京子「終末の過ごし方」(292)
~金曜日~
結衣「明日、大隕石が地球に衝突する…か」
ちなつ「何か、実感わかないですよね…私たち全員死んじゃうなんて…」
あかり「う、うう…あんまりだよぉ」シクシク
ちなつ「西垣先生とかでも何とかならないんでしょうか…」
結衣「ああ、私も気になって聞いてみたんだけど…」
結衣「大隕石を吹き飛ばす算段はあるらしい」
ちなつ「ほ、本当ですか!?」
結衣「西垣先生、他国の研究者たちとも連動して動いてるらしいからね」
結衣「けど、どんなに急いでも5日かかるらしいから…絶対に間に合わないって…」
ちなつ「そ、そんな…」
あかり「……希望がある分、絶望が深まるって、本当だね…」
京子「おはよう!諸君!」パーン
結衣「京子…」
ちなつ「……おはようございます…」
あかり「……京子ちゃん、何時も元気だね…」
京子「なんだよ~、みんな、暗いぞ?もっと元気出して行こうよ!」
結衣「お前、状況判ってるの?」
ちなつ「明日、世界が終わっちゃうんですよ?」
ちなつ「そんな能天気にはしてられません…」
あかり「そうだよ……」グスン
京子「もう、泣かないでよ、あかり」
京子「……終末が来るからこそ、だよ?」
京子「よく考えて?これで、全部が終わりなんだよ?」
京子「最後の瞬間に、悔いを残さないようにする為に」
京子「今日、出来る事をやった方が、いいに決まってるよ」
結衣「京子……」
ちなつ「京子先輩…」
あかり「京子ちゃん…」
ちなつ「……そうです、よ…」
ちなつ「そうですよね、明日で最後なんですから…」
ちなつ「ちゃんと、終わらせたいです、私…」
京子「うん、ちなつちゃん、その通りだよ」
京子「頑張って…」ボソッ
ちなつ「きょ、京子先輩…」
京子「あかり」
あかり「え…?」
京子「という訳だから、ちょっと公園へ遊びに行こうぜ!」
あかり「え、ええええ!?」
ちなつ「ゆ、結衣先輩!」
結衣「え、あ、なに?」
ちなつ「ちょ、ちょっと、お、お話が、あります///」
あかり「あの、京子ちゃん?ちなつちゃん達は…」
京子「今はさ、2人っきりにしてあげようよ」
あかり「京子ちゃん…?」
京子「私も、あかりと一緒に居たいしさ」
あかり「京子ちゃん///」
~公園~
京子「いやあ、滑り台なんて久しぶりだねえ♪」
あかり「そうだね、小さい頃は、良く一緒に滑ってたよね…」
あかり「覚えてる?その頃の京子ちゃん、滑り台に登るの恐がって…」
あかり「あかりか、結衣ちゃんが手引いてあげないと上がれなかったんだよ」クスクス
京子「も、もう、そんな事、覚えて無くてもいいよ///」
あかり「うう、流石に2人で登ると狭いね///」
京子「よし、あかり、私の膝の上に乗って?」
あかり「え、京子ちゃん、それは、ちょっと恥ずかしいかも///」
京子「ほらほら、早く早く~」
あかり「わわ、京子ちゃん、引っ張らないでよぅ」
あかり(うう、狭いから京子ちゃんと密着しちゃうよ///)
あかり(けど、京子ちゃん、からだ、なんだかひやっとする…)
あかり(あかりが、温めてあげたいな…)
京子「よし、滑るぞ!あかり!」
あかり「う、うん///」
ズズズズズズズ
京子「小さい頃はもっと爽快に滑れてたのになあ…」
あかり「仕方ないよ、私たち、大きくなっちゃったんだし」
京子「私は、ずっと小さいままでもよかったけどね」
あかり「京子ちゃん?」
京子「ずっとさ、結衣やあかりに手を引かれて」
京子「守られたまま、過ごすのも、良かったかなって…」
あかり「……うん、そうだね」
あかり「ずっと、小さいままでも、良かったかも…」
あかり「けどね、京子ちゃん」
あかり「私は、今の、強い京子ちゃんも、好きだよ」
あかり「私の手を引いてくれる、京子ちゃんも、好きだよ…」
京子「あかり……ありがとう…」ナデ
あかり「きょ、京子ちゃん///」
京子「あのさ、あかり…」
京子「終末、私と一緒に、過ごさない?」
あかり「え……」
京子「私、この終末をあかりと過ごしたいんだ」
あかり「けど、あの、私で、いいの…?」
あかり「結衣ちゃんや、ちなつちゃんや、杉浦先輩は…」
京子「聞いて、あかり」
あかり「……」
京子「私は、この時間を、あかりと過ごしたいの」
あかり「きょ、京子ちゃん…」
あかり「ありがとうね、京子ちゃん、やっぱり優しい…」
あかり「あかりが寂しくないようにって、気を遣ってくれ…」
チュ
あかり「京子ちゃん///」
京子「気を遣ったわけじゃ、無いの」
京子「私は、あかりのことが好きだから」
京子「あかりの事を、愛してるから…」
あかり「きょうこちゃん///」
京子「あかり、返事、聞かせて欲しい…」
あかり「……私も、私も、京子ちゃんの事が、好き…」
あかり「最後の瞬間まで…京子ちゃんと一緒に過ごしたいよ…」
京子「ありがとう、あかり…」ギュ
あかり「京子ちゃん…」ギューッ
~終末~
あかね「あかり、起きて」
あかり「う、ううん…おねえちゃん…?」モゾモゾ
あかね「朝ごはん、出来たわよ」
あかり「あ、ありがとぉ」ファー
あかり「京子ちゃん、京子ちゃんも、起きて」ユサユサ
京子「うーん…あかり、もうちょっと寝かせて…」
あかり「もう、京子ちゃん、寝すけさんなんだから」プー
あかり「京子ちゃんの分も、あかり食べちゃうよ?」
京子「う、うう、それは嫌だ…」モゾモゾ
京子「……あ、おはようございます、あかねさん」
あかね「おはよう、京子ちゃん」ニコ
あかり「わあ、朝から豪勢だねえ」
あかね「ええ、今日で最後だから、奮発しちゃったの」
京子「いっただっきまーす♪」
あかり「わ、ずるいよ、京子ちゃん、あ、あかりも、いただきます!」
京子「あかねさん、これ美味しい♪」
あかね「ふふ、京子ちゃん、ありがとう」
京子「はい、あかり、こっちのも美味しいよ?あーんして?」
あかり「う、うう、京子ちゃん、恥ずかしいから嫌だよ///」
京子「もう、昨日の夜は、あんなに素直だったのになあ」
あかり「あ、あわわ///京子ちゃん!?///」
京子「ふふ、続きを言われたくなかったら、あーんしようか♪」
あかり「う、うう…あーん///」
よんでるちょーよんでる
あかね「京子ちゃん、本当に、ありがとうね」
京子「え?」
あかね「あかりと、最後まで一緒に居てくれて」
あかり「ちょ、お姉ちゃん///」
京子「わたし、あかりの事が好きですから、あたりまえですよ」
京子「ね、あかり」ダキ
あかり「……うん///」
あかね「あ、そろそろ時間だわ」
京子「え、もう?」
あかり「えーん、結局、トランプ1回も勝てなかったよ…」
京子「あかり、ほら、こっちおいで」
京子「最後は、一緒に居よう?」
あかり「……うん」
京子「あかり」
あかり「何、京子ちゃん…」
京子「私、最後の瞬間をあかりと迎えられて、幸せだよ」
あかり「うん、私も、幸せ…」
京子「あかり…」
あかり「京子ちゃん…」
チュ
≪こうして、世界は終末を迎えた≫
~金曜日~
結衣「明日、大隕石が地球に衝突する…か」
ちなつ「西垣先生とかでも何とかならないんでしょうか…」
結衣「ああ、私も気になって聞いてみたんだけど…」
結衣「大隕石を吹き飛ばす算段はあるらしい」
結衣「けど、どんなに急いでも4日かかるらしいから…絶対に間に合わないって…」
ちなつ「そ、そんな…」
あかり「……希望がある分、絶望が深まるって、本当だね…」
個人的には
あかり「・・」ピッ
ニュースキャスター「本日○時に落下が予定されている隕石が(ry」
あかり「ああ・・・おわっちゃうんだよね・・」グスン
あかり「あかりも・・みんな死んじゃうんだよ・・ね・・」ウルウル
あかり「まだ死にたくないよぉ・・・」ポロポロ
みたいなのを希望する!!
京子「おはよう!諸君!」
ちなつ「京子先輩…こんな時でも能天気ですね…」
京子「もう、ちなちゅったら、そんな顔しないで!」ダキッ
ちなつ「もう、離してください!というか、ちなちゅって言うな!」
京子「そうそう、そうやって、ツンツンしてるほうが、ちなつちゃんらしいよ?」
ちなつ「……私のことなんて、何も知らない癖に」
京子「ちなつちゃん…?」
ちなつ「私のこと、何も知らないくせに、判ったような口、きかないで」
あかり「ちなつちゃん、落ち着いて…」
ちなつ「………ごめん…」
ちなつ「私、やっぱり、もう帰ります…」タッ
京子「ちなつちゃん!」
~校舎玄関~
ちなつ「はぁ…はぁ…はぁ…」
ちなつ「私、何やってるんだろ…」
ちなつ「みんなと過ごせる、最後の機会なのに、こんなこと…」
ちなつ「あ、あははは…」
ちなつ「まあ、けど、お似合いだよね」
ちなつ「私みたいなの、1人で、最後を過ごすのが、お似合い…」グスン
京子「ちなちゅー」ダキ
ちなつ「ぎゃっ!?」
京子「ぎゃって、ちなつちゃん、女の子の驚き方じゃないよ…」
ちなつ「きょ、京子先輩!?どうしてここに…!」
京子「どうしてって、ちなつちゃんが心配で追いかけて来たに決ってるじゃん」
ちなつ「……京子先輩」
ちなつ「……」ゴシゴシ
ちなつ「最後だから聞きますけど、どうして、そこまで私を気にしてくれるんですか?」
ちなつ「私がミラクるんに似てるから、ですよね?」
ちなつ「けど、京子先輩も、判ってるでしょ」
ちなつ「私、ミラクるんたいに、純粋じゃないです」
ちなつ「世界の為に、自分を犠牲にしようとか、考える子じゃないです」
ちなつ「寧ろ、自分の事しか考えてませんよ」
ちなつ「今だって、結衣先輩が追いかけてきてくれたら良かったのにって…思ってるんですから」プイッ
京子「うん、ちなつちゃんが腹黒だっていうのは、知ってるよ」
ちなつ「……はっきり、言いすぎです…」
京子「けどね、私は、そんなちなつちゃんも含めて、好き」
京子「腹黒な癖に純粋で、少し臆病で、頑張ってるちなつちゃんが、好きなの」
ちなつ「京子先輩…」
京子「ごめんね、結衣じゃなくて…」
京子「けど、結衣とちなつちゃんが終末を過ごす為の手伝い位なら出来るから…」
京子「もう少し、一緒にいさせて欲しいな…」
ちなつ「……」
ちなつ「ごめんなさい……」
京子「……そっか」
京子「うん、ありがとう、正直に、言ってくれて」
ちなつ「……嘘なんです…」
京子「え…?」
ちなつ「私、京子先輩を傷つける為に、嘘ついてました…」
ちなつ「試す為に、嘘ついてました…」
ちなつ「ほ、ほんとうは、結衣先輩より、京子先輩が来てくれたことが…」ウルッ
ちなつ「嬉しかったんです」ヒック
京子「ちなつちゃん…」
ちなつ「ずっと、好きって言ってくれてたの、嬉しかったです」グスン
ちなつ「わたし、馬鹿だから、それ信じられずに、ずっと誤魔化してました」ヒックヒック
ちなつ「け、けど、もう最後だから…最後だから言います…」ゴシゴシ
ちなつ「何時も、好きって言ってくれて、ありがとう」
ちなつ「私も、京子先輩のことが、好きです」
京子「ありがとう、ちなつちゃん…」
ちなつ「私、京子先輩と、会えなくなるなんて嫌です…」
ちなつ「だから、だから、もう少しとか言わず…ちゃんと最後まで、一緒にいてください…」
京子「……なつちゃん…」ダキッ
ちなつ「ふあ///」
京子「私も、終末をちなつちゃんと、過ごしたい…一緒にいたいよ…」
ちなつ「……はい///」
~終末~
京子「ちなつちゃんの髪、綺麗だよね…」サワサワ
ちなつ「……うにゅ」zzz
京子「ふふふ、本当に可愛いなあ、天使みたい…」ツンツン
ちなつ「……みゅう」zzz
京子「このまま、最後まで私の腕の中で寝させておいてあげたいな…」
京子「ちなつちゃん、怒るかな」
京子「けど、いいよね…恐い思いをしなくて済むんだから」
京子「ちなつちゃん、ありがとう、私を選んでくれて…」
チュ
京子「私、最後の瞬間をちなつちゃんと迎えられて、幸せだよ…」
ちなつ「うーん…きょうこせんぱい…?」モゾモゾ
京子「あれ、ちなつちゃん、起きちゃった?」
ちなつ「今何時ですか…?学校は…」ポーッ
京子「……大丈夫だよ、ちなつちゃん…」クスッ
京子「もう少し、寝てても平気だから…ね…?」
ちなつ「はい…じゃあ、もう少し…」モゾモゾ
ちなつ「おやすみなさい、京子先輩…だいすきですよ…」zzz
京子「ちなつちゃん、おやすみ…」
京子「いい夢、見てね…」
≪こうして、世界は終末を迎えた≫
~金曜日~
京子「うわわ、もうこんな時間!」
京子「早くしないと、あの子帰っちゃうよ!」タッタッタッ
ドーーーン
京子「わわっ」コロン
??「きゃっ」ドサッ
京子「いたたた…」
千鶴「……」
京子「ち、千鶴、ごめん、ぶつかっちゃった…」
千鶴「その声は…歳納か」チッ
京子「本当、ごめんね、立てる?」パキッ
京子「あれ、何か踏んだ」
京子「あ、眼鏡…」
千鶴「お、お前、まさか私の眼鏡踏んだのか?」
京子「ご、ごめん、バラバラになっちゃった…」
千鶴「……」チッ
千鶴「どうしてくれるんだ、もう代えの眼鏡も用意できないのに…」
京子「うう、ごめんよお…」
千鶴「……」チッ
千鶴「もういい、お前、どっか行け」
京子「え、けど…」
千鶴「私は、1人ででも何とかなる」
千鶴「お前、急いでたんだろ」
千鶴「だったら、さっさと行ってしまえ」
京子「でも…」
千鶴「はっきり言わないと判らないのか、お前、邪魔なんだよ」
千鶴「私は1人で最後を迎えたいんだ」
千鶴「邪魔をしないでくれ」
京子「……わかった…」
京子「じゃあ、もう、いくよ、ありがとう…」タッタッタッ
千鶴「……」
千鶴「……さて、図書室に行くか…」
千鶴「あそこなら、拡張レンズくらいは置いてあるだろ…」
千鶴「……」ソロソロ
千鶴「……」コツン
千鶴(あ、しまった…)
ガシッ
千鶴「……あれ」
京子「千鶴、大丈夫?」
千鶴「お前…何やってるんだ」
京子「え、何って…千鶴がこけそうになってたから支えてるんだけど」
千鶴「そうじゃなくて、何でここに居るのかって事だ」
千鶴「お前、誰かの所へ行こうとしてたんだろ」
千鶴「私なんて構うな、こんな非常時に」
京子「私は、千鶴のところに行こうとしてたんだよ」
千鶴「私のところに…?」
京子「うん、だって……千鶴、ずっと1人で学校に来てたし」
京子「だから、私達と合流しないかなって…」
千鶴「……余計なお世話だ」チッ
千鶴「私は、自分で望んで1人でいるんだ」
千鶴「1人で最後を迎えるつもりなんだ」
千鶴「お前の身勝手な解釈で、私の最後を汚さないでくれ」
京子「千鶴…」
千鶴「わかったら、離せ」
千鶴「私は1人で図書室に行ける」
京子「そんなの、嘘だよ」
千鶴「嘘じゃない、何日も通ってるんだから、眼鏡が無くても辿り着ける」
京子「望んで1人で居るっていうのが、嘘だよ」
千鶴「なに…?」
京子「だって、千鶴、昨日、図書室で、泣いてたじゃない」
千鶴「……!」
京子「1人で大丈夫なほど強い人が、泣く筈ないよ…」
千鶴「……私が泣こうと、お前には関係ないだろ」
京子「関係、あるよ…」
千鶴「無い」
京子「あるもん!」
千鶴「私とお前に、何の関係があるんだ」チッ
千鶴「私は今まで1人で過ごしてきた」
千鶴「友達も作らず、姉さんとだけ過ごしてきた」
千鶴「姉さんは、綾乃さんの所へ行ってしまったから…」
千鶴「だから私が、1人で最後を迎えのは当たり前なんだよ」
千鶴「そんな私と、友達が多いお前に、何の関係があるって言うんだ?」
千鶴「慈悲でもかけてるつもりか?」
京子「………」
千鶴「……すまん、言い過ぎたな」
千鶴「確かに、図書室へ行くまでに私が怪我でもしたら、お前も目覚めが悪いだろうし」
千鶴「図書室までだけ、連れて行ってくれ…」
千鶴「それで、最後だ…もう、私に、構わないでくれ…」
京子「……」
~図書室~
千鶴「……助かったよ、歳納」
京子「……」フルフル
千鶴(喋っては、くれないか…)
千鶴(そりゃ、そうだろうな、流石の歳納も、私に呆れ果てただろうし)
千鶴(私なんかに構ってないで、お前は、お前の大切な人たちと過ごしてくれ…)
千鶴「さあ、1人だ、うん、気楽なもんだよ」
千鶴「姉さん達は、今頃、どうしてるかな…」
千鶴「……」
千鶴「何で、歳納の事しか、頭に浮かばないんだろ」
千鶴「最後の瞬間まで、姉さんと綾乃さんの事を妄想して過ごせば…」
千鶴「楽な週末を迎えられただろうに…」
千鶴「本でも、読むか…」
千鶴「ああ、ダメだ、眼鏡が無いから、全然字が読めない…」
千鶴「拡張レンズがどこかに…」ソロソロ
コツン
千鶴(くっ、また転びそうになった…)
千鶴(こんな調子じゃ…探し物をするのは無理だな…)
千鶴「情けない、歳納にあんな事を言ってたのに、この様か…」
千鶴(もう、本を読むのも、諦めよう…)
千鶴(やる事もないし…寝てしまうか…)
千鶴(寝てる間に、終末が訪れてくれたら、いいんだけどな…)
千鶴「……」
千鶴「……」zzz
~終末~
??「けれどもほんとうのさいわいは 一体なんだろう…ジョバンニが言いました」
??「ぼくわからない…カムパネルラがぼんやり 言いました」
千鶴「ん……むう…」ムクリ
千鶴「だれ?……姉さん?」ゴシゴシ
??「……」
??「姉さんだと思った?」
京子「残念!京子ちゃんでした!」
千鶴「……何やってるんだお前」
京子「いや、良く考えると千鶴、眼鏡なかったら本読めないんじゃないだろうかなって」
京子「だから、机の上においてあった本を朗読してみました」
千鶴「そんな事を聞いてるんじゃない!」
千鶴「……最後の瞬間なんだ、私なんて構ってるな」
京子「いやだよ、私、最後は千鶴と過ごしたいもん」
千鶴「…孤独な私に慈悲をかけようって言うのか?」
京子「……そうなの、かもね」
京子「私、千鶴が1人で泣いてるのを見て、胸が痛くなった」
京子「一緒に居てあげたいって思った」
京子「だから、これはただの自己満足なのかもしれない」
京子「……けど、私は本気だから」
京子「千鶴が本当に1人がいいなら、私は離れた所から、千鶴を見守って最後を過ごすつもり」
千鶴「……さっきは、喋ってくれなかった癖に」
京子「あれは……泣きそうだったから声出せなかっただけだもん」
千鶴「……本当にいいのか?」
千鶴「お前にとっては、娯楽部の皆と最後を過ごすのが一番だと…」
京子「千鶴」
千鶴「な、なんだよ」
京子「私が選んだ最後を、千鶴の判断で汚さないで」
千鶴「……すまん」
京子「じゃあ、朗読してあげるね?」
千鶴「わかった、ありがとうな…歳納」
京子「こんな事くらいしか、出来ないしね」
京子「…僕達しっかりやろうねえ…ジョバンニが胸いっぱい新しい力が湧くように」
京子「ふうと息をしながら言いました…」
千鶴「なあ、歳納」
京子「なに、千鶴」
千鶴「私達、もう少し早く仲良くなっていたら…」
千鶴「もっと、違う関係になれていたのかな…」
京子「……そうかもね」
千鶴「歳納、私は……」
≪こうして、世界は終末を迎えた≫
~金曜日~
~生徒会室~
千歳「綾乃ちゃん、ほんまにええの?」
綾乃「いいのよ…歳納京子だって、こんな時に邪魔されたくないでしょ…」
綾乃「だから、私は娯楽部には行かない…」
千歳「綾乃ちゃん…」
綾乃「さ、そんな事より、もう最後なんだから、この買い溜めたプリン食べてしまいましょ?」
千歳「……せやね、もう最後やもん、太るのとか気にせんと、ガンガン食べてしまおか」
綾乃「胸焼けなんて気にしない~♪」
千歳「綾乃ちゃん、相変わらず歌上手やねえ」クスッ
綾乃「と、当然よ、副会長なんだもん!」
千歳「流石、副会長やね」ニコ
千歳「む、むり、もう食べられへんわ…」グッタリ
綾乃「私も、この1個で最後にしておくわ…」グッタリ
千歳「…ちょっと、胸焼けが…外の風に当たってくるな」
綾乃「千歳、大丈夫?ついていこうか?」
千歳「大丈夫、すぐ戻ってくるし」カチャン
綾乃「ふぅ……歳納京子、今頃、何してるかしらね…」
綾乃「歳納京子の事だから、きっと、最後も、楽しく…」
綾乃「……」ガサゴソ
綾乃(歳納京子の…写真…)
綾乃(……やっぱり、これだけじゃ、ちょっと寂しいな…)
綾乃(………私も、私も、歳納京子と、一緒にいたいよ…)ウルッ
綾乃(伝えられなかったこと、つたえたかったよぉ…)グスン
綾乃(だめ、泣いてたら、千歳を心配させちゃう…)ゴシゴシ
カチャン
綾乃「あ、ち、千歳、早かったのね、もう気分は良くなった?」
京子「綾乃~♪」ダキッ
綾乃「と、歳納京子!?」
綾乃「あ、貴女どうしてここに!?」
京子「プリンの匂いにひかれてやってまいりました!」
綾乃「……娯楽部は、どうしたの?」
京子「さよなら、言ってきたよ、みんなには」
綾乃「どうして!?最後まで一緒にいればいいじゃない!」
綾乃「ぷ、プリンが欲しいなら、持って行ってくれていいから!」
綾乃「最後なのよ!?これで最後なのに、どうして…!」
京子「最後だから、綾乃と一緒に過ごしたいの」
綾乃「と、歳納京子…」
京子「綾乃、今までありがとう」
綾乃「え?」
京子「私、嬉しかったよ、綾乃が何時も娯楽部に来てくれて」
京子「テストの勝負挑んできてくれて」
京子「私と対等な立場で接してくれて」
綾乃「歳納京子…」
京子「私さ、小さい頃は泣き虫だったんだ」
京子「だから、ずっと結衣やあかりに守られてた」
京子「今は強くなったつもりだけど…それでも、結衣やあかりにはかなわないと思う」
京子「ちなつちゃんは、後輩だし…」
京子「だから、本当の意味で、対等に接してくれてたの、綾乃だけだと思う」
綾乃「べ、別に、私は、ただ、歳納京子に負けたくなかっただけで…」
綾乃(違う、私、そんな事、言いたいわけじゃ…)
京子「うん、ただの競争意識だったとしても、私は嬉しかった」
京子「嬉しくて、ドキドキした…」
京子「綾乃のことを想うと、何時も胸が温かくなった」
京子「だから、最後の瞬間は、綾乃と一緒にいたいの…」
京子「ダメ…かな?」
綾乃「……歳納京子」
綾乃「あのね、私、貴女に言っておきたいことがあるの」
京子「な、なに?」
綾乃「……テストの勝ち負けとか、私にとってはどうでもよかったの」
京子「え?」
綾乃「私は……私はね、歳納京子」
綾乃「貴女と会う為に…」
綾乃「娯楽部へ行っていたの」
綾乃「貴女と過ごす時間を、作りたかったの」
綾乃「貴女との思い出を…作りたかったの」
綾乃「だって、だって私は…」
綾乃「……貴女の事が」
綾乃「好きだから」
京子「……!」
綾乃「けど、私は臆病だから…」
綾乃「好きって言って、歳納京子に拒絶されるのが怖かったから…」
綾乃「だから、ずっと正直に言えなかった…」
綾乃「ずっと、怯えて生きてきた…」
京子「綾乃…」
綾乃「けど、もう、いいのかな…」ウルッ
綾乃「もう、我慢する必要、ないかな…」グスン
綾乃「正直に、言ってもいいのかな…」ヒック
京子「あやの…」
綾乃「あ、あははは、ごめん、ね」ゴシゴシ
綾乃「結局、言っちゃった、ごめん」
綾乃「歳納京子、気持ち悪いでしょ、だから、もう」
綾乃「娯楽部のみんなの所へ…」
京子「綾乃…ありがとう…」ギュッ
綾乃「……」
綾乃「駄目よ、歳納京子…」
綾乃「私なんかの言葉に惑わされちゃ、だめ…」
綾乃「最後だから、貴女も、正直に過ごすべきよ…」
綾乃「だから、娯楽部のみんなの所へ…」
京子「……うん、そうだね…」
綾乃「……ええ、そうよ…」
京子「判った…」スッ
綾乃「……」
綾乃「さようなら、歳納京子」
京子「綾乃…こっちを向いて」
綾乃「……なによ」
京子「私の、目を見て」
綾乃「……」
京子「私は、綾乃、貴女の事が、好きなの」
綾乃「……」
綾乃「じゃあ、その証拠を見せて」
綾乃「私、信じないから、歳納京子が私の事を、好きだなんて」
綾乃「そんな、幸せな終末は、私には…」
京子「じゃあ…」
チュ
京子「これで、信じてくれる…?」
綾乃「と、歳納京子…///」
綾乃「だ、だめよ、まだ…信じないわ…」
京子「うん、じゃあ…」
チュ
綾乃「あう///」
京子「これで、どうかな…」
綾乃「もっと、もっと…私を、信じさせて…歳納京子…」ギュッ
チュッ
チュッ
チュッ
綾乃「///」
京子「あ、綾乃…私ばっかりにさせるの、ずるいよ///」
綾乃「あ、ご、ごめんなさい///」
綾乃「ありがとう、歳納京子…」
綾乃「大好き…」ギュ
チューッ
京子「私も、好きだよ、綾乃…」
京子「最後まで、私と一緒に、居てほしいな…」ギューッ
~終末~
綾乃「歳納京子…なんだか、肌が冷たい…」
綾乃「大丈夫なの…?」
京子「うん…私は大丈夫…」
京子「それより、綾乃は、寒くない?」
綾乃「私も大丈夫…歳納京子が、傍にいてくれるもん…」
綾乃「千歳は…どうしたんだろ…」スリスリ
京子「千鶴の所に行ったんだと思うよ…」
綾乃「そう……だったら、大丈夫ね…」
京子「うん…」
綾乃「千歳には…色々苦労をかけたから…」
綾乃「最後の瞬間は…笑っていてほしいな…」
京子「綾乃…」ナデナデ
京子「綾乃…」
綾乃「なあに、歳納京子…」
京子「私も、綾乃には笑っていてほしいな…」
綾乃「…ええ、私、笑ってるわよ…」
綾乃「貴女のおかげ…ね…」ニコ
京子「もし、明日を迎えられて…」
京子「私が居なくなっていても…」
京子「どうか、その笑顔を忘れないで…」
綾乃「……え?」
京子「綾乃、好きだよ…」チュッ
綾乃「歳納京子…?」
≪こうして、世界は終末を迎えた≫
~金曜日~
結衣「明日、大隕石が地球に衝突する…か」
ちなつ「西垣先生とかでも何とかならないんでしょうか…」
結衣「ああ、私も気になって聞いてみたんだけど…」
結衣「大隕石を吹き飛ばす算段はあるらしい」
結衣「けど、どんなに急いでも明日の夜までかかるらしいから…間に合わないだろうって…」
ちなつ「そ、そんな…」
あかり「……希望がある分、絶望が深まるって、本当だね…」
結衣「みんなは、どうするつもり?」
ちなつ「私は…私は、家に、帰ります…」
ちなつ「お父さんや、お母さん達と一緒に…最期を迎えようかと…」
結衣「そう…」
あかり「あかりも、お姉ちゃんが、家で待ってるから…」
結衣「うん…」
ちなつ「京子先輩は、どうしたんでしょう」
結衣「京子は…ちょっと、風邪引いたみたいで…」
結衣「私の部屋で寝てるよ」
結衣「京子の家は、もう無人だからね…」
あかり「京子ちゃん、大丈夫なのかな…?」
ちなつ「…帰る時に、お見舞いにでも、行きますか?」
結衣「あかり、ちなつちゃん…もう、これで最後だから」
結衣「お見舞いより、二人が選んだ人達と一緒に過ごす時間を、大切にしてほしい」
あかり「結衣ちゃん…」
ちなつ「結衣先輩…」
結衣「じゃあ、私も、もう行くよ」
結衣「あかり、ちなつちゃん、今までありがとう」
結衣「二人と会えて、良かった」
結衣「これは、京子も同じだと思う」
結衣「本当に、ありがとうね」ニコ
ちなつ「結衣先輩…」
ちなつ「わ、わたしも、結衣先輩や、京子先輩や、あかりちゃんと出会えて」
ちなつ「本当に良かったです」ウルッ
あかり「ちなつちゃん…」ポロ
あかり「あかりも、あかりも、みんなに会えて、良かったよ」ヒック
あかり「だから、だから、もし、生まれ変わる事があったら」ポロポロ
あかり「もう一度、皆で、娯楽部、作ろうね…」グスン
結衣「……ああ、約束だ」
ちなつ「はい…」ヒック
~結衣宅~
結衣「ただいま、京子」
京子「……おかえり、結衣」
結衣「足は、もう大丈夫なの?」
京子「いや、動かないや…」
結衣「そっか…」
結衣「痛みは、無いんだよね?」
京子「うん、それは大丈夫」
京子「身体が凄く冷たいけど、それ以外は、快調だよ」
結衣「そか…良かった…」
結衣「もう、お医者さんもやってないからさ、どうしようかって不安だったんだ」
京子「結衣…ごめんね、最後まで迷惑かけて」
結衣「ふふ、今さら、何を言ってるんだよ」
結衣「子供のころから、京子を守り続けてきたんだ」
結衣「最後まで、ちゃんと守らせて?」
京子「うん……」
結衣「よし、晩御飯、出来たよ、京子」コトン
京子「おー、オムライスじゃないですか、結衣にゃん」
結衣「うん、京子、これ、好きだったでしょ」
結衣「ラムレーズンもちゃんとあるから、一杯食べて」
京子「ありがと!結衣!」
京子「ん~♪おいちい~♪」
結衣「京子、ほら、ほっぺにケチャップついちゃってるぞ?」
京子「えー、じゃあ、拭ってよ~」ンー
結衣「もう、仕方ないな京子は…」ツッ
結衣「ん、取れたよ、何時もの可愛い京子だ」
京子「///」
京子「あの、結衣、今日はどうしちゃったの///」
京子「何時もなら、冷静な突っ込もが来る所なのに///」
結衣「だって、本当の事だからさ」
結衣「京子は、やっぱり可愛いよ」
結衣「子供のころから、ずっと、そう思ってた」
結衣「ね、京子…」
京子「え、な、なに、結衣、顔が近いよ」
結衣「私、ずっとしてみたかった事があったんだ…」
京子「え……」
結衣「大丈夫、天井の染みを数えてる間に終わるから…」ハァハァ
京子「ゆ、ゆい…?」
京子「だ、だめ!」ドンッ
結衣「……」コロン
京子「あ、ご、ごめん、結衣…大丈夫だった?」
結衣「ぷっ…」
京子「え?」
結衣「だ、だめっだって…ぷぷぷっ」
京子「ゆ、ゆい、もしかして…!」
結衣「ご、こめん、笑うの我慢できない」ププー
京子「も、もう!もう結衣!びっくりしたんだから!」
結衣「あははは、何時も私がビックリさせられてたんだから」
結衣「最後くらいはいいだろ?」ニヤリ
京子「もう、結衣の意地悪…」プイッ
結衣「ごめんごめん、ラムレーズン、あげるから、さ?」
京子「よし、じゃあ許す!」
結衣「京子はお安い子だなあ」クスクス
結衣「じゃ、そろそろ、お風呂入れてくるよ」
京子「ありがと、結衣」
結衣「何時もの事じゃない、気にしないで」
結衣「じゃあ、ちょっとだけ待っててね」
京子「うん……」
京子「……」
京子「結衣、遅いな…」
京子「……もしかして、浴槽で、倒れたりしてないよね…」
京子(足、もう動かせないけど…)
京子(這ってなら…)ゴソゴソ
京子「……結衣?」
結衣「う……ヒック…」
京子「ゆい…?」
結衣「う、うう…京子…私、壊れちゃいそうだよぉ…」グスン
結衣「もう、もう、無理だよ、こ、こんな、何時もの私を演じるの」ヒックヒック
結衣「お願い、助けて……京子…」ポロポロ
結衣「私を…私をたすけてよぉ…」ヒック
結衣「……だきしめてよぉ…」グスン
京子「結衣…?」
結衣「……!」
結衣「あ、なんだ、京子、どうしたの…?」ゴシゴシ
結衣「あ、お風呂か、ごめん、まだ入ってないんだ」
結衣「も、もう少し、待ってね」ニコ
京子「結衣…ごめん…」
結衣「え、な、なにが?」
結衣「どうしてあやまるの?」
京子「聞こえちゃった…」
結衣「……」
結衣「そう……」
京子「結衣、私…」
結衣「……」
結衣「じゃあ、判るよね、京子」
結衣「私、もう無理だから」
結衣「何時もの、船見結衣じゃ、いられない」
結衣「もう、私は、貴女を守る事は出来ない」
結衣「それどころか、多分、私は貴女と居ると」
結衣「とんでもない、過ちを犯してしまう」
結衣「だから、もう……これで、さよなら」
結衣「最後まで、一緒にいられなくて」
結衣「……ごめんね…」タッ
京子「ま、待って!結衣、待って!」ガシッ
結衣「…離してよ、京子」
京子「お願い、行かないで…!私を一人にしないで…!」
結衣「……それは、お願いかな?それとも、命令?」
京子「お、お願い…」
結衣「……じゃあ、お願いするなりの態度を示して…」
京子「え……」
結衣「判るよね、京子、私の望んでる事」
結衣「それを示して」
京子「……」
結衣「それが出来ないなら、もう私は…」
京子「判ったよ、結衣…」
結衣「……」
京子「……」ゴソゴソ
結衣(私、何やってるんだろう…)
結衣(最後の時間なのに、京子に何させてるんだろう…)
結衣(けど、止まらない…)
結衣(せめて、さっき、京子が拒絶しなかったら…)
結衣(こんなことには、ならなかったのにな…)
結衣(……)
結衣(ああ、私、本当に最低だ)
結衣(最後の最後まで、京子のせいにして…)ポロ
京子「結衣…パジャマ、脱いだよ…」
結衣「う、うん…」
京子「///」モジモジ
結衣(照れてる、京子、可愛いな)
結衣(めちゃくちゃにしてあげたい)
結衣「あの、京子、触っても、いいかな…?」
京子「駄目って、言ったら、触らないでくれる?」
結衣「……」
結衣(そうだ、私は、獣になるんだ)
結衣(京子を襲う、一匹の獣になるんだ)
結衣(そして、そして…京子と…京子と…)プッ
結衣(あれ?)
結衣(鼻血…?)
結衣(何か、気が遠く…)
結衣(あ、そうか、私、お湯出しっぱなしで…)
結衣(京子の裸見たから、興奮して…)
結衣(う、うそ、私、獣になるんだよね…?)
結衣(が、がおーって、京子を…)フラッ
~終末~
結衣「……あれ」
京子「結衣、起きた…?」
結衣「京子…私…」
京子「結衣、お風呂で倒れちゃったんだよ…」ナデナデ
結衣「……そうか…」
結衣(何だろう、結衣に膝枕されて、頭撫でられてると…)
結衣(さっきまでの荒れた気持ちが、薄れてくる…)
結衣「……」
結衣「京子…さっきは、ごめんね…」
京子「謝らないで…私、結衣の悩みに気付いてあげられなかったんだから…」
結衣「……それでも、謝らせて…」
結衣「酷い事言って、ごめん…」
京子「結衣、大丈夫だよ」
結衣「なにが…?」
京子「今までは結衣が私を守っててくれたけど…」
京子「これからは、私が結衣を守ってあげるから…」
結衣「……ありがとう、京子…」
結衣(そうか、私は、多分…)
結衣(私は、多分、ずっと、京子に守ってほしかったんだ)
結衣(弱い私を…さらけ出して…それを守ってもらいたかったんだ…)
京子「結衣、大丈夫…?」
結衣「うん、もう大丈夫…」スリスリ
京子「もう、結衣、くすぐったいよ」クスッ
結衣「んん…」スリスリ
京子「……甘えん坊な結衣…」ナデナデ
京子「私が、いっぱい甘えさせてあげる…」ナデナデ
京子「結衣がこれからも泣く事がないよう、いっぱい…」
結衣「ん…大好きだよ、京子ぉ…」スリスリ
京子「私も大好き…愛してる、結衣…」チュッ
結衣「んう///」
京子「私の大事な王子様…」チュッ
京子「本当に今まで、私を支えてくれてありがとう」チュッ
京子「だから、今度は私が助けてあげるね…」
≪こうして、世界は終末を迎えた≫
≪終末の物語はここで終わる≫
≪故に、これ以降は読む必要が無い≫
≪終末を好む者は読む必要が無い≫
≪だがそれでも≫
≪救いを求めたいのであれば≫
≪物語を進めよう≫
~金曜日~
結衣「に、西垣先生!大隕石を吹き飛ばす算段がついたって、本当ですか!?」
西垣「ああ、今、射出用のロケットブースターが完成した所だ」
ちなつ「え、ほ、本当に?そんな都合のよい話、あるんですか!?」
あかり「け、けど、それが成功したら、もう終末は来ないんだよね!?」
綾乃「に、西垣先生!それなら、早く使いましょうよ!」
西垣「…いいのか?」
千鶴「いいも悪いも無いのでは?」
結衣「そ、そうですよ、早く!」
西垣「歳納もいいのか?」
京子『オッケーだよーん』
京子『もう、さんざん皆にはお別れしたしね』
結衣「……京子?」
ちなつ「京子先輩?」
あかり「京子ちゃん?
綾乃「歳納京子?」
千鶴「歳納?」
~屋上~
京子『では、行ってきます!』
西垣「ああ、行って来い、行って、隕石吹き飛ばしてこい」
結衣「 」
ちなつ「 」
あかり「 」
綾乃「 」
千鶴「 」
西垣「では、発射だ!」カチッ
ズドドドドドドドドドドドドドド
結衣「 」
ちなつ「 」
あかり「 」
綾乃「 」
千鶴「 」
~終末~
京子「 」
京子(あ、そうか、宇宙だから喋れないんだ)
京子(えーと、弾はよし、銃もよし、あとは狙いを定めて撃つだけ、と)
京子(まあ、あれだけ大きかったら、絶対にはずさないよね)
京子(よし、発射…!)
京子「……」
京子(うそ、銃、故障?)
京子(あ、駄目だ、トリガーがスカスカだ)
京子(ちょ、ここまで来て?)
京子(隕石見送るしかないの?)
京子「……」
京子(弾はある、銃はなくてもこれをブチ当てれば、隕石は吹き飛ぶ)
京子(じゃあ、方法は、一つしかないかな…)
京子(……)
京子(それにしても、広いなあ、地球)
『世界の為に、自分を犠牲にしようとか、考える子じゃないです』
京子(…うん、私もそうだよ、ちなつちゃん)
京子(世界はどうなったっていい)
京子(けど、私には…)
『最後の瞬間まで…京子ちゃんと一緒に過ごしたいよ…』
『私達、もう少し早く仲良くなっていたら…もっと、違う関係になれていたのかな…』
『…ええ、私、笑ってるわよ…貴女のおかげ…ね…』
『お願い、助けて……京子…私を…私をたすけてよぉ…』
京子(私には、守らないといけない大切な人達がいるから)
京子(だから、行くね…)
~最初の木曜日~
「多時空重力弾」
「その弾を隕石に撃ち込めば、完全に吹き飛ばせる」
「凄いじゃん!西垣ちゃん!え、もう終末問題解決?」
「いや、その弾はな」
「複数の時空の重力を束ねて爆発させるってシステムなんだが」
「このままでは使えないんだ」
「誰かが5つの時空を渡り歩いて、重力を集めてくる必要がある」
「誰もいないなら、私が」
「隕石の衝突エネルギーを利用すれば、時空を移動する事が出来る」
「ああ、心配するな」
「多時空重力弾で隕石を吹き飛ばせば」
「お前が渡った時空の隕石も全て消滅する」
「お前が渡った時空すべてが救われる」
「だが、忘れるな」
「お前は、時空を渡るたびに、変質するだろう」
「意思だけでなく、身体も変質し、動かなくなる可能性が高い」
「だから、何時も、想い続けろ」
「世界を救うための、動機を」
「何のために世界を救いたいのかを」
「何時も、それを心に刻みながら、進め」
「判ったよ、西垣ちゃん」
~最後の終末~
京子(よし、隕石、吹き飛んだ…)
京子(けど、私も、もう駄目だな…)
京子(もうじき、私にも爆風が…)
京子(……あれ?)
京子(隕石の中に…なにかが…)
ギロッ
京子(あれ、何…)
京子(黒い目玉のお化け…?)
京子(大きな、とてつもなく大きな目玉が…隕石の中に…)
京子(あれは…だめだ、爆発じゃ、壊せない…)
京子(……ごめんね、みんな…わたし…無理だった…)
京子(ごめんね…)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
あかり「……京子ちゃん?」
あかり「あ、あれ、さっきまで、私を抱いててくれたのに…」
あかり「ど、何処行ったの?京子ちゃん!?」
あかり「う、嘘だよ…ね…」
あかり「最後は一緒にいてくれるって、言ったのに…」
あかり「京子ちゃん、戻ってきてよ…京子ちゃん…」
あかり「京子ちゃん…」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ちなつ「むにゃ…」zzz
ちなつ「……あれ、私、眠ってたの…?」
ちなつ「もう、京子先輩、起こしてくださいよ…」ゴシゴシ
ちなつ「あれ…?京子先輩?」
ちなつ「……何処ですか?京子先輩」
ちなつ「……また、悪戯?怒りますよ、私」
ちなつ「きょ、京子先輩?」
ちなつ「京子先輩…!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
千鶴「歳納、私はお前の事……」
千鶴「あれ、歳納?」
千鶴「お、おい、何処に行ったんだ」
千鶴「私、いま、大切なことをお前に…」
千鶴「歳納…」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
綾乃「歳納京子…?笑顔忘れないでって…」
綾乃「あれ…」
綾乃「歳納京子?」
綾乃「……」
綾乃「私、信じてるわよ」
綾乃「さっき、散々、信じさせられたから…」
綾乃「だから、笑って待ってるから」
綾乃「歳納京子…」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
結衣「……京子?どこ?」
結衣「私、一人じゃ無理だよ…」
結衣「もう、一人じゃ、嫌だよ…」
結衣「京子、お願い、私を一人にしないで…」
結衣「また、甘えさせてよ…」
結衣「京子…」
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超展開にさせすぎた
みんな、ありがとう
想いをわけてくれてありがとう
世界を巡り、世界を宿す力
これがあれば
私はみんなを救う事ができる
絶対的な死を眠らせる事ができる
だから、まってて
わたしが帰るまで
もう少しだけ
何時か必ず
眠りから覚めて
貴女達の元に戻るから…
完
参考ゲーム
終末の過ごし方
ペルソナ3
長時間保守と、超展開に付き合ってくれて本当にありがとうございましてー
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