レッドが失踪してから、グリーンは退屈していた。
最初の頃は「失踪してしまったチャンピオンの代わりを務めないか?」
なんて失礼な誘いに苛々もしていたが、トキワジムのジムリーダに就いてからは
次世代を担う自分よりずっと若い才能達からの刺激に興奮も満足もしてる。
しかし、ふとした瞬間とても退屈だと気付いてしまう時があった。
「おーす、じいちゃん」
ジムを抜けて、お昼を食べにマサラに戻るとグリーンは実家を素通りし
祖父であるオーキド博士の研究所へ足を運んだ。
「おぉ、グリーンかどうしたんじゃ?」
いくつになっても孫は可愛いものなのだろう、ぶっきらぼうなグリーンを
オーキドは笑顔で迎えた。
「ん?いや、昼飯食べようかなぁって。
ほら、ジム居るとアイツ等が稽古稽古うるさいから…」
「ホホッ。お前にも部下が出来るとはのぉ…いやはや」
グリーンは見慣れた研究所の中をウロウロしていた
「…ん?じいちゃん、フシギダネどこにやったんだ?」
「…どういう事じゃ?」
グリーンとは少し離れた所で何かの記録をとっていたオーキドが
その質問に驚き、慌てて近寄って行く
「いやホラ、オレがゼニガメだろ?んでアイツがヒトカゲ。
フシギダネがここの机に置きっ放しだったんじゃなかったっけか?」
グリーンは、あの日二人が初めてポケモンを手に入れたあの机の前に居る。
「そりゃそうじゃ。…おかしいのぉ。」
オーキドは不思議そうにその何も残っていない机を見つめるばかりだった。
「じいちゃん、ボケちまったのか?まったく…」
あきれ顔でグリーンがドカッと椅子に腰掛けるとオーキドは
むっとしながらも、ばつの悪い顔をしていた。
「…あ。アレじゃないかのぉ!ロケット団!」
「はぁ?ロケット団なんかとっくにアイツが倒しただろう?頼むぜじいちゃん。」
「いや、それがそうでもないみたいなんじゃ。最近どうもその残党が新しいボスを迎えて以前にもましてその勢力を伸ばしておるそうなんじゃ。」
そんな話を他人事の様に話すオーキドにグリーンはイライラしていた。
「じいちゃん、そりゃガセだろう。現にジムリーダーのオレの耳にはそんな話、全く届いてないぜ?」
何だか間抜けなオーキドに、グリーンはやれやれと言う身振りをしてみせた。
「そりゃそうじゃろう。最近ロケット団が活動の拠点にしておるのはジョウトだからのぉ」
「…本当か?じいちゃん」
「あぁ、と言っても以前の様に町一つを占領したりといった様な大規模な活動はまだ帆報告されておらんがのぉ…」
「…ちっ!!またなじいちゃん、ちょっと行ってくる…」
オーキドが話ている途中でグリーンは席を立ち、急ぎ足で研究所を後にした。
「無理するんじゃないぞぉ」
この研究所から勇み足で出て行くグリーンを見て、オーキドはあの日の事を久しぶりに思い出したのだった。
「…レッド君。一体君はどこに…」
「お疲れさまです!!!!」
「お疲れさまです!!!!」「お疲れさまです!!!!」「お疲れさまです!!!!」
グリーンがジムに戻ると、後輩のエリートトレーナー達が深々とお辞儀をした。
「おう、ちょっと出てくる。留守の間、頼んだぞ?」
そう言うと、グリーンは自分がいつもジムリーダーとして鎮座しているジムの最深部へ足早に向かい、6個のハイパーボールを持ち出しジムを後にした。
「行くぞ、ピジョット。まずはヒワダに行ってガンテツさんに話を聞こう」
グリーンがボールからピジョットを出し、そう指示するとピジョットはこくりと頷きグリンを背にのせて飛び立った。
これ見てる人居んの?
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