提督「安価でいっそうみんなと遊ぶ」 (1000)

提督「さあ電、これを着てくれ」

電「……一応聞いておきますが、なんなのです?」

提督「ピカ○ュウの着ぐるみだ!」

電(理由を説明してほしいのです……)

提督「こいつで開会のあいさつをすることにより、運動会の開始をすることが出来るのだ!」

電「意味が理解できないのです」

提督「まあまあまあ」グイグイ

電「お、押し付けるのは止めるのです!」


暁「あれ放っておいていいの?」

響「結局電が折れるだろうし、いいんじゃないかな」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1445103918

~数分後~

電(ピカ○ュウ着ぐるみ)「こ、これでいいのですか?」

提督「バッチオッケーだ」

電「そ、そうですか?」

提督「ああ、可愛いぞ」

電「……」

提督「うん、ピカチュ○は昔のタイプの方が可愛いな」

電(……よく分からないけど、全く嬉しくないことは確かなのです)

提督「さて、ピ○チュウ電をマスコットにして運動会を開始するか」

電(電に着ぐるみをきさせて意味はあったのですか?)


雷「あ、ピカ○ュウよ○カチュウ!」

暁「ああ……そうね」

響「電も今日は大変そうだね」

~~~~~~~~

提督「と、いうわけで運動会だなぁ秘書官よ」

霞「話し掛けて来るなんて珍しいわね。さっさと持ち場に戻りなさい」

提督「冷たっ! そんなつれない反応する事無いだろぉ?」

霞「ちっ、本当にうざいわね……次あんたの番でしょ、さっさと行きなさい」

提督「おお、そうだったか。次の競技は何だっけ?」

霞「徒競走よ」

提督「よくある奴だな」

霞「それくらいが丁度良いのよ」

~徒競走~

提督「その恰好で走るのか」

電(着ぐるみ)「司令官さん、ヤられたくなければ、その口を閉じるのです」

提督「何それ怖い」

島風「二人とも何話してるの? かけっこなら、私が一番なんだから!」

秋津洲「あたしが一番かも!」

ビスマルク「いいえ、私が一番よ!」

電「勝気な人ばかりなのです……」

提督「はは、まあ電はゆっくり走ってくればいいよ。俺の一位は変わらないんだからな」

電(今日の司令官さんはいつもよりむかつくのです)

~綱引き~

武蔵「大和、悪いが手加減はしないぞ」

大和「あら、それは此方のセリフよ?」

長門「大和よ、こちらには私や妙高たちがいる。負ける要素は無いぞ」

陸奥「こっちだって、加賀や霧島がいるのよ。負けるわけが無いじゃない」

加賀「ちょっと待ってください」

霧島「私は頭脳派ですよ」


提督「姉妹半分に分けて姉対妹なー。案外バランス良いかもな」

大鳳「少し出てみたかったような気もします」

提督「なら出れば……ああ、姉妹いないからか」

~騎馬戦~

霞「次は騎馬戦よ。準備しなさい」

提督「……もう? 早くない?」

霞「人数多い上に出る競技もバラバラだから一回が短いのよ」

提督「悲しいなぁ……んじゃ、軽く勝利をもぎ取ってくる」

吹雪「あ、司令官、大丈夫なんですか?」

提督「準備か? それは、もちろん」

吹雪「いえ、そうではなく、相手がその……」


曙「で、クソ提督は何だって?」

霞「随分余裕そうで、勝つ気みたいだったわよ」

初風「あんまり甘くみられるのは、ちょっと癪……」

満潮「ま、その言葉をそっくりそのまま返してあげれば良いわ」


提督「……駆逐艦なのに怖い」

吹雪「が、頑張ってください」

提督「何言ってんだ? 吹雪が上だぞ」

吹雪「えぇー!」

以上、前スレ最終安価とオチのネタでした


前々々々々々スレ
提督「安価でみんなと遊ぶ」
提督「安価でみんなと遊ぶ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1407207253/)

前々々々々スレ
提督「安価でもっとみんなと遊ぶ」
提督「安価でもっとみんなと遊ぶ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1408859242/)

前々々々スレ
提督「安価でさらにみんなと遊ぶ」
提督「安価でさらにみんなと遊ぶ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1410331811/)

前々々スレ
提督「安価でまだまだみんなと遊ぶ」
提督「安価でまだまだみんなと遊ぶ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1414071416/)

前々スレ
提督「安価でつづけてみんなと遊ぶ」
提督「安価でつづけてみんなと遊ぶ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1423397701/)

前スレ
提督「安価でよりみんなと遊ぶ」
提督「安価でよりみんなと遊ぶ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1434116382/)


※雑談自由・キャラ崩壊注意
※安価は自由にしてます(遊ぶに縛られなくてもいいや)
※人生がENDにいきそうな安価は曲解します
※毎日亀更新
※sage進行

―執務室―

提督「というわけで、今回の運動会終了。なんか短かったような気がする」

霞「はいはい、さっさと切り替えなさい」

提督「だって、なんか自分がした競技の直前しか記憶になかったんだが……」

霞「徒競走じゃ、隣の言い争いに巻き込まれで頭を強打、綱引きは何故か人が一人飛んできて頭を強打、騎馬戦じゃ気絶、記憶の混濁も当然ね」

提督「え、気絶って、まさか……」

霞「はやく書類に手を付けなさい。クズ司令官」

バタン

提督「……さらっと気絶って言ってたけど、何があったんだ」

↓2

―庭―

提督「朝潮、そこに立っててくれないか」

朝潮「はい、分かりました」

提督「……」カキカキ

朝潮「……? 何を書いているんですか?」

提督「ストップ、動かないでくれ」

朝潮「は、はい!」

提督「よし」カキカキ

朝潮「……」

提督「……」

朝潮(司令官、真面目な顔をしています。なんだかわかりませんけど、私もしっかりしなくちゃ)

提督(等身大で作るなら、このくらいのデータで十分かな)

~次の日~

[朝潮像]

朝潮「し、司令官、朝起きたら何か作られているんですけど!?」

提督「ああ、朝潮の活躍を祀って銅像を建ててみた」

朝潮「祀らなくてもいいですから!」

提督「え……」

朝潮「え、あの、す、すみません」

提督「嬉しくないか……?」

朝潮「こんなにも思ってくれているのは嬉しいですよ!」

提督「うん、喜んでもらえてうれしいぞ」

朝潮「はい……」

提督「それにしても……」

[朝潮像]

提督「よく出来ているな」

朝潮「あの、どうして突然こんなものを作ろうと思ったんですか?」

提督「いや、妖精さんの一人に忠犬ハチ公を見せたら、凄くやる気を出して」

朝潮「それで、どうして私なんですか? 活躍している人なら他にも……」

提督「朝潮が一番似合ってるって、その職人妖精さんが言っていたんだ」

朝潮「私が、ですか?」

提督「ほら、この像を作るのデータ採取の時も素直に聞いてくれたりしただろ。ああいうのが、受けたんだろう」

朝潮「そうですか……この性格、直した方が良いですかね……」

提督「美点を直すなんてもったいない! それに、この銅像だって咎める為に作ったわけじゃないんだ。謙遜はしても、不遜に扱うのは絶対にナシだ。いいな」

朝潮「司令官……はい! 朝潮、今後もご期待に応えるべく頑張ります!」

―執務室―

提督「銅像は庭の隅にひっそりと建てられることになった」

提督「場所は朝潮が望んだ場所にはなった。流石にど真ん中に建てるわけにはいかないから、丁度良い申し出だったが」

↓2

―天龍型の部屋―

天龍「そういや、提督は髪を切らないのか?」

提督「髪を? そうだなぁ、ここ最近そんな時間も無いから伸ばしっぱなしなわけだしな」

龍田「あら~? 提督がお忙しいなんてこと、あるのかしら~?」

提督「凄く失礼だな、龍田」

龍田「うふふ、すみません」

天龍「……龍田に頼んでみたらどうだ?」

提督「龍田に?」

天龍「オレも龍田にやってもらってるからさ」

提督「……」チラッ

龍田「どうかしましたか~?」

提督「天龍だからこそ真面目にやっただけで、俺が頼んだら酷いことになる気がする」

龍田「私に聞こえるように話すなんて、良い度胸してますね~」

提督「だ、だが、実際にモヒカンやリーゼントとかになりそうな気がするぞ!」

天龍「龍田にどういうイメージ持ってるんだよ」

龍田「提督がそれをお望みなら、そう致しますけど~?」シャキン

提督「ひぃ、やっぱり!」

龍田「……それで、本当にどうしますか~?」

提督「ん、やってくれるなら頼む。わざわざ散髪まで行くのは面倒だしな」

龍田「それでは、お望みのままに~」

天龍「じゃあ、オレは邪魔するのもなんだから、適当に外に出とくな」

龍田「天龍ちゃんくらいなら、邪魔にはならないわよ~」

天龍「いや、そうだろうが……提督がモヒカンになるのは見るに堪えなくて」

提督「俺モヒカンにされんの!?」

~~~~~~~~

龍田「大丈夫ですか~?」

提督「丁度良いくらいだ」

龍田「そうですか、それならよかったですね」

提督「でも、何でやる気になってくれたんだ? ぶっちゃけ、いつもなら断るだろ」

龍田「天龍ちゃんからの紹介なら、ノーとはいえないでしょ~」

提督「ま、そうだよな」

龍田「何か期待していましたか~?」

提督「龍田から期待する事なんて、基本的には無いから心配するな」

龍田「そうですか~……提督なら、天龍ちゃんの言葉が無くてもしてあげてたような気がしますよ?」

提督「え?」

龍田「うふふ、なんでもないです」

―執務室―

提督「突然言われた言葉は理解しがたいものだった」

提督「というわけで、龍田の為にも聞かなかったことにしよう。うん、それがいい」

↓2

―球磨型の部屋―

提督「……大分余ってるな」

球磨「クマー……」

木曾「誰かが安売りしてる時に大量に買ってきたからな」

大井「まったく、ちゃんと計算しないから」

北上「あ、それ買って来たの私」

大井「さて、これをどう消費するか、それを考えましょう」

提督「大井は相変わらずだな」

球磨「あんまり甘く見て、同じことされるのは勘弁して欲しいクマ」

提督「さすがにもうペットボトルのを買えよ」

北上「はーい」

木曾「それで、大井も言っていたがこれをどうするんだ」

球磨「やっぱり、皆で飲むしかないクマ」

多摩「でも、全部で五十以上あるにゃ。これをのむかにゃ?」

提督「成せばなるともいうが……ちなみに、賞味期限はいつだ」

球磨「今週クマ」

提督「ノルマは一日七本くらいか。一人一本以上頑張れよ」

北上「提督は?」

提督「はっ、麦茶生活なんてまっぴらごめんだ!」

大井「北上さんが言っているのに……」

提督「別に俺悪くないよね!?」

球磨「でも、提督も飲むクマ」

提督「いや、俺は……」

多摩「……」キラーン

提督(あかん、多摩が爪を見せながら威嚇してくる。しょうがない、十本くらい貰っておくか)

~~~~~~~~

提督「で、今日が賞味期限だったが、どうなってるんだ?」

球磨「……もう麦茶はこりごりクマ」

木曾「まあ、色んな楽しみ方をする経験が出来たがな」

北上「大井っちが大体飲んでくれたからねー」

大井「北上さんの為なら何のそのですよ!」

多摩(鬼気迫る表情で飲んでた時は、どうしたかと思ったにゃ)

提督「……今更なんだがな、パックでも来年まで保存する方法はあったぞ?」

球磨「!?」

提督「それに、間宮とかにあげれば、有効に活用してくれた可能性も十分にあったし」

木曾「なるほど、それは確かにそうだな」

提督「実際した事なんだが、談話室辺りにおいておけば、皆適当にのんでくれたし」

多摩「にゃ……」

大井「……そういうことは、先週言ってください……」

北上「うん……」

提督(あ、皆相当憔悴してるな。というか、最悪捨てれば良かったのに)

―執務室―

提督「捨てるという考えが出ないことは悪い事じゃないが……」

提督「いや、逆にあんまり考えたくなかったから、消費の仕方も思いつかなかったのかもしれないな」

↓2

―廊下―

比叡「ふわぁ……」

提督「どうした比叡、随分おねむだな」

比叡「ん……司令、ですかぁ」

提督「本当に大丈夫か? 出撃も何もないし、眠いんなら別に寝てても良いんだが」

比叡「そうですね……今寝ると、夜まで起きそうにないですけど……ぁふ」

提督(金剛の前ならいざ知らず、俺の前で近だけ無防備なのも珍しいな)

比叡「では司令……お言葉に甘えまして……」

提督「待った。どうせなら、もっといい場所で寝ないか」

比叡「……?」

―庭―

提督「よし、天気も良いから日当たりと影のバランスも丁度良し。風もいい感じに吹いてるな」

比叡「……」ウツラウツラ

提督(本気で眠そうだな。いったい、何をしたらこんなに眠気が溜まるんだ)

提督「ここの木の下で寝るといい感じに気持ちが良いぞ。体感済みだ」

比叡「……」

提督「……比叡?」

比叡「……zz」

提督「立ったまま寝てる……しゃあない、運んでやるか」グッ

比叡「むにゃ……」

提督「……比叡も、黙ってれば見目麗しいと思うんだがなぁ。まあ、しょうがないか」

比叡「zzz……オネエサマ……」

提督「しかし、ここに来るのも久しぶりだな……」

比叡「ぅん……」ゴロン

提督「……」

比叡「zzz……」

提督「気持ちよさそうに寝やがって……よし、これはおしおきが必要だな。おしおきの刑は、俺の添い寝だ!」

比叡「ん……」

提督「……一人芸はやめとこ。はぁ、普通に隣の木にでも腰かけるか」

比叡「ぇへ……」

提督「そのまえに、持ってきた毛布を掛けて……と」

比叡「オネエサマー……」ギュッ

提督「!?」

比叡「んー……」ギュウウ

提督「ちょ、待て、誰と勘違いしている比叡!」

比叡「離しませんよー……」ギュウ

提督「くそっ、マジで深い眠りに入ってる……寝言多い割には」

比叡「zzz……」ギュー

提督「……まあ、別にいいか。このまま寝よう」

―執務室―

提督「……なぜか比叡に怒られた。いや、それほど本気には見えなかったけど」

提督「でも理不尽な気がする」

↓2

―廊下―

ビスマルク「~~♪」

提督「なあビスマルク」

ビスマルク「どうかしたの、提督」

提督「何の歌をうたっているのか知らないけど、なんだかヤバそうな匂いを発している気がするんだが」

ビスマルク「別に変なものじゃないわ。記憶にあった軍歌を歌ってるだけよ」

提督「それが禁止なんだけど」

ビスマルク「ケチね」

提督「いや、ケチとか言われましても……」

ビスマルク「でも、提督が何を言いたいか分かったわ」

提督「あ、うん。分かってくれたならよかった」

ビスマルク「ふふ、楽しみにしておきなさい」スタスタ

提督「……伝わってない気がする」

~~~~~~~~

ビスマルク「~~♪」
オイゲン「~~♪」
レーベ「~~♪」
マックス「~~♪」

提督(何やってんのこいつら)

ビスマルク「ふふ、どうよ提督」

提督「いや、言いたかったことが伝わっていないっていうことは分かった」

ビスマルク「え?」

オイゲン「もう、姉さま。やっぱり違うじゃないですか」

提督「部屋で歌う分には勝手にだが、聞こえる場所でやばそうな歌は歌うなよ、ってことだったんだが」

ビスマルク「そうなの? てっきり、一人で歌うより、人数がいた方が良いって事なのかと思ったわ」

提督「わざわざそんな事言わないし」

マックス「はぁ、やっぱり聞き間違えでしたか」

ビスマルク「わざわざ悪いわね」

マックス「いえ、久しぶりに歌うのは楽しかったですから、そこは良いんですけど」

レーベ「マックスはもう集まることが無いのかって、危惧してるみたい」

提督「いや、歌う分には勝手にすればいいぞ。ただ、あんまり人がいないときにな」

ビスマルク「ええ。じゃあ、とりあえず今は撤収するわね」

提督「……」

ビスマルク「じゃあ、次のときはこのパートから……」

提督「なあビスマルク」

ビスマルク「?」

提督「俺も混ざっていいか?」

ビスマルク「……ええ」

―執務室―

提督「なんか、一部の艦娘に聞かれると凄く叱られそうな歌を歌ってきた」

提督「まあ、やばそうなことしててもばれなきゃいいわけだから。うん」

↓2

―秋月型の部屋―

秋月「秋の味覚セットが当たりました」

提督「まじか」

秋月「それで、その……」

照月「おすそわけだよね」

秋月「はい。どうぞ、司令」

提督「おお、ありがと。ちなみに、何が入っていたんだ?」

秋月「なしとぶどう、かき、もも、キウイです」

提督「見事なまでに秋の味覚だな」

秋月「そういう懸賞ですしね」

照月「秋月姉、提督に何か切ってあげたら?」

秋月「そうですね。司令、何が食べたいですか?」

提督「そうだなあ……じゃあ、やっぱりなしかな」

秋月「分かりました」シャリシャリ

提督「……なかなか器用なもんだな」

秋月「包丁を使うのは馴れてますから」

提督「そういえばそうか」

秋月「……はい、どうぞ司令」

提督「ありがとう。でも、先に食べるのは秋月だ」

秋月「どうしてですか?」

提督「だって当てたのは秋月だろ。当然の権利だ」

秋月「ですけど……」

提督「それで納得しないのなら、こう言おうか。毒見をしてくれ、と」

秋月「司令……ありがとうございます。お先にいただきますね」

照月(秋月姉に食べさせるために言ったのかな?)

秋月「……」モグモグ

提督「どうだ?」

秋月「はい、きちんと甘みもあって、美味しいです」

提督「よし、ならいただくとするかな」

照月「……」

提督「どうした、照月もたべていいんだぞ」

照月「いいの?」

秋月「司令にさし上げたもので、司令が良いといってるから」

照月「じゃあ、私桃がいい!」

提督「ちょ、おま、さっきの遠慮は演技かよ」

秋月「はい、桃も美味しいですよ、司令」

提督「……まあ、いいけどな」

―執務室―

提督「そこそこ美味しかった」

提督「なんだかんだで貰った奴は全部その場で食べてしまった。残しても秋月は遠慮しそうだし」

↓2

―食堂―

リットリオ「あの、提督」

提督「リットリオから声をかけてくるなんて、珍しいな。どうしたんだ?」

リットリオ「前にパスタを作っていましたよね」

提督「ああ、あの説はお世話になったな」

リットリオ「それで、今回はピザにも挑戦してみませんか?」

提督「……な、何を考えている?」

リットリオ「そんな、警戒しなくてもいいですよ」

ローマ「怪しそうな誘い方をしているからです」

リットリオ「ローマ……」

ローマ「素直に、ピザを食べたいといえばいいんです」

リットリオ「ローマ!」

~~~~~~~~~

提督「そういうことなら、わざわざ断るつもりもない。今回はピザ作りに挑戦だ」

ローマ「食堂を使ってもいいんですか?」

提督「許可はとった。というか、ピザを焼くのにそれなりに大きなオーブンも必要だから、ここしかない」

リットリオ「そういわれれば、確かにそうですね」

提督「そんなわけで……三人とも、トッピングは何を乗せようか」

リットリオ「ベーコンやハム……あ、コーンもいいですよ」

ローマ「バジルとかは見た目や香りがよくなりますよ。あと、トマトやアボカドなども」

リベッチオ「えっと、パイナップル!」

提督「なるほど。よし、全部入れるか」

リットリオ「えっと、大丈夫ですか?」

提督「ふっふっふ、実は事前にある程度調べてきたからな。大丈夫だ!」

ローマ(不安になるんですけど)

提督「さて、生地だが……」

リベッチオ「回すの?」

提督「キラキラした目をされても、実際手で回すなんて無謀に近いからな」

リットリオ「回せるの?」

提督「いや、回せないこともないが……」

ローマ「こっちはトッピングを切っておきますので、どうぞ」

提督「……指で回すのは無理だからな」サッサッサ

リットリオ「なるほど、両手で回すように生地を広げるんですね」

リベッチオ「すごーい!」

ローマ(上手ですけど……いつ練習したんでしょうか)

提督(昔暇つぶしに買ったラバーの芸がこんなところで生きるとは)

―執務室―

提督「作ったのは一つの生地で四種類の味が味わえる例のピザ……だが」

提督「別々に作ればよかったと、間宮に突っ込まれて気づいた。最終的に三人とも喜んでくれてたけど」

下2

―食堂―

間宮「私に料理を、ですか?」

提督「ああそうだ。よく厨房を借りてるから、そのお礼にと思ってな」

間宮「そうですか? では、ありがたくいただいておきましょうか」

提督「よし。じゃあ、リクエストを言ってくれ」

間宮「……では、炒飯なんてどうでしょうか」

提督「炒飯?」

間宮「駄目ですか?」

提督「ああいや、そういう意味で聞き返したわけじゃないんだ。本当に炒飯でいいのか?」

間宮「はい。あんまり食べる機会も無いので、こういう時こそ、と思いますから」

提督「ふむ、間宮がそういうのなら拒否することも無いか。じゃあ、さっそく作るとしよう」

~~~~~~~~

提督「完成だ!」

間宮「とてもお上手でしたね」

提督「ここだと火力も出るし、材料もそろっているから、作りやすかったんだ」

間宮「それでも、火柱が出るところまでするのは本当にすごいと思いました」

提督「間宮にはやっぱり完成度の高い物を出してあげたかったからな」

間宮「提督……」

提督「……ほら、さっさと食べてくれ。なんか恥ずかしいだろ」

間宮「ふふ、ありがとうございます。では、いただきます」

提督「……どうだ?」

間宮「……はぁ」

提督「えっ! もしかして不味かったか!?」

間宮「い、いえ、違います!」

提督「じゃあ、どうして溜息なんてついたんだ。ちょっとショックだぞ」

間宮「その、思ったより美味しかったもので、私自身もまだ精進しなくてはいけない、と思ったんです」

提督「ええ、それは褒めすぎだろ」

間宮「あら、私だってまだ自分の作る料理が最高だと思っていませんよ」

提督「そうだとしても、間宮にそう思わせるのはなぁ……」

間宮「では、逆に考えてはどうでしょうか。男性の料理である炒飯の腕を抜かされるのは駄目だと」

提督「……はぁ、間宮にはかなわんな」

間宮「ふふ、今度は私がご馳走してあげますから」

提督「楽しみにしておくよ」

―執務室―

提督「一度に多くの料理を作るから、炒飯みたいな手間をかけた方が良い奴はあんまりつくらないんだろうな……」

提督「まあ、そもそも火柱を上げる間宮なんて想像は出来ないがな」

↓2

―工廠―

提督「……誰か驚かせたい」

夕張「久しぶりにここに来ましたね。残念ですが、幽霊が出るとかでそう言ったことは禁じられるようになったんです」

提督「別に夜とかにするわけじゃない。ビックリ箱のような一瞬の驚きが見たいんだ」

夕張「ビックリ箱……そんなもので今更驚く子がいるんですかね」

提督「だろ? だから、そんな感じのものが無いかなって」

夕張「と、いわれましても……」

提督「やっぱり難しいか」

夕張「流石にピンポイントでそういうものはありませんね。もういっそ提督自らビックリ箱になるとか……」

提督「……」

夕張「なんて、そんなの無理ですよね」

提督「いや、それもらい! じゃあ、さっそく行ってくる!」

夕張「……今のは私のせいじゃないですよね」

―鳳翔の店―

龍鳳「鳳翔さん、そろそろ行かないと時間が……」

鳳翔「はい。では、頼みますね」

春雨「はい!」

春雨(厨房を使わせてもらう代わりなんだから、ちゃんとご飯たかなきゃ)

春雨「まず、お米を取って来ないと」テクテク


提督「……よし、今のうちにどこか隠れて驚かしてやろう」

提督(しかし、厨房で隠れられるところなんて数少ないな。棚の中……は近づかない可能性があるから、驚かしには向いてないし)

春雨『んしょ……量があるからちょっと重いです……』

提督「なっ、思ったより早いな。もう場所に悩むことが無い程慣れているということか。ええい、こうなれば!」バッ

春雨「ととっ……何か声が聞こえたような……」

春雨(気のせいかな? うん、とにかく早くご飯を炊かなきゃ)

春雨「水ですすいで……えっと、コツは……」

提督(音である程度状況を予想。そう、すすぎ終わり、飯盒の下に来る時がチャンス……)

春雨「うん。これで大丈夫かな。あとは飯盒を……」

提督(いまだ!)

提督「わぁあああああああああああ!!!」バッ

春雨「ひゃぁあああああああああああ!!?」

提督「はっはっは、良い驚き方だ」

春雨「おお、驚きますよ! 何でこんな所から出て来たんですか!?」

提督「いや、驚いてくれるかなと」

春雨「ほ、本当に……びっくりしたんですから」ペタン

提督「わ、悪い。そんな腰を抜かすほど驚くなんて思わなくて」

春雨「うぅ~……」

提督「あちゃあ、こりゃ本当に悪いことしたみたいだ」

春雨(そもそも、飯盒の中にどうやって入っていたんですか……大きさからして無理ですよ……)

―執務室―

提督「機嫌を悪くしたので、料理を食べてあげることになった」

提督「……おかしい気はするが、春雨にとってそれで贖罪になるのだろう」

↓2

―母港―

提督「大変そうだな、鳳翔」

鳳翔「いえ、いつものことですから」

提督「……手伝おうか?」

鳳翔「あら、いいんですか?」

提督「もちろんだ。こうして洗濯物をしてくれているんだ、ちょっとぐらい手伝いもするさ」

鳳翔「ありがとうございます。では、そちらの洗濯物を干してください」

提督「よし来た。この俺の超スピードを見せてやるぜ!」

鳳翔「ちゃんと伸ばしてくださいね。皺になりますから」

提督「おう! 前に調べたことあるから、そのあたりの知識は抜かりないぜ!」

鳳翔「では、頼みました」

~~~~~~~~

鳳翔「終わりましたか?」

提督「……終わりません。量が、多すぎます」

鳳翔「うふふ、そうでしょうね」

提督「わ、分かってて頼んだのか? 鬼畜!」

鳳翔「いえいえ、元から配分はこちらの方が少なかったものですから」

提督「そうなのか? ううん、それはそれで微妙に酷い気がするな……いや、手伝いたいという気持ちは本物だけど」

鳳翔「提督には任せられないものですから、私がやっただけです。残りは私もお手伝いしますから」

提督「俺に任せられないもの?」

鳳翔「詮索は無用ですよ」

提督「鳳翔がそういうならそうか。んじゃ、残りは二人で済ませるか」

鳳翔「はい」

~~~~~~~~

提督「終わったー……」

鳳翔「お疲れ様でした。どうぞ、お茶です」

提督「ありがとう。ズズ……はぁ~、ひと働きした後のお茶は最高だ」

鳳翔「そうですね」

提督「それにしても、いつも鳳翔はこんなことをしているのか?」

鳳翔「いえ、自分でする子もいますし、今日が特別多いだけですよ」

提督(それでも、こう言うことをしているのは本当なんだな)

鳳翔「心配せずとも、好きなんです」

提督「好き?」

鳳翔「こうして皆さんの選択をする事、そして、この光景を見る事……」

提督「……鳳翔もなかなか情緒深いな」

鳳翔「そうですか?」

提督「ああ」

提督(実は下着がさっき服の中に紛れていたんだが……邪魔するのも悪いし、後でこっそりと干しておこう)

―執務室―

提督「折角鳳翔が気分良さそうなのに、横やりを入れるのははばかられた」

提督「まあ、あの状況でそんなオチにするほど空気を読ないわけじゃない」

↓2

―陽炎型の部屋一号室―

提督「コーラ一気飲みだと……」

黒潮「せや。司令官、もちろん乗ってくれるんやろな」

提督「ふっ、いいだろう……貴様が勝負を仕掛けてきた事、その賞賛代わりに相手となってやろうではないか」

黒潮「そう言ってられるのも今の内やで」


不知火「ジュース飲むだけよね」

陽炎「そうだけど……でも、恐ろしい事を考えてるわよ」

不知火「ジュースが?」

陽炎「ジュースと言ってもコーラよ」

不知火「?」

陽炎「ゲップ、でるでしょう」

不知火「あぁ、そういうこと」

提督「降参するのなら今の内だぞ」

黒潮「降参するならそっちの方やろ?」

提督「……」

黒潮「……」

提督・黒潮「「開始!!」」グイッ

提督「ぶふぁ!?」

黒潮「……ぷはっ、どしたん?」

提督「これ、もしかして零カロリー……」

黒潮「うちもカロリー気になるもんでなぁ」

提督「わ、悪いが零カロリーは苦手なんだ。出来れば普通のコーラで頼む」


陽炎「ゼロ無理な人、たまにいるわよね」

不知火「そうかしら。司令で初めてなのだけど」

陽炎「一応甘さ控えめらしいわよ。炭酸量はそのままで」

黒潮「ほい、それでええやろ」

提督「悪いな。じゃあ、最終決戦と行こうか」

黒潮「何言うとるん、もう勝負は始まっとるで」

提督「何?」
黒潮「今や!」ゴクゴク

提督「普通に汚い!」ゴクゴク


陽炎「さてと、そろそろタオルを用意しようかしら」

不知火「溢すと」

陽炎「ええ、コーラをかけても良いわ」


提督「グブッ、ぶはっ!」

黒潮「うっ……」


不知火「無理ならしなければよかったのでは」

陽炎「結局、なんで二人ともこんなことしでかしたのかしら……」

―執務室―

提督「黒潮がコーラが当たったからとかで余った分を遊びに使っただけだったり」

提督「あと、別にコーラゼロが飲めないわけではなくて、一気飲みするなら好きな方が良いなって思っただけだったり」

↓2

―川内型の部屋―

川内「ライブ?」

提督「なんか、お偉いさんたちがいたく気に入ってくれたみたいでな」

那珂「那珂ちゃんが? もー、人気アイドルは辛いなー」

神通「気に入ってくれるのは嬉しいですけど、ライブとかはその……」

川内「夜戦させてくれるならいいよ」

提督「三者三面の反応をありがとう。残念ながら強制なので、却下は出来ない」

神通「ほ、本当ですか?」

提督「嘘をついて何になる」

那珂「えー、那珂ちゃんはそんな簡単なアイドルじゃないんだよ?」

提督「ギャラとか考えるなら外で有名になってからな」

那珂「そ、そんなこと考えてないよ!」

川内「と言っても、急にライブと言ってもどうするの」

提督「まあある程度の事についてなら、俺も初めてじゃないので記憶には残ってる」

川内「そうなの?」

那珂「那珂ちゃん知ってる、大分前にうちの戦艦の子をレビューさせてんだよね」

提督「はいはい、もうこの話は終了。とにかく、今からライブの練習に取り組むから準備して」

神通「そうは言いましても、衣装とかはどうするんですか?」

提督「あっちでもう作ってあると。とりあえず三人は憂いも無いだろうから早速取り掛からうと思う」

川内「はーい」
那珂「那珂ちゃんの力、魅せてあげるんだから!」

神通「……本当に大丈夫だと思いますか?」

提督「いや、超不安」

神通「不安ですね……」

提督「だからこそ、本番までの間、みっちり稽古を付ける事の出来る時間は確保してきた」

川内「へー、準備良いね」

那珂「流石プロデューサー!」

提督「プロデューサー呼びは流石に……」

神通(なんだかんだで提督もノリノリですよね……)

~~~~~~~~

提督「――まあ、そんなこんなで、大体は出来たな」

川内「日付も近くなって、流石に緊張してきたよ」

那珂「まだ那珂ちゃんのように舞台度胸がついてないね!」

神通(一度もちゃんとしたステージに立った事無いのに、舞台度胸がついてるというのも……)

提督「本番衣装などは全て向こうにおいてある。俺はその日忙しいからいけないけど」

川内「なんだ、そうなの?」

提督「ああ、だから……そうだな、その日はめいっぱい楽しんで来い」

那珂「もちろん☆」

神通「上からの要請ですし、出来るだけやって見せますね」

提督「よし、その意気だ!」

提督(……また艦娘が世間的にしばらく有名になるんかな)

―執務室―

提督「チケットはすでに買った。やっぱり、なんだかんだと一般で彼女たちを応援したいという気持ちはあった」

提督「舞台脇から見るより、そっちのほうが見やすいだろう」

↓2

―廊下―

提督「浦風じゃん、着物似合ってるね」

浦風「前から着とったんじゃけど」

提督「そうなの? いやぁ、気付かなかった」

浦風「本当に気付かなかったん?」

提督「いや、似合ってるっていう機会が無かったから、改めて言うための口実だ」

浦風「はぁ……」

提督「まあまあ。それにしても、そろそろ冬になるな」

浦風「寒なってきたしなぁ」

提督「今寒いなら、まくっている袖を直せばいいんじゃないか」

浦風「袖? ああ、戻しとらんかったか」

提督「というか、なんで袖まくってたんだ」

浦風「さっき料理作っとったけえ、忘れとったわ」

提督「ふーん。浦風が作ったなら、さぞ美味しく出来たんだろうな」

浦風「ええがに出来たでぇ」

提督「それはなによりだ」

浦風「ほんじゃ、提督さん。うち今からおやつじゃけえ」

提督「おやつ? 付き合おう」

浦風「いや、来てほしいってわけじゃ……」

提督「行ったら駄目なのか!?」

浦風「……提督さんには叶わんなぁ。ええよ」

提督「じゃあ、ごちになりまーす」

浦風(このままゆうのも、なーんかなぁ。ちと、冗談ゆうてみるか)

浦風「でも、そのおやつ磯風が作ったゆうたら?」

提督「ぇ」

浦風「じょ、冗談じゃけぇ、そんな顔でみんといて」

提督「命にかかわる冗談いうなよ……」

浦風(大げさじゃなぁ)


―談話室―

磯風「おお、丁度良い所に。クッキーが出来たんだが、いるか?」

提督「浦風」

浦風「うちは悪くない」

―執務室―

提督「口八丁でなんとか逃れることが出来た」

提督「予想外の出来事で命を失うところだった……命は言い過ぎだけど」

↓2

~深夜~

提督「んー、夜のコーヒーの一杯も、なかなか捨てがたい。そう思わないか、榛名」

榛名「はい、そう思います」

提督「こんな日は、執務室に閉じこもっていないで、外に出ようではないか」

榛名「こんな時間にですか?」

提督「こんな時間にだからこそだ。夜と深夜では、見れる物も違うだろう」

榛名「それもそうかもしれませんね」

提督「そうと決まれば、早速外へと……」

榛名「でも、霞ちゃんから頼まれているので、外出は駄目ですよ」

提督「……どうしても?」

榛名「はい」

提督「はあぁ……」

榛名「その、提督が早く片付ければいいものだと聞いていますが?」

提督「それもそうなんだが……まあ、いったん休憩しようじゃないか。榛名も疲れただろ」

榛名「いえ、榛名は大丈夫です!」

提督「俺が休みたいのだ。少々休んでも、遠征中の秘書官にはばれないって」

榛名「ですが……」

提督「休憩を挟む方が効率は良いって、絶対」

榛名「……ちょっとだけですよ」

提督「さすが榛名、優しいな!」

榛名「い、いえ」

提督「いやー、実はさっきから肩が凝ってなぁ」

榛名「では、肩をお揉みしましょうか?」

提督「いいのか? じゃあ、頼む」

榛名「はい」

提督「……あぁ~、結構上手だな~」

榛名「そうですか? 肩もみするのは初めてなので、あんまり自信が無いですけど」

提督「いやいや、十分上手だって」

榛名「そう言ってもらえると、榛名も嬉しいです」

提督「こんな時間だからこそも幸せもあるもんだな~」

榛名「はい、そうですね」

提督「ほら見ろ、月が綺麗だぞ」

榛名「はい、月が綺麗ですね」

提督「本当に、月が……」

~~~~~~~~

提督「……はっ、寝落ちしてた! あれ、書類出来てる……」

提督「榛名も居ないし、もしかして覚えてないだけか。そういうことにしておこう」

↓2

―廊下―

雷「トリックオアトリート!」

暁「お菓子をくれないならイタズラするわよ!」

提督「暁の悪戯なら敢えて受けてやろう」

暁「えっ」

電「その返答は引くのです」

響「ちょっとどうかと思うよ」

提督「冗談だって。真に受けられるとこっちもやるせないんだが……ほら、お菓子だ」

雷「ありがと、しれーかん!」

暁「……さっきの、本当に冗談よね?」

提督「気になるんだったら、夜部屋に来ても何もしないから何処からか持ってきた銃口をこっちにむけないで」

電「イタズラ用のエアガンなのです」

響「一応用意して正解だったね」

提督(エアガンも撃たれると結構痛いんだぞ……)

雷「それじゃあ、司令官!」

提督「あんまりはしゃぐなよー」

金剛「仲良いですネー」

提督「まあな。それで金剛、お前もか」

金剛「ハーイ! トリックオアトリート! お菓子下さいネー!」

提督「はい、お菓子」

金剛「ノー! さっきと反応が違うデース!」

提督「だって、冗談でも金剛に悪戯が良い何て言ったら、シャレになりそうもない」

金剛「ムー、イジワルですネー」

霧島「金剛お姉様、逆に考えるのです。お姉様の事をよく理解しておられると」

金剛「ナルホド! さすが霧島、頼りになるネー!」

霧島「いえ」

提督(ナイスだ霧島!)

霧島(放っておくとこっちにも飛び火しかねませんので)

リベッチオ「あっ、提督さん! チャオ!」

提督「リベッチオ……おっ、ハロウィン服か。なかなかいいな」

リベッチオ「そう? えへへ、グラッチェ!」

提督「思ったより着替えてる奴も少ないから、ちょっとさびしく思ってたんだ」

リベッチオ「そうなんだ。でも、ローマさんも着替えてたよ」

提督「ほう、それは見に行かなくてはならないな」

ローマ「わざわざ見に来なくていいです」

提督「なるほど、自分から来るからと」

ローマ「そういうことではないですから」

リベッチオ「ローマさん、そう言えばなんて言うんだったっけ?」

ローマ「なんて……もしかして、トリックオアトリートの事?」

リベッチオ「うん! トリックオアトリート提督さん!」

提督「じゃあ、カボチャの服になぞらえて、カボチャのお菓子にしよう。あと、ローマにも」

リベッチオ「わーい!」

ローマ「……一応、貰っておきます」

―執務室―

提督「絶対言われると思って、お菓子を用意しておいてよかった」

提督「袋いっぱいに買っておいたのに、もうないよ。思ったより言ってくる人数いたんだなぁ……」

↓2

―談話室―

ビスマルク「……」カチカチ

提督「ビスマルクがパソコン使ってるなんて珍しいな。何やってるんだ?」

ビスマルク「HOI2よ。我らがドイツで敵国を粉砕してるの」

提督「ふーん、非同盟プレイな。まあ、ドイツ強いから別にむずかしくないか」

ビスマルク「あら、アトミラールも知ってるの?」

提督「フィンランドでクリアできるくらいにはな。……マルチしてやろうか?」

ビスマルク「つまり、私のドイツに粉砕されたいって事ね。いいわ、勝負してあげる!」

提督(ここでこういうことをするってことは、かまって欲しいって事だろうしなぁ)

ビスマルク「でも、フィンランドとかそんな弱小国家はいいわ。本気で来なさい」

提督「え、そんなこと言って良いんだな?」

ビスマルク「もちろんよ。何がこようとも、簡単に殲滅してあげるわ!」

―ビスマルク級の部屋―

プリンツ「なるほど、それでアトミラールと」

レーベ「アメリカ使ってるね」

マックス「勝てるんですか?」

ビスマルク「も、もちろんよ! ほら、今だってもうフランスを倒したのよ」

リットリオ「でもきついなら、私もイタリアで参戦しましょうか?」

ローマ「歴史無視ね」

ビスマルク「いえ、これはアトミラールとの一騎打ち、誰にも邪魔はさせないわ」

リベッチオ「でも提督さん動かないね?」

マックス「アメリカは序盤厳しいですからね」

レーベ「そうなの?」

リットリオ「孤高や平和が付いてて戦えないんですよね」

ローマ「……もしかして、知ってる?」

リットリオ「ちょっとだけよ」

ビスマルク「とりあえず、最初のうちに広げなければ、大変なことになりかねないわね……あら」

プリンツ「どうかしましたか?」

ビスマルク「なんか、アメリカが動いているような……」

マックス「いえ、事実動いてますね。これは……日本が開戦したみたいね」

ビスマルク「なに足引っ張ってるのあの国!! 黄色い猿め!!」

ローマ「それここの艦娘に聞かれたら大変なことになりますよ」

リットリオ「これはアメリカの方から発破をかけたみたい」

ビスマルク「とりあえず、大戦をやってない元気なうちになんとか方法を考えなきゃ……」

マックス「まだ動けるようになったばかりでしょうから、戦力も整ってい無い筈です」

リットリオ「でも、チートと呼ばれるくらいにアメリカは強いし……」

ビスマルク「うーん……ん? あれ、なんか見えない?」

マックス「海軍……アメリカの」

ビスマルク「は、早すぎない!?」

リットリオ「もしかして、想像以上にあっち戦力が整っているんじゃ……」

マックス「アメリカが動くの見て無かったですしね」

ビスマルク「……やば」


レーベ「話しに付いていけなかったね」

リベッチオ「そうだね。あっ、持ってきたお菓子はどうだった?」

レーベ「美味しかったよ」

ローマ「貰ったお菓子をおすそ分けに来るだけのつもりだったんだけど……はぁ」

―執務室―

提督「さて、こいつでドイツは殲滅と。アメリカならやっぱ楽勝だな」

提督「バグ以外縛らなけりゃ、動けない序盤をどうにかするだけだし」

↓2

―睦月型の部屋―

提督「出て来い望月! 遠征はともかく出撃をサボる事は許さんぞ!」

望月「いやだ! あたしは働かないぞ!」

提督「何処かで聞いた事のあるセリフを吐いてるんじゃねーよ!」

望月「司令官が何といおうとも、このこたつの魔翌力から逃れるすべなどないぞ」

提督「いや我慢すればいいだけだろ」

望月「嫌だ」

提督「言うと思ったけど断るのは許さん」

望月「別に、あたしじゃなくても良いんでしょー」

提督「厳密に言えばそうかもしれないが、そういうわけにもいかんだろ」

望月「えー」

提督「それに、それを許したら俺が怒られる」

望月「へー」

提督「もうこうなったらこたつを剥がしてやる!」

望月「や、やめろ!」

提督「出ないなら撤去すればいい、それだけだ」

望月「いいのか、そんなことをしたら……」

提督「したら?」

望月「弥生や文月、三日月に嫌われるぞ」

提督「うっ、なんか普通に心に来る人選しやがって……」

望月「このこたつは聖域だよ。司令官だろうと、一切手を振れることを禁ずるね」

提督「ぐぬぬ……ならば、コンセントを抜けば……」

望月「そう来ると思って、コンセントは隠しておいた」

提督「くそ、無駄に知恵が回って……」

望月「ふふーん、だから言っただろう、此処は聖域だって」

睦月「およ、司令官どうかしたの?」

提督「いや、出撃だっていうのに望月がこたつの魔翌力に取りつかれたものだから」

睦月「あー、望月が動かないのは何時もの事だからにゃー」

望月「な、なんだ、何をされても私は動かないぞ」

睦月「こういってるけど、無視してこたつを片づければ……」

提督「他の姉妹に嫌われたりしないのか?」

睦月「いつものことだから、こんなことで怒る子は居ませんよー」

提督(普通に騙された)

望月「わ、分かったよ。まったく……」ノソノソ

提督「いや、ありがとう睦月。このままだとどんだけ時間かかるかわからんかったよ」

睦月「にゃはは、睦月もよくやられるのです」

提督(ああ、睦月型では珍しくないのか)

―執務室―

提督「睦月がいなかったら、もっと時間かかってたな」

提督「こたつでごろごろしたくなる気持ちも分からんではないんだがな」

↓2

――朝潮型の部屋

提督「大潮、今日の占いでのどを詰まらせないように注意って話だ」

大潮「はい! でも、占いですか?」

山雲「山雲も~、それみたわ~」

朝雲「そういえば、ピンポイントで大潮と言う名前の人はのどを詰まらせないよう注意ってやってたわね」

提督「そういうわけだ。気を付けろよ」

大潮「分かりました!」

朝雲「あんなもの当たるとは思えないけどね。そもそも、大潮って名前がここ以外に居るのかしら」

提督「そんなことはわからんだろ。むしろ、個人を狙っているようで当たりそうだ」

大潮「だ、大丈夫です! そのくらいへっちゃらです!」

提督「大潮はいい子だなぁ。えーと、何かお菓子……柿ピーをあげよう」

大潮「ありがとうございます!」

提督(まあ、これくらいならのども詰まらせることも無いだろう)

~~~~~~~~

大潮「~~♪ あ、そうだ」」

提督(動き無さそうだな。まあ、適当に本でも見て時間をつぶそうか)

大潮(あ、これ美味し……)

大潮「うっ……」

朝雲「あっ、な、なんかのどにつまらせちゃったみたい!」

提督「ふーん……ん? まじで!?」

朝雲「はやく医務室に連れて行かないと!」

提督「いや、そんな事をする必要は無い……ふんっ」ドスッ

朝雲「手刀!? そんなことをしても……!」

大潮「けほっ……ごほっ……」

山雲「大丈夫~? 息できる~?」

大潮「だ、大丈夫……けほっ」

朝雲「ど、どういうこと!?」

提督「こう、角度を付ける事により……まあ、そんなことはどうでもいいか。衝撃で出しただけだ」

山雲「司令さんすごいわ~」

提督「というか、本当に柿の種でのどつまらせたのか? そんなに大きくないと思ったのだが」

大潮「い、いえ、実は柿の種で」

提督「やっぱり柿の種で!?」

大潮「す、すみません間違えました! 果物の方の柿を食べた所、種が詰まっちゃっただけです!」

朝雲「そういえば、すぐそこに柿の食べかけが転がってるわね」

提督「あ、あんまり驚かせるなよ」

大潮「すみません……」

提督「まあ、一回来たらもう来ないだろ。部屋に戻るとするよ」

バタン

大潮「もしかして……私のためにいてくれたんですかね!」

―執務室―

提督「名指しだしちょっとは信頼できるかなーっと思ったら、マジで当たるとは思わなかった」

提督「いや、大潮がたまたま当たっただけの可能性もあるか……」

↓2

―???―

提督「なんかプレゼントがあるとかで、ボトルメールが送られてきたけど……ここで合ってるのかな。失礼しまーす」

南方棲戦姫「ん?」

提督「……失礼しました」

南方棲戦姫「待て、貴様良い所に来たな」

提督(うっ、引きとめられてしまったか……今回は油断して何も準備をしていなかったからな……)

提督「な、なんでございましょうか?」

南方棲戦姫「なんだその気持ち悪い言葉遣いは。何時ものようにしろ」

提督(あれ、なんか今日機嫌いい? というか、どこか困っているような……)

南方棲戦姫「実は少し困ったことになっていてな。貴様の手を借りたい」

提督(あってた)

提督「に、人間の手を借りるなんて、どうしたんだ」

南方棲戦姫「悔しいが、我だけではどうにもならないことが出来てな」

提督「どうにもならないこと?」

南方棲戦姫「これだ」

提督「湯呑……? 割れてるけどどうしたんだ」

南方棲戦姫「……たのだ」

提督「え?」

南方棲戦姫「我が、割ったのだ」

提督「……ちなみに、誰の?」

南方棲戦姫「ヲ級がレ級が気に入ったものだと言って包装してたものだ。おそらく……」

提督「ああー……やばそうだな」

南方棲戦姫「うむ」

提督「おそらく直せと言いたいんだろうが、無理だぞ」

南方棲戦姫「なんだと!」

提督「普通のコップならいざ知らず、湯呑となると道具無しで直すのは至難の業だぞ。完璧に直すとなれば、それこそ無謀だ」

南方棲戦姫「ぐっ……どうにもならないのか?」

提督「いやぁ、さすがに……」

ヲ級「すいません南方棲戦姫様、お留守番を任せてしまって」

南方棲戦姫「!?」
提督「!?」

ヲ級「あれ……」

南方棲戦姫「なな、なんでもないぞ! 壊したとかそういうことは無いぞ!」

ヲ級「壊した?」

南方棲戦姫「ぎくっ!」

南方棲戦姫「(な、なんとかしろ人間!)」

提督「(無茶言うなオイ)え、えーとヲ級さん? なにか用事があるとか聞いた気がするんだけど」

ヲ級「ああ、そのことでしたら、ここに置いてあった包みを渡す予定だったんですけど……」

南方棲戦姫「あ、あれならもう渡しておいたぞ!」

ヲ級「そうなんですか?」

提督「あ、ああ! それだけならもう帰るな! さよなら!」

南方棲戦姫「こ、今回のことは借りにしておいてやるからな!」

ヲ級(今日の二人はなんだか仲が良かったですけど……ま、まさか南方棲戦姫様まで掌握されたとか、はさすがに無い……よね?)

―執務室―

提督「なんかよく分からんが、割れた湯呑を貰った」

提督「……明石に頼めば修理してくれるかな」

↓2

168「司令官、買い物に付き合って欲しいんだけど」

提督「買い物? わざわざ呼ぶなんて、何か重い物でも買うのか」

168「私の使っているスマホも型落ちしてきたし、新しいのを買う予定なの」

提督「型落ち……? まあ、いいけど。俺も行く意味あるのか」

168「だって、司令官も同じの使ってるじゃない」

提督「おう、そうだな」

168「だから、ついてきた方が良いじゃない?」

提督「……そうなのか?」

168「むー、良いじゃない、付き合ってくれても」

提督「別に断る理由もないから良いが……」

168「うんっ」

―デパート―

168「新機種、楽しみにしてたのよねー」

提督「そうか……うーむ、俺も新調ようかな」

168「あ、やっぱり司令官も気になった?」

提督「まあ、型落ちしてるわけじゃ無いが前にも付き合っただろ。今回もどうせならってな」

168「あ、覚えててくれたんだ」

提督「そりゃ登録ナンバー一番にいるし、忘れることは無いだろう」

168「そういう意味じゃないんだけどね」

提督「そういう意味?」

168「な、なんでもない」

提督「なんでもないって……」

168「それより、新調するのよね?」

提督「あ、はい」

168「だったらまた一緒に買いましょ。割引されることもあるし、悪い話じゃないと思うの」

提督「あ、ああ、俺はよく分からないから、大まかな事は任せる」

168「分かったわ!」

提督「合わせるつもりだが、イムヤはどういうのにしたいんだ?」

168「そうね……やっぱり、新しく出た6sかしらね。いろいろ高性能みたいだし」

提督「それもそうだ。だったら……こっちの方のか」

168「あ、本当……」

168(……あれ、なんだか一緒に携帯を選ぶのって……で、デートっぽい?)

提督「へー、3Dタッチなー」

168(な、なに急に変なこと考えてるの! こ、これはあくまでもスマホを見てるだけなんだから!)

提督「カメラ機能も高性能化か」

168(前にもあったんだし、来る前に見た少女漫画みたいな事は忘れるのよイムヤ!)

提督「ほうほう、パフォーマンスも増大と。なかなかいい進化だ」

168「うん、大丈夫大丈夫!」

提督「そうだな、これなら大丈夫そうだ」

168「え?」

提督「あ、悪いんだけど、ちょっと見て来たい物があるからひとまず任せておいても良いか?」

168「え、ええ」

提督「少ししたら戻ってくるからな!」

168「……選ぶの一瞬で終わったわね。司令官らしいけど」

―執務室―

提督「しっかし、この前6が出た気がするのにもう6sか。進化するのも早いな」

提督「と言っても、6sも出たのは一ヶ月ほど前みたいだが」

↓2

―談話室―

提督「いけー! 急降下爆撃だ!」

霞「またゲームやってる……」

提督「い、いいじゃないか。今日の分は終わらせたはずだぞ」

霞「やることやってれば私も文句言わないわよ」

提督「ほっ……」

霞「でも急降下爆撃ね……」

提督「……なんか嫌な思い出でもあるのか?」

霞「……さあ、記憶にはないわね」

提督「そっか」

霞(でも、たまに夢で見る、空を覆い尽くす黒いもの……まさか、関係ないわよね……)

提督「まあ、急降下爆撃って言ったら今は妖精さんがやってくれてるから、思い出に差はないか」

響「轟沈一歩手前まで追い詰められた子とかは違うだろうけどね」

提督「それはどういうことだ?」

響「どういうことというか、私たちは今も戦争しているんだよ」

提督「あー……そういや深海棲艦も使ってくるか」

響「だから、人によっては違う感想が返ってくるかもね」

提督「なるほど。そこのところはどうだ、ビスマルクとリットリオ」

ビスマルク「現在進行形で最悪よ! 悪魔の音よ!」

リットリオ「どうして二国相手にして優勢を保っていられるんですか……」

提督「お前たちがきっちり協力したらわからんが、お互い出し抜こうとしているのが付け入る隙だからな」

ビスマルク「そりゃあ、ねえ」

リットリオ「少し手加減してくれてもいいんじゃないですか?」

提督「ドイツとイタリアって手加減できる相手じゃないだろ」

ビスマルク「はぁ……この世界で生きてたら、最悪な思い出だったでしょうね」

リットリオ「でも、ドイツではシュトゥーカがあるじゃない。あの悪魔のサイレンともいわれた」

ビスマルク「一方的にやられてるこっちとしては、この国の方が恐れてるかもね。アハハ」

リットリオ(大変、やられすぎてSUN値がピンチみたい)

響「まあ、それは末期頃には型落ちにもなったけどね。急降下爆撃を神格化し過ぎたのが問題みたいだけど」

ビスマルク「なによ……追い打ちかける気?」

響「ふふ、まあ私と司令官が揃えば海も空もお手の物ってわけだよ」

ビスマルク「……まさか」

響「実は参加してるんだ」

リットリオ「ソ連と日本って、そりゃ勝てなくて当たり前ですよね」

響「いや、私はフランスだよ。だから、ドイツ対策に空軍を強化していたんだ」

ビスマルク「……爆撃、トラウマになりそう」

―執務室―

提督「一般的には音はブーンみたいらしいな。妖精さんも同じような音出してるし」

提督「あの頃はリアルで恐ろしい音だったろうな……みんなあんまり記憶がないのは幸いといったところか」

下2

―工廠―

提督「明石よ明石」

明石「なに提督。工廠で話しかけるってことは、何かの修理?」

提督「うむ。これなんだが……」

明石「これ……湯呑ですか。これをどこで?」

提督「ええと、もらったものなんだが、手違いで割れてしまってな」

明石「なるほど、貰い物を割ってしまうのはちょっと残念ですね」

提督「だから、何とか直してほしいんだが。できるか?」

明石「もちろん大丈夫です。あんまり私をなめないでくださいね」

提督「改修はしてるけど、修理しているところを見たところはあんまりないからな」

明石「提督が修理に関する仕事をくれないからじゃないですか!」

提督「すまんな」

明石「もう……きっちり直しておきますから、心配しないでください」

提督「おう、まかせたぞ」スタスタ

明石「……はぁ、提督もまったく……」

明石(そういえば、貰ったといっても誰からもらったんだろう?)

明石「……ま、誰でもいいけど」

夕張「本当にそう思ってます?」

明石「……」

青葉「正直になった方が身のためですよ」

明石「な、なに二人とも」

夕張「私は純粋に聞いてるだけですけど」

青葉「青葉は違いますけどね!」

明石「そうはいっても、わかる方法とかあるんですか?」

青葉「このことを新聞で広めましょう。それで不審な行動をした人が犯人です!」

夕張「雑!」

明石「というより、新聞にしたいだけですよね」

青葉「はい!」

明石「今日は正直ですね」

青葉「司令官や霞ちゃん相手じゃないですから!」

明石「……まあ、好きにればいいんじゃないですかね?」

青葉「はい! さっそく文字をおこしてきますね!」ダッ

夕張「い、いいんですか?」

明石「事実を報道するのは別に悪いことじゃないから」

夕張「本音では?」

明石「気になりました」

夕張「今日は素直ですね。かくゆう私も止めませんけど」

明石「そうはいっても、わかる方法とかあるんですか?」

青葉「このことを新聞で広めましょう。それで不審な行動をした人が犯人です!」

夕張「雑!」

明石「というより、新聞にしたいだけですよね」

青葉「はい!」

明石「今日は正直ですね」

青葉「司令官や霞ちゃん相手じゃないですから!」

明石「……まあ、好きにればいいんじゃないですかね?」

青葉「はい! さっそく文字をおこしてきますね!」ダッ

夕張「い、いいんですか?」

明石「事実を報道するのは別に悪いことじゃないから」

夕張「本音では?」

明石「気になりました」

夕張「今日は素直ですね。かくゆう私も止めませんけど」

―執務室―

提督「『謎の女性からのプレゼント』? えっ、何この新聞」

提督「……まあ、内容からしてばれてなさそうだ。人の噂も七十五日というし、放っておいておこう」

下2

>>177はミスです

―談話室―

提督「誰だー、こんな所に新聞を置きっぱなしにしたの」

長門「私がここに来るときには既においてあったぞ」

陸奥「チラシも挟まってるし未読みたいね。置いておけば取りに来るんじゃないかしら」

提督「それもそうか。じゃあ、そのまま置いて……おっと、チラシが」

長門「そそっかしいな。……ん?」

提督「なんか気になる者でも落ちたか?」

長門「……ピザ半額だと」

提督「あー、最近やってるよな。二つ買えばひとつ無料とか、値段統一で大きさ自由とか」

長門「ほう」

提督「頼むなら頼んでいいと思うぞ。クーポンじゃないし、文句は言われんだろう」

陸奥「だって、姉さん」

長門「う、うむ。しかし、何が良いだろうか」

陸奥「好きなのでいいと思うけど」

長門「順当に選べばこのテリヤキが乗っているやつなのだが……」

陸奥「他に気になるものがあるの?」

長門「……このパイナップルが乗っているピザ、美味しそうだと思わないか?」

陸奥「パイナップルねぇ……あんまりあいそうな気はしないけど」

提督「ああ、確かに美味しいな」

陸奥「提督は食べたことあるの?」

提督「そりゃ、ここのピザは一通り食べたからな。もちが入ってるものなんかも美味しかったぞ」

長門「なるほど、流石我らの提督。既に一足先を歩いているわけか」

提督「そりゃ昔は出前に頼ってた時期もあったし……まあ、んなことはどうでもいい。問題は何にするかだ」

長門「そうだな」

陸奥「あ、シーフードピザも美味しそうね」

長門「あまりこういう物は悩む性質ではないが、これだけ選択の余地があるとなかなか選べないものだな」

陸奥(パイナップルが気になっているんでしょうね)

提督(長門に関してはプライドを取るかどうかってところのような気がするがな)

長門「むぅ……」

陸奥「……はぁ、なんだか私も気になってきたわ。このパイナップルの入ってるピザ」

提督「探せば少なくは無いと思うんだがな。じゃあ、これにするか」

長門「そ、そうだな」

陸奥「……でも、やっぱりシーフードも頼みましょ」

提督「はいはい。どうせ余ったって食べる奴がここにはいるんだから。頼み過ぎても気にしなくても良いからな」

長門「そうか。それなら、これも頼んでみるか」

陸奥「こっちのもいいんじゃない?」

提督(……なんか、まだ増えそうだな)

―執務室―

提督「結局五枚くらい頼んだんだが……」

提督「まあ、長門型も結構食べる事を忘れていたよ。うん」

↓2

提督「秘書官、どうやらようやくライブが開かれるみたいだ」

霞「ライブって……ああ、あれね」

提督「そしてここに二枚のチケットがある」

霞「なに、わざわざ買ったの」

提督「そりゃ、アイドル誕生の瞬間を目にしない訳にはいかないだろ」

霞「その日用事があるとか聞いた気もするけど」

提督「観客席で見るための方便に決まってるだろ」

霞「カス司令官は相変わらずね……」

提督「そんな褒められても照れるな。じゃあ、時間も迫って来たし行こうか」

霞「別に私は行きたいわけじゃ……」

提督「へー、俺を一人で行かせていいんだな?」

霞「……」

―ライブ会場―

ワーワーパチパチキャーキャー

提督「はぁ、やっぱりライブってのは良いな」

霞「いつの間にあんなにパフォーマンスが上手く……そういえば、単独じゃないのね」

提督「客の入りは分からないから、初ライブで単独は厳しいだろ」

霞「ふーん、そういうものなのね」

提督「まあ、いつの間にか全国展開してたあいつは別だから」

霞「その話は止めなさい」

提督「個人的に不安なのは那珂ちゃんだな」

霞「そう?」

提督「川内は結構肝が据わってるところがあるし、神通もいざとなったら空気に呑まれる事無く普段通りで居られるだろう。那珂ちゃんはほら、いわゆる地方アイドルだから」

霞「なんだか、そう言われると急に不安になってきたわ」

提督「まあ、あいつらでフォローし合うだろ。そういう風にレッスンをさせた」

霞「そうね。それが理想的ね。ま、私もあの三人なら心配いらないと思うわよ」

提督「だな」

―舞台裏―

神通「大丈夫?」

川内「本番直前に緊張する気持ちもわかるから、ゆっくりでいいよ」

那珂「ちょ、ちょっと呼吸が乱れてるだけだから……すー、はー……だ、大丈夫」

神通「ゆっくりでいいから、ね」

川内「しかし意外だったなー。那珂ちゃんが一番緊張するなんて」

那珂「な、那珂ちゃん、個人営業はしてたけど大舞台は未経験だから」

神通(個人営業って、食堂でのゲリラライブとか?)

川内(外での営業ってCDを売るくらいしかしてなかったと思うんだけど)

那珂「な、何その顔」

川内「いや、那珂ちゃんもそういうことがあるんだって思ってさ」

那珂「も、もー!」

神通「ふふ、ほら、そろそろ出番ですよ。行きましょう、私達の舞台に」

川内「分かった。ほら那珂ちゃん、手がいる?」

那珂「もー! 那珂ちゃんだってプロなんだから! 大丈夫っ」

―執務室―

提督「大盛況のままにライブは終わった。ついでに秘書官もそれなりに楽しんでくれたみたいだ」

提督「まあ、秘書官もなんだかんだでああいうの嫌いじゃないみたいだし。口では文句いうものの」

↓2

―???―

ヲ級「ところで、湯呑はどうでしたか?」

提督「ん? あー……」

ヲ級「?」

提督「……まあ、言っちゃってもいいか。あれは南方棲戦姫が割った」

ヲ級「へぇ……へ!?」

提督「いや大丈夫大丈夫。今修理に出してるから」

ヲ級「全然大丈夫じゃないんですけど……レ級が聞いたらなんて思うか……」

レ級「……」

ヲ級(い、いた……)

レ級「わっちゃったの?」

提督「お、俺じゃあないから。で、でもほら、修理出してるから!」

レ級「……」

提督「……ヲ級、タッチ」

ヲ級「いえ、私も被害者なんですけど」

レ級「……へー、そうなんだ」

提督「れ、レ級?」

レ級「そうだ、用事おもいだしたから、ちょっとでるね」バッ

ヲ級「は、はい」

提督「……あれ、怒ってたと思う?」

ヲ級「人間って無表情が一番怖いそうですね」

提督「艦娘も似たようなものだから、お前らも同じなのかもしれないな」

<ドシャーン

ヲ級「……今日の海はちょっと荒れそうですね」

提督「だな」

~~~~~~~~

レ級「ちょっとすっきりしてきた」

提督(返り血ついてませんか)

ヲ級(色のおかしいオイルですね)

レ級「それで」

提督「はい!」

レ級「しゅうりしてるの? 捨ててないよね?」

提督「もちろんです! 決してお気持ちを無駄にすることなど致しません!」

レ級「えへへ、それならよかった」

提督(あっぶねー! もし捨ててたら命が失われるところだった!)

ヲ級(捨ててたら如何したんでしょう……考えるだけでも恐ろしい)

―執務室―

提督「今回は久しぶりに命の危険を感じた……」

提督「海が荒れてる最中だれかの叫び声が聞こえた気がするけど……まあ、気のせいということにしておこう」

↓2

提督「なんか、最近みんなが起きて来るの遅くなってる気がする」

霞「寒くなって来たし、皆布団から出たくないんじゃない? まあ、それで作戦に支障が出るようなら私からも言ってるけど」

提督「問題は無いというわけか」

霞「このままでいいというわけでもないけど」

提督「……なら、早起きできるようにちょっと作戦を練るか」

霞「ふうん、いいんじゃない」

提督「秘書官、何か作戦ないか?」

霞「って、私任せなわけね……強制力が無さそうで自主的に参加してくれそうな物が良いんじゃないかしら」

提督「で、具体的には?」

霞「少しくらい自分で考えなさい!」

提督「はーい……」

―早朝・庭―

提督「というわけで、ラジオ体操をするぞー!」

シ~ン

提督「……まずはラジオ体操第一いくぞー!」

吹雪「いや、止めて下さいよ」

提督「まさか誰一人来ないなんて思わなかったから動転して」

吹雪「司令官は相変わらずですね」

提督「何が相変わらずかは知らんが、みんなどこにいったんだ?」

吹雪「皆ですか? それなら、トレーニングルームで個々で体操してますけど」

提督「俺は庭だと伝えたはずだが?」

吹雪「寒いとのこと」

提督「……」

~~~~~~~~

提督「よし、ようやく集まったか」

吹雪「全員って訳では無いですけどね」

提督「自主参加だしょうがない」

山城「はぁ……折角来たのに、こんな寒い中でとか、不幸だわ……」

扶桑「まだ日が出たばかりだからしょうがないわ」

翔鶴「鳳翔さん達も早いですね」

鳳翔「お店の仕込みの事もありますから」

龍鳳「その合間で来ているだけですよね」

間宮「ほとんど私と同じですね。うふふ」

長良「これが終わったら走ってこよ!」

鬼怒「付き合うよ!」

提督「……あれ、これ元々起きてたやつしか付き合わないんじゃね」

吹雪「私も司令官直々に言われなかったら来なかったかも知れませんしね」

―執務室―

提督「なんか思ったより集まったけど、改善には至らなかった」

提督「今度は別の方法を考えるか……」

↓2

―談話室―

提督「さーて、今日は誰か居ないかなーっと」

羽黒「……」

提督「羽黒さーん?」

羽黒「スゥスゥ……」

提督「……おや、ぐっすりお休みのようで。しめしめ、これを試すときが遂に来たか」ゴソゴソ

提督(じゃじゃーん、紙鉄砲だぞー!)

提督「新聞紙だから音の大きさは小さいが、羽黒をおこすのには十分だろう。せーの」

パァン!!

羽黒「ひゃあっ!? な、なんですか! 敵襲ですか!」

提督「起きたか羽黒」

羽黒「あ……司令官さん? あの、敵は……」

提督「敵なんていないぞ。警報もなっていないしな」

羽黒「でも、今凄い音がしたような気がするんですけど……」

提督「これだろ?」パン

羽黒「あ……」

提督「羽黒が驚く姿、なかなかよかったぞ」

羽黒「もう、司令官さんはいじわるです」

提督「なんだ、知らなかったのか?」

羽黒「いえ、知ってましたけど」

提督「はっはっは、まあこんなところで寝たら風邪ひくからな。気を付けろよ」

羽黒「はい。心配してくれてありがとうございます」

提督「なに、当たり前の事だ」

羽黒「……ところで」

提督「ん?」

羽黒「それ、貸してもらっても良いですか?」

提督「いいけど……も、もしかして八つ当たりでびりびりに破く気じゃ……」

羽黒「そ、そんなことしません!」

提督「なんて冗談。ほれ」

羽黒「ありがとうございます」

提督「いやー、それ綺麗に折るのってなかなかないからさー」

羽黒「……はい、ありがとうございます」

提督「……で、えっと」

羽黒「……」

提督「何でじっくりみてるの」

羽黒「す、すみません、気になったものですから!」

―執務室―

提督「あれは羽黒に貸してあげた。まあ、変に使わないだろう」

提督「まあ、別に破かれたりとかしてもいいんだけど。作ればいいし」

下2

―川内型の部屋―

提督「ほうほう、今の流行は深海メイクか」

神通「なんですか、それ」

提督「ほら、このファッション誌に書いてある」

神通「……これ、発禁書じゃないですか?」

提督「まあ敵の事について書かれてるしな。まあ、見た目にしか触れられてないしいいんじゃね」

神通「適当ですね……」

提督「……ふむ」

神通(また何か変な事を考えているみたいですね)

提督「ちょっと神通」

神通「嫌ですからね」

提督「ちょっとためしに……って、まだ言って無いだろ!」

神通「大体読めてましたから」

提督「どうしてもだめか?」

神通「……」

提督「どうしても、だめか?」

神通「……はぁ、少しだけですよ」

提督(押しが弱い所は相変わらずだよな)

神通「それで、深海メイクってどんなのですか?」

提督「うーん……例えて言うならば…………」

神通「ならば?」

提督「……江戸時代の人みたいな」

神通「全く伝わらないんですけど」

提督「例えに困ったんだよ。というか、深海棲艦ならいつも見てるだろ?」

神通「それは確かにそうですけど」

提督「例えるならあんなのだ。やり方なら書いてあったから、そこに座ってくれ」

神通「あの、本当にするんですか?

提督「もちろんだ」

神通(不安しかないです……)

~数十分後~

提督「はい、完成だ」

神通「……あの、鏡は要らないです」

提督「どうしてだ? 見てみたいだろ、深海棲艦になった自分の姿」

神通「敵の姿になった自分の姿を見たい人って、ほとんどいないと思うのですが……」

提督「そうでなくても気になるだろ?」

神通「いえ、あの……なんだか見るのが怖くて」

提督「そんなに躊躇しなくても良いんだがな」

神通(しない人はまれかと)

提督「しかし、自己満足とはいえ、誰にも見せずに終わるのは……」

ガチャ

那珂「やっほー! 那珂ちゃんが帰ってきた……よ……」

神通「……あの、これは」

那珂「……だ、誰かー! 那珂ちゃんの部屋で提督が敵に襲われてるー!」ダッ

神通「あっ」

提督「はい、メイク落とし。しかし、見間違えられるほどに完璧だったとはな」

神通「もう! 少しは慌ててくださいよ!」

―執務室―

提督「メイクをした瞬間からああなることは予測できていた」

提督「まあ、那珂ちゃんが道化となってしまったことは可哀想だとは思うけど」

↓2

―鳳翔の店―

準鷹「一番、踊りまーす!」

足柄「いいわねいいわね!」

高雄「馬鹿め…と言って差し上げますわ!」

準鷹「あははははは」


提督「酔ってるなぁ……」

鳳翔「いつものことですけどね」

提督「それは知っているけどな」

鳳翔「提督も混ざればいいんじゃないでしょうか」

提督「もう少し酔ってからな」

足柄「あらぁ、そこで一人酒とはいただけないわね」

提督「げっ」

準鷹「ヒャッハー! 提督も踊ろうぜぇ!」

高雄「共に飲んでいるんですから、少しくらいどうでしょう」

提督「あー! わかったから引っ張るな!」

準鷹「ほら、一緒に踊るぞー」

提督「あんま素面でやりたくないんだが……お手を拝借」スッ

準鷹「お、おお?」

提督「~~♪」

準鷹「っと……なるほどな」

足柄「ひゅー! これが社交ダンスね!」

高雄「あぁ、うらやましいわね……」

足柄「それは私もよ……」

提督「はいはい、俺でいいのなら踊ってやるから」

高雄「では次は私で!」

足柄「飢えたオオカミと呼ばれた私が先よ!」

提督「ははは、なら一緒にやってやろう!」

高雄「その手が!」

足柄「あったわね!」

提督「流石俺だろ!」

準鷹「お、三人と一緒に踊れるというのか」

提督「当たり前よぉ!」

準鷹「それ最高! ははははははは!!」


鳳翔「……提督、酔っていらっしゃるみたいですね」

―執務室―

提督「あー、頭痛い……あいつらと飲むと記憶失ったり二日酔いになったりするんだよなぁ」

提督「まあ、なんとなく楽しかったことは覚えてるからいいんだけど」

下2

―母港―

提督「……」

村雨「提督、釣れてる?」

提督「なんで俺が釣りをしているとみんなそれ聞いて来るの」

村雨「テンプレ的な?」

提督「……まあ、釣れてないよ」

村雨「餌つけて無いもんね」

提督「知ってて聞いたのかい」

村雨「うん」

提督「……まあ、いいけど」

村雨「ねえ、隣良い?」

提督「……かまわんが」

村雨「じゃあ、失礼しまーす」

提督「ついでに言っておくが、釣らないつりだからつまらんぞ」

村雨「いいのいいの。そういうつもりでいるわけじゃないから」

提督(村雨の思考が読めない……)

村雨「で、提督」

提督「なんだ?」

村雨「釣竿ある? 私もやってみたいの」

提督(本当に読めない……)

提督「予備のならそこに。餌も一応おいてるから、好きに使って構わんぞ」

村雨「さーんきゅっ」

提督「ちょっ、それは怒られるぞ」

村雨「うふふ、ごめんなさーい」

提督「特に咎めないとも思うけどさ……」

村雨「それじゃ、えいっ」

提督「あんま大物は期待するなよ」

村雨「それくらいわかってるわよ」

提督「……」

村雨「……あっ……釣れた」

提督「うっそだろお前。垂らしたばっかりだろ」

村雨「運がいいのかもねー」

提督「羨ましいもんだよ」

村雨「じゃあ、餌を付けたらいいじゃない」

提督「釣れないつりを楽しむのが好きなんだ」

村雨「変わってるのねー」

提督「よく言われる」

村雨「じゃあ、提督の分も私が釣ってあげるわね」

提督「お好きに」

村雨「はいはーい、じゃあ好きに釣らせてもらうわね」

提督(結局なんで唐突に釣りをする気になったんだろう)

―執務室―

霞「かまってもらいたかったんじゃないの。じゃあ、私は行くから」バタン

提督「はぁ、なるほど……釣る気ないときは淡泊になることも少なくないから、悪いことしたかもな」

提督「かわりに今度会う時はうんと可愛がってやるか」

↓2

―大和型の部屋―

武蔵「最近はこたつにもぐる艦娘が増えているようだな」

提督「らしい。寒くなってきた今こそ、乾布摩擦をするべきだと思うんだが」

武蔵「なるほど、その意見には賛成だ。みな軟弱すぎる」

提督「では、さっそく次の朝からやってみるか」

武蔵「いいだろう。提督こそ、寒くて起きられないなんてことは無いようにしておけ」

提督「誰にそんなことを言っていると思っている」

武蔵「くくっ、確かに、余計なお世話だったな」

提督「そういう武蔵こそ大丈夫か?」

武蔵「冗談でも面白くないな。私がそんな軟弱とでも?」

提督「いや、ただの軽口だ。いずれも明日になればわかる事だしな」

武蔵「違いない」

~次の日・庭~

提督「庭に出て丁度良し。ちゃんとタオルは持ってきたか」

武蔵「ぬかりはない」

提督「よし。では、今から乾布摩擦を始める」

武蔵「うむ」

提督「では……はぁあああああああ!!」シュシュシュ

武蔵「ほう、目にも見えないスピードで摩擦をするとはな。ならばこの武蔵も負けていられないようだ。……はっ!」シュシュシュ

提督「なるほど、なかなかやるな」

武蔵「私も提督の事を少々侮っていたようだ」

提督「では、そろそろ本気を見せつけるとしようか」

武蔵「本気だと?」

提督「そう。これこそ真の最終奥義、超完封摩擦だ!!」

武蔵「ばかな、そんなに強く擦り付けると、逆に健康に悪いぞ!」

提督「そうまでしても、俺は武蔵を越えたいのだ!」

武蔵「そうか、提督の決意は固いようだな。ならば、こちらも同じように本気を出すしかないようだな」

提督「なんだと! まだ力を隠していたというのか!」

武蔵「ふっ、乾布摩擦に溺れるがいい」

提督「くそっ、俺もここまでか……!」

大和「あのー」

提督「なんだ大和。今良い所なんだが」

大和「普通に乾布摩擦しながら何を話しているんですか?」

提督「いや、なんか思ったより面白くないので、適当な寸劇でもと」

武蔵「私はこの程度何ともないのだがな」

大和「ま、まあお二人が楽しんでいるのであれば、いいと思いますけど」

提督「でもな、武蔵」

武蔵「なんだ?」

提督「ぶっちゃけ寒いからやめたい」

武蔵「軟弱物は提督もだったか」

―執務室―

提督「さすがに上半身裸で早朝は辛すぎる。しかも日陰とか」

提督「武蔵は兵器そうだったが、もしかしていつもやってるのか?」

↓2

提督「やっべー、あれ何処にやったっけなー」ガサゴソ

赤城「提督、報告に――何をしているんですか?」

提督「いや、ちょっと失くし物を」

赤城「何を失くしたんですか?」

提督「……ちょ、ちょっとこっちにこい」

赤城「? はい」スタスタ

提督「(結婚指輪)」

赤城「――! えぇええええええ!!」

提督「そ、そんなに驚くな! 正直ばれたらやばいって自分でもわかってるんだ」

赤城「ま、まあ、そんなことが知られれば、内戦がおこりかねませんからね」

提督「とにかく、探しておかねばならない。今ならまだばれてないからな」

赤城「何処かに落としたってことは無いんですか?」

提督「持ち出してはいない……が、置いていた場所にないのであれば、誰かが持って行った可能性も否めないな」

赤城「まずは情報通の青葉さんにそれとなく聞いてみませんか?」

提督「そうだな。ここでまごついていてもしょうがない事だしな」

―青葉の部屋―

青葉「結婚指輪があったらですか?」

赤城「はい」

青葉「そりゃ新聞にしますよ! だって、凄く面白い事になりそうじゃないですか!」

赤城「(青葉さんは白みたいですね)」

提督「(だな。さて、他に知ってそうなのは……)」

青葉(赤城さんからそういう話題を振ってくるなんて珍しいですね……もしかして……)


―売店―

明石「売ってはいますけど、それがどうかしたんですか?」

提督「ちなみに、それを買ったとしたらどうする?」

明石「どうもしませんけど……あ、ただ青葉さん辺りには言いそうですね」

提督「(明石も白みたいだ)」

赤城「(耳が早い二人でも知らないとなれば……)」

―朝潮型の部屋―

霞「指輪?」

提督「そうそう」

霞「落としたりでもしたの。はぁ、まったく面倒な事ばかりするわね」

赤城「正直に言って良かったんですか?」

提督「いや、なんか逆に怒られそうで」

霞「悪いけど知らないわ。他を当たって」

―執務室―

提督「うーん……打ち止めだな」

赤城「あんまり考えたくはないですけど、誰かが盗んだ可能性も浮上してきましたね……」

提督「それは嫌だな」

赤城「私もそう思います……あれ」

提督「如何した赤城」

赤城「いえ、箪笥の裏側が光ったような気がしまして」

提督「……いや、まさかな」ゴソゴソ

赤城「あっ、それ指輪です!」

提督「……まさかだった」

赤城「良かったですね提督。では、私も行きますね」

バタン

提督「……良かったんだが、動かした覚えのない指輪がどうやって移動したのか。記憶にないだけか?」

提督「最近は酔うことも多いから、もしかしたら無意識に投げ捨てたのかもしれない」

下2

―秋月型の部屋―

提督「ポッキーが特売してたから買って来たぞ!」

秋月「お菓子が特売なんて珍しいですね」

提督「数日前がポッキーの日だったからじゃないか?」

秋月「ポッキーの日なんてあるんですね、初めて知りました」

提督「そんなわけで一緒に食べよう」

秋月「はい」

~~~~~~~~

提督「……」モグモグ

秋月「……」ズズ

提督「……」パクパク

秋月「はぁ、お茶がおいしいです」

提督「……食べていいんだぞ?」

秋月「いえ、なんだか躊躇われてしまって……」

提督「うーん、まだ嗜好品は素直に受け取れないか」

秋月「元の性格からくるものですから、こればかりはどうにも……」

提督「そうだな……じゃあ、ゲーム風にしたら受け取りやすいか?」

秋月「ゲーム風ですか?」

提督「そうだ、これをポッキーゲームという」

秋月「なるほど。どういうゲームなんですか?」

提督「まず、このポッキーの片方を秋月が咥える」スッ

秋月「はむ」

提督「で、次に逆側を俺が咥える」

秋月「……!?」

提督「ふぉふぃふぇふぁいふぉふぃふぁなふぃふぁ……両側から食べ合って最初に離した方が負けってルールだ」

秋月「こ、これなんだか恥ずかしいですよ!」

提督「恥ずかしい?」

秋月「だって、そのまま食べたら、最終的には……」

提督「あー、そういえばそうだったか」

秋月「で、ですよね? だから、こういうのはその……」

提督「でもどうせなら一回やってみよう。はい」

秋月「ぅ……い、一回だけですよ。ん……」

提督「あむ」

秋月(て、提督の顔がこんなに近くに……! こ、このまま……なんてことは、ないです、よね)

提督「……」

秋月(~~~――――!)

提督「……ぽきっと。はい、俺が折ったから俺の負けな。はい、解散」

秋月「……は、え……?」

提督「残りのポッキーは好きにしていいからな」

秋月「……」ポケー

―執務室―

提督「反応見たさに続きをやってみたけど、なんか表情がやばい感じだったから中止した」

提督「トラウマになってなきゃいいんだが……」

下2

―廊下―

香取「~~♪」

提督「おや香取、何だかうれしそうだな」

香取「あら、ふふっ、そう見えますか?」

提督「ああ、なんだかすっごくご機嫌だ」

香取「新しく艦娘が着任するそうじゃないですか」

提督「よく知ってるなぁ。まだ書類上だっていうのに」

香取「霞ちゃんから教えて貰いましたから」

提督「そうか。秘書官は吉報についてはあんまり隠さないからな」

香取「はい、それで私と同じ練習艦……妹が来るんですよ」

提督「へー、香取みたいな妹…………」

香取「……何か失礼な想像しました?」

提督「いやいや! 決して女王様みたいなものは想像してないぞ!」

香取「嘘ですよね」

提督「はい、ちょこっとだけ考えました」

香取「はぁ、いいですけどね、私もちょっと気の強いところがあるのは自覚していますし」

提督「ははは、冗談も入ってるから気にしなくて良いぞ。実際、姉と大違いな妹なんていくらでも見て来たしな」

香取「そうですね。ふふっ、でも本当に楽しみです」

提督「そうだな。どうせなら歓迎会みたいなこともしてみるか」

香取「いいんですか?」

提督「皆やってると思うぞ。俺もたまに参加するしな」

香取「ならさっそく準備しましょう。うふふ、楽しみが増えていきます」

提督(本当に楽しみなんだな)

香取「部屋は私の部屋ですよね」

提督「そのつもりだ」

香取「なら、歓迎会とかも全部私の部屋で取り計らいますね」

提督「入室できる準備もしておけよ」

香取「はい、ちゃんと片づけておきますね」

提督「あと必要な物があれば経費でおとすから、そのあたりも頭に入れておいてくれ」

香取「はい、ありがとうございます」

提督「あとは……それくらいかな」

香取「重ね重ねありがとうございます。それでは、私は演習の準備がありますので」

提督「おう。……あ、そうだ」

香取「なんですか?」

提督「俺も歓迎会参加していい?」

香取「あら、もちろんいいですよ。いつでもいらっしゃってください」

―執務室―

提督「ああやって姉妹が来るのを心待ちにしている姿は、こちらも微笑ましく思える」

提督「特に今まで一人部屋の奴とか。……一生見ること出来なさそうな奴も居るが」

下2

提督「なに、知らない人がいたって?」

霞「正しくは鹿島を見たって話よ」

提督「かしま? だれそれ」

霞「書類見てるの?」

提督「あ、あー、香取の妹か。まだ今日じゃないよな。なのに見たって?」

霞「まあ、フライング気味に来る子なんて今までも居たから不思議じゃないんだけど」

提督「それでもまだ準備終わってないぞ……しょうがない、探してくる」

霞「頼んだわ」

提督「うーい」バタン

霞「私は今のうちにこっちの書類を片づけなきゃ」

―廊下―

提督「役割が逆のような気もしたが、まあいいだろう。さて、目撃証言からすると、この辺りなんだが」

「……」コソコソ

提督「……ろーちゃん?」

呂500「ビクッ。あ、提督?」

提督「なんだ、いつもと違う服着てるから誰かと思ったぞ」

呂500「そんなに違うように見える?」

提督「違う違う。何か大人っぽくなった」

呂500「そっかー。えへへ」

提督「それで、その服はどうしたんだ? 髪型まで」

呂500「さっき会った人に貰ったの! 優しい人だったよー」

提督「はあ、優しい人……というか、その服何処かで見た事あるような……」

呂500「そうなの? でも、会った事無い人だったよ」

提督「むむむ……あ、思い出した。それ香取の服だ」

呂500「香取さんの?」

提督「ああ。でも知らない人と会ったんだろ?」

呂500「はい!」

提督「どっちにいった?」

呂500「見学は済んだからもう帰る、ですって」

提督「なんだ、もう帰ったか。……帰る?」

呂500「うん」

提督「……いや、まあいいか。それでろーちゃん」

呂500「んー? なにー?」

提督「その服のまま香取と会って、妹だって偽ってみたりとか……」

呂500「香取さん、怒るとすごく怖いんだよ?」

提督「ですよね。止めておくか」

―執務室―

提督「服を着ただけで印象って変わるよね。ろーちゃんも本当に別人だと思った」

提督「……というか、本当に別人かと。ちょっとびっくりした」

下2

―工廠―

提督「頼んだものは出来たか?」

夕張「ああ、あれですか。一応できましたよ」

提督「ほうほう、これがあのジェリコのラッパと呼ばれたサイレンか」

夕張「いえ、ただのサイレンです。まあ、敵がジェリコのラッパと恐れるのなら話は違いますけど……」

提督「よし、ではこれを……六〇一空の妖精さん、頼む」

六〇一空「わっかりましたー」

提督「……何か不安になる妖精さんだな」

夕張「実力はそれなりに折り紙つきですから」

六〇一空「それなりって、ひどいですよー」

提督「まあいいや。とりあえず、これを配備して出撃に向かうよう葛城に伝えてくる」

夕張「分かりました」

夕張(……まあ、深海棲艦相手に通用するとは思えませんけど)

―ショートランド泊地沖―

駆逐棲姫「今日はピクニック日和ですね」

ヲ級「ですね、駆逐棲姫様」

ヲ級(既に奪還された後だけど、お忍びなら大丈夫、ですよね?)

タ級「……」

ル級「どうした、タ級」

タ級「……王子様の臭いがする」

ル級「は?」

ヲ級「――今すぐ帰りましょう」

駆逐棲姫「どうしてですか?」

ヲ級「あの人が居て碌な目に遭ったことがありません。早く帰りましょう」

ル級「……しかも、何か聞こえる」

ヲ級「そういえば、先程からブーンと……」

駆逐棲姫「この音……聞いた事あります。たしか、飛行機のようなものが出す……」

ヲ級「……! そうでした、この音は急降下爆撃の! 皆さん、退避してください!」

―少し離れた所―

提督「で、どんな感じだ、サイレンを付けて」

六〇一空『いいですねー。敵が蜘蛛の子を散らすかのように逃げてってますよー』

提督「敵?」

六〇一空『ヲ級っぽいのが見えますー。怖いから逆戻りしてますけどねー』

提督「まあ、爆撃も積んでないから攻撃も出来んしな。葛城」

葛城「話は聞こえてたわ。伝令は送ったから、すぐに艦隊が来ると思う」

提督「撤退しているらしいし、今更意味はあんまりないと思うがな」

六〇一空『それといいですかー?』

提督「ん?」

六〇一空『私は良いですけど、このサイレン江草さんとか嫌いそうですから、付けない方が良いと思いますよー』

提督「何か不備でも?」

六〇一空『サイレンの音で少しでも伝達が阻害されるというのがアウトですねー。あと、撤退はしていきましたが、これに対して怯えている様子は無かったので威嚇目的としては無意味かとー』

提督「なるほど。参考にしておこう」

―執務室―

提督「やっぱあいつらに威嚇って効かないのかな。何か苦手な物があれば面白いんだが」

提督「そもそも、なんで再び海域に現れたんだ……?」

下2

―香取型の部屋―

鹿島「練習巡洋艦鹿島、着任です。うふふっ」

提督「ひゅー! 待ってました!」

香取「はしゃぎ過ぎです、提督」

提督「いやー、色々寸止め食らわせられてたから、こうテンション上がっちゃって」

香取「寸止め?」

提督「いや、今となってはどうでもいいことだ。さて、歓迎会を始めるか」

香取「そうですね。鹿島、ここにきてくれて、本当にありがとう」

鹿島「はい、私もそう思います、香取姉。うふふっ」

提督「で、歓迎会って何をする? まだ何も準備してないよな」

鹿島「何も準備をしていない歓迎会、ですか?」

提督「さ、サボっていたわけじゃないぞ。なあ、香取」

香取「はい。どうせなら、鹿島がしたい事をさせてみよう、という助言を提督から受けたものですから」

提督「え、その言い方だと考える気が無かったみたいにも受け取れるんだけど」

鹿島「してくれる、というだけでも嬉しいですよ提督さん。そんなに慌てなくても大丈夫です。うふふ」

提督「考える気ない方面でのフォローはいらないけどな! とりあえず、鹿島は何かしたいことは無いか?」

鹿島「でしたら……一緒に料理なんてどうでしょう」

香取「いい考えですね。では、キッチンの方に移動しましょう」

提督「よーし、腕がなるな」

鹿島「いえ、提督さんはここで待っていてください」

提督「……え?」

鹿島「鹿島が美味しい料理を作ってきますから。うふふ」スタスタ

提督「……なあ香取、嫌われては、ないよな?」

香取「そんな子ではないと思いますが……どうでしょうか」

提督「不安になる返しだな……」

~数十分後~

鹿島「お待たせしました、提督さん」

香取「美味しく作れたと思いますから、どうぞいただいてください」

提督「なんか、歓迎対象が変わってる気がしないでもないんだが」

鹿島「気になさらずともいいですよ。これは鹿島がしたくてしている事ですから」

提督「腑には落ちんが……とりあえず食べるとするか。パクッ」

鹿島「鹿島と香取姉の料理はどうですか?」

提督「……驚いた、料理上手なんだな」

香取「自慢の妹ですから」

提督「なんか、本当に何もしていない俺が申し訳ない気分になるぞ」

香取「作戦を立案する時は失敗したときのことも考えるいい例ですね」

提督「うぐ……鹿島、悪いけど、今度また何かプレゼントするから、今は許してくれ」

鹿島「鹿島は料理を食べて貰えただけで満足ですから。うふふっ♪」

提督(これ、暗に期待されてないってこと?)

香取(なんとなく提督が悪い方に考えている気がします。予想通りの反応が来ないと無駄に勘ぐるところは悪癖ですね)

―執務室―

提督「なんか考えている事が読めない……さすがにあれだから片付けとかおやつ作りはしたが」

提督「うーむ、表情がきつめに見えるから、てっきりたまに香取が見せる黒いところが表に出たような子だと思ったんだが……」

下2

―天龍型の部屋―

提督「ヘーイ龍田。カモンカモン」

龍田「あら~、提督の方から来るなんて珍しいですね~。何の用事ですか?」

提督「ふふふ、今回は龍田に耳かきしてやるからな」

龍田「お断りしますね~」

提督「そう言うと思った。だが、それを予想してすでに用意はしてある。ぽちっとな」

龍田「はい?」ガシャン

提督「はっはっは! 実はこっそり改造して、ボタン一つで縄ががまとわりつくようにしておいたのだ! 両手両足が縄で」

龍田「……今なら、手首一本で許してあげますよ?」

提督「ヒッ! ……と今までなら驚いたが、動けない龍田など怖くも無いわ! むしろかわいいくらいだね!」

龍田「変態的な趣味をしていますね~」

提督「何とでも言うがいいさ。さあて、その形の良いお耳を見せて貰おうかなぁ~」

龍田(今日の提督、本当に気持ち悪いわね~……)

提督「さて、中はどうなってるかな」

龍田「……あの、せめて電気を消してくれませんか~?」

提督「駄目だ」

龍田「本当に意地悪な人……」

提督(電気消したら耳かきできないじゃん)

提督「そうはいうが、龍田だって期待してるんだろ?」

龍田「そんなことありません」

提督「いつもの口調が抜けてるな。動揺してるのが手に取るようにわかるぞ」

龍田「……」

提督「……ほう、たくさん溜まってるじゃないか」

龍田「嘘です、よね~」

提督「嘘なんてついてないさ。なんなら、みせてやってもいいんだぞ?」

龍田「……っ」

提督「そう睨むな。ちゃんと気持ちよくしてやるから」

龍田「提督に、出来ればですけどね~」

提督「その言葉、すぐに後悔することになるさ。ほれ」スッ

龍田「っ……」ピクッ

提督「ふふ……」コスコス

龍田「ぁ……ていと……」プルプル

提督「さっきまでの威勢はどうした?」

龍田(提督、思ったよりも上手……っ)

提督「声をだ無いよう必死みたいだな。だが、それも今に無駄になる……ぞ!」コリッ

龍田「んっ……あっ!」

バンッ

天龍「な、何やってんだお前ら!?」

提督「え?」

龍田「はっ……天龍ちゃん……?」

天龍「……勘違いじゃ無かった! うわぁああああああ!!」ダッ

提督「……そうか、拘束してるから誤解を受けたままなのか!」

龍田「提督~?」ユラリ

提督「あれ、龍田。どうして縄を抜けて……いやまて、それはシャレにならな……離脱!」バッ

ザシュッ

―執務室―

提督「マジで背中の薄皮一枚切られた。本気で殺しに来てた」

提督「一応天龍の誤解を解くことで許してもらえたが……あの笑って無い目は許しているとはとても思えないな……」

下2

提督「道行をつくろう」

霞「へー」

提督「……どうでもよさそうな返事だな」

霞「事実どうでもいいのよ」

提督「そうは言うがな、道行は普段から着る事の出来る着物なんだぞ」

霞「それで?」

提督「作ろうかなと」

霞「……はぁ」

提督「なんだその溜息」

霞「勝手にすればいいんじゃない。ただ、鳳翔さんとかには迷惑かけない事ね」

提督「はーい」

提督(……あれ、何で頼る相手が鳳翔だと分かった)

―龍鳳の部屋―

提督「そんなわけで龍鳳、頼めるか」

龍鳳「鳳翔さん、ではなく私にですか?」

提督「秘書官に当てられたのがちょっと癪だからな」

龍鳳「で、でも私、道行の作り方なんて知りませんよ」

提督「何言ってんだ、頼むのは助手だ。それに、なにも店に出すよなものじゃなくて、普段着るようなものを作るんだ」

龍鳳「それでも簡単じゃないと思いますけど」

提督「まあそれなりに作り方は調べたから、多分大丈夫」

龍鳳(提督は有言実行する方ですからね……私が足を引っ張らないよう頑張らないと)

提督「ちなみに作るのは裾を長くする。理由は間違えて布を買い過ぎたからだ」

龍鳳「思ったより普通の理由ですね」

提督「大は小を兼ねるというからな」

龍鳳(過ぎたるは及ばざるがごとしとも言いますけどね)

提督「じゃあ、さっそく製作に取り掛かるか」

~~~~~~~~

提督「と、いうわけで完成したのがこの道行コートである」

龍鳳「大変でしたね……」

提督「ああ、大変だった……」

龍鳳「あんまり覚えてないですけど……」

提督「集中し過ぎて記憶に残す事を忘れていたんだろうな」

龍鳳「あはは……あの、それでその道行コートをどうするんですか?」

提督「ん? そりゃもちろん着るが」

龍鳳「そうなんですか?」

提督「あんでそんなに不思議そうにする」

龍鳳「確か道行コートは女性用というのが一般的で、男性が着たらオカマと思われる、なんて話もありますけど……」

提督「……」

龍鳳「あの、提督」

提督「龍鳳にプレゼントだこのやろう! 次からはちゃんと調べてやるからなー!」ダッ

龍鳳「あ、えっと……ふふ」

―執務室―

提督「どうりで秘書官の目が冷ややかだったわけだ」

提督「しかし……裾を長くした分、龍鳳には大きすぎたかもしれんな。ちょっと手直しをしてから逃げるべきだったか」

下2

―デパート―

ザーザー

五月雨「……」

五月雨(ど、どうしよう。天気予報で雨だって言ってたのに、傘を忘れてきちゃった)

五月雨「雨は好きだけど……はぁ」

提督「なんだ、ため息ついて」

五月雨「自分のドジのせいで、ここで雨宿りすることになってしまって……提督!?」

提督「おう、奇遇だな。どうしたこんなところで」

五月雨「その、傘を忘れてしまって……」

提督「ああ、雨ひどいもんな。……どうだ?」

五月雨「えっと、なにがですか?」

提督「傘、入るか?」

五月雨「えと、いいんですか」

提督「自分から提案しておいてダメというわけないだろ」

五月雨「で、では、よろしくお願いします……」

~~~~~~~~

提督「しかし、またドジっ子してたなんてな」

五月雨「うぅ……」

提督「いや、責めてるわけじゃないぞ。むしろ、そういうところは五月雨の個性なわけだしな」

五月雨「こんな個性、早く治したいんですけどね……」

提督「ははは、頑張れ」

五月雨「……応援してませんね」

提督「そりゃ前にも言ったかもしれないが、五月雨のその個性のこと結構好きだしな」

五月雨「むー」

提督「むくれるな。可愛いだけだ」

五月雨「かわっ……それ、ほかのだれかにも言ったことありますよね」

提督「さあ、どうだったかな」

五月雨「もう、提督は……そういえば、提督は何を買いに来ていたんですか?」

提督「ん? ああ、そうだな……」

五月雨「手ぶらみたいですし、なかったんですか?」

提督「ええと、実はそうなんだよ。いやぁ、惜しかったなぁ」

五月雨「惜しい?」

提督「あ、いや、なんでもない」

五月雨「……」

五月雨(そういえば、あんなタイミングよく現れるとは思えないよね。もしかして……)

提督(まさかデパートのバーゲンに来てたなんて言いにくいよなぁ。しかも欲しかったの目の前で取られたし)

五月雨(……ありがとうございます、提督)

提督(さすがデパ地下のおばちゃん。尋常じゃない強さだった)

―執務室―

提督「五月雨と会ったのは本当に運が良かった。収穫なしで鎮守府に帰るのも寂しかったしな」

提督「五月雨も傘代が浮いて両方損をしない関係だったな、うん」

下2

―利根型の部屋―

利根「ポテトが食べたい」

提督「くそっ、パクられた!」

利根「別にパクったつもりは無いのじゃが……」

筑摩「ポテトなら冷凍庫に冷凍のがあったはず……姉さん、揚げてきますから待ってくださいね」

利根「うむ!」

提督「はぁ、冷凍食品なぁ」

利根「何か思う所でもあるのか?」

提督「んー、どうでもいいことだしなー」

利根「とりあえず申してみてほしいのじゃ」

提督「冷食って美味しいよな」

利根「ほう? てっきり逆の反応を示すかと思ったぞ」

提督「逆ってなんだよ、まずいと言うと思ったか」

利根「料理人は冷食嫌いが多いと聞くが?」

提督「ただの噂だろ。飲み屋は大半が冷凍食品だっていうのに。そもそも料理人ではない」

利根「なんじゃと!?」

提督「店によって違うだろうけどな。鳳翔の店は……飲み屋って言って良いのかは知らんが、手作りだしな」

利根「ほっ……」

筑摩「姉さん、できましたよ」

利根「おお、ありがとう筑摩」

筑摩「それで、冷凍食品でしたっけ。お弁当などに入れる事も多いと聞きますね」

提督「短時間で作れるし、冷めても美味しいものも多いからな」

利根「はんばーぐは手作りの方がおいしいぞ」

提督「それ冷めると脂が固まったり、肉が固くなるだろ。冷食はそのあたり織り込み済みで作られるからな」

筑摩「そう言えばそうですね」

提督「種類もまだまだ増えて来てるし、味も向上していってるし……うん、やっぱりいいものだと思う」

利根「なるほど! やはり提督とは良い酒が飲めそうじゃな!」

提督「利根は好きなのか?」

利根「料理が出来ない吾輩でも美味しいものが作れるからな!」

提督「なるほど、やっぱりな」

筑摩「……」

筑摩「(もしかして提督、姉さんに合わせてくれました?)」

提督「(半分くらいは本心だ)」

筑摩(半分……?)

利根「よーし、では今日は吾輩が料理をふるまってやろう!」

提督「それは楽しみだ」

筑摩「……姉さんが楽しそうにしているからいいですよね」

―執務室―

提督「ああはいったけど、手作りの方が自分で好きに出来るから、味やコストはほぼ絶対に負けるんだよなぁ」

提督「時間においては絶対的な優位性があるから、時間無い時には大変便利なのは揺るがないけど」

下2

―山―

提督「ピクニックに来た」

陽炎「とはいっても、ただの裏山だけどね」

提督「公園の方がよかったか?」

陽炎「いや、そういうつもりで言ったわけじゃないけど」

不知火「それより、季節を考えてほしいものです」

黒潮「もう冬やからなぁ」

提督「お前たちは文句ばかりだな。ほらみろ、あっちは楽しんでるぞ」


雪風「ここからの景色、綺麗!」

天津風「あ、ほんとね」

時津風「雪風はこういうものを発見するときにも幸運が出るね」

初風「まあ、こういうのも見れないようじゃ、提督の暇つぶしに付き合わされただけ……みないになるからね」

提督「……ほら、楽しそうだろ?」

陽炎「無理矢理って感じがするけど」

磯風「ふむ、私は山登りは嫌いではないぞ」

谷風「寒さを忘れることなら大歓迎さぁ!」

提督「ほら、ここに賛同者がいるぞ!」

浦風「二人はアウトドア派じゃからなぁ」

浜風「この二人にも難色を示されたら、論外とも取れますが」

提督「なんか、今回はみんな厳しいね」

不知火「いつも通りじゃないですか」

提督「いつもどおりかぁ……」

嵐「司令っていつもあんななのか?」

野分「そうね、いつも通り」

萩風「そうなの……大丈夫かしら」

秋雲「……まあ、深く考えることはないって」

舞風「あれでも優しいところはあるから」

嵐「それフォローになってなくね」

舞風「そういう人なのもあるから」

嵐(ここの司令、どういう人だよ……)

秋雲「確か、このピクニックも二人が来たからじゃなかったっけ」

萩風「え、そうなの?」

秋雲「うん。歓迎会って結構しようとするから」

野分「イベントごと好きなのよね」

萩風「そうなのね」

嵐「ふーん。つまり、面白そうな司令ってことか」

野分(厄介ごとを持ってくる方が多い気がするけど)

―執務室―

提督「なんというか、最近寒いせいか思ったより不評だった」

提督「ぶっちゃけ俺が山に行きたいだけだったから、不評でもいいんだけど」

下2

―鳳翔の店―

提督「はぁー、一日の業務の疲れを癒すにはやっぱりここだなぁ~」

鳳翔「ふふ、そう言ってくださってありがとうございます」

提督「そういえば龍鳳、前にあげた道行どうしてるんだ?」

龍鳳「大事にしまってますよ」

提督「着てくれた方が嬉しいんだがな。手直しが欲しいなら、手伝うから」

龍鳳「ありがとうございます。でも、そこは大丈夫ですから」

提督「そうか」

鳳翔「……龍鳳さんに道行を?」

提督「いや、道行が女性ものだっていうから、龍鳳にあげたんだ」

鳳翔「なるほど、そうですか」

提督「そういえば、手作りのプレゼントは初めてだっけか?」

龍鳳「はい、そうですね」

鳳翔「そうですか……」

~数日後~

提督「はぁー、一日の業務の疲れを癒すにはやっぱりここだなぁ~」

龍鳳「ふふ、この前と同じことを言ってます」

提督「そうだっけ」

龍鳳「そうなんです」

鳳翔「すみません提督、ちょっといいですか?」

提督「ん、もちろんいいぞ」

鳳翔「角袖を作ったのですが……」

提督「お、おお? 角袖?」

龍鳳「道行と違って男性用のコートなんですよ」

提督「そうなのか。……え、じゃあもしかして、わざわざ作ってくれたのか?」

鳳翔「はい。先日聞いた話だと、間違えて作ってしまったみたいなので」

提督「うわぁ、何か催促したみたいで悪いな」

鳳翔「いえいえ、私が勝手に作った物なので」

提督「それじゃあ、鳳翔の言葉に甘えて貰おうかな」

鳳翔「はい、どうぞ」

龍鳳「良かったですね、提督」

提督「……つまり、これは龍鳳が鳳翔に何かプレゼントすることで、綺麗な三角関係が描けるな!」

龍鳳「え、ええっ、私なんか、お二人に比べたらとても無理ですよ!」

提督「別に裁縫が苦手ってわけじゃないだろ?」

龍鳳「基礎的なことは出来ますけど、コートを作るなんてとてもじゃないですけど……」

鳳翔「でしたら、時間さえあれば提督が教えてあげればどうでしょうか?」

提督「うーん、しかし俺が口を出すと、手まで出てしまいそうでなぁ」

鳳翔「龍鳳さんにも勉強になりますし、それでもいいと思いますよ」

提督「……鳳翔がそういうならそれでいいか」

鳳翔「布なら余っているのがあるので、これを使ってください」

提督「よーし、では今から作るぞ龍鳳!」

龍鳳「は、はい!」

―執務室―

提督「数日かかったが、何とか無事に作り終えることが出来た」

提督「しかし、なんだろうか……なんか妙に話しの流れが綺麗だったような気もする」

下2

―睦月型の部屋―

提督「もっちー! 遠征の時間だ!」

望月「そんな呼び方してたっけ……」

提督「というか、今日は初雪もだろ! 何でこんなところでゴロゴロしてるんだ!」

初雪「えー……こたつが温かいから……?」

提督「それ聞くの何度目ってくらい、その言い訳を使うな」

初雪「それほどでも……」

提督「褒めてない」

望月「司令官も入ってみれば分かるよ、この魔性のこたつに」

提督「いや、俺が入ったら間違いなくハマるから入らんぞ」

初雪「まあまあ……」グイグイ
望月「まあまあ」グイグイ

提督「いや、ちょ、や、やめろぉおおおおおおお!!」

~~~~~~~~

提督「遠征とかダル……やっぱ炬燵が一番」

望月「やったぜ」

提督「あ、みかんある?」

初雪「どうぞ……」

提督「サンキュー」

初雪「もっちー……」

望月「ん? というか、初雪までもっちー呼びかよ」

初雪「遠征サボって本当にいいの……?」

望月「それは初雪もだろう」

初雪「……」モゾモゾ

提督「こたつの中に隠れたぞ」

望月「現実逃避か……」

提督「そういう望月も遠征なんだが」

望月「……」モゾモゾ

提督「現実逃避か……」

初雪「そっちも……仕事はいいんですか……?」

提督「……」モゾモゾ

望月「狭いから入って来ないで」

提督「ひど……まあ、時間通りに遠征に行けるのならいいさ」

望月「迷惑かけるのは本意じゃないから、多分行く」

初雪「同じく……」

提督「ふぅん。みかんおかわり」

初雪「あそこのダンボール……」

提督「……もっちー」

望月「もっちー言うな。自分で取れ」

提督「つまり、もっちーはいらないと」

望月「挑発しても無駄だぞ。絶対に炬燵から出ない」

提督「初雪」

初雪「嫌」

提督「はっきり言いやがって……じゃあ、古今東西こういう場面になった時に活用されるあのゲームをするか」

望月「あのゲームね」

初雪「負けない……」

提督「最初はグー!」

「「「じゃんけん――――」」」

―執務室―

提督「敗北者に発言権は無い。黙してみかんを取るのみ……」

提督「結局また睦月が炬燵をはいで無理矢理遠征に出かけることになった。俺も少し睦月に怒られた」

下2

―廊下―

提督「そんなわけで、熱湯コマーシャルをしようと思う」

青葉「いいですね! ……熱湯コマーシャルってなんですか?」

提督「熱湯風呂に落として、入っていられた時間だけCMをすることが出来るというやつだ」

青葉「それは面白そうです!」

提督「そうして用意したのが、ここだ」

青葉「? 一見普通の廊下ですが」

提督「ここをまっすぐ歩いてみるといい」

青葉「さっきの話を聞いて歩く人は居ないと思います」

提督「それもそうだ」

青葉「というか、大丈夫なんですか? 火傷とかしませんよね」

提督「一応実験として那珂ちゃんを落としてみたら、二秒で風呂から出て陸に上がった魚のようにビチビチしていたくらいだな」

青葉「……それは楽しみです!」

提督「そして、もう落とす奴は決めてある。今頃共犯者がここにそいつをつれてくるはず……」

赤城「――今日は間宮アイスがたくさん仕入れていると聞いたの」

加賀「そうなの」

赤城「嬉しそうね、加賀さん。でも食べられる量は……によって違いますけど」

加賀「何か言った、赤城さん?」

赤城「いえ」

加賀「そう。では――」ドグシャザバァ

加賀(――……!?)ザバッ ゴロゴロ

提督「大丈夫っすかー」

青葉「はい冷やしてくださーい」バシッバッ

加賀「……? ??」

提督「時間は……あー、三秒か。まあもった方か」

青葉「結構熱そうに見えるんですけど」

提督「覚悟して入れば十秒は固い」

青葉「むしろ、覚悟して入っても十秒しかもたないんですか……」

加賀「あの、ええと?」

赤城「まだ加賀さん混乱しているみたい」

提督「おお、加賀がこんなに混乱しているのは珍しいな」

青葉「貴重な映像が撮れましたね」

加賀「……」

赤城「……」コソコソ

提督「三秒だから間宮アイス三個って事で……」

加賀「……遺言はそれだけですか」ゴゴゴ

提督「っ! い、いやこれは……すべて青葉がやった事だ!」

青葉「は、はぁ!? 何をいきなり仰っているんですか! 司令官が考えた事ですよね!?」

提督「いいや、青葉がそそのかすからやってしまったんだ!」

青葉「そもそも司令官が……!」

加賀「お二人共、罰を受ける用意は良いですか」

提督「……」ダッ
青葉「……」ダッ

加賀「全機発艦。みんな、粉微塵にしてあげなさい」

提督「加賀本気で[ピーーー]気だ!」

青葉「まだ死にたくないですよ!」

―執務室―

提督「アイスで釣ったら許してくれた。月の無い夜は気をつけてとか言われたけど」

提督「青葉は……何も持って無いゆえに、きっと今頃……」

下2

―陽炎型の部屋三号室―

提督「萩風と嵐の歓迎会しまーす!」

ワーパチパチ

萩風「まさか本当に歓迎会をするとはね」

嵐「こんな呑気で良いもんかね」

陽炎「良くも悪くも、これが司令官のいつも通りよ」

萩風「そうなの……噂に違わぬってところかしら」

嵐「なんか不安になるな」

陽炎「初めはみんなそう思っちゃうわよね」

不知火「今でも不安になるけど」

黒潮「むしろ不安にならない日があらへん」

嵐「大丈夫か、ここの司令」

陽炎「……大丈夫じゃないかも」

提督「そんじゃ、料理から食べていくぞ」

雪風「わぁ、しれぇの料理美味しいから好きです!」

時津風「もう料理人になっちゃえば?」

提督「それは間宮に失礼だろ。レシピ通りに作ってるだけだし」

磯風「レシピ通りか……考えたこともなかったな」

浜風「考えたことも無かったんですか……」

提督「ほら、萩風と嵐は主役だろ。先に一口だ」

萩風「はあ、ではいただきます」モグモグ

嵐(他の姉妹も絶賛してたし、まずくはないだろ)モグモグ

提督「どうだ?」

萩風「……あ、美味しい」

嵐「……確かに、なんか悔しいが美味しいな」

初風「提督の唯一褒められるところね」

提督「ひどくない?」

浦風「うちらも手伝ったんじゃ」

谷風「この量作るのはさすがに大変だからねぃ」

野分「磯風の侵入阻止が一番大変だったのだけれど」

萩風「もしかして、私達のために?」

提督「そりゃあ、歓迎会だし」

秋雲「姉妹は、多ければ多いほどいいからね」

舞風「部屋で踊りにくくなるけど、姉妹は唯一無二だからね」

嵐「……」

天津風「あら、もしかして泣いてる?」

嵐「な、泣いてなんているか! これは……心の汗だ!」

天津風「その言い訳をする人初めて見たわ」

萩風「ここは、暖かいわね」

陽炎「……でしょ?」

―執務室―

提督「良い話風にまとまったけど、料理作っただけなんだよなぁ。特に何にもしてないんだよなぁ」

提督「まあ、こういうイベントを催して心象上げとかないと、嫌われかねんからな」

下2

―G・ツェッペリン級の部屋―

提督「新設した部屋なんだが、どうだ?」

グラーフ「なるほど、なかなか良い部屋だ」

ビスマルク「今日は歓迎会も兼ねるのよね」

プリンツ「準備はしておきましたけど」

提督「ようし、よくやった」

グラーフ「歓迎会?」

提督「いつも同じじゃ面白くないから、今回は軍歌を歌おうと思う」

レーベ「軍歌?」

マックス「あんまり歌は知らないのですけど……」

呂500「艦隊のあいどる?が歌ってた曲なら知ってるよ!」

提督「それだとグラーフ……グラタンは知らないだろ」

グラーフ「ぐ、グラタン?」

提督「だから、この面子で知ってる曲といえばドイツの曲だろう」

グラーフ「なぜ無視をする」

ビスマルク「アトミラールはいつもこうだから、馴れておいた方が良いわよ」

グラーフ「そうなのか? そういえば、日本では発言するときは手を上げると聞いたことがある」

ビスマルク(えっ、そうだったの)

プリンツ「場所によっては、ですよ。ここではその必要はありません」

グラーフ「そうなのか。ふむ、まだ慣れないことも多くある。そういうことはどんどん教えてほしい」

プリンツ「はい!」

ビスマルク(不思議ね、出番を取られたような気がするわ)

提督「なんか脱線したが、歌うのはStukaLied。邦題にしてスツーカの歌だ」

マックス「スツーカ、好きですね」

提督「まあな! オイゲン、用意はいいか?」

プリンツ「はい」

ビスマルク(準備って、それなのね)

提督「では、スタート」

~~~~~~~~

『――Die Stukas』

提督「おお、やっぱりというか、みんなめっちゃペラペラ」

グラーフ「……あんまり覚えていないものだ」

提督「いやいや、なかなかうまかったよ」

グラーフ「そうか。だが、こういう場所で軍歌を流しても良いのか」

提督「いいのいいの。うちは自由で通してるから」

レーベ「基本的に何しても駄目って言われないよね」

プリンツ「どちらかといえば、こういう曲は一部の子が怒りますから」

グラーフ「なるほど」

ビスマルク「……他に聞きたいことはあるかしら? 今日は貴女の歓迎会だし、何でも教えてあげるわよ」

グラーフ「いや、今はだいじょうぶだ」

ビスマルク「そう……」

提督「よし、では普通に歓迎会の続きをやるぞ、グラタン」

グラーフ「なぜ私の事をグラタンと呼ぶ」

提督「じゃあコップを持って……ああ、グラタンと呼ぶ理由なら、とくには無いぞ。ただの愛称だ」

グラーフ「ならば、なるべくやめてもらいたのだが」

呂500「えー、グラタン可愛いと思うよ?」

レーベ「うん、そう思う」

提督「と、言っているみたいだが」

グラーフ「……好きにするといい」

―執務室―

提督「歓迎会という名の宴会に成り下がったような気がしないでもない」

提督「誰も困ることは無いし、別に良いよね」

下2

―談話室―

提督「踊りたいならDDRとかどうだ」

舞風「でぃーでぃーあーる?」

提督「この踊りのゲームだ。ダンレボとも呼ばれているな」

提督(踊りになることは殆ど無いがな)

舞風「どういうゲームなんですか?」

提督「ではまず起動。このマットの上で矢印に合わせてボタンを踏むんだ」

舞風「踏む?」

提督「一回やってみたらわかるか。じゃあ、まずは俺から」

舞風(そういえば、一緒に踊る事はあっても、踊っているところを横から見た事はなかったですね)

提督「……――」ダダダダ

舞風「!?」

舞風(な、何あの足の動き……ダンスというより、何かの武道みたいな……! しかもあの真剣な表情。提督、本気で踊ってる!)

提督「……っ!」ダダ<ガシャン

舞風「ってあれ、突然曲が終わりましたよ?」

提督「ふぅ……まあ、この曲ならこんなものかな」

舞風「ええと、その」

提督「DDRは押せてなかったら強制終了されるんだ」

舞風「ええっ!」

提督「音ゲーの宿命だな……さて、どうだ」

舞風「提督はこの曲クリアできるの?」

提督「難易度落としてるし、何回かやればできると思うぞ」

舞風「でしたら、もっと提督の踊っている姿をもっと見たいな……って」

提督「そうか。だが、やってみてわかる事もあるだろう。とりあえず、舞風もやってみてくれ」

舞風「……うん。でも、後で一人でするところも見せて欲しいです」

提督「そんなにクリアできるか気になってるのか……」

舞風「そういうつもりじゃないんですけどね」

提督「じゃあ、どの曲にする。MAX300は初心者には無理だろうし」

舞風「いえ、これにします」

提督「え、さっきの見て正気で言ってんの?」

舞風「どうせなら、提督が選んだものを私もやってみたいと思いまして」

提督「マジで言ってんのか……」

提督(ぶっちゃけ舞風の踊り方じゃ、この曲クリアとか無理だと思うんだがな)

提督「やるだけやってみるか。じゃあ、準備が出来たら押してくれ」

舞風「はい!」

提督(さあて、難易度を落としたとはいえ、舞風がどこまでやれるのか……)

舞風「よっ、はっ……えいっ」

提督(動きに無駄が多い。この調子じゃ、クリアも危ういかな……)

舞風「っと、これ……こっち……」

提督(……いや、違う。無駄が多いのは上半身の動き。足元だけ見れば、まったく無駄が無い! 事実、舞風はまだミスをしていない!)

舞風(提督の時より矢印が少ない。なら、このくらいならまだまだ!)

提督(DDRは踊りじゃないと言ったが、これは違う。舞風はきちんと踊っている!)

舞風「これで終わり……かな。どうでしたか、提督」

提督「ブラボー……おー、ブラボー」パチパチ

舞風「ありがとう! でも、なんで泣いているんですか?」

提督「ちょっと大事なことを思い出してな……」

―執務室―

提督「どんどん上達していく舞風を見て、やっぱり音ゲーは才能なんだなって思った」

提督「実際リズム感ある奴は上手い。俺ももう少しリズム感が欲しかった」

下2

―鳳翔の店―

提督「この前音ゲーやったんだけどさー」

隼鷹「ふんふん」

提督「ダメだった……」

隼鷹「あっはっは! そっかそっか!」

提督「笑い事じゃないんだよぉ……」

隼鷹「で、それがどしたん?」

提督「ゴクッゴク……はぁ~、舞風も一緒にしたんだ……」

隼鷹「ふんふん」

提督「どうだったと思う?」

隼鷹「上手でショック受けたってところだろ」

提督「大正解なんだよ~、俺だって何回も練習したのに、あっさりクリアしやがったんだぞ~

。もう本当しょっくで、隼鷹も何か思うところがあるだろ~」

隼鷹「その場にいたわけじゃないし、なんともな」

提督「ないわけないだろ~! 何か言ってくれよぉ~」

隼鷹「……」

隼鷹(あたしが言うのもなんだけど、酔った提督面倒だな……)

提督「ゴクッ……でさぁ、流石に難易度最大のクリアまでは至らなかったんだけどさ、やっぱこれって才能なんだってさ~」

隼鷹「才能ねぇ」

提督「なーにが才能だよ! このバカチン! 隼鷹さあ、舞風に肩持ってるわけ?」

隼鷹「提督の方から言ったんだろ~」

提督「でもリズム感って重要なんだよなぁ。音ゲーだけじゃなく、格ゲーとかでも店舗は重要だし」

隼鷹「そっか」

提督「レースゲームだって、一部じゃリズムが大事だし……」

隼鷹「へー」

提督「隼鷹聴いてる?」

隼鷹「聞いてる聞いてる」

隼鷹(愚痴聴いてるせいか、今日は酔いが回らないんだよなぁ)

提督「でさぁ、リズム感って現実でも重要だしさぁ」

隼鷹「そうなのか?」

提督「重要じゃないっていうのか?」

隼鷹「気にしたことないからねぇ」

提督「なんとなく重要なの! ゴクゴク……とにかく、舞風のリズム感には嫉妬ってわけ」

隼鷹「ふーん」

提督「で、隼鷹はどう思う」

隼鷹「べつにいいんじゃない? 提督だって、それなりにできるっしょ」

提督「できる出来ないでいえばできるけどさぁ……」

隼鷹「そもそも、提督のリズム感はどうなわけ?」

提督「……愚痴ってなんだが、そんなに悪くないぞ」

隼鷹「……微妙な話のオチだな」

提督「自分でもそう思う」

―執務室―

提督「つまんない話のオチに酔いがさめた」

提督「というより、そんなに絡みたいわけでもなかったし……うん、言いたいだけだったな」

下2

長門「――以上が、出撃の報告だ」

提督「きちんと受け取った。今日はもうオフだろう。ゆっくり休め」

長門「はっ!」

提督「……そういえば、最近被害が少ないな。いいことではあるが、何か気になったこととかないか?」

長門「気になったこと……そうだな、ここ最近は私の調子もいいからかもしれんな」

提督「そのくらいか」

長門「それと……そうだ、最近はレ級や姫を見ないな」

提督「ほう?」

長門「そのせいか、敵の指揮系統にも乱れが出ているように感じた」

提督「そうか。……少し、調べてみるか」ボソッ

―???―

提督「それで、偵察に来た」

ヲ級「堂々と偵察に来る敵がどこにいるんですか」

提督「ここ」

ヲ級「そういうと思いました」

提督「湯呑も直ったのを報告を兼ねているんだ。ついでに南方棲戦姫をおちょくろうかと。レ級は?」

ヲ級「……そういうことなら、見に行った方がいいかもしれませんね」

提督「は?」

~~~~~~~~

ヲ級「はい、ここです」

提督「……なあ、あそこでボロ雑巾のように転がっているのって、もしかして」

ヲ級「言わないであげてください」

提督(うわぁ、おちょくれる状況じゃねぇな……)

レ級「あ、久しぶりだね」

提督「あー、うん、レ級、何をしてるの?」

レ級「南方棲戦姫様とね、演習!」

提督(この無邪気な瞳には狂気がはしっているようにも見える)

ヲ級「湯呑、直ったそうですよ」

レ級「本当!? えへへ、よかった♪」

提督「それで、そのー、南方棲戦姫生きてるかー?」

南方棲戦姫「ぐ……人間……勝負は、また預けて……おこうではないか……」

提督「レ級にぼろぼろにされて、よく高圧的に言えるな……」

南方棲戦姫「ふ、ふん……手加減してやったに……すぎん……」

提督(なんか本気で哀れに感じてきた)

提督「ま、まあお大事にな」

南方棲戦姫「くっ……その顔が……一番気に入らん……!」

レ級「じゃあ南方棲戦姫様、気分もいいから最後にしよっか♪」

南方棲戦姫「ひいっ!」

提督(本当に大変だな……)

―執務室―

提督「しばらくは南方棲戦姫も出てこなさそうだな。レ級もだけど」

提督「しかし、あそこの序列は大丈夫だろうか。人のことは言えないけど」

下2

―廊下―

提督「そこの最近調子が良いらしい長門よ」

長門「む、なんだ?」

提督「ちょいと付き合ってくれないだろうか」

長門「付き合うと。ふふ、いいだろう。このビッグセブンの力を見せる時が来たようだな」

提督「何を考えているのかは知らないけど、買い出しだぞ」

長門「なんだと?」

提督「そうだなぁ……長門だけだと無理かもしれないから、陸奥も頼む」

陸奥「あら、忘れられているのかと思った」

長門「それより、無理ってなんだ。ビッグセブンだぞ」

提督「んじゃ、昼食後、鎮守府の前な」

陸奥「わかったわ」

長門「待て、なぜ無視をする。こら、聞いているのか」

―デパート―

陸奥「それで、何を買いに来たの?」

提督「暖房器具と食材と生活用品……他に幾つか頼まれたもの等々」

陸奥「……それ、三人でどうにかなる量なの?」

提督「宅配サービスを使えばどうにでもなる。それで……長門?」

長門「ふん」

陸奥「すっかり拗ねてるわね」

提督「さすがに長門一人だと無理だろうと思って言ったんだがなぁ」

長門「無理だと? まだそんなことを言っているのか」

提督「……そんなに言うなら、一人で持ってみるか?」

長門「上等。ビッグセブンの力を侮ったことを後悔させてやろう!」

陸奥「提督?」

提督「こうなったら一人でやらせた方が良いだろ」

陸奥「ええ、それは分かるけど、多分無理してでも持とうとするわよ?」

提督「だろうな。まあ、それならそれでいいし」

陸奥(相変わらず適当ね)

~~~~~~~

長門「ぐっ……」ズシッ

提督「こたつ二つとヒーター三つ、それと布団五つくらいで音を上げてどうすんだー」

陸奥「本当に手加減ないわね」

提督「だから三人でって言ったんだ。まだあるしな」

長門「なに……っ」

提督「どうした、もう限界か」

長門「……な、舐めるな。ビッグセブンの力はこんなものではない!」

陸奥「じゃあ、これも追加ね」スッ

長門「ぐうっ!」ズッ

提督「陸奥もなかなか酷いことするな」

陸奥「なんというか、なんかこういうのみたら虐めたくならない?」

提督「ドSだな……」

長門(よ、余計なプライドを見せるべきでは無かった……)

―執務室―

提督「宅配サービスは使ったが、そこまではなんだかんだで全部長門が持つ事になった」

提督「ほどほどで止めるつもりだったんだが、なんか陸奥が楽しそうで……いや、俺も楽しんでたところはあった」

下2

天龍「提督、試合しようぜ!」

提督「野球を誘う風に言うな。試合ねぇ……」

天龍「なんだ、嫌なのか?」

提督「相手は天龍だし……いいだろう、やってやろうじゃないか」

天龍「なんかすごく侮られている気分なんだが」

提督「細かい事は気にするな。じゃあ、トレーニング場に集合で」

天龍「おう!」

提督「……ちょっと待て、形式を決めておこう」

天龍「あん、形式? 一太刀浴びせたらでいいんじゃねえ?」

提督「それなら、今回は剣道のルールにするか」

天龍「剣道? まあ、いいけどよ」

―トレーニング場―

提督「防具はつけたか?」

天龍「こんなの無くても良いんだけどな。邪魔なだけだし」

提督「何言ってんだ。古来の武術では形式は重要だ」

天龍「まあいいけど。じゃあ、始めるか」

提督「それじゃあ駄目だな。始める時は、おねがいします、だ」

天龍「お、おねがいします」

提督「審判は居ないから、お互い構えが終わったら始めということにしよう」

天龍「お、おう」スッ

提督「……」スッ

天龍「……! ここだ!」シュッ

提督「イヤアアアアアアアア!!!」ガッ

天龍「!? ちょっ」

提督「メエエエエエエエエン!!!」バシッ

天龍「うわっ! な、なんだ突然!」

提督「すぅ……ふぅ。まずはこっちが一本だ」

天龍「も、もう決まってんのか……」

提督「じゃあ、次行くぞ」スッ

天龍「何か奇声あげてわけわかんなかったが、まだ続けるって事でいいんだよな。よし……」スッ

提督「……」

天龍(前回はカウンターが綺麗に決まったからな……今回は油断しねえからな)

天龍「……はあっ!」シュッ

提督「イヤアアアアアアアアア!!!」ガッ

天龍「同じ手は喰らわねえぜ!」スッ シュッ! ガッ

提督「……こちらの守りを突き破って来たか」

天龍「よし、これで一本だな」

提督「いや、気勢がないから一本にならないぞ。残心もないしな」

天龍「は?」

提督「……まあ、初心者だし、そこは無しにしておくか。じゃあ、最後だ」スッ

天龍「なんだかわかんねえけど。わかった」スッ

提督「……キエエエエエエエエエエ!!!」シュッ

天龍「また変な奇声を上げやがって! とはいえ、その一撃、見切った!」スッ

天龍(このまま受け止め、その勢いのまま押し……なにっ)

提督「コテエエエエエエエエエエエ!!!」ガッ

天龍「ぐっ……ちょ、直前で軌道が変わったんだが!?」

提督「すぅ……これぞ、変化自在の太刀」

天龍「な、なんかかっこいいな……!」

―執務室―

提督「剣道に必要なのは気勢。あれは知らない人が見ると異様に感じるらしい」

提督「天龍はそれに押されたわけだしな。うむ、気勢は重要だ」

下2

提督「……」

霞「仕事中に何してんの」

提督「何って、裁縫。マフラーを編んでるんだ」

霞「はぁ……」

提督「ため息ばっかりつくと幸せが逃げるぞ」

霞「だいたいクズ司令官のせいでしょ」

提督「そうだっけ?」

霞「はあぁぁ……」

提督「おっと深い溜息。言い訳しておくと、重要な案件はちゃんと済ませてるからな」

霞「当たり前でしょ。ったく」

提督「ちょっと待て」

霞「なに」

提督「秘書官も裁縫してみるか?」

霞「私が暇だと思ってんの?」

提督「こう見えても、お前達の予定は頭に入れてある。そして秘書官が何も持たず部屋に来たということは、急ぎの要件は何もないんだろ」

霞「ちっ、こういうことだけは頭働かせるんだから」

提督「さて、どうする?」

~~~~~~~~

提督「そこはこうだな。なんだ、なかなかのみ込みが良いじゃないか」

霞「この程度楽勝よ」

提督「しかし、断られると思ってたんだけどな」

霞「いい暇潰しになると思っただけ。それに、クズ司令官は見ていないと何しでかすか分かったものじゃないわ」

提督「裁縫してるんだからなにもしないって……痛っ」

霞「調子乗ってるからよ、どんくさい」

提督「ははは、面目ない」

霞「ったく、ほら、見せなさい」

提督「ん」

霞「針だし傷は浅いわね。絆創膏貼っておくだけにしておくわ」

提督「秘書官って、なんだかんだ言って優しいよな」

霞「は、はぁ!? 何いきなり意味不明なこと言ってるのよ!」

提督「そうやって恥ずかしがっている姿とか、ぐっとくる」

霞「ば、バッカじゃないの! 勝手に言ってなさい! ふんっ!」

提督(照れてる照れてる)

~~~~~~~~

提督「はい、完成」

霞「早いじゃない」

提督「秘書官に見つかるまでこっそりやってたからな」

霞「そう言われてみれば、だいたい完成してたわね」

提督「本当は見つかる前に終わらせておきたかったんだがな」

霞「裁縫くらいじゃそんなに怒らないわよ。私の事なんだと思っているわけ」

提督「そういう意味じゃなくてな……ほら、プレゼントだ」

霞「……えっ?」

提督「呆けた顔も珍しいな」

霞「と、突然変なこと言ってきたから!」

提督「変な事じゃない。なんだかんだで世話になってるわけだし、こうして物をプレゼントするくらい不自然じゃないだろ」

霞「う……」

提督「あんまり上手じゃないけど、よければ使ってくれ」

霞「……ここで断るのも変な話よね。いいわ、受け取っておいてあげる」

提督「おう」

霞「…………私は借りは返す主義だから、それまで待ってなさい」

バタン

提督「……ははあ、あの口ぶりはもしや……首を長くして待っておくか」

提督「それにしても、最後微妙に変な顔してたな。喜びを隠そうとしたのか、怒りを抑えていたのか……多分、前者だろう」

下2

比叡「今年のクリスマスも、私がケーキを作ろうと思うんです!」

提督「そうか。葬式の用意をしておくか」

比叡「ひえっ!? それはどういう意味ですか!」

提督「そのまま死人が出そうっていう意味だ」

比叡「出しませんよ!」

提督「じゃあ、精神病棟の空き部屋を確認しておくか」

比叡「そんなこともしません!」

提督(だいぶ前に本当に必要だったことがあったんだけどなぁ……)

提督「冗談はともかく、好きに作ればいいんじゃないか」

比叡「いいんですか?」

提督「関わりさえなければ、好きに作っていい」

比叡「それは良かったです。そういえば、借りに許可がもらえた時は、この紙を渡して欲しいと霧島から言われていました」

提督「紙?」ガサガサ

『比叡お姉様の料理、司令の食事に混ぜておきます』

提督「……シンプルながら、なかなか効く一言だ」

比叡「なんて書いてあったんですか?」

提督「……ケーキ作り、手伝えってな」

―食堂―

提督「練習とはいえ、ケーキ作るならここしかない」

比叡「気合! 入れて! 作ります!」

提督「目標は、食べても何にもならないケーキを作ることだ」

比叡「食べたらどうにかなるケーキなんてあるんですか?」

提督「普通は無い、が、比叡が作ったケーキなど、どうなるか予想もつかない」

比叡「今日は遠まわしに発言が辛口ですね!」

提督「じゃあ、スポンジを用意してくれって言ったら、何を出す?」

比叡「え、これですか?」

提督「……分かってたけど、なんの疑問も無く洗い物のスポンジを取り出すとは思わなかった」

比叡「でも似てますよね」

提督「じゃあ、生クリーム付けて食べてみろ」

比叡「食べれるわけ無いじゃないですか!」

提督「じゃあなんで出した!」

比叡「それは冗談で出しましたからね!」

提督「こっちは本気で冗談に聞こえなかったけどな」

~~~~~~~~

提督「焼き加減はこのくらいか。比叡、クリームの方はどうだ」

比叡「さすがにかき混ぜる位、造作もないですよ!」

提督「そうかそうか。でもそれ、かき混ぜ過ぎだからな」

比叡「か、かき混ぜ過ぎ? 司令、意地悪も程々にしてください」

提督「残念だが本当にあるんだ。滑らかさが失われ、味も落ちてしまう。本気で作るのなら、そういうところもきちんとしないとだな」

比叡「ひえぇ……司令、よく知っていますね」

提督「今年は料理を手伝おうかと思って、その辺りは事前に調べていたからな」

比叡「そうなんですか……」

提督「……まだ本番まで時間はある。じっくり学んでいけばいいさ」

比叡「司令……はい! 比叡、お姉様のためにも頑張ります!」

提督「どれ、一応生クリームを味見……うんっ!?」

比叡「ど、どうかしましたか?」

提督「……普通の生クリームだ!」

比叡「驚く事じゃないですってばー!」

―執務室―

提督「さて、クリスマスまでにちゃんとしたケーキを作れるのだろうか」

提督「……そして、本当に食事に混ぜられるのか……いや、さすがにシャレにならないから冗談だと思うけど」

下2

提督「うーん……」

飛鷹「どうしたの?」

提督「実はパーティに出席しろとまた上からの招待状がきてな」

飛鷹「行きたくないってこと」

提督「それも少しはある。が、そんなことをすれば秘書官の方に怒られる」

飛鷹「それなら行くしかないわね」

提督「で、例に漏れず、艦娘も一緒にとな」

飛鷹「ねるほどね、一緒に行く相手がいないの」

提督「暇なのが連れて行こうって思えない連中で……あ」

飛鷹「誰か居たの?」

提督「飛鷹、お前はどうだ」

飛鷹「……私?」

―会場―

提督「悪いな、突然」

飛鷹「しょうがないといえばしょうがないわよ。ダンスを踊れる子なんていなかったのだし」

提督「だな。飛鷹は元は豪華客船だし、そのあたりは大丈夫だったよな」

飛鷹「ええ。なんなら、今踊ってみる?」

提督「はは、そうだな。お前を見ている男たちもいるようだし、少し見せびらかしてやるか」

飛鷹「ダンス中は私だけを見なさいよね」

提督「分かってる。では、お手を拝借」

飛鷹「リードは任せたわよ」

提督「ああ、安心して身を預けろ」

飛鷹「ふふ」

~~♪

~~~~~~~~

提督「――で、大分目立つように踊ってやったつもりだけど、なんで壁の花になってるんだ」

飛鷹「そのせいで疲れたの。少し休憩」

提督「長い休憩だな。バラさんが誘った時くらい付き合ってあげろよ」

飛鷹「相手がいないって思われるのも癪じゃない」

提督「お高い女だな……」

飛鷹「じゃあ、提督は私が見知らぬ男性と踊っても良いってこと?」

提督「それは言い方が悪いな。ただ、ダンスパーティに来たんだから踊った方が良いぞってこと」

飛鷹「そう。じゃあ、ワインを一杯持ってきてくれない?」

提督「酔った勢いで踊るつもりか」

飛鷹「ええ。そうすれば、提督だって周りの目線が気にならなくなるでしょ」

提督「……はぁ、しょうがないな。燻らせるのもったいないし、付き合うよ」

飛鷹「ええ、私はお高い女ですから」

提督「根に持つな。……それも、今に忘れさせてやるけど」

飛鷹「うふ、それは楽しみね」

―執務室―

提督「雰囲気に酔っていた。それに尽きる一日だった」

提督「というか、離れていた時間もあったが本当にずっと踊らなかったんだろうか。さすがに無いとは思うけど」

下2

―カラオケボックス―

葛城「誰が一番最初に歌う?」

天城「一番最初はちょっと恥ずかしいですね……」

雲龍「提督でいいんじゃないですか」

提督「俺に任せろ。一番始めの曲はやっぱ君が代だ!」

葛城「いやいやいや、どうして君が代」

天城「愛国心あふれていいと思いますよ」

葛城「そういう問題かな……」

雲龍「次は私」

葛城「あっ、私も入れる!」

天城「では、私は順番の最後ですね」

提督(誰も聞かないって、あるある)

~~~~~~~~

葛城「じゃあ私が歌う番ね!」

雲龍「……そろそろ少し止めたほうがいいと思う」

葛城「まだ始まったばっかりでしょ? 早い早い」

提督「そういう意味じゃないと思うぞ」

天城「他に意味があるんですか?」

葛城「もう、曲が始まっちゃうから。あ――」

コンコン ガチャ

店員「ご注文のポテトでーす」

葛城「――ぃ……」~♪

提督「ありがとござまーす」

雲龍「追加でこのセットもお願いします」

店員「はーい。失礼します」

バタン

葛城「……」~♪

提督「だから言っただろ」

葛城「うぅ……やり直し!」

~~~~~~~~

葛城「あれ」

提督「ん?」

葛城「この比叡って歌手、もしかして……」

提督「想像通りだ。ついでに那珂と調べてもでるだろう」

葛城「カラオケに入ってるって、すごいわね」

提督「自分で入ることもできるんだよ。おかげで那珂ちゃんの曲が結構入ってるんだよな」

葛城「へー、頑張るわね」

雲龍「葛城も入れてみる?」

葛城「わ、私は良いわよ!」

提督「じゃあ、歌っている姿の投稿とか」

葛城「それも遠慮しておくから!」

雲龍「もったいない……」

提督「面白そうなのに……」

葛城「二人とも、私で遊んでいるだけよね!」

天城(聞く姿勢すらない……三人とも自由ですね)

―執務室―

提督「天城は聞いてくれてたけど、自分含めた三人は割と聞こうともしてなかったという」

提督「おそらく三人とも行ったことあっただろうし、彼女ららしい楽しみ方なんだろう。多分」

下2

―デパート―

提督「今日は、えー、親睦会を兼ねて服を買いに来ました」

天龍「服? 別に何でもいいんじゃねーの?」

木曾「俺たちはあんまり着る機会もないだろ」

嵐「確かに、木曾さんの言う通りっす」

提督「はぁ……いい歳した女性がファンしょんに興味なしとか。どう思う最上」

最上「ボクに振られても困るんだけどね」

天龍「やっぱり、演習の方が親睦を深められるだろ」

提督「いーや、服を買うのは決定事項だ。じゃないとお前たちの姉妹にどやされる」

嵐(陽炎ねえか)

天龍(龍田か)

木曾(……心当たりは多いな)

最上(ファッションだから熊野……鈴谷かも。三隈も心配してくれたことあったし……)

提督(姉妹は引き合いにだされて納得できる魔法の言葉だな)

~~~~~~~~

天龍「まさかオレがこんな場所に入ろうとはな」

木曾「そう言うわりには、声に喜色が混じってるぞ」

天龍「そ、そんなわけないだろ!」

提督「最上はどうする?」

最上「ボクはいつも通りに……」

嵐「これとかかわいいんじゃないっすか?」

提督「おお、フリル全開のまさにドレスのような服じゃないか」

最上「え、そ、そういうのはボクの趣味じゃないから……」

提督「まあまあまあ、せっかく嵐が見つけてきたんだから、な」

最上「な、と言われても……」

嵐「これとか露出すごいな……街の人間はこんなの着てるのか……」

提督「これも最上にぴったりそうだな。候補に追加しておこう」

嵐「あっちの方とかも……」

最上「着てみるから、これ以上増やさないで!」

嵐「じゃあ、着付け手伝いますよ!」

最上「いいよ、大丈夫だから」

嵐「まあまあ、着慣れない服は大変ですよ」

提督(嵐、試着姿の写メ頼む)

嵐(オッケー)

最上「な、なんだか背筋が寒くなってきたような気がする」

提督「さて、天龍と木曾は……」

天龍「提督! これかっこいいよな!」

提督「え……」

提督(突然天龍が持ってきたのはとても奇怪な服で、言葉に出すのもはばかられるほどデザインがアレな服だった)

天龍「言葉も出ないくらいかっこいいか。ま、しょうがないよな」

提督「いや、それは……」

天龍「へへ、ちょっと試着してくるから」

提督「……」

木曾「何ぼーっとしてるんだ」

提督「あ、ああ、天龍が持ってきた服があまりにも驚きでな……」

木曾「正直に言った方がいいと思うんだけどな」

提督「いや、あの服は逆に言葉失うから。天龍、いつしか前に変なコスプレさせてからセンスおかしくなったんじゃ……」

木曾「さすがにそれは失礼な物言いだ」

提督「それくらい驚いたと思ってくれ。試着終わったら天龍の写メ撮って龍田に送ってやろ……」

木曾「……なあ提督、ちなみにこの服はどう思う」スッ

提督「…………いいんじゃないか?」

木曾「その間は不安になるだけだからな」

―執務室―

提督「それぞれの依頼主の反応は上々」

提督「しかし、あの面子でも着せ替えしてたらそれなりに時間はかかったな。結局何も買わなかったけど」

下2

―鎮守府前―

提督「……」コソコソ

大潮「司令官、どこにいくつもりですか?」

提督「ビクッ……なんだ、大潮か」

大潮「はい、駆逐艦大潮です!」

提督「大潮なら……まあいいか。実は銭湯に行くんだ」

大潮「司令官も戦うんですか!」

提督「言うと思ったけど、漢字違いの銭湯な。お風呂に入る方」

大潮「なるほど。大潮も司令官をお守りします!」

提督「理解してないよね。……まあいいか、来たいなら来ても良いぞ」

大潮「はい!」

―銭湯―

提督「お金はここで渡して、あっちの暖簾から入るんだ」

大潮「分かりました!」

提督「多分ないと思うけど、先に上がったら適当に買ってても良いから」

大潮「はい!」

提督(返事だけはいいな……大潮はそのあたりが不安だ)


~~~~~~~~

提督「ふう、いい湯だった。大潮は……いないみたいだし、まだ入ってるのか」

提督(……不安だ。銭湯に混浴なんてないし、一緒に入るわけにはいかんから任せるしかないんだが……)

提督「ううむ」

大潮「何をうなっているんですか?」

提督「大潮、あっちで何にもなかったか?」

大潮「いえ、危険はありませんでした」

提督(そういう意味じゃないんだが)

大潮「そして司令官、お風呂上りにはあれですよね!」

提督「ああ、はいはい。コーヒー牛乳な」

大潮「実は、銭湯に入った後ぐぐっとやってみたかったんです!」

提督「ぐぐっとって、なんだ、大潮は銭湯がどんなものか知ってたのか」

大潮「はい!」

提督(大潮は何時でも元気だから、返事に差が無いのが不安を煽ってくるな)

提督「じゃあ一緒に飲むか」

大潮「いいですね! おばあちゃん、コーヒー牛乳二つ下さい!」チャリン

「はい、どうぞ」

大潮「ありがとうござい……!」

提督「どうかしたか、大潮」

大潮「……司令官、これ瓶じゃないです!」

提督「あー、最近は変わってるらしいからな」

大潮「……そうなんですか」

提督「えっと……そう! まだ瓶の所もあるから、今度一緒に行こう! な?」

大潮「……はい!」

―執務室―

提督「大潮は元気じゃないと、なんだかとても悪いことした気分になる」

提督「……しかし、別に鎮守府で風呂上りにコーヒー牛乳でもいいんじゃないだろうか」

下2

―陽炎型の部屋一号室―

提督「浜風の胸に飛び込みたくなった」

陽炎「……それを私の前で言うって、遠まわしに勝負しかけてるわけ?」

提督「俺の野望を止めるということであれば、致し方ない」ゴソゴソ

陽炎「全然致し方なくないからね」

黒潮(なんや腰の方いじっとるなぁ。絶対なんか来るやろ)

不知火「獣を相手に言葉はいらないわ。さっさと意識を途絶えさせないと」

提督「馬鹿め、この俺を止めれるものなら止めてみろ!」

不知火「では遠慮なく」バッ

提督「本当に来るのかよ! 閃光玉!」ピカッ

不知火「くっ!」

陽炎「ちょっと! 突然閃光玉なんて使わないでよ!」

黒潮(腰をいじっとったの、閃光玉を出す為だったんや。少し安心したわ)

―陽炎型の部屋三号室前―

提督「奴らが追ってくる前に早く成さねば!」

雪風「しれぇ、こんなところで会うなんて奇遇ですね!」

提督「ゆ、雪風……」

提督(いくら部屋の前とはいえ、エンカウントが低そうな相手と出会ってしまうとは運が悪い……今日においては死神にも見えるぜ。主に後から追ってきそうな奴のせいで)

雪風「しれぇは何の用なんですか?」

提督「ちょっと重要な用事が浜風にあってな……それじゃあ」ガチャ

雪風「あっ、しれぇ、少し待ってください」

提督(雪風ぇえええええええ! まさか此奴、分かってて足止めしているのか!?)

雪風「えーと……あれ、この辺に入れておいたはずなんですけど……」ゴソゴソ

提督(くっ、早くしなければ、不知火と陽炎の視力が回復してしまう! 何とかそそれまでさっさとまかなければ!)

提督「み、見つからないなら浜風の用事を済ませて良いか?」

雪風「ありました!」

提督(くそぉ!)

雪風「はいしれぇ、明石さんのお店のおみくじで当たったんです。みんながしれぇが好きそうだからって言っていたので、あげちゃいます!」

提督「わぁ素敵なキノコのぬいぐるみだね! 色々突っ込みたいところはあるけど今はそんな暇は無いからありがと!」ガチャ バタン

雪風「どうしてあんなに急いでたんだろう?」

―陽炎型の部屋三号室―

提督「浜風は居るか!」

磯風「どうした司令。鬼に追われているかのような表情をしているぞ」

提督「追われているのは死神だがな! それで、浜風は?」

磯風「浜風なら、外に……ああ、今なら丁度ここの真下に居るな」

提督「くっ」ギリッ

ガチャ

陽炎「追いついたわよ司令! 観念しなさい!」

不知火「不知火を本気にさせた事、後悔させてあげます」

提督「もう追い付いてきたか……ええい、ままよ!」バッ

陽炎「窓から飛び出した!?」

磯風「なかなか豪気な事をするな、司令は」


浜風「……? なんだか急に影が……」

提督「浜風ぇええええええ!!」

浜風「!?」

ドシャーン

提督「痛て……ん、あれ、この顔に当たる柔らかい感触は……」

浜風「――」

提督「……いや、これはわざとじゃなくてだな」

浜風「いいから早く其処をどいてください!!」

提督「いや、こんな至近距離で本気のパンチを喰らったら……ぐはぁあああああああ!!」ドゴーン

―執務室―

提督「雪風から貰ったぬいぐるみが無かったら人体が破壊されていたね」

提督「一応後で謝られたが……悪いのは完全にこっちなんだよね」

下2

龍驤「なーにが母性の象徴や!」

提督「なんだまた今日も荒れてるな」

龍驤「今日の青葉新聞見てみーや」

提督「新聞? どれどれ」

『司令官、母性の象徴にむしゃぶりつく!』

提督「何この三流ゴシップ記事」

龍驤「胸が無かったら女じゃないとでも言うんかああん!? なら相撲取りは全員母性の塊や!」

提督「青葉の記事ごときでいちいち青筋を立てるなよ」

龍驤「うちかてこないなゴシップごときに腹はたてん」

提督「はあ、じゃあなぜ」

龍驤「これを見ていた飛龍がな『つまり無い人には提督も興味無い。女として見られてないってことになるのかな』って言ってたんや」

提督「あー……ってちょっと待て、どうしてそういう話になった。さらりと悪口を言われているような気がするぞ」

龍驤「とりあえずキミ」

提督「はあ」

龍驤「来てもええんやで」

提督「……」

龍驤「……」

提督「疲れているんなら、休みをすぐにあげるからな」サラサラ

龍驤「何書いとるん!?」

提督「これ持って行けば、きっと秘書官も大目に見てくれるから」

龍驤「待ちーや! そないな憐れんだ目をするのやめえ!」

提督「じゃあ、何か理由があると」

龍驤「うちかて女や! まるで女性として欠けとるみたいな言われて、だまっとれんだけや!」

提督(絶対考え過ぎだよなぁ)

龍驤「せやから、今ならええんやで」

提督「……ま、ここまでお膳立てされて黙っているのも変か」

龍驤「遠慮はいらんで」

提督「では……」ギュッ

龍驤「ど、どないや?」

提督「……母性がどうとかは知らないが、正直これだけでも十分休めるな」

龍驤「ふふん、当たり前や!」

提督「あー、ひと肌が恋しい。もう少し甘えるな……」

龍驤「好きなだけこうしててもええで」

提督「じゃあお言葉に甘えて……」

龍驤「……」

龍驤(い、今になって恥ずかしくなってきたんやけど!)

提督「……なあ龍驤」

龍驤「はひっ!」

提督「何今の声。それと、今お前の死角になっているところから、青葉が見えるんだけど」

龍驤「なんやて!? すぐ追いかけな!」

提督「あ、待て」

龍驤「なんや?」

提督「もうちょっとこのままで……駄目か?」

龍驤「……はぁ、まあええわ。ちょっとだけやで」

提督「おう」

~~~~~~~~

提督「人肌に包まれると、ついつい油断しちゃう。それが壁だったとしても」

提督「ちなみに見られていた分は龍驤がネガまで消去したらしい」

下2

―談話室―

提督「あ~」

嵐「どうした司令、疲れてるみたいだけど」

提督「近々クリスマスだし、それを完全に開ける為にも頑張ってるのよ」

嵐「さすが、司令はそういうことに関しては敏感だな」

提督「おいおい、開けるのはお前達の分もあるんだぞ」

嵐「そういうことなら頑張ってもらわなくちゃな」

提督「いやー、今日はもう頑張れないっす」

嵐「相当参ってるみたいだな。よし、それなら少し膝枕してやるから、横になれ」

提督「いいのか?」

嵐「あたしたちの為でもあるから、これくらい当然だろう」

提督「なら、お言葉に甘えて」

嵐「よだれたらさなきゃ寝ても良いからな」

提督「寝るなんてもったいないことできないぞ。よっこいしょ」

嵐「……どうだ?」

提督「いやー、膝枕っていいもんだね」スリスリ

嵐「ちょっ、ははっ、くすぐったいって!」

提督「おっと、ついつい」

嵐「ったく、セクハラって言われてもおかしくないぞ」

提督「……」

嵐「司令?」

提督「……zzz」

嵐「なんだ、本当に寝ちゃったのか」

萩風「あれ、嵐と……司令?」

嵐「萩、静かに」

萩風「司令は寝ているの?」

嵐「疲れてたみたいだ」

萩風「そういえば、最近珍しく遅くまで頑張ってるってみんな言ってたっけ……」

提督(……フフフ、寝てなんていないんだよなぁ。こんな滅多にない体験、寝て過ごせるわけが無いだろう)

萩風「部屋は暖かいけど、一応かけるもの持ってきましょうか?」

嵐「悪いな萩。頼む」

萩風「はい、わかりました」

提督(……よし、萩風は行ったな。しめしめ、今のうちにこころゆくまで楽しんでやる)

提督「……」ツツー

嵐「っ!? ちょ、司令!」

提督「zzz」

嵐「寝てる……よな」

提督「……」ゴソゴソ

嵐「あっ、ったく……もしかして司令は寝相悪いのか」

提督「……」モゾモゾ

嵐「うっ、くぅ……そんなに動かれると、くすぐったいんだけど」

提督(くっくっく、嵐は敏感だなぁ。お、ここがええのんか?)

陽炎「……」

提督(!)

嵐「陽炎ねえじゃん。どうかしたか?」

陽炎「さっき萩風とすれ違ったんだけど……司令官」

嵐「司令なら寝てるけど」

陽炎「起きてるわよね」

嵐「え、マジか」

提督「……バレてはしょうがない。三十六計逃げるに如かず!」ダッ

陽炎「まったく。嵐も嫌なら思いっきりやり返していいからね」

嵐「お、おう。流石だな、陽炎ねえ」

―執務室―

提督「流石陽炎というべきか。まさか一瞬でばれるとは」

提督「しかし、実際眠いのは本当。ふわ……ちょっと昼寝しよ」

下2

―最上型の部屋―

熊野「なかなか可愛らしいですわね」

鈴谷「提督のセンスだからちょっと心配してたけど、意外と悪くないみたい」

三隈「くまりんこも提督に選んでもらいましょうか」

提督「珍しくべた褒めするな。何か裏でもあると勘繰ってしまうんだが」

鈴谷「それで、何か買って帰ったの?」

提督「え?」

熊野「もしや、試着するだけさせただけですの?」

提督「……」

鈴谷「もー! それじゃ意味ないじゃん」

三隈「くまりんこ!」

熊野「提督とはいえ、そこまで気が回らないとは……」

提督「えぇー、何この手のひら返し」

鈴谷「行くよ、提督」

提督「どこへ」

熊野「デパートに決まってますの」

三隈「前回の分、いっぱい買って帰りましょう!」

~~~~~~~~

最上「ただいま。ちょっと遅くなったけど……あれ、どうしたのこの服」

三隈「見覚えありません?」

最上「見覚え……っ!」

鈴谷「どうやら気づいたみたい。提督、捕えて!」

提督「イーッ!」ガシッ

最上「ど、どうしたんだい、急に!」

熊野「これを見ると絶対嫌がるとの判断ですわ」

最上「確かに逃げようとはしたけど……」

鈴谷「さぁーて、何を着せようかなー」

三隈「これとかどうでしょう」

熊野「写真で見たような、たくさんフリルのついた服も良いと思いますわ」

最上「……ねえ、提督」

提督「悪いな、離したら今度は俺があれを着る羽目になるんだ」

最上「それは……うん」

~~~~~~~~

鈴谷「うん、見立ては間違ってなかったわね」

提督「最初に見立てたのは俺だけど、可愛いというのは否定しない」

最上「お、お世辞とかやめてよ……」

熊野「いえいえ、ちゃんと自分の魅力は理解するべきですわよ」

三隈「くまりんこ!」

最上「うぅ……もう着替えるから!」バッ

鈴谷「あっ、いつもみたいに動こうとすると、その服じゃ」
最上「うわっ」ビタン

提督「裾踏んでこけるとか萌えキャラかよ……」

熊野「撮っておきたかったですわ」

三隈「大丈夫!」グッ

提督「よくやった三隈! あとでコピーを頼む!」

三隈「わかりましたわ!」

最上「もうっ!」

―執務室―

提督「よし、これは青葉にも見つからないように保管しておこう」

提督「珍しく拗ねた最上だが……三人に任せておけば大丈夫だろう。悪気は無かっただろうし」

下2

提督「第九回マリカー対決を始める」

伊勢『第九回、ですか』

不知火『司令官は遊んでばっかりですね』

提督「これやるの久しぶりだから!」

阿賀野『初めてだけど、頑張るからね!』

神通『やるからには全力でお相手いたしますね』

提督「みろ、二人はやる気になってくれているぞ!」

伊勢『別に嫌なわけじゃないですからね?』

不知火『私は嫌ですけど』

提督「はいはい、もうすることは決定! じゃあ始めるぞ!」

~ダイジェスト~

伊勢『少しはやりましたけど、これがなかなか難しいんですよね』

提督「くっ、何気に伊勢が速い!」

神通『ブランクがあるのではないですか?』

提督「そういいながら赤甲羅当ててくるのやめろ!」

不知火『……』

阿賀野『練習したのに、あの三人速いー!』

不知火『ここまで差をつけられると、少し不愉快に感じます』

阿賀野『だったら、二人で協力しよ!』

不知火『少し不本意ですが、致し方ありませんね』


提督「なんかスタートダッシュがうまくできない……」

伊勢『提督は噂ではもうちょっと速いって聞いてたけど』

提督「それは煽りと受け取ってもいいってことかな」

神通『すみません、緑甲羅投げますね』

提督「当ててからいうな!」

阿賀野『サンダーでた!』

不知火『あ、今使うのは少し待ってください』

阿賀野『え?』ドシャァ

不知火『……』

阿賀野『わ、わざとじゃないから!』

提督「っと、さすがに勘を取り戻してきたぞ」

神通『ブランクをすぐに埋めてくるなんて、さすが提督ですね』

提督「だからそういいながら青甲羅当ててくるな!」

伊勢『くぅ、さすがに本気の提督にはかなわないかな』

不知火『……』ショゴオオ

阿賀野『あっ! キラーぶつけられた!』

不知火『避けられなかっただけですのに、不知火に落ち度でも?』

阿賀野『うぅ……』


提督「ここはショートカットで、と」

神通『そこのショートカット難しいですのに、すごいですね』

提督(来るか? 来るなら来い、どんな甲羅もクラクションではね返してやろう)

神通『私ももう少し頑張らなくては』

提督(……何にもないんかい!)

伊勢(流石に一週間ちょこっとやっただけじゃ勝てないか……)

阿賀野『あれ、スターが無くなってる?』

不知火『誰かがたまた横取りしただけでは』

阿賀野『そうなんだ……』

提督(あっちの二人、足引っ張り合ってるけどいいんだろうか)

―執務室―

提督「一位は譲らなかったけど、何気にずっと後ろの順位を取り続けていた神通。もしや接待でもされていたのか……」

提督「それと阿賀野のチームプレイも予想通りだったな。不知火も」

下2

霞「ほら、そろそろ掃除もするわよ」

提督「えー、面倒くさい」

霞「年明けにはすっきりしたいっていったのはあんたでしょうが!」

提督「それもそうだが……しょうがない、手早く終わらせるか」

霞「じゃあ、まずは大きなものから片づけていくわよ」

提督「分別か。まずはこの紙の束をゴミ箱に……」

霞「それやったら司令官のことゴミって呼ぶから」

提督「すでに何回か呼ばれているような……や、冗談、冗談だから」

霞「はぁ……」

提督「とは言っても、この部屋はそんなに捨てる物は無いぞ。仕事をする部屋にゴミなんて溜めないしな」

霞「あら、誰がこの部屋って言った?」

提督「なんだと」

霞「掃除するのはクズ司令官の部屋よ」

―提督私室―

霞「汚……くはないわね」

提督「ほとんど寝るだけの部屋だからなぁ。大分前は執務室代わりにも使ってたし」

霞「でもごみは多いわね。なによ、この模型」

提督「プラモを捨てるなんてとんでもない」

霞「このアイドルのオタグッズとかいらないんじゃない」

提督「ファングッズを捨てるなんてもったいない」

霞「……この雑誌の数々」

提督「情報源を捨てるなんてとんでもない」

霞「本気で掃除する気あるの!?」

提督「いやぁ、片づけられない典型例だな、俺」

霞「ったく、じゃあ何なら捨てられるのよ」

提督「基本的に要る物しか残してないから捨てない方向でお願いする」

霞「しょうがないわね……じゃあ、使わないものは物置に入れておきなさい」

提督「それが妥当か。物置はちょっと距離があったよな、台車持ってくる」

霞「そうなると思って用意しておいたわよ。司令官は荷物を運んで。私はゴミの片づけをして置くから」

提督「サーイエッサー!」

霞「私は女よ!」

~~~~~~~~

提督「だいたい外に出したから、ワックスがけをするぞ。……で、秘書官はなにやってるんだ」

霞「……ワックスは私がやるから、窓ふきを任せるわ」

提督「ははーん、上の方に手が届かなかったんだな」

霞「う、うるさい! 文句ある!?」

提督「いやいや、適材適所という言葉もあるから文句は無い。しかし、そうやって反論する姿は……」

霞「っ! ……これ以上言うならもう手伝わないわよ」

提督「あいや、それは困る。すまんすまん、じゃあ続きをしようか」

霞「まったく……」

提督(しかし、今回はほとんど秘書官にやってもらったな。秘書官というよりまるで――)ベチャ

提督「ぬわああああああ! ワックスが目に掛かった!」

霞「あ、ごめんなさい。何だか不本意な気を感じて手が滑ったわ」

提督「それわざとじゃね」

―執務室―

提督「さて、なんとか一日で終わった。他の子もそろそろ掃除するのだろうか」

提督「やっぱ新年は部屋が綺麗な状態で迎えたいものだ。部屋にいるとは限らないけど」

下2

―母港―

清霜「はー、寒-い」

朝霜「あんまりはしゃぐなよ」

清霜「立ち止まっている方が寒いよ!」

早霜「清霜、元気……」

提督「子供は風の子ともいうし、いいことだ」

朝霜「司令か。今日は大人しいのか?」

提督「歳を取ると寒さがこたえるようになっていくのさ」

清霜「はぁー。あっ。司令官! 白い息が出るわよ!」

提督「マジか。はぁー……おおっ、今日はこんなにも寒いのか!」

朝霜「あれでこたえてるっていうのか……」

早霜「司令官ならいつものこと……」

提督「こんなにも白い息が出るなら、ゴジラごっこみたいなものもしてみるか」

清霜「ゴジラ?」

提督「知らないのか? でっかくてすごく強い怪獣なんだ」

清霜「聞いたことあるかも」

提督「口から熱戦をこうグアーッと吐いてだな」

朝霜「司令がいうといまいちすごさが伝わらないな」

提督「なら朝霜が代わりに説明するか? んん?」

清霜「んー、とにかくすごい怪獣ってことは伝わったわ!」

提督「それならばよし」

清霜「こんな感じ? がおーっ」

早霜「かわいい……」

提督「あ、それ俺が言おうとした言葉。しょうがない、早霜にもやってもらうか」

朝霜「何がしょうがないんだ」

早霜「がおーっ?」

提督「うむ、グッドだ」

早霜「ありがと……。朝霜は?」

朝霜「いや、やらねーから」

清霜「やらないの?」

提督「やるだろ?」

朝霜「……が、がおー」

提督「あー、可愛いけど息が見えなかったからやり直しー」

朝霜「だからしねーよ!」

早霜「そう言って顔を赤くする朝霜だった……まる」

朝霜「実況するな!」

―執務室―

提督「雪降ってたら足跡を付けることによりゴジラ感がアップしたり」

提督「しかし、今日は朝霜がつっこみキャラになっていたな。ストッパーがいないからしょうがないけど」

下2

暁「一人前のレディーは料理も出来なきゃダメなのよ!」

提督(何かに影響されたな、これは)

暁「そういうわけだから、食堂を使う許可が欲しいの」

提督「部屋にも備え付けがあるだろうに」

暁「こういうのって形から入る物でしょ?」

提督(こういう見た目とか形の拘る初心者は大体失敗するんだよなぁ)

暁「さっきから暁の顔をじっと見てどうしたの?」

提督「なんでもない、気にするな。申し出は分かった、使えるようにこちらで準備しておく」

暁「頼んだわね!」

提督(とりあえず失敗しそうにない料理の材料を用意しておくか)

―食堂―

暁「じゃあ、一人前のレディーらしく凄いものを作るわよ!」

提督「それなんだが、こちらで用意した材料であるものを作ってくれないか」

暁「あるもの?」

提督「ペペロンチーノだ」

暁「ぺぺろん……?」

提督「パスタの一種だ。シンプルながら奥が深く、また完成品も上手く盛り付ければ一人前のレディーに相応しい食べ物になる料理だ」

暁「レディーに相応しい……うん、いいわよ!」

提督(ちょろい)

暁「材料はパスタににんにくにオリーブオイル……と、唐辛子……」

提督「おや、唐辛子がどうかしたか?」

暁「……だ、だいじょうぶなんだから」

提督(意地張ってる。かわいい)

~~~~~~~~

暁「唐辛子殆ど入れなかったけど大丈夫なの?」

提督「暁本人が食べられなくなるほど辛い物を作るつもりは元からなかったさ」

暁「あ、ありがと……って、わたしだって辛いもの食べられるんだから!」

提督「はいはい、まあそれ以外は殆ど暁がやったし、これは暁の料理と言っても差し支えない。まずは自分で作った物を一番に味わってみろ」

暁「う、うん……あむ」

提督「……どうだ」

暁「美味しい……美味しいわよこれ!」

提督「そうかそうか、それは良かった」

暁「司令官も食べてみて! はい、あーん」

提督「あーんて。貰うけど、パクッ」

暁「どうどう? 暁のペペロンチーノは」

提督「……うん、初めてにしては凄く上出来だ。よくやったな、暁」

暁「えへへ」

提督(危惧していた通り、全くと言って良い程辛くないな。暁には悪いがペペロンチーノとは言えないなこれ……)

―執務室―

提督「多分みんなに振舞おうとするんだろうけど、唐辛子のタイミング大丈夫だろうか。不安だ……」

提督「……いや、失敗して落ち込む暁もそれはそれで見ものだろうか」

下2

―長門型の部屋―

提督「わざわざ部屋でディナーってのもね。今日は長門も居ないから二人きりだろう」

陸奥「あら、二人っきりでクリスマスの前祝ってのも乙なものじゃない?」

提督「そうかねぇ」

陸奥「提督は嫌?」

提督「嫌ってことはない。陸奥みたいな美人と二人でクリスマスのお祝いなんて、間違いを起こしてしまいそうだろ」

陸奥「ふふっ、いいのよ、間違いを起こしても」

提督「じゃあ、この後の予定は俺が予約してもいいってことかな」

陸奥「テイクアウトでもオーケーよ」

提督「…………勘弁。負けだから許してくれ」

陸奥「いきなり口説き文句を言いだすから何かと思ったわよ」

提督「ちょっと雑誌の真似をな。これでシングルベルとはおさらばって見出しのやつ」

陸奥「怪しげな雑誌ね」

提督「効果は皆無だったわけで、そう言う意味なら確かに怪しい雑誌だったな」

陸奥「……一概に、皆無ともいえないんじゃない」

提督「表面上に出ないなら、やっぱり効かなかったって事でいいだろ」

陸奥「そう、提督がそう思うならそれでいいんじゃないかしら」

提督「それで、なんでまた突然ディナーに」

陸奥「クリスマスの日は色々お互いに合わないでしょ」

提督「時間を割いたりってことはないだろうな」

陸奥「だから、今のうちに二人でクリスマスディナーを楽しんでおく魂胆よ」

提督「そこで、俺を選んだ意味は?」

陸奥「あら、気を許せる相手だから、という以外に理由がいるかしら」

提督「そういうことなら、今日は素直に楽しむとするか」

陸奥「ええ、そうして」

提督「じゃあ、君の瞳に乾杯」

陸奥「乾杯♪」

提督「……言いたかっただけだから」

陸奥「ふふ、分かっているわ」

~~~~~~~~

提督「そうだ、ディナーに誘われてからだがプレゼントを用意したんだ」

陸奥「プレゼント? いいのに」

提督「用意は全部任せたわけだし、このくらいはな」

陸奥「悪いわね」

陸奥(さて、今日も真面目な様子からそこそこの物が入ってる気もするけれど……普段だったらびっくり箱でしょうね)

提督「どうする、今開けてもいいんだぞ」

陸奥「……分かった、今開けるわ」

提督「……」ジー

陸奥(これは中に何かびっくりする物が入ってるパターンね。悪い意味で)パカッ

陸奥「……箱の中に箱? これは……」

提督「あんまりいいもの用意できなくて悪いな」

陸奥「マトリョーシカをわざわざ用意するくらいなら、本当にもう少し良いものが用意できた気がするのだけど」

提督「はっはっは。クリスマスサプライズだ」

陸奥「提督らしいと言えばらしいけど……あら、箱の最後に……」

提督「それじゃ、そろそろお暇する。じゃあな」

陸奥「……はぁ、まったく提督は」

―執務室―

提督「少しじらしてプレゼントを贈ると喜びが倍増されると言うので、自分の趣味含めてああいう形にしてみた」

提督「でもこれ一度ネタバレしたら二度目使えないな……」

下2

―食堂―

提督「今日は無礼講だ! さあ、全員で歌って食って飲み明かせ!」

霞「まあ、今日くらいはね。……じゃあ、私はあっちに行くから。……何って、け、ケーキよ。悪い? ふんっ」

金剛「ヘイ提督! 私と一緒に飲み明かしまショー!」

榛名「でしたら、榛名もぜひご一緒させてください!」

比叡「お姉様、今年は私と一緒に過ごすって約束したじゃないですかー! 司令がいても……別に、嫌じゃないですけど」

霧島「まだ始まったばかりだから金剛お姉様も榛名も遠慮しなさい。あ、司令、マイクパフォーマンスは任せてください」

赤城「提督、本当にこの量食べていいんですか? ……そうですか! 加賀さん、今日は思いっきり楽しみましょう」

加賀「ええ、そうね。……なんですか、今日は無礼王なのでしょう、ハメを外しても問題無い筈です」

秋津洲「これ余ったら大艇ちゃんにあげてもいいかも!? え、そもそも残らないかも?」

鳳翔「余るなら良いですけど、足らなかった分はどうしましょうか? ええ、追加ですね。分かりました」

間宮「少しくらいなら時間もかかりませんし、気にしなくても大丈夫です。心配して頂きありがとうございますね」

龍鳳「鳳翔さんと間宮さんが作った料理にはまだほど遠いな……え、提督、聞いてました? は、恥ずかしいです……」

速吸「……はい、二人は手際も良いですから。……はい、これからもっと頑張ります!」

伊良湖「あの、二方には劣ると自覚してますけど、頑張って作りました。その、どうですか? ……美味しい、ですか。えへへ、ありがとうございます」

龍驤「料理かぁ。女子力って点じゃ重要やなぁ。なんや、なんで胸を見て目を逸らした」

大鳳「……ちょっと待ってください。なんで私まで見ているんですか。ケンカ売っているんですか」

祥鳳「ど、どのみちこの量の料理は一朝一夕では無理ですから、ね?」

瑞鳳「卵焼きだけは負けない自信はあるんだけど、それ以外だと勝てる気しないのが当たり前だからね?」

飛鷹「余計なことするから二人がフォローに入ったじゃない。……なに、ドレス? 似合ってるって……ま、前も見せたでしょ。……ありがと」

隼鷹「ひゃっはー! 提督飲んでるかー! まだ飲んでない? ……じゃあ後でな!」

千歳「あらお酒? その時は私も一緒にお願いしますね」

千代田「千歳お姉が飲むなら千代田も飲むから! ……提督もくるの? 別に良いけど」

瑞穂「はい、私ですか? ……ええ、大丈夫です。羽目を外し過ぎないかきちんと見ていますから」

古鷹「提督、こっちも見に来てくれたんですか? ありがとうございます」

加古「すかー……むにゃむにゃ……」

青葉「司令官見回りですか? 何か面白い事があれば、この青葉にお知らせください!」

衣笠「こら、今日くらいそれは休みなさい。提督も燃料を投下しなくて良いからね?」

最上「すでにボクが撮られた後だけどね……なにって、この服装を見ても何も思わないの? ……もう

、ほ、褒め言葉はもういいから……」

三隈「提督、今回のもきちんと送っておきますから安心してくださいね」

鈴谷「多分青葉が新聞にすると思うけどねー。……そうだね、個人的に持っておくのも悪くないか」

熊野「少々悪い気も致しますけれど」

利根「提督よ、今日は凄いな! ところで、今日は何の日じゃ? ……おお、そうか!」

筑摩「姉さん、今日はクリスマスですよ。提督、嘘は教えないでください」

妙高「私も今日は飲んでいますよ。提督もお一つどうですか? ……うふふ、ではまた後で」

那智「なんだ、私も飲んでいるぞ。……ああ、朝まで飲み明かすつもりだ。提督も混ざって良いんだぞ

?」

足柄「むしろ一緒に呑みなさいよー。皆で馬鹿騒ぎする方が楽しいでしょー」

羽黒「あんまり騒ぎすぎるのも……え、いいんですか? ……そうですね、無礼講でしたね」

高翌雄「朝までこうして飲み明かせる日は少ないですから」

愛宕「そうね~。私も今日は飲み過ぎちゃうかも♪」

摩耶「あん? ああ、こっちはいいよ。こう見えてもみんなしっかりしてるだろ」

鳥海「知ってるって? ふふ、そうですね。司令官さんは良く付き合っていらっしゃいますから」

古鷹「提督、こっちも見に来てくれたんですか? ありがとうございます」

加古「すかー……むにゃむにゃ……」

青葉「司令官見回りですか? 何か面白い事があれば、この青葉にお知らせください!」

衣笠「こら、今日くらいそれは休みなさい。提督も燃料を投下しなくて良いからね?」

最上「すでにボクが撮られた後だけどね……なにって、この服装を見ても何も思わないの? ……もう、ほ、褒め言葉はもういいから……」

三隈「提督、今回のもきちんと送っておきますから安心してくださいね」

鈴谷「多分青葉が新聞にすると思うけどねー。……そうだね、個人的に持っておくのも悪くないか」

熊野「少々悪い気も致しますけれど」

利根「提督よ、今日は凄いな! ところで、今日は何の日じゃ? ……おお、そうか!」

筑摩「姉さん、今日はクリスマスですよ。提督、嘘は教えないでください」

妙高「私も今日は飲んでいますよ。提督もお一つどうですか? ……うふふ、ではまた後で」

那智「なんだ、私も飲んでいるぞ。……ああ、朝まで飲み明かすつもりだ。提督も混ざって良いんだぞ?」

足柄「むしろ一緒に呑みなさいよー。皆で馬鹿騒ぎする方が楽しいでしょー」

羽黒「あんまり騒ぎすぎるのも……え、いいんですか? ……そうですね、無礼講でしたね」

高雄「朝までこうして飲み明かせる日は少ないですから」

愛宕「そうね~。私も今日は飲み過ぎちゃうかも♪」

摩耶「あん? ああ、こっちはいいよ。こう見えてもみんなしっかりしてるだろ」

鳥海「知ってるって? ふふ、そうですね。司令官さんは良く付き合っていらっしゃいますから」

球磨「クマー、球磨はここでのんびりしてるクマ~」

多摩「多摩も暖房の前でぬくぬくしてるにゃ~」

大井「北上さん、はい、どうぞ。どうせなら一緒に食べましょう。……なんですか提督、今日は北上さんのお世話で忙しいのだけど」

北上「大井っち、さっきから提督が他のこと話をしているのを見て……あ、ごめんって。ううん、なんでもないよー」

木曾「なんかこの姉達を見るといつも通りな日にしか感じないな。それもまた良いんだが」

長良「うん、とりあえず今は運動もお休み。でも司令官も後で一緒に走りませんか? ……そう? じゃあまた後でねっ」

五十鈴「何、私も? 別に良いけど……あんまり長い時間は止めてよね。今日はめでたい日なんでしょ」

名取「私は少しお片付けしておきますから。……すみません、多分今日はみんなテンションが高いからおつきあいできる自信が……」

由良「うん、無理ならそれでいいと思うよ。提督さんは……大丈夫ね。……え? ……それなら、はい、あ~ん♪ どう、やる気でた?」

鬼怒「もちろん走るよ! だから、今は栄養補給! ……ぶふっ、ちょ、ちょっと! いきなり驚かせないでよー!」

天龍「なんだなんだ、何か競争か? だったら、オレがいなきゃ始まらねえな」

龍田「あら~、天龍ちゃんがごめんなさいね~。……うふふ、今日は無礼講ですから、天龍ちゃんのことならお好きにどうぞ~」

川内「夜戦に行くの!? 私も混ざるからね!」

那珂「舞台があれば那珂ちゃんが歌えるのにー……え? 夜戦? 違うよね提督。……どうして顔を背けたのー!」

神通「えっと、私は後ろから眺めてますね。何も起こさないか見張りも兼ねて、ですけど」

阿賀野「あー、阿賀野達もお話に混ぜてー! ……え? あ、い、行かないから! 運動やだー!」

能代「もう、阿賀野姉ったら。すみません。……ええ、それでしたら、また後で話してください。きっと阿賀野姉も喜ぶから」

矢矧「今日はクリスマス、ね。……ええ、もちろん嫌いじゃないわ。……ふふ、少し飲んじゃってるから、ね」

酒匂「ぴゃー! 酒匂だけシャンメリーなんだよ! ……うん、美味しいよ!」

阿武隈「提督? はい、私は……あ、そうなんですか? うん……それならあたしも後でお邪魔しますね」

子日「今日は何の日♪ ……もう、それは分かってるよー!」

若葉「ふむ、クリスマスか。……もちろん、きちんと準備は終えてある。……なに、楽しみにしていたか? ……それなりに……いや、確かに楽しみにしていた、な」

初霜「皆が楽しんでいると、自然と私も楽しくなってきちゃう。……はい、もちろん私自身も楽しんでいますよ」

初春「なに、今日は料理も美味しく、悪い日ではあるまい。……貴様も、どうじゃ? このろーすとれっぐ?とやらを」

夕雲「あら、こっちにもいいものがあるわよ。……冗談です。提督、まだ回ってる最中ですよね。こちらにもどうぞ」

巻雲「こ、この料理取りにくい……司令官様? あ、ありがとうございます!」

風雲「今日は無礼講でしょ? ……そこで止めないのもどうかと……あっ、そうなの。ううん、ありがと提督」

長波「ん? ああ、まあそれなりにな。……おや、いいのか? なら、少し貰おうかな」

高波「だ、大丈夫かも、です。……無礼講、難しいけど頑張るかも……」

朝霜「あん? ああ、スッゲー量だよな。よくこんな飯作れるって感心するぞ。そんなにめでたい日だったのか?」

早霜「私も……大丈夫、自重はするから……。……そう、ありがと」

清霜「ここにある料理を全部食べたら戦艦になれるかな? ……お腹だけって、でりかしーがないわよ!」

白露「今日がいっちばんみんなで騒げる日! 提督も、ほら!」

時雨「……うん、良い日だね。……そっか。でも、雪も嫌いじゃないよ」

村雨「提督、お一口どう? うふふ、遠慮しなくていいのに。……一つのコップで飲みあうって悪くないと思わない? なんてね」

夕立「今日は素敵なパーティの日っぽい! 提督も一緒にパーティするっぽい! 後で? はーい」

春雨「えっと、はい、私も料理を手伝ったんですよ。春雨特製の麻婆春雨、一口で良いので味わってみてください」

五月雨「え? ど、ドジなんてしてませんから! こ、コップは……ちょっと、手が滑っただけですから……」

涼風「まあ割れて無くてよかったよ。提督、これは……え、いいのか。……そうか、寧ろ満足したのか」

海風「提督? ええ、みんなこんなにも楽しそうにしてる。……はい、海風もちゃんと楽しんでいますから」

江風「ケーキうめえな。これだけで今日がパーティで良かったって思えるな!」

朝潮「えっと、足りないものが……司令官、すみません、これの替えは……えっ、やっておく、ですか? そんな……はい……わかりました、ありがとうございます」

大潮「クリスマス、いいですね! 司令官! 今日は思いっきりはしゃいでいいんですよね! はい!」

満潮「はぁ、そんなはしゃいじゃって……なに、いいじゃない。……うっ、ケーキは……食べるけど」

霰「ん……ケーキ美味しい……司令官も、いる? あーん……」

朝雲「料理も美味しいし、ケーキも食べられるし、最高の日ね」

山雲「司令さんも~そう思いますか~? うふふ~、山雲達と気が合いますね~」

荒潮「こうしてみんなでパーティ。うふふ、いいんじゃないかしら。私はこういうの大好きよ~」

陽炎「準備の時は疑心的だったけど、今は同感だわ」

不知火「……なんですか。……わざわざ言質、とらなくていいでしょう」

黒潮「不知火は恥ずかしがり屋やからなー。……あっ、ちょ、ごめんて!」

初風「クリスマス……ケーキ……雪風、食べる?」

雪風「はい! 雪風、ケーキ大好きですから!」

天津風「……ああ、あれ? まあ、何となく素直にケーキ食べたいって言えないだけじゃない?」

時津風「雪風でワンクッションおいてる所がおくゆかしいよねー」

磯風「む、初風はケーキが食べたいのか。ならばさっそく厨房でケーキを作ってこよう」

浜風「そ、それは止めて下さい! 流血騒ぎは困りますから!」

谷風「そ、そうでいべらぼうめ! 職人の仕事を奪っちゃうのは駄目だからねー!」

野分「少し口調がぶれてるな。仕方がない事ではあるが」

浦風「実際何が起こるかわからんけぇね。提督さんも、発破をかけるようなことはいわんでくれよ?」

嵐「そういう言い方を司令にすると、逆効果になるってよく聞くんだけどな」

萩風「流石にあの料理を知っていればやめますよね? ……ほっ、よかった」

舞風「あー、提督。ちょっとでいいから踊ろっ。今とても気分が良いの!」

秋雲「じゃあ、それをみて絵をかくとしようかな。大丈夫、こっちもすぐに終わるから」

綾波「……あ、もう大丈夫ですか? 少しお疲れでしょう、紅茶を用意しておきましたから」

敷波「たしか少し味がついていた方が好きだったわよね。はい、これ。……たまたま持ってただけだから」

朧「いい季節ですよね。はい、私も楽しんでいますよ。曙や漣の方が楽しんでいると思いますけどね」

曙「なっ、そ、そんなわけないじゃない! ……う、そんなわけない、事も無い事も無いけど……」

漣「ぼのちゃんは素直じゃないんだから~。このこの~」

潮「あの、そのくらいにしておいた方が……あっ……えっと、放っておいても良いん、ですか」

島風「追いかけっこ? 私も混ざるー!」

秋月「……はい? 私の料理ですか? いえ、今回は休んでてくださいと言われたので……えっと、何か問題でも?」

照月「……うん、秋月姉の料理じゃ見劣りするのは事実だからねー。しょうがないよ、うん」

吹雪「司令官、クリスマスですね。そういえばプレゼントは……あっ、触れちゃいけない、ですか。はい」

白雪「どうして触れちゃいけないんですか? あ、そうですね、夜には……」

初雪「サンタ……。私にはいいかなー……」

深雪「なんだかんだで靴下用意してるんだよな。ところでなんで靴下なんだ? ……へー」

叢雲「毎夜毎夜大変ね。……ま、一応期待はしておくわ」

磯波「素直じゃないのは一人じゃない……ううん、なんでもない」

暁「レディーはクリスマスくらいじゃうかれないんだから! ところで、さっき何の話を……えっ、聞かなかったことに? う、うん、わかったわ」

響「こういう夜は度の強いお酒で少しずつ寄っていくのも良いものだよ。それと、暁じゃないから夜期待しておく、とだけ言っておくね」

雷「皆素直じゃないんだから。司令官、大丈夫? 心配なら私が手伝っても良いんだからね!」

電「今日くらいは、素直になっても良いのです。聖夜、なのですから」

睦月「司令官、皆でお菓子作ったんだにゃー。食べてくれる? ……えへへ♪」

如月「あっ、睦月だけずるい。司令官、もちろん私にもしてくれますよね? ……うふふ、ありがとうございます♪」

長月「はあ、あんまり困らせるなよ。……う、も、もちろん、してくれるというのならやぶさかではない……」

望月「目の前で姉たちがどんどん手籠めにされている現実……うああ、やめてくれ~」

皐月「ボクもいいかな? へへ、うん、なんだかんだでみんなもしてもらいたいって思ってるよ」

菊月「そんなもの私は……うっ、いや、そういうわけではないが……好きにしろ」

卯月「うーちゃんも! ……ぷっぷくぷぅ~、うーちゃん今日は悪戯ウサギじゃ無いぴょん!」

三日月「……はい、本当ですからしてあげてください。……あっ、はい……ありがとうございます」

文月「ありがと~。……ふわぁ、なんだか司令官って、安心するね~」

弥生「……いえ、最後にされたからって、怒ってません。……怒ってませんから」

168「今日? クリスマスイベントとかもあるから大変よー。……もちろん、このパーティも楽しんでるわよ? 本当よ」

58「今日はお休みでち! 明日まで休みだから、今日はオールするでち! 体力? 全然大丈夫でち!」

19「ゴーヤがちょっとテンションハイなのね。……そう? 止めなくて良いのね」

呂500「でっちが飲むならろーちゃんも付き合うから!」

まるゆ「はう……お酒が強すぎました……」

8「ん? ああ、間違えて飲んだらしくて。まるゆらしいと思うって? うん、まあ同感かな」

401「外は寒いけど、ここは暖かいですね。お酒? あはは、そうかもしれませんね」


あきつ丸「クリスマスとはいえ、このように人が集まるのは初めてでありますね」

大淀「任務でも大勢集める事はありませんからね。集会、といったこともありませんし」

香取「自由参加で集まるのは凄い事ですね。演習の時もこれくらいの熱気があればいいんですけど」

鹿島「今日は素直に楽しみましょう。それとも、もう少し酔ってますか?」

夕張「あっ、酔い覚ましなら作っておきましたよ。今はいいですけど、多分朝がきついでしょうから」

明石「あ、うーん、提督が欲しいなら普通に売店に来てほしい所かな。一応妖精さんが調整した物だから」

長門「なんだ、ある程度まわってきたのか。いやなに、こう行事も嫌いじゃない。それになんだ、ケーキも……美味しいからな」

陸奥「ふふっ、でも本当にケーキは美味しいと思うわ」

ビスマルク「こんな大量のケーキを用意するなんて、間宮は本当に侮れないわね。あむ……お、美味しい……」

プリンツ「姉さま、少しこぼしてますよ。……提督もいりますか? あーん? は、はい、どうぞ……あーん……」

グラーフ「ここに来てからは驚かされることが多い。……もちろん、大いに褒めているからな」

マックス「同意いたします。私に関しては最初に驚いたのは提督ですけど。……自覚が無い? そう……」

レーベ「それより、これ美味しいよ! 一緒に食べよ!」

リベッチオ「リベもいただくね! ……うん、本当!」

リットリオ「こうして同じ部屋で一つのパーティを祝うことになるなんて……はい、もちろんいい意味で楽しめていますよ」

ローマ「……私に関しては気にして貰わなくても。……いえ、そういうわけでは……ちょっと止めるのに疲れているだけですので……」

伊勢「……ローマさんですか? いえ、誰を止めたのか、はあまり聞かない方が賢明かと」

日向「そうだな。それより瑞雲に付いて話さないか? ……何、また今度? そうか、それなら今度にしようか」

蒼龍「……まあ、皆そろそろ酔って来てるからね。飛龍を見てみればわかるけど……」

飛龍「あははっ! 大和型も一航戦も凄い量食べてる! ……沸点? いや、何か面白いでしょ?」

瑞鶴「本当よく食べれるわね。資材とか大丈夫? ……大丈夫ならいいんだけど」

葛城「瑞鶴先輩はどうなんですか? え、なんですか提督? ……なるほど、美食家なんですね!」

翔鶴「また瑞鶴をあとで困らせる様なこといって……やりすぎには気を付けて下さいね?」

天城「フォローにも限界がありますからね。……限界を見極めてるって……信用してますからね?」

雲龍「あむあむ……はい、何ですか? ……はい、こうしているだけでも色々と面白い事が有りますから、飽きませんよ」

扶桑「あれ、これアルコール入ってないわ……はい、シャンメリーですか? なるほど……」

山城「よかった、クリスマスも不幸が起こるなんてなかったのね……え、もうシャンパンは無い?不幸だわ……」

武蔵「ふっ、たまには戦闘の事を忘れて行事に集中するのも悪くは無い。……提督もそう思うか。いい心がけだ」

大和「はい、今年のクリスマスですか? ……もちろん、みんな楽しんでいるようでいいですよ。提督もそう思いますよね」

―執務室―

提督「超疲れた」

提督「時折断りづらい差し入れとかも入って来たな……」

下2

(今回のに抜けがあったら追加します。ちなみにこんな感じの書き方はもうしないと思います…)

―香取型の部屋―

提督「へい! カモンカモン!」

鹿島「はい?」

提督「恥ずかしがらないでハニー! この胸に飛び込んで来い!」

鹿島「は、ハニー?」

提督「どうしたんだい、甘えても……いいんだよ」

鹿島(な、なにか提督の身に大変なことが起こっているのでしょうか)

提督「……悪かったから、可哀想な人を見る目で見ないで」

鹿島「え? あ、すみません」

提督「何がしたかったかというとな、鹿島に甘えてほしかったんだ」

鹿島「……すみません、ちょっと私の理解におえなくて……」

提督「奇行をしたのは謝るから、素直に言葉を受け取ってください」

鹿島「甘える、でしたか? 理由を伺ってもいいですか?」

提督「んー、今まで香取一人だったから、鹿島が来て出来ることが増えたわけだ」

鹿島「そうですね、香取姉もそう言ってました」

提督「それでなんだ、鹿島には来てもらって早々、負担がかかる作業をさせてもらっている。だから必要以上に疲れがたまってないかと思ってな」

鹿島「提督さん……」

提督(よし、完璧にカンペを真似ることが出来た。言い訳としては満点だろう)

鹿島「……そういうことでしたら、お断りするのもよくないですね。すこしだけ、胸をお貸し頂いても良いですか」

提督「こちらから誘ったんだ。当然いいに決まっている」

鹿島「では、失礼します」トン

提督(この抱きしめるのではなく、胸に手を置いて体を預ける体制……なかなかいいな! 奥ゆかしさを感じる!)

鹿島(暖かい……なんだか、落ち着きます)

~~~~~~~~

鹿島「……ありがとうございました」

提督「なんだ、これだけでいいのか?」

鹿島「うふふ、十分甘えさせていただきました。それに、私の事を気にかけてくれるのは嬉しいですけど、提督さん自身も気にかけてください」

提督「俺か? うーん、俺自身それなりに適当だからな」

鹿島「あら、クリスマスまでの数日間、実によく頑張っていたと聞きましたが?」

提督「あれは目的もあったからなー」

鹿島「……もし提督がよろしければ、提督も私に甘えてみますか?」

提督「それは願ってもなかったことだ。そうだな……じゃあ膝を借りても良いか」

鹿島「膝ですか……はい、どうぞ」

提督「悪いな。……」

鹿島「……」ナデ

提督「あ……」

鹿島「あっ、すみません! 嫌でしたか?」

提督「違う、むしろ続けてくれ。なんかすごい安心したんだ」

鹿島「そう、ですか。では……」ナデナデ

―執務室―

提督「なんか色々と魔性を感じた……」

提督「鹿島って普通に優しいから、ついつい必要以上に甘えたくなってしまう」

下2

―古鷹型の部屋―

提督「加古ー」

加古「くー……すぴー……」

提督「……みかんいるかー?」

加古「んん……みかん……?」

提督「そうだ、みかんだ」

加古「どこにあるんだ?」

提督「倉庫」

加古「……どこにあるんだ?」

提督「倉庫だってば。あの窓の多い部屋」

加古「とってきて」

提督「嫌だ」

加古「あたしも嫌」

提督「……しかし、こうしているだけだとみかんなんて食べられないぞ」

加古「そりゃそうだ」

提督「ならば、じゃんけんをしよう」

加古「……だね。最初はグー」

提督「じゃんけんポン。……」

加古「じゃ、行ってきて」

提督「……ヤダー! 外寒いー! 行きたくないー!」

加古「わがままばっかりいうなよ」

提督「一人じゃ行きたくないー! 寂しくて死んじゃうー!」

加古「早くみかん取ってこいって!」

提督「ヤダー!」

古鷹「騒がしいですよ! 喧嘩をするなら二人で行って下さい!!」

加古「はい」
提督「はい」

―倉庫―

提督「さっきまでこたつだったから、すっごい寒く感じる」

加古「わかる。そもそも、どうして倉庫なんかにおいたんだよぉー」

提督「誰でも好きに持っていけるようにって置いておいたんだ。あと保存に丁度良かった」

加古「だから窓開けっ放しなのか……うっ、寒っ」

提督「とりあえず一箱でいいな」

加古「三箱あるんだし、全部持っていこーぜー」

提督「どんだけ食べる気だ……もっちーとかが欲しがるから、せめて一箱置いておかなきゃ」

加古「それもそうか」

提督「でも、ダンボールのみかんは仕分けが大変だよな……」

加古「それは古鷹に任せればだいじょーぶ」

提督「それもそうだな」

古鷹(目の前でそんな話をしなくても、二人共ちゃんと動いてくれたからそれくらいするつもりなのに)

―執務室―

提督「二箱も食べれるのだろうか……いや、食べてたら気付くと無くなっているのがみかんではあるけども」

提督「そこは古鷹がいろいろしてるのかな。無理なら止めるだろうし」

下2

―庭―

提督「餅をつくぞ」

天城「は、はあ、お呼び出しから突然ですね」

提督「今日は練習だが、本番で上手に作れたら装備を新調してやろう」

雲龍「やりましょう」

天城「即答ですか!」

葛城「って、ちょっと待って、せめて理由を聞かせて」

提督「理由? まあ正月の餅を確保したいからだけど」

天城「あの、どうして天城達なんですか?」

提督「くじ……ゴホンゴホン! 上手に出来そうだと思ったからだ」

天城「くじって聞こえましたけど……」

雲龍「くじでもなんでも関係無いです。報酬さえもらえれば別に」

天城(もう装備しか見て無いですね……)

提督「さて、最初に言っておくが、餅つきが上手い人には二通りがある」

葛城「二通り?」

提督「間宮のように純粋に技能が高い人、そして伊良湖のように周りと息を同調させられる人だ」

天城「それは一理ありますね」

雲龍「私達にもあの二人のようになれって事ですか?」

提督「いや、あれはプロの域だからマネしようにも無理があるだろう」

雲龍「確かにそうですけど……」

提督「ここには四人居る。だから、小学生のころから餅つきをしてきた俺は、一番下手な人と組もうと思う」

天城「下手、ですか」

葛城「言い方は悪いけど、一番安心できるわね」

提督「じゃあ、俺が返しをするから、それぞれ数回もちをついてくれ」

雲龍「はい、では私から……」ゴン

提督「あ、待て待て。それじゃあ強すぎる。もうちょっと弱くだな」

雲龍「こうですか?」ゴス

提督「それでも強い。ちょっと手を取るな……このくらいの強さだ」ペッタン

雲龍「なるほど……」

葛城「なんだかイチャイチャしているように見える……」

天城「お二人ともそんな気は微塵も無いんでしょうけどね」

~~~~~~~~~

提督「とびぬけて下手くそなのは葛城だな」

葛城「私!?」

雲龍「妥当ですね」

天城「天城から見ても力加減もペースがバラバラでしたからね……」

提督「雲龍はまだうまくなりそうだ。天城は最初に言った後者の感じがするな。一番心配なさそうだ」

天城「ありがとうございます」

雲龍「本番じゃ負けないから」

天城(姉様、結構本気で装備が欲しいみたいですね……)

提督「そんなわけで、パートナーは葛城だ」

葛城「うぅ……」

提督「……大丈夫だ葛城、今は下手でも、じきにうまくなる」

葛城「そう……?」

提督「ああ、そうして一人前の餅つき職人になるんだ」

葛城「……ええ、わかったわ。私頑張るから!」

雲龍「我が妹ながらチョロイ」

天城「餅つき職人って何でしょうか」

―執務室―

提督「まさか三回も手をぶつけることになるとは……しょせんは俺も町内会レベルか」

提督「雲龍と天城は安定してたし、やっぱ姉妹同士の方が良さそうだ。本番は三人に任せよう……」

下2

―南西諸島海域―

暁「本当に連れてきてよかったの?」

雷「心配よね……」

電「電もあの司令官さんに押し切られたのは少し悔しいです……」

響「電は司令官には少しきついね。……なんだかんだで甘いけど」

提督「……そろそろか」

暁「司令官、何か言った?」

提督「いや、なんでも」

響「……まずは急ごう。このままじゃ時間に遅れるかもしれないからね」

雷「あら、大変じゃない。司令官、少しスピードを出すわね」

電「おいていかれないように気を付けるのです」

提督「おう」

響「(大人しいのが逆に不安をあおるね)」

電「(嵐の前の静けさってやつなのです)」

~~~~~~~~

雷「タンカーの準備完了したわよ」

暁「じゃあ、出発ね」

提督「……ラ~スツヴィタ~リヤブラニイグル~シ」

四人『!?』

提督「パ~プルイリ~トゥマ~ヌィナドリコ~イ」

電「な、なんなのです!?」

暁「何かの呪文なの!? それとも呪い!?」

雷「し、司令官、一体どうしたっていうの?」

提督「ヴィ~ハ~ヂ~ラナ~ベリェクカチュ~シャ」

提督・響「「ナ~ヴィソ~キベリェクナクルト~ィ」」

暁「響までおかしくなっちゃった!」

雷「ほ、本当に呪いなの!?」

電「……少し、くらっと来たのです……」

響「いや、その、もしかしてと思って合わせただけだからね」

暁「響が戻ってきたわ!」

雷「よかった、よかったわね!」

電「一体どういうことなのです?」

響「それが、司令官はロシア民謡を歌ってるみたいなんだ」

暁「なんで!?」

響「たしか、この曲は……」

提督「イ~バイツ~ナダ~リニェムパグラニ~チェ」

提督・響「「ア~トカチュ~シピェリダィプリヴェ~ト」」

電「しっかりするのです!」

響「はっ、ついついつられてしまって……」

雷「響、どういう曲なの?」

響「……恋人を思う女性の曲だよ。兵役に行っている彼へのね」

暁(?? どういうことかしら)
響(良く考えれば私達を思ってのことだろうね)
雷(恋人を思う……はっ、司令官にはもしかして恋人が……)
電(どうせまた反応を見て楽しんでいるのです)

―執務室―

提督「士気を上げる効果があるかと思ったけど、響以外には受けが悪かったみたいだ」

提督「有名になっただけあって、いい曲だと思うんだけどな。まあ暁とかわかってなかったみたいだししょうがないか」

下2

―食堂―

提督「すごいな、その材料の多さ」

間宮「そうですね。クリスマスと続いて大晦日、お正月になりますから」

提督「手、足りるか?」

間宮「予定通りに進めばなんとかなりそうです」

提督「なら大丈夫そうだな」

間宮「ふふ、信頼してくれてありがたく思います」

提督「うーん、しかし……それでも何か手伝おう」

間宮「あら、本当ですか?」

提督「ああ、年越すのに料理だけってわけじゃないだろう。手が回らないこととかないか?」

間宮「そうですね……では、食堂の掃除をお願いいたします」

提督「よしきた。どんとこい」

間宮「それが終わったら、模様替えに……材料の整理、一部食器も倉庫に戻しておいてもらえるとありがたいです」

提督「お、おう」

間宮「あ、そういえば足りないものもありましたね……その前に、大量のもち米をあそこに持って行ってもらえると……」

提督「……」

間宮「それに、あれとこれと……」

提督「待て、本当に多くないか」

間宮「す、すみません、ついつい頭の中に浮かんできたことをそのまま言ってしまいました」

提督「……それ、本気で年内に終わらせるのか?」

間宮「はい、そうですよ」

提督「あー……しょうがない、気持ちよく新年を迎える為に、ひと肌脱いでやろうではないか!」

間宮「提督……!」

提督「大船に乗った気でいろ! さーて、やるか!」

間宮(……嬉しいですけど、元からお手伝いは頼んでいたんですよね)

~~~~~~~~

提督「お、終わった……」

間宮「お疲れ様です。どうぞ、お茶です」

提督「ずず……この熱さが身に染みる……」

間宮「まさかあれだけの量が一日で終わるとは思いませんでした」

提督「俺の手にかかればこんなもんよ。さーて間宮、これでお前も年越しはゆっくり出来るな」

間宮「はい、提督のお蔭です。もちろん年越しそばなどがあるので、ずっとゆっくりとまではいきませんが」

提督「ん、そこまでは仕事を奪わんさ。知ってはいたが、これだけの仕事をしているなんて、大変だな」

間宮「いえ、仕事ですし、なにより楽しんでやっていますから」

提督「本当にいい人だよ間宮は。また手が必要な時は呼んでくれ」

間宮「はい。あてにさせてもらいますね」

提督「……」

間宮「どうかしましたか?」

提督「いや、間宮相手の時はいつもふざけることができないなって思っただけ」

―執務室―

提督「伊良湖が手伝ってるけど、間宮はいつも忙しそうにしているからな……」

提督「うちの秘書官といい勝負だよ。日々の忙しさに関しては。性格には大きく差があるけど」

下2

―ゴミ捨て場―

大和「ええと、ここは?」

提督「ああ、ここは廃棄された装備品だとか、いらなくなった家具とかが置いてある、俗にいう粗大ごみと言われている物を置く場所だ」

大和「こんな場所あったんですね」

提督「景観の為、目立たない場所にしてるからな」

武蔵「提督よ、ここに連れてきた理由は何だ」

提督「掃除だ」

武蔵「なんだと?」

大和「掃除……ですか。これをなぜ?」

提督「間宮の手伝いをかさに、私の方も手伝えと秘書官に言われて、しぶしぶ引き受けたんだ」

武蔵「秘書官に言われての事であれば、元々は提督の仕事だったのだろう」

提督「それもそうなんだけどな」

大和「これをどのように片付ければいいんですか?」

提督「なんでも業者が持って行くため、分別しろと言っていたが……面倒だろう」

武蔵「面倒だな」

大和「武蔵っ」

提督「いやいい、そう言ってくれた方が続けやすい」

武蔵「ほう、その口ぶりでは、何かいい方法があるのだな」

提督「ああ、その名も焼却大作戦だ!」

大和「名前からしてしてはいけない方法のような気がするのですが!」

武蔵「なるほど、なかなかどうして心が躍らされる作戦名ではないか」

大和「武蔵しっかりして!」

提督「心配するな大和」

大和「じょ、冗談なんですよね?」

提督「妖精さんに頼んで塵も残らない強力なやつをつくってもらった」

大和「安心できる要素がゼロなんですけど!」

武蔵「しかし、それだけならばこの武蔵の手は要らなかったのではないか」

提督「いや、この火炎放射器、フルパワーで使うと人間の手に負えない熱気と反動が起こってな」

武蔵「なるほど。そこで出番という訳か」

大和「……」

武蔵「なにをしている大和、やるぞ」

大和「後で絶対怒られますよ……」

提督「秘書官の怒りが怖くて提督が務まるわけが無いだろう」

大和「霞ちゃんの心労、お察しします……」

~~~~~~~~

武蔵「アッハハハ!! 痛快だな!!」

提督「見ろ、ゴミがどんどん灰塵へと姿を変えていくぞ!」

大和「二人共テンション高いですね」

武蔵「相手が何であろうと、一掃する気持ちよさは変わらぬものだな!」

提督「掃除をすると心も洗われるって言うしなぁ!」

大和「いやそれ絶対違いますよ。しかもこれ掃除っていうんですか」

提督「綺麗にしているんだから掃除だろ?」

大和「綺麗になっているんでしょうか……なっているとは思いにくいんですが……」

武蔵「大和は心配性だな。この光景を見ろ。そんな気分も吹き飛ぶだろう」

大和「この光景を見て吹き飛ぶ人は元から心配なんてしないと思いますけどね」

提督「まあなに、俺が上手く説明しておいてやるから」

霞「へぇ、どう説明するって言うのかしらね」ゴゴゴ

提督「……秘書官、この光景を見て気分が」
霞「あんたも一緒に焼却されてきなさい!!」ドゴッ

武蔵「提督がゴミの方に吹っ飛んでいったな」

大和「冷静に見ていないで早くそれ止めないと!」

―執務室―

提督「ふう、妖精さん特製の防護服を着ていなければ一緒に塵へと変えられるところだった」

提督「ちなみに都合よく有害物質も出なかったし、塵も綺麗に片付けることが出来た。さすが妖精さん製といったところか……それで片づけて良いものか疑問ではあるが」

下2

神通「提督、那珂ちゃん知りませんか?」

提督「那珂ちゃん? 知ってるが、今は邪魔しない方が賢明だぞ」

神通「邪魔……?」

提督「今日は初紅白の日だからな」

神通「なるほど、紅白は大事ですからね。……え?」

提督「いろいろな問題でうちからの中継することになった。本人から聞いてないか?」

神通「そういえば姉さんが珍しく野戦と騒いでいなかったのは……」

提督「ならそういうことだな。まあ、みんなで陰ながら応援しておこうか」

神通「そうですね」

提督(しかし、不安がないわけでもないな。直接見にいってみるか)

―特設野外会場―

妖精さん「おや、どうしましたか」

提督「ああ、会場に不備はないから出てこなくていいぞ。テレビに見つからないようにしておけ」

妖精さん「らじゃー」

提督「さて、那珂ちゃんは……と」


那珂「ドキドキ」

比叡「大丈夫。生放送も録画と何も変わらないから!」

那珂「た、ただの生放送じゃないんだよ! 紅白なんだよ!」

比叡「那珂ちゃんは意外と本番に弱いなー」

提督「土壇場に強くなるところもあるけどな」

那珂「提督!」

提督「なんだ那珂ちゃん、先輩にアドバイスをもらっても不安か」

那珂「国民的歌番組だから、緊張もするよ!」

提督「うーん、確かにその気持ちもわかるけどな」

那珂「ううう」

比叡「しょうがないですよ司令、実際に緊張しますから」

提督「でもなぁ、正直前回のステージの日じゃないほど緊張してるし、ちょっと失敗しかねんぞこれは」

比叡「ですねぇ……」

那珂「……」

川内「なーに怯えてんの、那珂ちゃん」

神通「そうよ、とうとうこの舞台に立てるのでしょう。そんな面持ちじゃ駄目よ」

那珂「二人とも……」

「私も応援してます!」
「いつもの那珂ちゃんでいいぞー!」
「適当でだいじょーぶー……」

那珂「みんな……」

提督「頼れる先輩に大事な姉妹、応援してくれる仲間だっているんだ。もう大丈夫だろ」

那珂「……うん! 艦隊のアイドル那珂ちゃん、みんなのために歌ってきまーす!」ダッ

―執務室―

提督「テレビでキラキラと映る那珂ちゃんはとてもきれいだった」

提督「……というか本当に出たんだな……なんかすごい」

下2

―神社―

提督「初詣に来たぞ!」

天津風「人が多いわね……迷子にならないように気をつけなさいよ」

時津風「そうだよしれー」

提督「今のはお前に言ったんだと思うが」

天津風「あら、私はあなたにいったのよ?」

提督「えっ」

初風「妥当じゃない。さ、雪風。一緒に行きましょう」

雪風「今年も大吉出るかなー」

提督「いらない心配してるな……」

黒潮「むしろ大吉以外出たことあるんやろうか……」

~~~~~~~~

嵐「萩、おみくじどうだった」

萩風「うーん……あっ、末吉ね」

磯風「末吉? 私の小吉とどっちが高いんだ」

浦風「どうじゃったかいね。知っとる、提督さん?」

提督「そりゃ小吉だろ」

谷風「谷風さんの吉はどのくらいなんだい?」

野分「文字数的には吉の下みたいね」

舞風「あれ、吉って大吉の次によかったと思うけど」

秋雲「小吉の下じゃなくて?」

浜風「どういうことでしょうか……」

提督「神社によって違うんだよ。ちなみにここだと小の下だ」

嵐「へー、神社によって違うとかあるんだな」

不知火(初めて知ったわ……)

陽炎(不知火が少し驚いた顔してる)

~~~~~~~~

カランカラン パンパン

陽炎「来年もいい年になりますように」

提督「はぁ、つまんないことを祈るな。もっと欲望に忠実になれよ」

陽炎「司令は来年ちゃんと除夜の鐘をつくことをお勧めするわ」

黒潮「そうやな。世界平和とかどうやろ」

天津風「なかなか皮肉が効いてるわね」

時津風「じゃあ、家内安全とか」

初風「提督に効かなきゃ意味ないわね」

提督「なぜ俺限定」

磯風「もちろん必勝祈願だ。それ以外にないだろう」

雪風「雪風は神恩感謝にします!」

谷風「身体健全よぉ!」

野分「……でも、願い事は口にだすとかなわなくなるっていうわよ」

浦風「本当に叶えたいもんほど声にだせんことも多いし、そこは大丈夫じゃろ」

提督「それは言えてるな。つまり陽炎も心の奥底では……」

陽炎「そんなものないわよ!」

―執務室―

提督「初詣はゲン担ぎにもちょうどいいし、行かないって手はないな」

提督「うちにも絶対行った方がいいやつ何人かいるし……」

下2

―陽炎型の部屋一号室―

陽炎「もちは何個?」

不知火「二つで」

霞「私も」

霰「三つ……」

提督「……臭いにつられて来たら、珍しい面子が。あっ、俺は四つで」

霞「別に珍しくは無いわよ。……ちょっと、狭いんだからこたつに無理矢理入って来ないで」

提督「まあまあ。そういえば一八駆逐隊だったか」

霰「んちゃ」

陽炎「それより、司令は普通に混ざって来たわね。何食べてるのか分かってるの?」

提督「臭い的にお雑煮かと」

陽炎「……正解」

霰「お雑煮、早く……」

陽炎「ああ、はい。どうぞ」

霰「……美味しい」

霞「クズ司令官がいるのに普通に食べるのね」

不知火「司令がいようと、あんまり興味無いですし」

提督「ん? これは認められたということか、それとも眼中にないのか」

陽炎「後者じゃないの。はい、司令」

提督「さーんきゅっ」

陽炎「霞、これ海に投げ捨てておいて」

霞「分かったわ」

提督「じょ、冗談だって。そんな怖い顔するな、な?」

陽炎「もう、あたしの真似は前にしないでって言ったでしょ」

提督「そういえばそうだったな」

陽炎「で、この二つは不知火と霞のね」

霞「悪いわね」

不知火「……今年のもよくできています」

提督「そういえば、これ誰が作ったんだ? 陽炎?」

陽炎「妹達と作ったの。料理作るのが上手い子とだから、味は間宮さんにも負けてないと思うわ」

提督「へぇ、こういう料理は鳳翔さんの十八番だけど、お前たちが作ったのもかなり美味しいぞ」

陽炎「そう言ってくれるとみんな喜ぶわ」

霰「……私達も作る?」

霞「私はそんなに料理上手じゃないし遠慮しておくわ」

不知火「私の本分は戦闘よ」

霰「そう……」

提督「お世辞でもいつでもお嫁さんになれる、とか言えない返答だな」

霞「は?」ギロッ

不知火「何か問題でも?」ギロッ

提督「い、いえ、なんでもありません……」

霰「(司令官、弱い……)」

陽炎「(司令が悪いんだけど、あれは私でも怖いわね)」

―執務室―

提督「部屋が氷点下になりそうなくらいの冷たい瞳だった……」

提督「まあ、美味しいお雑煮作るのは難しいから、無理そうなら作らないのも手だけど」

下2

―金剛型の部屋―

提督「だて巻き食べようか!」

金剛「ダテマキ?」

霧島「はあ、お正月にもふさわしいので、いいのではないでしょうか」

提督「だろう。ほら、鳳翔のところで買ってきたんだぞ」

榛名「あっ、おいしそうですね!」

比叡「料理なら私が作りましたよ?」

提督「早い者勝ちで好きにとっていいからな」

比叡「無視ですか!」

霧島「比叡お姉さまは……まあ、あれですから」

比叡「あれ!?」

金剛「提督、食べさせてくれませんカー?」

提督「パクパク。……あー、おいしい」

金剛「……提督は照れ屋さんですネー」

霧島「金剛お姉さまは前向きですね」

榛名「では、榛名は食べさせてあげます」

提督「遠慮しておく。というより、榛名は遠慮せず食べろ。ほら」スッ

榛名「えっ、あ……あーん」

金剛「榛名ずるいデース!」

比叡「では、私が姉さまに食べさせてあげます!」

金剛「それはいいデース」

比叡「ひえぇ……」

提督「もぐもぐ……うーん、早い者勝ちとは言ったが足りなくなりそうだな」

霧島「そうですね。私が追加で貰っておきましょうか?」

提督「そうだな、頼めるか?」

霧島「はい」

比叡「あ、では私が……」

提督「比叡は座ってていいぞ」

比叡「買ってくると言おうかと思ってただけでしたのに……」

榛名「……榛名が作りましょうか?」

提督「あれ、作れるのか?」

榛名「はい、鳳翔さんほど上手に作れる自信はありませんけど」

金剛「なっ、点数稼ぎですネー!」

榛名「そ、そんなつもりは……」

金剛「目をそらすなデース!」

提督「……霧島、一応買っておいてくれ。このパターンは失敗しそうだ」

霧島「はい」

―執務室―

提督「予想通り失敗したのが出てきた」

提督「気が付けば比叡も混ざっていたし、当然といえば当然だった」

下2

―庭―

提督「羽つきしよーぜ」

天龍「提督なんかに負けないからな」

提督「じゃあ、もし落としたら墨で落書きな」

天龍「いいぞ、顔を真っ黒にしてやる」

龍田「あら、罰ゲームありですか~」

提督「……」

天龍「……遊びに罰ゲームはいらないんじゃないか」

提督「奇遇だな、俺もそう思っていたところだ」

龍田「まだ何も言ってないんですけどね~」

天龍(顔を真っ黒にされる未来しか見えなかった)

提督(一言にすごい重圧を感じたんだよなぁ)

~~~~~~~~

提督「ダンクスマーッシュ!」カァン

天龍「だああ! 地面に向けて撃つんじゃねーよ!」

提督「天龍がかなり高い位置で返してくるからだろ」

天龍「う……それを言われるとそうだけどよ。そもそも動きづらいのがいけないんだよ!」

提督「そういえばなんで着物を着ているんだ。いや、季節的にはおかしくないけど」

天龍「なんだよ、文句あるか」

提督「……龍田か」

龍田「うふふ、似合ってるでしょ~」

提督「似合ってるな」

天龍「なっ……!」

龍田「天竜ちゃんは照れ屋さんね~」

天龍「照れてねえから!」

提督「じゃあ、龍田もやってみるか」

龍田「あら、手加減はしませんよ~」

提督「望むところだ」

~~~~~~~~

提督「……」

天龍「ぼっこぼこだな」

龍田「思ったより弱いですね~」

提督「天竜との勝負で少し感覚がくるってしまったようだな」

天龍「言い訳か!」

提督「しかし、このままではボロ負けしてしまう」

龍田「では、次行きますね~」

提督「……龍田」

龍田「はい?」ポン

提督「その着物を着た姿、女神のように美しいぞ」

龍田「――」ブンッ

天龍「おお、精神攻撃ってやつだな!」

提督「これで一点。ドSは受け手にまわると弱いという情報は本当だったんだな!」

龍田「……次で、生きていればいいですけどね~」

提督「あ……」

天龍「ちょ、ちょっと帯がずれたみたいだから直してくるな!」

提督「待て、逃げるなて――」

―執務室―

提督「顔狙ってきやがった……しかも一発で板が壊れるとは……」

提督「龍田を茶化す時は気をつけよう」

下2

―熊野大宮神社―

提督「ほう、ここが熊野大宮神社か」

熊野「まさか三山に位置する神社まで来るとは思いませんでしたわ」

提督「そりゃわざわざ遠出するんだから、和歌山まで来るのは当然よ」

熊野「行動力だけはすごいですわね」

提督「そう褒めるな」

熊野「……その返し、何回目ですの?」

提督「数えきれないくらいだな。さて、ここまで来た感想はどうだ」

熊野「感想、ですか。……思ったより規模が大きいですわ」

提督「だろ。まあ、まずはこの石段を登るところから始めるぞ」

熊野「これを……何段ありますの?」

提督「知らん。まあ、山登るよりましだ。ほら行くぞ」

熊野「分かりましたわ……」

―神殿内―

提督「――で、ここが家津美御子大神……つまりスサノオだな。五つある殿だが、まずはここから参拝だ」

熊野「詳しいですわね」

提督「事前準備はばっちりだ。何事も情報が大切だからな」

熊野「最もですわね。言う場面がもう少しよければ素直に讃頌いたしましたけど」

提督「あ、参拝にもルールがあるぞ」

熊野「そうなんですの?」

提督「二礼二拍手一礼。まず階段で一礼、殿の前で一礼、二回拍手して一礼するんだ」

熊野「……本当に無駄に詳しいですわね」

提督「ふふん、情報(ry」

熊野「……そういえば、ここには四つしか見えないのですけど」

提督「そこの隣だ。八百万の神だからなのか固有名はないが」

熊野「何の神様ですの?」

提督「縁結びだ」

熊野「……はい?」

提督「だから縁結び。ちゃんと全部参拝するからな」

熊野(……はぁ、これは気にしてないみたいですわね。いつものことといえば、そうなのですけど)

―大斎原―

熊野「大きいですわ……」

提督「さすが日本一と呼ばれるだけあるな」

熊野「周りが農地というのもあって、圧巻の一言ですわ」

提督「明治の途中まではここが神社だったし、当然と言えば当然なのかもしれないがな」

熊野「そうだったんですの?」

提督「ああ。今でもここには祀られている神様がいる。ちゃんと参拝して帰ろう」

熊野「そうですわね」

提督「しかし、突然連れて来させて悪かったな」

熊野「本当ですわ。しかも二人きりというのは……」

提督「鈴谷がの用事が空けられなくてな。熊野は連れてきたかったから、しょうがなかったんだ」

熊野「同じ名前だからですわよね」

提督「嫌だったか?」

熊野「……その返答には卑怯、と返させて頂きますわ」

―執務室―

提督「実際参拝するだけでも結構時間がかかったなー。さすが有名なだけはある」

提督「なんだかんだ熊野も満足したようだし、行って良かった」

下2

―二航戦の部屋―

提督「蒼龍、膝枕させてくれ」

蒼龍「一応聞いておくけど、理由は?」

提督「特にないけど」

蒼龍「はぁ……」

提督「最近溜息を吐かれることが多くなった気がする」

蒼龍「呆れられてるからでは?」

提督「うっ、そう正直に言われると、何とも言い難い感情になるな」

蒼龍「……どうぞ」

提督「ん?」

蒼龍「膝枕するんですよね。提督はあきらめが悪いから」

提督「おお、優しいな蒼龍!」

蒼龍「はいはい」

提督「では失礼して……」ゴソゴソ

蒼龍「……あれ、向きおかしくありませんか?」

提督「おかしくないおかしくない」

蒼龍「でも、これだと間に挟むようになりますけど……」

提督「大丈夫だ、俺は気にしない」

蒼龍「私が気にするんですよ……」

提督「だがほら、この状態にも良い所はあるだろ」

蒼龍「そうですか?」

提督「えーと、顔が見え……ないな」

蒼龍「ちょ、それはセクハラですよ!」

提督「すまん、目に入ってしまうもんで」

蒼龍「もう、こうしていうのも恥ずかしいのに……」

提督「……しかしなんだ、何だか眠たくなってくるな」

蒼龍「……寝ても良いんですよ」

提督「おや、それは本当か。じゃあ、お言葉に甘えようか……」

蒼龍「……」

提督「……グー」

蒼龍「……提督は呑気なんだから、もう」

提督「zzz」

蒼龍「こうして提督に膝を貸していると、なんだろ……なんだか不思議な感情が湧いちゃう」

提督「zzz」

蒼龍「多分、そう……これが小さな子供を持つ母親の心境、みたいな気がする」

飛龍「なんじゃそりゃ! ちょっと期待しちゃったじゃん!」

蒼龍「え、なにが?」

―執務室―

提督「あー、蒼龍の膝枕は気持ち良かった。またやってもらいたいものだ」

提督「それに、なんだかああしていると少しの間だけ小さい頃に戻ったみたいに感じる。さすが、空母というべきか」

下2

~回想~

提督「お、福袋とかあるぞ」

扶桑「あら、本当ですね」

山城「でもここの福袋でしょ? ……心配ね」

明石「失礼ですね。売れ残りを詰めたと言っても、値段分は入れましたよ」

提督「だって」

山城「価値が値段と=するとは限らないのだけど……」

扶桑「でも、どうせなら買ってみましょうか」

山城「姉さまがそう言うのならば、ぜひ買いましょう!」

提督「山城の素直さは今年も健在だな。ゴミばかりで不幸って思うのも可哀そうだから、福袋はだそう」

明石「すっごく余計なひと言が入りましたけど、まいどありー」

扶桑「ありがとうございます、提督。山城、何が入っているのか楽しみね」

山城「はい!」

提督(明石の店の売れ残りって、絶対ろくなものが入っていないと思うんだが……いや、おそらくわかってて言っているのかも)

―扶桑型の部屋―

扶桑「――から数日経ちましたけど、開封してみましょうか」

提督「まだ開けてなかったのか」

山城「本当に危ないものが入っていたら、先に回収騒ぎがあると思ってですよね」

提督(やっぱ分かってて買ってたのか)

扶桑「では開封……の前に、お茶を用意してきますね」

提督「ん。じゃあ、俺はちょっとトイレ」

山城「……」

山城(ちょっと覗くくらい、いいわよね? ……)ゴソゴソ

山城「……えっ、何よこれ……こんなもの福袋に入れるのは、いくらなんでも……小さい子もいるのに……」

扶桑「お茶、持ってきました」

提督「ナイスタイミングだな。俺も戻って来たところ……あれ、なに持ってるんだ、山城」

山城「っ!? きゃああああああああ!!」ブンッ

提督「うおっ、あぶね」

扶桑「や、山城?」

山城「い、いえ、何でもありません。はい……」

提督「何でも無いって、開けてた窓から出ちゃったけど、いいのかあれ。……いや、そんな涙目で睨まれても……」

扶桑「山城が何があったかわからないけど、中を見ちゃいましょうか」

提督「お、おう」

扶桑「模型に……カーペット……資材……」

提督「なんだ、思ったより普通だな」

山城(運悪くあんなものを取ったのね……不幸だわ)

扶桑「ポスター、本にCD……が同じもの三枚。あとは……」

提督「本てこれ薄い本か。絵的に秋雲のっぽいな。CDは何も言わないでおこう」

山城(この薄い本、私に似ているような……)

扶桑「……」

提督「どうした、二人共固まって」

扶桑「いえ、その……結婚指輪が……」

提督「マジで。……ああ、それか。確かにずっと売れ残ってたな……」

扶桑「ど、どうしましょう」

提督「んー、二つあるし、二人がもらえばいいと思うぞ」

扶桑「それはもしかして……」

提督「二人で渡しあうとかな。ははは、まあ好きに使うといい」

扶桑「ですよね……」

山城「不幸だわ……」

提督「え、何が」

―執務室―

提督「思ったより普通だったが……もしかして俺が考え過ぎなだけだったか」

提督「いや、結婚指輪だとかが普通って思うのもおかしな話か。売れ残ってたから入ってるかもと予想はしてたけど」

下2

提督「はぁー、こたつはやっぱりいいもんだなぁ」

霞「……」

提督「どうした秘書官、呆れるような目をしているが」

霞「わざわざ机を片づけてまで炬燵を出すとは思わなかったからよ」

提督「妖精さんが一時間でやってくれたんだぜ」

霞「へー、それで」

提督「それで、とは?」

霞「クズ司令官がこたつなんて出して、真面目に仕事をするとは思えないのだけど」

提督「ふぅー……秘書官よ、あんまり俺を侮るなよ。考えが無い訳では無い」

霞「侮るなって、当然の反応だと思うのだけど。それで、考えって」

提督「なんと、こたつの上でも仕事は出来るのだ!」

霞「そんなの小学生でも知ってるわよ!」

提督「まあつまりだ、秘書官も共にどうだ?」

霞「……断っておくわ」

提督「やれやれ、意地になっても詮無きことだぞ?」

霞「その言い方腹立つわね。そう言うのには頼らないって決めてるの。暖房だって最小限でやっているのに」

提督「なるほどな。だが断言してやろう、貴様はこたつの魔翌力に引き寄せられる。絶対にだ」

霞「はいはい、言ってなさい。きちんと終わらせられれば、私も文句言わないわ」」

提督「えー、入んないの?」

霞「休憩するのは早いわよ」

提督「ふーん。……それもいつまでもつか」

霞「何か言った」

提督「いいえ、なにも」

~~~~~~~~

霞「……」モクモク

提督「……」パクパク

霞「……あんた、いつになったら仕事をするのよ」

提督「秘書官こそ、何こたつに入って仕事をしているんだ」

霞「別に、監視ついでにしているだけよ」

提督「俺が真面目にするかの? それはご苦労様だな」

霞「今日はわざわざ癇に障る言い方するわね……」

提督「そりゃあまあ、予想通りこたつに入ってきている秘書官がちょっと面白いわけで」

霞「あんまり挑発が過ぎるようなら、いまからこのインクを口に突っ込むわよ」

提督「やめてくださいしんでしまいます」

霞「ったく、それで、今日の分は……」

提督「ああそれ、それならもう終わったぞ」

霞「……まさか、さっきから余裕そうにニヤニヤしていたのは……」

提督「なんだかんだ言い訳しながらこたつに入ってくる様は最高に面白かったぜ~!」

霞「っ! こ、このクズ司令官!」

提督「どうした? 監視が目的ならもうこたつから出ても良いんだぞ?」

霞「あー腹立つわね! 後で覚えてなさいよ!」

~~~~~~~~

提督「今日は勝った。秘書官にしてからあんまり激しい感情を出さなくなったからな、なんとなく勝った気がする」

提督「……いや、出さなくなったわりにはよく撃たれたりしているような……いや、やめておこう」

下2

コンコン

羽黒「失礼します……あれ、司令官さんは?」

霞「クズ司令官なら部屋で寝てるわよ」

羽黒「お部屋に?」

霞「春眠暁を覚えず、だって。まあやる事はやってるから放っておいてるのだけど」

羽黒「まだ冬なのに……」

霞「しかも起きてそう言ってるんだから意味もあってないわ」

羽黒「司令官さんらしい……のかな」

霞「おまけで暁が来た時に忘れたふりしてたのが何ともアホらしかったわ」

羽黒「それで霞ちゃんはどうして執務室のこたつに?」

霞「……」フイッ

羽黒(目を逸らされました……)

―提督私室―

提督「zzz」

羽黒「司令官さん、朝ですよ」

提督「んー? まだ寝てる……」

羽黒「もう起床の時間ですよ?」

提督「まだ温かくないから起きたくない……」

羽黒「わがままばかり言っちゃダメです」

提督「後五分……」

羽黒「足柄姉さんもよく言いますけど、それで起きたことはないので駄目ですっ」

提督「我が眠りを覚ますと……世界が滅ぼされるぞ……」

羽黒「いったい何の真似ですか?」

提督「……春眠暁を覚えず」

羽黒(あ、本当に言った)

提督「いやマジ五分したら起きるから」

羽黒「……五分だけですよ?」

~五分後~

羽黒「五分経ちましたよ」

提督「嫌です」

羽黒「……司令官さん?」

提督「起きません」

羽黒(ど、どうしましょうか……)

提督「そうだなぁ、起きてほしければ……」

羽黒「起きてほしければ?」

提督「目覚めのあれをやってもらおうかな」

羽黒「あ、あれですか!?」

提督「ん? 出来ないのか?」

羽黒「……わかりました、司令官さんがそこまで言うのであれば、お披露目しましょう」

提督「……お披露目?」

羽黒「準備をしてくるので、少しだけ待っていてください!」タタッ

提督「え、いや、冗談だから……まずい、嫌な予感がする」

羽黒「準備してきました!」

提督「早い! って、おたまとフライパンって、もしかしてあの……!」

羽黒「司令官さん、起きてくださーーい!!」ガンガンガン

提督「ぬわーーーー!!」

―執務室―

提督「あぁ……いまだに耳鳴りがする……まさかあんな技を使って来るとは」

提督「五分後にはしっかり起きてたんだが、遊んだ罰が当たったということだろう」

下2

―母港―

提督「よし、飛ばすぞ!」

長良「はい、準備できてます!」

提督「いくぞー!」ダッ

長良「はいっ!」ダッ


名取「いいのかな……?」

五十鈴「駄目でしょ。……まあ、止めるべき人物が遊んでいるから何も言わないけど」

名取「止めるべき人物?」

五十鈴「提督だけど……え、まさか」

名取「ご、ごめんなさい、あまりにも自然だったから……」

五十鈴「その意見には同意するけどね……」

提督「よし、上手く飛んだな。そっちの方はどうだ?」

鬼怒「全然上手くいかない!」

阿武隈「どうしてなんでしょう……同じようにやってると思うんだけど」

提督「風に乗れてないとか、タイミングが適切じゃないとかあるから、ちょっと工夫してみたらどうだ?」

鬼怒「わかんない!」

提督「正直だな。由良、見ててどう思った?」

由良「うーん……二人の走る速さとかがあってないような気がする」

提督「あー、この二人だとありえる。なんか相性良さそうに見えないしな」

鬼怒「気が合うと思っていたんだけど、気のせいだったか……」

阿武隈「え、ええっ!」

由良「冗談はあんまりよくないよ、提督さん」

提督「うっす。ちょっと貸してみろ、飛ばしてやる」

鬼怒「……」
阿武隈「……」

提督「何二人とも見合ってんの」

鬼怒「確かに、これは合わないね」

阿武隈「ここまで息が合わないとね……」

由良「じゃあ間を取って、私と提督さんで上げない?」

提督「二人がこの様子ならそっちの方が良さそうだな」

鬼怒「えー」
阿武隈「えー」

提督「お前らこういうときだけ息が合うな」

五十鈴「こっちにかまけるのはいいけど、あっちの凧も落ちてるわよ」

長良「落としちゃいました! すみません、司令官!」

提督「維持の仕方教えてないし、しょうがない。もう一回上げなおすか」

名取「そんなに簡単に上げれる物なんですか?」

提督「ちょっとコツがあるが、分かれば簡単だぞ」

名取「じゃあ、その……私も上げてみたい、かな」

五十鈴「名取!?」

名取「見てたら……あの、やってみたくなって……」

五十鈴「はぁー……わかったわよ、私も最後まで付き合ってあげるわ」

由良「提督さん、どんどん仲間が増えていく、ね」

提督「凧上げもまだまだ捨てたもんじゃないな」

―執務室―

提督「なんだかんだ上げた後に落とす事例が多くて、何度も上げなおす羽目になってしまった……」

提督「風が少しあるベストな日だったし、揚げること自体はそんなに難しくなかったし、皆上げること自体に楽しんでたけど」

下2

―朝潮型の部屋―

朝潮「ふぅ……」

提督「どうした朝潮、なんだかお疲れの様子だな」

朝潮「あ、すみません、変なところを見せてしまいましたね……」

提督「疲れは誰にでもあるものだ。恥じることではない」

朝潮「はい……」

提督「うーん、こりゃ相当だな……よし朝潮、横になれ」

朝潮「横にですか?」

提督「マッサージをしてやろう」

朝潮「司令官にですか? そんな、上官に対してそんなことさせられませんっ」

提督「おいおい、その上官の前で新規臭い顔を見せる続けるつもりか?」

朝潮「それは……」

提督「遠慮は余計だ。ほれ、横になれ」

朝潮「は、はい」

提督「ちょっと服を緩めたほうがいいと思うぞ」

朝潮「わかりました」シュル

提督「よし、では、まず手始めに肩の方から」

朝潮「ん……」

提督「こんな小さな体なのに、結構こっているな」

朝潮「そうですか?」

提督「こりゃ確かに疲労がたまってそうだ。それ、徐々に下の方にいくぞ」

朝潮「はい……」

提督「背筋を通って、骨盤近く……」

朝潮「あ、あの、そこは……」

提督「大丈夫大丈夫、大事なところは触らん」

朝潮「ほ、本当ですか?」

提督「疑うか?」

朝潮「……いえ、大丈夫です。続けてください」

提督「よし」

朝潮(ぅん……ちょっともどかしい気も……なぜ?)

~~~~~~~~

提督「腕の方も適当にほぐしたし、大体できただろう。どんな感じだ?」

朝潮「なんだか、全体的に疲れが取れたような感じがします」

提督「うむ、それならよかった」

朝潮「ありがとうございます」

提督「あんまり無理すんなよ」

朝潮「はい、なるべくお世話にならないよう頑張ります!」

提督「その意気だ、と言いたいところだが、少しくらい甘えてくれてもいいんだからな」

朝潮「いいんですか?」

提督「ああ、いつもで言ってくれて構わない」

朝潮「でしたら……またマッサージをしてもらってもかまいませんか?」

提督「マッサージ? 今見たいのなら別に構わんが」

朝潮「はい! またよろしくお願いします!」

―執務室―

提督「マッサージ妙に人気ある気がするな……退役後はマッサージ屋とかいいかもな」

提督「いや、しかし……今回はなかったが誤解されることも多いし、やめておいた方が無難か」

下2

―庭―

提督「今日は珍しく日が照っているな」

五月雨「そうですね。今日は暖かいです」

提督「うーん、まるで春のような気候……これは日光浴するしかないな!」

五月雨「どうしてそうなるんですか!?」

提督「冬に日向ぼっこなんて稀だろ。なら、出来るときにしておくべきだ」

五月雨「出来なくても問題無いと思うんですけど?」

提督「やりたいからやるんだ」

五月雨「そういうことですか……」

提督「五月雨も一緒に光を浴びよう」

五月雨「えっ」

提督「いやほら、一人だと寂しいし?」

五月雨「提督がそう言うのであれば……」

提督「さて、いくら暖かいといってもきちんと防寒はしておいた方が良いだろう」

五月雨「太陽が隠れると寒くなりますしね」

提督「本格的に寝る訳では無いが……いちおうタオルケットくらいは持ってきておこう」

五月雨「はい」

提督「あとは……そうだ、ハンモックも使ってみるか」

五月雨「なんだか、本格的に寝る準備みたいですね」

提督「している内に寝ちゃうかもしれないしな。事前準備は大切だ」

五月雨「そうですね……私もしっかりと準備しないといけませんね!」

提督「ははは、やめとけ」

五月雨「どうしてですか?」

提督「ドジッ娘して何か忘れそうだから」

五月雨「酷いですっ! それにドジッ娘って言わないでくださいよー!」

~~~~~~~~

提督「あー、冬は寒くてあまり外に出ないから、日光をこんなに浴びるの久しぶりだな~」

五月雨「確かに外に出ることあまりありませんからね」

提督「いや、五月雨たちは遠征とかあるだろ」

五月雨「それなら提督もよく外を出歩いていますけど……」

提督「……いう程日光浴びて無い訳じゃ無いな」

五月雨「ふふ、そうですね」

提督「でも、こうしてゆっくり浴びることはないだろう。はぁーごろごろ」

五月雨「あんまりごろごろしていると、落ちますよ」

提督「それはドジッ娘五月雨ちゃんが注意しないとな」

五月雨「もぉー! ドジッ娘って言わないでくださいってば!」

提督「はっはっは……ふわ……」

五月雨「眠いんですか?」

提督「少しだけ……」

五月雨「でしたら、私が起こしますから提督はゆっくり寝ていてください」

提督「じゃあお言葉に甘えようか……」

五月雨「はい、おやすみなさい」

―執務室―

提督「はっくしょい! う~、オチは読めていたはずなんだが……」

提督「まさか五月雨も寝るとは……軽い風邪だから明日には直ると思うが」

下2

提督「うーちゃんよ」

卯月「うーちゃんに何か用ぴょん?」

提督「命を掛ける悪戯をしないか」

卯月「イタズラに命を掛けるも無いぴょん!」

提督「相手が龍田と香取、加賀と知ってもか?」

卯月「……! 本気……?」

提督「こんな恐ろしい事、冗談で言おうものなら病院をすすめるね」

卯月「本気で言っていたとしても、病院に行った方が良いぴょん!」

提督「それで、参加するか、うーちゃん」

卯月「……うーちゃんがそんな面白そうな悪戯に誘われて、断ると思ってるぴょん?」

提督「さっすがうーちゃん! まず場所だが、三人が一度に集まりそうな場所は食堂だ」

卯月「ふむふむ」

提督「そこで出来る悪戯……つまり、三人の食事に悪戯をする!」

卯月「流石司令官ぴょん! 命をも厭わぬ暴挙ぴょん!」

提督「そうと決まれば作戦を煮詰めるぞ!」

卯月「ぴょーん!」

―食堂―

提督「龍田と加賀、今良いか?」

龍田「あら~、何かしら~?」

加賀「今から食事を摂るところなのですけど」

提督「ちょいと次の作戦について意見が欲しくてな。時間は掛けないから、できれば今すぐが良いんだが」

龍田「そうねぇ……」

加賀「……少しだけなら良いでしょう」

龍田「私も~、天龍ちゃん居ないから暇だし、お付き合いしましょうか~」

提督「そうか。っと、香取、ついでに来てもらっても良いか?」

香取「私もですか? いいですけど」

提督(よし、少しずらすことにより、比較的怪しまれずに誘うことが出来た。うーちゃん、後は頼むぞ)

卯月(まかせてぴょん!)

~~~~~~~~

香取「本当に意見を求めるだけでしたね」

加賀「そうね」

龍田「でも~、私達じゃなくても良かったような内容だったわね~」

香取「言われてみれば……」

加賀「たまたまでしょう。では、いただきます」パクッ

香取「そうですね、早く食べないと冷めてしまいますし……いただきます」パクッ

龍田「そうね~」パクッ

加賀「……っっっ!!??」
香取「――――」
龍田「」


卯月「かかったぴょん!」

提督「いえーい!」

卯月「じゃあ、うーちゃんは逃げるぴょん!」

提督「俺も逃げる!」


香取「……加賀さん、龍田さん」

加賀「ええ……どうやら命は要らないみたいね」

龍田「今日はちょぉっと手加減が難しいかも~うふふ……」

―執務室―

提督「デスソースはやりすぎた。まさか口にそのままつっこまれそうになるとは……」

提督「五体投地と間宮券でなんとか許してもらえた。うーちゃんは……しらない」

下2

―夕雲型の部屋―

夕雲「はいどうぞ、お茶です」

提督「ありがとう、夕雲」

夕雲「いえ、粗茶ですので」

提督「夕雲の入れたお茶なら、どんなものでも高級品さ」

夕雲「あら、お上手ですね」

提督「そうかな」

夕雲「ええ。そう言って頂けると、私としては嬉しいですよ」

提督「そうか。……なあ夕雲」

夕雲「はい、なんですか?」

提督「ツインテールにしてみないか?」

夕雲「お茶を飲んで、そういう反応してくるとは思わなかったわ」

提督「できないのなら俺自らやるぞ、ん?」

夕雲「そう……提督は髪を結ぶのが得意みたいですし、おまかせしましょうか」

提督「よしきた。さーて、夕雲の髪型を変えてやるぞー」

~~~~~~~~

夕雲「はあ、本当にお上手……」

提督「ツインテールは有名な髪型の一つだしな」

夕雲「私としては、私にあまり似合っていないかと思います」

提督「あー、そうだなぁ。二つ結びやツーサイドアップの方が印象としては合うかもしれないな」

夕雲「提督がお望みなら、それぞれの私もお見せしますよ?」

提督「太っ腹だな夕雲。だが、その提案はお断りしておく」

夕雲「そうですか」

提督「なぜなら、ツインテール夕雲もそれはそれで良いもんだからな!」

夕雲「提督らしい答えね」

提督「熟成した雰囲気にあどけなさが見えるツインテール、一見合っていないように見えるが、これはこれで危ない感じを匂わせる事に成功しているように見える」

夕雲「よく分かりませんが、提督のお気に召したということで良いですか?」

提督「うむ」

夕雲「では一日はこのままにしておきましょうか」

提督「おお、いいんじゃないか。もしかしたら他の皆は驚くかもしれないが、それはそれで面白そうだ」

夕雲「提督、悪い顔をしていますよ」

提督「おっと、失礼」

夕雲「でもそうね……巻雲さんなんかは驚いてひっくり返りそう」

提督「ひっくり返るか。流石にそれは無いと思うけどな。ははは」

ガチャ

巻雲「ただいま帰りまし――ひゃああああ!?」コケッ

夕雲「ほら、ひっくり返りましたよ」

提督「こりゃ一本とられた」

夕雲「巻雲さん、大丈夫?」

巻雲「夕雲姉さん……? はわぁ……なんだかちょっと違います……」

夕雲「髪型じゃないかしら?」

巻雲「あっ、そうですね!」

提督「姉妹ですらも一瞬誰かわからなくなるほどに印象が変わるか。……いや、やっぱ巻雲らしい反応しただけだな」

―執務室―

提督「見た目につられて、子供っぽくなった夕雲もある意味見てみたかった気はある」

提督「……夕雲がそんなになったら、誰が巻雲の世話をするのか。やっぱ今のままが一番か」

下2

―妙高型の部屋―

那智「酒を飲もう」

提督「……妙高、那智は一体如何したんだ」

妙高「今日は絶好調だったみたいで、MVPをたくさん取ったと聞きました。それかと」

提督「そういえば、今日の報告は凄いことになってたな」

妙高「なので、今日一日くらいは自由にさせてあげようと思いまして」

提督「功労者だしな。まあ、そうなれば特に咎める理由は無いか」

足柄「私もたくさんカツを作って来たんだから!」

羽黒「お酒ということなので、色々な種類のお酒を買ってきました」

提督「……妙高、もしやこれは」

妙高「はい、私達もたまにはハメを外そうかと」

提督(そういや、那智以外も今日は絶好調だったなー。皆かなり調子を良くしているんだろう)

那智「さて、まずはこれだ」

提督「ふむ、見覚えのある色合いだ。なんかちょっと違う気もするが……うわ、このカツうまっ」

妙高「というより、いつも那智が飲んでいるお酒じゃないかしら。本当、美味しいわ」

羽黒「じゃあ、達磨でしょうか。うん、サクサクしてる」

那智「飲んで判別しないと利き酒とは言えんぞ。うむ、肉もやわらかい」

足柄「さらっと私のカツが褒められているのは照れていいのかしら」

提督「飲むまでも無く感想が言えるが……うん? なんか味わい深いな」

妙高「あら、確かにちょっと違うわ」

那智「ふっふっふ、これは達磨でも20年ものの達磨だ!」

提督「まじかよ!」

足柄「そう考えると、なんだか色もとっても濃厚で、まさに高級品といった雰囲気が感じられるわね……」

那智「並べると色も一目瞭然だろう」

提督「確かに、成熟していっているのが手に取るようにわかるな」

羽黒「あの……利き酒をするんじゃ……?」

那智「……そうだったな」

~~~~~~~~

妙高「あら、これは多分良いワインね。さわやかな味わいとフレッシュな酸味を感じるわ」

羽黒「え、それ2000円くらいのだけど……」

妙高「……」コクッ

那智「これは駄目だな、甘すぎる」

羽黒「それ一万近くしたのだけど……」

那智「……」

足柄「やっぱり普段のまない人は駄目ねー。みてなさい、これが本当の利き酒よ」

提督(フラグっぽいな)

足柄「ゴクッ……ふふ、これは一万円の日本酒ね!」

羽黒「当たり。しかもぴったり……」

足柄「どうよ!」ドヤッ

提督「絶対適当に言っただけだろ」

那智「いや、もしかすると先に店で見つけていたのかもしれんぞ」

妙高「日本酒なら鳳翔さんの店にもあるから、それかもしれないわね」

羽黒「そういえば、明石さんにもおすすめされたような気が……」

足柄「ちょっと、なにその信頼の無さ。私の舌を信じなさいよ」

―執務室―

提督「明石の店は本当に何でもあるな……万から千までさまざまだ」

提督「まあ、今回一番思ったことは、カツじゃなくてもっと酒のつまみに合いそうな物を用意するべきだったことだ」

↓2

―白露型の部屋―

提督「時雨が食べたい」

時雨「……はい?」

提督「もとい、お前の作った時雨煮が食べたい」

時雨「また紛らわしい言い方をしたね。そういうのよくないよ」

提督「すまんすまん。それで、どうだ?」

時雨「僕より上手に作れる人、たくさんいると思うけど」

提督「俺は時雨の時雨煮が食べたいんだ」

時雨「……もしかして、最初の一言いいたかっただけじゃないよね」

提督「……」

時雨「じゃあね」スタスタ

提督「つまらないネタはもうやめるから! でも本当に作ってください!」ガバッ

時雨「……もう言わないでよ」

提督「わかった、大丈夫だ。もう絶対言わないから作って、な?」

時雨「……わかったよ、しょうがない提督だね」

~~~~~~~~

時雨「作ってきたよ、提督」

提督「本当に悪いな時雨」

時雨「ううん、問題ないよ。僕も久しぶりに作ってみたかったしね」

提督「さて、どのようなものか早速食べてみるとしよう」

時雨「……」

提督「モグモグ……ん? うん……」

時雨「ど、どうかな?」

提督「うん、うん……そうだな……」

時雨「ちょっと、ひっぱりすぎじゃないかな」

提督「……正直予想よりもおいしい」

時雨「予想?」

提督「あまり作ってないって言ってたし、そこらにあるのと変わらないレベルだと思ってたんだ」

時雨「レシピ通りにしただけだよ」

提督「それにしてはよくできている。どこのレシピだ?」

時雨「鳳翔さんから聞いたものだよ。……そのままレシピ通りにしただけだから、僕が作ったとも言い難いけどね」

提督「いやいや、レシピが誰のものであっても、実際に作ったのは他の誰でもない時雨だ。つまり、これは時雨の料理だ」

時雨「そ、そうかな」

提督「ああ。しかし、一つ不満がある」

時雨「不満?」

提督「具がほんとうにハマグリと生姜しかないところだ」

時雨「レシピ通りだからね。ごめん」

提督「時雨煮といえば元はこれだから文句ではない。だからまあ、次作るときは他に入れてくれるとうれしいぞ」

時雨「うん、次の機会があったら、ぜひそうするよ」

―執務室―

提督「時雨だし不安はなかった。鳳翔に聞いていたところも高評価だな」

提督「しかし、予想以上に素直に作ってくれたな……もうちょっと難色示すかと思ってた」

下2

―鳳翔の店―

提督「手袋を編んできた」

鳳翔「あら、お上手ですね」

提督「そういってくれるのはありがたい。そもそも鳳翔に渡すものだしな」

鳳翔「これを……私にですか?」

提督「ほら、前に角袖をもらっただろ。龍鳳に、とは言ったものの本人からのお礼なしでは微妙な気持ちだろう」

鳳翔「いえ、そこまで気にされなくても」

提督「いいや気にするね。というわけで、手編みの手袋だ」

鳳翔「そうですか……では、ありがたくもらっておきますね」

提督「遠慮せずに使えよ」

鳳翔「ふふ、それはどうでしょう」

~~~~~~~~

提督「鳳翔もう一杯!」

鳳翔「はい、どうぞ」

提督「く~、この一杯が身に染みるー」

鳳翔「うふふ」

龍鳳「鳳翔さんは今日はなんだかご機嫌ですね?」

鳳翔「そう見える?」

龍鳳「はい、とっても」

鳳翔「そうですか……実は提督から手袋をもらったんです」

龍鳳「手袋をですか! はわー、いいですねそれ」

鳳翔「角袖のお礼と言っていたので、龍鳳さんも何か貰えるかもしれませんよ?」

龍鳳「それに関してはお先にいただいてしまいました」

鳳翔「そうなんですか」

提督「なーに話してんの?」

龍鳳「今日、鳳翔さんが手袋をもらったって話ですから」

提督「ああ、あれか」

鳳翔「はい、大事に使わせてもらってますよ」

提督「うむうむ、何か作ってほしいものがあるなら、何でも作るぞ」

鳳翔「なんでも、ですか?」

龍鳳「それはなかなか太っ腹ですね」

提督「お世話になってるしな。何かしたいと思った結果だ」

鳳翔「でしたら……」

提督「ん、なんだ?」

鳳翔「龍鳳さんの分もお願いできますか?」

龍鳳「ほうしょうさん!?」

提督「そうか、鳳翔らしいな」

―執務室―

提督「手袋を作り終えた」

提督「まあ、龍鳳についても結構付き合ってくれたし、元から何か渡すつもりではあったんだけど」

下2

―白露型の部屋―

提督「春雨ー」

春雨「はーい、なんですか?」

提督「付き合ってくれ」

春雨「っ……何を、ですか?」

提督「部屋の模様替え!」

春雨「はい、わかりました」

提督「じゃあ、待ってるから」

バタン

海風「あのいい方されて、よく勘違いしませんでしたね」

春雨「慣れで何とかなるよ」

時雨(慣れ……)

村雨(春雨を食べさせてくれで動揺する春雨はもういないのかしらねぇ)

―執務室―

提督「さて、どう変えたらいいと思う」

春雨「と、言われましても……ええと、では要望みたいなのはありますか?」

提督「要望か……なら、今まで誰も真似してこなかったようなやつでたのむ」

春雨「真似をしてこなかった、ですか? それはなんとも難しいお話をしますね……」

提督「そんなに難しいか?」

春雨「さすがに前例のない模様替えと言いますと……」

提督「温泉を作るか」

春雨「それは色々駄目だと思いますよ! というより、模様替えと言いません!」

提督「え、そうか?」

春雨「お願いしますから、もっとまともな家具で作りましょう!」

提督「春雨がそんなに押すなら……」

春雨(あんまり変なのを作ると、また怒号が響きそうですし……)

~~~~~~~~

提督「こたつにあわせて、床と壁も和式に、古時計もちょっと高級なものに変えて、さらに暖炉も。いやー、いい感じになったな」

春雨「そうですねぇ」

提督「じゃあ春雨、完成した事だし乾杯しようか」

春雨「乾杯ですか?」

提督「ほら、バーにいろいろおいてるだろ、好きなのを選べ」

春雨「え、あれ、いつの間にバーの上に飲み物が……」

提督「妖精さんがおまけで置いてくれたぞ」

春雨「妖精さん優しいですね」

提督「そんなわけだから、好きに選んで乾杯しようか」

春雨「おまけでおいてくれたのなら……はい、頂きます」

提督「じゃあかんぱーい!」

春雨「かんぱい、ですっ」

~~~~~~~~

提督「さて、なんかすっごく居心地良くなってしまったな。布団とか持って来たら寝泊まり余裕なのではないだろうか」

提督「そこまでしたら間違いなく秘書官に怒られるけど」

↓2

霞「ほら、やっておいてあげたわよ。後は自分で確認しなさい」

提督「サンキュー」

霞「何か不備があったら知らせて頂戴」

提督「ほいほい」

バタン

霞「はぁー……」

大潮「司令官からなにかお祝い貰った!?」

満潮「こんなに働かせているんだもの、何かあって当然よね」

霞「は? 何もないわよ」

大潮「えっ!?」

朝雲「でもほら、改二になったでしょ」

霞「なったけど、それがどうしたのよ」

荒潮「あら、改二になって嬉しくないのかしら?」

霞「嬉しいに決まってるじゃない。それがどうしたのよ」

荒潮「(あらー、何だか二人とも冷めてるわね)」

朝潮「(霞も嬉しいと思うけど……表に出ないから)」

霰「(どうするの……?)」

満潮「(司令官に物申すべきよ)」

山雲「(おせっかいにならにかしら~)」

朝潮「(霞の性格だと、それはあるかも)」

霞「なんだかしらないけど、先に部屋に戻ってるから」スタスタ

荒潮「……でも、何かするべきだと思うのよ~」

朝雲「まあ、司令から何かあっても良いと思うしね」

満潮「じゃあ、突撃ね」

朝潮「うーん……少し話すだけよ?」

大潮「はい、わかってます!」

満潮「ちょっと話し合いするだけよね、分かってるわ」

朝雲(分かってなさそう)

朝潮「では、失礼します、司令官」コンコン ガチャ

提督「お?」

満潮「司令官、あんた――あれ」

山雲「これは煌びやかな飾りですね~」

朝潮「司令官、これは……」

提督「あちゃあ、バレたか……ま、本人じゃないからいいか」

大潮「おおお、これはもしかして、霞ちゃんの為の飾りつけですか!」

霰「ツンデレ……」

提督「いきなり核心つかれたな。否定はせん」

朝雲「黙って一人で飾り付けなんて、水臭いわね」

満潮「本当よ、まったく」

提督「あー、うるさいうるさい。そっちはそっちで祝うんだろう。散れ散れ」

荒潮「うふふ、すぐにお祝いしていますから、そちらが終わったら来ていいですからね」

提督「わかった」

~~~~~~~~

霞「司令官、来たわよ」コンコン

提督「入れ」

霞「まったく、何か用があるなら、みんなが作ってくれた祝いの席で良いじゃない……あら」ガチャ

提督「ふっふっふ、よく来たな」

霞「……なんでクリスマスツリーの電飾を付けてるのよ。普通に電気を付けなさい」

提督「いやー、ついこの前模様替えしてすぐに変えるのはどうかと思って、つい手抜きに」

霞「司令官は変わらないわね」

提督「……そういうお前は、変わったな」

霞「改二になったわけだし、そりゃそうよ。なに、それが言いたくてこんな場を作ったの?」

提督「一応」

霞「ホントバカねぇ」カチッ

提督「あっ、おま、せっかく雰囲気作ってたのに!」

霞「私とあんたの間でそんなもの要る?」

提督「しかしだな、こういうのには空気という物があって」

霞「うだうだ言ってないで、さっさと用件済ませなさい」

提督「秘書官はこんな日もきつい……用件はこれだ」

霞「これ……」

提督「まあ、いつも世話になってるし、な」

霞「……へぇ、まあ貰っておくわ」

提督「おいおい、貰っておいて何もなしか? せめてどんな気持ちかくらい言ってくれよ」

霞「……嫌いじゃないわ」

提督「秘書官らしいなぁ!」

霞「ああもう、うるさいわね!」ガチャ

『きゃっ!?』バタバタッ

霞「……何してるのよ」

朝潮「あはは、ごめんなさい」

大潮「それより、何を貰ったの!?」

満潮「まさか、指輪とか……」

霞「なっ、ただのマフラーよ!」

荒潮「あら本当、つまんないわね~」

霞「別に楽しませる様なことしてたわけじゃないわよ! というより、片づけがあるんじゃないの」

朝潮「そうだった、みんな、もどろっか」

朝雲「様子は見れたわけだしね」

山雲「聞いてただけなら~ドキドキしたわ~」

霰「面白かった」


霞「まったく……」

提督「あ、待った秘書官」

霞「何よ」

提督「ちょっと一言……ごほん。これからも頼りにさせてもらうぞ、霞」

霞「ふん……こちらこそ、司令官」

バタン

提督「……マフラー渡すだけだったのに、なんか妙に恥ずかしい展開になってしまった」

提督「なんというか、空気?みたいなものが甘酸っぱく感じた」

↓2

―大和型の部屋―

提督「大和煮が食べたい」

武蔵「そうか」

提督「どうかお願いだ、大和煮を俺に作ってくれ!」

武蔵「ふん、嫌だな」

提督「なぜ!」

武蔵「私よりも大和の方が上手に作れるだろ。そっちを頼るんだな」

提督「だが、あえてお前の大和煮が食べたいんだ!」

武蔵「なぜそこまでこだわる」

提督「なんつーか……ネタ?」

武蔵「……」

提督「だ、だが、誠意だけは本物だぞ」

武蔵「……いいだろう、この武蔵が用意をしてこようじゃないか」

提督「マジか! ありがとな!」

~数十分後~

武蔵「ほら、大和煮だ」

提督「おお……」

武蔵「ふっ、味わって食べろよ」

提督「……いや、気持ちはわかるけど、なんで缶詰。料理じゃないだろ」

武蔵「細かいことを気にするんだな」

提督「細かくないけど!」

武蔵「やれやれ、我らの提督はわがままだな」

提督「いや、むしろあの話の流れで缶詰という結論に達する方が珍しいだろ」

武蔵「で、どうだ」

提督「缶詰だから最低限の味は保証されるだろ……うまいけど」

武蔵「仕方がないな。今度こそ作ってくるとする」

提督「ああうん、頼む……」

~またしても数十分後~

武蔵「どうだ、今度こそ作ってきたぞ」

提督「早くないか?」

武蔵「ふっ、まあな」

提督(手作りっぽいけど、多分これは今作ったわけじゃないな)

武蔵「どうしたんだ、食べないのか」

提督「いや、食べるよ。パクッ」

武蔵「どうだ」

提督「……おいしい。お、おい、これは誰が作ってくれたんだ」

武蔵「む、私以外のだれがいる」

提督「おいおい、こんなにおいしいものが武蔵に作れるわけないだろ」

武蔵「それはそうなんだがな」

提督「で、これは」

武蔵「大和が作ったものだ」

提督「やっぱりかー、大和って名前があるだけにおいしいなー」

武蔵(またしても缶詰なのだがな。ふん、やはり提督は何も考えていないな)

―執務室―

提督「最後の絶対缶詰出しただけの奴だったぞ、誤魔化せれると思ってたのか」

提督「まあ、あんまり無理させると台所吹っ飛びそうだから無理させなかったのだが」

下2

―トレーニング場―

雲龍「ふう……」

提督「お疲れさん。ほら、飲み物」

雲龍「ありがとうございます。提督はいつから?」

提督「ついさっきだ。通りがかったらたまたまな」

雲龍「そうですか」

提督「しかしなんだ、それ剣だったのな」

雲龍「白兵戦するものではないですけど」

提督「そりゃあな」

雲龍「……気になります?」

提督「おう!」

雲龍「どうぞ」

提督「おおお、サンキュー! ほうほう、なるほど、こうなっていたのか……」スッスッ

雲龍「荒く扱わないでくださいね」

提督「わかってるわかってる」

~~~~~~~~

雲龍「……そろそろいいですか」

提督「ふーん、ありがとな」

雲龍「いえ。それにしても、これのどこに興味を?」

提督「なんつーか、こういう武器は珍しくてな」

雲龍「なるほど……」

提督「そうだな、ちょっと気がむいた。何かお礼をしようか」

雲龍「いいんですか?」

提督(どうせ装備なんだろう)

雲龍「では、一つなにか武術の形を見せてください」

提督「……え、いいのか?」

雲龍「実は提督も武術の心得があると聞いてから気になって……」

提督「はぁ、なるほど……いいぞ、何が見たいんだ?」

雲龍「では槍を」

提督「なぜ槍……まあいいが。では」スチャ

雲龍「わくわく」

提督「ふぅ――」

雲龍(その瞬間、提督はまるで可憐な蝶のように舞い、蜂のような鋭さを見せる煌めきを存分に披露しだした)

雲龍(なんの流派かはわからない。だが、そのしっかりとした槍捌きと足捌き、その両方は混在することが当たり前のように思えた)

雲龍(思わず見惚れ、終わった瞬間も私はその場を動けずにいた)

提督「――おわりだ。おーい、雲龍ー」

雲龍「……」

提督「あれ、おーい」ユサユサ

雲龍「……スー」

提督「……えっ、せっかく演武見せたのに、まさかの呆れ」

雲龍(別に呆れているわけじゃないのだけど……)

―執務室―

提督「まさか寝ているとは……まあ、それだけ退屈だったのかもしれない」

提督「一応型はできていたんだと思うんだがなー。やっぱ無双のまねをしたのがダメだったか」

下2

―川内型の部屋―

提督「そろそろ節分だな」

神通「そうですね」

提督「節分と言えば豆まき……ああ、そういえば神通に頼みたいことがあったんだった」

神通「はい、なんですか?」

提督「鬼やってくれ」

神通「……すみません、詳しくお願いしますか」

提督「節分の日に皆の前で鬼役をやってくれ」

神通「その……何故私なんですか?」

提督「アンケートを取っ……ああいや、神通だったら快く承諾してくると思って」

神通「アンケート……?」

提督「いや、聞き流してくれ、唯のひとりごとだ」

神通「はあ……」

提督(さすがにアンケートで上位なんて言ったら、神通も良い顔をしないだろう)

川内「アンケートって、あの誰が鬼っぽいかっていう奴?」

提督「あっ、ばかっ」

神通「提督……」

提督「ああいや、ははは……」

神通「……そのくらい慣れたものですから、いいですよ」

提督「いやぁ、悪いな。それでどうだ、引き受けてくれるか」

神通「その……それくらいのことでしたら、お引き受けします」

提督「そうか、よかった」

神通「そういえば、ほかの方は?」

提督「候補はあるが、とりあえず声をかけたのは神通だけだ」

神通「私が最初だったんですか?」

提督「おう」

神通「そうですか……」

提督「(……何か地雷踏んだか)」

川内「(今の受け答えのことなら怒ってないと思うよ)」

提督「(そうなのか? まあ、ほかの誰でもない姉の言葉だし、信じるか)」

神通「では、当日までに楽しみにしておきます」

提督「鬼になるのって楽しみか?」

神通「鬼になるのが、ではなく行事が行われることに対してです」

提督「そうか、神通らしいな」

神通「はいっ」

提督「さーて、用事も済んだし、俺はさっさと部屋に……」

川内「今思い出したんだけど、たしか提督も上位に入ってたような」

提督「……さてはて、何のことかわからんな」

川内「というより、神通より上だったよーな……」

提督「なんだと」

神通「提督が鬼にぴったり、ですか……」

川内「フリーダムだからとか理由付けもされてたっけ」

神通「そういわれてみると……」

提督「まあ、俺は当日は鬼になってる暇なんてないし、神通、任せぞ」

神通「はい」

―執務室―

提督「節分で一番大変なのは片づけだよなぁ」

提督「うちでする場合場所決めは必須かもな……」

下2

―母港―

提督「では今から雪かきを始める!」

高雄「まさか今年はこんなに降るとは思いませんでしたね」

提督「確かになぁ」

愛宕「高雄ー、これどうすればいいの?」

高雄「それは……愛宕、つるはしは今日はいらない」

愛宕「そうなの?」

提督「というより誰が持ってきた」

鳥海「必要そうなものを調べて持ってきたのですが……」

摩耶「だから言っただろ、庇切りのほうがかっこいいからそっちにしろって」

提督「いやいやいや、ここでそこまでしないから!」

高雄「一度、雪かきというものを説明しておいた方がいいみたいですね」

~~~~~~~~

提督「――というわけで、雪かきの仕方はわかったな」

愛宕「はーい」

摩耶「ふん、それくらい楽勝だ」

鳥海「楽勝、ですかね」

摩耶「雪を掘るだけだろ、簡単じゃねーか」

提督「やったことない初心者はみんなそういうんだよな……」

高雄「そういう提督はどうなんですか?」

提督「子どもの頃は楽しかったなぁー……」

鳥海「司令官さんが遠い目をしているけれど、雪かきってそんなに大変な物なの?」

摩耶「思い出にふけっているだけって可能性もあるけどな」

高雄「実際にやってみればわかると思うわよ」

摩耶「確かに、ごちゃごちゃ言ってても始まらねえしな」

愛宕「じゃあ、雪かき開始ねー」

提督「いや、もうそれ俺が言ったんだけど」

~数時間後~

鳥海「こ、腰が……」

摩耶「もうへばったのか? ははっ、まだまだだな」プルプル

提督「口では余裕そうだが、腕がプルプルしてるぞ」

摩耶「そもそも量が多すぎだろ!」

提督「そりゃ除雪なのに適当にポイポイしてたら逆に作業量も増えるし。そもそも、作業の仕方が下手くそだし」

愛宕「疲れたわねー、そろそろ休憩にしない?」

高雄「それ十分おきに言ってるわよ」

提督「しかし、高雄は上手に雪かきするよな。前にやった事でもあるのか?」

高雄「まあ、部屋に片づける人が少ないですから、そこはですね」

愛宕「私だって少しは片づけるわよ~?」

高雄「……」サクッドシャ

鳥海「そ、そろそろ……休憩、を……」

摩耶「鳥海もこう言ってる事だしな、休憩を挟んでも良いんじゃないか」プルプル

提督「……高雄型はいつもはまともなのに、プライベートになると途端にポンコツ化するな……」

―執務室―

提督「久しぶりに雪かきすると疲れるなぁ……」

提督「ああ、鳥海と摩耶は多分しばらくダウンだな。出撃および遠征は控えさせることを秘書官に伝えておこう」

↓2

提督「あー、腹減ったな……」

瑞鳳「だったら私の卵焼き、食べる?」

提督「食べりゅ……っと、そういえば卵で思い出した」

瑞鳳「何を?}

提督「三日間漬けていた卵の存在だ」

瑞鳳「?」


―談話室―

提督「そんんわけで、じゃじゃーん、卵の黄身ー」

漣「あ、漣それ聞いたことあります。TKGの上位互換ですね!」

曙「なによ、TKGって……」

提督「卵かけごはんの略だ、ぼのちゃんよ」

曙「ぼのちゃんっていうな!」

瑞鳳「つまり、それをご飯にかけることで……」

提督「ああそうだ、最高においしいご飯が食べられる!」

―食堂―

提督「というわけで食べてみるがいい!」

ビスマルク「こ、これがかの有名なTKG……」

グラーフ「馬鹿な、卵をそのままなど、正気の沙汰ではない」

リットリオ「お、おなか壊しませんよね?」

提督「……不評だな!」

響「しょうがないよ、ほかの国では卵は調理しないと食べられたものじゃないから」

提督「そういえばそうか……ん? もしや響……」

響「……いや、聞いた話だから、この体になって食べたことないからわからないからね」

プリンツ「で、では姉さま……私からいかせてもらいます!」

ビスマルク「や、やるというの?」

プリンツ「は、はい! 大丈夫です!」

マックス(まるで戦場に向かうかのようだけど)

ローマ(納豆を食べるときもこんな感じだった気がするわ)

リットリオ「……そちらが行くというのなら、私もこうしているわけにはいきませんね」

グラーフ「アトミラールからの行為だ、受け取るほかないだろう」

提督「……俺もしかして、とんでもない人たちにおすそ分けしたかな」

リベッチオ「あ、これおいしい!」

『!!』

ビスマルク「ほ、本当に!?」

呂500「不思議ー、卵をかけたご飯と変わらないように見えるのに、あれよりおいしいよ!」

レーベ「そうなの? ……うん、たしかにだね」

マックス「少し味が違うように思いますね」

ビスマルク「次々と手を付けてる……わ、私もいくわ!」

プリンツ「卵ってこんな味なんですね」

グラーフ「これが卵とごはんか……」

リットリオ「二つだけでいいなんて、手軽ですね」

響「一転して高評価だね」

提督「はーっはっは! これがTKGの力だ!」

―執務室―

提督「ちなみにご飯にかけたけど、そのままでも十分おいしい。あくまでアクセントの一つ」

提督「醤油だけでもいいし、黄身だけにするのもペットボトルでいいし、本当に手軽に作れるからもっと触れ回っておこう」

下2

『夜だ! 夜戦だー!』ダダダダ

提督「……」

霞「相変わらず騒がしいわね……ちょっといってこようかしら」

提督「いや、いい」

霞「そう? でも邪魔じゃない」

提督「いや、俺も行く」

霞「は?」

提督「俺も夜戦に行くぞー!」ダッ

霞「あっ、ちょ……あーもう! このクズ!」


―廊下―

提督「川内、俺も行くぜ」

川内「やせ……提督も来るの?」

提督「おう!」

川内「……いいね! テンションあがってきた!」

神通(これはまた大変なことになりますね)

―鎮守府近海―

川内「さーて、今日の生贄は誰かな~」

提督「どんな奴が出て来てもワンパン大破させてやる」

神通(提督はどうやって攻撃するつもりなんでしょうか)

那珂「う~……まだ眠い……」

川内「……! 今何か音がした」

提督「これは西の方か……よし、警戒しつつ移動するぞ」

神通(今回は誘導するのも難しそうですね……)


カ級「今日のご飯は小魚とハマグリ~」


川内「見つけた!」

提督「さっそく夜戦だー!」

神通「ちょっと待ってください! 相手は潜水艦ですよ!?」

川内「それが?」

提督「夜戦は出来るだろ?」

神通「できますけど、夜戦で潜水艦相手が分が悪すぎます! ね、那珂ちゃん」

那珂「あれ、魚雷も機銃も無い……もしかして那珂ちゃんまた装備忘れた!?」

神通「那珂ちゃん……」

提督「探照灯の準備ばっちり! 行くぞ川内!」

川内「もちろん!」

神通「ど、どうしましょう……と、とりあえずとめないと!」


カ級「ふふふ~ん……あれ、何か声が聞こえる。わっ、まぶしっ」ピカッ

川内「ひゃっはー! 夜戦だぁ!」ガシャン

カ級「か、艦娘!? ど、どうしよ、今はハマグリしか持って無いよ~!」

川内「ゼロ距離から撃てば相手が何であろうと関係ないって誰か言ってた!」

カ級「あ、だめ、逃げるのも間に合わな――」
神通「いい加減にしてください!」ゴスッ

川内「ぐふっ。じ、神通!? 目の前に敵いるんだけど!?」

神通「ハマグリしか持って無い敵が何かしてくるわけないじゃない!」

カ級(あ、きこえてたんだ)

神通「倒しきれなかった場合は仲間を呼ばれるかもしれないのだし、今の内に撤退しましょう」

川内「うー、神通がそう言うならしょうがないか」

提督「そうだぞ。まったく、突然飛び出して」

神通「提督?」

提督「すみません」

那珂「あれ、那珂ちゃんを連れてきた意味は?」

カ級(とりあえず、今の内に逃げておこう)コソコソ

―執務室―

提督「久しぶりの夜の海は楽しかったなぁ」

提督「まあ、流石に武器も持たない相手に攻撃するのはなんか悪い気がするし、止めてくれて丁度良いかもしれない」

↓2

―深夜・廊下―

提督「流石に夜は冷え込むなぁ……」

酒匂「あれー、司令?」

提督「酒匂か。どうした、子供はもう寝る時間だぞ」

酒匂「ぴゃー! 酒匂もう子供じゃないよ!」

提督「暁と同じでこういう言葉に反応しているうちはまだまだだな」

酒匂「ぴゃー……」

提督「まあ、眠れないのならついて来るか?」

酒匂「どこに行くの?」

提督「コンビニ。嫌ならいいが」

酒匂「ううん、あたしも行く!」

提督「なら、準備して来い。ちゃんと服着ないと寒いぞ」

酒匂「はーい!」

―コンビニ―

ピロリンピロリン
「らっしゃーせー」

酒匂「ぴゃー! これがコンビニ!」

提督「来るの初めてか?」

酒匂「そうだよ。夜に出ることも無いからね!」

提督「それもそうか。鎮守府にも明石の店があるわけだしな」

酒匂「皆と行く時は大きいお店に行くから!」

提督「デパートか。それもそうか」

酒匂「ぴゃー、ここも色々売ってあるね」

提督「……なら五百円までなら好きな物を買ってやろう」

酒匂「ぴゃっ! 本当?」

提督「このくらいじゃ嘘はつかんよ」

酒匂「えーっとねー、だったら探して来るね!」

提督「さて、こちらはこちらで夜の友である栄養ドリンクとホッカイロを買っておくか」

酒匂『ぴゃー! こんなにお菓子もある!』

提督「お菓子コーナーに目を付けたみたいだな、数自体は少ないが、五百円だと結構悩むんだよな」

酒匂『あいどるかーど? ぴゃ、これって戦艦と軽巡の……いいなー』

提督「カード付きのあるなー。一度集め出すと止まらないんだよな」

酒匂『五百円だから……十円のチョコが五十個も買えちゃう!』

提督「だが消費税で五十個だとオーバーするんだよなぁ」

酒匂「……司令! 決まったよー!」

提督「お、どうするんだ?」

酒匂「一緒に肉まん食べて帰ろー!」

提督「よしきた、やっぱり冬のコンビニと言えば肉まんだよな! ついでにおでんも買って帰るか」

酒匂「ぴゃー、わーい!」

―執務室―

提督「色々買って、分け合いながら帰った」

提督「やっぱ、なんだかんだレジの横にある食べ物が最強だと思う」

↓2

―工廠―

秋月「いつもありがとね、長10cm砲ちゃん」ナデナデ

長10cm砲ちゃん「~♪」

提督「なんだ秋月、自ら手入れか」

秋月「はい、いつも頑張ってくれてますし」

提督「へー、そうか」

秋月「……」ナデナデ

提督「……」ジー

秋月「……なんですか、司令」

提督「俺にも手伝わせてくれないか」

秋月「う゛……」

提督「なんだ、嫌そうな顔をして」

秋月「いえ、その……」

提督「ははーん、もしかして、長10cm砲ちゃん俺に取られたくないんだろ」

秋月「当たらずとも遠からず、です」

提督「大丈夫だ。ほんのちょっといじらせてもらうだけだから」

秋月(それが不安なんですけど)

提督「長10cm砲ちゃんだって、たまには他の人の整備受けてみたいよなー?」

長10cm砲ちゃん「!」バシッ

秋月「あっ」

提督「……手をはたかれるほど嫌われるようなことしたっけ」

秋月「八頭身が問題かと」

提督「あれ、そんなに嫌だったかー……」

秋月「どうするんですか?」

提督「こうなれば……長10cm砲ちゃんお願いですから整備させてください!」ガバッ

秋月「土下座!? そこまで触りたいんですか!」

長10cm砲ちゃん「!」バシッ

提督「ありがとうございます!」

秋月「司令!?」

提督「……と、見せかけて」ガシッ

長10cm砲ちゃん「!?」

提督「ここまで接近を許すとは甘いなぁ! じっくりメンテしてやるからなぁ!」

長10cm砲ちゃん「!」ジタバタ

秋月「あの、あんまり変な事はしないでくださいね?」

提督「安心しろ、これでも明石からはため息つかれるくらいに整備の心得はある」

秋月(悪い意味じゃないですよね?)

―執務室―

提督「秋月がこまめに見ているだけあって特になし」

提督「そもそも、来た時には既に終えていた可能性もあった」

↓2

―談話室―

提督「今年はよく雪が降ったな」

大鳳「大寒波らしいですからね。さすがにもう来ないと思いますけど」

瑞鳳「深海棲艦も静かだったからねー。あむっ、みかん美味しー」

瑞鶴「で、それがどうしたの提督さん」

提督「なんか今年もいい感じの雪が積もってるらしいんだ、山に」

龍驤「……」

提督「スノボに行こうかと思って」

龍驤「今年もか!」

葛城「今年も?」

大鳳「昨年も行ったんですか?」

瑞鳳「そうなの? 羨ましいな」

龍驤「あれは今思えば地獄や……ハイテンションにならなければやっとられんかったんや……」

瑞鶴「いったい何があったのよ……」

提督「行けばわかる」

―山―

龍驤「やっぱここかぁ……」

提督「うむ、今年もよく積もっている!」

葛城「はぁ……はぁ……すっごい大変だったんだけど……」

大鳳「普段雪山に登らないので、いい訓練になりました」

瑞鳳「前向きだね……まさかこんなに大変だと思わなかったよ……」

瑞鶴「むしろ思いつきでよく此処まで来たわね、私達」

提督「さて、誰が一番最初に行く?」

龍驤「うちは絶対お断りや」

大鳳「こういう場合はやはり上官である提督かと」

提督「いやいや、むしろ上官である俺こそが一番最後だろ」

瑞鶴「もしかして提督さん、最初に滑るの怖いの?」

提督「そんなわけないだろ! いいか、見てろよ!」

龍驤「乗せられやすいなぁ」

葛城「全員で一気にと言うのは駄目なの?」

提督「! それだ」

瑞鶴(うっ、気付かなければ滑らず帰ろうと思ったのに……)

~~~~~~~~

ズザァアアア

提督「ひゃっほーう!」

瑞鶴「これ意外と楽しい!」

提督「さっきまであった嫌なこと全部忘れられるぜーーー!」

龍驤「デジャヴ感じるなぁ! そのセリフ!」

大鳳「た、確かに滑りやすいですね」

瑞鳳「あはは、初めてだから、ちょっと腰引けちゃうよね」

提督「初めてでそれなら才能あるぜ! でも山登るの面倒だから一回きりな!」

大鳳「ならば素直にスキー場に行けば良かったのでは……」

瑞鳳「それは、言わないお約束だと、思いますよ」

瑞鶴「あれ、そういえば葛城がいないけど……」

提督「それならあっちの方に転がっていったぞ」

葛城『助けてーーーー!!』

瑞鶴「何で放っておいてるの!?」

―執務室―

提督「やっぱ滑るとテンション上がるな」

提督「まあ、大分個人差はあったけど。葛城に関してはトラウマになったような気も……まあ大丈夫だろ」

↓2

58「報告書でち……」

提督「ああ。……どうしたでち公、何だか顔色が悪いぞ」

58「そうでちか? ごほっ……少し寒いだけだよぉ」

提督「いや、この部屋かなり気温高いんだが、外から戻ったのなら、なおさら寒いとは思わないはずなんだが」

58「でも寒いような……へくちっ」

提督「あー……ちょっと失礼するな」コツン

58「んん……」

提督「やっぱ熱っぽいな。こんな寒いのにそんな格好で北方に遠征なんて行くから」

58「その言い分は流石におかしいってゴーヤでもわかるでち」

提督「はっはっは、とりあえずさっさと温かくして寝ておけ。あとで様子見に向かおう」

58「そうするでち……」

バタン

提督「……さて、用意をしてくるか」

―伊号潜水艦の部屋―

ガチャ

58「ぁー……ていとく?」

提督「熱はどうだった」

58「ううん……39℃くらいだったでち……」

提督「でち公がそんな格好で北半球に向かうから」

58「それまだ引っ張る……?」

提督「ジョークだジョーク。一応真面目に看病しに来たんだ」

58「てーとくが、かんびょう……?」

提督「ああ、そんなわけで……」

58(なんだか……嫌な予感しかしないでち……)

提督「ネギを用意した」

58「ねぎ?」

提督「たしか、これを尻に突っ込めば風邪が治るとか」

58「……!?!? せ、せくはらでちか!?」ガバッ

提督「いや、これは純粋にお前のためを思ってだな」

58「だったらそんなこといわないでよ! ぁっ……」フラッ

提督「おいおい、いきなり力むなよ。よっと」ガシッ

58「う~……」

提督「冗談はここまでだ。さて、まずはこの梅干し」

58「おかゆでち……?」

提督「おへそに付けます」スッ

58「それもぜったいちがうでち」

提督「舌が回ってないのに的確なツッコミ。やるな!」

58「いろいろおかしいでち!」

提督「次はそこら辺で拾ってきたたんぽぽ」

58「な、なんでち……」

提督「たべりゅ?」

58「たべ……ないよ!」

提督「そうか……せっかくきんぴらにしたのに」

58「なんでむだにちからをいれてるでち!」

提督「凄いなゴーヤ、よく39℃の熱がでてつっこめるな」

58「てーとくのせーでしょー……」

提督「……そうか、まあゆっくり休め。ほら、ひえピタだ」

58「ぅん……」

提督「じゃあでち公、ゆっくり休めよ。おかゆは作っておくから……って」

58「zzz……」

提督「寝ちゃったか。いい感じに体力減らしたし、とりあえず睡眠確認。きちんと療養しろよ」ナデナデ

―執務室―

提督「今思えば普通に世話すりゃよかったかも。まあ、ゴーヤはあれでも結構周り気にするからなぁ」

提督「というか、艦娘も病気になるのか……ドック入れたら直ったりして」

↓2

―白露型の部屋―

提督「俺が髪を弄る事が好きな事、知っているな」

村雨「えーっと、それは私の髪も弄らせてほしいって事?」

提督「端的に言えば」

村雨「んー……なら代わりに、村雨のお願い一つ聞いてもらってもいいですか?」

提督「出来る事であれば聞こう」

村雨「うふふ、だったら村雨の髪をお好きにどーぞ♪」

提督「お好きにって、本当に好きにするぞ?」

村雨「なら、出来によってはちょっと無理なお願いしちゃうかも」

提督「村雨が言うとギリギリのラインが来そうだな。大丈夫だ、信頼して好きにさせてもらっているのだから、裏切るような真似はしない」

村雨「うふふ、村雨、提督のそういうところちょっと好きかも」

提督「そうか、俺も村雨のそういうところ好きだぞ」

時雨(まだボクが部屋に居るのによくやるね、二人共)

~十数分後~

提督「ツーサイドアップにしてみた」

村雨「ここじゃあんまり見ない髪型ですね」

提督「天津風と川内位しかしていないからな。ここじゃ確かにレアかもしれん」

村雨「二人髪の長さ違うから、違う印象も受けて……あら、もしかして提督はキャラ被りの心配でもしてこの髪型にしたの?」

提督「一時的なんだからそんな心配はしないって。普通に、村雨に似合いそうだと思っただけだ」

村雨「ありがとうございます、うふふ、そう言って貰えてうれしいわ」

提督(なんか反応鈍いな……お世辞だと思ってるのか)

村雨「じゃあ、今度は村雨のお願いを聞いてもらおっかな」

提督「そういえばそうか。何でも言ってくれ」

村雨「何でも?」

提督「おう」

村雨「……だったら、村雨の魅力、もっと見つけてほしいかなー」

提督「魅力?」

村雨「もう、女の子に直接言わせるつもり?」

提督「……なるほど、わかった。なんだ、嬉しいなら素直にそう言えばいいのに」

時雨(提督、それだからデリカシーが無いって言われるんだよ)

~~~~~~~~

村雨「ポニーテールね。いい感じいい感じ♪」

提督「……ふむ」

村雨「提督のお気に召しませんでした?」

提督「いや、ポニーテールも良く似合ってると思うぞ」

村雨「そう? 褒められると嬉しいものね」

提督「じゃあ次はハーフアップだ」

村雨「ハーフアップ? ……あ、お嬢様結びのことね」

提督「俗称じゃそっちのが有名か。子供っぽく見えて内に妖艶さを秘める村雨にはちょうど良さそうな気がしてな」

村雨「そんな風に思ってくれてたんですね♪」

提督「そうだけど……なんだその笑み。なんか気恥ずかしくなるからやめろい」

村雨「うふふ、すみません」

提督「まったく……」

時雨(まだまだ長くなりそうだから外に出ていようかな……みせつけられるのも嫌だしね)

―執務室―

提督「案外ツインテールのままの方がいいかもしれんな。村雨は磨けば間違いなく光ってしまう」

提督「そういえば朝まで飲んでたこともあるか……あの魅力は普通に雑誌のモデルレベルだな」

↓2

―談話室―

TV『――では、節分の準備で勤しんでいる様子が――』

提督「そろそろ節分か」

グラーフ「せつ……ぶん、とはなんだ?」

ビスマルク「豆を投げ合う祭りよ」

プリンツ「投げ合う、ではないですよ姉さま。架空の鬼に投げることで、一年の邪気を払う祭りです」

ビスマルク「そ、そうそう。ちょっと間違えたわね。……なんで詳しいの?」

提督「そりゃ昨年聞かれたからな」

グラーフ「なるほど。一年前からいたものは一度やっているのだろう」

レーベ「うん。楽しかったよ」

マックス「まあ、面白い催しではありましたね」

呂500「むー、ろーちゃんは少し遅れて着任したから知らないんだよねー」

提督「二日後だし、少ししたら体験できる」

呂500「そうなんだ、楽しみ!」

リットリオ「セッツブーン? の話をしているの?」

提督「イタリア艦三人か。なんだ、節分がどんなものか気になるのか」

リベッチオ「うん!」

ローマ「私たちの国にはないものですからね」

提督「そうか。オイゲン、説明してやれ」

プリンツ「私? アトミラールから直接説明してあげた方がいいと思うけど……わかった」

ローマ「ドイツ艦から説明を受けるのですか……」

提督「違ってたら笑ってやれ。ははは」

プリンツ「まだ何も言ってないですよ! もう」

リベッチオ「ねえねえ、早く教えて!」

プリンツ「簡単に説明すると、鬼役の人に豆を投げるの。あと、豆を食べたり、おスシを食べたりとかもあった気がする」

リベッチオ「スーシー! あれおいしいよね!」

ローマ「豆を投げるというのは気になりますが、なるほど、そういうイベントですか」

リットリオ「鬼役って誰でもなれるの?」

提督「それはまあ、やりたい人がやればだな。推薦で選ばれるやつもあれば、はめられて鬼役になったやつもいるが。別に鬼とか気にせず投げてもいいし」

ローマ「適当ですね」

呂500「それなら、でっちに投げよっかな!」

グラーフ「私は赤城に挑むとするか」

リベッチオ「リベはビスマルクに投げるね!」

ビスマルク「えっ、私!?」

リットリオ「じゃあ私も混ざりますね」

ローマ「いいですね。当日はお願いします」

ビスマルク「え、え……ど、どんと来なさい!」


提督「各々楽しみにしていてなによりだ」

プリンツ「あれでよかった?」

提督「いいと思うぞ。恵方巻は知らない人には面倒だから当日少しだけでいいだろ」

マックス「そっちの方は私もよく知りませんね」

レーベ「??」

提督「そんなもんだ。とりあえず、当日楽しみにしておけ」

―執務室―

提督「豆まきは投げた場所によってリサイクル可能。洗って料理にすればあんまり気にならない」

提督「……まあ、投げずに食べる奴もいるし、そのあたり自由だけども」

下2

―売店―

朝潮「ではこれとこれをお願いします」

明石「はい、まいどありです。……ところで朝潮ちゃん、良いものが入ったんだけど」

朝潮「良いもの?」

明石「なんと、提督の抱き枕が、現在格安でレンタル可能なんです!」

朝潮「司令官の……ええっ!」

明石「まだ試作段階なので、お試し価格ですよ! どうですか、欲しくありませんか?」

朝潮「え、えー……その……」

明石「あ、特にいらないということであれば別にかまいませんよ。無理にとは言いませんし」

朝潮「……」

明石「うーん、他に買ってくれそうな人は……」

朝潮「あ、あのっ――」

―朝潮型の部屋―

霞「はあ、それで買って来たって」

朝潮「あはは、ちょっともったいないかなって……」

大潮「これが司令官の抱き枕ですね!」

霰「一分の一スケール」

荒潮「包まれて寝る事も出来そうね~」

満潮「サンドバックにはちょうどいいんじゃない」

朝雲「それはさすがに可哀そうじゃ……」

山雲「朝雲姉は~使ってみたいの~?」

朝雲「そ、そんな風にまでは思ってないわよ!」

霞「まあ、感想求められているのなら、一応使っておいた方がいいわね。物がどうであれ、ね」

朝潮「そうね。だったら、今日の夜にでも、さっそく使ってみる事にしよっか」

大潮「誰が使うの? なんなら、大潮に任せて!」

荒潮「あら~、司令官は、みんなのものじゃない?」

満潮「私はいらないわよ。何時も通りで寝るわ」

大潮「まあまあ」

満潮「な、なに、押さないでったら!」

~深夜~

コソコソ ガサゴソ

~~~~~~~~

霰「ん……」ノソッ

朝潮「あれ……どこかいくの?」

霰「といれ……」

朝潮「そっか、気を付けてね……ん、あれ」

霰「どうしたの?」

朝潮「その、この抱き枕が、なんだか寝る前よりかたくて暖かいような気がして……」

提督「……」

朝潮「……」

満潮「ん~、なによぉ……どうせきの所為でしょ~……」ボカッ

提督「痛っ」

満潮「抱き枕がこんなふうに喋るわけ……え」

朝潮「その、司令官?」

提督「くくく、バレてはしょうがない。実はすり替えておいたのさ!」

満潮「……」ゴソゴソ

朝潮「え、えと! とりあえず満潮はその装備はここにおいておいて……あっ、司令官! やっぱり逃げてください! 後ろで霞が幽鬼のように立ってますから!」

―執務室―

提督「いっぱつ素手で良いものを貰ってしまったが、やった悪戯に比べたらなんでもないな」

提督「睡眠を邪魔せずにすり替わるのは久しぶりにドキドキしたぜ……」

↓2

―陽炎型の部屋二号室―

提督「今日は一段と冷え込むなぁ」

天津風「確かにそうね。風邪ひかないように、きちんと予防しておきなさいよ」

提督「馬鹿は風邪ひかないっていうから平気だろう」

天津風「なにそれ自虐?」

初風「まあ、確かに聞いた事あるわね」

時津風「つまりしれーは馬鹿って事だね!」

提督「一応ギャグのつもりで言ったんだが……」

天津風「日ごろの行いね」

提督「日頃からそんなにバカなことしているつもりは無いんだけどな……」

雪風「えっ?」

提督「ちょっと待て、雪風に最初に反応されるのは流石に嫌なんだが」

雪風「す、すみません!」

提督「謝れるとなおさらなんだけどな!」

~~~~~~~~

天津風「――あら、こうして喋ってたら、もう夜も深くなるころね」

雪風「ふわぁ……」

時津風「雪風もおねむさんみたい。はいはい、布団はこっちだよ」

初風「提督も戻った方が良いんじゃない」

提督「いや、今日は空いてるから全然行けるぞ」

天津風「今から寝る時間よ? もしかして、一緒に寝るとか言い出さないわよね」

提督「添い寝か? 構わんぞ」

天津風「……ほ、本気で言ってる?」

時津風「天津風、こういうときのしれーは冗談じゃないよ」

天津風「分かってるけど……」

初風「さ、流石に駄目よ! 同衾なんて!」

天津風「同衾!?」
提督「同衾?」

初風「ほら、早く出て行――うっ」バタッ

時津風「安心して、峰打ちだから」

天津風「いや、何をやってるの!?」

時津風「だって、こんな面白そうな事止めるのはもったいないじゃん」

天津風「自分に被害がないからって……」

提督「ふむ、反対一名で、寝てもいいということだな」

天津風「まだ雪風が……雪風は、反対しそうにないわね」

時津風「もう夢の世界にいってるしね」

~~~~~~~~

時津風「じゃあ電気消すね」カチッ

天津風「わ、わかったわ……」

提督「どうした天津風。緊張しているみたいだが」

天津風「貴方が同じ布団に入ってるからよ……!」

提督「布団が足りないからしょうがないな。たまたま洗濯しているなんて、運が悪い」

天津風「ふ、布団なんて入らなくてもいいんじゃない」

提督「それで風邪を引いたら困るって諭したのは、他の誰でもないお前だろ」

天津風「うぅ……はぁ、タイミングもといいくじ運といい、運が無いわね……」

時津風「本当に運がないのかな~?」

天津風「見えないけど、絶対ニヤニヤしてるでしょ」

時津風「うひひ、じゃあお休みー」

天津風「もう……ほら、貴方も早く寝ないと……」

提督「zzz」

天津風「は、早いわね……」

天津風「……」

天津風(ね、眠れない……そもそも、何で一緒に寝ることになってるのよ。最初に断ればよかったじゃない。それなのに同じ布団で寝る事を拒めないで、この人は何も気にしないで寝て、私はなんだか言うもと違うぬくもりにちょっと心臓が高鳴ってなかなか眠れない状況に追い込まれて――)

時津風(よく見えないけど、天津風、絶対困ってるよねー。うん、面白くなりそうだって予感はばっちり当たったね)

―執務室―

提督「何時もより暖かかったからか、ぐっすり眠ることが出来た」

提督「天津風の方も昼まで起きそうにないほどぐっすりだったし、ドッキリ抜きでの添い寝も悪くは無いかもしれん」

↓2

―スキー場―

提督「今日はスキー場に来たぞ!」

ビスマルク「ええ、楽しみね!」

プリンツ「準備もばっちりですよ!」

レーベ「いっぱい滑るよ!」

マックス「なんでこんなにテンションが高いの……?」

グラーフ「ドイツでもスキーは大人気だったからな」

マックス「この謎のテンションの上がり方の理由にはなってないと思うのだけど」

提督「まあまあ、今はそんな気にする時じゃないだろ」

ビスマルク「そうよ、せっかく来たんだもの、楽しまなくちゃ!」

マックス「本当にすごい浮かれっぷりですね……」

提督「まずは初級コースだ」

ビスマルク「ふふん、楽勝よ」

グラーフ「同感だ。こんなもの、ただの坂道にしか見えんな」

提督「ほほう、いうじゃないか。なら、いきなり上級コースに行ってみるか」

ビスマルク「望むところよ」

グラーフ「かまわない」


マックス「居ますよね、ああいう初級コースで大口叩いて上級行く人」

プリンツ「あはは、ロープウェーで帰ってくるまでテンプレかな」

レーベ「でも、あの三人だよ? 帰って来るかな」

マックス「……」

プリンツ「……」


提督「二人が哀しい顔でみつめてくるんだが……」

ビスマルク「な、なんだかいたたまれなくなるわね」

グラーフ「……今回は止めておくか」

~夕方~

提督「そろそろ帰るぞー」

ビスマルク「え、まだ来たばっかりじゃない」

提督「子どもか!」

プリンツ「楽しい時間は過ぎるのが早いですね」

グラーフ「ふむ、やはり次はもっと難しいコースに挑戦したいところだな。ビスマルクもどうだ」

ビスマルク「えっ、いや……ふふ、私も待ち遠しいわ」

マックス(一回見て来て臆したパターンですね)

レーベ「今度はもっとみんな連れてきたいね」

提督「ああ、そうだな。……もっとも、次はスキー場になるかはわからんが」

プリンツ「あれ、スキー場以外にスキー出来る場所があるの?」

提督「ふっふっふ、それはその時のお楽しみだ」

マックス(これ絶対よくないパターンですね)

―執務室―

提督「皆それなりに上手だわ。バランス感覚とかがいいのかもしれんな」

提督「だからまあ、上級コースも無理じゃないんだろうが……ビスマルクはやっぱ無理そうだな」

↓2

まるゆ「隊長、まるゆと勝負してくれませんか」

提督「ま、まるゆ……さん? 何だか目が本気だけど、どういうことだ?」

まるゆ「このまま艦隊のお荷物なんて嫌なんです。だから、まるゆはまるゆ自身を鍛えたいんです!」

提督「な、なるほど。勝負の内容は?」

まるゆ「銃で的当てでどうですか」

提督「それくらいならいいぞ。しかし、まるゆは銃を使ったことがあるのか?」

まるゆ「まるゆも陸軍出ですよ。拳銃一つ使えますから!」

提督「そういう自信満々に言う奴ってだいたい駄目なんだよなぁ……」

まるゆ「まるゆはだいじょうぶです」

提督「……一応撃てるかどうかを確認するだけして始めるぞ」

まるゆ「はい!」

―射撃訓練場―

まるゆ「えいっ」パンッ

提督「うん、それくらいなら大丈夫か」

まるゆ「はい!」

提督「そんじゃ、時間制限以内に多くの的に当てた方が勝ちということで」

まるゆ「まるゆも負けませんよ!」

提督「もちろん、俺もな」

提督(……さて、そうはいっても、普段銃を使わない奴に本気出すのもなんだ。負けないくらいの手加減で勝負してやろう)

まるゆ「まずはまるゆから行きますよ!」

提督「さて、どれほどの実力なのか見せて貰おうかな」

まるゆ「では……いきます!」パパパパパン

提督「なにぃ!? 何だその連射速度!」

まるゆ「連射速度だけじゃありません」

提督「なんだと……五発中三発命中……」

まるゆ「まるゆだって日々成長しているんですよ!」

提督(予想よりは全然できてるが、せっかくなら全弾命中させろとは思う)

まるゆ「次は隊長の番です」

提督「なら、こちらもそれなりの技を見せるとするか」

まるゆ「それなりの技ですか?」

提督「まあ見てな……っと」パンパンパンパンパン

まるゆ「……あれ、一つしかあてられてませんけど」

提督「よく見てみな」

まるゆ「……! 一つの的に五発の銃弾の痕があります」

提督「ふっふっふ、どうだ」

まるゆ「でも、多くの的に当てた方が勝ちですよね?」

提督「……あ」

まるゆ「隊長はおっちょこちょいですね」

提督「なんかまるゆに言われると少し癪だな……」

―執務室―

提督「ルール確認は重要だ。特に勝負ごとにかぎっては」

提督「ま、まあ、今回はまるゆに花を持たせてあげただけだから……」

↓2

―牧場―

暁「こ、ここが牛さんとかがいっぱいいる場所なのね」

雷「楽しみね!」

提督「あんまりはしゃぎ過ぎて、動物に食べられないようにな」

響「どういう状況なんだい、それは」

電「司令官さんが連れてきた牧場ですよ、当然普通じゃないに決まっているのです」

提督「流石にそれは牧場の人が可哀想だからやめて差し上げろ」

響「遠まわしに自分は普通じゃないとも言ってるよ」

提督「自覚あるし」

電「最悪なのです」

雷「な、なんだか何時にも増して電がやさぐれてるわね」

響「ほら、今日は間宮アイスが食べられる日だったから」

雷「なるほど」

~~~~~~~~

提督「とりあえず、乳搾り体験が出来るぞ」

暁「ほ、本当!?」

雷「でも、飼育員さんが居なくちゃダメじゃないの?」

電「飼育員さんならさっきからずっといるのです」

雷「え? ……どこにいるの?」

提督「あの人はシャイなんだ。許してやれ」

響「シャイとかそう言う問題ではないような気がするけど……」

提督「あの人は人間に関わりたくない故に飼育員になったところあるから……有事の際には一応出て来てくれるから心配しなくてもいい」

雷「う、うん。そういうことならいいのかしら?」

電「良いわけが無いのです」

暁(今日の電、本当に機嫌が悪いわね……)

提督「ごちゃごちゃ言ってても時間の無駄だ。まずは誰からやる?」

暁「じゃあ、電からでいいかしら」

電「電からですか?」

提督「そうだな。電、まずはやってみてくれ」

電「は、はいなのです。……」グッ

響(あれ、反抗するかと思ってたけど、すんなり承諾したね)

提督(久しぶりに暁のお姉ちゃんモードが発動したんだろう)

響「ああ、だから……ん、あれ、口に出してたかな」

雷「電上手じゃない!」

電「そ、そうです? えへへ……」

雷「!」

響「電が……」

提督「笑った……」

電「折角人が機嫌治したというのに、失礼な人たちなのです」

―執務室―

提督「アイス食べてるときとか普通に笑みを浮かべてるから珍しくは無いんだけど、まあなんとなく」

提督「ちなみにその後、飼育員のあの人にアイスを貰ってもう一度機嫌を直してもらった」

↓2

―陽炎型の部屋三号室―

提督「疲れてないけど膝枕してくれ」

嵐「な、なんだよ司令。いきなりだな」

提督「前にしてもらった膝枕の感触が忘れられなくてな」

嵐「その言い方だと変態みたいだぞ」

提督「ちょっと自覚あった」

嵐「さすがにそんだけで膝枕をさせるほど安くねーつもりだ」

提督「何円でさせてくれるんだい?」

嵐「……なんだよ、その言い方」

提督「ちょっとアブナイお仕事の客みたいな感じの」

嵐「それでさせたら最悪だろ!」

提督「冗談だって、冗談」

嵐「司令の冗談はまれに冗談じゃ無いことがあるからな……」

提督「しかし、どうしてもだめか?」

嵐「別に、どうしてもってわけじゃねーけど……」

提督「ツンデレってやつだな」

嵐「ま、まだデレてねーから!」

提督「そしてデレたあかつきには、足を広げて前かがみにこう……カモンカモン! オゥイエー! みたいな」

嵐「何その酷い外国人かぶれ!? そんなことしねーから!」

提督「じゃあ、どういう風に誘ってくれるんだ」

嵐「どういう風って……こう、俺が正座した後に、来いよって合図するような」ポンポン

提督「ではお言葉に甘えて」ポスッ

嵐「しまった!」

提督「……でも、分かっててやっただろ」

嵐「……嫌ではないからな」

提督「しかし、疲れてはいないつもりだが、こうしているとなんだか体が軽くなるような気がしてくる」

嵐「そうなのか?」

提督「ああ。嵐の膝枕にはリラックス効果があるみたいだ」

嵐「そ、そういう風に言われるのは悪くないな」

提督「……」

嵐「……司令?」

提督「……zzz」

嵐「なんだ、寝たのか」

嵐(でも、前は寝たふりしてたからな……)

陽炎「あら、また司令に膝枕してるの」

嵐「陽炎ねえ。まあ、なんか疲れてたみたいでな……」

陽炎「ゆっくり寝かせてあげなさい。節分の後片付けにも奔走してたみたいだし」

嵐「ああ。そうする……寝てるのわかるのか?」

陽炎「ええ。それがどうかした?」

嵐「ああ、いや……」

嵐(さすが陽炎ねえだ)

―執務室―

提督「売れてない芸人みたいな流れになってしまった気がするが、果たしたからいいか」

提督「起きたら暖かい視線を送られたのにはちょっと困ったが」

↓2

―デパート―

提督「山城から誘いをかけてくるなんて珍しいな」

山城「やむにやまれぬ事情があるんです」

提督「やむに……ははん、近々バレンタインデーがあるから、それだな」

山城「どうでもいいことだけは鋭いんだから……はぁ」

提督「それでなんだ、もしかして俺が好きなチョコでも作ってくれるとか」
山城「黄色の救急車呼びますか?」

提督「……まあ、知ってたが。ちゃんと扶桑が好きなチョコをリサーチしてきたか」

山城「当然です」

提督「よし、ならそれを買えば終わりか。……あれ、俺が来る意味あるか?」

山城「荷物持ちですよ」

提督「チョコくらいで荷物持ちは必要なくないか」

山城「私が持って帰ると、途中で落としたり鳥にたかられたりするから……」

提督「不幸すぎるだろ」

~~~~~~~~

提督「流石にまだ日があるからか、店はチョコを押したりしてないな」

山城「そうですね。種類もいつも通りですから、探さなくてもいいですね」

提督「ほほう、それが扶桑の好きなチョコか」

山城「! ……提督は姉さまにあげたりしませんよ、ね」

提督「バレンタインデーに一人にあげたら全員にあげなきゃならんから基本的に誰にもあげん」

山城「そうですか」

提督「ただ、貰ったら話は別だけどな」

山城「……ほ、ホワイトデーに何か返すってこと?」

提督「まあ、そうなるかな」

山城「……」

提督「どうした、山城」

山城「提督の貰うチョコにも不幸があればいいのに……」

提督「うわ、ひっで。でも、それならいい方法があるぞ」

山城「一応聞いておきますけど、どんな方法ですか」

提督「山城がチョコをくれたら実現可能だぞ」

山城「そんなこと言う提督には、思いっきり私の不幸を混ぜ込んであげますから」

提督「ははは、そりゃ楽しみだ。……あれ、くれるの?」

山城「何をですか」

提督「チョコ。否定するどころか、作る気満々みたいだけど」

山城「練習用に作った分が捨てるのもったいないですから、提督にあげようと思ってただけです」

提督「練習用のチョコに不幸混ぜ込むなよ」

山城「ふん」

提督「山城は昔から変わらんなぁ」

山城「私はいつでも扶桑姉さま一筋ですから!」

―執務室―

提督「実はちょっと期待してたけど、なんにもなかったなぁ」

提督「どうせなら、本当に鳥がたかったりするのか見てみたかった」

下2

青葉新聞『司令官と山城がデパートでデート!?』

提督「またあいつはゴシップ記事を……」

霞「たしか艦娘個人のプライベートの記事は禁止よね」

提督「一応な。最近は無いと思ってた矢先だな」

霞「しょうがないんじゃないの。この時期は皆ピリピリしてるみたいだから」

提督「さらに燃料を投下してどうする。秘書官らしくない物言いだな」

霞「……そうね、私もちょっと周りの空気に流されてたみたい」

提督「やっぱあの日は女性にとって重要な日ということか」

霞「それで、どうするの」

提督「青葉については……そうだな、ちょっと悪質な噂で反省させてやろう。くっくっく」

霞(これ本来なら止めるべきなのよね。不幸な目に遭ってる人の事も考えて、静観しておくけど)

~次の日~

衣笠「改二がでるって本当?」

青葉「へ?」

衣笠「だから改二」

青葉「青葉に?」

衣笠「うん、そういう噂が流れてみるみたいだけど」

青葉「……」

衣笠「青葉?」

青葉「裏付けを取ってきます!」ダダッ

衣笠「あ、あーあ……本当に良かったの?」

提督「とか言って、ノリノリで聞いてたじゃないか」

衣笠「いつものパターンだからね。こうして反省させて、少しだけ大人しくなる」

提督「なるほど、改二がある奴そういう反応か」

衣笠「?」

提督「さて、おそらくは夕方……いや、夜かな」

~夜・防波堤~

ザザーン

青葉「……」

提督「なんだ、珍しく黄昏ているじゃないか」

青葉「……司令官ですよね、あの噂」

提督「そっちの裏付けはとれたのか。そうだとも」

青葉「う、うぅ……酷いですよぉ……グスッ」

提督「あー、泣いちゃうほどか」

青葉「衣笠は先駆けて、他の重巡だって半分は改二があって……」

提督「高雄型はまだ改二がないぞ」

青葉「重巡の中で、青葉だけ弱いってことは知ってるんですよ!」

提督「弱い、ねぇ」

青葉「司令官は青葉の心を傷つけました。……もうチョコなんてあげませんから」プイッ

提督「……弱いって言っても、別に俺は強さだけで見ていないだろ」

青葉「……」

提督「青葉には青葉しかできないことがある。だから、それを頑張ればいいんだ」

青葉「……じゃあ、今後も自由に記事を作って良いですか」

提督「それは駄目」

青葉「青葉が泣いているのに司令官は鬼ですか!」

提督「そこでいきり立つ時点で嘘泣きだってばれてるからな」

―執務室―

提督「情報を集める速さは流石。しかし、青葉は怒られる事分かっててあれ書いただろう」

提督「そもそも青葉は戦闘よりも新聞作ってる時の方が好きだろうに……」

↓2

―談話室―

リットリオ「すまっしゅ……ぶらざーず?」

ローマ「ニンテンドーのキャラたちが戦うゲームね」

提督「やったことあるのか?」

リットリオ「私はないですね」

リベッチオ「リベはここに来てやったことあるよ。ローマに教えて貰ったの!」

ローマ「リベ……!」

提督「なるほど、ローマがなぁ。それは意外や意外」

リットリオ「これをどうするつもりなんですか?」

提督「どうせなら一緒にプレイしようと思ってな」

ローマ「……初心者と経験者が一緒にプレイした場合、大体どちらも楽しめない結果になるわよ」

提督「経験者は語るな。だが心配するな、これは最新のforだ。つまりあれがある」

ローマ「ワースマかしら」

提督「あんな存在も忘れるルールなんてどうでもいいわ。俺が言いたいのはな……」カチカチ

リベッチオ「はちにん?」

ローマ「なるほど、八人乱闘。その手があったわね」

提督「リベッチオは一応やったことあるか。リットリオに操作を教えてからスタートだな」

リットリオ「お、お願いします」

~ダイジェスト~

リットリオ「なるほど、簡単操作ですね」

提督「よし、大体覚えたか。上必殺で戻れることを忘れるなよ」

リットリオ「はい。……あれ、この子歌って落ちていきましたが」

提督「はいはい、初心者は左上のおっさん使ってましょうねー」


ローマ「あれ、これ仲間なのに当たるのだけど……」

提督「そりゃチームアタックありにしたからな」

ローマ「仲間が撃墜してマイナスが2も入ったのだけど……」

提督「そりゃ自滅点2にしたからな」

ローマ「コンピューター三人押しつけたのはそのためなのね」

リベッチオ「うーん、この技当たんないー」

ローマ「前にも言ったけど、その技は当てれる技じゃないから」

提督「それはどうかな!」

ローマ「あっ、掴まれ……!」

リベッチオ「今だね! 魔人拳!」<ドゴン

リットリオ「コンビネーション攻撃ですね!」

提督「はーっはっはっは……あ、俺もやられてら」


リットリオ「この技凄いですね! ほぼ一撃ですよ!」

ローマ「またやられた……上手ね……」

提督「乱戦とはいえ、あの的確に眠ってくる技術は何だろうな」

ローマ「初心者特有の急成長ね」

リベッチオ「あはは、魔人拳!」<ドゴン

リットリオ「あっ、寝ている最中だったんですよ!」

ローマ「リベも当てるの上手くなったわね」

提督「反転だと一撃なんだよなぁ。てか二人は仲間だぞ」

―執務室―

提督「弱キャラを使いこなす初心者とはこれいかに」

提督「ちなみに八人の乱戦はプレイの上手さがあんまりでないからおすすめ。ハマったら凄く面白い」

↓2

―食堂―

秋月「パクパク」

赤城「あむあむ、いいですねー恵方巻きって」

雲龍「モグモグ……」

提督「……なんでこいつら今更恵方巻きをがっついてんの。秋月とかショック死しないよな」

秋月「し、しませんよ!」

提督「よく見れば玉子焼きだけのやつしか食べてないな」

朧「今年の恵方巻きが余ったみたいなんです。コンビニのニュースとかになったあれです」

提督「毎年やってるよな。今年は酷かったらしいけど」

秋雲「それで余った分をみんなで食べてるってわけ。提督も一口いる?」

朧「これだけの量があるんだから、一口と言わずどんどん食べてもらっていいですけどね」

赤城「私が食べてもちょっとギリギリですからね」

雲龍(まだかなりの量が残ってるのだけど、それでギリギリ……)

提督「ふーん。それよりメンバーが珍しくてな」

雲龍「私は赤城さんに誘われただけですから……ぱくっ」

秋雲「赤城さんが食べる姿は絵になるとの噂なので、スケッチに。ついでに頂こうかなと」

朧「食堂に来たらたまたま……」

秋月「私も誘われたので。あむっ」

提督「玉子以外にも手を付けろよー。しかし、間宮たちが分量ミスるとは珍しいな」

赤城「これ間宮さん達の作った物ではありませんよ」

提督「そうなん?」

赤城「明石さんのお店で余ったものです。一ケタ間違えて入荷していたらしいので」

提督「明石もおっちょこちょいだなー」

赤城「私は沢山食べられてうれしいですけどね♪」

雲龍「凄くご機嫌ですね。でも、間違えるなら装備の方を間違えてくれれば……」

提督「良い装備を間違えたら明石の店が一瞬で赤字になるがな」

朧「秋月、他の巻き寿司にも手を付けたらどう?」

秋月「え、いえ、その、なんだかもったいない気が……」

秋雲「どうせ廃棄品でしょ。気にしない方が良いと思うよ」

秋月「そ、そうですか? では、この高級そうなもので……!」

朧「穴子は高級じゃないよ」

秋雲「海鮮巻の方が価値は高いからね」

秋月「そうなんですか?」

提督「海近いから勘違いするのもおかしくはないが……そういうことだ」

秋月「そうなんですか……で、では、食べさせてもらいます!」

朧(恵方巻きってこんなに意気込むものだっけ)

秋月「……お、美味しいです」

秋雲「そりゃあねっと。はい、一枚良いのが描けたよ!」

提督「ほお、秋月がかぶりついてる姿のスケッチか。上手だな」

秋月「上手だからこそ、恥ずかしいですよ!」

提督「それもそうか。ははは」

秋雲「……ところでふと思ったんだけどさ、たしか恵方巻きってある方向を向いて無言で食べる物じゃなかったっけ」

朧「そういえば、そんな話を曙から聞いたっけ」

提督「……よし、今からやり直すか」

朧「それってアリなんですかね……」

―執務室―

提督「まあでも、気にして食べるより赤城みたいに何も気にせず食べている方が幸せそうに見えるのは確か」

提督「しかし、種類自体はいろいろあったが、あれ全部ケタ間違えてたんなら明石今頃大変だろうな」

↓2

提督「グラタン、そういえばお前はかの有名なスツーカを搭載しているそうだな」

グラーフ「そうだが、何を考えている?」

提督「ちょいと面倒な敵がまたしても多数発見された。そいつらを狩る」

グラーフ「狩る、と言うが、そんな簡単にいくものか」

提督「敵は艦載機とかではない。少々特殊な作戦だが、妖精さん達の操縦が上手であれば十分可能だ」

グラーフ「熟練度は日々の演習で十分鍛えてある」

提督「ならばいけるはずだ」

グラーフ「勝算があるのならば付き合おう。敵は何だ」

提督「PT小鬼群、あいつらだ」

~数日後・オートロ島~

PT子鬼群「きょ、今日はあいつら来ないよね……?」

集積地棲姫「だ、大丈夫、さすがに毎日はこない筈……」

<ブーン

PT小鬼群「あああああ!! 悪魔のサイレンだー!!」

集積地棲姫「私が守ってあげるから、みんな集まって!」

PT小鬼群「で、でも集積地棲姫様!」

集積地棲姫「気にしないで、私ならあまり効かないから」

PT小鬼群「でも物資が……」

集積地棲姫「物資はまた集めてくればいいの。でも、あなた達はかけがえのない仲間だから……」

PT小鬼群「集積地棲姫様……」

集積地棲姫「うう、でも、もう来ないで……帰れよぉ……」

~少し離れた場所~

グラーフ「もう何日も連続してだが、効果のほどはあるのか」

提督「集積地棲姫が守り始めてからは効果的な戦果は望めてないな。だが、なにより本物のラッパは敵の士気を落とす」

グラーフ「そうか。聞いた話では艦隊の交戦も最近ではかなり優勢だそうだな」

提督「正直可哀想になってきてはいるがな。さて、今回も物資と敵にちょっかいかけて帰還しようか」

グラーフ「分かった」

霞「あんたらえげつないわね」

提督「どうした秘書官、そろそろ出撃だろう。休んでいなくていいのか」

霞「その艦載機のお蔭で大分楽に制圧させてもらってるから平気よ」

グラーフ「ふむ、そんなにこのスツーカが怖いか」

提督「そりゃジェリコのラッパ、悪魔のサイレンと有名なぐらいだからなあ。前にそれっぽいのを試した時は何もつめなかったが、こちとら機関砲に爆弾も積めるからな」

グラーフ「ふむ、そういえば今日は機関砲が積まれていたな」

提督「対地でも活躍していたという話だからな。集積地棲姫がかばってるから、試しに着けてみたんだが……」

<シュウセキチセイキサマー!
<ミンナー!

提督「……あー、流石にこれはかわいそうだな」

グラーフ「妖精さんもすごいな、急に変わったのに手足のように操っているぞ」

霞「おそらくあいつら、ここの二人が死ぬほど恨めしいでしょうね……」

―執務室―

提督「いやー、まさかの戦果だったな。支援感覚で出してたのに大成功してしまった」

提督「でも妖精さんも凄かった。あれすっごいバランス悪くなるって話なんだが。空の魔王でも乗ってるのだろうか」

↓2

日向「提督聞いたぞ、剣道強いらしいではないか」

提督「いったい誰から……ああ、天龍か」

日向「悔しそうに地団太を踏みながら言っていたからな」

提督「そんなに悔しがってたのか……」

日向「そんなわけで、一試合しようではないか」

伊勢「すみません提督、話を聞いてから日向がやる気みたいで」

提督「正直戦艦級は強いから立ちあうのも嫌なんだが……」

日向「ふっ、武術を嗜む者は挑まれた勝負に背は向けないのだろう」

提督「誰が言ったんだよそれ。ま、いいか。トレーニング場に集合な」

日向「楽しみにしていよう」

伊勢「提督、頑張ってくださいね」

日向「何を言っている、伊勢もやるのだろう」

伊勢「えっ」

―トレーニング場―

提督「……」

日向「早いではないか。先に来て精神統一といったところか」

伊勢「本気なんですね」

提督「本気でいかねば圧倒されそうだからな……」

日向「では、まずこの日向から相手にしてもらおうか」

提督「そうか。では、どこからでもかかってくるがいい」

日向「余裕そうだな。そちらがその気ならば……」スッ

伊勢「えっ、剣道ならちゃんと挨拶から……」
日向「はぁああああああああ!!」シュッ ガッ

提督「甘いな。イヤアアアアアアアア!!」カンッ パシッ

日向「くっ……」

提督「掠ったか。だが、これは見切れまい! キエエエエエエエエエ!!」カンカンカンカンカン バシッ

日向「ぐはっ! 馬鹿な、この日向の目をもってしても見切ることが出来なかっただと!」

提督「素手なら負けていただろうな。だが、剣道であればやりようはある」

伊勢(剣道なら意図的な鍔迫り合いと挑発行為で反則負けだけど)

日向「ふっ、ならば大人しく負けを認めよう。だが、こちらにはまだ伊勢がいる」

伊勢「やっぱり私もやるの?」

日向「当然ではないか」

提督「次は伊勢か。相手にとって不足は無い」

伊勢「私がやる事は決定なのね。では、未熟者ですが、お願いします」スッ

提督「……!」

提督(なんだと、対峙した瞬間に凄いオーラを感じる!)

日向(我が姉は私ほど甘くは無いぞ、提督)

提督(日向の視線、俺を挑発しているな。いいだろう、目に物を見せてやる)

伊勢(なんだろう、私だけついていけてない気がする)

伊勢「では提督、いつでもどうぞ!」

日向(はて、下段……伊勢が剣道をしたときに見た事あっただろうか)

提督「下段構え……見ない型だが、やってやろうではないか!」シュッ

伊勢「そこっ!」バシッ

提督「っ!? は、早……」

伊勢「本来切り上げでは有効打になりませんけど、剣道ではないのなら大丈夫ですよね」

提督「一応剣道ということなんだが……あ、いえ、なんでもないです」

伊勢「では、次をしましょうか」

提督(やばい、これ本気にさせてるわ)

―執務室―

提督「剣道といえど無駄な攻防もしてみたかった。うん、剣道というべきではないけど」

提督「でも伊勢は強いな……さすが日向の姉ということはある」

↓2

―母港―

提督「冬の魚もうまいんだ、これが」

吹雪「それでバーベキューですか」

提督「おうよ、釣りながら食べる事によって新鮮な魚をそのまま頂くことが出来るんだぞ」

叢雲「司令官は釣らない方が好きじゃ無かったかしら」

提督「そもそも俺は釣りが下手な事が分かった。だから、お前たち次第といったところだ」

深雪「つまりあたしたちが釣れればたくさん食べられるって事か」

磯波「あ、それはそれで楽しそう……」

初雪「えー……誰か代わりに釣って……」

白雪「釣れたら分けてあげるからね」

提督「釣竿は全員分用意してある。好きに釣ってみろ」

吹雪「はい!」

提督(釣れたらの話だがな)

~数時間後~

深雪「釣れないぞ」

白雪「釣れないねー」

提督「んー、やっぱそうか」ジュー

叢雲「やっぱって、何か知ってんのね」

提督「冬はボウズもザラだからな。俺なんかは冬釣りは釣れるものだと思ってない」

初雪「えぇー……」

磯波「沖合に出れば違うかもしれませんね」

提督「バーベキューできないじゃん」

叢雲「そういえば、やけにバーベキューの材料も多いと思ってたけど、ハナから釣れると思ってなかったからなのね」

提督「そうともいうー」

深雪「じゃあ意味ないじゃん。やめやめ、司令官、その肉あたしのだからー!」

白雪「えっと、どうする?」

吹雪「司令官は釣れないとは言ってない。だから、私はここで何か釣ってみることにする!」

白雪「そっか。なら私も付き合うね」

吹雪「ありがとう!」

提督「感動的だがなぁ……」

叢雲「ふん、あんたがそんなだから釣れないだけじゃないの」

提督「ほう?」

叢雲「信じれば、とは言わないけど、諦めなければ起こることだってあるのよ」

提督「さて、そんな事が起こるはずが……」
白雪「あっ、引いてる!」

深雪「ほんとか!」

白雪「う、うん、ちょっと抵抗があるだけだけど……」

磯波「早く引き上げよう!」

白雪「うん! えいっ!」バシャッ コトン

初雪「……痛い」

提督「空き缶か。テンプレ的だな」

白雪「あう……」

叢雲「……あら、その傍らではもっとテンプレ的な事が起こってるけど?」

吹雪「吹雪、やりました! ちゃんとつれましたよ、ウナギ!」

提督「……それアナゴだけどな」

―執務室―

提督「ビギナーズラックって本当にあるんだな」

提督「それともあんまり調べて無かっただけで、今日は釣りに適してた日なのか……」

↓2

―利根型の部屋―

筑摩「暖かくなったり冷え込んだり、なかなか気性が安定しませんね」

提督「だな」

利根「ふっふっふ、そんな千曲に良いものを提案するのじゃ」

筑摩「いいもの、ですか?」

利根「じゃじゃーん。「きるんけっと」じゃ!」

筑摩「きるんけっと……聞いたことないわね」

利根「これは袖がついているブランケットじゃな」

筑摩「袖がついているブランケット、ということですか」

利根「袖口が狭いから、作業の邪魔にならんのじゃ!」

筑摩「……」

筑摩「(提督、騙したわけじゃないですよね)」

提督「(なんで俺を疑う。まったく関係ないんだが)」

筑摩「(なんでしょう、なんとなく提督の販促の仕方に似ていたものですから)」

提督「(気のせいだそれは)」

筑摩「……まあ、それはすばらしいですね」

提督(付き合う方に決めたのか)

利根「だろう。提督もどうじゃ」

提督「え、えー……」

筑摩「……」クイッ

提督「す、すごいなそれは! ぜひ俺も使ってみたいな!」

利根「じゃろう。そういうと思って、実は用意してきたんじゃ!」

提督「無駄遣い」

筑摩「何か」

提督「筑摩が反応すんなよ、怖いわ!」

利根「まあまあ、着てみるといい」

提督「……」ゴソゴソ
筑摩「……」ゴソゴソ

利根「どうじゃ」

提督「思ったよりかはいい感じだな」

筑摩「腕は確かに悪くはないですね」

利根「ふふーん!」

提督「(裾がすごい長いのは気になるがな)」

筑摩「(姉さん、あんまり着たことないんでしょうね。間違いなく裾を踏んで転びそうですから……)」

利根「む、どうかしたか」

提督「いやー、これはあったかくていいな!」

筑摩「着脱だけで気温の変化にも対応できますしね」

利根「なるほど! さすが筑摩じゃ、見るところは見ておるの!」

提督「じゃ、じゃあ、俺は部屋に戻るから……」

利根「そうか? では、気に入ったのならそれはプレゼントするのじゃ」

提督「え、いらな……わーいうれしいなー!」

―執務室―

提督「……確かにあったかい。腕を動かすだけの作業なら邪魔にならない」

提督「事務作業なら確かに便利だこれ!」

下2

―談話室―

提督「おや、どうしたんだ木曽」

木曽「ん? ああ、チョコの消費に困ってな」

提督「なんでそんなにチョコ買ったんだよ。面白いことするやつだな」

木曽「買ってないぞ。もらったやつだ」

提督「そんなに貰ったのか?」

木曽「そうなんだよな……提督だって、昨日たくさんもらっただろ」

提督「なんで?」

木曽「は?」

提督「?」

木曽「……提督、昨日はバレタインデーだぞ」

提督「へー……え!?」

―談話室―

提督「おや、どうしたんだ木曾」

木曾「ん? ああ、チョコの消費に困ってな」

提督「なんでそんなにチョコ買ったんだよ。面白いことするやつだな」

木曾「買ってないぞ。もらったやつだ」

提督「そんなに貰ったのか?」

木曾「そうなんだよな……提督だって、昨日たくさんもらっただろ」

提督「なんで?」

木曾「は?」

提督「?」

木曾「……提督、昨日はバレタインデーだぞ」

提督「へー……え!?」

木曾「まさか一個ももらえてないのか?」

提督「……ああ」

木曾「すまん」

提督「謝るなよ! なんか悲しいだろ!」

木曾(しかし、提督が貰えなかったとかあるのか? 俺みたいに今の海域の攻略が終わったらとか考えてる奴ばっかじゃないと思うんだが……)

提督「はぁ……ある程度好かれてると自負してたつもりなんだけどな……」

木曾「……そういうことならいくらかやるよ」

提督「いいのか!?」

木曾「こっからここまでのチョコだけな」

提督「そのわけ方は?」

木曾「手作りか既製品かだ。手作りまでしてくれたのを渡すのは悪いだろ」

提督「なんかかっこいい……」

木曾「提督からかっこいいって言われてもな」

提督「では、おこぼれにあずかるとしよう」

木曾「おう。気にしなくてもいいからな。顔も見たことない相手だしな」

提督「え、なんそれ」

木曾「なにって、出撃時か取材かの時に知ったのか、なんか知らん相手から届くんだよ」

提督「木曾はそんな相手から届くのに、俺は……」

木曾(また落ち込んだ……ったく、俺たちの提督は面倒な性格してるな)

木曾「しゃあねえな、これやるよ」

提督「これは?」

木曾「俺からだ。一個だけだが、無いよりましだろ」

提督「木曾……お前がこういうことするなんて意外だな」

木曾「嫌なら返してもらうぞ」

提督「いやいや! ありがたくもらうよ。ありがとな木曾」

木曾「ふん。まあ一番をとれるのならとっておいても悪くないしな」

―執務室―

提督「念願のチョコを貰ったぞ!」

提督「……人のチョコ貰って喜ぶのはどうだかって話だが」

下2

―秘書官室―

提督(やっぱり貰えてないのはおかしい。くそ、絶対秘書官が何か知っているはずだろ)

提督「失礼するぞ……っと、留守か」

提督(出直すか。いや、鍵が開いてるということはすぐに戻ってくるはず。ちょっと待たせてもらうか)スタスタ

提督「……なんか俺の机より紙の量が多い気がするんだが……あれ、これは」ペラッ

霞「なにしてるの」

提督「ビクッ……あ、ああ秘書官ではないか」

霞「? 今何か隠したかしら」

提督「いやいや、秘書官の部屋で一体何を持ち出そうというのか。わざわざ仕事をもらいに来たわけじゃないのに」

霞「秘書官から仕事貰うって発想がどうなのよ。とりあえず、プライベートのことなら後で頼むわ。今は手が離せないの」

提督「わかった。じゃあ後でまた伺おう」

霞「ええ」

―執務室―

提督「……持ってきてしまった。この、『今年のバレンタインデーについて』という紙を」

提督(今年のバレンタインは海域の攻略までは司令官にチョコを渡す行為は禁止……まさか秘書官がバレンタインを中止にしていたのか)

提督「なるほど、つまり一仕事終えればチョコに囲まれることができると」

霞「はあ、やっぱり持ってきてたのね」

提督「い、いつの間にここに!」

霞「そりゃ一番上においてあったものが無くなったのだからすぐに気づくわよ」

提督「それもそうか……それで、これに書いてあることは本当か?」

霞「ええ、一度騒動になると危険だから徹底させたわ」

提督「はあ、そりゃもらえないわけだわ」

霞「でもこれが終われば……今なんて言ったの?」

提督「ん? 貰えないわけだって」

霞「貰えなかったぁ!?」

提督「お、おう」

霞「……司令官、ちょっと気の毒なこと言ってあげるわね」

提督「秘書官がそんな前置きをするなんて珍しいな」

霞「本人にとってはショックかもしれないからよ」

提督「……それって聞かない方がいいこと?」

霞「夢は持てるわね。ことが終わるまでは」

提督「……言ってくれ」

霞「それは一部の止めが効かないような相手に向けただけだから、良識持ってる人やそこまで本気じゃない人には対象にしてないのよ」

提督「つまり?」

霞「悪いけど貰える量は想像しているよりずっと少ないわよ」

提督「なん……だと」

霞「最悪、親愛の情として義理くらいはプレゼントされるかと思ってたのだけど……司令官、もしかして」

提督「や、やめろ! 言うな!」

霞「実は人望ないのね」

提督「」

―執務室―

提督「ば、馬鹿な、救いはないというのか……」

提督「あれ、机の中にチョコが……よ、妖精さんから!? 気づかなかった……ありがとう、妖精さん」

下2

―陽炎型の部屋一号室―

陽炎「へー、そんなことがあったのね」

提督「悲しい現実を思い知らされた気分だ……」

陽炎「チョコ貰えてなくても嫌ってるというわけでもないし、そこまで悲観しなくてもいいと思うけどね」

提督「俺も昨年まではそう思っていたけど、いざ一個ももらえないとなると、ちょっと来るものがな……」

陽炎「ふーん、そういうものなのね」

不知火「……なんで司令官が普通に部屋でお茶してるんですか」

陽炎「今に始まったことじゃないけどね」

提督「もう慣れただろ」

不知火「そういう問題ではないと思いますけど」

提督「まあまあ、気にするなぬいぬい」

不知火「ぬいぬいって言わないでください。そんなだからチョコを一個ももらえなかったんじゃないですか」

陽炎「あ、それ禁句」

提督「なんだと! そんなこと言う不知火にはお仕置きだ!」

不知火「お仕置きって、あ、やめてください!」

提督「くらえ! くすぐり攻撃!」コチョコチョ

不知火「そんな子供みたいな……ぁっ、はっ……!」

提督「いつまでこらえてられるかな!」コチョコチョ

不知火「くっ……ぅっ……け、かげっ……たす……!」

陽炎「あー、お茶がおいしいわね」

不知火「む、むしですかっ……あはっ……くろしおっ……」

黒潮「お茶ついでもらってもええか?」

陽炎「ええ」

黒潮「おおきに」

不知火「ふたりと……っ」

提督「どうやら助けはないみたいだな。限界までくすぐりはやめんからなー!」

不知火「……っ!」

~数分後~

不知火「……」

提督「あー、すまん!」

陽炎「無視してた私達もだけど、まさかねぇ」

黒潮「まさかここまでやるとはなぁ」

不知火「……」

提督「本当に悪かったと思っている。だから機嫌直して……とは言わないが、泣き止め、な?」

不知火「……泣いてません」

提督「でも、なんか声聞こえるし……いや、気持ちはわかるぞ。俺もここまでされたら泣くしな」

不知火「司令官」

提督「はい」

不知火「それ以上言うなら、いくら司令官でも殺しますよ」

提督「はい」

―執務室―

提督「無理に笑いをこらえてひきつけ起こすくらいならセーフだと思った」

提督「だが、まさか予想を超えて、やらかすとは……いや、俺が悪いんだけど」

下2

―秋月型の部屋―

提督「歓迎会か。マメだな」

秋月「照月の時もしましたから、当然初月だってしますよ」

提督「うんうん、それは全然いいことだと思うぞ。俺だってよく参加するしな」

照月「あれ、今回も提督は参加?」

提督「暇だしな」

秋月「暇、なんですか……?」

提督「今はだぞ、今は。ついさっき作戦を終えたところだし、少しの休息だ」

秋月「それならいいのですが……」

照月「提督はたまに不真面目なところがあるから」

提督「否定はしない」

秋月「とりあえず、前回と同じようにしようかと思うんです」

提督「前回と言えば……あの豪勢(秋月視点)な料理か?」

秋月「なんだか含みがある言い方しませんでしたか?」

提督「気のせいだ」

照月「それもいいと思うんだけど、私達もここにきていろいろおいしい料理を口にしたんですよ」

提督「まあ、そうだな」

照月「だから、今度は本当に豪華な食事を用意しようかなーとも思ってるの」

秋月「でも、それには私たちが豪華と言える料理を知らないから……」

照月「今回も提督は手伝ってくれますよね?」

提督「そのつもりだが」

照月「だったら、提督に教えてもらお、秋月姉」

秋月「し、司令に……?」

照月「ほら、提督って料理も結構上手でしょ。この際ね」

秋月「えと……司令、どうでしょうか」

提督「かまわんぞ。本当に豪勢にしてもいいというのならば、手伝いになるはずだ」

秋月「ありがとうございます!」

照月「料理はこれでばっちりだね! 飾りつけとかは私達の方でするから、提督は料理を考えておいてくださいね!」

提督「おお、なんか今回は本格的に歓迎会の準備っぽいぞ!」

秋月「はい。三人で必ずいいものにしましょうね!」

照月「うん!」
提督「おう!」

―執務室―

提督「前回は秋月に丸投げな部分が多かっただけに、全員で作り上げる感じが出てたと思う」

提督「さて、当の初月とやらはどう反応するか。意外と慣れてたりして。……あの二人の妹でそれはないか」

下2

提督「作戦終了まであと一週間くらいか……」

霞「ええ、だから頑張りなさい」

提督「……なんつーか、俺だけ頑張るの違くない?」

霞(またなんか言い出した)

提督「結局ああなったのも、浮かれた空気になって、もし作戦に失敗したら俺に全責任がのしかかるから気をまわしたからだろう」

霞「え? ええ……まあ、気をまわしたわけじゃないけど、失敗する確率を減らすためではあるわね」

提督「だったらもう責任は平等に持つべきじゃない?」

霞(どうしてそうなるのかしらね)

提督「作戦終了までは真面目にしよう。だが、各自全てについて平等にする。なにもかもだ!」

霞(またわけわかんないこと言うわね)

提督「共産の夢をここに実現してやろうではないかーー!!」

霞(大人しくチョコを上げてればこんなことにならなかったのかしらね……はぁ)

―食堂―

赤城「……少なくありません?」

秋月「すごく豪華じゃありません?」

間宮「また提督が何か始めたものですから」

伊良湖「私たちも今日は仕事に暇を出されていて、こちら側に……」

鳳翔「私も趣味のようなものですが、出してるお店を休みにしてほしいと」

青葉「こちらで聞いてみたところ、共産体制にしたいみたいらしいです」

響「共産……なんだかあそこを思い出すよ」

大和「正直私はこれくらいじゃ足りないんですよね……」

妙高「そういう方々は直接申請すれば出すと言ってましたよ」

龍驤「それ共産できてないやろ」

龍鳳「そういうところは提督らしいですけどね」

―北海道北東沖―

提督「……」

戦艦棲姫「人間だと……? 身一つで何しに来た」

提督「今の鎮守府は共産……つまり、俺自身も艦娘と同じってことだ」

戦艦棲姫「(何言ってんだこいつ)」

空母棲姫「(さあ……)」

提督「さあかかってこい。すべてが平等になった今、おれも平等に戦えるだろう」

戦艦棲姫「(さすがにかわいそうだから救急車呼ぶか?)」

空母棲姫「(でも鎮守府とか言ってたし、もしかして偉い人なんじゃ……ここで倒せば劣勢も覆ると思わない?)」

戦艦棲姫「(馬鹿言え。こんな頭おかしいやつが偉いわけないだろ。どうせ狂人だ、相手するのも面倒だから陸に送り返せ)」

空母棲姫「(面倒だからここで倒した方がよくない?)」

戦艦棲姫「(こんな頭のおかしい人間を沈んでいった仲間と同じ場所に行かせるのは嫌だ)」

空母棲姫「(それもそうね)」


重巡棲姫「まだ攻撃したらダメなの?」

提督「まずは航空戦からだろう」

重巡棲姫「そうなの。じゃあ待っておくわ」

―執務室―

提督「勝手に出撃したことをしこたま怒られてしまった……」

提督「そもそもなんか違ったらしいし、うーむ……真面目に考えた結果だったのだが」

下2

春雨「司令官、チョコをつくりたいです!」

提督「チョコ?」

春雨「はい! ……あれ、司令官、もしかしてお仕事中ですか?」

提督「まあ、一週間は真面目にするって宣言したからな。共産は怒られたからやめたけど」

春雨「そうですか……では、失礼しますね」

提督「おいおい待てよ。俺にも休憩する時間は必要だぞ」

春雨「え……?」

提督「そろそろ休憩しようと思ってたんだ。ちょうど甘いものも欲しかったし、俺もチョコ作るよ」

春雨「いいんですか?」

提督「あくまで俺がチョコ欲しいから、そのついでな」

春雨「司令官……はい、ありがとうございます」

―食堂―

提督「さて、誰にあげるのかは知らないけど、手作りチョコに重要なのは気持ちだ」

春雨「はい! それ以外にはありますか?」

提督「正直春雨の料理の腕なら失敗はないと思う。だから、重要なのはそれだけだな」

春雨「そうですか?」

提督「というか、バレンタインデーの時にチョコを作ったんじゃないのか? 白露型で友チョコとかしてただろ」

春雨「そうですけど、その……今回作るのは特別なものですから……」

提督「特別ねぇ……そこまで思ってるなら大丈夫だろ。気にせず作るといい」

春雨「はい!」

提督「さて、俺も適当に作るとするか」

春雨「司令官は誰かにプレゼントするんですか?」

提督「これは自分のためだって言っただろ」

春雨「それ本気だったんですか」

提督「予想以上にもらえないことが判明したからな……せめてもの慰めだ」

春雨「一応、私は司令官にあげるつもりなんですけど……」ボソッ

提督「えっ、なんだって?」

春雨「な、なんでもないです!」

伊良湖(初めて難聴ってやつを聞きました)

~~~~~~~~

提督「よっと、上手にできたな」

春雨「そうですね……」

提督「なんだ、なにか心配事か?」

春雨「心配事と言いますか、なんだか司令官のチョコの出来もいいので……」

提督「欲しいのか? ほら」

春雨「えっと、いただきます! ……お、おいしい……」

提督「なんだ、ショック受けたような顔して。甘いもの食べたら自然と笑顔になると思うんだがな。あむ、うむ、うまい」

春雨「……や、やっぱり、少し変えます」

提督「変える?」

春雨「はい、司令官がおいしいチョコを作れるのなら、作るものを少し変えようと思うんです」

提督「ん、そうか。そろそろ仕事に戻らなければならんから付き合えないが……」

春雨「いえ、ここまで付き合ってもらって十分です。勉強になりました」

提督「誰にあげるのかは知らないが頑張れよ」

春雨「はい!」


伊良湖「本当に提督は最後まで誰にあげるつもりなのかわからなかったんでしょうか」

間宮「提督はあまりもらえると思ってないみたいですから、期待値が上がらないように自分で制限をかけてるのだと思いますよ」

伊良湖「なかなか難儀な性格してますね……」

―執務室―

提督「糖分摂取で能率もアップ。だが食べすぎはいかん」

提督「そう、食べすぎはだめだ。ダメなんだ。だからもらうのが少なくてもそれはそれで悪いことではないはず……」

下2

提督「ふぅ、書類整理もつかれたし、この妖精さんが作ったチョコの詰め合わせを食べるか」

提督(お、今日は甘いのか。そういや、前に労わったのっていつだっけな……)

提督「……よし、ちょいと休憩てがら行ってくるか」


―工廠―

提督「妖精さんいるー?」

明石「妖精さんならいろいろな場所にいると思いますけど」

提督「それもそうか」

明石「何か用ですか?」

提督「バレンタインのチョコもくれたし、普段から世話になってる分の労いをな」

明石「そういうことですか。ええと、今誰がいますかー?」

江草隊「今は私と六〇一空ちゃんだけですよ~」

六〇一空「不特定多数の妖精ならいますけどねー」

提督「二人だけか。そういえば修理の妖精さんとかはいつでも出番が来てもいいように待機させてたか……」

江草隊「何の用ですか~?」

提督「いやなに、チョコをくれたからお礼にと思ってきたのだが、誰があげたのか知っているか?」

六〇一空「あれはたしかみんなで作ったよねー」

江草隊「ええ、そうですね~」

提督「え、そうなのか」

明石「そういえば私ももらいましたね」

江草隊「でも気になさらなくてもいいですよ~。あの時はみんな暇でしたから~」

提督「貰っておいて何もなしというのはないだろう。なあ、明石」

明石「そうですね。皆さんにはほかにもお世話になっていることですし」

提督「……よし明石、みんなに最高の機体を作ってやるぞ!」

明石「いいですね。さらに他の子たちにはお菓子とか作ってあげるのも……」

提督「そうと決まればさっそく!」

明石「あれ、でも提督、一週間は真面目に仕事をするって宣言してませんでしたっけ」

提督「……二人とも、とりあえず今はマッサージで許してくれ」

江草隊「いえいえ~、そんな~」

六〇一空「じゃあ私は受けよっかなー」

江草隊「六〇一空ちゃん~?」

六〇一空「善意なら受け取らない方がダメっしょー」

明石「妖精さんは小さいですからそんなに時間もかからないでしょうしね」

提督「そうだな。それでも遠慮するなら、一応初めてだから実験台になってほしい、ともお願いするぞ」

江草隊「……しょうがないですね~」

六〇一空「ではではやってもらいましょうかねー。……ふおぉっ!?」

江草隊「お~……すごいですね~。……なるほど~、あんなところまで……」

明石「あー、加減分かってなさそうな感じになってますね。ちょっと気付け薬が必要かな」

―執務室―

提督「久しぶりなのもあったからやりすぎてしまった」

提督「まあなんだ、作戦終了した時には十分以上にお菓子をプレゼントしておこう」

下2

皐月「ボクとやり合う気なの? 可愛いね」

提督「って言うけど、実際どんなものをかわいいと思ってるんだ?」

皐月「えっと……真面目に受けてるわけじゃないよね?」

提督「俺は今週まじめだ」

皐月「そういえば言ってたね……」

提督「あの言葉をまじめに受けないにせよ、今年のお返しは少しばかりか豪勢にしようかと思って」

皐月「お返し?」

提督「作戦終わったら貰えるだろうチョコに対してだ。やっぱり女の子ってかわいいものが好きだろう。だからそういうので返そうかと」

皐月「なるほどね。それをボクに聞いてもいいの?」

提督「可愛いと思うものを隠そうとしない姿勢と、返しについてバレてもいい相手だからな」

皐月「えと、それって」

提督「ん? 皐月はくれる予定ないだろ。睦月型もあの日チョコ作ってて、その時くれなかったし」

皐月「ほ、本当は……だったけど、そのね……」

提督「あー、すまん。用事があったの思い出したから、少し待っててくれ」バタン

皐月「……今逃げられたのかな」

弥生「司令官はチョコ貰える発言から逃げてるって噂」

如月「困った人よねぇ」

―デパート―

提督「というわけで、最も物が多そうな場所に来てみたぞ。さあ、どんどん教えてくれ!」

皐月「はぁ……」

提督「どうした、ため息なんてついて」

皐月「なんだか司令官に通じてない気がして……」

提督「?」

皐月「とにかく、可愛いものがいいんだっけ」

提督「おう」

皐月「ボクが普段言ってる可愛いは別の意味なんだけど……あっちの小物屋とかみんな喜ぶと思うよ」

提督「なるほど、確かに雑誌とかでもよく特集がくまれていそうだ」

皐月「アクセサリーとかプレゼントしてもいいかもしれないね。このペンダントとか、宝石みたいできれいだし」

提督「おお! さすが皐月、センスいいな!」

皐月「そ、そうかな。なんだか司令官に褒められるとうれしいね」

提督「と、すると、この辺りから選べば大体はずれはない感じか」

皐月(あっちの方にもあるけど……宝石とかついてるし、あれはちょっと難しいかな)

提督「どうした、何を見て……おっ、あれもおすすめか!」

皐月「そうだけど、あれは司令官にはちょっと高すぎるよ」

提督「おいおい、上官の財力をなめるなよ」

皐月「一つ二つならそうかもしれないけど、量が必要かもしれないんだよ?」

提督「今年はその量が少ないから大丈夫だろ。ははは」

皐月「司令官、声が笑ってない。……そこまで言うなら、ボクは知らないよ」

提督「平気だって。皐月は心配性だな」

皐月(心配性なんじゃなくて、確実に起こるから心配しているんだけどね)

提督「今日は考えるだけだけど、皐月には今日付き合ってくれたお礼をしようか。何がいい?」

皐月「ボクは……作戦が終わった時、司令官がこれだと思ったものを渡してよ」

提督「それでいいのか?」

皐月「うん、多分、その時がちょうどいいからね」

提督「?」

―執務室―

提督「ちょうどいいってどういうことだろうか」

提督「うーん……まあいいか。作戦の終わりも近いし、その時にわかるだろう」

下2

提督「明日でいよいよ終わりだな……」

木曾「ああ、そうだな」

提督「俺、この日まで頑張ったんだ。だからもういいよな」

木曾「いいんじゃねえか」

提督「よし、そうと決まれば明日で海域の攻略は終了! あー、疲れたなー」

霞「疲れたな、じゃないでしょうが!」

提督「な、なんだよ、木曾だっていいっていっただろ」

木曾「ん? ああ、すまん、聞いてなかった」

霞「大本営から期日の延長があったでしょうに! 提督ならしっかりと最後の日までやり遂げなさいよ!」

提督「嫌だ!」

霞「このクズ!」

提督「だってさー、こっちだって明日で終わるように作戦立ててたわけだし。期日伸ばしてくれても立てた作戦を今更変更するわけにもいかないし?」

霞「それはそうかもしれないけど……」

提督「木曾、お前からもいってくれ」

木曾「俺は別に海が平和になれば何でもいいけどな。荒れた海を戻すことが早くて悪いことはないしな」

提督「さすが木曾! いいこと言ってくれる!」

木曾「当たり前のこと言ってるつもりなんだがな」

霞「はぁ……まあ、きちんとしてくれればなんでもいいけど。そこまでいうのなら、明日できちんと終わらせなさいよ」

提督「わかっている」

木曾「……話が終わったならいいか?」

提督「そういえば、木曾は執務室で何をしているんだ」

木曾「報告に来たんだよ」

提督「そうだったのか、立て込んでて悪かったな」

木曾「別にこれくらい構わないぞ」

提督「おお……なんだか最近は甘えてばかりで申し訳なくなるよ」

木曾「おいおい、珍しいな。提督ならそこは笑い飛ばしたりするだろうに」

提督「あと一日は真面目だからな」

木曾「そうか。まあ、困ったことがあるならいつでも頼ってくれ。力と知恵と胸くらいなら貸してやる」

提督「すごい男らしい……じゃあ、こっちも困ったことがあればいつでも聞こう」

木曾「ふっ、提督に頼むことがあればの話だけどな」

提督「ひどいことを言うな。でも、それくらいだからこそ、こっちも安心して頼れるってもんだ」

木曾「おっと、これ以上話を進める前に、とりあえず報告を済ませておくぞ」

提督「そういえばそうだったか。頼む」

~~~~~~~~

提督「……なんかこう考えてみると、周りに甘えてばかりだな」

提督「頼れる相手がいることを誇りに思うべきか、頼りすぎな自分を叱咤するべきか」

下2

提督「……終わったか」

大和『掃討を終了。海域の安全を確保しました』

提督「それでも最後まで気を抜くな。目的を終えた時が一番油断しており、そこを狙われるといかに強大な者でも一瞬でやられることだってある」

大和『了解しました』

霞「お疲れ、司令官」

提督「なんだ秘書官、まだゆっくりしていていいんだぞ」

霞「ちょっと旗艦を任せられたくらいじゃ休まないわよ。普段の書類の方が何倍も疲れたわ」

提督「そうか。では、大和の帰還後、少し休憩を挟む。その後、食堂に皆を集めてくれ」

霞「何か用でもあるの?」

提督「まあな。俺は少し準備をする。何か異変があればすぐに知らせろ」

霞「わかったわ」

―食堂―

提督「……さて、みな集まったな。……俺は実は今回の出撃前に言いたかったことがある。まずは、それを言おうと思っている」

提督「――諸君、私はチョコが好きだ
諸君、私はチョコが好きだ
諸君、私はチョコが大好きだ

本命チョコが好きだ
義理チョコが好きだ
友チョコが好きだ
自分チョコが好きだ
配布チョコが好きだ

学校で
公園で
店で
部屋で
公衆の面前で

この地上に存在するありとあらゆるチョコが大好きだ

誰が誰にチョコをあげるのかそわそわと周りを見回してしているときが好きだ
ちょっと気になっている子からチョコがもらえたときなど心がおどる

義理だと言って何でもない風に渡してきたときが好きだ
貰った義理が手作りだったときなど胸がすくような気持ちだった

好きな相手に真っ赤な顔でチョコを渡すときが好きだ
チョコと一緒に言葉も受け取ってもらえたときなど感動すらおぼえる

全員に配っているチョコをもらって歓喜しているときなどもうたまらない
他と同じだと思っていたら自分だけ特別だったのは最高だ

毎年チョコを大量に貰っている奴が自慢してきたのを
本命だけ狙ってもらえた時など絶頂すら覚える

一生懸命作ったチョコが好きだ
一蹴され受け取ってもらえなかった様子はとてもとても悲しいものだ

貰えないと思い自分用に作ったチョコが好きだ
周りにばれて笑いものにされたのは屈辱の極みだ

諸君 私はチョコを 甘い甘いチョコを望んでいる
諸君 私に付き従うバレンタイン好きの諸君 君たちは一体何を望んでいる?
更なるバレンタインを望むか 
糞の様なバレンタインを望むか?
数日前から用意してそれでも渡すのに躊躇したチョコのようなバレンタインを望むか?」

『…………』

提督「……誰か掛け声してくれないと続けられないんだけど」

霞「誰がすると思ってるのよ!!」ガシャン

提督「待て早い! それはまだ早すぎる!」

大和「その、そんなに提督はチョコがほしいんですか?」

提督「ああほしいとも!! さっき言ったように義理でも友でも自分用でも配布でもいいから!!」

漣「ご主人様の手にかかれば名言も迷言に早変わりですねー」

曙「あんなのが名言なの? 正気?」

提督「なんでもいいからチョコくれー! チョコー!」

夕張「明石さん、ちょっと暴走しているみたいですから、落ち着かせに行きましょう」

明石「はいはい提督、頭を入渠しに行きましょうねー」

提督「間宮ー! 鳳翔ー! お前たちならいっぱい作れるだろー! 待ってるからなー!」ズルズル

バタン

霞「……じゃあ、解散ということで」

木曾「いや待て、提督をそもそもあそこまで追い詰めたのって誰だ」

金剛「チョコを渡さないように仕向けた霞なんじゃないですカー?」

霞「うっ、ちょっと思ってたことズバッというわね……」

榛名「すみません、金剛お姉さまはあの紙貰ってからずっとピリピリしているみたいで……」

金剛「榛名だって同じネー」

木曾「というかなんだ、紙って」

大和「あれ、みなさん貰っているわけではないんですか?」

赤城「私と加賀さんはもらってないですね。チョコはなんだかあげられる空気ではなかったのであげていないですけど」

雷「そういえば私は貰ったような……」

電「雷ちゃんのおかげで部屋の空気が一日凍っていたのです」

雷「わ、私そんなことしてた?」

木曾「……なるほどな、つまりあげられなかった人たちが緊張状態になっていたせいで、ほかの奴らにも影響が出てたってわけか」

霞「……つまりなに、私のせいってわけ」

大和「そ、そういうわけでは……」

霞「いいわよ。今回は余計なことをしていると思ったわ。ここまでの司令官の様子を見てたらなおさらね」

『……』

霞「……何、まだ謝罪が必要?」

金剛「そんなことより早く許可がほしいデース」

夕雲「作戦前に作ったチョコが溶けてしまいますわ」

大淀「私も時間が遅くなると仕事に時間を取られてしまいますから、そろそろですね」

香取「ええ、かしこい霞ちゃんならわかってますよね」

霞「……ああ、わかったわよ! 号令すればいいんでしょ!」

早霜「司令官のカンペ……あげる……」

天津風「さっきの演説ね。途中だったみたいだし、私も続きが気になるわね」

霞「あんたたち本当は私のこと恨んでるでしょ! いいわよ、やってやるから!」

霞「あー、ごほん。
諸君 私はバレンタインを 遅れながらも行うバレンタインを望んでいる
諸君 私に付き従うバレンタイン好きの諸君 君たちは一体何を望んでいる?
更なるバレンタインを望むか 
糞の様なバレンタインを望むか?
数日前から用意してそれでも渡すのに躊躇したチョコのようなバレンタインを望むか?」

『バレンタイン!! バレンタイン!! バレンタイン!!』

霞「よろしい ならば今日がバレンタインデーだ。

だが、部屋のキッチンで上手にチョコが作れるように冷蔵庫の前に立つあの時間を耐え続けて来た我々にはただのバレンタインではもはや足りない!!
大バレンタインを!! 一心不乱の大バレンタインを!!

我々はわずかに小数
世界中に住む人々に比べれば物の数ではない
だが諸君は一騎当千のチョコを作りし者だと私は信じている
ならば我らは諸君と私で総兵力166と1人の恋をする集団となる
我らを忘却の彼方へと追いやり、この気持ちに全く気付かない奴を叩きのめそう
髪の毛をつかんで引きずり下ろし 眼(まなこ)をあけて思い出させよう

奴にバレンタインがどれほど重要なイベントかを思い出させてやる
奴にそれがどのように熱く激しいものだったかを思い出させてやる
バレンタインには奴の哲学では思いもよらないチョコの作りにはそれぞれ独自の方法がある事を思い出させてやる
167人のチョコを作りし者の集団で 鎮守府を恋する乙女の思いで埋め尽くしてやる

目標 提督

遅れてきたバレンタイン作戦 状況を開始せよ

征くぞ 諸君」

『おおおおおおおおおおおおおお!!!』

―医務室―

提督「な、なんか怒号が聞こえなかったか?」

夕張「さあ、どうですかね」

明石「そういえば、私達もプレゼントしたいものがあったんですよ」

提督「プレゼント? おお、それは楽しみだな」

夕張「ええ、ちょっと待ってくださいね……」

ドドドドドド

提督「なあ、やっぱり外で何かあったんじゃないか? 残党とか」

明石「どうやら話がまとまったみたいですね」

夕張「もう少し時間があると思ったんですけどね」

提督「え、何が始まるの」

バタァン

『ていと……! あっ、ちょっと、入口狭くて入れな……!』

提督「な、なんだなんだ!? なんかよくわかんないけど大量の物体が押し寄せてきたぞ!」

夕張「あー、予想以上に大変なことになってしまったみたいですね」

提督「いや、そんな問題じゃないって! 入口ミシミシいってるし、あれ絶対やばいんだけど!」

明石「そんなときのためのこのボタン。これを押せばきれいに終わりますよ」

提督「ええい! なんでもいいからこの状況を終わらせてくれ!!」ポチッ



                               ヽ`
                              ´
                               ´.

                           __,,:::========:::,,__
                        ...‐''゙ .  ` ´ ´、 ゝ   ''‐...
                      ..‐´      ゙          `‐..
                    /                    \
        .................;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::´                       ヽ.:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.................
   .......;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙       .'                             ヽ      ゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;......
  ;;;;;;゙゙゙゙゙            /                           ゙:                ゙゙゙゙゙;;;;;;
  ゙゙゙゙゙;;;;;;;;............        ;゙                              ゙;       .............;;;;;;;;゙゙゙゙゙
      ゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;;;;;;;;.......;.............................              ................................;.......;;;;;;;;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙
                ゙゙゙゙i;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;l゙゙゙゙゙
              ノi|lli; i . .;, 、    .,,            ` ; 、  .; ´ ;,il||iγ
                 /゙||lii|li||,;,.il|i;, ; . ., ,li   ' ;   .` .;    il,.;;.:||i .i| :;il|l||;(゙
                `;;i|l|li||lll|||il;i:ii,..,.i||l´i,,.;,.. .il `,  ,i|;.,l;;:`ii||iil||il||il||l||i|lii゙ゝ
                 ゙゙´`´゙-;il||||il|||li||i||iiii;ilii;lili;||i;;;,,|i;,:,i|liil||ill|||ilill|||ii||lli゙/`゙
                    ´゙`゙⌒ゞ;iill|||lli|llii:;゙|lii|||||l||ilil||i|llii;|;_゙ι´゚゙´`゙
                         ´゙゙´`゙``´゙`゙´``´゙`゙゙´´





霞「なんか私関係ないのにまた爆発してるんだけど!? 間接的にはあるかもだけれど!」


なんか無理矢理ですいません。全艦娘の数も間違ってたらすみません。

また明日スレたててきます。
1000ネタはいつもどおり何でもありの夢落ちで

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom