――調査兵団104期が新宿に行く2日前、夜
コンコン
エルヴィン「入りたまえ」
ガチャ
「失礼します」
「こ、こんばんは」
エルヴィン「ああ。こんばんは」
エルヴィン「神様」
新宿駅周辺を舞台にした調査兵団104期の一日。これでシリーズ最後です。アニメ組ネタバレあり。
リヴァイおよびハンジ視点の番外編。
以下ssと同日の話です。
エレン「新宿の巨人」ミカサ「東口」
エレン「新宿の巨人」ミカサ「東口」 - SSまとめ速報
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ベルトルト「新宿の巨人」ユミル「西口」
ベルトルト「新宿の巨人」ユミル「西口」 - SSまとめ速報
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サシャ「新宿の巨人」ジャン「東南口」
サシャ「新宿の巨人」ジャン「東南口」 - SSまとめ速報
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コニー「新宿の巨人」サシャ「南口」
コニー「新宿の巨人」サシャ「南口」 - SSまとめ速報
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ライナー「新宿の巨人」クリスタ「中央西口」
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アルミン「新宿の巨人」クリスタ「サザンテラス口」(解答編)
アルミン「新宿の巨人」クリスタ「サザンテラス口」 - SSまとめ速報
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エルヴィン「そこに座ってくれ」
クリスタ「はい」ガタッ
リヴァイ「……」ジッ
クリスタ「……」ドキドキ
ハンジ「この目つき、平常運転だから緊張しないで。紅茶どうぞー」カチャ
クリスタ「あっありがとうございます」
エルヴィン「さっきは見苦しいところを見せてしまったな」
クリスタ「いえ……それどころか」
クリスタ「和みました」
エルヴィン「和む?」
クリスタ「はい。団長たちも、遊ぶんだなって」
クリスタ「お三方が食料庫の荷台で競争して遊ぶなんて、誰も想像できませんから」クスクス
ハンジ「たまには羽目を外さないとね。私たち、案外ゲームでも熱くなっちゃうタイプなんだよ」
リヴァイ「基本的にエルヴィンがビリだ」
エルヴィン「頭脳戦ならリヴァイがビリだ」
ハンジ「身長もリヴァイがビリだね」
クリスタ「ふふっ」
リヴァイ「おいガキ」
クリスタ「すっすみません……」ビクッ
ハンジ「リヴァイ風の冗談だよ、慣れればどうってことない」
クリスタ「はあ……」
エルヴィン「それでだ、さっきの話だが」
クリスタ「はい……。いきなりわけのわからないことを言い出して……すみませんでした」
エルヴィン「はは、そうだな。正直戸惑ったよ」
きたたたたた!待ってた期待!
エルヴィン「君が神様となり、異世界への道を作った……なんてな」
クリスタ「ですよね……」
エルヴィン「詳しい内容を聞く前にクリスタ、君に今一度確認をとりたい」
エルヴィン「私たちは今回の現象を人類の勝利のため利用する。いいかな?」
クリスタ「はい。私はそうしていただくために報告をしましたから」
エルヴィン「そうか。君の知っている情報は全て我々に開示するように」
クリスタ「はい」
エルヴィン「そして君がこの現象を引き起こした神様であることは他言無用だ」
クリスタ「はい」
エルヴィン「ありがとう。感謝する」
クリスタ「とんでもないです」
エルヴィン「では話に入ろうか」
クリスタ「はい。確かめて……頂けましたか?」
エルヴィン「ああ。先ほどハンジがな。ついでに短時間だが調査に行って来てくれた」
ハンジ「クリスタが言っていた通りだったよ」
ハンジ「地下食料庫にある荷台に乗って奥の壁に突進したら、壁を通り抜けて異世界に辿りついた」
ハンジ「そこは異世界の極東にある島国、ニホン」
ハンジ「その中でも極めて人口密度の高い地域にあるシンジュクダンジョンだった」
クリスタ「シンジュクダンジョン……」
ハンジ「私たちには想像もできないほどの高度な文明を有している地域みたいでね。こちらからすれば情報の宝箱って感じかな」
クリスタ「そうですか……」
リヴァイ「なぜお前の仕業だとわかった?」
クリスタ「よく、わかりません」
リヴァイ「わからない?」
クリスタ「なんとなくなんです。神様になった理由もそうです。実感があるだけで、理由はわからない……」
ハンジ「クリスタが神様になった理由だけど」
ハンジ「今向こうの世界を調査して、少し気になることがあったよ」
クリスタ「?」
ハンジ「君は同期から神様や女神様と呼ばれているらしいね」
クリスタ「えっ冗談でですよ」
リヴァイ「なんだハンジ、皆の願いが叶いましたとでも?」
ハンジ「まあそんな感じ。向こうの世界でも一部の人間から、君は神様と認識されているみたいなんだよ」
クリスタ「え……?」
ハンジ「あの地域はどうやら信仰の自由があって、更に多神教でね。神様はどこにでも、何にでも存在し得る」
ハンジ「そんな数ある神様の中に、クリスタも数えられているってこと」
クリスタ「な、なぜですか?私はそのシンジュクのことなんて何も知らないんですけど……」
ハンジ「残念ながらそこまでは調べられなかったよ。ごめんね」
ハンジ「だけどその共通認識が、この世界とあの世界を繋ぐきっかけになったんじゃないかな」
ハンジ「というか私には、これ以外に共通性が見出せなかった」
リヴァイ「つまりはこじつけか」
ハンジ「ああ。こじつけずには飲み込めないほどの事態だってこと」
キタキタ!
これ読むとハリポタ読みたくなる
ハンジ「他に何か心当たりはないの?例えば、身の周りや、体に変化があったとか」
クリスタ「あ……」
ハンジ「ん?」
クリスタ「お腹が痛いです」
ハンジ「へえ」
クリスタ「お腹っていうより……おへそのもう少し下が痛くて」
クリスタ「あと、あの……」
ハンジ「?」
クリスタ「胸が、痛いんです。ちょっと触っただけでも、なんか張ってるみたいに……」
クリスタ「こんな症状は初めてです……」
ハンジ「……」
リヴァエル「?」
クリスタ「まさかこれが原因……?私どうしちゃったんでしょう……」
ハンジ「クリスタ……耳かして」
クリスタ「はい」
ハンジ「それ排卵日の症状だよね?」ヒソヒソ
クリスタ「何ですかハイランビって」
ハンジ「!?」
リヴァエル「!?」
クリスタ「……?」
ハンジ「あ……あはは。手遅れかもしれないけど、ちょっと外で話そう」
クリスタ「?はい」
バタン
エルヴィン「……」
リヴァイ「……」
エルヴィン「15歳で初潮がまだだとは」
リヴァイ「気持ちわりいぞエルヴィン」
エルヴィン「私は一般論を述べたまでだ。平均年齢はもっと低い。確か……」
リヴァイ「いらん情報披露するな」
エルヴィン「そうだな」
リヴァイ「……」
エルヴィン「……」
リヴァイ「なあエルヴィン」
エルヴィン「?」
リヴァイ「もしかしてハンジも女なのか」
エルヴィン「ああ。女性だよ」
リヴァイ「驚いた」
エルヴィン「私がハンジなら君を殴っているよ」
ガチャ
ハンジ「ただいまー」
クリスタ「///」モジモジ
リヴァエル「……」
ハンジ「ってことで、子どもと大人のちょうど狭間でこんなことが起こった……のかもね。あはは」
クリスタ「すみません忘れて下さい……///」
ハンジ「じゃあ次、神様って何ができるの?」
クリスタ「異世界と繋げること……あとは予感、な気がします」
ハンジ「未来が視えるの?すごいね」
クリスタ「いえ。起こる可能性の高い未来がなんとなく感じられるだけです。それに、たまにですし」
リヴァイ「神様って肩書きの割りに不便だな」
ハンジ「見習い神様なんだろ。文句言わないの」
クリスタ「私自身も良く分かっていないのですが……神様でいられるのは3日間だけです」
クリスタ「この現象も同じく3日のみ。つまり今日と、おそらくあと2日かと」
ハンジ「3日経ったら君はどうなるの?」
クリスタ「神様じゃない、ただのクリスタ・レンズに戻ります。……私が分かるのは、このくらいです」
エルヴィン「そうか……」
クリスタ「団長」
エルヴィン「?」
クリスタ「私は本当に、兵団のお役に立てるでしょうか?」
エルヴィン「ああ。もちろんだ。君には明後日、君の同期と現地へむかってもらうことにする」
エルヴィン「神様は現場にいてもらいたい」
クリスタ「明後日?明日はどなたが行くんですか?」
エルヴィン「誰も行かない」
クリスタ「へ……何故ですか?」
エルヴィン「大人の事情でな」
クリスタ「そ、そうですか……」
クリスタ「あの……」
エルヴィン「……?」
クリスタ「もし、万が一向こうの世界で私が迷子になっちゃって、いなくなっても」
クリスタ「荷台は通じますから、安心して下さい」
エルヴィン「……」
エルヴィン「そうか。しかしその万が一は起こらない」
クリスタ「えっ」
エルヴィン「君とエレンには護衛を着けさせてもらう」
エルヴィン「特別作戦班の人間をだ。もちろん他の兵には存在を悟られないように」
エルヴィン「君の身に何か起きた場合は彼らが活躍してくれるだろう。安心しなさい」
クリスタ「はい……」
エルヴィン「……もうこんな時間か。今日はこのへんにしておこう」
ハンジ「また話を聞きに呼びたすかもしれない。よろしくね」
クリスタ「はい。紅茶、ごちそうさまでした」
今この瞬間を舞い踊るのさ、ワールドオーダー♪
ってくらい楽しみに舞ってました
リヴァイ「歯磨け」
クリスタ「はい。それではお先に失礼します」ペコッ
エルヴィン「おやすみ、神様」ニコ
ハンジ「おやすみー」フリフリ
クリスタ「おやすみなさい」ガチャ
バタン
リヴァイ「対象は104期にしたのか?エルヴィン」
ハンジ「クリスタがいるし、それが自然だね」
エルヴィン「ああ。それにふるいにかけたのなら今度は、選別しないとな」
リヴァイ「勧誘式の話か」
ハンジ「志願制かな」
エルヴィン「敵は人類の利益になり得る情報の獲得は阻止したいはずだからな。参加するだろう」
エルヴィン「裏切り者探し役は頼んだぞ。リヴァイ、ハンジ」
リヴァイ「いなかったら骨折り損じゃねえか」
エルヴィン「いいや損はしない。向こうに行くだけでも人類にとって有益な情報が得られるのだから」
エルヴィン「敵がいなかったらいなかったで、その情報収集と彼らを見守るだけでいい。休日の親の気持ちで臨んでくれ」
ハンジ「リヴァイがお父さんとか……プッ」
リヴァイ「屁こくな」
ハンジ「笑ったんだよ」
エルヴィン「何より……新兵には死地に向かわせる前に、例え1日でも穏やかに過ごしてもらいたいからな」
ハンジ「優しいねエルヴィンは」
エルヴィン「彼らを疑い騙している私がか?」
リヴァイ「そりゃあひでえな」
ハンジ「ああ。でもやっぱり優しいよ」
ハンジ「さて」
ハンジ「明日行けないのが痛いな。明日は商会の方々がわんさとくる日だったよね?」
エルヴィン「ああ」
ハンジ「私1人でも抜け出せない?」
エルヴィン「抜け出せない」
ハンジ「ミケやナナバも?」
リヴァイ「商会のやつらは出欠を取るのだけは得意だからな」
ハンジ「あーもう面倒。出欠で何を測ってるのやら」
リヴァイ「やる気」
エルヴィン「誠意」
リヴァイ「笑えるな」
ハンジ「真顔だよ」
リヴァイ「お前もな」
ハンジ「しょうがないなあ。今からもう一度行ってこよう」ガタッ
リヴァイ「もう夜だぞ」
ハンジ「明日もやることぎゅうぎゅう詰めだし、今しかないよ」
ハンジ「変装グッズだけは調達しておきたいし。リヴァイも行ける?」
リヴァイ「寝る」ガタッ
ハンジ「よし行けるね。エルヴィン・スミス様」
エルヴィン「ん?」
ハンジ「いつもご苦労様です。あなた様は私たちの帰還は待たずにお休みになって下さいね」ニコ
エルヴィン「ああ。ありがとう」ニコ
ハンジ「だから明日の会議寝てても許……」
エルヴィン「許さない」ニコ
リヴァイ「ちっ」
エルヴィン「お前もか」
>>5 またよろしく!
>>9 ハリポタ…!?とにかくありがとう!
>>16 ありがとう!ググっちまった須藤元気ね!聞く
今回は導入からガッツリですみません。今日はここまで。
前回のお約束で最後に載せました。104期タイムテーブルです。オヤスミス
http://i.imgur.com/EE0pg5n.jpg
乙
荷台で壁の向こうに通り抜けるのとかハリポタの9と3/4乗り場に行くのと似てるなーって前からちょっと感じてた
いいよねーロマンだよねー
これまでの順位だがベルアルサシャエレコニライって感じかな
前作のアルは今迄のよりキャラ崩壊が著しかったので俺的にマイナスなんだが
更新数やタイムテーブル作成など熱意が感じられたので評価した。
偉そうですまん乙
今まとめで全部読んでて、リアタイで続きが読めるとは!
期待してます!
皆様ありがとです。番外編なのでおそらくゆるめにやります。
>>24 あっそれね!確かにハリポタの真似たよ!マロンだわ
>>26 でも最後まで読んでくれたのかありがとう!熱意と言ってくれた分の評価は内容とはまた別だと思うから、そこは気持ちだけ戴くよ!感想参考にする
>>30 わあ!かなり長いでしょう、サンキュー!
――調査兵団104期が新宿に行く前日、夜
エルヴィン「諸君ら104期を呼び出したのは他でもない。明日一日かけて遠征調査に行ってもらう」
ザワ ザワ
エルヴィン「調査と言っても壁外ではない。この世界の外だ」
エルヴィン「昨日、地下の食料庫の荷台に乗り……なんやかんやでつきあたりの壁につっこむと」
エルヴィン「異世界に行けることが判明した。昨夜、ハンジとリヴァイが荷台で遊んでいた際に発見した」
リヴァイ「エルヴィンお前もだろ」
ハンジ「レースで負けたからって、情報操作はよくないよ~」
エルヴィン「この世界ではない、未来世界に存在する極東の島国に繋がった」
エルヴィン「早急な調査が急務である。この世界にとって有益な情報が得られるかもしれない」
エルヴィン「よって諸君ら104期の中から志願者を募り、スパイを送ろうと思う」
ジャン「なんだよそれ」
コニー「非科学的じゃねえか」
サシャ「コニー、キャラがぶれてます」
>>32 ああ訂正。
――調査兵団104期が新宿に行く前日、夜
エルヴィン「諸君ら104期を呼び出したのは他でもない。明日一日かけて遠征調査に行ってもらう」
ザワ ザワ
エルヴィン「調査と言っても壁外ではない。この世界の外だ」
エルヴィン「昨日、地下の食料庫の荷台に乗り……なんやかんやでつきあたりの壁につっこむと、異世界に行けることが判明した」
ハンジ「なんやかんやって」ボソッ
リヴァイ「馬鹿みてえな濁し方」ボソッ
エルヴィン「昨夜、ハンジとリヴァイが荷台で遊んでいた際に発見した」
リヴァイ「エルヴィンお前もだろ」
ハンジ「レースで負けたからって、情報操作はよくないよ~」
エルヴィン「この世界ではない、未来世界に存在する極東の島国に繋がった」
エルヴィン「早急な調査が急務である。この世界にとって有益な情報が得られるかもしれない」
エルヴィン「よって諸君ら104期の中から志願者を募り、スパイを送ろうと思う」
ジャン「なんだよそれ」
コニー「非科学的じゃねえか」
サシャ「コニー、キャラがぶれてます」
エルヴィン「志願者は明日、その荷台に乗り、目標の地域の最重要人口密集地帯に送られる。シンジュク駅という巨大なダンジョンだ」
エルヴィン「そこで君たちには現地の人間や文化を偵察してきてほしい」
クリスタ「偵察……見るだけでよいのですか?」
ユミル「戦闘が起こる可能性は?」
ハンジ「私が昨日事前調査に行ってきたけど、基本的に治安はいいし確率は極めて低いと思うよ」
ハンジ「皆格闘術を心得ていないもやしっ子みたいだったしね」
ハンジ「まあ難しいことはさておいて、純粋に未来の異国を楽しんでくるといいよ」
ハンジ「ただ、シンジュクダンジョンは現地の人間でさえ飲み込む迷宮だよ……気をつけてね」
一同 ゴクッ
エルヴィン「以上だ。志願者は明日9時ここに集合」
エルヴィン「約1時間ハンジより向こうの情報を聴講したのち10時出発だ。それでは解散したまえ」
――団長の部屋
ハンジ「あははは!新兵たち唖然としてたね。笑っちゃった」ケラケラ
リヴァイ「動じねえ方がおかしいだろ。あんな摩訶不思議」
ハンジ「じゃあそんな摩訶不思議を目の当たりにして、微動だにしなかったあなたはおかしいってことだね」
リヴァイ「お前の目は節穴か。少しは驚いた」
ハンジ「あっそう。メガネの度があってないのかも」
ハンジ「そういえばエルヴィン。昨日は結局私たちが帰還するまで起きてたね。あなたは一体いつ寝てるの?」
エルヴィン「雑務が溜まっていてね。お前たちこそ寝なかったじゃないか、今日の会議」
エルヴィン「報告書全て提出、シンジュクダンジョンの資料作成。完璧だ。優秀な部下を持てて嬉しいよ」
ハンジ「褒めるなら研究費」ニコ
エルヴィン「また今度な」ニコ
ハンジ「……」
エルヴィン「昨夜はダンジョンでお目当てのものは手に入ったのか?」
ハンジ「ほらこれ。デジタルカメラっていう精密機械を買ったよ。今乾電池式充電器で充電中」
ハンジ「これで向こうの世界の情報や裏切り者の証拠シャシンを記録できる」
エルヴィン「シャシン……」
ハンジ「その液晶に写ってる絵が、そのまま紙に記録されるんだ。現像はコンビニやデンキ屋でする」
ハンジ「ドウガも撮れるけど……こっちの世界にはエイゾウを映す媒体がないから、シャシンを使うとするよ」
エルヴィン「なかなか理解が難しいな……。見せてもらってもいいか」
ハンジ「ああ。もちろん」
エルヴィン マジマジ
ハンジ「えっとリヴァイは……はい。これ着てみてよ変装用の服」
リヴァイ「なんだこのだせえスーツ」
エルヴィン「お前が選んだんじゃないのか」
リヴァイ「俺はデジタルカメラ調達係だったからな」
ハンジ「向こうではこれが流行なの。監視が目立たないようにするんだから、ね」
ハンジ「なんなら私服バージョンにしようか?」ゴソゴソ
リヴァイ「スーツ」
ハンジ「だと思った。あとこのメガネかけてね」スッ
リヴァイ「目隠しで裏切りもん探せるわけねえだろ」
ハンジ「黒いけど見える。サングラスって言うんだって。あなたの目つきは唯一無二、目元を隠さないとばれるよ」
リヴァイ カチャ
ハンジ「……」
エルヴィン「……」
リヴァイ「何か言え」
エルヴィン「似合うな……」
ハンジ「う、うん……。小馬鹿にしてやろうと思ってたのに似合う」
リヴァイ「髪型はどうすんだ」
ハンジ「エルヴィンにしたら?」
リヴァイ「ふざけるな」
エルヴィン「お前たち……」
ああもう睡魔が全然進んでないけど倒れるオヤスミス
あんたのSS最高だぜ!!
受験勉強に手がつかねえ←
やったー新作だー!続き楽しみにしてる!!
ハンジ「カツラはアルミンが調達してくれるんでしょ?お楽しみに」
エルヴィン「あ、ああ……」
ハンジ「私はいつも髪あげっぱなしだから、下ろして行くよ。分け目も変えようかな」
ハンジ「服はこれ。シンジュク副都心で働くカジュアルなお姉さん風。どう?」
エルヴィン「いいな。よく似合っている」ニコ
ハンジ「光栄ですわ。エルヴィン団長」ニコ
リヴァイ「スカート丈短え。娼婦かよ」
ハンジ「娼婦言わない」ム
ハンジ「郷に入っては郷に従え。それともなあに?私に足を見せて歩かれるのが嫌とか?」ニヤニヤ
リヴァイ「ああ。見たくないからな」
ハンジ「はいはいそうですかー」
ハンジ「あっエルヴィンにもスーツ買ってきちゃったよ。お土産ー」
エルヴィン「ああ。ありがとう」
リヴァイ ヌギヌギ
ハンジ「リヴァイー、女性に一言もなく着替え始めるなんて紳士じゃない」
リヴァイ「女として扱われたきゃ女らしくしろ」
ハンジ「エルヴィンも何か言ってよ」
エルヴィン「失礼」ヌギヌギ
ハンジ「おいおい……」
ハンジ「はあ。まあいいけどさ」ヌギヌギ
コンコン
「!?」
ガチャ
ペトラ「失礼しま……」
リヴァイ「……」
ハンジ「……」
エルヴィン「……」
ペトラ「失礼シマシタ……」パタン
ハンジ「誰かが誤解を」チラッ
エルヴィン「解かないとな」チラッ
リヴァイ「おしつけんなクソ野郎共」
翌日
1000――地下食料庫
エルヴィン「志願者はこれだけか。心より尊敬する」
ハンジ「じゃあ向こうの情報も伝えたところで、出発するよ!荷台に乗って乗って!」
『さあみんな。
君たちは今荷台に揺られている。この暗がりを抜けたらシンジュクダンジョンに到着するよ。
でも手が滑っちゃって。到着地点がJR中央線、東京行きのホームになっちゃった。ごめんね。
君たちの任務。それはこの世界の情報をなんでもいいから集めてくること。
そして、この国の要である超大型ダンジョン、シンジュク周辺の調査だ。
でもこれは外形的な任務内容。旅行に行ったと思って楽しんできてよ。
緊急のため、立体機動装置は装備、雨具で隠しておくこと。一般人との混乱、戦闘は極力避けてね。
帰還は、2200。JR新宿駅西口、世界時計前に集合だ。帰りの荷台がくるから。
遅れたら最期、戻ってこれる保証はできないから覚悟してね。
それじゃあ良い旅を!』
ガラガラ…
リヴァイ「行った」
ハンジ「行ったね」
エルヴィン「行ったな」
ハンジ「よし、じゃあリヴァイ班のみなさーん、いいよ出てきてー」
ゾロゾロ
ペトラ「皆さんおはようございますっ!」
リヴァイ「ああ」
エルヴィン「おはよう」
ハンジ「今日はよろしくね」
エルド「兵長、ハンジさん。その格好は?」
ハンジ「私たちは変装して向こうに行くんだ」
グンタ「どうしてです?」
リヴァイ「野暮用だ」
オルオ「兵長そのスーツ似合いますね!」
リヴァイ「だせえだろ」
オルオ「兵長が着れば何でもかっこよくなっちまんですよコレが!兵長かっけえんで!」
オルオ「あれですね、むこうの女もイチコロですね!」
リヴァイ「俺は女を口説きに行くんじゃない」
オルオ「ですよね!そうだと思いました!」
ペトラ「オルオもう喋らないで」
エルヴィン「君たちにやってもらうことは昨夜説明した通りだ」
エルヴィン「護衛対象はエレンとクリスタ。その他は何をしても構わない。君たちも羽を伸ばしてくるといい」
ペトラ「えっ」
ハンジ「護衛さえしてくれれば、何食べても何買ってもいいってことだよ」
リヴァイ班「……」
ハンジ「どうしたの皆黙っちゃって?」
グンタ「俺はクリスタの護衛につく」ス
エルド「俺も」ス
ペトラ「えっ私も」
オルオ「待て俺がクリスタに付く」
ハンジ「ん?どうしてクリスタが人気なの?」
グンタ「だってハンジさん……エレンの護衛についたら、安心して観光できる気がしません」ハァ
エルド「あいつのことだ。きっとはしゃいで人様に迷惑をかける」ハァ
オルオ「ガキのイタズラの後始末させられるのがオチだ」ハァ
ハンジ「あはは、ひどい言われようだエレンは。確かにクリスタよりはやんちゃしそうだからね」
ハンジ「まあ行きながらでも決めといてよ。さっ、出発するよ。荷台に乗って」
ゾロゾロ
ペトラ「……」
ハンジ「ん?どうしたペトラ?」
ペトラ「なっ!なんでもありません……いい行きましょう!」アセアセ
ハンジ(うわリヴァイのやつ、昨日のこと釈明しなかったな……。全く困ったもんだ)
エルヴィン「深夜0時がタイムリミットだ。それまでには帰ってくるように」
ハンジ「りょーかいっ。じゃあエルヴィン、行ってきます」
リヴァイ「せいぜいアルミンの土産を楽しみに待つんだな」
エルヴィン「ああ。良い旅を」ニコ
ガラガラ…
――
1200――西口 世界時計前が見える喫茶店
ハンジ「座ってるだけなんて暇ー」
リヴァイ「……」
ハンジ「あーヒマー」
リヴァイ「……」
ハンジ「ヒマでマヒー」
リヴァイ「うるせえ」
ハンジ「おしりが腫れそう」
リヴァイ「めでてえこった」
ハンジ「んー」
ハンジ「ってそうだリヴァイ」
リヴァイ「なんだ便所ならそこを右に行け」
ハンジ「あの後ペトラに釈明しなかったよね」
リヴァイ「したはずだ」
ハンジ「まーたぶっきらぼうに一言ですましたんでしょう。伝わってなさそうだったよあれ」
ハンジ「団長と兵長と分隊長は特別な仲です、なんてデマまわったらどうすんの。私まだ嫁入り前なんですけど」
リヴァイ「たまにはいかした冗談言えんじゃねえか」
ハンジ「そりゃどーも」
ハンジ「でもどうして誤解を解こうとしないの。前もあったよね、こんなこと」
リヴァイ「おい、ロッカーに誰か来たぞ」
ハンジ「えー?あ、あれはアルミンか」
ハンジ「あはは、荷物がかなり重そうだね。手伝えたらよかったけど」
リヴァイ「体力ねえな。あれで調査兵とは、あいつもとんだ死に急ぎだ」
ハンジ「彼にはいろいろまかせちゃったね。あとでご褒美あげないと」
乙。のんびり待ってる
乙
待ってました待ってる
リヴァイ「エルヴィンがな」
ハンジ「うん、エルヴィンがね」
リヴァイ「今頃新しいヅラが楽しみで口元ゆるんでんだろう」
ハンジ「あら可愛らしい」
リヴァイ「悪趣味だな」
1300――
ハンジ「……」
ペラッ…
リヴァイ「……」
ペラッ…
ハンジ「それ何?」
リヴァイ「生活雑誌『お家の隅々までキ・レ・イがいっぱい特集』。そっちはなんだ」
ハンジ「週間誌『超大物俳優AA所得税未納発覚か』だって」
リヴァイ「もっと生産性のあるもん読め」
ハンジ「ごもっともです」
リヴァイ「おい見ろ、ロッカーにまた来たぞ」
ハンジ「アルミンね。これで何往復めかな?ああ、彼を含めた104期を騙してると思うと心が痛むよ」
リヴァイ「心が痛む、か。大して思ってもないことを」
ハンジ「思ってるよ。胸が苦しい」
リヴァイ「分隊長のくせにやわだな」
ハンジ「あいにく私は兵士長みたいに最強じゃないから」
リヴァイ「ふん」
ハンジ「なんてね」
ハンジ「……」
ペラッ…
リヴァイ「……」
ペラッ…
1420――
ハンジ「リヴァイ、わかる?」チラッ
リヴァイ「ああ。いい加減出てけと店員が目で訴えてきてやがる」チラッ
ハンジ「こんなに見やすい位置他にないってのに。お茶のおかわりとケーキでも頼もうか。はいメニュー」スッ
リヴァイ「栗ようかんとはなんだ」マジマジ
ハンジ「どらやきってなんだろう」マジマジ
リヴァイ「!」
リヴァイ「おい、来たぞロッカー」
ハンジ「んーアルミンでしょー?あーこっちもおいしそう……」
リヴァイ「いや」
ハンジ「?」
リヴァイ「あれは……誰だ教えろ」
ハンジ「ああ、あれはベルトルトとユミル。様子を窺うに、アルミンの任務を手伝ってるようだね」
リヴァイ「あの任務か」
ハンジ「うんあの任務。リヴァイが欲しいって言ったんでしょ?大人のオモチャ」
リヴァイ「違う」
ハンジ「確かに、本物の女性よりはるかに楽で簡単で、何より衛生的な性欲の処理方法だからねー」
リヴァイ「おい聞こえなかなったのか」
ハンジ「衛生的、に惹かれちゃったんだろ?」
リヴァイ「……」
ハンジ「リヴァイは間違ってないよ。正しい。性格と行動が一致している。これって実はなかなか難しいんだよね」
リヴァイ「どうでもいいことベラベラ喋るな」
ハンジ「いつものこと。大目にみてよ」
リヴァイ「盛りのついた野郎どもが問題起こさねえようにだ。エルヴィンの提案でな」
ハンジ「あなたたち男性陣の共犯者めいたやりとりが目に浮かぶ」
リヴァイ「今更カマトトぶんな」
ハンジ「ははっ。わかってるよ、そういうものは必要なことくらい。健康な証拠」
ハンジ「それにしてもあの2人、身長高くて目立つねー。モデルみたい」
ハンジ「ちなみにこの地域の成人男性の平均身長は170センチほどらしいよ」
リヴァイ「そうか」
ハンジ「よかったねリヴァイ」ニコ
リヴァイ「巨人に食われろ」イラッ
ハンジ「それ滾るっ///」
リヴァイ「……」
ハンジ「おっ、ロッカーにしまい終わったみたいだ」
リヴァイ「……」
ハンジ「……」
ハンジ「ねえなんか……」
リヴァイ「あいつら、おかしいな」
ハンジ「うん。ぎこちないっていうか、張りつめてるっていうか……」
リヴァハン「!!」
リヴァイ「……」
ハンジ「……見た?」
リヴァイ「ああ」
ハンジ「今の、ベルトルトとユミル……」
リヴァイ「ああ」
ハンジ「ユミル、指……噛みちぎった……?よね?ベルトルトの」
ユミルの名前知ってるのか
>>68 はっ!
>>65 からやり直し…すまん。
リヴァイ「おい、来たぞロッカー」
ハンジ「んーアルミンでしょー?あーこっちもおいしそう……」
リヴァイ「いや」
ハンジ「?」
リヴァイ「あいつらは……誰だ教えろ」
ハンジ「ああえっと確か……コニー?」
リヴァイ「それ昨日お前が神社のこと教えた坊主だろ」
ハンジ「あはは、実は新兵まだ覚えきれてなくて」
リヴァイ「使えねえ」
ハンジ「自分で覚えやがれ」
ハンジ「あの2人、様子を窺うにアルミンの任務を手伝ってるようだね」
リヴァイ「あの任務か」
ハンジ「うんあの任務。リヴァイが欲しいって言ったんでしょ?大人のオモチャ」
リヴァイ「違う」
ハンジ「確かに、本物の女性よりはるかに楽で簡単で、何より衛生的な性欲の処理方法だからねー」
リヴァイ「おい聞こえなかなったのか」
ハンジ「衛生的、に惹かれちゃったんだろ?」
リヴァイ「……」
ハンジ「リヴァイは間違ってないよ。正しい。性格と行動が一致している。これって実はなかなか難しいんだよね」
リヴァイ「どうでもいいことベラベラ喋るな」
ハンジ「いつものこと。大目にみてよ」
リヴァイ「盛りのついた野郎どもが問題起こさねえようにだ。エルヴィンの提案でな」
ハンジ「あなたたち男性陣の共犯者めいたやりとりが目に浮かぶ」
リヴァイ「今更カマトトぶんな」
ハンジ「ははっ。わかってるよ、そういうものは必要なことくらい。健康な証拠」
ハンジ「それにしてもあの2人、身長高くて目立つねー。モデルみたい」
ハンジ「ちなみにこの地域の成人男性の平均身長は170センチほどらしいよ」
リヴァイ「そうか」
ハンジ「よかったねリヴァイ」ニコ
リヴァイ「巨人に食われろ」イラッ
ハンジ「それ滾るっ///」
リヴァイ「……」
ハンジ「おっ、ロッカーにしまい終わったみたいだ」
リヴァイ「……」
ハンジ「……」
ハンジ「ねえなんか……」
リヴァイ「あいつら、おかしいな」
ハンジ「うん。ぎこちないっていうか、張りつめてるっていうか……」
リヴァハン「!!」
リヴァイ「……」
ハンジ「……見た?」
リヴァイ「ああ」
ハンジ「今の……」
リヴァイ「ああ」
ハンジ「あの女の子、指……噛みちぎった……?よね?彼の」
リヴァイ「ロッカーの鍵ほしさに同僚の指を噛みちぎるとは……正気の沙汰じゃないな」
ハンジ「うん」
リヴァイ「まああれだ」
ハンジ「うん」
リヴァイ「巨人化できる人間の指なら話は別だが」
ハンジ「はは……」
リヴァイ「……」
ハンジ「はははっ!こりゃ驚いた。確率は低いと思ってたけど、まさかの大当たり」
ハンジ「大きな収穫だ。写真写真っと」カシャカシャ
リヴァイ「撮れたか」
ハンジ「ばっちり。ちぎれた指が写ってる」
ハンジ「ふふ……」
リヴァイ「……」
ハンジ「どうしようドキドキしてきた。君だったんだねのっぽくん……」
ハンジ「君が持ってる情報……早くぜーんぶ教えてほしいなあ……」ソワソワ
リヴァイ「徒労に終わらずに済んだが……帰還するまでは大人しくしてろよ変態」
ハンジ「もちろん」
ハンジ「ねえ。彼が敵勢力で、物資調達を阻止するために鍵を奪おうとしたのだとすると」
ハンジ「鍵を奪い返したあの女の子は味方なのかな」
ハンジ「でもそれならなぜ黙っていたんだ……?」
リヴァイ「さあな。いずれにせよ、アイツも重要参考人として拘束だろう」
ハンジ「だね」
リヴァイ「俺が奴らを尾行する。お前はここで見張りを続けろ」ガタッ
ハンジ「えっ私が」ガタッ
リヴァイ「1人いりゃ他もいるかもしれん。俺はカメラの使い方を知らない」
ハンジ「そうだね、わかった」
リヴァイ「お前はケツが2つに割れるまで座っておけ」
ハンジ「わかった。合計4つになったら報告するよ」
リヴァイ「報告はいらん」
ハンジ「なんだ」
テクテク
アリガトウゴザイマシター
ハンジ「すみませーん!栗ようかんとどらやきくださーい!」
1430――[リヴァイ]東口 靖国通り
ガヤガヤ
テクテク
あいつら……どこへ行く気だ?
女は男の指を噛みちぎったわりに怪我の手当をし、男は女の体調を気遣ってやがる
一体何が目的なんだ?
ん、店に入っていったな。ここは……
カラオケ……?
休憩所のことか?
とりあえずフロントのやつに話を聞くか テクテク
ス…
シーン
……?
シーン
自動ドアのはずだが……なぜ開かない?動きが足りんのか?
サッ
ササッ!
シーン
……?
サササーッ!!
おかしい……なぜ俺は感知されない?
!
まさか……
身長が足りないってことか……?
キョロキョロ…
ピョン!ピョン!
シーン
開かない……
こんなに動いているってのに、壊れてるだろこいつ。どうなってやがる イライラ
!
“ここを押して下さい”
押しボタン式……
クソッ。はめられた。ややこしいもん作りやがって ポチ
ガーッ
イラッシャイマセー
「おい」
「お前、ここの施設の人間か?」
「カラオケとは何だ。どういう施設だ。説明しろ」
「歌うためにわざわざ金を払うのか?贅沢甚だしいな。そこらへんの野っ原で歌っときゃいいものを」
(まああいつらは指の怪我もあるようだし休憩目的で入ったんだろう)
(ずいぶんと的外れな場所選んだようだが)
「今さっき入ってった男女2人組は何時間でとった?それから部屋番号教えろ」
「あ?客の情報は教えられねえってか?」
「俺はあいつらの知り合いだ」
「そうは見えない?馬鹿言え。仲良しこよしだ。それともなんだ、お前は友情に年齢制限でも設けてんのか?」
「確認したらさっさと教えろ」
「……」
「は……」
「おいてめえ仕事中に何泣いてんだ気持ち悪い」
「どうせ自分には友人も女もいないって?んなもんいなくなって死にゃしないだろ」
「……」
ゴソゴソ
「そこの自販機とやらのコーヒーだ」
「仕事が終わったらこいつでも飲め」
「な」
「……」
「受け取ったな。なら早く教えろ、ぐだぐだすんな」
――
ガーッ
アリガトウゴザイマシター
のっぽ2人組が出てくるまでとりあえずは待機か…… キョロキョロ
カラオケ屋の出入口がちょうど見える場所は……ねえな。向かいの歩道で突っ立って待つか
トコトコ
ハンジのやつ……
俺という話し相手がいなくなったからには、店員に質問攻めでもしてる頃だろう
巨人のことに限らず、あいつの知りたがり精神は変態的だからな
見てくれは悪くないくせに誰からも言い寄られないのは、あのイカれた言動のせいだ
まあ至極当然だな。あんなのが家にいてみろ……普通のやつなら数日で発狂する
……
眠いな
おかげでくだらねいこと考えちまったじゃねえか
ふわあっ
1515――[ハンジ]西口 世界時計前が見える喫茶店
ようかんってどう作るの?
ねえこの机の素材は何なの?どんな物質からできてるの?
この呼び出しボタンの仕組みはどうなってるの?中開けてみちゃだめ?
とか聞いてたらますます居づらくなった。そろそろ出ようかな、おしりも限界突破しそうだ
はあ。ようかんもどらやきもおいしかったなあ。あとでリヴァイに自慢してやろう ニヤニヤ
リヴァイ……上手くつけられてるかな……
いや、それより人様に悪態ついてないか、の方が心配
印象最悪な目つきなうえ、見ず知らずの人にも容赦無いから
それでもあの人、後輩たちからは大人気なんだよなあ。若い子にはああいうのが人気なのかな?
でもさ、実際あんなのが家にいてみなよ……普通なら数日で実家にとんぼ返りだわ
!
あれはクリスタ……ひとりで何してるんだ?
目的はロッカーでも世界時計でもなさそう……。何かを探してる?
さっきアルミンとコニーと、あと大柄な兄ちゃんとロッカーに来たときに落し物でもしたのかな?
クリスタがここにいるってことは……えっと…… キョロキョロ
あっいたいた。オルオとペトラ。上手く護衛できてるようだね
ちょっと2人に話をきこう
「すみませーん。お会計お願いします」
ガタッ
――
ハンジ「ペトラ、オルオ」
オルペト「!」
ペトラ「ハンジさん」
ハンジ「あの子……クリスタはあそこで何やってるの?」
オルオ「それがわからねえんすよ。そこのうどん屋で便所に立ったと思ったら、店を出て……」
オルオ「ここ西口ロータリーで鳩を探し始めました。あんな風に……」
ペトラ「彼女、不思議ちゃんなんですかね?」
オルオ「なんだその不思議ちゃんて」
ペトラ「女の子の性格のジャンルのひとつよ。さっきだっていきなりお金撒いたんですよ、彼女」
ハンジ「えっどうして?」
ペトラ「さあ……」
オルオ「エレンよりはマシかと思ってたが、あいつも見た目によらずやんちゃだよな。フッ、これだからガキは……」
ペトラ「あっ鳩が近寄ってきた」
オルオ「おい」
オルオ「ずいぶんなついてんな。野良だってのに」
ペトラ「動物を扱うのが上手いんでしょうか。もしかしたら馬術にも長けているのかも」
ハンジ「そうかもね」
ハンジ(鳩は神様の使いって言い伝えがあるようだけど……それと関係はあるのか?)
ハンジ(もしそうなら一応言って欲しかったんだけどな)
オルオ「ん?何か鳩の足にくくりつけてねえか?」
ペトラ「紙?」
ハンジ(まさか鳩を輸送手段として使うつもり?聞いたことないよ……いや、面白い方法だけど)
ペトラ「あ、鳩が飛んでいった」
オルオ「おいあいつうどん屋に戻ってくぞ」
ハンジ(彼女は一体何がしたいんだ?)
ハンジ「あの子、ちょっと注意して見てやってね」
オルオ「了解です」
ペトラ「じゃあもう行きますね」
ハンジ「ああ」
ハンジ「あっペトラ」
ペトラ「?」
ハンジ「リヴァイから弁解があったと思うけど、昨日は本当にただ着替えてただけなんだ」
ハンジ「彼と私はそういう関係じゃないよ。もちろんエルヴィンともね」
ペトラ「……?」
ハンジ「え……もしかして、リヴァイから何も言われてない?」
ペトラ「は、はい……」
ハンジ(あの野郎)
ペトラ「あっあの!私、違うんです」
ペトラ「私にとって兵長はただひたすら憧れの人というか……なんというか……」
ハンジ「……」
ペトラ「いえ」
ペトラ「そう思っておけば……傷つかないかなあ、なんて……。だって人類最強ですよ?私なんかが選ばれるはずない」
ペトラ「だからそんなふうに予防線張って……私、ずるいですね」シュン
ハンジ「そうでもないよ。もっとずるい大人はごまんといる」
ペトラ「ハンジさん」
ハンジ「?」
ペトラ「リヴァイ兵長って、何を考えているかわからないですよね」
ハンジ「そうかな。案外普通だと思うけど」
ペトラ「私は」
ペトラ「兵長をわかっている人が、兵長のおそばにいるべきだと思います」
ハンジ「……」
ペトラ「……」
「おーいペトラー!おいてくぞー!」
ペトラ「もうオルオったら、こんな人混みで大きな声ださないでよ」
ペトラ「あいつ必死でスカそうとしてますけど、かなりはしゃいでるんです。笑っちゃいますよね」クスクス
ペトラ「では、失礼します」ペコッ
ハンジ「ああ。気をつけて」
ペトラ「はい」タタタ
ハンジ「んー……」
ハンジ「そうは言われてもなあ……」ポリポリ
乙!カラオケ前に戻ったところでベルユミはいないぞ…
時計編来てた!!!!やったー!!
1600――[ハンジ]世界時計前およびロッカーが見える場所
眠い……
やっぱり最近の睡眠不足が響いてきた……
まあ、まだ誰か裏切り者がいるかもと思えば、なんのこれしきって感じだけど
リヴァイのやつは元気してるかなあ
元気すぎて街中を疾走してたりしてね。……それはさすがにないか。尾行してんだし
あ……
ロッカーに誰か来た。あれは……
さっきアルミンとクリスタとコニーといた、デカい兄ちゃん
誰かと一緒だ。様子をみるにこっちの人間だな。ロッカー業者……?え、何で……?
おいおいどうしちゃったの、アルミンに内緒であけるつもり?
それとも事情があるのかな
ん?
なんだ……開けてもらえないのか?
もしかして、何らかの出生や身分を証明できるものがないと無理なのかも知れないな
あれ、今度は業者をどっかに連れてったぞ……
1610――
おーおーなるほどね
やってくれるじゃないのデカい兄ちゃん
ロッカー業者を拘束して、無理やり合鍵を奪ってくるなんて……いけない子だ ニヤニヤ
こりゃ臭うねえ。愉快で謎めいた巨人の香り ゾクゾク
業者さんは後で解放してあげなきゃ
……?
でもなんだ、おかしい
中を物色するだけで何も奪ったりしていない……なぜ?何かを探しているのか……?
まあそれは後でたっぷり聞こう。もっと決定的証拠が撮れるかも知れないし、今は彼を尾行かな
ふーっ。やーっとここから動けるね
ああ。早く君と巨人トークしたいなあ……
一体何を教えてくれるのかなあ。仲良くしてくれるといいんだけど…… ニヤニヤ
おっとよだれが ジュルッ
1640――西口から南下 甲州街道
テクテク…
あれ……
あの兄ちゃんさっきからここらへん一帯を歩き回っているけど、迷子?キョロキョロしてるし
私たち人間側の任務阻止に精を出すかと思ってワクワクしながら尾行してたんだけどなあ。あれじゃあいたって普通の筋肉調査兵だよ
おっと甲州街道まで出てきちゃった。ほんとどこを目指してるのやら
私の思い違い?いや、確かに臭うのに……
あっ
道路の対岸にアルミンとクリスタがいる……。彼も気づいてるみたいだ。こりゃ合流する感じだね
ん……?
アルミンとクリスタの真横にクルマが止まった……
アルミン後ろから殴られて……
2人とも車に……
押し……込まれた……?
「はっ!?」
「何!?誘拐!?」
ブロロロロ…!!
あれはまずい!あのクルマ……どこ行く気だ!
バシューッ!!
「えっ!?」
あの兄ちゃん……立体機動でクルマに張り付いた……!
ちっ……思った通り、ご通行の皆様の注目の的だ。すぐにケイサツが話を聞きつけて来るだろう
正直面倒事や混乱は避けたかった……だけど確かに、あれしかないか
あのスピードに追いつくには立体機動で追うしか……
もしくは……
「ヘイタクシー!」シュビッ
キキィーッ!
「わっ!速っ!なんて便利なんだこの世界は!」
バタン!
「やあ!こんにちは運転手さん!タクシーってのは馬車みたいなもんなんだよね?」
「早速だけどあのデカイ兄ちゃんが飛び乗ってるクルマ追って!」
「は?何でって?もういいから早く!」
「ちゃんとお金は払いますからっ」
ブロロロロ…
「え?シートベルト付けて?何そのベルト初めて聞いたよ」
「それより運転手さん!窓開けていい?」
「どこ押すって?ボタン?ないよそんなの!教えて!」ゴソゴソ
「え?もうわかったよ!先にシートベルトするから!で、そのベルトはどこにあるの?」
「こっち?ん?わかんないよ運転手さん、やっぱり先に窓開けるからね!」ゴソゴソ
ガーッ
「わっ!よっし開いた!」
「ハンジさん!」バシューッ
ハンジ「!」
ハンジ「オルオ!ペトラ!」
オルオ「何やってんすかクルマなんかに乗って!」
ハンジ「私は君たちと違って立体機動装置は付けてないからね!これじゃないと追えないよ!」
ペトラ「すみません!私たちが監視してたのに……クリスタが……!」
ペトラ「……オルオが路上ミュージシャンからマイク奪って熱唱していなければこんなことには」ボソッ
オルオ「ちょっ……お前だって聞き惚れてただろ!」
ペトラ「は?何それ!気持ち悪すぎて呆然としてたのよ!あれで兵長の真似とかサイテー!」
オルオ「似てただろ!つか俺も兵長もかっけえから似ちまうんだ!いい加減気づけよ!」
ペトラ「あああ聞きたくない!サイテーサイテーサイテーッ!帰還時に荷台から突き落としてやるから!」
オルオ「ああやってみろ!俺をなめんじゃ……」
ハンジ「その話は後いいよね!君たちもこのクルマに乗って!」
オルペト「えっ」
ハンジ「もうじきケイサツが来る。立体機動はなるべく見せたくないから!」
オルペト「はっはい!」
ハンジ「ってわけで運転手さん、一旦止めて!」ズイッ
ハンジ「え?大丈夫!強盗でも殺人犯でもないから!安心して止めて!」
ガチャ バタン!
ブロロロ…
ペトラ「これがクルマ……!」マジマジ
オルオ「すっげえ俺たち何もしてないのに動いてるぞ!」マジマジ
ハンジ「ちょっと静かに!あの兄ちゃん……何か叫んでる」
クリスタ!オレハ!
オマエガスキダ!!
ハンジ「な……っ!」
オルオ「おおっ!」
ペトラ「わーっ!///」
ハンジ(おいおいクルマに張り付いたあの状況で愛の告白始めちゃったよ……)
ペトラ「青春!これは青春!///」ドキドキ
オルオ「あんな告白全然ダメだろ。いいかペトラ、俺なら……」
ペトラ「黙れ耳障り」
オルオ「おい」
ハンジ(はは、青春ね。それはとーっても良いことだけどさ……)
ハンジ(この状況での救出は時間との勝負だってのに馬鹿なの?筋肉ある代わりに馬鹿なの?)
ハンジ「ったくさっさとしてくれないと……」ボソッ
ハンジ「あっ!いや違います!運転手さんに言ったんじゃないです!落ち着いて!いいから前見て!」
ファンファンファン……
ペトラ「ハンジさん!後方からケイサツが来ます!」
オルオ「どうするんだよアイツこのままだと……」
パーン!!
バシュー…!
「!」
オルオ「あの筋肉野郎、クルマを離れて跳んだぞ!」
ペトラ「救出を諦める代わりに煙弾を撃ちましたね!増援を呼んだ」
オルオ「でもあれじゃだめだろ」
ペトラ「……あっ!そっか、だめかも……」
ハンジ「え?どうして?」
ペトラ「あの子たち、5時に世界時計前に一旦集まる予定みたいなんです」
ペトラ「そろそろ5時なので集まる頃だとは思いますが、世界時計は地下です……。今はちょうど誰にも見えてないじゃないかと……」
ハンジ「じゃあ5時を過ぎてから、私たちが別の煙弾を撃って位置を知らせなきゃいけないわけか」
ペトラ「……それか私たちが救出するかです」
ハンジ「いや……。存在を悟られるのはギリギリまで避けたい。今は前者をとろう」
ハンジ(あの兄ちゃんは今満身創痍……いつどこで煙弾を撃ったかなんて覚えてないだろうから、大丈夫だろ)
ハンジ(私はどうする……。彼を追うか、アルミンとクリスタを追うか)
ハンジ(彼は巨人の可能性がある。追えば決定的な証拠を掴めるかもしれない)
ハンジ(だが、あのクルマ……攫われたのが神様クリスタとロッカーの鍵を持ってるアルミンってのがまずい)
ハンジ(……)
ハンジ(ロッカー業者を拘束し物資を漁った兄ちゃんのシャシン……。あれでとりあえずは尋問の種にはなるか……)
ハンジ「私はこのままアルミンとクリスタを追う」
ハンジ「オルオ、君も私と一緒に来てもらう。いいね」
オルオ「え……俺ですか?」
ハンジ「万が一の時に私を抱えて跳んでもらうよ」
オルオ「了解です!」
ハンジ「ペトラ。あなたはライナーを追って。ケイサツに捕まりそうならフォローしてあげてほしい」
ハンジ「立体機動で跳んでもらうことになるけど……あなたまでケイサツに追われることのないように。できるね?」
ペトラ「はい!もちろんです!」
ハンジ「ってことで運転手さん、もう一度止まって!1人降りるから」ズイッ
キキーッ
ガチャ
ハンジ「そんじゃよろしく。気をつけて」
ペトラ「はい!頼んだわよオルオ」
オルオ「お前こそヘマすんなよ」
ペトラ「うるさいばーか」バシューッ!!
バタン!
ブロロロ…
ハンジ「うん。運転手さんもこなれてきたね」ニコニコ
オルオ「いやめちゃくちゃ怯えてますよ」
――[リヴァイ]靖国通り カラオケ前
イライラ…
神様とやらの頼み事を聞いて、あの丸坊主をまいて、張り込みに戻ってきたはいいが……
出て来ねえじゃねえか、のっぽ2人組。もうとっくに予定時間は過ぎてるぞ
さっきの店員に聞いてみるか トコトコ
ガーッ
イラッシャイマセー
「おいお前、さっきの奴ら2人組のことだが……覚えてるよな?」
「そうだ……俺の仲良しこよしのお友達のことだ」
「やつらはどうした?」
「……?個室で不適切な行為をしてとっくに出て行った?」
一体何しでかしたんだあいつら……殺し合いか?発情か?
クソ……神様のゴキゲン取りなんかしてる間に見失っちまった。どうする……
……?
やけに外が騒がしいな……
ガーッ
アリガトウゴザイマシター
ダダダ……!!
!!
見間違えじゃあなければ……だが
今通りすぎてったあのデカブツ、兵団の雨具着てたよな。うちのガキか
これも見間違えじゃあなければ……だが
警察に追われてたよな……
……
「クソ……。ガキのお守りなんてするもんじゃねえ」
こんな平和ボケした世界で、なぜ俺はこんなに走らなけりゃいけないんだ……
タタタ…
おはようございまスミス。オヤスミス。
おやすみなさい
一つだけ気になったんだけど>>135のハンジさんはいつの間にライナーの名前を知ったの?
「兵長!」タタタ
リヴァイ「!」
リヴァイ「ペトラ……なぜお前がここにいる?クリスタの護衛はどうした?」
ペトラ「金髪の小さい男の子と一緒にクルマでさらわれてしまって、今オルオとハンジさんが追ってます」
リヴァイ(アルミンのことか……)
リヴァイ「あのデカブツが走り回ってんのもその関係か?」
ペトラ「はい。あの子はそれを助けようと立体機動でクルマに張り付いて、ケイサツに追われるはめに……」
リヴァイ「命知らずの馬鹿野郎だな」
ペトラ「でもクルマのスピードに追い付くにはそれしかなくって……」
リヴァイ「ハンジは何と?」
ペトラ「ケイサツに捕まりそうならフォローしてあげてって」
リヴァイ「そうか……」
リヴァイ(さて……どうする……)
タタタ…
1720――新宿2丁目
タタタ…
リヴァイ「日が落ちてきたな……」
ペトラ「はい。それにここ一帯……なんだか雰囲気が違いますよ?シンジュク2丁目……?」キョロキョロ
リヴァペト「!!」
ペトラ「まずい!あの子……ケイサツ4人がかりで組み伏せられた……!」
リヴァイ(ちっ。こちらで注意を引くか?ちょっとやそっとのことで奴が解放されるとも思えんが……大事を起こせば更に事態はこじれる)
チョットマチナサイ!!アンタタチ!!
リヴァペト「!?」
ペトラ「見て下さい!あの子の所へ女性が近づいていきます!」
リヴァイ「……?」
ペトラ「ん……?」
リヴァイ「……女?」
ペトラ「じょ……女性?じゃないかな……?」
リヴァイ「どっちだ、ありゃあ……」
ペトラ「肩幅ありますね……」
リヴァイ「肩幅どころか図体でかすぎねえか……」
ペトラ「……女装した男ですかね?」
リヴァイ「かもな……」
ペトラ「かもですね……」
リヴァイ「……」
ペトラ「鴨ですかね……?」
リヴァイ「いや、鴨じゃない。馬だろ……あの顔」
ペトラ「ですよね……」
リヴァイ「!」
リヴァイ(向こうの建物の陰……のっぽ女がいるぞ。こんなところでまた会えるとは)
リヴァイ(デカブツを助ける機会を窺っているのか?あそこから目眩ましの煙弾を撃つようだが、そのかわり居所は一瞬でバレるだろう)
リヴァイ(なら複数の方向から一斉に撃つべきだ。煙の量も、逃走時のケイサツの撹乱もしやすい……)
リヴァイ「ペトラ。ケイサツは馬女に気を取られてる。その間にあそこの女に俺らの存在を知らせろ」
ペトラ「え?でも兵長……私たちの存在は内緒って……」
リヴァイ「構わん」
ペトラ「はっはい!」
リヴァイ(元々裏切り者にボロを出してもらうためにコソコソしていたわけだ。そしてあいつを尋問する材料は入手済み。姿を見せるくらいはもういいだろう)
リヴァイ(下手打ってケイサツに捕まられたりした方が厄介だしな。貴重な情報源。ちゃんと帰還してもらわねえと)
ペトラ「兵長。彼女、こちらに気づいたようです」
リヴァイ「……」ジィー
リヴァイ(そもそも存在を知られたところで、とりあえず俺らの目的はエレンの護衛だと思うはずだ)
リヴァイ(世界時計前で裏切り者を探していた、という結論には至らない。少なくとも、あの女が知ってる情報の限りでは……)
リヴァイ(だが一応は……)
リヴァイ(俺達のことは)ユビサシ
リヴァイ(内密にしろよ)シーッ
リヴァイ(あいつ頷いたが……伝わったのか?まあわかるだろ)
リヴァイ(お前の)ユビサシ
リヴァイ(タイミングに合わせて撃つ)バキューン
リヴァイ(いいな?)コクッ
ペトラ「兵長のジェスチャーゲーム可愛い……///」ボソッ
リヴァイ「どうしたペトラ?」
ペトラ「い、いえっ!」アセッ
リヴァイ「あの女に続いて煙弾を撃つ。そして速やかに離脱する。お前も銃を構えろ」カチャ
ペトラ「はい」カチャ
リヴァイ「いくぞ……」
パーン!
…
また明日深夜にやります
乙!
まってます!
ユビサシカワイイ
1725――西口 中央公園の更に西 裏路地
ハンジ「ふう」
ハンジ「ここまで来れば一件落着、かな」
オルオ「ですね」
ハンジ「私たちが手を貸さなくても、なんとかクリスタとアルミン2人で脱出できてよかった」
オルオ「でもあのガキ相当弱いっすよ。ボコボコにされてましたし、目ぇしみるスプレー使わなけりゃ完全に負けてました」
ハンジ「確かに。でもとりあえずは助かったからいいんじゃないの」
オルオ「そうすかねえ……ってよくないですよ」
ハンジ「?」
オルオ「俺タクシーの運転手に煙弾の銃を誤解されて、結局潔白を示すために外に放っちまったじゃないですか」
オルオ「備品係のお説教は免れないですよもう……」
オルオ「それにハンジさん、無理なスピンキメて誘拐犯のクルマ妨害しろって運転手に指示してましたけど、あれ楽しんでただけですよね」
ハンジ「あはは。対価は払ったし、クルマも遠くに行かずに済んだんだ。大目に見てよ」
ハンジ「運転手さんだって途中からノリノリで……」
ハンオル「!」
ハンジ「ほら。オルオがお説教と引き換えに追加の煙弾を撃ってくれたから、ちゃーんと助けが来たみたいだ」
オルオ「あれは……エレン。と、男と女。名前まだ覚えてないんすよねー」
ハンジ(ん!?)
ハンジ(のっぽくんがいる……!のっぽちゃんはどうした?)
ハンジ(そうだ、噛みちぎられた指……!)ジィ
ハンジ「……!!」
ハンジ「あは……っ」
オルオ「?」
ハンジ「あははははは!!」ゲラゲラ
オルオ「ハンジさん!?ちょっ……大きな声出さないで下さいよ!」シーッ
ハンジ「すごい!すごいよのっぽくん!///」
オルオ「……?」
ハンジ(千切られたはずの人差し指、きれいに元通りになってる。彼はやっぱり巨人だった……!)
ハンジ(あっ落ち着けシャシンシャシン!)カシャ
ハンジ「ふふふっ。これでちゃーんと裏はとれた……」ニヤニヤ
オルオ「裏?てかなんすかその機械」
ハンジ「カメラ。世界の謎を暴くための、秘密道具だよ」ニヤニヤ
ハンジ(そうだ。のっぽ君はリヴァイが尾行していたはず……)
ハンジ(……あれ?見当たらないな。たっく何やってんだよもう)キョロキョロ
ハンジ(あのデカい兄ちゃんを見逃した私が言える立場じゃないけどさ)
ハンジ(のっぽちゃんの方がいないから、もしかしたらそっちを追っているのかも知れない……)
ハンジ(あっでもエレンがいるってことは……)キョロキョロ
「ハンジさん!オルオ!」
ハンオル「!」
オルオ「エルド……グンタ!どうしてここに……」
グンタ「忘れたのか。俺らはエレンの護衛だからな」
ハンジ「ごくろうさま。エレンは大丈夫だった?」
エルド「それがエレンの奴、いかがわしい店行ったり、女の子泣かせたり」
エルド「アンカーを建物のガラスに刺して派手に割ったりで……。もう見ててヒヤヒヤしっぱなしでしたよ……」ハァ
ハンジ「あはは。エレンもクリスタも、おてんばで困るね」
グンタ「あの……」
ハンジ「?」
グンタ「15時40分くらいに、兵長が新兵の荷物引ったくって地下道走ってましたが……」
グンタ「あれが今日、お二人がここにきた理由なんですか?」
ハンジ「…………は?」
グンタ「な」
エルド「ああ。大爆走だったよな。エレンも誰も追いつけないくらい。そうなんですか?ハンジさん」
ハンジ「……い、いや……違う……」
ハンジ「はず……」
ハンジ(何をやっているんだアイツは……?尾行はどうした!馬鹿!チビ!)
オルオ「おい。あいつら駅に戻るみたいだぞ」
グンタ「本当だ。とりあえず俺らも行きましょう」
ハンジ「あ、ああ……」
ハンジ(まあ理由があるんだよね。あるはず……。なきゃ殴る)
――
テクテク
オルオ「……ハンジさん」
ハンジ「ん?」
オルオ「あの……」
ハンジ「どうした?」
オルオ「聞きたいこと、あるんですけど……」
ハンジ「まさか巨人の話?何でも聞いて!///」ワクワク
オルオ「違います」
ハンジ「ちっ」
オルオ「すみません……」
ハンジ「で?なあに?」
オルオ「……ハンジさんって……実際どうなんすか?」ヒソヒソ
ハンジ「え?」
オルオ「リヴァイ兵長とのことですよ。なんつーか、デキてんすか?」
ハンジ「何いきなり」ゾッ
オルオ「いっいや!気持ち悪がらないでください!俺にとってはいきなりじゃないんですよ!」
ハンジ「というと?」
オルオ「さっき路上で即興ソング歌ったときに、ペトラからのお題が“兵長とハンジさんのウエディングソング”だったんで」
オルオ「まさか、本当に……け、結婚とか……?」
ハンジ「……」
オルオ「……」
ハンジ「ぷっ」
オルオ「え」
ハンジ「あはははははっ!」
ハンジ「オルオッ!君今最高に面白いよーっ!あははは!」バシバシ
オルオ「いててっ痛いっす!てか大声はだめですって!尾行ばれますって!」シーッ
ハンジ「はーごめんごめん。お腹痛いよもう」ケラケラ
オルオ「ま、真面目に聞いてんですよこっちは……」
ハンジ「まあ真面目になるだろうねえ。愛しのペトラちゃんを振り向かせるために」
オルオ「べっ別に違いますよ!」
ハンジ「ペトラはリヴァイにお熱だからね」
オルオ「……」
ハンジ「いい?オルオ。私は君の恋を応援している。だけどね、残念ながらペトラの恋も応援してるんだ」
ハンジ「わかってやってよ、この上司のつらーい気持ちを」ニヤニヤ
オルオ「すげえ楽しそうに言わないで下さい」
ハンジ「あははは。ていうかさ、リヴァイと私が結婚なんてするわけないじゃん」
ハンジ「私の好きな人は他にいるじゃない。もうずうっと前からゾッコンの人が」
ハンジ「巨……」
オルオ「巨人は人間じゃないですよ」
ハンジ「……」
オルオ「……」
ハンジ「巨人だよ」ニコニコ
オルオ「……そうですか」ハァ
ハンジ「理由はね、まずなんと言っても……///」キラキラ
オルオ「あああああ!それはまた今度!」ヒッ
ハンジ「なんだ」
オルオ「すみません……」ヒヤヒヤ
ハンジ「リヴァイと私はね、ただの良き仕事仲間。本当は相棒って言いたいところだけど」
ハンジ「この前本人の前でそれ言った途端、元気よく雑巾投げつけられたからね。それは控えておくことにする」
オルオ「はあ」
>>156 ありがとう!ユビサシ
超話途中だが眠ってしまいます。おやすみ
乙!
おやすみなさい!
一気に読めた!
続き期待してます。
オルオ「じゃあ兵長って女に興味ないんですかね。ハンジさんも違うってんですから」
ハンジ「興味か。あったとして、とっくに自制できる歳だろ」
オルオ「まあ、確かに……」
ハンジ「でもなあ……」
オルオ「……?何です?」
ハンジ「いや……。私はさ、壁の内と外を何年も行き来してるうちに」
ハンジ「本来恋や愛に充てていいはずの行動力や精神力までもを、どんどん巨人に注ぐようになっていっちゃったんだ。そして今は何より巨人が大事」
オルオ「……」
ハンジ「おそらくリヴァイもそうだろう。自身の幸せより何より、巨人討伐を優先させている」
ハンジ「だからこれから先、彼が1人の女性を愛するのは難しいんじゃないかなって思うよ」
オルオ「……」
ハンジ「でもその代わりにね、こうも思うんだ」
ハンジ「彼は今、そうやってただ人類最強であり続けている。これまで流されてきた血を無駄にしないためにだ」
ハンジ「それがきっと彼なりの愛の形なんだろう、ってね。仲間に対しての、敬意を込めた」
ハンジ「……顔に似合わず、優しい人だから」
オルオ「はい……」
ハンジ「うん」
オルオ「……」ドヨーン
ハンジ「っておいおい!何落ち込んでんの!」バシバシ
オルオ「いててっ!落ち込みますよそりゃ話の内容的に……」
ハンジ「ふふっ。まあ仕方ないか……。でも誤解しないように」
ハンジ「私は何も、死に近い調査兵が恋愛に現を抜かすななんて言いたいんじゃない。全くその逆」
ハンジ「君たちはこんな風にならないようにしなよ。家族や恋人がいる調査兵だっていっぱいいるんだ」
ハンジ「ほら、エルドだって彼女いただろ。ぜひそっちを参考にすること」
オルオ「はい……」
ハンジ「んー返事に元気がないなあ。あっそういえば、巨人のどこが好きか、まだ話してなかったね……」ニコ
オルオ「はいッ!りょーかいですッ!」シュビッ
ハンジ「よい返事。早くペトラをものにしなよ!あはははは!」バシバシ
オルオ「いててててっ!分かりました!分かりましたから!」
テクテク…
ハンジ「おっ!」
ハンジ「戻ってきたね、世界時計前。この後確か彼らはカラオケってところに行くんだっけ」
オルオ「はい。全員集まる予定みたいですよ」
ハンジ(全員……。となるとのっぽくんもデカ兄ちゃんも、大人しくなりそうだ)
オルオ「ん?クリスタだけが時計前に残るみたいですね……。残りの3人を待つってことか」
オルオ「それなら俺はここに残るとします。クリスタ係なんで。ハンジさんは?」
ハンジ「私はエレンたちに付いて行きたいな……」
ハンジ(正確にはのっぽくんに付いて行きたい、だけど)
ハンジ「エルドー」
エルド「はい」
ハンジ「悪いけど、私の代わりにオルオと一緒にいてもらっていい?」
エルド「了解です」
ハンジ「よろしくね。じゃあ行こうかグンタ」
グンタ「はい」
トコトコ…
ハンジ(リヴァイは今どこで何してるんだろう……。残りの3人に付いててくれればいいけど……)
1815――東口 新宿2丁目から世界時計前へ
テクテク…
リヴァイ「……いるか?」
ペトラ「いえ。今のところ近くにケイサツは見当たりません。このまま無事世界時計前まで戻れればいいですね。あの3人」
リヴァイ「せっかくケイサツをまいたってのに、また追いかけっこは可哀想だからな」
ペトラ「私たちも、ですね」クスクス
リヴァイ「ああ」
ペトラ「……」
リヴァイ「……」
ペトラ「……兵長」
リヴァイ「なんだ」
ペトラ「昨日の、団長の部屋での着替えのこと……。ハンジさんは、兵長から私に釈明があったはずと言っていました」
リヴァイ「……」
ペトラ「……」
リヴァイ「ペトラ」
ペトラ「はっはい!」
リヴァイ「俺は惚れた腫れたについて、部下と話す趣味はない」
ペトラ「……そうですか」
ペトラ「そうですよね。すみません……」シュン
リヴァイ「だから一度しか言わない。俺とハンジはただの同僚だ」
リヴァイ「巨人に惚れるような女、普通の神経してたら選ばねえだろ」
ペトラ「それは……そうです……けど」
ペトラ「でもハンジさんが巨人を好きなのは……」
リヴァイ「ああ。あいつの変態行為の根本にあるのは憎しみだ。当たり前だが本心じゃない」
リヴァイ「真剣に巨人と一つ屋根の下で暮らしたい、なんて言い出したらすぐに奴のうなじを削いでやる」
ペトラ「……」
リヴァイ「ただ、巨人に惚れることが、あいつの精神の均衡の保ち方だ」
リヴァイ「あいつにとって壁外で生き残り、世界の謎に近づく効率的な方法の1つだ」
リヴァイ「そしてそれらは全て、俺らが巨人に勝つためにやっている。だから口出しはしない」
リヴァイ「……本気で楽しんでる節もあるようだが」
ペトラ「あはは……」アセ
リヴァイ「……ペトラ」
ペトラ「はい……」
リヴァイ「誰か1人に熱をあげるような感情を、俺はもう持ち合わせていない」
リヴァイ「あの変態クソメガネはもちろん、他のやつに対してもそうだ」
ペトラ「……」
リヴァイ「……そういうのはガキ同士でガキうちにやれ。死んじまう前にな」
ペトラ「ガキ同士で……」
リヴァイ「ああ」
ペトラ「……」
ペトラ「優しいですね、兵長は」
リヴァイ「……」
ペトラ「わかりました」
リヴァイ「そうか」
ペトラ「あの……」
リヴァイ「なんだ」
ペトラ「30代は、ガキですか?」
リヴァイ「三十路はガキじゃない。お兄さんだ」
ペトラ「ですよね。お兄さんはガキと何が違うんですか?」
リヴァイ「少しばかり狡猾になる」
ペトラ「兵長も?」
リヴァイ「ああ」
ペトラ「そうですか」クスクス
ペトラ「とーつーぜんーのー♪恋のダンジョンにー♪」
ペトラ「近づーいーたふーたーりー もとーもーとー結構近かったけどー♪」
ペトラ「へーちょーへーちょー♪言いすぎはだめよー♪」
ペトラ「言葉ーのぼうりょーくーなんて世間はびーんかんーだからー♪ツンデー……」
リヴァイ「待て」
ペトラ「はい」
リヴァイ「なんだその歌」
ペトラ「上手いですか?」
リヴァイ「俺は世辞が上手い。下手糞」
ペトラ「辛口。さっきオルオが歌ってくれました。兵長とハンジさんのウエディングソング。私がリクエストしちゃいました」
リヴァイ「悪いがそんなイカれた予定はない」
ペトラ「ふふっ。じゃあまた別の機会に」クスクス
テクテク…
ペトラ「あっ!着きましたよ世界時計前!」
ペトラ「クリスタがいますね!よかった!無事助かったみたいですね!……あの3人の到着を待っていたんでしょうか」
リヴァイ「この後は確か、全員でカラオケだったな」
ペトラ「はい。あっ向こうにオルオとエルドがいます。合流しましょう」
リヴァイ「ああ」
リヴァイ(ハンジは先にカラオケに行っているのか)キョロキョロ
テクテク
1835――西口 カラオケ 104期の向かいの部屋
ジーッ
エルド「エレン、はしゃいでるな」マジマジ
オルオ「やっぱお子様だなあいつは。こんなとこに来たくらいで」マジマジ
ペトラ「そんなこと言って、羨ましいんでしょう?」ニヤニヤ
オルオ「馬鹿ちげーよ」
グンタ「おい。さっき出て行った坊主と大食いの女の子が帰ってきたみたいだ」
エルド「?どうしてわざわざおんぶで帰ってきたんだ?」
オルオ「どーせ、シンジュク調査を開始する!前進せよ!とか言って街中走り回ってたんだろ」
ペトラ「何か封筒みたいなものをもってるわね。なんだろうあれ……」
ペチャクチャ…
…
ハンジ「なるほどね」
リヴァイ「……」
>>180 訂正。時間は1835ではなく1840です。
ハンジ「つまり、リヴァイのひったくり行為は神様のお使いだったってことか」
リヴァイ「ああ。誰が好き好んでガキとかけっこするか」
ハンジ「いいねえ。見たかったなあ、そのへんてこな絵面」
リヴァイ「お前がいなくて幸いだった変態メガネ」
ハンジ「……」
リヴァイ「……」イライラ ソワソワ
ハンジ(鳩がどれだけ汚いかを教えてあげてから、この人かなり不機嫌になった……)
ハンジ「さーて、リヴァイ班の皆さん。一旦注目ー」パンパン
エルド「はい」クルッ
ペトラ「どうしました?」
ハンジ「まずはエレンとクリスタの護衛、どうもありがとう」
ハンジ「おかげで、今彼らは全員そろって、向かいの部屋ではしゃいでくれてる。とりあえずは一安心だ」
ハンジ「というわけで君たちは短いけど自由時間にするよ。私たちがここで見てるから」
オルオ「えっまじですか?」
ハンジ「ああ。退室時間も決まってるし、ここからなら私とリヴァイで十分監視できるから」
ペトラ「そんな!私たちが見てますから、お2人がどうか休んで下さい」
エルド「そうです!いつも深夜まで起きてること知ってるんですよ」
グンタ「ここは俺達に任せて、気分転換してください」
ハンジ「あはは、ありがとう。でも君たちが気にすることじゃな……」
リヴァイ「すまんな。ならそうさせてもらう。行くぞハンジ」ガタッ
ハンジ「は……どこに?」
リヴァイ「決まってるだろう。シャワーだ」ソワソワ
一同「!?」
リヴァイ「さっさとしろ。俺の着替え持ってんだろ」
ハンジ「は?着替え?」
リヴァイ「昨日スーツと一緒に買ったって言ってただろう、私服」
ハンジ「あ、ああそれね。えっ。ていうか本当に私たちが行くの?行っちゃっていいの?」キョロキョロ
リヴァイ「いいに決まってるだろう。俺の部下は優秀だ」キリッ
オルオ「優秀……!」キラキラ
ペトラ「褒めてもらえた……!」キラキラ
ハンジ「はあ……」
ハンジ「あっそうだリヴァイ、その前に西口ロータリーに行こう。業者さんの解放手伝って。口封じは得意でしょ」
リヴァイ「なんだそりゃあ」
ハンジ「行きながら説明する」
ガチャッ
リヴァイ「お前ら、後は頼んだぞ」スタスタ
ハンジ「ごめんねありがとう!すぐに帰ってくるから、よろしくね!」
オルオ「はい!」
ペトラ「いいいってらっしゃいませ!///」ペコッ
バタン!
1930――東口 銭湯
ハンジ「あっ……」
ハンジ「リヴァイ……ッ」
ハンジ「気持ち、いい……っ」
リヴァイ「ハンジ……」
ハンジ「そこっ」
リヴァイ「ハンジ」
ハンジ「うんっ?……ふあ、んっ……」
リヴァイ「マッサージチェアで嬌声あげんな気色悪い」
ハンジ「だって気持ちいいんだもん。気持ちいいのに声殺してるリヴァイの方が数段気色悪いと思うけど?」
リヴァイ「周りの迷惑を考えられる人間になれと言っているんだ奇行種」
ハンジ「それにしてもいいなあこの椅子。持って帰っちゃう?」
リヴァイ「コンセント」
ハンジ「あなたの鼻に挿そう。なんとかしてくれ人類最強」
リヴァイ「ガキみてえなことを」
ハンジ「そっちこそ。そこに売ってるコーヒー牛乳飲んだでしょ?」
リヴァイ「いや」
ハンジ「おヒゲついてるよ」ニコ
リヴァイ「……!」フキフキ
ハンジ「嘘だよ」ププッ
リヴァイ「……」
ハンジ「お風呂最高だったなあ。あの液体石鹸、シャンプーっていうやつ?髪がいい匂いするね!」クンクン
リヴァイ「そうか。なら頭出せ」
ハンジ「何?嗅ぐの?」ヒョコ
ガシッ ブンブン!!
ハンジ「いってえ!髪ひっぱらないでよ」
リヴァイ「これが因果応報だ」
ハンジ「あぶなー……。私までエルヴィンヘアになるところだった」ヒリヒリ
リヴァイ「それでだ。のっぽとデカブツが裏切り者ってわけか」
ハンジ「ああ。そうなるね。のっぽくんの指を噛みちぎった女の子については、保留だけど」
ハンジ「3人の拘束は世界の秘密をあばく取っ掛かりとなるはずだ。そうすれば、私たちはひとつ勝利へ前進する」
リヴァイ「滾るか」
ハンジ「今までにないくらいね」ニヤニヤ
リヴァイ「だな。だがよだれは拭け」
ハンジ「おっといけない」ゴシゴシ
リヴァイ「興奮する度に汚えもん垂らす癖やめろ」
ハンジ「ねえ」
リヴァイ「なんだ」
ハンジ「本当にやったね」
リヴァイ「ああ」
ハンジ「やっと聞き出せる……」
ハンジ「巨人とは一体何なのか。何をどうするために、壁を破ったのか……」ソワソワ
リヴァイ「……過度な期待はよしておけ。案外、拍子抜けのする回答かもしれないからな」
ハンジ「というと?」
リヴァイ「便所借りに来たとか」
ハンジ「そこは野糞で済ませて欲しかった」
リヴァイ「……」
ハンジ「……」
ハンジ「ふわあっ……」
リヴァイ「ひでえ面だな」
ハンジ「んー正直睡眠不足でさ」
リヴァイ「寝ろ。裏切り者を割り出したんだ。これからもしばらくは満足に寝れんだろう」
ハンジ「いいの?」
リヴァイ「3分で起こす」
ハンジ「3分て」
リヴァイ「……」
ハンジ「んあーきもちー……やっぱりマッサージチェアほしーなー……」
リヴァイ「……」
ハンジ「まず電気がないとなー……」ウトウト…
リヴァイ「……」
ハンジ「さっきさー……」
話途中だが眠いおやすみ。終わりに近づいた
乙!待ってました!!
三十路組いいなぁ~
オルオにぜひウェディングソングをフルで唄ってほしいわ
歌詞が秀逸すぎるw
リヴァイ「なんだ、いい子は黙って寝ろ」
ハンジ「オルオがね、リヴァイと私はデキてるのかって聞いてきた。あなたの班員は、本当にあなたの話が好きだねー……」
ハンジ「昨日のことは、ペトラにちゃんと説明してあげた……?」
リヴァイ「ああ。ただの同僚だ、と言った」
ハンジ「そー」
ハンジ「私も、オルオにそう言ったー……うわ本当に寝そう……」コクッ コクッ
リヴァイ「いい子は鼻と口塞いで寝ろ」
ハンジ「うん……。え、やだよ死んじゃう……」ウトウト
リヴァイ「……」
ハンジ「……」
リヴァイ「……」
ハンジ「……?」チラッ
リヴァイ「……」スースー
ハンジ「おいおい……」
ハンジ「目覚まし時計が寝てどうすんの……」
リヴァイ スヤスヤ…
ハンジ「そういえばあなたも眠たそうだったもんねー……」
ハンジ「あ」
ハンジ「ははっ眉間にしわが寄ってない……。さてはこいつ、リヴァイじゃないな」
ハンジ「おやすみ、良い子ちゃん」ウトウト…
2145――西口 世界時計前
ガヤガヤ…
ハンジ「ごめんっ!皆!!」パンッ
ペトラ「ハンジさん!兵長!」
オルオ「もう何してたんですか!心配しましたよ。カラオケ退室時間になっても来なくって」
エルド「何かあったんですか?」
ハンジ「いやあ目覚まし時計が鳴らなくて」
リヴァイ「寝過ごした」
一同「寝っ!?」
ハンジ「カラオケ後の行き先がわからなかったから、ここ世界時計前で待ってたんだ。いやー、ちゃんと再会できてよかった」フウ
グンタ「は、はあ」
オルオ「はい……。ほんとよかったです……」
エルド「なあ……」ヒソッ
オルオ「なんだ」コソコソ
エルド「やっぱりデキてんのか……?」
グンタ「謎めいてるよな……」ヒソヒソ
オルオ「い、いや……ハンジさんはあり得ねえって言ってたぞ」
エルド「おいそれを真に受けるやつがいるか?」
ペトラ「兵長言ってた。大人は狡猾なんだって」
オルオ「はあ?じゃあ結局どっちかわからねえってことじゃねえか」
エルド「もう直球で聞くしかないな」
ペトラ「というと?」
エルド「寝たかどうかをだ。じゃあじゃんけんで勝ったやつが……」
ペトラ「何冷静にじゃんけんしようとしてんのよ!聞けるわけないじゃない!///」
オルオ「彼女持ちが調子のんじゃねえぞ!」
エルド「おいそれは関係ないだろ」
オルオ「なんならお前が聞いてこい!ついでにミンチにされてこい!」
グンタ「落ち着けオルオ!」
オルオ「ったく……」ブツブツ
ペトラ「……まあでも」
エルド「な」
グンタ「ああ」
ペトラ「どんな関係でも素敵だよね。あの2人」
オルオ「い、いいのかよペトラ?」
ペトラ「私はそういう所も全部含めて、兵長を尊敬してるの」エッヘン
ペトラ「というわけでオルオ!帰還したら2人のウエディングソング、完成させるわよ。なかなか楽しかったし」
オルオ「おっ!つまりあれか?やっと俺の美声に気付い……」
ペトラ「それはない」キッパリ
オルオ「……」
リヴァイ「お前たち」
一同 ビクッ
ペトラ「はっはい!」
オルオ「すみませんそんじゃ俺らは持ち場に戻ります!」
サササーッ!
ハンジ「何こそこそ喋ってたんだろうね」ハテ
リヴァイ「さあな」
リヴァイ「それはさておきだ……。何やってんだ。エレンたちは」
ハンジ「ロッカーの荷物を全部出し終わって、時計前で相談事してるみたいだけど……」
リヴァイ「……!」
ハンジ「リヴァイ?どうしたの?」
リヴァイ「あいつこっち見たぞ」
ハンジ「は?」
リヴァイ「……アルミン」
ハンジ「は?まさか……」
タタタ…
ハンジ「ええっ!本当だ!こっちに来る」アセアセ
アルミン「すみませーん。シャシン撮って頂けませんか?」タタタ
リヴァハン「……」
アルミン「ひったくりさん。いえ……リヴァイ兵長」
リヴァイ「……」
ハンジ「……」
アルミン「……」
リヴァイ「よくわかったな」
アルミン「……帰還間際は近くで見張っているだろうと思っていましたから」
アルミン「ジャンとサシャとコニーから、ひったくりはスーツ姿の小柄な男性って聞いてましたけど、着替えたんですね」マジマジ
リヴァイ「ああ……。鳩がな」
アルミン「鳩……?」ハテ
リヴァイ「いや」
アルミン「裏切り者はライナーとベルトルトです」
リヴァハン「……!?」
アルミン「あ……えっと、あそこにいる大柄の2人です。あっちがライナーで、あっちがベルトルト」
アルミン「ライナーは鍵の紛失を装ってロッカーを開けてもらったんじゃないですか?お2人は世界時計前で張り込みをしていたんですよね?」
ハンジ「……!」
リヴァイ「お前……なぜ気づいた……?」
アルミン「……!」
リヴァハン「……!」
アルミン「やっぱり、そうですか……」
アルミン「ロッカーも……開けられていたんですね……」
リヴァイ「おいお前……カマかけやがって」
アルミン「すみません……」
ハンジ「驚いた……。どうして2人が裏切り者だとわかったの?それにロッカーのことまで」
アルミン「僕はただ……カンニングまがいのことを」
ハンジ「カンニング?」
アルミン「はい。書店で『シンゲキノキョジン』という書物を発見しました。おそらく僕らの世界の情勢、過去と未来が記載されている書物です」
リヴァハン「!?」
ハンジ「そんなものが……!?」
アルミン「僕はその裏表紙からライナーとベルトルトが怪しいと思っただけなんです。それからアニも。帰還したらすぐに解析をお願いします」
ハンジ「うん……うんうん!もちろん帰還したらすぐに!」ソワソワ
ハンジ「でさ、じゃあさ、どうしてロッカーを開けたと思ったの?」
アルミン「2人が怪しいと思ってから、彼らの行動を思い返してみたんです」
アルミン「そしたらライナーは僕の荷物運びを手伝ってくれた時、ロッカーの鍵紛失時の案内を読んでいました。だからもしかしてと思って」
アルミン「本当に開けたのだとしたら……。狙っていたのはおそらく……団長のカツラ」
ハンジ「エルヴィンのヅラ……?」
アルミン「はい」
ハンジ「ちょっと待って。ライナーは確かにロッカーの鍵を開けたよ。そして中を物色していた」
ハンジ「だけど何1つ盗み出したりしていなかったはず。だから中身に変化はなかったし、狙いがヅラだとは断定はできないと思うけど……」
アルミン「はい。変化がなかったからです」
ハンジ「?」
アルミン「ライナーはロッカー内に目的の物があると確信して鍵を開けたはずです」
アルミン「だけどそれが見つからなかったから、何もせず諦めることになったんだと思います」
アルミン「当時ロッカーにあるはずでなかったもの……。それがカツラでしたから」
アルミン「おそらく帰還後までバレないような細工……例えばサイズ違いの偽物と交換しようとしていたのかもしれません」
アルミン「ベルトルトの方は多分……鍵を紛失したことにしようとしていたんだ。コニーのおかげで大丈夫だったけど……」
アルミン「あ……どっちとも、コニーのおかげで阻止できたってことか……。あとでお礼、言わないと……」
ハンジ「……」
リヴァイ「……」
アルミン「あの……」
アルミン「僕はこのまま知らないふりしていればいいですか……?」
ハンジ「あ、ああ……。それで頼むよ」
アルミン「はい……」
リヴァイ「……」
リヴァイ「お友達が敵だったってのに、やけに落ち着いてるな」
アルミン「はは……そう見えますか……」
アルミン「でもその逆です……。何かの間違いだと……思いたい……」
アルミン「だって僕ら、仲良かったんです……」
リヴァイ「そうか」
アルミン「それで……あの……」
リヴァハン「?」
アルミン「シャシン、撮ってもらえませんか?」
リヴァイ「は……」
アルミン「世界時計前を後ろにして、皆で……撮りたくて」
リヴァイ「敵と一緒に記念撮影か」
アルミン「はは……。知らないふりをするんです。やりますよ」
アルミン「やらなきゃ……」
リヴァイ「……」
ハンジ「……」
リヴァイ「貸せ」
リヴァイ「そのかわりぐずるな。赤ん坊かお前は」
アルミン「ありがとう……ございます……」ゴシゴシ
また明日。おやすみなさい。
皆様ありがとう!終わってほしくないなんてなんて嬉しいです終わらせます!!
アルミン「……じゃあ、行きますね」ニコ
リヴァイ「ああ」
アルミン「皆ー!撮ってくれるって!」タタタ…
ハンジ「……驚いたね」
リヴァイ「ああ」
ハンジ「可哀想に……」
ハンジ「とても残酷な事実に、彼は一足先に気づいてしまった」
ハンジ「今日くらい何も知らない少年のまま楽しく過ごせていたら、まだ救いがあったんだけどね……」
リヴァイ「賢いってのも考えもんだな」
ハンジ「……」
リヴァイ「……」
ハンジ「ま、今はシンジュクのお兄さんお姉さんとして、シャシンを撮ってあげようよ。裏切り者に勘付かれたら元も子もない」
リヴァイ「ん」スッ
ハンジ「え?フィルムカメラはね、ここを覗いてボタンを押せば撮れるよ」
リヴァイ「お前が撮れ」
ハンジ「頼まれたのはリヴァイ。だからリヴァイが撮らなきゃだめだろ」ニコ
リヴァイ「クソ女」チッ
ハンジ「……」
リヴァイ「……」
リヴァイ「……まだか」イライラ
ハンジ「あはは。並び順でずいぶん手間取ってる」
リヴァイ「立ち位置なんてどこでも変わりゃしねえだろう」
ハンジ「そんなことないよ。こうしてみてると関係性がよくわかる。誰が誰にお熱かが」
ハンジ「誰かを好きでいるって、やっぱりいいよねえ」
リヴァイ「……」
ハンジ「リヴァイ」
リヴァイ「なんだ」
ハンジ「世界時計、見てよ。あれがここの世界地図」
ハンジ「あの広い土地、行こうと思えばどこへだって行けるんだ。自由に。巨人は一体もいないから、どこに行っても食われない」
ハンジ「もし彼らがここに生まれていたなら……普通の少年少女らしく遊んだり、恋にうつつを抜かしたりできていたんだろうね。あんな風に」
リヴァイ「他人の指噛みちぎったり、ちぎられた指生やしたり、ロッカー業者拉致したりか」
ハンジ「それはまた別」
ハンジ「私たちも……まともに恋でもしていたのかもね」
ハンジ「私、愛する巨人がいない世界だったら」
ハンジ「あなたに」
リヴァイ「……」
ハンジ「あっでもまず出会えるかどうかがなあ」
ハンジ「この世界の人口は70億を超えると聞いたし、きっと出会うのは難しい」
リヴァイ「妄想話は好きじゃねえ」
ハンジ「ああ。そうだったね」
リヴァイ「だが」
リヴァイ「お前みてえな変態女、俺以外扱いきれるわけねえからな」
リヴァイ「放っておいてたとしても、どうせ会うはめになっちまってただろう」
リヴァイ「だからお前は精々、首洗って待ってりゃいい」
ハンジ「……」
リヴァイ「あと」
リヴァイ「髪も洗って待ってろ」
リヴァイ「きたねえ髪には触りたくねえぞ俺は」
ハンジ「ぷっ」
ハンジ「はははっ!そっかありがとう!」ケラケラ
ハンジ「まーあれだよね。リヴァイを扱いきれるのも、あしらいきれるのも私だけだと思うし」ニヤニヤ
リヴァイ「嘘はよくねえぞ」
ハンジ「これはこれは。見解の相違」
ハンジ「でも残念。私たちはここの人間じゃない。リヴァイよりもずーっと愛してる巨人がいる世界の人間だ」
ハンジ「私は巨人一辺倒で生きていく。これは譲れない。何より謎を解明したい」
リヴァイ「俺もお前なんかに割く暇は微塵もねえな」
ハンジ「うん」
リヴァイ「こんな話をしたからと言って、何が変わるわけでもねえ」
ハンジ「私とあなたは同僚だね。少しでも関係崩したらお互い墓穴掘りそうだ」
リヴァイ「ああ」
ハンジ「でもリヴァイ。私たち、別に誰かに言われて1人を通してるわけじゃないんだからさ」
ハンジ「気が向いたらいつでも勝手に誰かとくっつきなよ」
リヴァイ「お前も、行けるもんなら嫁に行ってみろ」
ハンジ「うん」
ハンジ「あっ見て。敬礼するみたいだよ」
リヴァイ「あんな口角あげてするもんじゃねえぞ」
ハンジ「本当に」クスクス
ハンジ「生きてほしいね」
リヴァイ「死ぬときゃ死ぬがな」
ハンジ「うん。でも願わずにはいられない」
リヴァイ「……」
ハンジ「……」
リヴァイ「長い。まだか」
ハンジ「号令を誰が言うかでもめてるね。この際、兵士長が言っちゃえば」
リヴァイ「あ?」
ハンジ「時間がない。それに部下に命令するのは、上司の役目だろ?」
リヴァイ「エルヴィンはどこだ」
ハンジ「別世界だよ」
リヴァイ「……」
ハンジ「……」
リヴァイ「心臓を捧げよ!」
カシャ
――[ハンジ]
22時、アルミンとクリスタを除いた新兵8名は荷台で帰還した。
アルミンは立体機動装置を使い、神様クリスタをさらって新宿の街へ愛の逃避行を試みる。
もちろん特別作戦班によって捕えられた。でもあまりに楽しそうにしていたもんだから、少し時間をやったとも聞いたよ。
反省しうなだれるアルミンに対し、「裏切り者の存在に動揺し錯乱状態でこんな間抜け起こしたんだよな」と
リヴァイは半ば脅迫じみたフォローをして事態を収めた。やっぱり優しいねえ、あなたは。
その後は特別作戦班と手分けしてコンビニや薬局で目ぼしいものを物色。私は証拠のシャシンを現像し、日付が変わる前に全員で帰還した。
――[リヴァイ]
帰還後、新兵の乗ってた荷台が破損し、積んだ物資一切合切がパァになっていたことを俺とハンジは知る。
アルミンの言っていた書物『シンゲキノキョジン』も、エルヴィンが胸を高鳴らせて待ち望んでいたヅラもだ。
決定的な証拠はどこにもない。だが十中八九裏切り者の仕業だろう。
……これは余談だが。さっき便所に行ったとき、アルミンが「サシャのやつだ」と言いながら腹を下していた。
サシャのやつとは何だ。よそで食うもんには気をつけなくちゃな。
食いもんと言や、俺の班の奴らから百味ガムという名の菓子を貰った。
104期の奴の土産らしく、兵団内で流行っているらしい。気が向いたら食うとする。
――
帰還後 深夜――団長の部屋
エルヴィン「それで」
エルヴィン「異世界へはもう繋がらなくなったのだろう?」
ハンジ「ああ。日付がかわったから、もうただの壁とただの荷台に元通り。神様クリスタもクリスタ・レンズに元通りさ」
エルヴィン「やはりそうか。残念だな。私も一度行ってみたかった」
ハンジ「また機会があれば私たちが案内するよ」
リヴァイ「ねえけどな」
エルヴィン「ああ。クリスタとお前たちのおかげで、裏切り者をようやく捕らえられる」
リヴァイ「俺たちは何もしてねえぞ」
ハンジ「神様クリスタに感謝だね」
リヴァイ「あいつ……敵を暴き出すきっかけになったことは認めるが、俺をこき使ったり、散々自由奔放しやがって……」イライラ
エルヴィン「この様子、リヴァイは中々楽しめたようだな」
ハンジ「そりゃもう街中走り回っちゃうくらいにね」
リヴァイ「それにしても残念だったな。ヅラが手に入らなくて」
エルヴィン「ああ。やられたよ。だがカツ……ウィッグ以上の収穫があったんだ。そんな贅沢は言わない」
リヴァイ「気を落とすなエルヴィンよ」
エルヴィン「?」
リヴァイ「向こうで瞬間接着剤なるものを購入していたんだ。これでヅラを留めるといい」スッ
エルヴィン「ほう。すまないな」
リヴァイ「礼には及ばん」
ハンジ「とりあえずこれでズレる心配はないね」
エルヴィン「ああ」
エルヴィン「……?ハンジ」
ハンジ「ん?なあに?」
エルヴィン「君が持ってるそのシャシンはなんだ?それも証拠のシャシンか?」
ハンジ「ああ。これね……。はい」ペラッ
エルヴィン「……!」
ハンジ「リヴァイがあの子たちにカメラ構えてる横から、こっそり私も撮っちゃった」
ハンジ「世界時計前での集合シャシン」
エルヴィン「はは、皆いい表情だ」
リヴァイ「緊張感のねえ面だろ」
ハンジ「可愛らしくていいじゃん」
ハンジ「リヴァイ班の皆が言うに、この子がこの子を好きで、この子はこっちの子が気になってて……」
エルヴィン「複雑だな」
リヴァイ「おいエルヴィン。複雑にしたのはお前だろう」
リヴァイ「お前が104期を向こうへ連れて行った。よってやつらはこうなった」
エルヴィン「……そうだな」
エルヴィン「彼らにとって、良い1日になっただろうか」
リヴァイ「知らねえな……。だがまあ、余計死ねなくなっちまったんじゃねえか」
エルヴィン「死ねなくなってしまった、か。それはいい。ならば生き残ってもらおう」
エルヴィン「しぶとく。我々が勝利するまで」
リヴァイ「……」
ハンジ「……」
エルヴィン「ライナー・ブラウン、ベルトルト・フーバー、およびユミルの捕獲計画は先ほどの通りだ」
エルヴィン「作戦に参加する兵へ各自伝達するように」
エルヴィン「……これより我々の世界は『シンゲキノキョジン』とは別の道を辿り始めるだろう」
ハンジ「吉と出るか凶と出るか」
リヴァイ「それがわかってたら苦労しねえな」
エルヴィン「頼むぞリヴァイ、ハンジ」
リヴァイ「ああ」
ハンジ「了解」
ハンジ「んじゃ、私先行くわ。調べ物あるんだ。ふああっ眠い」ノビノビ
リヴァイ「さっきあれほど寝ただろう」
ハンジ「そうだけど……ああー思い出しちゃった。すっごい気持ちよかったよねえアレ」
リヴァイ「まあな」
ハンジ「そうだリヴァイ。あなた、寝てるときは眉間にしわ寄んないんだね」
リヴァイ「あ?」
ハンジ「可愛らしい寝顔だったよ」ケラケラ
リヴァイ「さっさと行っちまえ」シッシッ
ハンジ「はいはい。おやすみー」
エルヴィン「おやすみ」
リヴァイ「……」
バタン
エルヴィン「リヴァイ」
リヴァイ「なんだ」
エルヴィン「寝たのか」
リヴァイ「ああ」
エルヴィン「元気だな」
リヴァイ「……ただの同僚だ」
――
リヴァイ「新宿の巨人」
ハンジ「世界時計前」
おしまい
リヴァイハンジ視点の番外編以上です。新宿の巨人シリーズもこれで本当におしまいです。
エレン視点から4ヶ月、計7視点。付き合ってくれた方々本当に乙です!
よくわからない恋愛シリーズ、穴だらけなお話、加えて度重なる誤字脱字…見守ってくれてありがとうございました!
ちなみに以下がJR新宿西口地下ロータリーにある世界時計です。ご参考までに。
http://i.imgur.com/JLr5rJx.jpg
後でおまけ書きます。リヴァハンで。
おそらくこの番外編初見さんは意味不明なはずなので、まとめてくださる方いましたら、先に本編読むの推奨って加えてくれたら有り難いです…。
リヴァハンが撮った写真風とは粋!今までで一番好きなシリーズだった!乙!
次回作も楽しみにしてる
おもしろかったです!!
写真見てなんだか新宿に行きたくなってしまったわー。んで、世界時計前で写真撮りたい!!
ひとまずお疲れ様!!4ヶ月間楽しませてくれてありがとう!!
乙好きなシリーズだけに終わる寂しさもひとしお
まえ東京に行った時このSSが頭をよぎって新宿駅へ寄り道してみたんだけど
死ぬかと思った
皆さんレスありがとう!またシリーズやろうと思ってます。ジャンルも何も決まってないけど
>>245 実は短編1つ書いてたんだ。アニ「アルミン・カモミール」よかったらどうぞ!
>>246>>247 新宿ダンジョンの魅力が伝わったようで嬉しい!全視点のルートナビしたいくらいだ。また挑戦してくれ
寝ちゃうのでおまけはまた後で…。おやすみ。
うおー大作完結乙!
寂しくなるな……本当に面白かったよ
完結かー。乙です
毎日新宿で乗り換えるんだけど
この前わざわざ世界時計前行ってにやにやして去ったわwww
終わるのは寂しいけどこのssのおかげでシンジュクダンジョンが好きになれたよ
ありがとう
おまけもたのしみ
あとエルヴィンズラズラ言ってすみませんでした。
以下リヴァハンおまけ。現パロ。
――
ハンジ「ただいまあああーっ!」ドサッ
リヴァイ「!!」
ハンジ「ふーっ。もう足限界きもちーっ」
リヴァイ「おい……」
ハンジ「幸せ……」ホクホク
リヴァイ「ふざけるな」
ハンジ「ん?」
リヴァイ「ベッドから降りろクソメガネ」
ハンジ「えー」
リヴァイ「外出着のまま乗るな。きたねえだろ」グイグイ
ハンジ「やだもうこのまま寝ようよー」ジタバタ
リヴァイ「俺の寝床だ」グイグイ
ハンジ「ねえ」
リヴァイ「なんだ」
ハンジ「リヴァイも疲れたろ?一緒に寝よう」ニコ
リヴァイ「……」
ハンジ「……」
ガシッ
ハンジ「やんっリヴァイったらダイタ……」
リヴァイ「お前は黙って風呂沸かせ」ズルズル
ハンジ「引きずられるー」
リヴァイ「嫌なら歩け」
ハンジ「体罰だよこれはリヴァイ先生」
リヴァイ「わめくな変態先生」
ハンジ「あなたさあ、皆から怖らがられすぎて、学校牛耳ってるのはあなただって噂まであるよ。知ってる?」
リヴァイ「お前こそ授業中生徒の気分悪くさせて保健室送りにするプロじゃねえか。恨みでもあんのかよ」
ハンジ「えー生物学にはロマンがあるのになあ」
リヴァイ「とにかくだ。俺はとりあえず洗濯と部屋の掃除をする。留守の間に相当ホコリが溜まっちまってるはずだ」
ハンジ「こんな時間に掃除洗濯?明日でいいじゃん。お隣さん神経質なんだろ」
リヴァイ「悪いがこっちも神経質なんでな」ゴゴゴ
ハンジ「なに対抗心燃やしてんの……」
ハンジ「じゃあ洗濯するんだったらさ、私のも洗ってよ。今出してくるから」
リヴァイ「水道代浮かせたいだけじゃねえか」
ハンジ「リヴァイが洗濯した服は着心地がいいんだよ」
リヴァイ「俺はお前の母親じゃねえぞ」
ハンジ「同僚だろ」
リヴァイ「ああ」
ハンジ「あと恋人」
リヴァイ「さっさと風呂入れてこい」
ハンジ「はいはい」
――
アワアワ ゴシゴシ
ハンジ「あー気持ちー……」ウットリ
リヴァイ「……」ゴシゴシ
ハンジ「右耳の裏」
リヴァイ「……」ゴシゴシ
ハンジ「もうちょっと上」
リヴァイ「……」ゴシゴシ
ハンジ「さいっこー。女王様になったような気分だね」
リヴァイ「ドブに手を突っ込んでるような気分だ。気持ちわりい。髪くらい自分で洗え」
ハンジ「あなたはきっといい美容師になれた」
ハンジ「ねえ」
リヴァイ「どうした。まだ痒いとこあんのか」
ハンジ「修学旅行、無事終わってよかったね」
リヴァイ「あれのどこが無事なんだ。それとも新宿で何が起きたかもう忘れちまったのか」
ハンジ「忘れてなんかないよ。生徒たち、ひったくりに遭ったり、攫われかけたり、警察の世話になったり、脱走図ったり……」
ハンジ「まるでテレビドラマみたいな展開だったね」クスクス
リヴァイ「登場人物でなけりゃ笑ってやったんだがな。ガキたちの尻拭いも、責任とらされんのも俺たちだ」ゴシゴシ
ハンジ「そういえばリヴァイはさ、どうして教師やってんの」
リヴァイ「覚えてねえな」
ハンジ「そう」
リヴァイ「あの年頃、惚れた腫れたしか頭にねえだろ。それがまた厄介だ」
ハンジ「思春期だもんね」
リヴァイ「受験に響かなけりゃ何しようが構わねえがな。いや、響いたところで知らん」
ハンジ「先生冷たい」
リヴァイ「温まりてえのか」
ジャーッ
ハンジ「わっ熱っ!いきなりシャワー出すなよびっくりした」
リヴァイ「予告はしたぞ。それにやってもらってるやつが贅沢言うな」
ハンジ「んー」
ジャー…
リヴァイ「……」
ハンジ「……」
リヴァイ「籍でも入れるか」
ハンジ「え?何?聞こえなかった」
リヴァイ「耳鼻科行け」
ハンジ「シャワーの音のせいだろ」
キュッ
リヴァイ「……」
ハンジ「……?」
リヴァイ「……」
ハンジ「なに?」
リヴァイ「……」
ハンジ「寒くなっちゃうよ。湯船に入ろう」
――
ザバーッ
ハンジ「あったかーい」ウットリ
リヴァイ「ああ」
ハンジ「ねえこの足引いてよ」グイグイ
リヴァイ「お前こそ遠慮しろ。縮こまれ。ついでに縮め」グイグイ
ハンジ「わっちょっと股蹴るのはなしだろ。そういうルールじゃん」グイグイ
リヴァイ「お前、これからも俺の家に入り浸る気か」
ハンジ「えっ別れ話?唐突」
リヴァイ「籍入れるぞ」
リヴァイ「下手に保護者に勘付かれて面倒なことになる前に」
ハンジ「……」
リヴァイ「この間エレンに見られたしな。あいつにゃ口封じしといたわけだが」
ハンジ「……」
リヴァイ「なんだ。気に食わねえのか」
ハンジ「い、いや。そうじゃなくて……」
ハンジ「リヴァイ、私をお嫁さんにしてくれるの?」
リヴァイ「変態のお前が、一丁前に他の野郎んとこに嫁げるとでも思ってんのか?」
ハンジ「思わない」
リヴァイ「だろうな。お前を扱いきれるのは俺だけだ」
ハンジ「うん……」
リヴァイ「……」
ハンジ「ぷっ」
リヴァイ「屁こくな」
ハンジ「笑ったんだよ。ていうかお湯の中で屁こいたらばれます」
リヴァイ「だろうな」
ハンジ「ははっ。嬉しいなあ」
リヴァイ「そうか」
ハンジ「ものすごく嬉しい」
リヴァイ「そりゃよかったな」
ハンジ「リヴァイを扱いきれるのも、あしらいきれるのだって私だけだもんね」
リヴァイ「嘘はよくねえぞ」
ハンジ「これはこれは。見解の相違」
ハンジ「ね」
リヴァイ「なんだ」
ハンジ「もしさあ、別の世界に生まれたとして、それでもリヴァイとまた会えていたかな」
リヴァイ「もしもの話は好きじゃねえ」
ハンジ「いいじゃんいいじゃん」
リヴァイ「まあ……放っておいたって、どうせ俺とお前は会っちまってただろう。悠長に構えてりゃいいんじゃねえか」
ハンジ「どうせ、ね。素敵な言葉だ」
ハンジ「またこんな風にしていられたと思う?」
リヴァイ「よほどのことがなけりゃな」
ハンジ「例えば?」
リヴァイ「……」
ハンジ「……」
リヴァイ「もういいだろうこの話」
ハンジ「そうだね」
リヴァイ「……」
ハンジ「……」
ハンジ「本当にありがとう」
リヴァイ「いや」
ハンジ「風呂上がったらビールでも飲もう」
リヴァイ「ああ」
ハンジ「その後は」
リヴァイ「洗濯もん干して部屋の掃除」
ハンジ「了解」
おしまい
以上で終わりです。ありがとうございました!
このSSまとめへのコメント
このシリーズ最高だぜ‼
ついに最後か…
読めば読むほど味が出るスルメのようなssだ
これに影響されてドミノかったぜ