【FEif】カムイ「私の……最後の願いを聞いてくれますか?」―2― (992)

アクア「……ごめんなさい。私の所為で」

カムイ「何を言ってるんですか、アクアさんの所為なわけないですから。でもよかったです、私以外に疑いが掛らなくて」

アクア「みんな、あなたのことを心配しているわ。マークスもガロン王に話をしているみたい」

カムイ「ふふっ、マークス兄さんらしいです。でも、私のことで無理はしないでもらいたいんですけど」

アクア「……はぁ、カムイ。あなたは自分の立場をよく理解するべきよ」

カムイ「はは、怒られてしまいました」

アクア「そんなに落ち着いているのを見ていると、心配していたのが馬鹿らしくなってしまうわ」

カムイ「ごめんなさい。でも、こういうときは気丈に振舞うものなんでしょう?」

アクア「元はと言えば私の所為よ、あなたに相談すれば済んだことなのかもしれないのに、それを」

カムイ「アクアさんは私にクリムゾンさんがあやしいって言いたくなかったんですよね?」

アクア「……ええ、交流しているあなたに、そんなことを言うのは嫌だったの。だから、気付かない場所でって思ったのに、裏目に出てしまったわ」

カムイ「ははっ、それでレオンさんに掛け合ったんですね」

アクア「どうして知っているの?」

カムイ「直接私の元にクリムゾンさんの件を話しに来てくれました。あとその前日、ゼロさんが注意するようにと託を。ふふっ、その話に出てくれた情報源、私を心配してくれていたのって、アクアさんだったんですね」

アクア「はぁ、レオンはあなたのことをとても心配していたから。当然かもしれないわ」

カムイ「はい……。でも今日、アクアさんが来てくれてよかったです」

アクア「?」

カムイ「いえ、そのこんな風に話していて何なんですけど、少しだけ不安になっているんです」

アクア「……ふふっ」

カムイ「わ、笑わないでくださいよ」

アクア「いいえ、ごめんなさい。あんなに気丈に振舞うものだなんて言ってたのに。おかしくて」

カムイ「はい……。その、アクアさん」

アクア「どうしたのかしら?」

カムイ「ちょっと手を握ってもらえませんか? その、心細いんです……」

アクア「……ふふっ、いいわよ。私にできることなら何でもしてあげたいから」ギュッ

カムイ「はい……ありがとうございます。アクアさんの手、とても温かくて柔らかいです…」

アクア「んっ、くすぐったいわ」

カムイ(……どうしてでしょうか、こんなにも心が不安で揺れてしまうのは。まるで……ミコトさんが死んでしまった時に戻ってしまったみたいです)

カムイ「……」ギュッ

アクア「カムイ?」

カムイ「すみません、今は。今の間はこのままでいさせてください」

アクア「ええ、わかったわ、甘えん坊さん」ナデナデ

「……ありがとうございます。アクアさん……」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1443780147

 このスレは、『カムイ「私の……最後の願いを聞いてくれますか?』の続きとなっています。

 前スレ:カムイ「私の……最後の願いを聞いてくれますか?
 カムイ「私の……最後の願いを聞いてくれますか?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1438528779/)

 個人妄想前回の暗夜ルートになっています。
 オリジナルで生きていたキャラクターが死んでしまったり、死んでしまったキャラクターが生き残ったりという状況が起きます。
 ご了承のほどお願いします。

 主人公のタイプは
 体   【02】大きい
 髪型  【05】ロング・セクシーの中間
 髪飾り 【04】ブラックリボン
 髪色  【21】黒
 顔   【04】優しい
 顔の特徴【04】横キズ
 口調  【私~です】

 長所短所には個人趣味の物を入れ込んでいます。 

 長所  心想い【心を好きになる(誰とでも結婚できる)】
 短所  盲目 【目が見えない(ただそれだけ)】
 

○カムイの支援現在状況●

―対の存在―
アクアB+
(カムイからの信頼を得て、その心の内を知りたい)

―城塞の人々―
ジョーカーC+
(イベントは起きていません)
ギュンターC+
(恋愛小説の朗読を頼まれています) 
フェリシアC
(イベントは起きていません)
フローラC
(イベントは起きていません)
リリスB   
(一緒に眠ったことがあります)

―暗夜第一王子マークス―
マークスC+
(イベントは起きていません)
ラズワルドC
(あなたを守るといわれています)
ピエリC
(今度はカムイの弱点を探ってみせると息巻いています)

―暗夜第二王子レオン―
レオンC+
(イベントは起きていません)
オーディンC→C+
(イベントは起きていません)
ゼロC+
(イベントは起きていません)

―暗夜第一王女カミラ―
カミラB
(白夜の大きい人に関して話が上がっています)
ルーナC+
(目を失ったことに関する話をしています)
ベルカC+
(イベントは起きてません)

―暗夜第二王女エリーゼ―
エリーゼB
(イベントは起きていません)
ハロルドB
(ハロルドと一緒にいるのは楽しい)
エルフィC
(イベントは起きていません)

―白夜第二王女サクラ―
サクラC+
(イベントは起きていません)
カザハナC
(イベントは起きていません)
ツバキD+
(イベントは起きていません)

―カムイに力を貸すもの―
サイラスB
(イベントは起きていません)
ニュクスB
(イベントは起きていません)
モズメC+
(イベントは起きていません)
リンカC+
(イベントは起きていません)

○仲間たちの支援現在状況●

●異性間支援の状況

・アクア×ゼロC

・ジョーカー×フローラB

・ラズワルド×リリスB

・ゼロ×リリスC

・ラズワルド×ルーナC

・ラズワルド×エリーゼC

・レオン×サクラB

・レオン×カザハナC

・オーディン×ニュクスC

・サイラス×エルフィC

・モズメ×ハロルドC

●同性間支援の状況(男)

・ジョーカー×ハロルドC

・レオン×ツバキB

・ギュンター×サイラスC

●同性間支援の状況(女)

・フェリシア×ルーナA

・フェリシア×エルフィC

・フローラ×エルフィC

・ピエリ×リリスC

・ピエリ×カミラC

・エルフィ×モズメC

 今日はスレ立てだけです。本篇は後日から始めたいと思います。

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・クラーケンシュタイン城『地下牢』―

サイラス「……嘘じゃなかったんだな、捕まったっていうのは」

カムイ「その声はサイラスさん? はは、すみません。心配を掛けてしまいましたか?」

サイラス「当り前だ! それにお前はシュヴァリエと結託して、王都で反乱を企てていたと……」

カムイ「ふふっ、どんどん尾がついて行きます。そのうち、私はすでに反乱を起こしていたが、王都守備隊が事前に制圧していたという話がつくかもしれませんね。私に付いていたといことで、皆さんに白い目が向けられないといいんですが」

サイラス「構うものか。カムイ、待っていてくれ。俺たちはお前の無実を必ず……」

カムイ「それはだめです」

サイラス「なぜだ、カムイ」

カムイ「サイラスさん、あなたは一介の騎士なんですよ。マクベスさんが私を嵌めたことに間違いはありません」

サイラス「だからこそ、俺は!」

カムイ「そう言う風に、私の無実を訴えるのをあの人は待っているんですよ。マークス兄さんやカミラ姉さん、エリーゼさんにレオンさんがそれを言うに問題はありませんが、サイラスさんのように背景を持たない人は、すぐに反逆者の烙印を押されることになるでしょう」

サイラス「そ、それは……」

カムイ「そんなことで、私はサイラスさんや他のみんなを失いたくはありません。ですから、静かに待っていてもらえませんか?」

サイラス「……わかった。お前がそう言うなら、俺は何も言わない」

カムイ「ありがとうございます。あと他の方たちにも出来る限り落ち着いて行動するように呼び掛けてほしいんです。ハロルドさん辺りは、大きな声で叫んでそうな気がしますから」

サイラス「ははっ、確かにな。わかった、みんなにも伝えておくよ」

カムイ「はい、よろしくおねがいしますね」

サイラス「………」

カムイ「サイラスさん、どうしました?」

サイラス「いや、その。あまり不安そうじゃないと思って、いきなり捕まってここに入れられたっていうのに、なんだかすごく落ち着いているから」

カムイ「そうでもなかったんですよ? 最初は不安でしたから、でもアクアさんに慰めてもらいました」

サイラス「そ、そうか……はぁ」

カムイ「?」

サイラス「いや、その……」

カムイ「なにか、悩みごとでもあるんですか?」

サイラス「あ、あるというか。現在問題で起きているというか」

カムイ「歯切れが悪いですね。サイラスさん、私とあなたの仲なんですから、気にせず話してください」

サイラス「……その、すごく女々しいことなんだ」

カムイ「女々しいことですか?」

サイラス「俺はカムイと再会するまで、あの頃と同じで泣き虫な人を想像してたんだ。それで……俺のことを頼ってくれるというか」

カムイ「………」

サイラス「その――すまない、おかしなことを言ってるのはわかってるんだ。でも――」

カムイ「ふふっ、それは昔みたいにもっと頼って欲しい、そう言うことですか?」

サイラス「……そういうことだ。すまない、こんなこと口に出すことじゃないとは思っていたんだけど」

カムイ「いいですよ。でも、そうですか。サイラスさんはそんなことを考えていたんですね」

サイラス「親友の力になりたいと思うのは当たり前のことだからな」

カムイ「ふふっ、サイラスさんはいい人ですね」

サイラス「いい人じゃないさ。ただ、親友に頼られたいっていう願望をもってる、そんな男だよ」

カムイ「そうかもしれませんけど、その思い確かに受け取りました。困ったことがあったら、頼らせてもらいます」

サイラス「……いや、そう言う意味じゃないんだけどな」ボソッ

カムイ「? サイラスさん?」

サイラス「なんでもない。それじゃ、俺は皆に伝えてくるから、カムイ必ず戻って来るんだぞ」

カムイ「はい、外で再会できるのを楽しみにしてますね」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~
エリーゼ「カムイおねえちゃん、大丈夫? 痛いことされたりしてない?」

カミラ「変なことした兵士がいたら言ってちょうだい、三枚に下してあげるから」

カムイ「ははっ、到着早々に物騒な話は駄目ですよ、カミラ姉さん。特に何も悪いことはされていませんから、まぁ、所持品は取り上げられてしまいましたけど、命が助かったのは不幸中の幸いです」

レオン「はぁ、本当に姉さんは肝が座ってるね。だから心配の必要なんてないって言ったじゃないか」

マークス「……ふっ、そう言うのは急いで着てきた法衣を見直してから言うんだな、レオン」

レオン「!? こ、これは……ああ、もうっ!」

カムイ「ふふっ、皆さん変わりませんね。なんだか安心しました」

マークス「そう言うカムイ、お前もな。元気そうで何よりだ」

カムイ「はい、マークス兄さん。あの、アクアさんのことですけど」

カミラ「大丈夫よ、私たちは誰もアクアがマクベスにこのことを漏らしたなんて思っていないわ。あの子はカムイのこと、とても大切に思っているもの。私はそんなアクアが今回のことを仕掛けたなんて思わないわ」

エリーゼ「うん、あたしも。アクアおねえちゃんも可哀そうだよ、こんな風に疑われる立場にされるなんて」

レオン「……僕の責任でもあるからね。アクアにもカムイ姉さんにも迷惑を掛けてしまったから、ごめん」

マークス「マクベス達の動きには気づいていた。それを悠長に放っておいた私の責任だ、レオンが気に病むことではない。それにアクアはマクベスに巻き込まれたのこと、それを責めるつもりなどない」

カムイ「皆さん、ありがとうございます。アクアさんのことを信じてくれて」

エリーゼ「当然のことだよ。だって、おねえちゃんだもん!」

カミラ「そうね、私にとっては可愛い妹だもの」

レオン「うん、でも今はその話よりも大事なことがあるから、アクアのことはひとまずここまでにしておこう」

マークス「そうだな。カムイ」

カムイ「私の処遇について……ですね。私がクリムゾンさんと出会って、帰国した直後に起きた反乱、今では話に尾がついて、王都で反乱を企てようとしていたということになっているらしいですね」

マークス「ああ、根拠も何もない話だが、お前の台頭を面白く思っていない者たちはマクベスの話に賛同している状態だ。正直、芳しくない」

カムイ「そうですか……」

レオン「多くが父上に長く仕えてきた人たちばかりだから、影響力が強い。僕たちも色々と根回しはしてるけど、もうほとんどの者に息が掛ってる状態だ」

エリーゼ「そ、そんなのないよ。カムイおねえちゃんは悪いことなんてしてないのに」

カミラ「ふふっ、エリーゼ。そうすぐに声をあげるものじゃないわ」

エリーゼ「カミラおねえちゃん、どうしてそんなに冷静なの、このままじゃカムイおねえちゃんが、殺されちゃうかもしれないのに」

カミラ「ええ、そうね。でも、レオンとマークス兄様を見てると、まだ慌てるような場面じゃないと思えるのよね」

マークス「ふっ、カミラには隠し通せるものではないな」

レオン「そうみたいだね、兄さん」

エリーゼ「ど、どういうこと?」

マークス「確かにマクベスの意見に賛成する者は多いが、その多くがカムイの反逆の罪に踊らされている。不服ではあることだが、今はその幻想に多くの物が揺れ動かされているのも確かだ」

レオン「カムイ姉さんが暗夜に戻ってから最初に取り掛かった任務、フリージアの反乱平定だったよね?」

カムイ「そうですね」

レオン「その無血平定の話は反乱活動を始めようとしていた部族にも届いて、多くの部族村がその刃を納めた形になってる。実感できないかもしれないけど、姉さんの行動は多くの部族に認められてる。つまり、その姉さんが反逆を企てていたということがわかって、今起きているシュヴァリエ公国の反乱に躍動する形で動けば……」

カムイ「そんなおとぎ話みたいなことありえるんですか?」

レオン「だから言ったでしょ? これは幻想だって、そんなこと起こり得るはずもないよ。でも、保身の塊みたいな人たちは、その見えない脅威に怯えてる。マクベスもこんなことになるなんて思ってもいなかっただろうけど。現実問題、姉さんを処刑することによって地方部族が一斉決起したとしたら、シュヴァリエ公国にいる白夜軍は、すぐにでも祖国に連絡して無限渓谷から攻めてくるだろうからね。そう簡単に姉さんの処罰を決められない」

マークス「その間に、私は父上に掛け合っておく。どんな形であろうとも、私はお前をこの場所から出してみせよう。だから心配ゼスに待っていてくれ」

カムイ「そうですね、今は待つことしかできませんから。でも、あまり無茶はしないでください」

~~~~~~~~~~~~~~~
―クラーケンシュタイン城『作戦会議室』―

貴族「――であるからして、確かにマクベス軍師の考えは認めますが」

貴族「――地方部族とのパイプをもつかもしれない、カムイ様を処刑することで――」

貴族「私の領土は地方部族に囲まれている。もしも処刑を執り行い、反乱が起きたらどうやって守ってくれるのだ?」

マクベス「……貴族とあろう方々が、何を迷っているのかと思えば、そんなものは幻想です。カムイ王女が与える影響力など、微々たるもの。それに、まさか地方を納めるあなた方が、部族の反乱を抑えられないと?」

貴族「そ、そういうわけではない。白夜との戦いを考えれば、こんなところで大きな火種となることをする必要もない、そう言っているだけだ」

貴族「別にカムイ王女を殺すことに反対しているわけではない。今はシュヴァリエの反乱を抑えることの方が先であろう? 軍師マクベスともあろう方が、優先順位を間違えることなどないと思いますがな」

マクベス「そうですか。皆さんの考えはわかりました、一度休憩としましょう」

貴族「マクベス軍師、私たちの考えは変わりませんので、何度話し合おうとも結果は変わりませんぞ」

マクベス「………」

マクベス「くっ、どうしてこうも最後にうまくいかないのか。こんなところでも私の邪魔をするというのですね、カムイ王女」

マクベス「あの者たちもあの者たちだすね。そんなことが起こり得るわけないと、なぜ気付かないのでしょう。どちらにせよ、カムイ王女を処刑することは敵いませんな」

マクベス「………」

マクベス「……そうです。なぜ、気付かなかったのでしょうか。これほどにいい考えはありません。すぐにガロン王様に御話いたしましょう」

ガンズ「マクベス様」

マクベス「ん、ガンズですか。前回のシュヴァリエでの働きで、一軍を率いることになったそうですな」

ガンズ「へへっ、殺すだけで階級が上がるんだからな、これくらい同然のことよ」

マクベス「ふっ、そうですか。ガンズ、こんどのシュヴァリエ公国の反乱平定の件は聞いているでしょうな?」

ガンズ「ああ、シュヴァリエの奴らをぶっ殺せばいいんだろ? 簡単な作業じゃねえか」

マクベス「ええ、確かあなたの部下であるゲパルト兄弟も参加されるらしいですが、一つ妙案が浮かびました」

ガンズ「へっ、人を殺せるならなんでも構わねえよ。マクベス様よぉ」

マクベス「ええ、大丈夫です。どちらにせよ、多くの人を殺すことができますよ。そして、これはカムイ王女にとってはチャンスとなり得る話、ガロン王様もきっと聞いてくれるはずですからね。さて、カムイ王女、あなたは一体どういう行動をするのでしょうな?」

 今日はここまでになります。しばらくはこんな暗い感じで話が進むと思いますので、よろしくおねがいします。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
―クラーケンシュタイン城『王の間』―

マークス「父上、マクベスの話は信憑性に欠けている箇所があります。カムイが反乱の手引きをしたという証拠もねつ造されたものと考えるべきです」

ガロン「しかし、現にシュヴァリエ公国で反乱は起きた。カムイの客人がシュヴァリエの人間であったことは知っている。それを踏まえ、マクベスはカムイの捕縛を行ったとしている」

マークス「……ですが父上、シュヴァリエの反乱にカムイが加担していたという証拠はありません。それに、カムイが王都での反乱を企てていたという話。それが本当ならば、カムイの賛同者が既にことを起こしているはず」

ガロン「闇に隠れ、気を伺っているとも考えられる。マークス、カムイに掛った疑いは暗夜の規律にも影響を与えることになる、すべてを不問とし、終わりにするというのはあまりにも軽率なことだとは思わぬか?」

マークス「そ、それは……」

 コンコン 

ガロン「誰だ?」

マクベス「ガロン王様、マクベスです。本日はカムイ王女の件でお話に上がりました」

ガロン「ふん、入れ」

 ガチャン バタン

マークス「マクベス……一体何の用だ?」

マクベス「おや、マークス王子。どうやらカムイ王女の件でガロン王様にお話のようですね。どうやら私と同じようだ」

マークス「………」

ガロン「して、何用だマクベスよ?」

マクベス「ええ、ガロン王様。今回のカムイ王女の捕縛の件で、一つ謝らねばならないことが」

マークス「……なに?」

マクベス「マークス王子、申し訳ありません。シュヴァリエの反乱と同時にカムイ王女が王都で反乱を起こす。そう信じた上でこのマクベス、行動に出ざるを得なかったのです。ガロン王様のこと、そして暗夜王国で暮らす民のことを思えば、この私の考え抜いた末の判断、理解していただけると思います」

マークス「……よくもそのような詭弁を」

マクベス「詭弁ではありません。現にこうしてガロン王様に陳謝に訪れているのですから、マークス王子、私はカムイ王女にも謝罪したいと思っているのです。ですから、ここにカムイ王女をお呼びいただけないでしょうか?」

マークス「……」

マークス(何を考えている……。呼んでよいことなどあるわけがないことくらい理解できるぞ、マクベス)

ガロン「マクベスよ。お前は自身の行いに非があった、そう言うのだな」

マクベス「はい、ガロン王様。緊急事態であったとはいえ、カムイ王女を捕らえ拘束したことは事実です。カムイ王女に謝罪の一言を、ガロン王様、この王の間で行うことをお許しいただけますか?」

ガロン「……いいだろう」

マクベス「ガロン王様、御許しありがとうございます」

ガロン「マークス。カムイをここに連れてくるがいい」

マークス「父上……わかりました」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

カムイ「マクベスさんが、私に謝罪を?」

マークス「正直、あの男がそんなことを心からするはずもない。何か狙いがあるのだろう……」

レオン「そうだね。これほど、信用できない謝罪を受けることになるなんて、姉さんに同情するよ」

カミラ「本当ね。謝るくらいなら、もともとこんなことをするはずないもの……」

エリーゼ「カムイおねえちゃん、大丈夫だよね?」

カムイ「はい、まずはマクベスさんの謝罪を受けてみましょう。話はそれからというものです」

マークス「父上、マークスです」

ガロン「うむ、入るがよい」

カムイ「お父様、このような格好で御前に立つことを、お許しください」

ガロン「ふっ、話はすでに聞いているだろう。此度、お前をシュヴァリエとともに反乱を企てる反逆者として捕らえたマクベスが陳謝したい、そう言っている」

マクベス「……これはこれは、少しばかり汚れてしまったようですなカムイ王女」

レオン(これが、謝罪をする人間の態度か? 反省の気配なんてどこにもないじゃないか)

カミラ(私のカムイに汚れてしまったなんて、その口を糸で結んでしまいたくなるわ)

カムイ「ええ、おかげさまで。それで、私に謝罪をしたいという話でしたが?」

マクベス「はい、このマクベス、国を思うあまり、暗夜王国で事が起きていないというのにカムイ王女を捕縛したこと、誠に申し訳なく思っております」

カムイ「……」

マクベス「しかし、これも暗夜の平穏を願うが故の行為、どうかお許しください。暗夜国内で反乱がおきていない以上、その点に関して言えば私の行為は間違っていたこと、これは認めなくてはいけません」

レオン「なら、一度くらい頭を下げたらどうなんだい? 姉さんを疑っておきながら、言葉だけを並べるだけ、頭を下げないで陳謝とは笑わせるよ」

マクベス「ええ、そうですね」

マクベス「ですが、陳謝をするには、まだまだ早いというものです。カムイ王女」

カミラ「……マクベス、どういうつもりかしら? お父様の前で、こんな茶番を演じてただで済むと思っているのかしら?」

マクベス「いえいえ、私は陳謝したいことがあったとは言いました。それはこの王都で何も起こっていないということに対してのものです。シュヴァリエで反乱が起きたのは事実、そうでしょう?」

カミラ「……それは」

ガロン「ふっ、マクベスよ。お前の考え理解した」

マクベス「ガロン王様」

ガロン「カムイよ」

カムイ「はい、なんでしょうか、お父様」

ガロン「マクベスが言っていること、お前は理解しているだろう」

カムイ「陳謝の完了は、私の疑いが晴れた時、そう言うわけですね?」

マクベス「流石はカムイ王女、とても聡明でいらっしゃる」

マークス(何が陳謝したいだ、マクベス……)

ガロン「カムイよ、お前のことを未だ信用していない多くの者たちがいる。言葉での申し開きに意味など無いことをお前は理解しているだろう」

カムイ「……結果を示せ、ということですか?」

ガロン「そうだ、言葉ではない。お前が反逆者でないということを、お前自身の働きによって示さぬ限り、いずれは処刑されることになるだろう」

カムイ「……マクベスさん。私に何を望むというのですか?」

マクベス「ふん、簡単なことです。カムイ王女、私はあなたがシュヴァリエと繋がっているという情報をもとにあなたを捕縛したのですから、あなたがシュヴァリエと繋がっていないという証拠を見せていただければよいのですよ」

エリーゼ「そ、それって……」

マクベス「エリーゼ王女でもお分かりになることですから、カムイ王女もわかっていると思いますが?」

カムイ「……私に、反乱を抑えろというのですか?」

ガロン「その通りだ。シュヴァリエ公国の反乱を鎮圧しろ。これほど簡単に身の潔白を証明できる方法はないとは思わぬか?」

カムイ「私が反乱分子だとするなら、そんな場所に送り込む理由がわかりませんよ。お父様」

ガロン「ふっ、確かにお前がもしも本当に反逆者だとするならば、そんな場所にお前を送るわしは無能な王となるだろう。だが、ただ行かせるつもりなはない」

カムイ「……?」

ガロン「カムイよ、これはお前に与える機会だ。そして同時にわしはここにいる息子、娘たちに問いたいことがある」

レオン「父上?」

エリーゼ「お父様?」

ガロン「カムイがシュヴァリエの鎮圧に失敗したとき、もしくはお前が寝返り反逆が真実であるとされたとき、死ぬ覚悟があるかということをな」

カムイ「……私の任務完了まで誰かに人質になれと、おっしゃるのですか?」

ガロン「うむ、お前に従える一介の兵士なら、安い命と投げ出すだろう。だが、ここにいる息子や娘は違う。それぞれに役割があり、暗夜王国にとって重要な人物であり、お前にとっては共に過ごしてきた兄妹だ。お前の身が潔白であることを証明するには、対等な存在と言えるだろう」

カムイ「……なぜ、このようなこと」

ガロン「ふっ、我が子を信じている、それだけのことだ……。だが、お前が暗夜を我を裏切ったとき、その時は容赦なく、人質となった者は死ぬことになるだろう。なに、お前が反逆者でないと証明されれば、何の問題もない」

カムイ「………」

マークス「父上」

ガロン「なんだ、マークス?」

マークス「その人質、私がなりましょう」

レオン「ちょっと兄さん。抜け駆けはよくないよ」

カミラ「そうよ。カムイにお姉ちゃんらしいところを見せられる絶好の機会じゃない。私も譲りたくないわ」

エリーゼ「あたしもなる! カムイおねえちゃんの役に立ちたいから、それにカムイおねえちゃんのこと信じてるもん」

カムイ「皆さん……」

マクベス「ふっ、生憎ですが。マークス王子以外に人質になってもらう必要などありません」

エリーゼ「な、なんで!?」

マクベス「マークス王子以外の方々は人質にはなりえないと考えています」

カムイ「……皆さんのことも反逆者だと疑っているのですか?」

マクベス「おやおや、私は何も言っていませんよ。それではまるで、そうであるかのように聞こえてきますな」

カムイ「……」

マクベス「まったく、王族すべてを巻き込もうとしているのは、あながち間違いではないのかもしれませんな。王族が疑われては、国の威厳にもかかわりますのでね」

ガロン「マクベスは、お前にこそ人質の価値があると言っている。マークスよ、お前はカムイのためにその命、掛ける覚悟はあるか? カムイが反逆者でないと信じ、ここで待つことができるか?」

マークス「はい、父上。その思いと先ほどの言葉に嘘偽りはありません。私はカムイの帰りを待ちましょう」

カムイ「マークス兄さん」

マークス「心配するな。それに久々に兄らしいことができる、少しは私のことを頼って欲しい」

ガロン「ふっ、マークス。お前の誓い、確かにわしは聞きとめた。よかろう、お前をカムイの任務が終わるまでの間の人質とする。その身柄、確保させてもらおう」

マークス「はい、父上。……カムイよ、お前にこれを授ける。すべての任を果たしたとき、これを私に返しにきてほしい」

カムイ「……これは、ジークフリート。これは兄さんの暗夜王子としての証です。今、反逆者と疑われている私が持っていいものでは……」

マークス「今の私は暗夜第一王子マークスではない。妹を信じるただの兄だ、お前が無事に帰ってきてくれたとき、私はもう一度、暗夜王国の王子に戻る」

カムイ「マークス兄さん」

マークス「これを預けることはその証と思ってほしい。お前を信じているという、その証としてな」

マクベス「……衛兵。マークス王子を」

衛兵「はっ。マークス王子、失礼いたします」

マークス「ふっ、このように腕輪をつけられるのも一興というものだ」ガチャ

カムイ「マークス兄さん、必ずジークフリートをお返しに上がりますね」

マークス「ああ、しばらく待たせてもらおう。カミラ、エリーゼ。カムイのこと、よろしく頼んだぞ」

カミラ「ええ、任せてマークス兄様、きっと守ってみせるわ」

エリーゼ「うん、あたしも頑張るからね!」

レオン「本当、かっこよく決めちゃって。そういうところずるいよ兄さん」

マークス「ふっ。少しくらいは格好良く決めさせてもらいたいのでな。レオン、お前はお前のできることをしろ」

レオン「わかってるよ。いろいろとやるべきことはあるみたいだからね」

マークス「そうか、ならもう何も心配することはない。待たせた、では案内をよろしく頼む」

衛兵「はっ」

 カツンカツンカツン ガチャ バタン

ガロン「では、カムイ。お前がすべきことを伝えよう」

カムイ「はい――お父様」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
―暗夜王国・地下牢―

暗夜兵「よし、言われた通りに揃えられたか?」

暗夜兵「ええ、これで全部ですね。しかし、反逆者として連れてこられて、牢を出たと思ったら、今度はシュヴァリエ鎮圧とは、王女様はとても多忙だねぇ」

暗夜兵「別にどうでもいい話だがな。俺たちは言われたとおりに見張って、牢を出た奴の品を言われたとおりにそろえておくのが仕事だ」

暗夜兵「違いねえ。それにしてもおかしな剣だぜ。刀ってやつは見たことがあるが変わったものを振り回してるよな」

暗夜兵「そうだな、しかし、あんな格好で歩き回ってて、男の視線をってやつを感じないのかね? 俺なんて、食事を出すときすげぇみちまったよ」

暗夜兵「いいなお前、俺の時は真夜中だからよ。いつもぐっすり眠ってるし、王族が入る特殊牢には入る機会もないんだぜ?」

暗夜兵「へっへん、運だよ運。おれは運がいい方なんだよっと。さてと、それじゃ俺はこれをマクベス軍師に渡してくるから、しばらくの間、頼んだぞ」

暗夜兵「へいへい……それにしても、カムイ王女が捕らえられた時に持ってたものの中に変なのあったなぁ」

「少し黒くなった石なんて、一体何に使うんだろうねぇ?」

第十一章 前篇 おわり

第十一章→×

第十二章→○

 今日はここまでになります。マクベスがいっぱい動き過ぎてる気がしてきた。
 カム子ダークブラッドの敵撃破後の決めポーズのハイレグはとてもイイものだなっておもう

 この先のことを安価で決めたいと思います。参加していただけると幸いです

◇◆◇◆◇
 マカラスまでの道中、カムイと話をすることになるキャラクター

 アクア
 ジョーカー
 ギュンター 
 フェリシア
 フローラ
 リリス
 ラズワルド
 ピエリ
 ゼロ
 オーディン
 カミラ
 ベルカ
 ルーナ
 エリーゼ
 ハロルド
 エルフィ
 サイラス
 ニュクス
 モズメ
 リンカ

 一人目は>>30 二人目は>>31でお願いします。

おつ
ギュンター

ゼロで、よろしく。

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・マカラス街道―

カムイ「………」

ガロン『カムイよ。お前の身の潔白の証明は反乱の鎮圧で証明される。だが、お前だけでそれを成し遂げるのは至難の業、そこでだ、お前に正規兵の指揮権を与える。これはマクベスよりの提案だ』

マクベス『ええ、無論監視の意味も兼ねていることは言わずもわかることでしょう。どちらにせよ、反乱の波は広がりつつあります故、迅速な指揮でシュヴァリエの鎮圧をよろしく頼みます。なに、私もあとから現地に向かいます故、よい結果を期待していますよ』

カムイ「鎮圧……ですか」

リリス「カムイ様、大丈夫ですか?」

カムイ「え、ええ。すみません、考えごとをしていたみたいで」

リリス「まだまだ、マカラスまで時間が掛るみたいですから、すこし気分転換に歩かれてはどうでしょうか?」

カムイ「……そうですね。リリスさん、目印になる紐をいただけませんか?」

リリス「はい、こちらを私が握ってますのでゆっくり歩いてください。それに行軍は思ったよりもゆっくりですから、大丈夫だと思いますから」

カムイ「はい、お手数を掛けます」

リリス「いいえ。あの日は御役に立てず申し訳ありません、私はまたカムイ様を守れませんでしたから」

カムイ「いいんですよ。無理をしてリリスさんに何かあったりしたら、そっちの方がおおごとです。では、あとはよろしくお願いしますね」シュタッ

リリス「はい、わかりました」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ギュンター「む、カムイ様。どうなされました、リリスと一緒だったはずですが?」

カムイ「ギュンターさん。いえ、気分転換に歩いてきたらどうかとリリスさんに言われまして、知っている気配を感じたので、ギュンターさんでしたか」

ギュンター「なるほどそういうことでしたか。昨日の件、申し訳ありません。マクベス達の強硬を阻止できず、カムイ様に不自由を強いる結果となってしまった、カムイ様に長く仕えておきながら……」

カムイ「いいえ、ギュンターさんの所為ではありませんよ。それにギュンターさんたちが私のために何かをして、その結果捕まってしまわなくて良かったです」

ギュンター「カムイ様、すでに私はこのような老体。命令さえあればこの命、喜んで差し出す所存ですぞ」

カムイ「ギュンターさんが死んでしまっては、あの小説の続きを読んでくださる人がいなくなってしまうじゃないですか?」

ギュンター「うっ、あれを読み聞かせることのほうが、私としては辛いものがあります」

カムイ「ふふ、たしか今は庭園で王子と姫が愛を語り合う場面でしたね。でも愛を語り合うとは一体どういうものなのでしょうか?」

ギュンター「そ、そうでしたかな?」

カムイ「『陶器のように滑らかな曲線』とは、一体どこの部位を指しているんでしょう? あの話に出てくる王子は姫のことをまるで芸術品の用に例えますから、少し難しいんです」

ギュンター「カムイ様」

カムイ「あと姫の『卑しい泉にあなたが口付をするたびに、私の愛があふれてきます』という発言の意味も私にはわかりません」

ギュンター「……」

カムイ「そもそも、二人はすでに結ばれているというのに、なぜ人の目に付きそうな庭園で愛を語るのでしょうか?」

ギュンター「……そこを理解できないようでは、やはりカムイ様にはまだ早い話と言えますな」

カムイ「そうなんですか? このような成り立ちですから、本を読むことは出来なかったので、やはり私にはあの本は早かったのでしょうか?」

ギュンター「ふむ。カムイ様には確かに早いかも本でしょう」

カムイ「そうなんですか。なら、なおさらギュンターさんに読み聞かせてもらわないといけませんね」

ギュンター「…理由をお聞かせください」

カムイ「だって、ギュンターさんなら私にわかりやすく教えてくれるはずですから。ギュンターさんの教え方はわかりやすので、だから理解のできない駄目な私にいろいろ教えてくださいね?」

ギュンター「……善処しましょう。では、私は隊列に戻りますので……」

カムイ「はい」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ゼロ「行軍中に変な話をするもんじゃないぜ。カムイ様、獣みたいに飢えた狼にパクッと食べられちまうぜ?」

カムイ「ゼロさん。変な話とは一体なんですか?」

ゼロ「……俺に焦らしプレイをさせておいて理解してないっていうんじゃないだろうな?」

カムイ「そうですね。私は手で直接触れる事ばかりなので、物体の名前が出てくると物体として想像してしまうので」

ゼロ「ほぅ、そりゃ面白いねぇ。あんな風に顔をペタペタと触って、言葉で責めてくるもんだから、そういう世界のことは知っているとばかり思ってたんだがねぇ」

カムイ「ははっ、なんだかんだで箱入りなんですよ。知らないことはたくさんありますから……」

ゼロ「……気に入らないねぇ。そうやって開き直るところとか、特にねぇ」

カムイ「それくらいしか出来ないんですよ。それに、そう言ったほうがゼロさんは私に興味を持ってくれると思いまして」

ゼロ「……そうかい。まったく、人をおちょくるのは一級品だねぇ。本来なら俺がカムイ様にちょっかい出して、困惑させる側だと思ったんだが」

カムイ「いいじゃないですか。あの日、顔を触ってからあまり話す機会もなかったんですし、それにゼロさんとしてはこんな振舞いのほうが気楽で良いでしょう?」

ゼロ「へっ、言ってくれるねぇ。それじゃ、今度話す時は、こっちがあんたに興味を持たせる番ってわけだ。やられっぱなしは面白くないんでね」

カムイ「はい、そう言ってもらえると私としては嬉しいです」

ゼロ「ああ、それじゃ俺も隊列に戻させてもらうぜ。カムイ様も飢えた狼に食べられる前に、さっさと元の場所に戻って置いた方が身のためだぜ」

カムイ「はい……」

ゼロ「……それじゃな」

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・賭博の町マカラス『宿舎』―

エリーゼ「カムイおねえちゃん……」

カミラ「そう、マクベスが正規兵の話をしているのに、全く気に掛けなかった本当の理由は、すでに手回しが済んでいたからだったのね」

アクア「流石に予想できなかったわね。てっきりあとからマクベスと一緒に来ると思っていたから。いや、そもそも参加するかもわからなかった事だもの」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ガンズ『待っておりましたカムイ王女』

カムイ『その声は……ガンズさん?どうしてこの場所に?』

ガンズ『おや、すでに話は聞いていると思いましたが。私も反乱鎮圧のためにシュヴァリエへと向かうことになっているのです』

カムイ『初耳ですね』

ガンズ『では、覚えておいてください。今回の戦い、私もお力添えしますゆえ、どうか大舟に乗った気持ちでいてください』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

エリーゼ「大船なんて言ってたよね」

カミラ「どう見ても泥船よね……緩やかな川も渡れそうにないわ」

アクア「そうね、その考えに異論はないわ。でも、これは監視をしているというマクベス側からの脅しでしょうね」

カムイ「そうでしょうね。下手なことをすれば……。ふふ、仕方ありませんね。私は今反逆者として扱われているのですから」

エリーゼ「ねぇ、カムイおねえちゃん」

カムイ「なんですか、エリーゼさん」

エリーゼ「あのね……。カムイおねえちゃんはその、シュヴァリエの騎士さんのこと、どう思ってるのかなって……」

カムイ「……どうとは?」

カミラ「カムイ。それは私も聞きたいことよ」

アクア「カミラ?」

カミラ「どちらにしても、カムイが疑われる原因となったことだもの。それくらい、カムイはその騎士と共に過ごしたのでしょう?」

カムイ「そうですね。確かに少しの間ですが、一緒に過ごしました。私を訪ねてくれた人です、おもてなしはできる限りしたかったので」

カミラ「そう、でも、その客人が記憶した直後に反乱が起きたわ。でも、お姉ちゃんはそんなことを気にしてるんじゃないわ」

カムイ「?」

カミラ「カムイ、あなたにとってその客人はどういう人になったのかしら?」

カムイ「どういう意味ですか?」

カミラ「ふふっ、カムイ。本当なら、あの騎士を売ってしまえば丸く収まることなんてわかっていたはずでしょう?」

アクア「カミラ、その言い方は」

カムイ「……そうですね。これほどの大事にはならなかったでしょうから」

カミラ「そんなことわかってるはずなのに、どうしてしなかったの?」

カムイ「………」

カムイ「……約束をしたからです。その約束を違えるわけにはいきませんから」

カミラ「……それだけ?」

カムイ「それだけですよ」

カミラ「それじゃ、納得出来ないわ」

カムイ「そうですか……」

カミラ「カムイ、わかっているのに誤魔化しているの? それとも……」

カムイ「カミラ姉さん。今日はもうこんな時間ですから、そろそろお部屋に戻って休んでください」

カミラ「……そうね。こんな時間だもの、お肌に悪いわよね」

エリーゼ「カムイおねえちゃん……」

カムイ「エリーゼさんも、早く休んだ方がいいですよ。明日からは城壁を攻めなくてはいけませんから、長く休めるのは今日くらいなものです」

エリーゼ「うん、わかった……」

アクア「……カムイ」

カムイ「……アクアさんもです。私は大丈夫ですから、ゆっくり休んでください」

カミラ「ええ、それじゃおやすみなさい、カムイ」

カムイ「ええ、おやすみなさい」

 ガチャ バタン

カミラ「……はぁ」

エリーゼ「カミラおねえちゃん……」

カミラ「大丈夫よ」

アクア「カミラ、さっきの質問はどういうことかしら? まさか、カムイを疑っているの」

カミラ「いいえ、疑ってはいないわ。カムイは大切な妹だもの」

アクア「じゃあ、どうして」

カミラ「心配なの。今のカムイを見ているとね」

エリーゼ「うん、あたしも、よくわからないけど、心配だよ」

アクア「カミラ、カムイの何が心配だというの?」

カミラ「……カムイは自分の考えだけで、ここまでうまくやってきたわ。フリージアの反乱鎮圧、黒竜砦、港町ディアでの戦い、そしてマカラス奪還戦。だから心配なの」

アクア「カムイが浮足立ってる、そう言いたいの?」

カミラ「いいえ、違うわ……。私もうまく言葉にできないことで困ってるの。成功し続けて浮足立って失敗することは誰にだってあることよ。でも、カムイに対して思ってる心配はそう言うものじゃないの……」

アクア「……?」

カミラ「私たちが付いているの、カムイをむざむざ反逆者に仕立て上げるつもりはないわ。全力でサポートして、あの子の無実を証明して、マークスお兄様の元に帰る。これは変わらないことよ」

アクア「じゃあ、一体なにが心配だというの?」

カミラ「……カムイは失敗することを想定して動いてるわ。でも、それは自分自身が起こす失敗に対してのものばかりだから、私はそれが心配なのよ」

アクア「カミラ……」

カミラ「ごめんなさい、やっぱり長旅で疲れているのかもしれないわ。カムイにこんな風に突っかかるなんて、いつもの私じゃないもの。エリーゼ、一緒にお風呂に入りましょう?」

エリーゼ「うん……」

アクア「エリーゼも、カムイのことが心配なのよね?」

エリーゼ「……カムイおねえちゃん、あたしとカミラお姉ちゃんの質問にちゃんと答えてくれなかった。でもね、それはあたしたちのことを考えて答えなかっただけだと思うの……。だから、心配になるの。カムイおねえちゃん、自分が犠牲になればって思ってるんじゃないかって……」

アクア「……そう」

カミラ「アクアも、心配なんでしょう?」

アクア「それはそうよ。今回の件は私に――」

カミラ「そうあなたが言った時もカムイは、アクアの所為じゃないって言ったんじゃないかしら?」

アクア「!」

カミラ「図星みたいね」

アクア「確かにそう言われたわ……。でも、あれは」

カミラ「カムイの優しさって考えれば、簡単かもしれないけど。私は違うんじゃないかって思えるてきたの。だから心配なのよ」

アクア「?」

カミラ「あの子の優しさは、後々に花開く結果が待っているものばかりよ。それが、もしも花開かないものになってしまった時、カムイがどうなってしまうのかと考えると……ね」

アクア「カムイ………」

カミラ「考え過ぎなだけかもしれないけど。そうならないように私はあの子を全力で守りたいけど、叶わない時がいつか来るはずだから」

アクア「……」

エリーゼ「カムイおねえちゃん……。一人で悩み詰めないといいんだけど……」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

カムイ「クリムゾンさん、大丈夫です。ちゃんと、あなたと剣を取りあえるように全力を尽くしますから……」

「だから待っていてください……」

◆◆◆◆◆◆
―賭博の町・マカラス『下級宿舎』―

シャーロッテ「はぁ、休みの間に一度城壁が落ちて、また休みの間に城壁が落ちるって、どんだけ手抜きなんだよ」

ブノワ「だが、運が良かった。あの場にいたら、とてもじゃないが生き残れなかっただろうからな」

シャーロッテ「それはそうだけどよ。色目使ってた指揮官は無能ってことで階級下げられてるし、せっかくの苦労が水の泡じゃねえか」

ブノワ「ふっ、大変だな」

シャーロッテ「大変だな、じゃねえよ。大損だよ! それに、今はシュヴァリエと白夜の連中が乗っ取ってる所為で、食い扶持も厳しい状態だし、反乱するなら反乱するって事前に通達しろって話よ!」

ブノワ「律儀な奴らならそうするだろうさ。どちらにせよ、こうしてマカラスに身を置いて時間も経った」

シャーロッテ「何々、なんかいい話でもあるわけ?」

ブノワ「いい話、というわけではない。戦わなければならないからな、俺はできれば戦いなどしたくないが、生きるためには仕方がない」

シャーロッテ「そうね。実家への仕送りとか、目を付けた相手に送る弁当の材料とか、化粧費用とか考えたら、このままってわけにはいかないわよね」

ブノワ「ふっ、お金の使い道が色々とあって大変だな、シャ―ロッテは」

シャーロッテ「ええ、それで、その御金を稼ぐ仕事の話ってなによ?」

ブノワ「夕方頃、シュヴァリエの反乱鎮圧のための部隊がマカラスに入ったらしい」

シャーロッテ「ああ聞いた聞いた。でも、高級士官クラスはいないんでしょう?」

ブノワ「そこまではわからない」

シャ―ロッテ「使えないわね」

ブノワ「そういうな」

シャーロッテ「で、それがお金になるのはなんでよ? もしかしてしばらくここに滞在するわけ、ならすぐに物色に行かないと!」

ブノワ「いや、明日には城壁攻略を始めるらしい」

シャーロッテ「……物色もできねえじゃねえか!」

ブノワ「ああ、物色をする暇はないだろうな」

シャーロッテ「はぁ、なによ。期待させるだけさせといてこんなオチ? さすがにそれはどうかと思うんだけど」

ブノワ「いや、シュヴァリエ公国の反乱鎮圧に加勢してくれる兵を募集しているらしい。報酬は歩合だそうだが、参加するだけでも一か月分の給料に相当するものを出すと言っている」

シャーロッテ「それ、本当でしょうね」

ブノワ「緊急の募集のようだからな。まだ多くの物は気付いていないだろう、定員も二人ほど――」

シャーロッテ「おっし、ブノワさっさと行くわよ。こんなうまい話、そうそうないし、もしかしたらとってもいい男に巡り合えるかもしれないじゃない?」

ブノワ「ふっ、そうやって顔をコロコロと変えるのを見ていると、ほんとうにたくましい奴だと思うよ」

シャーロッテ「たくましいって失礼ね。こんなにか弱い女子を見てたくましいなんて」

ブノワ「そうだな、だが早くしないと募集が締め切られてしまうかもしれないぞ」

シャーロッテ「それは困るっつーの!それじゃシャ―ロッテ、出動!」

ブノワ「……あまり、誰も倒さずに済むといいんだがな……」

◇◇◇◇◇◇
―国境の城壁内部―

???「首尾は?」

???「ああ、偵察はすでに終えた。予想通り、マカラスに討伐兵が集まっているようだ」

???「そうか」

???「カゲロウ、どうした?」

カゲロウ「いや、カムイ様がもしかしたらいるのではないか、そう思ってしまってな。サイゾウはどう思う?」

サイゾウ「……奴は白夜を裏切ったのだ。前に現れるというならば、斬り倒すだけのことだ」

カゲロウ「……そうだったな」

サイゾウ「……だが、リョウマ様はそれを良しとしないだろう。命令を受ければ、その通りに俺は行動するまでだ」

カゲロウ「ふっ、なんだかんだ言ってはカムイ様のことを邪険にできないのだな」

サイゾウ「勘違いするな。命令を受けたならの話、何もなければ……」

カゲロウ「ああ、私もそのつもりだ。だから安心しろサイゾウ……それともなにか、まだ私の胸を好きにしていたカムイ様を許せないのか?」

サイゾウ「…そ、そんなことは」

スズカゼ「おやおや、そんなことがあったのですか。カムイ様の話でこのような雰囲気を見るのは久方ぶりですね」

カゲロウ「!? スズカゼ、いつからそこに」

スズカゼ「先ほどですよ。ここはあまり居心地がいい場所ではありませんので、どこか気を休められる場所をと思っていたら、柔らかい話し声が聞こえたので」

サイゾウ「……やはりスズカゼも感じているか」

スズカゼ「いえ、戦いというものを経験したことのある方なら、この空気は敏感に感じ取れることでしょう。ここに溢れているのは戦場とはまた異なるものですので」

カゲロウ「そうだな。ここは同盟の中だというのに、誰しもが誰かを狙っている、そのように感じる。殺意の眼差しが張り巡らされているようだ」

サイゾウ「……とてもではないが同盟という空気ではない。できれば後続の到着を待つより前に白夜へと戻るべきだった」

カゲロウ「ふっ、リョウマ様がここに残ると仰られたのだ。それに従わずして、臣下が務まるわけがないだろう?」

スズカゼ「そうですね。私は兄さんとカゲロウさんに恩義がありますゆえ、お二人に付いて行く所存です」

カゲロウ「スズカゼ、カムイ様はあの町にいると思うか?」

スズカゼ「……勘を信じるなら、いると思いますが。カゲロウさんはもっと単純にいるかどうかわかると思いますよ?」

カゲロウ「?」

スズカゼ「リョウマ様がこの地に残ったこと、クリムゾンさんのこともありますが。たぶん、感じているのでしょう。カムイ様がここに訪れるという、その確信のようなものを」

カゲロウ「……そうだな。リョウマ様は確信をもってここにおられる。なら、カムイ様がここに来ることも必然か」

サイゾウ「……スズカゼ。お前はカムイ王女に会ったとして、どうする?」

スズカゼ「顔を見たいというだけでは駄目ですかね?」

カゲロウ「ふっ、そうか。なら、私も同じだ。どうあろうと、私とカムイ様が過ごした時間は変わらない。だからかもしれないが、私はもう一度あの方にお会いしたいと思っている」

サイゾウ「はぁ、二人して疲れがたまっているだけじゃないのか?」

スズカゼ「いいじゃないですか、それに。最後の顔合わせになってしまうかもしれないですからね」

―城壁『屋外』―

リョウマ「………」

クリムゾン『リョウマ、ありがとう。私のために頑張ってくれて』

リョウマ「……俺は無力な男だ」

クリムゾン『もう、動いちゃったものは止められないからさ。リョウマは早く白夜に帰った方がいいよ。こんな戦いに参加なんてする必要ないんだからさ』

リョウマ「……俺は何もできない男だ」

クリムゾン『そうそう、カムイといっぱい話したよ。なんかいっぱい触られた、でさ、すっごく可愛く笑うんだよ。本当にさ、そんなカムイと一緒に戦えたら素敵だなって、素直に思ったよ』

リョウマ「……理想しか語れない男だ」

クリムゾン『でも、もうその夢も……消えて無くなっちゃった。リョウマ、もうここには何も残ってないんだ』

リョウマ「……そんな俺ができることは、これくらいだ」

クリムゾン『もう何もないけど、私はここでカムイを待つよ。約束したからさ、その答えを持ってあいつは来てくれるはずだから』

リョウマ「カムイ……力づくでも、お前をこの旗の下に従わせる。それくらいしか、俺にできることはもうない」

クリムゾン『だからさ、リョウマ。もう、こんな国のために頑張らないで』

リョウマ「俺は、俺自身の正義のために…………」

「誰も従ってくれない、正義のために、剣を抜くしか道がないんだ」

○カムイの支援現在状況●

―対の存在―
アクアB+
(カムイからの信頼を得て、その心の内を知りたい)

―城塞の人々―
ジョーカーC+
(イベントは起きていません)
ギュンターC+→B
(恋愛小説の朗読を頼まれています) 
フェリシアC
(イベントは起きていません)
フローラC
(イベントは起きていません)
リリスB   
(一緒に眠ったことがあります)

―暗夜第一王子マークス―
マークスC+
(イベントは起きていません)
ラズワルドC
(あなたを守るといわれています)
ピエリC
(今度はカムイの弱点を探ってみせると息巻いています)

―暗夜第二王子レオン―
レオンC+
(イベントは起きていません)
オーディンC+
(イベントは起きていません)
ゼロC+→B
(互いに興味を持てるように頑張っています)

―暗夜第一王女カミラ―
カミラB
(白夜の大きい人に関して話が上がっています)
ルーナC+
(目を失ったことに関する話をしています)
ベルカC+
(イベントは起きてません)

―暗夜第二王女エリーゼ―
エリーゼB
(イベントは起きていません)
ハロルドB
(ハロルドと一緒にいるのは楽しい)
エルフィC
(イベントは起きていません)

―白夜第二王女サクラ―
サクラC+
(イベントは起きていません)
カザハナC
(イベントは起きていません)
ツバキD+
(イベントは起きていません)

―カムイに力を貸すもの―
サイラスB
(もっと頼って欲しいと思っています)
ニュクスB
(イベントは起きていません)
モズメC+
(イベントは起きていません)
リンカC+
(イベントは起きていません)

 今日はここまでです。
 やっぱり、リョウマとクリムゾンの支援がないのはおかしいと思う。

 次から戦闘に入ります。

 次の展開を安価で決めたいと思います。参加していただけると幸いです。

◇◆◇◆◇

 カムイが一緒に行動することになるチーム。
 
 チーム城塞「ジョーカー、フローラ、ギュンター」
 チーム努力派「フェリシア、ルーナ、モズメ、ハロルド」
 チーム血みどろ「リリス、ピエリ、カミラ」
 チーム暗殺「ゼロ、ベルカ、ニュクス」
 チーム前城壁勤務「シャ―ロッテ、ブノワ」
 チーム御転婆「エリーゼ、エルフィ、ラズワルド」
 チーム遊撃「オーディン、リンカ、アクア、サイラス」

 今回も多数決で決めたいと思いますので>>47から>>53までで一番投票のあったチームにしたいと思います。

◇◆◇◆◇

チーム遊撃

チーム努力派

有効ならチーム前城壁勤務で

―暗夜王国・国境線付近―

カムイ「……どうでしたか?」

暗夜兵「はっ、敵はすでに迎撃態勢を整えていると思われます。激しい戦闘が予想されるでしょう」

カムイ「わかりました……ガンズさんの部隊は弓の有効射程にぎりぎり届かない地点で待機してください。敵は上手にいますから、目測を誤らないように注意してください」

ガンズ「わかりました。それでは、次の指示があるまで待機いたします」

カムイ「さて、どうやって攻略したものでしょうか? 真正面からぶつかったところで、そうそうにうまくいくとは思えませんが……」

 スミマセーン チョットトオリマスネー

 ツレガスマナイ、ミチヲアケテクレルカ?

カムイ「? 何やら騒がしいですね……」

シャーロッテ「ふぅ、やっとたどり着けましたぁ。あなたが指揮官さんですかぁ?」

カムイ「一応はそうなります。えっと、あなたは?」

シャーロッテ「すみません、ご紹介もせずにお声を掛けてしまって、私はシャーロッテ。こっちの大きいのが」

ブノワ「ブノワだ」

カムイ「シャ―ロッテさんにブノワさんですか? よろしくおねがいします。ところで、私を探していた理由というのは?」

シャーロッテ「はい、私たち実は城壁防衛の任についていたんです。だから、内部構造についてよく知ってるんです」

カムイ「しかし、シュヴァリエ公国の方たちも城壁防衛に回されていたらしいですから……内部構造は把握しているのでは?」

ブノワ「ああ、確かにそうかもしれないが。俺達しか知らない、情報もある」

カムイ「どういった情報でしょうか?」

シャーロッテ「実はですね、城壁のある個所が脆くなってるんですよぉ。報告は上げてたんですけど、もしも修繕する前に城壁が落ちてたら」

カムイ「なるほど……そこを破壊すれば内部に入ることができるというわけですね。場所の方、案内していただけますか?」

シャーロッテ「はい、喜んで案内しますよ。あ、すみません、お名前を教えてもらってもいいですか?」

カムイ「すみません、名乗っていただいたのに私が返していなかったみたいで、私はカムイと言います」

シャーロッテ「カムイさんですね。……どこかで聞いたことがある名前」

暗夜兵「カムイ王女、すでに準備は整いました」

シャーロッテ「お、おう、王女、カムイ王女って……。これは最高の転機ってやつじゃないの!?」

ブノワ「そうか……良かったな」

カムイ「シャ―ロッテさん、ブノワさん。危険なことに変わりはありませんが、その個所へ私たちを連れて行ってくれますか?」

シャーロッテ「もちろん、カムイ様のために頑張っちゃいますから」

ブノワ「ああ、攻撃は俺が受け止める。任せてくれ」

カムイ「はい、頼りにしています。それではいきますよ、城壁に向けて進軍します!」

 >>54までを有効にして、行動チームは前城壁チームになりました。

 続きはいつもくらいに

◆◆◆◆◆◆
―城壁内部―

カムイ「本当に入り込めましたね。とはいってもすでに感づかれているでしょうね」

シャーロッテ「仕方無いですよぉ、大きな音もしましたから」

カムイ「はい、でもどうしてあの部分だけ脆くなっていたんですか?」

ブノワ「知り合いが手を滑らせて、壁を思いっきり叩いてしまったからだ」

カムイ「……すごい方なんですね」

ブノワ「ああ、だが頼りになる……」チラッ

カムイ「?」

シャーロッテ「はぁ、手がしびれちゃうわ」

カムイ「なるほど、そういうことですか。なら安心ですね」

シャーロッテ「? な、なんですか、そんなに見つめられると照れちゃいますよぉ」

カムイ「すみません。あと、シャーロッテさん、一つ提案なんですが」

シャーロッテ「はい、なんでしょうか。私にできることなら何でもしちゃいますよ」

カムイ「はい、こんなことを言うのは何なんですが……、そのように振舞っていただかなくても大丈夫ですよ?」

シャーロッテ「……え?」

ブノワ「……カムイ様には、通じていない?」

シャーロッテ「振舞ってるなんて、これが私の素ですよ?」

カムイ「……」

シャーロッテ「え、えっとぉ……」

ブノワ「シャ―ロッテ。カムイ様には、どうやら筒抜けのようだ」

シャーロッテ「ちっ、なによそれ、ここまで一生懸命繕ってきたってのに。これが私の素よ、文句あるかしら?」

カムイ「いいえ、むしろこっちの方が私は好きですよ。それに繕っているような暇は、あまりないみたいですから」

白夜兵「くっ、すでに内部に侵入を許しただと!? 全員武器を抜け!」

シュヴァリエ兵「中に入ったのが運の尽きだ。絶対に生かして帰さん!」

シャーロッテ「ああ、そういうことね。か弱い女子を演じてブノワにまかせようって思ってたのに……」

ブノワ「そう軽口を叩いている暇はないようだ…」

カムイ「そうですね。とりあえず、まずはやるべきことをやりましょう。シャ―ロッテさん、一番近くの城門の位置はわかりますか?」

シャーロッテ「当り前でしょ、ここにずっと勤めてたのよ。ブノワだって知ってるわ」

ブノワ「ああ、先導は任せてくれ…」

カムイ「ええ、頼りにしています。皆さん、各個に敵を撃破、外で戦っている暗夜軍のために城門を開放します!」



ブノワ「うおおおっ!」ドガッ

シュヴァリエ兵「ぐぉっ、だがこれしきで!」

シャ―ロッテ「盾が外れればこっちのもんよ!」ドゴッ

シュヴァリエ兵「ぐああああああ」ドサッ

カムイ「……さすがに頼りにしてるだけありますね。息がぴったりです」

ブノワ「シャ―ロッテ、下がれ…」

シャーロッテ「わかってるっての。カムイ様はできる限り私たちの後ろで待機で」

カムイ「それは……」

シャーロッテ「ここは、私とブノワの職場なの、一番理解してるからまかせろって言ってんのよ」

ブノワ「そういうことだ。ここを抜ければ、少し開けた場所に出る。そこに出ないと、大きく動きもできない」

シャーロッテ「そういうこと、だから今は私たちに任せておけっていってんの!」

カムイ「……はい、ありがとうございます」

シャーロッテ「えいっ!」ドゴン

白夜兵「ひえっ!」

 ガシャン

ブノワ「よし、通路を抜けた。この下に降りれれば……」

 ヒュンヒュンッ

ブノワ「!」キキンッ

???「そこです!」

 ヒュン

カムイ「でやぁ! 大丈夫ですかブノワさん」

ブノワ「…すまない。正面に気を取られていた」

カムイ「いいえ。他の皆さんも大丈夫ですか?」

リンカ「ああ、なんとかな。しかし、ここからどうするんだ?」

ブノワ「下が城門のあるフロアになっている。だが、封鎖は完了しているはず、それに屋上で攻撃を続けている敵兵が多くいる」

カムイ「二手に分かれましょう。半数は屋上の敵兵の一掃を、残りは私たちと一緒に城門の解放に向かいます」

???「そうはいきません!」

 シュッ シュッ

 キン

カムイ「簡単に進ませては貰えませんか」

???「そうですね。進ませるわけには参りません」

カムイ「……その声、まさかスズカゼさん?」

スズカゼ「覚えていただけているとは光栄です。カムイ様」

リンカ「スズカゼ、お前も暗夜王国に来ていたのか」

スズカゼ「リンカさん、無事だったようですね。先に送られた白夜の民のほとんどは死んでしまったと聞いていましたので」

リンカ「ああ、カムイに助けられたからな。だから、今はカムイのために戦う」

スズカゼ「そのようですね」

カムイ「スズカゼさん」

スズカゼ「できればこのような場でお会いしたくはなかったのですが、仕方ありませんね」

カムイ「ええ、出来ればお会いしたくありませんでした」

スズカゼ「そうですね、ですが今は好都合というものです。その身柄、拘束させていただきます」

カムイ「拘束? 命を奪うのではないのですか?」

スズカゼ「今、私が受けている任務の中に、カムイ様の拘束も含まれていますので。他の皆さんの安全は保障できません」

カムイ「殺されないというのは魅力的な話ですが、捕まるわけにはいきません。私はシュヴァリエに行かなくてはいけない理由がありますから」

スズカゼ「あなたならそういうと思っていました。ですから、私も力づくであなたを止めさせていただきます」

 ザッザッザッ

白夜忍「……」

カゲロウ「スズカゼ。入りこんだ者たちは……。なるほど、そういうことだったか」

カムイ「カゲロウさん?」

カゲロウ「私のことを覚えてくれているのか、義理堅い御方だ。もう敵同士になったというのにな」

カムイ「あなたがここに来ているということは……」

カゲロウ「ああ、カムイ様の思っている通りだろう。ここにリョウマ様はいる」

カムイ「……そうですか」

カゲロウ「ああ、そしてあなたの拘束が私達に課せられた使命。リョウマ様はまだカムイ様が戻ってくることを期待している、だから……」

カムイ「……リョウマさんには悪いですが、その期待に添えることはできません、カゲロウさん」

カゲロウ「そうか……」

サイゾウ「言っただろう、元々言葉で解決できるような相手では無いと」

カゲロウ「少し期待していたのかもしれない。カムイ様が耳を貸してくれるかもしれない、そんなことを…な」

サイゾウ「そうだな。だが、その意思がないとわかった以上、こちらは主の命令通りに事に当たるだけだ」

カムイ「シャ―ロッテさん、ブノワさん!」

ブノワ「…まかせろ」

 ザンッ

エルフィ「加勢するわ」

 ザンッ

ブノワ「…すまん」

エルフィ「気にしないで、カムイ様。今のうちに、シャーロッテ、奥の階段へ誘導して」

シャーロッテ「ええ、ブノワ。早く追いかけて来なさいよ」

ブノワ「わかっている」

カゲロウ「私はカムイ様を追跡する。サイゾウは他の者たちを釘づけに。後追わせないようにしてくれ」

サイゾウ「まかせろ、爆炎手裏剣!」

ブノワ「ぐっ……」

リリス「ブノワさん! これで」

ピエリ「我慢できないの! カミラ様、一緒に切り込むの!」

カミラ「ええ、ルーナ援護をよろしくね」

ルーナ「任せなさい。さぁフェリシアやるわよ、あたしたちの絆、見せつけてやるんだから!」

フェリシア「は、はい! ルーナさんとなら、なんだってできちゃう気がしますから!」

ルーナ「嬉しいこと言ってくれるじゃない、それじゃいくわよ!」

カムイ「シャ―ロッテさん!」

シャーロッテ「わーってるよ! 邪魔よ!」

白夜忍「ぐっ、これしき」

カムイ「てやぁ!」

 ドサッ

カムイ「まだ下ではないんですね」

シャ―ロッテ「ええ、まだまだ」

スズカゼ「いかせません!」

カムイ「ぐっ!」

シャーロッテ「カムイ様! って、邪魔すんじゃねえ!」

カムイ「スズカゼさん」

スズカゼ「すみませんが、このまま押し切らせてもらいます」

カムイ「ぐっ……」

サイラス「カムイから離れろ!」ザンッ

スズカゼ「くっ、やはりただの兵士たちとは違うみたいですね」

サイラス「カムイに指一本触れさせないぞ」

カムイ「サイラスさん!」

スズカゼ「ですが、私も行かせるわけにはいきません!」

オーディン「そうはいかないぜ。出でよダークネスサンダー!」

スズカゼ「そのような攻撃では……!」

リンカ「でやぁ!」ブンッ

スズカゼ「リンカさん。力をあげましたね」

リンカ「ああ、カムイ、ここはあたしたちが何としても抑える。だから、早くいけ!」

カムイ「皆さん、ありがとうございます!」

白夜忍「スズカゼ様、加勢いたします」

スズカゼ「すみません、私だけでは手に負えない相手のようです」

カゲロウ「スズカゼ」

スズカゼ「すみません、カゲロウさん。カムイ様を下に向かわせてしまいました」

カゲロウ「わかった、ここを任せられるのか?」

スズカゼ「はい、向こうも下に降りる気は更々ないようですので」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
カムイ「ここが一番下の広場ですか?」

シャーロッテ「そうだけど、誰もいない?」

ブノワ「すまない、遅れたようだ」

シャーロッテ「遅いわよ、ブノワ。敵がいないんじゃ、役になんて立てないわよ」

ブノワ「…そうかもしれないが、そのほうがいい」

カムイ「いえ、そうでもないようです」チャキ

カゲロウ「……カムイ様。逃がすわけにはいかぬ」

カムイ「カゲロウさん……」

カゲロウ「あなたには帰って来てもらなければならない。白夜のためにも、あなたのためにも、そしてリョウマ様のためにもだ」

カムイ「……それはできないと何度言ったらわかるんですか」

カゲロウ「私は、カムイ様と剣を交えたくはない。そう考えている、だからこそ、こうして訴えている」

カムイ「……その言葉は私にはとどきません。だから、私を従わせるには、力でどうにかしてください」

シャーロッテ「カムイ様……」

カムイ「シャ―ロッテさんとブノワさんは城門の解放に向かってください。私は、ここでこの方を足止めします」

ブノワ「ここは俺たちが……」

カムイ「いいえ、ここの施設のことはあなたたちが一番わかっているのでしょう? なら、早く開錠できる方が作業をすべきです。私がいては足手まといになります。なにせ、白夜軍の目的は、どうやら私のようなので」

ブノワ「わかった。すぐに戻る、それまで持たせてくれ」

シャーロッテ「……わかったわよ。やられないでよね!」

 タタタタタッ ガシャンガシャンガシャン

カムイ「……カゲロウさん」

カゲロウ「……容赦はせぬ」

カムイ「ええ、わかっています……」




カゲロウ「いざっ!参らん!」

カムイ「すごいですね。見きれなかったら、あぶなかったです」

カゲロウ「避けられてしまったな。これで決めたかったのだが」

カムイ「カゲロウさんの力、まだまだ見せてください!」

カゲロウ「本当に信じられぬ。目が見えていないというのにその動き、忍者であるならば教授を受けたいほどに」

カムイ「そうですか」

カゲロウ「だが、それは敵いそうにない」

カムイ「どうしてですか? 私を拘束すれば」

カゲロウ「拘束したところで、あなたは私達に心を開いてはくれない、そうだろう?」

カムイ「……」

カゲロウ「その無言は肯定と受け取っておこう……やぁっ!」

カムイ「すみません、カゲロウさん」

カゲロウ「何を謝る必要がある。カムイ様はカムイ様の道を進んだ、ただそれだけのこと」

カムイ「ええ、だから、カゲロウさん。ここで負けるわけにはいかないんですよ!」

 ブンッ キィン

カゲロウ「くっ、しまっ……」

カムイ「はあああああああぁぁぁぁぁ!」ザンッ

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
シャーロッテ「ブノワ、早くしなさいよ。カムイ様の加勢に戻らないといけないんだから!」

ブノワ「…以外に固くてな。もう少し時間が掛りそうだ」

シャーロッテ「……でも、本当に誰もいないなんて、一体どうなってるのよ」

 ザッ ザッ

ブノワ「?」

シャーロッテ「……って思ったとたんにこれとか、ブノワは開錠を続けて。私が何とかしとくから」

ブノワ「…わかった」

シャーロッテ「相手になるわよ」

???「………暗夜の兵士か」

シャーロッテ「ええ、そうだけど。城門を守る場所に誰もいないなんて、ちょっと手抜き過ぎじゃない?」

???「ああ、俺だけいれば十分だと思っている。ただそれだけのことだ」

シャーロッテ「……ちっ」

???「しかし、来たのがカムイではないのは予想外だ。いや、あいつのことだ、敵を引きつけているのかもしれないな」

シャーロッテ「カムイ様を知ってる?あんた誰だよ」

 ザンッ

リョウマ「白夜王国第一王子リョウマだ」

シャーロッテ「ツイテないわね、ブノワ。まだなの?」

ブノワ「最後の開錠が出来そうにない、特殊なものがつかわれているようだ」

リョウマ「そこのカギはここにある」

シャーロッテ「ご丁寧にどうも! たくっ、最悪よ。ブノワ、さっさとあいつ倒して、開錠終わらせるわよ」

ブノワ「ああ、悪いが、その鍵を渡してもらうぞ」

リョウマ「ああ、俺を倒せたならば、好きにするといい、もっとも」

「倒せるならな」

 今日はここまでになります。
 安価の方、説明不足の点があり、困惑させてしまったようで申し訳ありませんでした。

 少し、テンポが悪くなりがちで、申し訳ない。

 次で戦闘を終える予定です。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ブノワ「シャーロッテ、下がるんだ!」

シャーロッテ「ちっ、わかってるわよ」

リョウマ「どうした、鍵を奪うのではなかったか!」

ブノワ「……辛いな」

シャーロッテ「ええ、しかも余裕な顔して、あの場から一歩も動かないし、追撃もしてこないし、すっげえムカつく」

ブノワ「苛立たせてこちらから仕掛けさせるつもりだろう。しかし、待っていては友軍の犠牲が増える…」

リョウマ「……」

シャーロッテ「ほんと貧乏くじだけど、ブノワ行くわよ」

ブノワ「ああ、守りは任せろ」

シャーロッテ「おりゃあああああああ!」

リョウマ「そこだ!」

シャーロッテ「ブノワ!」

ブノワ「ぬんっ!」

 ガキィン

リョウマ「! やるな」

シャーロッテ「よそ見してる暇なんてねえ!」

リョウマ「浅い!」

 ドガッ

シャーロッテ「きゃぁっ!」

ブノワ「シャーロッテ!くっ、これで!」

リョウマ「……甘いな」

 ドガン ザシュッ

ブノワ「ぐおぁ……」ドサッ

シャーロッテ「ブノワ! ……もうゆるさねぇ!」

 タタタタタッ シュタッ

シャーロッテ「おりゃあああ!」

リョウマ「……終わりだ」

 ブンッ

 キィン

カムイ「さ、させません……。シャ―ロッテさん!」

シャーロッテ「言われなくても!」

 ドゴォン

リョウマ「ふっ、命拾いしたようだな。そして、ようやく来てくれたようだな、カムイ」

カムイ「リョウマさん……」

リョウマ「……その風貌、まさに暗夜の王女と言ったところだが、それももう意味を無くすことになる」

カムイ「捕まるつもりなんてありませんよ」

リョウマ「お前ならそういうだろうと思っていた。だからこそ、俺は力づくでお前を捕まえる。それだけのことだ!」

 ダッ

カムイ「!」

 キン

カムイ「リョウマさん、兵を引いてください。こんなところで戦うことに意味などありません」

リョウマ「ふっ、それを決めるのは俺だ。それにしても、お前がそんなことを言うとは思わなかったぞ」

カムイ「そ、それはどういう意味ですか」

リョウマ「あの日、暗夜を選び俺たちの元から去っていったお前なら、こんなことを俺に言うはずもない。ただ何も言わずに剣を交えていただろう」

カムイ「くっ、そ、そんなことは」

リョウマ「どうした、俺を倒さなければ、この城は絶対に落ちんぞ!」ドガッ

カムイ「っ! これで」

リョウマ「判断も甘いっ、あまり冷静とは言えないな。お前に暗夜は辛い場所でしかない、だからお前は俺を倒せない!」

カムイ「や、やってみなければ……」

リョウマ「たしかにそうだが。今のお前では、俺には勝てん! はあああああああ!」

カムイ「ぐっ」

リョウマ「戻ってこい、カムイ。お前が戻るべき場所は暗夜ではない、俺たちが過ごす白夜だ」

カムイ「そ、そんなことはありません! 私は、自分の意思で暗夜に付いたんです。それを、それを否定されるわけにはいかないんです!」

リョウマ「ならば、その迷いを抱いた剣はなんだ! 俺を殺そうとも思っていない、その剣でお前は一体何を得ようとしている!」

カムイ「私は迷ってなんていません!」

リョウマ「……カムイ。俺は俺の正義を貫くことしかできない、そんな男だ。だからこそ、お前を欲している。お前が白夜の旗の下に来ること、それだけが今俺が戦う理由だ!」

カムイ「……くっ」

リョウマ「その弱い意志で、俺と戦ったこと。それがお前が負ける理由だ!」

シャーロッテ「ゴタゴタうるせえんだよ!」
 
 ブンッ

リョウマ「!」

カムイ「シャ―ロッテさん」

シャーロッテ「カムイ様、あんなやつのご託に付き合ってる暇なんてないの、わかるでしょ?」

ブノワ「シャーロッテの言う通りだ。カムイ様、俺たちが援護する。隙を突いてくれ」

リョウマ「そこをどけ!」

シャーロッテ「どくかっつーの! やっと王族関係者と知り合いになれたんだから、こんなビックチャンス逃せないし」

ブノワ「俺は仲間を守るために戦場にいる、お前が誰かは問題じゃない、仲間が危険に陥っているのなら、それを助けるのが俺の役目だ」

リョウマ「……そうか。良い部下たちだな、カムイ」

カムイ「……」

リョウマ「だからこそ、お前のその迷った剣が気に要らないな。お前は何を目指して戦っている? 何のためにここへ来た! 答えろ!」

カムイ「わ、私は……」

カムイ(どうして、こんなに心が揺れてしまうのですか……。私は、考えて選択しているはずなのに、どうしてこうも……)

シャーロッテ「へっ、くどい男は女に嫌われるってのがわからないの?」

リョウマ「あいにく、お前のような女に好かれるつもりはないのでな」

シャーロッテ「そうね、あんたと敵同士じゃなかったら、私のお弁当食べさせてあげたかったんだけど、それは無理そうです~」

ブノワ「相変わらずの変貌ぶりだな」

シャーロッテ「ええ、冥土の土産に見せてあげようって思いまして、満足しただろ」

リョウマ「ああ、嫌というほどにな。さぁ、カムイ、お前の答えを俺に見せろ!」

カムイ「私、私は、シュヴァリエに行って約束を果たすために、ここに来ています」

リョウマ「約束……か」

カムイ「だから、ここでリョウマさんに負けるわけにはいかないんです!」

 ダッ

リョウマ「ならばその片鱗、少しでも見せてみろカムイ!」

 ダッ

シャーロッテ「ブノワ、カバー!」

ブノワ「ああ!」

 カキィン

シャーロッテ「こっちだおらぁ!」

リョウマ「ふんっ」

ブノワ「そこだ!」

 サッ

リョウマ「ふっ、やるな」

シャーロッテ「ちっ」

ブノワ「ならば、馬鹿正直にいく うおおおおおっ!」

 ガシャンガシャンガシャン ドゴォ

リョウマ「盾を攻撃の手段に!?」

シャーロッテ「カムイ様、今よ!」

カムイ「ええ、リョウマさん、覚悟!」

 ブンッ 

リョウマ「……」

カムイ「………」

リョウマ「斬れぬのだな……」

カムイ「……」フル……フルフル

リョウマ「やはり、お前は弱くなったようだ」

カムイ「………わ、わた、私は……」

リョウマ「だが、お前の意思、その片鱗は確かに俺に届いた。もう、お前に白夜へと戻れと告げることもないだろう」

ブノワ「カムイ様!」

シャーロッテ「ちっ、踏み込みが足りなかったか」

リョウマ「いや、お前たち二人の連携は素晴らしいものだった。俺がここで死ななかったのは、カムイの心の問題だ」

カムイ「リョ、リョウマさん」

リョウマ「……サイゾウ」

サイゾウ「ここに」

リョウマ「兵を退くぞ。遅かれ早かれこの城壁は暗夜の物量の前に沈む、あとは後続に任せる」

サイゾウ「カムイ様を拘束しないのですか?」

リョウマ「……ああ、同じ旗を仰げないこともあるが、このように弱い心で、今の白夜に帰ったとしても、守ることはできないからな」

サイゾウ「……御意」シュッ

リョウマ「その城門の鍵だ。受け取れ」

シャーロッテ「おっとと、どういうことよ。あんた、反乱軍の仲間じゃないわけ?」

リョウマ「最初はそうだった。そして、俺の正義はカムイの弱さの前に崩れてしまった。それだけのことだ」

カムイ「……私は」

リョウマ「カムイ。お前が弱くなった理由はわからない。だが、覚えて置いた方がいい、ここに来るまでのお前の強さは、紛いものだったということな」

 タタタタタタタタタタッ

カムイ「……だったら今までの私は」

「一体なんだったというんですか………」

 今日はここまでです。七重の塔のリョウマバージョンみたいな面をイメージした感じです

 シャーロッテがリョウマを落とす支援……

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

カムイ「……どうにか、城壁の制圧は終わりましたね……」

アクア「カムイ……」

カムイ「アクアさん、そちらは大丈夫でしたか?」

アクア「ええ、突然敵が引き始めたから何事かと思ったけど、何とかしてくれたのね」

カムイ「……」

アクア「カムイ?」

カムイ「私は、私は弱くなってしまったのでしょうか?」

アクア「どうしたというの?」

カムイ「私の剣には迷いがあると、リョウマさんに指摘されました」

アクア「! ここを守っていたのはリョウマだったの」

カムイ「はい……、私はとても弱くなったと、今までの強さはただの紛いものだと言われてしまいました」

アクア「カムイ、気にしてはいけないわ」

カムイ「ですが! 私はリョウマさんを斬ることができなかった。おかしいんです、サクラさんの時も、ヒノカさんの時も、そしてタクミさんの目の前で剣を振り上げた時も、私の心は全く動じていなかったのに……。今は、手が震えて仕方がないんです」

カムイ「リョウマさんの体に、剣が達する瞬間に私は引いてしまった……。シュヴァリエに行ってやるべきことがあるなんて、大きな声で宣言しておきながら、私は……」

アクア「カムイ。それでも、今はシュヴァリエに向かうことになるわ。残酷なことを言うかもしれないけど、これからあなたは正規兵を指揮して反乱を鎮圧しないといけない。ここで立ち止まることはできないわ」

カムイ「はい……その通りですよね。ははっ、ごめんなさい。なんだか、アクアさんに話して少し楽になれたみたいです」

アクア「そう、それなら良かったわ。でも、カムイ、そうやって一人で考え込むのはよくないわ」

カムイ「………」

アクア「カミラもエリーゼも、いいえ、みんなあなたの力になりたいと思っているわ。一人で考えないで、私達に――」

ゲパルトP(パラディン)「カムイ様、こちらにおられましたか」

カムイ「あなたは……?」

ゲパルトP「ガンズ様に仕えさせて頂いております。ゲパルトといいます。捕らえた捕虜より、面白い情報が入手できましたので、その報告に」

カムイ「? 面白い情報ですか」

ゲパルトP「はい、向こうで我が弟から聞いていただければ」

カムイ「わかりました……」

アクア「カムイ……」

カムイ「大丈夫です、きっと、きっと大丈夫ですから」

 カッ カッ カッ

アクア「……カムイ」」

~~~~~~~~~~~~~~~~~
ゲパルトS(ソーサラー)「カムイ様、私が聞きだした情報によると、シュヴァリエ公国に繋がる隠し通路があるそうです」

カムイ「隠し通路、ですか?」

ゲパルトS「はい。入口は城壁近くの森にあるらしくて、シュヴァリエ公国内部にまで伸びてるらしいです」

カムイ「……同時に攻撃するのが得策ですよね」

ガンズ「さすがに、自分たちの作った隠し通路を使ってくるなんてことは思いもしないだろうな。国境線でシュヴァリエの気を引く陽動に、本陣を叩く本隊、これが一番でしょう」

カムイ「そうですね。私としてはできる限り早く、シュヴァリエにたどり着きたいですから。この隠し通路を使わないわけにはいきませんし、この反乱を早く鎮圧しないと」

カムイ(どんなことになっても鎮圧を完遂しないことには、マークス兄さんの命の保証がありませんからね)

カムイ「ガンズさん、腕に自信のある方を集めてくれますか?」

ガンズ「ああ、任せてください、カムイ様。ゲパルト兄弟、お前たちも来るだろ?」

ゲパルトS「いっぱい燃やせるなら、喜んで行くよ、ねぇ兄さん?」

ゲパルトP「ええ、暗夜に立て付くお蘆花どもを一人でも多く殺さなくてはいけませんからね」

ガンズ「がーっはっは、いい返事だ。それでは、カムイ様。俺はこれから部隊を仕上げますゆえ、失礼させていただきます」

カムイ「ええ、よろしくお願いします。残りは私達ですから、よろしくお願いしますね」

ガンズ「へっ、殺しまくって階級をあげるいい機会だ。活用させてもらいます、カムイ様」

◇◇◇◇◇◇
―シュヴァリエ公国『中心街』―
???「わらわもまさか異国の地に来ることになるとは思わなかったのう」

???「あら、すでにこうなることを占っているのではないのですか?」

???「わらわのまじないは人のためにすることがほとんどじゃからな。わらわ自身を占ったことなどほとんどないのじゃ」

???「そう、では今日だけは占ってみませんこと?」

???「ふむ、今日はやけに突っかかるのじゃな、ユウギリ」

ユウギリ「ふふっ、お酒が進んでいるからかもしれませんわ。ふふ、このところは月が見えない夜ばかりでしたもの、だからお酒を持って会いに来てくれたのでしょう? オロチ」

オロチ「はぁ、ユウギリには何もかもお見通しなのじゃな。というか、この戦いが始まってからは、そなたとばかり過しておったのう」

ユウギリ「ええ、本来私たちは城で待つだけの者、主君はに先立たれ、誰に属することもできずに、ただただ変わっていく白夜を眺めていただけですもの」

オロチ「……悔やみきれんのう。知っていながら、それを伝えることができなかったというのは、わらわの人生最大の汚点じゃし、同時にこの先死ぬまで拭えない罪の烙印なのじゃろうな。って、酒の席で湿っぽい話になってしまったのう」

ユウギリ「いいえ、今の私たちの現状を理解するには必要なことですから、それにオロチの悩みが聞けて私はとてもうれしいですわ」

オロチ「はぁ、ユウギリはあまり悩みなど無さそうじゃからのう……」

ユウギリ「そういうわけではありませんわ。私にも気がかりなことはありますから」

オロチ「ほぉ、そなたの気になることとはなんじゃ。酒の肴になりそうな話じゃといいのう。もしかして、あれか白夜に意中の男でもおったのか?」

ユウギリ「そんなものではありませんよ。白夜にいる両親のことです」

オロチ「そうかそうか。うぷぷ、ユウギリも人の子と言うわけじゃな」

ユウギリ「叉木から生まれたわけじゃないんですわ」

オロチ「それもそうじゃな……。はぁ、これがただの海外旅行であったらどれほど楽しかったことか」

ユウギリ「ええ、願わないわけではありませんもの。こうして違う場所の違う空気に触れて、旅にと持ってきた故郷の品で舌鼓を打つなんて、すごい贅沢ですもの」

オロチ「……ユウギリ」

ユウギリ「なんですの?」

オロチ「もう酒が切れそうじゃ」

ユウギリ「あらあら、結構な勢いでのんでいたんですね。もうお楽しみの時間は終わりになってしまうなんて」

オロチ「ああ、そうじゃ。この酒がなくなった時がわらわも切り替わらねばならんからのう」

ユウギリ「……そうですね。最後のいっぱい、いただけるかしら?」

オロチ「おお、これで最後じゃからな」

 トクトクトクッ

ユウギリ「……必ずお守りしましょう」

オロチ「もちろんじゃ。命に代えてでも、今度は守り通すと決めたのじゃからな。うぷぷ、今わらわたちの未来を占えば、必ず悪いものが見れるはずじゃぞ」

ユウギリ「そうですわね。でも、今の間くらいは、吉の日が出てほしいですわ」

オロチ「……ユウギリ、共に全力を尽すとするかのう」

ユウギリ「ええ、この杯はその約束ごとですわ」

 カンッ

 グビグビグビグビ……

オロチ「では、そろそろ準備に戻るかのう」

ユウギリ「ええ、そうですわね」

「暗夜の奴らを呪い殺すための準備をのう……」


 第十二章 おわり

 

○カムイの支援現在状況●

―対の存在―
アクアB+
(カムイからの信頼を得て、その心の内を知りたい)

―城塞の人々―
ジョーカーC+
(イベントは起きていません)
ギュンターB
(恋愛小説の朗読を頼まれています) 
フェリシアC
(イベントは起きていません)
フローラC
(イベントは起きていません)
リリスB
(一緒に眠ったことがあります)

―暗夜第一王子マークス―
マークスC+
(イベントは起きていません)
ラズワルドC
(あなたを守るといわれています)
ピエリC
(今度はカムイの弱点を探ってみせると息巻いています)

―暗夜第二王子レオン―
レオンC+
(イベントは起きていません)
オーディンC+
(イベントは起きていません)
ゼロB
(互いに興味を持てるように頑張っています)

―暗夜第一王女カミラ―
カミラB
(白夜の大きい人に関して話が上がっています)
ルーナC+
(目を失ったことに関する話をしています)
ベルカC+
(イベントは起きてません)

―暗夜第二王女エリーゼ―
エリーゼB
(イベントは起きていません)
ハロルドB
(ハロルドと一緒にいるのは楽しい)
エルフィC
(イベントは起きていません)

―白夜第二王女サクラ―
サクラC+
(イベントは起きていません)
カザハナC
(イベントは起きていません)
ツバキD+
(イベントは起きていません)

―カムイに力を貸すもの―
サイラスB
(もっと頼って欲しいと思っています)
ニュクスB
(イベントは起きていません)
モズメC+
(イベントは起きていません)
リンカC+
(イベントは起きていません)
ブノワ →C
(イベントは起きていません)
シャーロッテ →C
(イベントは起きていません)

 今日は短めですがここまでです。

 こんな状況ならリョウマは白夜を優先するとおもったのでこんな流れになりました。

 なんかエロ書きたくなってきた、メモ帳に籠ろう……

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・国境城壁『内部』―

カムイ「……」

リリス「カムイ様、大丈夫ですか?」

カムイ「……」

リリス「カムイ様!」

カムイ「! り、リリスさん、いつからそちらに?」

リリス「先ほどからいたんですけど……」

カムイ「そ、そうですか。すみません、考えに耽っていたみたいで。それでどうかしましたか?」

リリス「陽動としてシュヴァリエに正面から攻撃を仕掛ける方々が出発しましたので、そのご報告に来たんです」

カムイ「では、そろそろ私たちも出なくてはいけませんね。シュヴァリエに続いているという隠し通路の場所は?」

リリス「はい、場所はもう見つかってます」

カムイ「これで、シュヴァリエに向かうことができますね。前線で陽動を引き受けてくれる方々のためにも、早く向かわないといけませんね」

リリス「はい」

カムイ「早く、反乱早期に終結させて、マークス兄さんを安心させてあげないといけませんから」

リリス「………」

カムイ「リリスさん?」

リリス「カムイ様……ここで待っていてくださってもいいんですよ?」

カムイ「な、何を言っているんですか!?」

リリス「シュヴァリエ公国の反乱鎮圧が完了すればいいんです。カムイ様が現場に行かなくても問題ないことなんですから」

カムイ「リリスさん、それはできません。私には果たすべき約束があるんです。リリスさんはその約束を知っているでしょう?」

リリス「知っています、だからこそ言えるんです。カムイ様が行っても行かなくても、何も変わらないって、そう思うんです」

カムイ「……リリスさん、どうしてそんなことを言うんですか。なんで、なんでそんな……」

リリス「カムイ様、クリムゾンさんと約束、それを思い出してください。クリムゾンさんはカムイ様を確かに待ってるかもしれません。でも、カムイ様の今やろうとしていることを、待っているわけじゃないんです」

カムイ「何が言いたいんですか……」

リリス「カムイ様は、クリムゾンさんを助けようとしているんですよね?」

カムイ「ええ、リリスさんには教えますが、そのつもりです。どんな詭弁を使ってでも、私はクリムゾンさんもマークス兄さんも救いたいんです。そのために私はシュヴァリエに向かわないといけないんです。クリムゾンさんと会って、話をしなくてはいけないから」

リリス「……カムイ様、本当に忘れてしまったんですか?」

カムイ「リリスさん、なんで私を迷わせるようなことを言うんですか?」

リリス「わ、私は……カムイ様を思って――」

カムイ「リリスさん、報告は以上ですか? もう、話すことがなければ、準備に取り掛かってください」

リリス「カムイ様!」

カムイ「私はシュヴァリエ公国に向かいます。私にしかできないことがあそこにはあるんです」

リリス「……今カムイ様のしたいことは夢物語じゃないですか!」

カムイ「もう、話すことはありません」

リリス「…………カムイ様」

カムイ「………」

リリス「……失礼、しました……」

 ガチャ バタン

リリス「………」

ピエリ「あっ、リリスなの! カムイ様に報告してきたの?」

リリス「ピエリさん……」

ピエリ「どうしたの。なんで、そんなに辛そうなの?」

リリス「なんでもないんです。本当に、なんでも……。ふふっ、ほら、いつもの私じゃないですか」

ピエリ「何があったの? ピエリ、リリスが悲しそうなところ見たくないの」

リリス「……本当に何もなんでもないんです。なんでも……なんで……も、ないんです……」

ピエリ「嘘なの、ピエリの眼は誤魔化せないのよ」

リリス「……」

ピエリ「カムイ様に何か言われたの? なら、ピエリがえいっ!てするの!」

リリス「……」

ピエリ「リリスは笑ってるのが似合ってるの! だから、リリスを泣かせるのはカムイ様でも許さないの!」

リリス「あはは、ピエリさんとっても怖い顔してます」

ピエリ「当り前なの! でも、よかったの。今のリリス、笑顔になってるの」

リリス「……ピエリさんにはいっぱいいろんなものもらってますね。こんな風に励ましてもらっちゃいました」

ピエリ「気にしないの。それにピエリが買ってあげたリボンちゃんと付けてくれてるからうれしいの!」

リリス「ふふっ、ピエリさんの馬に乗ってると血が付いちゃうか不安だから、こうやってカチーフに包んでるです。カムイ様も似合ってるって言ってくれたんです」

ピエリ「なら、大丈夫なの。カムイ様、今は気が立ってるだけなの。ピエリも気が立ったら、使用人をいっぱいえいっ、てしちゃうからわかるの!」

リリス「か、カムイ様はそんなことしないと思います。………多分ですけど」

ピエリ「やっと調子出てきたの。リボンがずれちゃってるの! 後ろ向くの」

リリス「は、はい……」

ピエリ「リリス、カムイ様のこと心配なの?」

リリス「はい、とっても心配です」

ピエリ「なら、ピエリが一緒にカムイ様を守ってあげるの。リリス、ピエリと一緒に行動するから問題ないのよ」

リリス「そうですね。言葉で聞いてくれないなら、実力行使しかないですよね」

ピエリ「だから、リリスも盾もって、剣も持つの!」

リリス「ふふっ、それはピエリさんにお渡しします。だって、ピエリさんは私もカムイ様も守ってくれるんですよね?」

ピエリ「そうだったの!」

ピエリ「でも、ピエリ、リリスと一緒に血みどろになりたいの。いっぱい奇麗になりたいのよ」

リリス「もうなってるじゃないですか。いつもベトベトになってますし、服とカチーフはいつも新調してるんですよ」

ピエリ「そうなの。ピエリも服はよく新調するの!」

リリス「もう、だからリボンは血塗れにならないように工夫してるんですよ。だって、ピエリさんからのプレゼントなんですから」

ピエリ「……リリス、大好きなの!」

リリス「わわっ、ピエリさん。恥ずかしいですよ」

ピエリ「恥ずかしくなんてないの! ピエリ、リリスのこと大好きだから、恥ずかしくないのよ」

リリス「も、もう……」

ピエリ「それじゃ、準備に戻るの。いっぱい準備して、カムイ様を守れるようにするの!」

リリス「その、ピエリさん」

ピエリ「どうしたの?」

リリス「あ、ありがとうございます///」

ピエリ「照れてる顔も可愛いの」

 タタタタタタタッ

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ガンズ「ゲパルト兄弟。わかってるだろうな」

ゲパルトP「ええ。どちらにせよですが、そういう風に動けばよろしいんですね」

ゲパルトS「よかったー。兄さんと一緒に行動できるんだから……ガンズ様も色々と大変そうです」

ガンズ「へっ、何言ってんだよ。反乱兵だと思えば殺していい、そういう命令なんだからよ」

ガンズ「つまり言えばだ。もしもおかしなことをしたら、それは反乱兵ってわけだ。もっとも――」

「カムイ王女をシュヴァリエが殺してくれるなら、それに越したことはねえんだがな」

 短いですが、今日はここまでです。
 
 エロもどきは、時々、この場所に投下するかもしれません。



カムイ「あ、アクアっ んぁっ」

アクア「んっ、ぷちゅ、はむっ……ふふっ。カムイのここ、とっても堅くなってるわ」

カムイ「だ、だめだ、アクア。そんな、そんなに舌で舐めたら……くぅっ」

アクア「何がダメなのかしら、こんなにギンギンにして、口付するたびに喜んでるこれを見せつけてるのに」

カムイ「こ、これは、これは違う、違うんだ」

アクア「そう? だったらここでおしまいにするけど、いいのかしら?」

カムイ「そ、それは……」

アクア「ふふっ、じゃあちゃんとおねだりしなきゃ。カムイ、私にどうしてほしいのかしら?」

カムイ「あっ、アクアの、アクアの口で、ぼ、僕のをい、いじめて……くああっ」

アクア「んっ、じゅぽっ。ひょふひふぇましゅた。じゅるるるるっ」

カムイ「ん、先端がピリピリして……アクア、だめだ。も、もうでるっ」

アクア「だめよ、まだ出させてあげない」ガシッ

カムイ「!?」

アクア「ふふ、根元をこうやって拘束するとね。出したくても出せなくなるの、だから、はふっ、れろっ、ん、ちゅぱっ、んはぁ、舐められても出せないでしょ」

カムイ「ぐうぅっ、アクアやめて、あたま、あたまがばかになるから! 出したいのに、いっぱい、アクアの顔、僕まみれにしたいのに…」

アクア「ふふ、もうパンパンじゃない。指で触るだけで震えてるのがわかるもの。でもまだ我慢してね」シュッシュ

カムイ「はうううううん!!!!!!」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

エリーゼ「アクアおねえちゃん、カムイおにいちゃんがすごくげっそりしてたんだけど、なにかあったのかな?」

アクア「さぁ、見当つかないわ」ツヤツヤ




 続かない一レスみたいなものなんで、こんな感じになると思います。

 

◇◇◇◇◇◇
―シュヴァリエ公国『中心街』―

オロチ「さて、首尾はどうかのう」

シュヴァリエ兵「オロチ様。暗夜軍は現在国境線に展開している部隊と戦闘を開始したそうです」

オロチ「暗夜はまだ破っておらぬのじゃろ?」

シュヴァリエ兵「はい、どうしてお分かりに」

オロチ「勘じゃ。ただ、それだけとも思えぬ。確実にあやつら、何か企んでおるじゃろう?」

クリムゾン「何をたくらんでるって言うんだい? オロチ」

オロチ「なんじゃクリムゾン。思い当たる節くらいあると思うじゃがのう?」

クリムゾン「……隠し通路のことかい?」

オロチ「シュヴァリエの中心地まで伸びておる隠し通路の存在を、暗夜の連中が見過ごすわけないじゃろう。どうせ、誰かしら捕虜になって、尋問の果てに場所はばれておると考えるのが普通じゃ、国境で戦っているのはその目くらまし、そう考えるのが妥当じゃのう」

シュヴァリエ兵「では、地下通路を封鎖いたしますか?」

オロチ「うぷぷ、それはしない方がいいのう。こちらに向かってくる本隊を叩けば、またこちらが攻撃の時に仕えるじゃろ? それにまんまと裏をかいたと笑っておる暗夜の者たちを罠に嵌めるのも一興じゃ」

シュヴァリエ兵「確かにそうですね」

クリムゾン「……本隊ね」

オロチ「……そうじゃ、そなたはこのことを伝令本部に伝えてくるのじゃ」

シュヴァリエ兵「はっ、わかりました」

 タタタタタタッ

オロチ「さて、クリムゾン。そなたとは一度話をしたいと思っておったのじゃ」

クリムゾン「……そうかい? 別に私はそんなつもりはないんだけどさ」

オロチ「そう牙を剥くような言葉遣いは感心しないのう。これでもそなたより年上なのじゃから、少しはいたわりを持ってほしいものじゃ」

クリムゾン「…それもそうだね。悪かったよ」

オロチ「ふむ、こちらも少し意地悪な言い方じゃった」

クリムゾン「良いってことよ。それで、話ってなんだい?」

オロチ「そなたは、長くリョウマ様と一緒にいたと聞いた」

クリムゾン「さぁ、どうだったかな?」

オロチ「茶化すでない。いや、茶化さないでほしいのじゃ」

クリムゾン「……何が聞きたいんだい?」

オロチ「そう怖い顔をするでない。リョウマ様から何か言われてはいないかと思うてな」

クリムゾン「……それを聞いて、あんたにどんな得があるって言うんだい?」

オロチ「得など何もない。ただ、聞いておきたいことがあるというだけのこと……いや、わらわは話を聞けたということじゃから得をするといえなくもないのう」

クリムゾン「ははっ、なんだそれ」

オロチ「……わらわたちがここに来たのは、今ここで指揮をしている御方を生きて白夜に帰すためじゃ。リョウマ様から直々に頼まれてのう。本来ならリョウマ様自身がお守りするところじゃが、白夜の状況を緩和見るにそれは難しいというものじゃ」

クリムゾン「……白夜はそんなに悪いことになってるのかい?」

オロチ「……認めたくないことじゃが、こんな風にシュヴァリエの反乱に手を貸す暇などない程じゃ。無限渓谷での小競り合いは日に日にこちらの消耗ばかり増えておる。わらわも呪術の部隊を任されていたから、嫌と言うほどにでも悪い話は耳に入ってくるものじゃ」

クリムゾン「……じゃあ、どうしてシュヴァリエの反乱に協力なんて」

オロチ「………協力か、困ったのう。そこをそなたが勘違いして居るとは思わなかった」

クリムゾン「ちがうのかい?」

オロチ「人は大義なんかより、もっと単純なもので動くものじゃ。ここに来るまでのわらわが裏切り者を選定する役目に付いていたようにのう」

クリムゾン「……あんたが、あの民間人たちをここに送ってきたのか」

オロチ「そうじゃ。王城に仕えていたこともあって、多くの民の情報をわらわは見ることができたのでな……。選別していったのじゃ、つながりが強いものほど、離れ離れにしたりとな。わらわが主を失ったという悲しみや憎しみを、暗夜に手を差し伸べた連中にも味あわせてやろうと思うてのう」

クリムゾン「……」

オロチ「今思えば、わらわは鬼じゃった。心を持たない暗夜のノスフェラトゥと何も変わらん。おかしいものじゃ、心がないから残虐なことをできるノスフェラトゥなんかより、心をもった人間のほうがいつでも非常な存在になれるとはのう……おっと、すまぬのう、このような話をしたかったのではなかったな」

クリムゾン「協力の話だよ」

オロチ「そうじゃった。この協力関係の話、いわば本質の話じゃ」

クリムゾン「本質って、一体何のことだよ」

オロチ「うぷぷ、食い付きがいいのう」

クリムゾン「もう、始まったことは戻せない、だから聞くよ。もう、私の知ってるシュヴァリエは帰ってこない、それはわかってるから」

オロチ「そう言ってもらえると嬉しいものじゃ。と、その前に質問じゃが、この反乱はいつ始まったとそなたは考えてる?」

クリムゾン「私が暗夜王国に行って、戻って来てからすぐに……」

オロチ「やはりそこも読み間違えていたようじゃな。クリムゾン、すでに反乱は始まっておったのじゃ。あの日、このシュヴァリエに裏切り者という名目で送られてきた白夜の民が来た時から」

クリムゾン「そんな、あの時はまだ反乱なんて」

オロチ「そなた、あの行為が暗夜王国に対して行われた謀反でないと、本気で言っているか?」

クリムゾン「そ、それは……でも、私は皆に指示を出せる立場にいた……だから」

オロチ「お主のことは聞いておる。親のこともシュヴァリエの騎士だということは聞いておる。だからこそおかしいとは思わぬか、たかが二十年ばかり生きてきたその身、王族でもなんでもないその身に、多くの人々が従うこの状況がじゃよ」

クリムゾン「その言い方、まるで私には何もないって言ってるみたいに聞こえるよ」

オロチ「みたいではない、言っておるのじゃ。クリムゾン、そなたにシュヴァリエの人々をどうにかする力などありはせんのじゃとな」

クリムゾン「だ、だけど、みんな私に、私の言葉に一度、踏みとどまって……」

オロチ「それは踏みとどまるじゃろう。演じることで、そなたがしばらくの間、シュヴァリエを離れてくれるならのう。それに、元から言うことを聞くつもりがないとすれば辻褄が合う。結局、そなたのことを反乱の象徴と考えている者など、この国の人間には居はしないのじゃ」

クリムゾン「……証拠は。証拠はあるのかい?」

オロチ「直接的な証拠などないが、クリムゾン、そなたはリョウマ様に後を任せて暗夜王国の王都に向かったのじゃな。しかも一人と聞いた」

クリムゾン「そ、それがどうしたっていうんだい? あの時、まだシュヴァリエは混乱状態だった。だから一人で行くことくらい……」

オロチ「クリムゾン。わらわがそなたを慕っていたのなら、リョウマ様がわらわとユウギリを手配したように誰かをそなたに付かせるじゃろう。そなたが象徴となり得るのなら、それを敵国に堂々と、しかも一人で送るなど危険極まりない行為じゃからな」

クリムゾン「そ、それは……」

オロチ「クリムゾン。リョウマ様がそなたに話をよくしておったのは、そなたに自分の境遇に似たものを感じ取ったからじゃ。だから、そなたの力になろうとした」

クリムゾン「境遇?」

オロチ「そうじゃ、そなたにシュヴァリエの者たちを従わせる力がないのと同じように、リョウマ様が持つ影響力はほとんどなくなっておるのじゃ」

クリムゾン「なんで、王子なんだろ? しかも、第一王子。みんな従ってくれるはずじゃないのかい。それに、このシュヴァリエへの協力を決めたのだって――」



リョウマ『お前の意見はお前がいる間だけ機能する』




クリムゾン「……」

オロチ「思い当たる節があるようじゃのう」

クリムゾン「……そういうことだったんだね」

オロチ「最初に言ったように、わらわも暗夜への恨みが募った結果として、多くの民をこの地に送り見殺しにした。わらわは最初、強硬派の側にいた人間じゃからな。だからリョウマ様の決定には心が飛んだぞ。暗夜に関係する奴らを地獄に落とせる、そう思ったのじゃ」

クリムゾン「……」

オロチ「でも今ならわかること。たぶん、リョウマ様はわらわたち強硬派のことを信じておったのじゃ、一時の気の迷いで多くの者たちを見殺しにすることに意味があるわけがない。強硬派が目を覚ます可能性に賭けたんじゃ」

クリムゾン「……」

オロチ「リョウマ様にとって、この選択がどれほどの苦行か、わらわのような一介の呪い師には理解できん。じゃが軍を動かす腹心でもあるユキムラ様が幽閉され、軍というものが言うことを聞かない暴れ馬になることは何としても避けなくてはならんことじゃったからな。じゃが、リョウマ様はこちらに来てから一度も白夜に戻らなかった。信じておったからのう、わらわたち強硬派の目が覚めると、そして目が覚めた強硬派ともう一度徒党を組んで暗夜に立ち向かう。そうなればよかったのじゃ」

クリムゾン「……どういうことだい?」

オロチ「今、実質力を持っているのは王族ではない、暗夜の侵略と、裏切ったカムイ王女を出汁に使って王族も動かすような強硬派じゃ。謀反の本質が王族の失墜と考えるなら、白夜は見事にその模範となる形じゃな」

クリムゾン「……なんだよ、それ。みんな、白夜の兵はリョウマの考えに賛同して、ここに、シュヴァリエに来てくれたんじゃなかったのかい? 暗夜を、暗夜を倒して、多くの人たちを圧政から救うって、だから……」

オロチ「……強硬派は意見が通ったこと、リョウマ様が不在なこと、そしてカムイ王女が王族の柵になってること、すべて理解していた。そして、此度のシュヴァリエの件、白夜はシュヴァリエの顔を立てると言って派兵を少なくしておるが、実際回せる兵などそうはいないというのが現実、本来なら足踏みが揃うのを待つべきところじゃ。しかも、無限渓谷との同時攻撃も考えていない。おかしいものじゃ、同盟国を助けるためなら、陽動の一つでも買って出る間柄であるべきなのにのう。たとえ、多く消耗していたとしても、それが暗夜打倒に繋がるというのであるならばじゃ」

クリムゾン「……」

オロチ「クリムゾン。悪いことは言わぬ、今すぐにでもこの戦場を離れるべきじゃ。このような戦いに参加することをリョウマ様は望んでおらんじゃろう」

クリムゾン「……」

オロチ「幸い、お主はカムイ王女と面識があるらしいからのう。それにカムイ王女の気は知らぬが、暗夜王国は反乱に参加したものを許しはせぬ。戦場で暗夜兵に顔を覚えられたら、どこに逃げようとも見つかれば殺されることじゃろう。だからそなたはほとぼりが冷めるまで――」

クリムゾン「ははっ、参ったね。こんな風に心配されるなんて思ってなかったよ。それもリョウマの指示?」

オロチ「いや、これはわらわの独断じゃ。リョウマ様の書簡にそなたのことがよく書かれておったからのう。話してみて、まっすぐなところが気に入った、だからこうして提案をしておる」

クリムゾン「そう、あんた、いいやつだね」

オロチ「茶化すでない。わらわは――」

クリムゾン「心配してくれてありがとう。でもさ、こんな形になったけど、ここは私の祖国シュヴァリエだ。そしてここまでのことを見てきた人間だよ、けじめはつけないといけない」

オロチ「………」

クリムゾン「それに、カムイは私に約束の答えを持ってきてくれると信じてる。だから、私はここで待つよ。リョウマにもそう言ったんだから」

オロチ「……その時、何か言われたんじゃな?」

クリムゾン「ああ。ははっ、そういうとこは律儀だよねリョウマはさ。最後に、深々と頭下げてたよ」



クリムゾン「『俺の責任だ、俺を怨んでくれて構わない』ってさ。その時は何のことかわからなかったけど、オロチの話を聞いて理解できたよ。馬鹿だよね、そんな状況で責任だなんだって、わかるわけもないのに。リョウマは民を信じただけなのにさ」

オロチ「クリムゾン、リョウマ様を――」

クリムゾン「責めるつもりはないよ。反乱は私たちの目標だったんだから、力を貸してもらったことに変わりない。だから大丈夫、私はどんなことがあってもリョウマを恨んだりしないさ。だって、私はリョウマのことイイ男だって思ってるんだからさ」

オロチ「むむっ、なんじゃなんじゃ。やはり、年頃もあってリョウマ様のことが気になってしもうたか?」

クリムゾン「……そうだね。ははっ、そうだったのかもしれない」

オロチ「……ならなおさら」

クリムゾン「だからこそだよ。私はリョウマにした約束通りにカムイを待つよ。約束守れるイイ女だって、リョウマに思われていたいからね」

オロチ「……馬鹿じゃのう、そなたは。じゃが、一世一代の告白を代わりに聞くことになるとは、思いもしなかった」

クリムゾン「良いってことよ。だって、あんた死ぬ気なんだろ? だったら、この話がリョウマに届くことなんてないよ。私とあんたとの間の秘密の話さ」

オロチ「……なるほどのう。それは愉快なことじゃな。……もっと違う形で、そなたとは出会いたかったものじゃ。そうすれば、わらわの幼馴染も紹介してやりたいくらいじゃ。とても独特な絵を描く奴じゃから、見ものじゃぞ?」

クリムゾン「へぇ、そうなのかい。だったら私の武器の下絵でも描いてもらいたいね」

オロチ「うぷぷ、それは見ものよのう。さぞかし愉快な下絵になること間違いなしじゃ」

クリムゾン「白夜とシュヴァリエの協力関係なんてこと、あんたの話を聞いて、結局全部泡みたいに消えちゃった。というか、こういう風に話をして私を戦場から遠ざけようとか、そんなこと考えたりしたのかい?」

オロチ「さぁ、どうじゃろうな……。では、わららは本部に戻る。もう、わらわはそなたを引きとめることはないからのう」

クリムゾン「ああ、わかってる。ありがと」

オロチ「ふむ、ではのう」

 バサッ……

クリムゾン「この中で抗っていたなんて、リョウマは強いね。結局、私はそれに気付けなかったなんてさ……ごめんよ、リョウマ」

 一度ここまでです。続きは夜くらいに。

 ちょっと、ガチエロはあれっぽいようなので少し自重しますね。

 本篇ですが、独自解釈が多く含まれていくと思いますので、ご了承のほどよろしくお願いします。

◆◆◆◆◆◆
―シュヴァリエの隠し通路―

カムイ「私の傍にいても意味なんてありませんよ。リリスさん」

リリス「だめです。私決めたんです、今回の戦いが終わるまでカムイ様の傍を離れないって決めたんですから」

カムイ「……リリスさん、あなたは戦闘ができないじゃないですか」

ピエリ「だからピエリが一緒にいるのよ。カムイ様もリリスもピエリが守るって決めたの、だからカムイ様は大船に乗った気持ちでいるの!」

リリス「怪我をしたらすぐに言ってくださいね。いっぱい準備してきましたから」

ピエリ「ピエリも少し持ってるの。あと盾も持ったから、これでエルフィくらい耐えられるの!」

カムイ「……」

リリス「カムイ様……。今度は守られる側になるんです。どこに行っても必ず追いついて守っちゃいますから、覚悟してください」

カムイ「…………勝手にしてください」

リリス「はい、勝手にさせてもらいますね」

ピエリ「やったの。了承得られたの。いっぱい殺して、カムイ様もリリスも守ってあげるのよ」

リリス「はい! ピエリさんのこと信じてますね」


カミラ「ふふ、ピエリもリリスも張り切ってるわね」

アクア「そうね……ある意味で士気が上がってるのがわかるわ、でも……」

カミラ「ねぇ、アクア。あなたはあんなカムイを見たことはある?」

アクア「いいえ、その質問はむしろカミラにしたかったことよ。あんなふうに不機嫌丸出しで言葉を返す所なんて」

カミラ「……白夜の王子が言っていたことは、本当なのかもしれないわ」

アクア「それって、カムイが弱くなったっていう話よね」

カミラ「ええ、最初は白夜王子の剣技、純粋な力量差故の言葉かと思ったけど、やっぱり違うと思うわ」

アクア「私も、最初同じことを考えていたわ。でも、今のカムイはとても見ていられないくらいに、どこか不安定よ」

カミラ「まるで別人と言えばいいわね。前のカムイなら、リリスにあんな言葉で返したりしないもの」

アクア「……カムイの心は揺れているのかもしれないわね」

カミラ「でも、おかしいじゃない。今までのカムイを見て来たから、ここにきて心が揺れるのがわからないの。あの日、港町で白夜の王女を目の前にした時、あの子は顔色一つ変えてなかったカムイが、ここに来て何に対して動揺しているのか……」

アクア「カムイは昔からあんな感じだったの?」

カミラ「そうね……初めて会った時は、まだあんな感じじゃなかったわ、目が見えないこともあったから。でもそれを克服するように技術を磨いて、強い心が出来ていつも落ち着いている。そんな子だったから」

アクア「そう……」

カミラ「出来れば不安を取り除いてあげたいわ。でも、一体何を話せばいいのかわからないの、正直歯痒いわ」

アクア「……カムイは約束を果たすために、シュヴァリエに向かうって言っていたから、その約束が関係しているのかしら?」

カミラ「……それは間違いないでしょう。でも、その約束だけが問題じゃないのだけは、感じ取れるの」

アクア「?」

カミラ「……だからわからなくなるのよ。一体何がカムイを苦しめているのか、それがまったく見当がつかない、すべてが問題だっていう結論には至れるけど……、それを言ったら元も子もないわ」

アクア「それもそうね。………カミラ」

カミラ「どうしたの?」

アクア「カムイが捕まった時、カムイは不安だって零したの。その時は気にしてなかったけど、今考えると不自然な気がして」

カミラ「……もう、その時からカムイの中で何か変化があったのかもしれないわ、アクアは何か思い当たる節はないのかしら?」

アクア「残念だけど、まったく見当がつかなの。正直、私の知っているカムイの印象と今の印象が違い過ぎてるのは確かよ。でも、だからと言って今いるカムイが偽物だなんてことはあり得ないわ。たぶん、私たちが知らなかった一面が出てきているだけ、それだけのはずだから。私たちはそれを受け止めてあげるべきなんじゃないかしら」

カミラ「……そう。アクアはカムイが落ち着くまで待ってあげる。そういうことね」

アクア「ええ、原因がわからない以上は、時間に任せるしかない、そうとしか言えないから」

カミラ「そうね。残念だけど、今私がカムイにしてあげられることなんて、無いに等しいもの。見守ってあげるくらいしかできないわ」

アクア「カミラ……」

カミラ「でも、アクア。もしも原因がわかったら、すぐに手を差し伸べるんでしょう?」

アクア「ふふ、当然よ」

カミラ「即答されちゃったわ。ありがとう、ますますアクアと仲良くなりたくなってきちゃったわ。闘いが終わったら、また一緒にお風呂に入りましょう? 今度はカムイも一緒にね」

アクア「……その……いっしょに入ってる時に触らないって誓ってくれるなら」

カミラ「ふふ、楽しみね、アクア?」

アクア「……」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ガンズ「おっと、ここが出口か。カムイ様、ここが出口のようです」

カムイ「はい。先導役ありがとうございます、ガンズさん。皆さん、ここはすでに敵地ですので、気を引き締めていきましょう。そしてこの中心街を制圧して、反乱を終わらせるのです」

ガンズ「へっ、てっとり早く行かせてもらうぜ、カムイ様。野郎ども、俺に続け!」

 ウオオオォ!!!!

 ギィィィィ

カムイ「……それでは行きましょう」

リリス「はい! カムイ様」

ピエリ「なの、早くいっぱい殺して血みどろに変身するの。あと二人のこと守るの!」

カムイ「…………」

カムイ(大丈夫、私は大丈夫……。クリムゾンさんを助けて、反乱を鎮圧して、マークス兄さんを助けて、みんなが無事であればそれでいいんです)

アクア「カムイ、大丈夫?」

カムイ「アクアさん、大丈夫です。行きましょう」

アクア「……ええ」

カムイ「では、皆さん。進軍を始めましょう」

◇◇◇◇◇◇
―シュヴァリエ公国『中心街』―

シュヴァリエ兵「敵、暗夜軍。隠し通路から現れたようです。中心地と進軍を開始した模様です」

ユウギリ「そうですの。わかりましたわ、皆さんはそれぞれの持ち場におつきになってください」

シュヴァリエ兵「はっ。それとご報告が、話に上がっておりました容貌の人物を確認しました」

ユウギリ「そうですか。ふふ、いい知らせですわ」

シュヴァリエ兵「では、私はこれで。暗夜軍め、皆殺しにしてやる」

ユウギリ「あの人を殺すのは駄目ですわ。生け捕りにしませんと」

シュヴァリエ兵「そうでしたね。気をつけます」

ユウギリ「……気をつけます、ですか。確かにその通りですわ」

 チャキ バサバサッ

ユウギリ「戦争をしているのですから敵がいるならそれを射るまで、ふふっ、ずっと城にいたものだから、あまり聴けませんでしたもの」

ユウギリ「さて、暗夜の人々は一体どんな声を上げてくれるのか、楽しみで仕方がありませんわ」

ユウギリ「でも、その前にあの方にご報告しませんと。そのためにここまできたんですから、報告しないと後が怖いですわ」

 バサバサバサッ

ユウギリ「……おまえ、私を背に乗せてよくこれまで飛んでくださいましたわ」

 クルルー

ユウギリ「今日が私の最後の仕事になると思いますわ。でも、大丈夫、お前はまだまだ空を飛べるんですもの」

「だから、私の終わりまでは言うとおりに羽ばたいてくれること、それが私の願いですわ」


 十三章 前篇 おわり

 今日はここまでです。人気投票になんでリリスやマクベスがいないんですかねぇ(訴訟)
 
 次回から戦闘に入ります。

 この先の展開を安価で決めたいと思います。参加していただけると幸いです。

◇◆◇◆◇

 ニュクスと一緒に戦うキャラクター

 アクア
 ジョーカー
 ギュンター 
 フェリシア
 フローラ
 ラズワルド
 ゼロ
 オーディン
 ベルカ
 ルーナ
 エリーゼ
 ハロルド
 エルフィ
 サイラス
 モズメ
 リンカ

 >>122>>123

◇◆◇◆◇

 カミラと一緒に戦うキャラクター

 >>124>>125

◇◆◇◆◇

 キャラクターが被った場合は次のレスのキャラクターが選ばれる形になります。

カムイがまずい状態に・・・

安価はオーディンで

乙でしたー
マクベスリリスは投票で人気が決めるキャラじゃなくて最初からみんなのアイドルだから…(震え声)
安価ならオーディン

安価被った申し訳ない
再安価OKならラズワルドでお願いします

アクアで

ニュクスと一緒に戦うキャラクター
 オーディン、ラズワルド

カミラと一緒に戦うキャラクター
 アクア、リンカ

 この組み合わせで行こうと思います。

 ちょっと、考えがまとまらなくて本篇は明日以降でおねがいします。


◇◆◇◆◇

カムイ「ふふ、レオンさんの息子さんと聞いていましたから、どんな人かと思ってましたけど、とっても可愛い声をあげるんですね」ピトッ

フォレオ「んっ、か、カムイさん。ど、どこをお触りになってるんですか……」

カムイ「どこって、顔ですよ。私の目が見えないことくらい、レオンさんから聞いていると思っていたんですが」

フォレオ「そ、それは知ってますけど……ひっ」

カムイ「なら、わかってますよね。私はフォレオさんのお顔が知りたいんです。だから……」シュッ

フォレオ「ひゃうっ」ゾクッ

カムイ「ふふ、御凸より少し上の部分が気持ちいいんですね。触れるとフォレオさんの髪と体が喜んでる気がします」

フォレオ「そ、そんなことありません。ありまっ、ひぅん! やっ、やめっ、そこ、あんまり触られたこと、ないんです」

カムイ「ふふっ、レオンさんは照れ屋さんですから、こうやって頭を撫でてあげることなんて中々してくれないでしょうからね。でも、時々撫でてくれたんじゃないですか?」

フォレオ「はい、小さい頃に秘境に会いに来てくれたときに撫でてくれましたから、とっても嬉しかったです」

カムイ「そうなんですか、ふふ、でも……」サワサワ

フォレオ「っ! か、カムイさん、そ、そこはぁ、駄目、駄目、ですよぅ……」

カムイ「こんなところ、触られたことあまりないんじゃないですか?」

フォレオ「や、やめてくださっ、んんっ!!」

カムイ「唇を噛みしめて我慢しても駄目ですよ。フォレオさんの息、とっても熱くなって、私の手に噴きかかって、とってもいやらしいです」

フォレオ「か、カムイさん。そ、そこ、そこにそれ以上、手を……ああっ!」

カムイ「左鼻筋から唇に掛けてが一番弱いことを知ってるのは、たぶん私だけですね。ふふっ、こんなに体をしならせて、すごく辛そう」

フォレオ「はぁ、はぁ、頭が、頭が何だかぼーっとして、んんっ、はぅんっ」

カムイ「ぼーっとしてますか、大丈夫ですよ。もう、そろそろフォレオさんのお顔、ちゃんと理解できますから……。唇はどんな形をしてるんですか?」ピチュ

フォレオ「んんっ」

フォレオ(カムイさんの指が、僕の唇に触れて……)

カムイ「柔らかいですね……フォレオさんの可愛らしい声にとっても御似合いで、とっても可愛いですよ」

フォレオ「こ、こんなことで可愛いって言われても……」

カムイ「仕方無いじゃないですか。だって、こんなに体をくねらせて、熱い息を漏らして、頬を熱くしてるのを想像したら、自然と可愛いって言葉が漏れちゃうんですから」

フォレオ「か、カムイさん……」

カムイ「あと少しだけ、フォレオさんのこと、私に教えてくれますか?」

フォレオ「は、はい……」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

フォレオ「そんなことがあったんです、お父様……」

レオン「そう、いつもどおりみたいだね、姉さんは」

フォレオ「!?」


◇◆◇◆◇ 

 番外はこんな感じに落ち着きそうです。

◆◆◆◆◆◆
―シュヴァリエ公国『中心地』―

カムイ「おかしいですね、全く敵の襲撃がないなんて」

カミラ「というよりも、町が静かすぎるわ。住人が一人も見当たらないなんて、異常な光景よ」

アクア「……そうね。私たちが進む足音くらいしか聞こえないなんて」

カムイ「まったく気配が感じられません。この先はどういう構造になっているんですか?」

エリーゼ「んっとね。大きな広場になってるみたいだよ」

カムイ「……先の広場には数名で入りましょう。大勢で入り込んで一網打尽にされるのは避けたいですから」

カミラ「そう、なら私も付いて行くわ。カムイだけじゃ心配だもの」

エリーゼ「あたしも一緒に行くー。アクアおねえちゃんも一緒に行こっ?」

アクア「ええ、いいかしらカムイ?」

カムイ「……ええ、どうぞ」

ピエリ「カムイ様、ピエリよりも後ろにいるの。しっかり守ってあげるから、期待してて欲しいの」

リリス「そういうわけですから、私とピエリさんより前に出ないでくださいね、カムイ様」

カムイ「……わかりました。他の皆さんはここで待機、武器はすぐにでも使えるようにしてください」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

カミラ「……広場にも人影はない……みたいね」

エリーゼ「うん、でも静かすぎて、なんだか怖いよ」

アクア「ええ、でも、微かに感じるわね」

カムイ「誰かに見られているのは確かですね」

ピエリ「……何もいなくてつまらないの」

リリス「何もいない方が嬉しいんですけど」

???「おいでなすったようじゃ」

 カラカラカラカラ シュビィン!

ピエリ「カムイ様、危ないの」キィン!

カムイ「!」

ピエリ「危なかったの。カムイ様、気をつけるのよ。でも、とっても弱い攻撃だったの……」

???「うぷぷ、やはり気絶させる程度の攻撃では、傷など与えられないということじゃな」

 ザッザッザッ

カミラ「あら、堂々と姿を現すものなのね」

???「そうじゃのう。ある種、礼儀みたいなものじゃ」

アクア「だったら、先に攻撃をしないことの方が重要じゃないかしら?」

オロチ「うぷぷ、暗夜に付いたアクア王女に言われたくはないものじゃが、確かにその通りじゃのう」

アクア「! あなた、オロチ……」

オロチ「久しいのう、アクア王女。こうして会うのは何時ぶりか?」

アクア「どうして、あなたがここに」

オロチ「何を言っておる、そなたとわらわたちは敵同士じゃ。それでも十分な理由とは思うがのう?」

???「そうですわ、オロチの言う通りでしてよ」

 バサッバサッバサッ シュタッ

アクア「金鵄武者のあなたも来ているなんて……」

ユウギリ「御久し振りでございます、アクア王女。うふふ、予定の人物が二人も目の前にいるというのは幸先いいですわ」

オロチ「そうじゃのう。探す手間が省けたというものじゃ」

カミラ「あら、おとなしく妹たちを渡すとでも思っているのかしら」

カムイ「……」サッ

オロチ「ふっ、カムイ王女、今合図を送れば、隠れておる者たちの矢が降り注ぐぞ。うぷぷ、流石に多くの量じゃ、一人くらいは死んでしまうじゃろうが……。やりたければやるがよい」

オロチ(実際は数名の脅しじゃが、さて、どう出るかのう?)

カムイ「くっ……」スゥ

ユウギリ「理解力の高い王女で助かりますわ。罠とわかっていてこの広場に入ってくるのは、少し愚かではありますけど」

エリーゼ「ううっ、どうしよう……」

アクア「エリーゼ、今は動かない方が身のためよ。どうやら、向こうは私たちをすぐにでも殺そうと思っているわけではないみたい」

オロチ「飲み込みが早くてよいのう。さて、唐突な話じゃが、カムイ王女にアクア王女、今からこちらの旗を仰ごうとは思わぬか?」

アクア「……何を言い出すかと思えば、まさかそんなことを話すために、私たちを足止めしたって言うの?」

オロチ「うぷぷ、酔狂と思われて構わないこと、別にお主たちの返答に期待などしておらん、これもいわば流儀みたいなもの。じゃが、今こちらに付くというのであれば、すぐに反転して前線を攻撃に参戦してもらうことになる。無論、暗夜を倒すためにじゃ」

カムイ「……それは、できません。この反乱を鎮圧しなければならない理由があるんです。残念ですけど、そちらの旗を仰ぐなど――」

オロチ「そうか、残念じゃ。そなたの知り合いもこちらにおるというのに、聞く耳すら持たぬとはのう」

カムイ「っ……なんのことですか」

オロチ「うぷぷ、何を動揺しておるのじゃ? わらわたちを倒しに来たにしては覚悟が足りぬように見える」

カミラ「あらあら、それ以上カムイを虐めるなら、容赦しないわよ」

ピエリ「カムイ様に牙をむくなら許しはしないのよ」

ユウギリ「せっかちはよくないですわ。それに、私たちの主がそろそろ到着しますもの」

アクア「主?」

オロチ「わらわたちが仕えていた元の主は、あの日に殺されてしまったからのう。こうして、また誰かに仕えるのは久々なことじゃ。その方の指示でそなたたちに、こうして提案しておるわけじゃ」

ユウギリ「ええ、新しい主はお二人が帰られるのを待っておられますから。大丈夫、白夜でも必ずお守りしてくれるはずですわ」

アクア「……信じられないわね。ここまでのことをしておきながら、その目的が私とカムイを連れ戻すことだなんて……」

オロチ「出来れば、先ほどの一撃でアクア王女からカムイ王女に倒れてもらって、片方を盾に交渉をしたかったのじゃが、中々うまくはいかぬものじゃ」

カムイ「……わたしは、戻れません。私はここに――」




???「クリムゾンと話をするために来た。そうだろう、カムイ?」

カムイ「えっ?」

???「オロチから話は聞いてる。ふふっ、カムイらしいと思うよ」

アクア「……そう、あなたなのね。ここの指揮をしている人っていうのは」

???「ああ。だからこそお前は必ず来てくれると信じていた。それにアクアも一緒に来てくれたのはとても嬉しい、サクラも一緒にいてくれたらもっと良かったんだが。ふふっ、リョウマ兄様には悪いが、私がカムイとアクアを白夜に連れて帰る。そして、このままの勢いで暗夜を倒して、一緒に暮らそう。これからずっと、一緒に……な」

カミラ「泥棒猫も、ここまで来ると、清々しくていいわね。そうでしょ、ヒノカ王女?」

ヒノカ「……貴様のような目狐に名を覚えられたくはない。今日こそ、カムイを返してもらう。私はそのためにここにいるんだからな」



 バサバサバサバサ シュタッ

ヒノカ「カムイ。また会えたな」

カムイ「ヒノカさん……。あなたがこれを引き起こしたんですか」

ヒノカ「私はこの反乱に便乗しただけさ。カムイ、お前を暗夜の呪縛から解き放って白夜に連れて帰る、それ以外のことなど正直どうでもいいんだからな」

ピエリ「カムイ様に近――」

リリス「ピエリさん、動いちゃ駄目です!」

オロチ「命拾いしたのう……なにせ、今度は加減をするつもりなどないんじゃ、引き裂かれたくば、おとなしくしておくのだ」

カムイ「ヒノカさん、私のことは忘れてくださいと、言ったはずです」

ヒノカ「カムイ。無理なことを言わないでくれ、それに私のことは姉さんと呼んでくれていいんだぞ」

ダキッ

ヒノカ「ああっ、カムイ。久し振りだ、お前をこうして抱きしめるのは。あの日、再びお前を失ってから二度と手に入らないと思っていた。あの日のまま、お前が変わっていなくてとても嬉しいよ」

カミラ「カムイ!」

アクア「カミラ、動いては駄目!」

カミラ「っ!」

ユウギリ「動いたら、命はないですよ。ヒノカ様からはアクア王女とカムイ王女以外の命はどうでもよいと言われておりますわ」

エリーゼ「カ、カミラおねえちゃん」

カミラ「私の後ろにいなさい。大丈夫、心配しないでいいわ」

カムイ「ヒノカさん、やめてください。私は……」

ヒノカ「カムイ。何を悩んでいるんだ?」

カムイ「何も悩んでいません」

ヒノカ「嘘だ。お前は悩んでいるはずだ、辛かっただろう。でも大丈夫だ、もう悩まなくていい」

カムイ「わ、わたしは……」

ヒノカ「リョウマ兄様の言葉を借りるわけではないが、お前が悩む必要はもうないんだ。私がお前の悩みをすべて解決する。さぁ、言ってくれ、今のお前の悩みを。大丈夫だ、悩みを吐露することは恥ずかしいことじゃない。私にだって悩みがあるようにな」

カムイ「ひ、ヒノカさん。私は、何も……」

ヒノカ「大丈夫だ。小さい悩みでもいい、私はお前の小さい悩みにだって真剣に取り組む、だって、血の繋がった姉妹なんだから」チラッ

カミラ「むっ……最悪な気分ね」

ヒノカ「なぁ、カムイ。もうおまえはここまで頑張ってきた。でも、それもここで終わりにしよう。あとは、ゆっくり休んで待っていてくれればいい、今まで姉のようにふるまえなかった私に、姉としてお前に尽くす時間を……」

カムイ「ううっ、や、めて……」

ヒノカ「カムイ?」





カムイ「やめてください!」ドンッ




ヒノカ「カムイ……なぜ?」

カムイ「止めてください……」

ヒノカ「カムイ、怖がらなくてもいい。私ならお前の悩みを、すべて聞いてあげられる。怖いものからも守ってやれる」

カムイ「私が決めるんです。私が……」

ヒノカ「そんなに辛そうに言っているのに大丈夫なことがあるか。さぁ、カムイ私の手を取ってくれればそれでいい。さぁ」

カムイ「……ヒノカさん」

ヒノカ「さぁ、カム――」

 モウイイ、チャバンハオワリダ! ハナテ!

 ヒュンヒュンヒュン!

カミラ「!? カムイ、逃げなさい!」

ユウギリ「動きましたわね」

 ヒュンッ キィン

アクア「カミラ、大丈夫?」

カミラ「ええ、ありがとう。先に手を出されたら黙ってられないわね!」ブンッ

ユウギリ「やりますわね」


ヒノカ「! シュヴァリエの兵たちが攻撃を!? 違うんだカムイ、これは」

カムイ「私はそちらに戻れません! はぁ、はぁ……皆さん、来てください!」スッ

 タタタタタタタッ チャキ ジャキッ

ヒノカ「くっ、カムイだけでも、私は!」

ピエリ「行かせないのよ!」ザンッ

 キィン

ヒノカ「そこを通せ!」ブンッ

 ガキィン

カミラ「あら、ごめんなさい。ここは通行止めよ。部外者は絶対に入れてあげないわ」

ヒノカ「どうして、私の邪魔をする!」

カミラ「愚問ね。カムイは私の家族だから、これ以上の理由が必要かしら?」

ヒノカ「黙れ!」

アクア「カミラ、あぶない!」

 キィン

ヒノカ「あ、アクア。なぜ、その女をかばう!?」

アクア「ごめんなさい。でも、私は今の白夜に戻るつもりなんてない。これはその答えと思ってもらって構わないわ」

ヒノカ「カムイもお前も、暗夜に騙されているだけだ! いつか、いつかお前たちは――!」

アクア「ヒノカ……、あなたが私にくれた優しさもすべて覚えているわ。だから、今のあなたと一緒に私は過ごせない」

ヒノカ「……私は、お前たちを、お前たちと白夜でもう一度……」

アクア「ヒノカ、私は――」

カミラ「アクア、そこまでにしなさい……」

ヒノカ「カムイやサクラだけでなく、アクアまで……。なぜ奪うんだ、暗夜は私からすべてを奪い去ろうというのか!」

カミラ「すべてを奪うつもりなんてないわ。ただ、カムイもアクアも渡せない、それだけのことよ。そして、私は運が良かったって思えるわ」

ヒノカ「なら、お前を殺して、力づくで取り戻すだけだ!」ブンブンブン チャキ

シュヴァリエ兵「構わん、暗夜のものを皆殺しにしろ。正義はこちらにある!」

 ウオオオオォ! ドタドタドタドタ 

アクア「いっぱい入ってきたわ。エリーゼは後方のみんなと合流して」

エリーゼ「う、うん!」

アクア(ヒノカ……)

 アソコダ! 

 キリキリキリキリ バシュッ 

アクア「! しまっ――」

リンカ「アクア!」

 キィン

リンカ「ははっ、どうにか間に合ったみたいだ。……あんたはヒノカ王女だね」

ヒノカ「お前は炎の部族の……、白夜の民でありながらお前も暗夜に付くというのか」

リンカ「正確には言えば違う。あたしはカムイに付いて行くだけだ。こうしてこう宣言するのは二回目になるな。だから、あたしはもう迷うつもりない」

カミラ「リンカ、アクアを援護して頂戴。私は、この泥棒猫をお仕置きして白夜へ帰ってもらわないといけないから」

リンカ「ああ、任せろ。アクア、あたしの後ろに付いてくれ。カミラ、できる限り援護はする」

カミラ「そう、期待してるわ」

アクア「皮肉なものね、リンカ」

リンカ「何がだ?」

アクア「同じ旗の元にいたはずの私たちが、こうして白夜と争うことになるなんて」

リンカ「……今さらそれを言っても始まらない。負い目があるのならヒノカと一緒に白夜に帰るか?」

アクア「……いいえ。もうあの白夜へは戻れない。リンカもそうでしょう?」

リンカ「ああ、そのとおりだ! せいっ!」ザシュッ

シュヴァリエ兵「ぐぶっ」ドサッ

カミラ「ふふっ、リンカも中々やるのね。さて、どう来るのかしらヒノカ王女?」

ヒノカ「どうもなにもない」

「ここで落ちるのはお前だ、カミラ王女」

残りは夜にでも

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 カラカラカラカラ シュオンッ!

暗夜兵「くっ、くそ。近づけない!」

オロチ「うぷぷ、どうしたかのう。まだまだ、こちらの攻撃は終わらぬのに、これでは拍子抜けじゃ」

 カラカラカラカラ シュッ!

暗夜兵「ぐぎゃあ」ブチッ

オロチ「おっと、そちらから来るようじゃのう」

 カラカラカラカラ シュンッ!

暗夜兵「こちらから、近づければ――!? ひぎぃっ!」ビチャ

ユウギリ「ふふっ、いい声をあげますのね」

オロチ「あまり良いものではないのう。これが好きとは、やはりユウギリは変わりものじゃ」

ユウギリ「ええ。でも、仕方無いですわ。好きなものは好きなんですもの」

 パシュパシュ ドスッ

暗夜兵「ぐぎゃああああ、目が、あ、熱い、痛え!」

 バサバサバサッ

ユウギリ「ふふっ、良い声、ゾクゾクしますわ」

 クルクルクルクル ザシュ

暗夜兵「――っが――ふっ――はっ」プシャアアアアアア ドサッ

オロチ「ふむ、しかし、なんじゃろう、この敵の広がり方は。何か企んでおるようじゃ」

ユウギリ「そうですわね。でも、これは殺しやすくていいものですわ」ザシュッ

オロチ「ユウギリ、逃げたカムイ王女を探してきてはくれぬか? ヒノカ王女は動けそうにない、空を飛べるそなたのほうが見つけ安いはずじゃ」

ユウギリ「ええ、敵を摘まみながら、探してきますわ」

 バサバサバサバサッ

ラズワルド「金鶴がどこか違う場所に行くみたいだ。残ってるのは呪術師とアーマーナイトが三人の計四人か。でも、あの怖い人がどこかへ行ってくれて助かったよ」

ニュクス「そうね、できれば相手にしたくはなかったから、助かったわ」

オーディン「しっかし、変な感じに収まっちまった。ほとんどの部隊が散り散りじゃ、この反乱を抑えきれないぞ」

ラズワルド「ガンズの部隊がおかしな動きをしてたからね。何か企んでいるのかもしれないよ、あのゲパルト兄弟もその指示に従ってたみたいだし」

オーディン「一体何を企んでるかは知らないが、正直嫌な予感しかしないぞ」

ニュクス「そうね。でも、今は目の前のことに対処する時間よ」

ラズワルド「それもそうだね。それで、どうしようか?」

ニュクス「まずは、あのでかいの三人片付けるわ。そのあとにあの呪術師に攻撃を掛ける」

オーディン「そうかい。しかし、うまくいくのか?」

ニュクス「ふふっ、漆黒のオーディンって言われてるあなたが、こんなことで根を上げるのかしら?」

オーディン「まさか、今のは仮の姿だ。漆黒のオーディン、秘めたる力、アウェイキング・ヴンダーを駆使すれば、不可能なことなど何もない」

ニュクス「そう、頼りにしているわ。ラズワルド、どう?」

ラズワルド「対装甲のアーマーキラーを持ってきたのは正解だったね。どうにかして見せるよ」

オーディン「さすがは蒼穹のラズワルド、抜け目のない準備だ」

ニュクス「そう、それじゃラズワルド、ひとつ頼まれてくれないかしら?」

ラズワルド「いいけど、何をするんだい?」

ニュクス「それはね―――」

オロチ「ふむ、ここにはもういなさそうじゃのう?」

シュヴァリエ兵「オロチ様。次の場所へ向かいましょう」

オロチ「そうじゃのう……いや、まだいるようじゃ。その壁の向こうじゃな? これでどうじゃ!」

 カラカラカラカラカラ シュッ!

 ドガン!

ラズワルド「うえ、ばれてないこれ?」

オーディン「勘が鋭いようだが、呪術師以外はどうやらそうでもないみたいだ」

ニュクス「なら、よろしくね、ラズワルド」

ラズワルド「ああっ、行くよ! いっせーのっせ!」ブンッ

オロチ「何か飛び出した――!?」サッ

ニュクス「身軽なのが生きたわね。一番遠いやつを。これで!」

 ボウッ ボウッ ボウッ

シュヴァリエ兵「ぐえああああああああ。鎧、よろいの隙間からああああ、ひぎゃああああ、あづいああ」ドタッ プスプスプスッ

シュヴァリエ兵「!? くそっ、どこだ!」

オーディン「ここだっ!」

 シュオンッ ビリビリビリ

シュヴァリエ兵「ごあ、ああああがあああああ」ドサッ

ニュクス「んっ、流石にうまくは着地できな――」

シュヴァリエ兵「殺してやる!死ねええええ!」

 ザッ

ラズワルド「悪く思わないでね。せいっ!」

 ガギン ギギギギッ ガゴンッ ズシャ

シュヴァリエ兵「……」ポタポタタタッ ガシャンッ

オロチ「ふむ、護衛がやられてしまったのう。わらわも入れて四人いるからと油断した結果じゃな」

ニュクス「そうね……。さて、三体一よ?」

オロチ「うぷぷ、数は重要ではない。もう仕掛けは打っておるからのう」

ラズワルド「……負け惜しみかな? 降伏とかしてくれると嬉しいんだけど」

オロチ「うぷぷ、わらわはここで死ぬ気じゃからな。降参などした日には、この先ずっと思い出し笑いを続けることになる。それは御免じゃ」

オーディン「なんで、そんなに死にたがる? 意味がわからないな」

オロチ「意味など知る必要がないことじゃ。今から地に伏して死ぬものに、そんな託はちとサービスのしすぎというもの、そうじゃろう?」

ニュクス「そう。確かにそうかもしれないわね」バサッ

オロチ「うぷぷ、そなたは物わかりが良くて助かるのじゃ。むろん、勤めを果たすまで死ぬつもりはないがのう!」

 カラカラカラカラ シュッ
 カラカラカラカラ シュパッ
 カラカラカラカラ ドドドド

ラズワルド「三つ同時に展開した!?」

オーディン「なに、この、かっこいい出し方。俺もこれすっげえやりたいんですけど!」

ニュクス「仕掛けってこのことね」

オロチ「ついでにもう一つじゃ!」

 カラカラカラカラ ザンッ

オーディン「ラズワルド、ニュクス下がれ! 俺の漆黒の衣ですべて受け止めてみ――、うっ、ぐぼっ、ぐはぁ、ごはぁ!」ドサッ

オロチ「……うぷぷ、とても愉快じゃのう」

ニュクス「……何してるのよ。あなた」

オーディン「くはははははは! どうだ、俺の漆黒の衣の力を――いっつつ!」

ラズワルド「こんなところで、格好つけてないで、さっさと立ち上がってよ。次がもう来るよ」

ニュクス「すべて受け止めるなんて正気の沙汰じゃないわ、愚かね」

オーディン「ええっ? 体張ったのにこの仕打ち? ちょっとひどくないか?」

オロチ「くくっ、なんじゃそなたたち、とても息があっておるのう。凸凹しとる癖に、こうも見ていて笑えるものはないものじゃ」

ニュクス「一緒にされるなんて心外だけど。そうやって言葉でからかって術を仕掛ける時間稼ぎはやめた方がいいわよ」

オロチ「……よく見ておるのじゃな。普通、こんな暗い中では気づかないはずじゃ」

ニュクス「ええ、でも手から落ちる時、あなたの札はよく光に反射しているから見えないわけじゃないわ」

オロチ「……やはり即興の準備では駄目か。指摘までされるとは思わなかったぞ」

ニュクス「それに、あなたは展開が少し遅いみたいだから……。もともと人を殺すために呪術を習っていたというわけではなさそうだもの」

オロチ「人のことを詮索するのは感心せん」

ニュクス「そうね、心まで踏み入って悪かったわ」

オロチ「……いや、そうだったかもしれんな。それがこうして、こんなことに身を費やすことになるとは、本当にわからぬものじゃ!」

 シュシュシュシュ カラカラカラカラカラ

ラズワルド「次くるよ!」

オロチ「今回は追加はせん、次で三人まとめて仕留めじゃ」ハラ ハラ

オーディン「ここで引いたら、あいつは他の連中の場所に向かうはずだ。どうにかして止めるぞ」

ニュクス「ええ、そうね。だから、ラズワルド、オーディン。少し力を貸してほしいわ」

ラズワルド「別に構わないよ。で、どうするのさ」

ニュクス「少し、無茶するつもりよ」

オーディン「……いいだろう。力を貸す、だが奴を倒せるんだよな?」

ニュクス「勝算がなければやらないわ。そういうものでしょう?」

オーディン「それもそうだ。で、俺は何をすればいい。この俺にだけできる、栄光ある使命を期待する」

ニュクス「ええ、さっき見せてもらったから言わせてもらうわ」

「オーディン、盾になりなさい」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

カムイ「はぁはぁ、皆と散り散りになってしまいました。くっ、敵に圧されて……」

ピエリ「カムイ様、後ろに下がってるの」
 
 パシュ キィン

ピエリ「いたっ」

リリス「ピエリさん、えいっ!」シュオン

ピエリ「ありがとなの。えいっ!」ザシュッ

 ポタポタポタポタ ドサッ

ユウギリ「ふふっ、見つけました。みなさん、王女以外殺して構いません、行きますわよ」

 バサバサバサバサッ

ピエリ「……竜騎兵がいっぱいなのよ」

リリス「ぴ、ピエリさん……」

カムイ「くっ、こんな状態で狙われては」

 バサバサバサバサ

シュヴァリエ兵「くらえ!」ブンッ 

ピエリ「んぐっ! 怒ったの!」シュ ザシュ

 ドサッ

シュヴァリエ兵「その騎兵を殺せば、王女だけだ! たたみかけろ!」

カムイ「てやあ!」ザシュッ

シュヴァリエ兵「ぐっ、くそおお」ドサッ

ユウギリ「ふふっ、斬りかかってくるのですね。なら、その足の一本でも奪わせてもらいますわ」クルクルクル ジャキ

 ザッ

カムイ「!」キィン

ユウギリ「! 甘かったみたいですわ。でも、これなら!」グルン バシンッ

カムイ「ぐああっ!」

ピエリ「カムイ様! カムイ様から離れるの!」ブンッ
 
 サッ

ユウギリ「惜しかったですね。やはり、遊撃手を倒してからに限りますわ。これで、どうです?」パシュ

 キィン

ピエリ「んっ! まだまだ、負けられないの! リリスもカムイ様も守って、守ってみせるの!」

リリス「カムイ様。これで、大丈夫です」

カムイ「はぁ……はぁ、リリスさん」

ピエリ「ううっ、このままじゃ押し込まれちゃうの」

カムイ「だから言ったんです、私の近くにいても……」

リリス「カムイ様、後悔なんてしません。だから、そんなことを言わないでください」

ピエリ「……カムイ様にそんなこと言わせないの。今から全員八つ裂きにしてやるの」

リリス「カムイ様はここにいてください! ピエリさん、存分に暴れちゃってください!」

ピエリ「うん、いくの!」

ユウギリ「そう、では私たちも行きますわよ!」

カムイ「くっ、私も加勢しないと――」

???「でやぁ!」

カムイ「!?」

???「そこだっ!」ガシッ

カムイ「!」

カムイ(この敵、私に突進して……まさか)

???「悪いけど、一緒に下に落ちてもらうよ!」

 ガタンッ ゴロゴロゴロゴゴロ

ピエリ「!? カムイ様が下に落ちちゃったの!」

リリス「えっ、そんな!」

ピエリ「すぐに、助けに―――」

ユウギリ「よそ見している暇はありませんわ」ブンッ

ピエリ「くっ、しつこいの! ピエリはカムイ様の場所に行きたいの、邪魔しないでなの」

ユウギリ「それは無理な相談、それに今の状況は好都合ですわ、これであとはあなた方を殺して、下に降りるだけでいいはず。手加減のしようがなくなりましたわ」

ピエリ「……怒ったの、全員、地面に平伏してあげる。そしてすぐにカムイ様を追いかけるの。リリス、しっかりつかまってるのよ」

リリス「…………」

ピエリ「リリス?」

リリス「……ピエリさん、ごめんなさい」シュタッ

ピエリ「リリス、あぶないの!」

シュヴァリエ兵「逃げだした奴がいるな。あいつを先に殺してやる」バサバサ

リリス「はぁはぁ、ここから階段を下りて行けば!」

シュヴァリエ兵「背中ががら空きだぁ!」

リリス「!」

 ズビシャ!

ピエリ「……背中ががら空きなの」

シュヴァリエ兵「ぐぼっ、ば、ばかなぁ……」ドサッ

ピエリ「リリス。ここはピエリが抑えるの。だから早くカムイ様も元に行ってあげるの。ピエリもすぐに追いかけるから、先に行って合流してて欲しいのよ」

リリス「ぴ、ピエリさん」

ピエリ「早くするの! もう乗せてる時間無いの!」

リリス「う、うん。ありがとう!」

 タタタタタタタッ

ユウギリ「ふふっ、健気ですわ。でも、一人でこの人数を相手にできるかしら」

ピエリ「できるかじゃないの、するの! あんたたちみんな殺して、すぐにリリスとカムイ様に追いつくの」

ユウギリ「あなた、面白い方ですわね。でもさっきの子に追いつけたとしても、カムイ王女に追いつけるかはわかりませんわ」

「着く頃には、残念なことに死体になっているかもしれませんから」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 ドサッ ドサッ
 
カムイ「ううっ」

???「くっ、いたたっ。少し無理し過ぎたか」

カムイ「! くっ、リリスさん、ピエリさんとはぐれてしまいました……。命知らずな攻撃ですね、それともこうして私と二人切りになるのが目的だというんですか?」

???「そうだね。まぁ、そうしたかったからこんな無茶をしたんだ。大目に見てほしいね、カムイ」

カムイ「!」

???「あはは、何驚いてんのさ。ここはシュヴァリエの中なんだ、私と顔合わせになることくらい予想してたでしょ?」

カムイ「え、ええ。そうですね。その声を忘れることなんてありませんから、お会いできて嬉しいです……クリムゾンさん」

クリムゾン「ああ、久し振りだね、カムイ」

カムイ「……あの、クリムゾンさん。その、この反乱は……」

クリムゾン「ごめんね。あんな大口叩いておきながら、結局反乱を止めることなんてできなかったよ」

カムイ「クリムゾンさんの所為ではありません」

クリムゾン「やさしいねカムイはさ。でも、私にはなんの力もなかったってことを突きつけられる結果だったよ。カムイの期待には応えられなかった」

カムイ「でも、クリムゾンさんは反乱をどうにか抑えてくれようとしたんですよね? なら、それでいいじゃないですか」

クリムゾン「止められなきゃ意味なんてないよ。そしてここに来てくれたってことは、私に答えを示してくれるってことでいいんだよね?」

カムイ「……そうですね」

クリムゾン「まぁ、カムイの答えなんて決まってる、そうなんだよな?」

カムイ「ええ」

クリムゾン「それじゃ―――」





カムイ「安心してください。私がクリムゾンさんと剣を取りあえるようにいろいろしてみせますから。この反乱を静かに終わらせて、一緒に剣を取り合っていきましょう」

クリムゾン「……えっ?」

カムイ「クリムゾンさんは、私の命令でシュヴァリエ公国の反乱を防ぐために向かって、それに巻き込まれたということにします。こうすれば、クリムゾンさんを助けられます。お父様はあなたの首を差し出せとは言っていませんから」

クリムゾン「………ねぇ、それ本気で言ってるのかい?」

カムイ「本気です。私はあなたに生きていてもらいたいんです。だから――」

クリムゾン「そう、そうかい。そうかよ……」ジャキッ

カムイ「? クリムゾンさん?」

クリムゾン「てやっ!」ブンッ

カムイ「い、いきなり何をするんですか!?」

クリムゾン「……カムイ。私はそんな答えなんて求めてない。求めてないんだよ」

カムイ「な、なんでですか。私は――」

クリムゾン「反乱が起きたから手を取り合う時になった……そんなこと言うつもりなら、やめてほしいところだね。私を幻滅させないでくれない? 虫唾が走るよ」

カムイ「わ、私はクリムゾンさんを助けるためにここに来たんです」

クリムゾン「……なんだよその姿。どうしたっていうんだいカムイ。あの日のお前は一体なんだって言うんだ。今のお前は一体何だ?」

カムイ「わ、私は、何も変わって、変わっていません」

クリムゾン「カムイは反乱を抑えて私を救うなんて出来ると思っているわけかい?」

カムイ「私、私はそのために!」

クリムゾン「なら、それは叶わないよ。残念だけどね」

カムイ「どうしてですか!」

クリムゾン「私がシュヴァリエの人間だからだ。祖国の戦いを見て、それに参加してきた私が、今さらになってシュヴァリエを裏切ってカムイに付くことはないよ」

カムイ「あなたは、この反乱に正義なんてないって」

クリムゾン「ああ、そうだね。この先には正義なんて見出せないよ。でも、正義がなくても私は祖国のために剣を取る。そして、散るつもりだよ」

カムイ「そ、そんな。なら、私、私は……私はどうすればいいというんですか?」

クリムゾン「……もう、私の進むべき道は決まってるんだよ。カムイ」

カムイ「決まっていません! 私はあなたを救って――」

クリムゾン「もう話は終わりだよ。カムイ……あんたの答え聞かせてもらった。私が望んだものじゃなかったのはとても残念だけど、もう関係ないからね」

カムイ「やめてください、クリムゾンさんと戦うために、来たんじゃないんです。お願いです、武器を、武器を置いてください……」

クリムゾン「それはできない相談だね」

カムイ「!」

クリムゾン「カムイ、私はあんたを殺すつもりだよ。今の私はシュヴァリエのために剣を握ってる、もう動きだしたものは止まらない。私は最後まで愚かなシュヴァリエの象徴であると、決めたんだ」

カムイ「……クリムゾンさん」

クリムゾン「さぁ、剣を取りなよ、一体一だ」

カムイ「……ぐっ」フルフルフル

クリムゾン「……そう、それでいい。それじゃ、始めよう」

「私の望んだ答えを、お前に提示してもらえるまでさ……」

今日はここまでです。

愛溢れるヒノカさんに捕らえられたらどうなるのかわからない

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

オロチ「うぷぷ、仲間に盾になれとは。面白いことをいうものじゃ」

ニュクス「こっちは真剣そのものよ」

オロチ「真剣とな。その男の顔が引きつっておるは気の所為か?」

オーディン「そんなことはない。俺は与えられた使命に魂を躍動させていたところだ」

ラズワルド「足を震えさせながら言うことじゃないよね」

オーディン「……ふっ、これは武者震いだ」

ニュクス「ほら、本人もそう言ってるから、大丈夫よ」

オロチ「なるほど、ではその魂の躍動とやら、見せてもらおうかのう!」

 カラカラカラカラ 
 カラカラカラカラ 

ニュクス「オーディン!」

オーディン「ああっ、受け止めるだけが盾じゃないってことを教えてやる」ダッ

オロチ「ま、待つのじゃ! 動くなど聞いておらんぞ!」

オーディン「動かないわけないだろ、そのくらいわかるもんだ」

ニュクス「ラズワルド。言われたとおりにできるかしら?」

ラズワルド「任せてよ。でもさ、その本当にいいのかい?」

ニュクス「私が提案したのよ。でも、変なところを触ったら、後で覚悟しておいて」

オロチ「何を言っておるか知らぬが。なら、これで、一気に決めさせてもらおうかのう!」

 カラカラカラカラ シュオン
  カラカラカラカラ シュオン
   カラカラカラカラ 

ニュクス「来たわ」

オーディン「数は……さっきのを入れて五つ。ラズワルド、俺の背後にぴったりと付いてくるんだぞ」

ラズワルド「わかってるよ。それじゃ、ニュクス抱えるよ」

ニュクス「ええ」

オロチ「何をするかと思えば、抱っことは面白いことをするのじゃな。それでわらわの仕掛けを抜けるか?」

ニュクス「ええ、そのつもりよ。オーディン」

オーディン「ああ、行くぜ!」

 タタタタタッ バシン

オロチ「うぷぷ、自分から向かってくるとは愚かなものじゃ」

オーディン「その隙、もらった。リザイア!」

 シュオォォン

オロチ「!? ぐっ、これは……」

オーディン「よし、このまま二回目!」

 バシンッ

 シュオォォン!

オロチ「ぐあっ。くっ、ぬかったようじゃ。しかし、次からは当たらんぞ」

オーディン「構わない。もう、準備は整ったようだ」

オロチ「?」

ラズワルド「行くよニュクス」

ニュクス「ええ、放り投げて頂戴。できれば高くね」

ラズワルド「それじゃ、いくよ!」グッ

ニュクス「ふっ!」シュタッ

オロチ「なるほど、そなたが本命か。じゃが、当てられる物かのう?」

ニュクス「言ってくれるわね。それじゃ、狙わせてもらうわ」

 ボウ ボウッ ボウッ 

オロチ「どこを狙っておるのじゃ。そんな攻撃で、わらわの仕掛けをどうにかできるなどと――」

ニュクス「今よ、ラズワルド」

ラズワルド「ああ!」

オロチ(魔術で出した炎にまぎれて、正面からじゃと!?)

ラズワルド「これで、終わりだよ!」ドゴンッ

オロチ「ぐあああっ」ドタンッ……ドタッ

ラズワルド「よし、僕たちの勝ち、だね」

オーディン「まったく、少しは手加減してくれよー。一人に向かってあの量はさすがにないって」

ニュクス「ふぅ、どうにかなったわね」スタッ

オロチ「ぐっ……てっきり、そなたが決めに来るとばかり思っておったが。うまく裏を掛れたということかのう、っ……」フラフラ

ニュクス「いえ、本来なら逃げるべきところよ。あなた、面と向かって戦えるほど、器用には見えないから……人数差を考えれば撤退するところよ」

オロチ「うぷぷ、なに、どうにかなると思っただけ、しかし結果はこの様じゃ。辛いのう、最後の最後、この命を使う場所に至れぬというのは」

ニュクス「……」

ラズワルド「命は使うものじゃないよ」

オロチ「……」

オーディン「ラズワルドの言う通りだ。命ってのは使うとか使えないとか、決めつける存在じゃないはずだ」

オロチ「まさか、敵にそんなことを言われるとは思ってもいなかったのう。まったく、どうして最後の最後でこうも愉快なことが続くんじゃろうな」

ニュクス「……あなたは、命を使ったのね」

オロチ「……そこまで話すつもりはないのでのう」

ニュクス「そう……私もあなたのような歳で手を出していたのなら、命を使う道を選んだのかもしれないわ」

オロチ「なんじゃその言い方。まるでわらわよりも歳が上だと言っているように聞こえるが?」

ニュクス「そう、言っているつもりよ」

オロチ「……うぷぷ、面白い話じゃ。その話を鵜呑みにすると、どうやらそなたは違う道を選んだということじゃな」

ニュクス「ええ」

オロチ「なら、わらわが選んだ道をどう思うかのう?」

ニュクス「……何も言わないわ。あなたが選んだ道だもの。私たちが何を言ったって、選んだあなたの気持ちが変わらなければ、私たちにはどうすることもできないことよ」

オロチ「……」

ニュクス「命を使いたいんでしょう?」

オロチ「……そうじゃのう」

ニュクス「なら、その仕える場所に行けばいいわ」

オロチ「自由になった瞬間、そなたたちに牙をむくかも知れんぞ?」

ニュクス「その時は、容赦なく殺してあげる。でも、あなたから何かしてこない限り、私たちは手を出さない。約束するわ」

ラズワルド「……認めたくないけど、ニュクスの言う通りだよ。僕とあなたは今出会ったばかり、その考えを変えられるなんて思ってないよ」

オーディン「たしかに、そうだろうな。俺たちの言葉がお前に届くことはない、それくらい理解してるつもりだ」

オロチ「まったく、そなたたちは何とも愉快な者たちじゃ」

ニュクス「愉快っていうのは心外よ。早く行きなさい、間違っても私たちの前にまた立ちふさがらないで頂戴ね」

オロチ「そうじゃのう。また出会ってしまったら、この流れを一からやり直し、それはつまらないものじゃ。どちらにせよ、わらわの命を使う場所へ至れるのはそなたたちのおかげじゃ。ありがとう」

 タタタタタッ

ラズワルド「これでよかったのかな?」

ニュクス「答えなんてないわ。彼女が選んだ道だもの」

オーディン「……それじゃ、俺たちも次の場所に向かおう」

ニュクス「ええ、そうね。もう、出会うこともないんだから――」

今日は短いですがここまででです。

短編ははさむ場所を考えていこうと思います。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ピエリ「てやぁ!」ズシャ

 ギャアアア! ドサッ

ピエリ「はぁ、はぁ……。まだまだやるの」

ユウギリ「ふふっ、まさかここまでやれるなんて思っていもいませんでしたわ」

ピエリ「ピエリ、通さないって決めたの。絶対にあなたたちをカムイ様とリリスの許になんて行かせない、ピエリが戦う場所で出来ることなんてこれくらいだから」

ユウギリ「そうですか。なら、その出来ることが出来なくなったとしたら、あなたはどんな断末魔をあげるんでしょうね?」

ピエリ「……そんなのあげないの。むしろ、そっちがいっぱいあげる方なのよ」

ユウギリ「たしかに、現状見る限りではそう言われても仕方ありませんわ。もうあまり兵が残っておりませんもの、ここまでやられるとは思ってもいませんでしたから、あなたの力を甘く見ていた報いですわね」

ピエリ「……」

ユウギリ「でも、あと一押しすれば、あなたを殺すには足りるでしょうから、そろそろ止めと行きますわ」チャキ

ピエリ(……馬を落とされたら終わり、でも馬は疲れてる。でもやらなきゃだめなの。そうじゃなきゃ、リリスもカムイ様の後も追いかけられなくなっちゃうのよ)

シュヴァリエ兵「ユウギリ様、援護をお願いします」

ユウギリ「ええ、あちらはどうやら疲れているようですから、矢を添えるだけですみますもの。それでは、行かせていただきますわ!」パシュッ

ピエリ「甘いの!」ダッ

ユウギリ「まだ動きまわりますのね。だからこそ、足を止めてしまった時の鳴き声が楽しみで仕方ありませんわ」

ピエリ「鳴かせてみせればいいの!」ヒュンッ

 サッ

シュヴァリエ兵「ハッ! 動きが鈍いぞ、暗夜の犬が!」

ピエリ(駄目なの。やっぱり、動きがぎこちないの)

ユウギリ「ふふっ、どこまで避けられるのか、見せてもらいますわ」パシュ
 
 パシュ
 
 パシュ

 パシュ

ピエリ「いたっ! ううっ、痛いの……」

シュヴァリエ兵「よし、今だ! くらええええ!」ザッ

ピエリ「させな――」スッ

ユウギリ「させませんわ」パシュッ

 ズシュ

ピエリ「っ!!!!」

 カランッ

ピエリ(! 武器が落ちちゃったの……。だめ、態勢が――」

 ドサッ

ピエリ「っ!」

シュヴァリエ兵「ははっ、武器がなければ何もできない女が。これでおわりだ!」

ピエリ(……駄目なの。今起きあがっても間に合わない。ピエリ、ここで死んじゃうの……)

ピエリ「リリス、ごめんなの………」


 タタタタタタタッ

シュヴァリエ兵「しねええ―――」

???「はああああああっ、おらぁ!」

 ドゴンッ

シュヴァリエ兵「―え、ぐぎゃっ」ドサッ

ピエリ「……ふぇ?」

???「てめぇ、武器をもってない女に手を出すとはいい度胸ねえ」

ピエリ「……あれ、ピエリ死んじゃったんじゃないの?」

ユウギリ「ええ、今、死ねますわ」パシュ

???「させんぞ……」キィン

ユウギリ「!?」

???「ちょっと、あんた大丈夫?」

ピエリ「ピエリ、大丈夫なの?」

???「なんで疑問形なのよ。それにしても、拳で殴ったのは久しぶりだから結構痛いわ。肌に傷がついたらどうしてくれるのよ」

???「ふっ、無茶をする……」

???「いいでしょ。それに眼の前で仲間、しかも武器も持ってない女が殺されるのなんて、見てていいもんじゃないし。ブノワだって、かなり急いでたじゃない。早く動けないくせに」

ブノワ「それもそうだな……、お互い無茶ばかりする」

シャーロッテ「さてと、武器が無いからって女を舐めてる奴から掛ってきなさい。今日の私は気が立ってるから、そんじゃそこらの拳とは一味も二味も違うのをお見舞いしてあげるわ」

ピエリ「えっと、何が起きたの。ピエリ、わからないの!」

ブノワ「混乱しているところ悪いが、これはお前の武器か?」

ピエリ「そうなの、あとあの馬もそうなのよ。二人とも誰なの?」

シャーロッテ「シャーロッテよ。っていうか城壁で一緒に闘ってたでしょうが!」

ピエリ「? そうだったの? ピエリ、全然気付かなかったの」

シャーロッテ「なによそれ、急いできた私たち馬鹿みたいじゃん」

ピエリ「死んだら会える鬼がピエリのことを迎えに来たのかと思ったの。金髪だって聞いてたから二人も来てくれるのかなって思ったの」

ブノワ「お、鬼か……」

シャーロッテ「けっ、こんな可愛い見た目の鬼がいるかっての」

ピエリ「確かにそうなの。でもなんで、ピエリを助けたの?」

シャーロッテ「あんた、カムイ様に付いてたでしょ?」

ピエリ「ピエリ、カムイ様を守るの」

シャーロッテ「それが理由よ。運よく巡り合えた最高の機会を、こんなちっぽけな反乱で失うなんてまっぴらなんだから」

ピエリ「? どういうことなの?」

ブノワ「一緒に戦おう。そういうことだ」

シャーロッテ「そういうこと」

ピエリ「なら手伝ってほしいの!」

シャーロッテ「そう言ってるでしょ。ブノワ、壁任せたわ」

ブノワ「元からそのつもりだ……」

ユウギリ「……」

シュヴァリエ兵「けっ、たかが三人でどうにかできると――」

ピエリ「えいっ!」ポイッ グサッ

 ドサッ

ピエリ「一人減ったの」

シャーロッテ「容赦ないわね。あんたが死んだとしても、迎えの鬼が裸足で逃げ出しそうね」

ユウギリ「現れて早々、一人を殴り倒したあなたが言うんですから間違いないですわ」

シャーロッテ「余計なお世話よ!」

ユウギリ「増えてしまっては、これ以上押し切れるとは思えませんね」

シャーロッテ「で、どうすんだよ。やるのかやらないのか、さっさと決めなよ」

ブノワ「……」

ピエリ「……」

ユウギリ「……そうですわね」

シュヴァリエ兵「ユウギリ様、問題ありません。はやくこいつらを始末して――」

ユウギリ「いいえ。このまま戦っても意味はないでしょう。どうやら、私たちでは一人に声を上げさせるので手いっぱいですわ」

シャーロッテ「……逃げる気かよ」

ユウギリ「癪ですが仕方ありません。それに、あなた方と相打ちになるもの悪くありませんけど、それは私に課せられた使命ではありませんから」

シャーロッテ「ごたごた抜かしてないで、行くならさっさと行けよ」

ユウギリ「そうさせていただきますわ。皆さん、引きますわよ。カムイ王女のことは彼女に任せましょう」

シュヴァリエ兵「しかし……」

ユウギリ「あなた方の指揮を任されているのは私ですわ。そこを勘違いしてもらっては困りますわ」

 バサバサバサバサ

ピエリ「……逃げたの?」

シャーロッテ「みたいよ」

ブノワ「ふぅ、戦わずに済んでよかった……」

シャーロッテ「まったく、なら最初から攻撃してくるなっての。それで、あんたピエリだっけ?」

ピエリ「そうなの。えっと、シャーロッテ?」

シャーロッテ「そうよ。それで、カムイ様はどこに行るわけ?」

ピエリ「そうなの! カムイ様、あそこから落ちて行っちゃったの」

ブノワ「ここから落ちたって言うのか……。助かるだろうか?」

シャーロッテ「ブノワ、シャレにならないこと言うんじゃないよ」

ピエリ「か、カムイ様、死んじゃったの? そんな、ピエリ、ピエリ、ふえええええええんん!!!!」

シャーロッテ「うわ、いきなり泣き出さないでよ」

ピエリ「えっぐ、でも、カムイ様、死んじゃったって」

ブノワ「すまない。死んだと決まったわけではない、今から確認に向かおう」

シャーロッテ「そういうこと。ピエリ、できれば馬乗せてもらえない? ちょっと、疲れちゃったの、いいでしょう?」

ピエリ「駄目、ここはリリス専用なの」

シャーロッテ「ええ……」

ブノワ「仕方無い、俺たちは走って追いかけることにしよう」

ピエリ「早くリリスも見つけて、カムイ様と合流するの。一人は危険がいっぱいなの」

シャーロッテ「リリスっていうのは一人で行動してるわけ。でも、腕っ節はあるんでしょ?」

ピエリ「ぜんぜん無いの。ロッドを使えるくらいなの」

ブノワ「それはとても不味いんじゃないのか?」

シャーロッテ「早く探さないとやばいわよ、それ」

ピエリ「そうなの。だから早く探しに行くの!」

シャーロッテ「なら、さっさと行くわよ。って、そのリリスっての、無茶するわね」

ピエリ「カムイ様のことを守るって言ってたの。リリス、カムイ様のこと大好きなの」

ブノワ「そうか……」

シャーロッテ「はぁ、だからって一人で飛び出すなんて無計画過ぎね。私なら媚打って男を何人か連れてくるのに」

ピエリ「そうなの? いっぱいいると的に思えちゃうから、要らないの」

シャーロッテ「……的って、あんたね」

ピエリ「こんなこと話してる場合じゃないの。早くリリスとカムイ様に追いつかないといけないの」

シャーロッテ「ちょっと、置いてくんじゃないわよ!」

ブノワ「くっ、あまり早く走れない……」

シャーロッテ「根性見せなさいよ、ブノワ!」

ピエリ「二人ともおいて行っちゃうの!」

ピエリ(リリス、今追いつくの、そして一緒にカムイ様を守るの!)

~~~~~~~~~~~~~~~~~

リリス「はぁはぁ! たしかあの真下はこのあたりのはず――」

シュヴァリエ兵「いたか?」

リリス「!?」サッ

シュヴァリエ兵「いや、ここら辺にはいないみたいだ。所定位置にいつまで経っても現れないから来てみたが……」

シュヴァリエ兵「やはり、奴はシュヴァリエを売ったに違いない。そうだ、今頃憎き暗夜の王女とどこかに隠れているのかもしれないぞ」

シュヴァリエ兵「けっ、一人だけ生き残ろうって魂胆か? あれで、自分に皆が動かせているなんて思っていたなんて飛んだ勘違いのアバズレだな」

リリス(暗夜の王女……カムイ様のことですよね。でも、もう一人と言うのは……)

シュヴァリエ兵「まあ、いい、見つけ次第一緒に殺してしまえばいい。暗夜の王女も、あのクリムゾンっていう小娘もな。けっ、暗夜王国に行くなんて言わなければ、殺されることもなかっただろうに」

シュヴァリエ兵「ははっ、結局この反乱が終わったら暗夜に情報を漏らしたとか、そんなこと言って処刑するつもりだったんだ。刑が早くなっただけの話だろ?」

シュヴァリエ兵「違いない。なにせ反乱が確実になった瞬間に手のひらを反してきたんだ、まったく逞しい生き様だね。俺にはとてもまねできない」

シュヴァリエ兵「まったくだ。よし、ここら一帯は迷路みたいに入り組んでるが、一直線で逃げ場がない場所が多い。見つけ次第、どちらも殺してしまえ」

シュヴァリエ兵「わかってるさ」

 タタタタタタッ

リリス「……カムイ様、まだ生きているんですね。それがわかっただけでも良かったです」

リリス「でも早く見つけないといけません。あの人たちは、見つけた瞬間に攻撃をしてくるような人たちのようですから」

リリス「大丈夫、私には星竜の加護があります……」

リリス「だから、カムイ様。どうか無事でいてください」

リリス「私がたどり着くまで、生きていてください」

リリス「必ず私が、あなたを守ってみせますから」

 タタタタタッ

 今日はここまでです。この頃、話があまり纏まらなくて遅筆で申し訳ない。
 
 資料館でイベントシーンを見返せる機能が切実に欲しい……

 

 


資料館の支援会話は埋まってる?

~~~~~~~~~~~~~~~~~

クリムゾン「どうしたんだい、カムイ。受けてばっかじゃ、私は倒せないよ?」

カムイ「私は、あなたと戦いたく――」

クリムゾン「いつまでそう言うつもりか知らないけど。なら、私に殺されるしか道はないよ、それでもいいわけ?」

カムイ「クリムゾンさんも、私に殺されてもいいって言うんですか?」

クリムゾン「今のあんたに言われてもまったくそんな気持ちにはならないよ。負けるつもりはないし、あんたの望みに応える気もさらさらないからね」

カムイ「どうしてですか、あなたに私は生きていてほしいと思っているのに」

クリムゾン「……それが本当のあんたなのかい?」

カムイ「な、なにがですか……」

クリムゾン「私と話をした時のこと、覚えてるかい?」

カムイ「当然です。だから私はここに来たんです、あなたと剣を取るために、取れる未来を得るために。あなたを失わないために」

クリムゾン「……ははっ。面と向かって言われるとなんだか恥ずかしいセリフだね」

カムイ「なら」

クリムゾン「どうして、私と話をした時の面影と今のお前はこんなに違っているんだい? 私には、カムイがおかしくなったようにしか見えない。あんたはあの時言ってくれた、時が来たらって。そして今、反乱が起きたら剣を交える側になるって」

カムイ「そ、それは……」

クリムゾン「私はね。迷いもなくそう言い切れるあんたを信じた。信じたからこそ、私はシュヴァリエを……この反乱を止めるために戻ったんだ。遠回りしたところに、カムイの言葉があったから、こうしてこの反乱に加担した」

カムイ「……」

クリムゾン「でも、今のカムイからはなにも感じない。私と、リョウマが信じたカムイは、たぶん今のあんたとは別人なんだろうね……」

カムイ「私は私です! 私はあなたを助けることが出来る、出来ると思ったから――」

クリムゾン「出来ないって言ってるのがわからないのかい!」ドゴッ

カムイ「きゃあああっ」ズサーッ

クリムゾン「私はあんたの操り人形じゃないんだ。私が選んだ道を否定するのは構わないけど、カムイの求める道に無理やり引き込まないでよ」

カムイ「操り人形だなんて……思って――」

クリムゾン「あの時のあんたが言ったら信じたよ。あのとき、カムイは私が言うべき台詞を先に潰してきたんだからさ。この反乱がもしも始まったら、敵同士だって私は言おうとしていたのを、先に剣を交えるって言葉で消した。私が反乱を止められなかった時に、それを止めてくれるって、あの時のあんたは言ってくれた気がした」

カムイ「うっ、くぅっ……」

クリムゾン「それがどうしたら私を助けるってことに繋がるんだい? そして、こうやって一騎打ちを望んでいるのに、戦う気もない素振りを見せて、何がしたいのかわけがわからないよ」

カムイ「クリムゾンさん……」

クリムゾン「ここに来ないでほしかった……」

カムイ「えっ……」

クリムゾン「こんな、こんな惨めな思いをするくらいなら……」

カムイ「クリムゾンさん?」

クリムゾン「カムイが来なかったことを悔やみながら、死んで行く方が、私には幸せだったのかもしれない。こんな、こんなカムイを見て、それを殺すことになるくらいなら……」

クリムゾン「本当に、どうしてあの時のあんたは今みたいに振舞ってくれなかったんだ。なんで、すべてに分別が付くみたいな顔をしてられたんだ。今のカムイにそんな顔できるわけないのに、なんで、なんで……そんな迷ってる子供みたいに、私に助けを求めてくるんだ!」ブンッ

カムイ「クリムゾンさん、私は、私はどうすればよかったんですか……」

クリムゾン「その答えを私が持ってるわけないんだよ! わかってよ、ここであんたを待つことを選んだ私が、どういう人間なのかってこと、あんたならわかってくれるはず。私の願いに応えてくれるって……そう思って、こんな場所で待ち続けてたのに」

カムイ「わかるわけ、わかるわけありません! 私は、私自身のことさえわからなくなっているのに、わかるわけないじゃないですか!」

クリムゾン「そんななのに、なんで来ちゃったんだよ。ここに来て優しさも何も要らないって、わかってるはずなのに。なんで私に希望を与えようとするんだい? 私は希望なんて捨ててここにいるんだよ」

カムイ「な、何を言っているんですか?」

クリムゾン「この反乱が成功しようが失敗しようと私には先がないんだ。文字通りの意味でね」

カムイ「なっ……何を言っているんですか?」

クリムゾン「傑作だよね。シンボル? 象徴? お笑いだよ。もう私は厄介箱なんだ、シュヴァリエのために戦える最後の機会は、私の最後の日。だから、もう先を私は求めない、希望を持たないって決めたんだ」

カムイ「ど、どうして。あなたはシュヴァリエを思って、私に会いに来たというのに――」

クリムゾン「その理由は話さないよ。話しても何の意味もないからね。だから、私はあんたが来たことに心が躍った。二人きりでこうして、あんたに殺されることを夢見てた。私が唯一、望めるものがあるとするなら、カムイに殺してもらうことくらいだからさ」

カムイ「それを……私に望むって言うんですか!」

クリムゾン「ああ、そのつもりだよ。ここまで誘導できたのは、あんたが受けてばっかりだったからかもしれないからね」

カムイ「!」

クリムゾン「袋小路だよ。背中には壁、正面には私。もう、逃がすつもりはないからさ。生きて帰りたかったら、私を殺す以外に道はないよ」

カムイ「……」フルフルフルフル

クリムゾン「ははっ、震える姿はなんだか可愛いね。できれば、あの時、泊めてもらってた時に見せてもらいたかったかな」

カムイ「……クリムゾンさん。わ、私は――」

クリムゾン「それじゃ、暗夜王国王女、カムイ。覚悟しな!」ダッ

カムイ(クリムゾンさんが向かってきます。気配が、これは斧槍ですよね?)

カムイ(ああ……こんなに、あなたに生きていてもらいたいのに。届かないんですか?)

カムイ(私を殺しても、結局クリムゾンさんは生きられないと言っていました。そんなことあるのでしょうか?)

カムイ(いいえ、多分そうなんでしょう……。結局、私が何をしてもクリムゾンさんは助からない……)

 ドクンッ

カムイ(だめっ、頭が痛い……)

 ドクンッ

カムイ(この痛みをなくすにはどうすればいいんでしょうか?)

 ドクンッ

カムイ(こんなに悩んで、頭が痛いのに。どうにもできないなら、どうすればいいんでしょうか?)

 ドクンッ

カムイ(クリムゾンさん……そうか)

 ドクンッ

カムイ(終わらせてしまえば……)

 ドクンドクンッ

カムイ(クリムゾンさんを心配に思ってるこの心を……)





 ザシュッ





(終わらせてしまえばいいんだ……)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ヒノカ「はああっ!」

カミラ「せいっ!」

 キィン

ヒノカ「く、これでどうだっ!」

カミラ「! 前より強くなったわね……」

ヒノカ「当たり前だ。お前たち暗夜からカムイを取り戻すためなら、私はどこまでも強くなれる」

カミラ「……そう。でもカムイは帰ることを望んでなんていないわ。さっきそう言われたでしょう?」

ヒノカ「ちがう! お前たちが、お前たちが誑かしているだけだ。カムイがいるべき場所はこんな暗い世界じゃない、もっと明るくて優しい世界であるはずだ」

カミラ「白夜がその明るく優しい世界だって、あなたは言うの?」

ヒノカ「明るく優しい世界だった……。もう変わってしまったがな」

 ブンッ

カミラ「ならあなたの言っていることは、矛盾しているわ。白夜がそうでないと今言ってしまったじゃない」

ヒノカ「ふふっ、だからカムイと一緒に、もう一度白夜を温かい世界に戻すんだ。私はカムイと一緒ならそれができると信じてる。そのためには、悩みの種は全部摘まないといけない」

カミラ「……カムイがそれを望んでいると?」

ヒノカ「……貴様こそ、カムイが望んでいることを理解しているのか?」

カミラ「カムイが、望んでいること?」

ヒノカ「カムイは悩んでいた。私の問いかけに、一度は突き放した私の言葉に動じてしまうほどに。長い間一緒に過ごしていながら、悩みを理解できない貴様が、あの子を本当に理解していると言えるのか?」

カミラ「それは……」

ヒノカ「お前達にカムイの幸せを願う権利はある。それを願うことを誰も否定できないし止められない、私にも止められない。願う気持ちは貴様も私も同じほど持っているはずだからな」

カミラ「だったら、カムイが選んだ選択を尊重するはずよ。なんで、ここまで――」

ヒノカ「貴様にカムイを幸せにする力がない、それだけのことだ!」

カミラ「!!!!」

ヒノカ「暗夜はあの子にとって悩みの種になるだけの場所だ。そこにいるというのに、貴様は何をしてきた? 一緒にいるだけで、あの子の悩みに向き合ってきたのか?」

カミラ「っ!」

ヒノカ「一緒にいることで満たされているのはカムイじゃない。貴様だけが満たされ、カムイは満たされない」

カミラ「そんなことないわ!」

ヒノカ「なら、カムイの悩みをどうして汲み取れない! 貴様は、私が、私たちが得るべきだった多くの時間をカムイとともに過ごしてきたのに。どうして、どうしてそれが汲み取れないんだ!」

カミラ「残念だけどヒノカ王女の言うとおり、私はあの子が悩みを汲み取れない。でも、だから私はカムイを信じて待つ、そう決めたの」

ヒノカ「……その優しさを抱けるカミラ王女が羨ましい。私にはそう思い、待ってやる余裕さえ無い」

カミラ「どうして、どうして待ってあげられないの」

ヒノカ「……私はカムイを大切に思っている。思っているのに、私にはカムイがどんな人間なのかということをまるで知らない。知らないんだ」

カミラ「……」

ヒノカ「わかるか? 久々に会った妹から、他人のように振舞われる気持ちを。妹の言葉を素直に受け止められない辛さを。こうして、共に育ってきたことを見せつけられる苦痛を!」

カミラ「ヒノカ王女……」

ヒノカ「共に育っていくことが、ありふれた幸せがたまらなく大切だと気付いた時、もうカムイは白夜にいなかった。笑って泣いて、時に怒って、そういう積み重ねが、絆を育むことだとわかった時には、もうカムイには暗夜の兄妹がいたんだ」

カミラ「それは……」

ヒノカ「私たちは奪われてしまった。もうその時間は帰ってこない、だからあの日、白夜で再びカムイを抱きしめた時、流れた時間のすべてを取り返せるそう思った。時間は掛っても、再び笑いあえる日が来ると……」

ヒノカ「その思いさえ、お前たちの時間と言う壁の前に握り潰されてしまった。今になって私たちが再び家族としてカムイと歩んでいくのに、もう時間を掛けていくことはできない。お前たちがカムイと過ごしてきた時間、強い絆を断ち切るために、私は暗夜とその悩みの種をすべて取り除く。そう決めたんだ」

カミラ「……だとしても、カムイをあなたに渡すつもりはないわ。私にとってはかけがえのない妹だもの。たとえ血が繋がっていなかったとしても……私はカムイのお姉ちゃんだから」


今日はここまでで。思った以上に、重くなってしまった……

FEifって思った以上に平民と貴族で身分差を感じない作品だなーと思った(FFTやりながら)

>>186さん

支援はすべて埋まっているわけではないんですよね

ヒノカ「それも今日までのことだ。最初に摘まれる悩みの種は貴様だ、カミラ王女!」ブンッ

カミラ「くっ」

ヒノカ「そこだ!」バシッ

カミラ「っ! やってくれるわね。でも、まだまだよ」ブンッ

ヒノカ「! まだ足りないというのか?」

カミラ「足りる足りないで考えないで。あなたが私に言ったことは事実かもしれないわ。でも、それを真正面に受けて放棄するくらいなら、私は元からカムイの姉さんになろうなんて思いもしないわ」

ヒノカ「なら、その立場を私たちに帰すのが道理だ!」

カミラ「ええ、カムイがそれを望んだら返してあげる。でも、私はカムイの願いを知らないわ。だからあなたにやられてあげるつもりなんてないのよ!」

 ヒュンヒュンヒュン バッ!

 ザシュン!

 ヒヒーン! ドサッ

ヒノカ「そ、そんな……。私は強くなって……カムイを」ドサッ

暗夜兵「よし、今だ! 白夜の王女を殺せ!」

 ウオオオオ

ユウギリ「それはさせませんことよ」パシュパシュ

 グエェ ドサッ

ヒノカ「ぐっ……」

カミラ「まだやるつもりかしら?」

ユウギリ「……そうですわね」

アクア「カミラ!」

リンカ「さすがにこれ以上の戦いは無意味だ」

ユウギリ「いいえ、戦うつもりなどありませんわ。残念ですけど、もうこの場所にいても意味はないでしょうから」

カミラ「そう、ならさっさと連れて帰りなさい。その泥棒猫をね」

ユウギリ「ええ、そうさせてもらいますわ……。それより早くしないと大切な妹さんが危ないですわよ?」

カミラ「!? カムイに何をしたの」

ユウギリ「いいえ、私は何もしておりませんわ。ただシュヴァリエ兵の方たちがカムイ王女を捕縛するとは思えませんもの」

アクア「ヒノカがここの指揮を任されているんじゃないの?」

ユウギリ「形式的なものですから、すべての人間がヒノカ様の命令に従うわけではありませんから。それに、もうこの中心街は終わりでしょう。皆さんも早く川を渡ったほうが身のためですわ」

リンカ「何を言っているんだ?」

ユウギリ「私なりの最後のおせっかいと思っていただいて結構です。確かにここからじゃ見えないようですから、すぐに開けた場所から見てみるといいですわ」

 バサバサバサバサッ

ヒノカ「ううっ、私は、まだ……」

ユウギリ「いいえ、天馬を失った以上、もう何もできることはありませんわ」

ヒノカ「カムイが、待っているんだ……。だから……だから……」

ユウギリ「すみません、その命令に従うことはできませんわ。私の使命はあなたを無事に白夜へお返しすることですもの、命令違反とおっしゃるのでしたら、白夜で私を罰してください」

ヒノカ「……ううっ」

カミラ「……」

ユウギリ「それでは失礼いたしますわ」

 バサバサバサバサバサッ

リンカ「行ったようだな」

カミラ「早く、カムイを見つけましょう」

アクア「待ってユウギリの言っていたことが気になるわ。早く川を渡れといっていたけど」

リンカ「開けた場所に出れば、その理由がわかるって言っていたな。一体どういうことだ?」

カミラ「ここら一帯は大きな建物が多いみたいだから……」

アクア「とりあえずこの広場を抜けましょう、すぐに視界が開けるわ」

リンカ「ああ、そうだな。それにしてもシュヴァリエ兵をあまり見ないのはなんでだ。先ほどまでは多くいたというのに」

カミラ「確かにそうね。途中から横槍が全くなくなったから」

アクア「どうやら、それがユウギリの言っていたことと関係している気がするわ」

リンカ「よし、開けた場所に出るぞ」


アクア「! これは―――」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ガンズ「がーっはっはっは。片っ端から火をつけてやれ!」

シュヴァリエ兵「くっ、火を放ったというのか!」

ゲパルトP「本当にのこのことやってきましたね。そんなに死にたいんでしょうか?」

ゲパルトS「やっと人が来たよ、家ばっか燃やしてもつまらないからさ。やっぱり人間じゃないとね」

シュヴァリエ兵「貴様らあああああ!」

ガンズ「へっ、威勢がいいが、弱いんだよ!」ザシュッ

 グギャアアアアアアア

ゲパルトS「それっっと。ははっ、燃えてる燃えてる。いっぱい燃えてるよ兄さん!」

ゲパルトP「そうですね。まぁ、少々骨の無い相手と言うが癪ですが」

ガンズ「へっ、反乱の鎮圧が俺様がガロン王から受けた任務だからな。シュヴァリエの中心街がどうなろうと知ったこっちゃねえからな」

ゲパルトP「間もなく、川へと続く出入り口に兵が待機するころでしょう」

ガンズ「そうだな。それじゃ俺たちは追いかけるようにシュヴァリエの反乱軍の見つけて殺していく。へっ、町が燃えてるのに気が付いて殺されに来るのか、逃げた先の川手前で殺されるのか、どっちにしろ最高だ」

ゲパルトS「でも、火をつけること教えてない方たちもいますよね。あのカムイ王女の部隊とか知らないよね?」

ゲパルトP「そうですね。ガンズ様、その点はどうなさるつもりですか?」

ガンズ「何言ってんだ。この反乱で死んだのは全部反乱軍、暗夜の人間に死者なんて出てねえ。そうだろう」

ゲパルトP「なるほど、では気にする必要もありません。死んでしまったら反乱軍、生き残れば暗夜軍、ただそれだけですから」

ゲパルトS「そういうことなら別に問題ないね。兄さん、何人殺せるか競おうよ」

ゲパルトP「わかりました。弟の頼みですからね、ガンズ様。私たち兄弟は巡回殲滅に入ります」

ガンズ「ああ、好きにしな。俺も見かけ次第、ほかの奴らと一緒に殺しまわって川を目指すからよ。手柄を立てるチャンスは生かさねえといけねえ」

ゲパルトP「わかりました。では」

 パカラパカラパカラッ

ガンズ「へっ、さてと」

シュヴァリエ兵「ひっ、ひぃ!」

ガンズ「おっと、いきなり出てきやがったな」

シュヴァリエ兵「こ、降参。降参だ! も、もう俺は暗夜には逆らわない、逆らわないから!」

ガンズ「そうか、なら安心しな」

シュヴァリエ兵「そ、それじゃ」

 ブンッ ズシャ

シュヴァリエ兵「ぎゃああああああ!」ドサッ

ガンズ「ありがたく殺らせてもらうからよぉ、暴力最高だぜ」

ガンズ「簡単に行使できる、時間も掛らねえ。何よりも、気持ちがいいもんだからな。やめられる気がしねえ」

ガンズ「がーっはっはっはっは!」

◆◆◆◆◆◆

クリムゾン「……なんだ、ちゃんとできるじゃんか」ポタッポタタタタッ

カムイ「く、クリムゾンさん」フルフルフル

クリムゾン「はは、震えてるね。こんなことに巻き込んでおいてなんだけどさ……ごふっ」

カムイ「しゃべらないでください。なんで、私、こんな風に……」

クリムゾン「ははっ、もういいいよ。あのさ、カムイ」

カムイ「……な、なんですか」

クリムゾン「ちょっと、倒れてもいいかな」ドサッ ジワッ

クリムゾン「はぁ、もう曇ってたんだね……それもそっか。こんな酷い日に空が満点の星空なわけないか……」

カムイ「今、助けますから」

クリムゾン「もう、助ける必要なんてないって何度言わせるんだい」

カムイ「そんなだって」

クリムゾン「カムイ、私は感謝してるんだよ。結果的に私を殺してくれたことに。もうさっきまで、私はあんたを殺すことになる未来しか想像できなかったからさ。多分、本当なら立場は逆だったはずだからね」

カムイ「私は、逃げてしまっただけです。あなたを救うことを諦めて――」

クリムゾン「それは違うよ」

カムイ「……何が違うんですか。私は―――」

クリムゾン「あんたは結果的に私を救ってくれてるよ」

カムイ「どこがですか、わけがわかりません」

クリムゾン「私は背負えない人間なんだ。カムイと違って、私は背負って生きていくことができない」

カムイ「なにを言ってるんですか」

クリムゾン「白夜の民間人の死も、シュヴァリエのために戦ってきたことも、そしてカムイあんたを殺して生き続けることも、たぶん私にはできないことなんだ」

カムイ「私を殺しても、結局殺されてしまうからですか?」

クリムゾン「ははは、そんなんじゃないよ……。白夜の民間人を守らなかったことでさえ、私には重みだった。だからカムイに会いに行ったくらいに、私は心の中でその重みに耐えられなかった。そんな私がシュヴァリエを裏切って生きることも、カムイ、あんたを殺して生きることもできない。いずれ、私の心は擦り減って私じゃなくなる、そんな気がしてたんだ」

カムイ「私なんかより、クリムゾンさんは強い人じゃないですか」

クリムゾン「はは、目が節穴だね。私には、どれを選ぶかなんてできなかった。流されて、結局カムイの約束に、あの言葉に甘えて待っていただけの弱い女だよ。だからこうなってよかったって、ホッとしてるくらいだよ……」

カムイ「ホッとしないでくださいよ……私は全然安心できてなんていません」

クリムゾン「ははは、そう言えば私の耳朶かじる約束は果たせそうにないや。あの時、かじってもらってればよかったかな……」

カムイ「こんな時に何を言ってるんですか……」

クリムゾン「いいじゃないか、湿っぽいのはなんかあれだからさ……」

カムイ「……」

クリムゾン「はは……コフッ」

カムイ「クリムゾンさん?」

クリムゾン「―――」

カムイ「……どうして、こうなってしまうんですか。私にできることなんて、なかったって言うんですか……」

カムイ「……わかりませんよ。クリムゾンさん、私はどうすればよかったんでしょうか?」

カムイ「……応えてくれるわけないですよね……。みなさんと合流しないと……」
 
 タッ タッ タッ

カムイ「どこに行けば、いいんでしょうか……」

カムイ(構造は一直線……、途中に横に入る道があるみたいですね……。まずはあそこに―――)





 ヒュンッ!ザシュッ

カムイ「ぐあっ!」ドサッ

シュヴァリエ兵「見つけたぞ、暗夜の王女だ! よし、足を射ぬいた。そう簡単には動けないはずだ。おっと、下手に動いたらすぐに殺しちまうぞ?」

カムイ「ぐっ……くうぅぅ」

シュヴァリエ兵「へっ、最後の最後で大物を見つけられた俺たちはラッキーだな」

シュヴァリエ兵「さて、どうするよ? すぐに殺しちまうか?」

シュヴァリエ兵「いやいや、近づかなくてもいい、それより弓の的になってもらおうぜ。手元が狂って、なかなかとどめがさせないかもしれないけどな」

シュヴァリエ兵「それはいい考えだ。それじゃ、早速俺から……それ」パシュッ

 ザシュッ

カムイ「っ!!!!!」

シュヴァリエ兵「よっし、足を打ち抜いた。しかし声を我慢して、つまらねえなぁ。もっと痛そうに鳴くとかしないのかよ、サービス悪いな」

カムイ(……私もここで死ぬんですね。でも、別にいいですよね。シュヴァリエの反乱鎮圧は他の皆さんに任せても。私が死んでも、反乱鎮圧が完了すれば、マークス兄さんは助かるはずですから、やっぱり私は背負える人間じゃないんです。クリムゾンさんも目が節穴ですね)

シュヴァリエ兵「次は俺だ!」パシュ

 ザシュ

カムイ「………っ!」

シュヴァリエ兵「つまらねえ。興醒めだ、さっさと殺して違う場所に向かうぞ」

シュヴァリエ兵「そうですね。おっと、後続も追い付いたみたいだし、ここで蜂の巣にしてやろうぜ」

 チャキ チャキ チャキ チャキ

カムイ(……これで終わりですね……。はは、皆さんごめんなさい。私は何もできない、ダメな人間でした)

シュヴァリエ「射て!」

 シュン シュン シュン シュン

 サッ

???「させません!」スッ

 キキキキィン

カムイ「?」

シュヴァリエ兵「な、何が起きた!?」

???「カムイ様、ご無事ですか!」

カムイ「え、リリスさん?」

リリス「はい、間に合いましたね。星竜モローよ、私に力を」ブォン

シュヴァリエ兵「構わん、打ち続けろ!」

リリス「……そんなものですか。興醒めです」

リリス(あと三回までならどうにか受けきれそうです。それまでに誰かが来てくれれば……持ちます!)

カムイ「リ、リリスさん!」

リリス「大丈夫です、安心してください、カムイ様。私が守り切ってみせますから!」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ザシュ

ピエリ「この街入り組んでてわかりづらいの!」

シャーロッテ「そうね。シュヴァリエの兵も所々にいるみたいだから、ここらへんにいるとは思うけど、手掛かりがないまま走り続けても意味はないわ」

ピエリ「……? なんか青い光が見えるの」

ブノワ「本当だな……」

ピエリ「リリスの色、あそこに行くの!」

シャーロッテ「って、いきなり動きだすなっての。ブノワ、行くわよ」

ブノワ「ああ、今日は走ってばかりだ」

シャーロッテ「まったくね」

今日はここまでで。展開がグダってしまって申し訳ないです。

 明日明々後日は、更新できないかもしれません

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ヒュン ヒュン ヒュン

 キキキィン

リリス「そんなものですか?」

シュヴァリエ兵「くそっ、見えない壁でも張ってるみたいだ。矢が通らねえ、どうなってる!?」

シュヴァリエ兵「へっ、なら通るまで続けるだけだ。まだまだ矢はたらふくあるんだ、どうやら動けねえみたいだからな。休まず!」

カムイ「り、リリスさん。私のことは放っておいて逃げてください」

リリス「それはできません、ここまで来た意味がなくなっちゃいますから、足の怪我は深いんですか?」ブォン

カムイ「……ええ、這いずりまわるくらいしか……ううっ」ズキッ

リリス「そうですか、では誰か来るまでは私に任せてください。私にできるのはこれくらいですから」

カムイ「なんで、私はリリスさんに冷たくしたのに、どうして……」

リリス「守るって約束したじゃないですか、今日の私は頑固なんですよ、カムイ様」

シュヴァリエ兵「ちっ、斬りかかるのは癪だな。近づいたらどうなるか分かったもんじゃない」

リリス「ふふっ、近づいたら、もしかしたら通り抜けられるかもしれませんよ?」

シュヴァリエ兵「へっ、飛び道具があるのに近づくかよ。見たところ、ロッドナイト見てえだが、わけのわからない術を使うような奴に、近づく気なんてないんでね」

リリス「とんだ、腰抜けですね」

シュヴァリエ兵「小娘が……、後悔させてやる」

リリス「カムイ様を殺しても、この戦況は覆りません。諦めて逃げたらどうですか?」

シュヴァリエ兵「はっ、もうどうだっていいんだよ。負けが決まってるなら、そこにいる王女の一人でも殺さねえと気が晴れねえ。だからツいてるよ、お前と王女を殺せば、気晴れは二倍になるんだからな」

リリス「……そんなことで、あなたたちの気が晴れるわけないですよね」

シュヴァリエ兵「なに?」

リリス「一人殺したら、また一人、もう一人、そういう風にしか、ならないでしょう?」

シュヴァリエ兵「さあ、どうだろうな」

リリス「まぁ、そもそもカムイ様にこれ以上、傷をつけさせるわけにはいきません」

シュヴァリエ兵「はっ、ならお前の奇妙な技が、どこまで耐えられるか見せてもらおうじゃねえか、次、射て!」

 ヒュン ヒュン ヒュン

 キキィン

リリス「っ!」

リリス(……力がすこし弱まってきちゃいました。あと二回くらいしか、耐えられないかもしれません)

カムイ「り、リリスさん!」

リリス「すみません、あと少しだけ待っててください。必ず、ピエリさんが来てくれるはずです。一緒にカムイ様を守るって約束したんですから。必ず持たせてみせますから」

カムイ「……私は守られてばかりですね」

リリス「……はい。今回は守られてばかりですよね。だって、私にも守られちゃってるんですから。あの無限渓谷で私に守られてくださいって言った時と全く逆です」

カムイ「……ははっ、本当にそうですね……」

シュヴァリエ兵「何話してやがる! 余裕ってことか、ええっ?」

リリス「うるさいです。少し黙っててください……」

カムイ「リリスさん?」

リリス「大丈夫です、あと二回、二回はカムイ様に攻撃を当てさせたりしませんから。それに感じるんです、ピエリさんが急いで私たちの場所を目指してる、そんな気配がするんです。だから、安心してください、カムイ様……」

 ドクンッ

カムイ(……り、リリスさん? なんで、そんなに落ち着いた声なんですか……)

リリス「はああああああっ!」ブォン

シュヴァリエ兵「次、射て!」

 ヒュンヒュンヒュン!

 キキキィン………パキィン

 ザクッ

リリス「っ! ぐっ……」

カムイ「リリスさん、大丈夫ですか! リリスさん!」

リリス「だ、大丈夫です。少し、掠っただけですから……」

シュヴァリエ兵「ああっ? なんだ、思ったよりも柔じゃねえか。どうした? 今の話じゃ、あと一回やれるんだろ? さっさと出したらどうだ」

リリス「……はぁ……はぁ」

カムイ「リリスさん、今、行きますから」

リリス「そこを動かないでください!」

カムイ「な、どうして……」

リリス「お願いです、カムイ様。そこを動かないでください……」

リリス(あと一回……)

シュヴァリエ兵「おら、出してみろよ。あと一回受けきるんだろ? 気分がいいからな、お前の最後の力、見せてみろよ? まぁ、今の見る限りじゃ、全然受けきれそうもないけどな」

シュヴァリエ兵「あははははっ、そうだな」

リリス「はぁ……はぁ……んっ」

カムイ「も、もう、いいんです。私は誰かを失ってまで、この命を繋げたくなんてありません。だから、リリスさん。はやく逃げ――」

リリス「……カムイ様。私はカムイ様に仕えて来ました。この命は、カムイ様をお守りするそのためだけに繋いできたんです……ここで、それを投げ出すことはできません」

 ドクンッ

カムイ「リ、リリスさん、何を言って――」

リリス「……」

 アノアオイバショ、アソコニイルハズナノ!

リリス(ピエリさんの声が……聞こえます。ふふっ、ちゃんと見てくれたんですね。私の力、青い光を……あと、一回受け切れれば……)

 バッ

リリス「……」

シュヴァリエ兵「おいおい、両手広げて、何の真似だよ?」

リリス「これが私の最後の力です……」

シュヴァリエ兵「は?」

リリス「……」

シュヴァリエ兵「ははっ、こりゃ傑作だ。変な術を駆使するから何をするかと思えば……お前自身が最後の盾、そう言ってるのか。くっくっく、一発当たったくらいで倒れそうな、ひ弱な盾だな、こりゃ。そんなんで守りきれると思ってんのか?」

リリス「そうですね……。でも、これならあと一回は確実に受け切れます。貫通できるような、威力はないみたいですから」

カムイ「り、リリスさん。何を言っているんですか……そんな、嘘ですよね。何か方法があるんですよね……リリスさん!」

リリス「………」

カムイ「お願いです!殺すなら、殺すなら私を、私を殺してください。代わりにリリスさんを、リリスさんを助けてください。私はどうなっても構いませんから……リリスさんを助けてください」

シュヴァリエ兵「ははっ、こりゃいい。王女様からとてつもなく魅力的な提案だ」

シュヴァリエ兵「でも、そんな話は聞かねえ、そこで無力さを噛みしめてろ。その小娘が死んでく様を見ながらな。そのあとで、お願いされたとおり好きにさせてもらうさ」

リリス「……なら、さっさと撃てばいいじゃないですか」

シュヴァリエ兵「おらよっ」パシュッ

 ザシュッ

リリス「ううっ……」

シュヴァリエ兵「おらおら、少し肩が下がってるぞ、それで最後まで立ってられるのか? ああっ!?」パシュッ

 ザシュッ

リリス「ぐあっ……」

シュヴァリエ兵「へっ、弱いくせに虚勢を張りやがって、そのまま地面に這いつくばってれば、殺さないでいてやるよ。そちらの王女もそれを望んでいるみたいだからなぁ」

リリス「はぁはぁ、……そんなものお断りです……」フラフラ

カムイ「やめてください、リリスさん、立ちあがらないでください。このままじゃ、あなたの命が!」

リリス「私には……私にはこれしかないんです。死んでしまうはずだった私が、命を永らえた私が、胸を張って生きていける理由なんて、これくらいしかなかったんです」

リリス「カムイ様を守り通すことが、私の使命です。この体が、どんなに傷つけられても――」

リリス「大好きな友達との約束を違えることになったとしても――」

リリス「カムイ様がそれを望まれなくても――」

リリス「私はカムイ様を守るためにここまで生きてきたんですから、それを否定されるわけにはいかないんです!」

リリス「だから死んでも、カムイ様に指一本触れさせるわけにはいかないんです!」バッ

シュヴァリエ兵「そうか。飛んだ忠誠心だ。怖れいったよ……」











シュヴァリエ兵「ご要望通り殺してやる。全員構えろ」

 チャキ チャキ チャキ チャキ チャキ

シュヴァリエ兵「さて、すべてが打ち終わるまで、立ってられるかな?」

リリス「……立っててみせます」

カムイ「リリスさん、すぐに、すぐに退いてください! 今なら、まだ避けられます! だから――!!!!」

リリス「カムイ様……。大丈夫ですよ」

カムイ「何が大丈夫なんですか! ふざけないでください! ほかに、ほかに方法があるはずです! だから、だから!」

リリス「私が選んだんです。だから、カムイ様……私に守られてください、主君を守るのも臣下の仕事ですから」

カムイ「リリスさん! ぐっ、逃げて、逃げてください。お願いします、シュヴァリエに来た事は謝ります。胸だって突然触ったりしません、ちゃんとリリスさんの話を聞きます。聞きますから、逃げてください。私のために、命を捨てないで……」

リリス「…………」

カムイ「命令です! リリスさん、今すぐ路地に、路地に逃げてください! 主君の命令に従――」

リリス「カムイ様……」





「ごめんなさい……」

カムイ「やめて……」

カムイ「やめて、お願いです、やめて……やめて……」

カムイ「やめてええええええ!」





シュヴァリエ兵「放てっ!」





 ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン

 ザシュ ザシュシュ ザシュ ザシュ ザシュ ザシュ ザシュッ
 
 ポタポタタタタタッ
 
 カツッカツッ

 カツッ

 ………

 ……

 …
 
 ドサッ



カムイ「り、リリス……さん? ああ、ああああああ……」

シュヴァリエ兵「へっ、結局倒れちまったな」

カムイ「いや、いやあ」

「いやああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」

今日はここまで

リリスは透魔編で竜とロッドナイトみたいに使えたらなぁ、と時々思う。

シュヴァリエ兵「傑作だぜ。無力を痛感して叫び声あげてやがる。さてと、さっさと近づいて、好きにさせてもらおうぜ。ご要望は叶えてやらねえといけないからな」

シュヴァリエ兵「そうだな。よく見たら別嬪だしな、これを好きにしていいとか、最後にすげえご褒美だぜ。死ぬ前だ、どんなことしたって構わねえよな?」

シュヴァリエ兵「ああっ、しかし、こいつ――」

リリス「」

シュヴァリエ兵「けっ、主君なんて見捨てて逃げればいいのによ。飛んだ馬鹿だよな、こいつ」

シュヴァリエ兵「ほんとほんと、そもそも、自分が死んだあとどうなるかくらいわかるだろうに、結局は少しだけ時間が延びただけの話だってのにな?」

シュヴァリエ兵「まったくだ。それじゃ、さっさと楽しませて――」



ガシッ




シュヴァリエ兵「?」

リリス「……い、いか……せま…せん……」ズルッ ズルッ

シュヴァリエ兵「邪魔だ」ガッ

リリス「あうっ……ハァ……ハァ…んっ」

ガシッ

リリス「……ハァ……ハァ」

シュヴァリエ兵「まったく、往生際の悪い死に底ないだ」

 チャキ

シュヴァリエ兵「女々しいんだ。さっさとくたばれ、この――」

 ブンッ

 ザシュッ

シュヴァリエ兵「は? なんで、俺が攻撃されて――」ドサッ

シュヴァリエ兵「!? なにが――」

???「死んじゃえっ!」ブンッ

シュヴァリエ兵「ぐべっ……」ドタッ

ピエリ「死んじゃえ、死んじゃえ、死んじゃえなの!」ザシュ ザシュ

シュヴァリエ兵「新手か! 弓を準備――ぐえあっ」ドサッ

シャーロッテ「甘いんだよ。ブノワ、ピエリとその子の射線を塞いで! ピエリ、この盾借りるわね」

シュヴァリエ兵「まだ負傷した仲間が」

シュヴァリエ兵「構わん、放て!」

 パシュ パシュ パシュ

 グエエア

ブノワ「うおおおおおっ」ガシン!

 キキキィン

シャーロッテ「おらああああああっ。間に合えっての!」ガシンッ

 キキィン

シャーロッテ「間一髪、カムイ様、だいじょ――」

カムイ「……ああ、ああああ」フルフル

シャーロッテ「……間に合ったはいいけど……これは駄目かもしれないわね……」

カムイ「………」フルフルフル

 キキィン

ブノワ「ピエリ、俺が受け切っている間に。その子を……」

ピエリ「リリス!」スタッ

リリス「あ……ピ……エリさ……ん。よか……った、間に合った……んですね……ゴフッ」ビチャ

ピエリ「しゃべっちゃだめなの! 大丈夫、ピエリが来たから……助かるの。きっと助かるの」

リリス「はは……カ……ムイ……カム…イ様…は……」

ピエリ「シャーロッテが近くにいてくれてる。だからもう大丈夫なの」

リリス「よかった……」

 ポタポタッ

ピエリ「早く、血を止めるの。大丈夫なの、リリスもすぐ元気になれるの……」
 
 ギュッ

 ポタタタ……

ブノワ「……ピエリ」

ピエリ「血が、血が止まらないの、やり方……間違えてないのに、血が止まってくれないの」

 ギュッ

 ポタタタタタタタ

ピエリ「駄目なの、血は血でもリリスの血なんて見たくないの。止まって、止まって、止まるの!」

リリス「……ピ……エリさ……ん。もう……だ、だいじょ……ぶ……です……から」

ピエリ「大丈夫なわけないの。そうなの、杖、杖で治せるはずなの……」チャキッ

 ブンッ ブンッ ブンッ

 ………

ピエリ「お願い、お願いなの……」

 ブンッ ブンッ ブンッ

 ………

ピエリ「……掛って、掛るの。早く掛って、なんで、言うこと聞いてくれないの!」

 ブンッ ブンッ ブンッ

 ………

ピエリ「リリスが、リリスが死んじゃうのに、なんでピエリの言うこと聞いてくれないの!」

 ブンッ

 ……

 カランカランッ

ピエリ「だめ……だめなの。剣と盾じゃだめなの……、リリスのこと助けられないの。ピエリ、何もできない」ポタッ ポタッ

ピエリ「ピエリの力じゃ、リリスを助けることなんてできないの……」

リリス「ごめ……なさ……い。ピエリさ……んとの、やくそく、守れそうに…ありません……」

ピエリ「ピエリが、ピエリがいけないの。ピエリがもっと早くリリスを見つけられたら。こんなことになんてならなかったの」

リリス「いいんです。ちゃんと……来てくれたじゃ、ないですか……」

ピエリ「死んじゃだめ、まだピエリ、リリスと一緒にいっぱい過してないの。可愛いお洋服一緒に選びに行ったりしてないの……リボンに似合うお洋服、見つけに行くの」

リリス「えへへ……ピエリさんからもらっ……た。リボン、まだきれい……なんで…すよ」ギュッ

 ベチャ

リリス「あれ……カチーフでちゃんと……包んでた…のに、汚れちゃって……る」

ピエリ「また、新しいの買ってあげるの。だから、諦めちゃだめなの……」

リリス「ピエリさん……無茶…言わな……いでくださ…い」

ピエリ「無茶でもするの! 死んじゃだめなの、死んだら絶交なのよ! ピエリ、リリスの友達やめちゃうの! そんなの嫌なの」ギュッ

リリス「ふふっ……ピエリさん、それ矛盾してます……」

ピエリ「わからないの……」

リリス「ごめんな……さい。わたしにとっ……て、一番大切なの……、カムイ様だから……」

ピエリ「今はカムイ様が一番でいい、ピエリは二番目でもいいの! だから、ここで終わりにしちゃ駄目なの……いつか、カムイ様を抜かして、ピエリがリリスの中の一番になる、なってみせるの。だから――」

リリス「ピエリさ……ん。恨まないで」

ピエリ「何を、何をなの? ピエリ、リリスのこと恨んだりなんてしない、するわけないの」

リリス「私が、ここで、死んでしまったことは……私が……決めたことだから…」

ピエリ「……そうなの、リリスをこんなにした奴、みんな殺してやるの! しないと気が済まないのよ」チャキ

リリス「だめ…です…」ギュッ

ピエリ「……だめ? なんで駄目なの? リリスの仇、打っちゃいけないの? なんで、止めるの!」

リリス「ピエ……リさんには。そんな理由で……戦ってほしく……ないから。ピエリさんには……恨みで戦ってほしくないんです。私のことで……ピエリさんがピエリさんで無くなってほしくないんです……」スッ ペチャ

ピエリ「リリス……」ポタ

リリス「ピエリさん、泣いて……るんですか」

ピエリ「当り前なの……ヒッグ」

リリス「ふふ、拭ってあげますね……」スッ ピトッ ペチャ

ピエリ「リリスの手、温かいの……」

リリス「ピエリさん……大好きで、大切な最初の友達です……」ポタポタッ 

ピエリ「うん、友達なの……だから、ここで終わりにしちゃ駄目なの」

リリス「そう……ですよね。ピエリさん……お願い、いいですか?」

ピエリ「リリスのお願いなら、聞いてあげちゃうの……。治ったらいっぱい楽しいことする約束なの?」

リリス「えへへ、後ろから抱き締めて……くれませんか。前は……難しそうだから……」

ピエリ「うん」ダキッ ギュウッ

ピエリ「これでいいの?」

リリス「……はぃ……ピエリさんの鼓動が聞こえます。とっても、大きい音……」

ピエリ「うん……」

リリス「こういうのも、悪くない……かもしれませんね……」ポタ

ピエリ「今度、こうやって一緒にお月さま見るの。リリス、指切りするの……」スッ

リリス「えへへ……、楽しみで……す……ピエ……リさ――」

 トサッ

ピエリ「リリス? まだ、指切り終わってないの……」ユサユサ

リリス「―――」ポタタタタッ

ピエリ「冗談はやめるの……」ユサユサ

リリス「」

ピエリ「……ううううっ」ギュウウウッ

「………」スッ

「リリス、ごめんなの。やっぱり、約束は守れないのよ」チャキッ

 ダッ

ブノワ「ピエリ! 前に出るのは――」

ピエリ「うるさいの! 一人残らず殺してやるの……。ピエリ、死ぬまで、殺し続けるの。あんたたち全員、ミンチにしてやるの。血だけじゃ足りないの……中身も全部引きずり出して、生まれてきたこと、後悔させてやるの」

ブノワ「頭に血が上っているのか。シャーロッテ、俺も一緒に前線に出る。カムイ様を連れて後退するんだ……」

シャーロッテ「そんなこと言っても、カムイ様の負傷じゃ、そんな簡単にここは抜けられないっての! それに、全く動いてくれないんだよ」

ブノワ「ぐっ、万事休すか……」

ピエリ「万事も、何もないの。一人でも多く肉片にしてやるだけなの。いっぱい、いっぱい切り刻んで、料理してあげるから」

シュヴァリエ兵「はっ、なら掛ってきやがれ。この矢の中を、これるもんならな!」

ピエリ「……死んじゃえ、死んじゃえ、みんな死んじゃえ。リリスを殺した奴、みんな死んじゃえばいいの!」

 ダッ

シュヴァリエ兵「はっ、あの馬鹿な小娘と一緒にしてやる!」

ピエリ「やああああああああああっ!」

ブノワ「くっ、これでは間に合わない……!」

 ピエリ! クソッ……エッ、カムイサ……ウワアッ!

 シュオオオオオオオン

 ダッ

 パシュパシュパシュ

 ドサッ

 キキィン

ピエリ「!! な、なんなの……、前に何かいるの?」

???「コオオオオオオ……」ヒタッ ヒタッ

シュヴァリエ兵「……なんだ、ありゃ?」

竜「………コォォォォ」バサッ バサッ

シュヴァリエ兵「けっ、何かは知らねえが。殺しちまえば――」

竜「グオオオオオオオオオオアアアアア!」ダッ

 ブンッ 

 ブチィッ ドベチャ。グチャリ

シュヴァリエ兵「へっ?」

竜「グオオオオオオオッ」ブンッ

 グチャ ベキッ

シュヴァリエ兵「な、なんだ。なんなんだ。いきなり何なんだよ!」

竜「グオオオオオオオオオオオオオオッ」ガシッ

シュヴァリエ兵「ぐへあ……」

 グッ ボギャッ…… ビチャビチャ ボトボト グチャリッ


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

カミラ「見て、あそこ……」

リンカ「あれは、なんの光だ?」

アクア「竜化の光に似ていえるわね。もしかしてあそこにカムイが?」

カミラ「どちらにせよ、目印になるのはあれくらいよ。あそこにカムイがいると信じていくしかないわ。リンカ、乗りなさい。さすがに並走じゃ時間がかかる距離よ」

リンカ「ああ、すまないがそうさせてもらうさ。しかし、おかしなものだ。こうして暗夜の王女の竜に乗ることになるなんて思ってもいなかった」

カミラ「仲間じゃない。気にすることじゃないわ。アクアも、しっかり掴まっておきなさい。最高速で飛ばすわ」

アクア「ええ……。」

アクア(でも、あの光……。あれは通常の竜化とは違う。あれは暴走の時に似ているけど、それはあり得ないはず。だって、カムイの竜、獣としての衝動は白夜で竜石に収めた。だから、暴走することはないわ。ちゃんと肌身離さず携帯していれば―――)

アクア「! 迂闊だったわ、そんなことを見落としていたなんて……」

カミラ「アクア、どうしたというの?」

アクア「カミラ、急いでカムイを見つけましょう。取り返しのつかないことになるかもしれない」

カミラ「そのつもりよ。でも、その様子じゃ、なにか良くないことに気づいたみたいね」

アクア「ええ、でも説明をしている時間がいわ。早くしないと――」

「カムイが獣に成り果ててしまうかもしれない」

今日はここまで

ピエリとリリス、書いてるうちに一番みたい組み合わせになってた……。
リリス支援DLCください(懇願)

◆◆◆◆◆◆

カミラ「ここらへんだと思ったのだけど……」

リンカ「ん? ……おい、あれ!」

 カミラサマー、ココナノ!

カミラ「……あれは、ピエリのようね。あと、城壁の時に加勢してくれた二人かしら?」

リンカ「あと、誰か倒れているみたいだ」

アクア「……とりあえず、降りてみましょう」

 バサバサバサッ

カミラ「……そう、リリスが」

ピエリ「……ピエリ、守れなかったの……」

カミラ「ピエリ……悲しい気持はわかるわ。でも、すぐに準備をして頂戴、もうしばらくしたらここも火にのまれてしまうわ」

シャーロッテ「えっとぉ、どういうことですかぁ?」

リンカ「ああ、町に火を放った奴がいるらしい。まぁ、誰かは簡単に予想できるが、それを指摘しても意味はないだろうからな」

ブノワ「そうだったのか。まったく気付かなかった」

カミラ「ピエリ、貴女はできる限りでいいから見かけた暗夜兵に声を掛けて、川を渡って頂戴。ちゃんとリリスも連れて行ってあげるのよ」

ピエリ「……うん、わかったの。ピエリ、リリスのことこんなにした人殺したかったの、でも、カムイ様が全部殺しちゃったの……」

アクア「カムイが?」

ブノワ「ああ、突然のことで何が起きたのか、俺にはわからなかったが、先ほどまでそこにいたシュヴァリエ兵を倒して、どこかへ向かってしまった」

シャーロッテ「いきなり、変身して飛び出して行っちゃったんですぅ、びっくりして頭を打っちゃいました。でもすごいんですね、竜になれちゃうなんて」

アクア「ねえ、シャーロッテ。その時、カムイは石のようなものを持っていたかしら?」

シャーロッテ「石ですかぁ? 手には何も持ってなかったと思いますよぉ。剣も置いて行っちゃったみたいですから、でもここに石みたいなものは落ちてないみたいですね」

アクア「そう……。わかったわ」

カミラ「……石って、竜石のことかしら?」

アクア「ええ。正直希望を込めて確認したけど、逆に確信を深めることになったと言っていいわ。カムイが悩み始めた理由も、おのずとわかるはずだから」

カミラ「……そう。でもここには竜石は落ちていないみたいね」

アクア「ええ、まだカムイが持っていてくれたなら。施しようがあるわ。だから、まずはカムイを見つけ出さないといけない」

カミラ「……落ち着いたら話してもらえるかしら?」

アクア「ええ、必ず」

カミラ「約束よ……。三人は言われたとおりにお願いね、私たちはカムイを見つけてから川を渡るから、先に行きなさい」

ピエリ「わかったの……カミラ様」

カミラ「ええ、気をつけていきなさい」

 タタタタタタッ

アクア「カムイを早く見つけ出さないと」

カミラ「そうね。でも、すぐに見つかるとは思うわ」

アクア「そうかもしれないわね………」

リンカ「まるで食い散らかしたような跡だが、これを辿って行けばカムイに会えるはず」

アクア「ええ、あまり良い道標ではないけど、急いでる今はありがたいわ」

カミラ「そうね。さっ、二人とも乗って頂戴……。といっても、私とリンカにどうにかできることとはちょっと思えないわね」

リンカ「そうだな。アクア、お前ならどうにかできる、そう信じていいんだな?」

アクア「……ええ。どうにかしてみせるわ。ただ、すごく危険かもしれないけど、カムイを失うわけにはいかないから」

カミラ「そうね……。だからアクア、必要なタイミングで指示を出して頂戴」

アクア「カミラ……」

リンカ「あたしにも頼むぞ。見ているだけなんてのは癪だ」

カミラ「ふふっ、そういうことだからお願いね」

アクア「わかったわ」

カミラ「それじゃ、行くわよ!」

 バサバサバサ

アクア(まだ、カムイは殺すべき相手を選んでるはず。だからシュヴァリエ兵だけを殺して、それを追いかけていった)

アクア(だからこそ、ピエリたちは生きていられた。リリスを殺した人たち、いやシュヴァリエ軍そのものが、今の標的になっているはず)

アクア(その標的を倒す衝動が、違う衝動に変わってしまう前に、カムイを取り戻さないと……)

今日はここまでで

風邪を引いてしまったようで、更新が少し滞るかもしれません……

◆◆◆◆◆◆

シュヴァリエ兵「た、たずげ……」

竜「…」

 グッ

 グググググッ グチャ

シュヴァリエ兵「」

竜「……アアアッ」

竜「」キョロ……キョロ

竜「グオオオオオオオオッ!」

 ドゴンッ

竜「……フーッ、フーッ」

アクア「カムイ」

竜「フーッ」ザッ

アクア「大丈夫、私よ。アクアよ」

竜「グオオオオオンッ!」ザッザザッ

アクア「もう戦う相手もあなたに危害を加える者もいないわ。私とあなただけ、だから安心して頂戴」

竜「……フーッ」

カミラ「……アクアの指示があるまでは動かないって約束したけど……」

リンカ「ああ、今にも飛びかかりそうで、見ていて胃に負担が掛るぞ、これは……」

カミラ「本当にね……。でも不思議なものね、こうやって肩を並べることになるなんて」

リンカ「ふっ、それもそうだな。炎の部族の一人だったのが今はこんな場所にいる。おかしなことだ」

カミラ「ふふっ、頼りにしているわリンカ。カムイを信じたあなたの力をね」

リンカ「ああ、あたしは向こう側に回ることにする。正直、丸く収まるとは到底思えないからな」

カミラ「ええ、お願いね」

 タタタタタッ

アクア(……カミラとリンカは所定の位置に付いたみたいね。それじゃ、始めないと)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

カムイ(……)

アクア『カムイ、もう大丈夫。だから落ち着いて頂戴、私のことはわかるでしょう?』

カムイ(アクアさんですよね。声でわかりますよ、そのくらい)コクリッ

アクア「そう、よかった。大丈夫よ、時期にシュヴァリエの反乱も終わりを迎える。カムイが戦う必要はもうないわ」

カムイ(戦う必要がない? おかしいですね、敵を倒さないと、みんな死んでしまうのに……リリスさんみたいに)キョロキョロ

アクア「もう敵を探す必要はないの。さぁ、カムイ。もう終わりにしましょう。大丈夫、前と同じことだから、一緒に落ち着きましょう?」

カムイ(リリスさんは、私を守るために矢を受けて死んでしまったのに……今でも思い出せるんですよ? 私を庇ったリリスさんに矢が……)



 ザザーッ


カムイ(あれ……?)


 ザーッザザ ザザーッ


カムイ(おかしいですね。どうして私は、リリスさんが矢を受けるまでの姿をこんなに回想できるんでしょうか? 私は目が見えていないはずなのに……)

カムイ(あれ、リリスさんの輪郭がぼやけていく……シュヴァリエ兵の輪郭も……あれは暗夜の兵装?)

???『カムイに、指一本触れさせはせん!』

カムイ(……あれ? この人は誰、リリスさんじゃない、私の前で手を広げているこの人、男の人?)

???『くーっはっはっは。お前の体一つで何ができるというのだ? 白夜王スメラギよ』

カムイ(暗夜の兵とお父様……? そして、この人が白夜王スメラギ?)

スメラギ『だが守り通すことはできる!』

カムイ(この背中を向けている人がスメラギさん? でも、なんで私を守るように両手を広げているんですか?)

ガロン『守り通すか。面白い、どこまで守り切れるか見せてもらうとしよう』スッ

スメラギ『……カムイよ。父を……浅はかな私を許してくれ』

カムイ(……父?)

ガロン『……』

カムイ(だめ、だめです。そこに立っていたら……やめてください、私のために死ぬ必要なんてないんです。お父様、合図を出さないでください。お父様……!)

ガロン『放て……』

カムイ(やめて……)

 ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン

スメラギ『ぐおっ、うおおおおっ……ぐっ、ぐはっ』ガクッ

ガロン『このような罠に掛ったか、甘いな、白夜王スメラギよ……』

スメラギ『はぁ……はぁ、ぐっあ……』

ガロン『ぬんっ!』ブンッ

 ザシュッ 

 ドサッ

カムイ(……お父…様)

(スメラギお父様……)

カムイ(なんで忘れていたんでしょうか……。お父様のこと、そして、お父様を殺した人のことを)

ガロン『お前……』

カムイ(ガロン王)

ガロン『お前は殺さぬ、生かしてやろう。我が子としてな……』

カムイ(私のお父様を殺して、私を娘として育てた人。そして……)

ガロン『だが、その瞳は気にいらん。お前に光など、この先必要ないのだからな』チャキッ

 ザシュ……

カムイ(私から光を奪った人……)

カムイ(何もかも私から奪っていったのは暗夜だった……あははっ、傑作じゃないですか……。そんな場所に戻って戦いをしてきたなんて……)

カムイ(でも、もうその必要もありませんよね。だって――」

カムイ(暗夜は私の敵なんですから。敵なら、殺さないといけません……それに殺してしマエば)

―モウ、ナヤマサレズニスムンデスカラ―

やっと風邪治ってきた。残りはいつもの時間くらいに

ピエリリスで番外やりたいな……

~~~~~~~~~~~~~~~~~~
竜「グオオオオオオオオオオオッ!」ブンッ

アクア「!」サッ

 ドゴォン!

アクア「カムイ!」

竜「ウオオオオオッ!」

カミラ「アクア!」ダキッ

 ズザザーッ

アクア「! か、カミラ……」

カミラ「危なかったわ。これは冗談が過ぎるわよ、カムイ」

竜「ウウウウウウウウッ、グオォン!」
 
 コツン

竜「!」

リンカ「こっちだよ、カムイ!」

アクア「リンカ! 威嚇したら、あなたが狙われてしまうわ。今のカムイは正気じゃないわ!」

リンカ「わかってるさ。だからこそ、アクア。あんたを失うわけにはいかないんだ。あたしたちじゃ、カムイの暴走を止められないからね」

竜「グウウウウッ」

リンカ「ふっ、小突かれたのが悔しかったのか? なら追いかけて来い!」ダッ

竜「グオオオオオオン!」

カミラ「リンカの言葉は逞しいけど。正直、早くしないといけないわね」

アクア「ええ、このままじゃ誰かれ構わず攻撃してしまうようになってしまうわ」

カミラ「まだ止められるかしら?」

アクア「わからない。もしかしたら、私の歌は、もうカムイに届かないかも――」

 ギュッ

アクア「カミラ?」

カミラ「大丈夫。アクアの歌声、きっとカムイに届くはずよ。あんなにきれいな歌声だもの、響かないはずがないわ」

アクア「そ、そうかしら?」

カミラ「照れてるのね、そういうところ可愛いわ。でも、信じないと届くものも届かない、でしょ?」

アクア「ええ、そうね。ごめんなさい、少し弱気になっていたみたい。何とかしてみせるわ」

カミラ「それじゃ、追いかけるわよ」


リンカ「はぁはぁ……。ふんっ!」ガシャンッ

リンカ「まさか、建物の窓から窓に飛び込んで移動することになるなんて思ってもいなかったぞ。これで撒ければ――」

 グオオオオンッ ドゴォン!

リンカ「ちっ、入ってもお構い無しか! うまくいかないが、面白い久々に体が熱くなってきたぞ」

 ガシャンッ

竜「グオオオオンッ!」

リンカ「もう追いつかれたか、なら」ズザザザザッ

リンカ「うおおおおっ!」ブンッ
 
 ヒュンヒュンヒュン カキィン!

竜「グオオオオオオっ」ブンッ

リンカ「そこだ!」ダッ

 ドゴン!

リンカ「どこを見てるんだい、こっちだよ!」

竜「!!!!!」ザッ

 バサバサバサッ

カミラ「いた、あそこよ。結構距離は離れてるみたいね」

アクア「ええ、なんとかできるかもしれないわ。リンカ、聞こえる?」

リンカ「アクア、カミラ! もしかして、あたしは追いつかれてしまっていたのか?」

カミラ「まだ追い付かれる程じゃないわ。すごいじゃない、こんなに逃げきれるなんて」

リンカ「お世辞はいい、アクアこれからどうするんだ?」

アクア「ええ、危険かもしれないけど、ある場所に誘導してほしいの」

リンカ「わかった、それでどこに誘導するんだ?」

アクア「この先の路地を右に曲がった先に、小さい広場があるわ。そこに誘導して頂戴。こっちは手筈を整えておくから。あと、できればだけど、カムイより先に広場に来て頂戴」

リンカ「広場だな、わかった!」ダッ

カミラ「ええ、おねがいね」

バサバサバサッ

竜「フーッ フーッ」キョロキョロ

リンカ「それっ!」ポイッ

コツン

竜「!」

リンカ「よし!」ダッ

竜「グオオオオオオオオオッ!」

リンカ「よし、どうにかは広場に入ったぞ」

カミラ「お疲れ様、まだ路地から顔を出してないみたいね、上出来よ」

リンカ「ああ、鬼気迫る追いかけっこだったがな。それで、ここからどうするんだ?」

アクア「二人とも路地入口で待機して頂戴。私が中央に立っておびき寄せるわ」

リンカ「危険すぎると思うが、いったいどんな策がある? まさか正面から受け止めるつもりじゃないだろうな?」

カミラ「そのためのこれよ」

リンカ「これは縄? いや、いくらなんでも下手すぎやしないか? ちぎれなくても、動きを止められるようには思えないぞ」

カミラ「これは掛けるだけでいいのよ。さすがに持ったままにしたら私たち、二人とも腕を持っていかれてしまうし、ちゃんとした準備はすませてあるわ」

リンカ「下準備、気になるが、もう確認してる暇もないみたいだ……」

竜「」キョロキョロ

アクア「二人とも、身を隠して。合図は私に任せて頂戴」

竜「!」ザッ

アクア「カムイ、私はここよ」

竜「」ダッ

アクア「……」


竜「グオオオオオオッ!」


アクア「今よ!」

リンカ「そらっ!」

カミラ「それっ!」

 グッ ギギギギィ ブンッ

竜「!!!!!」

 ドゴォン!

竜「グギャアアアアアアア!!!!」

 ゴロンゴロン

リンカ「縄に折れた大木が結び付けてあったのか!?」

カミラ「流石に痛そうね……あとでカムイのお腹、擦ってあげないといけないわ」

リンカ「これ、アクアが考え付いたのか?」

カミラ「ええ、もっと可愛らしい作戦かと思ってたから、真顔で大木を指差して縄で結ぶよう指示してきたからね。ちょっと……」

リンカ「見かけによらず物理的な作戦を考える。腕相撲したら負けるかもしれないな」

カミラ「まさか……」

竜「グギャア! グオオオオッ!」ドサッ

アクア「カムイ、今助けてあげるから」

アクア「~♪」

竜「グオッ。グオオオオオオオオオッ!」ジタバタ

リンカ「大木が二本も当たったんだ。それに前足と後ろ脚に縄が絡まってる、解く前に――」

アクア「~♪」

竜「!!!!」ブンッブンッ

カミラ「!? 尻尾が……! アクア!!」

アクア「!?」

 バチィン

アクア「きゃあっ!」ドサッ

カミラ「アクア! だめ、やめるのよカムイ!」

竜「!」ブンッ

アクア「あっ……」

アクア(カムイの尻尾……だめ、とてもじゃないけど避けられない。……ごめんなさい。私……あなたを救えないみたい)

竜「グオオオオオオオオオオッ!」

カミラ「アクア!」

「必殺…アウェイキング・ヴァンダー!」シュオンッ

 バチィン!





竜「グギャアアア!」ドサッ

アクア「えっ?」

???「穏やかじゃないわね。でも、どうにか間に合ったみたいで良かったわ」

???「何がどうなってんだ? 意味がわからないぞ?」

???「どちらにせよ、今のはいい仕事だったよ、オーディン。アクア様を守れたんだからね」

オーディン「ああ、流石に仲間が仲間に殺されてるところなんて、見たくもないからな。そうだろラズワルド」

ラズワルド「うん、そうだね。ニュクス、次が来るみたい」

ニュクス「わかっているわ。カムイ、少し大人しくしてて頂戴!」ブォン

 ジリリリッ

竜「!!!!!!」ググッ

アクア「ニュクス!? それにラズワルドとオーディンも、どうしてここに……」

ラズワルド「話はあとだよ……まずはカムイ様をどうにかしないと」

オーディン「ああっ、俺たちは抑えることしかできないからな。アクア様に後は任せますよ」

ニュクス「ええ、あなたにしかできないことを早くして頂戴。このままじゃ、抑えつけるだけじゃ間に合わなくなるかもしれないわ」

アクア「みんな、ありがとう」

竜「グオオオオオオオオオオッ!」

アクア(私の歌よ、カムイに届いて!)

アクア「スゥ―――」

◆◆◆◆◆◆

『闇へと』

カムイ(ダレ、ダレノコエ? うグっ、アタまが……割レる。心が染マッテ……)

『進み行く』

カムイ(ヤメテ、ヤメテ、ヤメテ)

『虚ろな白亜の王座』

カムイ(やめて、お願い……やめて。やめてください。私から奪わないで……)

『己を』

カムイ(溶けてしまう。クリムゾンさんを心配に思っていたこの心も……)

『すべてを欺いて』

カムイ(リリスさんが死んでしまったという悲しみも……)

『紡ぐ理』

カムイ(暗夜軍を殺そうと思っていたこの憎悪も……)

『黒曜 鈍く 崩れ落ちて』

カムイ(全部空っぽになっていく。全部持っていかれてしまう。悩んでいたことも、結果を探ることも、人に対する個人的な感情さえも)

『光去り行く 黄昏』

カムイ(……クリムゾンさんもリリスさんも死んでしまった。思い出しているのに、もう悲しむことができない)

『独り思う』

カムイ(ああ、そうか。私の心は、前までこんなに穏やかで波も立たない――)

―とても殺風景なものだったんですね―



 第十三章 中編おわり

今日はここまで

アクアさんに任せれば縄と大木で、竜をワンパンできるはず
次か、その次あたりで十三章は終わる感じです。

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・賭博の町マカラス『宿舎』―

カムイ「……んっ」

カムイ「ここは……」

カムイ(……確か私は……シュヴァリエ公国の反乱鎮圧を任されて――そこで……)


カムイ(そうでした……リリスさんとクリムゾンさんを失ったんでしたね……)

ガチャ
 
アクア「カムイ?」

カムイ「アクアさん?」

アクア「目が覚めたようね。心配したの、よかったわ」

カムイ「アクアさん……私はどれくらい眠っていたんですか?」

アクア「丸二日ほどね。シュヴァリエの反乱はもう沈静化しているわ」

カムイ「そうですか……。私は暴走してしまったんですね」

アクア「カムイ、覚えているの?」

カムイ「うすぼんやりとは。その……リリスさんは……」

アクア「……残念だけど」

カムイ「そうですか……はは、私はこんなに冷徹な人間なんですね。あのときはあんなに叫んでいたのに、今はその事実をありのままに受け入れてるなんて。私の心は一体どうなっているんでしょうか」

アクア「カムイ、そのことだけど。私はあなたに伝えないといけないことがあるの」

カムイ「?」

アクア「まずはこれを返すわね。あなたにとってはお守りのようなものだから」

カムイ「これは……竜石ですか?」

アクア「ええ、暴走したときも、私の助言通り肌身離さず持っていてくれたから、どうにかあなたを取り戻せたの」

カムイ「あの歌はアクアさんのものだったんですね……。ははっ、リリスさんの助言に従わないで勝手に事を進めて、その結果失って、その果てに衝動に振り回されて暴走、今はケロッとそのことを受け入れている。調子のいい人間ですね、私は……」

アクア「いいえ、違うわ。あのとき、カムイは年相応に悩んでいた。いや、悩むことができるようになった、ただそれだけなのよ」

カムイ「なんですかそれ、なら今までの私はなんですか? サクラさんの首に剣を振り下ろしたときや、港町でのヒノカさんへの対応、タクミさんへの攻撃、全部で私は揺れ動かなかったんですよ? そもそも、こんな弱い私があの白夜平原で選択をできるわけないじゃないですか」

アクア「だから、あなたに伝えて謝りたいの……。私はあなたから人間らしい部分を間接的に奪ってしまっていたんだから……」

カムイ「どういうことですか?」

アクア「そうね、まずは質問をさせて頂戴。カムイは、その竜石が何色になっていると思う?」

カムイ「見たことはありませんから。でも、灰色とかそういう色をしているんじゃないですか?」

アクア「……」

アクア「今、あなたの竜石は少しずつ、でも確実に黒く染まりつつあるわ」

カムイ「……それは、元々黒く染まっていなかったということですよね」

アクア「ええ。私も竜石に衝動を抑える行為自体、初めてだった。だからかもしれない、獣の衝動を突然起きる破壊衝動だけだと勘違いしていた」

カムイ「……説明してもらってもいいですか、アクアさん」

アクア「最初あなたに出会った時、私はあなたのことを何にも動じない、それでいて決定できる人と思っていたわ。ミコトが殺されてしまった時、衝動によってあなたがあなたでなくなってしまうこと、それがとてつもなく恐ろしいことに思えたし。純粋にあなたに死んでほしくなかったから、私はあなたの衝動を石に収めた」

カムイ「……」

アクア「竜石の作用で、あなたは最初の印象のように振舞っていたわ。だから、これで大丈夫って思えたの」

アクア「でも、あの日、マクベスに反逆者として捕らえられた日から、あなたはおかしくなった。私に不安だって零していたから、今思えばそこで確認をしておくべきだったのかもしれない。いえ、そこに至るまでに気づいておけばよかったのかもしれないわ」

カムイ「何にですか?」

アクア「獣の衝動というのがどういうものなのかということを」

カムイ「獣の衝動、それは本能的なものではないんですか?」

アクア「ええ、そうね。リリスが殺されてしまった時、あなたの心の中に渦巻いていたのは殺意だけだったと思うわ。そういったものが積もることで、破壊衝動に昇華していき、結果として獣に成り果てる」

カムイ「……」

アクア「でも、それだけじゃないってことが、少しだけわかったのよ。今のあなたを見ていると、それがわかるから」

カムイ「? どういうことですか」

アクア「カムイ、今あなたは何も感じていないのよね」

カムイ「ええ、そうですよ。事実を変えることはできませんから。私がいくら嘆いても、リリスさんやクリムゾンさんの命が帰ってくることはありません……。それにお父様のことも」

アクア「お父様?」

カムイ「思い出したんです。私の本当のお父様がスメラギさんであること、そして私から光を奪ったのがお父様だということも……」

 ガチャ

カムイ「?」

カミラ「……カムイ」

アクア「カミラ……」

カミラ「それは本当のことなの?」

カムイ「……思い出したことです。でも、それが本当のことであるという保証はありません……。だから、もう嘆くこともないんです」

カミラ「どうして、そんなに冷静でいられるの……」

カムイ「なぜって言われましても……本当に何も感じないんですよ。悲しいとか、悔しいとか、そういうのが全く感じられないんです」

カミラ「……カムイ」

カムイ「カミラ姉さん?」

カミラ「これが、これが、あなたの真実だっていうの? お父様が、あなたの目を奪った人だなんて。だって、私たちに出会う前の訓練で目を失ったって」

カムイ「そうですね。でももうアベコベでわからないんです。だけど、それでお父様を怨むようなことはありませんよ」

カミラ「カムイ。お願いよ、そんななんでもないなんて顔をしないで頂戴。少しでもいいから……、辛い顔をして頂戴……」

カムイ「……難しいです」

カミラ「こんなのあんまりじゃない……。まるで、なにも感じていないみたいに。こんなことって……」

カムイ「……やっぱり、私はおかしいんですよ。これじゃ死んでるみたいですね」

カミラ「そんなことないわ。カムイだって、ちゃんと生きているじゃない」

アクア「カミラの言う通りよ。カムイ、あなたにだって心はあるわ……」

カムイ「証拠なんてないじゃないですか」

アクア「……ちゃんとあなたの心は育っていたのよ。だって、育っていなかったら――あなたは反逆者となった瞬間に、命を絶っていたでしょうから」

カムイ「……それは、私が自分の命を愛く思うようになったということですか? そうかもしれませんね、こうやって生き残って、感慨も何も……」

アクア「違うわ」

カムイ「アクアさん?」

アクア「あなたはもともと、自分の命を大切になんて思っていない人だった。だから、簡単に自分を犠牲にできた、いろいろなことに刃向えた」

カムイ「それは……」

アクア「思い当たる節がないわけじゃないでしょ? あなたは、誰かのためなら自分を犠牲にできる人、本当はやさしい人だから。こうやって、人の死を悲しめない自分がわからないんでしょう?」

カムイ「アクアさんにはお見通しなんですね……」

アクア「ええ、あなたをそうしてしまったのは私だから」

カムイ「?」

アクア「獣の衝動は、私が思うに負の感情なのよ。悲しさや辛さ、恨みといった心を蝕むもの。単純に悪意と言っていいかもしれない」

カムイ「悪意ですか?」

アクア「ええ、そういった感情、獣の衝動をこの竜石がすべて受け止めていたの。それが一度離れた時があったのよ」

カミラ「カムイが反逆者として捕らえた時……」

アクア「ええ、その時、カムイと竜石は一度、引き離されたわ。そして、不安という獣の衝動が体の中で渦巻くことになって、繋がりのなくなった衝動は体を渦巻き続けて、カムイを揺らしていた。そして繋がりが完全に修復されていなかった……私がそれに気づいていれば」

カムイ「……」

アクア「ごめんなさい、私はあなたを竜石に縛り付けてしまった。それで安心してしまった。私がリリスを殺してしまったようなものよ、だから――」

カムイ「アクアさんは、私を助けるために、竜石をつなぎ合わせてくれたんですよね?」

アクア「ええ、あなたを失いたくなかったから、でも、知らなかったでは済まされないことを――」

カムイ「アクアさん……」ダキッ

アクア「!」

カムイ「ありがとうございます。私にそのことを告げてくれて……」

アクア「カムイ、なんでそんなことを言うの…」

カムイ「だって、アクアさんもこのことを私に告げるのは辛かったはずですから……」

アクア「やめて、そんな優しい声を掛けてもらう立場に私はいないわ。むしろ、恨まれるようなことをしたのよ?」

カムイ「ふふっ、そんな感情は竜石に送っちゃいます。ただ、私のことを心配してくれたアクアさんがいるって言うことでいいじゃないですか」

アクア「カムイ……」

カムイ「今回のことでわかりましたから。私はみんながいないと何もできない人だってことが。溺れていたんですよ。なににも揺れない自分自身に。それを知らないで歩み続けていたら、いつかもっと違う場所で大きな出来事を起こしてしまっていたでしょうから。それに、リリスさんが死んでしまったのは私が原因なんです。決して、アクアさんの所為なんかじゃありません」

アクア「……でも」

カムイ「でもも、何もありません。アクアさんは私の命を救ってくれたんです。そして、ちゃんと告げてくれた。だからそれだけで十分なんですよ。皆さんにもいろいろと心配を掛けてしまいましたから……」

カミラ「いいのよ。でもカムイ、これからは私たちのことをいっぱい頼って欲しいわ」

カムイ「カミラ姉さん、こんな私ですけど、これからも妹として接していただけますか?」

カミラ「……もちろんよ。カムイは大切な家族なんだから、遠慮しないで頂戴」

カムイ「ありがとうございます。あの、ほかの皆さんには私からお話しますので、大丈夫だと伝えていただけますか?」

カミラ「わかったわ」

アクア「カミラ、それは私が――」

カミラ「そんなに熱く抱擁しあってるのに、水を差すわけにもいかないわ。今はアクアに譲ってあげる」

アクア「譲るって……」

カミラ「そういうわけだから、カムイのことよろしくね」

ガチャ バタン

アクア「……え、えっと////」

カムイ「アクアさん、どうしました?」

アクア「いえ、その、改めて言われると、こうやって抱き合っているのって、なんだか恥ずかしいと思って……」

カムイ「はは、そうですか」

アクア「……その余裕の表情、気に食わないわ」

カムイ「そうしたのはアクアさんですよ?」

アクア「痛いところを突いてく――」

カムイ「アクアさん」

 トスッ

アクア「え、カムイ?」

 ダキッ

カムイ「少しの間、こうしていてもらえませんか……」

アクア「……」

カムイ「不安はないんです。でも、ないから……少し怖いんです。前も思ったことがあって――」

 サラッ

アクア「本当に甘えん坊なのね。カムイは」

カムイ「はい、本当は甘えん坊なんです。今日だけは――この血塗れた手であなたを抱きしめさせてください」ギュッ

アクア「ええ、私でよければ、傍にいてあげるわ……。だって、カムイの信頼できる人になりたいもの」ギュッ

カムイ「ありがとうございます……」

アクア「でも、カミラに羨ましがられるかもしれないわ」

カムイ「そうですね。ふふっ、アクアさん困った顔してます?」

アクア「わかっているのに言うのね……」

カムイ「ごめんなさい。……アクアさん、とても温かいです……ね……」

アクア「カムイ?」

カムイ「――スゥ スゥ」

アクア「……カムイ、港町ディアでした話、覚えているかしら?」

アクア「私はあなたと一緒に血に染まると約束したの。その先に光があるって思えたから。だから、私はあなたを支えるわ」

「あなたの求める答えが見つかるまで……」

◇◇◇◇◇◇
―暗夜王国・シュヴァリエ公国より南東方角の海岸―

 バサバサバサッ

アサマ「……ようやく来たようですね」

セツナ「そう。これでやっと帰れる……はやく、畳のお布団で寝たい」

アサマ「ええ。しかし、影が一つだけというのは……」

セツナ「あれは……金鵄みたいだね」

アサマ「天馬ではないのですか、ではヒノカ様は……」

セツナ「大丈夫、ヒノカ様が乗ってるみたい……」

 タッ

 クエエェ

アサマ「ヒノカ様?」

ヒノカ「ううっ……」

セツナ「怪我してるみたい、結構新しい」

アサマ「そのようですね、幸い軽傷のようですから、それっ」カララン

ヒノカ「……くっ……ううっ」

セツナ「うなされてる、船で横にしてくる」

アサマ「ええ、お願いします。しかし、ユウギリさんとオロチさんが護衛してくるという話でしたが……御二人の姿は……」

セツナ「これ、ユウギリの金鵄だよね。あとこの弓、ユウギリのもの。長刀は……ヒノカ様のみたい」

アサマ「……何があったかはヒノカ様から聞くことにして、もう離れることにしましょう。このような場所にいては、ヒノカ様の心身によくありません。それに、あまり良い話ではないでしょうから。まずは安全圏まで離れるとしましょう。追手もいるかもしれませんから」

セツナ「そうね……。ヒノカ様、失礼します」

アサマ「さぁ、あなたも、船にお乗りください。まだ、白夜にはたどり着いていません。ヒノカ様を白夜まで届けることが、あなたの任務なのでしょう?」

 クエエッ バサバサバサッ

セツナ「もう出られるよ」

アサマ「……」

セツナ「アサマ?」

アサマ「ああ、はい、そのようですね」

セツナ「どうかしたの?」

アサマ「いえ、シュヴァリエという国は、とても運のない国だと思ってしまいましてね」

セツナ「運のない国?」

アサマ「そうですよ。結局のところ、暗夜と白夜の戦争にただ巻き込まれただけの国ですからね。翻弄された揚句に得たものが何もないとは、全く意味のない戦いでしたでしょうに」

セツナ「……いつまで続くのかな、この戦い」

アサマ「さぁ、それを決めるのは私たちではありませんよ。私たちは兵士、上が戦うならそれに従うだけですから」

セツナ「私はできれば寝ていたい」

アサマ「それには私も賛成ですよ。ですが、結局のところ」

「巻き込まれていくしかないのでしょう……」


第十三章 おわり

○カムイの支援現在状況●

―対の存在―
アクアB+
(カムイからの信頼を得て、その心の内を知りたい)

―城塞の人々―
ジョーカーC+
(イベントは起きていません)
ギュンターB
(恋愛小説の朗読を頼まれています) 
フェリシアC
(イベントは起きていません)
フローラC
(イベントは起きていません)
リリスB→消滅
(主君を守り通した)

―暗夜第一王子マークス―
マークスC+
(イベントは起きていません)
ラズワルドC
(あなたを守るといわれています)
ピエリC
(今度はカムイの弱点を探ってみせると息巻いています)

―暗夜第二王子レオン―
レオンC+
(イベントは起きていません)
オーディンC+
(イベントは起きていません)
ゼロB
(互いに興味を持てるように頑張っています)

―暗夜第一王女カミラ―
カミラB
(白夜の大きい人に関して話が上がっています)
ルーナC+
(目を失ったことに関する話をしています)
ベルカC+
(イベントは起きてません)

―暗夜第二王女エリーゼ―
エリーゼB
(イベントは起きていません)
ハロルドB
(ハロルドと一緒にいるのは楽しい)
エルフィC
(イベントは起きていません)

―白夜第二王女サクラ―
サクラC+
(イベントは起きていません)
カザハナC
(イベントは起きていません)
ツバキD+
(イベントは起きていません)

―カムイに力を貸すもの―
サイラスB
(もっと頼って欲しいと思っています)
ニュクスB
(イベントは起きていません)
モズメC+
(イベントは起きていません)
リンカC+
(イベントは起きていません)
ブノワC
(イベントは起きていません)
シャーロッテC
(イベントは起きていません)

今日はここまで

 リリスの支援はキャラクター共通も含めて消滅という形になります。リリス、すまない。 

 最初、竜石を使いすぎたら何かあるんじゃないかと思ってプレイしてたが、そんなことはなかった。

 竜石の設定は個人的妄想です。

 竜石の捉えかたでルートそれぞれの主人公の選ぶ道が決まったらよかったなぁという個人欲望です。
 
 白夜は竜石と共に皆と戦い
 暗夜は竜石を使って自身を偽ってでも戦う
 透魔は竜石による獣の衝動抑制から脱却して己の意思で戦うみたいな

 そんな感じです。

 ここから少しの間、休息時間に入ります。

 久しぶりに安価を取りたいと思います。参加していただけると幸いです。

◇◆◇◆◇

 アクア
 ジョーカー
 ギュンター 
 フェリシア
 フローラ
 ラズワルド
 ピエリ
 ゼロ
 オーディン
 カミラ
 ベルカ
 ルーナ
 エリーゼ
 ハロルド
 エルフィ
 サイラス
 ニュクス
 ブノワ
 シャーロッテ
 モズメ
 リンカ

 支援イベントのキャラクターを決めたいと思います。

 一組目は>>277>>278

 二組目は>>279>>280

(すでにイベントが発生しているキャラクターで起きた場合はイベントが進行します)

◇◆◇◆◇
進行する異性間支援の状況

1アクア×ゼロ C
2ジョーカー×フローラ B
3ラズワルド×ルーナ C
4ラズワルド×エリーゼ C
5オーディン×ニュクス C
6サイラス×エルフィ C
7モズメ×ハロルド C

 この中から一つ>>281
(話をしている組み合わせと被った場合は、そのかぶったものの一つ下の数字になります)
 
◇◆◇◆◇
進行する同性間支援

1ジョーカー×ハロルド C
2フェリシア×ルーナ A  
3フェリシア×エルフィ C
4フローラ×エルフィ C
5ピエリ×カミラ C
6エルフィ×モズメ C
7アクア×リンカ C

 この中から一つ>>282

(話をしている組み合わせと被った場合は、そのかぶったものの一つ下の数字になります)

乙でしたー
ちょっとマイキャッスルでリリス愛でてくるわ
安価ならブノワ

フローラ

アヴドゥル死亡
イギー死亡
みたいな虚しさやなあ

ベルカで

乙 リリスの後日談が「○章にて離脱」になってしまう
エリーゼ

2番のジョーカー×フローラ

7アクア×リンカ

◇◆◇◆◇◆

ブノワ「……そうか、それはよかったな」

フローラ「……」

ブノワ「ああ、ではな……んっ?」

フローラ「…………」

ブノワ「どうかしたか、フローラ?」

フローラ「すみません、その熊の前で立ち尽くしているので、何をしているのかと思って、襲われているというわけでもなさそうでしたから」

ブノワ「……話をしていた」

フローラ「熊と……ですか?」

ブノワ「ああ、今日取れた魚の話だった。とてもおいしかったと言っていた」

フローラ「どこから疑問を投げ掛ければよいのかわかりませんけど、特に問題はないようですね」

ブノワ「ああ。それより、俺を心配してくれたのか?」

フローラ「ええ」

ブノワ「そうか、ありがとう」

フローラ「気にしないでください。それに私のように心が氷のような人間に、心配されても迷惑でしょう?」

ブノワ「いや、あまり心配されるような人相ではないからな。こうやって口に出して言ってもらえると、うれしいものだ」

フローラ「たしかに、普通の人が見たら熊の方が因縁を付けられているようにも見えますからね」

ブノワ「………」

フローラ「ふふっ、冗談です」

【ブノワとフローラの支援がCになりました】

◇◆◇◆◇◆

ベルカ「……」

エリーゼ「あ、ベルカ!」

ベルカ「……エリーゼ様」

エリーゼ「何してるの?」

ベルカ「何も、ただ待機していただけよ」

エリーゼ「そうなんだ。ねぇねぇ、今ケーキ買ってきたんだ、一緒に食べよっ!」

ベルカ「遠慮しておくわ……」

エリーゼ「ええー、ためしに食べさせてもらったけどとってもおいしかったんだよ! ベルカもきっと気に入るはずだよ!」

ベルカ「………」

エリーゼ「ベルカ、あたしと一緒にケーキ食べるの嫌なの?」

ベルカ「!?」

エリーゼ「ううっ……」

ベルカ「……そんな顔されても困るわ」

エリーゼ「……一口だけでもいいから、一緒に食べようよ」

ベルカ「………」

エリーゼ「こんなにおいしいのに……」

ベルカ「エリーゼ様、今はお腹が空いてない。それだけのことよ」

エリーゼ「え、そうだったの。ごめんね、じゃあ、今度は一緒に食べてくれるよね?」

ベルカ「…お腹が空いてたら」

エリーゼ「うん、じゃあ、今度はちゃんとお腹を空かせてね!」

ベルカ「ええ……」

【エリーゼとベルカの支援がCになりました】

◇◆◇◆◇◆
(前スレ888~889の続きになります)

リンカ「……まさか、こういうことになるなんてな」

アクア「……」

リンカ「いやいや、ちょっと待ってくれ。確かにそうだが……」

アクア「ふふっ」

リンカ「アクア。わ、笑うんじゃない!」

アクア「いいえ、ごめんなさい」

リンカ「くっ、だがこれは極端じゃないか。今までの自分を忘れて別人になりきるか、自分を貫くかなんて」

アクア「そうね、単純に見たらそういう選択しかないように見えるかもしれないわね」

リンカ「そういう選択しかないじゃないか。これじゃ……」

アクア「ねぇ、リンカ切り返すなんてこと、普通は行わないことなのよ。生きている以上、人は一つの道しか進めないから。リンカ、あなたは、炎の部族から離れるという選択を取ったのよね?」

リンカ「ああ、そうだ。それしか、部族に向けられる敵意の目を抑える方法がないと考えたから」

アクア「そうね。だから、その時点でリンカ自身、部族との折り合いを付けられてるはずよ」

リンカ「どういうことだ?」

アクア「あなたは切り替え出来るようになりたいと言っていたけど、本心ではそんなことを望んでいない、そう思えるからよ」

リンカ「あたしは、切り替えられるようになることを望んでない?」

アクア「ええ、正直なところ、この問いかけはね、あなたが悩んでいる理由を探るためのようなものなのよ」

リンカ「悩んでいる理由?」

アクア「ええ、そして向いてないこともね」

リンカ「……」

アクア「リンカ……」

リンカ「いや、アクア。お前に言われなくても、大体分かった気がする、だからいい」

アクア「そう?」

リンカ「ああ、たぶん、あたしはまだ迷っている。ただそれだけのことさ、ありがとうアクア。ちょっと、考えてみるよ、答えが浮かんだらまた話をきいてくれるか?」

アクア「……もちろんよ」

【アクアとリンカの支援がBになりました】

◇◆◇◆◇◆
(前スレ928~929の続きになります)

ジョーカー「っ! 俺としたことが……」

フローラ「ジョーカー?」

ジョーカー「フローラか、いやなんでもない」

フローラ「なんでもないわけないでしょう。それとも、私のこと信頼してないのかしら?」

ジョーカー「……それもそうだな。まぁ、見て笑ってくれてもいいぞ」

フローラ「……指を切ったのね。いつかの私みたいね」

ジョーカー「そう言われるだろうから、見せたくなかったんだが。まぁ、小さな怪我だ、大した問題はない」

フローラ「そういうわけにもいかないわ。指先の傷を人が見て快く思わないこともあるって言っていたのは誰だったかしら?」

ジョーカー「……嫌なくらい覚えてるんだなお前は」

フローラ「ええ、だって信頼してるから。ジョーカーの言葉も、ジョーカーの人柄もね」

ジョーカー「なんだそれ、聞いてるこっちが恥ずかしくなる言葉だな」

フローラ「そ、そうね。なんでこんなこと言ってるのかしら?」

ジョーカー「なら、俺も信頼してるフローラに任せて、ちょっと休むとするか。幸い傷は浅いからな、少しすれば治る」

フローラ「そうね、でもちゃんと拭いておいたほうがいいわよ。これを使って」スッ

ジョーカー「?」

フローラ「このタイミングで返せればよかったんだけど、今は私のハンカチしかなかったから」

ジョーカー「そうだな。前のをここで返してもらえれば、これを返すっていう面倒も省けたんだが」

フローラ「そういう口が叩けるなら大丈夫そうね。そのハンカチは別に捨てても――」

ジョーカー「いや、こういうのは借りたままにするのもあれだからな、洗って返す」

フローラ「私には返さなくてもいいっていったのにね」

ジョーカー「なら、そうだな。お互いの信頼の証とでもして、返さないっていうことにでもするか?」

フローラ「なにそれ、面白いことを言うのね」

ジョーカー「嫌なら別にいいぜ。奇麗にして返してやるよ」

フローラ「ふふっ、せっかくジョーカーに恩を着せられて、しかも信頼を得られるんだもの。私は構わないわ」

ジョーカー「ならこれで決まりだな。それじゃ、今日のことは色々と任せたぞ、フローラ」

フローラ「ええ、わかったわ、ジョーカー」

【ジョーカーとフローラの支援がAになりました】

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・賭博の町マカラス・移送馬車倉庫―

ピエリ「……」

 ガチャ

ピエリ「誰なの?」

カムイ「ピエリさん、私です」

ピエリ「カムイ様?」

カムイ「はい、こちらにリリスさんがいると聞いたので……」

ピエリ「こっちなの」

 カッ カッ

ピエリ「……もう、施しはおわちゃってるの。だから、蓋は開けられないの」

カムイ「はい……」

ピエリ「………」

カムイ「ピエリさんは、私を怨んでいないのですか?」

ピエリ「……カムイ様も、ピエリのこと恨んでないの?」

カムイ「なんで、私がピエリさんのことを怨むんですか。私に、そんな資格なんてありませんよ」

ピエリ「あるの、だって、ピエリ、リリスのこと守ってあげられなかったの……。あれだけ守るって、いっぱいいっぱい言ったのに、結局守れなかったの」

カムイ「ピエリさん……」

ピエリ「リリス言ってたの、カムイ様が一番大切だって。それは当然なの、だから思うの、ピエリがもっと早くあそこに行けたら、リリスは生きていられたんじゃないかって。もしも、カムイ様が下に落ちなければ、リリスは生きてかもしれないって、そう思っちゃうの」

カムイ「……」

ピエリ「でも、リリスはそんなこと望んでないの。ピエリ、リリスに言われたから」

カムイ「何をですか?」

ピエリ「恨まないでって、リリスがピエリに言ってくれたの。今ね、リリスの言ってくれたこと、少しだけわかる気がするの。ピエリ、リリスの言葉がなかったら、たぶんカムイ様をえいっってしちゃってたと思うから」

カムイ「……」

ピエリ「リリスね、ピエリにピエリのままでいてほしいって言ってくれたの。戦うのに恨みとか、そういうのを持ってほしくないって言ってくれたの。だからピエリは大丈夫なの」

カムイ「ピエリさん……」

ピエリ「カムイ様、もう、ピエリいっぱい泣いちゃったから平気なの。もう、恨みなんてないの。だって、残ってたらリリスとの約束破っちゃうことになっちゃうの」

カムイ「ピエリさん……」

ピエリ「リリスの思いはピエリの思いなの。だからカムイ様、ピエリはカムイ様を守るためにいっぱい戦うの。敵は殺すの、これは変わらないの、だって戦わないとカムイ様のこと守れないの」

カムイ「……ピエリさんは、こんな私について来てくれるんですか? リリスさんが死んでしまった原因でもある私に」

ピエリ「カムイ様の所為じゃないの。ピエリ難しいことはわからないけど、でも悪いのはカムイ様の所為じゃないって思うの」

カムイ「どうしてですか?」

ピエリ「うー、わからないの。でも、そう感じるの。だから、ピエリはカムイ様を守るために戦い続けるの、リリスの分もきっと守ってあげるの」

カムイ「ありがとうございます」

ピエリ「えへへ。だからカムイ様にも早く元気になってもらいたいの。そうしないと、リリスに怒られちゃうの」

カムイ「そうですね……」

カムイ(リリスさん、あなたに助けられたこの命が、一体どういった道を得ていくのか、それはまだわかりません)

カムイ(でも、私はもう一度考えてみようと思います。私がするべきことを……)

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・クラーケンシュタイン『王の間』―

ガロン「そうか、シュヴァリエの反乱鎮圧は終わりを迎えたか」

マクベス「そのようです。話によると、ガンズの部隊、そしてカムイ王女が多くの反乱軍の命を奪ったと聞いております」

ガロン「そうか……。ふむ、暴走し、そこで朽ちると思っていたが……まだまだ、壊れぬということだな」

マクベス「? ガロン王様?」

ガロン「くーっはっはっはっはっは!」

マクベス「!? い、いかがされました」

ガロン「マクベス、ガンズたちの昇進はお前に一任する。そしてカムイのことについてだが、マクベスよ、お前の中にある疑念、それはもう晴れたと見ていいのだな?」

マクベス「そうですな」

マクベス(カムイ王女が率先して反乱軍の命を奪った事実は、多くの部族に知れ渡っています。もう、部族もカムイ王女に夢を見ることもないでしょう)

マクベス「ええ、此度の件、私の疑惑はすでに晴らされております。その点、謝罪せねばなりませんね」

ガロン「ならば、奴には我が暗夜の血を受け継ぐものとしての称号を与えねばならんな」

マクベス「称号ですか?」

ガロン「ああ、カムイも我が一族に本当の意味で組み込まれることとなるだろう。ささやかな催しを行ってやろう、我が子の晴れ舞台を祝ってやらねばな」

ガロン「マクベス。カムイが戻り次第、我が元へ来るように伝えよ」

マクベス「承知いたしましたガロン王様、では、私はこれにて」

ガロン「うむ……」


ガロン「くっくっく、お前の心はどのように曇っていくのだろうな。どこまで知った、どこまで恨んだ、どこまで耐えた」

ガロン「まだまだ、お前には肥えてもらわねばならない。そうでなくては意味がない」

ガロン「お前が黒く育つことこそが」

「我の最大の願いなのだからな……」

今日はここまで

キャラ同士の支援、やっぱり難しい。

ジョーカー×フローラがS支援にリーチ掛ってます。
S支援については、パラレル的解釈になるかもしれません。

とりあえず、ピエリリスの百合書く



次の展開を安価で決めたいと思います。参加していただけると幸いです

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
◇◆◇◆◇
 レオン邸でレオンと会話をしている人物

 サクラ
 カザハナ
 ツバキ

 >>292

◇◆◇◆◇
 カムイが顔を触る人物
 
 シャーロッテ
 ブノワ

 >>293

サクラ

ブノワ

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・レオン邸―

レオン「……結局、何もわからずじまいだなんて……」

レオン(……伝令はもう来てる、姉さんがシュヴァリエの反乱を平定したことも……、リリスが死んだということも……)

レオン「くそ……」

レオン(姉さんを嵌めたのがマクベスなら、それを手引きした奴がいるはずなのに、その痕跡も何も見つけられない。僕は姉さんと一緒に戦うことも、兄さんのように身代わりになることもできなかったのに、なにも得られていない。ここで、ただ無様にもがいてただけだ……」

レオン「結局、僕にできることなんて……」

 コンコンッ

レオン「誰だい、今は――」

サクラ『れ、レオンさん。私です……』

レオン「サクラ王女……どうしたんだい? まだお風呂には早い時間だと思うけど?」

サクラ『いえ、お風呂じゃないんです。そ、その、夕食の時から、その考え込んでるみたいでしたから……』

レオン「……なんでもないよ。なんでもない」

サクラ『嘘です、レオンさん、とても辛そうじゃないですか……』

レオン「本当に何でもないよ」

サクラ『レオンさん』

レオン「放っておいてくれないか!」

サクラ『っ!』

レオン「……ごめん。でもお願いだ、部屋には入ってこないでくれないか、今は人と会って話せる顔じゃないんだ」

サクラ『……わかりました』スッ ピタッ

レオン「なに、僕が部屋に入れるまでいるっていうのかい?」

サクラ『違います。面と向かって話ができないのでしたら、その、扉越しじゃだめでしょうか?』

レオン「……」

サクラ『あ、あの。その……、私、レオンさんに前こうやって話しかけられた時に、とても勇気づけられたんです、だから』

レオン「……」

サクラ『……』

サクラ(やっぱり、私なんかじゃ、誰かを支えることなんてできないのでしょうか……)

サクラ「……」

 カッ ガタンッ

サクラ「!」

レオン「……」

サクラ「あ、あの」

レオン「サクラ王女は、あれからツバキとカザハナに甘えてるのかい?」

サクラ「……はい。いろいろと甘えさせてもらってます。レオンさんに言われるまで、そんなこと思いつかなかったかもしれませんから」

レオン「……」

サクラ「だから、その、そうするべきだって言ってくれたレオンさんが辛そうにしているのを見るのは嫌なんです」

レオン「どうしてだい?」

サクラ「だって、レオンさんが私たちをここまで守ってくれたから、カザハナさんもツバキさんも、レオンさんにとても感謝してるんです」

レオン「仕方ないことだよ。だって、サクラ王女たちは僕の捕虜なんだから」

サクラ「それでもいいんです。私はレオンさんを信じてるんですから、だから信じているレオンさんが辛そうにしているのを黙って見ているわけにはいかないんです」

レオン「そう、やっぱりサクラ王女はどこか頑固だね」

サクラ「が、頑固でしょうか?」

レオン「ああ、普通。自分たちを捕らえたような奴に、そんな感情を抱くことなんてありえないことだからね。僕がサクラ王女の立場だったら――」

サクラ「ふふっ、レオンさんは同じように捕虜になっても、そういうことをしない人だって思えます」

レオン「どうして、そう思うんだい?」

サクラ「……だって、レオンさん。カムイ姉様と同じで、とても優しい人ですから」

レオン「……やさしい」

サクラ「……あ、あの、その、カムイ姉様と同じくらい優しいっていう意味で……その、比べてるわけじゃないんです」

レオン「わかってる。サクラ王女が、そういう風に考えてる人じゃないってことくらい、もうわかってるからね」

サクラ「レオンさん、なんだか声に元気が出てきた気がします」

レオン「そうかもね。はぁ、他国の王女に支えられてるなんて、王子失格だよ僕は」

サクラ「え、支えてなんて」

レオン「いや、ありがとう。その、心配してくれて……」

サクラ「えっ?」

レオン「僕はあまり心配される立場にいなかったから、そう言ってもらえること自体珍しくてね……」

サクラ「そうなんですか?」

レオン「うん、と言うよりも、心配されることを子供の頃は恐れてたのかもしれない……」

サクラ「恐れていた、ですか?」

レオン「ああ、心配されるっていうことは弱みを見せることになる。弱みは付け込まれる隙で、そう言う隙を突いてくるような奴らはどこにでもいる」

サクラ「……大丈夫です、今は大丈夫ですから」

レオン「?」

サクラ「だって、ここには私しかいないんです。だから、少しだけ弱いところを見せても大丈夫なはずですから」

レオン「なに、少しだけ感謝されたからって、良い気になってるみたいだね」

サクラ「は、はわわわわ。ご、ごめんなさい、その、調子にのっちゃったみたいです……」

レオン「ははっ」

サクラ「わ、笑わなくても……」

レオン「そうだね。でもこのありがとうっていう気持ちは僕の本心だよ。サクラ王女、少しだけあなたに甘えさせてもらったよ」

サクラ「あ、甘えてたんですか?」

レオン「? サクラ王女の思う甘えるっていうのはどういうものなんだい?」

サクラ「……そ、それは////」

レオン「サクラ王女?」

サクラ「も、もう大丈夫そうですね。わ、私はこれで失礼しますから……」

レオン「わかったよ。二人も僕のこと、気にかけてくれたのかな?」

サクラ『はい、カザハナさんもツバキさんも、心配してましたから』

レオン「なら、二人にも伝えてくれないかな。心配を掛けてすまないってさ」

サクラ『はい、伝えておきますね。レオンさん、無理はしないでください』

レオン「わかってるよ。ありがとう」

サクラ『いいえ、気にしないでください。それでは……』

レオン「……」

レオン(姉さんに疑いが掛るようにマクベスに情報を流した奴がどういう風に、話を耳にしたのかはわからないけど。こうやって悩み続けること自体、その奴の術中にはまってることになるのかもしれないな)

レオン「目的は、なんだろう?」

レオン(姉さんを貶めるため? それとも殺すため? どちらにせよ、まだそいつの姿が見えない以上は、気をつけていくしかない……)

レオン「だけど、誰に聞いても不審な人物を見てないっていうのは……」

「少しおかしな話だ」

◆◆◆◆◆◆
―港町ディア・宿舎―

ブノワ「……」

ブノワ「ここがカムイ様の部屋か……」

 コンコンッ

ブノワ「カムイ様、ブノワだ……」

カムイ「はい、どうぞ、お入りください」

 ガチャッ バタンッ

ブノワ「カムイ様、何か用か?」

カムイ「はい、まずはお礼を言いたかったのです」

ブノワ「お礼、一体何のだ?」

カムイ「はい、ありがとうございます。国境のこともそうですが、シュヴァリエでの戦い、そして私の部隊に入ることを志願していただけたこと、そのすべてです」

ブノワ「…ふっ、同僚がついて行くと言ったのでな。あいつはそれなりに長い」

カムイ「そうだったのですか」

ブノワ「だが、俺がもっと早くピエリと合流していれば、あのリリスという仲間は……」

カムイ「そう言ってくれるんですね、ブノワさんは」

ブノワ「人が死ぬのはできる限り見たくはない。だが、俺は戦うことを仕事にしている。なら、仲間が死ぬことを抑えることはできるはずだからな」

カムイ「ブノワさんはとても優しい方なんですね。気配だけ察すると、とても大きな人なのに」

ブノワ「……本当なのか?」

カムイ「何がですか?」

ブノワ「カムイ様は目が見えないと、聞いたのでな……」

カムイ「はい、だからブノワさんのお顔を確認したくて、お呼びしたんです」

ブノワ「か、顔を触るのか?」

カムイ「はい、大丈夫ですよ。みんなとても気持ちがいいって言ってくれるんです」

ブノワ「……」

ブノワ(指を解している。なんだあれは……とても嫌な予感がする……)

ブノワ「カムイ様、俺の顔を触っても面白くなどない……」

カムイ「いいえ、私はブノワさんのお顔を知りたいんです。私のことを知ってくれている人のことを、私は知りたいんです」

ブノワ「カムイ様……そういうことなら、仕方無い……」

カムイ「ブノワさん……ありがとうございます」スッ ピトッ

ブノワ「っ!」

カムイ「ふふっ、とっても固いんですね。これは、傷ですか?」

ブノワ「あ、ああ……」

カムイ「そうなんですか。失礼しますね」

ブノワ「くっ、うぅ……」

カムイ(瞼と眼尻、口元に顎鬚のあたり……ですね。ここは……)

ブノワ「ははっ、くすぐったいな……」

カムイ「そうでしたか。すみません、ちょっと触る場所を間違えているみたいです……」

カムイ(どうやら、目から下にはなさそうですね……)

カムイ「……」

ブノワ「カムイ様? もう、終わりに――」

カムイ(あとはここですけど……)スッ

ブノワ「っ!」

カムイ「……」スッ

ブノワ「くぉおっ!!!!」

カムイ「……」ニヤッ

ブノワ「か、カムイ様……」

カムイ「どうしたんですか、ブノワさん。くすぐったいんですか?」スッスッ

ブノワ「うううっ、な、なんだこれは……」

カムイ「ただ触ってるだけですよ、どうしたんですか、そんなに戸惑ったように振舞って……まるで、気持ちがいいって言ってるみたいですよ」

ブノワ「そ、そんなことは……っ!」

カムイ「大きく口を開けて、どうしたんですか?ふふっ、ブノワさん、盛り上がった髪の毛の淵を触られるのが、そんなにいいんですか?」

ブノワ「い、いや。よくヒヨコみたいだと……ぐっ、いわれたことのある頭だから……。こう、触ってもらうのは……んぐっ!」

カムイ「そうなんですか、ヒヨコみたいなんですね。私が、ブノワさんのヒヨコを優しく撫でてあげてるんですね……」

ブノワ「!!!!」

ブノワ(その表現は、なんだか危ない気がしてならない……」

カムイ「どうですか……ヒヨコ、とても気持ち良いですか?」

ブノワ「ぐっ、き、きもちが、いい……」

カムイ「そうですか、なら」

ブノワ「?」

カムイ「後ろから失礼しますね」

ブノワ「か、カムイ様……一体何を!?」

カムイ「ふふっ、後ろから触ると、ヒヨコさんの形が取ってもよくわかります……ふふっ、ブノワさんのヒヨコ、もっともっと気持ち良くしてあげます」サスサスッ

ブノワ「!!!!っ!!!!!」

カムイ「ふふっ、ヒヨコの形ってこうなんですね……。触ったことがないので、ブノワさんのはとても参考になります」

ブノワ「いや、似て、いるだけだ。実際のヒヨ、コでは、はぐうっ!」

カムイ「ふふっ、育ってきましたよ。ブノワさんのヒヨコ……。ふふっ、頭がとっても熱くなってますよ。私の手、ブノワさんのヒヨコの形覚えちゃいました」

ブノワ「か、カムイ様……。こ、これいじょうは、頭がクラクラして……」

カムイ「そうですね。これいじょうすると、ブノワさんが持ちそうにありませんから」パッ

ブノワ「ぐっ、はぁはぁ……くっ、一体なんだったんだ……」

カムイ「ふふっ、とっても楽しい時間でしたよ。ブノワさん……」

ブノワ「た、楽しかったのか?」

カムイ「はい、私の楽しみの一つですから」

ブノワ「そうか……。まぁ、気持ちが良かったのは事実だ」

カムイ「はい、また今度、ヒヨコ触らせてくださいね?」

ブノワ「……善処させてもらう」

カムイ「はい、楽しみにしてますね」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ブノワ「では、失礼します。カムイ様……」

カムイ「ええ、明日も朝早いですからお休みください」

ブノワ「はい、では……」

 タッ タッ タッ

カムイ「さて、私も眠ることにしますしょう……」

カムイ「……」チラッ

カムイ「……」

 バタン


 ………


 ササッ

シャーロッテ「ふぅ、ブノワが私のことを何か話すんじゃないかって思って聞き耳立ててたけど」

シャーロッテ「これが王族的挨拶って言うやつなのかよ。ブノワのヒヨコって……表現もそうだけど、これただのセクハラじゃねえか」

シャーロッテ「見つからないうちに、さっさと自室に帰って、今後は呼び出しがあっても行かないようにしないいけないわね」

シャーロッテ「じゃないと、何されるかわかったもんじゃ―――」

 ガチャ キィィィィ

シャーロッテ「?」

 グイッ

シャーロッテ「!?」サッ

 バタン

シャーロッテ「な、何が起きて――」

カムイ「シャーロッテさん。わざわざ来てくれたんですね?」ニコッ

シャーロッテ「あ、あらやだ。たまたま偶然ですよぉ。私、ブノワさんとお話があるので、これで失礼しますわ」

カムイ「ブノワさんはとても疲れてるみたいですから」

シャーロッテ「それはあんたがブノワに変なことしたからでしょうが!」

カムイ「ふふっ、やっぱり聞いてたんですね。いけませんよ、聞き耳を立てるなんて……」スッ

シャーロッテ「……ちょ、なにす――」

カムイ「大丈夫です……。シャーロッテさんがどんな顔をしている方なのか」

「知りたいだけですから」

今日はここまで

シャーロッテさんははたして逃げられるのか(逃げられない)
そしてレオンとサクラが思いのほか、絆を深めつつある。

透魔竜ハイドラはオスなのに子を産めたってことは、つまりふた○り
つまり、その子供であるリリスも……

 パシッ

シャーロッテ「……」

カムイ「?」

シャーロッテ「あんたさ、もう大丈夫なの?」

カムイ「何がですか?」

シャーロッテ「何がじゃねえよ……」

カムイ「……シュヴァリエでのこと……ですか?」

シャーロッテ「正直、心配したんですよ?」

カムイ「?」

シャーロッテ「私が駆け付けた時、どんな状態だったかわかります? ずっと俯いて、嗚咽しかあげてなかったんです。もう、私の声も周りの声も聞こえてないみたいに」

カムイ「……」

シャーロッテ「正直、ここで生き残っても精神的に立ち直れるかわからないって思ってたんですから……」

カムイ「あの……シャ―ロッテさん」

シャーロッテ「……」

カムイ「もしかして、私のことを心配してくれていたんですか?」

シャーロッテ「……そうよ。悪い?」

カムイ「いえ、その……」

シャーロッテ「だから、数日で元気になったあなたを見てたら、もしかして無理してるんじゃないかって……まぁ、今日はブノワの奴がなにか変なこと言うんじゃないかって探ってただけですけど……」

カムイ「ふふっ……シャーロッテさんって、口調の割にとっても心づかいのできる方なんですね」

シャーロッテ「心遣いしないと男が寄ってこないから、あいつら女に理想求めすぎなんだよ」

カムイ「そうなんですか?」

シャーロッテ「そうよ。カムイ様には一回で見抜かれちゃったけど、これでも猫かぶるのは得意で何人も骨抜きにしてるんです、えへっ」

カムイ「ふふっ、シャ―ロッテさん。猫なんてかぶらなくても、とても素敵な方だと思いますけど?」

シャーロッテ「はぁ、そう言ってくれるのはありがたいけどね。でも、そう、大丈夫なんだ」

カムイ「はい……、私は二人も失ってしまいましたから」

シャーロッテ「二人? あのリリスって子だけじゃないんですか?」

カムイ「はい……、失ってしまいましたから。その方とした約束を奇麗に果たすことができなかったんです」

シャーロッテ「果たせたならいいじゃない」スッ

 ピトッ

カムイ「シャーロッテさん?」

シャーロッテ「ほら、触りたいんでしょ? なら始めてよ。カムイ様がもう大丈夫って言うなら、もう逃げるつもりもないから」

カムイ「……いいんですか?」

シャーロッテ「何遠慮してんのよ。最初は触る気満々だったくせに」

カムイ「だって、手を伸ばしたら、それをはねのけられたんですよ?」

シャーロッテ「今、あんたの手を持って、私の頬に当ててあげたんだから、触ってもいいサインだって気づきなさいよ」

カムイ「……シャーロッテさん」

シャーロッテ「あっ、でも。ブノワみたいに触るのは駄目だから」

カムイ「………」

シャーロッテ「あれ? カムイ様、その返事は」

カムイ「ごめんなさい」

 ピトッ シュッ

シャーロッテ「んっ!」

シャーロッテ「か、カムイ様。いきなりそんな、首筋に……ひゃっ、つぅぅ……」

カムイ「仕方ないじゃないですか。こんなに心配してくれて、いつもは男らしい口調のシャーロッテさんが、どんな声をあげるのか気になって仕方無いんですから……」

シャーロッテ「ちょ、私の顔を理解するためじゃな――あぅ、ふにゅん」

カムイ「もちろん、それもありますから。でも、こんなにわかりやすく、声を上げてくれるなんて思ってなかったんですよ?」

シャーロッテ「ひゃっ、か、カムイ様……。そ、そこ、だ、だめ、っ、ぇ……」

カムイ(……首筋が弱いのはわかりましたけど……ここだけじゃない気がしますね)

カムイ「お顔に触りますね」

シャーロッテ「は、はいぃ……んぅ」

カムイ(顎、唇、眼尻、眉……耳、鼻、シャ―ロッテさん、とっても可愛い方なんですね)

シャーロッテ(はぁ~、首筋危なかったわ。でも、これで流石に首筋に手を伸ばすことはないはず、このまま顔を触らせて脱出すれば……)

カムイ(あと、残っている場所は……ここでしょうか?)チョン

シャーロッテ「はひゅっ……!!!」

カムイ「……ふふっ、今の感じ、初めてですか?」

シャーロッテ(な、なに今の……)

カムイ「御凸がいいんですね……ふふっ」チョン

シャーロッテ「いやんっ」

カムイ「ふふっ、シャ―ロッテさん、髪の毛ちょっと上げさせてもらいますね」サラッ

シャーロッテ「ん、少しひんやりする……」

カムイ「はい。柔らかいですよ、ふふっ、でも全体が感じやすいって言うわけではないんですね」

シャーロッテ(私、何やって……これ以上探られたくないって考えたら、拒否すればいいのに……)

カムイ「さっき触ったのはここらへんでしたね」ピトッ ツゥー

シャーロッテ「んっ」ピクッ

カムイ「ふふっ、ここと、ここと……ここですね? ふふっ、御凸に三カ所も、気持ち良くなれる場所があるなんて……」ピトッ ピトッ ススッ

シャーロッテ「か、カムイ様。ううっ、背中、ムズムズして……やっ……」

カムイ「こんなに御凸に弱点があるのに、シャ―ロッテさんが御凸にキスをされたらどうなっちゃうんでしょうか?」

シャーロッテ「か、カムイ様……?」

カムイ「どうしたんですか? シャ―ロッテさん、大丈夫ですよ、許可もなくそんなことしたりしませんから」

シャーロッテ「え、えっとその……」

カムイ「まだ足りないんですよね、大丈夫ですよ。まだ触ってあげますから、首と一緒に……」ツンツン サワッ

シャーロッテ「くひんっ! はぁ、んっ! ひゃっ、だめ、二か所、同時なんて、聞いてな、っっぅ!」

カムイ「可愛いですよ、シャ―ロッテさん」

シャーロッテ「ひゃ、ゆ、指で御凸の弱い場所、的確に突いちゃ………んんっ!」

カムイ「シャ―ロッテさん、今とっても赤い顔をしてるんですよね……」

シャ―ロッテ「は、恥ずかしくて、し、死にそうだよ……」

カムイ「はい、これ以上触ってしまうと。明日の朝に支障が出てしまうかもしれませんから、ここまでですね」パッ

シャーロッテ「ううっ、ここまで弄ぶのかよ。割に合わないわ」

カムイ「そうですか?」

シャーロッテ「そうよ。ここまで恥ずかしい声上げさせられるなんて思ってなかったんだから……」

カムイ「そうですね……。あの、シャ―ロッテさん」

シャーロッテ「なに。私、今すごく機嫌が――」

カムイ「とっても可愛かったですよ」

シャーロッテ「……そ、そう/////」

カムイ「あと、ありがとうございます」

シャ―ロッテ「?」

カムイ「私のことを心配してくれて」

シャーロッテ「……別に気にしないでいいから。それにカムイ様は重要なパイプ、そうそう縁を切るつもりなんてないんだから、覚悟しておいてほしいわ」

カムイ「そうですか、ではこれからもよろしくお願いしますね?」

シャーロッテ「ええ……、カムイ様」

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・クラーケンシュタイン城『王の間』―

カムイ「帰ってきましたね……ここまで」

エリーゼ「うん、カムイおねえちゃん。本当に大丈夫?」

カムイ「ええ、ありがとうございます。でも、報告は済ませないといけませんから、それにマクベスさんから、すぐにお父様に会いに行くように言われたこともありますし……」

カミラ「……カムイ」

カムイ「大丈夫です。言ったじゃないですか、恨むことはないって」

カミラ「でも……」

カムイ「私を信じてください」

エリーゼ「んっ、二人で何話してるの?」

カミラ「そうね、エリーゼにはまだわからない話よ」

エリーゼ「えー、ずるい。あたしも混ぜてほしいな」

カムイ「はい、いずれその時が来たら……御話しますよ」

エリーゼ「?」

カムイ「それに、早くこれを兄さんにお返ししないといけませんから。ずっと私が預かっていても意味がありません」

アクア「ジークフリートね。マクベスはマークスも王の間で待っていると言っていたわね」

カムイ「らしいですね。そろそろ、入りましょう」

カムイ「………」ドンドン

カムイ「お父様、カムイ、ただいま任務を終え、戻りました」

ガロン『戻ったか、カムイよ。では入るがいい』

 カッ カッ カッ

カムイ「……」

レオン「姉さん!」

マークス「カムイ、無事だったのだな」

カムイ「レオンさん、それにマークス兄さん。はい、色々とありましたが……。皆さんのおかげでどうにか生きて帰ってくることができました」

レオン「どうにかは余計だよ。姉さんなら問題なく帰ってこれたはずだからね……でも」

マークス「話は聞いている。リリスが戦死したと……」

カムイ「はい……。それは私の落ち度です、リリスさんが死んだのは私の未熟さゆえですから……。兄さん、こちらをお返しいたします」

マークス「……カムイ、すまない。考えてみれば、お前を戦場に送ったのは私だったのかもしれない」

カムイ「兄さん、あの時はあれしかなかったんです。だから、そのようなことを言わないでください。足りなかったのは私の覚悟なんですから」

マークス「……強くなったのだな」

カムイ「……いいえ、たぶんそれは……」

マークス「?」

カムイ「いいえ、なんでもありません。積もる話もありますけど、まずはお父様に報告をしないと」

レオン「それもそうだね。こっちだよ姉さん」

 カッ カッ カッ

ガロン「………」

カムイ「お父様」

ガロン「ふむ、いい顔になったなカムイ。暗夜の血を継ぐ王族としての貫録が、出てきたというところかもしれないな」

カムイ「いいえ、私にはまだまだそのような箔などありません。仲間を失う未熟者ですから」

ガロン「そうか、シュヴァリエ反乱鎮圧、御苦労であった。お前の戦果、わしの耳にも入っている。一人で多くの反乱分子を駆逐したそうではないか」

カムイ「はい……お父様。先によろしいですか?」

ガロン「なんだ?」

カムイ「この任務を終えた以上、マークス兄さんは解放されたと考えてよいのですか?」

ガロン「ああ、お前はわしの命令通り、その任務を終えた。誓は守られた以上、わしも息子を処刑せずに終わること、喜ばしく思っている」

カムイ「ありがとうございます、お父様」

ガロン「さて、カムイよ。先ほど、述べたようにお前には暗夜の王族として生きることを許す時がやってきたようだ」

カムイ「暗夜の王族……ですか?」

ガロン「ああっ、マクベスもお前に対する疑惑がなくなったと告げた。もう、お前に対して反逆者の烙印を押すものはいないだろう。そして、お前が竜となれることも、多くの者が知る事実となった。わけは話す必要もないだろう?」

カムイ「………はい」

レオン(シュヴァリエの反乱軍を蹂躙した竜が姉さんであることは、多くの人々に知れ渡ってる。マクベスは部族が姉さんに向けていた印象が反転したことを理解してる。だから疑惑を取り払ったということか)

ガロン「すでに反乱や、部族の動きも停滞を迎えつつある。白夜を攻め滅ぼす準備を始める時が来たのだ」

レオン「父上! それはまだ――」

ガロン「……レオン。これ以上、脅威となり得るものなど何一つあり得ん、すでに内部を蝕む反乱の芽は潰えた今、もう待つことはない。それとも、レオン。お前にはまだ、暗夜を転覆せしめる何かが存在するとにらんでいるというのか?」

レオン「……それは」

レオン(姉さんを嵌めた誰かがいる。でも、それを父上が気にするはずもない……)

レオン「いいえ、父上の言う通りです。もうしわけありません」

ガロン「ふっ、まあよい。今の我は機嫌がよいのでな……。カムイよ、お前はこの状況まで、暗夜を導いた、いわば先導者だ」

カムイ「そんな、私はなにも……」

ガロン「お前が望まなくとも、そうなっただけのことだ。ならば、お前は先導者にならねばならない。それが、お前の使命となるだろう」

カムイ「? それは一体……」

ガロン「その自覚がなくとも、お前はにはそうなってもらうことになるというだけのことだ」

マークス「父上?」

ガロン「白夜との争い、それが目まぐるしく動いたのはカムイによってだ。マークスよ、そうは思わぬか?」

マークス「……確かにそうですが」

ガロン「カムイよ。お前には正式な場で、多くの人間に暗夜の王族であるということを示さなくてはならん」

カムイ「……」

カムイ(私に、暗夜を象徴する存在。いや、ちがいますね、クリムゾンさんと同じようにマスコットになれと言っているんですね)

ガロン「白夜を滅ぼした先の戦い、レオンの言う通りだ。闘いは終わらない、わしはそう考えている。お前が多くの者に与える影響は膨大だが、多くはお前のことを殺戮を好む、狂った戦闘家と勘違いしているようだ。これは暗夜王族の威厳を示す行為でもある」

エリーゼ「……カムイおねえちゃん。そんな風に思われてるんだ、なんだか嫌だな……」

カミラ「……エリーゼはやさしいのね」

カミラ(……これが威厳を示す行為なわけないわ。ただ、カムイっていう強い力の象徴を、持っていることを示そうとしている行為……お父様は何を考えているの?)

マークス(父上、そのようなことをしては、カムイに対する印象はますます悪くなるだけではないか……。なぜ、そのような立場にカムイを置こうとするのですか!)

マークス「父――」

カムイ「お父様……」

マークス「!」

ガロン「カムイよ。どうかしたのか?」

カムイ「お心遣い、感謝いたします。私のためを思ってそこまでしてくださるのですね」

ガロン「ああっ、我が子のために尽くすのも悪くはないからな」

カムイ「お父様。私はお父様の提案、受けさせてもらおうと思います」

カミラ「カムイ、まって」

ガロン「カミラ、今はカムイが話をしている。口出しをするな」

カミラ「……はい、お父様」

カムイ「お父様が私にそうあって欲しいと望まれているのですから、それを無碍にすることはできません。それに、こうしてお父様に認めてもらうために、シュヴァリエの反乱を鎮圧し、ここにもどってきたのですから。これは報酬と考えてもいいくらいです」

ガロン「くっくっく。面白い例えをする。カムイよ……、お前の暗夜の血の流れ、しかと感じられた」

ガロン「ダークブラッドと呼ぶにふさわしい、そのあり方をな」

カムイ「お父様。ありがとうございます」

ガロン「日時は後に伝えよう。カムイよ、しばしの休息に入るがよい、長旅の疲れを癒し、時に備えるのだ」

カムイ「はい、お父様……」

カムイ(ダークブラッドですか……)

(あながち、間違っていないのかもしれませんね)

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・レオン邸―

カザハナ「……また着替えてるし、私何してんだか」ヒラヒラ

レオン『似合ってるよ』

カザハナ「くっ、まさかこんなことになるなんて。いやいや、違うし、そういうのじゃないはず」

 あのー

カザハナ「ひっ!」

サクラ「はわわわわ」

カザハナ「サ、サクラ?脅かさないでよ」

サクラ「カザハナさん。また着てるんですか? レオンさんが出掛けてる間だけって言っても、ちょっと着てる時間多くないですか?」

カザハナ「そ、そうかな。そんなことないと思うよ?」

サクラ「いいえ、その、この頃よく着てますけど、どうしたんですか。たしかに似合ってるとは思いますけど……」

カザハナ「……」

カザハナ(サクラに言われても、やっぱりドキドキしない)

サクラ「カザハナさん?」

カザハナ「あ、うん。なにかな、サクラ?」

サクラ「いえ、やっぱりほどほどにした方がいいですよ? レオンさんだって、全部許してるわけじゃないんですから」

カザハナ「わかってる」

サクラ「はい、レオンさんのおかげで私たちどうにかなってるんですから……。でも、心配してくれてることに、ありがとうって言ってました。私たち、レオンさんの支えになれてるみたいですから」

カザハナ「……サクラ」

サクラ「はい、どうかしましたか?」

カザハナ「……なんでもないよ。ごめんね、もう私部屋に戻るね。確かに、こんなに自由にしすぎるのもよくないよね」

サクラ「え、えっと、カザハナさん?」

カザハナ「それじゃ……」

ガチャ バタン

カザハナ「……」

カザハナ(おかしいところなんてないよね……)

カザハナ「でも、今日はカムイ様が帰って来たからその話し合いだって言ったから帰ってこれるわけないもんね」

 ポフッ

カザハナ「……本当に、どうしちゃったんだろ。私……」

カザハナ「これじゃ、まるで………」

カザハナ「やめとこ、それはないはず。だって、私がここにいるのは捕虜としてだから……」

レオン『似合ってるよ』

カザハナ「………」ドキドキ

カザハナ「あー、あーーーー! もうなんなのよ。意味わかんない」

「本当に、いみわかんない……」


―休息時間 1 おわり―

○カムイの支援現在状況●

―対の存在―
アクアB+
(カムイからの信頼を得て、その心の内を知りたい)

―城塞の人々―
ジョーカーC+
(イベントは起きていません)
ギュンターB
(恋愛小説の朗読を頼まれています) 
フェリシアC
(イベントは起きていません)
フローラC
(イベントは起きていません)
リリス(消滅)
(主君を守り通した)

―暗夜第一王子マークス―
マークスC+
(イベントは起きていません)
ラズワルドC
(あなたを守るといわれています)
ピエリC
(今度はカムイの弱点を探ってみせると息巻いています)

―暗夜第二王子レオン―
レオンC+
(イベントは起きていません)
オーディンC+
(イベントは起きていません)
ゼロB
(互いに興味を持てるように頑張っています)

―暗夜第一王女カミラ―
カミラB
(白夜の大きい人に関して話が上がっています)
ルーナC+
(目を失ったことに関する話をしています)
ベルカC+
(イベントは起きてません)

―暗夜第二王女エリーゼ―
エリーゼB
(イベントは起きていません)
ハロルドB
(ハロルドと一緒にいるのは楽しい)
エルフィC
(イベントは起きていません)

―白夜第二王女サクラ―
サクラC+
(イベントは起きていません)
カザハナC
(イベントは起きていません)
ツバキD+
(イベントは起きていません)

―カムイに力を貸すもの―
サイラスB
(もっと頼って欲しいと思っています)
ニュクスB
(イベントは起きていません)
モズメC+
(イベントは起きていません)
リンカC+
(イベントは起きていません)
ブノワC→C+
(イベントは起きていません)
シャーロッテC→C+
(イベントは起きていません)

○仲間たちの支援現在状況●

●異性間支援の状況

・アクア×ゼロC

・ジョーカー×フローラA

・ラズワルド×リリス(消滅)

・ゼロ×リリス(消滅)

・ラズワルド×ルーナC

・ラズワルド×エリーゼC

・レオン×サクラB

・レオン×カザハナC

・オーディン×ニュクスC

・サイラス×エルフィC

・モズメ×ハロルドC

・ブノワ×フローラC

●同性間支援の状況(男)

・ジョーカー×ハロルドC

・レオン×ツバキB

・ギュンター×サイラスC

●同性間支援の状況(女)

・リンカ×アクアB

・フェリシア×ルーナA

・フェリシア×エルフィC

・フローラ×エルフィC

・ピエリ×リリス(消滅)

・ピエリ×カミラC

・エルフィ×モズメC

・ベルカ×エリーゼC

今日はここまで

 番外、地の文多くても大丈夫かな?

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・北の城塞―

カムイ「舞踏会……ですか?」

ギュンター「はい、そこでカムイ様の儀も執り行うそうです。多くの貴族の方々が参加することでしょうな」

カムイ「そうですか……。お父様は私のことを多くの方に見せびらかしたいようですね」

ギュンター「カムイ様……」

カムイ「いいえ、気にしないでください。そうですか、それにしても舞踏会なんて……私は生まれて初めて体験するものかもしれませんね。どう振舞うのが良いのでしょうか?」

ギュンター「ふむ、そうですな。ワルツの一つでも踊れるようにしておくべきなのでしょう」

カムイ「踊りですか、空間把握とはまた違う技術が必要になりそうですね。情報ありがとうございますギュンターさん……」

ギュンター「いえ……カムイ様。本当によろしいのですか?」

カムイ「なにがでしょうか?」

ギュンター「ガロン王様があなたを表舞台にあげるという意味、わかっておいででしょう?」

カムイ「ギュンターさん。心配してくれてありがとうございます、でも、これに私は乗ることに決めたんですから……」

ギュンター「そうですか。では、もう何も言うことはありません。ですが、この老体、カムイ様に最後までついて行く所存でありますゆえ、何かありましたらご申しつけください」

カムイ「はい、ありがとうございます」

ギュンター「それと、マークス様が御越しになるそうです」

カムイ「マークス兄さんですか……。ふふっ、もしかしたら怒られてしまうかもしれませんね」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
―貴賓室―

カムイ「お待たせしました。兄さん」

マークス「カムイ……」

カムイ「ピエリさんとラズワルドさんは、今日はお連れしていないのですか?」

マークス「ああ、個人的なことにまで臣下を巻き込むわけにもいかないからな。それにピエリはリリスと仲が良かったと聞いている。まだ心の整理をつける時間もいるだろう」

カムイ「はい、私に誓ってくれましたから。リリスさんの分も守ってみせると。マークス兄さんを守るのがピエリさんの仕事なんですけどね」

マークス「……カムイ、なぜ父上の提案を受け入れたんだ」

カムイ「……いけなかったでしょうか?」

マークス「お前は、自分の立場を理解していない。シュヴァリエの反乱鎮圧まで、お前のことを慕った多くの者たちがいた」

カムイ「部族の方たちですね……。でも、実際、私が反乱運動を防いだのは、フェリシアさんにフローラさんの故郷であるフリージアだけなんですよ?」

マークス「そうだ。だが無血で反乱を終え、有効的な関係を築いてきたお前の行動に、多くの部族が剣を納めた。それは事実だ」

カムイ「レオンさんも言っていました。私のおかげで多くの部族が反乱の刃を納めたと」

マークス「ああ、お前の無血での反乱平定は、多くの者たちに新しい光を与えた。父上にはできない方法で、お前は成し遂げられたんだ」

マークス「シュヴァリエ公国でのことは、耳にしている。お前が竜となり、多くのシュヴァリエ兵を殺したと」

カムイ「ええ、それは事実ですよ。うすぼんやりとですけど、ちゃんと覚えていますから」

マークス「だが、それをわざわざ表に出す必要はない。噂は広がっている、広がっているが、まだそれを疑っている者たちもいる」

カムイ「それは……私が大量に人を殺していないという意味でですか?」

マークス「そうだ。お前のことを信じている者たちがいる。ここでお前が父上から暗夜の王族としての箔をもらうことは、その信じている者たちを裏切ることになりかねない。暗夜は今多くの問題が一時的に終息している。いるが、白夜との戦争が終わった時にまた新しい問題が起こる。父上の武力での統治には意味があると信じている。だが同時に、お前の持つ平和的な行動にも意味があったはずだ」

カムイ「……」

マークス「だからこそ、お前に殺戮者としての印象を植え付けさせたくはない。お前をシュヴァリエ反乱鎮圧の首謀者として、表舞台にあげたくはないんだ」

カムイ「マークス兄さん、はっきり言ってくださいよ。そんな部族の方とか、そういう理由なんてものはいらないんですよ?」

マークス「……」

カムイ「……ふふっ、眉間に皺が寄ってる気がします。兄さんはいつも難しい顔をされてますけど、今は一段と強そうです」

マークス「……そうだな。難しい話はなしだ。これはお前の兄、マークスとしての頼みだと思ってほしい。カムイ、私はお前にそのような血塗れの称号を背負ってほしくはない」

カムイ「どうしてですか? 人を殺して得る称号に奇麗なものなんてありませんよ」

マークス「……できれば、お前には戦いに身を投じてほしくはない。私たち兄妹、誰もがそう思っているが、そうはいかないということも皆理解している」

カムイ「兄さん。ふふっ、いつもは真面目なのに、そんなことを言うんですね」

マークス「この前のことも、お前は流されるままに受け入れているのかと思った。竜石の話、カミラから聞かされた……記憶のこともな」

カムイ「……そうですか。カミラ姉さん、話してしまったんですね」

マークス「すまない、私が無理を言って聞き出したようなものだ。カミラを責めないでやってほしい」

カムイ「いいえ、責めるつもりなんてありませんよ。これで家族で知らないのはエリーゼさんとレオンさんだけになりましたね」

マークス「……本当に父上を怨んでいないのか?」

カムイ「ええ、怨みを募らせるには、時間がたち過ぎていることですから……」

マークス「……カムイ」

カムイ「マークス兄さんはこの戦争が終わった時、私が人々から恐れられる存在になっていることを恐れているんですね?」

マークス「ああ。この戦争、負けるわけにはいかない。だが、戦争の結果が勝利で終わったとき、カムイと言う名前がどのような意味をもつものになるのか。それが暗く恐ろしいものであってはならないと思っている。闘いが終わり、世が平和になった時、お前は一人の人間、いや一人の女として幸せな日々を過ごすことを許されなくてはいけないはずだ」

カムイ「ふふっ、一人の女としてですか。兄さんに言われると、なんだかむずかゆくなる言葉です」

マークス「そうかもしれないな」

カムイ「ええ、まるでプロポーズされているみたいですよ」

マークス「茶化すところではないぞ」

カムイ「はい……。この戦争が終わった時ですか……お父様はどうして戦争を続けるんでしょうね?」

マークス「……多くの国を取り込み始めたのは、シェンメイ王妃が亡くなられた頃からだったかもしれない」

カムイ「シェンメイ王妃……?」

マークス「ああ、父上にとっては最後の妻といえるだろう。カムイは知らないかもしれないが、シェンメイ王妃はアクアの母上だ」

カムイ「そうなんですか……それは知りませんでした」

マークス「ああ、だが、シェンメイが現れたことで、多くの問題が起きたのも確かだ。それゆえにアクアは暗夜王国に良い思い出など持っていないだろう」

カムイ「……マークス兄さん。そのことは無理に話さなくても大丈夫ですよ。アクアさんもそれを望んでいるとは思えませんから……」

マークス「そうだな」

カムイ「話は戻りますけど。マークス兄さん、私は将来のことよりも今できることをしたいんです」

マークス「今できること?」

カムイ「はい。本当の私なんてものは私がいくら叫んでも理解されるものではありませんから。いくら私が人を殺したくなかったと叫んでも、現に多くの人を殺したのは事実です」

マークス「……」

カムイ「その場にいた方や、マークス兄さんのように私を知っている方なら、何か理由を考えてくれるでしょう。でも、私の名前や、行ったことを風の噂に聞いた程度の人たちは、そんなもの気にも止めませんし、良いことなんて悪いことにすぐ上書きされてしまいますから」

マークス「そのようなことは」

カムイ「それに、私がシュヴァリエで多くの命を奪ったことを今隠し通せても、それを隠し通すのは正直辛いのです」

マークス「……」

カムイ「偽りの情報で欺き続けるよりは、真実を知ってでも私を信じてくれる方のほうを私は取ります。今、こうやって私に話をしにきてくれた兄さんのように、私のことを考えてくれる人たちと、私は絆を繋いでいきたいんです」

マークス「……カムイ、それがお前の答えというわけだな」

カムイ「はい、兄さんのお心遣い、とてもうれしいです。でも、逃げるわけにはいきませんから、私のことを信じてくれた人のためにも」

マークス「……水を差していたのは私と言うことか」

カムイ「いいえ、心配してくれてありがとうございます」

マークス「ふっ、気にするな。それより、舞踏会の話は聞いていると思うが」

カムイ「はい、ギュンターさんから聞いています。踊りをするなんて生まれて初めてのことですから……」

マークス「それもあるが、父上はあの白夜の者たちも出席させようとしているらしい」

カムイ「……サクラさん達をですか?」

マークス「ああ、その意図だけがわからないでいる。此度のことは、力を示すことにあったが。今回の舞踏会に白夜の捕虜たちを参加させるその意味がな」

カムイ「……私が殺戮をしたということをサクラさん達に示すためでしょうか?」

マークス「そのようなことをしたところで意味などないだろう。サクラ王女は、カムイのことを慕っているようだ。カムイを信じる心に曇りなどないだろう」

カムイ「それはサクラさん達が決めることですから……。でもそうですね、わざわざこんなことをする意味が私にはわかりません」

マークス「そうか、一応お前の耳には挟んでおくべきことだと思ってな。カムイよ、付き人として何人かを舞踏会に同行させるようにしておくといい」

カムイ「はい、ありがとうございます……。マークス兄さん、その舞踏会に出席する方は私が選んでもよろしいんでしょうか?」

マークス「ああ、父上からはその制限は入っていない。お前が好きに決めるといい」

カムイ「わかりました」

◆◆◆◆◆◆
―マイキャッスル―

 シュオオオオンッ

カムイ「……私にはまだ、ここを使うことが許されているんですね。リリスさん……」

カムイ(何時の間にそうしてくれたんでしょうか……。私が、また歩み始めることをあなたは信じてくれたんですね)

カムイ「皆さん……お待たせしました」

ジョーカー「カムイ様、ここは?」

ギュンター「いきなり何が起きたかと思いましたぞ」

フェリシア「なんだか不思議な空間ですね。なんだか体がぽかぽかしますぅ」

フローラ「ええ。でも何が起きたのか説明していただけませんか?」

カムイ「はい、ここはですね―――」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ジョーカー「そうでしたか、リリスがここに連れてきてくれたのですね」

フェリシア「リリスさん、ぐすっ。でも、リリスさんがいないのにどうしてここにこれたんでしょうか?」

カムイ「どうやら私に、ここへ来る力を託してくれたみたいなんです。だから、これを利用しないわけにはいきませんから」

フローラ「利用するとはどういうことですか、カムイ様」

ギュンター「あなた様がここに私たちを呼んだということは、外の世界で聞かれたくないことがあるから、ということですな」

カムイ「ええ、舞踏会の話は聞いていますね? 今回の舞踏会、地方部族の方や貴族の方、そして今暗夜に捕らわれている白夜の王族の方々も参加する大きなものとなっています」

フェリシア「ええっ、白夜の王女様も参加するんですか」

フローラ「おかしな話ですね。捕虜を参加させるというのは」

カムイ「はい、ですから。最悪の場合、その場で暗殺、もしくは処刑と言う流れもあるのかもしれません」

ジョーカー「わざわざ大勢の前で見せしめにするということですか?」

ギュンター「考えられないわけではないですな。何が起きるかなどわかりませんので」

カムイ「まぁ、正直、暗殺の可能性はありますが。公開処刑というのはあり得ないと思います。私という殺戮の代名詞がいる場所で、そこまでの宣伝は過剰と言えますから。だから、サクラさんたちのことはそれほど気にする事ではないんです。それに、そんなことは場内警備の方たちが許さないでしょうから」

フローラ「? では、私たちをここに呼んだ理由と言うのはなんですか、カムイ様」

カムイ「はい、その前に皆さんに聞きたいことがあるんです」

フェリシア「カムイ様?」

カムイ「皆さんは、私を幼いころから支えてくれた家族のような方たちです。私はみなさんを信頼しています」

ジョーカー「もったいないお言葉、この身に余る光栄です」

カムイ「……信頼している皆さんだからこそ、ここに来ていただきました」

ギュンター「……」

カムイ「皆さん、これからどんなことがあろうとも、終わりまで私について来てくれますか?」

フローラ「えっと、カムイ様?」

フェリシア「そ、その、いきなり何を聞いてるんですか?」

ジョーカー「そうだな。フェリシアの言う通りですよ、カムイ様」

ギュンター「ふっ、カムイ様。私たちはあなたに仕える臣下。その質問をすること自体、何の意味もないことです」

カムイ「皆さん……」

フローラ「カムイ様は、一度刃を向けた私たちをもう一度迎え入れてくれました。本当ならここに立っている資格なんてないはずの私達に」

フェリシア「そうですよ。私たちはカムイ様に仕えられることが嬉しいんです。だから、そんなこと聞かなくても大丈夫なんですよ」

ジョーカー「ご命令があれば、それに従う。それが臣下と言うものですから」

ギュンター「他の者に多く言葉を言われてしまいましたが、カムイ様」

カムイ「はい、ギュンターさん」

ギュンター「私は言ったはずですぞ。この老体、最後まで共について行くと」

カムイ「そうでしたね。失礼なのは私の方でした。もうしわけありません、皆さんの意思を疑うような問いかけを」

フェリシア「はわわわっ、顔をあげてください。むしろ、気遣ってもらえた気がして、とっても嬉しいです」

フローラ「ふふっ、カムイ様のそういう所、とてもよいと思います。ですから、御顔をあげてください」

カムイ「はい、ありがとうございます……では、本題に入りましょう」

「みなさんにしか頼めない、とても重要なことがあります」

今日はここまで

 暗夜王国って舞踏会とか結構行ってるイメージがあるけど、ワルツとか踊るのかな。
 アクアさん、踊りまくってるけど、ワルツも踊れるのかな?

 
 

 番外編ですが

・異界のふたなリリスがピエリを手に入れる話
・ヒノカがカムイを奪還していたらな話

 のどっちかになると思います。
 エロは地の文入れるから緩和されるはず……多分

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・レオン邸―

レオン「………」

コンコンッ

ツバキ『レオン王子ー?』

レオン「ああ、ツバキか。サクラ王女とカザハナはいるのかい?」

サクラ『は、はい』

カザハナ『来てるわよ』

レオン「そうか、入ってきてくれるかな」

 ガチャ

ツバキ「レオン王子のお部屋にお邪魔するのは結構久しぶりかな。この頃なんだか考え込んでたみたいだったかのもあるけど」

レオン「すまない。気を使わせちゃったみたいだね」

サクラ「いいんです」

カザハナ「そうだよ。それで、なにか用事があったからあたしたちを呼んだんじゃないの?」

レオン「ああ、正直僕も意図がつかめなくて困ってることだから、直接話しておこうと思ってね」

ツバキ「なんか俺達に密接に関係がありそうなこと、みたいだね?」

サクラ「まずは話してみてください。私たちに関係がある話なんですよね?」

カザハナ「そうそう、これでもあたしたちレオン王子のこと信用してるんだから……」

レオン「それもそうだね。なら、本題に入らせてもらうよ。姉さんの戦績を父上が認めてくださってね。今度、舞踏会の催しと同時に姉さんの王族表明が行われることになった」

ツバキ「うーん、それと僕たちに何の関係があるのかな?」

レオン「姉さんのことは大きく関係ないよ。問題は舞踏会のほうでね。父上はサクラ王女たちにもその舞踏会に出席するように言ってきている」

サクラ「私たちを……ですか?」

レオン「そう。正直、サクラ王女たちにとって暗夜は敵で、舞踏会に出席する暗夜の人間から見れば、あなたたちは敵でしかない。だから、正直な話をすると、父上の命令通りにあなたたちを舞踏会に参加させるのはできれば避けたい」

ツバキ「でも、そうはいかない。そうだね?」

カザハナ「どういうこと?」

ツバキ「難しく考えることじゃないかな。ガロン王の息子であるレオン王子が、命令に背いて俺たちを出席させなかったら、周りはどう思うか考えればいいだけだからね」

カザハナ「……それは」

ツバキ「当然、俺たちに対する目も悪くなるけど、レオン王子に対する印象はよくないものになるかもしれない。ただでさえ、レオン王子は俺達に良くしてくれてるんだから、それも重なったらレオン王子の立場としてはとってもまずいことになるはずだよ」

レオン「……できれば。とぼけてほしかったところなんだけど、僕としては出席するように頼むつもりで呼んだわけじゃないよ。サクラ王女にツバキ、カザハナも参加をしたくないというならそれでいい。無理に参加しても、いいことはないだろうからね」

カザハナ「……レオン王子はどっちがいいわけ?」

レオン「? どっちっていうのはどういう意味かな?」

カザハナ「簡単な話、あたしたちがいたほうがいいのか、いない方がいいのかってこと」

レオン「目の届く範囲にいてくれた方が安心できるのは確かだよ。カザハナは僕がいない間に屋敷の中を歩き回ってるらしいからね」

カザハナ「あ、いや、その……」

サクラ「ふふっ、一番我が物顔で歩いてる気がします。それにこの頃は―――」

カザハナ「あーっ、サクラ、それは言わないで。お願い、ね。今度、おやつに出たケーキ半分あげるから」

レオン「まぁ、自由に歩いて良いって言ったのは僕だからね。でも、確かに舞踏会の間、僕は城を離れられないからね……」

サクラ「そ、そのレオンさん」

レオン「なんだい、サクラ王女?」

サクラ「あの私、少し興味があります。その、暗夜の文化について知りたいんです。そうすれば、もしも戦争が終わった時に、人と人とをつなぐ何かの役に立つんじゃないかって」

レオン「……こんな状態でも、そういう風に考えるんだね」

サクラ「ここに私がいるのに意味があるなら、ここで背を向けるのは間違ってるって思うんです。暗夜も白夜も住んでる人は生きてます。私は白夜のこととはそれなりにわかってるつもりです。だから暗夜のことも同じように理解したいって思うんです」

レオン「……本当にサクラ王女は強い人だね」

サクラ「そ、そんなことないです」

カザハナ「でしょ、サクラはとっても強いんだから。幼馴染のあたしが言うんだから間違いないよ」

レオン「そうだね、カザハナみたいなのと長く付き合ってきたんだから、間違いないね」

カザハナ「なんでそこで茶化すのよ。意味わかんない!」

レオン「ごめんごめん。それで二人はどうする?」

ツバキ「主君一人を向かわせるなんて、臣下の恥だよねー」

カザハナ「答えは決まってるよ。あたしたちも一緒に舞踏会に参加するよ」

レオン「そう。舞踏会からここに帰ってくるまでは僕が必ず守り通すから安心して」

カザハナ「……ふーん。それじゃ守ってもらおうかなー」

レオン「ああ、任せてほしい」

カザハナ「……ま、真面目に返さないでよ。調子狂うから……」

レオン「で、ここからは舞踏会に関してのことなんだけど。一つ聞いてもいいかな?」

サクラ「はい、なんでしょう?」

レオン「三人とも社交ダンスの経験とかはあるのかい?」

カザハナ「あれでしょ、真中で太鼓を叩く人がいて、それに合わせてこう手を――」ヒョイヒョイ

ツバキ「ははっ、カザハナうまいねー。……でも多分だえど、それのことじゃないと思うよ」

カザハナ「どうしてそう思うのよ?」

ツバキ「レオン皇子の顔を見てみればわかると思うよ」

レオン「」

カザハナ「……//// ま、これも文化の違いだから……しかたないでしょ!」

レオン「なんでいきなり怒鳴るんだい。意味がわからないよ」

カザハナ「う、うるさい。ううっ、なんだかこれすっごく恥ずかしい。穴があったら入りたい……」

サクラ「でも、上手でしたよカザハナさん」

ツバキ「あー、サクラ様。今、褒めるところじゃないと思います」

レオン「…………。これはこれで問題だ」

サクラ「あ、あの。舞踏会って何時からなんでしょうか? その、私も舞踊の作法は抑えているんですけど……」

レオン「そうだね。もう準備は始まってるから、早ければ五日後かな」

カザハナ「こんな何もできないあたしたちに、どうやって舞踏会に参加しろって言うわけ!?」

レオン「……。話の順番、間違えたみたいだ。反省しないと……」

ツバキ「……レオン王子はできるんだよね?」

レオン「まぁ、王族の作法みたいなものだから。嫌でもステップを踏まないといけないことだってある。教える側に回ることもあるし、あえて、下手にして教えてもらうように手を打ってくる奴もいるからね」

ツバキ「なるほど、つまり、俺達にレオンさんが指導すればいいんですよ」

レオン「……僕が?」

サクラ「で、でもレオンさん。忙しくないんですか? ご迷惑になるかもしれないのに……」

レオン「いや、今は舞踏会に関する準備だけしかないから。書類に目を通すくらいのことだし、それに参加してくれるのなら、サクラ王女たちにも楽しんでもらいたいのは本望だからね」

カザハナ「……ちゃんと踊れるようにしてくれるんだよね?」

レオン「それは僕だけが努力することじゃないよ。いくら教え方が良くても、教わる側にやる気がなかったら上達するわけもないから……」

カザハナ「そ、それはそうだけど。……はぁ、あたし出来る気がしないんだけど」

レオン「まぁ、まずは見てみたほうがいいかもしれないね。ツバキ、ちょっといいかい?」

ツバキ「ん、いいよー。何をすればいいのかな?」

レオン「少しだけステップをね。ツバキは物覚えが良さそうだから」

ツバキ「レオン王子にそう思ってもらえるのは光栄だなー。で、どんな感じにやればいいのかな?」

~~~~~~~~~~~~~~~~~

サクラ「……」

カザハナ「……」

レオン「そう、その感じ。やっぱりツバキは覚えが早いんだね」

ツバキ「レオンさんの教え方がうまいんですよ。ここでターン。決まったかなー」

レオン「うん。いい感じだよ、ほとんど形は出来上がったんじゃないかな」

ツバキ「もっと難しいかと思ってましたから。ちょっと拍子抜けですー」

レオン「言ってくれるね。……それじゃ、少しだけ密着する奴にしてみようか」

サクラ「……あ、あのカザハナさん」

カザハナ「な、なんですか。サクラ様」

サクラ「いえ、その、なんか、二人とも色っぽいっていうか、その……」

カザハナ「……言わないでくださいよ。できる限り、意識しないようにしてたんですから」

ツバキ「レオン王子って、見た眼よりは筋肉あるんですね。魔術ばかりだから、てっきりあまりついてないのかと思ってました―」

レオン「乗馬も剣技も一通りこなすからね。人並についてないと役には立たないから。ツバキはどちらかと言うとあまり筋肉はないんだね」

カザハナ「……ちょ、ちょっと二人とも。密着して踊りながら何の話をしてるのよ」

レオン「ん、ツバキには色々とアドバイスをもらっているから……な?」

ツバキ「そうですねー。あの時のレオン王子、見てて弱そうでしたからねー」

レオン「あれはあまり見られたくなかったんだけど」

サクラ(あれ、あれってなんですか?)

カザハナ「ツバキからアドバイスって、一体何のアドバイス?)

◆◆◆◆◆◆
―北の城塞・カムイの部屋―

カムイ「出来る限りの準備はできましたから、あとは舞踏会の日を待つくらいでしょうか」

 コンコン

カムイ「はい?」

 ガチャ

アクア「私よ、カムイ」

カムイ「アクアさん。どうしたんですか、こんな夜分に」

アクア「ちょっとね、舞踏会のことで聞いておきたいことがあったのよ」

カムイ「……なんですか?」

アクア「ねぇ、カムイ。あなたって誰かと踊れるの?」

カムイ「ふふっ、アクアさん。何を聞いてくるのかと思ったら」

アクア「そうね、無用な心配だったかしら?」

カムイ「そうですよ。今まで踊ったことなんて一度もないので、むしろ忘れていました」

アクア「……カムイ。さすがに今度の舞踏会の主役はあなたなのよ?」

カムイ「はい、そうなんですよね。舞踏会の主役にはなりたくないのですが」

アクア「それは無理でしょうね。武勲をあげたあなたと一曲踊りたいと思う人は大勢いると思うは。もちろん、良い意味でも悪い意味でもね」

カムイ「そうでしょうね。でも、私によって来るのは悪い意味ばかりでしょうね」

アクア「カムイ」

カムイ「でもそれでいいんです。今はそうあるべきなんですから。暴れて多くを殺した私に、良い意味が寄ってくることなどあってはいけないんですから」

今日はここまで

 果たしてレオンはサクラ隊に社交ダンスを教え切ることができるのか……

 
 

アクア「それでも参加するのね、あなたは」

カムイ「はい、といってもアクアさんも参加するんですから、特に気にすることでもないですよ」

アクア「私とあなたじゃ背負うことになる物がちがうわ。あなたはこれから多くの物を背負う場所に行こうとしてるけど、私はただ……」

カムイ「それでいいんですよ。私が背負うべき咎は、多ければ多いほどいいことなんですから」

アクア「あなたはそんなものを背負うために生まれてきたわけじゃない。本当なら、あなたは白夜で育って生きるはずだった」

カムイ「でも、今生きている私がいるのはここです。それはどんなに瞼を閉じても否定できるものではありませんから、ならするべきことを私はするだけです」

アクア「それが今言っていた終わっている準備と言うこと?」

カムイ「はい、考える道を選んだ私のすべき義務ですから。この舞踏会が終わってから少しして、大きな選択を迫られる気がするんです。それは何かをしていても、何もしていなくても私の前に訪れる。そんな気がして、なら有益になることをしておくべきだと私は思うんです」

アクア「……そう、あなたはまだ希望を捨ててないのね。でも、本当のあなたはそれを望んでいるの?」

カムイ「……さぁ、それはわかりませんよ。竜石がアクアさんの推測通り、私の負の感情を代わりに吸い取ってくれているというのなら。それを調べるすべはもうありません。なら、今の私にできるのは、あるがままに事を進める、それだけです」

アクア「そう、あなたがそういうのなら、私はそれについて行くだけよ。あなたの視線の先に出来る光景を目にするためにね」

カムイ「そうですね。いつか必ずお見せしますよ」

アクア「でも、準備ができたという割には少しだけ、浮かない顔をしているけど」

カムイ「そうでしょうか」

アクア「ええ、さっきまで奇麗に決めていたけど、今のあなた眉間に皺が寄ってるわ。マークスみたいに」

カムイ「困りましたね。マークス兄さんほどに眉間が大変なことになっているなんて」

アクア「カムイ、なんだかんだでマークスに対して、失礼だと思うわ」

カムイ「まぁ、眉間の皺が中々戻らないのは、どんなに頑張っても私では解決できそうにない問題が一つだけあるからなんですよ」

アクア「……それ、本当?」

カムイ「どうして、疑問形なんですか? 私にだって解決できないことの一つや二つあってもいいと思いますが」

アクア「それもそうね。でも、今のあなたが悩むなんて相当なことのようね」

カムイ「はい、今まで生きてきてこれほどまでに困難な壁は初めてです」

アクア「それほどなんて、私にできることがあれば手伝うけど」

カムイ「本当ですか?」

アクア「ええ、あなたの役に立ちたいもの」

カムイ「では、早速なんですが」スッ

アクア「え? 突然手を出して、どうかしたの?」

カムイ「一曲、踊っていただけませんか?」

アクア「………よろこんで……と言いたいところなだけど、すでに間違っているわ」

カムイ「え、そうなんですか。マークス兄さんからは社交的に挨拶をするようにと言われたんですけど」

アクア「マークスの言葉は間違ってないけど。カムイの応対は申し込む側よ」

カムイ「?」

アクア「いい、次の舞踏会、あなたは進まずとも多くの人と一曲踊ることになるわ。どちらかと言えば……」

 スタッ スッ

アクア「カムイ王女、私と一曲、いかがでしょうか?」

カムイ「……」

アクア「……//// ねぇ、カムイ」

カムイ「あっ、はい」

アクア「その、私の手を取るとか、せめて返事くらいしてくれないかしら。その、二人きりと言っても、こうやって無言でなにもアクションがないと正直恥ずかしくて仕方ないわ」

カムイ「そういうことですか。では、はい喜んでアクア王女」

アクア「……ええ。それじゃ―――」

 グッ

アクア「……カムイ」

カムイ「はい」

アクア「……一歩目から私の足を踏むっていうのは、狙ってやってるのかしら?」

カムイ「いいえ、なんていうか気配を避けようとしてるんですが……。なんか動いている的を止めたい衝動に駆られてしまうんですよね」

アクア「……竜石、ちゃんと機能してる?」

カムイ「大丈夫でしょう。今、アクアさんに申し訳ないっていう気持ちが浮かびませんから」

 ギュウウッ

カムイ「イタタタッ!」

アクア「ごめんなさい、急に右足が重くなってしまったの」

カムイ「ううっ、全体重乗せてませんでしたか、今の」

アクア「女性に体重のことをいうのはマナー違反よ」

カムイ「それもそうですね」

アクア「でも、おかしいわね。あんなに空間把握ができてるのに、こういったダンスが苦手だなんて」

カムイ「やったことがないんですから……少しは察してくれてもいいと思いますけど」

アクア「察していても、舞踏会まではあまり時間がないの。咎の中にダンスがとても下手くそな王女っていう項目が入ることになるわよ?」

カムイ「それは個人的に嫌ですね」

アクア「愛嬌はあると思うけど。カムイにはそういうものがあまりないから、あとは人の顔を執拗に触る変な王女という肩書があるくらいかしら?」

カムイ「それは仕方ありませんよ。私が唯一相手の顔を知る方法なんですから」

アクア「だからって、相手が変な声をあげちゃうまで触ることはないと思うけど」

カムイ「皆さん感じやすいんですよ。私はいつも通りに触っているだけなんですけど」

アクア「……口元緩んでるけど」

カムイ「気の所為です。それで、続けてくれないんですか?」

アクア「そうね、私から誘ったんだから。踊り切らないといけないわね。それじゃ、ゆっくりと始めるわよ」

アクア「ねぇ、カムイ」

カムイ「なんですか、アクアさん?」

アクア「こんな風に踊るのは初めてなのよね」

カムイ「はい。だから楽しくもあります。それにアクアさんの手がとても温かくて、なんだか気持ちがいいです。わたしが温かく感じているということは、アクアさんの握ってる私の手はとても冷たいんですか?」

アクア「そうね。あまり温かくはないわ……でも、手が冷たいのは心が温かい証拠だというわよ」

カムイ「なら、アクアさんの心はとても冷たいことになってしまいますけど」

アクア「間違っていないわ。私はとても冷たくて酷い人間のはずだから」

カムイ「そんなことはないと思いますよ」

アクア「助言かしら?」

カムイ「はい、アクアさんが私に助言してくれたように、私も助言だけします。少しでも、そう思ってくれるようにって」

アクア「そう。次で、ターンするわよ」

カムイ「はい、えーっと、こ、うわっ」コテンッ

アクア「……ターン、練習しないといけないわね」

カムイ「はぁ、なかなか難しいですね」

アクア「私の足を踏まないでよく出来たわね。あなたの口ぶりじゃ、懲りずに踏むと思ってたけど」

カムイ「また踏んだらアクアさん、踏み返しますよね?」

アクア「ええ」

カムイ「なんだか、爽やかな返答ですね」

アクア「気のせいよ。カムイ、舞踏会に連れて行く人は決まっているのかしら?」

カムイ「それもまだなんですよ……。どうしましょうか……」

アクア「早く決めておいた方がいいわ。あなた自身、踊れるようにならないといけないのだから」

カムイ「そうですね。連れて行く人たちは、できる限り早く決めておきますから、安心してください」

アクア「ええ、マークスの皺が寄らないようにしてあげないといけないから」

カムイ「それもそうですね……」

アクア「カムイ?」

カムイ「なんでもなりません」

アクア「そう、それじゃもう一度やりましょうか。何回もやってコツをつかまないといけないから」

カムイ「それもそうですね。それじゃ、えっと……」

アクア「私から声を掛けるから、あなたは……」

カムイ「そうでしたね。……それじゃ、おねがいします」

アクア「ええ、んんっ……カムイ王女、私と一曲どうでしょうか?」

カムイ「はい」

「よろしくおねがいします。アクア王女」

 休息時間 2 おわり

 今日はここまで

 アクアはさわやかな顔で、足を踏み返すタイプだと思っている。
 ツバキとヒナタの支援はいい感じにエポれるよ

 番外編、次あたりから始めます。
 今、話の流れがシリアス抜けしてるので、エロ番外のふたなリリスをやりたいと思います。
 番外編のレスは開始時◇◇◇◆◆◆と結構な改行を差し込みます。あと、地の文が結構入ると思います


 
 この先の流れを安価で決めたいと思います。参加していただけると幸いです。

 舞踏会に参加することになるキャラクターを決めたいと思います。

※すでに舞踏会に参加することが決まっているキャラクター(この方々は選べません)

 カムイ
 アクア
 フェリシア
 フローラ
 ジョーカー
 ギュンター
 マークス
 カミラ
 レオン
 エリーゼ
 サクラ
 カザハナ
 ツバキ
 
◇◆◇◆◇
 
 ラズワルド
 ピエリ
 ゼロ
 オーディン
 ベルカ
 ルーナ
 ハロルド
 エルフィ
 サイラス
 ニュクス
 ブノワ
 シャーロッテ
 モズメ
 リンカ

 この中から四名になります。

 一人目は>>371
 二人目は>>372
 三人目は>>373
 四人目は>>374

 で、お願いします。
 キャラクターが被った場合は、次に選ばれたキャラクターという感じになりますのでよろしくお願いします。

ラズワルド

シャーロッテ

乙 アクアは無表情女
モズメ

その分デレた時はスゴいんだよね
ハロルド

 舞踏会に参加するキャラクターは

 ラズワルド
 シャーロッテ
 モズメ
 ハロルドになりました。

 今日は本篇はお休みで、番外編を一つやります。

◇◇◇◆◆◆












 リリスが竜と人間の姿、二つの力を自在に操れるようになっても、彼女は未だに星海の神殿で過ごしていた。
 多くの者たちはマイキャッスルという異界で時間を過ごし、現へと戻っていく中、リリスだけはそこにいることが主な仕事なのか、あまり現に出ることがなかった。それは自身の姿というものを考えて、現に迷惑を掛けないための彼女なりの優しさだと多くの者たちが勝手にそう考えていた。
 実際違った。
 リリスはフタナリであった。人間の姿の時はそうではないのだが、竜となった時は、もう一つの性の象徴がひょっこりと姿を現す。
 竜のあれはどんな形をしているのか、諸説あるが……リリスのは人間とあまり変わらなかった。そしてそれを見せないために、あんな大きな竜石を抱えていた。
 それは優しさだった。特に親友に対する優しさだった。お風呂でじゃれ合っている相手が、実は両性具有だということを知ったら悲しむ、そう考えた故に竜石を抱えて戦う道を彼女は選んだ。
 でも、ある日、竜の状態で大きな怪我を負った、いつも一緒にいる友人であるピエリがどうにか駆けつけて一命を取り留めたのだが。

 その時、ピエリは見ていたのだ。

 竜石によって隠されていた、リリスの秘密を……。
 
 それからだ。不思議な鳴き声が木霊するようになったのは……。












「きゅっ、きゅぅ……」

 真夜中のマイキャッスル、リリスの神殿で小さな鳴き声が響く。
 いつも抱えているはずの竜石は地面に転がり、股を開く形で拘束されている竜状態のリリス。
 そんな彼女のお腹を優しく撫でる影があった。

「リリスのお腹、スベスベしてて気持ちがいいの」
<ピ、ピエリさん。やめてくださ……い。こんな格好……は、恥ずかしい>
「リリス、今日もいっぱい戦ったの。ピエリ、リリスの事褒めたいだけなの」

 そう笑顔で語るピエリの手の動きはどこか怪しいものだった。お腹を撫で首を撫でるがどこか艶めかしい動きをしている。
 最初、傷完治の祝いと言う名目で、彼女はリリスの元を訪れた。今日は料理の食材を準備してやってきている。神殿の横にある食堂で作る予定を立てているのだが。それは建前のようなもので、本当はリリスにあることをしたいだけなのである。
 それが問題であることをリリスは口酸っぱくいっているのだが、それに従うピエリではなかった。

「リリス、いつまでも尾鰭で隠してちゃダメなの。じゃないとイイ子イイ子できないの」
<し、しなくてもいいです。いいですから>
「そんなこと言っても正直な場所は正直なの。尾鰭、下から盛り上がってるの」

 その指摘はリリスの顔を真っ赤にするには十分なものだった。
 仕方ないことかもしれない、介抱された次の日にピエリが彼女にしたこと、その衝撃はリリスの脳に深く刻み込まれている。こうやって抱えられるだけでも、それが始まりの合図と理解している彼女の体は自然と暖かさを増していくばかりである。
 リリスの白い竜の肌に仄かに入る朱色は、ピエリにとって事を始めてもいい合図でもあった。前に伸ばした手を動かして、力強く抑えているように見える尾鰭の先端に触れる。
 触れた瞬間にリリスの口から可愛らしい鳴き声が漏れると、ずれた隙間から主張する一物があるのを確認できる。












「やっぱり、大きくなってるの」
<せ、生理現象です。それだけ、それだけですから……>
「生理現象なの? なら、すぐに楽にしてあげちゃうの」

 亀頭に覆いかぶさる手の感触にリリスの背中が静かに震える。
 ピエリにとってリリスのそれは面白いおもちゃのようなものだった。
 触れ方次第でリリスにあらゆる快感を与えるおもちゃ。
 だから、そこに罪悪感のようなものはなく、覆った手のひらで優しく先端を撫で回していく。

<んんっ、ああっ。ぴ、ピエリさん……>
「少しヌチュヌチュしてきたの。リリス、我慢できない悪い子なの」
<ぴ、ピエリさんが触ってくるのがいけな――んんっ、はふんっ>
「だって、ピエリ触りたいから触ってるの。リリス、こうされてる時、とっても気持ちよさそうな顔してるの。だから、もっともっと気持ちよくしてあげたくなるの」

 湿り気を含んだ音が神殿の中に木霊し始めると、リリスのか細い鳴き声も同じリズムを刻むように漏れ始める。
 ピエリの手に香り始める先走りの臭いは濃厚なものだが、それを気にすることない。
 撫でていた手は先ほどよりも肥大し、そそり立つものの側面に触れ、やがて静かに掴み扱きあげるようになる。
 空気と先走りが擦れる音は神殿内部で反響する。
 いつも清閑なイメージを持ってるが故に、染め上げるように響く下品な音によって、瞬く間に背徳感を増幅させる役割を担うことになる。

「いつもカムイ様と話をしてるこの場所で、ピエリにこんなことされちゃってるのに。リリス、ここ、こんなに大きくしてる。こんな姿、カムイ様が見たらなんていうのか気になるの」

 その言葉に自然と神殿の入り口を見てしまう。友達だと自分の口から告げた相手に、こうやって好きにされている姿。
 足を広げられて、主張している一物を扱かれて顔を赤くしているあられもない姿。
 それを、もしも見られてしまったらと思うと、心が大きく揺れた。










<んっ、んくっ、ピエリさんっ、はうううっん>
「やっぱり、リリスは変態さんなの。ピエリにこんなことされて喜ぶ、変態さんなの。んっ、リリスのピエリの手の中でピクピクし始めてる。カムイ様に見られたところ考えて、こんなになっちゃってるの?」
<ち、ちが、ちがいま――ふああああっ>
「リリスはやっぱり変態さんなの。ピエリ、そんなリリスも大好きなのよ。リリスはピエリの大切な友達だから、変態さんでも気にしないの」
<な、なら、こんなことや、やめっ、はふっ、おねがい、です、か――ああっ、だめっ、そんな勢いよく扱いちゃ、んんああっ!>

 リリスの懇願に対しての返答は言葉ではなかった。
 一気に扱きあげられた衝撃で白い粘液が少しばかり飛び出し、先走りよりも濃いそれはリリスの尾鰭に降り注ぐ。
 量は多くないが、粘り気を含んだそれは尾鰭を静かに伝い、やがて冷たい石床へと達し、入口で勢いを失ったのはピエリの指に絡みついた。

「少し出たの。もっといっぱい出す準備、整ったみたいなの」
<ふああっ、らめっ、らめです、ひへりしゃん……ほれひひょう>

 頭の呂律が回らないまま、飛び出した少量の子種をぼんやりと眺める。
 先に出た僅かな子種は老廃物のようなもので、この後に本当の流れがやってくる。それがどういうことかを、リリスはよく理解していた。
 もちろんピエリもだ。大きくなったそれの形と熱を確かめるように、指を器用に動かせば、それに合わせてリリスの鰭がサワサワと波のように揺れる。
 一度だけ手を放し、手にへばり付いた子種を確かめるように、手の中でこねくり回すと、それをリリスに見せつけるように掲げた。
 ピエリの手を汚した己の欲情の証を見せつけられているというのに、むしろ興奮が増していくことに酷い羞恥心を覚える。














「見て見て、リリスの精子でピエリの手ベトベトになっちゃったの。本当、リリスのネバネバしてて、すごいの」

 親指と人差し指を離れさせると掛かる卑猥な橋、ねっとりとした熱を帯びた粘液が静かに糸を引いて床へと落ちていく。それを見送って、再びピエリの手が膨張したオスを掴み、触れ始めた時よりも太くなったそれの形に驚きと、どこかうれしさを含んだ声を上げる。

「リリスのすごく太くなってる。ピエリの指でこんなになって、うれしいの」
<ぴ、ぴえり、さん。もう、もうわたひ……>
「うん、リリス。いっぱい出していいの、ピエリの手、もっといっぱい汚してもいいの。いっぱい、いーっぱい気持ちよくなってほしいの」

 ピエリは嬉しそうにしている。それは純粋に友人が気持ちよくなってくれているということに対してなのかもしれなかった。
 手に握られたリリスのそれは、はち切れんばかりに腫れ、指が上下に動く度に痙攣し、先走りの潤滑油でピエリの手を染め上げていく。
 子種の臭いで満たされた手、生臭い香りに支配された神殿の中、二人以外に誰もいない星海の一角の宴は、そろそろ終わりを迎えようとしている。

<はひっ、んっ、ピエリさんっ、ピエリさんっ>
「いい、いいの。出して、リリスのこと気持ちよくできた証拠で、ピエリの手ベトベトにしちゃっていいの!」

 扱きあげる反響に交じり合うリリスの鳴き声には色がついていた。淡紅に彩られたその嗚咽に、ピエリの手は速度を上げる。
 鼻にまで香ってくるリリスのオスの香り、それがリリスの達する時が近づいていることを静かに告げていた。

<んあっ、もう、だめっ。ああう、ピエリさんの前で、出しちゃう、竜の子種、いっぱい、いっぱい出ちゃいます!>
「全部見ててあげるの。リリスのおち○ちんからビュビューッって、子種がいっぱい出るところ、全部、全部見ててあげるの。だから、我慢なんしてしてないで、さっさと出しちゃうの!」
<ピ、ピエリさっ。んあっ、んっ、ああっ>

 視界が明滅する。ピエリの愛撫でリリスの快感は終わりへと向かいつつある。押し寄せる快感はリリスのコントロールできる範疇を越えて、気を抜くだけで吐き出してしまうほどにまで膨れ上がっていた。
















「あっ、返事してるの。リリスのおちん○ん。ピエリの手に返事してるの」
<だめっ、もう、我慢なんて、……はぁはぁ、やっ、やらっ、みはいへ、みはいへくだはい……>

 だらしなく口から漏れた舌は力を失い、瞳はすでに蕩け切って、解れた理性の糸はもう保持することもできないほどに弱弱しく漂い、ピエリの囁きが止めだった。

「リリス、ピエリにハシタナイ姿、いっぱい見せてほしいの。ピエリだけが知ってる、リリスの秘密、見せつけてほしいの」

 その言葉と同時にピエリの手が思いっきり引き下がる。急激な締め付けと、張った前面を鈴口から根元にかけて走ったところまでだった。

「きゅううううん!!!!!」

 リリスの大きな鳴き声と共に、白い粘液が堰を切ったように溢れる。
 ピエリの手を、自身の一物を、体を、尾鰭を、神殿の床を、すべてを汚れ犯すように臭いもまた濃いものとなって神殿の中を漂う。
 自身から飛び出ていく精子、射精の快感に舌をだらしなく垂れさせながら、押し寄せる快感の波にリリスはただ揉まれいく。

<ああっ、でてりゅ、ピエリさんの前で、足開いて恥ずかしいのにぃ、とってもひもひひいよくへ、えへ……えへへへ。わたし、ともだちにしごかれて、いっぱい出しちゃってるぅ>
「リリス、いっぱい出てきたの……でも、全部じゃないの。もっともっと出さないと、体に悪いの。手伝ってあげるのよ」

 再び扱くことを始めたピエリの手は子種で真っ白に染まり、その握った個所から感じる何かが這い出る感覚は、確かにリリスが気持ちよかったことを現す証拠を送り出している躍動そのものであった。
 性が放たれ、体を反ったままにリリスの視線はピエリへと注がれている。
 吐き出される子種と、掴んだ一物の胎動を楽しそうに眺める姿はとても可愛らしいものであるが、未だに続く射精の所為もあって、頭はろくに回らなかった。
 部屋を満たす隠微な香り、石床を染め上げる白い子種、抱きかかえられながらも射精を続けるリリス。
 でも、ピエリの目に映るのは苦しさから解放されて、快感に酔いしれるリリスの姿だけだった。










「リリス、今日は長いの。結構貯めてたの? ならいっぱいいっぱい出して、すっきりするの」
<ふえっ、だめ、はしたない、のに。もう、とまっへ、とまっへよぉ>
「えへへ、もっと扱いてあげるの。がんばるの、そしたらもっと気持ち良くなれるの、リリス」
<だめっ、うにゅっ、しぼっちゃ、いやぁ……>
「手に感じるの。ピエリの気持ちいい証拠、また新しいのが上がってきてるの」

 導かれるままに幾度かの射精を終えた頃、ピエリの手に握られたリリスのそれに少しだけ柔らかさが含まれるようになった。
 そうなって、リリスの頭も少しだけ回るようになると、視線には扱き続けた故に厭らしく光沢を放っているピエリの手があった。

<はぁはぁ、んっ、はぁ。ピエリさん、手、私の子種で、ベトベトです……>
「気にしないでいいの。いっぱい出して気持ち良くなれたの?」
<んっ、ピエリさん。聞かないでください……>
「ふふっ、ピエリ、リリスに気持ち良くなってもらえてうれしいの、最後の残り、絞り出してあげるの」

 指で根元を抑えて静かに上へと押し上げていく、勢いを失って停滞していた残りの子種が、静かに鈴口から滴りピエリの手にへばり付いて、すべてが終わりを迎える。
 ピエリから解放されたリリスがよろよろと浮かびながら、竜石を抱える。
 少しだけ感じる股の感触に快感を覚えながら、汚してしまった床を見つつ、ため息を漏らして、静かに人間の姿へと戻った。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~










「リリス、怒らないでほしいの」
「ううっ、なんでこう一週間に一回、ピエリさんにいいようにされないといけないんですか。ううっ、自分の子種、すごく臭い……、お風呂の準備しといてよかった…」

 ピエリに背中を向けながらリリスは自分の体を洗う。
 人間の姿に戻ればオスとしての生殖器は姿を消し、一人の女の子にリリスは戻る。
 ピエリは先ほど、リリスの一物を扱いた手の臭いを嗅いでいるが、その顔は嫌悪溢れるものであった。

「ううっ、リリスの扱いた手、すっごく生臭いの」
「なら、あんなことしないでください。その、気持ちいいけど恥ずかしいんです。それに、私の子種の臭いひどいのわかってますよね」
「でも、リリスが辛そうなの見てられないの。それに、リリスの可愛い鳴き声も聞けるから一石二鳥なの」
「もう知りません!」

 体から染みついた臭いを落としてすぐにリリスは湯船にその身を預ける。
 今日の星海も豊かな星空を覗かせている。
 それを見ていると間際の夢のように過ぎた先ほどの時間を、少しだけ手繰り寄せるように思い出し、リリスは顔を赤くする。
 先ほどまでの行為を思い出したこともあるが、その相手と一緒にお風呂に入っていることが、なんとも気恥しい、そう考えていた直後に後ろから誰かに抱き付かれた。ピエリしかいなかった。

「り、リリス。嫌わないでなの。今度はもっと気持ちよくしてあげるの、だから、うえええええん!!」
「ひゃっ、ピエリさん。後ろから抱き着かないで、んっ、胸触っちゃだめです、んあっ」
「ピエリ、リリスが許してくれるまで胸から手離さないの」
「許します、許しますから。んっ、さっきの後なんですから、少しは考えてくださっ、ひゃっ、そんな、摘んじゃっ」
「ありがとなの。お礼に、いっぱい触って大きくしてあげるの」
「もうっ………やっぱり知りません!」

 一気に距離を取って中心まで進んだところで、動きを止める。視線をあげた先、吹き抜けの天井に輝く丸い月があった。














「リリス、もうふざけないの、だから機嫌直してなの………。んっ、すごい、すごいの、とってもおっきなお月様なの」
「……そうですね」

 空に浮かぶ月の姿に心奪われる姿に、ピエリは儚さのようなものを感じた。
 どこかに行ってしまうような、そんな不安を覚えてしまった瞬間、その手は静かにリリスを後ろから捕まえ、抱き寄せる。

「……リーリス!」
「え、ピエリさん。わぷっ……」

 突然抱き寄せられて、二人同時に湯の中に沈む。ピエリが下でリリスが上。後ろから抱きかかえられた姿勢で見あげる月はとてもきれいで美しく、それを一緒に眺めていられることにピエリは喜びを含んだ笑みを浮かべる。

「こうやってお月様を見るのも悪くないの。リリスはピエリの体にすっぽり収まって、抱き心地とってもいいの!」
「そうですね。こういうことなら、私大歓迎なんですけどね」

 そう語るリリスから未だに漂う儚い印象に、蓋をするようにピエリは言葉を並べる。
 
「リリス、今度リボン買ってあげる、ピエリのお気に入りなの。リリスにも似合うはずなの。ピエリとリリスの仲良しの証にもなるの」

 そう言っているピエリの手は少しだけ震えていて、その理由をリリスは察した。
 自身が死にかけた時の事を思い出して、その時にピエリがした顔を思い出したら自然と手が動いた。

「大丈夫ですよ、ピエリさん」
「リリス?」

 優しく手を重ねる。静かに重ねた手、ピエリの震えを包み込むように。

「ピエリさんに助けてもらったのに、そんな簡単に死ぬわけありませんよ。ピエリさんにはまだ御返しもできてませんから」
「……お返しなんていらないの」
「?」
「ピエリ、リリスが生きていてくれればいいの。それ以外何も要らないの」

 静かに重なった手は静かに離れて、リリスを抱きしめるものに変わる。密着した二人の体、でもそこに先ほどのようなものはなかった。

「リリスの体温かいの。あのとき、とっても冷たかったの……怖かったの」
「……ピエリさん。ごめんなさい、心配かけちゃったみたいで」
「いいの、リリスが生きていてくれるなら、ピエリそれだけでうれしいの。だから……」












 その言葉は何かを求めているような言葉だった。
 何でもいいから、死なないということを示せるものがほしいと、ピエリが言っているのがわかって、リリスは考えるように視線をあげる。
 目の前には、二人を見下ろす月の姿があった。

「ピエリさん、指切りしませんか?」
「指切りするの?」
「はい。またこうやってお月さまを一緒に見るっていう約束をしましょう。一度、出撃する度に,ここで私とピエリさん、二人だけの秘密の約束をするんです」

 抱きしめている手に重ねるようにリリスの小指が触れる。触れるだけの小指、それにピエリの小指が絡まる。

「リリス、大好きなの。きっと戦いが終わるまで守ってあげるの……」
「はい、私もピエリさんのこと大好きですよ。だから……次もここでお月様を一緒に見ましょう。こうやってピエリさんに後ろから抱き締められながら」
「うん、わかったの。それじゃ、約束始めるの」
「はい」

 結びあった小指は弱弱しくも確かな意思を持ちながら、二人の約束が始まる。二人の声が反響していく。

―ゆびきりげんまん―

―嘘ついたらどうなるの?―

―そうですね……。私が嘘をついたときは―

―はーい。ピエリ、リリスの事もっと気持ちよくしてあげちゃうの―

―そうですね。じゃあ嘘ついた時だけ、私の事好きにしていいですよ?―

―やったの! ……あれ、それじゃこれからは触ったいけないの?―

―はい、そういうことになりますね。さてと、ピエリさんの了承を得られたということで―

―だ、だめなの。時々、リリスの事気持ちよくしてあげたいの―

―指切った。ふふっ―

―切ってないの! そう、嘘ついたら……うえええええん。いいの思いつかないの!―

 二人の楽しそうな会話は静かに夜の空に溶けていく。
 どこかでは叶わなかった指切りの約束を果たすように。



 これは違う世界の話。




 二人が約束をすることのできた世界の話。




 If(もしも)の一つ……

 

 


 リリス×ピエリ番外 おわり

今日はここまでで。

 番外は一気に投降し終えるのがほとんどになると思います。

 リリスとピエリは、こんな感じの健全な生涯友人な関係を続けてほしいと思った。

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・レオン邸―

レオン「……どうして、こうなるんだい、姉さん」

カムイ「いえ、風の噂でレオンさんがサクラさん達に社交ダンスを教えているという話を聞いて、私も教えていただこうと思って」

サクラ「カムイ姉様も、その、踊れないんですか? とてもそうは見えませんけど」

カムイ「はい、何分初めてのことですから。サクラさん達と同じ、初心者ですね」

レオン「姉さんが初心者なのも、うまく踊れないことも分かったよ。その、頼りにしてくれるのはうれしいから」

カザハナ「レオン王子って、カムイ様には優しいよね」

ツバキ「そうだねー」

レオン「……それはもういいんだ。それより問題なのは……」

シャーロッテ「うふっ、お邪魔させてもらってますね。レオン様」

ハロルド「ここに来るのは二度目になるが。今回は道中事故も無くこれてよかったよ、はっはっは」

モズメ「ハロルドさん、少し静かにしたほうがええで。余所の家なんやし」

ラズワルド「舞踏会か、可愛い女の子といっぱい踊れるのが楽しみで仕方無いね。早く舞踏会の日にならないかな」

レオン「なんで、連れがいるのかな姉さん?」

カムイ「はい、私が選んだ舞踏会の参加者ですよ。踊りの経験はラズワルドさんくらいらしいので……」

レオン「だったら、ラズワルドに教えてもらうべきじゃないか。わざわざ僕が教える必要はないと思うんだけど」

カムイ「いえ、ある意味、サクラさん達と顔合わせをしておきたかったんです」

サクラ「か、顔合わせですか?」

カムイ「はい、サクラさん。私が勝手に進めてしまった今回の舞踏会の件ですけど、参加することにしてくれたんですね」

サクラ「は、はい。私にできることをしたいって、そう思って、ご迷惑だったでしょうか?」

カムイ「いいえ、そんなことはありません。サクラさんは一度決めたら引き下がらない頑固なところ、ありますから」

サクラ「そ、そんなこと……ううっ、そうかもしれません」

カザハナ「でも、あたしたちとそっちが連れて行くのと顔合わせすることに意味なんてあるのかな?」

カムイ「少しでも知り合いは多い方がいいです。レオンさんのことですから、その点の手まわしはすでにされているでしょうけど、会場で常に傍にいられるというわけでもありませんから」

ツバキ「確かにそうだねー。レオン王子も多くの人たちから一曲、申し込まれる立場にいると思うから」

レオン「わざわざ、そのことを察して?」

カムイ「少しはお姉ちゃんらしいこと、できたでしょうか?」

レオン「……はぁ、そういうことなら別に構わないけど。でも僕一人で残りのみんなに踊りを教えるのは、無理があるよ」

カムイ「そこは気合いでどうにかしてもらうしかないですね。大丈夫、レオンさんなら何とかできますから」

レオン「無理だよ……僕に、こんな人数どうにかできるわけない」

カムイ「レオンさん……」

ラズワルド「どうしたんだろう。レオン様がこんな風に弱腰な発言をするなんて……」

シャーロッテ「大丈夫ですよぉ、レオン様ならきっと教え切れますから。私にも――」

レオン「……あの……さ。君たちは僕の足を踏まないと約束できるかい?」

ハロルド「? 足を踏むというのはいったい……」

サクラ「あっ」チラッ

ツバキ「……あー」チラッ

カザハナ「……な、なによ。は、初めてやったんだから、大目に見てよ」

レオン「初めてのことだって? あんなに的確に親指を踏みつけて、わざと狙ってるんじゃないのかい?」

カザハナ「あ、あたしだって好きでやってるんじゃないよ。……悪いとは思ってるけど、うまくいかないんだから仕方ないじゃん」

サクラ「ふ、二人とも落ち着いてください」

ツバキ「そうだよー。いきなり俺ができたみたいに出来るわけじゃないんだから、無理に動く必要なんてないんだよカザハナ」

カザハナ「そ、それはそうだけど。なんでこんなにうまくいかないのかな」

カムイ「………思った以上に溶け込んでますね」

モズメ「ほんまやね。国同士が喧嘩しとるなんて悪い夢みたいや」

シャーロッテ「……」

シャーロッテ(社交ダンスはほとんど踊れるんだよなぁ。王城兵になる前にいろいろと仕込んでおいたし、レオン様に教えてもらってあわよくばとか思ったけど、ここはできる女を演出して点数稼ぎが良さそう。それに、人に教えることができて、気配りができるところを見せて、レオン様からの印象アップ……これしかないわ!)

シャーロッテ「あのぅ、レオン様」

レオン「ん、シャーロッテだよね。何かな?」

シャーロッテ「よろしければ、私がサクラ様たちに教えて差し上げますよぉ」

レオン「えっ、だってシャーロッテ、君はさっき……」

シャーロッテ「あれは、私にも――お手伝いできることがありましたら、手伝わせてくださいって、言おうとしたんですよぉ。私、これでも社交ダンスは一通りこなせるんですぅ」

レオン「え、そうだったのかい?」

シャーロッテ「はい、女性の嗜みですからぁ」

シャーロッテ(よっし、これでレオン様と一緒に教える側に回って、みんなにてきぱき教えられれば、さらに好感度アップが狙える。頑張るのよ、シャーロッテ!)

カザハナ「じょ、女性の嗜み……」ペタペタ

サクラ「カザハナさん? そんなに胸を触ってどうしたんですか」

カザハナ「な、なんでもないですよ、サクラ様」

レオン「そうか、となると。僕にラズワルド、そしてシャーロッテの三人が教えられるってわけだね。よかったよ」

カムイ「ああ、そうでしたねラズワルドさんがいましたね」

ラズワルド「えっ、カムイ様、僕のこと忘れてたんですか。ひ、ひどい」

カムイ「冗談ですよ。あともうひとつなんですが、舞踏会前日までここに滞在してもよろしいですか?」

レオン「いきなり飛躍するね。でもサクラ王女達も知り合いが増えたほうがいいとは思う。それに、後々それを指摘されても舞踏会で会ったとすれば問題ないだろうしね」

カムイ「そういうわけです。ご迷惑を掛けるかもしれませんが、少しの間よろしくお願いしますね」

レオン「はぁ、調子がいいんだから。それで踊りの練習についてだけど……」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

シャーロッテ「………」

サクラ「そ、その、よろしくお願いします。シャ―ロッテさん」

カザハナ「……よろしく」

モズメ「シャーロッテさん、よろしくたのむわ」

シャーロッテ「……なんで?」

サクラ「?」

シャーロッテ「なんで女子と男子で別れることになってんだよ、おいっ!」

カザハナ「えっ!?」

モズメ「シャーロッテさん、落ち着いて」

シャーロッテ「あらやだっ、ごめんなさい。持病の発作が起きちゃったみたいですぅ」

サクラ「え、そうなんですか。シャ―ロッテさん、ちょっと失礼しますね」ペタッ

シャーロッテ「えっ?」

サクラ「熱はないみたいですね。あの、教えてもらおうって矢先なんですけど、無理はされなくてもいいですよ」

シャーロッテ「……大丈夫ですよぉ。ふふっ、サクラ王女はやさしい人なんですねぇ。私、これでも暗夜の兵士なんですよ?」

サクラ「今の私には関係ないことです。それにもう、私とシャ―ロッテさんはお知合いなんです、その、何かあったら私とても悲しいから」

シャーロッテ「……」

サクラ「あ、あの」

シャーロッテ「ありがとうございますぅ。舞踏会でちゃんと踊れるように、私がきちんとお教えしますから」

サクラ「はい。えっと、その、よろしくお願いしますね。シャ―ロッテさん」

シャーロッテ「さんは付けなくても大丈夫ですよ。それじゃ……サクラ王女、一緒に一度踊ってみましょう?」

サクラ「は、はい。その、おねがいします」

シャーロッテ「カザハナさんと、モズメさんは、ちょっと見ててくださいね」

 ♪~ ♪~

カザハナ「……サクラもやっぱりうまい。……あたしだって、うまく出来ると思ったのに……」

モズメ「あ、あの……」

カザハナ「んっ?」

モズメ「こうやって話するんは初めてやな。ちょっと、横ええかな?」

カザハナ「うん、いいよ。どうぞ」

モズメ「あんがと……」

カザハナ「……突然で悪いんだけど、あなたはさ。意味がないかもしれないことがあったとしたら、どういう風に考える?」

モズメ「……意味のないこと?」

カザハナ「うん……あたし、刀は誰にも負けるつもりないよ。実際の強さとかそういうのは置いてね、情熱っていうのかな。そういうのだったら誰にも負けたくない。サクラ様を守るために、あたしの刀はあるから」

モズメ「……」

カザハナ「だからさ、突然、違うことを出来るようになれって言われたら、同じように頑張るようにはしてる。今回の舞踏会の社交ダンスだって、早く出来るようになりたいって思ってる。思ってるのにさ、レオン王子の足はいっぱい踏みつけちゃうし、ツバキはすぐに慣れちゃうし、サクラも見たところ全然問題ないからさ……。あたしが出来るようになって、意味があるのかなって」

モズメ「せやな。意味が無いことがないわけじゃないのはわかるわ。あたいも村にいたとき、意味のないこと良くやっとたから」

カザハナ「……」

モズメ「でも、カザハナさんが言うてることは、意味のないことやないで。だって、カザハナさん、意味があるのかなってあたいに聞いてるから」

カザハナ「それは、だってみんな出来てるのに。あたしだけできないのは悔しいし。それに……レオン王子に下手くそだって言われたのが一番腹が立つから」

モズメ「ふふっ。なら意味あるで。正直、あたいが一番これを習っても意味のない人間だから。あたいは貴族なんて興味ないし、この戦いが終わって暮らすなら、前みたいに村でのんびりとした暮らしがしたいって思ってる。こんな社交ダンスなんて覚えても、畑は耕せへんから」

カザハナ「社交ダンスをしながら、畑を耕せばいいんじゃない?」

モズメ「カザハナさん、それはあかんわ。せっかく耕した場所、また踏んで固めてまうやん」

カザハナ「そ、それもそうか」

モズメ「でも、あたいがカムイ様に選ばれてここに来たのは、こうやってカザハナさんやみんなとお話しするためやって考えら、意味のないことじゃないって思えるんよ」

カザハナ「……そ、そういう風に考えるんだ。なんだか恥ずかしくなってきた」

モズメ「そ、そうやね。でも、カザハナさんもカザハナさんで目標があるんやから、この練習には意味がある。あたいはそう思うで」

カザハナ「…がんばれば、あいつの足を一回も踏まずに踊り切れるようになるのかな?」

モズメ「なら、カザハナさんとあたいで勝負せえへん?」

カザハナ「勝負?」

モズメ「せや、先にどっちが踊れるようになれるか」

カザハナ「あたし、もう練習してるんだけど」

モズメ「別に構わへんよ。だって、カザハナさん、全然踊れてないって言ってるから、ハンデにもならんやろ?」

カザハナ「ううっ、結構ズバッと言うのね。あなた」

モズメ「そうや。あたい負けるつもりなんてあらへんよ」

カザハナ「……そういうつもりなら受けて立つわ。えっと、モズメさん」

モズメ「さん付けせんでええよ。その、さんで呼ばれると背中がくすぐったいんよ」

カザハナ「そう、それじゃモズメ。勝負ね、どちらが先に一曲踊り切れるか」

モズメ「ふふっ、カザハナさん。その意気や、って言ってもあたいうまく踊れるかわからへんのに、こんな勝負仕掛けて大丈夫やろか?」

カザハナ「ふふんっ、もう勝負は始まってるから。あたし、結構ツバキとレオン王子が踊ってるの見てたから、資格的な経験値は多いよ」

モズメ「思ったよりも、結構ハンデあるみたいやな」


シャーロッテ「うん、少し不安な場所もありますけど、これならすぐに踊れるようになりますよぉ」

サクラ「は、はい。そのシャ―ロッテさん、教えるのすごく上手なんですね」

シャーロッテ「それほどでもないですぅ。それじゃ、次は……」

カザハナ「それじゃ、モズメ。まずは形覚えてきたら。流れがわからなかったら、勝負も何もないんだから」

モズメ「せ、せやな。え、えっとあたいでええかな?」

シャーロッテ「モズメね。それじゃ、私の手を取ってくださいね。軽く曲に合わせつつ、私と一緒に動いてくださいね」

モズメ「よ、よろしくお願いします」

 ♪~ ♪~

カザハナ(そうだよ。意味がないなんてこと、言っていいわけないよね……)

カザハナ(あたしにだってできるはずなんだから……)






 クルクルクルクル シュタッ!

シャーロッテ「飲み込み早過ぎじゃない?」

モズメ「なんやか、社交ダンスって面白くて楽しいもんやな」

カザハナ「」

サクラ「カザハナさん?」

カザハナ「」

 今日はここまで

 モズメさんは数回の練習でコツをつかめる気がしてならない。
 サクラとシャーロッテって、仲良くなれそうな気がするんだよね
 ピエリリスは親友編もあるよ(ピエリリスだけで三個番外書いていた事実)けど、しばらく後です。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 クルクルクルクルクル シュタ

ラズワルド「ツバキはすごいね。本当にこの前始めたばかりとは思えないくらい踊れてるよ」

ツバキ「そんなことないよー。まだ、ターンも慣れたくらいだし。ラズワルドのほうが華麗に回れてると思うよー」

ハロルド「ううむ、私のはどちらもうまいようにしか見えないんだが。それにしても、ラズワルドくんにこのような特技があったとはね」

ラズワルド「これでも踊りは得意だからね。見られるのは、その慣れてないけど……」

ハロルド「ふむ、マークス様の臣下は腕は立つが、よく女性にばかり声を掛ける軽い男だと聞いていたのでな。少し見直したよ、ラズワルドくん」

ラズワルド「こういうことで見直されても困るんだけど」

ハロルド「で、早速だが私にもレクチャーしてくれないか。君たちのように私も一曲踊れるようになりたいのでね」

ラズワルド「もちろん。それじゃ、ツバキは少し休んでいてくれないかな」

ツバキ「いいよー。それじゃ交代っていうことでー」

ハロルド「うむ、私が踊りの流れを理解するまで、楽にしてくれたまえ」

ツバキ「そうさせてもらうよー。ラズワルドは休まなくていいのかい?」

ラズワルド「大丈夫だよ。それに、教えられるのは僕だけだからね」

ハロルド「よし、ではよろしく頼むぞ。ラズワルドくん」

ラズワルド「うん、それじゃまずは。手をこうやって」

ハロルド「うむ、こうだね」

ラズワルド「そうそう、その感じで。それじゃ、足動かすよ」

ハロルド「う、うむ。うわっ……」

ラズワルド「えっ、ちょっ……」

ドサッ

ハロルド「す、すまない。足が絡まってしまったようだ」

ラズワルド「いや、こういうこともあるよ。踊りを始めたばかりじゃしかたないからさ」

ツバキ「大丈夫かい?」

ハロルド「ああ、なに。今度こそはうまくいくはずだ」

ラズワルド「その自信がどこから来るのかわからないけど」

ハロルド「よし、続きを始めようではないか、ラズワルドくん」

ラズワルド「そうだね。……それじゃ。あっ、靴ひもがほどけて……」

ガシッ

ハロルド「大丈夫かね、ラズワルドくん」

ラズワルド「ああ、ありがとう。靴ひもが切れてるのに気付かなくて、僕の失態だね」

ハロルド「うーむ、やはり私の不運がラズワルドくんに悪い影響を与えている気がする」

ツバキ「そうなんだー。たいへんだねハロルドは」ササッ

ラズワルド「いや、ハロルドの所為じゃないよ。転んだばかりなのに、身の周りを確認しなかったから」

ハロルド「いやいや、これは私の責任でもある。うむ、やはり皆に迷惑を掛けるわけにもいかないから、私は一人で鍛錬に励むことにするよ」

ラズワルド「えっ?」

ハロルド「ラズワルドくんやツバキくんにも迷惑が掛ってしまうからね。なに、心配しないでくれたまえ。舞踏会の会場で恥をかくのは私一人だけだ」

ラズワルド「……ハロルドはそれでいいのかい?」

ハロルド「……よくはないさ。だが、ラズワルドくんの靴ひもが切れたのは、間違いなく悪いことの前触れに違いない。仲間に不幸を与えてしまうような道を選ぶわけにはいかない」

ラズワルド「……困ったな。ハロルドに断られたら、僕は不幸になっちゃうんだけど」

ハロルド「むっ、少し意味がわからないのだが」

ラズワルド「僕はハロルドに踊りを覚えてもらいたいって思ってるんだ。なのに、それを断られるってことは、僕にはその力がないって言われてるようなものじゃないか」

ハロルド「ううっ、だが、私の所為で色々と苦労が増えるかもしれない」

ラズワルド「もともと、初めての人に教えるんだだから、苦労があるのなんて当たり前だよ。それに今度は靴ひもの心配はいらないよ。ほら、ちゃんと結んである」

ハロルド「……ラズワルドくん」

ラズワルド「大丈夫。ハロルドもちゃんとしたステップを刻めるくらい、教えてあげるからさ」

ハロルド「私の気遣いは、君の優しさを曇らせるようなものだったようだ。本当に申し訳ない」

ラズワルド「気にすることなんてないよ。それじゃ、もう一度最初から始めてみようか」

ハロルド「ああ、どんときてくれたまえ!」

ラズワルド「そうそう、その感じだよ」

ハロルド「うむ、この感じか」

ラズワルド「ああ、これならもう少しで通常の動きにも慣れてくるはずだよ」

ツバキ「ハロルドは体つきがいいほうだよねー。ここから見ても力強そうにみえるからさー」

ハロルド「正義の味方だからね。日夜、訓練に勤しんでいるよ。まぁ、エルフィくんには残念ながら劣るが」

ラズワルド「ははっ、でもハロルドは十分強いはずだよ」

ハロルド「そう言ってもらえると、とてもうれしいものだね。ところで、ツバキくん」

ツバキ「なんですかー」

ハロルド「なぜ、そんな部屋の隅にいるのかね?」

ツバキ「気にしないでだいじょうぶですよ。俺が好きで、ここにいるんですからー」

ハロルド「しかし、これではなんだか仲間外れにしているようではないか。ラズワルドくん、ツバキくんの場所まで踊りながら移動してみよう」

ラズワルド「いきなりだけど、大丈夫かな?」

ハロルド「大丈夫だ。ラズワルドくんがいる以上、大きな問題は起こらないはずだ」

ラズワルド「……そうだね。それじゃ、ツバキのいる場所まで――あっ、っと」

 ドタッ

ハロルド「すまない、ラズワルドくん」

ラズワルド「ううっ、ハロルド。できれば、早く退いてくれないかな。ちょっと重いから」

ハロルド「す、すまない」

ラズワルド「わわっ、ちょっと、そこ変な場所に手当たってるから!」

ハロルド「ああ、すまない」

ツバキ「……どうしよう、すごく不安になってきた」

今日はここまで

 男子は男子、女子は女子で練習しないとね。

 
 

~~~~~~~~~~~~~~~~~

レオン「姉さん、嘘付いたんだね」

カムイ「なんのことですか?」

レオン「とぼけないでしょ、全然踊れるじゃないか」

カムイ「ええ、そうですね。でもターンはまだまだ苦手ですし、それに私に進んで教えるって言い出したのはレオンさんのほうじゃないですか」

レオン「それは……そうだったね、ごめん」

カムイ「謝らないでください。明日からはサクラさん達に合流させてもらいますから、レオンさんもツバキさんたちに合流することになるでしょうし」

レオン「そうだろうね。で、今日だけ嘘を吐いた理由って何かな」

カムイ「はい、その、クリムゾンさんの件についてです。皆さんの前で聞くわけにもいきませんでしたから」

レオン「……御免姉さん。僕は力になれなかった。色々と調べられることは調べたけど、何の痕跡も得られなかった。ごめん」

カムイ「そうですか……。レオンさん、気になったことなどはありませんか?」

レオン「気になったこと?」

カムイ「ええ、この話を最初レオンさんに持ってきたのはアクアさんだったんですよね?」

レオン「そうなるね。エリーゼと一緒に来てくれたときに話してくれたから……」

カムイ「マクベスさんと関わりのある臣下がレオンさんを尋ねに来たことはありますか?」

レオン「……その点は多くの人に確認を取ったけど、マクベスと関わりのある臣下が、クリムゾンの滞在期間中に来たことはないって言っていた。だからあやしい人物はいなかったってことになる」

カムイ「あやしい人物がいないとなると……あまり考えたくはありませんが」

レオン「姉さんは内通者がいるって考えているのかい?」

カムイ「悪魔でも可能性ですよ。だけど、そう考えるとアクアさんに白羽の矢が立ってしまいます」

レオン「まさかだと思うけど、アクアが姉さんを嵌めたって、本気で思っているわけじゃないよね?」

カムイ「ええ、そもそも、私の失脚を狙うメリットがアクアさんにあるとは思えませんし、私を亡き者にしたいと考えているなら、シュヴァリエで私が暴走したとき、助けるという選択を取ることもなかったでしょう。放っておけば、私は多くを殺して最後に味方に殺される運命にあったでしょうから」

レオン「……そう。じゃあ、誰が内通者だって思ってるんだい?」

カムイ「そうですね。この話を聞いたことのある人物、全員をあげれば私、アクアさん、レオンさん、サクラさん、カザハナさん、ツバキさんのいずれかになりますけど……」

レオン「ちょっと待ってよ姉さん。サクラ王女たちはこの屋敷から外に出たことはない、それにマクベスの臣下たちがここを訪れた形跡がないって言ったじゃないか」

カムイ「はい、だからサクラさん達が内通者という可能性は、捨ててもいいんです。で、そうなると私とレオンさんとアクアさんの三人だけがになってくるわけなんですけど……。正直、内通者などいないという状態になってしまいます」

レオン「あまり言いたくはないけど、僕に白羽の矢は立たないのかい?」

カムイ「そうですね。その可能性が一番濃厚でもありますから、アクアさんの話を聞いてマクベスさんに密告した。マクベスさんもレオンさんから来た話ですから無碍にすることはないでしょうし」

レオン「……じゃあ、なんで外すんだい。今一番裏切り者とも呼べる立場に僕はいるらしいのに」

カムイ「そうですね。確たる証拠はありませんが。あの日、私が捕らえられた日にマクベスさんはアクアさんが内通者だと言っていました。でも、もしもレオンさんが内通者だとわかっているのであれば、たぶんあんな通路じゃなくて、みんなの待っている部屋で私を捕らえたと思うんですよね」

レオン「……」

カムイ「そして、私にレオンさんが協力してくれたことを告げてくるはずですよ。それができなかったのは、たぶんアクアさんが内通者であるという情報しか知らなかったからなんじゃないかって思うんです」

レオン「それじゃ、まるでマクベスも内通者の正体を知らないみたいな言い方じゃないか」

カムイ「そこが不気味なところです。マクベスさんが私に対する疑念を持っていることを知っていて、かつクリムゾンさんが私に会いに来たこと、それを不審に思ってアクアさんがレオンさんに相談をしたことを知っている人物と言うことになりますから、そう考えるとやっぱり私たち三人の誰かとしか考えられないんです」

レオン「でも、それは」

カムイ「はい、私はレオンさんもアクアさんのことも信じていますから。それはないと思いたいです」

レオン「姉さんの自作自演っていう可能性は?」

カムイ「それができるんだったら、シュヴァリエでの暴走も私は自分の意思で行ったことになりますね。いや、確かに私は私の意思で人を殺したんですから、変わらないことかもしれません」

レオン「……ごめん、肝心な時に僕は何の役にもたてなかった……」

カムイ「いいえ、レオンさんはサクラさん達を守ってくれてるじゃないですか。私にとってはとても助かっています」

レオン「……姉さん。その、マクベスに情報を漏らした誰かは、また何かしてくるはずだよ」

カムイ「ええ、どういうものかはわかりませんがいずれはそうなるかもしれません。でも目的がわかりませんね」

レオン「……そうなんだ。僕たちを仲違いさせたかったような節は見られるけど、正直それをして何の得があるのか、それがわからない」

カムイ「そうですね。アクアさんが私を売ったという話でしたから、でも、それは杞憂に終わりましたし。となると、やはり私の失脚というのが一番の狙いだったんでしょうか?」

レオン「僕はそうだと考えるよ。というか、それくらいしか思い浮かばない」

カムイ「そうですね……。やはり面白くないものなんでしょうか?」

レオン「そういう人たちにとってはとても面白くないことだと思うよ」

今日はここまで

 レオンとカムイは踊りながら会話していると考えると、結構シュールな場面だなって思った

レオン「どちらにせよ。姉さんも気をつけるんだよ」

カムイ「それはレオンさんも同じことですから。それに、今はレオンさんの方が危険な状態かもしれませんから」

レオン「わかってる。もう、国の内側で起きてる問題は終息する……。サクラ王女たちがこの先どうなるか、正直予想ができない」

カムイ「予想できない方がいいこともありますよ」

レオン「不確定なことを背負ってこの先を進めって、姉さんは言うのかい?」

カムイ「今まで、私は先を予想してそのように進んできましたけど。自分の思ったとおりに物事が進むように願うのは、筋が違うんですよ」

レオン「なら、何も考えず漠然と待ってるのが得策だって、姉さんは言うのかい」

カムイ「……まさか、それなら流されていた方が百倍幸せですよ。言われるまま、支持されるまま、そうあればいいんですから。でも、それに抗うことを決めたから、私はここにいるんですよ?」

レオン「……姉さんはどうあろうとしているんだい」

カムイ「ふふっ、決まっています」

カムイ「変わりませんよ。考え続けることをやめるつもりはありません。でも、考えた先はもう違います」

レオン「考えた先?」

カムイ「私は、それを必ず引き寄せてみせます。予想して流れを読むより、私にできる全てを尽くしてでも」

カムイ「だから、レオンさん。サクラさん達のことよろしくお願いします。私にできることは、私で何とかして見せますから」

レオン「……そう、わかったよ。姉さんのお願いだし、断ることもないからね」

カムイ「ええ……。ここでターンでしたね?」

 クルクルクル コテッ

レオン「……考えてるわりには、すぐに転ぶんだね」

カムイ「おかしいですね。こんなはずじゃなかったんですけど……。もっときれいに決まるとばかり……」

レオン「理想と現実の壁くらい考えてよ。さっきの言葉が突然薄っぺらく感じられちゃうじゃないか」

カムイ「ふふっ、弟の前では少し賢いお姉さんを演じたくなるんですよ。実際は駄目なお姉さんですね、これでは示しが付きません」

レオン「……駄目な姉さんでもいいと思うけど」

カムイ「? レオンさん」

レオン「いや、なんでもないよ。それじゃ、もう少し練習する?」

カムイ「はい、よろしくお願いします」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

レオン「で、一通り見てもらったみたいだけど、どうだった?」

ラズワルド「そうですね、ハロルドは初めてだけど、この調子なら本番までには形になるはずだよ」

ハロルド「ラズワルドくんのマンツーマンレッスンで、私も今日だけでステップを軽く刻めるようになったよ」

ツバキ「そうだねー」

ハロルド「そのツバキくん。なぜ私から距離を取ろうとするんだね」

ツバキ「いや、ハロルドのことが嫌いってわけじゃないんだ。ただ、近くにいると碌なことがなさそうだなーって」

ハロルド「ぐっ」

ラズワルド「大丈夫だよ。今度の練習はツバキに見てもらう予定だからさ」

ツバキ「……え、何言ってるのかなー?」

ラズワルド「ツバキはほとんど出来てるみたいだからね。僕が第三者視点でみて、少しおろそかになってる部分を指摘するべきだと思ったらさ。一緒にハロルドと踊れば、ハロルドも上達して一石二鳥だよ!」

ハロルド「流石ラズワルドくんだ。というわけでツバキくん、明日の練習ではよろしく頼むよ」

ツバキ「」

レオン「それで、女性陣のほうはシャ―ロッテが見てくれてたんだよね。サクラ王女とカザハナがどれくらいできるかはそれなりにわかってるけど、モズメは今日が初めてだったんでしょ?」

シャーロッテ「見た中だとモズメさんが一番上達が早かったですよぉ。ターンも全部できちゃうくらいになりましたから」

レオン「へぇ、すごいじゃないか」

モズメ「いややわ、シャーロッテさんの教え方がうまかったおかげやから……」

シャーロッテ「謙遜し無くても大丈夫、筋がいいんですよぉ。正直、数日で教える側に回れるかもしれませんよぉ」

モズメ「そ、そういうわれると照れてまうわ……」

カザハナ「……」

モズメ「あ、あの、カザハナさん」

カザハナ「なによ?」

モズメ「ごめんなさい、約束した直後なのに……」

カザハナ「いいのよ。どうせ、どうせあたしなんて……盆踊りしてるほうが似合ってる一般兵だから。みんなが華麗に社交ダンスをしてる横で、私だけ盆踊りしてればいいだけだから……」

サクラ「だ、大丈夫ですよ。まだ時間はありますから」

レオン「そういえば、サクラ王女はどんな感じだい?」

シャーロッテ「あ、サクラ様は順調ですよぉ。ふふっ、白夜で舞踊というのを嗜んでいただけあって、モズメさんほどじゃないですけど、飲み込みが良かったです」

サクラ「ほ、ほんとうですか。あ、ありがとうございます。……あ、その、カザハナさん」

カザハナ「……サクラ、よかったね。うん、やっぱり、サクラも才能あるんだから、うん、うん……うん」

レオン(カザハナもあんな恨めしそうな笑みを浮かべるんだな)

シャーロッテ「その、カザハナさんだけ、壊滅的ですぅ」

レオン「……そうか。姉さんはターンだけ重点的にやれば良さそうだから、女性陣に加わってもらう形にしようと思うけど。いいかな?」

カムイ「はい、ふふっ、レオンさんとのダンス。楽しかったですよ」

レオン「……まぁ、僕も楽しかったよ///」

サクラ「ふふっ、レオンさん。本当にカムイ姉様のこと大好きなんですね」

レオン「サクラ王女!? 何言ってるんだい、わけがわからないよ///」

サクラ「顔真っ赤です。いつものレオンさんじゃないみたいです」

レオン「ううっ」

カザハナ「……私と踊ってるときは怒り心頭な癖に……」

シャーロッテ「……」

レオン「それじゃ、明日からは男性、女性で別れて練習を――」

シャーロッテ「あのぉ、レオン様。すこしいいですかぁ?」

レオン「なんだい、シャーロッテ?」

シャーロッテ「流石に私で四人を見るのは、少し辛いなぁって」

レオン「そうかい? それじゃ……」

シャーロッテ「そこでなんですけど」ガシッ

カザハナ「えっ? ちょ、腕引っ張――」

シャーロッテ「カザハナさんのダンスレッスンをレオン様に頼めないかって思って」

カザハナ「ちょ、いきなり何を言って、あ、あなた」

シャーロッテ「シャーロッテって呼んでください」

カザハナ「シャーロッテ。一体どういうつもりよ」

シャーロッテ「どういうって、踏まれる私の身になれよ」

カザハナ「うっ、そ、それは……」

レオン「……シャーロッテ。もしかして、君も」

シャーロッテ「はい。すごいですよね、的確に足を踏んでくるんです」

レオン「痛かったかい?」

シャーロッテ「はい、すっげー痛かったですぅ」

カザハナ「……悪かったわね」

シャーロッテ「でも、動きはすごくいいんですよ。少しずれてるだけだから、そこさえ直したら、ぎゅぎゅんって伸びるって思うんです」

カザハナ「そ、そうなの?」

シャーロッテ「でも、私も足を踏まれつづけるのは辛いですぅ。教えられる方はラズワルドさんもいますけど……」

ラズワルド「僕は大歓―――」

シャーロッテ「いきなり初対面の男性と踊るのは抵抗がありますから、ここはずっと過ごしてきたレオン様が一番いいかなって」

レオン「……はぁ、そうだね。確かに女性の足が青痣だらけになるような事態は避けた方がいいね」

シャーロッテ「心配してくれてありがとうございますぅ」

カザハナ「ちょ、ちょっと。何話を勝手に進めてるのよ、あたしは……」

レオン「……嫌なら別に構わないよ。だけど、サクラ王女たちはやれることをやってる」

カザハナ「それは、そうだけど……」

レオン「それにシャーロッテが見抜いてくれたカザハナの特色があるんだ、僕には見えてなかったことだからね、それを踏まえて僕もカザハナが上達できるようにサポートはする。あとは、カザハナ次第だよ」

カザハナ「……足、結構踏むよ」

レオン「痛いだろうね」

カザハナ「転ぶかもしれないよ」

レオン「鳩尾に肘が来ないことを祈ってるよ」

カザハナ「ターンであんたの腕、グルってしちゃうかもしれないよ?」

レオン「どこまで、僕に心配要素を告げれば気が済むのかな?」

カザハナ「だって……、あたし壊滅的だから……」

レオン「……君はサクラ王女を一番大切に思っている臣下なんだよね?」

カザハナ「それは、そうだよ!」

レオン「なら、できない現実から逃げてないで。立ち向かうべきところだよ、ツバキはもともと天才肌で、サクラ王女は舞踊の鍛錬がある。スタート地点が違うのは当り前のことだよ」

カザハナ「……だったら」

レオン「諦めるのかい? はぁ、だらしないね」

カザハナ「なっ、言ってくれるじゃない! いいわ、あんたの足が青痣で真っ青になるまで踏みまくってやるんだから」

レオン「そうかい、なら、僕はその足をひょいひょい避けるだけだよ。さすがに二度目はもらわないからね」

カザハナ「今に見てなさいよ。あんたが見とれるくらい、きれいに踊り切ってやるんだから」

レオン「そうかい、楽しみにしてるよ」

サクラ「カザハナさん、うまく乗せられちゃってます。でもやる気が出たみたいで良かったです」

シャーロッテ「カザハナさんみたいなのは、張り合ってる相手と一緒にした方が、ぐんぐん成長すると思ったんですよぉ」

サクラ「シャーロッテさん、すごいです。これで、カザハナさんも徐々にうまくなっていきますね」

シャーロッテ「はい、そうですね」

シャーロッテ(でも、レオン様の足が真っ青になるのは避けられそうにないんですよねぇ)

今日はここまで

 社交ダンスを極めるSRPGになりつつある。


◇◆◇◆◇

 次回の番外『ヒノカにカムイが奪還されてしまっていたら』でのカムイの性別を決めたいと思います。参加していただけると幸いです。

 1.男
 2.女

 >>435までに多かった方の性別にしたいと思います。

1

◇◇◇◇◇◇
―白夜王国・イズモ公国―

リョウマ「すまない。ここは戦闘を禁じている中立国であるというのに、俺の無理な願いを聞き入れてくれて」

イザナ「いやいやリョウマ王子、気にしないで大丈夫だよ~。イズモ公国は争い御法度なだけで、来る人々は迎え入れるの方針だからね~。今はリョウマ王子もボクの大切なお客さんだよ」

リョウマ「そう言ってもらえると助かる。白夜王国の王子として礼を言わせてくれ、ありがとう」

イザナ「大丈夫大丈夫~。こんなところでも気を張ってると、もっと大事なところで線が切れちゃうから、今はゆっくり休んで療養しないとね~。これで倒れたら、一緒のお客人も安心しておやすみできないからね~」

リョウマ「……それもそうだな」

イザナ「そうそう、無理はしないのが一番。それにこれから先、選ばないといけないことが山済みなはずだよ」

リョウマ「……ふっ、それは占いによって導き出した助言か?」

イザナ「当たらずとも遠からじってところだよ。助言と言ってもリョウマ王子はすでにそこも踏まえているから、仲間の言葉に従ってここまでやってきたんだから。本来ならしたくなかった行動をとって、そうだよね?」

リョウマ「……俺に残された道があるとすれば、信じ貫くことだけだ。それを貫けと言ってくれた者がいた。それに甘えて俺は……カゲロウとスズカゼを見捨てて白夜に戻ってきた。ただそれだけのことだ」

イザナ「……」

リョウマ「俺にできることは決まっている。そのために戻ってきたのだからな。少ししたら、俺は白夜王国に戻る」

イザナ「なら、今はゆっくりと休まないといけない」

リョウマ「わかっている……。一つ、聞いてもらいたいことがある」

イザナ「なにかな?」

リョウマ「これはイズモ公国公王へ白夜王国の王子としての願いだ。無碍にするのも、どうするのかもすべて任せる」

イザナ「とりあえず、言ってもらいたいかな。ボクへのそのお願いっていうのを」

リョウマ「ああ、そのことだが―――」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

サイゾウ「………」

???「おやおや、何時も主君に付き添っているであろうあなたのような方が、ここで一人佇んでいるというのは珍しいこともあるものですね」

サイゾウ「……今、リョウマ様はイザナ公王とお話をされている。ただそれだけのこと、話せることならばリョウマ様が話してくれるだろう。俺が耳にしなくてもよい話なら、口を開かれることはない、ただそれだけのことだ」

???「なるほど、五代目サイゾウと呼ばれる方ではあります。好奇心はなんとやらということがありますが、やはり主従には厳格なのですね」

サイゾウ「サイゾウの名は伊達や酔狂ではないということだ、アサマ」

アサマ「そのようですね。しかし、お互いどうにか生きて白夜の地を踏むことができましたが、ここも大変陰湿な場所へと様変わりしてしまったものです。人というのはどうしてこうも、波に支配されてしまうのでしょうか?」

サイゾウ「そうかもしれないな。すでにリョウマ様が守ろうとしていた白夜は、その本質を大きく変えてしまっているのも確かだ」

アサマ「ほう。先ほどリョウマ王子への忠誠心を口にした臣下の言葉とは、思えませんが」

サイゾウ「確かにそうかもしれん。だが、お前も白夜は変わったとこぼしたばかりだろう?」

アサマ「そうですね。今はこのイズモ公国に身を置いていますから、嫌でもわかってしまうものですよ。いやはや、ここから見れば白夜に漂う暗夜に対する憎悪というのは、一種の疫病に他なりません。修行を始めたばかりの私、いやそうですね、子供でもその異様さに泣きだすほどでしょう」

サイゾウ「そこまでのものか。ふっ、神を信じぬ僧に言われてしまっては、説得力もケタ違いだな」

アサマ「まぁ、そう思わざるを得ません。それを認めることも、神の思し召しでしょう」

サイゾウ「ふん、……それで、ヒノカ王女の容体はどうだ?」

アサマ「傷は大したものではありませんよ、すぐにふさがる程度の傷です。しかし、心の傷はもう短時間で治せるものではないでしょう」

サイゾウ「……オロチとユウギリは、予定地に現れなかったそうだな」

アサマ「ええ、ヒノカ様はそのことを口に出してはくれませんが、お二人は戦死なされたと考えていいでしょう。そして、もう白夜へ戻ってきてしまった以上、助けに帰るという選択肢はないのですから」

サイゾウ「そうだな……」

アサマ「それを認めたくないからこそ、ヒノカ様は口を閉ざしているのかもしれませんが、すでに、それも含めて疫病に蝕まれているのかもしれません。この私が暗夜を怨んでしまっているように」

サイゾウ「ほう、ならばお前も疫病にその身を蝕まれているということにならないか?」

アサマ「認めたくはありませんが間違いないでしょう。私が仕えてきたヒノカ様は、もう疫病の虜となってしまっていますから……。それに私も魘されているのでしょう。私が仕えてきたヒノカ様は……そうですね、優しさの一方通行のような方でしたが、今ではその面影もありません。まるで別人と言ってもかごんではありません。そして、それを見て闇に私も触れて戻れなくなっているのやもしれません」

サイゾウ「俺もいずれ、その疫病に侵され、狂い落ちて行くのかもしれない。本当なら、俺は今すぐにでも二人を探しに行きたいと思っているが、それをどうにか留めている」

アサマ「話は聞いています。フウマ公国に洋上で襲撃されたと……」

サイゾウ「……カゲロウとスズカゼがフウマの船上に乗り移り、時間を稼ぎ俺とリョウマ様は難を逃れた。二人がどうなったかはわからない」

アサマ「そうですか……。フウマ公国をタコ殴りにしていなかったことが、裏目に出てしまったようですね。フウマはこれから白夜に攻め込んでくるのかもしれません」

サイゾウ「強硬派の連中にとっては、フウマ公国のことなど算段にも入っていなかっただけのことだ。リョウマ様は後続で白夜に戻るお前たちのことを考えて、近海を航行するルートを取った」

アサマ「……」

サイゾウ「嫌な話、見事に網を張っていたフウマの船舶と出くわして戦闘状態に入った。結果的にこれが最良の判断だったかどうかは、俺にはわからない」

アサマ「結果論で言えば、私たちは優雅に帰ってこれたということはありますが、そうですね。それをしていなくてもそうだったかもしれませんね」

サイゾウ「ふっ、そう言うと思ってはいた。だが、あの戦いの場でカゲロウもスズカゼも臣下としての任を果たした、リョウマ様の命を守ることとを優先したように、俺は二人の意思を継ぎ白夜王国までリョウマ様をお連れする。そうでなくては、二人に顔向けできない。疫病に身を窶すのはそれが終わってからでも遅くはない。

アサマ「終えてからは、身を窶すということですか?」

サイゾウ「それが成すべきことをした先にある俺の決断、ただそれだけのことだ」

アサマ「……」

サイゾウ「俺は戻ることにする、そろそろリョウマ様も話を終えたころだろうからな。また護衛を再開する」

アサマ「そうですか。貴重なお時間を取らせてしまいましたね」

サイゾウ「気にする必要もないことだ。もしかしたら、白夜に付いた後には、話すことが二度とないかもしれんからな」

アサマ「………それもそうですね」

サイゾウ「そういうことだ。ではな」サッ

アサマ「……はぁ、まさか、開戦当初からこんなことになるとは思いもしませんでした」

アサマ「怨み等というものとは無縁な人生だと思ってきましたが……。やはり、私もなんだかんだで人の子なのでしょう。私も今では神を信仰する存在ではなくなってしまったようですから」

アサマ「これは罰を天に任せるべきものではなありません。私自身で、御仏の元に送って差し上げないと気がすみません」

アサマ「なに……ヒノカ様を変えてしまった代償は高くつきますから。野蛮人の皆さんには覚悟してほしいものです」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

セツナ「……」

ヒノカ「うぅ、ううっ」

セツナ「ヒノカ様?」

ヒノカ「やめろっ、やめてくれ…………」

セツナ「……ヒノカ様。大丈夫ですか? ……すごい熱、新しい布、持ってきますから、待っててください……」

 タタタタタッ

ヒノカ「はぁ……はぁ……オロチ……ユウギリ……」

ヒノカ「……ううううっ」

 タタタタタッ

セツナ「……大丈夫ですよ、ヒノカ様」

ヒノカ「……はぁ、はぁ……んっ」ギュッ

セツナ「……ヒノカ様」

ヒノカ「……ぐっ、うううっ」

セツナ「……ヒノカ様、私はいつもそばにいますよ……」

ヒノカ「……はぁはぁ、ん……」

セツナ「……ヒノカ様」

ヒノカ「うううっ、うううううあああっ」

セツナ「ヒノカ様を苦しめる、悪い夢を射てたらいいな」

セツナ「全部、矢を当てて存在を消してあげられるのに。それに全部消せたら」

「前のヒノカ様に戻ってくれるはず、だよね?」

 今日はここまで

 カゲロウさんはいつも捕まってるけど、捕まってる間は何されてるかわからんなぁ

 番外は男になりましたよ、ヒノカさん。

◇◆◇◆◇◆
―暗夜王国・南東湿地帯―
(シュヴァリエ公国反乱鎮圧直後)

???「来たようじゃな」

バサバサバサッ

???「ええ、どうやらあなたも、ここまでは来れたようですね。すでに市街で死んでしまっていると思っていましたから、再会できてうれしいですわ、オロチ」

オロチ「勝手に殺すでないぞ、ユウギリ。それで……ヒノカ様は?」

ユウギリ「こちらにおりますわ。正直、危ないところでしたから」

オロチ「すまぬ。じゃが、ユウギリならば何とかしてくれると思っておったからのう。わらわは敵に機会を与えられてしまったからのう、戦いを続けるわけにもいかなかったのじゃ」

ユウギリ「そうですか。どちらにせよ、海岸までの道は調べ終えているんですよね?」

オロチ「ああ、ぬかりないぞ。……じゃが、その様子では、ヒノカ様の天馬は」

ユウギリ「……残念ですけど、帰ってくることはありませんわ」

オロチ「そうか……」

ヒノカ「……ユウギリ、オロチ」

ユウギリ「ヒノカ様、気が付かれましたか?」

オロチ「まだ休んでおるのじゃ、もう戦いは――」

ヒノカ「私は……足りなかったのだろうか……」

ヒノカ「カムイへの思いも、純粋な力も、すべて足りなかったのだろうか……」

オロチ「結果だけでいえばそうなるじゃろう。残念じゃが、シュヴァリエは、いいや誤魔化すのは良くないことじゃのう」

ヒノカ「……」

オロチ「ヒノカ様、わらわたちは負けたのじゃ。それは認めなければならぬことじゃ。カムイ様の奪還に失敗し、反乱の後押しも芽生えぬじゃろう」

ヒノカ「ではどうすればよかったんだ……、ここまで来たことが無意味に終わらなかった、そんな可能性があるべきじゃないか……」

オロチ「それを言ったところで、何かが変わるわけではないことくらい、ヒノカ様もわかっておられるはずじゃ」

ヒノカ「だが!」

ユウギリ「ヒノカ様」

ヒノカ「もっと違う、違う形があったはずなんだ。私から、私から家族としての時間を奪った暗夜にカムイがいない、そんな形があったはずなのに。なんで私はそれを得ることができないんだ……」

ユウギリ「……それを言ったところで、今の状況が変わるのですか?」

ヒノカ「……もう私の愛馬は帰ってこない。薙刀の腕も暗夜の王女を倒すには至らなかった。そして、カムイは私の言葉に応えてはくれなかった。これ以上、何が変わるっていうんだ!」

ユウギリ「そうですわね。そう言って動かないままでいるのでしたら、変わらないままですわ」

オロチ「そうじゃな。ユウギリの言葉に乗っかることになるが、ヒノカ様がそのように駄々を捏ねているようでは、暗夜王女にその薙刀が達することもないじゃろう。その間にも、向こうはさらに力をつけて行くじゃろうからのう」

ヒノカ「……」

オロチ「はぁ、わらわの言葉にも無反応とはのう、悔しくないというのか」

ヒノカ「悔しいに決まっている!」

オロチ「……」

ヒノカ「悔しい、悔しいに決まっているだろう……」

オロチ「ぷくくっ」

ヒノカ「?」

オロチ「すまぬ、まさか、こんな簡単に悔しいとこぼすとは、ヒノカ様の刃はまだまだ折れてないと見える」

ユウギリ「ええ、そうですわね。もしもとは思ってましたけど、これなら大丈夫そうですわ」

ヒノカ「お、お前たち!負けた私をからかっているんだろう?」

オロチ「まあ、どう捉えるのかはヒノカ様しだいじゃからのう。どちらにせよ、まだまだ弓折れ矢尽きというわけではないということじゃな」

ヒノカ「? 何を言って――」

ユウギリ「そうですわね、ヒノカ様。天馬武者として歩んできたあなたにこんなことを聞くのはなんなのですが。金鵄に興味は御有りでしょうか?」

ヒノカ「金鵄にか? 興味がないわけではないが……なぜ、そのようなことを聞く」

ユウギリ「わかっているのに聞くのは感心しませんわ」

ヒノカ「……だが、私には金鵄の選び方はもとより、どう駆ればよいのかもわからないんだぞ?」

オロチ「それを教えるためにユウギリがおるのじゃ。わらわもヒノカ様を支えさせてもらおうかのう」

ユウギリ「あら、オロチ。この戦いが終わった時には死んでいる予定ではなかったのかしら?」

オロチ「そうじゃのう、その予定じゃったがすこし繰越じゃな。金鵄に乗って背中から落ちるヒノカ様を眺めるのは中々に面白そうじゃ」

ヒノカ「お、お前たち……私の力になってくれるのか?」

ユウギリ「ええ、この任務を終えた次はヒノカ様の金鵄の教官になりますわ。すぐにでも、戦えるほどに鍛えて差し上げますから、覚悟してくださいませ」

ヒノカ「しかし、私にできるだろうか? これほどまでに弱い私が」

オロチ「何度もいうようで悪いのじゃが、動かなければその弱いヒノカ様のままじゃ。なに、合わないと言ってくれれば、すぐにでもわらわと同じ呪い師を目指そうではないか。遠距離から暗夜の王女を呪うのも一興じゃぞ」

ヒノカ「……すまないな、二人とも」

オロチ「気にすることではないぞ。さて、まずは白夜へと戻ろうぞ。なに、ヒノカ様なら金鵄たちもすぐに気に入ってくれるはずじゃ。そうじゃろ、ユウギリよ」

ユウギリ「ええ、そうですわね」

オロチ「湿地帯を抜けた先の海岸線ほどに、アサマとセツナが船で待っておるはずじゃ………なに、シュヴァリエの反乱がまだ完全に終わっているわけではないからのう、追っ手はあっても待ち伏せなどはさすがに……」

 ピチャン

 ピチャン

 シュオン

 シュオン

 シュオンッ

???「……」チャキッ

???「……」カチャッ

???「……」チャキッ





オロチ「……嫌な予感というのは、どうしてこうも当たるのじゃろうな?」

今日はここまで
 
 敵飛行系ユニットが持ってる翼盾がとてつもなくほしい

ユウギリ「姿が見えませんわね。でも、たしかに、気配はありますわ」

ヒノカ「! この者たちは、まさか……」

オロチ「ミコト様を襲撃したという姿の見えぬ敵というやつじゃな。やはり、あれは暗夜の攻撃であったということで間違いないようじゃのう」

ユウギリ「……今後の予定が決まった直後にこれでは、先が思いやられますわ」

オロチ「なに、任務は船につくまでじゃからな。最後の仕事納め、張り切らせてもらおうとするかのう」

???「……」ダッ

オロチ「ユウギリ、わらわが奴らを引き付けよう」

ヒノカ「オロチ、何を言っている! 先ほどの約束をもう忘れたというのか!?」

オロチ「大丈夫じゃ死ぬつもりなどありはせん。安心してくだされ、ヒノカ様」

ユウギリ「あまり心配されなくても大丈夫です、ヒノカ様。さて、オロチ、任せましたわ」

オロチ「うむ、それでは行くとするかのう!」

 カラカラカラカラ

???「!!!!!!!」ダッ

オロチ「……ユウギリ! 右端のを

ユウギリ「ええ、姿が見えなくとも気配だけ分かれば十分ですわ!」

 パシュッ
 シュオンッ

 グサッ

???「……」ドサッ

ユウギリ「ヒノカ様、しっかり掴まってくださいませ」

ヒノカ「ぐっ、オロチ!」

オロチ「大丈夫じゃ、ほれほれ、わらわはここじゃぞ!」

 カラカラカラカラ シュオン!

???「!」サッ

オロチ「ふっ、さすがにバレバレの攻撃なら避けるじゃろうが、そこが穴じゃ! ユウギリ、そこを抜けよ!」

ユウギリ「さすがですわ。はい、抜けたところで反転して、やあっ!」パシュ!

 ザシュッ

???「……ドサッ」

オロチ「背中がら空きじゃのう。こんなことでわらわはたちを殺せると思うでないぞ」

ユウギリ「……そういうことですわ」パシュッ

???「!」サッ

 ピチャン ピチャン

???「……」カチャ

???「……」ジャキッ

オロチ「また新手じゃと。一体どこから現れたのじゃ!」

ユウギリ「オロチ。追手が迫っていますわ」

オロチ「わかっておる。一度わらわが牽制する、あいての陣形を崩したら、一気に距離を突き放すように動けるか、ユウギリ」

ユウギリ「一撃離脱は得意分野、先制させてもらいますわ」パシュッ

 ザシュ

???「………」ドタンッ

オロチ「簡単に当たるとはのう。しかし、人数が多いが、真中のものを避けさせられれば、それでよい!」

 カラカラカラカラッ

オロチ「そらっ!」

 シュオン

???「………」スッ

オロチ(よし、動くつもりじゃな。それでよい、これほど真正面から撃ち込んでおるのじゃ、ど素人でも避けられるくらいまっすぐにのう。少しでも時間が稼げれば、ユウギリの到着に間に合うはずじゃ)

ユウギリ「オロチ、手を!」

ヒノカ「早く取るんだ!」

オロチ「ヒノカ様、安心するのじゃ。すぐに―――」

 ダッ
 ブチィ
 



 ザシュッ

オロチ「――な、なんじゃ」フラッ ドタッ

ユウギリ「オロチ……くっ」パシュ

 トスッ

???「……」ドサッ

オロチ「まさか、避けずに喰らって攻撃してくるとは。甘く見過ぎていたようじゃ」

ヒノカ「オロチ! ユウギリはやく!」

ユウギリ「わかっていますわ! オロチ、今向かいますわ」

オロチ「ぐっ、深く刺さっておるか、ぐっ……?」

オロチ(なんじゃ、水面が揺れておる?)

 ピチャン
 ピチャン

オロチ「!!!! ユウギリ、来るでない!」

ユウギリ「何を言って、もうすこしで」

オロチ「もう遅いのじゃ」

 シュオン
 シュオン

???「………」

???「………」

ユウギリ「! オロチに手を出さないでいただけますか、あなたたち!」パシュ

???「……」ザシュッ ドサ

 ピチャン

 シュオン

???「………」

ユウギリ「!?」

ヒノカ「なんだ、なんなんだあいつらは、オロチ! 待っていろ、今助けに――」

オロチ「ヒノカ様、すまぬが吉凶通りに物事が進むようじゃ。ユウギリ、ヒノカ様を抑えて合流地点を目指せ!もう、わらわは助からん」

ユウギリ「しかし……」

オロチ「わらわたちの目的を思い出すのじゃ。わらわたちがすべきことは一つ……だけ、それだけじゃろう?」

ユウギリ「………」

オロチ「さっさと行くのじゃ!」

ユウギリ「……ヒノカ様」

ヒノカ「ああ、早くオロチを助け――」

ユウギリ「申し訳ありません!」

 バサバサバサッ

ヒノカ「ユウギリ! なぜ、オロチから離れる。見えない奴らが、オロチに迫っているんだぞ!」

ユウギリ「わかっています」

ヒノカ「ユウギリ。頼む、引き返してくれ、引き返せ!」

ユウギリ「……行きます」

 バサバサッ

ヒノカ「オロチ!」

オロチ「はぁ……んぐっ、うぷぷ、泣きそうな声が聞こえるのう。まさか、こんな風に名を呼ばれることになるとは思わなかったから、いい土産が手に入ったというものじゃ」

ヒノカ「だめだ、諦めないでくれ、私の鍛錬をみると約束したばかりだというのに、諦めるなど、許すものか! 死ぬなど、ここで死ぬなど、そんなことあっていいわけがないんだ!」

オロチ「ヒノカ様………すまない」

???「………」チャキ

???「……」スッ

オロチ「やはり、吉凶通り、わらわの命は……」




 ザシュッ ザシュッ ザシュシュ

 グチャ



 ポタポタッ
 

 ………

ヒノカ「ああ、あああ……」

ヒノカ「お、オロチ……。だめだ、ユウギリ! 戻れ! 今なら、今ならまだ助かるはずなんだ! だからっ!」

ユウギリ「なりません!」

ヒノカ「まだ、オロチは助かるかもしれないんだぞ、みすみすそれを見逃すというのか! 共に母様に仕えてきた仲間なんだろう! まだ、まだ生きて――」

ユウギリ「私の任務は、あなたを白夜に帰すことです。同僚を、オロチを生きて帰すことではありませんわ。ここで、死んでしまったらオロチが命を掛けた意味が消えてなくなってします。このまま、湿地帯を抜け切りますわ」

ヒノカ「私が、私が弱いから、私が弱いから、なにもうまくいかないというのか」

ユウギリ「ヒノカ様の所為ではありません。ここは耐えてください、必ず仇を打てる時が来ますわ」

ヒノカ「ユウギリ……うわああああ」

ユウギリ(オロチ、くっ、敵を甘く見過ぎていたということですわね。それに、あの執拗な姿勢、まだまだ私たちを逃がすつもりは毛頭ないように感じられますわ)

 ピチャン
 ピチャン

???「……」

???「……」

ユウギリ「!? 待ち伏せだなんて、どんな先読みをすればそう動けるのか、知りたいものですわ」

ヒノカ「ユウギリ……」

ユウギリ「心配なさらないでください。必ず合流地点にお連れいたしますわ」

ユウギリ(と言っても、私とヒノカ様が乗っている以上、機動力で負けてしまいますわ。どういうわけかはわかりませんが、縦横無尽に彼らはどこにでも行けるようですから……)

ユウギリ「でも、あの先を越えられれば、湿地帯の節目ですわね……」スッ

ヒノカ「ユウギリ?」

ユウギリ「……。まだ、お前は飛べるのよね?」

 クエエッ

ユウギリ「ええ、まだ一緒にいられるかと思っていましたけど。あなたにすべてを託すほかないようですわ。今まで本当にありがとう」

 バサバサバサッ

ヒノカ「ユウギリ、金鵄に何を言っていたんだ……」

ユウギリ「……」

ヒノカ「やめてくれ、そんな決断をしないでくれ、私は、私に金鵄の駆り方を教えてくれるのではなかったのか? ここにきて、お前まで約束を反故にすると」

ユウギリ「ヒノカ様、この子も私が下りれば動きが幾分早くなります、合流地点はすでに教えてありますから、迷うことなくそこへと連れて行ってくれますわ」

ヒノカ「ユウギリ、私は……」

ユウギリ「弓は置いて行きますわ。後輩にささやかな贈り物になると嬉しいです」

ヒノカ「話を勝手に進めないでくれ、ユウギリ、まだ考え直してくれ。敵は前にしかいないんだ。何とかすれば」

ユウギリ「ヒノカ様、もう追手も迫っているのです。この中で、機動力が劣っている金鵄では、弓に対応できませんわ」

ヒノカ「認めない、認めないぞ」

ユウギリ「……ヒノカ様」

ヒノカ「私は、お前たちを失うために……シュヴァリエに来たんじゃないんだ。カムイを取り戻して、お前たちと一緒に白夜に帰るために、ここまできたんだ。お前まで失ったら私は……」

ユウギリ「……優しいのですねヒノカ様は」ギュッ

ヒノカ「……」

ユウギリ「ミコト様もそう、私のことを心配してくれたことがありますわ。そしてその心配を私は返すことが来ませんでした。あの日、私の見ていないところで、ミコト様は逝ってしまわれたのですから」

ヒノカ「ユウギリ……」

ユウギリ「ですから、こうしてまた誰かに仕え、そして守るために命を掛けることができるのは、私にとってこれほどにうれしいことはないのですわ」

ヒノカ「やめてくれ、おねがいだから、おねがいだから」

ユウギリ「命を掛けて闘う時があるとするなら、今しかありません。ヒノカ様なら大丈夫、私がいなくてもきっと立派な金鵄武者になれますわ」

ヒノカ「ユウギリ、行かないでくれ。私を、私からこれ以上、奪われていくものを見せないでくれ」

ユウギリ「……」

ヒノカ「ユウギリ……」

ユウギリ「ヒノカ様、わずかな間ですが仕えられたこと、光栄でしたわ。……御元気で」パッ

ヒノカ「……ユウギリ!!!!」

 スタッ

???「……」チャキッ

ユウギリ「ごめんあそばせ」ザシュ ブチィ

???「……」ドサッ

ユウギリ「やあああああっ!!!!」

ヒノカ「あんな、数の気配を相手にできるわけなんてない! おい」

 ガシッ

ヒノカ「金鵄よ、言うことを聞いてくれ、頼む、お前の、お前の主がこのままでは死んでしまう。死んでしまうんだ。今すぐ、今すぐにでいい、ユウギリの傍に―――」

ユウギリ「ふふっ、ヒノカ様。その子は私の命令に忠実なんです。だからあなたの命令には耳も貸しませんわ。そして、これが最後の命令ですもの……。いつも以上に張り切ってくれるはずですわ」

???「……」ブンッ

ユウギリ「そんなものですか!?」キンッ

 ザシュッ ドガッ 

???「!!!!」ドサッ

ユウギリ「……近接ばかり、いえ、どこかに弓兵が……!」

???「……」キリキリ

ユウギリ(弓の引く音!?)

???「……」パシュ

ヒノカ「ぐっ!」

ユウギリ「ヒノカ様! あなたたちの相手は、ここにいる私ですわ!」ブンッ

 ヒュンヒュンヒュン ザシュッ ドサッ

 パシュシュ
 
ユウギリ「ぐっ、まだまだ!」ザシュ

???「……」ダッ ブンッ ザシュッ

ユウギリ「はぁはぁ、そうですわ。逃げてる相手よりも、私と戦った方が楽しいはずですもの。さぁ、どんどん掛って来なさい」

???「……」チャキッ

???「…」ジャキッ

ユウギリ「……」

ユウギリ「ふふっ、まったく声をあげたほうに向かってくるなんて、単純な方たちですわね。でも、これで包囲に穴が空きましたわ」

 バサバサバサバサッ

ヒノカ「ぐっ、ゆ、ユウギリ。はやく、こっちに……」

ユウギリ「……ヒノカ様」

ヒノカ「ユウギリ」

ユウギリ「無事に、白夜にお逃げくださいませ。私の役目はここまでですから」

???「……」ダッ

???「……」ダッ

 ザシュッ ポタタタタッ



ユウギリ「……殺しても殺しても、断末魔の一つも、あげないなんて、興醒め……ですわ……」ドサッ


 ザシュツ ドスッ 

 
ヒノカ「あ、あああ」

ヒノカ「ユウギリ……オロチ」

ヒノカ「私は、わたしは……」










ヒノカ「うわあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」

◇◇◇◇◇◇
―白夜王国・イズモ公国―

ヒノカ「はっ!」

ヒノカ「はぁ……はぁ……ぐっ、うううっ」

ヒノカ(ううっ、私は、私は……なんでこんなに非力なんだ……

 スーッ

セツナ「! ヒノカ様、目が覚めたんですね」

ヒノカ「……セツナ……」

セツナ「はい。大丈夫ですか、お水、どうぞ」

ヒノカ「んっ、んっ、………あり、がとう」

セツナ「いいえ……。あのヒノカ様、まだ横になられていた方がいいです。リョウマ様からも、ヒノカ様にはできる限り休むようにいうように言われたので」

ヒノカ「……セツナは。なんでこんな私に仕えてくれるんだ?」

セツナ「……ヒノカ様?」

ヒノカ「私は弱くて脆い、そんな人間なのに、どうして私に仕えてくれるんだ?」

セツナ「…どちらかというと、私がヒノカ様に助けてもらってるから。仕えてるって言えるのかな」

ヒノカ「……私に仕えていても、命を無駄にしてしまう。ユウギリもオロチも死んでしまった……」

セツナ「それは、ヒノカ様の所為じゃ無いと思います」

ヒノカ「……私を守るために二人は死んだ……。死んでしまったんだ。これが私の所為じゃないとどうして言えるんだ?」

セツナ「悪いのはこんな争いが始まったことだから、みんなそれに巻き込まれてるだけ」

ヒノカ「……」

セツナ「そんなこと、アサマが言ってた」

ヒノカ「……セツナ」

セツナ「はい、ヒノカさ――」

ヒノカ「……」ギュッ

セツナ「あ、あのヒノカ様?」

ヒノカ「少しの間だけでいい、いいから、このまま、抱きしめさせてくれ……」

セツナ「……」

セツナ(ヒノカ様、震えてる)

セツナ「はい、わかりました。でも、このままじゃ寒いです、布団、入りましょう。あったかい方が、気持ちいいから」

ヒノカ「……ありがとう、セツナ」

セツナ「……褒められた、うれしい」



ヒノカ(どうして、どうして私はこんなに失い続けないといけないんだろう)

ヒノカ(母様も、サクラも、アクアも、白夜の平和だった頃も、ユウギリ、オロチ、……カムイもみんな私の元から消えていく)

ヒノカ「……」

セツナ「スゥ……スゥ」

ヒノカ(いつか―――)

(セツナやアサマさえも、私は失ってしまうというのか)


休息時間 3 おわり

今日はここまで

 下剋上を持っているモブユニットを探して、暗夜ルナティックに潜る日々。
 新しいDLCこないかなぁ


 この先の展開を安価で決めたいと思います。参加していただけると幸いです。

◇◆◇◆◇

 アクア
 ジョーカー
 ギュンター 
 フェリシア
 フローラ
 ラズワルド
 ピエリ
 ゼロ
 オーディン
 カミラ
 ベルカ
 ルーナ
 エリーゼ
 ハロルド
 エルフィ
 サイラス
 ニュクス
 ブノワ
 シャーロッテ
 モズメ
 リンカ

 支援イベントのキャラクターを決めたいと思います。

 >>470>>471

(すでにイベントが発生しているキャラクターで起きた場合はイベントが進行します)

◇◆◇◆◇
進行する異性間支援の状況

1アクア×ゼロ C
2ジョーカー×フローラ A
3ラズワルド×ルーナ C
4ラズワルド×エリーゼ C
5オーディン×ニュクス C
6サイラス×エルフィ C
7モズメ×ハロルド C
8ブノワ×フローラ C

 この中から一つ>>472
(話をしている組み合わせと被った場合は、そのかぶったものの一つ下の数字になります)
 
◇◆◇◆◇
進行する同性間支援

1ジョーカー×ハロルド C
2フェリシア×ルーナ A  
3フェリシア×エルフィ C
4フローラ×エルフィ C
5ピエリ×カミラ C
6エルフィ×モズメ C
7アクア×リンカ B
8ベルカ×エリーゼ C

 この中から一つ>>473

(話をしている組み合わせと被った場合は、そのかぶったものの一つ下の数字になります)

乙でしたー
ヒノカ姉さん白夜主人公してるな
安価ならシャーロッテ

乙 カミラ
王族の中で一人あまり活躍していない空気がいる

アクア

3

◇◆◇◆◇◆

カミラ「ねぇ、シャーロッテ。ちょっといいかしら?」

シャーロッテ「えへへ、カミラ様が私に声を掛けてくださるなんて、どうかしたんですか?」

カミラ「ええ、ちょっとね。この頃、あなたが駐屯地の団長とよく話してるって聞いたから、仲がいいのかしら?」

シャーロッテ「駐屯の……はい、とっても仲良しなんですよ。今日もお弁当を渡してあげたんですぅ」

カミラ「………ねぇ、シャーロッテ。あまり言いたくはないことだけど、その団長はやめておきなさい」

シャーロッテ「もしかして、カミラ様の好みの方なんですか?」

カミラ「ふふっ、天地がひっくりかえってもそれはないから安心して頂戴」

シャーロッテ「ならなんでですか?」

カミラ「……あまり良くない噂を聞いているわ。シャーロッテは知らないかもしれないけど」

シャーロッテ「良くない噂ですかぁ?」

カミラ「ええ、いろいろな女性に手を出してるって、酷い目にあわされた子もいるって聞いているから、ちょっとあなたの耳にも入れておくべきだと思ったのよ」

シャーロッテ「そうなんですか。でも、噂なんですよね?」

カミラ「そうね、悪い噂かもしれないけど……」

シャーロッテ「そうですか。ふふっ、いい男には悪い噂の一つや二つあるものですよぉ。特にお金持ちは」ペロッ

カミラ「えっと、シャーロッテ?」

シャーロッテ「なんでもないですぅ。あっ、そろそろ訓練の時間ですから、失礼しますね、カミラ様」

カミラ「あ、シャーロッテ」

カミラ「……大丈夫かしら? 心配ね」


【カミラとシャーロッテの支援がCになりました】

◇◆◇◆◇◆

ルーナ「……」

ラズワルド「やぁ、ルーナ」

ルーナ「ラズワルド……」

ラズワルド「……どうしたんだい。なんだか気落ちしてるみたいだけど」

ルーナ「ちょっとね……」

ラズワルド「まだ、不安に思ってたりするのかい?」

ルーナ「そう簡単に楽観的になれるもんじゃないわ。たしかにカムイ様について行くことを迷ったりしてないけど……」

ラズワルド「じゃあ、どうして不安なんだい?」

ルーナ「私たち、役に立ててるのかなって、思うの」

ラズワルド「……」

ルーナ「私たちが知っていること、口に出せないことはわかってる。だからカムイ様のためにできる限りのことをしてあげたいって思うのは確かよ。でも、それが結果的にカムイ様の役になっているかは、わからないから」

ラズワルド「ルーナ……」

ルーナ「カムイ様は否定はしないと思う。私たちが役に立ってるって言ってくれるはずだから……。でも、本当なら私たち、戦いを回避するために動くべき立場にいるのに、言われたとおりに戦ってるだけだから……」

ラズワルド「……ルーナはカムイ様の役に立ててないって思ってるってことかな?」

ルーナ「そ、そういうわけじゃないわ。カムイ様の命令には従うし、それが今できることだから」

ラズワルド「だったらそれでいいんじゃないかな。今、僕たちにできることはカムイ様の命令に従うことだけなんだから」

ルーナ「……そうね。ごめん、また弱気になってたみたい」

ラズワルド「いいよ、それに前約束したからね。気が滅入ったりしたら、力になるって。一緒に戦いを続けてきた仲間なんだから、困ったことがあったら力になるのは当たり前だよ」

ルーナ「ラズワルド……」

ラズワルド「それに、元気な時のルーナのほうが、やっぱり可愛いからね。うん、久しぶりにこれからお茶でもどうかな?」

ルーナ「……そういうところ直しなさいよ。まるで成長しないわね、あんた」

ラズワルド「えぇ……」



【ラズワルドとルーナの支援がBになりました】

◇◆◇◆◇◆

ピエリ「カミラ様!」

カミラ「あら、ピエリ。今日はどうしたのかしら?」

ピエリ「ピエリ、カミラ様にまたあれしてもらいたいの。だから来たのよ」

カミラ「あれ?」

ピエリ「あれなの、あーんっていうあれ、またしてもらいたいの」

カミラ「あらあら、嬉しいこと言ってくれるわね。ふふっ、少し待ってて頂戴。おいしい紅茶、準備してあげるわ」

ピエリ「うれしいの! カミラ様、ピエリにいっぱい用意してくれるから大好きなの」

カミラ「ふふっ、可愛いこと言ってくれるのね。サービスでお菓子も付けちゃうわ」

ピエリ「にひひっ、ピエリうれしいの!」

カミラ「でも、あーんしてもらいたいなんて、本当に子供みたいなことをいうのね」

ピエリ「なら、カミラ様はピエリのお母さんなの! お母さんは子供に甘いの!」

カミラ「お母さんね……ピエリのお母様は、私みたいな人だったのかしら?」

ピエリ「うーん、多分そうなの」

カミラ「多分?」

ピエリ「それよりも、お母さん、お菓子ほしいの。あーんしてほしいの!」

カミラ「……ピエリ、あーん」

ピエリ「あむっ、おいしいの! ピエリ、とっても嬉しいのよ」

カミラ「?」

ピエリ「こんな風にいっぱい甘えられらて嬉しいの。カミラ様は、ピエリのお母さんなの!」

カミラ「そう……まだいるかしら?」

ピエリ「うん、いっぱいいっぱいあーんしてほしいのよ」

カミラ「……そう、それじゃ、あーん」

ピエリ「あーん、んーっ、おいしいの!」

カミラ「……ピエリ」

カミラ「この甘え方は、駄目よ」





【カミラとピエリの支援がBになりました】

今日は支援だけになります。本篇は明日で

 昔やってた樹帝戦記を久々にやって難しさにビビった。


 この先の展開を安価で決めたいと思います。参加していただけると幸いです。

◇◆◇◆◇
 サクラが話し掛けるキャラクター

 カムイ
 カザハナ
 ツバキ
 レオン
 シャーロッテ
 モズメ
 ハロルド
 ラズワルド

 >>480

◇◆◇◆◇
 社交ダンスの練習をするチーム

1女性ダンスチーム
2男性ダンスチーム
3レオン×カザハナチーム

>>481>>485
 同点の場合は>>486の決選投票で決まる形になります。

 

乙でした

安価ならシャーロッテでお願いします

3

1

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・レオン邸―

サクラ「……んんっ……ふぁ~。んー」

サクラ「朝、ですね。ううっ、ダンスの練習で、ちょっと体が重たいですけど……? あれ、シャーロッテさん、どちらへ?」

シャーロッテ「サクラ様。もう起きてるんですか、まだ眠っていても大丈夫な時間ですよぉ」

サクラ「それはシャーロッテさんも同じですよ。こんな朝早くからどうしたんですか?」

シャーロッテ「ちょっと、お湯浴びに行くところなんです」

サクラ「お湯浴びですか?」

シャーロッテ「メイドさんに聞いたら使ってもいいって言われたから、ちょっと楽しみなんです。まぁ、ちょっと疲れが溜まっちゃうから、今日だけにしようと思いますけど」

サクラ「そうなんですか。いいですね、私もしたことないからちょっとうらやましいです」

シャーロッテ「……よかったら、一緒にどうです?」

サクラ「え、でも、シャ―ロッテさんが聞いて許可をもらったんですから」

シャーロッテ「いいのいいの、今さら一人増えたところでレオン様が気にすることはないと思いますし……。それと、昨日サクラ様がお風呂に入るって言った時に、レオン様が浴室ギリギリまでついて来たことも気になってましたからぁ」

サクラ「あ、あれはですね……その」

シャーロッテ「心も体も裸にして話し合いましょう、サクラ様」

サクラ「……しゃ、シャーロッテさん。少し怖いです」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 チャポーン

サクラ「その、レオンさんは私たちの入浴の監視をされてるだけなんです」

シャーロッテ「え、なんなんですかそれ? レオン様ってそういうのぞき見趣味があったんですか?」

サクラ「そ、そういうわけじゃないんです」

シャーロッテ「いやいや、今の説明だけじゃ。『捕虜にした敵国の王女とその臣下の入浴を監視するむっつり王子』っていう印象しかないんだけど」

サクラ「ち、違います。レオンさんはそういうことをする人じゃないです。それに監視って言っても扉越しにですし」

シャーロッテ「ちょっと待てよ、それじゃ『扉越しに敵国王女の入浴中効果音に聞き耳を立てる変態』ってことに……。サクラ様の入浴音声で妄想してるむっつり王子じゃん」

サクラ「そ、それもないと思います。……思います」

シャーロッテ「自分で考えて不安になってるっていうことは、少し思い当たる節があるわけ?」

シャーロッテ(マジかよ。点数稼ぎしようと思ったけど、レオン様にこんな趣味があったなんて……いや、カムイ様を考えればある意味納得できるわね)

サクラ「そ、そんなのありません! あっ、ごめんなさい、その大きな声を出しちゃって」

シャーロッテ「ムキになっちゃう位なんて、レオン様のこと慕ってるんですねぇ」

サクラ「……レオンさんのおかげで、私たちはここまで生きてこれたんですから。私、泣き虫で怖がりで、白夜がしてることを知った時、とっても辛かったんです。でも、レオンさん、私の子と慰めてくれて……」

シャーロッテ「慰められたって……」

サクラ「……そ、そういう意味じゃないですよ!」

シャーロッテ「あれー、サクラ様。何顔を赤くしてるんですか、言葉で慰められたってことくらい、わかってますよ」

サクラ「ううっ、シャーロッテさん。なんか、全然昨日と印象違います」

シャーロッテ「……そうかも。あー、サクラ様はなんかからかい我意があるって言うか。ふふっ、どういう意味で考えちゃったんですかぁ?」

サクラ「……ううっ、今のはなんでもないんです、なんでもないんです////」

シャーロッテ「顔真っ赤にして、何この可愛い生物は」

サクラ「か、可愛くなんて、そんなことないです……」

シャーロッテ「でも、レオン様がそんな趣味じゃないとして、どうしてお風呂を監視することになったわけ?」

サクラ「それは、カザハナさんが私のことを考えて、毎日お風呂に入れるように交渉しに行ったんです。

シャーロッテ「へぇ、あの子ねぇ。足踏まれてすっげー痛かったけど」

サクラ「ご、ごめんなさい」

シャーロッテ「なんでサクラ様が謝るのかわからないんだけど。それで?」

サクラ「最初はレオンさんも私たちのことを捕虜として扱うつもりでしたから……」

シャーロッテ(カザハナがだったら入浴中を監視すればいいじゃない!的なこと言ったってことかな?)

サクラ「そこで、レオンさんが監視するならっていう条件を」

シャーロッテ「カザハナがレオン様に付きつけたってことよね」

サクラ「いいえ、レオンさんが提案してきたってカザハナさんが言ってました」

シャーロッテ「結局、レオン様が原因じゃん。え、レオン様ってそういう人なわけ?」

サクラ「カザハナさんの言葉に挑発されたんじゃないかってツバキさんが言ってました」

シャーロッテ「あー、レオン様も案外子供っぽいところがあるってことね。でも、結局、レオン様は浴室扉前で待機することになってたわけでしょ? 不安にならなかったの?」

サクラ「……不安でした。でも、レオン様、私の不安全部理解してくれて、いつもお風呂に入ってるとき話をしてくれるんです。だからとっても安心できるんですよ」

シャーロッテ「そう、なんだか想像してたのと違うわね」

サクラ「想像してたのですか?」

シャーロッテ「というよりも、昨日のこともそうだけど、サクラ様はどうして私もそうだけど、暗夜の人たちに、すぐ心を開けるのかって、すごく不思議なんです」

サクラ「……私にできることの中で、今できることは信じることだけですから。でも、信じるの意味も少し変えないといけないって思ってるんです」

シャーロッテ「信じる意味ですか?」

サクラ「はい、暗夜の人も白夜の人も、同じ人間なんです。私は暗夜の人とか白夜の人とかじゃなくて、私が信じようって思った人のことを信じたいって思うんです」

シャーロッテ「すごいお人好しね。私が、ここでサクラ様を殺しちゃう可能性だって――」

サクラ「……その時はすごく悲しいです。でも、シャーロッテさんはそんなことしないって信じられますから、昨日ダンスを教えてくれた時、とっても優しく教えてくれましたし」

シャーロッテ「そ、それは。私が素になった時に気を使ってくれたし、サクラ様がちゃんと踊れるようになればレオン様からの印象も上がるかなって」

サクラ「……素直に言うんですね」

シャーロッテ「……幻滅した?」

サクラ「幻滅はしませんけど……、大変だなって思いました」

シャーロッテ「大変よ。男が望む女性像っていう奴を追い求めるとね。まぁ、正直言えば、それを地で行ってるのはサクラ様なんだけどね」

サクラ「わ、私ですか。そ、そんなことないですよ。私……」

シャーロッテ「その仕草とか、自然にできるんだから、その気になればいっぱい男からモテるはずよ」

サクラ「え、シャーロッテさん」

シャーロッテ「決めた。サクラ様、今度の舞踏会で、いっぱい男の目を惹きつけましょう。私とサクラ様なら、楽勝ですから」

サクラ「そ、そんな恥ずかしいこと……」

シャーロッテ「そういうわけですから。舞踏会の日まで、一緒に頑張りましょうね」

サクラ「え、えっと、………はい」

◆◆◆◆◆◆

カムイ「衣装ですか?」

シャーロッテ「今までは、慣れた服で踊ってきましたけど。舞踏会ではそれぞれドレスを着ないといけませんから。ヒラヒラしてて、動き方もちょっと変わっちゃうと思うので」

モズメ「このままの恰好ででたらあかんの?」

シャーロッテ「さすがに社交場だからね。私だっていつもの服で行くわけにはいかないし、今回はカムイ様の王族としてのお披露目式も兼ねてるんだから、私たちはその主催に呼ばれてるってことも考えないといけないの」

モズメ「ドレスなんて着たことあらんよ」

サクラ「わ、私もです」

シャーロッテ「だから、今のうちに選んで慣れておかないとだめなんですよ」

カムイ「私はこのままの恰好になると思うので、大丈夫ですね。皆さんがどんな衣装に身を包んでいるのか、気になりますけど」

シャーロッテ「そうやって、手をワッシワッシ動かすのやめてくれませんか?」

カムイ「仕方ないじゃないですか。触って確認するくらいしか方法がないんですから。あっ、今回は全身を触らわせてもらいますね」

モズメ「カムイ様、にっこり笑顔やん」

サクラ「姉様でも、さすがにそれは駄目です」

シャーロッテ「そうそう。それじゃ、衣装はここにあるからまず、適当に選んでみて。ちなみに私はもう選んであるから」

サクラ「……」

モズメ「……」

シャーロッテ「どうですかぁ?」ボン!

カムイ「といわれまして、私にはわかりませんから。そうですね、少し触ってもいいですか?」ボン!

シャーロッテ「駄目です」ボン!

サクラ「……」ポスポス

モズメ「……」ポスポス

シャーロッテ「……二人とも奇麗に着飾れてるけど……胸元が寒々しいわね」

サクラ「ううっ、気にしていないと言ったら嘘になってしまいます。どうして、暗夜のドレスはこう胸元が……」

モズメ「悲惨や。これ着たら貧相さに拍車が掛るだけやのに」

サクラ「姉様とシャ―ロッテさんは。ふくよかだから、問題なさそうですね……」

シャーロッテ「まぁ、磨いて来たからね」

サクラ「磨けば大きくなるものなのでしょうか? だって……こんなに大きさに違いがあるなんて」

シャーロッテ「そうねぇ。揉むと大きくなるって聞いたことあるけど」

カムイ「そうなんですか。サクラさん、ドレスの確認をしてもいいですか?」

サクラ「駄目ですよ」ニコッ

モズメ「あたいもや」

カムイ「アッハイ」

シャーロッテ「でも、ドレスはちゃんと選べてるみたいだから。サクラ様にはこれを、モズメには……これでいいかしら?」

サクラ「これは花の飾りですか?」

モズメ「頭につけるんか?」

シャーロッテ「ちがうちがう、それ胸元に取りつけて見て」

サクラ「あっ……」

モズメ「なんか、きらびやかになった気がするんやけど」

シャーロッテ「足りない部分はこうやって補うの。ふふっ、二人とも可愛くなってるわ」

サクラ「えへへ、回るとドレスがふわってなります」

モズメ「んっ、でもやっぱりダンスを組み込みながら回るとなると、すこし勝手が違ってくるみたいやけど、なんやろ、あたいじゃないみたいや」

シャーロッテ「ふふっ、女の子は誰だって奇麗なドレスを着れば、お姫様になれるってだけのことだから。ふふっ、サクラ様は思った以上にはしゃいでるみたいね」

サクラ「あうっ、え、えっと……」

シャ―ロッテ「いつもと違う恰好をするのって楽しいでしょ?」

サクラ「は、はい。ありがとうございます、シャーロッテさん」

シャーロッテ「……どういたしまして。それじゃ、一度着たことだし、ちゃちゃっと練習してみましょう」

カムイ「はい、そうですね。それじゃ、サクラさん。一曲お願いできますか?」

サクラ「カムイ姉様……はい、おねがいします」

シャーロッテ「それじゃ、モズメは私とね」

モズメ「……」

シャーロッテ「モズメ?」

モズメ「やっぱりあたいじゃ釣り合わんよ。ドレスは奇麗やし、花も付けてもらえたけど、あたいの顔じゃドレスとかにあわへんよ。そばかすだってあるんや」

シャーロッテ「……まずは少し踊るわよ、モズメ」

モズメ「………」

モズメ「……」

シャーロッテ「やっぱりステップの刻み方とか完璧、もう教えること無くなっちゃったかもしれないわ」

モズメ「うまく踊れても、あたいみたいな子と一緒に踊ってくれる人なんておるんやろうか?」

シャーロッテ「どうしてそう思うわけ?」

モズメ「サクラ様もカムイ様もシャーロッテさんも、美人で可愛いのに、あたいはそこらへんにいるのと変わらへん。もしかしたらそれより下って言っても間違ってないんや。そんなあたいがみんなと一緒に踊ったら、迷惑になるんやないかって」

シャーロッテ「はぁ、何言ってんの。モズメは可愛いから自信持ちなさいよ」

モズメ「お世辞はええよ」

シャーロッテ「そうやって、自分のこと下に見たら、誰も見てくれなくなっちゃうわよ」

モズメ「あたい、戦争が始まる前まで畑耕してただけ、ど田舎の娘なんよ」

シャーロッテ「……」

モズメ「こんな風にきらびやかなドレス着て、ダンスの練習してること自体、本来ありえへんことやったから。田舎娘は田舎娘らしく……」

シャーロッテ「はぁ、モズメ。私も平民の出でね、あんたがいうところの田舎娘と大して変わらないの」

モズメ「え、そうなん?」

シャーロッテ「そう。色々頑張ってきて私はここにいる、あんたの言い分にそうですかって言ったら、あたしがここにいることが場違いってことになっちゃうじゃないの」

モズメ「そ、そんなつもりで言ったんじゃないんよ。あたいにはもったないないって――」

シャーロッテ「そんなことないって言ってんだろ! まったく、あ、ここでターン!」

モズメ「!」クルクルクル シュタッ!

シャーロッテ「ほら、ドレス着た直後なのに、もう華麗に回れる。この時点で、昔の私より全然うまく出来てるわ」

モズメ「それは、シャーロッテさんが教えてくれたからで」

シャーロッテ「だったら、私がモズメのこと評価してるんだから、ちゃんと胸張って頂戴。そうじゃないと、私の教えてきた時間が無駄になるから」

モズメ「……シャ―ロッテさん」

シャーロッテ「はいはい、踊ってる間はそんな顔駄目だから。ちゃんと、相手の顔を見てメロメロにしてあげるつもりで接しないと」

モズメ「そ、そんなことあたいできへんよ!」

シャーロッテ「冗談冗談」

モズメ「ふふっ、騙すなんてひどいわー」

シャーロッテ「ようやく笑ったわね。モズメは笑うととっても可愛いんだから、そこ忘れちゃ駄目よ。男を落とす一本目の武器だから」

モズメ「でも、このそばかすとかは、消せへんから」

シャーロッテ「そこは私に任せて。このあと、お化粧について教えてあげるから」

モズメ「お化粧か、初めてやから、おて柔らかにお願いや」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

サクラ「やっぱり、少し動きづらいですね。ちょっと、ステップがうまくいきません」

カムイ「そんなことないですよ。ふふっ、こうやってサクラさんとダンスをするなんて、世の中おかしなことになるものですね」

サクラ「そうですね……、でも、今こうやって一緒に踊ってることは、おかしなことじゃないんです」

カムイ「サクラさん?」

サクラ「戦争なんて起きてなくて、暗夜と白夜の交流が活発だったら、私たちはこうやっていたかもしれないんですから」

カムイ「……そうですね。となると、レオンさんが白夜の伝統舞踊の練習を皆さんから教わっているなんていう光景もあったのかもしれませんね」

サクラ「ふふっ、でもレオンさんなら簡単に覚えてしまう気がします」

カムイ「そうですね。いや、もしかしたら手こずるかもしれません。その時は私とサクラさんで支えてあげましょう」

サクラ「はい、もしもそんな日が来てくれたら……来てくれたら……」

カムイ「シャーロッテさん。サクラさんと一緒に、少しだけ外で休んできます」

シャーロッテ「わかりましたぁ」

カムイ「サクラさん」

 ガチャ バタン

サクラ「……」

カムイ「……失礼しますね、サクラさん」

 ダキッ

サクラ「……そんな日なんてのぞんじゃいけないのに」グスンッ

カムイ「サクラさん」

サクラ「わかってます。でも、ここはとっても優しい場所だから……ふと、そんなことを思ってしまうんです」

カムイ「……」

サクラ「姉様」

カムイ「なんですか、サクラさん」

サクラ「姉様は何を目指して戦っているんですか?」 

カムイ「正直、それが今はわかりません。何を目的に戦えばいいのか、それを決めるにはまだ私には情報が足りないんです」

サクラ「レオンさんから聞きました……姉様の大切な従者の方が死んでしまったって」

カムイ「ええ、私のミスで死んでしまいました」

サクラ「私、とても怖いんです。いつか、レオンさんから姉様が死んでしまったって、聞かされる日が来てしまうんじゃないかって。レオンさんに私たちを託してくれた姉様が……」

カムイ「サクラさん……」

サクラ「姉様、この戦いに正義はあるんですか。白夜にも暗夜にも正義はあるんですか……」

カムイ「……そう言われると、どちらにも正義なんてものはもしかしたらないものなのかもしれませんね。先に白夜を襲撃した暗夜と、民や他の国を犠牲にして戦いを続ける白夜。どちらもやっていることは、正義と語るには、いささか血なまぐさすぎる気もします」

サクラ「なら、なんで争いは終わらないんですか。正義がないのに、なんで……」

カムイ「しかたないですよ。それが戦争で」

「私たちが今いる、現実なんですから」

今日はここまで

 シャーロッテは全般的にか弱い女の子の味方なイメージ

 そろそろ番外挟むかも

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・クラーケンシュタイン城―

ガロン王「マクベスよ。準備はどうだ?」

マクベス「はい、式典の準備のほうは整っております。ですが、地方部族の長たちへも出席を促すとは」

ガロン王「我が子の晴れ舞台を、多くの者に見てもらいたいだけのことだ。くっくっく」

マクベス「……なるほど。ところで、私をお呼びした本当の理由をお聞かせください」

ガロン王「そうであったな。マクベス、貴様に式典会場の護衛、その準備と当日の指揮を任せる」

マクベス「私にですか?」

ガロン王「不満か?」

マクベス「い、いえ。そんなことはありませんガロン王様からご命令とあらば」

ガロン王「そうか、お前が式典会場の護衛を全うすることで、カムイやその仲間たちがお前を見る目も変わるだろう」

マクベス「……ガロン王様の心遣い、ありがたく思います……」

ガロン王「ならば、すぐに準備に取り掛かるがよい。式典までの時間は短い故な」

マクベス「承知いたしました。それでは、ガロン王様。失礼いたします」

ガロン王「うむ」

 ガチャ バタン

マクベス「……ガロン王様、カムイ王女たちに私がどう思われているかくらい理解していると思いますが……」

マクベス「……会場の護衛程度で彼らが私を見る目を変えるとはとても思えない……いや、私が会場を護衛するという時点で疑心の目を向けられかねないのですが……。

マクベス「しかし、ガロン王様から直々に命令を頂いたのですから、最善を尽くす必要がありますね…。しかし、事前に話もせずに、物事を進めるというのは……」

マクベス「……仕方ありませんね。できれば話などしたくはありませんが、これもガロン王様のためです……」

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・レオン邸―

レオン「……なんのようかな? 連絡もなしに来てもらっても、正直困るんだけど」

マクベス「すみません、レオン王子。私も事前に連絡できればと思っていたのですが、急に色々とことが決まりましてね。時間の関係もあって、すぐに至らなければいけなくなりましてね」

レオン「僕に用事なら手短にお願いできるかい。正直忙しい身なんでね」

マクベス「いいえいいえ、レオン王子の時間はとらせません。ご安心を」

マクベス(足を時々擦ってますが、膝でも打ったのでしょうか)

レオン「僕に用事じゃないのかい。なら、誰に……」

マクベス「カムイ王女です」

レオン「姉さんに」

マクベス「ええ、先ほど北の城塞まで足を運びましたが、カムイ王女は昨日からレオン王子の屋敷に泊まられていると聞いたので、こちらに伺っただけの話です」

レオン「そんなことを言って、何か探りを入れているつもりじゃないだろうね?」

マクベス「なんですか、私は何も言っていませんよ。それとも、何か思い当たる節でもあるというのですかな、レオン王子」

レオン「それはないよ。すぐに疑うマクベスの態度はどうなんだい? 僕たち王族に対する接し方とは思えないよ?」

マクベス「これは失礼いたしました、レオン王子。では、カムイ王女を呼んでは頂けませんか?」

レオン「………わかった。そこで待て」

マクベス「はい、お待ちいたしますね」

マクベス「………」

マクベス「………ふむ」

メイド「マクベス様、どうぞ、紅茶です。ゆっくりお待ちください」

マクベス「これは、これは、ありがとうございます」ズズッ

マクベス(さて、カムイ王女とどうやって話をするべきでしょうか。まぁ、あまり良い話し合いになるわけはありませんので、手短に終わらせるべきでしょうが……)



マクベス「……遅いですな」


マクベス「……ふむ」




マクベス「……もう結構経っている気がしますが……」

マクベス「遅い、遅すぎますね……レオン王子は自宅でカムイ王女を見つけられないというのですか?」



???「やはり、ターンが難しいですね。もう少しうまく決められるといいんですけど」

マクベス「ん? この声は……」

カムイ「ふぅ、練習も一段落しましたから……?」

マクベス「……長いことを待たされましたが、ようやく来られたようですね」

カムイ「……マクベスさん」

マクベス(さすがに、警戒されますか。まあ仕方ありません、これも予想の範疇ですので)

カムイ「レオンさんに用事ですか? すぐに呼んできますけど」

マクベス「あなたに用事があってきたんですよ!」

カムイ「えっ、私にですか。すみませんが、何も話を聞いていないのですが」

マクベス「……レオン王子から、私が話をしたいと聞いてやってきたのではないのですか?」

カムイ「今初めて聞きましたよ。さっきレオンさんにあった時は、練習頑張ってねと応援されたくらいですね」

マクベス「そ、そうですか……」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
カムイ「ふふっ、なるほど。レオンさんがそんな意地悪をしたんですね」

マクベス「笑いごとではありませんよ。まったく、こちらの苦労も考えていただきたいものですな」

カムイ「でも仕方ありませんよ。マクベスさんもそれは重々承知でこちらにいらしたんでしょう。というよりも、城塞ではもっと白い目で見られたんじゃないですか?」

マクベス「……それは別に良いことでしょう」

カムイ「見られたんですね。ふふっ、フローラさんやジョーカーさんに睨まれるなんて、罪な人ですね」

マクベス「……ともかく、そんなことはどうでもよいことです。私としては、こんな不毛な時間はすぐに終わりにしたいところですので」

カムイ「そうですか。それで、御用というのは一体なんでしょうか?」

マクベス「それですが――」



カムイ「式典会場の護衛ですか……」

マクベス「ええ、ガロン王様の期待に添えるためにも、主役であるカムイ王女には話を通しておこうと思いましてね。当日、私だとわかってあなたの機嫌が悪くなるなどあってはなりませんから」

カムイ「ふふっ、そんな風に気遣ってくれるんですか」

マクベス「別に他意はありません。私自身、ガロン王様の要望にお応えするために全力を尽くしたいと思っているだけの話ですのでね」

カムイ「……そうですか……。でも、マクベスさんが会場の護衛をするという話を聞いて、私のテンションは結構下がってますね」

マクベス「………」

カムイ「はぁ、式典に出るのやめてしまいましょうか」

マクベス「それはなりませんよ、カムイ王女」

カムイ「どうしてですか?」

マクベス「ガロン王様は多くの方にカムイ王女の晴れ姿を見ていただきたいと思っておられます。その意思を汲むのが娘であるあなたの役目ですから」

カムイ「……偽りの娘だったとしても?」

マクベス「?」

カムイ「いえ、なんでもありません。でも、そうですね。私はマクベスさんの事を信用しているわけではないんですから、少し身構えてしまうでしょうね。ダンスもぎこちなくなってしまいますね」

マクベス「なら、どうすればよいのですかな? ガロン王様からの命令を反故にするつもりは、毛頭ないので、カムイ王女次第と言わざるを得ません」

カムイ「そうですね。でしたら、一つ提案があるんですが……」ズイッ

マクベス「? カムイ王女、なぜ私の横にくるのですかな?」

カムイ「あの日の続きをしてもいいですか? 私、まだまだマクベスさんのこと、よく知らないんです」

マクベス「な、なにをするつもりですか。ぐっ、カムイ王女」

カムイ「決まってるじゃないですか……」

カムイ「その仮面の下、ぜーんぶ触らせてくれればいいんですよ。ふふっ、あの時は跳ね除けられちゃいましたけど、今回は逃がしませんから」

マクベス「な、そんなことで、あなたは私を信用するというのですか?」

カムイ「ええ、そうですよ。安いものじゃないですか、私に顔を触らせるだけで、今回のことに協力するって言ってるんですから……」

マクベス「……約束、してくれるのでしょうな?」

カムイ「はい。ですから、失礼しますね」ピトッ

マクベス「ぐっ……」

カムイ「ふふっ、やっぱりスベスベしてるんですねマクベスさんは、前は片方の顔しか触れませんでしたけど。今回は仮面の下まで触っていいんですよね」

マクベス「そ、そういうやくそく、ですから。は、早く済ませていただけ――はうっ!」

カムイ「ふふっ、眼尻、やっぱり弱いんですね。みんなの前で思わず息をもらしちゃったときと同じじゃないですか」

マクベス「か、カムイ王女、そ、そこばかり触るのは……あっ、ぐうっ!」

カムイ「そうですか、でも、もしかしたら、こっちにも違う弱点、あるかもしれませんね」カチッ

マクベス「ぐっ、仮面を人に外されるなど、何年ぶりかもわかりませんな」

カムイ「そうなんですか、なら。私がその久しぶりの人ということになるんですね。それはそれで、なんだか嬉しい気持ちになりますね。それじゃ、ふふっ、まず左目の眼尻、触っちゃいますね」

マクベス「!!!!!」

カムイ「ふふっ、やっぱりこっちも敏感じゃないですか。両方の眼尻で感じちゃうなんて、マクベスさんも中々に持ってるんですね」

マクベス「カムイ王女、も、もうこれだけでいいでしょう?」

カムイ「……だめです。まだ、私、まだマクベスさんのこと信用してませんから。もっともっと、触っちゃいますよ」

マクベス「はううっ! んぐっ」

カムイ「……ところで、マクベスさんはお父様のために戦っているんですか? それとも暗夜王国のために戦っているんですか?」

マクベス「な、なんですか、その質問は……」

カムイ「答えてください。マクベスさんが戦うのはどちらのためなんですか?」

マクベス「……私はガロン王様のために戦っています。ガロン王様が暗夜王国を大国へと導いてきた御方ですからね」

カムイ「……そうですか。お父様のこと慕っているのですね」

マクベス「もちろん。ガロン王様の行く先には必ず、暗夜王国の発展が約束されていると言っても過言ではありませんから。私はガロン王様のために力となりつづけるでしょう」

カムイ「そうですか。ありがとうございますね、マクベスさん」

マクベス「?」

カムイ「もう大丈夫ですよ。これだけで十分ですから」

マクベス「カムイ王女?」

カムイ「式典の件、ちゃんと確認いたしました。私も式典の成功に全力を尽くさせていただきますね」

マクベス「そうですか。なにやら、もっと触られると思いましたが。では、今回の件、よろしく頼みましたよ」

カムイ「はい、もう帰られるんですか?」

マクベス「ええ、ここに長いしても、得るものはもうありませんので。それでは……失礼いたします」

 ガチャ バタン

カムイ「……」

今日はここまで

 そろそろ、休息時間終わりになります。
 少しヤーナムで狩人になってくる。

 これからの展開を安価で決めたいと思います。参加していただけると幸いです。

◇◆◇◆◇

 アクア
 ジョーカー
 ギュンター 
 フェリシア
 フローラ
 ラズワルド
 ピエリ
 ゼロ
 オーディン
 カミラ
 ベルカ
 ルーナ
 エリーゼ
 ハロルド
 エルフィ
 サイラス
 ニュクス
 ブノワ
 シャーロッテ
 モズメ
 リンカ

 支援イベントのキャラクターを決めたいと思います。

 >>507>>508

(すでにイベントが発生しているキャラクターで起きた場合はイベントが進行します)

◇◆◇◆◇
進行する異性間支援の状況

1アクア×ゼロ C
2ジョーカー×フローラ A
3ラズワルド×ルーナ B
4ラズワルド×エリーゼ C
5オーディン×ニュクス C
6サイラス×エルフィ C
7モズメ×ハロルド C
8ブノワ×フローラ C

 この中から一つ>>509

(話をしている組み合わせと被った場合は、そのかぶったものの一つ下の数字になります)
 
◇◆◇◆◇
進行する同性間支援

1ジョーカー×ハロルド C
2フェリシア×ルーナ A  
3フェリシア×エルフィ C
4フローラ×エルフィ C
5ピエリ×カミラ B
6エルフィ×モズメ C
7アクア×リンカ B
8ベルカ×エリーゼ C
9シャーロッテ×カミラ C

 この中から一つ>>510

(話をしている組み合わせと被った場合は、そのかぶったものの一つ下の数字になります)

エリーゼ

ハロルド

8

5

◇◆◇◆◇◆
―暗夜王国・王都ウィンダン・エリーゼ邸―

エリーゼ「ふんふーん♪」

ハロルド「おや、エリーゼ様」

エリーゼ「あっ、ハロルド!」

ハロルド「鼻歌交じりに楽しいそうですが、なにやら良いことがあったのですかな?」

エリーゼ「えへへ、今日ね、一つお買い物しちゃったんだー!」

ハロルド「お買い物ですか、荷物を持つ必要がありましたら、このハロルドがお手伝いしましょう。エリーゼ様に多くの荷物を持たせるわけにはいきませんから!」

エリーゼ「ありがとうハロルド。でも、今回は業者の人にここまで運んで来てもらう予定だから大丈夫だよ」

ハロルド「運んでもらうとは、そんなに大きいものですか」

エリーゼ「うん。出来るのに時間もかかるけど、とっても素敵なものなんだ。いつも買ってるものとちがって、お金がいっぱい掛っちゃったけど……」

ハロルド「エリーゼ様は個人的なお買い物はあまりされないのですから、今回のことは多めに見てもらえるはず。むしろ、エリーゼ様自身がほしいと思ってお買い上げになった物のほうが少ないのですから」

エリーゼ「そ、そうかな。みんなから、ぶるじょわだーとか、けつぜいがーとかそんなことを言われないかな…」

ハロルド「大丈夫です。それにそんな風に考える人々を私が説得して見せましょう。ですから、ご安心ください」

エリーゼ「えへへ、ハロルド。ありがとう!」

ハロルド「ちなみに何を買われたのですか?」

エリーぜ「えっとね……。ううん、今は教えてあげなーい」

ハロルド「おや、そうきましたか」

エリーゼ「うん。準備ができたら教えてあげる。ハロルドのこと、びっくりさせてあげるんだから!」

ハロルド「なるほど、その時がとても楽しみです。では、準備ができたら教えてください、エリーゼ様」

エリーゼ「わかったよ、ハロルド!」

【エリーゼとハロルドの支援がCになりました】

◇◆◇◆◇◆
―暗夜王国・北の城塞―

ブノワ「……」

フローラ「あれ、ブノワさん?」

ブノワ「フローラ」

フローラ「どうされましたか? カムイ様なら唯今城塞にはおられませんが」

ブノワ「大丈夫だ、カムイ様に用があったわけではない。その…フローラに用があって来た」

フローラ「わ、私にですか?」

ブノワ「ああ……」

フローラ「……」

ブノワ「……」

フローラ「あ、あの。用というのは」

ブノワ「……先日の件だ」

フローラ「先日、ああ、熊のことですね……。もしかして根に持っておられるのですか?」

ブノワ「い、いや…そうではない。確かに俺はよく見た眼で怖がられることが多い、だからフローラが言ったことは…間違いではないからな」

フローラ「そうですか。では、先日の件とは一体なんでしょうか? そのこと以外でブノワさんが私を訪ねてくる理由を考えられません」

ブノワ「なぜ、そう思うんだ?」

フローラ「……少し言葉が過ぎましたから。私は従者として人に仕える身でありますけど、私個人は人に仕えるなんていうのがとても似合わない、そんな人間なんですよ」

ブノワ「……俺は…そうは思わない」

フローラ「えっ?」

ブノワ「フローラは俺を心配してくれた。熊と対峙している大男、しかもこんな人相だ。普通なら…誰も声など掛けてはくれない」

ブノワ「だが、フローラは声を掛けてくれた。熊に襲われているのではないかと心配してくれた、俺はそれが純粋にうれしかった」

フローラ「……そんな風に言われると、なんだか照れてしまいます。でも、それを伝えにわざわざここまで?」

ブノワ「ああ、迷惑だったか?」

フローラ「ふふっ、迷惑じゃありませんよ……。むしろ、私がお礼を言うべき側です。ありがとうございます、ブノワさん」

ブノワ「……礼を言うのはこちらだ……心配してくれて、ありがとう」

フローラ「ふふっ、これじゃいつまで経ってもお礼の言い合いが終わりませんね」

ブノワ「そうだな……その、また遊びに来てもいいか?」

フローラ「はい、いつでも遊びに来てください。今度はおいしい紅茶をお淹れしますね」

ブノワ「ああ……」

【ブノワとフローラの支援がBになりました】

◇◆◇◆◇◆
―暗夜王国・王都ウィンダム・カミラ邸―

ピエリ「カミラ様、急にピエリのこと呼んでどうしたの?」

カミラ「ええ、ちょっとね」

ピエリ「そうなの、いっぱいお菓子持ってきたから、今日もお母さんみたいにあーんしてもらいたいの」

カミラ「ええ、構わないわ。でも、私のことをお母さんって呼ぶのはもうやめにしましょう?」

ピエリ「……カミラ様、もしかしてピエリのこと嫌いになったの?」

カミラ「………」

ピエリ「ひどいの、ピエリ、まだカミラ様のことお母さんて呼びたいの。呼びたいのに、うううっ、びええええええええん。ピエリ、カミラ様に嫌われちゃったの……」

カミラ「嫌いになんてならないわ。むしろ好きよ、ピエリのこと」

ピエリ「ならどうしてなの? なんでピエリ、カミラ様のことお母さんって呼んじゃいけないの?」

カミラ「それはそうよ。ピエリにとってのお母様は一人だけ、あなたを産んでくれた人はこの世に一人しかいないの。それを私に置き換えるのはとてもよくないことだから」

ピエリ「カミラ様……」

カミラ「ピエリが私のことをお母さんのようだって言ってくれたのは嬉しいわ。けど、ピエリにだってお母様との思い出がちゃんとあるはずよ。それを私は奪いたくないの」

ピエリ「カミラ様……」

カミラ「ピエリは大切な仲間よ。甘えられることは嫌いじゃないわ。でも、こういう甘え方はピエリに取ってもよくないこと、だから私をお母さんと呼ぶのはもうおしまいにしましょう」

ピエリ「……」

カミラ「……」

ピエリ「わかったの……」

カミラ「ピエリ……ごめんなさい」

ピエリ「……カミラ様はお母さんじゃないの、それだけは今わかったの。カミラ様には無理言ってた気がするの、ピエリのほうこそ、ごめんなのよ」

カミラ「……いいえ、本当に謝らないといけないのは私の方よ。どうやら、あなたの心の傷に触れてしまったみたいだから」

ピエリ「カミラ様の所為じゃないの……。ピエリ、いつかお母さんのこと思い出せるの?」

カミラ「ええ、でも今はその時じゃないから、胸の中にお母様のことはしまっておきなさい」

ピエリ「どうしてなの?」

カミラ「いつか、あなたにお母様のことを思い出させるきっかけをくれる人がいるはずよ。その人があなたの辛い思い出も楽しい思い出も受け止めてくれるはずだから」

ピエリ「カミラ様はその人になってくれないの?」

カミラ「……ええ、ごめんなさい。私ができることは、はい、あーん」

ピエリ「……あーん」

カミラ「その人が現れるまで、ピエリと一緒に待ってあげることだから」

ピエリ「カミラ様……わかったの。ピエリ、その時が来るまでずっと待ってるのよ」

カミラ「そう……ピエリは強いのね」

ピエリ「ピエリ強いの、強いのが自慢なのよ! それじゃ、一緒に待ってくれるカミラ様にピエリがあーんで食べさせてあげるの! あーん、なのよ!」

カミラ「あーん。ふふっ、おいしいわ」

ピエリ「ピエリ、カミラ様のこと大好きなの」

カミラ「ありがとう、ピエリ」

【カミラとピエリの支援がAになりました】

本篇はいつもの時間くらいに

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・王都ウィンダム・レオン邸―

レオン「姉さん。なんでマクベスと話なんかしたんだい。何の意味もないことくらい……」

カムイ「たしかにマクベスさんを信用しているかと言われれば、信用していませんよ。一度、貶められた身ですからね」

レオン「なら、尚更どうして……」

カムイ「今回は状況が違います。今回の式典は私を中心に行われますし、マクベスさんからすればお父様から直々の指名ですから、約束通り全うしてくれるでしょう」

レオン「やけにマクベスの肩を持つんだね……」

カムイ「肩を持っているわけではありませんよ。ただ、マクベスさんがお父様を慕っている以上……、今回の件で何かしらの邪魔をするとは考えにくいですから」

レオン「……なんで、そう考えられるのか不思議でしょうがないよ。信用してないって言っているのに」

カムイ「今回の件に限った話です。まぁ、マクベスさんとしては私が大きな脅威となりえない、そう考えているのでしょう。シュヴァリエの一件で私に対する部族の方たちの評価も右肩下がりです」

レオン「それを引き起こしたのがマクベスなのに、どうして」

カムイ「……そうですね。私が取るべきこと、それを選ぶためでしょうか……」

レオン「選ぶため?」

カムイ「私が戦う理由、この力を使う理由、それを私は探しています。今に至ってそんなことを言うなどと虫がよすぎる気もしますが、前に言いましたよね? これからは選び引き寄せると」

レオン「うん、姉さんはそう言ってたね」

カムイ「そのつもりですが、まだその引き寄せる方向が決まっていないんです。恥ずかしい話ですけど」

レオン「……その決まっていないことと、マクベスと話をすることになんの関係があるんだい?」

カムイ「……戦う理由というのを聞いてみたかったんです」

レオン「戦う理由?」

カムイ「はい、サクラさんから聞かれたんです。何を目指して戦っているのかと。それに私は答えを出せませんでした」

レオン「……」

カムイ「多くのことを聞かれました。暗夜と白夜に正義はあるのかと、無いなら戦争を続ける必要があるのかと」

レオン「サクラ王女らしいことを聞いて来たね」

カムイ「それに私は思ったとおりに答えました。でも、争いが続く理由そのものの意味、その答えを出せませんでした」

レオン「……」

カムイ「だから、マクベスさんに聞いてみたんです。何のために戦っているのかと、正確には選んでもらったと言ったほうがいいですね。お父様のために戦っているのか? それとも暗夜王国のために戦っているのか?と」

カムイ「マクベスさんはお父様のために戦っていると答えてくれました。マクベスさんからすればお父様のために戦うことは、暗夜王国のためとなっているのかもしれません。どちらにせよ、マクベスさんはマクベスさんの戦う理由を教えてくれました」

レオン「父上のためにマクベスは戦っている。でもそれがわかってどうなるっていうんだい?」

カムイ「マクベスさんが私を陥れようとしたのは、私がお父様に不利益を与える存在であると考えたからです。そこにはマクベスさんが信じる正義がある。私はそう思いました」

レオン「そんなものが正義だなんて、姉さんはそんなことを言うのかい、あいつはただ自分の地位を維持するために、姉さんを嵌めただけに決まってる」

カムイ「そうかもしれません。リリスさんを失うことになったマクベスさんの所業を、正義と呼ぶには血なまぐさいものがあります」

レオン「だったら!」

カムイ「でも、まだなにも掲げることのできない私に比べれば、マクベスさんはその正義のために人を、物事を、そして自身の感情さえ犠牲にできる方です。だから、わざわざ私に会いに来て、私の願いを聞き入れた。私なんかよりも自分の正義を貫ける、そういう人なんでしょう」

レオン「……ごめん、姉さん。少し一人にさせてくれないかな……」

カムイ「レオンさん」

レオン「お願いだ……」

カムイ「……はい、わかりました。今日はもう遅いですから、部屋に戻らせていただきますね。明日もダンスの練習頑張りましょう」

レオン「……」

 ガチャ バタン

レオン「……私情に流された僕は、マクベス以下だっていうのかい。姉さん……」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

カムイ「……」

ツバキ「あれ、カムイ様じゃないですかー」

カムイ「その声はツバキさんですか?」

ツバキ「そうですよー。どうしたんですか、なんだか顔色が優れないようですけど」

カムイ「いいえ、なんでもありませんよ。ツバキさんもどうしたんですか、こんな時間に」

ツバキ「珍しく寝付けなくて、それで邸内を少しふらふらしてたんですよー。今日は特に月が奇麗ですから、お団子とかあったら食べたくなりますねー」

カムイ「そうなんですか。月というのはどういう形をしているんでしょうか、もうかなり前のことで覚えていませんけど、丸いんですよね?」

ツバキ「丸だけじゃないですよー。半円だったり、ちょっと功を描くだったり、いろいろと形が変わりますから」

カムイ「月は一つだけなのにですか?」

ツバキ「そうですよー。月はその物体の名前ですけど、見方によって名前を変えるんですよ」

カムイ「ふふっ、そうなんですか。いろいろな形があるんですね」

ツバキ「そうですねー。ところで、なにか考え事でもしてたんじゃないんですかー。よかったら話、聞きますよー」

カムイ「いいんですか?」

ツバキ「いいですよー」

カムイ「……その、ツバキさんは、何のために戦っていましたか?」

ツバキ「面白い質問ですねー。んー、俺はサクラ王女を守るために戦ってましたよー。俺が守るべきはサクラ様ただ一人ですから、何時だって死ぬ覚悟は出来てます。でも、サクラ様よりも後に死ぬのだけは嫌ですねー。この体の命が尽きる寸前まで、主君を守るために俺はいるんです。だから、捕らえられて、カムイ様がサクラ様を最初に切ろうとした時は、怒りに狂うところでしたよー」

カムイ「……あの時は、申し訳なかったです。ごめんなさい」

ツバキ「いいんですよー。結果的に、俺たちはここで生きながらえてますから、でも、カムイ様のさっきの質問には異を唱えたいかなー」

カムイ「?」

ツバキ「戦っていましたか?じゃなくて、戦うにしてください。サクラ様の臣下じゃなくなってしまうこともあるかもしれないけど、その時までは俺はずっとサクラ様のために戦い続けるんですから。今、盗賊が襲って来て、そいつらがサクラ様の命を狙っていたとしたら、命がけで戦ってサクラ様を守ります」

カムイ「……そうですね。確かに質問の言葉は間違いでした」

ツバキ「いいんですよー。でも、残念です。こんなに奇麗な月は久々なのに、カムイ様はそれが見えないなんて」

カムイ「……見ることができないのは残念ですが、ツバキさんが教えてくれたから今は月が出ているってわかります」

ツバキ「そうですかー。そうだ、よろしければ隣座ります?」

カムイ「いいんですか?」

ツバキ「……はい。それに、一人で月見っていうのも、なんだか寂しいものですから」

カムイ「では、お言葉に甘えさせてもらいますね……」

ツバキ「本当にここにいると戦争なんてものを忘れそうになりますよー」

カムイ「サクラさんも言っていました。ここはとても優しい場所だと」

ツバキ「ええ、だからもしもなんてことを考えちゃったりもします。戦争なんて嘘なんじゃないかって、思わないわけじゃないんです」

カムイ「……」

ツバキ「でも、いずれ俺たちもそこに戻ってくことになるんです。いずれ巻き込まれちゃうことくらい理解してるんですよー。だけど、俺には巻き込まれても戦い続ける理由がありますから、迷うことはありませんよー」

カムイ「……ふふっ、サクラさんですね」

ツバキ「さっき言ったことだから、すぐにわかっちゃいますよねー。闘う理由なんて人それぞれ、まるで月みたいだなって思うんですよ…」

カムイ「月みたい……ですか?」

ツバキ「ほら、月は呼び方は同じだけど、いろいろと形を変えて、その度に呼び方も変わる。でも、どんなに変わってもそれは月だから」

カムイ「面白い例えですね。私も色々な形の月を見てみたいものですけど」

ツバキ「……そうだね。カムイ様、手を出してもらえるかなー」

カムイ「? どうぞ」

ツバキ「失礼するよー。えっと、これが……満月」

カムイ「んっ、くすぐったいです。ツバキさん」

ツバキ「ごめんごめん、でも、手のひらに書いて教えるのが一番かなって思って。これが……弦月って言って――」

カムイ「んっ、んくゅ」

ツバキ「!」

カムイ「ど、どうしました?」

ツバキ「いえ、なんでもないですよー。とりあえず、こんな感じで色々名前がありますねー」

カムイ「ふふっ、いろいろな形と呼び方があるんですね」

カムイ「…………」

ツバキ「カムイ様?」

カムイ「いいえ、なんでもありませんよ。ツバキさん、私はこれで失礼いたします。あと少しで、ターンが奇麗に決められそうなんです」

ツバキ「そうなんですか、がんばってくださいねー」

カムイ「はい、それでは……」

カムイ(月を正義に例えるなら、つまりはそういうことなんでしょう……)

カムイ「……でも、私が見つけることになる月というのは、一体どんな形をしているんでしょうか?」

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・フリージア―

スズメ「クーリア様」

クーリア「スズメさんですか、どうかしましたか?」

スズメ「暗夜王国からこのような物が届いています。式典への招待状のようで、クーリア様宛てのようです」

クーリア「珍しいこともあるものですね。一体何の式典かはわかりませんが……多分、カムイ殿絡みのものでしょう」

スズメ「……カムイ王女の噂は本当のことでしょうか?」

クーリア「……そうですね、その噂で多くの部族は今回の件で彼女を見限るかもしれません」

スズメ「クーリア様はどうなされるんですか?」

クーリア「……確かにシュヴァリエの焼き払いと多くの死者の話は耳に届いています。そして、それを率いていたのがカムイ殿であること」

スズメ「……」

クーリア「これだけ聞けば、もうカムイ殿を信じ歩むことは難しいものでしょう。期待していた分だけ失望は山のように増えます、噂だけを鵜呑みにしてきた人々の興味は薄れていくことでしょう」

スズメ「……そうですね」

クーリア「ですが、噂がたとえ真実であったとしても、私たちはカムイ殿を信じることに疑いも迷いもありませんよ」

スズメ「クーリア様」

クーリア「大事な娘たちが暗夜に捕らわれているからではありません。カムイ殿は私達に自治を認める約束を取り付けてくれました。その時に私はカムイ殿を信じると決めています」

スズメ「……はい、私と共にここにやってきた白夜の人々も、クーリア様の決定について行くつもりです。白夜の人たちのことは任せてください」

クーリア「ありがとうございます、スズメさん。招待状は確かに受け取りました。明日にはウィンダムに向けて出発することにしましょう」

スズメ「はい、では私は少しばかり準備に取り掛かりますので、失礼いたします」

クーリア「カムイ殿が目指す先に何があるのかはわかりません。もしかしたら真っ暗な闇かもしれませんし、光り輝くものかもしれません。ですが、それは今は全くわからないものです。噂だけを信じる人には、それは真っ暗な闇だけの可能性になってしまうでしょう」

「でも、そんな闇の可能性を含めても、私たちはカムイ殿との絆を信じることを選びましょう。カムイ殿の行動と言葉を信じて」


休息時間 4 おわり

今日はここまで

 文章ログが
 リリス
<おいしくて幸せです、カムイ様…!>

アサマ
 ま、いくら成長しても、死ぬまでの栄光ですが。

 となっていた件について。

 ベルカが獣のしっぽをあげると喜ぶことを知り、リリスが守備が上がったとき「体が硬くなった気がします」ということも知った。
 

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・王都ウィンダム・レオン邸―

レオン「……」

カザハナ「よっと、うっ、これで……」

レオン「……」

カザハナ「あっ」ムギュ

レオン「……」

カザハナ「ご、ごめん……また踏んじゃって……、レオン王子?」

レオン「…んっ、どうかしたのかい。カザハナ」

カザハナ「いや、その今足踏んじゃったから。ごめん」

レオン「あっ、うん。そうなんだ……」

カザハナ「? どうしたの、昨日までとなんか雰囲気違うよ?」

レオン「……そんなことないよ」

カザハナ「嘘ね」

レオン「……嘘って」

カザハナ「だって、昨日まで足踏んだら文句言ってたのに、今日に限ってだんまりなんてさ」

レオン「それは……」

カザハナ「とは言っても練習に集中してるってわけじゃないみたいだし。あたしが足踏んじゃったのに気付かない位なのに?」

レオン「……」

カザハナ「ねぇ」

レオン「その、心配してくれてるってことかな?」

カザハナ「そ、そうじゃないから、あんたが調子悪いと練習できないから、ただそれだけだから……」

レオン「それもそうだね……ごめん、少しだけ休んでいいかな。カザハナに踏まれたって思い始めたら、足が急に痛くなってきたからね」

カザハナ「休む理由をあたしが足を踏んだことにするのはずるいよ」

レオン「……それもそうだね、ごめん」

カザハナ「わかればいいの。それで、何考えてたの?」

レオン「はぁ、カザハナにも気づかれるなんて、思ってもいなかったから」

カザハナ「何よ、心配しちゃ悪かった?」

レオン「心配してないんじゃなかったのかい?」

カザハナ「うっ……そのさ、あたしじゃ、力になれないかなって」

レオン「?」

カザハナ「そのさ、あんたにはサクラ様のこと守ってもらってるし、こうやってダンスの手解きしてもらってるから。その、恩を返したいっていうか……その、役に立ちたいっていうか」

レオン「……」

カザハナ「な、何よその顔」

レオン「いや、まさかそんなことを言われるとは思っていなかったから……カザハナの方こそ、熱でもあるんじゃ」

カザハナ「熱なんてないから! なによ、人が心配してるのに、それとも、あたしじゃ力になれないってこと?」

レオン「……いや、そんなことはないよ。実際は考えてるっていうより、悩んでるって言ったほうがいいかもしれない。どうすればいいか、わからなくて」

カザハナ「うん、だったらあたしに話してよ。その……サクラみたいに答えなんて出せないかもしれないけど、ほら、悩みは口に出せばすっきりするって言うし、それにあたしが聞いて何か不利になることでもないでしょ?」

レオン「ははっ、なんていうかカザハナらしい言葉だね……他言しないでくれるかな?」

カザハナ「うん、約束する。だからさ、早く言ってよ。聞くだけならあたしにだってできるんだから」

レオン「……たしかにそうだね」

カザハナ「なんか、若干馬鹿にされた気がするんだけど」

レオン「さぁ、どうだろうね?」

カザハナ「ふーん。まぁいいけど、それで悩み事っていうのはなに?」

レオン「実は――」


~~~~~~~~~~~~~~~~~


カザハナ「戦う理由?」

レオン「戦う理由があるからマクベスは非道なことができると、姉さんは言っていた」

カザハナ「どうして、あんたがそれを気にするのよ。人は人で、それに戦う理由があるからってそれが非道なことを行う理由になるわけないじゃない」

レオン「……姉さんだって、非道な行動を容認してるわけじゃないよ。でも、マクベスにはその戦う理由があって、だから嫌なことも行える」

カザハナ「まさかだと思うけど、マクベスが無理して非道なことをしてるって思ってたり?」

レオン「それはないね。この場合の嫌なことって言うのは……、嫌な奴と話をするみたいなそういうことだよ。僕がマクベスと話をしたくないようにね」

カザハナ「前蹴られたことがあるから、それには同意かな、できればあたしも話したくないし」

レオン「マクベスは姉さんを嵌めたばかりで、それを考えたら姉さんの配下はマクベスに対して疑心の眼差しを向ける、普通なら近寄らない。でも、マクベスはここにやってきた。嫌なことなのにね」

カザハナ「ねぇ、レオン王子」

レオン「ん、何かな?」

カザハナ「まさかと思うけど、マクベスがカムイ様に話をしに来たけど、話したくないからそれを無視するようなことをしたとか?」

レオン「……ははっ」

カザハナ「まさかそんなこと――」

レオン「まぁ、その通りなんだけど」

カザハナ「」

レオン「その、憐れみを込めた眼で見るのやめてくれないかな」

カザハナ「……どうしてそんなことしたのよ。あんたに話があってマクベスは来たわけじゃないんでしょ?」

レオン「マクベスが何かするんじゃないかと思って、その姉さんのことを心配してそうした」

カザハナ「でも、結果的にカムイ様はマクベスと話をしたんでしょ?」

レオン「ああ。そして姉さんは嫌なことも受け入れられるマクベスの方が自分よりも優れている、そんなことを言ってた」

カザハナ「……優れているって」

レオン「だからかな。僕はマクベスよりも劣っているんじゃないかって思ってしまうんだ」

カザハナ「……」

レオン「僕はマクベスが気に入らない。シュヴァリエの一件でそれはもう揺るがない、姉さんを危険に晒したこともそうだし、何を考えているかわからない。そんな奴でも、私情に流されないで目的のために動いてる。僕は私情に流されて、マクベスを邪険に扱った。明らかに劣ってるじゃないか……」

カザハナ「……んかない」ギュッ

レオン「カザハナ?」

カザハナ「劣ってないって言ってんの!」

レオン「!!」

カザハナ「あんたがマクベスより劣ってるわけないよ。こうやって私たちのこと守り通せてるし、グラビティマスターなんてヘンテコな二つ名も持ってるし、あたしにダンス教えてくれてるし」

レオン「その二つ名はやめてくれないか」

カザハナ「いいじゃない」

レオン「よくないよ!」

カザハナ「なんで?」

レオン「そんな二つ名……恥ずかしいからに決まってるからだ」

カザハナ「だったら今回のことも同じように否定しちゃおうよ」

レオン「えっ?」

カザハナ「カムイ様の言葉で、自分の価値観決めちゃってるのに気づいてないの? 本当にカムイ様のこと大好きなんだね、レオン王子は」

レオン「そ、そんなこと……」

カザハナ「でも、何でもかんでもカムイ様の発言を基準に取るのは間違ってるってあたしは思う」

レオン「……」

カザハナ「それにあたしはレオン王子は優しい人だって思ってる。それにちゃんとしてるし、なによりそのかっこいいし」

レオン「……」

カザハナ「だから、その、あの、つまり、人からなんて言われてもレオン王子の価値はレオン王子自身にしか決められないってことを言いたくて……その」

レオン「それじゃ、カザハナの今の意見はどうなるんだい?」

カザハナ「い、今の……その、勢いで言っただけで、その……あー、今の忘れて!忘れないさいよ!////」

レオン「……ははっ、顔真っ赤で否定してるところを見ると、よっぽど恥ずかしかったみたいだね」

カザハナ「しょ、しょうがないでしょ。その、いろいろと変なこと言っちゃったんだから……優しいとか、カッコいいとか……。かっこいいはこの際置いておくけど、優しいって言うのは本当にそう思ってるから」

レオン「?」

カザハナ「だって、まだ私にダンス、ちゃんと教えてくれてるから。本当なら怒って帰ってるかもしれないのに」

レオン「出来ないことに立ち向かうって君は決めた。僕はそれを支える事にしたんだ。今回は、逆に支えられちゃったけどね」

カザハナ「…ははっ、そうかもね。今だけ立場が逆になってるもん」

レオン「だけど、カザハナの言う通りだよ。僕の価値は僕にしか決められない、こんな当たり前のことをずっと忘れていたなんてね」

カザハナ「ま、まあ、その、そういうわけだから。あー、なんかとっても暑いから、ちょっと外で風に当たってくるから、大丈夫すぐ戻ってくるから、追いかけてこないでよ!」

レオン「……ああ、わかったけど、すぐに戻るんだよ。練習を再開しないと、そうじゃないといつまでも立場がこのままだ」

カザハナ「うん、わかってるよ……。でもよかった」

レオン「?」

カザハナ「うん。レオン王子、昨日みたいな顔に戻ってる、やっぱりあんたはそうじゃないと、あたしも調子狂っちゃうから」

レオン「……なら、カザハナのおかげだね。ありがとう」

カザハナ「気にしないでいいよ。あたしは少し助言しただけなんだからさ」

 ガチャ バタン

カザハナ「……あたしってば、恥ずかしいなぁ、もう////」

今日はここまで

 キャラクター人気投票の結果発表まだかなー
 ピエリちゃん、何位かな

 この先の展開を安価で決めたいと思います、参加していただけると幸いです。

◇◆◇◆◇
カムイが話し掛ける人物
  
 ラズワルド
 ハロルド
 ツバキ
 レオン
 サクラ
 モズメ
 シャーロッテ
 カザハナ

 この中から一人>>533


◇◆◇◆◇
進行する異性間支援の状況

1アクア×ゼロ C
2ラズワルド×ルーナ B
3ラズワルド×エリーゼ C
4オーディン×ニュクス C
5サイラス×エルフィ C
6モズメ×ハロルド C
7ブノワ×フローラ B
8エリーゼ×ハロルド C
9ジョーカー×フローラ A

 この中から一つ>>534

◇◆◇◆◇
進行する同性間支援

1ジョーカー×ハロルド C  
2フェリシア×エルフィ C
3フローラ×エルフィ C
4エルフィ×モズメ C
5アクア×リンカ B
6ベルカ×エリーゼ C
7シャーロッテ×カミラ C

 この中から一つ>>535

◇◆◇◆◇
進行するA支援組
(本篇と同じ時間軸で会話をするキャラクターを決める場所で、基本的にA支援以上に達したコンビだけが選べるようになっています。S支援になるものではありません)

1ジョーカー×フローラ
2フェリシア×ルーナ
3ピエリ×カミラ

 この中から一つ>>536

シャーロッテ

8

2

1

ごめんなさい、今日は疲れてしまって、更新は明日でお願いします。

ピエリ20位だったの。

◇◆◇◆◇
―暗夜王国・王都ウィンダム・エリーゼ邸―

エリーゼ「ど、どうしよう……」

ハロルド「むっ、エリーゼ様? どうしました?」

エリーゼ「あっ、ハロルド。ううん、なんでもないの」

ハロルド「いえ、そんな悲しそうな顔で何もないといわれましても、ハロルド力になれることがありましたら、なんなりとお申し付けください!」

エリーゼ「でも……それじゃ、ハロルドとの約束、破っちゃうことになるから」

ハロルド「? どういうことでしょうか」

エリーゼ「……そのね、この前のお買いもの、実は絵画を一つ頼んだの」

ハロルド「絵画ですか。良いですな、一体どんな絵か楽しみです」

エリーゼ「うん、ありがとう。でも、このままじゃ飾れないって気づいちゃったの」

ハロルド「というと?」

エリーゼ「ここに飾りたかったんだけど、額縁の大きさが上回ってるから……」

ハロルド「なるほど、しかし、なぜここに? ここは私とエルフィくんがエリーゼ様に呼ばれた際にお使いになる各自の部屋の近くですが」

エリーゼ「うん、二人に見てもらいたいって思ってる絵だったんだ。きっと気に入ってくれるって思ったから、でも……このままじゃ飾れないから」

ハロルド「エリーゼ様。私たちのことを思って……。ですが、ここに置くのは難しそうです」

エリーゼ「うん」

ハロルド「ならば、エリーゼ様、一緒における場所をお探しします。このお屋敷にはまだまだ絵画を置けそうな場所はあります」

エリーゼ「で、でも、もともと二人に見てもらいたくて」

ハロルド「はい、そのお気持ち確かに受け止めました。ですが、飾れないことでエリーゼ様のお顔が悲しみに沈むことがあってはなりませんからね」

エリーゼ「ハロルド……ありがとー」

ハロルド「それでは、絵画を飾れる場所を探しに行きましょう」

エリーゼ「うん!」


【エリーゼとハロルドの支援がBになりました】

◇◆◇◆◇
―暗夜王国・北の城塞―

エルフィ「フェリシア、前の戦闘でわたしを庇って前に出たのはなぜ?」

フェリシア「な、何のことですか?」

エルフィ「恍けてほしくないわ。あの時の攻撃、フェリシアが前に出てはじく必要なんてなかった、わたしなら問題なく受け切れた攻撃だったもの……」

フェリシア「そ、それは……」

エルフィ「フェリシア、わたしはそんなに頼りないかしら?」

フェリシア「そ、そんなことないです! エルフィさんはとっても強くて優しくて、どんな攻撃が来ても受け止めてくれるって思いますから」

エルフィ「それじゃ、どうして……」

フェリシア「私、まだエルフィさんに恩返しできてない気がするんです」

エルフィ「……それはあの時のことを言ってるの?」

フェリシア「……だって、一歩間違えたらエルフィさんの命を……」

エルフィ「ふふっ、フェリシアは引き摺りすぎよ。わたしはもうあの時のことをもう気にしてはいないわ」

フェリシア「でも……」

エルフィ「あの日、約束したでしょ?あなたが仲間になってくれるなら、わたしはあなたを守る盾になるって、わたしはその言葉の通りにフェリシアを守りたいわ。だからこの前は冷っとしたから…」

フェリシア「エルフィさん……」

エルフィ「フェリシアがもしも、あの攻撃で死んでしまっていたらわたしはとても辛い気持ちになってしまうから…」

フェリシア「でも、それじゃ、いつかエルフィさんが死んじゃいます……。わたしとか仲間とかじゃなくて、もっと自分のこと大切にしてもらいたいんです」

エルフィ「……」

フェリシア「あの時の攻撃が耐えられないものでも、エルフィさんは受け止めに行ってたはずだから……私だってエルフィさんが死んじゃったら……辛くて泣いちゃいます」

エルフィ「……フェリシア」

フェリシア「……ごめんなさい、失礼します」



【エルフィとフェリシアの支援がBになりました】

 本篇はいつもくらいに

◆◆◆◆◆◆
―レオン邸・女子レッスンルーム―

カムイ「ふぅ、これで一段落したところでしょうか?」

シャーロッテ「そうですね。思ったよりもカムイ様、ターン上達しませんでしたから、ようやく及第点ってところです」

カムイ「はぁ、モズメさんが羨ましいです。気配だけでもわかるくらい完璧じゃないですか」

シャーロッテ「飲み込み早いからもう教えること何も無くなっちゃいましたからねぇ。正直、もう教える側に回っても問題ないくらいになってますよ、あれ」

カムイ「そうですか、ところでサクラさんはどんな感じですか?」

シャーロッテ「サクラ様も問題なしです。ふふっ、結果的に言えば最後に形が出来上がったのはカムイ様になりますね」

カムイ「私が最下位ですか。ちょっと納得できませんね」

シャーロッテ「あれ、仕方ありませんって言うと思ってました」

カムイ「姉と慕ってくれるサクラさんに、それなりにお姉ちゃんらしい場所を見せたかったんですけど……」

シャーロッテ「そういえば、この前、サクラ様とダンスの練習してましたよね?」

カムイ「ええ、そうですが」

シャーロッテ「カムイ様、サクラ様に何したんですか?」

カムイ「なにって……」

シャーロッテ「とぼけてんじゃねえよ。あの時、戻ってきたサクラ様、涙我慢してたんだよ」

カムイ「……」

シャーロッテ「一体何言ったんだよ……」

カムイ「……サクラさんの問いかけに、私としての答えを出せなかったのが原因だと思います」

シャーロッテ「問いかけ?」

カムイ「その内容は伏せさせてください。でも、私はそれに対する明確な答えを持っていなかった。だから、今の現状について思ったことを伝えるくらいしかできなかったんです」

シャーロッテ「カムイ様」

カムイ「ははっ、滑稽ですよね。お姉ちゃんらしい場所を見せたいなんて言っておきながら、結局はサクラさんを支える答えを用意できないんですから……」

シャーロッテ「はぁ……答えを用意することがサクラ様のためになるわけじゃないんですけど」

カムイ「え、だって――」

シャーロッテ「わかってねえな、おい。カムイ様って、身体つきはそれなりにいいですけど、なんて言うか考えが固すぎる気がします。こういう時は、もっとシンプルでいいんですから」

カムイ「シンプルって?」

シャーロッテ「そうですね、こういうのでもいいんですよ」

カムイ「……ひゃっ。しゃ、シャ―ロッテさん!? 何いきなり抱きついて――」

シャーロッテ「サクラ様はこれだけしてもらえればよかったはずですよ」

カムイ「……そ、そうなんですか?」

シャーロッテ「言葉もあればいいですけど、その時カムイ様は何を言えばいいかわからなかったんですよね?」

カムイ「恥ずかしい話ですけど……その通りです」

シャーロッテ「なら、難しいことは考えないでいいんですよぉ。ただ、こうやって抱きしめて、大丈夫って言ってあげるだけでいいんですから」

カムイ「私はサクラさんに不安を与えていただけなんでしょうか?」

シャーロッテ「そう考えない、失敗は誰にだってありますから。転んで立ち上がるを繰り返して、上手な転び方を覚えるんですよぉ」

カムイ「転び方ですか?」

シャーロッテ「はい、私だって男で結構失敗してます……。でも、そういうの含めて今の私がいるんですよぉ」

カムイ「その媚びたしゃべり方も、転んだ練習の成果なんですか?」

シャーロッテ「ああもう! なんで茶々いれるんだよ。少しは素直に受け取れって言ってんの! まったく、少し隙を見つけると突いてくるその性格、良くないわよ」

カムイ「……それもそうですね。ごめんなさい」

シャーロッテ「……それに、カムイ様も女の子なんですから、こうやって抱きしめてもらいたいですよね?」

カムイ「どうでしょうか、私はどちらかと言うと抱きしめる側の立場が多かったような気もします」

シャーロッテ「まぁ、他人の顔触って喜んでるの見てると、そんな感じがしますけど」

カムイ「うっ……その、御凸、触ってもいいですか?」

シャーロッテ「ふふっ、図星だからって人の弱点突くのは駄目ですよぉ? とにかく、カムイ様は女心を知るべきですよぉ」

カムイ「その、私が女泣かせみたいに聞こえる発言止めてくれませんか?」

シャーロッテ「仕方ないですよぉ、現にサクラ様を泣かせる寸前にしてるんですから。それに女の子は笑ってるのが一番可愛いんですよぉ、男たちがそう望むような笑顔は、とっても可愛いんですよぉ」

カムイ「男が望むようなですか?」

シャーロッテ「そうですよぉ。もちろん、カムイ様も笑顔が一番可愛いんですからぁ」

カムイ「……そ、そんなこと///」

シャーロッテ「あれれ、顔赤くしてますけど、どうしたんですかぁ?」

カムイ「抱きしめられてるから熱いだけです、あー熱いですね」

シャーロッテ「そうなんですか、それじゃ抱きしめるのやめますね」ニヤッ

カムイ「!!!! あ、あの!」

シャーロッテ「なんですかぁ? 熱いから離れるだけですよ?」

カムイ「……このままで。熱が引くまで、このままでお願いできますか?」

シャーロッテ「……はい、いいですよぉ」ニヤッ

シャーロッテ(ふふん、前回顔を触られたときはやられっぱなしだったけど、今回は私のペースに持ってきたわ。さてと、どれくらい顔を真っ赤にするかしら?)

カムイ「……シャーロッテさん」

シャーロッテ「なんですかぁ?」

カムイ「とってもあったかいです……」

シャーロッテ「ふふっ、そうで――」

カムイ「はい、手で触りたいくらいに」

 ピトッ

シャーロッテ「……え?」

 ガチャ

モズメ「もどったでー、練習再開……せんと」

サクラ「すみません、今戻りました。あれ、モズメさん、どうしたんですか、何かあ――」

カムイ「ふふっ、シャーロッテさん、とってもあったかいですよ。とくにここら辺が一番あったかくて心地良いです」

シャーロッテ「ちょ、待ちなさいよ。そこは胸……、くひぃん!」

カムイ「どうしたんですか。熱が引くまで抱きしめてくれるって言ったじゃないですか……。約束守ってくださいよ。ほら、笑顔な私も付けますから」

シャーロッテ「へ、変なことするなら話は別――あっ、んっ、そんな手で触っちゃ……はふっ、いや、こんな、こんなはずじゃ……」

 バタン

モズメ「……」

サクラ「……」

 シャーロッテサン、ヤッパリトッテモヤワラカイデスネ
 ヤメ、カムイサ、ヒゥウッ、モウ、ユルシ―――

モズメ「壁越しでも聞こえるもんやな/// シャーロッテさん、カムイ様に何か言ったんかな?」

サクラ「……もしかしたら、私のことで姉様に何か言ってくれたのかもしれません」

モズメ「ん?」

サクラ「この前、姉様と話して戻ってきた時、すぐにシャーロッテさん話しかけてくれましたから。なんで泣きそうな顔してるのかって心配されました」

モズメ「そうなんか。シャ―ロッテさん、あたいのこともいっぱい褒めてくれて、ほんまええ人やなって」

サクラ「はい、その、やっぱり助けに入ったほうがいいんじゃないでしょうか?」

モズメ「せやな、ここは二人力あわせて、カムイ様からシャーロッテさんを―――」

 フフッ、ドウシタンデスカ、シャーロッテサンノカラダ、ワタシヨリアツクナッテマスヨ
 ナイ、ナイカラ、ワタシ、ソンナシュミ! フニュウウウウウ!!!!!

モズメ「……助けたいとこやけど、あたいたちには刺激強すぎる気がすんねん////」

サクラ「はい……シャーロッテさん、許してください/////」

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・レオン邸・外―

~舞踏会当日~

カムイ「お疲れ様です。フローラさん、ジョーカーさん」

フローラ「カムイ様、ダンスの練習の結果はどうでしたか?」

カムイ「はい、どうにか今日の舞踏会までには間に合ったというところです。シャーロッテさんによく教えてもらえましたから」

ジョーカー「カムイ様のダンス、とても楽しみにしております。といっても、私は給仕としてお近くにいる以外にできることもないんですが」

カムイ「いいえ、皆さんには色々なことを頼んでいますから。ところでアクアさんたちは?」

ジョーカー「はい、先に舞踏会の会場へと向かわれておりますので、ご安心ください。またギュンターとフェリシアも、すでに会場に入っておりますので心配要りません」

カムイ「そうですか、わかりました」

フローラ「カムイ様、私たちはこちらでお待ちしておりますので。皆さんの準備が出来次第、声をおかけください」

カムイ「はい、わかりました。少しの間ですが、待っていてください」

 タタタタタタタタッ

フローラ「……父さんも出席するらしいわ。ガロン王は部族の方々にも招待状を出しているようだから」

ジョーカー「表向きは娘の晴れ舞台と言ったところだが、実際は権力の誇示、カムイ様をこういうことに使われるのは胸糞悪いな」

フローラ「そうね。同時にカムイ様へに対する部族の方たちの目を潰そうと考えているのかもしれない」

ジョーカー「そうか……。お前の親父はどっち側だと思う?」

フローラ「……前だったなら、間違いなく向こう側の方だったと思うわ。私が一度カムイ様を裏切ったように、父さんも切り捨てたでしょうね」

ジョーカー「それは前の話だ、重要なのは今どうなのかってことだ」

フローラ「そうね。父さんがどう考えているかはさすがにわからない、だって私は父さんじゃないもの」

ジョーカー「頼りない言葉だな。そこは自信を持って言ってもらいたいところなんだが」

フローラ「ジョーカーのことを信用しているから、こうやって思ったことを言えるのよ。希望的観測で物を言えるほど、今はいい状態じゃないから」

ジョーカー「それもそうか」

フローラ「でも、そうね希望的に言っていいなら、父さんはカムイ様のこと信じているはずよ」

ジョーカー「なら、それでいい。またお前たちが敵に回るような事態は、ごめんだからな」

フローラ「……安心してそれはないわ」

ジョーカー「ほう、自信満々だな」

フローラ「あの日、星海に私たちをカムイ様が招待してくれた時に、私とフェリシアは覚悟を決めた。だから、父さんも私たちと同じ道を進んでくれるって信じられる」

ジョーカー「……カムイ様が俺たちを信用してくれたからこそ、こうして頼まれたんだ。しかし、お前に見抜けるのか?」

フローラ「父さんが来るなら、私はその近くで調べるつもりよ。部族には部族同士だからこそ、わかることがあるもの」

ジョーカー「なるほどな、それなら俺はカムイ様の傍で目を光らせるってことになる。ふっ、これはカムイ様から信頼されてる俺だけに許された特権だな」

フローラ「あら、そんなこと言ったらフェリシアも一緒にいるって話になってるから、フェリシアにもその特権があることになるわね」

ジョーカー「うっ、まあいいさ。何よりも重要なことは、俺たちの情報がおのずとカムイ様の今後に直結するってことだけだからな」

フローラ「ええ、私たちは多分、それと一緒にカムイ様に付いて行くことになる。だから、一度確認してくれた。付いて来てくれるかどうか」

ジョーカー「カムイ様らしいが、正直俺は傷ついたぜ。まさか、ここまで仕えてきたのに確認されるなんてな。まだまだ、奉仕の精神が足りなかったってことだろうな」

フローラ「ジョーカーで足りないなら、私とフェリシアじゃ、足もとにも及ばないわね」

ジョーカー「当り前だ」

フローラ「でも、聞かれたのは仕方ないことよ。だって、今から私たちが調べることは、極端に言えば切り捨ての選別に他ならない行為だから」

ジョーカー「……俺たちは主の仕事が円滑に進むように言われたことをきっちり調べるだけだ、そしてそのあとは一度カムイ様に任せるしかない。どんな決断、結果になっても俺はカムイ様に付き従い続ける、ただそれだけのことだ」

フローラ「……ええ、私も同じ考えよ。だから安心して、ジョーカー」

ジョーカー「なら、それでいいさ」

 少し休憩

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ラズワルド「うん、この格好なら多くの女の子とお話しできる気がする」

ハロルド「ふむ、中々にかっこいいぞ、ラズワルドくん。だが、あまり多くの女性に声を掛けると主君であるマークス様に迷惑が掛るかもしれないこと、忘れてはいけないよ」

ラズワルド「……やっぱりマークス様も舞踏会に来てるんだよね。でもさ、今日はカムイ様のための場所だから、多めに見てくれるかもしれない」

ハロルド「むしろ、カムイ様の式典だからこそ、マークス様も十分に気を使うと思うのだがね」

ラズワルド「……ちょ、ちょっとだけだからさ、これだけ、これだけだから」

ツバキ「それって典型的に駄目な人の言葉だよねー。でも、よかったよー、ハロルドもうまくダンスができるようになって」

ラズワルド「うわっ、ツバキ、すごく似合ってるじゃないか……」

ツバキ「でしょ、着こなしも完璧にしないと駄目だからねー。一緒に一曲踊ってくれる人に失礼のないように気を配らないと」

ハロルド「うむ、その通りだな。私も良い感じに着こなせたので満足しているぞ!」

 ビリッ

ハロルド「……」

ツバキ「……ビリッ?」

ラズワルド「ハロルド?」

ハロルド「……なぜこういうタイミングに限って、布が破けるのか」

ツバキ「あー、これで何着目だっけ?」

ラズワルド「今日だけでも二十着は破いてる気がするよ。しかも、特に無理をしてるってわけじゃないのに破れるから、見ててとても不思議な気持ちになるよ」

ハロルド「ここで今日の不運をすべて帳消しにできるとよいのだが……。さすがに舞踏会の最中に破けてしまったら、カムイ様もそうだが、主君であるエリーゼ様に恥をかかせてしまう……」

ツバキ「でも、すごい不運だよねー。暗夜一の不運の持ち主って言うのは伊達じゃないね、近くにいたら俺たちの服も破れかねないよー」

ハロルド「ぐっ……、酷いことを言われているが、なまじそうなるかもしれない分、何も言い返せない」

ラズワルド「不運なのは仕方ないことと割り切るしかないかな。でも、大丈夫、これ以上悪いことなんて起こらないよ、ハロルドも一生懸命練習を頑張ってきたんだから」

ハロルド「ラズワルドくん」

ラズワルド「………多分ね」

ハロルド「……」

 コンコン

シャーロッテ『すみません皆さん、私たちのほうの準備が整いましたぁ』

ハロルド「その声はシャーロッテくん……。さすがに迎えを待たせている以上、仕方無い。すぐに着替えていくとしよう、大丈夫だ、実際破いてしまった服の数は十九着ほど、これ以上はないはずだ」

ラズワルド「数えてたんだね、ハロルド」

ツバキ「うん、本当にそうだといいねー」

ハロルド「よし、破けたのは上着だけのようだ。これでよし」

 ガチャ

ハロルド「すまない、待たせてしまったようでもうしわけな――」

シャーロッテ「ふふっ、女の人を待たせるなんで駄目ですよぉ。でも、皆さんとっても似合ってますよ」キラキラ

モズメ「うわぁ、みんなかっこええな」キラキラ

サクラ「皆さん、すごく似合ってます!」キラキラ

カムイ「ふふっ、ハロルドさん達、皆さんから太鼓判を押されましたね、私も見れないのがとても残念です」

ハロルド「シャ、シャーロッテくん。キミは、その……胸元が強調されたものを選ぶようだね///」

シャーロッテ「はい、これヒラヒラしてる場所とか可愛くて、えへっ。ハロルドさんもとっても似合ってますぅ」

モズメ(仮面付けるの速いわ。さっきまで話してたシャーロッテさんと、違い過ぎてびっくりしてまう)

ラズワルド「モズメも可愛いね。あと、薄く化粧してるのかな? いつも以上に可愛いよ」

モズメ「おおきに。でもシャーロッテさんに化粧教えてもろうて、ようやく少し出来るようになったんよ/// ラズワルドさんも、いつもよりかっこええよ」

ツバキ「サクラ様、すっごく似合ってますよー」

サクラ「ツバキさん、ありがとうございます。ふふっ、ツバキさんもとても素敵ですよ」

ハロルド「おや、カムイ様はドレスを着ないのですか?」

カムイ「はい、私には式典用にドレスがあるそうなので、それを舞踏会の会場で渡していただけるそうです」

ハロルド「なるほど、どうにか間に合ったようだ、あとはお互い全力で臨むまで……むっ? カザハナくんの姿が見えないが……」

カムイ「ああ、それなんですが。少しトラブルがあって……」

ラズワルド「トラブル? いったい何があったんだい、まさか怪我をしたとか?」

サクラ「いや、誰かが怪我をしたってわけじゃないんです。レオンさんも足は痛いけど問題ないって、朝仰ってましたから」

ツバキ「それは怪我してるって言うんじゃないかなー。まぁ、レオン王子が大丈夫って言ってるから大丈夫なんだろうけど、それじゃどんな問題が?」

シャーロッテ「その、実は―――」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

レオン「……僕としたことが、なんてミスをしたんだろう」

レオン(姉さんのこととかにうつつを抜かしてて、まさかドレスの試着もさせてあげてなかったなんて)

レオン「はぁ、今日ぶつけ本番で踊るのと、これじゃ何も変わらないじゃないか……」

 コンコン

カザハナ『ね、ねえ……レオン王子』

レオン「カザハナ? どうだい、その…ドレスの方は……」

カザハナ『え、えっと。メイドさんに手伝ってもらえて、どうにか選べたけど……』

レオン「そうか、それじゃ見せてくれないかな?」

カザハナ『う、うん……』

 ガチャ

レオン「……」

カザハナ「ど、どうかな? その胸の花はあたしが選んだんだけど……えへへ」

レオン「あっ、うん……その、えっと」

カザハナ「や、やっぱり突然選んだのじゃ、似合ってないよね。あたし、そういうのって自信ないからさ……」

レオン「そんなことないよ、とても似合ってるよ」

カザハナ「それってやっぱり、お世辞なのかな?」

レオン「お世辞にするんだったら、そうだね。『まるで荒野に咲く一輪の華麗な花みたいだ』とか、そんな風に言ってあげるよ」

カザハナ「あはは、たしかにその言葉だとお世辞って感じする。でも、よかった。こういうの着るの初めてだから、全然似合ってないの選んじゃったと思ってたから」

レオン「……ごめん」

カザハナ「何、いきなり謝ったりしてさ。もしかしてさっきの言葉、やっぱりお世辞だったってこと?」

レオン「ちがうよ、本当ならもっと選べるドレスがあったからもしれない、それにドレスでのダンスなんてまだ練習もしてない、なのにこんな形になってしまったから…」

カザハナ「そうだね。このまま、ぶつけ本番で誰かと踊るのってかなり難しい気がする。でも、仕方無いよ、ほら、あたし上達するの遅かったから……」

レオン「……いや、僕の教え方が良くなかったんだ。それに、姉さんのことでいろいろと考えてたこともあるし、本当にごめん」

カザハナ「なら、お互いに悪いところがあったってことで両成敗ってことにしよ。それで解決、この話はおしまい、ね?」

レオン「カザハナ……」

カザハナ「それよりも、会場についたらあたしのこと、ちゃんと支えてよ。さすがに練習もなしにいきなり踊るのなんて無理な話だからさ」

レオン「……両成敗で終わりじゃなかったのかな?」

カザハナ「それとこれとは話が別よ。だって、まだ完璧に仕上がってないんだから……あたしが完璧にできるまで見る約束だったでしょ?」

レオン「……仕方ないね。なら、僕の足にももう少し犠牲になってもらう必要があるってことかな。結構、これでも痛いのを我慢してるんだけどさ」

カザハナ「ここでそういうこと言うのやめてよ。まぁ、絶対踏んじゃうと思うけど」

レオン「まったく、悪びれないんだね」

カザハナ「それはあんたもでしょ?」

レオン「……」

カザハナ「……」

レオン「あははっ」

カザハナ「うふふっ」

レオン「まぁ、精々転ばないように気をつけるんだね。さすがに転びそうなのは支えられそうにないからさ」

カザハナ「はいはい、わかってるわよ。足踏ん付けて踏ん張ってやるんだから」

レオン「それじゃ、いこうか」

カザハナ「うん。見てなさいよ、絶対成功させてやるんだから………」

レオン「ああ、楽しみにしてるよ」

カザハナ「えへへ…………あれ?」

カザハナ(なんかおかしい?)

レオン「どうしたんだい、カザハナ」

カザハナ「えっとさ、その、似合ってる?」

レオン「似合ってるよ」

カザハナ「……」

レオン「お世辞じゃないって言ったよね?」

カザハナ「いや、わかってるよ。その……ありがとう」

レオン「それじゃ、みんなを待たせてるから行こうか」

カザハナ「うん……」

カザハナ(やっぱり勘違いだったってことかな? 似合ってるって言われても全然ドキドキしないし……)

カザハナ「そうだよね……、そんなわけないよね……」

レオン『似合ってるよ』
 
 ドクンッ!

カザハナ「!?」

カザハナ(ど、どうして思い出すとドキドキするのよ……)

カザハナ「なにこれ、意味わかんない……」ボソッ

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・クラーケンシュタイン城前―

 ガチャ

ジョーカー「カムイ様、クラーケンシュタイン城に到着いたしました」

カムイ「はい、ありがとうございます。……少し冷えますね」

ジョーカー「はい。すでに皆様の受け付けは、フローラが済ませに向かいましたので、どうぞ私について来てください」

カムイ「はい、わかりました」

ジョーカー「カムイ様。フリージアのクーリア様も来賓として招かれているそうです」

カムイ「そうですか、わかりました。これでフローラさんも作業がしやすくなりますね」

ジョーカー「はい……王族周りはギュンターが担当しています」

カムイ「そうですか。ギュンターさん一人で大丈夫でしょうか?」

ジョーカー「私たちもそこを気にしましたが。長く仕えている私にしか見えないものもあると言っておりましたので、一任することにしました」

カムイ「ギュンターさんらしいですね。わかりました、あとはフェリシアさんだけですが……」

フェリシア「あっ、カムイ様! お待ちしておりましたー!」

ジョーカー「噂をすれば影ですね」

カムイ「そのようです。すみません、フェリシアさん。先に会場へ向かってもらって」

フェリシア「いいえ、私にできることなんてこれくらいですから。アクア様や他の方はもう入られてますよ、カムイ様」

カムイ「わかりました。それじゃ、ジョーカーさん、フェリシアさん。私の付添、よろしくお願いしますね」

ジョーカー「おまかせを」

フェリシア「はい、まかせてください」

カムイ「はい……」

カムイ(さぁ、行きましょうか)

(これからの指針を決める第一歩になる、この舞踏会に……)


休息 5 おわり

○カムイの支援現在状況●

―対の存在―
アクアB+
(カムイからの信頼を得て、その心の内を知りたい)

―城塞の人々―
ジョーカーC+
(イベントは起きていません)
ギュンターB
(恋愛小説の朗読を頼まれています) 
フェリシアC
(イベントは起きていません)
フローラC
(イベントは起きていません)
リリス(消滅)
(主君を守り通した)

―暗夜第一王子マークス―
マークスC+
(イベントは起きていません)
ラズワルドC
(あなたを守るといわれています)
ピエリC+
(弱点を見つけると息巻いています)

―暗夜第二王子レオン―
レオンC+
(イベントは起きていません)
オーディンC+
(イベントは起きていません)
ゼロB
(互いに興味を持てるように頑張っています)

―暗夜第一王女カミラ―
カミラB
(白夜の大きい人に関して話が上がっています)
ルーナC+
(目を失ったことに関する話をしています)
ベルカC+
(イベントは起きてません)

―暗夜第二王女エリーゼ―
エリーゼB
(イベントは起きていません)
ハロルドB
(ハロルドと一緒にいるのは楽しい)
エルフィC
(イベントは起きていません)

―白夜第二王女サクラ―
サクラC+→B
(イベントは起きていません)
カザハナC
(イベントは起きていません)
ツバキD+→C
(イベントは起きていません)

―カムイに力を貸すもの―
サイラスB
(もっと頼って欲しいと思っています)
ニュクスB
(イベントは起きていません)
モズメC+
(イベントは起きていません)
リンカC+
(イベントは起きていません)
ブノワC+
(イベントは起きていません)
シャーロッテC+→B
(返り討ちにあっています)

今日はここまで

 次の休息時間(舞踏会)で休息時間終了になります。
 シャーロッテの体力なら、あと三回は耐えられるはず!
 25周年の本、発売日に手に入らなかったのはショックだった……

 ヒノカが奪還した男カムイとの距離を無理やり縮める番外(エロ)は、休息時間終了の時に張り付けたいと思いますので、もう少しお待ちください。

 この先の展開を安価で決めたいと思います。参加していただけると幸いです。

◇◆◇◆◇
 カムイが会話することになる王族

 マークス
 カミラ
 エリーゼ
 レオン

 >>563

◇◆◇◆◇
 カムイが会話することになる暗夜軍部

 マクベス
 ゾーラ
 ガンツ

>>564

◇◆◇◆◇
 カムイがダンスを踊ることになる相手

 マークス
 カミラ
 エリーゼ
 レオン
 ハロルド
 ラズワルド
 ツバキ
 シャーロッテ
 カザハナ
 サクラ
 モズメ
 アクア
 マクベス
 ガンツ
 ゾーラ
 
>>565>>566

 こんな形でお願いいたします。

カミラ

マクベス

連取りして良いかわからないけど人がいないようなので

ラズワルド

サクラ

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・クラーケンシュタイン城―

アクア「カムイ、遅かったわね」

カムイ「アクアさん。すみません、少し遅れてしまったようですね」

アクア「そうね……、でもよかったわ。土壇場で嫌になったのかと思ったから」

カムイ「さすがにそんなことはしませんよ。私のために色々な方が準備をしてくれて、この場に来てくださっているんですから」

アクア「ええ、部族、貴族、軍部の関係者。多くの人が来ているのは確かよ。ガロン王はやっぱり、あなたの力を多くの人たちに示したいみたいね」

カムイ「それが、お父様が目指すことの第一歩なのかもしれません。例の一件で、私がしたことを利用しない手はないでしょう」

アクア「……それが原因で多くの人から敵意の眼差しを向けられるかもしれない事態になるかもしれないのよ?

カムイ「望むところですよ。それにそうでなければ、お父様の話に乗った意味がありません。私は自分で道を選ぶために、ここにいるんですから」

アクア「……カムイ」

カムイ「ささっ、アクアさんも今日は舞踏会を楽しみましょう。いっぱいおいしいものも出るそうですから」

アクア「ねぇ、カム――」

 スッ

???「それっ!」

アクア「ひゃんっ!」

???「ふふっ、やっぱり柔らかいわね、アクアは」

アクア「その声……カミラ?」

カミラ「ふふっ、会場で一番にカムイに声を掛けようと思ってたのに、アクアに先を越されちゃって、お姉ちゃん悲しいわ」

カムイ「カミラ姉さん、お久しぶりです」

カミラ「ええ、レオンのお屋敷で舞踏会の準備だったんでしょう? お疲れ様、それで結果はどうかしら?」

カムイ「シャーロッテさんに及第点と言われるくらいにはなりました。少しターンがうまく決まらなくて、ちょっとまだ不安です」

カミラ「ふふっ、カムイにも苦手なことがあるのね。お姉ちゃんならもっと親身になって教えてあげるのに」

カムイ「今度、舞踏会がある時はお願いしますね」

カミラ「ええ、……」

カムイ「カミラ姉さん?」

カミラ「本当はお父様がカムイを認めてくれたと喜ぶべきなのに、手放しに喜べないわ」

カムイ「……」

カミラ「だって、今日カムイは多くの知らない男たちと踊るのよ。拒否権が無いカムイは誘われるままに踊らないといけない、そう考えるとね……」

アクア「え、そっち?」

カミラ「他に何か心配することがあるかしら?」

アクア「カムイが権力の誇示としてつかわれるから喜べないってことかと思ったのだけど」

カミラ「……それは確かにあるわ」

アクア「なら、どうして?」

カミラ「だって、カムイはこの道を選んだんだもの。なら、それを支えてあげるのが、お姉ちゃんの役目だから」

カムイ「カミラ姉さん……」

カミラ「ふふっ、カムイが選んだことに疑問を投げかけることは簡単よ。だけど、時には信じてあげないといけないから、私はカムイの道を信じることにしたの」

カムイ「ありがとうございます」

カミラ「ふふっ。でも、疲れたりしたらお姉ちゃんのことをちゃんと頼ってちょうだい、私はカムイのお姉ちゃんなんだから」

カムイ「はい……。もしも、その時が来たらいっぱい甘えさせてくださいね」

カミラ「ええ、甘えてもらえるのはお姉ちゃんの特権だからね」

アクア「なら、私もお姉ちゃんになれるわね」

カミラ「えっ?」

アクア「……あ」

カムイ「確かに、アクアさんには多く甘えてしまいましたから。アクアさんもある意味、お姉ちゃんと言えなくもないですね」

アクア「……ごめんなさい。な、なんのことなのか、さっぱりわからないわ」

カミラ「ふふっ、アクア、舞踏会が終わったら私のお屋敷で話をしましょう? そうね、お風呂に入りながらなんてどうかしら?」

アクア「その、うれしい誘いだけど。私は歌と踊りの練習があるか――」

カミラ「ふふっ、私はアクアのお姉ちゃんでもあるから、いっぱいいっぱい甘えさせてあげるわ。カムイの分もいっぱい甘えさせてあげる」

カムイ「カミラさんとアクアさん、とっても仲良しですね」

カミラ「ええ、だってアクアも大切な妹だもの、ねぇ?」

アクア「そ、そうね……」

カミラ「ふふっ、それじゃカムイ。中でまた会いましょう」

カムイ「はい」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

マクベス「ふむ、持ち物の調査もこれほど厳重にしておけば大丈夫でしょうが」

カムイ「マクベスさん」

マクベス「これはこれは、カムイ王女。どうかなされましたかな?」

カムイ「いえ、会場の護衛の件もありましたので、ご挨拶に伺ったまでです」

マクベス「そうですか、ありがたく受け止めさせていただきますよ。しかし、これでようやく私も軍師としての采配をふるう機会を得るというものでしょう」

カムイ「……白夜侵攻ですね」

マクベス「流石にこれくらいは察することができるようですな。今や、白夜は風前の灯火と言っても過言ではないでしょう、カムイ王女の活躍で暗夜内の不穏分子は、一掃されたも同然ですからな」

カムイ「心置きなく、白夜侵攻の作戦を練ることができる……そういうわけですね」

マクベス「そうなりますな。しかし、最初は部族の者たちが多く参加すると聞いて、何かしてくるかと心配しましたが、どうやら杞憂に終わったようです」

カムイ「シュヴァリエの反乱と、他の部族の方々はなにも関係ないはずですよ?」

マクベス「ふん、シュヴァリエの反乱に乗じて事を起こそうと考えていた者たちもいなかったとは言い切れませんからな。それに、彼らには信じる何かがあったようですが、それも今や掻き消えたということでしょう。当然といえば、当然のことですが」

カムイ「当然ですか?」

マクベス「ええ、ガロン王様が導く先にこそ、暗夜の発展と栄光があり得るのですから、それを見誤るような者たちが見た幻想は掻き消えて当然の物。炎の先に揺らめくだけの蜃気楼だけしか見えない者たちには、ガロン王様の見据える先の世界が見えていないのでしょう。嘆かわしいことですな」

カムイ「……お父様の見据える先ですか」

マクベス「長きにわたる暗夜と白夜の戦争も、ようやく終わりが見え始めたました。故に、その先にある新しい戦いをガロン王様は見据えておられることでしょう。そして、カムイ王女もガロン王様に認めてもらうのですから、同じように先を見据えられるようにならないといけませんな」

カムイ「……そうですね。確かにその通りですね」

マクベス「……おや、やけに素直ですな」

カムイ「いいえ、マクベスさんの言っている先を見据えられるようにならなければいけないということは、間違いなくその通りでしょうから」

マクベス「ふん、カムイ王女がガロン王様のように見据えられるには、まだまだ多くの時間がかかるでしょうな」

カムイ「そうですね。未熟な身ですが、頑張らせてもらいますよ」

マクベス「……長話はここまでです、早く中へお入りください」

カムイ「?」

マクベス「もう、舞踏会が始まります。私はまだ警護の任がありますのでね」

カムイ「そうですか、では失礼しますね」

マクベス「はい、それでは」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ジョーカー「カムイ様、こちらです」

フェリシア「ガロン王様の挨拶が終わったみたいです」

カムイ「すみません、ちょっとお話をしすぎてしまったようですね。お父様の元にすぐ――」

ジョーカー「いえ、カムイ様の王族としての儀は表向きには伏せられておりますので、まだカムイ様の出番ではないと思われます。時間になれば使いが来ることでしょう」

カムイ「そうですか、少し冷や冷やしましたが。それでは、それまでの間は私たちも中に入りましょうか」

フェリシア「はいっ」

 ♪~ ♪~

カムイ「多くの気配がありますね。私はえっと、待っている立場であればいいのでしょうか?」

ジョーカー「そうですね。誘われない限りは、特に動く必要もないでしょう」

カムイ「そうですか」

カムイ「……」

カムイ「……」

カムイ「待っていますけど、誘われませんね。魅力不足ということでしょうか?」

ジョーカー「カムイ様の魅力は素晴らしいものですよ。ですが多くはカムイ様の名前だけを知り、顔を知らない者たちばかりなのでしょう。仕方ありません」

カムイ「これでは、練習の成果をジョーカーさんにお見せできませんね」

???「なら、僕と一曲どうですか? カムイ様」

カムイ「?」

ラズワルド「どうも、カムイ様。少しの間姿が見えなかったんで心配しましたよ」

カムイ「ラズワルドさん……。どうです、舞踏会で可愛い女の子を見つけられましたか?」

ラズワルド「それなら、今目の前にいますよ」

カムイ「…ふふっ、面白いことを言いますね、ラズワルドさんは」

ラズワルド「いいえ、カムイ様はとても可愛いですよ。どうです、僕と一曲踊ってみませんか?」

カムイ「ふふっ、何人の方に、こんな感じで声を掛けたんですか?」

ラズワルド「……その……四人です。全部袖にされちゃって、舞踏会の席だから踊ってくれるって思ったんですけど、おかしいですよね」

カムイ「ふふっ、ここで私がラズワルドさんの手を取っちゃったら、連敗記録にストップが掛ってしまいますね。どうしましょうか?」

ラズワルド「ううっ、だ、だめですか?」

カムイ「ふふっ、冗談ですよ」スッ

ラズワルド「!」

カムイ「今日、初めて踊ることになったのはラズワルドさんですね」

ラズワルド「えへへっ、そう言われると、なんだか嬉しくなります、カムイ様」

カムイ「それじゃ、よろしくお願いしますね」タッ

ラズワルド「はい、喜んで。では、こちらに」

カムイ「はい」

ラズワルド「ターンだけが苦手なんですよね?」

カムイ「はい。ラズワルドさんのステップとっても軽やかですね」

ラズワルド「踊るのには自信があるんで、でも、まさか最初がカムイ様になるなんて思わなかった」

カムイ「ふふっ、でも奇麗に踊れているなら、私と踊り終わったあとに声をいっぱいかけてもらえるかもしれませんよ?」

ラズワルド「確かにそうかも。なら、カムイ様、奇麗に踊り切っちゃいましょう」

カムイ「ふふっ、あ、そろそろターンですね」

ラズワルド「うん、それじゃここで、それっ!」

クルクルクル カッ

カムイ「あっ……」

ラズワルド「カムイ様!?」

 ガシッ

ラズワルド「!」

カムイ「すみません、やっぱりまだまだみたいですね」

ラズワルド「いや、その、だ、大丈夫ですか?」

カムイ「はい、ふふっ、ラズワルドさんの心臓の音、とっても大きくなってますね……」

ラズワルド「そ、それはその密着してるからであって」

カムイ「それもそうですね。ふふっ、こうして触ってみると、ラズワルドさんもやっぱり男性なんですね」

ラズワルド「か、カムイ様。その言葉はなんだかとても危ない気がするのでやめてください」

カムイ「そうですか。ふふっ、からかってしまってごめんなさい」

ラズワルド「からかうのはやめてくださいよ。こんなのマークス様に見られたらどうなるかわからないんですから……」

カムイ「はい、ごめんなさい。ラズワルドさんは、こんなことをする私のこと、ちゃんと支えてくれるんですね」

ラズワルド「……約束したよね、カムイ様よりも先には死なない、だから君を守るって」

カムイ「…ラズワルドさんの使命が果たされる日が来るといいですね」

ラズワルド「僕はカムイ様を守りつづける限り、その機会が必ず来るって信じてるから。使命もカムイ様も、一緒に守ってみせるから」

カムイ「ありがとうございます、ラズワルドさん」

ラズワルド「だからさ。今は心配せずに舞踏会を楽しんじゃおう。あっ、でもちょうど一曲終わるみたいだね……」

カムイ「そうみたいです。ふふっ、最後のターン以外はできたでしょうか?」

ラズワルド「はい、とっても上手にできてましたよ。ターンの失敗も注意すればなくなりますから、自信を持ってください」

カムイ「ありがとうございます……あの」

ラズワルド「なんですか?」

カムイ「ラズワルドさんも、お誘い頑張ってくださいね」

 タタタタタッ

ラズワルド「カムイ様……」

ラズワルド「最後の最後で厳しいことを言わないでほしいなぁ……」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

サクラ「……はむっ、うん、甘くておいしいです。」

カムイ「……」

サクラ「あっ、こっちのケーキもおいしそうです。うーん、でもこれ以上食べちゃうとやっぱり、体重とか……でも、今しか食べられないかもしれませんし……」

カムイ「えっと、サクラさん?」

サクラ「ひゃいっ……か、カムイ姉様////」

カムイ「はい、てっきり舞踏会の中心で踊ってると思っていたんですけど……あの、何をされているんですか?」

サクラ「そ、その。ちょっと……ですね」

カムイ「とっても甘い香りがしますね、ここはデザートが並べられてる場所みたいですけど」

サクラ「そ、その、甘いものが食べたくて//////」

フェリシア「サクラ様、甘いものが大好きなんですね。先ほどからペロリ、ペロリッって、ケーキを食べちゃってますから」

サクラ「み、見てたんですか……」

カムイ「ははっ、意外と食いしん坊なんですね、サクラさんは」

サクラ「ううっ、恥ずかしいです。そ、そうです、姉様、今から一曲踊りましょう?」

カムイ「え、サクラさ――」

サクラ「新しく曲が始まるみたいですから、は、早く行きましょう!」

 タタタタタタッ

カムイ「意外と強引ですね、サクラさんは」

サクラ「ふふっ、そうかもしれません。レオンさんにもよく言われましたから」

カムイ「そうですか」

サクラ「姉様……」

カムイ「どうしました、大丈夫ですよ、サクラさんがケーキをいっぱい食べてたこと、レオンさんやカザハナさんには……」

サクラ「そ、そういうことじゃないんです! その、この前シャーロッテさんに何か言われたんじゃないかって思って……」

カムイ「はい、サクラさんを悲しませるんじゃないって、怒られました」

サクラ「ごめんなさい、私、姉様を困らせるようなことを……」

カムイ「サクラさんが気にすることじゃありませんよ」

サクラ「でも……」

カムイ「ちょっと失礼しますね」

サクラ「えっ、ね、姉様いきなりどうしたんですか!?」

カムイ「すみません、ちょっとステップを間違えちゃったんです」ギュッ

サクラ「あっ……」

カムイ「………」

サクラ「………姉様」

カムイ「これくらいしか、今はできませんから」

サクラ「いいえ、ありがとうございます。姉様、もうステップ合わせられしょうですか?」

カムイ「はい、もちろんですよ」

サクラ「えへへ。私、姉様と一緒に踊れてとっても幸せです」

カムイ「そう言ってもらえて、とてもうれしいですよ。サクラさん」

サクラ「はい、私もです」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

カムイ「……」

ジョーカー「カムイ様……」

カムイ「はい、わかっています。時間のようですね」

 ザッザッザッ

衛兵「カムイ王女ですね」

カムイ「はい」

衛兵「ガロン王様があなたをお呼びです。同行していただけますか?」

カムイ「はい、ジョーカーさんはこちらでお待ちください。フェリシアさんは私と一緒に」

フェリシア「はい、わかりました」

ジョーカー「お気をつけていってらっしゃいませ。フェリシア、カムイ様のことは任せたぞ」

フェリシア「はい、しっかり着付けをさせてもらいますね」

カムイ「はい、よろしくお願いしますね。フェリシアさん」

衛兵「では、私の後について来てください、カムイ王女」

カムイ「はい……」

「わかりました」

今日はここまで
 
 25周年本を読んでリリスの抱えているあれがリリスの星界だと知ったのだった……
 

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・舞踏会会場―

マークス「ああ、その件は次回の議会で提出させてもらうことになっている。しかし、多くが実現するには時間掛るだろう、そして貴君らにも辛い時を過ごさせることになるかもしれない」

貴族「マークス王子、わたしたちもそれは覚悟の上でございます。マークス王子の取り計らいに農村部の方々も感謝しておられますから。それに与えられるだけでは人は疲弊し進めなくなるものです。マークス王子の行いは、必ずや多くの力となりましょう」

マークス「そう言ってもらえると私としても嬉しく思うぞ」

貴族「いいえ、それでは私は失礼いたします」

マークス「ああ……」

ギュンター「マークス様」

マークス「ん、ギュンターか。お前の執事姿を見るのは久々だな」

ギュンター「そうですかな。いや、そうでありましょうな。城塞にいる間はカムイ様に仕える騎士として過ごしてまいりましたので。ところで、今の御方は農村部の地域査察を行っている貴族の伯爵でしたな」

マークス「ああ、この頃になってノスフェラトゥによる被害が増え始めていることもあって、前から相談を受けていた。次の議会で地方の問題とともに提出することになっている。民が疲弊しては王国の繁栄はあり得んからな」

ギュンター「なるほど、ガロン王様も民に新たな豊饒な地を与えるために、白夜との戦争を続けてきましたからな。それが今叶おうとしているということでしょう」

マークス「……暗夜王国は土地に恵まれてはいない。白夜の地を手に入れることは暗夜王国に存在する、不満を解決しさらなる繁栄を連れてくるものだ。だが、父上はそれをこの頃口にしてはくれない」

ギュンター「……といいますと」

マークス「父上は、この頃侵略を成功させることを口にしているばかりだ。たしかに侵略の成功が一つの終わりであることは確かだ、父上に考えがある以上、私はそれを信じたい。だが、この頃の父上の口からは自国の民に対して行うべき政策は出ていない」

ギュンター「……」

マークス「そして、今回の件でカムイを表舞台に出すのは、権力の誇示でしかない。しかもこれではカムイが受けることになる視線の意味は……」

ギュンター「ガロン王様もこれからの白夜侵攻に向けて、国民の意思を一つにしようと考えているのでしょう。シュヴァリエの反乱鎮圧で、カムイ様のお名前は風の噂で多く広がっております、反乱を企てる者たちへの楔としてはこれほどに効果のある事はないでしょう」

マークス「楔……カムイが楔か……」

ギュンター「マークス様?」

マークス「いや、なんでもない。そういえばカムイを見ないが……」

ギュンター「お時間になったということでしょう」

マークス「……」

エリーゼ「あっ、マークスおにいちゃん!」

ハロルド「エリーゼ様、そのように走っては危ないですよ! これはマークス様、それにギュンターくん」

マークス「ふっ、エリーゼのお守か。世話を掛けるな、ハロルド」

ハロルド「いえ、エリーゼ様をお守りすることは当然のことです」

エリーゼ「えへへ、ハロルドってば過保護なんだよー。あたしだって、もう立派なれでぃなのに」

マークス「ふっ、自分でレディと言っているようでは、まだまだ背伸びをしたいお年頃ということだ」

エリーゼ「むーっ、マークスおにいちゃんまでそんなこと言うんだ! ふーん!」

ハロルド「エリーゼ様、こちらにおいしいケーキがありましたよ。これを食べて元気を出してください」

エリーゼ「え、いいの、わーい。ありがとうハロルド! うん、おいしー! これどこの棚にあるものかな?」

マークス「あの棚だな。ふっ、食べてる姿はさらに子供と言ったところか」

エリーゼ「うー、おにちゃんの意地悪」

マークス「ふっ、すまなかった」

エリーゼ「もう、じゃあ意地悪した罰で、あたしたちと一緒にケーキ食べよっ!」

ハロルド「それはいいですな。マークス様、ここのケーキはとてもおいしいですから一緒に食べに向かいましょう」

マークス「そうしたいのは山々なんだが……」

ギュンター「それがよろしいでしょう。多くの方とお話しされて、マークス様も少しお休みが必要でしょうからな」

マークス「ぐっ、見ていたのか、ギュンター」

ギュンター「そう思っただけですが、その通りでしたか?」

エリーゼ「仕事ばっかりしてると体壊しちゃうよ。大人は自分の体調管理もしっかりできて一人前だって、マークスお兄ちゃん言ってたよね」

マークス「ふっ、そう言われてしまってはお手本を見せないといけないようだな。よし、それでは向かうとするか」

エリーゼ「わーい!」

ハロルド「エリーゼ様、よかったですね」

ギュンター「では、私は戻らせていただきますゆえ、失礼いたします。マークス様」

マークス「ああ」

ギュンター「はい、それでは……」

エリーゼ「早く行こう、マークスお兄ちゃん!」

マークス「はしゃぐのもいいが、そんなに引っ張るものじゃないぞ」

ハロルド「そう言っている割には、マークス様もとても楽しそうですよ」

マークス「……エリーゼに心配を掛けるわけにはいかない。エリーゼの優しさは、カムイも持っていない純粋でまっすぐなものだ。いずれ、戦いが終わったときエリーゼの優しさが実を結ぶ時が来ると信じている」

ハロルド「マークス様……」

マークス「ハロルド」

ハロルド「はい」

マークス「これからもエリーゼのことを守ってやってほしい。これは暗夜王子としてではなく、エリーゼの兄であるマークスとしての願いだ」

ハロルド「……もちろんです。この正義の味方ハロルドにお任せください!」

マークス「ふっ、頼もしい返事だ」

エリーゼ「もう、二人とも! はやくしないとおいしいケーキ無くなっちゃうよ!」

ハロルド「エリーゼ様、棚の前で飛んではあぶないですよ!」

マークス「これでは大人の女性になるのはまだまだ先になるだろうな」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

レオン「はぁ、本当に思いっきり踏んでくれたね」

カザハナ「し、仕方ないじゃない……。その足滑っちゃったんだから」

ツバキ「ははっ、離れて見てたけど、レオン王子、足に穴とかあいちゃってるんじゃないかな?」

レオン「いや、今回は特注の靴を用意したから問題なかったよ」

カザハナ「特注の靴?」

レオン「ここ、叩いてごらん?」

カザハナ「……えいっ!」

 キンッ

カザハナ「なにこれ、レオン王子の凄く堅いんだけど……」

レオン「ああ、つま先から付け根に掛けて鉄板を入れておいた、これなら本気で踵落としでもされない限りは大丈夫だよ」

カザハナ「なにそれ、あたしどれだけ信用ないの」

ツバキ「仕方無いかなー。それにレオン王子のような立場の人が、舞踏会の場で苦痛な表情を浮かべるわけにもいかないし」

レオン「そういうことだよ。でも、カザハナを他の人と踊らせるのは無理そうだ。これじゃ、何人かを医務室送りにしかねないからね」

カザハナ「ううっ、悔しいけど全く反論できない」

ツバキ「もう五回は踊ってるけど、全部致命的に足を踏ん付けてるよねー。これはこれですごい才能だよー。うんうん、僕にはとてもじゃないけどできないなー」

カザハナ「他人事だと思ってるでしょ!」

ツバキ「実際他人事だからねー」

レオン「ツバキからしたら、そうだろうね。確かにドレスを着てダンスの練習ができなかったことは僕のミスだけど、その被害を真っ向から受け止める強度はないからさ」

ツバキ「カザハナのステップって早いからねー。レオン王子も流石に見切れなかったってことかな」

レオン「残念だけど、そうなるね。それを活かせれば、カザハナも戦闘面が強くなる気がしなくもないけどさ」

カザハナ「私だって、嫌でやってるんじゃないから。わかってるでしょ、ねぇ!」

レオン「はぁ……」

ツバキ「はぁ……」

カミラ「ふふっ、とても楽しそうね。レオン」

レオン「カミラ姉さん!」

カザハナ「え!?」

カミラ「ふふっ、二人とはこうして話すのは初めましてかしらね」

ツバキ「カミラ王女ですね、知ってますよー。俺はツバキって言います」

カザハナ「か、カザハナです。初めまして、カミラ王女様」

カミラ「ふふっ、カザハナは可愛いわね、なんだかとっても初心な反応で、様は付けなくても大丈夫よ。それと、あなたツバキだったわね」

ツバキ「はい、そうですよー」

カミラ「軽い感じで結構良いわ。みんな私と初めて話すときは堅苦しい人が多いから、ツバキみたいなのは新鮮に感じるもの」

ツバキ「そうですかー? こんなしゃべり方だから、どちらかというと無礼だ―とか言われることがほとんどなんですけどねー」

カミラ「ふふっ、ここは暗夜王国、白夜王国じゃないから、その口調でも問題ないわ。もしかしたら命が縮まるかもしれないけどね」

ツバキ「それは困るかなー」

カミラ「冗談よ。レオンがいっぱいお世話になってるって聞いたから、どんな人たちか興味があって、姿は見てても話したことなんてなかったから」

レオン「カザハナはいつもに比べたらしっかりしようとしてるみたいだけどね」

カザハナ「あたしだって、その初めての人にあいさつする時くらいは、ちゃんとするし」

レオン「そう? 初めて知ったよ」

カザハナ「なんですって!」

カミラ「ふふっ、愉快な子ね」

カザハナ「あ、あううっ////」

レオン「まぁ、こんな感じだよ」

カミラ「そう、やっぱりレオンが少し丸くなったように感じるのは、この子たちのおかげのようね」

レオン「ま、丸くなったって、僕が!?」

カミラ「そうでしょ、前まではカムイのことばかり気にしてたのに。今じゃ、こうやって違う人と時間を過ごしてるんだもの」

レオン「そ、それは……」

カミラ「前までのレオンなら、ずっとカムイの傍に寄り添ってたかもしれないわ。多分、シュヴァリエの件も、あなた達を置いて行っちゃう位だと思うから」

カザハナ「……言いたくなかったけど、やっぱりレオン王子ってシスコンですよねぇ」

レオン「家族のこと心配するのが悪いことだって言うのかい!?」

カザハナ「いや、そうは言ってないけど。なんていうか、この前しょぼくれてた理由も考えると……」

レオン「おい、それを言ったらさすがに怒るよ!」

カミラ「そうよカザハナ。妹のことを心配しちゃいけないってそれはひどいわ。私だってカムイのこと、とても心配しているもの」

レオン「カミラ姉さん……」

ツバキ「うーん、でもなんかカミラ王女が言う心配と、レオン王子が言う心配って意味が違う気がするなー」

カザハナ「うん、なんだかカミラ王女のほうが清く聞こえるなぁ。レオン王子の場合は、こう、ドロッとしてるっていうか」

レオン「……ぐうううううっ、お、お前たち、言いたい放題に言ってくれるね……」

ツバキ「あははっ、レオン王子、とっても怖い顔してるよー。うん、正直本当に怖い顔になってる」

カザハナ「じょ、冗談、冗談だから、……その、ごめん」

カミラ「ふふっ、こんな感情むき出しで怒って、本当に可愛くなったわねレオン」

レオン「可愛いとか、冗談はやめてほしいんだけど」

カミラ「冗談なんかじゃないわ、前に比べて表情がとっても豊かになってるから。とっても可愛いわよ」

レオン「……あーもう/////」

カザハナ「あっ、顔赤くしてる」

レオン「してないから!」

ツバキ「嘘ですねー。俺にはわかりますよー」

レオン「くそっ、おまえたち、現在進行形で捕虜なんだぞ」

カザハナ「そうだったね。すっかり忘れてたかも」

ツバキ「たしかにねー。でも、一番捕虜だってこと忘れてたの、レオン王子だったりしてー」

カミラ「こんな風に弄られてたら、そう思われても仕方ないわね、レオン」

レオン「ぐっ、言い返せない」

カミラ「ふふっ、ところで、ツバキ」

ツバキ「はい、なんですかー」

カミラ「よかったら一曲踊りましょう。私、ダンスの相手を探してるところなの」

ツバキ「え、俺とですか」

カミラ「あら、嫌だったかしら? それとも、私じゃ魅力が不足してるかしら」ボヨン

ツバキ「そんなことありませんよー。カミラ王女はとっても魅力的ですからー」

カミラ「ふふっ、嬉しいこと言ってくれるのね」

ツバキ「本心ですよー」

カミラ「ふふっ、心のこもってない返事ね。でもいいわ、それじゃ踊りに行きましょう?」

ツバキ「というわけで、レオン王子。カミラ王女と一曲踊ってきますね」

カザハナ「うん、わかった」

レオン「ああ、行ってら――」

カミラ「何を言ってるのよ。レオンもカザハナと一緒に踊るのよ?」

カザハナ「え、えっとカミラ王女、私そのドレスで踊るの全然できなくて、レオン王子にも教えてもらったんですけど……」

カミラ「そうなの。ねぇレオン、女の子に恥を掻かせたままで終わらせるつもりなのかしら?」

レオン「僕のこと、いじってきた姉さんが言っていい言葉じゃないよね、それ」

カミラ「ふふっ、もう忘れちゃったわ。でも、カザハナだって奇麗に踊り切ってみたいはずよ」

カザハナ「……」

カミラ「ふふっ、先に行ってるわね」

レオン「そうなのか?」

カザハナ「……そりゃそうだよ。こんなに奇麗なドレス、この先着る機会なんてそうないと思うし、ちゃんと踊り切ってあんたを見返してやりたいし」

レオン「……たしかに僕はまだ、カザハナが奇麗に踊り切ってる姿、見てないね」

カザハナ「べ、別にいいのよ。その、無理して踊らなくても」

レオン「いや、僕としてはカザハナが奇麗に踊り切る姿を見てみたいからね。それに、今回はこの靴があるから問題ないし」

カザハナ「……そ、それじゃ、踊ってあげなくもないけど」

レオン「そう、なら、行こうか。もうカミラ姉さんとツバキは入ってるみたいだからさ」

カザハナ「うん!」

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ラズワルド「はぁ、まったく引っかからなかった。どうしてだろう、これ以上ないってくらい声を掛けてるのに。全部袖にされて、戻ったらピエリに笑われるよ」

アクア「笑われるだけで済むといいわね」

ラズワルド「あ、アクア様」

アクア「こんばんは、ラズワルド。ところで、舞踏会が終わらないようにできないかしら?」

ラズワルド「突然の提案ですね。どうしたんですか?」

アクア「……舞踏会が終わったら、カミラに連行されてしまうのよ」

ラズワルド「一体何をしたんですか?」

アクア「若気の至りというやつよ。その、少し張り合ってみたい気持になった、そう多分嫉妬ね」

ラズワルド「カミラ様に嫉妬ですか……」

アクア「……どこを見ながら言っているのかしら?」

ラズワルド「いや、違いますよ。そういう意味じゃありませんから、その、無言で足を踏まないでください」

アクア「ふふっ、なんのことかしら」グリグリ

ラズワルド「ご、ごめん、ごめんって、ごめんなさい!」

アクア「どうしたの、ラズワルド。踊る相手がいないのに、こんなところでステップを刻むなんて、たのしそうね」

ラズワルド「アクア様、もう許して……」

サクラ「あっ、アクア姉様!」

シャーロッテ「アクア様ぁ、それにラズワルドさんも一緒なんですねぇ」

アクア「サクラ、ふふっ、とても奇麗ね、似合っているわ」

サクラ「えへへ、そうですか?」

アクア「ええ、でも、驚いたわね」

サクラ「?」

アクア「サクラのことだからレオンやカザハナたちと一緒にいるかと思っていたから」

サクラ「今日は、シャ―ロッテさんと一緒に回るって前から決めてたんです」

シャーロッテ「はぁい。ふふっ、サクラ様、多くの人を釘づけにして止まないんですよ」

モズメ「シャーロッテさん、ちょっと待ってーな」

アクア「あら、モズメも一緒なのね」

ラズワルド「うんうん、やっぱりみんなとっても可愛いね、これから僕と一曲どうかな?」

モズメ「ラズワルドさん。そればっか言ってるから、ダンスの相手が決まらないんじゃないんかな?」

ラズワルド「そ、そんなこと、あるわけないと思うんだけど」

アクア「ねぇ、ラズワルド。あなた、声を掛けてすぐに近くの女性に声を掛けてるなんてこと――」

ラズワルド「破れたら即アタックだけど?」

モズメ「軽いわー。ラズワルドさん、とっても軽いわー」

シャーロッテ「軽過ぎて達成感とか皆無だぞ、おい」

サクラ「ちょっと、それは軽すぎる気がします」

アクア「小枝もびっくりの軽さね」

ラズワルド「えぇ……」

シャーロッテ「ふふっ、それにしてもサクラ様、いっぱい殿方から声を掛けてもらえましたね。やっぱり、私の予想通りじゃないですか」

サクラ「そ、そんなこと、私待ってるばかりでしたから」

シャーロッテ「わかってねえな。待ってて寄ってきてくれるなんて最高じゃん?」

サクラ「で、でも。私、口べただから。シャーロッテさんが近くいてくれなかったら、右往左往してただけだと思います」

シャーロッテ「ふふっ私はサクラ様を利用させてもらってるだけですよ。自分で歩き回るより、効率いいんですから」

サクラ「そ、そうなんですか? でも、シャーロッテさん、あんまりお誘いに乗らないじゃないですか。どうして……」

シャーロッテ「そりゃそうよ。サクラ様に何かあったら、私の首が飛んじゃうし、それにモズメのことも見てあげないといけないから。ふふっ、でもちゃんと男たちとは話をして好感度をいっぱ