ちなつ「あかりちゃんのお年玉使い果たしちゃった…」 (73)

ちなつ「これからは援交させるしかないのかあ」

ちなつ「ねえ、結衣先輩ー。今日デート行きませんかー?」

結衣「きょ、今日は忙しいからまた今度ね」

ちなつ「残念です…。じゃあ京子先輩デートしましょう?」

結衣「!」

京子「ちなつちゃんからデートのお誘いきたあああ」

京子「ずっとアピールし続けた甲斐があるってもんよ」

ちなつ「早速いきましょ! 一秒でも早くデートしたいんですよ」

京子「おっけー!じゃあ私とちなつちゃんはこれから先に帰るから、あかりと結衣は二人で部活やっててね」

あかり「う、うん。いってらっしゃい」

結衣「…」

あかり「…なんか結衣ちゃん元気ないね」

結衣「うん…ちょっと」

あかり「ちなつちゃんのこと?」

結衣「まあね」

あかり「そっか…」

結衣「…」カチカチ

京子「ちっなつちゃんとデート♪」

ちなつ「はしゃぎすぎですよ」

京子「いいじゃんいいじゃん! ……ん?」

ちなつ「どうしました?」

京子「あ、いや今メールが来たんだけどただのメルマガだったよ」

ちなつ「そうですか。ねえ、あそこの服屋さん寄って行きません?」

京子「いいよー」

京子(結衣からのメール…『ちなつちゃんに気をつけて』ってどういう意味だ…?)

ちなつ「わぁ…この服かわいい」

京子「いいね!試着してみたら?」

ちなつ「えー、でも試着したら欲しくなっちゃいますよ」

京子「買っちゃえばいいじゃん!」

ちなつ「あの……実は今あんまりお金なくて」

京子「む……そうだなぁ…。もし似合ってたら私が買ってあげるよ!」

ちなつ「いいんですか!?」パァ

京子「うん!たまにはちなつちゃんにプレゼントってのもいいかなーって」

京子「今よりも可愛いちなつちゃんを見るのも楽しみだしね」

ちなつ「ありがとうございます!」

結衣「本当はこんなこと言いたくないんだけどさ」

あかり「うん」

結衣「あかり、ちょっとちなつちゃんに気をつけたほうがいいよ」

あかり「……」

結衣「私何度かちなつちゃんに遊びに誘われてて、時間のある時は付き合ってあげてたんだけど」

結衣「どうも…あまり言いたくないけど、私の財布が目的みたいなんだ」

あかり「……」

結衣「いつもお金がないって言って、出費は全部私から」

結衣「良い物があると、ちなつちゃんすぐに目を輝かせるから買ってあげないとダメな雰囲気になるし…」

結衣「おかげで私も今金欠なんだ」

あかり「……」

結衣「もしかしたら京子も今同じ目に…」

あかり「……」

結衣「京子には明日ちゃんと言っておくけど、あかりにも私みたいな思いはしてほしくないんだ」

結衣「だから、あかりは許せないかもしれないけど、ちなつちゃんを」

あかり「もう……遅いよぉ」

結衣「!?」

あかり「あかり、結衣ちゃんが気付くずっとずっと前から、ちなつちゃんのATMだったんだよぉ?」

あかり「あかりのお金がなくなっちゃったからちなつちゃんは結衣ちゃんに移ったんだよぉ」

結衣「じゃ、じゃあもしかしてあかりは…」

あかり「えへへ…財布空っぽだよぉ……空っぽになるまで断れなかったんだ…あかり弱虫だね」グスッ

結衣「あかり…!」ギュッ

あかり「ゆ、結衣ちゃん?」

結衣「気付いてあげられなくてごめんね。あかりは優しいから嫌だって言えなかったんだね」

結衣「ずっと辛かったね」ナデナデ

あかり「うぅ…ありがとぉ結衣ちゃん…」ポロポロ

あかり「…早く京子ちゃんに教えてあげないと」

結衣「京子にはメールでそれとなく伝えたつもりだけど、多分伝わってないだろう」

結衣「まあ今日一日で何万と使うわけじゃないだろうし、明日しっかり説明しておくよ」

あかり「京子ちゃん…心配だなぁ」

ちなつ「あ、これも欲しいです!」

京子「仕方ないなー。今日だけ京子ちゃんが買ってあげるぞ!」

ちなつ「わーい!」

ちなつ「ところで、そんなに大量の荷物を一人で持ってて大丈夫ですか?」

京子「大丈夫大丈夫!」

ちなつ「ひとつなら私も持ってもいいんですけど」

京子「私はちなつちゃんの荷物持ちだから気にしないで!」

ちなつ「さすが京子先輩!大好きです!」ダキッ

京子「ったく、ちなつちゃんはかわいいなぁ」

ちなつ「ちょっとそこの公園で一休みしませんか?」

京子「いいよー」

ちなつ「荷物とりあえず降ろしちゃってください」

京子「そうだね」

ドサッ ドサッ ドサッ ドサッ ドサッ ドサッ ドサッ

ちなつ「もうすっかり夜ですね」

京子「たくさん歩き回ったもんね」

ちなつ「いっぱい買っちゃったけど大丈夫ですか?」

京子「心肺ゴム用!ちなつちゃんが喜んでくれるって思えば私も嬉しいのさ!」

ちなつ「…そんな京子先輩、ちょっと尊敬しちゃいます」

京子「へへっ」

ちなつ「……月が綺麗ですね」

京子「…そうだね」

ちなつ「先輩…実は私、京子先輩に言わなきゃいけないことがあるんです」

京子「うん…教えて」

ちなつ「私……ずっと京子先輩のことが」

ちなつ「好きだったんです」

京子「…」

ちなつ「…よければ、私と付き合ってください」

京子「……ありがとう」

ちなつ「先輩?」

京子「私もすごく嬉しいよ!嬉しすぎて涙が出てくるくらい!」ジワッ

京子「出会った瞬間からずっとずーっとちなつちゃんのことが好きで」

京子「何度も何度もアプローチしてきて」

京子「それが報われたんだと思うとすごく嬉しい…」グスッ

ちなつ「先輩、私もですよ」

ちなつ「やっと私、素直になれました」

ちなつ「これからずっと一緒ですよ」

京子「うん!」ポロポロ

翌日

結衣「おはよ。京子」

京子「あーおはよう!」

結衣「なんだ、やけに元気そうだな」

京子「へへん」

結衣「ところで、どうして今日は先に学校行っちゃったの?」

結衣「いつも一緒に登校してるのに」

京子「ふふ…今日はね……」

京子「恋人と一緒に登校しちゃいました!」

綾乃「!」ガタッ

千歳「」

綾乃「と、と、歳納京子…今なんて?」

京子「え? だから恋人が出来たからその子と一緒に投稿したんだよ」

綾乃「あっ…あっ……」

結衣「京子、からかうのもほどほどにしろよ?」

京子「は? 嘘じゃないって!」

結衣「本当に?」

京子「本当に」

結衣(京子と恋人になるほど仲いい人なんていたっけな……)

結衣「まあいいや。それよりちょっと話したいことがあるから後で昼休み部室来て」

京子「? うん、わかった」

京子「~♪」ペラッ

結衣「何読んでるの?」

京子「バイト情報誌」

結衣「はぁ? お前バイトするの?」

京子「んーいやちょっと興味で見てるだけだよ」

結衣「ふーん…」

京子(流石に中学生で雇ってくれるところはないか…。それに金額少ないな)

京子(もっとたくさん稼げるバイト…あったらいいのにな)

綾乃「…………」

京子「綾乃?何落ち込んでるの?」

千歳「そっとしておいてあげて」

京子「でも落ち込んでるなら元気付けた方がいいんじゃないの?」

千歳「……歳納さん、それ本気で言うてる?」

京子「ど、どういう意味?」

千歳「歳納さんには恋で傷ついた人の心がわからへんの?」

京子「なっ!わかるよ!私だって好きな人にずっとアプローチし続けて、それでも全然報われなかった時はすごく悲しかったよ!」

京子「でも私は恋を叶えることが出来た!ってかそれを祝ってくれてもいいじゃん!」

千歳「…うちからは何も言うことはあらへんわ」スタスタ

京子「な、なんなんだよ」

昼休み

京子「結衣ー来たよー?」

結衣「ああ…わざわざごめん」

京子「いいって!私と結衣の仲だろ?」

結衣「まあちょっと京子に関して気になることはいろいろあるんだけど」

結衣「とにかくこのひとつは最初に言っておくよ」

京子「うん?」

結衣「京子、ちなつちゃんには気をつけて」

京子「……は?」

結衣「京子にとっても苦しいことかもしれないけど…ちなつちゃんの金銭感覚は普通じゃない」

結衣「ちなつちゃんは、友達を財布代わりに使ってるんだ」

結衣「本当はそうであってほしくないけど、現実はそう」

結衣「ちなつちゃんは、他人のお金で馬鹿げてるほど買い物をして」

結衣「全部自分のものにしちゃうんだよ」

京子「そんなこというな!!!!」

結衣「!」ビクッ

京子「ちなつちゃんは…そんな子じゃない……」

結衣「京子…?」

京子「結衣なんかがちなつちゃんのことを分かった気でいないでよ」

結衣「なんだよ、その言い方…」

京子「ふんっ、じゃあ百歩ゆずってその話が本当だったとするね」

京子「それでも私はちなつちゃんを疑う必要なんかない」

結衣「どういうことだよ」

京子「私はちなつちゃんの友達じゃないから」

京子「私は、ちなつちゃんの」

京子「恋人だから」

結衣「!」

京子「ちなつちゃんが、友達を財布にしてるってのが仮に本当だったとしても」

京子「私は恋人だから関係のない話なんだよ!」

結衣「京子、私はお前の友達として言っておく」

結衣「悪いこと言わないから……ちなつちゃんと別れて」

京子「っ!」

結衣「私は京子のためを思って」

京子「うるさい!」

京子「うるさいうるさいうるさい」

京子「ちなつちゃんのことなんか何も知らないくせに」

京子「何? ちなつちゃんと恋人になれなかった僻み?」

京子「ちなつちゃんがそんな悪者なはずないじゃん!」

京子「結衣なんてだいっきらい!」

ガララ


結衣「京子…」

寝たい

23時には寝る

放課後

結衣「……はぁ」

あかり「うまくいかなかった?」

結衣「うん…」

あかり「ってことは京子ちゃんはちなつちゃんにお金を…」

結衣「……想像以上に酷いことになってる」

あかり「?」

結衣「京子は、ちなつちゃんと恋人になった」

あかり「!」

結衣「友達どころの話じゃないよ。きっとちなつちゃんの無駄遣いもエスカレートしてく」

あかり「なんで止めなかったの!?」

結衣「止めたよ!!」

あかり「!」ビクッ

結衣「…怒鳴ってゴメン」

結衣「でももう京子にはまともに話が通じる状態じゃなかったんだ」

結衣「一日中何か他のこと考えてたみたいだったし」

あかり「どうすればいいんだろう…」

結衣「…」

京子「ちーなつちゃん!」

ちなつ「何回名前呼んでるんですか…」

京子「いやーなんか嬉しくてさ、放課後デートとか」

ちなつ「部活は良かったんですか?」

京子「…うん、別に部活なんて」

ちなつ「そうですか。あっ、あれ見てください!素敵なネックレスですね!」

京子「本当だ!綺麗だね」

ちなつ「あれ欲しいなー…なんちゃって」

京子(えっと、どれどれ値段は……)

京子(おいい……こんなの中学生のお小遣いで買えるわけないじゃん)

京子「あのネックレスはちょっと難しいかなー…」

ちなつ「そ、そうですよね…。無茶言ってすみません」シュン

京子「!」

京子「一ヶ月、いや二週間待ってて!そしたらあれ買ってあげるから」

ちなつ「本当ですか! さすが京子先輩太っ腹ですね!」

京子(聞いたことある……。ちょっとはしたないことをやればたくさんお金がもらえる)

京子(ちなつちゃんのためなら…)

京子「よーし、じゃあそこのお店でなにか食べてこうよ」

ちなつ「えっ、あそこお値段高いんですけどいいんですか?」

京子「大丈夫大丈夫!これからたくさんお金入る予定だし」

ちなつ「キャー!京子先輩だいすき!」

結衣「……」

綾乃「あ、千歳。今日の生徒会はあーでこーで」

千歳「ふふふ…」

綾乃「な、何よいきなり」

千歳「いや、なんでも(綾乃ちゃん、少しずつ元気になってきてるみたいでよかった)」

綾乃「何なのよ、もう。あ、船見さん、悪いんだけど今日も生徒会手伝ってもらえる?」

結衣「あ、うんわかった」

綾乃「いつもありがとう」

結衣「いいよ。暇だから」


結衣(京子が学校に来なくなった)

結衣(もう京子が休み続けてから二週間が経とうとしてる)

結衣(なんだろう…お金の使いすぎが親にバレて……だとしても休むこととは関係しないか)

結衣(もしかして…ちなつちゃんの本性を目の当たりにしてショックで寝込んでるとか)

結衣(もしそうだったらいい薬だな。そうだったらいいな)

結衣(でもちなつちゃんはいつもと変わらず学校に来てるみたいだし…)

結衣(……バイト情報誌)

結衣(バイト!)

結衣(もしや京子はバイトしてお金を…?)

綾乃「船見さん」

結衣「なに?」

綾乃「赤座さんが呼んでるわよ。教室の外で待ってるわ」

結衣「あかりが…。ありがとう」スタスタ


あかり「結衣ちゃん…」

結衣「どうした?」

あかり「今、時間あるかな?」

結衣「……うん」

あかり「じゃあちょっと人がいない場所に移動しよう?」

結衣「あかり…?」

あかり「…」テクテク

結衣「…」テクテク

あかり「」スタ

結衣「あかり?」

あかり「あの…ね…?」

あかり「京子ちゃん最近学校に来てないでしょ?」

結衣「うん…」

あかり「その理由がもしかしたらわかったかもしれないの」

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