後輩女「…ふることふみ?」男「そう」(15)



後輩女「……何ですか? それ」

男「古事記」

後輩女「おお、『コジキ』! それなら知ってます」

後輩女「でもそれがどうしたんです?」

男「イヤ、こないだチョット読んでみたんだけどよ。
  知ってるようで知らねぇコトが多かったから…」

後輩女「うぅむ… 言われてみれば私も、イザナギイザナミくらいは知ってますけど…
    あとはアマテラスとスサノオ程度でしょうか」

男「まぁ、そもそも原本なんてもうとっくにねぇし
  現存する一番古い写本だって、室町時代のモノなんだがよ」

後輩女「古事記って確か、天武天皇の命で作られたんじゃなかったですっけ?」

男「ウン、結局712年… 天武天皇の死後に太安万侶(おおのやすまろ)によって献上されたんだがな」

後輩女「それじゃ600年以上も経ってるじゃないですか。
    どこまで正確なのか、分かったものじゃありませんよ」



後輩女「それに解釈の仕方だって、人によって違うのでは?」

男「そりゃそうだが、俺達は今あるものを正しいと信じる他ねぇからな。
  ま、とりあえず簡単におさらいしていくとしようぜ」

後輩女「私もですか?」

男「どうせ暇なんだろ? いいじゃん。
  日本に住んでんなら、知っといて損はねぇだろ」

後輩女「そうですけどねぇ……」

男「俺も全然詳しくねぇから、あんま突っ込んだ質問はすんなよ?」

後輩女「へいへい」

男「ヨシ、そんじゃそこ座って。
  えーと、まずは……」



男「……この世界は、何もないところから始まった」

後輩女「何もない? 宇宙みたいな感じですかね?」

男「天も無く、地も無く、時間も空間もない。
有るのか無いのかも分からない。
ただうす暗く、もやもやとした状態がどこまでも広がってたんだ」

後輩女「? ギリシャ神話なんかもそんな感じじゃありませんでした?
    混沌、みたいな……」

男「天地創造ってのはそんなモンなんだろ。
  それにギリシャ神話では、無から初めて生まれたのが『混沌』だったと思ったが……」

後輩女「ああ、そうでしたかスミマセン」

男「……やがて油が漂うようなトロトロした塊が、少しずつ天と地に分かれ始め
  そして天の領域、高天原に神が生まれる」

男「天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)…
  姿形のない『とある存在』としての神様だ」

男「次に高皇産巣日神(タカミムスヒノカミ)、神皇産巣日神(カムムスヒノカミ)が生まれた。
  ……宇宙の始まりだな」



男「この三柱の神々『造化三神』によって、宇宙は始まった… が
まだ何もかもドロドロで、しっかりと固まってねぇ」

男「そんな泥沼みてぇな中から、葦が生えるように生まれたのが
宇摩志阿斯訶備比古遅神(ウマシアシカビヒコヂノカミ)と
天之常立神(アメノトコタチノカミ)なワケだ」

後輩女「ちょ… あの、名前が長すぎるんですけど?
    それに漢字見たって絶対読めやしませんよ」

男「漢字のテストで出たら、覚えんの大変だろうな」

後輩女「なんだってそんな長い名前付けるんですか」

男「俺に言われてもよ……
  俺、名付け親じゃねぇし」

後輩女「それは分かってます」

男「まぁいいや、ここまでの五神は『別天神』(コトアマツカミ)と呼ばれる」

男「次に国之常立神(クニノトコタチノカミ)生まれ大地を守り
豊雲野神(トヨクモノノカミ)が生まれた後、ようやく宇宙はそれらしくなる」

後輩女「姿形は?」

男「まだない」



男「姿形っつーか、性別を持って生まれてくるのは次からだ」

後輩女「また長そうですね……」

男「宇比地邇神(ウヒジニノカミ)と、その妹で妻の須比智邇神(スヒチニノカミ)。
二神は泥や砂を産んで、その泥や砂を丸めて宇宙に漂っている星雲に投げ、星々の種を造った」

男「角杙神(ツノグイノカミ)と活杙神(イクグイノカミ)は
泥や砂が他の星雲に飛び出さないように、杙を産んで柵を造り……」

男「意富斗野地神(オオトノジノカミ)と、大斗乃弁神(オオトノベノカミ)は
星雲の境界を管理するために、門や戸を産んで出入口を守る」

男「於母陀流神(オモダルノカミ)と阿夜訶古泥神(アヤカシコネノカミ)は
全てのものの陰陽(男根と女陰)を司る」

後輩女「……頭がクラクラしてきました」

男「ここでやっと知った名前が出てくるぞ。
伊耶那岐(イザナギ)と伊耶那美(イザナミ)の神だ」

後輩女「おぉ! ようやくご登場ですか!!」

男「色々ややこしいが、国之常立神から伊耶那美神までは『神世七代』っつうんだ。
ちなみにここまでで百五十億年もかかってるそうだぞ」

後輩女「うへぇ…… 気が遠くなりそうですねぇ」

ここまで。何かスペースおかしくなってる
淡々と古事記のおさらいするだけ。特に物語はない
あと>>1に深い知識はこれっぽっちもない



男「……ある日、下界を見下ろしながらの神々会議が行われた」

後輩女「ほぅ」

男「そこでイザナギ、イザナミは『天の沼矛』を受け取り
  泥海のような大地を固め、国を整えることになったんだが…」

男「2人は『天の浮橋』の上から天の沼矛を降ろし、とりあえずかき回してみることにした」

後輩女「矛でかき回して、どうするつもりなんでしょうかね」

男「矛の先から垂れたしずくが固まって、塩の球になったらしいぞ」

後輩女「球? 日本ができたんじゃないんですか?」

男「できたのはコロコロ転がる塩の球…
  つまり地球なワケだ」

後輩女「…素朴な疑問なんですが、ナゼ地球が球状だと知っていたんでしょう」

男「俺に分かるワケねぇだろ」

後輩女「……そうですね」



男「地球に降りてきた2人は、高天原につながる『天の御柱』を立て、宮殿を建てる」

後輩女「……そろそろ例のくだりですか?」

男「何?」

後輩女「イエその、子作りの……//」

男「その通り! イザナギは自分の体を見てこう言った。
  自分の体には一ヶ所だけ余分に出っ張ったトコロがあると」

後輩女「あの… そこは省略してもらって構わないんですけど?」

男「俺は話したいんだよ!
  …で、イザナミも自分の体に一ヶ所だけ引っ込んで足りない部分があると言う。
  2人は出っ張った部分で足りない部分を塞ぐことにした」

男「これが性行為だ。 …セックスなんだ!!」

後輩女「分かりましたから興奮しないで下さい」

男「そして柱の周りを廻って、結婚の誓いを立てる」



後輩女「『あなにやしえをとこを』? …何の呪文です?」

男「柱廻ったトコで、イザナミがイザナギにかけた言葉だ。
  まーイイオトコねー、とかそんな意味じゃね?」

男「ちょっとやってみようぜ。
  このでっかいテーブル廻ってさ」

後輩女「エエェ!? ヤですよ!」

男「なー頼むよ!
  チョット褒めてくれるだけでいいから、な?」

後輩女「しょーがないなー。
    1回だけですよ?」

男「ヨシ、そんじゃそっち側から廻れ。
  俺こっちから行くから」タタ

後輩女「では…」テテテ



後輩女「……どうしたらいいんです?」



男「お前が先に声かけろ。
  今風の言葉でいいから」

後輩女「て… テレますねぇ//」

男「早く早く!」

後輩女「せ、先輩って… ステキ♡」モジモジ

男「おぉぉ… 後輩女、超可愛い//」


男「……で、男女の営みを始めるワケだ」ガシッ

後輩女「ちょ! 何で肩掴むんです!?
    訴えますよ!!」

男「……チッ」

後輩女「まったく… 図書室で一体何を考えてるんですか」プンプン

男「ハハ、悪ィ悪ィ。
  あわよくば… と思っただけで悪気はないんだ」



後輩女「確か最初に生まれた子供は、手足も骨もないヒルコでしたよね?」

男「そう。葦の舟に入れられ川に流されちまうんだが
  エビス様として祭ってる神社は結構多いんだぞ」

後輩女「ふぅむ… 自分の子を川に流すのはどうかと思うんですが…」

男「次に生まれた子供もブクブクとした泡だった」

後輩女「アワシマでしたっけ?」

男「後の弁天様だな。
  …ともかく、どうしてこうなったと2人は神々に相談する」

男「結果、女から先に声を掛けたのが良くない、という答えが出た」

後輩女「むぅ… レディーファーストという考え方は当時はなかったんですかねぇ」

男「さぁな。
  だがイザナギは天津神、イザナミは国津神で、先に声かけした方に主導権があるっつうから
  ヒルコとアワシマは国津神… 先住土着の神になったんだろ」



後輩女「先住土着…」

男「縄文時代の神様ってコトだ」

後輩女「なるほどなるほど」


男「さて今度こそは… と、イザナギからプロポーズしたところ、立派な子が生まれた」

男「最初に生まれたのは淡路島。
  次に四国、三つ子の隠岐ノ島、九州、壱岐の島、対島、佐渡島…
  最後に本州である大倭豊秋津島(おおやまととよあきづしま)」

男「『秋津』ってのは、トンボの古名らしい。
  トンボが交尾しながら飛んでる姿が本州に似てるから付いた名前なんだと」

後輩女「だから何で本州の形を知ってたんでしょうかねぇ」

男「俺に聞かれても」

男「…で、ここまでの八島にちなんで、日本のコトを『大八島国』(おおやしまくに)とも言う」

後輩女「ハァ… 聞いたコトありませんが」



男「2人はその後もバンバン子を作る。
  その子ども達もまた子を生んで、大八島に宿る神々はどんどん増えていく」

後輩女「その頃高天原はどうなっているんです?」

男「そっちも新しい神々が生まれてたみたいだ」

後輩女「天も地も神様でいっぱいですね」

男「これからまだまだ増えるしな」

後輩女「さすが八百万の神々が坐す国」


男「そんでまぁ順調に神様は増えていくワケなんだが…
  火の神、火之迦具土(ホノカグツチ)を出産の際、イザナミは大やけどを負う」

後輩女「普通なら、本州を産んだ時点で体が裂けてそうですけどね」

男「ハハ、そうだよな」

男「…んで、苦しんだイザナミの吐いた吐しゃ物からは鉱山の夫婦神
  便から土の夫婦神、尿から水の神と穀物の神が産まれ、そこで力尽きる」

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