女「あなたを殺して私も死ぬ」(284)
男「…。」
男「……。」
男「………!?」
男「えぇ!?ちくしょうなんだコレ!?」
男「ぜっんぜん飛び出さないじゃねーか」
男「3Dエロビデオ!」
男「やぁ~ろぉー…」
男「チッ…クソッタレ…」
男「メガネ掛けてもボヤッとするだけじゃないすか…」
男「あー…もう学校始まっちまうよ…」
男「死ねっクソッ」
男「あー朝からイライラすんなぁー…」
~通学路~
男(はぁー腹立つわあのAV…高かったんだぞ…)
男(久々に当たりっぽい内容だったんだけどなぁー…)
女「あの…ちょっと良いですか…?」
男(顔がぼやぼやで全くわかんねーよ…何もかもにモザイクかかってんじゃねーか)
女「あの…いや…」
男(早く童貞捨ててーな…友のヤツは捨てたんだよな…)
女「…え…ちょっと」
女「…」ドンッ
男「あ?」
女「おはよう…男君…」
男「あー…え?何?誰?」
女「ふふっ…貴方の運命の相手ですよ…」
男「えっ」
女「ずっとずっと貴方を見てきました…」
男「えぇ…?」
女「これからはずうっと一緒です…」
男(なんだコイツ…罰ゲームか…?)
女「ふふふ…」
男(やべえ…急過ぎる…こいつ絶対キチガイだ…)
女「貴方は多分、覚えてないでしょうけれど、また仲良くなれば良いのです…」
男(え…怖い…何この人…)
女「さぁ、急がないと学校に遅れますよ…」
男(顔にパンチ…するしかないよな…)
~学校~(お昼休み)
男「という事があったんだよォー…」
友「えっ、何お前、本当にパンチしたの?」
男「だって怖いじゃねーか…キチガイに言葉は通じねーよ」
友「マジかよ…ちょっと引くわ…」
男「だろ?いきなり運命とかさ、意味わかんねぇもん」
友「いや…引いてんのはお前にだよ…」
男「いや、待てよ?な?冷静になってみ?」
友「冷静になっても引くよ…」
男「引くなよ…俺だって怖かったんだからよ…目が死んでたぜアイツ」
友「お前は心が死んでるじゃねーか。謝ったほうが良くないか?」
男「あー…確かにやり過ぎかもわかんねーな」
友「制服は?ウチの生徒なの?」
男「いや、違う。ウチの制服じゃなかったわ…」
友「あーあ…ちょっと痛いってだけの娘かも知れねーのに…お前…」
男「仕方なくない?」
友「全然仕方なくねーよ…なぁ、その子可愛かったのか?」
男「あぁー…まあまあだったよ」
友「お前がまあまあって事は結構可愛いって事か…あーあ勿体ねぇな」
男「勿体もクソもねーよ。キチガイだぜ?どんな判断だよ」
友「バカだなお前…要はその子お前に惚れてるんだろ?」
男「いや…何度も言うけどキチガイだぜ…?」
友「だからさ…やる事だけヤっちまえば良かったんだよ」
男「あーなるほど。お前は女の子をオナホールとして見るタイプのヤツか」
友「気ぃ悪い事言うなよ…お前よりはマシだよ…」
男「うるせーな…あっ」
友「うん?どうした?」
男「五時間目始まっちまうよ…」
友「あー…そうだな…」
男「よっしゃ、立てよ。早く行こうぜ。現国のセンセー遅れるとうるせーだろ」
友「あー…オレ今日は早退するわ…用事あるしなぁ」
男「えっ…まさか例の?」
友「へへっそんな所だ」
男「今の言い方腹立つなオイ」
~五時間目~
男(いいなー彼女…テンガより気持ちいいんだろーなー…)
先生「えー…と、ですね、授業を始める前に皆さんに…えー…言うことがあります…」
男(どんだけ言い淀んでんだよ…)
先生「えーと…今朝早くぅですね…VIP高校の女子生徒がですね…死体で見つかりました」
男(…え?)
ザワザワ…
先生「今は警察が総力を挙げて犯人を追っている所ですが…一応、今日はですね六時間目は中止になりました」
ヤッター コワクナーイ? ブカツナイノ?
男(え…俺か?)
男(まさか…俺の顔パンか…?いや…まさか)
男(ないよな…多分…うん…)
男(鼻血は出てたけど…普通に立ってたしなぁ…)
男(いやー、物騒だねー)
なんとなーく授業を受けていたら、あっと言う間に授業は終わった
~放課後帰り道~
男(今頃あいつはセックスか…)
男(いいなぁ~)
?「居ましたね…今朝はびっくりしましたよ…」
男「!?」
女「いきなり殴られたのは貴方が初めてですよ…ふふ」
男(また出たよ…死んでなくて良かったな…)
男「あぁ、今朝はその、悪かったよ…なんつーか君、ちょっと怖くて…」
女「いいよ。別に気にしてないから。それともああいうのが趣味なら、もっと殴っても良いんですよ…?」
男(うわぁー…可愛いけどこのコ気持ち悪いなー)
男「いや、趣味じゃないよ…本当、反省してる」
女「そうですか…まぁ、話が急過ぎましたしね、良かったらちょっとお話しませんか?」
男(えぇー…嫌なんだけど…)
女「ありゃ…ダメ…ですか?」
男「いや、ほら…なんつーかさ、最近物騒じゃん?殺人もあったし、とりあえず今日はさ…な?」
男(ナイスな切り返しだぜ!オレ!今だけは殺人犯に感謝しても良い!)
女「私の事を心配してくれてるんですか…?優しいですね」
男(顔パンの時点でそれはないだろ…)
男「まっ、まぁそんなとこだから…じゃあっ」
女「では私の自宅でお話しましょう」
男「は?」
女「私の家なら安全ですし」
男「いやーでも、親御さんが…」
女「今日は遅いから大丈夫ですよ」
男「宿題とかさ…」
女「じゃあ私がついでに教えてあげますよ」
男「知らない男を家にあげるのは…」
女「知ってますから…誰よりも」
男(えっ、行く流れになってないか?コレェ?)
~女の家~
女「ちょっと狭いですけど…どうぞお構いなく」
男(来ちゃったよ…どうしよう…)
女「どうかしましたか?」
男「いやっ、何でもないっす…あっ、話って何かな?」
女「あぁ…そうですね。早速お話しましょうか」
男「うん、なるべく手短に頼むよ!手短に!」
女「まず、私の事…覚えてないんですよね…?」
男「あぁ、ゴメン。俺、忘れっぽいからさ…」
女「…そうですか。」
男「どこかで会ったっけ?」
女「はい、ずいぶん前ですけど」
男(嘘クセー…、知らねーぞコイツなんか)
男「なんかゴメンね…」
女「いえいえ…仕方ないんです…」
男「え?」
女「忘れたいですもんね…あんなの…」ボソ…
男「はい?なんて?」
女「そうですね…そうですよ!また一からやり直せば良いんです!」
男「うぇ?(裏声)そ、そうだね」
男(話についてけないし、意味わかんないぞ…)
女「改めて自己紹介しますね。私、女って言います。VIP高校の二年で、弓道部をやってます!これからよろしく!」
男「あぁ…よろしく…」
男(何だこいつ…結局友達でも欲しかったのか?)
~帰り道~
男(結局、茶を飲んで、色々学校とかの話をしただけだったな…)
男(訳わかんなかったなぁ…)
男(まぁ、多分もう会わねーだろうな)
男(しかし…昔がどうのってのは少し気になんな…)
~自宅~
男「ただいまぁ~」
母「おかえんなさい。ご飯は?」
男「あー…二階で食うわー」
母「そっか…殺人事件があったらしいわね…」
男「あー…そうだな…」
母「あんたも気を付けなさいよ!」
男「うるっせーババァ」
早く~(^-^)/
男(今日は意味わかんない事ばっかだったなー…)
男(変な女に殺人事件…気味悪いわクソッ…)
男(あー、もう今日はさっさと寝るかなー)
男(…)
~翌朝~
男「ん?」
ピンポーン
男「誰だ?」
ピンピンピンポーン
男「うるせぇ…ババァが鍵忘れたんか…?」
ピンピンピンピンピンポーン
男「はーい!今出るよォ!!」
男(死ねカス)
ガチャ
男「はーい、誰だ?」
女「あっ、おはよう男君!」
男「えっ、何してんのお前?」
女「途中まで…学校一緒に行こうと思って…待ってたんですよう」
男「つーかさ…なんで俺の家知ってるの?」
女「やだなぁ、愛のレーダーに頼ったんですよう」
男「はぐらかすなよオイ…いい加減意味わかんねーぞお前」
女「童貞の男君には愛の仕組みが分からなくって当然です。」
男「童貞じゃねーし」
女「その割には昨日ソワソワしてましたよね」
まだかな?まだかな?(´Д` )
~登校中~
男「なぁ、なんで俺の家が分かったんだよ…そろそろ教えてくれよ」
女「簡単ですよ。ずっと後ろをつけていただけです。」
男(やっぱキチガイだわコイツ)
男「所で君さぁ、俺に最初に会ったのっていつなの?」
女「昔ですよう。ずっと昔」
男「いや、大体でいいからさ、教えてよ」
女「拘りますねぇ…」
男「なんとなくだけどな」
女「多分、小学校二年くらいの時ですよ」
男「あっ、本当に昔だ。」
女「仲良かったんですよープロポーズもしましたからね」
男「へぇー、覚えてねーわ小学校二年なんて。全く記憶にないなー。」
女「でしょうね…」ボソ…
男「なぁ、どこで知り合ったんだよ?」
女「それはあなたが思い出すまで秘密ですよお」
男「はぁ?なんでだよ?」
女「お互い辛い悲しみに縁取られた記憶ですからね」
男「どうゆう事よ?」
女「つまり恥ずかしいって事ですよ。愛の仕組みを理解できない男君じゃ分からないのも無理ないですね」
男「ははっ、こやつめぶっ殺すぞ」
女「じゃあ私、こっちですから」
男「おぉ、じゃーな二度とツラ見せんなよ」
女「嫌ですよう。私は貴方を見ていたいですから」
男「あっそ」
女「それじゃあまたーあでゅー」
男(気持ち悪いけど中々おもしれーなあいつ…)
~学校~
友「よっす」
男「あぁ、よっす」
友「昨日、何かあったんだって?」
男「あー…殺人事件が一件な」
友「女子暴行事件もな」
男「うるせーよ」
友「マジな話…やべーよな…犯人まだ捕まってないんだろ」
男「すぐ捕まるだろどうせ。金田一じゃあるまいしなぁ…」
友「…なんでだろうな」
男「…は?」
友「なんで殺しちまったんかなーって」
男「知るかよ…頭がどうかしてんだろ?」
友「だよなぁ…まともな奴には到底無理だよな…」
男「お前なら分かるんじゃねーの?」
友「何でだよ?どういう意味だよ」
男「お前も頭ちょっとおかしーじゃねーか」
友「女子暴行野郎に言われたくねーよ」
友「あっ、お前放課後暇?」
男「暇だわ。オレお前以外に友達いないしなー」
友「だよなぁー。学校終わったらさ、ちょっと遊びいかね?」
男「いや、良いけど何処によ?」
友「そりゃあお前…」
女生徒A「友くーん先生呼んでるよー」
友「あっ、悪りぃまた後で話すわ」
男「あー…、じゃあとりあえず放課後な」
~放課後~
男「きめぇ」
友「そう言うなよ!な!」
男「こういう所は女が好んで来る所だろーが…」
友「デートの下見なんだよ…な?」
男「よりによってクレープ屋かよ…」
友「彼女甘いもんに目がなくってさ^ ^」
男「死ねクソ」
友「最近出来たばっかでさー、彼女連れてきたら喜ぶなーと」
男「あぁ、まあ良いけどよ…立地が最悪じゃねーか?」
友「まあな…催眠術研究所のすぐそばってのはなぁ…」
男「つーかどんな研究所だよアレ」
友「何か変なクレープ食わされそうだよなー…!?」
男「ん?どうした?」
友「やべえ…なんか腹痛い…」
男「早く便所行けよカス」
友「悪りぃ…ちょっと待ってて…」タッタッタッ
男(バカだなー…あいつ…)
男(つーか催眠術研究所って何だよ…怪しさ半端ねぇ)
男「あ?アレは…」
女「キョロキョロ」
男(クレープ目当てかぁ…?)
男(あっ違うな…うん?あっ、研究所ん中に…)
男(ますます電波くせーなあの子…)
男(つーか友の奴…おせーな)
男「あー…退屈で死にそうだわ…」
~40分後~
友「悪りぃ悪りぃ、死ぬかと思った」
男「いっそ死んだら良かったのにな」
友「クソ…クレープ屋の野郎…絶対衛生管理してねーよ」
男「デートで腹壊したら傑作じゃね?」
友「うっせ!もうこんな店来ないからな…ちくしょう…」
~自宅~
男(結局、あの後は解散になったな…)
男(つーか母ちゃん…帰ってくんのおせーな…)
ピンポーンピンポーンピンポーン
男「あー…これは…」
ガチャ…
男「誰だー」
女「貴方のおはようからお休みまでを見守る愛の人間観測隊隊員です」
男「警察呼ぶぞこの野郎」
女「彼女が来たのに嬉しくないのですか?それとも照れてるんですか?」
男「いつからそんな親密になったんだよ…」
女「ふふふふふぅ…」
男「笑い方がきめぇ」
女「一つ確認があって来たんですよ」
男「愛の確認は承ってないんで」
女「私達の愛は確認するまでもないですからね、それとは別です」
男(筋金入りだよ…)
女「今日、今ここで出会うまでに、私と会ったり…してませんよね…?」
男「…?」
男「いや…会ってない」
女「本当ですか」
男「うん、本当に本当」
女「嘘ついても分かりますよ…?」
男「それはすごいな、お前はエスパーか」
女「いえいえ、詳しいだけです。とりあえず、確認は終わりました…」
男「ん…」
女「ではまた!」
バタン…
男「やべえ…意味なく嘘ついちゃった…」
男(なんか最近変な事多いなー)
男(とりあえず…テレビでも見るかー)
カチッ
テレビ「VIP市内可塑町での殺人事件に新たな進展がありました」
男(おっ…犯人逮捕かな?)
テレビ「今日の夕方4時頃、二人目の犠牲者が◯◯催眠術研究所のそばで発見されました」
男「!?」
テレビ「やはり被害者は若い女性で、死因は長いワイヤーの様なモノで首を締められた事による窒息死で…」
男(えっ…えぇ…?)
男(いや、まさか…な…)
男(大体動機がないしな…)
男(でも、怪しいゆな…かなり…)
怖くなって、テレビを消してその日はかなり早めに寝た。
~翌朝~
男(なんか目覚めが悪いな…)
母「男ー起きてるー?」
男「!?ババァノックしろつってんだろーがぁ!」
母「色気づくんじゃないよ子供のクセに…」
男「チッ…うるさいな」
母「あーあ、やっぱ父親がいないと駄目なのかねぇ」
男「関係ねーだろ」
男「んだよ…用がないなら出てってくれよ」
母「あっ、そうそうあんた、昨日女の子来てたわよ」
男「…えぇ…?」
母「あたしが帰ってすぐだから…確か…12時ぐらいに。こんな物騒な時期に女の子呼び出すなんて…」
男(また…来たのか…?)
母「まぁ彼女が出来るのは良いけど、ほどほどにしなさいよ…色々…」
男「は?」
母「避妊具とか…あんた持ってんの?」
男「ババァ!さっさと消えろ!」
母「はいはい思春期ねー」
~登校中~
男(女って殺人犯なのかな…)
男(おかしいヤツだとは思ってたけどよ…)
男(そこまでキチガイなのかよ…)
男(あー…わかんないよなー)
?「おはよう男君」
男「誰だ…おっさん?」
?「いやぁー僕は催眠術研究所の所長で、女父と言います。以後、お見知りおきを」
男「うん?で、俺に何の用なんだよ?」
女父「いやぁ、1人娘に彼氏が出来たんなら、顔ぐらいは見たくなるもんです」
男「女の親御さんか…」
女父「はい、その通りです」
男「あんたの娘、アレはちょっとおかしいぜ。」
女父「そうですかね?とても良い子だと思いますけどねぇ」
男「病院いった方がいいと思うが…」
女父「産婦人科ですか?気が早いですなぁ…」
男(親子揃ってダメだこいつら…)
女父「ところで男君」
男「なんだよ…」
女父「そう身構えずに…何か思い出す事はありませんかねぇ?」
男「いや、特に…」
男(ん…?このオッサン何処かで…?)
女父「いやぁ、なら結構です」
男「なんだよ…一体…」
~学校~
男「ふぅ…」
友「よっす!男!元気ないなぁ…どうしたんだよ?」
男「いやぁ、最近色々あり過ぎてよちょっと面倒くせーんだよ」
友「そうか?俺は楽しいけどな。連続殺人なんて漫画みたいじゃないか?」
男「まぁ確かに退屈しないけどよ…」
友「あっ、お前そういやキレーな女の子と最近知り合ったらしいじゃないか」
男「…田舎の情報伝達はえーよ」
友「まっ、俺がクラスの人気者ってのもあるけどよ」
男「いいよなお前は…女子にも男子にも人望厚いもんなぁ…」
友「お前と違ってなっ!」
男「腹立たせるの上手いなお前…」
友「で?どうなの?」
男「何がだよ」
友「ヤったの?ねぇヤったの?」
男「二言目にはそれだなお前…」
友「ローションいっぱい使うとマジで色々捗るぜ!あとマ◯コってのは思ったより匂いが…」
男「もうどっか行けよ…お前…」
~放課後~
男(友のヤツ…また先公に呼ばれてやがった…)
男(教師にまで人気かよ…)
男(それより今朝のオッサン…なんか見たことあんだよな…)
男「あー…思い出せねー」
女「ゆっくり思い出せば良いんですよ」ヒョコリ
男「!?」
男「吃驚した!世界最強に吃驚した!」
女「それは驚きじゃなくて、私への恋心からくる胸の高鳴りですよう」
男「こんな瞬間的になるかよ…」
女「どうです…?私の事…少しは思い出せましたか…?」
男「いや、思い出す事なんかないんだが…」
女「実際は思い出さないに越したことはないんですけどねー」
男「あぁ…悲しみがどうとかってヤツか?」
女「えぇ、でも私としては、思い出して欲しい様な、思い出して欲しくない様な…」
男「どっちだよ…」
男(やっぱコイツキチガイくっせぇ)
女「じゃあもし思い出せたら教えてクレラップ」
男「多分、思い出さないから無理だろ」
女「どうしてかしらん?」
男「うぜえ喋り方しやがって…。つーか俺、小学生の頃の事、なーんも覚えてねぇしなあ…」
女「ふーん、その事には気づいてるんば?」
男(この喋り方…気に入ってやがる…)
男「どうゆう事ですいか?」
女「教えてあげませーん。その喋り方キモイのでやめた方が良いですよ?」
男「ははっムカつくわー」
女「照れないでくださいな。ムカつくのは寧ろこっちですよう」
男「そんなに気持ち悪いかよ…今の…」
女「やだなぁ、違いますよ」
男「じゃあ何がだ」
女「私、嘘つかれるの嫌いなんです」
男「は?」
女「昨日私に会ったはずですよー」
男「いや、会ってないって…」
女「またまた、友達と食うクレープはうまかったですかあ?」
男「…。」
女「…。」
男「会ってはいないよ…見かけただけだからさ。嘘つき呼ばわりは心外だな」
女「以外とうまくカワしますねぇ」
男「ありのままの事実ですよ」
女「へぇ…恐れ入りました。でもまぁ、どうでも良いことですよ」
男「えっ、以外だなぁ」
女「愛する人を手にかけるなんて、私にはとっても無理ですからねぇ」
男「…やっぱ君が犯人なのか?」
女「探偵気取りの所、申し訳ないですが、全然違いますよ」
男「えっ正解っぽくなかった今の」
女「ちょっと良かったけれど、まぁ間違いですよ」
男「えぇ…だって君以外に考えられないじゃないか」
女「うーん。まぁそうかも知れないですけどねぇ…」
男「お前、やっぱり意味わかんないわ…」
女「謎めいた女ってちょっと格好良くないですかぁ?」
男「いやー…どうだろう」
女「まぁ精々悩んでくださいな、それじゃあまた明日」
~自宅~
男(やっぱり女は犯人じゃないのか…)
男(つーかそもそも女って何者なんだよ…)
男(アイツの事を、俺は何にも知らねーんだよなぁ…)
男(小学校の卒アルでも漁れば、何か分かるかもな…)
30分後
男「あれ?」
男「ないぞ?どうなってんだ?」
男「いや、ある筈だろ…中学のはあるんだぞ…?」
男「ない…何でだ…?」
男(母ちゃんに聞いてみるかぁ…)
男「母ちゃーん?」
母「うーん何ー?」
男「なぁ…俺の卒アル知らない?」
母「えー…と、箪笥の上から二番目の所、ほら、ハサミが入ってる所」
男「もう探したっつーの、小学校のヤツがないんだよ。知らねー?」
母「あー…どうだったかしら…」
男「どこにあんの?」
母「あー…捨てたわ。多分」
男「じゃあ卒アルじゃなくても良いからよ、なんか俺が小学校の時の写真とかないの…?」
母「あんた…思い出したの?」
男「…え?」
母「いや、小学校の時の事よ」
男「母ちゃんまで何言ってんだよ…」
母「いや、別に覚えてないなら良い」
男「なんだよ…オイオイ…ちょっと待てよ意味分からんぞ…」
母「明日学校でしょ?早く寝たら?」
男「…。」
~自室~
男(えー…どういう事だよ?)
男(俺は何かを忘れてて、思い出せないってことか…)
男(母ちゃんも何か知ってそうだしなぁ…)
男(どうすっかねー…こうなりゃ意地でも思い出したいな…)
男「うーん…」
~翌朝~
男「とりあえず、ウチの学校に同じ小学校のヤツが居たら卒アル借りようかな」
男「そうしよう、それがいい」
男「とりあえず、学校行くかな」
~登校中~
男(…。)
男(手がかりは俺の記憶かぁ…なんか格好良いよなぁ…)
男(確かに小学校時代を全く覚えてないのは変な話だよな…なんで今まで気づかなかったんだ…?)
男「真実はいつも一つ…なんつって…」ボソ…
女「すなわち私だけが貴方の真実というわけですね?」ニヤリ…
男「いつも突然出てくるな…」
女「現れる前に申告したほうが良いですかね?」
男「それはそれでヤダよ…」
女「お疲れの様ですねぇ。」
男「大体、お前の所為だ」
女「ご安心を。今日はタダの世間話をしに来ただけです」
男「へぇ…どんな話だよ」
女「此間テレビでやってたんですけどね、余りにもショックな体験をすると、人って記憶を無くしちゃうらしいんです」
男「…。」
女「でもね、中には不器用で丁寧に記憶してしまっておかしくなる人もいるんですって!まぁ律義!」
男「…ただの世間話じゃないじゃん…」
女「それはそうと、男君ってかなり律義そうですよね。貸し借りは作らなそうです。まぁ好感が持てる所です」
男「何だよ突然…わけわかんないよ。」
女「まぁ、ただの惚気ですよう。気にしないでください」
男「ますます怪しいヤツだよ…君は」
女「では私はこっちなんで、失礼しまーす」スタスタ…
男「ヒント…なのか?」
~学校~
友「どうしたんだよお前…最近マジで顔色やべーぞ…」
男「あぁ、ちょっと疲れてんだ…」
友「何だよ…やべえなら相談しろよ…?力になるからよ」
男「じゃあ質問なんだけど、○○小学校の卒業者知らねーか?」
友「変な質問だな…そういや、俺の彼女がそうだったなぁ…」
男「マジか!?今、連れて来れるか!?」
友「あ、あぁ…大丈夫だと思うけどよ…」
~20分後~
男(あわよくばって所だよな…)
男(持っていてくれよ…)
友彼女「こんにちわ…男君…だよね?」
友「おい、連れて来てやったぞ!後で何か寄越せよ!」
男「分かってるよ…うるせーな。」
休憩する。
男「早速で悪いんだけど、いや…なんつーか俺の事知ってる?」
友「なんだよそれ…変な質問だな…」
友彼女「知ってるよーウチらの世代じゃあ君、有名人だったからねー」
男「俺が…有名…?」
友「いいなー。俺も有名になりたいなー」
男「どういう事だ…?」
友彼女「いやー、あんまり褒められた事じゃぁないケドさ。」
男「教えてくれないか?」
友彼女「んーちょっとなぁ、言いにくいよ」
友「不良だったの?」
男「じゃあ卒アルとか、貸してくれないか?」
友彼女「見ても意味ないと思うよ?貴方について特別書いてあるってワケじゃないっしょ。」
男「くそ…頼むよ」
友「おい、男?大して有名じゃなかったからってそんなにヘコむなよ…」
友彼女「うーん…じゃあさ、深い関わりがある人教えてあげんよ」
男「本当か?」
友彼女「その人なら教えてくれるかもねー催眠術研究所の所長さん。貴方のカウンセリングをしてた人。」
男「あっ…あのおっさん…」
友「えぇっ、あの胡散臭い研究所と関わりあんのかよお前…」
男「カウンセリング…?」
友彼女「私が教えてあげられるのはここまで。あとは何とか頑張ってね。」
男「分かったよ…。ありがとう。学校が終わり次第行ってみるよ。」
友「あー…オレも一緒に行きてーけどなー今日は用事あるからパスだわ」
男「誰も誘ってねぇよ…」
~放課後(下駄箱)~
男「やっぱりあの親子が絡んでるのか…」
男(カウンセリング…有名人…口には出せない…どういう意味だ?)
友「おいっ!帰る前にジュース!」
男「急いでんだよ…時間もないんだ…また今度な」
友「おい、絶対だからな!」
男「あぁ分かってるよ…(うるせぇ)」
友「後もう一ついいか?」
男「あー…今度は何だよ…」
友「なんつーか実はさ、俺も小学校の時の事、よく覚えてないんだよ」
男「はぁ?」
友「いや、マジなんだよ…。なんつーかお前見てたら不安になっちまってよ…。何か分かったら、教えてくんない?」
男「お前なぁ…分かったよ」
友「マジで!?ありがとう!やっぱお前は親友だぜ」
男「あぁ…じゃあ俺ももう行くからな…」
友「おうっ!じゃあなー!」
~研究所への道~
男(なんだか大体読めてきたぞ…。多分だが…研究所に行けば、俺の記憶もハッキリするはずだ…)
男(やっぱりあのおっさんが、鍵だったんだ…。どこかで見た顔だったんだ…)
催眠術研究所に着くと、クレープの甘い匂いがした。
悪の根城がクレープの香りにつつまれてるとは、何ともお笑いだと思った。
~催眠術研究所~
男(何だか妙にやな感じがする…)
男(だがあと一歩だ…)
ピンポーン…
研究所の呼び鈴を押した。
少しだけ手が震えて、甘い香りに眩暈がした。
『はい、こちら◯◯催眠術研究所です』
男「聞きたい事が山ほどあるんだ…中に入れてくれないか…?」
『申し訳ありませんが、急な来客はご遠慮頂きたいのですが…』
男「頼むよ10分だけだ!話を聞くだけなんだよ」
『しかし…規則ですので』
男「そんな…」
女「入れてあげたらいいじゃないですか。私のダーリンですよ」シレッ
男「まさか…助けられるとは…」
女「いやだなぁ、何時だって私は貴方を導いてきましたよぅ」
女「それに、隠すのももう限界そうですからね」
男「全部…分かるのか?」
女「まぁ、大体は分かるんじゃないですかね…?」
『ドアを開けます…』
所長室は、建物の二階にあった。
物々しい外観の割にシンプルな内装に、正直戸惑った。
所長(女父)「まぁ、君が自ら一人で来なくとも、僕は君を読んでいたよ」
所長「まぁ、座りたまえよ」
男「別にオレは怒っていない、ただ、ありのままの真実が知りたくて来たんだ」
男「俺の空白の時間に何があったのか…教えてくれ…」
女「父様、そろそろ教えてあげたら?」
所長「うん、まずは君に何が起こったかを説明しよう…」
所長「女、準備しておいで」
女「はーい、ただいまぁ」タッタッタ
男「…。」
所長「単刀直入に言うとね、君は幼い時に強いショックを受けて、精神に大きな損傷を与えられたんだよ」
所長「君の通う小学校でね、首を吊った者がいたのさ。門の前にある大きな桜の木でね…。何人かの生徒が目撃してしまってね…私は彼らの心のケアをしていた。」
所長「その中でも特にダメージが大きかったのは君さ…。喋らないし、モノも食べないし、半ば廃人のようになっていたんだ」
男「…それで有名人か…」
男「俺はメンタルが弱かったのか…」
所長「そうじゃないんだ。首を吊った者が悪かったんだ…。」
男「なんとなく見当つくよ…」
所長「そうだ…。非常に言いにくいんだが…首を吊っていたのは、君の…その…父親なんだよ…。だから君だけが、ダメージが多かったんだ…。」
男「…。」
所長「君は自分を弱いといったけど、むしろそうじゃないんだ…。君は忘れずに逆にその事を記憶しようとしたんだ…。それが…まずかった…」
男「親父も親父だ…なんでそんな所で…」
所長「それで僕は当時の君に催眠療法を行った…私が君の記憶を…君の母さんたっての願いで…塗り替えた。」
男「律義に覚えるヤツと、そうでないヤツか…」
所長「催眠療法は成功した…しかし…催眠なんて所詮は誤魔化しに過ぎない…だんだんと矛盾が生じる。実の所、君は今まで何回もここに来て、記憶の書き換えを行っていたんだよ。」
男「だから女は俺の事を知っていたのか…」
所長「君に催眠療法をする時に、女は君の事をずうっとみていたんだよ。あの子は君に恋をしていたんだ。ずっとね」
所長「周りの人間が君に真実を告げたがらないのは、下手に記憶が蘇って、君の心が本当に壊れるのを防ぐ為さ…」
男「おぃ…ちょっと待てよ真実を聞いても、俺は何ともならないぞ?」
所長「催眠はまだ完全に解けてないからね、実感はまだしていないだろう…?」
男「まるで他人事みたいに聞こえるからな…」
所長「そのうちに催眠が解けて、脳がありのまま全てを思い出した時、君は今度こそ、完全に壊れるかもしれない。」
男「まるで死刑台に立っている気分だ…。なんで催眠療法とやらをやめるんだ?」
所長「理由は二つあるよ。第一に君の脳が記憶の書き換えを拒み始めている事だ。やはり、さっきも言った様に催眠なんて所詮はマヤカシなんだ…。いつ迄も騙しきれるものじゃない…」
男「限界が近いってことか…」
所長「そして第二の理由だ。この町で起きた殺人事件のことだ。被害者は現在二名いずれも首を締められた事による窒息死」
男「何か関係あるのか…?」
所長「おそらくだが、犯人は首吊りの現場に居合わせた児童達の誰か。幼い頃のトラウマが原因で、猟奇殺人を引き起こす事例は聞いた事あるだろう?」
男「そこで、その場にいた児童の顔を割る為に俺の記憶が必要だったわけだ」
所長「その通りだよ。あの事件に居合わせた児童の、君を除く全員が記憶を塗り替えてしまっているからね。供述が取れないんだよ…。無理に思い出させようとすれば…」
男「…頭がぱーんか…」
男「それで、放って置いてもいずれは駄目になる俺が選ばれたのか…」
所長「当時の診断書はなぜかほとんど残っていなくてね…誰かが手違いで捨ててしまったのかな…ありえない事なんだが…」
男「…。」
所長「これから、君にかかっている催眠を全て解く…成功すれば犯人逮捕の手がかりになるし、失敗すれば廃人になって再起不能になる。」
男「いきなりだな…。」
所長「もうこれ以上は待てない三人目が出る前に全てを終わらしたいんだ…身勝手過ぎるがね…」
男「あのさぁ…」
所長「何だい?」
男「一応、失敗したら母さんにありがとうって言ってくれ」
所長「…」
男「な?いいだろ…?」
所長「分かったよ…」
微妙に薄暗い、子宮見たいな部屋に入って、俺は手足を拘束された。なんて事は
ない。暴れる危険性を考慮されたのだ。母はきっと自分を止めるだろうから、連絡はしなかった。人生最悪の二択だ。
女「もしあなたが正気を保てなかったら」
男「うん…?」
女「あなたを殺して私も死ぬ」
男「…あぁ」
女「泣いてるの?」
男「なかないやつがいるのか」
所長「始めるよ」
友「……。」
友「………。」
友「…………あと一度だけやってみよう」
友「ちょっと君、良いかな?」
女生徒「え…?ちょっと何?」
友「いやぁ、何というか暇でさぁ…良かったら少しだけど遊ばない?」
女生徒「へぇーいいよ。何処で遊ぶの?」
友「うーん、ちょっと遠いけれど付いて来て」
女生徒「うーん。着いて来るのはそっちでしょう。私はもっと楽しくて、貴方に相応しい場所を知っているよ。」
友「へぇ…じゃあそこに連れて行ってくれよ…あと、俺、人が多い所はあんまり得意じゃないからさ」
女生徒「うーん分かった。ちょっと痛いけど我慢してね」
友「 え? 」
意外と人間、保とうと思えば正気を保てるもんだ。
俺は友の背後から鉄パイプで殴りかかった。
友は地面に突っ伏したまんま動かなくなった。
人間、意外と丈夫なのか知らんが、脈はまだあった。
後は女と警察を呼んで、それで終末だ。
英雄扱いを受けるかと期待もしかけれど、ただの勇敢な市民扱いだった。
意外と警察ってセコイよなぁ。
こんだけ働いても何にもくれやしないんだからなぁ。
男「意外と何にもなかったなぁ…」
女「でも殺人犯を捕まえたじゃないですかぁ、立派ですよ」
男「あいつ、良いヤツだったんだけどなぁ…」
女「人間見た目によらないものですからねぇ、怖いです。でも、一先ずは終わりですよ。」
男「俺は友達をなくしただけだったな」
女「代わりに記憶と未来のお嫁さんをゲットしたじゃないですかぁ。」
男「あー、うんまぁ、な…」
女「これで全ての謎は解けたじゃないですか、何を不満に思ってるんですかぁ?」
男「…診断書。」
男「診断書…隠したか捨てたのは君だろ…」
女「…」
男「クレープ屋に行った時に、なんとなく君を見かけたじゃないか。今にして思えば明らかに不信じゃないか?」
女「まぁ…そうですね」
男「僕を催眠術研究所に招くとき、君はやけに堂々と入ってったろ?」
女「…。」
男「しかしあの時の君は周囲を警戒しながらゆっくりと中に入った。キョロキョロしながらね。」
男「まぁ、証拠はないからほとんど感なんだけど」
女「…」
男「何で隠しちゃったの?」
女「…」
男「…」
女「記憶…」
男「…」
女「私を思い出して欲しかったから」
男「…」
女「それだけですよう。だって診断書があったら貴方はすぐに私を思い出せないじゃないですか…」
男「つまりアレだ…」
女「ようするに待ちきれなかったんですよ。」
男「…」
女「許して…くれますか?」
許すor許さない
>>260
ゆるしてSEXエンド
男(俺は結局、彼女の全てを許すことによって、自分のなかで一先ずの決着を付けた。)
男(僕と彼女はすぐに付き合い始めた。一緒に出かけたり、本当にたわいない話をしたり、裸で抱き合ったり、今までの自分には凡そ見当もつかない幸福を手に入れた)
男(友人と、偽りの人生を失って、あの薄暗い子宮のような部屋から、ようやく自分が生まれた気がした。)
/)
( i )))
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| ^o^ | ノ / おわりだ俺はさっさと寝る
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初めてSS書いたわこんなに長引くとは思わなかったわクソッタレ
ちなみにバイオショックのパロディなんだよこのSS
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