ちなつ「京子先輩だいすきっ!」 (81)
ちなつ「ねえ、結衣先輩ー。今日デート行きませんかー?」
結衣「きょ、今日は忙しいからまた今度ね」
ちなつ「残念です…。じゃあ京子先輩デートしましょう?」
結衣「!」
京子「ちなつちゃんからデートのお誘いきたあああ」
京子「ずっとアピールし続けた甲斐があるってもんよ」
ちなつ「早速いきましょ! 一秒でも早くデートしたいんですよ」
京子「おっけー!じゃあ私とちなつちゃんはこれから先に帰るから、あかりと結衣は二人で部活やっててね」
あかり「う、うん。いってらっしゃい」
結衣「…」
あかり「…なんか結衣ちゃん元気ないね」
結衣「うん…ちょっと」
あかり「ちなつちゃんのこと?」
結衣「まあね」
あかり「そっか…」
結衣「…」カチカチ
京子「ちっなつちゃんとデート♪」
ちなつ「はしゃぎすぎですよ」
京子「いいじゃんいいじゃん! ……ん?」
ちなつ「どうしました?」
京子「あ、いや今メールが来たんだけどただのメルマガだったよ」
ちなつ「そうですか。ねえ、あそこの服屋さん寄って行きません?」
京子「いいよー」
京子(結衣からのメール…『ちなつちゃんに気をつけて』ってどういう意味だ…?)
ちなつ「わぁ…この服かわいい」
京子「いいね!試着してみたら?」
ちなつ「えー、でも試着したら欲しくなっちゃいますよ」
京子「買っちゃえばいいじゃん!」
ちなつ「あの……実は今あんまりお金なくて」
京子「む……そうだなぁ…。もし似合ってたら私が買ってあげるよ!」
ちなつ「いいんですか!?」パァ
京子「うん!たまにはちなつちゃんにプレゼントってのもいいかなーって」
京子「今よりも可愛いちなつちゃんを見るのも楽しみだしね」
ちなつ「ありがとうございます!」
結衣「本当はこんなこと言いたくないんだけどさ」
あかり「うん」
結衣「あかり、ちょっとちなつちゃんに気をつけたほうがいいよ」
あかり「……」
結衣「私何度かちなつちゃんに遊びに誘われてて、時間のある時は付き合ってあげてたんだけど」
結衣「どうも…あまり言いたくないけど、私の財布が目的みたいなんだ」
あかり「……」
結衣「いつもお金がないって言って、出費は全部私から」
結衣「良い物があると、ちなつちゃんすぐに目を輝かせるから買ってあげないとダメな雰囲気になるし…」
結衣「おかげで私も今金欠なんだ」
あかり「……」
結衣「もしかしたら京子も今同じ目に…」
あかり「……」
結衣「京子には明日ちゃんと言っておくけど、あかりにも私みたいな思いはしてほしくないんだ」
結衣「だから、あかりは許せないかもしれないけど、ちなつちゃんを」
あかり「もう……遅いよぉ」
結衣「!?」
あかり「あかり、結衣ちゃんが気付くずっとずっと前から、ちなつちゃんのATMだったんだよぉ?」
あかり「あかりのお金がなくなっちゃったからちなつちゃんは結衣ちゃんに移ったんだよぉ」
結衣「じゃ、じゃあもしかしてあかりは…」
あかり「えへへ…財布空っぽだよぉ……空っぽになるまで断れなかったんだ…あかり弱虫だね」グスッ
結衣「あかり…!」ギュッ
あかり「ゆ、結衣ちゃん?」
結衣「気付いてあげられなくてごめんね。あかりは優しいから嫌だって言えなかったんだね」
結衣「ずっと辛かったね」ナデナデ
あかり「うぅ…ありがとぉ結衣ちゃん…」ポロポロ
あかり「…早く京子ちゃんに教えてあげないと」
結衣「京子にはメールでそれとなく伝えたつもりだけど、多分伝わってないだろう」
結衣「まあ今日一日で何万と使うわけじゃないだろうし、明日しっかり説明しておくよ」
あかり「京子ちゃん…心配だなぁ」
ちなつ「あ、これも欲しいです!」
京子「仕方ないなー。今日だけ京子ちゃんが買ってあげるぞ!」
ちなつ「わーい!」
ちなつ「ところで、そんなに大量の荷物を一人で持ってて大丈夫ですか?」
京子「大丈夫大丈夫!」
ちなつ「ひとつなら私も持ってもいいんですけど」
京子「私はちなつちゃんの荷物持ちだから気にしないで!」
ちなつ「さすが京子先輩!大好きです!」ダキッ
京子「ったく、ちなつちゃんはかわいいなぁ」
ちなつ「ちょっとそこの公園で一休みしませんか?」
京子「いいよー」
ちなつ「荷物とりあえず降ろしちゃってください」
京子「そうだね」
ドサッ ドサッ ドサッ ドサッ ドサッ ドサッ ドサッ
ちなつ「もうすっかり夜ですね」
京子「たくさん歩き回ったもんね」
ちなつ「いっぱい買っちゃったけど大丈夫ですか?」
京子「心肺ゴム用!ちなつちゃんが喜んでくれるって思えば私も嬉しいのさ!」
ちなつ「…そんな京子先輩、ちょっと尊敬しちゃいます」
京子「へへっ」
ちなつ「……月が綺麗ですね」
京子「…そうだね」
ちなつ「先輩…実は私、京子先輩に言わなきゃいけないことがあるんです」
京子「うん…教えて」
ちなつ「私……ずっと京子先輩のことが」
ちなつ「好きだったんです」
京子「…」
ちなつ「…よければ、私と付き合ってください」
京子「……ありがとう」
ちなつ「先輩?」
京子「私もすごく嬉しいよ!嬉しすぎて涙が出てくるくらい!」ジワッ
京子「出会った瞬間からずっとずーっとちなつちゃんのことが好きで」
京子「何度も何度もアプローチしてきて」
京子「それが報われたんだと思うとすごく嬉しい…」グスッ
ちなつ「先輩、私もですよ」
ちなつ「やっと私、素直になれました」
ちなつ「これからずっと一緒ですよ」
京子「うん!」ポロポロ
翌日
結衣「おはよ。京子」
京子「あーおはよう!」
結衣「なんだ、やけに元気そうだな」
京子「へへんっ」
結衣「ところで、どうして今日は先に学校行っちゃったの?」
結衣「いつも私たちと一緒に登校してるのに」
京子「ふふ…今日はね……」
京子「恋人と一緒に登校しちゃいました!」
綾乃「!」ガタッ
千歳「」
綾乃「と、と、歳納京子…今なんて?」
京子「え? だから恋人が出来たからその子と一緒に投稿したんだよ」
綾乃「あっ…あっ……」
結衣「京子、からかうのもほどほどにしろよ?」
京子「は? 嘘じゃないって!」
結衣「本当に?」
京子「本当に」
結衣(京子と恋人になるほど仲いい人なんていたっけな……)
結衣「まあいいや。それよりちょっと話したいことがあるから後で昼休み部室来て」
京子「? うん、わかった」
京子「~♪」ペラッ
結衣「何読んでるの?」
京子「バイト情報誌」
結衣「はぁ? お前バイトするの?」
京子「んーいやちょっと興味で見てるだけだよ」
結衣「ふーん…」
京子(流石に中学生で雇ってくれるところはないか…。それに金額少ないな)
京子(もっとたくさん稼げるバイト…あったらいいのにな)
綾乃「…………」ズーン
京子「綾乃?何落ち込んでるの?」
千歳「そっとしておいてあげて」
京子「でも落ち込んでるなら元気付けた方がいいんじゃないの?」
千歳「……歳納さん、それ本気で言うてる?」
京子「ど、どういう意味?」
千歳「歳納さんには恋で傷ついた人の心がわからへんの?」
京子「なっ!わかるよ!私だって好きな人にずっとアプローチし続けて、それでも全然報われなかった時はすごく悲しかったよ!」
京子「でも私は恋を叶えることが出来た!ってかそれを祝ってくれてもいいじゃん!」
千歳「…うちからは何も言うことはあらへんわ」スタスタ
京子「な、なんなんだよ」
昼休み
京子「結衣ー来たよー?」
結衣「ああ…わざわざごめん」
京子「いいって!私と結衣の仲だろ?」
結衣「まあちょっと京子に関して気になることはいろいろあるんだけど」
結衣「とにかくこのひとつは最初に言っておくよ」
京子「うん?」
結衣「京子、ちなつちゃんには気をつけて」
京子「……は?」
結衣「京子にとっても苦しいことかもしれないけど…ちなつちゃんの金銭感覚は普通じゃない」
結衣「ちなつちゃんは、友達を財布代わりに使ってるんだ」
結衣「本当はそうであってほしくないけど、現実はそう」
結衣「ちなつちゃんは、他人のお金で馬鹿げてるほど買い物をして」
結衣「全部自分のものにしちゃうんだよ」
京子「そんなこというな!!!!」
結衣「!」ビクッ
京子「ちなつちゃんは…そんな子じゃない……」
結衣「京子…?」
京子「結衣なんかがちなつちゃんのことを分かった気でいないでよ」
結衣「なんだよ、その言い方…」
京子「ふんっ、じゃあ百歩ゆずってその話が本当だったとするね」
京子「それでも私はちなつちゃんを疑う必要なんかない」
結衣「どういうことだよ」
京子「私はちなつちゃんの友達じゃないから」
京子「私は、ちなつちゃんの」
京子「恋人だから」
結衣「!」
京子「ちなつちゃんが、友達を財布にしてるってのが仮に本当だったとしても」
京子「私は恋人だから関係のない話なんだよ!」
結衣「京子、私はお前の友達として言っておく」
結衣「悪いこと言わないから……ちなつちゃんと別れて」
京子「っ!」
結衣「私は京子のためを思って」
京子「うるさい!」
京子「うるさいうるさいうるさい」
京子「ちなつちゃんのことなんか何も知らないくせに」
京子「何? ちなつちゃんと恋人になれなかった僻み?」
京子「ちなつちゃんがそんな悪者なはずないじゃん!」
京子「結衣なんてだいっきらい!」
ガララ
結衣「京子…」
放課後
結衣「……はぁ」
あかり「うまくいかなかった?」
結衣「うん…」
あかり「ってことは京子ちゃんはちなつちゃんにお金を…」
結衣「……想像以上に酷いことになってる」
あかり「?」
結衣「京子は、ちなつちゃんと恋人になった」
あかり「!」
結衣「友達どころの話じゃないよ。きっとちなつちゃんの無駄遣いもエスカレートしてく」
あかり「なんで止めなかったの!?」
結衣「止めたよ!!」
あかり「!」ビクッ
結衣「…怒鳴ってゴメン」
結衣「でももう京子にはまともに話が通じる状態じゃなかったんだ」
結衣「一日中何か他のこと考えてたみたいだったし」
あかり「どうすればいいんだろう…」
結衣「…」
京子「ちーなつちゃん!」
ちなつ「何回名前呼んでるんですか…」
京子「いやーなんか嬉しくてさ、放課後デートとか」
ちなつ「部活は良かったんですか?」
京子「…うん、別に部活なんて」
ちなつ「そうですか。あっ、あれ見てください!素敵なネックレスですね!」
京子「本当だ!綺麗だね」
ちなつ「あれ欲しいなー…なんちゃって」
京子(えっと、どれどれ値段は……)
京子(おいい……こんなの中学生のお小遣いで買えるわけないじゃん)
京子「あのネックレスはちょっと難しいかなー…」
ちなつ「そ、そうですよね…。無茶言ってすみません」シュン
京子「!」
京子「一ヶ月、いや二週間待ってて!そしたらあれ買ってあげるから」
ちなつ「本当ですか! さすが京子先輩太っ腹ですね!」
京子(聞いたことある……。ちょっとはしたないことをやればたくさんお金がもらえる)
京子(ちなつちゃんのためなら…)
京子「よーし、じゃあそこのお店でなにか食べてこうよ」
ちなつ「えっ、あそこお値段高いんですけどいいんですか?」
京子「大丈夫大丈夫!これからたくさんお金入る予定だし」
ちなつ「キャー!京子先輩だいすき!」
結衣「……」
綾乃「あ、千歳。今日の生徒会はあーでこーで」
千歳「ふふふ…」
綾乃「な、何よいきなり」
千歳「いや、なんでも(綾乃ちゃん、少しずつ元気になってきてるみたいでよかった)」
綾乃「何なのよ、もう。あ、船見さん、悪いんだけど今日も生徒会手伝ってもらえる?」
結衣「あ、うんわかった」
綾乃「いつもありがとう」
結衣「いいよ。暇だから」
結衣(京子が学校に来なくなった)
結衣(もう京子が休み続けてから二週間が経とうとしてる)
結衣(なんだろう…お金の使いすぎが親にバレて……だとしても休むこととは関係しないか)
結衣(もしかして…ちなつちゃんの本性を目の当たりにしてショックで寝込んでるとか)
結衣(もしそうだったらいい薬だな。そうだったらいいな)
結衣(でもちなつちゃんはいつもと変わらず学校に来てるみたいだし…)
結衣(……バイト情報誌)
結衣(…バイト!)
結衣(もしや京子はバイトしてお金を…?)
綾乃「船見さん」
結衣「なに?」
綾乃「赤座さんが呼んでるわよ。教室の外で待ってるわ」
結衣「あかりが…。ありがとう」スタスタ
あかり「結衣ちゃん…」
結衣「どうした?」
あかり「今、時間あるかな?」
結衣「……うん」
あかり「じゃあちょっと人がいない場所に移動しよう?」
結衣「あかり…?」
あかり「…」テクテク
結衣「…」テクテク
あかり「」スタ
結衣「あかり?」
あかり「あの…ね…?」
あかり「京子ちゃん最近学校に来てないでしょ?」
結衣「うん…」
あかり「その理由が、もしかしたら、わかったかもしれないの」
あかり「昨晩お姉ちゃんといろいろお店回って見てたんだけど」
あかり「その時にね、京子ちゃんを見たの」
あかり「大人の男の人と一緒の…京子ちゃん…」
結衣「そ、それって…京子のお父さんってことは」
あかり「ううん。もっと若いお兄さん」
結衣「……」
あかり「どうしよう…。これっていけないことだよね?」
あかり「あかりよくわからないから教えてよぉ…やっちゃダメなことなんだよね?」グスッ
結衣「……」
あかり「結衣ちゃん!!」
結衣「……」
京子「やあちなつちゃん」
ちなつ「久し振りですね京子先輩!会いたかったですよー」
京子「ごめんね、長い間会えなくて…」ギュッ
ちなつ「いいんです…こうやってまた抱きしめてもらえるなら」
京子「ちなつちゃん…」
京子「さ、今夜はあのネックレスを買いに行こう」
ちなつ「え、まじで買うんですか…?」
京子「当たり前だろー?ちなつちゃんが欲しいって言うんだもん」
ちなつ「お金大丈夫なんですか?」
京子「あんなの買えるくらいにはもってるよ!」
ちなつ「京子先輩…大好き!」
京子「私もちなつちゃん大好き!」
ちなつ「わぁ…やばいです。感無量です!」
京子「いいねー。最高」
ちなつ「でもこんなネックレスつけてると、服が貧乏くさく見えるかも…」
京子「!」
ちなつ「あ、ごめんなさい…全部先輩に買ってもらったものなのに」
京子「ちなつちゃん、もっと良い服を買いに行かない?」
ちなつ「えっ?」
京子「確かにその服とネックレスはあってないよ!釣り合うものじゃないともったいないからね」
ちなつ「もう京子先輩ったら!」チュッ
京子「へへ…///」
京子「そういえば、ちなつちゃんあのゲーム欲しいって言ってなかったっけ?買ってあげるよ」
ちなつ「ありがとうございます。実は最近パソコン欲しいなーとか思ってたり」
京子「まったく、ちなつちゃんはわがままだなぁ」
ちなつ「えへへ」
ちなつ「……ふふっ」
ちなつ「今日の京子先輩はいつも以上に羽振りがよかったなぁ」
ちなつ「まあでも二週間もあってなかったんだから当然かな」
結衣「ちなつちゃん?」
ちなつ「あ、結衣先輩。夜に会うなんて奇遇ですね」
結衣「やたら荷物が多そうだけど」
ちなつ「ちょっとたくさん買い物したんですよ(今日は京子先輩、疲れてたみたいで私の家まで荷物運んでくれなかったから)」
結衣「たまに休日にもみかけるんだけど、ずいぶん豪華な服装をしてるね」
ちなつ「あ、わかっちゃいます? でも今の私には安っぽい服に見えちゃうかも」
結衣「……どこからそんなお金が降りてきたのかな」
ちなつ「やだー!私を貧乏人みたいに言わないでくださいよー」
結衣「京子でしょ?」
ちなつ「…」
結衣「京子のお金でしょ?」
ちなつ「京子先輩が私にプレゼントしてくれたんですよ」
結衣「京子とさっきまで一緒にいたの?」
ちなつ「はい」
結衣「…」
結衣「京子、ここ半月ほど学校に来てなかったんだ」
ちなつ「知ってます」
結衣「どうして休んでたか知ってる?」
ちなつ「さぁ…」
結衣「売春だよ」
ちなつ「!」
結衣「あかりが目撃してる」
ちなつ「ふーん…そうなんですか」
結衣「なに、その他人ごとみたいな言い方」
ちなつ「京子先輩が好きでやったことじゃないですか。私はそんなことやれとも言ってませんし、今知りましたよ」
結衣「……お願いだ、ちなつちゃん」
結衣「京子をこれ以上壊すのはやめてほしい」
ちなつ「…」
結衣「別れろ、とまでは言わないから!せめて京子の売春をとめてくれ」
ちなつ「私に言われても…」
ちなつ「それでは、結衣先輩。私早く家に帰りたいので」スタスタ
結衣「ちなつちゃん!!」
ちなつ「!」
結衣「これ以上京子を苦しめないでよ…」
ちなつ「…」スタスタ
京子「身体がだるい…」
京子「へへっ…ちょっとやりすぎちゃっかな」
京子「でもちなつちゃんが喜んでくれるなら」ふらっ
京子「おおっと」
携帯「ぷるるるるる」
京子「あ、ちなつちゃんかな?」
京子「もしもしー京子だよー」
結衣『京子…』
京子「結衣…?」
結衣『今日ちなつちゃんと会ったんだってな』
京子「そんなこと結衣には関係無いでしょ」
結衣『またたくさん、しかも高値のものを買ってあげたんだらしいね』
京子「何が言いたいの? もう切るね」
結衣『目を覚ましてよ!』
京子「……」
結衣『今ならまだやり直せるから、お願いだから…』
京子「」ブチッ
京子「……ねよ」
京子「おはよー!」
綾乃「ああ、歳納京子久しぶりね」
京子「二週ぶりにきたのになんだその反応!」
千歳「綾乃ちゃん、悪いけどちょっと消しゴム貸してくれへん?」
綾乃「あら、千歳が忘れ物なんて珍しいわね。はいどうぞ」
千歳「ありがとなー」
京子「私に興味ないのかよ」
結衣「京子…」
京子「ああうん、結衣おはよ」
結衣「…」
京子「体育かー。なんか久々にスポーツするなぁ」
結衣「なあ、京子。身体大丈夫か?」
京子「うん。私先にランニングしてるから」ダッ
結衣「あ、おい……まあいいか」
結衣(今日なんかたまに気分悪そうだったから心配だ…)
綾乃「船見さん、一緒に走りましょう?」
結衣「あ、うん」
京子「」バタン
結衣「!」
モブ「大変!歳納さんが倒れたわ!」
モブ「早く保健室へ運ばないと」
結衣「私も手伝うよ!」ダッ
京子「…………ん」
京子「…保健室?」ゴシゴシ
結衣「やっと目を覚ましたか」
京子「…結衣」
結衣「お前体育の時倒れたんだよ。近くにいた人がここまで運んでくれた」
京子「そうだったんだ…」
結衣「…」
京子「…」
結衣「なあ京子」
結衣「もうやめよう?」
結衣「こんなこと続けても何の意味もない」
結衣「ちなつちゃんにものを買ってあげることも、大人の男の人にお金貰ってやってることも」
結衣「全部終わりにしよう?」
京子「……うっ…うぅ」グスッ
結衣「京子…」
京子「薄々気付いてたんだ…ちなつちゃんが私のことを本当に好きなわけじゃないってこと」
京子「でもそんなの耐えられなかった…。私馬鹿だから、ちなつちゃんに告白された時のあの言葉を嘘だと思いたくなかった。何か買ってあげればちなつちゃんは愛らしく私に抱きついてくれた」
京子「そのうち麻痺しちゃったんだ」
京子「ちなつちゃんのためにお金を使うことに対する躊躇が、麻痺してた」
京子「だから幸せだったよ」
結衣「…」
京子「私…身体売っちゃったんだね」
京子「私。終わっちゃったんだね」
結衣「そんなことない!」
京子「ありがとう。でも本当にいろんなことが終わっちゃったんだと思う」
京子「私は綾乃や千歳を傷つけたろうし、きっとあかりや結衣も傷つけたと思う」
京子「そして、これからちなつちゃんも傷つくと思う」
京子「みんな、私のせいで」
結衣「京子!」ギュッ
京子「!」
結衣「もう、いいんだよ」
結衣「私は京子が元に戻ってくれただけで満足だよ」
結衣「だからそんなに自分を責めるなよ」
結衣「京子は悪いやつじゃないって、私は知ってる」
京子「結衣ぃ…」グスッ
結衣「とにかく、ちなつちゃんに別れ話しに行こう?」
京子「…うん」
支援
京子「ちなつちゃん」
ちなつ「……部室に呼び出すなんて珍しいですね」
京子「うん、ちょっと話したいことがあって」
ちなつ「なんでしょうか?」
京子「…別れよう」
ちなつ「…」
京子「…」
ちなつ「わかりました」
京子「!」
>>63
ID被り
ちなつ「状況はだいたい把握しました」
ちなつ「それに…実は私からもちょっと謝りたいことがありまして…」
京子「うん…」
ちなつ「売春なんてさせてすみませんでした」
京子「な、なんで…」
ちなつ「そこまで京子先輩を追い詰めてるなんて思わなかったです」
ちなつ「もっと謝るべきことがあるんでしょうが、これだけは本当に申し訳ないと思ってます」
ちなつ「ごめんなさい」
ちなつ「あと、後で私の家に来てください」
京子「わかった…」
京子「…ちなつちゃんの家の前に来たけど」
京子「何なんだろ…」
ちなつ「あ、京子先輩」
ちなつ「これ、全部お返しします」
ドサッ
京子「これって…」
ちなつ「先輩から貰ったものです」
京子「いいの?」
ちなつ「もともと京子先輩が買ったものじゃないですか」
ちなつ「私はちょっとの間楽しめたのでそれで十分です」
ちなつ「一人で持つには多すぎるので二人で京子先輩の家まで運びましょう」
京子「うん…」
京子宅
京子「ふう…重かった」
京子「私こんなに買ってたんだ」
ちなつ「ちりも積もれば山となりますよ」
ちなつ「それでは、先輩、お別れです」
ちなつ「……嘘じゃなく、京子先輩と付き合ってる間は楽しかったです」
ちなつ「そりゃあ欲しい物なんでも買ってもらえる喜びもありましたけど」
ちなつ「京子先輩が積極的に私を愛してくれたのは、やっぱり嬉しかったです」
京子「ちなつちゃん…」
ちなつ「さよなら」
京子「ちなつちゃん!」
ちなつ「…」
京子「これからもずっとちなつちゃんとは友達だから!」
京子「……それだけ」
ちなつ「ありがとうございます」スタスタ
京子「……」
携帯「ぷるっるうるるるr」
結衣「…京子か」
結衣「もしもし」
京子『あ、結衣? ちなつちゃんとのこと、全部終わらせてきたよ』
結衣「何もなかった?」
京子『うん』
結衣「それなら良かった」
京子『あと、ちなつちゃんに、私が買ってあげたもの全部返してもらったんだ』
結衣「そう、京子も…」
京子『?』
結衣「いや、なんでもない」
結衣「これで無事解決だな」
京子『でも綾乃とか千歳は…』
結衣「大丈夫だよ。私も協力するしきっとまた前みたいに仲良くなれるよ」
京子「ありがとう、結衣。じゃあまた明日ね」
結衣「うん」ブチッ
結衣(さっきちなつちゃんが訪れて、以前私が買ったものを全部置いていった)
結衣(きっとあかりのところにも行ってるだろうな)
結衣(ちなつちゃん…)
翌日
あかり「ちなつちゃん、昨日はありがとぉ」
ちなつ「いいの、もともとあかりちゃんが買ったものなんだし」
ちなつ「私もちょっと反省したからさ」
あかり「あかりはずっとちなつちゃんのこと信じてたよぉ」
ちなつ「…ありがとう」
櫻子「何の話してるのー?」
ちなつ「なんでもないよ」
ちなつ「それより櫻子ちゃん、今度二人で遊びに行かない?」
おわり
立て直しなのに低クオリティですまん
寝る
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