カムイ「私の……最後の願いを聞いてくれますか?」 (1000)

FEifの最初から系話です。
初プレイが暗夜だったので、暗夜ルートをベースにこういうのだったらよかったな的な妄想話です。

主人公のタイプは
体   【02】女性
髪型  【05】大きい
髪飾り 【04】ブラックリボン
髪色  【21】ロング・セクシーの中間
顔   【04】優しい
顔の特徴【04】横キズ
口調  【私~です】

私の好きな属性都合上、主人公に盲目と心想いという勝手に考えた属性を追加していますので、予めご了承のほどよろしくお願いします。

長所  心想い【心を好きになる(誰とでも結婚できる)】
短所  盲目 【目が見えない(ただそれだけ)】

時々安価があるかもしれません。もしかしたら無いかもしれません。

それでは、始めます。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1438528779

カムイ(私が光を失ったのは幼い頃のことで、鍛錬の最中に目先を横切った剣先を避けることができなかったことが原因でした)

カムイ(今ではその目の傷は瞼の下に隠されている。人に見せるものでもないと幼心に分かっていたからでしょうか)

カムイ(それから私は感覚を鍛えることに必至になった。体に術式を施してもらえたのは僥倖で、私の感覚能力は高いものになって、今では光を知る人と同じほどに剣を振るえるようになった)

カムイ(でも、この力は一体何に使われるべき力なのか、今の私にはその答えを出すことなど出来るわけもなかった……)

カムイ「お父様が私をですか?」

マークス「そうだ、ついにお前も自由になる時が来たんだカムイ。ここまで続けてきた鍛錬が実を結んだといってもいい」

カムイ「いいえ、これもマークス兄さんや支えてくれた皆さんのおかげです。私自身の力ではどうにもできなかったはずですから」

マークス「ふっ、カムイは謙遜してばかりだな。まぁ、そこがお前の良いところでもあるのだがな」

レオン「ほんと、最初に出会った時に盲目だって聞いた時はどうなるかと思ったけど、今じゃマークス兄さんの攻撃を受けることもできるようになったなんて、正直信じられないよ」

カムイ「マークス兄さんは、手加減がうまいんですよ。本気でこられたら一溜まりもありませんから」

レオン「はぁ、そういう冷静に分析するところとか、羨ましいよ、まったく。はい、これで汗を拭いて」

カムイ「ありがとうございます、レオンさん……ところで、いつも法衣のことを兄さんに言われてますけど、今日は大丈夫ですか?」

マークス「………」

レオン「大丈夫だよ、今日はちゃんと姿見で確認を……」

マークス「ははっ、寝起きはやはりつらいか?」

レオン「ちょっと、わかってるなら一言言ってよ兄さん! 恥ずかしいなぁ、もう……」

カムイ「ふふっ、私も目が見えればレオンさんのが慌てている姿を見ることができるんですけど、感覚だけでは気配が慌てて動いてるようにしか感じられません」

レオン「もう、そこに記憶上の僕の顔をトレースしてるんだから、実際見てるのと変わらな……ごめん、悪気はないんだ」

カムイ「目のことで謝らないでください、それに先に口に出したのは私ですから、だからそう悲しい顔もしないでください」

レオン「……はぁ、見えないはずなのにそう言われると、なんだかからかわれているんじゃないかって時々思うよ」

カムイ「これでも一応お姉さんですから、弟のことはできる限り知っておきたいんです」

レオン「……あ、ありがとう」

マークス「照れているな」

レオン「あーもう、なんでこうも僕ばかり弄られないといけないんだ」

???「仕方ないじゃない、レオンは二人にとって可愛い弟なんだから」

カミラ「もちろん、私にとっても可愛い弟だからね」

カムイ「カミラ姉さん」

カミラ「あらあら、マークスお兄様が外に出られるようになったことを先にカムイに伝えてしまったから、私の出番が無くなっちゃったじゃない」

マークス「すまないな、カミラ。だが、私の口から伝えてやりたかった」

カミラ「仕方ないわ。剣の鍛錬を続けてきたのはマークスお兄様、それは譲ってあげる。けど、最初にカムイを連れて旅をするのは私よ?」

カムイ「カミラ姉さん、旅というのは色々な場所を回るあれですか?」

カミラ「そうよ、もう行きたい場所は決めてあるの。温泉とか、温泉とか、あと温泉とか」

レオン「温泉しかないじゃないか」

カミラ「そこでどっちの胸が大きいのか勝負するの」

カムイ「うーん、レオンさん、私とカミラ姉さんどっちが大きいですか」

レオン「な、なんで僕に聞くんだい!?」

マークス「兄から見て、カムイ残念だがカミラの方が大きい。ざっと見ても2ランクは高い」

レオン「兄さんも何真面目に答えてるのさ」

???「カミラおねえちゃん、先に行かないでよー」

エリーゼ「やっと追いついた、あっ、カムイおねえちゃんだ! カムイおねえちゃーん!」ダキッ

カムイ「おっと、ふふっエリーゼさんはいつも元気いっぱいですね」

エリーゼ「うん、あたしカムイおねえちゃん大好き! 世界でいちばん好き好きー」

カムイ「ええ、私もエリーゼさんが大好きですよ」

エリーゼ「うん。あっ、そのリボン。あたしがカムイおねえちゃんにプレゼントしたのだ、付けてくれてるんだ、うれしい」

カムイ「はい、ジョーカーさんやフェリシアさんに手伝ってもらいました。これを付けているとエリーゼさんがいつもそばにいてくれる気がして、とても嬉しい気持ちになるんです」

エリーゼ「えへへ、なんだか面と向かって言われるとちょっと恥ずかしい///」

カムイ「恥ずかしいんですか。ふふ、エリーゼさんは可愛いですね」

エリーゼ「えへへ、カムイおねえちゃんの撫で撫であたし大好きだよ」

レオン「まったく、ガキはこれだから」

カミラ「そういうレオンも、撫で撫でしてもらいたいんでしょ? 頼めばしてくれるわよ」

レオン「そ、そんなことあるわけないだろ」

マークス「まったく、お前たちは相変わらず騒がしいのだな。さぁ、もう少ししたら出発する、カムイ準備を始めてくれ」

カムイ「はい、皆さんは先に表口で待っていて下さい」

ジョーカー「お待ちしておりました、カムイ様」

カムイ「はい、荷物の準備ありがとうございます、ジョーカーさん」

ジョーカー「いえいえ、お安いご用です。ささっ、ギュンターがすでに正門でお待ちです。それにしても突然決まりましたね」

カムイ「そうですね、お父様。ガロン王様の前に立つのは何年ぶりのことでしょうか。この城塞に入れられるわずかな間に一度見たのが最後でしたから……」

ジョーカー「そうでしたか、悪いことを聞いてしまい申し訳ありません」

カムイ「気にしないでください。むしろ、お父様にお顔を触ってもいいですかと聞くことのほうが恐ろしいプレッシャーなんですから」

ジョーカー「カムイ様、それはあまりにも無謀なことだと思うのですが」

カムイ「だとしても、私の記憶にあるお父様の印象はぼやけてしまっています。正直思い出せない領域にまで入っているのかもしれません」

カムイ「私は私のことを知っている人の顔をできる限り覚えたいんです。これだけは諦めません」

ジョーカー「はぁ、確かに私と初めて会った時も、そんなことを言って私の顔をいっぱい触りましたね。あの時は力加減がめちゃくちゃで、当時の私は涙を流したくらいです」

カムイ「すみません、でも今は優しく触れる自信があります、試してみますか?」

???「そういうわけにも参りませんぞ。カムイ様」

ギュンター「皆さまがお待ちですぞ」

カムイ「そうですか、残念です。ギュンターさんとジョーカーさんが私について来るのでしょうか?」

ギュンター「あと厩舎係のリリスがお供します。リリスにはカムイ様の馬を任せておりますので」

カムイ「はい、わかりました。ところでギュンターさん、お父様のお顔に触れる件ですけど……」

ギュンター「それに関しては私もノーコメントです。しかし、カムイ様から突然『顔を触っても良いですか』と言われるガロン王というのは、一生に一度しか見れないものでしょうな。普通ならそうですな、死罪になるかもしれません」

カムイ「死罪ですか」

ギュンター「そう固く考えなくてもよろしいですよ。カムイ様のしたいようにしてもよろしいかと思います。もしも雷が落ちてきそうならば、私とジョーカーが見事な避雷針となって見せましょう」

カムイ「頼もしい、流石はギュンターさんです」

ジョーカー「ジジイが先に初撃を受けてくれるだろうから、その間に俺はカムイ様を連れて逃げる、この作戦プランでいいんだな」

ギュンター「ふっ、若造がよく言いよるわ」


リリス「カムイ様、こちらです」

カムイ「ああ、リリスさん。では私はリリスさんの馬に乗っていきますので、また城で」

リリス「カムイ様、乗馬の方は大丈夫でしょうか?」

カムイ「ええ、といっても私はリリスさんに身を寄せるくらいしかすることがありませんので」

リリス「たしかにそうですね、すみません」

カムイ「どうかしたんですか、少し元気がないみたいですけど?」

リリス「声でわかっちゃいますか?」

カムイ「はい、誰か違う人に変わってもらいますか? フェリシアさんかフローラさんなら」

リリス「い、いえ、大丈夫ですから」

カムイ「そうですか、ではお願いしますね」ダキッ

リリス「ひぅ」

カムイ「力が強すぎましたか?」

リリス「い、いえ、何でもないんです」

カムイ「ふふっ、変なリリスさんですね。では、お願いしますね、馬に乗るのは一度試して以来ですから、少し緊張します」

リリス「ま、任せて下さ……んっ、カムイ様、手が私の胸に当たって」

カムイ「……リリスさんのは私よりは小さいみたいですね

リリス「……カムイ様行きますね」

カムイ「ちょ、いきなり発進しないでください。危なく落ちかけ、うわあ」

カミラ「リリスの馬、早いわねぇ」

―暗夜王国・王都ウィンダム『クラーケンシュタイン城』―

ガロン「よく来たな、カムイ」

カムイ「はい、お父様。長い間、私のことを覚えて頂きありがとうございます」

ガロン「ふっ、我が子のことを覚えているのは当然のことだ。むしろ忘れられているだろうと思っていたというのは心外だ」

カムイ「はい、すみません。ですが、お父様一つ謝らせてはもらえませんか」

ガロン「何をだ?」

カムイ「私は幼い頃の記憶でしかお父様のお顔を知りません。今こうしてお目通しが叶ったというのに、私はお父様の顔が思い出せないのです」

ガロン「そうだったな、お前は光を失っているのであったか。ふっ、仕方あるまい。長きにわたりお前を閉じ込めてきたのは事実だ。しかし、なぜそのようなことを申すのか、黙っておれば良いことであろう」

カムイ「いいえ、私はお父様の顔を知りたいのです。お父様、お顔に触れてもよろしいでしょうか?」

ガロン「……」

ギュンター(どうなる?)

ガロン「ふっ、いいだろう。存分に触れるがよい」

カムイ「ありがとうございます。それでは……」

レオン(毎度思うが、これは見ているこっちも恥ずかしい、触られているお父様は……)

ガロン「……」

マークス(流石は父上だ、眉ひとつ動かすことはないとは……)

カミラ(さすがにここはお父様といえるわね)

エリーゼ(………おとうさまの指が少しぴくぴく動いてる気がする)

カムイ「お父様、ありがとうございます……」

ガロン「うむ、お前をこうしてこのクラーケンシュタイン城に呼んだのは、日々の精進が実を結んだがゆえ。きくと、今ではマークスと互角に渡り合うほどに腕を上げたそうではないか……その力を私の前で見せてもらおう」

カムイ「見せるですか?」

ガロン「うむ、捕虜を連れて来るのだ」

衛兵「ハッ!」

~~~~~~~~~~~~~

リンカ・スズカゼ「………」

カムイ「あそこにいる方々は?」

ガロン「前回の戦闘で捕虜にした白夜の兵士だ。カムイ、暗夜王国と白夜王国で戦争を続けているのは聞いているだろう」

カムイ「はい、聞いています」

ガロン「我らはいにしえの神の血を継し王族である。神の力を持つ我ら王族にとって、雑兵との力比べなど意味の無いこと、王族の我らには単騎で一隊を……戦況を覆すほどの力がなくてはならない。マークス、レオン、カミラは既にその域にまで達している。カムイ、お前もまた暗夜の王族として成長してもらわなければならぬ」

カムイ「……はい」

ガロン「あの捕虜二人には、お前を倒した場合に自由を与える条件を付けている。むろん、手にしている武器は本物だ」

カムイ「それは私を殺した場合と考えていいんですね」

ガロン「そうだ。お前の死を持って、あの者たちは自由となる。そう契った王としての約束だ。そして、お前にはこの魔剣を授けよう、魔剣ガングレリだ。この剣を振るえば白夜の兵どもなどすぐに殲滅できるだろう」

カムイ「ありがとうございます………お父様、ひとつよろしいでしょうか?」


ガロン「なんだ?」

カムイ「この戦いが終わった時、もしも私が勝利していたら一つ願いを叶えて欲しいのです」

ガロン「なんだと?」

マークス「カムイ! 父上に対して失礼ではないか。父上、カムイは出てきたばかりで、何も知らないだけなのです」

ガロン「マークス、黙っておけ。くっく、外に出た途端に手柄を要求するとは、城塞にいた間に欲というものが無くなってしまったのかと思ったが、そうでもないようだな。いいだろう、この戦いが終わった時、お前が勝利していれば、一つ願いを叶えよう」

カムイ「はい、ありがとうございます」

レオン「姉さん、無茶し過ぎだよ。見ているこっちがハラハラする」

エリーゼ「カムイおねえちゃんって怖いもの知らずなのかな?」

カミラ「わからないけど、寿命が縮まる思いだわ。また何か言うんじゃ無いかって思うと、口を押さえてあげたくなるくらいに」

マークス「カムイ……」

リンカ「話は終わったようだな?」

カムイ「ええ、時間を取らせました」

リンカ「お前か、あたしたちが倒す相手は、なんだか弱そうな小娘じゃないか」

スズカゼ「リンカさん、油断は禁物ですよ」

スズカゼ(話しに聞くと、あの方は目が見えないということですが。いくら従者がいようとも危険なことなのですが、何かあるのかもしれません)

リンカ「ふん、関係ない。力でねじ伏せてやればいいのさ。あたしはリンカ!炎の部族長の娘だ! お前の名はなんだ」

カムイ「暗夜……」

リンカ「?」

カムイ「暗夜王国王女、カムイです」

スズカゼ「カムイ……? まさか……」

カムイ「右にいる人、何かありましたか?」

スズカゼ「いいえ。私はスズカゼ。白夜王国に仕える忍です。私もここで死ぬつもりはありませんので、悪いですが命を奪わせていただきます」

カムイ「はい、わかりました」

ガロン「その力、我に見せてみよ。カムイ!」


今回はここまでです。
 こんな感じで進行していきます。

 チュートリアルの部分から妄想変更してるので、暗夜ルート分岐に行くまでの間は退屈かもしれませんが、よろしくおねがいします。

よく見ると、最初のパラメータの項目が狂ってましたね。

主人公のタイプは
体   【02】大きい
髪型  【05】ロング・セクシーの中間
髪飾り 【04】ブラックリボン
髪色  【21】黒
顔   【04】優しい
顔の特徴【04】横キズ
口調  【私~です】

 正確にはこんな感じです。

リンカ「スズカゼ、挟み撃ちにする。あたしは右、お前は左だ」

スズカゼ「はい、わかりました。私の攻撃の後にリンカさんが仕掛けてください。目が見えていない以上、飛翔攻撃に対してはこちらに部があります」

リンカ「ああ、わかった。あいつを倒して、白夜に戻ってみせる。そのためにはどんな手だって駆使してでもあいつを……」

スズカゼ「異論はありません、その手で行きましょう」



カムイ「ギュンターさん、ジョーカーさん。サポートをお願いいたします。ですが、出来れば攻撃は私だけに一任させてください」

ギュンター「仰せの通りに、我々はサポートに徹しましょうぞ」

ジョーカー「かしこまりました」

リンカ「ふっ、大した自信だな。その自信、伊達や酔狂ではないこと見せてみろ。でやぁ!」ブンッ

カムイ「……んっ」カキン!

リンカ「スズカゼ、今だ!」

スズカゼ「はい、すみませんがもらいましたよ」


レオン「なるほど、先駆けに先制させ、それを受けた所での死角からの攻撃、不意打ちの常套手段だね」

カミラ「ええ、普通の相手ならこれで上出来ね」

カムイ「……リンカさん、足、失礼しますね」

リンカ「え?」
リンカ(目の前が回って……いや、違う、これは足を力強く払われた!? あの一瞬で……そんな馬鹿な。しかも、倒れた場所はスズカゼが投げた手裏剣の機動上……ここまで計算して……)

ザシュ――ザシュ

リンカ「ぐああっ」

スズカゼ「リンカさん、くっ、今度こそは」

ギュンター「させませんぞ。ジョーカー壁になれ」

ジョーカー「言われなくても分かってら」

スズカゼ「なら、違う方角から――」

カムイ「スズカゼさんのいる場所はわかっていますので、何度投げても無駄ですよ。それより、リンカさん、降参しますか?」

リンカ「ふざけるな!」


カミラ「カムイの感覚に対しての力は常人ではとてもたどり着けないわ。あれは光を知らないからこその領域、私だってカムイのあの高見には近づけないわ」

マークス「目が見えないという情報その物が、カムイにとっては武器になる。ふっ、わざわざ目が見えないという前提条件を聞かされているのだ、少しは警戒するべきこと、それを怠った時点であの二人の捕虜に勝ち目はない」

リンカ「くっ、くそ! 目が見えていないはずじゃなかったのか。これじゃ、目が見えているのと何もかわらないぞ」

カムイ「目が見えていないという情報を有利に取るのは勝手です。でも、私にとってはそう思ってくれてる方が、とても戦いやすいんですよ」

リンカ「なら、単純に戦うだけだ!うおおおおおっ!」

カムイ「! ……すごい力……ですねっ!」

スズカゼ「遠距離がだめなら、至近距離でいかせてもらいます」

ジョーカー「カムイ様、背後に」

ギュンター「くっ、やはり早い。カムイ様、お気を付け下さい」

リンカ(よし、挟み撃ちなら避けきれないはずだ。あたしの棍棒で剣を抑えてある。空いた左手だけで何かできるわけでもない、受け流される気もない、あいつの足も踏ん張ってる。そう簡単に動けないはずだ)

リンカ「スズカゼ、そのまま後ろから殺れ!」

エリーゼ「カムイおねえちゃん!」

カムイ(背後から完全に一直線に来てる。なら、これくらいしかないですね)

カムイ「痛いのは苦手なんです」

リンカ「そうか、なら降参したらどうだ? まぁ、もう遅いがな」

スズカゼ「お命、奪わせていただきます」

 ――ドシュ

 ポタ、ポタタタタッ



エリーゼ「!!!!!!」

リンカ「な、なんだと!?」

カムイ「……捕まえましたよ、スズカゼさん」

スズカゼ(ば、馬鹿な。私の刃を左腕で受け止めるなど、すぐにそんな判断できるはずが、第一自身の身を守るのであれば回避行動を取るはずだというのに……)

カムイ「やっと集まりましたから、纏めて二人ともお相手しますね。左手が痛いので速攻で終わらせてもらいます」

リンカ(なんだ、なんなんだお前は!?)

カムイ「リンカさん、手元が緩んでますよ?」ブンッ

リンカ「しまった、武器がっ……く、くそぉ!」ドタリ

スズカゼ「リンカさん!」

カムイ「これで、終わりです」

スズカゼ「しまっ……ぐっ、無念です」ガクリッ

カムイ「………ふぅ。左手がとても痛いですね」

ジョーカー「すぐに手当てを致します。動かないでください」

カムイ「ありがとうございます、ジョーカーさん」

ジョーカー「すみません、敵の接近を許してしまいました」

ギュンター「われわれの失態です。申し訳ありません」

カムイ「いいんです。サポートに徹して下さいと言ったのは私ですから、二人が気に病むことではありません」

ガロン「ふむ、見事だカムイよ」



カムイ「お父様、ありがとうございます。中々手強い方たちでした、これが白夜の力ということですね」

ガロン「ふ、戦いは終わった。さあ、カムイ、その者たちを殺せ」

カムイ「………」

スズカゼ「さすがに、ここまでのようですね。ふっ、実質一人の相手に負けるとは、慢心した結果なのかもしれませんね」

リンカ「そうだな、認めるしかない。あたしたちの負けだ、好きにしろ」

ガロン「ふっ、諦めがよい者たちだ。カムイよ、お前の手で二人を葬るのだ」

カムイ「そうですね、お二人は死ぬことを望んでいるようです。ふふっ、なんだか羨ましいですね」

リンカ「何が羨ましい?」

カムイ「こちらの話です。だから私としてはその望を踏みにじってあげたくなります。お父様、この戦いは私の勝利で終わったと考えていいんですね?」

ガロン「そうだ、お前の勝利だ」

カムイ「では、お父様。私は、この二人を私の配下に加えさせてもらいたいのです」

一同「!!!???」

ガロン「………理由は」

カムイ「この二人には生き恥をさらしてほしい、それだけです。戦場で捕まり捕虜となった挙句に盲目の相手に負け、その相手の配下になる。こんな生き恥、早々体験できるものではありません」

ガロン「……わしがそれを許すとでも、思っているのか?」

カムイ「私もお父様が約束を違える人だとは思っていません」

ガロン「………」

カムイ「それでも殺せというならば仕方ありません。彼らの望を叶えることに――」

ガロン「もうよい、約束は約束だ。その二人のこと、お前に全て任せよう。これがお前の初めての手柄だというのも、ある意味滑稽ではないか」

カムイ「いいえ、私には十分すぎる手柄です。ありがとうございます、お父様」

ガロン「わしは戻る……カムイよ、次の命令を城塞で待つがよい」

カムイ「わかりました、お父様」

~~~~~~~~~~~~~~~

レオン「もう、姉さん。あまり心配かけないでくれないかな。僕たちみんなを早死にさせる気?」

カムイ「そんなつもりありませんよ。それよりも、私は何かおかしなことを言ったでしょうか?」

マークス「あんなことを言って、ただで済むわけがないだろう。最悪、私がお前に刃を向ける羽目になる、そんなことになってほしくはない」

カミラ「口を本当に塞いであげたくなるわ。私のカムイがこんなに世間知らずだなんて、正直信じたくないくらいだもの」

エリーゼ「おとうさま、すっごく怖い顔してた……、でも捕虜の人達が殺されないで済んでよかったね」

カムイ「………そうですね」

リンカ&スズカゼ「………」

 ~王都ウィンダム~

リリス「カムイ様、このような場所にどういったご用事で」

カムイ「ええ、ちょっと来てみたかったんです。リリスさんに誘導されて歩くのは久々ですから、あと胸のことはすみませんでした」

リリス「もう、言わないでください。また言ったら、置いて帰っちゃいますから」

カムイ「謝ってるじゃないですか、リリスさん機嫌を直してくださいよ」

スズカゼ「なんだか……調子が狂いますね」

リンカ「ああ、本当にさっき刃を交えた相手なのかと疑いたくなる。こうやって無邪気に笑っている姿を見ると、あれが悪い夢なんじゃないかと思えるくらいだ」

スズカゼ「しかし、生き恥ですか。そんな理由で生かされるなんて、お伽噺のように感じます。白夜にそんなお話があった気がします」

リンカ「たしかに、こんな理由で生き残る人間はそう多くいない。正直、あたしは生き恥だと少し思ってるぞ」

カムイ「スズカゼさん、リンカさんもこっちに来てリリスさんの機嫌を直すの手伝ってください」

リンカ「そして、この差だ。あたしの自信は粉々にされたも同然だ」

スズカゼ「そうですね、私も同じ感想です。カムイさんのような方が暗夜の王族であるなら、戦いなど起こりはしないのでしょう」

カムイ「それは買い被り過ぎです、スズカゼさん」

スズカゼ「聞こえていましたか、すみません」

カムイ「いいえ、謝らないでください、さて、ここでいいんですか、リリスさん」

リリス「はい、ウィンダムの大門前です」

リンカ「で、ここでどうするんだ? やはり、あたしたちを殺すのか?」

カムイ「ふふっ、リンカさんは面白い人ですね。そんなことをするなら、あそこでお父様にお願いなど頼んでいません。リリスさん、お二人の手掛けを外してあげてください」

リリス「かしこまりました、失礼しますね」

スズカゼ「……一体何の真似ですか?」

カムイ「何がでしょうか?」

スズカゼ「いえ、これではまるで無罪放免と言われているようではないですか。どこでも好きな場所へ行くように言われているように感じます」

カムイ「はい、その通りですね。私はお二人をここで解放することに決めていたので、スズカゼさんの考えであっています」

リンカ「正気か? 今ここであたしたちがお前を襲うかもしれないんだぞ?」

カムイ「その可能性もありますけど、リンカさんはそう言うことをしない人だと信じています。無論、スズカゼさんのこともです」

カムイ「ただ、お二人にお願いがあるのです」

リンカ(交換条件という奴か、なんだかんだ言ってもやはり暗夜の人間か、自由の代わりに欲しがるのは、やはり白夜の情報かなにかか?)

スズカゼ(ここまで温情を掛けていただきましたが、重要な情報を漏らすつもりは毛頭ありませんが……)

カムイ「二人のお顔を触らせていただけないでしょうか?」

スズカゼ「えっ?」

リンカ「はぁ?」

スズカゼ「言っていることの意味がよくわからないのですが、なぜ私たちの顔に触れたいと?」

カムイ「はい、私は目が見えない故、まだお二人の顔を理解しているわけではないのです。私は、私のことを知ってくれている人の顔を知りたいんです」

スズカゼ「なるほど、そういうことですか……しかし、私は本当にあなたの目が見えていないのか、その確証がない。もしかしたら、顔に触れられた瞬間に首を切り裂かれる可能性も十分にあり得ます」

リンカ「そうだな。あたしもお前の目が見えないという話を信用していない、むしろ目が見えていると言ってもらえた方が、幾分か救われるといってもいいくらいだ」

カムイ「つまり、目が見えていないという証明がされない限り、顔を触らせないというわけですね。わかりました、あまり見せたくはなかったのですが……」

リンカ&スズカゼ「!!!!!」

カムイ「これでいいでしょうか?」

リンカ「……」

スズカゼ「……」

カムイ「すみません、見ていて気持ちのいいものではないですから」

スズカゼ「いいえ、私たちが言ったことです。カムイさんはそれに従っただけにすぎません。ですから、私の顔をを触ってください、これは交換条件ですので」

カムイ「スズカゼさん、では、失礼しますね……」

スズカゼ「……ん」

 すみません、今日はここまでです。
  
  やっぱり、戦闘の場面は地の文を入れた方がいいでしょうか?
  ここの戦闘は攻陣の使い方よりも、リンカを回復床に誘導してできる限りレベル上げようとばかり考えてたなぁ

カムイ「スズカゼさんって、きれいな顔立ちをしているんですね。でも、ところどころに男性らしい角張った部分もありますね。髪は何色なんですか?」

スズカゼ「み、緑で……す。くぅ……あ……」

カムイ「耳が弱いんですね、なんだか可愛い声が漏れてますよ」

スズカゼ「か、カムイさん。耳ばかり、触らないでくれませんか」

カムイ「そう言われると、無性に触りたくなります。ふふっ、顔も熱くなってますね、顔を赤くしたスズカゼさんが手に取るようにわかります。恥ずかしいんですね?」

スズカゼ「そ、そんなことは……」

カムイ「無理しないでいいんですよ。一緒に捕虜だった人の前でこんなに触られて、かわいい声まで上げているんですから、恥ずかしくて当然です。それともうれしいんですか?」

リンカ「……なぁ、お前リリスと言ったか?」

リリス「どうかしましたか?」

リンカ「なんだこれは、どうして顔を触るだけなのに、あんな言葉遣いなんだ。見ているこっちが恥ずかしくなるぞ」

リリス「カムイ様は顔に触れながら、相手の反応を見て楽しむのが好きな方なんです。私も最初に触られたときに色々と言われましたから、こうして初めて触られたる人を見るのは、なんだか楽しいんです」

リンカ「………」

リンカ(あたしは絶対に屈しないぞ)

スズカゼ「……ハァ、ハァ、ハァ」

カムイ「スズカゼさん、ありがとうございます。ふふっ、声可愛かったですよ」

スズカゼ「こんな拷問は初めてですよ」

カムイ「拷問っていうのはひどいですね。これでも気持ちをほぐすために話しかけているんですから」

スズカゼ「は、恥ずかしかったのです。言わせないでください」

リリス「美形な方が陥落する姿はいつ見ても様になります。私、カムイ様に拾われて幸せです」

リンカ「幸せの観点がずれている気がするぞ」

カムイ「さて、次はリンカさんですね」

リンカ「くっ、あのような光景を見せられて、素直に従うと思っているのか?」

カムイ「ダメでしょうか」

リンカ「あ、当たり前だ。あんな風に触るなんて聞いてないからな……」

カムイ「では、優しくしますから」

リンカ「そ、それなら考えないでもないが」

カムイ「はい、優しく触らせてもらいます。痛くしたりしませんから」

リンカ「ほ、本当だな、本当に優しくするんだな?」

カムイ「はい」ニコッ

カムイ「リンカさんは顎先が敏感なんですね。ふふっ」

リンカ「は、話がちが……ひぅ」

カムイ「何も違いません。優しくしてるじゃないですか。こうやって髪も頬も眼尻も、優しく触れてます。顎先だって」

リンカ「や、やめっ、……こ、このっ」

カムイ「リンカさんはとても温かい人なんですね。私の手、冷たいですか?」

リンカ「あ、ああ。ひんやりしてる……」

カムイ「頬がとても熱いですね、顔はもしかして真っ赤なんじゃないですか?」

リンカ「そ、そんなことは……あ、顎先はやめ…て…くれ……」

リリス「さすがはカムイ様のエロハンドです! 触られた者の心をとらえて離しません」

スズカゼ「エロハンドですか…」

リンカ「も、もう勘弁してくれ」

カムイ「駄目です、もう少し触らせてください。これは髪ですね、リンカさんの髪は何色なんですか?」

リンカ「や、約束を破った者に教える気など……あっ」

カムイ「約束は破ってないです。優しくしてます、でもこのままだと私の指がリンカさんの顎先を撫でてしまいますよ」

リンカ「し、白だ。い、言ったぞ。もうおしまいにして」

カムイ「そうなんですか、ありがとうございます。お礼に顎先を触ってあげますね」

リンカ「ひゃん……や、やめろ」

カムイ「なんですか、人がいるかもしれない市街地の真ん中で、そんな声をあげちゃうんですか? スズカゼさんは恥ずかしがり屋さんでしたけど、リンカさんは興奮しちゃう人なんですか?」



リンカ「こ、これはお前が。だああ、もう終わり、終わりだ!」

カムイ「すみません、少し意地悪が過ぎましたね」

リンカ「なんていうやつなんだお前は……///」

リンカ(くそ、触れられていた場所が熱い……)

スズカゼ「………」

リンカ「な、なんだ、なんなんだその眼差しは!」

スズカゼ「いえ、お互い恥ずかしい姿を見られた同志なので、少し親近感が増した気がします」

リンカ「そんな同志になんてなるつもりはないぞ。あたしは誇り高き炎の部族。こんなことで……屈しない」

リリス「えいっ」

リンカ「ひゃああああ――っ! な、何をする!」

リリス「いえ、ちょっと。面白そうだなって思いまして」

カムイ「リリスさん、悪戯はいけませんよ」

リンカ「本当にお前はなんだんだ。印象が目まぐるしく変わりすぎて、全く追いつけないぞ」

カムイ「そうですか、私は自然体のつもりなんですが」

リンカ「戦っている最中と今では雲泥の差だ……まぁ、その相手に対する優位を取ろうっていう姿勢には同じものを感じる」

スズカゼ「まったくです、捕虜になって死を覚悟していましたが、まさか恥ずかしいという感情だとは思ってもいませんでした」

リンカ「無自覚なら直したほうがいい、まさかとは思うが身内の王族たちにもあんなことをしているんじゃないだろうな?」

カムイ「………はい」

リンカ「それはどちらに対する返事だ?」

スズカゼ「しかし、そろそろ私たちも脱出したほうがよいでしょう、あまり長居していると何が起きるかわかりません」

カムイ「そうですね、そろそろお別れの時間です。これ以上、お二人がここにいる意味は無いのですから、このままウィンダムを抜けて白夜に戻ってください」

リンカ「本当にいいのか? 配下が脱走したとなれば、それはお前の落ち度になる。その意味がわからないわけじゃないだろう?」

カムイ「はい」

リンカ「見た限り、お前があの王から信頼を得ているとは思えない。信頼を勝ち取るためならあたしたちをあそこで殺すべきだった、違うか?」

カムイ「それは間違いないでしょう。リンカさんとスズカゼさんの命を奪えば、私は暗夜の王族として一歩を踏み出せたはずです。私がお父様を見たのは光を失う前に一度だけ、私ですらそんな考えですから、お父様の信頼を得るためには小さなことも大きなことも、すべてに従うことが正解です」

スズカゼ「わかっているのであれば、どうしてそうしないのですか? 私たちの命を奪うことで、あなたが得るのは信頼だけではありません。安全も手に入るはずです。私たちをこうして逃がすという選択肢を選ぶ必要もなかった……、あなたは難しい選択ばかりしている」

カムイ「元白夜の捕虜が行方知らずとなれば、いろいろと問題になることでしょう。形式的には除隊にして処理はしますが、快く思わない人々には売国奴のように見えるはずです。その結果として王族としての地位を剥奪され、死罪となるかもしれな、それが私の選んだ選択です」


カムイ「でも、それでいいんです。私は王族としての地位にまったく興味がないんです。ただそれだけなんですよ。しかし、死罪まで行ってしまったら、少しやりすぎたということになるんでしょうね」

リンカ「理解できないな、私は部族長の娘としての誇りがある、この立場にいる以上、さらに上に立ちたいと思っているというのに」

スズカゼ「リンカさんにはリンカさんの、カムイさんにはカムイさんの考えがあるということでしょう。いや、ある意味すべてを平等に見ているのかもしれませんね」

カムイ「スズカゼさん、それは買被りしているだけです。私は、そんな立派な人間じゃありません」

スズカゼ「ふっ、そういうことにしておきます。このご恩は忘れません。しかし、もしも次に戦場で出会った時は――」

カムイ「それ以上は大丈夫です、覚悟はしていますから。私も戦場に出ないことになればそれに越したことはないんですが、お父様はそれを許してくれないでしょう」

スズカゼ「……」

カムイ「ですから、敵として私と戦場で対峙したら、今日の恩など忘れてしまって構いません。私がスズカゼさんの、スズカゼさんが私の命を奪うことになったとしても、戦場である以上、それは何も不思議なことじゃないんです。だから、そのような苦悶な顔をするのはやめてください」

スズカゼ「目が見えていないというのに、私の表情を見抜いてしまうとは、あなたはとても不思議な方です。願わくば、戦場であなたと相見えぬことを祈っています」

カムイ「そうなるといいですね」

スズカゼ「リンカさん、それでは行きましょう」

リンカ「……」

スズカゼ「リンカさん?」

リンカ「スズカゼは先に行ってくれ、あたしは少し話してから白夜に向かう」

スズカゼ「リンカさん、カムイさんの指が名残惜しいんですね。わかります」

リンカ「誰が名残惜しいものか!」

スズカゼ「えっ?」

リンカ「え?」

スズカゼ「そういうことにしておきますね。では、お互い生きていましたら白夜の地でまた会いましょう」タタタタタタッ

リンカ「まったく、名残惜しいってそんなわけ……ないはずだ」

カムイ「リンカさん、私に話というのは?」

リンカ「カムイ、一つ聞いてもいいか?」

カムイ「呼び捨てで呼んでくれるんですね。ふふっ、なんだか友達みたいでうれしいです」

リンカ「いや、これは……、失礼かもしれないが、様やさんをつけて呼ぶのは柄じゃないんだ。本来、お前に助けられたあたしが呼び捨てにしていいわけなんてないんだ。でも……」

カムイ「いいえ、私としてはうれしいです。だから呼び捨てでいいですよ」

リンカ「そ、そうか」

リンカ「カムイ、元々お前はあたしたちのために約束を取り付けたわけではないんだろう?」

カムイ「なぜ、そう思うんですか?」

リンカ「いずれまた戦場で刃を合わせることもあり得る相手を逃がすこと自体があり得ないことだ。それにお前は王族としての立場に興味がないとも言っていた、そんなお前が手柄のために約束を持ちかけるのはおかしな話だ。お前は、最初違う願いのために、王に約束を持ちかけたんじゃないか?」

カムイ「……そうですね。リンカさんの考えは間違ってません、私は元々は他の願いのために約束を取り付けました」

リンカ「なら、なぜそうしなかった?」

カムイ「その理由は秘密です」

リンカ「ここまで引っ張っておいて秘密だと?」

カムイ「すみません、でもいつか話せる時が来たらお話しますね。そうですね、私がリンカさんともう一度出会って、友達になれた時にでも」

リンカ「ふん、あいにく炎の部族の教えで交流は禁止になっている。その願いは叶わないな」

カムイ「そうですか、ではスズカゼさんに私が友達になりたいと言っていたと伝えて貰えますか?」

リンカ「……なんか面白くないな」

カムイ「では、リンカさんも友達になってくれますか?」

リンカ「考えておく、いいか、考えておくだけだ。期待なんてするんじゃないぞ」

カムイ「はい、期待してます。それではお気をつけて、白夜までの道中は何も手助けできませんから」

リンカ「野垂れ死になどするつもりはないさ。しかし、本当にお前は不思議なやつだ。それに、顔をこんなに触られたのは初めてだった」

カムイ「恋しくなったら行ってください、すぐに顎先をやさしく触ってあげますから」

リンカ「あ、あの反応はたまたまだ! たまたまくすぐったかっただけだからな!」タタタタタタッ

リリス「顔を真っ赤にして走って行きましたね。カムイ様、本当によろしかったんですか?」

カムイ「リリスさん、心配はいりません。二人を配下として残したとしても、今の私に二人の人間を守れる権力なんてありませんから、これでよかったんです」

リリス「あの、リンカさんの質問の答えって――」

カムイ「リリスさん、今日はとても疲れました。城塞まで連れて行ってもらってもいいですか?」

リリス「……はい、わかりました」

◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇

???「俺に護衛をですか?」

エリーゼ「うん、おねえちゃんのこと任せられると思ったから。それに今は大きな仕事はないんだよね?」

???「たしかに、今は国内と王城の警備を行っているばかりですし、交代の人員も多くいますから、俺が抜けても問題はないと思いますよ」

エリーゼ「うん、そうだと思ってたんだ」

???「でも、カムイ様にも配下の方たちがいるのはずですが……」

エリーゼ「カムイおねえちゃん、今日お父様に刃向っちゃったの。直接じゃないの、でも……お父様とっても怒ってた。だから……」

???「わかりました。俺でよければ一肌脱ぎますよ。それにエリーゼさまの命令ですから、従わないわけにはいきません」

エリーゼ「うん、ありがとう。動いてほしい時になったら、命令証を渡すね。公の場を通さない秘密の命令証だから、最低限の人にしか見せちゃだめだからね」

???「はい、わかってます。日時が決まり次第、お呼びください。確実に遂行してみせます」

エリーゼ「うん、ありがとう」

ガチャ……バタン

???「カムイ、お前との約束、やっと果たせる日が来たのかもしれない……」

カムイ『私のせいなの、私が頼んだだけ、この子は悪くない、悪くないの! だからお願い、許して……目が見えない私のためにしてくれただけなの』

???「今度は、俺が守る番だ、それが俺の誓だ。待っててくれ、カムイ」

 第一章 おわり

 現在の信頼レベル
 
 スズカゼ  C
 リンカ   C
 ジョーカー C
 ギュンター C


 今日はここまでです。

 パルレに関しては、やっている当初からあまり馴染めなかったので、主人公は盲目で仲間になったキャラクターの顔を確認するために触っているという設定をつけてプレイしてました。
 話の流れは、各キャラクターの登場はここがよかったんじゃないかという感じに変えていきます。
 今回のラストの人物は???とかいていますが、誰かは正直プレイした人には丸わかりのレベルですね。
 彼はここで出てきたほうがよかったんじゃないかと思ったので、こういう配置になりました。

一応、この時間帯を主に更新していこうと思っています。
こんな遅くなのに見ていただいてありがとうございます。

カムイ「ギュンターさんとジョーカーさんに王城へ来るように通達ですか?」

ギュンター「はい、すみませんがしばらくの間、空けることになりそうです。何も問題が起きなければよいのですが」

フェリシア「な、なんで私を見るんですか!?」

ジョーカー「食器は20枚までにしておくんだぞ。フローラの仕事を増やさないようにな」

フローラ「できる限り私がサポートするから、ジョーカーは気にしないでいいわ。そんなことより、カムイ様の傍を離れている間、ジョーカーは大丈夫なの?」

ジョーカー「くっ、カムイ様と共にいられないというのは辛いものがあります。すみませんカムイ様、しばらくの間、傍を離れることをお許しください」

カムイ「いいえ、お呼び出しですから仕方ありません。私は大丈夫ですから、二人とも頑張ってきてください」

ギュンター「ありがたいお言葉、恐縮であります。では、行ってまいりますゆえ、留守は任せましたぞ」

フローラ&フェリシア「はい」

◇◆◇◆◇
―暗夜王国『クラーケンシュタイン城』―

マクベス「ガロン王様、お呼びで」

ガロン「マクベス、よく来た」

マクベス「ガロン王様のご命令とあればすぐにでも」

ガロン「うむ、早速本題に入る、カムイのことだ」

マクベス「はい、耳にしております。この頃、北の城塞を出られたそうですな」

ガロン「うむ、だがあやつには問題がある」

マクベス「はい、その話も聞いております。なんでも捕虜の二人を配下に加えたとか、しかし城塞にはその二人の影はないと聞いています。大方、名目上すぐに除隊処理をしたのでしょう。まったく、どこでそのような知恵を覚えたのか」

ガロン「それで、首尾は?」

マクベス「はい、現在カムイ王女の配下であるギュンター、そしてジョーカーの二名を城に呼び出しております。ギュンターには五日間の軍議への参加、ジョーカーには社交界の給仕としての任を与えてあります。無論、すぐに放棄できる職務状況ではないでしょうな。外部からの情報も耳には入ってこないことでしょう」

ガロン「そうか、ではカムイをここに呼べ」

マクベス「今すぐで?」

ガロン「そうだ」

マクベス「承知しました……、ガロン王様も人が悪いですね。使えそうな配下を抜き出しておきながら呼び出すとは。しかし、どんな形であろうともガロン王様に逆らったカムイ王女に、逃れる術などあるわけもないですがな」

エリーゼ「……」

マクベス「おやおや、エリーゼ様。ガロン王様に会いに来たのですかな?」

エリーゼ「ち、ちがうよ。ちょっと考え事してただけ、失礼するね!」

マクベス「……ふん、いくら王族といえども所詮は子供ですな」

エリーゼ(おねえちゃんを呼び出すって言ってた。早くしないと)


フローラ「正直、カムイ様を送り出したくはないのですが……」

カムイ「いいえ、お父様から直接お声掛けが掛ったのです。従わないわけにはいきませんよ、二人ともここのことはお願いいたします。ふふっ、私がいないから紅茶を用意する準備が減って、フェリシアさんがお皿を割る回数が減りますね」

フェリシア「カムイ様ひどいです~。でも、私も姉さんと同じ意見です。とっても嫌な予感がするんです」

カムイ「フェリシアさん………心配症ですね」ナデナデ

フェリシア「か、カムイ様。な、なんですか」

カムイ「フローラさんもです、二人とも心配症なんですね」ナデナデ

フローラ「カムイ様、お恥ずかしいです」

カムイ「私は幸せ者です、こんなに私のことを気遣ってくれる人がいるんですから。大丈夫です、悪いことなんて起こりませんよ」

フェリシア&フローラ「カムイ様……」

カムイ「大丈夫です、もしも王族としての地位を剥奪されたら、二人とおなじ給仕係に転職しますから。その時は紅茶の入れ方を教えてください」

フローラ「カムイ様、どちらかというと戦闘職のほうがよろしいと思います」

フェリシア「私もそう思います。カムイ様、とっても強いんですから」

カムイ「ふふっ、姉妹揃って同じ意見なんですね。肝に銘じておきます、それでは行ってきますね」

フェリシア&フローラ「はい、行ってらっしゃいませ。カムイ様」

リリス「カムイ様、お城までご案内いたしますね」

カムイ「はい、よろしくお願いします。リリスさん」

リリス「はい、任せてください」

◇◆◇◆◇

カムイ「これで三度目ですね、クラーケンシュタイン城を訪れるのも」

リリス「……」

カムイ「リリスさん、ここまでありがとうございました。ここからは私一人でも大丈夫です」

リリス「……いいえ」

カムイ「どうかしましたか?」

リリス「ちゃんと玉座手前まではお連れいたします。カムイ様はまだここを完全に把握されているわけではないんですから、それに遅れたガロン王様に叱られてしまいます」

カムイ「……そうですね、一人で来るようにとは言われていませんからね」

リリス「はい、ではお手を失礼いたします。しっかり握ってくださいね」

カムイ「こうですか」

リリス「す、少し、痛いです」


リリス「この先を上がれば玉座になります。私はこれ以上行くことができませんので、ここからは……」

カムイ「はい、ここまで案内してくれてありがとうございます」

リリス「私はここでお待ちしておりますので、お気をつけて」

カムイ「玉座に向かうのに気をつけてというのは、なんだか面白いですね。実際そうなんですが」

カムイ「お父―――」

ガロン「ふははははははははははははははっ!」

カムイ「お父様の笑い声……?」

ガロン「誰だ、そこにいるのは?」

カムイ「失礼いたします、ただいま到着しました、お父様」

ガロン「カムイか、よし……入れ」

カムイ「はい、失礼いたします」

カムイ(……誰もいない? おかしいですね、誰かと話していたような気がするのですが)

ガロン「よく来た、カムイ」

ガロン「まずは先の戦闘、見事であった。お前の戦いの資質は十分にあると認めざるを得ない。さすがはわが子だ」

カムイ「ありがとうございます、お父様」

ガロン「うむ、してカムイ。お前に新たな任務を与えたい」

カムイ「はい、どのような任務でしょうか?」

ガロン「なに、それほど難しいことではない。お前には偵察任務を行ってもらう。わが国境沿い、今は白夜領となっている場所に、今は廃墟となっている無人の城砦がある。そこに向かい、付近の状況を調べてくるのだ。先に言っておく、戦いは不要だ、ただの偵察でよい――」

カムイ「お父様、私には目がありません。どうやって偵察など」

ガロン「ふん、話は最後まで聞くものだ。これはお前が部下を正しく使えるかを見極めるためのものでもある。部下はお前の目となり脚となる者たちだ。まず、信頼できる従者を一人連れて行くがよい。しかし、それだけでは足りぬだろうから、わしが選んだ部下を一人授けることにする。部下を使って任務を遂行しろ」

カムイ「……わかりました、お父様」

ガロン「うむ、では城門で待つがよい。最高の人材を用意してやろう」

カムイ「リリスさん、本当によろしいんですか? これから向かう場所は敵の領地、戦闘になる可能性は高いんですよ」

リリス「はい、構いません。それに今動けるのは私しかいません。今から城塞に戻るのも難しいようですから。大丈夫です、私にも魔法の心得はあります、それにカムイ様のお役に立ちたいんです」

カムイ「……」

リリス「カムイ様」

カムイ「できれば、城塞で私の帰りを待っていてほしいのですが。でも、見知った方がいてくれるのはとても心強いです」

リリス「では……」

カムイ「ええ、リリスさん。よろしくお願いします。しかし、まだお父様は現れないのでしょうか?」

エリーゼ「あっ、いたいた! カムイおねえちゃん!」

カムイ「エリーゼさん? どうしたんですか」

エリーゼ「どうしたんじゃないよ、お父様に呼ばれたって聞いたから、みんなで来てあげたのに!」

カムイ「みんな?」

レオン「そうだよ。まったく、外に出られるようになったからって勝手に話を進めないでほしいな。僕たちにも一言声をかけてよ、家族なんだから」

カミラ「レオンの言う通りよ。私たちは家族なんだからちゃんと話してほしいわ」

カムイ「レオンさん、カミラ姉さん。すみません、紺ドアからはちゃんと報告しますね」

紺ドア→×

今度から→○

マークス「報告という固い言葉を使うようになったのだな、カムイ。だが、私たちは家族の間柄だ。もう少し砕けた言葉にしてもいいのだぞ」

カムイ「マークス兄さん。そうですね、ちょっと背伸びをしたくなってしまったのかもしれません、今度からはちゃんとみんなに伝えますね」

マークス「うむ、しかし白夜領にある無人となった城砦への偵察か……」

リリス「はい、私がお供させていただきます」

カミラ「リリスとカムイだけでなんて、不安すぎるわ。何かあったら対処するのだって、私も一緒に……」

マクベス「それはなりませんぞ、カミラ王女」

カムイ「……あなたは?」

マクベス「こうして話すのは初めてですね。名前は耳にしているかと思いますが、初めましてカムイ王女、私は暗夜国の軍師を任されているマクベスと言います」

カムイ「あなたが軍師のマクベスさんですね、よろしくお願いします。ところで、お顔を触ってもいいでしょうか?」

リリス「か、カムイ様……」

エリーゼ「おねえちゃんって、本当にすごいよね」

レオン「ああ、もう姉さんの行動を見てもだんだん動じなくなってきてる自分が怖く感じるよ」

マークス「しかし、あれがカムイらしさとも言えるな」

マクベス「それをして、私に何か利益があるのですかな?」

カムイ「いいえ、私が個人的にマクベスさんの顔を知りたいだけなんです。他意はありません」

マクベス「ふん、少しだけならよろしいですよ」

カムイ「ありがとうございます。では……」

マクベス「!?!?!?!?!?」

カミラ(マクベスの口元、上がったり下がったりしてるわね。ああ……カムイの奇麗な指がマクベスに触れているなんて、正直最悪な気持ちだわ)

マーカス(なんだろう、ほかの者なら気にしなかったのだが。マクベスの顔に触れているという事実を前に、兄としてとても複雑な心境になる)

カムイ「仮面を付けられているんですね。眉は鋭いのに、唇は……どうしたんですか、小さく震えてますよ。マクベスさん」

マクベス「も、もういいでしょう。離れてください、カムイ王女」

カムイ「はい、ありがとうございます。マクベスさん、結構スベスベしてるんですね」

マクベス「まったく、カムイ王女もおかしな趣味をお持ちのようですね。まあいいです。さて、カミラ王女。先ほどの質問への答えですが、ガロン王様はカムイ王女に対してこれを試練であると仰っておられます。王族であるカムイ王女が与えられたものだけでことを成すことができるのか、それを見定めようとしているのです」

マクベス「これでまだ何かを望まれるというのであれば、王族としてガロン王様がカムイ王女を認めることはないでしょう」

カムイ「私は王族でなくてもいいので、十人くらい兵士がほしいのですが」

マクベス「……あのですね、カムイ王女。私の話を聞いておられましたか?」

カムイ「はい、聞いていました」

マクベス「なら、今の発言の意味わかりますよね?」

カムイ「はい、ただ言ってみただけです。冗談ですよ、マクベスさん」

マクベス「人をからかうのもいい加減に――」

カムイ「眼尻にゴミが付いてますよ」

マクベス「はふん……はっ!」

一同「………」

マクベス「と、とにかく、決められた援助以外は受けられないと理解してください。良いですね、カムイ王女」

カムイ「はい、わかりました。ふふっ、からかってしまってすみませんでした」

マクベス「そう面と向かって言われると非常に腹が立ちますが、もういいでしょう」

ガロン「話は終わったようだな。マクベスよ」

マクベス「ガロン王様、どうぞこちらへ」

ガロン「ああ。待たせたな、カムイよ」

カムイ「はい、お父様」

ガロン「では、約束の人材だ。この男を連れてゆけ」

ガンズ「………」

カムイ「この方は?」

ガロン「この男は、ガンズという。見ての通り怪力に心得のある者だ。お前の任務の手助けとなるだろう。無論、お前の命令次第であるがな」

カムイ「はい、ありがとうございます」
カムイ(しかし、偵察任務に怪力の男を宛がうのですか。どう考えても兵種の選択を間違えているような気がするのですが……、お父様は一体何を考えているのでしょうか? それに――)

マークス「……カムイ」

カムイ「マークス兄さん? どうしましたか?」

マークス「カムイ、あの男、ガンズには気をつけるのだ」

カムイ「……血の香りがしますね、あの方からはとても濃い」

マークス「察しがいいな、奴は元重罪人だ。過去に略奪や虐殺を繰り返してきた男で、本来ならば秩序の元で裁かれなければならなかった男だ。父上の手で兵に取り立てられたが……油断はするんじゃないぞ」

カムイ「そうですか。では、先に釘を打たせてもらいますね」

マークス「?」


カムイ「お父様、今回の偵察任務、私が最高指揮官ということでいいのでしょうか?」

ガロン「そうだ、他の者たちは、皆お前の部下だ」

カムイ「では、命令に反した部下の処遇は『私が下してもよい』そう考えてよろしいですね」

ガロン「そうだ」

カムイ「はい、ありがとうございます」

ガロン「では任務を遂行するがよい、カムイよ」


レオン「姉さんって本当に怖いもの知らずだね。だけど、あの肝の据わり方は見習いたくないよ、胃に穴が開く気がする」

カミラ「そうね。ふつう、お父様にあんなことを聞こうなんて思わないもの。ただ、あの男、ガンズをカムイとリリスでどうにかできるものかしら?」

マークス「普通に考えれば、難しいだろう」

カミラ「やっぱり私……」

エリーゼ「カミラおねえちゃん、大丈夫だよ。何とかなるはずだから!」

カミラ「エリーゼ?」

◇◆◇◆◇
―王都ウィンダム―

ガンズ「……」

リリス「……カムイ様」ボソッ

カムイ「ええ、困りましたね。いくらこちらに権限があっても、ガンズさんの手ほどき無しに城砦へはたどり着けません」

リリス「それに私とカムイ様が頑張っても、あの人を止められるなんて思えません」

カムイ「一度も行ったことのない場所で事を起こされては、私はあまりにも不利ですからね。お父様が私の返答に難色を示さなかったのはこういうことだったんでしょう」

ガンズ「カムイ王女、早くしてください」

カムイ「すみません、目が見えないのでもう少し速度を落とせませんか、リリスさんに手を取ってもらっている形なので」

ガンズ「そうはいきません、決められた期限までに偵察を終えて帰らねばならないのですから」

カムイ(……万事休すですね)

???「失礼します、カムイ王女でよろしいですか?」

ガンズ「誰だてめえは? おれたちはこれから大切な任務がある。邪魔するってんならタダじゃ済まさねえぞ」

カムイ「ガンズ! すみません、私の部下が失礼なことを。私がカムイで間違いありません、あなたは一体?」

???「申し遅れました。俺は王城で騎士をしています。サイラスといいます」

カムイ「サイラス……さん?」

サイラス「はい、この度王族の方から直属の命を受け、あなたの任務に同行する任務を与えられ、ここにやってきました」

ガンズ「馬鹿な、そんなことあるわけ……証拠はあんのか?」

サイラス「こちらが証明証です、カムイ王女は目が見えぬと聞きましたので、印に触れて確かめてください」

カムイ「はい、………!」

サイラス「………」

カムイ(これはエリーゼさんの印……。心配をすでに掛けてしまっていたんですね。帰ったらお礼を言わないといけません」

ガンズ「カムイ王女、これは何かの罠です。信じることは―――」

カムイ「いいえ、これは王族の印で間違いありません。あいにく私は文字が読めませんので、ガンズさん確認してください。確認を終えたらサイラスさんにお返しを」

ガンズ「ちっ、話がちげえじゃねえか」ボソッ

カムイ「では、サイラスさん、よろしくお願いしますね」

サイラス「ああ、よろしく頼む」

カムイ「………」

サイラス「………一つ聞いてもいいか」

カムイ「はい、なんでも答えますよ」









サイラス「カムイ、俺を覚えているか?」

カムイ「お顔に触れてもいいでしょうか?」

サイラス「はい、どうぞ」

カムイ「……昔、私なんかに付き添ってくれた友達がいたんです。目が見えない私のためにいろいろしてくれた、今なら親友という言葉をあげたい人が」

サイラス「……俺にもいるんだ。俺のしたことを捨て身で庇ってくれた友達。今なら親友と呼びたい人が」

◇◆◇◆◇

カムイ『サイラス、サイラス? どこ、どこなの?」

サイラス『カムイ、こっちだ。手を取って、あと足もとに気をつけて。ここを抜けたら外に出られるから』

カムイ『うん、サイラスの手、とっても安心できる』

サイラス『それは俺とカムイが友達だからだ。友がいれば、どこにだって行けるぞ』

カムイ『うん!』

サイラス『ぐっ、くそぉ。カムイごめん、俺友達失格だ。こんな怖い思いさせて、ごめん』

カムイ『ごめんなさい、私のせいなの! 私が頼んだだけ、サイラスは悪くない、悪くないの! だからお願い、許して……目が見えない私のためにしてくれただけなの。お願い、サイラスを殺さないで』

◇◆◇◆◇

サイラス「あの時は、すまない。怖い思いをさせてしまって」

カムイ「私の親友はそんな情けない声なんて出しません。首筋が弱くて、いつも元気で、私の手を引っ張ってくれるそんな人です」

サイラス「そうだな。久しぶりだな、カムイ」

カムイ「ええ、お久しぶりですサイラスさん。任務に同行してくれるんですよね?」

サイラス「ああ、必ず役に立って見せる。心に誓ってな」








ガンズ「………」

 第二章 前篇終わり

現在の支援レベル

 スズカゼ  C
 リンカ   C
 ジョーカー C
 ギュンター C
 サイラス  C
 リリス   C

今日はここまでになります。
 
 サイラスは主人公の幼馴染という設定を持っていますが、それを全く生かせないキャラクターになっていた気がしますが、正直これは主人公が全く覚えていないことが原因なんじゃないかね。
 リリスはジョーカーと交代する形でロッドナイトとして戦闘に加わることで、突然出てくる例のシーンを少しは緩和できたんじゃないかと思ったので入れた感じになります。
 あと、偵察任務に力自慢な兵士を宛がうガロンのセンスには脱帽するしかない 

◇◆◇◆◇
―暗夜王国『無限渓谷入口』―

カムイ「ここが無限渓谷の入り口ですか、往復の時間を考えれば今日中に偵察を終えないといけませんね」

サイラス「ああ、そう考えて変装したわけだな」しがない護衛風

カムイ「はい、流石に、無人という話ですが場所は白夜領ですから、暗夜の格好で行くわけにはいきません」旅商人風

サイラス「そうだな。でも、この剣だけは隠しきれそうにないぞ」

カムイ「そうですね。ガングレリは見える形で布に包んでおきましょう。これで装飾品の一種かと思われるかもしれませんから」

リリス「あの……私はそのままでもよろしいんでしょうか? この恰好で怪しまれたりしませんか?」

サイラス「リリスの恰好はそれで大丈夫だ。白夜の聖職着にするのもありかと思ったけど、暗夜側から白夜の服を来た人間が現れたら、逆に怪しまれる」

カムイ「着付けの際はリリスさんがいて助かりました。着なれた服以外の身につけ方なんて、わからなかったので」

リリス「いいえ、お安いご用です。でも、いきなり皆様の前で服を脱ぐのはやめてください。さすがに女性としてどうかと思いますので」

カムイ「はい、気をつけます……あとはガンズさんだけなんですが……」

ガンズ「変装なんてする必要はない」

カムイ「ですが、もしも白夜兵がいた場合は……」

ガンズ「事前に敵はいないと聞かされているんだ。なら、変装の必要はどこにもない、違うか?」

サイラス(敵がいないのならガンズみたいな男に声が掛るわけない)

カムイ(やはり、何かしらの意図があってお父様はガンズを宛がわれたのでしょう……)

ガンズ「それともなんですか、命令に背いたってことでここで殺しちまうか? 王女さまよぉ?」

サイラス「お前、言わせておけば!」

カムイ「いいえ、いいんです。すみません、ガンズさんのお父様への忠誠心に感心して言葉が出なかったのです。無理な提案をして申し訳ありませんでした」

ガンズ「へっ、面白くねえ王女さまだ」

サイラス「お、おい。いいのか?」

カムイ「はい、変装は私とサイラスさんだけで大丈夫です。それにリリスさんだって変装してませんから、ガンズの言っていることも一理あるでしょう」

リリス「ガンズさんと同じって、なんだか悲しいです」

ガンズ「ああ?」

リリス「す、すみません」

カムイ「大丈夫、何も心配いりません。では無限渓谷に入りますよ」

カムイ(……ガンズさんには悪いですが、仕方がないですね)

◇◆◇◆◇
―無限渓谷の吊り橋し―

リリス「谷底が全く見えませんね。空も真っ暗ですよ」

カムイ「時々雷の音も聞こえてきます。できればここを通らずに任務を達成できれば良かったんですが」

サイラス「カムイ、それは無理な相談だ。ガロン王様の定めた期限を考えると、ここを抜けるしかない」

リリス「難儀ですね」

サイラス「そろそろ吊り橋の終わりですから、白夜領に……あ」

カムイ「ん? サイラスさんどうかしましたか?」

サイラス「すまない、カムイ。久々の再会に浮かれてこの吊り橋の本来の意味を忘れてた。この橋は不可侵の証でもあるんだった」

カムイ「……それは、そもそも使うこと自体が問題になる橋、ということですか?」

サイラス「残念ながら、そういうことになる」

カムイ「………」

ガンズ(へっ、今さら気づいても遅いんだよ。あまちゃん王女さまよ。俺は言われたとおりに暴れるだけさ、まぁここで王女がその命令を出すんなら、喜んでやってやるさ)

カムイ「ふふっ、お父様は意地悪ですね。ここはガンズさんにお願いするしかないようです」

カムイ「ガンズさん、武装の使用を許可します」

ガンズ「!?」

サイラス「カムイ、いったい何を言い出すんだ!」

リリス「カムイ様、それでは国家間の問題になってしまいます。どうしてしまったんですか!?」

ガンズ「おいおい、お前ら指揮官である王女さまが言ってんだ、従わない奴がどうなるかはわかってるんだろうなぁ?」

カムイ「ガンズさんの言っているとおりです。サイラスさん、私を馬に乗せてください」

サイラス「あ、ああ。別にかまわないぞ」

リリス「カムイ様、一体なにを?」

カムイ「では皆さん、一気に吊り橋を渡り切りますよ!」

サイラス「突撃か、ええい、わかったカムイ、振り落とされないようにしろよ」

カムイ「はい、ちゃんと抱きしめてますから大丈夫ですよ」

サイラス「よし……、じゃあ行くぞ!」

リリス「はい!」

カムイ「全員進んでください! 全速力です!」

ガンズ「そうでなくちゃ面白くねぇ……って、お前ら早すぎるぞ!」

サイラス「吊り橋を渡りきった瞬間に戦闘の可能性がある。カムイ、武器を抜くぞ」

カムイ「いえ、その必要はありません」

サイラス「な、何を言ってるんだ。カムイが吊り橋を渡るように命令したんじゃないか」

カムイ「ええ、ですがサイラスさんとリリスさんに武器の使用は許可してません」

サイラス「この先に白夜兵がいたらすぐに戦闘になるんだぞ! 何を悠長にして……」

カムイ「ガンズさんは流石に足が速いわけではないんですね。ちょうどいい距離感になりました」

リリス「……あっ」

サイラス「リリス、どうしたんだ?」

リリス「カムイ様……それはちょっと可哀そうだと思うんです」

カムイ「いえ、適材適所です。ガンズさんはすべての要素を満たしてますから」

◇◆◇◆◇

白夜兵A「……今日も異常はないか。さすがにこの吊り橋を越えてくるものなどいな――。ん、奥から誰かがやってくる!?」

白夜兵B「馬鹿な、ここは不可侵の証の橋だぞ……」

白夜兵A「前方に馬に乗った二人ともう一人、その後ろから一人の計四人です」

白夜兵B「モズ様、何者かがやってきます!」

モズ「暗夜軍か!? この橋は両国不可侵の証、誰であろうと知らないが、引き返すように通告しろ! 引き返さないようであれば。武力で追い返すんだ」

白夜兵B「はっ!」

サイラス「くっ、予想通り白夜軍だ」

カムイ「そうですね。いてくれて助かりました」

サイラス「カムイ、信じていいんだな?」

カムイ「はい、私を信じてください。サイラスさん」

白夜兵B「貴様ら、この場所から即刻立ち去れ! もしも押し通るというのならば武力をもってでも、対処させてもらう!」

ガンズ「へっ、逃げられると思うなよ! 死ね死ね死ねぇっ! 一人残らず殺してやる!」

白夜兵B「それがお前たちの答えというわけだな……全員武器を抜け、迎え撃つ!」

白夜兵たち「ああっ!」チャキン

サイラス「くそっ、ガンズの言葉で向こうはやる気みたいだぞ……」

カムイ「そうですね。では、そろそろ始めますか………」






カムイ「すぅ―――……」






カムイ「助けてください!」

サイラス「!?」

ガンズ「……はぁ?」

リリス「やっぱり……そういうことですよね、カムイ様」

白夜兵B「ど、どういうことだ。お、おい止まれ!」

カムイ「助けてください、あの人に追われているんです!」

ガンズ「な、なにがどうなって……」

白夜兵C「まさか、ここまで逃げてきたというのか?」

カムイ「はい、突然襲われて……すでに数人、私のために……お願いします、どうか助けてください」

サイラス「……………(悟った顔)」

サイラス「すまない、俺の力が及ばないばかりに……大切な人たちを……」

リリス「もう、すぐそばにまで来ています。私たちをお助けください、お礼は致しますから、おねがいします」

白夜兵B「……。しっかり、早くこちらへ。大丈夫、我々に任せて」

カムイ「ありがとうございます」

白夜兵AB「……」チャキ

白夜兵B「同じ国の民を襲うとは、人間の風上にもおけん」

ガンズ「は、話がちげえぞ………!?」

カムイ(ガンズさん、囮御苦労様です。一度吊り橋から撤退して待っていてください)口パク

ガンズ「て、てめぇ!」

白夜兵B「相手は賊一人だ。それも力持たぬ民を襲うような外道下衆、私とBで対処できる。Cはこのお方たちを城砦へお連れし、モズ様に報告だ」

ガンズ「く、くそおおおおおおおおおお」

白夜兵C「わかった、さぁこちらへ。急いでください」

カムイ「助かりました」

サイラス「すまない、恩にきるよ」

サイラス(ガンズ、心中お察しするよ)

リリス(カムイ様って、案外エグイことをしますね……)

ガンズ「こんなところで死んでたまるかってんだ、退かせてもらうぜ」

白夜兵A「逃げた先で吊り橋を落とされると厄介だ。B、追いかけるぞ」

白夜兵B「ああ」

ガンズ「覚えてやがれ!」

◇◆◇◆◇
―放棄された城砦内部―

カムイ「うまくいったようですね」

サイラス「ああ、でもなんて報告するんだ?」

カムイ「ガンズさんは囮役を引き受けてくれただけです。白夜からすれば賊が現れただけのこと。私たちはそれに追われて逃げ込んできた一般市民、国交問題になりえません」

サイラス「カムイ、俺がいない間どんな毎日を送ってたんだ」

リリス「ひたすら訓練ばっかりしてた印象ですね」



白夜兵C「モズ様、報告に参りました。賊は一人、残りの三人はその賊に追われて逃げ来た者たちです」

モズ「賊にだと……いや、もしかしたらその賊の仲間かもしれん。一般人を装い、ここに入り込むために一芝居演じただけの可能性もある」

カムイ(……鋭いですね)

モズ「念のために手荷物を調べるのだ」

白夜兵C「……すまないが」

カムイ「はい、調べていただいて結構です。服を脱いでも構いません。私たちの身の潔白が証明されるなら」

サイラス(エリーゼさまの印書はカムイの服の中だ……。あれを見つけられたら、誤魔化しきれないぞ)

モズ「ふっ、そこまで我々も鬼ではないが、状況によっては調べさせてもらう。C、調べるんだ」

白夜兵C「……失礼します」



白夜兵C「武器はありますが、何の変哲もない剣とロッドが一つずつ、とてもではないですがここを攻撃する装備とは思えません。明らかに護身用の範囲です」

モズ「そうか、あとはその馬につけられたその包みだが……なんだこの剣は」

白夜兵C「とてもじゃないですが切れ味が良いようには見えませんね。もしかしたら賊が狙っていたのはこれかもしれませんね」

モズ「そうか……」

サイラス(あとはボディチェックくらいだが……)

カムイ「あの、私は服を脱いだほうがいいでしょうか?」

モズ「おい、どこを見て話している? 私はこちらだ」

カムイ「そちらでしたか、失礼しました」

サイラス「カムイ、大丈夫か?」

モズ「カムイと言ったか。目を合わせようとせぬのは何故だ?」

カムイ「いえ、これは……」

モズ「目を合わせぬのは都合の悪いことがあるからではないのか?」

カムイ「……本当は見せたくは無いのですが……私の眼はこのような状態でして」

モズ&白夜兵C「……!!!」

カムイ「すみません、気色の悪いものを見せてしまって」

モズ「いや、こちらこそすまなかった。見せたくない傷なのであろう……。疑ったこと、すまなかった。服は脱がなくてもよい、流石に目の見えない相手を脱がすなんてことはできない」

サイラス(カムイはここまで計算してるのか。正直恐ろしいな)

カムイ「いいえ、お気遣いありがとうございます。ここまで必死に逃げてきて、皆さんに助けていただけだことは感謝しきれないくらいです」

モズ「礼などいい。だがあまり長居をさせることもできない、我らとてあの橋をむやみやたらに渡ることはできぬのだ。安全が確認され次第、戻ってもらうことになるが、それでもよいか?」

カムイ「はい、少しばかり休ませていただけただけでも、感謝しきれないほどですから」

モズ「そ、そうか……」

カムイ「?」

モズ「い、いや、私の名を名乗っていないと思ってな。私はモズという」

カムイ「モズさんですね」

白夜兵C「モズさん、何照れてるんですか」

モズ「いや、ここにも女子はいるんだが、こう静かなタイプはいないのでな……。そういうお前は大丈夫なのか?」

白夜兵C「私は女房一筋なんで、心揺らぎませんよ。ええ」

サイラス「目が泳いでるけどな。ところで、ここは? さっき城砦とか言ってたけど」

白夜兵C「作られた経緯は知らないが、ここは吊り橋を監視するのに一番適した場所なんだ。いち早く仲間も呼べるし、なによりこういった時には救護所だったり、一時の避難場所にもなる。他にも小さい砦がいくつかあるのさ」

サイラス「へぇ」

白夜兵C「ところでさ、あんたあの黒髪のお嬢さんとどんな関係なんだい?」

サイラス「大事な幼馴染さ」

白夜兵C「ほんとにそれだけかぁ?」

モズ「おい、あまり困らせるんじゃない。カムイ、水や食料などの援助が必要なら言ってくれていい。さすがに多くは出せないが三人が一日を越せる量は見繕える」

カムイ「はい、ではお言葉に甘えさせていただきます」

モズ「うむ、しばし待たれよ」

カムイ(ここは白夜の前哨地として使われているみたいですね。サイラスさんと白夜兵の会話を聞く限りでは砦の数も多くあるという話ですから、暗夜王国は相当警戒されているということになりますね)

リリス「……」

白夜兵D「ううっ……」

リリス「こちらの方は?」

モズ「うむ、数日前に寝込んでいてな。今日、応援の者と交代の予定になっている。大丈夫だ、必ず良くなる」

リリス「少し見せてもらってもいいですか?」

モズ「? ああ」

リリス「失礼しますね。ロッドを持ってきてくれませんか」

白夜兵C「ああ、これでいいか?」

リリス「はい、ライブ……」ポワン

モズ「いったい何を……顔色が良くなっている?」

リリス「はい、これで少しは楽になれたと思います」

モズ「これが暗夜の魔術か。すまない、疑ってしまった」

リリス「いいえ、私もいきなりに魔法を使ってしまってすみませんでした。大事な仲間なんですよね、心配に思うのは当然です」

モズ「ありがとう……賊はどうなっている?」

白夜兵E「はい、今は中継ぎの橋前にてAとBは様子を伺っています。賊はまだ居座り、橋の向こうからこちらを鬼の形相で睨んでいるそうです」

モズ「なんと執念深い」

カムイ「………」

サイラス「……殺されるかもな、俺達」

カムイ「そうかもしれませんね……」

◇◆◇◆◇
―無限渓谷・暗夜側吊り橋前―

ガンズ「くそっ、くそおもしろくねぇ。あの王女、戻ってきたら……」

カムイ『命令違反は重罪ですからね』

ガンズ「くそ、ガロン王にいっぱい食わされたのは俺のほうなんじゃねえのか?」

ガンズ(できれば撤退したいところだが、ここで帰ったら俺がガロン王に殺される。命令は絶対、けっ、こればっかりはあの王女の言う通りだぜ。だから待ってやるよ、カムイ王女)

ガンズ「けっ、睨みあいは性に合わせねえ。一芝居打たせてもらうぜ」

◇◆◇◆◇
―城砦内部―

白夜兵C「モズ様、報告です。賊は姿を眩ませたそうです。諦めて帰ったのかと」

モズ「そうか、しかし橋の向こうで待ち伏せしているだけかもしれん……。カムイ、お前さえよければ、白夜にて迂回の道を通れるように掛け合ってみるが」

カムイ「いいえ、今賊がいないのならこの機を逃すわけにはいきません。それに皆さんが私たちを匿ってくれたことで、賊も私たちを餌に罠を張られるかもしれないと、思っているかもしれませんから」

モズ「中々に考えるお嬢さんだ。目が見えていたら、違う職に就いていたかもしれないな」

カムイ「そうですね……そうだといいのですが」


モズ「?」

カムイ「いいえ、変なことを言ってしまいました。皆さん、ありがとうございます。サイラスさん、リリスさん。準備はできていますか?」

リリス「はい、大丈夫です」

サイラス「こっちも大丈夫だ」

モズ「よし、中継ぎの橋まで案内を頼んだぞ」

白夜兵C「はい、わかりました。では、ついて来てください」

カムイ「はい」

カムイ(どうやら、戦闘は無く無事に任務を終えられそうですね)

???「そこの者、止まれ」

カムイ「!」

今日はここまでになります。読んでくれた方々、ありがとうございます。

 次回で第二章は終る予定です。
 支援に関してですが、Sとかはあまり考えてません。初回プレイは誰一人として結婚していなかったので。
 安価の構想を少し考えている感じです。

モズ「サイゾウ様」

サイゾウ「賊が現れたと報告があった……そこにいる者たちか? それにしてはえらく寛いでいるように見える」

モズ「いえ、この者たちは賊に追われ逃げ込んできた暗夜の民。武装なども確認しましたが、護身の範囲であり、部下の治療までしてくれた方々です。それにあの女子は……その……」

カムイ「構いませんよ、モズさん」

モズ「目が見えておりません、我々が確認いたしました。そんなものを嗾けるほど、暗夜も馬鹿ではないでしょう」

サイゾウ「ほう、そうか……。名は何という」

カムイ「……カムイ、と言います」

サイゾウ「………そうか、カムイというのか」

カムイ「モズさん、お世話になりました」

モズ「はい、お気を付け―――」

サイゾウ「モズ、その者たちを捕らえよ。逃がしてはならん」

一同「!!!!!!」

カムイ「……」

モズ「な、なぜですか? 民間人を捕らえるなど……」

サイゾウ「民間人であるなら、俺とて盲目の人間を暗夜が送り込んでくるなど考えない」

モズ「……つまり、それを考えない事情があるわけですか……」

白夜兵CD「……」カチャッ チャキッ

カムイ「理由を聞かせていただけますか。サイゾウさん」

サイゾウ「少し前に捕虜となった者が戻ってきた。その者たちから面白い話を聞いた。暗夜に住む世間知らずの変わった王女の話をな」

カムイ「……」

サイゾウ「その王女は盲目でありながら、太刀打ちできぬほどに強く、人の顔をよく触る変わった奴だそうだ」

サイラス「………」

サイゾウ「捕虜の話によると、その王女はカムイと言うそうだ」

リリス「………」

モズ「ま、まさか……」

サイゾウ「盲目であり、名前が同じ。そんな偶然は早々ありえないことだ。そうは思わないか、カムイ?」

カムイ「……二人とも、走って下さい!」

モズ「くっ、まさか本当に!?」

白夜兵C「逃がすか!」

サイラス「あぶない!」

カムイ「サイラスさん、ありがとうございます。すみません、モズさん」

モズ「くっ、これが真実だというのか。我々をたばかったのか!?」

カムイ「ごめんなさい」

サイラス「くっ、カムイどうする、戦うか?」

カムイ「いいえ、私達でどうにかできる数ではありません。このまま暗夜側に撤退しましょう。サイラスさん馬をお返ししますから、先導をお願いしますね」

サイラス「ああ、わかった。前方は任せてくれ」

カムイ「ええ、後続は私がどうにかします」

サイゾウ「逃がすと思っているのか、喰らえっ!」

カムイ「てやぁ!」キキン

モズ「サイゾウ様の攻撃を!?」

サイゾウ「ふん、スズカゼの報告は真実であったということか。尚更逃がすわけにはいかん」

モズ「くっ、しかしこのままでは逃げられてしまう……」

サイゾウ「心配いらん……」

カムイ「! リリスさん、危ない!」

リリス「えっ、カムイ様、きゃっ!」

 グサッ

カムイ「……ぐっ、さすがにもらいましたか……」

???「む、直撃ではないか、私もまだまだということか」

カゲロウ「カゲロウ推参した。サイゾウ、あやつらが賊か?」

サイゾウ「いや、賊ではない。むしろ賊より厄介な連中だ。しかも殺してはいけないと注文が多い」

カゲロウ「ほう、そうか。しかし、私の攻撃で微少だが傷を負わせた。先より動きは鈍いぞ」

リリス「カムイ様、私なんかのために……」

カムイ「だ、大丈夫です。それよりも、早くつり橋へ向かいますよ」

リリス「怪我の手当を!」

カムイ「いえ、そんな余裕はないと思います」

サイラス「ああ、そうみたいだ。カムイ、南の砦からなんか飛んできてる。たぶん白夜の天馬部隊だ。追いつかれたら、流石に逃げきれない」

カムイ「一刻の猶予もありません。リリスさんは私よりも前を走ってください、飛んでくる攻撃は私が全部対処します」

リリス「そんな、怪我をされているのに無茶です。私が盾になりますから、カムイ様はサイラスさんといっしょにいち早く吊り橋を……」

カムイ「駄目です。それにリリスさんじゃ、飛んでくる攻撃を受けたり避けたりなんてできないでしょう? すぐに追いつかれるだけでリリスさんが私を庇った意味がなくなってしまいます」

リリス「さらっと使えないって、言っちゃうんですね。カムイ様」

カムイ「はい、だから私に守られてください。いいえ、守らせてください」

リリス「……はい、お願いします」

白夜兵F「来たか、止まれ止まるんだ!」

サイラス「カムイ、前方に伏兵だ。武器の使用を許可してくれ!」

カムイ「はい全力でやってください! 武器の使用を許可します!」

サイラス「ああ、行かせてもらう!」

白夜兵F「通すわけにはいかない!」

サイラス「止まるわけにはいかない!道を開けろー!!!」ブンッ

白夜兵F「ぐっ、これしきの攻撃受け止める! 今だ左右の道を防げ!」

白夜兵GH「わかった!」

サイラス「くそっ、道をふさがれた!?」

カムイ「リリスさん、サイラスさんの援護に!」

リリス「は、はい! 私だって、できるんです!」

白夜兵H「ぐっ、追撃を落とされた」

サイラス「リリス、ありがとう」

リリス「はい!」

カムイ「右の兵士を叩いて!」

サイラス「ああ!悪く思わないでくれ!」

白夜兵H「ぐ、ぐあああああっ」

白夜兵F「み、道に穴が……!?」

カムイ「よそ見はいけませんよ」

白夜兵F「しまっ――!!!」

カムイ「てやっ!」

 ドゴォ!

白夜兵F「か、かはっ!」

白夜兵G「ひぃ、ひぃいい!」

カムイ「じっとしていれば何もしません。サイラスさん、早く吊り橋を渡りきって暗夜領へ向かってください。リリスさんも早く!」

リリス「カムイ様はどうするんですか!」

カムイ「できる限り敵を引きつけます。大丈夫です、すぐに追いかけますから」

サイラス「……わかった。リリス馬に乗るんだ」

リリス「は、はい。カムイ様、すぐに追いかけて来てくださいね」

カムイ「わかっています。さぁ、早く!」

サイゾウ「くっ、吊り橋に逃げ込まれたか」

カゲロウ「ふむ、しかし王女がしんがりのようだ。捕らえることは出来るやもしれん。あまり気は進まないが」

サイゾウ「……いくぞ」



白夜兵A「ん、来たみたいだな。賊ならどこかに行ったみたいだぞ」

サイラス「ああ、世話になったよ。ありがとう」

白夜兵A「しかし、まだ安心できるというわけでは……んっ? 馬に乗っていたはずのお嬢さんはどこに?」

サイラス「それは……すまない、許してくれ」

白夜兵A「へっ?……ぐあぁ、いきなり何を……する……」ドサッ

サイラス「本当にすまない」

リリス「サイラスさん、ここで待ちましょう。カムイ様がまだ来ていません」

サイラス「待ちたいところだけど、俺はカムイを信じる。正直、ガンズのことが気がかりだ、ここで三人合流してから向かうのはある意味危険だ。先に吊り橋を渡り切ってガンズと合流する」

リリス「………そうですね。わかりました、ガンズさんと合流しておきましょう」

サイラス「ああ、正直渡っている最中に吊り橋を落とされるかもしれないから、ガンズが出てくる前に暗夜領にたどり着こう」

ガンズ「……きやがったな。ちっ、カムイ王女はいねえみたいだ。くそっ、三人並んでればすぐに橋を落としてやるんだが、仕方ねえ」

サイラス「ガンズ囮の任務よくやってくれた。おかげで偵察は完了だ」

ガンズ「けっ、それで王女はどうした? しんじまったか?」

リリス「ガンズさん!」

サイラス「もうすぐ到着する。それまではここで待機だ」

ガンズ(とか言いながら剣を納めてねえし、俺に注意を向けたまま。こいつ、俺のことを信用してねえってことか、甘ちゃんな王女の部下だと思っていたが、けっ、まあいい)

リリス「カムイ様、ご無事で、ご無事でいてください」

ガンズ「いくら祈っても、もすカムイ王女が死んでたら意味ないぜ。そうさ、カムイ王女はもう死んでるか、捕らえられているに決まってる。ここで待っていると俺たちも危険だろ? 追手が来れないようにこの橋を落とせば、丸く収まる」

サイラス「それを決めるのはカムイの役目だ。俺もお前も、今はカムイの部下だ。命令がない以上、それを行うことはありえない」

リリス「あっ、カムイ様! サイラスさん! カムイ様が来ました!」

サイラス「ああ、わかった」

ガンズ(こいつ、カムイが現れたと聞いても眼を俺から逸らさねえ…)

ガンズ「ん!? へっ、別にかまわねえか。こんな状態ならな!」

サイラス「ガンズ何を言って」

リリス「ああ、そんな! サイラスさん、カムイ様が!」

サイラス「なに

カムイ「はぁ……はぁ……」

サイゾウ「なんという女だ。目が見えないという話が戯言にさえ思えてくるほどの動き、驚異的だ」

カムイ「ぐっ………力が……」

白夜兵C「……動くな、手荒い真似はしたくない」

モズ「……カムイ、もう終わりだ」

カムイ「……ここまでのようですね」

サイラス「カムイ! 待っていろ、今すぐ助けに行く!」

リリス「カムイ様、待っていてください」

サイゾウ「ふっ、暗夜の兵たちよ。この女の命、惜しくば武器を捨て投稿しろ。安心しろ、手荒なまねはしない」

サイラス「………わかった。指示に従う、従うからカムイに手を出すな! リリス、ガンズ武器を」

リリス「は、はい」

ガンズ「……」

サイラス「ガンズ、武器を捨てろ! カムイの命が掛っているんだぞ」

ガンズ「武器を捨てろ? そんな命令には従えねえな。俺は指揮官の命令にしか従わないんでね」

カムイ「ガンズさん!」

ガンズ「……なんですか、カムイ王女?」

サイゾウ(ふっ、命が危なくなれば仕方のないことだな。これで任務は――)

カムイ「命令です」

ガンズ(けっ、今さらどんな命令だろうと従う気はねえけどよ)

カムイ「吊り橋を………吊り橋を落としてください」

ガンズ「……了解!」

サイラス「か、カムイ一体何を言って! ガンズやめろ!」

ガンズ「指揮官の命令は絶対、そうでしたねカムイ王女」

カムイ「ええ、その通りです。ガンズさん、お手数を掛けます」

ガンズ「いえいえ、では、命令通り落とさせてもらうぜ!」ブンッ

 ブチィ、ブチブチ、ガラガラガラ……

サイラス「そ、そんな……カムイ! こんなのは間違っている!」

カムイ「皆さんは、急いでウィンダムに帰還してください。サイラスさん、ここまでありがとうございます。命令もないのに私に従ってくれたこと、感謝しています」

サイラス「何を言っているんだ。俺はエリーゼ様から……」

カムイ「命令なんて、無かったんですよ」ビリッビリビリッ

サイラス(あれは、エリーゼ様の印書……、なんで、何でこんなことまでするん)

カムイ「ガンズさん、お父様への報告をお願いします。配置などを記した紙をサイラスさんから受け取ってください」

ガンズ「ちゃんと遂行してやるよ。おい、お前らさっさとここから逃げるぞ!」

リリス「カムイ様! 待ってください! 私たちを置いていかないでください!」

サイゾウ「弓を奴らに向けて放て、威嚇でいい。どうせ何かできるわけでもない」

白夜兵C「はっ! 一斉射準備!」

サイラス「くっ、リリスこっちへ!」

リリス「嫌です、私はカムイ様をお守りするためにここまで来たんです! こんな、こんなことって!」

白夜弓兵たち「……準備できました」

白夜兵C「放て!」

 タタタタタタタンッ

サイラス「くっ、リリス、すまない!」ガシッ

リリス「いや、いやああああああ! カムイ様!」



サイゾウ「気配が消えた、さすがに逃げたようだぞ」

カムイ(皆さんはどうにか逃げられたみたいですね……。でも私が助かることはもうないでしょう」

モズ「……」

白夜兵たち「……」

サイゾウ「抵抗に意味はない。おとなしく投降しろ、手荒な真似はしない」

カムイ「投稿ですか、投降した先にいったい何があるのか? 正直考えるのも面倒です)

モズ「カムイ、武器を下せ。闘いは終わった。お前にもう勝てる状態ではない」

カムイ「……そうですね」

モズ「そうだ。それに、お前は私の部下の手当をしてくれた。お前じゃなくとも、お前の部下がしてくれたことは変わらない。現にお前は私の部下を一人として殺していない」


カムイ「私が甘いだけですよ。その結果がこんなものですから、兄さんたちが聞いたら笑うかもしれませんね」

カゲロウ(サイゾウ……)

サイゾウ(カゲロウか……)

カゲロウ(単刀直入に言う。まずい状況だ)

サイゾウ(ああ……俺も同じことを考えていた。カゲロウ、これを持て)

カゲロウ(眩暈針……理解した)

サイゾウ(勝機は一度きりしかないはずだ。気を抜くなよ)

カゲロウ(御意……)

カムイ(あの二人、私の狙いに気が付いているみたいですね。くっ、体の痛みが強くなって動きが鈍くなっています。早めにケリをつけないといけませんね。チャンスは一度だけ……)

カムイ「そうですね、このまま抵抗しても何の意味もないでしょう」

モズ「では……」



サイゾウ「………」



カゲロウ「………」


カムイ「でも、死ぬことはできます」ザッ

サイゾウ「させん!」ヒュッ!
カゲロウ「させぬ!」ヒュッ!


 キィン……カキィン


カムイ「……残念でしたね」

カゲロウ(読まれていたということか。くそ、間に合え!)

カムイ(二人の再攻撃よりも、私のほうが早い)

モズ「ま、まて、早まるな!」

カムイ(これで、楽になれる……)

サイゾウ「ま、待て!」

カムイ「待ちません。これで終われるんですから」

カムイ(首を切れば、生半可な回復では間に合わないくらいに切りつければ………)


カムイ「!?」

カムイ(な、なぜ、手が動かかないんですか!? もう、首筋までわずかなのに。腕が? ちがう、これはガングレリが動きを止めている?)

カゲロウ(死の瞬間で怖気ずいたのか? いや、ちがう。しかし、この機を逃すつもりはない)

カムイ(早くっ………!早く動い………)

 ザシュッ……ザシュッ……カラン……

カムイ「う、うぁ。そ、そんな、なんで………なんで、なんですか……」ドサッ

カムイ(意識が……溶け落ち……る)

カムイ(………)

◇◆◇◆◇
―無限渓谷・放棄された城砦内部―

カムイ「すぅ………すぅ………」

サイゾウ「カゲロウ、よくやってくれた」

カゲロウ「ああ、私もよく間に合ったものだと驚いている。この方はどうする?」

サイゾウ「渓谷の下にある村に着くまでの間、カゲロウに運んでもらいたい。女は女に任せるのが一番問題がない」

カゲロウ「ふっ、わかった」

サイゾウ「モズ、ここら一体の監視を強化しろ。暗夜側に目を光らせておけ」

モズ「はい……カムイはこれからどうなるのですか?」

サイゾウ「わかっている。俺たちとて辱めを受けさせるために捕らえたのではない。また、情報を得るためでもない」

モズ「?」

サイゾウ「これは上からの命令だ。今はそれしか言えん」

モズ「そうでしたか。では、我々は監視を続けます」

サイゾウ「ああ、しっかり頼むぞ」

カムイ「う……うぅ……」

カゲロウ「すまない。こちらも任務故な」

カゲロウ(とても軽い。私よりも軽いくらいか。この体があのような動きをしていたなど、にわかに信じられぬ。そんな者があの土壇場で死の間際で止まるものだろうか?)

サイゾウ「カゲロウ、村へと向かうぞ」

カゲロウ「……御意」

◇◆◇◆◇
―暗夜王国・無限渓谷入口―

ガンズ「俺は王女の命令通りウィンダムに戻る。ガロン王へ報告する命令を受けているからな」

サイラス「そうか、ならここでお別れだ」

ガンズ「なに?」

サイラス「俺には何の任務もない、自由に行動させてもらう。俺はただ個人的に手伝っていただけだからな」

ガンズ「そうかい、勝手にしな。リリス、お前は命令通りにするんだろうな?」

リリス「いいえ、私はカムイ様の従者です。カムイ様の無事を確かめるまでは、ウィンダムに戻るわけにはいきません」

ガンズ「けっ、好きにしな。俺にはカムイ王女に与えられた仕事がある。せいぜい、くたばらないように気をつけるんだな」タタタタタタタッ

サイラス「リリス、本当にこれでよかったのか?」

リリス「はい。ガンズさんとウィンダムまで二人きりなんて、恐ろしすぎます」

サイラス「それは言えてるな。男の俺でもそんなシチュエーションはごめんだからな」

リリス「でも、どうしますか? カムイ様は……もしかしたらすでに」

サイラス「正直、カムイは自害している可能背もあるけど。それを白夜の人間たちが許さないはずだ」

リリス「……取引の材料としてですよね」

サイラス「ああ、普通に考えればそうだ。ただ、ガロン王様がカムイのことで何か代償を差し出すとは思えない。だから俺達で探しに行くしかない」

リリス「はい、お供させていただきます」

サイラス「よし、渓谷を迂回して白夜領に向かう!」

リリス(カムイ様、無事でいてください……)

第二章 おわり

現在の支援レベル

 スズカゼ  C
 リンカ   C
 ジョーカー C
 ギュンター C
 サイラス  C→C+
 リリス   C→C+

 今日はここまでになります。読んでくれた方ありがとうございます。

 この話は第三章が『敵をすべて倒すことが勝利条件ではない』タイプの面に関するチュートリアルだったらよかったなという意味合い話になります。 チュートリアルの無限渓谷も確かに敵全滅が勝利条件ではないのですが「敵を全滅できる」仕様だったので、あえてギュンターやジョーカーを抜いてソシアルのサイラス、ロッドナイトのリリスという形にしてあります。内容も城砦の制圧ではなく、吊り橋への到達と考えれば、この編成で勝利条件をクリアする面が作れるかもみたいなものです。
 安価はストーリーの分岐を考えています。この話は暗夜であることは決まっているので、暗夜に入ってからいろいろ安価で選択肢を出していこうかと考えています。

 
 

―白夜王国・平原の村―

カムイ「……んっ、ううっ、頭がグラグラする」

カムイ「たしか私は……無限渓谷で…」

カムイ(腕の傷……そうでしたね。私は白夜軍に……)ハァ……

???「ああ、こちらは問題ない。彼女もまだ眠っている、少し時間を置いてからでもいいと思うが……、わかった」

カムイ(壁を隔てて、誰かの声が聞こえる。この声は女性、あの時に耳にした声ですね)

???「ん、目覚めたようだな」

カムイ「えっと、あなたは?」

カゲロウ「申し遅れた。私はカゲロウ、白夜王国に仕える忍だ。とりあえず、これを」

カムイ「これは……?」

カゲロウ「ただの水だ、毒など入ってはいない、安心しろ」

カムイ「……んくっ、んくっ。ありがとうございます」

カゲロウ「起きて早々だが、無限渓谷でお前の身柄を拘束させてもらった。ここまでは私が運んだ、変な真似はしていない、安心しろ」

カムイ「そうですか……、私はこれから処刑されるのですか、それとも暗夜王国との交渉の材料に使われるのでしょうか?」

カゲロウ「ふっ、現実的に物事を見るようだが、それは無用な心配だ」

カムイ「どういうことですか?」

カゲロウ「お前に会わせたい御方がいる。まずはその方と話し合ってから考えても遅くないだろう。目的地着くまでの間、私が世話をすることになっているから、何かあるなら申してほしい」

カムイ「そうですか……あの、カゲロウさん」

カゲロウ「何用か?」

カムイ「お顔を触ってもよろしいでしょうか?」

カゲロウ「……本当に報告のあった通り、おかしな御方のようだ。別に構わない」

カムイ「ありがとうございます。髪は右側が長いんですね、整った顔立ちですね」

カゲロウ「あ、ああ」

カムイ「唇は少し硬いんですね。でも言葉遣いと合ってるかもしれません。カゲロウさんからは、憮然としたイメージがあります」

カゲロウ「そうでもないが……ただ任務に忠実であるが故、そう思われているかもしれない」

カムイ「すみません、私はこれでしか人を知れませんから……」

カゲロウ「……優しい手つきだな」

カゲロウ(それに、どこか気持ちがいい)

サイゾウ「失礼するぞ、カゲロウ―――そういう趣味だったのか?」

カゲロウ「サ、サイゾウ! いや、そういう趣味はない。私はいたって普通、この方に顔を触らせていただけだ」

カムイ「はい、そうですよ。ありがとうございました、カゲロウさん。そちらの方はサイゾウさんですか?」

サイゾウ「サイゾウだ。先に言っておく、顔は触らせん。お前を信用しているわけではないからな」

カムイ「………」

カゲロウ「すまない、サイゾウはこういった者でな」

カムイ「いえ、仕方ないことですから。それよりもカゲロウさん」

カゲロウ「なんだ?」

カムイ「カゲロウさんなら、私の姉さんといい勝負ができそうだなと思いました」

カゲロウ「?」

カムイ「これのことです」ガシッ モミ

カゲロウ「な、なにを/////」

サイゾウ「!!!!!!」

カムイ「柔らかいですね。それに重たいです」モミモミ タユンタユン

カゲロウ「……サイゾウ、私はこの者が全くわからぬ。非常識というか、無邪気というか、対応に困っている///」

サイゾウ「俺も全くわからん。わからんが、障られているお前を見ていると、少しばかり複雑な気持ちになってしまう」

カゲロウ「ふっ、私が誰かに触られていることが、気になるのか?」

サイゾウ「……そ、そんなことは」

カゲロウ「今でも気にかけてもらえるというのは、嬉しいことではあるがな」

カムイ「カゲロウさんくらいにならないと、姉さんには敵わないでしょうね」モミモミ

カゲロウ「……とりあえず、そろそろ止めてはくれないだろうか……///」

みじかいですが、今日はここまでです

◇◆◇◆◇
―白夜王国・王城『シラサギ』王の間への道―

カムイ(初めて感じる気配ばかりですね。物の形のほとんどが違う、これが文化の違いでしょうか? それにしてもこの雰囲気、どこか穏やかな気持ちになります)

カゲロウ(王城に入ってから手を取っていないにもかかわらず、段差などに足を掛ける気配もない。これほどまでに気配を察しているとは、一体どのような修行をこなされたのか……)

サイゾウ(カゲロウ、手を取らずに平気か? あやつが何かする可能性も)

カゲロウ(サイゾウ、あの方がその気なら、私たちは道中で殺されていただろう)

サイゾウ(……奴の武器はこちらにあったというのにか?)

カゲロウ(誰かを殺めるのに武器など必要ないことくらいわかっていることだろう?)

サイゾウ(……)

カゲロウ(それにあの方に自由に歩いてもらうことも、緊張をほぐしてもらうための一つの手。サイゾウの心配はわかるが、私はあの方が何かをするとは思っていない)

サイゾウ(そうか、お前が判断したことだ。今は従おう……)

カゲロウ「こちらが王の間へと続く道だ」

カムイ「はい……あれ、この気配……」

???「……」

カムイ「そこの柱に陰にいる人、スズカゼさんじゃないですか?」

???「………よくわかりましたね」

 スタッ

スズカゼ「まさか見破られるとは思いませんでした。忍としては大変な落ち度と言えます」

カムイ「ふふっ、どこかで感じたことのある気がありましたので、お久しぶりですスズカゼさん。無事に白夜に戻られたんですね」

スズカゼ「はい、おかげさまで。その説は感謝してもしきれないことです。兄さん、カムイ王女様の護衛、ありがとうございます」

サイゾウ「一番苦労したのはカゲロウのほうだ。報告の通り、顔を触られた揚句……」

カゲロウ「サイゾウ、それ以上言えばどうなるか、承知で言うのであれば、覚悟はできていると理解してよいな?」

サイゾウ「……色々あった。とにかく、話に聞いた通りおかしな娘だった」

スズカゼ「カゲロウさんが兄さんの発言を制すほどのことですか、やはりカムイ王女様怖いもの知らずなのですね」

カムイ「あの、私は王女でも暗夜王国の王女、無理に呼ばなくても大丈夫です」

スズカゼ「いいえ、あなたを王女と呼ぶことに何ら問題はないんです」

カムイ「どういう……」

サイゾウ「しかしスズカゼ、お前がここにいるのはなぜだ? 何か問題が起きたということか?」

スズカゼ「特にこれといった問題はありません、カムイ王女様のことで呼ばれ参上した次第です。一度、本人であるかの確認を、私としてはカムイ王女様のお顔を拝見したかったというのが本当のところです」

カムイ「そうなんですか、うれしいです。耳を触ってもいいですか?」

スズカゼ「そ、それは、またの機会にお願いします」

カムイ「そうですか、残念です」

スズカゼ「それと、もう一人、あなたがカムイ王女様であるかの確認のために来ております」

カムイ「ふふっ、誰かは予想がつきます。でも、またお会いできるのはうれしいことですね」

スズカゼ「はい、ではこの先でお待ちですので……」

リンカ「やっと来たのか、待ちくたびれたぞ」

カムイ「やっぱり、リンカさんでしたか」

リンカ「ああ、久しぶりだなカムイ」

カムイ「私のこと、名前で呼んでくれるんですね。ということは友達になってくれる、ということでいいんですね?」

リンカ「ち、ちがう。言っただろ、あたしは『さん』や『様』を付けて呼ぶのはガラじゃない。ただそれだけだ」

カムイ「やっぱり、そうなんですか。残念です」

リンカ「そ、そんな顔するな。あ、あたしがわるかっ―――」

カムイ「あ、顎先に虫がいますよ?」

リンカ「ひゃんっ! ば、ばか! 皆の前触るやつがあるか!」

カムイ「二人きりならいいんですか? 私は一向に構いませんよ」

リンカ「そういう意味じゃない!」

スズカゼ「………」

リンカ「なんだその眼は!」

スズカゼ「いいえ、リンカさんがカムイ王女様との再会を楽しみにしていたことがひしひしと伝わってきまして、感動していた次第です」

リンカ「こ、これのどこが楽しんでいるんだ!」

カゲロウ「うむ、楽しいそうで何よりだ。炎の部族にもこういった一面もあるのだな」

サイゾウ「もういいだろう、その様子では間違いはないだろう」

スズカゼ「ええ、リンカさんの狼狽ぶりがその証明となります。リンカさん、もう少し素直になるのもいいと思いますよ」

リンカ「な、何をばかなことを言っているんだ////」

カムイ「スズカゼさん。リンカさんは素直じゃないところがいいんですよ? 顔を真っ赤にしながら否定してる姿はとても可愛いと思いますから」

リンカ「かわ、かわいいって侮辱してるのか! おまえ、あたしの顔見えないはずだろ!」

カムイ「それなりに触った人の顔なら想像できますから。かわいいというのは本心です、リンカさん、とってもかわいいですよ」

リンカ「……くっ、勝手にしろ!///」

サイゾウ「もういいだろう、王の間へ入るぞ」

―王の間―

???「待っていたぞサイゾウ、カゲロウ。わざわざ呼び出してすまなかったな、スズカゼ。そしてリンカよ」

カゲロウ「カゲロウ、任務完了した」

サイゾウ「こちらがカムイです。スズカゼ、リンカからの確認は終わっています」

???「そうか……では、カムイで間違いないのだな」

カムイ「……あの方は?」

リンカ「白夜王国の第一王子、リョウマだ。こうして目の前で見るのはあたしも初めてだ」

カムイ「リョウマさんですか」

カムイ(白夜王国の第一王子とあろう人が、私にいったい何の用なんでしょう?)

リョウマ「君が、カムイで間違いないか?」

カムイ「はい、私はカムイです。……と言っても、ここで話すことは意味のないことなのでしょう?」

リョウマ「……」

カムイ「後々、処刑されるのでしょうか? それとも暗夜との交渉材料として束縛されるのでしょうか? 早く答えを聞かせてもらいたいのですが」

リョウマ「……なぜ、そう考える?」

カムイ「私は白夜に不法侵入をしました。しかも形だけにせよ王族、使い方は如何様にもあります」

リョウマ「ふっ、安心しろカムイ。お前に罪が与えられることはない。吊り橋の監視を行っていたモズたちからの報告は受けている。一人も殺めることなく、自身の従者は暗夜へと逃がしたお前は素晴らしい人間だ。普通、命を狙われれば我が身可愛さに人を殺め、従者を見捨てる者ばかりだろう。その中で、お前は自身ではなく他の命を選んだ。できることではない」

カムイ「……それは、私が甘いだけです……」

リョウマ「……戦いでの自分の在り方に不安を覚えているということか?」

カムイ「………」

リョウマ「……大丈夫だ。そんなことを気にすることも無い、そんな日々をお前は手に入れることができる。たとえ、光を失おうとも、お前にはそれを得る資格がある。俺がそれを保守しよう」

カムイ「……なぜ、そう言い切れるんですか?」

リョウマ「そうだな、そろそろ来てくださるはずだ……」

???「……カムイ?」

カムイ「……?」

???「カムイ……なのですね……」

カムイ「……はい、私はカムイです」

???「やっと、やっと戻ってきてくれたのですね。私の、愛しい私の子」ギュッ

カムイ「……あの、いきなりのことで、意味がわからないんですが」

???「カムイ、帰ってきてくれた。よく無事で……良かった」

カムイ「すみません、ちょっと落ち着いてください。いきなりのことで状況がつかめません、説明してほしいんです」


ミコト「ごめんなさい、私はミコト、この白夜王国を治める者。夢に思っていたことが叶って、少し取り乱してしまって……」

カムイ(ミコトさんですか、お父様とは対極に位置する人のような気がします。この人からは血の匂いが全くしない、思考やあり方がお父様とは全く異なっているみたいに)

ミコト「カムイ、あなたの質問に答えます。でも、今から話すことはとても信じられない話かもしれません、あなたにとっては荒唐無稽な話だと思います。それでも、私の話を聞いてくれますか?」

カムイ「…………、話を聞く前にひとつよろしいですか?」

ミコト「……何でも言ってください」

カムイ「ミコトさん、あなたのお顔に触れてもいいですか?」

ミコト「………報告にありました。目が見えないのですね、カムイ」

カムイ「はい。証拠に私の瞼の下にあるものを、見ていただいてもよろしいですか……」

ミコト「ええ、私に見せてください」

カムイ「気色の悪いものだとは百も承知です。これを……」

サイゾウ「!!!!!」

カゲロウ「!!!!!」

リョウマ「…………」

ミコト「………」

ミコト「…s何点正直、嘘であってほしいと思っていました。この日を私は待っていたからこそ、あなたに私の姿を見てほしかったから」

カムイ「はい、ですから私は、あなたがどのような顔をしているのかもわかりません。話を聞く前に、一度そのお顔に触れてもいいでしょうか……」

ミコト「……ええ、触れてください。あなたが私の顔を覚えてくれるなら」

カムイ「はい、失礼しますね。柔らかいんですね、そして暖かい、リンカさんみたいな温かさじゃなくて、もっとなんだか柔らかい温かさです」

ミコト「……ええ、ありがとう」

カムイ「髪もサラサラです。髪の色は何色なんですか」

ミコト「カムイとおなじ黒よ」

カムイ「……ミコトさん」

ミコト「ううっ……な、なんでもないの」

カムイ「泣いているんですか?」

ミコト「……ご、ごめんなさい。嬉しいのはずなのに、なんで、こうも悲しい気持ちになるんでしょう。私の子が、カムイが帰ってきてくれたはずなのに……」

リョウマ「カムイ、もういいだろうか」

カムイ「はい、ありがとうございます。ミコトさん」

ミコト「ええ、こちらこそ……」

…s何点正直→×

……正直→○

ひどい誤字ですみません

ミコト「ではカムイ、話をしてもいいですか?」

カムイ「はい、お願いします」

ミコト「カムイ、あなたは――」

◇◆◇◆◇
―白夜王国・シラサギ敷地内―

カムイ「………」

カゲロウ「………」

カムイ「………」

カゲロウ「カムイ様。そろそろ部屋へお戻りになりましょう」

カムイ「カゲロウさん、すみませんが一人にしていただいてもいいでしょうか?」

カゲロウ「それは……」

カムイ「おねがいします」

カゲロウ「……承知した」シュッ

カムイ「………本当の家族……ですか」

ミコト『あなたは私の子どもです』

リョウマ『シュヴァリエ公国を訪問していた父を、ガロンは騙し打ちで殺しお前を攫った』

ミコト『いきなりすべてを信じることはできないと思います。だから、少しずつでもいいんです。私と過ごした日々を思い出してくれたら、私はとてもうれしいのですから』

リョウマ『数日すれば、遠征しているヒノカとサクラ……、カムイにとっては姉と妹にあたる者が帰ってくる。城内には弟もいるが、あいつは少し気難しい性格でな。顔合わせはヒノカたちと一緒になるはずだ。それまでは自由にしてくれ、ここはお前の家なのだからな」

カムイ「こんな私を、迎え入れる必要なんてないのに―――」

 ――――タンッ!

カムイ「この音は……」

 ――――タンッ!

カムイ「矢の音でしょうか?」

今日はここまでです。誤字脱字があって、申し訳ないです

 

???「―――くそ……、一本だけずれる。当たってはいるけど、これじゃだめだ。これじゃ……」

 ガサガサ

???「!」

 ガサガサ

???「誰だ! 出てきて姿を見せなよ!」

カムイ「声を出してもらって助かります。そちらですね、ちょっと待っててください。ふぅ、矢の音だけを頼りに藪を抜けるのは一苦労です。声を出してもらえなかったら、迷子になっていました。やっぱり感覚だけで把握するのには限度というものがありますね」

???「あんたは……」

カムイ「あなたの気配は知りませんから初対面ですね。初めまして、私はカムイと言います」

???「カムイ……。そうか、リョウマ兄さんに聞いて挨拶にでも来たんだ? でも必要ないよ、僕はあんたのこと信用しているわけじゃないから」

カムイ「別に挨拶をするために来たわけじゃないので構いません。矢を射る音が聞こえたので伺っただけですので」

???「……、じゃあ邪魔しないでくれないかな。集中できなくなる」

カムイ「はい」

???「………」

カムイ「………」

???「あのさ、邪魔しないでって言ってるよね?」

カムイ「邪魔はしませんよ」

???「なんでいるのさ。集中できないからどこか行ってくれない?」

カムイ「人がいると集中できないんですか?」

???(なんだよそれ、僕が未熟だって言いたいのか?)

???「……そんなことは、ないよ」

カムイ「なら私はいても構いませんね。音だけを聞かせていもらえればいいので、どうぞ続けてください」

???「……くそ、馬鹿にして。今に見てろよ……」

 タンッ! タンッ! タンッ!

カムイ「………」

???「よし、うまくいった。もう一度………うん、この感じか」

カムイ「……あの」

???「なんだよ、聞いてるだけじゃなかったの?」

カムイ「的は動かないんですか? 先ほどからずっと同じ場所に当たっているようなので」

???「実戦の訓練をしてると思ってるみたいだけど、これは実戦のための訓練じゃない」

カムイ「これは実戦の訓練じゃないんですか?」

???「今僕がやっているのは弓道だ、実戦とは違う。弓道は攻撃てなものじゃない、心を落ち着かせてやる技術の競い合いだ。実戦なら相手にあたるようにすればいい、当てるだけで相手に傷を与えられるからね」

カムイ「そうなんですか。暗夜にはあまりそういうものはないので、あなたがやっているものはなんだか新鮮に感じます。殺めるための技術ではないというのは、なんだか面白いものですね」

???「……タクミ」

カムイ「?」

タクミ「僕の名前、先に名乗ってもらったのに、名乗らないのは失礼だろ?」

カムイ「ふふっ、先ほどまで必要ないって言っていたじゃないですか。おかしな人ですね、でもいいんですか? 私は暗夜の王女ですよ?」

タクミ「あんた、やっぱり暗夜の人間なんだな。僕の臣下にもあんたの人間を怨んでいる者がいる。名前を教えたからって、信頼されているなんて思わないことだね。僕はお前を信用してない、それだけは伝えておく」

カムイ「それが普通の反応です、なんだか安心しました」

タクミ「な、なにがだ。僕をからかってるんだろ」

カムイ「いいえ、タクミさんはわかっているみたいで、それがとても安心できるんです。私は暗夜の人間、生まれは関係ありません。暗夜で育ち、暗夜に養われてきた私をいきなり同胞として迎えろと言われたらどう思います」

タクミ「正直、気色が悪いし、距離を置くよ」

カムイ「はい、私もそう思います。だから、タクミさんのように警戒するのは当然のこと、だから気にしないでいいですよ」

タクミ「……なんか全部受け止められると、僕が情けなくなる。それになんだか、うまくあしらわれてるみたいで正直面白くない」

カムイ「ふふっ、暗夜にタクミさんに似ている弟がいるから、どうもお姉さんになりたくなってしまうのかもしれません。そうやって、少し不機嫌になるところとか、とても似てます」

タクミ「僕は、あんたのことを姉だなんて思ってない」

カムイ「はい、それでいいんです。むしろ、そうあるべきなんですから……」

タクミ「それはどういう……」

カムイ「さぁ、練習を続けてください。私に矢を射る音をたくさん聞かせて欲しいんです」

タクミ「あんたのために練習してるわけじゃない……。だけど、静かにしてるなら別に聞いてて構わな――」

???「やっと見つけた、タクミ様!」

タクミ「んっ、どうしたんだヒナタ?」

ヒナタ「あれ、こっちのは?」

タクミ「暗夜の王女だ、話は聞いていると思うけど」

ヒナタ「ああ、捕虜になったっていう? すごく寛いでるじゃん。なんか、すでにここに住んでるって言われても違和感無いぜ」

タクミ「恐ろしいことを言わないでくれ、それで何かあったの?」

ヒナタ「はい、北と西の地域でノスフェラトゥの大群が確認されたらしいです。このまま放っておくと近隣の村に被害があるかもしれないって」

タクミ「……わかった。ヒナタ、すぐに出るよ。オボロは?」

ヒナタ「オボロはテンジン砦に用事があったらしくて、現場で待機してるみたいです。あとは、俺たちがテンジン砦に着くだけですよ」

タクミ「よし、なら早く向かわないと。僕はこれから出るから、弓道はお仕舞いだよ。それじゃ……」

 ガシッ

タクミ「なんだよ、僕はこれから――」

カムイ「私も連れて行ってもらえませんか?」

ヒナタ「ついてくるって、ついて来ても何もないぜ。ただのノスフェラトゥ狩りだからな」

タクミ「………なるほどね、暗夜と聞いたから合流して逃げようってことか。残念だけどノスフェラトゥにそんなものを期待するのは間違いだ。あれは心を持たない獣だからね」

カムイ「心を持たない獣……ですか?」

タクミ「そうだ。だから、あんたの望むような展開にはならないよ。もっとも、望んでノスフェラトゥに歩み寄るなら、止める気もないけどね」

カムイ「そうですね。止めてくれなくてもいいです、ですから私を連れて行ってもらえますか?」

タクミ「……本当に人の忠告を煽りで返す人だねあんたは……、わかった、同伴を許可するよ」

カゲロウ「タクミ様、それはいくらなんでも、何かあったらリョウマ様になんと報告するのですか」

カムイ「暗夜の王女はカゲロウさんとタクミさんの制止を振り切り、ノスフェラトゥを友軍と信じて駆け寄った結果、殴り殺されたとでも報告しておいてください」

タクミ「……」

カゲロウ「……カムイ様。そのような発言はやめてくださらないか。そんなことになったらミコト様や多くの方が悲しむことになる」

カムイ「………」

タクミ「……いいよ、許可してやる。だけど、もしも逃げだそうとしたらその時は……」

カムイ「はい、タクミさんの望むとおりにしてくださって構いません」

◇◆◇◆◇
―白夜王国・テンジン砦―

タクミ「オボロ、状況はどうなってる?」

オボロ「タクミ様、西の村ですけど、すでに襲撃にあった場所もあるみたいです。すでに出兵は始まってますけど、奴らの動きは不規則ですから、どこを狙われるかわからなくて、指揮系統に混乱があります」

タクミ「そうか。くそっ、もう少し早く気づけたなら……」

オボロ「あのー、タクミ様。そちらの方は?」

カムイ「………」

カゲロウ(オボロか、白夜一の暗夜嫌いと言っても過言ではないが、カムイ様だと知ったらどうなるか……)

ヒナタ「ほら、オボロ。あれだ、捕虜になったっていう王女様だよ」

オボロ「へぇ……」クワッ

カムイ(なんだか雰囲気が変わりましたね。完全に敵視しされている気がします)

オボロ「そう……あんたが捕虜になった暗夜の王女なのね」クワッ

カムイ「そうなりますね」

オボロ「大方、暗夜と聞いて合流して脱出するつもりなんでしょうけど――」

カムイ「その話はタクミさんから聞いてますので、それでこれからどうするんですか?」

タクミ「付いて来ただけのあんたに答えるつもりはないよ。それで、先に出兵した者たちはどこへ?」

オボロ「はい、襲われたとされる西の小さな集落より手前の、比較的大きな集落へと向かうと言ってました。そこから編成を組みなおして討伐を始めるらしいです」

タクミ「そうか、よし、まずは僕たちもその集落に向かおう。オボロ、馬は用意できているか?」

オボロ「ええ、用意できてます。ですが、タクミさまとヒナタの分だけです。残りはありませんよ」

カゲロウ「では、二人乗りで行けばいい。私はカムイ様を護衛するために、すまないが残りはそちらで決めてくれ」

タクミ「はぁ、仕方無い。オボロとヒナタはどうする?」

オボロ「そうですね――」

ヒナタ「タクミ様、オボロを一緒に乗せてやってくれよ。俺乗馬するなら一人のほうがいいんで」

オボロ「ちょ、ヒナタ何言って」

タクミ「仕方無い、じゃあオボロ、馬の場所まで案内してよ。早くしないといけないからさ」

オボロ「え、ええ……」

カムイ「……?」

オボロ(……少し感謝しとくわ)クワッ

カゲロウ「カムイ様、行きましょう」

カムイ「はい」

カムイ(ノスフェラトゥですか……、話にだけは聞いたことがありますがいったいどんな者たちなんでしょう……)

◇◆◇◆◇

―小さな村―
???「静かになってもうた…………」

???「どうすればええんや、あたいわからへんよ」

 ドスンッ ドスンッ ドスンッ!

ノスフェラトゥ「ぐあああおおおおおお!」

???「―――っ!!!!!!」

???(声漏らしたら殺されてまう。お願いや、気付かずに通り抜けてや……)

ノスフェラトゥ「……あああ……ああ」

???(……気付かんといて)

 ドックン……ドックン……ドックン……

ノスフェラトゥ「……ぐあああああおおおおおお!」

 ドスン ドスン ドスン ドスン……

???(た、助かった……ていうても、一先ずの話や。このままここにいても助かるわけあらへん。でも、飛びだしたところで……)

???「すぐに殺されてまうやろな……」

???(なんでこんなことになったんや。今日もみんなと一緒に畑を耕して、狩りをして、笑って、夕陽が落ちるのを見るだけのはずやったのに…)


村人A『だ、だめだ。こっちに向かってくる! みんな早く、逃げるんだ!』

村人B『モズメ、早く逃げるんじゃ!』

村人A『あっ腕を取られ……うわああああ、ぎゃあッ!』
 
 グチャ

村人C『くそっ、こんな農具じゃ、歯が立たない……ぐえっ』

 ベキッ バキャッ

村人B『はよ、はよ行くんじゃ! はわわ、ぐひゃっ……』

モズメ『はぁ、はぁ、はぁ……』

村人D『こっちじゃ、モズメ! ここに隠れておるんや。ええな?』

モズメ『お、おっちゃんとみんなはどないすんや?』

村人D『ほかのみんなを呼んでくるんや。ええか、俺がいいっていうまで、ここを絶対に空けるんやないで、わかったな! おらおら、こっちにきやがれ唐変朴! 悔しかったら追いついてみやがれ!』

ノスフェラトゥたち『ぐあああああああおおおおおお!』
 
 ドスンドスンドスンッ

モズメ『……な、なんでや。なんで、なんであたいだけ守られなきゃあかんのや! 一人に、あたいを一人にしないでや。お願いだから……一人は嫌や……』


モズメ「これまでやろな……。はは、これで死ぬんいうのに、変に落ちついとる」

モズメ(嘘や死にたくなんてあらへん。でも、仕方無いやんか)

モズメ「ぐすっ、みんなの命、無駄になってもうた……。もう助かるわけないんや……一人じゃ何も出来ひん……」

モズメ「だから、許してや……」

今日はここまでになります。

―小さな村を見下ろせる丘―

カムイ「あの、カゲロウさん。私たちはどこへ向かっているんでしょうか?」

カゲロウ「西に位置する小さな集落だ。ノスフェラトゥに狙われたと思われる最初の村と言ったほうがいいかもしれない。ここに至るまでの間、ノスフェラトゥを見掛けていないことから察すると、多くがその村に居座っている可能性が高いゆえ、気を付けていかねばなりません」

カムイ「……生存者はいると思います?」

カゲロウ「……村を襲ったのが人間であるならば、生存の可能性もありますが……」

カムイ「相手が心を持たない獣だからですか?」

カゲロウ「……ノスフェラトゥに襲われた遺体というのは常人が見るには耐えがたいものです。戦う術を持たない者では、逃げきることなど」

タクミ「二人とも、もう話はそれくらいで。あの村に多くのノスフェラトゥが居座っているみたいだ。後続の討伐隊は周辺を確認しながらここを目指してるから、到着の時間にはまだまだ掛る、到着前に僕達でどうにかするよ」

ヒナタ「わかりました。で、どうします、タクミ様」

タクミ「オボロとヒナタは大きく迂回して、下の林道から村へと入って、僕らは先に戦闘を始めているから、相手の背中を一気に襲撃してほしい」

オボロ「わかりました。行くわよ、ヒナタ」

ヒナタ「あいよ、それじゃまたあとで」タタタタタタッ

タクミ「さて、あんたは僕とカゲロウより前に出ないようにして、これは命令だよ」

カムイ「はい、わかりました。……風に乗って血の臭いが漂ってきますね」

タクミ「くっ、酷い……」

カムイ(動かない物体が……一つ、二つ……ざっと五つですか。血の臭いはこれから漂ってきていますから、たぶん人の死体ですね。とても人だったとは思えない形状をしていますが……。あと、動いている巨大な何かの気配が向こうにあります。これがノスフェラトゥの気配でしょうね)

カゲロウ「カムイ様、この剣を」

カムイ「ありがとうございます。これを使っても構わないのですね」

カゲロウ「はい、元の装備品は城で管理させてもらっています。少しの間、お許しを」

カムイ「いいえ、別に構いません。武器を持たせてもらえないかもしれないと思っていたので、助かりました」

タクミ「……」

カムイ「タクミさん、どうかしましたか?」

タクミ「いつでも、こっちは撃てる。忘れないでよ」

カムイ「……そういうことですか。理解しています」

タクミ「……わかってるならいいよ。じゃあ、作戦の説明だけどこの地には竜脈が通っているからこれを利用するから」

カムイ「竜脈ですか。私は目が見えないからあまり使ったことがないのですが……タクミさんは使えるんですか?」

タクミ「僕は王族だ。竜脈を使うことができるのは当たり前だよ。あんたに心配されることじゃない」

カムイ「……」

タクミ「とりあえず、あんたには触れてほしくないから、何もしないで。この竜脈は大きな揺れを引き起こせる、これであいつらの足を止めたところを一気に攻め込むのが、僕の考えだよ」

カゲロウ「タクミ様の作戦で異論はない」

タクミ「それじゃ、竜脈に触れるから、変化と同時に一気に行くよ。あんたは遅れないようにしてよね。ただでさえ、目が見えないのに、さらに足手まといはごめんだから」

カムイ「ふふっ、わかりました」

タクミ(なんだよ、その余裕な笑みは……だめだ、集中しないと)

タクミ「よし、始めるよ」

 ヒュオン! ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……ズズン!

タクミ「行くよ!」タタタタタタタッ

ノスフェラトゥ「グオオオオオオアアアアア!」

タクミ「動けないんじゃ、ただの的だね」シュパッ

 バシュッ! ドタン……

カムイ「なんだか、変わった弓の音ですね」

カゲロウ「ああ、タクミ様は神器を使われる。風神弓は普通の矢とはまるで違うもの、そしてとても強力だ」

カムイ「なるほど、弓道の時とは違って当てるだけでいいというのは納得です。強力なんですから、でもさすがに倒しきれない者も出てきます」

タクミ「もう一体、当たれっ!」シュパッ

カムイ「援護しますね」ダッ 

 バシュッ ザシュ

ノスフェラトゥ「オオオオオオオオオン」ドタン

タクミ「僕一人の力でどうにかできる、援護なんて必要ない、あんたは前に出てこないでくれ」

カムイ「それは相手が動けない状況の話です。相手が動けるようになったら……」

タクミ「まだ竜脈は沢山ある、いくらでも足を止めることができるだ。あんたの助けなんていらない」

カムイ「そうですか……」

 ドスンドスンドスンドスン!

ノスフェラトゥたち「グオオオオオオオアアアアアア!」

タクミ「よし、多く集まってきた。もう一つの竜脈を使うよ」

 ヒュオン! ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……ズズン!
 
 ガラガラガラガラ……ガサン

カムイ(大きな物の気配が消えました。揺れに耐え切れなかった建物が倒壊したんですね)

タクミ「ははっ、動けないこいつらに負けることなんてない。オボロとヒナタももう少しで合流するだろうし、楽に事が片付きそうだ」

カムイ(この村の惨状を見る限り、生存者がいるとは思えないとカゲロウさんも判断しているからこそ、タクミさんの行動を容認している……)

カムイ(多くのノスフェラトゥがこちらに向かってきています……。生者を見つけたからここに群がってきていると考えれば納得できますね……)

 アアア……ウウウ……

カゲロウ「んっ、これほどに大きく戦闘を始めたというのに蔵近くのノスフェラトゥは動かないようだ」

タクミ「そろそろ動き始める頃合い。よし、次の竜脈を……」

 ヒュオン! ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……ズズン!

 ガタガタタタタタタ………ガシャン

カムイ(また、気配が消えた……)

タクミ「あいつだけこちらに来る気配がないな。まあいい、蔵も大きく揺れてる、いずれ蔵の下敷きになるはずだ」

カムイ(多くが向かってきてる中で、一体だけ動かない者がいる? ノスフェラトゥは心を持たない獣。本能のままに行動するというのに?)

カゲロウ「タクミ様、援護に回ろう。数が多くなってきている」

タクミ「さすがに数が多い、すまないけど頼むよ」

カムイ(なら、何もいない蔵の前で待機するわけがない……)

オボロ「あら、背中がガラ空きじゃない。これなら思う存分倒せるわね」クワッ

ヒナタ「まったくだ。結構揺れてたけど、タクミ様が竜脈を駆使してたってことか。おかげでノスフェラトゥの奴ら、立ち往生してやがる」

オボロ「それじゃ、行かせてもらうわ」クワッ

ヒナタ「よし、いっくぜ!」

 ザシュザシュ

 ドタンドタン……

タクミ「よし、二人も合流した。今回はこれで勝ちだ。一気に攻める!」

タクミ(もう少しで殲滅できる。あともう一回か二回竜脈を使えば……)

カムイ「タクミさん、竜脈を使うのをやめてください!」

タクミ「……はぁ、何を言っているのか意味がわからないよ」

カムイ「これだけいれば、竜脈を使う必要もありません」

タクミ「いや、みんなの命が掛ってる以上、安全に戦える方法を僕は取るよ。それに、あんたは今僕の指揮下にいるんだ。その意見に耳を貸すつもりはない」

カムイ「そうですか……わかりました」

タクミ「よし、もう一度竜脈を使う! みんな、攻撃の準備を!」

カムイ(注意が竜脈に向いた。今ならいけますね……)

 ダッ!

ヒナタ「んっ? お、おい! どこに行く気だよ!」

オボロ「あの女、やっぱり逃げる気だったのね。結局は暗夜の人間はこんなものなのよ」クワッ

タクミ「なに、くそ、止まれ! 止まらないと……」

カゲロウ「タクミ様! ノスフェラトゥが体の自由を取り戻しつつある。今は……」

タクミ「くそっ、竜脈!」

 ヒュオン! ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……ズズン!

モズメ「な、なんなん、なんなんや。いきなりすごい揺れて……。こんな揺れ、建物が耐えられへんよ」

ノスフェラトゥ「アアアア……オオオオオ………」

モズメ「また変なのが戻って来てから、ここに釘づけにされたままや。……仕方ないんやろな、一度生きること諦めてもうたから」

 ガタガタガタガタ、ガタン!

モズメ「!!!?」

ノスフェラトゥ「グオアアアアアアア!」

 ドゴンッ! ドゴンッ!

モズメ「ひいいいいいい」

モズメ(き、気付かれたんや。そうや、気付かれてもうたんや……)

 ドゴンッ! ドガッ! メキメキメキ……

モズメ(お、奥に、奥に逃げな……)

 ドガァン!

モズメ「きゃああ……。ぐっ、あ、足が痛……痛い」

モズメ(あかん、扉の壊された破片が足に刺さって、満足にもう動けへん……)

ノスフェラトゥ「グオオオオオオアアアアアアアアアア!!!!」

モズメ(……嫌、嫌や、誰でもええ、助けて…………お願いや。あたい、こんなところで死にたくあらへん……)

カムイ「んっ、てやぁ!」

 ザシュ

ノスフェラトゥ「グアアアアアアア」
 
 ブンッ ガキン!

カムイ「っ……もう一度!」

ノスフェラトゥ「グゴッ―――グオアアアア!」

 ブンッブンッブン!

カムイ「当たるわけにはいきません」

 スッ― スッ― スッ

モズメ(だ、誰やあの人……助けに来てくれたんか?)

カムイ「終わりです! でやぁ!」

 ザシュン!

ノスフェラトゥ「オオオオオオオオオオオン」
 
 ドサッ、バタリ………

カムイ「はぁはぁ、どうにかなりました。……誰かいますか」

モズメ「こ、ここに……おるよ……」

カムイ「! 待っていてください。すぐに―――」

 ミシミシミシミシ………バキィ!

カムイ・モズメ「!!!!」

モズメ「た、建物が……!」
 
 ドゴン……バキッ

モズメ(上から板が。だめや、避けられへん!)

 ガシャン……バタンバタン……

モズメ「―――あ、あたい生きとる? なんで……」

カムイ「大丈夫ですか……」

モズメ「!!!!! あ、あんた」

 ポタ、ポタタタタタタ

カムイ「すみません、私の血が顔に落ちてしまった気がします」

モズメ「そ、そんなこと気にせんよ。そ、そんなことよりあんたの怪我どうにかせな」

カムイ「はい、もう少しで皆が来てくれるはずです。それまでは、私があなたの盾になります。だから安心してください」

モズメ「だめや、この建物がもたへんかもしれへん。はやく、あんただけでも……」

カムイ「ここで、あなたを見捨てたら。私がここに来た意味がすべてなくなってしまいます。しばらくは、私に守られてください」

カゲロウ「カムイ様、蔵の中に入るのは危険で――!」

カムイ「カゲロウさん、生存者です。早く、この方を……」

カゲロウ「御意!」

モズメ「つうっ………」

カゲロウ「痛むが我慢してくれるか。よし、カムイ様も早く」

カムイ「はい、っ……血だらけになってしまいました」

カゲロウ「何を悠長なことを、早く出ましょう。肩に手を」



 ドガシャン ガランガランガラガラガラ……ドスンッ



カゲロウ「間一髪、と言ったところか」

カムイ「そうで……す……ね」ドサッ

カゲロウ「カムイ様!?」

カムイ「し、心配しないでください。長く動き続けて疲れが溜まっただけですから」

カゲロウ「わかりました、少しお休みください。ノスフェラトゥは見える限り排除しましたゆえ、今は脅威となる者はおりません」

カムイ「はい、わかりました。それと私よりもそちらの方の治療を優先してあげてください。私はそう簡単には死にません、これでも悪運は強いほうなんです」

カゲロウ「悪運が強いのは、見ている限り理解できます。命令の通りにさせていただきます」

カムイ「ええ、お願いします……」

 今日はここまでです。次で三章終りです

モズメ「あ、あんた、だいじょうぶなんか?」

カムイ「なんとか。ふふっ、無事に外に出られて肩が一気に軽くなったみたいです」

モズメ「ほんと無茶しおる人や。でも、おかげで助かったわ、ありがとう」

カムイ「いいえ。私はカムイと言います」

モズメ「あたいは、モズメいうんや」

カムイ「そうですか……。モズメさん」ギュッ

モズメ「ふぇ、な、なにしよるん!?」

カムイ「すみません。もっと早く気づいていれば、こんな傷を負わなくて済んだはずなのに……」

モズメ「……もっと早く来てほしかった。もっと早く来てくれたら、村のみんなも、あたい一人だけが守られることなんて、あたい、一人で……うわああああん」

カムイ「はい……」

モズメ「あたい、あたい、村のみんなに守られてばっかりやった。もっと早く来てくれたらなんて、あんたたちに責任転嫁してるだけや……」

モズメ(あの蔵から出ることが怖かったのは、死ぬかもしれないからじゃないんや)

モズメ「あたいは、村のみんなの命を背負って生きていくんが怖かった。あたいが生き残ったことが間違いなんやないかって思ったら、もう死んだほうがええって……」

カムイ「そんなことはありません。村の人たちはモズメさんに生き残って欲しいからこそ、頑張ってくれたんです。そして、私がモズメさんを見つけたのは生き残って欲しかったからです」

モズメ「あたい……生き残ってええんか?」

カムイ「はい、私が保証します。モズメさんは生き残っていいんです、これから先、村の人たちの分長く生きて、多くの人と出会うのがモズメさんがするべきことなんですよ」ナデナデ

モズメ(こんな風に慰められたのは、久しぶりや……。ああ、とり乱したら、なんか疲れが来てもうた。朝から何も食べてへんかったから……)

カムイ「少し休んでください。大丈夫、私がそばにいますから」

モズメ「うん、すまへん……」

モズメ「すぅー……すぅ」

カゲロウ「疲れて眠りについたようで」

カムイ「はい、モズメさん以外の村の方々は?」

オボロ「残念だけど、他の人たちは……」

カムイ「そうですか、そう考えれば本当に奇跡的です、モズメさんが生きていてくれたのは。怪我をした甲斐があったというものです」

タクミ「……あんた、なんで生存者の可能性の話を僕にしなかったんだ?」

カムイ「すみません、あの時は竜脈を使用しないでほしいという進言を否定されて、頭に血が上っていたみたいです。知らせなかったことで、皆さんを危険にさらしたことになりますね」

タクミ「……あんたはどうして自分の所為だとすぐに言うんだ! 僕のことが気に食わなかったと言えばいいじゃないか!」

ヒナタ「ちょ、タクミ様! 落ち着いてくれよ。結果的にはノスフェラトゥ倒して、生存者だっていたんだ。もうそれでいいだろ?」

タクミ「くそっ! 僕の指揮が間違っていたと言ってくれたほうが、気持ちが楽になるのに!」

カムイ「誰も答えてくれないことだってあるんですよ……」

タクミ「なに?」

カムイ「いいえ、なんでもありません。忘れてください、モズメさんが起きてしまいますから」

カムイ(ああ、私も少し疲れで意識を保つのが辛くなってきました……。すこし、休ませてもらいますね)

◇◆◇◆◇
―白夜王国・カムイの部屋―

カムイ「……ん、んんっ、ここは……」

ミコト「カムイ、目覚めたのですね」

カムイ「ミコトさん……リョウマさん……ん、手元に誰か……」

リョウマ「お前が救った者だ。名前はモズメというそうだが、カゲロウから聞いた起きるまでそばにいるとお前が約束したと、約束はちゃんと守らねばならないからな」

カムイ「リョウマさん。わざわざありがとうございます。あの、ノスフェラトゥの方は……」

リョウマ「ほぼすべての討伐が完了した。北の地区にはもともとサクラとヒノカがいたことあって村の被害はなかったが、モズメの村は全滅だったと報告を受けている。悔やみきれんな、こうも後手になるというのは」

カムイ「そうですか……痛っ」

ミコト「まだ動いてはなりませんよ。でも、なぜ戦いに出向いたのですか、無理に戦いに参加する必要なんてあなたには……」

リョウマ「カムイにも考えがあったのでしょう。母上、カムイが進んで選んだこと、それを否定するのはあまりいいことだとは思えない」

ミコト「……そうですね。久々の再会ということもあって、すこし過剰になっていたのかもしれません。でも、今日はゆっくり休んでください。ここはあなたの部屋なんですから」

カムイ「はい、心配させてしまって申し訳ありませんでした」

ミコト「私の子なんですから、心配するのは当たり前です。それではリョウマ、あとのことはお願いいたしますね」

リョウマ「あまり母上を困らせてやるんじゃないぞ。まぁ、今まで困らせられたこともないだろうから、それも嬉しいと思っているかもしれん」

カムイ「リョウマさん、あのノスフェラトゥはどういった者たちなんですか?」

リョウマ「タクミ達から説明は聞いていると思うが、あれは心を持たない獣だ。敵味方関係なく狙うような者もいるとされている。カムイは、そんなものを暗夜がなぜ送り込んでいるのかわかるか?」

カムイ「いいえ」

リョウマ「この白夜王国は母上の結界によって守られている。邪悪な心を持つ者たちは、このテリトリーに入るとたちまち萎縮し戦闘することができなくなる」

カムイ「邪悪な心ですか?」

リョウマ「お前は邪悪な心ではないようだ。こうもピンピン動いているのだからな。話は戻るが、その結界故に暗夜は心を持たない生物を作り出して送るようになってきた。それがノスフェラトゥだ」

カムイ「心を持たないが故に、ミコトさんの結界の効果を受けない……ということですね」

リョウマ「そう言うことだ。暗夜は度々こういった嫌がらせを仕掛けている。モズメの村のように襲撃を受けて全滅した村もあった」

カムイ「暗夜の目的は何なんでしょうか?」

リョウマ「ふっ、考えるのも結構だが。この先、それをお前が考える必要はなくなる。俺たち家族がお前を守ると決めているからな。お前には普通の女性としてこれからは生きてもらいたいと考えている」

カムイ「普通の女性ですか?」

リョウマ「ああ、そうだ。目のことはすでに変えられないことだが、これからのことは変えることができる。今度、サクラとヒノカにも会ってやってくれ、話をしたらヒノカは泣き出してしまったくらいだ。安い包容ではすまないと思っていてくれ」

カムイ「……リョウマさん、一ついいでしょうか?」

リョウマ「なんだ?」

カムイ「顔を触らせていただけませんか?」

リョウマ「……構わない。しかし、兜を付けたままになるがいいか?」

カムイ「はい。それじゃ、失礼しますね」

リョウマ「……」

カムイ「……冷たいですね」

リョウマ「兜だからな」

カムイ「あっ、そうでしたか。じゃあ、ここが肌ですね」

リョウマ「ん……ああ」

リョウマ(柔らかい指先、それにどこか安心できる。カムイはとても不思議な存在だな)

カムイ「リョウマさんは髪がとても長いんですね。剣術の鍛錬に支障はないんですか?」

リョウマ「ふっ、これしきの事が気になるようでは強くはなれない。己のことを一番よく理解しているつもりだ」

カムイ「そうですか、なんだかチクチクする髪型ですね」

リョウマ「……その言葉はなんだか複雑な気持ちになる」

カムイ「……ふふッ、チクチク、チクチク、なんだか気持がいいです」ナデナデ

リョウマ「………平常心だ」

カムイ「……」

リョウマ「……カムイ、今日のこと、カゲロウから聞いている」

カムイ「はい」

リョウマ「タクミに竜脈を使わないように進言したが、退けられた。その結果に行動したと」

カムイ「はい、その通りです」

リョウマ「カムイの行ったことは人を助けるという意味では正しいものだ。だが、タクミにもタクミの責務がある。あの場でタクミに課せられた一番の使命は同行者と仲間を守ることだ。だから――」

カムイ「リョウマさん、私はタクミさんに殺されてもいいという覚悟で動いていました……、すこし震えてますよ?」

リョウマ「そのようなことを言わないでくれ、また共に暮らせるというのに」

カムイ「そうですね、ごめんなさい。もういいですよ」

リョウマ「……もう、いいのか?」

カムイ「はい。あの、タクミさんはどちらにいますか?」

リョウマ「それは許可できない。今のあいつは落ち着く必要がある。お前の判断が結果的に民を一人救ったことは間違いない、あいつは自身の下した判断に苦しめられている」

カムイ「そうですか……」

リョウマ「お前はどこか冷静だ、その立ち振る舞いはあいつにはまぶしく映っているのかもしれない。すまないが、今はそっとしておいてはくれないか」

カムイ「はい、私もタクミさんと喧嘩がしたいわけじゃないんです。ただ、話をしたいだけなんですよ」

リョウマ「そう言ってもらえると俺としては安心だ。話はこれくらいにしよう。夕食までは時間がある、今はゆっくり休むといい。それではな」



カムイ「………」

モズメ「なんか、難しい話しをしとったね」

カムイ「起きていたんですか?」

モズメ「へへっ、ごめんな。でも驚いたわ、カムイ様、王族の人なんやな」

カムイ「……結構前から起きてたんですね」

モズメ「うん、聞いたことは誰にも話したりせえへんから、安心してや」

カムイ「ははは」

モズメ「カムイ様。誰が何と言おうと、あたいはカムイ様に命を救ってもらったんやから、カムイ様のしたことが間違いだなんて思ってへんよ」

カムイ「モズメさん?」

モズメ「だから、そんなしょげとらんで心配せんでええよ。あたいはカムイ様の味方やから」

カムイ「ふふっ、モズメさんって面白い方ですね。助けた時はあんなに弱弱しかったのに、今はこんなに元気なんですから」

モズメ「カムイ様の前やからや。約束通り、あたいが起きる前でそばにいてくれたやろ? だから、カムイ様の前でなら平気でいられるんよ」

カムイ「モズメさん。ふふっ、慰められてしまいましたね」

モズメ「そ、そんな大きなことしとらんから。もう、真顔で結構恥ずかしいこと言うんやな」

カムイ「はい、それじゃ一つお願いいいですか?」

モズメ「な、なんや?」

カムイ「モズメさんの顔に触ってもいいでしょうか? とてもかわいい顔をしてると思うんです」

モズメ「さ、さっきリョウマ様にしてたこと、あたいにするんか? そもそも、なんであんなに触ってるんや?」

カムイ「そうでした、モズメさんには説明してませんでしたね。私、実は盲目なんです」

モズメ「………」

カムイ「………」

モズメ「なんていうか、どう反応返せばいいのかわからへん。嘘だって思いつつも、本当だったらどうしようって、頭の中ぐるぐるなるんよ」

カムイ「では、ぐるぐるしたままでいてくださいね」

モズメ「あっ、まだ、良いって言ってへん。ふわぁ///」

カムイ「前髪は短いんですね。でも左右に流れるようにお下げと跳ねてる髪、これは髪飾りですか?」

モズメ「ん、そうや……んぅ」

モズメ(な、なんやこれ、触られてるだけやのに、なんでこんなに気持ちええんや!?)

カムイ「これは、なんの形なんでしょうか……」

モズメ(耳、耳裏に指が触れてぇ………)

カムイ「……耳裏弱いんですね」

モズメ「はぅぅぅぅぅぅ、だっ、ダメや。そんなとこ触らんといて」

カムイ「どうしたんですか? なんだかとっても顔が火照ってますよ」

モズメ(な、なんやこれ。とってもイケナイことしとる気がしてきた。あかん、このまま流されたらあかん、あかんのに……)

カムイ「ふふっ、今まで触ってきた人の中で一番可愛い反応をしてくれますね。とっても可愛いですよ、モズメさん」

モズメ「そ、そんなことあらへん。顔にそばかすだってあるんや、まだほかに可愛い子なんてたくさんおる」

カムイ「気にしてるんですね。そう言うところも可愛いですよ」

モズメ「そないなこと、ふにゃあああ」

カムイ「ふふっ、これ以上するとあれですから。これで終わりにしますね」

モズメ「あっ……」

モズメ(なんや今の声、あたいなに残念そうな声を出しとるんや)

◇◆◇◆◇
カゲロウ「……傍から見ていると、本当に恥ずかしい光景だな」

サイゾウ「まったくだな」

カゲロウ「………」

サイゾウ「………」

カゲロウ「サイゾウ……」

サイゾウ「なんだカゲロウ」

カゲロウ「いつからそこにいた」

サイゾウ「『……』のところからは、いくら返事をしてもお前が返事をせぬので、何を見ているのかと思えば」

カゲロウ「………////」

サイゾウ「……やはり、お前は」

カゲロウ「それは断じて違う!」

◇◆◇◆◇
―白夜王国・王城シラサギ内の湖―

タクミ「くそっ」

タクミ「確かに生存者の可能性を考えなかった僕にも非がある。でも、だったら口にしてくれてもいいじゃないか!」

タクミ「突然現れて、一体なんなんだよ」

???「タクミ、気が乱れているようだけど、なにかあった?」

タクミ「!」

???「私の接近に気付けないなんて、いつものタクミらしくないわね」

タクミ「……そうかもしれない」

???「話は聞いてるわ。暗夜の王女が来ているそうね。そのことと何か関係があるのかしら?」

タクミ「うるさい……一人になれると思ってここに来たのに、失礼するよ」

???「タクミ」

タクミ「なんだよ! アクア姉さん」

アクア「一度、すべての出来事を紙に記しなさい。そうすれば、すべてに理由があるとわかるはずだから。ひねくれているのもいいけど、いつまでもその先に歩めないんじゃ、成長なんてできないわ」

タクミ「なんだよ、僕を子供扱いして」

アクア「そうね、今の怒っているあなたは大きな子供そのものよ。だから、今のあなたよりは少し大人な私の意見に耳を貸してほしいの」

タクミ「………く、わかったよ。アクア姉さんの言うとおりにしてみるよ」

アクア「そう、ありがとう」

タクミ「でも、あいつのことを僕はそう簡単に認める気はないよ」

アクア「………暗夜の王女、私とは対極にいる人、そんな気がするわね」

アクア「暗夜で生まれ白夜で育った私、白夜で生まれ暗夜で育ったあなた。鏡合わせな私たちが出会ったら、何かよくないことが起きる気がする」

アクア「でも、何故かしら。あなたは私を尋ねに来ると思う。それが何かの始まりだったとしても……それに」

アクア「♪~~~~♪~~~~」

アクア(私も、早くあなたに会ってみたいと心のどこかで思っているのだから)


 第三章 おわり

現在の支援レベル

 スズカゼ  C
 リンカ   C→C+
 ジョーカー C
 ギュンター C
 サイラス  C→C+
 リリス   C→C+
 カゲロウ  C
 モズメ   C
 タクミ   D
 リョウマ  C

 今日はここまでになります。

 モズメ外伝は時系列が全くわからないので、なら三章でモズメを仲間にすればいいんじゃないか、みたいな感じにした話です。
 そろそろ価もどきを始めたいと思いますので、お時間がある方おりましたら参加していただけると助かります。
 安価は主にストーリーに関連するものと、キャラクター支援に関するものになります。
 また、暗夜のルートに入るので、上記のキャラクターの中で支援消滅する者もいます。

 最初の安価
 第四章開始の際にカムイが話しかける人物、この中からでお願いします。
 
 スズカゼ
 カゲロウ
 サイゾウ
 モズメ
 ミコト
 リンカ
 リョウマ
 タクミ
 ヒナタ
 オボロ

 >>173

すみません、トリップつけ忘れました
 最初の安価
 第四章開始の際にカムイが話しかける人物、この中からでお願いします。
 
 スズカゼ
 カゲロウ
 サイゾウ
 モズメ
 ミコト
 リンカ
 リョウマ
 タクミ
 ヒナタ
 オボロ

>>174

お疲れ様です!
安価ならミコト

乙です、いつも楽しく読ませてもらってます。
安価ならタクミで。

◇◆◇◆◇
―白夜王国・シラサギ城―

カムイ「リョウマさんの話では、今日の夜にサクラさんとヒノカさんが戻ってくるそうですね」

カムイ(それにしても、ここに身を置いてから数日が経ちました。マークス兄さんたちは、どうしているのでしょうか? 私がいなくなったことで、いらぬ心配を……かけているでしょうね。戻ったら何を言われるかわかりません)

カムイ「……ん、この気配は……」

タクミ「あっ……」

カムイ「……」

タクミ「あっ……あんた……」

カムイ「タクミさん、こんにちは」

タクミ「……ああ、それじゃ」

カムイ「ちょっといいですか?」

タクミ「なんだよ、僕は忙しいんだ」

カムイ「何か変な物をお持ちみたいですね。四角台みたいなものに、あと小さな子箱でしょうか? 中から何かがぶつかりあっている音がしますけど」

タクミ「……将棋だよ」

カムイ「将棋ですか? どういったものなんですか?」

タクミ「目が見えないあんたにできるようなものじゃないよ。知ったところで意味なんてないはずだから」

カムイ「それは知ってみなければわかりませんよ。タクミさん、ちょっと見せてもらってもいいですか? お時間は取らせませんので」

タクミ「なんで、勝手に決めてるんだよ」

カムイ「駄目でしょうか?」

タクミ「……わかったよ。くそ、これならユキムラと一指し終えてすぐに部屋に戻るべきだった」

◇◆◇◆◇

カムイ「へぇ、大小さまざまなものがあるんですね。これは……文字が彫ってあるんですね……」

タクミ「これはそれなりに高価なものだから、文字を彫ってある。一般に出回っているものは筆で文字を書いただけのものだったりする」

カムイ「奇麗に彫りこんでありますから、私でも何が置いてあるかはわかります。で、これを何に使うんですか?」

タクミ「将棋は駒とこの盤を使って争う。盤上で駒を動かして、相手の王将を取ったら勝ち、逆に取られたら負けっていうものだ」

カムイ「暗夜にはチェスという遊びがあります。私の弟がよく遊んでいましたから、基本的なルールはそれに似ているんですね」

タクミ「で、わかるよね。これが目が見えないとできない遊びだってこと」

カムイ「どうしてですか?」

タクミ「盤面を見ないでどうやって戦うっていうんだ。初期配置ならともかく、こういったものは場が目まぐるしく変わるだろ、情報を手に入れないで続けるのは難しいよ」

カムイ「できないということはないですよ」

タクミ「……変な自信だね」

カムイ「駒の動き方とかそういった情報があれば、スタート地点に立てたと思えますよ。もしかしたらタクミさんに勝てるかもしれませんし」

タクミ(何言ってるんだ、本当に癪に障る。でも、将棋なら僕の方が何枚も上手だ、そう簡単に出し抜かれたりしないはず)

タクミ「……その自信、確かめてみる?」

カムイ「といいますと?」

タクミ「僕と一回勝負をしよう。あんたが勝てたら、あんたの頼みを一つだけ聞いてあげるよ。まぁ、無理だと思うけど」

カムイ「その約束、本当ですね?」

タクミ「ああ、それじゃ始めようか」

タクミ「………」パチ

カムイ「………」パチ

タクミ「………」パチ

カムイ「えっと、王手と宣言するんでしたよね?」パチ

タクミ「………」

カムイ「………タクミさんの番ですよ?」

タクミ「……嘘だろ、なんでこんな」

カムイ「……」

タクミ「なんでこんなことに気付かなかったんだ? くそっ、どこに動いても結局は……」

カムイ「タクミさん、早くしてください」

タクミ「………けだ」

カムイ「?」

タクミ「僕の負けだよ! 二回も言わせないでよ」

カムイ「そうですか、では私の勝ちということで」

タクミ「……どうして負けたんだ。なにが、なにが間違えだったんだ」

カムイ「ふふっ、目が見えないことはハンデでもなんでもないんですよ?」

タクミ「こっちの手を尽くつぶされて、怒りとかそういうのを通り越して、もう何も出ないよ」

カムイ「盤面は初期配置からずっと頭に並んでますから、できうる限りの抵抗はできます。ただチェスとは違ってとった駒を使えるというのは曲者でした」

タクミ「本当に、目が見えたないのか疑いたくなってくる」

カムイ「そう言ってもらえたということは、昔から頑張ってきた甲斐があったというものです。さてと、それでは私が勝ったということで、タクミさん。私のお願いを一つ聞いてくれるんですよね?」

タクミ「……さきに条件を出したのは僕だ。ちゃんと従うよ。で、何をしてもらいたいわけ? この前のことに関しての謝罪でもすればいい?」

カムイ「この前のこと……モズメさんの村のことですか?」

タクミ「……僕がちゃんと耳を傾けていれば、モズメは怪我をしなかった。そう考えているんだろ」

カムイ「はぁ、私はそんなつまらないことにこのお願いを使う気はありませんよ」

タクミ「つ、つまらないことって……」

カムイ「やっぱり、あれですね。タクミさんはお願いしても触らせてくれそうにないので、今顔を触らせてください」

タクミ「い、いきなり何を言い出すんだ/// 顔なんて触らせるわけ」

カムイ「いいですよね?私が勝ったんですから、タクミさんがどんな顔の人なのか、とても気になっていたんです。それとも、負けたから勝負は無し、そういうことにしますか?」

タクミ「ぐっ……」

タクミ(そんなことできるか、これは僕の慢心が生んだ結果だ。こいつに顔を触られるなんて最悪なことだけど、ここで勝負の結果を反故にするような発言、恥ずかしくてできるわけがない)

カムイ「大丈夫ですよ。痛くしたりしません」

タクミ「す、好きにすればいい」

カムイ「はい、失礼しますね」ピトッ

カムイ「震えてますね。大丈夫、危害を加えたりしませんから」

タクミ「ぼ、僕が怖がっているって言いたいのか!?」

カムイ「そこまで言ってないですよ。それとも本当に怖いんですか? 無防備なまま、私に顔を触られることが」

タクミ「信用してないからね。―――っ!」

カムイ「後ろ髪は束ねてるんですね……。ふふっ、束ね髪の根元が弱いんですか? 触るたびにタクミさん、少し体が動いてますよ?」

タクミ「へ、変なことをするな」

カムイ「変なことってどういうことですか? 私に教えてください、いったいどんなことなんですか?」

タクミ「そ、それは……///」

カムイ「顔が熱くなってきました、もしかして恥ずかしいんですか?」

タクミ「こ、子供扱いするな!」

カムイ「そうですね、ごめんなさい。ちょっと、失礼しますね」

タクミ「な、何をするんだ、髪留めを……」ファサ

カムイ「リョウマさんの髪はチクチクしてましたけど、タクミさんの髪はどこかなめらかなんですね」

タクミ(くっ、髪を触らているのに、どうしてこうも気持ちがいいんだ。こんな奴に触られて、本当なら嫌悪感しかないはずなのに)

カムイ(ふふっ、サラサラで気持ちがいい)

タクミ「はぁ、はぁ、はぁ……」

カムイ「ありがとうございます。タクミさんの顔をこれで覚えられました」

タクミ「もう、最悪だよ。将棋で負けるし、顔を触られるし、髪をまた束ねなくちゃいけないし……」

カムイ「私はとても満足です。タクミさんの顔とサラサラの髪を知れましたから」

タクミ「このままで終わると思わないでよ。必ず、あんたを負かせてやる!」

カムイ「いいえ、その約束はいいです」

タクミ「僕はお前に勝てないっていうのか?」

カムイ「いいえ、まだ、そんな約束を軽くできる状況ではないからですよ。タクミさんはそれをわかっていますよね?」

タクミ「……そうだったね。勝負と顔を触られたから動揺して忘れてた、あんたは暗夜の人間なんだよな」

カムイ「はい、それは変わらないことです。だから、そんな約束をつけないでください」

タクミ「その言い方だと……あんたは、暗夜に戻るって言ってるようにも聞こえる」

カムイ「そうですね、大きなことが起きない限り、私の心は変わらないと思います。その大きなことが起きた時に私が考えることを放棄したら……」

タクミ「………もういい、変なこと聞いたよ。……夜にはサクラとヒノカ姉さんが戻ってくる。準備をしといた方がいい」

カムイ「はい、そうします。長い時間引き止めてしまって、すみません」

タクミ「……じゃあね」

カムイ「………」

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 モズメ   C
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 リョウマ  C

今日はここまでになります。

◇◆◇◆◇
―白夜王国・シラザキ城・王の間―

リョウマ「来たか」

カムイ「はい、お待たせしましたか?」

リョウマ「少しくらいだな。まずは、中に入ろう」

カムイ「はい」

???「………!」

カムイ「えっと、こちらの方は?」

???「カムイ、カムイなのか?」

カムイ「……はい」

???「カムイ……やっと、やっと……」ダキッ

カムイ「え、えっと……」

???「カムイ、本当にカムイなんだな。私の妹の、このときを、どれだけ待っていたことか……うっ、うう」ギュウウウゥ

カムイ「え、えっと……い、痛いです」

???「ああ、すまない。その、感極まってしまったというか……ううっ、すまない。目の前にすると涙が止まらなくなる」

リョウマ「ヒノカ、あまりカムイを困らせてやるんじゃない。いきなり泣かれて、少し戸惑っている」

カムイ「この方が」

リョウマ「ああ、お前の姉だ。いつもはもっと凛々しいんだがな」

ヒノカ「すまない、取り乱してしまって……大きくなったんだなカムイ。またこうして手を握ることができるなんて、嘘みたいだ」

カムイ「……」

ヒノカ「カムイ?」

カムイ「すみません、私はあなたの妹なのかもしれないのですが、私にはまったく身に覚えがなくて、どう反応を返したらいいのか」

ヒノカ「……そうか、すまなかった。だがカムイ、お前が帰って来てくれて私はとてもうれしい、これは私の本心だ」

カムイ「はい、ありがとうございます……あと、そちらにいる方は?」

???「あっ……」

ヒノカ「サクラ」

サクラ「は、はい。サ、サクラといいます。その、お会いできてとてもうれしいです」

カムイ「サクラさんですね、初めましてカムイと言います。なんだか、すみません。遠征されていたのに、私のために戻ってきてもらって」

サクラ「いいえ、その、私、カムイ姉様のことを聞いたことがあったので、早くお会いしたくて、その……」

リョウマ「サクラにしては珍しいな。そんな風に積極的に自分の思ったことを口にするなんてな」

カムイ「ふふっ、わざわざそこまで考えてくれてありがとうございます」

サクラ「そ、そんなことないです///」

カムイ「サクラさんは、なんだかフワフワしてるイメージですね。可憐でなんだか癒されるようなイメージがあります」

サクラ「……あの、カムイお姉様」

カムイ「はい、どうかしましたか?」

サクラ「リョウマ兄様から聞きました、その……目が見えないと」

カムイ「はい、私は目が見えません。でも、気にしないでください。目が見えなくても全然大丈夫ですから」

ヒノカ「暗夜に攫われていなければ……。その目は何が原因で」

カムイ「訓練中に剣を避け切れなかったんです。顔にその時の傷が残ってると思います」

サクラ「カムイ姉様、すこしいいですか?」

カムイ「サクラさん?」

サクラ「………この傷ですよね……、顔にこんな傷、ひどいです」ピトッ

カムイ「ふふっ、そうかもしれませんね。でも、この傷はここまで私が生きてこられた証でもあるんですよ?」

サクラ「証……ですか?」

カムイ「はい、私には目が見えませんけど、多くの技術があります。それは目が見えていたら手に入れられなかった力ですから、たとえば、こうやって」ピトッ

サクラ「は、はわわっ、カムイ姉様!?」

カムイ「サクラさんのお顔に手を添えて調べさせてもらえるだけで、私はあなたの顔を知ることができるんです」

サクラ「……でも」

カムイ「悲しい顔をしないでください。可愛らしいサクラさんの顔が台無しになってしまいます。眼尻に涙をためて、泣き虫なんですね」

サクラ「だ、だって、カムイ姉様は……ずっと暗夜に捕らえられていて……」

カムイ「辛かったと思ってくれるんですか?」

ヒノカ「当たり前だ、生まれ故郷から見知らぬ地に連れてこられて、辛いわけがないだろう?」

カムイ「そうですね、辛いことがなかったと言ったら嘘になります。たしかに辛いことはありました、でもその分楽しいこともあった。それはどこにいても同じことなんじゃないかと私は思います」

ヒノカ「そ、それはそうだが……いや、すまないな。どうも、私自身まだ心が落ち着いていないみたいだ」

カムイ「いいえ、私の方こそすみません。ヒノカさんとサクラさんが私を大切にみてくれていることはわかりました。ただ、それにどう応えるべきか全くわからなくて」

ヒノカ「いいさ。これから、また一緒に暮らせるんだ。ゆっくりとでいい一緒の時間を重ねていこう」

サクラ「ヒノカ姉様……、私も、これからカムイ姉様と過ごせる日々がとても楽しみです」

短いですが、今日はここまでです

カムイ「あの、ヒノカさん。ひとつ、お願いしてもいいでしょうか?」

ヒノカ「ああっ、何でも言ってくれ。といっても、私にできることは限られているから、あまり難しいこととなるとな」

カムイ「いいえ、その、お顔に触れてもよろしいですか?」

ヒノカ「ああ、いいぞ。むしろ触って欲しい、お前に私の顔を覚えてもらえるならな」

カムイ「ありがとうございます。じゃあ……」ピタリッ

ヒノカ「んっ……気持ちがいいな」

カムイ「ヒノカさんの髪は結構短めなんですね。なんだか、頼れる人っていう感じがします」

ヒノカ「そう言ってもらえると嬉しい。いつかこんな日が来ることを信じていた、お前とこうして話し合える日を」

カムイ「……はい」

ヒノカ「この日が来ることを信じて、ずっと鍛え続けてきたことが結ばれたみたいだ。確かに、ここにお前が来れたことに私は何も関わってはいない。でも結果として、お前が帰ってきてくれたのなら、今日までの日々は無駄じゃなかった。素直にそう思える」

カムイ「……強いんですね、ヒノカさんは」

ヒノカ「私は強くなんてない、ただがむしゃらに進み続けて来ただけだ。それにリョウマ兄様の臣下、サイゾウとカゲロウの追撃を振り切り続けたカムイのほうが、私なんかより強いさ。私も、お前を守るためにまだまだ強くなる必要が出てきた」

カムイ「私は強くなんてありません。ただ……」

ヒノカ「ただ、なんなんだ?」

カムイ「いいえ、なんでもありません。忘れてください、ヒノカさん」

ヒノカ「そうか、いつか話せる時が来たなら話してほしい。私はお前の姉なんだ、だからいっぱい頼ってくれ」

カムイ「はい、いつか、その時が来たのなら……」

◇◆◇◆◇
―シラサギ城・城内の湖―

カムイ「………」

カムイ(リョウマさん、タクミさん。サクラさんにヒノカさん)

カムイ(みなさんは、私のことをずっと覚えていたんでしょうね。私が覚えていない頃にあったという、父が殺され私が攫われた日から……)

カムイ(どうして、そうまでして私を覚えているのでしょうか? 覚えている必要などないような人間であるはずの私を……)

カムイ「水の音が心地いい……、ここは静かでいい場所ですね」

カムイ(北の城塞で、一人になりたい時は夜風の音だけに身を任せることが多かったですけど、この土地にいる間は私はここにいたい。ここはなんだか、あの小さな場所に似ている気がする)

 ♪~~ ♪~~~

カムイ「……歌声?」

アクア「♪~……。夜は空気が澄んでいて歌いやすいわ」

カムイ「………誰かいるんですか?」

アクア「! あなた……」

カムイ「初めまして、私はカムイ」

アクア「そう、あなたがカムイ王女。暗夜王国の捕虜と聞いていたけど」

カムイ「形式的なものだそうです。そうでなかったらこう歩き回ることはできないでしょう」

アクア「それもそうね」

カムイ「………あの」

アクア「私の自己紹介が済んでなかったわね。私はアクア」

カムイ「アクアさんですね。あなたも白夜王国の王族の方なのですか?」

アクア「それは少し違うわね。私は王族でも元、しかも国の名前が違うわ」

カムイ「国の名前ですか?」

アクア「ええ、国の名前は暗夜王国」

カムイ「……ということは貴女は」

アクア「ええ、元は暗夜王国の人間ということになるわ」

カムイ「……よろしければ話を聞かせてくれませんか?」

アクア「話?」

カムイ「はい、あなたがなぜこちらに来ることになったのか、その理由です」

アクア「……正直、私が流れで話すことになると思っていたのに、先に手を打ってくるのね。なんだか、先回りされているみたいで面白いわ」

カムイ「そんなつもりはないんですが、個人的に聞いておきたいことなので」

アクア「始まりの発端くらいは察しが付いていると思うけど」

カムイ「そうですね、たぶん私が原因なのでしょう?」

アクア「……ええ、あなたが暗夜王国に攫われたことは白夜王国の耳にすぐに入ることになった。王とその子供を同時に失うことがどれほどのものかはわからないけれど、白夜王国はあなたを取り戻すために手を尽くした。けど、それらはことごとく失敗に終わった」

カムイ「………」

アクア「ただ、失敗したという形で終わるわけにはいかなかったのよ。攫いに行った者たちも、何も得られずに帰ることなんてできるわけもなかった。だから、目に見える形として私が白夜に連れ去られることになった。対の人質としてね」

カムイ「そうでしたか……」

アクア「勘違いしないでほしいことがあるけど、私は酷い生活を送ってきたわけじゃない。むしろ、その逆だったわ。この国の人たちは私に優しくしてくれた、ミコト女王は私のことを自分の娘みたいに愛してくれたから。正直にいえば、私は暗夜にいた時より、幸せな生活を送れた」

カムイ「そうですか、私は暗夜の生活に関して特に言うことがありません。辛いことも楽しいことも平等にあったと思えますから」

アクア「………正直気を悪くしないでほしいのだけど、あなたの記憶はいじられてると思うわ」

カムイ「でしょうね……。正直、それは認めないといけないかもしれません。ここまで向けられてきた視線と私への態度はすべて本物で、わざわざ大がかりに嘘を作る必要もないことばかりですから」

アクア「なら、どうするの」

カムイ「さぁ、どうしましょうか?」

アクア「はぁ、ここで決めてはくれないのね」

カムイ「はい、それにこういうのは誰かに言うものでもないでしょう?」

アクア「………それもそうね。でも、信頼できる人がいるなら、言うべきかもしれないわ。一人でもそういう人はいるかしら?」

カムイ「……いませんね」

アクア「暗夜に兄妹は?」

カムイ「います。いますが……私の本心まですべてを曝け出せる相手はいません」

アクア「カムイ……あなたは」

カムイ「すみません。アクアさんの望む答えを私はまだ持ち合わせていないみたいです」

アクア「…………そう、ならいつか聞かせてもらえるのかしら?」

カムイ「そうですね、アクアさんの言う信頼できる人に、あなたがなれたらですかね?」

アクア「……タクミの言うとおり。なんだか気に触る人だわ。あなた」

カムイ「ありがとうございます」

アクア「褒めてないわ」

カムイ「怒られてしまいました。でも、アクアさん。あなたの言っていることは正しいことですよ。私は言葉を濁して答えを先延ばしにしているだけなのかもしれません。本当は、信頼できる人ができたとしても、口に出すことがないのかもしれない」

アクア「……それでいいと?」

カムイ「わかりません、私には何もありませんから……」

今日も短いですが、ここまでです。

アクア「何もないわけじゃないでしょ? 何もないなら、考えたり悩んだりなんてしないわ。あなたはちゃんと考えてる、だから私の質問に対して答えが出せない、ちがうかしら?」

カムイ「……はぁ、アクアさんは意外に意地悪な人なんですね」

アクア「会った瞬間から煽りを入れてくる人に言われたくないわ。それで、私の推測は当たっているのかしら?」

カムイ「答えは出しませんよ。答えが聞きたかったら……」

アクア「信頼を勝ち取りなさいって言いたいようだけど、あなた、私を信頼する気なんて今はないんでしょう? それじゃ永遠に答えを聞けないじゃない」

カムイ「そうですね、でも入口はありますよ?」

アクア「入口?」

カムイ「はい、ちょっと顔を貸していただければ」

アクア「……殴り合いかしら? 私としては平和的に信頼を得たいところなんだけど……」

カムイ「殴り合いで信頼が生まれるんですか、すごく興味深い話ですね。相手の弱点を理解することで、お互いの理解が深まる、そういうことですか?」

アクア「え、顔を貸すってそういう意味じゃないの?」

カムイ「いいえ、顔をそのままこちらに貸してくれませんかという意味ですが……」

アクア「……具体的に何がしたいのかしら?」

カムイ「具体的に言うと、アクアさんの顔を触らせてくれませんか?」

アクア「最初からそう言ってくれれば変な誤解はしなかったんだけど」

カムイ「すみません、言葉が足りなかったみたいです。では改めて、顔を触らせてもらってもいいですか?」

アクア「………」

カムイ「………」

アクア「はぁ、仕方無いわね。少しだけよ」

カムイ「はい、ありがとうございます……とても長い髪なんですね」

アクア「ええ、あなたも長いわね、私よりは短いけど」

カムイ「この頃はあまり切ることができなかったので、伸び本題ですね。暗夜にいた時は定期的に切ってもらっていました」

アクア「そう……っ、眼尻も触るのね」

カムイ「アクアさんの顔を覚えるためです。他意はありません」

アクア「それにしては、時々眼尻とは違う方角に指が動くことがあるけど?」

カムイ「………気のせいです」

アクア「あなたの髪、ミコト女王と同じ色なのね」

カムイ「アクアさんの髪は何色なんですか?

アクア「透明感のある青と言えばいいかしらね。母親と同じ髪の色だから、あなたと同じよ」

カムイ「同じですか?」

アクア「そう、同じ。私は暗夜から白夜へ、あなたは白夜から暗夜へ。私たちはまるで鏡映しのように入れ替わってしまっているもの」

カムイ「変なものですね。本来は出会うこともなかったんでしょうね」

アクア「だから、私とあなたが出会ったことには意味がある、私はそう思っているわ」

カムイ「アクアさんはどこかロマンチストなんですね。そんなこと考えたこともありませんでした」

アクア「私は白夜が好きよ。このミコト女王の平和を愛する心に共感していることもあるし、なによりここは私にとって家族と言える人が住まう場所だから」

カムイ「……そうですか」

アクア「あなたは暗夜に戻るつもりなのよね」

カムイ「いずれはそうなるでしょう」

アクア「白夜にいるつもりはないの?」

カムイ「私が白夜にいることは、たぶん間違っているんです。考えてみれば、そうだとだれもが気付くはずです」

アクア「その心は変わらないの?」

カムイ「……今のままなら変わることはありません」

アクア「そう、それで、私の顔の形は覚えられたかしら?」

カムイ「はい、すみません。長い間、触り続けてしまって」

アクア「別に構わないわ。あなたに少しだけでも信頼されるならね」

カムイ「まだ入り口ですよ?」

アクア「入口でも構わないわ。だけど、気を付けたほうがいいわ」

カムイ「何をですか?」

アクア「あなたは考え続けてきた人のようだから、ここに来てあなたが意識を向けなければならない事柄が唐突に増えたと思う。あなたから見て、出会うはずのなかった事象さえあるのかもしれない」

カムイ「………」

アクア「あなたはここまで考え続けてきた人だから、もしも、考えることをやめてしまったら……」

カムイ「……」

アクア「あなたは流されるだけの人になってしまう気がする。今日、今ここにいるあなたは多分、どこにたどり着くこともなく、ただ流され朽ちていくことになるんじゃないかって、私は思っているわ」


カムイ「心配してくれているんですか?」

アクア「ええ、初対面だけど心配したくなるような人なのよ、あなたは」

カムイ「なんだか、不思議な感覚です。ご忠告は心に受け止めておきますね」

アクア「そうしてもらえると助かるわ……。でも、私は助言ができるだけだから、決めるのはあなたよ」

カムイ「はい」

アクア「こういうところは素直ね。拍子抜けというか……、いえ、今回はわかっているからすぐに答えを出せただけでしょうけど……」

カムイ「ところで、アクアさん。私の部屋まで送っていただけませんか?」

アクア「道くらいわかるでしょう? ここまで歩いてこれたんだから」

カムイ「夜道は中々怖いものですから、それにアクアさんと少し一緒に歩きたい気分なんです」

アクア「良い誘い文句だけど、残念だけど私は女よ?」

カムイ「私も女ですから、私の部屋まで連れて行ってもらっていいですか?」

アクア「わかったわ。それじゃ、手を握って頂戴」

カムイ「はい」

◇◆◇◆◇
―王の間―

カムイ「ここに呼ばれるのも、結構な回数になりましたね」

モズメ「ほんまやなぁ。今さらなんやけど、あたい、こんなところにいてええんやろか?」

カムイ「いいんですよ。モズメさんは私の従者なんですから、それにいやなら断ってくれてもよかったんですよ?」

モズメ「ううん、あたしにはもう何も残ってへんからな。カムイ様に命救われた時から、あたいはカムイ様に付いて行くしかないんよ」

カムイ「ありがとうございます、それじゃ中に入りましょう」

カムイ(今日はなんだか空気が違いますね。ミコトさんに呼ばれたのは何回かありますが、これほどまでに王の間に人がいないのも珍しいですね。リョウマさんも、ヒノカさんもいませんし。衛兵の方たちの気配もありません……)

ミコト「カムイ、それにモズメさんですね。城の生活にはもう慣れましたか?」

カムイ「はい。今日はいつもの皆さんがいないみたいですね」

モズメ「そうやね、リョウマ様もおらんのは珍しいことや」

ミコト「少し用事があるんですよ。少ししたら来てくれます」

カムイ「そうですか。それで、ミコトさん、私にどういった御用なんでしょうか?」

ミコト「私の横にあるものはわかりますか?」

カムイ「気配だけです。大きなものみたいですけど」

ミコト「これは、白夜王国の玉座です。これには古の神である神祖竜の加護が宿っているものなんです」

モズメ「えらい大きな、椅子やね」

ミコト「ええ、私ではみたところ抱えられてるようにも見えてしまうかもしれません」

カムイ「その玉座が、なにか?」

ミコト「いきなり急なことなんですが、カムイ。これに座ってみませんか?」

カムイ「玉座にですか?」

ミコト「はい、この玉座には先ほど言った加護が宿っています。この玉座に座った者は真の姿を取り戻すと言われているのです」

カムイ「………つまり、ミコトさんは私が何かしらの術にかけられているから、記憶を持っていないと考えているわけですね」

ミコト「そ、そんなことは……いえ、ごめんなさい、その通りです・覚えていない理由が何かしらの術なら、私はそれを解きほぐしてあげたい、だから……」

カムイ「そうですね、私はたぶん記憶をいじられていると思います」

ミコト「なら、座ってくれるのですね?」

カムイ「いえ、残念ですが。私はその玉座に座るつもりは、今はありません」

ミコト「今は……ということですか?」

カムイ「はい、少しの間だけ私に時間をくれませんか。まだ色々と整理がついていないことが多くて、これ以上のことを考えるのが少し辛いんです」

ミコト「はい、わかりました。私はカムイの味方ですから。その気持ちが固まったときにここに座ってくれるなら」

カムイ「もう少しだけ待たせることを許してください」

カムイ(私に弄られた記憶があることは間違いないです。でも、今それを知ったら私の頭は止まる寸前まで行ってしまう気がする。もしも止まってしまったら、私は……)

リョウマ「カムイ、悩むことはない。母上は待ってくださるんだ、あとはお前が踏ん切りをつけられるようになればいい」

カムイ「リョウマさん」

リョウマ「ふっ、母上。準備の方は大方整いました。ただ、もう少し時間が必要かもしれません」

ミコト「そうですか、仕方ありません。今日は記念すべき日になりますから、準備はきちんと行いましょう。準備している方々には無理をされないように伝えてあげてください」

リョウマ「わかった。カムイ、もう少し時間に余裕があるみたいだから、のんびりしているといい。俺は、まだやることがあるから、これでな」

ミコト「リョウマの言っていた通りです。まだ時間がありますから、少し経ってからまた来てください」

カムイ「はい、わかりました。それでは、失礼しますね」

ミコト「ええ、また会いましょう」

ミコト「………やはり辛いものですね。我が子から母という言葉を貰えないというのは……」

ミコト「でも、カムイはいつかここに座ってくれると約束してくれた。私のいる目の前で、いつかこれに座ってくれるって……」

ミコト「……浅ましい、私は浅ましいのですね。我が子から母と呼ばれたいが故に、こうして我慢できずに話を持ちかけてしまうのですから……」

ミコト(もしも、あんなことが起きなければ、私の腕にはまだ、カムイのぬくもりが残っていたのでしょうか……)

ミコト「カムイ、私は……あなたに母親らしいことをすることができるのでしょうか? 何もかも忘れてしまっているあなたに、私は……」

第四章 前編おわり

現在の支援レベル

 スズカゼ  C
 リンカ   C+
 ジョーカー C
 ギュンター C
 サイラス  C+
 リリス   C+
 カゲロウ  C
 モズメ   C
 タクミ   D+
 リョウマ  C
 ヒノカ   C
 サクラ   C
 アクア   C

今日はここまでになります。
 
 安価です。
 次回の最初、空いた時間に話しかける人物、この中からでお願いします。

 
 スズカゼ  
 リンカ

 リョウマ   
 カゲロウ
 サイゾウ  
 タクミ
 ヒナタ

 オボロ  
 ヒノカ   
 サクラ   
 アクア   
 ミコト

 モズメ

>>215

乙です。
安価はミコト

カムイ「モズメさんはどうしますか?」

モズメ「あたいは部屋で休ませてもらうわ。カムイ様はどないすん?」

カムイ「もう一度ミコトさんに会ってこようと思います。少し話してみたいことがあったので」

モズメ「わかったわ。あたいも少ししたら王の間に行くから」

カムイ「はい、それではまた……」

◇◆◇◆◇

カムイ(……しかし、あのあとだというのにすぐに来て良いものなのでしょうか? 少し考えさせてほしいといった手前、こうしてすぐに足を運ぶというのは……)

カムイ「悩んでいても仕方ないですね。時間は限られているんですから」

 コンコン

ミコト「………誰ですか?」

カムイ「ミコトさん、私です」

ミコト「カムイ? まだ部屋で休んでいてもいいのですよ?」

カムイ「いえ、特にやることもなかったので準備が済むまでの間、ミコトさんと話ができたらと思いまして……ダメでしょうか?」

ミコト「ふふっ、断るわけないじゃないですか。むしろ、うれしいです。さぁ、中に入ってきて」

カムイ「はい、失礼します」

ミコト「ふふっ、正直時間になるまではここに来てくれないと思ってましたから、なんだか嬉しいものですね」

カムイ「そう思っていただけるとわたしもうれしいですよ」

ミコト「ええ、それで話というのはなんでしょうか?」

カムイ「はい、ミコトさんは私のお母様なんですよね?」

ミコト「そうですよ、記憶を持たないあなたには信じることが難しい話かもしれませんが」

カムイ「すみません」

ミコト「いいんですよ、それで聞きたいことというのは?」

カムイ「この白夜にいたころの私についてお尋ねしたかったんです。私は確かにここに住んでいた記憶を持っていませんけど、ミコトさんにはその頃の思い出はあるんですよね?」

ミコト「ええ、ありますよ。カムイと過ごしてきた日々は、死ぬまで忘れられない私の宝物ですから」

カムイ「その宝物を、少し私に分けてもらってもいいですか?」

ミコト「ええ、でも、この思い出があなたの重荷になるかもしれない」

カムイ「私が決めたことですから、ミコトさんが気に病むことはありません。それに聞いてみたいんです。私の知らない私の話を」

ミコト「カムイ……」ダキッ

カムイ「ミコトさん?」

ミコト「カムイ、そんなことを言わないで。あなたはただ忘れているだけ、だから知らないわけじゃないの」

カムイ「ですが、私は……」

ミコト「言っていたじゃないですか、記憶をいじられているかもしれないと。なら、それは知らないわけじゃない、ただ忘れているだけだから。お願い、カムイから私の記憶を奪わないで」

カムイ「ミコトさん……」

ミコト「わかっています、あなたからすれば無茶苦茶なことを言っていることは。でも、私とあなたをまだ繋いでいるかもしれない思い出を、あなたの口から否定するようなことだけは、言わないで」

カムイ「……」

ミコト「おねがい……」

カムイ「すみません、私はミコトさんに話を聞きたかっただけなのに……」

ミコト「ごめんなさい。こんな風にお願いしてしまって、いきなりこんなことを言われても困るだけですよね」

カムイ「いいえ、その約束はちゃんと守ります。私はそれを思い出すまでは、一方的に否定したりしません」

ミコト「カムイ……、私が母親なのに慰められてばっかりですね」

カムイ「その言い方だと、ミコトさんは大きな子供みたいです。私のほうがまだ年も若いんですよ?」

ミコト「いいんです……。あのカムイ、一つお願いしてもいいですか?」

カムイ「なんですか?」

ミコト「膝枕をさせてもらえませんか?」

カムイ「私がミコトさんにされる側でいいんですか? 私がする側でもいいですけど」

ミコト「ふふっ、少しは母親らしいことさせてください。さっきまで、そのことで悩んでいたんですから」

カムイ「わかりました。よいしょ、これでいいですか?」ポフッ

ミコト「はい。ふふっ、あのころから比べてやっぱり重くなりましたね。髪もこんなに伸びて、走りまわってた頃からは想像できません」

カムイ「ミコトさん、昔の私は今の私とどう違うんですか?」

ミコト「そうですね、数えれば切りがないくらいです。今度、時間があったらゆっくりお話しましょう。なんだか、楽しみになってきました」

カムイ「はい、ふあああ、すみません」

ミコト「ふふっ、少し疲れているのですか?」

カムイ「……そうかもしれません、ちょっとこの頃考えることが多かったので」

ミコト「なら、少し休んで。まだリョウマの準備も終わっていないみたいですから、誰かが来たら起こしてあげますよ」

カムイ「ですが………」

ミコト「……」

カムイ「そうですね、では甘えさせてもらいます」

ミコト「はい、お休みなさいカムイ」

カムイ「はい、お休みなさい、ミコトさん。……すぅ……すぅ」

ミコト「……寝顔は昔のままですね。ねぇ、カムイ。本当はあなたが描いた似顔絵とか、文字の練習を見ながら静かに過ごしたかったんですよ」

ミコト「あなたがいなかった間に起きたこととか、それも全部くるめて、あなたと一緒に再び暮らせることをずっと待っていたんですよ」

カムイ「……んん……」

ミコト「ふふっ、母として接することばかりに気を向けていて触れかたを恐れていたのは私だったのかもしれませんね」

ミコト「あなたが私を覚えているのかは重要じゃないんですね。あなたと話をしたくて、あなたと心を通わせたくて、その思いの結果としてあなたと深い絆を作ることができたなら、それは確かな絆に違いないんですから」

ミコト「カムイ、愛しい私の子。戻って来てくれてありがとう……」

◇◆◇◆◇
―白夜王国・王都入り口付近―

リリス「どうにかここまで来れましたね」

サイラス「ああっ、しかし、鎧じゃくてこのみすぼらしい行商人の恰好がに会うことになるなんて思わなかったよ」

リリス「でも、どこを見ても多くの人がいますね。何か催し物でもあるんでしょうか?」

サイラス「人の流れを見る限りだと、どうやら中心地に向かってるみたいだからな。もしかしたらそこに、カムイがいるかもしれない」

リリス「だといいんですけど、でもここまで来てなんですけど、これって立派な不法入国ですよね……」

サイラス「そんなことどうでもいいさ。まずはカムイの無事を確かめることの方が先だ」

リリス「カムイ様は無事なんでしょうか?」

サイラス「無事かはわからないけど、白夜王国の状況を見る限り、ここは大っぴらに処刑などを行う国には思えないから、この人だかりが公開処刑とかじゃないとは思う」

リリス「そうですね、白夜王国はなんだか穏やかな雰囲気がありますから」

サイラス「さぁ、広場までまずは向かわないと」

リリス「それにしてもほんとにすごい人ですね。あの、すみません」

町人「ん、なんだい?」

リリス「すみません、旅をしてきたもので、これは一体何があるんですか?」

町人「ああ、王女様が見つかったという話でな。やっと外に出られるようになったらしく、これから皆に紹介されるそうなのだ」

サイラス「見つかった? 生まれたではなくて?」

町人「ああ、王女様はその昔暗夜王国に攫われてな、それは恐ろしい事件だった。当時の王、スメラギも凶刃に倒れたこともあって、多くの人々が悲しみに明け暮れたものだ。それも、ここにきて一つの区切りが来たというわけだ」

サイラス(暗夜に攫われた白夜の要人? そんな話は聞いたことないぞ……。いや、当然か、俺みたいな一兵、当時から考えれば一般の民衆の耳に入るはずもない情報だろうし)

リリス「かわいそうです」

町人「ああ、全くじゃ。しかも無事に帰ってきたというわけじゃないらしい」

サイラス「というと?」

町人「話によると、その王女は光を失っておると……」

サイラス「!!!!! すまない、その王女の名前は何と言うんだ?」

町人「たしか、カムイと」

リリス「あ、あの。皆さん、今広場に向かっていますけど、もしかして……」

町人「お譲ちゃん、察しがいいね。広場でそろそろ催し物が始まることになっているんだ。見に行くには遅かったな、もう人だかりで眼前で拝むのは難しいことさ」

サイラス「おじさん、たすかったよ。リリス行くぞ」

リリス「はい! おじさん、ありがとうございます」

サイラス「他人だと思うか?」

リリス「いいえ、そうは思えません」

サイラス「俺もだ。まったく、カムイは本当に不思議な奴で困るよ。とりあえず、まずは姿を確認する方が先決だ」

リリス「はい………あれ?」

サイラス「どうした?」

リリス「あれって広場の方角ですよね?」

サイラス「……あれは―――」

今日はここまでです

◇◆◇◆◇
~数分前~
―白夜王国・炎の広場―

 ミコトサマー! ミコトジョウオウサマー!

カムイ「すごいですね……声だけでもわかります。ミコトさんが多くの人に慕われているのが」

リョウマ「ああ、母上の平和を願う心を多くの人々は理解している。俺もいずれは母上のような、人から信頼される人間になりたいものさ」

カムイ「リョウマさんなら大丈夫ですよ。ここに来るまでの間、多くの人に声をかけられていたじゃないですか」

リョウマ「ふっ、お前にそう言ってもらえるなら安心だな」

カムイ「それで、私がここに連れてこられたわけというのは?」

リョウマ「ああ、お前が帰ってきたことは多くの民が耳にしていることだ。しかし、その姿を確認できているのはごく一部にすぎない」

カムイ「ちゃんとした形で、私が帰ってきたことを示したい……そういうわけですね」

リョウマ「そうだ。お前が帰ってきてくれたことは今の白夜王国にとって良い知らせに他ならない」

リョウマ「それにこれは暗夜に対する抑止力になると同時に、平和へとつなぐための足掛かりになると母上は言っていた」

カムイ「私がですか?」

リョウマ「ああ、ただそのやり方だが、俺には皆目見当がつかない。母上には母上の考えがあるのだとは思うが、大規模な争いが始まらないようにするためにいろいろ考えているに違いない」

カムイ「ミコトさんからは、お父様とは正反対の物を感じていましたから、そう考えて間違いないですよ。あの人はとても優しい人ですから」

リョウマ「ああ」

ミコト「カムイ、こちらへ来てくれますか?」

リョウマ「さぁ、母上がお呼びだ。行ってくるといい、皆にお前の姿を見せてやってくれ」

カムイ「はい、では失礼しますねリョウマさん」



リョウマ「ここまでは順調だ、何も起きなければいいのだが」

カゲロウ「リョウマ様、緊急の用件が」

リョウマ「カゲロウか、何があった?」

カゲロウ「はい、サイゾウから城の保管庫に何者かが侵入したようだと、死者も出ています」

リョウマ「なんだと!?」

カゲロウ「現在確認したところ、カムイ様の所持品の剣が無くなっているそうです。それと死者は警備の者ですが……」

リョウマ「どうした?」

カゲロウ「信じたくはない話ですが、真正面から切り伏せられていたそうです。避けた形跡もなく、真正面からです。最悪、この国の者の中にこの狼藉を働いた者が迷い込んでいるかもしれません」

リョウマ「サイゾウは?」

カゲロウ「すでに周囲の監視を始めています。城内の探索はスズカゼが担当しています。後に合流する予定でありましたヒノカ様たちにもこの話は耳に入れてありますので、すでに戦闘の可能性を考えていると思います……」

リョウマ「すでに、この広場に入り込んでいる……」

カゲロウ「リョウマ様」

リョウマ「……狙いは明確か、俺はカムイと母上の元にいよう。カゲロウもできる限りでいい、周囲の監視を始めるんだ!」ダッ

ミコト「カムイ、私はあなたの知っている暗夜の方々と友好的な関係が築けたならと思っています。そのために私はあなたの望むことをしてあげたいのです」

カムイ「私の望むことですか?」

ミコト「ええ、あなたが暗夜に戻りたいというなら止めることもありません。昔の時間は思い出すことがあっても作り上げることはできませんから、私は少し昔にこだわり過ぎていたんです」

カムイ「ミコトさん」

ミコト「でも、それは間違いでした。昔ばかりを見ていても前には進めません、だから皆さんにあなたを紹介させてください。そしてその時に、あなたの望みを母に聞かせてください。私のできる唯一のことは、あなたの選択の後押しをしてあげることなんですから」

カムイ「……はい、ありがとうございます」

ミコト「気にしないでいいの。必ず、あなたの選択を私は受け止めてあげます」




ミコト「みんな今日は急な話なのに、集まってくれてありがとう。今日は、みんなに改めて紹介したい人がいます」

???「………」ザッ

ミコト「さぁ、カムイ。皆さんに……」

カムイ「はい……?」

???「………」スッ

カムイ(これは……明確な殺意!? あの人ごみの中に、何かがいる!)

カムイ「みなさん、そこから離れて!」

???「………」ニヤッ

 ザシュッ グォォオオオオオン バシュウウウウゥゥゥゥン!!

 ウワァァァァァァァ!!!!

カムイ(何かが浮遊している? これは私をそれとも……)

???「……」ブンッ

 ヒュヒュヒュヒュン

カムイ「ミコトさん、伏せて!」ガバッ

ミコト「か、カムイ!」ドサッ


カムイ「ミコトさん、大丈夫ですか?」

ミコト「は、はい。カムイのおかげで……。こんな、こんなむごいことを……」

カムイ(血の匂いがひどい。動かない人はもう駄目ですね、それよりも、あれは一体? 気配はあるようですけど、なんでしょうか、この感じは)

ミコト「地面が抉れています。リョウマたちと合流出来そうにありません」

カムイ「仕方ありません、私が敵を引き付けている間にミコトさんは、逃げてください」

ミコト「な、何を言っているんですか。一緒に、逃げましょう」

カムイ「ミコトさん、私の選択を後押ししてくれると約束してくれましたよね」

ミコト「それは―――」

カムイ「今がその時です。ミコトさん、早く逃げてください。だれだかわかりませんが、私が相手になります。てやぁ!」

???「………」キンッ

カムイ(くっ、純粋に強い……、ですが相手が一人なら……)

 シュオオォォォ 

カムイ(しまった、魔法を使う伏兵が!?)

 ガギン!

カムイ(ぐっ、右腕にあたって、うまく力が入らない………)

???「……」

 ブンッ バシュッ!

カムイ「ああああああああっ!!!!」

カムイ(……膝を。これではもう素早く動けません、剣もうまく扱えず、敵は複数……八方ふさがりですね)

ミコト「カムイ!」

カムイ「来ないでください! そのままリョウマさんたちと放流してください! 私は大丈夫ですから――」

ミコト「そんなわけありません。カムイ、早くこちらへ、今ならまだ逃げきれるはずです」

カムイ「無理です、私のことは捨て置いてく―――」
 
 ドゴン!

カムイ「かはぁ……」ドサッ

カムイ(しまった。吹き飛ばされて、壁に追いつめられるなんて………。ふふっ、私の力ではこの者たちには勝てない……。わかってはいますけど少し悔しいですね)

???「………」スタスタスタ

カムイ(もう、眼の前に来てしまったんですね。私は剣も振れない、満足に動くこともできない……殺されるのを待つしかない」

???「………」チャキ

カムイ(……でも、これで、ミコトさんが生き残ってくれるなら、私の命は―――)






 ズシャ






 ドサリ――――



カムイ(顔に暖かい何かが掛っている……)

 ヒュー ヒュー

カムイ(これは、私の呼吸の音? でも、違う。私の膝の上に誰かがいる感触、その何かの呼吸?)

 カ……イ カム……イ

カムイ(この声は、ミコトさん?)ピトッ

 ヒュー ヒュー

カムイ(とても弱弱しい呼吸音……)

カムイ(この暖かい水は? 血の匂いが…… ミコトさんの呼吸が…… あなたの声はなんで掠れているんですか?)

 ヤク……ヤクソク… ヒュー …マモ……レナイ……カアサン……デ ヒュー ゴメン……ネ

 ヒタリ

カムイ(ミコトさんの手のひらの感触……がする。もしかして、すべて終わったんですか?)

 ヒュー ヒュー ヒュッ ―――

カムイ「ミコトさん……。無事ですか……」

ミコト「…………」クタリ

カムイ「ミコトさん……」ピタリ

 ペタペタ

カムイ(頭……)

 ペタペタ 

カムイ(唇……)

 ペタペタ

カムイ(顎先……)

 ペタペタ

 ペタペタ









 グチャリ







カムイ(……………)



 グチャリ……グチャリ




カムイ(なんで……首に大きな傷があるんですか?)

カムイ「ミコトさ―――」

 ドスッ

???「……」

カムイ「あ……こふっ」

カムイ(体が冷たい……。私はここで死ぬ。ミコトさんを殺した奴を目の前にしながら、何もできずに死んで行く?)

 ドクンッ

カムイ(………)

 ドクンッ

カムイ(許さない)

 ドクンッ ドクンッ

カムイ(殺してやりたい。殺してやりたい、八つ裂きにしてやりたい。顔を、体を、いや、お前という存在がただの肉片になるまで)

 ドクンドクンドクンッ

カムイ(殺しきってやる)

カムイ(今だけ光がほしい……八つ裂きにするために光が……)

カムイ「うあああああああああああああああああ!!!!!」

???「………」チャキ ブン




 グシャ



???「……くごっ、くごごごごぉ……おごっあが」

 プラーン

カムイ・竜人「……見えますよ。あなたの口に私の手が入っているのが。苦しそうですね……手で開きにしてあげますね」

 バチュ バキュバキ ビチャビチャ

 ブンブンッ ポイッ ズビチャ……

カムイ・竜人「足りない、タリナイ。まだ、全然足りない。これじゃ……足りない……」

???「……」スチャ チャキ



「お前ら全員……ミナゴロシダ」

◇◆◇◆◇

リョウマ「くそ、母上とカムイは?」

サクラ「駄目です。広場の入り口が崩れていて、この先にいると思うんですけど、これじゃたどり着けません」

アクア「どうなっているかわからないんじゃ、どうしようもないわ。どうにかして向かわないと」

 バサバサバサ

ヒノカ「すまない、遅くなった。私の天馬が先行する」

アクア「ヒノカ、私を連れて行ってくれる? カムイ王女の様子が気になるわ」

ヒノカ「ああ、わかった。もう一度往復するから、リョウマ兄様は少しだけ待っていてほしい」

リョウマ「ああ、わかっている。それとアクア、気を抜くな。どこの手のものかわからないが、全く気付かれずにここまでのことをしたんだ、確実に手ごわい」

アクア「ええ、わかっているわ。ヒノカ?」

ヒノカ「ああ、行くぞ!」




ヒノカ「くっ、ひどい」

アクア「あそこで何かあったみたいね。残念だけど、あの付近にいた人たちは……」

ヒノカ「くそ、カムイに母様は!?」

アクア「……あれ、ヒノカ!」

ヒノカ「見つけたのか?」

アクア「崩れた竜の像の陰に、何かいるわ」

ヒノカ「あれは、母様の……!」

アクア「………」

ヒノカ「……そ、そんな……母様……」

アクア「……残念だけど」

ヒノカ「くそ、なんで、なんでこんなことに! 私たちが何をしたというんだ!」

アクア「カムイ王女は?」

ヒノカ「くっ、カムイは? 母様だけでなく、カムイまでなんてことは信じたくないんだ。頼む……」

アクア「これは、血の跡。この先の道に続いているみたいだけど」

ヒノカ「くっ、すぐにこの跡を……」

アクア「いいえ、それよりも先にリョウマを連れて来たほうがいいわ。このままじゃ、ミコト女王が可哀そうよ……」

ヒノカ「あ、ああ、わかった」

アクア「私はこの跡を追うわ。大丈夫、無理はしないから、すぐに追いかけて来て」

ヒノカ「……わかった、すぐに追いかけるから任せたぞ!」

アクア「この血の先に、カムイがいるの?」

???「ようやく、広場にたどり着いたみたいだな。黒い煙が見えた時から覚悟してたが、予想以上にひどい有様だな」

アクア「誰!?」

サイラス「ん、生存者か。そっちの倒れている人は」

リリス「すぐに手当てを……っ!」

アクア「……残念だけど」

リリス「そんな……」

アクア「それより、あなたたちは一般人でしょ? 早くここを離れたほうがいいわ」

サイラス「いや、そうもいかない。ここには大切な幼馴染がいるかもしれないんだ。無事を確かめるまで、帰るつもりはない」

アクア「もしも、この広場に来ていたのだとしたら絶望的よ。最初の爆発で多くが命を落としてしまったから」

サイラス「……そうか」

アクア「そういうことよ。後々、身元の確認が行われるはずだから。あなたたちはここから反転して、避難場所に行くといいわ」

サイラス「あんたはどうするんだ?」

アクア「私はやることがあるから、この先に進むわ」

サイラス「なら、それに同行させてもらうよ。ここは危険だ、護衛はいたほうがいいだろ?」

アクア「あのね……」

サイラス「それに馬っていう脚もある。すぐに行きたい場所まで行けるはずだ」

アクア「……、なんでそこまでするのかしら?」

サイラス「俺はその幼馴染に命を救われた。そして、前にも同じように救われた。もらった恩を返さないままは嫌なだけ、ただそれだけだよ」

リリス「私も同じです。きっと、生きていてくれると信じているんです」

アクア「あなたたち……いいえ、なんでもないわ。じゃあ、その流れに私も混ぜてくれないかしら? 私が探している人のことを、私は知りたいとおもっているの。この前、やっと入り口に立てたばかりだから、ここでそれが終わるのは面白くないもの」

サイラス「なら決まりだな。俺はサイラス」

リリス「リリスと言います」

アクア「アクアよ」

サイラス「よし、リリス。アクアを頼んだ。一気に走り抜けるぞ!」

リリス「はい! アクアさん、私に掴まってくださいね」

アクア「ええ、わかったわ」

サイラス「それじゃ、行くぞ!」




サイラス「よし、どうやら追いついたみたいだ……って、なんだあれ?」

カムイ・竜人「グオオオオオオオ」

???「………」

カムイ(モットハヤクウゴケルカラダガホシイ、コロシツヅケルコトノデキルカラダガ、イノチヲツミトルカラダガホシイ、ホシイホシイホシイホシイホシイ)

カムイ「ウギャアアアアアアアアアア」

 ズオオオオオオ!!!! バサバサ 

竜「グオオオオオオオオオオオオオン!」

サイラス「おいおい、何がどうなってんだ!?」

アクア「……カムイ」

サイラス「あれが、カムイなのか?」

リリス「カムイ様……」




タクミ「なんなんだよ、あれは」

オボロ「ど、どうします? 敵なのか味方なのかわかりませんけど」

ヒナタ「ただ、まっすぐ戦ったら負ける気しかしない相手だよな。一応、なんかよく見えない兵を殺しまくってるみたいだけど」

タクミ「くそ、ただ今さっきまでの服装を見た限りだと、あいつだってことは間違いないはずだ」

オボロ「どうします?」

タクミ「くそ、竜は撃つな。竜を囲んでいる気配を打て、少しでも当てたらこっちに飛んでくるって思ったほうがいい」

オボロ「わかりました、タクミ様」

タクミ「………くそっ、なんでこんな配慮してやらないといけないんだ!」

アクア「ねぇ、サイラス」

サイラス「あ、ああ。すまない、突然のことで意識が飛んでいた」

アクア「ひとつ頼まれてくれないかしら?」

サイラス「頼まれる? 何を」

アクア「私をあの竜の前まで連れて行ってくれないかしら?」

サイラス「正気か? どう見ても今近づくのは間違ってる。見たところかなり興奮しているようだし……」

アクア「だめ、今すぐにでも止めないと。カムイはすべてを殺すために動き始めてしまうわ」

リリス「私もそう思います。今のカムイ様からは、優しいものがありません。見ているだけでわかるんです、あれはただ振り回されているだけだって」

サイラス「………」

アクア「あなたの幼馴染に対する思い入れは、その程度なの?」

サイラス「嗾けるのがアクアは上手いんだな。そう言われたらやらないわけにはいかないな」

アクア「感謝するわ。タクミ!」

タクミ「アクア姉さん!?」

アクア「周りの奴らをできる限り、あなたへと引きつけて!」

タクミ「どういうことか説明してくれないと」

アクア「説明する暇はないわ。とにかくやりなさい!」

タクミ「……ああっ、くそっ!」

オボロ(なんだかんだで、タクミ様って)

ヒナタ(アクア様にはまったく頭が上がらないよな~)

タクミ「全員、気配を誘導する。できる限り竜の周りから、あいつらを引き離せ!」


サイラス「よし、場は出来始めたみたいだ。アクア覚悟はできているんだな?」

アクア「ええ、すぐにでも発進してもいいわ」

リリス「アクアさん、頑張ってください」

アクア「……ええ、まかせて」

サイラス「よし、カムイがあと一人倒せば……」

竜「グギャアアアアアア!」ズブシャ

サイラス「行くぞ!」

アクア「!!!!」

アクア(流石に大きく揺れるわね。馬に乗ったことなんてあまりなかったから体の負担が……)

サイラス「よし、このまま懐に入るぞ!」

竜(ダレダ、ダレデモイイ、ニギリツブセバ、ウゴカナクナル!)

アクア「来るわ!」

サイラス「わかってる。よっと!」

 ズガシャアアアン

サイラス「当たったら、一発アウトだな、これ」

アクア「もう一回来るわよ」

サイラス「ああ! よし、抜けた!」

アクア「できるかぎりカムイとの距離を維持して頂戴」

サイラス「わかった、で何時前まで運べばいいんだ?」

アクア「私があなたの背中を叩いたらよ………」

アクア(カムイ、私にどこまでできるかわからないけど……。必ずあなたを止めてみせるから)



 すぅ………



アクア「♪~ ♪~」

サイラス「これは、歌?」

タクミ「アクア姉さん……」

リリス「この歌は………」

竜「グゴォ! ウウウウウウウウ」

サイラス「苦しんでる……のか?」

 ポス

サイラス「わかった……」

竜「ウオオオオオオ!」

サイラス(歌に苦しんでいるんじゃない、怯えているんだ。でも、一体何に……いや、そんなことどうでもいい。今はアクアの考えを信じるしかない)

アクア「♪~ ♪~」

サイラス「………」スタッ

竜「ガウゥ! ウガァ!」

アクア「……カムイ」

竜「グアアアアアアアア!」

 ガシッ!

アクア「ぐっ……」

サイラス「アクア!」

タクミ「ちっ、全員、武器を!」

アクア「タクミ!」

タクミ「……くそっ!」

竜「グウウウウウ」

アクア「カムイ、この前話したこと、覚えてる?」

竜「………」

アクア「私、まだあなたのことを知りたいの、あんな短い話だけであなたと別れるのはとても嫌なの」

竜「……」

アクア「おねがい、だから戻ってきて。そして私に、信頼できる人になる機会を与えてほしいの」

 ピキピキピキ パリィ
 
 シュオオオオオオオ

 ドサリッ

カムイ「……こ、ここは」

アクア「カムイ、もう大丈夫、大丈夫だから」ダキッ

カムイ「アクアさん………、なんだかひどい夢を見ていた気がします。目が見えるようになって、多くの人を殺す夢でした」

アクア「そう、それは悪い夢よ」

サイラス(よし、カムイは無事みたいだ。だけど、ここに居続けると問題が起きるかもしれない……)

リリス「サイラスさん。私たちは……」

サイラス「ああ、一先ずここを離れよう」タタタタタッ


カムイ「あれ、今……。すみません、なんでもありません」

タクミ「何も覚えていないのか?」

カムイ「……覚えているのは……」

カムイ(ミコトさんの首にあった大きな傷の感触と、どす黒い心の流れだけ。そう言えば目は―――)

 パチリ……

カムイ「……やっぱり、何も見えない―――」

 第四章 おわり

現在の支援レベル

 スズカゼ  C
 リンカ   C+
 ジョーカー C
 ギュンター C
 サイラス  C+
 リリス   C+
 カゲロウ  C
 モズメ   C
 タクミ   D+
 リョウマ  C
 ヒノカ   C
 サクラ   C
 アクア   C→C+

今日はここまでです。次でチュートリアルまでが終わります。
 道が通れない状況で飛行ユニットを使うみたいな面で、天馬のヒノカを輸送に使うみたいなこと考えて出来た話です。
 

◇◆◇◆◇
―白夜王国・炎の広場―

カムイ「……ぐっ、頭が」

アクア「見たところ怪我は無いわ。たぶんその頭の痛みは竜化したのが原因よ。少しすれば治るはずだから」

カムイ「はい……アクアさん。ミコトさんは……」

アクア「残念だけど……」

カムイ「……そう、ですか…」

タクミ「なんで、そんなに冷静なんだよ、お前は……」

カムイ「タクミさん……」

タクミ「どうしてだ。母上が死んでしまったのに、なんでそんなに冷静でいられるんだ。お前は!」ガシッ

サクラ「タクミ兄様、やめてください!」

リョウマ「タクミ! カムイから手を放せ!」

タクミ「うるさい! 母上はこいつに殺されたようなものじゃないか! お前が、お前が現れなければ、こんなことに、こんなことになんてならなかったんだ!」

ヒノカ「タクミ、落ち着くんだ!」

 バッ

タクミ「くそ、くそおおおおおおお!」

リョウマ「………」

カムイ「町の方たちは……」

リョウマ「全体に大きく被害が出ている、広場周辺はもう瓦礫ばかりだ。同時に多くの人々が命を落としたのも確かだ」

カムイ「………」

リョウマ「カムイ、これが暗夜王国のやり方だ。おそらく、城内に忍び込みお前の剣を奪い、事を起こすこの運びも。お前がここにたどり着くこと、そして母上がこうした場を設けることさえ」

カムイ「すべて、計算されたこと……。ははっ、だからガングレリは私を殺してくれなかったんですね」

カムイ(あの時、無限渓谷で死ぬことができなかったのは、私が駒としての役割を果たしていなかったから……、でもこうしてミコトさんが倒れた今、私の役割は……)

カムイ「わたしには、どこにも至れる場所など、最初からなかったのかもしれません」

アクア「どこに行くつもりなの?」

カムイ「私がここにいる意味はもう無いんです。暗夜に帰る意味も、白夜にいる意味も、何もかも……、もう無くなってしまったんですから」

???「お待ちください」

カムイ「?」

タクミ「ユ、ユキムラ……」

ユキムラ「カムイ様、お初にお目にかかります。私はユキムラ」

カムイ「ユキムラさんですか。一体何を待てというんですか? 私がここいることがそもそもの間違いだったんですから、もう構わないでください」

ユキムラ「いいえ、今回の事をミコト様は予感していたのです。これは避けられぬ運命なのだと……」

カムイ「でも、この運命を引き寄せたのは私です。私が現れたことで………」

ユキムラ「それは違います。ミコト様は暗夜王ガロン……いえ、もっと恐ろしい悪魔のなせる所業だと仰っておられました。カムイ様、あなたの所為ではないのです」

ユキムラ「そして、あなたに試してもらいたいものがあるのです」

カムイ「私に……ですか?」

ユキムラ「カムイ様、像の場所に何か気配を感じませんか?」

カムイ「気配ですか………」

カムイ(これは……剣? いえ、どちらかといえば刀でしょうか?)

タクミ「あれは、黄金の刀?」

リョウマ「ユキムラ、まさかあれは伝説の?」

ユキムラ「はい、この世に救いのもたらす者、資格無き者は手にすることを許されない刀、『夜刀神』です」

カムイ(……救いをもたらす刀……)

 チャキィン ヒュンヒュンヒュンヒュン ガキンッ

カムイ「!」

タクミ「……あいつの前に、刀がやってきた? 刀が選んだっていうのか?」

リョウマ「カムイには資格があるということだろう。世界に救いをもたらしえる、その力が……」

サクラ「カムイ姉様」

ヒノカ「カムイ……」

カムイ「………」ガシッ

カムイ(こんな私に、何をさせたいんですか? もう、考えることさえ辛いのに……。でも、それが望みなら……)

サイゾウ「失礼する、リョウマ様」

リョウマ「………サイゾウ、何があった?」

サイゾウ「はい、たった今入りました情報を、国より暗夜王国の大軍勢が出現、白夜王国に攻め入ってきたようです」

リョウマ「……こうして母上を殺め、町を破壊し、見計らったように侵攻とはな。これ以上好きにさせるつもりはない!」

サイゾウ「すでに多くの兵が出陣の準備を整え、あとは命令を出していただければ」

リョウマ「ああ、仇は討たねばならない。討たねばこの怒りが晴れることはない! 皆のもの、これより国境に赴き、暗夜と刃を交える!」




カムイ「……私は」

アクア「カムイ……、大丈夫?」

カムイ「アクアさん」

アクア「まるで迷子みたいな顔をしているわ」

カムイ「迷子、そうですね間違ってないと思います。私にはこの夜刀神が何を思って私を選んだのかさえ、皆目見当がつかないんですから」

アクア「なら、それは自分で見つめるしかないわ。この前言ったわよね、私は助言できるだけだから」

カムイ「はい……」

アクア「助言のこともあるけど、それよりもあなたの中にある竜の血について教えておくべきだと思ったの」

カムイ「私が、竜化したという話ですよね……」

アクア「あなたの中にはとても濃い竜の血が流れているわ。だからこそ、あなたは竜へと姿を変えられた。そのことを覚えていないかもしれないけど」

カムイ「………」

アクア「あの時のあなたは衝動のままに行動した。今は戻ってきているけど、このままだといずれ支配されて……」

カムイ「殺しを続ける……ということですか?」

アクア「ええ、その力は強大なもので、何物をも殺せる力になるかもしれない。でも酷使すれば、いつかあなたが獣に成り果ててしまう……」

カムイ「獣……ですか」

アクア「ええ、見えるものをただ殺し続けるだけの、本能だけで暴れまわる存在になってしまうわ」

カムイ「なにか、手はあるんですか?」

アクア「ええ、あなたの衝動を封印するわ」

カムイ「……何にですか?」

アクア「竜石と呼ばれるものよ。この中に封印すれば、あなたは意志をもったままでも竜の力を使えるようになる。ただ、その力は劣るものになるわ。目だって見えないままよ」

カムイ「……それでも構いません、アクアさん、お願いできますか?」

アクア「……すべての説明が終わってないけど、いいの?」

カムイ「はい、心の中がもやもやしていて、今はほとんど考えることができないんです。それが少しでもマシになるなら……」

アクア「そう、それじゃ始めるわね……」

アクア「…………」

アクア「良かった。これでひとまずは大丈夫。この竜石はあなたの一部、大切に持っていて」

カムイ「はい………」

アクア「ねぇ、カムイ」

カムイ「なんですか?」

アクア「私は確かに、あなたに対しては助言しかできない……。でも、考えることに疲れてしまったなら、そこでもう休んでしまってもいいとは思っているわ」

カムイ「………流されてしまうのも、悪くないかもしれませんね」

アクア「それで、カムイ。これからどうするの?」

カムイ「私も、国境へと向かいます。暗夜が攻めてきているというのなら、多分そこに暗夜の兄妹たちが来ているはずですから」

アクア「そう……私も一緒に行くわ。今のあなたじゃ、うまく歩けそうにないもの」

カムイ「そうですね、すみませんが連れて行ってくれますか………」

アクア「ええ、といっても私の他にもあなたを支えてくれる人はいるみたいよ?」

カムイ「え?」

モズメ「カムイ様、大丈夫なんか?」

カムイ「モズメさん、どうしたんですか。これから向かう場所は危険ですから、ここで待っていてください」

モズメ「何言うとんの、あたいはカムイ様についていくって決めたんやから、付いて行くに決まってるやろ」

カムイ「……そうですか、それじゃモズメさん。付いて来てください」

モズメ「ええよ。それより……」

アクア「あら、どうかした?」

モズメ「えらい別嬪さんや。なんか、ちょっと自信無くなってまう」

アクア「ふふっ、よかったら私の代わりにカムイに肩を貸してあげてくれないかしら? ちょっと疲れてしまって」

モズメ「顔色一つ変えてへんやん。でも、代わらせてもらうで」

カムイ「モズメさん、ありがとうございます」

モズメ「ええよ。それより、早くせんと馬が全部出てまうから、急ぐで」

カムイ「はい……それじゃ行きましょう……」

◇◆◇◆◇
―白夜王国・白夜平原―

 イクゾォーーー! ウオォォォー!

サイラス「まさか、ここまで暗夜軍が来ているなんて思わなかったな」

リリス「白夜でのあの騒ぎに乗じてきたんでしょうか?」

サイラス「さぁ、だけどどちらにせよ今すぐ暗夜に合流はできない。しばらくは様子を見るしかない。それに、カムイは必ずここに来るはずだ」

リリス「はい………カムイ様。私はどちらに到ろうとも、あなたに仕え続けます。必ず……」



カムイ(多くの人たちの声が聞こえる……とても大勢の声が聞こえる。白夜にいる間に起きた出来事は、すべてに悪意が込められていた……)

モズメ「………いた、リョウマ様や!」

カムイ(誰が見ても……白夜に光がある……)

リョウマ「やるではないか、暗夜の王子よ! だが、悪であるお前たちに俺は負けん!」

マークス「ふっ、口だけは威勢がいい。しかしいつまで続くか見せてもらおう!」

カムイ「モズメさん、あの二人の元へ行けますか?」

モズメ「ええよ。いくで!」


リョウマ「はぁ!」

マークス「ふんっ、これで、どうだ!」

リョウマ「まだまだだな………誰だ!?

マークス「……!」

カムイ「マークス兄さん……」

マークス「カムイ! 無事だったようだな。よく、よく生きていてくれた。さあ、こちらに来るんだ。お前もこの戦いに加われ、そうすれば無駄な犠牲を出さずに戦争を終わらせることができる」

リョウマ「ふっ、ここまで大軍で攻め込んできながらよくそんな御託を並べられる物だ。カムイ、耳を貸すことはない。お前は俺たちとともにいるべきだ」

マークス「気安く、妹の名を呼ぶな!」

カミラ「そうよ、誰だか知らないけど。妹を呼び捨てにするなんて百年早いわ……」

レオン「ほんと、悪運強いね、カムイ姉さんは。だけど、あの場所で何をしてるんだろう?」

エリーゼ「そんなことどうでもいいよ。早く、カムイおねえちゃんの元に行かなくちゃ!」

ヒノカ「何を言う、カムイは私の妹だ。お前たちのように、攫っていった暗夜の者にその名を呼ぶ資格はないと知れ!」

サクラ「カムイ姉様は、私たちの大切な家族なんです!」

カミラ「あら、何を言ってるのかわからないわ。カムイは家族よ、それも私にとっては妹、誰にも渡さないわ。絶対にね」

リョウマ「カムイ、口車に乗せられるな。見てきただろう、暗夜の者が行ってきたことを、俺たちはお前を守る、守りぬいてみせる」

カムイ「リョウマさん………」

マークス「カムイ、戻ってこい! またきょうだい一緒に暮らそう。お前とともに長き時を過ごしてきた私たちとともに、また時を過ごそう」

リョウマ・マークス「カムイ!」


暗夜兄妹「………」


白夜軍兄妹「………」



カムイ「………………」

カムイ(白夜が受けた被害の甚大さ。そして私の駒としての役割が終わった時点で、私が暗夜に戻ることに意味はない……)

カムイ(光の中を私は進めばいい、なにも決めなくていい……。休むことができる……)

カムイ(私は……………)






 
 
 (本当にそれでいいのか?)














カムイ(ミコトさんは私の決める道を後押ししてくれると言ってくれました………)

カムイ(考えることをやめて、ただただ流されるままに、白夜に行くことがミコトさんの望んだことなんでしょうか?)

カムイ(いいえ、ミコトさんが望んだことは、私が選んで選択すること……。最後に決めるのは自分自身)

カムイ(ミコトさんのいなくなった白夜で、私ができることは……おそらく無いでしょう。文字通り流されるままに、私は進むことになる)

カムイ(それは、私の生き方じゃない……。最後まで、考えて私は歩みたい……自分が決めた道を進みたい)

カムイ(私が選ぶべき道は光あふれる道じゃなくていい……)





(私が選ぶべきは………光の見えない闇を進みゆく、今までと変わらない世界で構わない……)

(私がするべきことは、光に甘えることじゃない……。今はそれがわかっただけで十分ですから)




 第五章 前篇おわり





 スズカゼ  C→消滅
 リンカ   C+
 ジョーカー C
 ギュンター C
 サイラス  C+
 リリス   C+
 カゲロウ  C→消滅
 モズメ   C
 タクミ   D+→消滅
 リョウマ  C→消滅
 ヒノカ   C→消滅
 サクラ   C→D+
 アクア   C+

   ↓ 
 
現在の支援レベル(暗夜)


 リンカ   C+
 ジョーカー C
 ギュンター C
 サイラス  C+
 リリス   C+
 モズメ   C
 サクラ   C
 アクア   C+

今日はここまでです。
 白夜は流されるままに戦いを続けつつ、戦争を終わらせるために動き始める話で、暗夜は最初から考えて行動する話だったらいいなという考えで始めたのがこの話なので、強制的に暗夜ルートです。

 DLCで色々と設定が増えてくると怖いですね……、今回は運が良かった。

 とりあえず安価です。
 五章後編入って少ししたら、カムイと話をするキャラクターを決めたいと思います。

 サイラス
 リリス
 マークス
 レオン
 カミラ
 エリーゼ
 モズメ

安価番号をつけ忘れました。

>>267

で、おねがいします。

かみら

◆◆◆◆◆◆

リョウマ「………それがお前の答えだというのか、カムイ!」

カムイ「はい、これが私の答えですリョウマさん……」

リョウマ「なぜだ、なぜだカムイ。お前にだってわかるだろう、暗夜のやってきたことが! 母上を殺し、王国を蹂躙した者たちなのだぞ!」

カムイ「私には私の考えがあります。リョウマさん、それを言ったところであなたが納得することはないと思います。だから何も言いません、ただ私は暗夜王国に戻らなければいけない理由がある、ただそれだけなんです」

リョウマ「くっ、やはりお前は……暗夜の人間ということなのか」

カムイ「私は私です。モズメさんはどうしますか?」

モズメ「答えくらいわかっとるやろ?」

カムイ「そうでしたね、私の後ろへ」

モズメ「わかったわ」

ヒノカ「おい、お前は白夜の民じゃないのか!? お前は村をノスフェラトゥの攻撃で失ったのに、なぜ暗夜に付くんだ!」

モズメ「あたいの命を救ってくれたんは、白夜王国やなくてカムイ様や」

タクミ「……っ!」

モズメ「あれは誰のせいでもあらへん。でも、あたいはあの時からカムイ様のために戦う決めたから、カムイ様の向うところにあたいは付いて行く。ただそれだけや。城ではいろいろありがとな。でも、これだけは変えられへん」

マークス「ふっ、自国の民からこのように言われては、面目も何もあったものではないな」

リョウマ「カムイ……、お前は自身を殺そうとしたガロンの元へと帰ろうというのか。そんなこと許すわけにはいかん。暗夜に行けば、お前は殺されることになる。それをみすみす行かせてなるものか!」

マークス「カムイ………それは本当のことか?」

カムイ「そうですね。たぶん、私が戻ったところでお父様は良い顔をしないでしょう。でも、私には暗夜に帰ります」

リョウマ「ならば、力づくでもここでお前の願いを砕くしかあるまい」チャキ

カムイ「………斬りますか?」

リョウマ「殺しはしない。ただ、もう自由に歩ける体ではいられぬと思え………おまえは白夜にいるべき人間だ。その夜刀神が白夜に牙をむくことがあっては、母上に何と言って詫びればいいのかわからん。それゆえに、お前から自由を奪わせてもらう」

マークス「そうはさせん。白夜の王子よ」

リョウマ「邪魔立てするか!」

マークス「当り前だ。カムイは私にとって大事な家族……たとえ、この血が繋がっていないとしても、家族と信じる者の決断を邪魔するものを私は許さん」


カミラ「……マークスお兄様の言う通りよ。大事なカムイに手を出すつもりなら、容赦しないわ」

レオン「はぁ、姉さんと血が繋がってないからって言って、僕たちの絆が切れることはないよ。残念だったね、白夜の王子」

エリーゼ「うん、カムイおねえちゃんをいじめる悪い人をはやくやっつけて、みんなで暗夜に帰ろっ!」

カムイ「………そういうことです、リョウマさん。私は暗夜に戻ります」

タクミ「そうかい……、ならここで、討たせてもらうよ!」ヒュンッ

サイラス「そうはいかない!」キンッ

タクミ「!? あんたはあの時にアクア姉さんを乗せていた!? くそ、暗夜の人間だったっていうのか!?」

エリーゼ「ええっ、サイラス。今までどこに行ってたの!?」

サイラス「すみません、やっと合流できたみたいで。サイラス、ただいまカムイ様と合流しました」

カムイ「……やっぱりサイラスさんでしたか、あのとき感じた気配は誰かに似てると思いましたから」

リリス「私もいますよ、カムイ様。少し怪我をしてるみたいですから、治療しますね」

カムイ「リリスさん、ウィンダムに帰ったんじゃなかったんですか?」

リリス「ガンズさんと一緒に歩いて帰るなんて、ひどい仕打ちですよ」

カムイ「ふふっ、そうかもしれませんね。ここまで追ってきてくれる人を持てて、私は幸せです」

ヒノカ「カムイ……嘘だろ。なら、私は何のためにここまで頑張ってきたんだ……」

サクラ「カムイ姉様……行かないでください」

カムイ「ヒノカさん、サクラさん。すみませんが、私の居場所はこちらなんです」

サイラス「よし、カムイ。乗ってくれ、すぐにここを――」

レオン「サイラスだっけか、それは無理だ」

サイラス「レオン様? なぜですか、カムイはずっと白夜にいて………」

カムイ「レオンさん、わかっています」

レオン「ここで一度、カムイ姉さんにはちゃんと白夜と戦ってもらう必要がある。周りの兵は、まだカムイ姉さんのことを認めているわけじゃない、カムイ姉さんの意思を見せつける必要がある」

カムイ「わかっています。その代り、殺す必要はありませんよね?」

レオン「ああ、むしろここで誰か一人でも殺してしまったら、引き際が難しくなるからね。僕たちも協力する、早く終わらせて暗夜に帰ろう」

カムイ「はい、それじゃ。行きましょうか、リリスさん、サイラスさん、モズメさん」

白夜兵「裏切り者のカムイ王女を討ち取れ!」


マークス「ふっ、白夜の王子よ。一騎打ちと行こう……」

リョウマ「いいだろう、『雷神刀』の錆になりたければ、かかってくるがいい!」


ヒノカ「カムイを返してもらうぞ!」

カミラ「あらあら、威勢のいいお嬢さんね。でも、呼び捨てにするのは聞き捨てならないわ」


タクミ「どけよ、そいつを殺せないじゃないか」

レオン「生憎だけど、それは無理な相談だね。あんたはここで無様に逃げかえることになるんだから」


エリーゼ「みんな、負けないでー!」

サクラ「み、皆さん、無茶はしないでください……」


マークス「ふん、まだまだだな白夜の王子よ」

リョウマ「くっ……ヒノカ、タクミ、大丈夫か」

ヒノカ「大丈夫だ、大丈夫だが……」

カミラ「中々だったわよ。でも、まだまだ力不足ね。ふふっ」

タクミ「く、くそ……」

レオン「ふぅ、案外手ごわいんだね。でも、これ以上やっても結果は見えていると思うよ」

カムイ「そうですね。白夜兵の方々には悪いですが、これ以上戦っても時間の無駄ですし、わざわざ死傷者を増やす必要はないでしょう」

白夜兵「ぐっ……馬鹿な、なんだこのでたらめなうごきは……」

リョウマ「……退くしかないというのか」

マークス「賢明な判断をするのだな。まだやるというのならば、容赦せん」

リョウマ「くっ、皆の者、一度下がる……カムイ、お前はいずれ後悔することになるぞ」

カムイ「………」

ヒノカ「カムイ……私は……くっ」

タクミ「覚えていろ、いつか必ず、お前を殺してやる」

サクラ「……カムイ姉様……」

ユキムラ「サクラ様、ここは危険です。早く後方へ」

サクラ「………」

アクア「カムイ」

カムイ「アクアさん」

アクア「あなたの選んだ道を見せてもらったわ。でも私は白夜とともにありたいと思う。だから……」

カムイ「はい、わかっています」

アクア「ええ、もしもまた出会うことがあったら……、いいえ、なんでもないわ。それじゃ」


暗夜兵「白夜の軍勢、すべてが撤退を開始しました!」

マークス「よし、今回の戦い、私たちの勝利だ!」

 ウオオオオオオオオオオオオ!!!!

◆◆◆◆◆◆◆◆
―白夜王国・無限渓谷へと続く道―

カミラ「カムイ!」ギュッ

カムイ「カミラ姉さん、少し痛いです」

カミラ「だめよ、久しぶりに妹の体温を感じたいんだから。よかったわ、無事でいてくれて」

カムイ「はい、長いこと心配をかけました」

カミラ「白夜で変なことされなかった? 何かされたならすぐに言ってね、数十倍にして白夜にお返ししてあげるから」

カムイ「いいえ、特にこれといって何かされたわけではありませんから……。それより、もう姉さんと呼ばない方がいいのかもしれませんね」

カミラ「………どうしてかしら?」

カムイ「私と皆さんは本当の兄妹じゃなかったんですから……、そう考えたらこうして姉さんと呼ばれるのは嫌なことなのかもしれないと」

カミラ「……それはだめよ。私はカムイに姉さんと呼ばれたい。あなたを初めて知ったとき、目が見えないことを気にしないあなたを見た時に、あなたのことを守ってあげたいって思ったの」

カムイ「気にしてないように見えたのにですか?」

カミラ「そう、気にしてないように見えたからよ。どんなことがあっても、気にかけないカムイを見ているとね。少しだけ心配になるから、カムイはすべてを自分の中でどうにかしようとするから」

カムイ「あはは、それほどでもないですよ?」

カミラ「褒めてなんていないわ。ねぇ、カムイもっと私たちを頼って頂戴。前にも言ったけど私たちはあなたの家族、そこに血の繋がりなんてありはしないわ。これからいろいろと何かが起こる、その時に少しでも困ったことがあったら相談して、可能な限りカムイの力になってあげるわ」

カムイ「………はい、ありがとうございます」

カミラ「ええ……」

カムイ「……」モミモミ

カミラ「んっ、カムイ? 胸に手を当ててどうかしたのかしら?」

カムイ「やっぱり、そうですね……いい勝負だったかもしれません」

カミラ「……何の話かしら?」

カムイ「いえ、白夜にカミラ姉さんと良い勝負ができそうな人がいたんです……」

カミラ「………へぇ、そうなの」

カムイ「あれ、カミラ姉さん? どうしたんですか?」

カミラ「……もう少し大きくなった方がいいのかしら?」

カムイ「………」

◆◆◆◆◆◆

マークス「よし、白夜からの追手はいないようだ。このまま無限渓谷を通って王都へと戻る」

エリーゼ「うん、お城に帰って早く休みたいよ」

レオン「まったく、まだ敵地なんだから気を抜くにはまだ早いよ」

エリーゼ「わかってるよ。でも、本当に良かったカムイおねえちゃんが帰って来てくれて、。私、とっても嬉しい」

カムイ「心配をかけましたね」クシャクシャ

エリーゼ「えへへ、頭撫でてもらっちゃった」

マークス「よし、もうそれくらいでいいただろう。さすがに無いとは思うが、待ち伏せされている可能性もある。エリーゼと私の部隊は先の様子を見てくる。レオン、カミラどちらかは周辺の確認を頼む」

レオン「わかったよ。さてと、どうしようか?」

カミラ「私はできればカムイの近くにいてあげたいわ。といってもレオンもカムイと一緒にいたいのよね?」

レオン「そんなことあるわけ……」

エリーゼ「レオンおにいちゃん、白夜におねえちゃんがいるって聞いたとき、一番慌ててたんだよ」

レオン「ば、ばかっ////」

エリーゼ「えへへ、それじゃマークスおにいちゃんと先見てくるね!」

レオン「まったく……あっ、カムイ姉さん、そのこれは……」

カムイ「心配してくれたんですね、レオンさんありがとうございます」

レオン「う、ううう。その、無事でよかった。それだけだから!」

カムイ「はい、ありがとうございます」

カムイ(でも、帰ってからが大変ですね。私がするべきことが、まだはっきりと考えられません、でも今は重荷は何もない方がいい……)

レオン「それで、どうするんだいカムイ姉さん」

カミラ「そうね、カムイに選んでもらいましょう。どちらと一緒にいたいのか?」

カムイ「………そうですね」

◆◆◆◆◆◆

サクラ(カムイ姉様……、やっと出会えたのにこれでお別れなんて嫌です)

サクラ(カムイ姉様が、このまま暗夜に行ってしまったら殺されてしまうかもしれないって、リョウマ兄様は言ってました)

サクラ「そんなの絶対に嫌です。なんとかしてカムイ姉様を……」

サクラ(でも、私に一体何ができるんでしょうか? 私は非力で、力なんて全くない……)

サクラ「うっ……ううっ。どうしたら」

???「サクラ、なに泣いてるの」

サクラ「! ガザハナさん、泣いてなんかいません……」

カザハナ「……あの王女のこと?」

サクラ「やっぱり、カザハナさんには隠しきれませんよね……」

カザハナ「サクラはあの王女が白夜を出ていったから泣いているってわけじゃないみたいだね」

サクラ「カムイ姉様は暗夜に行くって言ってました。すごく悲しかったです、また離れ離れになってしまうから」

カザハナ「……」

サクラ「でも、暗夜に戻ったらカムイ姉様は、もしかしたら殺されてしまうかもしれないって聞いて、そんな場所に帰っていこうとするカムイ姉様を思うととても辛いんです」

カザハナ「そう、サクラはやさしいんだね。みんなはほとんど裏切り者としか王女のことを言ってないのに、サクラはまだ王女のことを姉様って呼んでる。すごいよ」

サクラ「そんなことありません。私は結局心配しているばかりで、何もできない、ただの子どもなんですから………」

カザハナ「サクラ……」

???「それで、サクラ様はどうしたいんですかー?」

サクラ「え、ツバキさん?」

ツバキ「カザハナ、サクラ様のしたいこと聞いてくるって行ったのに、一緒にしみじみしてちゃだめだよ」

カザハナ「だ、だって幼馴染としてサクラの話はできる限り聞きたいの。あたしはサクラが優しい人だって知ってるから、まずは心から解せたらって」

ツバキ「うん、カザハナらしいと思うよー。でも、今は時間に余裕がないから、すぐにでもサクラ様に聞かなくちゃいけない」

サクラ「えっ、ツバキさん? カザハナさん? いったい何の話なんですか?」

カザハナ「……うん、そうだね。ここはツバキの言う通りかも。よし、サクラ!」

サクラ「ひゃ、ひゃい!」

カザハナ「サクラ、サクラはどうしたいの? このまま、ここで待っているだけでいいの?」

サクラ「か、カザハナさん?」

ツバキ「サクラ様。俺とカザハナはサクラ様の臣下です。サクラ様の命令には絶対に従います」

カザハナ「ねぇ、サクラ。これが最後のチャンスになっちゃうかもしれないんだよ? それでもいいの?」

サクラ「………」

サクラ(……二人とも、ごめんなさい。私のわがままに、巻き込んでしまって、でも二人がそう言ってくれるなら)

サクラ「ツバキさん、カザハナさん」

ツバキ・カザハナ「はい、サクラ様」

サクラ「………」






サクラ「私………」









サクラ「私を…………」












「カムイ姉様の元へ、連れて行ってください!」






第五章 おわり

現在の支援レベル(暗夜)

 リンカ   C+
 ジョーカー C
 ギュンター C
 サイラス  C+
 マークス  C
 レオン   C
 エリーゼ  C
 カミラ   C→C+
 リリス   C+
 モズメ   C
 サクラ   C
 アクア   C+

今日はここまでになります。ここから個人妄想が全開になってく感じです。

 安価でカムイと一緒に待機するのをどちらにするか決めたいと思います。

 レオン
 カミラ

 のどちらかになります。

 安価指定の番号は

 >>285
 
 になります。
 


乙!
ここからがFEifっていう題材の醍醐味やね
安価はレオン

◆◆◆◆◆◆
―白夜王国・無限渓谷入口―

レオン「……」

カムイ「……」

レオン「姉さん、なんで僕を選んだんだい?」

カムイ「どちらでもいいと言われたので、私のことを一番心配してくれたレオンさんにしただけですよ?」

レオン「そ、そう。……だけど、無事に帰って来てくれてよかったよ」

カムイ「……無事ですか。そうですね、よく生きてここまでこれたものです」

レオン「ねぇ、姉さん。さっきの話だけど」

カムイ「……お父様のことですね」

レオン「父上が姉さんを殺そうとしたって……」

カムイ「そうですね。殺そうとしたというよりも、用が済んだという考えがいいでしょう」

レオン「……」

カムイ「どうやら、私はお父様が与えた役割をすべて終えたようなので、正直帰ったところで歓迎されません」

レオン「その心配はしなくていいよ。僕が何とかしてみる。それに悪運の強い姉さんなら、なんだかんだどうにかできる気がするよ」

カムイ「ふふっ、悪運だけでどうにかなるならレオンさんに手は掛けさせませんよ。でも、無理はしないでくださいね。レオンさんの立場が危うくなるようなことはやめてください」

レオン「そんなことにならないように考えてるから大丈夫だよ……。そろそろ僕たちに最後尾の部隊が合流する頃だと思う。マークス兄さんとエリーゼもそろそろ戻ってくるはずだよ」

カムイ「はい、ではそろそろ移動の準備を……」

 ……サ……バ………サ……

カムイ(………これは何の音?)

カムイ「モズメさん」

モズメ「なんや?」

カムイ「あちらの方角、何か見えますか?」

モズメ「あちらって、白夜の方角やけど………」

サイラス「……!」

リリス「何か、こっちに来てます」

レオン「………天馬みたいだね。誰かが僕たちを追ってきたみたいだけど、あれだけ?」

カムイ「………」

カムイ(無謀すぎる行為、とてもじゃありませんが場数を踏んでいる人がする行為じゃないですね)

レオン「敵である可能性は高いよ、姉さん」

カムイ「まずは、待ちましょう。こちらの人数なら、少しで事足りますから。相手の目的が知りたいところです」

レオン「同感だね……」

 バサバサバサバサ

カムイ(いったい誰が……こんな危険場所にやってきたというんですか?)

カムイ(天馬ということはヒノカさんでしょうか? でも、ヒノカさんはすでに幾度となく戦いを経験している人、こんな死にに行くようなことをそう簡単には行わないでしょう)

カムイ(では……)

カムイ「一体誰が……」

 バサッ……バサッ…… スタッ シュタッ

カムイ(天馬に一人、降りたのが二人……。そのうちの一人……この人は、まさか)

サクラ「ハァ……ハァ……カムイ姉様!」

カムイ「サクラさん……あなたがどうしてここに? 撤退したはずじゃなかったんですか」

サクラ「私は………カムイ姉様を連れ帰りにきました。私たちと一緒に白夜に帰りましょう。今なら、リョウマ兄様やみんなの誤解を解けるはずです」

レオン「わずか三人で何しに来たかと思えば、寝言は眠りながら言ってほしいね」

カザハナ「ちょっと、誰だか知らないけど聞き捨てならないわね! 私たちは本気でここまで来たんだから」

レオン「ふん、白夜の一般兵に興味なんてない。僕はそこにいる白夜の王女に言っている。さっさと尻尾を捲いて帰るんだね。ここにいたって勝ち目はない」

カザハナ「ふん、暗夜の王族っていうのはこんな奴らばっかりなのね。それと、あたしにはカザハナっていうちゃんとした名前があるんだから」

レオン「そうかい。で、その一般兵のカザハナが僕たちに一体何のようなわけ?」

カザハナ「いちいちムカってする言い方、あんたに話すことなんて何もないわ。あたしたちの用事はカムイ王女、あんたよ!」

カムイ「………カザハナさんでしたか、残念ですけどその願いにうなずくことはできません」

カザハナ「サクラのことを思うんだったら、今すぐこっちに戻ってきなさいよ!」

レオン「お願いする側の態度じゃないね」

カザハナ「暗夜の奴にお願いなんて死んでもごめんよ。あたしはサクラの命令に従うだけ、ただそれだけなんだから」

ツバキ「うんうん、カザハナの考えに僕も賛成だなー」

カムイ「天馬の方ですか」

ツバキ「初めましてー。サクラ様の臣下、ツバキって言います。カムイ王女、平原で戦った方たちはあなたのことを目が見えないと油断してましたけど、俺は手を抜いたりなんてしませんから……」

カムイ「……サクラさん、頼みます。今すぐ引き返してくれませんか、まだここの包囲は完成していません。今ならどうにか見つからずに白夜の陣営に帰ることができます」

サクラ「か、カムイ姉様……」

カムイ「お願いしますサクラさん。あなたはここにいてはいけないんです。無理に戦う必要は今どこにもありません、だから……」

サクラ「駄目です!」

カムイ「………」

サクラ「今ここでカムイ姉様を止められなかったら、暗夜で殺されてしまうかもしれない……。それを見送るなんてできません!」

カムイ「ふふっ、とても頑固なんですね。サクラさんの見た目からは想像できません」

サクラ「……本当は私は強情なんです。だから、ここは引けません」

カムイ「ええ、そちらがその気ならやるしかありません……」

レオン「カムイ姉さん、サポートするよ」

カムイ「ありがとうございます……。すみませんが、皆さん。サクラさん、ツバキさん、カザハナさんを殺さないようにお願いします」

レオン「姉さんに従うよ。でも、後続が到着する前に決着をつけないといけない。他の兵たちは、容赦なく三人を殺すはずだ」

カムイ「はい、わかりました。行きますよ、皆さん!」



カザハナ「サクラ、早く命令してよ。ここまで来たらもうやるしかないんだから!」

ツバキ「サクラ様、命令をお願いしますー」

サクラ(……行きます。カムイ姉様!)

サクラ「ツバキさん、カザハナさん。カムイ姉様を取り戻してください、おねがいします」

カザハナ・ツバキ「サクラ様、わかりました!」




カムイ「サイラスさんはモズメさん、リリスさんと陣を組んでツバキさんを牽制してください。私はサクラさんの元へ、レオンさんと向かいます」

サイラス「わかった。モズメ、後ろ任せたぞ!」

モズメ「まかせとき!」

リリス「はい、怪我をしたら言ってください」

ツバキ「へぇ、馬で相手するのかい? なら、さっさと君たちを倒して、カザハナと挟み撃ちにするのがいいかもねー」

サイラス「ふん、ならさっさと倒して見せるんだな」

ツバキ「言ってくれるねー。後悔しても知らないよ」

レオン「そっちからこっちに攻めてくるなんて。いい度胸してるじゃないか」

カザハナ「うるさい、むしろカムイ王女からこっちに来てくれるなんて、走る手間が省けたって感じ」

カムイ「カザハナさん」

カザハナ「……あたしはあんたを倒して連れ帰る。ただそれだけ、サクラのためにここまで来たんだから負けるわけにはいかない!」

レオン「ふん、一般の兵がどこまでできるのか見せてもらおうかな。失望させないでよね」

カザハナ「ムカつく、すぐにその余裕を吹き飛ばしてやるんだから!」

カムイ「では、行きますよ。カザハナさん」

 タタタタタタッ

カザハナ「!?」

カザハナ(こんなに入り組んでる場所なのに、すごい急接近。本当に目が見えてないって先入観捨てないとだめだ」

カザハナ「えい!」

カムイ「てやぁ!」

カザハナ「まだっまだああ!」

 キンッ キンッ 

カザハナ「負けてたまるかぁ! えい、やぁ!」

カムイ(思った以上に攻めが強いですね……。後続の到達までの時間があやしくなってきました……)



ツバキ「あれー、なんでこうもしぶといのかな」

サイラス「ハァ……ハァ。幼馴染から頼られてるんだ、そう簡単に倒れるわけにはいかないんだ」

ツバキ「なら、これで!」

モズメ「させへんよ! サイラスさん、大丈夫?」

サイラス「ああ、まったく。ここまで強い相手を任せるなんて、カムイも意地が悪いよ」

モズメ「本当やね。でも、負ける気なんてあらへんよ」

カザハナ「このまま、押しきれば! てやぁ!」

 ザッ 

カムイ(また距離を戻されてしまいました。すごい気迫ですね……。早くしないといけないというのに、なかなかうまくいきませんね)

レオン「カムイ姉さん、この子は僕が引き受けるよ」

カムイ「いいんですか?」

レオン「この二人はサクラ王女のために戦ってる。なら、そのサクラ王女に危害が向かう状況になれば……」

カムイ「そうするしかなさそうですね。では、一気に私が抜けますから、私の出発地点に向けて魔法をお願いします」

レオン「ああ、せいぜい。僕が撃った魔法に当たらないようにしてよね」

カムイ「わかってます。私を信じてください」

カザハナ「何ごちゃごちゃ話してるの! こないならこっちから!」

カムイ「………でやぁ!!!!」ブンッ
 
 ガキン!

カザハナ「ううっ……! すごい振り下ろし、手が痺れ……って、あんた!?」

カムイ「すみません、戯れている時間はないので」

カザハナ「行かせない! それに背中ががら空きよ!」

レオン「ブリュンヒルデ!」

カザハナ「えっ、カムイ王女に向けて!?」

カムイ「……!」サッ

 ドォン

カザハナ「避けた……! しまった、サクラ!」

レオン「余所見をしてる暇はないよ」


カザハナ「えっ、きゃああああ」

レオン「ふん、こんなものかい?」

カザハナ「う、ううっ、まだまだ……あうっ」ドタッ

レオン「死にたくなければ、そのままにしているんだね」

カザハナ「サクラ……サクラぁ、ごめん、ごめんね……」ポロポロ……


ツバキ(! カムイ王女がカザハナを抜けた!?)

ツバキ「サクラ様!」

サイラス(視線が逸れた!)

サイラス「今だ! 当たれぇ!」

ツバキ「しまっ……」

天馬「ヒヒイイイン!!!!」

ツバキ(馬をやられた!? 態勢が崩れて……)

ツバキ「ぐぁ…… くっ!」

 チャキン

サイラス「無駄な抵抗はするな」

ツバキ「………俺が負けるなんて、サクラ様……」




サクラ「………ツバキさん! カザハナさん!」

 タタタタタタタタッ

カムイ「見つけましたよ、サクラさん」

サクラ「カムイ姉様……」

カムイ「サクラさん……いいえ、白夜王国の王女、サクラ。もうあなたを守るものはいません」

サクラ「……ううっ」

カムイ「投降してください」

サクラ「………カムイ姉様。どうして、白夜に戻って来てくれないんですか……」

カムイ「………」

サクラ「………どうして、どうしてですか姉様……」

カムイ「白夜に帰るという答えを私は持っていない。ただそれだけなんですよ」

サクラ「………」

カムイ「……」

サクラ「私の……私の負けです……カムイ姉様」

◆◆◆◆◆◆
~戦闘後~

カザハナ「………」

ツバキ「………」

サクラ「………」

レオン「で、姉さんどうするの?」

カムイ「できれば、何もなかったことにして処理したいところなんですが、もうそうはいかないんですよね」

レオン「もう向こうには後続部隊の影が見える。そしてここに隠れられるような場所はどこにもない。このまま、三人を置いて行けば確実に殺されるだろうね」

サクラ「!!!!」

カムイ「もう少し早く終わらせることができればよかったんですが、こうなっては―――」

カザハナ「ねぇ……」

カムイ「はい?」

カザハナ「サクラだけでも助けてよ、あたしはどうなっても構わないから、サクラだけでも助けてよ」

ツバキ「俺からもお願いだ。こんなこと言えた義理じゃないことはわかってる。わかってるけど、サクラ様だけはどうか助けてほしいんだ」

レオン「さっきまでは連れて帰ると粋がっていたくせに、ずいぶん調子が良すぎるんじゃないかな?」

カザハナ「それくらい、あんたに言われなくたってわかってる! でも、サクラだけは、サクラだけは助けてほしい。お願い、なんだってするから……」

サクラ「そ、そんな。私の命令に二人は私の命令に従ってくれただけなんです。カムイ姉様、私の代わりに二人を助けてください! お願いします」

カムイ「………残念ですけど、私にはどうにもできない問題です」

サクラ「そ、そんな……」

カザハナ「なんでよ! あんたは暗夜の王族なんでしょ! 王族ならそれくらいどうにかできるんじゃないの!? なんでできないの」

カムイ「カザハナさん。私は、お父様に絶対に歓迎されることのない人間なんです。この意味がわからないわけじゃないですよね?」

カザハナ「………」

カムイ「私が持っている暗夜の王族という肩書に効力なんて無いんです。ただの名札と同じです、そんな私が白夜の、しかも王女を捕虜にして所有権を主張したところで、そんなものが認められるわけはないんです」

カザハナ「な、なんで、なんですぐに決めるの。もしかしたら………」

カムイ「もしかしたらという過程は私の立場を考える限り無意味です。私があなた方を捕虜として得たとしたら『もしも』はありません、絶対的に屈辱的な終わりが待っているだけでしょう」

カザハナ「そ、そんな。そんな、そんなこと!」

カムイ「だから、帰って欲しかったんです。その忠告をあなたたちは無視してしまった。無視してしまった以上、その結果がどうなるか、覚悟していたはずです。サクラさんも、それは考えていたことでしょう」

サクラ「ううっ、ごめんなさい。ツバキさん、カザハナさん、私が、私が我慢をしなかったばっかりに」

カザハナ「サクラの所為じゃない! 悪いのは……悪いのは、あたしだよ。あたしが、あたしがサクラに決めるように迫ったから」

ツバキ「俺も同罪だよ。ほんと、二人ともごめん」

レオン(本当にまずいことになった。ここで白夜の王女が殺されたとなれば、白夜は防衛をかなぐり捨てて、暗夜に攻めてくるはずだ。暗夜はまだ国内に問題を抱えているから、それをどうにかしたかったんだけど。でも、流石にこれはどうにもできない。あのとき、サクラ王女が帰るという選択肢をしなかった時点で――)

 チョンチョン

レオン「ん?」

カムイ「………」

レオン「姉さん、どうかした?」

カムイ「いいえ、サクラさんとカザハナさん、そしてツバキさんについてのことなんですが」

レオン「姉さんだって言っていただろう、姉さんの捕虜として扱っても絶対に殺される。父上はすぐにそう決めるよ。これはいくらなんでも変えられないことだから」

カムイ「………レオンさん。なんでサクラさんたちを殺さないように指示を出したと思いますか?」

レオン「……言いたくはないけど、サクラ王女が妹だから、でしょ?」

カムイ「それは全体の一割程度の理由ですね」

レオン「……姉さん。何を考えてるの?」

カムイ「ええ、私の最初するべきことを考えていました。まずはお父様の信用を勝ち取るのが一番だと考えました。重荷がないのでいろいろとやることがあるかと思いましたが、ここで重荷が増えましたので、それを使おうと思います」

レオン「まさか、カムイ姉さん………」

カムイ「……レオンさん、協力してもらってもいいですか?」

レオン「……わかった。協力するって言ったからね。で、僕は何をすればいいの?」

カムイ「はい……それはですね」


第六章 前篇 おわり

現在の支援レベル(暗夜)

 リンカ   C+
 ジョーカー C
 ギュンター C
 サイラス  C+
 マークス  C
 レオン   C→C+
 エリーゼ  C
 カミラ   C+
 リリス   C+
 モズメ   C
 サクラ   C
 アクア   C+
 カザハナ  D
 ツバキ   D

仲間たちの支援
 
 今回の戦闘でサイラスとリリスの支援がCになりました。
 今回の戦闘でサイラスとモズメの支援がCになりました。
 今回の戦闘でリリスとモズメの支援がCになりました。

 今日はここまでになります。やっぱり、マークスがリョウマと一騎打ちしたら大抵敗走だよね……

 仲間たちの支援ですが、アバウトに構成していきます。
 安価で誰と戦闘の組を作ったりすることがあると思うので、ご参加いただけると幸いです。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆
 ―暗夜王国・王都ウィンダム『クラーケンシュタイン城』―

マクベス「………」

ガロン「………」

マークス「父上、ただいま戻りました」

ガロン「うむ、マークスよ。敵国での戦闘、御苦労であったな」

マークス「ありがたきお言葉。それと、もう一つ良い知らせが。無限渓谷にて行方不明となっていたカムイが、無事に戻りました」

ガロン「…………」

カムイ「お久しぶりです、お父様」

ガロン「ふん、今さら何をしに戻ってきたのだ……」

エリーゼ「お、お父様……? カムイおねえちゃんが帰ってきてくれたのに、どうしてそんな言い方……」

カムイ「エリーゼさん、仕方ありません。言ったでしょう、私は歓迎される立場にいないと」

エリーゼ「……そんな」

ガロン「カムイ、お前はこの行方不明になった間、白夜の王城にいたと聞く……」

カムイ「はい、間違っていません」

ガロン「お前はそこで白夜女王より、出自を聞かされたのであろう? 自分が我が娘ではないこと、幼い頃に攫われた白夜の王女であることも。そして、我が暗夜王国が憎き敵国であることも、すべて理解しているのだろう?」

カムイ「はい、よく聞かされました」

ガロン「にも拘らず、この城に戻ってきたのは何故だ?」

カムイ「なぜって、もしやお父様は私があなたを殺すために送られてきたとお考えなんですか?」

マクベス「自分の口でいうとは、自覚があるようですな。カムイ王女、私たちはあなたを信用していないというわけです」

マークス(カムイの予想通りだな……。やはり、歓迎されることはなかったというのか……ここは)

マークス「父上、カムイが父上を討つために送られてきたというのは、あり得ないことです」

ガロン「なんだと? なぜそう言い切れる」

マークス「その証拠をお持ちしましょう。レオン、捕虜をここへ」

レオン「……わかったよ」




カザハナ「放せ、放しなさいよ!」

サクラ「カザハナさん! 二人に乱暴しないでください!」

ツバキ「無防備な女の子に乱暴とか、本当に暗夜は救いようがないね」

マクベス「ほぅ、これは良い土産ですね……」

ガロン「………こやつらは」

マークス「はい、白夜王国の王女とその臣下たちです。カムイは平原の戦闘の後、あとを追ってきたこの者たちを打倒し捕らえました。カムイが父上を暗殺しようというのなら、ここに彼らがいることはありえません」

マークス(いくら、父上といえど、こうして王女を捕らえた事実を踏まえられれば、カムイを見る目を変えてくれるはずだ)

ガロン「ふっ、それがわしに対する忠誠の証……、そう言いたいのだな?」

サクラ「カムイ姉様………まさか、私たちを殺さなかったのは、そんなどうして!」

カザハナ「カムイ王女、絶対、絶対あんたのこと許さないんだから! 絶対に……」

マクベス「黙りなさい」ドスッ

カザハナ「うっ、ぐぁ……」ドタッ

マクベス「それ以上騒ぐと、今すぐにでもその口が開けないようにしてしまいますよ?」

カザハナ「ううっ……こんな、こんな終わり方なんて……」ゴホッゴホッ

ツバキ「カムイ王女………君はこの状況をどうも思わないっていうのか。サクラ様は君をずっと思っていたというのに!」

カムイ「うるさいですね。少し静かにしていてもらえますか」バシッ

ツバキ「ぐっ……」ポタッポタッ

サクラ「ツ、ツバキさん!」

カムイ「捕虜の分際で、何を懇願しているんですか。少しは立場を分けまえてください」

エリーゼ「カ、カムイおねえちゃん……、なんだか怖いよ」

カミラ「………そうね。でもカムイの言う通りよ。捕虜はここでは口をふさいでおくこと、それが唯一できることなんだから」

エリーゼ「カミラおねえちゃん?」

レオン「そうだよ。今はカムイ姉さんを信じるしかないから……」

レオン(本当に、うまくいくんだよね。姉さん………)

カムイ「すみませんお父様、時間を取らせてしまったようです。どうですか私の忠誠心の形はこの捕虜三人、これで私を認めてはくれませんか?」

カザハナ(なによ、結局私たちを使って、安全を確保しようって魂胆じゃない! サクラが、サクラが昔から、こんな奴のために悩んできたなんて、こんなひどいことって……)

ガロン「くっくっく、カムイよ……お前の考え見せてもらった。確かに手土産見せてもらったぞ……」

マークス「では………父上」






ガロン「だが、これだけでは足りんな」






マークス「な、父上何を言って」

ガロン「黙れ、マークス。今わしはカムイと話をしている、お前の意見は聞いておらん」

マークス「………くっ」

カムイ「足りないとは、どういう意味でしょうか。お父様」

ガロン「お前の忠誠心は確かに見せてもらった、しかし、それだけではお前を信用することはできぬ、そう言っておるのだ」

カムイ「そうですか……」

ガロン「カムイ、命令だ。その三人の首を、今ここで跳ねよ」

サクラ・カザハナ・ツバキ「!!!!!!!」

マークス「父上!」

ガロン「カムイ、お前の暗夜への忠誠心は、その三人の血によって証明される。さぁ、白夜ではなく、この暗夜にいることを選んだその意思、ここでわしに見せつけよ!」

カムイ「………」










カムイ「はい、わかりました」ジャキ

サクラ「ひっ……カムイ姉様」

カムイ「衛兵の方々、三人を動けないように拘束してください」

衛兵たち「し、しかし……」

ガロン「カムイの命令に従え!」

衛兵たち「ハ、ハイッ!」

カムイ「……白夜で手に入れた夜刀神が、白夜の王女とその臣下の命を奪う刀になるなんて。おもしろいことですね」

カザハナ「やめて、サクラは……サクラだけは! サクラだけは!」

サクラ「カザハナさん、ツバキさん。ごめんなさい、ごめんなさい……」

ツバキ「ほんと、絵に描いたような鬼だよ君は、絶対に許さないからね」

カムイ「そうですか、別に許さなくて構いませんよ。私はお父様から信頼を回復したいだけですから。そのためなら何だってします。その最初が、皆さんの命を奪うことになった。ただそれだけです」

エリーゼ「い、いや。カムイおねえちゃん。そんな、そんなことしちゃ――」

カミラ「………」

マークス「………」

レオン「………」スッ

カムイ「結局こうなるから、殺しておこうと言ったのに。まったくとんだ時間の無駄遣いです。やはり、首だけ持ってくるのが一番でしたね……」

サクラ「カムイ……姉様……」

カムイ「臣下が死ぬのを見るのは辛いでしょう、私なりの慈悲です。サクラさんから、送って差し上げますね」

ツバキ「サクラ様!」

カザハナ「サクラぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

カムイ「さようなら、サクラさん」ヒュンッ!

サクラ「!!!!!!!!」




 ガキンッ!!!!

カムイ「――っ!」

 ヒュンヒュンヒュンヒュン カランカラン

マクベス「んー? これは一体何の真似ですかな?」

ガロン「……」

マークス「なぜ、こんなことを」

エリーゼ「ど、どうして……」

カミラ「……ふふっ、そういうことね」



レオン「カムイ姉さん、そこまでだよ………」

サクラ「……えっ?」

カザハナ「な、何が起こって」

カムイ「レオンさん、なんで邪魔をするんですか?」

レオン「まったく、姉さんがここまでずる賢い人間だなんて思わなかったよ。まさか、僕が手に入れた捕虜を自分の手柄にして、お父様からの信頼を勝ち取ろうなんて、筋書きを作るんだから」

カザハナ「えっ、えっ? ど、どういうこと、あたしたちって確か――って、痛ぁ! ツバキ何すんのよ!」

ツバキ「カザハナ、今は何も言わない方がいい。捕虜は捕虜らしく、黙っておくほうがよさそう」

ガロン「どういうことだ。レオン……」

レオン「はぁ、確かにカムイ姉さんはこの三人を倒す戦闘に参加はしたけど、全く役に立ちませんでした。むしろ怯えて逃げるばかり。そこで僕と他の兵でこの三人を捕らえた。そしたら、本当に笑っちゃうことだけど、姉さんはこれを献上すれば、暗夜での地位を回復できる、そんなことを言い出したんです」

カムイ「………誰にも言わない約束だったじゃないですか」

レオン「僕が聞いたのは、捕虜で父上が認めてくださるまでの話だよ。僕には僕なりに捕虜を有効的に使う方法を考えてる、それを台無しにされるわけにはいかなかった」

カムイ「お父様、私は――」

ガロン「カムイ、黙っておけ。レオン、この者たちを生かしておく必要があると、お前は言うのだな」

レオン「はい、父上」

ガロン「その理由を申してみよ」

レオン「氷の部族の反乱のことは、父上も耳にしておられると思います」

ガロン「うむ、反乱は抑えねばならない。しかし、それとその捕虜たちと何か関係があるというのか?」

レオン「現在暗夜王国は白夜王国という大国との戦争に入っています。そのためには暗夜王国全体としての結束を強めることが急務です。今、暗夜の各地には表面上化しているだけでも、多くの国々が反乱を起こしている。ここを白夜に付け込まれると、内側で活動する反乱軍に油を注ぐ行為になります」

カザハナ(なに、こいつ。難しいこと言ってるけど……。もしかして、あたしたちを庇おうとしてるの?)

レオン「白夜の王女と臣下を材料に白夜を牽制している合間、それらの問題を解決すべきだと僕は考えている」

ガロン「………」

マクベス「なるほど、内部の問題を片付け暗夜の力を確かなものにする。レオン王子らしい考えです。王女が捕らえられていると知れば、白夜の腰抜けたちは、そう簡単に暗夜へ攻め入ってこれなくなることでしょう」

ガロン「レオン、お前は暗夜王国に白夜を倒すほどの力がないといいたいのか?」

レオン「今の力だけでも白夜を征服、支配することは簡単でしょう。現に――」チラッ

カザハナ「な、なによ!」

レオン「この一般兵は僕の一撃で地に倒れましたから」

カザハナ(………なんであたしのことを例に出すのよ!)

レオン「ですが、犠牲は最小限にとどめようと考えるのが僕のやり方です。お父様、白夜を倒したあとでも戦いはあります。それを考えれば、多くの戦力を維持し、被害を最小限にすることは大きな課題となるでしょう。僕は、それを考えてこの捕虜三人の命を奪うべきでないと進言します」

カムイ「お父様。ここで捕虜を残しても意味などありません、ここで斬り伏せてしまうことが、暗夜のためです」

マクベス「どうしますか、ガロン王様……」

ガロン「ふっ、そうだな。カムイ、一度確認する。レオンの言っていたこと、それはすべて本当か?」

カムイ「くっ、はい。私はお父様から信頼されたい……ただ、そのためだけに」

ガロン「くっくははははははははははははは!」

一同「!!!!!!」

ガロン「くっくっ、そこまで小賢しいことを考えるとは、お前のことを少しばかり誤解していたようだ。お前のその悪だくみ、わしには愉快に見えた。ここまで人の心を踏みにじる真似ができるお前は、やはり暗夜の王族なのだろう……」

カムイ「お父様……」

ガロン「カムイ、お前を我が子として、もう一度迎え入れてやろう」

カムイ「ありがとうございます」

ガロン「して、レオン」

レオン「はい、父上」

ガロン「お前の考えは理解した。すぐに王女とその臣下を捕らえたこと、白夜へ伝えよ」

レオン「ありがとうございます、父上。捕虜は捕らえた僕が面倒を見ますので、手は煩わせません」

ガロン「構わん、好きにするがいい。皆の者、御苦労であった。各々休息に入るがよい……」

カムイ「………」コクリッ

レオン「………」コクリッ

マークス「一体、何が……」

エリーゼ「ほ、ほんと。よくわからなかったよ」

カミラ「ふふっ、そうね。でも、よかったじゃないすべて丸くおさまったみたいだから」

◆◆◆◆◆◆◆◆
―白夜王国・レオン邸―

レオン「カムイ姉さん。今はどこにも監視の目はないよ。優秀な部下がすべて確認し終えたみたいだから」

カムイ「そうですか……。レオンさん、ありがとうございました。おかげでサクラさんたちの命をどうにかつなげました」

レオン「べ、別にカムイ姉さんのために頑張ったわけじゃないから。僕にだってやるべきことがあった、ただそれだけだよ」

カムイ「いいえ、お礼を言わせてください。ありがとうございました」

レオン「でも、これからが大変だよ。父上に言ったとおり、僕はあの三人を白夜への抑止力として引き取ったにすぎない。もしも、すべての反乱が終息して、白夜へと攻める準備が整ってしまった時は……」

カムイ「わかっています。それまでに色々と考えるべきことが出来てくると思います。でも、レオンさんの演技は中々でしたよ」

レオン「そんなこと言ったらカムイ姉さんの演技のほうがすごいというか、本当にサクラ王女の首を落としてしまうかと思ったよ」

カムイ「がんばりましたから」

???「何が頑張りました、よ!」

レオン「ん、一般兵か。少し静かにしてほしいね。姉さんと大事な話の最中なんだ。さっさと、与えた部屋に戻ってよ」

カザハナ「一般兵じゃない、あたしにはカザハナって名前があるんだから!」

カムイ「カザハナさん、すみません。怖い思いをさせてしまいましたね」ピトッ

カザハナ「ええっ、なんでいきなり人の顔……触って」

カムイ「カザハナさんの顔を知りたいだけですから。他意はありませんよ」

レオン「カザハナ、諦めるんだね。姉さんはそれを始めたら、お前を調べ尽くすまでやめないはずだから」

カザハナ「な、そ、そこは眼尻……ひぅ」

カムイ「カザハナさんは眼尻が弱いんですね。なんだか威勢が良かっただけに、そう言う弱弱しい声が出るというのは、なんだかとてもいいですね」

カザハナ「な、何がいいのよ! ひゃうっ!」

カムイ「ふむ、このまいてあるものはなんですか?」

カザハナ「それは鉢巻、って解かないでよ! ああっ、髪が前に掛って」 

カムイ「すみません。ちょっと力を入れすぎちゃったみたいです」

カザハナ「もうっ……」

レオン「で、何の用? 特に話すことは今ないんだけど」

カザハナ「……ありがとう」

カムイ「?」

カザハナ「あたしたちのこと、どうにか助けてくれて……」

カムイ「そんなことですか……。別に気にしないでください、サクラさんたちを利用して、私がどうにか地位を回復したことに違いないんですから。結局、私はあなたたちを売ったんです」 

レオン「そうだよ。それにお前たちの命が絶対に助かる保証なんてない。僕は自分の考えを通すために、お前たちを利用しただけだよ。お礼を言われる筋合いはない」

カザハナ「そうかもしれないけど、お礼は言いたいの。ありがとう。それに牢屋じゃなくて、こんな立派な場所に置いてくれるんだから、少しだけ見直したよ」

レオン「ふん、カザハナは立ち回りを見直したほうがいいよ。戦場であんな倒れ方したら無様でしかないからね」

カザハナ「………なんで、そうやって人をコケにする発言するわけ? あたしはお礼を良いに来ただけなのに……」

カムイ「ふふっ、カザハナさん。レオンさんは、照れてるんですよ」

レオン「ちょ、カムイ姉さん!」

カザハナ「……へー、そうなんだ」ニヤニヤ

レオン「………こいつだけ打ち首にしとけばよかった。なんで姉さん、こいつから始めなかったの?」

カムイ「順序っていうものがありますから……。それでは私はこれで失礼しますね。お二人の……いえ、レオンさんの邪魔をするわけにはいきませんから」

レオン「姉さん、なんでそこ言いなおしたの?」

カムイ「他意はありませんよ。それよりもレオンさん、今度教えてほしいことがあります、お時間をいただけますか?」

レオン「連絡をしてくれれば出来る限り時間は取れるようにするよ」

カムイ「ありがとうございます」

カムイ「レオンさん、カザハナさんやツバキさん、そしてサクラさんをお願いしますね」

レオン「わかってるよ。心配症だね」

カムイ「すみません。それでは、失礼いたしますね」

レオン「うん。おやすみ、姉さん」

◆◆◆◆◆◆
―白夜王国・北の城塞・カムイの部屋―

カムイ「…………」

カムイ(このベッドの上に倒れられるのが、夢のようですね)

カムイ(本当に、今日までのことが夢だったらと望まぬことはありません)

カムイ(…………)

カムイ(どうしましょうか……。思った以上に辛いですね……)

 コンコン

カムイ「ん? 誰ですか?」

 ギィ

???「カムイ様」

カムイ「あれ、どうしたんですか……」

リリス「カムイ様、少々時間をいただいてもよろしいでしょうか?」

カムイ「リリスさん?」

今日はここまでです。次にこの章が終わる感じです。
         前回の選択してカミラだった場合は、カミラがサクラたちを引き取っている形になる予定でした。

リリス「はい、カムイ様に少し付いてきていただきたい場所があるんです」

カムイ「別に構いませんよ。でも、できれば城塞から出る場所でない方がうれしいんですが」

リリス「はい、大丈夫ですよ。この部屋から一歩も出たりしませんから。少しだけ失礼しますね」ダキッ

カムイ「リリスさん、抱きついてどうかしましたか?」

リリス「はい、今からカムイ様をご招待する準備みたいなものです」

カムイ「これがですか? ベッドの上で抱き合ってるところをジョーカーさんたちに見られたら、いらぬ誤解を生みそうですね」

リリス「そ、そういう意味じゃありませんから!/////」

カムイ「ふふっ、ではリリスさんにお任せしますから。どうぞ、私をそこに連れて行ってください」

リリス「はい。 神祖竜よ、汝が地に、我らを迎え入れたまえ」

 ヒュオオオオオオオオ 

カムイ「!?」

 トスッ

カムイ「……ここは一体?」

リリス「すみません。驚かせてしまいましたか?」

カムイ「えっと、さっきまで私とリリスさんはベッドの上にいたはずなのに……、あのここはどこなんですか?」

リリス「はい、ここはカムイ様が先ほどまでいた大陸、いえ世界とは異なる場所、星界と呼ばれる場所です」

カムイ「星界? リリスさん、あなたは一体?」

リリス「まだ人の体は保てるみたいです。もう少し無理をすることになっていたら、維持できなかったかもしれませんね」

カムイ「維持ですか?」

リリス「はい。カムイ様、私は人間ではないんです」

カムイ「奇遇ですね。私も人間ではなかったみたいですから、お揃いです」

リリス「………」

カムイ「……?」

リリス「……あの、一世一代の告白だったんですけど?」

カムイ「それに目が見えない私が今さら形で嫌うことなんてありません。リリスさんはリリスさんですよ」

リリス「はぁ、覚悟をきめてきたんですけど、全部カムイ様に台無しにされた気分です」

カムイ「すみません。ところでこの星界というのは、どういう場所なんですか?」

リリス「……本当にカムイ様は動じない人ですね。なんだか少し寂しいです」

カムイ「そんなことはないですよ。リリスさんにさびしい思いをさせていたわかってしまったら、顔を撫でてあげなくちゃと思うくらいには、人のことをよく考えてますから」

リリス「それって、私の顔を触って反応を確かめたいってだけの話ですよね?」

カムイ「……」

リリス「まぁ、その話はもういいです。ここは星界、時空を司る星竜の加護を受けた世界です」

カムイ「加護を受けた世界ですか?」

リリス「はい、ここでは時間の流れが少し異なります。感覚的にはこちらの方が無効の世界より時間の進みが早いとだけは言えます。それに、竜脈も満ちています」

カムイ「へぇ、どういうものができるんですか?」

リリス「そうですね……。ちょっと待っていてください。えいっ!」

 ドォン!

<マイルーム>

カムイ「いきなり何かができたみたいですね」

リリス「はい、こうやって何かを建てたりできます……けど、この建物は駄目ですね」

カムイ「どうしてですか?」

リリス「その、カムイ様のためにとお家を作ってみたんですけど……、その梯子で登らないといけないものにしてしまったので」

カムイ「別にいいですよ。梯子を登るくらい造作もありませんから、訓練で梯子から一気に下りるのもこなせますから」

リリス「いいえ、木を伐採しますね」

 スパーン!

<マイルーム(地)>

リリス「これで大丈夫になりました。積もる話もありますので、中で話をしましょう」

カムイ「はい、わかりました。しかし、私の家ですか。なんだか柄にもなくワクワクしてしまいますね」

◆◆◆◆◆◆
―マイルーム―

カムイ「それでリリスさん、私にこのような場所を提供した理由というのは何なんですか?」

リリス「カムイ様は、これからどうするつもりなんですか?」

カムイ「……これからというのは、暗夜で何をするかということですよね?」

リリス「はい。今回はどうにかなりました。でもこれはガロン王様の目が届いていなかった場所で準備ができたからですよね?」

カムイ「そうですね。お父様は私が死んでいると仮定していたようですし、たぶん生きていたとしても白夜に付くだろうと思っていたのかもしれませんから」

リリス「ここは、あの世界とは違う場所です。そして、ここで話したことは当の本人たち以外知ることはない場所です」

カムイ「なるほど、そういうことですか」

リリス「はい。この先、多くのことを考える必要が出てくると思います。その度に誰にも邪魔されない場所を見つけるのは難しいことですから。私はカムイ様が進む道を信じています。だから、私はカムイ様にこの場所を提供したいんです」

カムイ「それで、無茶をしたんですか?」

リリス「もしかしたら人ではない本来の姿になってしまうかもしれませんでした。でも、そうなったとしても私は、カムイ様をこの場所に連れて来たかったんです」

カムイ「リリスさん……。ありがとうございます。実は少しだけ辛かったんです、何を考えるにしても監視されている可能性が否めない場所に居続けるというのは。この世界、有効的に使わせてもらいますね」

リリス「はい、カムイ様にお役に立ててうれしいです」

カムイ「といっても、今はやることの選択肢はないんです。それに、次にやることは決まっているでしょうから」

リリス「そうなんですか?」

カムイ「はい。だから、まずはそれにどう対処するべきなのかを考えているのが、今の実情です。あと、私は暗夜について知らないことが多すぎますから、それをどうにか補わないことには、暗夜に来た意味が何もなくなってしまうでしょう。いろいろと大変な日々が始まりそうです……」

リリス「カムイ様は強いんですね」

カムイ「皆さんによく言われますけど、全くそんな気はしないんですが」

リリス「ふふっ、カムイ様はいつも謙遜されますから。それが美徳だとマークス様は言っていました」

カムイ「ここにはいつでも来れるんですか?」

リリス「はい、私に言ってくだされば、すぐに門を開きます。ただ、門を開いた場所からどこかへ移動することはできませんから、そこだけはお願いしますね」

カムイ「この先、利用することが多くなると思います。そして、使うことがなくなった時が、すべてが終わったときなんでしょうね」

リリス「はい、そうなるといいですね」

リリス「私からの話は以上です。では、そろそろ元の世界に戻りましょ――あ、あれ……」

 ポフッ

カムイ「リリスさん、大丈夫ですか」

リリス「えへへ、ごめんなさい。少しだけ無理をしてしまったみたいです。元の世界に戻って部屋で休みますから……」

カムイ「いいえ、ならここで休んでいきましょう。ベッドは……大きいのがあるみたいですから」

リリス「カムイ様? ひゃっ」

カムイ「やっぱり、リリスさんは軽いですね。ちょっと、ベッドまで移動しますね」

リリス「す、すみません。私、人間じゃないのにあまり体力ないんです」

カムイ「気にしないでください。平原で私の元に来てくれたこと、とてもうれしかったです。これくらいは甘えてもいいんですよ。そうだ、何かしてもらいたいことはありますか?」

リリス「し、してもらいたいことですか?」

カムイ「はい、私のできる範囲でしたら。リリスさんの望むことをしてあげたいです」

リリス「え、えっと……じゃあ、カムイ様……一緒に、寝てもらっても……いいですか?

カムイ「一緒にですか?」

リリス「そ、その、だめ……ですか?」

カムイ「いいえ。それじゃ、横失礼しますね」

リリス「んっ」ギュッ

カムイ「ふふっ、リリスさんは甘えん坊ですね」

リリス「……良かったです。無事でいてくれて、カムイ様」

カムイ「はい、私もまたリリスさんに会えてうれしいですよ」ナデナデ

リリス「私が、今度はちゃんと守って見せます、だから……今だけは甘えさせてください」

カムイ「はい、でも。無理はしないでくださいね。リリスさんにもしものことがあったら、私はとても悲しくなりますから」

リリス「そう言ってもらえるだけで、私はとっても嬉しいです。お休みなさい、カムイ様」

カムイ「ええ、ゆっくり休んでください……」

リリス「はい………。すぅすぅすぅ」

カムイ「………」



カムイ(今日、サクラさんの首を剣で斬ろうとしたとき………)

カムイ(私はどこかで、人が死ぬことに喜びを感じていた。私は本気でサクラさんを殺そうとしていた。あの時、レオンさんの攻撃が遅れていたら、その時は………)

カムイ(アクアさんは言っていた。獣に成り果てると本能のままに動くようになってしまうと……)

カムイ「衝動は封印されているけど、私の中に流れる竜の血は、まだ脈打ち続けているんですね……」

カムイ(いつか、私の中の衝動がすべてを殺すことを望んでしまったら……その時、私はどうなってしまうのでしょうか?)

カムイ「少し辛いですね。これを抱えながら過ごさなければいけないというのは……」

リリス「う、うーん。カムイ様………」

カムイ「……ふふっ」ナデナデ

カムイ(今は休みましょう。今日はさすがに疲れましたから………)

カムイ「……お休みなさい」






カムイ(目覚めた時、私が私でありますように……)

◆◆◆◆◆◆

―暗夜王国・王の間―
ガロン「くっくっくはははははははははははははは。あれで我を出し抜いたつもりであろうな」

ガロン「カムイよ、つくづく面白いことをしてくれる。すべてが我が掌の上だということを知らずにどうもがくのであろうな?」

ガロン「これもあの方のご意思があってこその采配、さぞ面白いことになるのであろう」

ガロン「例の件、カムイに任せよう。彼の部族の反乱、その鎮圧をな………」

ガロン「さぁ、どう我を楽しませてくれるのだろうか」

「………我が子よ」



 第六章 おわり

現在の支援レベル(暗夜)

 リンカ   C+
 ジョーカー C
 ギュンター C
 サイラス  C+
 マークス  C
 レオン   C+
 エリーゼ  C
 カミラ   C+
 リリス   C+→B
 モズメ   C
 サクラ   C
 アクア   C+
 カザハナ  D→D+
 ツバキ   D→D+

仲間たちの支援
 

 カザハナとレオンの支援がCになりました。

今日はここまでです。リリスは星界をつなぐだけなら人間状態を維持できるんじゃないかなとか思ったので、人間形態で進行します。
 
 安価で第七章開始時にレオン邸に着いたとき、レオンと話をしているキャラクターを決めます。

 カザハナ
 サクラ
 ツバキ

 >>334でおねがいします。
 

カザハナ

◆◆◆◆◆◆◆◆
―白夜王国・レオン邸―

メイド「ようこそ、お越しくださいました」

カムイ「はい、すみません。こんな朝からお邪魔してしまって」

メイド「いいえ。レオン様も、カムイ様とお会いするのが楽しみだと仰っていましたから、これほど早く来ていただけて、とても喜んでいらっしゃいますよ」

カムイ「はい、ありがとうございます」

メイド「こちらの部屋です」

カムイ「案内してくださってありがとうございます」

メイド「はい、それでは」

 コンコン

カムイ「レオンさん、入りますね」

 ギィ

レオン「だから、出来る限り善処はする。するけど、立場にあった発言をしてほしい。君たちは捕虜、それを忘れないでくれないかな」

カザハナ「立場立場っていうけど、あたしとサクラは女の子なんだよ。少しはそこらへん融通利かせるのが、男ってものじゃない!」

レオン「……こんな手のかかる捕虜を取るくらいだったら、あの時周囲を確認しに行けばよかった。そうすれば、一般兵の面倒なんて見ずに済んだのに」

カザハナ「あんた、また人のこと名前で呼ばないんだね」

レオン「お前こそ、僕のことを名前で呼ばないくせに上から目線だね。誰のおかげで命が繋がってると思ってるんだろうね?」

カザハナ「嫌なこと蒸し返すよね、ほんとこんなのが王子なんて暗夜も大したことないわ」

レオン「なんだと、もう一回言ってみなよ。立っていられないくらいに、僕の魔法をありったけぶつけてあげるから……、って、ね、姉さん!?」

カザハナ「へっ?」

カムイ「………来る時間を間違えたみたいですね。レオンさん、カザハナさんとお話があるようでしたら、少し時間を潰してきますが」

レオン「いや、つまらない話だから」

カザハナ「つ、つまらなくなんかない!」

カムイ「……カザハナさん。一体どうしたんですか。まだ部屋にいるべき時間ですよ?」

カザハナ「………。その……お風呂のことで……」

カムイ「お風呂……ですか?」

レオン「ああ、毎日入らせてほしいと言ってくる。捕虜を自宅に置いているという時点で、すでにいろいろと面倒があるっていうのに……」

カザハナ「だ、だって……。白夜にいた時は、毎日の習慣だったのに、ここでいきなりそれをやめてなんて、ちょっと納得いかない」

レオン「本来なら殺されていた身で、どうしてここまで横暴なんだよ……。それに毎日の入浴が平常化したら、実は脱出を考えていたとかそんなことになっても困る。君たちは大事な駒なんだから、少しは考えてほしいね」

カザハナ「むーっ!!! ケチ!」

カムイ「つまり、レオンさんとしては誰も見ていないことが不安なわけですよね?」

レオン「そうなるね」

カムイ「なら、簡単です。監視をつけましょう。それが簡単な解決方法です」

レオン「それができるならやってるよ。ただ人員が足りないし、捕虜がのびのびとお風呂に入っているところを監視させるなんて、それこそ三人の寿命を縮める行為になりかねない」

カザハナ「…あたしだって、知らない奴に監視なんかされたくないし」

カムイ「いや、双方知り合いですから何の問題もないじゃないですか……」

レオン「?」

カザハナ「?」

カムイ「……レオンさんが監視すればいいんですよ。ね、レオンさん」ニヤッ

レオン(なるほど、わかったよ姉さん)

レオン「……そうだね、それなら別に構わないよ」

カザハナ「なっ、何言ってんの!? 変態、変態じゃない!」

レオン(こうしておけば、さすがに無理に意見を押し通したりしないだろう。到底受け入れがたい内容が入れば、流石に引くはずだ)

カムイ「それなら、カザハナさんの願いも叶えられますし、レオンさんの監視の問題も解決すると思います」

レオン「まぁ、僕も譲歩出来てこれくらいかな。最低でも誰かしらの監視は必要だけど、こんなことに大事な臣下は使えないからね」

カザハナ「うっううっ……」

レオン(よし、あと一歩だな。すでに牙城は崩れたみたいだし)

レオン「まぁ、見られたくない気持ちはわかるから、別に無理しなくていいよ。毎日じゃなければ別に問題はないし、僕としても時間の手間が外れて助かる」

カザハナ「…………」

レオン「ふん、まぁ、そう言うわけだから……、もう話は終りだよ」

カザハナ「わかったわよ―――」

レオン「最初からそうしてくれれば、よかったんだ。これからは―――」









カザハナ「その条件呑んであげる……」

レオン「だよね、賢明な判断―――え?」

カムイ「……え?」

カザハナ「その条件飲んであげるって言ってるの! いいもん、暗夜の王子は人のお風呂を監視するような変態だって、言いふらしてあげるから!」

レオン「ちょ、ちょっと待――」

カザハナ「大っ嫌い!」タタタタタタタタッ

 ガチャ バタン………

レオン「………」

カムイ「…………」

レオン「………」

カムイ「……レオンさん」

カムイ「姉さん………」

カムイ「すみませんでした。カザハナさん、結構負けず嫌いな方なんですね」

レオン「………良い教訓になったよ。もう、あいつと何かでもめたら、褒め倒すことにするから。あれは押して引いてじゃない、譲歩して向こうに罪悪感を持たせたほうが倒せる相手だ」

カムイ「………これが戦場だったら、死んでましたね」

レオン「なら、僕はまさに戦死してることになるよね……」

>>341

白夜王国→×

暗夜王国→○

お恥ずかしい、凡ミスです。申し訳ない。

◆◆◆◆◆◆

レオン「それで、僕に聞きたいことって何かな。姉さん」

カムイ「はい、レオンさんの言っていた暗夜で表面化している反乱についてです」

レオン「反乱のことね」

カムイ「はい、レオンさんはこの前のお父様の話で言っていました。武力事態は白夜を征服、支配することが可能なくらいにあると」

レオン「……そうだね。正直な話、反乱を押さえ込まなくても白夜に勝つことはできる。でも、被害は甚大になるのは間違いない。暗夜王国のことをよく思ってない周辺諸国、それに部族は数多いからね」

カムイ「話に上がった氷の部族もその一つですか?」

レオン「そうだね。父上がその気になれば集落はすぐに焼き払われることになる。今まではその力という凶器で反乱を抑えてきたけど……」

カムイ「力を示せば示すほど、反乱に加担する諸国が増える可能性がある……そう言うことですね?」

レオン「うん。今はまだ白夜と戦端を切っただけだから、その余波がまだ来てない。でも、白夜に暗夜側にありながら抵抗している国の情報は必ず入るはず。力を示して抑え込み続ければ、民衆の不満は大きな原動力になる。そこに白夜の手が入り込めば、暗夜は大多数の兵力を国の反乱鎮圧に充てることになる。そうなったら……」

カムイ「前線が拡大して、各地に穴ができる……ということですね。気づけば前線を一つ、また一つと崩されて、最悪戦争に負けますね」

レオン「ほんと、姉さんは理解力があるよね。剣を振ってるよりも指揮を出してた方が……ごめん、また悪い癖だ……」

カムイ「レオンさん、何度も言っていますけど、気にしないでください」

レオン「無理だよ。気にしないと――、ううん、なんでもない」

カムイ「レオンさん?」

レオン「なんでもないって言ってるでしょ? 話は戻るけど、僕はそんな形で前線を崩された揚句、多くの無駄な犠牲が出ることを抑えたいと考えてる。だから反乱の鎮圧はできる限り、武力じゃない形で終わらせたい。もちろんその先にあるのは、暗夜の勝利だよ。暗夜が白夜に負けるなんてことは考えてないから、あの三人には悪いけど、白夜との戦争は僕たちが勝つ以外の道はない」

カムイ「そうですか」

レオン「姉さんは、どうしたいの?」

カムイ「そうですね。まずは、迫りつつある問題に対処することでしょうか?」

レオン「迫りつつある問題?」

カムイ「はい、お父様が何をお考えかはわかりませんが。多分、私に何かしらの任務を与えてくれるでしょう」

レオン「……」

カムイ「先に言っておきますけど、私はレオンさん、力ではない方法で反乱を抑えるという考えに賛成です。それに武力で鎮圧してしまったら、サクラさんたちを助けた意味がなくなってしまいますから」

レオン「その言葉、信じてもいいんだよね」

カムイ「ええ、姉さんを信じてください」ピトッ

レオン「ね、姉さん。いきなりなにを……」

カムイ「久々にレオンさんの顔を触りたくなっただけですよ。ふふっ、やっぱりどこか可愛いですね」

レオン「男としてはなんだか複雑な気分になるよ」

カムイ「ええ、レオンさんは、鼻先が弱かったんですよね」

レオン「ぐっ……や、やめてよ姉さん」

カムイ「ふふっ、もう少しだけ触らせてください。レオンさんもこれから忙しくなるでしょうから……」

レオン「………捕虜のこと?」

カムイ「それもありますけど、私たちはお父様に色々と命令をもらうことになると思います。白夜の戦争が始まったことで、その頻度は増します。次に会えるのはいつかもわかりませんから」

レオン「………はぁ、わかったよ。もう少しだけだからね」

カムイ「はい、ありがとうございます……」



レオン(姉さん、姉さんの目が見えていたらと僕はよく思うんだよ。でも、その理由を姉さんが知ったら、僕のことをどう思うんだろう……)

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・クラーケンシュタイン城―

カムイ「……お父様、カムイ、ただいた参りました」

ガロン「うむ、よくぞ来たカムイよ」

マクベス「カムイ王女、捕虜の件ですが。ガロン王様からの信頼を得たいがためとはいえ、面白ことをやってくれるものですな」

カムイ「それくらいしかできることが無かったものですから、今後は自身の力を示していくつもりです」

マクベス「いい心がけです。カムイ王女、期待していますよ」

ガロン「さて、カムイよ。お前を我が子と見越して一つ任せたいことがある」

カムイ「はい、お父様」

ガロン「先に聞いた氷の部族の話、覚えておるだろう?」

カムイ「レオンさんが言っていた、反乱を起こしている部族のことですね」

ガロン「ああ、その反乱の鎮圧、それをお前に任せたい」

カムイ「反乱の鎮圧ですね。わかりました」

ガロン「ああ、良い報告を期待しているぞ」
 
カムイ(……あっさりし過ぎている。兵士に制限を掛けたり、それ以外に何かしらの手が加えられると思っていましたが……)

ガロン「………どうした、すぐに準備を始めるがよい」

カムイ「はい、わかりました。準備を終え次第、部族の村へ向かいます」

カムイ(何かあると考えたほうがいいですが、一体……)

◆◆◆◆◆◆

ガロン「そうか、カムイは氷の部族の村へと向かったか」

マクベス「はい、それでどういったことをしておられるのですかな?」

ガロン「何もしておらん。ただ、暗夜の王女が氷の部族の村に向かうと、氷の族長に伝えただけだ。そう、今にも反乱をおこそうとしている者たちにな」

マクベス(なるごど、あちらはカムイ王女を反乱を武力で抑えに来た者だとすでに決めつけているでしょうな。ふふっ、これは面白い)



マークス(父上、なぜそのようなことを……。なぜ、そんな挑発的な発言をするのですか。このままではカムイの身が危ない……)

マークス「どうするべきか……」

エリーゼ「マークスおにいちゃん、どうしたの? なんだかすっごく悩んでるみたいだけど?」

マークス「エリーゼ……。エリーゼ、ひとつ頼まれてくれないか」

エリーゼ「マークスおにいちゃんがあたしに頼みごとなんて……うん、あたしにできることだったら何でもやるよ!」

マークス「私は、父上の傍にいる必要がある。かわりにエリーゼ、カムイ元へと赴いてほしい」

エリーゼ「カムイおねえちゃん、どこに行っちゃったの?」

マークス「氷の部族の村に向かったそうだ。だが、氷の族長はすでにカムイが訪れることを知っている……。待ち伏せされている可能性が高い……」

エリーゼ「そ、そんな……」

マークス「だからこそだ、エリーゼ。カムイの力になって欲しい。出来れば私自身がいければよいのだが……」

エリーゼ「ううん、マークスおにいちゃん、あたし頑張るよ。だから、安心して!」

マークス「ああ、任せた」

エリーゼ「でも、カムイおねえちゃんはどこから向かったのかな?」

マークス「カムイのことだ、できる限り最短距離で到着できる道を選ぶだろう。だとすると天蓋の森を抜けている可能性が高い。あそこは目が見えるものでも、時間のかかる場所。それにカムイは仲間を連れて歩いている、どうにか追いつけるはずだ」

エリーゼ「うん、わかった。マークスおにいちゃん、カムイおねえちゃんのことは、あたしに任せて。きっと、無事に帰ってくるから!」

マークス「ああ、すまないが。頼んだぞ、エリーゼ」

エリーゼ「うん!」


◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・王都正門―

エリーゼ「うん、よし! 待っててね、カムイおねえちゃん」

???「エリーゼ!」

???「エリーゼ様!」

エリーゼ「え、二人ともどうしたの?」

???「どうしたのじゃない。エリーゼ、行くなら私も連れて行ってほしい。黙っていくなんて」

???「そうですよエリーゼ様。私は正義の味方である前に、エリーゼ様の臣下なのですから!」

エリーゼ「そうだね、ごめん。それじゃ、一緒に来てくれるよね、エルフィ、ハロルド!」

エルフィ「もちろんよ。私はエリーゼを守る盾だから、どんな危険も私が受け止めてみせるから」

ハロルド「もちろんです。さぁ、行きましょう!」

エリーゼ「うん、二人とも頑張ろうね!」

エリーゼ(カムイおねえちゃんに追いつければいいんだけど、頑張らなくちゃ!)



 第七章 前編 おわり

 今日はここまでです。話的には、カムイが何をすべきなのかを考えるため、部族面前に暗夜の現状を理解するという話にした感じです。
 凡ミスすみませんでした。レオンさん、すでに白夜に家構えてるとか、おかしすぎました。

 次回戦闘でカムイと陣を組むキャラクターを決めたいと思います。

 ジョーカー  
 サイラス  
 リリス   
 モズメ   

 >>355 でお願いいたします



乙です
ジョーカー

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・天蓋の森『死霊の沼』―

 サガセ、カナラズコノモリヲトオルハズダ

カムイ「こんな森に誰か人がいるなんておかしいと思いましたが……そういうことですか」

ジョーカー「どうやら、すでに私たちが向かうことは知られていたと考えるのが自然ですね。見たところ、盗賊とは違うようですし、氷の部族の者たちと見て間違いはないかと」

カムイ「はい、出来ればまだこの森にいると思わせて、集落に向かうのが一番いいでしょう。向こうも、この森で私たちを探すのに手こずっているみたいですから………」

サイラス「なら、善は急げだ。あの一団を見送って、早く先に進もう」

モズメ「せやな、この森の中、嫌な感じで早く抜けたいわ」

リリス「白夜には、このような森は無い感じがしますからね」

モズメ「こんな場所、どんなに手をくわえても、良い野菜が育つところになると思えへんから」

サイラス「そうだな、白夜に比べて、暗夜は痩せた大地が多い。作物を作る条件が悪いところでもあるから」

ジョーカー「ないわけじゃないが、あり大抵の場所は貴族が牛耳っている場所が多い。暗夜王国らしいといえば暗夜王国らしいことだな」

モズメ「そうなんか、あまりいい話やないな」

 ミツケマシタ!

サイラス「! 感づかれたか?」

 コノサキニテ、アンヤノツカイトオモワレルモノタチヲハッケン ――サマガサキニムカワレマテイマス

 ヨシ、ワレワレモイクゾ、アンヤノツカイタチヲトラエルノダ!

カムイ「……敵に動きがあったみたいですが、今の会話を聞く限り……」

サイラス「どうやら、俺達の他にこの森にいた人たちがいるみたいだな……」

モズメ「あたいらと勘違いされてるみたいや……」

リリス「カムイ様、どうします?」

カムイ「…………」

ジョーカー「カムイ様。どうなさいますか? このまま集落に向かえば見つかる確率は減りますが……」

カムイ「どちらにせよ、集落での戦いは避けられないものでしょう。なら、敵の手を先に確認するのも悪くありませんね」

ジョーカー「では………」

カムイ「皆さん反転します、その方々の援護に向かいます。ジョーカーさんは私と一緒に行動をお願いします」

ジョーカー「仰せのとおりに」

カムイ「モズメさんとサイラスさんで連携を、リリスさんは治療の準備がすぐにできるようしてください」

リリス「わかりました……」

カムイ「……それでは行きますよ、皆さん」

◆◆◆◆◆◆

エルフィ「えいっ!」バシン

部族兵「ぐあああああっ」ドタンッ

ハロルド「くっ、まさかここで見つかることになるとは」

エルフィ「ハロルド、つべこべ言わないで戦って、エリーゼ様を守るのよ」

エリーゼ「ハロルド、エルフィごめん。あたしについて来たばっかりに……」

ハロルド「気になさらないでください。なにせ、私は正義の味方。エリーゼ様がカムイ様を心配して行ったことです。私はそれを全力でサポートするだけです」

エルフィ「そうよ、私たちはエリーゼ様を守るために、ここにいるんですから!」ドスッ

部族兵「ぐおおおっ」ドタッ

ハロルド「しかし、私たちが見つかったということは、カムイ様はまだ見つかっていないということでしょう」

エリーゼ「うん、そうだね。カムイおねえちゃん、無事に集落につけてるといいな……」

エルフィ「とりあえず、ここにいる人たちを全員眠らせてから、ゆっくり後を追いかけましょう」

部族兵「くっ、こいつら強い……」

???「あれ? カムイ様じゃない? もしかして、集落に向かわれてしまったのでしょうか?」

部族兵「くっ、はずれをつかまされたということですか。どうします?」

???「姉さんと約束したんです、絶対にここで止めてみせるって。気は進みませんけど、あの人たちを捕まえてカムイ様には王都に戻ってもらいます!」

部族兵「全員、一気に掛れ!」

 オオオオオオオオ!

エルフィ「! 三方向からくる。ハロルド、エリーゼ様を守って」

ハロルド「エルフィくん! わかった、このハロルド、命に代えてもエリーゼ様をお守りする!」

エリーゼ「エルフィ!」

エルフィ「今こそ訓練の成果を見せる時よ」

 ガキン キイン

部族兵「くっ、なんだ攻撃が全く通らない!?」

エルフィ「軽いわ。今度はこっちの番!」

 ブンッ ドゴォ

部族兵「くっ、くそおお」ドタッ
部族兵「な、なぜ……」ドタッ

エリーゼ「エルフィ、すごい」

エルフィ「はぁはぁ……ぐっ、まだまだ!」

???「行きますよ。やあっ!」ヒュン

エルフィ「ぐっ……、鎧の隙間に……力が……」

部族兵「てやああああ!」

エルフィ「ああっ!」

ハロルド「エルフィくん!」

エリーゼ「エルフィ!」

エルフィ「……当たれえ!」

部族兵「ふっ、動きが鈍ればこちらの物だ」

???「ごめんなさい、でもこうするしかないんです!」ヒュン

エルフィ「……しまった!」ドサッ

部族兵「倒れた。今だ!」

エリーゼ「! エルフィ」

ハロルド「くっ、エリーゼ様。ここでお待ちください! 私がお相手する!」

エルフィ「……くっ、ごめんエリーゼ……私、もう……」

部族兵「くらえっ!」

ハロルド「間に合わない!」

エリーゼ「エルフィ!!!!!」

エルフィ「!!!!!」

 ドゴォ!!!

エルフィ「…………」

エルフィ「………?」

エルフィ「……え?」

カムイ「倒れた相手に追い打ちとは、品性を疑いますよ」

部族兵「な、いきなり……」ドサッ

カムイ「さて、とりあえず攻撃をしようとしている気配を攻撃しましたが、こちらが味方でいいんでしょうか?」

ジョーカー「ええ、間違っていないと思います。はっ!」ヒュン

部族兵「ぐっ、新手だと!? 一体どこから現れた」

サイラス「まったく、倒れた相手一人に後続がぞろぞろとか、見てて情けなくなるね」

モズメ「あんた、大丈夫? リリスさん、こっちへ来てや」

リリス「はい、これでよくなると思います。……あれ、エリーゼ様!?」

エリーゼ「リ、リリス!? え、カムイおねえちゃん!?」

カムイ「追いかけてきた人というのはエリーゼさんだったんですか。もう、危ないことをしてはいけませんよ」

エリーゼ「ご、ごめんなさい……」

カムイ「そこの方、立てますか?」

エルフィ「え、ええ。ありがとう」

カムイ「すみません、遅れてしまいました。エリーゼさんの臣下の方ですね?」

エルフィ「はい、エルフィと言います。助けてくれてありがとう」

カムイ「はい、そちらの方も?」

ハロルド「私はハロルド、エルフィくんを助けてくれて感謝するよ」

エリーゼ「カムイおねえちゃん……」

カムイ「まったく、御転婆ですねエリーゼさんは。でも、無事でよかった」ダキッ

エリーゼ「怖かったよ。エルフィが死んじゃうかと思ったから……あたしのせいで……」

カムイ「怖い思いをさせてしまいましたね。でも大丈夫、ここからは私たちも一緒です」

サイラス「そういうことですから、エリーゼ様。安心してください」

エリーゼ「サイラス、うん!」

カムイ「それでは、どこの誰かわかりませんが。妹に色々としてくれたお返しをさせてもらいましょうか」



 ザッ ザッ



カムイ「………?」

カムイ(この気配………私の知っている人?)

ジョーカー「……? おいお前、これは一体何の冗談だ?」

フェリシア「……冗談なんかじゃありませんよ、ジョーカーさん」

リリス「フェリシアさん!? どうしてこんなところに」

カムイ「……フェリシアさん」

フェリシア「ふふっ、カムイ様。驚きました?」

カムイ「はい。何のためにいるかは聞く必要はないようですね」

フェリシア「カムイ様、王都に帰ってくれませんか」チャキッ

ジョーカー「フェリシア、カムイ様に向かって何言ってやがる!」

フェリシア「だめです、私はここを通すわけにはいきません。氷の族長の娘として、通すわけにはいかないんです」

部族兵「……フェリシア様」

フェリシア「少しだけ待ってください。カムイ様、お願いですから帰って、私は戦いたくなんてありません。主君だからとかじゃないんです、私はカムイ様とこんな戦いをしたくないんです」

カムイ「フェリシアさん。あなたの部族の事情は察しますが。私の目的を勘違いしているのは……」

フェリシア「わかってます。カムイ様が戦うために来たわけじゃないことくらい。でも、みんなはそう思ってくれません。ここで帰ってもらう以外に、私たちはこの刃を抑えることはないんです。それに集落のみんなは、カムイ様たち捕らえて暗夜の交渉に使うつもりです。意味がないわかったら、殺されてしまいます」

カムイ「そうですか………。今の重大発言ですよ……」

フェリシア「………」

ジョーカー「はぁ、フェリシア。ノロマだとかそういう問題じゃない、お前は馬鹿だ。お前が仕えていたのはカムイ様だ。カムイ様に仕えることが俺たちの役割だ。そうだろ?」

フェリシア「それを選べたら良かったんですけど、ごめんなさい」

カムイ「なら、答えは一つですね。フェリシアさん、私にはちゃんとした役割があります。その役割を満たすことを私は約束したんです」

フェリシア「退くつもりは……ないんですよね」

カムイ「はい、そうです」ジャキッ

フェリシア「皆さん、もういいです。カムイ様を……いいえ、暗夜王国の王女を倒してください」

部落兵「はい、全員いくぞ!」

フェリシア「……ごめんなさい。私はやっぱり、ダメメイドです……」

カムイ「ジョーカーさん。少し激しく動きますけど、サポートよろしくお願いします」

ジョーカー「はい、思う存分お動きください。このジョーカー、かならずサポート仕切ってみせます」

サイラス「モズメ、サポートに回る。決めてやれ!」

モズメ「わかったで、ていやっ!」

部族兵「ぐっ、しかし、浅い!」

ハロルド「はっはっは、こちらにもいるぞ!」

部族兵「ぐはっ……」ドサッ

エリーゼ「ライブ! えへへ、エルフィ、完全回復できたよ!」

エルフィ「ありがとう、エリーゼ様」

エリーゼ「うん、カムイおねえちゃんのために道を作ってあげて。何とかしてくれるはずだから」

エルフィ「ええ、助けてもらったお礼、ちゃんとしなくちゃいけないから」ガシィン

カムイ「エルフィさん、感謝します。ジョーカーさん行きますよ」

ジョーカー「はい。フェリシア、恨みは全くないが、カムイ様の命令通り止めさせてもらうぞ」

フェリシア「カムイ様……。だめ、しっかりしないと……。いきます! やあっ!」ヒュン

 カキィン

カムイ「ジョーカーさん!」

ジョーカー「喰らえっ!」ヒュン

フェリシア「んっ!」キィン

ジョーカー「本当に戦闘中の動きはいいんだが、あれでどうして紅茶を全部こぼしたりするんだ?」

カムイ「それがフェリシアさんらしさですよ。だから、こちらも本気で行かないと駄目ですね。さぁ、いきますよ! てやぁ!」

フェリシア「えい! カムイ様、強いんですね」

カムイ「フェリシアさんも、中々やるじゃないですか」

フェリシア「私には、これしかありませんから!」

ジョーカー「ふっ、カムイ様に当てられると思うなよ」

フェリシア「……何回かやってればきっと当たります!」

カムイ「……そうですね。それじゃ、こういうのはどうですか」

 ゴソゴソ 

カムイ(さて、これを使ったらどうなるかはわかりませんが、フェリシアさんの意識を一瞬だけそらせるはず!)

カムイ「行きます」

 シュオオオオオン

ジョーカー「カムイ様!?」

フェリシア「なんですか、この光?」

カムイ(竜状態)「ウオオオオオオン」

ジョーカー「これは、カムイ様?」

フェリシア「か、カムイ様……なんですか」

カムイ(竜状態)「フェリシアさん、よそ見はよくないですよ」

フェリシア「!?」

カムイ(竜状態)「ジョーカーさん、今です」

ジョーカー「はい、ってわけだ。フェリシア、おとなしく反省しろ!」

フェリシア「しまっ……きゃああああああ」ドタドタン

部族兵「フェリシア様……!? な、なんだあれは………」

サイラス「カムイ、竜になれるのか?」

エリーゼ「え、あれが、カムイおねえちゃんなの?」

リリス「カムイ様……」

エルフィ「……きれいね」

ハロルド「ああ、不思議と目が追ってしまうような美しさだ」

フェリシア「うっ、うう」

カムイ(竜状態)「………」ジーッ

フェリシア「ひぅぅぅ」

カムイ(竜状態)「フェリシアさん、まだ戦いますか?」

フェリシア「か、カムイ様………」

カムイ(竜状態)「…………お願いします。もうここまでにしてください」

フェリシア「みんなは……」

フェリシア(みんな、もう戦える状態じゃないんですね……。結局、私はどちらにいても役に立てないんですね……)

カムイ(竜状態)「……フェリシアさん」

フェリシア「どうすればよかったんでしょう。私はメイドとしての仕事もできないから、この戦う技術だけしかないんです。でも、これがカムイ様を倒すために使うのが嫌だったのに、結局こんなことになっちゃうんですね」

カムイ「………」

フェリシア「カムイ様、私は……」

 シュオオオオン

カムイ「まったく」ナデナデ

フェリシア「えっ、カムイ様?」

カムイ「悩んでいたら話してください、私はそんなに信用がないんですか?」

フェリシア「いえ、私のことでカムイ様に迷惑をかけたくなくて」

ジョーカー「その結果がこれだろうが」

フェリシア「ご、ごめんなさい」

カムイ「フェリシアさん。約束をしましょう」

フェリシア「約束、ですか?」

カムイ「ええ、私は集落の人を誰一人殺したりしません。もちろん、フローラさんのことも同じです、ちゃんと和解してみせます。だから、フェリシアさん、もう一度私のメイドとして仕えてくれませんか?」

フェリシア「だ、だめです。一度、刃を向けた私がカムイ様にまた仕えるなんて……。それに……」

エルフィ「?」

フェリシア「あちらの方に、私は攻撃を加えたんです。そんな人の近くに私がいたら……」

カムイ「エルフィさん」

エルフィ「はい、なんでしょうか?」

カムイ「根に持ちますか?」

エルフィ「いいえ、特に」

フェリシア「だ、だって、あの時カムイ様が現われなかったら、あなたは……」

エルフィ「そうね、でもそれが戦場というものだから。私とあなたは今敵同士、だからその結果で私が死んでしまっても、それは仕方のないことだから」

フェリシア「………でも」

エルフィ「気にしないで、それに」スッ

フェリシア「え?」

エルフィ「あなたが仲間仲間になってくれるなら、私はあなたを守る盾にもなるわ。エリーゼ様を守る盾である私は、エリーゼ様を守ってくれるみんなを守る盾でありたいの」

フェリシア「な、なんで。なんでそんなに優しいんですか……私、許されないようなことしたのに」ポロポロポロ

エルフィ「大丈夫。あなたのしたことを、私は非難したりしないわ。あなたにはあなたの立場があって、その結果に攻撃が行われただけだもの」ギュッ

エルフィ「だから、あなたが行ったことで気に病む必要はないわ」

エルフィ「あら、自己紹介してなかった。私はエルフィ、エリーゼ様に仕えてるわ」

フェリシア「私はフェリシアです。その、私は……」

カムイ「………」

フェリシア「私は、カムイ様に仕えるメイドです……」

エルフィ「ふふっ、そうなの。これからよろしくね、フェリシア」ギュッ

フェリシア「は、はいぃ……よろしくお願いします……」

エルフィ「ええ、よろしく」

フェリシア「………うう、ううっ」

エルフィ「どうしたの?」

フェリシア「ごめんなさい、攻撃しちゃってごめんなさいー」ポロポロポロポロ

エルフィ「だ、大丈夫よ。気にしてないわ」

フェリシア「うわあああん」ポロポロ




カムイ「氷の部族の皆さん。信じるかはお任せいたします」

部族兵たち「………」

カムイ「私は誰も殺したりしません。部族長さんもフローラさんも皆さんの大切な人たちもです。だから、すべてが終わるまで見ていてくれませんか……」

部族兵「……いいだろう。その提案、受けよう。確かにここにいる者たちは誰一人として命は失っていない。だが、もしも約束を破ったその時は……」

カムイ「はい、いかなる処罰も受けましょう」

部族兵「ああ、いい知らせを待っている」




カムイ「皆さん、話は付きました。そろそろ移動を――」

フェリシア「うえええええん」

ジョーカー「まったく泣きやまないな」

フェリシア「ふええええええん」ポロポロ

エルフィ「泣かないで……本当に大丈夫だから」アセアセ


「ごめんなさい、エルフィさん、ごめんなさいー」


第七章 おわり

現在の支援レベル(暗夜)

 リンカ   C+
 ジョーカー C→C+
 ギュンター C
 サイラス  C+
 マークス  C
 レオン   C+
 エリーゼ  C
 カミラ   C+
 リリス   B
 モズメ   C
 サクラ   C
 アクア   C+
 カザハナ  D+
 ツバキ   D+

仲間たちの支援
 
 今回の戦闘でサイラスとモズメの支援がC+になりました。
 今回のイベントでカザハナとレオンの支援がC+になりました。
 今回のイベントでフェリシアとエルフィの支援がCになりました。

 今回はここまでになります。個人的な話ですが、エルフィの支援はアサマとの支援が一番好きです。
 氷の部族に話が漏れていて、天蓋の森で戦う面という感じです。

 では、次回の始まりの際に話をしている組み合わせを決めます。

 カムイ
 ジョーカー
 サイラス
 モズメ
 リリス
 ハロルド
 エリーゼ
 エルフィ
 フェリシア

 こちらの中から二人選ぶ形になります。お時間のある方、参加していただけると幸いです。

 安価は>>373 と >>374で行います。

 同じキャラクターが被った場合は374以降の違うキャラクターで構成します。

 

回復役が4人もいる
エルフィ

騎士の誓いだ

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・氷の部族の村付近の洞窟―

カムイ「……さて、ここからどうしましょうか?」

ジョーカー「ええ、この吹雪の中を進むしかありませんが、こちらが寒さに疲弊したところを狙われる可能性もあります。かといって、この洞窟で燻っていても、氷の部族の反乱活動が終わるわけじゃありません」

カムイ「そうですね。私はフェリシアさんから話を聞いてきますので、皆さんは体を温めて待っていてください」

リリス「カムイ様、私も同伴しますね。ジョーカーさんも一緒に来てください、見知った顔がいてくれればフェリシアさんも落ち着いてくれるはずですから」

ジョーカー「わかったよ。たくっ、あいつも本当に手が掛るな」





エリーゼ「ううっ、寒い」

エルフィ「エリーゼ様、こちらを。この毛布をお使いください。薄いかもしれませんけど」

エリーゼ「ううん、ありがとうエルフィ……」ウトウト

エルフィ「エリーゼ様?」

エリーゼ「ごめんね、ちょっと眠くなっちゃったみたい。でも大丈夫、頑張って起きてるから」

エルフィ「エリーゼ様、よかったら――」

サイラス「眠っていていいんだぞ」

エリーゼ「サイラス?」

サイラス「カムイが言ってただろ? 体を温めておけって、眠ればその分体も温まるし、体力だって回復できる」

エリーゼ「でも……」

エルフィ「その通りよ。エリーゼ様、今はゆっくり休んで」

エリーゼ「……エルフィ、一緒にいてくれる?」

エルフィ「ええ」

エリーゼ「ありがと、ごめんね。私ちょっとだけ休むから……すぅすぅ」

サイラス「城から俺たちを追いかけてきたんだよな」

エルフィ「ええ、最初は私たちに声もかけずに行こうとしてたから、少しだけ悲しかった」

サイラス「横。座っていいか?」

エルフィ「構わないわ」

サイラス「それじゃ、失礼する。まだちゃんとした自己紹介が済んでなかったな。俺はサイラス。新米の騎士だ」

エルフィ「私はエルフィ、エリーゼ様に仕えてる。よろしくね」

サイラス「ああ、よろしく頼む。それで話は戻るけど、どうして悲しいと思ったんだ」

エルフィ「エリーゼ様は、私たちよりもカムイ様を優先された。感じちゃいけないのかもしれないけど、そこに少しだけ思うことがあるのよ」

サイラス「……」

エルフィ「私はエリーゼ様を守るために王城兵になったから。どこに出るにしても何か言ってもらいたかった。昔からの親友だったから」

サイラス「そうか、エリーゼ様と昔からの親友なんだなエルフィは、なんだか俺に似てる気がする」

エルフィ「? 私は女だけど? 髪型だってぜんぜん違うわ」

サイラス「ちがうちがう。どうして見た目で考えるんだ」

エルフィ「じゃあ、なに?」

サイラス「騎士になった理由もそうだけど、俺もカムイとは昔馴染みだ」

エルフィ「そうだったの」

サイラス「ああ、目が見えないカムイの手を引いていろいろな場所を歩いたものさ。今でも思い出せるくらいに、カムイと過ごした日々は俺の原動力といっても過言じゃないからな」

エルフィ「私もエリーゼ様と過して来た日のことを忘れることはないわ」

サイラス「そうだろう。今の俺があるのはカムイと出会ったからなのと同じようなものさ」

エルフィ「そうね……だから、少しだけ思ってしまうのかもしれないわ」

サイラス「エルフィ、エリーゼ様のこと信じているんだよな?」

エルフィ「ええ、信じているわ」

サイラス「なら、それで充分だと俺は思う。今、エルフィはカムイ様に少しだけ嫉妬してるだけだからな」

エルフィ「私が、嫉妬してる?」

サイラス「ああ、でもそれは自然なことさ。今まで一緒にいた親友が、誰かのために走って行ってしまうんだ。思わないことがないわけない」

エルフィ「……」

サイラス「でも、そうなってしまうくらいにエリーゼ様のことをエルフィは大切に思ってる。それはとても素晴らしいことだと俺は思う。だから、今はその少しだけ悔しいって思うのくらい仕方のないことさ」

エルフィ「……ふふっ、どこかでエリーゼ様のことを私が一番わかっているって、思っていたのかもしれないわね。ありがとうサイラス」

サイラス「お礼なんていいさ。それに親友のために兵士になる道を選んだ奴が同じ仲間にいるのは、なんだか安心する」

エルフィ「そういうこと、だから似ているって……」

サイラス「まぁ、そうなるな。ただ……」

エルフィ「?」

サイラス「いや、なんでもない。俺は少し外を見てくるから、エルフィも体を冷やさないようにしとけよ」

エルフィ「ええ、ありがとう」

エリーゼ「う、ううん。エルフィ……」

エルフィ「エリーゼ様、いいえ、エリーゼ。安心してね、私が必ず守り切ってあげるから。私は、あなたを守るためにここにいるから……」ナデナデ

エリーゼ「うん……ありがとー」

エルフィ「ふふっ」






サイラス「………はぁ」

カムイ「フェリシアさん。落ち着きましたか?」

フェリシア「は、はい。すみません、ここまで泣いてばっかりで」

ジョーカー「まったく、カムイ様の前で泣き続けてる時はどうしようかと思ったぞ。まぁ、落ち着いたようで何よりだ」

リリス「はい。落ち着いてくれてよかったです」

カムイ「それで、フェリシアさん。ここから村まではどう行けばよいのでしょうか? 吹雪の中でも到着するにはフェリシアさんの知識が必要です」

フェリシア「ええっ!? この吹雪の中を行こうって言うんですか。そんなの自殺行為ですよ」

リリス「でも、そうしないと村につけないじゃないですか」

ジョーカー「なにか方法があるんだったら今すぐ言え。それがお前のするべき最初の仕事だ」

カムイ「お二人とも、少し落ち着いてください。それで、フェリシアさん。何か方法はないんですか?」

フェリシア「あ、あります」

カムイ「あるんですか」

フェリシア「あるというよりも、私の故郷ですから。天気の移り変わりを読むことくらい、お安いご用です」

ジョーカー「そう言うことか、しかしちゃんと予測できるんだろうな。さすがに途中で道に迷うなんていうオチは御免だぞ」

フェリシア「そ、そんなことしません。カムイ様は私にチャンスをくれたんですから、それを棒に振ることはできません」

カムイ「フェリシアさん。ありがとうございます。それでは、導いてくれますか? 私たちをあなたの故郷に」

フェリシア「はい、任せてください。でも、私は戦いには参加できません、カムイ様の約束を見届けたいから、それでも……いいですか?」

カムイ「はい。ここまでしてもらったんです、フェリシアさんは見ていてください。必ず約束を果たして見せます」

フェリシア「はい、頑張ってください」

ジョーカー「はぁ、フェリシア。ここでの戦いが終わって城塞に戻ったら、一から作法を鍛えなおすからそのつもりでいろよ」

フェリシア「ええっ、なんでですか!?」

ジョーカー「一度、カムイ様を裏切ってるんだ。お前はまたカムイ様に仕え始めた当時に戻る、つまりもう一度作法の練習からやり直しに決まってるだろ」

フェリシア「そ、そんなぁ」

リリス「それじゃ厩舎の世話は私が教えますね」

フェリシア「り、リリスさんまで、ひどいですぅ」

カムイ「そうですね、では私はこれが無事に終わったら、あれをやりましょう」

フェリシア「え、カムイ様?」

カムイ「久々なので楽しみです。指をよくほぐしておかないといけませんね」

フェリシア「カムイ様? いったい何をするんですか?」

リリス「………」

ジョーカー「………」


◆◆◆◆◆◆

フェリシア「………そろそろです」


 ビュオオオオオオオオ――

 ………

ジョーカー「驚いたな、本当に吹雪が止んだ」

モズメ「すごいわ。こんなに天気読めるなんて」

サイラス「さてと、で、どうするんだカムイ」

カムイ「特に策は考えていません。まっすぐ出会って、まっすぐ解決しましょう。正直、下手な小細工をする方がのちに遺恨を残す可能性がありますから」

エリーゼ「カムイおねえちゃん、あたしも頑張るから」

カムイ「ええ、一緒にがんばりましょう」

エルフィ「うん、いっぱい食べたから。次の戦いが終わるまでは持つわ」

ハロルド「ううむ、私の食べ物がビスケット一つだけになってしまったが、なあに、私はこれだけでも十分頑張れる!」

リリス「ハロルドさん、私の持ってるこれをどうぞ」

ハロルド「むっ、いいのかね?」

リリス「はい、私はあまり前線に立てるわけじゃありませんから」

ハロルド「そうか、ではありがたく……うまい!」

リリス「ふふっ、そう言ってもらえると嬉しいです」

フェリシア「え、えっと、皆さん!」

一同「?」

フェリシア「あ、あの。姉さんを、村のみんなのこと、お願いします!」ペコッ

カムイ「ええ、任せてください。だから、フェリシアさんは見つからないように私たちを見ていてください。ちゃんと、どうにかしてみせますから。それじゃ、皆さん行きますよ、氷の部族の村へ」

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・氷の部族の村『族長の家』―

クーリア「……目が見えないという先入観は捨てたほうがいい、そういうわけだな」

フローラ「ええ、父さん。私が暗夜で仕えていた方は、目が見えないことがハンデになりえない様な方です」

クーリア「それを知っていながらなぜフェリシアを向かわせたのだ……」

フローラ「フェリシアもその方に仕えていましたから。それに戦わせるために送ったわけじゃありません……。王女を説得して王都に戻ってもらうためです」

クーリア「……だが、森に向かった者たちは今だ帰っていない。吹雪が止むこの時間に戻ってくることになっていたはずなのにだ」

フローラ「ええ、つまりそう言うことでしょう……。私が甘かったのかもしれません」

クーリア「……くっ、従者であろうと暗夜に立て付くものには刃を下す、それが王女のやり方ということか」

フローラ「………」

クーリア「フローラ、遠慮は無用だ。村の者に伝えよ、全員で迎え撃つ準備をするようにと。出来れば捕らえ、暗夜王国との取引に利用する!」

フローラ「わかりました。父さん」

 ガチャ バタン

フローラ「カムイ様、あなたならフェリシアを手に掛けるなんてことしないことはわかっています。これは私のエゴ、フェリシアに生きていてもらいたいための私の勝手な考え。フェリシア、姉さんはこんなことしか考えられないのに、なんで一緒に帰るなんて考えたの」



フェリシア『姉さん、姉さんが戻るなら私も一緒に戻ります! 大丈夫です、父さんを一緒に説得して、カムイ様を驚かせてあげましょう』

フローラ『……ええ、そうね。でも、父さんとの話は私に任せて。フェリシアはカムイ様に戻るよう伝えて。大丈夫、私が何とかしておくから』

フェリシア『姉さん……あ、あの』

フローラ『なに?』

フェリシア『ううん、なんでもないよ。私、カムイ様を説得してみせるね……。だから、姉さん、無茶はしないで。だって、姉さんがいなくなったら私悲しいから』

フローラ『大丈夫、そんなことになんてならないわ。安心して』




フローラ「ごめんなさい、フェリシア。私は……やっぱり氷の部族の人間で、心が冷たくて、とても暗夜が許せない人間なの。それをあなたは理解してたはずだから、カムイ様に私たちを止めるよう頼んでるかもしれない」

フローラ「でも、その思いに応えられない。私を止めに来たのが仕えてきた主君であっても変わらない。だって、部族に厳しくしてきた暗夜を私は許せない」チャキッ

 ガチャ バタン!

部族兵たち「フローラ様! フェリシア様たちが戻らないのです、もう吹雪も治まったというのに……」

フローラ「この時間になって戻らない、残念ですけど……最悪の結果を考えないといけません」

部族兵たち「そ、そんな……」
 
フローラ「みなさん、父さんからの指示を伝えます。暗夜からやってきた野蛮な者たちを一掃してください。王女だけはできれば生きて捕らえてください。暗夜との交渉材料に使います。私たちは間違っていません、それを見せつけましょう」

部族兵たち「フェリシア様の仇を討つぞ! オオオオオオオオオッ!」

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・氷の部族の村周辺―

???「どうやら、吹雪が止まったみたいだね。これでどうにか部族の村まで進めそうだ」

???「やったの! これでどうにか追いつけるの!」

???「本当だよ。それにしてもカムイ様はすごいね、僕たちをマークス様が直々に送り出すくらいなんだから」

???「マークス様、とっても心配そうだったの。ピエリたちが駆けつけて、安心させてあげるの! ラズワルドも急ぐの!」

ラズワルド「そうだね。もうすでに部族の村に入って戦いになってるかもしれない。ピエリ、マークス様からの命令は覚えてるよね?」

ピエリ「誰も殺さないように戦うの」

ラズワルド「ピエリ大丈夫かい?」

ピエリ「大丈夫なの、ここに来るまでにノスフェラトゥをいっぱい、えいっ!したからしばらく大丈夫なの!」

ラズワルド「ははっ、それはよかったよ。それじゃ、急ごう。僕たちが加われば何とかなるはずだから」

ピエリ「そうなの。ラズワルドもピエリの馬に乗るの!」

ラズワルド「それじゃ、言葉に甘えさせてもらうね!」

ピエリ「それじゃ行くの! ちゃんと掴まってるの!」

ラズワルド「………」

ラズワルド(カムイ様、どうか僕たちが行くまで、無事でいてください……)


第八章 前編 おわり

現在の支援レベル(暗夜)

 リンカ   C+
 ジョーカー C+
 ギュンター C
 サイラス  C+
 マークス  C
 レオン   C+
 エリーゼ  C
 カミラ   C+
 リリス   B
 モズメ   C
 サクラ   C
 アクア   C+
 カザハナ  D+
 ツバキ   D+

仲間たちの支援
 
 今回のイベントでサイラスとエルフィの支援がCになりました。

今日はここまでになります。書いてて思ったけど、これ魔法使い無しで戦うことになるのか……

 次の戦闘でカムイと陣を組むキャラクターを決めます。お時間のある方、参加いただけると幸いです。

 サイラス
 ジョーカー
 リリス
 エルフィ
 エリーゼ
 ハロルド
 モズメ

 >>400
 
 また、戦闘での組み合わせを一組決めます。これも上記一覧のキャラになります

 >>402
>>403

 重複はその後のキャラクターで設定しますのでよろしくお願いいたします。

すみません、安価番号間違えました。

 主人公との陣は>>391

 組み合わせは>>393 >>394です

 サイラス
 ジョーカー
 リリス
 エルフィ
 エリーゼ
 ハロルド
 モズメ

 誠に申し訳ありません。

さらばオーディン
エリーゼ

リリス


安価はエリーゼおなしゃす

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・氷の部族の村―

カムイ「………ジョーカーさん」

ジョーカー「ええ、すでに多くが外に出ています。戦闘の準備もすでに終えているようです」

カムイ「モズメさん、これを」

モズメ「これは……弓やな」

カムイ「はい、弓を扱うことはできますか?」

モズメ「猟は得意分野やったからな。問題あらへんよ」

カムイ「なら安心ですね。すみませんが、私たちは離れて戦うことのできる人が今あまりいません。モズメさんにはできる限りの援護に回って欲しいんです。相手を釘づけにしてくれるだけで結構ですから」

モズメ「わかったで」

カムイ「それじゃ、まずは私が行きます。正直、話し合いで収まるとは思えませんけど」

エリーゼ「カムイおねえちゃん、あたしも一緒に行くよ」

カムイ「エリーゼさん。ですが……」

エルフィ「エリーゼ様、それは危険すぎます」

カムイ「ううん、もしかしたらあたしとカムイおねえちゃんだけで行けば、話を聞いてもらえるかもしれない。フェリシアとの約束だってあるもん、だから……」

カムイ「戦闘になる可能性はとても高いです。それでもいいですか?」

エリーゼ「うん。元はといえば、あたしがフェリシアたちに見つかっちゃったから……。だから、あたしにできることをやりたいの」

エルフィ「エリーゼ様………」

エリーゼ「エルフィ、大丈夫だから。心配しないで」

エルフィ「……カムイ様」

カムイ「なんでしょう?」

エルフィ「私がたどり着くまで、エリーゼ様のことをお願いします」

カムイ「はい」

サイラス「よし、俺たちは入口より離れた場所で待機する。だが、到着するのに時間が少し掛るはずだ。それまでは……」

カムイ「何とか生き残ってみせますよ。いや、逃げきってみせますと言ったほうがいいですね」

ハロルド「話には聞いていたが、カムイ様はなんとも緊張感がないというか、冷静な方なのだな」

ジョーカー「カムイ様は冷静で美しい、素晴らしい御方ですよ」

カムイ「美しいは余計ですよ。私は自身の顔を見たことがないんですから。さて、お話はここまでです。皆さん、もしもの時はお願いします」




エルフィ「………」

リリス「エルフィさん、大丈夫ですよ」

エルフィ「リリス?」

リリス「カムイ様は、必ずエリーゼさまを守ってくれます。だから、もしもの時は急いで二人の元に駆けつけましょう」

エルフィ「そうね。その場所までは私があなたを守るわ」

リリス「はい。私もエルフィさんを守ってみせますね」

◆◆◆◆◆◆

フローラ「……来ましたね」

部族兵たち「………」ジャキッ



クーリア「ほう、わずか二人で来るとは、私たちに対してはそれだけで十分と?」

エリーゼ「ち、ちがうよ。あたしたちは、お話をしに来ただけ。本当にそれだけなの」

カムイ「はい。氷の部族の皆さんに話合いをするためにここまでやってきました」

クーリア「私の娘を一人殺したものが何を言う」

エリーゼ「あたしたちは……そんなことしてないよ! フェリシアも無事、だから……」

クーリア「なら、なぜあなた方とともにフェリシアがいない? 姿無き言葉に、私は動じたりしない」

エリーゼ「……そ、そんな」

カムイ「エリーゼさん、もういいです。こういう方に説明は無用です」

エリーゼ「で、でも……」

カムイ「それにこの場にフェリシアさんがいたとしても、信用はしないでしょう。大方、無理に言わされていると決めるでしょう」

クーリア「言いたいことをいウ方だ」

カムイ「あなたが、族長ですか。はじめまして、カムイといいます」

クーリア「そうか、あなたがカムイ王女ですか、なるほどフローラとフェリシアに聞いた通り、冷静な人物のようだ。その手で従者を殺しながら、身に何も感じないとは、まるで鬼ですね」

カムイ「そうですね。あなたにはそう見ているようですから、何も訂正するつもりはありません。あなたの見たいように私を見てくれて構いません」

フローラ「カムイ様、今の立場を理解しての発言、そう考えてよろしいのですね?」

カムイ「フローラさん、あなたは氷の部族の方だったんですね」

フローラ「ええ、そうですカムイ様。そして、今は暗夜に刃を向ける者です」

カムイ「私の従者として活動していたのは……」

フローラ「カムイ様、あの城塞は牢獄なんですよ。私とフェリシアがあそこにいたのは、ただの人質としてだったんですから」

カムイ「人質ですか。ふふっ、そうなると反乱がおきている時点で、人質の意味はありませんね」

フローラ「ええ、そうかもしれません。だから私とフェリシアはここまで戻ってこれたんでしょう。そして、今日でそんな生活も終わりです」


フローラ「カムイ様、そしてエリーゼ様。あなた方を捕らえて、氷の部族は暗夜から独立させてもらいます。長きにわたる迫害を続けてきた暗夜に付いたあなたを、もう主君と呼ぶことはできません」

カムイ「……話し合いの余地はないということですね」

クーリア「暗夜の王女を捕らえるのです。まだ、二人の仲間がこの村に入ってくる前に」

エリーゼ「カムイおねえちゃん。ごめんね、やっぱりあたし……」

カムイ「いいえ。こうして話し合いをしようと一緒に来てくれたエリーゼさんが悪いわけありません。頭が固い人たちが悪いだけですから……」

カムイ(フェリシアさんを連れてこなくて正解でしたね。こんな風に話を聞いてくれない家族の姿など、見たくないに違いありませんから)

フローラ「それでは、皆さん。行きましょう」

部族兵「丸腰の王女と盲目の王女だけだ。すぐに捕まえてやる!」

クーリア「盲目とは思わないことです。いいですか、決して殺してはなりません。生きていなければ意味がないのですから」

カムイ「エリーゼさん、あの民家の影まで行けますか?」

エリーゼ「うん、まかせて。カムイおねえちゃん、乗って!」


サイラス「……! 動いた! みんな行くぞ!」

リリス「エルフィさん、乗ってください!」

エルフィ「ええ!」

ハロルド「ぐおっ、足が雪に取られて……」

モズメ「何やってるんや。こんなところで不運なところ見せつけんといてや」

ハロルド「出来れば私もこの不運から抜け出したいのだが」

モズメ「ならあたいの走った後を付いてくるんや。雪の硬い場所選んで通ったる」

ハロルド「すまない」

モズメ「気にせんでええよ。早くいかんと」

サイラス「リリスとエルフィはカムイとエリーゼ様の元に急いで行ってくれ。俺たちは、横から強襲する!」

リリス「わかりました! エルフィさん、少し揺れますよ!」

 ヒヒーン!!!!

エルフィ「……すごく早いわね」

リリス「これでも厩舎係ですから。馬を扱うのはお手の物なんです。それよりもエルフィさんは大丈夫ですか?」

エルフィ「あまり乗馬訓練はしたことないから……。少しだけ辛いわね」

リリス「も、持ちますか?」

エルフィ「持たせるわ。だから、早くエリーゼ様の元に」

リリス「はい、わかりました。速度あげますね!」

エルフィ「えっ、まだ上がるの!?」

リリス「行きますよ、エルフィさん!」

エルフィ「ちょ……揺れ……ううっ」

サイラス「なんだあれ、全く追いつける気がしないぞ」


カムイ「さて、どうにか感覚把握で民家を理解できましたけど、ここから先はもうわかりませんね」

エリーゼ「どうするの? カムイおねえちゃん」

カムイ「決まっています。ここで数人倒してしまいしょう」

エリーゼ「やっぱりそうなるよね」

カムイ「多分左右から来ますから。ここは、エリーゼさん馬を下りてください」

エリーゼ「ええっ、大丈夫なの?」

カムイ「はい、それとこちらに……」



部族兵「よし、この民家の裏だ。一気に行くぞ!」

 ザザザッ

部族兵「!? どこに行った!?」
 
 サガセ、サガスンダ

部族兵「馬を置いて一体どこへ………」

 ハラ……ハラ……

部族兵「んっ、これは木の葉?」



カムイ「上からだと気配がとても探しやすいですね。それでは行きますか」

エリーゼ「カムイおねえちゃん、あたし……」

カムイ「今はここにいてください。たぶん無傷では済みませんから、終わった直後に治療をお願いします」

エリーゼ「うん! 気を付けてね」

カムイ「わかっています。てやああああ!」

部族兵「ぐがぼ……」ドタッ

部族兵「なに!?」

カムイ「遅い、はぁ! せやっ!」

 ドサドサ

部族兵「くっ、だがこの人数なら!」

カムイ「まだまだ、これからですよ」

 シュオオオン

部族兵「!? な、なんだこれは!」

カムイ(竜状態)「驚いている暇はないですよ! せいやっ!」

部族兵「ぐおおあああああっ」ドタッ

エリーゼ「カムイおねえちゃん……すごい」

部族兵「怯むな! 迎え撃つ、援護しろ!」

部族兵「わかりました。くらえっ!」

カムイ(竜状態)「ぐっ……魔法ですか。避けづらいものを使ってきますね」

部族兵「まだまだ、ここから続くぞ!」

 ザシュ 

カムイ(竜状態)「やりますね、でもこちらもまだまだ」

部族兵「いたぞ!」

エリーゼ「もう追いついてきちゃったの!? カムイおねえちゃん!」

カムイ(竜状態)「はさみうちにされましたか」

部族兵「化け物め。戻ってこなかった同胞をこれで殺したのだろう!?」

部族兵「一気に掛れば、どうにかなるはずだ!」

カムイ(竜状態)「……負けるわけにはいきません」

部族兵「俺たちも、負けるわけにはいかないんだよ! くらえ!」

カムイ(竜状態)「くっ、これはさすがに避け切れません!」


 ズバッ


エルフィ「てやあ!」

部族兵「な、なんだとぉ……」

リリス「カムイ様! お怪我はありませんか」

エルフィ「ふん、リリス。サポートをおねがい!」

リリス「はい!」

部族兵「くらええええええええ!」

エルフィ「ぐっ」

部族兵「もらった!」

リリス「させませんよ!」カキィン

エルフィ「いくわ! せやぁ!」

部族兵「ば、ばかなぁ!」



エルフィ「お腹すいちゃった……」

リリス「食いしん坊なんですね」

エリーゼ「エルフィ!」

エルフィ「エリーゼ様、どうして木の上なんかに?」

カムイ「これくらいしか手立てがなかったので。すみません、近くに一緒にいてあげることが私はできませんでした」

エルフィ「いいの、守ってくれてありがとう。カムイ様とエリーゼ様はここでしばらく休んでいて、私とリリスでどうにかしてみせるから」

カムイ「いいんですか? まだ敵は……」

エルフィ「大丈夫です。みんな合流しましたから」




部族兵「あの民家の影に暗夜軍の増援も行った。一気に畳みかけ――」

サイラス「そうはさせない!」ザンッ

ジョーカー「そういうことだ!」ヒュン

部族兵「くそっ、新手か。魔法で攻撃を――ぐああああっ!」

モズメ「させへんよ。ハロルドさん、今がチャンスや」

ハロルド「ああ、感謝するよモズメくん! 喰らいたまえ、これが正義の力だ!」

部族兵「くっ、これでは民家に近づけ―――」

リリス「今です、動きが止まりました」

エルフィ「リリス、後方の奴らをどうにかするわ。回り込んで!」

リリス「はい! 行きますよ」

 ワー ワー ウシロカラダト!? グワアアアアアア

エリーゼ「みんなすごい。どんどん倒してる」

カムイ「ええ、これでどうにかなったというところでしょうね――」

エリーゼ「うん、これなら」

カムイ「第一陣は終りです。第二陣が来ますね」

エリーゼ「えっ……」

フローラ「第一陣がやられたようです。では、父さん、行きましょう」

クーリア「ああ、捕らえるのはできたらにするべきだろう。殺すつもりで行く、いいなフローラ」

フローラ「ええ、父さん」




サイラス「くそっ、また新しいのが出てきたぞ。さすがに人数的に不利だな」

カムイ「はい、ですがやるしかありません。そうしない……んっ?」

カムイ(この音、馬? 入口の方角から何かが来ている?)

 パカラパカラッ

ピエリ「平原を抜けたの!」

ラズワルド「よし、もう戦闘は始まってるみたいだけど、カムイ様たちはどこだろう?」

エルフィ「新手!?」

エリーゼ「でも、あれって暗夜の装備だよ。もしかしたら――」

サイラス「増援か? でも一体誰が?」

カムイ「あなたたちは誰ですか?」

ピエリ「! ラズワルド、あそこなの!」

ラズワルド「ああ、カムイ様! やっと見つけましたよ」

 タタタタタタタッ

カムイ「えっと、あなた方は」

ラズワルド「はい、僕はラズワルド。マークス様からの命を受けて、カムイ様に加勢しに来たんだ」

ピエリ「ピエリはピエリっていうの。ラズワルドと同じマークス様の命でここに来たの!」

エリーゼ「マークスおにいちゃん、すっごく心配してたから。でも、あたしだけじゃやっぱり足りないって思われてたのかな……」

カムイ「いいえ、エリーゼさんがいて助かってますから。大丈夫ですよ」ナデナデ

エリーゼ「えへへ、カムイおねえちゃん、ありがとう!」

カムイ「それで、ラズワルドさん。ピエリさん。来ていただいたばかりなのですが……」

ラズワルド「はい、誰も殺さないように、ですよね」

ピエリ「ピエリたちもマークス様からそう命令を受けてるの! だから心配しないでいいの! でもボコボコにするの!」

カムイ「マークス兄さん。手回しが早いんですね」

ピエリ「早くボコボコにしたいの!」

カムイ「ええ、一緒に彼らをボコボコにしましょう。話を聞いてくれない頭の固い人たちですから」

ピエリ「頭をえいっして、柔らかくしてあげるの! ピエリ、カムイ様といい友達になれる気がするの!」

ラズワルド「うん、それじゃ。僕たちもカムイ様の指揮下に入るから。指示をお願い」

カムイ「はい、それではみなさん。一気に攻めます、だけど殺さないでください。すごく難しい問題ですが、同時に力量の差を見せつけられます。相手の意思を完全に砕いてあげましょう」

ピエリ「一番乗りなの!」

ラズワルド「前に出すぎないようにね」

ピエリ「えいっ! それ!」

サイラス「ラズワルド、ピエリ! 俺はサイラス、援護に回るから前線は任せた!」

ピエリ「わかったの!」

部族兵「くっ、なんだこの力は。くそ、押し負けちまう! なっ、しまった横から!?」

ラズワルド「ごめんね」ザシュ

部族兵「ぐはぁ!」

ラズワルド「うん、いい感じ!」

部族兵「けっ、背中ががら空きだぜ!」

モズメ「あんたもや」

部族兵「ぐあっ」

エルフィ「吹っ飛んでて」ドガン

リリス「うわぁ、盾で殴られて結構吹っ飛んじゃいましたね」

エリーゼ「エルフィ、すごい!」

エルフィ「ふふっ」

クーリア「……何故だ。なぜ。正義はこちらにある、こちらにあるはずなのになぜ、こんなにも……」

フローラ「父さん、私たち二人であの方たちを倒しきればいいことです」

クーリア「そうだな。すまない、族長である私が気弱になってしまっては」

フローラ「いいえ。ここが踏ん張りどころですから……」

フローラ(何が踏ん張りどころなのか、もうすでに戦況は私たちに不利な状態になっている。もう全体の八割が倒れた今、私たちが勝てる可能性なんて……)



エリーゼ「カムイおねえちゃん!」

カムイ「はい、ここまで運んでくれて、ありがとうございます」スタッ

クーリア「直々に始末をつけにきたというわけですか?」

フローラ「くっ父さんには……!」

 ヒュンッ キキィン


フローラ「………」

ジョーカー「お前の相手はこの俺だ」

フローラ「ジョーカー」

ジョーカー「主君に従者を切らせるわけにはいかない。たとえ刃を向けた奴だったとしてもな」

カムイ「ジョーカーさん、ありがとうございます。クーリアさん、あなた方の負けです」

クーリア「ふん、まだ終わってなどいない。あなたを捕らえれば、この反乱は実を結ぶ。氷の部族は晴れて呪縛から解放されるんです」

カムイ「よ迷い事ですね。私たちにこれほどやられたのに、お父様を手玉にとって戦えるなどと本当に思っているんですか?」

クーリア「やってみなければわからないこともある。その可能性を否定することはあなたの自由ですが、私たちはそれにかけているのです! リザイア!」

カムイ「話は聞かないということですね。なら、どこまでやれるか見せてもらいましょう」タタタタタタタッ

クーリア「待て!」

フローラ「ジョーカー。何年ぶりかしら、こうして刃を交えるのは」

ジョーカー「最初はカムイ様に反抗的な態度をとったお前に喧嘩を売った時だったか。まぁ、そんなことどうでもいい。目を覚ませ、お前がいるべきはカムイ様の傍だ。ここじゃない」

フローラ「……私が城塞にいたのはただの人質として、カムイ様に忠誠なんて誓っていないわ」

ジョーカー「そうかい、ならどうして今まで逃げださなかったんだ? 今のお前を見ていると、すぐにでも逃げだしてそうに見えるが?」

フローラ「……それはね、ジョーカー。あなたがいたから……」

ジョーカー「ああ? 俺がいたから逃げなかった? 意味がわかんねえな」

フローラ「そうよね、あなたにはわからなくて当然だわ。同時に、それがとても悔しくてたまらない。そうね、私がカムイ様に刃向ったのは、もしかしたら……」

ジョーカー「御託はいい、さっさと武器を抜け。一から教育し直してやる。もちろん帰ったらジジイにも報告するからな」

フローラ「それは困りますね。ジュンターさんの作法の教えは、長くて辛いものですから」

ジョーカー「なら、さっさと帰ってこい!」ヒュンッ

フローラ「いくらジョーカーの頼みでも、それは受けられないわ!」

ジョーカー「くそ、姉妹揃って馬鹿じゃねえか。大馬鹿野郎だ」

クーリア「くらえ」

カムイ「そんな攻撃じゃ当たりませんよ」タタタタタタッ

クーリア「くそっ、おちょくるつもりか。私たちの行為そのもの愚弄して、何が楽しい!」

カムイ「愚弄はしません。ですが、こんな私一人をどうにかできないのに、反乱が成功すると思っているその考えは浅はかですよ。あなたが考えているよりもお父様はとても冷酷な方なんですから」

クーリア「その血を引いているあなたも同じものだろう!」

カムイ「そうですね、多分間違っていませんでしょう。でも、それで私がここで倒される可能性が上がるわけじゃありません。それに、一人でよく追ってきましたね。私の仲間が待ち構えているかもしれないというのに」

クーリア「!!!?」ズサササ

クーリア「……!?」

クーリア(な、なぜ足を止めた!? 私は、反乱を、解放を求めて闘っているはずなのに、なぜ、なぜそんな言葉で足を止めた!?)

カムイ「結局、それくらいということです。フローラさんなら、私の言葉に耳を貸さず、私を捕らえることに執着していたでしょう」

クーリア「わ、私が。私が自分の命を優先したとでも!」

カムイ「私は何も言っていませんよ」

クーリア「くっ」

カムイ「もう逃げるのも空きましたし、ここならいいでしょう」

クーリア「………何もない場所だと」

カムイ「ええ、あなたは魔法。私は剣、こんな遮蔽物のない空間、あなたのほうがとても有利です」

クーリア「……あなたという人は、どこまで人を」

カムイ「死にたくなければ、本気で来てください」

クーリア「……」ゾクッ

カムイ「行きます」

クーリア「うおおおおおおおおおっ!!!」



 ヒュンッ




クーリア「ぐっ、魔術書が!」

サイラス「よっと、これで武器はもう無いな」

モズメ「へへっ、やったで!」

ハロルド「素晴らしい腕前だぞ。モズメくん」

モズメ「いやや、照れるわ。カムイ様、言われたとおりやったで!」

カムイ「はい、ありがとうございます。さて、まだ戦いますか?」

クーリア「ぐっ、卑怯な手を使うとは」

カムイ「話し合いをしにきた私とエリーゼさんに刃を向けておきながら、それはないでしょう?」

クーリア「くっ、殺せばいい。もう私には何も残っていない」

カムイ「………」

クーリア「なぜだ、なぜとどめを刺さない」

カムイ「言ったでしょう。私は別にあなた方を殺すためにここまで来たわけじゃないんですから」

クーリア「な、なんだと、だ、だがフェリシアは……」

カムイ「フェリシアさんも、ほかの方々も無事です。エリーゼさんが言ったでしょう、無事だって。かってに盛り上がったのはあなた達ですから」

クーリア「……わ、私は」

カムイ「サイラスさん、ここは頼みます。私はジョーカーさんとフローラさんを」

サイラス「ああ、わかった!」

フローラ「はぁ、はぁ、はぁ」

ジョーカー「はぁ、はぁ、はぁ。くそ、フェリシア程じゃないにしろ。やっぱり手こずるな」

フローラ「ジョーカー、私は負けるわけにはいかない。絶対に、絶対に」

ジョーカー「………」

フローラ「なによ、武器を取りなさい! まだ、戦いは………」

ジョーカー「いいや、もう戦いは終わったようだ」

フローラ「な、何を言って」

ジョーカー「おかえりなさいませ、カムイ様」

カムイ「ええ、遅くなりましたジョーカーさん。フローラさんあなたの父を拘束しました。それに、村の方々もすべて無力化済みです」

フローラ「………」

カムイ「闘いは終わりました。だから、その武器を納めてください」

フローラ「いやです」

ジョーカー「フローラてめえ、物わかりの悪い奴だな」

フローラ「暗夜王国のいいなりになるくらいなら、私死んだって構わない。そう考えているんですから」

カムイ「………フローラさん」ザッザッ

フローラ「カムイ様、それ以上近づかないでください!」

カムイ「………」ザッザッ

フローラ「来ないで!」ヒュンッ

カムイ「ぐっ………」ザッザッ

フローラ「どうして、どうして近づいてくるんですか!」

カムイ「フローラさんが私の大切な従者だからですよ。まだ、私はあなたを解雇なんてしていませんから」

フローラ「暗夜王国にとって抑止力になるからですよね。カムイ様は私を人質としてしか見てない。そうなんですよね」

カムイ「いいえ、わたしはあなたのことを信頼できる人だと思っていますよ。だからです」ダキッ

フローラ「や、やめてください。私を、そんな優しく抱きしめないでください」

カムイ「なぜですか?」

フローラ「私は、私は今日死ぬつもりだったのに。心も体も、氷のようになってしまおうって思っていたのに……」

カムイ「それは無理な相談です。フローラさんには、いつもどおり優秀なメイドさんでいてほしいんですから。そんな氷のようになってもらっては困ります」

フローラ「放してくれないんですね……カムイ様」

カムイ「はい、まだまだ放してあげません。フェリシアさんもフローラさんのことを待っていますから。それに久々にあれもやりたいですし」

フローラ「え、えっとカムイ様。あのあれというのは……」

カムイ「とにかく、ここは私に任せてくれませんか? 悪いようには絶対にしません」

フローラ「……その言葉を、信用してもいいんですか?」

カムイ「はい、今はまだ早すぎただけなんです。だから私を信用してください」

フローラ「………本当に、カムイ様には敵いませんね」


「私の負けです。カムイ様……」

 リンカ   C+
 ジョーカー C+
 ギュンター C
 サイラス  C+
 マークス  C
 レオン   C+
 エリーゼ  C→C+
 カミラ   C+
 リリス   B
 モズメ   C
 サクラ   C
 アクア   C+
 カザハナ  D+
 ツバキ   D+

仲間たちの支援
 
 今回の戦闘でリリスとエルフィの支援がCになりました。
 今回の戦闘でハロルドとモズメの支援がCになりました。
 今回の戦闘でジョーカーとフローラの支援がCになりました。
 今回の戦闘でピエリとラズワルドの支援がCになりました。

今日はここまでです。このルートではハイタカさんは捕獲できないんだ、すまない。
 
 次回かその次で第八章が終わります。

 次の安価を決めます。

 氷の部族の村、族長の家で会話をしている組を二組決めたいと思います。
 お時間ありましたら、ご参加いただけると幸いです。

 サイラス
 ジョーカー
 リリス
 モズメ
 エルフィ
 エリーゼ
 ハロルド
 フェリシア
 フローラ

 キャラクターは上記からお願いします。

 一組目は >>417 >>418

 二組目は >>420 >>421

 になります。

ハロルド参上だぁ!

ジョーカーでおなしゃす!

モズメ

エルフィで!

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・氷の部族の村・族長の家―

エルフィ「お腹すいちゃった……でも、食事の準備ができるまで時間が掛るって言ってたわね。でも、がまんしなくちゃ」

エルフィ「……」きゅるぅぅぅ。

エルフィ「どうしよう、お腹が鳴ってしまうわ///」

モズメ「エルフィさん、どうかしたん?」

エルフィ「モズメ? なんでもないわ」

モズメ「でも、なんだ顔が赤いで?」

エルフィ「ほら、ここら辺は寒いから、その所為……」きゅるぅぅぅ。

モズメ「………」

エルフィ「……こ、これはその///」

モズメ「なんや、お腹すいとったんか」

エルフィ「その、いっぱい動いたから」

モズメ「そうやな、リリスさんと一緒にいっぱい動き回ってたから」

エルフィ「もう少ししたら夕食の時間だから、待ってようと思ってたんだけど……」

モズメ「みんなの前でお腹鳴らすなんてあかんで、エルフィさん女の子なんやから」

エルフィ「ならないようにできたらいいんだけど」

モズメ「これでええかな?」

エルフィ「え、これって。モズメの携帯食じゃ」

モズメ「あたい、結構食べなくても持つ方なんよ。だから、今食べられないあたいの代わりにエルフィさんに食べてもらいたいんや」

エルフィ「モズメ……、ありがとう。それじゃあ、ありがたくいただくわ」ハムハム

モズメ「エルフィさん、戦ってる時かっこよかったわ。あたいはまだまだやからうらやましい」

エルフィ「かっこいいかどうかわからないけど、モズメだってよくやってたわ。最後にちゃんと敵を無力化してた、あの状況で魔術書だけを狙い打つなんて、そうそうできることじゃないわ」

モズメ「あれは、まぐれや。みんながいてくれたからできたことなんや。あたい一人やったら、たぶん」

エルフィ「モズメ。あれはまぐれなんかじゃない。モズメが行動して手に入れた結果だもの、そこを否定しちゃいけないわ」

モズメ「……そう言われても、実感が湧かないんや」

エルフィ「いいえ、すでに目に見える形であるわ」

モズメ「ど、どこにあるんや?」

エルフィ「周りを見て」

 ワー ワー ショッキハコッチニオイテクレ ハイハイ、マッタクカッテニカンチガイシテタダケカ クーリアサマモキズヒトツナカッタッテイウシ、オレタチモナンダカンダシンデナイシ、カンシャシナイトナ

エルフィ「モズメがあの時、魔術書を狙い打てなかったら、まだこんな雰囲気じゃなかったはずよ。こうして、部族の皆が私たちを迎え入れてくれたのは、モズメの行動があったから。モズメの腕の良さはちゃんと証明されてるわ」

モズメ「………」

エルフィ「モズメのしたことは、この状況を後押しできた。今はそれでいいんじゃないかしら?」

モズメ「せやな……。あたい、役にたてるかわからへんかったから、エルフィさんの言葉で少し自信付いてきたんよ」

エルフィ「ふふっ、よかったわ」

モズメ「なぁ、エルフィさん。もしもまた悩んだりしたら、話聞いてもらってもええかな?」

エルフィ「いいわ。何か悩んだら話をして頂戴。私にできる限りで、答えるから」

モズメ「エルフィさん、ありがと」



『エルフィとモズメの支援がCになりました』

◆◆◆◆◆◆

ジョーカー「ふむ、どうするか……」

ハロルド「ジョーカーくん、どうしたんだね。悩んでいるようだが」

ジョーカー「ハロルドか……」ササッ

ハロルド「なんで、自然と距離を取るのかね」

ジョーカー「出会ってばかりで申し訳ないが、お前の近くにいるとあまり良いことが起きない気がしてな」

ハロルド「ううっ、そう言われてしまってはぐぅの音も出ない。確かに、私はとてつもないほどに運が悪いのは確かだが……」

ジョーカー「そうか、ならできる限り近づかないでほしいな。カムイ様に用意する紅茶をこぼされたりしては大変だからな」

ハロルド「しかし、君が悩んでいることは見過ごせないな。どうしたんだね、このハロルドに聞かせたまえ!」

ジョーカー「……悩んでいることか。話したところで解決するものでもないと思うが?」

ハロルド「それはわからないぞ。もしかしたら、解決の糸口が見つかるかもしれない、私が協力する。まかせたまえ」

ジョーカー「あまり気乗りがしないが。親睦を深めるために大人数で楽しめる何かを頼まれた。できれば食事関連の事柄でだ」

ハロルド「食事は皆で楽しむものだろう」

ジョーカー「俺が言っているのは、食事に遊びを織り交ぜたようなものの話だ」

ハロルド「うむ……。遊びかしかし食事に遊びを混ぜるというのは……」

ジョーカー「ああ、一歩間違えれば顰蹙を買うだろうな。カムイ様に任されてしまった手前、完璧にこなす必要がある」

ハロルド「私は食事で遊びは賛成できない。ただでさえ、私の食事は運に左右されることが多いのでな」

ジョーカー「?」

ハロルド「ミートサンドを頼んだら、ミートが入っていなかったり。焼き立てパンを買った直後に雨が降ったり、買出しの帰りに飛竜の群れが真上を飛行して糞を落とされたり。正直、食物に対してこう悲しい気持ちになる」

ジョーカー「なるほど、それがお前の言う俺に対するアドバイスということだな」

ハロルド「食事の見た目に遊び心を入れるのが一番いいはずだ。なに、ジョーカーくんは一流の執事だと聞く、きっとうまくいく」

ジョーカー「そうだな。うまく生かせないといけないな。ハロルド、ちょっとここで待っていろ」

ハロルド「むっ、なぜだ?」

ジョーカー「話を聞いてくれた礼に、ケーキでも作ってやる。ただ、手のかからないものだから、豪華なものは期待するなよ?」

ハロルド「なに、私のために用意してくれるのか!?」

ジョーカー「ああ、任せろ。お前にぴったりなものを用意してやるからな」ニヤニヤ

ジョーカー「できたぞ。といっても、スポンジだけだがな」

ハロルド「流石というべきだな。しかし、これだけの量を食べてしまっては、夕食を食べられなくなってしまうぞ」

ジョーカー「全部食べろなんて言っていない。今から切ってやるから、選んで食べればいい」

ハロルド「そうだな。私は一切れだけで十分だ。他はみんなに分けてあげてくれ」

ジョーカー「そうか。よし、切り終わった。ほら、どこでもいいから食べるといい」

ハロルド「うむ、ではこの一切れをいただこう」

ジョーカー「……ハロルド、すごいな」

ハロルド「んぐっはむっ…なにがだ――」

ハロルド「!!!!!!!!」ダンダンダン!

ジョーカー「どうした、ハロルド! そんなにおいしいのか!」

ハロルド「じょ、ジョーカーくん! こ、これはなんだ。とても、とても苦いぞ!」

ジョーカー「ああ、お前の話を聞いて浮かんだアイデアを形にしてみた。一切れだけ苦くて体にいい薬草を中心に練りこんだ。運がものをいう遊び心を込めたデザートだ」

ハロルド「ぐっ……わ、私の話を聞いてどうしてこれができるのかね?」

ジョーカー「単純な話だ。お前の運の悪さを聞いたら、ちょっと試したくなった。本当にすごいな。十二等分した中の当たりを一発で引き入れるなんてな」

ハロルド「ぐほっ、ごほごほっ。な、何か飲み物をくれないか」

ジョーカー「ああ、今日の夕食に出すカムイ様の要望に力添えをしてくれたお礼に、二番目にうまい紅茶を淹れよう。これはしばらく、いい暇つぶしができそうだ」


『ジョーカーとハロルドの支援がCになりました』

 今日はここまでです。次回でこの章が終わります。
 
 味方を一人残らず全滅させたけど、やっぱりモブ兵はマイキャッスルに配置されないんですね……。
 サンペキだらけにしたかったんだけどなぁ

 
 

◆◆◆◆◆◆
カムイ「………」

 コンコンコン

リリス「カムイ様、失礼いたします」

クーリア「………」

カムイ「クーリアさん。足を運んでいただいてありがとうございます」

クーリア「構いませんよ。村の者には誤解であったと説明した。それに、あなたたちが誰一人として命を奪わなかったこと、そして傷の手当てに全力を尽くしてくれたこと、それこそがこの状況を作り出したといってもいいのです。ありがとうございます」

カムイ「そういっていただけると、皆に命令を出した結果が報われたというものです。すみません、私たちのために部屋を貸していただいたこと、感謝いたします」

クーリア「頭をあげてください、すみませんが本題に入る前に私から一つ質問をよろしいか?」

カムイ「……なんでしょうか?」

クーリア「あなたは何を思って、私たちを生かしたのですか?」

カムイ「質問の意味がよくわからないのですが……」

クーリア「ガロン王の娘であるあなたにとってすれば、部族の反乱を抑える行為に工夫など要らないはずだ。私たちを皆殺しするだけでいい、それだけでも結果として受け取ってくれるでしょう。わざわざ話し合いをする必要もないはずでは?」

カムイ「誰も殺さないで反乱を鎮圧するほうが難しいらしいですから、結果の提示になります。それにできれば殺したくありませんでしたので、こういった形で終えることができて良かったです」

クーリア「あなた……いえ、カムイ殿。あなたは不思議な方のようだ」

カムイ「よく言われます。それでお呼びした理由なのですが」

クーリア「改めてお願いされなくとも大丈夫です。私たちの反乱に関しての話でしょう……」

カムイ「………」

クーリア「ここまで力の差を見せつけられ私たちは負けた。それに村の者たちに対する献身的な医療活動、そしてカムイ殿の言葉に止められてしまった私自身の不甲斐無さを思えば、私たちの反乱が浅はかだと言っていたことは間違いないのでしょう」

カムイ「ふむ……困りましたね」

クーリア「?」

カムイ「少しだけ勘違いをされているようです。反乱をやめることはすでにあの時に決まっていたと思っていましたから……クーリアさん、私はこれからのことについての話をするためにあなたを呼んだんです」

クーリア「……これからのこと?」

カムイ「リリスさん、星海へクーリアさんを招いていただけますか?」

リリス「……はい、わかりました。クーリア様、失礼いたしますね」


―星海・カムイのマイルーム―
クーリア「むっ! こ、ここは一体!?」

カムイ「ここはですね………」



クーリア「にわかに信じがたい話ですが、なぜそのような場所に私を………」

カムイ「他人には聞かれたくない話というのがあるからです。いわばクーリアさんと密約を交わしたい、だからお招きしました」

クーリア「……密約ですか?」

カムイ「はい、先ほどのあなた方を殺さなかった理由についての本当の答えを言わせていただきますと、あることを頼みたいからです」

クーリア「……聞きましょうか」

カムイ「はい、暗夜と白夜が戦争状態に突入した話は聞いていますね?」

クーリア「ええ、私たちの反乱の話など、今考えれば白夜との戦争突入の話題で掻き消えていたのかもしれませんが」

カムイ「それは仕方のないことです。話を戻します、今は国境間での小競り合いばかりで国全体を揺るがす形での戦闘は起きていません。ですが、いずれは無限渓谷を越えて暗夜は白夜に総攻撃を仕掛けることになります。その時、暗夜王国では大規模な兵士の徴用が始まるでしょう」

クーリア「………何が望みですか?」

カムイ「簡単です。クーリアさんたちはその話が持ち上がったとき、徴用に前向きに取り組んでほしいのです」

クーリア「暗夜の侵攻を手助けをしろというのですか?」

カムイ「……」

クーリア「………やはり、カムイ殿も暗夜の――」

カムイ「クーリアさん、人の話は最後まで聞くものですよ。まだ私は徴用に前向きに取り組んでほしいという話をしているだけです。暗夜の侵攻を手助けするようにとは一言も言っていません」

クーリア「?」

カムイ「クーリアさんにお頼みしたいのは、あるときある場所で、今日と同じように振舞ってもらうことなんです。ここにお呼びしたのはそのためなんですよ」

クーリア「………ふっ、あなたは本当にガロン王の娘なのですか?」

カムイ「お父様は育ての父ですから、それに育てられた私は娘で間違っていないのでしょう。これは自由意志です、クーリアさんが望まなければ、この話は全てお流れになりますし、このことで氷の部族の処遇に手を加えるつもりなどありません。どちらにせよ、私は氷の部族の自治が認められるように全力で働きかけます。この言葉に偽りはありません」

クーリア「………まったく、お人好しといいますか、本当に不思議な方だ」

クーリア「このまま話を進めては、私たちはカムイ殿に甘え続けるだけで自治を勝ち取っても意味はないでしょう」

カムイ「クーリアさん」

クーリア「あなたを改めて見ると思うのです、古くから伝わる勇者の話、暗闇に光を与える勇者の話を」

カムイ「勇者ですか? 私はそんな大それたものじゃありませんよ。私は唯、こうして人に条件を突きつけるだけの、姑息な存在なんですから」

クーリア「ふっ、そうなると私はその姑息な存在の話に乗っかってしまう愚かな男になってしまいますね。ですが、あなたの行動を伴った行いには信じる価値があります。もしかしたら、あなたは世界を変える勇者なのかもしれませんから」

カムイ「面と向かって言われると、少し恥ずかしいものですね」

クーリア「いいでしょう、その話確かに承りました。徴用の件、私たちは率先して事に当たりましょう。村の者たちへの説明は私がいずれしておきますので」

カムイ「はい、ありがとうございます。話は以上です………あっ、あと一つよろしいですか?」

クーリア「あと一つですか?」

カムイ「はい、すみませんが、顔を触らせてもらってもよろしいでしょうか?」

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・氷の部族の村・族長の家―
フローラ「………」

フローラ(真夜中になってから来るように言われましたが、いったい何の用事なのでしょうか?)

カムイ『フローラさん、今日真夜中になりましたら、私の部屋に来てもらえますか?』

フローラ(やはり、反乱のことでしょうね。従者をクビになるのか、でもあの時、カムイ様は私には従者でいてもらいたいというようなことを言ってましたし……)

フローラ「考えていても始まらないわ。結局、部屋で話を聞けば済むことなんだから」

フローラ「ここね ……? だれか先客がいる?」

 ―ひゃうっ、カ、カムイ様……そんな、だめですぅ

フローラ(!? こ、この声はフェリシア!?」

 ―何がダメなんですか。まだ触ってるだけですよ

フローラ(カ、カムイ様? もいるみたいですけど、なに何が起こっているの!?)

 ―やっぱりフェリシアさんの体はどこか冷えているんですね。触れるたびに体がゾクゾクします

 ―んんっ、か、カムイ様。そんなところ、触らないでください」

 ―久々なんですから、いっぱい触っちゃいます。それに、私に一度刃を向けてしまったんですから

  誰があなた達の主なのか、ちゃんと教えてあげないといけませんから。ふふっ
 
 ―はううううっ

フローラ「…………」

フローラ「………」ガクガクガクガク

フローラ(えっ、カムイ様にはそんな趣味があったということですか。た、たしかに男女拘らず、障る癖はありましたけど。あれは、人を理解するための行為だったはず、ま、まさかそんなことがあるわけ…三t年)

 ―ふふ、入口に触れただけで、そんな声をあげちゃうんですね……

 ―そ、そのこれは……

フローラ(入口? 入口ってなに?)

 ―大丈夫、あなたの弱点はちゃんと知ってますから。さぁ、いれますよ

 ―ふぁん、ひゃ、ひゃむひひゃま。んんーーッ

 ―ふふ、やっぱりここが弱いんですね。思った通りです。それにしてもはしたないですよ。私の指がベトベトになっちゃいました

フローラ(こ、これは、大変危険な気がします。今は逃げておきましょう)

 クルッ

リリス「……」ニコッ

 ガシッ

フローラ「リ、リリス」

リリス「はい、お待ちしておりましたフローラさん。中でカムイ様がお待ちですよ」

フローラ「いえ、あの、今中に入るのは、そのまずいと思うの」

リリス「どうしてですか?」

フローラ「だ、だって。カムイ様は何か用事があるみたいですし」

リリス「用事……ああっ、そう言うことですね」

フローラ「ええ、そういうことよ。だから私はここでしばらく」

リリス「はい、フローラさんも交じる予定だと、カムイ様は言っておられましたから、何も問題ありませんね!」

フローラ「………」

リリス「ささ、早く中へ」

フローラ「…嫌」

リリス「へっ?」

フローラ「私の操は私の決めた人にあげると決めているんです。カムイ様は確かに、確かに私の主ですが、そこまであげることはできません!」

リリス「あの、フローラさん?」

フローラ「わ、私にだってそれくらいの自由が許されてもいいじゃないですか。こんな、こんなことになるなら、私は……」

リリス「えっ、えっ、ちょっとフローラさん?」

フローラ「あそこで氷になってしまえばよかった……。こんな、救いようのない話があっていいんですか」

 ―フェリシアさん、少し失礼しますね

 ―ひゃ、ひゃあぃ

 ガチャ

カムイ「何時まで経っても入ってこないのでどうしたのかと思いましたよ、フローラさん」

フローラ「カ、カムイ、様………」

カムイ「? どうしたんですか。なんだかこの世の終わりのような雰囲気をまとっているみたいですけど」

フローラ「か、カムイ様。フェリシアに、何をしたんですか」

カムイ「え、はい、久々にあれをですね」

フローラ「わ、私の知らない間に妹に手を出していたっていうんですか!」

カムイ「確かに手を出してはいますね。現に触れていますし」

フローラ「!?」

フローラ(カムイ様右手、なんだか異様な光沢が、あの手に付いているのはなに!?)

リリス「カムイ様、指にフェリシアさんのがついてますよ?」

カムイ「ああ、そうでしたね。でも最中ですから、仕方無いですよ」

フローラ「………そ、そんな」

フエリシア「カムイ様~、どうしたんですか~、って姉さん?」

フローラ「フェリシア?」

フェリシア「ふえええ、どうしたんですか。なんで、泣きだしそうにしてるんですか?」

フローラ「あなたが、あなたがカムイ様に、カムイ様に何かされていたこと気付けなくて、ごめんね。私はあなたの姉なのに。気づいてあげられなくてごめんね……」

フェリシア「え、えっと……」

リリス「………! フェリシアさん、カムイ様はやさしくしてくれましたよね?」

フェリシア「はい」

フローラ「フェ、フェリシア? いったい何を言って」

フェリシア「カムイ様は私のこともう一度よく知りたいって言ってくれたんです。だから、私はカムイ様に触ってもらいたかったんです」

カムイ「できれば、二人とも同時にしてあげたかったんですけど」

フローラ「ふ、二人同時!?」

カムイ「はい、ですが、フェリシアさんにも明日仕事がありますから、待たせるわけにはいきません。だから先に始めていたんです。フェリシアさんの中、温かかったですよ」

フェリシア「カ、カムイ様。その、恥ずかしいですから、姉さんの前で言わないでくださいよぉ///」

フローラ「」

リリス(フローラさん、顔真っ青ですねぇ)

カムイ「というわけで、次はフローラさんの番ですよ。フェリシアさんはもう部屋に戻って………」

フェリシア「私も一緒にいます。その方が、姉さんが安心すると思いますから」

フローラ「フェ、フェリシア……」

フェリシア「大丈夫、カムイ様はやさしくしてくれますから。それに今のままの姉さんを一人きりにするなんてできないから、それに……」

フローラ「そ、それに?」

フェリシア「その、姉さんもやっぱり同じなのかって、その興味があるから。双子なら、その声あげちゃう場所も同じなのかなって……」

フローラ「」

カムイ「ささっ、中に入ってください。リリスさん、フローラさんは疲れてるみたいですから、ベッドまで運んでいただいても」

リリス「はい、フローラさん失礼しますね」

フローラ「」

 ドサッ

リリス(なんでしょうか、フローラさんから感じる儚い波動がすごいことになってます)

フェリシア「姉さん、体をお越さないと。私が支えるね」

フローラ「」

カムイ「ふぅ、さてと手も洗いました。お待たせしました、失礼しますねフローラさん」

フローラ「な、何をするんですか……」カタカタカカタ

カムイ「あ、はい。そうでしたね。呼ばれていきなりこれでは、確かに混乱するかもしれませんね」

フローラ「?」

カムイ「フローラさん。改めてのお願いなんですが……」

「顔を触らせてもらっても、よろしいですか?」

今はここまでで、残りはいつもの時間くらいに始めます。

フローラ「……えっ?」

カムイ「ですから、顔を触ってもいいですか?」

フローラ「……そ、それだけなんですか?」

カムイ「はい、そうですよ。さっきまでフェリシアさんの顔を触らせてもらっていたんです」

フェリシア「そうですよ姉さん。そんなおびえなくても大丈夫です、カムイ様はやさしく触ってくれるんですから」

フローラ「そ、そう。そうだったの……」

フローラ(よかった。カムイ様はフェリシアに手を出してしまったわけではないのね……。触られるくらいなら何の問題もないわ。私には顔の表面上の弱点はないはずですし……)

カムイ「それでフローラさん、触ってもいいんでしょうか?」

フローラ「そう悲しそうな顔をしないでください。すみません、カムイ様、私の早とちりだったようです。カムイ様、私の顔に触れてください。気にする必要はありませんから」

カムイ「そう言ってもらえると私もうれしいですよ。それじゃ、失礼しますね……」

フローラ(カムイ様の言っていたあれというのはこれのことだったんですね。もっとおかしなことをされると思っていましたけど、いつものことじゃないですか。たしかに、この頃は触ってもらっていませんでしたし、カムイ様の指は確かに気持ちいいですから……)

フローラ(でも、だとしたら、あの時カムイ様の右手の光沢は一体何だったんでしょうか? たしかリリスさんはフェリシアのと言っていましたけど……)

カムイ「それじゃ、触りますよ」

フローラ(……そもそもフェリシアが顔を触られてあんな声を上げたことなんてなかったはず……、なのにあんな声を上げてしまったということは……)

 ピトッ

フローラ「んんっ んんううっ!」

フローラ(え……な、な、なんでこんな声が漏れてしまうの?)

フェリシア「姉さん、すごい声です///」

フローラ「カ、カムイ様、一体何を……」

カムイ「フローラさんとフェリシアさんは同じなんですね。こうやって入口を触るだけで……」

フローラ「ひゃんっ……いやぁ」

フローラ(カムイ様、カムイ様の指が私の唇に、触れて………触れるたびにムズムズして……)

フェリシア「やっぱり姉さんも私と同じなんですね。なんだかうれしいです」

フローラ「フェ、フェリシア……んあぁぁ」

カムイ「はじめて触った時には唇に触れてなかったから、気がつきませんでした。フローラさんとフェリシアさんの唇が、こんなに敏感だなんて……」

フローラ「いやっ、これい……じょう。か、カムイ様、こんなの初めてで……」

カムイ「大丈夫ですよ、フェリシアさんも初めてでそんな感じでしたから。恥ずかしくないですよ」

フェリシア「そうだよ、姉さん」

フローラ「ああっ、んっ……唇で感じるなんて、そんなこと……」

カムイ「唇でこれじゃ、中に触れたらどうなっちゃうんでしょうね?」

フローラ「な、中って……」

フェリシア「はわわ、姉さんの中にも入れちゃうんですか」

カムイ「当り前です。もっと、フローラさんの声を聞きたいですから、そう、いつものフローラさんからは想像できないような、そう言う声を」

リリス(とりあえず、双子の妹に拘束されながらなすがままにされているこの構図は、いろいろと危ないですねぇ)

フローラ(唇の上で指が止まってる? 何をするのカムイ様)

カムイ「ふふっ、フェリシアさんの中に入れた指でフローラさんの中を探るというのは、なんだか背徳的なものを感じますね。さっきまでこの指に付いていたフェリシアさんのが中で交じり合うと思うと……」

リリス「カムイ様、さすがにそれ以上の発言は危険だと思います」

フェリシア「か、カムイ様。それはさすがに恥ずかしいですし、ちょっと気持ち悪いです」

カムイ「そうですか、すみません。でも、今からそれをすると考えると、こう責め立てたくなるんですよね」

フローラ「か、カムイ様」

カムイ「口をあけてください、フローラさん」

フローラ「あ、あー」

カムイ「はい、それじゃフローラさんの中に触れますよ」

フローラ「―――!!!!!」

フローラ(わ、私の口の中にカムイ様のゆ、指が……内頬をさわっ」

フローラ「ふおぉぉ、ほぉ、んおあ」

カムイ「温かいですよ、フローラさん。触れるたびに、フローラさんの体が振動してるのがわかります。フェリシアさんと全く同じ場所が一番気持ち良くなれる場所なんですよね?」

フローラ「んんっ、ひょひょんなほとぉ」

カムイ「そうですか、でも内頬に爪を立てれば……」

フローラ「んんんん!!!!!」

フローラ(なにこれ、内頬に爪が立って、これだけで気持ちいいなんて……。口の中を指で触られてるのに、どうしてこんなに気持ちが……)

カムイ「ふふっ、やっぱり一緒なんですね。でも、これ以上触るといけませんから、ここまでにしますね」

フローラ「ふぁ……んん」

カムイ「触らせてくれてありがとうございます。フローラさん」

◆◆◆◆◆◆


フローラ「は、恥ずかしかったです。今後は唇には触れないでくださいね、カムイ様」

カムイ「それは……」

フローラ「わかりましたね?」

カムイ「……はい」

リリス「これはまじめに怒ってますね、フローラさん」

フェリシア「姉さんのあんな姿を見るなんて、思ってませんでした。その、なんだか私興奮してるみたいです」

リリス「すごくエロかったから仕方ありません。こんな方からの好意に気づいていないジョーカーさんって……」

フェリシア「? ジョーカーさんがどうかしたんですか?」

リリス「……ううん、なんでもないです」

フローラ「まったく、妹の前でこんなはしたない姿を見せてしまうなんて」

カムイ「いいじゃないですか。二人とも同じ場所が弱点だったんですから」

フローラ「それを知って得をするのはカムイ様だけでしょう? しばらくは顔を触らせませんから、そのつもりでお願いします」

カムイ「それは……あ、いいえ、なんでもないです」

フェリシア「でも、カムイ様。どうして私と姉さんの弱点が、口だってわかったんですか?」

フローラ「それは私も気になりました。それにカムイ様も唇に関しては気付いていなかったと言っていたじゃないですか。なのにどうやって?」

カムイ「それですか。正直確信はなかったのですが、その遺伝してるかもしれないと思いまして」

フローラ「?」

フェリシア「?」

リリス「………」

~~~~~~~~~~~~~
クーリア『くっ、くふっ。そ、そこはあああぁ』

カムイ『クーリアさん、唇が弱いんですね。弱いんですね? 反乱も抑えられて、こうやって体の弱点までさらけ出されてどんな気持ちですか? 女性にこうやってなるがままにされるのはどんな気持ちなんですか?』

クーリア『こ、この程度の……うああ』

カムイ『いいですよ、身を捩ってるのがわかります。でも触っていいと言ったのはあなたなんですから、満足するまで触るのをやめませんから』

クーリア『やめろ、たのむ、このままでは……』

カムイ『このままでは、なんなんですか? その口で話してください、ふふっ、触れるたびに唇が震えてかわいらしいです』

クーリア『だ、だめだぁああ』

リリス『』
~~~~~~~~~~~~~
リリス「ホントウ、イデンッテコワイデスネ」

カムイ「さて、フェリシアさん。フローラさん、私の用事は以上です。部屋に戻ってゆっくり休んでください。明日はすぐにでも王都へ向かうことになりますから」

フローラ「……あの、カムイ様」

カムイ「はい、なんですか?」

フローラ「今日はカムイ様のお傍にいてもよいでしょうか?」

フェリシア「私もですぅ。あの、カムイ様、今日は一緒に眠ってもいいですか?」

カムイ「……どうしたんですか、突然?」

フローラ「突然呼び出しておいて顔を触るカムイ様に、突然と言われたくはありません」

カムイ「そうですか……。わかりました」

フェリシア「カムイ様、ありがとうございます」

カムイ「リリスさんは、どうしますか? 一緒に寝ますか?」

リリス「さすがにそのベッドで四人は無理ですから、私は宛てられた部屋に戻ります。いろいろと面白いものも見れましたから」

カムイ「そうですか。今日はお疲れ様です、お休みなさい」

リリス「はい、カムイ様。フェリシアさんもフローラさんもおやすみなさい」

 ガチャ バタン

フローラ「では、カムイ様お手をこちらに。ベッドまでお連れいたします」

カムイ「はい、フローラさん」

フローラ「やっぱり、カムイ様の手はどこか温かいんですね」

カムイ「フローラさんが氷の部族の人だからそう感じるだけですよ」

フローラ「そんなことは……」

フェリシア「姉さん、ベッドの準備はOKです」

フローラ「ありがとう、フェリシア。それではカムイ様、お先にお布団へ」

カムイ「はい、ふふっ、こうしてもらうのはもう何年ぶりでしょうか。まだ私が小さかった頃にこうしてもらった気がします」

フェリシア「昔に戻ったみたいです。あの時のカムイ様は、まだこうやって空間把握になれてるわけじゃなかったから、私と姉さんで、よくベッドまでお連れすることが多かったから」

フローラ「でも立場的にいえば、昔に戻ったっていうのは間違いじゃないわ。私たちは、今日、一回カムイ様に刃を向けているんだから」

カムイ「いいえ、昔になんて戻っていませんよ。今になっただけです、過去は過去で今ではないんですから」

フローラ「……カムイ様。もう一度、私とフェリシアを従者として受け入れてくれるのですね?」

カムイ「はい、むしろお願いするのはこちらですよ。フェリシアさん、フローラさん。もう一度、私の従者として共に歩んでくれますか?」

フローラ「はい、カムイ様」

フェリシア「私の主は、この先もカムイ様だけですから」

カムイ「ありがとうございます。それじゃ、一緒に寝ましょう、フローラさんは左で、フェリシアさんは右です。ふふっ、なんだか久しぶりで私もなんだかワクワクしてます」

フローラ「ふああ…、その、カムイ様……すみません」

フェリシア「ふあ~。ごめんなさいカムイ様、私とっても疲れてて」

カムイ「はい、ゆっくり休んでください。今日はお二人とも色々ありましたから……」

フローラ「正直に申し上げれば、さっきのお触りタイムが一番疲れることになった原因でもあるんですけどね」

カムイ「ふふっ、それじゃその疲れも早く眠って癒してしまいましょう。明日は私よりも早起きして起こしてくださいね?」

フローラ「はい、容赦なく起こさせていただきますね」

フェリシア「はい、起きなかったら冷たくしておこしちゃいますから」

カムイ「ええ、おねがいします」

フェリシア「はい、がんばりますね」

フローラ「任せてください。」

「では、おやすみなさい、カムイ様」

カムイ(今回は何とかうまく行きました……)チラッ

フェリシア「すぅ……すぅ」

フローラ「すぅ……すぅ」

カムイ「眠っている姿もそっくりですね……」

カムイ(氷の部族の反乱は終わりを迎えましたが、まだ色々な問題があるんでしょう。正直、白夜の動きが一番気になります、サクラさんが捕虜となっている話を聞いたとしても、強硬派がいればそれを口実にこちらへと攻め込んでくる可能性が高いし、それによって一度攻勢を決める流れになれば、大規模な攻撃も行われるかもしれない)

カムイ(それに、私はどうやら取り返しのつかないことを考え始めているみたいですから。クーリアさんとの約束、それをお願いする時が来たとき、その時は……)

カムイ「……王都に戻ったら、一度レオンさん場所に行きましょう。サクラさんたちの様子も気になりますから」

カムイ(それに、いろいろとまだ情報がほしいところでもありますからね)

◆◆◆◆◆◆
―白夜王国・シラサギ城―

武将「いつまでも脅しに屈している場合ではない! それをリョウマ王子もわかっておられるはずだ!」

リョウマ「今はだめだ。サクラとその臣下が暗夜で人質になっている以上、迂闊な行動は最悪の結果を生むことになる」

武将「ならばどうする? サクラ様が処刑される日を待つだけでいいというのか? リョウマ王子、ここは暗夜に我々の戦う意思を見せつけるときなのです。それに、第一陣の攻撃が成功すれば、そのまま暗夜王国王都のウィンダムへの道も開けましょう。こうして、暗夜で活動するレジスタンスからの報告を待っているばかりでは、こちらの戦況が不利になるばかりです!」

リョウマ「……ことを仕損じるな。耐えるべく所は耐えるしかない。それを理解しろ」

武将「……」

リョウマ「話は以上か? なら、今日はここまでだ」


武将「くそっ、こうして白夜が蹂躙されるのを指をくわえ、怖れ戦き待つなど私にはできぬ!」

ハイタカ「将、どうされた?」

武将「むっ、ハイタカか? リョウマ王子は耐えろとばかりに仰る。しかし、このところ暗夜軍が無限渓谷を越えて前線に手を加えることが多くなってきた。これを見ているだけなど、もはや我慢の限界だ」

ハイタカ「………、将、私に一つ考えがございます」

武将「む、なんだ?」

ハイタカ「はい、ここはひとつあの方に意見を打診してみてはよろしいかもしれません」

武将「あの方?」

ハイタカ「はい、あの方は今とても暗夜を憎んでおられます故、今はあまり軍議にも参加されていないと聞きます。それは妹君も暗夜に捉われた手前、心中をお察ししますが」

武将「……」

ハイタカ「しかし、あの方を慕っている方は多くおります。あの方の鶴の一声があれば、多くを動かすことができるやもしれません。それに、陸地を通らずとも、まだ道は残っているのですから」

武将「……なるほど、ハイタカの考え一理ある。あの方は確かに王族である。しかし、あの日以降はいつも獲物を求める眼ばかりしている。我々の話に耳を傾けてくれるやもしれん」

ハイタカ「はい、私はフウマ公国にこの件を打診してみます。海沿いでもっとも近くにあり、暗夜の上陸を防いでいるのはフウマ公国だけですから」

武将「うむ、わかった。私は部屋に戻りできる限りの要点をまとめた後、あの方に話を持ちかけてみよう。成功すれば、われわれが先立って暗夜に一太刀浴びせてみせる!」

ハイタカ「はい、では私も作業に入ります」

武将「うむ、任せたぞ」タタタタタタッ

ハイタカ「ふむ、武将のためにできる限りのことをこなすのも良いことだが、果たして吉と出るか凶とでるか……。さて、動くとするか」


 第八章 おわり

 リンカ   C+
 ジョーカー C+
 ギュンター C
 サイラス  C+
 マークス  C
 レオン   C+
 エリーゼ  C+
 カミラ   C+
 リリス   B
 モズメ   C
 サクラ   C
 アクア   C+
 カザハナ  D+
 ツバキ   D+
 フェリシア  →C
 フローラ   →C

仲間たちの支援
 
 今回のイベントでハロルドとジョーカーの支援がCになりました。
 今回のイベントでエルフィとモズメの支援がCになりました。

今日はここまでです。ハイタカさん、ごめん。

 ここからピエリ、ハロルド、ラズワルド、エルフィの顔をカムイが触るまでの間、本篇が動かない時間に入ります。

 この先の展開を安価で決めたいと思います。お時間のある方は、参加していただけると幸いです。

◇◆◇◆◇

 まずはレオン邸に付いて行くキャラクターを決めます。
 
 付いて行くキャラクターはこの中から

 サイラス
 エリーゼ
 エルフィ
 ハロルド
 モズメ
 ジョーカー
 フェリシア
 フローラ
 リリス
 ピエリ
 ラズワルド

 安価番号は>>457 

◇◆◇◆◇

 次にレオン邸で話をしているキャラクターはこの中から

 サクラ
 カザハナ
 ツバキ

 安価番号は>>458

◇◆◇◆◇

 最後に話をしている組み合わせをこの中から

 カムイ
 サイラス
 エリーゼ
 エルフィ
 ハロルド
 モズメ
 ジョーカー
 フェリシア
 フローラ
 リリス
 ピエリ
 ラズワルド

 話をしているキャラ一人目は>>459 二人目は>>460

 すみませんが、よろしくお願いいたします。
 


ハロルド

乙!
サクラでおなしゃす


エルフィ

乙です
フローラさんでお願いします。

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・街道―
カムイ「すみません、ハロルドさん。私の用事に付き合わせてしまって」

ハロルド「いいんですよ。困った人を放っておけないのが私、ハロルドなのですから! しかし、レオン王子が捕虜の方たちの世話をしているというのは本当だったのですね。にわかには信じられませんが」

カムイ「はい、まぁこうなってしまったのは私が原因のようなものですから、ハロルドさんのお勧めのパン屋さんでお土産も買ってきましたし」

ハロルド「いやはや、いつもは買った直後に何かあったりするので、カムイ様に災難が伝染しないか冷や冷やしましたが、今日はとても運がいい日のようだ」

カムイ「ハロルドさんは面白い方ですね。まるで毎日不運なことばかりが起きているみたいな言い方ですよ」

ハロルド「まぁ、あまり運がいい方では……。んっ、前方から馬車が来ますね」

カムイ「そうですか、ちょっと横に寄りましょうか」

ハロルド「そうですね。ふむ、どうやらワインを運んでいるようですな。大きな樽がよく揺れて……」

 ガタンッ! バシャー

カムイ「ん、なんだかすごい音がしましたけど……樽が落ちたんでしょうか?」

ハロルド「…………はい、そのようですね」ビチャビチャ

カムイ「ん……ハロルドさん、いつの間にお酒を飲んだんですか?」

ハロルド「……いいえ、その……」

 ニイチャン、ダイジョウブカイ!?

ハロルド「はっはっは。大丈夫だ、そのワインで体がとてもベトついてしまっているが……」

カムイ「それは大変ですね、仕方ありませんレオンさんのお宅でお湯を借りましょう。私が頼んでみますから」

ハロルド「カムイ様。すまないがよろしくお願いするよ」

カムイ「はい、任せてください」

―レオン邸―
レオン「姉さん、よく来てくれたね」

カムイ「いいえ、時間を作ってもらってありがとうございます。これ、お土産です。喜んでくれるといいんですが」

レオン「パンみたいだね。ありがとう。ところで、このワインまみれの人は?」

ハロルド「初めましてレオン王子、私はエリーゼ様の臣下ハロルド」

レオン「そう、君がエリーゼの……よろしく、あと王子は別につけなくてもいいから」

ハロルド「では、レオン様。このような格好で押しかけてしまって申し訳ない。こんなことになるとは思っていなかったもので」

カムイ「はい、私をここまで案内してくれたんですが、途中でワインを浴びてしまって」

レオン「酒場にでも寄って来たの?」

カムイ「いいえ、その、なんと話をすればいいのか。とりあえず、ハロルドさんは運が悪いということだけ伝えておきます」

ハロルド「カムイ様。ちゃんと説明した方が良いのではありませんか」

カムイ「ハロルドさんは気にしないでください。それで、レオンさんハロルドさんにお湯を貸していただけませんか?」

レオン「はぁ、せっかく来てもらったし、そんな格好で屋敷の中を歩くのも気が引けるだろうし、構わないよ」

ハロルド「レオン様、ありがとうございます」

レオン「大袈裟だよ、とりあえずこっちに付いて来て」

ハロルド「では……ううむ、このまま入っていいかどうか」

カムイ「ハロルドさん、靴を私がお持ちしますね」

レオン「……」ピクッ

ハロルド「しかし、私の靴など持ってしまっては――」

カムイ「気にしないでください。それに今日は私の用事につき合っていただいたんですから、これくらい造作もないことですよ」

ハロルド「そ、そうですか。では、お言葉に甘えて……」

カムイ「ふふ、他に持ってもらいたいものがありましたら言ってください」

ハロルド「いや、これ以上は大丈夫。それに、ほかの物を持たせてしまったら、カムイ様もお酒で汚れて……オワッ!」

カムイ「あっ、ハロルドさん、あぶない」

 ドサッ

レオン「ちょ、姉さん、だいじょ……」

ハロルド「う、うーん。私としたことが、転んでしまうとは……」

カムイ「ハロルドさん、その、重たいです……」

ハロルド「……え? うわっ、こ、これは、不可抗――」

レオン「姉さん大丈夫!?」ドゴッ

ハロルド「ぬおぉぉぉ!!!!」ゴロゴロゴロ

カムイ「レオンさん? 今、ハロルドさんがとてつもない速度で転がっていったような気がしたのですが?」

レオン「なにそれ、僕は知らないよ。それよりも大丈夫、体痛めたりしてない?」

カムイ「はい、大丈夫ですよ。ハロルドさんも大丈夫ですか?」

ハロルド「え、ええ……」

カムイ「そうですか、それは良かった。あ、でも……」ビチャビチャ

ハロルド「ううむ、カムイ様もワイン塗れになってしまいましたね。私の不注意で申し訳ない」

カムイ「そうですね……。でも、なんだか楽しいです。ハロルドさんといると、楽しいと感じられます」

ハロルド「そう言われても、とても複雑な心情になってしまうのですが……」

レオン「ハロルド、こっちだから、早く来い」

ハロルド「……なぜだ、なぜこのような敵意ある視線を私が向けられることに」

カムイ「レオンさん、私もお湯を御借りしても」

レオン「ああ、それよりも姉さんも姉さんだ、今度から注意してよ。ハロルド、君は一番奥の扉だから、間違えないように」

ハロルド「あ、はい」

カムイ「ふふっ、二人して怒られてしまいましたね」

ハロルド「……カムイ様、少しだけ疲れてしまいましたよ」

カムイ「そうですね、まずはお酒を落としてしまいましょう。それでは」

ハロルド「はい、それではまた」



レオン「………」

サクラ「あ、あの……レオンさん?」

レオン「なんだいサクラ王女……。僕は少し機嫌が悪いんだ」

サクラ「えっ、姉様が来てくれるって、さっきまで……」

レオン「……」

サクラ「そ、そのごめんなさい」

レオン「……すまない。こんなことで機嫌を悪くするなんてどうかしてたよ。サクラ王女も姉さんと話をするのが楽しみなのに」

サクラ「いいえ、カザハナさんもツバキさんもレオンさんができる限りの事をしてくれて感謝してるって言ってましたから」

レオン「ふーん、廊下ですれ違った時、ツバキに言われることはあっても、あの一般兵からは言われたことないけどね」

サクラ「それはたぶんお風呂の件が」

レオン「……そうだよ、なんであそこで乗っかってくるんだ。ふつう、あんな条件を出されたら引き下がるはずなのに」

サクラ「ふふ、カザハナさんは少し頑固なところがありますから、ずっと昔から一緒にいてくれた幼馴染だからわかるんです」

レオン「そう。いいのかい、そんな身内の話を僕にしても。いずれサクラ王女たちのこと、僕が捨てるかもしれないんだよ?」

サクラ「いずれ、そうなる日が来るかもしれません。でも、ここで私たちを守ってくれてるレオンさんを、私たちは信じるしかありませんから」

レオン「………」

サクラ「だから、私はレオンさんともっと話がしたいです。もちろん、カザハナさんや、ツバキさんともよく話してくれると嬉しいんですけど」

レオン「……一般兵とは、話が通じるか全くわからないところだけどね」

サクラ「カザハナさんは素直になれないだけですから、それに監視って言っても扉の前で待機してるだけです」

レオン「さすがに入浴中の女性を直に監視するような趣味はないからね……。それに一般兵にそんなことしたら、いろいろと変な噂を流されかねない」

サクラ(有言実行できないヘタレってカザハナさんが言ってたことは内緒にしておかないと)

レオン「それにしても、白夜にはサクラ王女と同じ名前の木があるって聞いたよ」

サクラ「はい、その。似てないかもしれませんけど、とってもきれいなんですよ。でも、その怖い話もあって」

レオン「へぇ、怖い話? 何それ、少し気になるけど」

サクラ「はい、その、サクラは薄い桃色の花なんですけど、その花が桃色な理由が、その……木の下に埋まっている死体の血を吸ってるからって言われてて」

レオン「へぇ、そんな話があるんだ。暗夜にもいろいろな怖い話があるけど、大抵の者は夜道に現れる化け物の類が多いかな……」

サクラ「化け物……ですか」

レオン「うん、まぁサクラ王女は怖い話が苦手みたいだから……」

サクラ「え、えーと」ソワソワ

レオン「………」

サクラ「そ、その、私……」ソワソワ

レオン(…なるほどね、サクラ王女はそういうタイプなわけか。ちょっと面白そうだね)

レオン「話をしたいのはやまやまだけど、今は昼間だから雰囲気でない。今度夜にでも話してあげるよ」

サクラ「よ、夜にですか?」

レオン「そう、まぁ、怖い話かどうかはわからないけどね。まぁ、楽しみにしててよ」

サクラ「は、はい。わかりました……」

◆◆◆◆◆◆
カムイ「すみません、お待たせしてしまいましたか?」

サクラ「姉様」ダキッ

カムイ「ふふ、お久しぶりですサクラさん。レオンさんにひどいことされませんでしたか?」

レオン「ちょ、姉さん。いきなり何を言って」

サクラ「はい、レオンさんはとても優しくしてくれましたから、ツバキさんもカザハナさんも問題なく過ごせてます」

カムイ「そうですか。レオンさん、ありがとうございます」

レオン「先に人を疑っておいて言うことじゃないよね、それ。ふつうは順序が逆だよね?」

カムイ「細かいことは気にしないでください。あと、ハロルドさんはもう少し時間が掛るそうです。おかしいですね、同じような浴室だと聞いていたんですけど」

~~~~~~~~~
ハロルド「ううっ、なぜ水がこんな少ししか出てこないんだ?」

ハロルド「これではお酒の臭みを取るのに時間がかかってしまう……。やはり私は運がないのだな……」
~~~~~~~~~

レオン(まぁ、少し故障している部屋を進めたから当然か)

レオン「それで、カムイ姉さん。僕に聞きたいことがあったんだよね」

カムイ「はい、まずは氷の部族の反乱の件、耳に入っているとは思いますが」

レオン「うん、さすがカムイ姉さんだね。犠牲も出さずに平定したんだから、その影響もあってかわからないけど、周りの決起に流されそうになっていた少数の部族が反乱を終息させているみたいだ」

カムイ「そうですか、結果的にいい方向に話が進んだみたいですね……」

サクラ「カムイ姉様、すごいです」

カムイ「サクラさん、あまり喜んでいいことじゃないんですよ? 反乱が終わりを迎えれば終わりを迎える程に、サクラさんたちの命も危なくなっていると言っていいんですから」

サクラ「でも、カムイ姉様が誰も犠牲を出さないでことを終えられたことは、すごくいいことですから」

カムイ「サクラさん……。今回は運が良かっただけですから、今後はそううまくいかないでしょう」

サクラ「………そうですよね」

レオン「サクラ王女の気持ちもわかるけど、これは戦争だ。それは忘れない方がいい」

サクラ「はい……」

カムイ「レオンさん、白夜の動きの情報などは入ってきているのでしょうか?」

サクラ「!」

レオン「そう言う話だと思ったよ……」

カムイ「………それで、どうなんですか?」

レオン「まぁ、サクラ王女に言っていいかわからないけど。白夜事態にこれといった動きはないよ。むしろ暗夜が白夜領への侵攻を強めてる状態と言ったほうがいいかな。といっても無限渓谷から入り込んだ少しの場所で小競り合いをしてる、そんな具合だよ」

カムイ「そうですか、なら少しの間はサクラさんたちの安全は確保できそうですね」

レオン「そうだね。でも油断はできないよ。僕もできる限りサクラ王女たちが命を維持できるように努めるけど、たぶんそれほど猶予はない気がする」

カムイ「はい、サクラさん」

サクラ「カムイ姉様」

カムイ「白夜のみなさんのことを気にしているんですよね?」

サクラ「……はい、私がツバキさんとカザハナさんに頼まなければ、こんなことにならなかったのかもしれないって思ってしまうんです」

カムイ「そうですね。でも、もう過ぎてしまった物事をどうにかすることはできませんから」

サクラ「……」

カムイ「だから、サクラさん。私もできる限り頑張ってみます」

サクラ「カムイ姉様?」

カムイ「はい、サクラさんが無事に白夜に帰れるように、サクラさんが白夜に戻ってしたいことをできるように、頑張りますから。今はどうか耐えてくれませんか?」

サクラ「……はい。姉様」

レオン「はぁ、カムイ姉さんは甘いよね、本当に」

カムイ「レオンさんも結構甘いと思いますよ。さて、それでは私のお土産を食べてみましょう」

レオン「はいはい、今から切り分けてくるから。少しだけ待っていて」

サクラ「カムイ姉様、信じてます」

カムイ「はい……サクラさん」

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・北の城塞―

エルフィ「え、えっと……」

フローラ「……」

 キラァーン

エルフィ「その、この食事の量は一体……」

フローラ「妹から聞きました。エルフィさんに怪我をさせてしまったと、そのこれで許してもらえるとは思えませんが……」

エルフィ「べ、別に気にしてないわ。それに、あの時は私たちは敵同士だったから、仕方無いことよ」

フローラ「……そう割り切られるものではないはずです。私もみなさんに刃を向けた身です、本当に申し訳ありませんでした」

エルフィ「……ふふっ、フェリシアさんにも同じこと言われたから、なんだかおかしいわ」

フローラ「エルフィ様?」

エルフィ「フローラさんが気にしていることはもっともかもしれないけど、そこまで背負い込む必要はないと思うわ」

フローラ「そ、そうでしょうか?」

エルフィ「ええ、それに。カムイ様はフローラさんを許してくれたんでしょう?」

フローラ「は、はい。こんな私を、もう一度従者として認めてくださいました」

エルフィ「なら、それでいいはずだから」

フローラ「エルフィさん……」

エルフィ「あの、とりあえずなんだけど、この料理はもらってもいいのかしら? その、見てたらお腹がすいてきちゃって」きゅるうううう

フローラ「はい、召し上がってください。ほしくなったらもっと言ってくださいね」

エルフィ「ありがと。それじゃ―――」


フローラ「」

エルフィ「お、おかわり」

フローラ「どういうことですか、全く食材が追い付かないなんて」

エルフィ「はぁ、こんなにいっぱい食べられるなんて……フローラさんって料理が上手なんですね」

フローラ「あ、ありがとうございます」

フローラ(まったり返事を返していたら、おかわりに追いつけなくなってしまいます)

エルフィ「こんなにもらってばっかりじゃ悪いから、私もなにかお返ししたいけど……」

フローラ「いいえ、これは私が振舞ってるだけですから、おかえしなんて……」

エルフィ「食べ終わった食器、今から持って行くわ」

 ガシャン

フローラ「え?」

エルフィ「………こっちの食器を」

 ガシャシャン

フローラ「」

エルフィ「ごめんなさい」

フローラ「……エルフィさん。もしかしてわざとでしょうか?」

エルフィ「その、力加減ができなくて……」

フローラ「……フェリシアに任せていたら、食器の半分以上を割られていたかもしれませんね。私が担当してよかった」

エルフィ「でも、私、何かでちゃんと恩返しするから」

フローラ「その、お心遣いだけで私は大丈夫ですから……」

エルフィ「……大丈夫、力仕事だったら何でも言ってほしいわ。私、力にはとても自信があるから」

フローラ「………」

フローラ(ここでするべき力仕事、そんなものあったでしょうか……)

フローラ「そうですね、わかりました。少しだけ考えておきます」

エルフィ「ええ、まかせて」

フローラ(とても不安だわ)


◆◆◆◆◆◆

カムイ「ただいま戻りました」

フェリシア「カムイ様、おかえりなさいませ」

ジョーカー「おかえりなさいませ、カムイ様。おや、着ていった服とは違うようですが?」

カムイ「はい、途中で汚れてしまいまして」

ジョーカー「そ、そんな。くっ、申し訳ありません。私が付いていればこんなことには………」

カムイ「いいんですよ、気にしないでください。ハロルドさんは先ほど帰られましたので……」

ジョーカー「ああ、そう言えば今エルフィがここにいますね。もう時間が時間ですので、宿泊される流れになっておりますが」

カムイ「そうなんですか……」

フェリシア「お部屋の方は私が準備しました! エルフィさんに恩返ししたかったので、がんばりました」

カムイ「はい、よかったですねフェリシアさん……そう言えば、まだエルフィさんの顔を私触っていませんでしたね。フェリシアさん、エルフィさんのお部屋まで私を連れて行ってくれますか?」

フェリシア「は、はい。そのジョーカーさん……」

ジョーカー「今日の訓練は終わりだから、もう好きにしていいぞ。明日はもっと早くからになるから覚悟しておけ。それではカムイ様、何かありましたらお呼びくださいませ」

カムイ「はい、お疲れ様です。ジョーカーさん」

エルフィ「………なんだか夢のような時間ね。いっぱい食べて、こうやってふかふかのベッドに横になって、いつもの兵舎だと想像できないくらいだわ」

 コンコン

エルフィ「……はい?」

カムイ「エルフィさん、私です。もうお休みになられていますか?」

エルフィ「カムイ様ですか、ちょっと待っててください」

 ガチャ

カムイ「こんばんは、少しお時間良いですか?」

エルフィ「ええ。すみません、こちらに泊めさせてもらって」

カムイ「いいですよ。それにこの前の反乱平定の件で、皆さんには報酬と休暇が与えられてますから、緊急招集がかからない限り、呼ばれることはありません。だからゆっくりして行ってください」

エルフィ「ありがとうございます。それで、カムイ様。私にご用事とは一体?」

カムイ「エルフィさん、あなたのお顔を触らせていただいてもいいですか?」

エルフィ「わたしの顔ですか?」

カムイ「はい、私は目が見えませんので、触れて人の顔を認識してます。私はエルフィさんのお顔を知りたいんです」

エルフィ「……私がまだここにいられるのは、あの時カムイ様が私を助けてくれたからです。だから……」

カムイ「……いいんですか?」

エルフィ「はい、気が済むまで、どうぞ」

カムイ「では……」ピトッ

エルフィ「……んん」

カムイ「力持ちだって聞いていますけど、全然そんな感じはしないんですね。むしろ、なんだか華奢な感じがします」

エルフィ「私なんて、まだまだですから……」

カムイ「そうなんですか?」

エルフィ「まだまだです。もっともっと強くなってエリーゼ様を守るのが、私の使命だから。終わりなんてないんです」

カムイ「ふふっ、エルフィさんは目標を持っているんですね」サワサワッ

エルフィ「んくっ……」

エルフィ(今、なんだか気持よかった)

カムイ(首の横筋ですね……。ふふっ、楽しくなってきました)

カムイ「どんな訓練をしているんですか、私に教えてください」

エルフィ「そ、その、岩をも、もち、あげたり……はうん」

エルフィ(……///)

カムイ「それから?」

エルフィ「え、えっと……う、腕立もひゃっ……ひゃっかいくらい……」

カムイ「すごいですね。それなら力持ちなのも、納得です」

エルフィ「か、カムイ様。そ、そこはやめて……ん」

カムイ「どうしたんですか、なんだかとても力抜けてるみたいですよ? どうしてでしょうね?」

エルフィ「や、やめてくだ……」

エルフィ(首、首の横ラインに、カムイ様の指が、指が触れると度に力が、力が抜けちゃう……)

カムイ「ふふっ、なんだか息が上がってきてますよ」

エルフィ「はぁ、はぁ、そ、そんなこと……ありません」

カムイ「そうですか、でも私の指がエルフィさんの汗で湿ってますよ……」

エルフィ「こ、これは……」

カムイ「ふふっ、エリーゼさんもこんな姿のエルフィさんを知りませんよね……。こんな姿を見たら、エリーゼさんどう思うんでしょうか?」

エルフィ「!!!!!! か、カムイ様」

カムイ「冗談ですよ、安心してください。だから、もっと私に感じさせてください。エルフィさんの女性らしい反応というやつを」

エルフィ「きゃうぅ、はぁ、だめ、そこ、弱い場所だから……」

カムイ「はい、ここがいいんですね」

エルフィ「あっ、んんっ」

カムイ「エルフィさん、髪を結んでるんですね……。失礼しますね」スッ ファサー

エルフィ「あっ」

カムイ「こんな髪を下ろした姿、あまり人には見せないんじゃないですか?」

エルフィ「え、エリーゼ様には……」

カムイ「そうなんですか、なら私は二人目になれたのかもしれませんね。いっぱい触らせてください」

エルフィ「カムイ様、んんううううぅう。もう、ゆるして……」

カムイ「はい、もう少しで終わりますから。待っていてくださいね」

エルフィ「はぁ、はぁ……」

エルフィ(くっ、くやしい、でも――)

 スッ

エルフィ「……ふぇ?」

カムイ「エルフィさん、ありがとうございました」

エルフィ「あ、あの……」

カムイ「はい、もう終わりです。それとも、まだ触って欲しかったですか?」

エルフィ「いえ、その……もう大丈夫です。そのエリーゼ様には」

カムイ「言うわけないですよ。こんなことを誰かに言いふらすなんてもったいないですから」

エルフィ「もしもカムイ様が盲目ではなかったら、その頭を林檎みたいにしてたかもしれません」

カムイ「林檎みたいにとは?」

エルフィ「こう、ぎゅって」

カムイ「怖いですね。でも安心してください、私は目が見えませんから、そんなことをする必要はありません」

エルフィ「……目見えてるんですよね? 一回うなづいてくれれば、すぐにぎゅってしますから。安心してください、痛みは無いと思います」

カムイ「見えませんから、ぎゅってする必要はありませんよ」

エルフィ「………」

カムイ「……」ニコニコ

エルフィ「……わかりました。でも、今度顔を触らないでくださいね」

カムイ「それは……」

エルフィ「もしも破った時は―――ぎゅってします」

カムイ「あ、ハイ」


 休息時間 ―1― おわり

 リンカ   C+
 ジョーカー C+
 ギュンター C
 サイラス  C+
 マークス  C
 レオン   C+
 エリーゼ  C+
 ハロルド   →C
 エルフィ   →C
 カミラ   C+
 リリス   B
 モズメ   C
 サクラ   C→C+
 アクア   C+
 カザハナ  D+
 ツバキ   D+
 フェリシア C
 フローラ  C

仲間たちの支援
 
 今回のイベントでサクラとレオンの支援がCになりました。
 今回のイベントでレオンとハロルドの支援がCになりました。
 今回のイベントでエルフィとフローラの支援がCになりました。

今日はここまでです。長くてあと三回、短くまとめてあと二回くらいで休息時間が終わる感じです。ご了承をお願いいたします。
 ちょっと、テンポが崩れ気味で申し訳ないです。

 次の安価を決めたいと思いますので、参加いただけると幸いです。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 カムイが次に顔を触るキャラクター

 ラズワルド
 ピエリ
 ハロルド
 
 安価は>>480

◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 レオンが監視することになる相手

 サクラ
 カザハナ
 ツバキ

 安価は>>481

◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 どこかで話をしている組み合わせ

 カムイ
 サイラス
 エリーゼ
 エルフィ
 ハロルド
 モズメ
 ジョーカー
 フェリシア
 フローラ
 リリス
 ピエリ
 ラズワルド

 一人目は>>482
 二人目は>>483

 でお願いいたします。

ピエリ

ツバキ

青の踊りさん

実妹

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国のどこか―

ラズワルド「………やぁ」

リリス「………なんでしょうか、ラズワルドさん」

ラズワルド「いや、その、お茶でもどうかなって……」

リリス「無理に笑顔を貼り付けて声をかけなくてもいいんですよ?」

ラズワルド「うん、そうだね。話すのは初めて……ってことでいいのかな、リリス」

リリス「そうですね、そうかもしれません」

ラズワルド「……困ったな。こんなに可愛い子が僕の話を聞いてくれてるのに、気の利いた言葉を投げかけられる気がしないなんて……」

リリス「お世辞ありがとうございます。私は特に話すこともないので、これで失礼しますね」

ラズワルド「ちょ、ちょっと待ってよ。え、えっとそうだね。リリス、これから僕の知ってる洒落た喫茶店でお茶しようよ。それに知らない仲じゃないんだし」

リリス「それ、この前ほかの女性にも言ってましたよね? 軽い男は嫌われますよ?」

ラズワルド「そうだね、ほら女性を見るとすぐ声をかけたくなっちゃうからさ。こればっかりは仕方無いよ。うん」

リリス「悪びれる様子がないんですね。まったくといいますか、私がどういうものなのか、あなたは知っているはずですよ?」

ラズワルド「……」

リリス「ですから、以降は私に話しかけなくてもいいですよ。無理に話しをして、仲間の輪に軋轢を作るのはカムイ様も望んでいないでしょうから…」

ラズワルド「リリスが何を言ってるのか、僕にはわからないかな」

リリス「え?」

ラズワルド「僕はリリスが可愛い女の子だったから声を掛けたんだ。ただそれだけ、根掘り葉掘り追求するために話しかけるなんてことはしないよ」

リリス「………」

ラズワルド「リリスはとてもかわいい女の子だから声をかけた、それだけだから。確かに僕にもやらなくちゃいけないことがある。どうにかできるかはわからないけど、僕たちを信じてくれた人のためにもね。でも、それの合間にリリスと仲良くなったって何か問題があるわけじゃない」

リリス「……はぁ、本当にどうかしてますね」

ラズワルド「だって、僕とリリスはこの前初めて会ったばかり、でしょ?」

リリス「そうでしたね。ふふ、それじゃこれからよろしくお願いしますね、ラズワルドさん」

ラズワルド「うん。それじゃ、もっと親睦を深めるためにお茶に行こうか!」

リリス「ふふっ、それはパスです」ニコッ

ラズワルド「えぇ………」

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・レオン邸・中庭―

レオン「せいっ! はっ!……やっぱりうまくいかない、どうしてだ」

ツバキ「………」

レオン「もう一度……!」

ツバキ「体の軸が少しぶれてる気がするよー」

レオン「!」

ツバキ「ははっ、それに俺が見てるのに全然気がつかないから、全然だめだねー。俺たちのことちゃんと監視してないといけない立場なんですから―」

レオン「ツバキか。別に何かしようって気でもないだろ? なら、僕だって僕なりに時間を使いたいんだ」

ツバキ「それもそうですねー。どうしたんですか、剣なんかもって」

レオン「僕だって剣くらい扱えるし、持ってちゃ変なのかい?」

ツバキ「そうなんですか? レオン王子はグラビティーマスターの異名を持つ、暗夜一の魔術師だから剣とかはあまり使わないと思ってたんですけどねー」

レオン「……それ白夜にまで広がってるのか、恥ずかしすぎる二つ名なんだけど」

ツバキ「そうですか? こう聞くたびに背筋がムズムズする感じがして、俺はとっても好きですよー」

レオン「それは僕のことをからかってるようにしか聞こえないんだけど……」

ツバキ「そんなことないですよー。それにさっきの剣のふるまいよりも、魔術を使っているときのレオン王子のほうが、かっこいいですから。さすがはグラビティーマスター」

レオン「その呼び方はやめてくれ」

ツバキ「レオン王子は魔術師ですから、仕方無いですよー」

レオン「……剣の扱いをどうにかした方がいいかもしれないな。その二つ名で呼ばれるのはとても不愉快だ」

ツバキ「なら、まずは剣を持った時に重心がちゃんと中心に来るようにした方がいいですよー。今のままじゃ、ふらふら震えてて少し格好悪いですから」

レオン「余計な御世話だよ!」

ツバキ「そうですかー、でも姿勢は重要ですよ。特に戦いは基本をこなしてこそですから―。最初から独自でやるのは、レオン王子には合ってないって思いますよー」

レオン「……ぼくを本気で怒らせたいみたいだね……」

ツバキ「すみません、いろいろ言いすぎたみたいで。俺はこれで失礼しますねー」

 タタタタタタッ

レオン「くそ、捕虜に意見されるなんて……」

レオン(重心を体の真ん中にすればいいんだよな……べ、べつに言われたからじゃない。参考にするだけ……)

 ヒュン! ズアッ

レオン「……」

 ズバッ ブンッ

レオン「……動きやすいな、これ」

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・ピエリの屋敷―

カムイ「先日の件でピエリさんにお礼にと来たのですが。今は鍛錬中ですか」

メイド「はい、もうそろそろお帰りになられると思います。ここまで来ていただいたのに、申し訳ありません。館主様も今は出られておられますゆえ」

カムイ「いいんですよ。突然訪問したのは私ですから。マークス兄さん、ここまで付いて来ていただいたのに申し訳ありません」

マークス「なに、気にすることはない。それに、久々にお前と話せたのはうれしいことだ。氷の部族の件、無血で平定とは予想していなかったぞ」

カムイ「ふふ、マークス兄さんも色々と手をまわしてくれたじゃないですか。臣下の方たちを私に預けてくれたんですよね」

マークス「ああ、エリーゼにも頼んでしまった手前、やはり心配であったのでな」ナデナデ

カムイ「マークス兄さん。くすぐったいですよ、ふふ、大きな手でなんだかとても落ち着きます」

マークス「ふふ、どんな事情があろうとも、お前は私の妹だ。心配にもなるし、いつまでたっても可愛いものでもある。ラズワルドとピエリには、引き続きお前に随伴するように手続きを取ってある。存分に使ってやってくれ」

カムイ「はい、わかりました。二人とも大事に使わせてもらいますね、マークス兄さん」

マークス「ああ。すまないが私はそろそろ城へと戻る。ピエリがいると踏んでいたため、合間に出て来ただけだからな」

カムイ「はい、私はここでピエリさんをお待ちしますので。軍議の方、頑張って来てください」

マークス「ああ、それではな」

ピエリ「あれ、カムイ様なの!」

カムイ「ピエリさんですか、お待ちしてました」

ピエリ「どうしたの? ここはピエリのお家なの、もしかしてお父様に用事なの?」

カムイ「いいえ、私が用事があったのはピエリさんのほうです。まずはこれを……」

ピエリ「おいしそうなお菓子なの!」

カムイ「先日のお礼です。ありがとうございます、ピエリさんたちが来てくれたおかげで、どうにか目標通りに事が進められました」

ピエリ「そう言ってもらえるとピエリとっても嬉しいの! 外で立ち話もなんだから、中に入ってお話するの!」

メイド「では、カムイ様。わたしはこれで」タタタタタタッ

カムイ「え? はい」

ピエリ「みんなすぐに行っちゃうの。やっぱり変なの」

カムイ(ピエリさんが帰ってきたのに、どうしてすぐにいなくなってしまうのでしょうか?)

ピエリ「それじゃカムイ様、ピエリに付いて来るの! ピエリの部屋まで案内してあげるの!」

カムイ「はい、よろしくお願いしますね」

カムイ(屋敷の中に入りましたが、あまり人の気配がありませんね……それに、どうしてでしょうか、少しばかり血の香りもします)

ピエリ「カムイ様、目が見えないの本当なの?」

カムイ「ええ、あまり人に見せるものではありませんから、見せることはできませんけど、ピエリさんが私の手を取ってくれてるので、助かります」

ピエリ「ピエリのお家だから、案内は任せてなの!」

 トタトタトタ

カムイ(ん、前方から誰か気ますね。まっすぐに歩いていないところをみると、何か持っているみたいですが……)

メイド「んしょっ」

カムイ(フローラさんやジョーカーさんと比べるというわけではありませんが、あまり動きがいいというわけではないみたいですね。慣れていないといえばいいでしょうか?)

メイド「あっ、ピエリ様」ペコリッ

カムイ(でも、ほかのメイドの方たちと違って、あいさつはしてくれるんですね)

ピエリ「……イライラするの」

メイド「?」

カムイ「ピエリさん?」

ピエリ「カムイ様、一緒にきれいになるの!」ジャキ

 ヒュッ

メイド「えっ?」

 カキンッ

ピエリ「……なんで邪魔するの」

カムイ「いえ、ピエリさんこそ何をしているんですか」

メイド「ひっ、ひいいいぃぃ」

ピエリ「カムイ様。ピエリの邪魔をしないでほしいの。その子、えいっ!ってしたいだけなの」

カムイ「要領が得られません。この方がスパイだったとか、そう言う事情なら別に構いませんが」

ピエリ「違うの、ただえいってしたいからするの。帰り血ドバドバ浴びて、カムイ様もピエリみたいに奇麗になるの」

カムイ「……冗談を言っているわけじゃないみたいですね」

メイド「ひぃ、た、たすけて」タタタタタタッ

ピエリ「逃がさないの!」

 ブンッ ガキンッ

カムイ「……ピエリさん。やめてください、こんな事をする意味はありませんよ」

ピエリ「……カムイ様。なんでピエリの邪魔するの。いくらカムイ様でも許さないの、八つ裂きにしたくなっちゃうの」

カムイ「なら試してみますか?」

ピエリ「……もしもカムイ様をえいっして死んじゃったら?」

カムイ「それは私が単純にピエリさんより弱かっただけですよ。気に病む必要なんてありません」

ピエリ「そうなの! なら遠慮しないの、ピエリ、カムイ様をえいっしていっぱい奇麗になるの!」ブンブンブンジャキッ

カムイ「私は別にピエリさんにえいっするつもりはないので……。それじゃ私がピエリさんの手から武器を落とせたら勝ちでいいですか?」

ピエリ「カムイ様、おかしいの!ピエリが武器を落としちゃうなんてありえないの、でも、カムイ様に武器が刺さっちゃって、手を放すことはあるかもなの」

カムイ「そうですか。それじゃ始めましょう」

ピエリ「そうなの。それじゃ行くの!」

~~~~~~~~~~~
ピエリ「これで、終わりなの!」

カムイ「そこです!」

 カキンッ ヒュンヒュンヒュンヒュン ザクッ

ピエリ「……ピエリの武器、飛んじゃった……。ふえ、ふええぇぇーーーん!」

カムイ「ふぅ、何とかなりました。ピエリさん、今度は大泣きですか?」

ピエリ「ピエリ、ピエリ負けた、負けちゃったの。びえぇぇぇーーーーん!」

カムイ「本当に困りましたね……」

ピエリ「ふえぇーーーーん!」

カムイ「ピエリさん、泣かないでください」ピトッ

ピエリ「ぐすっ……カムイ様、ピエリ、ピエリぃ……」

カムイ「ふふっ、涙で顔が汚れちゃってますよ。ふふ、言葉遣いと同じで、とても柔らかいんですね。ピエリさんは」

ピエリ「か、カムイ様。く、くすぐったいの……」

カムイ「ふふっ、ピエリさんは。私と勝負に負けたんですから、これくらい我慢してください」

ピエリ「ピエリ、カムイ様と勝負なんてしてないの。ただ、えいってしたいだけなの」

カムイ「そうですか。ピエリさんは素直なんですね。だから、もっと素直な反応を私に見せてください」ススッ

ピエリ「ぴ、ピエリ、なんだか気持ちいいの……」

カムイ(目を隠すくらいの前髪に反応してるんでしょうか?)サワサワ

ピエリ「あははっ、くすぐったいの」

カムイ(違いますね……。前髪に触れて出た声じゃないみたいです……つまり、間接的に触れた場所が、ピエリさんの弱点……もしかしてこの髪に隠れた……)

ピエリ「んくっ! か、カムイ様、そこ、なんかへんなの」

カムイ「そうですか、どこが変なんですか? 私に教えてください」

メイド(新入りのメイドが走って逃げて来たから何事かとおもって駆けつけましたが……。これは一体何事?)

ピエリ「ピエリ、なんだかおかしいの。さっきまでカムイ様のこと、えいってしたかったのに。今そんなこと全然思わないの。もっと触って欲しいって思うの」

カムイ「そうですか。そう言ってくれると嬉しいです。ピエリさんが一番感じるのは、ここですか?」

ピエリ「ひゃああああ。か、カムイ様、そこ、そこ、なんか声出ちゃうの! やめてなの!」ジタバタジタバタ

カムイ「ふふっ、やめません」

カムイ(隠れてる瞼が弱点ですね。ピエリさんの口調はどこか子供っぽいのに、気持ち良さそうにしてる時の声との差がすごくて、止められる気がしません)

ピエリ「ふええっ。やめてなの! ごめんなの、えいってしようとしてごめんなさいなの! もうさわっ、ふにゃぁ」

カムイ「ふふっ、なんだか猫みたいな声を上げてますよ」

ピエリ「これは、カムイ様が――、ひゃあん。やめてなの、変な声止まらないの」

カムイ「ピエリさん、顔が真っ赤になってるんですね。それに快感におぼれてるのが、わかりますよ?」

ピエリ「これ以上――あっ」チラッ

メイドたち「……あっ」

ピエリ「た、助けてなの……」フルフル

カムイ「ふふっ、なんだか皆さん見てるみたいですね。もっと見せつけてあげましょう? ピエリさんは人前で撫でられて甘い声を上げてしまう人間なんだって」

ピエリ「もう、えいってしないの。しないから助けてな――ひゃうんっ!」

カムイ「ふふっ、可愛かったですよ、ピエリさん」スッ

ピエリ「……あ、あ、カムイ様?」

カムイ「ふふっ、ピエリさん、顔を触らせてくれてありがとうございます。今さっきの言葉ちゃんと守ってくださいね。メイドさんたちにえいっしてはいけませんよ?」

ピエリ「……面白くないの」

カムイ「そうですか、やっぱり」

ピエリ「カムイ様のお顔、ピエリも触るの。それでお相子なの!」ガバッ ドサッ

カムイ「ピエリさん?」

ペタペタ

ピエリ「カムイ様の手、とっても温かかったの。だから、ピエリもお返しするの」

カムイ「そうですか。ふふっ、くすぐったいですよ」

ペタペタッ サワサワ

ピエリ「むーっ、カムイ様の弱点、全然わからないの……」

カムイ「ふふっ、見つけられるといいですね。私の弱点」

ピエリ「悔しいけど、カムイ様との決着はこれでいつかつけるの! それまでピエリがカムイ様を守るの!」

カムイ「はい、頼りにしてますよ。ピエリさん」

ピエリ「でも、カムイ様。またピエリに人前でこんなことしたら、本気のえいっしちゃうの! 返り血じゃ済ませないの、ボコボコにしてやるの!」

カムイ「……」

ピエリ「ピエリ本気なの」ニッコリ

カムイ「この頃は釘を刺されてばかりですね……」

◇◇◇◇◇◇
―白夜王国・シラサギ城ー
ユキムラ「……おやおや、こんな夜分にどうかされましたか?」

武将「これはユキムラ様。少しばかり報告があったもので」

ユキムラ「そうですか」

武将「早く誰かが重い腰を上げてくれないか待っているのですが。ユキムラ様、早急に手を打たねば、白夜は圧されるばかりですぞ」

ユキムラ「そうですね。ですが、今はリョウマ様、タクミ様、ヒノカ様の考えを待つところです。必ずやいい考えを出してくれるでしょう」

武将「ははっ、期待しております。それでは失礼いたす。

武将「……いい考えなど待つことなどできぬ」

ハイタカ「武将……」

武将「首尾はどうだ、ハイタカ」

ハイタカ「接触を終えました。フウマ公国は我々の案を受け入れてくれるそうです。すでに船の手配も多くを済ませました」

武将「そうか、では私も動くことにする。今からその方にでも会って話をするつもりだ。ハイタカ、お主も同伴しろ」

ハイタカ「仰せのままに」


 コンコン

???「だれか?」

武将「夜分に失礼いたす……一つお話がある故、お時間をくださらぬか」

???「……わかった、入っていいぞ」





 休息時間 -2- おわり

 リンカ   C+
 ジョーカー C+
 ギュンター C
 サイラス  C+
 マークス  C→C+
 ピエリ    →C
 レオン   C+
 エリーゼ  C+
 ハロルド  C
 エルフィ  C
 カミラ   C+
 リリス   B
 モズメ   C
 サクラ   C→C+
 アクア   C+
 カザハナ  D+
 ツバキ   D+
 フェリシア C
 フローラ  C

仲間たちの支援
 
 今回のイベントでリリスとラズワルドの支援がCになりました。
 今回のイベントでレオンとツバキの支援がCになりました。

 今日はここまでです。書き終えて気づいたけど、レオンを監視するキャラになっていた……。カムイのエロハンド攻略は残り二人です。
 次の休憩終りに、全体的なキャラクター支援の状態を一覧にしようと思います。

 というわけで、次の安価を決めたいと思います。参加していただけると幸いです。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 カムイが次に顔を触るキャラクター

 ラズワルド
 ハロルド
 
 安価は>>505

◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 レオンが風呂を監視することになる相手

 サクラ
 カザハナ
 ツバキ

 安価は>>506

◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 どこかで話をしている組み合わせ

 カムイ
 サイラス
 エリーゼ
 エルフィ
 ハロルド
 モズメ
 ジョーカー
 フェリシア
 フローラ
 リリス
 ピエリ
 ラズワルド

 一人目は>>507
 二人目は>>508

 でお願いいたします。


ハロルド

サクラ

ハロルド参上だぁ!

乙です
モズメ

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・レオン邸―

レオン『………』ペラ…ペラ

サクラ「………」

サクラ(やっぱり、なんだか気になります。その扉の前で監視してるだけなのはわかってるんですけど……)

レオン『………』ペラ

サクラ(ううっ、逆にいるっていう証明がほしいです。そのレオンさんはそう言うことをする人じゃないって、わかってますけど、やっぱり男の人ですから……」

レオン『サクラ王女、どうかしたのかい?』

サクラ「えっ、な、なんですか!?」

レオン『いや、いつもならもうお湯の音が聞こえてるくらいなのに、今日は何も音がしないからね』

サクラ「いえ、その……」

レオン『大丈夫、絶対覗いたりしない。暗夜王国の第二王子として、当然のことだからね』

サクラ「その、レオンさんがそういったことしないってわかっているんですけど……、やっぱり」

レオン『まぁ、疑って当然か。でも、この監視は譲れない線だ。悪いけど……』

サクラ「はい、わかってます」

レオン『……はぁ、わかったよ。それじゃ、何か僕がしゃべるから。そうすれば、僕がここにいるってわかるでしょ? それに扉が開いたら僕の声だって聞こえ方が変わるはずだ』

サクラ「は、はい。でも、一人で何か喋ってるのってなんか……」

レオン『なら、サクラ王女が僕の話し相手になってよ。それなら僕も虚しくないしね』

サクラ「はい。ありがとうございます」

レオン『そう、それで、何を話そうか?』

サクラ「……レオンさんのこと、教えてくれませんか?」

レオン『僕のこと? 暗夜の第二王子だよ』

サクラ「違います、あの、好きなものってなにかあるんですか?」

レオン『好きなもの? そうだね……トマトが好きかな』

サクラ「トマトですか?」

レオン『白夜じゃ見ない食材なのかもしれないね。こう手のひらに収まるくらいの大きさで、真っ赤で酸味がある野菜だよ』

サクラ「そうなんですか、食べてみたいですね」
 
 バシャー

レオン『そう、サクラ王女も気にいると思うよ。スープに入れてもいいけど、僕は冷やして均等に切ったやつも好きだから。ただ、そのままは抵抗があるならやっぱりスープに入れて食べるのがお勧めだよ」

サクラ「ふふっ、なんだか面白いです。レオンさんのことだから、この前言ってた怖い話をするんじゃないかって思ってましたから」

レオン『ああ、それもあったね。でも、それはちゃんと真夜中に話したいね。サクラ王女、なんだかんだで怖い話が好きそうだから、直に反応を見てみたいからね』

サクラ「ううっ、その、私これでも怖い話、苦手なんですよ?」

レオン『みたいだね。この前のことからわかるから。でも気になって仕方がない、そうなんでしょ?』

サクラ「ううっ、レオンさんって少し意地悪です」

レオン『そうかもしれないね。でもサクラ王女が話をしてって頼んできたんだから』

サクラ「そ、そうですね。はい」

レオン『だから、怖い話はいずれ違うところでしてあげるよ。それまで楽しみに待っていて』

サクラ「……は、はい。わかりました……」

レオン『それじゃ、話はこれくらいでいいよね。出る時は、もう一度声を掛けてくれればいいから』

サクラ「……」

 ピチャン ピチャン

レオン『………』ペラ ペラ

サクラ「……」

サクラ(……お風呂、まだ半分も終わってないのに、無言になられると……)

サクラ「あ、あの……」

レオン『どうしたの?』

サクラ「な、なにか話してくれませんか///」

レオン『ん、もう終わるくらいの時間かと思ったんだけど……、もしかして僕に話を求めたのって』

サクラ「わーっ!! わーっ!! 違います、違います! 静かになった部屋の中で響く水の音とか、誰か後ろに立ってるんじゃないかとか、そう言うのが怖いとかそういうわけじゃないんです!」

レオン『そう、ごめんごめん』

レオン(なのに怖い話が気になるなんて、面白い人だな)

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・北の城塞『中庭』―

モズメ「……えいっ!」

 カンッ

モズメ「うーん、もうちょっとどうにかせんと、あかんかもしれんな」

ハロルド「おや、モズメくんじゃないか。鍛錬の最中かね?」

モズメ「せやな。あたいもカムイ様の役に立ちたいんから、毎日頑張ってるんよ」

ハロルド「そうか、とても良い心がけだ。誰かのために頑張ることは素晴らしいことだからね」

モズメ「そういうハロルドさんは、なにしとるん? 今日はカムイ様は外に出とるから、帰ってくるのは夕方頃ってフェリシアさんが言ってた」

ハロルド「ははっ。なに、エルフィくんが、城塞で手伝いをしていると聞いてね。私もその手伝いを手伝いに来たとうわけさ」

モズメ「そうなんか、でも、何か手伝ってるようには見えんけど」

ハロルド「……そうだな」

モズメ「なんかあったん?」

ハロルド「うむ、ここに来るまでにいろいろとあってな。エルフィくんに来ない方が皆のためといわれてしまってね」

モズメ「エルフィさんも結構きついこと言うんやな」

ハロルド「はっはっは。まぁ、エルフィくんなりに私を気遣っての発言だろう。なにせ……」

 ヒューン ペチャ

モズメ「あっ、鳥の糞……」

ハロルド「……」

 ズボッ

モズメ「地面に穴がいきなり!? どうなっとるん?」

ハロルド「まぁ、こういうことだ。私はどうも、こういった出来事に会いやすい性質のようでね」

モズメ「不思議なもんや。あたいなら、人生にめげてまうやろな」

ハロルド「はっはっは、大丈夫だ。なにせ、私と一緒にいればできる限りの不運は私の元にやってくるからね」

モズメ「なんやそれ、言ってる意味わからんよ?」

ハロルド「モズメくん、用は考えかただよ。たしかに私はこうして不幸の身ではあるが、この不幸の身である私が起きるかもしれない悪いことを受けることで、誰かを守ることができるのだとすれば。それは素晴らしいことだ。まぁ、降りかかる災難の大きさ小さいことに越したことはないのだがね」

モズメ「……ハロルドさんはすごいんやな。あたいじゃ、そういう風に考えられへんよ」

ハロルド「なに、それほどでもないさ……」

モズメ「でも、ちゃんと体洗わんとあかんで、流石にその姿で歩き回るんは……」

ハロルド「そ、そうだな。モズメくんの言う通りだな」

モズメ「ふふっ、でもハロルドさんと話してあたい肩が軽くなった気がするんよ。せやな、用は考え方やからな」

ハロルド「そうさ。モズメくん、もしも鍛錬をするなら私にも声をかけてくれ、一緒に切磋琢磨し、カムイ様の役にたてるよう頑張ろう!」

モズメ「そうやな。それじゃ、言葉に甘えさせてもらうわ。よろしく、ハロルドさん」

ハロルド「任せたまえ!」


◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・北の城塞―

リリス「カムイ様、本日はお疲れ様です」

カムイ「ええ、これでフリージアの件はすべて報告が終わりました。マクベスさんも反乱鎮圧で部族を潰さないことについては納得してくれたようですし」

リリス「はい、では私はこれから馬を戻しますので」

カムイ「はい、あとはよろしくお願いしますね」

 キャアアアアアアア

 ガシャン!

カムイ「…この声は、フェリシアさんですね。また転んでいるのでしょうか?」

リリス「フェリシアさんも懲りませんね」

カムイ「ふふ、そうですね。ちょっと様子を見てきましょう」


フェリシア「ごめんなさい、ごめんなさ~い!」

ハロルド「………いや、気にしないでいい。怪我などはないかね?」

フェリシア「は、はい。でも、ハロルドさん、さっきお湯を浴びたばかりなのに……」

ハロルド「……はっはっは。気にしないでくれたまえ、私は戻ってから――」

カムイ「ハロルドさん?」

ハロルド「おおっ、こんばんは、カムイ様」

カムイ「はい、こんばんは。今日は紅茶の香りがしますね。原因は……まぁ、フェリシアさんですよね」

フェリシア「す、すみません。その、バランスを崩してしまって……」


ハロルド「気にしなくていい。お湯を浴びれば済む話だ。それに、今日は一度お湯を借りていることもある、これ以上お世話になるのは……」

カムイ「お湯を使って行ってください、ハロルドさん」

ハロルド「し、しかし。すでに昼間使わせていただいている身でありますゆえ」

カムイ「気にしないでください。それに、ハロルドさんは私の仲間なんですから、こういう遠慮はしないでください」

ハロルド「そうですか、では、お湯の方、貸していただけますか?」

カムイ「はい。フェリシアさん、お湯の準備をお願いします」

フェリシア「は、はい!」タタタタタタタタッ

カムイ「……ところでハロルドさん。顔にも紅茶が掛っていたりするのでしょうか?」

ハロルド「まぁ、顔全体に掛ってしまったのでね。不幸中の幸いは、紅茶がぬるくなっていたことだよ」

カムイ「ふふっ、掛ったことは変わってないんですから……今、拭いてあげますね」ピトッ

ハロルド「あっ、カムイ様。手が汚れてしまいますよ」

カムイ「いいんですよ。それに、このまま歩かれても皆さん反応に困りますし、ハロルドさんも少し身なり正したほうがいいですから」

ハロルド「そ、そうですか。しかし、カムイ様の手を煩わせるのは……」

カムイ「いいえ、私がしたくてやってるんです。気にしないでください」サワサワ

ハロルド「んんっ? そ、そのカムイ様、なんだか手の動きが……」

カムイ「手の動きが……なにか?」サワサワ

カムイ(顔を全体的に触ってみましたけど、あまり反応がありませんね)

ハロルド「そ、その、なんだかくすぐったいのですが」

カムイ「すみません。今ハロルドさんの顔を調べながら、拭いてるので……」

ハロルド「し、調べるですか?」

カムイ「はい、ハロルドさん。とっても男らしい角張った顔の方なんですね。顎も二つに割れてるみたいですし」

ハロルド「ふははっ、くすぐったいですよ。カムイ様。しかし、そうでしたね。カムイ様は目が見えないお方でした」

カムイ「はい、ですからもう少し触ってもよろしいですか?」

ハロルド「はい、気の済むまでお触りください」

カムイ「ありがとうございます」

カムイ(顔は大方調べ終わってしまいましたね……となると……、この首筋のライン?)

ハロルド「首もお触りになるのですか」

カムイ「はい……」

カムイ(違いますね、となると……)

 スーッ ピタッ

カムイ「失礼しますね」

ハロルド「んおっ! いや、カムイ様、今の声はその……」

カムイ「どうしたんですか?」

 シュッシュ

ハロルド「くあっ、いえ、そのなんでもありません。……落ち着くんだハロルド。何も、何も起きていない。ただ、カムイ様が私の顔を覚えるために触っているだけ、それだけだ」

カムイ「そうですか? でも、ここに触れると、ハロルドさんから温かい息が漏れてくるのがわかりますよ」

ハロルド「こ、こふっ!」

カムイ(ふふ、まさか喉仏が弱点なんて、平面の中に突起したハロルドさんの弱点。正義の味方の弱点……。なんでしょう、このニュアンス、とても興奮してしまいます)

ハロルド「くあっ、か、カムイ様。そ、そこはー、そこはーーー!」

カムイ「駄目ですよ、ハロルドさん。正義の味方が、そんな声を出しては。正義の味方のハロルドさんは、平和を守るのが仕事なんですよね?」

ハロルド「そ、そうです。そうですがっ、くぅぅぅ」

カムイ「ふふっ、口から洩れる息が。まるで絞り出したみたいに苦しそうですよ? がんばれ、って応援したくなります」

 サワサワサワサワ

ハロルド「か、カムイ様。こ、こんなことはいけません!」

カムイ「がんばれ、がんばれ。ふふっ、ハロルドさん、どうですか? 気持ちいいですか?」

ハロルド「は、も、もう。やめ、やめてください! お、おねがいですから!」

カムイ「ふふっ……そうですね。そろそろ、フェリシアさんが戻ってきてしまうかもしれませんから……」スッ

ハロルド「はぁはぁはぁはぁ……」

カムイ「すみません、つい楽しくていっぱい触っちゃいました」

ハロルド「ううっ、まさかカムイ様にこのような趣味があったとは……。驚きが止まらない」

カムイ「ごめんなさい。ハロルドさんのこと、よく知りたかったんです」

ハロルド「そ、そうですか……」

カムイ「はい、しばらくはこんなことをはしませんから」

ハロルド「はい。そ、そのですね。気持ちはよかったです」

カムイ「はい、自信がありますから。それに、やっぱりハロルドさんといるとなんだか楽しいです」

ハロルド「はぁ、カムイ様。私を困らせないでいただきたいのですが……。まぁいいでしょう、それでは私はお湯を借りますので」

カムイ「はい、ゆっくりしてってください」

ハロルド「はい………」サワサワ

ハロルド(やはり、自分で触っても、何も感じないものだな……って、私は何を考えているんだ……)

ハロルド「しかし……カムイ様の指は柔らかくて気持ちが良かった……、いやっ、忘れろ。忘れるんだハロルド!)

◆◆◆◆◆◆
―カムイの部屋―

カムイ「…………」

リリス「カムイ様、失礼いたします」

カムイ「リリスさんですか、こんな夜分にどうかしましたか?」

リリス「いいえ。その、少し胸騒ぎがするんです」

カムイ「そうですか、ふふっ。面白いですね、私も少し胸騒ぎがします。こうして、みんなと過ごしていると、今、白夜と戦争をしているなんて全く思えませんから」

リリス「そうですね。カムイ様は、もう一度白夜の王国に行きたいと思っているんですか?」

カムイ「そうですね。願い叶うなら、もう一度行ってみたいかもしれませんね。もちろん、こんな無粋な物を持ってではなくてですけど」

リリス「……夜刀神という名前でしたか?」

カムイ「はい、世界を救うものが持つことのできる刀でしたか。私にそんなことができるなんて思えないんですけど」

リリス「いいえ、カムイ様は本当に世界を救うことのできる人かもしれませんよ」

カムイ「リリスさんもそんなことを言うんですか?」

リリス「私は、カムイ様を信じてますから」

カムイ「そうですか……」

リリス「カムイ様、あの……」

カムイ「リリスさん、今日は一人にさせていただけますか?」

リリス「はい、わかりました」

カムイ「すみません」

リリス「いいえ、それではおやすみなさいませ」

カムイ「おやすみなさい、リリスさん」


カムイ(この胸騒ぎが杞憂であってほしいとどこかで祈っている私がいます。でも、こうして肌に感じるほどに、私はよくないことが近づいているのを感じてしまうんですね。これも――)

カムイ「獣の本能が嗅ぎつけているのかもしれませんね……」

◇◇◇◇◇◇
―白夜王国・フウマ公国―

???「すでに準備は整っていると聞いたが……」

ハイタカ「はい、先陣は我々が仕切りますゆえ」

???「そうか、すまない。死地へとお前たちを送ることになってしまう」

武将「いいえ、この身暗夜に一度刃を突き立てられれば、それだけでもこの命を掛ける価値があります。それに、こうして王族であるあなたが前に出てくれることで、他の方たちも重い腰を上げてくださる。待つだけの時間は終わったのです」

???「ああ、すまない。先制、頼んだぞ」

武将「仰せのままに」




武将「よし、あとは我々に宛がわれることになる人質のことだ」

ハイタカ「人質……ですか?」

武将「ああ、暗夜はサクラ王女を人質にしてきたのだ。こちらも、長年育ててきた暗夜の娘を人質に侵攻する」

ハイタカ「暗夜の娘? しかしこの行為に意味があるとは」

武将「ああ、意味などない。だが、白夜の中に暗夜の者がいるという不安を拭い去ることはできる。なに、これは独断での考えだが、だれも文句は言うまい。すでに、その人質は船に乗っている。まずは我々が進み先陣を切る!」

ハイタカ「わかりました、して、その人質とは?」




―――アクア王女だ―――





 休息時間 おわり

 リンカ   C+
 ジョーカー C+
 ギュンター C
 サイラス  C+
 マークス  C+
 ピエリ   C
 レオン   C+
 エリーゼ  C+
 ハロルド  C→C+
 エルフィ  C
 カミラ   C+
 リリス   B
 モズメ   C
 サクラ   C+
 アクア   C+
 カザハナ  D+
 ツバキ   D+
 フェリシア C
 フローラ  C

仲間たちの支援
 
 今回のイベントでレオンとサクラの支援がC+になりました。
 今回のイベントでハロルドとモズメの支援がC+になりました。

―男性の支援状況―
【サイラス】
 リリス   C
 モズメ   C+
 エルフィ  C

【レオン】
 サクラ   C+
 カザハナ  C+
 ツバキ   C
 ハロルド  C

【ハロルド】
 レオン   C
 モズメ   C+
 ジョーカー C

【ジョーカー】
 ハロルド  C
 フローラ  C

【ラズワルド】
 リリス   C
 ピエリ   C

【ツバキ】
 レオン   C

―女性の支援状況―
【リリス】
 サイラス  C
 ラズワルド C
 エルフィ  C
 モズメ   C

【モズメ】
 サイラス  C+
 リリス   C
 ハロルド  C+

【エルフィ】
 モズメ   C
 フェリシア C
 フローラ  C
 リリス   C

【エリーゼ】

【ピエリ】
 ラズワルド C

【フェリシア】
 エルフィ  C

【フローラ】
 エルフィ  C
 ジョーカー C

【カザハナ】
 レオン   C+
 
【サクラ】
 レオン   C+

 今日はここまでです。支援一覧作ったけど、これ見辛いですし、どこかミスしてる気がします。見やすく改良しておきます。

 ここから本篇再開しますのでよろしくお願いします。

 

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・王都ウィンダム・クラーケンシュタイン城『王の間』

ガロン「………」

カムイ「お父様、少し遅れてしまいました。申し訳ありません」

レオン「遅いよ、姉さん。もうみんな集まってるって言うのに」

エリーゼ「カムイおねえちゃん、もしかして寝不足なのかな?」

カミラ「行ってくれれば、私が迎えに行ってあげるわ。そうね、今度から迎えに行くわ」

マークス「カムイ、少し気が緩んでいるようだな。しっかりするのだぞ」

カムイ「すみません、マークス兄さん」

ガロン「ふん、遅れたことを別に攻めるつもりはない。フリージアの件もある、結果を出せばいいそう言うものだ」

カムイ「ありがとうございます、お父様」

マークス「父上、私たちをお呼びしたわけとは?」

ガロン「うむ、白夜の軍が暗夜領へ侵攻した」

カムイ「!」

レオン「……」

ガロン「手薄となった海上より、暗夜領に入り込んできたようだ。現在、黒竜砦に身を置いている」

レオン(なんでだ、サクラ王女の身を考えれば、こんな強行的な手段を取るはずないのに……油断してたのは僕の方だって言うのか、クソ……)

カムイ(強硬派でしょう。サクラさんが捕虜となっている今、リョウマさんなどがこういったことを考えるとは思えませんからね。でも、こうなってしまってはサクラさんたちを捕虜としておく理由がなくなってしまうかもしれません。どうすれば……)

ガロン「無論、愚かな白夜の者は殺す以外にない。この暗夜に入り込んできたことを後悔させてやるほどにな」

レオン「父上、サクラ王女たちには未だ利用価値があります。この白夜の侵攻に啓発されて、捕虜を処理するのは――」

ガロン「レオン……勘違いしているようだな」

レオン「ぼ、僕は……」

カムイ「レオンさんの言う通りだと思います。捕虜はこちらにとって使うことのできる札です、それをこのような形で消費するのは……」

ガロン「カムイ、レオン。お前たちの意見に興味はない」

レオン「……しかし、父上!」

マークス「レオン、そこまでだ。父上申し訳ありません。弟の発言、お許しください」

ガロン「マークス、気にすることはない。それにわしにとって捕虜のことなど今はどうでもよいことだ」

レオン「え」

ガロン「レオン、お前が話を聞かずに口を先に出すとは珍しいものだな。白夜の物に唆されているのではあるまいな?」

レオン「……それはありえません。安心してください、父上」

ガロン「ふっ、ならばよい。わしが言っているのはこの暗夜に小さな策で侵攻してきた者たちへについてだ。そう、奴らの企みもろとも殺してくれる」

カムイ「企みですか?」

ガロン「白夜が侵攻は、すでに我が耳に入っていたこと。そうとも知らずに奴らは侵攻してきた。そして、その侵攻が見事に成功していると思い込んでいる頃だろう」

カムイ「彼らの目的は、その……」

エリーゼ「黒竜砦だよ、カムイおねえちゃん」

カムイ「はい、その黒竜砦の制圧、すでに達成されているのではないですか?」

ガロン「黒竜砦はわざと手薄にしておいたにすぎない。あの砦は白夜の軍には過ぎた物、あそこが重要な拠点であるとわしが考えていると思っているのは白夜の者たちだけだ。目下の問題は奴らの本当の狙いだ」

マークス「つまりこの侵攻は囮、そういうことですか」

ガロン「この侵攻はわれらの目を黒竜砦に縛り付けるために行われているにすぎない。奴らの本当の目的はノートルディア公国に陣を築くことにある」

カムイ「ノートルディア公国?」

レオン「………そうか、ノートルディア公国に陣を組んで、海上からの侵攻ルートの確立、これが白夜の狙いか」

カミラ「でも、どうしてそんなことがわかるのかしら?」

ガロン「単純なことだ、暗夜に白夜へ手を貸そうとする者がいるようにな」

カミラ「なるほど、そういうことね」

エリーゼ「え? どういうこと?」

カムイ「白夜にも暗夜に協力的な国がある、そう言うことですか」

カムイ(そうなると、白夜も一枚岩ではないということにもなりますね)

ガロン「その国よりもたらされた情報だ。信用する価値はある、先立って現れた白夜軍は黒竜砦へすぐさま向かった。われらの目が自分たちに引き寄せられているということを信じてな」

エリーゼ「でもおとうさま。今からノートルディアに向かっても間に合わないんじゃ……」

ガロン「言ったであろう、黒竜砦は手薄にしたと。すでに、マクベス率いる軍がノートルディアに待機しておる。白夜は主力が待つノートルディアで一戦交えるだろうが、すでに陣を組んだわれらの有利は動かぬ……」

カムイ「……どちらにせよ。黒竜砦に滞在する者たちは、すでに死ぬことを覚悟しているようですね」

マークス「捨て石なのだろう。そしてそれを理解もしているはずだ。まったく、敵ながら無茶苦茶なことをする」

レオン「正直、やる必要もない作戦だね。頭悪いよ」

ガロン「それほどの策しかないということだ。そして、唯一の本命もまた、こちらに知れている。白夜の企みをすべて崩し、その上でいずれ蹂躙してくれようぞ。カムイよ、お前に命令をくだす」

カムイ「はい、お父様」

ガロン「黒竜砦にいる白夜軍を殲滅し、港町ディアまでの街道を確保せよ。やつらの小さき策、そのすべてを握りつぶせ」

カムイ「はい、わかりました。お父様、準備ができ次第、黒竜砦の奪還、及び港町ディアへとの街道の確保の任に付きます」

ガロン「うむ、期待しておるぞ。カミラ、レオン、マークス……お前たちにも任を与える――」

 少し休憩入ります。

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・北の城塞―

カミラ「お父様も意地悪ね。私たちもカムイに同伴させてくれてもいいのに」

カムイ「カミラ姉さん、そう言ってもらえるのはうれしいです。ですが、カミラ姉さんにもやるべきことがありますから」

カミラ「そうね。私にも与えられた仕事があるから、それを放り出すなんてことはできないわ。でも、やっぱり心配だわ」

カムイ「ふふっ、カミラ姉さんは私を放してくれませんね」

カミラ「ええ、二人でいる時はこうやってギュッとしていたいもの」ギュー

カムイ「カミラ姉さんは、白夜のこと、どう思っていますか?」

カミラ「あら、おかしな質問をするのね。カムイを困らせるなら、誰であろうと私は容赦しないわ。それが私にできるカムイへの愛情表現だもの」

カムイ「そうですか。そう言ってもらえるとなんだか照れてしまいます」

 コンコン

カムイ「はい」

ギュンター『カムイ様、お時間よろしいですかな?』

カムイ「はい、大丈夫ですよ」

ギュンター「失礼いたします。これはカミラさま、もしかしてお邪魔でしたかな」

カミラ「いいえ、そうでもないわ。そろそろ私も行かなくてはいけない時間だから。カムイ、こちらの仕事が終わったらすぐに向かってあげるから、楽しみに待っててね」

カムイ「はい、楽しみに待ってます」

カミラ「ええ、私もよ。それじゃ、またね」

カムイ「はい、カミラ姉さん」

カムイ「お待たせしました。ギュンターさん。そうでした、私がフリージアに向かっていた間など、城塞の警備をしてくれて、ありがとうございます」

ギュンター「いえいえ、これくらいのこと、気にしないでください」

カムイ「はい、それでお話とは?」

ギュンター「はい、此度私もカム様に同伴させていただくことになりましたゆえ、そのご挨拶にと」

カムイ「そうなんですか。改めて挨拶されるのはなんだか不思議な気持ちですけど、ギュンターさんがいてくれれば、心強いです」

ギュンター「フッ、ジョーカーやフェリシア、フローラはあまり喜んでくれそうにはありませんがな」

カムイ「……そうでした。フローラさんとフェリシアさんのことで一つお聞きしたかったことがあるんです」

ギュンター「といいますと?」

カムイ「ギュンターさん。フェリシアさんとフローラさんがフリージアに向かったのを知っていましたね?」

ギュンター「なんのことやら、私にはわからない話ですな」

カムイ「とぼけないでください。ギュンターさんほどの人が、二人の動きに気付かないわけないんですから」

ギュンター「久々に故郷へ帰りたくなることもありましょう。ただそれだけの話です」

カムイ「………もしも、私ではない誰かが、フリージアに向かっても止めなかったんですか?」

ギュンター「……」

カムイ「ふふっ、やっぱりギュンターさんはやさしい人ですね。ありがとうございます、私を信じてくれて」

ギュンター「……カムイ様はやはり優しい方です。本来なら私は処罰される身でしたでしょうに」

カムイ「何の話か私にはわかりませんね。ギュンターさんも、フェリシアさんも、フローラさんも、いつもどおりに城塞で過ごしていたのに処罰されるわけありませんよ」

ギュンター「はっはっは、確かに私もフェリシアたちも城塞にいたのに、処罰されるわけはありませんな」

カムイ「そういうことです。では、これからの戦い。よろしくお願いしますね。ギュンターさん」

ギュンター「はい、この老体にどこまで役目が務まるかは知りませぬが、可能な限りカムイ様を守る盾となりましょう」

カムイ「はい、でも、盾ではいけませんよ。私と一緒に戦う剣になってください。その方が、私はとてもうれしいですから」

ギュンター「わかりました。では、私はカムイ様と共に闘う剣となりましょう」

カムイ「はい、ありがとうございます、ギュンターさん」

ギュンター「私のお話は以上ですが、カムイ様。何か頼みごとなどはございますか?」

カムイ「頼みごとですか?」

ギュンター「はい、このところ。あまりカムイ様に仕えているとは言い難い状況でしたので、なにかお望みがあればなんでも致しますよ」

カムイ「気にしなくてもいいんですが、でもそうですね………」

ギュンター「些細なことでもよろしいのですぞ」

カムイ「では、久々に本を読んでいただけませんか?」

ギュンター「」ピクッ

カムイ「ギュンターさんが朗読してくれるのとても楽しみだったんです。ここ最近はいろいろあって頼めませんでしたし、ギュンターさん夜は雲隠れしてしまいますから」

ギュンター「そ、そのカムイ様。今日はすこぶる体調が……」

カムイ「どうぞ、こちらに座ってください」ポンポンッ

ギュンター「……その、カムイ様。ひとつお聞きしたいのですが、私が読むことになる本というのは……」

カムイ「えっと、待っててください。こうやって帯を触っていけば……ありました、これです」
 
<吐息、抱き寄せた先に>

ギュンター「」

カムイ「ギュンターさんが読んでくれない唯一の本でしたから、こうやって本の帯に突起を付けてすぐわかるようにしておいたんです。いつかギュンターさんに読んでもらおうって思ってましたから、とっても楽しみです」

ギュンター「あの、カムイ様、その本ですが……」

カムイ「なんでもいいっていいましたよね?」

ギュンター「ちなみにその本をお持ちになったのは……」

カムイ「たしか、エリーゼさんでした。今話題の本だからって渡されました」

ギュンター(エリーゼ様、一体何というものをカムイ様にお渡しになられているのか。たしかに恋愛小説の部類ではありますが……、これを朗読して聞かせるなど……いや、もしかしたら柔らかい表現が多いのかもしれませんな)

ギュンター「カムイ様、ちょっとその本を貸していただいてよろしいですかな?」

カムイ「はい、どうぞ」

ギュンター(うっ、なんといきなりこんな過激なシーンを!? しかも台詞がこれほどに、老体というよりも、これを朗読するのは――)

カムイ「ふふっ、ギュンターさんの声って渋くてかっこいいですから。とっても楽しみです」

ギュンター「……はぁ」

ギュンター(ここまで長く生きてきましたが、まさかこのような本を朗読することになるとは……)

ギュンター「わかりました。カムイ様に伝わるように朗読させていただきます」

カムイ「はい、よろしくお願いしますね」

ギュンター「では―――」

◆◆◆◆◆◆
カムイ「………さて、明日の朝には黒竜砦に向かうことになるんでしょうね」

 コンコン

カムイ「はい?」

???「……」

カムイ「誰ですか?」

???「カムイ様、失礼するよ」

 ガチャ バタン

カムイ「その声……、ラズワルドさんですか?」

ラズワルド「うん、こんな夜遅くにごめんね」

カムイ「というよりも、どこから入られたんですか? この時間になったら門も閉まっているはずです」

ラズワルド「はは、正確には昼ごろからずっといたんだけどね。ここにいたけど、別の場所にいたって言うところかな?」

カムイ「……どういう意味でしょうか?」

ラズワルド「まぁ、気にしないで。僕はちょっと話があってここに来たんだ」

カムイ「話ですか?」

ラズワルド「うん、というよりか決意表明みたいなもの……かな」

カムイ「?」

ラズワルド「カムイ様、僕はカムイ様を、君のことを守りたいって考えています」

カムイ「突然どうしたんですか? 私とあなたが出会ったのはこの前なのに、そんなこと……」

ラズワルド「はい。驚かれても仕方ないと思うけど、僕はそう考えてるんです。なんだか、軽い言葉に聞こえちゃうかもしれないけど、それが僕の使命の一つみたいなものだから」

カムイ「使命……ですか?」


ラズワルド「うん。それだけ伝えたかったかったんだ、マークス様の命令だとかそう言うんじゃないってことだけ、それを伝えたかった」

カムイ「………」

ラズワルド「そ、その。難しい話じゃないんだ、ただそれだけで……あーっ、なんだろう言葉が出てこないや」

カムイ「ふふっ、ラウワルドさん。お顔を触らせてもらってもよろしいですか?」

ラズワルド「……はい」

カムイ「………」ペタッ

カムイ「……」

ラズワルド「…………」

ラズワルド(なんだろう、とても儚いものをこの人から感じてしまう。どうして、こんなに……触る手が暖かいのに、どこか)

カムイ「ラズワルドさん。一つ約束してくれませんか?」

ラズワルド「なんですか、カムイ様」

カムイ「私よりも、先に死なないと約束してくれませんか?」

ラズワルド「……僕が死んじゃったらカムイ様を守れませんから、その約束は守ってみせます」

カムイ「はい、ありがとうございます」スッ

ラズワルド「えっ、もうこれだけですか?」

カムイ「はい。ラズワルドさん、あなたの使命が叶うといいですね」

ラズワルド「はい、必ず叶えてみせます。だから、カムイ様のこと守らせてください、それが一番の近道だって思ってますから」

カムイ「はい、それでお帰りはどうしますか?」

ラズワルド「それは大丈夫です。リリスさんと話を付けてありますから」

カムイ「……そう言うことですか。わかりました、いずれその場所でお話しすることがあるでしょうから、その時にまたいろいろお話しましょう?」

ラズワルド「はい、明日は朝早いんですよね。ゆっくり休んでください。それでは」

 ガチャ  バタン


カムイ「………」

カムイ(リリスさんが星界に招いた人なんですね……。どういう目的かはわかりませんが、いずれまた話をする時になったら……)

カムイ「もう寝ましょう……」

カムイ(今はしばらくの戦いのことだけを考えていればいいんです)


第九章 前編 おわり

現在の支援レベル(暗夜)

 リンカ   C+
 ジョーカー C+
 ギュンター C→C+
 サイラス  C+
 マークス  C+
 ラズワルド  →C
 ピエリ   C
 レオン   C+
 エリーゼ  C+
 ハロルド  C→C+
 エルフィ  C
 カミラ   C+
 リリス   B
 モズメ   C
 サクラ   C+
 アクア   C+
 カザハナ  D+
 ツバキ   D+
 フェリシア C
 フローラ  C

 今日はここまでです。カム子のほうがやっぱりしっくりくるのかな?

 戦闘時における、組み合わせの安価を取りたいと思います。参加いただけると幸いです。

◇◆◇◆◇
 カムイと陣を組むキャラクター

 ジョーカー 
 ギュンター 
 サイラス  
 ラズワルド

 ピエリ
 エリーゼ
 ハロルド
 エルフィ
 リリス
 モズメ
 フェリシア
 フローラ

 >>548 でおねがいします。

◇◆◇◆◇
 キャラクターで陣を組む組み合わせを二組

 >>548で選ばれたキャラクター以外

 一組目は >>549 >>550

 二組目は >>551 >>552

 キャラクターが被った場合は、下へと一段ずつスライドする形になります。
 

サイラスで

ピエリなの!

ジョーカー

乙なの
エリーゼ

ハロルド

◇◇◇◇◇◇
―暗夜王国・黒竜砦『右側の塔』

 ガチャ ガチャ

アクア「……さすがに鍵は掛けるわよね、信用されていないことはわかっていたけど、ここまでされると辛いわね」

アクア「……まさか、こんな形で暗夜に戻ることになるなんて思わなかったわ……。それも、まったく利用価値もない人質としてだなんてね……。戦争が始まったらどうなるかなんて、予想はしてたけど……

アクア「どちらにせよ、ここにいる白夜は自分たちがどうなるか理解してる。ここにいる人たちは死ぬためにここにきているのだから、私も結局死ぬことになるのでしょうね」

アクア「でも、もしも叶うのであればカムイ、あなたにもう一度……」

シモツキ(武将)『どうだ、いたか?』

白夜兵『シモツキ様。いいえ、今ハイタカ様が周囲を探索しておりますが………』

シモツキ『くそ、北から敵が迫っている。伏兵の危険性は無視できないが仕方がない。今すぐ陣を敷く、捜索はハイタカにまかせて、迎撃態勢を整える。お前も前線に向かえ!』

白夜兵『はい!』

アクア「なんだか騒がしいわね。外から聞こえているみたいだけど………そういえば、窓はあるのよね……」

 ガチャ ヒュオーーー

アクア「ロープも何もなしにここから降りても死ぬ高さじゃないけど……ただでは済まないわね。……ん? あれは……」


ニュクス「煩わしいわね……。戦争が始まったとは聞いていたけど、まさか白夜の兵がこんな場所まで来てるなんて、迂闊だったわ。おまけに私を暗夜の兵と勘違いしているみたいだし、捕まったらどうなるものかわからないわね。それとも、ここが私の罪の行きつく果てということかしら?」

アクア「……ねぇ、あなた!」

ニュクス「っ!?」キョロキョロ

アクア「上よ、上」

ニュクス「……なに?」

アクア「いいえ、困っているみたいだから、声をかけたのよ。見たところ子供だから、もしかして迷子?」

ニュクス「……気安く話しかけないでほしいわね、お嬢ちゃん」

アクア「どう見ても私の方があなたより年上な気がするのだけど?」

ニュクス「人を見かけで判断しないで頂戴。年端も行かないような若造に子供扱いされたくないわ」

アクア「そう。それは別に困っていないっていう意思表示でいいのね」

ニュクス「そう言って――」

アクア「みんな、ここに――」

ニュクス「!?」

アクア「冗談よ。でも、もう少し大きな声を上げれば、誰かしら寄ってくるでしょうね?」

ニュクス「……あなた性格悪いわね」

アクア「たくましいって言って欲しいわ。あなたに頼みたいことがあるの、いいかしら?」

ニュクス「はぁ、私に選択権は無いのに、頼みたいことって……」

アクア「そう。侵入者が――」

ニュクス「わかった、わかったわ! わかったから」

アクア「いい子ね。あとで飴をあげるわ」

ニュクス「これでもしもバラしてたら、化けて出てあげるから。女の恨みは恐ろしいのよ」

アクア「そう、楽しみだわ。ねぇ、頼みごとだけど、北から暗夜の一団が迫っているらしいの」

ニュクス「そう、それで私に何をしろって言うのかしら? その暗夜の一団にここのことを教えればいいのかしら?」

アクア「そうね。それも一つだけど、できればあなたにカムイという人に伝えてほしいことがあるの。出来れば、もう一度あなたに会いたかったって」

ニュクス「……それって」

アクア「どうせ、ここは長く持たないわ。誰もがわかっていることだもの、暗夜が攻撃を仕掛けてくれば、私は意味のない盾にされる。そして死ぬことになる。それに、暗夜の者たちも私のことを覚えているわけがないわ」

ニュクス「まるで、もともとは暗夜に住んでいたみたいな言い方ね」

アクア「そうなるけど、もう関係のないことだから。私の名前はアクア、この名前はカムイに会ったときだけ言ってくれればいい。どうせ、ほかの人たちには感慨のない名前のはずだから」

ニュクス「……ニュクス」

アクア「え?」

ニュクス「私の名前よ」

アクア「ニュクス……聞いたことがあるけど……」

ニュクス「あなたの頼みに力を貸してあげる。そのカムイって人に、あなたの言葉ちゃんと届けるわ」

アクア「……ありがとう」

ニュクス「それじゃ。運がよかったら、また会いましょう」

 タタタタタタタッ

アクア「運がよかったらね……」



ニュクス(とは言ったけど、カムイの顔を私は知らないし……こんな口調で話しかけたら、確実に怪しまれるわね……)

ニュクス「……」

ニュクス(やりたくはないけど……、仕方無いわよね。その、約束してしまったんだから)

◆◆◆◆◆◆
―黒竜砦・北の森林―

サイラス「さて、どうするか」

カムイ「私は地図が見えないので何とも言えませんが、黒竜砦というのはどういった場所なのですか?」

サイラス「内部構造はかなりシンプルだ。それゆえに、こちらの攻撃方法もかなり限定されるからな。相手が誘導に引っ掛かってくれればいいけど、全く動かないような相手だったら」

カムイ「というより、砦に陣を構えておきながら、こちらにのこのこやってくるとは思えませんけど」

サイラス「……考えてみればその通りだな。すまない」

エリーゼ「サイラスって、そう言うところ抜けてるよね。しっかりしてよ、もー」

サイラス「ううっ、頭が上がらないな。向こうの斥候が顔をよく出してるから、偵察情報なんて手に入るわけないしな……」

カムイ「……なにか情報でも手に入ればいいんですが……」

 ガサッ ガササッ

エリーゼ「!?」

カムイ「誰ですか!」

サイラス「まさか、白夜兵!?」 


 ガササササッ


ニュクス「………」

サイラス「えっ、こ、こども?」

エリーゼ「ど、どーしたのこんなところに……」

ニュクス「……だ、誰なの? にゅくすのこと、つかまえるの?」

ニュクス(くっ、すごく恥ずかしいわ)

カムイ「私たちは暗夜軍の者です」

ニュクス「にゅ、にゅくすにひどいこと……しない?」

サイラス「こんなに怯えて……もしかしたら、白夜の兵に襲われたのかもしれない」

エリーゼ「絶対そうだよ。でも大丈夫、ひどいことなんてしないし、あたしたちが守ってあげるから! 白夜の人たちひどいよ。こんな小さい子を追いたてて、許せない!」

サイラス「まったくだな。もう大丈夫だぞ、無事でよかった」

カムイ「……」

ニュクス「あ、あのね。この先に、怖い人たちが……いっぱいいるの……。そこで追いかけられて、ここまで逃げて来たの……」

エリーゼ「やっぱり、黒竜砦に居座ってるんだね。もう、黒竜砦はもともと暗夜のものなのに!」

サイラス「そうか、よく抜けてこられたな。いや、子供だからかもしれないが、すまないけど、なにか見てないかな? そう、気になったこととかあったら何でもいいから」

ニュクス「あ、あのね……うんとね。ここに来る途中でね……塔の上から、にゅくすに声を掛けてきたおねえちゃんがいたの」

ニュクス(背筋が寒くなりそう……)

サイラス「おねえさん、誰かが捕らわれているのか……」

エリーゼ「ううっ、そうなると強行したら、その人が危なくなっちゃうよ」

カムイ「えっと、あの……サイラスさん、エリーゼさん、ちょっといいでしょうか?」

サイラス「ん、どうしたんだ?」

カムイ「あの、このそれなりに歳がいっていそうな人が、子供のように振舞っていることに、何か疑問を持たないんですか?」

ニュクス「」

ニュクス(え、どういうことよ。私の見た目を見て、なんで子供と思わないわけ。こ、こんな恥ずかしい言い方してる私の心境をどうしてくれるのよ///)

サイラス「何を言ってるんだ、どう見てもこの子は」

カムイ「はい、確かに気配で体格は子供ほどだとわかるのですが、まったく年下に感じないといいますか。年長者特有の、なんといいますか。そんなものが漂っているんです。なんというか、その非常に胡散臭いんです」

ニュクス「にゅ、にゅくすのこと、おねえちゃんきらいなの?」ギュッ

エリーゼ「怖い思いをしてきた子にそんな言い方ないよ!」

ニュクス(危ないわ。この女、間違いなく私の内面を見抜いてる! ここで見抜かれたら、死にたくなるわ。早く用件だけ話して、アクアの言ってたカムイって人の場所を聞き出さないと」

サイラス「そうだぞ。いくらなんでも疑って良いことと悪いことがある」

エリーゼ「そうだよ!」

ニュクス(この二人は騙されてくれてるから、どうにかなりそう。はぁ、早くここから抜けて……)

エリーゼ「カムイおねえちゃん、いくらなんでも言っていいことと悪いことってあると思うよ!」

ニュクス「」

サイラス「カムイ、子供が助けを求めてきてるんだ。ここは信じて話を聞くべき――」

ニュクス「あ、あなた。カムイっていうの?」

カムイ「あっ、そうです。ニュクスさんでしたか、あなたにはそのような声が似合うと思いますよ。違和感がなくなって、私としてはすっきりとした気分です」

サイラス「え?」

エリーゼ「?」

ニュクス「……ごめんなさい。その人の言うとおり、私は結構年の言ってる女よ。ごめんなさい、演技だとしても、後ろに隠れるような真似しちゃって」

エリーゼ「え……、どういうこと。あの、怖かったら」

ニュクス「別に怖くなんてないわ。全部芝居だもの……」

サイラス「それにしては、顔が結構赤いぞ」

ニュクス「……////」

カムイ「まぁ、恥ずかしいんでしょう。人前であんな演技をするのは。それで、カムイは確かに私です。いったい何の用でしょうか?」

ニュクス「さっきの話の続きよ。その塔にいた人からあなたに伝言を頼まれたのよ」

サイラス「? だれだ、カムイの知り合いがここの近くにいたのか?」

カムイ「いいえ、そんな知り合いはいないはずですが」

ニュクス「そう、だけど頼まれたから。あの子、自分が助かることはないと思っている見たいだったから、ちょっと叶えたくなったのよ」

カムイ「それで、その方は私に何と?」

ニュクス「『出来れば、もう一度あなたに会いたかった』、そう伝えるように頼まれたの」

カムイ「相手のお名前、聞いてもいいですか」

ニュクス「アクア、そう言っていたわ」

サイラス「! アクアって、白夜王国にいたあの女性か?」

カムイ「……」

ニュクス「余計な御世話かもしれないけど、今なら白夜兵の少ない道を案内できるわ」

カムイ「……その口ぶりだと、私たちに力を貸してくれると言っているように聞こえますよ?」

ニュクス「そう言っているのよ。運が良かったら、また会いましょうと約束してしまったの。どうやら、あの子の運は良いもののようだから」

カムイ「そうですか」

サイラス「カムイ、信用していいのか?」

エリーゼ「そ、そうだよ。すごくあやしいよ」

カムイ「さっきまで、信用しろと言ってたのはエリーゼさんとサイラスさんだったじゃないですか」

サイラス「そ、それはそうだが」

カムイ「私はニュクスさんを信じますよ。あんな恥ずかしい演技を見せてもらったんです、信じる価値がありますよ」

ニュクス「……あなた、アクアって子と同じ感じがするのだけど?」

カムイ「気のせいですよ。私は私です、アクアさんはアクアさんですから。では、ニュクスさん、案内のほう、お願いできますか?」

ニュクス「ええ、付いて来なさい。あと、黒竜砦の状況、見た限りのことなら教えてあげるから、参考にして頂戴」

カムイ「はい、ありがとうございます」

エリーゼ「……なんか納得いかないよ」

サイラス「俺もだ。なんだろう、最初に信じた分、反動をもろに浴びてしまったような、そんな気持ちになるよ」

今日はここまでです。次回で黒竜砦終わります。
 ニュクスって普通に打ち込んで変換すると、乳クスってなるんだけど。なんでや

◆◆◆◆◆◆
―黒竜砦近辺―

ニュクス「――以上が私の知っている情報よ。内部構造の方はあなたたちの人の方が詳しいから省くけど」

サイラス「これで情報はほとんど出そろったな。カムイ、どうする?」

カムイ「別動隊でアクアさんの救出を優先しましょう。正直、相手は意味ないと思っていますが、私としてはアクアさんに助かって欲しいので、人質として出されるのはとても困りますから」

サイラス「そうか。で、誰に右の塔へと行ってもらうか。それともカムイ自身で行くか?」

カムイ「いいえ、私はみなさんと敵の注意を引き付けます。それに、私の名前に過剰反応する方も少なからずいるはずですから、目を惹きつけることはできるでしょう」

サイラス「なるほどな。それじゃ、誰を向かわせる?」

カムイ「ニュクスさん、右の塔への道案内、引き受けてくれますよね?」

ニュクス「ええ、構わないわ」

カムイ「エリーゼさん、ハロルドさんとエルフィさんを連れて救出の任、お願いできますか?」

エリーゼ「うん、わかったよ、カムイおねえちゃん」

ニュクス「大丈夫かしら?」

エリーゼ「だ、大丈夫だもん。それにハロルドとエルフィも付いてるから!」

ハロルド「ええ、任せてくださいエリーゼ様」

エルフィ「塔の中は狭いから、私が前衛に回るわ。ハロルドはエリーゼ様を守って。あと、ニュクスは私の隣で案内をお願い」

ニュクス「別に、私は……」

エルフィ「あなたも、そのアクアにもう一度会いたいのでしょう? なら私の後ろで待機して、大丈夫、どんな攻撃も全部受け止めてみせるから、あなたを傷つけさせたりしないわ」

ニュクス「そう、わかったわ。あなたの言葉、信じさせてもらうわね」

カムイ「すみません、別動隊故に少人数で行かせることになってしまって。私たちもできる限り敵の注意を引きますが……」

ニュクス「心配し過ぎよ。それとも、あなたは仲間のことを信用してないのかしら?」

カムイ「……ふふっ、そうですね。ニュクスさんの言う通りですね。頑張ってください」

エリーゼ「うん!」

カムイ「さぁ、それでは、始めますよ、皆さん」


「これより、黒竜砦の攻略を開始します」

◇◆◇◆◇◆◇

白夜兵「……敵に動きは無いみたいだな。斥候もまだ帰ってきていないし、怖れをなして逃げたか?」

白夜兵「それはないはずだ。無駄口をたたいてないでちゃんと見張れ」

白夜兵「わかってる――」

 ヒュン  トスッ

白夜兵「て……」ドタン

白夜兵「ん、どうし――」

 ヒュン  トスッ

白夜兵「…がっ、い、いつの間……に」ドサッ

 テキシュウ! テキシュウダー!

白夜兵「シモツキ様! 敵襲です!」

シモツキ「なに!?」

白夜兵「すでに二人やられました。奴ら、斥候の目を逃れてすでに砦の前に至っていたようです」

シモツキ「そうか、すこし陣を下げろ。相手が入ってくるのを待って、一網打尽にする。ノコノコと入ってきた奴らを分断し、各個に狙え!」

白夜兵「はっ!」



モズメ「二人、やったで……」

カムイ「はい、辛いことさせてしまいましたね」

モズメ「ええんよ。あたいがやるしかないことやから」

ジョーカー「さて、ここからは少しの間、睨めっこですね。向こうが痺れを切らして出てくるとは……」

カムイ「そうですね。では大声で宣言でもさせてもらいましょうか」

カムイ「黒竜砦に居座る白夜の者達に告ぐ―――私はカムイ」




白夜兵「!? カムイ、あの裏切り者の!?」

白夜兵「くっ、裏切り我らを切り伏せて名をあげるつもりか……」

シモツキ「静まれ、まだ姿は見せていない。まだ確証はないのだから、うろたえるな」

白夜兵「……」

シモツキ「……しかし、まさか、ここで裏切り者の王女の名を聞くことになるとはな………アクア王女を連れてきたことがこんな形で役に立つとはな……」

白夜兵「シモツキ様」

シモツキ「アクア王女を連れて来い、有効な駒だ。ちゃんと使ってやらねばな」

ニュクス「始まったみたいね……」

エルフィ「そうみたい……。それじゃ私たちも始めましょう」

ハロルド「うむ、ここがその扉で間違いないかな、ニュクスくん」

ニュクス「ええ」

エルフィ「それじゃ、いくわね」スッ

ニュクス「えっ?」

エルフィ「はあああああっ!」

 ドゴンッ

エリーゼ「エルフィ、すご~い!」

ニュクス「……ばれないように静かにするべきじゃないの!?」

エルフィ「大丈夫、すぐに上にいければ済むことだから。私が先陣を務めるから、いくわ」

 ガシャンガシャンガシャン

ニュクス「この石の階段を何の苦もなく、上って行くのね」

ハロルド「ああ、エルフィくんにはこんな階段を上がることなど、簡単なことだからね。さぁ、ニュクスくん、エリーゼ様。先へ、私は後ろを守ります」

エリーゼ「うん、ハロルドお願いね!」

白夜兵「何事だ!」

エルフィ「邪魔!」

 ドゴンッ

白夜兵「ぐへぇ!」ドタン

ニュクス「えげつないわね……あなた」

エルフィ「急ぎましょう。踊り場に出るわ」

白夜兵「おっ、戻ったか。一体何の騒――」

ハロルド「はああああ!」

白夜兵「ぐあっ、あ、暗夜兵……だ……と」ドサッ

ハロルド「他には誰もいないようだね。その、アクアくんがいるという部屋は?」

ニュクス「多分、この部屋よ」

アクア「外にいた見張りの声が消えた?」

アクア(そう、もうここまで暗夜兵が来たってことね。もしかしたら、死ぬ前にカムイともう一度話せるかもしれないと思ったけど、儚い夢だったわね)
 
 ガチャガチャガチャ ドンドンドンッ

アクア「……うるさいわね。少し静かにしてくれないかしら。別に逃げるつもりもないわ」

ニュクス「えらく達観した物言いだけど、そんな若さで死ぬことはないわ」

アクア「……えっ?」

ニュクス「少し下がっていて。というか下がってないと確実に怪我するわよ」

エルフィ「開錠してる時間なんてないから、力技でどうにかするわ」

アクア「えっ、どういうこと」

ニュクス「言う通りにしなさい、アクア。そうじゃないと飛んできた扉の下敷きになって死ぬことになるわよ」

アクア「!? ど、どういうことかわからないんだけど?」

ニュクス「ああ、もう助かりたかったら、さっさと言う通りにしなさいって言ってるの!」

アクア「わかったわ………いいわよ?」

エリーゼ「エルフィ、やっちゃって!」

エルフィ「でやああああっ!」ガギン、ドゴォオン!

 ガンッ

アクア「!? 扉が吹き飛んで……」

ニュクス「はぁ、ここまで私をこき使ってくれて、ちょっとは労わって欲しいんだけど」

アクア「ニュクス、これは一体……」

エルフィ「どう、アクアはいた?」

ニュクス「ええ、この人よ」

エリーゼ「うわっ、きれいな人だね。もう大丈夫、私たちアクアのこと助けに来たんだよ」

ハロルド「正義の使者ハロル――!?」

アクア「? えっと、なにか?」

ハロルド「いや、その。ううむ、他人の空似、ではないのか?」

アクア「?」

ハロルド「いえ、失礼。今はそのような話をしている場合ではありませんでしたな。私はハロルド、救出に参りました」

ニュクス「そういうことよ、アクア早くここを抜けましょう」

アクア「一体何をしたの? 私のことをどうやって助けるよう仕向けるなんて」

ニュクス「私も運が悪かったってことよ……。いや、運が良かったのかもしれないわね。こうして、もう一度生きてあなたに会えたんだから」

アクア「運が良いって……」

エリーゼ「あのね、カムイおねえちゃんが助けに行ってくれって言ってくれたんだよ!」

アクア「!?」

エルフィ「話をしてるところ悪いんだけど、そろそろ行きましょう」

アクア「ええ、それじゃカムイの元までエスコートしてくれるかしら?」

エリーゼ「うん、まかせて! こっちだよ」

アクア「それと、ありがとうニュクス。そのさっきのことだけど……」

ニュクス「別に構わないわ。それにまずはここを乗り越えてからにして頂戴。まだ、戦いは終わってないんだから」

アクア「そうね、わかったわ」

ニュクス「ええ、ありがとう。それじゃ、救出が終わったことをカムイに知らせないとね」

 ヒュオオオオオオオオ ボウウウウウ



 ドゴオオオオオオオオン!!!!!

シモツキ「な、一体何だ!?」

白夜兵「右の塔より火の手が上がっています」

シモツキ「なんだと、あそこには……アクア王女が。裏切り者に気を取られ過ぎたか、くそ……」

白夜兵「現在、アクア王女を連れに行った者も帰ってきておりません。このままでは、敵別動隊が内部に入り込んでくる可能性が」

シモツキ「くそっ、ハイタカは?」

白夜兵「ハイタカ様は伏兵の探査を終え、現在外回りに砦正門に向かっています」

シモツキ「全員武器を取れ、敵別動隊の動きをここで食い止める。待っていても奴らは入ってこないだろうが、ハイタカに任せておけば問題はない。別動隊を食い止め、ハイタカの背中を守る。白夜の侍魂を、暗夜の野蛮人どもに見せつけてやるんだ!」

 ジャキ ガチャ 


カムイ「すごい音ですね……」

サイラス「ああ、大きな音だ。さてと、それじゃ俺たちもそろそろ動こう。もうピエリとジョーカーは準備が出来ている」

カムイ「はい、わかりました。サイラスさん、背中は任せましたよ」

サイラス「ああ、任せてくれ」

カムイ「では、行きましょう。白夜の力がどれほどのものか、見せてもらいましょう!」

 タタタタタタタッ

白夜兵「よし、痺れを切らして入ってきたぞ!」

白夜兵「よし、弓兵引け、生かす必要はない!」

 セイシャ ジュンビヨシ!

白夜兵「よし、今――」

 ドゴォン

白夜兵「!? 壁が」

ジョーカー「なに、カムイ様に攻撃しようとしてんだ屑ども」

ピエリ「カムイ様を攻撃する人は、殺しちゃうの!」

 ザシュ ザシュ

白夜兵「強襲だと、くっ、陣形を立て直――」

 ズシャ ポタポタタタタタ ブシュアアア

ピエリ「返り血、とってもきもちいいの!」

ジョーカー「刺した敵を俺に向けるな。服が汚れる」

ピエリ「ジョーカーもきれいになるの。血がドバドバ出ててとてもきれいで、きもちいいの!」

ジョーカー「はぁ、なんでこんな奴と一緒に行動しないといけないんだ。俺はカムイ様と一緒に行動したいのに」

ピエリ「血が出なくなったの。ピエリあたらしいの見つけるの!」

 ブン ビシャァ

白夜兵「怯むな、敵はたった二人。数で押せば――」

カムイ「懐ががら空きですよ」

 ズビシャ 

白夜兵「い、ぐあああああ」

サイラス「一回の襲撃で崩れるようじゃ、まだまだだな!」

白夜兵「くそっ、いつの間に入ってきて!――ぎゃあ」

カムイ「ピエリさん、ジョーカーさん、最高のタイミングでした。前衛に穴があきましたよ」

ジョーカー「ありがとうございます、カムイ様」

ピエリ「えへへ、褒められるとピエリもっと頑張っちゃうの!」

カムイ「ええ、もっと頼みます。このまま砦の中枢に……」

シモツキ「来たか……」

エルフィ「ここが中枢ね。いっぱいいるみたいだけど……」

エリーゼ「あの人が指揮官かな? 早く倒して、ここを取り戻さないと」

ハロルド「しかし、右の塔はすでに使えるものではなくなってしまいましたが、大丈夫でしょうか?」

アクア「白夜が火を付けたということにすればいいわ。それで、すべて解決よ」

ニュクス「そうね。白夜が火を付けたんだから仕方のないことよ」

シモツキ「ふん、アクア王女。まさか我らに刃を向けるとはな。白夜で育った恩、それをこうした形で返すというのか?」

アクア「そうね、結果的にそうなることに間違いはないわ。どういい繕っても、私は私を助けに来てくれたこの人達に手を貸すことになるでしょうから」

シモツキ「ふん。結局、お前は暗夜の人間だということだ。その身に流れる暗夜の野蛮の血がその証。今思えば、要らない荷物だった」

ニュクス「人を荷物扱いなんて感心しないわね」

シモツキ「ふん、暗夜にはわかるまい。場所を奪われることの辛さなど、平和を奪われる辛さも、そのすべてがわからないからこそ、お前たちは戦争を仕掛けてきた。ちがうか!?」

エリーゼ「あたしたちだって、戦争がしたいわけじゃ……」

ハロルド「エリーゼ様、相手にそんなことを言っても意味はありません。それに、私たちが今やっていることは殺し合いなのですから」

エリーゼ「ハロルド……でも……」

ニュクス「エリーゼ、今は何を言っても相手が納得する答えなんてないわ。人を殺すのに納得できる答えなんて、存在しないように……ね」

シモツキ「私はシモツキ。お前たちを殺し、暗夜に一矢報いるもの。どうせ、この先助かる道など私たちにありはしない。この命尽きるまで、暗夜軍を一人でも多く切り刻む。それが私、いや、ここにいる我々の使命だ」

エルフィ「………この数を受けきるのは一苦労だけど、守り切って見せるわ」

ハロルド「エリーゼ様を守るため、向かってくるものには容赦はできない。そして、そんな野蛮な願いをかなえるわけにはいかない。ここで、君たちには倒れてもらう以外にない」

エリーゼ「あたしにだって、守りたい人たちがいるから。だから」

アクア(でも、この数をどうにかするなんて、正直無理よ。押されてしまうわ、どうすれば……)

アクア(……あれは竜脈? そう、ここは太古の竜の亡骸で作られた砦、もしもあれに手が届けば……)

ニュクス「アクア、何か思いついたのかしら?」

アクア「ええ、でも、成功させるためには、移動しないといけない。かなり危険よ」

エルフィ「何か考えがあるならお願いします。受けきり続けるのにも、認めたくないけど限界があるから」

アクア「かなり、厳しいものになるけど、いいかしら?」

エルフィ「ええ、おねがい」

ニュクス「たくましいアクアが提案することだから、勝算はあると思っているわ」

アクア「たくましいって……もういいわ。私をあそこまで誘導してくれればいいわ。あとは、それでおわるから」

 ドゴン!

カムイ「!」

ハイタカ「死ねぇ!」
 
 ヒュッ キン カキン

カムイ「まったく、こちらの作戦を真似しないでもらいたいですね」

ハイタカ「……このような欠陥があるとはな。先に調べておくべきことだった。そうすれば、もう少し多い人数で、お前を八つ裂きにできたのだがな」

カムイ「……」ジャキ

ハイタカ「私はハイタカ。裏切り者のカムイ王女、その首取らせてもらう」

サイラス「そうはいかない。ここで、カムイを失うわけにはいかないんでね」

ハイタカ「ふっ、暗夜の騎士に守られた、気分はお姫様ということか?」

カムイ「そうかもしれませんね。ところでハイタカさんでしたか、白夜の戦略というのは、こうも唐突な出来事に弱いのですか? わずか数名の奇襲で前線が崩壊してしまいましたよ?」

ハイタカ「ふっ、そう言われても仕方ないだろう。ここにいるのはただの捨て石。ほとんどの兵は勢いだけで付いて来た血の気の多い者たちばかりだ。正義など要らぬ、ただ暗夜を殺すためだけの刃を寄せ集めただけの軍勢なのだからな」

カムイ「死ぬための兵隊ですか。本当の狙いがバレテいるというのに、無駄なことをするんですね」

ハイタカ「本当の目的か、そんなものは私たちにはどうでもいいことだ。今は、お前という存在をこの槍で貫き殺す、それ以外に思うことなどないのでね。お前たちも、そうだろう?」

白夜兵「……裏切り者には死、それ以外はない」

カムイ「いいでしょう、殺せるものなら殺してください」

ハイタカ「その言葉に、甘えさせてもらう! くらぇぇぇぇぇぇ!」



エルフィ「くっ、……はぁっ!」
 
 ザシュッ

白夜兵「ぐっ、まだだぁぁ!」

ハロルド「くらいたまえ!」ブンッ

白夜兵「甘い。暗夜の攻撃も大したことないな!」

ニュクス「やっぱり若いっていいわね。威勢が良くて過信しやすいから、倒しやすくて」

 ボォォォォォ

白夜兵「ひぎゃ、ぐぎゃがあああ、が、がらだがぁ、がらがだだああぼえ、ぼえるぅ……」ドサッ プスッ プスッ

シモツキ「あの先は袋小路だ、やつらはここの構造をあまり理解してないと思える。このままいけば、いずれ奴らの体に刃を突き立てられる。剣を振え、矢を射て!」

 ヒュン

エルフィ「くっ、流石に攻撃が激しくなって……」

エリーゼ「エルフィ、ライブ!」

ハロルド「くっ、エリーゼ様。あぶないっ!」カキン

エリーゼ「ひっ……は、ハロルド」

ハロルド「大丈夫ですか、エリーゼ様」

エリーゼ「うん、ありがとう」

アクア「みんな、ごめんなさ。もう少しだけ、がんばって」

ニュクス「わかっているわ。わかっているから、そこにたどり着けたらちゃんと頼むわよ」

アクア「ええ、任せて」

エルフィ「ハロルド、一気に道を作るから、同じように盾に!」

ハロルド「任せたまえ」

エルフィ「息を合わせて、すぐに出るわよ。1……2……3!」

カムイ「くっ、やはり中々にやりますね。さっきの人たちとは……大違いです」

ハイタカ「………どうして、白夜を裏切った」

カムイ「理由を聞いてどうしますか? 意味なんてないでしょう?」

ハイタカ「意味など確かにない、だがあの方が私たちの案を受け入れたのは、カムイ王女、あなたの所為に他ならない」

カムイ「あの方……ですか」

ハイタカ「誰かを教えるつもりはない。だが、あの方がこのようなことに手を貸してくれたこと、その理由が釣り合うものであったのかどうか」

カムイ「ふっ、それを聞くためにここまで来たのですか? 御苦労なことです!」

ハイタカ「ぐっ!?」

カムイ「サイラスさん!」

サイラス「ああ、カムイに何を聞いているか知らないが。カムイは自分で選んでここに来た、それをお前に話す必要はない!」

 ガキィン

ハイタカ「そうだな。それは確かにその通りだ。だが、私にはそれを聞く義務があると思っている。このような兵を無駄にするとしか言いようのない、作戦の理由がどんなものであったのか、その理由を聞かずに、倒れることはできない!」

 バシィン

サイラス「くっ、態勢が!」

白夜兵「未だ、死に晒せ!」

ピエリ「そうはいかないの」

 キシッ ズビシャ

白夜兵「あ、ばかな……」

ピエリ「弱いの。弱いから殺したい放題なの!」

白夜兵「このアマがぁ!」

ジョーカー「はぁ、うるさいだけで脳がない。邪魔だ」

 ズシャァ プシャアアアアアァァァ

白夜兵「こふっ……ヒュ……ヒュー、ごががが」ベチャ

ハイタカ「ふっ、やはりこの程度、ということかもしれんな。なら、私くらいは一人屠って散るとしよう」

カムイ「できるものならですがね」

シモツキ「くらええええええぇぇぇぇぇ!」

 ガギィィン! ゴドン

アクア「!?」

エルフィ「私は平気だから、今のうちに!」

アクア「わかったわ!」

ハロルド「くっ、これは持つかわからない。エルフィくん、大丈夫か」

エルフィ「こ、このぉ!」

 ガッ ブンッ

シモツキ「はぁ!」ドゴォン

エルフィ「ああああああっ!」

 ドサッ ドタンッ

エリーゼ「エルフィ!」

ニュクス「くっ、攻めて足止めくらい!」

 ボオォォォ

白夜兵「くそ、道が炎で!」

シモツキ「慌てるな。魔術の炎など、少しすれば消え去る。奴らはもう袋小路に入った。急ぐ必要など何もない、刀の血を拭いておけ、斬りやすいようにな」

エリーゼ「エルフィ、エルフィ!」

エルフィ「え、エリーゼ様。ううっ、大丈夫です。まだ、まだ戦えます」

エリーゼ「だ、駄目だよ。こんなに怪我してるのに、もう戦わないで。本当に死んじゃう」

エルフィ「でも、私が」

ハロルド「エリーゼ様の言う通りだ。エルフィくん、君はもうボロボロになっている。ここからは私がすべてを受け止める」

エルフィ「そんな斧で、どうにかできるわけないわ」

ハロルド「やってみなければわからないさ。それにエリーゼ様が心配されている。エリーゼ様は笑顔の似合う御方、曇った表情にしたままなど私のポリシーっが許さないのだよ」

エリーゼ「ハロルド……ありがとう」

ハロルド「はっはっは。さぁ、白夜の者たち掛ってきなさい! 私がすべてを受けきって―――」

アクア「盛り上がってるところで悪いのだけど、もう終わるわ」

アクア(この竜脈を起動させれば……いや。もう選んでいられないわ、私はこの人達を守ると決めたんだから。この選択に、後悔なんてしない)

アクア「竜脈よ。私に応えて……」

 シュオン! シュウィン 


ハイタカ「ふんっ、どうだぁ!」

カムイ「まだまだです。はぁあああ!」

 ザシュン

ハイタカ「ぐおおぉ……ま、まだああああ!」

 ブンッ ブンッ

ハイタカ「お前の、お前の答えを聞くまで、私は、私はああああ!」
 
 キン キィン ガシィン

カムイ「……ハイタカさん」

ハイタカ「……これで、終わり――」

カムイ「はい、もう終わりです」

 ザシュンッ

ハイタカ「……!」

 ポタ ポタタタ

カムイ「ハイタカさん、あなたの聞きたかったこと、それの答えを聞かせてあげます」

ハイタカ「な、なに……こふっ……」

カムイ「私があんたに付いた理由ですよ。でも、それを聞いてもあなたの心は晴れることはないです」

ハイタカ「それを、決めるのは……」

カムイ「そうですね、あなたです。ですから教えてあげます。私はただ、考え続ける私でいたいから、こっちに来たんです」

ハイタカ「な、なにをいって」

カムイ「私の答えは以上です。安らかに眠ってください」

 ズシャン

ハイタカ「は、ははははっ、なんと、無念……だ…」

 ガシャン カランカラン ドサッ

カムイ「……」

サイラス「カムイ、大丈夫か!?」

カムイ「ええ、私は。急いでニュクスたちに合流を……」


 ウギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア

カムイ「!?」

サイラス「奥から聞こえたぞ、まさか」

白夜兵「ウギャアアアアア、アツイ、ハダが、ハダガアアアア」

白夜兵「テガテガァアアアア。ギャアアアアアアア、ヒャハハハハハ、オデガオデガドゲデェエエエ」

シモツキ「酸の雨だと!? いったい何が、ぐおぉあああああああ」

 ウギャアアアアアアアアア

ハロルド「な、なんだこの光景は……」

ニュクス「……酷いわね」

エリーゼ「え、な、何が起きて」

エルフィ「エリーゼ様、見てはいけないわ」

 トケル! カラダガカラダガアアアアアアア

アクア(黒竜の酸を人が受けたらどうなるのかくらい予想がつく。それをもろに浴びた人を襲う痛みも、恐怖も、全部理解してるつもりよ)

シモツキ「グオオアアアアオオ、ユヅザン! グオオオオオオオ!!!!!」

 ベチャ ベチャ

ハロルド「こちらに向かってくるようだぞ」

ニュクス「すごい精神力ね。でも……」

シモツキ?「ハァ……ハァ……ハァ、オマエラヲギリギザンデ………ガルゥ………」

 ドサッ シュウウウウウウウウウウ……

ハロルド「うっ……」

ニュクス「こんな姿になると……悲惨なものね」

シモツキ?「…………」

アクア「………酸の雨がやんだわね」

サイラス「何があったんだ。これは」

ジョーカー「さすがに、こんな死体はあまり見たことはないな。それこの臭い、とてもじゃないが嗅いでいられる物じゃない」

ピエリ「すごっく臭くて、目も痛くて、びええーーーーーん。ここにいるの嫌なの!」

カムイ「……先ほど、竜脈が使われたような気配がありましたが、それと関係あるんでしょうね」

 タタタタタタタタッ

サイラス「誰だ!?」



ハロルド「サイラスくん、私だ! ハロルドだ!」

カムイ「ハロルドさん! 皆さん無事ですか?」

ニュクス「ええ、無事よ。でも、エルフィの怪我が深刻だから、早く手当てをしてあげて頂戴」

カムイ「エルフィさん、大丈夫ですか」

エルフィ「カムイ様、はい、大丈夫――っ」

エリーゼ「エルフィ、しゃべらないで。全然傷が塞がってないんだから」

カムイ「そうですよ。今は無理をしないでください、みんなを守ってくれてありがとうございます」

カムイ(あとはアクアさんだけですけど……)

 ヒタッ ヒタッ

カムイ「!」

アクア「………」

カムイ「……」

アクア「カムイ……なのね?」

カムイ「アクアさん」ダキッ

アクア「! どうしたのカムイ」

カムイ「無事で良かったです。そして、また会えてうれしいです」

アクア「……ええ」


「私もまた会えてうれしいわ」


第九章 おわり

現在の支援レベル(暗夜)

 リンカ   C+
 ジョーカー C+
 ギュンター C+
 サイラス  C+→B
 マークス  C+
 ラズワルド C
 ピエリ   C
 レオン   C+
 エリーゼ  C+
 ハロルド  C+
 エルフィ  C
 カミラ   C+
 リリス   B
 モズメ   C
 サクラ   C+
 アクア   C+
 カザハナ  D+
 ツバキ   D+
 フェリシア C
 フローラ  C

仲間の支援レベル

 今回のイベントでアクアとニュクスの支援がCになりました。
 今回の戦闘でハロルドとエリーゼの支援がCになりました。
 今回の戦闘でジョーカーとピエリの支援がCになりました。

今日はここまでです。
 シモツキは私が初めて手に入れた捕虜で、捕まえたのはこの黒竜砦でしたね、あのくるくる回っているあの侍さんです。今では内の主戦力の一人で剣聖してます。今後、気に入ってるモブを出したりすると思うので、ご了承をよろしくお願いしたします。
 あと、乳クスってやっぱり伸び悪いんだね


 安価を取りたいと思います。参加していただけると幸いです。

◇◆◇◆◇
 次に話をしているキャラクターの組み合わせ。
 
 二組でお願いします。

 ジョーカー 
 ギュンター 
 サイラス  
 ラズワルド

 ピエリ
 エリーゼ
 ハロルド
 エルフィ
 リリス
 モズメ
 フェリシア
 フローラ
 ニュクス

 一組目は >>591 >>592

 二組目は >>593 >>594

 キャラが重なった場合は下にスライドします。

アクア

ラズワルド

エリーゼ

カムイで

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・港町ディア『宿舎』―

カムイ「そうですか、ウィンダムから増援が来てくれるのですね」

ギュンター「はい、明日の昼頃となるようです。丸一日ほど、休みができたことになりますな」

カムイ「そうですね、黒竜砦の件もありますが、ここまで休みなく進んで来て、皆さん疲れていることでしょう」

ギュンター「ですな。気を張り過ぎても良いことはないでしょうし、ここはひとつ」

カムイ「はい、ウィンダムからの増援到着まではみなさんに自由にするように伝えてください。休息できる時にしておかないといけませんから」

ギュンター「わかりました。それと、カムイ様もお休みになられるようにお願いします」

カムイ「ふふっ、わかってますよ。今日は一日、休みですから、ギュンターさんも気軽に過してください」

ギュンター「そうさせていただきます。それでは」

 ガチャ バタン

カムイ「さて、とは言ったもののやることもありませんし……。そうですね」

「とりあえず寝ましょう」

カムイ「すぅ………すぅ……」

???「―――」

???「―――」

???「―――?」

???「―――」

エリーゼ「ううっ、気になる」

???「あれ、エリーゼ様?」

エリーゼ「きゃあっ!」

ラズワルド「どうしたんですか、そんな浮気現場を調査してるみたいに、こそこそと」

エリーゼ「ラズワルド、もう脅かさないでよ!」

ラズワルド「ごめんね。でも、エリーゼ様が周囲の注目を浴びてるのに気付かず、ずっと何かを覗き込んでるみたいだったから。それに一人で歩くなんて危ないですよ。白夜が狙っているのはノートルダム公国ですけど、もしかしたらこっちに忍びこんでる者がいるかもしれないから」

エリーゼ「ご、ごめんなさい。そうだ、だったらラズワルドも調査に協力してよ!」

ラズワルド「調査?」

エリーゼ「そう! ほらあの二人」

ラズワルド「二人?」

ニュクス「――」

アクア「――」

ラズワルド「ニュクスとあれは、アクアですか?」

エリーゼ「うん。カムイおねえちゃんはあまり紹介してくれなかったし。アクアはあのあとすぐに倒れちゃって、ニュクスはあの見た目であたしよりも年上だって言うし」

ラズワルド「ああ、確かにそんなこと言ってましたね。まったくそうは見えないけど」

エリーゼ「だから、今日は自由時間だから話をしようって思ったんだけど、お話しようと思ってた二人が一緒に出かけてて……」

ラズワルド「で、見つけたのはいいけど二人の物静かな雰囲気の中に入り込むのが難しいって感じたわけだね」

エリーゼ「二人の間に入っても、あたしじゃ話が合う気がしなくて……。だからラズワルド、協力して」

ラズワルド「お安いご用ですよ。といっても、すでに喫茶店でのんびりしてるから、いつもの口説き文句は使えないし。喫茶店にいる相手に、僕の知ってる喫茶店なんて言ったら、それだけでぎくしゃくしてしまう気がする」

エリーゼ「うーん、じゃあラズワルドがいつもやってるあれで颯爽と登場すればいいんじゃないかな」

ラズワルド「いつもやってるあれ? なんのことだろう?」

エリーゼ「ほら、ルンルンルン♪って」

ラズワルド「……え、エリーゼ様。そ、そのステップをどこで/////」

エリーゼ「この前、黒竜砦のあと街道で少し休んだ時に森の中でやってたでしょ! あれ踊りなんだよね。踊りながら話しかければ、二人とも笑ってくれるはずだよ」

ラズワルド「それ、僕が笑われること前提じゃないですか。見られただけでも恥ずかしいのに、人前で踊りながら二人に話しかけるなんて……」

エリーゼ「女の人にモテてるラズワルドなら大丈夫だよ!」

ラズワルド「え、えっとですね。エリーゼ様、あれは――」

ニュクス「少し煩わしいわね。あそこにいる人たち」

アクア「いいじゃない、今は休息時間なんだから、好きにさせましょう?」

ニュクス「アクアがそう言うならそれで構わないわ。でも、あのお嬢ちゃんのことを思ってあげるなら、自分のことを少しは伝えるべきじゃないかしら?」

アクア「そうかもね。それと、私の昔話にニュクスも興味があるんでしょう?」

ニュクス「それはそうよ。命を掛けて守った相手がどういう人なのか、少しは気になるものだから。当たり触りない部分だけでも教えてくれればいいわ。あとは特に聞くこともないでしょうから」

アクア「あっさりしているのね。もっと聞いてくるのかと思った」

ニュクス「話したくないことの一つや二つあるわ。私がそうであるようにね、だからそれすらも話したくないことなら…」

アクア「いいえ、別に構わないわ。ありがとう」

ニュクス「それじゃ、あそこにいるのも呼びましょう。そろそろ騒ぎ過ぎでギャラリーが付き始めているわ」

アクア「……」

エリーゼ「ええっ、ラズワルド、全然モテないの!?」

ラズワルド「そ、そんな大声で言うことないじゃないですか!」

エリーゼ「だ、だってあんなに女の人に声を掛けてるのに!」

ラズワルド「あれは、僕が一方的に声を掛けてるだけで」

 カルイオトコッテ…… アノコモモシカシテコエヲカケラレテルンジャ 

ニュクス「早く仲間に入れてあげないと、ラズワルドがどこかへ連れてかれてしまうかもしれないし」

アクア「そうね」ガタッ

エリーゼ「って、こんなこと言い合ってる場合じゃないよ。二人は……」

アクア「あら、二人してどうしたの?」

エリーゼ「わわっ、アクア!」

ラズワルド「あ、アクア。そのこれは、えっと」

アクア「仲がよさそうだけど、もしかしてデートか何かかしら?」

ラズワルド「え、そ、そう見えますか///」

エリーゼ「ちがうよ、あたしたちアクアとニュクスのこと――!!! えっとね、ちがうの。そう、避難訓練してたの、ラズワルドは追いかけてくる炎の役なんだ」

ラズワルド「え、ちょっとエリーゼ様?」

エリーゼ(いいから、踊って、炎みたいに踊って!)

ラズワルド「……ボウボウボウ、ボウボウボウ////」

アクア「そう、避難訓練もいいけど、よかったらそこで一緒にお茶でもどう? ニュクスと一緒だけど」

ラズワルド「え、ほんと?」

アクア「はぁ、エリーゼよりもあなたが先に目を光らせるのはやめて頂戴。それで、どうかしら?」

エリーゼ「い、いいの? あたし、その、子供だよ。難しい話とか、そんなのできない」

アクア「難しい話なんてしないわ。それに私もエリーゼと一度話をしたかったの、だから」

エリーゼ「ほ、本当?」

アクア「ええ、それに一度私のことについて話しておかないといけないことがあると思ったから」

エリーゼ「……アクア、うれしい! いっぱいお話ししよっ!」

ラズワルド「よかったね、エリーゼ様」

エリーゼ「うん。ラズワルドもありがとう」

ラズワルド「困ったな。僕がしたことなんて踊りくらいなんだけど……でも、そのおかげでこんなに可愛い女の子たちとお茶ができるんだから、運がいいや」

エリーゼ「えへへ、それでアクア、あたしに話したいことって何?」

アクア「ええ、それはね―――私が一応王女であったことと」

ラズワルド「そうだったんですか。すみません、アクア様」

アクア「別に呼び捨てでもいいわよ?」

ラズワルド「いえ、これは騎士としての線引きみたいなものなので、今からはアクア様と呼ばせていただきますね」

エリーゼ「ラズワルドは律義すぎるよ。でも王女だったんだ、あたしと同じだね!」

アクア「それと、元々は暗夜に住んでいたという話もね」

エリーゼ「えっ、それってどういうこと?」

アクア「それは、あの席で話してあげる。さぁ、行きましょう、ニュクスも待っているわ」

エリーゼ「うんっ!」

ハイタカとカムイの会話のあんたは、どう見ても暗夜の打ち間違えです。本当にありがとうございました(すみませんでした)。

昨日は疲れで倒れてました。更新できなくてすみません。時々こんなことになったりします、すまねえ。

ピエリ×リリスと本篇はいつもの時間くらいにやります。

◆◆◆◆◆◆
フェリシア「う~ん、足りないですぅ」

リリス「フェリシアさん、どうかしたんですか?」

フェリシア「あ、リリスさん。その、ライブの数が人数分ないみたいで……」

リリス「ああ、結構使いましたからね」

フェリシア「その、私が使いすぎちゃったのかなって。エルフィさん、とっても傷ついてましたから」

リリス「ふふっ、すぐに駆けつけましたからね、フェリシアさん。エルフィさんも、いっぱい掛けられて困惑してましたし」

フェリシア「は、はい。でもここで足りなくなったちゃったのは……」

リリス「では私が買いに行ってきますよ。ちょっと用事もありますから」

フェリシア「ありがとうございます。エルフィさん、誰か付いてないと……」

 エルフィさん、いきなり運動を始めようとしないでください。まだ体の内部まで傷が治ってるわけじゃないんですから

 でも、毎日の特訓は欠かせないわ。大丈夫、これくらいなら……

 駄目です、今日は安静にしてください。話を聞かないようなら凍らせますよ?

リリス「フローラさんも大変ですね。でも、なんだかんだで二人ともエルフィさんが心配なんですね」

フェリシア「はい、まだ私はエルフィさんに恩を返し終わっていませんから。リリスさん、買い物よろしくおねがいしますね」

リリス「はい。任せてください」

 ガチャ バタン

ピエリ「あっ、リリスなの!」

リリス「ピエリさん」

ピエリ「どこかにお出かけのなの?」

リリス「はい、これから調度品などの買出しに出ようと思ってます。今日は一日お休みですから、今のうちに買い物も済ませてしまおうと思って」

ピエリ「買い物! 買い物なの! それじゃ、ピエリも付いてくの」

リリス「ピエリさんもですか?」

ピエリ「そうなの。町の洋服屋さん覗きたいの!」

リリス「わかりました、すぐに出かけられますか?」

ピエリ「なの! ピエリはいつでも準備オッケーなの!」

リリス「はい、わかりました」



―港町ディア『大通り』―

ピエリ「リリスは何買うの?」

リリス「そうですね……回復用のライブを余分に買っておこうと思います。前回よく使いましたから」

ピエリ「エルフィ、とっても血だらけだったの。でも、どこかきれいだったの! ピエリもいっぱい返り血浴びて、いっぱい奇麗になりたいの」

リリス「血ですか、私はそうは思わないんですけど。でも、カムイ様の前に立ちはだかる人がそうなるのは仕方のないことですね」

ピエリ「リリスも魔法じゃなくて、剣持つといいの。カムイ様を守るのなら魔法よりも剣なの。剣で刺すと楽しいの!」

リリス「ふふっ、楽しいかどうかはわかりませんけど……。そうですね、私はこの手に何かを持って人を殺したことはないんですから」

ピエリ「リリス、どうしたの?」

リリス「ピエリさんは今までどれくらいの人を殺してきたんですか?」

ピエリ「わからないの、従者も敵もいっぱい殺してきたの。いっぱい殺せば褒めてもらえるから、いっぱいいっぱい殺したの。もう数えることもないくらい殺したの」

リリス「そうですか。いっぱい殺してるんですね」

ピエリ「でも、不思議なの!」

リリス「何がですか?」

ピエリ「リリス、ピエリの話を聞いても全然不思議そうな顔しないの。みんなピエリの話を聞くと、なんか怖い顔するのがほとんどなの」

リリス「そうなんですか」

ピエリ「よくわからないの。ピエリはやりたいことだけやってるの。やりたいからやってるの。みんなだって同じなの。でも、こう言うとみんなそれは違うっていうの」

リリス「私はピエリさんの言っていることがわからないわけじゃないですよ」

ピエリ「そうなの?」

リリス「はい、でも、時々我慢しなくちゃいけないことがあるんです」

ピエリ「……ピエリ我慢苦手なの。この前、従者をえいってやろうとしたら、カムイ様に止められたの」

リリス「カムイ様らしいですね。もしかして変なことされませんでした?」

ピエリ「顔いっぱい触られたの。あと従者にえいっしないって約束させられたの。だから黒竜砦は楽しかったの!」

リリス「ふふっ、ピエリさんもカムイ様に弱点をいっぱい触られちゃったんですね」

ピエリ「リリス、笑わないの!」

リリス「ごめんなさい、でも約束は守らないといけませんよ。口に出してしまった約束、相手にちゃんと届いてますから」

ピエリ「リリスも約束、何かしてるの?」

リリス「はい、とても大切な約束を一つしてます。そのためだったら、私はこの命を掛けても構わないって思ってるんです」

ピエリ「ピエリは殺して命を守るの。リリスの言い方は命を捨ててるの。それは馬鹿だと思うの」

リリス「はい、そうですね。私は馬鹿なんです。でも、馬鹿な私がした約束だけは私が守らないといけない近いですから」

近い→×

誓い→○

ピエリ「リリス馬鹿なの。でも、ピエリのこと怖い顔で見ないから好きなの」

リリス「そう言ってもらえると嬉しいです。でも、我慢だけはしてくださいね。そうしないと、みんなに迷惑かけちゃいますから」

ピエリ「がんばるの。あっ、道具屋さんなの」

リリス「本当ですね。それじゃ、買い物を済ませたら、ピエリさんの行きたいお店に行きましょう。あまり洋服を扱ってるお店にはいったことがないから、ちょっと楽しみなんです」

ピエリ「わかったの。可愛いものいっぱいある洋服屋さん見つけていっぱい入るの! リリスに似合うリボン買ってあげるの!」

リリス「わ、私にですか……、似合うでしょうか?」

ピエリ「ピエリに任せてなの! リリスといるととっても楽しいの」

リリス「……私もピエリさんと一緒にいるの、とても楽しいです。早く買い物済ませてきちゃいますね」

ピエリ「リリス、とってもいい子なの。でも、このままじゃいつか死んじゃうって言ってるの……どうすればいいの?」

◆◆◆◆◆◆
―港町ディア『宿舎』―

カムイ「思ったよりも眠ってしまっていたんでしょうか。もう夜だとフェリシアさんが言っていましたね」

カムイ(黒竜砦の戦いが終わってここに増援が来れば、次は私たちもノートルディア公国に向かうことになるんでしょうか? それとも……増援をここにおいてウィンダムに戻ることになるのでしょうか)

カムイ「……こればかりは命令を待つしかなさそうですね」

エリーゼ「あっ、カムイおねえちゃん」

カムイ「あれ、エリーゼさん。どうしたんですか、もう夜だというじゃないですか?」

エリーゼ「あ、あのね。アクアおねえちゃんがいないの」

カムイ「アクアさんがですか? それと、アクアおねえちゃんとは?」

エリーゼ「カムイおねえちゃん、ひどいよ。アクアおねえちゃんが元々暗夜の王女だってこと、どうして教えてくれなかったの?」

カムイ「ああ、すみません。戦闘の直後でそこまで頭が回ってなかったんです。でも、エリーゼさん、自分から話を聞きに行ってくれたんですね。本来なら私が説明すべきことだったんですが」

エリーゼ「もう、それはいいよ。それよりも、カムイおねえちゃんもアクアおねえちゃんを探して、宿舎にはいないみたいだから。あたしは今日話した場所にハロルドたちと一緒に行ってくるから」

 タタタタタタタタタッ

カムイ「わかりました……といっても、町の構造がわからないことにはどこにいこうにも……」

ニュクス「ちょっといいかしら?」

カムイ「ニュクスさん? すみません、ちょっと用事があって」

ニュクス「そう、ちょっと手伝ってほしいことがあったんだけど」

カムイ「手伝ってほしいことですか?」

ニュクス「ええ、あなたが探してる人のことでね」

カムイ「……アクアさんのことでですか?」

ニュクス「そうよ。あの子、黒竜砦でやったことを、少し引きずってるみたいだから……」

カムイ「アクアさんがしたこと――」

ニュクス「あそこであの子はあなたを選んで、人を、白夜の人間を殺したのよ。わからないわけじゃないでしょ?」

カムイ「……」

ニュクス「残念だけど、私がそのことを言ってもアクアはちゃんとした言葉を返してくれないわ。アクアはあなたのことを気にしてた、だから」

カムイ「それ以上は大丈夫です。いる場所はわかっているんですよね?」

ニュクス「ええ、ついて来て」


―船着場―

ニュクス「あそこの影よ。ずっと座り込んでいるわ」

カムイ「そうですか。ありがとうございます、ここからは私だけで行きますから。ニュクスさんは戻ってもらって大丈夫ですよ」

ニュクス「ええ、さすがに覗き見する趣味はないからそうさせてもらうわ。頑張りなさい」

カムイ「何をがんばるのかはよくわかりませんけど。できることはしますね」