もし小泉さんが主人公だったら 【ダンガンロンパ2】 part6 (487)



もし小泉さんが主人公だったら


ダンガンロンパ2




※注意



・これを読む前に、前スレ達を読んでおくことをお勧めします。



part1→ もし小泉さんが主人公だったら 【ダンガンロンパ2】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1404917911/)



part2→ もし小泉さんが主人公だったら 【ダンガンロンパ2】 part2 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1406974060/)



part3→ もし小泉さんが主人公だったら 【ダンガンロンパ2】 part3 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1408702032/)



part4→ もし小泉さんが主人公だったら 【ダンガンロンパ2】 part4 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1410084963/)



part5→ もし小泉さんが主人公だったら 【ダンガンロンパ2】 part5 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1411466402/)



・これは、ス―パ―ダンガンロンパ2の二次創作です。


・小泉が主人公のIFの世界なので、島の構造や、キャラの性格が微妙に違ったりするかもしれません。



・本編で明かされなかった部分などに、個人のねつ造が含まれています。注意して下さい。


・最初からネタバレのオンパレ―ドです。本編をクリアしてからご覧ください。


・かなり長くなりましたが、このスレで何とか完結すると思います。


・なるべくキャラの待遇を、(本編も考慮したうえで)平等にしようとしてますが、
全然平等じゃねぇよ!!って思うかもしれません。まあ、ご了承ください。


・(主人公含め)キャラ崩壊があります。キャラのイメ―ジを壊したくない人はご注意ください。


・場合によっては、こんなの○○(キャラ名)じゃない!!ってなるかもしれません。ご注意ください。


・エログロは(基本的には)ないですが、女の子がひきこもりになったり、
眼が片方なくなったりするのはこれで最後です。


・カップリング要素が存在するキャラが数組あります(半数程度)。そういうのが嫌いな人は要注意。


・事実無根な話があったり、トリックに矛盾があったりするかもしれません。


・他にも、『これ、おかしくね?』みたいなところがあるかもしれませんが、希望があれば大丈夫だよね!!


それでもダンガンロンパ2が好きだぜ!!という人は見てやってください。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1412775904



再開



田中「終わっていない…?何のことだ。」

弐大「噴、どうせハッタリじゃろう。小泉に澪田を殺させることに失敗してヤケになっとるだけじゃあ。」




西園寺「ふんだ。なにがヤケになってる、だ。」

西園寺「小泉おねぇの生存率を0%にしたのは、むしろアンタらの方なんだから。」


澪田「何言ってんすか!!真昼ちゃんが未来機関から狙われても、唯吹達が絶対に守り抜いてやるっす!!」

西園寺「バッカじゃないの。わたしの助けなしで、小泉おねぇが未来機関から逃げられるわけないじゃん。」




西園寺「でも…ドロ船に乗ることを選んだのは、小泉おねぇだよね?」


西園寺「もう…泣いても笑っても3回まわってワンって言っても、助けてあげないよ。小泉おねぇ。」



小泉「…」




田中「それで…なにが終わっていないというのだ?」


西園寺「何度も言ってるでしょ?もちろん、投票だよ!!」

弐大「投票じゃとお?もうすでに、結果は西園寺だと確定しとるじゃろう。」


西園寺「くすくすくす…。本当にそうなのかな?」

田中「何が言いたい。」




西園寺「本来は、“絶望のカリスマ”である小泉おねぇには投票権がないはずなんだけど…」


西園寺「なんと今回は出血大サ―ビスということで、小泉おねぇにも投票のチャンスが与えられるんだぁ~!!」

小泉「えっ…!?」


澪田「ちょ、さっきからなんなんすか!!投票権がなくなったり、また復活したり…!!」

西園寺「どうでもいいじゃんそんなこと。」




西園寺「えっと、要点をまとめると…」

西園寺「いまのところ2対3だから、小泉おねぇの投票次第でどっちにも転がり得るんだ。」


西園寺「つまり皆を助けるために自分を犠牲にするか、自分の可愛さのために皆を巻き添えにするか…」

西園寺「小泉おねぇに決定権がゆだねられたってこと!!」


小泉「えっ…!?」




小泉「こ、今度はアタシに、どっちかを選べっていうの…!?」

西園寺「うん、そうだよ小泉おねぇ。」


西園寺「さあ、どうするの小泉おねぇ?まさかこの期に及んで、ま~だ自分の命が惜しいの?」

小泉「うっ…」




小泉(アタシが日寄子ちゃんに投票すれば…)

小泉(皆がついてきてくれるから、未来機関からアタシが逃れられる可能性が出て来る。)


小泉(でもその分…。他の皆を命の危機にさらしてしまう…。)




小泉(アタシが自分に投票すれば…)

小泉(アタシは未来機関に処刑されてしまう。それも、アタシの想像を絶するほどの惨たらしい方法で…)


小泉(でも、アタシは…他の皆の安全を確保してあげることができる…。)





小泉(アタシは…どっちを選ぶべきなんだ…?)


小泉(…)




小泉「え、えっと、アタシは…」





田中「西園寺に投票しろ、小泉。」


小泉「えっ…。」



弐大「全く、いまさら何を迷うことがあるんじゃあ…。」

弐大「そもそもワシらは自分たちの意思で西園寺に投票し、小泉の味方につくことを選んだのだからのう。」

田中「我らはもはや運命共同体なのだ。少しは俺達を、信用しろ。」

澪田「っていうかここまで来て自分に投票なんてしたら許さないっすよ!!」


小泉「み、みんな…。」




西園寺「…」


弐大「どうじゃあ、西園寺。お前さんは、小泉が小泉自身に投票すると踏んどったんかもしれんが…」

澪田「唯吹たちの“絆”をなめてもらっちゃ困るっす!!きっと4人で、未来機関から生き延びてみせる!!」


小泉「あ、ありがとう、皆!!」

小泉「アタシ、皆と一緒なら生きていける気がする…!!」



小泉「じゃあ、遠慮なく…日寄子ちゃんに投票するよ。」



西園寺「…」





西園寺「本当にそれでいいの?」


小泉「え?」





西園寺「それ…本当に、投票の終わりまで言い続けられるのかな?」


小泉「な、何が言いたいのよ?」





西園寺「忘れてもらっちゃ困るんだけど。」


西園寺「これって卒業試験なんだよね。」




田中「卒業試験だと…?まだ、何かあるというのか?」

西園寺「うん。弐大おにぃもやってきて、ちょうど役者もそろったところだしさ。」

西園寺「どうせいつかはやらないといけないことだし、今のうちにやっておこうよ。」


澪田「やるって…何をやるんすか?」

澪田「まさか、ヤらないかとか言わないっすよね!?」






西園寺「アンタらが今感染している希望病を、打ち消すことだよ。」




田中「なっ…!!」


小泉「それってつまり、アタシは…!!」




1.ナイスバディになる

2.絶望のカリスマに戻る

3.服が破ける

4.女子力が上がる



安価↓1




不正解


小泉「アタシ、ナイスバディになっちゃうの…?」


西園寺「アンタは何年たってもAカップだよ。」




小泉(少しは夢を持ってもいいじゃない…。)



安価↓1




正解


小泉「そっか…!!」解



小泉「“絶望のカリスマ”に戻るの…?」


西園寺「うん。これからわたしが、“絶望病”をここにばらまくことで…」

西園寺「小泉おねぇは“絶望のカリスマ”に、他の皆は“絶望の残党”に戻るんだ。」


澪田「ちょっと待つっすよ!!そんなことをしたら、唯吹達は…!!」




苗木「心配しないで。希望病の効果が切れても絶望に還らないための、修学旅行だったんだから。」

弐大「何じゃとお?」



苗木「皆は、コロシアイをさせれられてはいたけど…」

苗木「ここで育んだ、皆との“絆”自体は本物だと思うんだ。」


苗木「皆との“絆”を知っていれば、希望病の力がなくても…」

苗木「“絶望”のままでいることなんて、有り得ないはずだよ。」




澪田「ええっと。もし、絶望のままだとしたら…」


西園寺「残念ながらその人は卒業試験不合格ということで、未来機関に処分されちゃうよ。」

小泉「なっ…!!」




苗木「大丈夫…。ボクは、信じてる。」

苗木「キミたちの“絆”は、キミ達自身の中に存在する“絶望”なんかに負けないって。」



西園寺「まあ、説明はこれくらいでいいかな?」

西園寺「じゃあ早速…やっちゃうよ~!!」


西園寺「さて…果たして小泉おねぇは、絶望病が蔓延してもなおわたしに投票しようなんて思うかな…?」

小泉「…!!」





ぽわわ~ん





澪田「うぁああああああああああ!!!!!!」


弐大「何じゃあこりゃああああああぁあああ!!!!?」


田中「これが…失われていた記憶だとでもいうのか…!!!?」





小泉「み、みんな…!?」


西園寺「くすくすくす…。他の皆も順調に、過去の自分の所業を思い出してるんだね。」

西園寺「過去の咎を思い出して…罪の意識で押しつぶされそうになっているのかな…?」


西園寺「まあ、何でもいいよ。あの3人なら、なるようになるでしょ。」




西園寺「じゃあ、小泉おねぇも…」



小泉「ま、待って…」

小泉「ア、アタシ、他の皆とは違って、そんなに心が強くなくって…」

小泉「“絶望のカリスマ”としての自分なんて、とても受け入れられるとは…!!」


小泉「いやだ、思い出したくない…!!」





小泉「いやだぁあああああぁあああああああぁああああああ!!!!!!」




ちょっと早いけど、今日はここまで。




1です。今日は投下できそうにないです。




再開







「…」


「あれ、唯吹ちゃん。こんなところでどうしたの?」




「真昼ちゃんじゃないっすか。真昼ちゃんこそどうしてこんなところに…」


「まあ、どうでもいいか、そんなこと。」

「唯吹はもう一生、他人と話す気なんて起こらないんすから。」



「どうしちゃったの唯吹ちゃん。アタシの友達の中で、唯吹ちゃんが1番エネルギッシュだったのに。」



「…」



「言いたくないのなら、言わなくてもいいけどさ…。」

「誰かにわだかまりをぶつけるだけで、少しは変わるものだよ?」




「…E子ちゃんが殺されて、真昼ちゃんが希望ヶ峰学園を退学した後。」

「ム―ドメ―カ―だった真昼ちゃんがいなくなったこともあって、唯吹たち3人は次第にギスギスしだしたんすよ。」


「そしてついには日寄子ちゃんと蜜柑ちゃんが結託して、唯吹に嫌がらせをするようになった。」

「おかげで毎日、1人で便所飯っす。ご飯を食べてる時でも、突然2人が現れないか怖くて怖くて…」



「嫌がらせ、か…。」




「わかってるんすよ。本来の2人は、唯吹に酷いことをするような人間じゃないって。」


「ただ真昼ちゃん達がいなくなったことへの哀しみや憤りを、どこにぶつけていいのかわからなくて…」

「そこでたまたま、はけ口として唯吹に白羽の矢が立っただけ。」


「わかってるよ。2人だって辛くて、苦しくて、胸が張り裂けそうなんだって…」




「でも…それが分かっていても…」

「唯吹はどうしても、この現実を受け入れられない。」


「だって…希望ヶ峰学園に入学して、いっぱい友達ができて、唯吹は1人じゃないんだって思っていたところなのに…」

「みんな、唯吹のそばから離れていった。」


「また、1人になった。」



「もう、生きているのがつらいよ…。」




「そっか。」

「唯吹ちゃんも、“絶望”してるんだね…。」




「“絶望”…?」

「たしかに、そうかもしれないっすね。」

「だってもう、昔みたいに笑えないもん。」





「え?」




「…どうしたんすか?」



「“絶望”してるから、笑えない…?」

「それはちょっと、違うんじゃない?」



「どういうことっすか?」




「むしろアタシは逆だと思うな。」

「“絶望”しているからこそ、唯吹ちゃんは“エガオ”になれるんだよ。」


「…真昼ちゃんは何を言ってるんすか?」


「まあ口じゃ説明できないや。アタシ、口下手だし…。」

「はい、これを見てごらん。」




「これは、写真…?」

「…」





「…どう?」




「…」





「ふふふ、ふふふふふふふふふふ………」




「確かにこれは、真昼ちゃんの言うとおりっすね…。」


「なんかこう、新しい世界が広がったような気分っすよ…!!」




「あはは、唯吹ちゃんならそう言ってくれると思ってたよ。」




「で、唯吹ちゃん。物は相談なんだけど…」

「この悦びを、もっともっと大勢の人に知ってもらいたいとは思わない?」



「…」




「そうっすね。特に蜜柑ちゃんなんかは、人一倍理解してくれそうっすよ!!」


「うふふふふふふふふふふふふふふ………」








「ま、まてよ小泉!!」

「こ、こんなことを言っても言い訳にしか聞こえねぇかもしれねぇけどよ…」

「オレは本当は、あんなことをしたくなかったんだ!!」



「…」




「上の連中が妹の奴を殺された腹いせで、サトウも小泉も惨殺するって聞かなかったもんでよ。」

「せめて小泉の命だけでも助けてやれないかと提案したところ…」

「小泉にサトウを殺させたら、妹殺しの件を不問にしてやると組が決断しやがったんだ!!」

「だからオレは、仕方なく…!!」




「…ふうん。その割にはアンタ、アタシが苦しんでるのを結構楽しんでた気がするけど?」

「妹ちゃんを殺した共犯者であるアタシに報復できて、内心悦んでたんじゃない?」


「そ、それは…」



「結局、アンタがどれだけ言葉を並べたところで…」

「アンタがアタシに並々ならぬ怨念をぶつけてきたのは、疑いようのない事実でしょ?」


「うっ…!!」




「坊ちゃん、下がってください。この女は危険です。」

「私が、始末します。」



「ちょ、ちょっと待ってよペコちゃん!!アタシは、2人といがみ合いをしに来たわけじゃないんだって!!」

「ただ九頭龍に、“ある物”を見てもらいたいなって!!」



「“ある物”、だと…?」





「皆さ~ん!!出てきてくださ~い!!」





ゾロゾロゾロ…




「な、なんだ、これは…!?」


「なにってアンタ、九頭龍組の皆さんでしょ?アタシなんかより、アンタの方が100倍知ってるだろうに。」




「問題はそこじゃねぇ!!」

「なんでテメ―がそいつらを従えて…」

「それ以前に、何なんだよこの数はっ!?」



「え…?九頭龍が1番知ってるはずよ?」

「九頭龍組は3万以上の構成員を誇る、国内最大の暴力団だって。」



「何だとっ!?まさか貴様は、九頭龍組全員を…!?いったいどうやって!?」




「まぁ、そんなことはどうでもいいじゃない。」

「九頭龍はただ、九頭龍組の皆さんに“ある言葉”をかけるだけでいいんだよ。」

「九頭龍は次期跡取りだから、その言葉はツルの一声のように九頭龍組全員に浸透するだろうね。」



「“ある言葉”だと…?なんだそれは?」



「ああ、それはこれを見てくれればわかると思う。」





「これは、写真か…?」


「坊ちゃん!!その女から渡されるものなど、手にとっては…!!」


「安心してよ、何も仕掛けてないって。」




「…」





「はは、はははははははは……」


「…悪くねぇな。」




「でしょ?」


「それでさ。そういう光景を…」

「もう1回、見てみたくはないかな?」





「…」



「おい、テメ―ら!!」

「九頭龍組の頭として、テメ―らに命じる!!」






「テメ―ら全員、自害しろ!!」






『はっ!!かしこまりました、冬彦坊ちゃん!!』



バタバタバタバタバタバタ……




「…」



「ははっ。すげぇよ。」


「すっげぇ魅力的で…すっげぇ直情的で…すっげぇ郷愁的で…」



「すっげぇ絶望的な、“エガオ”だった…!!」






「…うん、良く撮れてる。」


「あん?」




「デジカメだから、すぐに見ることができるよ。」

「どう?九頭龍も見てみる?」





「ファインダ―いっぱいに満たされた、3万の“エガオ”を。」




「…」

「おい、どうするペコ。」



「…」






「坊ちゃんの、仰せのままに…」









「未来機関へ自首しに行く?」


「うん。」




「今度は一体、何を企んでいるのですか?」



「企むなんて、大げさね。アタシはただ、皆を“エガオ”にしてあげたいだけよ。」

「未来機関はアタシを殺そうと躍起になってるんだもん。ここらでちょっと、決着をつけたいの。」


「でないと、望まないままに死んでいってしまう人間が増えちゃう。」

「それは絶対に嫌。」




「まあなんとなくわかりますよ、貴方がどういう計画を建てているのか。」

「僕は、あらゆる才能に愛されているのですから。」



「でも貴方のことだから、自分1人で解決しようとでも思っているのでしょう。」


「え?何か問題でもあるの?」




「貴方が未来機関へ自首しに行ったところで、どうやって貴方が“絶望のカリスマ”だと証明するのです?」

「証明できたとしても、何の策もナシじゃあ…」

「ツマラナイ方法で貴方を処刑するだけで未来機関は終わらせるかもしれませんよ。」


「あっそうか…。」



「えっと…どうすればいいと思う?」


「全く、貴方は…写真以外は、本当に無能ですね。」


「あはは、ごめん…。アタシ、これしかとりえがないし…。」





「まあいいでしょう。細かい計画は、僕が建てます。」

「だから貴方は、他の“絶望の残党”を集めてください。」


「えっ!?他の皆を巻き込んじゃうのはちょっと…」


「そうでもしないと貴方の望む、“絶望”を生み出すことはできませんよ。」

「江ノ島盾子が行ったようなコロシアイにでも発展させない限りは…」


「うう…その言い方、やめてよ。まるでアタシが盾子ちゃんみたいじゃない。」

「“エガオ”を生み出すための“絶望”って言ってほしいな。」


「僕には、2人に大した差を見出すことはできないのですが。」


「え…。そうかな。」




「まあとにかく、アンタがそう言うなら皆の助けが必要なのは間違いないのね…。」

「一応皆に聞いてみるけど…断る人がいたら、その人は巻き込まなくていいかな?」


「“超高校級の母”の頼みを聞かない人間がいるのなら、むしろ僕が見てみたいくらいですよ。」


「あはは…。」





「いつもありがとね、カムクラ。アタシの代わりに、あれこれ考えてくれて。」



「…その名で呼ばないでください。」

「今の僕の名前は…」



「………で通っているんですから。」


「何の才能もない、ただの予備学科としての名でね…。」




「ああそうだっけ。ごめんごめん。」


「ところでなんでアンタって、今と昔で名前が違うの?」

「名前どころか、才能まで違うし…」




「…」




「ツマラナイ…。」



「あ…ごめん。なんか、触れちゃいけないところだったのかな。」


「そもそもなぜ、そんなことを聞いたのですか。」




「なぜって…。普通に、アンタと雑談したかったからよ。」

「アンタはしなかったの?ほら…夕飯の時とか。」

「お父さんなんかと一緒に、おしゃべりするの。」

「アンタにだって家族はいるでしょ?」



「家族、ですか…。………としての家族ならいましたが。」




「まあでもアンタは、全然笑わないからね…。家族ともろくに話してなかったんじゃないの?」

「せめて家族くらいには、微笑みかけてもいいんじゃない?」

「お父さんもお母さんも、世界にたった1人しかいないんだよ?」

「親不孝のままでいるのは、よろしくないわよ。」



「貴方の倫理観は、本当にわかりませんね。」

「まぁ…。江ノ島盾子と同じ、終わった人間の思考回路なのでしょうが…」


「…家族、か。」








「本当に、アンタは厄介ね。いつまでアタシを追っかけていれば気が済むの?」




「あはははははははは!!!!それは当然、ボクがキミを殺すまでだよ!!!!」

「“元絶望のカリスマ”である江ノ島盾子は殺し損ねちゃったからね…。」


「でも…もう、チャンスは逃さないよ。」

「未来機関にも、“超高校級の希望”なんて呼ばれる彼にも、他の誰にも譲りはしない…。」


「今の“絶望のカリスマ”であるキミをボクに殺すことができたら、ボクにだってなれるかもしれない!!」

「踏み台でもないし、造り者でもない…」


「本当の“超高校級の希望”に!!」




「はぁ…。アンタって、本当にわかってないのね。」

「希望を追い求めている余り、とっくに自分が絶望に堕ちているってことに。」



「あはは、それはお互いさまじゃないのかな?」

「ボクだってわかっているよ。自分が既に“絶望”に染まってしまったことなんて。」


「でも…その“絶望”を乗り越えてこその“希望”なんじゃないか!!!!」

「キミみたいな“絶望”の塊を駆除すれば、ボクにだってきっと“希望”に返り咲くことができるはずなんだ!!」



「そもそもアタシを“絶望のカリスマ”と呼ぶのは未来機関だけよ?」

「アタシを殺しても、多分アンタは“希望”になんかなれないわ。」




「アンタがアタシを付け回すせいで、アンタの幸運によって傷つく人が後を絶えないのよ。」

「アンタの幸運はどうやらアタシには効果がないみたいだし…。」

「アタシ達の勝手な都合で不幸になる人間がいるなんて、こんな理不尽なことってないと思わない?」


「だからさ…。もうやめにしようよ。」




「御託はいいんだよ。そろそろボク…キミの姿を見ることにも声を聴くことにも、嫌悪感を抱いてきてるんだ。」

「“絶望”がボクの近くにいることに拒絶反応が起こっているのかな?」


「だからさ…。早く死んでよ、小泉さん。」




「アタシが死んで、アンタとのいさかいがなくなって…その分他の皆が救われて、“エガオ”になれるのなら。」

「アンタに殺されるのも、仕方ないと思うんだけどさ。」


「それはダメなの。アタシは、まだ死ぬわけにはいかない。」

「アタシにはまだ、やり遂げないといけない使命があるのよ。」

「他の皆が犠牲になるのを見てみるふりするしかないのはつらいけど…」



「は?なにかな、それ。まさか、命乞いのつもり?」





「…あのさ。アンタは、アタシを殺したいのよね?」



「それがどうしたの?」




「でもさ。アンタはどうせ、このままではアタシを殺すことはできない。」

「このままアタシ達がイタチごっこを続けて余計な犠牲者を増やすよりはさ。」

「いっそのこと、とある“賭け”をしない?」



「賭け?なにそれ。」






「アタシと一緒に、ジャバウォック島に旅行にでも行かない?」


「それならホラ、アタシを殺せる確率も上がるんじゃないの?」





「…」









「待ってよ罪木!!澪田おねぇ!!」


「今までわたしが2人にしてきたこと全部…全部全部、謝るから…!!!!」




「お願いだから、わたしを置いてかないでよぉおおおおおおぉおおおお!!!!!!」




「うふふふふふふふ……ありがとうございます、澪田さん。私に、こんな世界を教えてくれて。」


「はははははははあははあは、お礼なら真昼ちゃんに言うっすよ!!」

「唯吹にコレを教えてくれたのは、真昼ちゃんなんすから…」



「2人とも、準備はいい?そろそろ、出発しないと。」



「そりゃあもう、バッチリっす!!」

「私もですぅ。」




「小泉おねぇ!!どうしておねぇは、こんなことを…!!」



「ああ、日寄子ちゃん。」


「残念だわ。日寄子ちゃんなら、1番アタシの理念を理解してくれると思ってたのにな。」

「まあ、仕方ないよね。世の中には様々な人間がいるから、価値観の相違ってのは絶対に存在するんだ。」




「だから…日寄子ちゃんとは、ここでお別れだよ。」




「小泉おねぇ!!おねぇは、こんな写真を撮るような人間じゃなかった!!」



「こんな…狂気的で、自分の意思を無理やり押し付けるような写真じゃなくて…!!」


「もっとこう…普通に流れている日常を、自然と再確認させてくれて。」

「皆を幸福にできるような写真こそが、本当の小泉おねぇが撮る写真だったのに…!!」





「今の小泉おねぇは狂ってる!!」


「全部全部、江ノ島盾子のせいで…!!」




「だからもう2度と“絶望のカリスマ”なんかに堕ちないように、わたしが…!!」






「わたしが、小泉おねぇの目を覚ましてやる!!」





今日はここまで。








「…」

「これが…アタシ…?」




「そう。これがアナタであり、アタシでもある…」

「“コイズミマヒル”が“コイズミマヒル”であるための、自己表現よ。」


「なにが、自己表現よ。“絶望のカリスマ”なんかに成り果ててしまっただけじゃない…。」


「それは心外ね。アタシは“絶望のカリスマ”なんかじゃないわ。」

「ただ、未来機関がそう呼んでいるだけよ。」

「アナタも知ってるでしょ?皆が、アタシを何と呼んでいるか。」




「アンタが認めてないだけで、はたから見たらアンタは絶望以外の何物でもないわよ。」

「それこそ江ノ島盾子のような、最悪の絶望…」



「酷いこと言わないでほしいな。アタシと盾子ちゃんを一緒にしないでよ。」

「盾子ちゃんはダメね。“絶望”を、ただ人を苦しめる為だけに使うんだもの。」


「“絶望”は、人を“エガオ”にしてこそ利用する意義があるのに。」



「何よ、それ…。人を笑顔にするのに、どうして“絶望”が必要になるのよ。」




「ん~…。」


「…なんで言い淀むのよ。」


「ほら…。1+1はどうして2になるのか。赤はどうして、青じゃなくて赤なのか。」

「そんなふうに、あらゆる事象の『定義づけ』に対して疑問を投げかれられると…返答に困らない?」


「何が言いたいの?」




「そもそもさ。人って、どのような時に“エガオ”になるのかな?」


「面白おかしい漫才を披露された時?」

「誰かと友情を深め合った時?」

「好きな男の子と2人きりで時を過ごせた時?」

「仕事を頑張った自分のご褒美として、あま~いパフェを食べた時?」

「一家団欒で夕ご飯を過ごした時?」

「生命の誕生を目の当たりにした時?」

「古代の文化財が記憶していた時空の流れを称賛した時?」

「大自然に囲まれて、その厳かさに感銘を受けた時?」




「これらは全部、“エガオ”になるための要因であり得るわ。他にも、いろいろ例がある。」

「要するに、人が“エガオ”になる要因ってのは多種多様なの。」

「ある人にとっては“エガオ”の要因になりそうにないものでも、別の人にはそうであり得たりもする。」





「そしてそれは、“絶望”も同じなのよ。」


「“絶望”もまた、“エガオ”の要因であり得るんだ。」



「…はぁ?」





「人はね。“絶望”すると、“エガオ”になるの。」


「絶望して絶望して絶望していくと…」

「ホワンッ、と“エガオ”がでてくるのよ。」


「ここの間に過程は存在しない。“絶望”と“エガオ”は直結しているの。」




「だから…どうして“エガオ”のために“絶望”が必要なのかと聞かれても、答えられるわけがないじゃない。」


「だってそこには、単純明快な因果関係だけがあって…」



「人が絶望に微笑む理由なんて、初めっから存在しないんだもん。」




「そしてその因果関係は…単純だからこそ明確で、絶対なんだ。」

「あらゆる“エガオ”の要因の中で“絶望”こそが最も汎用性があって、ほとんどの人間に受け入れられる要因なんだ。」


「だからアタシの意思を、世界中の皆に広く伝えることができるんだよ。」




「“絶望”を知ることで“エガオ”になる事ができる…?」

「そのためにアンタは、世界に絶望を蔓延させているの?」

「なによ…。結局、江ノ島盾子とやってることが変わらないじゃない。」



「先に言っておくけどね。世界に絶望を蔓延させたのは、アタシじゃないわよ。」

「アタシはあくまで…盾子ちゃんが世界に遺した“絶望”を利用して、皆を“エガオ”にしてるだけよ。」

「アタシの写真を皆に見せて、“絶望”と“エガオ”の因果関係を理解してもらってるだけ。」




「それにアタシは、何の意味もなく人を傷つけたりしたことはないわ。」

「ましてや殺すなんて、もっての他よ。」


「アタシはただ…アタシの理念に賛同して、アタシについてきた人間を救っているだけよ。」



「救う…!?アンタが!?」




「“絶望”に染まってしまったこの世界で…」

「絶望に微笑むことができるようになった人は、皆悦んでたよ。」


「皆、江ノ島盾子が遺した絶望によって苦しんでたからさ。」

「皆には、救いが必要だったんだ。」



「それが…アンタの写真だとでも言うの!?」

「何が救いよ!!結局苦しめている原因が絶望から他の何かに変わっただけでしょ!?」

「外の皆は次々に死んでいってるようだし…!!」




「苦しめるなんて、人聞きの悪いことを言わないでよ。」

「嫌がる彼らをアタシが無理やり惨殺してるのなら、非難も甘んじて受け入れるべきだろうけど…。」


「彼らは、自ら望んで死んでいってるのよ?」




「アタシの理念を理解してくれて…“エガオ”の悦びを、他の人にも知ってもらいたくて…」

「だからこそ皆は、“エガオ”のための“絶望”を作り出すために死にゆくんだよ。」


「そうして絶望を目の当たりにした人間は、アタシの写真で“エガオ”を知って…」

「もっともっと多くの人に“エガオ”になって欲しくて、その人も“絶望”を生み出す…。」




「こうして、ドミノ倒しのように“エガオ”が世界中に蔓延していくんだ。」


「“エガオ”が世界中に蔓延して、みんな悦んでくれる…。」





「これがアタシの考える、幸せスパイラル理論なの!!」




「な、なによ、それ…!!どうかんがえても、おかしいよ!!」


「だって、“絶望”を生み出すために死ぬなんて…!!」

「皆が“エガオ”になるために犠牲にならなきゃいけない人がいるなんて、狂ってるよ!!」




「犠牲…?違うよ。彼らは犠牲なんかじゃない。」


「だって彼らは“死”というものを、忌避すべき悪いものとしてはとらえてないもの。」

「むしろ彼らにとっては、“エガオ”のままに死ぬことこそが救いだったんじゃないのかな?」


「終わり良ければすべて良しともいうし。」

「人生の最期を“エガオ”で締めくくれるなんて、最高じゃない。」

「それを望む彼らを、無理やりアタシが引き留めることこそ狂ってると思わない?」





「そう…。だからこれこそが、最も犠牲を少なくする方法なんだ…。」


「え…?」




「アナタも覚えているでしょ?」


「アタシは…E子ちゃんを犠牲にして、九頭龍組から生き延びた。」

「E子ちゃんを犠牲にすることでしか、アタシは生き延びることができなかったんだ…。」




「おかしいでしょ?理不尽でしょ?どうしてアタシが生き延びるために、E子ちゃんが犠牲にならないといけないの?」


「こんなの間違ってる。何かを犠牲にしないと生きることができないなんて間違ってる。」

「誰かが笑顔になるために、他の誰かが不幸にならなきゃいけない世界なんて、狂ってる。」




「だからアタシは考えたんだ。皆が平等で、最も犠牲を少なくする世界を創るためにはどうすればいいか。」

「世界中の皆が等しく“エガオ”になるためには、どうすればいいのか。」


「でも…答えはすぐそこにあったんだ。何のための“超高校級の写真家”だよってね。」




「世界中の皆を“エガオ”にするには、“エガオ”の要因として最も汎用性の高い“絶望”を使うしかない。」

「そして“エガオ”を蔓延させることは、写真を通すことで可能となる。」


「いや…アタシの写真じゃないと、これはできない。」





「アタシはすぐに理解したよ。アタシはどうして、“超高校級の写真家”という才能を持って生まれて来たのか。」




「すべては世界中の皆を平等に“エガオ”にすることで、世界を救うためだったんだよ!!」



「…!!」




「そうしてアタシが“エガオ”を蔓延させることで、皆もアタシをほめてくれるんだよね。」


「ほら…アタシ、皆から“超高校級の母”なんて呼ばれちゃってるし。」

「アタシはただ自分のやりたいことをやってるだけだから、ちょっと名前負けしちゃっていて恐れ多いんだけどね…。」




「でもさ。こうして皆がアタシを称賛してくれると、どんどんやる気が出て来るんだ。」


「もっともっと、皆の期待に応えたいって思うんだ。」


「もっともっともっともっと大勢の人に…」

「“エガオ”を知って欲しいって思うんだ…!!」




「あはは…これって、何なのかな。」


「もしかして…これが、親心って奴なのかな?」



「といってもアタシ、子供なんて持ったことないし…」


「そもそも結婚相手もいないし、それどころか男の人と付き合ったことさえないんだけどね。」



「…」




「ああ。しゃべりすぎたかな、アタシ。アナタ、アタシの話を聞いているのに飽きちゃったかな…?」


「まあ、アタシはいろいろ話したけどさ…。これはあくまで、アタシの価値観なのよ。」

「だからアタシは、アタシの理念を理解してくれない人にまでこれを押し付ける気なんて毛頭ないのよ?」


「だから…未来機関は未来機関、アタシはアタシで区別したらいいのにってアタシは思うんだけどね。」




「どうやら未来機関は、そうは思ってくれないみたいなの。」

「未来機関は、アタシを殺さないと気が済まないみたいなのよ。」



「そりゃそうでしょ…。未来機関から見たら、アンタは“絶望のカリスマ”でしかないんだから。」



「馬鹿げた話よね…。価値観の相違なんかで、実りの無いいがみ合いをするなんて…」




「アタシも最初は、未来機関に関わらないようにしようって思ったよ。」

「でも…段々、そうもいかない状況になってきた。」


「未来機関の勢力とアタシの勢力が戦争を起こしそうになっているの。」



「戦争…?」




「戦争は戦争よ。どっちの考えが正しいかを武力で無理やり決めようとする、最低な現象ね…。」


「このままアタシが傍観してたら、罪のない人間が何人も無意味に犠牲となってしまう。」

「それは絶対に避けたいのよ、アタシ。」


「だからアタシは、未来機関に直接乗り込んで…」






「未来機関の皆さんにも、アタシの理念をよく知ってもらうことにしたの!!」




「なっ…!!」




「人間ってのはね。話し合いっていうマイルドかつ高度な交渉術を生まれながらにして持つことができる存在なの。」

「これを使わないで戦争を起こすなんて、愚の骨頂よね。」

「未来機関の皆さんもアタシの理念を少しでも知ってくれれば、ちょっとは考えを改めてくれると思うの。」



「そのために計画したのが、コロシアイ修学旅行…?」



「うん。といってもこれはカムクラが提案したもので、本来はアタシ1人で乗りこむつもりだったんだけど。」




「今ってとってもいい状況でしょ?」


「コロシアイ修学旅行もクライマックスに入って、アタシが“絶望のカリスマ”であることも未来機関に露呈して…」



「後は投票の結果がアタシに決まるだけでいいのよ。」




「は…!?」




「未来機関はコロシアイ修学旅行を通して、完全に自我を失っている。」


「だから未来機関はきっと…“絶望の処刑”を、必要以上に絶望的に執り行うはずなのよ。」

「それも自分たちの権威を全世界に誇示するために、全国ネットで放送しながら。」

「相手が“絶望のカリスマ”だったら、なおさら絶望的にね。」



「そうすると…どうなると思う?」




「あっ…!!」





「未来機関の人もきっと、絶望して絶望して絶望に飲み込まれて…」




「パァッ…と、“エガオ”になれるはずなのよ。」





「そうすればもう、価値観の相違なんかで戦争が起きたりしない。」

「世界中の皆が、“エガオ”になれるんだ!!」




「じゃあ…アンタがコロシアイ修学旅行を計画した目的は…!!」

「未来機関を自分の意思で飲み込むためだったの!?」



「そうなるわね。自分の価値観を押し付けているようで、ちょっと大人げないかなって思ったりするんだけど。」

「戦争が起きちゃうよりは、ずっとマシでしょ?」





「怖くなかったの?」



「え?」




「アンタの計画って、自分が処刑されることが組み込まれているんでしょ?」


「つまりアンタは最初っから、自分を犠牲にすることを決めていたんだ。」

「未来機関によって惨たらしく殺されることが、最初っからわかっていたんだ…!!」


「それなのになんでアンタは、平然としていられるの?」




「…」


「アタシ、平然としているように見えるんだね…。」

「他の皆も巻き添えにしておいて、言うべき事とは思えないけど…」



「本当はアタシ、すごく怖いんだ。」



「えっ…!?」




「だってそうでしょ…?アタシはどこにでも存在するような普遍的で平凡な人間なんだよ?」

「そんな人間が…処刑されるなんて聞いて、怖がらないわけないじゃない。」


「足が震えて、失禁しちゃいそうで、泣き出しそうになって…」

「頭の上から血の気がなくなって、手先の感覚がなくなっていって…」


「それでもグッと歯を噛みしめておかないと平常心を保てないような、恐怖に駆られ続けているんだ。」




「じゃ、じゃあどうして…!?」





「でも、アタシ…!!」


「皆のことを思うと、勇気が湧いてくるんだ!!」

「皆のために役立てるんだって思うと、自分の気持ちを奮い立たせることができるんだ!!」


「ただの一般市民が何を言ってるんだって思うかもしれないけど…!!」

「皆がアタシを想ってくれていることが、アタシに力を与えてくれるんだ!!」



「…!!」




「だから…皆を“エガオ”にできるのなら…」




「アタシっていう犠牲くらい、安いものでしょ?」




「や、やっぱりアンタ、狂ってるよ!!アタシにはアンタの考えていることがカケラも理解できない!!」






「ホントにそう?」





「えっ…!?」



「アタシの考えが理解できない?」

「それは違うよ?」


「だって…」




「アタシはアナタ。」


「アナタはアタシだもの。」


「それ以上でも、それ以下でもない。」


「アタシとアナタはイコ―ルの関係なの。」


「必要十分条件なの。」




「そんなわけがない。」


「アタシはアンタとは違う。」


「アタシは“絶望のカリスマ”なんかじゃない。」


「アタシは小泉真昼なんだ。」


「アタシはコイズミマヒル。」


「アナタもコイズミマヒル。」


「アナタがアタシであるための証明なんて、これだけで十分でしょ?」




「そんなはずはない。」


「アナタはコイズミマヒル。アタシは小泉真昼。」


「似て非なる物なのよ。」


「だからアナタは空想の産物よ。アタシの記憶がただおかしいだけ。」


「そんなはずはないわ。アタシとアナタの違いはただ、記憶があるかないかだけなんだもの。」


「同じ人間が同じ思考回路を持つことに、何の不思議があるというの?」


「ちがう。ちがう。」


「アナタは小泉真昼。アタシはコイズミマヒル。」


「ほらね、全くの別物じゃない。」


「きっとアタシは疲れているのね。鏡でも見たか、ドッペルゲンガ―とでもあったのか。」


「アタシはコイズミマヒルであってコイズミマヒルではない。」


「アタシはコイズミマヒルなんだから。」


「あれ…?アタシはコイズミマヒルじゃないか。」


「それか、コイズミマヒルがアタシなんじゃないのか。」


「そうだとしたら、そこのコイズミマヒルは誰なんだ?」




「あれ?」






「あれあれあれあれあれあれあれあれあれあれあれあれあれあれあれ?」






「ほうら…アタシとアナタの境界線が、霧が晴れていくかのように薄れてゆく…。」



「アタシとアナタが、アタシとアタシになる。」


「アナタとアナタになる。」




「さあ…一緒になろう。」






「“超高校級の母”、『コイズミマヒル』として。」





小泉「…」


小泉「ふふ、うふふふふふふふふふふ……」



小泉「なんか、すっごいスッキリとした気分よ…。」

小泉「だって…やっとアタシ、本当の目的を思い出すことができたんだもん。」




小泉「コロシアイ修学旅行も、皆が虐殺されていくのも、全部アタシが計画したことだったんだ!!」


小泉「ここにいる全員を利用して絶望に堕とし!!」


小泉「あはっ。そうやって、絶望的なエンタ―テイメントを作り上げることこそが…!!」



小泉「“絶望のカリスマ”であるアタシが望むことだったんだよ!!」





小泉「アタシの理念は、いつだって変らない…!!」





小泉「すべては、世界中の人間を“エガオ”にするために!!!!」






「   「   「   そ  れ  は  違  う   」   」   」




今日はこれで終了。




罪木に開拓された西園寺は本物の西園寺です。

無事だったのはギャグだったからです。


今日の投下は難しいかも。今日中に投下が始まらなかったら、今日の投下はなしということで。




再開



小泉「…」



小泉「どうしてわかったの…?」


小泉「アタシが、『小泉真昼』のままだって…。」




澪田「どうしてって…。真昼ちゃん、演技が下手だもん。」




田中「強いて言うなら“奴”は、自分を“絶望のカリスマ”とは名乗らない。」

弐大「そうじゃのう。“奴”は自分を絶望と自覚しておらん。つまり自分を“絶望”と認識できとる時点で…」


弐大「お前さんは『小泉真昼』なんじゃあ。」



小泉「…」




小泉「皆は、厳しいね。」

小泉「アタシに、『コイズミマヒル』ではいさせてくれないんだもん…。」



小泉「アタシ、全部思い出しちゃった。」


小泉「今までアタシが、何をしてきたか。どういう理念で行動してきたのか…。」

小泉「全部全部、思い出しちゃったのよぉおお…。」




小泉「そしてアタシは、自分が“絶望のカリスマ”であることを自覚しながら…」


小泉「『小泉真昼』として正気を保っているの。」

小泉「正気を、保ててしまっているの…。」




小泉「皆と一緒にこの島で過ごした日々が…この島で育んだ皆との絆が邪魔をして…」

小泉「『小泉真昼』としてのアタシが消え去ることができなかった。」


小泉「アタシの中で、『コイズミマヒル』のはじっこに『小泉真昼』がよわよわしく宙ぶらりんになって…」

小泉「それでも『小泉真昼』は、『コイズミマヒル』から手を放そうとはしないのよ…。」




小泉「消えさせてよ…。いなくならせてよ…。」


小泉「このままアタシが“絶望のカリスマ”になりきって、『小泉真昼』が消え去ってしまえば良かったのに。」

小泉「そうすれば、自分が“絶望”だなんて気づかなかったのに。」

小泉「自分を“超高校級の母”だと信じて疑わないまま、最期を迎えられていたはずなのに…。」


小泉「アタシ…。“絶望のカリスマ”としての咎なんて、背負いきれないよぉ…。」




西園寺「ふ~ん…。自分の咎を背負いきれない、ねぇ。」


西園寺「じゃあやっぱり、自分に投票したらどう?」

小泉「え…?」


西園寺「たとえこの先小泉おねぇが未来機関から逃げることができたとしても…」





西園寺「自分の罪からは、永遠に逃げることはできないんだよ。」



小泉「…!!」




西園寺「特に、澪田おねぇを殺すことすら渋るような小泉おねぇならなおさらね。」


西園寺「だからさ。ここで小泉おねぇが未来機関に処刑されておけば。」

西園寺「もう…小泉おねぇは、自分の罪で苦しむことはないだよ。」


小泉「日寄子ちゃん…。」





田中「残念だが、そうはいかんのだ。」


小泉「え?」



澪田「そうっすよ。真昼ちゃんには、生きてもらわないと困るんっす。」


小泉「唯吹ちゃん…?」




西園寺「へ~。どうしてそうなるのかな―?」


弐大「噴っ。ワシらも、自分らの過去を思い出したんじゃけんのう。」

弐大「ならば…“絶望のカリスマ”の目的も、思い出したに決まっとろう。」


小泉「あ…。でも皆、記憶が戻る前とほとんど変わらないような…」


田中「ふん。我らは我らで、自身の過去に自分なりの踏ん切りをつけたのでな。」

澪田「他の皆の力を借りないと正気を保てないような豆腐メンタルは、真昼ちゃんだけっすよ!!」

小泉「と、豆腐メンタル!?」




西園寺「そんなことは聞いてないんだよ。“絶望のカリスマ”は、どんな目的を持ってたって?」


弐大「奴がコロシアイ修学旅行を開いた目的は、未来機関に絶望をもたらすことじゃ。」

田中「そしてその目的は、“絶望のカリスマ”である『コイズミマヒル』を未来機関に処刑させることで完遂される。」


澪田「だから、未来機関に真昼ちゃんを殺させたらどうなるか…」

澪田「こんなの、唯吹にでもわかるっすよ。」




田中「未来機関までもが『コイズミマヒル』の意思に飲み込まれ、狂ったように微笑み出す。」


澪田「すでに“絶望のカリスマ”に操られているとはいえ、未来機関は世界で唯一の希望…なんだよね。」

弐大「未来機関さえも無秩序と化せば…」





西園寺「もう、誰にも小泉おねぇを止めることができなくなる。」




西園寺「そうなれば…世界は破滅だよ。」




田中「なっ!?」

澪田「日寄子ちゃん、最初っから気付いて…!?」




西園寺「当たり前でしょ?わたしが小泉おねぇとどれだけ付き合ってきたかわかってんの?」

西園寺「狛枝おにぃにすら気付けるのに、小泉おねぇの考えてることに気付けないわけないじゃない。」


小泉「え?」

小泉「ちょっと。今の、どういう意味?」




西園寺「言わせないでよ。わたしには小泉おねぇの考えることくらい、お見通し…」


小泉「そこじゃないよ!!」




小泉「狛枝も…アタシの計画に気付いていたって、何?」

西園寺「ああ…。小泉おねぇは知らなかったの?」


西園寺「どうして狛枝おにぃが、5回目の事件を間違った結論に導いたか…。」

小泉「えっ…!?」




田中「何だと!?狛枝は明確な意思をもってそうしたとでも言うのか!?」


西園寺「そりゃそうでしょ。アイツって、いかにも野心家って感じだし。」

西園寺「狛枝おにぃって、ただじゃあ死んでくれない人間だね。本当に厄介だよ。」


小泉「ど、どういうことよ…?狛枝は、最期に何を思っていたの!?」

小泉「教えてよ、日寄子ちゃん!!」


西園寺「まあ、小泉おねぇがどうしても教えてほしいっていうなら…」




西園寺「狛枝おにぃは恐らくファイナルデッドル―ムの特典によって、小泉おねぇが“絶望のカリスマ”である事と…」

西園寺「未来機関に自分を処刑させることで、小泉おねぇが絶望を生み出そうとしていることに気付いたんだ。」


澪田「えぇ!?その時点で凪斗ちゃんは真昼ちゃんの計画に気付いてたの!?」

西園寺「アンタらが鈍いだけでしょ。わたしにだって気付けたのに。」




西園寺「それはともかく。それを受けて狛枝おにぃは、あの爆発騒動を起こしたんだよ。」

弐大「爆発騒動を起こすことで、裏切り者である西園寺をあぶり出し…」

弐大「コロシアイ修学旅行を終了させるつもりだったんじゃったのう。」

田中「そうすることで、小泉を処刑させないようにしたのか。」

西園寺「うん。たぶん間違いないよ。」





西園寺「狛枝おにぃの、当初の予定ではね。」



小泉「え…?“当初の”って、どういう意味?」


西園寺「狛枝おにぃの目論みも、モノミ…つまり朝日奈おねぇのファインプレ―で失敗に終わっちゃったからね―。」

西園寺「狛枝おにぃ風に言えば、狛枝おにぃは不運だったのかな?」



西園寺「でもさ。そこで多分狛枝おにぃは、恐ろしい計画を思いついたんだよ。」

小泉「恐ろしい計画…?」




西園寺「ホンット、厄介なやつよ。」

西園寺「多分アイツは当初の計画が失敗しても平然としながら、即席で第2の計画を打ち出したんだ。」

西園寺「それも、当初の計画よりも多くの利益を見込める、一石二鳥の案をね…。」

西園寺「これも狛枝おにぃ風にいうと、不運の後に幸運がやって来たってことなのかな?」


澪田「ちょ!!さっきから出し惜しみしてないで、さっさと言うっすよ!!第2の計画ってなんなんすか!?」




西園寺「…じゃあ、小泉おねぇに聞くけどさ。」

小泉「え…?」


西園寺「狛枝おにぃが望んでいたものって、何だっけ?」

小泉「えっと…」



1.絶対的な希望

2.7020円(絶対絶望少女)

3.絶体絶命都市4

4.小泉の貞操



安価↓1




正解



小泉「そっか…!!」解


小泉「絶対的な希望…よね?」


西園寺「そしてもう1つ。狛枝おにぃ自身は、何になりたがってたっけ?」

小泉「それは…」



1.超高校級の希望

2.超高校級の不運

3.超高校級の童顔

4.召使い



安価↓1




正解



小泉「そっか…!!」解


小泉「“超高校級の希望”…。」

小泉「狛枝は言っていた。自分を、“超高校級の希望”と呼んでくれないかって…」


小泉「でも…それが一体、何だっていうのよ?」




西園寺「…狛枝おにぃは気付いてたんだろうね。黒幕がわたしだって。」

小泉「え?どうして急に、そんな話を…?」


西園寺「だから…狛枝おにぃには、わかってたんだ。」




西園寺「わたしには、小泉おねぇを殺せないって。」


小泉「…!!」




西園寺「5回目の事件。わたしは厄介な狛枝おにぃを殺して、コロシアイ修学旅行を終わらせようとしたけど…」

西園寺「小泉おねぇだけは島に残そうって思ってたんだよ。」

田中「そうか…。だから5回目の事件で、小泉は処刑から生き延びたのか。」


西園寺「それを狛枝おにぃは、狡猾に利用したんだ。」

小泉「利用した…?どう利用したってのよ…?」




西園寺「わたしが小泉おねぇだけを島に残すことを利用して…」



西園寺「小泉おねぇを、ジャバウォック島に閉じ込めたんだよ。」


小泉「…」



小泉「は?」




弐大「小泉を閉じ込めることが、狛枝の目的じゃとお!?どうして狛枝は、そんなことをしたがる!?」


西園寺「だって…。小泉おねぇをジャバウォック島に閉じ込めることができれば…」

西園寺「未来機関に、小泉おねぇを処刑されなくて済むでしょ?」




西園寺「しかも小泉おねぇ、狛枝おにぃのことを引きずって、完全に無力化してたし。」


西園寺「そうやって、“絶望のカリスマ”である小泉おねぇのもくろみを打ち破ることで…」

西園寺「世界に絶望が蔓延することを防ごうとしたんだ。」


西園寺「もし本当にこれができていたら、狛枝おにぃはこう呼ばれていただろうね。」




西園寺「“超高校級の希望”、って。」




小泉「そ、そんな…!?」



小泉「じゃあ狛枝は最初っから、アタシを絶望として敵視していた?」


小泉「アタシを陥れるために、5回目の裁判を間違った結論に導いたの…!?」




小泉「じゃあ…狛枝が、最期にアタシに遺してくれた言葉は…?」

小泉「アタシを励ましてくれて、友達になりたいって言ってくれた狛枝は…」


小泉「全部、嘘だったの?」



小泉「狛枝はずっと、内心ではアタシを毛嫌いしていて…」

小泉「絶望であるアタシが話しかけるたびに虫唾が走っていたとでもいうの…?」



小泉「…」




西園寺「ところがどっこい、そういうわけでもなかったみたいだよ―?」

小泉「え…?」


西園寺「言ったでしょ?狛枝おにぃの計画は、“一石二鳥”の計画だって。」

小泉「一石二鳥…?アタシの目論みを防ぐこと以外に、何の目的が…?」




西園寺「…狛枝おにぃの言う“絶対的な希望”。」


西園寺「それを小泉おねぇは、“死なない人”って解釈していたよね?」

小泉「え、うん。そうだけど…」


西園寺「でも…狛枝おにぃはそうではなかったみたいなんだよ。」

澪田「そうじゃない…?」




西園寺「狛枝おにぃの言う“絶対的な希望”ってのは、“死なない人”ではなくて…」



西園寺「“死なない意思”だったみたいなんだよ。」


小泉「“死なない意思”って…?」



西園寺「つまり、いつまでも自分のことを忘れない存在の事だろうね。」

西園寺「だからこそ狛枝おにぃは、小泉おねぇをコテ―ジに閉じ込めたんだ。」






西園寺「自分のことを、忘れてほしくなかったから。」



小泉「!!」




西園寺「でも…残念ながら、狛枝おにぃの計画も、失敗しちゃったみたいだね。」

西園寺「狛枝おにぃの計画に反して、小泉おねぇが前を向いて進んじゃったんだもん。」


西園寺「それも、自分自身の右眼が失敗の原因だなんて。」

西園寺「ホンット、狛枝おにぃって不運だよね―。」


西園寺「あれだけ一生懸命、小泉おねぇに自分の存在を植え付けようとしたのに。」

西園寺「結局、小泉おねぇにさえ忘れられる運命なんだから。」




小泉「…ちょっと、待って。」


西園寺「ん―?」




小泉「じゃあ、狛枝は…」


小泉「アタシに、前を向いて進んでほしくなかったの?」


小泉「アタシに、ずっと立ち止まっていてほしかったの?」




小泉「アタシは…狛枝をずっと忘れられないように、コテ―ジの中で永遠に過ごすべきだったの…?」



小泉「アタシは…狛枝にとっての、“絶対的な希望”になってあげられなかったの…?」





小泉「おかしいな…。アタシ、狛枝に励まされたからこそ、前を向いて進むことに決めたのに。」


小泉「また、アタシ…間違えたのかな…?」


小泉「たどるべき道を…」



小泉「…」




西園寺「まあ人間って、過去の思い出や人間を異常に美化するからね。」

西園寺「小泉おねぇみたいな単純な思考回路の人間なら、なおさらね。」

西園寺「狛枝おにぃに励まされたってのも、小泉おねぃの妄想だったのかもよ?」


西園寺「それに…わたしの話も、結局過去の話からの推測でしかない。」

西園寺「狛枝おにぃの本心は、結局誰にもわからない。」





西園寺「人はね。死んだら終わりなんだよ。」


西園寺「何もかもが、終わるんだ。」


西園寺「大事な人から、大事な何かを受け取ることもできない。」



西園寺「人の命ってのは…アンタらみたいな“絶望”が、ヘラヘラ笑いながら奪っていいものじゃないんだ。」




西園寺「狛枝おにぃだって、小泉おねぇの計画に殺されたんだ。」


西園寺「そして今、小泉おねぇは狛枝おにぃの本心が読めなくて、嘆いている。」




西園寺「それが…“絶望のカリスマ”である小泉おねぇの罪の代償なんだよ。」


小泉「…」




今日はここまで。




再開



西園寺「…話がそれちゃったね。さっさと投票を終わらせちゃおうよ。」


澪田「投票って…まだ投票を行うつもりなんすか!?」

西園寺「行うつもりって…?どうして投票を中止しないといけないの―?」

弐大「さっきの話を聞いとったんかぁ!?もし小泉が自分に投票し、小泉が処刑されてしまえば…!!」





西園寺「世界は破滅だって?そんなことはどうだっていいんだよ。」


田中「なっ!?正気か貴様!?」



西園寺「わたしには、世界がどうとかなんて興味ない。」


西園寺「わたしが興味あるのは、小泉おねぇの選択だけだよ。」

弐大「選択、じゃとお…?」




西園寺「そう、選択だよ。」


西園寺「自分が“絶望のカリスマ”であると知ったうえで。被害者の声を聴いたうえで。自分の罪を数えたうえで。」

西園寺「小泉おねぇがどういう選択を取るか。わたしはただ、それを見届けたいだけ。」

西園寺「そのためにわたしは、いろんな選択肢を小泉おねぇに投げかけたにすぎない。」




西園寺「まぁ…本来は、ジャバウォック島に1人残された小泉おねぇに問いただしたかったんだけど。」

西園寺「澪田おねぇ達が島に残ったせいで、それもうまくいかなかったからさ。」

澪田「唯吹達を島に残すことを渋っていたのは、それが理由…?」


西園寺「といっても、終わった選択肢について語っても仕方ないからね。」

西園寺「今残されている選択肢について考えてみようか。」




西園寺「小泉おねぇが自分自身に投票すれば、小泉おねぇは未来機関に処刑される。」

西園寺「その場合世界が破滅しちゃうけど、小泉おねぇは自らの咎から解放されるんだ。」


小泉「…」




西園寺「小泉おねぇがわたしに投票すれば、小泉おねぇは皆と一緒に未来機関のお尋ね者になるわけ。」


西園寺「ジャバウォック島のオシオキが使えない今となっては、逃亡できる確率はかなり上がっているだろうけど。」




西園寺「さらに小泉おねぇが澪田おねぇを殺せば、わたしも小泉おねぇに手を貸してあげるから…」

西園寺「未来機関なんかに小泉おねぇを殺させない。小泉おねぇが生き延びる確率はほぼ100%になるだろうね。」


澪田「え…!?まだ、その話は有効なんすか!?」

西園寺「当然でしょ。小泉おねぇが証明をくれないと、わたしは小泉おねぇを助けてなんかあげないよ。」

西園寺「まあ、今となってはほとんど現実味のない選択肢みたいだけど…。」




西園寺「その場合小泉おねぇは、生き永らえることはできる。」


西園寺「だけど…“絶望のカリスマ”としての罪を、永遠に抱え続けないといけない。」

西園寺「今日も、明日も、明後日も…。小泉おねぇの命が尽きる、その一瞬まで…」


小泉「…」




西園寺「さあ…どうする?小泉おねぇ。生きるの?死ぬの?小泉おねぇは、どっちを選ぶ?」


小泉「……」




田中「小泉…。色々と思うところもあるだろうが…」

田中「ひとまずは、生きてみたらどうだ?」


澪田「そうだよ!!死ぬことはいつでもできるけど、死んじゃったら何もできないんすから!!」

澪田「生きていれば、自分の過去を何度でも振り返ることができる。自分の罪と、立ち向かえる。」


弐大「それに、なにも1人で罪を抱え込めと言っとるわけじゃないぞ。」

弐大「1人では抱えきれない時のために、ワシらがおるんじゃけんのう。」


田中「だから…」




小泉「…………」





小泉「ごめん、みんな…。」


澪田「えっ…?」





小泉「アタシ…もう、何も見えない。」

小泉「もう…何が正しい選択かなんて、わからないよ。」


弐大「小泉…!!」




小泉「盾子ちゃんなんかにたぶらかされて…“絶望のカリスマ”なんかに堕ちちゃって…」


小泉「外にいる大勢の人を、いっぱい死なせちゃって…」


小泉「挙句の果てには、皆をコロシアイ修学旅行なんかに巻き込んじゃって…。」




小泉「アタシの理念に賛同して、自ら死に行った人たちを…大事に思っていた人はいたんだよね。」

小泉「っていうか、間違いなくいるんだよ。今も。」


小泉「その人は、大事な人を失って…今のアタシみたいな気持ちになってたんだ。」

小泉「今のアタシみたいな気持ちになって…“絶望のカリスマ”を、今も恨み続けているんだよ。」


小泉「今までアタシは、なんでこんな簡単なことにも気付かなかったんだろう…。」




小泉「こんなアタシは…なんでまだ、生きてんのよ…。」


小泉「世界がどうとか、そういう問題じゃない。」





小泉「生きてちゃダメだよ、こんな人間。」




小泉「償わなきゃ…。」


小泉「今のアタシができる最大の方法で、償わなきゃ…。」



小泉「アタシなんかじゃ、償いなんて何もできないけど…」


小泉「死んでいった人たちを魔法みたいに生き返らせることなんて、できないけど…。」



小泉「せめて、“絶望のカリスマ”であるアタシが惨たらしく死んで…」


小泉「アタシのせいで大事な人を失った人達の気が、少しでも紛れるのなら。」





小泉「アタシは…」





田中「小泉…」


澪田「真昼ちゃん…」


弐大「…」





苗木「…彼女は今、自分自身の中に宿る絶望に、負けかけている。」


澪田「え…?」




苗木「多分彼女は、キミ達3人よりも元々心が虚弱だ。」

苗木「その上…彼女の絶望は、キミ達3人よりも相当厄介なものだったらしい。」



苗木「だから彼女はもう…自力では、立ち上がれないんだと思う。」

弐大「自力では…?」




苗木「ボクは思うんだ。確かにキミたちは、1度は絶望に堕ちてしまったけど。」


苗木「本来のキミたちは…世界に希望をもたらして、今も絶望に苦しむ人々を救うことができる人間なんだって。」

苗木「その証拠に皆との絆さえあれば、“絶望のカリスマ”だった小泉さんでさえ自分の間違いに気づくことができた。」


苗木「ボク達が恨むべきは、最初から…」

苗木「世界を覆う絶望を生み出した元凶の、“江ノ島盾子”ただ1人なんだ!!」




苗木「だからできれば、彼女を救ってあげて欲しい。」


苗木「多分、彼女を救えるのは…」

苗木「彼女と深い絆でつながれている、キミ達だけだろうから。」



苗木「ボクの声はきっと、もう彼女には届かない。」




苗木「でも…キミたちの声なら、あるいは…!!」




田中「…」


田中「ふふ、ふはははははは!!!!」



田中「まさかそれは、無形の狂気であるこの田中眼蛇夢に言っているのか?」


田中「ふん…。命知らずなやつだ。この俺様の手を煩わせることを、光栄に思え。」




澪田「本当っすよ。いっつもい―っつも、唯吹達に世話かけて。」


弐大「今に始まったことじゃないじゃろう。まあその分、貸しを多く作れるってもんじゃろう!!」


澪田「それもそうっすね!!今度、いろいろおごってもらおっかな!!」



弐大「それか、奴に一仕事済ましてもらおうかのう!!」





弐大「例えば…無精もんのワシの心ですら感動させる、とびっきりの笑顔でも撮ってもらうとかなぁ!!」


澪田「ははっ!!そこには、唯吹も混ぜてもらうっすよ!!」


田中「ふん。話はまとまったな。さ~て…」



田中「ちょっくら世界でも、救ってくるかな。」




小泉「アタシは、罪のない人たちを何人も死に至らしめた。」

小泉「それだけじゃない。日向も、赤音ちゃんも、九頭龍も…」

小泉「みんなみんな、アタシのせいで犠牲になっちゃったんだ。」


小泉「こんなアタシが、生きてていいわけがないんだって!!」

小泉「償わなきゃ…全部全部、アタシのせいなんだから。」


小泉「たとえ世界の崩壊と引き換えにしてでも…アタシは犠牲になったみんなのために、死をもって報いるべきなんだ!!」







田中「それは違う!!!!」





田中「ふん…。貴様は、聖人にでもなったつもりか?」


田中「今1度問おう…。貴様は今、誰の配下にいる。」

田中「貴様は…制圧せし氷の覇王、田中眼蛇夢の重要な右腕なのだぞ?」

田中「そんな貴様がいまさら悪に染まることに、なんの抵抗を持つというのだ?」


田中「罪を背負って生きる…。ふん、上等ではないか!!」

田中「そもそも生物とは、何かを犠牲にすることでしか生きることなどできないのだからな!!」


田中「復讐などのために種を滅すよりかは…泥臭い道にしがみついてでも、命を守る道を俺は選ぶ。」



田中「それが…生きるということだ。」




小泉「…」



小泉「ダメだよ、アタシ。」

小泉「だって、アタシにはわかるもん。」


小泉「アタシの前にいくつもあった道が…どんどん崩れ去っていって。」

小泉「来た道さえもなくなっていて、後戻りもできなくて…」

小泉「やっと見つけた道をたどれば、そこは行き止まりだと相場が決まってるの。」


小泉「アタシはもう、闇の中でうずくまるしか方法がないんだよ!!」


小泉「だって…アタシの前にはもう、道なんて1本も残されてないんだもん!!」






弐大「ばっかも―ん!!!!」





弐大「噴…。たどる道が、1本もないじゃとお?」

弐大「それはまさか、このワシに向かって言っておるんかぁ?」

弐大「はんっ。こいつは弩えれぇ、片腹痛いのう…!!」



弐大「小泉の選んだ道が塞がれているというのなら、ワシが切り開いてやる。」

弐大「目の前に道がないと言うのなら、ワシが道を創ってやる。」

弐大「小泉が、道を踏み外しそうになったら、ワシが支えてやる。」



弐大「それが…選手をサポ―トする、マネ―ジャの役目だからのう…。」




小泉「…」



小泉「皆は、強いね。アタシなんかよりもずっと強いから、皆はそんなことが言えるんだよ。」

小泉「でも…アタシは、皆が思ってるほど強くない!!」


小泉「だってアタシは、“絶望のカリスマ”なんかに堕ちちゃったんだよ!?」

小泉「“絶望のカリスマ”に堕ちたアタシは、以前のアタシと比べても未熟で…」


小泉「きっと皆は、すぐに気づいちゃう。アタシっていうくだらない人間の可能性に。」

小泉「すぐにアタシに幻滅して、アタシを助けたことを後悔するんだ。」


小泉「だから今のアタシを、以前のアタシと同じような尺度で解釈しないでよ!!」

小泉「アタシはもう、皆が知ってるような『小泉真昼』じゃないんだよ!!」






澪田「コンニャロ―!!」





澪田「今の真昼ちゃんが昔と変わっちゃったって…?」

澪田「ふんだ。それこそ、唯吹達にとってはどうでもいいことなんすよ。」


澪田「だって人は、変わっていく生き物なんすから。変わってしまった真昼ちゃんもまた、本当の真昼ちゃんなんすよ。」


澪田「問題は、変わっていく自分を真昼ちゃんが受け入れられるかどうか…。」

澪田「変わってしまった自分を、真昼ちゃんが好きになれるか!!それだけっす!!」


澪田「真昼ちゃんがどう変わったとしても、唯吹達は絶対に真昼ちゃんを見捨てたりしない。」

澪田「だから…自分が変わってしまったからって、唯吹達の前から消えていったりしないで。」


澪田「…約束っすよ?」




小泉「…」



小泉「あ…ああぁあああ………」



小泉「皆の声が…アタシの心に、浸透して…」



小泉「アタシは…アタシは……!!!!」




今日はここまで。



明日再開するまでに、『目覚める』というレスをしてくれる人が16人以上いた場合、小泉が目覚めます。

足りなかった場合は、残念ながら…


え?必要な人数が多すぎる?だってみんな、絶望が見たいでしょ?うぷぷぷぷ…




再開



小泉「アタシは…!!!!」



小泉「うぁあああああああああああああああああぁああああああ!!!!!!」









澪田「真昼、ちゃん…?」


小泉「…」




小泉「きっとこの先、楽な道ばっかりは選べないんだろうね。」


小泉「時には絶望が立ちはだかったり、自分の罪に押しつぶされそうになったりもするはずだ。」

小泉「もしかしたら…このまま処刑されておけばよかったなって、後悔する時が来るかもしれない。」


小泉「だから…生きていくことが、本当に正しい選択かはアタシにはわからない。」




小泉「でも…!!」



小泉「皆の声が、確かに聞こえた。」



小泉「皆の声が、アタシに生きる理由を与えてくれた。」


小泉「皆の声が、立ち往生しているアタシの背中を押してくれた。」


小泉「皆の声が、1度絶望に堕ちてしまったアタシを受け入れてくれた。」




小泉「だから…だから…!!!!」





小泉「やっぱりアタシ、まだまだ生きたい!!!!」


小泉「皆と一緒に、この島から出たい!!」



小泉「皆との絆が、アタシに希望をくれて…!!」


小泉「アタシもう1度、生きていけるって思わせてくれたんだ!!!!」





田中「フッ…」


弐大「はっはっはっはっ!!!!」


澪田「よかったぁ…!!」




西園寺「…」


苗木「ははっ。彼らは、ボク達の思う以上に強く結ばれているんだね。なんか、うらやましいな。」

苗木「これならきっと、大丈夫だね。2度と彼らは絶望なんかに堕ちないよ。」


西園寺「…なによ、それ。まるでアンタ、こういう結末がやってくるってことが分かってたみたいだよ?」

苗木「え、そうかな…?」


苗木「むしろボクは、西園寺さんこそこの結末を予測してたんじゃないかって思うよ?」




西園寺「…そんなわけないじゃん。」


西園寺「わたしじゃあ…“絶望のカリスマ”である小泉おねぇの目を覚ましてあげられなかった。」

西園寺「全部…あいつらに持ってかれちゃった。」


西園寺「結局…小泉おねぇとわたしの絆は、あいつらにすら劣るってことが分かっちゃった…。」



西園寺「この結末は…わたしにとってはバッドエンドだよ。」




苗木「バッドエンド?それは違うんじゃない?」


苗木「だって、まだ終わってなんかないでしょ?」

苗木「むしろ彼らは、これから始まるんじゃないのかな?」


西園寺「…なにそれ。まさかわたしに、あいつらの肩を持てっていうの?」

西園寺「何度も言うけどわたしは、小泉おねぇが澪田おねぇを殺してくれないと助けてなんかあげないよ。」





西園寺「わたしには…そういう風にしか、絆を確かめることなんてできないんだから。」



苗木「…そっか。キミも、強情だね。」


西園寺「…」




小泉「じゃあ…投票しちゃうよ。」

小泉「日寄子ちゃんに、投票すればいいんだね。」

田中「ああ。間違いない。」


小泉「…」




小泉「やっぱり…ちょっと、怖いな。」




弐大「そうじゃのう。この選択肢の先にある物は…」

弐大「道というよりは、海と言う方が近いかもしれんからのう。」


田中「どこにでも行けるかもしれんし、どこにも行けないかもしれん。」

田中「だから…怖くても仕方ないかもしれんな。」


澪田「でも…だからこそ唯吹達は。」

澪田「誰にも左右されない、自分達だけの未来を手に入れることができるんだよ。」


小泉「うん。」




小泉「…アタシさ。ここからでた後の生き方…。何となく、決めてるんだ。」

小泉「皆…ついてきてくれる?」


田中「フッ…おそらく、そうなるだろうな。」

澪田「唯吹にもなんとなくわかるっすよ、それ。」

弐大「全員考えとることは同じというわけか。なら、全員揃っといた方がお得じゃのう!!」


小泉「ははっ…。皆、ありがとう。」



小泉「じゃあ…終わらせるよ。」


小泉「いや…」






小泉「始めさせるよ。」





VOTE

西園寺 西園寺 西園寺




西園寺「…」

西園寺「それが、小泉おねぇの選択なんだね。」


小泉「うん…。ごめんね、日寄子ちゃん。日寄子ちゃんの思いに応えられなかったかな…?」

西園寺「…」





西園寺「で、どうするつもりなの?」


小泉「え?」




西園寺「投票の結果がわたしになったことは、未来機関にも伝わっている。」

西園寺「それはつまり、未来機関は躊躇なくアンタらを抹殺しに来るってことだよ?」


西園寺「砂浜に泊めてあった船に潜んでいた未来機関の連中が、今にもここに乗り込んでくるかもしれない。」

西園寺「いくら十神おにぃでも…もう、暴徒と化した彼らを止めることはできないよ。」




澪田「大丈夫っすよ!!ここには、体育会系の猫丸ちゃんがいるんすから!!」

澪田「未来機関なんて蹴散らしてくれるっす!!」

西園寺「弐大おにぃを過大評価しすぎじゃない?」


西園寺「それに…アンタらを殺す兵器だって存在するんだ。」

田中「兵器だと…?処刑はもう行えないのではなかったか?」


西園寺「ジャバウォック島にある兵器は、オシオキだけじゃない。」

弐大「何じゃとお?処刑に匹敵する兵器とは、何じゃあ?」




西園寺「モノケモノだよ。」

小泉「モノケモノ…!?」


西園寺「ワタツミインダストリアルでモノケモノが作られていることは知ってるよね。」

西園寺「今までのモノケモノは全部、モノミがぶっ壊したんだけどさ。」


西園寺「そろそろ、新しいモノケモノが完成するみたいだよ?」

小泉「そろそろって…どれくらい?」

西園寺「そりゃあもう、10分もないんじゃないかな―?」

澪田「えぇ!?いくらなんでも早すぎないっすか!?」




西園寺「モノケモノが完成すれば…いくら弐大おにぃでも、勝ち目はないよ。」

西園寺「さあ…どうするの?この状況でアンタらは、どうやって未来機関から逃げのびるつもり?」

西園寺「まさか、後先のことをなんにも考えてなかったんじゃないの―?」

田中「ぐぐぐぐぐぐ…!!」




小泉「いや…。まだ、方法はあるはずよ。」

澪田「え?」


西園寺「へぇ。その方法って、何かな?」





小泉「日寄子ちゃんを、アタシ達の仲間に引き込むのよ。」



田中「なんだと!?」


弐大「で、できるのか!?」




西園寺「わたしを仲間に引き込む、ねぇ。」

西園寺「小泉おねぇ、やっと澪田おねぇを殺してくれる決意をしたってことなのかな―?」

澪田「え…!?う、うそだよね、真昼ちゃん!?」


小泉「当たり前よ…。アタシは唯吹ちゃんを殺しなんてしない。」

小泉「それでもアタシは、日寄子ちゃんに手伝ってもらうよ!!」


西園寺「はぁ?なにそのワガママな意見。駄々っ子じゃないんだからさ。もう少しまともなことを言ってほしいよ。」


西園寺「わたしに助けてほしかったら、澪田おねぇを殺して。」

西園寺「いっとくけどわたしは、この条件を曲げるつもりは一切ないよ。」




小泉「…アタシは、皆と一緒に生きることに決めたんだ。」

小泉「だからアタシは…どんな卑怯な手を使ってでも、生き延びてみせる。」

小泉「だから、先に謝っておくよ。日寄子ちゃん。」



小泉「ごめんね。」




西園寺「へぇ。卑怯な手、かぁ。一体何のことかな?」


小泉「もちろんアタシにとっての、最終兵器よ。」

澪田「最終兵器…?」




PHASE15 議論開始!!



言弾:(前スレの328~331、769)


12.カムクライズルの独白

21.絶望のカリスマ

25.江ノ島盾子の勧誘




西園寺「最終兵器って何のことかな?」

西園寺「やっぱり小泉おねぇ、[澪田おねぇを殺してくれる気になった]の?」

澪田「え、ええっと…さすがにそれはないと思いたいっす!!」


田中「もしや、西園寺の好物である[キラリ流星群でも使用する]気か!?」

弐大「何じゃいそりゃあ。」

小泉「多分こんぺいとうのことだと思う。」

西園寺「っていうか食べ物で釣ろうっていう魂胆が意味不明だよ!!【そんなのでわたしの心が動くわけない】じゃん!!」


苗木「それかもしかして、[西園寺さんを脅す]つもり…?」

西園寺「へぇ、おもしろいね!!小泉おねぇがどうやってわたしを脅すのかな~?」


澪田「【風呂に入らないから臭い】ことを未来機関にばらすこととかじゃないっすか?」

弐大「それよりも先に、“超高校級の日本舞踊家”なのに【着付けができん】ことじゃないか?」

西園寺「も、もうできるようになったよ!!臭くもないもん!!」

田中「では、【貴様からあふれる瘴気】はいったいなんだというのだ!?」

西園寺「…」


小泉「あの、皆…日寄子ちゃんをいじめるのはその程度に…」



小泉(あの子が遺してくれた、貴重な証拠…!!それでこの状況を、一気にひっくり返してやる!!)



安価↓1




不正解


西園寺「なにそれ。物なんかでわたしの心は動かせないよ。」



小泉(日寄子ちゃんを動かすには…それこそ、脅迫まがいのことをするしか…)




安価↓1




不正解


西園寺「は?それでどうやってわたしを脅すの?」


小泉(日寄子ちゃんを脅すには…彼女が遺してくれたアレが、役に立つんじゃないかな?)



安価↓1




正解



カムクライズルの独白→[西園寺さんを脅す]


小泉「その意見にフレ―ムインね!!」同意



BREAK!!



小泉「アタシの最終兵器…。それは、これよ。」


田中「何だそれは…?カセットテ―プか?」




小泉「これはね、カムクライズルが自分の思いを赤裸々に語った物なんだ。」


澪田「カムクライズルって確か、“超高校級の絶望”の1人だよね。」

弐大「ワシの記憶では、コロシアイ修学旅行に参加したメンバ―の中にはおらんかったがのう。」




田中「それがなぜ、西園寺を従わせる手段となり得るのだ?」

小泉「当然これには、未来機関や日寄子ちゃんですら知らない情報が隠されているからだよ!!」


澪田「た、確かに…!!カムクライズルの正体すらつかめてない未来機関なら…!!」

弐大「カムクライズルの証言は、貴重な情報じゃろうのう!!」


西園寺「…」





西園寺「バッカじゃないの?」


澪田「え?」



西園寺「そもそもそれは、七海おねぇがわたしから奪ったものでしょ?」

西園寺「だったら、それをわたしが聞いてないわけがないじゃん。」




西園寺「実際聞いてみたけど、何の情報もなかったよ。」


西園寺「ただカムクラが家族について語っていることくらいしか、特筆する点はなかったかな。」

西園寺「古いタイプのカセットテ―プだし、声もこもってたから、性別すらわかんないし。」


西園寺「そんなものに、未来機関をうならせる情報があるわけないじゃん。」


田中「どうなのだ、小泉…?」

小泉「…」


小泉「確かに、日寄子ちゃんが聞いても情報を引き出せない。」





小泉「でも…この裁判上に、カムクライズルの独白から情報価値を見いだせる存在がいたとしたら?」



西園寺「は?誰よ、それ。」


小泉「それは当然…」




怪しい人物を指名しろ



安価↓1




不正解


小泉(そう、アタシが答えだ!!)


小泉(ってそんなわけないでしょ!!もう1度考え直そう。)


小泉(カムクライズルの独白が、紙に書かれたものだったら…情報価値はなかっただろうけど。)

小泉(これは…『声』なんだ。)


安価↓1




小泉「唯吹ちゃん…。これを、聞いてくれるかな?」

澪田「え…!?」


澪田「い、唯吹っすか!?唯吹は、カムクライズルと会ったことすらないんすよ!?」

田中「確かに、澪田がカムクライズルのことなど知っているとは思えんが…」


小泉「会ったことすらないかは、これを聞けば分かるから…。」

澪田「ま、まあ、聞くだけ聞いてみるっすよ…。」




ザザッ


『…僕はカムクライズル。希望ヶ峰学園によって造られた人間で、“超高校級の希望”なんて呼ばれています。』



『しかし僕が“超高校級の希望”と呼ばれ才能に愛されるようになってしまったがゆえに、わかったことがあります。』


『この世界は、ツマラナイ…。』


『才能のない人間が徒党を組んで、才能のある人間を追い詰めていく…。』

『そんなツマラナイ連中のせいで、世界が行き詰っている。』

『だからそんな連中は、ある程度淘汰される必要があると僕は先生方に教わりました。』


『しかし、そんな彼女はツマラナイ死に方をしました。』

『たかが“超高校級の幸運”1人に敗退したのです。』



『このまま“人類史上最大最悪の絶望的事件”が収束に向かうとなれば、
また世界はツマラナイものに逆戻りするのかと、一時はげんなりもしました。』


『しかし“彼女”は、彼女に負けないくらいの狂った思想を持っていたのです。』





『頭脳明晰、容姿端麗、スポ―ツ万能の超人設定を持つ彼女と比べると“彼女”は…』

『頭脳は人並み。容姿も彼女にまさっているとは思えない。身体能力などはむしろ人並以下です。』


『それにも関わらず“彼女”は、彼女とは違った人を魅了する力を持っているのです。』

『それゆえに、未だに“人類史上最大最悪の絶望的事件”は終わらない。』

『“彼女”が生きている限りは。』



『そして“彼女”は、僕にある提案をしてきたのです。』


『本来なら、ツマラナイことをしたくはないのですが…』


『このツマラナイ世界を根底から覆すことができるのなら僕は“彼女”に利用される事も辞さないと断言しましょう。』





『だからこそ、僕は貴方たちに許しを請います。』


『僕が1度も愛してあげられなかった…』







『僕の、家族たちにね。』




ブツッ



小泉「…どう?唯吹ちゃん。」

澪田「…」


田中「俺様には、何がどうだかさっぱりだが…」

弐大「本当にこれが、重要になるんかぁ?」

西園寺「なるわけないじゃん。ただのハッタリだよ。」



澪田「…」




澪田「これって本当に、カムクライズルが話してるんだよね。」

小泉「うん。間違いないよ。」

西園寺「それがどうしたっての?」



澪田「…声色やト―ン。イントネ―ションにしゃべり方とか…。」


澪田「いろいろ違うけど…間違いない。」



澪田「これ…」






澪田「創ちゃんの声っすよ。」





今日はここまで。




1です。今日は投下できそうにないです。




1です。今日もちょっと無理っぽい…。




再開


西園寺「…」



西園寺「は?」




田中「創…?まさか、日向創の事か?」


弐大「なぜ今、日向の話が出るんじゃあ!?今は、カムクラの話をしとるんじゃなかったんか!?」

澪田「い、唯吹にだってわかんないっすよ!!でも…この声は間違いなく、創ちゃんの声なんすよ!!」


弐大「お前さんの勘違いなんじゃないか!?」

澪田「皆も唯吹の耳の良さは知ってるっしょ!?唯吹のキャラ設定にかけて、間違いないと断言するっす!!」




田中「何だと!?では、これはカムクライズルの独白ではなかったのか!?」

西園寺「いや…。そこで喋ってんのはカムクラで間違いないはず。」

弐大「じゃあ、なぜそこから日向の声が聞こえてくるんじゃあ!?」


小泉「答えは簡単よ…。」




小泉「日向創こそが、カムクライズルの正体だったのよ!!」








西園寺「ここはバカの見本市かな~?」反論




西園寺「ふん。何を言い出すかと思えば、小泉おねぇ…」


西園寺「まさかそんな戯言で、この状況をひっくり返そうとでも思ってんの?」



小泉「…日寄子ちゃんもわかったのね。」


小泉「カムクライズルが日向であることが、どういう意味を持つか…。」




PHASE16 反論ショ―ダウン(VS西園寺)開始!!



言刃:(前スレの328~331、769)


12.カムクライズルの独白

11.希望病

23.遅れて来た澪田




西園寺「日向おにぃがカムクライズルだって?」


西園寺「バカも休み休み言ってほしいよ。」


西園寺「それを疑いもせずにホントだと思う奴もバカばっか!!」


西園寺「だって【日向おにぃってただの予備学科】でしょ?」


西園寺「なんで才能のないクズが、“超高校級の希望”なんて呼ばれるようになるの?」


西園寺「まさかこれも、[希望ヶ峰学園の陰謀]だとでも言うの!?」


西園寺「小泉おねぇは冗談のセンスにかけてるね―!!」


西園寺「ほら、お笑い強化合宿7泊8日の旅にでも出てみたらどう?」




発展!!



小泉「アタシにもよくわからないけど…」


小泉「カムクライズルは確か、希望ヶ峰学園によって人工的に造られた“希望”だったよね?」


小泉「希望ヶ峰学園なら予備学科の人間にも、無理やり才能を植え付けられるかもしれない…。」




西園寺「バカなこと言わないでよ。所詮根拠は澪田おねぇの証言だけだもん。」


西園寺「どうせ、【澪田おねぇの勘違い】か…」


西園寺「それか小泉おねぇの意図をとっさに読んで、澪田おねぇが【嘘をついてる】だけだよ。」


西園寺「カムクラを日向おにぃだと思わせることで、未来機関を揺さぶろうとしてるんだ!!」


西園寺「だからさ。くだらない妄言でいちゃもんつけてくるのはやめてくれない?」




発展!!



小泉「唯吹ちゃんは耳がいいんだ。勘違いすることなんて有り得ないよ。」


小泉「それに唯吹ちゃんが、とっさに嘘をつけるほど機転が利くような子とは思えないよ?」


小泉「それは、日寄子ちゃんが1番よく知ってるんじゃない?」




西園寺「じゃあ、小泉おねぇが澪田おねぇと前もって共謀していたとしたら?」


西園寺「小泉おねぇが澪田おねぇに、予め入れ知恵してたんだよ!!」


西園寺「学級裁判が始まる前に、澪田おねぇと話し合える時間はいくらでもあったでしょ?」


西園寺「引きこもっている間は無理でも、【捜査の時にこっそり】と…」


西園寺「カムクラを日向おにぃだと皆に思わせるような計画を打ち合わせていたんだよ!!」



安価↓1




正解



【捜査の時にこっそり】←遅れて来た澪田


小泉「その言葉…斬らせてもらうよ!!」論破


BREAK!!




小泉「いや…それは無理なのよ、日寄子ちゃん。」

西園寺「…どうして?」




小泉「日寄子ちゃんだって覚えているでしょ?」

小泉「唯吹ちゃんは今回の裁判が始まる前に、遅刻してたね?」

小泉「つまり唯吹ちゃんは、何の情報もないままに今回の裁判に臨んだんだ。」


小泉「だから…アタシと共謀して嘘をつくなんて芸当、唯吹ちゃんには不可能なんだよ。」

西園寺「…」




田中「ではやはり…カムクライズルは日向創で間違いないということか。」

弐大「じゃあカムクラは、コロシアイ修学旅行に参加しとったということか!?」


小泉「うん。あの時アタシ達と一緒に過ごしていた日向は、カムクライズルだったんだ。」

小泉「多分カムクラ自身も、その事実を忘れていたんだろうけどね。」

弐大「だから修学旅行中は、日向がカムクラであることに気付けんかったんか…。」




澪田「でも唯吹、そもそも修学旅行の前にも創ちゃんと会ったことあるよ!?」

澪田「それなのに、カムクライズルの正体に気付けてなかったなんて…!!」


小泉「カムクラは、ほとんどの人に対して素性を隠してたみたいだからね。」

小泉「絶望のカリスマだったアタシ以外では、他の絶望の残党にすら日向創で通してたみたい。」


田中「だから絶望時代の記憶の中にも、カムクライズルの情報は一切なかったのか。」

田中「小泉を除いてな。」




弐大「じゃあ小泉が、このテ―プレコ―ダ―をいままで隠しておき、今になってようやく澪田に聞かせた理由は…」


小泉「アタシが証言しただけじゃあ信ぴょう性に欠けるからね。」

小泉「あえて唯吹ちゃんに情報を与えないことで、かえって唯吹ちゃんの証言に説得力を持たせることができたのよ。」


小泉「そうして、日向がカムクラであることを証明して…」

小泉「日寄子ちゃんに手伝ってもらう口実にするために!!」




弐大「んん?どうしてその事実が、西園寺を説得する手段になるんじゃあ!?」

西園寺「…」


小泉「たしか未来機関は、“超高校級の希望”であるカムクラを高く評価してたよね。」

小泉「たとえ“絶望のカリスマ”だったとしても、未来機関に招き入れたいと思う位に…」


田中「だからこそ未来機関は、カムクライズルを“生かした状態で”捕えろと言っていたのだったな。」




澪田「あっ…!!」


小泉「そう。未来機関は、カムクラを生かした状態で保護したかったはずなのよ。」

小泉「でも…コロシアイ修学旅行によって、カムクライズルは殺されてしまった。」

小泉「“超高校級の希望”が意味もなくつぶされるなんて、未来機関にとっては相当の痛手のはず。」


小泉「じゃあ…この責任って、誰が負わされるんだと思う?」

西園寺「…」




西園寺「きったねぇの。小泉おねぇって、そんな狡猾な人間だったっけ?」

小泉「だから言ったじゃない。どんな卑怯な手でも使って見せるって。」


小泉「それに、先に謝っておいたじゃん。それで、なんとか許してくれないかな?」

西園寺「謝って許されるのなら警察はいらないよ。」




西園寺「…あっ。外の世界ではもう、警察なんて機能してないんだっけ。」

西園寺「ははっ…。なんていうブラックジョ―ク!!ハイセンス過ぎて誰にも受けないね、これは!!」


西園寺「…確かに今の未来機関は、少し絶望の残党の肩を持っただけで七海おねぇを極刑に処すようなところだから。」

西園寺「カムクラを失った腹いせやらしわ寄せやらはきっと、ぜ―んぶわたしの所に来ちゃうだろうね。」

西園寺「結局わたしも未来機関のお尋ね者になっちゃうよ―。」


苗木「え、でも西園寺さん…」

西園寺「…苗木おにぃは黙ってろ。」

苗木「ご、ごめん…。」




西園寺「だから…小泉おねぇの味方につかないと、わたしは未来機関に消されちゃうってことだね―。」

小泉「はは、説明しなくても理解してくれていて助かるよ。」


小泉「だからさ、日寄子ちゃん。アタシと一緒についてきてくれないかな…?」

小泉「唯吹ちゃんを殺すなんてできないけど。」


小泉「アタシにとっての1番の親友は、間違いなく日寄子ちゃんなんだから。」




西園寺「親友を脅すなんて、聞いたことがないよ。」


小泉「え?そうかな?アタシとしては、親友だから脅せるんだけどな。」

小泉「アタシが脅しても、日寄子ちゃんならきっと許してくれるって思ってるから。」


西園寺「どっからわいてくんだよ、その自信は。」




小泉「だって日寄子ちゃんは、今までの人生で1番アタシを慕ってくれた人だし。」

小泉「アタシが“絶望のカリスマ”に堕ちても、見捨てないでくれていたからね。」

小泉「付き合いはせいぜい2年やそこらなんだろうけど、アタシとしては家族のように感じちゃったりもするのよね。」


小泉「だからなんとなくわかるんだ。」

小泉「アタシには日寄子ちゃんの助けが必要で、日寄子ちゃんはきっとアタシを助けてくれるって!!」




西園寺「…まったくもう。論理が全然成り立ってないよ。そもそも成り立たせる気もなさそうで腹が立つ。」

西園寺「ただの感情論…っていうかもはや願望じゃん。」


西園寺「なんでわたしが、お父さんを殺した“絶望のカリスマ”を助けないといけないんだよ。」


小泉「…やっぱり、ダメかな?日寄子ちゃん…。」

西園寺「…」





西園寺「最後に聞いておくけど、小泉おねぇ。」


小泉「え?」




西園寺「本当に小泉おねぇ、できると思ってんの?」


小泉「な、何を?」



西園寺「小泉おねぇが未来機関から逃げたとして…」






西園寺「1度絶望に堕ちた小泉おねぇが、人を笑顔にできる写真を再び撮れるようになるとでも思ってんの?」





小泉「…」


小泉(確かに、そうね…。)



小泉(これだけの罪を背負ったアタシが、本当に人の笑顔を撮れるのか。)


小泉(そもそも、撮る権利があるのかどうか…。)


小泉(もしかしたらアタシは、今後一切カメラを手にするべきじゃないのかもしれない…。)




小泉(だけど…!!)




小泉「できる。アタシにはできるよ、日寄子ちゃん。」


小泉「いや…アタシにしかできないんだよ。」




西園寺「へぇ。なんでそんなことが言えるのかな?」


西園寺「まさか、なんの根拠もなく言ってるんじゃないの?」




西園寺「もし小泉おねぇが…チ―プな少年漫画の主人公のように、くだらない勢いだけで押し切ろうとしてるのなら。」

西園寺「わたしがそれを…全力で止めてみせる。」



西園寺「それが世のためでもあるし…小泉おねぇのためでもあるんだよ。」


小泉「…」




小泉「日寄子ちゃんはやっぱり、優しいね。」

小泉「アタシが何のアテもなく、ただ闇雲に走ってしまうことを心配してくれているんだね。」


小泉「だけど…今回ばかりは引くわけにはいかないんだ。」

小泉「だから悪いけど、日寄子ちゃんに文句は言わせない。」

小泉「日寄子ちゃんの言い分を全部押し切って、アタシは皆と生きていく。」


小泉「なんて言うんだろうね。」

小泉「やっと日寄子ちゃんと、対等に話し合えるような気がするよ。」


小泉「やっと日寄子ちゃんと、全力でぶつかり合えるような気がするよ…。」





PHASE17 パニックト―クアクション(VS西園寺)開始!!





             「ゲロブタど変態!!」



  「お前のあそこにブッコむぞ!!」


                     「どこのダンゴ虫かな~?」


 「もう疲れた~。」



     「個性もなくてモテないうえにバカなんて残念!!生きてる価値ないよね―!!」



       「まったくもう…」


                
                  「明日に続く!!」







「【アンタはもう“超高校級の写真家”じゃない!!写真を撮る資格もない!!
1度絶望に堕ちた小泉おねぇに、人を笑顔にする力なんてない!!】」








           【△】
            だよ!!


【□】その              ピンボケ【○】


           推理は
           【×】






安価↓1






小泉「その推理はピンボケだよ!!」論破



BREAK!!




小泉「アタシは1度、絶望に堕ちたけど。」


小泉「いや…絶望に1度堕ちてしまったからこそ。」


小泉「希望も絶望も背負ってしまったからこそ、外の人を笑顔にすることができるんだと思う。」




小泉「だって外の皆が今、どういう理念に染まっているかを熟知しているのは…アタシだけなんだから。」



小泉「外の皆を間違った方向に進ませてしまったのは、アタシなんだ。」


小泉「だから…絶望に対して今も“エガオ”になっている人を、本当の意味で再び“笑顔”にすることができるのは…」



小泉「“超高校級の写真家”であり、“絶望のカリスマ”だったアタシしかいないんだ。」




小泉「それにね、日寄子ちゃん。なにも、アタシ1人でなんとかするわけじゃないんだよ?」



小泉「田中はよくわからない言葉をいろいろ発するけど、なんだかんだ言って仲間思いの奴だし。」


小泉「弐大は女の子に対するデリカシ―がちょっと足りないけど、人一倍皆の配慮ができる奴だし。」


小泉「唯吹ちゃんは…元気だし。」



澪田「なんか唯吹だけ適当じゃないっすか!?」




小泉「皆がいれば、何でもできる気がする。」

小泉「これだけの人材がそろっているのに奇跡の1つも起きないなんて、それこそ非論理的だよ。」


小泉「それに、アタシには…」

小泉「日寄子ちゃんがいるからね。」


西園寺「…」






西園寺「あはははははは、あははあははぁあはあははあははははははぁはははは!!!!!!」





弐大「大爆笑じゃとお!?」


西園寺「はは…。小泉おねぇの言ってることがあまりにもバカらし過ぎて、思わず笑っちゃったよ。」




西園寺「アンタらのような人間に、何でもできる気がするって?」


西園寺「奇跡を起こせるって?」


西園寺「人を笑顔にできるだって?」




西園寺「ふざけないでよ。たかが“絶望のカリスマ”の分際で、でかい口を叩かないでほしいな。」



小泉「…」




西園寺「絶望のカリスマに堕ちた小泉おねぇが外に出てできることなんて、1つもない。」

西園寺「万一できることがあったとしても、恨みを持つ人間に袋叩きにされて路上をのたうちまわることくらいだよ。」


西園寺「小泉おねぇはそれを理解できてない。」

西園寺「小泉おねぇの罪がどれほどのものかを全然把握できてない。」

西園寺「そのせいで、そんなあやふやな希望論にしがみついてるんだ。」





西園寺「だから…わたしが教えてあげる。」






西園寺「罪の重さの量り方を。」





小泉「え…?」



そう言うと日寄子ちゃんは、またしても何かを取り出した。




田中「なっ…!?また、銃だと!?」

澪田「ま、まさか2丁用意してたんすか!?」

苗木「ちょ、ちょっと西園寺さん!?それでいったい何をする気なの!?」


西園寺「何って…銃の使い道なんて、挙げるほどにあったかな―?」

西園寺「まさかここで、かけっこをするわけでもあるまいし。」




小泉「も、もしかしてここで、誰かを殺すつもり…!?」

澪田「こ、殺すって、恨みのある唯吹とか!?」


弐大「とりあえずみんな、伏せるんじゃあ!!」

澪田「伏せて意味あるんすか!?」





西園寺「…最期に、皆に言っておくよ。」


小泉「え…?」



西園寺「この裁判場の奥に、抜け道がある。そこに、船が泊めてある。」

西園寺「それを使えば多分…皆は未来機関から逃げ切れる。」


西園寺「だから…」






西園寺「わたしが居なくても、小泉おねぇが死ぬことはない。」




小泉「!!」




小泉「まさか、日寄子ちゃん…!?」


小泉「やめて!!」






西園寺「目を背けるな!!!!」






小泉「ひっ…!?」



西園寺「よけられないんだよ…。さけられないんだよ…。」


西園寺「アンタらが、どこへ逃げようと…。どこに隠れようと…。」



西園寺「その眼によ~く、焼き付けておけよ。」


西園寺「これが、アンタ達の…」






西園寺「小泉真昼の、罪の重さなんだよ。」






そういって日寄子ちゃんは、銃口をおもむろに移動させて。



照準が、自分自身のこめかみに合わさったところで…




バシュン




小泉「日寄子ちゃん!!!!」





聞きなれない銃声の後、ドサッと言う音が聞こえて…



目の前にいたはずの日寄子ちゃんが、アタシの視界から消えた。








弐大「西園寺は…自殺したのか?」

小泉「じ、自殺…?」


澪田「もしかして…真昼ちゃんに追いつめられて、日寄子ちゃんは…」

小泉「そ、そんな…。アタシ、そんなつもりじゃ…」


苗木「…」





苗木「心配しないで、皆。」


田中「何だと?」





苗木「彼女…気絶してるだけだから。」


小泉「気絶?」




苗木「さっき発砲された弾…。なぜか、不発弾だったみたい。」

田中「不発弾だと?何だそれは?もとから殺傷能力を削ぐように仕組まれたものだったのか?」

苗木「わからない…。そもそも不発弾が出る確率なんてほとんどないって聞いたことがあるけど。」

苗木「それこそ文字通り、万に一つといってもいいような…」





苗木「ははっ…。もしかしてこれこそが、“奇跡”なのかもしれないね。」




苗木「とにかく彼女は、命を取り留めたけど…」

苗木「びっくりして、気を失っちゃったみたい。」

苗木「外傷は一切ないみたいだから、そのうち目を覚ますと思う。」


小泉「…」





小泉(もしかして日寄子ちゃん、最初っから…)



小泉(それともこれって、アンタのおかげなの…?)





小泉(狛枝…)




CLASSROOM TRIALS 6   DISMISSED





CHAPTER6 絶望に微笑む理由   END


TO BE CONTINUED….




今日はここまで。


そろそろ終わりです。長かったな~。




1にとって、これがssの処女作です。

これ以上のものは恐らくかけないかと…(笑)




EPILOGUE



―???―



轟沈エクスカリバ―号「…」



小泉「これに、乗ればいいの?」




苗木「小泉さん、それ船と違う。それは十神クンだよ。」

小泉「え?」


十神「…船と人間を間違えるとは、どういうことだ!!説明しろ苗木!!」


弐大「本物の船はこっちにあるぞぉ。」

田中「『希望船ウサミ号』と書いてあるな。」

澪田「ウサミ…?どっかで聞いたことあるっすね。」




苗木「でも…どうしてここにいるの?十神クン。」

十神「連中を止めることはもう不可能だと判断したんだ。」

十神「せめて小泉達の居場所を偽ることで時間を稼いだところ、逆にすることがなくなったからな。」


田中「居場所を偽った…?」

十神「ふん。今頃あいつらは、モノクマロックを経由する裁判場に向かっているところだろう。」

十神「もう1つ裁判場があることに気付くことには、もうしばらくはかかるはずだ。」


苗木「はは…さすがは十神クンだね。」

澪田「そうっすか?この白夜ちゃんは、なんかかませ臭がするっす。」

澪田「太ってた白夜ちゃんの方がカッコ良かったっすね―!!」

十神「恩人に対していう言葉なのかそれは…。」




苗木「それで、余った時間で何をしに来たの?」

十神「1つ、問いただしたいことがあったんだ。」


十神「小泉…お前は、どっちなんだ?」

小泉「え…?どっちって?」




十神「お前は、希望ヶ峰学園に入学する前の『小泉真昼』なのか?」


十神「それとも、“絶望のカリスマ”に堕ちた『コイズミマヒル』なのか?」



小泉「…」




小泉「どっちでもある…かな。」


小泉「自分の小さな世界だけで笑顔を撮り続けてきた『小泉真昼』も。」

小泉「絶望に堕ちて、世界中を“エガオ”で満たそうとしていた『コイズミマヒル』も。」

小泉「どっちも本当のアタシなんだと思う。」


小泉「“超高校級の写真家”も、“絶望のカリスマ”も。希望も絶望も。」

小泉「今のアタシにはどちらも混在していて、切っても切れないんだ。」


十神「では…お前が再び、“絶望のカリスマ”に堕ちてしまうこともあるんじゃないか?」

小泉「…」




小泉「アタシは今まで、ずっと1人で写真を撮ってきた。」


小泉「だから…気付けなかった。こういう風に人を、大切に思う気持ち…。」

小泉「ずっと、忘れちゃってたんだと思う。」


小泉「だからこそアタシは、皆が“エガオ”になるためには死んでも構わないんだって思ってた。」




小泉「でも…今は違う。今は…」


小泉「皆がいる。」



小泉「誰かがいなくなれば、誰かが嘆く。アタシが死ねば、哀しむ人間がいるんだって。」

小泉「こんな簡単なことに、今になってやっと気づいたんだよ…。」


小泉「だからアタシはもう…“絶望のカリスマ”としては生きていけないよ。」




十神「…そうか。」


十神「お前らがこれからたどる道は、茨の道だ。これからいくつもの困難にみまわれるだろう。」

十神「俺達も微量ながら協力はするが…」


十神「そこからお前たちがどういう未来を勝ち取るかは、お前達次第だ。」


十神「絶望の中でもがいてもがいて…希望を勝ち取るか。」

十神「自分の罪に押し負けて、永遠にうずくまっているか。」


十神「すべて、お前達の自由にしろ。」


小泉「はは…。ありがとうございます、十神さん。」




十神「それと、西園寺はお前達に預ける。」


小泉「え…?いいのかな?まだ日寄子ちゃんに了承を取ってないのに。」

弐大「西園寺はまだ、目覚めないからのう。」


澪田「でも日寄子ちゃんって、カムクラの件で未来機関のお尋ね者になったんじゃなかったっけ?」

澪田「なら唯吹達と一緒にいないと、日寄子ちゃんが未来機関に消されちゃうっす!!」




苗木「はは…。いくらカムクライズルを失ったからと言ってもね。」

苗木「“超高校級”の才能を持つ人間を未来機関はそう簡単には切り捨てないよ。」

小泉「え?じゃあアタシ…そもそも日寄子ちゃんを脅せてすらいなかったの!?」


苗木「う~ん。どうかな?むしろ西園寺さんは小泉さんの脅しを、きっかけに使ったんじゃないのかな?」

田中「きっかけだと?何のだ。」

苗木「あはは…。皆まで言うと、西園寺さんにののしられそうだから。」


苗木「西園寺さんもきっと、小泉さんと同行することを望んでいるよ。だから、連れて行ってあげてほしい。」

小泉「うん…わかった。」




十神「そろそろ、出発した方がいい。いつここがばれるかもわからないんだ。」

小泉「はい。いろいろお世話になりました。」

小泉「この恩は…。えっと…どうやって返せば…」


苗木「はは。お礼なんていいよ。とりあえず今はね。」

苗木「そうだね…。リクエストを受けてくれるのなら…」

苗木「オ―ソドックスに、外の皆の“笑顔”なんかがいいんじゃないかな?」


十神「ふん…。凡人の苗木らしい、ありきたりすぎる答えだな。」

苗木「はは、ごめん…。」


小泉「でも…きっと、苗木さんのリクエストに応えて見せます。」

小泉「それが…アタシにできる、精一杯の償いでもあるんだから…。」




小泉「じゃあ…出発しよっか。」


澪田「いままでいろいろありがとう!!かませの方の白夜ちゃん!!」

田中「ふはははははは!!!!この俺様からも、礼を言うぞ…ありがとうございます!!」

弐大「ワシもこいつらをマネジメントする身として、心から礼を言うぞ…!!」

小泉「さようなら。苗木さん。十神さん。本当に、ありがとうございました。」


小泉「この恩は、絶対に忘れません。」








苗木「行っちゃったね…。」

十神「本当に良かったのか?実はあいつらは、絶望に戻っただけなのかもしれないぞ?」


苗木「いや、それはないよ。」

十神「何だと?根拠はあるのか?」


苗木「う~ん。だってボクは…」






苗木「エスパ―だから。」




十神「…はぁ。付き合わされる身にもなってほしいものだな。」

苗木「はは…いつもごめん。」




十神「まぁ…お前がそういう人間だから、俺もこうしてついてきているわけだがな。」

十神「お前の意見に従うと、どういうわけか事態がいい方向に転がることが多い。」

十神「まさか霧切達を失っても、あいつらを助ける意思を貫くとは思ってもいなかったぞ?」


苗木「ボク達が立ち向かうべき相手は彼女たちじゃない。」

苗木「あくまで、彼女たちを陥れた元凶の“絶望”だけなんだ。」




十神「そうか。なら…それを未来機関との交渉で、材料にでもするか?」

十神「絶望の残党を逃がした件の言い訳くらいにはなるかもしれないな。」


苗木「うっ。まあ、未来機関への言い訳は…もっと綿密に考えないとね。」




―希望船ウサミ号―


澪田「これで、お別れなんすね。この島とも、白夜ちゃん達とも…。」

田中「名残惜しくなどはないが…。」

弐大「いざ去るとなると、何か心に来るものがあるのう!!」

小泉「はは…そうだね。」




小泉「でも、アタシ。ここを去っても…」

小泉「…」


澪田「去っても?」





小泉(ずっとずっと、忘れないよ。皆。)


小泉(絶対に…アンタの事を、忘れないよ。)



小泉(狛枝。)







澪田「で…。世界の復興のために、唯吹達はまず何をするべきなんすか?」


小泉「外の皆は今…アタシの写真によって、絶望に微笑んでいるんだ。」

小泉「絶望に微笑んで…もっと“エガオ”になるために、さらなる絶望を蔓延させようとしてる。」

小泉「それこそが絶対の正義だと信じて疑ってない。」


小泉「だからとりあえず…。皆の洗脳を解いてあげなきゃ。」

小泉「アタシの撮っていた“エガオ”の写真が…狂ったものだと気付かせてあげないといけない。」


田中「…」




田中「本当にいいのか?」

小泉「え?」


田中「洗脳を解くということはつまり…」



田中「自分の罪を認めるということだ。」

小泉「…」




弐大「そうじゃのう。外の世界の人間は、洗脳されているからこそ小泉を恨まない。」

澪田「むしろ“超高校級の母”なんて呼んで、崇めてさえいるんすよね。」


弐大「その状況で洗脳を解くとなると、まるで…」

弐大「戦後に起きた、天皇の人間宣言のようなものじゃのう。」


田中「己の間違いに気づいた人間たちは、最早小泉を敬ったりはしないだろう。」

弐大「むしろ、世界中の人間に怒りの矛先を向けられることになるじゃろうな。」


田中「それでも…洗脳を解くのか?」

小泉「…」





小泉「当たり前でしょ。アタシはもう、自分の命を償いにささげることに決めてるんだ。」


小泉「こんなのはアタシの勝手な、自己満足に過ぎないかもしれないけど。」

小泉「せめてアタシの命ある限り、世界の復興に身を注ぎたいの。」


小泉「だからいまさら、自分の罪を認めることに躊躇なんかしてられない。」




田中「…」


田中「フッ。たしかに、聞くまでもなかったか。」

弐大「まあ小泉なら、そう言うと思っとったわい!!」



小泉「それに、アタシが…自分の罪を償って償って償い続けていれば…」


小泉「もしかしたら、皆も…」






「許すわけないでしょ。」





小泉「え?」


澪田「日寄子ちゃん!!起きたんすか!!」



西園寺「まあね…。多分これ、わたしの人生で5本指に入る寝覚めの悪さだよ。」

西園寺「まさかこんな形で、生き永らえてしまうなんて…」


小泉「日寄子ちゃん…。」




西園寺「それで、小泉おねぇ。」


西園寺「小泉おねぇがいくら自分の罪を償ったところで、誰も小泉おねぇの事を許してなんてくれないよ。」

西園寺「小泉おねぇもわかってんでしょ?復讐者が相手に望むことは、償いなんかじゃない。」


西園寺「ただ、相手が…どれくらいの報復を受けるか。どう苦しんで死ぬか。」

西園寺「復讐者の頭をしめるのは…それだけだよ。」


小泉「…」




小泉「そうだね。ごめん、日寄子ちゃん。アタシさっき、欲を出しちゃったね。」

小泉「アタシなんかがこの先もずっとずっと生きたいなんて、思っちゃダメだよね。」


小泉「アタシは、いつ殺されてもおかしくないけど。死ねと言われたら死なないといけない存在かもしれないけど…」

小泉「それでもアタシが生きている限りは、世のために尽くして…」

小泉「世の中が復興すればそのまま、誰にも気づかれないところで人知れず朽ち果てるのがお似合いよね。」


西園寺「…」




西園寺「なんでそう言う風にとらえるかな。」

小泉「え?」


西園寺「人類史上最大最悪の絶望的事件が収束に向かうにつれて…」

西園寺「小泉おねぇに報復しようとする輩は加速度的に増えていくだろうね。」



西園寺「だからさ…わたしがいないと小泉おねぇ、すぐに死んじゃうと思うんだ。」

小泉「え…それって、ひょっとして!?」




西園寺「まぁ…こうして生き永らえたのも、何かの縁かもしれないし。」

西園寺「もしかしたら神様が、小泉おねぇにはわたしが必要だって囁いてるのかもしれないし…」


西園寺「だから…わたしが、小泉おねぇを守ってやるって言ってんの。」

小泉「ひ、日寄子ちゃん…!!」




小泉「ありがとう、日寄子ちゃん!!日寄子ちゃんだいすき!!」

西園寺「うわっ!!ちょっと、抱きつくなって!!」


弐大「普段とは逆じゃのう。」

澪田「ははっ!!ついに日寄子ちゃんがデレたっす!!」




西園寺「ふんっ。勘違いしないでよ。」

西園寺「わたしが守ってあげるって言ったのは、小泉おねぇだけだから。」

西園寺「他のモブたちは、自分で自分の命を守るんだね。」


田中「ふん、素直じゃないな。」

西園寺「な、なんだその上から目線の発言は!!」




西園寺「特に、澪田おねぇ!!」

澪田「え?」


西園寺「わたしはまだ…アンタを許したわけじゃないからね。」

澪田「…」




西園寺「本当は、小泉おねぇにアンタを殺してほしかったけど…」

西園寺「そうすることで、小泉おねぇとの絆を確認したかったけど。」


西園寺「どうやらその必要は、もうないみたいだから。」

西園寺「アンタは殺されなくて済んだのかもしれないけどさ。」




西園寺「それと許すこととは、何の関係もないよね?」

西園寺「だからわたしは、アンタを許すことは永遠にないだろうね。」


澪田「…そっか。」

澪田「じゃあ、唯吹は…」





西園寺「だけどわたしたちが小泉おねぇを支持している間は、協力してやろうって言ってんの。」


澪田「え?」




西園寺「わたしが小泉おねぇ側についたなら、いやでも澪田おねぇと一緒にいないといけないわけだし…」

西園寺「わたしと澪田おねぇがいがみあったところで、小泉おねぇの心労を増やすだけだからね。」


澪田「ひ、日寄子ちゃん…!!」

澪田「ありがとう日寄子ちゃん!!恩に着るっす!!」

西園寺「だ、だから抱きついてくんなっていってんだろ!!」


弐大「はっはっはっはっ!!!!仲良きとはいいことじゃのう!!」

西園寺「誰が仲良しだ!!こんな耳がいいだけで、ドリルしか能がない変態女なんかと!!」

田中「ドリルは能でありえるのか?」




小泉「はは…。日寄子ちゃん。アタシの味方に付いてくれたということで。」

小泉「落ち着いたら、日寄子ちゃんの舞踊をもう1度見せてくれないかな?」

小泉「それくらいなら、高望みじゃないよね?」


西園寺「…ふんだ。わたしの演舞をみようなんて、強欲以外の何物でもないよ。」

西園寺「まあ…小泉おねぇになら、見せてあげてもいいけど。」


小泉「あははっ。日寄子ちゃんならそう言ってくれると思ってた!!」

弐大「これで楽しみが、1つ増えたのう!!」

田中「ふん…。せいぜい楽しませてくれよ。」

西園寺「他の奴はダメ!!どうせすぐ寝るだろうし!!」


弐大「がっはっはっは!!!!このワシが、選手のマネジメントをわすれて居眠りなどするわけがなかろう!!」

西園寺「まったくもう…。ここの連中はうるさい奴が多いよ。本当にわたしの踊りを理解できんのかよ。」

小泉「まあまあ、日寄子ちゃん。そう言わずに。」





澪田「BGMは唯吹に任せるっす!!」


小泉「え?」

田中「え?」

弐大「え?」



西園寺「あはは!!それはいいかもしれないね―!!」

西園寺「わたしの舞踊と澪田おねぇのハイセンスなBGMがあれば、頂点だって狙えるよ!!」


小泉「ちょ、ちょっと、なんの頂点を目指そうってのよ!?」

田中「あの瘴気に再び見舞われれば、破壊神暗黒四天王の身が持たん…!!」

弐大「マネ―ジャ―として、それを見逃すわけにはいかんぞぉ!!」


西園寺「え―?どうして?おもしろい提案だと思ったんだけどな~。」

小泉「ま、まあこの話はまた今度ということで…」




澪田「あっ!!みんな、あそこを見るっす!!」

小泉「え?」


澪田「ほら、あそこ!!太陽が真上にあるっすよ!!」

弐大「そうか…今はちょうど、太陽が南中するくらいの時間なのか。」




西園寺「太陽ね…。今のうちに、見れるだけ見ておいた方がいいかもよ。」

小泉「え?」


西園寺「ジャバウォック島を離れれば、汚染された大気によって空なんて見えないからね。」

西園寺「ひょっとしたら、太陽をみれるのは生涯これで最後かもよ―?」

田中「そうか…。」




澪田「いや、そんなことはないっす!!」

澪田「太陽はきっと、また空に昇るようになるよ!!」

西園寺「え―?どうしてそんなことが言えるの?」


澪田「だってここに、もう1つの太陽が出てきたところなんすから!!」

田中「もう1つの太陽だと…?貴様はなんの話をしている。」


澪田「えっと、ほら…太陽が空の真上に来る時間と…」





弐大「そうか、小泉の名前をかけたというわけじゃな。」


小泉「え?」




西園寺「真昼、ね…。」


西園寺「澪田おねぇのわりには、洒落たことを言うじゃん。」

澪田「あはは!!もっと褒めてくれてもいいんすよ!!」



小泉「太陽、か…。アタシ…そんな存在になれるのかな?」


田中「ふん。“超高校級の母”とも呼ばれた貴様が今さら、謙遜でもしているつもりか?」

小泉「あはは…。なんか、そう言われるとちょっと自信が出て来るかな…。」





小泉(そうだ。アタシは…)


小泉(小泉真昼は、なってみせる。)




小泉(狂ったエガオなんかじゃなく、普通に流れている幸福な日常に対して自然と笑顔になれるような写真を撮って。)


小泉(絶望に今も苦しむ世界中の皆に希望を与えることができる、太陽のような存在に。)





小泉(それが…“超高校級の写真家”である小泉真昼が、小泉真昼であるための自己表現だから。)






EPILOGUE また、日が昇る時間   END





これで6スレにもわたった、『もし小泉さんが主人公だったら』は終了です。


生き残りは、田中・弐大・西園寺・小泉・澪田の5人でした。

1スレ目で小泉以外の3人もあてた猛者がいてビビりました。

でも西園寺はあてられませんでしたね。(当てられた奴いんのか?)


『もし小泉さんが主人公だったら』が絶望的過ぎて辛いという人がいれば、


小泉さんが強くてニュ―ゲ―ム的なことをする、いわゆる2週目みたいなものでも書こうかなって思ってますが…

需要ありますかね?

それとも、蛇足かな?




たてました。2週目です。


もし小泉さんが主人公だったら 【ダンガンロンパ2】 repeated despair - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1414329511/)


更新ペ―スにはあまり期待しないほうがいい。



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