【安価で進行】結城友奈は勇者である【満開3回目】 (1000)

このスレは安価で結城友奈は勇者である。を遊ぶゲーム形式なスレです


目的
全バーテックスの殲滅
生き残る

安価
コンマと自由安価を含む選択肢制

日数
一ヶ月=2週間で進めていきます
【平日5日、休日2日の週7日】×2


能力
HP MP SP 防御 素早 射撃 格闘 回避 命中 
この9個の能力でステータスを設定

HP:体力。0になると死亡。1/10以下で瀕死状態になり、全ステータスが1/3減少
MP:満開するために必要なポイント。HP以外のステータスが倍になる
SP:特殊な攻撃をするために必要なポイント 満開とはまた別
防御:防御力。攻撃を受けた際の被ダメージ計算に用いる
素早:素早さ。行動優先順位に用いる
射撃:射撃技量。射撃技のダメージ底上げ
格闘:格闘技量。格闘技のダメージ底上げ
回避:回避力。回避力計算に用いる
命中:命中率。技の命中精度に用いる


戦闘の計算
格闘ダメージ:格闘技量+技威力+コンマ-相手の防御力
射撃ダメージ:射撃技量+技威力+コンマ-相手の防御力
回避率:自分の回避-相手の命中。相手の命中率を回避が超えていれば回避率75%
命中率:自分の命中-相手の回避。相手の回避率を命中が超えていれば命中率100%



wiki→【http://www46.atwiki.jp/anka_yuyuyu/

前スレ

【安価で進行】結城友奈は勇者である【満開0回目】
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【安価で進行】結城友奈は勇者である【満開1回目】
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【安価で進行】結城友奈は勇者である【満開2回目】
【安価で進行】結城友奈は勇者である【満開2回目】 - SSまとめ速報
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SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1422087756



√ 5月6日目の朝


気づけば病室に戻ってきていて

眼の前には端末を手に呆然とする夏凜がいた

夏凜「天乃!」

天乃「……夏凜?」

夏凜「何なのよ一体。あんただけ消えて……」

天乃「消えるのね、そこから」

時間が止まり、樹海に変わる

その時勇者は樹海の方に移るが

勇者でありながらそのまま取り残され

勇者の移動を観測した場合

その姿は消えたように見えるらしい

夏凜「バーテックスは?」

天乃「……………」


1、神樹との三者面談だったわ
2、バーテックスは倒したわ
3、ただのミスだったみたい。メンテナンスを怠ったからかも


↓2


天乃「神樹との三者面談だったわ」

夏凜「バーテックスが出たのね?」

天乃「違うわよ。私と精霊と神樹」

適当なことを言う夏凜に対して

天乃はぶっきらぼうに答えて俯く

今は余計な会話はしたくなかった

鷲尾須美の結果を知っている

鷲尾須美は生きている

そこまで言われればもう、確定と言ってもおかしくない

なにせ、彼女以外に鷲尾須美の未来に当て嵌まりそうな人間はいないからだ

夏凜「一体何を話したのよ」

天乃「私がどれだけ害悪なのかを知りたかったらしいわ」

夏凜「……はぁ?」


天乃「言っておくけれど、冗談とかじゃないわよ?」

夏凜「まぁ……確かに、あんたは危険人物だけど……」

神樹様が直々に面談?

そんなことありえるの?

聞いたこともない

そもそも、神樹様の声を

勇者とはいえただの一般人が聞けるのか

悩んだ末に、夏凜は鼻で笑う

夏凜「あんた、バーテックスだとでも思われたんじゃないの?」

天乃「どういう意味よ」

夏凜「だから、あんたの危険度はバーテックス。みたいな?」

天乃「なによそれ……意味解らない」

夏凜「……………」

普段、ボケてばかりの天乃の冷たい態度に

夏凜は少しばかり寂しさを感じて首を振る

夏凜「ふ、ふんっ、べつになんだっていいわよ」


天乃「お世話になりました」

「また来ちゃだめよ~?」

天乃「二度と来たくないわ」

満面の笑みの看護師に向かってきつく言い返して

天乃は夏凜とともに病院から出ていく

入院の意味は無し。ただの監視と監禁

そんな場所に、二度と戻りたいとは思わない

夏凜「私、お昼からは転入試験だから」

天乃「そう。じゃぁ急いだら?」

夏凜「あんたも来るのよ」

天乃「嫌よ面倒くさい」

夏凜「これは命令よ」

天乃「っ………」


1、絶対に嫌
2、あまの は にげだした !!  ▼
3、解ったわよ
4、なら早く行きましょ、会いたくない人たちがいるから


↓2


天乃「なら早く行きましょ、会いたくない人たちがいるから」

夏凜「なにそれ……まぁいいわ」

夏凜は特に聞くことなかった

会いたくないという嫌なことだったし

そうでなくても

他人の事に首を突っ込む気にはなれなかったからだ

夏凜「あんたが素直に同行してくれるなら何でもいいし」

天乃「そう」

夏凜「………………」

朝、あの警告があって姿が消えた

そして、戻ってきてからと言うもの、天乃の元気がない

五月蠅すぎると言うのも考え物だが

五月蠅すぎた人が急に静かになると言うのも不気味だった

夏凜「……一応、テスト中は静かにしててよね」

天乃「解ってるわよ」

夏凜「……ならいいけど」

朝から冗談が全く来ない

夏凜にとってはありがたくも……そこはかとない不安があった

√ 5月6日目の昼


コンマ判定表

01~10 風
11~20 樹
21~30 沙織
31~40 
41~50 勇者部
51~60 東郷
61~70 友奈
71~80 
81~90 大赦の人
91~00 

↓1のコンマ   空白はなにもなし


√ 5月6日目の昼 学校


大赦からの通知が来ており

そんな特例が許されているのか、天乃はテストに同行していた

夏凜がテストを受けているさなか

ただただ、静かに席に座っているだけ

同じテストを受けることも可能だったが、拒否したのだ

天乃自身は静かにしていたものの、

端末が震えて

担当教師と夏凜に睨まれながら、部屋を出る

天乃「……もしもし?」

樹『久遠先輩、どこにいるんですか?』

天乃「樹……」

樹『みんなでお出迎えに来たんですよ?』

天乃「みんなってことは……全員居るのね?」

樹『お姉ちゃんも、東郷先輩も、友奈さんもいますよ? 代わりますか?』


天乃「……そう」

樹『すこし遅かったのかも』

風『遅かったって……結構早く来たのに』

友奈『じゃぁ今から久遠先輩に会いに行こうよ。お祝いしに!』

東郷『それはいい考えね、友奈ちゃん』

風『いやいや、とりあえず久遠にアポ取らないとめん――』

樹『お、お姉ちゃん、聞こえてるよ~っ』

電話の奥で密談にならない密談をする勇者部の声

でも、端末は天乃の耳から離れていて

完全には、天乃には届いていなかった

天乃「………………」

吹き抜ける風を浴びながら、浮かない表情の少女は

窓の縁に腕を敷き、頭を乗せる

合わせる顔がない

なんて言えばいいか解らない

貴女は鷲尾須美なのか。そう聞く意味すらない

こんなことなら、知らないまま、解らないまま

その方がよかったんじゃないのかと……天乃は後悔していた


天乃「っ………」

強く、強く

端末を握りしめ、声を押し殺して、呻く

鷲尾須美は生きている

鷲尾須美を知っている

鷲尾須美は、そこにいる

天乃「なんなのよ……っ、なんなのよ……っ」

でも、そこにはいない

鷲尾須美は生きていない

そこにいるのは鷲尾須美でありながら、そうではなくなった存在

疑う余地もなく、鷲尾須美ではなくなっている

そんな相手に、鷲尾須美であることを知っている自分はどう接したらいい

あれほど言い争ったりした1つ下の可愛い後輩に

自分は……

樹『久遠先輩?』

学校のチャイムが鳴る

定期的な、チャイムそしてそれは、夏凜のテスト終了の合図でもある



1、今日は会いたくない。悪いけれど、また今度
2、電話を切る
3、ねぇ……東郷。出してくれる?
4、今は学校よ。悪いけれど、電話。切るから


↓2


天乃「っ」

不安定な今の自分を知られたくなくて

天乃は一方的に電話を切る

接続を切られた端末がそれを知らせる音を鳴らす

けれど、天乃にはそれを気にする余裕もなかった

腕を枕に頭を置いたまま

窓の外へと腕を投げ出し、黙り込む

天乃「……どうしたらいいのよ」

次に彼女を見た時

彼女の前に立った時

自分はそこに鷲尾須美を重ねることなく

接することが出来るのか

今と昔との差に、平常心でいられるのか

全然、判断がつかなかった


夏凜「天乃?」

天乃「………………」

夏凜「………………」

テストを終えた夏凜は教室を出てすぐ、天乃を見つけ

名前を呼んでも返事がないことを気にして、足を止めた

あんなに元気だった

煩わしいほどに五月蠅かった

それが完全に損なわれた天乃の姿を見て

夏凜は下手に言葉をかけられなかった

どうでも良い相手なら

単純にわかりやすい相手になら

なに落ち込んでいるのかと、馬鹿じゃないのかと

聞く人によっては煽ることになるような言葉を簡単に投げられるのに

夏凜「……天乃」

天乃「…………なに」

夏凜「テスト……終わったんだけど」


天乃「だから?」

夏凜「いや、ほら……あんたの家に行かないと」

天乃「……お母さんたちがいるから」

夏凜「それじゃダメなんだって何回言わせるのよ」

適当な数を言ってくるはず

そしたら今までみたいに普通に……

そう身構えた夏凜を天乃は一瞥しただけで

何も言うことなく、また腕の中に顔を隠す

夏凜「っ…………」

天乃「……………」

夏凜「なんなのよ……っ、いい加減にしなさいよッ!」

五月蠅くないことが気に食わなくて

夏凜は天乃の腕を掴んで、勢いよく上に持ち上げる

夏凜「あんた―――」

天乃「……………っ」

夏凜「天乃………」

涙を堪える天乃の表情が見えて

怒りが一瞬で吹き飛んで

言おうとしていたことも、全部流れて消えて

夏凜は天乃の腕を掴んだまま、茫然と動きを止めた



1、独りにして
2、放して
3、解ったわよ……案内したら良いんでしょう……
4、最っ低ッ


↓2


勇者として頑張ったはずなのに何の救いもない世界

それを知ることなく、彼女達を見て平穏を得ていた自分

彼女たちの結末を知って

残された2人に何もすることのできない自分

眼の前にいる夏凜に対しての怒りなんて、どこにもなかった

でも、その怒りをどこに投げればいいかわからなくて、天乃は思わず、怒鳴った

天乃「最っ低ッ」

夏凜「ッ」

鋭く睨まれ、一瞬怯んだ隙に

大きく腕を振るわれて天乃の腕を逃す

けれど、夏凜は手を挙げたまま、天乃の瞳を見つめた

一瞬でも目を逸らしたら

気を乱したら

その瞬間、殺されてしまいそうな気がしてならなかったからだ

ゆっくり、ゆっくりと手を下げて

天乃の動きに警戒する

けれど

夏凜「ぁ……」

天乃「っ………」

天乃が手を出したりすることはなく

それどころか、

そ厳しい瞳は揺らいで、乱れて、涙を零していて

夏凜は何も言い返すことは出来なかった

>>45訂正


勇者として頑張ったはずなのに何の救いもない世界

それを知ることなく、彼女達を見て平穏を得ていた自分

彼女たちの結末を知って

残された2人に何もすることのできない自分

眼の前にいる夏凜に対しての怒りなんて、どこにもなかった

でも、その怒りをどこに投げればいいかわからなくて、天乃は思わず、怒鳴った

天乃「最っ低ッ」

夏凜「ッ」

鋭く睨まれ、一瞬怯んだ隙に

大きく腕を振るわれて天乃の腕を逃す

けれど、夏凜は手を挙げたまま、天乃の瞳を見つめた

一瞬でも目を逸らしたら

気を乱したら

その瞬間、殺されてしまいそうな気がしてならなかったからだ

ゆっくり、ゆっくりと手を下げて

天乃の動きに警戒する

けれど

夏凜「ぁ……」

天乃「っ………」

天乃が手を出したりすることはなく

それどころか、

その厳しい瞳は揺らいで、乱れて、涙を零していて

夏凜は何も言い返すことは出来なかった


夏凜「………あ、天乃、その、なんていうか」

天乃「なによ……っ」

夏凜「いや、その……」

自分よりも一つ上の先輩で

自分よりも対人戦に優れていて

出会ってからずっと、元気で、明るくて、五月蠅い人

人をからかうのが好きで

小馬鹿にしたようなことを言い続けて

でも、勉強を教えてくれるような優しい一面もあって

常に孤独だったころの生活では得られなかったものを、与えてくれていた人

それが泣いている

全く想像もできないような光景に戸惑って、夏凜は頬を掻く

夏凜「……わ、悪かったわ」

天乃「…………………」

夏凜「何も見なかったことにする……ほんと、悪かったわ」

潔く、夏凜は頭を下げる

他に、何をしたらいいのか

そもそも、何をできるのかを……夏凜は考え着くことが出来なかった

√ 5月6日目の昼


コンマ判定表

01~10 大赦の人
11~20 
21~30 大赦の人
31~40 勇者部
41~50 
51~60 大赦の人
61~70 勇者部
71~80 
81~90 勇者部
91~00 

↓1のコンマ   空白はなにもなし


ごめんなさい、お昼じゃなくて夕方ですね


√ 5月6日目の夕方 久遠家


夏凜「よ、よろしく、お願いします……」

不慣れな感じで言いながら深々と頭を下げる

久遠家に居候する形になったため

すでに許可を得ているとはいえ、形式的に挨拶が必要だったのだ

「よろしくね……えっと、三好さん」

夏凜「よろしく」

「よろしくな、みかちゃん」

夏凜「よろ……しくないッ!」

兄の差し出してきた手を強く弾き

顔を見上げて睨む

夏凜「私には三好夏凜ってちゃんとした名前が――」

「つまりみかちゃんだろ?」

夏凜「別人になるわよッ!」


「ちょっと、品性下がるから喋らないでよ」

「貧乳が下がる?」

「お母さん、包丁!」

「落ち着け! それはいけない!」

脱兎のごとくその場から逃げ出した兄を

姉が追いかけ、二階へと足音が消えていく

呆然とそのあとを見つめる夏凜に対し

お母さんがニコニコと肩を叩く

「いつもの事だから、気にしないで」

夏凜「いつもの……こと……?」

これが普通? 当たり前? 習慣?

ドタバタと二階で争っているのが日常茶飯事?

「夏凜ちゃんも晴れて義妹になるわけだから、お兄ちゃんにだけは。気を付けるのよ?」

夏凜「えっ」

「えっ?」

夏凜「何それ意味わかんない」


「意味解らないって……お兄ちゃん対策マニュアル作った方が良い?」

夏凜「マニュアル!?」

「総勢150頁の超大作よ」

夏凜「150!?」

「ちなみに一冊300円」

夏凜「有料なの!?」

「300円で身が守れるのよ? 安い買い物でしょ?」

夏凜「それは……」

300円ていどなら確かに安い

それで面倒事から逃れられるのなら

買わないより買った方が良いだろう

そう考えて財布を持ち……気づく

夏凜「っていうかここの人間でしょ!?」

「そうよ?」

夏凜「悪徳ッ!」

「あら、ばれちゃった……明日のうどん代の足しにしようと思ったのに」

夏凜「……適応できるわけがない」


暫く心ここにあらずな状態だった天乃は

ハッと気づいたように瞬きして

食卓の下、処置の施されている父の足を見つめる

天乃「……ねぇ、お父さん足どうしたの?」

「ん? あぁ、気にするな。ちょっと捻っただけだ」

天乃「骨折とかはしてない?」

「してない、大丈夫だ。お前が心配するようなことは何もない」

天乃「……本当?」

「嘘をつく理由があるのか?」

心配そうな天乃を優しく見つめ

父は軽く微笑んで天乃の頭をポンポンと撫でる

「お前こそ、大赦のお役目とやらがあるのだろう? 私より、自分の心配をしなさい」

天乃「でも……」

もしもその怪我が自分の戦闘による被害で起きたものだとしたら

そう思うと、気にしないわけにはいかなかった

なにせ、父が兄や母親みたいに馬鹿なことするはずなく、

酔って千鳥足になってくじいた。なんて失敗もするような人ではないと

天乃は良く判っていたからだ


「お前は優しい子だ。人を助けることに執着するあまり、自分を蔑ろにしやすいだろう」

天乃「そんなこと、ないけど……」

「嘘は必要ない。お前の性格は母さんに似すぎた」

「ちょっとパパ?」

「母さんもそういう人間だからな。きっと、お前もそういう子だ。ついでに……あの兄もな」

父は静かに語り掛けて

天乃の頭を優しく撫でる

父親としての優しい扱い

父親としての、底知れない信頼と愛情

その暖かさを受けて、天乃は俯く

3人の親友のことがあって

激しく摩耗してしまった心を慰めて欲しかった

でも、まったく繋がりがなく、勇者と言うものも伝わっていないであろう父には

何も言うことなど……できなくて

天乃「私は、大丈夫だよ」

取り繕った笑みを、浮かべた



01:天乃 02: 03:姉 04: 05:天乃 06: 07:姉 08: 09:天乃 10:
11: 12:姉 13: 14:天乃 15: 16:姉 17: 18:天乃 19: 20:姉
21:天乃 22: 23:姉 24: 25:天乃 26: 27:姉 28: 29:天乃 30:

31: 32:姉 33: 34:天乃 35: 36:姉 37: 38:天乃 39: 40:姉 
41:天乃 42: 43:姉 44: 45:天乃 46: 47:姉 48: 49:天乃 50: 
51: 52:姉 53: 54:天乃 55: 56:姉 57: 58:天乃 59: 60:姉 
61:天乃 62: 63:姉 64: 65:天乃 66: 67:姉 68: 69:天乃 70: 
71: 72:姉 73: 74:天乃 75: 76:姉 77: 78:天乃 79: 80:姉 
81:天乃 82: 83:姉 84: 85:天乃 86: 87:姉 88: 89:天乃 90: 
91: 92:姉 93: 94:天乃 95: 96:姉 97: 98:天乃 99: 00:姉 


↓1のコンマ  空白は別室


√5月6日目 夕方 自室


客室として空いていた部屋を夏凜に割り当てて

天乃は自室に戻るや否や、ベッドに倒れこんだ

もう、何かをする気力もなかった

かといって、寝る気にもなれない

寝たらきっと、思い出す

2年前

これが永遠に続きますようにと、願うほど

3人の小学生が楽しそうに、幸せそうにしていた時の事を

それを、何も知らず、何にも気づかず、ただ眺めているだけの

馬鹿な自分のことを

天乃「……………………」



1、電話:風、樹、東郷、友奈、沙織
2、メール:風、樹、東郷、友奈、沙織
3、夏凜の所へ
4、死神を呼ぶ
5、兄の所へ
6、姉の所へ


↓2


天乃「………須美」

かつての友の名を呼びながらも

表示される名はそれとはかすりもしない

だが、そのアドレスの持ち主は、天乃の思う鷲尾須美に他ならない

東郷美森

天乃の知る鷲尾須美と言う少女によく似ている子

でも、記憶は違う

天乃がそう断言できるのは

ほぼ100%忘れられないであろう自分のことを

かけらほどにも覚えてはいなかったからだ

天乃「………………」

通話ボタンを押すと、呼び出し音が鳴る

2秒

6秒

10秒

そして、音が途切れた


東郷『はい、東郷です』

天乃「……私よ」

東郷『学校、行きました』

天乃「………………」

夏凜のテスト終了のチャイムが聞こえて

学校にいると踏んで向かったのだろう

でも、そこに天乃はいなかった

東郷『次は何処に追いかければいいのですか?』

天乃「別に、そんなことは求めていないわ」

東郷『友奈ちゃんは追いかけっこだって、楽しそうにしていたんですが』

天乃「友奈『は』」ね」

それはそうだ

決して好意的とは言えない相手を追いかけるだけの無駄な行動なんて

楽しいわけがない


東郷『それで、どうかしたのですか?』

天乃「………………」

東郷『久遠先輩?』

天乃「……久遠先輩、ね」

あの子はどう呼んでいたか

そう、最初は久遠先輩だった

でも、だんだんと先輩と言う敬意を表さなくなっていった

あれだけ悪戯好きで自由な姿を見せられたうえで

先輩だと、敬うべきだと思える人はそうそういないだろう

だから、最後は久遠さん。だったか……

東郷『何か?』

天乃「……ううん」



1、ねぇ、明日二人で出かけたいの
2、ごめんね
3、ねぇ、貴女。三ノ輪銀か、乃木園子って、知ってる?
4、東郷……貴女、勇者止めなさい
5、………………


↓2


天乃「ねぇ、貴女。三ノ輪銀か、乃木園子って、知ってる?」

東郷『三ノ輪銀と……乃木園子?』

天乃「そう……っ、銀と、園子」

聞くだけ無駄だ

言うだけ無駄だ

それは解りきっている

でも、自分が死ぬ可能性があるように

久遠天乃と言う存在との記憶がなかったとしても

凄く親しかった

凄く楽しかった

凄く嬉しかった

凄く悲しかった

凄く苦しかった

凄く辛かった

その、掛け替えのない記憶だけは

たとえ少し、ひと欠片その程度の些細な物でも

残っている可能性はある。そうであって欲しい

友を失い、足を不自由にし、生きている親友の存在にも気づけていない鷲尾須美と言う先代勇者

彼女の親友達に、彼女自身に

些細であれ、救いがあって欲しい。と

けれど………非情だ

東郷『すみません……覚えがありません』

鷲尾須美だった東郷美森による

鷲尾須美への

天乃への、親友たちへの、答えは――あまりにも、非情だった

東郷さん事情知ったら後悔しそうな事柄が一つ増えたな(今更安価メールだったなんていえない)


東郷『……その人たちが、なにか?』

天乃「っ…………」

親友だった2人が

あれだけ、幸せそうに、楽しそうにしていた相手が

彼女にとって、赤の他人にまで落ちてしまっている

解っていた

でも、可能性はあった

けれど、その可能性までもが完全に潰れて

天乃は言葉を失っていた

枕を抱いて、顔を埋めて

涙を堪えて、声を押し殺し、何にも聞こえない叫び声をあげる

東郷『久遠先輩? 寝て、しまいました?』

東郷の優しい声が聞こえる

それがまた、より一層天乃を苦しめて、傷つける


鷲尾須美にとっては苦手な相手だっただろう

年上なのに、敬いたくなくなるほど、面倒な相手だっただろう

だからこそ

鷲尾須美の言葉はいつも厳しかった

でも

また貴女ですか。と、あきれ顔で言いながらも

どこか嬉しそうな声で、嬉しそうな表情だった

それが、先輩。先輩。先輩

嬉しそうでも、面倒そうでもない

他人に対する、表情と、声

天乃は抑えきれない気持ちを抱きながら、端末を耳に当てる

天乃「……ごめん、東郷」

東郷『久遠先輩……?』

天乃「貴女には、関係……ない、人よ」

東郷『そうですか……』

天乃「付き合わせて悪かったわね」

そう言って電話を切った天乃の手から端末は滑り落ちて

ベッドからも、落ちていった


今回はここまでとさせていただきます


>>110
すみません、完全に失敗しました
進めてしまったので、申し訳ないのですがこのまま進めさせて頂きたいと思います

天乃のステ上昇とか、なにか考えておきます


では、今日もやっていきたいと思います

√ 5月6日目夜


コンマ判定表

01~10 夏凜
11~20 
21~30 姉
31~40 
41~50 兄
51~60 死神
61~70 沙織
71~80 
81~90 友奈
91~00 

↓1のコンマ   空白はなにもなし


√ 5月6日目夜


夕暮れを終えた空は真黒に染まり

ポツリポツリと降り出した雨が窓を叩く

月明かりがなく、電気も付けていない部屋は真っ暗で

誰も居ないか、寝ているかしかありえない

そんな部屋のベッドの上で、少女は膝を抱え、枕抱き、沈黙する

天乃「…………」

東郷の記憶が無くなっていた

覚悟はしていたはずなのに

なのに……どうしようもなく、辛い

喜怒哀楽の記憶……親友の死ですら、忘れてしまっていた

死して守った銀

ぼろぼろになって、不自由になりながらも守った園子

あの子たちの努力の意味は……

天乃「……………っ」

ぎゅっと強く枕を抱く

それは今の天乃には……冷たすぎた


独りだ

隣の部屋には兄がいる

前の部屋には姉がいる

隣の部屋には夏凜がいる

階下には両親がいて

窓には雨が打ち付けていて

なのに、不自然なほどに静かで

どんよりと、空気は重くて

天乃「………………」

また、泣きそうだった

誰かに傍にいて欲しい

誰かに、何かに、しがみつきたかった

でも、兄も、姉も、父も、母も、勇者を知らないだろう

天乃の辛さを、苦しさを、悲しさを、理解は出来ないだろう

何泣いているのかと、雷が怖いのかと、馬鹿にして、笑うかもしれない


1、電話:風、樹、友奈、沙織
2、メール:風、樹、友奈、沙織
3、死神を呼ぶ
4、兄の部屋へ
5、姉の部屋へ
6、夏凜の部屋へ
7、寝る


↓2


天乃「………お姉ちゃん、かな」

父と母には要らない心配をかけたくない

兄には……今の気分では関わりたくなくて

夏凜には、昨日突き放されたと言うのがまだ、残っていて

だから……天乃は部屋を出てすぐ

姉の部屋のドアをノックする

「誰~?」

天乃「……入っていい?」

天乃の声には元気がなく

それは扉越しの姉にも伝わったのだろう

天乃がドアを開けるよりも早く姉が開き、手招く

「遠慮なく入っておいで」

天乃「………ありがと」

「気にしなくて良いよ。お姉ちゃんだしね」


招き入れられた姉の部屋は暗くとも明るい

自作のプラネタリウム

でも、それを見ても落ち着くことも、元気になることも出来ず

天乃がベッドに座ると

姉は顔を顰めて首を振る

「何か飲み物、持ってきてあげようか?」

天乃「ううん……良い」

「……そっか。じゃぁ、傍にいた方が良いね」

天乃「……宿題とか、してたんじゃないの?」

「もう夜よ? 宿題くらい、終わらせてあるって」

いつもよりも一回りも二回りも小さく見える妹に寄り添って

姉は優しい声で返す

刺激しないように

落ち着くことが出来るように

そっと体を寄せて、妹を抱き寄せる


「……それに、宿題より可愛い妹のことの方が大事だし」

天乃「……ごめん」

「謝る必要、あった?」

天乃「……ない、かな?」

考える余力もなく、天乃は聞き返す

見て分かる変化

聞いて解る、その心

でも、姉には天乃の悩みは解らない

天乃の辛さが解らない

天乃の苦しさは解らない

あの時も、そうだった

親友が死んだ。大事な人たちが消えた

そう落ち込んで、悲しんで、苦しんでいた妹に

自分は何もしてあげられなかった

何も、わからなかったから

でも、だからこそ

姉は妹を抱きながら、その耳元で、囁く

「お姉ちゃんに言ってごらん。悩んでることでも、辛いことでも、苦しいことでも、なく」

天乃「……………」

「ただ、して欲しいことだけを。言ってごらん」

悩みを聞いて、辛さを聞いて、苦しさを聞いても

自分には同情するしかできない、下手な言葉しかかけてあげられない

そんな自分自身の無力さを知っているからこその、姉の言葉だった



1、一緒にいて
2、一緒に寝たい
3、姉に縋り付く


↓2


天乃「……お姉ちゃん」

「っ………」

天乃「少しで、良いから」

姉の体を自分の手で突き放しながら

天乃はその手を姉から引きはがすことなく滑らせて

姉の胸に、顔を埋める

天乃「お願い……」

「………………」

縋り付いてくる妹

普段、兄に強く、強く当たる妹の弱弱しさ

それを救ってあげることのできない自分を強く憎みながら

姉は天乃の体を抱きしめる

何も言わず、何も聞かず

ただ望み通りに抱いてくれる姉への感謝

それに押し流されていく悲しみの声を、天乃は姉の体にぶつけ続けた

1日のまとめ

・  犬吠埼風:交流無()
・  犬吠埼樹:交流有(電話、強制切断)
・  結城友奈:交流無()
・  東郷美森:交流有(逃走、赤の他人)
・  三好夏凜:交流有(素直、怒り、涙)
・伊集院沙織:交流無()

・  乃木園子:交流無()
・   三ノ輪銀:交流無()
・      死神:交流無()
・     神樹:交流有(許さない)


5月の6日目終了後の結果

  犬吠埼風との絆 9(普通)
  犬吠埼樹との絆 13(普通)
  結城友奈との絆 13(普通)
  東郷三森との絆 8(低い)
  三好夏凜との絆 21(中々良い)
伊集院沙織との絆 51(かなり高い)

  乃木園子との絆 15(中々良い)
  三ノ輪銀 との絆 45(高い)
      死神との絆 21(中々良い)
      神樹との絆 1(絶望的に低い)

大赦・神樹による、久遠天乃の警戒レベル■■■(検閲済み)


このまま続行します。あと一時間程度


√ 5月7日目朝


コンマ判定表

01~10 大赦の人
11~20 勇者部

21~30 
31~40 
41~50 東郷

51~60 
61~70 
71~80 夏凜

81~90 
91~00 死神

↓1のコンマ   空白はなにもなし


√ 5月7日目朝


天乃「ん……」

「あら、起きた?」

天乃が目を覚ますと

着替え途中の姉の姿が見えて

そういえば抱き合ったまま寝てしまったんだと思い出し、俯く

天乃「昨日はごめん……」

「良いって言ってるのに……久しぶりに妹と寝れて、私は満足よ」

天乃「そっか」

軽く苦笑しながら欠伸して

姉の装いを一瞥して首をかしげる

天乃「デート?」

「そうだって言える日が来てほしいんだけどねぇ……」

天乃「じゃぁ、友達?」

「そ。友達。男子はいるけど……望み薄かな」


あははっと笑う姉は

姿見の前で髪型と服装をチェックして

くるっと反転して天乃に振り向く

「どう? 私。綺麗か可愛いかで答えて」

天乃「……普通」

「んーパットを入れれば似合う?」

天乃「そしたらまともな服が着れなくなるよ」

「そっか……」

自分の胸に軽く触れる姉

だけれども、ブラをしている時点で増量済みと言うのを

なぜか、兄経由で知っているために

物凄く申し訳ない気持ちになった

天乃「お姉ちゃん、好きな人でもいるの?」

「それはまぁ……私も女の子で、高校生だから。恋愛感情の一つくらいは持ってないこともないよ」

天乃「つまりいるんだ」

「とはいっても、そんなのは無理無理。初恋は叶わないってよく言うしね」


天乃「別に諦めなくても良いと思うけど……」

「ううん、この恋は諦めるって決めてるから」

天乃「誰かと付き合ってるとか?」

「私の知る限りではまだみたいだけどね」

煮え切らない姉の態度を解しきれず

天乃は顔を顰める

その雰囲気を悟ったからか

姉は悪戯っぽく笑みを浮かべて

天乃の額を突く

天乃「な、なに?」

「貴女に好きな子が出来た時に逃げられるように、余計な追求は控えた方が良いわよ」

天乃「……出来ないよ。そんなの」

「解らないでしょ? 今日、出かけたら虹がかかっていて。それに夢中になるあまり男の子と――」

天乃「どこの漫画の知識なのよ……馬鹿なこと言ってないで約束があるなら早く行かないと」

「そうね……じゃぁ、お姉ちゃんは出かけてくるから。イネスにいるからね~」

そう言い残し、姉は去って行った


天乃「遊びに混ざれとでも……?」

高校生の中に中学生

しかも妹と言うほぼ無関係の立場での介入は

流石の天乃でも興味は湧かなかった

天乃「第一、私は高校生になれるかも解らないっていうのに」

今は5月

あと10か月程度

けれど、その間にあと何度の襲撃があるのか予想もつかない

連日来たと思えばピタリと途絶えて……

天乃「……東郷……っ」

昨日のことを思い出してしまいそうな頭を振る

忘れるつもりはない

許すつもりはない

けれど、いつまでも悲しんだままでは、居られない



1、電話:風、樹、友奈、沙織 、東郷
2、メール:風、樹、友奈、沙織 、東郷
3、死神を呼ぶ
4、兄の部屋へ
5、夏凜の部屋へ
6、お出かけ:イネス、海岸、観光地、散歩


↓2


√5月7日目 朝 歩道


夏凜「まぁ、諦めなさい」

天乃「諦めるも何も、貴女がついてくることくらい解ってたわよ」

夏凜「その上での散歩ってこと?」

天乃「……質問が多い」

夏凜「気になったから聞いてるだけでしょ……」

昨日からだいぶ和らいだとはいえ

まだまだきつめな天乃の雰囲気に

夏凜は上手く言葉を挟めずにいた

夏凜「どこか行く予定とかは?」

天乃「無い」

夏凜「だ、だったら軽く走るのはどうかしら。いい運動に――」

天乃「面倒くさい」

夏凜「そっ、まぁいいわよ。好きにしなさい」


好きにしなさいと言いながら

任務で傍を離れられない夏凜は天乃の後ろについて歩きながら

ふと、思い至って口を開く

夏凜「ねぇ、天乃」

天乃「なに?」

夏凜「一昨日……突き放したこと、怒ってるの?」

脈絡のない疑問に足を止め

天乃が夏凜へと振り向くと

夏凜もまた、足を止めて天乃を見つめる

夏凜「あ、あれはあんたが悪いのよ……人を小馬鹿にしたうえで寝てあげるとか言ったあんたが」

天乃「………そうね」

夏凜「わ、解ってんならっ」

天乃「なに?」

夏凜「……………っ」

まっすぐ見つめられていることの気恥ずかしさに耐えかねて

夏凜はぷいっと顔をそむけてしまった




1、別に、貴女が原因じゃないわ
2、はっきり言ってくれない?
3、何でもないなら、先。行くわよ
4、……貴女自身、私が静かにしてる方が良いんじゃない?


↓2


はっきりしない夏凜に向かって

技とらしくため息をついた天乃は

理解できないと言うかのように首を振って夏凜を見つめる

天乃「……貴女自身、私が静かにしてる方が良いんじゃない?」

夏凜「そうね、五月蠅すぎるっていうのも考え物だわ」

天乃「だったら」

夏凜「でも!」

夏凜は強く言い放って

自分の服の裾を握り、感情を抑え込んで俯き

そして、もう一度「でも……」と、呟く

夏凜「あんたが静かすぎると……逆に落ち着かないのよ」

天乃「……どういうこと?」

夏凜「あんたの馬鹿みたいな冗談がない、楽しそうな笑い声も笑顔もなにもない」

天乃「……………」

夏凜「こう……言葉にし難いけど、なんかアレなのよ! 物足りないっていうか、なんていうか……」


天乃「嫌がってたじゃない」

夏凜「い、嫌だったわよ! 嫌だったけど……無いなら無いでなんか、違和感があって……」

不安になる

怖くなる

天乃ほどの能天気な人間を沈ませる何かがある現実が。

天乃「なら、笑ってればいいの?」

夏凜「違う。そうじゃない……」

だからって空元気を望むわけではない

いつもの、いつも通りの

あの殴りたくなるような冗談と笑顔

疲れるけれど、面倒だけれど

でも、確かに傍にある。そばにいると言う安心感の得られるものが

夏凜は欲しかった

夏凜「あたしのこと、程々になら別に良いから……元気出しなさいよ」


天乃のことを何も知らない夏凜には

何一つ慰める方法などなくて

だからこその決断を告げて、目を伏せる

馬鹿なことを言った

数日前の自分に聞かれたら馬鹿じゃないのと罵られるだろう

そう解っていながらも、訂正はせずに天乃の返事を待つ

その一方で、呆気にとられていた天乃は

口を閉じ、静かに息を吐いて瞬きする

天乃「……夏凜」

夏凜「な、なによ!」

大嫌いな神樹様と大赦より派遣されてきた勇者

散々からかってきたことに対し、怒りをぶつけてきた少女

それが求めてきていると言う状況に少し乱される思考を整理するために、頭を振った


1、貴女……まさかお兄ちゃんと同じ罵られたい側の人間……ッ?
2、……ありがと、夏凜
3、言質はとったわよ? ふふふっ……貴女って単純ね
4、それもどうせ、大赦からの命令の範疇でしょう? 付き合わなくてもいいのよ? 別に


↓2


天乃「……ありがと、夏凜」

そういった天乃はいつものからかっていたりする時に見せる

楽しいからこその笑顔ではなく

嬉しいという感情の滲み出る笑みを、夏凜に向ける

夏凜「ッ……ば、馬鹿じゃないの? 大赦のお役目なだけよッ」

笑みを浮かべる少女と、照れ臭そうに顔をそむけながら

適当なことを言い捨てる少女

通行人は2人の初々しい姿を見取って笑みを浮かべ

野次馬になることもなく、その場を去っていく

天乃「……そっか」

残念そうにつぶやき、天乃が俯く

失敗したと気付いて夏凜は慌てて言葉を組み立てたからか

それはひどく、ボロボロだった

夏凜「ぁ……いや、えっと、お、お役目であんたに付き合うのは事実だけど、違和感はその、個人の感想っていうか……」

天乃「…………………」

何も言わない天乃

これはもうだめかと、考えを放棄した夏凜の口からは

本心が、漏れ出していく

夏凜「元気出して欲しいとか、そーいうのは、あたしの……個人的な……」

天乃「……ふふっ、ありがと」

夏凜「っ~~~~~~!」

ついさっきの沈痛な雰囲気は何処へ行ったのか

いつもの殴りたくなるような笑みを浮かべる天乃を見た夏凜は思わず、怒鳴り声を上げたが

それは声にはなりきれず、空気に混ざって消えていった


ここまでにさせて頂きます


警戒レベルに関しては
ある一定の条件などで表示される予定です


では今日も進めていきたいと思います



天乃・夏凜の居場所


1、自宅
2、病院
3、海岸
4、イネス
5、適当な公園



↓2


√ 5月7日目昼


コンマ判定表

01~10 勇者部
11~20 
21~30 風
31~40 
41~50 樹
51~60 
61~70 友奈
71~80 
81~90 東郷
91~00 男性が見た目小学生の女子中学生に話しかける事案発生

↓1のコンマ   空白はなにもなし


√ 5月7日目昼



樹「あっ、久遠先輩!」

天乃「樹……どうしたのよ。こんなところで」

樹「実は私の家はこのすぐ近くで……久遠先輩こそ、どうしてここに?」

天乃「私は……ほら、アレを見てる」

そう言って天乃が指さした先を樹は見て

わぁっと驚きながらも嬉しそうな笑みを浮かべる

夏凜「ッ………ッ!」

二本の木刀を用いて舞う少女

まるで演舞でも見ているかのような軽やかな動きに

樹の瞳は羨望の眼差しへと変わる

それを横目でちらっと見て、天乃は小さく笑ってまた、夏凜へと目を向ける


天乃「……憧れる?」

樹「……あこがれは、します」

天乃「なんだか中途半端な言い方ね」

樹「………………」

問いに対して返事のない樹を見て、天乃は少しためらって目を逸らす

日中だと言うのに

夏凜を見ていた眩い希望の瞳は暗く

さっきまで生温かった風も、どこか冷たい

演舞を見る少女と、自身の影を見る少女

並ぶ二人の間を、そんな風が通り抜けていく

樹「………………」



1、あの子、私の友達なの
2、あの子、私の彼女なの
3、あれが巷で人気のにぼっしーよ。サイン要る?
4、ねぇ、あの子に訓練頼んでみたら?
5、まぁ、私。首を突っ込む趣味はないから……聞かないわ



↓2


天乃「あれが巷で人気のにぼっしーよ。サイン要る?」

樹「に、にぼっしー……?」

天乃「そう。必殺技のにぼシウム光線で悪いやつをやっつけるの」

樹「…………?」

聞いたことがない。と、樹は首をかしげたが

もしかしたら自分が知らないだけなのかもしれないと

ほぼ必然的に、自分の意見を縮小して、苦笑いを浮かべる

樹「ごめんなさい、知らないです」

天乃「日曜朝2時14分からやってる5分間アニメよ。しかも特撮」

樹「そ、そうなんですか?」

天乃「乾燥させた小魚に足と手が生えただけの不気味なフォルムがまた人気らしいわ」

樹「……え、あれ?」

天乃「ん?」

樹「いえ、あの……あの人、そんな変な見た目じゃ」

天乃「ぁ………あーえっと、そう。あれは中の人よ」

樹「!?」


天乃「変身したら、そうなるの」

樹「な、なんでそんな変な変身するんですか?」

天乃「なんでって、それはもちろん……変身ヒーロー物のアニメだし」

樹「あのままの方が人気出ると思いますけど……」

天乃「やっぱりそう思う?」

樹「は、はいっ」

樹は突然の同意を求める言葉に驚きながらも頷く

絶対にそう

小魚に手足が生えているより

舞い踊るあの人が戦っている方がずっときれいで、ずっと格好いい

樹自身そう思っていたからこその同意

けれど、天乃は首を振る

天乃「私は不気味なフォルムで戦ってる方も、認めてあげたいわ」

樹「え?」

天乃「だって、容姿が劣っていたり、能力が劣っていたりしても、その子が頑張って戦ってるってことには、変わりないじゃない」


天乃「全部完璧じゃないとダメ? 何もかもが素晴らしく、美しくなければダメ?」

樹「え、ぁ、あの……」

天乃「……私は、そうじゃなくても良いと思ってる」

樹「…………………」

天乃「私は努力しろ。頑張れ。とは言うけれど、完璧になれとは言わない。たぶん、貴女のお姉ちゃんもね」

夏凜が増えた観客に気づき

自分たちの方に近づいてきたのを確認して笑顔で手を振る

そして、ちらっと横目で樹を見る

天乃「だから、何かに憧れた時に、でも。自分は……なんて思っちゃいけない」

樹「……………」

天乃「むしろ、いつか自分はこうなれるんだって、超えてやるんだって自信を持ちなさい」

樹「久遠先輩………」

天乃「ねっ、にぼっしー?」

夏凜「誰がにぼっしーよッ!」

天乃「ごめんなさい……貴女、中の人だったわ」

夏凜「何の中身よ!」

天乃「ううん、もしかしたら貴女こそがにぼしの変身した姿の可能性が……」

夏凜「あるわけないわよッ!」


夏凜「いきなり意味の解らない話を振らないでくれる?」

天乃「私じゃないわ。この子があーあの人にぼっしーの中の人に似てるーって」

樹「えぇっ!?」

夏凜「あんた以外にそんなこと言う人間がいるかッ!」

天乃「にぼシウム光線は止めてっ魚臭くなる!」

夏凜「待ちなさいっ! その口に一袋丸々突っ込んでやるわ!」

逃げ出した天乃のあとを、夏凜が小袋を持って追いかける

真面目な天乃

ふざけた天乃

前者は優しく格好良くて

後者は子供じみてて、中学生としてはあまりよくは見れないはずなのに

なのに、両方を知る樹はどちらの方が良い。と、

優劣はつけられなかった

天乃「にぼし姫! 新しい水分よ! これで元に」

夏凜「戻るわけあるかぁッ! 帰りの服どーしてくれんのよ!」

海水をおもいっきりかけられた夏凜が天乃に向かって怒鳴り

天乃はただただ楽しそうに笑う

樹「………久遠先輩、小学生みたい」

3年生で先輩で

厳しかったり、優しかったり、子供っぽかったり

様々な面を持つ天乃を見る樹は、自然と笑みを浮かべていた


樹「あの、良かったら……」

夏凜「なに?」

樹「良かったら、家に来ませんか? 濡れたままだと風邪ひいちゃうかもしれないですから」

夏凜「それは……あーいや、でも」

夏凜は受けようとしながらも

躊躇って首を振る

現在は天乃の監視中

下手に誰かと接触させて

警戒しにくくするのは得策じゃない。と、判断したのだ

夏凜「悪いけど……」



1、良いじゃない。せっかくの誘いなんだし
2、魚は風邪ひかないから平気よ
3、あら、私は行きたいわ。久しぶりに風にも会いたいし




↓2


天乃「良いじゃない。せっかくの誘いなんだし」

夏凜「だけど」

天乃「子供みたいにはしゃぐからそんな濡れちゃったのよ? 風邪引かない為にも好意は受けましょ」

夏凜「誰のせいだと思ってんのよっ」

天乃「怖いお姉ちゃんが追いかけてきたせい?」

夏凜「あんたの余計な発言と行動のせいよ!」

目の前で繰り広げられる茶番

言葉を挟むタイミングを計っているうちにそれが終わり

樹は安どのため息をついて「では」と、笑みを浮かべる

樹「私とお姉ちゃんの家にご招待します」

天乃「よろしくね。1名様で」

夏凜「あーもうっ、待ちなさい……っくしゅ」

樹の好意を受けることにした2人は

風もいる犬吠埼家へと、足を運んだ


√ 5月7日目昼


風「へぇ……なるほど」

夏凜「一応、もっとちゃんとした形で言おうとは思ったんだけど」

風「別に良いんじゃない? 形式に拘らなくても」

大赦から新しく派遣される予定の勇者であること

だからもう一代前のような勇者部は不要であることを告げた夏凜に

風はやや適当なそぶりで答える

夏凜「―――ッ!」

夏凜はここで感じ取った

自分で鍛え上げた気配を察知する能力

それのおかげなのかどうかは問題ではなく

目に見えない、耳にも聞こえない

特殊なものを、感じ取ったと言うのが、夏凜には重要だった

目を見開く、思考を全開にして

まさか、まさか、まさか

ありえない、ダメだ、それは嫌だ

疑惑と否定がグルグルと回り続ける

そんなことがあって許されるのか

そんなことがあっていいのか

風「おーい、夏凜ー?」

夏凜「っ……」

目の前でパタパタと手を振る風を直視して、夏凜は確信する

犬吠埼風は、天乃に近いタイプの厄介なやつだ。と


天乃は勇者部には属しておらず

チームのまとめ役ではない。と、聞いているため

自分への被害はともかくとすれば

あまり問題はなかった

だが、犬吠埼風は違う

勇者部と言うチームのリーダーであり

戦闘に置いての指揮官でなければいけない

それが、形式に拘らなくても良いなどと言う発言をすることが

夏凜にとってはひどく、気に障ることだった

夏凜「そんな適当な姿勢でよく1ヵ月持ったわね」

風「きつかったわ……結構」

天乃「どちらかと言うと連戦に次ぐ連戦の精神的ストレスよね」

風「そうとも言うわね」

夏凜「……ま、まぁ、この私が来たからには何連戦だろうと楽勝よ!」

樹「えっと……夏凜さんって実戦経験あるんですか?」

夏凜「ぐっ」

伏兵による援護射撃によって、夏凜は口を閉じた


夏凜「それは……あれよ。しっかりと訓練積んでるから問題ないわよ!」

天乃「ふーん。訓練ねぇ~」

夏凜「に、ニヤニヤすんなーッ!」

対人戦ですでに一勝済みの天乃の不敵な笑みに

夏凜が怒鳴り、風の興味がそっちにずれる

風「なになにー? なにがあったの?」

天乃「実はね? この夏凜ちゃんなんだけど~」

風「けどー?」

夏凜「言うなーッ! あ、あれは手加減して、わ、わざと負けてあげただけよ!」

風「負けたんだ」

樹「負けたんですか……?」

夏凜「ぁっ」

言わせないつもりが自分で口走ったことに気づいて

時すでに遅く口を押える夏凜

その目の前で、天乃は中指と人差し指を立てて、夏凜に向ける

天乃「ぶいっ」

夏凜「つ、次はまけないわよッ!」


今後学校に通うだけでなく

勇者としても活動していくのなら

勇者部である風、樹、友奈、東郷との接触は免れない

だからこそ、

2人ほどかけているとはいえ

戦闘でいきなりでなく

普通にゆっくりと言葉を交わせる場所と時間があったのは

天乃にとっても、夏凜にとっても都合がよかった

夏凜「――と、言うわけよ」

天乃「レベルアップと満開……ねぇ」

満開とはレベルアップであり、

経験値をある程度溜めることで満開でき、

そうすることで飛躍的に能力が上がると言う

天乃「それが出来れば、戦うのもだいぶ楽になるんでしょうね……」


1、風と話そう
2、樹と話そう
3、夏凜と話そう
4、死神と話そう
5、ベランダでぼーっとしよう

↓2


風がお昼だとして振る舞ってくれたうどん

その食器をかたずける風の隣に並び、天乃はそっと口を開く

天乃「私が入院している間、平和だった?」

風「……んーそうねぇ、平和だったわ」

天乃「そう、良かったわね」

風「まぁね」

肯定しながらも

風の嬉しそうには思えない表情に疑問を抱き

天乃「何かあったの?」

天乃は再び問いを投げる

けれど、風は手元の器を水切り籠に乗せると

軽く首を振って天乃に笑みを向ける

風「なーんにもないわよ」

天乃「……本当に?」

風「嘘なんかついて意味ある? それに、事実バーテックスは出てこなかったでしょ?」


天乃「それはそうだけど……」

風「お見舞いに行けなかったことなら勇者部の活動がたまってたからってだけ。ごめんね?」

天乃「別にお見舞いの件はいいわよ。樹の電話、東郷の面会、あの子からも……連絡はあったし」

風「ほほう?」

女子力を生贄に捧げたような笑みを浮かべる風は

何かを探るように天乃へと顔を近づける

天乃「なによ」

風「まーたあの子が出てきたなーと」

天乃「べ、別に深い意味なんてっ」

風「別にあたし、深い意味がどうとか言ってないけど……」

天乃「言いたそうな顔してたのよ!」

風「まぁ、思ってたことは認めるけどねー」



1、あの子はただの友達よ!
2、あの子は別に……そんなんじゃ、ないわよ
3、私がだれと親しくしてようが、貴女には関係ないでしょ
4、話を逸らそうとしたって無意味よ。何があったのか言いなさい



↓2


天乃「ったく……話を逸らそうとしたって無意味よ。何があったのか言いなさい」

風「だからべつに」

天乃「私を見てから少し、態度がおかしいわよ。風」

もちろん。というか

当然ながらと言うべきか

天乃はいつもの風も、今までの風も

どんな態度だったかなんてことは覚えていない

けれども、何か疚しいことがあるのなら

それだけで、相手は動揺すると天乃は考えたのだ

風「た、態度がおかしいって……別に普通でしょ」

天乃「今一瞬、何か間違えたかも。って、考えたわね?」

風「……………」

天乃「それに、目も逸らそうとした……」

天乃は風の肩を掴むように軽く叩いて

自分の方へとわずかに傾かせる

天乃「話して、くれるわよね?」


風「……まぁ、良いかな」

風は夏凜を伺うように見てから

天乃へと目を移し、

少しばかり嫌そうな笑みを浮かべて、ベランダの方へと誘導する

天乃「2人には聞かれたらまずいの?」

風「ええ。特に……樹には」

天乃「……解った」

2人はちょっと風に当たると言う名目でベランダに出て

落下防止の柵に寄りかかる

天乃「……それで?」

風「これはもちろん……というか、大赦からの指示でしかないし、あたしは賛成じゃない」

天乃「面倒くさい言い方は結構よ」

風「………………」

天乃「はっきり言って」

風「久遠……貴女が少しでも不審な動きをすれば、勇者部総出で戦うことになる。大赦は、久遠を味方だとは思ってない」


風「本来、久遠には秘密の事……だけど、あたし達は久遠のおかげでこの前生き残ることが出来た」

天乃「………………」

風「これはそのお礼の報告」

風とはそれほど仲良くはない

だけど、命を懸けてでの奮闘が功を奏して

話してくれた大赦からの評価

吹く風に木々が騒めき、波が立つ

それを眺める天乃は何も言わず、目を瞑る

味方だとは思っていない

なるほど、そうだろう

あたりまえだ、神樹にたいして許すつもりはないとまで、言ったのだから

くすっと笑った天乃は、風へと顔を傾ける

天乃「そこに続きは?」

風「……ない」

天乃「そう……まぁ、想定の範囲内だわ」


風「……お願い、変なことだけはしないで」

天乃「するもしないも私の自由でしょう?」

風「友奈や樹……それに東郷。久遠は3人と戦えるの?」

天乃「………………」

それはきっと

風は解っていて言ったわけではないだろう

けれど、天乃には

天乃の心には、物凄く冷たくて、重い杭が突き刺さる

東郷……いや

天乃にとって鷲尾須美である彼女は

失った親友の大切な親友で

その親友と戦えるのか、戦えないのかは例外にしても

傷つける、怪我をさせる

最悪殺してしまうなんて言うことは、恐らく出来はしない

天乃「……さぁ、どうでしょうね」

でも、天乃はそれを悟られたくはなくて

強がりで、偽りで、脆い冷笑を浮かべて、風を一瞥し、部屋へと戻って行った


自宅に強制送還されています



√ 5月7日目夕


コンマ判定表

01~10 風
11~20 
21~30 樹
31~40 
41~50 友奈
51~60 
61~70 沙織
71~80 
81~90 夏凜
91~00 大赦の人

↓1のコンマ   空白はなにもなし


√ 5月7日目夕 自宅


天乃「……はぁ」

大赦は味方だと思っていない

それはありがたい

それは実にうれしい

勇者だ何だとベタベタされると

喜ばしいどころか、虫唾が走るかもしれない

そう思いながら

天乃はベッドのうえで一回転して天井を仰ぎ見る

ほとんど半日歩き回って疲れた。なんていうほど

体力がないわけではない

けれども、あまりいい気分ではなかった

天乃「須美と……か」

東郷に記憶はないが、自分にはある

一つ一つの攻撃をするたびに、きっとその思い出が鈍らせようとするだろう

けれど、そこに戦わなければいけない理由があるのなら

天乃「私は……戦うよ……良いよね? 銀」



1、電話:風、樹、東郷、友奈、沙織
2、メール:風、樹、東郷、友奈、沙織
3、夏凜の所へ
4、死神を呼ぶ
5、兄の部屋へ
6、ぼーっとする:再度コンマ判定(100%イベント)を実行


↓2

√ 5月7日目夕


コンマ判定表

01~10 風
11~20 東郷
21~30 樹
31~40 変態
41~50 友奈
51~60 死神
61~70 沙織
71~80 奇数:夏凜 偶数:変態
81~90 夏凜
91~00 大赦の人

↓1のコンマ

√ 5月7日目夕


天乃がぼーっとしていると端末が震え、

通話ボタンを押した瞬間、彼女の声が聞こえてきた

沙織『こんばんは。だよね?』

天乃「……どうかしたの?」

沙織『平日でさえ暇を持て余してた久遠さんの事だから、日曜日なんかはもうアレかなって』

天乃「貴女にとって、私ってどういう人間なのよ」

天乃の呆れたような声に対して

沙織は楽しげに唸って、「そうだねー」と、呟く

沙織『今は暇と同居している人。なんて』

天乃「暇って……」

沙織『あははっ、冗談だよ。ごめんね』

天乃「別に謝る必要はないわよ」


沙織『実は今日、久遠さんらしき人を見かけたんだよね』

天乃「そうなの? だったら声をかけてくれれば良かったのに」

沙織『お友達と一緒にいたし、邪魔したら悪いかなって』

天乃「その報告のために電話したってわけでもないでしょう?」

沙織『そうとも言えるかな……そうそう。学校で貰ったプリントはね、お兄さんに渡しておいたから』

天乃「…………………」

沙織に言われて机の方を見ると

しっかりとクリアファイルに入れられたプリントが置いてあった

つまり、兄が部屋に入ってきたと言うことなのだが

電話している手前、箪笥の確認をするわけにもいかず、息をつく

天乃「机の上に置いてある、みたい。悪いわね、わざわざ」

沙織『ううん、良いよ。気にしなくて……あたしと久遠さんの仲なんだし』

天乃「どんな仲よ」

沙織『それは………えっと……』


1、友達?
2、親友?
3、恋人?
4、夫婦?
5、沈黙


↓2


天乃「………………」

天乃は黙って沙織の言葉を待つ

大きく見積もって親友程度

そう考えて、言葉を用意していく

一度は突き放した

友達ではなくなった

クラスメイトですら、記憶上ではなくなっていた

けれど、もう一度付き合いなおした少女との関係

震えない空気は少し肌寒く

傾く夕日が窓から差し込み、天乃を照らす

沙織『そ、そんなことより』

天乃「……流すのね」

沙織『ふ、深く考えてなかったもん』

天乃「深く考えるような仲ってことなの?」

沙織『それは……っ、それも秘密ッ』

天乃「なんなのよ……もう」


彼女の答えは隠された

電話では表情から読み取ると言う技術は出来なくて

変に乱れる電波のせいで

声から探ることも出来そうにはなくて

諦めた天乃はため息をついて「それで?」と、先を促す

沙織『え?』

天乃「何を言おうとしたのよ。誤魔化して」

沙織『ご、誤魔化したわけじゃ……というより、こっちが本題だよ?』

天乃「はいはい」

沙織『本当だってば……もー』

膨れたような彼女の声が聞こえてきて

天乃は満足そうに笑みを浮かべる

今は会えていなくて、しっかりとした情報も得られてはいない

けれど今、しっかりと会話していると言うのは変わりなく、事実で、現実で、真実で

それは少なくても、友達のようなもので

だから天乃は変に追求せずに沙織本来の要件を待った


沙織『プリントの中に、進路希望調査表があると思うんだけど』

天乃「……あるわね」

沙織『うん。とりあえず、プリントの中から抜いて見てみよう?』

天乃「……貴女、私の部屋にカメラでも仕込んでないわよね?」

プリントも見ずに適当に相槌打っただけだった天乃は

周囲を警戒しながら

今度こそはプリントを手に取って「あるわよ」と答える

沙織『そんなことしないよ』

天乃「じゃぁ、なんで見てないってわかったの?」

沙織『久遠さん、絶対に興味なくて見ないと思った』

天乃「大正解よ……まったく」

苦笑する沙織にため息をつく天乃

電話越しながらも

二人を包み、繋ぐ空気は柔らかく、穏やかだった


沙織『直球で質問するよ?』

天乃「ええ」

沙織『久遠さんって、大赦とか神樹様とか……嫌い?』

天乃「………………」

沙織からの質問は直球で、唐突で

一瞬聞き間違いかと考えた頭がロックをかけて

言葉に詰まる

天乃「……どうして?」

沙織『久遠さん、神樹様に拝って絶対にやらないから……もしかしてと思って』

天乃「なるほどね……」

この子に対しては別に本心でも……

けど、この時代そんなことを言ったら悪く思われてしまうかもしれない

そんな葛藤にさいなまれて、天乃は首を振った


1、大嫌いよ
2、神樹は切り倒したいくらいよ
3、好きではないわ
4、まぁ……普通ね



↓2


天乃「そうね……大嫌いよ」

沙織『っ………そ、そっか』

電話の奥でどんな表情をしているのだろう

どんなことを思っているのだろう

それを察することは出来なくて

そのもどかしさに髪を弄る天乃は

いつの間にか暗くなっていた部屋のカーテンを閉めて、電気をつけたけれど、

バチッと音が鳴って明かりは消えてしまった

天乃「……なによ。もうっ」

沙織『やっぱり、嫌いだよね……』

天乃「ええ。それがどうかした?」

沙織『そうなると進学は難しいと言うか、嫌なんじゃないかなって……』

天乃「あぁ………」

沙織『久遠さんが行けたら行くってそういうのが緩いところがあるなら行く。ないなら行かないみたいなものなのかなって思って』


本当の所はそんな理由ではないのだが

否定してさらに追及されるのを避けたかった天乃は

そのまま聞き返す

天乃「……だとしたら?」

沙織『あ、あのね。そう言う所が凄く緩くて、しかも久遠さんの好きな自由な感じのものがあるんだけど』

天乃「……参考までに聞くわ」

沙織『と言っても、かなり厳しくて、その、採用も一人だし、就職みたいなものなんだけど』

沙織のオドオドとした物言いに

天乃は早くするよう急かしたい気持ちを抑えて待つ

どんな条件であれ、そこを選び、入れる可能性は限りなく引くい

でもだからといって、大赦や神樹信仰のこの時代で

そこらへんを気にしなくていいと言う好条件を逃す手はない。が……

天乃「それで?」

沙織『く、久遠さんさえよければ、その、相手の方に軽く話でもしておこうかなとか、思ってたり……』



1、ぜひお願いするわ
2、そこまで迷惑はかけられないわよ。相手を教えてくれればこっちで話すわ
3、……ううん。大丈夫、まだ時間はあるから、ゆっくり考えるわ



↓2


天乃「ぜひお願いするわ」

沙織『え?』

天乃「お願いするって言ったのよ。そんな好条件、逃したくないわ」

沙織『そ、そこまで嫌いなんだね……』

沙織の隠しきれない動揺の滲み出た声

天乃は軽く笑いながら

その声に向かってつづける

天乃「もしかして冗談とかだった?」

沙織『そ、そんなことないよ。でも、その……即決だったなぁって』

天乃「それだけってことよ」

沙織『そうだね……解った。話してみる』

天乃「ええ、悪いけれど、よろしくね」

沙織『うん!』

入れ替わりの激しい沙織のテンション

恐らく今日最高潮だった喜びの声を最後に、通話を終える

天乃「……電気、ダメか。取り替えないと」

電話中も何度かスイッチを切り替えていたが、付くことはなく

諦めた天乃は深くため息をついた


ここまでにさせて頂きます
明日……27日ですが、投稿の方は出来ない可能性の方が高いです
いずれにせよ、何らかの連絡は入れる予定です

1度に出てくる安価数的に作者は沙織さん推しか把握。

>>348
絆値が関係してそうだけどなそこら辺
仲良くないと新規に話題だして話したりしようとは思えないし

ただ低め?(絆値普通)の樹も2回来てたから
確定とは言えないが

>>330
>天乃「そうね……大嫌いよ」
>沙織『っ………そ、そっか』

伊集家は大赦側の可能性が微粒子レベルで存在している…?

>>348>>351
安価数に関しては、絆値および選択肢が相手に与えた影響で決めてます
大体、下記の通りです※読み飛ばして平気です


絆値の高い沙織なんかは
悪い雰囲気になったりした際に、あれだよね? これだよね? と、話題を新しくしようとしたり
良い雰囲気などの場合も、より先行しようとすることもあるため、数が増えます

一方で、低めの風や東郷などは
雰囲気が悪くなったりすると、そのまま口を閉ざしてしまったり
良い雰囲気になったとしても、一旦はそこで満足して続けないことがあります

もちろん、指摘されたように7日目昼の樹みたく、
選択肢が相手に与えた影響次第で、対象に対して安価が増えることもあります

この樹の場合は、にぼっしーの話題を引っ張ったため、
夏凜に対してにぼっしーでのからかいイベントが発生。それで夏凜が濡れて
直前の選択で樹の不安要素を多少なりと解消し
樹が誰かを気に掛ける余裕が出来た為発生した継続安価。となっています


では軽くですが今日も再開したいと思います


√ 5月7日目夜


コンマ判定表

01~10 大赦の人
11~20 
21~30 死神
31~40 
41~50 兄
51~60 
61~70 姉
71~80 
81~90 夏凜
91~00 

↓1のコンマ   空白はなにもなし


√ 5月7日目夜


天乃「……目が痛くなる」

端末の淡い光だけが明かりとなった天乃の部屋

明かりとするにはその光はあまりにも眩しく、目に悪く

天乃はため息をついて、端末を暗くする

天乃「ついてないわね……電気も、私も」

夕飯と言うことでリビングに下りた際、

換えの蛍光灯を探したのだが

あいにく、在庫がなかったのだ

おかげで今日は夕方から暗闇状態

何もなくても気分は下がり気味だった




1、電話:風、樹、東郷、友奈、沙織、兄、姉
2、メール:風、樹、東郷、友奈、沙織、兄、姉
3、夏凜の所へ
4、死神を呼ぶ
5、寝る
6、兄の部屋
7、姉の部屋


↓2


天乃「死神~」

死神「クオンサン?」

天乃「この暗い部屋の中、私がどこにいるのかわかる?」

死神「ワカル」

天乃「そうよね……死神だもの。夜目が聞くわよね」

死神「ニオイデ」

天乃「えっ……いや、嘘でしょ?」

死神「クンクン」

天乃「ちょ、ちょっと!」

すり寄ってきた死神を両手で捕まえて

万力のごとく締め上げていく

死神「ジョウダン、クオンサンノマネ!」

天乃「私はそんなことしないわよっ!」


天乃「まったく……」

死神「クオンサン、イツモジョウダンバカリ、ダカラ……」

天乃「私は色々と事情があるし、髪に顔突っ込むまではいかないわよ」

死神「イイニオイ」

天乃「潰すわよ?」

死神「ジョウダン」

今の部屋では死神の纏っている黒いマントか装束は同化しており

瞳の赤さだけが居場所を教える

それによれば、丁度正面で浮遊しているようだ

天乃「貴方の赤い目が蛍光灯代わりになったりしない?」

死神「ワタシニハ、デキナイコト」

天乃「そうよね」

死神「ドア、アケル?」

天乃「お兄ちゃんが覗くから却下」



1、それより、満開について教えて
2、ねぇ、神樹も私達を敵視してるの?
3、一緒に寝ましょ
4、一緒にお風呂入りましょ
5、ねぇ、貴方は私が神樹や大赦をつぶそうとしても、味方でいてくれるの?


↓2


天乃「ねぇ、貴方は私が神樹や大赦をつぶそうとしても、味方でいてくれるの?」

死神「?」

天乃「解らない振りしなくていいから」

死神「ワカラナイ」

天乃「………解るでしょう?」

死神「キクイミ、ワカラナイ」

死神の丸く赤い瞳を直視する天乃は

寒気を感じて体を震わせる

そこにいるのは小さい死神

なのに、両肩を抑え込まれたかのような

冷たい感覚が身体から伝わってきたのだ

死神「ワタシハ、クオンサンノ、セイレイ。クオンサンガシタイナラ、ワタシ、テツダウ」

天乃「じゃぁ私の精霊じゃなかったら?」

死神「クオンサンノセイレイダカラ、クオンサンノソバニイル。チガウナラ、ハジメカラテキ」


確かに死神の言う通りだった

自分の精霊だから、手を貸す

自分の精霊でなければ、元々味方ではなく

どういった行動をしようとも、味方になることは殆どありえない

けれど、ではこれならどうだろう? と

天乃は逡巡して問う

天乃「貴方は神樹によってつくられた精霊でしょう? つまり、母あるいは父殺しを私がするのよ?」

死神「……………」

天乃「それでも、貴方は私の味方でいるの?」

我ながら意地悪な質問だと思いながらも

ここぞと言うときでの障害となっては困るために

天乃は訊ねて答えを待つ

けれど返しはなく、沈黙し

正面の2つの赤い点が一瞬だけ消えて、現れる

死神「クオンサンガイルカラ、ワタシガイル。ダカラ、シンジュデハナク、クオンサンガ、ワタシのハハデ、チチ」


死神「ダカラ、ワタシハクオンサンヲマモッテ、シンジュハマモラナイ」

天乃「……正直すぎるのも、考え物よ?」

死神「クオンサン、ユルサナイ。シンジュノコト。ダカラモウ、ワタシノコトバ、イミナイ」

天乃「……貴方は私の巻き添えを喰らったってことね?」

死神「ツマリ、アナタノセイッテコトネ?」

暗くて表情は見て取れないが

瞳が三日月型に欠けている為

笑っているのだろう。と、天乃は気づいてため息をつく

どう見ても

いつぞやの夏凜に対する責め込みだった

天乃「そうかもしれないわね」

死神「……カリントチガウ」

天乃「当たり前でしょ、あれは別に夏凜のせいだったわけじゃないんだから」

死神「マダマダ、ムズカシイ」



1、私の真似はしないでくれる?
2、ふふっ、私の真似なんて貴方には早いわよ
3、……ありがとね、私の相棒くん
4、もう寝ましょ
5、……貴方の献身のご褒美に何か一つ、お願い聞いてあげないこともないわよ?



↓2


天乃「……貴方の献身のご褒美に何か一つ、お願い聞いてあげないこともないわよ?」

死神「…………………」

天乃「別にそう、急ぎで考えなくてもいいのよ?」

死神は悩ましそうにグルグルと回り

瞳の残光が薄く円を作り出す

赤い光は暗い部屋ではほんの少し禍々しくて

けれど、明るくて、綺麗で

ちょっと魅了されそうになる頭を振って

天乃は目を逸らす

天乃「決まった?」

死神「キメタ」

天乃「それで?」

死神「クオンサンノシタギガホシイ」

天乃「……え?」

聞こえた。確かに聞こえた

けれど、一度目は単なる冗談という線も考えて

あえて、冷たく、厳しい感じの声で聞き返した


死神「オニイチャンがヌスムホド、イイモノ。ワタシモホシイ」

天乃「……勘弁して頂戴」

死神「ダメ?」

天乃「ダメに決まってるでしょ、馬鹿なの?」

死神「オニイチャンハイイノニ?」

天乃「一枚もあげてないわよ!」

思わず怒鳴って

ベッドに仰向けに倒れた天乃は

握り拳をベッドに打ち込む

当然、それを兄に見立てて

何度も、何度も

天乃「もうちょっと現実的な……そう、私のことも考えたお願いにして」

死神「クオンサンノコトモカンガエタオネガイ……?」

天乃「そう」

死神「……キメタ」

天乃「どうぞ」

死神「イッショニオフロハイロウ?」


天乃「お風呂ね……」

死神「ダメ?」

天乃「んー……」

下着をあげるよりは確実に良い条件だとは思う

というよりも、下着はあまりあげたくない

一緒にお風呂なら、別に男の子でもなんでもなく

ただの精霊だから見られるのを気にする必要もない

天乃「一応、他にはある?」

死神「……キストカ、デート」

天乃「……今朝ので覚えたからって」

死神は自分の求められることを求めて

クルクルと回る

知識はまだそこまでなかったのが救いだろうか

下手に増えていたら、それこそ求めてくることは沢山あっただろう


1、キス
2、デート:8日目の夕方を消費します
3、一緒にお風呂
4、早く寝たいので、下着を渡す


↓2


天乃「解った、じゃぁデートしましょ」

死神「アリガト!」

天乃「ただし、明日は私学校だから夕方だけよ?」

死神「ワカッタ」

天乃「よしよし」

ただ単に、デートがどういうことなのかを解っていないだけかもしれないが

変に欲張ることなく、死神は了承し

天乃はその頭に触れて撫でる

天乃「………………」

静まり返り、赤い光も消えた室内に

小さなため息が響く

死神とのデート

沙織の時のように、買い物とか遊びではなく、一応はデートと言う名目

初デートが人外であり、そもそも一般人に見えていないようなものになるとは全く思っていなかったがために

自分でそれを選んだとはいえ、ほんの少し……思う所があったのかもしれない

天乃はもう一度ため息をついて、「寝よう」と

独り言ちて、目を瞑った

1日のまとめ

・  犬吠埼風:交流有(自宅訪問、情報)
・  犬吠埼樹:交流有(相談、自宅訪問)
・  結城友奈:交流無()
・  東郷美森:交流有()
・  三好夏凜:交流有(散歩)
・伊集院沙織:交流有(沈黙、大赦嫌い、申請)

・  乃木園子:交流無()
・   三ノ輪銀:交流無()
・      死神:交流有(信頼、ご褒美(デート))
・     神樹:交流無()


5月の7日目終了後の結果

  犬吠埼風との絆 11(普通)
  犬吠埼樹との絆 13(普通)
  結城友奈との絆 16(中々良い)
  東郷三森との絆 8(低い)
  三好夏凜との絆 22(中々良い)
伊集院沙織との絆 53(かなり高い)

  乃木園子との絆 15(中々良い)
  三ノ輪銀 との絆 45(高い)
      死神との絆 24(中々良い)
      神樹との絆 1(絶望的に低い)

大赦・神樹による、久遠天乃の警戒レベル85%程度?(検閲解除:ただし、次回はまた検閲)
犬吠埼風より、情報提供:大赦は久遠を味方だとは思っていない

友奈の絆が上がってるけど樹と間違えた?


キリも良いので、ここまでと言うことで


5月8日目から5月第二週で、5月の最終週です
死神の下着欲しい発言は兄のせいです

>>413
失礼しました
訂正しておきました


                /   ̄ ` 、     
              /        `ヽ    
            /_,.ィ≦三三三三≧ュ、/_   
          ,  ′             `ヽ
      ,  '                    \
  ー="´                         ヽ
      /                         丶
      ,′           人             ' ,
      ,′         /  ヽ     、        ',
    ,′       |ヽ /    `     ∧        | 
    ,'         ',  >     ヽ   ,' :   ヽ     |
   ,'    /     〆        ヽ  ,′ ',    ',    |
   ,    ,'    '            ∨― ヽ     ',    l
   l   ト ´ , ─  、         ,  ─ 、、  |   |
   |   ,' , ′f泛圷            ,'豺fヽ ヘ   !   ,′
   i   |   、 杙狄,'            弐以.,′ \ |   ,'
    ',  |      ̄            ―     v   ,′
    ',  ∧            、              ト  /
    ヽ i ',          ´           /l  /
      ', l ',                     / i ,′
       v  ',        _ _        / ,' /
         \     ′     `    , '  //
          | \            ,/ |  、/        
           ,   |` ヽ     , ' ,'   |        
          ,′,:::::i     `´    ト:::::.. l                     
         , '  i:::i::::i:::,:::.....、  ,..:::::;:::i:::i::l l                    
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      , ' ..:::::::::::::ヽ:: ;::::i:::i:::l  ,'::i:::::i::::/:::::::::\                        
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確かに、思えば天乃は勇者部の属性を集めたような感じですね
では、本日も進めていこうと思います




√ 5月8日目朝


コンマ判定表

01~10 風
11~20 大赦の人
21~30 友奈
31~40 
41~50 勇者部
51~60 
61~70 東郷・友奈
71~80 
81~90 風・樹
91~00 兄

↓1のコンマ   空白はなにもなし


√ 5月8日目朝


夏凜「ほら、さっさとしなさいよ」

天乃「嫌よ。別に急ぐ時間でもないじゃない」

夏凜「だからってもたもたしてたらギリギリになるでしょうが」

時間に余裕のない行動はあまり好かないのか

夏凜は急かそうとするが、

天乃は一向に動くペースを上げようとはせず

それどころか、わざとらしくため息をつく

天乃「解ってないわね……夏凜」

夏凜「なにがよ」

天乃「ゆったり準備するために、早く起きるのよ。早く起きて早く行くなんて、ナンセンスだわ」

夏凜「あんたのセンスなんて知ったことかッ!」

天乃「朝からカリカリしちゃって……さすが夏凜ね」

夏凜「っ……やかましいっ!」

天乃「なにが?」

夏凜「え?」

天乃「え?」

夏凜「いや、夏凜だからカリカリって……」

天乃「えー……」

苦笑いを浮かべて身を引く天乃を見つめながら

わなわなと震える拳をベッドに叩き込み、夏凜は瞳を鋭くする

夏凜「言ったのあんたなんだけどッ!」


天乃「まぁまぁ、落ち着いて落ち着いて」

夏凜「誰のせいで朝から声を張り上げてると思ってんのよ」

天乃「……まったくだわ。朝から疲れるなんて可哀想」

夏凜「今すぐ鏡を見ろ!」

苛立ちが募るばかりの夏凜は

机の上の鏡をかっさらって天乃に突きつける

天乃「?」

夏凜「誰が写ってる?」

天乃「白雪姫」

夏凜「今すぐ入院の手続きするわ。待ってなさい」

天乃「カルシウム不足で入院だなんて……煮干しじゃ補えなかったのね」

夏凜「私じゃなくてあんたよ?」

天乃「……私、煮干しはあれだけど牛乳飲んでるから平気よ?」

夏凜「牛乳のせいで視界が真っ白なんじゃないの?」

天乃「……笑わないわよ?」

夏凜「はぁ?」

天乃「白雪姫……白……牛乳……」

夏凜「ぁ……じょ、冗談で言ったわけじゃないわよッ!」

天乃「照れちゃって、顔真っ赤よ?」

夏凜「イラついてんのよ!」

天乃「まっかりんちゃん可愛い」

夏凜「馬鹿にするなぁッ!」


夏凜の怒りが静まるころには

天乃の予定通りで夏凜の予定遅れの時間になっており

諦めた夏凜の大きなため息が地面のぶつかる

家を出て10分程度

学校までの距離はあるが、時間もまだまだ余裕

しかし、夏凜は登校初日で早くも疲れ、俯き気味な歩き方になってしまっていた

夏凜「なんであんたのとこに居候なんだか……」

天乃「夏凜が一人暮らし出来ないレベルの炊事能力なんじゃないの?」

夏凜「一人暮らしくらい出来るわよ」

天乃「料理は?」

夏凜「出来たものが安く買える」

天乃「……………」



1、三食煮干しにするつもりなの!?
2、私が作ってあげようか?
3、だからダメなのよ
4、……かわいそ……ううん、何でもない
5、お母さん達に料理とか、習わなかったの?



↓2


天乃「私が作ってあげようか?」

夏凜「作れるの?」

天乃「ゆでるだけの簡単な作業よ」

夏凜「……何ができるかは言わなくていいわ。予想はついた。どうせ、三文字の白いやつでしょ」

自慢げな笑みを浮かべる夏凜の言葉に

天乃はお手上げと言った感じでため息をついて

小さく笑みを浮かべる

天乃「良く判ったわね」

夏凜「当たり前でしょ。私だってう――」

天乃「ゆで卵だって」

夏凜「ん?」

天乃「なに?」

夏凜「……ゆで卵?」

天乃「ええ」

夏凜「うどんじゃなく?」

天乃「……自慢げに言った夏凜ちゃん、顔真っ赤よ」

夏凜「そのニヤニヤはやめて、手が出る!」


天乃「実際のところは、もう少し色々作れるわよ?」

夏凜「温泉卵とか言ったら叩く」

天乃「じゃぁ卵かけごは――ぃたっ」

夏凜「真面目に聞いてるんだから真面目に答えなさいよ」

天乃「卵かけごはんだって立派な料理なのよ? 馬鹿にしないでほしいわ」

夏凜のイライラを根こそぎへし折るように睨んだ天乃は

真面目に話してあげるわね。と前置きをし、

軽く咳払いをして続ける

天乃「ご飯の固さ、しょうゆなどの調味料の量や種類、白身の有無……それだけの違いがあるのよ。夏凜」

夏凜「それで?」

天乃「卵かけご飯は非常にシンプルで誰にでもできる。でも、だからこそ、誰にも真似出来ない唯一無二の家庭料理ともいえる」

夏凜「……言われてみれば」

天乃「だから、そんなのは料理でもなんでもない。なんて切り捨てるのは早計だわ」

そう言い切ってしょんぼりとした天乃を見て

夏凜の罪悪感が刺激され、謝ろうと口を開く

夏凜「そうね。悪かったわ。確かに、言われてみればそうだわ。卵かけご飯だって立派な――」

天乃「……とか熱弁したはいいけれど、全部今考えたでたらめなのよ」

夏凜「天乃……」

天乃「……学校まで競争したいのね。いいわ、受けてあげる」

夏凜「まてぇーッ! 真剣に考えたあたしの時間を返しなさいよッ!」

言うや否や脱兎のごとく逃げ出した天乃を

鬼の形相の見知らぬ生徒が追いかけていた。という目撃情報は広がり

夏凜はクラスメイトからカッ夏凜と呼ばれたとかなんとか


√ 5月8日目 昼


コンマ判定表

01~10 風
11~20 呼び出し
21~30 
31~40 友奈・東郷
41~50 沙織
51~60 
61~70 樹
71~80 
81~90 沙織
91~00 東郷

↓1のコンマ   空白はなにもなし


√ 5月8日目 昼


沙織「ねぇ、久遠さん。きょ――」

「久遠さーん。例の子がお呼びしてるよー」

天乃「例の子って誰よ……まったく。それで、なに? 急用?」

沙織「う、ううん、今日は最後まで授業できるんだよね。とかなんとか言おうとしただけ」

天乃「……そう? じゃぁ、悪いけど」

沙織に一言言った天乃は

いかにも面倒くさそうにゆっくりと席を立って廊下へと向かう

待っていたのは天乃の予想を反することなく、

夏凜だった

天乃「煮干しなら持ってないわよ?」

夏凜「そんなこと聞いてないわよ。言わなくても解るでしょ。あんたは極力あたしと一緒にいなければいけないの」

天乃「……給食ぐらい」

夏凜「ダメよ。例外は無し」

天乃「あっそう」


学校で授業を受けている時

家で寝ている時

それくらいしか、夏凜から離れることが出来ないと言うのは

何とも居心地が悪い

一緒にいるのが嫌と言うわけではない

しかし、夏凜からはやはり、【任務だから仕方がなく】というものを感じる為

どこか空気が澱んでしまう

だから、居心地が悪い

天乃「……………」

夏凜「さっさと――」

天乃が少しばかり躊躇っていると

夏凜は不意に言葉を止めて、天乃の後ろを見つめる

まるで、そこにいないはずのものを見ているような表情に

天乃もまた、振り向く

東郷「こんにちは、久遠先輩。それと……夏凜ちゃん」

いつもは友奈と一緒

それが当たり前のはずの東郷

それがなぜが、一人で

階の違う天乃のクラス前へと、来ていた


では、今回はここまでとさせていただきます
AA天乃は調整してみましたが、無理でした


夏凜は監視がお役目なので
家にいるとき以外はコンマ判定には出現することなく、確実に傍にいます

監視役を風に切り替えた場合も
風だけは同じように判定なしに傍にいますが、判定時樹とのイベントの確率が高くなります

人が描けないなら死神描けば良いんですよ

http://i.imgur.com/2AjMVrI.jpg

>>476
ヨマワル参考にしたからな
死神は人形ばっかり…

http://i.imgur.com/W6E7iuC.jpg


>>475>>477
ありがとうございます
死神が今晩あたりにお礼参りに伺うそうですよ。おめでとうございます
思えば死神に関しては赤い瞳。と言うものくらいしか情報ないですね


では、今日も進めていきたいと思います


天乃「と、東郷……」

東郷「一昨日のことで申し訳ないのですが……様子がおかしかったような気がしたので」

夏凜「一昨日?」

一昨日と言う時間が夏凜の頭に引っかかる

朝、天乃がどこかへと消えた日

そして、戻ってきてからずっと……元気がなかった日

その日の問題を頭の中に広げた夏凜は

それについての質問をしようとして、黙り込む

夏凜「天乃?」

東郷「どうかしたんですか? 久遠先輩……?」

天乃はぼーっと東郷を見つめ、

驚きのままに唖然としていた

天乃の醸し出す雰囲気が

また昨日、一昨日に近いものに戻りつつあると感じた夏凜は

質問よりもまず、と

東郷と天乃の間に割り込んだ


東郷「夏凜ちゃん?」

夏凜「ねぇ……東郷。あんた、天乃に何があったのか知ってるの?」

東郷「ううん、知らないよ? だから久遠先輩に聞きに来たわけだし」

夏凜「じゃぁなんで天乃がまた。こんな……」

ちらっと天乃の方を振り返り

夏凜は思わず顔を顰めた

嫌なことをしているからでも

面倒なことに直面したからでもなく

また、天乃が元気をなくしてしまったと言うことが……嫌だった

天乃「……………………」

東郷の事を、天乃は見たくなかった

見れば見るほど、東郷美森は鷲尾須美に似ている

いや、似ているのではなく。同一人物なのだ

けれど、そこに鷲尾須美はない

その事実が深く、重く天乃の心にのしかかって

頭には一昨日の東郷の否定が響き渡る

天乃「っ………」


東郷「久遠先輩……?」

夏凜「……なんなのよ。あんた、一体。なんで」

天乃「静かにしてっ、お願いっ」

夏凜「天乃……」

頭を抱えるように耳を塞ぎ

天乃は何度も何度も頭を振る

それでも、東郷の声は聞こえた

ぶれることなく

むしろ、より鮮明に、はっきりと

天乃の全てをむしばむように、体中に染み込んでいく

鷲尾須美は、東郷美森である

しかし

東郷美森は、鷲尾須美ではない

天乃と園子だけが、彼女たちを知っている。覚えている

本人に聞いても知らない。覚えていないと言われる彼女たちは

本当に存在していたのか。と

存在までもが……侵されていく


1、逃げ出す
2、帰って!
3、なんでもない。おかしくなんてない。なにも……おかしくなんてないっ
4、沈黙



↓2


天乃「帰って!」

夏凜「!」

東郷「……解りました」

天乃がよく人を突っぱねたり

相手に対して酷い態度をとっていることを

東郷は身をもって知っていた

けれど、そのたった一言の拒絶の重みは、内包された感情には

今まで受けたどれにも属さないものを感じ

大人しく、車椅子を引かせる

東郷「夏凜ちゃん」

夏凜「……なに?」

東郷「久遠先輩の事……ごめんね。お願い」

夏凜「………………」

東郷の神妙な面持ちと、今にも崩れてしまいそうな弱弱しい天乃

2人に鋏まれた夏凜は天乃を見て、東郷へと視線を移して、ため息をつく

夏凜「さっさと行きなさい。東郷がいると……天乃、ダメみたいだから」

東郷「……そうね」


東郷がちゃんといなくなったのを確認してから

夏凜は天乃の方に振り返る

楽しそうな話声が周囲の教室から漏れてきて

重なり合って、ぶつかり合っている廊下

なのに

この空間だけは、あまりにも重苦しかった

俯いたままの天乃は一言も発することなく

身じろぎ一つしない

夏凜「……東郷、帰ったわよ」

天乃「………………」

夏凜「天乃ッ!」

天乃「……夏凜」

夏凜「……………っ」


目の前に夏凜がいる

東郷はいない

自分で帰ってと怒鳴っておきながら

天乃は東郷が帰ったのを、夏凜に怒鳴られてから気づく

鷲尾須美が生きている

大切な親友の大切な親友で

自分にとっても友達だった子が、生きていた

天乃「っ……………」

なのに

なのにどうして……喜ぶことが出来ないのだろう

なぜ、悲しくなることしか、出来ないのだろう

天乃の心にはそればかりで

身体の奥からどんよりと暗く、冷たくなっていくのを

ただただ黙って見ていることしか、天乃には出来なかった


夏凜「しっかりしなさいよ!」

天乃「ッ」

夏凜「曲がりなりにもあたしに勝った。あたしよりも強かった!そんなあんたが――そんな顔してんじゃないわよ!」

天乃の両肩を掴んで

大きく揺さぶって

夏凜は大声で……怒鳴る

見ていられなかった

黙っていられなかった

五月蠅いし、面倒くさくて

小馬鹿にしたような態度に至っては手を出したくなってしまうけれど

でも

好き嫌い、どちらかと言えば、左に傾く

だから

夏凜「あんたに負けたあたしが……あんたのこと、ちょっとは尊敬してるあたしが、馬鹿みたいじゃない……」

どうしても

今のままの天乃でだけは、居て欲しくなかった


けれど天乃の悲しみは深く

それでもなお、天乃の元気は取り戻すことなんてできなかった

夏凜「っ………」

いつの間にか昼食中の雑談はなく、

怒鳴り声に興味を持った生徒たちが雑談を止め

なんだなんだと飛び出してきていて

天乃達の周りにはギャラリーが大勢集まってきていた

夏凜「……………」

天乃「……夏凜、肩、痛いわ」

ぼそぼそと聞こえてくる天乃の声は

いつもの小馬鹿にしたものよりもずっと気に障って

夏凜は天乃を突き放し、指をさす

夏凜「天乃! あんたに決闘を申し込ませてもらうわ!」

天乃「決闘……?」

夏凜「武器あり武器なしはあんたが決めて良い。今日の放課後、場所は昨日の海岸」

天乃「ま、まって夏凜、そんなこと急に言われたって」

夏凜「うっさい! あんたにやるやらないを決める権利なんてない!」

怒鳴りつけて、踵を返し……夏凜は去っていく

残された天乃は何も言わず

周りの目を気にすることもなく、静かに教室へと戻った


√ 5月8日目 夕


コンマ判定表

01~10 友奈
11~20 
21~30 樹
31~40 
41~50 死神
51~60 
61~70 沙織
71~80 
81~90 風
91~00 

↓1のコンマ   空白はなにもなし


√ 5月8日目 夕


夏凜「天乃!」

天乃「夏凜……」

帰りのHRが終わった瞬間

夏凜はクラスに乗り込んで、天乃の腕を掴む

逃げるとは思っていなかったものの

今の天乃の状態では覚えていてくれるかどうかさえ

信頼できそうになかったのだ

夏凜「行くわよ」

天乃「でも」

夏凜「良いから!」

天乃「っ」

沙織「待って!」

強引に連れて行こうとする夏凜

その正面に沙織が回り込み、声を張り上げた


夏凜「何よあんた……邪魔よ」

沙織「久遠さん嫌がってる」

夏凜「そんなこと知らないわよ」

沙織「なんで決闘なんてする必要あるの?」

夏凜「天乃が吹抜けてるからよ。性根からぶっ叩いてやるわ」

沙織「っ……」

夏凜の暴力的な言葉に

沙織は目を見開いて、天乃を見つめる

目に見えて元気がなくて

決闘はもちろん

誰かと一緒にいると言うことでさえ

あまり、気が進まなそうだった

沙織「……久遠さんは、どうしたい?」



1、私は……嫌よ
2、ううん……良い。夏凜がするっていうなら、するわ
3、私に決定権はないから



↓2


天乃「私に決定権はないから」

沙織「久遠さん……」

夏凜「ほら、どいて」

夏凜の手に弾かれた沙織が道を開け、

夏凜は天乃の腕を強く引っ張って教室の外に出る

嫌だと言ったりしたら、

夏凜はおそらく、腕を放していただろう

自分の命令じみた言葉に反発したり

散々文句を言うのが、夏凜の求めている天乃であり

拒否権はないと言っただけで素直に従うような

清純で、大人しくて、品があって、従順な天乃は求めていないのだ

だから、顔を顰めた

より一層、頭に来た

夏凜「絶対に……負けないわ」

天乃「…………」

意気込みにも黙り込む天乃を睨もうと振り返った夏凜は

思わず、二度見してしまった


項垂れるような状態の天乃に、変化は何一つない

顔を上げるような感じもなければ

腕を掴まれ、自由をはく奪されていることに

文句を言ったり反発するようなそぶり何一つない

だが

沙織「………………」

夏凜「………………」

何かがついてきていた

煮干しの尾にもう一匹くらいついていた

そんな光景に、夏凜は大きくため息をつく

夏凜「まだなにか用があるわけ?」

沙織「……久遠さんの事、心配だから」

夏凜「心配しなくても、終わったら家に帰るわよ」

沙織「終わるまでが心配なの!」

夏凜「………………」


天乃をちらっと見た夏凜は

どうせ何も言いそうにない。と

呆れてまたため息をついて

待って、なんか似てきてる

良く良くため息をつくとかいう天乃に、私……似てきてるッ!?

という衝撃の事実に首を振る

夏凜「解ったわよ。勝手にして。お願いだからこれ以上ため息をつかせないで」

沙織「ため息……?」

夏凜「何でもいいから!」

沙織「う、うん……」

沙織が軽く頷いて天乃に並ぶのを確認しつつも

腕を放すことなく、下駄箱まで引っ張る

夏凜「逃げたりさせないわよ」

沙織「久遠さんに怪我させたら、あたしが……決闘さんのこと、ケガさせるからね?」

夏凜「私は三好夏凜! 決闘なんて名前なわけないでしょ。馬鹿なの?」

またため息をついた夏凜は

一瞬だけ唖然として、がっくりと肩を落とした


√ 5月8日目 夕 夏凜


夏凜「天乃。武器はどうするのか決めて」

天乃「武器……」

決めてと夏凜は言うが

武器は複数種類あるわけでもなく

防具さえもありはしない

あるのは2本の木刀のみ

夏凜だけが使うのではなく

天乃にも1本手渡されるのだろう

天乃自身も剣を用いた動きは一通りならっている為

不得意と言うわけでもなく

公平性を期すのであれば、木刀を用いたものが良いのかもしれない


1、武器有
2、武器なし



↓2


沙織「………………」

沙織の表情気づかれないように確認した天乃は

逡巡したのちに首を振る

天乃「武器なしで」

夏凜「いいわ、木刀なしでも。今のあんたには負ける気がしない」

天乃「………………」

夏凜「……何とか言いなさいよ」

天乃「特にいうこともないわ」

夏凜「っ……」

怪我をしたまま海に飛び込むような思いでの言葉に対する

天乃の冷静な一言に、夏凜は顔を顰めた

一番初め、あの病院で

木刀を使って負けた自分

こういえば、もしかしたらはじめだってそうだったでしょ。と

呆れた笑いでも見せてくれると思った夏凜にとっては

無駄にプライドが傷ついただけで

夏凜「顔でも容赦なく殴るわ。日ごろの憂さ晴らし、させてもらう」

怒りに任せて、そう言い放った


天乃回避判定 ↓1 コンマ 01~57で命中(41~45でカウンター)


天乃→夏凜は命中率が119%なので本来必要ありませんが
今回は判定します



↓1 ぞろ目で夏凜回避


天乃回避判定 ↓1 コンマ 01~30  61~87で命中(71~75でカウンター)


↓1 ぞろ目で夏凜回避


夏凜「行くわよ、天乃!」

力を入れた瞬間

めり込んでいく砂の足場

下手に力を逃がせば転倒するという状態でありながら

夏凜は姿勢を極限まで低くし

弾丸のようなスピードで天乃へと突進する

天乃「っ」

前回は木刀があり

リーチ有利でありながら、躱され、一撃をもらった

ならば

夏凜「スピードで一気に決める!」

叫んだ夏凜は天乃の懐にまで潜り込み

強く握りすぎてわずかに痛み始める右手こぶしを、天乃の腹部目がけて放つ

――が

天乃「ッ!」

夏凜「な……っ!」

真上から現れた左手がそれを下へと逸らし、

勢い余った右手は砂場へとめり込む


ほんのわずかな一瞬だった

殴る場所の狙いを定めるために設けた一瞬

それが、天乃に弾く隙を与えてしまったのだ

夏凜「くっ――!」

今すぐにでも体制を立て直そう

思考よりも体が先に判断して動こうとした瞬間

強烈な悪寒を感じた夏凜は体を起こすのではなく、

あえて砂場に倒れ込む

それと同時に、自分の体があったところに天乃の右足が到着

天乃「シッ」

夏凜「!」

判断する間もないまま、転がってその場から離れると

今度は倒れていた砂場に天乃の踵が突き刺さって地面が抉れる

夏凜「ふざけ……っ」

どこに腑抜けがいるのか

どこに今の自分で倒せそうな相手がいるのか

目の前にいる相手は自分よりも小さい

なのに……圧倒的に大きく、夏凜の瞳には映った


天乃自身、この決闘には全くと言っていいほど乗り気ではなく

やらなくていいならやりたくもなかった

断れないなら断れないで

さっさと負けて部屋にこもりたいとさえ、思っていた

でも。状況が変わった

そう簡単に負けてあげるわけにはいかなくなった

誰かに手を引かれている姿を見られるくらい、別に問題はない

けれど

負けているのは

地面に倒れているのは

なすすべなくボロボロにされているのは

天乃「……………」

見せたくはなかった

たとえ今、自分がどれだけ追い込まれているとしても

どれだけの不幸があって、どれだけの絶望があって

膝から崩れ落ちてしまいそうな状況下にいるのだとしても

天乃「……見てなさい」

沙織「久遠さん?」

天乃「貴女の前にいる人間が、どれほどか……よく見てなさい」

自分を追いかけてくる人の目の前で、そんな姿は見せたくなかったのだ


夏凜「よそ見をするなッ!」

腑抜けていた

絶望していた

悲しみに暮れていた

皮肉にも笑わず、突っ込まず

ただただ、意気消沈していた相手の一転して余裕な態度に

夏凜は【元気を出させるための模擬戦】という名目を忘れて怒鳴る

夏凜「私は……敵は……三好夏凜はッ!」

天乃「……………」

叫びながら、砂地を蹴る

蹴り飛ばされた砂が爆発したように空に舞う

鍛え上げた脚力による爆発的な速度

通常ならば、誰にも止められず、それは夏凜を勝利に導いていた

夏凜「こ――」

天乃「―――ッ!」

だが、夏凜の拳は届かない

伸びきった夏凜の腕に、力は残らない

夏凜「っ……くっ……そぉ……っ」

呻いたのは

膝をついたのは――夏凜だった


決定的で、致命的

勝敗を分けるミスを、夏凜は犯した

夏凜は確かに天乃よりも早い

だが

走り、狙い定め、仕掛ける

その一連の行動はすべて、思考しなければならない

一方で、待つ天乃は構えればいい、ただ、委ねればいい

今までの経験に、今までの、知識に

天乃「……悪いわね。夏凜」

夏凜「……………っ」

行動を思考した夏凜と

熟練した経験による、反射的行動の天乃

それには夏凜の足がどれだけ早かろうと埋めることのできない差があった

ゆえに

夏凜は負け、天乃が勝ったのだ

天乃「私の勝ちよ」

夏凜「解ってるわよ……」


沙織「……良かった」

天乃「貴女、終始泣きそうな顔してたわ。苦手ならついてこないべきよ」

沙織「だ、だって……」

天乃の勝利を喜びながらも

見せつけられたその背中の遠さと眩しさと、雄姿に

高鳴る胸を押さえて、沙織は照れくさそうに笑う

天乃「まったく……」

ぽんぽんっと兄によくやられるように

沙織の頭を優しく叩くように撫でる

来なければ来なかったで

どうなっていたのか

天乃は考えたりはしなかった

沙織「ね、ねぇ久遠さん」

天乃「なに?」

沙織「……これから久遠さんの家に、行っても良い?」


1、良いけど……
2、悪いけど、それは無理よ
3、夏凜を連れて行かないといけないから……また今度ね
4、夏凜……良いかしら?


↓2


天乃「夏凜……良いかしら?」

沙織「?」

夏凜「別に良いわよ。あんたの家なんでしょ?」

天乃「ええ」

夏凜「なら問題なし」

沙織「……?」

沙織は首を傾げ、うん? と漏らす

天乃と夏凜がどれほど仲良いのかを知らないが

それを抜きにしても、沙織の疑問は解決しない

なぜ、夏凜に聞く必要があるのか

それが沙織にとっての疑問で

夏凜「ほら、帰るわよ」

という夏凜に天乃とついて行って――沙織は思わず唖然としてしまった

沙織「ね、ねぇ……久遠さん」

天乃「なに?」

沙織「三好さん……久遠さんの家にただいまって」

天乃「今、夏凜は一緒に住んでるから」

沙織「す、住んで……るんだ」

天乃「ええ」

沙織「そ、そっか……」

浮かない表情の沙織に首を傾げながらも、天乃は沙織とともに家の中へと、戻った


では、今回はここまでにさせて頂きます
インフルにかかりましたので、出来たら昼頃に少しやろうかと思っています


夏凜が1度避けたのは驚きでした


つまらないモノですがどうぞ
http://m1.gazo.cc/up/15811.jpg


遅くなりました
ほんの少しですが、やりたいと思います


>>560
ありがとうございます
イラスト集の方に入れさせていただきました

怒ったときなんかは、こんな感じなのかもしれません
本気で怒ることは、天乃さんの場合あまりありませんが


√ 5月8日目 夕方 自宅


沙織「………………」

昨日見かけたのも

確か夏凜と同じような感じの人だった。と

沙織は回想に浸って頷く

もちろん、それがどうだこうだと言うつもりはないし

それで天乃が元気に笑顔で居られるのであれば

傍観するのもやむなしと思っていたい

……そう。思っていたい。なのである

沙織「……良いなぁ。三好さん」

夏凜「なにが?」

沙織「なにがって……」

夏凜「?」

沙織「それが当たり前だから、三好さんには解らないんだろうね」


唐突な嫌味じみた言葉

しかし、夏凜にとってそれの練度はあまりにも低く

軽くため息をついて、首をかしげる

夏凜「何が言いたいのかさっぱりなんだけど」

沙織「久遠さん、優しいし一緒にいられて嬉しいんだろうなって」

夏凜「……………」

夏凜は押し黙って、天乃を見つめる

図星を突かれた?

そうではない

唖然としたのだ

夏凜「あんた、天乃の本性知らないの?」

天乃「本性って……」

沙織「久遠さんは優しくて明るい人だよ?」

夏凜「人をからかうのが大好きな迷惑千万なやつよ……あんた、洗脳されてる?」

沙織「楽しそうでいいんじゃないかな?」

夏凜「……あんたに言った私が馬鹿なの? あんたが馬鹿なの?」

天乃「私はキツネよ」

夏凜「狸は静かに」


天乃「じゃぁ、間をとってタネキで」

夏凜「どちらかと言えばタマネギよ。タマネギ。泣きそうだから」

天乃「私の悪戯に感無量ってわけなのね? 夏凜ってば贅沢」

夏凜「どこを聞いて感激してると思ったのよ……」

深々とため息をつく夏凜

くすくすと笑う天乃

2人を見る沙織の表情は

どこか嬉しそうで

けれど、どこか寂しそうだった

沙織「……良いなぁ」

夏凜「良くないわよ、全然! 本当なら独り暮らしするはずだったのにッ」

沙織「恵まれてるんだよ? 三好さんは。知らないの? 解ってないの? 自分が、幸せな環境にいるんだって」


夏凜「恵まれてるって……いや、ないわよ」

沙織「久遠さんといて楽しくないの?」

夏凜「疲れるわ」

沙織「でも……疲れないと、物足りない。いるのといないのとでは、全然違うよね?」

夏凜「……………」

沙織は一時期、天乃と一緒にいた

そして、つい1ヶ月ほど前まで、失っていた

だから、そこにある。そこにいる

そんな当たり前のことでさえも、とても大切なものだと考えていて

だから

そばに天乃がいるということに満足どころか不満を抱いている夏凜に対して

沙織は厳しく言う

沙織「三好さんは、贅沢だよ」

夏凜「……どうかしらね」


夏凜は素っ気なく返して首を振る

恵まれているとは、思っていない

天乃のそばにいるのは監視と言うお役目があるからこそのもの

家にいるのも、大赦からの指示であって、自分の意思はそこにはない

だが

天乃が落ち込んでいる時

天乃がいつもと違うとき

自分は何かを思い、何かをした

それすらも、大赦からの指示で、お役目だったか

夏凜「……まぁ、解らなくは。ないかもね」

夏凜は小さく答える

あれはお役目でも、指示でもなかった

あれは確かに自分の意思だった

天乃が落ち込んでいたりすると、どこか違和感があって、不満があった

その結果慰めて、明るくなって、元気になった天乃といて……

夏凜「五月蠅いところから静かなところに行くみたいなものだし」

自分は確かに、満足しているのかもしれないと思った


沙織「誰かといられるって、幸せだよね」

夏凜「……でも、私は静かな方が落ち着くわ」

沙織「それはね。うん。あたしなんかも、あるし」

けれどそれは

自分が普段一人じゃないからこそ

独りで居られるだけの余裕があるのであって

常に一人だったらきっと

それは、静かでも、落ち着ける場所でもなんでもなくて

ただの孤独でしかない。と

2人の会話を傍観し、傍聴する天乃は頷く

そしてそれは、沙織も同じだったらしく

沙織「でも、誰かといるからそういうのがあっても平気なんだって思うよ」

そう言って二人を交互に見つめて笑みを浮かべる

沙織「だから、一緒にいられるっていうことを大切にしてね」


1、……そうね
2、どうせ失ってしまうのに?
3、初めから孤独しか知らなければ、その必要はないんじゃない?
4、………………


↓2


天乃「……そうね」

大切にしても結局は失ってしまう

相手がいつか死ぬという結末が確実に用意されているのに

相手が記憶をなくしてしまうという残酷な可能性もあって

両方を経験した天乃には

沙織の大切にした方が良いと言う言葉に本心から頷くことは出来なかった

沙織「久遠さん?」

天乃「大切にした方が良いわね」

夏凜「……………」

そんな心の内を悟られまいと

天乃は笑顔を浮かべて2度目の肯定をして

思い出したように時計を見つめる

天乃「もうすぐ夜ね……貴女、帰った方が良いわ。明日も学校だし」

沙織「そうだった……じゃぁね、久遠さん、三好さん。仲良くね」

そう言い残して、沙織は家を出ていった


では、ここまでにさせて頂きます
次は5月8日目の夜からになります


3話の夏凜の転入挨拶描写の際、
クラスメイトとして友奈と東郷が映っていたので、夏凜と2人は同じクラスとして取り扱っています

沙織に限らず、キャラに関しては皆様のご想像にお任せしていますので
あれは違う、これは違うと言うよりはそういう見方もあるんだと思っていただけると助かります



では、途中で休憩を入れることになるかもしれませんが始めたいと思います


√ 5月8日目 夜


コンマ判定表

01~10 東郷
11~20 
21~30 風
31~40 
41~50 友奈
51~60 
61~70 樹
71~80 
81~90 夏凜
91~00 

↓1のコンマ   空白はなにもなし


√ 5月8日目 夜


天乃「……大切に。ね」

夕方の沙織とのことを思い返していた天乃は、

手に持っていた写真を机の中にしまって、ため息をつく

大事だろうとは天乃だって解っている

だが、大事だからこそ

その存在は決して小さいものではなく

決して軽いものでもなく

失った時の反動は、心にとって絶大的な効果がある

天乃「……貴女にとっての私って、どれほどなのかしらね」

天乃の向けた貴女と言う言葉

それを受け取るべき人間は今傍にはおらず

答えることなどできるわけがない

天乃「………………」

出来るだけ小さければいいなと思う反面

出来るだけ大きいもので居たいと言う気持ちも、天乃にはあった




1、電話:風、樹、東郷、友奈、沙織
2、メール:風、樹、東郷、友奈、沙織
3、夏凜の所へ
4、死神を呼ぶ
5、兄の部屋
6、姉の部屋


↓2


天乃「ねぇ、ちょっと。出てきてくれる?」

死神「ナァニ?」

天乃「死を司ってるのか、誘ってるのか、解らない死神様」

死神「?」

天乃「どうして、人との関係を大切にしなければいけないのかしら」

鏡よ鏡。と

旧世紀の童話のように問う天乃を死神はじっと見つめる

逸話上の死神はそれを断ち切るような存在であり

今天乃の目の前にいる特別な死神は様々な情報を吸収し

それを知恵・知識としているが

それでもまだ、人との繋がりの重要性はあまり理解できていない

死神「………………」

天乃「なんて……貴方に聞いたって解るわけもないわよね」

黙り込む死神に苦笑を向けた天乃は

冗談っぽく思わせる声で、そう呟く


けれど、それは死神の何かを刺激したらしく

目を逸らした天乃の先に、回り込む

死神「ワタシ、シラナイ。デモ、ワタシハ、クオンサンガイナクナルノハ、イヤヨ」

天乃「………………」

死神「ナゼタイセツ? シラナイ。デモ、ワタシハ、オモッテルコトナラアル」

天乃「……聞いてあげる」

左手で掬うように死神を持ち上げた天乃は

机に肘をついて、死神と見つめあう

天乃「どうぞ」

死神「タイセツニナッタカラ、タイセツニスル。ワタシハシンジュ、タイセツニシナイ。デモ、クオンサンハタイセツニスル。キットソウイウコト」

何かを大切にするのではなく

関わっていくうえで大切になったものを、大切にする

死神にとってはそういうことらしい

天乃「……罰当たりな子ね」

死神「クオンサンノセイレイダモノ」

天乃「面白いこと、言うのね」


死神の頭を鷲掴み、だんだんと力を込めていきながら

天乃はふっと息を吐く

死神が言うことはちょっと特殊だ。と

天乃は思っていた

大切にしたいと思ったから大切にするのではなく

大切になっていたから大切にする

それは同じようで全く違うのだ

前者は当事者の意思決定があり

後者にはそれが存在しない

いつの間にか。とか、気づけば。とか

知らず知らずのうちに、何かが自分の中で重要な位置になっているそれは

沙織の言っていた大切にしてというものとは異なる

つまり、そう

死神は後者であり、沙織は前者のタイプである。と

天乃は思い至って首を振る

ここまで来たらもはや概念レベルのものになりそうだ。と


天乃「…………………」

もしかしたら、沙織にとっては

誰かとの関係、あるいは繋がりそのものが全て

大切なものになっていて、だから大切にした方が良いと言っているのかもしれないし

今、解釈しているように

関係性を大切にしたいと思って、大切にした方が良いと思っているのかもしれない

しかし、そればかりは本人でなければわかるはずもなく

天乃はため息をついて、机に突っ伏した

死神「クオンサン?」

天乃「………………」

死神にも多少は語れることはあるようで

どうせなら、どうせ失うのに大切にする意味。と言うものを聞いても良いのかもしれないが……



1、じゃぁ、どうせ失うのに大切にする理由は? 大切になった時点で、切り離すべきじゃない?
2、今日も一緒に寝てくれる?
3、私は良く、解らないわね。どっちも
4、私も大切よ。貴方の事


↓2


天乃「今日も一緒に寝てくれる?」

死神「ヨロコンデ」

はっきりと言って一回転

一人先にベッドの中に死神は飛び込む

精霊とかいう不思議な生命体と言うよりは

人間の子供のようなものを彷彿とさせる言動

天乃はくすっと笑って布団を捲る

天乃「気が早いわよ」

死神「ドウゾ」

天乃「まったくもう……」

すすすっと場所を開ける死神にため息をつきながらも

天乃はどこか嬉しそうな表情で、死神の隣に身体を滑り込ませる

なぜ失うのに大切にする必要があるのか

今の天乃にはまだ、解ってはいなかったが

少なくとも、目の前の小動物な精霊の事も、沙織の事も。他にも色々

大切に思っていることはあるのかもしれない。と、天乃は思った

1日のまとめ

・  犬吠埼風:交流無()
・  犬吠埼樹:交流無()
・  結城友奈:交流無()
・  東郷美森:交流有(昼時、拒絶)
・  三好夏凜:交流有(決闘、勝利)
・伊集院沙織:交流有(招待、まずまず)

・  乃木園子:交流無()
・   三ノ輪銀:交流無()
・      死神:交流有(大切とは)
・     神樹:交流無()


5月の8日目終了後の結果

  犬吠埼風との絆 11(普通)
  犬吠埼樹との絆 16(中々良い)
  結城友奈との絆 13(普通)
  東郷三森との絆 9(低い)
  三好夏凜との絆 23(中々良い)
伊集院沙織との絆 54(かなり高い)

  乃木園子との絆 15(中々良い)
  三ノ輪銀 との絆 45(高い)
      死神との絆 25(中々良い)
      神樹との絆 1(絶望的に低い)

大赦・神樹による、久遠天乃の警戒レベル○△□%程度?(検閲済み)
犬吠埼風より、情報提供:大赦は久遠を味方だとは思っていない


このまま続けます


√ 5月9日目 朝


コンマ判定表

01~10 東郷
11~20 
21~30 風・樹
31~40 
41~50 東郷・友奈
51~60 
61~70 兄+大赦の人
71~80 
81~90 沙織
91~00 

↓1のコンマ   空白はなにもなし


√ 5月9日目 朝


夏凜「ねぇ、天乃」

天乃「なに?」

夏凜「あんた、勇者部には顔を出さなくていいわけ?」

勇者部に所属しているわけではないと言うことはすでに解っている

しかし、勇者部の面々は勇者であり

同じく勇者である天乃は本来、一緒にいることがベストだと言える

だからこその問いに、天乃は首を振る

天乃「気分次第ね」

夏凜「つまり、あんまり行く気はないってことね」

天乃「どうかしら」

思わせぶりな笑みを浮かべる天乃に対して

夏凜大きくため息をつく

もはや完全に、天乃のくせは夏凜に移ってしまったのかもしれない


夏凜「今のところバーテックスの襲撃がないから良いけど、あったら大変になるわ。嫌でも合流しておくべきなんじゃない?」

天乃「別に嫌とは……」

言おうとして、止めて

天乃は逡巡して俯くと、ピタッと足を止めて夏凜を見つめる

天乃「嫌なことはなるべくやらない。久遠家五箇条の一つよ」

夏凜「そんなの初耳なんだけど」

天乃「……それじゃぁ、久遠家は名乗れないわね。出直してきなさい」

夏凜「名乗る気なんてないわよ」

適当な冗談を見繕って会話をずらしていく

とはいえ、別に嫌なわけではない

ただ、東郷と顔を合わせるのが、会話するのが……怖いだけ

天乃はかぶりを振って、また歩き出す

それに少し遅れて夏凜も動き、並ぶ


夏凜「そういえば……あんた。今日の夕方つきあってくれる?」

天乃「なにに?」

夏凜「トレーニングよ。トレーニング。室内じゃ限界があんのよ」

天乃「……疲れそう」

夏凜「当たり前でしょうが……トレーニングなんだから」

現在、夏凜は天乃の監視をしなければいけない為

一人で外に出てトレーニングと言うわけにもいかない

天乃が不自由なら、夏凜もまた不自由なのだ

夏凜「……………」

だが、それを受け入れたうえで夏凜はもうし出る

一人でのトレーニングばかりだった夏凜にとっては、やはり

誰かと一緒に切磋琢磨すると言うことは貴重だった



1、良いわよ
2、放課後まで、約束とかなければね
3、悪いけど……動く気分ではないのよ


↓2


天乃「放課後まで、約束がなければね」

夏凜「いや、私の方が先に予約できてるわよねそれ……」

天乃「当社では、内容如何で定められており、、順不同での対応とさせていただいております」

夏凜「そんなことあってたまるかっ!」

天乃「そんなに私としたいの?」

夏凜「っ………」

必ずしも天乃が良いと言うことはないが

誰かとしたいと言う気持ちがあるのは事実

それ以前に、トレーニングをしたい。というのが夏凜の望み

……それはつまり

天乃としたい。ということには変わりないわけで

僅か3センチほど低い天乃からの上目遣いと、

肯定してほしいと言うような表情は直視できずに顔をそむけて答える

夏凜「そうとも言えなくもないわ」

天乃「ふふっ、前向きに検討しておいてあげるわよ」

夏凜の反応に満足し、笑う天乃の足取りは

思った以上に軽く、でもやはり……何かを引きずっているように遅かった


いったん休憩とさせていただきます

そういえば死神とのデートは?


>>634
すみません、すっかり忘れていました
明日(5月10日目)にでも切り替えて挿入します

失礼しました


√ 5月9日目 昼


コンマ判定表

01~10 風
11~20 
21~30 樹
31~40 
41~50 友奈
51~60 
61~70 沙織
71~80 
81~90 死神
91~00 

↓1のコンマ   空白はなにもなし


√ 5月9日目 昼



夏凜「悪いけど、借りるわよ」

沙織「決闘なんて危ないこと、しないなら良いよ」

夏凜「なら平気ね」

沙織に対してそう言い放った夏凜は

天乃には有無を言わせることなく席を立たせて、腕を引く

夏凜「行くわよ天乃」

天乃「はいはい」

沙織「久遠さん」

天乃「?」

沙織「またあとでね」

嬉しそうな笑みを浮かべる沙織

それが自分達の関係についてのものだと感づいた天乃は

困ったように苦笑した


もう五月とはいえ、風が吹けばまだまだ寒く感じる屋上

だからか人は一人もおらず

2人でいるには丁度良い場所だった

夏凜「今日は素直なのね、天乃」

天乃「心配?」

夏凜「別に……普段も心配なんてしてないわよ」

天乃「そっか」

いつものように冗談を投げつけてこない天乃

けれど、そこには不安も何も感じなかった

静かな時は静かでいい

ただ、それが落ち込んでいたりするのでなければの話だけど。と

夏凜は思いながらも口にはせず

そっと天乃の横顔を見つめる


昨日沙織に言われたことを

夏凜は少しばかり……気にしているのだ

両親は健在で、兄もいる

だけれどそこに、自分はいたのか

その疑問の答えは、

いたはずなのに、いなかったという曖昧なものである

兄が格別に優秀で、自分はいわば劣等な存在

夏凜にとってそれは物心ついたときから大きな壁あるいは崖として存在していた

夏凜「………………」

だから、夏凜には人との繋がりの重要性が解らない

夏凜自身、誰かに繋がれ大切にされていたと言う覚えが一切ないからだ

だから、大切にすると言うことがどういうことなのか解らない

天乃「……なによ」

夏凜「……なんでもない。口を閉じてれば、あんたもマシな顔するんだって思っただけよ」

天乃「結構失礼よ? それ」

夏凜「あんたに言われたらおしまいだわ」

天乃「つまり夏凜はおわりんと」

夏凜「……言わないわよ?」

天乃「つまんないわね……もうっ」


ぼそっと言ってすねる相方を一瞥して

夏凜はおもむろに空を見上げて息をつく

夏凜「………………」

天乃との関係は大赦による指示、お役目の上に存在している

それを抜いたら何が残るのか

夏凜は考えようとはしたものの

良く解らず、頭を振って投げだした

天乃「夏凜」

夏凜「なによ」

天乃「……あの雲、煮干しに見えるわ」

夏凜「病院行けそうね。それなら」

天乃「あれはつまらないから……もう行きたくはないわ」

夏凜「なら変なこと言うのは止めなさいよ」


夏凜「ねぇ、天乃」

天乃「なに?」

夏凜「ちょっと。そう。別に真面目に考えなくても良いんだけど」

天乃「じゃぁ……うどんで――っ!」

夏凜「まだ何も言ってないでしょうが」

まだ問いかけすらしていない段階ですでにふざける天乃に対して

中々の不安を抱き、夏凜はどうしようかと躊躇う

けれど

夏凜「あのさ」

天乃「なに?」

夏凜「……………」

それは今後も付き合っていく中できっと重要で

知っているのと、知らないのでは大差があって

もしもダメなのなら別の人に任せなければいけないようなもの

天乃「夏凜?」

天乃の声が横顔にぶつかったのを感じながら、夏凜は決して目を向けることなく、問う

夏凜「あんたは……私のことどう思ってるわけ?」

天乃「………………」

夏凜「参考までに、教えてくれない?」


1、面白い子
2、恋人?
3、ただの、パートナー
4、おもちゃ
5、…………………



↓2


天乃「んー……」

夏凜「そんな真面目じゃなくていいわよ」

天乃「そうねぇ……まぁ、面白い子。かしら」

天乃はくすくすと笑いながら答えて

横目で夏凜を見つめる

からかった時の反応が面白くて

ついつい、やりすぎてしまったりする

自分の中では結構お気に入りの部類だろう。と思い至って頷く

天乃の基準では

それでも割と高めの評価だったのだが

夏凜にとってはあまりいいものではなかったらしい

夏凜「……ふんっ。いつか痛い目見せてやるわ」

そう怒ってぷいっと顔をそむけてしまった


天乃「貴女が真面目じゃなくても良いって言ったのよ?」

夏凜「解ってるわよ」

天乃「つんつんしちゃって……ハリネズミみたい」

夏凜「勝手に決めつけてんじゃないわよ」

天乃「解ったわ。ハリネズミかっこ仮かっこ閉じでどう?」

答える意味さえないようなことを聞いてくる天乃をちらっと見て

夏凜は大きくため息をつく

相手すると疲れるのは相変わらず

だけどやっぱり沙織に言われたように

それがぽっかりと抜けおちたら物足りないのだろう。と

夏凜は考えて、首を振る

それは天乃と言う勇者が死ぬ可能性を考えていることにほかならず

それを考え続けると言うのは、なんだか嫌だったのだ

夏凜「どっちも変わらないわよ。馬鹿じゃないの?」

天乃「じゃぁ、ウニで」

夏凜「ハリネズミと何が違うのよっ」

天乃「……食用?」

夏凜「私は食べ物か!」

天乃「ふふふっ、私の元気の生餌となるがよい」

夏凜「誰がなるかぁーっ!」

そう答えた夏凜の声は少しだけ嬉しさまじりに高まっていて

その表情は呆れていながらも、どこか楽しさを……感じさせるものだった


√ 5月9日目 夕


コンマ判定表

01~10 沙織
11~20 勇者部
21~30 
31~40 死神
41~50 
51~60 友奈
61~70 
71~80 樹
81~90 
91~00 風

↓1のコンマ   空白はなにもなし


√ 5月9日目 夕


沙織「久遠さん、一緒に帰ろう?」

天乃「えっと……」

沙織「? もしかして、三好さんとか、勇者部の人たちとお約束でもある?」

天乃の困った表情で察した沙織は「そっか」と

残念そうにつぶやく

5月に入って一週間ほど

天乃はお役目と言う名目で学校には来ていなかったため

全くと言っていいほど、話す機会とかがなかった

だからと思っていた沙織にとっては、やはりちょっと。寂しいのだ

夏凜「天乃ー」

沙織「三好さん?」

夏凜「ん……? なに?」


1、ねぇ夏凜。この子も一緒じゃダメかしら?
2、夏凜と用事があるの……ごめんね


↓2


天乃「ねぇ夏凜。この子も一緒じゃダメかしら?」

夏凜「一緒って……」

言いながら天乃、沙織と順番に視線を動かす

困った表情の天乃

少しばかりの期待の籠った表情の沙織

それらを見て、向けられる夏凜はため息をついて、目を逸らす

夏凜「まぁ……邪魔しないって約束できるなら。別に良いわよ」

沙織「ありがとう、三好さんっ」

夏凜「いい? 邪魔だけはしないでよね? 絶対だからね」

ダメ押しにそういった夏凜は

またしてもため息をついて、頬を掻く

夏凜「そうと決まったらさっさと行くわよ」

天乃「場所はどうするの?」

夏凜「とーぜん。もってこいの砂浜よ。足がとられやすい分、良い運動になるわ」

沙織「……なにするの?」

夏凜「トレーニングよ。トレーニング。負けっぱなしは性分じゃないのよ」

夏凜の気合の籠った言葉に沙織は少し驚いて

小さく笑みを浮かべると、「がんばれ~」と、呟いた


ではここまでとさせて頂きます
明後日からは少々厳しくなってしまうと思いますので
明日は出来る限り確実にお昼ごろからスタートしたいと思います

このトレーニングについてですが
前回、前々回の対人戦含めてステータスUPに転換しようかと思っています

明日は始める前にその部分と
前回、電話とメールを間違えた際の補填もしたいと思います

真姫「あぁ、それはね…」


現在、私の読心術もどきは目に見えている相手にしか効果がない、例え遮っているものが薄いカーテン一枚でもだ。

しかし、私個人に対しての思考ならば届くのではないかという仮説を建てた。


絵里「つまり、真姫を意識した思考なら無条件で読めるんじゃないかってことね」

真姫「その為には私の『病気』の事を知ってなきゃいけないからあんまり使い道はないと思うけど、一応ね」

絵里「じゃあ試しに一回やってみましょう」


絵里が目を瞑る。

一年間ROMるね


トレーニング

走り込み:回避力UP(1~5)
打ち込み:格闘技能UP(1~10)
撃ち込み:射撃技能UP(1~10)
精密訓練:命中率UP(1~10)
受身訓練:防御力UP(1~10)

模擬戦:【勝:敗=経験値20:10】
     回避力UP(回避数x1) 打撃・射撃UP(勝者のみ1~5) 命中率UP(勝者のみ1~5)
     防御力UP(敗者のみ1~5)

こんな感じでしょうか
能力の上り幅は一回に統一してコンマで判定します


補填のステータスUPですが

HP +150
SP +30
防御 +50
機動 +1
射撃 +50
格闘 +50
回避 +10
命中 +10
初期気力+10

こんな感じにして
いずれか一つを選択していただく。ということにしようかと思います
全体的にUPは少々行き過ぎかとも思うので


20分になり次第、安価を出します



1、HP +150
2、SP +30
3、防御 +50
4、機動 +1
5、射撃 +50
6、格闘 +50
7、回避 +10
8、命中 +10
9、初期気力+10


↓1~↓5 の投票でお願いします

数が多かったものにします

全部バラバラなら、↓2を採用


では初期気力+10で

前回、前々回の模擬戦のステUPを


↓1で1回目

↓2で2回目



コンマは一ケタの1~0(1~10、1~5)で判定
ぞろ目だった場合は2倍として計算(00の場合、1~10判定なら20 1~5判定なら10とする)

夏凜:http://i.imgur.com/bkG2Lyg.png
天乃:http://i.imgur.com/Sx15bNS.png

変更後はこんな感じです


夏凜「天乃。あんたには何かが突出しているだけでは勝てないって解ったわ」

天乃「そんなことはないわよ」

夏凜「それはあんたが自覚してないだけよ」

天乃「そうかしら……」

天乃自身

自分が対人戦に置いてかなりすぐれていると言う自覚は一切ない

というのも、

いままでその訓練及び模擬戦を組んでいた相手が格上だったからだ

現時点でも、蹴られたり殴られたりを平気で受けるその相手は

その気になれば躱せるだろうし、反撃で叩き潰すこともおそらくは可能である

もっとも、その人物が妹からの鉄拳制裁を防ぐなんて勿体ない。と思っている限り

一生、そんなことは起きないのだが

夏凜「私がそうだって言ってるんだからそうなのよ。だから考えた。何が必要なのかをね」

天乃「解ったの?」

夏凜「もちろん。その答えは……誰かとのぶつかり合い。決闘、模擬戦その、経験よ!」


天乃「だから私に付き合って欲しいってわけね」

夏凜「そういうことよ」

天乃「うーん……」

夏凜が強くなるためにトレーニングが必要だと言うのは解る

それ自体をダメだと制限する気はない

ただ、それに必ずしも付き合わなければいけないと言うのは

正直なところ、天乃は受け入れがたかった

走り込みや、打ち込み

一人での二刀流演舞それを見学するだけでいいのなら負担は少ないが

毎度毎度模擬戦となると……天乃には苦でしかないのだ

天乃「つまるところ、今日も模擬戦?」

夏凜「そうよ」

天乃「………………」



1、とりあえず模擬戦に付き合ってあげる
2、走り込み:回避力
3、格闘特訓:格闘技能
4、精密訓練:命中率
5、受身訓練:防御力


↓2

お詫びの品

http://imgur.com/nPwawey.jpg


天乃「昨日もやったし……それより打撃練習の方にしましょう?」

夏凜「何を甘いことを――」

天乃「模擬戦も必要。だけど、模擬戦だけですべてが身につく? そんなはずがないわ」

夏凜「それは」

天乃「経験値がいくら貯まっていても、使える技がなければ意味をなさないでしょ?」

夏凜「……一理あるわね」

天乃「だからまずは自分がどんな動きが得意なのか、どんな動きが苦手なのか。どこを育てるべきか。見直すべきよ」

夏凜「そうね」

それもそうだと頷く夏凜

それを見る天乃は表面上では平静を保ちながら

心の中で大きくガッツポーズを決める

天乃が真面目に考えた末でのものではなく

ただ単に連日での模擬戦は嫌だっただけ。というのは

夏凜も沙織も知る由もなかった


↓1 夏凜の格闘成長

↓2 天乃の格闘成長


どっちも一桁での判定とさせていただきます(1~0=1~10 ぞろ目の場合は倍数です)


夏凜「はぁ……なんか絶不調」

天乃「今まで食べた煮干しの怨念ね。きっと、成長性が干からびてるんだわ」

夏凜「そんなことないわよ。ないわよ……たぶん」

天乃「なら……サプリのせいでこれ以上努力値が振れないのかもしれない」

夏凜「意味わかんないんだけど」

深々とため息をついた夏凜は

天乃の適当な言葉に反論する気もなく、トボトボと歩く

一応はまじめに付き合った

だから別に自分のせいではない。と

天乃は思いながらも、夏凜の後姿には困った表情を浮かべる

天乃「調子が悪いときなんて誰にでもあるわよ。大事なのは、次も頑張るって気持ちを捨てないことよ」

ぽんぽんっと夏凜の頭を叩き、天乃は優しく諭す

夏凜「馬鹿にするんじゃないわよ! あんたなんか……すぐに負かせてやるわよ!」

夏凜からの強い言葉が返ってきて

天乃はそう来ると予見していたかのように微笑んで、頷く

天乃「私は置いていくわよ。さっさと歩いて、どんどん進んで。見えなくなる場所に、一人でね」


沙織「なら、ちゃんと追いかけないとってことだよね」

天乃「追いつかせてはあげないけどね」

沙織「追い抜いちゃうもん」

天乃「言ってくれるじゃない」

嬉しそうに笑った天乃は

沙織から夏凜へと目を移しまた沙織へと戻す

天乃「夏凜とどっちが先かしら」

夏凜「私に決まってるでしょ! トーシローなんかと一緒にしないでほしいわ」

沙織「そういうの、慢心っていうんだよ? なんにでもビギナーズラックって言葉があるんだからっ」

夏凜にでも勝てる自信はあるらしい

にこやかな笑みを浮かべて、沙織は夏凜を指さす

夏凜「面白いじゃない、じゃぁ。今から模擬――」

沙織「もう時間だしパスかな。じゃぁねっ!」

逃げ出した沙織を目で追いながら、

負け台詞みたいに残された言葉を掴み、額を抑えて首を振る

夏凜「絶対、私でも勝てるわ。あれ」

天乃「素人相手に威張っちゃうの?」

夏凜「そんなわけないでしょ。当然のことを言ったまでだわ」

天乃「そう。まぁ……良いけれど」

それこそが慢心なんじゃないか。と、天乃は心の中で呟いた


√ 5月9日目 夜


コンマ判定表

01~10 東郷
11~20 兄
21~30 風
31~40 
41~50 夏凜
51~60 
61~70 樹
71~80 
81~90 友奈
91~00 死神

↓1のコンマ   空白はなにもなし


√ 5月9日目 夜


夏凜「入るわよ」

天乃「入らないでよ。私の部屋なのに」

夏凜「カメラ取り付けても平気ならいいわよ?」

天乃「撮れても私の寝てる姿と着替えくらいしかないわよ……でも、夏凜ちゃんがどうしてもっていうなら、私っ」

自分の体をぎゅっと抱きしめながら

天乃はその場に崩れ落ちて膝をつき、夏凜を見上げる

出来る限り瞬きをせず、

瞳を潤わせて、身体を震わせていく

悲痛な表情を作り、唐突に睨む

天乃「夏凜ちゃんのエッチ! お兄ちゃん!」

夏凜「冗談を本気にすんじゃないわよっ!」

怒鳴り返してきた夏凜に向かって、天乃は悲しげな表情と、厳しい瞳を向ける

天乃「病院のセンサー、忘れたとは言わせないわよ?」

夏凜「……あれは別に……でも。そうね。悪かったわ」

折れた夏凜は小さく首を振ってそう言った


天乃「……今の全部冗談だなんて言えない」

夏凜「言ってるんだけど」

天乃「でも多分、聞こえなかっただろうし」

夏凜「わざと言ってるわよね?」

天乃「それはそうと……何か用事?」

夏凜「あんたねぇ……」

呆れかえってため息をついた夏凜は

言うだけ無駄だとあきらめて、自分が来た目的に話を変える

夏凜「これからも時々付き合って欲しいのよ。特訓」

天乃「特訓に?」

夏凜「じゃなきゃ鈍っちゃうし……」

天乃「にぼっちゃうの?」

夏凜「に、ぶ、る!」

天乃「そういわれても………」


1、別に良いわよ
2、気分次第ね
3、他に頼んでみたら?
4、私のお願いも聞いてくれるなら
5、嫌よ。疲れるし面倒だわ


↓2


天乃「私のお願いも聞いてくれるなら……考えるわ」

夏凜「あんたのお願い……?」

天乃「そう」

夏凜「………………」

嫌な予感しかしない。と

夏凜は聞いた瞬間から思い、感じていた

監視を解け?

一番可能性が高いのがそれだ

だけれども

それだけは絶対にかなえることは出来ない

夏凜の権限でどうこう出来るものではないからだ

夏凜「私も一応、聞いてから考えるわ」

天乃「……………」


1、監視を無しにして
2、大赦からの天乃への警戒度
3、大赦が隠してる子(園子)について
4、一緒に寝ましょ
5、バーテックスについて

↓2


天乃「バーテックスについて教えて欲しいのよ」

夏凜「そんなの、もう話してると思うんだけど?」

天乃「教えてない部分。あるんじゃないの?」

夏凜「教えてない部分……?」

夏凜の記憶上では

すでに天乃達との情報に差はない

だから、仮に教えていない部分があろうと

それは夏凜自身、知らないことであり

教えることは――不可能である

夏凜「無いと思うわ」

天乃「……本当に?」

夏凜「敵についての情報よ? 隠す意味なんてないわよ」

天乃「………………」

夏凜「何か気になってることでもあるわけ?」


普段、無駄なことばかり言ってくる天乃だが

流石に冗談で言ってきているわけではないはず。と

夏凜は警戒しながら問う

気になっていることにこたえることは出来ないだろうが

それを大赦に伝え、答えて貰うことは可能なはずだからだ

天乃「私を執拗に狙う目的とか、解ってるなら聞きたかったのよ」

夏凜「あんたを?」

天乃「聞いてないの? 前回、私ばっかり狙ってきたのよ。それはもう、集中砲火だったわ」

誇張しているだけなんじゃないのかと訝しみながら

天乃の瞳を夏凜は見つめる

天乃「冗談じゃないんだけど……」

夏凜の表情に眉を潜めて天乃は小さく首を振る

狙われたということを話してのこの反応

それは狙われたことすらも聞いていなかったということにほかならず

それならば、その理由を聞いているわけもないだろう。と、目を瞑る

天乃「聞いてないのね……」


夏凜「……本来、バーテックスは神樹様を狙ってきてることは知ってるわよね?」

天乃「ええ」

夏凜「それが天乃を目的とする侵攻に切り替わった。ということよね?」

天乃「そうよ」

夏凜「……………」

夏凜は天乃に何度か確認しながら

自分の端末を操作し、簡潔に内容を纏めてメールを送る

天乃が狙われていたと言うことを教えてくれなかった大赦に対し

ほんのわずかながら疑念を抱き、顔を顰めて天乃を見つめる

夏凜「一応、大赦の方には連絡入れたけど……」

天乃「まともな返事、帰ってくるのかしらね」

夏凜「……ねぇ、持論なんだけど」

天乃「?」

夏凜「あんたが神樹様に近しい人間ってことはないわけ? たとえば、声を聴くことのできる巫女の力があるとか」


夏凜にとってはいたって真面目な問いだったが

天乃は一瞬だけ唖然としてすぐに声を上げて笑う

夏凜「何かおかしい?」

天乃「可笑しいわよ……ふふっ、ありえないっ」

冷めない笑いを漏らしながら

天乃は馬鹿馬鹿しいと首を振る

神樹の事なんて一切信じていない。敬っていない

それを敬い、崇め奉る大赦の事も、大嫌い

そんな自分が神樹の巫女なんてありえない

否定に否定を重ねたうえでの笑いに対して

夏凜は「それなら」と、続ける

夏凜「あんたがバーテックスサイドの人間で、あんたを裏切り者として処分しようとしている。とか」

天乃「……ふふっ、その方が可能性あるわね」

夏凜「笑い事じゃないわよ……それがもしも本当なら」

天乃「本気であると思う? そんなこと。だとしたら、久遠家は全員バーテックスじゃなきゃいけなくなるんだけど」


夏凜「確かに……そうよね」

天乃「ええ」

神樹様の巫女なのか

バーテックスサイドの人間なのか

並べた天乃はそれをクシャッっと潰して

思考のごみ箱に投げ入れる

どちらも中々に現実味がない

だが、狙われたのは事実であり、現実

天乃「大赦からの答え……まぁ、期待できそうにないわね。それも」

夏凜「………………」

天乃「じゃぁ、貴女との特訓に関しては保留ってことで」

夏凜「そういえばそういう話だったわね……とにかく、返事が着たら報告するわ」

天乃「ええ、よろしく」

心の中で芽生えた大赦への疑惑

それを抱く夏凜は厳しい表情で部屋を出ていった

1日のまとめ

・  犬吠埼風:交流無()
・  犬吠埼樹:交流無()
・  結城友奈:交流無()
・  東郷美森:交流無()
・  三好夏凜:交流有(特訓許可、特訓、疑問)
・伊集院沙織:交流有(許可)

・  乃木園子:交流無()
・   三ノ輪銀:交流無()
・      死神:交流無()
・     神樹:交流無()


5月の9日目終了後の結果

  犬吠埼風との絆 11(普通)
  犬吠埼樹との絆 16(中々良い)
  結城友奈との絆 13(普通)
  東郷三森との絆 9(低い)
  三好夏凜との絆 25(中々良い)
伊集院沙織との絆 54(かなり高い)

  乃木園子との絆 15(中々良い)
  三ノ輪銀 との絆 45(高い)
      死神との絆 25(中々良い)
      神樹との絆 1(絶望的に低い)

大赦・神樹による、久遠天乃の警戒レベル○△□%程度?(検閲済み)
犬吠埼風より、情報提供:大赦は久遠を味方だとは思っていない


一旦休憩とさせていただきます
ここまでで何か問題などありましたら訂正いたしますので
報告等お願いいたします


では再開しようかと思います


√ 5月10日目 朝


コンマ判定表

01~10 友奈
11~20 
21~30 兄
31~40 
41~50 風・樹
51~60 
61~70 沙織
71~80 
81~90 大赦の人
91~00 

↓1のコンマ   空白はなにもなし


√ 5月10日目 朝


天乃「夏凜、行くわよ」

夏凜「………………」

天乃「夏凜?」

夏凜の前で手を振って見るが、反応はない

でも、目を瞑っているわけでもない

少し考えた天乃は軽く息を吐いて

両手を肩幅の大きさまで開き、勢いよく叩き合わせる

夏凜「っ!」

天乃「学校よ?」

夏凜「あんた、いつから……いや、良いわ」

天乃「連絡でもあったの? なんかこう、考え込まないといけないような感じの」

夏凜「違うわよ。逆よ逆。できる限り早急にって送ったメールが返ってこないから考えてたのよ」

天乃「まぁ、出来る限りだし」

夏凜「出来る限りだからか……」


はぁ……と

ため息をつく夏凜を引き連れて下に下りると

丁度、兄がリビングから出てきた

天乃「出かけるの?」

「ちょっとな」

天乃「女の子について行かないでよ?」

夏凜「ん?」

「なんで俺が女の子について行くんだよ」

天乃「なんでって……」

「妹にはついて行っても、女の子にはついて行かない。常識だろ」

夏凜「……いみわかんない」

自分の常識の外の会話に頭を痛めた夏凜が首を振り

天乃は困ったように笑って、ため息をつく

天乃「私、一応は学校行くわけだし……着いて来たら捕まるよ?」

「冗談を本気にすんなって。本当。俺個人の用事で出かけるだけだよ。お前たちについて行って双眼鏡で教室覗くなんてしないさ」


天乃「仕事?」

「……まぁ、そんなところだ」

慰めるわけでもなく

愁いを帯びた表情の兄は天乃の頭をぽんぽんっと何度か叩いて

そのまま頭の上に手を置く

天乃「お兄ちゃん?」

「……あんなサボり症のお前が学校に行くなんてなぁ。感慨深いよ」

天乃「そこまででもないと思うんだけど……」

「まぁ……それなりに頑張れ。お前も。夏凜ちゃんもな」

夏凜「私も?」

「一応、夏凜ちゃんも久遠家の一員だからな」

底なしの嬉しそうな笑顔に嫌なものを感じた夏凜は

僅かに後退り、首を横に振る

それは言うまでもなく拒絶で

解らないととぼけることも出来なかった兄は苦笑して

お手上げだと手を上げる

「じゃぁ、そういうわけだから。行ってくる」

天乃「いってらっしゃーい」

大雑把に言って兄を見送った天乃は

後ろの夏凜に微笑みかけ、2人でリビングへと向かい

食事を終え、学校へと向かった


√ 5月10日目 昼


コンマ判定表

01~10 友奈・東郷
11~20 
21~30 風
31~40 
41~50 樹
51~60 
61~70 沙織
71~80 
81~90 勇者部
91~00 

↓1のコンマ   空白はなにもなし


√ 5月10日目 昼


夏凜「天乃」

天乃「はいはい……悪いけど行くわね」

沙織「うん。またあとで」

沙織に見送られる天乃の表情は

困りきってひきつったものだった

見送る沙織が笑顔なのが問題なのではなく

その周囲のクラスメイトからの視線が……アレなのだ

転校初日から追いかけ、追いかけられ

昼休みになっては会いに来て、放課後になれば迎えに来る

そんな転校生三好夏凜と

元不登校児の久遠天乃の関係は何なのか。と

非情に強い関心を持つ生徒は少なくないのである


夏凜「………………」

天乃「………………」

夏凜「……一応、空き教室を一つ借りようと思ってるんだけど。どう?」

天乃「どうって?」

夏凜「……どこ行っても誰かの目があるとか、正直、ストレスなのよ」

深くため息をついた夏凜は背後の壁を睨み、

また正面を向いてため息をつく

天乃「まぁ、これじゃ下手に話すこともできないのよね」

夏凜「そもそも私達に何があると思ってるのよ。みんな」

天乃「さぁ……」

夏凜「ったくもう………」



1、早退しちゃう?
2、勇者部の所に行きましょ
3、私の気持ち、少しは解ったんじゃない?
4、……夏凜。キスする振りでもしてみましょ


↓2


天乃「でもこれで、私の気持ちも少しは解ったんじゃない?」

夏凜「私だって……」

したくもない監視をさせられ

習慣として行ってきた訓練の大半が自由には出来なくなった

でも、

食事をする時の景色は色鮮やかで

騒々しくも、決して失われても良いようなものではなくて

封印された訓練

でも、天乃がいることで新しくできることも増えて

学べることも増えた

なにも……悪いことばかりではないのかも。と

夏凜は言葉を入れ替える

夏凜「……確かにずっと見られてるのは、いい気分ではないわね」

天乃「でしょ?」


くすくすと嬉しそうな相方を横目に見て

夏凜もくすっと笑う

何かがおかしかったわけじゃない

見られている現状が楽しいわけでもない

でも、嬉しそうな天乃の笑い声と笑顔に……引っ張られた

夏凜「天乃」

天乃「んー?」

夏凜「……返事はない。たぶん、返ってきても理想的な物はないわ」

天乃「でしょうね」

夏凜「……あんた、次も狙われる?」

天乃「神のみぞ知るって奴だと思うけれど……」

夏凜「そこは神じゃなくてバーテックスでしょ」

笑みの切れない夏凜を一瞥して

バーテックスも神もあまり変わらないような気がするけど……と

付け足そうとして思いとどまって

天乃「……そういえば、そうね」

適当にそう答えた


天乃「で? 狙われるから何?」

夏凜「……何ってことはないでしょうが。私、あんたのそばにいないといけないんだけど」

天乃「多少離れたっていいんじゃない?」

夏凜「それはそうかもしれない……でも」

夏凜は言うかどうかを少しためらって

これえも任務だからと前置きしたうえで、告げる

夏凜「手を貸してあげるわ。あんたに」

天乃「私より弱――」

夏凜「バーテックス相手に遅れは取らないわよ! 大体……」

天乃「大体?」

夏凜「……人間とバーテックスじゃ戦い方が違う。私は後者の専門なのよ!」

素直になれずに怒鳴った夏凜はぷいっと顔を逸らす

夏凜「だから……素直に応じなさいよ」


1、じゃぁ……次の戦いに期待しようかしらね
2、ふふっ、ありがと
3、本当は戦わないのが一番なんだけどね
4、私の事、嫌いなんじゃないの?



↓2


天乃「ふふっ、ありがと」

夏凜「……ふんっ任務よ。任務」

鼻で笑う必要はなかった

でも、嬉しそうな天乃の表情を見て、照れ臭くなって

思わず、そんなことをしてしまって

そんな意味のないことを言って

それでも笑みを崩さず、空を見上げる天乃の横顔を見て

夏凜は小さく、ため息をつく

夏凜「今日は何が見えてるのよ」

天乃「バーテックス」

夏凜「嘘ね」

天乃「……じゃぁ、蟹。食べたい」

夏凜「雲の形はどこ行ったのよ」

天乃「じゃぁもうヤギで」

夏凜「適当なんだから……ほんと。あんたって人は」

もう慣れたその適当さを

夏凜は苦笑して受け入れる

自分はバーテックスと戦うために生きてきたし、修行してきた

だから、最初は勇者の監視なんて言う任務はやりたくもなかった嫌々だった

でも、今はいつかバーテックスが来て、戦うのだとしても

自分に求められているのがそれだけなのだとしても

出来ればもう少しだけ

何にもない、平坦な日常のまま

バーテックスの影も形もない、今のまま

五月蠅くて、面倒くさくて、でも寂しさを絶対に感じさせることのない

この自由人の隣にいられる時間が続いてほしい。と

夏凜は思うだけ思って、言葉にはせず小さく笑った


√ 5月10日目 夕


コンマ判定表

01~10 
11~20 
21~30 死神、怒りの隠蔽作戦

31~40 
41~50
51~60 
61~70 ス拐誘ヲ乃天、神死

71~80 
81~90 
91~00 

↓1のコンマ   空白はなにもなし。普通に進行


√ 5月10日目 夕


HRの最中

とんとんっと肩を叩いて沙織が声を飛ばす

沙織「久遠さん、今日も三好さんと?」

天乃「今日は……まぁ、違うような、違くないような」

自分の事なのにあやふやで

困った感じの天乃に沙織も困って首をかしげる

沙織「一緒に帰れる?」

天乃「行くところあるから……ごめんね」

沙織「そっか。じゃぁ、明日だね」

天乃「ええ」

沙織に一度だけ会釈するや否や

神樹様への感謝を込めて。と

全員が拝をしようとしているにもかかわらず

天乃はわれ関せずと教室を抜け出す

死神「イク?」

天乃「ええ、今日こそはね」

わけあって本来の日は見逃してくれたが

余裕が出来たのなら話は違う

死神とのデートの約束

少し遅れたが、果たす時が来たのだ


ではここまでとさせて頂きます
暫く出来るかどうか解りませんが
出来そうな日には事前に投下予定。と、居れることにします


夏凜も絆値が上がってきました
一応、連携技でも技一覧に挿入しておこうかと思います

連携技だと

この機会にと見返してたんだけど気になるのが幾つかあった
考察厳禁っぽいから言えないけど少しは見返さないとヤバそう

>>763
天乃「行くわよ夏凜!」チラッ

夏凜「準備はできてる!」

天乃「せーの! にぼのシウムアターック!」

夏凜「そんなの言えるかーっ!」

今日は22時くらいから少しだけですがやる予定です


√ 5月10日目 夕


コンマ判定表

01~10 夏凜

11~20 
21~30 
31~40 風

41~50 
51~60 
61~70 友奈

71~80 
81~90 夏凜
91~00 

↓1のコンマ   空白はなにもなし。逃げ遂せる


√ 5月10日目 夕 校門前


風「どーこ、いーくの?」

天乃「風……」

風「ま、その顔を見る限り、あたしがここにいる理由は言わずもがなね」

天乃「そもそも、貴女が教えてくれたんでしょ」

大赦にとっての天乃の存在

彼らが神さえも死に至らせることが出来るかもしれない少女を

どう思い、どう扱っているのか

その一片を天乃に話した風は「確かに」と、苦笑する

風「ダメでしょ。抜け出しちゃ」

天乃「……普段は監視してる。と?」

風「大赦からしてみれば登校してくれることはありがたいことこの上ないでしょうね。全員で見てられる。対処できる」

天乃「それを私に言ってどうしろと……笑えば良い?」

死神「フトウコウニ、ナール?」

天乃「考える必要も出てきそうね」

風「ちょっ、あたしの責任問題になるから止めて!」


天乃「家では夏凜。学校では全員。私のプライベートはどこへやら」

風「樹海に置いてきちゃったんじゃない?」

天乃「冗談じゃないかな……それ」

表情は笑みを浮かべながらも

その声は厳しくも冷たくて

風は思わず、息を呑む

風「……天乃。悪いけど。それでも、見ちゃった以上は見逃せない」

天乃「………………」

風「別の学年だったらねぇ……解んなかった。も、通用するんだけど」

天乃「でしょうね」

風「そういうわけで。一旦、戻ってくれるわよね?」

死神「クオンサン」


1、素直に応じる
2、隠密・フェードアウト
3、逃走
4、無理。これからこの子とデートなの。人の恋路、邪魔しないで頂戴


↓2


天乃「悪いけど、お断りするわ」

風「久遠、これはあな――っ!」

風の言葉は最後まで行く前に掻き消えて

それだけでなく、

風の言葉を聞くべき天乃までもが、姿を消す

けれど

天乃「これから行きたいところ、したいこと。色々あるのよ。だから、またね」

その声だけは聞こえた

風「そんなのっ、久遠のためにならないんだってば!」

それぞれの教室から足音が抜け出していく

早い人はもう玄関先にまで来ている

聞こえた人には聞こえたであろうその声

天乃にまで届いたのかどうか確かめるすべは

今の風にはなく

風「馬鹿……」

心配そうに呟いた風の手には、新しく受信したことを知らせる端末が握られていた


天乃「貴方は最高のパートナーだわ。ほんと」

死神「サイコウノパートナー」

天乃「そう……で、貴方、行きたいところはあるの?」

死神「イキタイトコロ……」

天乃の目の前で回る死神

回る=考え中。というのが、死神の癖なのか習慣なのか

とりあえずはそうらしい

天乃はやることなく記憶に入れて、息をつく

天乃「海、家。イネス、観光地……まぁ、さほどないけど」

死神「ソノコ? ノ、トコロ」

天乃「その子誰の子その子の子?」

死神「ベッドノコ」

天乃「会いに行けると本気で思ってる?」

死神「ジュカイ? カラナラ」

天乃「へぇ……」


死神は樹海からなら園子という天乃の古い……と言うほどでもないが

友達に会いに行けると言うが

残念ながら、その樹海に行く手段が天乃にも、死神にもない

天乃「それはまた今度にしましょ」

死神「ジャァ……ウミ」

天乃「海ね……海なら、そうね。まぁ、良いかな」

まだまだ泳げるような状態でも季節でもないが

どこかの親切な部活なり、団体なりが清掃活動などをしてくれているようで

ごみが散乱していて歩けば病院に行く。なんて危険な場所ではない

とはいっても、風で飛ばされてきたものが来るくらいで

故意に汚していくような人間はそもそも居らず、さほど汚れたりはしていないのかもしれないが

死神「ユウエイ、スル?」

天乃「出来ないわよ。看板で得た知識なら、その下もちゃんと読んでおくべきだわ」

死神「………?」

天乃「少し行ったら看板が見えるから……そこで確認しなさい」

忙しなく独り言をつぶやいている。ように見える天乃を見る周りの人からの視線

感じる当人は少し控えめに声を落とし、死神の頭を掴んで、足早にその場を去って行った


本当に短いですが、このあたりで失礼します
明日も可能であれば22時ころからの再開を目指しています

出来る場合は今日と同じくらいの時間に事前にお知らせいたします。それがない場合は出来ないと思います

今日は少しだけですがやる予定です


√5月10日目 夕方 海


死神とデートをする。という摩訶不思議なことの最中である天乃は

当人……当神の希望に沿って

時期外れの海に来ていた

当然、泳ぐ気はなく、水着でもない

天乃「もう半ばみたいなものだけど……まだまだね」

死神「……………」

天乃「?」

天乃の話しかけた死神は

天乃の方は見ることなく

遠方に壁がかろうじて見えるだけの、青い海を眺めていた

天乃「どうかしたの? そんな遠く見つめちゃって」

死神「トオク? チガウ。クオンサンミテタ」

天乃「……何言ってるのよ」


どう考えても、壁見てたくせに

いや、別にだからどうってわけじゃないけど

この子が私を見てようが、見てなかろうが

もうっどこ見てんのよ! なんて、本の中の恵まれたヒロインのようなことは思わない

思わないけど、

天乃「貴方、海見てたじゃない」

死神「クオンサンミテタ」

天乃「またそうやって……別に私無視したからって怒ったりはしないわよ?」

多少の八つ当たりのようなことはするかもしれないが
           、、、、、、
そう。それは別に怒っているわけじゃない

自分にそう言い聞かせ、死神を見つめる天乃に対して

死神は数回瞬きして、首を振るように顔を動かす

死神「クオンサン、ミテタ。ズット」

天乃「貴方――」

死神「ダッテズット、クオンサンノコトカンガエテタ。ダカラ、ワタシハ、ウミナンテ、ミテナカッタ。ヨ?」


天乃「貴方ね……」

どこかの誰かに言われたっけ。と

考えてすぐにないない。と首を振る

そんなこと言ってきそうなほどの付き合いは異性にはいない

そしてもちろんだが、

同性にもそんなような言葉は記憶にはない

天乃「……………」

死神「クオンサン?」

天乃「貴方が変なこと、言うからよ」

言われたいと思ったことはない

けれど

だからといって

天乃「………………」

たとえ死神のような相手であっても

そんな口説き文句のようなセリフを言われたら

誰だって気恥ずかしさは感じる

そう。だから別に、私は

天乃「………………」

真っ赤な夕日に近い自分の表情

わざと日の光を浴びながら、天乃は大きくため息をついた



1、そういうのはね? 男の子が女の子に言う言葉よ?
2、馬鹿なこと言ってると、海に叩き落とすわよ
3、で? 海に来たかった理由は?
4、私の何を考えてたのよ
5、何も言わない


↓2


天乃「馬鹿なこと言ってると、海に叩き落とすわよ」

死神「……………」

天乃「止めてって、言わないのね」

天乃は威嚇のために振り上げた手を静止して

目の前で沈黙し、漂うだけの死神に問う

死神「……………」

死神は何も言わず、ただ天乃を見つめていたが

不意に一度だけ瞬きすると

自分から海の方に下って行き

天乃が蹴り飛ばせるような位置で留まって、見上げた

天乃「……蹴るわよ?」

死神「クオンサンガ、ワタシノコトバガバカダトオモウナラ」

天乃「……………」

死神「デモ、イイタイコト、オモッタコトガバカダトイワレテモ、ワタシハ、マンゾク」

天乃「貴方」

死神「ワタシ、クオンサン。スキ。ダカラ……イツモカンガエテル。クオンサンノ。コト!」


天乃「……いつもの冗談でしょ」

死神「イッテホシイナラ。ジョウダンダッテ、イウ」

天乃「そうじゃなくて――」

死神「デモ!」

天乃「っ」

いつもはしない、力強い瞳

いつもはしない、反抗的にも思える言葉

驚いた天乃が目を見開いて、言葉を止めて

死神は体を揺らし、天乃の瞳をじっと見つめる

死神「コトバヲウソニシテモ、ソレイガイハ、ウソニハナラナイ。クオンサンハイツモ。ソウダヨネ」

天乃「……………」

死神「ワタシガ、スキ。ソレハイヤ?」

天乃「……酷いこと、言ってくれるじゃない」

死神「ワタシハ、シニガミダカラ」


1、嫌よ
2、ノーコメント。悪いわね
3、解りきってることを聞かないで
4、キスしてあげる
5、蹴り飛ばす
6、嫌じゃないわよ……別に


↓2


天乃「馬鹿!」

死神「!」

怒鳴った天乃の足は素早く、力強く

後ろに下がって、振り切られて

途中、漂っていた死神はなすすべなく直撃して、海へと沈んでいく

天乃「っ……はぁっ、はぁっ、馬鹿ッ」

息が上がるのは、急に大声を出したから

息を止めて、勢いよく足を動かしたから

断じて、動悸が激しかったからじゃない

両手で顔を覆い、首を振る少女を水面から見つめる死神は

蹴られた痛みなんて関係なしにふよふよと、漂う

死神「……スーキ。クオンサン」

景色はオレンジ色で

陽の当たる天乃は真黒で

でも、それの目にははっきりと、しっかりと、彼女の事が見えていた

死神「………………」

その瞳はやはり、遠くを見ていた

いつかきっと彼女に訪れるであろう、迎えるであろう、未来を

死神の赤い瞳は――いつも、見ていた


ではここまでとさせていただきます
明日も出来そうならまた21時頃にお知らせします


再開は10日目夜からです
イベントの判定からですね

ピロリロリン
 ピロリロリン
今日も少しだけですがやる予定です


√ 5月10日目 夜


コンマ判定表

01~10 夏凜
11~20 東郷
21~30 風
31~40 
41~50 友奈
51~60 
61~70 樹
71~80 
81~90 夏凜
91~00 大赦の人

↓1のコンマ   空白はなにもなし。


ぞろ目なので、場所選択を

1、海岸
2、天乃の家
3、友奈の家


↓2


√ 5月10日目 夜 友奈の家


天乃「……本当に東郷の家のそばなのね」

友奈「久遠先輩は来たことなかったんでしたっけ」

天乃「無いわよ」

そもそも友奈と会うこと自体、久しぶりだった

別に避けていたわけではないが

あの戦い以降、天乃は入院しており

友奈は友奈で勇者部としての活動があり

会う機会がほとんどなかったのだ

友奈「それで久遠先輩はどうして逃げちゃったんですか?」

天乃「答える義理はないわよ」

友奈「久遠先輩、さっきからずっと同じこと言ってる……」

天乃「無いものはないのよ。今だって、貴女がだれにも私の居場所を話さないと言う条件を聞いてあげてるだけなんだし」


友奈「…………………」

戦いでは仲間として戦ってくれてる

でも、それ以外でのプライベートは全然で

友達どころか先輩後輩

しいては仲間と言えるかどうかですら怪しい

友奈「うーん……」

天乃「なによ」

友奈「その……」

友奈は、

すぐに目つきを悪くする天乃の事があまり得意ではない

でも、だからといって切り捨てられる性格でもない

その点では天乃と似たようなものなのだが……

友奈「もう少し、仲良くなりたいな。と」

友奈はなぜか困ったようにそう言った


1、私は別にこのままでもいいわよ
2、なら質問。貴女、誰かに好きだって言われたことある?
3、なら教えて。死神に告白されたらどうしたらいい?
4、……物好きね。貴女は
5、仲良くなって意味ある? 死に別れするかもしれないのに


↓2


天乃「なら質問。貴女、誰かに好きだって言われたことある?」

友奈「もちろんありますよっ」

天乃「…………」

天乃に声をかけられたことが嬉しくて

少し上ずってしまった友奈は遅れて苦笑する

対する天乃の表情は険しく、ため息をつく

恐らく望んだ答えじゃない

どうせ、東郷だとか、風だとかからの

友達としての好きなんだろう。と

天乃は解っていたからだ

友奈「久遠先輩はないんですか?」

天乃「あるわよ。まぁ……ちゃんとした意味でもね」

友奈「ちゃんとした意味?」

天乃「……いや、意味はきっと一緒よ」

教える必要もない

教える意味もない

知らないなら、知らないままでいい

天乃の友人であり、友奈の親友である彼女の事を考えて

天乃はあえて首を振り、苦笑して誤魔化した


友奈「久遠先輩可愛いですし、きっと東郷さんみたいに人気なんだろうなぁ……」

天乃「本当にそう思う?」

友奈「え?」

天乃「勇者部なら、3年生の嫌な先輩の話くらい通ってるんじゃない?」

友奈「そ、そんなことないですよ」
      、、、、、
実際には少し違うが

あるにはあるためにはっきりとは言えずに笑ってごまかす

もちろん

天乃にはそんな嘘もごまかしも通用などせず

天乃は深くため息をついて、椅子に深く座り込む

天乃「本当に?」

友奈「え、っとぉ……」

天乃「ほんとうに?」

友奈「じ、実はちょっとだけ……」

天乃「へぇ?」

友奈「で、でもこれは言えません!」


天乃「どうして?」

友奈「それはその……匿名で、極秘な内容だから……です」

自分の問いかけに対する答えに

酷く困っているのは天乃にも見て分かった

元々、友奈は嘘や隠し事にはあまり向いていないのだが、

突っぱねすぎて関係がより悪くなってしまうことを恐れるあまり、隠しきれないのである

しかし、

これだけは言うわけにはいかなかった

勇者部なら変に広めないだろう

勇者部なら親身に相談に乗ってくれるだろう

そう思ったからこその依頼

その信頼を壊すことは絶対にしたくなかったのだ

天乃「……………」

友奈「い、言えません」


1、どれくらい悪い話なのかくらい、教えてくれてもいいんじゃない?
2、そっ。私よりも依頼人をとるのね
3、別に無理に聞き出そうとなんて思ってないわよ
4、はいはい……良いわよ。別に。聞く気はないわ
5、壁ドン


↓2


天乃「どれくらい悪い話なのかくらい、教えてくれてもいいんじゃない?」

友奈「悪い話……とは限らないかもしれなくもないかも知れなくもないかもしれないですよ」

天乃「小学生じゃないんだから……」

友奈精一杯の誤魔化しに、

天乃はため息とともに呆れた表情を友奈に向ける

かもしれないが偶数で限るため

なくもない。なくもない。かもしれないで奇数

よってかもしれないのか。と顔を顰める

また少し気になった……とはいえ

これ以上は教えてはくれないだろう

天乃「はぁ……」

友奈「あ、あの……」

天乃「言う気がないんでしょ? なら口チャックしてなさい」

友奈「……………」

バっと両手で自分の口を押えた友奈は黙り込み

それを見る天乃はまた、ため息をついた


友奈はそれを茶目っ気でやっているのではなく

素の仕草がそれなのだから

天乃も下手には怒ることが出来ない

それを天乃は……嫌いにはなれなかったからだ

だからといって

好きかどうかは別の話

もっとも

好きじゃないかどうかも、別の話なのだけれど

天乃「……友奈」

友奈「……………」

天乃「いつまでも黙ってろとは言わないわよ」

友奈「は、はい」

天乃「………………」


1、今日は家に帰れないから、泊まらせてもらうわね
2、とはいっても。私、帰るけど
3、貴女の事、別に嫌いじゃないから安心しなさい



↓2


天乃「今日は家に帰れないから、泊まらせてもらうわね」

友奈「こ、困りますよ……東郷さんだって、朝には起こしに来るし……」

天乃「解った……じゃぁ、野宿する」

残念そうに言った天乃は

ちらっと名残惜しそうな瞳を友奈へと向けて

トボトボと……歩き出す

言わずもがな演技でしかないそれを

友奈は本気にし、慌てて「待ってください」と言い放つ

天乃「なによ。ダメなんでしょ?」

友奈「……久遠先輩が、東郷さんに見つかっても良いなら」

天乃「見つかる前に、逃げ出せばいいだけの事よ」

友奈「東郷さん、早いですよ?」

天乃「……マイペースな人間がだれでものろまだと思ったら、大間違いよ」

くすっと笑った天乃は友奈の頭を撫でる

けれど

2年生の友奈は天乃よりも少し背が高くて

3年生の天乃の身長は、友奈よりも低くて

友奈「……あっ!」

友奈は何かに気づいたように驚いて、嬉しそうに笑う

天乃「なによ」

友奈「いえ、ただ。その。ちょっとわかった気がしたんです。依頼者の気持ち」

とは言われても解るはずなく

天乃は首を傾げた


ではここまでとさせていただきます
早朝、時間がありましたら
纏めだけ上げて、次回の再開時に5月の11日目の朝から再開できるようにしたいと思います

1日のまとめ

・  犬吠埼風:交流有(脱走、応じない)
・  犬吠埼樹:交流無()
・  結城友奈:交流有(共犯、好きな人、お泊まり)
・  東郷美森:交流無()
・  三好夏凜:交流有(天乃の気持ち、守りたい日々、無接触)
・伊集院沙織:交流無()

・  乃木園子:交流無()
・   三ノ輪銀:交流無()
・      死神:交流有(デート、照れ隠し)
・     神樹:交流無()


5月の10日目終了後の結果

  犬吠埼風との絆 12(普通)
  犬吠埼樹との絆 16(中々良い)
  結城友奈との絆 16(中々良い)
  東郷三森との絆 9(低い)
  三好夏凜との絆 28(少し高い)
伊集院沙織との絆  54(かなり高い)
  乃木園子との絆 15(中々良い)
  三ノ輪銀 との絆 45(高い)
      死神との絆 28(少し高い)
      神樹との絆 1(絶望的に低い)

大赦・神樹による、久遠天乃の警戒レベル○△□%程度?(検閲済み)
犬吠埼風より、情報提供:大赦は久遠を味方だとは思っていない

早朝ではありませんが、纏めのみ出しておきます
今日の夜も出来そうなら21時くらいにお知らせします

投下予定ですが、22時頃と遅くなりそうです


すみません、大変遅くなりました
まだ居ましたら再開したいと思います


では少しだけですが再開します


√ 5月11日目 朝


コンマ判定表

01~10 夏凜
11~20 
21~30 東郷
31~40 
41~50 友奈
51~60 
61~70 東郷
71~80 
81~90 夏凜
91~00 

↓1のコンマ   空白はなにもなし


√ 5月11日目 朝 結城家


友奈の家に宿泊した天乃は

横で眠る友奈を一瞥し、朝日を受けるカーテンを開く

夏凜「天――」

何かが見えた

何かが聞こえた

いや、どう考えても気のせい

きっと夢を見ているのね。と

天乃は首を振り、頬を抓って布団にもぐる

コンコンコンっと叩く音がするけれど

それも多分きっと――

夏凜「あんたがいるのはばれてんのよ! 開けなさいっ!」

天乃「……………」

気のせいじゃないらしい

もっとも、天乃はそんなこと初めから解っていたのだが


1、無視
2、友奈を抱えて逃げる
3、友奈をけしかけて逃げる
4、逃げる
5、仕方がないので、相手する


↓2


天乃「なによ。こんな朝早くから」

夏凜「あんたねぇ……家にくらい帰ってきなさいよ。帰ってくるって思ってたから……」

天乃「思ってたから?」

夏凜「っ……とにかく、帰るわよ。今すぐに」

本当に言いたい言葉は、

言ってはいけない言葉に阻まれて、消える

天乃「嫌って言ったら?」

夏凜「これ以上に厳しい監視されたいの?」

天乃「……してるくせに」

夏凜「………仕方ないわよ。あんたがそうしないといけないような人なんだから」

天乃のしょんぼりとした表情に

夏凜は少し詫びるような声で言う

出来ることなら。と

なんとなく手は打ってみたものの

すぐに大赦側から連絡が来てしまったのだから

夏凜自身、どうしようもないのだ


夏凜「……あんたは私と一緒にいなきゃダメなのよ」

天乃「………………」

夏凜「誰かに見られてるのが嫌ってあんたの気持ち、良く判る。でも、それでも……」

天乃といる登校時間、昼休み

自分たち以外の視線を感じないことはまずなくて

それ以外の授業の合間の休み時間でも

天乃の所に行くか行かないかひそひそと

人によって直接聞いてくることだってある

そんな環境に置かれたからこそ、夏凜は天乃の気持ちがわからないでもなかった

でも、それでも

今の自分の任務を変えることも、止めることも出来そうにはなくて

だから、悲しそうな顔をする

夏凜「私といて」

天乃「……………」

夏凜「あんたの為に、私の為に」



1、……告白のつもり?
2、私達のためになってるの?
3、……解ったわよ
4、沈黙
5、私は友奈と結婚するの! 夏凜とはもう、一緒にはいられないッ


↓2


天乃「……告白のつもり?」

夏凜「は? 何言って……」

慈愛に満ちているような

穏やかな表情を浮かべながらも

笑みと困り顔の中間のような表情に留まる天乃を見て、

怒鳴る気も失せて、首を振る

夏凜「違うわよ」

天乃「……そっ」

夏凜「期待でもしてた?」

天乃「ううん……女の子にまで告白されたらどうしようかなと思っただけ」

夏凜「あんたに告白した物好きでもいたの?」

天乃「……まぁ、いたには。いたけど」

はぁ……と深くため息をつく天乃

夏凜はなんなのよと首を傾げて、ため息をつく

夏凜「とにかく、学校には行ってもらうわよ」

天乃「……はいはい。行ってあげるわよ」


すみません、本当に短いですがここまでとします
明日は用事が終わり次第再開したいと思うので、再開は13時ころを目指しています

友奈とのイベント率、今回はお泊り後の為高めに設定します


遅くなりました。始めたいと思います


√ 5月11日目 昼


コンマ判定表

01~10 東郷
11~20 沙織
21~30 友奈
31~40 
41~50 友奈+東郷
51~60 
61~70 風
71~80 友奈
81~90 勇者部
91~00 

↓1のコンマ   空白はなにもなし


√ 5月11日目 昼


東郷「久遠先輩、少し、良いでしょうか」

天乃「……………」

昼休みの時間に、

わざわざ友奈を置いて、教室まで来て

東郷はそう言って天乃を呼び出す

でも、天乃は物憂げな表情を浮かべて東郷を見つめるだけで

その場からは動こうとしなかった

東郷がどれだけ用事があっても

天乃はそれに関わる気がないのだ

用事にではなく――東郷に

沙織「久遠さん、あの子……勇者部の東郷美森って子だよね? 行かなくていいの?」

天乃「………」

沙織「久遠さ――」

夏凜「天乃ーっ、ちょっと」

天乃「……………」


1、教室を出る
2、意地でも出ない


↓2


天乃「……嫌よ。話す気はないわ」

東郷「久遠先輩……」

夏凜「…………」

天乃と東郷の関係は

大赦側、つまるところの犬吠埼風から

多少なりと聞いてはいる

だがその情報では、最近の天乃の東郷に対する接し方というか

対応はまったく理解できない。一致しない

夏凜「東郷、何か私に隠してるわけじゃないんでしょうね?」

東郷「本当に解らないわ……こんな避けられるほどではなかった。と、思う……でも、私がきっと悪いのよ」

夏凜「……そう」

東郷が嘘をついているような様子はない

天乃ならともかく、東郷のような人間が演技で人を不安にさせるようにも思えない

けれど、天乃が東郷を強く拒絶、拒否反応を示しているのは現実で

夏凜まで不安になったり、悲しくなりそうな表情を天乃が見せるのも、現実だった


沙織「良いの? あの子、凄く悲しそうだよ?」

天乃「……良いのよ」

沙織「でも……」

天乃「良いのよ……良いの。今は、これでいいの」

天乃の言葉に、沙織は首を傾げる

鷲尾須美であり、東郷美森な彼女との接し方を

天乃はまだ、考えられていなかった

親友だったのに、他人で

知らなかったとはいえ、ひどく突き放してしまっていた相手

今は多少、関係は取り戻せつつあるが

それでも、以前には到底追い付かない

天乃「………………」

そんな相手になんて声をかければいいのかが、解らない

そんな相手にどんな顔をしてればいいのかが、解らない

そんな相手を、自分の中でどう処理していいのかが、解らない

整理が、付かないのだ


東郷「……もういいわ。ありがとう夏凜ちゃん。戻りましょう」

夏凜「言い出したくせに、逃げる気?」

東郷「っ……」

夏凜「天乃はお調子者で、好き勝手する嫌なやつだけど……理由もなく怒鳴ったりしないわ」

夏凜は天乃の事をそこまで知らない

夏凜は東郷の事をそこまで知らない

けれど、天乃がそういう人間ではないことは――信じていた

だから、言う

夏凜「天乃には理由がある。それを解決したいから、東郷もここまで来たんじゃないの?」

東郷「………でも、思った以上に」

夏凜「思った以上に、良くない関係だったわね」

東郷「……………」

夏凜「でも、それで放置してたら……一生、遠い関係のままになる」

夏凜は東郷と天乃の関係に

自分と自分の肉親や兄を重ね合わせて、首を振る

夏凜「でも……別に無理強いはしない。戻りたいなら、戻るわよ」

東郷「……ごめんなさい。戻りましょう」

夏凜「解った」

東郷は最後に一目だけ

名残惜しそうに天乃を見つめて、去っていく

でも、天乃は決して、東郷の事を見ることはなかった


√ 5月11日目 夕


コンマ判定表

01~10 友奈
11~20 
21~30 沙織
31~40 
41~50 風
51~60 友奈
61~70 樹
71~80 
81~90 夏凜
91~00 死神

↓1のコンマ   空白はなにもなし


√ 5月11日目 夕


友奈「久遠せんぱーい」

天乃「友奈?」

友奈「一緒に帰りませんか?」

天乃「貴女が……私と? 東郷はどうしたのよ」

友奈「それが……東郷さん。今日は一人で帰りたいって」

友奈はちょっと心配そうに言いながら

でも、大丈夫ですよ。と、にこやかに笑う

天乃「そう」

友奈「もしかして、久遠先輩は夏凜ちゃんと二人で帰りたいんですか?」

天乃「どういう流れでそうなったのよ」

友奈「久遠先輩、いっつも夏凜ちゃんと一緒だからそうなのかなーって」

えへへっと笑う友奈を一瞥し

天乃は小さくため息をついた


1、友奈+夏凜と帰る
2、夏凜とだけ帰る

↓2


天乃「まぁいいわ。一宿一飯のお礼もあるし」

友奈「やったー」

天乃「貴女、毎日が幸せそうね」

友奈「?」

天乃「……気にしなくていいわ」

天乃は少し、友奈が羨ましかった

きっと何も知らないのだろう

きっと、何もわからないのだろう

人はそれを馬鹿だと言う

でも、馬鹿ほど幸せなことはないのだろう。と

天乃は思いながら、不安定な笑みを浮かべる

天乃「夏凜、行きましょ」

夏凜「気づいてたのね、私がいること」

天乃「煮干しの匂いがしたからね」

夏凜「んなわけあるか!」

天乃「……自分じゃ気づかないこと……あるのよ?」

夏凜「っ……そんなはずっ……」

自分の胸元部分を引き上げて、確認する夏凜を見つめて

天乃はくすくすと笑う

夏凜「あ、あんたねぇ……ッ!」

天乃「冗談に決まってるでしょ。貴女はいつも、いい匂いよ」


夏凜「な、何言ってるのよ……」

天乃「私と同じ匂いだもの。変なのだったら困るじゃない」

友奈「夏凜ちゃんと久遠さん、同じ匂いなんですか?」

天乃「シャンプーの話よ? だから今日は貴女と同じ」

友奈の頭をぽんぽんっと叩いて天乃は小さく笑う

けれど笑ってはいても、笑えてはいなかった

何か事件を起こしたりすることはない。とは思っているが

東郷が精神的に病んでしまうのではないかと、天乃は内心……不安だった

かける言葉も、見せる顔も、何も解らず

だからと突き放してしまっているのに

完全には捨てきれない、天乃の弱さ

東郷との件は、そこに引っかかっているのだ

友奈「久遠先輩、一つ聞いても良いですか?」

天乃「なに?」

友奈「昨日の話の続き……みたいなものなんですけど、周りのみんなが気にしてると言うか、なんというか」

天乃「だから何よ」

友奈「久遠先輩と、夏凜ちゃんって、どんな関係なんですか?」


天乃「私と夏凜?」

友奈「いつも一緒にいるから、色々とうわさがあるんです」

天乃「噂……ねぇ」

周りからの視線でなんとなくわかっているし

こそこそしている声も聞こえることはあって

自分たちがどんな風に思われているのかは大体察しがついていた

天乃「たとえば?」

友奈「同じ家から出てきてる。とか……あとは、私は良く判らないんですけど」

天乃「?」

友奈は少し困ったように首を傾げながら

天乃と夏凜を瞳に映して言う

友奈「夏凜ちゃんと久遠さんは、友達以上の関係かもしれないって」

天乃「…………」

友奈「東郷さんに聞いたら、友奈ちゃんは知らなくていいって言われちゃいました」

夏凜「ま、まぁ……知らなくていいんじゃない? ありえないし」


1、私と夏凜は恋人よ
2、私と夏凜はただならぬ関係よ
3、私……夏凜に付きまとわれてるの
4、ただの、友達よ
5、同棲は事実よ。夏凜は今、私の家に居候してるのよ


↓2


天乃「同棲は事実よ。夏凜は今、私の家に居候してるのよ」

夏凜「ちょっ――」

天乃「黙ってても、騙してても。いつか絶対ばれるでしょ」

夏凜「そうかもしれないけど……」

夏凜は面倒になることを予期して、ため息をつき

友奈は解った真実に瞳を輝かせ、嬉しそうに笑う

友奈「じゃぁ、夏凜ちゃんはやっぱり久遠先輩と仲が良いんだよね?」

夏凜「別に仲良くなんて……」

友奈「違うの?」

天乃「違うの?」

夏凜「……なんであんたまで聞いてくんのよ」

天乃「私の事だし」

夏凜「まぁ……人並みよ。人並み」

友奈「人並みには仲が良いってことだよね?」

夏凜「……そうよ。少なくとも、私は、そう。思ってるわよ」


夏凜は遠慮がちに天乃を見つめながら、そう言った

自分はそう思っていても

相手はそう思っていないなんてことはいくらでもあることだ

散々からかってくる

けれど、頼ってきた……とは言えないかもしれないが

時々、弱さを見せることがある

そんな相手である天乃との距離感

夏凜には、推し量れそうもなかった

天乃「……なによ」

夏凜「あんたは、どうなのよ」

天乃「何言ってるのよ貴女」

夏凜「この際だから聞いたって良いでしょ。私の立場は解ってる。だからどんなものだって、受け入れられるわ」

天乃「……………」

夏凜「……気になるのよ。私だって」



1、友達よ
2、沈黙
3、家族よ
4、人並みよ
5、言えないような、関係よ


↓2


天乃「………………」

夏凜「天乃!」

友奈「夏凜ちゃん……?」

夏凜「なんで答えないのよ……私は答えたのに」

夏凜は握り拳を震わせて、唸る

天乃の態度は自由すぎて、曖昧すぎて

本当の距離感は掴み難い

だから、聞きたかったのに

夏凜「良いわよ。言えないなら。答えたくないならッ」

天乃「……夏凜」

夏凜「友奈。あんたにも伝わってるから言わなくても良いわよね?」

友奈「え?」

夏凜「先に帰る」

友奈「夏凜ちゃん?」

天乃「……………」

去っていく夏凜を天乃は黙って見送る

言いにくかっただけ

ただ、それだけだった


友奈「久遠先輩、追わなくていいんですか?」

天乃「……………」

友奈「久遠先輩……」

見えなくなった夏凜の背中

目に見えて静かになった天乃

2つを交互に見つめる友奈は困り果てて、立ち止まる

夏凜に頼まれた以上は

天乃のそばを離れるわけにはいかない

だからちゃんと家に送り届けるべきなのだが

夏凜と天乃が同居している以上

夏凜の後を追わなければいけないのだ

友奈「えっと……カラオケとか、好きですか?」

天乃「…………」

友奈「あ、あはは……今はそういう気分じゃないですよねー……」


1、貴女の家でいいじゃない
2、そうね、カラオケ……行きましょうか
3、私も帰るわ
4、少し黙ってて
5、別に……言わなかったわけじゃないわ。言いにくかっただけ

↓2


天乃「そうね、カラオケ……行きましょうか」

友奈「そ、そうですね!」

友奈はそう言いながらも、凄く焦っていた

冗談で言ったのではなく

ついつい、口をついて出てきてしまった言葉だったが

まさかそうしようと言われるとは思っていなかったのだ

友奈「……………」

カラオケは気分が良いときとか

楽しむ気分の時に、するものだ

なのに沈んだ雰囲気の人を連れての来店

店員の明るい接客も道化になるような天乃を引いて、友奈は与えられた部屋へと入っていく

友奈「久遠先輩、歌いますか?」

天乃「……………」

友奈「じゃ、じゃぁ……私から」

何を選曲して良いのか

悩んだあげく、選んだのはいつもの曲だった


明るい曲

盛り上げるための、にぎやかな曲

全然、意味なんてなかった

自分が謝れば済むのなら

謝りたい。友奈がそう思うほどに進展がなかった

天乃「……次は?」

友奈「つ、次……次は、えっと」

入ってから4曲は歌ったが

全て友奈が歌っていて

その友奈の歌える曲、知ってる曲は明るい曲ばかり

古今無双も歌っては見たが、大すべりした

○△□なんてうたった暁には

途中で力尽きてしまうかもしれない

そう思った友奈は、ダメもとで、切り出す

友奈「一緒に歌いませんか?」

差し示す曲はAurora Days

友奈が歌える曲の中で、唯一……明るくにぎやかとは言えないような曲

でも、決して暗くはない、優しく穏やかな曲だった



1、歌う
2、歌わない


下2


天乃「……良いわ。歌ってあげる」

友奈「お願いしますっ」

初めて天乃がマイクをとった

しかも、デュエットしてくれる

沈みかけてた心を一気に持ち上げて

友奈は満面の笑みを浮かべる

天乃「下手でも、笑わないでね?」

友奈「下手なんですか?」

天乃「……聞けばわかるわよ」

友奈はドキドキする胸を押さえて深呼吸する

下手かもしれない。なんていうことがあるからではなく

初めての天乃とのカラオケで

初めてのデュエットだからだ

曲の前奏が流れ始めて、友奈はごくりと喉を鳴らす

天乃「始まるわよ」

友奈「っ!」


↓1+↓2でカラオケ得点

ぞろ目が含まれていれば、片方が低くても92点

両方ぞろ目なら100点

それ以外は1と2を足し算


ぞろ目なので92点ですね


では、ここまでとさせていただきます
明日の再開は22時ごろを予定していますが
ここ2日ほどの通り、予定時間を過ぎても出来ないことがあるため
21時半頃に通知がない場合は投下なしとなります


通知なく、22時ですが少しだけ進めて
次スレにくらいはしようかと思います

もしかしたらそこまで出来ませんが


天乃「……ふぅ」

友奈「92点! 92点ですよ、久遠先輩!」

天乃「そうね……」

そこまで本気になったつもりは、天乃にはなかった

だけど、きっと

いつの間にか、本気になっていたのだろう

隣で嬉しそうにしながら、

チラチラと見てくる友奈の事が、気になってしまったのだろう

天乃「……92点、ね」

素晴らしいとの評価

一人ででも少しばかり難しいものだが

二人ともなれば、その難しさは非ではなく

だからこそ、その92点と言う評価は……数字以上に大きかった

天乃は友奈の事を一瞥して、飲み物を一口飲み込む

友奈「久遠先輩も、歌うの上手なんですね」

天乃「……別に、普通よ」


友奈「そんなことないですよ。普通だったら、こんな点数にはならないですから」

天乃「じゃぁ、貴女が上手だったっていうことにしておいて」

友奈「…………………」

どっと座り込んだ天乃を見下ろしていた友奈は

おもむろに隣に座り込んで、飲み物を一口すする

話しかける言葉を考えて

ちらっと横を見ると、天乃と目が合って、慌てて逸らす

天乃「なによ」

友奈「……久遠先輩って、不思議な人ですよね」

天乃「……………」

友奈「嫌々なのに、こんなにも。歌は私に合わせてくれました」

天乃「……貴女」

今までの雰囲気を一新した

友奈の静かな物言いに、天乃は突っぱねることを忘れて、言葉を待つ

友奈「本当は凄く優しくて、良い人なんだろうなって……勝手に思っても、良いですか?」


友奈は歌の名残か、穏やかな瞳で、問う

音の流れなくなったカラオケ店の一室は

無意味なライトが明るく照らしながら

大きく影を作り出して、包み込んでいく

天乃「………………」

友奈は一生懸命考え続けた

どうすれば仲良くなれるのか

どうしたら久遠天乃という人間と付き合っていけるのか

考えれば考えるほど

行き着く天乃は優しくて、良い人

少なくとも、友奈の知る天乃はそういう人間にしかなりようがなかった

でも、その天乃の言動は意地悪なものが多くて

優しいとも、良い人とも取れそうもない

矛盾ばかりの相手

だからこそ、友奈は自分がこうだと思った天乃を、信じることにした


1、……勝手にしたら?
2、裏切られても、知らないわよ?
3、どうしてそう思うの?
4、沈黙


↓2


天乃「……勝手にしたら?」

友奈「っ……!」

天乃の突き放したようにも思える一言を

友奈は凄く、嬉しそうに受け取る

風船が爆発する一歩手前

そんな表情を浮かべる友奈は、大きく息を吐き

そして吸って、吐く

友奈「ありがとうございますっ」

天乃「な、なんなのよ……」

友奈「やっと久遠先輩に一歩近づけた気がして……」

今日のカラオケは本当に偶然だった

ついつい、言い出してしまったこと

なぜか、受けられてしまったこと

でも、これでなんとなく、友奈は天乃を理解した

態度や言葉が嫌々でも、

その心は、その内面は

しっかりと、自分の方に歩み寄ってきてくれている。と

友奈「これからも、よろしくお願いします!」


元気よくお願いしてくる友奈に呆気にとられた天乃は

小さくため息をついて、項垂れる

どうしてこうなったのよ……

誰も彼をも突き放し、切り離して

いつ自分が死のうが

誰も、困らず、悲しまず、後悔も何もない

そんなものを選び取ってきていたはずなのに

友奈「あと一曲一緒に歌いましょう、久遠先輩!」

天乃「……………」

勝手にしてと言うと

喜ぶ同級生や後輩が出来ていて

仲の良さを気にする後輩が出来ていた

天乃「……もう帰りたいのだけど」

友奈「あと一曲でどうせ時間ですよ。久遠先輩」

天乃「……はいはい」

鷲尾須美である東郷美森の現、親友である友奈を

天乃は一瞥して、笑みを浮かべる

親友の親友としては、申し分ないのかもしれない。と

全てを失っていながら、それに気づけていない可哀想なあの子の

重要な、柱になってくれるだろう。と


天乃「ねぇ……友奈」

友奈「?」

天乃「東郷は……美森のことは、貴女。好き?」

友奈「好きですよ」

照れるような様子もなく

寧ろ誇るような笑みを浮かべていて

だから、天乃はくすりと笑って

友奈の頭をぽんっと叩く

天乃「……大事にしてあげなさいよ。あの子の事」

友奈「…………?」

解ったと思った天乃の見せた

物憂げな表情に惹かれて、友奈は目を奪われ、言葉を失う

呆然とする友奈を見つめていた天乃は

不意にクスクスと笑って、テレビ画面を指さす

天乃「さて……これで一曲の半分くらいは誤魔化せたかしら」

友奈「あっ」

天乃「一緒になんて歌ってあげないわよ」

友奈「く、久遠先輩……」

天乃の見せた表情は何だったのか

それを考える余裕さえなく、友奈は流れに置き去りにされ、てんやわんやと時間は終わってしまった


【安価で進行】結城友奈は勇者である【満開4回目】
【安価で進行】結城友奈は勇者である【満開4回目】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1423492200/)

次スレです
続きは次スレになるのでこちらは埋めてしまってください



合わせて、時間なのでここまでとなります
再開は夜のイベント判定からとなります

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