゴンマスター「まったくだ。ここをさっさと片付けて、報告に戻るぞ」

敵レヴナントナイト「ああ、こちらから攻め――」

 ボウッ ボワー

 サッ

敵レヴナントナイト「ちっ、どこからだ」

 バサ バサ バサ

 シュッ ブンッ ズシャア

敵ドラゴンマスター「ぐあああっ」ドサッ

カミラ「一人目ね」

敵レヴナントナイト「カミラ王女!? まさか、正門からの報告は本当のことだったというのか!?」

カミラ「それっ!」ブンッ

 ガキィン バギッ ヅチャッ

敵レヴナントナイト「ぎゃああぁぁぁぁ」ドサリッ

カミラ「弱いわね」

 バサバサバサ

 バサバサバサ

カミラ「ふふっ、新しいのが来たみたいね?」

敵ドラゴンマスター「王族であろうとも、一人でのこのこやってくるとはいい度胸だ」

敵レヴナントナイト「他の者たちの士気をあげるために突撃してきたのだろうが、何の意味も――ぐげああっ」ザシュッ

 ヒュオオオオオ ザンッ

ベルカ「上がガラ空きよ」

敵ドラゴンナイト「なっ、貴様」

カミラ「余所見なんて、余裕ね。……燃えつきなさい」ボワッ

 ボウウウッ

ドラゴンナイト「あぐあ、あづぁあああああ」ボワワワッ ドサリッ

カミラ「上出来よ、ベルカ」

ベルカ「それよりもカミラ様、本隊が来るみたい…」

 バサバサバサバサ

カミラ「数はそこそこね。もう少し引っ張り出せればよかったけど。ベルカ、例の場所で別れましょう?」

ベルカ「命令のままに」

 バサバサバサ

敵ドラゴンナイト「二手に分かれたぞ」

敵レヴナントナイト「よし、俺たちは王女のほうを追い掛ける。お前達はあともう一つだ」

敵ドラゴンナイト「了解、残り、俺達に続け!」

 バサバサ 
  バサバサ

 バサバサバサ

ベルカ「……」チラッ

敵ドラゴンナイト「ちっ、ちょこまかと逃げやがって!!!」

ベルカ(追ってきたのは四割くらいね……)

ベルカ「……ニュクス」

ニュクス『ええ、聞こえてるわ』

ベルカ「穴に奴らが来る、準備して」

ニュクス『わかった、誘導は任せるわ』

ベルカ「……」チャキッ

 ブンッ クルクルクル ザシュッ

 クキャアアアアア!

敵ドラゴンナイト「落ち着け、くそ、前を取られていては、こちらから投げられん!」

敵レヴナントナイト「どけ、魔法ならいける」シュオォンッ バシュッ

 ドゴンッ ガラガラガラ

敵ドラゴンナイト「下手くそ!」

敵レヴナントナイト「うるさい!」

ベルカ「ここね、っ!!!」ググッ
 
 バサバササッ

敵ドラゴンナイト「上に逃げたぞ! 上昇し――」

ベルカ「はっ!」ブンッ ズシャアアッ

 グギャアアア

敵レヴナントナイト「ちっ、くそっ、足止めなどで止められるとでも――」

ニュクス「全員、前方が止まった。今よ、攻撃開始!」

 チャキッ バサッ

シュヴァリエ兵「くらえっ」パシュ パシュ

シュヴァリエ兵「おらああっ」シュオオンッ

 ギャアアアッ

敵レヴナントナイト「なっ、別動隊がこんなに!? 早く上昇しろ!」バサバサ

 スオオオッ

敵レヴナントナイト「よし、上を取った反――これは影!?」バッ

シュヴァリエ兵「こちらも攻撃開始!!!」ブンッ

 ザシュシュ!!!

敵レヴナントナイト「な、何時の間に!!!」

ニュクス「そちらより、こっちの情報は早いだけよ。落ちなさい!」スオォォ ドゴォン

 バチュンッ

ベルカ「……こっちはうまく行った。カミラ様……」

カミラ「そう、わかったわ」

ベルカ『こっちは移動しながら、敵の兵力の分断を続けるわ』

カミラ「ええ、よろしくね」

 サッ ササッ

カミラ「ふふっ、こっちにもいっぱい来てくれたみたい」

敵レヴナントナイト「たとえ王族であろうとも、包囲すればこちらの勝ちだ。嬲り殺しにしろ!」

敵ドラゴンマスター「わかりました。数人、俺の後に続け!」

 バサバサバサッ

カミラ「こちら、カミラ。サクラ王女、準備はできてる?」

サクラ『は、はい。でも、気を付けてください。敵が一組別行動で動いてます。おそらく、カミラさんを先の空域で包囲するつもりです!』

カミラ「ありがとう。でも、今から道は変えられないわ。だから、少しだけ無茶しっていいかしら?」

サクラ『……わかりました』

カミラ「あら、さっきまで一人はダメって言ってたのに?」

サクラ『一回だけ、一回だけですよ』

カミラ「ええ、わかってる、サクラ王女。無茶は一回だけにするわ」

サクラ『本当に一回だけですからね!』

カミラ「ふふっ、必死になってサクラ王女は可愛いわ。私だって死にたくはないもの、大丈夫、ちゃんとあなたの元に向かうから、機嫌を直してちょうだい」

サクラ『ちゃんと戻ってきてくれたら直します』

カミラ「ええ、ちゃんと戻るから、そちらの準備もお願いね?」

サクラ『はい、頑張ってください。カミラさん』ブツッ

カミラ「サクラ王女、少し頑固なところが玉に瑕だって思ってたけど。そこが一番可愛いところだって気づいてしまったわ、ふふっ」

 バサバサバサ

敵ドラゴンナイト「よし、回り込め!!!」

 バサササッ

カミラ「来たみたいね。大丈夫、おまえならきっと出来るわ」ナデナデ

 クオオンッ

敵ドラゴンナイト「一斉攻撃!」バッ

敵ドラゴンナイト「おらああっ!!!!」ザ

敵ドラゴンナイト「せやああっ!!!」

 バサバサバサッ

敵レヴナントナイト「見つけた、魔法の準備!!!」シュォンッ

カミラ「行くわよ」ガシッ ググッ

 クオオオオッ!!!

 バサッ バサッ

敵ドラゴンナイト「くらえっ!!」ブンッ

カミラ「遅い。それじゃ、小鳥も捕まえられないわ」サッ

敵ドラゴンナイト「なら、これで。はああっ!!!」

カミラ「いいところにきてくれてありがとう。切り込みのいい材料としてね?」チャキッ ブンッ グサッ

 ギャオオオオンッ

敵レヴナントナイト「喰らえッ!!!!」ボワワワッ

カミラ「ふふっ、場所を交代よ」ブチチィ サッ サッ

 ボワァ!!!

敵ドラゴンナイト「あぎぃあああっああああ」ドサッ

敵レヴナントナイト「ちっ、前方抑えろ!!!」

 バサバサバサ

敵ドラゴンナイト「先回り、間に合ったぞ。全員で囲い込め!」

カミラ「……ここはとってもきつそう。だから無理やり開いて通ってあげる」シュオンッ

敵レヴナントナイト「たわけ、その身が切り裂かれていくのを死にながら悔いるがいい!」ブンッ

カミラ「それっ」シュオオオンッ バチィン

敵レヴナントナイト「はっ、そのような攻撃――!?」

カミラ「行くわよ、上にあがって!!!」バサバサバサ

敵レヴナントナイト「な、ここで急上昇!? 追うぞ!!!」バサバサ

カミラ「……」

カミラ(案の定追ってきたみたい。それじゃ――)

カミラ「ここね」ググッ

 クルッ ヒューン

敵レヴナントナイト「なっ、急反転だとっ!?」

カミラ「はああっ!!!」ブンッ

 ズビシャ プシュー ゴロンッ ドサッ

カミラ「っっ!!!」

カミラ(地面が迫ってる。視界も辛い…………でも、ここで立ち直らないと。サクラ王女の機嫌が直らない!!!)

カミラ「はああああっ!!!!」ググッ

 クオオオンッ

 バサバサ ヒュオンッ

敵レブヴナントナイト「ちっ、抜けられたぞ! 全員このままの高度でいい、追え!!!」グオンッ

カミラ「……よく頑張ったわね」ナデナデ

 バサバサバサ

カミラ「あとは任せるわ、サクラ王女」

サクラ「わかりました、カミラさん。それでは、皆さん準備をお願いします」

シュヴァリエ兵「はい」カチャ

サクラ「……」カッ キリキリキリ

 バサバサ

サクラ「もう少しです…」

敵レヴナントナイト「―――」

 バサバサ!

サクラ「今です!!」

 ザザッ ザッ

 パシュッ パシュッ

 ザシュッ ザシュ

 クォオオオオンッ ドサッ

敵レヴナントナイト「なっ。ぐへぁ」ドサリッ

シュヴァリエ兵「す、すげぇ、こんな簡単に……よし、間髪入れずに次の攻撃に移るぞ!」

シュヴァリエ兵「は、はい! くらえッ!」パシュッ

 パシュッ
 ドサッ ドサリッ

カミラ「……こちらを見縊って慢心していたのかもしれないけど、思った以上にたくさん落ちるわね。これで敵の士気も少し下がったと思うけど……。ん、あれは……」

暗夜兵「ぐっ、ぐあああっ」

カミラ(負傷した敵兵みたいね。でも、あんなところで倒れていたら」

シュヴァリエ兵「おい、ここに生きている奴がいるぞ!」

カミラ「……」

カミラ(この距離からじゃ止められそうにないわ。残念だけど……)

シュヴァリエ兵「止めを刺してやる、死ねええ!」

サクラ「だ、ダメです!!!!」

 タッ タタタッ サッ

サクラ「な、何をしようとしているんですか!」

暗夜兵「な、なにを……ぐっ」

サクラ「大丈夫です、少し待ってください」ポワンッ

シュヴァリエ兵「な、なにをしているんですか!? それは敵ですよ」

サクラ「もうこの人は戦う意思なんてありません、そんな相手を手に掛けるなんてことをしてはいけないんです。確かに私達は跳ね橋拠点を落とすために来ています。ですが、敵の命を奪い尽くすために来てるわけじゃありません。奇麗事だとしても、私はこんな風に弱った人を殺してしまうような行為を容認できません!」

シュヴァリエ兵「ですが……」

 バサバサバサ

カミラ「サクラ王女の言う通りにしなさい」

シュヴァリエ兵「カミラ王女、何時牙を剥いてくるかもわからない者に手を差し伸べるなど」

カミラ「そうね、でも今すぐ動けるような状態じゃないし、なによりここで無抵抗な物を殺すのは、今までの暗夜と何も変わらない。シュヴァリエは暗夜にいる人間をすべて殺すためにこの戦いに参加したのかしら?」

シュヴァリエ兵「そ、そんなことは!」

カミラ「なら、サクラ王女の言うことは間違ってないでしょう?」

サクラ「カミラさん……」

シュヴァリエ兵「……わかりました、カミラ王女。武器や鎧は募集させてもらう。サクラ王女に感謝するんだな」ガシッ

暗夜兵「ぐっ、ううっ」

カミラ「ふふっ、物わかりのいい子は好きよ。あなた達はこの周辺の建物を制圧して、手当てができる場所を確保してちょうだい。その間、私達は跳ね橋拠点の制圧に向かうわ。武装解除して現れた敵は、ちゃんと受け入れるようにしなさい。いいわね?」

シュヴァリエ兵「はい、全体に伝えておきます。では……」

 タタタタタッ

カミラ「ふふっ、流石の頑固さっていうことかしら?」

サクラ「カミラさん、ありがとうございます。その、味方してくれて」

カミラ「いいのよ。サクラ王女はなにもおかしなことは言ってない。だから私は賛同したのよ」

サクラ「でも、……こちらから攻撃して、それを救うのはなんだか矛盾してるって思うんです。なんだかおかしいって……」

カミラ「でも、サクラ王女は意思を曲げなかったわ」

サクラ「それはカミラさんが味方してくれたから……」

カミラ「いいえ、私がいなくてもあなたは曲げなかったと思う。どんなに声が小さくなっても、押し負けそうになっても、あなたは曲げられない芯があるの。だから、自信を持って」

サクラ「カミラさん」

カミラ「ふふっ、よかった。それに機嫌も治ったみたいね」

サクラ「だって、ちゃんと戻ってきてくれましたから……無事でよかったです」

カミラ「ありがとう」

ベルカ「カミラ様」

ニュクス「どうにかうまくいったみたい。こちらの士気も上がってるわ」

カミラ「ベルカ、ニュクス」

ベルカ「それで、次の命令は何、カミラ様」

ニュクス「ええ、次はどうするのカミラ?」

サクラ「カミラさん、次の指示をお願いします」

カミラ「それじゃ、ささっと終わらせましょう、私たちのお仕事をね」

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・王都ウィンダム『正門建造物・前』―

マークス「……どうだ?」

部族兵「駄目です。すべての正面以外の出入り口は完全に塞がれています。上部、壁面などから侵入はできそうにありません」

マークス「……入口から来いということか……」

アクア「間違いなく罠ね……。残りの兵の数はそれほど多くないはずだけど」

マークス「敵の正門守備隊は?」

部族兵「はい、包囲をしていましたが、現在その包囲を抜けてこちらに向かいつつあります。このまま、ここで待っていては、我々が包囲されかねません」

ラズワルド「中に入って偵察ってわけにもいかないし」

カムイ「道をわざわざ一つに限定しているということは、こちらの分断を狙っているのは間違いないでしょう」

エリーゼ「マークスおにいちゃんどうするの?」

マークス「あまり時間はない。罠だとわかっているとしても、ここを落とさねば、王都への道は開かれん。ならば、行く以外に他はないだろう」

エルフィ「先頭はわたしとフローラに任せて」

フローラ「ええ、私達以外に壁になる人たちはいませんから」

マークス「では頼めるか?」

エルフィ「はい、マークス様」

フローラ「お任せください」

カムイ「では、エリーゼさん、マークス兄さん、アクアさんを最後尾に。中央をルーナさん、ラズワルドさん、リンカさんと私。先頭をエルフィさん、フローラさんで進みましょう」

『はい』『わかったわ』『わかったよ』

マークス「よし、では行くぞ!」

~~~~~~~~~~~~~~

ボウナイト「どうだ?」

ボウナイト「よし……来たぞ、どうやら最初のお祈り効果はあったみたいだぜ」

ボウナイト「わかった……ここら辺で、今だ!」ブチィ

 ガラガラガラガラ
 
 ドガシャンッ ガラガラガランッ

ボウナイト「敵の人数は?」

ボウナイト「こっちよりは少ないかもしれない」

ボウナイト「勝率はあがったかね? よし、俺たちも所定の位置に向かう。ここをもう守る必要もないからな」

ボウナイト「ああ、ブリッツ隊長の援護に回るとしよう」

 タタタタタッ

ブリッツ「よし、野郎ども。準備はできてるな!」

暗夜兵『おおーっ!!!!』

ブリッツ「それじゃ、始めるぞ。最初で最後の正門防衛だ。全員、気張っていけ!」

 ウオオオオッーーーー

ブリッツ「さてと、どう出る。暗夜の王族さん達よ?」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~
◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・王都ウィンダム『跳ね橋拠点』―

ナハト「現在どうなってる?」

レヴナントナイト「どうやら、敵に王族がいるという話はデマではないようです。カミラ王女らしき人物を多くの者が確認しています。現在、敵の攻勢に再び活気が戻っているようです」

アドベンチャラー「こちらに向かってくる者たちの影あり、その中にカミラ王女と思われる人物もいます!」

ナハト「……そうか。だが、相手が誰であろうと、暗夜の留守を預かっている身だ。暗夜への忠誠を貫く騎士の道に迷いはない。お前たちも、そうだろう?」

レヴナントナイト「はい、この道に変わりはありません。我々はナハト隊長について行く次第です」

ナハト「わかった。全員、飛び立つぞ。こちらに向かってくる敵を迎え撃つ」

ドラゴンマスター「正門への増援はいかがしますか?」

ナハト「いや、問題ない。こちらはこちらの用を終わらせる、それから考えればいいことだ」

ドラゴンマスター「はい!」

 ザッ ザッ

ナハト「……行くぞ」

 クオンッ

「正門が落とされようとも、ここが落ちなければ問題ないのだからな」

今日はここまでで

 あと二回くらいで、十八章は終わります。

 サクラの可愛いところは、少し頑固なところだと思ってる。

 例のヒノセツエロ番外のスレをどういう風に運用するべきか考え中。
 何か向こうでも本篇的な物を書くべきなのか、番外だけにするべきか……

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・王都ウィンダム『正門建造物』―

 ガシャン ガゴンッ……

カムイ「相当な無茶をしてきますね」

マークス「くっ、全員無事か!?」

エリーゼ「う、うん。大丈夫だよマークスおにいちゃん!」

エルフィ「! みんな伏せて」

フローラ「私たちの陰に隠れてください」

 パシュ パシュンッ
 キィン シュンッ

リンカ「ちっ、やはり罠か」

アクア「そんなこと百も承知よ」

ラズワルド「だけど、ここまで派手にしてくるなんて思わなかったよ。まさか、態勢を立て直しつつある味方も入れないようにするなんてさ」

ルーナ「でも、これであたしたちだけにできたんだから、敵としてはうまく行って万々歳ってところでしょうね。正直、腹立つわ」

カムイ「腹立たしいかもしれませんが、敵も必至ということです。ブリッツさんなりに王族の半数を倒して、わたしたち全体の士気を挫くのが狙いでしょう」

アクア「そうね、マークスが倒れる事態になれば、それだけでこちらの結束は紐解けかねないわ……」

ルーナ「ちょっと、ここには勝つために来たんだから、それ以外のこと考える必要なんてないんだからね」

マークス「ルーナの言うとおりだ。私は負けるつもりはない、その心配は無用だ」

カムイ「そうですね。それで、どうしますか?」

マークス「カムイ、ルーナとアクアを連れて右翼から進め」

カムイ「はい、わかりました」

ルーナ「ふふん、あたしがちゃんと護衛してあげるんだから、大船に乗った気持ちでいなさい!」

アクア「大船ね……」

ルーナ「ちょっと、なんで不安顔なわけ?」

アクア「少しね……」

ルーナ「少しって何よ! 失礼しちゃうわ。ねぇ、カムイ様」

カムイ「……」

ルーナ「何か言いなさいよ!」

カムイ「はい」

ルーナ「カムイ様、あたしのことおちょくってるんでしょ!?」

カムイ「ごめんなさい、カッカしてるルーナさんが可愛かったもので」

ルーナ「おちょくったことは認めるわけ?」

カムイ「あ……」

ルーナ「まったく、でもその様子なら余裕よね。それじゃ、あたしが前を行くから、援護頼むわよ」

カムイ「ええ、わかりました」

アクア「私が倒すはずだったとか、そういう苦情は受け付けないわよ」

ルーナ「別にそんなことで声なんて上げるつもりないから!」

マークス「次にリンカとラズワルドは私と共に敵の左翼を叩く。リンカ、このような内部だが飛べるか?」

リンカ「どんな場所でも飛んでみせるさ。それに、こいつも動きたくてうずうずしている。あたしも体が熱くなってきているしな」ヒヒン

ラズワルド「ははっ、リンカはいつも体が熱くなってそうだね」

リンカ「ああ、熱くなりやすい性格だからな」

ラズワルド「それは頭のことじゃないかな。どちらにしても、頼りにしてるからね」

リンカ「任せておけ」

マークス「ラズワルド、先頭を任せられるか」

ラズワルド「わかりました。単身突破しようとしている体で、相手との距離を詰めればいいですか?」

マークス「ああ、危険な役割だが。頼まれてくれるか?」

ラズワルド「もちろんです。マークス様」

マークス「よし、リンカは私と共に敵への急襲を行う」

リンカ「わかった」

マークス「エルフィとフローラは機動歩兵の意識をできる限り引きつけた後に撃破してほしい、エリーゼはその補助に回ってほしい」

エリーゼ「わかったよ。マークスおにいちゃん」

フローラ「エルフィさん、どうしましょうか?」

エルフィ「難しいことはわからないわ。とりあえず、わたしが走り回って注意を引きつけて戻ってくるのはどうかしら?」

エリーゼ「それは危険だよ、絶対駄目だからね!」

エルフィ「ご、ごめんなさい、エリーゼ様」

フローラ「ふふっ、私たちはいるだけでも目立つ見た目ですから。それとエリーゼ様をお守りしながらの囮役、とてつもない重労働になりそうね」

エリーゼ「フローラも今さっきあんなに無茶したばっかりなのに、無理は――」

フローラ「先ほどの傷はエリーゼ様に癒していただきました。またもう一度貴女様を守る壁として、役に立たせてくださいね」

エリーゼ「フローラ……」

エルフィ「フローラ、それはわたしの役目だから」

フローラ「ええ、だから二人でエリーゼ様をお守りしましょう。それが一番賢くて、問題ない方法よ」

エルフィ「それもそうね。エリーゼ様、絶対にわたしとフローラの陰から出ないようにお願いします」

エリーゼ「うん!」

エルフィ「攻撃が止んだみたい……」

フローラ「それでは、マークス様。私達が先に出ます。以降はそれぞれのタイミングで動いてください」

マークス「ああ、すまないが任せたぞ」

フローラ「重装で来ているのは私とエルフィさんだけですから。それでは」ガシャンッ ガシャガシャ ガシャン

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ボウナイトE「敵前衛が来たぞ」

ボウナイトF「攻撃開始!」

 パシュッ パシュッ

 キィンキィン

ブリッツ「敵の壁が止まったぞ。重装騎兵部隊は奴らを先に片づけ、撃破後に反転し、敵の各個撃破にあたれ」

グレートナイトA「わかりました」

 ドガシャンッ

 ガシャンッ パカラパカラ

グレートナイトA「敵をここで打倒するぞ。一同、突撃!!!」

グレートナイトBCD「うおおおおっ!!!!」

 ドドドドドッ

エルフィ「フローラ、前方からグレートナイト、数は四」

フローラ「まずは一人倒したいところね。エリーゼ様、敵の一番最初に到達する相手にウィークネスを頼めますか?」

エリーゼ「今すぐでいいの?」

フローラ「いいえ、タイミングは私に達するぎりぎりでお願いします。今行っても、異変に気付かれて違うのがやってくることになるから、そうなったら袋にされかねないので」

エリーゼ「そ、そんなのうまくできるかわからないよぉ」

フローラ「大丈夫、あなたはカムイ様の妹なんです、自信を持ってください」

エリーゼ「フローラ……」

フローラ「……」

エリーゼ「わかった、やってみる! エルフィ、フローラに先頭がぶつかったら、すぐにフローラを助けてあげて」

エルフィ「はい、このハンマーで助けだすわ」ガチャッ

グレートナイトB「敵、ジェネラル1、グレートナイト1、その後ろにストラテジスト!」

グレートナイトA「構わん、この距離ならストラテジストの攻撃魔法は届かん。勢いでジェネラルを吹き飛ばし、そのまま小突いて全員潰すぞ!」

グレートナイトC「先行は私に任せていただけますか!」

グレートナイトD「よし、いけっ!」

グレートナイトC「はい、行きます!!!」

フローラ「来たわ」グッ

グレートナイトC「いくらジェネラルであろうと、このアーマーキラーは耐えられまい!!!」ジャキッ

エルフィ「フローラ!」

フローラ「気にしないで、エリーゼ様。頼みました」ググッ

エリーゼ「……」

グレートナイトC「くらえっ!!!!」ググッ

 パカラ
 パカラ パカラ

エリーゼ(……今!)

エリーゼ「ウィークネス!!!」クルクルクル シュオンッ

グレートナイトC「はぁあああ!!!」ブンッ

 ガキィンッ ギギギギィ バキィ

 バチュッ ガランガランッ 

フローラ「っ!!!!」ググッ

グレートナイトC「……くっ、力が……」

フローラ「間に合って良かった。それじゃ御返しですよ」ニヤッ ドンッ

グレートナイトC「!」

エルフィ「はぁああああ!!!」ブンッ

 ドガンッ ガンッ ゴロゴロゴロ グチャッ

グレートナイトA「! 全員、足元に注意しろ!」

グレートナイトBD「わかりました!」ササッ

フローラ「はぁはぁ、体がもちませんね。こんなことばかりじゃ」

 パカラ パカラ

エリーゼ「リライブ!!!」シャランッ

フローラ「エリーゼ様。前に出られては危ないですよ」

エリーゼ「今はフローラの傷のほうが危ないよ! ヘルムと盾がボロボロになってるのに!」

フローラ「まだ、敵の脅威は去っていません」

エリーゼ「だめだよフローラ、そんな状態じゃ、次の攻撃は耐えられないよ!」

フローラ「よ、避けられればどうにか」

エルフィ「重装は避けるんじゃなくて、みんなの盾になるのが仕事よ。その状態じゃ、仕事はできないわ」

フローラ「エルフィさん」

エルフィ「エリーゼ様、少し下がってフローラの手当をしてください。ここはわたしが持たせます」

グレートナイトA「いくら同じ重装備であろうとも、三人に敵うと思うか!?」

エルフィ「やってみなければわからないわ」

フローラ「エルフィさん、一人では難しいです。ここは――」

エルフィ「少しくらい、エリーゼ様の前でいい恰好をさせて、今日はエリーゼ様をフローラが守ってくれてる。いいことだけど、その少し悔しいのよ」

フローラ「エルフィさん?」

エリーゼ「え、エルフィ?」

エルフィ「……」チャキッ グルグルグル カンッ

フローラ「そう、エリーゼ様のこと大好きなのね」

エルフィ「もちろんよ。わたしは日夜エリーゼ様のためになることを考えてるもの。エリーゼ様のために考え、エリーゼ様のために――」

フローラ「わかってるわ。それじゃ私の怪我が治るまでは、任せてあげる。その代り、やられたりしたら承知しませんから」

エルフィ「ええ」

エリーゼ「す、すぐに戻るから! フローラ乗って!」

 パラカパカラ

グレートナイトA「構わん、奴を打ち潰せ!」

グレートナイトBD「いけええっ!!!」

 ダッ

エルフィ「はああああっ」ドドドドッ カチャ ブンッ!!!

 ドゴンッ

グレートナイトB「ぐっ、だが、こちらからも」ブンッ

 ガキィン

エルフィ「受け切りよ!」ブンッ

 ドゴンッ

グレートナイトB「ぎゃへぁあ」ドサッ

グレートナイトA「ちっ、Bがやられたか」

グレートナイトD「なら、あいつらを先に!!!」パカラパカラ

グレートナイトA「早まるな、そいつに背中を見せる必要はない。まずはこいつからだ!」

エルフィ「はああっ」キィン

 ガキィン

グレートナイトD「ちっ、この怪力女め!!!」ブンッ

エルフィ「きゃあっ」ドゴンッ ガランガランンッ

グレートナイトA「よくやった、もう奴に盾はない。挟撃するぞ!」

グレートナイトD「はい、これでおわりだ!!!」

エルフィ「っ!!」



フローラ「エルフィさんが! ここからじゃ間に合わない。わたしの怪我が治っても、これでは……」

エリーゼ「だいじょうぶ、あたしにまかせて」バッ ガシッ 

フローラ「まかせてと、言われても、この距離じゃ」

エリーゼ「間に合わせるから、フローラはあたしより少し離れた場所でハンマーを振れる準備をしておいて」

フローラ「え、なんでこの場で振るんですか?」

エリーゼ「もう時間がないから、準備して」

フローラ「わ、わかりました」

エリーゼ「敵が飛んでくるから、それをハンマーで打ち返して」

フローラ「え!?」

エリーゼ(この距離なら届くはず……)

 ブンッ チャキッ シュオン

エリーゼ(……距離はDがAより後ろ、なら!!!)

 グオンッ

エルフィ(左は受け切れるけど、右は――)

グレートナイトA「くらえええっ」ブンッ

グレートナイトD「しねえええっ!!!」ブンッ

エルフィ「はあああっ!!!!」スッ

グレートナイトD(よし、この直後なら、しねえええ)ググッ

エリーゼ「ドロー!!!」シュオンッ フワッ

 シュオンッ

グレートナイトD「!? えっ、あの怪力女が消え――」

フローラ「はあああっ!!!!」ブンッ

 ドゴォンッ ヒヒーンッ
 ゴロゴロゴロ ドサリッ

フローラ「本当に敵が飛んできたわね……思いっきり殴っちゃったけど……」



グレートナイトA「なっ、Dはどこに行った!?」

エルフィ「わからないけど、捻り潰してあげる」ガシッ グッ ドゴンッ

グレートナイトA「がっ、!?」

エルフィ「はぁっ」ブンッ ドグチャ

グレートナイトA「」

エルフィ「あともう一人は……」

エリーゼ「エルフィ!!!!」

フローラ「エルフィさん」

エルフィ「エリーゼ様、フローラ。敵があと一人……」

フローラ「それなら向こうで伸びてるから問題ないわ。それよりも、エリーゼ様」

エリーゼ「うん、リライブ!」シャランッ

エルフィ「エリーゼ様、ありがとう」

エリーゼ「ううん、エルフィも無茶し過ぎだよ……」

エルフィ「その、ごめんなさい」

フローラ「ふふっ、エルフィさんも私も、エリーゼ様を心配させてばかりね」

エルフィ「そうね、ふふっ」

エリーゼ「もう、二人とも……少しは反省してよ……」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ラズワルド「見つけた!」パシュッ

 サッ

ブレイブヒーローA「全員、敵の攻撃に気を付けつつ距離を詰めろ! 敵は一人だ!」

ブレイブヒーローBC「はい!」

ラズワルド「躍らせてあげるよ!」カチャッ

マークス『ラズワルド、十時の方角に弓兵だ』

ラズワルド「!?」サッ

 パシュッ

アドベンチャラーD「ちっ、気付かれたか」

ラズワルド「あぶなかったー。ありがとうございます、マークス様」

マークス『気を付けるんだぞ』

ラズワルド「はーい」

ブレイブヒーローB「一人でのこのこやってくるとは、いい度胸だ」

ラズワルド「なら、一人だけで来てくれてもいいんだよ?」

ブレイブヒーローC「暗夜に立て突く貴様らに対して礼儀など必要ない。そんなものは額縁に飾るにも値しないぞ」

ラズワルド「そういうのは、僕を倒してからにしたらどうかな。とりあえず、攻撃だよ」チャキッ

 パカラパカラ ザンッ

 キィン

ブレイブヒーローA「屋内では馬の完全な実力を引き出せはしないはずだ。囲んで撃破しろ!」

ブレイブヒーローB「ああ、こっちから回り込め!」

ブレイブヒーローC「Dは違う方角に逃げられないように、牽制射撃!」

アドベンチャラーD「わかった。そっちには行かせねえぞ」パシュッ

ラズワルド(一人だけだから囲んで殲滅するつもりだね。なら、意図的に送られるとすればあの角近くかな)

ラズワルド「マークス様、近々この先の角で包囲されそうになるので、おねがいします」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

マークス「リンカ、お前は上を取り包囲完成の瞬間に急襲、敵の出鼻を挫け。私は弓兵を片づけて合流する」

リンカ「わかった。行くぞ」バサバサバサ

マークス「よし……はぁっ!!!」パカラパカラ

アドベンチャラーD「よし、そこだ」パシュッ

 キィン

アドベンチャラーD「よしよし、そのまま囲まれちまえ」

 パカラパカラ

アドベンチャラーD「ん?」

マークス「ひれ伏せ!!!」ダッ ブンッ

アドベンチャラーD「なっ、こっちは陽動じゃなかったのか!? ちぃ」チャキッ

マークス「せいっ、はぁああ!!!」ザシュッ ブシャア

アドベンチャラーD「うぎゃああああっ」ドサッ ドササッ

 パカラパカラ

ブレイブヒーローB「よし、入りこんだぞ。ここで」

リンカ「はあああああああああああっ!!!!!」ヒュン

 ゲシッ

ブレイブヒーローB「あぎゃ、うぶっ」グチャ

ブレイブヒーローC「なっ、上から!? Dは何をしている!?」

リンカ「残念だけど、弓兵ならもう倒されてるはずだ。行くぞ!」クルクルクル

ブレイブヒーローC「くそっ。A、そっちは任せる俺はこっちをやる。うおらあああっ」ブンッ

リンカ「あまい」サッ

ブレイブヒーローC「ちぃ、はぁ! せいっ」ブンッ ブンッ

リンカ「燃え尽きろ!」

 ブンブンッ バサッ ヒュンヒュンヒュン ザシュッ!!!!!

ブレイブヒーローC「がふっ……」ドサッ

ブレイブヒーローA「はああっ」ブンッ

 キィン カキィン

ラズワルド「これで終わりだよ!」

 ググッ ヒヒーンッ

 ガバッ ダッ ザシュッ!

ブレイブヒーローA「ぐっ、うおおおあああっ」ドサリッ

ラズワルド「ふぅ、どうにかなったよ」

マークス「ラズワルド、無事か?」

ラズワルド「あ、マークス様。援護ありがとうございます」

マークス「礼はすべてが終わってからにしておけ、エルフィたちが中央の機動戦力を掃討をおえている。一気に進み、ここを制圧するぞ」

ラズワルド「はい!」

 タタタタタッ

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ルーナ「アクア様、カムイ様、正面に四人。準備はいい?」

アクア「ええ、いいわ」クルクルシュタン

カムイ「はい、いいですよ、ルーナさん」チャキッ

ジェネラルA「ここは通すな。攻撃態勢!」

ジェネラルB「投擲攻撃開始! てやあっ」ブンッ

アクア「甘いわ」ガキィン

ランサーC「敵来ます」

ランサーD「長槍準備完了です」

ジェネラルA「よし、俺達が敵の攻撃を引き受ける」

ジェネラルB「お前達は我々を盾に敵を攻撃、これ以上進ませるな!」

 ジャキッ

ルーナ「完全に通路を塞いでるわ。前列にジェネラル、後列がランサーね」

カムイ「進ませないつもりのようですね」

アクア「ルーナ、援護すればいいのよね?」

ルーナ「そうだけど、あれをどうするつもりよ? まっすぐに当たってどうにかなるものじゃないわ」

アクア「大丈夫、ルーナがどちらか決めてくれればいいわ。ああいう壁は片方が潰れれば、それで終わらせられるはずよ」

ルーナ「そ、そう、じゃああたしが右を引き付けるから、カムイ様は左を引きつけてもらえる?」

カムイ「はい、わかりました」

アクア「私はルーナの援護に回るわ」チャキッ

ルーナ「おねがい。それじゃ、攻撃開始よ!」

カムイ「私が先に仕掛けますので、ルーナさんは右が攻撃を仕掛けようというタイミングで、攻撃を加えてくれますか?」

ルーナ「いいわよ。援護のタイミングはアクアに任せるから。それじゃ、カムイ様!」

カムイ「はい、てやあああっ」ブンッ 

ジェネラルA「来たか、だがその程度の攻撃、屁でもないわ!!!!」キィン

ランサーC「せいっ」ザシュッ

カムイ「もらえませんよ、そのような攻撃は!」サッ

ジェネラルB「横がガラ空きだぞ、裏切り者!」ブンッ

 キィン

ジェネラルB「ぬっ!?」

ルーナ「残念だけど、あんたの相手はこのあたしよ。えいっ!!!!」ブンッ

 ガキィン

ジェネラルB「そのようなへなちょこ刃が効くと思ったか!?」

ルーナ「ならもう一回。はあっ」

ジェネラルB「あまいぞ。小娘が!!!!」ブンッ

 サッ

ランサーD「そこだ!」ザシュッ

ルーナ「っ、か弱い乙女に何してくれんのよ!」

ランサーD「うるさい、手に物騒な物を持ってなにが、か弱い乙女だ」

アクア「確かにその通りね。ルーナ、伏せなさい」

ルーナ「えっ?」

アクア「はやく」

ルーナ「これで、いい?」

アクア「ええ、ありがと。はぁっ」タンッ

ルーナ「あぐっ、ちょ、なに人に乗って――え?」

アクア「……」フワッ

 ドンッ

ジェネラルB「なっ、俺を踏み台に!?」

ランサーD「な!?」

アクア「せいっ」ザシュッ

ランサーD「あがっ」ドサッ

ランサーC「な、越えてくるなんて!!!!」

アクア「はっ」ドゴッ バキッ ドンッ ドサッ

ランサーC「ぐはっ」

アクア「……後列は終わりね」

ジェネラルA「貴様、調子に乗るなよ!!!」グルンッ

カムイ「背中を向けては、その重厚な盾も意味がないですよ!」ググッ バシッ

ジェネラルA「ぐおぉおっ」ガシャンッ ドサッ

カムイ「おわりです」ドスッ

ジェネラルA「がはっ」ドサリッ

アクア「これで――っ!」サッ

 ブンッ

ジェネラルB「ちぃ、よくも俺を踏み台にしてくれたな!!!!! この歌姫ごときがああっ!!!」

ルーナ「ちょっと、あたしがいること忘れてるんじゃないの。背中を見せるなんていい度胸して――」

アクア「はあああっ」クルクルクル バシッ ドゴンッ

ジェネラルB「がっ、盾が、あっ、槍が!?」

アクア「せいっ!!!!!」ドゴンッ

 ガランガランッ ズサササッ

ジェネラルB「」

アクア「ふぅ……」

ルーナ「今のはあたしが倒すところでしょ!?」

アクア「ごめんなさい、でも苦情は受け付けないって言ったでしょう?」

ルーナ「なにその、身軽な行動。危険だとか思わないわけ?」

アクア「ええ、できることだと思っていたもの」

カムイ「アクアさんはとても身軽なんですね。気配が浮いた時は何をしているのかと思いましたけど」

ルーナ「……あたしこれからカムイ様の援護に回るから。そのカムイ様、先頭お願い……」

カムイ「いいんですか? むしろ、アクアさんの援護を……」

ルーナ「い、いいから。べ、別にアクア様が接敵するたびに一発で敵を昏倒させそうで、あたしの援護とかいらなそうだなって思ったとか、そういうことじゃないから」

アクア「……ルーナ、この戦いが終わったら一回、腕相撲しましょう?」

ルーナ「な、なんでよ!?」

アクア「腕相撲は友情の証だって、リンカが教えてくれたのよ」

ルーナ「なに、その友情確認!?」

カムイ「アクアさん、友情を確かめ合うのいいことかもしれませんが、今は先に進みましょう」

ルーナ「そうそう。それに終わってからのほうがちゃんと出来ていいじゃない?」

アクア「そうね」

ルーナ(多分、やらないと思うけど……)

カムイ「では、進みましょう。その前にルーナさん、ちょっと失礼しますね」ギュッ

ルーナ「え、ちょっと、なんで手を握るのよ」

カムイ「少し機嫌を損ねてると思ったので」

ルーナ「そ、そんなこと、ないわよ……ちょっと、そんな指を絡めないでくれない」

カムイ「ルーナさんは私の援護をしてくれるんですから、少しばかり緊張をほぐさないといけません。」

ルーナ「そ、それはそうだけど。これすごく恥ずかしいし……でも、ありがとう、慰めてくれて」

カムイ「いいですよ。それじゃ行きましょう。たぶん、この先に敵の大将が待っているはずですから」

 タタタタタッ

 ニギニギッ

ルーナ「……カムイ様の手、柔らかいわね」

ルーナ(そ、それになんだか、そのドキドキしたというか……)

ルーナ「……き、気の所為ね。それよりも、早くカムイ様の後を追わないと……」

 ガシッ

ルーナ「あ、アクア様。早く行き――」

アクア「ふふっ」

ルーナ「……」ゾワッ

ルーナ(な、なに、この悪寒!? 笑顔なのに、なんで怖いの?)

アクア「ねぇ、ルーナ。やっぱり今すぐ腕相撲をしましょう? 友情を確かめるために」

ルーナ「だから、今はそんな時間じゃ、え、なに、ちょ、腕やめ、いた、いたい、ちょ、まって、なに、なんでニコニコして、こわいこわいから、いや、やめっ、ごめん、ごめんなさい。ってなんで、あたし謝ってるの!?」

「なんでぇ!!!」

 ドゴンッ

 今日はここまで

  リンカの友情の証はアクアに受け継がれたのだ。

  日付が変わってしまったけど、レオン誕生日おめでとう

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・王都ウィンダム『跳橋拠点』―

カミラ「みんな、ここを落とせばクラーケンシュタインへの道はもうすぐよ」

ベルカ「カミラ様、部隊の展開を確認、敵が攻撃態勢に入ったわ」

カミラ「ええ、わかったわ。サクラ王女、準備はいいかしら?」

サクラ「はい、大丈夫です」

ニュクス「こちらも準備出来てるわ。ベルカ、援護のタイミングはあなたに全部任せるわね」

ベルカ「わかった」

カミラ「みんな作戦は教えた通りにお願い、それじゃ攻撃を開始して」

 バサバサバサッ

ナハト「腐っても王族、その影響力はあるはずだ。単独行動を取った今を狙うぞ。お前たちだけ俺に続き、残りは各自の判断で敵を撃破せよ」

ドラゴンナイトA「はい」

ドラゴンナイトB「わかりました」

レヴナントナイトC「カミラ王女、暗夜王国を裏切った報い、受けてもらうぞ」

ナハト「全員、攻撃を開始しろ!」

 バサバサッ

カミラ「……どう?」

サクラ「後方から四騎。その中に他の人たちとは見た目が違う方がいます……」

カミラ「指揮官かしら? どちらにせよ好都合ね。サクラ王女、威嚇してもらえるかしら?」

サクラ「はい、大丈夫です」チャキッ キリリリッ

カミラ「それじゃ、攻撃して」

サクラ「はい!」パシュッ パシュンッ

 ヒュン ヒュンッ

ナハト「構うな、この状況化で早々当たるものではない。逃げるのに必死になっているのかもしれん。追い込むぞ」

ナハト(しかし、逃げ続けて、相手をおちょくるばかりとは、卑怯な目狐王女め)

ドラゴンナイトA「どうします、このまま追いかけっこばかり続けていても」

ドラゴンナイトB「まったく来ない援軍など期待でき無い状況ですので、早期決着が望ましいかと」

レヴナントナイトC「ちっ、王城の連中は何をやってんだ」

ナハト「使えん援軍に期待する必要はない。我々の手柄を与える必要もないのだからな。この先の空域で一気に距離を詰める、挟撃の準備をしろ!」

ABC「はい!」

 バサバサバサ

サクラ「敵が二人一組に、片方が上がりました」

カミラ「この先で捕まえる気ね。さっきと同じ無茶をしちゃおうかしら?」

サクラ「あの、無茶は……」

カミラ「わかっているわ。それにサクラ王女が乗っているのに、そんなことをするわけないもの」

サクラ「カミラさん……」

カミラ「心配しないで、私たちのラストアタックの準備は整ってる。次の空域で指示を出すから、いつでも射れるように準備しておくのよ」

サクラ「はい」

 バサバサバサッ

ナハト「後方から指揮をするつもりか。よし、周りに護衛のいない、この合間に落とすぞ」

ドラゴンナイトA「はっ」

 バサバサバサッ

ベルカ「通過したみたい」

ニュクス「それじゃ行きましょう。援護は任せておきなさい」

ベルカ「ええ、でお、こんな簡単な作戦に気付かないなんて」

ニュクス「必死な時ほど気付かないものよ。特に人間っていうのはね」

ベルカ「そんなもの?」

ニュクス「ええ、そんなものよ。そして、そんなところを突いてどうにか勝てるのが私達の側なのよ」

ベルカ「行くわよ」

 バサバサ

ナハト「…カミラ王女、見つけたぞ」

カミラ「あら、まだ私を王女と呼んでくれるのね?」

ナハト「ああ、暗夜を裏切った最低の王族としてな……。そして、その背中にいるのは白夜の捕虜のようだ。ここまで生かしてもらった恩を仇で返すか?」

サクラ「暗夜王国に生かしてもらってきたわけじゃありません。私をここまで助けてくれたのはレオンさんです!」

ナハト「大きな口を叩く、そのような口が叩けないようにしてやろう。暗夜王国に立て突いた愚かな王女と一緒にな!」

カミラ「あらあら、物騒ね。でも、それが私達になるかどうかは分からないわよ?」

ナハト「なに?」

カミラ「ふふっ、二人一組で上を抑えたのは褒めてあげるけど、もっと周りを見ないと、ね?」

ドラゴンナイトA「貴様、何を言って――」

ナハト「っ! 反転しろっ!」

ドラゴンナイトA「えっ」

ベルカ「遅いわ」チャキッ ブシャアッ

ドラゴンナイトA「ぎぎゃああああっ」ドサッ ドサンッ

ベルカ「ニュクス」

ニュクス「わかってるわよ。はあっ!」ボッ シュオン

 ボワッ

ナハト「ふんっ、甘いぞ。餓鬼が!」サッ

ドラゴンナイトB「ナハト隊長!」

レヴナントナイトC「ちっ、どこかに隠れてたのか。援護に向かうぞ!」

サクラ「上空から来ます!」

カミラ「それじゃ、射抜いてあげなさい」

サクラ「はい。その、ごめんなさい!」パシュッ

ドラゴンナイトB「がっ、ぐううっ。白夜の豚があああっ!」

レヴナントナイトC「おい、そのまま行くな! 態勢を立て直してからにしろ」

ドラゴンナイトB「うるせえ、そうか、そこの白夜の姫が王族たちをたぶらかしたに違いない! レオン王子もその小さな体で従わせたのだろう、この――」

サクラ「レオンさんは、そんな人じゃありません!!!」パシュッ

ドラゴンナイトB「かふっ」ドサッ

サクラ「はぁはぁ、レオンさんは私たちの命の恩人なんです。そんなレオンさんのことを酷くいうなんて許しません!」

カミラ「そうね、言って良いことと悪いことがあるとするなら、今のは言ってはいけないことよ。女の子は繊細でデリケートなんだから」

レヴナントナイトC「ちっ、このままでは」

ナハト「だが、貴様らを倒せば、少しは……」

カミラ「……いいえ。私たちを倒したとしても変わりはしないわ」

ナハト「なに?」

カミラ「ふふっ、あなたが隊長で間違いなさそうね?」

ナハト「それがどうした?」

カミラ「ふふっ、あなたが来てくれたおかげで、向こうは個別指示で動いてるのがわかったから、もう私たちの勝ちは決まってるのよ」

ナハト「何を言っている……」

カミラ「見てればわかるわ。ほら……」

ナハト「?」

 パシュパシュパシュ

 ヒューーーーーンッ

 ドゴンッ ドゴドゴンッ

ナハト「投石攻撃、くっ」

カミラ「ふふっ、クーリア」

クーリア『はい、カミラ殿。いかがでしたか?』

カミラ「ええ、跳ね橋拠点周辺に結構なかず落ちたみたい、合図と攻撃は済んだからその場を離れて、逆上した跳ね橋周辺のが行くかもしれないから」

クーリア『はい。これより正門の者たちと合流に向かいます』

カミラ「ええ。ふふっ、この状況下で隊長不在、跳ね橋拠点は持つのかしらねぇ?」

ナハト「ちっ……」

レヴナントナイトC「ナハト隊長、ここは私が――」

ベルカ「それは無理よ」バッ チャキンッ

ニュクス「喰らいなさい」ボワッ

レヴナントナイトC「くっ」

ナハト「……前に出たのが仇となったか……」

カミラ「私が皆に与えた指令は拠点の占拠だけ、もう多くの兵が跳ね橋を囲って攻撃を仕掛けてるでしょうね?」

ナハト「それがどうした。我々の暗夜への誓いはお前たちなどに負けはしない。たとえ死のうともな」

カミラ「それは誓いじゃないわ。見栄よ」

レヴナントナイトC「言ってくれるな目狐め!」

ナハト「ふっ、貴様に見栄に見えるならば、やはりカミラ王女は暗夜の王族ではないということだろう。我々にとっての祖国は今ある暗夜王国、貴様らが得ようとしているものではない」

カミラ「そう、なら掛って来なさい。元の暗夜王国第二王女カミラが、あなたを送ってあげるわ」チャキッ

ナハト「……はあああっ!」

第二ではなく第一でした。もうしわけない

レヴナントナイトC「一人だけでも道連れにしてやる!!!」ブンッ

ベルカ「っ」キィン

ニュクス「はあっ!!」

レヴナントナイトC「ぐっ、まだ落ちんぞ!」

ニュクス「もう戦っても無意味よ、降伏しなさい」

レヴナントナイトC「無意味ではない! 我々は暗夜王国のために戦っているのだ。暗夜王国がある限り! この戦いは終わりはしない!!!」

ベルカ「そう、その志は立派だと思う。でも、ならもう容赦はできない」ブンッ

 ザシュッ ブシャー

レヴナントナイトC「がああっ、ぐぅう、うおおおっ」パラパラパラ シュオオンッ

ニュクス「ええ、残念だけど。あなたの戦いはここで終わりよ」シュオンッ ドゴンッ

 ビチャンッ ゴロゴロゴロ

ベルカ「……あとは」

ニュクス「……カミラの相手だけね」

ナハト「暗夜王国に仕えてきた身ならば、わかるはずだ。この愚かな行為が!」

カミラ「残念だけど、私は今まで暗夜王国のためにことを行ってきたわけじゃないの。だから、あなたの言葉には賛同できないし、それを否定するつもりもないわ」

ナハト「なんだと……」

カミラ「ごめんなさい。あなたみたいに愛国心がある人には信じられないことかもしれないけど。私は暗夜王国に対して愛国心なんて持っていないわ。私が大切にしているのは家族だけだもの」

ナハト「ならば、なぜ父であり国王でもあるガロン王様の願うものと違う道を歩もうとする!?」

カミラ「……もう、お父様はこの世にいないからよ」

ナハト「何を言っている」

カミラ「理解する必要はないわ。あなたはあなたの信じた暗夜王国を思って逝きなさい。それが一番幸せなこと、私はその幸せを否定してこの先を目指すつもりよ。あなたの役目は終わった。もう、ここを守る必要はないわ」

ナハト「黙れ! 勝手に言わせておけば!!!! その身は王族でありながら国を思わず、家族である王を裏切る行為まで、そんなアバズレに負けるわけにはいかん、いかんのだ!!!」

 バッ

カミラ「サクラ王女」

サクラ「はい。てやっ」パシュッ

 バシュ

ナハト「ぐあっ、ちっ…はっ」

 バサバサバサ

カミラ「本当にごめんなさい」

 ザシュンッ ブシャアアッ


 ドサッ 
  ドサリッ

サクラ「カミラさん……」

カミラ「……さあ、跳ね橋拠点に向かって、跳ね橋を下ろすわよ」

ベルカ「ええ」

ニュクス「わかったわ」

 バサバササッ

 残りは夜くらいに

◆◆◆◆◆◆
―王都ウィンダム『正面建造物』―

 キィン ガキィン

ラズワルド「はぁはぁ、マークス様。ここは僕たちに任せて、先に進んでください」

リンカ「ラズワルドの言う通りだ。ここはあたし達に任せて、敵の親玉を倒しに行け」

マークス「しかし……」

ラズワルド「これ以上、時間を掛けるわけにもいきません。外で戦ってる双方の犠牲を出来る限り抑えないと」

リンカ「そうだ。だからマークス、早く」

マークス「わかった、すぐに終わらせる、何とか持ちこたえろ」

ラズワルド「よし、リンカ敵を押し返すよ」

リンカ「ああ、行くぞ!」



 キィン ザシュッ 

ルーナ「はぁはぁ、カムイ様の援護に徹してたけど、このまま持ちこたえてたらマークス様たちと合流できないかもしれないわ」

アクア「そうね。カムイ、ここは私達が引き受けるわ。だから、敵の指揮官の元に向かって」

カムイ「いいんですか?」

ルーナ「いいって言ってるでしょ。それとも何、あたし達がいなくて不安だったりするの?」

カムイ「……いいえ、ではこの場をよろしくお願いします」

アクア「ええ、任せて頂戴」

~~~~~~~~~~~~~~~~

 ガチャン ゴゴゴゴゴゴッ ガガガガガガガガッ

ブリッツ「……これは敗北の音だな」

ボウナイトA「これって、向こうの跳ね橋が下りてる音ですよね」

ボウナイトB「思ったよりも早く向こうの拠点は取られたか。王都側が落ちたとなったら、流石にここを守る意味無しだな」

ブリッツ「まったくだ。最後の守りは俺たち三人、味方も分断されてるからこっちには来れない、本当に戦う意味もねえな。これじゃ」

 パカラ パカラ
 タタタタタッ

ブリッツ「どうやら、俺たちの元にも訪れちまったようだなぁ」

ボウナイトA「ええ、こっちから仕掛けたら負けですよ、この戦い」

ボウナイトB「俺の視かけじゃ、仕掛けられても負けだな」

ブリッツ「裏表同じ柄のコインで勝負を仕掛けられてるようなもんだな」

ボウナイトA「相手と同じ内容に掛けるくらいしか道がないですね」

ブリッツ「まったくだ」

 パカラッ
 タタタタッ

マークス「……ここのようだな」

カムイ「そのようですね、眼の前に気配が三人」

ブリッツ「待ちくたびれたぞ。マークス王子にカムイ王女」

マークス「ブリッツ、今すぐすべての戦闘行動を中止し投降せよ。この正門もわれわれに制圧されつつある。この戦いにもう意味はない」

ブリッツ「そうか、だが断る」

ボウナイトA「隊長に同じく」

ボウナイトB「俺も同じく」

マークス「お前たちの敗北は目に見えている。これ以上戦う必要はない」

ブリッツ「ははっ、お前達に命を救ってもらおうっていう歳でもないんでな」

ボウナイトA「俺もブリッツ隊長以外の命令に従うつもりはないですね」

ボウナイトB「そういうことなんで、説得は無駄だよ、マークス王子様よ」

カムイ「あなた達は、命が惜しくないのですか?」

ブリッツ「カムイ王女、あんたはまだまだ若いから時間も湧かないだろうが、俺は結構長く生きてきたんでね。暗夜王国に長い間、飯を食わせてもらってきた」

ブリッツ「そして、最後にもらった仕事がこの正門の死守、しかも隊長にまでなっちまった。たとえ負けるとわかっていても、今さら仕事を放棄なんてできねえんだよ」

カムイ「そんな終わりを目指してどうするんですか?」

ブリッツ「へっ、確かにな。だが、そういうあんたは何を目指して戦ってんだ?」

カムイ「え?」

ブリッツ「……いや、いいか。すまんすまん、若いのを見るとこんなことを聞いてみたくなっちまってなぁ、俺も相当歳だな」

ボウナイトA「隊長、まだ未婚じゃないですか。はぁ、流石にその歳じゃ買えるのも少なそうですけどね」

ボウナイトB「候補が一人いましたけど、今回の戦いで死んじまったしな」

ブリッツ「え、そんなのいたのか? まぁいいか。それでマークス王子よ、我々は三人でも正門最終守備隊ってわけだ……」

マークス「たった三人でここを守れるわけがない、諦めて――」

ブリッツ「そうやって誤魔化すな。マークス王子、我々を斬ることに何を躊躇する? ここまでのことをしでかして暗夜をひっくり返したい何かを秘めているんだろう? その道に少しでも奇麗な結果を入れようなんて、そんな甘っちょろいことを考えてるわけじゃないだろうな?」

マークス「……」

ブリッツ「いくら奇麗な宝石揃えても、あんたがいるのは血の池だ。血の中に一度沈めることになる輝きなんて、一度拾い上げても奇異な目に見られるに決まってんだからよ。特に俺みたいな頑固野郎はな……」

マークス「……」

ブリッツ「どうなんだ?」

マークス「お前の言う通りだ……」チャキッ

マークス「お前たちの意志、確かに聞き入れた。よもや、話すことはない」

ブリッツ「……くくっ。まったくいい目をするもんだ。それを砕いてやりたいね。最後の勝負を仕掛けさせてもらう。AにB、最後の準備だ」

ボウナイトA「わかりました」

ボウナイトB「はいよー」

マークス「カムイ、私はあのブリッツと一騎打ちに挑む。二人の敵を任せられるか?」

カムイ「はい、わかりました。手出しは無用ですね?」

マークス「ああ」

ブリッツ「それじゃ、行かせてもらうぞ!!!」ヒヒーンッ

マークス「はぁっ!!!」ヒヒーンッ

カムイ「行きます!」タタタタッ

ボウナイトA「俺達はこちらの相手をします。最後くらい女性と踊りたいですからね」パシュッ

 キィン

ボウナイトB「まったく、踊るなら奇麗なダンスホールとかにしてくれよなぁ」

ボウナイトA「あんたはどちらかといえば、ベッドの上がいいんでしょう?」

ボウナイトB「確かにその通りだよっと!!!」

カムイ「はあっ!!!」ブンッ

 キィン ギギ ギギッギッ

ボウナイトA「今です!」

ボウナイトB「よっし、くらえ!」パシュッ

カムイ「当たりませんよ」

ボウナイトA「動きの激しい王様ですね」

ボウナイトB「目が見えてないとか、ほんと役に立たねえ情報だな」

ボウナイトA「では二人で攻め落としましょう」

ボウナイトB「おう、わかったぜ」チャキッ

カムイ(剣に切り替えましたか、ですが近接距離戦なら負けるつもりはありませんよ)

マークス「はあっ!!!」ブンッ

 ガキィン

ブリッツ「ちっ、くそ重い剣だ。こんな剣を受けたのは、ここに務めて初めてかもしれないな。しかし、なんだか少しだけ荒さが目立つ気もするが……」

マークス「荒さか、確かにあるのだろう、今の私の剣にはな」

ブリッツ「ほぉ、でもその口ぶりじゃ、その荒さが何かをわかってるみたいだな。いいねぇ、若いってのは、すぐに考えを変えられてよぉ」

マークス「考えは変わっていない。変えようとしているのは歩むべき道だ。この私が見つけるべき、誰かのものではない、私だけのだ」

ブリッツ「歩むべき道ねぇ。ははっ、若いのが言うとどうしてこうも希望に溢れた言葉になるんだか。いや、違うか。マークス王子はその希望を見据えているってことかもしれねえな」

マークス「見据えているつもりだ。そうでなければ、お前をここで斬ることを私は選ばない」

ブリッツ「……ははっ、自信満々だねぇ。それじゃ、その自身がどれほどのものか見せてもらおうか!」

マークス「!」

 サッ

 ドゴンッ

マークス「三十余年もの間、この正門を守ってきた実力は伊達ではないということか」

ブリッツ「まあな。この仕事を締めくくるのが王子との一騎打ちっていうのは、何とも華やかでいいもんだよ」

マークス「そう言ってもらえて光栄だ」

ブリッツ「へへっ、王子にそう言ってもらえるんなら、タダ飯喰らってたのも悪くなかったな」

 ガキィン

 ズサササササッ
 ズサササササッ

マークス(次で――)

ブリッツ(終わりだな――)

 ザシュンッ

ボウナイトA「ぐっ、終わりですか……」ドサリッ

カムイ「……次です」

 タタタタタッ

ボウナイトB「あー、剣に変えたの失敗だなこりゃ、だけどやらねえとな」

 パカラパカラ
  パカラパカラ

カムイ「……ん?」

カムイ(馬が接近してきている。でも、馬の動きが不規則で、上に気配がない……。ということは)

カムイ「こちらですね!」ダッ

ボウナイトB「げっ、馬だけ送って肉薄しようって思ったのに、気付いてんのか!」

カムイ「降伏しますか? 降伏するなら今のうちですよ」

ボウナイトB「しつこいんだよ。それに、お前自身はそんなこと微塵に思ってないだろうが」

カムイ「え?」

ボウナイトB「まったく、その場限りの発言って感じで伝わってこねえんだよ。マークス王子の発言は色々と思うことはあったがカムイ王女、てめえはなんだか無機質だ。心が動かねえよ」

カムイ「なにを……」

ボウナイトB「まぁ、言ってる俺自信もよくわかってねえけどなっ!」ダッ

 ブンッ ガキィン

カムイ「っ!」

ボウナイトB「よし、これならいけるかもしれねえ。押しきれええええ!!!!」ググググッ

カムイ「ぐっ、うあああああっ!!!!」バシッ ドガンッ

ボウナイトB「がっ」ドサッ

カムイ「はああああっ!!!!」

 ドスリッ

ボウナイトB[ぐぁああああ!!!! がはっ、うぐっ、がっ……」

カムイ「はぁはぁ……」

ボウナイトB「へへっ、負けちまった……た」

ボウナイトB「」

カムイ「はぁ……はぁ……」

マークス「………」

ブリッツ「……」

 ザッ

マークス「……!」パシンッ パカラパカラ

ブリッツ「望むところだ!!!!」パシン パカラパカラ

マークス「……」

ブリッツ「……」

マークス「そこだ!!!!」

ブリッツ「くらええッ!!!!」

 ズシャン……

マークス「……」

ブリッツ「……」

 ポタ
 ポタタッ
  ポタタタタタッ

ブリッツ「まあ、こうなる……な。ごふっ……」ガチャンッ カランカラン ドサリッ

マークス「ブリッツ、お前が守ってきた正門はこの先も暗夜の民を守っていくものだ。私はそのお前が守ってきた者を引き継いでいく、お前の命を私がもらい受けた以上、それが私の背負うべき道になる。だから、休んでくれ……」

ブリッツ「」

マークス「……カムイそちらはどうだ?」

カムイ「マークス兄さん。こちらも片付きましたよ」

マークス「そうか、カムイは正門の橋を下ろす作業に入ってくれ。私はここの制圧が完了したことを皆に知らせる」

カムイ「わかりました」

カムイ「多分これですね……。はっ、はあっ」ガチャンッ

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ
  ガタンガタンッ
   ガチャ ガチャガチャ ドゴンッ!!!!

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

部族兵「?」

暗夜兵「な、なんだ?」

暗夜兵「! み、見ろ。正門の橋が!!」

部族兵「跳ね橋が下りて行く……ということは!」

マークス「皆の者、よく聞くがいい!正門はわれわれの手に落ちた。戦いを続ける者たちは武器を納めよ。ここでの戦いはわれわれが勝利した」

暗夜兵「そ、そんな。ブリッツ隊長……」

暗夜兵「ま、負けたというのか……」

マークス「よもや、これ以上ここでの戦いは望まなぬ。暗夜の将兵は直ちに武装を解除し戦闘を中止せよ。繰り返す――」

~~~~~~~~~~~~~~~~~

カムイ(マークス兄さんの言葉にはあって、私にはないもの……)

カムイ(あの時、あの方の言葉は、ただ私の動揺を誘うための言葉だったのでしょうか……)

カムイ(でも、現に私は少し動揺していた……その場限りという言葉に、流されていめているような意味のこもったその言葉に……)

カムイ「いいえ、そんなことはありません。まだ私は考えて行動してるはず、流されないようにしているはず……」

カムイ(なのに、どうしてこんなにも、不安があふれてくるのですか……)

 シュオオオンッ

カムイ(……不安が消えていく……。竜石がまた?)

 ガサゴソッ スッ

カムイ「今、あなたはどんな色をしているんですか……。私が見つけるべき光の色がもしもこの色なのだとしたら……」

カムイ(それは一体、どんな色の光なんですか……)

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・王都ウィンダム・王城クラーケンシュタイン『王の間』―

ゲパルトP「正門が完全に落ちたということですか?」

暗夜兵「はい、現在多くの反乱勢力が王都に入り込み始めています。現在、多くの住人の混乱を抑えるために奔走している模様です」

ゲパルトS「動くの早いね、どうする兄さん?」

ゲパルトP「いち早く市民と接触し、交渉を行うつもりですか。くっ、本隊の不在を狙われたとしてもこの体たらく、ガロン王様やマクベス様にどう申し開きをすれば……」

 ガチャンッ

???「どうやら、王都に反乱勢力が流れ込んできたみたいだなあ?」

ゲパルトS「あっ、ガンズ様。どうするのこの状態」

ゲパルトP「すぐにでも部隊を編成して正門の奪還と、反乱勢力の鎮圧を始めるべきです。城を包囲される前にどうにかしておくべきです」

ガンズ「何言ってんだ。わざわざこっちから向かう必要はねえ。ここで待ってるだけでも別に構わねえよ」

ゲパルトP「ここで待っていても包囲殲滅されかねません。ここは――」

ガンズ「ああん。この王都防衛の指揮官は俺だ、口応えするんじゃねえ。前戦に行く前のウォーミングアップにはちょうどい相手だ」

ゲパルトP「ウォーミングアップとは思えません、こんな予期せぬ事態」

ガンズ「予想できねえか、実はそうでもねえ。ガロン王様は、この反乱を予期してやがったんだからな」

ゲパルトS「へぇ、すごい。さすがはガロン王様」

ゲパルトP「ガンズ様、今の言い方ではあなたも知っていたということですね。では、なぜ多くの軍勢を陽動と思われる反乱の討伐に充てたのですか? それに正門の危機に関して増援を向かわせなかったのは……」

ガンズ「そんなこともわからねえか? 簡単だよ、俺たちの手柄を多くするためだ」

ゲパルトP「手柄ですか?」

ガンズ「前にも言っただろ? 死んでる奴らは全員的だったってことにするってよ。がっはっはっは」

ゲパルトS「さっすがガンズ様。でも僕としてはいっぱいいっぱい殺したいところなんだけど」

ガンズ「ああ、確かに殺せねえんじゃつまらねえさ。だが安心しろ、この先相手にするのはほとんど死にかけてる奴らだけだ。思う存分殺しまわれる。あいつら反乱勢力は、ウィンダムの民も守らないといけないからなぁ」

ゲパルトS「わかった、王都の民も反乱に関わってたってことで、皆殺しに行くんだね。さっすがはガンズ様!」

ガンズ「へっ、その心意気はいいもんだ。だが、殺すなら楽な方がいい、そうだろ?」

ゲパルトP「……ですが、そう楽に殺せるものでは――」

ガンズ「だから、ガロン王様が授けてくれた、置き土産を使わせてもらう」

ゲパルトP「置き土産、ですか?」

ガンズ「ガロン王様はこの魔道具の使用権を俺に委ねた。つまり、俺が使うべきタイミングで使って構わねえってことだ。どんな犠牲も顧みないで構わねえ、暗夜王国が形的に守られれば、問題ねえ。そう言われてるからなぁ」

ゲパルトP「一体何を使用するつもりなんですか?」

ガンズ「使ってみてのお楽しみだ。その代り、誰ひとりとしてこの王城から出るなよ。死にたくなかったらな」

ゲパルトP「それは一体……」

ガンズ「よし、準備に入るぞ。ゲパルト弟は俺と一緒に起動準備を手伝え。兄のほうは防御拠点を狭めて強硬にしておけ」

ゲパルトP「わ、わかりました」

ゲパルトS「それじゃ、兄さん。少しガンズ様の手伝いしてくる」

 ザッ ザッ ザッ

ガンズ「へへっ、ガロン王様は最高だな?」

ゲパルトS「はい。いくら殺しても怒らないし、むしろ殺せば殺すほど報酬をくれるからね」

ガンズ「今回、調子が良ければ三桁は殺せるだろうなぁ。どんな悲鳴を上げていくのか楽しみだぜ」

ガンズ(ガロン王様が何を考えてるのかなんて俺は知らねえ。俺はただ、殺せるならそれで構わねえんだからよぉ。それにガロン王様にとってこの王国の民も、前線で戦う兵士とまるで変わらねえと来た。なにせ――」

(王都防衛のために、民が死んでも一向に構わない、そう俺に言ってくれたんだからなぁ?)

 第十八章 終わり

カムイの支援現在状況●

―対の存在―
アクアA
(カムイからの信頼を得て、その心の内を知りたい)

―城塞の人々―
ギュンターB++
(恋愛小説の朗読を頼まれています) 
フェリシアB+
(カムイに従者として頼りにされたい)
ジョーカーC+
(イベントは起きていません)
フローラC+→B
(すこしは他人に甘えてもいいんじゃないかと言われています)
リリス(消滅)
(主君を守り通した)

―暗夜第一王子マークス―
ラズワルドB
(あなたを守るといわれています)
ピエリB
(弱点を見つけると息巻いています)
マークスC+→B
(イベントは起きていません)

―暗夜第二王子レオン―
オーディンB+
(二人で何かの名前を考えることになってます)
ゼロB+
(互いに興味を持てるように頑張っています)
レオンB
(カムイに甘えてほしいと言われて、いろいろと考えています)

―暗夜第一王女カミラ―
ルーナA
(目を失ったことに関する話をしています)
カミラA
(白夜の大きい人に関して話が上がっています)
ベルカC+
(イベントは起きてません)

―暗夜第二王女エリーゼ―
エリーゼA
(昔、初めて出会った時のことについて話しています)
ハロルドB
(ハロルドと一緒にいるのは楽しい)
エルフィC+→B
(イベントは起きていません)

―白夜第二王女サクラ―
サクラB++
(カムイと二人きりの時間が欲しいと考えています)
ツバキB
(イベントは起きていません)
カザハナC+
(イベントは起きていません)

―カムイに力を貸すもの―
シャーロッテB++
(返り討ちにあっています)
スズカゼB
(おさわりの虜になったようです)
サイラスB→B+
(もっと頼って欲しいと思っています)
ニュクスB
(イベントは起きていません)
モズメC+
(イベントは起きていません)
リンカC+→B
(イベントは起きていません)
ブノワC+
(イベントは起きていません)
アシュラC+
(イベントは起きていません)
フランネルC+
(イベントは起きていません)

今日はここまでで

 次回、ガンズ魔道具に染まるっ。

 一周年記念リリスのプレイアブル化まだですか?
 いっぱいパルレして、ピエリとコンビ組ませたいの!

 次の展開を安価で決めたいと思います。参加していただけると幸いです。

◇◆◇◆◇
 カムイが話し掛ける人物
(今回の城門戦闘参加メンバーで支援A以下のキャラクターのみ)

・エルフィ
・マークス
・リンカ
・ラズワルド
・フローラ

 >>169>>170

◇◆◇◆◇
 支援イベント発生の組み合わせ
(今回の城門戦闘参加メンバーのみ)
 
 支援発生確定組
 『サクラ×カミラ』
 『ニュクス×ベルカ』

・エルフィ
・アクア
・マークス
・リンカ
・ラズワルド
・エリーゼ
・ルーナ
・フローラ

 一組目>>171>>172
 二組目>>173>>174

 こんな感じでよろしくお願いいたします。

ラズ

乙、久しぶりの安価だな
マークス

ルーナ

ガンズが魔法を使えるわけないだろ!
リリスは正直…
ラズワルド、ダメならルーナ

カミラ、ダメならフローラ

カムイ会話と他のペア会話の重複おkだったっけ?
ダメなら>>172、エリーゼで

連投だけど>>173とはエルフィで

◇◆◇◆◇
―王都ウィンダム―

カミラ「……」

サクラ「…じーっ…」

カミラ「?」

サクラ「じーっ」

カミラ「どうかしたの、サクラ王女?」

サクラ「いえ、な、なんでも無いです」

カミラ「ふふっ、そう言いながらも私を熱く見つめているじゃない。そんなに見つめられたら穴が空いちゃうわ」

サクラ「ご、ごめんなさい」

カミラ「見つめていたことを認めちゃうのね」

サクラ「あっ、えっとその……」

カミラ「ふふっ、いいのよ、それでどうしたのかしら?」

サクラ「……あの、は、恥ずかしくないのかなって思って……」

カミラ「恥ずかしい?」

サクラ「そ、その、カミラさんいつも肌蹴た服を着てるじゃないですか。その、男の人に変な視線をもらってるんじゃないかと思って……」

カミラ「もしかして、私のことを心配してくれてるの?」

サクラ「カミラさんは私より大人です。でも女性なんですから」

カミラ「ふふっ、ありがとう、サクラ王女。でも、私のこの格好に回りは馴れているわ。だから、いきなり見た眼を変えたら逆に視線をいっぱい集めちゃうかもしれないわ」

サクラ「そ、そうでしょうか?」

カミラ「ええ、そういうものよ。ところで、サクラ王女」

サクラ「はい、なんですか? カミラさん」

カミラ「サクラ王女から見て、どこが一番肌蹴ていたのかしら?」

サクラ「……えっ」

カミラ「ふふっ、男性がどこを見てるかは大体わかるけど、サクラ王女がどこがを一番見てたのか、すごく興味があるわ」

サクラ「そ、それは、い、いえませーーーーん!!!」タタタタタッ

カミラ「あらあら、うふふっ。顔真っ赤にして走っちゃって、とっても可愛いわぁ」

【カミラとサクラの支援がCになりました】

◇◆◇◆◇
―暗夜王国・郊外の森林―

ニュクス「………隠れてないで出てきたらどう?」

ベルカ「……」

ニュクス「ベルカ……。そう、この頃私を監視していたのはあなただったのね」

ベルカ「…気づいていたの」

ニュクス「ええ、昔向けられたことのある気配を感じたから、でもそれが仲間のだと思うのに時間が掛ったわね。長生きしてると、そういう視線には敏感になってしまってるのに、心は柔らかくなってしまったみたい」

ベルカ「……」

ニュクス「誰かに依頼されたんでしょう。私を殺すように……」

ベルカ「……」

ニュクス「たしかに、今から殺す相手に答える義理もないわね。さっさとすませなさい」

ベルカ「……訳を聞かないの?」

ニュクス「聞く必要もないわ。聞いたところで、私の罪が許されるわけじゃないもの。それより仕事はきっちりこなすのが、殺し屋として務め、そうでしょう?」

ベルカ「……」

ニュクス「……」

ベルカ「あなたは何者なの?」

ニュクス「……さぁ、それは私が知りたいくらいね。用がないなら私は行くわ。もしも、また殺すと決めたらこういう静かな場所でお願いね。死ぬ時くらいは静かな場所で死にたいから」

 ガサッ ガササッ

ベルカ「……」

【ニュクスとベルカの支援がCになりました】

◇◆◇◆◇
―王都ウィンダム―

ルーナ「ラズワルド!」

ラズワルド「うわ、ルーナどうしたんだい? 今日は無駄になんか元気みたいだけど」

ルーナ「いや、その、この前まで色々と心配掛けたから……。そのご要望に応えて元気にあいさつしただけよ。べ、別に無理して振舞ってるってわけじゃないからね」

ラズワルド「そっか……。ルーナは強いよね。僕なんかに比べてさ」

ルーナ「な、何よ。今日は元気ないわね」

ラズワルド「あー。あはははっ、ちょっと夢を見てさ……元の世界のことをね」

ルーナ「……」

ラズワルド「いくら戦っても戻ることのない世界なのにさ。どこかでそれが取り戻せる日が来るんじゃないかって。そんなことあるわけないのにさ」

ルーナ「……」

ラズワルド「あっ、ごめんごめん。なんだかしんみりな話しになっちゃった。えっと、そうだ。このあとお茶でもいこうよ。おいしい場所いくつも知ってるからさ」

ルーナ「ふふっ」

ラズワルド「な、なんで笑うんだよ」

ルーナ「素直に言いなさいよ、ちょっと不安になってるって。あたしとあんたの仲なのに水臭いじゃない。あんた言ってたでしょ、力になれることはできる限りするからって。ならあたしがそれをあんたにしても問題ないでしょ」

ラズワルド「ルーナ」

ルーナ「あんたに支えてもらってばっかりな状態なんてまっぴらごめんよ。同じくらい支えて支えて支えまくって、あたしに頭が上がらないようにしてあげるんだから」

ラズワルド「そういうところは張り合うところじゃないんと思うんだけど。でも、なんだかそういう方がルーナらしいかな。なんて言うか、ストレートに優しくしてくると、何か裏があるんじゃないかって思えてくるし」

ルーナ「言ってくれるじゃないの。でも、今日くらいは一緒にいてあげるわ。その、前のお返しにね///」

ラズワルド「ルーナ……ありがとう」

ルーナ「な、真面目な顔していうんじゃないわよ……。その、ありがとう」

ラズワルド「それじゃ、いっしょにお茶に行こっか!」

ルーナ「はぁ、結局変わらないわね、あんたは……。ちゃんとおごりなさいよ」

ラズワルド「もちろんだよ、それじゃ行こっか?」

ルーナ「はいはい」

【ラズワルドとルーナの支援がAになりました】

◇◆◇◆◇
―北の城塞―

エリーゼ「…フローラ、ごきげんうるわしゅうですわ……」

フローラ「え、……エリーゼ様、どうかしましたか?」

エリーゼ「な、なんでもないですわ……」

フローラ「? なんだかいつもより言葉が固い気がしますけど、」

エリーゼ「そ、そんなことないよー。はっ、そ、そんなことないですわ」

フローラ「あの、エリーゼ様、本当に大丈夫ですか?」

エリーゼ「……フローラ……。あたし、ひぐっ」

フローラ「!? ど、どうされたんですか。も、もしや私が何か気に触ることでも……」

エリーゼ「ち、違う。違うから、その、これはあたしが……」

フローラ「とりあえず、落ち着きましょう……」

フローラ「すぐに紅茶を淹れさせていただきますね」

エリーゼ「うん……」

~~~~~~~~~~~~~~~~~

フローラ「それでいかがされましたか?」

エリーゼ「あのね、この前『エリーゼ王女は言動が幼すぎる、まるで子供のようだ』って、大臣たちが話してるのを聞いちゃって……」

フローラ「それであのような挙動不審な言動を……」

エリーゼ「ねぇねぇ、フローラから見てあたしって子供っぽい?」

フローラ「……そうですね。とても元気で可愛らしいと思います」

エリーゼ「そ、それじゃ駄目なの。子供っぽいままでいると、体も子供のままで育っちゃうって、この前読んだ本に書いてあったの!」

フローラ「それは子供に戒めを教えるための内容だからかもしれません」

エリーゼ「え、じゃあ、そんな本を読んでるあたしは、子供ってことなのかな……」

フローラ「いいえ、そんなことはありませんよ。本を読んでその通りに実践するエリーゼ様はとてもえらいと思いますから」

エリーゼ「……ねぇ、フローラ」

フローラ「はい、なんでしょうか?」

エリーゼ「あたし、大人になりたい!」

フローラ「え?」

エリーゼ「だから手伝ってほしいの!」

フローラ「……あの、誰かに手伝ってもらったからと言って大人になれるわけでは――」

エリーゼ「お願い、フローラ! フローラは大人だから、黙っててくれるよね? ね?」

フローラ「……わかりました。エリーゼ様のお願いです。私で力になれるかどうかは分かりませんけど、力添えさせていただきますね」

エリーゼ「わーい、ありがとー。じゃなかった、ありがとうですわ」

フローラ「……大丈夫でしょうか」

【エリーゼとフローラの支援がCになりました】

 仲間間支援の状況

●異性間支援の状況
【支援Aの組み合わせ】
・レオン×カザハナ
・ジョーカー×フローラ
・レオン×サクラ
・ラズワルド×ルーナ←NEW

【支援Bの組み合わせ】
・ベルカ×スズカゼ
・ラズワルド×エリーゼ
・ブノワ×フローラ
・エリーゼ×ハロルド
・オーディン×ニュクス
・ベルカ×スズカゼ
・オーディン×アクア

【支援Cの組み合わせ】
・サイラス×エルフィ
・モズメ×ハロルド
・ギュンター×ニュクス
・レオン×エルフィ
・アクア×ゼロ
・ルーナ×ハロルド

【消滅した組み合わせ】
・ラズワルド×リリス
・ゼロ×リリス

●同性間支援の状況
【支援Aの組み合わせ】
・リンカ×アクア
・ピエリ×カミラ
・フェリシア×ルーナ
・フローラ×エルフィ
・レオン×ツバキ

【支援Bの組み合わせ】
・ギュンター×サイラス
・ベルカ×エリーゼ
・フェリシア×エルフィ
・シャーロッテ×モズメ

【支援Cの組み合わせ】
・エルフィ×モズメ
・シャーロッテ×カミラ
・ピエリ×リンカ
・ピエリ×ルーナ
・ピエリ×フェリシア
・ジョーカー×ハロルド
・アクア×ルーナ
・ベルカ×ニュクス←NEW
・フローラ×エリーゼ←NEW
・カミラ×サクラ←NEW

【消滅した組み合わせ】
・ピエリ×リリス

今日はここまで
 
 フローラ×エルフィは支援会話Aになっていたので、フローラ×エリーゼとさせていただきました。

 戦闘終了後のカムイの会話する相手の安価と、キャラクター同士の安価は別物なので被っても問題はありません。
 今度からは、戦闘後のキャラクター選び安価は支援Aに達している組み合わせを張り付けておこうと思います。
 今回は混乱させてしまい申し訳ありませんでした。

~第十九章~

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・王都ウィンダム『監視塔』―

 ヒュオオオオオオッ

ラズワルド「……うーん、どういうことかな? こんなに王都に入り込まれてるのに全く動きを見せない、何か策でもあるのかな?」

ラズワルド「……僕達が王都を離れてる間に、何か仕掛けが施されたってことなのかな? それとも……」

 カツッ カツッ カツッ

ラズワルド「?」

カムイ「ラズワルドさん、様子はどうでしょうか?」

ラズワルド「カムイ様。なんて言えばいいのかな、敵にまったく動きがなくて。王城のリッチを考えれば、抑えるべき要所があるはずなんだけど、そこはおろか中央広場から王城に至る第一関所を取り返しにも来ない」

カムイ「籠城戦の構えなのかもしれませんね。下手に兵力を奪還に向かわせるより、籠城戦に持ち込んで討伐大隊の帰還を待っての挟撃を狙っているのかもしれません」

ラズワルド「この状況で、それが成功するとは思えないけどね」

カムイ「そうですね。そうでしたこれを、喉が渇いていると思いまして」チャプン

ラズワルド「ありがとうございます、カムイ様。んくっ、んくっ、ふぅ~、生き返ったよ」

カムイ「ふふっ、どういたしまして。それより、ここまで私たちの侵入を許しているということは、何か手があると考えるべきですね」

ラズワルド「そうだね。だけど、それがどういうものなのか全くわからない。王都正門と城壁を僕達が攻撃している間、一度も王城から援軍が来なかったことを考えると、やっぱりこの二つは見捨てたことになる。だから、それ相応の価値があるものだとは思うんだけど……」

カムイ「……」

ラズワルド「カムイ様、どうしました?」

カムイ「いいえ、ラズワルドさんがいつもより真面目なので、少し不思議に思っただけですよ」

ラズワルド「いつもよりって酷いですよ。僕はいつだって真面目に考えてますよ、特に女の子をお茶に誘う時は、お店のチョイスに余念ないんですから」

カムイ「ふふっ、その割には成果が伴ってないと思いますよ」

ラズワルド「そ、それは言わないお約束ですよ、カムイ様」

カムイ「そうですね、言わぬが華というものですね」

ラズワルド「口に出されてからじゃ意味ないんですけど……」

カムイ「ふふふっ、ごめんなさいラズワルドさん」

ラズワルド「……やっと柔らかい表情になったね、カムイ様」

カムイ「え?」

ラズワルド「さっきの戦いから、何か考えてるみたいで、少し気になっていたんです」

カムイ「そうでしたか……」

ラズワルド「すみません、その詮索するようなことをして……」

カムイ「いえ、いいんですよ。それに気にしてもらえたのは少しだけ嬉しいので」

ラズワルド「それで、一体どうしたんですか?」

カムイ「だ、大丈夫ですよ。心配してもらった上に話まで聞いてもらおうとは思っていませんから」

ラズワルド「迷惑になるなんて思ってるなら、それは間違いですよ。僕はあなたの力になりたいんです。僕はカムイ様を守りたいんです、たとえ些細なことであってもです」

カムイ「ラズワルドさん……」

ラズワルド「その、僕じゃ力になれませんか? カムイ様」

カムイ「いいえ、そうじゃないんですけど。その」

ラズワルド「?」

カムイ「……なんだか、告白を受けているみたいで。なんだか気恥しくて」

ラズワルド「え、あ、いや、これはそういう意味じゃなくてですね」

カムイ「はい、わかってますよ。ふふっ、照れてるんですね、とっても可愛いですよ」

ラズワルド「少しドキドキしちゃいましたよ。あまり、からかわないでほしいんですけど……」

カムイ「それもそうですね……」

カムイ「こんな風に自分のことを誤魔化しているのはわかっていますから……」

ラズワルド「カムイ様?」

カムイ「すみません、こんなに悩むことなんてなかった今までなかったので、こうやって意識を逸らそうとしてるのかもしれません。ふふっ、私の悩み事が不安を感じてることだとしたら、ラズワルドさんはどう思いますか?」

ラズワルド「……」

カムイ「やっぱり、子供みたいだと思いますよね……」

ラズワルド「カムイ様、僕はそうは思わない」

カムイ「え?」

ラズワルド「ははっ、悩みの理由なんて人それぞれだし、僕にだって悩みはあるよ。でも、カムイ様の悩みに比べたら、その、結構不健全なものですから」

カムイ「もしかして、励ましてくれてるんですか?」

ラズワルド「ええ、それでカムイ様の気持ちが和らぐなら安いことですから」

カムイ「……ふふふっ、やっぱりラズワルドさん思ったよりも真面目な人なんですね」

ラズワルド「思ったよりは余計ですよ」

カムイ「いいえ、ありがとうございます。少しだけ話せて気が楽になりました。なんだかんだで守ってもらいましたね」

ラズワルド「気にしないでいいから、あ、でも、お礼なら今度一緒にお茶でもどうかな?」

カムイ「そうですね、考えておきます。では、私は戻ります」

ラズワルド「わかった。引き続き監視を続けるね」

カムイ「はい、おねがいします」

◆◆◆◆◆◆
―王都ウィンダム・中央広場へと進む街道『道沿いの宿営地』―

カムイ「マークス兄さん。いらっしゃいますか?」

マークス「カムイか、入っていいぞ。……それで、現在の状況はどうなっている」

カムイ「はい、監視を続けていたラズワルドさんからは、敵に目立った動きがなしと」

マークス「不気味なほどにな。すでに中央広場にて王城攻略の準備も進んでいる。もうじきすべての準備が整うことだろう。住民たちの誘導も、現在大きな混乱もなく進んでいるようだ」

カムイ「王都の皆さんが指示に従ってくれるので、こちらの作業もこなしやすいですね」

マークス「ああ、そうだな……」

カムイ「? どうしました、マークス兄さん」

マークス「カムイよ。お前は今回の戦いで悩む必要はない」

カムイ「悩む必要はないとは、一体……」

マークス「無自覚なのかもしれない。カムイ、城塞を出た頃に比べて、今のお前は表情が豊かになった。正直悪い意味でな」

カムイ「悪い意味ですか?」

マークス「ああ、この頃のお前は苦い顔をしてばかりで、今も影が差している。前のように無邪気に笑うこともあまりなくなったようにも思えてな」

カムイ「そんなことは……いえ、そうですね。マークス兄さんの言っていることは間違ってないでしょう。先ほど、ラズワルドさんにも心配されてしまいましたから」

マークス「カムイ、お前は私達の家族であり、私にとっては大切な妹だ。こうして、お前の目指す道に縋り戦っている私が言えた義理ではないのかもしれないが……」

カムイ「はい?」

マークス「私たはお前のことを心配している。今回の件、本来ならお前に非難が向かわない形であるべきだった。あのとき、舞踏会で父上が示したオ前の功績、反乱鎮圧という成果は来るべき日の先に暗い影を落とすだけのものだ……」

カムイ「来るべき日…ですか?」

マークス「ああ、戦争が終わりを告げた先にある穏やかな日々のことだ。今まで父上の進む道にそれがあると信じてきた。しかし、それは終わりを迎え、私は今お前の進む道にその可能性を見ている」

マークス「だからこそ、不安が過る。そうした穏やかな日々を、お前は手に入れることができるのかと……」

カムイ「マークス兄さんは心配症ですね」

マークス「心配に思ってもいいだろう。カムイには無邪気な笑顔が良く似合うのだ。今のように悩んでいる顔よりもな」

カムイ「それはすごく昔のことじゃないですか?」

マークス「初めて出会った時がそうだったからな。第一印象というのはそう簡単に変わるものではない。私にとってのカムイは、いつでも無邪気に笑っている妹だったのだから」

カムイ「もう……。でも、マークス兄さんにとって、私は無邪気な女の子のままなんですね」

マークス「同時に世間知らずという印象も変わっていないな。箱入り娘とはこういうものをいうのだなと思ったほどだ」

カムイ「世間知らずって」

マークス「今思えば、どこでも着替える癖をどうにかするべきだったな。最初の任務の時、目の前でいきなり着替えを始めて驚いたとサイラスが言っていた。お前はそういう所に無関心すぎる」

カムイ「やっぱり、問題ありますか」

マークス「ああ、カムイ、お前は王族だ。王族であることは、それだけで模範であることを求められる、それを忘れないことだ」

カムイ「そうですか、わかりました。では、マークス兄さんや家族の前で着替える分には問題ありませんよね?」

マークス「な、何を言っている」

カムイ「ふふっ、冗談ですよ。なんですか、もしかして赤くなっているんですか?」

マークス「はぁ、まったく、人をからかうときはそういう笑顔を浮かべるのだな。はぁ、しばらくの間、目が離せそうにないな」

カムイ「でも、マークス兄さんは初めて会った時から変わりませんね」

マークス「なに?」

カムイ「はい、こうやって私のことを色々と考えてくれていましたから」

マークス「…カムイ」

カムイ「マークス兄さんは、あの頃から知っていたんですよね。私が暗夜の人間ではなくて、白夜の人間だということを」

マークス「……ああ」

カムイ「ふふっ、ずっと一人で何とかしてきたと思ってましたけど、今考えればマークス兄さんにいっぱい助けてもらってたんですね」

マークス「カムイ、お前は私を怨んでいるか?」

カムイ「何をですか?」

マークス「……事実を知っていながら、それを伝えることもせずに隠し続けてきた私をだ……」

カムイ「いいえ、怨んでなんていませんよ。むしろ感謝しているといえばいいかもしれません」

マークス「なぜだ?」

カムイ「あの頃私が、自分が違う国の生まれで、捕らわれて暗夜に来たことを知ってしまっていたら、ここに私はいなかったかもしれません」

マークス「しかし、もっと早くに知らせていれば、お前にこのような道を――」

カムイ「……いいえ。もっと悪いことになっていたかもしれません。むしろ、私はマークス兄さんがそう判断してくれたことがとてもうれしいです。だって、そのおかげで私はこうして皆さんと家族になれた、それだけでもうれしいことです」

カムイ「それに、あの頃の私は偽りの兄妹を受け入れられるほど、できた人間じゃなかったと思います。多分、恨みを抱えていくことになったのかもしれません。だからマークス兄さんの嘘は、私にとって救いの嘘なんですよ」

マークス「救いの嘘……か」

カムイ「はい、悪意の嘘と善意の嘘があるなら、マークス兄さんがくれたのは善意の嘘です。だから、そんなに思い悩まないでください」

マークス「そうか……」

カムイ「ですから、私はマークス兄さんの前ではお着替えできるんですよ?」

マークス「信頼の証なら、もう少し健全なものにしてもらえないか。その、目のやり場に困るような行為は、王族として問題がある」

カムイ「そうですか、それだとやっぱり、これですね」

 ギュッ

マークス「カムイ?」

カムイ「ふふっ、マークス兄さんの手、やっぱり男の人の手なんですね。とっても固いです」

マークス「う、うむ……」

カムイ「……マークス兄さんの道が見つかりますように」

マークス「おまじないか」

カムイ「はい。私にできることなんて、これくらいですから」

マークス「いや、それだけでも十分だ。しかし、こうされてばかりというのも兄という立場上、不甲斐無い気持ちになる」

カムイ「お返しなんて大丈夫ですよ」

マークス「いや、これでは私の気が済まないのでな。少しは兄らしいことをお前にさせてくれないか?」

カムイ「ふふっ、わかりました。楽しみにしてますね」

マークス「ああ」

 タタタタタタタッ

部族兵「マークス王子、よろしいですか?」

カムイ「時間のようですね。私は待機に戻ります」

マークス「わかった。作戦の打ち合わせが終わり次第、動き始める。皆に準備をするように伝えておいてほしい」

カムイ「わかりました、それでは……」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ザワザワザワ

クーリア「ここまで動きがないというのは、正直予想外ですね」

マークス「うむ、この状況を見るに籠城で時間を稼ぎ、反乱鎮圧に向かった者たちを待っていると考えるべきだろう。しかし、王城の立地を考えれば、それは愚行とも取れる」

部族兵長「なにせ、王城は下。我々は上から好きな所へ攻撃を仕掛けられるのですから。それを見越して、守るべき拠点を絞っているのかもしれませんが」

シュヴァリエ兵長「ふっ、我々の竜騎兵に任せていただければ、すぐにでも急襲し、突入路をたちまち確保してみせましょう。なに、もはやクラーケンシュタインなど、袋小路の中にあるも同然ですからな」

クーリア「これ以上、敵の籠城準備に時間を与える必要もないかと思います。王都住民の多くは指示に従ってくれていますので」

マークス「そうか。それで、負傷した者たちは?」

クーリア「はい、現在跳ね橋拠点に医療本部を設置、敵味方問わず負傷した者たちへの治療、休息場所にあてています」

シュヴァリエ兵長「な、敵を助けるなど、そんなことをする必要はないはずだ」

マークス「われわれの目的は暗夜王都の奪還にある。敵の兵士を一人残らず皆殺しにすることではない」

シュヴァリエ兵長「ですが、いずれ反旗を翻してくるかもしれません。その可能性は先に根絶やしにしなくては!」

マークス「シュヴァリエ出身であるお前の言葉の意味、それはわかっているつもりだ」

シュヴァリエ兵長「では!」

マークス「だが、それではわれわれは父上と同じ道を辿ることになる。父上のように疑わしきものをすべて排除していくという行為を行うために、われわれは王都に攻め入ったのではない。もしも、同じことで勝利し王都を落としたとしても、いずれは同じ理由でわれわれは滅びていくことになるだろう」

シュヴァリエ兵長「そ、それは……」

マークス「今すぐにそれをできるとは思っていない。シュヴァリエに父上が与えた傷は深く重いことも理解している。だが、それを向けるべき相手は戦いの最中だけだ」

マークス「そして部族の者たちも、ここまで長きに渡って迫害を受けてきたことは理解している。そして、それがこの戦いに参加する理由となったことも。だからこそ、その事柄と決別してもらいたい……。この戦いは相手に同様の罰を与えるためのものではない。暗夜に新しい光を与えるための戦いであるからだ」

シュヴァリエ兵長「……」

部族兵長「……」

マークス「もしも、それをそれぞれ多くの者を率いる兵長であるお前達が望まぬというのな――」

シュヴァリエ兵長「マークス王子、我々はまだ何も言っていない。先に答えを詮索しないでもらえるか?」

部族兵長「と言いながらも、あなたの答えは決まっているのでしょう、シュヴァリエ兵長」

マークス「……答えを聞かせてもらえるか?」

シュヴァリエ兵長「このまま、シュヴァリエの仇だって蛮行を繰り返して、シュヴァリエの騎士たちは降伏した人間すら手に掛ける恥知らずと思われたkない。我々は暗夜王国とは違う、この戦いの力はマークス王子の言葉通り、戦いの時だけ刃として扱わせてもらう。あなたの指示を受け入れるよ」

マークス「部族兵長」

部族兵長「マークス王子、わたしたちの目的は部族としての独立です。ですが、王都との交流は将来必要不可欠でしょう。今行ったことは平和になった世になればなるほどに、影響が出てくること。たとえ敵であろうとも、それは王都ウィンダムの民。将来の通商相手を失い、悪い噂ばかりに身を窶すつもりはありません」

クーリア「ふっ、中々に狡猾なことを言われますね」

部族兵長「さすがに独立してめでたしめでたしとはいきませんから。ですから、マークス王子、あなたのその道に私たちも従い、共に行きましょう」

マークス「感謝する」

シュヴァリエ「いいえ。それで、敵捕虜や王都住民の誘導が終わり次第、総攻撃といきますか?」

マークス「ああ、全兵に通達。住民の誘導、および防衛陣の構築が完了次第、クラーケンシュタインへと攻撃を開始すると!」

一同『はい!!!』

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・王都ウィンダム・クラーケンシュタイン『王の間、奥の空間』―

ゲパルトS「すごく大きいですね。でも、これって僕たちも危ないんじゃないですか?」

ガンズ「安心しろ。クラーケンシュタインには特殊な結界が張られてる。だから、一方的にじわじわ奴らをなぶれるってわけだ」

ゲパルトS[へぇ~、流石はガロン王様。メリットしかないってすごいよねー」

ガンズ「まぁ、餓鬼や今にも死にそうな野郎は衰弱死しちまうかもな。がっはっはっは、べつに関係ねえけどよ」

ゲパルトS「うんうん、ガンズ様。これって発動した瞬間の出力がすごいみたいですよ。近距離にいたら一気に死んじゃうじゃないかな?」

ガンズ「はっ、うれしそうに言ってやがる癖に、何の心配してんだ? どうせ、敵は中央広場を抑えて、そろそろ攻めてくるつもりだろ。なら、俺たちも景気付けに脅かしてやるべきさ。もっとも、それでこっちの勝ちになっちまうがよ」

ゲパルトS「まあいいや、人が死ぬならそれでいいし。それじゃ、起動始めるよー」

ガンズ「ああ、景気よく行けぇ!」

 シュオオオオンッ

ゲパルトS「うん、これくらいかな。でもすごい話だよね、ガンズ様」

ガンズ「何がだ?」

ゲパルトS「所々で見れる暗夜王国のシンボルみたいなものが、こんなにいっぱい人を殺せる魔道具だなんてさ」

ガンズ「いいじゃねえか。暗夜王国のシンボルにふさわしい機能だ。これを見越してガロン王様は暗夜王国の守備を手薄にしてたんだろう。もっとも、マクベスの野郎は多分知らされてないんだろうぜ。こんなものがあるなんてよ」

ゲパルトS「マクベス様も知らないことを知らされてるって、ガンズ様はガロン王様に信頼されてるんですね!」

ガンズ「信頼か、それは違うな」

ゲパルトS「ちがうの?」

ガンズ「ガロン王様は人殺しが楽しいっていう理由だけで、処刑されるはずだった俺を引き抜いたんだよ。それ以外に俺は取りえなんてねえからな。まったく、イかれてる話だろ?」

ゲパルトS「たしかに、普通じゃないかなー」

ガンズ「だから俺は信頼されてるんじゃねえ。ただ人を殺せって言われてるだけなんだよ。それで俺は満足してるから問題ねえ。人を殺せるなら誰だっていい、弱けりゃなおいい。女子供も容赦しねえ、捕虜になった奴も関係ねえ。生きてるなら、殺して手柄にしてやる、死人は全員敵なんだからよ」

ゲパルトS「そんなに手柄を集めて、何をするんですか?」

ガンズ「そうだな、いずれは一国の王になって、そして戦争を続けてやるさ。暗夜も白夜も関係ねえ、目に見える者を殺して破壊する。そんな最高な国の主になりたいねぇ」

ゲパルトS「あははははっ、ガンズ様は面白い。でも、そうだよねー、僕も殺したいなら誰でも殺すから。相手が暗夜の人間でも白夜の人間でも、女でも男でも、子供でも大人でも、悪人でも善人でも、殺したいこっちには関係ないことだからねー」

ガンズ「ああ、そういうことだ。結局死んだら肉の塊、価値なんてありゃしねえ。だから、派手に殺しちまおう」

ゲパルトS「わかったよ、ガンズ様。それじゃ、これで魔力注入終わり。それじゃ起動っと」

 フオオオンッ シュォオオオオンッ

ゲパルトS「あと、これは……なんか腕に付けられそうだけど……」

ガンズ「これは俺のもんだ。へへっ、力が湧いてくる、何百、いや何千人もぶち殺せそうな気分だ……」

ゲパルトS「すごい。それじゃ戻ろうよ、兄さんが退屈そうにしてるかもしれないし!」

ガンズ「ああ。がっはっはっは、この俺がいる間に攻めてきたことを後悔させてやる。なぁ、カムイ王女よぉ?」

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・クラーケンシュタイン『練兵場』―

部族兵「……敵はいるか?」

シュヴァリエ兵「いや、影も形もないな。おかしい、ここまで侵攻してきたというのに、攻撃はおろか敵の影すら見ないとは」

部族兵「そうだな。見つかって矢の雨を掻い潜ることになると思ってたんだけど」

シュヴァリエ兵「壁沿いの建造物にも人の気配はなかったから、ここいらに住んでいた奴らも王城内部に入り込んだのかもしれない。そう考えると、やはり籠城で遠征組が帰ってくるのを待つことにしているということか?」

部族兵「だが、籠城してるだけでどうにかできるとは思えない。あと少しすれば突入ルートも選別化されて、要所にあった配置がなされる。完成したら、あとは一気に攻め落とすだけだからな」

シュヴァリエ兵「そうだな」

部族兵「それにしてもこの像見ろよ。練兵場にはいささか大きすぎるオブジェだよな」

シュヴァリエ兵「ああ、中央広場から王城へと続く道の入り口あたりにもあったな。確か暗夜竜とかいう竜の像だったか?」

部族兵「たしかそうだったな。まったく悪趣味な像だぜ、王都を抑えたらさっさと取り壊して、資源にした方がよさそうだ」

シュヴァリエ兵「言えてる」

 ブォンッ

シュヴァリエ兵「え!?」

部族兵「どうした?」

シュヴァリエ兵「いや、なんか目が光ったような気がして……あれ?」

部族兵「何言ってんだ。ただの像だぞ、像。生きてるわけじゃねえし、目だってただ彫ってあるだけじゃねえか。さすがに疲れが出てきたんじゃないか?」

シュヴァリエ兵「あ、ああ。そうかもしれない。さすがにお前を乗せて慎重に飛び回っていたからな……」

部族兵「言ってくれるじゃねえか。よーし、戦闘が終わったら俺のおごりでビールをおごってやるよ。疲れた体にはいいもんだからな」

シュヴァリエ兵「おっ、本当か。それは楽しみだ!」

部族兵「おう、それじゃ中央広場に報告するから、監視は任せた」

シュヴァリエ兵「わかった。たくっ、びっくりさせやがって、この気色悪い竜の像が!」ゲシッ

 ……
 ……

 シュオオオオォォォン!!!!

シュヴァリエ兵「へ?」

部族兵「こちら先行観察Aチーム。現在、王城近辺の練兵場、ここら一帯に敵の影はありません」

シュヴァリエ兵「お、おい!」

部族兵「なんだよいきなり。今報告中――」

シュヴァリエ兵「ぞ、像が!」

部族兵「え? 何を言って……」

 シュオオオオオオオオッ

部族兵「お、お前何した!?」

シュヴァリエ兵「いや、ちょっと蹴っただけだ。というか、それだけで何か起きるわけないだろ!?」

 シュオオオオオオオォォォ

シュヴァリエ兵「な、なんだこの禍々しい感覚は……」

部族兵「どちらにせよ、報告だ。こちらAチーム。練兵場にある竜の像に異変あり、これより警戒態勢に――」

 ズオオオオオオ――

部族兵「入――あぐっ、ゴホゴホッ、うぎぃ、ぐぎゃあああ。いでぇ、がらだが、いでぇえ、うぐぅ、うげああああ」ドサッ

シュヴァリエ兵「うげあああああっ。あぐっ、あああっ、ゴホゴホゴホ。ガハッ、ゴフッ、ヒュー……ヒュー……ゲホッ」

部族兵「あ、ぐっ、死にた―――……」パタリッ

 コロコロコロコロコロッ カツンッ
 ザザザザザッ ザー ザー

『こちら中央広場、多数の負傷者発生、作戦地域から撤退を開始! お前たち早くその像から離れろ! 離れないと……ううっ、うぎぃあ、あがっ、ごほごほ、ビチャ…… ザザッ ザザザザーーーーーーーブツンッ』

 バリンッ パラパラパラッ……

○カムイの支援現在状況●

―対の存在―
アクアA
(カムイからの信頼を得て、その心の内を知りたい)

―城塞の人々―
ギュンターB++
(恋愛小説の朗読を頼まれています) 
フェリシアB+
(カムイに従者として頼りにされたい)
ジョーカーC+
(イベントは起きていません)
フローラB
(すこしは他人に甘えてもいいんじゃないかと言われています)
リリス(消滅)
(主君を守り通した)

―暗夜第一王子マークス―
ラズワルドB→B+
(あなたを守るといわれています)
ピエリB
(弱点を見つけると息巻いています)
マークスB→B+
(何か兄らしいことをしたいと考えています)←NEW

―暗夜第二王子レオン―
オーディンB+
(二人で何かの名前を考えることになってます)
ゼロB+
(互いに興味を持てるように頑張っています)
レオンB
(カムイに甘えてほしいと言われて、いろいろと考えています)

―暗夜第一王女カミラ―
ルーナA
(目を失ったことに関する話をしています)
カミラA
(白夜の大きい人に関して話が上がっています)
ベルカC+
(イベントは起きてません)

―暗夜第二王女エリーゼ―
エリーゼA
(昔、初めて出会った時のことについて話しています)
ハロルドB
(ハロルドと一緒にいるのは楽しい)
エルフィB
(イベントは起きていません)

―白夜第二王女サクラ―
サクラB++
(カムイと二人きりの時間が欲しいと考えています)
ツバキB
(イベントは起きていません)
カザハナC+
(イベントは起きていません)

―カムイに力を貸すもの―
シャーロッテB++
(返り討ちにあっています)
スズカゼB
(おさわりの虜になったようです)
サイラスB+
(もっと頼って欲しいと思っています)
ニュクスB
(イベントは起きていません)
モズメC+
(イベントは起きていません)
リンカB
(イベントは起きていません)
ブノワC+
(イベントは起きていません)
アシュラC+
(イベントは起きていません)
フランネルC+
(イベントは起きていません)

今日はここまで

 クラーケンシュタインって攻められたら、ほぼ負けな気がするんだよなぁ

 暗夜竜の像
「発動時10マス以内の敵味方ユニットに体力100%のダメージ」
 白夜竜の像
「清らかな心でいられる」
 
 二つの像はこんなイメージ
 

◆◆◆◆◆◆ ―暗夜王国・王都ウィンダム『中央広場』―

 シュオオオオオオオンッ

部族兵長「全部隊、警戒を怠らないように。可能な限り像から離れて様子伺うのです」

マークス「部族兵長、こちらの被害は?」

部族兵長「マークス王子……。多くはありませんが、像付近に待機していた者は絶命したようです」

マークス「敵の罠に嵌ったということなのか……。先行偵察に出た者たちは?」

部族兵長「戻ってきた者はいません。魔法具が壊れ連絡手段がなくなっているのかもしれませんが、正直……」

マークス「そうか……」

 シュオオオオオオオ

部族兵「兵長! 像の発光が収まり始めています」

部族兵長「マークス王子、今のうちに破壊するべきでは? そうすれば先ほどの奇怪な現象も……」

マークス「いや、それが狙いなのかもしれん。それよりも、民への被害は?」

シュヴァリエ兵長「はい、今のところはありません。しかし、先ほどと似たことが大規模発生したら、さすがに……」

マークス「くっ、一体あれはなんだというんだ?」

 ワーワー ザワザワ

レオン「……」

ニュクス「レオン王子……あの仕掛けだけど」

レオン「ああ、発光は収まったけど、止まったわけじゃないみたいだ」

ニュクス「正直こんなものが暗夜王都に仕掛けられてるなんて、夢にも思わなかったわ」

レオン「僕も同じだよ。正直、信じたくはないんだけど……」

マークス「レオン、ニュクス、何か分かったのか?」

レオン「憶測だけどね、ちょっと失礼するよ」

 タッ タッ タッ

マークス「レオン、像に近づくのは――

ニュクス「マークス王子、もうさっきの様なことは起こらないわ。レオンもそれをわかってるから近づいてる、だから安心して」

マークス「わかった」

ニュクス「……。それで、レオン王子、どうかしら?」

レオン「……もう発動は済んだみたいだから、ただの像になってるね。大本は別の場所にあるんだろうけど、このまま放っておくと取り返しのつかないことになる」

マークス「取り消しの付かないことだと?」

ニュクス「今、暗夜王国全体に大きな魔法が掛けられているわ。それも敵味方関係なく作用する、無差別なものよ」

レオン「今の影響は微々たるものだけどね」

部族兵長「暗夜王国全体っていうのは、どのくらいの範囲で?」

レオン「僕の憶測だけど王都がすっぽりと収まるくらいだと思う。しかも徐々にその効力を増してる。あと十数分もしない内に、身に感じられるくらいになるはずだ」

マークス「これは、王都防衛のための仕掛けということか?」

レオン「多分ね。王都の奪還が不可能と考えられた時に使うものなんだと思う。敵味方も関係なく、その生命力を吸い上げて、衰弱させるためのね」

ニュクス「まだ毛ほどにも影響がないのは、発動した魔力を張り巡らせている最中だから。たぶん、この暗夜王国全てに届くように、地形に術式を彫り込んでいるんでしょうね」

マークス「そんなものが……」

カムイ「でも待ってください、それではこの王都にいる住民の命は……」

レオン「籠城してる奴らにとっては民は二の次ってことだよ。民の命を考えてるならこんなことはしない。もしかしたら、後々僕達が王都で大虐殺をしていたことにするための布石なのかもしれないけど」

ニュクス「そこまで敵が考えているかを考える暇はないわ。いずれにしても、このまま魔法具の力が増幅されていけば、私たちも動けなくなるのは明白だもの。敵は待っているだけでも、私達に勝つことができるというわけ」

マークス「衰弱したところを見計らい、攻撃を仕掛けてくるということか……」

ニュクス「ええ。これを使っておいて王城に引き籠ってるのは、あそこが唯一この王都の中でこの魔法具の効果を受け付けないからだと思うわ。同時に魔法具の大本もあると考えるのが自然ね」

部族兵長「となると、ここで話をしている時間はなさそうです。シュヴァリエ兵長、王城への急襲のために兵の輸送をお願いできるか?」

シュヴァリエ兵長「断る理由はない……、ないのだが、こちらも疲弊した竜が多くなってきている。話を聞く限り、竜もその魔法具の影響を受けるならば、とても全てを動かせる状態ではない。先鋭を募って短期決戦を挑む以外にあるまい」

マークス「よし、シュヴァリエ兵長。動ける竜を掻き集めよ。こちらは突入部隊の編成を行う」

シュヴァリエ兵長「はい、わかりました」

 バサバサバサッ

クーリア「ガロン王ならばどう出るかはわかりませんが、現在の指揮官は容赦のない人間のようですね」

マークス「いや、たとえ今ここに父上がいたとしても、この魔法具を使用したかもしれない……」

クーリア「まさか、仮にも暗夜の王ですよ?」

マークス「暗夜王国に立て突く者を一掃できるのならば、今の父上も容赦はしないだろう。それをさせないためにもわれわれは、われわれのすべきことをするまでだ」

クーリア「マークス殿……」

部族兵長「マークス王子、よろしいですかな?」

マークス「部族兵長。ああ、突入部隊の編成についての話だ、お前たちも――」

部族兵長「いえ、マークス王子。私たちはこちらで待機し、負傷した者や体の弱い住民たちへの支援活動に当たることにします」

クーリア「部族兵長」

部族兵長「クーリア、決して突入することに臆してというわけではない。私たちなりに考えたことだ」

マークス「……」

部族兵長「残念ながら、私たちの力はマークス王子の臣下たちに到底及びません。幸い私達には医療魔法の心得があります故、今最善の選択を思えば、これが一番と思ったのです」

マークス「こちらの支援も過酷なものになるぞ」

部族兵長「戦いに向かわれる皆様に比べれば荷の軽いことです。それにここで意地を張って戦力そのものの質を下げ、その結果すべてが水泡に帰するなどあってはなりません。ですから、王城のことはよろしく頼みます」

マークス「……わかった。では、負傷者と民への支援、よろしく頼む」

部族兵長「はい、お任せください」

クーリア「マークス王子、私も負傷者に随伴しようと思います。よろしいですか?」

マークス「ああ、そちらは任せたぞ」

クーリア「ええ」

マークス「レオン、ニュクス」

レオン「なんだい、マークス兄さん?」

ニュクス「なにかしら、マークス王子」

マークス「この魔法具の大本、その場所は探れるのか?」

レオン「そのことに関しては心配しないで、こんなに強力な魔法具だから、場所の特定くらいは簡単にできるよ」

ニュクス「ええ、王城に少し近づくだけでも探れるはず。これだけ駄々漏れに魔力を放出してる物体なんだから」

マークス「頼りにしているぞ。よし、われわれとシュヴァリエの者たちで王城へと向かう。各自、準備に取り掛かれ!

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・クラーケンシュタイン『大広間』―

ゲパルトP「……王城の拠点を縮小しましたが、これほどまでに縮小して大丈夫なのでしょうか? 外に斥候を出しているわけでもない、籠城するにしても、もう少しするべきことがある気が……」

 ギィィィイイ

ゲパルトS「兄さん、お待たせー」

ゲパルトP「戻ったようですね、ガンズ様の手伝いはこなせましたか?」

ゲパルトS「問題なくこなしたよ。それよりも、敵は来てないわけ?」

ゲパルトP「まったく……。そろそろ総攻撃を仕掛けてくる頃合いなのですが」

ガンズ「総攻撃か、いずれはしてくるさ。まぁ、そんな数は来ないだろうがな」

ゲパルトP「ガンズ様……その腕に持っている者は?」

ガンズ「景気良く相手を殺せる魔法具だよ。魔力が低くても使える優れもんだ。それよりも、ゲパルト兄弟は俺と一緒に行動するようにな。安心しろ、手柄ちゃんと分け与えてやるさ」

ゲパルトS「ガンズ様、手柄じゃなくて殺せる人間にしてほしいかな。殺すのが好きなんでよ、僕は!」

ガンズ「がーっはっはっは!!! そうそうだったな、見つけたら殺して構わねえさ。衰弱して今後役に立ちそうにない住民だって判断したら、殺して敵にしちまいな」

ゲパルトP「……ガンズ様、今の発言ですが」

ガンズ「ああ、何おかしな顔してんだ? いつかシュヴァリエで言っただろ、死んだ奴は全員敵だってよ。だから暗夜王国の人間は一人も死んでねえ、そうだろ?」

ゲパルトP「先ほどまで行っていたことと、関係があるということですか?」

ガンズ「おいおい、弟に比べて兄はなんだか丸くなったか? お前は今俺の部下、俺の命令に従うのが筋だ、違うか?」

ゲパルトP「……その通りです、ガンズ様」

ガンズ「わかってるなら、変なことを言うんじゃねえ。さぁてめえら、ピクニックの準備を始めておけよ。手柄を立てて、全員一気に昇進するぞ」

 オーッ ピクニックイクゾー!
 サイコウダナ
 チクショーボウリョクサイコウダゼ!

ガンズ「へへっ、最高だ。心して奪ってを楽しそうにやりそうな奴らばかりでよ」

ゲパルトP「……弟」

ゲパルトS「なに、兄さん?」

ゲパルトP「一体何をしたのですか?」

ゲパルトS「気にすることないって兄さん。どうせ、今さら止める必要もないんだし、今止めたらいっぱい入り込んできちゃうだろうからね。それにしてもあいつらが王都に攻めてきてくれてよかったよ。今ならどんなに殺してもいいし、むしろいっぱい褒めてもらえるんだから。もしかしたら兄さんと僕合わせて100人越えできるかもしれないよ!」

ゲパルトP「……敵でしたら歓迎です」

ゲパルトS「死体になったら敵なんだから、気にせず殺しちゃえばいいんだよ」

ゲパルトP「死体になったら……ですか」

暗夜兵「でもよ、殺すだけじゃあれだよな。いい女とか転がってるだろ、それでちょっと遊ばせてもらおうぜ」

暗夜兵「そうそう、あの住宅地近辺に良い姉妹がいるんだよ。こういう時、守られた民は俺達兵をねぎらうのが筋ってもんだからな」

暗夜兵「お、それいいな。しかし、話じゃ衰弱しまくってるから、あまりに激しくすると死んじまうかもしれねえぞ?」

暗夜兵「死んだら俺達はこう報告するんだ。哀れなことにここの住民は反乱に加担していた。我々は正義の元に剣を振り下ろして、これを取り除いたってな」

暗夜兵「それ傑作だぜ、ぎゃはははははははっ!」

ガンズ「へへっ、やっぱりこうじゃねえとな……」

ゲパルトS「ガンズ様、笑ってますよ?」

ガンズ「こんなに陽気な手柄稼ぎは早々ねえからな、愉快になるってもんだぜ」

ゲパルトS[たしかに言えてます。あはははははっ」

ガンズ「がーっはっはっは!!!!」

ゲパルトP「……」

マクベス『残念ですが、間違っているかどうかというのを決めるのは、その場で加担している人間では無いのですよ』

ゲパルトP「……」

 バタンッ!!!

 タタタタタッ

暗夜兵「た、大変です。ガンズ様!」

ガンズ「ん、どうした?」

暗夜兵「そ、それが……」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

暗夜兵「ちっくしょう、どうなってやがる!」
 
 バサバサバサッ
 ズオオオオオッ

 ガシャンッ ドゴンッ バラバラバラッ
 ギャオオオオオッ

シュヴァリエ兵長「おらあああああっ、一番乗りだ!!!!」

 ザン ブシャアアッ

暗夜兵「がふっ……」ドサッ

シュヴァリエ兵長「全員続けええ!!!!」

シュヴァリエ兵達「うおおおおっ!!!!」

 バザバザバザッ
 ガシャンッ ドゴンッ

シュヴァリエ兵長「敵を釘付けにしろ」

シュヴァリエ兵長(さて、こちらの準備は整った。マークス王子、あとは任せるぞ!)

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・クラーケンシュタイン『上部連絡橋』―

 タタタタタッ

カムイ「レオンさん、こちらなんですか?」

レオン「ああ、王の間の方角に魔法具の大本があるみたいだからね」

アクア「早いところ止めてしまわないと、王都その物が機能しなくなる可能性があるわ」

マークス「ああ、このまま攻めいる。敵は正面口での戦闘に気取られているはずだ。今なら王の間へできる限り近づけるはずだ。カムイよ、閃光を頼めるか?」

カムイ「わかりました。ちょっと、心細いですね」

 パシッ

アクア「私も一緒よ、安心して」

カムイ「頼もしいですね」

アクア「先に扉があるわ」

 ザザッ

アクア「……」

カムイ「開けますね……」

 ガチャンッ ギイイイイィィ

 タタタタタッ

カムイ「……」

アクア「誰もいないみたいね」

 パカラパカラ

エリーゼ「もしかして、みんな入口を守りに向かっちゃったのかな?」

マークス「それにしては、あまりにも静かすぎる」

レオン「そうだね、こういう時は大抵――」

 ヒュンッ

 キィン カランカランカランッ

カミラ「隠れてるのはいいけど、一人だけが攻撃なんて、待ち伏せの意味がないわよ?」

「挨拶みてえなもんだ。これから首だけになっちまう王族たちによぉ」

 ダッダッダッ ジャギンッ

ガンズ「……」

マークス「ガンズ……」

ガンズ「これはこれは、お久しぶりですマークス王子。いや、糞王子って言えばいいか? ガロン王様の崇高な使命を反故にして、あんたに攻めてくるような野郎なんだからな?」

レオン「そういうお前は、民を守るという選択を取らない野蛮人だね?」

ガンズ「野蛮人で結構だ。そもそも、こんなことで死ぬような弱弱しい連中、暗夜王国には必要ねえ。優秀なやつを選んでると考えれば、俺のやってることは暗夜王国のためになる」

カミラ「そう。でも弱くなった獲物を狙うだけの口実にしか見えないわ」

エリーゼ「そーだそーだ!」

ガンズ「けっ、可愛げのねえ王女だ。まぁいい、てめえらはこれから俺の攻撃を首で受け止めることになるんだからよぉ!!!」

 ザザザザザザッ

暗夜兵たち「へへっ」

ゲパルトP「……」チャキ

ゲパルトS「まんまとここに来るなんてね。ガンズ様、冴えてます」

ガンズ「てめえらの目的くらい俺にだって読めるんだよ。なにせ、てめえらにとっての一番の問題は、無駄に犠牲が出ることだろ?」

レオン「さすがに脳が筋肉で出来てるような奴でも、これは簡単すぎたってことだね」

カムイ「そういうことでしょうね」

ガンズ「これはこれはカムイ王女」

カムイ「お久しぶりですね、ガンズさん」

ガンズ「けっ、こんなことをしでかすなら、アミュージアで前置きせずに切り殺しておけばよかったぜ」

カムイ「その節はどうも」

ガンズ「ちっ、やっぱりてめえは気に入らねえ」

カムイ「あなたに気に入られようとは思っていませんよ。すぐに、発動している魔法具を止めていただけますか?」

ガンズ「仲間なら聞いてやってもいい、だが今のてめえは敵だ。そんな命令聞けるわけもねえだろ?」

マークス「民を守ることが父上よりお前に与えられた任務であろう!」

ガンズ「こんなことしておいて未だにガロン王様を父上と呼ぶのか、調子のいいことだぜ。生憎、俺は王都を守れと言われてるが、民を守れなんて言われてねえ。なまっちょろいんだよ、てめえらは。戦う気もなく服従する民なんていらねえんだよ。死んだ方が食料の節約になるってもんだ」

マークス「貴様……」

ガンズ「それにな、てめえらのなまっちょろい中で特にムカつくのはてめえだ、カムイ王女」

カムイ「私ですか?」

ガンズ「ああ、最初の任務の時からな。なによりも、その戦い方が気に入らねえ。正義だ理想だなんて言葉で着飾りやがって……。そんなに怖いのか、化けの皮が剥がれちまうのがよ?」

カムイ「……何が言いたいんですか?」

ガンズ「決まってんだろ、その力だよ。立て突く奴らを皆殺しにしてきた力、その暴力のことだ」

マークス「貴様が振るう力と、われわれが振るう力は似て非なるものだ!」

ガンズ「王子は黙ってな。俺が話してんのは、そこのカムイだ」

カムイ「ガンズさん、あなたの振う力はただ殺すための力ですよね?」

ガンズ「ああ、そうだ。この力を使って蹂躙するとすげえ気持ちがいい。殺す快感はたまんねえもんだ、何度やっても飽きやしねえ。血が出て肉が裂けて人が死ぬ、最高の悦楽だからな。加えて人を殺せば手柄になる今のこの状態は、俺の生き方にピッタリってもんだぜ」

レオン「最低だね」

ガンズ「なんとでも言えばいい。だからな、そうやって暴力を着飾って使う奴らに虫唾が走るんだよ」

カムイ「着飾ってなどいません。目指すべき道、至るべき道がなければ力を振るう必要はないんです。でも、私達には目指すべきものがあります、そのために戦う必要があるのなら、剣を握り戦うことは間違いでははないでしょう?」

ガンズ「けっ」

カムイ「あなたにはわからないかもしれませんが、私達は――」

ガンズ「『達』ってつけるんじゃねえ。臆病者の腰ぬけ野郎が」

カムイ「え……」

ガンズ「こうして暴力に色々と着飾れて安心してるんだよ、てめえは。自分自身が剣を振るう理由なんて、どこにもありはしねえくせによ」

アクア「カムイは自分のためにだけ剣を振るう、あなたのような野蛮人じゃないわ」

ガンズ「はっ、そうだな。そういう姿を見て、てめえらはカムイの元に集まったんだろ? 実際、この反乱も王子がすべて準備したわけじゃねえ、そうだろ?」

マークス「この反乱を率いているのはこの私だ」

ガンズ「形だけだろ。王子、てめえだけじゃこんな準備はできねえ。できたとしてももっと後だ。政略なんざ俺には分からねえが、純粋に暴力を集めるには時間が足りねえんだよ。てめえが贔屓してる地方部族だけじゃな……」

マークス「筋肉だけの男だと思ったが、そういうわけでもないようだな」

カムイ「ガンズさん、私には目的があります。この戦争を終わらせるという目的が、そのために私は戦っているんです」

ガンズ「それはてめえ自身の求めてるものじゃねえだろ? 着飾った理由を誇らしげに掲げてんじゃねえ」

カムイ「何を言って――」

ガンズ「理解できねえか? てめえは暴力を覆って覆って、見えないくらいまで着飾らねえと戦うことのできねえ臆病ものだって言ってんだよ」

カミラ「カムイへの悪口はそこまでよ。あなたみたいな野蛮な男に、カムイがたどってきた道を侮辱する権利なんてないわ」

ガンズ「たどってきた道か。俺には行き当たりばったりを力に理由を巻きつけて歩いて来ただけのクズにしか見えねえけどな? てめえらも結局、カムイの暴力を覆うための理由でしかねえのによぉ?」

レオン「だからなんだい? それでも僕たちは姉さんを信じて戦うだけだよ」

エリーゼ「うん、それで暗夜のみんなもサクラの故郷も助けて見せるんだから!」

ガンズ「いいな、暴力を目的や理想を貫くための力だと言い切れる立場にいるなんてな。てめえの持ってる暴力は誰かの理由が無いと振えねえ、空っぽなもんだっていうのによぉ?」

カムイ「……私は」

ガンズ「はっきり言ってやる。カムイ王女、てめえの力は空っぽだ。何もねえ癖に人を殺して道を進んでるだけで、俺みたいな人殺しと何も変わりはしねえ。クズの暴力なんだよ……」

カムイ「……」

カムイ(空っぽ、私は空っぽだというのですか?)

カムイ(イザナさんに言われたように、私には求めるものがないから……)

カムイ(戦争を終わらせるという目的も……)

カムイ(愛する人や弱き人を救いたいという理想も……)

カムイ(私が戦う理由では無いと……)

カムイ「……」

カムイ(だけど、今、どちらかを掲げられるのであれば……)

 ――私は……――

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 1.偽りであろうとも理想を掲げる

 2.偽りであろうとも目的を掲げる
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 先に3回選ばれた道へと……

 2……理想へ



カムイ「私は……」

アクア「カムイ、奴の言葉に耳を貸す必要はないわ。あなたを動揺させるために言葉を並べてるだけにすぎない。あなたは、あなたの道を進めばいいだけ」

カムイ「アクアさん……、ですが」

アクア「いい、あなたが何を選ぼうとも、私達は共に歩むためにここにいるの。今、あなたの心に浮かびあがるものがあったのなら、それがカムイの掲げる戦う理由なんだから」

カムイ「……すみません、アクアさん。あなたには支えられてばかりですね」

アクア「それがあなたとの約束だったでしょう?」

カムイ「……そうでしたね」

カムイ(私は、愛する人や弱き人を救いたい。そんな理想を掲げて行きたい。たとえ、それが偽りだったとしても……)

カムイ「……」チャキッ

ガンズ「また繕いやがって、まぁいい。おい野郎共、こいつらを殺せばそれで終わりだ。ピクニック前の準備体操に丁度いい、全員殺せ!」

マークス「行くぞ、カムイ。安心しろ、お前にはわれわれが付いているのだからな」

カムイ「はい、ありがとうございます」

カムイ(……たとえ、この剣が皆さんを守るというもので覆われているだけで、それが私の求めるものでなかったとしても)

(今はそれを掲げて、戦うしかないんですから……)

 ここまでで
 
 すいません、理想だったのに2と表記してました。申し訳ない
 1の理想で進みます。

 指針選択で物語終わりまでの間に仲間の誰かが死ぬことはないので、お気楽に選んでみてください。
 暑い日にリリスを抱きしめたらひんやりしてそうだなとか思った。
 ひんやりリリスを抱きしめながら眠る、ピエリリスください。

 この先の展開を安価で決めたいと思います、参加していただけると幸いです。

◇◆◇◆◇
 カムイと行動を共にする確定メンバー
・マークス
・ピエリ
・ラズワルド

◇◆◇◆◇
 騎馬戦力
・ギュンター
・ジョーカー
・エルフィ
・リンカ
・ゼロ
・オーディン
・サイラス

>>227

◇◆◇◆◇
 後方支援(ストラテジスト限定)
・フェリシア
・レオン
・エリーゼ

>>228

◇◆◇◆◇
 その他の戦闘(歩兵限定)
・アクア
・エルフィ
・フローラ
・ルーナ
・ハロルド
・サクラ
・カザハナ
・ツバキ
・ニュクス
・アシュラ
・フランネル
・スズカゼ
・シャーロッテ
・ブノワ
・モズメ

>>229
>>230

 このような形でお願いいたします。

オデン

よかったよかった
理想を選んだばかりに小を切って大を取るカムイはいないんだな
レオンかルーナ

ルーナで覚醒組を揃えたい

あいかわらず敵が魅力的でいいなあ

おつ
ガンズの言っていることには理の欠片もないな
札人が趣味のブタ野郎がてめーの都合だけしゃべくってんじゃねぇーぞこのタコがッ!って奴だ
イザナに言われて多少自覚していたからと言ってこの程度の奴の暴論に動揺させられるとはここのカムイらしくないが大丈夫か

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・クラーケンシュタイン『王の間への道』―

 タタタタタタタッ
  ドゴンッ

カムイ「どうにか、ここまで突入できましたね」

マークス「ああ、しかしここまで来られたのはわれわれだけのようだな」

ラズワルド「後続の敵は他の皆が抑えててくれるみたいだから、僕たちでここを突破して魔法具を破壊しないと」

レオン「魔法具だと思われる魔力の気配は……、」この先からみたいだね」

ピエリ「この先には王の間しかないの」

オーディン「今暗夜王国全体を包み込んでる魔法具の大本が、この先にあるのか……」

ルーナ「何ビビってんのよ。いつもだったら禍々しい力が集まってるとか、そういうことを言ってそうな気がするんだけど?」

オーディン「……正直、禍々しすぎて言葉か見つからなくてな……」

ルーナ「え、そんなにまずいの、これ……」

レオン「魔力も強力になってるからね。おそらく、ここに来るまでの間に効力が増したんだと思う」

スズカゼ「どうにかして止めないといけません。このままでは、外にいる方々の被害が増すばかりです」

カムイ「必ず止めましょう。レオンさん、場所の見当はついているんですか?」

レオン「さっきピエリが言った通り、この先には王の間くらいしかないから、おそらくはその近辺にあるはずだよ」

カムイ「王の間を目指す以外に道はなさそうですね」

レオン「そうだね。でも、敵は簡単に行かせてくれそうにはないみたいだよ」

カムイ「そのようですね……」チュキッ

 ダダダダダダッ

ゲパルトS「ガンズ様の護衛だから相手できないかなって思ってたけど、抜けて来てくれるなんて思わなかったね」

ゲパルトP「……弟よ、手加減はしないように。敵は裏切り者であろうとも王族、一筋縄ではいかないはずです」

ゲパルトS「もともと手加減なんてしないよ。全力で殺して、叫び声をあげてもらいたいんだから。誰が一番いい声をあげそうかな?」

ゲパルトP「しかし、暗夜のために振るうと決めた剣で、まさか王族を斬ることになるとは。暗夜と共に歩んできたのならば、その正義に殉ずるのが高貴なものの役目では?」

マークス「今の暗夜に正義はない、そのような暗夜に私の命を使うことはできない」

ゲパルトP「正義はないですか……。お言葉ですが、私たちの側からすれば、あなた方こそが暗夜という正義を崩す悪でしかありません。そんな暗夜の敵に与えるのは無慈悲な死のみ。我々は間違ってなどいないのですから」

レオン「数多くの民を危険にさらす選択をしているのによく言えるね」

ゲパルトP「ガンズ様はあなた達という反乱分子を排除するために選択をされただけです。これを行うことになった原因はあなた達であることは揺るぎない事実。あなた方こそ剣を納め、行いを恥て潔く自害されるのがいいでしょう。暗夜王族としての誇り、そして暗夜を思うのであるならば」

マークス「われわれにはわれわれが信ずる道がある。それを曲げるつもりはない。この選択が間違っていることを認めることはない、どんなことがあろうともだ」

ゲパルトP「同じように、我々も間違いを認めることはありません。残念です、暗夜の王族としての誇りが少しばかりは残っていると期待したのですが……。弟よ、準備は出来ていますね?」

ゲパルトS「もちろんだよ。兄さんは前置きが長いんだから。で、殺しても問題ないよね?」

ゲパルトP「生きていようと死んでいようと問題ありません。暗夜に立て突く愚か者は、たとえ元王族であろうともいに行く以外に道はありません」

ゲパルトS「よし、それじゃ、容赦する必要はないってことだね!」

 ザザザザッ!

暗夜兵たち「ゲパルト様、指示をお願いいたします」

ゲパルトS「うんうん、上出来だよ。兄さん、僕は前戦に出るけど、そっちはどうするの?」

ゲパルトP「私は王の間入口の防衛陣を作り上げます。弟よ、やりたいようにやって構いません」

ゲパルトS「それじゃ、首だけにしとくね、いっぱい持ってくと思うから、楽しみに待っててよ」

ゲパルトP「はい、期待してます。お前達は弟の護衛に回ってください。残りは私と共に防衛陣の構築へ、終わり次第、弟の部隊と合流します」

ゲパルトS「ははっ、兄さんが来るころには倒す相手なんていないかもしれないよ?」

ゲパルトP「そうなっているといいですね。では、ここで反乱の大本を根絶やしにしましょう」

 ウオオオオオッ!

ゲパルトP「第一攻撃準備!」

アドベンチャラー部隊「全員、弓を引き絞れ!」

ゲパルトP「放て!」
 
 パシュ パシュシュ

ゲパルトS「それじゃ、僕について来て。敵を全員消し炭にして首だけにしに行くよ!」

 タタタタタタタッ

マークス「流石に易々と通してはくれないようだ」

ピエリ「うう、この一本道だと面攻撃されたら避けられなくなっちゃうの」

レオン「竜を使って馬を持ち込んで、ここまで強行突破してきたのはいいけど」

カムイ「王の間まで行ければよかったんですが、そうはいかないようですね」

マークス「それよりもカムイ、戦えそうか?」

カムイ「大丈夫です。それに戦えなかったら、ここまで一緒に来られてはいませんよ。大丈夫です、足手纏いにはなりませんから」

ピエリ「大丈夫なの、ピエリもみんなもとっても強いの。カムイ様より、先に死んじゃったりなんてしないの。だから安心するのよ」

スズカゼ「そうですね、ピエリさんの言う通りです。ですが、今の言葉ではカムイ様が私たちよりも先に死んでしまうと取られかねませんね」

ラズワルド「そんなことにならないように僕達がいるんだよ。それで、どうやって攻めよう?」

ルーナ「果敢に飛び込んで、バッタバッタとやっつければいいのよ。敵よりも機敏に動いて、機動力で翻弄するしかないんじゃない?」

オーディン「普通に挟撃が無難なんだが……」

レオン「そうだね、流石に全員で向かっても面制圧されかねないから、ここはオーディンの案で行こう」

オーディン「え、マジですか?」

レオン「ああ、マジだよ」

マークス「しかし、ここは一本道だ。脇道は先の十字路しかない」

レオン「たしか、壁一枚先は廊下があったはずだよね?」ポスポス

ラズワルド「確かそうだった気がしますけど。レオン様、何をしよ――」

レオン「ブリュンヒルデ!!!」シュオオオンッ ドゴンッ ガラガラガランッ

マークス「大胆な真似をするな……」

レオン「壁は治せるけど、人の命は治せないからね」

マークス「たしかに、その通りだ」

レオン「よし、これで侵攻路は二つになった。オーディン、ルーナ、ラズワルド、ピエリは僕が合図を出したら一気にここから進んで、十字路からの奇襲を仕掛けてくれないかな」

オーディン「わかりました。ご命令の通りに」

ルーナ「わかったわ。でも、合図を出したらってことは、レオン様達は何かをするってことよね?」

レオン「そうだよ。その奇襲がうまく行くように、ここで敵を引きつける役目だ。僕たちは王族だからね、殺して首を取ればいい手柄になるって考える奴もいるだろうから」

マークス「ああ、われわれはいい餌になるはずだ」

ラズワルド「マークス様、大丈夫なんですか?」

マークス「心配無用だ。むしろ、ピエリとラズワルドも気をつけよ。横合いからとはいえ、敵に肉薄するのだからな」

ピエリ「うん、ちゃんと気を引き締めるの!」

スズカゼ「では、私はその囮役のお手伝いということですね」

レオン「ああ、すまないが手厳しい量を抑えることになると思う」

スズカゼ「構いません。それに、私も新しい術を実践するいい機会ですので」

カムイ「新しい術ですか?」

スズカゼ「はい、ですので先行は私にお任せください」

マークス「構わない。だが、大丈夫なのか?」

スズカゼ「ええ、多分、一度も白夜と戦ったことのない方になら、効果的でしょう」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ランサーA「ちっ、ずっと隠れてばかりだ」

アドベンチャラーG「よし、前線を少し上げるぞ。十字路手前まで前進、ゲパルト様、いかがしますか?」

ゲパルトS「仕方無いよね。出てこないなら、このまま押し潰せばいいし、出てきたら袋叩きにするだけだし。というわけだから、全員で一気に押しつぶすよ!」

ランサーA「よし、行くぞ。このまま前進して、全員殺してやる!!!」

 カラコン カランコロン パシュッ

ランサーA「ぐへあ」ドサッ

 カランコロン

スズカゼ『……』

ゲパルトS「一人目が出てきたよ、全員で攻撃しちゃえ!」

アドベンチャラー部隊「攻撃開始!」パシュパシュ

 サッ サッ パシュッ

ボウナイトB「ぐっ、飛び道具だからっていい気になるなよ!」チャキンッ

ボウナイトC「少し前に出るぞ! 下がれる前に袋叩きだ!」

スズカゼ『……』フッ

ボウナイトC「けっ、澄まし顔しやがって、今すぐ殺してやる!!!」

 パカラ パカラ

ボウナイトB「三方向からなら、そう簡単には避けられまい!」

グレートナイトD「まずは一人だ!!!」ガシャンガシャン グッ

三人『とった!』


スズカゼ「そうですね。まずは一人目です」

 バッ カラコンッ バシュバシュ
 ドスッ ドススッ

ボウナイトB「がぁ、ぐああうっ」ドサッ

 カランコロン カラカラコロン

 ダッ ダッ

ボウナイトC「くそ、もう一人隠れていたの……か?」

スズカゼ『……』

スズカゼ「やはり、これを始めてみる方には、やはり驚かれるものなのですね」

ボウナイトC「同じ奴が二人!?」

グレートナイトD「関係ない、どちらも殺しちまえば――」

 ダッ

カムイ「失礼しますよ!」ザンッ

ボウナイトC「ちっ、こっちからもか!」

グレートナイトD「くっ、このままでは!」

  タタタッ 

ゲパルトS「これで、どうかな!」シュオオオンッ

カムイ「っ!」

マークス「そうはさせん!」ザッ キィン

ゲパルトS「いいところだったのに……」

カムイ「やああっ!!!」ブンッ

 サッ

ゲパルトS「そん攻撃じゃ当たらないよ。前線をあげるよ、このまま押し潰すから!」

アドベンチャラー部隊「了解、十字路にて攻撃展開を開始!」

スズカゼ「レオン様、敵の後列が十字路で展開を始めました」

レオン「よし、オーディン、頼んだよ」バッ

 シュオオオンッ

ゲパルトS「レオン王子にマークス王子、それにカムイ王女か。すごいね、これだけ殺せれば、出世なんて簡単そう」

レオン「そんな簡単に殺せると思わないことだね」

ゲパルトS「ははっ、たしかに簡単だと悲鳴もつまらないからね。だから、いっぱい足掻いて死んでよ」

レオン「お断りだね。いけ、ブュリュンヒルデ!」

ゲパルトS「なら、こっちもライナロック!!!」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ピエリ「壁を壊して王城の中を走り抜けることになるなんて、思わなかったの!」

ラズワルド「レオン様も結構大胆なことするよね」

ピエリ「でも、そのおかげで敵の裏が取れそうなの。一気に殲滅して、サンドイッチにしてあげるの!」

ラズワルド「そうだね、みんな、準備はいいかな?」

オーディン「ああ、望むところだ。ふっ、蒼穹のラズワルド、漆黒のオーディン、そして……いいものはないか?」

ルーナ「なにがよ?」

オーディン「お前とピエリに合う、なにか、こうグッとくる言葉が……」

ルーナ「ちょっと、変な二つ名を付けないでくれない? そんなおこちゃまごっこ、二人だけでやっててよ」

ピエリ「オーディン、何か悩んでるの? 戦いの最中に悩んだらその隙を突かれて死んじゃうかもしれないのよ」

ルーナ「別に気にしなくて大丈夫よ。ピエリもお子様の仲間入りなんてしたくないでしょ?」

ピエリ「ピエリはピエリなの。子供だとか大人だとか関係ないから気にしないの」

ルーナ「そう、でもあたしはそんなのごめんだからね。変な二つ名なんて付けられたくないんだからね」

ラズワルド「ルーナ、今くらいは乗ってくれないかな?」

ピエリ「そうなの、ルーナも一緒に参加するの!」

ルーナ「な、なんでそうなるわけ?」

ラズワルド「うん、なんだかんだで、僕たち三人が集まって戦うのが久しぶりで、うれしいみたいなんだよね」

ルーナ「……」

オーディン「ひ、久しぶりに三人で戦うことにワクワクしちゃ悪いのか!?」

ラズワルド「悪くないよ、僕も久しぶりでワクワクしてるからね」

オーディン「そ、そうやって、俺をおちょくるつもりなんだろ。わかってるんだからな!」

ラズワルド「これでも、そう思う?」

オーディン「?」

ラズワルド「僕は蒼穹のラズワルド、舞踏剣ミスティック・ソードの使い手!」

オーディン「ラズワルド」

ラズワルド「ちがうでしょ、漆黒のオーディン」

オーディン「そうだな、蒼穹のラズワルド!」

ルーナ「なんか、盛り上げてるところ悪いけど、そのミスティック・ソード、どう見ても弓よね?」

ピエリ「えへへ、二人ともとっても楽しそうなの」

オーディン「流石は蒼穹のラズワルド、弓でありながらも剣である舞踏剣ミスティック・ソードを使いこなすか。ならば、漆黒のオーディンたる俺も禁断魔書カイザー・クヴァールを使わざるを得ない」

ルーナ「……それって、あんたの魔法書よね? なんか表紙が見えなくなるまで黒で塗りたくってた」

オーディン「禁書故に、その表紙の名前すら外部に漏らしてはいけない。これはそういうものだ」

ルーナ「そう言う設定なのね。ピエリわかったでしょ、こんなのに付き合ってたら碌なことに――」

ピエリ「なんだか面白いの!」

ルーナ「あんた、正気!?」

ピエリ「それならピエリはね。血が大好きだから、鮮血のピエリでいくの! 武器は血みどろランスで決まりなのよ!」

ルーナ「ピエリまで乗り気になってる……ああもう、あたしだけ仲間外れみたいじゃない」

オーディン「さすがはピエリだ。というわけでルーナも二つ名と名前装備をもって戦うしかないぞ。そうだな、イメージ的に紅蓮。紅蓮のルーナ!」

ルーナ「ぐ、紅蓮って。ああもう、それでいいわ。じゃあ、紅蓮のルーナ、えっと武器は……」

ルーナ(何か、何か思い出せる名前、名前……ちょっとだけ弄ればいいだけだし……ここは)

ルーナ「終剣・ソードブラスターの使い手よ……、は、はずかしい///」

オーディン「終剣・ソードブラスターか。なんかどこかで聞いたことがあるような……」

ラズワルド「確かにキルソードだから間違ってない気もするけど……」

ピエリ「しゅうけんってなんなの?」

オーディン「一振りする度に終わりを齎す剣ということだな……。なんだこれ、解剖するとめちゃくちゃ強そうなんだが」

ルーナ「も、もういいでしょ。思いだしたのはこれくらいなんだから、真面目にその恥ずかしいし////」

ピエリ「うふふっ、顔真っ赤にして可愛いの。紅蓮のルーナ、鮮血のピエリと一緒に守るために敵を皆殺しにしていくの」

ルーナ「いいけど、二つ名も含めて呼ばないといけないの?」

ピエリ「当り前なの」

ルーナ「はぁ……わかったわよ」

オーディン「しかし、鮮血のピエリか……。良くその姿を見てるからか、まさに二つ名って感じだ。しかも見た眼は青なのになぜに鮮血?と思わせるあたりが、何より最大のポイントになっている」

ラズワルド「なんて言うか、僕とルーナの蒼穹と紅蓮って、見た目そのままだよね」

オーディン「ふっ、漆黒のオーディンは見た目じゃない。俺の中にある力が――」

ルーナ「今のあんたはダークナイトじゃない」

オーディン「う、うるさぁい!」

ピエリ「そろそろ、曲がり角なの。ピエリが先に飛び込むから、紅蓮のルーナはピエリがえいってしたら、すぐに追撃してほしいのよ」

ルーナ「任せておきなさい。その、鮮血のピエリ……」

ラズワルド「僕と漆黒のオーディンは後方から支援攻撃して、すぐに敵に白兵戦を仕掛ける。それでいいよね?」

オーディン「ああ、任せておけ、蒼穹のラズワルド!」

ピエリ「それじゃ、突撃なの!!」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

アドベンチャラーE「ちっ、ちょこまかと動いてやがる。味方に当たるかもしれないから、ここは杖で支援を……」

 パカラ パカラ

アドベンチャラーE? 十字路の先から音?」

 パカラ パカラ パカラ!!!

 ザッ

ピエリ「鮮血のピエリの攻撃なの。えいっ!!!」ザシュッ

アドベンチャラーE「ひぎゃああああっ」ドサッ

アドベンチャラーF「なにっ!? この先に繋がっている通路などなかったはず。くそ、間に合え――」

ピエリ「今なの!」

 ダッ

アドベンチャラーF「!?」

ルーナ「てやあああああっ!!!!」ザシュッ ドゴンッ ズザザザザッ

アドベンチャラーF「ぐぼぁ……」ドサッ

ルーナ「ふふん、一人やったわね」

ピエリ「今のところ、紅蓮のルーナって言いながら攻撃しなきゃ駄目なのよ」

ルーナ「は、恥ずかしくて言えるわけないでしょ!?」

アドベンチャラーG「何をごちゃごちゃ言ってやがる。だか、この距離なら、こっちの方が――」

 パシュ グサリ

アドベンチャラーG「がっ、くっ腕が」

 パカラパカラ チャキンッ

ラズワルド「蒼穹のラズワルドの剣、舞踏剣ミスティック・ソード、避けられるなら避けてみなよ! はあああっ」ブンッ

アドベンチャラーG「ぎえっ」ドサッ

 パカラパカラ ヒヒーンッ!!!

オーディン「漆黒のオーディン参上! くらえ、必殺アウェイキング・ヴァン――」

ピエリ「アドベンチャラーの部隊は倒したの。サンドイッチを完成させるのよ!」

ルーナ「ちょっとあたしを置いてくんじゃないわ! ちょっと、乗せなさいよ!」

ラズワルド「さてと、ここからは真面目にいかないと。マークス様に合流することだし……。オーディン早く行こう」

オーディン「……いじけてない、いじけてないから。ああ、みんな、待ってくれよぉ!」

~~~~~~~~~~~~~~~

グレートナイトD「援護がまったく来ない、どうなっているんだ!?」

ゲパルトS「あ、後ろやられたみたいだ」

ボウナイトC「何をのんきに言っているんですか!?」

ダークナイトH「背後から迫る者たちを押しのけ、ここは兄上様と合流するべきかもしれません」

ゲパルトS「なんで? 別にいいじゃんないかな、ここで殺し殺されるのも」

ダークナイトI「な、何を言われますかゲパルト様。このままでは、あなた自身も死に兼ねないのですよ?」

ゲパルトS「うーん。そんなに悪いことかな? だって殺してるってことは殺される可能性もあるし、なにより人が死ぬのっていいよね。殺すのは好きだけど、死に行くのは他人でも自分でも死に際の叫び声なら関係ないわけだし」

ダークナイトJ「ですが、あなたに死なれては兄上様に申し訳――」

ゲパルトS「あはははっ、そんなことどうでもいいよ。二人で100人殺せないのは残念だけど、こんなに殺しても殺されてもいっぱい叫び声が聞ける場所からにげるなんて勿体ない。それに、後ろのあれを抜けるのも相当難しいと思うけど」

 パカラパカラ

グレートナイトD「ちっ、横隊突撃か。どこかに穴を空けられれば」

ゲパルトS「王子たちも攻めに転じ始めたみたいだよ」

マークス「はああっ、そこをどけっ!!!」バシュンッ

カムイ「押し上げさせてもらいます!」

ススカゼ「一思いに楽にして差し上げます。はあっ!!!」

レオン「よし、このまま挟撃で終わりだ!」

暗夜兵「ぎゃあああっ」ドサッ ドサリッ

ボウナイトC「このままじゃ全滅だ! 手柄を取る前に死にたくなんてねえ、後退だ、後退するぞ!!!」

マークス「逃がさん! レオン、ピエリ達に向かっている最前列の兵の動きを止められるか?」

レオン「任せて、兄さん。よし、フリーズ!!!」シャラン

ボウナイトC「よし、このまま突っ切って――」

 シャランロン……

ボウナイトC「ぐっ…な、体が動か……なぜ――っ!」

ピエリ「これでお休みなのよ」ザシュッ

ボウナイトC「がふっ……」ポタポタポタ…… ドサリッ

ダークナイトH「くそ、これでも食ら――」シュオ――

オーディン「その魔法は見切った。必殺、アウェイキング・ヴァンダー!!!!」シュオッ バシュンッ!!!

 ザシュンッ ゴロンゴロンゴロン

ゲパルトS「首飛んじゃった。いい死に方だけど、声が聞こえないから――!」

 タタタタッ ダッ!

ルーナ「目がお留守ね!」ブンッ

 ザシュッ

ゲパルトS「ぐっ、痛いね。でも、まだまだ死ねないから、御返し。ミョルニル!」シュオンッ

ルーナ「しまっ―――」

ピエリ「ルーナ!!!」

 パカラ ドンッ ドゴンッ!!!

ルーナ「ううっ、え?」

ラズワルド「間一髪、だったかな?」

ルーナ「ラ、ラズワルド!?」

ラズワルド「ははっ、いつつっ!」

ルーナ「ちょっと、あんた何に庇って」

ラズワルド「理由なんて必要ないよ。ルーナが危なかったから、助けた。それだけでいいでしょ?」

ルーナ「……あ、ありがとう」

ピエリ「ルーナ、無事でよかったの。ラズワルドもルーナも下がって手当してもらうの、この子はピエリが相手をするの!」

ゲパルトS「惜しかった、体がバラバラになるくらいにして放ったのに。それで、キミはどんな声で鳴いてくれるのかな? すぐにきかせてよ!」

 シュオオンッ
 サッ

ピエリ「それは無理な相談なのよ」

ゲパルトS「なら無理やりするだけかな」

ピエリ「一つ聞きたいの、あなた殺すのが好きなの」

ゲパルトS「殺すのも好きだけど、もっと好きなのは死ぬときなんだ。みんな死にそうになるといっぱい声をあげて、それがとっても心地良いんだ。僕も死ぬ瞬間になったら、あんな風に声をあげるのかな? 興味はあるんだけど、全然そんな機会が来ないから」

ピエリ「……なら、その願いをピエリが叶えてあげるのよ」クルクルクル チャキンッ

ゲパルトS「どっちのかな?」

ピエリ「死ぬのは一度だけなのよ。それで終わり、何回も来ないの。だからピエリ、みんなのために戦うのよ」

ゲパルトS「それで?」

ピエリ「ピエリはね、守りたい人の最後が、こんな最後じゃないようにしてあげたいの。本当なら、こんな風に戦いで死ななくてもいはずなの。そうなるようにピエリは戦うの」

ゲパルトS「僕はそれはつまらないかな。痛みに苦しむ声が聞けないなんてさ」

ピエリ「だから、あなたにはその最後をあげるの。いっぱいいっぱい悲鳴をあげちゃう、そんな最後にしてあげるのよ」

ゲパルトS「……あははっ、それはとっても楽しみだね!!!」シュオンッ!

ピエリ「いくの!!!」ヒヒーンッ パカラ

 パカラ パカラ
 タタタタタッ

ピエリ「はあああっ!!!」バシュッ キィン

ゲパルトS「これで、悲鳴をあげてよね!」シュオンッ ドゴッ

ピエリ「きゃああっ、い、痛いのぉ…」

ゲパルトS「痛そうだね。でも、まだまだ死ねないでしょ? もっともっと声をあげて死ねるはずなんだから、もっと苦しませてあげる!!!」パラパラパラ

ゲパルトS「ライナロック!!!」ヒュオンッ

ピエリ「っ!」サッ

 ドゴォンッ

ゲパルトS「ちっ、まだ動けるの。動かないでいいのにさぁ」

ピエリ「はぁはぁ、そういうわけにはいかないのよ。まだまだ、この戦いが終わるまでピエリ戦い続け無いといけないの。あなたに負けてなんていられないのぉ!」

ゲパルトS「そういうのじゃなくて、悲鳴上げてって言ってるんだよ!」シュオンッ

ピエリ「んっ、今なの」パシンッ
 
 ダッ ダ ピョンッ

ゲパルトS「飛んだ!?」

ピエリ「ひれ伏せなの!!!!!」クルクルクル ブンッ

 ザシュリッ バシュンッ ゴロンッ ブシャアアアッ

ゲパルトS「がっ。うぐうううううっ、う、腕、おとされ……ぎいぃ、ぐあああっ」

ゲパルトS「ま、まだ。殺せる! これ……なら!!! ギンヌンガガ――」

ピエリ「終わりなの」ザシュッ

 ブシャアアッ……

ゲパルトS「あぐっ…ああ、あがああっ。はははっ、ぶ、無様な声、しか、でない」

ゲパルトS「ぜんぜん、ぜんぜん、たのしく、ないんだ。ははっ、自分がし、死ぬとき…が、こんな、につまらないなんて……期待、はずれだ……よ。兄……さん…、もっと、人をころし……て、た……」クタリッ

ピエリ「……」

ダークナイトI「ゲパルト様!? くそ、ここはもういい、兄上様と合流するぞ。生きている者は後退せよ!」

 タタタタタタツ

ラズワルド「ピエリ、大丈夫かい?」

ピエリ「ラズワルド、ピエリは大丈夫なの。それよりも、ラズワルドは平気なの?」

ラズワルド「なんとかね。レオン様に治療はしてもらえたし、ここで立ち止まるわけにはいかないからさ」

ピエリ「たしかにその通りなの」

 タタタタタッ

カムイ「ピエリさん。お怪我はありませんか?」

ピエリ「少しくらっちゃったの。でも大丈夫、それにちゃんと皆を守れたの!」

カムイ「はい、ありがとうございます、ピエリさん」ナデナデ

ピエリ「カムイ様に褒めてもらえて、ピエリとっても嬉しいの! 早く次に行かないといく準備を始めるのよ」

マークス「よし、このまま王の間入口へ攻めいるぞ!」

◆◆◆◆◆◆
―白夜王国・白夜平原『暗夜宿営地』―

マクベス「それは本当ですか?」

メイド「はい、本日の輸送分が届いていないということです」

マクベス「すぐに視察隊を王都へと派遣するとしましょう。何かしら問題が起きているのかもしれません。まぁ、輸送装置の故障か、もしくは脱輪による立ち往生かもしれませんが」

メイド「はい、わかりました」

マクベス「白夜への本格的な攻勢を開始しようというこのタイミングですか。物資の補給ラインは綿密に作り上げていますし、無限渓谷のラインはほぼ我々が抑えている以上、白夜に邪魔はできないはずですし。ふむ、何もないと良いのですが」

メイド「では、マクベス様」

マクベス「ええ、こちらの命令書を例の方々にお渡しください」

メイド「こちらをですね。中身は?」

マクベス「別に隠す必要もないでしょう。王城に残っているガンズたちへ前線部隊への参加命令を記したものです。視察隊にはそのままガンズたちと入れ変わりになるように書いてあります。もしも何か言われても、私の判断であると伝えるのですよ」

メイド「わかっております。やはり、この方々は戦績を残されなかったのですね」

マクベス「ええ、全く攻めず、お零れすら拾えない無能のようですから、何も問題の起きない王都でのんびりしているのが性に合っていることでしょう。それに、彼らに比べればガンズたちのほうが戦果を出せるはずです」

メイド「わかりました。ところでマクベス様」

マクベス「なんですか?」

メイド「その……本日の紅茶はいかがしますか?」

マクベス「今日は大丈夫ですよ。こちらに来てから作戦指示書のまとめや伝令など、多くをあなたに頼んでいますのでね。今日は命令書を届けていただければ、休んでもらって構いません。明日も白夜の守りを崩さねばなりませんので」

メイド「はい、わかりました。今度、お立てしますね」

マクベス「ええ、楽しみにしてますよ」

 バサッ バサッ

マクベス(今、ここには多くの物資はありますが、あと一か月も持ちはしません。それくらいは補給を任された者たちも理解できるはずですが、やはり戦線に居ない以上、危機感がないということなのでしょうか?)

マクベス「しかし、物資さえどうにかできれば、白夜を攻め滅ぼすことなど容易いこと、何の問題もありません」

「遅くとも、明後日には物資は届くはずですからね……」

今日はここまでで
 
 暗夜で反乱が起きていることをマクベスはまだ知らない
 

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・クラーケンシュタイン『王の間入口付近』―

ゲパルトP「……そうですか、弟は戦死しましたか」

暗夜兵「敵はこちらに向かっています。ここは王の間に敵を誘い込んでの、包囲殲滅で行くべきでは?」

ゲパルトP「いいえ、ガンズ様からの命令は入口の死守、ここで敵を食い止めます」

暗夜兵「しかし、相手は王族です。ここは王の間に陣取って迎え撃った方が……」

ゲパルトP「ガンズ様は逆転の秘策がある、そう言っていました。そして、準備のために時間が必要だとも」

暗夜兵「そ、それは本当ですか!?」

ゲパルトP「ええ、それらが整うまで、我々は敵の侵攻を抑える必要があります。大丈夫、我々が負けることなどありえません」

 タッ タッ タッ

暗夜兵「敵が視界に入りました」

ゲパルトP「全員交戦準備に入ってください。前には出ず、ラインを維持して敵の侵攻を抑えるように待機。ガンズ様の準備が完了するまで、時間を稼ぐのです!」

~~~~~~~~~~~~~~~

ラズワルド「カムイ様、敵は王の間入口に防御陣を築いているみたいです」

オーディン「見たところ、向こうから攻めてくるつもりはないみたいだな」

ルーナ「厄介ね、さっきの奴らみたいにラインをあげてくるようにも思えないわ」

カムイ「厄介なのは承知の上ですよ。この状況に至って防御に徹しているということは、何か手があるのかもしれませんね」

スズカゼ「現状あるとすれば、後方からの増援を待っているのかもしれません。ですが、それ以外となると、どういったものなのか予想ができませんね」

ルーナ「逆転の秘策がまだあるってこと? あたしたちの仲間も含めて多くが王城に入り込んでるこの状態を逆転するって、相当強力な一手なんじゃない?」

ピエリ「みんな一瞬で血みどろになっちゃうようなのかもしれないの」

マークス「まさに奥の手というものだな」

レオン「でも、あながちその可能性だってある。まだ発動させてない魔法具が無いとは言い切れないからね」

マークス「そうなるな。その準備が終わるまでの間を死守するのが奴らの役目ということだろう」

カムイ「レオンさん、敵はどのような編成ですか?」

レオン「前衛に重装兵と重装騎兵。後衛に弓兵、隊長であるゲパルトの兄の方も後衛にいるみたいだね。単純に見たところだと、前衛が攻撃を受けて、その合間に後衛が攻撃を仕掛けるっていう、典型的な防衛陣だ」

カムイ「なんとか端を崩せれば、動きの遅い重装兵をすり抜けて、後衛を攻撃できそうですね」

レオン「短時間で終わらせるなら、それしかないと思うよ」

カムイ「ええ、それで行きましょう。ピエリさん、ちょっといいですか?」

ピエリ「どうしたの、カムイ様」

カムイ「攻撃で前衛に穴が出来た場合の突撃ですが、私を乗せて行ってもらえますか?」

ピエリ「わかったの。でも、カムイ様が前に出て戦う必要なんてないのよ?」

カムイ「いいえ、そういうわけにいきません。それにピエリさんにも無理をさせてしまいますし、一人よりは二人のほうが成功率も上がりますよ」

ピエリ「それもそうなの。突撃する時はちゃんと掴まって、振り落とされないようにするのよ?」

マークス「よし、われわれは一点を崩す。その後は敵の連携を崩すために面攻撃へと移行、後方の一掃はカムイとピエリに一任する。任せたぞ」

カムイ「はい、マークス兄さん」

ピエリ「はいなの、マークス様」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ジェネラルA「……敵、来ます!」

ジェネラルB「本当にこれで持たせられるのか?」

ジェネラルC「持つか?じゅない、持たせるんだよ! 逆転の秘策、その準備が整うまでな!」

グレートナイトD「準備か、本当にうまく行くのか?」

ジェネラルB「実は隠し通路があって、そこから逃げてたりしてな?」

ジェネラルA「縁起でもねえこと言うなよ。俺達、完全に見捨てられてんじゃねえか」

ゲパルトP「無駄話はそこまでです。弓を構えてください」

アドベンチャラーたち『弓構えました』

ゲパルトP「各自目標は自由、敵を一人でも多く足止めするのです」

 パシュパシュパシュパシュ
 
 サッ ササッ

 パカラ パカラ 

マークス「行くぞ、ジークフリート!!!!」シュオンッ ギィン

ジェネラルB「ちっ、俺かよ!?」

ジェネラルC「いいから耐えろ! 俺たちには施しもあるんだ。あと、これでも後で飲んどけ」ポイッ

 パシッ

ジェネラルB「おっ、特効薬か。ありがとよ」

アドベンチャラーE「それに傷ならすぐに直してやる、ほらリライブだ、これで大丈夫だろ」

ジェネラルB「ああ、だけど、戦いが終わったら体自体はボロボロになってそうだ……」

 キィン ガキィン

ラズワルド「なるほどね、二列横隊にしてるのはこれが理由だったんだ」

オーディン「ああ、分厚いジェネラルに補助職を付けて長い間耐えられるようにしてるみたいだ。だが、この漆黒のオーディンの前にはどのような盾も無意味だと知ることになる。そうだろ、蒼穹のラズワルド!」

ラズワルド「もう二つ名の時間は終わってるから。だけど、そうだね。物理に強い分、魔法への対抗手段はあまり持ってないだろうから。ピエリとカムイ様のために、一つ穴をあけないとね」

オーディン「ああ、わかってるさ」

ラズワルド「僕が弓で牽制するから、その隙を魔法で叩けるかい?」

オーディン「任せとけ!」

ラズワルド「それじゃいくよ。それっ」パシュッ

 キィン

ジェネラルB「そちらか! くらえっ」ブンッ

 スッ

ラズワルド「今だよ、オーディン!」

オーディン「行くぜ、これでもくらえっ」シュオンッ バシュッ!!!

ジェネラルB「ぐおおっ」バチュンッ

オーディン「よし、これな――」

ジェネラルB「……御返しだ」ニヤッ

 ガシュンッ!

オーディン「えっ、ぐああああっ!!!」バチンッ

ラズワルド「なっ、オーディン!?」

ルーナ「ちょっと、何いきなり倒れそうになってんの!?」

オーディン「ぐっ、なんだこの痛みは………」ポタ ポタタッ

レオン「オーディン、大丈夫かい?」

オーディン「な、なんとか。くそぉ、一体何が起きたんだ、攻撃が当たったと思った、いきなり痛みが……」

ジェネラルB「へへっ、魔法はいてえからな。一方的にもらうのはごめんなんでよ」ヒュオン ヒュオンッ

レオン(前衛の壁役の顔、薄くだけど文様が刻まれてる。もしかして、これは……)

レオン「魔法での攻撃は止め、物理攻撃で敵を削るんだ!」

ジェネラルA「流石に王子、気付いたようです」

アドベンチャラーE「だが、その指示のおかげで敵の攻撃が物理一辺倒、受けるのがかなり楽になったんじゃないか?」

ジェネラルB「そうだな。しかし、やはりきつい、特効薬のむぞ!」ゴクゴクゴク

ジェネラル「ふっはっはっは、我らが壁の厚さに怖れ慄くがいい!」

 ガシャンッ ジャキッ

マークス「すぐに突き崩せると思ったが、そう易々とはいかないということか……」

レオン「敵は体に直接文様を刻んでるからね。おそらく、魔法攻撃に対する呪詛の類だね。受けた魔法攻撃をすべてとは言わないまでも、相手に無条件で返す、そういうものだと思う」

オーディン「すみません、レオン様。俺としたことが不甲斐無い……」

レオン「いや、僕も気が付かなかったから、最悪大事な臣下を一人失うかもしれなかった。本当に無事でよかった」

オーディン「ううっ、心配してくれてありがとうございます」

スズカゼ「不幸中の幸いですね。しかし、こうしてみると単純でありながら手堅い編成です。特にこちらが攻めるしかないとなると、敵の優位はさらに増すのかもしれません」

レオン「通常攻撃程度じゃ回復処置と後方支援で元通り、唯一の魔法で叩こうにも向こうには施しがある。いくら対重装装備があっても一撃じゃ倒れないし、最悪そのまま敵の集中砲火をうけることになる。どうしたものかな?」

オーディン「あの、レオン様。一ついいですか?」

レオン「なんだい?」

オーディン「この施しですけど、発動までに少し時間が掛ってました。もしかしたら、そこを突けるんじゃないかと」

レオン「……なるほどね。そういう仕掛けだとすれば、どうにかできるかもしれない」

 ヒュンッ キィン
  ヒュン ヒュン

ジェネラルC「どうやら、敵は面攻撃に切り替えるみたいだぞ」

グレートナイトD「激しい攻撃だが、こちらには補助も道具もある。このまま抑え続ければ!」

 パシュ パシュ

ジェネラルC「そのようなひ弱な攻撃では」

グレートナイトD「この壁は崩せない!」

アドベンチャラーG「そういうことだ」

 シャランシャラン

スズカゼ「そうですね。ですが、これで準備は整ったということです」

 タタタタタタッ

ラズワルド「ルーナ、準備はいいかい?」

ルーナ「いつでもいいわよ。だけど、これだけじゃ倒し切れないんじゃない?」

ラズワルド「流石に一回じゃ難しいかな。でも、僕達が作るのは下地だから、問題はないはずだよ」

ルーナ「それもそうね。それじゃ、行くわよ!」

 タタタタタッ

ジェネラルA「こっちは白兵戦か。いい度胸だ!」

ジェネラルB「よっし、全力防御ぉおおおお!!!」ガシンッ

 タタタタタッ

ルーナ「大き過ぎて邪魔なのよ!」ブンッ

ラズワルド「これで倒れてくれてよね!」ブンッ

 ガギィン ギギギギギギギギギ ガギィン 

ルーナ(っ、やっぱり固いわ。アーマーキラー一回じゃとてもじゃないけど破壊しきれない)

ラズワルド(流石に一撃ってわけにはいかないよね……)

ジェネラルA「ぐううっ、効きますね。ですが、まだ倒れていません!」

ジェネラルB「もう少し力があれば、俺達を倒せたかもしれないのにな。おらぁ、今度はこっちの番だ!」

 キィン カキン

ルーナ「やっぱり、力は強いわね。だけど、これだけダメージを与えられれば」

ラズワルド「多分いけるはずだよ。ルーナ下がるよ」

 キィン ガキィン

  ササッ サササッ

ジェネラルA「逃げましたか……。ううっ、流石に傷が深い、回復を」

アドベンチャラーE「ああ、少しだけ待て。俺も回復に回ったら、弓での支援ができなくなるぞ?」

ジェネラルB「関係ねえさ。どうせ、向こうの物理なんてひ弱な攻撃だけだし、唯一の脅威な魔法もさっきのでビビって使ってこないは――」

 パカラ パカラ
  パカラ パカラ

レオン「いくよ、オーディン」

オーディン「ええ、でも、本当に大丈夫なんですか?」

レオン「ああ、僕の考えが通りなら、奴らはこれで終わりだよ」

オーディン「わかりました。レオン様の言葉を信じます! いくぜ、必殺アウェイキング・ヴァンダー!!!!」

レオン「ライナロック!!!!」

 シュン バシュッ!

 シュオオオオオッ ドゴォォオン!

ジェネラルB「が、ぐぎゃああああっ!!!!」ドサリッ

ジェネラルA「ぎゃう!」バチュンッ!!!

 ドチャ ビチャリッ……

 ………

オーディン「何も来ない?」

レオン「体が生きてないなら、施した術も発動できないからね」

オーディン「な、なるほど」

レオン「そういうわけだから、道は作ったよ。二人とも」

 ダッ パカラ

ピエリ「ありがとうなの、行くのよ!」

カムイ「はい!」

アドベンチャラーE「くそ、こちらの二名がやられた!」

アドベンチャラーF「E、俺が前に出る! お前は――」

カムイ「ピエリさんは、前衛の相手をお願いします」

ピエリ「わかったの、それじゃ攻撃開始なの!」クルクルクル カシュッ

 ダッ

アドベンチャラーF「シャイニングボウなら、この距離でも間に合うはずだ!」シュオオオンッ

ピエリ「こっちよりも早いの!?」

アドベンチャラーE「F、俺も援護にまわ――」

 ダッ シュオオオオオオンッ

アドベンチャラーE「なっ、この光は!?」

カムイ・竜『失礼しますね』

アドベンチャラーE「くそぉ!!!!」チャキッ

カムイ・竜『はあああああっ』ブンッ ザシュンッ ブシャアアッ

アドベンチャラーE「ぐ、ぐぞぉあああ」ドサッ

アドベンチャラーF「なら、てめえだけでもあの世に送ってやる!!!」パシュッ

 バシュンッ

ピエリ「ひゃあっ!!! うううっ、痛いけど今度はピエリのほうからなの、てやあああっ!!!!」ブンッ ザシュッ

アドベンチャラーF「おぶっ……」ドサッ ビチャリッ

 ドゴンッ!!!!

アドベンチャラーG「! 右端が崩されました! このままでは包囲されてしまいます!」

ゲパルトP「くっ、Iは私と共に横の穴を埋めに回ってください」

ダークナイトI「あ、穴を埋めるって――うわあああっ!!!」ドゴンッ

カムイ・竜『……』

ゲパルトP「……裏切りの王女……」

カムイ・竜『それで構いませんよ。それで、ここからどうされますか?』

ゲパルトP「愚問ですね。戦い抜きますよ、そんな言葉で変わるほど、私の力は空っぽではないのです、あなたを斬り伏せるつもりです」

カムイ・竜『これ以上の抵抗は無駄です。部下と一緒に投降してください」

ゲパルトP「お断りです。あなたのような人に屈する理由はありません。私には信じているものがあるのです」

カムイ・竜『生きていれば、まだそれを信じ続けられるかもしれないんですよ?』

ゲパルトP「……ふっ、ガンズ様が言っていたこと、少しばかり私にも理解できた気がします。本当にあなたという人は、心にもないことを言えるのですね?」

カムイ・竜『これ以上の戦いは無意味だと言っているんです』

ゲパルトP「それはあなたの言い分です、カムイ王女。私にとっては意味のある戦いです。あなたにとっては無意味な、この戦いでさえも」

カムイ・竜『無意味な戦いではありません』

ゲパルトP「無意味ではないですか、そうですね。ここまで戦ってきたことを考えればそうでしょう。多くの方々は、これが無意味な戦いとは思っていないでしょう」

カムイ・竜『ですが、あなたの側にこれ以上戦うメリットはありません。死んで行くだけの戦いに身を投じることなんて』

ゲパルトP「死んで行くだけですか。ただ死んで行くだけ、そう考えているならあなたには愛国心など欠片もないのでしょう」

カムイ・竜『何を言っているんですか?』

ゲパルトP「…私は嬉しいのですよ。反逆者の中の王族、その中の一人よりも愛国心を持っていると思えることが。そして、その愛国心を褒めてくれた方がいる。それが育っていくことを楽しみに思ってくれた方がいるのです。その方にお仕えする時が来るのを楽しみにしていました。いずれ、あの方の信じる御仁の作る暗夜で、この愛国心を育んでいけるのだと。まだ、その希望を私は捨ててはいません。ここであなたに降伏したら、それを得ることはできなくなってしまうのです」

カムイ・竜『新しく生まれ変わった暗夜で――』

ゲパルトP「新しく生まれ変わった暗夜ですか、そんなものに興味はありません。そして、あなたの言葉は私のとって信じるに値しない、薄っぺらい者です。時間の無駄だと正直に言わせていただきます」

カムイ・竜『……』

ゲパルトP「私はあなたを殺すつもりです。あなたを殺したら、次は他の者を、次から次へと殺します。私の希望はそうやって紡がれるものなのですから。だから、あなたのその空っぽな力の剣を、今ここでへし折って差し上げましょう!」ダッ


カムイ・竜『薄っぺらいとしても。今、ここで折られるわけにはいかないんです!』ダッ

 キィン 

ゲパルトP「くっ、やはり力が強い……。まったく、この世の中というのは理不尽極まりない。心がなくても力を持っているだけで、崩されてしまうとは」

カムイ・竜『私には掲げているものが今はあります。それを否定されたくはありません』

ゲパルトP「否定ですか、ならば、ガンズ様の言葉をさっさと否定すれば良かったんですよ。私に言葉も同じように、否定すればいいのです!!!」ダッ

カムイ・竜『っ、うるさいんです!!!』ブンッ

ゲパルトP「ぐおっ、うぐうううっ!!!!」ドサッ ゴロゴロゴロ チャキィ ガタンッ

 ダッ

ゲパルトP「はああああっ!!!!」ブンッ

カムイ・竜『当たりませんよ』バッ ドゴンッ

 ゴロンッ ドサッ ドサリッ ガッ グググッ

ゲパルトP「がっ、ぐううううっ。まだ、まだ、倒れるわけにはいかない……がほっ」ビチャッ ヒタヒタ ガシッ チャキッ

カムイ・竜『なぜ、こんなになってまで。もう、戦うのはやめてください!』

ゲパルトP「嫌だと何回言わせるのですか?」

カムイ・竜『これ以上は死んでしまいます!』

ゲパルトP「当り前です。私は死んででもこれを貫きます。あなたは自分の命を費やしてまで、することなどないのでしょう。そんなあなたから見れば、私のしている行為など……ごふっ……。哀れに見えるのかもしれませんが、それで構わないんですよ」

カムイ・竜『なぜ、ですか……』

ゲパルトP「それが……私が命を推して求める。私の生き様だからです!!!!」ダッ

カムイ・竜『!』

ゲパルトP「はあああああっ!!!!!」

 タタタタタタッ






 ザシュンッ



 ポタ ポタ ポタタタタッ

 ズル ズルズルズル ドサリッ

 カランカランカラン……

 
ゲパルトP「」

カムイ・竜『……』

 シュオオオオンッ

カムイ「……生き様……私には…」

カムイ(リリスさんが命を掛けて私を守ったように、クリムゾンさんがシュヴァリエのために命をささげたように……。命を推してでも成し得たい、貫きたいことを皆持っているのなら……)

カムイ(私は……)

 ……イ!

カムイ(私は……)

 …カ…イ!

カムイ(私には……!!!)

「カムイ!!!!」

カムイ「!!!」

マークス「カムイ、しっかりするんだ」

カムイ「マ、マークス兄さん。他の皆さんは?」

マークス「すでに、ここの制圧は完了している。敵は降伏した」

カムイ「そう、ですか……」

マークス「カムイ、今は何も考えるな」

カムイ「兄さん……」

マークス「今するべきことを、お前はわかっているはずだ。今はそれだけを考えていろ」

カムイ「はい、わかりました。すみません、心配をおかけして……」

マークス「気にするな。よし、これより王の間へと向かう、全員、何が待っているかはわからない。十分に注意せよ!」

カムイ「……」

カムイ(そうです、今はこの戦いに集中するべきところです、だって――)

(私自身のことは……これが終わった後でも遅くはないはずだから)

今日はここまで

 ゲパルト兄弟はこんな感じです。
 次か次あたりで、この十九章前篇が終る予定です。

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・クラーケンシュタイン『王の間』―

 ガシャンッ ガシャンッ
  ガシャンッ ガシャンッ

ガンズ「へへっ……、これで十分か?」

 ギギギッ ギイイイイイイイ 

 タタタタタタタタッ

カムイ「ガンズさん、もう逃げられませんよ。魔法具を停止して投降してください」チャキッ

ガンズ「なんだ、もう気やがったか? ゲパルト兄弟もなんだかんだ言ってやがったが、所詮は口だけの雑魚だったな」

レオン「部下に戦わせるだけで自分自身は安全な場所に隠れているお前に、それを言う資格はないよガンズ」

ガンズ「へっ、俺はこの王都を預かってる身だ。あいつらは俺の部下、上の命令は絶対……。そう言えばカムイ、たしかてめえもそう言ってたよな?」

カムイ「ええ、そう言いました。ですが、仲間と共に闘わないあなたに言われたくはありません」

ガンズ「へっ、部下なんてのは使い捨ての消耗品と同じ、一つの物事で使い切って新しいのを補充すりゃイイ。次に来るやつも、その次に来るやつも、そうやって俺自身の欲望を満たすために、命令通りに動いてればいいんだよ」

レオン「ほとほと呆れるね。こんなのが上司だったらと思うとゾッとする」

ガンズ「なんとでも言いやがれ。そう考えるとあいつらはあまりにも使えねえ、こっちの準備が整うよりも先に死んじまったからよぉ。骨のねえ奴らばっかりだぜ」

マークス「そうか。ならば貴様の策が間に合うことはない、速やかに武器を捨て降伏せよ」

ガンズ「残念だったな、その推測はハズレだ」

 ゴゴゴゴゴゴッ

マークス「な、なんだ!?」

レオン「この先で、魔力が膨張してる……まさか、あの魔法具の!?」

ガンズ「推察通りだ。リミッターを壊させてもらったからな。これで誰も魔法具の効果から逃げられねえ、俺を除いてな」ジャラジャラ

レオン「その魔法具は……」

カンズ「言わなくてもわかんだろ、そういうものだってことくらいはな……。あとで弱弱しく抵抗してくる奴らを皆殺しにするためには必要だからなぁ」

カムイ「ガンズさん、あなたという人はどこまで人を殺せば気が済むのですか?」

ガンズ「へっ、気が済むことなんてねえさ。てめえこそ、いつまでそうやって巻かれて戦ってんだ? いい加減イライラも我慢の限界ってところまできてやがる。俺に対して怒りも覚えてねえのによぉ?」

カムイ「そんなことは……」

ガンズ「俺は自分がどんな人間かわかってるつもりだ。だからてめえらの甘ったるい言葉なんかに揺れるつもりはねえ、一人でも多く殺してえ、殺したくてたまらねえ。こうやって王城の結界でも耐えられ無いレベルにまで膨張した魔法具で、誰かが死ぬと考えただけで昂っちまう。俺はそういう人間なんだよ」

カムイ「だからなんだというんですか……」

ガンズ「へっ、だからな必死な奴ってのはそれなりに見分けられるつもりだ。わかるんだよ、カムイ。てめえの言葉には必死さも何もありゃしねえ、俺に対しての憎悪なんてこれっぽちもありゃしねえ。ただ、俺のしていることが間違っているってことを指摘してるだけだ。根本的に許せないなんてお前は思っちゃいねえんだよ。てめよりか、相手を騙そうと必死こいてるガキの三文芝居の方が鬼気迫ってるかもしれねえな?」

カムイ「……そんなことは」

 バツ

レオン「カムイ姉さん。あいつの言葉に耳を傾ける必要はないよ。こうやって言葉で煽って、時間を稼ごうとしているすぎない。それに僕としてはこいつの声をもう聞きたくもない」

ガンズ「へっ、ならもっと聞かせてや――」

レオン「黙れ、僕はお前のような奴を誇りある暗夜の住民だとは思わない。国としての発展望むわけでもなく、ただ破戒することだけに固執するお前のような存在は、過去にも未来にも暗夜王国に不必要な存在だ。そんな下世話な身でも、死ぬ場所が玉座の近くだってことに感謝してもらいたいくらいだよ」

ガンズ「そうかいそうかい、なら俺を雇ったガロン王様は、すげえ節穴ってことになるぜ」

レオン「そうだろうね。お前を雇った奴は間違いなく節穴だよ。国の行く末を考えない、そんな奴だろうね」

マークス「ガンズ、貴様のしていることはただの殺戮に過ぎず、そしてその身にある考えに暗夜を、そしてそこにある者たちを守るものではない。お前が消耗品だと告げた者たちも暗夜の民に他ならない。貴様が歩む道に意味などありはしない、その身に終わりのない欲望を吊るしているだけだ」

ガンズ「ああ? 望んで何が悪いんだ」

マークス「貴様の欲望はわれわれの敵である。戦うことではなく殺戮だけを望む、貴様のような存在を許すわけにはいかない。貴様が切り捨てた者たちも暗夜の民。そしてそれらを守ることが、私の掲げる正義の道だ!」

カムイ「二人とも……」

ガンズ「がーっはっはっは!!!! なるほどなぁ。これは傑作ってもんだ」

マークス「何がおかしい!?」

ガンズ「おかしい、どこもかしこもおかしいってもんだ。哀れだな、本当に哀れだぜカムイ。てめえは巻かれるだけじゃ足りねえみてえだな?」

レオン「カムイ姉さんをこれ以上侮辱するなら、容赦はしないよ」

ガンズ「おぉ、こええこええ。だがな、ここでてめえらは御終いだ。哀れなことも知らずに、死んで行けるんだ、俺に感謝してほしいもんだぜ」シュオン シュオン

レオン「!? あの魔法具、他になにかあるのか!?」

ガンズ「へへっ、おらあああああっ!!!!」ガキィン

 シュオオオオオオンッ ドボドボドボド……
 
 バチャンバチャン
 グルンッ

ノスフェラトゥ「グオォォォォ!!!」

ゴーレム「フオオオオオオオッ!!!!」

ガンズ「集めた生命力があれば、いくらでも呼び出せる。もうそろそろこの城にいる奴らにも影響が出始める。死んじまっても別に構いやしねえ。てめらをまとめてミンチにしたら、じっくり他の奴らを皆殺しにしてやるよ」

カムイ「そんなことは絶対にさせません!」

レオン「姉さん、魔物は他の皆に任せて、僕たちはガンズを討とう」

マークス「ラズワルド、ピエリ。魔物の列を崩し、道を拓け!」

ラズワルド「はい、わかりました、マークス様。行くよ、ピエリ!」

ピエリ「わかったの。マークス様、ピエリいっぱい頑張っちゃうのよ!」

レオン「オーディン、ルーナ、それにスズカゼも。同じように魔物を引きつけて道を作ってほしい。僕たちが通過した後は無理をせずに堪えてくれれば……」

オーディン「お言葉ですが、無理をするなってのは無理な注文ですよ、レオン様」

ルーナ「そうそう、それに無理しないとそのうちノスフェラトゥの缶詰が出来上がりそうだし、そんな暑苦しいの嫌だからね」

スズカゼ「はい、それにゴーレムの急所は心得ていますので、レオン様たちへ攻撃をさせるつもりもありません。無理をしてもいいのであればですが」

レオン「……仕方ないね。三人とも無理して構わない。だけど、互いの位置には気を配るんだよ」

カムイ「……ガンズさん」

ガンズ「へっ、それじゃ掛ってこいよ。てめえの空っぽな剣で、この俺を殺せるんだったらな!!!」

 バッ

 グオオオオオオオオッ!!!

~~~~~~~~~~~~~~~

 ザシュッ

ノスフェラトゥ「グォォォォォッ……」ドスンッ

ルーナ「はぁはぁ、これで何体目よ?」

 ザシュッ ブシャッ ドサンッ

ラズワルド「僕は十五体目かな。湧き出る水の如しって感じ、本当に斬っても斬ってもキリがないよ」

ピエリ「泣き言言わないの!……四時の方角のゴーレムがこっち見てるの」

スズカゼ「わかりました。あれは私にお任せください」

ピエリ「任せるの。ラズワルド、反対側からまたノスフェラトゥが来てる、攻撃態勢に入って、ピエリはこっちのを相手するの!」

ラズワルド「ほんとだ、またいっぱい来てる」

ルーナ「つべこべ言わずに避けて反撃よ。ほら、いつも踊ってるみたいに華麗に動いてみせてよ。ラズワルドらしい戦い方っていうのをね」

ラズワルド「簡単に言ってくれるよ……」

 チャキッ

ラズワルド「でも、可愛いルーナにリクエストされたら踊らずにはいられないね!」ダッ

 クルッ タッ シュパ スパッ ブシャアアアッ

ノスフェラトゥ「グオオオオオオッ!」

ラズワルド「それじゃ、僕と踊ってもらうよ!」

 ダッ ズシャ バシュッ

 タタタタタッ

ルーナ「まだまだ、倒れるには早いわ。あたしとの踊りも残ってるんだからね。ラズワルド、ダブルで決めるから。合わせなさいよ?」ダッ

ラズワルド「ははっ、踊りながら戦うのも悪くないね。こうやって、楽しく戦えるんだからさ!」ダッ

 ズシャッ バシュンッ ブシャアアアアアアッ ドスンッ!!!

ルーナ「よっし、決まったわね」

ラズワルド「うん、上出来だよ。ねぇ、ルーナ」

ルーナ「なによ?」

ラズワルド「今度なんだけど、いいお店を見つけたら一緒に――」

ルーナ「こんな時にばっかじゃないの? それに、それとこれは別話なんだからね」

ラズワルド「えぇ……」

 グオオオオオオッ ブンッ グンッ ブォン

オーディン「ふっ、風が囁いている。ここて倒れるのは俺ではない、貴様だとな」バサバサバサッ

 シュオンッ ザシュッ!
 グオオオオッ ダッ

オーディン「ふ、一発では足れないか。流石は黒き深淵から生まれし異形の住人。だが、次の攻撃でお前は!」

ピエリ「えいなのっ!」

 ブシャアアアアッ ドサリッ ゴロゴロゴロゴロ

ピエリ「これで二十なの! まだまだいっぱい倒すのよ。あ、オーディン、そんなところで立ってると危ないのよ」

オーディン「ちょ、ちょっとまてーい!」

ピエリ「なんなの、オーディン。今戦闘中なの、あ、わかったの二つ名をつけろってことなの? 漆黒のオーディンどうしたの?」」

オーディン「ぐっ、その名で呼んでくれて嬉しい。じゃなくて、今の俺の獲物だったんだよ」

ピエリ「そうだったの? ピエリ気付かなかったの」ブンッ ズビシャアア

オーディン「あのあと、俺の新しい必殺技が炸裂するはずだったんだ。いろいろと口上も考えてたのに、どうしてくれるんだよぉ」シュオンッ ザシュッ ブシュアアアアッ

ピエリ「新しい必殺技なの? 悪いことしたの、次は邪魔しないの、ピエリ約束はまもるから安心してほしいの」ザシュッ グリグリ ブシャアアアゥ

オーディン「本当に頼むぜ。俺にはまだ使っていない技が多くあるんだからな」シュオンッ バチュンッ グチャリ

ピエリ「そんなに技があっても意味無いと思うの。ピエリ、必殺技とかわからないけど色々あっても手持無沙汰になっちゃう気がするの」ズシャッ ゴロゴロゴロ ガキィン

オーディン「使いべきタイミングで使ったほうが輝くだろ!? ほら、今まで最強と思われていた技で倒れない敵、誰もが叶わないと思ったその時、格制した新たな技とか、そういうのすごくいいだろ?」シュオンシュオン ボボボボッ ビシィ バギィ ブチャンッ!

ピエリ「ピエリ、よくわからないの。でも、花してる時のオーディンとっても楽しそうなの。だから、少し楽しみにしてるのよ」

オーディン「ならば、今すぐ見せてやるさ。よし、そこの――」

ピエリ「やっつけちゃうの! オーディン、敵がまた増えてきたの、一緒にいっぱい倒すのよ!」バシュッ ビチャンッ!

オーディン「……ああ、わかった。必殺技を繰り出したいのに、くそぉ……」

スズカゼ「ゴーレムの急所は開いた仮面の奥ということですが……。一人で戦うには少々無茶をしなければいけないようですね」

ラズワルド「いや、一人じゃないよ」

スズカゼ「? ラズワルドさん?」

ラズワルド「なんだか移動しながら戦ってたら、スズカゼがあまり近づけなくて困ってるみたいだったからね。ルーナと連携しながら移動してきたんだけど」

ルーナ「ちょっと、ラズワルド。スズカゼと一緒に早くゴーレムをどうにかしてよ。あいつの岩石、正直避けるのだけで鬱陶しいんだから!」

スズカゼ「そうですね。ルーナさんの手を煩わせ続けるのも問題です。早急に処理しましょう」

ラズワルド「うん、それで僕はどうすればいいかな」

ルーナ「ラズワルドが変なふうに踊って、ゴーレムの注意を逸らす。逸らして蓋が開いたところをスズカゼが攻撃、これできまりよ!」

ラズワルド「ルーナは?」

ルーナ「あたしはここでノスフェラトゥを食い止めるから」

ラズワルド「流石にこの量を一人でどうにかするなんて危険だ」

ルーナ「平気よ。あたしを誰だと思ってるわけ、こんなのおちゃのこさいさいなんだから」

スズカゼ「たしかにルーナさんほどに腕に自信のある方なら、可能でしょう」

ルーナ「ほら、スズカゼもそういってるんだから――」

スズカゼ「ですが、そんな場所にか弱い女性を一人にしていくわけにはいきません」ガシッ

ルーナ「え? ちょ、何して!?」

ラズワルド「なんか、ごめんスズカゼ」

スズカゼ「いいえ、ラズワルドさんにお任せすべきかと思いましたが」

ラズワルド「いいや。僕が何を言っても聞かないと思うから、むしろ助かったってところかな?」

ルーナ「ちょっと、二人して何話してんの!? お、おろしなさいよ!」

スズカゼ「ええ、あそこのゴーレムを片づけた後に」

ルーナ「今すぐよ、今すぐ!」

ラズワルド「それじゃ、陽動を開始するから、スズカゼ。攻撃は任せたよ!」ダッ

スズカゼ「はい、ルーナさん。ちゃんと掴まっていてください。少々動きが荒くなってしまうと思いますので」

ルーナ「ちょっと、勝手に話を進め。きゃっ」ガシッ

スズカゼ「すみません、派手に動き過ぎましたか?」

ルーナ「そ、そんなことないけど。動くなら、動くって言いなさいよ」

スズカゼ「そうですね、今後は気を付けます」

ルーナ「ええ、今後は気をつけてよね。それじゃ、ちゃちゃっと倒して終わらせるわよ」

スズカゼ「はい、もちろんです」

~~~~~~~~~~~~~~~

 タタタタタッ

 グオオオオオオッ!!!

 ザシュッ バシュッ グシャアアッ

マークス「邪魔をするな!」

レオン「くそっ、あと一歩だって言うのに」

ガンズ「へへっ、悔しい顔したって現実は変わらねえぞ。てめえら何ぞ、俺に触れることさえできねえまま、衰弱していくんだからよぉ?」

カムイ「くっ、このままでは本当に……」

ガンズ「そうだな、このままいけば俺の勝ちだ。お前の仲間も全員倒れるだろうな。安心しろよ、俺が一つ一つ懇切丁寧に首を刎ねてってやるからよぉ。お前は髪引っ張って引きずりまわして、目の前で仲間の首が落ちるところを見物させてやる」

カムイ「そんなむごいことを、どこまであなたは腐っているんですか」

ガンズ「いいねえ、いいねえ。てめえは少しばかり仲間っていうのを大切には思ってるみたいだから、それを殺してやるたびにどんな顔をするのか、楽しみで仕方ねえ」

カムイ「ガンズさん、あなたという人は……」

ガンズ「殺してえか。俺を殺したいなら、そこでうだうだしてねえで、さっさと来ればいいじゃねえか? なぁ、カムイ!」

カムイ「ううっ、はあああっ!!!!」ドゴンッ ズビシャアアア タタタタッ

マークス「カムイ!? レオン、あとを追う――!?」

 グオオオオオッ ブンッ

レオン「くそっ、これがガンズの狙いか!?」

マークス「カムイ!」

カムイ「はぁはぁ、ガンズさん……」

ガンズ「ようやく一対一だ。カムイ……」ジャランッ

カムイ「私を信じてついて来てくれた仲間を、あなたの欲望を満たすための差し出すわけにはいきません」

ガンズ「そうか。そりゃそうだよな、てめえにとって仲間は大事な受け皿だからな……そう簡単には手放さねえよな?」

カムイ「受け皿、受け皿とはなんですか」

ガンズ「受受け皿だよ。てめえがいらなくなったものを受け取ってくれる、体の良いもんだ。しかも選り取り見取りだからな、てめえは本当に幸せものだ。何時でも巻きつけた理由で戦えるし、それを捨てられるんだからな」

カムイ「捨て……られるですって?」

ガンズ「ああ、あの二人の糞王子を見てて気づいたぜ。てめえに比べて、あの二人の言葉は中身があッたように感じたぜ。内容は甘っちょろすぎて吐き気を覚えるくらいだけどな。死にたくねえって俺から必死に逃げてる餌と同じくらいなものはな。おかしいもんだ、あんな二人がてめえみたいな空っぽにどうしてついて行こうとするのか、全くわからねえ」

カムイ「それはあのマークス兄さんもレオンさんも、それぞれが道を選んでくれたからです」

ガンズ「それがてめえの手放したものだってのは、もちろんわかってんだろうな?」

カムイ「私が……手放したもの?」

カムイ(なんですか、それは……私が手放したって……)

ガンズ「てめえにとっての仲間っていうのはな、てめえの安い頭で考えた目的やら理想やらを受け取ってくれる受け皿でしかねえんだよ」

カムイ「そ、そんなことはありません! 私は、私はちゃんと……理由を持って」

ガンズ「それはてめえの理由じゃねえだろ? 偽り掲げて何が理由だよ。てめえの理由はただの文字でしかねえ、それも誰もが共有できる仲良し財産、てめえ自身の財産はどこにもねえことを早く認めちまえよ」

カムイ「わ、私は。私は失えないんです、もう失ってしまうことは許されないんです!!! 私はもう、あのような思いを……」 

ガンズ「あの青い髪の奴のことか?」

カムイ「!!!!」

ガンズ「たしか、リリスって名前だったか? てめえみたいなのを構って全身ズタボロになって死んだんだってな? てめえを信じた結果だとすれば、まあ、妥当ってもんだぜ」

カムイ「なにが、なにが妥当なんですか!?」

ガンズ「てめえみたいな、空っぽな主にとって一番困る臣下っていうのがどんなのか、わかってんだろ?」

 ドクンッ

カムイ「い、一番困る……臣下……」

ガンズ「ああ、てめえみたいな空っぽでも……いや空っぽだからわかるはずだ。予想していたこと以外の進言をしてくる臣下っていうのは、本当に困る存在だよなぁ? カムイ」

カムイ「……な、なにを言って」

ガンズ「てめえにも面倒だって思う存在があるだろうさ」

カムイ「私が面倒だと思う、存在……」

ガンズ「もしかしたら、てめえの斬ってきた中にそんな奴がいるかもしれねえな――」

「てめえの考えた目的やら理想やらを受け入れてくれないような奴が、一人くらいはな?」

今日はここまで
 
 すべてのルートで、思考がぶれないガンズが一番心が強いと思ってる。
 次で前篇が終わります。

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・クラーケンシュタイン『王の間』―

ガンズ「そうだろ、カムイ。てめえにとって一番困るのは言ったとおりに動いてくれない、お前の意思を汲み取ってくれない、そういう奴らさ」

カムイ「違います、そんな、そんなことは!!!!」

ガンズ「へへっ。たしかあの反乱が起きる前に来客があったな。シュヴァリエの騎士、確かクリムゾンだったか?」

カムイ「!!!」

ガンズ「あの反乱でクリムゾンも死んだって話だが、報告じゃあいつを殺したのはカムイ、てめえらしいじゃねえか? わざわざ話をしに来てくれた奴を斬り殺すなんて、薄情なもんだぜ」

カムイ「殺したくて殺したわけじゃありません!」

ガンズ「そんなに叫んでも殺した結果は変わらねえだろ? てめえのことだ、思っちまったんだろ。なんで話を聞いてくれねえんだ、こっちはこんなに言ってやってるのに、どうして理解してくれねんだとか、そんな甘っちょろいことをな」

カムイ「な、なぜ……それを……」

ガンズ「言ってんだろ。それなりに分かるってな。てめえが考えてるより俺たち人間は自己中心的なんだよ。自分で考えてると繕って、結局は周りの理由に便乗するお前が、それをよく体現してるだろう? でも当然だ、てめえは引連れて歩いてるんだ。意見を述べるより周りの考えをさも自分の考えのように示した方が楽だし安全だ、別に恥じる必要はねえ。そしていずれは愛想を尽かされて見捨てられていけばいいんだよ」

カムイ「み、見捨てられるって……」

ガンズ「がっはっはっは。わからねえか、今のてめえに人が付いて来てるのはな、いるだけで箔が付くからだよ。実質的にお前の後には褒美も名誉もあるさ。そうしたもんについて来てるだけ、ただ空っぽのお前になんて誰も付いて来るはずもねえ、そうだろ?」

カムイ「あ……」

ガンズ「何もないてめえは、いずれ何もかも失うっていくのさ。戦いが終わった後、てめえに残るのは薄汚く陣営を変える裏切りの紋章だけ。だれもてめえを庇いやしない。いや、かばってくれる奴がいるかもしれないな。もちろん、そいつらも同じレッテルを貼られて生きていくことになる。裏切り王女カムイの腹黒臣下としてな……」

カムイ「……そ、そんなことは――」



カムイ(……そんなことはありえない、そう言えればいいのに。私にはそれを否定することが出来ない……)



カムイ(ガンズさんの言葉が耳にこびり付いて離れない……)

ガンズ「……」カッ カッ カッ

カムイ(どういう形であれ、私は反乱を鎮圧して王族に名を連ねた……。そして、今はマークス兄さんに率いられる形で戦っている。ガンズさんの言うとおり、今の私は状況に応じて陣営を変える姑息な女として見られてるんでしょう。それはこの先どんな道を選んでも変わらないことで、そのことを庇う誰かがいたら、その人も私と同じように……)

ガンズ「……」カッ カッ カッ

カムイ(なら、私はここで死んでしまっていいんじゃないでしょうか? 私が死んでもマークス兄さんなら、今戦う道を見つけているマークス兄さんなら、きっとみんなを引っ張ってくれる。私みたいな、何も求めていない人間に従って戦うよりは……)

ガンズ「へっ、もう言い返せねえか。まぁそれでいい、てめえの首はガロン王様の手土産にさせてもらうからよぉ? 感謝しな、一撃で首をぶっ飛ばしてやる。この俺なりの最大の慈悲ってもんだ!」ググ

カムイ「……」

カムイ(もう……私はいなくても……大丈夫ですよね……。私が掲げた理想は偽りで、それは皆の理想なんですから……)

カムイ(誰も迷ったりなんてしないはずだから……。もう私は、必要ないんです……)カチャンッ

ガンズ「おらあああっ!!!!」ブンッ!!!






 ガキィン!!!!



カムイ「……え」

 ギギギッ ギギッ

マークス「させんぞ!」

ガンズ「ちっ、糞王子……てめえ!」

マークス「はああっ!」バシィン

 ザザザザザッー

カムイ「……マークス兄さん。どうして……」

マークス「なにを不思議な顔をしている。カムイ、戦えぬのならこのまま下がりレオンと合流せよ。この男は私が斬り捨てる」

ガンズ「いいところで邪魔しやがって……。兄貴なら、死にてえって顔してる妹に引導を渡してやればいいじゃねえか? それが優しさってもんだろ?」

マークス「それは無理な注文というものだ。お前が殺人快楽をやめられないように、私にも折れてはならない道というものがある」

ガンズ「へえ、そうかい。ならその道ってやつを、今すぐへし折ってやるぜ!!!」シュオオオオッ

マークス「これは魔法具から力を得ているのか!?」

ガンズ「見ろよ、てめえのような糞王子なんか目でもねえ、体に力が溢れるのがわかるぜ。さぁ、その神器もろとも砕け散って、無様な死に姿を晒せええ!」

マークス「ぐっ、くっ!」

ガンズ「おら、どうした!! こんな蛮族上がりの攻撃も受け切れねえのか? 傑作だぜ、空っぽ王女にヘボ王子、こんなのが世界を救うとかほざいてるなんてなぁ!」

マークス「はああっ、ジークフリート!!!」シュオンッ ザシュゥ

ガンズ「へっ」キィン

マークス「なに!?」

ガンズ「がーっはっはっは。糞王子、てめえはカムイより必死みてえだが、力が弱すぎんだよ。今のこの俺にそんな攻撃が聞くとでも思ってんのか? 痒過ぎて笑いが止まらねえよ」

マークス「ちっ、カムイ何をしている。早くレオンと合流しろ!」

カムイ「いいんです。もう……私は……」

マークス「……カムイ」

カムイ「どうせだめなんです。私には……私には何もありはしない。マークス兄さんのように、私は自分の求めるものなんて見つけられない……。そんな私が、これ以上生きていても……。生きていたとしても」

マークス「カムイ、お前に死という道を選ばせるつもりはない」

カムイ「どうして……」

マークス「お前はここで死んでいい人間ではない。まだ、お前にはやるべきことがある」

カムイ「マークス兄さんが命を掛けて私を守る必要なんてありません! 私にはそんな価値なんて……」

マークス「それは私が決めることだ。ガンズと私自身の命、それを二つ乗せたとしても、お前には及ばないと考えている」

ガンズ「はっ、俺の命までこんなガキに与える気はねえよ。てめえの命だけで釣り合わせな」

マークス「貴様の命では足しにもならないという意味だ。その生き方は羽毛のほうが尊く感じられるほどだからな」

ガンズ「へっ、ならその羽毛よりも軽い命で奪ってやるさ。てめえらの命が、俺よりも価値のねえ命だってことをよ!!!」ダッ

 キィン キィン ガキィン!

マークス「カムイ、お前は暗夜の闇でも光り輝く星と同じだ。私が道を失ってもなお、どのような場所でも光輝く希望そのものに思えた。だからこうして、私はお前のために命を賭け戦える」

カムイ「マークス兄さん……」

マークス「カムイ、約束したはずだ。道が見つかるまで私はお前のための剣になると」

カムイ「兄さんはもう道を見つけているじゃありませんか」

マークス「ふっ……手厳しいことをいうな」

カムイ「兄さんならみんなを率いていけるはずです。私なんかよりも、もっとうまく、うまくことを勧められるはずなんですだから……」

マークス「カムイ、すべてがうまく行くことなどこの世にありはしない。どんなに努力しようとも、どんなに報われようとしても、全力で戦ったとしても。得られる結果が来るわけではないのだ」

カムイ「なら……」

マークス「だがらこそ、カムイよ、失敗を恐れるな。お前はまだ真白で、それゆえに偽りに身を馳せているのかもしれない。だが、それをお前は今理解しているのだろう?」

カムイ「ですが……私が元から何かを求めていれば、こんな……こんなことには!」

マークス「カムイ、過去にもしもを求めるな」

カムイ「!!!」

マークス「ここにやり直す術などありはしない、なにより、その考えはお前の道を否定する甘い幻想にすぎん。あがいて戻るのなら私もあがこう、だが現実は戻ることはない。そして人は空想で動きはしない、人が唯一動くのはその身が決めた意思、ただそれだけだカムイ、私はお前の兄として、生きていてほしいと願っている。だからこそ、私はここで命を賭ける!」

カムイ「だ、だめです。マークス兄さん!」

マークス「ふっ、私がガンズに負けるわけがあるまい。本気で行かせてもらうぞ」

ガンズ「ごちゃごちゃうるせえ、さっさと来いよ。そろそろ、どうにかしねえと、全員倒れて行動不能になっちまうからなぁ!」

マークス「私は負けん!!! はぁっ!!!」

カムイ「あ……」

カムイ(私はリリスさんの次に……マークス兄さんさえも失うというんですか……)

マークス「ぐぅっ、くううっ」

ガンズ「へへっ、もう疲労の色が見えてきてるぜ。そうだよな、てめえの言うとおりうまく行くわけねえんだよ。どんなにうまくやろうとしてもな、そうそう思惑どおりに事は進まねえんだよ!」ガシッ

マークス「!?」

ガンズ「おらあああっ!!!」ブンッ

マークス「くっ!!!」ドサッ サッ

カムイ(……前と同じように)

カムイ(リリスさんが死んでしまった時のように、叫びをあげて暴走して……)






 ドクンッ





カムイ(それで、いいんですか?)

 ドクンッ

カムイ(どうして、ガンズさんの言葉にこれほど打ちのめされているのか。理由をわかっているのに、それから目を逸らして、また同じように誰かに支えられたいと願っているこんな私のままで……)

 ドクンッ
 ドクンッ

カムイ「……」

 ドクンッ

カムイ(いいわけなんてない……)

 ドクンッ

カムイ(もう、私の背中を皆が押してくれている。この偽りはみんなからもらった力で、これ以上のものなんてもらえるわけがない。欲しがりを続けているのは多分、応えるのが怖いから……)

カムイ(皆の信頼に応えて、それが砕けていくのを見たくない、だから私は命を掛けて戦ってなんていなかった)

カムイ(私には何もない。それは認めなくちゃいけないことで、今すぐ見つけられるものじゃないこともわかってる。だけど、探しに行く事はできる。なら、もう歩み始めるしかない。後でなんてのは卑しい逃げ口上で、それ以外の何ものでもない……私は逃げる理由だけはいつだって見つけていたんだ。なら、探すのだって同じように見つけていける)

カムイ(マークス兄さんは私に悩む必要はないと言ってくれました。でも、それはやっぱり難しいみたいです)

 タタタッ

カムイ(だって、私は――)

 タタタタタタタッ!

カムイ(私であるために、この道を進むと決めてここにいるんですから!!!)

 ダッ

 キィン ドサッ

マークス「くっ!」

ガンズ「これで終わりだ糞王子! しねええええっ!!!!」ブンッ

 ガキィン!!!!!

マークス「!!!」

ガンズ「なっ!?」

カムイ「はああっ!!!!」

 ブンッ

カムイ「マークス兄さん、大丈夫ですか」

マークス「カムイ!」

ガンズ「へっ、いきなりでビビっちまったぜ。そこでブルブル震えてればいいのによぉ。空っぽで偽り掲げるしか能のねえ女らしくよ」

カムイ「そうですね。あなたの言うとおり、私は空っぽで偽りで戦ってきました。あなたの言うとおり、それしか能の無い女です」

ガンズ「なら、無能なりに死ぬのが――」

カムイ「ですが、そういうわけにはいきません」

ガンズ「なにぃ?」

マークス「カムイ……」

カムイ「マークス兄さん。すみません、私への気遣いを無駄にしてしまうことになりそうです」

マークス「……ふっ、かまわん。だが、本当に……」

カムイ「……大丈夫です。もう、皆さんの信頼を受け止められない私のままでいるつもりはありませんから」


マークス「そうか、だとしても私の立場は変わらない」チャキッ

カムイ「マークス兄さん?」

マークス「言っただろう、私は己が道を見つけるまでお前の剣となると。信頼するお前の剣であるとな……」

カムイ「あの……マークス兄さん」

マークス「どうした、カムイ?」

 ギュッ 

マークス「か、カムイ。なぜ手を……」

カムイ「信じてくれてありがとうございます。こんな私を……」

マークス「……私だけではない、他の者たちも同じ思いだ。お前は一人ではない。私達がお前と共にいるのだからな……」

カムイ「はい」ニコッ

 シュオオオオオオオオオンッ

ガンズ「な、なんだ!?」

マークス「!? ジークフリートから光が、ぐっ……こ、これは一体!?」

 シュオオオオオオオンッ

カムイ「夜刀神が反応している? まさか、マークス兄さんも、暗夜の勇者……」

 シュオオオオオオオオオオッ

マークス「剣の形が、変化していく!?」

ガンズ「ちっ、構わねえ、今すぐに終わらせてやる!!!うおおおおおおおっ!!!!」ブンッ

 シュオンッ!
 チャキッ
 
カムイ「させません、はああああああっ!!!!」ブンッ

 ガキィン!!!!!

 ピシ ピシシシシッ
 バラバラバラバラ

ガンズ「なっ!? 俺の武器が――!!!」

カムイ「今度はこちらから行きます。てやあああああっ!!!!」ダッ ドゴンッ

ガンズ「ぐおおあああっ」ダッ ズザザザザッ

ガンズ「ぐおっ!!! カムイ、てめえ!!!!」

カムイ「すみませんが、あなたの言葉にもう揺らされたりはしません」

ガンズ「へっ、すぐに変われるか。てめえの中にある卑しい考えも、そう簡単には変わらねえ」

カムイ「その通りです。その通りだからこそ、私はここであなたを倒して先に進まなくてはいけないんです。私の道を作り上げるために!!!!」

 ドンッ ガシィン

ガンズ「がっ……ぐおおおっ。このやろう!!!!」

 タタタタタッ

マークス「ガンズ、貴様の野望はここで終わりだ」ブンッ

 ブシャアアッ

ガンズ「ぐぎゃああっ。うぐぐっ、調子に、のりやがってええええ!!!」ダッ

カムイ「……」

ガンズ「死ね、死ねえええ死ねって言ってんだよ!!!! てめえのてめえのあり方なんて、認めるわけにはいかねええんだぁああああ!!!!!」

カムイ「もう折れたりしません!!!!」ダッ

 ザシュンッ

 ビシャアアッ 

ガンズ「うごああああああっ……俺となにも変わらねえくせに……、ちくしょうっ……」ドサッ

カムイ「さようなら、ガンズさん」チャキッ

ガンズ「」

カムイ「……はぁ、はぁはぁ……。ぐっ、はぁはぁ……」

マークス「カムイ、大丈夫か?」

カムイ「は、はい。なんとか……。ごめんなさい、今は動けそうにありません。それよりも……早く魔法具を」

マークス「しかし、ここにお前を置いて行くことなど――」

 パカラパカラパカラ

レオン「兄さん、姉さん、無事だったんだね」

マークス「レオン、すまない。あの場を一人で任せてしまった」

レオン「構わないよ。それよりガンズは……」

ガンズ「」

レオン「どうやら、二人には敵わなかったみたいだね。まぁ、心配はしてなかったけどさ」

カムイ「マークス兄さんのおかげです。それよりも早く魔法具の停止しないと……」

レオン「わかってる。兄さん姉さんのことは任せたよ」

マークス「ああ」

 パカラパカラ

カムイ「はぁ、あっ……」クタリッ

マークス「カムイ」ダキッ

カムイ「マークス兄さん、すみません」

マークス「なに、気にすることはない。それより、カムイ。お前の剣だが……」

カムイ「ええ、一体なにが起きたのかわからないんですが……。これは、マークス兄さんも暗夜の勇者だったということですよね。でも、どうして……」

マークス「……ふふっ」

カムイ「なにを笑っているんですか?」

マークス「いや、わかっていないのかと思ってな。カムイ、まずは礼を言いたい。私を信じてくれたこと、とてもうれしかった。お前が私を信じ心を開いてくれたことをジークフリートから感じた。そしてその直後に夜刀神は光り始めた」

カムイ「え?」

マークス「これはカムイが私を……いや私だけではない、皆を信じると決めてくれたその証だと思っている」

カムイ「私が皆を信じると決めた証……ですか」

マークス「ああ、だからカムイよ。私はお前に振われる剣ではなくなるだろう」

カムイ「そうですね、もうマークス兄さんは見つけているんですから、私の剣として戦い続けるのは宝の持ち腐れです」

マークス「ふっ、そう言ってもらえるならば、私も私の道に誇りを持つことができるだろう。そして、お前の兄として、そして支える仲間として歩んでいくとここで誓おう」

カムイ「マークス兄さん、ありがとうございます……」

 チャキンッ

カムイ(夜刀神……)

カムイ(あなたも私を信じてくれているんですね。私が空っぽな時も共に戦ってくれて……私を守ってくれた……。ずっと、偽りだった私に戦う力をくれた……)

カムイ「ありがとう……夜刀神……私は大丈夫です――」ギュッ

「もう、逃げたりしません。私と皆と……そして共に歩んで来てくれたあなたに誓って……」



 十九章 前篇おわり

 今日の本篇はここまでで

 剣を女の子が抱きしめてる姿って、なんだか興奮する。
 ジークベルト×オフェリア×ソレイユの番外と、スケベ番外は十九章の終わりくらいになると思います。

  
 






 ここから、2スレくらい、適当に書いた暑い夜のピエリリス番外。

◇◆◇◆◇











ピエリ「あつい、あついの!!!! このままじゃ、ピエリとけてなくなっちゃうの! お水のお風呂にはいっても、出たら結局熱いから関係ないの!!!!」

リリス「ピエリさん、文句ばっかり言わないでくださいよ」

ピエリ「ううっ、でも熱くて眠れないの。どうすればいいの、ピエリ寝不足なんて嫌なのよ」

リリス「……眠れない時は抱き枕を使うといいって聞きましたよ」

ピエリ「そうなの、でもひんやりしてる抱き枕なんて知らないの。そうだ、フェリシアとフローラなら体ひんやりしてる筈だから、とっても気持良さそうなの! リリス、二人を連れてくるの!」

リリス「ごめんなさい、ピエリさん。フェリシアさんとフローラさんは里帰りしてるんです」

ピエリ「使えないの……。ならリリスでいいの」

リリス「え、熱苦しくないですか?」

ピエリ「人じゃなくて、竜になるの。竜のリリスって体がツルツルしてるから、なんだかひんやりしてる気がするのよ」

リリス「私が眠れないじゃないですか!」

ピエリ「仕方無いの。騎士団に努めてるピエリと厩舎係のリリスだと、せきにんのおもさ……みたいなのが全然違うのよ」

リリス「あながち酷いこと言いますね?」

ピエリ「ふえええええんっ、眠れない、あつくてねむれないのぉおおおお!!」

リリスもう……今日だけですからね」

ピエリ「わーいなの!!!」

~~~~~~~~~~~~~~~~~

ピエリ「うふふっ、思ったとおりなの」

リリス「そ、そうですか」

ピエリ「うん、リリス、スベスベしててとっても柔らかくて、ひんやりしてるのぉ」ナデナデ

リリス「ひゃっ、ピエリさん変なところ触らないでくださいよぉ」

ピエリ「ピクピク反応して可愛いの。もっとぎゅーぎゅーしてあげるのよ」ギューッ

リリス「はうっ、ちょ、ピエリさん!」

リリス(ピエリさんの胸元に顔が、あっ、なんだかいいにおいがします)

ピエリ「? リリス、なにしてるの? 胸元、なんだかくすぐったいの」

リリス「い、いえ、なんでも無いですよ。え、えへへへ」

ピエリ「おかしなリリスなの。でも、なんだかこうして一緒に寝るのなんだか楽しいの」

リリス「そうですか」

ピエリ「そうなの。ピエリ、こうやって誰かと一緒にお布団で寝るの初めてだから……ううっ」

リリス「どうしたんですか?」

ピエリ「今さらだけど、なんだか恥ずかしくなってきちゃったの」

リリス「本当に今さらですね……。でも、なんだか嬉しいです」

ピエリ「?」

リリス「だって、こうしてピエリさんに頼りにされて、なんだかとっても嬉しいんです。ふふっ、おかしいですよね。誰かに尽くすことを仕事としてるのに、なんだかピエリさんに頼まれるのは、なんだかその、特別な気がしているというか」

◇◆◇◆◇









ピエリ「リリス……。そんなこと言われると、もっともっと頼りにしちゃうのよ」

リリス「いいですよ。もっともっと頼りにしてください」

ピエリ「それじゃ、後ろ向いてほしいの」

リリス「? こうですか」

ピエリ「えいっ」ギュギュッ

リリス「ひゃぁ!」

ピエリ「んーっ、リリスの背鰭とお腹のポンポンとっても気持ちいの」モミモミ

リリス「ん……、ひうっ…背鰭スリスリしちゃ、ひゃうっ、お腹、モミモミしないでくださいぃ」

ピエリ「……ふにゅ……」

リリス「はぁはぁ、ピエリさん?」

ピエリ「スゥー スゥー」

リリス「……眠っちゃったんですね。私の体ってそんなにすべすべしててひんやりしてるんでしょうか」

ピエリ「えへへ~」

リリス「ふふっ、困った人ですねピエリさんは、あなたに抱きしめられて私はとっても熱くなってるって言うのに、私のことを振り回して、でも、そんなところがピエリさんなんですよね」

ピエリ「むにゃむにゃ……んー、りりすぅ……」ギュウー

リリス「もう、甘えん坊さんですね。ピエリさんは本当に子供なんですから」

ピエリ「……」ペロッ

リリス「ひゃああああっ!!!ちょ、ピエリさん、首筋舐めっ、あっ、だめ、そこ、弱い、弱いんです。やめてっ」

ピエリ「ピエリ、甘えん坊でも子供でもないの」

リリス「お、起きてたんですか!? やっ、だめ、そんな、お腹触りながら、あうっ、背鰭、首舐めちゃ……」

ピエリ「ピエリのこと、子供扱いした罰なの。甘んじて受けるのよ」

リリス「き、騎士団の責任の重さがあるんじゃ」

ピエリ「そんなのより、リリスに罰を与える方が重要なの。熱い夜にするのよ」

リリス「ちょ、まって、ピエリさっ、ひゃうっ……もうぅ、らめぇ、背鰭そんなコリコリしたら、んやっ、駄目だからぁ!!!!」

「あっ…ひゃっ、んやああっ、っぅう……きゅううううううんっ!!!!!」

 おわり

 今日はここまでで

 本篇は暗夜編でファイアーエムブレムを完成させるとすると、ここら辺で夜刀神は暗夜になるべきかなという感じの流れで、ピエリリスはいつもどおりです。

 次の展開を安価で決めたいと思います。参加していただけると幸いです。

◇◆◇◆◇

カムイが話し掛ける人物
(今回の戦闘参加メンバーで支援A以下のキャラクターのみ)
・マークス
・ピエリ
・ラズワルド
・オーディン
・レオン
・スズカゼ

 >>310>>311

◇◆◇◆◇

 支援イベント発生の組み合わせ
(今回の戦闘参加メンバーのみ
 すでに支援Aになっている組み合わせが選ばれた場合やキャラクターが被った場合は、次の書き込みのキャラクターにしたいと思います。)

・マークス
・ピエリ
・ラズワルド
・オーディン
・レオン
・スズカゼ
 
 支援Aに到達している組み合わせ
『ラズワルド×ルーナ』

 一組目『>>312>>313
 二組目『>>314>>315

 このような形でよろしくおねがいいたします。

  

 

マークス
>>306
わかる

レオン

 すみません、仲間間支援イベントの選択キャラクターにルーナが入っていませんでしたので、こちらだけ再安価します。

◇◆◇◆◇

支援イベント発生の組み合わせ
(今回の戦闘参加メンバーのみ
 すでに支援Aになっている組み合わせが選ばれた場合やキャラクターが被った場合は、次の書き込みのキャラクターにしたいと思います。)

・マークス
・ピエリ
・ラズワルド
・オーディン
・レオン
・スズカゼ
・ルーナ
 
 支援Aに到達している組み合わせ
『ラズワルド×ルーナ』

 一組目『>>313>>314
 二組目『>>315>>316

 申し訳ありませんが、このような形でよろしくおねがいいたします。

ルーナ

ピエリ

スズカゼ

オデン

◇◆◇◆◇
―暗夜王国・兵舎―

ルーナ「はぁ、かなり遅くなっちゃった。こんな遅くまで賊が活動してるなんて思わなかったわね。ピエリはいっぱい殺して勝手に帰っちゃうし」

ルーナ「それにしても、今日のピエリは上機嫌だったわね。ノスフェラトゥの時より、なんだか楽しそうだったけど。人のほうが感触が違うとかそういうこと? まあいいわ、少し小腹が空いたし、軽く夜食でも……って、あれ、誰かいる?」

ピエリ「……」

ルーナ「ピエリ?」

ピエリ「あ、ルーナなの」

ルーナ「あ、じゃないわよ。後始末を全部あたしに押しつけて帰るなんて、今度したら承知しないんだから……って、なんでさっきの格好のままなのよ!?」

ピエリ「? 何かおかしいの?」

ルーナ「当り前じゃない。ここはキッチンなんだから、そんな汚れた格好でいると食材に問題がでかねないんだから……」

ピエリ「……そうなの。ごめんなの」

ルーナ「謝るんだったら、最初からどうにかしておきなさいよ。奇麗になりたいって言ってたけど、その姿が奇麗だなんて全然思えないのにね」

ピエリ「そんなことないの。ピエリが知ってる一番きれいな人も、こういう格好してたの。だから、ピエリもそうなりたいのよ」

ルーナ「……あー、なるほどね。ノスフェラトゥの血は苦手ってそういうことだったわけね」

ピエリ「ノスフェラトゥの血は緑なの。でも相手が人間だといっぱい返り血浴びて奇麗になれるの。だからピエリ、いっぱいえいってしちゃうの!」

ルーナ「ふーん、それで誰なわけ? そのあんたが認める奇麗な人っていうのは」

ルーナ(まぁ、返り血浴びて真赤って考えると、あまり良心的なやつじゃなさそうだけど)

ピエリ「うん、お母さんなの」

ルーナ「……えっ?」

ピエリ「お母さん、とってもきれいだったの。最後に見たときね、こんな恰好だったのよ」

ルーナ「ピエリ、それって……」

ピエリ「……ピエリ。もっともっと血みどろになれば、お母さんみたい奇麗になれるはずなの……」

ルーナ「ピエリ、一緒にお風呂に行くわよ」

ピエリ「え?」

ルーナ「いいから行くわよ。奇麗になりたいのはわかったけど、このままいたら衛兵にあたしも一緒に衛兵に怒られちゃうし」

ピエリ「怒られるの嫌なの」

ルーナ「あたしだって嫌よ。だから行きましょう」グッ

ピエリ「うん、早くお母さんみたいに奇麗になりたいの」

ルーナ「ピエリ、そんなにならなくてもあんたは奇麗よ」

ピエリ「? そうなの?」

ルーナ「ええ。だから、今度一緒に出かけない?」

ピエリ「一緒にお出かけうれしいの。ルーナとお出かけ楽しみなの!」

ルーナ「証明してあげるから、あんたはそんなことしなくても、大丈夫だって……」

【ルーナとピエリの支援がBになりました】

◇◆◇◆◇
―暗夜王国・倉庫―

オーディン「はぁ、じゃんけんに負けたとはいえ、こんな埃被った倉庫の整備をしないといけないなんてよぉ。はぁ、さすがに骨が折れそうだ」

スズカゼ「こんにちは、オーディンさん。ものすごく困ったような顔をしていますが、一体どうされたのですか?」

オーディン「困った顔、違うなこの想像を絶する広大な空間に蠢く者たちを前に、作戦を練っているのだ」

スズカゼ「なるほど、この倉庫の清掃を始めたい、ですがあまりにも中が渾沌としていてどうするべきか悩んでいるというところですね」

オーディン「……。えっと、つまりその通りです」

スズカゼ「やはりそうでしたか。オーディンさんは中々に興味深い言葉遣いが多いので、うまく訳せているか不安でしたが」

オーディン「……まさか、貴様も選ばれし者だというのか!?」

スズカゼ「そうですね、オーディンさんがそう思うのでしたら。私もまた選ばれし者なのでしょう」

オーディン「おおっ……ここまで乗ってくれるのか。正直、少し嬉しい……」

スズカゼ「オーディンさんが嬉しそうでなによりです。ですが、今はこの倉庫を片づけるのを先にしましょう。オーディンさん、私も力をお貸ししますので」

オーディン「……いいのか。俺に触れると暗黒の力に犯されてしまうかもしれない、お前を巻き込むわけには」

スズカゼ「心配は無用ですよ。それに、どんなものに飲まれようとも私は私です。それでは取りかかることにしましょう。これは二人掛かりでも、日が暮れそうな物量ですので、気を引き締めていくとしましょう」サッ

オーディン「あ、ああ……」

オーディン「……」

オーディン「なんでだ。なんで、ちょっと負けた気分になってんだよ。まるで、本物に出会ってしまったような……」

オーディン「……そんなわけないか。ふっ、スズカゼ、俺よりも先に先に足を踏み入れるとは、だが何も恐れることはない。今日でこの世界も終わりを迎えるのだからな! いくぞっ!!!」ダッ

【スズカゼとオーディンの支援がCになりました】

今日はここまで
 
 ピエリの闇、その奥深くにあるのは、母親に会いたいという思いなのかも知れないって思った。

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・王都ウィンダム『クラーケンシュタイン』―
 
 ~クラーケンシュタイン陥落から二日後~

マークス「それで王都全体の復旧状態は?」

クーリア「はい、魔法具も止まり、敵王都守備隊もすべてが降伏しました。被害についてですが、やはり魔法具の影響は凄まじかったようです。特に多かったのは子供と老人、次いで敵捕虜の中でも重症であったものたちです」

マークス「そうか。民には辛い時期なるやもしれないが、それをわれわれでカバーしていこう。とくにこの機に乗じて略奪を企てようとする者たちで出てくるだろう。警戒を怠らぬようにな」

クーリア「はい、わかっております。マークス殿」

マークス「次にシュヴァリエ兵長」

シュヴァリエ兵長「はい、なんでしょうか、マークス王子」

マークス「ミューズ公国への使者についてだが」

シュヴァリエ兵長「お任せください。すでに我らの使者がミューズ公国へと向かいました。それに――」

部族兵長「私たちの使者も、先ほどディアへと向かい、明日にはノートルディア公国に達する見込みです。前にあった襲撃時間のこともありますので支援活動の一貫も兼ねて送らせていただきました」

マークス「うむ、ありがとう。それで注意を引くために戦ってくれていた者たちについては……」

クーリア「はい。すでに王都陥落の話は暗夜全土に上がっており、遠征部隊を後追いするように追撃部隊も出立しています。囮の者たちは散り散りになりながらも、合流地点である黒竜砦に向かっていることでしょう。何も問題はありません」

マークス「クーリア、わかっているだろうが」

クーリア「はい。敵を殲滅するつもりはありません。押し出すように無限渓谷を渡らせる予定です。王都を失った今、彼らも無理に王都奪還などしないでしょう彼らには今最高指揮官がいませんのでね。なにより軍師マクベスやガロン王にこの件を伝えるためにと移動することでしょう。追撃部隊には深追いをせず、無限渓谷に防衛陣を築ける状況を作り上げるよう指示を出しておきました」

マークス「わかった。それと、周辺の部族の多くが王都に向かっているという話だが?」

部族兵長「ええ、まあ長いものには巻かれろというものでしょう。噂を聞いてマークス王子の元に忠誠を誓いたいということですが。兵力になるかはわかりません」

マークス「そうか。これで父上が仕切る侵攻部隊の補給線を一時断てたとはいえ、この先どう転がっていくかはわからないものだな」

クーリア「そうですね。暗夜での戦いという意味ではこれで終わりですが、未だに白夜との戦争状態は継続しています。私達に求められる次の動きを考えれば……」

マークス「おそらくそうなるだろう。できる限りの案をまとめてすぐにでも行動を起こす必要があるな。シュヴァリエ兵長、そして部族兵長は引き続き王都の警備、治安維持に努めてほしい」

シュヴァリエ兵長・部族兵長「わかりました」

 ガタンッ
 
 ガチャ バタン

マークス「……すぐにでも離れなければならないというのは不安になってしまうものだな」

クーリア「確かにマークス殿がこのクーデターを表向きに成功させたというのは真実です。ですが、その状況だからこそ、再び戦線に立たれることを民衆は理解してくださるはず。その真意を測れない者たちもいるでしょうが、それが結果的に良い方角に進むのであれば、その行動は間違っていません」

マークス「そうなるといいのだがな」

クーリア「そうですね。ですが、今回の戦いで色々と良かったこともあるというものです」

マークス「?」

クーリア「カムイ殿のことです。私はカムイ殿のために戦うと決めていましたので。闘いが終わった時の彼女は、何やら見違えるような雰囲気を持っていました」

マークス「……そうか、クーリアにそう言ってもらえるのならば、カムイはたしかに歩み出せたということかもしれないな」

クーリア「歩み出したということですか。あのカムイ殿がさらに強い志を持って歩き始めたというと、まさに虎に翼というというもの」

マークス「それをカムイに言ってもやんわりと否定することだろう。カムイはそういう人間だ」

クーリア「それもそうでしたな」

 ガタッ

クーリア「おや、どちらへ?」

マークス「ああ、少し妹の様子を見てくる。戦いが先日のことだ、少しは心配になってしまうのも仕方がない」

クーリア「わかりました。私はしばし資料をまとめておりますので」

マークス「すまない」

クーリア「気にしないでいただきたい。それに、間接的にも私はカムイ殿に従っているだけですので」

マークス「食えない男だな。失礼する」

 ガチャ バタン

―クラーケンシュタイン『休憩室』―

カムイ「ん、ん……」

 カサッ ゴソッ

カムイ「……スースー」

 ガチャンッ

マークス「カムイ、起きているか?」

カムイ「んっ、んえ?」

マークス「カムイ、もう目覚める時間だぞ」

カムイ「マークス兄さん……。すみません、おはようございます……」

マークス「すまないな。昨日も王都まわりの魔物を一掃するために動いてもらっていたというのに……」

カムイ「いいんです。今の私にできる行動はこれくらいのことですから。暗夜での私の役割はマークス兄さんの忠実なる剣ですし、それが王都の安全に繋がるなら安いものです」

マークス「そう言ってもらえると助かる」

カムイ「いいんですよ。気にしないでください、私にできることはこれくらいだって理解してるつもりなんですから。それにあの窮地で私を救ってくれたマークス兄さんには、こんなことで恩を返し切れません」

マークス「恩はもう返してもらっていると言っているだろう?」

カムイ「信じてくれたということでお相子というのは、なんだか私が腑に落ちないんですけど」

マークス「そう言ってくれるな。妹からこれ以上求めるなど、兄として顔が立たないのだ。わかってほしい」

カムイ「ふふっ、わかりました。もう、このことについては何も言いません、安心してくださいね?」

カムイ「でも、どうしたんですか?」

マークス「? 何がだ?」

カムイ「いえ、こんな風にマークス兄さんが起こしに来ることなんてなかったのに。あったとしても幼いころくらいだったと思ったのですが」

マークス「ああ、その兄らしいことをしようと思ってな」

カムイ「兄らしいこと、ですか?」

マークス「ああ、昨日疲れ果てているだろうから、寝坊してしまうのではないかと心配してな。案の定、いつもなら起きている時間に起きていないようだったから、私の心配は間違いではなかったということだ」

カムイ「ああ、そういうことだったんですか。ふふっ、ありがとうございます、マークス兄さん。でも、疲れ果てていると思ってくれるなら、もう少し休ませてくれても……」

マークス「残念だが、そういう甘やかしはしないつもりだ」

カムイ「意地悪ですね。でも、そういうのがマークス兄さんらしいって思います。優しいけど厳しいところは厳しい、そんなところが」

マークス「そ、そうか……」

カムイ「ふふふっ、照れてるんですか。なんだかんだで、厳格なマークス兄さんのイメージだけを持った人が見たら、驚いちゃいそうな姿ですよね」

マークス「はぁ、でも、お前が以前のようになってくれたこと、私は嬉しく思うぞ。カムイ」

カムイ「そう考えると、マークス兄さんは私を変えてくれた男性ってことになりますね」

マークス「う、うれしいが。もっとやわらかい表現で頼む」

カムイ「うふふっ」

カムイ「それじゃ、着替えますね」

マークス「ああ、私は――」

カムイ「んしょ、えっしょ」ヌギヌギ

マークス「な、なにをしている!?」

カムイ「え、何って着替えですよ? さすがに寝間着のままというわけにはいきませんから」

マークス「その通りだが、私がここにいるんだぞ?」

カムイ「ええ、それがどうかしましたか? 兄妹なんですから、気にすることもないじゃないですか」

マークス「そ、それは、いや、だめだ、駄目だカム――」

カムイ「すみません、マークス兄さん。ベッドに置いてある服を取っていただけますか?」

マークス「いや、それくらい自分で」

カムイ「お願いします、兄さん……。兄さんにしか頼めないんです……」

マークス「……わ、わかった。わかったから、その甘い声をやめるんだ」

カムイ「え、そうなんですか? 異性の方に服を取ってもらう時はこうした方がいいと、カミラ姉さんから教わったのですが」

マークス「カミラ……」

マークス(なぜだ、怒りよりも多く感じるこの賞賛の感情は……)

マークス「こ、今回だけだ。これでいいか?」

カムイ「はい」

マークス「着替えが終わり次第、議会室に来るように頼む」

カムイ「ええ、わかりました。ふふっ、なんだかまだ顔が赤いみたいですよ、マークス兄さん」

マークス「あ、兄をからかうんじゃない」

カムイ「ふふっ、わかりました」

 ガチャ バタンッ

マークス(……カムイ、思った以上に立派だったな)

マークス(だが、やはりカミラほどではないな)

 スタスタスタ

―クラーケンシュタイン・廊下―

レオン「それでマークス兄さんに起こされたってわけ?」

カムイ「はい。なんとも面目ない話です」

レオン「でも、確かに昨日の掃討戦は大規模だったからね。そのおかげもあって、たぶん生きてきた中で魔物出現率が限りなく低い状況が出来上がってるね」

カムイ「これから先のことを考えると、王都の安全は確実な物にしたいですからね。それを考えたら族も魔物も危険要素に変わりありませんので」

レオン「たしかにね。こう考えると最初の流れから変わってるとはいっても、着実に目指すべきものには近づけてるってことになるね」

カムイ「ええ、それも皆さんのおかげです」

レオン「違うでしょ、姉さんだって今回は頑張ったんだから」

カムイ「そ、そうでしょうか?」

レオン「マークス兄さんから聞いたよ。ガンズとの戦いで、あいつの言葉に揺らされていたって」

カムイ「……ええ。いろいろと曝け出されてしまいましたから……。私の弱い部分を多くを指摘されて戦えないほどになってしまうくらいに。本当に今まで偽ってきたこともあって、情けなくなってしまいますよ」

レオン「でも、その分姉さんは歩み出したんでしょ? なら、今はそれでいいんじゃないかな?」

カムイ「それでいいですか?」

レオン「うん。僕はそう思うよ。それにすぐに変われないことくらい、姉さん自身が良くわかってることじゃないかな?」

カムイ「うっ……それは、そうですね」

レオン「ならもう大丈夫だよ。今までの姉さんは自分がどういう人間なのかをわかってなかっただけなんだから。分からないことはわからない、でもわかってるならもうどうすればいいかわかるはずでしょ?」

カムイ「……たしかにそうですね。はぁ、レオンさんの前ではなかなか立派なおねえちゃんじゃいられませんね」

レオン「立派なお姉ちゃんって」

カムイ「はぁ、レオンさん朝起こしに行く以外に、私にお願いしてくれないじゃないですか」

レオン「あ、あれでも最大譲歩してるんだよ!?」

カムイ「どうしてですか。本当は甘えたいって零したレオンさんはどこに行ってしまったんですか?」

レオン「確かに甘えたいって言ったけど、いつもってわけじゃないよ。それに……」

カムイ「それに?」

レオン「多分、一度いっぱい甘えたら、甘えるのをやめられなくなっちゃいそうで――はっ!」

カムイ「うふふっ」ニコッ

レオン(しまった、口が滑って。ああ、もうっ!!!)

レオン「ちがう、今のは違うから」

カムイ「へぇ、そうなんですか。ふふっ、甘えたら、甘えるのがやめられなくなっちゃいそうなんですか?」ナデナデ

レオン「うわっ、姉さん。なんで頭を撫でて、そんなに撫でないでよ!」

カムイ「ふふっ、本当は甘えたいのに甘えたら歯止めが利かなくなっちゃうからなんて、本当はどんな風に甘えたいんですか?」

レオン「ちょ、ちょっと、耳元でささやかないでくれな――はぅっ」

カムイ「私、結構気になてるんですよ。子供の頃からずっと、ずっとレオンさんがため込んできた甘えたいって気持ちがどういうものなのかなって」

レオン「そ、そんなこと言えるわけが……」

カムイ「ふふっ、言えないようなことなんですか?」

レオン「そ、そんな変なことじゃ……」

カムイ「だったら、今私に頼んでもいいんですよ」

レオン「え?」

カムイ「今、この周辺に気配はありませんから。今ならレオンさんの望むことを一つ叶えてあげられます」

レオン「……」クルクル

レオン(ほ、本当に誰もいない……のか?)

カムイ「安心してください、嘘なんて吐いてませんよ。それで、お姉ちゃんにどんなことをしてもらいたいんですか?」

レオン(ちょ、ちょっとまって、まずい。このままじゃ流され、だ、だめだだめだ。落ち着くんだ、僕。落ち着いて……この状況から抜け出さないと――」

カムイ「レオンさん」

レオン「な、なんだい。姉さ――」

カムイ「おねえちゃんに、いっぱい甘えてくださいね?」

レオン「………」

レオン「……してくれるかな」

カムイ「?」

レオン「抱きしめてほしい……」

カムイ「わかりました」ギュッ

レオン「……姉さん」

カムイ「大丈夫ですよ、誰にも言ったりしません。私はレオンさんのおねえちゃんなんですから」

レオン「ごめん、もっと強くしてもらってもいいかな……」

カムイ「はい」ギュウウッ

レオン「……」

レオン(昔から肩肘張らないで、こうやって甘えられてたら良かったのかな……)

カムイ「ふふっ、レオンさん。体中とっても温かくなってますよ」

レオン「うん、姉さんも温かい」

カムイ「ええ、もう大丈夫ですか?」

レオン「あと少しだけ。少しだけこのままでいいかな?」

カムイ「はい、わかりました。レオンさん」

レオン「うん、ごめん。姉さ――」

カムイ「謝らなくていいんですよ、私が甘えてくださいってそう言ったんですから」

レオン「……そうだったね」

カムイ「ええ、だから大丈夫です」

レオン「……もう大丈夫。ありがとう、姉さん」

カムイ「いいえ、どういたしまして。それじゃ行きましょうか?」

レオン「うん」

 今日はここまでで
 
  レオンもおねえちゃんパワーには敵わなかったよ。

~~~~~~~~~~~~~~~~

―暗夜王国・クラーケンシュタイン『議会室』―

 ガチャ バタンッ

アクア「カムイ、遅かったわね」

カムイ「アクアさん、おはようございます」

カミラ「ふふっ、レオンのことを起こしに行ってたのかしら?」

カムイ「そうですね、レオンさんの奥深くに眠っているものを、先ほど目覚めさせたところですね」

エリーゼ「奥深く眠ってる?」

アクア「カムイ、なんでオーディンみたいな表現を……あれ?」

レオン「な、なんだいアクア?」

アクア「……レオンから少しだけカムイの匂いがするわ」

カミラ「え、本当?」

エリーゼ「そ、そんな匂いするかな?」

レオン「な、何を言ってるんだい、アクア……」

アクア「冗談よ。ねぇ、そうでしょう、カムイ?」

カムイ(なぜかわかりませんが、アクアさんから重たい視線を感じますね……)

マークス「まったく、お前達は朝から騒がしいものだな。一体何があったのだ?」

カミラ「マークスお兄様。アクアがレオンからカムイの匂いがするっていうの。それで、みんな興味津々になっちゃってね」

レオン「カミラ姉さんもやめてよ!」

マークス「ふっ、レオン。別に問題がないなら、憮然としてればいいことだ。それに甘えることに別段問題もないだろう」

レオン「甘えることって……え?」

マークス「やはり通路というのは中々視線が通る場所だ。そうは思わないかレオン」

レオン「」

カムイ「それでマークス兄さん、私たちをここに集めたのは……」

マークス「ああ、今後のことについてのことだ。今、暗夜王国は二分されているが、今後の方針を含めて話をしなければならないと思っていた」

カムイ「なるほど、そういうことですか。わかりました、アクアさん隣の席、よろしいですか?」

アクア「え、ええ。いいわよ」

カムイ「ありがとうございます」

アクア「……」

カムイ「アクアさん、どうしましたか?」

アクア「いいえ、なんでも無いわ……」

マークス「まずは簡単な状況の確認をすべきだろう。われわれとしての暗夜王国、父上が率いる暗夜王国、そして――」

レオン「未だ戦争状態にある白夜王国……だね」

マークス「ああ、私たちの出現はある意味第三勢力と何ら変わりはしない。そして、現在の戦力規模だけで言えば、五分五分と言ったところだろう」

アクア「三勢力ですから三割三分といったところね」

レオン「僕たちは政治的に優位な位置にはいる、それを活かして周辺諸国との繋がりを強くしていくのも手かもしれないけど」

マークス「うむ、あまり時間はない。クラーケンシュタイン陥落の話は父上、いや白夜へ出兵している者たちの耳にも届いていることだろう。父上を乗っ取っている異形神に選択の隙は与えないようにしたい」

カミラ「ということは、お兄様なりに考えていることがあるということよね?」

マークス「ああ、私は暗夜を率いていくことになる。その上で父上とは違う道を歩むつもりだ。だが今の間、多くの公国との繋がりはできうる限り、留めていくことにする」

レオン「いいのかい?」

マークス「……確かに国同士の繋がりは多くあったほうがいいだろう。だが、今この大陸全土は戦いに疲弊している。戦いを望まない小さい集落の者たちを駆り立てるような真似はできない」

レオン「……わかったよ。でも、困ったことがあったりしたらいつでも相談して。力になるからさ」

マークス「もちろんだ。私だけで暗夜を導いていけるとは思っていないのでな。その言葉が私にとって最大の励みとなるだろう」

カミラ「ということは、暗夜王国じゃないことを話すために私たちを集めたということね?」

マークス「ああ、そういうことになる。カムイよ」

カムイ「は、はい」

マークス「これからのことをお前に聞きたい。私はお前を支える剣だ。この意味、理解できるだろう?」

カムイ「……はい」

アクア「カムイ、あなたは……」

カムイ「大丈夫です。それに私の状態をちゃんとみんなにも知ってもらいたいと思いますから」ガサゴソ コトッ

アクア「そ、それは……」

カムイ「これからの話の前に、皆さんへお聞きしたいことがあります。これはアクアさんが私を助けるために私に施してくれた竜石です。皆さんには、これが何色に見えますか?」

アクア「カムイ……」

カムイ「……」

マークス「私の瞳に映った通りに言えばいいのだな?」

カムイ「はい」

マークス「……深い黒といえばいいだろう。暗黒にも似た色をしている」

カムイ「そうですか……」

レオン「これは姉さんの持ってる獣の衝動なだけだ。そんな気にすることなんて」

カムイ「いいえ、これに含まれているのは私の弱さ、獣の衝動なんて言葉は都合のいい逃げの一手です。それに私の弱さは弱弱しいものじゃなくて、こんなに黒くて卑しい逃げの感情でしかないんですよ」

エリーゼ「そ、そんなこと。だって、カムイおねえちゃんはずっと頑張ってきたんだよ? それが逃げるための感情だなんて」

カムイ「いいえ、私は悩んでいてもそれを完全に打ち明けることはしなかった。みんなの意見に耳を傾けて精査するのではなくて、みんなの意見を自分の意見のように扱って悩むことから逃げていたんです。多分、今回も同じように逃げていたら私は終わっていたかもしれません、もう限界だったと思うんです」

カミラ「限界って」

カムイ「あの時、マークス兄さんを助けることを選択していなかったら、シュヴァリエよりもおぞましい形で、私は自分を無くていたかもしれません。ガンズさんの言葉にどこか納得している自分がいたのはわかっています。私は空っぽな剣に色々な物を巻いて戦ってきたのですから」

アクア「そんなことないわ。カムイはいつだって誰かのために――」

カムイ「それをイザナさんに指摘されたんです、アクアさんは知っているでしょう?」

アクア「っ……。そう、だったわね……」

カムイ「アクアさんには色々と支えていただいています。もちろん、まだまだアクアさんには力になってもらいたいですし、私もあなたの力になりたいです。だけど、私はここまでみんなを引き連れてきた責任を負う必要があるんです」

アクア「……カムイ」

カムイ「大丈夫です。あなたとの約束はちゃんと守ります、見つけたらちゃんアクアさんに一番におしえますから」

アクア「わ、わかったわ。ありがとう」

エリーゼ「なんだかアクアおねえちゃんとっても嬉しそうだね」

カミラ「ふふっ、やっぱり妬けちゃうわね。どんな約束をしてるのかしら?」

カムイ「それは秘密です」

カミラ「アクア、今日はお風呂に入りましょう?」

アクア「遠慮しておくわ」

エリーゼ「すっごい笑顔で否定してる!」

マークス「ではカムイ、お前としての意見を聞かせてもらいたい。今後どうするべきかを」

カムイ「はい、私としては白夜との和平を考えています」

エリーゼ「白夜との和平……。じゃあ、白夜との戦争が終わるの!?」

カムイ「ええ、暗夜を救うためだけに私の戦争を始めたわけではありませんから。それにこれ以上の戦いは続けるべきではありませんから」

アクア「白夜との和平……ね」

カムイ「白夜が暗夜のことを良く思っていないのは確かです。ですが、その拗れを永遠に続けていくわけにはいきませんから」

マークス「なるほど。だが交渉の場を何時設ける?」

カムイ「タイミングは今か後かの二択ですね」

レオン「……今か後ね……」

カムイ「一つは、このまま無限渓谷を越えてお父様の部隊を制圧してから白夜との交渉の後。もう一つは今に交渉して共同戦線を構築することでしょうか」

マークス「……そうだな。カミラ、お前はどう思う?」

カミラ「そうね。私はこちらに被害が大きく出ない方がいいと思っているわ。それにサクラ王女に安心してもらいたいもの、私は先に交渉を試してみるべきだと思うわ」

エリーゼ「あたしも同じだよ。これ以上、サクラの故郷が危険にさらされるようなことになってほしくないから」

マークス「わかった。レオン、アクア、お前たちの意見は?」

レオン「正直、白夜がこちらの交渉に乗ってくるかどうかはわからないけど、それは後でも先でも変わらないからね。それに無限渓谷から攻め入ったとして、それが父上たちを本格的な白夜制圧に駆りたてかねない。今はどちらにも敵がいるという状態だから、この均衡状態の間に、交渉はしてみるべきだと思う」

アクア「私もレオンの意見に同じよ。奴が何を考えているのかはわからないけど、どちらにも対処しなくちゃいけない今の状態なら、そう簡単に扇動することはできないはず。なら交渉の席を設けて、試してみる価値はあるわ」

マークス「なるほどな」

カムイ「その、マークス兄さんはどうお考えですか?」

マークス「私も交渉については同意だ。現在の状況を考えるに、無限渓谷から攻撃を仕掛けるのもできるが、こちらの動きは渓谷越しに監視されている。それに、今はまだ物資なども充実し、状況を維持することが出来ているはずだろう。向こうにはマクベスもいる、あれでいて色々と考える男だ。今は存分に考えさせておこう」

エリーゼ「でもでも、考える隙を与えない方がいいって」

マークス「私が気にしているのは悪意に付け込む異形神についてだけだ。マクベスが人間であることに変わりはない。奴も軍人であるならば暗夜にとっての最善を選ぼうと考えるだろう。人という種を亡き者にしようとしている異形とちがい、マクベスには信じる道がある。状況を変えないままならば、その信じる道のために最善手を模索し続けることだろう」

レオン「……確かに、あいつならそうするだろうね……」

カミラ「マクベスのこと、評価してるのね?」

レオン「……あいつは区切りが出来る奴だ。その点が驚異であることに変わりはないからね」

マークス「二つを同時に相手にするという考えは捨てているだろう。マクベスの一手が定められる前に、私達は私たちの目指すべき道へと一歩進もう」

カムイ「では、マークス兄さん」

マークス「ああ、現状での有力手はこれしかないと私も思っている」

カムイ「はい。では、こちらでの役目を終えたら私達はイズモへと戻りましょう」

レオン「それじゃ、これで会議は終わりでいいかな?」

マークス「ああ。カムイ、今後の方針はお前にすべてを委ねることになる、それでいいか?」

カムイ「はい、構いません。私のするべきことだと思っていますから」

マークス「うむ。それと、もう一つお前達に頼みごとがある」

アクア「なに、マークス?」

マークス「今日の夜、父上の書斎前に来てはくれないか?」

カミラ「お父様の……」

エリーゼ「お部屋……」

レオン「兄さん、もしかして……」

マークス「ああ、私は一度探してみたいと思う」

「今はもういない、父上が目指したもの。その道、これまでの道の記憶をな……」

 仲間間支援の状況

●異性間支援の状況
【支援Aの組み合わせ】
・レオン×カザハナ
・ジョーカー×フローラ
・レオン×サクラ
・ラズワルド×ルーナ

【支援Bの組み合わせ】
・ベルカ×スズカゼ
・ラズワルド×エリーゼ
・ブノワ×フローラ
・エリーゼ×ハロルド
・オーディン×ニュクス
・ベルカ×スズカゼ
・オーディン×アクア

【支援Cの組み合わせ】
・サイラス×エルフィ
・モズメ×ハロルド
・ギュンター×ニュクス
・レオン×エルフィ
・アクア×ゼロ
・ルーナ×ハロルド

●同性間支援の状況
【支援Aの組み合わせ】
・リンカ×アクア
・ピエリ×カミラ
・フェリシア×ルーナ
・フローラ×エルフィ
・レオン×ツバキ

【支援Bの組み合わせ】
・ギュンター×サイラス
・ベルカ×エリーゼ
・フェリシア×エルフィ
・シャーロッテ×モズメ
・ピエリ×ルーナ

【支援Cの組み合わせ】
・エルフィ×モズメ
・シャーロッテ×カミラ
・ピエリ×リンカ
・ピエリ×フェリシア
・ジョーカー×ハロルド
・アクア×ルーナ
・ベルカ×ニュクス
・フローラ×エリーゼ
・カミラ×サクラ
・スズカゼ×オーディン←NEW

○カムイの支援現在状況●

―対の存在―
アクアA
(カムイからの信頼を得て、その心の内を知りたい)

―城塞の人々―
ギュンターB++
(恋愛小説の朗読を頼まれています) 
フェリシアB+
(カムイに従者として頼りにされたい)
ジョーカーC+
(イベントは起きていません)
フローラB
(すこしは他人に甘えてもいいんじゃないかと言われています)
リリス(消滅)
(主君を守り通した)

―暗夜第一王子マークス―
ラズワルドB+
(あなたを守るといわれています)
ピエリB
(弱点を見つけると息巻いています)
マークスB+→B++
(何か兄らしいことをしたいと考えています)

―暗夜第二王子レオン―
オーディンB+
(二人で何かの名前を考えることになってます)
ゼロB+
(互いに興味を持てるように頑張っています)
レオンB→B+
(カムイに甘えてほしいと言われて、いろいろと考えています)

―暗夜第一王女カミラ―
ルーナA
(目を失ったことに関する話をしています)
カミラA
(白夜の大きい人に関して話が上がっています)
ベルカC+
(イベントは起きてません)

―暗夜第二王女エリーゼ―
エリーゼA
(昔、初めて出会った時のことについて話しています)
ハロルドB
(ハロルドと一緒にいるのは楽しい)
エルフィB
(イベントは起きていません)

―白夜第二王女サクラ―
サクラB++
(カムイと二人きりの時間が欲しいと考えています)
ツバキB
(イベントは起きていません)
カザハナC+
(イベントは起きていません)

―カムイに力を貸すもの―
シャーロッテB++
(返り討ちにあっています)
スズカゼB
(おさわりの虜になったようです)
サイラスB+
(もっと頼って欲しいと思っています)
ニュクスB
(イベントは起きていません)
モズメC+
(イベントは起きていません)
リンカB
(イベントは起きていません)
ブノワC+
(イベントは起きていません)
アシュラC+
(イベントは起きていません)
フランネルC+
(イベントは起きていません)

 今日はこんな感じで。

 改めて考えると、エリーゼってサクラよりも年下なんだよなって思った。

 この先の展開を安価で決めたいと思います。参加していただけると幸いです。

◇◆◇◆◇
 
 ジョーカー
 ギュンター
 フェリシア
 フローラ
 マークス
 ラズワルド
 ピエリ
 レオン
 ゼロ
 オーディン
 ベルカ
 ハロルド
 エルフィ
 サイラス
 ニュクス
 ブノワ
 シャーロッテ
 モズメ
 リンカ
 サクラ
 カザハナ
 ツバキ
 スズカゼ
 アシュラ
 フランネル

 カムイと話をする人物を二人(支援A以下限定)

 >>344
 >>345

◇◆◇◆◇
 アクア
 ジョーカー
 ギュンター
 フェリシア
 フローラ
 マークス
 ラズワルド
 ピエリ
 レオン
 ゼロ
 オーディン
 カミラ
 ベルカ
 ルーナ
 エリーゼ
 ハロルド
 エルフィ
 サイラス
 ニュクス
 ブノワ
 シャーロッテ
 モズメ
 リンカ
 サクラ
 カザハナ
 ツバキ
 スズカゼ
 アシュラ
 フランネル

 支援イベントのキャラクターを決めたいと思います。
(すでにイベントが発生しているキャラクター同士が選ばれた場合はイベントが進行、支援状況がAになっている組み合わせの場合は下のキャラクターとの支援になります)

 >>346>>347

◇◆◇◆◇
進行する異性間支援の状況

【支援Bの組み合わせ】
・ベルカ×スズカゼ
・ラズワルド×エリーゼ
・ブノワ×フローラ
・エリーゼ×ハロルド
・オーディン×ニュクス
・ベルカ×スズカゼ
・オーディン×アクア

【支援Cの組み合わせ】
・サイラス×エルフィ
・モズメ×ハロルド
・ギュンター×ニュクス
・レオン×エルフィ
・アクア×ゼロ
・ルーナ×ハロルド

 この中から一つ>>348
(会話しているキャラクターと被ってしまった場合は、その一つ下のになります)
 
◇◆◇◆◇
進行する同性間支援

【支援Bの組み合わせ】
・ギュンター×サイラス
・ベルカ×エリーゼ
・フェリシア×エルフィ
・シャーロッテ×モズメ
・ピエリ×ルーナ

【支援Cの組み合わせ】
・エルフィ×モズメ
・シャーロッテ×カミラ
・ピエリ×リンカ
・ピエリ×フェリシア
・ジョーカー×ハロルド
・アクア×ルーナ
・ベルカ×ニュクス
・フローラ×エリーゼ
・カミラ×サクラ
・スズカゼ×オーディン

 この中から一つ>>349

 このような形でよろしくおねがいいたします。

すみません、タイミング早かったです

ラズワルド

カムイとの話はニュクスラズワルドで良いんだよな?
ルーナ

オーディンは覚醒ペアと支援ないのか…
オデン

フランネル

◇◆◇◆◇
―暗夜王国・兵舎―

オーディン「……困った」

ルーナ「何困ってんのよ。あんたらしくないわね」

オーディン「ルーナ、共に悠久の時を越えし選ばれし者よ。ここで俺に語りかけたのは必然ということだ」

ルーナ「悠久って大げさに言ってくれるわね」

オーディン「大げさってわけでも無いだろー。とにかく、お前に頼みたいことがある」

ルーナ「ふーん。まぁ、聞くだけ聞いてあげるわ。それで困ってることってなんなわけ?」

オーディン「ああ、この鮮血戦器・ブラディマリーについてのことだ」

ルーナ「ただのキルソードでしょ?」

オーディン「……ブラッディマリーだ」

ルーナ「それで、そのキルソードがどうしたのよ?」

オーディン「いや、その、訓練兵に一人、俺と同じく深淵の道を歩みし者を見つけた。今日、その者に教えを請われた。この鮮血戦器・ブラディマリーに相応しい必殺技、その伝授の方法についてな」

ルーナ「……そっ、それじゃ失礼するわね」

オーディン「ちょ、ちょっとまてーい!」

ルーナ「なによ、そういう必殺技なんて、あんたの独壇場じゃない。あたしが手伝う必要なんてないでしょ」

オーディン「た、確かに必殺技は考えているんだが。その……演出がどう頑張っても一人じゃできそうにないんだ。だから手伝ってくれよぉ」

ルーナ「演出って……はぁ、名前だけ渡して『時が来れば剣が応えてくれる』みたいな事を言えばいいんじゃないの?」

オーディン「それがそうもいかなくてな」

ルーナ「どうしてよ?」

オーディン「だってよぉ、必殺技の伝授なんだぜ!? 雰囲気って重要だろ。そいつも、やっぱり天候が関係あるんですか、日実はとか……供物の準備は必要なのか色々と聞いて来て――」

ルーナ「それにポンポンポンポン答えて、一人じゃ準備できなくなったわけね」

オーディン「……はい、そうです」

ルーナ「はぁ、わかったわよ。今回はあんたの遊びに付き合ってあげるわ」

オーディン「ほ、本当か!」

ルーナ「ええ、その代り、あたしの装備品を一つ残らず整備してくれる。中々多くて手が回らないのよね」

オーディン「それは買い過ぎてるからじゃ……」

ルーナ「なんか言った?」

オーディン「なんでもない、ふっ、では契約成立だ、ルーナ」

ルーナ「はいはい」

【ルーナとオーディンの支援がCになりました】

◇◆◇◆◇
―暗夜王国・小さな湖―

オーディン「それっ!」

 チャッ チャチャチャチャチャチャッ パチャンッ

オーディン「ど、どうだ!」

アクア「及第点ってところかしら」

オーディン「これで及第点って厳しすぎないか?」

アクア「物事は厳しく見た方がいいものよ。でも、変な言葉を入れなくなった分、記録は伸びたわね」

オーディン「変な言葉じゃない。あれは俺の力を増幅するものであってだな」

アクア「そうね。あなたにとってはおまじないみたいなもののようだし」

オーディン「御まじない、アクア様の歌みたいなものですか?」

アクア「一緒にはされたくないけど。そうね、歌は今私が使ってる御まじないね」

オーディン「今?」

アクア「ええ、昔は嫌なことがあったりしたら、こうしてたわ」ポイッ
 
 ボチャンッ……

アクア「嫌だったことを水面に見立ててね、石を投げつけていたのよ。虐めてきた人のこととか、気に入らなかったこととか。昔は声を出して歌うことはあまりしなかったの、それを聞かれることさえも嫌がられていたから」

オーディン「アクア様」

アクア「一緒に石を投げてくれる人もいなかった。この遊びに気づいた時、本当の意味で一人になってたのかもしれないわ」

オーディン「一人、何を言っているんですかアクア様」

アクア「え?」

オーディン「スプラッシュプリンセス・アクア。この漆黒のオーディンに技を与えしもの、つまり俺達は師弟の契約を結んでいる。、故に一人では無い」

アクア「……何を言ってるの?」

オーディン「だ、だから、その俺も今一緒に遊んでるんです。一人なんかじゃありません。それに、俺も一緒に遊んでるのにそんな一人で遊んでるみたいなこと言わないでくださいよ。悲しくなるじゃないですか」

アクア「……ふふっ」

オーディン「な、なんで笑うんですか!?」

アクア「いいえ、ごめんなさい。こうして一緒に遊んでるのに、なんだか距離を取るような発言をして」

オーディン「良いんですよ。それに今のうちだけです。すぐにアクア様の記録を越えてみせます。弟子が師を越えるのは王道ですからね」

アクア「ふーん、言ってくれるわね。それじゃ、本気を出して相手をしてあげないと」

オーディン「え?」

アクア「オーディン、横に立って私と同時に投げて見て。格の違いを見せつけてあげるわ」

オーディン「お、お手柔らかにお願いします……」

アクア「ふふっ」

【オーディンとアクアの支援がAになりました】

◇◆◇◆◇
―暗夜王国・エリーゼ邸―

エリーゼ「それでね、ここのケーキなんだけど、とっても甘くておいしいんだ」

ベルカ「ええ」

エリーゼ「ここのはね、チョコレートのほろ苦さに混じってるナッツの香ばしさがマッチして、とっても食べやすいんだよ。ベルカってカッコいいから気に入ってくれるかなって思って!」

ベルカ「そう」

エリーゼ「それと、それとね」

ベルカ「ねぇ、エリーゼ様」

エリーゼ「ん、どうしたの。ベルカ」

ベルカ「どうして私にこんなに良くしてくれるの?」

エリーゼ「え、なんでって……」

ベルカ「それになんだか、私にケーキを食べさせるのことだけが目的のように思えないから、どうしてと思って」

エリーゼ「え、えーっとなんのことかなー」

ベルカ「……」

エリーゼ「……その、えっと」

ベルカ「……」

エリーゼ「ご、ごめんなさい。その、やっぱり嫌だったよね……」

ベルカ「いいえ、嫌というわけじゃない、それに怒っているわけでもないわ」

エリーゼ「?」

ベルカ「エリーゼ様が奨めてくれるケーキはとてもおいしい、カミラ様の準備してくれるものに引けは取らないわ」

エリーゼ「……そう言ってもらえるととっても嬉しいよ」

ベルカ「だから、エリーゼ様が私に何を求めてるのかわからなくて困っている」

エリーゼ「その、ベルカってあんまり笑顔見せてくれないなって……。だからベルカもおいしいケーキいっぱい食べたら笑ってくれるかなって、思って……」

ベルカ「エリーゼ様……ありがとう」

エリーゼ「そ、そんな、お礼を言われることじゃないよ。ごめんね」

ベルカ「ううん、色々と考えてくれてありがとう。でも、ごめんなさい、笑うのは苦手、無理に笑おうとするとこうなってしまうから」クワッ

エリーゼ「うわ、こわいこわいよ!」

ベルカ「ごめんなさい。ねぇ、エリーゼ様、一緒にケーキ、食べましょう?」

エリーゼ「え、だ、大丈夫だよ。これはベルカのために用意したものなんだから」

ベルカ「私だけじゃ、食べ切れないから。それにエリーゼ様と一緒にケーキを食べたい。駄目?」

エリーゼ「だ、駄目じゃないよ!!! それじゃ、お互いに食べっこしよ。あ、お皿が足りない、用意するからちょっと待っててね! えへへ~」

 タタタタタッ

ベルカ「……ふふっ」

【ベルカとエリーゼの支援がAになりました】

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・王都ウィンダム『中央広場』―

カムイ「……ここら一体の整備は終わったみたいですね。昨日までの魔物討伐の甲斐もあって、多く人が歩けるようにはなったようですし……」

カムイ(夜にお父様部屋でしたね。しかし、異形神ハイドラがガロン王の痕跡を残しているのかどうか、わからないところですけど……)

カムイ「情報が手に入るのであれば、今のうちに得ておくべきでしょう」

 ヨーシ、スコシズツイクゾー!
 ハイ!

カムイ「多く人が集まっていますが、確か暗夜竜の像があった場所。そう言えば昨日、ニュクスさんが解体指揮に当たっているんでしたね、ちょっと寄っていきますか」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

新生暗夜軍「ニュクス様、こちらの宝玉を使用してもよろしいんでしょうか?」

ニュクス「ええ、これで離れていても情報のやり取りができるはずよ。あまり遠すぎると出来なくなってしまうとは思うけどね」

新生暗夜軍「いえいえ、それにしてもこれは素晴らしいものです。ありがとうございます」

ニュクス「そう言ってもらえると助かるけど、まだ改良が必要だから。終わったら返却をお願いね」

新生暗夜軍「もちろんです。よし、俺たちも取り壊しの作業に取り掛かろう。ニュクス様、何かありましたら連絡しますので、対応よろしくお願いしたします」

 タタタタタッ

ニュクス「……これですべきことは大方終わったわね。これほど大掛かりな魔法具、とてもじゃないけど今の技術では作り上げることは出来ないはずだけど、一体誰が作り上げたのかしらね?」

カムイ「ニュクスさん、どうしたんですか。なにか考え事でも?」

ニュクス「あら、カムイ。もう歩いて大丈夫なの? 昨日の討伐の疲れがまだ残っていると思うのだけど……」

カムイ「確かに少し疲労はあります。でもこうして歩かないと体が鈍ってしまう気がして。それに像の解体指揮をニュクスさんがとっていると聞きましたので様子を見に、進行具合はどうなってるんですか?」

ニュクス「大方の準備は終わったから、本格的な解体作業に入る予定……と言っても、これが完全に解体されるまでウィンダムにいられるとは思っていないけど」

カムイ「暗夜竜の像、とても恐ろしい魔法具でしたね」

ニュクス「ええ、正直どうやって作られたのか、皆目見当が付かない存在ね」

カムイ「ニュクスさんにも皆目見当が付かないんですか?」

ニュクス「ええ、でもそれでいいのかもしれないわ。こんなもの、この先の時代で誰かが思いつくまで、闇に眠っていればいい存在よ。正直、永遠に眠っていた方がいいと思えるほどにね」

カムイ「ニュクスさんにそこまで言わせるんですね」

ニュクス「そういうものを作りだしたことがあるからかもしれないわ」

カムイ「え?」

ニュクス「私が犯した罪は知っているでしょう。その中でいくつも禁忌と呼ばれる魔法を作り上げてきた。相手を殺すためだけに使う、そんな魔法をね……」

カムイ「相手を殺すためだけですか」

ニュクス「ええ、暗夜竜の効果事態は王都防衛に対して絶大な効果を持っている。けど、今回のことで印象が殺戮と畏怖だけになってしまった。この先、どんなことがあっても悪いことにしか使われない技術よ。だからある意味、どんなに研究しようとも理解できないことが救いかもしれないわね」

カムイ「……そう考えると、白夜竜の像も暗夜竜の像と同じ仕掛けなのかもしれませんね」

ニュクス「白夜竜の像?」

カムイ「ええ、暗夜の者たちが白夜に攻め入ってこないよう、結界を張り巡らせるというものでした」

ニュクス「そう、もしかしたらその像の出自も、こちらの像と同じなのかもしれないわね」

カムイ「すでに壊されてしまいましたから、それを探ることはできそうにありませんね。それより、先ほどの話ですが」

ニュクス「私の作りだした魔法についてよね?」

カムイ「はい、私としてはニュクスさんが使うのであれば存在を消す必要などなかったのではないかと思うんですが」

ニュクス「ふふっ、確かに私が使う分には問題ないかもしれないけど、その禁忌をこの体になったあとに使ったことは一度もなかったわ。私が生み出したものはね、使うだけで人々の恨みを募らせるものだから」

カムイ「使うだけでですか?」

ニュクス「ええ、だから私はその術を全部消し去った。誰にも理解されないように、誰も使えないように。その結果かしら私についての伝承は『禁忌のダークマージ・ニュクス』なんていう、子供に言い聞かせるための怖い話みたいなものになったのよ」

カムイ「怖い話。怖い話というのは?」

ニュクス「悪いことをしないように子供に言い聞かせるものよ。嫌いな物を食べないでいるとニュクスに食べられてしまうとか、夜更かしする悪い子はニュクスに攫われてしまうとか、そういうものよ。一度、陽気な飲んだくれにその話をされた時は、笑うのを抑えるので精いっぱいだったけど」

カムイ「不思議なものですね。自分のことがそのように伝わっているというのは」

ニュクス「ええ、私が犯した罪はもっと酷くおぞましいものだというのにね」

カムイ「ニュクスさんはそれを悔いているんですよね。でしたら、もう許されてもいいと思いますよ」

ニュクス「悔いたからと言って、それが許されるかどうかはわからないものよ。世界に誰か一人でも、それを許さないものがいたとするなら。それは永遠に許されないことよ」

カムイ「永遠なんてこの世には無いと思います。その場に留まっていることなんて、たぶんできないことなんだと思います。私も歩きださなければ、終わっていたように、現状のままというわけにはいかないと思うんです」

ニュクス「若いのによく言うのね?」

カムイ「若いからかもしれません。人は長く生きすぎると、考えから動けなくなってしまうらしいですから」

ニュクス「それは遠まわしに私が老けてるって言っているみたいに聞こえるわ」

カムイ「ふふっ、そんなことないですよ。だって、こうやって御凸を摩ると」スリスリ

ニュクス「ひゃっ、んっ、か、カムイ!」

カムイ「こんなに可愛くて甘い声をあげちゃうじゃないですか」

ニュクス「こ、これは体の成長が止まってるだけで、んやっ、ふひぃんっ」

カムイ「撫で撫ですると体をくねらせて、本当にニュクスさんの御凸は敏感ですね。ずっと前に触ったのに体はしっかりと覚えてくれてるから、とっても楽しい」

ニュクス「そ、そんなこと、な、な…ひゃふんっ、んくっ、ふああああっ」

カムイ「……ふふっ、体中熱くなってますよ、一体どうしたんですか?」

ニュクス「あ、あなたが私の……んっ、そこばっかり、さわっては……ううんっ」

カムイ「そこって、なんだか抽象的ですね。いらぬ誤解を与えてしまうじゃないですか」

ニュクス「なら、やめなさ…いいっ!!! んああっ。もうっ、やめてぇ」

カムイ「そうですね。あと三十回くらい触れたら、解放してあげますよ。久しぶりですから、少し歯止めが利きません」

ニュクス「そ、そんな、そんなに触られ続けたら、だめ、子供、子供に戻っちゃう……からぁ」

カムイ「いいじゃないですか。子供になっても、ちゃんと私が面倒をみますよ。だから安心してくださいね?」ピトッ シュッシュ

ニュクス「んやっ、うええん。カムイ、いじめ、いじめないでぇ」

新生暗夜軍「えっと、ここはどうすればいいんだ? すまないが、ちょっとニュクス様に訪ねてくれるか?」

新生暗夜軍「はい、わかりました。これに声を掛ければいいんだよな」ゴソゴソ

新生暗夜軍「すみません、ニュクス様。一つご質問が、よろしいですか?」

 ザーザザッ

ニュクス『ふあっ、いやっ、爪たて、立てないで、たてないでぇ……』

カムイ『柔らかいですよ、ニュクスさん。とってもすべすべしてて。触れる度に体がピリってして、ふふっ、体は子供なのに反応はとってもいやらしいなんて』

新生暗夜軍「……」

新生暗夜軍「ニュクス様はなんと?」

新生暗夜軍「……」

新生暗夜軍「どうしたんだ?」

新生暗夜軍「……」

ニュクス『ひゃんっ、はぁ、んっ、はぁ、んんうっ……こんなのだめ、そこ、いじめないで、いじめないでぇ。ふああああんっ!!』

カムイ『ふふっ、あと三回ですよ?』

ニュクス『さ、三回も、耐えられない。耐えられないからぁ。もう、許して、許してカムイ、カム、んっ、はぁはぁ、だめ、そこ、中心だめ、だめぇ…』

新生暗夜軍「……」

新生暗夜軍「どうしたんだ、お――」

新生暗夜軍「静かにしてください」

新生暗夜軍「へっ?」

新生暗夜軍「今いいところなんです……」

~~~~~~~~~~~~~~~
◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・中央通り―

ラズワルド「カムイ様、少しは人の顔を触る場所は考えた方がいいですよ?」

カムイ「あそこは構造的に死角でしたから、問題ないと思ったんですけど」

ラズワルド「ニュクス、死にそうなくらい顔を赤くしてましたよ。それに、なんか暗夜竜の周りで作業していた人たちが、カムイ様とニュクスを見る目がおかしかった気がします」

カムイ「たしかに、少し変な物を感じましたね」

ラズワルド「少しっていうか、かなりおかしいものだった気がするんですけど」

カムイ「ふふっ、今度ニュクスさんに会った時、謝っておかないといけませんね。部屋でいっぱいしましょうって」

ラズワルド「今度は裸足で逃げ出していきそうですね」

カムイ「逃がしませんけどね。やはり、まだ閑散としていますね。この中央通りの周辺はまだまだというところでしょうか」

ラズワルド「うん、地下街のほうはだんだんと活気を取り戻しつつあるみたいだけど、表はそううまくいかないみたいだから。ああっ!」

カムイ「どうしたんですか」

ラズワルド「はぁ、ここの喫茶店の女の子、とっても可愛いんだ。だけどしばらくの間は休業みたいだね。あーあ、イズモに戻る前に一度顔を見たかったなぁ」

カムイ「ふふっ、ラズワルドさんらしいです」

ラズワルド「それに、ここにカムイ様とお茶に来たかったんです。この前、考えてくれるって言ってくれたので、ウィンダムの件が終わったらと思ってたんだけど」

カムイ「ふふっ、そうでしたね。でも、まだ返事はしてませんよ」

ラズワルド「考えてくれるってことは、八割方、大丈夫って思ってますよ、僕は」

カムイ「前向きですね、ラズワルドさんは」

ラズワルド「カムイ様も前向きですよ。だって歩みだされたんですから、あの戦いの最中で……」

カムイ「ええ、すみません。いろいろと心配させてしまいました」

ラズワルド「気にしないで。それに、やっぱりカムイ様はそういう柔らかい表情が似合ってます。とっても素敵ですよ」

カムイ「素敵……ですか?」

ラズワルド「うん、前みたいに悩んでるカムイ様は見てて辛かったから。それをどうにかできない自分にも腹が立っていたんです」

カムイ「そうですか……。でも、あの戦いの前にあなたに話ができて、私は良かったと思います。本当にありがとうございます、ラズワルドさん」ニコッ

ラズワルド「あ、えっと、こちらこそ……」

カムイ「ですから、そのお礼も兼ねて一緒にお茶でもどうですか?」

ラズワルド「え、いいんですか!?」

カムイ「はい。でも、今回は私からのお誘いですので。ラズワルドさんの勝利記録にはなりませんよ?」

ラズワルド「手厳しいですね」

ラズワルド「うっ、なんかそう言われると、負けたみたいでなんか嫌だな。でも、カムイ様とお茶できるなんて夢みたいだね。それにカムイ様から誘ってもらえるなんて」

カムイ「夢じゃありませんよ。こうすれば――」ギュッ

ラズワルド「うわっ、カムイ様。いきなり手を取らないでくださいよー。びっくりしちゃうじゃないですか」

カムイ「いいじゃないですか。それに、こうすれば夢じゃないってわかりますから」ググッ

ラズワルド「カムイ様?」

カムイ「すみません。まだまだ私は未熟です。こうして歩み出したことが夢なのではないかと思ってしまうんです。すみません、まだまだ弱い私のままで、このように縋ってしまって」

ラズワルド「いいえ、そんなことないですよ。カムイ様ここまで立派に戦ってこれたんですから。それに、ちゃんと歩み出すことが出来てるんです、それは夢なんかじゃありません。カムイ様が自分の意思で選んだことだから……」

カムイ「ラズワルドさん」

ラズワルド「大丈夫です。それにカムイ様が心細いと言ってくれるなら、いつでもあなたの手を握ってあげます。君がそれを望むなら、いつでもどこでも、僕にできることの一つがそれなんですから」

カムイ「……ふふっ」

ラズワルド「な、なんですか。またいきなり笑って」

カムイ「だってラズワルドさん、前と同じように告白みたいな言葉なので。そんなに何回も多様してると、女の子に軽い人って思われちゃいますよ」

ラズワルド「ひ、ひどいですよ。カムイ様」

カムイ「でも、ラズワルドさんにそう思っていただけて、私はとても嬉しいです。前まではそれを受け止めることを恐れていましたけど、今はそれをちゃんと受けとめたいってそう思います。ラズワルドさんの私を思ってくれる心、とっても温かく感じますよ」

ラズワルド「な、なんだか恥ずかしいよ。こうやって面と向かって言われると」

カムイ「ふふっ、私と話をするといつもラズワルドさんは照れてばかりですね」

ラズワルド「そ、それはカムイ様が……。はぁ、なんだかんだでカムイ様は変わりませんね。そういうところは」

カムイ「ふふっ、それじゃ。行きましょうかラズワルドさん」

ラズワルド「えっと、どこにですか?」

カムイ「今私が使っている部屋です。御茶しましょうって言ったじゃないですか。大丈夫です、おさわりはしませんから」

ラズワルド「え、いきなり部屋って……」

カムイ「はい、ジョーカーさんにおいしい紅茶を淹れてもらって、そこでお話をしましょう?」

ラズワルド「……わかってたけど、なんだか腑に落ちないなぁ」

カムイ「ふふっ、二人だけのお茶はちゃんとラズワルドさんからお誘いしてくださいね。私は待っていますから」

ラズワルド「はい、わかりました。カムイ様」

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・クラーケンシュタイン『ガロン王の書斎』―

 ガチャ ギィィィ バタンッ
 ボッ

マークス「……ここに入るのは何年振りだろうか?」

レオン「僕が記憶して限りだと、十年ぶりくらいになるかもしれないね」

エリーゼ「あたし、入ったことないから昔はどうなってたのかわからないけど、これって」

カミラ「ええ、そうね。ここ数年は使われた形跡がないわ。埃もすごいことになっているし、寝具も穴だらけ、とてもお父様の部屋とは思えないわ」

アクア「……体を操られていたから、眠ることも必要なかったんでしょう。あれはもう動く屍と変わらないものだったようだから」

カムイ「色々なものが乱雑に置かれているようですね。これはベッドですか……」

マークス「まずはその資料から探ってみるとしよう。レオン明かりを灯してくれるか」

レオン「わかったよ」

 ボウ ボウッ ボウッ

カムイ「私には何が置いてあるかは理解できてもどういうものかはわかりませんね」

カミラ「確かに目が見えないカムイには資料を探すのは無理というものね。お姉ちゃんたちが探してる間、カムイは少し休んでて」

カムイ「すみません、お役に立てなくて」

エリーゼ「ううん、カムイおねえちゃんが気にすることじゃないよ。だけど、これって数年以上前の物なんだよね。役に立つのかな?」

マークス「父上の書斎は許可がない限り入ってはならない、それに命令の伝達の多くは王の間で行っていたこともある。だがエリーゼの言う通り、ほとんどがすでに終わったことばかりのようだ」

レオン「そうだね、ここで得られる資料は多くの人間でも目を通せることばかりだ。ハイドラがすでに手を回してそういった資料を捨て去ったのかもしれない」

カミラ「となると、ここを探しても意味はないということかしら?」

エリーゼ「うう、お父様……」

アクア「……お母様についても何か残っているかもしれないと思ったけど、ほとんどが役に立ちそうにないものばかりね」

マークス「結局、空振りということか……。すまない、何かあると思ったのだが……」

カムイ「……?」

アクア「カムイ、どうしたの?」

カムイ「この暗幕……」バサーッ

エリーゼ「これって、武器?」

マークス「父上のコレクションだろう。幼い頃、私もよく見せてもらっていたものだ」

レオン「僕も記憶にはあるかな?」

カミラ「私もあるわね。たしか、一番奥にブリュンヒルデとジークフリートが飾ってあったはずだけど……」

カムイ「この先ですか」バササー

エリーゼ「あれ?」

アクア「まだ、ジークフリートとブリュンヒルデがあるみたいね」

カムイ「それぞれ二本ずつ、存在しているというのですか?」

マークス「それはないと思うが……」

 ガチャッ パラパラパラパラッ

レオン「いや、これは贋作みたいだね。外見はかなり精巧に作られてるけど、中身は何もない空っぽだ。メモを取るくらいしか使い道はないよ」

 ガチャッ ブンッ ブンッ

マークス「こちらもだ。重さもすべて同じだが神器としての力はどこにも感じない。それに剣というよりは芸術品というべきものかもしれないな」

エリーゼ「ねぇ、贋作って何?」

カミラ「そっくりの偽物のことよ。だけど、なんでこんな偽物をお父様は作ったのかしら?」

エリーゼ「何も納まってないのが気になったからかな?」

アクア「そうね、もしくはこうしておく理由があったのか……」

レオン「……もしかして」

マークス「レオン?」

レオン「マークス兄さん、ここに本物のジークフリートを置いてくれないな?」

マークス「ああ、わかった。これでいいか?」

 ガシャンッ

マークス「何も起きないな?」

レオン「……」

 ボウッ

エリーゼ「あ、見て壁が!」

カミラ「薄く光ってるみたいね」

マークス「これは……」

レオン「予想通りだね、あとはここに僕のブリュンヒルデを置いて……」

 ガチャンッ ボウッ

 ボッ ボッ ボッ ボボボボボッ

カミラ「炎が何かを描いて……これは……」

アクア「暗夜の紋章?」

 ガシャンッ ガシャンッ ズゴゴゴゴッ

エリーゼ「な、なに今の音……」

カムイ「ベッドの下からのようですね」

マークス「レオン、そちらから押してくれ」

レオン「わかったよ兄さん。いくよ、せーのっ!!」

 ズサー ズサー ズサー ゴトンゴトン

 ビュオオオオッ

エリーゼ「なにこれ、階段だよね? あっ、風の音も聞こえる……」

カミラ「隠し通路……。脱出用のものかしら?」

マークス「いや、父上は逃亡という選択肢を取る人ではなかった。これはそう言ったものではないのだろう」

レオン「贋作が入ってたのは、ここを開かせないためだったのかもしれないね」

カミラ「だけど、とても暗い場所みたい。風が来ているということは空気に問題はなさそうだけど……」

アクア「進んでみるほかないわ。なにか罠があるかもしれないけどね」

カムイ「ここは私が進みます」

マークス「危険ではないのか?」

カムイ「構造なら私の方が把握するのは容易いです。それに、このまま調べずに行くことなんてできないでしょう?」

マークス「ああ、その通りだ。ラズワルド、ピエリ、中に入れ」

 ガチャ

ピエリ「はーいなの!」

ラズワルド「お呼びですか、マークス様……。って、これなんですか!?」

ピエリ「すごいの、床に大きな穴があいてるの! 風の音、ビュービュービュービュー聞こえるのよ。ビュービュー、ビュービュー、すっごく大きいの!」

ラズワルド「ぴ、ピエリ。そんなこと言っちゃ駄目だよ!」

カミラ「もう、ピエリ駄目よ。そんなはしたないことを言っちゃ」

ピエリ「二人ともどうしたの?」

エリーゼ「あたしも、なにか問題があったのかな?」

ラズワルド「いえ、エリーゼ様は気にしなくて大丈夫です」

マークス「二人とも、私達はこの床下に入ろうと思う。ピエリはカムイと共に先頭を、ラズワルドは後方から従順しランプで明かりを確保して欲しい」

ラズワルド「わかりました」

ピエリ「わかったの! カムイ様、ピエリが一緒に歩くから問題ないの。ビュービューからも守ってあげるのよ」

カムイ「はい、よろしくおねがいしますね。ピエリさん」

マークス「それでは行くとしよう」

 カツンッ カツンッ カツンッ

 ヒュオオオッ

ピエリ「先が真っ暗で怖いの」

カムイ「大丈夫です。この先におかしな場所はないようですから、足元はそれほど崩れていません」

アクア「所々に通風用の細工が施されているみたいね。音は大きいけど、それほど強い風は来ないみたい」

マークス「このようなところがあるとはな」

レオン「後方は明るくなってきたけど、結構降りたよね?」

カミラ「そうね。一体どこまで続いているのかしら?」

アクア「まるで地獄に進んでいるようね」

エリーゼ「あ、アクアお姉ちゃん。こ、怖いこと言わないでよ!」

ラズワルド「あながち冗談じゃない気もしてきました、マークス様」

マークス「ラズワルド、縁起でもないことを言うな」

 カツンッ カツンッ

カムイ「ん?」

ピエリ「カムイ様、どうしたの?」

カムイ「いえ、この先で階段は終わりのようです」

ピエリ「あっ、扉があるの!」

マークス「ピエリ、頼めるか?」

ピエリ「任せてなの。カムイ様、少し下がってるのよ」

カムイ「はい、おねがいします」

ピエリ「……いくの」

 ガチャッ ギイイイイィィ

 カツンッ カツンッ

ピエリ「誰もいないの」

カムイ「特にこれと言った罠の気配もないようですね。ピエリさん、明かりをつけられるようなところはありますか?」

ピエリ「えっと、あったの。これを差し込んで……できたの!」

 ボウッ ボウッ ボボボボッ

エリーゼ「書斎より大きい場所だね……」

カミラ「そうね。だけどさっきよりも埃が積まれてるから、書斎よりも前に使用されなくなったところなのかもしれないわ」

マークス「ここで父上は一体何を……」

レオン「奥に暗幕があるみたいだけど」

カムイ「私が取り外してきます」

アクア「また武器でも置いてあるのかしら?」

エリーゼ「さっきと同じことするのかな?」

マークス「わからない。そちらはカミラ達に任せる。レオン、私達はここの資料を」

レオン「わかったよ」

ピエリ「カムイ様、手伝ってあげるの!」

カムイ「すみません、ピエリさん。それじゃ向こうのを引いてください」

ピエリ「わかったの、えいっ!」

 バサササーッ
 バササササーッ

ピエリ「……これ、なんなの?」

カムイ「ピエリさん?」

カミラ「ピエリ、なにがあって……!!!!」

エリーゼ「え、ま、まさか、これ、これって……」

マークス「なにがあった。カミラ、エリーゼ……。なっ」

レオン「……そういうことなんだね」

カムイ「み、皆さん、何を見ているんですか!?」

アクア「カムイ」

カムイ「アクアさん、何があるんですか? 教えてください、ここに一体何が……」

アクア「……正直、どこかで体は乗っ取られているだけだと思っていた。だから、こうして見せつけられると恐ろしいことだと思えて来るわね」

カムイ「どういう意味ですか?」

アクア「カムイ、そこには死体があるのよ」

カムイ「死体、ですか……?」

アクア「ええ、もう骨になっているけど。外装から誰かは理解できるわ」

カムイ「誰なんですか? その死体の人物っていうのは……」

アクア「決まっているでしょう。唯一ここに、今まで入り込めていた人物は一人しかいないでしょう?」

カムイ「……もしかして、そこで死んでいる人というのは……」

エリーゼ「……」

レオン「……」

カミラ「……」

アクア「……」

マークス「このような形で、あなたの亡骸を見つけることになるとは思ってもいなかった―――」





「暗夜王……いえ、父上……」

仲間間支援の状況

●異性間支援の状況
【支援Aの組み合わせ】
・レオン×カザハナ
・ジョーカー×フローラ
・レオン×サクラ
・ラズワルド×ルーナ
・アクア×オーディン←Aになりました

【支援Bの組み合わせ】
・ラズワルド×エリーゼ
・ブノワ×フローラ
・エリーゼ×ハロルド
・オーディン×ニュクス
・ベルカ×スズカゼ

【支援Cの組み合わせ】
・サイラス×エルフィ
・モズメ×ハロルド
・ギュンター×ニュクス
・レオン×エルフィ
・アクア×ゼロ
・ルーナ×ハロルド
・ルーナ×オーディン←NEW

●同性間支援の状況
【支援Aの組み合わせ】
・リンカ×アクア
・ピエリ×カミラ
・フェリシア×ルーナ
・フローラ×エルフィ
・レオン×ツバキ
・ベルカ×エリーゼ←Aになりました

【支援Bの組み合わせ】
・ギュンター×サイラス
・フェリシア×エルフィ
・シャーロッテ×モズメ
・ピエリ×ルーナ

【支援Cの組み合わせ】
・エルフィ×モズメ
・シャーロッテ×カミラ
・ピエリ×リンカ
・ピエリ×フェリシア
・ジョーカー×ハロルド
・アクア×ルーナ
・ベルカ×ニュクス
・フローラ×エリーゼ
・カミラ×サクラ
・スズカゼ×オーディン

○カムイの支援現在状況●

―対の存在―
アクアA
(カムイからの信頼を得て、その心の内を知りたい)

―城塞の人々―
ギュンターB++
(恋愛小説の朗読を頼まれています) 
フェリシアB+
(カムイに従者として頼りにされたい)
ジョーカーC+
(イベントは起きていません)
フローラB
(すこしは他人に甘えてもいいんじゃないかと言われています)
リリス(消滅)
(主君を守り通した)

―暗夜第一王子マークス―
ラズワルドB+→B++
(あなたを守るといわれています)
ピエリB
(弱点を見つけると息巻いています)
マークスB++
(何か兄らしいことをしたいと考えています)

―暗夜第二王子レオン―
オーディンB+
(二人で何かの名前を考えることになってます)
ゼロB+
(互いに興味を持てるように頑張っています)
レオンB+
(カムイに甘えてほしいと言われて、いろいろと考えています)

―暗夜第一王女カミラ―
ルーナA
(目を失ったことに関する話をしています)
カミラA
(白夜の大きい人に関して話が上がっています)
ベルカC+
(イベントは起きてません)

―暗夜第二王女エリーゼ―
エリーゼA
(昔、初めて出会った時のことについて話しています)
ハロルドB
(ハロルドと一緒にいるのは楽しい)
エルフィB
(イベントは起きていません)

―白夜第二王女サクラ―
サクラB++
(カムイと二人きりの時間が欲しいと考えています)
ツバキB
(イベントは起きていません)
カザハナC+
(イベントは起きていません)

―カムイに力を貸すもの―
シャーロッテB++
(返り討ちにあっています)
スズカゼB
(おさわりの虜になったようです)
サイラスB+
(もっと頼って欲しいと思っています)
ニュクスB→B+
(許されることとはどういうことなのかを考えています)←NEW
モズメC+
(イベントは起きていません)
リンカB
(イベントは起きていません)
ブノワC+
(イベントは起きていません)
アシュラC+
(イベントは起きていません)
フランネルC+
(イベントは起きていません)

今日はここまでで
 
 色々とミスが多くてすみません。
 今後は二つレスを使用しての安価の場合は、その有無を書こうと思います。

 こういうくぼみに何かを入れて隠し通路が出現するギミックはロマン

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・クラーケンシュタイン『ガロンの書斎・隠し部屋』―

マークス「書斎で待機していてもらえるか?」

ピエリ「わかったの、何かあったらすぐに呼んで欲しいのよ」

マークス「すまない。それとここで見たことについてだが……」

ラズワルド「分かっています、安心してください」

マークス「ありがとう」

 バタンッ

マークス「レオン、遺体の状態はどうなっている?」

レオン「軽く調べてみたけど……全身の水分という水分がなくなってる意外に目立った外傷もない。ここで衰弱死したって考えてもいいけど、そうなると僕達が見てきた父上は一体なんだったんだろう?」

カミラ「そうね。だけど、ここにお父様がいたのなら、私たちの見てきたお父様は全て偽物だったということ?」

エリーゼ「それはないよ! だってあの時、おとうさま、ちゃんとあたしのこと助けてくれたし、みんなのことちゃんと覚えてたもん!」

アクア「奴にしてみれば、エリーゼを生かしておく必要はなかったはずだから、あそこで助けることもなかったはずよ」

カムイ「では、偽物でもないとすると一体……」

アクア「考えるにも、なにも手がかりがない状態だと」

カムイ「確かにその通りですね……」

レオン「いや、手がかりが全く無いってわけじゃないみたいだよ」

カムイ「どういうことですか、レオンさ――」

レオン「これだよ」

 ドサッ

マークス「レオン、これは?」

レオン「父上が残した手記、多くは魔法具について書かれているみたいだけど、その中でこれだけは違うね」

 ペラッ

マークス「ふむ、日誌のようなものか。だが、毎日記録をしていたというわけではないようだ」

レオン「そうだね。あっ、ここに王妃が亡くなったことが書かれてる」

カミラ「とても落ち込んでいたのね、お父様。ここからの手記のほとんどは事務的なことばかりになっているもの」

マークス「気落ちしているような素振りは見せていなかったが、それが父上の強さだったのかもしれないな」

エリーゼ「だけど、ほんとうに真白なページばっかり……」パラパラパラパラッ

マークス「む、エリーゼ、今のページに戻してくれ」

エリーゼ「うん、ここ?」

カミラ「事務的な文面は変わらないみたいだけど。ここから先は文字の量が多くなってるみたいね?」

レオン「ここで何かあったっていうことかな、えーっと何々?」

―今日の未明、正門に亡命者が現れた。シェンメイと名乗る歌姫とその子供の二名。
 現在は兵舎にて身柄を拘束している。どこの国からの亡命者かは明かしていない、注意深く動向を探るべきだろう―

マークス「これは、シェンメイ王妃が暗夜にやってきた日のことか?」

レオン「みたいだね。この子供っていうのは……」チラッ

アクア「ええ多分私のことよ。予想通りといえるけど、やっぱり最初はガロンにもこう思われていたのね」

カミラ「たしかにね。エカテリーナ王妃が亡くなった傷も癒えてない最中だもの、いろいろと勘ぐってしまってもおかしくないわ」

レオン「亡命。そういえば、アクアはどういう経緯で暗夜にやってきたんだい?」

カミラ「そうね、私も気づいた時にはアクアがいて、お父様の子供と思っていたから気にしたこともなかったから」

アクア「ごめんなさい、あまり覚えていないのよ。お母様もそのことについては教えてくれなかったから……」

エリーゼ「そうなんだ……。生まれた場所がどこかわからなくて辛くないの?」

アクア「ふふっ、心配してくれてありがとうエリーゼ。でも今は皆がいてくれるから大丈夫、寂しくなんてないわ」

カムイ「ですが、こんな警戒しているお父様に、シェンメイさんはどう近づいて行ったのでしょうか?」

アクア「それは………どうしたのかしら? 想像できないわね」

マークス「ふむ、それも気になるところだ、次に移るとしよう」

レオン「うん」ペラッ

―驚くほどに胆の座った女だ。
 わしの前に至ってなお、気品と清楚さ、何よりも臆しないその態度、ただの亡命者とは思えないものを感じる。
 歌姫という身分も偽りであろう。奴の要求はアクアと共に静かに過ごせる場所、それ以外は何も要らないと言っていた。
 質素なものだと周りの者たちは感心していたが、わしの目は誤魔化せん。奴は何か大きな目的を持ってここに来たのだろう。
 少しばかり泳がせて、奴の動きを探ることにしよう。とても尻尾を出すような尻軽には思えぬが、暗夜で何かを企てようと考えているのであれば、死を持ってその愚かな行いを悔やませてやる―

レオン「……なんていうか、お父様の趣味がわかってくるね」

マークス「そうだな、母も胆の座った女性であった。気品にあふれるというよりは、女戦士と言った方がいいタイプであったかもしれない」

カミラ「でも、アクアのお母様への疑惑は膨れ上がるばかりだったみたいね」

アクア「……なんだか、不安になってきたわ」

エリーゼ「だ、大丈夫だよ。そ、それにおとうさまはアクアおねえちゃんのおかあさまのこと愛してたんでしょ?」

アクア「それはそうだけど、一緒にいるところを見たこともなかった。すべてお母様の話だけだったもの」

カムイ「不安ばかりが膨らみますから、今は考えないことにしましょう」

マークス「しかし、尻尾を見せない相手を前に、あの父上がただ待っているだけとは到底思えん」

レオン「そうだね。しばらくの間はシェンメイの動向について書かれてる。歌を歌ったり、城の雑務を手伝ったり、アクアとのんびり過ごしていたりとかか。でも、これといったあやしい行動を取っているわけじゃないみたいで、父上も地団駄を踏んでいたみたいだね」

カミラ「だとすると、このままの流れを続けるなんてこと、お父様が選ぶわけないわよね?」

マークス「ああ。だとすると……これだな」

レオン「だね。シェンメイを自室に呼び出したみたいだ。父上らしいというか、なんというか……」

カミラ「直々に呼びだしなんて、他の妃が嫉妬したでしょうね

エリーゼ「でも、ここのページ、なんだか変だよ?」

アクア「何が変なの?」

エリーゼ「えっと、ここの部分なんだけど、なんかさっきまでと書き方が違う気がする」

マークス「……」

―彼女を監視しているうちに、どうやらわしは取り込まれてしまったようだ。彼女の歌声を聴くたびに心が躍動するのを感じる。あの歌声にわしは絡み取られてしまったのだ。今日、間近で歌を聞いて理解した。わしは心揺らされているのだと―


マークス「こ、このような文字を父上が」

レオン「なんだか筆が軽やかだね。滑るように書いたみたいだ」

カミラ「あまり想像できないわ」

エリーゼ「アクアおねえちゃんのお母様って、歌が上手だったんだね」

アクア「ええ、とてもね」

カムイ「お父様を魅了するほどの歌声ですか、一体どんなものだったんでしょうね」

レオン「それじゃ、次に移るよ」

―今日もシェンメイの歌を聞いた。聞けば聞くほどにシェンメイの姿が脳裏をよぎるようになる。
 エカテリーナを失い、新しい妃など得ようと思わなかったわしとは思えないほどだ。
 シャンメイは不思議な女だ、芯が強いというのに儚げに思えてくるのだ―

エリーゼ「なんだか読んでると、くすぐったくなっちゃうね///」

カミラ「とてもお熱だったのね、お父様」

レオン「なんだか、父上の印象と異なりすぎて頭が混乱してきたよ」

マークス「そうだな」

アクア「………」

カムイ「アクアさん、どうしたんですか?」

アクア「いいえ。なんでもないわ。次に進めてくれる?」

エリーゼ「うん、わかったよー」

 グッ ジャランッ

カムイ(これはペンダントの音?)

アクア「……」

―シェンメイを部屋に呼び、ここへと招いた。
 昔、作り上げた秘密の部屋だと告げればおかしそうに笑う。
 なぜかと問えば、こんなものを見せたがるので子供みたいですという。青いペンダントと共に揺れるその笑顔が記憶に残った。
 あの笑顔だけは、彼女の着飾らないものなのだと思うと心が温かくなるのを感じた。
 何年もの間、このような感情を忘れていた気がする。シェンメイの歌を聞くたびに心がどこか晴れていくような、そのような気持ちになるのだ―

カムイ「晴れていくよう……ですか」

カミラ「初恋を思い出していたのかもしれないわね」

エリーゼ「初恋って、思い出せるものなの?」

レオン「どうだろうね、僕にはわからないけど」

カミラ「そうよね、レオンは初恋中だもんね?」

レオン「そ、そういうことを言うのやめてくれないかな!?」

マークス「しかし、こうも仲が進んでいくとは、何とも複雑な気持ちになってくるものだ」

アクア「……」

マークス「アクア、どうした?」

カムイ「もしかして、シェンメイさんが記憶とは違う人物だということで、悩んでいるんですか?」

アクア「そういうわけじゃないわ。それにガロンの手記を見る限り、その通りの人よ。今のところは……」

カムイ「アクアさん、大丈夫ですか?」

アクア「大丈夫よ……」

カムイ「嘘ですね。先ほどからペンダントを不安そうに握ってるみたいじゃないですか」

アクア「あっ……」ジャランッ

カムイ「アクアさん、何を怯えているんですか?」

アクア「………感付かれてないと思っていたんだけど、気付かれてたのね」

カムイ「あなたが心配なんです、どうかしたんですか?」

アクア「……私も知らなかったことがあると思うとね」

アクア「この問題に関して私は全てを知っているつもりだった。だから、この先に何があるのかわからないことに、怯えているのよ」

カムイ「……」

アクア「ごめんなさい。みんなに打ち明けられることを打ち明けたのに、また押しつけるようなことになってしまって……」

カムイ「謝ることじゃありませんよ。それに怖かったら手を伸ばして、私達と繋がってください。ペンダントでもいいですけど、となりにいる私たちのことも遠慮なく頼ってください」

エリーゼ「うん、アクアおねえちゃん、大丈夫だよ。あたしも一緒にいるからね!」

アクア「……ありがとうエリーゼ」

レオン「まったく、僕たちのこと少しは信用してよね」

カミラ「そうね。そんな風に壁を作られちゃうと、おねえちゃん悲しくなっちゃうから」

マークス「どんな出来事があろうとも、乗り越えられる。アクア、お前が私たちを信じてくれるならな」

アクア「……そうね、ごめんなさい。続けてくれるかしら、レオン」

レオン「わかったよ」

レオン「だけど、しばらくの間はシェンメイが王妃になったことに関して触れてるだけで、他にこれといったことは起きてないみたいだよ」

マークス「このまま、何事もなく行けばよいが、そういうわけではないだろう」

 ペラッ ペラッ ペラッ
 トンッ

レオン「カミラ姉さん?」

カミラ「そうみたいね。残念だけど、ここまでかしら?」

マークス「どういうことだ?」

カミラ「ここから、話が変わるみたいよ。シェンメイ王妃からお父様に直接アプローチがあったみたいね……」

―シェンメイが明日部屋に来る、話があるということだ。
 現在、無限渓谷を含めた停戦ラインに関する話をあげている最中ではあるが、彼女のためになら時間を作ろう。彼女は多くを話してはくれない、いずれその時が来てくれればと思う。
 この暗夜に何をしにやってきたのか、それを教えてくれるのではないかと期待している。
 彼女の力になれるのであれば、これ以上に嬉しく思うことなどないのだ―

レオン「確かに今までは父上からシェンメイ王妃に何かしら話をしていたみたいだし、それに無限渓谷の停戦ラインっていうのは……」

マークス「ああ、白夜との戦争に一つの区切りを迎えさせるためのものだったはずだ。まさかこの時期に議題が上がっていたというのか……」

カムイ「つまり、ここで何かが起きたということですね……」

アクア「そういうことになるわね。お母様は一体何を……」

レオン「確認するしかないよ。それじゃ次に進むよ……」

 ペラッ

―昨日のことは靄が掛っているように感じる。
 シェンメイの言葉の意味が理解できていなかったからかもしれない。
 だが彼女が言うには、わしにはもうそれが入り込んでいるのだという―

―その者が何者であるかを彼女は答えなかった。
 答えなかったが、それは確かにわしの中にいるのだと彼女は言い、それはいずれわしを喰い殺すという。
 シェンメイのペンダントが輝き、歌が響くたびにわしの中にシェンメイが溢れてくるのは、埋め合わせているからだと彼女は言う―

―シェンメイは言っていた。
 わしが抱いているシェンメイへの感情は偽りであり、それを利用していたと。
 そうしなければいけなかったのだと言っていた。その思いはただの仮初で、本心故のものではないのだと―

―シェンメイは今まで見たことがないほどに泣き出し、わしに謝罪していた。
 世界を救うために、わしという人間の心を弄んだと吐露し、涙を流すその姿を見ていられなくなった―

―優しく抱きしめてやればシェンメイは静かに石を取り出し、
 わしにこれを持つことを進めてきた。シェンメイはそれをわしが持つことを望んでいた。
 これであなたは守られるから、これを身に付けてほしいとも言っていた。半透明の奇麗な石を持つようにと―

―その時の返答だけはちゃんと頭に残っている。
 わしは守れる側では無い、その者が誰かは知らない、この思いが偽りであろうとも関係はない。だから、これは振り回される者に与えるべきものだと。
 石を押し返し、わしはシェンメイを抱いた。
 あの石がなんであるかはわからない。わからないままでいい、わしには必要のないものだ―

―そして夢の中にそれは現れた……
 わしの形をした、わしのように感じる、わしではない存在―

―今、こうして筆を執っているからこそわかる。
 あれがシェンメイの言っていた奴なのだろう。
 あれがわしを喰い殺す存在なのだろう。
 あれが……シェンメイの倒すべき敵なのだろう。
 それにわしは屈するつもりはない……―

―どのような手を使ってでも、こいつを殺してみせよう。暗夜王の名の下に―

 今日はここまでで

 あのペンダントの効能って実はこういうものなんじゃないかという感じの話。
 シェンメイは世界のためなら命すら投げ出す、そんなタイプの女性だと思う。

マークス「自分と同じ姿をした、自分でないものか……」

レオン「シェンメイ王妃の言葉通りに捉えれば、かなり前に奴が父上の中に入り込んでいたみたいだね……」

アクア「ええ、それにお母様は気づいていた。ガロンが認めていない心の隙間、それをお母様は歌の力を使って埋めていたのかもしれないわ。だけど、ガロンが本当にお母様を愛していたかは……」

カムイ「お父様がシェンメイさんを愛していたのかどうか、それを考えても仕方ありませんよ。もう、確かめる術はないんですから」

カミラ「それに、アクアのお母様もお父様のことを救おうと動いてくれた。それだけは間違いないこと。だから、それ以外のことを考える必要はないのよ」

アクア「そうね、ごめんなさい」

カムイ「いいんですよ。それにしても異形神はこんなにも前に糸を張り巡らせていたんですね」

レオン「あまり頑張ってほしくないことだけどね。だけど、シェンメイ王妃の言葉を紐解くと何かしらの保険があるみたいだったけど」

マークス「この石のことか」

カミラ「これがどんなものなのかはわからず仕舞いね。だけど、これであなたは守られるっていうのはどういう意味なのかしら?」

カムイ「それはわかりませんが、お父様は押し返したみたいですね」

マークス「ああ、守られることを父上は良しとしなかったということだ。どんなことがあろうとも守られるわけにはいかないという、そういう思いだったのだろう」

エリーゼ「でも、負けちゃったんだよね。おとうさま……」

アクア「どんな人間にも弱みはあるということよ。それはガロンだって例外じゃない。特にそれを認められなかった分、気付けなくなってしまうものよ」

カミラ「そうね……。誰しも、認めたくないもののはずよ」

アクア「ええ。それを責めることはできないわ」

マークス「レオン、他には何か書かれているか?」

レオン「いや、これ以上のことは書かれてないみたいだ。奴の存在を気にして、書くことをやめたのかもしれない。だけど、父上がこの戦争に一つの終わりを迎えさせようとしていた時に、奴が絡んできたことに間違いはないね。白夜との停戦ラインは確かに確立されていたんだから」

カミラ「停戦ね。もしかしたら、私たちも争うことなく出会っていたかもしれないわ」

カムイ「そうですね。でも、それを考えても仕方ありません。今考えるべきもしもはこのさっきのことであるべき……そうですよね、マークス兄さん」

マークス「ああ。われわれの方針は変わらない」

エリーゼ「マークスおにいちゃん、おとうさまが死んじゃってることをみんなに知らせようよ。そうすれば、みんな偽物の言うことなんて聞かなくなるはずだよ!」

マークス「エリーゼ……。すまないが、父上が死んでいるということを表向きに発することはできない」

エリーゼ「ど、どうして!? だって、ここにおとうさまはいるのに」

レオン「父上が死んでいることを表に出せば、白夜侵攻部隊に亀裂が生じるかもしれない。それを聞いてエリーゼの言うとおり離反者が出る可能性もある。だから、本来ならすぐに公表するべきことだよ」

エリーゼ「だったら、どうして……」

レオン「戦争をどうにか終わらせるためだよ」

エリーゼ「どういうこと?」

レオン「僕たちの敵は異形神だよ。だけど、それを言ったところで事情を知らない人間が信じるわけない。白夜を長年に渡って攻撃してきた事情がどうであろうとも、指導者がそれを行ってきたことは覆せないようにね」

エリーゼ「あ……」

レオン「僕たちが王都を手に入れた。だけど、ここで父上が亡くなっていたことを公表すれば、僕たちはその悪意を背負うことになる。白夜にとっての倒すべき相手を変えさせちゃいけない」

マークス「奴には最後まで父上でいてもらう必要がある。暴君としての父上でいてもらわなくてはならない。白夜とわれわれにとっての敵として……。これがどういう意味かはわかっているつもりだ」

エリーゼ「……」

カムイ「エリーゼさん」

エリーゼ「ううん、だいじょうぶだよ。カムイおねえちゃん……。わかってる。おにいちゃんもおねえちゃんも、本当はおとうさまにこれ以上悪いことをさせたくないって、もう休ませてあげたいって思ってることも。だけど、そうできないんだよね……」

カミラ「ええ」

マークス「エリーゼ、父上をわれわれで送ってあげよう。父上が作り上げた暗夜をわれわれが引き継いでいく、それにこのまま父上を置いて行くことはできない」

エリーゼ「うん、おとうさま喜んでくれるかな?」

カミラ「大丈夫、きっと喜んでくれるわ。だって、お父様はエリーゼのことをとても大切に思ってくれていたんだから」

エリーゼ「えへへ、そうだとうれしいな……」

マークス「私は準備に取り掛かる。カミラ、父上を運ぶ作業を手伝ってくれるか?」

カミラ「そのつもりだから、安心してちょうだい」

エリーゼ「あ、あたしも手伝う!」

マークス「エリーゼ……。ではお願いできるか?」

エリーゼ「うん、まかせて!」

マークス「上からシーツを持ってくる、すまないが待っていてくれ」

 ガチャ バタンッ

レオン「……」

アクア「レオン、どうしたの?」

レオン「いや、父上の姿形を奪ってるわりに、こうやって暗夜王都を簡単に明け渡しているのはなんでかなって思って。暗夜を内部で分裂させて争いを助長させるのが目的だとしても、なんだか腑に落ちない」

カムイ「まだ何か手を考えているということですか?」

レオン「いや、手を考えているに決まってはいるはずだよ……。このままいけば、戦争は終わりを迎える。奴がどういう存在なのかはわからないけど、奴が望むのは戦争の長期化だった。だとすれば、王都を僕達が襲撃する可能性だって見越していたと思うんだ」

カムイ「あえて取らせたということですか?」

レオン「考えたくないけどね。そう考えてみると、奴はまだ遊んでるだけなのかもしれない」

カムイ「遊んでいるですか……」

レオン「僕達がどう動くのか、見て楽しんでいるだけに過ぎないんじゃないかって。戦争を長く続けることや、人々の間に軋轢を生み続けるには現在の暗夜の状況は好都合なはず。それをあえて、崩せる状態を作りあげたんじゃないかって」

アクア「この暗夜王都防衛の配置は、あえてされたものと考えてるわけね?」

レオン「ああ、何か意図的に僕達が攻められるように仕向けたように感じられる」

アクア「意図的に……ね」

カムイ「ですが、今の状況的優位は変わりませんよ」

レオン「優位という点ではね。でも、勝利しているわけじゃない。全体的に見たら、僕たちはようやく一歩相手に近づいたくらいなんだから」

アクア「レオンはこのことも織り込み済みと考えているのね」

レオン「安心するにはまだ早いっていうのが僕の判断だよ」

アクア「勝って兜の緒を締めよという言葉あるわ」

カムイ「?」

アクア「成功したからと言って気を緩めず、一層引き締めなさいっていう意味よ」

カムイ「兜ですか、レオンさん、それはいったいどういうものなんですか?」

レオン「こっちのヘルムみたいなものだよ。と言っても姉さんが付けることはないと思うけどね」

カムイ「なんですか、私はいつも気が抜けてるって言いたいんですか?」

レオン「そういうわけじゃないから」

アクア「私は気が抜けてると思うけど?」

カムイ「アクアさんは酷い人ですね」

レオン「今は悩んでも仕方無い、それにすでにするべきことは決まってるんだ。父上を弔って、僕たちにできることをするために戻らないといけない。そうじゃなければ、暗夜王都を手にした意味がなくなるからね」

カムイ「ええ」

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・北の城塞『広場の離れ』―

 ボワッ ボウウウウウッ

エリーゼ「これで、おとうさま。天国に行けたのかな?」

カミラ「ええ、ちゃんと行けたはずよ。だから心配しないで」

エリーゼ「うん」グスッ

マークス「……」

レオン「……」グスッ

エリーゼ「レオンおにいちゃんも、泣いてるの?」

レオン「そ、そんなわけ……」

カミラ「こんな時に意地を張ることはないわ。泣きたかったら泣きなさい。それがお父様のためにもなるんだから」

レオン「カミラ姉さん……ごめん。少しだけ、まだ父上が生きているのかもしれない、そう思っていたから……」

マークス「私もだ。心のどこかで父上は戻ってきてくれる、そう思っていた。いや、思っていたかった」

エリーゼ「……うん。ほんとうにさよならなんだね……」

カミラ「ええ……。本当に思い通りにいかないものね……」

マークス「だからこそ、私達はこんなにも生きることをに必死になっているのかもしれない。自分の得たい結果を得るために……」

 ボウウウウウッ

カムイ「……」

アクア「皆と一緒じゃなくていいの?」

カムイ「アクアさん……。私はあそこにいてはいけませんから」

アクア「どうして?」

カムイ「皆さんの中に混じられるほど、私にはお父様への思いはありません。そんな私が入っていい場所ではありませんから。アクアさんは行かなくていいんですか?」

アクア「あなたと同じようなものよ。私のお父様もガロンじゃない、だから気持ちを共有することはできないわ」

カムイ「そうですか」

アクア「でも、こうしてあなたがいてくれるから、少しだけホッとしているわ……」

カムイ「私もです。どんなに寄り添おうとしても、絶対にそこに至れないものというものはありますからね……。私達が兄妹という強い絆を持っていても、ガロン王を本当のお父様と思うことは、もうできませんから」

アクア「ええ、そうね……」

カムイ「ところで、アクアさんは先ほどから何を考えられていたんですか?」

アクア「え?」

カムイ「そんな感じがしたんです」

アクア「ふふっ、ちょっとお母様のことを考えていたのよ」

カムイ「シェンメイさんのことですか?」

アクア「ええ……。ちょっと思うことがあってね」

カムイ「その……」

アクア「?」

カムイ「あまり、私が言っていいことかはわかりませんけど。アクアさんにとってシェンメイさんが素敵なお母様であったらなら、それでいいのではないでしょうか?」

アクア「……」

カムイ「アクアさんが信じているシェンメイさんのことを信じ続けることが、一番大切なことじゃないかと思うんです。こうして書かれていたとしても、アクアさんのことを大切にしてくれたシェンメイさんの姿が変わるわけじゃありません。ですから――」

アクア「ふふっ」

カムイ「?」

アクア「ごめんなさい。珍しく困ったような顔をあなたがするから、大丈夫、そういうことを思っていたわけじゃないの」

カムイ「では、一体何を?」

アクア「お母様は本当に強い人だったんだと思ったの。私と一緒にいる時は何時も笑顔で支えてくれて、怖いことがあって眠れない夜は耳元で子守歌を歌ってくれて……。私の髪を愛おしく撫でてくれる。そんな人だったの」

カムイ「素敵な人ですね」

アクア「私の前ではお母様は、ずっといつものお母様だった。何時見ても私に向ける笑顔は優しくて、それが私は大好きだった。笑顔の陰で戦っていたなんて、私は全然気付けなかった。それがとても悔しいの」

カムイ「仕方ありませんよ。シェンメイさんはアクアさんに心配を掛けたくなかったんです。亡命のこともあって、これ以上不安を与えないようにと考えて、そうしたんでしょう」

アクア「……だとしても、話してほしかった。お母様が悩んでいるのなら、力になってあげたかったから」

カムイ「アクアさんに思われて、シェンメイさんは嬉しく思ってるはずですよ。子供に思われるというのは、親にとってとても素晴らしいことだと私は思いますから」

アクア「そうかしら?」

カムイ「そうですよ。それに比べたら、私の慰めなんて太刀打ちできそうにありませんから」

アクア「そんなことないわ。あなたが声を掛けてくれて、こうして思ったことを口に出して、それを聞いてもらえる。こんなにうれしいことはないの」

カムイ「そんな大げさですよ」

アクア「いいえ、誰かが隣で私の大切なお母様の話を聞いてくれる。それだけでも尊いことなのに、その相手があなたであることがとてもうれしいの」

カムイ「私なんかでいいんですか?」

アクア「ええ、あなただから」ピトッ

カムイ「アクアさん?」

アクア「あなただから、私はこうして話をできる。それに、もしかしたら……」

カムイ「もしかしたら、なんですか?」

アクア「……」

カムイ「……」

アクア「ふふっ、何を言おうとしていたのか忘れちゃったわ」

カムイ「えぇ、ここまでひっぱて置いてそれはないですよ……」

アクア「うふふ」

カムイ「はぁ。でもここから先のことが、うまく行くといいですね」

アクア「大丈夫。もう、あなたは歩み始めた。どんな道筋だったとしても、必ずそこに至れるわ」

カムイ「どんな道筋だとしても、ですか……」

アクア「ええ、あなたの道はあなただけの道だから。それにあなたの道は私の道でもあるのよ?」

カムイ「そう言われると照れてしまいます。アクアさんの言葉はなんだかポカポカしてて、くすぐったいです」

アクア「ねぇ、私のことが頭に浮かんだりすることはある?」

カムイ「え、そうですね。さすがに見たことがないので難しいかもしれません」

アクア「それもそうね……。ごめんなさい」

カムイ「なんで謝るんですか? それとも、そうなったほうがアクアさんは嬉しいんですか?」

アクア「な、何を言い出すの。調子に乗らないで」

カムイ「ふふっ、ごめんなさい」

アクア「……がんばりましょう、この先も戦いが終わるまで」

カムイ「はい、戦いが終わるまで一緒に……」

カムイ(理想と目的の挟間にある私の道は真黒なのでしょう。でも、私はその道を進むと決めてここにいる。今までその暗闇から離れていた。思いだせば単純でしたね。私が掴んだのは光じゃなくて暗闇だったんですから)

カムイ(その暗闇の中をもがいて進むことが私の選んだ道で、そこでなければいけないんですね。私が至る道というのは……)

◇◇◇◇◇◇
―白夜王国・シラサギ城『ヒノカの部屋』―

セツナ「……」

ヒノカ「んっ、ううんっ……セツナ」ギュッ

セツナ「……大丈夫ですよ。ヒノカ様、私はここにいます……」

ヒノカ「……スゥスゥ」

セツナ「……?」

アサマ『セツナさん、起きていますか?』

セツナ「起きてる。どうしたの、アサマ?」

アサマ『すみませんが、二人でお話をと思いまして……』

セツナ「ここじゃ駄目?」

アサマ『はい、できれば……』

セツナ「そう、わかった」バサッ

 シュルルッ キュッ

セツナ「……」チラッ

ヒノカ「スゥー スゥー」

 スーッ スーッ バタンッ

セツナ「アサマ、夕方ぶり」

アサマ「はい。すみません、ヒノカ様のことをすべて任せてしまって」

セツナ「いい。アサマにだって辛いことくらいある」

アサマ「その言い方では、まるで私が辛いことなど何もない、畜生のようだと言っているようです」

セツナ「少し前まではそう思ってた。アサマはいつも顔色が変わらない」

アサマ「それでは仏頂面の者たちは、皆辛いことなどないことになってしまいますよ」

セツナ「うん、でもアサマはそうじゃないってわかったから」

アサマ「……はぁ。あなたのような人に感づかれるとは、私も修行が足りませんね」

セツナ「修行したらどうにかなるなら、私にも教えてほしい。それをヒノカ様に教える」

アサマ「……セツナさん」

セツナ「ヒノカ様、すごく苦しんでる。この頃、求めてくる回数も増えてきた」

アサマ「……」

セツナ「もう、頻度なんてわからない。だけど、私はタクミ様より弓がうまいわけじゃないから、こういうことでしかヒノカ様を支えられない。それでヒノカ様が安心してくれるなら、それで私は構わない。でも、このままでヒノカ様が良くなるとは思えない、だから……」

アサマ「ふふっ」

セツナ「?」

アサマ「いえいえ、今の私たちの姿を元のヒノカ様がご覧になったら、何を言うのかと思いましてねぇ」

セツナ「今日は槍でも降るのかとか、そういうことを言うのかな?」

アサマ「いえいえ、何か企んでいるのではと勘繰られるのが関の山ですね」

セツナ「……そうかも」

アサマ「……あの方は脆い、それをお守りしようと気づいた時にはもう遅かったというのが、私が唯一神の前で告げる罪になるでしょう」

セツナ「アサマ、疲れてるの? そんなこと言うなんて」

アサマ「ははっ、たぶん疲れているのでしょう。すぐに話を終えて休みたいところです」

セツナ「……それでアサマ。話っていうのはなに?」

アサマ「いいえ。もう答えはもらったようなものですので。ですが、ここまでお呼びしたので、一応はお聞きしておこうかと」

セツナ「?」

アサマ「セツナさん、私はヒノカ様のためにこの命を掛けるつもりです。この先、暗夜の攻撃が増し、刃がヒノカ様に達しようものなら、その前の壁にでもなるつもりですよ」

セツナ「アサマ。それは私も同じだよ」

アサマ「そうですね。それはわかっていました。ですが、私のお話はそれとは違う頼みごとです」

セツナ「頼みごと?」

アサマ「はい、私からあなたに頼みたいことです。正直、私が望むことはこれくらいしかありませんので」

セツナ「まずは言って、そうじゃないと返事ができないから」

アサマ「そうでしたね。私があなたに頼みたい約束というのは」

アサマ「―――――」

セツナ「……」

アサマ「以上です。頼まれていただけますか?」

セツナ「……うん、いいよ。アサマから頼まれるなんて、私も成長したってことだよね?」

アサマ「本当にわかっているんですかね?」

セツナ「わかってる。だから安心して、私とアサマだけの約束だから……」

アサマ「助かりますよ、セツナさん」

 ギィ ギィ

ヒノカ「セツナ、セツナどこに――。アサマ?」

アサマ「おはようございます、ヒノカ様」

セツナ「ヒノカ様、駄目ですよ。ちゃんと服を来てください、風邪引いちゃいます」

ヒノカ「あ、すまない」

アサマ「まだ夜は明けてませんので、ゆっくり御休みになってください」

ヒノカ「んんっ、アサマも一緒に寝よう」

セツナ「それは駄目」

ヒノカ「ん。セツナ?」

セツナ「ヒノカ様の布団は私の特等席、指定席だから」

アサマ「ふふっ、仕方ありません。ヒノカ様、またいずれということにしましょう」

ヒノカ「そうか、わかった……」

アサマ「では、これで失礼ます。セツナさん、ちゃんとヒノカ様を部屋まで送ってくださいよ」

 タッ タッ タッ

ヒノカ「……アサマは私と寝るのが嫌なのだろうか?」

セツナ「照れてるだけ。アサマもヒノカ様のこと大好き。私が保証します」

ヒノカ「そうか。嬉しい」

セツナ「それじゃ、ヒノカ様部屋に戻りましょう。冷えますから」

ヒノカ「ああ。セツナ……部屋に戻ったら……」

セツナ「……はい」

 ギィ ギィ ギィ

~~~~~~~~~~~~~~~~

―シラサギ城『リョウマの部屋』―

リョウマ「そうか……」

サイゾウ「確認は取れていませんが、すでに噂は流れています」

リョウマ「暗夜王都で謀反、それが成功した。確かにイズモ公国からお前が持ち帰った情報通りなら、これを成し得たのはカムイたちか」

サイゾウ「そう考えるのが妥当かと思います」

リョウマ「わかった。それより体のほうは大丈夫なのか、カゲロウ」

カゲロウ「はい。ですが、以前のように動くことはできなくなってしまい、申し訳ありませぬ」

リョウマ「お前が生きて帰ってきてくれただけでも俺は嬉しい。それにあの傷だ、無理に戦うことはないんだぞ?」

カゲロウ「いえ、まだリョウマ様の戦いは終わっておりませぬ。その戦いが終わった時が、私もただのカゲロウに戻るときです」

リョウマ「……すまない。それでサイゾウ。その謀反の件、強硬派も感づいているのか?」

サイゾウ「それは間違いないかと……」

リョウマ「……わかった。今日はこれで終わりとしよう。二人とも、御苦労であった。下がって休め」

サイゾウ・カゲロウ「御意」

 ササッ

リョウマ「カムイは進むべき道を進み始めたということか……。暗夜の地で、お前はお前の道を……」

リョウマ「……わかっていたというのにな」

「俺ではそこには至れない。それをこうも付きつけられてしまうことになるなんでな……」

 十九章 おわり

今日はここまでで

 ガロンとシェンメイって、NTRな関係だなっておもった。

 次から休息時間に入りますので、安価のほう参加していただけると幸いです。
  
◇◆◇◆◇

 ジョーカー
 ギュンター
 フェリシア
 フローラ
 マークス
 ラズワルド
 ピエリ
 レオン
 ゼロ
 オーディン
 ベルカ
 ハロルド
 エルフィ
 サイラス
 ニュクス
 ブノワ
 シャーロッテ
 モズメ
 リンカ
 サクラ
 カザハナ
 ツバキ
 スズカゼ
 アシュラ
 フランネル

 カムイと話をする人物(支援A以下限定)

 >>404
>>405

 まだ続きます

◇◆◇◆◇

 アクア
 ジョーカー
 ギュンター
 フェリシア
 フローラ
 マークス
 ラズワルド
 ピエリ
 レオン
 ゼロ
 オーディン
 カミラ
 ベルカ
 ルーナ
 エリーゼ
 ハロルド
 エルフィ
 サイラス
 ニュクス
 ブノワ
 シャーロッテ
 モズメ
 リンカ
 サクラ
 カザハナ
 ツバキ
 スズカゼ
 アシュラ
 フランネル

 支援イベントのキャラクターを決めたいと思います。

 >>406>>407
(すでにイベントが発生しているキャラクター同士が選ばれた場合はイベントが進行、支援状況がAになっている組み合わせの場合は下のキャラクターとの支援になります)

◇◆◇◆◇
進行する異性間支援の状況

【支援Bの組み合わせ】
・ベルカ×スズカゼ
・ラズワルド×エリーゼ
・ブノワ×フローラ
・エリーゼ×ハロルド
・オーディン×ニュクス

【支援Cの組み合わせ】
・サイラス×エルフィ
・モズメ×ハロルド
・ギュンター×ニュクス
・レオン×エルフィ
・アクア×ゼロ
・ルーナ×ハロルド
・ルーナ×オーディン

 この中から一つ>>408
(会話しているキャラクターと被ってしまった場合は、その一つ下のになります)
 
◇◆◇◆◇
進行する同性間支援

【支援Bの組み合わせ】
・ギュンター×サイラス
・フェリシア×エルフィ
・シャーロッテ×モズメ
・ピエリ×ルーナ

【支援Cの組み合わせ】
・エルフィ×モズメ
・シャーロッテ×カミラ
・ピエリ×リンカ
・ピエリ×フェリシア
・ジョーカー×ハロルド
・アクア×ルーナ
・ベルカ×ニュクス
・フローラ×エリーゼ
・カミラ×サクラ
・スズカゼ×オーディン

 この中から一つ>>409

 このような形でよろしくお願いいたします。


ラズワルド

支援A以下ってことはAはセーフってことになっちゃうぞ
サクラ

ニュクス

ガロンが有能
ベルカ

オデンルーナ

ピエリ×ルーナ

◇◆◇◆◇
―暗夜王国・北の城塞―

ニュクス「ベルカ、少しいいかしら?」

ベルカ「!?」

ニュクス「身構ないで、別にこの前のことをどうこう言いたいわけじゃないから」

ベルカ「……なに?」

ニュクス「ちょっと、悪い気配を感じたからね」

ベルカ「?」

ニュクス「失礼するわよ」ガシッ

ベルカ「何をして――」

ニュクス「動かないで……」ガサゴソッ

ベルカ「………っ」

ニュクス「……これね。少し痛いから、我慢して頂戴」

ベルカ「え?」

 バチンッ

ベルカ「っ!! 何を――」

ニュクス「ごめんなさい。でも、これでもう大丈夫よ」

ベルカ「?」

ニュクス「小型の使い魔が貼りついていたわ」

ベルカ「!?」

ニュクス「相手が誰かは知らないけど、あまり感心できる相手じゃないわね。その使い魔は用事がすんだらあなたも殺すつもりだったようだから」

ベルカ「……どうして助けたのよ?」

ニュクス「私が死ぬことに関しては何も言うことはないわ。でも、巻き込まれてあなたが死ぬ必要もないというだけの話よ」

ベルカ「……でも、まだ依頼は続いてるわ」

ニュクス「そう、それじゃ、今殺してもいいわよ。恩を感じる必要もないわ、それに今は誰もいないから問題ないわ」

ベルカ「……次の機会にするわ。今は、そういう気分じゃないのよ」

ニュクス「ふふっ、わかったわ。今度も一人でいるところを狙えるといいわね?」

ベルカ「……」

【ベルカとニュクスの支援がBになりました】

◇◆◇◆◇
―暗夜王国・儀式予定地―

ルーナ「こんな広いところ使うわけ!?」

オーディン「ああ、最高の舞台だろ!」

ルーナ「なんでこじんまりとしたところでやらないのよ」

オーディン「ふっ、儀式は大きくやるべきだ。すでに魔法陣も準備して、あとは天気を待つだけだからな」

ルーナ「準備はいいのね。それで、あたしに何を頼みたいわけ?」

オーディン「ああ、見てくれ。この強大な闇の象徴を!」

ルーナ「ただの木で作り上げた張りぼてじゃないの」

オーディン「違う、これは儀式の質を高めるダークオブジェクト。鮮血戦器・ブラディマリーに力を与える会場だ」

ルーナ「はいはい、それでなにするわけ?」

オーディン「ああ、裏に来てくれ」

ルーナ「……へぇ、上がれるようになってるのね。それで、所々に置いてある箱はなに?」

オ-ディン「その中には、儀式に使用する供物が入っている。聖なる供物がな」

ルーナ「……聖なる供物って、これただの紙吹雪じゃない」

オーディン「ちゃんと裏に文様を刻んでいる。これ一つ一つにちゃんと力が込められているのさ」

ルーナ「ほんとだ、無駄に気合入ってるわね……」

オーディン「その供物を捧げる作業をお前に任せたい。この儀式が成功させるため重要な役割を任せたいんだ

ルーナ「そんな重要な役目頼まれたくないんだけど。ちなみにあんたはなにするわけ?」

オーディン「ふっ、よくぞ聞いてくれた。まず、俺は鮮血戦器・ブラディマリーに取りついた不穏なアトモスフィアと対峙し、その可能性を問いただし、奴の望みに耳を傾け、そのために供物を捧げようと誓うわけだ」

ルーナ「はぁ、また変な段取り組んだわね。ちゃんとうまく行くわけ?」

オーディン「当り前だ。俺は漆黒のオーディン、この力は不可能を可能にする力なんだからな」

ルーナ「……ふふっ」

オーディン「な、なんだよ」

ルーナ「なんでもない。それじゃ、あたしはその創作劇のどこで手を出せばいいのか、ちゃっちゃと教えなさいよ。完璧にやり遂げてみせるから」

オーディン「そ、そうか。呆れて帰られるかと思ってた」

ルーナ「その代り、約束はちゃんと守ってよね?」

オーディン「ふっ、漆黒のオーディンに二言はない。きっちり磨き上げてみせるさ。だから頼りにしてるぜ、ルーナ!」

ルーナ「ええ、任せておきなさい」

【ルーナとオーディンの支援がBになりました】

◇◆◇◆◇
―暗夜王国・大通り―

ピエリ「えへへ~、ルーナとのお買い物、とっても楽しかったの!奇麗な洋服とか、お化粧とかいっぱいしてもらえて、ピエリとってもきれいになれたのよ」

ルーナ「ふふっ。途中、お化けみたいになってたけどね」

ピエリ「そうなの、あれ酷いのよ。ピエリのお肌傷ついちゃうかと思ったのよ。でも、とっても楽しかったから許してあげちゃうの」

ルーナ「ありがと」

ピエリ「えへへ~。でも、やっぱりお母さんみたいな奇麗じゃなかったのよ」

ルーナ「当り前でしょ、ピエリはピエリなんだから」

ピエリ「そんなことないの、いつかピエリもお母さんみたいになって、きれいになって見せるのよ。そうすれば、きっとお母さん、ピエリのこと……」

ルーナ「……」ギュッ

ピエリ「んっ、ルーナどうしたの? ピエリの手を握って――」

ルーナ「ピエリ。あんた、母さんに置いてかれたって思ってるんでしょ?」

ピエリ「……どうして、わかるの?」

ルーナ「あたしもね、母さんに置いてかれちゃったからわかるのよ。ピエリが母さんのことをすごく引き摺ってるって」

ピエリ「ルーナもピエリと同じでお母さんいないの?」

ルーナ「ええ、もういないわ」

ピエリ「そうなの……。ルーナもピエリと同じだったのね。ならピエリの気持ちをわかるはずなのよ」

ルーナ「……わかるわ。だけど、わかるからこそ、このままじゃいけないって言ってんの、あたしは」

ピエリ「どうしてなの? ピエリ、もう一度お母さんに会いたいの……奇麗になったピエリのこと、いっぱいいっぱい抱きしめてほしいのよ」

ルーナ「……ピエリ」

 ポタポタ

ピエリ「ううっ。ピエリ、ずっとずっとお母さんみたいになりたかったの。お母さんみたいになれば、お母さんが近くにいてくれるって思えるかもしれない……でも、全然そんなことなかったの。どんなに頑張って奇麗になっても、お母さん会いに来てくれなかったの……。でも血みどろになるとね、脳裏にお母さんが出てきてくれるの。ピエリ、お母さんに会えるなら……」

 ダキッ ギュウッ

ルーナ「……馬鹿ね」

ピエリ「馬鹿じゃないの。ピエリ、真面目なの……」

ルーナ「ううん、馬鹿よ。そうやってまっすぐに母さんのこと好きなのに、母さんのこと困らせるような事してるんだから」

ピエリ「ピエリ、お母さんのこと困らせてるの?」

ルーナ「ええ。母さんていうのはね、子供に死んでほしいなんて思ってないものなの。あたしの母さんが、間接的にあたしに守るために戦いに向かっちゃったように。……あたしの母さんも……」

ピエリ「……ルーナ、泣いてるの?」

ルーナ「へっ、あ、これはその……」

ピエリ「……ルーナもお母さんのこと思い出してたの?」

ルーナ「だ、だれがあんな奴のこと思い出して……。もう、止まりなさいよっ……」ポタポタ

ピエリ「……えいなの」ギューッ

ルーナ「あぅ、ピエリ?」

ピエリ「ルーナとピエリ、なんだか似てるの。泣き虫なところとか、お母さん大好きなところとか、髪を二つに結んでるところとかも、ピエリとお揃いなのよ」

ルーナ「べ、別にピエリに合わせてるわけじゃないから!」

ピエリ「ルーナ。心配掛けてごめんなの。ピエリ、お母さんのことでルーナのこと困らせたくないのよ」

ルーナ「いいの? あたしが言ってること、間違ってるかもしれないわよ」

ピエリ「ううん、間違ってるとかじゃないの。ピエリ、お母さんに安心してもらいたいの。ちゃんと奇麗になって、いつか会いに行きたいのよ。お母さんみたいになりたいなんて、もう思わないの」

ルーナ「そう、それじゃ、二人でどんどん奇麗になってくわよ。母さんに負けないくらい奇麗になって、いつか驚かしてあげないとね」

ピエリ「うん。ありがとうなの。ピエリ、ルーナ大好きなのよ」

ルーナ「照れるわね……。……ありがと、ピエリ」

【ルーナとピエリの支援がAになりました】

◆◆◆◆◆◆
―白夜王国・イズモ公国『大広間』―

イザナ「暗夜王都の件、うまくいったみたいだね~」

カムイ「はい。ところで、私がお願いした件についてですが……」

イザナ「こっちに情報が来た時点で、できる限り簡潔に流しておいたよ。まだ疑心暗鬼とは言える部類だけど、暗夜の王都で何かがあったっていうことは、少なからず白夜のお偉いさんは知ってるんじゃないかな~。それも無視できない程度にね……」

カムイ「そうですか。すみません、私たちでは説得力がないとわかっていたとはいえ、このように情報拡散を任せることになってしまって」

イザナ「構わないよ。それにご褒美がもらえたからね~」

カムイ「?」

イザナ「一皮剥けたキミが目の前にいる、それだけでもボクとしては十分すぎるご褒美だよ~」

カムイ「あなたにご褒美をあげるために、決めたわけじゃないんですが……」

イザナ「でも、そうなるともう一度キミのことを占う必要があるかもしれないね。不透明なキミの未来が、どんな色になったのか興味が湧いて来ちゃったよ」

カムイ「調べるのは別に構いませんよ」

イザナ「やっぱり、カムイ王女は未来に興味はないってことかな?」

カムイ「そうですね。前に言ったように私は信じるつもりはありませんよ。私の未来は私が決めることですから」

イザナ「そう、キミの考えはわかったよ。それじゃ、ボクも覗くのはやめることにしようかな~」

カムイ「別に私の意見を気にしなくてもいいですよ?」

イザナ「大丈夫、ボクはキミと同盟を組んでる。そんな中でボクだけ先に覗くのは良くないことだからね~」

カムイ「わかりました。それで、次のお願いなのですが――」

~~~~~~~~~~~~~~

イザナ「ふーん、なるほどね。少し時間が掛ると思うけど……準備は整ってるんだよね?」

カムイ「はい。必要な物はすべて、あとはイザナさんに。この事は出来れば早急にお願いします」

イザナ「ははっ、人使いが荒いね」

カムイ「そんな人使いの荒い人に協力すると言ったのは、あなたじゃないですか。今さら手離したりしませんからね?」

イザナ「おぉ、こわいこわい。困ったなぁ、ここを出る前のキミだったら、もう少し遠慮してくれたかもしれないのに」

カムイ「あまり時間もありません、ぐずぐずと手を拱いているわけにもいきませんから」

イザナ「善は急げってことだね~。そういうのボクは好きだよ~。勇ましいし、なによりも貪欲な感じがしてね」

カムイ「私に勇ましいっていうのはいりませんよ」

イザナ「じゃあ、なんて表現するんだい?」

カムイ「単純に必死になっているだけです。選べるものに意味があるうちに、それを手繰り寄せることにただ必死になっているだけ、勇ましさなんてどこにもありませんから」

イザナ「そうかい、キミがそういうならこれ以上は何も言わないよ。その件は何か動きがあり次第伝えるからね~」

カムイ「ありがとうございます」

イザナ「いいよ、いいよ~。それより、しばらくはここに滞在するんだよね?」

カムイ「出来ればそうさせていただきたいところですが……」

イザナ「何を遠慮してるのかな~。ボクとキミとは同盟関係、こういうことは気にしないでいいよ。それにお祭りも終わって、少し寂しくなっちゃったから、滞在してくれるとうれしいな~」

カムイ「そうですか、では御言葉に甘えさせてもらいます」

イザナ「よ~し、それじゃ滞在できる場所をすぐに準備するからね~」

カムイ「はい、よろしくお願いしますね」

 スーッ スーッ パタンッ

カムイ(滞在ですか……。暗夜王都の件で皆さん疲れている。ここで一息吐けますね……)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
―イズモ公国・大通り―

 シーン

カムイ「……何時もはこんなものなんでしょうか……」

カムイ(歩いている人の気配もあまりありませんし、お店がやっている音も聞こえませんね……)

ラズワルド「あれ、カムイ様? どうしたんですか、こんなところを一人で歩いて」

カムイ「ラズワルドさん。いえ、気分転換にと思いまして。ラズワルドさんは、またナンパ……ですよね?」

ラズワルド「そこは疑問形にして欲しいんだけど……」

カムイ「ふふっ、それで収穫はどうでしたか?」

ラズワルド「ちょっと、周りの気配を探ってから聞かないでくれないかな……」

カムイ「ごめんなさい。やっぱり、あまり人は出歩いていないんですね」

ラズワルド「そうだね。なんて言うか、お祭りも終わった反動なのかもしれない。戦争っていう日常が戻ってくると、みんなこうやって閉じ籠っちゃうのも仕方ないからさ」

カムイ「だめですよ、ラズワルドさん」

ラズワルド「え?」

カムイ「戦争が日常なんて、そんなのいけません。それに私達は戦争を終わらせるために戦っているんですから。私達にとっての日常は、戦争が終わった先のことなんですから」

ラズワルド「そうだね……。ごめんよ」

カムイ「そうですよ。町に女の子が歩いてないからって、ネガティブになるなんて」

ラズワルド「いや、歩いてますよ?」

カムイ「歩いてたんですか?」

ラズワルド「はい、目の前に」

カムイ「?」

ラズワルド「ははっ、カムイ様のことですよ。そこでなんですけど、今からお茶なんてどうですか?」

カムイ「私とですか?」

ラズワルド「はい。それにこの前、誘ってくださいって言ってたじゃないですか。この先に、開いてる場所があるんです。そこでよかったらなんですけど……」

カムイ「そうですね、それじゃそこに行きましょうか?」

ラズワルド「え、いいんですか?」

カムイ「約束通り、ちゃんと私だけを誘ってくれたじゃないですか。それにラズワルドさん、何か私に話しがあるみたいですから」

ラズワルド「……うん、それも含めて話がしたいんだけど、いいかな?」

カムイ「ふふっ、わかりました。案内してくれませんか?」

ラズワルド「はい、こっちです」

ラズワルド「………」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

カムイ「へぇ、個室のお店なんですね」

ラズワルド「うん、これがこのお店のイチオシらしいですから、どうぞ」

カムイ「はい、とても甘い匂いがします。それじゃ、失礼して、はむっ」

ラズワルド「……おいしい?」

カムイ「はい、ラズワルドさんも食べてみてください。とてもおいしいですよ?」

ラズワルド「そう、それじゃ僕も……。うん、おいしい」

カムイ「はい……それで話というのはなんでしょうか、ラズワルドさん」

ラズワルド「……えっと、その」

カムイ「話してください、流石に私にもわからないことはあります。ですからちゃんとラズワルドさんに話してもらいたいんです」

ラズワルド「すみません。その……僕はカムイ様の役に立てているのかなって」

カムイ「突然どうしたんですか?」

ラズワルド「……僕の目的は覚えてますよね?」

カムイ「ええ、ちゃんと覚えていますよ。神器を巡り合わせるでしたね。どうにか、二つの神器が共鳴を果たしました」チャキッ

ラズワルド「……綺麗ですね」

カムイ「はい。名前については暗夜としています。暗夜で紡いだ私たちの絆の光、もちろんラズワルドさんもこの輝きの中一人ですよ」

ラズワルド「カムイ様は、そう思ってくれるんだね……」

カムイ「……何があったんですか?」

ラズワルド「……カムイ様は一度、戦う意味を見失ったんですよね?」

カムイ「そうですね……。暗夜の戦いを越える前の私は、それを失っていました。自分が進むべき道から逃げて、みんなの願いがさも自分の願いのように振舞っていたんです。それに気づかなければ、みんなを失っていたかもしれません」

ラズワルド「カムイ様はとても強いよね……。僕なんかと違ってさ」

カムイ「ラズワルドさん?」

ラズワルド「ははっ、笑っちゃうよね。どこかで僕らがちゃんとしなくちゃいけないって思ってたのに。もう至るべき場所の見当がつかないんだ」

カムイ「……」

ラズワルド「ごめん。話せないことがあるってあの時言ったのに、ほとんどのことを僕はもう覚えてない……。カムイ様が悩んでるから、力になってあげようって思ってからじゃなきゃ気づけないなんてね……。本当に僕は何のためにここまで戦ってきたのか……」

カムイ「……失礼しますね」

 ギュッ

ラズワルド「カムイ……様?」

カムイ「手が震えてますね」

ラズワルド「……男なのに情けないですよね、格好悪いし……」

カムイ「いいえ、そんなことを言ったらみんなを率いているのに、今まで本当のことから目をそらしてきた私の方が情けなくて格好悪いです」

ラズワルド「……カムイ様は背負っているものが…」

カムイ「いいえ、使命の大きさなんて関係ありませんよ。その使命にどれだけ真剣に向き合うことができるかのほうが、何よりも重要ですから。私はそれから逃げていたんです。どんなに埋めようとしても格好なんて付きませんから」

ラズワルド「だけど、カムイ様はこうして戻ってこれたじゃないですか」

カムイ「そうですね。どうにか戻ってこれました」

ラズワルド「僕はもう思い出すこともできないんです。それは、もう……」

カムイ「諦めて、ここで歩みを止めてしまうんですか?」

ラズワルド「……」

カムイ「……」

ラズワルド「…止まりたくなんてない。だけど、これからどうすればいいのかなんてわからない、僕は結局……」

カムイ「ラズワルドさん。その話せないことを覚えていたとして、これからのことがすべてわかるのですか?」

ラズワルド「そんなことは……」

カムイ「なら問題なんてありません。それにそれを忘れてしまったからと言って、私はラズワルドさんを恨んだりなんてしません」

ラズワルド「どうしてですか……」

カムイ「決まっています。言ったでしょう、この夜刀神・暗夜の輝きは皆さんとの輝きだと。私があなたをここまで連れてきたんです。それをどうして恨むことができるんですか?」

ラズワルド「カムイ様……」

カムイ「それに、ラズワルドさんと私の位置は何も変わりませんよ。私が歩み始めたのはこの前なんです、だからここから一緒に歩み出してみませんか?」

ラズワルド「一緒にですか?」

カムイ「はい」

ラズワルド「その……いいんですか?」

カムイ「ええ、それにラズワルドさんはまだ私にしてくれた約束、覚えてくれているんですよね?」

ラズワルド「……はい」

カムイ「でしたら、それを続けてください。あの約束は私をラズワルドさんに繋げてくれた絆そのものなんですから」ナデナデ

ラズワルド「……頭をいきなり撫でないでくれませんか!?」

カムイ「ふふっ、だって、どこか泣きだしそうな気がしたので。私の勘違いかもしれませんけど、我慢してくださいね」ナデナデ

ラズワルド「……カムイ様」

カムイ「はい、なんですか。ラズワルドさん」ナデナデ

ラズワルド「僕にもう一度、誓わせてくれませんか?」

カムイ「……あなたがもう一度、それで歩み出せるのでしたら」

ラズワルド「うん、カムイ様」

ラズワルド「僕は君のことを守っていきます。この戦いが終わるまで……」

カムイ「はい、頼りにしていますよ。ラズワルドさん。というわけで、その絆の証に」

ラズワルド「えっと、カムイ様?」

カムイ「はい、あ~んですよ?」

ラズワルド「ちょ、そ、そんないいですよ」

カムイ「ふふっ、恥ずかしがっちゃって。大丈夫です、ここは個室誰も見てませんよ」

ラズワルド「そ、そうですけど////」

カムイ「ふふっ、いいじゃないですか。今日はデートなんですから、少しはそれっぽく楽しみましょう? というわけで、あ~ん」

ラズワルド「……あ、あーん」パクッ

カムイ「ふふっ、おいしいですか?」

ラズワルド「はい、とっても……おいしいです」

カムイ「それはよかった。これからもよろしくお願いしますね?」

ラズワルド「はい、カムイ様」

~~~~~~~~~~~~~~~~~
―イズモ公国・宿泊施設『カムイの部屋』―

カムイ「……ふぅ、今日は色々と回りましたね」

カムイ(ラズワルドさんもルーナさんと同じように……。何が原因かはわかりません。ですが見立てだと、たぶんあの方も――)

 トントントンッ

サクラ『あ、あの、カムイ姉様、いらっしゃいますか?』

カムイ「どうぞ、入ってください」

サクラ『し、失礼します』

 スーッ スーッ バタンッ

サクラ「こんばんは、カムイ姉様」

カムイ「どうしたんですか。結構遅い時間だと思いますが」

サクラ「その、今日はカムイ姉様と一緒に眠りたくて……」

カムイ「私とですか?」

サクラ「そ、そのやっぱり、ご迷惑ですか?」

カムイ「いいえ、そんなことはありませんよ。そうです、他の皆さんも誘って一緒に――」

サクラ「あ、あの」

カムイ「はい? どうしましたか?」

サクラ「そ、その」

カムイ「?」

サクラ「ね、姉様と二人っきりがいいんです……」


カムイ「え……」

サクラ「ご、ごめんなさい。その…変なことを言ってしまって。今のは忘れてくだ――」

カムイ「ふふっ。サクラさん」

サクラ「カ、カムイ姉様。今のはですね、そのえっと……」

カムイ「ふふっ、あたふたして可愛いですね。そんな可愛いサクラさんが私と二人きりで過ごしたいだなんて……。なんだか聞いて私もドキドキしてしまいました」

サクラ「い、今のは間違いと言いますか。その、わ、忘れてくださ――」

 ナデナデ

サクラ「ふぇ?」

カムイ「ふふっ、いいですよ。今日はサクラさんだけのお姉ちゃんになりますね」

サクラ「え、えっとその、本当に良いんですか?」

カムイ「はい。では、失礼しますね」ガシッ

サクラ「わっ」

 バサッ

サクラ「あっ」

サクラ(私、姉様に後ろから抱き締められてる……)

カムイ「ふふっ、サクラさんとっても柔らかいです」サワサワ

サクラ「ひゃっ、へ、変なところさわらないでくださ――」

カムイ「ふふっ、前と同じとってもいい匂いがしますね」スンスン

サクラ「ひゃっ、首筋に、あふぅ……」

カムイ「とっても可愛いですよ、サクラさん」

カムイ「一緒に過ごしたいって言ったのはサクラさんじゃないですか」

サクラ「そ、それはそうですけど……あふっ、だめ、ですぅ」

カムイ「ふふっ、サクラさんの香りが強まった気がします」

サクラ「そ、そんなこと……」

カムイ「前は私の匂いを先に食べられちゃいましたから、今日はこっちが先制ですよ」スンスン

サクラ「あふっ、姉様、だめ、だめですよぉ……」

カムイ「……ふふっ、堪能しました」

サクラ「も、もう。カムイ姉様……」

カムイ「すみません。でも、サクラさんは私にこうしてもらえて、なんだか嬉しそうですね」

サクラ「……うれしいです。カムイ姉様に触れてもらえて。こうして、二人っきりの時間を作っていただけて」

カムイ「サクラさん」

サクラ「……カムイ姉様とは、姉妹のように過ごしてみたかったんです。でも、そんなこと簡単に口に出来ません……。エリーゼさんやカミラさん、アクア姉様。カムイ姉様と一緒に過ごしたいって思ってる人はいっぱいいる中で、こんなお願いをしてるんです」

カムイ「……」

サクラ「ごめんなさい」

カムイ「謝ることなんてないですよ。それにこうやって直接口に出して甘えてもらえるのは、姉冥利に尽きますから」

サクラ「カムイ姉様……んっ」ギュッ

 ギュウウッ

サクラ「姉様の体、とっても温かいです。今日だけは私だけの姉様なんですよね……」
 
カムイ「もちろんですよ。いっぱい甘えてください、今までずっと離れていたのに、私のことを気にしてくれていた分、いっぱいいっぱい……」

サクラ「姉様の香り……。とっても落ち着きます……」

カムイ「ふふっ、胸元がくすぐったいです、よしよし」ナデナデ

サクラ「んっ。姉様、もっと、もっと撫でてほしいです……」

カムイ「はい。ごめんなさい、サクラさん」

サクラ「なんですか?」

カムイ「あなたは私のことを昔から思ってくれていたのに、私があなたを知ったのはまだ最近で……。そんな私でもいいのかと、少し不安になるんですよ」

サクラ「いいんです。カムイ姉様も私の姉様で、それは絶対に変わらないことなんですから」

カムイ「……ありがとうございます。サクラさん、もっと強く抱きしめてもいいですよ?」

サクラ「はい」

 ググッ ギュウウッ

 ドクンッ ドクンッ 

サクラ(……カムイ姉様の鼓動が、私の中に入り込んでくるみたいで、気持ちいい……)

サクラ「カムイ姉様、手を握ってもいいですか?」

カムイ「はい、どうぞ」

サクラ「……えっと、これで」

カムイ「? なんだかすごい握り方ですね。指の間に指を入れるなんて、くすぐったいです」

サクラ「この方が強く姉様を感じられる気がして、その駄目ですか?」

カムイ「いいえ、そんなことないですよ。むしろ、私もそう感じますから」

サクラ「その……」

カムイ「ふふっ、なんだか向かい合って布団に入って手を繋いでるなんて、なんだか恋人同士みたいですね」

サクラ「こ、恋人って////」

カムイ「ふふっ、冗談です」

サクラ「も、もうっ!」

カムイ「怒ってるけど、手は離さないんですね。とっても可愛いです」

サクラ「ううっ、姉様は意地悪です」

カムイ「ええ、遠慮はあまりしませんよ。だって、こんなに私に素で接してくれてるサクラさんに遠慮なんてしたら失礼じゃないですか」

サクラ「なんだか複雑です」

カムイ「ふふっ」

 ドクン ドクン

カムイ(サクラさんの鼓動を強く感じます。どれくらいの時間、サクラさんは私のことを思ってくれていたんでしょうか……。私が攫われて、もう一度出会って、そして暗夜に付いた私を追いかけてきてくれたあなたは、やっぱりとても強い人なんですね)

カムイ「サクラさん」

サクラ「なんですか、姉様」

カムイ「ありがとうございます。私をここまで思ってくれて……」

サクラ「そんな、私は……。でも、姉様にそう思ってもらえてとっても嬉しいです」

カムイ「ふふっ、それじゃ、お話をしましょう。いっぱい、いっぱい、眠くなるまでいろんなことを」

サクラ「はい、その私からでいいですか? 姉様にお話ししたいことがいっぱいあるんです」

カムイ「はい、いいですよ。私も体験したことをいっぱい話してあげますね」

サクラ「たのしみです。では私から、その昔のことなんですけど―――」

◆◆◆◆◆◆
―白夜王国・白夜平原・暗夜侵攻軍駐屯地『天幕』―

マクベス「……これが現在の状況ですか」

メイド「はい、マクベス様。白夜の状況は変わりませんが、主に本国の変化ですが……」

マクベス「……無限渓谷周辺は新生暗夜を名乗る者たちによって封鎖。渓谷を大きく迂回しようにも、大人数で行くのは自殺行為に他なりませんし、わずかな部隊で奪還できるほど甘くはないでしょうな」

 カチャッ コポコポコポ

メイド「どうぞ、マクベス様」

マクベス「ありがとうございます……」

マクベス(正規の暗夜軍兵はまだこちらの命令で動きますが、貴族の者たちは無限渓谷への攻撃しか考えていないようだ。大方自身の領土の心配をしているようですが……。今攻め込んで、それを奪い返せるとは思えない)

マクベス「…まさか、このようなことになるとは。頭が痛いですねぇ」

メイド「マクベス様、今日はお休みになられるべきだと思います。昨日からまともに眠っておられないようですから」

マクベス「お心遣いは嬉しいですが、考えなくていけないときですので」

メイド「……そうですか」

マクベス(本来なら使えない一大隊をガンズやゲパルトたちと入れ替えるはずだったというのに…)

メイド「マクベス様、次に現在集まっている作戦に対する意見ですが――」

マクベス(優秀な兵を失って、残ったのは自分の領地のことを気にする者たちだけとは……)

メイド「あの、マクベス様?」

マクベス(このままでは……)

メイド「マクベス様!」

マクベス「! 失礼、少し考え込んでしまったようで。それで、多くの者は何と?」

メイド「七割の貴族は白夜侵攻を中止し、暗夜王都の奪還に向かうべきと。残りの者たちはガロン王様の指示に従うべきと言っております」

マクベス「ガロン王様も今悩まれておられる。私達にできるのは、その悩みが少なくなるように、作戦を組上げておくことです。マークス王子が王都を占拠したという話が本当ならば、たぶん何か特殊な策を使ってカムイ王女が何かをしたのでしょう」

マクベス「ですから、今はカムイ王女が次にするであろうことを考えて手を打たねばなりません。ですから、今はあらゆる状況の精査が必要です」

メイド「わかりました。では、私は資料を整えに掛ります。必要な物がありましたら、お声掛けください」

マクベス「いえ、あなたは休むべき――」

メイド「いいえ、私はマクベス様のメイドです。マクベス様のお役に立つのが仕事、体調管理に問題はありません。ですので、私をどうぞお使いくださいませ」

マクベス「……まだ、ミスをするほどではない、ということですね?」

メイド「はい」

マクベス「わかりました。では、残りの食糧備蓄と武器リストを出してください。それが終わり次第、負傷者のリストから一週間で隊列に復帰可能な者たちを洗い出す作業に取り掛かるように」

メイド「はい、わかりました。それと紅茶でしたらいつでもお声掛けくださいませ。集中できるよう、最高の一杯をお淹れいたしますので」

 タタタタタッ

マクベス「ふっ、紅茶はいつでもですか。まったく、変わりませんね。さて……」

マクベス(……ガロン王様は王都陥落の一報から顔を出されていません。ですが大丈夫、ガロン王様にもお考えがあるはず。それにこの侵攻作戦を私は任されているのです。そのガロン王様の信頼を裏切るわけにはいきません)

(ガロン王様、ご心配なさらずにお待ちください……このマクベス、必ず次の一手を作り上げてみせましょう)

 休息時間1 おわり

○カムイの支援現在状況●

―対の存在―
アクアA
(カムイからの信頼を得て、その心の内を知りたい)

―城塞の人々―
ギュンターB++
(恋愛小説の朗読を頼まれています) 
フェリシアB+
(カムイに従者として頼りにされたい)
ジョーカーC+
(イベントは起きていません)
フローラB
(すこしは他人に甘えてもいいんじゃないかと言われています)
リリス(消滅)
(主君を守り通した)

―暗夜第一王子マークス―
ラズワルドB++→A
(あなたを守るといわれています)
マークスB++
(何か兄らしいことをしたいと考えています)
ピエリB
(弱点を見つけると息巻いています)

―暗夜第二王子レオン―
オーディンB+
(二人で何かの名前を考えることになってます)
ゼロB+
(互いに興味を持てるように頑張っています)
レオンB+
(カムイに甘えてほしいと言われて、いろいろと考えています)

―暗夜第一王女カミラ―
ルーナA
(目を失ったことに関する話をしています)
カミラA
(白夜の大きい人に関して話が上がっています)
ベルカC+
(イベントは起きてません)

―暗夜第二王女エリーゼ―
エリーゼA
(昔、初めて出会った時のことについて話しています)
ハロルドB
(ハロルドと一緒にいるのは楽しい)
エルフィB
(イベントは起きていません)

―白夜第二王女サクラ―
サクラB++→A
(カムイと二人きりの時間が欲しいと考えています)
ツバキB
(イベントは起きていません)
カザハナC+
(イベントは起きていません)

―カムイに力を貸すもの―
シャーロッテB++
(返り討ちにあっています)
スズカゼB
(おさわりの虜になったようです)
サイラスB+
(もっと頼って欲しいと思っています)
ニュクスB+
(許されることとはどういうことなのかを考えています)
モズメC+
(イベントは起きていません)
リンカB
(イベントは起きていません)
ブノワC+
(イベントは起きていません)
アシュラC+
(イベントは起きていません)
フランネルC+
(イベントは起きていません)

 仲間間支援の状況

●異性間支援の状況
【支援Aの組み合わせ】
・レオン×カザハナ
・ジョーカー×フローラ
・レオン×サクラ
・ラズワルド×ルーナ
・アクア×オーディン

【支援Bの組み合わせ】
・ラズワルド×エリーゼ
・ブノワ×フローラ
・エリーゼ×ハロルド
・オーディン×ニュクス
・ベルカ×スズカゼ
・ルーナ×オーディン←Bになりました

【支援Cの組み合わせ】
・サイラス×エルフィ
・モズメ×ハロルド
・ギュンター×ニュクス
・レオン×エルフィ
・アクア×ゼロ
・ルーナ×ハロルド

●同性間支援の状況
【支援Aの組み合わせ】
・リンカ×アクア
・ピエリ×カミラ
・フェリシア×ルーナ
・フローラ×エルフィ
・レオン×ツバキ
・ベルカ×エリーゼ
・ピエリ×ルーナ←Aになりました

【支援Bの組み合わせ】
・ギュンター×サイラス
・フェリシア×エルフィ
・シャーロッテ×モズメ
・ベルカ×ニュクス←Bになりました

【支援Cの組み合わせ】
・エルフィ×モズメ
・シャーロッテ×カミラ
・ピエリ×リンカ
・ピエリ×フェリシア
・ジョーカー×ハロルド
・アクア×ルーナ
・フローラ×エリーゼ
・カミラ×サクラ
・スズカゼ×オーディン

 今日はここまでで

 休息時間はあと三、四回くらいです。ピエリはソシアルナイトの時の格好が一番可愛いので、パラディンの時もああいう感じにしてほしかった。

 この前の安価で以下がそれも含むと知って、恥ずかしさに死にたくなった。
 
 世界樹V、楽しみ。

 この先の展開を安価で決めたいと思います。参加していただけると幸いです。

◇◆◇◆◇

 ジョーカー
 ギュンター
 フェリシア
 フローラ
 マークス
 ピエリ
 レオン
 ゼロ
 オーディン
 ベルカ
 ハロルド
 エルフィ
 サイラス
 ニュクス
 ブノワ
 シャーロッテ
 モズメ
 リンカ
 カザハナ
 ツバキ
 スズカゼ
 アシュラ
 フランネル

 カムイと話をする人物(支援A未満限定)

 >>432

 まだ続きます

 

◆◇◆◇
 支援イベントのキャラクターを決めたいと思います。

 アクア
 ジョーカー
 ギュンター
 フェリシア
 フローラ
 マークス
 ラズワルド
 ピエリ
 レオン
 ゼロ
 オーディン
 カミラ
 ベルカ
 ルーナ
 エリーゼ
 ハロルド
 エルフィ
 サイラス
 ニュクス
 ブノワ
 シャーロッテ
 モズメ
 リンカ
 サクラ
 カザハナ
 ツバキ
 スズカゼ
 アシュラ
 フランネル

 >>433>>434

(すでにイベントが発生しているキャラクター同士が選ばれた場合はイベントが進行、支援状況がAになっている組み合わせの場合は次書き込みキャラクターとの支援になります)

◇◆◇◆◇
進行する異性間支援の状況

【支援Bの組み合わせ】
・ベルカ×スズカゼ
・ラズワルド×エリーゼ
・ブノワ×フローラ
・エリーゼ×ハロルド
・オーディン×ニュクス
・ルーナ×オーディン

【支援Cの組み合わせ】
・サイラス×エルフィ
・モズメ×ハロルド
・ギュンター×ニュクス
・レオン×エルフィ
・アクア×ゼロ
・ルーナ×ハロルド

 この中から一つ>>435

(会話しているキャラクターと被ってしまった場合は、その一つ下のになります)
 
◇◆◇◆◇
進行する同性間支援

【支援Bの組み合わせ】
・ギュンター×サイラス
・フェリシア×エルフィ
・シャーロッテ×モズメ
・ベルカ×ニュクス

【支援Cの組み合わせ】
・エルフィ×モズメ
・シャーロッテ×カミラ
・ピエリ×リンカ
・ピエリ×フェリシア
・ジョーカー×ハロルド
・アクア×ルーナ
・フローラ×エリーゼ
・カミラ×サクラ
・スズカゼ×オーディン

 この中から一つ>>436

 このような形で、すみませんがよろしくお願いいたします。

エルフィ

レオン

エルフィ

アクアとゼロ

カミラ シャーロッテ

◇◆◇◆◇
―暗夜王国・演習場―

エルフィ「レオン様、この前はありがとうございます」

レオン「この前…。ああ、食堂での料理のことかな? 別に気にしなくてもいいよ、少し変わったものが出てきたと思うからね」

エルフィ「いいえ、あのような赤いスープは初めてで抵抗がありましたけど、とてもおいしかったです」

レオン「そう言ってもらえると嬉しいよ。でも、中々手に入らないし、いつも専属の係に頼まないと作ってもらえないものだからね」

エルフィ「そうみたいですね。トマトですよね、わたしの住んでいたところでは出回っていない野菜なので」

レオン「うん、調理は当たり前だけど、水洗いしてそのまま食べてもおいしいんだ。でも、食べたことない人は見た目で倦厭したりするんだけどね」

エルフィ「見た目故かもしれません。あれほど真っ赤なものですから」

レオン「でも、エルフィは気にせず食べたよね? どうしてだい?」

エルフィ「レオン様が奨めてくれるものですし、そのお腹がとても空いていたので……」

レオン「ははっ、エルフィらしいね。暗夜でも育つ環境ができるといいんだけど、ここはいい環境じゃないからね。土壌以前に気候的な問題もあるし、受け入れられるのにも時間がかかりそうだから、今は高級食材として貴族間でしか出回っていない。一般の人たちに普及すれば、色々な料理を作り上げてくれそうな気がするんだけどね」

エルフィ「ふふっ」

レオン「?」

エルフィ「思ったよりも楽しそうに話されるので、おかしく思ってしまって。わたしもこの味は好きです。今度、わたしもトマトで何かを作ってみます」

レオン「エルフィ、料理はできるのかい?」

エルフィ「はい。よくみんなに手伝いを頼まれます」

レオン「そうなのかい?」

エルフィ「わたしがいると食材を揉みほぐしたり、汁を搾り出したりするのが楽で助かるといわれますから」

レオン「エルフィ、それは料理ができるとは言わないよ……」

【エルフィとレオンの支援がBになりました】

◇◆◇◆◇
―暗夜王国・小さな湖―

ゼロ「アクア様がここにおられるということは、俺の話を聞いてくれるということですね?」

アクア「ええ、そういうことになるわね。それで、私に何を話してくれるのかしら?」

ゼロ「……そうですね」

アクア「……」

ゼロ「……あの」

アクア「どうしたの?」

ゼロ「その、お呼びしておいてなんですが、何を話せばいいのか……」

アクア「そう、困ったものね。私もあなたが話をしてくれるとばかり思っていたから、何も話題を持ってきてはいないわ」

ゼロ「そうですか……」

アクア「難しいものね、何気ない話題を考えるのって。いえ、何気ない話題なんて本来考えることなく出てくるから何気ない話題なのかもしれないけど」

ゼロ「たしかに。俺はいつも意図的に気に入らない奴らの顔をどう歪ませてやろうかとアイディアを絞ったりはしますが、こう裏の無い会話は浮かばず仕舞いで……」

アクア「ふふっ」

ゼロ「なんですか?」

アクア「前回、私に話しかけた時には裏があったということになるわね?」

ゼロ「……そうなりますね」

アクア「はぐらかさないのね?」

ゼロ「ええ、はぐらかす必要がないので。言ったでしょう、俺はアクア様とお話がしたいんです」

アクア「そう、だけど共通の話題がないわ。さすがに過去の暗い話で華を咲かすのもどうかと思うし」

ゼロ「盛り上がりはするでしょうが、それは何か違う気が……」

アクア「ええ。それじゃ、そうね……朝食のことでも話しましょう?」

ゼロ「いいですよ。アクア様はなにを食べたんですか?」

アクア「私はパンだったわ」

ゼロ「奇遇ですね、俺もパンでした」

アクア「そう」

ゼロ「……」

アクア「……これでいいのかしら?」

ゼロ「わかりません。ですが、話は出来てますね」

アクア「そうね。こうしていれば、いずれはスッと会話ができるのかもしれないわ」

ゼロ「なるほど……。しばらく続けますか?」

アクア「そうしましょう。それじゃ、次の話だけど……」

【アクアとゼロの支援がBになりました】

◇◆◇◆◇
―暗夜王国・兵舎―

シャーロッテ「てへへ、ありがとうございます~。そうなんですよぉ、朝から一生懸命作ってきたんですぅ。え、そうなんですか、とってもうれしい。あのぉ~、団長さんがよろしければぁ、今度から毎日作ってきますけどぉ。え、本当ですか、頑張っちゃいますね。それでは~」

 テトテトテト

シャーロッテ「よぉっし、これで下準備は万端ね。チョロイわ~。これでちょっとずつ距離を詰めていければ……念願の玉の輿――」

カミラ「……」

シャーロッテ「あ、あれぇ、カミラ様?」

カミラ「シャーロッテ」

シャーロッテ「どうしたんですかぁ? ここはカミラ様のような方が来るような場所じゃないですよぉ?」

カミラ「ふふっ、ちょっと気になることがあってきたんだけど……。とんだ見当違いだったみたい」

シャーロッテ「け、見当違いですかぁ?」

カミラ「ええ、前は心配に思ったけど、そんなこと思う必要もないってわかってしまったのよ」

シャーロッテ「……」

カミラ「そうやって、何人の男にすり寄ってきたのかしら?」

シャーロッテ「な、何のことですかぁ?」

カミラ「恍けないでいいわよ。さっきからここまでのこと、全部見てたから」

シャーロッテ「趣味悪いわね、王族だからってそういうことしていいと思ってるの?」

カミラ「そう、それがあなたの本性なのね……」

シャーロッテ「あっ……。え、えっとこれは、そう持病の発作が……」

カミラ「発作ね? 私からすれば、さっきの姿のほうが発作を起こしてるように見えるけど?」

シャーロッテ「……いちいち癇に障るわね。ええ、そうよこっちが素よ、文句ある?」

カミラ「文句はないわ。でもそうね…、どうしてあんな男に手を出すの?」

シャーロッテ「団長のこと?」

カミラ「ええ、悪い噂のこと、この前ははぐらかしていたけど、あなたは知っているんでしょう?」

シャーロッテ「知ってるに決まってんでしょ?」

カミラ「なら、どうして?」

シャーロッテ「決まってるわ、お金を持ってるからよ。王族として育ってきたカミラ様には分からないかもしれないけど、これでも幸せになるために私は努力してる、それを邪魔しないでほしいんだけど」

カミラ「心配しないで、興味の無いことをするつもりなんてないわ。さっさと、その発作を直して媚を売り直してきたらどう?」

シャーロッテ「……そうさせてもらうわ。ふんっ……」

 タタタタタッ

カミラ「色々手を出してる同士、お似合いなのかもしれないけど……」

カミラ「幸せになるために努力……ね」

【シャーロッテとカミラの支援がBになりました】

◆◆◆◆◆◆
―白夜王国・イズモ公国宿泊施設『共同広場』―

マークス「白夜への書簡はすでにイザナ公王に手渡したということだな」

カムイ「はい、イザナさんは私達に最大限協力してくださるそうです。書簡の返事も少しすれば来るとは思います」

カミラ「一番の問題は書簡をリョウマ王子が受け取ってくれるかどうかだけど、大丈夫かしら?」

レオン「それに関しては心配いらないんじゃないかな?」

エリーゼ「どうして?」

レオン「まだ、イズモは表向きには白夜の味方。現に、僕たちの侵攻を止めてるようにも見えるし、リョウマ王子の人格を聞く限りだとまっすぐに向かってくる感じもする。状況を確認せずに動くとは思えないんだ」

カムイ「それに書簡はリョウマさん宛てのもので、イザナさんの名義の元送られています。テンジン砦に幽閉されているユキムラさん達を按じて、リョウマさんが誰かしらを派遣しているのであれば、その方が回収してくれると思います。今でもリョウマさんが白夜の全権を握っているのであれば私たちの意思を伝えることで――」

マークス「交渉の席を準備できるかもしれないということか」

サクラ「……」

エリーゼ「ねぇねぇ、サクラ」チョンチョン

サクラ「エリーゼさん、どうしたんですか?」

エリーゼ「リョウマ王子ってどんな人なの?」

サクラ「リョウマ兄様ですか。その、とてもまっすぐな人で何時も難しい顔をしてますけど、本当はとても優しくて強い人といえばいいでしょうか」

エリーゼ「へぇー、なんだかマークスおにいちゃんに似てる気がする」

マークス「ふむ、事実一度刃を交えただけだが、あの気迫は確かに強烈であったからな。あの力強い視線は今でも記憶に残っているくらいだ」

カムイ「そのリョウマさんですから、まっすぐに返事をしてくれると思っています。受け入れる、受け入れない。話を聞く、話をしない。それによって、私たちのするべきことも決まってきますから」

カミラ「そう、リョウマ王子のこと信じているのね」

カムイ「信じているというよりは、そうあってほしいというのが本音なんですけどね……。調子の良いことだと理解はしていますが、今はそう思うことしかできませんから」

サクラ「……大丈夫です」

カムイ「サクラさん?」

サクラ「リョウマ兄様は、リョウマ兄様のままです。だから、きっと大丈夫です」

カムイ「……そうですね。リョウマさんは白夜のことを考えていましたから、普通の人なら逃げ出してしまいたくなるような状況の中にいたはずなのに、今でもそこに立っているんですから……」

サクラ「私、リョウマ兄様を助けてあげたいです。」

カムイ「ええ、もちろんです。と言っても、今はイザナさんから返事を頂くまでは何もできない状態なので、これと言って手は考えられません」

アクア「そうね。どちらになろうとも、この問題だけはその時になってからでないと具体的なことは決められないわね」

レオン「出来る限りのことは僕がしておくから、姉さんは今の間休んでおいてよ」

カムイ「すみません」

マークス「気にすることはない。それに皆、お前のために何かをすることを嬉しく思っている」

カミラ「そういうことよ。それにカムイはまだまだ見つけている途中でしょ?」

カムイ「そうですね。不甲斐無くてすみません」

エリーゼ「謝らないでよ。カムイおねえちゃんは何も悪くないんだから」

サクラ「そうですよ。それにようやく道が見えてきて、それが見えてきたのはカムイ姉様のおかげなんですから」

アクア「カムイ、だから大丈夫。あなたはあなたの道を見つけるようにして……。今は時間がある、だから、あなたは今、あなたのために時間を使って頂戴……」

カムイ「……すみません、皆さん」

アクア「違うわ。こういう時は、ありがとうって言って。その方が、私たちも嬉しいから」

カムイ「はい、ありがとうございます」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~
―イズモ公国・宿泊施設『中央広場』―

カムイ「私のおかげですか……」

カムイ(そんなことはありません。不甲斐無い私を皆が支えてくれたからここまで来れただけなんですから。でも、それに甘えているわけにはいかないんですよね……)

カムイ「私の見つけるべき道……ですか」

 ドスンッ

カムイ「?」

 ドスンッ ドスンッ

カムイ「すごい音ですね。それになんだか揺れも……中央広場からのようですけど。一体……」

 タタタタタタッ

エルフィ「はあああっ!!!」ググググッ ドスンッ

エルフィ「でやああっ!!!!」ドスンッ
 
エルフィ「はぁ、はぁ……ふぅ。準備は終わり……」

カムイ「その声、エルフィさんですか?」

エルフィ「カムイ様、どうかしましたか?」

カムイ「いえ、その偶然通りかかりまして。もしかして訓練でもされていたんですか?」

エルフィ「ええ、時間があれば訓練をしてますから」

カムイ「すごいですね。私ではすぐに根をあげてしまいそうなことをしている気がします」

エルフィ「そうでしょうか?」

カムイ「ええ、そうですよ。それに、なんだか重いものを持ち上げていたみたいですから」

エルフィ「はい、白夜には重さの丁度いい松の木が多くあるんです。長さもいいので、訓練の効率がとてもいいんです」

カムイ「ふふっ、それは良かったですね」

エルフィ「その……カムイ様。何かお悩みなんですか?」

カムイ「え?」

エルフィ「いえ、違うならいいんです。でも、もしも悩んでいるのでしたら」

カムイ「……そうですね。悩んでいます、でも、すぐに考えつくようなものではないので、中々難しい問題ですから」

エルフィ「よろしければ、わたしに聞かせてくれませんか?」

カムイ「いいんですか?」

エルフィ「はい」

カムイ「そのですね――」





エルフィ「望むものですか?」

カムイ「はい。すみません、あまりにも抽象的なもので」

エルフィ「そうですね。あまり深く考えたことのないことですから」

カムイ「……エルフィさんはどうして戦っているんですか?」

エルフィ「エリーゼ様のためです」

カムイ「すぐに出てくるんですね?」

エルフィ「はい、わたしが王城兵になったのも、エリーゼ様にもう一度会いたかったからで、エリーゼ様を守ることを第一に考えて鍛えています」

カムイ「そうなんですか……。いいですね、そういった強い思いがあるというのは」

エルフィ「カムイ様にはないのですか」

カムイ「それを今探しているんです。こんな時になって遅いとはわかっていますし、そんな簡単に決まることでもないと思います。それでも見つけないといけないんです」

エルフィ「カムイ様……わたしは頭で考えるのが苦手です」

カムイ「?」

エルフィ「この道もエリーゼ様にもう一度会いたいという思いだけできめました」

カムイ「みたいですね」

エルフィ「だから、わたしはカムイ様のように考えて決めることは得意じゃありません。でも、こんなわたしでも見つけられるんです、カムイ様にもきっと見つけられるはずです」

カムイ「エルフィさん……」

エルフィ「ですから、その、困った顔をされると困ってしまいます。その、どうすればいいのか本当にわからないんです」

カムイ「……すみません。なんだか、いっぱい悩ませてしまったみたいですね」

エルフィ「いいえ、わたしが聞いたのに、力になれなくて」

カムイ「いいえ。少しだけ気持ちは楽になりました……」

カムイ(……悩んでばかりでもいけない、そういうことなのかもしれませんね)

カムイ「エルフィさん」

エルフィ「なんでしょうか?」

カムイ「この後の訓練、私も参加していいですか?」

エルフィ「カムイ様もですか?」

カムイ「はい。その、この頃体を動かしてなかったので、それに動けば何かが変わるかもしれませんから……」

エルフィ「わかりました。それでは、これを付けてください」

カムイ「これといいますと」

 ジャラッ 

カムイ「あっ」ゴロンッ

エルフィ「え、カムイ様?」

カムイ「びっくりしました。すごく重たいですね」

エルフィ「重りです。これを付けて走り込みに行く予定だったので」

カムイ「これを付けてですか……」

エルフィ「その、無理はしないでもいいですよ」

カムイ「いいえ、参加すると言ったのは私ですから。それに今は疲れ果てたい気分なんです」

エルフィ「そうですか。ふふっ、変わっていますねカムイ様は、わたしと同じ訓練をしたいという人はいませんから」

カムイ「すみませんけど、今日はよろしくお願いします」

エルフィ「はい、それじゃそろそろ、いきま――」

カムイ「その前に……」

エルフィ「?」

カムイ「重りを少し減らしてもらっていいですか。このままじゃ、走ることもままなりません……」グググッ

エルフィ「ふふっ、わかりました」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
―イズモ公国・宿泊施設『カムイの部屋』―

カムイ「……疲れましたね」

アクア「たしかに思考が固まってしまうのはよくないことかもしれないわ」

カムイ「はい、今日はエルフィさんに助けてもらったのかもしれません。ずっと考えてばかりで、私は同じ場所をぐるぐる回っていたのかもしれませんから」

アクア「そう。私たちじゃ気付けない切り口かもしれない……。少し悔しいわ」

カムイ「?」

アクア「なんでも無い。それよりも白夜の話だけど、私は強硬派のことが気になるわ」

カムイ「アクアさんが暗夜に来ることになった理由も、強硬派に捕まったからですよね?」

アクア「ええ。あの頃の強硬派には勢いがあったし、なによりもリョウマ自身が反逆者を排除する行動に加担していた事もあったから」

カムイ「……リョウマさんを慕う多くの人たちも未だ幽閉されているのでしょうか」

アクア「そうね。だけど、実際生きているのかどうかはわからないわ」

カムイ「……」

アクア「……ごめんなさい。悲観的なことを言いたいわけじゃないの、でも」

カムイ「わかってます……。その可能性を考えなくてはいけないことも。そうなっていてほしくはありませんけど……」

アクア「ええ……」

カムイ「どちらにせよ、イザナさんの連絡を待たないことにはどうにもなりませんから」

 トテトテトテッ

アクア「誰?」

???『? ここはカムイ王女のお部屋じゃなかったかな?』

アクア「私がいたらおかしい?」

???『あはは、ごめんごめん。ちょっと失礼するよ~』

 スーッ

イザナ「やっ、カムイ王女」

カムイ「……噂をすれば影ということでしょうか?」

イザナ「なになに、ボクのことでも話してたのかな?」

カムイ「ええ。で、私を訪ねてきたということは……」

イザナ「……」

アクア「書簡の件の返事が来たということね」

イザナ「いや、ちがうよ~」

アクア「違うの?」

カムイ「少し身構えたのに、違うんですか?」

イザナ「さすがにまだ返事は来ないよ。ボクの使いは早いけど、さすがにね」

カムイ「では、一体何の用ですか?」

イザナ「うん。今日までキミたちのこと見てたんだけど、やっぱりあんまり元気がないようだから、体を休められることはないかな~って思って色々と考えてたんだ」

カムイ「そうだったんですか……すみません」

イザナ「気にしない気にしない。そこで、こんなのはどうかなって思いついたからカムイ王女に確認に来たんだけど」

アクア「あまり煌びやかなの困るわ」

イザナ「うん、大丈夫。きらびやかとか、そういった催しとかじゃないから」

カムイ「どういったものなんですか?」

イザナ「イズモ公国はなんだかんだ宿泊地としても有名で、結構それ目的で来てくれる人もいるから、今回はそこでゆっくりしてもらおうかなって。これはボクのささやかなおもてなしなんだけど、どうかな?」

アクア「カムイ、どうするの?」

カムイ「そうですね。話を聞いてからでもいいでしょう。それで、そのおもてなしというのは……」

イズモ「みんな疲れてるみたいだから、ここはひとつ――」






「温泉でもどうかな~って」

○カムイの支援現在状況●

―対の存在―
アクアA
(カムイからの信頼を得て、その心の内を知りたい)

―城塞の人々―
ギュンターB++
(恋愛小説の朗読を頼まれています) 
フェリシアB+
(カムイに従者として頼りにされたい)
ジョーカーC+
(イベントは起きていません)
フローラB
(すこしは他人に甘えてもいいんじゃないかと言われています)
リリス(消滅)
(主君を守り通した)

―暗夜第一王子マークス―
ラズワルドA
(あなたを守るといわれています)
ピエリB
(弱点を見つけると息巻いています)
マークスB++
(何か兄らしいことをしたいと考えています)

―暗夜第二王子レオン―
オーディンB+
(二人で何かの名前を考えることになってます)
ゼロB+
(互いに興味を持てるように頑張っています)
レオンB+
(カムイに甘えてほしいと言われて、いろいろと考えています)

―暗夜第一王女カミラ―
ルーナA
(目を失ったことに関する話をしています)
カミラA
(白夜の大きい人に関して話が上がっています)
ベルカC+
(イベントは起きてません)

―暗夜第二王女エリーゼ―
エリーゼA
(昔、初めて出会った時のことについて話しています)
ハロルドB
(ハロルドと一緒にいるのは楽しい)
エルフィB→B+
(一緒に訓練をしました)←NEW

―白夜第二王女サクラ―
サクラA
(カムイと二人きりの時間が欲しいと考えています)
ツバキB
(イベントは起きていません)
カザハナC+
(イベントは起きていません)

―カムイに力を貸すもの―
シャーロッテB++
(返り討ちにあっています)
スズカゼB
(おさわりの虜になったようです)
サイラスB+
(もっと頼って欲しいと思っています)
ニュクスB+
(許されることとはどういうことなのかを考えています)
モズメC+
(イベントは起きていません)
リンカB
(イベントは起きていません)
ブノワC+
(イベントは起きていません)
アシュラC+
(イベントは起きていません)
フランネルC+
(イベントは起きていません)

 仲間間支援の状況

●異性間支援の状況
【支援Aの組み合わせ】
・レオン×カザハナ
・ジョーカー×フローラ
・レオン×サクラ
・ラズワルド×ルーナ
・アクア×オーディン

【支援Bの組み合わせ】
・ラズワルド×エリーゼ
・ブノワ×フローラ
・エリーゼ×ハロルド
・オーディン×ニュクス
・ベルカ×スズカゼ
・ルーナ×オーディン
・レオン×エルフィ←Bになりました
・アクア×ゼロ←Bになりました

【支援Cの組み合わせ】
・サイラス×エルフィ
・モズメ×ハロルド
・ギュンター×ニュクス
・ルーナ×ハロルド

●同性間支援の状況
【支援Aの組み合わせ】
・リンカ×アクア
・ピエリ×カミラ
・フェリシア×ルーナ
・フローラ×エルフィ
・レオン×ツバキ
・ベルカ×エリーゼ
・ピエリ×ルーナ

【支援Bの組み合わせ】
・ギュンター×サイラス
・フェリシア×エルフィ
・シャーロッテ×モズメ
・ベルカ×ニュクス
・シャーロッテ×カミラ←Bになりました

【支援Cの組み合わせ】
・エルフィ×モズメ
・ピエリ×リンカ
・ピエリ×フェリシア
・ジョーカー×ハロルド
・アクア×ルーナ
・フローラ×エリーゼ
・カミラ×サクラ
・スズカゼ×オーディン

 今日はここまでで

 気づけば一年経っていました。時の流れは速いですね。

 仲間間支援の組み合わせを決めたいと思います。参加していただけると幸いです。
◇◆◇◆◇

 アクア
 ジョーカー
 ギュンター
 フェリシア
 フローラ
 マークス
 ラズワルド
 ピエリ
 レオン
 ゼロ
 オーディン
 カミラ
 ベルカ
 ルーナ
 エリーゼ
 ハロルド
 エルフィ
 サイラス
 ニュクス
 ブノワ
 シャーロッテ
 モズメ
 リンカ
 サクラ
 カザハナ
 ツバキ
 スズカゼ
 アシュラ
 フランネル

 支援イベントのキャラクターを決めたいと思います。

 >>453>>454

(すでにイベントが発生しているキャラクター同士が選ばれた場合はイベントが進行、支援状況がAになっている組み合わせの場合は下のキャラクターとの支援になります)

◇◆◇◆◇
進行する異性間支援の状況

【支援Bの組み合わせ】
・ラズワルド×エリーゼ
・ブノワ×フローラ
・エリーゼ×ハロルド
・オーディン×ニュクス
・ベルカ×スズカゼ
・ルーナ×オーディン
・レオン×エルフィ
・アクア×ゼロ

【支援Cの組み合わせ】
・サイラス×エルフィ
・モズメ×ハロルド
・ギュンター×ニュクス
・ルーナ×ハロルド

 この中から一つ>>455

(会話しているキャラクターと被ってしまった場合は、その一つ下のになります)
 
◇◆◇◆◇
進行する同性間支援

【支援Bの組み合わせ】
・ギュンター×サイラス
・フェリシア×エルフィ
・シャーロッテ×モズメ
・ベルカ×ニュクス
・シャーロッテ×カミラ

【支援Cの組み合わせ】
・エルフィ×モズメ
・ピエリ×リンカ
・ピエリ×フェリシア
・ジョーカー×ハロルド
・アクア×ルーナ
・フローラ×エリーゼ
・カミラ×サクラ
・スズカゼ×オーディン

 この中から一つ>>456

 このような形ですみませんがよろしくお願いいたします。

絆の秘湯かな
覚醒組が見たいので
オーディン

ラズワルド

オーディンルーナってセーフだっけ?
ダメならブノワフローラ、もしくはベルカニュクス

片方のキャラがすでに選択されてる組み合わせはどうなるんだったっけ
アクアルーナが不可ならカミラサクラ

あとどこに前の支援があったかレス番だけ書いて欲しいなあ
今回のシャロカミラ支援とか完全に忘れてるわ

◇◆◇◆◇
―暗夜王国・兵舎―

ラズワルド「オーディン、ちょっといいかな?」

オーディン「なんだ、蒼穹のラズワルド。俺は新しい必殺技の試験運用に忙しい」

ラズワルド「それだよそれ。少しはやる場所考えてよ、特に考える場所とかさ」

オーディン「考える場所? 俺はいつも工房で考えている。秘術や奥義の制作過程を知られてはならないからな」

ラズワルド「……君の新作って、ゾティアックムーンスラッシュだよね?」

オーディン「な、なんでそれを!? まさか、お前もついに天啓を得たということか!?」

ラズワルド「……オーディン、この頃、夜中の兵舎に変な声が木霊してるって噂があるんだけど」

オーディン「なに……。この兵舎にも悪霊がいるということか」

ラズワルド「ここまで言っても気づかないんだね。悪霊っていうのはオーディン、君のことだよ!」

オーディン「え?」

ラズワルド「あのね、必殺技考えるのは別にいいんだけど。ちょっと、テンションをどうにかしてよ。昨日、君の部屋の前を通って驚いたんだよ?」

オーディン「もしかして、廊下まで漏れてた?」

ラズワルド「駄々漏れしてるよ。それにすごく子供っぽいんだけど……」

オーディン「声が漏れてることは俺に非がある。だが、子供っぽいとは心外な。これは新たなる呪術の開発、全身全霊を込めて挑んでいるだけだ」

ラズワルド「駄目だ、こっちに来てから余計酷くなってる……。でも、このまま続くとオーディンだけ、兵舎を追いだされる事態になっちゃうよ?」

オーディン「まてーーーーい!そ、それは困るぞ」

ラズワルド「なら、取るべきことをしないとね。それにレオン様に迷惑を掛けるわけにはいかないだろ?」

オーディン「ぐっ、それもそうだな。わかった、何とかしておく」

ラズワルド「はぁ、まったく目を離すとこれだからなぁ……」

【オーディンとラズワルドの支援がCになりました】

◇◆◇◆◇
―暗夜王国・兵舎『ルーナの部屋』―

 キュッ キュッ キュッ

オーディン「よし、これで最後の一個だ。それにしてもこんなに使うわけないのに、どうして買うんだ?」

ルーナ「うっさいわね。物はあったほうがいいのよ」

オーディン「結局使わなかったら意味ないと思うが……」

ルーナ「はいはい、つべこべ言わずに最後の整備やっちゃってよ。あんたの整備の腕は知ってるんだからね」

オーディン「わかってる。それにしても、正直意外だったな」

ルーナ「なにがよ?」

オーディン「いや、儀式の内容を聞いたら、手伝うのを止めると思っていたんだ」

ルーナ「……なにそれ、あたしのことそんな薄情者だと思ってたわけ?」

オーディン「だ、だってよぉ。昔、気持ち悪いって言われたこともあったし、説明してる時はテンションが高くなってただけで、実際説明の後怖かったんだからな……」

ルーナ「そんなことまだ気にしてんのね、あんた」

オーディン「う、わるいか?」

ルーナ「ううん、悪くないわ。それに、やっぱりあんたはずっと変わらないって思うと、なんだか安心できるし」

オーディン「?」

ルーナ「実を言うとだけど、供物の説明あたりで面倒くさそうだから逃げようかと思ってたわ」

オーディン「えぇ……」

ルーナ「でも、あんた言ったじゃない『この力は不可能を可能にする力』って」

オーディン「当然だ。現に儀式は成功、鮮血戦器・ブラッディマリーに新たなる力、クリムゾンブレイヴを与えたのだからな……。ふっ、あいつの喜んでいた顔、とても良かった」

ルーナ「それもあるけど、あんたを見てるとね、どんな不可能でも実現できるそう思えてくるの。前の戦いであたし達が救えたものがあったみたいに、ここでもあたし達に救えるものがあるはずだって」

オーディン「ルーナ……」

ルーナ「……ちょ、そんなマジマジと見ないでよ、恥ずかしいじゃん」

オーディン「ふっ、ふははははははっ!!!!」

ルーナ「!」

オーディン「安心しろ、この俺がいる限り不可能などありはしない。新たなる力を覚醒した漆黒のオーディンが――いたー!」

ルーナ「まったく、調子に乗らないで、あたしも一緒に戦ってるってこと忘れないでくれない? 誰かのお荷物になるつもりはないんだからね」

オーディン「まぁ、それもそうだな。よし、この装備の整備が終わったら、久しぶりに手合わせでもしようぜ。俺の新しい必殺技を見せつけてやるからよ」

ルーナ「ふーん、言葉ばっかりで当てられない未来しか見えないけど。いいわ、相手してあげる」

オーディン「言ったな。よーし、すぐに終わらせるから待ってろよ!」ガチャガチャ

ルーナ「……」

ルーナ「……変わらない奴がいるのって、結構心強いんだからね」ボソッ

オーディン「何か言ったか?」

ルーナ「なんでもない。って、ちょっと余所見しないでよ、壊したら承知しないからね!!!」

【オーディン×ルーナの支援がAになりました】

・支援C[4スレ目・352]
・支援B[4スレ目・411]

◇◆◇◆◇
―暗夜王国・カミラ邸『ルーナの宿泊部屋』―

ルーナ「来たわね、アクア様」

アクア「ええ、それで私の寝癖を倒すっていう話だけど……」

ルーナ「ふふん、あたしあんまり寝癖とか付かないから使わなかったんだけど、やっぱり買っておいて損はないってことね!」ガシャンッ

アクア「瓶? すごい量だけど」

ルーナ「ふふん、市場とか王宮で使われてる寝癖直しよ。アクア様、いつも寝癖を直す時、水だけでどうにかしようとしてるでしょ?」

アクア「ええ、実際直るもの」

ルーナ「直ってるかもしれないけど、見えないところで髪の毛が痛んでたりするのよ。アクア様、髪がとってもきれいなのに、こんなことで傷つくなんていやじゃない?」

アクア「……あまりそうは思わないけど」

ルーナ「アクア様が気にしなくてもあたしが気になるのよ。その炎を纏ったような髪をゆらゆらされると、すぐにでもサラサラにしてあげたくなるわ」

アクア「……そう」

ルーナ「それじゃ、まず王宮でよくつかわれてるこれにするわね。ちょっと準備が必要な高級品よ」

アクア「そう、お手柔らかにね」

ルーナ「もちろん。えっと、確かこれとこれを合わせて、これを……」

アクア「……」

ルーナ「配合比率は2:8……あれ、3:7……」

アクア「もしかして、うろ覚えなの?」

ルーナ「え、そ、そんなわけないじゃない。あたしが買ったものなんだから、ちゃんと使い方はわかってるから……うん、これでよかったはず。それじゃ、行くわよ!」

アクア「……え、えぇ」

 ペタペタペタッ

ルーナ「ふふんっ。髪の毛にどんどん馴染んでいくわ」

アクア「冷たい……」

ルーナ「我慢して、これで炎みたいな寝癖もたちまち清流のような流れに……」

 シャキーンッ

ルーナ「……」

アクア「……」

ルーナ「……あれぇ」

アクア「……」

ルーナ「……もしかして、間違え――」

アクア「……ねぇ、ルーナ」ニコッ

ルーナ「は、はひっ」

アクア「寝癖を直してくれようとしてくれてありがとう。私もあなたに恩返しがしたくなったわ。同じもの、あなたの髪に塗ってあげるわね?」

ルーナ「う、ううん、大丈夫、それにあたし寝癖なんて――」

 ダキッ ドサッ

ルーナ「はうっ!」

アクア「遠慮しないでいいわ。それに自分で買ったものがどういうものなのか、ちゃんと知らないとね?」ネトーッ

ルーナ「あ、アクア様。ご、ごめん。ごめんなさい、ゆる、ゆるし――」

 ワシャワシャッ

ルーナ「きゃああああああっ」

【アクアとルーナの支援がBになりました】

・支援C[3スレ目・283]

◆◆◆◆◆◆
―白夜・イズモ公国『大型温泉施設』―

 カポーン

 テトテトテトッ
 ゴシゴシゴシッ バシャー

 チャプン

カムイ「ふぅ~」

 チャプン

アクア「ふぅ……」

 チャプン

エリーゼ「はふぅ~、きもちいい~」

 ムニュン

カミラ「ふふっ、やっぱり私の方が大きいわね」

カムイ「入って早々、おっぱい触らないでくださいよ、カミラ姉さん」

カミラ「いいじゃない。姉妹同士じゃない、それにおねえちゃんとってもうれしいのよ」

エリーゼ「わかったー、カムイおねえちゃんと温泉に入れたからだね!」

カミラ「ええ、ここに来て夢が叶うなんて思ってもいなかったもの。贅沢を言っていいなら、二人っきりで体の洗いっこがしたいわ。隅々まで奇麗にしてあげる、おねえちゃんとっても上手なのよ?」

アクア「……」

エリーゼ「あれ? アクアおねえちゃん、どうしてカミラおねえちゃんから視線を逸らしてるの?」

アクア「なんでも無い、なんでも無いの。隅々まで洗われるのが怖いとか、そういうわけじゃないの」

エリーゼ「?」

アクア「だから気にしないで……」

カムイ「それにしても温泉ですか。お風呂とはまた違うんですね」

カミラ「ええ、それにそれぞれ効能もあるらしいわ、ちなみにここは美容に効果があるみたいね」

カムイ「美容ですか。女性に人気が出そうな温泉ですね」

イザナ『たしかに女性に人気だったよ~』

アクア「!?」

エリーゼ「この声、イザナさん、だよね?」

カミラ「あらあら、さっきカムイの胸を触ってたところ、見られちゃったかしら?」

イザナ『ごめんごめん、驚かせちゃったみたい。隣は男の湯になってるんだよ~』

カムイ「そうだったんですか」

カミラ「この板は、そのための仕切りということだったのね」

イザナ『うんうん、混浴っていうのもあるけど。疲れが取れないかもしれないから、今回は無しにしといたからね~』

アクア「混浴にしてたら、女性陣全員であなたを張り倒しに行ってたところよ。命拾いしたわね」

イザナ『おぉ、こわいこわい。ともかく、いっぱいくつろいでね。大丈夫、変なのがいたらすぐに叩き落としておくから』

カムイ「変なのとはなんですか?」

カミラ「変なのねぇ……一体何のことかしら?」

アクア「こういう温泉には、壁をよじ登ろうとする変な奴らがいるものなのよ」

エリーゼ「壁をよじ登るの?」

アクア「ええ、まぁ、向こうにはイザナがいるから大丈夫だと思うし、そんなことをしたら命の保証がないことくらいわかっているはずよ」

カムイ「命がけの壁登りですか。逆に浪漫溢れる行為な気がしてきました」

アクア「勘違いしてるかもしれないけど、愚かな行為だからやめておきなさい」

カムイ「ふふっ、アクアさんが言うなら愚かな行為なんでしょうね。わかりました、私はしないようにします」

アクア「しないのが当り前よ」

カムイ「ふふっ。アクアさん、ちょっと寄ってもいいですか」

アクア「ええ、いいわよ」

カムイ「それじゃ、あうっ」バシャンッ

 フニュン

アクア「あっ……ちょっと、やっ、ふとももに手、入って……はうっ」

カムイ「すみません、ちょっとバランスが崩れてしまいました。ふふっ、やっぱりアクアさんの体はとっても柔らかくていいですね」サワサワ

アクア「それ以上触ったら、沈めてあげるけど?」

カムイ「冗談きついですね、アクアさんは」

アクア「……」

カムイ「あ、はい」

アクア「でもよかったの?」

カムイ「なにがですか?」

アクア「…その、あなたの体には……」

カムイ「ああ、傷のことですね。アクアさんが気にすることじゃありません。それに私は気にしていませんから」

アクア「でも……」

カムイ「ふふっ、アクアさんは可愛いですね」ナデナデ

アクア「もう、からかわないで」

カムイ「ふふっ、大丈夫です、傷痕なんてみられてもへっちゃらですから」

カザハナ「うん、あたしもあんまり気にしないかなぁ。そういうのを見られるのは」

カムイ「その声は、カザハナさん?」

カザハナ「うん、サクラ様がカムイ様と一緒に入りたいから来ちゃった。ほら、サクラ様」

サクラ「う、うん。あ、あのカムイ姉様、その御一緒しても、よろしいですか?」

カムイ「ええ、もちろん。私の横なんかでよければ」

サクラ「う、うれしいです。そ、それじゃ失礼しますね……」

サクラ「はぁ~、こんなに大きな温泉、久しぶりで懐かしいです」

カザハナ「サクラ様、いいお湯ですね~」

サクラ「はい、とっても温かくて気持ちがいいです」

カザハナ「ふふっ、んー、はぁ~」グググッ

アクア「カザハナ、その体……」

カザハナ「へへっ、傷だらけでしょ? だけど、あたしは全然気にしてないし、見られても別に構わないよ。これはあたしがサクラを守ってきた勲章だから、全然気にならないよ」

サクラ「その、いつもカザハナさんについて行って、よく怪我をしそうになってたんです。その時、いつも守ってくれて……」

カムイ「そうだったんですか」

カザハナ「うん、その、さっきの話だけど、カムイ様もその気のことは、そう思ってるのかなって」

カムイ「そうですね。この傷は私とアクアさんとの絆そのものですからね」

アクア「傷が絆って、まるで私がカムイに何かしてるみたいじゃない」

カムイ「ふふっ、あんなに激しいことをしたじゃないですか」

アクア「そ、その言い方は勘違いされるからやめて」

カザハナ「でも、こんなにお風呂が大きいと泳げちゃいそうだよね。一回、泳いでもいいかな? いいよね、いくよー!」

レオン『カザハナ、周りの迷惑になることはするんじゃない』

カザハナ「えっ、レ、レオン王子!?」

カザハナ「何、女の子同士の会話に聞き耳立ててるのよ。この変態王子!」

レオン『カザハナの声が大きいだけだよ! まったく、姉さんやサクラ王女に迷惑を掛けないようにしなよ。もう、子供じゃないんだからさ』

カザハナ「う、うるさいなぁ。もう、こんなところまで説教しなくても……」

レオン『転んだりしたら危ないだろ』

カザハナ「……ふぇ?」

レオン『傷のことだってあるし、サクラ王女を心配させるのはよくない。なにより、カザハナだって女の子なんだから、気を付けたほうがいいからね』

カザハナ「い、言われなくたってわかってるし。なによ、もう、いきなり女の子とか……ブクブクブクブク」

サクラ「ふふっ、カザハナさんもレオンさんの前では女の子になっちゃいますね」

カザハナ「ちょ、ちょっとサクラ、変なこと言わないでよ!」

サクラ「ふふっ、わかってますよ。カザハナさんも女の子ですからね」

カザハナ「ちが、そうじゃなくて、もう、サクラの馬鹿!!!」バシャンッ

サクラ「うふふっ。でも、やっぱり私は女性らしくないんでしょうか。その、胸もないですし、体つきだって……」

エリーゼ「さ、サクラ、大丈夫だよ。もう少しすれば、あたしもカミラおねえちゃんみたいな立派なレディになれる。だからサクラだって大丈夫!」

サクラ「カミラさんみたいな、ですか……」

カミラ「ふふっ、どうしたのかしら?」バインッ

サクラ「……やっぱり、男の人ってお胸の大きい人が好きなんでしょうか?」

カミラ「ふふっ、その男の人って隅に置けないわね。こんな二人の女の子に意識されてるなんて、両手に花ね、レオン?」

サクラ「わ、私はレオンさんのことなんて一言も……」

カミラ「ふふっ、どうしたのかしら? そんなに顔を赤くして、サクラ王女はレオンにどう思われたいのかしら?」

サクラ「え、えええっと、それは……」

レオン『ねえ、二人とも、その話やめてくれないかな……』

サクラ「れ、レオンさん。き、聞こえてたんですか!?」

レオン『うん、サクラ王女も思ったより声が大きいからね。とりあえず、周りのみんなから色々な視線を受けてるから、もうその話はやめてほしいんだけど』

サクラ「そ、その、ごめんなさい……」

アクア「レオン、女の子に謝らせるなんて駄目じゃない」

カミラ「ふふっ、アクアは厳しいわね」

サクラ「はぁ、レオンさんを困らせてしまいました……」

 チョンチョン

シャーロッテ「ねぇ、サクラ様」

サクラ「シャーロッテさん、どうしたんですか?」

シャーロッテ「いや、その、今のレオン様とのお話なんですけど……」

サクラ「やっぱり、男の人はお胸が大きい女性の方がいいんですよね。シャーロッテさんも大きいから、うらやましいです」

シャーロッテ「えーっと、そのことじゃなくて、カザハナのことなんですけど」

サクラ「え、カザハナさんのことですか?」

カザハナ「あ、あたしのこと?」

シャーロッテ「ねぇ、カザハナ」

カザハナ「うん、なに?」

シャーロッテ「もしかして、レオン様に裸を見られてたりする?」

カザハナ「」

サクラ「し、シャーロッテさん。ど、どうして、そう思うんですか!?」

シャーロッテ「いや、傷の話は確かにあったけど、今のレオン様の言い方、体中に傷があること知ってるみたいだったから」

アクア「……たしかにそうね。体の傷のこと、知ってるような言い方だったわ」

カミラ「そうね。それにレオンだって推測でそんなことは言わないわ。カザハナのこと、ちゃんと女の子として見てあげてるみたいだったから」

シャーロッテ「っていうわけなんだけど。サクラ様、実際のところどうなのよ?」

サクラ「えっと、その……あ、あの~、カザハナさん」

カザハナ「////////////」

エリーゼ「うわっ! カザハナ、すごく真っ赤になってる!!」

シャーロッテ「へっへっへ、カザハナ。一体どこでその体を見られたのか、言いなさいよ」

カザハナ「な、あ、あれは生命の危機だっただけ、それだけだから!!!」

シャーロッテ「つまり、見られたのは認めるってことね。レオン様もやっぱり男、その後はもちろん――」

レオン『これ以上、僕を苦しめるのをやめてくれないかな!?』

 今日はここまでで

  ドラマCD発売か、財布が軽くなるな

カムイ「もう、レオンさん。そんな大声出しちゃいけませんよ」

レオン『大きな声を出したくなるよ。こっちの身に少しはなってくれないかな?』

カムイ「なってくれと言われましても、私にはそういった方は思い当たりませんから……」

カミラ「そんな、私の愛情はカムイに届いていないというの?」

カムイ「カミラ姉さんからはいっぱい愛情を頂いてます、安心してください」

カミラ「あら、そう言ってもらえておねえちゃん嬉しいわ。今度は体で触れ合う愛情にしましょう?」

カムイ「ふふっ、体の洗いっことかですか?」

シャーロッテ「……カムイ様って良くわからないわね」

カムイ「なにがですか?」

シャーロッテ「その、カムイ様って恋とかしたことあるの?」

カムイ「恋ですか、すみません流行には疎くて」

シャーロッテ「特に流行とかじゃないんだけど、もしかして恋とか以前の問題に異性と同性の境界とか気にしてなかったり」

カムイ「異性と同性って、男性も女性も変わらないですよ。その人はその人なんですから」

アクア「男か女かは問題じゃないって意味みたいだけど。曖昧な答えね、シャーロッテはもっとまっすぐな答えを欲しがってるわよ」

カムイ「え、違うんですか?」

シャーロッテ「こっちの方面、まったく鍛えられてないのね、カムイ様って」

エリーゼ「えへへ。カムイおねえちゃんって、そういうことはあたしよりも知らなそうだよね。あたしの恋愛小説、ちゃんと読んでるの?」

カムイ「本は読めませんから、ギュンターさんに時々読んでもらっています。でも、私にはまだ難しい表現が多くて、理解するために意味を聞いてるんですけど、はぐらかされてしまいますね」

アクア「多分、それは教えない方がいいっていうギュンターなりの優しさよ」

カムイ「教えてくれた方が私としては嬉しいんですけど」

ルーナ(正直、顔を触る癖のあるカムイ様がそういう意味を知ったら、もっと手がつけられない気がするけど……)

アクア「ルーナも私と同意見のようね」

ルーナ「ちょ、あたしの頭の中、勝手に読まないでよ。でも、あたしもそう思ってるわ」

アクア「私もよ」

カムイ「でも、なんだか皆さんがうらやましいですね。私はそういうのが全く分かりませんから……。心配したりとか、そういうことを思うことはできるんですけど。なんでなんでしょうね?」

シャーロッテ「なんでなんでしょうねって言われても。っていうか、そういう気配りができるんだったら、あの顔タッチ少し自重できるでしょ」

カムイ「あれは別腹ですから。ああ、なんだかそう言われると触りたくなってきました。シャーロッテさん、すこし触らせてください」

シャーロッテ「お断り、私の顔は安くないもの」

カムイ「ちょっとだけでいいですから」

シャーロッテ「ちょっとだけでもやらせたら、離さないでしょ」

カムイ「ああっ、振られてしまいました。アクアさん顔を触らせてくだ――」

アクア「ふふっ、悪戯好きな手はこれかしらね?」ガシッ グググッ

カムイ「あうっ、いたっ…」

カミラ「流れるように取ったわね」

エリーゼ「すご~い」

アクア「慣れれば木を持つより簡単よ」

シャーロッテ「さらっとすごいこと言ってるけど、カムイ様って思ったよりもアクア様にべったりですよねぇ」

カムイ「そうでしょうか」

アクア「そ、そうかしら?」

カミラ「……そうね。カムイはアクアのこと、アクアはカムイのことが気になって仕方がない関係だものね」

アクア「な、なに言って――」

カムイ「それは気になりますよ」

アクア「え、カムイ?」

カムイ「アクアさんは仲間ですから、それに私となんだか似てる気がして放っておけないんです」

アクア「……そ、そうね、仲間だものね?」

カムイ「ええ、もちろんですよ。よかった、否定されたらどうしようかと思いました」

アクア「そんなことないわ……」

カムイ「ふふふっ」

アクア「……」

ピエリ「アクア様、なんだかすごく不満そうな顔してるの」

カミラ「そうね、アクアとしてはもう一歩踏み出した存在になりたかったのかもしれないけど、カムイには少し難しいことなのかもしれないわね」

ピエリ「もう一歩ってどんなのなの? ピエリ、よくわからないのよ」

カミラ「ふふっ、そうね。とっても大切が欲しかったのかもしれないわね?」

ピエリ「とっても大切。ピエリ、カミラ様のこととっても大切に思ってるのよ」

カミラ「ふふっ、ありがとう。でも、お友達のルーナのことも忘れちゃ駄目よ?」

ピエリ「!? カミラ様、ピエリとルーナがお友達名の知ってたの?」

カミラ「もちろん、私の可愛い臣下だもの、それに……ほら」チラッ

ピエリ「?」チラッ

ルーナ「あっ……」プイッ ワシャワシャ

カミラ「ふふっ、ピエリと話したそうにこっちを時々こっちを見てるのよ。素直じゃないところがとっても可愛い。そうだ、ピエリも洗いっこしてきたらどう?」

ピエリ「洗いっこ……、わかったの。ピエリ、洗いっこしてくるの!」

カミラ「ふふふっ、それじゃ、仲良くなれる洗いっこの方法、教えてあげる」

ピエリ「本当なの!?」

カミラ「ええ、とっても距離が近くなる洗いっこの方法ね」

ルーナ「……」チラチラッ

フェリシア「ルーナさん、ピエリさんを誘ってきたらどうですか?」

ルーナ「え、なに、なによ、何を誘うっていうのよ!?」

フェリシア「ふふっ、さっきからピエリさんとカミラ様の方ばっかり見てるじゃないですか。さっき、カミラ様と目が合って逸らして、カミラ様とても楽しそうにしてました」

ルーナ「そ、そんなことないわ。べ、別に話がしたいとかそういうわけじゃなくて、その、二人並んでるのを見ると、その目が自然と向いちゃうっていうか」

フェリシア「?」

ルーナ「ほら、あの二人結構なもの持ってるでしょ……」

フェリシア「あー、たしかにうらやましいです。どうやったら、あんな大きくなるんでしょうか」

ルーナ「あたしが聞きた――」

 ペタペタペタタタッ

ピエリ「ルーナ、一緒に洗いっこするの!」ダキッ

ルーナ「うわあああっ、ちょっとピエリ、いきなり抱きつかないでよ! っていうか、背中に胸当ててんじゃないわ!」

ピエリ「裸だから仕方ないの。フェリシアもいっしょに洗いっこするの、ピエリが背中をいっぱいゴシゴシしてあげるの。こうやって――」ニュルンニュルン

ルーナ「ふあぁっ! ちょ、え、なに、何してんの!? ピエリ、本当になにしてんのよ!」

フェリシア「はわわわ、ピエリさん、ルーナさんの背中に体押し付けて何してるんですか!?」

ピエリ「カミラ様がこうやって洗ってあげると喜んでくれるって、さっき言ってたの。ルーナの体、ピエリのお肌で奇麗にしてあげるのよ」

 ワシャワシャ ニュルンニュルン

ルーナ「やっ、背中、すごいっ、弾力……ふぁ、なにこれぇ」

ピエリ「えへへ、石鹸まみれになるのよ!」ニュルンニュルン ワシャワシャ

ルーナ「ううっ、こうなったらフェリシア、あんたも巻き添えになりなさい」ダキッ

フェリシア「ふぇえええ、なんで私までぇ……。いや、腰に手まわしちゃ、はうううっ」

エリーゼ「あそこのみんな、何やってるのかな」

ベルカ「エリーゼ様には関係の無いことよ」

エリーゼ「え~。そうだベルカ、私たちも体の洗いっこしよ?」

ベルカ「え?」

エリーゼ「そのね、ベルカともっと仲良しになりたいの。だめ?」

ベルカ「いいえ、その。人の体を洗ったことなんてなくて、だから力加減とかうまく出来ないかもしれないから」

エリーゼ「そんなの気にしなくて大丈夫。それじゃ、先にあたしがベルカの体洗ってあげる。それを真似すればいいだけだから、大丈夫だよ」

ベルカ「……そう、ならいいわ」

エリーゼ「うん、それじゃ行こっ!」バシャンッ

ベルカ「……!」

カミラ「ふふっ」

ベルカ「え、えっと、カミラ様、これは……」

カミラ「ベルカもそんな顔できるようになったのね、とっても嬉しいわ」

ベルカ「その……////」

カミラ「ふふっ、照れて可愛いわ。今度はもっと表情を柔らかくして、みんなと接してあげてね。さっ、エリーゼが待ってるから、行ってあげて」

ベルカ「ええ」

 ペタペタペタ

エリーゼ「えへへ、それじゃ、まずは髪から洗ってあげるね。えへへ、ベルカの髪って短いけどサラサラしてて気持ちいい」

ベルカ「あ、ありがとう。その、エリーゼ様の手……」

エリーゼ「も、もしかして力強かった?」

ベルカ「ううん、その優しくて気持ちいい……」

エリーゼ「えへへ~、カミラおねえちゃんによく洗ってもらってるからかな。ここらへんとかいつも解してくれるんだー」

ベルカ「そう……」

エリーゼ「うん、これくらいかな。それじゃ流してあげるね」

ベルカ「ええ、お願い」

 ザバー

エリーゼ「それじゃ、次は背中だ。よぉーし、それじゃ、よ、よろしくおねがいします!」

ベルカ「うん、おねがい、エリーゼ様」

エリーゼ「うん、がんばるよー」

 エリーゼサマ、アライニククナイデスカ?
 ウウンソンアコトナイヨー、ベルカノハダ、ナンダカヤサシイカンジガスル。エヘヘ、モットモットアラッテアゲルネ!
 
カミラ「ふふっ、みんな仲良しそうで何よりね」

カムイ「私も混ざりたいです。あの中なら、どこを触っても許される気がしますから」

カミラ「あらあら、下心丸出しじゃない。そんな悪い子はお姉ちゃんと一緒に百数えるまでお風呂に拘束しちゃうわ」ガシッ

カムイ「掴まってしまいましたね」

アクア「まったく、人にちょっかい出してばかりなのはよくないわ」

カムイ「それもそうですね」

シャーロッテ「でも、本当にカムイ様って、そういった経験無いんですね。その歳で初恋もまだなんて、このまま一生一人身だったりして」

カムイ「そうですね。でもそれもいいかもしれません」

アクア「それって、この戦いが終わったらあなた、一人でどこかに消えようとかそういうこと?」

カムイ「いいえ、違いますよ。それはそれで、ちょっと寂しいですし、黙ってどこかに行くなんて卑怯な真似はしませんよ」

シャーロッテ「じゃあ、どうして?」

カムイ「なんて言うか、その私ってわがままですから、流石に生涯一緒となると気疲れしてしまうんじゃないでしょうか」

シャーロッテ「わかってるなら、直せばいいのに。カムイ様、王族なんだから結婚したがる男なんて腐るほどいると思うわ」

カムイ「ふふっ、でも私としてはそういう結婚はしたくはないですね。幸せな結婚っていうのは良く聞きますから、そういうのなんだかいいなって思いますから」

シャーロッテ「はぁ、夢見てるわね。っていうことはあれかしら、初めてのキスはレモン味とか思ってたりして」

アクア「ふふっ、カムイならそう思ってそうね」

カムイ「キスですか……」

カミラ「ふふっ、カムイの唇、どんな味がするのかしらね?」

シャーロッテ「カミラ様、舌舐めずりしすぎ」

カムイ「あの……」

カミラ「どうしたの、カムイ。もしかしておねえちゃんに、初めての口づけをくれるの?」

カムイ「いえ、普通はレモンの味がするものなんですか?」

シャーロッテ「初恋は甘酸っぱいっていうから、そういうのと関連づけてるだけね。実際、その時食べてたものとかで決まるものよ」

カミラ「ロマンスの欠片もないわね。カムイに悪影響が出たらどうしてくれるのかしら?」

シャーロッテ「いや、カミラ様のほうが」

アクア「でも、カムイ、どうしてそんなことを聞いてくるの?」

カムイ「いえ、なんというか、その違っていたので……」

カミラ「違っていたって何が?」

カムイ「うーん、なんて言うか、潤いくらいしかなかったような気がしたので」

シャーロッテ「潤いって、その言い方だとカムイ様、まるで経験済みみたいに聞こえるんだけど」

カムイ「ええ、まぁ……」

シャーロッテ「え、キスってあれですよ。唇と唇が触れ合う奴、頬とかにチュッじゃないやつですよ?」 

カムイ「そのキスです」

カミラ「……」

アクア「……」

シャーロッテ「……え、まじ?」

カムイ「はい」

カミラ「そう、……おねえちゃんに黙ってカムイの初めてを奪うなんて、その相手どうしてあげようかしら?」

アクア「そうね。カミラ、私も加勢するわ。大丈夫、力加減はできてるつもりよ」

カミラ「ふふっ、頼もしいわ」

アクア「ええ、久しぶりに腕がなるわね」

シャーロッテ「と、とりあえず、その相手って誰だよ?」

カミラ「そうね、まずは倒すべき相手を見定めないといけないものね」

アクア「さぁ、カムイ。あなたの初めてを奪ったのが誰か教えなさい」

カムイ「えっと……」

シャーロッテ「流石に声に出すのが憚れるなら指さすのだけでもいいから」

カムイ「そうですか、じゃあ」ビシッ

カミラ「えっと、アクアの先にあるのは、仕切りね」

アクア「つまり、男湯にいる誰かが犯人というわけね」

シャーロッテ「まさか、もうキスする相手が出来てるなんて、カムイ様も隅に置けないわ」

カミラ「カムイ、ありがとう。おねえちゃん達、ちょっと用事ができたから、大丈夫、少し懲らしめてくるだけだから」

アクア「ええ、それじゃ失礼するわね」

シャーロッテ「ねぇねぇ、カムイ様。その相手の名前、教えてもらってもいいで――。あれ、カムイ様、指動いてますよ」

カムイ「ええ、だって私の指差した人とは見当違いの方を探しに行こうとしているので。まだ指を向け続けてるだけなんですけど」

シャーロッテ「……カミラ様、どうやら違うみたいですよぉ」

カミラ「あら、仕切りじゃない方角になってるわ。……それに、私たちのほうを向いてるみたいね?」

アクア「この先にいるのかもしれないわ。左右に避けて方角を確認しましょう」

カミラ「そうね」

 サッ サッ

カミラ「それで指はどこを示し……あら?」

シャーロッテ「……マジ?」

アクア「……」

カムイ「……」ビシッ

 テト
 テトテトテト

アクア「……ねぇ、カムイ」テトテトテト

カムイ「はい、なんですか?」ビシッ

アクア「……なんで、その指は私を追いかけ続けているの?」テトテトテト

カムイ「私は言われたとおりにしているだけですよ?」ビシッ

アクア「そう、私の動きに合わせて移動するなんて。相手はすごい動きができるのね」テトテトテト

カムイ「……」ビシッ

 テトテトテト ピタッ

アクア「……ねぇ、カムイ」

カムイ「はい、なんですか?」

アクア「その……」

「これは何かの間違いよね?」

今日はここまでで
 
 ピエリ×ルーナもいいなぁ。
 キャラクター同士の支援ですが、今までの過程を探し出してどこにあるかを提示したいと思います。

 ↓こんな感じになると思います。
【支援Aの組み合わせ】
・ルーナ×オーディン
 C[4スレ目・352] B[4スレ目・411] A[4スレ目・460]

 次の更新の時に、一覧を出せると思いますので、よろしくおねがいします。

カミラ「ねぇ、アクア。正直に言ってちょうだい。そうじゃないと、このまま皆の前で揉みくちゃにしてしまいそうだから」ガシッ

アクア「ちょっと、カミラやめて。手を抑えられたら、前隠せないわ」

カミラ「女同士じゃない、気にすることはないわ。それよりも私は事実を知りたいの」

アクア「私だって知りたいわ。カムイ、そういう冗談はやめて頂戴」

カムイ「いえ、一応キスと呼ばれるものはしたのですけど」

カミラ「ふふっ、カムイはこういうことで嘘は言わないわ。だから、アクアとはキスしてる筈なのよ」

アクア「わ、私は身に覚えなんてないわ!」

シャーロッテ「往生際が悪いですよ、アクア様。ここで否定するのは女が廃るってものですよぉ」

アクア「シャーロッテ、あなたとても楽しそうな顔をしてるわね」

シャーロッテ「ええ、まぁ。こんな面白い事、放っておくわけないじゃないですか、あまりそういう話聞きませんし、ギャラリーも増えてますから」

 ワクワクワクワク ドキドキドキ

アクア「くっ……ねぇ、カムイ」

カムイ「はい、なんですか?」

アクア「あのね、正直に言ってほしいの。これはあなたなりの冗談よね? 少し私をからかってみようって思っただけ、そうよね?」

カムイ「冗談でこんなことは言いませんよ。その一応、キスですから……」

アクア(なんなの、その初々しい表情は……。私は、本当に身に覚えがないのに…)

カミラ「そうね、冗談じゃないなら、それをなかったことにしようとしてるアクアにお仕置きが必要ね」モニュ

アクア「あっ……んぅ…やめっ……カミラ、胸の形、変に……はああっ」

カミラ「ふふっ、ならちゃんと認めちゃいなさい。私だってこんなことをアクアにしたくないわ。アクアはいつでも素直で可愛い私の妹なんだもの、もっとかわいく愛でてあげたいから」モニュ ムニュ ニュルンッ

アクア「はぁ、はぁ……。やっ、んああっ」

カミラ「ふふっ、体が火照ってるわよ。こんなに体を硬くして、大丈夫二人のことを認めないってことじ